説明

電気光学装置、電子機器、電気光学装置の製造方法

【課題】不揮発性メモリと画素TFTが同一基板上に併設されており、かつ高信頼性とされた液晶装置を提供する。
【解決手段】本発明の電気光学装置は、画素部と、これを駆動させる駆動回路と、不揮発性メモリと、を備えた電気光学装置である。画素部及び前記駆動回路の少なくとも一方におけるスイッチング素子は、不揮発性メモリとともに基板10A上に形成されている。スイッチング素子のゲート絶縁膜は、第1絶縁膜35と第2絶縁膜36と第3絶縁膜38との積層構造からなっており、不揮発性メモリは、第2絶縁膜36を介して半導体層33上に設けられたフローティングゲート電極37と、第3絶縁膜38を介してフローティングゲート電極37上に設けられたコントロールゲート電極39Aと、を有するメモリセル110aを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置、電子機器、電気光学装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、液晶装置等の電気光学装置は、マトリクス状に配置され薄膜トランジスタ(TFT)を有する画素部と、画素部を駆動する走査線駆動回路やデータ線駆動回路等の駆動回路と、を備えている。近年では、電気光学装置の多機能化、高機能化に伴い、電気光学装置に記憶装置としてのメモリが搭載されるようになってきている。このようなメモリとして、電気的なデータの読出し、書込み、及び消去が可能な不揮発性メモリ、例えばEEPROMがある。
【0003】
EEPROMは、半導体層上にトンネル絶縁膜を介して設けられたフローティングゲート電極と、フローティングゲート電極を覆って設けられた絶縁膜と、この絶縁膜上に設けられたコントロールゲートと、を有するメモリセルを複数備えている。フローティングゲート電極に電圧が印加されると、トンネル絶縁膜中を電流が流れることで、フローティングゲート電極に電荷(データ)が注入(書込み)、あるいはフローティングゲート電極から電荷(データ)が放出(消去)される。また、フローティングゲート電極の電荷状態を検出することにより、データを読出すことが可能となっている。
【0004】
従来、メモリは電気光学パネルに外付けされており、メモリが搭載された電気光学装置の十分な小型化を図ることができなかった。そこで、SOI技術を用いてTFTを形成することにより、同一基板内に、画素部、駆動回路、及びメモリを形成し、装置の小型化を図った技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−326289号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、トンネル絶縁膜は、この膜中に電流が良好に流れるように、通常のゲート絶縁膜よりも薄くする必要がある。しかしながら、特許文献1に開示された製造方法では、メモリセルを構成するトンネル絶縁膜と画素部のTFTを構成するゲート絶縁膜とが同一の工程で形成されるため、その膜厚が等しくなる。そのため、画素部のTFTにおいてもゲート絶縁膜を透過するトンネル電流が流れる不具合、あるいはメモリセルにおいてはトンネル絶縁膜にトンネル電流が流れない不具合が生じてしまう。このような不具合により動作不良が生じるおそれがあり、信頼性のあるものを得ることができなかった。
【0006】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであって、電気光学装置を構成する基板上に画素部のTFTと不揮発性メモリとを効率よく混載することができ、かつ高信頼性の電気光学装置が得られる製造方法を提供することを目的の一つとする。また、これにより得られた良好に動作可能な電気光学装置を提供することを目的の一つとする、また、これを備えた良好な電子機器を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電気光学装置の製造方法は、画素部と、該画素部を駆動する駆動回路と、不揮発性メモリと、を同一基板上に備えた電気光学装置の製造方法であって、基板上に半導体膜を形成する工程と、前記半導体膜をパターニングし、前記不揮発性メモリを構成する第1半導体層を形成するとともに、前記画素部及び前記駆動回路の少なくとも一方のスイッチング素子を構成する第2半導体層を形成する工程と、前記第1半導体層及び前記第2半導体層を覆う第1絶縁膜を形成する工程と、前記第1半導体層におけるチャネル部上の第1絶縁膜を除去して、該チャネル部を露出させる開口部を形成する工程と、前記開口部の内側に露出した第1半導体層、及び前記第1絶縁膜を覆う第2絶縁膜を形成する工程と、前記チャネル部上の第2絶縁膜を覆うフローティングゲート電極を形成する工程と、前記フローティングゲート電極上、及び前記第2絶縁膜上を覆う第3絶縁膜を形成する工程と、前記チャネル部上の第3絶縁膜を覆うコントロールゲート電極を形成するとともに、前記第2半導体層上の第3絶縁膜を覆うゲート電極を形成するゲート電極形成工程と、を有することを特徴とする。
【0008】
このようにすれば、第1半導体層上に、第2絶縁膜(トンネル絶縁膜)、フローティングゲート電極、第3絶縁膜、コントロールゲート絶縁膜が順に形成され、これらからなる不揮発性メモリを形成することができる。また、第2半導体層上には、第1絶縁膜、第2絶縁膜、第3絶縁膜、ゲート電極が順に形成され、第1〜3絶縁膜をゲート絶縁膜とする薄膜トランジスタ(TFT)、すなわち画素部や駆動回路のスイッチング素子を形成することができる。不揮発性メモリのトンネル絶縁膜は、スイッチング素子のゲート絶縁膜よりも薄く形成されるので、使用時においてゲート絶縁膜中には電流が流れないように、かつトンネル絶縁膜中には電流が流れるようにすることができ、不揮発性メモリとスイッチング素子とをともに良好に機能させることができる。本発明によれば、このような高信頼性の電気光学装置を製造することができるようになる。
【0009】
また、第1、2半導体層を形成する工程や、第1〜第3絶縁膜を形成する工程、コントロールゲート電極及びゲート電極を形成する工程は、不揮発性メモリ側とスイッチング素子側とで共通して行うので、不揮発性メモリとスイッチング素子とを独立して形成する場合よりも、プロセスが格段に効率化される。これにより、同じ基板上に不揮発性メモリとスイッチング素子とが併設された電気光学装置を効率よく製造することができる。
【0010】
また、前記第3絶縁膜を形成する工程では、前記第2絶縁膜の膜厚以上の厚さに第3絶縁膜を形成することが好ましい。
このようにすれば、使用時において第2絶縁膜中にトンネル電流が流れるように、かつ第3絶縁膜中を電流が流れないようにすることができる。これにより、フローティング電極に良好に電荷を注入させることができ、不揮発性メモリを良好に機能させることができる。本発明によれば、このような高信頼性の電気光学装置を製造することができるようになる。
【0011】
前記フローティングゲート電極を形成する工程では、前記第2絶縁膜上において少なくとも前記開口部の内側全体を覆うフローティングゲート電極を形成することが好ましい。
通常、フローティングゲート電極は、その形成材料を成膜した後に、この材料膜をエッチング等によりパターニングして形成する。前記のように第2絶縁膜はトンネル絶縁膜として機能させるので薄くする必要があるが、前記材料膜をエッチングする際にその下地となる第2絶縁膜側がオーバーエッチされ、第2絶縁膜にサイドエッチ等を生じる場合がある。
前記第2絶縁膜上において少なくとも開口部の内側全体を覆うフローティングゲート電極を形成するようにすれば、例えば第1絶縁膜よりも薄い第2絶縁膜とした場合に、前記第1半導体層と当接する部分の第2絶縁膜は、開口部の側壁に沿う部分の第2絶縁膜により前記エッチングから保護される。これにより、第1半導体層と当接する部分の第2絶縁膜にサイドエッチ等を生じることが防止され、良好な第2絶縁膜となる。したがって、第1半導体層とフローティングゲート電極との間のリーク等が防止され、良好に機能する不揮発性メモリとすることができる。本発明によれば、このような電気光学装置を製造することができるようになる。
【0012】
また、前記コントロールゲート電極を形成する工程では、前記第3絶縁膜上において少なくとも前記開口部の内側全体を覆うコントロールゲート電極を形成することが好ましい。
通常、コントロールゲート電極は、その形成材料を成膜した後に、この材料膜をエッチング等によりパターニングして形成する。ここで、コントロールゲート電極が開口部の内側を覆わない場合、コントロールゲートのエッチング時の最下層に第1絶縁膜が存在しないことになり、オーバーエッチングとなった場合には第1半導体層が露出してしまう場合がある。
前記第3絶縁膜上において少なくとも前記開口部の内側全体を覆うコントロールゲート電極を形成するようにすれば、例えばオーバーエッチングになった場合でも第1絶縁膜によりエッチングから保護される。これにより、第1半導体層が露出してしまうというようなことが防止される。したがって、第1半導体層とフローティングゲート電極との間のリーク等が防止され、良好に機能する不揮発性メモリとすることができる。本発明によれば、このような電気光学装置を製造することができるようになる。
【0013】
また、前記コントロールゲート電極を形成する工程では、前記第3絶縁膜上において少なくとも前記フローティングゲート電極の上面全体を覆うコントロールゲート電極を形成することが好ましい。
通常、コントロールゲート電極は、その形成材料を成膜した後に、この材料膜をエッチング等によりパターニングして形成する。ここで、コントロールゲート電極をフローティングゲート電極よりも小さく形成した場合、コントロールゲートのエッチング時にフローティングゲートまでオーバーエッチングしてしまう場合があり、この場合、両ゲート間のカップリング容量が小さくなってしまう。前記第3絶縁膜上において少なくとも前記フローティングゲート電極の上面全体を覆うコントロールゲート電極を形成するようにすれば、例えばオーバーエッチングになった場合でも両ゲート間のカップリング容量が確保でき、良好に機能する不揮発性メモリとすることができる。本発明によれば、このような電気光学装置を製造することができるようになる。
【0014】
また、前記基板上に形成したアモルファスシリコン膜を加熱して、前記アモルファスシリコン膜を結晶化することで得たポリシリコン膜を前記半導体膜として用いることが好ましい。
このようにすれば、例えば低温プロセスによる低温ポリシリコン膜が半導体層として形成されるので、安価で耐熱性の低いガラス等を基板として用いることが可能となり、基板材料の選択自由度が高くなるとともに低コスト化が図られる。
【0015】
また、前記不揮発性メモリは選択トランジスタを有しており、前記ゲート電極形成工程では、前記画素部及び前記駆動回路の少なくとも一方のゲート電極を形成するとともに、前記選択トランジスタを構成するゲート電極を形成することが好ましい。
このようにすれば、選択トランジスタを備えた不揮発性メモリ(EEPROM)を同一基板上に良好に形成することができる。
【0016】
本発明の電気光学装置は、画素部と、該画素部を駆動させる駆動回路と、不揮発性メモリと、を備えた電気光学装置であって、前記画素部及び前記駆動回路の少なくとも一方におけるスイッチング素子は、前記不揮発性メモリとともに前記基板上に形成されてなり、前記スイッチング素子のゲート絶縁膜は、第1絶縁膜と第2絶縁膜と第3絶縁膜との積層構造からなっており、前記不揮発性メモリは、前記第2絶縁膜を介して半導体層上に設けられたフローティングゲート電極と、前記第3絶縁膜を介して前記フローティングゲート電極上に設けられたコントロールゲート電極と、を有するメモリセルを備えていることを特徴とする。
【0017】
このようにすれば、画素部や駆動回路のスイッチング素子のゲート絶縁膜は、第1〜3絶縁膜との積層構造からなっており、その膜厚が不揮発性メモリのトンネル絶縁膜(第2絶縁膜)よりも厚くなる。したがって、ゲート絶縁膜とトンネル絶縁膜が同じ膜厚の場合にゲート絶縁膜中にトンネル電流が流れてしまう不具合、あるいはトンネル絶縁膜中にトンネル電流が流れない不具合等が防止され、前記スイッチング素子と不揮発性メモリとをともに良好に機能させることができる。よって、これらを備えた電気光学装置は、前記不具合に起因する動作不良が防止された高信頼性のものとなる。
【0018】
また、前記第3絶縁膜の膜厚が、前記第2絶縁膜の膜厚以上となっていることが好ましい。
このようにすれば、第2絶縁膜中にトンネル電流が流れるように、かつ第3絶縁膜中を電流が流れないようにすることができる。これにより、良好にフローティングゲート電極に電荷を蓄積させることができ、良好に機能する不揮発性メモリとなる。
【0019】
また、前記半導体層は、前記基板上に形成したアモルファスシリコン膜を低温プロセスにより結晶化させた低温ポリシリコン膜からなることが好ましい。
このようにすれば、例えば低温プロセスによる低温ポリシリコン膜が半導体層として形成できるので、安価で耐熱性の低いガラス等を前記基板として採用でき、基板材料の選択自由度が高まるとともに低コストの電気光学装置とすることができる。
【0020】
本発明の電子機器は、前記の本発明の電気光学装置を備えていることを特徴とする。
このようにすれば、同一基板上に不揮発性メモリと、画素部や駆動回路のスイッチング素子とが形成されており、かつ不揮発性メモリとスイッチング素子とがともに高信頼性とされた電気光学装置を備えているので、高性能かつ高信頼性の電子機器となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態を説明するが、本発明の技術範囲は以下の実施形態に限定されるものではない。以降の説明では図面を用いて各種の構造を例示するが、構造の特徴的な部分を分かりやすく示すために、図面中の構造はその寸法や縮尺を実際の構造に対して異ならせて示す場合がある。
【0022】
(電気光学装置)
本実施形態の電気光学装置は、本発明を液晶装置に適用した例である。この液晶装置は、アクティブマトリクス方式の液晶パネルであって、TFTアレイ基板と対向基板との間に液晶層が挟持されている。TFTアレイ基板に設けられたスイッチング素子(TFT素子)は、本発明の電気光学装置の製造方法により得られたものである。
【0023】
図1は、本実施形態の液晶装置の構成を概略して示す平面図である。
本実施形態の液晶装置1は、図1に示すように、略長方形状のTFTアレイ基板10上には、略長方形状の対向基板20が設けられている。対向基板20は、その周縁部に沿って設けられたシール材52により、TFTアレイ基板10に固着されている。また、TFTアレイ基板10と対向基板20との間には、液晶層が封入されている。液晶層は、例えばシール材52に設けられた液晶注入口52aからTFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶材料が注入され、その後に封止材25によって封止されたものである。また、対向基板20のコーナー部の少なくとも1箇所においては、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的導通をとるための上下導通材106が設けられている。
【0024】
シール材52の外側の領域には、データ線駆動回路(駆動回路)201及び外部回路接続端子202がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられており、走査線駆動回路(駆動回路)104がこの一辺に隣接する一辺に沿って設けられている。また、データ線駆動回路201が設けられた側と反対のTFTアレイ基板10の周縁部に、メモリコントローラ回路112、SRAM113、及び不揮発性メモリ110が設けられている。なお、本実施形態においてメモリコントローラ回路112とは、SRAM113および不揮発性メモリ110に画像データを格納したり読み出したりという動作を制御するための制御回路である。SRAM113は高速なデータの書き込みを行うために設けられている。なお、SRAM113の代わりにDRAMを設けてもよく、また、高速な書き込みが可能な不揮発性メモリであれば、特にSRAM113を設けなくてもよい。
【0025】
シール材52の内側には、シール材52に並行して額縁としての遮光膜53(周辺見切り)が設けられている。遮光膜53に囲まれた領域には、複数の画素部Pがマトリックス状に配置されている。なお、フルカラー表示の電気光学装置にあっては、フルカラー表示の最小単位が複数の単色表示単位、例えば赤、青、緑からなっている場合がある。この場合に単色表示単位と対応する画素部がサブ画素と称される場合もある。すなわち、フルカラー表示の液晶装置である場合に、画素部Pはサブ画素と称される場合もある。
【0026】
図2は、マトリクス状に形成された複数の画素部の等価回路図であり、本実施形態の画素部は、データ線と走査線とによって囲まれた部分である。図2に示すように、画素部には画素電極9、及び画素電極9をスイッチング制御するための画素TFT30が形成されている。画素TFT30のソースには、データ線駆動回路201からの画像信号を供給するデータ線6aが電気的に接続され、画素TFT30のドレインには、画素電極9が電気的に接続されている。また、画素TFT30のゲート電極は、データ線6aと直交して延びる走査線3aに電気的に接続されている。画素電極9には、スイッチング素子である画素TFT30を一定期間だけオン状態とすることにより、データ線6aから供給される画像信号が所定のタイミングで書き込まれる。画素電極9を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号は、対向基板20に形成された共通電極(後述する)との間で一定期間保持される。ここで、保持された画像信号がリークするのを防ぐために、画素電極9と共通電極との間に形成される液晶容量と並列に、蓄積容量70が設けられている。具体的には、蓄積容量70は、一端が走査線3aと平行して延びる容量線3bに、他端が画素TFT30のドレイン及び画素電極9の間に接続されている。
【0027】
本実施形態に係る液晶装置1は、画素TFT30及び不揮発性メモリ110がTFTアレイ基板10上に直接形成されており、画素TFT30及び不揮発性メモリ110は、本発明の製造方法を適用して、一括して形成されたものである。
【0028】
(不揮発性メモリ)
図3(a)は、不揮発性メモリ110の等価回路を示す図であり、図3(b)は、不揮発性メモリ110の構成を概略して示す断面図である。なお、不揮発性メモリ110は複数のメモリセルによって構成されているが、図3(a)には2つのメモリセルを図示しており、図3(b)には一つのメモリセルを図示している。本実施形態では、不揮発性メモリ110として、EEPROM(electrically erasable programmable read only memory)を採用している。EEPROMでは、データの書込み、読出し、及び消去がメモリセルごとに可能である。
【0029】
本実施形態の不揮発性メモリ110は、図3(a)に示すように、メモリセル110a、110bと、選択TFT111a、111bとを備えて構成されており、メモリセル110a、110bのそれぞれに、選択TFT111a、111bが直列に配置された回路構成となっている。ここでは、メモリセル110a、110bのそれぞれのドレイン側に、グランド線Ga、Gbが電気的に接続されており、選択TFT111a、111bのそれぞれのソース側に、ビット線Ba、Bbが電気的に接続されている。また、メモリセル110a、110bのコントロールゲート電極は、ともにワード線Wに電気的に接続されており、選択TFT111a、111bのゲート電極は、ともに選択線Vに電気的に接続されている。このような構成の不揮発性メモリはNOR型フル機能EEPROMと呼ばれている。なお、本実施形態では、メモリセル110a、110bおよび選択TFT111a、111bがいずれもnチャネル型TFTの場合について説明する。
【0030】
図3(b)に示すように、本実施形態のメモリセル110a及び選択TFT111aは、低温ポリシリコンからなる半導体層33を共有しており、半導体層33には、高濃度n型不純物領域33a、33e、33f、33j、及び低濃度n型不純物領域33b、33d、33g、33iが形成されている。
【0031】
低濃度n型不純物領域33b、33dの間は、メモリセル110aのチャネル部33cとなっており、ここでは高濃度n型不純物領域33e側がソース、高濃度n型不純物領域33a側がドレインとなっている。メモリセル110aは、半導体層33の一部である第1半導体層と、チャネル部33c上に順に設けられた第2絶縁膜36、フローティングゲート電極37、第3絶縁膜38、及びコントロールゲート電極39Aを備えて構成されている。第2絶縁膜36は、トンネル絶縁膜として機能するようになっている。第1半導体層は、チャネル部33c、低濃度n型不純物領域33b、33d、及び高濃度n型不純物領域33a、33eからなっている。
【0032】
また、低濃度n型不純物領域33g、33iの間は、選択TFT111aのチャネル部33hとなっており、ここでは高濃度n型不純物領域33j側がソース、高濃度n型不純物領域33f側がドレインとなっている。選択TFT111aは、半導体層33の一部である第2半導体層と、チャネル部33h上に順に設けられた第1絶縁膜35、第2絶縁膜36、第3絶縁膜38、及びゲート電極39Bを備えて構成されている。第1絶縁膜35、第2絶縁膜36、及び第3絶縁膜38からなる積層体は、選択TFT111aのゲート絶縁膜として機能するようになっている。第2半導体層は、チャネル部33h、低濃度n型不純物領域33g、33i、高濃度n型不純物領域33f、33jからなっている。また、高濃度n型不純物領域33e、33fは一体に形成されており、メモリセル110aと選択TFT111aとの接続部として機能するようになっている。
なお、前記画素TFT30は、選択TFT111aと同じプロセスで形成されたものであり、選択TFT111aと同様の構造となっている。
【0033】
次に、本実施形態に係る液晶装置1の動作方法について、不揮発性メモリ110の動作方法を中心に説明する。
メモリセル110aにデータの書込みを行う場合には、グランド線GaをGND(0V)とするとともに、ビット線Ba、ワード線W、および選択線Vにそれぞれ正の電圧(例えば20V)を印加する。これにより、メモリセル110a及び選択TFT111aがオンとなり、チャネル部33c、33hに電流が流れるとともに、インパクトイオン化によるホットエレクトロン(電荷)が、第2絶縁膜36中を通ってフローティングゲート電極37に蓄積される。ワード線Wに印加する電圧をあるしきい値よりも小さくすると、蓄積された電荷(データ)は、第2絶縁膜36中を通ることができなくなり、フローティングゲート電極37に保持される。
データの読出しを行う場合には、選択線Vに所定の電圧(例えば5V)を印加して選択TFT111aをオンとする。また、グランド線GaをGNDとするとともに、ワード線Wに所定の電圧(例えば5V)を印加する。これにより、フローティングゲート電極37の電荷の有無に応じて、メモリセル110aのチャネル部33cに電流が流れ、電荷(データ)を検知する(読出す)ことが可能となる。
【0034】
データの消去を行う場合には、グランド線Ga及びワード線WをGNDとするとともに、選択線V及びビット線Baに正の高電圧(例えば20V)を印加する。これにより、フローティングゲート電極37に蓄積された電荷(データ)は、第2絶縁膜36中を通ってドレインに放出される。なお、同じ列の他のメモリセル110bについては、選択TFT111bをオフとしておくことにより、データの消去が行われない。これにより、メモリセル110aのデータのみを消去することが可能になっている。
なお、前記の動作において、非選択の選択線Vは全て0Vとすればよい。また、動作電圧の値は一例であって、その値に限られるわけではない。
【0035】
図4は、液晶装置1の動作を説明するブロック図である。図4に示すように、液晶装置1は、画像信号、クロック信号もしくは同期信号等が、外部回路接続端子202に接続されたFPC(フレキシブルプリント基板)117を経由して入力されるようになっている。また、外部回路接続端子202は、図示略の配線によってメモリコントローラ回路112に電気的に接続されており、これにより画像信号、クロック信号もしくは同期信号等をメモリコントローラ回路112に入力することができる。例えばパソコン本体やテレビ受信アンテナ等の外部入力装置から送られてきた画像信号は、1フレーム毎にSRAM113に格納(記憶)され、その画像信号はメモリコントローラ回路112によって順次画素部Pに入力され表示される。SRAM113には少なくとも画素部Pに表示される画像1フレーム分の画像情報が記憶される。例えば、6ビットのデジタル信号が画像信号として送られてくる場合、少なくとも画素数に6ビットを掛け合わせた容量のSRAMを必要とする。また、メモリコントローラ回路112により、必要に応じて、SRAM113に格納された画像信号を不揮発性メモリ110へ格納し、あるいは不揮発性メモリ110に格納された画像信号を画素TFT30に入力し、これによって画素電極9と対向電極との間に電圧を印加し、液晶層50の液晶分子を配向させることにより、画像表示を行うことが可能となる。
【0036】
なお、SRAM113および不揮発性メモリ110に格納する画像データはデジタル信号であるので、必要に応じてD/Aコンバータ若しくはA/DコンバータをTFTアレイ基板10上に形成することが望ましい。
【0037】
以上のように本実施形態の液晶装置1は、画素部Pに表示された画像を常にSRAM113に記憶させておくことができ、画像の一時停止を容易に行うことができる。また、SRAM113に記憶された画像信号を不揮発性メモリ110へ格納し、あるいは不揮発性メモリ110に記憶された画像信号を画素部Pへ入力することによって、例えば画像の録画や再生を容易に行うこともできる。
【0038】
(液晶装置の製造方法)
次に、本発明の電気光学装置の製造方法の一実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を液晶装置1の製造に適用した例である。なお、本実施形態に係る製造方法では、低温プロセスによって形成したポリシリコンを能動層として用い、前記TFTアレイ基板10上に設けられた不揮発性メモリ110を構成するTFT(メモリセル、選択TFT)及び画素部Pを構成する画素TFT30を同一基板上に形成する。
【0039】
図5(a)〜(e)、 図6(a)〜(e)、図7(a)〜(d)は、本実施形態の電気光学装置の製造方法を示す断面工程図である。なお、以下の説明に用いる図において、符号A1は、メモリセル110aが形成される領域に対応する部分、符号A2は、メモリセル110aに直列に接続される選択TFT111aが形成される領域に対応する部分、符号A3は、画素TFT30が形成される領域に対応する部分、をそれぞれ示している。
【0040】
電気光学装置の製造に先立ち、予めTFTアレイ基板10を構成する基板本体10Aとして、ガラス基板を用意し、これを硫酸洗浄しておく。
そして、図5(a)に示すように、基板本体10A上に下地保護膜31と、ポリシリコン膜32を順に形成する。具体的には、基板温度が約150℃から約450℃の温度条件下で、基板本体10Aの表面にプラズマCVD法によりシリコン酸化物(SiO)からなる下地保護膜31を形成する。下地保護膜31の原料ガスとしては、例えばTEOS(テトラエトキシシラン)及び酸素含有の混合ガス、あるいはジシラン及びアンモニア含有の混合ガス等を用いることができる。次に、基板本体10Aを外気に曝すことなく、基板温度が約150℃から約450℃の温度条件下で、同じくプラズマCVD法により基板本体10Aの全面に厚さが50nm〜75nmのアモルファスシリコン膜を形成する。アモルファスシリコン膜の原料ガスとしては、例えばジシランやモノシランを用いることができる。そして、アモルファスシリコン膜上に酸化シリコン膜を形成し、アモルファスシリコン膜にチャネルドープを行った後、ウエットエッチングにより前記酸化シリコン膜を剥離する。そして、アモルファスシリコン膜が形成された基板本体10Aをレーザーアニール装置のチャンバー内へ移し、アモルファスシリコン膜にレーザ光を照射する。これにより、アモルファスシリコン膜を結晶化することができ、結晶化した膜をポリシリコン膜32とすることができる。
【0041】
次に、図5(b)に示すように、例えば公知のフォトリソグラフィ法及びエッチング技術等を用いてポリシリコン膜32をパターニングし、半導体層33、34を形成する。半導体層33は、後にメモリセル110a(図3(b)参照)の第1半導体層、及び選択TFT111aの第2半導体層となる部分である。また、半導体層34は、後に画素TFT30の第2半導体層となる部分である。
【0042】
次に、図5(c)に示すように、例えばTEOS−CVD法、CVD法、プラズマCVD法を用いて、半導体層33、34を覆ってシリコン酸化物からなる第1絶縁膜35を基板本体10A上に形成する。そして、図5(d)に示すように、後にメモリセル110aのチャネル部33cとなる部分の半導体層33上の第1絶縁膜35を、例えば公知のフォトリソグラフィ法及びエッチング技術等を用いて除去し、チャネル部33cとなる部分を露出させる開口部35aを形成する。
【0043】
次に、図5(e)に示すように、例えばTEOS−CVD法、CVD法、プラズマCVD法を用いて、開口部35aの内側に露出した半導体層33、及び半導体層34上の第1絶縁膜35を覆って、例えば基板10A上の略全面に第2絶縁膜36を形成する。第2絶縁膜36は、不揮発性メモリ110においてトンネル絶縁膜と機能させるので、膜中にトンネル電流を良好に流すことが可能な膜厚(例えば10〜20nm程度)とすることが好ましい。ここでは、シリコン酸化物からなり第1絶縁膜35よりも薄い第2絶縁膜36を形成する。
【0044】
次に、図6(a)に示すように、前記チャネル部33cとなる部分上の第2絶縁膜36を覆うフローティングゲート電極37を形成する。フローティングゲート電極の形成材料としては、アルミニウム(Al)タンタル(Ta)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、クロム(Cr)、シリコン(Si)等の金属、窒化タンタル、窒化タングステン、窒化チタン膜等の前記金属の窒化物、Mo−W合金、Mo−Ta合金等の前記金属の合金、タングステンシリサイド、チタンシリサイド等の前記金属のシリサイド等を用いることができる。また、フローティングゲート電極の形成方法としては、TEOS−CVD法、CVD法、プラズマCVD法、スパッタリング法等により、第2絶縁膜36上に前記したフローティングゲート形成材料を成膜し、この膜を公知のフォトリソグラフィ法及びエッチング技術等を用いてパターニングする方法が挙げられる。
【0045】
本実施形態では、第2絶縁膜36上にスパッタリング法でAlを成膜する。膜厚は、100nm以下、特に50nm程度とすることが好ましい。そして、フォトリソグラフィ法等用いて、開口部35aの内側全体を覆うとともに開口部35aの内側から外側に張り出したレジストパターンを形成する。そして、これをマスクとしAl膜をエッチングしてフローティングゲート電極37を形成する。開口部35aの内側全体を覆うようにすれば、Al膜がオーバーエッチされた場合に、半導体層33に当接する部分の第2絶縁膜36が、開口部35aの側壁に沿う部分の第2絶縁膜36に保護されるので、ここにサイドエッチ等を生じることが防止される。さらに、開口部35aの外側に張り出してその周辺部も覆うようにすれば、前記側壁に沿う部分も、張り出したレジストパターンやその下地のAl膜、第2絶縁膜36により保護される。このようにして、半導体層33に当接する部分は、エッチングされることが確実に防止され、良好に保持される。
なお、フローティングゲート電極は単層の導電膜で形成しても良く、複数層の導電膜を積層したもので形成しても良い。また、フローティングゲート形成材料を成膜する前に、ブラシによる洗浄(スクラブ洗浄)工程を設けてもよい。
【0046】
次に、図6(b)に示すように、例えばTEOS−CVD法、CVD法、プラズマCVD法を用いて、フローティングゲート電極37、及び半導体層34上の第2絶縁膜36を覆って、例えば基板10A上の略全面に、シリコン酸化物からなる第3絶縁膜38を形成する。これにより、フローティングゲート電極37の非形成領域には、第1絶縁膜35、第2絶縁膜36、及び第3絶縁膜38が積層される。第3絶縁膜38の厚さとしては、第2絶縁膜36と同じ、もしくはこれよりも厚くすることが好ましい。第1絶縁膜の厚さとしては、第1絶縁膜35、第2絶縁膜36、及び第3絶縁膜38からなる積層体の厚さが70〜80nm程度となるようにすることが好ましい。例えば、第2絶縁膜36を10nm程度、第3絶縁膜38を40nm程度とした場合には、第1絶縁膜35を20〜30nmとすることが好ましい。
【0047】
次に、図6(c)に示すように、半導体層33、34に不純物を注入する。具体的には、フローティングゲート電極37及び後述する工程により形成される画素TFT30のゲート電極よりも幅の広いレジストマスクM1を用い、PなどのV族元素のドーパントを高濃度で(例えば、Pイオンを70keVの加速電圧、4×1015/cmのドーズ量にて)ドープする。そして、アッシングによりレジストマスクM1を剥離し、スクラブ洗浄(ブラシ洗浄)を行う。フローティングゲート電極37の非形成領域には、半導体層33、34上に第1絶縁膜35、第2絶縁膜36、及び第3絶縁膜38からなる積層体が形成されており、この領域において半導体層33、34は前記積層体の表面からの深さが均一になっている。そのため、この領域に一括して良好に不純物を注入することができる。
【0048】
次に、図6(d)に示すように、コントロールゲート電極39A、ゲート電極39B、及びゲート電極39Cを一括して形成する。具体的には、フローティングゲート電極37上、及び第3絶縁膜38上の全面にTEOS−CVD法、CVD法、プラズマCVD法、スパッタリング法等により、例えばTiNとAlとTiとを順に成膜する。そして、この積層膜上に、公知のレジスト技術やフォトリソグラフィ法等を用いてレジストパターンを形成する。本実施形態では、前記積層膜上において、少なくともフローティングゲート電極37の上面全体を覆うように前記レジストパターンを形成する。そして、このレジストパターンをマスクとし公知のエッチング技術等により、前記積層膜をエッチングしてこれをパターニングする。このようにすれば、前記積層膜がオーバーエッチングになった場合でも、フローティングゲート電極37及びこの上の第3絶縁膜38は、これら上の前記積層膜及びレジストパターンにより保護されるので、これらがエッチングされることがなくなる。これにより、フローティングゲート電極37とコントロールゲート電極39Aとの間のカップリング容量を所定の値とすることができる。
【0049】
次に、図6(e)に示すように、半導体層33、34に不純物を再度注入する。具体的には、PなどのV族元素のドーパントを低濃度で(例えば、Pイオンを70keVの加速電圧、6×1012/cmのドーズ量にて)ドープする。
【0050】
次に、図7(a)に示すように、基板本体10A上方の全面を覆うカバー絶縁膜61を形成した後、図示部分の外部において不純物を注入し周辺回路部等のPチャンネル等を形成し、次いでカバー絶縁膜61を覆うように、例えば常圧又は減圧CVD法によってNSG、PSG、BSG、BPSGなどのシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等からなる層間絶縁膜62を形成する。層間絶縁膜62の膜厚としては、500〜1500nmとすることが好ましく、800nm程度とすることがより好ましい。この後、ポリシリコン膜安定化のための水素化処理を行う(ダングリングボンド低減)。
【0051】
次に、層間絶縁膜62が形成された基板本体10Aにアニール処理等を行って、前記した2回の不純物注入による結晶欠陥を回復するとともに、注入された不純物を電気的に活性化する。これにより、図7(b)に示すように、半導体層33には、高濃度n型不純物領域33a、33e、33f、33j、及び低濃度n型不純物領域33b、33d、33g、33iが形成され、半導体層34には、高濃度n型不純物領域33k、33o、及び低濃度n型不純物領域33l、33nが形成される。低濃度n型不純物領域33b、33dの間は、メモリセル110aのチャネル部33cとなる部分であり、低濃度n型不純物領域33g、33iの間は、選択TFT111aのチャネル部33fとなる部分である。また、低濃度n型不純物領域33l、33nの間は、画素TFT30のチャネル部33mとなる部分である。
【0052】
次に、図7(c)に示すように、層間絶縁膜62の所定位置にコンタクトホールを設け、このコンタクトホールを介して、選択TFT111aのソース領域となる高濃度n型不純物領域33jに接続するソース電極63、及び画素TFT30のドレイン領域となるに高濃度n型不純物領域33kに接続するドレイン電極64を形成する。なお、本実施形態では、基板本体10A上方の全面に、TiN、Al、Tiを順に成膜した後、この積層膜をパターニングしてソース電極63及びドレイン電極64を形成する。
【0053】
次に、図7(d)に示すように、ソース電極63及びドレイン電極64を覆うように例えばCVD法により、シリコン酸化物からなるパッシベーション膜65を形成した後、パッシベーション膜65を覆ってアクリルからなる平坦化膜66を形成し、次いでパッシベーション膜65及び平坦化膜66を貫通してドレイン電極64を露出するコンタクトホールをドライエッチングによって形成し、次いでこのコンタクトホールを介してドレイン電極64に接続するITOからなる画素電極9を形成する。なお、画素TFT30を構成するその他の配線、前記不揮発性メモリを構成する、選択線、ビット線、ワード線等を製造する工程については従来と同様の手法によって形成できることから、その詳細な説明については省略する。
以上のようにして、同一基板上に、メモリセル110a及び選択TFT111aからなる不揮発性メモリ110と、画素TFT30と、が混載された液晶装置1が得られる。
【0054】
本発明の液晶装置の製造方法にあっては、メモリセル110aのトンネル絶縁膜(第2絶縁膜)36が、選択TFT111a及び画素TFT30aのゲート絶縁膜(第1絶縁膜35、第2絶縁膜36、及び第3絶縁膜38の積層体)よりも確実に薄く形成される。また、開口部35aの形成工程やフローティングゲート電極37の形成工程以外のほとんどの製造工程を、画素TFT30や選択TFT111aと共通して行うことができるので、極めて効率よく液晶装置1を製造することができる。
これにより得られた液晶装置1は、メモリセル110aのトンネル絶縁膜が選択TFT111a及び画素TFT30aのゲート絶縁膜よりも確実に薄くなっているので、不揮発性メモリ110及び画素TFT30を良好に機能させることできる。これにより、液晶装置1は、高性能とすることができかつ高信頼性のものとなっている。
【0055】
(電子機器)
次に、本発明の電子機器について、携帯電話、投射型液晶表示装置(液晶プロジェクタ)を例に挙げて説明する。
図8は、携帯電話600の全体構成を示す斜視図である。携帯電話600は、筺体601、複数の操作ボタンが設けられた操作部602、画像や動画、文字等を表示する表示部603を有する。表示部603には、本発明に係る液晶装置1が搭載されている。電子機器(携帯電話)600は、不揮発性メモリを有し信頼性の高い液晶装置1を備えているので、高信頼性かつ高性能のものとなっている。
【0056】
図9は、投射型液晶表示装置(液晶プロジェクタ)の構成を示す模式図である。図9に示すように、投射型液晶表示装置1100は、液晶装置1を含む液晶モジュール3個を、各々RGB用のライトバルブ100R、100G、100Bとして用いたプロジェクタとして構成されている。投射型液晶表示装置1100では、メタルハライドランプなどの白色光源のランプユニット1102から光が出射されると、3枚のミラー1106および2枚のダイクロイックミラー1108によって、R、G、Bの3原色に対応する光成分R、G、Bに分離され(光分離手段)、対応するライトバルブ100R、100G、100B(液晶装置1/液晶ライトバルブ)に各々導かれる。この際に、光成分Bは、光路が長いので、光損失を防ぐために入射レンズ1122、リレーレンズ1123、および出射レンズ1124からなるリレーレンズ系1121を介して導かれる。そして、ライトバルブ100R、100G、100Bによって各々変調された3原色に対応する光成分R、G、Bは、ダイクロイックプリズム1112(光合成手段)に3方向から入射され、再度合成された後、投射レンズ1114を介してスクリーン1120などにカラー画像として投射される。このような投影型液晶表示装置1100は、不揮発性メモリを有し信頼性の高い液晶装置1を備えているので、高信頼性かつ高性能のものとなっている。
【0057】
なお、電子機器としては、前記携帯電話600、投射型液晶表示装置1100以外にも、マルチメディア対応のパーソナルコンピュータ(PC)、およびエンジニアリング・ワークステーション(EWS)、ページャ、ワードプロセッサ、テレビ、ビューファインダ型またはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、電子手帳、電子卓上計算機、カーナビゲーション装置、POS端末、タッチパネルなどを挙げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】電気光学装置の一実施形態に係る液晶装置の概略構成平面図である。
【図2】マトリクス状に形成された複数の画素部の等価回路図である。
【図3】(a)、(b)は不揮発性メモリの等価回路及び概略構成を示す図である。
【図4】液晶装置のブロック図である。
【図5】液晶装置の製造工程を示す図である。
【図6】図5に続く、液晶装置の製造工程を示す図である。
【図7】図6に続く、液晶装置の製造工程を示す図である。
【図8】携帯電話の概略構成を示す図である。
【図9】投射型液晶表示装置の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
P・・・画素部、1・・・液晶装置(電気光学装置)、10A・・・基板本体(基板)、30・・・画素TFT(スイッチング素子)、32・・・ポリシリコン膜、33・・・半導体層、34・・・半導体層、35・・・第1絶縁膜、36・・・第2絶縁膜、37・・・フローティングゲート電極、38・・・第3絶縁膜、39A・・・コントロールゲート電極、39B、39C・・・ゲート電極、104・・・走査線駆動回路(駆動回路)、110・・・不揮発性メモリ、110a、110b・・・メモリセル、111a、111b・・・選択TFT(選択トランジスタ)、201・・・データ線駆動回路(駆動回路)、600・・・携帯電話(電子機器)、1100・・・投射型液晶表示装置(電子機器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素部と、該画素部を駆動する駆動回路と、不揮発性メモリと、を同一基板上に備えた電気光学装置の製造方法であって、
基板上に半導体膜を形成する工程と、
前記半導体膜をパターニングし、前記不揮発性メモリを構成する第1半導体層を形成するとともに、前記画素部及び前記駆動回路の少なくとも一方のスイッチング素子を構成する第2半導体層を形成する工程と、
前記第1半導体層及び前記第2半導体層を覆う第1絶縁膜を形成する工程と、
前記第1半導体層におけるチャネル部上の第1絶縁膜を除去して、該チャネル部を露出させる開口部を形成する工程と、
前記開口部の内側に露出した第1半導体層、及び前記第1絶縁膜を覆う第2絶縁膜を形成する工程と、
前記チャネル部上の第2絶縁膜を覆うフローティングゲート電極を形成する工程と、
前記フローティングゲート電極上及び前記第2絶縁膜上を覆う第3絶縁膜を形成する工程と、
前記チャネル部上の第3絶縁膜を覆うコントロールゲート電極を形成するとともに、前記第2半導体層上の第3絶縁膜を覆うゲート電極を形成するゲート電極形成工程と、を有することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項2】
前記第3絶縁膜を形成する工程では、前記第2絶縁膜の膜厚以上の厚さに第3絶縁膜を形成することを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項3】
前記フローティングゲート電極を形成する工程では、前記第2絶縁膜上において少なくとも前記開口部の内側全体を覆うフローティングゲート電極を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項4】
前記コントロールゲート電極を形成する工程では、前記第3絶縁膜上において少なくとも前記開口部の内側全体を覆うコントロールゲート電極を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項5】
前記コントロールゲート電極を形成する工程では、前記第3絶縁膜上において少なくとも前記フローティングゲート電極の上面全体を覆うコントロールゲート電極を形成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項6】
前記基板上に形成したアモルファスシリコン膜を加熱して、前記アモルファスシリコン膜を結晶化することで得たポリシリコン膜を前記半導体膜として用いることを特徴とする請求項1〜5いずれか一項に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項7】
前記不揮発性メモリは選択トランジスタを有しており、前記ゲート電極形成工程では、前記画素部及び前記駆動回路の少なくとも一方のゲート電極を形成するとともに、前記選択トランジスタを構成するゲート電極を形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項8】
画素部と、該画素部を駆動させる駆動回路と、不揮発性メモリと、を備えた電気光学装置であって、
前記画素部及び前記駆動回路の少なくとも一方におけるスイッチング素子は、前記不揮発性メモリとともに前記基板上に形成されてなり、
前記スイッチング素子のゲート絶縁膜は、第1絶縁膜と第2絶縁膜と第3絶縁膜との積層構造からなっており、
前記不揮発性メモリは、前記第2絶縁膜を介して半導体層上に設けられたフローティングゲート電極と、前記第3絶縁膜を介して前記フローティングゲート電極上に設けられたコントロールゲート電極と、を有するメモリセルを備えていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項9】
前記第3絶縁膜の膜厚が、前記第2絶縁膜の膜厚以上となっていること特徴とする請求項8に記載の電気光学装置。
【請求項10】
前記半導体層は、前記基板上に形成したアモルファスシリコン膜を低温プロセスにより結晶化させた低温ポリシリコン膜からなることを特徴とする請求項8又は9に記載の電気光学装置。
【請求項11】
請求項8〜10のいずれか一項に記載の電気光学装置を備えていることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−123877(P2009−123877A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−295588(P2007−295588)
【出願日】平成19年11月14日(2007.11.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】