III族窒化物一体化ショットキおよび電力素子
【課題】III族窒化物ヘテロ接合半導体素子を電源回路に使用したときの破壊を防止する電源回路を提供する。
【解決手段】ブースト変換回路などの電源回路で用いられるIII族窒化物ヘテロ接合半導体素子は、オーミック接合ソース・ドレイン電極と、前記ソース・ドレイン電極間のゲート電極および、前記ソース・ドレイン電極の近傍に電源スイッチと一体化されたショットキ接合電極を備える。前記ショットキ接合にはフィールドプレート電極が設けられる。
【解決手段】ブースト変換回路などの電源回路で用いられるIII族窒化物ヘテロ接合半導体素子は、オーミック接合ソース・ドレイン電極と、前記ソース・ドレイン電極間のゲート電極および、前記ソース・ドレイン電極の近傍に電源スイッチと一体化されたショットキ接合電極を備える。前記ショットキ接合にはフィールドプレート電極が設けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、III族窒化物ヘテロ接合電力半導体素子およびそれを備える電源回路に関する。
【背景技術】
【0002】
III族窒化物ヘテロ結合電力素子は、周知の素子である。典型的なIII族窒化物電力半導体素子は、ドレイン電極と、ソース電極と、ドレイン電極およびソース電極の間に配置されたゲート電極とを備える。ゲート電極は、ソース電極とドレイン電極との間の電流を制御する。
【0003】
III族窒化物電力半導体素子は、低い抵抗および高い降伏電圧を有することから、電力の用途、例えば、電源の用途に望ましい。かかる用途では、インダクタなどの共通のエネルギ蓄積素子に接続された2つの電力スイッチの間での電流路の切り替えが必要になる場合がある。しかしながら、切り替えのタイミングが完全に合わない限りは、インダクタのエネルギは、一方または両方の素子が破壊されるのに十分な大きさの電圧を駆動する場合がある。逆方向の電流を導いて異極性電圧ノイズを防止するために逆並列ダイオードを設けることもしばしば有用である。したがって、従来技術の欠点を克服し、電源での利用に適したIII族窒化物電力素子を提供することが望ましい。
【0004】
さらに、従来技術の欠点を克服し、III族窒化物電力素子を備える電源回路を提供することが望ましい。
【発明の開示】
【0005】
本発明の素子は、モノリシック一体化III族窒化物電力素子であって、第1のIII族窒化物層と、前記第1のIII族窒化物層と異なるバンドギャップを有すると共に前記第1のIII族窒化物層の上に配置された第2のIII族窒化物層とを備えるヘテロ接合III族窒化物本体と、前記第2のIII族窒化物層と電気的に接続された第1の電源電極と、前記第2のIII族窒化物層と電気的に接続された第2の電源電極と、前記第2の電源電極の上かつ前記第1の電源電極と前記第2の電源電極との間に配置されたゲート構造と、前記第2のIII族窒化物層とショットキ接合するショットキ電極と、を備える、電力素子である。
【0006】
本発明の電力素子は、ブースト回路などの電源回路で用いることが可能であり、電源回路は、制御半導体スイッチと、同期半導体整流器としての本発明の素子と、出力キャパシタと、インダクタなどのエネルギ蓄積素子とを備えてよい。
【0007】
本発明の実施形態および利点は、添付の図面を参照して行う以下の説明から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1および図2によると、本発明の第1の実施形態に従った電力半導体素子は、支持体12の上に配置されたIII族窒化物ベースのヘテロ接合10を備える。ヘテロ接合10は、第1のIII族窒化物半導体14と、第1のIII族窒化物半導体14の上方の第2のIII族窒化物半導体16とを備える。第2のIII族窒化物半導体16には、直接的なオーミック接続または任意の他の適切な手段を介して、第1の電源電極18(すなわち、ソ―ス電極)および第2の電源電極20(すなわち、ドレイン電極)が、電気的に接続されている。第1の電源電極18と第2の電源電極20との間かつ第2のIII族窒化物半導体14の上には、ゲート構造22が配置されている。本発明の好ましい実施形態では、ゲート構造22は、ゲート絶縁体25を介して第2のIII族窒化物半導体層16に容量的に接続されたゲート電極を備える。あるいは、ゲート構造22は、第2のIII族窒化物半導体16に接続されたショットキゲート電極を備えてもよい。また、ゲート構造22は、第1の電源電極18の周囲に配置されているため、第2の電源電極20および20’の間のチャネルを同時にオンオフするよう動作可能であることに注意されたい。
【0009】
本発明の一態様によると、第2のIII族窒化物層16とショットキ接合するためのショットキ電極26が設けられる。アクティブ領域の利用を最適化して所望の効率を実現するためには、ショットキ電極26は、図に示すように、n番目のアクティブセルごとに設けられることが好ましい(本明細書での各アクティブセルとは、少なくとも、第1の電源電極と、第2の電源電極20と、それらの間に配置されたゲート構造22とを備えるものである)。n個ごとのセルに対して一体化ショットキ電極を設けることが好ましいが、本発明の範囲および趣旨から逸脱せずに、すべてのセルにショットキ電極26を設けることもできることに注意されたい。好ましいnの範囲は、5ないし20である。
【0010】
図3によると、従来のブースト型電源装置は、制御電力素子28と、同期電力素子30と、出力キャパシタ32と、インダクタ34とを備える。本発明の一態様によると、本発明の素子は、同期電力素子30の代わりに、ブースト構成で配置されてよい。例えば、AC/DC変換器のための力率補正(PFC)回路のブーストダイオードの代わりに用いてもよい。
【0011】
本発明の素子は、多くの異なる方法で構成可能である。例えば、図4Aおよび4Bによると、ショットキ電極26と第1の電源電極18とを、互いに短絡することができる。本発明の素子のゲートは、同期して駆動される必要があるが、整流器フィンガが、不感帯の間にインダクタの電流を通して電圧のオーバーシュートを防止するため、いくらかの不感帯が許容されることに注意されたい。ショットキ電極26は、半導体の上部から離間されると共にフィールド絶縁体の上方に配置されてよいフィールドプレート部27を備えることが好ましいことに注意されたい。フィールドプレートの特性は周知であるから、簡潔にするため、本明細書では説明を省略する。図4Aおよび4Bに示したように、本発明の素子は、整流器電流路42と、トランジスタ電流路40とを備える。
【0012】
あるいは、図5Aおよび5Bに示すように、ショットキ電極26は、モノリシック低電圧HEMTまたは外部トランジスタによって、オンパルス中に短絡されてもよい。かかる構成では、すべてのセルが整流器電流路を備えることが可能であるため、いくらかの不感帯が許容される。さらに、すべてのセルが、二次元電子ガス(2DEG)への直接的なオーミック接点18と、オーミック接点18およびショットキアノード26の間の2DEGチャネルをオンオフするためのゲートとを有する。通電中に、このゲートは、HEMTの電流がショットキアノードを迂回することを可能にすることで、順方向降下を低下させることができる。低電圧HEMTは、非常に小さい領域をゲートに追加するだけで適用できる。さらに、アノードの存在により、ゲートが高電界から保護される。図6は、図5Aおよび5Bに示した構成をブースト回路に組み込んだ様子を示す概略図である。図6に示す回路は、同期整流器のゲート36の制御のための信号を受信すると共に、別のゲート38においてサージ電流の制御のための信号を受信することができる。本発明の同期電力素子の実現に適切なHEMTは、双方向III族窒化物電力素子であってよく、例えば、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願No.11/056,062で開示されたものが挙げられ、それは、本明細書に開示された原理および教示に従った一体化ショットキ電極を備える。
【0013】
図7Aによると、双方向III族窒化物素子は、2つのゲート22と、第1の電源電極18と、第2の電源電極20とを備える。好ましい設計では、各電源電極は、それぞれのゲート22の上に伸びるフィールドプレート部27を備えることに注意されたい。図7Bによると、半導体の領域を大きく消費することなしにショットキ電極26を追加することにより、図7Aに示したような双方向素子とショットキダイオードとを一体化することができる。
【0014】
図8によると、別の実施形態において、ショットキ電極26およびゲート電極(半導体16とショットキ接合をなす)は、一体化されて、単一のショットキおよびゲート電極44を形成することができる。電極44は、互いに反対向きに配置された2つのフィールドプレート27を備えることに注意されたい。
【0015】
本発明の実施形態のいずれかに従った素子では、第1のIII族窒化物半導体が、GaNなど、InAlGaN系の合金であり、第2のIII族窒化物半導体16が、第1のIII族窒化物半導体14と異なるバンドギャップを有するInAlGaN系の他の合金であることで、当業者に周知のように、第1および第2のIII族窒化物半導体のヘテロ接合により、二次元電子ガスが形成される。例えば、第2のIII族窒化物半導体は、AlGaNで形成されてよい。
【0016】
さらに、支持体12は、基板材料と、必要に応じて、基板と第1のIII族窒化物半導体14との間の格子および熱の不整合を補償するための基板上の緩衝層とを組み合わせたものである。経済的な理由から、基板に好ましい材料はシリコンである。本発明の範囲および趣旨から逸脱せずに、サファイア、SiCなど、別の基板材料を用いることもできる。
【0017】
AlNは、緩衝層に好ましい材料である。しかしながら、本発明の範囲および趣旨から逸脱せずに、多層すなわち段階的に遷移するIII族窒化物半導体を、緩衝層として用いてもよい。
【0018】
第1の窒化物半導体と同じ材料で基板を形成して、緩衝層を省略することも可能である。例えば、第1のIII族窒化物半導体14がGaNで形成されている場合に、GaNの基板を用いてよい。
【0019】
ゲート電極は、n型またはp型シリコン、任意の所望の伝導度のポリシリコン、TiW、アルミニウム、Ti/Al、耐熱ケイ化物、または他の金属層から形成されてよい。オーミック電極は、Ti/Alから形成されてよく、さらに、その上面の上に、Ti/TiW、Ni/Au、Mo/Auなどの金属体を備えてもよい。2DEGに対して低抵抗の接触をなす任意の他の金属系を用いてもよい。ゲート絶縁体28は、SiN、Al2O3、SiO2、HfO、MgO、Sc2O3などから形成されてよい。ショットキ電極26のためのショットキ金属は、ニッケル、プラチナ、パラジウム、それらの金属のケイ化物、または漏電を低く保つのに十分な障壁高さを有する任意の他の金属を含んでよい。
【0020】
本発明は、特定の実施形態に関連して説明されているが、多くの他の変更例および変形例、他の用途が存在することは、当業者にとって明らかなことである。したがって、本発明は、本明細書の具体的な開示によって限定されず、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に従った素子の一部を示す平面図。
【図2】図1に示した実施形態の素子を、直線2−2に沿って矢印の方向に見た断面図。
【図3】ブースト型電源回路を示す図。
【図4A】本発明の素子のための動作構成を示す図。
【図4B】本発明の素子のための動作構成を示す図。
【図5A】本発明の素子のための別の動作構成を示す図。
【図5B】本発明の素子のための別の動作構成を示す図。
【図6】整流器として機能する同期電力素子として本発明の素子を備えるブースト型電源装置を示す図。
【図7A】III族窒化物双方向半導体素子の一部を示す図。
【図7B】双方向素子と一体化されたショットキ電極を示す図。
【図8】本発明の別の実施形態に従ったIII族窒化物素子を示す図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、III族窒化物ヘテロ接合電力半導体素子およびそれを備える電源回路に関する。
【背景技術】
【0002】
III族窒化物ヘテロ結合電力素子は、周知の素子である。典型的なIII族窒化物電力半導体素子は、ドレイン電極と、ソース電極と、ドレイン電極およびソース電極の間に配置されたゲート電極とを備える。ゲート電極は、ソース電極とドレイン電極との間の電流を制御する。
【0003】
III族窒化物電力半導体素子は、低い抵抗および高い降伏電圧を有することから、電力の用途、例えば、電源の用途に望ましい。かかる用途では、インダクタなどの共通のエネルギ蓄積素子に接続された2つの電力スイッチの間での電流路の切り替えが必要になる場合がある。しかしながら、切り替えのタイミングが完全に合わない限りは、インダクタのエネルギは、一方または両方の素子が破壊されるのに十分な大きさの電圧を駆動する場合がある。逆方向の電流を導いて異極性電圧ノイズを防止するために逆並列ダイオードを設けることもしばしば有用である。したがって、従来技術の欠点を克服し、電源での利用に適したIII族窒化物電力素子を提供することが望ましい。
【0004】
さらに、従来技術の欠点を克服し、III族窒化物電力素子を備える電源回路を提供することが望ましい。
【発明の開示】
【0005】
本発明の素子は、モノリシック一体化III族窒化物電力素子であって、第1のIII族窒化物層と、前記第1のIII族窒化物層と異なるバンドギャップを有すると共に前記第1のIII族窒化物層の上に配置された第2のIII族窒化物層とを備えるヘテロ接合III族窒化物本体と、前記第2のIII族窒化物層と電気的に接続された第1の電源電極と、前記第2のIII族窒化物層と電気的に接続された第2の電源電極と、前記第2の電源電極の上かつ前記第1の電源電極と前記第2の電源電極との間に配置されたゲート構造と、前記第2のIII族窒化物層とショットキ接合するショットキ電極と、を備える、電力素子である。
【0006】
本発明の電力素子は、ブースト回路などの電源回路で用いることが可能であり、電源回路は、制御半導体スイッチと、同期半導体整流器としての本発明の素子と、出力キャパシタと、インダクタなどのエネルギ蓄積素子とを備えてよい。
【0007】
本発明の実施形態および利点は、添付の図面を参照して行う以下の説明から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1および図2によると、本発明の第1の実施形態に従った電力半導体素子は、支持体12の上に配置されたIII族窒化物ベースのヘテロ接合10を備える。ヘテロ接合10は、第1のIII族窒化物半導体14と、第1のIII族窒化物半導体14の上方の第2のIII族窒化物半導体16とを備える。第2のIII族窒化物半導体16には、直接的なオーミック接続または任意の他の適切な手段を介して、第1の電源電極18(すなわち、ソ―ス電極)および第2の電源電極20(すなわち、ドレイン電極)が、電気的に接続されている。第1の電源電極18と第2の電源電極20との間かつ第2のIII族窒化物半導体14の上には、ゲート構造22が配置されている。本発明の好ましい実施形態では、ゲート構造22は、ゲート絶縁体25を介して第2のIII族窒化物半導体層16に容量的に接続されたゲート電極を備える。あるいは、ゲート構造22は、第2のIII族窒化物半導体16に接続されたショットキゲート電極を備えてもよい。また、ゲート構造22は、第1の電源電極18の周囲に配置されているため、第2の電源電極20および20’の間のチャネルを同時にオンオフするよう動作可能であることに注意されたい。
【0009】
本発明の一態様によると、第2のIII族窒化物層16とショットキ接合するためのショットキ電極26が設けられる。アクティブ領域の利用を最適化して所望の効率を実現するためには、ショットキ電極26は、図に示すように、n番目のアクティブセルごとに設けられることが好ましい(本明細書での各アクティブセルとは、少なくとも、第1の電源電極と、第2の電源電極20と、それらの間に配置されたゲート構造22とを備えるものである)。n個ごとのセルに対して一体化ショットキ電極を設けることが好ましいが、本発明の範囲および趣旨から逸脱せずに、すべてのセルにショットキ電極26を設けることもできることに注意されたい。好ましいnの範囲は、5ないし20である。
【0010】
図3によると、従来のブースト型電源装置は、制御電力素子28と、同期電力素子30と、出力キャパシタ32と、インダクタ34とを備える。本発明の一態様によると、本発明の素子は、同期電力素子30の代わりに、ブースト構成で配置されてよい。例えば、AC/DC変換器のための力率補正(PFC)回路のブーストダイオードの代わりに用いてもよい。
【0011】
本発明の素子は、多くの異なる方法で構成可能である。例えば、図4Aおよび4Bによると、ショットキ電極26と第1の電源電極18とを、互いに短絡することができる。本発明の素子のゲートは、同期して駆動される必要があるが、整流器フィンガが、不感帯の間にインダクタの電流を通して電圧のオーバーシュートを防止するため、いくらかの不感帯が許容されることに注意されたい。ショットキ電極26は、半導体の上部から離間されると共にフィールド絶縁体の上方に配置されてよいフィールドプレート部27を備えることが好ましいことに注意されたい。フィールドプレートの特性は周知であるから、簡潔にするため、本明細書では説明を省略する。図4Aおよび4Bに示したように、本発明の素子は、整流器電流路42と、トランジスタ電流路40とを備える。
【0012】
あるいは、図5Aおよび5Bに示すように、ショットキ電極26は、モノリシック低電圧HEMTまたは外部トランジスタによって、オンパルス中に短絡されてもよい。かかる構成では、すべてのセルが整流器電流路を備えることが可能であるため、いくらかの不感帯が許容される。さらに、すべてのセルが、二次元電子ガス(2DEG)への直接的なオーミック接点18と、オーミック接点18およびショットキアノード26の間の2DEGチャネルをオンオフするためのゲートとを有する。通電中に、このゲートは、HEMTの電流がショットキアノードを迂回することを可能にすることで、順方向降下を低下させることができる。低電圧HEMTは、非常に小さい領域をゲートに追加するだけで適用できる。さらに、アノードの存在により、ゲートが高電界から保護される。図6は、図5Aおよび5Bに示した構成をブースト回路に組み込んだ様子を示す概略図である。図6に示す回路は、同期整流器のゲート36の制御のための信号を受信すると共に、別のゲート38においてサージ電流の制御のための信号を受信することができる。本発明の同期電力素子の実現に適切なHEMTは、双方向III族窒化物電力素子であってよく、例えば、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願No.11/056,062で開示されたものが挙げられ、それは、本明細書に開示された原理および教示に従った一体化ショットキ電極を備える。
【0013】
図7Aによると、双方向III族窒化物素子は、2つのゲート22と、第1の電源電極18と、第2の電源電極20とを備える。好ましい設計では、各電源電極は、それぞれのゲート22の上に伸びるフィールドプレート部27を備えることに注意されたい。図7Bによると、半導体の領域を大きく消費することなしにショットキ電極26を追加することにより、図7Aに示したような双方向素子とショットキダイオードとを一体化することができる。
【0014】
図8によると、別の実施形態において、ショットキ電極26およびゲート電極(半導体16とショットキ接合をなす)は、一体化されて、単一のショットキおよびゲート電極44を形成することができる。電極44は、互いに反対向きに配置された2つのフィールドプレート27を備えることに注意されたい。
【0015】
本発明の実施形態のいずれかに従った素子では、第1のIII族窒化物半導体が、GaNなど、InAlGaN系の合金であり、第2のIII族窒化物半導体16が、第1のIII族窒化物半導体14と異なるバンドギャップを有するInAlGaN系の他の合金であることで、当業者に周知のように、第1および第2のIII族窒化物半導体のヘテロ接合により、二次元電子ガスが形成される。例えば、第2のIII族窒化物半導体は、AlGaNで形成されてよい。
【0016】
さらに、支持体12は、基板材料と、必要に応じて、基板と第1のIII族窒化物半導体14との間の格子および熱の不整合を補償するための基板上の緩衝層とを組み合わせたものである。経済的な理由から、基板に好ましい材料はシリコンである。本発明の範囲および趣旨から逸脱せずに、サファイア、SiCなど、別の基板材料を用いることもできる。
【0017】
AlNは、緩衝層に好ましい材料である。しかしながら、本発明の範囲および趣旨から逸脱せずに、多層すなわち段階的に遷移するIII族窒化物半導体を、緩衝層として用いてもよい。
【0018】
第1の窒化物半導体と同じ材料で基板を形成して、緩衝層を省略することも可能である。例えば、第1のIII族窒化物半導体14がGaNで形成されている場合に、GaNの基板を用いてよい。
【0019】
ゲート電極は、n型またはp型シリコン、任意の所望の伝導度のポリシリコン、TiW、アルミニウム、Ti/Al、耐熱ケイ化物、または他の金属層から形成されてよい。オーミック電極は、Ti/Alから形成されてよく、さらに、その上面の上に、Ti/TiW、Ni/Au、Mo/Auなどの金属体を備えてもよい。2DEGに対して低抵抗の接触をなす任意の他の金属系を用いてもよい。ゲート絶縁体28は、SiN、Al2O3、SiO2、HfO、MgO、Sc2O3などから形成されてよい。ショットキ電極26のためのショットキ金属は、ニッケル、プラチナ、パラジウム、それらの金属のケイ化物、または漏電を低く保つのに十分な障壁高さを有する任意の他の金属を含んでよい。
【0020】
本発明は、特定の実施形態に関連して説明されているが、多くの他の変更例および変形例、他の用途が存在することは、当業者にとって明らかなことである。したがって、本発明は、本明細書の具体的な開示によって限定されず、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に従った素子の一部を示す平面図。
【図2】図1に示した実施形態の素子を、直線2−2に沿って矢印の方向に見た断面図。
【図3】ブースト型電源回路を示す図。
【図4A】本発明の素子のための動作構成を示す図。
【図4B】本発明の素子のための動作構成を示す図。
【図5A】本発明の素子のための別の動作構成を示す図。
【図5B】本発明の素子のための別の動作構成を示す図。
【図6】整流器として機能する同期電力素子として本発明の素子を備えるブースト型電源装置を示す図。
【図7A】III族窒化物双方向半導体素子の一部を示す図。
【図7B】双方向素子と一体化されたショットキ電極を示す図。
【図8】本発明の別の実施形態に従ったIII族窒化物素子を示す図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノリシック一体化III族窒化物電力素子であって、
第1のIII族窒化物層と、前記第1のIII族窒化物層と異なるバンドギャップを有すると共に前記第1のIII族窒化物層の上に配置された第2のIII族窒化物層とを備えるヘテロ接合III族窒化物本体と、
前記第2のIII族窒化物層と電気的に接続された第1の電源電極と、
前記第2のIII族窒化物層と電気的に接続された第2の電源電極と、
前記第2の電源電極の上かつ前記第1の電源電極と前記第2の電源電極との間に配置されたゲート構造と、
前記第2のIII族窒化物層とショットキ接合するショットキ電極と、を備える、電力素子。
【請求項2】
請求項1に記載の電力素子であって、前記第1のIII族窒化物層はGaNからなり、前記第2のIII族窒化物層はAlGaNからなる、電力素子。
【請求項3】
請求項1に記載の電力素子であって、前記第1のIII族窒化物層は、InAlGaN系の一合金からなり、前記第2のIII族窒化物層は、前記一合金と異なるバンドギャップを有するInAlGaN系の他の合金からなる、電力素子。
【請求項4】
請求項1に記載の電力素子であって、前記第1の電源電極および前記第2の電源電極は、前記第2のIII族窒化物層とオーミック接合をなす、電力素子。
【請求項5】
請求項1に記載の電力素子であって、前記ゲート構造は、ゲート電極と、前記ヘテロ接合および前記ゲート電極の間に挿入されたゲート絶縁体とを備える、電力素子。
【請求項6】
請求項5に記載の電力素子であって、前記ゲート絶縁体は二酸化ケイ素からなる、電力素子。
【請求項7】
請求項5に記載の電力素子であって、前記ゲート絶縁体は窒化ケイ素からなる、電力素子。
【請求項8】
電源装置であって、
制御半導体スイッチと、
ヘテロ接合III族窒化物本体を備える同期半導体スイッチであって、前記ヘテロ接合III族窒化物本体は、第1のIII族窒化物層と、前記第1のIII族窒化物層と異なるバンドギャップを有すると共に前記第1のIII族窒化物層の上に配置された第2のIII族窒化物層とを備える、同期半導体スイッチと、
前記第2のIII族窒化物層と電気的に接続された第1の電源電極と、
前記第2のIII族窒化物層と電気的に接続された第2の電源電極と、
前記第2の電源電極の上かつ前記第1の電源電極と前記第2の電源電極との間に配置されたゲート構造と、
前記第2のIII族窒化物層とショットキ接合するショットキ電極と、を備える、電源装置。
【請求項9】
請求項8に記載の電源装置であって、前記第1のIII族窒化物層はGaNからなり、前記第2のIII族窒化物層はAlGaNからなる、電源装置。
【請求項10】
請求項8に記載の電源装置であって、前記第1のIII族窒化物層は、InAlGaN系の一合金からなり、前記第2のIII族窒化物層は、前記一合金と異なるバンドギャップを有するInAlGaN系の他の合金からなる、電源装置。
【請求項11】
請求項8に記載の電源装置であって、前記第1の電源電極および前記第2の電源電極は、前記第2のIII族窒化物層とオーミック接合をなす、電源装置。
【請求項12】
請求項8に記載の電源装置であって、前記ゲート構造は、ゲート電極と、前記ヘテロ接合および前記ゲート電極の間に挿入されたゲート絶縁体とを備える、電源装置。
【請求項13】
請求項12に記載の電源装置であって、前記ゲート絶縁体は二酸化ケイ素からなる、電源装置。
【請求項14】
請求項12に記載の電源装置であって、前記ゲート絶縁体は窒化ケイ素からなる、電源装置。
【請求項15】
請求項8に記載の電源装置であって、さらに、誘導エネルギ蓄積素子と、出力キャパシタとを備える、電源装置。
【請求項16】
請求項8に記載の電源装置であって、前記誘導エネルギ蓄積素子、前記出力キャパシタ、前記制御半導体スイッチ、および前記同期半導体スイッチは、ブースト構成で配列される、電源装置。
【請求項17】
請求項1に記載の電力素子であって、前記ショットキ電極は、電源電極と前記ゲート構造との間に配置されるか、もしくは、前記ショットキ電極と前記ゲート構造との間に配置された電源電極に隣接して配置される、電力素子。
【請求項18】
請求項1に記載の電力素子であって、前記ショットキ電極は、少なくとも1つのフィールドプレート部を備える、電力素子。
【請求項19】
請求項1に記載の電力素子であって、前記ショットキ電極は、少なくとも2つの反対向きのフィールドプレート部を備える、電力素子。
【請求項1】
モノリシック一体化III族窒化物電力素子であって、
第1のIII族窒化物層と、前記第1のIII族窒化物層と異なるバンドギャップを有すると共に前記第1のIII族窒化物層の上に配置された第2のIII族窒化物層とを備えるヘテロ接合III族窒化物本体と、
前記第2のIII族窒化物層と電気的に接続された第1の電源電極と、
前記第2のIII族窒化物層と電気的に接続された第2の電源電極と、
前記第2の電源電極の上かつ前記第1の電源電極と前記第2の電源電極との間に配置されたゲート構造と、
前記第2のIII族窒化物層とショットキ接合するショットキ電極と、を備える、電力素子。
【請求項2】
請求項1に記載の電力素子であって、前記第1のIII族窒化物層はGaNからなり、前記第2のIII族窒化物層はAlGaNからなる、電力素子。
【請求項3】
請求項1に記載の電力素子であって、前記第1のIII族窒化物層は、InAlGaN系の一合金からなり、前記第2のIII族窒化物層は、前記一合金と異なるバンドギャップを有するInAlGaN系の他の合金からなる、電力素子。
【請求項4】
請求項1に記載の電力素子であって、前記第1の電源電極および前記第2の電源電極は、前記第2のIII族窒化物層とオーミック接合をなす、電力素子。
【請求項5】
請求項1に記載の電力素子であって、前記ゲート構造は、ゲート電極と、前記ヘテロ接合および前記ゲート電極の間に挿入されたゲート絶縁体とを備える、電力素子。
【請求項6】
請求項5に記載の電力素子であって、前記ゲート絶縁体は二酸化ケイ素からなる、電力素子。
【請求項7】
請求項5に記載の電力素子であって、前記ゲート絶縁体は窒化ケイ素からなる、電力素子。
【請求項8】
電源装置であって、
制御半導体スイッチと、
ヘテロ接合III族窒化物本体を備える同期半導体スイッチであって、前記ヘテロ接合III族窒化物本体は、第1のIII族窒化物層と、前記第1のIII族窒化物層と異なるバンドギャップを有すると共に前記第1のIII族窒化物層の上に配置された第2のIII族窒化物層とを備える、同期半導体スイッチと、
前記第2のIII族窒化物層と電気的に接続された第1の電源電極と、
前記第2のIII族窒化物層と電気的に接続された第2の電源電極と、
前記第2の電源電極の上かつ前記第1の電源電極と前記第2の電源電極との間に配置されたゲート構造と、
前記第2のIII族窒化物層とショットキ接合するショットキ電極と、を備える、電源装置。
【請求項9】
請求項8に記載の電源装置であって、前記第1のIII族窒化物層はGaNからなり、前記第2のIII族窒化物層はAlGaNからなる、電源装置。
【請求項10】
請求項8に記載の電源装置であって、前記第1のIII族窒化物層は、InAlGaN系の一合金からなり、前記第2のIII族窒化物層は、前記一合金と異なるバンドギャップを有するInAlGaN系の他の合金からなる、電源装置。
【請求項11】
請求項8に記載の電源装置であって、前記第1の電源電極および前記第2の電源電極は、前記第2のIII族窒化物層とオーミック接合をなす、電源装置。
【請求項12】
請求項8に記載の電源装置であって、前記ゲート構造は、ゲート電極と、前記ヘテロ接合および前記ゲート電極の間に挿入されたゲート絶縁体とを備える、電源装置。
【請求項13】
請求項12に記載の電源装置であって、前記ゲート絶縁体は二酸化ケイ素からなる、電源装置。
【請求項14】
請求項12に記載の電源装置であって、前記ゲート絶縁体は窒化ケイ素からなる、電源装置。
【請求項15】
請求項8に記載の電源装置であって、さらに、誘導エネルギ蓄積素子と、出力キャパシタとを備える、電源装置。
【請求項16】
請求項8に記載の電源装置であって、前記誘導エネルギ蓄積素子、前記出力キャパシタ、前記制御半導体スイッチ、および前記同期半導体スイッチは、ブースト構成で配列される、電源装置。
【請求項17】
請求項1に記載の電力素子であって、前記ショットキ電極は、電源電極と前記ゲート構造との間に配置されるか、もしくは、前記ショットキ電極と前記ゲート構造との間に配置された電源電極に隣接して配置される、電力素子。
【請求項18】
請求項1に記載の電力素子であって、前記ショットキ電極は、少なくとも1つのフィールドプレート部を備える、電力素子。
【請求項19】
請求項1に記載の電力素子であって、前記ショットキ電極は、少なくとも2つの反対向きのフィールドプレート部を備える、電力素子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【公開番号】特開2006−310769(P2006−310769A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−25639(P2006−25639)
【出願日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(505300623)インターナショナル・レクティファイヤ・コーポレーション (23)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL RECTIFIER CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−25639(P2006−25639)
【出願日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(505300623)インターナショナル・レクティファイヤ・コーポレーション (23)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL RECTIFIER CORPORATION
【Fターム(参考)】
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