説明

TAOキナーゼモジュレーターおよび使用方法

本発明は、キナーゼ、例えば、TAOファミリーのキナーゼ、より具体的にはKIAA1361、TAO、およびJIKキナーゼの阻害のための化合物および方法を提供する。本発明は、増殖、分化、プログラム細胞死、遊走、および化学浸潤のような細胞活性を調節するために、プロテインキナーゼの酵素活性を調節するための化合物を提供する。本発明の化合物は、上記のような細胞活性の変化に関連するキナーゼレセプターシグナル伝達経路を調節(regulate)および/または調節(modulate)し、そして本発明は、これらの化合物を含む組成物ならびにキナーゼ依存性疾患および状態を処置するためにそれらを使用する方法を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本出願は、「TAO Kinase Modulators and Methods of Use」と題する米国仮特許出願第60/514,377号(2003年10月24日出願)への優先権を主張する。米国仮特許出願第60/514,377号は、すべての目的のために、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は、増殖、分化、プログラム細胞死、遊走、および化学浸潤(chemoinvasion)のような細胞活性を調節するためにプロテインキナーゼ酵素活性を調節するための化合物に関する。一層より詳細には、本発明は、上述のような細胞活性における変化に関連するキナーゼレセプターシグナル伝達経路を阻害、制御、および/または調節する化合物、これらの化合物を含有する組成物、ならびにキナーゼ依存性疾患および状態を処置するためにこれらの化合物を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の要旨)
癌を処置するために使用される薬剤の特異性の改良は、これらの薬剤の投与に伴う副作用が低減され得ると実現される治療の恩恵に起因して、非常に興味深い。従来、癌の処置における劇的な改良は、新規な機構を介して作用する治療剤の同定と関連している。
【0004】
プロテインキナーゼは、タンパク質のチロシン、セリンおよびスレオニン残基のヒドロキシ基で、タンパク質のリン酸化を触媒する酵素である。ヒトゲノムのキナーゼ補体は、518個の推定プロテインキナーゼ遺伝子を含む(非特許文献1)この活性の結果は、分化、増殖、転写、翻訳、代謝、細胞周期の進行、アポトーシス、代謝細胞骨格の再配列および運動に対する効果を含む;すなわち、プロテインキナーゼは、真核細胞におけるシグナル伝達の大多数を媒介する。さらに、異常なプロテインキナーゼ活性は、乾癬のような相対的に生命を脅かさない疾患から癌までの範囲の疾患の宿主に関連づけられている。染色体マッピングにより、200より多いキナーゼが疾患位置(癌、炎症性疾患および代謝病を含む)にマッピングされる。
【0005】
チロシンキナーゼは、レセプター型または非レセプター型として分類され得る。レセプター型チロシンキナーゼは、細胞外部分、膜貫通部分、および細胞内部分を有し、他方、非レセプター型チロシンキナーゼは、全体が細胞内である。
【0006】
レセプター型チロシンキナーゼは、多様な生物学的活性を有する非常に多くの膜貫通レセプターから構成される。実際、約20の異なるサブファミリーのレセプター型チロシンキナーゼが、同定されている。HERサブファミリーと表される1つのチロシンキナーゼのサブファミリーは、EGFR(HER1)、HER2、HER3、およびHER4から構成される。これまでにこれまでに同定されている、レセプターのこのサブファミリーのリガンドとしては、上皮成長因子、TGF−α、アンフィレグリン(amphiregulin)、HB−EGF、ベータセルリン(betacellulin)およびヘレグリン(heregulin)が挙げられる。これらのレセプター型チロシンキナーゼの別のサブファミリーは、インスリンサブファミリーであり、このサブファミリーは、INS−R、IGF−IR、およびIR−Rを含む。PDGFサブファミリーは、PDGF−αおよびβ−レセプター、CSFIR、c−kitおよびFLK−IIを含む。次いで、FLKファミリーが存在し、このファミリーは、キナーゼ挿入ドメインレセプター(KDR)、胎児肝臓キナーゼ−1(FLK−1)、胎児肝臓キナーゼ−4(FLK−4)およびfms−様チロシンキナーゼ−1(Flt−1)から構成される。PDGFファミリーおよびFLKファミリーは、通常、2つの基の類似性に起因して一緒に考慮される。レセプター型チロシンキナーゼの詳細な議論について、非特許文献2を参照のこと(この文献は、本明細書中に参考として援用される)。
【0007】
非レセプター型のチロシンキナーゼはまた、多数のサブファミリーから構成され、そのサブファミリーとしては、Src、Frk、Btk、Csk、Abl、Syk/Zap70、Fes/Fps、Fak、Jak、およびAckが挙げられる。これらのサブファミリーの各々は、種々のレセプターにさらに細かく区分される。Srcサブファミリーは、最も大きいものの1つであり、そしてSrc、Yes、Fyn、Lyn、Lck、Blk、Hck、Fgr、およびYrkを含む。このSrcサブファミリーの酵素は、腫瘍形成に結び付けられている。非レセプター型のチロシンキナーゼのより詳細な議論について、非特許文献3を参照のこと(この文献は、本明細書中に参考として援用される)。
【0008】
セリン−スレオニンキナーゼは、細胞内シグナル伝達において重要な役割を果たし、そしてSTE、CKI、AGC、CAMKおよびCMGCを含む多数のファミリーを含む。重要なサブファミリーとしては、MAPキナーゼ、p38、JNKおよびERKが挙げられ、これらは、マイトジェン経路、ストレス経路、炎症前経路および抗アポトーシス経路のような多様な刺激から生じるシグナル伝達を調節する。MAPキナーゼサブファミリーのメンバーは、p38a、JNKイソザイムおよびRafを含んで治療における発明の標的とされている。
【0009】
プロテインキナーゼおよびそれらのリガンドは、種々の細胞活性において重要な役割を果たすので、プロテインキナーゼの酵素活性の調節不良は、癌に関連する制御されていない細胞増殖のような変質した細胞特性を導き得る。腫瘍適応に加えて、変質したキナーゼのシグナル伝達は、多くの他の病理学的疾患に関与する。これらとしては、免疫疾患、心臓血管疾患、炎症性疾患および変性疾患が挙げられるが、これらに限定されない。それ故に、レセプタープロテインキナーゼおよび非レセプタープロテインキナーゼの両方が、低分子薬物の発見のための魅力ある標的である。
【0010】
キナーゼの調節の治療用途についての1つの特に魅力ある目標は、腫瘍適応に関する。例えば、癌の処置のためのプロテインキナーゼ活性の調節は、慢性骨髄性白血病(CML)の処置のためのおよび胃腸支質の癌の処置のためのGleevec(登録商標)(East Hanover、NJのNovartis Pharmaceutical Corporationにより製造されるメシル酸イマチニブ)のFDA承認とともに十分成功裏に実証されている。
【0011】
細胞増殖および新脈管形成の調節(特に、阻害)、腫瘍増殖および生存のために必要とされる2つの重要な細胞プロセス(非特許文献4)は、低分子薬物の開発のための魅力的な目標である。抗新脈管形成治療は、固化腫瘍および調節不良の血管新生に関連する他の疾患(虚血性冠状動脈疾患、糖尿病性網膜症、乾癬および慢性関節リウマチを含む)の処置のための潜在的に重要なアプローチを提示する。
【0012】
KIAA1361、JIK(c−jun阻害キナーゼ)、およびTAO(サウザンドアンドワン(thousand and one)アミノ酸キナーゼ)は、相同的なセリン−スレオニンキナーゼである。これらのセリン−スレオニンキナーゼは、STE20−関連ファミリーのメンバーであり、それらは、ストレス活性化タンパク質MAPキナーゼであるp38およびJNKの調節に関与する。JIKは、EGFレセプターの活性化の際に減少され、JNKのRTK−媒介性の負の調節因子を代表し得ることが報告されている[非特許文献5]。TAOは、p38 MAPキナーゼカスケードを、MAPキナーゼキナーゼ、MAP2K3およびMAP2K6をリン酸化することにより、活性化する[非特許文献6]。これらのSTE20−関連ファミリーのキナーゼのp38/JNKの調節における役割は、炎症および癌を含む増殖性疾患に治療的関連性を有し得る。さらに、KIAA1361、JIK、およびTAOは、β−カテニン欠損シグナル伝達、例えば癌に関連する病状のための治療的介入のための標的であり得る[特許文献1]。
【特許文献1】国際公開第03/051905号パンフレット
【非特許文献1】Manningら、Science、2002年、第298巻、1912
【非特許文献2】Plowmanら、DN&P、1994年、第7巻、第6号:334−339
【非特許文献3】Bolen、Oncogene、1993年、第8巻:2025−2031
【非特許文献4】Matter A.,Drug Disc Technol.,2001年,第6巻,1005−1024
【非特許文献5】Tassiら、J Biol Chem,1999年,第19巻、274
【非特許文献6】Chenら、2003年,第278巻,22278
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、キナーゼ、特にKIAA1361、JIK、およびTAO、そしてより具体的にはKIA1361のシグナル伝達を特異的に阻害、調節(regulate)および/または調節(modulate)する低分子化合物の同定は、異常細胞増殖に関連する疾患状態を処置または予防するための手段として望ましく、それは本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(発明の要旨)
1つの局面において、本発明は、KIAA1361、TAO、およびJIKキナーゼのうちの少なくとも1つの活性を調節するための化合物、ならびに上記化合物およびその薬学的組成物を利用してKIAA1361、TAO、およびJIKのうちの少なくとも1つの活性に媒介される疾患を処置する方法を提供する。KIAA1361、TAO、およびJIK活性により媒介される疾患としては、侵襲性細胞増殖に関連する遊走、浸潤、増殖および他の生物学的活性を部分的に特徴とする疾患が挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
別の局面において、本発明は、KIAA1361、TAO、およびJIK活性のモジュレーターについてスクリーニングする方法を提供する。この方法は、本発明の組成物(代表的にはKIAA1361、TAO、およびJIKのうちの1つ)と少なくとも1つの候補薬剤とを合わせる工程、ならびにKIAA1361、TAO、またはJIK活性に対するこれらの候補薬剤の効果を決定する工程を包含する。
【0016】
さらに別の局面において、本発明はまた、薬学的なキットを提供し、このキットは、本発明の薬学的化合物および/または組成物の1つ以上の成分で満たされた1つ以上の容器、この成分として、本明細書中に記載されるような1つ以上のKIAA1361、TAO、またはJIK酵素活性モジュレーターが挙げられる。このようなキットはまた、例えば、他の化合物および/または組成物(例えば、希釈剤、透過エンハンサー、潤滑剤、など)、上記化合物および/または組成物を投与するためのデバイス(単数または複数)、ならびに薬学的製品または生物学的製品の製造、使用または販売を規制する政府機関により規定された形式の書面による指示書(この指示書はまた、ヒトへの投与のために、製造、使用または販売の機関による承認をも反映し得る)を含む。
【0017】
なおさらなる別の局面において、本発明はまた、本発明の化合物、および必要に応じて薬学的に受容可能なアジュバントおよび賦形剤を含有する診断剤を提供する。
【0018】
本発明のこれらの特徴および利点ならびに他の特徴および利点は、添付の図面を参照して以下により詳細に記載される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(発明の詳細な説明)
本発明の組成物は、異常な細胞活性、または調節されない細胞活性に関連する疾患を処置するために使用される。本明細書中で提供される方法および組成物により処置され得る疾患状態としては、癌(以下でさらに議論される)、免疫学的障害(例えば、慢性関節リウマチ、移植片−宿主疾患、多発性硬化症、乾癬)、心臓血管障害(例えば、アテローム性動脈硬化(artheroscrosis)、心筋梗塞、虚血、発作および再狭窄);他の炎症性疾患および変性疾患(例えば、腸内疾患、変形性関節症、黄斑変性、糖尿病性網膜症が挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
ある場合には、これらの細胞は、過剰増殖状態または過少増殖状態および/または遊走状態(異常な状態)にないかも知れないが、依然として処置を必要とし得ることが理解される。例えば、創傷治癒の間、細胞は、「正常に」増殖しているかも知れないが、増殖および遊走の増強が望ましいかも知れない。あるいは、「正常な」細胞増殖速度および/または遊走速度の低下が望ましいかも知れない。
【0021】
本発明は、式I:
【0022】
【化6】

に従う、キナーゼ活性を調節するための化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、水和物、もしくはプロドラッグを包含し、ここで,
は、必要に応じて置換されたC1−10アルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたアリール−C1−10アルキル、必要に応じて置換されたヘテロシクリル、および必要に応じて置換されたヘテロシクリル−C1−10アルキルより選択され;
は、−Hおよび必要に応じて置換されたC1−6アルキルより選択され;
またはRおよびRは、一緒になって、必要に応じて置換された3〜7員のヘテロ脂環式を形成し;
Aは、必要に応じて1〜4個のRで置換されたC1−3アルキレンであり;
Bは、−O−、−N(R)−、−S(O)0−2−および−N(CHN(CH−S(O)0−2−より選択される;
Xは、=O、=S、および=NRより選択される;
Yは、=O、=S、および=NRより選択される;
Zは、Cであるか;または
Z=Yは、存在しないか、または−CH−であり;
は、−H、ハロゲン、トリハロメチル、−OR、−N(R)R、−N(R)SO、−N(R)C(O)R、−NCO、必要に応じて置換されたアルコキシ、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたアリールアルキル、必要に応じて置換されたヘテロシクリル、および必要に応じて置換されたヘテロシクリルアルキルより選択される。
【0023】
は、−Hおよび必要に応じて置換されたC1−6アルキルより選択されるか、または
およびRのうちの1つは、それらが結合する原子と一緒になって必要に応じて置換された5〜7員の非芳香族環を形成し;
各Rは、独立に、−H、必要に応じて置換された低級アルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換された低級アリールアルキル、必要に応じて置換されたヘテロシクリル、および必要に応じて置換された低級ヘテロシクリルアルキルより選択され;
のうちの2つは、それらが結合する原子またはそれぞれの原子と一緒になって、必要に応じて置換された5〜7員の複素環式を形成し得;
各Rは、独立に、−H、ハロゲン、トリハロメチル、−CN、−NO、−NH、−OR、−NR、−S(O)0−2、−SONR、−CO、−C(O)NR、−N(R)SO、−N(R)C(O)R、−N(R)CO、−C(O)R、必要に応じて置換された低級アルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロシクリル、必要に応じて置換された低級ヘテロシクリルアルキル、および必要に応じて置換された低級アリールアルキルより選択され;
R6のうちの2つは、それらが結合する原子(単数または複数)と一緒になって3〜7員の非芳香族環を形成し得;そして
各Rは、独立に、−H、−NO、−NH、−N(R)R、−CN、−OR、必要に応じて置換された低級アルキル、必要に応じて置換されたヘテロアリシクリルアルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたアリールアルキルおよび必要に応じて置換されたヘテロ脂環式より選択され;
ただし、上記化合物は、3−ベンゾイルアミノ−3−フェニル−プロピオン酸(6−メトキシ−ベンゾチアゾール−2−イルカルバモイル)−メチルエステル、N−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−2−[4−(4−ピリジン−2−イル−ピリミジン−2−イル)−フェノキシ]−アセトアミド、2−(5,6−ジメチル−4−オキソ−4H−チエノ[2,3−d]ピリミジン−3−イル)−N−[(6−メトキシ−ベンゾチアゾール−2−イルカルバモイル)−メチル]−アセトアミド、(ナフタレン−1−イルカルバモイルメチルスルファニル)−酢酸(5−ブロモ−ピリジン−2−イルカルバモイル)−メチルエステル、(ベンゾオキサゾール−2−イルスルファニル)−酢酸(5−クロロ−ピリジン−2−イルカルバモイル)−メチルエステル、および4−[2−(5,6−ジメチル−4−オキソ−4H−チエノ[2,3−d]ピリミジン−3−イル)−アセチルアミノ]−N−(6−メトキシ−ベンゾチアゾール−2−イル)−酪酸アミドのうちの1つではない。
【0024】
1つの例において、上記化合物は、段落[0022]に従い、以下の式のうちの1つに従う:
【0025】
【化7】

ここでR、R、R、およびBは、上に定義されたとおりであり;Zは、5〜7員環であり;各Rは、独立に、−H、ハロゲン、トリハロメチル、−CN、−NO、−NH、−OR、−NR、−S(O)0−2、−SONR、−CO、−C(O)NR、−N(R)SO、−N(R)C(O)R、−N(R)CO、−C(O)R、必要に応じて置換された低級アルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロシクリルアルキル、および必要に応じて置換されたアリールアルキルより選択され;Rのうちの2つは、それらが結合する原子(単数または複数)と一緒になって3〜7員環を形成し得;そしてEは、−O−、−N(R)−、−CH−、および−S(O)0−2−より選択され、ここでRは、−H、トリハロメチル、−S(O)0−2、−SONR、−CO、−C(O)NR、−C(O)R、必要に応じて置換された低級アルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロシクリルアルキル、および必要に応じて置換されたアリールアルキルより選択される。
【0026】
別の例において、上記化合物は、段落[0022]に従い、ここでBは、−O−、−N(R)−、および−S(O)0−1−より選択される。
【0027】
別の例において、上記化合物は、段落[0023]に従い、式IIまたはIIIに従う。
【0028】
別の例において、上記化合物は、段落[0024]に従い、ここでRは、−HまたはC1−6アルキルである。
【0029】
別の例において、上記化合物は、段落[0025]に従い、ここでRは、−HまたはC1−6アルキルである。
【0030】
別の例において、上記化合物は、段落[0026]に従い、式IIaに従う。
【0031】
【化8】

別の例において、上記化合物は、段落[0027]に従い、ここで各Rは、独立に、−H、トリハロメチル、必要に応じて置換された低級アルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロシクリル、必要に応じて置換されたヘテロシクリルアルキル、および必要に応じて置換されたアリールアルキルより選択される。
【0032】
別の例において、上記化合物は、段落[0028]に従い、ここでRのうちの1つは、−H、そしてその他のRは、トリハロメチル、必要に応じて置換された低級アルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロシクリル、必要に応じて置換されたヘテロシクリルアルキル、および必要に応じて置換されたアリールアルキルより選択される。
【0033】
別の例において、上記化合物は、段落[0029]に従い、ここでRは、必要に応じて置換されたアルコキシ、必要に応じて置換された低級アルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換された低級アリールアルキル、必要に応じて置換されたヘテロシクリル、および必要に応じて置換された低級ヘテロシクリルアルキルより選択される。
【0034】
別の例において、上記化合物は、段落[0030]に従い、ここでRは、必要に応じて置換されたアリールオキシまたは必要に応じて置換されたヘテロアリールオキシで置換された低級アルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換された低級アリールアルキル、必要に応じて置換されたヘテロアリール、および必要に応じて置換された低級ヘテロアリールアルキルより選択される。
【0035】
別の例において、上記化合物は、段落[0031]に従い、ここでRは、アリールであり、このアリールは、必要に応じて置換されたアリールおよび必要に応じて置換されたヘテロアリールのうちの少なくとも1つで置換されている。
【0036】
別の例において、上記化合物は、段落[0032]に従い、ここでRは、必要に応じて置換されたビスフェニルである。
【0037】
別の例において、上記化合物は、段落[0033]に従い、ここでRは、必要に応じて置換されたフェニレンを含み、ここでRの結合点は式IIaに従い、そして必要に応じて置換されたフェニルは、上記必要に応じて置換されたフェニレンについて、互いに対してパラの関係を保有する。
【0038】
本発明は、さらに、式VI:
【0039】
【化9】

に従う、キナーゼ活性を調節するための化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、水和物、もしくはプロドラッグを包含し、ここで
11およびR12の各々は、独立に、−H、ハロゲン、トリハロメチル、−CN、−NO、−NR1414、−S(O)0−214、−SONR1414、−CO14、−C(O)NR1414、−N(R14)SO14、−N(R14)C(O)R14、−N(R14)CO14、−OR14、−C(O)R14、必要に応じて置換された低級アルキル、必要に応じて置換されたアルコキシ、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロシクリル、必要に応じて置換されたヘテロシクリルアルキル、および必要に応じて置換されたアリールアルキルより選択され;
14は、−H、必要に応じて置換された低級アルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換された低級アリールアルキル、必要に応じて置換されたヘテロシクリル、および必要に応じて置換された低級ヘテロシクリルアルキルより選択され;
XおよびYの各々は、独立に−O−、−N(R14)−、および−S(O)0−2−より選択され;
nは、0〜2の整数より選択され;
Arは、必要に応じて置換されたアリールであり、該アリールは、3個までのR11で置換され得、ここで2つの隣接するR11は、それらが結合する環原子と一緒に、3個までのヘテロ原子を含み、かつ必要に応じて3個までのR15で置換された5〜7員環を形成し得;
各R15は、独立に−H、ハロ、トリハロメチル、−CN、−NO、−OR16、−N(R16)R16、−S(O)0−216、−SON(R16)R16、−CO16、−C(=O)N(R16)R16、−C(=NR17)N(R16)R16、−C(=NR17)R16、−N(R16)SO16、−N(R16)C(O)R16、−NCO16、−C(=O)R16、必要に応じて置換されたアルコキシ、必要に応じて置換された低級アルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換された低級アリールアルキル、必要に応じて置換されたヘテロシクリル、および必要に応じて置換された低級ヘテロシクリルアルキルより選択され;
16は、−H、必要に応じて置換された低級アルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換された低級アリールアルキル、必要に応じて置換されたヘテロシクリル、および必要に応じて置換された低級ヘテロシクリルアルキルより選択され;そして
17は、−H、−CN、−NO、−OR16、−S(O)0−216、−CO16、必要に応じて置換された低級アルキル、必要に応じて置換された低級アルケニル、および必要に応じて置換された低級アルキニルより選択される。
【0040】
1つの例において、上記化合物は、段落[0035]に従い、ここでXはOである。
【0041】
別の例において、上記化合物は、段落[0036]に従い、ここでYはOである。
【0042】
別の例において、上記化合物は、段落[0037]に従い、ここでR11は−Hである。
【0043】
別の例において、上記化合物は、段落[0038]に従い、ここでR12は−Hである。
【0044】
別の例において、上記化合物は、段落[0039]に従い、ここでnは1である。
【0045】
別の例において、上記化合物は、段落[0040]に従い、ここでArは、置換されたアリールであり、ここで2つの隣接するR11は、それらが結合する環原子と一緒に、3個までのヘテロ原子を含む置換された6員環を形成する。
【0046】
別の例において、上記化合物は、段落[0041]に従い、ここでArは置換されたアリールであり、2つの隣接するR11は、それらが結合する環原子と一緒に、3個までのヘテロ原子を含む置換された7員環を形成する。
【0047】
別の例において、上記化合物は、段落[0021]および[0035]に従い、表1より選択される:
【0048】
【表2−1】

【0049】
【表2−2】

【0050】
【表2−3】

【0051】
【表2−4】

【0052】
【表2−5】

【0053】
【表2−6】

【0054】
【表2−7】

【0055】
【表2−8】

【0056】
【表2−9】

【0057】
【表2−10】

【0058】
【表2−11】

【0059】
【表2−12】

【0060】
【表2−13】

【0061】
【表2−14】

【0062】
【表2−15】

【0063】
【表2−16】

【0064】
【表2−17】

【0065】
【表2−18】

【0066】
【表2−19】

【0067】
【表2−20】

【0068】
【表2−21】

【0069】
【表2−22】

本発明の別の局面は、段落[0021]−[0035]のいずれか1つに従う化合物および薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物である。
【0070】
本発明の別の局面は、いずれか1つに従う上記化合物または上記薬学的組成物の代謝産物である。
【0071】
本発明の別の局面は、キナーゼのインビボ活性を調節する方法であり、この方法は、被験体に、有効量の、段落[0021]−[0045]のいずれか1つに従う上記化合物もしくは薬学的組成物のいずれか、または3−ベンゾイルアミノ−3−フェニル−プロピオン酸(6−メトキシ−ベンゾチアゾール−2−イルカルバモイル)−メチルエステル、N−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−2−[4−(4−ピリジン−2−イル−ピリミジン−2−イル)−フェノキシ]−アセトアミド、2−(5,6−ジメチル−4−オキソ−4H−チエノ[2,3−d]ピリミジン−3−イル)−N−[(6−メトキシ−ベンゾチアゾール−2−イルカルバモイル)−メチル]−アセトアミド、(ナフタレン−1−イルカルバモイルメチルスルファニル)−酢酸(5−ブロモ−ピリジン−2−イルカルバモイル)−メチルエステル、(ベンゾオキサゾール−2−イルスルファニル)−酢酸(5−クロロ−ピリジン−2−イルカルバモイル)−メチルエステル、および4−[2−(5,6−ジメチル−4−オキソ−4H−チエノ[2,3−d]ピリミジン−3−イル)−アセチルアミノ]−N−(6−メトキシ−ベンゾチアゾール−2−イル)−酪酸アミドからなる群より選択される化合物、もしくはこれらの化合物および薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物を投与する工程を包含する。
【0072】
本発明の別の局面は、段落[0047]に従う方法であり、ここで上記キナーゼは、KIAA1361、TAO、およびJIKのうちの少なくとも1つである。
【0073】
本発明の別の局面は、未制御の、異常なそして/または所望でない細胞活性に関連する疾患または障害を処置する方法であり、この方法は、その処置を必要とする哺乳動物に、治療有効量の、段落[0021]−[0045]のいずれか1つに記載されたような化合物もしくは薬学的組成物のいずれか、または3−ベンゾイルアミノ−3−フェニル−プロピオン酸(6−メトキシ−ベンゾチアゾール−2−イルカルバモイル)−メチルエステル、N−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−2−[4−(4−ピリジン−2−イル−ピリミジン−2−イル)−フェノキシ]−アセトアミド、2−(5,6−ジメチル−4−オキソ−4H−チエノ[2,3−d]ピリミジン−3−イル)−N−[(6−メトキシ−ベンゾチアゾール−2−イルカルバモイル)−メチル]−アセトアミド、(ナフタレン−1−イルカルバモイルメチルスルファニル)−酢酸(5−ブロモ−ピリジン−2−イルカルバモイル)−メチルエステル、(ベンゾオキサゾール−2−イルスルファニル)−酢酸(5−クロロ−ピリジン−2−イルカルバモイル)−メチルエステル、および4−[2−(5,6−ジメチル−4−オキソ−4H−チエノ[2,3−d]ピリミジン−3−イル)−アセチルアミノ]−N−(6−メトキシ−ベンゾチアゾール−2−イル)−酪酸アミドからなる群より選択される化合物もしくはこれらの化合物および薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物を投与する工程を包含する。
【0074】
本発明の別の局面は、キナーゼのモジュレーターについてスクリーニングする方法であり、このキナーゼは、KIAA1361、TAO、およびJIKから選択され、この方法は、段落[0021]−[0044]のいずれか1つに従う化合物のいずれか、または3−ベンゾイルアミノ−3−フェニル−プロピオン酸(6−メトキシ−ベンゾチアゾール−2−イルカルバモイル)−メチルエステル、N−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−2−[4−(4−ピリジン−2−イル−ピリミジン−2−イル)−フェノキシ]−アセトアミド、2−(5,6−ジメチル−4−オキソ−4H−チエノ[2,3−d]ピリミジン−3−イル)−N−[(6−メトキシ−ベンゾチアゾール−2−イルカルバモイル)−メチル]−アセトアミド、(ナフタレン−1−イルカルバモイルメチルスルファニル)−酢酸(5−ブロモ−ピリジン−2−イルカルバモイル)−メチルエステル、(ベンゾオキサゾール−2−イルスルファニル)−酢酸(5−クロロ−ピリジン−2−イルカルバモイル)−メチルエステル、および4−[2−(5,6−ジメチル−4−オキソ−4H−チエノ[2,3−d]ピリミジン−3−イル)−アセチルアミノ]−N−(6−メトキシ−ベンゾチアゾール−2−イル)−酪酸アミドからなる群より選択される化合物と、少なくとも1つの候補薬剤とを合わせる工程、ならびにこれらのキナーゼの活性に対する候補薬剤の効果を決定する工程を包含する。
【0075】
本発明の別の局面は、細胞における増殖活性を阻害する方法であり、この方法は、有効量の、段落[0021]−[0044]のいずれか1つに従う化合物、3−ベンゾイルアミノ−3−フェニル−プロピオン酸(6−メトキシ−ベンゾチアゾール−2−イルカルバモイル)−メチルエステル、N−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−2−[4−(4−ピリジン−2−イル−ピリミジン−2−イル)−フェノキシ]−アセトアミド、2−(5,6−ジメチル−4−オキソ−4H−チエノ[2,3−d]ピリミジン−3−イル)−N−[(6−メトキシ−ベンゾチアゾール−2−イルカルバモイル)−メチル]−アセトアミド、(ナフタレン−1−イルカルバモイルメチルスルファニル)−酢酸(5−ブロモ−ピリジン−2−イルカルバモイル)−メチルエステル、(ベンゾオキサゾール−2−イルスルファニル)−酢酸(5−クロロ−ピリジン−2−イルカルバモイル)−メチルエステル、および4−[2−(5,6−ジメチル−4−オキソ−4H−チエノ[2,3−d]ピリミジン−3−イル)−アセチルアミノ]−N−(6−メトキシ−ベンゾチアゾール−2−イル)−酪酸アミドからなる群より選択される化合物を含む組成物を、1つまたは複数の細胞に投与する工程を包含する。
【0076】
(定義)
本明細書中で使用される場合、以下の用語および語句は、それらが使用される文脈がそうではないと示しているか、またはそれらが明示的に異なる何かを意味するように定義されている範囲を除いて、一般に、以下に示される意味を有することが意図されている。
【0077】
記号「−」は単結合を意味し、「=」は二重結合を意味し、「≡」は、三重結合を意味する。記号「
【0078】
【化10】

」は、この記号が結合している二重結合の末端のいずれかの位置を占めるような、二重結合上の基をいう;すなわち、その二重結合の幾何構造、E−またはZ−は、曖昧である。基が、その親式から取り出されて図示される場合、「〜」の記号は、その親構造式からその基を分離するために、理論的に開裂された結合の末端で使用される。
【0079】
基「R」が、例えば下式のように、環系上で「浮動している」ように描写される場合:
【0080】
【化11】

そうではないと定義されない限り、置換基「R」は、安定な構造が形成される限り、その環原子のうちの1つに由来する、描写されたか、暗示されたか、または明示的に定義された水素の置換を仮定して、その環系の任意の原子上に存在し得る。
【0081】
基「R」が、例えば下式のように、縮合環系上で「浮動している」ように描写される場合:
【0082】
【化12】

そうではないと定義されない限り、置換基「R」は、安定な構造が形成される限り、その環原子のうちの1つに由来する、描写されたか(例えば上の式における−NH−)、暗示されたか(例えば上の式におけるように)(ここでその水素は、示されていないが存在するとして理解される)、または明示的に定義された水素(例えば、ここで上の式において、「X」は、−CH−に等しい)の置換を仮定して、その縮合環系の任意の原子上に存在し得る。描写された例において、「R」基は、その縮合環系の5員環または6員環の上に存在し得る。上に描写された式において、例えばyが2である場合、それら2つの「R」は、この場合も各々がその環上の描写されたか、暗示されたか、または明示的に定義された水素を置換すると仮定して、その環系の任意の2つの原子の上に存在し得る。
【0083】
例えば下式のように、1つより多いこのように描写される「浮動している」基が存在する場合:
【0084】
【化13】

2つの基、つまり、その「R」および親構造への結合を示す結合が存在する場合;そうではないと定義されない限り、その「浮動している」基は、この場合も各々がその環上の描写されたか、暗示されたか、または明示的に定義された水素を置換すると仮定して、環系の任意の原子上に存在し得る。
【0085】
例えば下式のように、基「R」が、飽和炭素を含む環系に存在するとして描写される場合:
【0086】
【化14】

この例において、各々が現在描写されたか、暗示されたか、または明示的に定義された、その環上の水素を置換すると仮定して「y」が、1より大きくあり得る場合;そうではないと定義されない限り、得られる構造が安定である場合、2つの「R」は、同じ炭素上に存在し得る。簡単な例は、Rがメチル基の場合であり;描写された環上の炭素(「環」炭素)にジェミナルなジメチルが存在し得る。別の例において、同じ炭素上の2つのR(その炭素を含む)は、環を形成し得、従って、例えば式:
【0087】
【化15】

おけるような描写された環を有するスピロ環式環(「スピロシクリル」基)構造を生成する。
【0088】
「アルキル」は、直鎖状炭化水素構造、分枝状炭化水素構造または環状炭化水素構造およびこれらの組合せを、すべてを含めて含むことが意図される。例えば、「Cアルキル」は、n−オクチル、iso−オクチル、シクロヘキシルエチルなどに言及し得る。低級アルキルとは、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基をいう。低級アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s−ブチル、t−ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシルなどが挙げられる。高級アルキルとは、8個より多い炭素原子を含むアルキル基をいう。例示的なアルキル基は、C20またはそれ未満のアルキル基である。シクロアルキルアルキルの部分集合であり、そして3〜13個の炭素原子を有する環状炭化水素基を含む。シクロアルキル基の例としては、c−プロピル、c−ブチル、c−ペンチル、ノルボルニル、アダマンチルなどが挙げられる。本出願において、アルキルとは、アルカニル、アルケニル、およびアルキニル残基(およびそれらの組合せ)をいい;シクロヘキシルメチル、ビニル、アリル、イソプレニルなどを含むことが意図される。従って、特定の数の炭素を有するアルキル残基が挙げられる場合、その数の炭素を有するすべての幾何異性体が含まれることが意図される;従って、例えば、「ブチル」または「Cアルキル」のいずれかは、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、t−ブチル、イソブテニルおよびブト−2−インラジカルを含むことが意図され;そして例えば、「プロピル」または「Cアルキル」は、各々、n−プロピル、プロペニル、およびイソプロピルを含む。
【0089】
「アルキレン」とは、炭素原子と水素原子のみからなり、不飽和を含まず、そして1〜10個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の二価ラジカル、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、n−ブチレンなどをいう。アルキレンは、アルキルの部分集合であり、アルキルと同じ残基を指すが、2つの結合点を有し、そして特に完全に飽和である。アルキレンの例としては、エチレン(−CHCH−)、プロピレン(−CHCHCH−)、ジメチルプロピレン(−CHC(CHCH−)、およびシクロヘキシルプロピレン(−CHCHCH(C13))が挙げられる。
【0090】
「アルキリデン」とは、炭素原子と水素原子のみからなり、そして2〜10個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の不飽和二価ラジカルをいい、例えば、エチリデン、プロピリデン、n−ブチリデンなどが挙げられる。アルキリデンは、アルキルの部分集合であり、アルキルと同じ残基をいうが、2つの結合点および、特に、二重結合不飽和を有する。この存在する不飽和は、少なくとも1つの二重結合を含む。
【0091】
「アルキリジン」とは、炭素原子および水素原子のみからなり、そして2〜10個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の不飽和二価ラジカルをいい、例えば、プロピリド−2−イニル、n−ブチリド−1−イニルなどが挙げられる。アルキリジンは、アルキルの部分集合であり、アルキルと同じ残基をいうが、2つの結合点および、特に、三重結合不飽和を有する。この存在する不飽和は、少なくとも1つの三重結合を含む。
【0092】
上記のラジカル、「アルキレン」、「アルキリデン」および「アルキリジン」のいずれかは、必要に応じて置換された場合、それ自身が不飽和を含むアルキル置換を含み得る。例えば、2−(2−フェニルエチニル−ブト−3−エニル)−ナフタレン(IUPAC名称)は、上記ラジカルの2位にビニル置換基を有するn−ブチリド−3−イニルラジカルを含む。
【0093】
「アルコキシ」または「アルコキシル」とは、基−O−アルキル、例えば酸素原子を介して親構造に結合した1〜8個の炭素原子を有する直鎖、分枝鎖、環状配置、不飽和鎖、およびこれらの組合せをいう。例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、シクロプロピルオキシ、シクロヘキシルオキシなどが挙げられる。低級アルコキシとは、1〜6個の炭素を含む基をいう。
【0094】
「置換されたアルコキシ」とは、基−O−(置換されたアルキル)をいい、アルキル基上の置換基は、(アルコキシにより定義されるように)一般に炭素のみより多くを含む。1つの例示的な置換されたアルコキシ基は、「ポリアルコキシ」または−O−必要に応じて置換されたアルキレン−必要に応じて置換されたアルコキシであり、−OCHCHOCHのような基、およびポリエチレングリコールおよび−O(CHCHO)CH(ここでxは、約2と約12との間、別の例では、約2と約10との間、そしてさらなる例では約2と約5との間の整数である)のようなグリコールエーテルを含む。別の例示的な置換されたアルコキシ基は、ヒドロキシアルコキシまたは−OCH(CHOHであり、ここでyは、例えば、約1と約10との間の整数であり、別の例においてyは、約1と約4との間の整数である。さらに別の例示的な置換されたアルコキシ基は、アリールアルコキシまたはヘテロアリールアルコキシであり、これらの基において、そのアルコキシのアルキル部分は、アリールまたはヘテロアリールで置換されており、そのアリールまたはヘテロアリールは、好ましくは必要に応じて置換されている。
【0095】
「アシル」とは、カルボニル官能性を介して親構造に結合した1〜10個の炭素原子を有する直鎖、分枝鎖、環状配置、飽和、不飽和、および芳香族、ならびにこれらの組合せの基をいう。そのアシル残基の1つ以上の炭素は、その親への結合点がそのカルボニルにある限り、窒素、酸素または硫黄により置換され得る。例としては、アセチル、ベンゾイル、プロピオニル、イソブチリル、t−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルなどが挙げられる。低級アシルとは、1〜6個の炭素を含む基をいう。
【0096】
「α−アミノ酸」とは、天然のアミノ酸および市販されているアミノ酸ならびにそれらの光学異性体をいう。代表的な天然α−アミノ酸および市販されているα−アミノ酸は、グリシン、アラニン、セリン、ホモセリン、スレオニン、バリン、ノルバリン、ロイシン、イソロイシン、ノルロイシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、オルニチン(omithine)、ヒスチジン、アルギニン、システイン、ホモシステイン、メチオニン、フェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、フェニルグリシン、オルト−チロシン、メタ−チロシン、パラ−チロシン、トリプトファン、グルタミン、アスパラギン、プロリンおよびヒドロキシプロリンである。「α−アミノ酸の側鎖」とは、上で定義されるように、α−アミノ酸のα−炭素上で見出されるラジカル、例えば、水素(グリシンについて)、メチル(アラニンについて)、ベンジル(フェニルアラニンについて)、などをいう。
【0097】
「アミノ」とは、基−NHをいう。「置換されたアミノ」とは、基−N(H)Rまたは−N(R)Rをいい、ここで各Rは、独立に、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルコキシ、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロシクリル、アシル、カルボキシ、アルコキシカルボニルスルファニル、スルフィニルおよびスルホニルからなる群より選択され、例えば、ジエチルアミノ、メチルスルホニルアミノ、フラニル−オキシ−スルホンアミノが挙げられる。
【0098】
「アリール」とは、芳香族の6〜14員の炭素環式環、例えば、ベンゼン、ナフタレン、インダン、テトラリン、フルオレンなどの一価ラジカルをいう。一価ラジカルとして、上述の環の例は、フェニル、ナフチル、インダニル、テトラリニル、およびフルオレニルと呼ばれる。
【0099】
「アリーレン」は、総称的に、それに結合した少なくとも2つの任意の基を有するアリールをいう。より具体的な例のために、「フェニレン」とは、二価フェニル環ラジカルをいう。フェニレンは、従って結合した2つ以上の基を有し得るが、それに結合した最低2つの基によって定義される。
【0100】
「アリールアルキル」とは、アリール部分が、アルキレン、アルキリデン、またはアルキリジンラジカルのうちの1つを介して親構造に結合している残基をいう。例としては、ベンジル、フェネチル、フェニルビニル、フェニルアリルなどが挙げられる。アリールアルキル基のアリールラジカル部分、および対応するアルキレン、アルキリデン、またはアルキリジンラジカル部分の両方は、必要に応じて置換され得る。「低級アリールアルキル」とは、その基の「アルキル」部分が、1〜6個の炭素を有するアリールアルキルをいい;これはまた、C1−6アリールアルキルとも称され得る。
【0101】
「アリールオキシ」とは、アリール部分が、−O−のような式で描写される介在する酸素を介して、親構造に結合している残基をいう。例としては、フェニルオキシ、およびナフチルオキシが挙げられる。「置換されたアリールオキシ」とは、アリールオキシのアリール部分が、置換基として識別される基(単数または複数)で置換されたアリールオキシをいう。
【0102】
「Exo−アルケニル」とは、環炭素から出て、そして環系内には存在しない二重結合、例えば以下の式に描写される二重結合をいう。
【0103】
【化16】

いくつかの例において、当業者により理解されるように、芳香族系上の2つの隣接する基は、一緒に縮合し得、環構造を形成し得る。この縮合環構造は、ヘテロ原子を含み得、そして1つ以上の基で必要に応じて置換され得る。このような縮合基の飽和炭素(すなわち、飽和環構造)が、2つの置換基を含み得ることがさらに注記されるべきである。
【0104】
「縮合−多環式」または「縮合環系」とは、橋架け環または縮合環を含む多環式環系をいう;すなわち、ここで2つの環は、それらの環構造に1個より多い共有された原子を有する。本出願において、縮合−多環式および縮合環系は、必ずしもすべて芳香族環系であるとは限らない。代表的には、縮合−多環式は、隣接する原子の組を共有するが(例えばナフタレンまたは1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン)、そうである必要はない。スピロ環系は、この定義による縮合−多環式ではないが、本発明の縮合多環式環系自体は、縮合−多環式の単一の環原子を介して、それらに結合するスピロ環を有し得る。
【0105】
「ハロゲン」または「ハロ」とは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素をいう。「ハロアルキル」および「ハロアリール」とは、総称的に、それぞれ、1つより多いハロゲンで置換されたアルキルおよびアリールラジカルをいう。従って、「ジハロアリール」、「ジハロアルキル」、「トリハロアリール」などは、複数のハロゲンで置換されたアリールおよびアルキルをいうが、必ずしも複数の同じハロゲンで置換されているとは限らない;従って、4−クロロ−3−フルオロフェニルは、ジハロアリールの範囲内である。
【0106】
「ヘテロ原子」とは、O、S、N、またはPをいう。
【0107】
「ヘテロシクリル」とは、炭素原子、ならびに窒素、リン、酸素および硫黄からなる群より選択される1〜5個のヘテロ原子から構成される安定な3〜15員環ラジカルをいう。本発明の目的のために、ヘテロシクリルラジカルは、単環式、二環式または三環式環系であり得、これらの環系は、縮合環系または橋架け環系ならびにスピロ環式系を含み得る;そしてこのヘテロシクリルラジカル中の窒素原子、リン原子、炭素原子または硫黄原子は、必要に応じて種々の酸化状態に酸化され得る。特定の例において、基−S(O)0−2−とは、−S−(スルフィド)、−S(O)−(スルホキシド)、および−SO−(スルホン)をいう。便宜のために、他の原子を排除するわけではないが、特に窒素、環芳香族窒素として定義される窒素は、特定の例においてそのようには明示的に定義されていなくとも、それらの対応するN−オキシド形態を含むことが意図される。従って、例えば、ピリジル環を有する本発明の化合物について;対応するピリジル−N−オキシドは、本発明の別の化合物として含まれることが意図される。さらに環窒素原子は、必要に応じて4級化され得;そして環ラジカルは、部分飽和もしくは完全飽和または芳香族であり得る。ヘテロシクリルラジカルの例としては、アゼチジニル、アクリジニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキサニル、ベンゾフラニル、カルバゾリル、シノリニル(cinnolinyl)、ジオキソラニル、インドリジニル、ナフチリジジニル、ペルヒドロアゼピニル、フェナジニル(phenazinyl)、フェノチアジニル(phenothiazinyl)、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラゾリル、テトラヒドロイソキノリル、ピペリジニル、ピペラジニル、l,2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロリジニル、2−オキソアゼピニル、アゼピニル、ピロリル、4−ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリル、ピラゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ジヒドロピリジニル、テトラヒドロピリジニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、オキサゾリニル、オキサリジニル、トリアゾリル、イソオキサゾリル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリル、チアゾリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、キヌクリジニル、イソチアゾリジニル、インドリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、キノリル、イソキノリル、デカヒドロイソキノリル、ベンゾイミダゾリル、チアジアゾリル、ベンゾピラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、フリル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、チエニル、ベンゾチエリイル(benzothieliyl)、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、ジオキサホスホラニル、およびオキサジアゾリルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0108】
「ヘテロ脂環式」とは、具体的には非芳香族ヘテロシクリルラジカルをいう。ヘテロ脂環式は、不飽和を含み得るが、芳香族ではない。
【0109】
「ヘテロアリール」とは、具体的には芳香族ヘテロシクリルラジカルをいう。
【0110】
「ヘテロシクリルアルキル」とは、ヘテロシクリルが、アルキレンラジカル、アルキリデンラジカル、またはアルキリジンラジカルのうちの1つを介して親構造に結合した残基をいう。例としては、(4−メチルピペラジン−1−イル)メチル、(モルホリン−4−イル)メチル、(ピリジン−4−イル)メチル、2−(オキサゾリン−2−イル)エチル、4−(4−メチルピペラジン−1−イル)−2−ブテニルなどが挙げられる。ヘテロシクリルアルキル基のヘテロシクリル部分、およびその対応するアルキレンラジカル、アルキリデンラジカル、またはアルキリジンラジカル部分の両方は、必要に応じて置換され得る。「低級ヘテロシクリルアルキル」とは、この基の「アルキル」部分が1〜6個の炭素を有するヘテロシクリルアルキルをいう。「ヘテロアリシクリルアルキル」とは、具体的には、その基のヘテロシクリル部分が非芳香族であるヘテロシクリルアルキルをいい;そして「ヘテロアリールアルキル」とは、具体的には、その基のヘテロシクリル部分が芳香族であるヘテロシクリルアルキルをいう。
【0111】
「ヘテロアリールオキシ」とは、ヘテロアリール部分が、−O−のような式で描写される介在する酸素を介して、親構造に結合した残基をいう。例としては、ピリジルオキシ、およびピラジニルオキシが挙げられる。「置換されたヘテロアリールオキシ」とは、そのヘテロアリールオキシのヘテロアリール部分が、置換基として識別される基(単数または複数)で置換されたヘテロアリールオキシをいう。
【0112】
「任意の」または「必要に応じて」は、引き続いて記載される事象または状況が起こってもよく起こらなくてもよく、そしてその記載がその事象または状況が起こる例およびそれが起こらない例を含むことを意味する。当業者は、1つ以上の任意の置換基を含むとして記載される任意の分子に関して、立体的に実用的かつ/または合成的に実行可能な化合物が含まれることが意図されることを理解する。「必要に応じて置換された」とは、ある術語におけるすべての引き続く改変物をいい、例えば術語「必要に応じて置換されたアリールC1−8アルキル」において、任意の置換は、その分子の「C1−8アルキル」部分および「アリール」部分の両方で生じ得る;そして例えば、必要に応じて置換されたアルキルとしては、必要に応じて置換されたシクロアルキル基を含み、そしてこのシクロアルキル基は、潜在的に最初に必要に応じて置換されたアルキル基を含むとして定義されている。例示的な任意の置換の一覧表は、「置換された」の定義において、以下に列挙される。
【0113】
「飽和橋架け環系」とは、芳香族ではない二環式または多環式環系をいう。このような系は、分離された不飽和または共役した不飽和を含み得るが、そのコア構造は、芳香族環またはヘテロ芳香族環ではない(しかし、その環上に芳香族置換を有し得る)。このような系は、孤立した不飽和または共役した不飽和を含み得るが、そのコア構造は、芳香族環またはヘテロ芳香族環ではない。例えば、ヘキサヒドロ−フロ[3,2−b]フラン、2,3,3a,4,7,7a−ヘキサヒドロ−1H−インデン、7−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、および1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−ナフタレンは、すべて「飽和橋架け環系」のクラスに含まれる。
【0114】
「スピロシクリル」または「スピロ環式環」とは、別の環の特定の環炭素から生じる環をいう。例えば、以下に示されるように、飽和橋架け環系(環BおよびB’)の環原子(しかし、橋頭原子ではない)は、飽和橋架け環系とそれに結合したスピロシクリル(環A)との間の共有された原子であり得る。スピロシクリルは、炭素環式またはヘテロ脂環式であり得る。
【0115】
【化17】

「置換された」アルキル、アリール、およびヘテロシクリルは、例えば、それぞれ、アルキル、アリール、およびヘテロシクリルをいい、ここで1つ以上の(例えば約5個まで、別の例においては、約3個まで)水素原子が、各々、必要に応じて置換されたアルキル(例えば、ハロアルキル、アルコキシルアルキル、ヒドロキシアルキル、ニトロアルキルなど)、必要に応じて置換されたアリール(例えば、ヒドロキシフェニル、ニトロフェニル、アミノフェニル、ハロフェニル、アルキルフェニル、など)、必要に応じて置換されたアリールアルキル(例えば、1−フェニル−エチル)、必要に応じて置換されたヘテロシクリルアルキル(例えば、1−ピリジン−3−イル−エチル)、必要に応じて置換されたヘテロシクリル(例えば、5−クロロ−ピリジン−3−イルおよび1−メチル−ピペリジン−4−イル)、必要に応じて置換されたアルコキシ、アルキレンジオキシ(例えば、メチレンジオキシ)、必要に応じて置換されたアミノ(例えば、アルキルアミノおよびジアルキルアミノ)、必要に応じて置換されたアミジノ、必要に応じて置換されたアリールオキシ(例えば、フェノキシ)、必要に応じて置換されたアリールアルキルオキシ(例えば、ベンジルオキシ)、カルボキシ(−COH)、カルボアルコキシ(すなわち、アシルオキシまたは−OC(=O)R)、カルボキシアルキル(すなわち、エステルまたは−COR)、カルボキシアミド、ベンジルオキシカルボニルアミノ(CBZ−アミノ)、シアノ、アシル、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、チオール、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、カルバモイル(carbamyl)、アシルアミノ、およびスルホンアミドより独立に選択される置換基により置き換えられる。
【0116】
「スルファニル」とは、基:−S−(必要に応じて置換されたアルキル)、−S−(必要に応じて置換されたアリール)、および−S−(必要に応じて置換されたヘテロシクリル)基をいう。
【0117】
「スルフィニル」とは、基:−S(O)−H、−S(O)−(必要に応じて置換されたアルキル)、−S(O)−必要に応じて置換されたアリール)、および−S(O)−(必要に応じて置換されたヘテロシクリル)をいう。
【0118】
「スルホニル」とは、基:−S(O)−H、−S(O)−(必要に応じて置換されたアルキル)、−S(O)−必要に応じて置換されたアリール)、−S(O)−(必要に応じて置換されたヘテロシクリル)、−S(O)−(必要に応じて置換されたアルコキシ)、−S(O)−必要に応じて置換されたアリールオキシ)、および−S(O)−(必要に応じて置換されたヘテロシクリルオキシ)をいう。
【0119】
本明細書中に記載される反応の各々についての「収率」は、理論的な収量に対する百分率として表現される。
【0120】
本発明の化合物のいくつかは、芳香族ヘテロシクリル系のイミノ、アミノ、オキソまたはヒドロキシ置換基を有し得る。本開示の目的のために、このようなイミノ、アミノ、オキソまたはヒドロキシ置換基は、それらの対応する互変異性の形態、すなわち、それぞれ、アミノ、イミノ、ヒドロキシまたはオキソで存在し得ることが理解される。
【0121】
本発明の化合物は、International Union of Pure and Applied Chemistry(IUPAC)、International Union of Biochemistry and Molecular Biology(IUBMB)、およびthe Chemical Abstracts Service(CAS)により合意されている命名法の系統的な適用に従って命名される。
【0122】
本発明の化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩は、それらの構造の中に、不斉炭素原子、不斉の酸化された硫黄原子、または不斉の4級化された窒素原子を有し得る。
【0123】
本発明の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な塩は、単一の立体異性体、ラセミ体として、ならびに鏡像異性体およびジアステレオマーの混合物として存在し得る。上記化合物はまた、幾何異性体として存在し得る。すべてのこのような単一の立体異性体、ラセミ体およびそれらの混合物、ならびに幾何異性体は、本発明の範囲内であることが意図される。
【0124】
化合物を構築する目的のために本発明の化合物の総体的な記載を考慮する場合、このような構築は、安定な構造の生成をもたらすことが想定される。つまり、当業者は、通常は安定な化合物であると考えられないいくつかの構築物(つまり、立体的に実用的かつ/または合成的に実行可能な化合物、前出)が理論的には存在し得るが、ことが認識される。
【0125】
その結合構造を有する特定の基が、2つのパートナーに結合するとして示される場合(すなわち、二価ラジカル、例えば、−OCH−)、そうではないと明示的に記されない限りは、それら2つのパートナーのいずれかは一方の端でその特定の基と結合し得、もう一方のパートナーは必然的にその特定の基の他の端に結合し得ることがことが理解される。別の言い方をすれば、二価ラジカルは、描写された配向に限定されると解釈されるべきではく、例えば「−OCH−」は、描かれたとおりの「−OCH−」だけではなく「−CHO−」もまた意味することが意図される。
【0126】
ラセミ体混合物もしくは立体異性体の非ラセミ体混合物からの単一津の立体異性体の調製および/または分離ならびに単離のための方法は当該分野で周知である。例えば、光学活性な(R)−異性体および(S)−異性体は、キラルなシントンまたはキラルな試薬を使用して調製され得るか、または従来の技術を使用して分割され得る。鏡像異性体(R−異性体およびS−異性体)は、当業者に公知の方法により分割され得、これらの方法としては、例えば、分離され得るジアステレオマーの塩もしくは複合体の形成により;例えば、結晶化、鏡像異性体特異的試薬を用いる1つの鏡像異性体の選択的反応により、例えば酵素による酸化または還元、および引き続く修飾された鏡像異性体および未修飾の鏡像異性体の分離;またはキラルな環境における(例えば、結合されたキラルなリガンドを有するシリカのようなキラルな担体上でか、またはキラルな溶媒の存在下での)ガス液体クロマトグラフィーによることが挙げられる。所望の鏡像異性体が、上に記載された分離手順のうちの1つにより別の化合物に変換される場合には、その所望の鏡像異性体の形態を遊離させるためのさらなる工程が必要とされ得ることが理解される。あるいは、特定の鏡像異性体は、光学活性な試薬、基質、触媒または溶媒を使用する不斉合成によるか、または不斉変換によって1つの鏡像異性体からもう一方の鏡像異性体に変化することにより、合成され得る。特定の鏡像異性体に富んだ鏡像異性体の混合物については、主要成分の鏡像異性体は、再結晶により、(付随する収量の損失を伴って)さらに富まされ得る。
【0127】
本発明の目的のための「患者」としては、ヒトおよび他の動物(特に、哺乳動物)、ならびに他の生物体が挙げられる。従って、上記方法は、ヒトの治療および獣医学的用途の両方に、適用可能である。好ましい実施形態において、上記患者は、哺乳動物であり、そして、最も好ましい実施形態では、患者はヒトである。
【0128】
「キナーゼ依存性疾患または状態」は、1つ以上のプロテインキナーゼの活性に依存する病的な状態を呼ぶ。種々の細胞活動(増殖、接着、遊走、および浸潤を含む)のシグナル伝達経路に、直接的または間接的に関与する。キナーゼの活性に関与する疾患としては、腫瘍の増殖、固形腫瘍の増殖を後押しする病的な新血管新生、ならびに、眼病(糖尿病性網膜症、加齢性黄斑変性など)、および炎症(乾癬、慢性関節リウマチなど)のような過剰な局所的血管新生が関与する他の疾患が挙げられる。
【0129】
理論に結びつけられることは望まないが、ホスファターゼはまた、キナーゼの同種として「キナーゼ依存性疾患または状態」ににある役割を果たし得る(すなわち、例えば、タンパク質の基質のキナーゼによるリン酸化、およびホスファターゼによる脱リン酸化である)。従って、本発明の化合物はまた、本明細書中に記載されるようにキナーゼの活性を調節しつつ、ホスファターゼの活性を直接的または間接的に、調節し得る。この更なる調節があるならば、この調節は、関連するかまたはそうでなければ相互依存的なキナーゼまたはキナーゼファミリーに関する本発明の化合物の活性に対して、相乗的であり得る(または、相乗的でないかもしれない)。いずれにせよ、上述のように、本発明の化合物は、異常なレベルの細胞増殖(すなわち、腫瘍増殖)、プログラム細胞死(アポトーシス)、細胞遊走および細胞浸潤、ならびに腫瘍増殖に関与する新脈管形成により部分的に特徴付けられる疾患の処置に有用である。
【0130】
「治療有効量」とは、患者に投与されるときに疾患の症状を和らげる、本発明の化合物の量である。「治療有効量」を構成する本発明の化合物の量は、上記化合物、疾患状態およびその重篤度、処置される患者の年齢などに依存して、変動する。上記治療有効量は、当業者によって、当業者の知識および本開示を考慮し、日常的に決定され得る。
【0131】
「癌」とは、細胞増殖性の疾患状態をいう。この疾患状態としては、以下:
心臓:肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫、および奇形腫;
肺:気管支原性肺癌、(扁平細胞、未分化小細胞、未分化大細胞、腺癌)、肺胞性(細気管支)癌、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨性過誤腫(chondromatous hanlartoma)、中皮腫(inesothelioma);
胃腸:食道(扁平上皮癌、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(癌、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵臓(腺管癌、膵島細胞腺腫(insulinorna)、グルカゴン産生腫瘍、ガストリン産生腫瘍、カルチノイド腫瘍、VIP産生腫瘍)、小腸(腺癌(adenocarcinorna)、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ(Karposi)肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺癌、管状線種、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫);
尿生殖路:腎臓(腺癌、ウィルムス腫瘍(神経芽細胞腫(neplrroblastoma))、リンパ腫、白血病)、膀胱および尿道(扁平上皮癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫)、精巣(精上皮腫、奇形腫、胚性癌腫、奇形癌腫、絨毛癌、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、類腺腫瘍、脂肪腫);
肝臓:肝細胞腫(肝細胞癌)、胆管癌、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞癌、血管腫;
骨:骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫脊索腫、骨軟骨腫(osteochronfroma)(骨軟骨腫)、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫(chondromyxofibroma)、類骨骨腫および巨細胞腫;
神経系:頭蓋骨(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎(osteitis defornians)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫(meningiosarcoma)、神経膠腫症)、脳(星細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣細胞腫、胚細胞腫(松果体腫)、髄膜肉腫(glioblastorna multiform)、乏突起細胞腫、シュワン細胞腫、網膜芽細胞腫、先天性腫瘍)、脊髄神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫);
婦人科:子宮(子宮内膜癌)、頚部(頚癌、前腫瘍子宮頸部形成異常)、卵巣(卵巣癌(漿液性嚢胞腺癌、ムチン性嚢胞腺癌、未分類癌)、顆粒膜包膜細胞腫瘍、セルトリライディッヒ細胞腫瘍、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰部(扁平上皮癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、黒色腫)、膣(明細胞癌、扁平上皮癌、ブドウ状肉腫(胎児性横紋筋肉腫)、ラッパ管(癌);
血液:血液(骨髄性白血病(急性および慢性)、急性リンパ性白血病、慢性リンパ球性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(悪性リンパ腫);
皮膚:悪性黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮癌、カポジ(Karposi)肉腫、黒子形成異常母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、乾癬;および
副腎(Adrenal lands):神経芽細胞腫
が挙げられるが、限定はされない。従って、本明細書中に提供される場合の用語「癌細胞」とは、上に特定した状態のうちのいずれか1つによって罹患された細胞を含む。
【0132】
「薬学的に受容可能な酸付加塩」とは、遊離塩基の生物学的効果を保持する塩であって、かつ生物学的でない塩か、またはそうでなければ、望ましくない塩を呼ぶ。これらの塩は、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など)とともに形成され、同様に、有機酸(例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸など)とともに形成される。
【0133】
「薬学的に受容可能な塩基付加塩」とは、無機塩基から生じる塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、マンガン塩、アルミニウム塩など)を呼ぶ。例示的な塩は、アンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、およびマグネシウム塩である。薬学的に受容可能な無毒性有機塩基としては、一級アミン、二級アミン、および三級アミンの塩、置換されたアミン(天然に生じる置換されたアミンを含む)の塩、環状アミンの塩、ならびに塩基性イオン交換樹脂の塩(例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、ジシクロキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン(hydrabamine)、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N−エチルピペリジン、ポリアミン樹脂など)が挙げられるが、限定はされない。例示的な有機塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、コリン、およびカフェインである(例えば、本明細書中において参考として援用される、S.M.Bergeら、「Pharmaceutical Salts」、J.Pharm.Sci.,1977;66:1〜19を参照のこと)。
【0134】
「プロドラッグ」とは、上記の式の親化合物を得るために、インビボで(代表的には、迅速に)(例えば、血液中の加水分解で)変換された化合物を呼ぶ。共通する例としては、カルボン酸部分を保有する活性形態を有する、エステルおよびアミド形態の化合物が挙げられるが、限定はされない。本発明の化合物の薬学的に受容可能なエステルの例としては、(例えば、約1〜約6個の炭素を有する)アルキルエステルが挙げられるが、限定はされない。ここで、アルキル基は、直鎖または分枝鎖である。受容可能なエステルとしてはまた、シクロアルキルエステル、およびベンジル(これに限定されない)ようなアリールアルキルエステルが挙げられる。本発明の化合物の薬学的に受容可能なアミドの例としては、(例えば、約1〜約6個の炭素を有する)一級アミド、ならびに二級アルキルアミドおよび三級アルキルアミドが挙げられるが、限定はされない。本発明の化合物のアミドおよびエステルは、従来の方法に従って、調製され得る。プロドラッグについての徹底的な議論は、T.HiguchiおよびV.Stella,「Pro−drugs as Novel Delivery Systems」、A.C.S.Symposium Seriesの第14巻、ならびに、Biorevesible Carriers in Drug Design、Edward B.Roche編、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987の両方において提供される。これらは、すべての目的において本明細書中において参考として援用される。
【0135】
「代謝産物」とは、化合物の分解産物または最終産物、あるいは上記動物またはヒトの体における代謝または生体内変換によって生成されたそれらの塩を呼ぶ。例えば、より極性のある分子への(例えば、酸化、還元、もしくは加水分解による)生体内変換、または、結合体への生体内変換である(生体内変換の議論について、GoodmanおよびGliman,「The Pharmacological Basis of Therapuetics」第8版、Pergamon Press、Glimanら、(編集)、1990を参照のこと)。本明細書中で使用される場合、本発明の化合物の代謝産物、またはその塩は、体内での、上記化合物の生物学的活性形態であり得る。一つの例において、プロドラッグは、上記生物学的活性形態(代謝産物)が、インビボで放出されるように使用され得る。別の例において、生物学的活性形態は、偶然に発見される(すなわち、プロドラッグ設計それ自体が、行われなかった)。本発明の化合物の代謝産物の活性についてのアッセイは、本開示を参酌して、当業者に公知である。
【0136】
加えて、本発明の化合物は、非溶媒和形態および薬学的に受容可能な溶媒(例えば、水、エタノールなど)をともなう、溶媒和形態で存在し得る。概して、上記溶媒和形態は、本発明の目的において、上記非溶媒和形態と等価であると考慮される。
【0137】
加えて、本発明は、標準的な合成技術(コンビナトリアルケミストリーを含む)を使用してか、または生物学的方法(例えば、細菌による消化、代謝、酵素による変換など)によって生成された化合物を包含することが、意図される。
【0138】
本明細書中に使用される場合、「処置すること」または「処置」は、ヒトにおける疾患状態の処置を包含し、この疾患状態は、異常な細胞増殖および浸潤によって特徴付けられる。そして上記「処置すること」または「処置」は、以下:
(i)上記疾患状態が、ヒトで生じることを防ぐこと(特に、このようなヒトが、上記疾患状態になりやすいが、この疾患状態を有しているとはまだ診断されていない場合において);
(ii)上記疾患状態を阻害すること(すなわち、上記疾患状態の進行を阻止すること);および
(iii)上記疾患状態を和らげること(すなわち、上記疾患状態の緩解をもたらすこと)
のうちの少なくとも1つを含む。当該分野で公知のように、全身送達対局所的送達、年齢、体重、身体全体の健康、性別、食餌、投与時間、薬物間相互作用、および上記状態の重篤度に対しての調整が、必要であり得、そして、この調整は、当業者によって、日常的な実験で確認される。
【0139】
(一般的な投与)
本発明の化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩の、純粋な形態または適切な薬物学的組成物での投与は、認められた投与様式かまたは同様の有用性を提供する薬剤によって実施され得る。従って、投与は、例えば、経口投与、非経口投与(静脈内投与、筋肉内投与、もしくは皮下投与)、局所投与、経皮投与、膣内投与、膀胱内投与、大槽内投与、または直腸投与であり、固体形態、半固体形態、凍結乾燥粉末形態、または液体投薬形態(例えば、錠剤、坐剤、丸剤、軟質ゼラチンカプセル剤および硬質ゼラチンカプセル剤、散剤、液剤、懸濁剤、エアロゾルなど)、好ましくは、正確な投薬量の簡単な投薬に適する投薬形態単位であり得る。
【0140】
上記組成物は、従来の薬学的キャリアまたは賦形剤、および活性剤としての本発明の化合物を含む。そして、加えて、上記組成物は、他の医療薬剤、薬学的薬剤、キャリア、アジュバントなども含み得る。本発明の組成物は、癌の処置をされる患者に対して一般的に投与される、抗癌剤または他の薬剤を組み合わせて使用され得る。アジュバンドは、保存剤、湿潤剤、懸濁剤、甘味剤、矯味矯臭剤、芳香剤、乳化剤、および調剤を含む。微生物の活動の防止は、種々の抗菌剤および抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸など)によって保証され得る。等張剤(例えば、糖類、塩化ナトリウムなど)を含むこともまた、望ましくあり得る。注入可能な薬学的形態の持続的吸収は、吸収を遅延する薬剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン)の使用によってもたらされ得る。
【0141】
必要に応じて、本発明の薬学的組成物はまた、少量の補助物質(例えば、湿潤剤もしくは乳化剤、pH緩衝剤、酸化防止剤など(例えば、クエン酸、ソルビタンモノラウレート、オレイン酸トリエタノールアミン、ブチル化ヒドロキシトルエンなど))を含み得る。
【0142】
非経口注入に適切な組成物は、生理学的に受容可能な滅菌した水性液剤または非水性液剤、分散剤、懸濁剤、または乳剤、および滅菌した散剤を、注入可能な液剤または分散剤へ再構成するために含み得る。適切な水性キャリアおよび非水性キャリア、水性希釈剤および非水性希釈剤、水性溶解剤および非水性溶解剤、または水性ビヒクルおよび非水性ビヒクルとしては、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロールなど)、適切なそれらの混合物、植物油(例えば、オリーブ油)、および注入可能な有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)が挙げられる。適切な流動性は、例えば、コーティング(例えば、レシチン)の使用によって、分散剤の場合における必要とされる分子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって維持され得る。
【0143】
好ましい投与経路の1つは、処置される疾患状態の重篤度の程度に従って調整され得る、便利な1日の投与量レジメンを使用する経口投与である。
【0144】
経口投与のための固体投薬形態は、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、および顆粒剤を含む。このような固体投薬形態において、上記活性化合物は、少なくとも1つの通常の不活性賦形剤(もしくは、キャリア)(例えば、クエン酸ナトリウム、もしくはリン酸二カルシウム)または、
(a)充填剤もしくは増量剤(例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸)
(b)結合剤(例えば、セルロース誘導体、デンプン、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、およびアラビアゴム)
(c)湿潤剤(例えば、グリセロール)
(d)崩壊剤(例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャカイモもしくはタピオカのデンプン、アルギン酸、クロスカルメロースナトリウム、ケイ酸塩複合体、および炭酸ナトリウム)
(e)溶液遅延剤(例えば、パラフィン)
(f)吸収促進剤(例えば、四級アンモニウム化合物)
(g)湿潤剤(例えば、セチルアルコール、およびグリセロールモノステアレート、ステアリン酸マグネシウムなど)
(h)吸着剤(例えば、カオリン、およびベントナイト)、ならびに
(i)潤滑剤(例えば、滑石、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、またはそれらの混合物)
と混合される。カプセル剤、錠剤、および丸剤の場合において、上記投薬形態はまた、緩衝剤も含み得る。
【0145】
上述のような固体投薬形態は、コーティングおよびシェル(例えば、腸溶コーティング、および当該分野で周知の他のコーティング)とともに調製され得る。上記固体形態は、鎮静剤(pacifying agent)を含み得る。そしてまた、上記固体形態は、上記活性化合物を、腸管の特定部分中で遅延させて放出するような組成物を有し得る。使用され得る包理された組成物の例は、ワックスである。上記活性化合物はまた、マイクロカプセル形態であり得、適切であれば、上述の賦形剤のうちの1つ以上の賦形剤を有する。
【0146】
経口投与の液体投薬形態は、薬学的に受容可能な乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤を含み得る。このような投薬形態は、例えば、キャリア(例えば、水、生理食塩水、水性テキストロース、グリセロール、エタノールなど)中の本発明の化合物、または、それらの薬学的に受容可能な塩、および任意の薬学的アジュバント;可溶化剤および乳化剤(例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド);油(特に、綿実油、落花生油、コーン胚油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル;またはそれらの物質の混合物などを融解、分散することによって調製され、それによって、液剤または懸濁剤を形成する。
【0147】
上記活性化合物に加えて、懸濁剤は、懸濁化剤(例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール、およびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド(aluminum metahydoroxide)、ベントナイト、寒天、およびトラガカント、またはそれらの物質の混合物など)を含み得る。
【0148】
直腸投与のための組成物は、例えば、本発明の化合物と、例えば、適切な非刺激性賦形剤またはキャリア(例えば、カカオバター、ポリエチレングリコール、または坐剤ワックス(suppository wax))とを混合することによって調製され得る、坐剤である。この直腸投与のための組成物は、通常の温度では固体であるが、体温では液体であり、従って、適切な体腔中で溶け、そして、上記活性化合物をその中で放出する。
【0149】
本発明の化合物の局所投与のための投薬形態としては、軟膏剤、散剤、噴霧剤、および吸入剤が挙げられる。上記活性成分は、必要であり得る場合は、薬学的に受容可能なキャリアおよび任意の保存剤、緩衝剤、または噴霧剤とともに、滅菌状態下で混合される。眼科処方物、眼用軟膏剤、散剤、および液剤もまた、本発明の範囲内として企図される。
【0150】
概して、上記意図された投与様式に依存して、上記薬学的に受容可能な組成物は、約1重量%〜約99重量%の本発明の化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩を含み、そして、99重量%〜1重量%の適切な薬学的賦形剤を含む。1つの実施形態において、上記組成物は、約5重量%〜約75重量%の本発明の化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩であり、残りは、適切な薬学的賦形剤である。
【0151】
このような投薬形態を調製する実際の方法は、当業者に公知であるか、または明らかである;例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、(Mack Publishing Company、Easton、Pa、1990)を参照のこと。いずれにせよ、投与される上記組成物は、本発明の教示に従って疾患状態を処置するために、本発明の化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩の治療有効量を含む。
【0152】
本発明の化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩は、治療有効量で投与され、そして、この治療有効量は、種々の要素(探索された特定の化合物の活性、上記化合物の代謝の安定性および作用の長さ、年齢、体重、身体全体の健康、性別、食餌、投与の様式および時間、排出速度、薬物の組合せ、特定の疾患状態の重篤度、ならびに治療を受ける宿主を含む)に依存して変動する。本発明の化合物は、1日あたり約0.1mg〜約1,000mgの範囲の投薬レベルで、患者に対して投与され得る。約70kgの体重を有する標準的なヒトの成人に関しては、例えば、1日あたり、体重の1kgあたり約0.01mg〜約100mgの範囲での投薬量である。しかしながら、使用される特定の投薬量は、変動し得る。例えば、上記投薬量は、多くの要素(患者の必要量、処置される状態の重篤度、および使用される上記化合物の薬学的活性)に依存し得る。特定の患者のための最適な投薬量の決定は、当業者に周知である。
【0153】
(スクリーニング剤としての本発明の化合物の有用性)
候補薬剤(例えば、KIAA1361レセプターキナーゼに結合する薬剤)をスクリーニングする方法において本発明の化合物を実施するために、上記タンパク質が支持体に結合され、そして、本発明の化合物がそのアッセイに加えられる。あるいは、本発明の化合物が上記支持体に結合され、そして、上記タンパク質が加えられる。探索され得る新規結合剤の間での候補薬剤のクラスとしては、特異的な抗体、化学ライブラリーのスクリーニングにおいて同定された非天然結合剤、ペプチドアナログなどが挙げられる。特に興味深いのは、ヒト細胞に対して低い毒性を有する候補薬剤についてのスクリーニングアッセイである。多岐にわたるアッセイは、この目的(標識化したインビトロタンパク質−タンパク質結合アッセイ、電気泳動移動度シフトアッセイ、タンパク質結合についてのイムノアッセイ、機能アッセイ(リン酸化アッセイなど)などを含む)のために、使用され得る。
【0154】
例えば、KIAA1361タンパク質に対する上記候補薬剤の結合の定量は、多くの方法によって行われ得る。一つの例において、上記候補薬剤(本発明の化合物)は、例えば、蛍光部分または放射性部分で標識され、そして結合が直接的に定量される。例えば、このことは、KIAA1361タンパク質の全てまたは一部分を固体支持体へ付着させ、標識化された薬剤(例えば、検出可能な同位体によってる少なくとも1つの原子が置換されている本発明の化合物)を加え、過剰な試薬を洗い落とし、そして、上記標識の量が上記固体支持体上に存在するかどうかを定量することによって、行われ得る。種々のブロッキング工程および洗浄工程は、当該分野において公知であるように利用され得る。
【0155】
本明細書中の「標識化した」とは、上記化合物が、検出可能なシグナルを提供する標識(例えば、放射性同位体、蛍光タグ、酵素、抗体、粒子(例えば、磁性粒子)、化学発光タグ、または特異的に結合する分子など)で、直接的にかまたは間接的に標識化されることを意味する。特異的に結合する分子としては、ペア(例えば、ビオチンとストレプトアビジンとのペア、ジゴキシンと抗ジゴキシンとのペアなど)が挙げられる。上記特異的に結合するメンバーに対して、上記相補的なメンバーは、通常、上で概説したような公知の手順に従って、検出を提供する分子で標識化される。上記標識は、検出可能なシグナルを、直接的にかまたは間接的に提供し得る。
【0156】
いくつかの実施形態において、上記成分のうちの1つのみが、標識化される。例えば、KIAA1361タンパク質が、125Iまたはフルオロフォアを使用して、チロシンの位置で標識化され得る。あるいは、1つより多くの成分が、タンパク質については125Iを使用して、例えば、上記候補薬剤についてはフルオロフォアを使用して、異なる標識で標識化され得る。
【0157】
本発明の化合物はまた、さらなる薬物候補をスクリーニングするために、コンペティターとしても使用され得る。「生理活性候補薬剤」または「薬物候補」または、本明細書中に使用されるような文法的に同等な物は、生理活性について試験される任意の分子(例えば、タンパク質、オリゴペプチド、有機低分子、多糖類、ポリヌクレオチドなど)を記載する。これらは、細胞増殖の表現型、または細胞増殖の配列(核酸配列およびタンパク質配列の両方を含む)の発現を、直接的にかまたは間接的に変化させることが可能であり得る。他の場合において、細胞増殖するタンパク質の結合および/または活性の変更がスクリーニングされる。タンパク質の結合または活性がスクリーニングされる場合において、いくつかの実施形態では、その特定のタンパク質に結合することがすでに知られている分子を除外する。本明細書中に記載されるアッセイの例示的な実施形態としては、上記標的タンパク質の内因性天然状態(「外因性」薬剤として本明細書中で名付けられる)では上記標的タンパク質と結合しない、候補薬剤が挙げられる。一つの例において、外因性薬剤はさらに、KIAA1361に対する抗体も除外する。
【0158】
候補薬剤は、多数の化学的クラス含み得るが、代表的には、それらのクラスは、約100ダルトンより大きい分子量から約2500ダルトン未満の分子量を有する有機分子である。候補薬剤は、タンパク質との構造的相互作用(特に、水素結合、および親油性結合)に必要な官能基を含み、そして、代表的には、少なくとも1つのアミン基、カルボニル基、ヒドロキシル基、エーテル基、またはカルボキシル基を含み、例えば、少なくとも2つの化学官能基を含む。上記候補薬剤は、たいてい、1つ以上の上記官能基で置換された、環状炭素構造または複素環式構造、および/あるいは、芳香族構造または多芳香族構造を含む。候補薬剤はまた、生体分子(ペプチド、糖類、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、誘導体、構造的アナログ、またはそれらの組合せを含む)間で見出される。
【0159】
候補薬剤は、多岐にわたる供給源(合成化合物または天然化合物のライブラリーを含む)から得られる。例えば、多数の手段が、多岐にわたる有機化合物および生体分子(ランダム化されたオリゴヌクレオチドの発現を含む)のランダム合成および定方向合成に、利用可能である。あるいは、細菌、真菌、植物および動物の抽出物形態の天然化合物のライブラリーは、利用可能であるか、または容易に生成される。加えて、天然にかまたは合成的に生成されたライブラリーおよび化合物は、従来の化学的手段、物理的手段、および生化学的手段を通して、容易に修飾される。公知の薬剤は、構造的アナログを生成するために、定方向化学修飾またはランダムな化学修飾(例えば、アシル化、アルキル化、エステル化、アミド化(amidification))に供され得る。
【0160】
1つの例において、上記候補薬剤の結合は、結合競合アッセイ(competitive binding assay)を介して決定される。この例において、上記コンペティターは、KIAA1361に結合することが知られる結合部分(例えば、抗体、ペプチド、結合パートナー、リガンドなど)である。特定の環境下において、上記候補薬剤と上記結合部分との間のような、上記候補薬剤を置換する上記結合部分との競合的結合が、存在し得る。
【0161】
いくつかの実施形態において、上記候補薬剤は、標識化される。上記候補薬剤または上記コンペティターのいずれかまたは両方が、そこにこれらの薬剤が存在するならば、結合させるのに十分な時間で、KIAAタンパク質に対して、最初に加えられる。インキュベーションは、最適な活性を促進する任意の温度(代表的には、4℃〜40℃)で、実施され得る。
【0162】
インキュベーション時間が、最適な活性のために選択されるが、この時間はまた、迅速な高生産性スクリーニングを容易するために最適化され得る。代表的には、0.1時間〜1時間で、十分である。過剰な試薬は、通常、除去されるか、または洗い流される。その後、第2の成分が加えられ、そして、結合を示すために、上記標識化された成分の存在または欠如が追跡される。
【0163】
1つの例において、上記コンペティターは、最初に加えられ、その後、上記候補薬剤が加えられる。上記コンペティターの置換は、上記候補薬剤が、KIAA1361に結合して、そして、上記KIAA1361に結合して、上記KIAA1361の活性を潜在的に調節し得ることを示す指標である。この実施形態において、上記コンペティターが標識化される場合、洗浄溶液中の標識の存在が、上記候補薬剤による置換を示す。あるいは、上記候補薬剤が、標識化される場合、上記支持体上の上記標識の存在が、置換を示す。
【0164】
代替的な実施形態において、上記候補薬剤は、インキュベーションおよび洗浄とともに、最初に加えられ、その後、上記コンペティターが加えられる。上記コンペティターによる結合の欠如は、上記候補薬剤が、高い親和性でKIAA1361に結合されることを示し得る。従って、上記候補薬剤が、標識化される場合、上記支持体上の上記標識の存在が、コンペティターの結合の欠如に加えて、上記候補薬剤が、KIAA1361に結合することが可能であることを示し得る。
【0165】
KIAA1361の結合部位を同定することは、価値を有し得る。これは、種々の方法で行われ得る。1つの実施形態において、一旦、KIAA1361が、上記候補薬剤に結合するとして同定された場合、上記KIAA1361は、断片化されるか、または修飾され、そして、上記アッセイが、結合に必要な成分を同定するために、繰り返される。
【0166】
調節は、KIAA1361の活性を調節することが可能な候補薬剤についてスクリーニングすることによって、試験される。このスクリーニングは、上述のような、KIAA1361と候補薬剤とを結合させる工程、および、上記KIAA1361の生物学的活性における変化を定量する工程を包含する。従って、この実施形態において、上記候補薬剤は、結合し(これは、必要でなくてもよいが)、そして、本明細書中に定義されるような、この候補薬剤の生物学的活性または生化学的活性を変化させるはずである。上記方法は、細胞の生存度、形態学などにおける変化についての細胞のインビトロスクリーニング方法、およびインビボスクリーニング方法の両方を包含する。
【0167】
あるいは、差次的なスクリーニングは、天然のKIAA1361に結合するが、修飾されたKIAA1361には結合し得ない、薬物候補を同定するために、使用され得る。
【0168】
ポジティブコントロールおよびネガティブコントロールが、上記アッセイにおいて使用され得る。例えば、すべてのコントロールおよび試験サンプルが、統計的に有意な結果を得るために、少なくとも3連で、実行される。サンプルのインキュベーションは、上記タンパク質に上記候補薬剤が結合するのに十分な時間で行われる。インキュベーションの後、サンプルは、洗浄され、非特異的な結合物質がなくなり、そして、結合された量、一般に標識された薬剤の量が決定される。例えば、放射性標識が利用される場合、上記サンプルが、シンチレーション計数機中で数えられ得、結合した化合物の量が定量される。
【0169】
種々の他の試薬は、上記スクリーニングアッセイ中に含まれ得る。これらの試薬としては、塩、中性タンパク質(例えば、アルブミン)、界面活性剤などのような試薬が挙げられ、これは、最適なタンパク質−タンパク質結合を容易にするため、および/または、非特異的またはバックグラウンドの相互作用を減らすために、使用され得る。また、上記アッセイの有効性を改善する別の試薬(例えば、プロテアーゼインヒビター、ヌクレアーゼインヒビター、抗微生物剤など)が、使用され得る。成分の混合物は、必要とされる結合を提供する任意の順番で、加えられ得る。
【0170】
当業者は、特定の結晶化されたタンパク質リガンド複合体(特に、KIAA1361−リガンド複合体、TAO−リガンド複合体、またはJIK−リガンド複合体)、およびそれらの複合体に対応するX線構造の座標は、本明細書中に記載されるようなTAOキナーゼの生物学的活性を理解ために有用である、新たな構造情報を明らかにするために使用され得る。同様に、上述のタンパク質の重要な構造の特徴(特に、上記リガンド結合部位の形状)は、TAOキナー の選択的なモジュレーターを、設計するかまたは同定する方法において有用であり、そして、類似する特徴を有する他のタンパク質の構造を解明することにおいても、有用である。このような複合体のリガンドとしては、本明細書中に記載されるような本発明の化合物が挙げられる。
【0171】
同様に、当業者は、このような適切なX線品質の結晶が、TAOキナーゼに結合し、かつTAOキナーゼの活性を調節することができる候補薬剤を同定する方法の一部分として使用され得ることを理解する。このような方法は、以下:
(a)高次構造におけるTAOキナーゼのリガンド結合ドメインを定義する情報(例えば、上述に記載されるような適切なX線品質の結晶から得られたX線構造座標)を、適切なコンピュータープログラムへ導入し、ここで、このコンピュータープログラムが上記リガンド結合ドメインの3次元構造のモデルを作製する局面、
(b)上記コンピュータープログラムに、候補薬剤の3次元構造のモデルを導入する局面、
(c)上記リガンド結合ドメインのモデル上に上記候補薬剤のモデルを重ね合わせる局面、および
(d)上記候補薬剤のモデルが、空間的に、上記リガンド結合ドメインに適合するかどうかを評価する局面
によって特徴付けられ得る。局面a〜dは、上記の順番で実施する必要はない。このような方法は、さらに、上記3次元構造のモデルでの合理的な薬物設計を実施し、そして、コンピューターモデリングと組み合わせて潜在的な候補薬剤を選択することを伴い得る。
【0172】
加えて、当業者は、このような方法が、さらに、TAOキナーゼの調節についての生物学的活性のアッセイにおいて、上記リガンド結合ドメインに適合すると決定された候補薬剤を利用し、そして、上記アッセイにおいて、この候補薬剤が、TAOキナーゼの活性を調節するかどうかを決定することを伴い得ることを理解する。このような方法はまた、TAOキナーゼの活性を調節すると決定された上記候補薬剤を、上に記載されたようなTAOキナーゼの調節によって処置できる状態に罹患している哺乳動物に対して、投与することを包含し得る。
【0173】
また、当業者は、本発明の化合物が、TAOキナーゼのリガンド結合ドメインを含む分子または分子複合体と関連する、試験薬剤の活性を評価する方法において、使用されることを理解する。このような方法は、以下:
(a)TAOキナーゼの適切なX線品質の結晶から得られた構造座標を使用して、TAOキナーゼの結合ポケットのコンピューターモデルを作製する局面、
(b)上記試験薬剤と上記結合ポケットのコンピューターモデルとの間のフィッティング操作を実行するために、コンピューターを利用したアルゴリズムを利用する局面、および
(c)上記試験薬剤と上記結合ポケットのコンピューターとの間の関連性を定量化するために、上記フィッティング操作の結果を分析する局面、
によって特徴付けられ得る。
【0174】
(略号およびそれらの定義)
以下の略号および術語は、全体を通して示された意味を有する:
Ac=アセチル
ATP=アデノシン−5’三リン酸
BNB=4−ブロモメチル−3−ニトロ安息香酸
Boc=t−ブチルオキシカルボニル
br=ブロード
Bu=ブチル
C=℃
c−=シクロ
CBZ=カルボベンゾキシ=ベンジルオキシカルボニル
d=二重線
dd=二重線の二重線
dt=三重戦の二重線
DBU=ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン
DCM=ジクロロメタン=メチレンクロライド=CHCl
DCE=ジクロロエチレン
DEAD=ジエチル アゾジカルボキシレート
DIC=ジイソプロピルカルボジイミド
DIEA=N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DMA=N,N−ジメチルアセトアミド
DMAP=4−N,N−ジメチルアミノピリジン
DMF=N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO=ジメチルスルホキシド
DVB=1,4−ジビニルベンゼン
EDC=1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩
EEDQ=2−エトキシ−l−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリン
EI=電子衝撃イオン化法
Et=エチル
Fmoc=9−フルオレニルメトキシカルボニル
g=グラム
GC=ガスクロマトグラフィー
hまたはhr=時間
HATU=O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート
HMDS=ヘキサメチルジシラン
HOAc=酢酸
HOBt=ヒドロキシベンゾトリアゾール
HPLC=高圧液体クロマトグラフィー
L=リットル
M=モルまたはモル濃度
m=多重線
Me=メチル
メシル=メタンスルホニル
mg=ミリグラム
MHz=メガヘルツ(周波数)
Min=分
mL=ミリリットル
mM=ミリモル濃度
mmol=ミリモル
mol=モル
MS=質量スペクトル分析
MTBE=メチル t−ブチルエーテル
N=ノルマルまたは規定度
NBS=N−ブロモスクシンイミド
NCS=N−クロロスクシンイミド
nM=ナノモル濃度
NMO=N−メチルモルホリンオキシド
NMP=1−メチル−2−ピロリジノン
NMR=核磁気共鳴分光法
PEG=ポリエチレングリコール
pEY=ポリ−グルタミン、チロシン
Ph=フェニル
PhOH=フェノール
PfP=ペンタフルオロフェノール
PfPy=ペルフルオロピリジン
PPTS=ピリジニウム p−トルエンスルホネート
Py=ピリジン
PyBroP=ブロモ−トリス−ピリロリジノ−ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート
q=四重線
RT=室温
Sat’d=飽和
s=一重線
s−=第2級
t−=第3級
tまたはtr=三重線
TBDMS=t−ブチルジメチルシリル
TES=トリエチルシラン
TFA=トリフロロ酢酸
THF=テトラヒドロフラン
TMOF=オルトギ酸トリメチル
TMS=トリメチルシリル
トシル=p−トルエンスルホニル
Trt=トリフェニルメチル
uL=マイクロリットル
uM=マイクロモル濃度またはマイクロモル
(化合物の合成)
スキーム1および2は、本発明の化合物の一般的な合成経路を描写するが、これらは限定的であることを意図されていない。この一般的な合成経路の記載に続いて特定の実施例が記載される。一般的な経路およびその後の特定の実施例の記載によって、当業者は、本発明の化合物を記載されたとおりに作製し得る。
【0175】
スキーム1は、一般的に、式Iの化合物が、例えば、一方向の経路で作製され得ることを示す。例えば、市販されているアミノ酸または適切に保護されたアミノ酸誘導体(i)(ここでXは=Oであり、Aは、例えば−CH−であり、Lは、−OHまたはアミド結合形成のための適切な脱離基のいずれかであり、Bは、O、S、またはNであり、そしてPは、Bのための保護基である)は、R(R)NHで示されるアミンとカップリングされ、中間体アミド(ii)を与える。Bの脱プロトン化により中間体(iii)が得られる。中間体(iii)は、例えば、アシル化されて式Iの化合物を与える。
【0176】
【化18】

スキーム2は、一般に、式VIの化合物が、例えば、一方向の経路で作製され得ることを示す。例えば、市販されているアミンまたはまたは適切に保護されたアミノ酸誘導体(i)(ここでR11、R12、X、Yおよびnは、上で定義されたとおりである)は、(ii)のカルボン酸(ここでArは、上で定義されたとおりである)と反応され、(iii)の化合物に到達する。
【0177】
【化19】

当業者は、スキーム1および2に関連する説明が一般化されたものであり、本発明の化合物を作製するために使用され得る工程およびアプローチの他の組合せが存在することを認識する。以下に続く実施例は、本発明の例示的な化合物の作製の一層より詳細な説明を提供する。
【実施例】
【0178】
以下の実施例は、上に説明された発明を使用する様式をより十分に説明するのに役立ち、そして本発明の種々の局面を実施するために企図される最良の態様を示すのに役立つ。ことが理解される。これらの実施例は、決して本発明の真の範囲を限定するのに役立つとは決してなく、むしろ例示の目的のために提示される。本明細書中で引用されたすべての参考文献は、それらの全体が、本明細書中に援用される。一般に、以下に示される各実施例は、上で概略を示したような多段階合成を説明するが、必ずしもそうである必要はない。
【0179】
(実施例1)
【0180】
【化20】

(2−(4−ベンジルオキシ−フェノキシ)−N−[(1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イルカルバモイル)−メチル]−アセトアミド 3)
DMF(0.5mL)中の2−アミノ−N−(1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−アセトアミド塩酸塩1(67.9mg、0.283mmol)の溶液および1,2−ジクロロエタン(2mL)の溶液に、DIEA(150μL、0.859mmol)、HOBT(57.3mg、0.442mmol)、および(4−ベンジルオキシフェノキシ)酢酸2(74.0mg、0.287mmol)を添加した。攪拌しながら、EDC(81.0mg、0.422mmol)を、室温でこの反応物に添加した。その得られたスラリーを室温で20時間攪拌し、その後減圧下で濃縮し、分取HPLCを介して精製した。3を、白色固体として得た(58.4mg、46.7%収率)。H NMR(CDCl3);7.43−7.37(多重線,4H);7.35−7.31(多重線,2H);7.24−7.22(多重線,1H);7.19−7.16(多重線,2H);7.11−7.09(多重線,1H);6.90−6.83(多重線,4H);6.19−6.17(d,1H);5.21−5.16(q,1H);5.01(s,2H);4.44(s,2H),4.04−4.02(t,2H);2.84−2.71(多重線,2H);2.07−2.01(多重線,1H);1.84−1.74(多重線,3H)。
【0181】
2−(4−ブロモ−フェノキシ)−N−[(1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イルカルバモイル)−メチル]−アセトアミドを、2−アミノ−N−(1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−アセトアミド塩酸塩1および(4−ブロモフェノキシ)酢酸から、類似の手順で調製した。1H NMR(CDCl3)7.39−7.36(d,2H);7.31−7.25(br,1H);7.22−7.17(多重線,3H);7.12−7.11(d,1H);6.82−6.79(d,2H);6.09−6.07(d,1H);5.22−5.20(q,1H);4.49(s,2H);4.05−4.02(t,2H);2.86−2.34(多重線,2H);2.05−2.02(多重線,1H);1.9−1.7(br,4H)。
【0182】
4’−エチル−ビフェニル4−カルボン酸[(1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イルカルバモイル)−メチル]−アミドを、2−アミノ−N−(1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−アセトアミド塩酸塩1および4’−エチル−ビフェニル4−カルボン酸から、類似の手順で調製した。1H NMR(CDCl3);7.82−7.99(d,2H);7.63−7.61(d,2H);7.53−7.52(d,2H);7.29−7.27(d,2H);7.17−7.14(多重線,2H);7.09−7.03(多重線,2H);6.41−6.39(d,1H);5.22−5.19(多重線,1H);4.19−4.18(d,2H);2.84−2.75(多重線,2H);2.73−2.68(q,2H);2.10−2.04(多重線,1H);1.87−1.84(多重線,3H);1.30−1.24(t,3H)。
【0183】
(実施例2)
【0184】
【化21】

(4−ペンチルオキシ−N−[(1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イルカルバモイル)−メチル]−ベンズアミド 5)
DCM(2mL)中の1(84.8mg、0.352mmol)およびDIEA(180μL、1.03mmol)の攪拌溶液に、4−ペンチルオキシベンゾイルクロリド4(82.0mg、0.362mmol)を添加した。この得られたスラリーを、室温で14時間攪拌し、その後、DCM(10mL)で希釈した。その希釈した混合物を、HCl(水溶液、0.5M)、NaHCO(水溶液、飽和)およびブラインで洗浄した。MgSOで乾燥した後、減圧中で溶媒を除去して、黄色固体を得、この黄色固体を、フラッシュクロマトグラフィー(1:1 ヘキサン:EtOAc)によりさらに精製した。生成物5を、白色固体として得た(63.5mg、45.7%収率)。1H NMR(CDCl3)7.67−7.63(dt,2H);7.24−7.22(dd,1H);7.17−7.10(dq,2H);7.08−7.06(d,1H);7.02−7.00(t,1H);6.88−6.84(dt,2H);6.77−6.75(d,1H);5.20−5.16(q,1H);4.16−4.15(d,2H);4.00−3.96(t,2H);2.81−2.71(多重線,2H);2.07−2.01(多重線,1H);1.82−1.77(多重線,5H),1.48−1.36(多重線,4H);0.96−0.92(t,3H)。
【0185】
(実施例3)
【0186】
【化22】

(2−アミノ−N−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−テレフタルアミド酸 メチルエステル 3)
ピリジン(30mL)中の1(1.65g、10mmol)および2(1.95g、10mmol)の溶液に、EDC(2.88g、15mmol)を添加し、そしてこの混合物を室温で16時間攪拌した。ピリジンを真空中で除去し、そして残渣をEtOAcに溶解し、逐次的に3M HCl、飽和NaHCO、飽和NaClで洗浄し、次いでNaSOで乾燥した。溶媒を真空中で除去し、純粋な化合物3を黄色固体として得た(3.08g、90%)。MS:m/z 343.20(M+H)H NMR(CDCl)d 7.91(d,1H),7.11(d,1H),6.93−6.84(m,1H),6.58(t,1H),5.87(bs,2H),4.42−4.36(m,1H),4.34(dd,1H),4.01(dd,1H),3.89(s,3H),3.88−3.83(m,1H),3.74−3.65(m,1H)。
【0187】
(2−アミノ−N4−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−N1−(3−エトキシ−プロピル)−テレフタルアミド 4)
THF(75ml)中の3(3.08g、9mmol)の溶液に、室温で、LiOH(25ml HO中の647mg)の溶液を添加した。その混合物を室温で16時間攪拌した。この反応物を、さらなるLiOH(1g)で処理し、そしてもう24時間攪拌した。その混合物を真空中で濃縮し、そしてその残渣をHOに溶解し、そしてEtOで1回抽出した。次いで、その水溶液を3M HClを用いてpH 約4まで酸性にし、EtOAcで抽出し、そしてNaSOで乾燥した。次いで溶媒を、真空中で除去し、上記カルボン酸をピンク色固体として得た(2.75g、93%)。その未精製の酸をピリジン(60mL)に溶解し、そして3−エトキシプロピルアミン(864mg、8.38mmol)、およびEDC(2.41g、12.55mmol)で処理し、そして室温で16時間攪拌した。ピリジンを真空中で除去し、そして残渣を上に記載のようにワークアップし、純粋な化合物4を白色固体として得た(935mg、27%)。MS:m/z 414.20(M+H)H NMR(CDCl)d 7.47(d,1H),7.16(d,1H),7.00(dd,1H),6.87−6.77(m,4H),4.37−4.28(m,2H),3.96(dd,1H),3.70−3.60(m,2H),3.53(t,2H),3.50(q,2H),3.42(t,2H),1.90−1.82(m,2H),1.20(t,3H)。
【0188】
(3−(3−エトキシ−プロピル)−4−オキソ−2−チオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロ−キナゾリン−7−カルボン酸(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−アミド 5)
0℃のDCM(20mL)中の4(130mg、0.314mmol)の溶液に、チオホスゲンの溶液(DCM中の1M、0.315mL、0.315mmol)を滴下した。次いで、その混合物を室温まで暖め、そして室温で1時間攪拌した。その混合物を濃縮し、その残渣を分取HPLCにより精製し、化合物5(25.2mg、18%)を白色固体として得た。MS:m/z 456.18(M+H)H NMR(CDCl)d 11.36(s,1H),8.35(s,1H),8.17(d,2H),7.48(dd,1H),6.94−6.82(m,5H),4.66−4.61(m,2H),4.51−4.46(m,2H),4.10−4.03(m,1H),3.99−3.92(m,1H),3.58(t,2H),3.48(q,2H),2.15−2.06(m,2H),1.15(t,3H)。
【0189】
(実施例4)
【0190】
【化23】

(4−ブロモ−N−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−3−ニトロ−ベンズアミド 3)
ピリジン(80mL)中の1(1.65g、10mmol)および2(2.46g、10mmol)を、EDC(2.87g、15mmol)ニ添加し、そして混合物を室温で16時間攪拌した。ピリジンを真空中で除去し、そして残渣をEtOAcに溶解し、3M HCl、飽和NaHCO、および飽和NaClで逐次的に洗浄し、次いでNaSOで乾燥した。溶媒を真空中で除去し、化合物3(3.19g、81%)を黄色固体として得た。MS:m/z 393.03(M+H)
(2−{4−[(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−カルバモイル]−2−ニトロ−フェニルアミノ}−安息香酸 5)
NMP(6mL)中の3(3.19g、8.12mmol)、および4(1.05g、7.66mmol)の溶液を、KCO(1.57g、10.40mmol)で処理し、そしてその混合物を、開放圧管中で、気体の発生が止むまで攪拌した。銅粉末(3ミクロン、40mg)を添加し、次いでその混合物を封管中で、150℃で約30分間加熱した。その混合物を室温まで冷却し、HOで希釈し、濾過し、そしてその濾液を3M HClで酸性にし、固体を沈殿させた。その固体を濾過し、HOで洗浄し、そして乾燥した。その粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(1:1 ヘキサン:EtOAc)により精製し、化合物5(1.31g、38%)を黄色固体として得た。MS:m/z 450.14(M+H)H NMR(CDOD)d 8.65(d、1H)、8.00(dd、1H)、7.88(dd、1H)、7.57(d、1H)、7.54−7.43(m、2H)、7.11−7.06(m、1H)、6.79−6.68(m、4H)、4.30−4.20(m、2H)、3.89(dd、1H)、3.61−3.56(m、2H)。
【0191】
(2−{2−アミノ−4−[(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−カルバモイル]−フェニルアミノ}−安息香酸 6)
下のMeOH(100mL)中のPd/C(30mg)の懸濁液に5(210mg、0.47mmol)を添加した。その混合物を0℃に冷却し、そしてNaBH(250mg)を何回かに分けて添加した。その混合物を、0℃で1時間攪拌し、濾過し、真空中で濃縮した。その残渣をHOで希釈し、3M HClを用いてpH 約4まで酸性にし、次いでEtOAcで抽出し、NaSOで乾燥し、そして濃縮し化合物6(192mg、98%)をピンク色の固体として得た。MS:m/z 420.22(M+H)
【0192】
(11−オキソ−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,e][1,4]ジアゼピン−8−カルボン酸(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−アミド 7)
ピリジン(30mL)中の6(192mg、0.46mmol)の溶液に、EDC(180mg、0.94mmol)を添加し、そしてその混合物を室温で16時間攪拌した。ピリジンを真空中で除去し、その残渣をEtOAcに溶解し、3M HCl、飽和NaHCO、および飽和NaClで逐次的に洗浄し、次いでNaSOで乾燥した。溶媒を真空中で除去し、そしてその粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(1:1 ヘキサン:EtOAc)により精製し化合物7(164.3mg、89%)を黄色固体として得た。MS:m/z 402.17(M+H)H NMR(CDOD)d 7.76(dd、1H)、7.48(dd、1H)、7.42(d、1H)、7.38−7.32(m、1H)、7.01−6.76(m、7H)、4.36−4.29(m、2H)、3.96(dd、1H)、3.70−3.59(m、2H)。
【0193】
(実施例5)
【0194】
【化24】

(2−ピペラジン−1−イル−N−ピリジン−2−イル−アセトアミド塩酸塩 2)
乾燥DMF(5mL)中の1(941mg、10mmol)の溶液に、室温で、クロロアセチルクロリド(1.69g、15mmol)を滴下した。この酸塩化物の添加後、固体混合物が、素早く形成し、次いでその固体混合物を60℃で30分間加熱した。その混合物を室温まで冷却し、EtOで希釈し、そしてその固体を濾過した。その固体を飽和NaHCOで処理し、HOで洗浄し、そして風乾し2−クロロ−N−ピリジン−2−イル−アセトアミドを固体(1.05g、62%)として得た。MS:m/z 171.16(M+H)。DMA(2mL)中の未精製の2−クロロ−N−ピリジン−2−イル−アセトアミド(171mg、1mmol)の溶液に、1−Boc−ピペラジン(373mg、2mmol)を添加し、そしてその溶液を90℃で2時間加熱した。その混合物を室温までMgSO冷却し、HOで希釈し、飽和NaHCOで処理し、EtOAcで抽出した。この有機抽出物を、で乾燥し、そして真空中で濃縮し、4−(ピリジン−2−イルカルバモイルメチル)−ピペラジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル(154mg、48%)を得、これをジオキサン(5mL)中、室温で16時間、4M HClで処理した。溶媒を除去し、その残渣を減圧乾燥し、2を淡ピンク色の固体として得た。MS:m/z 221.26(M+H)
【0195】
(2−[4−(2−ナフタレン−1−イル−エタンスルホニル)−ピペラジン−1−イル]−N−ピリジン−2−イル−アセトアミド 4)
CHCl(10mL)中の2の溶液に、室温でEtN(0.33mL、2.34mmol)を添加し、引き続いて3(120mg、0.47mmol)を添加し、そしてその混合物を、室温で1時間攪拌し、そして減圧下で濃縮した。その粗生成物を、分取HPLCで精製し、化合物4(20mg、10%)を白色固体として得た。MS: m/z 439.23(M+H)H NMR(DMSO−d):d 9.96(s、1H)、8.31−8.27(m、1H)、8.08(d、1H)、8.03(d、1H)、7.97(d、1H)、7.85(d、1H)、7.83−7.76(m、1H)、7.65−7.44(m、4H)、7.14−7.09(m、1H)、3.51−3.38(m、4H)、3.32−3.26(m、4H)、3.26(s、2H)、2.66−2.58(m、4H)。
【0196】
(アッセイ)
キナーゼのアッセイは、固定化されたミエリン塩基性蛋白(MBP)へのγ−33P ATPの組み込みを測定することにより行われた。高い結合性の白色384ウェルプレート(Greiner)を、トリス−緩衝生理食塩水(TBS;50mM Tris pH8.0,138mM NaCl,2.7mM KCl)中で20μg/mL MBPを60μl/ウェルで4℃24時間インキュベーションすることによりMBP(Sigma#M−1891)でコートした。プレートを、100μl TBSで3回洗浄した。キナーゼの反応は、総量34μlのキナーゼ緩衝液(5mM Hepes pH7.6,15mM NaCl,0.01%ウシガンマグロブリン(Sigma#I−5506),10mM MgCl,1mM DTT,0.02%TritonX−100)中で行われた。化合物の希釈は、DMSO中で行われ、最終1%のDMSO濃度でアッセイウェルに加えられた。各データポイントは、二連で測定され、そして、少なくとも2つの二連のアッセイが、各個々の化合物の決定について行われた。例えば酵素は、10nMまたは20nMの最終濃度で加えられた。非標識ATPおよびγ−33P ATPの混合物は、反応開始に加えられ(代表的には、ウェルあたり2x10cpmのγ−33P ATP(3000Ci/mmole)および10μMまたは30μMの非標識ATPいずれか)。反応は、振盪して室温1時間で行われた。プレートは、TBSで7回洗浄し、その後50μl/ウェルのシンチレーション溶液(Wallac)を添加した。プレートは、Wallac Triluxカウンターを用いて読み取られた。これは、そのようなアッセイの単に一つのフォーマットであり、当業者に公知のように、様々の他の形式が可能である。
【0197】
上に述べたアッセイ手順は、阻害のIC50および/または阻害定数Kを決定するのに用いられ得る。このIC50は、アッセイ条件下50%酵素活性を減少するのに必要とされる化合物濃度として定義される。例えば、例示的な組成物は、約100μMより少ない、約10μMより少ない、約1μMより少ない、IC50を有し、さらに例えば、約100nMより少ない、なおさらに例えば約10nMより少ないIC50を有する。ある化合物のKは、3つの仮定に基づいて、IC50から決定される。第1に、ただ1つの化合物分子が酵素に結合し、協同性はない。第2に、活性酵素の濃度および試験される化合物は公知である(すなわち調製物中に有意な量の不純物または不活性形態が存在しない)。第3に、酵素−インヒビター複合体の酵素としての速度は、ゼロである。速度のデータ(すなわち化合物濃度)は以下の方程式(1)にフィッティングされる;Vは観察される速度、Vmaxは遊離酵素の速度、Iはインヒビター濃度、Eは酵素濃度、そして、Kは酵素−インヒビター複合体の解離定数。
【0198】
【数1】

式(1)
(キナーゼ特異的アッセイ:)
キナーゼ活性および化合物の阻害は、以下に示した1以上のアッセイ形式を用いて調査された。各アッセイのATP濃度は、各個々のキナーゼについてのミカエリス−メンテン定数(K)に近いものが選択された。用量−反応実験は、384−ウェルプレート形式において10の異なるインヒビター濃度で行われた。データは以下の4−パラメーターの下式(2)にフィッティングされる;Yは観察されるシグナル、Xはインヒビター濃度、Minは酵素非存在でのバックグラウンドシグナル(0%酵素活性)、Maxはインヒビター非存在でのシグナル(100%酵素活性)、IC50は50%酵素阻害でのインヒビター濃度であり、そして、Hは協同性を測定するための経験的なヒルスロープを表している。一般的にHは単一に近づく。
Y=Min+(Max−Min)/(1+(X/IC50)^H)
式(2)
(KIAA1361アッセイ)
KIAA1361生化学活性は、ルシフェラーゼ−結合化学発光キナーゼアッセイ(LCCA)形式を用いて評価された。キナーゼ活性は、キナーゼ反応後に、残存しているATPのパーセントとして測定された。残存しているATPは、ルシフェラーゼ−ルシフェリン−結合化学発光により検出される。具体的には、反応はテスト化合物(20μLアッセイ緩衝液(20mM Tris−HCl pH7.5,10mM MgCl,0.02%TritonX−100,100mM DTT,2mM MnCl)中の2μM ATP、10μM MBPおよび12nM KIAA1361(バキュロウイルスで発現したヒトKIAA1361キナーゼドメイン2−322)の混合により開始された。混合物は、20μLルシフェラーゼ−ルシフェリン混合物が加えられた後、周囲温度で2時間インキュベートされ、化学発光シグナルをWallac Victorリーダーをもちいて読んだ。ルシフェラーゼ−ルシフェリン混合物は50mM HEPES,pH7.8,8.5μg/mLシュウ酸(pH7.8),5(または50)mM DTT,0.4%TritonX−100,0.25mg/mLコエンザイムA,63μM AMP,28μg/mLルシフェリンおよび40,000光単位/mLのルシフェラーゼからなる。
【0199】
(JIKアッセイ)
JIK生化学活性はルシフェラーゼ−結合化学発光キナーゼアッセイ(LCCA)形式を用いて評価された。キナーゼ活性は、キナーゼ反応後に残存しているATPのパーセントとして測定される。残存しているATPはルシフェラーゼ−ルシフェリン−結合化学発光により検出された。具体的には、反応はテスト化合物(20μLアッセイ緩衝液(20mM Tris−HCl pH7.5,10mM MgCl,0.02%TritonX−100,100mM DTT,2mM MnCl)中の2μM ATP、10μM MBPおよび6nM JIK(バキュロウイルスで発現したヒトKIAA1361キナーゼドメイン2−318)の混合により開始される。混合物は、20μLルシフェラーゼ−ルシフェリン混合物が加えられた後周囲温度で2時間インキュベートされ、化学発光シグナルをWallac Victorリーダーをもちいて読んだ。ルシフェラーゼ−ルシフェリン混合物は50mM HEPES,pH7.8,8.5μg/mLシュウ酸(pH7.8),5(または50)mM DTT,0.4%TritonX−100,0.25mg/mLコエンザイムA,63μM AMP,28μg/mLルシフェリンおよび40,000光単位/mLのルシフェラーゼからなる。
【0200】
(TAOアッセイ)
TAO生化学活性はルシフェラーゼ−結合化学発光キナーゼアッセイ(LCCA)形式を用いて評価された。キナーゼ活性は、キナーゼ反応の後に残存しているATPのパーセントとして測定された。残存しているATPは、ルシフェラーゼ−ルシフェリン−結合化学発光により検出された。具体的には、反応はテスト化合物(20μLアッセイ緩衝液(20mM Tris−HCl pH7.5,10mM MgCl,0.02%TritonX−100,100mM DTT,2mM MnCl)中の2μM ATP、10μM MBPおよび12nM TAO(バキュロウイルスで発現したヒトKIAA1361キナーゼドメイン2−322)の混合により開始される。混合物は、20μLルシフェラーゼ−ルシフェリン混合物が加えられた後に周囲温度で2時間インキュベートされ、そして、化学発光シグナルをWallac Victorリーダーをもちいて読んだ。ルシフェラーゼ−ルシフェリン混合物は50mM HEPES,pH7.8,8.5μg/mLシュウ酸(pH7.8),5(または50)mM DTT,0.4%TritonX−100,0.25mg/mLコエンザイムA,63μM AMP,28μg/mLルシフェリンおよび40,000光単位/mLのルシフェラーゼからなる。
【0201】
(構造活性相関)
表2は、本発明の選択された化合物の構造活性相関のデータを示す。阻害は次の基準を用いてIC50として示される:A=50nMより小さいIC50、B=50nMより大きいが500nMより小さいIC50、C=500nMより大きいが5000nMより小さいIC50、およびD=5000nMに等しいまたは大きいIC50
【0202】
【表3−1】

【0203】
【表3−2】

【0204】
【表3−3】

【0205】
【表3−4】

【0206】
【表3−5】

【0207】
【表3−6】

【0208】
【表3−7】

【0209】
【表3−8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、水和物、もしくはプロドラッグであって、ここで,
は、必要に応じて置換されたC1−10アルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたアリール−C1−10アルキル、必要に応じて置換されたヘテロシクリル、および必要に応じて置換されたヘテロシクリル−C1−10アルキルより選択され;
は、−Hおよび必要に応じて置換されたC1−6アルキルより選択されるか;または
およびRは一緒に、必要に応じて置換された3〜7員のヘテロ脂環式を形成し;
Aは、必要に応じて1〜4個のRで置換されたC1−3アルキレンであり;
Bは、−O−、−N(R)−、−S(O)0−2−および-N(CHN(CH−S(O)0−2−より選択され;
Xは、=O、=S、および=NRより選択され;
Yは、=O、=S、および=NRより選択され;
ZはCであり;あるいは
Z=Yは、存在しないか、または−CH−のいずれかであり;
は、−H、ハロゲン、トリハロメチル、−OR、−N(R)R、−N(R)SO、−N(R)C(O)R、−NCO、必要に応じて置換されたアルコキシ、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたアリールアルキル、必要に応じて置換されたヘテロシクリル、および必要に応じて置換されたヘテロシクリルアルキルより選択され;
は、−Hおよび必要に応じて置換されたC1−6アルキルより選択されるか;あるいは
およびRのうちの1つは、それらが結合する原子と一緒になって、必要に応じて置換された5〜7員の非芳香族環を形成し得;
各Rは、独立に、−H、必要に応じて置換された低級アルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換された低級アリールアルキル、必要に応じて置換されたヘテロシクリル、および必要に応じて置換された低級ヘテロシクリルアルキルより選択され;
のうちの2つは、それらが結合している原子またはそれぞれの原子と一緒になって、必要に応じて置換された5〜7員のヘテロ環式を形成し得;
各Rは、独立に、−H、ハロゲン、トリハロメチル、−CN、−NO、−NH、−OR、−NR、−S(O)0−2、−SONR、−CO、−C(O)NR、−N(R)SO、−N(R)C(O)R、−N(R)CO、−C(O)R、必要に応じて置換された低級アルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロシクリル、必要に応じて置換された低級ヘテロシクリルアルキル、および必要に応じて置換された低級アリールアルキルより選択され;
R6のうちの2つは、それらが結合する原子と一緒に、3〜7員の非芳香族環を形成し得;そして
各Rは、独立に、−H、−NO、−NH、−N(R)R、−CN、−OR、必要に応じて置換された低級アルキル、必要に応じて置換されたヘテロアリシクリルアルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたアリールアルキルおよび必要に応じて置換されたヘテロ脂環式より選択され;
だたし、上記化合物は、3−ベンゾイルアミノ−3−フェニル−プロピオン酸(6−メトキシ−ベンゾチアゾール−2−イルカルバモイル)−メチルエステル、N−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−2−[4−(4−ピリジン−2−イル−ピリミジン−2−イル)−フェノキシ]−アセトアミド、2−(5,6−ジメチル−4−オキソ−4H−チエノ[2,3−d]ピリミジン−3−イル)−N−[(6−メトキシ−ベンゾチアゾール−2−イルカルバモイル)−メチル]−アセトアミド、(ナフタレン−1−イルカルバモイルメチルスルファニル)−酢酸(5−ブロモ−ピリジン−2−イルカルバモイル)−メチルエステル、(ベンゾオキサゾール−2−イルスルファニル)−酢酸(5−クロロ−ピリジン−2−イルカルバモイル)−メチルエステル、および4−[2−(5,6−ジメチル−4−オキソ−4H−チエノ[2,3−d]ピリミジン−3−イル)−アセチルアミノ]−N−(6−メトキシ−ベンゾチアゾール−2−イル)−酪酸アミドのうちの1つではない、化合物。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物であって、該化合物は、以下の式:
【化2】

【化3】

に従い、ここでR、R、R、およびBは、上に定義された通りであり;Zは、5〜7員環であり;各Rは、独立に、−H、ハロゲン、トリハロメチル、−CN、−NO、−NH、−OR、−NR、−S(O)0−2、−SONR、−CO、−C(O)NR、−N(R)SO、−N(R)C(O)R、−N(R)CO、−C(O)R、必要に応じて置換された低級アルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロシクリルアルキル、および必要に応じて置換されたアリールアルキルより選択され;Rのうちの2つは、それらが結合する原子と一緒になって、3〜7員環を形成し得;そしてEは、−O−、−N(R)−、−CH−、および−S(O)0−2−より選択され、ここでRは、−H、トリハロメチル、−S(O)0−2、−SONR、−CO、−C(O)NR、−C(O)R、必要に応じて置換された低級アルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロシクリルアルキル、および必要に応じて置換されたアリールアルキルより選択される、化合物。
【請求項3】
請求項2に記載の化合物であって、ここでBは、−O−、−N(R)−、および−S(O)0−1−より選択される、化合物。
【請求項4】
請求項3に記載の化合物であって、式IIまたはIIIに従う、化合物。
【請求項5】
請求項4に記載の化合物であって、ここでRが、HまたはC1−6アルキルである、化合物。
【請求項6】
請求項5に記載の化合物であって、ここでRが、−HまたはC1−6アルキルである、化合物。
【請求項7】
請求項6に記載の化合物であって、式IIaに従う、化合物。
【化4】

【請求項8】
請求項7に記載の化合物であって、ここで各Rは、独立に、−H、トリハロメチル、必要に応じて置換された低級アルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロシクリル、必要に応じて置換されたヘテロシクリルアルキル、および必要に応じて置換されたアリールアルキルより選択される、化合物。
【請求項9】
請求項8に記載の化合物、ここでRのうちの1つが、−Hであり、そしてその他のRが、トリハロメチル、必要に応じて置換された低級アルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロシクリル、必要に応じて置換されたヘテロシクリルアルキル、および必要に応じて置換されたアリールアルキルより選択される、化合物。
【請求項10】
請求項9に記載の化合物であって、ここでRが、必要に応じて置換されたアルコキシ、必要に応じて置換された低級アルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換された低級アリールアルキル、必要に応じて置換されたヘテロシクリル、および必要に応じて置換された低級ヘテロシクリルアルキルより選択される、化合物。
【請求項11】
請求項10に記載の化合物であって、ここでRが、必要に応じて置換されたアリールオキシまたは必要に応じて置換されたヘテロアリールオキシで置換された低級アルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換された低級アリールアルキル、必要に応じて置換されたヘテロアリール、および必要に応じて置換された低級ヘテロアリールアルキルより選択される、化合物。
【請求項12】
請求項11に記載の化合物であって、ここでRは、アリールであり、該アリールは、必要に応じて置換されたアリールおよび必要に応じて置換されたヘテロアリールのうちの少なくとも1つで置換されている、化合物。
【請求項13】
請求項12に記載の化合物であって、ここでRは、必要に応じて置換されたビス−フェニルである、化合物。
【請求項14】
請求項13に記載の化合物であって、ここでR3が、必要に応じて置換されたフェニレンを含み、ここで式IIaに従うR3および必要に応じて置換されたフェニルの結合点が、該必要に応じて置換されたフェニレンについて、互いに対してパラの関係を保有する、化合物。
【請求項15】
式VI:
【化5】

に従う、少なくとも1つのキナーゼ活性を調節するための化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、水和物、もしくはプロドラッグであって、ここで、
11およびR12の各々は、独立に、−H、ハロゲン、トリハロメチル、−CN、−NO、−NR1414、−S(O)0−214、−SONR1414、−CO14、−C(O)NR1414、−N(R14)SO14、−N(R14)C(O)R14、−N(R14)CO14、−OR14、−C(O)R14、必要に応じて置換された低級アルキル、必要に応じて置換されたアルコキシ、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロシクリル、必要に応じて置換されたヘテロシクリルアルキル、および必要に応じて置換されたアリールアルキルより選択され;
14は、−H、必要に応じて置換された低級アルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換された低級アリールアルキル、必要に応じて置換されたヘテロシクリル、および必要に応じて置換された低級ヘテロシクリルアルキルより選択され;
XおよびYの各々は、独立に、−O−、−N(R14)−、および−S(O)0−2−より選択され;
nは、0−2の整数より選択され;
Arは、必要に応じて3個までのR11で置換され得る置換されたアリールであり、ここで2つの隣接するR11は、それらが結合する環原子と一緒に、3個までのヘテロ原子を含有し、かつ3個までのR15で必要に応じて置換された5〜7員環を形成し得;
各R15は、独立に、−H、ハロ、トリハロメチル、−CN、−NO、−OR16、−N(R16)R16、−S(O)0−216、−SON(R16)R16、−CO16、−C(=O)N(R16)R16、−C(=NR17)N(R16)R16、−C(=NR17)R16、−N(R16)SO16、−N(R16)C(O)R16、−NCO16、−C(=O)R16、必要に応じて置換されたアルコキシ、必要に応じて置換された低級アルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換された低級アリールアルキル、必要に応じて置換されたヘテロシクリル、および必要に応じて置換された低級ヘテロシクリルアルキルより選択され;
16は、−H、必要に応じて置換された低級アルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換された低級アリールアルキル、必要に応じて置換されたヘテロシクリル、および必要に応じて置換された低級ヘテロシクリルアルキルより選択され;そして
17は、−H、−CN、−NO、−OR16、−S(O)0−216、−CO16、必要に応じて置換された低級アルキル、必要に応じて置換された低級アルケニル、および必要に応じて置換された低級アルキニルより選択される、化合物。.
【請求項16】
請求項15に記載の化合物であって、ここでXがOである、化合物。
【請求項17】
請求項16に記載の化合物であって、ここでYがOである、化合物。
【請求項18】
請求項17に記載の化合物であって、ここでR11が、−Hである、化合物。
【請求項19】
請求項18に記載の化合物であって、ここでR12が-Hである、化合物。
【請求項20】
請求項19に記載の化合物であって、ここでnが1である、化合物。
【請求項21】
請求項20に記載の化合物であって、ここでArが置換されたアリールであり、そして2つの隣接するR11が、それらが結合する環原子と一緒に、3個までのヘテロ原子を含む置換された6員環を形成する、化合物。
【請求項22】
請求項20に記載の化合物であって、ここでArが置換されたアリールであり、2つの隣接するR11は、それらが結合する環原子と一緒に、3個までのヘテロ原子を含む置換された7員環を形成する、化合物。
【請求項23】
請求項1または15に記載の化合物であって、以下より選択される化合物。
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【表1−4】

【表1−5】

【表1−6】

【表1−7】

【表1−8】

【表1−9】

【表1−10】

【表1−11】

【表1−12】

【表1−13】

【表1−14】

【表1−15】

【表1−16】

【表1−17】

【表1−18】

【表1−19】

【表1−20】

【表1−21】

【表1−22】

【表1−23】

【請求項24】
薬学的組成物であって、請求項1〜23のいずれか1項に記載の化合物および薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物。
【請求項25】
請求項1〜24のいずれか1項に記載の化合物または薬学的組成物の代謝産物。
【請求項26】
キナーゼのインビボ活性を調節する方法であって、該方法は、被験体に、有効量の、請求項1〜24のいずれかに記載の化合物もしくは薬学的組成物、または3−ベンゾイルアミノ−3−フェニル−プロピオン酸(6−メトキシ−ベンゾチアゾール−2−イルカルバモイル)−メチルエステル、N−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−2−[4−(4−ピリジン−2−イル−ピリミジン−2−イル)−フェノキシ]−アセトアミド、2−(5,6−ジメチル−4−オキソ−4H−チエノ[2,3−d]ピリミジン−3−イル)−N−[(6−メトキシ−ベンゾチアゾール−2−イルカルバモイル)−メチル]−アセトアミド、(ナフタレン−1−イルカルバモイルメチルスルファニル)−酢酸(5−ブロモ−ピリジン−2−イルカルバモイル)−メチルエステル、(ベンゾオキサゾール−2−イルスルファニル)−酢酸(5−クロロ−ピリジン−2−イルカルバモイル)−メチルエステル、および4−[2−(5,6−ジメチル−4−オキソ−4H−チエノ[2,3−d]ピリミジン−3−イル)−アセチルアミノ]−N−(6−メトキシ−ベンゾチアゾール−2−イル)−酪酸アミドからなる群より選択される化合物もしくは該化合物および薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物のいずれかを投与する工程を包含する、方法。
【請求項27】
請求項26に記載の方法であって、前記キナーゼが、KIAA1361、TAO、およびJIKのうちの少なくとも1つである、方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法であって、前記キナーゼのインビボ活性を調節する工程が、該キナーゼの阻害を包含する、方法。
【請求項29】
未制御の、異常なそして/または所望でない細胞活性に関連する疾患または障害を処置する方法であって、該方法は、その処置を必要とする哺乳動物に、治療有効量の、請求項1〜24のいずれか1項に記載の化合物もしくは薬学的組成物のいずれか、または3−ベンゾイルアミノ−3−フェニル−プロピオン酸(6−メトキシ−ベンゾチアゾール−2−イルカルバモイル)−メチルエステル、N−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−2−[4−(4−ピリジン−2−イル−ピリミジン−2−イル)−フェノキシ]−アセトアミド、2−(5,6−ジメチル−4−オキソ−4H−チエノ[2,3−d]ピリミジン−3−イル)−N−[(6−メトキシ−ベンゾチアゾール−2−イルカルバモイル)−メチル]−アセトアミド、(ナフタレン−1−イルカルバモイルメチルスルファニル)−酢酸(5−ブロモ−ピリジン−2−イルカルバモイル)−メチルエステル、(ベンゾオキサゾール−2−イルスルファニル)−酢酸(5−クロロ−ピリジン−2−イルカルバモイル)−メチルエステル、および4−[2−(5,6−ジメチル−4−オキソ−4H−チエノ[2,3−d]ピリミジン−3−イル)−アセチルアミノ]−N−(6−メトキシ−ベンゾチアゾール−2−イル)−酪酸アミドからなる群より選択される化合物もしくは該化合物および薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項30】
キナーゼのモジュレーターについてスクリーニングする方法であって、該キナーゼは、KIAA1361、TAO、およびJIKから選択され、該方法は、請求項1〜23のいずれか1つに記載の化合物のいずれか、または3−ベンゾイルアミノ−3−フェニル−プロピオン酸(6−メトキシ−ベンゾチアゾール−2−イルカルバモイル)−メチルエステル、N−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−2−[4−(4−ピリジン−2−イル−ピリミジン−2−イル)−フェノキシ]−アセトアミド、2−(5,6−ジメチル−4−オキソ−4H−チエノ[2,3−d]ピリミジン−3−イル)−N−[(6−メトキシ−ベンゾチアゾール−2−イルカルバモイル)−メチル]−アセトアミド、(ナフタレン−1−イルカルバモイルメチルスルファニル)−酢酸(5−ブロモ−ピリジン−2−イルカルバモイル)−メチルエステル、(ベンゾオキサゾール−2−イルスルファニル)−酢酸(5−クロロ−ピリジン−2−イルカルバモイル)−メチルエステル、および4−[2−(5,6−ジメチル−4−オキソ−4H−チエノ[2,3−d]ピリミジン−3−イル)−アセチルアミノ]−N−(6−メトキシ−ベンゾチアゾール−2−イル)−酪酸アミドからなる群より選択される化合物と、少なくとも1つの候補薬剤とを合わせる工程、ならびにこれらのキナーゼの活性に対する候補薬剤の効果を決定する工程を包含する、方法。
【請求項31】
細胞における増殖活性を阻害する方法であって、該方法は、有効量の、請求項1〜23のいずれか1項に記載の化合物、または3−ベンゾイルアミノ−3−フェニル−プロピオン酸(6−メトキシ−ベンゾチアゾール−2−イルカルバモイル)−メチルエステル、N−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−2−[4−(4−ピリジン−2−イル−ピリミジン−2−イル)−フェノキシ]−アセトアミド、2−(5,6−ジメチル−4−オキソ−4H−チエノ[2,3−d]ピリミジン−3−イル)−N−[(6−メトキシ−ベンゾチアゾール−2−イルカルバモイル)−メチル]−アセトアミド、(ナフタレン−1−イルカルバモイルメチルスルファニル)−酢酸(5−ブロモ−ピリジン−2−イルカルバモイル)−メチルエステル、(ベンゾオキサゾール−2−イルスルファニル)−酢酸(5−クロロ−ピリジン−2−イルカルバモイル)−メチルエステル、および4−[2−(5,6−ジメチル−4−オキソ−4H−チエノ[2,3−d]ピリミジン−3−イル)−アセチルアミノ]−N−(6−メトキシ−ベンゾチアゾール−2−イル)−酪酸アミドからなる群より選択される化合物を含む組成物を、1つまたは複数の細胞に投与する工程を包含する、方法。

【公表番号】特表2007−527412(P2007−527412A)
【公表日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536928(P2006−536928)
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【国際出願番号】PCT/US2004/035469
【国際公開番号】WO2005/040355
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(506024489)エグゼリクシス, インコーポレイテッド (50)
【出願人】(506137398)
【出願人】(506137387)
【Fターム(参考)】