説明

パターン化ウェハまたは非パターン化ウェハおよびその他の検体の検査システム

パターン化と非パターン化ウェハの検査システムを提供する。1つのシステムは、検体を照明するように構成された照明システムを含む。システムは、検体から散乱された光を集光するように構成された集光器をも含む。加えて、システムは、光の異なる部分に関する方位と極角情報が保存されるように、光の異なる部分を個別に検出するように構成されたセグメント化された検出器を含む。検出器は、光の異なる部分を表す信号を生成するように構成されていてもよい。システムは、信号から検体上の欠陥を検出するように構成されたプロセッサを含むこともできる。他の実施形態におけるシステムは、検体を回転・並進させるように構成されたステージを含むことができる。1つの当該実施形態におけるシステムは、検体の回転および並進時に、広い走査パスで検体を走査するように構成された照明システムを含むこともできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常、パターン化ウェハなどの検体の検査システムと方法に関する。特定の実施態様は、光の異なる部分に関する角度情報が保存されるように、検体から散乱された光の異なる部分を個別に検出するように構成された検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハの検査のための多くの異なる種類の検査ツールが開発されてきた。検査ツールは一般に、それを検査するように設計された検体の種類に従って大別される。例えば、1つの範疇の検査ツールは、一般には、非パターン化半導体ウェハを検査するように設計されている。これらのツールは、非パターン化ウェハを検査するように最適化されているため、これらのツールは、一般には、いくつかの理由によりパターン化ウェハを検査することができない。例えば、多くの非パターン化ウェハ検査ツールは、レンズまたは他の集光器によって集光された光のすべてが、レンズによって集光された光のすべてを表す単一の出力信号を生成する単一の検出器に誘導される。したがって、検体上のパターンまたは他のフューチャから散乱された光は、他の散乱光と組み合わされる。そのように、単一の検出器は飽和状態になり、その結果、欠陥検出のために解析できる信号を生成しない。加えて、単一の検出器が飽和しなくても、ウェハ上のパターンまたは他のフューチャから散乱された光を他の散乱光から分離できないことにより、他の散乱光に基づく欠陥検出が防止されなくても、妨害される。
【0003】
処理された半導体ウェハは、通常は、その上にフューチャのパターンが形成されているため、パターン化ウェハ検査は、半導体工業にとって特に関心がもたれ、重要である。例えば、論理デバイスや記憶デバイスのような半導体デバイスの作製は、いくつかの半導体作製プロセスを用いて半導体ウェハを処理し、半導体デバイスの様々なフューチャと多くのレベルを形成することを含む。半導体作製プロセスの一例は、典型的には、半導体ウェハ上に配置されたレジストにパターンを転写することを含むリソグラフィである。半導体作製プロセスのさらなる例としては、化学的機械的研磨、エッチング、堆積、イオン注入が挙げられる。プロセス・ツールにかけられた非パターン化ウェハまたは「モニタ・ウェハ」の検査を、パターン化ウェハまたは「製品ウェハ」上に見いだすことができる欠陥の数や種類に対するゲージとして用いることができるが、モニタ・ウェハ上で検出される欠陥は、プロセス・ツールにおける同一のプロセスの後にパターン化ウェハ上で検出される欠陥を常に正確に反映するとは限らない。したがって、そのような処理の後のパターン化ウェハの検査は、処理の間、またはその結果としてウェハ上に形成されたかもしれない欠陥を正確に検出するのに重要である。
【0004】
そのような検査の結果を用いて、半導体作製プロセスの監視と制御を行うことができる。したがって、パターン化ウェハまたは製品ウェハの検査は、モニタ・ウェハの検査に比べて、プロセスとプロセス・ツールの監視や制御をより正確に行うことができる。半導体デバイスの順調な作製は、半導体デバイスにおける欠陥の存在によってしばしば限定される。作製プロセスを欠陥に対して監視し、制御することが可能であれば、そのようなプロセスの歩留まりを維持または向上させることができる。また、半導体作製プロセスを経時的に監視することは、半導体デバイスの寸法が小さくなるなかで歩留まりを向上または維持するために、その業界においてますます重要になっている。
【0005】
パターン化ウェハの検査のための多くの検査ツールが開発されてきた。多くの場合において、そのようなツールの光学設計は、非パターン化ウェハ検査ツールの光学設計より実質的に複雑である。例えば、1つのパターン化ウェハ検査ツールは、パターン化されたフューチャから散乱される光を他の散乱光から分離し、他の散乱光を個別に検出できるようにした空間フィルタを利用する。パターン化された光は、横方向寸法や周期的なパターン化されたフューチャの様々な特性に依存するため、空間フィルタの設計もパターン化されたフューチャの当該特性に依存する。その結果、空間フィルタは、パターン化されたフューチャの知られている、または決定された特性に基づいて設計されなければならず、異なるパターン化されたフューチャが検査されるのに従って変わらなければならない。よって、そのような検査ツールは、パターン化ウェハ検査機能を提供することができるが、光学設計が複雑なためにいくつかの欠点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
よって、光学設計が比較的単純なパターン化ウェハ検査システムを開発することが有利である。加えて、非パターン化ウェハ検査機能をも有することにより、検査システムの柔軟性を高めるパターン化ウェハ検査システムを開発することも有利であり、それは、クリーン・ルーム・コストに基づき、また検査モジュールのプロセス・ツールへの統合により、検査ツールに対する空間的制限がより厳しくなるに従ってますます重要になる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施態様は、検体を照明するように構成された照明システムを含む検査システムに関する。いくつかの実施態様において、検体は、パターン化ウェハである。しかし、本明細書でさらに説明するように、パターン化ウェハ、非パターン化ウェハ、その他の検体を検査するようにシステムを構成することができる。検査システムは、検体から散乱された光を集光するように構成された集光器を含む。一実施態様において、集光器の軸を垂線から約60°の角度から垂線から約80°の角度で入射平面で集中させる。一実施態様において、集光器の軸を、垂線から70゜の角度で入射平面で集中させることができる。他の実施態様において、集光器は、光のフーリエ濾過に好適なフーリエ平面を設けることができる。
【0008】
加えて、検査システムは、セグメント化された検出器を含む。セグメント化された検出器は、光の異なる部分に関する方位と極角情報が保存されるように、集光された光の異なる部分を個別に検出するように構成される。例えば、システムは、光の異なる部分を検出器に個別に伝えるように構成された複数のファイバーを含む。一実施態様において、検出器はアレイ検出器である。他の実施態様において、検出器は多陽極光増倍管である。セグメント化された検出器は、光の異なる部分を表す信号を生成するように構成される。検査システムは、信号から検体上の欠陥を検出するように構成されたプロセッサをさらに含むことができる。
【0009】
いくつかの実施態様において、システムは側方集光器を含む。側方集光器は、集光器と異なる方位角度で散乱された光を集光するように構成される。1つの当該実施態様において、システムは、側方集光器によって集光された光の異なる部分を個別に検出するように構成された側方セグメント化された検出器をさらに含む。このように、側方集光器によって集光された光の異なる部分に関する方位と極角情報を保存することができる。側方検出器は、その集光器によって集光された光の異なる部分を表す信号を生成するように構成される。
【0010】
一実施態様において、システムはステージを含む。いくつかの実施態様において、ステージは、検査中に検体を回転・並進させるように構成される。他の実施態様において、ステージは、検査中に検体を2つの水平方向に並進させるように構成される。さらなる実施態様においては、照明システムが、検体の第1の面を照明するように構成される。そのような実施態様において、システムは、検体の第2の面上の欠陥を検出するように構成された光学サブシステムを含む。
【0011】
一実施態様において、照明システムは、検体に対して光ビームを走査することによって検体を照明するように構成される。他の実施態様において、照明システムは、検体を並進・回転させながら、検体に対して広い走査角度で光ビームを走査することによって検体を照明するように構成される。代替的な実施態様において、照明システムは、検体を定常光ビームで照明するように構成される。いくつかの実施態様において、照明システムは、斜めの入射角度で検体を照明するように構成される。代替的な実施態様において、照明システムは、垂線の入射角度で検体を照明するように構成される。
【0012】
他の実施態様によれば、照明システムは、異なる光のビームを異なる入射角度または異なる方位角度で検体に誘導することによって検体を照明するように構成される。追加的または代替的に、照明システムは、異なる光のビームを検体上の1つのスポットに誘導することによって検体を照明するように構成させてもよい。システムは、さらに、本明細書に記載されているように構成される。
【0013】
検査システムの他の実施態様は、検体を照明するように構成された照明システムをも含む。検体は、パターン化ウェハである。しかし、本明細書においてさらに説明するように、このシステムを、パターン化と非パターン化ウェハやその他の検体を検査するように構成することもできる。照明システムは、本明細書に記載されている実施態様のいずれかに従って構成される。本実施態様は、検体から前方に散乱された光を集光するように構成された前方検出器をも含む。一実施態様において、前方集光器の軸を、垂線から約60°の角度から約80゜の角度で入射平面で集中させることができる。例えば、前方集光器の軸を、垂線から70゜の角度で入射平面で集中させることができる。他の実施態様において、前方集光器は、前方集光器によって集光された光のフーリエ濾過に好適なフーリエ平面を設けることができる。システムは、検体から前方や後方に散乱された光を集光するように構成された中央集光器を含むこともできる。加えて、システムは、検体から後方に散乱された光を集光するように構成された後方集光器を含むこともできる。前方、中央、後方集光器の軸を入射平面で集中させることができる。
【0014】
システムは、セグメント化された検出器をさらに含む。セグメント化された検出器は、光の異なる部分に関する方位と極角情報が保存されるように、前方集光器によって集光された光の異なる部分を個別に検出するように構成される。例えば、一実施態様において、システムは、光の異なる部分を検出器に個別に伝えるように構成された複数のファイバーを含む。セグメント化された検出器は、光の異なる部分を表す信号を生成するように構成されている。いくつかの実施態様において、検出器はアレイ検出器である。他の実施態様において、検出器は、多陽極光増倍管である。また、システムは、信号から検体上の欠陥を検出するように構成されたプロセッサを含む。
【0015】
一実施態様において、システムは、前方集光器によって集光される光と異なる方位角度で検体から前方に散乱される光を集光するように構成された側方集光器を含むこともできる。そのような実施態様は、側方セグメント化された検出器を含む。側方セグメント化された検出器は、側方集光器によって集光された光に関する方位と極角情報が保存されるように、側方集光器によって集光された光の異なる部分を個別に検出するように構成される。加えて、側方検出器は、側方集光器によって集光された光の異なる部分を表す信号を生成するように構成される。
【0016】
他の実施態様において、システムは、検査中に検体を回転・並進させるように構成されるステージを含む。他の実施態様において、ステージは、検体を2つの水平方向に並進させるように構成される。いくつかの実施態様において、照明システムは、検体の第1の面を照明するように構成される。1つの当該実施態様において、システムは、検体の第2の面上の欠陥を検出するように構成された光学サブシステムをも含む。例えば、第1の面は、パターン化ウェハの前面であり、第2の面は、パターン化ウェハの後面である。システムを、さらに、本明細書に記載されているように構成することができる。
【0017】
さらなる実施態様は検査システムに関する。検査システムを使用して、パターン化ウェハまたは非パターン化ウェハを検査することができる。検査システムは、検体を回転・並進させるように構成されたステージを含む。検査システムは、検体の回転や並進時に、広い走査パスで検体を走査するように構成された照明システムをも含む。例えば、一実施態様において、広い走査パスは、約0.1ラジアンより大きくてもよい。いくつかの実施態様において、照明システムは、音響光学偏向器を含む。加えて、システムは、検体から散乱された光を集光するように構成された集光器を含む。システムは、光の異なる部分に関する角度情報が保存されるように、光の異なる部分を個別に検出するように構成されたセグメント化された検出器をさらに含む。検出器は、光の異なる部分を表す信号を生成するように構成されていてもよい。また、システムは、信号から検体上の欠陥を検出するように構成されたプロセッサを含むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の他の目的および利点は、以下の詳細な説明を読み、添付の図面を参照すれば明らかになるであろう。
【0019】
本発明は、様々な改造や代替形態があるが、その具体的な実施形態を例示を目的として図面に示し、本明細書で詳細に説明する。しかし、図面とその詳細な説明は、本発明を開示された特定の形態に限定するのではなく、対照的に、添付の請求項によって定められた本発明の精神と範囲内のすべての改造形態、同等形態および代替形態を包括することを意図するものである。
【0020】
本明細書で用いられるように、「欠陥」という用語は、通常、原因を正さなければ、検体に形成されたデバイスの性能または機能に悪影響を与える(すなわち、速度のような特性を低下させ、またはデバイスの働きを止める、または止めないデバイス故障を生じる)、あるいは検体に形成された追加的なデバイスに悪影響を与えることがある異常を意味する。欠陥は、個々のプロセス限界、プロセス統合限界または多数のプロセス間の相互作用によって生じることがある。例えば、欠陥は、検体上の汚染、検体上の異常構造、検体の損傷、準表面穴または結晶に起因する穴(COPS)、準表面空隙または微視的な傷でありうる。汚染としては、プロセス工程後に検体上に残留する粒子、ファイバーまたは残留物質を挙げることができるが、それに限定されない。汚染としては、レジスト、誘電体および/または導電体のような有機または無機物質を挙げることもできる。検体上の異常構造としては、欠損構造、架橋構造、構造内に形成された空隙、所定の範囲の値より大きい、または小さい水平方向寸法を有する構造、および/または粗さ、溝、丸み、および/または所定の範囲の値より大きい、または小さい側壁角度を有する構造を挙げることができるが、それらに限定されない。検体の損傷としては、例えば、表面傷、粗さ、検体の破壊、または検体に形成された構造の破壊を挙げることができる。本明細書で用いられるように、「構造」という用語は、通常、検体に形成された物質の非パターン化層、検体に形成されたパターン化されたフューチャ、またはそれらの任意の組合せを意味する。
【0021】
欠陥は、検体上の任意の箇所に存在し、加えて、任意の数の欠陥が検体上に存在する。また、任意の数の欠陥が、検体の前面および/または後面のような検体の任意の面に存在しうる。欠陥は本質的に微視的(人間の目に見えない)、または巨視的(人間の目に見える)でありうる。
【0022】
「ウェハ」という用語は、通常、半導体または非半導体物質で形成された基板を意味する。そのような半導体または非半導体物質の例としては、シリコン、ガリウム砒素、リン酸インジウムが挙げられるが、それらに限定されない。そのような基板は、半導体製造施設で広く見られ、かつ/または処理される。
【0023】
ウェハは、一般に「非パターン化ウェハ」と称される、バージン・ウェハや最初のリソグラフィ・プロセス前のウェハなどの基板のみを含む。あるいは、ウェハは、基板に形成される1つまたは複数の層(パターン化されたり、されないこともある)を含むことができる。例えば、そのような層としては、レジスト、誘電体、導電体を挙げることができるが、それらに限定されない。レジストとしては、光リソグラフィ技術、電子ビーム・リソグラフィ技術またはX線リソグラフィ技術によってパターン化される任意の物質が挙げられる。誘電体の例としては、二酸化珪素、窒化珪素、窒化酸化珪素、窒化チタンが挙げられるが、それらに限定されない。誘電体のさらなる例としては、Applied Materials、Inc.(カリフォルニア州Santa Clara)より市販されているBlack Diamond(登録商標)、Novellus Systems、Inc.(カリフォルニア州San Jose)より市販されているCORAL(登録商標)などの「低k」誘電体、「キセロゲル」のような「極低k」誘電体、五酸化タンタルなどの「高k」誘電体が挙げられる。さらに、導電体の例としては、アルミニウム、ポリシリコン、銅を挙げることができるが、それらに限定されない。
【0024】
ウェハ上の層がパターン化されている場合は、そのようなウェハも、一般に「パターン化ウェハ」と称する。例えば、パターン化ウェハは、反復可能パターンのフューチャを有する複数のダイを含むことができる。そのような物質層の形成や処理により、半導体デバイスを完成させることができる。そのように、パターン化ウェハは、完全な半導体デバイスのすべての層が形成されていない基板、または完全な半導体デバイスのすべての層が形成された基板を含む。
【0025】
検体は、ウェハに形成された薄膜ヘッド・ダイの少なくとも一部、ウェハに形成された微小電子機械システム(MEMS)デバイスの少なくとも一部、平面型ディスプレイ、磁気ヘッド、磁気や光の記憶媒体、その他の部品の少なくとも一部を含み、その他の部品には、レーザのようなフォトニクスや光電子デバイス、ウェハで処理される導波管や他の受動部品、プリント・ヘッド、ウェハ上で処理されるバイオ・チップ・デバイスなどを含む。
【0026】
場合によっては、検体はレチクルであってもよい。「レチクル」または「マスク」は、通常、その上に形成され、パターンで構成された実質的に不透明な領域を有する実質的に透明な基板として定められる。基板としては、例えば、石英のようなガラス物質を挙げることができる。レチクルは、レチクル上のパターンをレジストに転写できるように、リソグラフィ・プロセスの露光工程中にレジスト被覆ウェハ上に配置される。例えば、レチクルの実質的に不透明な領域は、レジストの下部領域をエネルギー源への曝露から保護することができる。
【0027】
本実施形態のさらなる説明において、「検体」という用語は、「ウェハ」という用語と区別なく用いられるが、本実施形態、および本明細書に記載されている他のすべての実施形態は、ウェハに限定されず、上記の他の検体のいずれに対しても実施できることを理解すべきである。
【0028】
ここで図を見ると、図1〜12は、スケールに合わせて描かれていないことを明記する。特に、図のいくつかの要素のスケールは、それら要素の特性を強調するために極めて大きく描かれている。図1〜12は同一スケールで描かれていないことも明記する。同様に構成できる2つ以上の図に示される要素は、同じ参照番号を用いて示されている。
【0029】
図1は、検査システムの実施形態の側面図の概略図である。システムは、パターン化ウェハを検査するように構成されている。しかし、システムを使用して、非パターン化ウェハまたは他の検体を検査することもできる。システムは、検体10を照明するように構成された照明システムを含む。例えば、照明システムは光源12を含む。光源12としては、例えばレーザ、ダイオード・レーザ、ヘリウム・ネオン・レーザ、アルゴン・レーザ、固体レーザ、周波数逓倍YAGレーザ、キセノン・アーク・ランプ、ガス放電ランプまたは白熱灯を挙げることができる。光源は、ほぼ単色の光または広帯域光を放射するように構成される。加えて、光源は、紫外光、可視光および/または赤外光を放射するように構成される。また、光源は、様々な偏光の光を放射するように構成されてもよい。検体に誘導される光は、干渉性でも非干渉性でもよいが、システムが、本明細書に記載されているフーリエ濾過を用いて周期的なフューチャから信号を濾別する場合は、干渉性の単色照明が好ましい。照明システムは、ビーム・エキスパンダ、フォールディング鏡、集束レンズ、円筒状レンズ、ビーム・スプリッタ、スペクトル・フィルタ、偏光フィルタ、偏光器、波長板のような図1に示されていないいくつかの他の部品を含むこともできる。
【0030】
照明システムは、偏向器14をも含む。偏向器14は、音響光学偏向器(AOD)であってもよい。他の実施形態において、偏向器は、機械的走査アセンブリ、電子スキャナ、回転鏡、多角形系スキャナ、共鳴スキャナ、圧電スキャナ、ガルボ鏡またはガルバノメータを含むことができる。偏向器は、検体に対して光ビームを走査する。いくつかの実施形態において、偏向器は、ほぼ一定の走査速度で検体に対して光ビームを走査することができる。図2に示すように、偏向器14は、走査角度αで光ビームを走査する。場合によっては、偏向器は、検体に対して広い走査角度で光ビームを走査することができる。一実施形態において、広い走査角度は、約0.1ラジアンより大きくてもよい。広い走査角度で光ビームを走査できる適切な偏向器としては、比較的短時間で比較的長いラインを走査することができる音響光学偏向器が挙げられる。走査角度は、検体上の走査ラインの幅を定める。したがって、走査角度を大きくすると、走査ラインの幅が大きくなることによって、システムのスループットが高くなる。
【0031】
いくつかの実施形態における照明システムは、走査レンズによる検体のテレセントリック走査を行うように構成される。例えば、照明システムは、偏光器からの操作ビームが走査レンズを通ることによって、テレセントリック走査が行われるように構成される。一実施形態におけるテレセントリック走査は、走査ビームのスポット・サイズよりはるかに大きい長さを有する。
【0032】
検体に入射する光は、スポットの半値全幅によって定義される比較的小さいスポット・サイズを有することができる。一実施形態におけるスポット・サイズは、0.1mmの半値全幅を有する。いくつかの実施形態では、スポット・サイズは、約60μm未満、好ましくは約40μm未満、より好ましくは約30μm未満である。比較的小さいスポットで検体を照明すると、より小さい粒子のようなより小さい欠陥に対するシステムの感度が高くなる。特に、レーザ出力とスポット・サイズは、ともに、散乱信号強度に正比例する出力密度を決定づける。さらに検体平面における小さい視界は、エッジ検出性能の向上をもたらす。
【0033】
さらに図2に示されるように、システムは、検査時に検体を配置できるステージ16を含む。ステージ16は、検査時の検体をベクトルRによって示される方向に回転させるように構成されている。ステージ16は、(紙面に対して示されるように)ベクトルYによって示される方向に検体を並進させるようにも構成されている。ステージは、検体に対して螺旋状経路で光ビームを走査するように、検体を同時に回転・並進するように構成されている。そのようなステージは、一般に「rθステージ」と称する。いくつかの実施形態では、走査時に検体が回転・並進する速度を変化させて、実質的に一定の走査速度を維持することができる。他の実施形態におけるステージは、図2に示される2つの水平方向XおよびYに検体を並進させるように構成される。このステージは、一般に、「xyステージ」と称される。そのような実施形態におけるステージは、光ビームが検体に対して蛇行状経路で走査されるように、検体を並進させるように構成される。ステージは、当該技術分野で知られている任意の好適な機械的またはロボット・アセンブリを含むことができる。いくつかの実施形態におけるステージは、エッジ処理機構を含む。例えば、ステージは、検体のエッジに接触するとともに、ステ−ジの上面の情報で間隔をおいて検体を支持するように構成される機械的特徴(不図示)を含む。このようにして、検体の後面の交差汚染を低減し、さらには防止することができる。
【0034】
検体をステージに配置する前に、ウェハの位置を合わせてもよい。例えば、検査システムは、位置合せモジュール(不図示)を含む。位置合せモジュールは、微細な位置合せまたは実質的に高精度の位置合せに対して、検体を大まかに位置合わせするように構成される。いくつかの実施形態における位置合せモジュールは、光学サブシステムを含む。光学サブシステムは、検体を照明するとともに、検体上の位置合せマークを検出するように構成される。ある場合は、位置合せマークは、ノッチ、フラット、またはウェハの周囲への他の圧痕である。他の場合は、位置合せマークは、検体に形成された一連の英数字文字のような永久的な圧痕マークである。加えて、位置合せマークは、検体に形成された任意のフューチャを含むことができる。検査前に大まかに検体の位置を合わせることによって、検体上の所定の位置で検査走査を開始することが可能になる。加えて、各ウェハ上のほぼ同じ位置で多数の検体の走査を開始することができる。また、走査が、検体上の相対的に知られている位置で開始される場合は、走査時に取得されたデータを位置合せマークに対する相対的または絶対的位置に割り当てることができる。
【0035】
一実施形態における検査システムは、ロード・モジュール(不図示)を含むことができる。ロード・モジュールは、1つまたは複数の検体を受け取り、保持するように構成される。例えば、ロード・モジュールは、単一ウェハ、より好ましくはウェハ・カセットを受け取るように構成される。加えて、検査システムは、ロボット・ウェハ・ハンドラ、または当該技術分野で知られている他の検体ハンドラのような検体ハンドラ(不図示)を含むことができる。ハンドラは、ロード・モジュールから検体を除去するように構成される。予備位置合せを行う場合は、ハンドラは、検体を位置合せモジュールに配置することができる。検体の大まかな位置合せの後に、ハンドラ、または代替的な実施形態では、第2の異なる検体ハンドラが、検体を位置合せモジュールからステージに移動させることができる。
【0036】
図1に示すように、照明システムは、斜めの入射角度で検体を照明するように構成される。いくつかの実施形態における照明システムは、検体の面から測定して、比較的小さい入射角度で検体を照明するように構成される。例えば、照明システムは、検体の面から約5°〜約30°の角度で検体を照明するように構成される。照明システムは、選択された、または可変の照明角度で検体を照明できるように構成されてもよい。例えば、照明システムは、1つまたは複数のフォールディング鏡のような照明システムや偏向器の1つまたは複数の部品の位置を変えるように構成される1つまたは複数のコントローラ(不図示)を含むことができる。
【0037】
システムは、検体から散乱された光を集めるように構成される集光器18を含む。集光器18の軸は、入射平面に集中させて配置される。加えて、集光器の軸は、垂線から約60゜の角度〜垂線から約80゜の角度で配置される。一例において、集光器の軸は、垂線から約70°の角度で配置される。しかし、垂線に対する集光器の軸の位置は、例えば、検体の特性、対象とする欠陥、照明の入射角度に応じて異なる。このように、集光器18は、検体から前方に散乱された光を集光するように構成される。集光器18は、レンズまたは複合レンズのような屈折光学部品である。あるいは、集光器18は、鏡のような反射または部分反射光学部品に代えることができる。
【0038】
集光器18は、一連の方位角度と一連の極角で検体から前方に散乱された光を集光するように構成される。本明細書で用いられるように、「極角」という用語は、検体の面に対して垂線の方向から測定される、光が検体から散乱される角度と定義される。本明細書で用いられるように、「方位角度」という用語は、入射する平面から測定される、光が検体から散乱される角度と定義される。したがって、集光器18は、二次元空間にわたって検体から散乱された光を集光する。
【0039】
システムは、セグメント化された検出器20をも含む。セグメント化された検出器は、光の異なる部分に関する方位と極角情報が保存されるように、集光器18によって集光された光の異なる部分を個別に検出するように構成される。例えば、システムのいくつかの他の要素がわかりやすいように省略された図4に示すように、システムは複数のファイバー22を含む。複数のファイバーは、光の異なる部分を検出器に個別的に伝えるように構成される。例えば、図5の断面図に示されるように、ファイバーは、二次元アレイに配置される。図5ではファイバーは長方形のアレイで示されているが、ファイバーの二次元アレイは、他の形状を有することもできることを理解すべきである。図5に示される配置で互いに近接して配置するファイバーの光透過性コアは、コアを取り囲むクラディングにより互いに隔離されることによって、ファイバー間のクロス・トークが低減される。
【0040】
検体から前方向に散乱される光は、いくつかのファイバーに入射する。場合によっては、散乱光は、ファイバーの各々に入射することができない。しかし、散乱光は、いくつかのファイバーに入射することになるため、個々のファイバーは、集光器によって集光された全光の一部分のみを拾うことになる。このように、光が入射するファイバーの各々は、集光器によって集光された光の異なる部分を検出器20に伝えることになる。光ファイバの代わりに他の光路を使用してもよい。光ファイバを取り囲むクラディングのようなセパレータ、または他の光セパレータによってこれらの光路間のクロス・トークを低減させることができる。他の実施形態では、システムに複数のファイバーを含まない場合もある。例えば、光ファイバまたは他の光路を使用せずに、集光器によって集光された光のパスに個別的な検出器またはセグメント化された検出器を配置することも可能である。
【0041】
一実施形態における検出器は、荷電結合デバイス(CCD)カメラまたは遅延積分(TDI)カメラのようなアレイ検出器を含む。アレイ検出器の他の例としては、CMOSフォトダイオードまたはフォトゲート・カメラが挙げられる。他の例において、検出器は、感光性要素の二次元アレイを有する任意の検出器を含むことができる。いくつかの実施形態における検出器は多陽極光増倍管である。多陽極光増倍管の隣接する光路間に何らかのクロス・トークが存在しうる。そのような場合には、複数のファイバーを他のあらゆる陽極と位置合わせして、そのようなクロス・トークを低減させることができる。他の実施形態における検出器は、個々の検出器の二次元アレイである。検出器の異なる感光性要素は、散乱光の方位と極角に応じて、集光された光の異なる部分を検出する。このように、光を方位と極角の関数として検出する。そのように、光の異なる部分に関する方位と極角情報は、検出器によって保存される。一実施形態における検出器は、光の異なる部分を表す信号を生成するように構成されている。代替的な実施形態におけるシステムは、検出器によって検出された光の異なる部分を表す信号を生成することができる検出器に結合された光または電子部品(不図示)を含む。
【0042】
上述のように、照明システムは、音響光学偏向器のような偏向器を含むことができる。加えて、照明システムは、光が斜めの入射角度で検体に誘導されるように構成される。したがって、そのような実施形態では、検体上の照明スポットは楕円形を有することになる。いくつかの実施形態では、この斜めの入射角度は、検体の面に対して非常に小さくてもよい(例えば視射角)。このように、検体上の照明スポットは、スポットの長さに比べて幅が小さい楕円形を有する。そのように、照明システムは、検体上の長形のスポットを照明することができる。いくつかの実施形態における照明システムは、面内傾斜集束ライン照明を用いて、検体上の長形スポットを照明するように構成される。本明細書に全面的に記載されているものとして参照により組み込まれている、1997年8月1日に出願されたGuoheng Zhaoらによる米国特許出願第08/904,892号には、面内傾斜集束ライン照明技術の例が示されている。加えて、偏向器は、比較的長いラインを比較的短い時間で走査するように構成される(「高速走査」または「高速AOD」)。
【0043】
1つの当該実施形態における検査システムは、ストリーク・カメラ(不図示)を含むことができる。ストリーク・カメラは、超高速光現象を測定でき、強度対時間対位置情報を供給できるデバイスである。ストリーク・カメラは、数十の光路を同時に検出するのに使用できる二次元デバイスである。一般には、ストリーク・カメラの動作時に、測定されている光がスリットを透過し、光学素子により、ストリーク間の光電陰極上でスリット画像に成形される。光電陰極への入射光は、光の強度に比例するいくつかの電子に変換される。それらの電子は一対の加速電極を通り、そこで蛍光面に対して加速される。蛍光面上では、直角方向が時間軸になる。加えて、蛍光画像の水平方向の位置は、入射光の水平位置に対応する。様々な蛍光画像の輝度は、それぞれの入射光パルスの強度に比例する。このように、ストリーク・カメラを使用して、測定されている時間的、空間的光強度の変化を、蛍光面上の輝度分布を示す画像に変換することが可能である。そのように、光強度ならびに入射光時間と位置を蛍光画像から決定することができる。ストリーク・カメラは、浜松フォトニクス株式会社のシステム事業部(東京)から市販されている。
【0044】
一実施形態では、蛍光面の水平方向、または入射光の空間位置に対応する方向を、検体上の楕円形の照明スポットの長さに対応するように配置する。このように、ストリーク・カメラは、走査方向に直角の方向における照明スポットの異なる位置から反射された光の強度を測定することができる。加えて、蛍光面の垂直方向、または入射光の時間に対応する方向を、検体上の楕円形の照明スポットの幅に対応して配置させることができる。そのように、ストリーク・カメラは、時間の関数として、または光が検体に走査されるときに、照明スポットの異なる位置から反射される光の強度を測定することができる。蛍光面に形成されたストリーク画像を用いて、検体の暗視野画像を形成することができる。
【0045】
他の実施形態における検査システムは、上述のように構成される複数のファイバーを含む。複数のファイバーは、集光器によって集光された光の異なる部分を、ストリーク・カメラのスリットの異なる位置に個別に伝えるように構成される。いくつかの実施形態における複数のファイバーは、ストリーク・カメラのスリットに近接する一次元アレイに配列される。上述のように、複数のファイバーは、集光器に近接する二次元アレイで配列される。したがって、いくつかの実施形態における複数のファイバーは、二次元空間にわたって集光された光をストリーク・カメラにわたる一次元アレイに伝えることができる。異なる実施形態において、複数のファイバーは、集光器に近接する一次元アレイで配列される。したがって、そのような実施形態における複数のファイバーは、一次元空間にわたって集光された光をストリーク・カメラにわたる一次元アレイに伝えることができる。しかし、いずれの実施形態においても、複数のファイバーとストリーク・カメラは、集光された光に関する空間情報(すなわち方位および/または極角情報)を保存することになる。
【0046】
上述の蛍光面は、ストリーク・カメラの出力側にある。アレイ検出器が、カメラの出力側に結合されて、蛍光面に生成されたストリーク画像を読み取る。一実施形態においては、CCDカメラを使用して、ストリーク・カメラの蛍光面から画像を読み取ることができる。ストリーク画像は瞬間的に薄くなり、消えるため、そのようなカメラは好ましいといえる。したがって、そのような高感度カメラを使用するのが好ましい。ストリーク画像を本明細書に記載される解析用プロセッサにフレーム・グラッバ・ボードを通じて転送することができる。
【0047】
いくつかの実施形態における集光器18は、集光された光のフーリエ濾過に好適なフーリエ平面24を設けることができる。一実施形態における集光器は、十分に補正されず、比較的良好な撮像品質を有さないレンズのような合理的に良好なレンズである。例えば、集光器は、半導体ウェハ上の構造のアレイのようなその平面上の規則的反復パターンを有する検体上の欠陥を検出するのに使用できるフーリエ濾過用の比較的高質の瞳面を有する。一般に、検体の面上の反復パターンは、規則的に間隔を設けて、ほぼ均一の角度で光を回折させる。好ましくは、フーリエ平面は、比較的良好な画像品質を有し、比較的平坦で、画像が、表面上の反復周期構造からの小さい回折スポットを含むように比較的歪みがない。
【0048】
一実施形態では、機械的フーリエ・フィルタ(不図示)をフーリエ平面に挿入することによってフーリエ濾過を遂行することができる。光学的フーリエ・フィルタの例としては、液晶ディスプレイ(LCD)系フィルタと写真系フィルタが挙げられる。本明細書に全面的に記載されているものとして参照により組み込まれているMontesantoらの米国特許第5,970,168号、Rosengausらの米国特許第6,020,957号には、光学的フーリエ・フィルタのさらなる例が記載されている。したがって、検体の面の反復周期構造から回折スポットを遮断することによって、無作為に散乱された光のみがフーリエ平面を通って検出器に達する。検体における欠陥は、光を無作為に散乱させ、それらの信号のごくわずかしかフーリエ・フィルタに遮断されないため、無作為に散乱された光の検出を利用して、検体上の欠陥を検出することができる。このように、システムは、検体上のパターン化されたフューチャからの信号を打ち消し、または光学的に周期的フューチャ消去(periodic feature elimination:PFE)を行うように構成される。加えて、システムは、光学的に二次元周期フューチャ消去(2DPFE)を行う(光学的に二次元の検体上のフューチャからの信号を打ち消す)ように構成される。例えば、光学的フーリエ・フィルタは、二次元の検体の面上の反復周期構造からの回折スポットを遮断するように構成される。
【0049】
他の実施形態では、集光された光のすべてを検出器に到達させることができる。そのような実施形態においては、反復周期構造によって回折された光は、検体から無作為に散乱された光と比べて、比較的高強度である。場合によっては、反復周期構造によって回折された光は、それが入射する検出器のセグメントを飽和することがある。対照的に、検体からの無作為に散乱された光のみを検出する検出器の他のセグメントは、欠陥検出のための有用な信号を提供する。このように、反復周期構造から屈折された光を含む散乱光の異なる部分を識別することができる。加えて、散乱光のこれらの異なる部分を表す信号を廃棄し、検体上の欠陥の検出に使用しないようにすることができる。信号を受信する際に、周期構造から回折された光を表す信号を識別することができる。
【0050】
メモリ・セルを備えたウェハ(すなわち「アレイ・ウェハ」)を検査するのにシステムを使用するときは、ウェハが回転するのに伴って、メモリ・アレイからのフーリエ成分が回転することになる。したがって、これらの成分は回転して、正方向に対して異なる方位角度になる。そのように、これらのフーリエ成分は、ウェハが回転するのに伴って検出器の異なるセグメントに伝えられる。メモリ・セルのアレイは、ウェハのx、y方向に異なる寸法を有することができるため、ウェハが回転するのに伴って、フーリエ成分によって飽和される検出器の数が変化する。フーリエ回折成分の数を推定できるように、飽和される検出器の数をメモリ・セルのx、y方向から求めることが可能である。
【0051】
あるいは、システムの初期化中に、検体を走査することができ、周期構造から回折された光を含む光の異なる部分の数を求めることができる。例えば、比較的強い、または飽和された出力信号で検出器のセグメントの数を記録することによって、フーリエ成分を含む検出器のセグメントの数を求めることができる。検体の検査中に、最も高い強度を有するこの数の信号を廃棄することができる。場合によっては、フーリエ成分を含むセグメントに隣接する検出器のセグメントからの信号を廃棄して、クロス・トークを低減させることもできる。このように、システムは、検体上のフューチャからの信号を打ち消すか、または電子的に周期フューチャ消去(PFE)を行うように構成される。加えて、システムは、電子的に二次元周期フューチャ消去(2DPFE)を行う(すなわち、電子的に二次元の検体上のフューチャからの信号を打ち消す)ように構成される。例えば、プロセッサは、個々の検出器セグメントからのどの信号が、二次元の検体の面の反復周期構造から回折された光を含むかを判断するように構成される。本明細書に全面的に記載されているものとして参照により組み込まれているFairleyらによる米国特許第6,288,780B1号には、フーリエ濾過のさらなる例が示されている。本明細書に全面的に記載されているものとして参照により組み込まれているVaez−Iravaniらによる米国特許第6,538,730B2号には、アレイ・ウェハの検査のさらなる例が示されている。
【0052】
加えて、感光性要素又はセグメントの少なくとも一部が、散乱光のフーリエ成分を含まない信号を生成するように、検出器を選択または設計することができる。例えば、検出器におけるセグメントの数が比較的少ない場合は、セグメントのすべてが散乱光のフーリエ成分を受け取る確率が比較的高くなる。したがって、検出器のセグメントの数を、セグメントの少なくとも一部がフーリエ成分を受け取らないように十分に増やすことができる。本明細書に全面的に記載されているものとして参照により組み込まれているVaez−Iravaniらによる米国特許第6,538,730B2号には、セグメントのすべてがフーリエ成分を受け取らないようにセグメント化された検出器を設計する方法に関するさらなる例が示されている。
【0053】
集光器が比較的高い開口数(NA)を有する場合は、究極的に検出器に到達する、集光器によって集光される光の量を様々な検体特性に基づいて調節することができる。例えば、集光器は、約60°から約90°の角度範囲で散乱された光を集光できるように比較的高いNAを有することができる。当該1つの実施形態におけるシステムは、集光絞り(不図示)、または調節可能な開口を有する他の光学部品を含む。集光器とセグメント化された検出器の間に集光絞りまたは他の適切な光学部品を配置してよい。開口を調節することで、検出器に到達する、集光器により集光される光の量を変える。加えて、開口を調節して、光が検出される方位と極角を変えることができる。例えば、検出器が、集光器により集光され、ウェハに比較的近い極角(例えば表面から約5°〜表面から約30°)から散乱された光、または比較的垂線に近い極角(すなわち垂線からの角度約0゜から垂線から約30°の角度)で散乱された光を検出できるように、開口を調節することができる。粗さおよびヘイズ(haze)のような検体の特性に基づいて開口を調節することができる。例えば、粗さおよび/またはヘイズにより散乱された光がセグメント化された検出器によって検出されないように、開口を調節することができる。
【0054】
いくつかの実施形態における検査システムは、検体から鏡面反射された光を検出するように構成されている。鏡面反射光を散乱光から個別に集光・検出することができる。例えば、一実施形態におけるシステムは、明視野検出器25を含む。明視野検出器25は、検体から鏡面反射された光を検出するように構成される。いくつかの実施形態における明視野検出器は、検体の画像を形成するように構成される。適切な明視野検出器としては、光増倍管、フォトダイオード、四分円セル・デバイス、CCDカメラ、TDIカメラが挙げられるが、それらに限定されない。加えて、検査システムは、1つまたは複数のレンズやビーム・スプリッタのような明視野検出器に光学的に結合された様々な他の部品(不図示)を含むことができる。
【0055】
図1に示されるように、システムは、プロセッサ26をも含む。プロセッサ26は、検出器、またはそれに結合された他の電子部品によって生成された信号またはデータから検体上の欠陥を検出するように構成される。いくつかの実施形態におけるプロセッサは、信号またはデータに対していくつかの機能を果たすことができるように信号またはデータを記憶する。例えば、プロセッサは、そのような信号またはデータの記憶に好適なある種の記憶媒体を含む。一実施形態におけるプロセッサは、検体上の少なくともいくつかのトラックに対応する信号またはデータを記憶するように構成される。トラックは通常データが取得される検体上の走査パスである。あるいは、プロセッサは、信号またはデータを記憶せずに、または記憶する前に信号またはデータを処理することができる。プロセッサは、例えば検査されている検体の種類または対象となる欠陥に応じて信号またはデータに対するいくつかの機能を果たすことができる。
【0056】
一実施形態におけるプロセッサは、信号またはデータの一次元濾過(ID濾過)を行うことができる。ID濾過を行うことは、1つまたは複数のアルゴリズムを用いて、トラックにおける信号またはデータの周期性または他の反復特性についてデータのトラックを調べることを含む。他の実施形態におけるプロセッサは、信号またはデータの2D濾過を行うことができる。二次元濾過(2D濾過)を行うことは、1つまたは複数のアルゴリズムを用いて、多数のトラックにおける信号またはデータの周期性または他の反復特性についてデータの多数のトラック(すなわちデータの1つのトラックやトラックの両側の点)を調べることを含む。そのような2D濾過は、欠陥が検出されている検体の領域に対するより局所的な情報を提供することができる。いくつかの実施形態におけるプロセッサは、データまたは信号のセグメント化と再構成を行うこともできる。例えば、1D濾過、2D濾過または他のパターン認識アルゴリズムに基づいて、プロセッサは、異なるダイ、セル、または検体上の反復パターン化フューチャの他のグループに対応づけられるトラックの部分を分離することができる。プロセッサは、このようにしてウェハ上の多数のトラックの部分を分離することもできる。加えて、プロセッサは、同じダイ、セル、または検体上の反復パターン化フューチャの他のグループに対応づけられる多数のトラックの分離された部分を結合させることができる。このようにして、プロセッサは、データのトラックをセグメント化し、データを有意なグループに再構成することができる。次いで、再構成データをさらに処理または解析することができる。
【0057】
他の実施形態におけるプロセッサは信号またはデータの閾値処理を行うことができる。例えば、閾値処理は、信号またはデータを第1の閾値と比較することを含む。この比較を用いて、検体上の周期または他の反復構造から散乱するフーリエ成分を含む信号またはデータを識別することができる。例えば、信号またはデータが第1の閾値より大きい場合は、信号またはデータをそのようなフーリエ成分を含むものとして識別して、廃棄することができ、さもなければ欠陥検出に用いることができないようにする。閾値処理は、信号またはデータを第2の閾値と比較することを含むこともある。この比較を用いて、バックグラウンド散乱または他のノイズを含む信号またはデータを識別することができる。例えば、信号またはデータが第2の閾値より小さい場合は、これらの信号またはデータを、バックグラウンド散乱またはノイズを含むものとして識別して、廃棄し、あるいは欠陥検出に用いることができないようにする。次いで、ともに第1の閾値より小さく、第2の閾値より大きい信号またはデータを欠陥検出に向けてさらに解析することができる。
【0058】
いくつかの実施形態におけるプロセッサは、2セグメントのSegment Automated Thresholding(商標)すなわちSAT(商標)を実装するように構成されていてもよい。SAT(商標)は、検体のデジタル化画像を、プロセス・ノイズと輝度に基づいて「セグメント」と呼ばれる異なる領域に自動的にセグメント化することを含む。画像全体に対する単一閾値ではなく、個別の閾値を画像の各セグメントに割り当てることによってピーク感度を達成することができる。検査検体上に存在しうるプロセス変動性に基づいて、各セグメントについて、最適な閾値を自動的に決定することができる。そのようにプロセス条件の変化に適応することができれば、ウェハ毎やロット毎に達成・維持できるより高い感度を与えることができる。
【0059】
2セグメントSAT(商標)は、平均と範囲が小さい平均/範囲ヒストグラムの左上端に高い感度を用いる。この部分は、バックグラウンド上の小さい欠陥に対応づけられ、その目標は、透明な部分における感度を最適化し、画像の残りの部分において利用可能なあらゆる情報を評価することである。閾値処理の後に、さらなる処理または解析に向けてデータまたは信号を再構成することができる。
【0060】
方位濾過は、通常、走査ビームとフューチャの水平方向エッジとの間の方位角度が変化するに従って変化するマンハッタン幾何構造(長方形のダイ・エッジに平行な直線幾何構造)のような検体上のフューチャからの散乱の識別と阻止を意味する。検体が検査時に2つの水平方向で走査される場合は、そのようなフューチャからの散乱を低減させるための1つの方法は、フューチャのエッジに対して例えば約45°から約22.5°の方位角度で入射平面を配置することである。このように、そのようなフューチャからの散乱は、集光器によって集光されない。しかし、集光器の開口数が増加すると(すなわち約0.7を超えると)、集光される当該フューチャからの散乱が増加することによって、散乱が無視できないものとなる。加えて、当該フューチャからの散乱は、検体が回転・並進するにつれて、また入射平面と当該フューチャのエッジとの間の方位角度が変化するにつれて変化する。したがって、集光器の開口数が比較的大きい場合、または検体が検査中に回転・並進する場合は、プロセッサは、信号またはデータの方位濾過を行うように構成される。例えば、データまたは信号の方位濾過は、上述の閾値処理技術を用いたプロセッサによって実施される。そのような実施形態においては、信号またはデータを第1の閾値と比較することで当該フューチャからの信号を識別・消去するように、第1の閾値を選択することができる。他の実施形態におけるプロセッサは、上述したようにフーリエ濾過を実施するように構成される。検体上のマンハッタン幾何構造のようなフューチャは、反復的で、推定可能な周期を有していてもよいため、フーリエ濾過アルゴリズムまたは機構は、当該フューチャからの散乱がフーリエ濾過時も識別・消去されるように設計される。
【0061】
他の実施形態におけるプロセッサは、1つの座標系から他の座標系へデータを変換することができる。例えば、検体を回転・並進させながら検体を走査する場合は、信号またはデータの座標を「rθフォーマット」または放射および方位座標とすることができる。そのような場合は、プロセッサは、それらの座標を「xyフォーマット」またはカーテシアン座標に変換するように構成される。そのようなデータまたは信号の変換は、データまたは信号の解析を容易にすることができる。例えば、ウェハ上のダイとフューチャのレイアウトはしばしばこのように配置されるため、データまたは信号がxyフォーマットであるときは、データまたは信号を特定のダイまたはダイ内の特定のフューチャに容易に対応づけることができる。しかし、そのような変換は必要とされない。
【0062】
さらに他の実施形態におけるプロセッサは、検出器、または検出器やプロセッサに結合された他の電子部品からの画像を受け入れることができる。画像はアナログ画像であってもよい。プロセッサは、画像の方位を変えるために、画像を再抽出することもできる。例えば、画像を、基準画増、または検査によって生成された他の画像のような他の画像と比較する場合は、それらを互いに位置合わせする必要がある。したがって、プロセッサは、それらの画像を画像減法または他の処理に向けて基準画像または他の画像と位置合わせするように、画像を再抽出することができる。検査によって生成された2つの画像を比較する場合は、各画像を再抽出処理によって同じ量だけ劣化させることにより、2つの画像の究極的な処理をほぼ同じに維持するように、それら2つの画像の各々をそれらの整合差の半分まで再抽出することができる。
【0063】
さらなる実施形態におけるプロセッサは、検体上の1つのダイに対応する信号またはデータを、検体上の他のダイに対応する信号またはデータと比較することによって、検体上の欠陥を検出することができる。例えば、検体上の異なるダイを表す2つの画像を互いに減算することができる。プロセッサは、画像の減算差を所定の閾値と比較することもできる。閾値を超える画像減算差は、欠陥の存在を示唆できるのに対して、閾値を下回る画像減算差は、欠陥が存在しないことを示唆する。このように、異なるダイにおける同じ箇所を表す信号は、可能な欠陥として識別される。そのような欠陥検出法は、一般には、「ダイ:ダイ」検査と称する。いくつかの実施形態におけるプロセッサは、検体の一部分に対応する信号またはデータを、異なる検体の一部分に対応する信号またはデータと比較することによって、検体上の欠陥を検出するように構成される。プロセッサは、ダイ:ダイ検査と同様にしてそのような欠陥検出を行うことができる。そのような欠陥検出法は、一般に「ウェハ:ウェハ検査」と称する。
【0064】
他の実施形態におけるプロセッサは、ダイ積層によってデータまたは信号を解析することができる。ダイ積層は、一般には、ウェハまたは多数のウェハ上の多数ダイを表すデータを、単一ダイのサイズを表す単一2Dマップに転送することを含む。このように、個別のダイを表すデータを重ね合わせることができる。各々または複数の重ね合せダイの同一の箇所に存在する欠陥または他の構造を表すデータは、各々または複数の重ね合せダイの同じ箇所に存在しない欠陥または他の構造よりも2Dマップにおいて(生成されるマップの対応に応じて)明るい、または暗い。そのように、ダイ積層を用いて、多層ダイのほぼ同じ箇所に存在する欠陥、多層ダイのほぼ同じ箇所に存在しない欠陥、および欠陥ではない、多層ダイのほぼ同じ箇所に存在する他の恐らくは非周期的または反復的構造を識別することができる。いくつかの実施形態におけるプロセッサは、ウェハ積層によってデータまたは信号を解析することができ、それは上述のように実施できる。
【0065】
プロセッサは、本明細書に全面的に記載されているものとして参照により組み込まれているEvansらによる米国特許第6,021,214号に示されている方法のいずれかを実施するように構成されていてもよい。プロセッサは、さらに、Evansの記載に従って構成されていてもよい。
【0066】
図1にさらに示されるように、検査システムは、2つ以上の集光器を含むことができる。そのような実施形態における集光器18は、検体から前方に散乱された光を集光するように配置されるため、「前方集光器」と称することができる。検査システムは、中央集光器28を含む。中央集光器28は、検体から前方または後方に散乱された光を集光するように構成される。中央集光器は、前方集光器より垂線に近い極角で検体から前方に散乱された光を集光することができる。加えて、システムは、後方集光器30を含むこともできる。後方集光器30は、検体から後方に散乱された光を集光するように構成される。後方集光器は、中央集光器より垂線からさらに遠い極角で検体から後方に散乱された光を集光するように構成される。中央および/または後方集光器は、レンズまたは複合レンズのような屈折光学部品である。あるいは、中央および/または後方集光器を鏡のような反射光学部品に代えることができる。図1に示す実施形態は、中央集光器と後方集光器の両方を含むが、システムは、前方集光器に加えて、それら集光器の1つのみを含むこともできることを理解すべきである。
【0067】
また、システムは、集光絞り(不図示)または集光器の各々と検出器との間に配置された他の好適な光学部品を含むこともできる。集光絞りまたは他の光学部品は、上述のように構成される。このように、各検出器に到達する、各集光器によって集光された光の全体量を独立的に調節することができる。加えて、各集光器は検体の検査時にいくらかの光を集光できるが、欠陥検出に使用される集光された光に対応する信号を検体特性に基づいて選択することができる。例えば、ある場合に、前方集光器と後方集光器に結合された検出器によって生成された信号で、中央集光器に結合された検出器によって生成された信号ではない信号を欠陥検出に使用することができる。他の例において、集光器の1つのみに結合された検出器によって生成された信号を欠陥検出に使用することができる。
【0068】
一実施形態における図3に例示されているシステムの平面図の部分概略図に示されるように、各集光器の軸が入射平面の中心に配置されるように、3つの集光器を配置することができる。このように、検査システムの集光光学素子は、入射平面について対称的であってもよい。加えて、各集光器は、異なる極角で検体から散乱された光を集光するように構成されるが、各集光器は、同一の方位角度で検体の面から散乱された光を集光するように構成される。そのように、集光器は、角度対称光学配置で構成される。他の実施形態においては、中央集光器の軸を垂線に合わせることができる。しかし、中央集光器の軸の位置を、例えば検体または対象となる欠陥の特性に応じて垂線からずらしてもよい。後方集光器の軸は大きく変動することもでき、いくつかの実施形態では、垂線からの角度約35°から垂線からの角度約70°に配置される。
【0069】
システムは、2つ以上の検出器をさらに含むことができる。各検出器を集光器の1つに結合することができる。上述のように、前方集光器からの光を集光するように構成される検出器20は、セグメント化された検出器である。中央集光器と後方集光器からの光を検出するように構成される検出器32、34は、それぞれセグメント化された検出器でなくてもよい。このように、中央集光器と後方集光器に結合された検出器は、それぞれの集光器によって集光される散乱放射線を表す1つの信号を生成することができる。そのような検出器の一例は、単陽極光増倍管である。あるいは、中央集光器および/または後方集光器からの光を検出するように配置される検出器はセグメント化された検出器でありうる。これらの検出器は、本明細書でさらに説明するように構成される。そのような実施形態では、中央集光器および/または後方集光器は、上述のように、集光された光のフーリエ濾過に好適なフーリエ平面(不図示)を提供するように構成される。
【0070】
代替的な実施形態においては、前方、中央集光器と後方集光器を、垂線に対して比較的大きい角度で前方と後方に散乱される光を集光できる単一の集光器に代えることができる。例えば、単一の集光器は、任意の方位角度において、垂線に対して約60°から垂線に対して約80°で散乱された光、一例では垂線に対して約70°で散乱された光を集光するように構成される。一実施形態では、比較的大きい開口数を有する大きいレンズは、前方と後方に広い範囲の方位と極角にわたって光を集光するように構成される。他の実施形態における単一の集光器を、前方と後方に比較的広い範囲の方位と極角にわたって光を集光するように構成させてもよい、ある程度の曲率を有する鏡のような反射光学部品に代えることができる。システムは、集光絞り(不図示)、または単一集光器とセグメント化された検出器の間に配置された他の好適な光学部品を含むこともできる。集光絞りまたは他の光学部品は、上述のように構成される。例えば、単一集光器は、好ましくは、上述のように集光された光のフーリエ濾過を実施できるように、フーリエ平面を設けることができる。このように、散乱光のフーリエ成分を、欠陥検出の前に、本明細書に記載されているように識別・消去することができる。
【0071】
1つまたは複数の検出器を単一の集光器に結合することもできる。検出器の各々は、単一の集光器によって集光された光の異なる部分を検出するように構成される。例えば、検出器の各々は、検出器の仰角と方位角度に応じて、異なる立体角で光を検出するように配置される。検出器の少なくとも1つはセグメント化された検出器である。加えて、すべての検出器がセグメント化された検出器であってもよい。この実施形態は、さらに、本明細書に記載されるように構成される。
【0072】
さらなる実施形態では、上述の集光器を、二重暗視野配置で照明システムに対して配置することができる。例えば、照明システムは、比較的低角度(暗視野)の照明でシステムを照明するように構成される。加えて、本明細書に記載される集光器はいずれも比較的低角度の集光光学素子として構成される。このように、システムは、微粒子汚染、微小傷と平面上欠陥のような様々な種類の欠陥を比較的高スループットで検出するのに好適でありうる。
【0073】
さらに他の実施形態では、集光器によって集光された光の第1の部分を非セグメント化された検出器に誘導できるのに対して、集光器によって集光された光の第2の部分をセグメント化された検出器に誘導できるように、本明細書に記載の実施形態のいずれをも改造することができる。例えば、ビーム・スプリッタ(不図示)を前方集光器とセグメント化された検出器の間に配置することができる。ビーム・スプリッタは、前方検出器によって集光された光の一部がセグメント化された検出器に到達することを可能にする。ビーム・スプリッタは、前方検出器によって集光された光の一部を他の検出器(不図示)に誘導することができる。さらなる検出器は、非セグメント化された検出器であってもよい。セグメント化された検出器によって生成された信号を使用して、パターン化ウェハ上の欠陥を検出することができる。対照的に、非セグメント化された検出器によって生成された信号を使用して、非パターン化ウェハ上の欠陥を検出することができる。このように、集光器のいずれかによって集光された光をセグメント化された検出器と、非セグメント化された検出器の両方に誘導することができる。その結果、システムをパターン化ウェハ検査または非パターン化ウェハ検査に使用することができる。
【0074】
本明細書に記載されている実施形態の各々は、さらに、本明細書に全面的に記載されているものとして参照により組み込まれている、2002年12月9日に出願された「Darkfield Inspection System Having Photodetector Array」という名称の米国特許出願第10/315,340号に記載されているように構成される。本明細書に記載されている実施形態の各々は、この出願に記載され多部品のいずれかを含むこともできる。
【0075】
さらなる実施形態においては、本明細書に記載されている検査システムを、検体上の粒子または他の汚染のような欠陥の物質同定に使用することができる。例えば、1つの当該実施形態における光源は、p−偏光、または強いp−偏光成分有する光を放射するように構成される。あるいは、照明システムは、偏光フィルタ、偏光器、または光源と検体の間に配置された1つまたは複数の波長板を含むことができる。偏光フィルタまたは偏光器は、p−偏光、または強いp−偏光成分有する光が検体に入射するように、光源から放射される光を変えるように構成される。そのような実施形態における光は、好ましくは、斜めの入射角度で検体に誘導される。
【0076】
また、そのような実施形態では、少なくとも前方と後方散乱光が検体から集光される。前方散乱と後方散乱光の強度は、これらの強度を表す信号を生成するそれぞれ配置検出器によって測定される。強度は、上述のように非セグメント化された検出器で測定される。代替的な実施形態においては、それらの強度をセグメント化された検出器によって測定することができ、検出器にわたる強度を検出器の各セグメントによって検出された強度から求めることができる。欠陥物質を判断するために、プロセッサは、前方散乱強度信号と後方散乱強度信号を複数の所定の散乱パターンと比較することができる。複数の知られている物質に対する前方散乱強度信号と後方散乱強度信号の大きさによって所定の散乱パターンを定めることができる。いくつかの異なる欠陥サイズと物質に対する散乱パターンを、散乱モデルで実施される理論的計算を用いて求めることができる。採用できる1つの散乱モデルは、当該技術分野で知られているように実験的に検証された個別光源法に基づくものである。
【0077】
例えば、一実施形態では、前方散乱強度信号の大きさに対する後方散乱強度信号の大きさの比を求めることができる。この比と後方散乱強度信号の大きさを、複数の知られている物質に対する比と後方散乱強度信号との相関性と比較することができる。その比と欠陥の後方散乱強度信号とに最も近い相関性を有する、知られている物質としてその欠陥物質を識別することができる。
【0078】
他の実施形態では、少なくとも後方散乱光および前方と後方散乱光(すなわち中央集光器によって集光された光)が、検体から集光され、上述のように強度が測定される。前方散乱強度信号の大きさに対する後方散乱強度信号の大きさの比を測定することができる。この比と後方散乱強度信号の大きさとを、複数の知られている物質に対する比と後方散乱強度信号との相関性と比較することができる。その比と欠陥の後方散乱強度信号とに最も近い相関性を有する、知られている物質としてその欠陥物質を識別することができる。
【0079】
いくつかの実施形態におけるプロセッサは、欠陥のサイズ、または水平方向寸法を求めるように構成される。例えば、プロセッサは、欠陥物質と水平方向寸法と後方散乱強度信号の大きさとの間の相関性を、測定された後方散乱強度信号の大きさと比較することによって欠陥の平均水平方向寸法を求めるように構成される。場合によっては、この測定を、後方散乱強度信号の大きさではなく、前方散乱強度信号の大きさによって行うことができる。例えば、前方散乱強度信号は、約100nmを超える欠陥に対して、より正確な欠陥サイズの測定をもたらすことができる。このように、光散乱強度に対する物質の影響を考慮して欠陥サイズを求めることにより、欠陥サイズをより正確に推定する。
【0080】
さらなる実施形態では、本明細書に記載されている検査システムを使用して、欠陥が検体の面に位置する(すなわち「表面欠陥」)かどうか、あるいは欠陥が部分的または全面的に検体の面の下方に位置する(すなわち「準表面欠陥」)かどうかを判断することができる。表面欠陥の一例は、粒子または他の汚染である。準表面欠陥の例としては、穴、空隙、微視的な傷が挙げられるが、それらに限定されない。1つの当該実施形態における照明システムは、p−偏光の第1のビームを第1の入射角度で検体に誘導するように構成される。検査システムは、本明細書に記載されるように検体から散乱された光を検出することができ、集光面積に対して積分された散乱光の強度を表す第1の信号を生成することができる。加えて、照明システムは、p−偏光の第2のビームを第2の入射角度で検体に誘導するように構成される。第2の入射角度は、入射角度が表面から垂線に測定される場合には、第1の入射角度より大きい。検査システムは、本明細書に記載されているように検体から散乱された光を検出することもでき、集光面積に対して積分された散乱光の強度を表す第2の信号を生成することができる。第2の信号が第1の信号より大きい場合は、欠陥を表面欠陥と特徴づけることができる。第2の信号が第1の信号より小さい場合は、欠陥を準表面欠陥と特徴づけることができる。
【0081】
他の実施形態では、検体から散乱されたp−偏光の強度を検体から散乱されたs−偏光の強度と比較することによって、表面欠陥を準表面欠陥と区別することができる。例えば、検査システムは、p−偏光を検体に誘導するように構成される。本明細書に記載されているように検体から散乱されたp−偏光を検出することができ、検出器は、集光面積に対して積分されたp−偏光散乱光の強度を表す第1の信号を生成することができる。検査システムは、s−分光を検体に誘導するように構成されていてもよい。本明細書に記載されているように検体から散乱されたs−偏光を検出することができ、検出器は、集光面積に対して積分されたs−偏光散乱光の強度を表す第2の信号を生成することができる。次いで、第1の信号の第2の信号に対する比をプロセッサにより求めることができる。その比を所定の値と比較することができる。その比が所定の値より大きい場合には、欠陥を表面欠陥として識別することができる。その比が所定の値より小さい場合は、欠陥を準表面欠陥として識別することができる。
【0082】
上述の実施形態における照明システムは、検体を1つの光ビームで照明するとともに、走査間でp−偏光からs−偏光へ、またはその逆に光のビームの偏光を変えるように構成される。他の実施形態における照明システムは、2つの光源を含むことができる。一方の光源がp−偏光を放射することができるのに対して、他方の光源はs−偏光を放射することができる。1つの当該実施形態においては、検体を照明する光源を走査間で切り換えることができる。異なる実施形態における両光源は、検体を照明することができる。そのような実施形態における2つの異なる集光器は、検体から散乱された光を集光することができる。一方の集光器は、p−偏光のみを集光するように構成されるのに対して、他方の集光器は、s−偏光のみを集光するように構成される。さらに他の実施形態では、p−偏光とs−偏光成分の両方を含む光を放射する光源を使用して、検体を照明することができる。そのような検査システムは、その各々が、検体から散乱されたs−偏光またはp−偏光のみを集光する2つの異なる集光器を含むことができる。
【0083】
異なる実施形態においては、検査システムを使用して、散乱光の角度分布の検出された差に基づいて、表面欠陥を準表面欠陥と区別することができる。そのような実施形態における照明システムは、1つの入射角で検体を照明するように構成される。加えて、照明システムは、p−偏光で検体を照明するように構成される。プロセッサは、例えば、中央集光器によって集光された光の量を後方集光器によって集光された光の量と比較することによって、散乱光の角度分布の差を求めるように構成される。欠陥が準表面欠陥である場合は、中央集光器によって集光された光の量は、通常後方集光器によって検出された光の量より大きい。この散乱分布は、特に比較的小さい準表面欠陥(例えば、水平方向寸法が約300nm未満の準表面欠陥)に特有のものである。このように、前方または後方集光器によって集光された光の強度に対する中央集光器によって集光された光の強度の比が所定の値より大きい場合は、欠陥を準表面欠陥に分類することができる。他方で、欠陥が表面欠陥である場合は、中央集光器によって集光された光の量は、通常後方集光器および/または前方集光器によって検出された光の量より小さい。したがって、後方集光器によって集光された光の強度に対する中央集光器によって集光された光の強度の比が所定の値より小さい場合は、欠陥を表面欠陥に分類することができる。加えて、個々の集光器によって集光された光の強度は、準表面または表面欠陥のサイズを示すことができる。本明細書に全面的に記載されているものとして参照により組み込まれているVaez−Iravaniらによる国際出願第PCT/US02/10783(公開番号WO02/082064A1)には、粒子と微小傷を区別するための方法のさらなる例が示されている。
【0084】
他の実施形態における欠陥の分類は、物質、サイズ、箇所(すなわち表面または準表面)に加えて、またはそれらに代えて形状および/または方位に基づくものであってもよい。例えば、長形の欠陥(すなわち傷、スリップ・ライン等)は、フーリエ平面に特徴的な(長形の)散乱パターンを有することになる。異なる種類の欠陥の散乱パターンが図13〜16に例示されている。図13は、垂線の入射角度で、P−U偏光により496nmのポリウレタン・ラテックス球を照明することによって生成された実測散乱パターンである。図14は、斜めの入射角度で、P−U偏光により496ポリウレタン・ラテックス球を照明することによって生成された実測散乱パターンである。図15は、垂線の入射角度で、アルミニウム・ウェハ上の傷を照明することによって生成された実測散乱パターンである。図16は、斜めの入射角度でP−U偏光により傷を照明することによって生成された実測散乱パターンである。
【0085】
図13〜16に示されるように、傷は、粒子のような他の欠陥によって生成された散乱パターンと区別できる散乱パターンを生成する。概して、異なる形状を有する欠陥は、異なる散乱パターンを生成することになる。したがって、異なる形状を有する欠陥を、それらが生成する散乱パターンに基づいて互いに区別することができる。このように、傷、スリップ・ライン、他の長形欠陥、または特徴的な形状を有する任意の他の欠陥を、欠陥によって生成された散乱パターンに基づいてそれぞれ分類することができる。
【0086】
加えて、散乱パターンの方位は、欠陥の主軸の方位を反映する。例えば、図15〜18は、それらの主軸の方位が異なる傷によって生成された散乱パターンを示す図である。図17は、垂線の入射角度でアルミニウム・ウェハ上の2つの傷を照明することによって生成された実測散乱パターンである。一方の傷は、破断したパターンを有し、他方の傷は、連続的または平滑なパターンを有する。図18は、斜めの入射角度で、P−U偏光により2つの傷を照明することによって生成された実測散乱パターンである。図15〜18に示されるように、傷によって生成された散乱パターンは、傷の主軸の方位に依存する。このように、それらの主軸の方位が異なる傷または他の長形欠陥を、それらが生成する散乱パターンに基づいて互いに区別することができる。加えて、傷または他の欠陥の主軸を識別することは、欠陥の原因を識別するのに役立つことができる。
【0087】
上記実施形態における欠陥物質の識別、欠陥サイズの測定、および/または準表面と表面との区別を、各々の検出された欠陥に対して実施することができる。加えて、欠陥を検出しながら、これらの分類プロセスを実施することができる(すなわちリアル・タイム欠陥分類(RTDC))。
【0088】
さらに他の実施形態を図6に示す。図6に示される検査システムの平面図の部分概略図に示されるように、検査システムは、1つまたは複数の集光器36を含むことができる。側方集光器は、集光器18と異なる方位角度で散乱された光を集光するように構成される。側方集光器は、集光器18と同じ極角で散乱された光を集光するように構成されていても、いなくてもよい。側方集光器は、さらに、上述のように構成される。側方検出器38は、図7に示すように、側方集光器の各々に結合される。側方検出器38は、セグメント化集光器であってもよく、上述のように構成される。例えば、側方検出器は、側方集光器によって集光された光の異なる部分を個別に検出するように構成される。このように、側方集光器によって集光された光の異なる部分に関する方位と極角情報が保存される。側方検出器38は、側方集光器によって集光された光の異なる部分を表す信号を生成するように構成されてもよい。あるいは、システムは、側方集光器によって集光された光の異なる部分を表す信号を生成することができる側方検出器38に結合された光学または電子部品(不図示)を含むことができる。側方検出器38からの信号をプロセッサ26によって受信することもできる。プロセッサ26は、本明細書に記載されているように信号から検体上の欠陥を検出するように構成される。
【0089】
図8は、検査システムの他の実施形態を示す図である。この実施形態は、図8に示される集光システムと他の図に示される集光器との違いを除いて、本明細書に記載されているように構成される。このように、わかりやすくするために、照明システムの光源と他の部品のようないくつかの要素を図8から除いた。偏向器14は、検体に対して光ビームを走査することができる。偏向器は、上述のように構成される。例えば、偏向器は、検体に対して広い走査角度で光ビームを走査することができる。集光器40、42、44、46は、検体が走査されているときに検体から散乱された光を集光する。集光器の各々は、集光器の極角度と方位角度に応じて、固定立体角で光を集光する。
【0090】
集光器を検体について対象に配置することができる。例えば、集光器40、46を、入射平面の反対側にほぼ同じ方位角度で配置することができる。1つの特定の例において、集光器40、46を入射平面に対して約75°から約105°の方位角度で配置することができる。このように、集光器40、46は、検体から前方と後方に散乱された光を集光するように構成される。加えて、集光器42、44を入射平面の反対側にほぼ同じ方位角度で配置することができる。例えば、集光器42、44を入射平面に対して約30°から約60°の方位角度で配置することができる。そのように、集光器42、44は、検体から前方に散乱された光を集光するように構成される。集光器が、検体の面の平面より約3°から約30°の角度で散乱された光を集光するような広角で4つの集光器を配置することができる。4つの集光器を図8に示すが、システムはより多くの集光器を含むことができることを理解すべきである。
【0091】
集光器の各々を検出器(不図示)に結合することができる。検出器の少なくとも1つをセグメント化することができる。例えば、集光器42および/または集光器44に結合された検出器をセグメント化することができる。集光器40、46に結合された検出器をセグメント化してもしなくてもよい。それらの検出器は、さらに、本明細書に記載されているように構成される。いくつかの実施形態におけるセグメント化集光器に結合される集光器は、上述のように集光された光のフーリエ濾過を実施できるようにフーリエ平面(不図示)を提供することができる。このように、欠陥検出の前に、本明細書に記載されているように、散乱光のフーリエ成分を識別し、消去することができる。加えて、図8に示されるシステムは、さらに、本明細書に記載されているように構成される。例えば、システムは、検査中に検体を回転・並進させるように構成されるステージを含むことができる。また、図8に示される集光システムは、さらに、本明細書に全面的に記載されているものとして参照により組み込まれているJordan、IIIらによる米国特許第5,864,394号、Leslieらによる米国特許第6,081,325号に示されているように構成される。加えて、本明細書に記載されている検査システムは、さらに、これらの特許に記載されているシステムとして構成され、またそれらのシステムの他の要素を含むことができる。
【0092】
図9は、検査システムのさらに他の実施形態の側面図の概略図である。わかりやすいように、プロセッサのような検査システムの特定の要素を図9から除いた。図9に示されるように、システムは照明システムを含む。照明システムは2つの光源12、48を含む。光源12、48は、上述の光源のいずれかを含むことができる。加えて、光源12、48は、実質的に同じ特性を有する光、または異なる特性を有する光を放射するように構成される。例えば、一実施形態における光源12は、光源48によって放射される光とほぼ同じ波長を有する光を放射するように構成される。代替的な実施形態における光源12と光源48は、異なる波長を有する光を放射することができる。さらに他の実施形態における光源12、48は、同じまたは異なる偏光を有する光を放射することができる。光源は、2つの異なる光ビームを起源とする散乱光を区別できるように、波長および/または偏光のような異なる特性を有する光を放射するように構成される。他の実施形態における光源12、48を、2つの異なる波長(すなわち488nmおよび514nm)を有する光を生成することができるレーザ源のような単一の光源に代えることができる。照明システムは、単一の光源によって放射された光から2つの光ビームを生成することができる二色ビーム・スプリッタ(不図示)を含むことができる。次いで、2つの光ビームを異なる入射角度で検体の面に誘導することができる。異なる偏光を有する2つの光ビームを生成し、同様にして異なる入射角度で検体に誘導することができる。照明システムは、フォールディング鏡、ビーム・スプリッタ、スペクトル・フィルタ、偏光フィルタのような図9に示されていないいくつかの他の部品を含むこともできる。
【0093】
図9にさらに示されるように、光源12を偏向器14に結合し、光源48を偏向器50に結合することができる。このように、各光源からの光を検体にわたって走査することができる。上述のように、各光源からの光を検体に対して広い走査角度で走査することができる。代替的な実施形態では、検体を(回転および水平、または2方向に水平に)並進させながら、光源12、48からの光を検体上に定常させることができる。そのような実施形態における2つの光のビームは、検体上の比較的大きい長形スポット、または検体上の2つの異なる比較的大きいスポットを照明するように構成される。この場合は、照明スポットの入射平面は、検体の半径に沿うものであってもよく、集光器20、32、34は、入射平面内に存在してもよい。比較的大きいスポットが、偏向器により検体に対して走査される場合は、偏向器が検体の半径に沿って比較的短いラインを走査し、偏向器からの光のビームが短い走査ラインにほぼ垂直になるように、照明方向、入射平面と集光器を約90°回転させることができる。いくつかの実施形態における比較的長い長形スポットは、約50μmから約400μmの長さであってもよい。図9に示すように、光のビームを異なる入射角度で検体に誘導することによって検体を照明できるように、光源12、48、偏向器14、50、照明システムの様々な他の部品を配置することができる。
【0094】
図10は、検査システムのさらなる実施形態の平面図の部分概略図を示す。本実施形態では、検体を異なる方位角度で異なる光のビーム52、54により照明できるように、光源、偏向器、照明システムの様々な他の部品を配置することができる。図10に示されるシステムの照明システムは、光のビーム52、54が異なる入射角度で検体に誘導されるように構成されていても、いなくてもよい。したがって、いくつかの実施形態における照明システムは、異なる入射角度および/または異なる方位角度で光のビームを検体に誘導することによって検体を照明するように構成される。異なる光のビームは、上述のように、異なる波長および/または偏光を有することができる。
【0095】
図9、10にさらに示されるように、照明システムは、異なる光のビーム(光のビーム52、54)を検体上の1つのスポットに誘導することによって検体を照明するように構成される。しかし、いくつかの実施形態における照明システムは、異なる光のビームを検体上の異なるスポットに誘導することによって検体を照明するように構成される。図9、10に示される実施形態は、さらに、二重傾斜レーザ照明システムとして構成される。本明細書に全面的に記載されているものとして参照により組み込まれているFairleyらによる米国特許第6,288,780号には、当該照明システムの一例が示されている。
【0096】
いくつかの実施形態におけるシステムは、異なる波長を有する2つの光ビームが検体の面に入射するように構成される。加えて、一方の光ビームからの散乱により収集されたデータを、他方の光ビームからの散乱により収集されたデータから区別できるように、検体に入射する光ビームをデータ収集率より高い頻度で2つの照明光路間で切り換えることができる。一実施形態における光源は、変調光ビームを生成することができる。例えば、変調光源としては、モード同期レーザ、パルス化レーザ、変調されるように誘導されるダイオード・レーザを挙げることができるが、それらに限定されない。他の実施形態では、例えばチョッパ(不図示)を使用して光ビームを変調することができる。各々が異なる波長を有する光を放射する2つの光源の場合は、各光源によって放射された光のパスにチョッパを配置することができる。2つの異なる波長を有する光を生成する単一光源の場合は、二色ビーム・スプリッタ(不図示)によって生成される各光ビームのパスにチョッパを配置することができる。加えて、当該技術分野で知られている任意の好適な変調器をチョッパの代わりに使用することができる。そのような実施形態では、ロックイン増幅器を検出器に結合することができる。ロックイン増幅器は、検出器からの信号を処理し、処理信号をプロセッサに送ることができる。
【0097】
図9、10に示されるように、2つの変調光ビームを異なる入射角度および/または異なる方位角度で検体の面に誘導することができる。あるいは、2つの変調光ビームを同じ入射角度および/または同じ方位角度で検体の面に誘導することができる。例えば、一実施形態における照明システムは、2つの光ビームを同じ入射角度で検体に誘導するように構成される二色ビーム・スプリッタの顆粒に、いくつかの光誘導光学部品を含むことができる。
【0098】
他の実施形態においては、光ビームが検体の面に誘導される入射角度および/または方位角度を変調することができる。例えば、一方の入射角度からの散乱により収集されたデータを、他方の入射角度からの散乱により収集されたデータから区別できるように、データ収集率より高い頻度で、検体に入射する光ビームを2つの入射角度の間で切り換えることができる。そのような実施形態では、2つの光ビームを異なる入射角度で検体に誘導し、チョッパまたは他の変調器を各々の光ビームのパスに配置することができる。他の実施形態では、ブラッグ変調器、またはポッケル・セルのような電子光学変調器を、単一光源と偏光ビーム・スプリッタのような他の光誘導光学部品との間に配置することができる。これらの実施形態のいずれにおいても、光ビームは異なる時間に検体に入射することができる。また、両実施形態では、ロックイン増幅器を検出器に結合することができる。ロックイン増幅器は、検出器からの信号を処理し、処理信号をプロセッサに送ることができる。本明細書に全面的に記載されているものとして参照により組み込まれているVaez−Iravaniらによる米国特許第6,201,601B1号には、直角の照明と斜めの照明とを切り換えるように構成された検査システムの例が示されている。システムは、さらに、この特許に記載されているように構成される。
【0099】
周波数依存性照明を有する実施形態では、プロセッサは、時間領域で検査により生成された信号とデータを解析するように構成される。加えて、そのような実施形態では、プロセッサは、検出スタック・データを固定化するように構成される。このように、異なる照明路を使用して生成される、検体上の一部分を表すデータを、データが同時に解析されるように積み重ねるか、または組み合わせることができる。データを検出スタックに固定する前に、プロセッサは、閾値処理によってデータを解析することができ、それは、上述の実施形態のいずれかに従って実施することができる。加えて、固定化検出スタック・データをさらなる処理に向けてメモリに記憶することができる。メモリは、プロセッサに結合された記憶媒体であってもよいし、他の好適な記憶媒体であってもよい。あるいは、データをさらに処理する前に検出スタック・データをメモリに記憶しなくてもよい。上述の実施形態のいずれかに従って、検出スタック・データをさらに処理することができる(すなわち1D濾過、2D濾過、比較等)。
【0100】
図11は、検査システムの代替的な実施形態の側面図の部分概略図を示す。本実施形態で、検査システムの照明システムは光源56を含む。光源56は、本明細書に記載されている光源のいずれかを含むことができる。この照明システムは、フォールディング鏡、ビーム・スプリッタ、スペクトル・フィルタ、偏光フィルタのような、図11に示されていないいくつかの他の部品を含むこともできる。光源56と照明システムの様々な他の部品は、照明システムが、実質的に垂線の入射角度で検体を照明するように構成される。このように、検体の照明部分は円形スポットであってもよい。当該照明は、ダイ:ダイ検査またはアレイ検査を用いた欠陥検出に特に好適である。1つの当該実施形態では、絞りを中央集光器に結合して、中央集光器に結合された検出器からの垂線入射ビームの鏡面反射を阻止することができる。
【0101】
図11に示されるシステムは、微小傷と粒子を区別するのに有利である。例えば、微小傷による散乱パターンは、垂線に照明されてほぼ垂線に取り込まれ、あるいは中央集光器によって狭光路で集光される場合に、最高のエネルギー濃度と最大の検出均一性をもたらす。遠視野における長形パターンの形の微小傷の独特の識別特性は、単純な分類方法を可能にする。
【0102】
加えて、照明システムは、定常光ビームにより、実質的に垂線の入射角度で検体を照明するように構成される。例えば、図11に示されるように、照明システムは、検体に対して光ビームを走査できる偏向器を一切含まない。代わりに、上述のように構成されるステージによって生じる検体の相対運動によって検体を走査することができる。いくつかの実施形態における照明システムは、定常光ビームが検体上の比較的大きいスポットを照明するように構成される。他の代替形態におけるステージによって生じる検体の相対運動に加えて、またはその代わりに、コントローラ(不図示)によって生じる照明システムの相対運動によって検体を走査することができる。いくつかの実施形態では、図11に示される照明システムは、さらなる光ビーム(不図示)で検体を照明するように構成されていてもよい。さらなる光ビームを、斜めの入射角度で検体に誘導することができる。
【0103】
他の実施形態では、図11に示される検査システムを、検査システムを使用して巨視的な欠陥を検出できるように改造することができる。1つの当該実施形態では、そのシステムを現像後検査(ADI)システムとして使用することができる。例えば、中央集光器28をコリメート・レンズに代えることができる。一実施形態では、コリメート・レンズを通じて入射光を検体に誘導することができる。このように、検体上の入射光のスポット・サイズを実質的に大きくすることができる。検体から反射された光をコリメート・レンズによって集光し、検出器32上に撮像させることができる。本実施形態における検出器32は、好ましくは、アレイ検出器のようなセグメント化された検出器である。他の実施形態では、レンズのアレイ(不図示)は、コリメート・レンズから検体の面の個々のスポットのアレイに光を集束させるように構成される。個々のスポットの各々から反射される光をレンズのアレイによって集光することができ、それをコリメート・レンズによって検出器に誘導することができる。
【0104】
上記実施形態では、検体上の複数の箇所における反射を同時に測定することができる。加えて、複数の箇所における反射を波長の関数として測定することができる。例えば、直角入射光源は、モノクロメータまたは複数のスペクトル・フィルタに結合された広帯域光源であってもよい。このように、反射を多波長で個別的に測定することができる。実測反射データをスペクトル・データのライブラリと比較することができ、少なくとも平方適合法を用いて各測定点における厚さを求めることができる。あるいは、実測反射データを、ある範囲の知られている厚さを有する基準検体を測定することによって得られる基準データと比較することができる。また、反射データに基づいて薄膜の厚さを求めるための当該技術分野で知られている任意の他の方法を用いて、検体10上の層の厚さを求めることができる。したがって、図11に示されるシステムは、検体上の多点における層の厚さを迅速に測定するように構成される。そのように、図11に示されるシステムを使用して、リソグラフィ・プロセスの現像工程のようなプロセス工程後に検体上の巨視的な欠陥を迅速に検出することができる。また、図11に示されるシステムを使用して、検体での位置の関数としての厚さの2Dマップを生成することができる。加えて、システムは、比較的高解像度で検体上のいくつかのスポットを照明するように構成されるため、システムは、検体の比較的高解像度マップを生成するように構成される。図11に示されるシステムは、さらに、本明細書に全面的に記載されているものとして参照により組み込まれているMumolaによる米国特許第5,543,919号、Clapisらによる米国特許第5,555,472号、Ledgerによる米国特許第5,555,474号およびPoultneyによる米国特許第5,563,709号に記載されているように構成される。
【0105】
さらなる実施形態では、図11に示されるシステムを使用して、実測スペクトル反射からさらなる特性を測定することができる。例えば、図11に示されるシステムを使用して、検体に形成されたパターン化フューチャの限界寸法および/またはオーバレイを求めることができる。一実施形態では、モデル拡大によるモデル法(「MMME」)モデルを用いて、様々な反射スペクトルのライブラリを生成することができる。MMMEモデルは、パラメータ空間におけるパターン化フューチャから理論回折光「フィンガープリント」を計算するのに用いることができる厳密回折モデルである。しかし、厳密結合導波管解析(「RCWA」)モデルを含むが、それに限定されない代替的なモデルを用いて、理論回折光を計算することもできる。実測反射スペクトルをライブラリにおける様々な反射スペクトルと突き合わせることができる。突き合わせたデータを用いて、水平方向寸法のような限界寸法、高さ、検体上のフューチャの側壁角度を求めることができる。本明細書に全面的に記載されているものとして参照により組み込まれているXuらによるPCT出願第WO99/45340号には、モデル化技術の例が示されている。また、図11に示されるシステムは、Rs、Rp、その関数を個別に測定できるように偏光要素を含むことができる。
【0106】
図12は、検査システムのさらなる実施形態の部分概略図を示す。図12に示される検査システムの照明システムは、検体10の第1の面58を照明するように構成される。例えば、光源12、偏向器14、照明システムの任意の他の部品は、検体の第1の面に対して光ビームを走査するように構成される。しかし、照明システムは、本明細書に記載されている実施形態のいずれかに従って構成される。加えて、検査システムは、検体の第1の面の欠陥を検出できるように様々な他の部品を含むことができる。検体の第1の面の検査のために構成された検査システムの部分を図1に示したものと同じように図12に示すが、システムのこの部分を本明細書に記載されている任意の他の実施形態に従って構成できることを理解すべきである。
【0107】
図12にさらに示されるように、検査システムは、光学サブシステム60を含む。光学サブシステム60は、検体の第2の面62上の欠陥を検出するように構成される。図12に示されるように、第1の面58と第2の面62は、検体10の両面である。一実施形態では、検体のこの面に配置された検査システムの要素は、上述のようなパターン化表面の検査に特に好適であるため、第1の面58を検体のパターン化表面とする。加えて、第2の面62は、パターン化表面であっても、半導体ウェハの後面のような非パターン化表面であってもよい。他の実施形態では、検体の異なる表面を検査できるように光学サブシステムを配置することができる。例えば、一実施形態では、側面64(すなわち、前面に対してある角度で配置された検体の面)または検体の「エッジ」を光学サブシステムによって検査できるように、光学サブシステムを配置することができる。
【0108】
したがって、図12の検査システムは、検体の複数の面を同時に検査できるように構成されている。しかし、図12に示される検査システムは、要望に応じて検体の複数の面を順次検査するように構成されていてもよいことを理解すべきである。光学サブシステムは、検体の第1の面を検査するように配置された部品と同様、または異なって構成される。例えば、光学サブシステムは、本明細書に記載された実施形態のいずれかに従って構成される。あるいは、光学サブシステムは、ウェハの後面または非パターン化表面の検査に好適である光学サブシステムのような、当該技術分野で知られている任意の他の光学サブシステムを含むことができる。
【0109】
他の実施形態では、本明細書に記載されている検査システムのいずれかを、検体の複数の面を検査するように構成することができる。例えば、検査システムは、システムによって検査される検体の面を変化させるように構成される機械的デバイスを含むことができる。例えば、検査システムは、SPIレーザ系ウェハ検査ツールの一部として、KLA−Tencor(San Jose)から市販されている後面検査モジュール(BSIM)を含むことができる。BSIMは、ウェハ・エッジ・ハンドリングと「フリッピング」機構によるウェハのような検体の非破壊的前面と後面検査を可能にする。したがって、ウェハ・ハンドリングは、ウェハの後面の検査時にウェハの前面が損傷されないように設計される。このように、検査システムによって、製品と非製品ウェハの両方の後面検査を実施することができる。
【0110】
上述のように、本明細書に記載されている検査システムは、パターン化ウェハを検査するように構成される。一実施形態では、パターン化ウェハは、製品ウェハである。「製品ウェハ」は、通常、半導体デバイスを究極的に形成できる半導体ウェハと定義される。したがって、ウェハに対して実施される半導体作製プロセス中やその後に製品ウェハを検査することは、プロセスとそのプロセスに要する工具を監視するのに重要である。このように、検査システムを、製品ウェハの検査による歩留まりを確認するのに用いることができる工具監視(TM)システムとして利用することができる。
【0111】
他の実施形態では、本明細書に記載されている検査システムは、監視ウェハの検査にも好適である。「監視ウェハ」は、通常、プロセス工具で処理されたが、そこには究極的に半導体デバイスが形成されない半導体ウェハと定義づけられる。反復パターンのフューチャは、通常は監視ウェハ上に形成されない。監視ウェハは、一般には、製品ウェハ上に見いだされる欠陥の数と種類に対するゲージとして利用される。したがって、ウェハに対して実施される半導体作製プロセス中やその後に監視ウェハを検査することは、プロセスとそのプロセスに要する工具を認定するのに重要である。このように、検査システムを、監視ウェハの検査による歩留まりを確認するのに用いることができる工具認定(TQ)システムとして利用することができる。
【0112】
一実施形態では、本明細書に記載されている検査システムをプロセス工具に結合することができる。例えば、検査システムをプロセス工具内に配置することができる。いくつかの当該実施形態では、プロセスの工程の前、最中または後に製品ウェハを検査できるように、検査システムをプロセス工具に統合することができる。他の実施形態では、共通のハンドラ、共通の電源、共通のプロセッサまたは共通の環境によって、検査システムをプロセス工具に結合することができる。例えば、検査システムは、共通のハンドラによってプロセス工具に結合される個別のモジュールまたは工具であってもよい。
【0113】
さらに他の実施形態では、検査システムは、「独立型工具」、すなわちプロセス工具に物理的に結合されていない工具でありうる。しかし、そのような検査システムを、有線および無線部分を含むことができる伝達媒体によってプロセス工具に結合することができる。
【0114】
プロセス工具は、リソグラフィ工具、エッチング工具、堆積工具、研磨工具、メッキ工具、洗浄工具またはイオン注入工具のような当該技術分野で知られている任意のプロセス工具を含むことができる。プロセス工具は、「クラスタ工具」、または共通のハンドラによって結合されたいくつかのプロセス・モジュールである。フィードバック制御技術、フィードフォワード制御技術、または現場制御技術を用いてプロセスのパラメータまたはプロセスの工具を変えるのに検査の結果を利用することができる。
【0115】
本発明の様々な形態のさらなる改造および代替的な実施形態は、この説明により当業者にとって明らかになるであろう。例えば、パターン化と非パターン化ウェハあるいは他の検体を検査するためのシステムが提供される。よって、この説明は、例示のみと見なされるべきであり、本発明を実施する一般的な方法を当業者に教示することを目的としている。本明細書に示され、記載されている発明の形態は、現在好ましい実施形態ととらえられるべきであることを理解すべきである。本発明のこの説明の恩恵を有した後に当業者にとってすべて明らかになるように、要素や材料を本明細書に例示・記載されているものに代えることができ、部品とプロセスを逆にすることができ、本発明の特定の特徴を独立的に利用することができる。請求項に記載されている本発明の主旨と範囲を逸脱することなく、本明細書に記載されている要素に変更を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】検査システムの実施形態の側面図の部分概略図である。
【図2】検体に対して広い走査角度で光ビームを走査するように構成されている検査システムの実施形態の斜視図の部分概略図である。
【図3】図1に例示された実施形態の平面図の部分概略図である。
【図4】光の異なる部分を集光器からセグメント化された検出器に個別に伝えるように構成された複数のファイバーを含む検査システムの実施形態の側面図の部分概略図である。
【図5】本明細書に記載されているように構成された複数のファイバーの実施形態の断面図の概略図である。
【図6】異なる方位角度で散乱された光を集光するように構成された側方集光器を含む検査システムの実施形態の平面図の部分概略図である。
【図7】側方集光器の各々に結合された側方セグメント化された検出器を含む、図6に例示された実施形態の平面図の部分概略図である。
【図8】方位対称集光器を含む検査システムの実施形態の斜視図の部分概略図である。
【図9】2つの光のビームを検体に誘導するように構成されている検査システムの実施形態の側面図の部分概略図である。
【図10】2つの光のビームを検体に誘導するように構成されている検査システムの実施形態の平面図の部分概略図である。
【図11】垂線の入射角度で検体を照明するように構成されている検査システムの実施形態の側面図の部分概略図である。
【図12】検体の2つの表面上の欠陥を検出するように構成されている検査システムの実施形態の側面図の部分概略図である。
【図13】異なる形状、および異なる主軸の方向を有する欠陥を照明することによって生成された実測散乱パターンを示す図である。
【図14】異なる形状、および異なる主軸の方向を有する欠陥を照明することによって生成された実測散乱パターンを示す図である。
【図15】異なる形状、および異なる主軸の方向を有する欠陥を照明することによって生成された実測散乱パターンを示す図である。
【図16】異なる形状、および異なる主軸の方向を有する欠陥を照明することによって生成された実測散乱パターンを示す図である。
【図17】異なる形状、および異なる主軸の方向を有する欠陥を照明することによって生成された実測散乱パターンを示す図である。
【図18】異なる形状、および異なる主軸の方向を有する欠陥を照明することによって生成された実測散乱パターンを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を照明するように構成された照明システムと、
前記検体から散乱された光を集光するように構成された集光器と、
前記光の異なる部分に関する方位と極角情報が保存されるように、前記光の異なる部分を個別に検出するとともに、前記光の異なる部分を表す信号を生成するように構成されたセグメント化された検出器と、
信号から前記検体上の欠陥を検出するように構成されたプロセッサと
を備えた検査システム。
【請求項2】
前記集光器の軸は、垂線から60゜の角度から80°で入射平面の中心に配置される請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記集光器は、前記光のフーリエ濾過に好適なフーリエ平面を設ける請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記光の異なる部分を前記検出器に個別に伝えるように構成された複数のファイバーをさらに備える請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記検出器は、アレイ検出器を備える請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記検出器は、多陽極光増倍管を備える請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記集光器と異なる方位角度で散乱された光を集光するように構成された側方集光器と、その側方集光器によって集光された前記光の異なる部分に関する方位と極角情報が保存されるように、前記側方集光器によって集光された前記光の異なる部分を個別に検出するとともに、前記側方集光器によって集光された前記光の異なる部分を表す信号を生成するように構成された側方セグメント化された検出器とをさらに備える請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記照明システムは、さらに、前記検体に対して光ビームを走査することによって前記検体を照明するように構成されている請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記照明システムは、さらに、前記検体を並進・回転させながら、前記検体に対して広い走査角度で光ビームを走査することによって前記検体を照明するように構成されている請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記照明システムは、さらに、斜めの入射角度で前記検体を照明するように構成されている請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記照明システムは、さらに、異なる入射角度または異なる方位角度で前記検体に異なる光のビームを誘導することによって、前記検体を照明するように構成されている請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記照明システムは、さらに、前記検体上の1つのスポットに異なる光のビームを誘導することによって前記検体を照明するように構成されている請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記照明システムは、さらに、垂線の入射角度で前記検体を照明するように構成されている請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記照明システムは、さらに、前記検体を定常光ビームで照明するように構成されている請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
検査中に前記検体を回転・並進させるように構成されたステージをさらに備える請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
検査中に前記検体を2つの水平方向に並進させるように構成されたステージをさらに備える請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記検体は、パターン化ウェハを備える請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記照明システムは、さらに、前記検体の第1の面を照明するように構成され、前記システムは、前記検体の第2の面上の欠陥を検出するように構成された光学サブシステムをさらに備える請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
検体を照明するように構成された照明システムと、
前記検体から前方に散乱された光を集光するように構成された前方集光器と、
前記検体から前方と後方に散乱された光を集光するように構成された中央集光器と、
前記検体から後方に散乱された光を集光するように構成された後方集光器と、
前記前方集光器によって集光された前記光の異なる部分を、その光の異なる部分に関する方位と極角情報が保存されるように個別に検出するとともに、前記光の異なる部分を表す信号を生成するように構成されたセグメント化された検出器と、
前記信号から前記検体上の欠陥を検出するように構成されたプロセッサと
を備える検査システム。
【請求項20】
前記前方集光器の軸は、垂線から60゜の角度から80°で入射平面の中心に配置される請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記前方集光器は、前記前方集光器によって集光された前記光のフーリエ濾過に好適なフーリエ平面を備える請求項19に記載のシステム。
【請求項22】
前記前方、中央集光器と後方集光器の軸は、入射平面の中心に配置される請求項19に記載のシステム。
【請求項23】
前記光の異なる部分を前記検出器に個別に伝えるように構成された複数のファイバーをさらに備える請求項19に記載のシステム。
【請求項24】
前記検出器は、アレイ検出器を備える請求項19に記載のシステム。
【請求項25】
前記検出器は、多陽極光増倍管を備える請求項19に記載のシステム。
【請求項26】
前記前方集光器によって集光された前記光と異なる方位角度で前記検体から前方に散乱された光を集光するように構成された側方集光器と、その側方集光器によって集光された前記光に関する方位と極角情報が保存されるように、前記側方集光器によって集光された前記光の異なる部分を個別に検出するとともに、前記側方集光器によって集光された前記光の異なる部分を表す信号を生成するように構成された側方セグメント化された検出器とをさらに備える請求項19に記載のシステム。
【請求項27】
前記照明システムは、さらに、前記検体に対して光ビームを走査することによって前記検体を照明するように構成されている請求項19に記載のシステム。
【請求項28】
前記照明システムは、さらに、前記検体を並進・回転させながら、前記検体に対して広い走査角度で光ビームを走査することによって前記検体を照明するように構成されている請求項19に記載のシステム。
【請求項29】
前記照明システムは、さらに、異なる光のビームを異なる斜めの入射角度、または異なる方位角度で前記検体に誘導することによって前記検体を照明するように構成されている請求項19に記載のシステム。
【請求項30】
前記照明システムは、さらに、前記検体上の1つのスポットに異なる光のビームを誘導することによって前記検体を照明するように構成されている請求項19に記載のシステム。
【請求項31】
前記照明システムは、さらに、垂線の入射角度で前記検体を照明するように構成されている請求項19に記載のシステム。
【請求項32】
前記照明システムは、さらに、前記検体を定常光ビームで照明するように構成されている請求項19に記載のシステム。
【請求項33】
検査中に前記検体を回転・並進させるように構成されたステージをさらに備える請求項19に記載のシステム。
【請求項34】
検査中に前記検体を2つの水平方向に並進させるように構成されたステージをさらに備える請求項19に記載のシステム。
【請求項35】
前記検体は、パターン化ウェハを備える請求項19に記載のシステム。
【請求項36】
前記照明システムは、さらに、前記検体の第1の面を照明するように構成され、前記システムは、前記検体の第2の面上の欠陥を検出するように構成された光学サブシステムをさらに備える請求項19に記載のシステム。
【請求項37】
パターン化ウェハからなる検体を回転・並進させるように構成されたステージと、
前記検体を回転させ並進させている間に広い走査パスで前記検体を走査するように構成された照明システムと、
前記検体から散乱された光を集光するように構成された集光器と、
前記光の異なる部分に関する方位角度情報が保存されるように、その光の異なる部分を個別に検出するとともに、前記光の異なる部分を表す信号を生成するように構成されたセグメント化された検出器と、
前記信号から前記検体上の欠陥を検出するように構成されたプロセッサと
を備えた検査システム。
【請求項38】
前記広い走査パスは、0.1ラジアンより大きい請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
前記照明システムは、音響光学偏光器を備える請求項37に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2007−526444(P2007−526444A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515188(P2006−515188)
【出願日】平成16年6月4日(2004.6.4)
【国際出願番号】PCT/US2004/017707
【国際公開番号】WO2004/111623
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(500049141)ケーエルエー−テンカー テクノロジィース コーポレイション (126)
【Fターム(参考)】