説明

半導体装置の製造方法

【課題】半導体装置において隣接するポリシリコンパッド間のショートを防止する技術を提供する。
【解決手段】半導体装置の製造方法は、(a)第1絶縁膜13を介して下面を基板1表面に接するサイドウォール12、13、14を備えるゲート21を、基板1上に形成する工程と、(b)ゲート21間において、基板1内の拡散領域41上にエピタキシャル膜31を形成する工程と、(c)拡散領域41間に隣接する素子分離領域上に第2絶縁膜32、33を形成する工程と、(d)拡散領域41のエピタキシャル膜31上にコンタクトプラグ11を形成する工程とを具備する。(c)工程は、(c1)第2絶縁膜32、33の膜厚が第1絶縁膜13よりも厚くなるように第2絶縁膜32、33を形成する工程を備えていても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、特にに関する。
【背景技術】
【0002】
MOSトランジスタのゲート層間のコンタクト形成方法として、ゲート配線に対し、SAC(Self Align Contact)方式の酸化膜ホールエッチングを行なう方法が知られている。しかし、デバイスの微細化が進み、ゲート間隔が狭くなることにより、酸化膜ホールエッチング時のホール(孔)の開口性とゲート配線上の窒化シリコンに対する選択性の両立が困難になってきている。そのため、0.08μmプロセスDRAMの開発においては、新規に、ポリシリコンを円柱状に加工して、コンタクト部を形成する方法を取り入れようとしている。
【0003】
図1及び図2は、それぞれ従来のコンタクト部を示す概略断面図及び概略平面図である。ここで、図1は、図2におけるAA’断面である。ゲート121形成後にコンタクト部としてのポリシリコンパッド111を形成した様子を示している。ここで、ゲート121は、基板101上に設けられた薄膜酸化シリコン膜110、ポリシリコン膜117、窒化シリコン膜119、タングステン窒化シリコン膜118、タングステン膜116、窒化シリコン115、窒化シリコン膜112、酸化シリコン膜113、窒化シリコン膜114、拡散領域(図示されず)を備える。
【0004】
薄膜酸化シリコン膜110は、基板101又はその内部に設けられたウェル(図示されず)のチャネル領域の表面に形成されたゲート酸化膜である。ポリシリコン膜117は、薄膜酸化シリコン膜110上に形成されたゲート電極である。窒化シリコン膜119及びタングステン窒化シリコン膜118は、ポリシリコン膜117上にこの順に形成されたバッファ層である。タングステン膜116は、タングステン窒化シリコン膜118上を通るように形成されたゲート配線である。窒化シリコン115は、タングステン膜116を覆うように設けられている。窒化シリコン膜114は、窒化シリコン膜115及びタングステン膜116の側面を覆うように設けられている。酸化シリコン膜113は、窒化シリコン膜115、タングステン膜116及びポリシリコン膜117の側面、及びチャネル領域端部の基板101の表面を覆うように設けられている。窒化シリコン膜112は、酸化シリコン膜113の側面及び上面を覆うように設けられている。窒化シリコン膜114、窒化シリコン膜112及び酸化シリコン膜113は、ゲート121のサイドウォールを形成している。拡散領域(図示されず)は、基板101表面近傍に設けられ、ゲート121のソース電極及びドレインを形成している。
【0005】
ここで、ポリシリコンパッド111を形成するためのポリシリコン膜を成膜するとき、前処理の洗浄により、サイドウォールとしての窒化シリコン膜112下の酸化シリコン膜113の一部(P領域の端部)がエッチングされ、窒化シリコン膜112下に空洞ができる場合がある。その場合、ポリシリコンパッド111用のポリシリコン膜を成膜すると、その空洞にポリシリコン膜131が入り込む。そうなると、ポリシリコンパッド111加工時のドライエッチングで、その空洞のポリシリコン膜131を取り切ることができず、エッチ残りとなる。その結果、隣り合うポリシリコンパッド111がポリシリコン膜131によりショートされてしまう。
【0006】
図3及び図4は、それぞれ従来のコンタクト部を示す概略断面図及び概略平面図である。ここで、図3は、図4におけるBB’断面である。ゲート121形成後にコンタクト部としてのポリシリコンパッド111を形成した様子を示している。各部の構成は、図1及び図2の場合と同様である。
【0007】
ここで、ポリシリコンパッド111を形成するためのポリシリコン膜を成膜するとき、前処理の洗浄により、サイドウォールとしての窒化シリコン膜112の側面下端部は垂直形状又はオーバーハング形状にエッチングされる場合がある。その場合、ポリシリコンパッド111用のポリシリコン膜を成膜すると、その垂直又はオーバーハングな部分のポリシリコン膜134は、ポリシリコンパッド111加工時のドライエッチングで、除去することが難しく、エッチ残りとなり易い。その結果、隣り合うポリシリコンパッド111がポリシリコン膜134によりショートされてしまう。
隣接するポリシリコンパッド間のショートを防止する技術が望まれる。
【0008】
関連する技術として、特開2004−119644号公報に、半導体装置の製造方法及び半導体装置が開示されている。この半導体装置の製造方法は、(a)露出している第1の不純物領域を主面内に有するとともに、その側方に第1の絶縁膜が設けられたゲート電極を含むゲートを前記主面上に有する半導体基板を準備する工程と、(b)前記ゲート電極との間に前記第1の絶縁膜が介在するように、前記第1の不純物領域上にエピタキシャル層を形成する工程と、(c)前記ゲート電極の側方と、前記エピタキシャル層の上面全体とに第2の絶縁膜を形成する工程と、(d)前記工程(c)の実行によって得られた構造の上面上に層間絶縁膜を形成する工程と、(e)前記第2の絶縁膜をエッチングストッパに用いて前記層間絶縁膜をエッチングし、前記ゲート電極との間に前記第2の絶縁膜が介在し、かつ前記エピタキシャル層上の前記第2の絶縁膜に達する第1のコンタクトホールを前記層間絶縁膜に形成する工程と、(f)前記工程(e)の実行によって露出した前記第2の絶縁膜をエッチングして、前記エピタキシャル層に達する第2のコンタクトホールを前記第2の絶縁膜に形成する工程と、(g)前記第1,2のコンタクトホールを充填するコンタクトプラグを形成する工程とを備える。
【0009】
【特許文献1】特開2004−119644号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の目的は、隣接するポリシリコンパッド間のショートを防止することが可能な半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0011】
また、本発明の他の目的は、半導体装置の製造歩留まりを向上することが可能な半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以下に、発明を実施するための最良の形態で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための最良の形態との対応関係を明らかにするために括弧付きで付加されたものである。ただし、それらの番号・符号を、特許請求の範囲に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の半導体装置の製造方法は、(a)第1絶縁膜(13)を介して下面を基板(1)表面に接するサイドウォール(12、13、14)を備えるゲート(21)を、基板(1)上に形成する工程と、(b)ゲート(21)間において、基板(1)内の拡散領域(41)上にエピタキシャル膜(31)を形成する工程と、(c)拡散領域(41)間に隣接する素子分離領域(42)上にエピタキシャル膜(31)と同程度の膜厚で第2絶縁膜(32、33)を形成する工程と、(d)導電性膜を形成後に柱状に加工して、拡散領域(41)のエピタキシャル膜(31)上にコンタクトプラグ(11)を形成する工程とを具備する。
本発明では、コンタクトプラグ(11)の形成前に、素子分離領域(42)上に第2絶縁膜(32、33)を形成する。すなわち、これらの膜により、並列するゲート(21)間における第1絶縁膜(13)の空洞部(51)やサイドウォール(12、13、14)のオーバーハング部分のような、導電膜が残りやすい部分を予め覆っておく。それにより、その後にコンタクトプラグ(11)用の導電膜を形成して、コンタクトプラグ形状にエッチングしても、空洞部(51)やオーバーハング部分に当該導電膜がエッチング不十分により残るという現象がなくなり、コンタクトプラグ(11)間で発生するショートを防止することが出来る。なお、エピタキシャル膜(31)と第2絶縁膜(32、33)との膜厚が同程度というのは、必ずしも膜厚が等しい必要は無く、所定の範囲での相違は許容される。
【0014】
上記の半導体装置の製造方法において、(b)工程は、(b1)エピタキシャル膜(31)の膜厚が第1絶縁膜(13)よりも厚く、かつゲート(21)の側壁にエピタキシャル膜(31)が成長しないようにエピタキシャル膜(31)を形成する工程を備えることが好ましい。
本発明において、エピタキシャル膜(31)の膜厚を第1絶縁膜(13)よりも厚くすることで、確実にエピタキシャル膜(31)及び第2絶縁膜(32、33)が第1絶縁膜(13)の空洞部(51)を覆うことが出来る。
【0015】
上記の半導体装置の製造方法において、(c)工程は、(c1)第2絶縁膜(32、33)の膜厚が第1絶縁膜(13)よりも厚くなるように第2絶縁膜(32、33)を形成する工程を備えることが好ましい。
本発明において、第2絶縁膜(32、33)の膜厚を第1絶縁膜(13)よりも厚くすることで、より確実に第2絶縁膜(32、33)が第1絶縁膜(13)の空洞部(51)を覆うことが出来る。
【0016】
上記の半導体装置の製造方法において、(b)工程は、(b2)エピタキシャル膜(31)の膜厚が、ゲート(21)の側壁がオーバーハングした高さよりも厚くなるように形成する工程を含むことが好ましい。
本発明において、エピタキシャル膜(31)の膜厚をゲート(21)の側壁がオーバーハングした高さよりも厚くすることで、確実にエピタキシャル膜(31)及び第2絶縁膜(32、33)がサイドウォール(12、13、14)のオーバーハング部分を覆うことが出来る。
【0017】
上記の半導体装置の製造方法において、(c)工程は、(c2)第2絶縁膜(32、33)の膜厚がゲート(21)の側壁がオーバーハングした高さよりも厚くなるように第2絶縁膜(32、33)を形成する工程を備えることが好ましい。
本発明において、第2絶縁膜(32、33)の膜厚をゲート(21)の側壁がオーバーハングした高さよりも厚くすることで、より確実に第2絶縁膜(32、33)がサイドウォール(12、13、14)のオーバーハング部分を覆うことが出来る。
【0018】
上記の半導体装置の製造方法において、(c)工程は、(c3)ゲート(21)の側面とエピタキシャル膜(31)の表面と素子分離領域(42)の表面とを覆うように第2絶縁膜(32、33)を形成する工程と、(c4)拡散領域(41)上はエピタキシャル膜(31)の表面が露出し、素子分離領域(42)上は第2絶縁膜(32、33)が残るように、エッチングする工程とを備えることが好ましい。
本発明において、エピタキシャル膜(31)を露出させることでその上にコンタクトプラグを形成することが出来ると共に、素子分離領域(42)上に第2絶縁膜(32、33)が残っているので、コンタクトプラグ用の膜が空洞部(51)に入ることを防止できる。
【0019】
上記の半導体装置の製造方法において、(c3)工程は、(c31)ゲート(21)の側面とエピタキシャル膜(31)の表面と素子分離領域(42)の表面を覆うように第3絶縁膜(33)を形成する工程と、(c32)第3絶縁膜(33)の表面を覆うように第4絶縁膜(32)を形成する工程とを含むことが好ましい。(c4)工程は、(c41)拡散領域(41)上は第3絶縁膜(33)の表面が露出するように、素子分離領域(42)上は第4絶縁膜(32)の高さと拡散領域(41)上の第3絶縁膜(33)の表面の高さとが等しくなるように、第4絶縁膜(32)をエッチングする工程と、(c42)エピタキシャル膜(31)の表面が露出するように、第3絶縁膜(33)をエッチングする工程とを含むことが好ましい。
本発明では、第2絶縁膜(32、33)が第3絶縁膜(33)と第4絶縁膜(32)の2層になっているので、第3絶縁膜(33)を(c41)工程のエッチングストッパとして用いることが出来る。
【0020】
上記の半導体装置の製造方法において、第4絶縁膜(32)は、リフロー性の高い材料を用いて形成される酸化膜である。(c32)ステップは、(c321)第4絶縁膜(32)をリフローして、第4絶縁膜(32)の表面を基板(1)の表面に対して略平坦化する工程を含むことが好ましい。
本発明では、第4絶縁膜(32)の表面を平坦化することで、第4絶縁膜(32)のエッチング量の制御を容易にすることが出来る。
【0021】
上記の半導体装置の製造方法において、(c41)工程は、(c411)第4絶縁膜(32)をウエットエッチングでエッチングする工程を含むことが好ましい。
本発明では、第4絶縁膜(32)の表面が平坦化されているので、ウエットエッチングで第4絶縁膜(32)のエッチング量の制御を容易にすることが出来る。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、半導体装置において隣接するポリシリコンパッド間のショートを防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の半導体装置の製造方法の実施の形態に関して、添付図面を参照して説明する。図5は、本発明の半導体装置の製造方法を用いて製造された半導体装置の実施の形態の構成を示す概略平面図である。以下の説明では、図中、二つのゲート21間において本発明を適用した例を示すが、更に他のゲート21間に対しても同様に適用される。この半導体装置は、ゲート21、ポリシリコンパッド11、酸化シリコン膜32、薄膜窒化シリコン膜33を具備する。
【0024】
ゲート21は、MOSトランジスタを含む。詳細は後述する。ポリシリコンパッド11は、ゲート21のソース電極/ドレイン電極と配線とを接続するコンタクト部である。ポリシリコンで形成されている。ポリシリコンパッド11は、MOSトランジスタの拡散領域(ソース電極及びドレイン電極:図示されず、後述)上に形成されている。
【0025】
酸化シリコン膜32及び薄膜窒化シリコン膜33は、隣り合うポリシリコンパッド11同士を絶縁する。酸化シリコン膜32及び薄膜窒化シリコン膜33は、隣り合うポリシリコンパッド11間、すなわち、MOSトランジスタを分離する素子分離領域(図示されず、後述)上に設けられている。薄膜窒化シリコン膜33は、ポリシリコンパッド11と酸化シリコン膜32との間、ゲート21と酸化シリコン膜32との間、酸化シリコン膜32と素子分離領域間にぞれぞれ設けられている。薄膜窒化シリコン膜33と酸化シリコン膜32上で、シリコンパッド11とゲート21とで囲まれた領域には、図示されない層間絶縁膜が形成される。
【0026】
図6は、図5に示す半導体装置におけるAA’断面を示す概略図である。ゲート21形成後、選択エピタキシャル成長膜31と、薄膜窒化シリコン膜33及び酸化シリコン膜32(図示されず)とを形成した後、コンタクト部としてのポリシリコンパッド11を形成した様子を示している。半導体装置は、ゲート21、選択エピタキシャル成長層31、ポリシリコンパッド11を具備する。
【0027】
ゲート21は、図1や図3におけるゲート121と同じである。すなわち、ゲート21は、シリコンに例示される基板1上に設けられた薄膜酸化シリコン膜10、ポリシリコン膜17、窒化シリコン膜19、タングステン窒化シリコン膜18、タングステン膜16、窒化シリコン15、窒化シリコン膜12、酸化シリコン膜13、窒化シリコン膜14、拡散領域41を備える。
【0028】
薄膜酸化シリコン膜10は、基板1又はその内部に設けられたウェル(図示されず)のチャネル領域の表面に形成されたゲート酸化膜である。ポリシリコン膜17は、薄膜酸化シリコン膜10上に形成されたゲート電極である。拡散領域41は、基板1表面近傍のチャネル領域の両側に設けられた、ソース電極及びドレイン電極である。すなわち、薄膜酸化シリコン膜10、ポリシリコン膜17及び拡散領域41でMOSトランジスタを構成している。
【0029】
窒化シリコン膜19及びタングステン窒化シリコン膜18は、ポリシリコン膜17上にこの順に形成されたバッファ層である。タングステン膜16は、タングステン窒化シリコン膜18上を通るように形成されたゲート配線である。窒化シリコン15は、タングステン膜16を覆うように設けられている。窒化シリコン膜14は、窒化シリコン膜15及びタングステン膜16の側面を覆うように設けられている。酸化シリコン膜13は、窒化シリコン膜14を介して窒化シリコン膜15及びタングステン膜16の側面を覆い、ポリシリコン膜17の側面を覆い、且つチャネル領域端部の基板1の表面を覆うように設けられている。窒化シリコン膜12は、酸化シリコン膜13の側面及び上面を覆うように設けられている。窒化シリコン膜14、酸化シリコン膜13及び窒化シリコン膜12は、ゲート21のサイドウォールを形成している。
【0030】
選択エピタキシャル成長層31は、ポリシリコンパッド11と拡散領域41とを接続する。拡散領域41のシリコン表面から選択エピタキシャル成長により形成されたシリコン膜である。拡散領域41上にのみ成長し、素子分離領域(STI(Shallow Trench Insulation)埋め込み酸化膜:後述)上には成長しない。
【0031】
選択エピタキシャル成長層31の膜厚は、少なくとも窒化シリコン膜12下の酸化シリコン膜13の膜厚(5nm〜15nm、典型的には10nm)より厚いことが好ましい。後述されるように、図1に示すポリシリコン膜131が形成されることを防止できるように、薄膜窒化シリコン膜33及び酸化シリコン膜32の基板1表面からの高さを酸化シリコン膜13の膜厚より厚くするためである。
【0032】
更に、選択エピタキシャル成長層31の膜厚は、ポリシリコンパッド11のエッチングの際、エッチ残りとしてポリシリコン膜134が発生しやすい領域よりも厚いことがより好ましい。後述されるように、図3に示すポリシリコン膜134が形成されることを防止できるように、薄膜窒化シリコン膜33及び酸化シリコン膜32の基板1表面からの高さをポリシリコン膜134が発生しやすい領域よりも厚くするためである。すなわち、基板1の表面から20nm以上の厚みであることが好ましく、より好ましくは30nm以上である。
【0033】
一方、エピタキシャル成長させる膜厚が厚いほど、選択性の崩れから窒化シリコン膜12上にシリコンが成長する異常成長の発生数が増加する。加えて、エピタキシャル成長は真上方向だけではなく、横方向へも成長するため、成長膜厚が厚すぎるとエピタキシャル成長部分同士のショートが発生する。そのため、成長膜厚は100nm程度以下が好ましく、より好ましくは50nm以下である。
【0034】
ポリシリコンパッド11は、MOSトランジスタの拡散領域41と上部配線(図示されず)とを選択エピタキシャル成長層31を介して接続する。
【0035】
図7は、図5に示す半導体装置におけるBB’断面を示す概略図である。図6と同様、ゲート21形成後、選択エピタキシャル成長膜31(図示されず)と、薄膜窒化シリコン膜33及び酸化シリコン膜32とを形成した後、コンタクト部としてのポリシリコンパッド11を形成した様子を示している。この図では、MOSトランジスタを電気的に分離する素子分離領域42(STI埋め込み酸化膜)上の構造を示している。半導体装置は、ゲート21、薄膜窒化シリコン膜33、酸化シリコン膜32を具備する。ゲート21は、図6に示す通りである。
【0036】
薄膜窒化シリコン膜33は、隣り合うゲート21間に、素子分離領域42の表面及び窒化シリコン膜12の側面下部を覆うように設けられている。薄膜窒化シリコン33は、後述されるように、酸化シリコン膜32をウエットエッチングする際に、ゲート21のサイドウォールの薄膜酸化シリコン膜13(ゲート21の上部)がエッチングされることを防止するために形成される。その膜厚は、10〜20nmが良い。その下限値は、膜厚の制御が可能な最低の膜厚である。その上限値は、その後のエッチングによりエピタキシャル成長したシリコン面を露出させるのに容易(例示:時間的に短い、条件的に制御しやすい)な膜厚である。
【0037】
酸化シリコン膜32は、薄膜窒化シリコン膜33と共に、薄膜酸化シリコン膜13(窒化シリコン膜12の下部)の一部エッチングされた部分、及び窒化シリコン膜12の側面下部のオーバーハング形状となった部分を覆う。このような図1のポリシリコン膜131や図3のポリシリコン膜134の発生しやすい部分を予め絶縁膜で覆うことで、ポリシリコンパッド11用のポリシリコン膜が当該部分に成膜されることを避けることが出来る。それにより、図1のポリシリコン膜131や図3のポリシリコン膜134の発生を防止でき、ポリシリコンパッド11同士のショートを防止できる。後述されるように、酸化シリコン膜32の膜厚は、選択エピタキシャル成長層31の膜厚と概ね同程度である。これは、ポリシリコンを円柱状に加工してコンタクト部(ポリシリコンパッド11)を形成する方法を用いるためである。
【0038】
次に、本発明の半導体装置の製造方法の実施の形態について説明する。 図8〜図17は、本発明の半導体装置の製造方法の実施の形態の各工程における半導体装置の状態を示す平面図又は断面図である。ここでは、窒化シリコン膜12下部の酸化シリコン膜13の一部がエッチングされた場合について説明するが、窒化シリコン膜12の側面下部がオーバーハング形状になった場合にも同様に適用可能である。
【0039】
図8は、ゲート21を基板1上に形成した状態の製造途中の半導体装置の断面図を示している。ゲート21の構成は、既述の通りである。ゲート21の製造方法は、従来知られた方法を用いることが出来るので、ここでは省略する。図9は、図8の半導体装置の平面図を示している。なお、図8は図9のAA’断面図である。隣接するゲート21間に、拡散領域41と素子分離領域42とが交互に露出している。
【0040】
図8及び図9の状態において、例えば、洗浄を行うために洗浄液中に基板1を浸漬した場合、サイドウォールの窒化シリコン膜12下の酸化シリコン膜13の端部が一部エッチングされることがある。その様子を示しているのが図10である。図10は、洗浄液中に浸漬後の製造途中の半導体装置の断面図を示している。酸化シリコン膜13の端部が一部エッチングされ、空洞部51が形成される。図11は、図10の半導体装置の平面図を示している。隣り合う拡散領域41を繋ぐように、空洞部51が形成される。この場合、従来の方法で半導体装置の製造を継続すれば、図1及び図2のような状況になる。また、図示しないが、サイドウォールの窒化シリコン膜12の側面がオーバーエッチされると、従来の方法で半導体装置の製造を継続れば、図3及び図4のような状況になる。なお、図10は図11のAA’断面図である。
【0041】
まず、図10及び図11の状態において、選択エピタキシャル成長により、拡散領域41上にシリコンの選択エピタキシャル成長膜31を成長させる。その成長方法は、その成長方法は、例えばSiHCl,H,HClの混合ガスを原料とした低圧CVD法を用いて、50Torr、基板温度850℃の条件で行なう。その膜厚の上限及び下限は上述のとおりである。典型的には、40nmである。その様子を示しているのが図12である。図12は、選択エピタキシャル成長膜31を成長後の製造途中の半導体装置の断面図を示している。拡散領域41上に選択エピタキシャル成長膜31が形成されている。図13は、図12の半導体装置の平面図を示している。拡散領域41上の空洞部51を埋めるように、選択エピタキシャル成長膜31が拡散領域41上に形成される。なお、図12は図13のAA’断面図である。図14は、図13のCC’断面図である。拡散領域41上に選択エピタキシャル成長膜31が形成されている一方、素子分離領域42上には選択エピタキシャル成長層31が形成されていない。すなわち、拡散領域41のシリコンの基板1上にのみ成長し、素子分離領域42(STI埋め込み酸化膜)上には成長しない。
【0042】
次に、図12〜図14の状態において、ゲート21、選択エピタキシャル成長膜31及び素子分離領域42の表面を覆うように、全面に薄膜窒化シリコン膜33を形成する。その成膜方法は、例えばSiHCl,NHの混合ガスを原料とした低圧CVD法を用いて2Torr、680℃の条件で行なう。ここで、薄膜窒化シリコン膜33は酸化シリコン膜32のウエットエッチング(後述)の際、ゲート21のサイドウォール中の酸化シリコン膜13がエッチングされることを防止するために形成している。その後、薄膜窒化シリコン膜33を覆うように酸化シリコン膜32を形成する。この酸化シリコン膜はリフロー性の高いものが適切である。例えば、ポリシラザン(無機SOG(Spin On Glass))成膜後にスチーム処理を行なって表面を平坦にしたもの、BPSG(Boro−Phospho Silicate Glass)成膜後にアニール処理を行なって表面を平坦にしたもの、及びO−TEOS(Tetraethoxysilane)成膜後にアニール処理を行なって表面を平坦にしたものである。各成膜方法は、BPSGにおいては例えば、TEOS(テトラエトキシシラン)、TEPO(テトラエトキシホスフェート)、TEB(テトラエトキシボレート)、O,Oの混合ガスを用いて600Torr,480℃の条件で成膜する。また、O−TEOSにおいては例えば、O,TEOS(テトラエトキシシラン)の混合ガスを用いて、600Torr,540℃の条件で成膜する。
【0043】
続いて、HF等の酸化膜ウエットエッチング液を用いて、酸化シリコン膜32をエッチングする。そのエッチング条件は、例えばHF:HO=1:100の濃度のエッチング液を用いる。なお、エッチング時間は、時間を変えたサンプルを作製し、断面SEM観察結果から、最適な時間を求める。エッチング量は、選択エピタキシャル成長膜31上の薄膜窒化シリコン膜33表面がウエーハ全面で現われるように設定する。それにより、薄膜窒化シリコン膜33と酸化シリコン膜32とを合わせた膜厚(基板1表面からの高さ)は、選択エピタキシャル成長膜31と薄膜窒化シリコン膜33とを合わせた膜厚と概ね同程度となる。すなわち、酸化シリコン膜32の膜厚は、選択エピタキシャル成長層31の膜厚と同程度である。
【0044】
その後、薄膜窒化シリコン膜33をエッチバックして選択エピタキシャル成長した選択エピタキシャル成長膜31の表面を露出させる。そのエッチバック方法は、例えば、平行平板型RIE装置を用い、CF/CHF/Ar/Oの混合ガスを用いて圧力40mTorr,RFパワー300Wの条件で行なう。その様子を示しているのが図15である。図15は、酸化シリコン膜32及び薄膜窒化シリコン膜33をエッチング後の製造途中の半導体装置の断面図を示している。素子分離領域42上に薄膜窒化シリコン膜33及び酸化シリコン膜32が形成されている。これにより、選択エピタキシャル成長膜31の表面の高さは、酸化シリコン膜32の表面の高さよりも薄膜窒化シリコン膜33の分だけ低くなる。しかし、薄膜窒化シリコン膜33が非常に薄い場合には、概ね同程度の高さ(膜厚)となる。選択エピタキシャル成長膜31と薄膜窒化シリコン膜33及び酸化シリコン膜32との膜厚が同程度というのは、必ずしも膜厚が等しい必要は無く、所定の範囲、例えば±50%の範囲の相違は許容される。この範囲は、ポリシリコンを円柱状に加工してコンタクト部(ポリシリコンパッド11)を形成する方法には影響は無い範囲である。図16は、図15の半導体装置の平面図を示している。素子分離領域42上の空洞部51を埋めるように、薄膜窒化シリコン膜33及び酸化シリコン膜32が素子分離領域42に形成される。なお、図15は図16のBB’断面図である。図17は、図16のCC’断面図である。素子分離領域42上に薄膜窒化シリコン膜33及び酸化シリコン膜32が形成されている一方、拡散領域41上には選択エピタキシャル成長層31が形成されている。
【0045】
その後、図15〜図17の状態において、ゲート21、選択エピタキシャル成長膜31、薄膜窒化シリコン膜33及び酸化シリコン膜32の表面を覆うように、ポリシリコンパッド11形成用のポリシリコンを全面に形成する。その成膜方法は、例えば、SiH4を原料ガスとした低圧CVD法を用いて、9Torr,530℃の条件で行なう。続いて、ホトリソグラフィにてレジストパターンを形成後、ドライエッチングにて円柱状に加工してポリシリコンパッド11を形成する。そのエッチング方法は、例えば、マイクロ波エッチング装置を用いて、HBr、O2ガスの混合ガスを用いて、圧力30mTorr、マイクロ波パワー500W,RFパワー50Wで行なう。このとき、ゲート21間の空間下部には、選択エピタキシャル成長膜31、又は、薄膜窒化シリコン膜33及び酸化シリコン膜32が形成されている。そのため、ゲート21のサイドウォールの窒化シリコン膜12下、及び、薄膜窒化シリコン膜33及び酸化シリコン膜32の側壁下端の垂直部にエッチ残りは発生しない。よって、ポリシリコンパッ11ド間のショートの発生を防止することが出来る。
【0046】
その後、ポリシリコンパッド11間に層間絶縁膜を形成することにより、図5〜図7に示すような半導体装置が製造される。
【0047】
本発明により、サイドウォールの窒化シリコン膜12下の酸化シリコン膜13がサイドエッチされて空洞部51ができても、ゲート間を絶縁性の薄膜窒化シリコン膜33及び酸化シリコン膜32で埋め込むため、図1及び図2で示すようなポリシリコンパッド11間のショートが発生しなくなる。選択エピタキシャル成長膜31は窒化シリコン膜12下にも成長する可能性があるが、拡散領域41のみであり、ポリシリコンパッド11間ショートにはならない。
【0048】
更に、本発明により、サイドウォールの窒化シリコン膜12側壁下端の垂直部が選択エピタキシャル成長膜31、薄膜窒化シリコン膜33及び酸化シリコン膜32にて埋め込まれるため、図3及び図4で示すようなポリシリコンパッド11用ポリシリコンのエッチ残りが発生しない。よって、ポリシリコンパッド11間のショートが発生しなくなる。
【0049】
本発明は、配線間にコンタクトを形成する工程において、コンタクトの形成方法が導電性膜を成膜後、エッチングによりパッド状のコンタクトを形成する様な工程に利用することができる。導電性膜はポリシリコンに限らず、タングステン等の金属でも良い。また、コンタクトの下部はシリコン基板上のみではなく、ポリシリコンでも良い。
【0050】
本発明は上記各実施例に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施例は適宜変形又は変更され得ることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は、従来のコンタクト部を示す概略断面図である。
【図2】図2は、従来のコンタクト部を示す概略平面図である。
【図3】図3は、従来のコンタクト部を示す概略断面図である。
【図4】図4は、従来のコンタクト部を示す概略平面図である。
【図5】図5は、本発明の半導体装置の製造方法を用いて製造された半導体装置の実施の形態の構成を示す概略平面図である。
【図6】図6は、図5に示す半導体装置におけるAA’断面を示す概略図である。
【図7】図7は、図5に示す半導体装置におけるBB’断面を示す概略図である。
【図8】図8は、本発明の半導体装置の製造方法の実施の形態の工程における半導体装置の状態を示す断面図である。
【図9】図9は、図8に示す半導体装置の平面図である。
【図10】図10は、本発明の半導体装置の製造方法の実施の形態の工程における半導体装置の状態を示す断面図である。
【図11】図11は、図10に示す半導体装置の平面図である。
【図12】図12は、本発明の半導体装置の製造方法の実施の形態の工程における半導体装置の状態を示す断面図である。
【図13】図13は、図12に示す半導体装置の平面図である。
【図14】図14は、図12に示す半導体装置の断面図である。
【図15】図15は、本発明の半導体装置の製造方法の実施の形態の工程における半導体装置の状態を示す断面図である。
【図16】図16は、図15に示す半導体装置の平面図である。
【図17】図17は、図15に示す半導体装置の断面図である。
【符号の説明】
【0052】
1、101 基板
10、110 薄膜酸化シリコン膜
11、111 ポリシリコンパッド
12、112 窒化シリコン膜
13、113 酸化シリコン膜
14、114 窒化シリコン膜
15、115 窒化シリコン
16、116 タングステン膜
17、117 ポリシリコン膜
18、118 タングステン窒化シリコン膜
19、119 窒化シリコン膜
21、121 ゲート
31 選択エピタキシャル成長膜
32 酸化シリコン膜
33 薄膜窒化シリコン膜
41 拡散領域
42 素子分離領域
51 空洞部
131、134 ポリシリコン膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)第1絶縁膜を介して下面を基板表面に接するサイドウォールを備えるゲートを、前記基板上に形成する工程と、
(b)前記ゲート間において、前記基板内の拡散領域上にエピタキシャル膜を形成する工程と、
(c)前記拡散領域間の素子分離領域上に前記エピタキシャル膜と同程度の膜厚で第2絶縁膜を形成する工程と、
(d)導電性膜を形成後に柱状に加工して、前記拡散領域の前記エピタキシャル膜上にコンタクトプラグを形成する工程と
を具備する
半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(b)工程は、
(b1)前記エピタキシャル膜の膜厚が前記第1絶縁膜よりも厚く、かつ前記ゲートの側壁に前記エピタキシャル膜が成長しないように前記前記エピタキシャル膜を形成する工程を備える
半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(c)工程は、
(c1)前記第2絶縁膜の膜厚が前記第1絶縁膜よりも厚くなるように第2絶縁膜を形成する工程を備える
半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項2に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(b)工程は、
(b2)前記エピタキシャル膜の膜厚が、前記ゲートの側壁がオーバーハングした高さよりも厚くなるように形成する工程を含む
半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(c)工程は、
(c2)前記第2絶縁膜の膜厚が前記ゲートの側壁がオーバーハングした高さよりも厚くなるように第2絶縁膜を形成する工程を備える
半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(c)工程は、
(c3)前記ゲートの側面と前記エピタキシャル膜の表面と前記素子分離領域の表面とを覆うように前記第2絶縁膜を形成する工程と、
(c4)前記拡散領域上は前記エピタキシャル膜の表面が露出し、前記素子分離領域上は前記第2絶縁膜が残るように、エッチングする工程と
を備える
半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(c3)工程は、
(c31)前記ゲートの側面と前記エピタキシャル膜の表面と前記素子分離領域の表面を覆うように第3絶縁膜を形成する工程と、
(c32)前記第3絶縁膜の表面を覆うように第4絶縁膜を形成する工程と
を含み、
前記(c4)工程は、
(c41)前記拡散領域上は前記第3絶縁膜の表面が露出するように、前記素子分離領域上は前記第4絶縁膜の高さと前記拡散領域上の前記第3絶縁膜の表面の高さとが等しくなるように、前記第4絶縁膜をエッチングする工程と、
(c42)前記エピタキシャル膜の表面が露出するように、前記第3絶縁膜をエッチングする工程と
を含む
半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第4絶縁膜は、リフロー性の高い材料を用いて形成される酸化膜であり、
前記(c32)工程は、
(c321)前記第4絶縁膜を前記リフローして、前記第4絶縁膜の表面を前記基板の表面に対して略平坦化する工程を含む
半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(c41)工程は、
(c411)前記第4絶縁膜をウエットエッチングでエッチングする工程を含む
半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−47720(P2008−47720A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−222237(P2006−222237)
【出願日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】