説明

応力印加チャネル領域を有する電界効果トランジスタを備えた半導体構造の形成方法

半導体構造の製造方法は、第1トランジスタ素子および第2トランジスタ素子を有する半導体基板を提供するステップを有する。前記第1トランジスタ素子は少なくとも1つの第1アモルファス領域を含み、前記第2トランジスタ素子は少なくとも1つの第2アモルファス領域を含む。前記第1トランジスタ素子の上に応力発生層が形成される。前記応力発生層は、前記第2トランジスタ素子は覆わない。第1アニールプロセスが実施される。前記第1アニールプロセスは、前記第1アモルファス領域および前記第2アモルファス領域を再結晶化させるために適合されている。前記第1アニールプロセス後に、第2アニールプロセスが実施される。前記第2アニールプロセス中は、前記応力発生層が前記基板上に残されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、集積回路の形成に関し、より詳細には、応力印加(stressed)チャネル領域を有する電界効果トランジスタを備えた半導体構造の形成に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路は、例えばトランジスタ、コンデンサ、抵抗器などの個々の回路素子を数多く有する。これらの素子は、内部的に接続され、メモリデバイス、論理デバイスおよびマイクロプロセッサなどの複雑な回路を形成している。集積回路は、その機能の向上を図るために回路当たりの機能素子の数を増やすこと、および/または回路素子の動作速度を上げることによって、性能の向上を図ることができる。特徴のサイズを微細化すれば、同じ領域に対して多くの回路素子を形成できるようになり、このため、回路の機能の拡張と、信号の伝搬遅延の低減が可能となり、これにより回路素子の動作速度の向上が可能となる。
【0003】
電界効果トランジスタは、集積回路内でスイッチング素子として使用される。電界効果トランジスタは、ソース領域とドレイン領域の間に存在するチャネル領域を通る電流を制御する手段を提供する。ソース領域とドレイン領域は、不純物が高濃度でドープされている(highly doped)。N型トランジスタでは、ソース領域とドレイン領域がN型ドーパントでドープされる。逆に、P型トランジスタでは、ソース領域とドレイン領域がP型ドーパントでドープされる。チャネル領域のドーピングは、ソース領域とドレイン領域のドープとは逆極性で行われる。チャネル領域の導電性は、チャネル領域の上に形成され、薄い絶縁層によってチャネル領域から分離されているゲート電極に印加されるゲート電圧によって制御される。チャネル領域は、ゲート電圧に応じて、導電状態の「オン」状態と実質的に非導電状態の「オフ状態」とが切り換えられる。
【0004】
電界効果トランジスタを微細化する際には、「オン」状態でチャネル領域の導電性を高い状態に保つことが重要である。「オン」状態でのチャネル領域の導電性は、チャネル領域内のドーパント濃度、電荷キャリアの移動度、トランジスタの幅方向のチャネル領域の拡張部(extension)、およびソース領域とドレイン領域の間の距離(一般に「チャネル長」と呼ばれる)によって決まる。チャネル領域の幅を短くすると、チャネルの導電性が下がる一方、チャネル長を短くすると、チャネルの導電性が上がる。電荷キャリア移動度を上げると、チャネルの導電性が上がる。
【0005】
特徴のサイズが微細化するにつれ、幅方向のチャネル領域の拡張部も短くなっている。チャネル長を縮小するには、これと関連する複数の課題が必要となる。第一に、チャネル長の短いトランジスタを確実かつ再現性の高い方法で形成するために、高度なフォトリソグラフィおよびエッチングの技術を提供する必要がある。更に、所望のチャネル制御性と共に、低シート抵抗と低コンタクト抵抗を実現するためにソース領域とドレイン領域内で、横方向のほか垂直方向のドーパントプロファイルを極めて正確に制御することが求められている。
【0006】
チャネル長の更なる短縮に関連する課題に鑑みて、チャネル領域内の電荷キャリア移動度を上げることによって電界効果トランジスタの性能を改善することも提案されている。電荷キャリア移動度を上げるために、原理上は少なくとも2つのアプローチを用いることができる。
【0007】
第一に、チャネル領域内のドーパント濃度を下げることがある。これにより、チャネル領域内での電荷キャリアの散乱の発生確率が低下し、この結果、チャネル領域の導電性が上がる。しかし、チャネル領域内のドーパント濃度を下げることは、トランジスタデバイスのスレッショルド電圧に多大な影響がある。このため、ドーパント濃度を下げることはあまり有望ではない(less attractive)アプローチである。
【0008】
第二に、チャネル領域内の格子構造を、引張応力または圧縮応力を発生させて変えることがある。これにより、電子とホールの移動度がそれぞれ変化する。圧縮応力により、応力の大きさに応じて、シリコン層内のホールの移動度を大幅に上げることができる。引張応力を有するシリコン層を提供することで、電子の移動度を上げることができる。
【0009】
応力印加シリコン内にチャネル領域が形成されている電界効果トランジスタの形成方法について、図1a〜1bを参照して以下に説明する。図1aは、従来技術(state of the art)による製造プロセスの最初の段階における半導体構造100の模式断面図を示す。半導体構造100は、基板101を有する。基板101は、第1トランジスタ素子102と第2トランジスタ素子103を有する。第1トランジスタ素子102は、基板101内に形成された能動領域105を有する。基板101の上に、ゲート電極110が形成されており、ゲート絶縁層121によって基板101から分離されている。ゲート電極110の側面には、内側壁スペーサ109,111と外側壁スペーサ108,112が設けられている。基板101内に、ゲート電極101に隣接してソース領域107とドレイン領域113が形成されている。
【0010】
同様に、第2トランジスタ素子103は、能動領域106、ゲート電極117、ゲート絶縁層122、内側壁スペーサ116,118、外側壁スペーサ115,119、ソース領域114およびドレイン領域120を有する。トレンチ分離構造104が、第1トランジスタ素子102と第2トランジスタ素子103の間を電気的に絶縁している。また、トレンチ分離構造104は、半導体構造100のトランジスタ素子102,103とほかの電気要素との間も電気的に分離しうる。
【0011】
第1トランジスタ素子102と第2トランジスタ素子103のほか、トレンチ分離構造104は、公知のフォトリソグラフィ法、エッチング法、堆積法、イオン注入法および酸化法によって形成されうる。より詳細には、能動領域105,106、ソース領域107,114、およびドレイン領域113,120は、半導体構造100にドーパント物質のイオンを注入することによって形成されうる。
【0012】
従来技術による半導体構造の形成方法の一例では、第1トランジスタ素子102はN型トランジスタであり、第2トランジスタ素子103はP型トランジスタであってもよい。このような方法では、能動領域105にはP型ドーパントが含まれ、能動領域106にはN型ドーパントが含まれうる。ソース領域107とドレイン領域113にはN型ドーパントが含まれる。ソース領域114とドレイン領域120にはP型ドーパントが含まれる。イオン注入プロセスでは、電界効果トランジスタ素子102,103の一方が、例えばフォトレジストを含むマスクで覆われ、電界効果トランジスタ素子102,103のもう一方にイオンが照射される。このようにして、トランジスタ素子102,103の導電型と一致しないドーパントが不必要に導入されるのを防ぐことができる。
【0013】
ソース領域107,114とドレイン領域113,120の形成時には、トランジスタ素子102,103のそれぞれに対して複数の注入プロセスが実施されうる。まず、内側壁スペーサ109,111,116,118と外側壁スペーサ108,112,115,119の形成前に、イオン注入プロセスが実施されうる。その後、材料層の等方性堆積と異方性エッチングプロセスを含む公知の方法によって、内側壁スペーサ109,111,116,118が形成されうる。
【0014】
内側壁スペーサ109,111,116,118の形成後、第2イオン注入プロセスが実施されうる。第2イオン注入プロセスでは、内側壁スペーサ109,111,116,118が、ゲート電極110,117の近くに当たったイオンを吸収する。このため、第2イオン注入プロセスでは、ドーパントがゲート電極110,117の近くに実質的に導入されなくなる。このため、ドーパントが、内側壁スペーサ109,111,116,118の厚さよりも大きい所定の距離だけゲート電極110,117から離れた、ソース領域107,117とドレイン領域113,120の部分に選択的に導入されうる。
【0015】
その後、外側壁スペーサ108,112,115,119が形成され、第3イオン注入プロセスが実施される。第3イオン注入プロセスでは、内側壁スペーサ109,111,116,118と外側壁スペーサ108,112,115,119が、半導体構造100に当たったイオンを吸収する。このため、ドーパントが、内側壁スペーサ109,111,116,118の厚さと外側壁スペーサ108,112,115,119の厚さの合計よりも大きい所定の距離だけゲート電極110,117から離れた、ソース領域107,114とドレイン領域113,120の部分に選択的に導入されうる。
【0016】
このため、内側壁スペーサ109,111,116,118の厚さ、外側壁スペーサ108,112,115,119の厚さ、ならびに第1、第2および第3イオン注入プロセスで使用されるイオンのドーズ量を変えることによって、ソース領域107,113とドレイン領域114,120におけるドーパントプロファイルを制御することができる。このため、第1トランジスタ素子102と第2トランジスタ素子103に非常に複雑なドーパントプロファイルを形成することができる。
【0017】
ソース領域107,114とドレイン領域113,120の形成時に実施されるイオン注入プロセス中に、基板101の原子が、基板201の材料の結晶格子内のサイトから押し出されうる。半導体構造の最近の製造方法においては、ソース領域107,114とドレイン領域113,120の形成時に使用されるイオンのドーズ量は、材料201の結晶秩序を破壊するのに十分高く、この結果、ソース領域107,114とドレイン領域113,120がアモルファス材料に変換される。
【0018】
図1bは、従来技術による製造プロセスの後の段階における半導体構造100の模式断面図を示す。第1トランジスタ素子102と第2トランジスタ素子103の上に、ライナー層125と応力生成層126が形成される。応力発生層126には窒化シリコンなどの比較的硬い材料が含まれ、ライナー層125には二酸化シリコンが含まれうる。ライナー層125と応力発生層126の形成では、化学気相成長法および/またはプラズマ化学気相成長法などの当業者に公知の堆積法が使用されうる。
【0019】
応力発生層126のうち、第2トランジスタ素子103を覆っている部分が除去されうる。このために、フォトレジストを含み、第1トランジスタ素子102を覆うマスクが形成されうる。その後、応力発生層126の材料を選択的に除去するために適合されたエッチングプロセスが実施されうる。エッチングプロセスに使用されるエッチャントは、エッチングプロセスによってライナー層125が実質的に影響を受けないように適合されうる。このため、応力発生層126が除去されるとすぐにエッチングプロセスが終了されうる。応力発生層126の、第1トランジスタ素子102の上の部分は、マスクによってエッチングされずに保護され、半導体構造100の表面に残される。エッチングプロセス後に、公知のレジスト剥離プロセスによってマスクが除去されうる。
【0020】
アニールプロセスが実施される。アニールプロセスでは、半導体構造100が、所定時間、高温に曝される。アニールプロセスでは、ソース領域107,114とドレイン領域113,120のアモルファス材料が再結晶化する。再結晶化プロセスでは、ソース領域107,114とドレイン領域113,120内の原子が、基板101のソース領域107,114とドレイン領域113,120の下の部分の結晶秩序に倣う。このようにして、ソース領域107,114とドレイン領域113,120で結晶性物質が得られうる。
【0021】
アモルファス半導体材料は、結晶性半導体材料よりも密度が低いことがある。より詳細には、アモルファスシリコンの密度は結晶性シリコンの密度よりも低い。このため、ソース領域107,114とドレイン領域113,120の材料は、再結晶化プロセス中に体積が減少する傾向を示す。
【0022】
第1トランジスタ素子102では、上で説明したように、応力発生層126は、窒化シリコンなどの比較的硬い材料を含んでおり、ソース領域107とドレイン領域113の材料が応力発生層126に付着し、応力発生層126の硬さにより、応力発生層126の変形が阻止されうるため、ソース領域107とドレイン領域113の材料の体積が減少するのを阻止することができる。
【0023】
このため、ソース領域107とドレイン領域113では、原子が、基板101の材料のバルクの格子定数よりも広い間隔で配列されうる。このため、第1トランジスタ素子102のソース領域107、ドレイン領域113およびチャネル領域121において内部引張応力を発生させることができる。
【0024】
第2トランジスタ素子103では、ソース領域114とドレイン領域120の材料の体積がアニールプロセス中に変化しうる。このため、第2トランジスタ素子103のソース領域114とドレイン領域120のほか、チャネル領域122には応力が実質的に印加されない。
【0025】
また、アニールプロセスは、ソース領域107,114とドレイン領域113,120のドーパント物質をドナーまたはアクセプタとして機能するように活性化させるためにも使用されうる。
【0026】
アニールプロセス後に、応力発生層126とライナー層125がエッチングプロセスによって除去されうる。しかし、第1トランジスタ素子102のソース領域107、ドレイン領域113およびチャネル領域123の内部応力は、応力発生層126の除去後も保持されうる。この現象は「ストレスメモライゼーション」として当業者に知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
上記の半導体構造の形成方法には、アニールプロセス中に、ソース領域107,114とドレイン領域113,120内のドーパント物質が拡散しうるという問題がある。このため、第1〜第3イオン注入プロセスによって形成された複雑なドーパントプロファイルが崩れかねない。
【0028】
本開示は、上に記載した問題の影響の1つ以上を回避することができるか、少なくとも低減させることができる方法を対象としている。
【課題を解決するための手段】
【0029】
以下では、本発明の一部の態様の基本を理解できるように、発明の概要を説明する。この概要は、本発明の全てを概観するものではない。本発明の主要または重要な要素を特定したり、本発明の範囲を詳細に記載することを意図するものでもない。その唯一の目的は、後述する詳細な説明に先だって、概念の一部を簡潔に示すことにある。
【0030】
本明細書に開示の例示的な一実施形態によれば、半導体構造の製造方法は、第1トランジスタ素子および第2トランジスタ素子を有する半導体基板を提供するステップを有する。前記第1トランジスタ素子は少なくとも1つの第1アモルファス領域を含み、前記第2トランジスタ素子は少なくとも1つの第2アモルファス領域を含む。前記第1トランジスタ素子の上に応力発生層が形成される。前記応力発生層は、前記第2トランジスタ素子は覆わない。第1アニールプロセスが実施される。前記第1アニールプロセスは、前記第1アモルファス領域および前記第2アモルファス領域を再結晶化させるために適合されている。前記第1アニールプロセス後に、第2アニールプロセスが実施される。前記第2アニールプロセス中は、前記応力発生層が前記基板上に残されている。
【0031】
本明細書に開示の別の例示的な実施形態によれば、半導体構造の製造方法は、第1トランジスタ素子および第2トランジスタ素子を有する半導体基板を提供するステップを有する。前記第1トランジスタ素子の上に応力発生層が形成される。前記応力発生層は、前記第2トランジスタ素子は覆わない。アニールプロセスが実施される。前記アニールプロセスはレーザ放射による前記半導体基板の照射を含む。前記アニールプロセス中は、前記応力発生層が前記基板上に残されている。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1a】従来技術による方法の諸段階における半導体構造の概略断面図。
【図1b】従来技術による方法の諸段階における半導体構造の概略断面図。
【図2a】本明細書に開示の例示的な実施形態による方法の諸段階における半導体構造の概略断面図。
【図2b】本明細書に開示の例示的な実施形態による方法の諸段階における半導体構造の概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
添付の図面と併せて下記の説明を読めば、本開示が理解されるであろう。添付の図面においては、同一の参照符号は同じ要素を参照している。
【0034】
本明細書に記載の主題は、種々の変形および代替形態を取り得るが、その特定の実施形態が、図面に例として図示され、ここに詳細に記載されているに過ぎない。しかし、この特定の実施形態の詳細な説明は、本発明を開示した特定の形態に限定することを意図するものではなく、反対に、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の趣旨ならびに範囲に含まれる全ての変形例、均等物および代替例を含むことを理解すべきである。
【0035】
本発明の各種の例示的な実施形態を下記に記載する。簡潔を期すために、実際の実装の特徴を全て本明細書に記載することはしない。当然、実際の実施形態の開発においては、システム上の制約およびビジネス上の制約に適合させるなど、開発の具体的な目的を達成するために、実装に固有の判断が数多く必要とされ、これは実装によって変わるということが理解される。更に、この種の開発作業は複雑かつ時間がかかるものであるが、本開示の利益を受ける当業者にとって日常的な作業であるということを理解されたい。
【0036】
次に、添付の図面を参照して本主題を説明する。説明のみを目的として、当業者に知られている細かい点を説明して本開示をわかりにくくすることのないように、さまざまな構造、システムおよびデバイスが、図面で模式的に示されている。しかし、本開示の例示的な例を記載および説明するために、添付の図面を添付する。本明細書において使用される語句は、関連技術の当業者が理解している意味と同じ意味に使用されていると理解および解釈すべきである。本明細書においてある語句が矛盾なく用いられている場合、その語句が特別な定義を有する、すなわち通常かつ慣用的に用いられ、当業者が理解している意味と異なる定義を有することはない。ある語句が特別な意味を有する、すなわち当業者の理解とは異なる意味に用いられる場合は、そのような特別な定義は本明細書に明示的に記載して、その特別な定義を直接的かつ明確に示す。
【0037】
一部の実施形態では、半導体基板内に設けられた第1トランジスタ素子の上に応力発生層が形成される。半導体基板に設けられた第2トランジスタ素子はこの材料層で覆われない。第1アニールプロセスと第2アニールプロセスが実施され、この両方のアニールプロセス中はこの材料層が半導体基板上に存在している。
【0038】
第1アニールプロセスは、第1トランジスタ素子と第2トランジスタ素子のアモルファス領域の固相エピタキシャル再成長を誘起するように適合され、第2アニールプロセスは、トランジスタ素子のドーパント物質を活性化するように適合されうる。一部の実施形態では、第2アニールプロセスでは、レーザ放射により半導体基板が照射されうる。このため、基板の近くの半導体基板の部分が、比較的短時間、比較的高温に曝されうる。このため、ドーパントが活性化される一方で、第2アニールプロセスの時間が短いことにより、ドーパント原子の拡散が実質的に阻止されるか少なくとも低減されうる。第2アニールプロセス中に半導体基板上に材料層が存在しているため、第2アニールプロセス中の、第1トランジスタ素子のチャネル領域での内部応力の緩和が低減される。
【0039】
図2aは、本明細書に開示の例示的な実施形態による製造プロセスの最初の段階における半導体構造200の模式断面図を示す。半導体構造200は、基板201を有する。基板201には、シリコンなどの半導体材料が含まれうる。本発明の一部の実施形態では、基板201はバルクのシリコン基板であるが、別の実施形態では、基板201は、シリコンオンインシュレータ(SOI)基板であってもよい。
【0040】
基板201内およびその上に、第1トランジスタ素子202と第2トランジスタ素子203が形成されている。トレンチ分離構造204が、第1トランジスタ素子202と第2トランジスタ素子203を相互に電気的に分離し、またこれらを半導体構造200の他の回路素子から電気的に分離している。
【0041】
第1トランジスタ素子202は、能動領域205とゲート電極210を有する。ゲート絶縁層221は、ゲート電極210を、ゲート電極210の下の基板201に存在するチャネル領域223から分離している。ゲート電極210の側面には、内側壁スペーサ209,211と外側壁スペーサ208,212が設けられている。基板201内に、ゲート電極210に隣接してソース領域207とドレイン領域213が形成されている。
【0042】
第1トランジスタ素子202と同様に、第2トランジスタ素子203は、能動領域206、ゲート電極217、ゲート絶縁層222、チャネル領域224、内側壁スペーサ216,218、外側壁スペーサ215,219、ソース領域214およびドレイン領域220を有する。
【0043】
第1トランジスタ素子202と第2トランジスタ素子203は、公知のフォトリソグラフィ法、エッチング法、堆積法、酸化法およびイオン注入法によって形成されうる。より詳細には、ソース領域207,214とドレイン領域213,220の非常に複雑なドーパントプロファイルを提供するために、図1a〜1bを参照して上で説明した従来技術による半導体構造の製造法に使用されるものと同じような、公知の高度なイオン注入法が使用されうる。一部の実施形態では、第1トランジスタ素子202はN型トランジスタであり、第2トランジスタ素子203はP型トランジスタであってもよい。別の実施形態では、第1トランジスタ素子202はP型トランジスタであり、第2トランジスタ素子203はN型トランジスタであってもよい。
【0044】
第1トランジスタ素子202は、更に、ソース側アモルファス領域230とドレイン側アモルファス領域231も有する。同様に、第2トランジスタ素子203は、ソース側アモルファス領域232とドレイン側アモルファス領域233を有する。一部の実施形態では、アモルファス領域230,231,232,233は、ソース領域207,214とドレイン領域213,220の形成の前に形成されうる。
【0045】
このために、基板201にイオンビーム(図示せず)が照射されうる。イオンビームには、非ドープ元素のイオンが含まれており、そのイオンは、結晶格子に組み込まれても、基板201材料内の電荷キャリアの個数を変えることがない。非ドープ元素は、アルゴン(Ar)、キセノン(Xe)またはクリプトン(Kr)などの希ガスなどである。上記の非ドープ元素の代表的な注入エネルギーおよびドーズ量は、約30〜600keVおよび約5×1014〜1017イオン/cmの範囲にある。
【0046】
別の実施形態では、非ドープ元素は、シリコン(Si)またはゲルマニウム(Ge)など、元素周期表の第四族元素でもよく、これらはシリコン基板と電子価が等しい。イオンにより、基板201内の原子が、結晶格子内のサイトから追い出される。イオンビームのイオンエネルギーおよびイオンフラックス、基板201に対するイオンビームの露出時間は、結晶格子の長距離秩序のほか、ほとんどの場合、短距離秩序も失われて、材料がアモルファス化するように適合されている。
【0047】
別の実施形態では、アモルファス領域230,231,232,233は、ソース領域207,214とドレイン領域213,220の形成時に形成されうる。このような実施形態では、ソース領域207,214とドレイン領域213,220の形成に使用される注入エネルギーとドーズ量は、ソース領域207,214とドレイン領域213における基板201の材料の長距離秩序のほか、ほとんどの場合、短距離秩序も失われて、材料がアモルファス化するように適合されうる。
【0048】
アモルファス材料は、結晶性材料よりも密度が低いことがある。例えば、アモルファスシリコンは、結晶性シリコンよりも密度が低いことがある。このため、アモルファス領域230,231,232,233が形成される半導体基板201の部分の体積が、アモルファス化プロセス中に増加しうる。
【0049】
基板201の上にライナー層225と応力発生層226が形成される。一部の実施形態では、ライナー層225には二酸化シリコンが含まれ、応力発生層226には窒化シリコンが含まれうる。別の実施形態では、ライナー層225には窒化シリコンが含まれ、応力発生層226には二酸化シリコンが含まれうる。更に別の実施形態では、ライナー層225および応力発生層226の少なくとも一方に酸窒化シリコンが含まれてもよい。一部の実施形態では、応力発生層226は、応力が実質的に印加されていないが、別の実施形態では、応力発生層226は、引張または圧縮の内部応力を有しうる。
【0050】
ライナー層225と応力発生層226はいずれも、プラズマ化学気相成長法によって形成されうる。当業者であれば周知のように、プラズマ化学気相成長法では、半導体構造200が反応容器に導入される。反応容器に反応ガスが供給される。反応ガスには、化学反応することができる化合物が含まれうる。化学反応中に、堆積される材料が生成される。反応容器に設けられた第1の電極と、半導体構造200、または半導体構造200の近くの第2の電極との間に、高周波交流電圧のほか、任意選択で直流または低周波交流バイアス電圧が印加される。高周波交流電圧およびバイアス電圧により、反応ガスにグロー放電が発生する。グロー放電内では、反応ガスから、イオン、原子またはラジカルなどの反応性の化学種が生成される。このため、中程度の温度でも比較的高い反応速度を得ることができ、これにより、半導体構造200のサーマルバジェット(thermal budget)を低減させることができる。
【0051】
プラズマ化学気相成長法プロセスのパラメータ(反応ガスの温度および圧力のほか、高周波交流電圧およびバイアス電圧のパワーと周波数など)を変えることにより、応力発生層226の特性、特にその内部応力を制御することができる。実質的に内部応力のない応力発生層226、あるいは引張内部応力または圧縮内部応力を有する応力発生層を得ることができるパラメータ値は、当業者に公知であるか、または日常的な実験によって決定することができる。
【0052】
応力発生層226の第2トランジスタ素子203の上の部分が除去される。このために、第1トランジスタ素子202の上に、公知のフォトリソグラフィ法によってフォトレジストを含むマスク(図示せず)が形成されうる。その後、ドライエッチングプロセスなどのエッチングプロセスが実施されうる。エッチングプロセスに使用されるエッチャントは、応力発生層226の材料はエッチングするが、ライナー層225の材料を実質的に完全に残すように適合されうる。このため、ライナー層225はエッチストップ層として機能し、第2トランジスタ素子203がエッチャントの影響を受けないよう保護しうる。エッチングプロセスの後にマスクが除去されうる。エッチングプロセス後は、応力発生層226は第1トランジスタ素子202を覆っているが、第2トランジスタ素子203は覆っていない。
【0053】
第1アニールプロセスが実施されうる。第1アニールプロセスは、アモルファス領域230,231,232,233の材料の再結晶化を誘起するように適合されうる。一部の実施形態では、第1アニールプロセスは、高速熱アニールプロセスなどである。高速熱アニールでは、半導体構造が、比較的短時間、高温に曝される。一部の実施形態では、高速熱アニールプロセスの時間は約30秒以下であってもよい。一部の実施形態では、高速熱アニールプロセスの時間は約1秒以下であってもよい。当業者が周知のように、半導体構造200が高温に曝される時間が約1秒未満である高速熱アニールプロセスは、時として「スパイクアニール」と呼ばれる。高速熱アニールは、例えば、1つ以上のランプによって生成される光を含む電磁放射を半導体構造200に照射することによって実施されうる。
【0054】
別の実施形態では、第1アニールプロセスにおいて、半導体構造200が高温に加熱された炉(oven)に導入されてもよい。アニールプロセスにおいて半導体構造200が加熱される温度は、アモルファス領域230,231,232,233の材料を再結晶化させるように適合されうる。第1アニールプロセスに使用される温度は、アモルファス領域230,231,232,233の材料が、中間の液相をとらずに結晶状態に入るように、アモルファス領域230,231,232,233の材料の固相エピタキシャル再成長を誘起するように適合されうる。基板201にシリコンが含まれる実施形態では、第1アニールプロセスは、約500℃以上で実施されうる。
【0055】
アモルファス領域230,231,232,233での材料の再結晶化は、ソース領域207,214,213,220に導入されたドーパントの活性化に必要な温度よりも低い温度で起こりうる。例えば、基板201にシリコンが含まれる実施形態では、ドーパントの完全な活性化は、約800〜1000℃またはこれ以上の温度で起こる一方、固相エピタキシャル再成長は、約500℃以上の温度で起こりうる。一部の実施形態では、第1アニールプロセスは、約800℃未満の温度、約700℃未満の温度または約600℃未満の温度で実施されてもよい。より詳細には、第1アニールプロセスは、約500〜800℃の範囲の温度、約500〜700℃の範囲の温度、または約500〜600℃の範囲の温度で実施されうる。第1アニールプロセスを比較的低温で実施することで、ソース領域207,214とドレイン領域213,220におけるドーパント原子の拡散を低減することができ、有利である。このため、イオン注入によってソース領域207,214とドレイン領域213,220に形成されたドーパントプロファイルを実質的にそのまま残すことができる。
【0056】
別の実施形態では、第1アニールプロセスが、ソース領域207,214とドレイン領域213,220内のドーパントが活性化される温度で実施されてもよい。
【0057】
第1の(fist)アニールプロセスでは、アモルファス領域230,231,232,233の材料の密度が増加しうる。第2トランジスタ素子203では、アモルファス領域232,233中の材料が、再結晶化プロセス中に制限されずに(without restraint)実質的に収縮しうる。このため、アモルファス領域232,233の材料は、応力が実質的に印加されない状態となる。
【0058】
第1トランジスタ素子202では、応力発生層226の存在が、アモルファス領域230,231の材料の収縮に影響しうる。より詳細には、図1a〜1bを参照して上で説明した半導体構造の形成方法と同様に、アモルファス領域230,231の材料が応力発生層226に付着し、応力発生層226の硬さにより、応力発生層226の変形が阻止されうるため、応力発生層226は、アモルファス領域230,231の材料の体積の減少を阻止するかまたは低減させることができる。
【0059】
このため、基板201の材料の原子が、バルク結晶中の基板201の材料の格子定数よりも広い間隔で配列されうる。このため、ソース領域207とドレイン領域213内で内部引張応力が生成されうる。ソース領域207とドレイン領域213の内部引張応力は、基板201の、ソース領域207とドレイン領域213の近くの部分、特にチャネル領域223に影響しうる。このため、チャネル領域223内で引張応力が生成されうる。引張応力は、チャネル領域223内の電子の移動度を上げるために使用することができる。電子移動度の改善は、特に第1トランジスタ素子202がN型トランジスタである実施形態では、第1トランジスタ素子202の性能向上に寄与することができる。
【0060】
ソース領域207とドレイン領域213内で生成される内部応力と、第1トランジスタ素子202のチャネル領域223内で生成される応力とは、応力発生層226の内部応力によって影響されうる。上で詳細に説明したように、応力発生層226の内部の引張応力または圧縮応力は、応力発生層226の形成に使用される堆積プロセスのパラメータを変更することによって制御することができる。応力発生層226に引張応力を与えると、ソース領域207、ドレイン領域213およびチャネル領域223に生成される引張応力を上げることができる。一方、応力発生層226に圧縮応力を与えると、ソース領域207、ドレイン領域213およびチャネル領域223に生成される引張応力を低減させることができ、これらの領域に圧縮応力を生成させることさえも可能である。チャネル領域223に圧縮応力を与えると、ホールの移動度を改善することができる。ホールの移動度の改善は、特に第1トランジスタ素子202がP型トランジスタを有する実施形態では、第1トランジスタ素子202の性能向上に寄与しうる。
【0061】
図2bは、製造プロセスの後の段階における半導体構造200の模式断面図を示す。第1アニールプロセス後に、第2アニールプロセスが実施される。第2アニールプロセス中は、応力発生層226が基板201に残されうる。第2アニールプロセスでは、図2bの矢印227で示すように、半導体構造200にレーザ放射が照射されうる。
【0062】
一部の実施形態では、第2アニールプロセスの前に、半導体構造200の上に吸収層228が形成されうる。吸収層228の材料とレーザ放射227の波長は、レーザ放射227が吸収層228に多く吸収されるように適合されている。一部の実施形態では、吸収層228にはシリコンが含まれうる。当業者が周知のように、シリコンは紫外域の波長の光に対して吸収係数が比較的高い。別の実施形態では、吸収層228には、例えば可視域または紫外域の波長の光に対して吸収係数が比較的高いダイヤモンド状炭素の形の炭素が含まれてもよい。ほかの材料も使用することができる。
【0063】
レーザ放射227は、吸収層228に実質的に吸収されうる。このため、吸収層228は、比較的高温に加熱されうる。吸収層228の熱は、応力発生層226およびライナー層225を伝わる熱伝導によって、基板201、特にソース領域207,214とドレイン領域213,220に伝達される。窒化シリコンは、熱伝導度が比較的高い。このため、応力発生層226に窒化シリコンが含まれる実施形態では、吸収層228の第1トランジスタ素子202の上の部分で発生した熱が、ソース領域207とドレイン領域213に効率的に伝達されうる。このため、応力発生層226の存在により発生しかねない半導体構造200の加熱のばらつきを、実質的に防ぐか、少なくとも低減することができる。
【0064】
別の実施形態では、吸収層228が省略されてもよい。このような実施形態では、応力発生層226の特性とレーザ放射227の波長が、比較的多くのレーザ放射227が応力発生層226を通って伝達されるように適合されうる。応力発生層226を通るレーザ放射227の伝達は、応力発生層226におけるレーザ放射227の吸収と、応力発生層226によるレーザ放射227の反射とによって影響されうる。
【0065】
応力発生層226におけるレーザ放射227の吸収は、レーザ放射の波長と応力発生層226の材料組成を適合させることで制御することができる。例えば、応力発生層226は、二酸化シリコンおよび/または酸窒化シリコンを含む場合には、可視および近紫外波長帯の放射に対する吸収係数が低いことがある。
【0066】
応力発生層226による光の反射は、応力発生層226の表面で反射されるレーザ放射227と、応力発生層226とライナー層225間の界面で反射されるレーザ放射227との間に所定の位相差が生じるように、応力発生層226の膜厚を適合させることによって制御することができる。これにより、応力発生層226の表面で反射されるレーザ放射227と、応力発生層226とライナー層225間の界面で反射されるレーザ放射227との間に干渉が発生する。一部の実施形態では、応力発生層226の膜厚が、破壊的干渉が得られるように適合されうる。これにより、レーザ放射227の反射を大幅に低減させることができる。
【0067】
また、レーザ放射の反射は、第2トランジスタ素子203の上の露出されたライナー層225の部分でも発生しうる。一部の実施形態では、第1トランジスタ素子202の上に形成された応力発生層226の反射率が、ライナー層225の第2トランジスタ素子203の上に形成された部分の反射率と実質的に等しくなるように、応力発生層226の膜厚が適合されうる。これにより、レーザ放射227によって第1トランジスタ素子202に導入されるエネルギー量が、第2トランジスタ素子203に導入されるエネルギー量と実質的に等しくなる。
【0068】
第2アニールプロセスで与えられるレーザ放射227の強度は、基板201の表面における基板201の一部、特にソース領域207,214とドレイン領域213,220が所定の温度に加熱されるように適合されうる。一部の実施形態では、第2アニールプロセスは、ソース領域207,214とドレイン領域213,220のドーパントの活性化に十分な温度が得られるように適合されうる。例えば、第2アニールプロセスは、約800℃超、特に約1000℃超の温度が得られるように適合されうる。第2アニールプロセスの時間は、ソース領域207,214とドレイン領域213,220のドーパントの拡散が実質的に阻止されるように適合されうる。例えば、時間は約1ms未満などである。
【0069】
別の実施形態では、第2アニールプロセスにおいて、レーザ放射227による半導体構造200の照射の代わりに、あるいはこれに加えて、高速熱アニールが実施されてもよい。
【0070】
第1トランジスタ素子202上に応力発生層226が存在しているため、第1アニールプロセス中に、ソース領域207、ドレイン領域213およびチャネル領域223の内部応力が緩和されるのを実質的に防ぐことができる。一部の実施形態では、第2アニールプロセスにより、ソース領域207とドレイン領域213内の格子欠陥が修復されるため、ソース領域207、ドレイン領域213およびチャネル領域223の内部応力を第2アニールプロセスで増加させることさえできる。格子欠陥の存在が内部応力の低下につながることがあるため、このような格子欠陥の修復により内部応力を上げることができる。
【0071】
第2アニールプロセス後に、吸収層228、応力発生層226およびライナー層225が除去されうる。このために、当業者に公知のエッチングプロセスが使用されうる。例えば、公知のウェットエッチングプロセスが使用されうる。ソース領域207、ドレイン領域213およびチャネル領域223内に生成された内部応力は、応力発生層226の除去後も少なくとも一部保たれうる。
【0072】
その後、例えば、コバルトシリサイドおよび/またはニッケルシリサイドなどを含むシリサイド領域がソース領域207,214とドレイン領域213,220に形成されうる。このために、当業者が周知のように、コバルトおよび/またはニッケルなどの高融点金属が半導体構造200の上に堆積されうる。その後、高融点金属と、ソース領域207,214およびドレイン領域213,220のシリコンとの化学反応を開始させるために、第3アニールプロセスが実施されうる。第3アニールプロセスは、約800℃未満の温度で実施されうる。これにより、第3アニールプロセス中に、第1トランジスタ素子202のソース領域207、ドレイン領域213およびチャネル領域223における内部応力の緩和を防ぐことができる。
【0073】
本明細書に開示の主題は、第1アニールプロセスと第2アニールプロセスが実施される実施形態に限定されない。別の実施形態では、第1アニールプロセスが省略されてもよい。このような実施形態では、図2bを参照して上で説明した第2アニールプロセスと同様の、半導体構造200にレーザ放射を照射する1回のアニールプロセスが実施されうる。このアニールプロセスは、アモルファス領域230,231の材料の再結晶化を誘起すると共に、ソース領域207,214とドレイン領域213,220内のドーパントを活性化するように適合されうる。
【0074】
上記に記載した特定の実施形態は例に過ぎず、本発明は、本開示の教示の利益を得る当業者にとって自明の、異なるが均等の別法によって変更および実施されてもよい。例えば、上記のプロセス工程を記載した順序とは異なる順序で実行してもよい。更に、ここに記載した構成または設計の詳細が、添付の特許請求の範囲以外によって限定されることない。このため、上記に記載した特定の実施形態を変形または変更することが可能であり、このような変形例はすべて本発明の範囲ならびに趣旨に含まれることが意図されることが明らかである。したがって、ここに保護を請求する対象は、添付の特許請求の範囲に記載したとおりである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第1アモルファス領域を含む第1トランジスタ素子、および少なくとも1つの第2アモルファス領域を含む第2トランジスタ素子を有する半導体基板を提供するステップと、
前記第2トランジスタ素子は覆わずに、前記第1トランジスタ素子の上に応力発生層を形成するステップと、
前記第1アモルファス領域および前記第2アモルファス領域を再結晶化させるために適合された第1アニールプロセスを実施するステップと、
前記第1アニールプロセスの実施後に、前記第1トランジスタ素子の上に前記応力発生層を残したまま第2アニールプロセスを実施するステップとを含む、半導体構造の製造方法。
【請求項2】
前記応力発生層は窒化シリコンを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記応力発生層は内部応力を有する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記応力発生層を除去するステップを更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記応力発生層の形成前に、前記第1トランジスタ素子および前記第2トランジスタ素子の上にライナー層を形成するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ライナー層は二酸化シリコンを含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1アニールプロセスは、高速アニールプロセスまたは炉アニールプロセスのうちの少なくとも一方を含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1アニールプロセスは、前記第1アモルファス領域および前記第2アモルファス領域の固相エピタキシャル再成長を誘起するために適合されている請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1アニールプロセスは約800℃以下の温度で実施される請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記半導体基板を提供するステップは、前記第1トランジスタ素子および前記第2トランジスタ素子の少なくとも一方にドーパント物質を導入するためにイオン注入プロセスを実施するステップを含み、前記第2アニールプロセスは前記ドーパント物質を活性化するために適合されている、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第2アニールプロセスはレーザ放射による前記半導体基板の照射を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記応力発生層および前記第2トランジスタ素子の上に前記レーザ放射を吸収するために適合された吸収層を堆積させるステップを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
第1トランジスタ素子および第2トランジスタ素子を有する半導体基板を提供するステップと、
前記第2トランジスタ素子は覆わずに、前記第1トランジスタ素子の上に応力発生層を形成するステップと、
前記第1トランジスタ素子の上に前記応力発生層を残したまま、レーザ放射による前記半導体基板の照射が含まれるアニールプロセスを実施するステップと、を含む半導体構造の製造方法。
【請求項14】
前記応力発生層を除去するステップを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記応力発生層は内部応力を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記応力発生層の形成前に、前記第1トランジスタ素子および前記第2トランジスタ素子の上にライナー層を形成するステップを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記ライナー層は二酸化シリコンを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記半導体基板を提供するステップは、前記第1トランジスタ素子および前記第2トランジスタ素子の少なくとも一方にドーパント物質を導入するためにイオン注入プロセスを実施するステップを含む、前記アニールプロセスは前記ドーパント物質を活性化するために適合されている、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記応力発生層および前記第2トランジスタ素子の上に前記レーザ放射を吸収するために適合された吸収層を堆積させるステップを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記応力発生層の膜厚は前記応力発生層からの前記レーザ放射の反射が最小化されるように適合されている、請求項13に記載の方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【公表番号】特表2010−508672(P2010−508672A)
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535279(P2009−535279)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【国際出願番号】PCT/US2007/022682
【国際公開番号】WO2008/054679
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(591016172)アドバンスト・マイクロ・ディバイシズ・インコーポレイテッド (439)
【氏名又は名称原語表記】ADVANCED MICRO DEVICES INCORPORATED
【Fターム(参考)】