画像表示装置の製造方法
【課題】プラスチック基板に転写方式で薄膜トランジスタを備える画像表示装置を製造することが可能な技術を提供することである。
【解決手段】
支持基板の主面側に有機材料からなる樹脂層を形成する工程と、前記樹脂層の上層に半導体回路または表示回路を形成する工程と、前記樹脂膜に吸収される波長の光を前記支持基板側から照射して、前記支持基板から前記樹脂層を剥離する工程と、前記樹脂層を薄膜化又は除去する工程と、前記樹脂層の側から第1基板を貼る工程とを有する画像表示装置の製造方法である。
【解決手段】
支持基板の主面側に有機材料からなる樹脂層を形成する工程と、前記樹脂層の上層に半導体回路または表示回路を形成する工程と、前記樹脂膜に吸収される波長の光を前記支持基板側から照射して、前記支持基板から前記樹脂層を剥離する工程と、前記樹脂層を薄膜化又は除去する工程と、前記樹脂層の側から第1基板を貼る工程とを有する画像表示装置の製造方法である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置の製造方法に係わり、特に、樹脂材からなるフレキシブル性材料の基板を備える表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子に代表されるフラットパネルディスプレイの軽量化を図るために、従来よりも基板を薄くすることが検討されており、現在の液晶表示装置は0.5mm〜1.1mm程度の厚さのガラス基板を用いて製造されている。しかし、これよりも薄いガラス基板を用いる場合、製造工程中に割れやすい、使用時に割れやすい等の問題点がある。この解決方法の一つとして、ガラス基板の代わりにプラスチック基板を用いた液晶表示素子の開発が進められている。
【0003】
しかし、ガラス基板の耐熱性が600℃前後であるのに対して、プラスチック基板は、通常、200℃前後であり、耐熱性が低い欠点を有する。現行の薄膜トランジスタを形成する温度としては、アモルファスシリコン(a-Si)薄膜トランジスタが300℃前後であり、低温ポリシリコン(LTPS)薄膜トランジスタでは500℃前後とプラスチック基板の耐熱性をはるかに超える温度となっている。このために、1つの方法として、薄膜トランジスタの形成温度を下げる方法が検討されている。
【0004】
また、プラスチック基板はガラス基板と異なり柔らかくフレキシブルすなわち柔軟性を有するために、現行のガラス基板に対して作られた製造ラインには直接入れられないという欠点を有する。その対策としては、製造ラインをガラス基板対応の製造ラインからロールtoロール方式に変更する方法が考えられている。
一方、現行の製造ラインをそのまま使う方式として、ガラス基板に形成した薄膜トランジスタをプラスチック基板に転写する方式が検討されている。ガラス基板に形成して転写する方式としては、ガラス基板をエッチングして薄くする方式や、ガラス基板にあらかじめ剥離層を形成しておき、そこから薄膜トランジスタ形成後に剥離を行う方法がある。いずれの方式も薄膜トランジスタを形成したガラス部分を薄膜化して、それをプラスチック基板に載せかえる方式である。また、別の転写方式としては、基板上にプラスチック基板を貼り付ける等して、その上に薄膜トランジスタを形成した後、剥離する方法がある。
【0005】
本願発明に関連するフィルムの転写方式先行の技術文献として、特許文献1〜10の技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000-243943号公報
【特許文献2】特開2000-284303号公報
【特許文献3】特開2002-33464号公報
【特許文献4】特開2002-31818号公報
【特許文献5】特開2006-287068号公報
【特許文献6】特開2009-265396号公報
【特許文献7】特開2009-188317号公報
【特許文献8】特開2009-260387号公報
【特許文献9】特開2009-031405号公報
【特許文献10】特開2008-292608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ガラス基板を支持基板として当該ガラス基板上に一旦薄膜トランジスタを形成して、そのガラス基板を薄くするという方式は、現行の製造ラインの使用が可能で、プロセス温度も現行のものが使えるという利点を有する。しかしながら、支持基板であるガラス基板を薄くする工程として、ガラス基板をエッチングする場合、ガラス基板がほとんど無駄になり、結果としてコストが増加してしまうことが懸念されている。
【0008】
また、ガラス基板上にプラスチック基板を貼り付ける等して、プラスチック基板上に薄膜トランジスタを形成した後に、ガラス基板を剥離する方法では、プラスチック基板の耐熱性に問題があるために、プロセス温度を下げる必要があり、特性の優れたデバイスが出来ないということが懸念されている。
【0009】
また、ガラス基板上に剥離層を形成し、該剥離層上に薄膜トランジスタ等を形成する方法がある。このとき、光の透過性能を考慮して、剥離層をアモルファスシリコン層等の無機材料で形成する場合、真空成膜でアモルファスシリコンを形成する工程が増えてしまうと共に、支持基板として用いるガラス基板の再利用が非常に困難である。さらには、薄膜トランジスタを形成する各薄膜層も無機膜となり、その結果、有機膜に比較して脆く破損しやすい性質を有する無機膜を用いて同じ無機膜で形成される薄膜トランジスタを保護する構成となり、剥離層でガラス基板を剥離する際に、剥離層及び薄膜トランジスタが破損しやすいということが懸念されている。
【0010】
剥離層として、有機層を使う場合は、上記の脆さによる破損の問題は軽減される。しかし、材料の透明性と耐熱性がなかなか両立する有機材料がないということが知られている。具体的には、ガラス転移点Tgが250℃以上、特に300℃以上を有する有機材料であり、かつ、有機層が自立膜として所定の丈夫さ(強度)を示す厚さ10μm前後で透明に見えるものは少なく、黄色く着色しているものが多い。したがって、電子ペーパーのような全反射型の表示装置は形成できるが、透過型の液晶ディスプレイや、その有機層側に光を取り出すボトムエミッション型の有機ELディスプレイのような画像表示装置への適用は困難であった。
【0011】
本発明は、前記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、プラスチック基板に転写方式で薄膜トランジスタを備える画像表示装置を製造することが可能な技術を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、既存の製造ラインを適用させても、ガラス基板を容易に再利用することが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決すべく、支持基板の主面側に有機材料からなる樹脂層を形成する工程と、前記樹脂層の上層に半導体回路または表示回路を形成する工程と、前記樹脂膜に吸収される波長の光を前記支持基板側から照射して、前記支持基板から前記樹脂層を剥離する工程と、前記樹脂層を薄膜化又は除去する工程と、前記樹脂層の側から第1基板を貼る工程とを有する画像表示装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、プラスチック基板に転写方式で薄膜トランジスタを備える画像表示装置を製造することができる。また、既存の製造ラインを適用させても、ガラス基板を容易に再利用することができる。
【0015】
本発明のその他の効果については、明細書全体の記載から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本願発明の樹脂膜であるポリベンゾオキサゾール膜の透過スペクトルの一例を示すグラフである。
【図2】本発明の実施形態1の画像表示装置である透過型の液晶表示パネルの1サブピクセルの構成を示す平面図である。
【図3】図2に示すA−A’切断線に沿った断面構造を示す断面図である。
【図4】図2に示すB−B’切断線に沿った断面構造を示す断面図である。
【図5】本発明の実施形態1の液晶表示装置における第1の透明基板の製造方法を説明するための図である。
【図6】本願発明の樹脂膜であるポリベンゾオキサゾール膜の膜厚を1μmにした時の透過スペクトルの一例を示すグラフである。
【図7】本発明の実施形態2の液晶表示装置の製造方法を説明するための図である。
【図8】本発明の実施形態2の液晶表示装置の製造方法を説明するための図である。
【図9】本発明の実施形態3の画像表示装置である液晶表示装置における薄膜トランジスタ部及び画素部の概略構成を説明するための断面図である。
【図10】本発明の実施形態3の画像表示装置である液晶表示装置の概略構成を説明するための断面図である。
【図11】本発明の実施形態3の液晶表示装置における第1の透明基板の製造方法を説明するための図である。
【図12】本発明の実施形態4の液晶表示装置の製造方法を説明するための図である。
【図13】本発明の実施形態4の液晶表示装置の製造方法を説明するための図である。
【図14】本発明の実施形態5の画像表示装置である液晶表示装置の概略構成を説明するための薄膜トランジスタの形成領域における断面図である。
【図15】本発明の実施形態5の画像表示装置である液晶表示装置の概略構成を説明するための画素の形成領域における断面図である。
【図16】本発明の実施形態6の画像表示装置である有機EL表示装置の概略構成を説明するための断面図である。
【図17】本発明の実施形態6の画像表示装置である有機EL表示装置の製造方法を説明するための図である。
【図18】本発明の実施形態7の液晶表示装置の概略構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明は省略する。
【0018】
本発明の画像表示装置は、液晶表示装置や有機EL表示装置等の絶縁基板上に薄膜トランジスタを含む回路層が形成される構成であり、特に、絶縁基板が柔軟性を有する湾曲可能なフレキシブルな基板から構成される。従って、以下の説明では、本願発明における絶縁基板について説明する。
【0019】
例えば、液晶表示装置では、絶縁性の透明基板からなる第1基板と第2基板とが液晶層を介して対向配置される構成となっている。第1基板の主面(液晶層、対向面)側には、複数本の映像信号線(ドレイン線)と該映像信号線と交差する走査信号線(ゲート線)とが形成され、映像信号線と走査信号線とで囲まれる領域に画素領域が形成されている。各画素領域には、画素電極が形成されると共に、映像信号線から該画素電極へ印加するための階調信号を読み込み制御する薄膜トランジスタが形成されている。これら各種信号線及び薄膜トランジスタ等は回路層に形成されている。一方、第2基板の主面(液晶層、対向面)側には、R(赤)、G(緑)、B(青)のカラー表示用の画素を構成するためのカラーフィルタ、及び遮光膜(ブラックマトリクス)等が形成されている。
【0020】
また、有機EL表示装置では、絶縁性の第1基板の主面側に、複数本の映像信号線(ドレイン線)と該映像信号線と交差する走査信号線(ゲート線)とが形成され、映像信号線と走査信号線とで囲まれる領域に画素領域が形成されている。各画素の領域には、有機EL薄膜からなる発光層が形成され、該発光層へ供給する電流を制御する駆動用の薄膜トランジスタと、映像信号線から駆動用の薄膜トランジスタへ印加するための階調信号の読み込みを制御するスイッチング用の薄膜トランジスタと、該階調信号を所定フレーム期間保持するための保持容量等とが形成されている。これら各種信号線及び薄膜トランジスタ等が形成される層が回路層となる。このとき、有機EL表示装置は、発光層で生じた光を第1基板側に取り出すボトムエミッション型と、第1基板の主面側すなわち回路層側に取り出すトップエミッション型とに大別される。特に、第1基板側に光を取り出すボトムエミッション型の有機EL表示装置では、液晶表示装置と同様に、透明の絶縁基板を第1基板として用いる必要がある。また、有機EL表示装置にあっても、液晶表示装置と同様に、第1基板に対応する第2基板を用い、該第2基板にカラーフィルタ等を形成し、該カラーフィルタを介して光を取り出すトップエミッション型の構成として、色純度を向上させることも可能である。
【0021】
また、本発明の画像表示装置では、回路層の形成では、第1基板とは異なる基板であり、製造時の支持基板となる第3基板上に形成した後に、当該回路層を含む保護膜等と共に第3基板から当該回路層を剥離し、第1基板に接着剤層を介して接着する構成となっている。従って、本発明における第1基板及び第2基板は耐熱性を必要としないので、膜厚50μm以上で膜厚500μm以下程度の透明な樹脂製の基板であればよい。湾曲可能な樹脂製の基板は限定されることはなく、プラスチックやフィルムであればよく、さらには非常に薄く形成したガラス基板を用いる構成であってもよい。また、樹脂製の基板としては、波長400nm以上800nm以下の光の透過率が90%以上のものが望ましい。なお、画素表示装置において、カラーフィルタを用いると共に樹脂基板に樹脂フィルムを用いる場合には、樹脂フィルムに貼り付けた薄膜トランジスタTFTとカラーフィルタとで熱膨張係数や応力の差を生じないように、カラーフィルタに用いるフィルムは、樹脂フィルムと同じものが望ましい。この場合、樹脂フィルムとしては、カラーフィルタの形成プロセスに適応した200℃程度の耐熱性を有するものが望ましい。
【0022】
このような構成の画像表示装置は、回路層は第3基板の主面側に形成した樹脂層上に形成し、該樹脂層と共に第3基板から剥離した後に、該樹脂層を薄膜化又は除去し、接着剤層を介して第1基板に接着する構成としている。
【0023】
以下に、樹脂層を形成する場合の薄膜トランジスタを含む回路層が形成される側の基板の製造方法を説明する。前述する樹脂層を形成する際における第3基板としては、ガラス基板、石英基板、シリコン基板、及び金属基板等が挙げられる。このとき、本願発明では裏面からのレーザ光照射を行えるといった意味で、透明なガラス基板、石英基板等が望ましい。また、本願発明では、基板から最終的には樹脂層より上層を剥離する。したがって、基板は影響を受けず、基板の再生が可能であり、デバイス作成のコストの低減につながる。
【0024】
このとき本願発明の画像表示装置の形成では、このような第3基板に、まず、樹脂層を形成する。この樹脂層の形成では、前述する樹脂の溶液あるいは樹脂の前駆体の溶液をスピンコート方式やスリットコート方式で塗布して、第3基板の主面側すなわち表面上にフィルム状の薄膜層である樹脂層を形成する。通常、スピンコート方式やスリットコート方式で溶液を塗布した後に、溶媒を揮発させるためのプリベークを行う。その後に、窒素ガスのような不活性ガスの雰囲気下あるいは真空下で、250℃以上で硬化ベークを行う。空気中でのベークは、酸化による樹脂層の着色を引き起こす原因となるので、望ましくない。なお、この硬化ベークに用いる温度は、樹脂層の材料が分解しない温度であり、かつその後の薄膜トランジスタを含む半導体素子の形成プロセスの温度より高い温度が望ましい。具体的には、300℃以上500℃以下で硬化ベークをすることが望ましい。
【0025】
次に、樹脂層の上層に、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)、又は酸化アルミニウム(AlO)等の無機膜を形成することが望ましい。これらは樹脂層から不純物、例えば水、酸素等が樹脂層上に形成する薄膜トランジスタを含む半導体素子に侵入するのを防ぐバリア層としての役目をする。この無機膜の厚さとしては、10nm以上2000nm以下が望ましい。より望ましくは、50nm以上500nm以下が望ましい。また、これらの無機膜は単層ではなく、必要に応じては2層以上を重ねて用いてもよい。なお、これらを形成する方法としては、スパッタ、反応性プラズマ蒸着、CVD、及びプラズマCVDなどが挙げられる。これらの無機膜は、有機物である樹脂層上に形成することから、形成温度が低温である方が樹脂層に与えるダメージ(影響)が小さいので望ましい。具体的には、これらの無機膜は、100℃以下で形成できるものがより望ましい。
【0026】
次に、無機膜を形成した場合には当該無機膜の上層(表面)に、薄膜トランジスタを含む半導体素子を形成する。なお、無機膜を形成しない場合は、樹脂膜の上層(表面)に半導体素子を形成する。また、この半導体素子は、通常の基板である例えばガラス基板上に形成する場合と同じ構造で形成することができる。また、樹脂層の耐熱性が高いことから、300℃前後の通常プロセスを用いることができる。
【0027】
この半導体素子の形成の後に、液晶や有機ELの表示素子(表示画素)までの形成プロセスを行った後に剥離を行う。ただし、半導体素子の形成の後に、そのまま半導体素子として、剥離することも可能である。なお、半導体素子を剥離する際は、形成した半導体素子上に保護フィルム等を張り、表面を保護した上で、剥離工程を行う。この保護フィルムは、ガラス基板等の第3基板が外れることにより、形成した半導体素子が応力で破壊されることを防ぐ役割をする。保護フィルムとしては、仮接着が出来て、後で剥がせるものが望ましい。このような保護フィルムとしては、三井化学の「イクロステープ」、日東電工の「リバアルファ」、又はトーヨーアドテックの「エレグリップ」等のような半導体のバックグラインド時に用いられる保護フィルムを用いることができる。これらは保護フィルムとして接着した後、加熱により粘着性が低下したり、発泡したりして剥離する性質を有するので、必要なときに容易に剥離を行うことができる。
【0028】
保護フィルムの剥離の後、その上層に配向膜を形成し、ラビング等の周知の配向処理を行う。この配向処理の後に、樹脂基板で作成したカラーフィルタ側の基板を固着し、液晶の封入工程を行う。
【0029】
なお、本願発明の実施形態では、前述するように薄膜トランジスタを含む半導体素子の状態で剥離工程を行うこともできるが、さらに工程を進めて、液晶を封入してセル化した後や有機EL素子を形成した後に、剥離工程を行うこともできる。この液晶表示装置の場合は、第3基板上に樹脂層を形成した後に、その上層に半導体素子を形成する。このときの半導体素子も、通常の基板(例えば、ガラス基板)上に形成する場合と同じ構造で形成する。この後に、その上層に配向膜を形成し、ラビング等の周知の配向処理を行う。この配向処理の後に、樹脂基板で作成したカラーフィルタ側の基板を固着し、液晶の封入工程を行う。その後にカラーフィルタ側の基板を支持基板として、第3基板の剥離工程を行うことができる。有機EL素子の場合も、発光層及び電極並びにパッシベーション等を形成した後に剥離を行うことができる。
【0030】
本願発明における半導体素子や表示装置を形成した樹脂層を第3基板から剥離する工程は、紫外線を照射する工程を含むことが望ましい。第3基板上に形成する樹脂層によっては、機械的に剥離を行うことができる場合もあるが、当該樹脂層の上層に形成した半導体素子へのダメージを減らすために、紫外線を照射して、第3基板と樹脂層との間の結合を切り離すことが望ましい。この紫外線としては、波長200nm以上400nm以下のものが望ましい。具体的には、波長308nmのXeClエキシマレーザ光や、波長248nmのKrFエキシマレーザ光といったレーザ光、YAGレーザ(波長1064nm)の第3高調波(波長355nm)や第4高調波(波長266nm)等はその出力が高いので望ましい。また、水銀ランプ、またはキセノン水銀ランプ等の輝線である365nm、313nm、254nmの光も使うことができる。
【0031】
特に、第3基板としてガラス基板や石英基板のような透明基板を用いる場合は、これらの基板の透過率が90%以上である波長の光を、半導体素子を形成した面ではなく、透明基板の面から照射する。なお、用いる光の波長としては、より望ましくは波長200nm以上380nm以下であるものが望ましい。この範囲の波長の光は、第3基板としての石英基板やガラス基板を効率的に透過し、樹脂層では吸収が起きるようにすることができる。また、樹脂層のそのときの膜厚での透過率が10%以下となる波長の光が望ましい。さらには、透過率が5%以下である波長の光が望ましい。これらの樹脂層に用いる膜厚での透過率が5%以下の波長を有する光は、透明基板の裏面から照射したときに、透明基板と樹脂フィルム(a)の界面で吸収されて、界面での結合を切るため、剥離が起きやすくなるからである。
【0032】
本願発明では、第3基板の剥離後に樹脂層を薄膜化又は除去する。この樹脂層を薄膜化又は除去する工程は、エッチング、アッシング又は研磨等を用いることができる。薄膜化後の樹脂層は、波長400nm以上800nm以下の透過率が、90%以上になるようになることが望ましい。また、本願発明では、樹脂層を完全に除去することもできるが、素子の破損防止を兼ねて、樹脂層の膜厚を2μm以下にしてもよい。このように、樹脂層を薄膜化することにより、可視光領域の透過率が向上して、透過型の液晶表示装置やボトムエミッション型の有機EL表示装置等の表示素子に適した構成となる。さらには、樹脂層の薄膜化により、当該樹脂層が有するリタデーション(位相差)の値も小さい値にできるので、偏光板を用いるような液晶ディスプレイには好適である。
【0033】
(樹脂層の詳細)
以下、本願発明における樹脂層について説明する。本願発明の樹脂層では、画素領域においても形成される構成となるので、樹脂層は耐熱性のある透明性の高いものが望ましい。具体的には、膜厚が3μm以上30μm以下のものが望ましい。さらには、その膜厚で波長420nm以上800nm以下の可視光の透過率が50%以上であるものが望ましい。光吸収に関しては、後述する剥離に使う光を効率的に吸収するものが望ましい。したがって、剥離に使う照射光に対しては透過率が10%以下であるものが望ましい。あるいは波長200nm以上380nm以下の透過率が20%以下であるものが望ましい。
【0034】
本発明では、樹脂層の上層に薄膜トランジスタ等の半導体素子や表示素子を形成する構成となっている。特に、半導体素子、特にアモルファスシリコン薄膜トランジスタを形成するプロセス温度は、通常300℃前後であることから、本発明の樹脂層は、耐熱性が必要となる。そのために少なくとも樹脂層のガラス転移点は、250℃以上であることが望ましい。さらには、ガラス転移点が300℃以上であるものがより望ましい。高分子材料のフィルムは一般にガラス転移点を越えると、その熱膨張係数が急激に大きくなる。高分子材料の種類によっては、ガラス転移点を越えると変形が起きるものもある。したがって、半導体素子を形成するプロセスの温度がガラス転移点を超えない方が望ましい。
【0035】
なお、本発明では、樹脂層に半導体素子や表示素子を形成したのちに、それを剥離層として、剥離を行う。この剥離工程の際に、半導体素子層である薄膜トランジスタTFT層が破壊しないように樹脂層の厚さは、3μm以上30μm以下のものが望ましい。剥離時の強度の確保とあとに続く透過率の向上のために樹脂層を薄膜化又は除去する工程との関係から、厚さは5μm以上20μm以下がより望ましい。また、本願発明では、樹脂層を薄膜化又は除去する工程により、樹脂層の部分の透過率を向上することができるが、基本的には樹脂層が有する可視光の透過率が高い方が望ましい。
【0036】
以上に説明したような物性的な特徴を有すると共に、樹脂層として用いることが可能な樹脂としては、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド(PI)、又はポリアミド(PA)のいずれかであることが望ましい。これらの樹脂は、一般に耐熱性が高く、250℃以上のガラス転移点を有することが可能である。特に、ポリベンゾオキサゾール、ポリアミドイミド、ポリイミド、及びポリアミドは、耐熱性、特にガラス転移点を向上させるために架橋剤を合わせて用いることができる。架橋剤としては、以下のような構造のものを用いることができる。架橋剤の量としては、樹脂または樹脂前駆体に対して、0.1〜30wt%を用いることができる。より好ましくは、1〜10wt%である。
【化1】
【0037】
以下、樹脂層として好適な材料の具体例を示す。ポリベンゾオキサゾールとしては、具体的には、構造式(1)で表されるものが望ましい。
【化2】
【0038】
ただし、式中、X1:4価の芳香族基、Y1:2価の芳香族基あるいは脂環族基、n=5〜10000を表す。
【0039】
これらのポリベンゾオキサゾールは、対応する下記の構造式(2)で表される前駆体を加熱により脱水環化することにより得られる。
【化3】
【0040】
ただし、式中、X1:4価の芳香族基、Y1:2価の芳香族基あるいは脂環族基、n=5〜10000を表す。
【0041】
また、ポリアミドイミドとしては、具体的には、構造式(3)で表される脂環構造を含むポリアミドイミドが望ましい。
【化4】
【0042】
式中、X2:2価の脂環族基、Y2:2価の芳香族基あるいは脂環族基、n=5〜10000を表す。
【0043】
さらには、ポリアミドイミドとしては、具体的には、構造式(4)で表されるポリアミドイミドが望ましい。
【化5】
【0044】
式中、X3:2価の脂環族基、Y3:2価の芳香族基あるいは脂環族基、n=5〜10000を表す。
【0045】
また、ポリイミドとしては、具体的には、構造式(5)で表される脂環構造を含むポリイミドが望ましい。
【化6】
【0046】
ただし、式中、X4:4価の脂環族基、Y4:2価の芳香族基あるいは脂環族基、n=5〜10000を表す。
【0047】
これらのポリイミドは、前駆体であるポリアミック酸の状態で膜を形成して、加熱硬化してポリイミドとすることが望ましい。
【0048】
また、ポリアミドとしては、具体的には、構造式(6)で表される脂環構造を含むポリアミドが望ましい。
【化7】
【0049】
ただし、式中、X5:4価の脂環族基、Y5:2価の芳香族基あるいは脂環族基、n=5〜10000を表す。
【実施例1】
【0050】
実施例1の樹脂層として好適な材料の一例として、ポリベンゾオキサゾールを用いて本願発明者らが形成した樹脂層について説明する。下記の構造式(7)で示すポリベンゾオキサゾール前駆体100重量部と、構造式(8)で示す架橋剤3重量部とを、γ-ブチロラクトン(BLO)/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)=9/1に溶かした溶液を調整した。この溶液を厚さ0.6mmの石英の第3基板上にスピンコートし、120℃3分間プリベークを行って、厚さ12μmの塗布膜を得た。
【化8】
【化9】
【0051】
次に、イナートガスオーブンを用いて、窒素雰囲気下で200℃30分ベークした後、350℃1時間硬化ベークを行い、構造式(9)に示す架橋したポリベンゾオキサゾール膜を得た(ただし、架橋は図示せず)。硬化後の膜厚は10μmであり、このときの樹脂膜は黄色となった。
【化10】
【0052】
図1は前述する手順で形成された樹脂膜である架橋したポリベンゾオキサゾール膜の透過スペクトルの一例を示すグラフであり、以下、その特性について説明する。ただし、図1において、横軸は光の波長(nm)であり、縦軸は光の透過率T(%)である。また、図1は樹脂膜(硬化膜)の波長200nm〜800nmの領域の透過スペクトルを示している。
【0053】
図1から明らかなように、本願発明者らが形成した樹脂膜は丸印λ1で示す波長が400nm付近の透過率が50%程度であり、矢印λ2で示す波長500nm〜800nmの領域では、80%程度以上の透過率を示す。また、該樹脂膜の矢印λ3で示す波長350nm以下すなわち紫外線領域の透過率は0%であり、波長350nm以下の波長の光を透過しない特性を有していることが明らかである。この結果から、本願発明者らが形成した樹脂膜では、可視光領域の500nm〜800nmにおいて十分な透過率が得られるが,400nm〜500nmにおいては,透過率が低く,そのために黄色く着色していることが分かった。
【0054】
次に、本願発明者らは、前述する手順と同様の操作により、シリコン基板上に作成したポリベンゾオキサゾール膜(樹脂膜)を用いて、ESCO電子科学(株)製EMD-WA1000S/Wにより昇温脱ガス分析を行った。その結果、硬化温度である350℃までは脱ガスが見られず、耐熱性が高いことがわかった。また、この樹脂膜をシリコン基板から剥離して、ガラス転移温度Tg及び熱膨張係数CTEを測定した。ガラス転移温度Tg及び熱膨張係数CTEは、エスアイアイ・ナノテクノロジー製TMA-120型を用いて、測定温度30℃〜300℃で、昇温速度5℃/分で、10gの荷重による引張りモードで測定を行った。その結果、ガラス転移点が320℃であり、熱膨張係数が50ppm/Kであることがわかった。なお、この測定におけるガラス転移温度は熱膨張係数CTEが大きく変化する温度とし、本願発明者らは便宜的にガラス転移温度とした。
【0055】
次に、実施形態1〜5に、前述する樹脂膜を適用した画像表示装置である液晶表示装置及び有機EL表示装置の構成及び製造方法を示し、以下詳細に説明する。
【0056】
〈実施形態1〉
図2は本発明の実施形態1の画像表示装置である透過型の液晶表示パネルの1サブピクセルの構成を示す平面図である。また、図3は図2に示すA−A’切断線に沿った断面構造を示す断面図であり、図4は図2に示すB−B’切断線に沿った断面構造を示す断面図である。特に、図4は第1の透明基板SUBT側の断面構造を示す断面図であり、偏向板POL1の図示は省略している。また、図2に示すX、YはそれぞれX軸、Y軸を示す。
【0057】
以下、図2〜図4に基づいて、実施形態1の液晶表示パネルの構造について説明する。図2に示すように、実施形態1の液晶表示パネルでは、図示しない表示領域内に、Y方向に延在しX方向に並設される映像信号線(以下、ドレイン線と記す)DLと、X方向に延在しY方向に並設される走査信号線(以下、ゲート線と記す)GLが形成されている。このドレイン線DLとゲート線GLとで囲まれる矩形状の領域は画素が形成される領域を構成しており、これにより、各画素は表示領域AR内においてマトリックス状に配置される構成となる。また、画素の領域には赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のいずれかの図示しないカラーフィルタが形成される構成となっている。特に、実施形態1の液晶表示装置においては、X方向すなわちゲート線GLの延在方向に隣接配置されるRGBの各画素でカラー表示用の単位画素を形成する構成となっている。ただし、カラー表示用の単位画素の構成はこれに限定されるものではない。
【0058】
また、ゲート線GLには、画素領域側に突出する突出部によって形成されるゲート電極GTが設けられている。このゲート電極GTは、アクティブ素子である薄膜トランジスタTFTのゲート電極となるものである。このゲート電極GTの下層側には、当該ゲート電極GTと重畳するように半導体層ASが配置され、トップゲート型の薄膜トランジスタTFTを形成している。このとき、半導体層ASの一端側の上層には図示しない絶縁膜(ゲート絶縁膜及び層間絶縁膜)を介してドレイン線DLの一部が重畳される構成となっており、この重畳領域の絶縁膜に設けられたスルーホール(コンタクトホール)SH1を介してドレイン線DLと半導体層ASとが電気的に接続され、薄膜トランジスタTFTのドレイン電極を形成している。一方、ドレイン線DLの形成時に同層に形成されたソース電極STは、半導体層ASの他端側の上層にその一部が重畳される構成となっており、この重畳領域の絶縁膜に設けられたスルーホール(コンタクトホール)SH2を介してソース電極STと半導体層ASとが電気的に接続されている。さらには、ソース電極STと線状の画素電極PXとが図示しない層間絶縁膜及び容量絶縁膜に形成されたスルーホールSH3、SH4を介して電気的に接続されている。
【0059】
また、実施形態1の液晶表示パネルでは、複数の画素に跨ってX方向に延在する平面状の対向電極CTが容量絶縁膜を介して画素電極PXの下層に形成される構成となっており、特に実施形態1においては液晶表示パネルの端部において図示しない基準信号線に接続される構成となっている。これにより、画素電極PXと対向電極CTとの間には、当該電極PX、CTが形成される透明基板の面に平行な成分を有する電界を生じさせ、この電界によって液晶の分子を駆動させるIPS方式(横電界方式)の液晶表示パネルを構成している。
【0060】
このように形成される実施形態1の液晶表示パネルでは、画素の領域においては、図3に示すように、第1の透明基板(薄膜トランジスタ側基板、TFT側基板)SUBTと、第2の透明基板(カラーフィルタ側基板、CF側基板)SUBCFとが液晶層LCを介して互いに対向配置されている。このとき、実施形態1では、第1の透明基板SUBTの表面側すなわち図3中上側が観察側となっている。
【0061】
第2の透明基板SUBCFは、透明なプラスチック基板からなる第2基板SUB2を有し、その第2基板SUB2の上下の面すなわち液晶層側及び裏面側には、バリア膜BULが形成されている。第2基板SUB2の液晶層側には、当該第2基板SUB2から液晶層LCに向かって順に、バリア膜BUL、遮光膜(ブラックマトリクス)BM、カラーフィルタ層CF、オーバーコート層OC、及び配向膜ORIが形成されている。さらには、第2基板SUB2の外側すなわち観察者側には、バリア膜BULと偏光板POL2とが形成されている。
【0062】
また、第1の透明基板SUBTは、透明なプラスチック基板からなる第1基板SUB1を有し、該第1基板SUB1の液晶層側すなわち主面側には、当該第1基板SUB1から液晶層LCに向かって順に、接着層ADL、前述する樹脂層(耐熱樹脂層)PI、バリア層BUL、絶縁膜IL、層間絶縁膜PASo、対向電極として機能する透明電極CT、容量絶縁膜として機能する透明絶縁膜CI、画素電極PX、配向膜ORIが形成されている。さらには、第1基板SUB1の外側すなわち図示しないバックライト側には偏光板POL1が形成される。このとき、絶縁膜ILは、例えばSiN(窒化シリコン)とSiO2(酸化シリコン)の積層膜等からなる下地膜IN、例えばSiO2からなるゲート絶縁膜GI、SiO2やSiN等からなる層間絶縁膜PASi1、SiO2やSiN等からなる層間絶縁膜PASi2で構成される。なお、本実施形態においては、バリア層BULと下地膜INとを別々の薄膜で形成する構成としたが、1つの薄膜で兼用する構成であってもよい。
【0063】
また、薄膜トランジスタの形成領域においては、図4に示すように、第1基板SUB1の液晶層側すなわち主面側には、当該第1基板SUB1から液晶層LCに向かって、接着層ADL、樹脂層(耐熱樹脂層)PI、バリア層BUL、及び下地膜INが順に形成されている。下地層INの上面(上層)には半導体層ASが形成され、該半導体層ASの上面を含む少なくとも表示領域はゲート絶縁膜GIで被われる構成となっている。該ゲート絶縁膜GIの上面であって、半導体層ASと重畳する領域にはゲート線GLから延在するゲート電極GTが形成されており、該ゲート電極GTの上面に層間絶縁膜PASi1が形成されている。このとき、実施形態1の液晶表示パネルの端部領域にゲート電極GTと同層の共通信号線を設ける構成であってもよい。
【0064】
また、実施形態1の液晶表示装置では、第1基板のSUB1を平面的に見た時に、ゲート電極GTを挟んで対向する位置に層間絶縁膜PASi1及びゲート絶縁膜を貫通し半導体層ASに到達するスルーホールTH1、TH2がそれぞれ形成されている。このとき、スルーホールTH1はドレイン線DLの形成領域と重畳する位置に形成され、スルーホールTH2はソース電極STとなる薄膜層の形成位置と重畳する位置に形成されている。この構成により、ドレイン線DLが半導体層ASと接続されて薄膜トランジスタTFTのドレイン電極を形成すると共に、該ドレイン線DLと同層に形成されるソース電極STも半導体層ASと接続される。また、ドレイン線DL及びソース電極STの上面に層間絶縁膜PASi2が形成され、その上面に層間絶縁膜PASi2を被う層間絶縁膜PASoが形成されている。この層間絶縁膜PASoは、例えばアクリル樹脂等の有機絶縁膜からなり、薄膜トランジスタTFTの形成に伴う基板表面を平坦化する。
【0065】
この層間絶縁膜PASoの上面には、透明導電膜(例えば、ITO;Indium-Tin-OxideやZnO;酸化亜鉛等)からなる対向電極CTが形成され、その上面に該対向電極CTを被うようにして透明絶縁膜CIが形成されている。この透明絶縁膜CIの上面には透明電極材料で形成される線状の画素電極PXが形成されている。このとき、実施形態1の液晶表示パネルでは、層間絶縁膜PASi2及び層間絶縁膜PASoを貫通して、ソース電極STの表面に至るスルーホールTH3が形成されている。また、対向電極CT又は層間絶縁膜PASoの上面を被う透明絶縁膜CIはスルーホールTH3の側壁部及び底面部にも形成されており、特にスルーホールTH3の底面部では透明絶縁膜CIに当該透明絶縁膜CIを貫通しソース電極STの表面が露出されるスルーホールTH4が形成されている。ここで、画素電極PXは2つのスルーホールTH3、TH4を介してソース電極STと電気的に接続されている。このような構成とすることにより、薄膜トランジスタTFTのオンオフ動作に従って、画素電極PXへの映像信号の書き込みと階調信号の保持とがなされている。すなわち、ゲート線GLで駆動されるアクティブ素子である薄膜トランジスタTFTを介して、ドレイン線DLから画素電極PXに映像信号が書き込まれる。この映像信号の書き込みにより、各画素ではバックライト光の透過量が制御され、画像表示がなされることとなる。このとき、実施形態1の液晶表示装置では、第1基板SUB1の裏面側からのバックライト光の透過経路中に形成される樹脂層PIにおける可視光領域でのバックライト光の減衰を大幅に抑制することができるので、樹脂層PIの形成に伴う輝度低下を抑制した画像表示装置を構成できる。
【0066】
次に、図5に本発明の実施形態1の液晶表示装置における第1の透明基板の製造方法を説明するための図を示し、以下、図5に基づいて、実施形態1の液晶表示装置の製造方法を説明する。ただし、薄膜トランジスタTFT及びその上層に形成される各電極PX、CT等の構成及び形成方法は従来の形成方法と同様である。従って、以下の説明では、本願発明に特徴的な樹脂層PIについて詳細に説明する。
【0067】
工程1―1(図5(a)(b))
図5(a)に示すように、裏面からのレーザ光照射を行えると共に、再生が可能であるということを考慮して、透明なガラス基板を第3基板SUB3とする。このとき、前述するように、ガラス基板の他に、石英基板、シリコン基板、及び金属基板等からなる基板を第3基板SUB3とする構成であってもよい。このとき、後述するように、裏面からのレーザ光照射を行えるといった意味で、透明なガラス基板や石英基板等が望ましい。また、基板から最終的には樹脂層より上層を剥離するので、基板は影響を受けず、基板の再生が可能となり、デバイス作成のコストの低減につながる。
【0068】
まず、図5(b)に示すように、第3基板SUB3の主面側(図中上面)に、実施形態1に構造式(9)で示す耐熱樹脂の塗膜からなる樹脂層(耐熱樹脂層)PIを膜厚10μmで形成する。このときの硬化条件等は実施例1に示す通りである。
【0069】
工程1−2(図5(c))
次に、樹脂層PIの上層にバリア層BULを形成する。このバリア層BULの形成では、ICP−CVD置を使って、SiON膜を室温で100nm形成した。
【0070】
工程1−3(図5(d))
次に、バリア層BULの上層に周知の成膜方法で、画素を構成するために必要となる薄膜トランジスタTFTや画素電極PX等を形成する。このとき、実施形態1では、バリア層BULの上層に、まず、下地膜INを形成し、該下地層INの上層に、半導体層ASと、ゲート絶縁膜GIと、ゲート電極DTと、層間絶縁膜PASi1と、ドレイン電極DTを兼ねるドレイン線DL及びソース電極STと、層間絶縁膜PASi2と、層間絶縁膜PASoとを順に形成する。次に、層間絶縁膜PASoの上層に透明電極材料からなる平板状の対向電極CTを形成する。ここで、層間絶縁膜PASi2および層間絶縁膜PASoに、ソース電極STの上面が露出されるスルーホールSH3を形成する。この後に、透明絶縁膜CIを形成し、該透明絶縁膜CIにソース電極STの上面が露出されるスルーホールSH4を形成する。この後に、透明絶縁膜CIの上層に透明電極材料からなる線状の画素電極PXを形成と共に、スルーホールSH4を介してソース電極STと画素電極PXとを電気的に接続することにより、回路層が形成される。
【0071】
工程1−4(図5(e))
次に、第3基板SUB3に支持される回路層の上層に粘着膜PRL1と保持膜PRL2からなる保護層PRLを仮接着する。このような構成とすることにより、後の工程で、第3基板SUB3を剥離した際に、薄膜トランジスタTFTを含めた回路層部分が応力で破壊されないようにする。すなわち、実施形態1では、保護層PRLで回路層部分を支持することにより、回路層部分の破壊を防止する。ここで、保護層PRLとして、実施例1に示すように、三井化学の「イクロステープ」や日東電工の「リバアルファ」といった半導体のバックグラインド時に用いられる保護フィルムを用いる。
【0072】
工程1−5(図5(f))
次に、波長308nmのXe-Clエキシマレーザ光をガラス基板である第3基板SUB3の裏面側すなわち回路層が形成されない側から照射する。ここで、図1に示すように、耐熱樹脂層PIの透過率は波長308nmの光を効率的に吸収し、第3基板SUB3/耐熱透明樹脂層PIの界面での密着性が低下して、第3基板SUB3を剥離させることができる。このとき、150mJ/cm2/パルスの照射量で50ショットの露光を与えることにより密着性が低下した。また、10μmの耐熱樹脂層PIと保護層PRLとにより、薄膜トランジスタが形成される回路層を挟み込みように保持する構成となっているので、第3基板の剥離に際して、破損なしに薄膜トランジスタTFTを含む回路層を剥離することができる。なお、実施形態1においては、樹脂層PIとして実施例1に示す樹脂層を形成する構成としているので、波長308nmのXe-Clエキシマレーザ光を用いており、樹脂層PIをポリベンゾオキサゾール(PBO)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド(PI)、又はポリアミド(PA)の他の樹脂材料を用いて形成する場合には、樹脂材料に応じて適宜変更する。
【0073】
工程1−6(図5(g))
次に、耐熱樹脂層PIをアッシングすることにより、当該耐熱樹脂膜PIの膜厚を初めの10μmから1μmに減少させる。これによって、透過率が向上する。図6は、耐熱樹脂膜PIのみを1μmにアッシングした場合の透過率を示す図である。この図6から明らかなように、矢印λ4で示す波長400nmから800nmの透過率が90%以上となり、透明であることがわかる。また、耐熱樹脂層PIのアッシング時においても、耐熱樹脂層PIと保護層PRLとが回路層を挟むようにして形成されているので、無機材料から形成される薄膜トランジスタTFTを含む回路層を破損することなく、耐熱樹脂層PIのアッシングを行うことができる。
【0074】
工程1−7(図5(h))
次に、剥離した第3基板SUB3がついていた側すなわちアッシング後の樹脂層PIの裏面に、プラスチックフィルムからなる第1基板SUB1を透明接着材ADLにより接着する。これにより、プラスチックフィルムからなる第1基板SUB1を基板とする。
【0075】
工程1−8(図5(i))
次に、仮接着していた保護層21を剥離させる。このとき、保護層PRLとして「イクロステープ」や「リバアルファ」を用いた場合には、粘着膜PRL1は加熱により容易に粘着量(粘着力)を低減させることができるので、粘着膜PRL1と共に保持膜PRL2を容易に剥離できる。その結果、天地が保持された形で第1基板SUB1であるプラスチックフィルムに転写された薄膜トランジスタTFTを含めた第1の透明基板SUBT、すなわち第1基板SUB1の上層に回路層が形成される第1の透明基板SUBTが完成する。
【0076】
この後に、周知の方法を用い形成した第2基板SUB2の上層すなわち液晶面側にカラーフィルタCFや遮光膜BMが形成される第2の透明基板SUBCFと第1の透明基板SUBTとの間に液晶を封入すると共に、シール材を用いて第2の透明基板SUBCFと第1の透明基板SUBTとを固着することにより、液晶表示パネルが形成される。この液晶表示パネルにバックライト装置等を取り付けることにより、液晶表示装置が形成される。なお、第2の透明基板SUBCFとしては、例えば、厚さ100μmのプラスチック基板を第2基板SUB2とし、この第2基板SUB2の主面側及びその対向面側(裏面側、観察者側)に100nmのSiONのバリア膜を形成して基板材料とする。そして、この第2基板SUB2の主面側に、遮光膜(ブラックマトリクス層)BMとRGBのカラーフィルタCFの層をそれぞれ形成する。このとき、カラーフィルタ部は、オーバーコート層と配向膜を備える構成とする。
【0077】
以上説明したように、実施形態1の液晶表示装置における第1の透明基板SUBTの製造方法では、支持基板となる第3基板SUB3の上層に、耐熱性を有すると共に可視光領域の透過率が高い実施例1に示す樹脂部材からなる剥離層として機能する樹脂層PIを形成した後に、該樹脂層PIの上層にバリア層BRFを介して回路層を形成する。次に、該回路層の上層に保護層PRLを仮接着させた後に、第3基板SUB3側から波長200nm以上400nmのレーザ光を照射し、上層に回路層が形成される樹脂層PI側から第3基板SUB3を剥離する。次に、樹脂層PIを剥離面側からアッシングすることにより、当該樹脂層PIの膜厚を形成時の10μmから1μmに薄膜化する。この薄膜化の後に、樹脂層PIのアッシング側面に透明接着剤で第1基板SUB1を接着した後に、仮接着した保護層PRLを剥離する。該保護層PRLの剥離後に配向膜を成膜し第1の透明基板SUBTを形成し、該第1の透明基板SUBTと第2の透明基板SUBCFとの間に液晶を封入し固着することにより、液晶表示装置を形成する。このとき、実施形態1では樹脂膜PIとして、ガラス転移点を向上させるために架橋剤を合わせて用いることができるポリベンゾオキサゾール(PBO)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド(PI)、又はポリアミド(PA)の内の実施例1に示すポリベンゾオキサゾール(PBO)を用い、その厚さが3μm以上30μmとなるように第3基板SUB3上に形成する樹脂層PIとしている。その結果、その上層に回路層が形成される樹脂層PIを第3基板SUB3から剥離する際における回路層を形成する薄膜トランジスタ等の破損を防止できる。また、第3基板SUB3としてガラス基板を用い、剥離層として樹脂層PIを用いる構成としているので、従来の製造装置を用いた場合であっても容易に第3基板SUB3を再利用することが可能である。さらには、実施形態1の液晶表示装置の第1の透明基板の製造方法では、第3基板SUB3の上層に形成した実施例1の樹脂層PIを当該第3基板SUB3から剥離した後に薄膜化し、この後に、第1基板SUB1に接着する構成としているので、耐熱性の樹脂層PIを用いた場合であっても、バックライト光の透過性を向上させることができる。
【0078】
〈実施形態2〉
実施形態2の画像表示装置は実施形態1の液晶表示装置と同じ構成となるが、その製造方法が異なる実施形態である。従って、実施形態2においては、図7及び図8に本発明の実施形態2の液晶表示装置の製造方法を説明するための図を示し、以下、図7及び図8に基づいて、実施形態2の液晶表示装置(液晶表示パネル)の製造方法を詳細に説明する。また、実施形態2の製造方法では、第3基板SUB3を剥離する際の支持部材として第2の透明基板SUBCFを用いる以外は、実施形態1と同様の構成となる。以下の説明では、本願発明に特徴的な樹脂層PIと第2の透明基板SUBCFの形成について詳細に説明する。
【0079】
工程2−1(図7(a)(b))
前述する工程1−1と同様に、透明なガラス基板を第3基板SUB3とする。これにより、実施形態1と同様に、基板の再生が可能となり、デバイス作成コストの低減が可能となる。ここで、図7(b)に示すように、第3基板SUB3の主面側(図中上面)に、実施例1に示す耐熱樹脂の塗膜からなる樹脂層(耐熱樹脂層)PIを膜厚15μmで形成する。
【0080】
工程2−2(図7(c))
前述する工程1−2と同様に、樹脂層PIの上層にバリア層BULを形成する。このバリア層BULの形成では、ICP−CVD置を使って、SiON膜を室温で100nm形成した。
【0081】
工程2−3(図7(d))
前述する工程1−3と同様に、バリア層BULの上層に周知の成膜方法で、画素を構成するために必要となる薄膜トランジスタTFTや画素電極PX等を形成する。実施形態2においても、バリア層BULの上層に、下地層INと、半導体層ASと、ゲート絶縁膜GIと、ゲート電極DTと、層間絶縁膜PASi1と、ドレイン電極DTを兼ねるドレイン線DL及びソース電極STと、層間絶縁膜PASi2と、層間絶縁膜PASoと、対向電極CTと、層間絶縁膜PASi2と、層間絶縁膜PASoと、透明絶縁膜CIと、画素電極PXとを順に形成することにより、第3基板SUB3の上層に形成した樹脂層PI上に回路層を形成する。
【0082】
工程2−4(図7(e))
次に、回路層を形成した基板の液晶面側に周知の配向膜ORIを形成した後に、周知のラビング処理を行う。
【0083】
工程2−5(図7(f))
実施形態1と同様に、厚さ100μmのプラスチック基板からなる第2基板SUB2の主面側すなわち液晶面側とその対向面側に、100nmのSiONのバリア膜BULを形成して、それを基板とする。このバリア膜BULを形成した第2基板SUB2の主面側に、周知の方法により、遮光膜(ブラックマトリクス層)BMとRGBのカラーフィルタCFの薄膜層を形成する。さらには、その上層にオーバーコート層OCと配向膜ORIを形成することにより、第2の透明基板SUBCFを形成する。
【0084】
次に、この第2の透明基板SUBCFの配向膜ORI側と、工程2−4で形成された回路層を有する第3基板SUB3の配向膜ORI側とが対向するようにして、2枚の基板をシール材で固着する。このとき、第2の透明基板SUBCFと第3基板SUB3側との間に液晶を封入すると共に、この液晶層にビーズスペーサーを入れる構成としている。
【0085】
工程2−6(図8(g))
次に、工程1−5と同様に、波長308nmのXe-Clエキシマレーザ光をガラス基板である第3基板SUB3の裏面側すなわち回路層が形成されない側から照射する。ここで、耐熱樹脂層PIは、波長308nmの光を効率的に吸収し、第3基板SUB3/耐熱透明樹脂層PIの界面での密着性が低下して、第3基板SUB3を剥離させることができる。このとき、実施形態2の製造方法では、15μmの耐熱樹脂層PIが形成されていると共に、第2の透明基板SUBCFが固着されているので、薄膜トランジスタTFT等が形成される回路層は樹脂層PIと第2の透明基板SUBCFとで支持される構成となる。その結果、回路層に損傷を与えることなく、第3基板SUB3と樹脂層PIとの界面で当該第3基板SUB3を樹脂層PIから剥離することができる。
【0086】
工程2−7(図8(h))
次に、工程1−6と同様に、耐熱樹脂層PIをアッシングすることにより、当該耐熱樹脂膜PIの膜厚を初めの15μmから、1.4μmに減少させる。これによって、透過率を向上させる。
【0087】
工程2−8(図8(i))
次に、工程1−7と同様に、第3基板SUB3を剥離した側である樹脂層PIの表面すなわち裏面側に、別のプラスチックフィルムからなる第1基板SUB1を透明接着材ADLにより接着する。
【0088】
工程2−9(図8(j))
次に、偏光板POL1、POL2を上下に貼り付けることによって、第1の透明基板SUBTとしてプラスチックフィルムからなる第1基板SUB1を備えた液晶表示パネルが形成される。この後に、液晶表示パネルの裏面側に図示しないバックライト装置を配置することにより、液晶表示装置が形成される。
【0089】
以上説明したように、実施形態2の液晶表示装置における第1の透明基板SUBTの製造方法では、支持基板となる第3基板SUB3の上層に、実施例1に示す樹脂部材からなる剥離層として機能する樹脂層PIを形成する。この後に、該樹脂層PIの上層にバリア層BRFを介して回路層や配向膜等を形成した後に、第2の透明基板SUBCFとの間に液晶を封入し固着した後に、第3基板SUB3側から波長200nm以上400nmのレーザ光を照射し、樹脂層PIと第3基板SUB3との界面で当該第3基板SUB3を剥離する。この後に、樹脂層PIを薄膜化し、該樹脂層PIに第1基板SUB1を貼り付けることにより液晶表示パネルを形成する。このとき、実施形態2においても樹脂膜PIとして、ガラス転移点を向上させるために架橋剤を合わせて用いることができるポリベンゾオキサゾール(PBO)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド(PI)、又はポリアミド(PA)の内の実施例1に示すポリベンゾオキサゾール(PBO)を用い、その厚さが3μm以上30μmとなるように第3基板SUB3上に形成する樹脂層PIとしているので、実施形態1の液晶表示装置の製造方法と同様の効果を得ることができる。さらには、樹脂層PIから第3基板SUB3を剥離する際に、第2の透明基板SUBCFと樹脂層PIとにより応力に伴う回路層の損傷を保護する構成としているので、実施形態1よりも液晶表示装置の製造工程数を低減できるという格別の効果を得ることができる。
【0090】
〈実施形態3〉
〈全体構成〉
図9は本発明の実施形態3の画像表示装置である液晶表示装置における薄膜トランジスタ部及び画素部の概略構成を説明するための断面図であり、図10は本発明の実施形態3の画像表示装置である液晶表示装置の概略構成を説明するための断面図である。特に、図10は実施形態3の液晶表示装置の画素領域における断面図を示す。また、実施形態3の液晶表示装置は第2基板SUB2すなわち第2の透明基板SUBCFの側に対向電極が形成され、第1の透明基板SUBTと第2の透明基板SUBCFとの配置方向(縦方向)に液晶分子を駆動する電界が印加されるVA方式やTN方式と称されるいわゆる縦電界方式の液晶表示装置に本願発明を適用した場合の液晶表示装置である。ただし、実施形態3の液晶表示装置では、薄膜トランジスタ及び画素を含む回路層の構成を除く他の構成は実施形態1と同様である。従って、以下の説明では、回路層の構成について詳細に説明する。
【0091】
実施形態3の液晶表示装置においても、第1基板SUB1の上面には薄膜トランジスタTFTが形成されている。該薄膜トランジスタTFTは、マトリックス状に配置された各画素の画素列を選択するためのスイッチング素子として、あるいは、各画素の集合によって形成される表示部の周辺に形成される画素駆動用回路のスイッチング素子として形成されるようになっている。この薄膜トランジスタTFTは、パターン化された導電層、半導体層、絶縁層を所定の順序で積層させた積層体によって形成されている。
【0092】
すなわち、図9に示すように、薄膜トランジスタTFT等が形成される第1の透明基板の側は、プラスチックフィルム等の樹脂製の第1基板SUB1の上層に接着層ADLを介して樹脂層PIが固着されている。該樹脂層PIの上層にはバリア層BULが形成され、該バリア層BULの上層にゲート電極GTが形成されている。このときのゲート電極STは、例えば図示しないゲート線を兼用する構成、又は該ゲート線から延在する延在部をゲート電極GTとして用いる構成とする場合の何れであってもよい。該ゲート電極GTの上層にはゲート絶縁膜GIが形成され、該ゲート絶縁膜GIの上層に、ゲート電極GTと重畳する位置に島状の半導体層AS及び高濃度のn型不純物がドープされるコンタクト層CNが当該ゲート電極GTを跨ぐように形成されている。このとき、実施形態3では該コンタクト層CNを貫通し、半導体層ASの一部が凹状に形成される凹部が形成されており、コンタクト層CNの上層に該凹部を介して対向するようしてドレイン電極DTとソース電極STとが形成され、薄膜トランジスタTFTが形成されている。このように、実施形態3では、半導体層ASとドレイン電極DTとの界面、及び半導体層ASとソース電極STとの界面とにそれぞれコンタクト層CNを形成することにより、電気抵抗を小さくする構成としている。また、実施形態3においても、ソース電極ST及びドレイン電極DTの形成時に、図示しないドレイン線等を形成する構成となっている。そして、このように構成された薄膜トランジスタTFTは、保護膜PASによって被われる構成となっている。この保護膜PASはたとえばシリコン窒化膜あるいは樹脂等で形成されている。また、保護膜PASの上層には画素電極PXが形成されると共に、保護膜PASに形成されるスルーホールSH5を介して、ソース電極STと画素電極PXが電気的に接続されている。
【0093】
このような薄膜トランジスタTFTを備える液晶表示パネルでは、図10に示すように、液晶LCを挟持して配置される第1の透明基板(いわゆる、TFT基板)SUBTと第2の透明基板(いわゆる、フィルタ基板)SUBCFを備える構成となっている。該第1の透明基板SUBTは、プラスチックフィルム等の樹脂部材からなる第1基板SUB1を備えている。該第1基板SUBの主面側である液晶LCの側の面には、接着層ADLを介して、実施例1に示す樹脂層(耐熱樹脂層)PIが形成されている。該樹脂層PIの上層には、第1の無機膜であるバリア層BUL(IO1)、第2の無機膜であるゲート絶縁膜GI(IO2)、保護膜PAS、画素電極PX、第1の配向膜ORI1が順次積層されている。このとき、実施形態3における画素電極PXも、例えばITO(Indium Tin Oxide)等の透光性導電膜から構成されている。また、画素電極PXは後に詳述する第2基板SUB2上に形成される対向電極CTとの間に電界を生じせしめ、液晶LCの分子を挙動させるようになっている。従って、実施形態3の画素電極PXは平面状の形状となっている。また、第1の配向膜ORI1は後述の第2配向膜ORI2とともに液晶LCの分子の初期配向方向を決定するようになっている。一方、第1基板SUB1の液晶LCと反対側の面には、第1偏光板POL1が配置されている。該第1偏光板POL1は、後述の第2偏光板POL2とともに液晶LCの分子の挙動を可視化させるようになっている。
【0094】
液晶LCを介して第1の透明基板SUBTと対向配置される第2の透明基板SUBCFは、プラスチックフィルム等の樹脂部材からなる第2基板SUB2を備える構成となっている。該第2基板SUB2の液晶LCの側の面には、カラーフィルタCF、対向電極CT、第2配向膜ORI2が順次積層されている。対向電極CTは、たとえばITO(Indium Tin Oxide)等の透光性導電膜から構成されている。一方、第2基板SUB2の液晶LCと反対側の面には、第2偏光板POL2が配置されている。
【0095】
〈製造方法〉
次に、図11に本発明の実施形態3の液晶表示装置における第1の透明基板の製造方法を説明するための図を示し、以下、図11に基づいて、実施形態3の液晶表示装置であるTN方式の液晶表示装置の製造方法を説明する。ただし、実施形態3の液晶表示装置では、薄膜トランジスタTFT及びその上層に形成される画素電極PXを除く他の構成は実施形態1と同様である。従って、以下の説明では、実施形態1と構成が異なる薄膜トランジスタTFT及びその上層に形成される画素電極PXについて詳細に説明する。
【0096】
工程3―1(図11(a))
実施形態3においても、裏面からのレーザ光照射を行えると共に、再生が可能であるということを考慮して、透明なガラス基板を支持基板である第3基板SUB3とする。これにより、第3基板SUB3を再生して使用することが可能となるので、デバイスである液晶表示装置の作成コストを低減することができる。このとき、実施形態1と同様に、ガラス基板の他に、石英基板、シリコン基板、及び金属基板等を第3基板SUB3とする構成であってもよい。
【0097】
まず、第3基板SUB3の主面側(図中上面)に、実施例1に示す耐熱樹脂の塗膜からなる樹脂層(耐熱樹脂層)PIを膜厚10μmで形成する。このときの硬化条件や膜厚等は、実施例1に示す条件と同じとなる。
【0098】
工程3−2(図11(b))
次に、前述する工程1−2と同様に、樹脂層PIの上層にバリア層BULを形成する。このバリア層BULの形成では、ICP−CVD置を使って、無機膜であるSiON膜を室温で100nm形成する。
【0099】
工程3−3(図11(c))
次に、バリア層BULの上層に周知の成膜方法で、薄膜トランジスタTFTや画素電極PX等の回路層を形成する。このとき、実施形態3では、バリア層BULの上層に、ゲート電極GTと、ゲート絶縁膜GIと、半導体層ASと、コンタクト層CNと、ドレイン電極DTを兼ねるドレイン線DL及びソース電極STと、層間絶縁膜PASとを順に形成する。ここで、層間絶縁膜PASにソース電極STの上面が露出されるスルーホールSH5を形成する。次に、層間絶縁膜PASの上層に透明電極材料からなる平板状の画素電極PXを形成すると共に、スルーホールSH5を介してソース電極STと画素電極PXとを電気的に接続することにより、回路層が形成される。
【0100】
工程3−4(図11(d))
次に、前述する工程1−4と同様に、第3基板SUB3に支持される回路層の上層に粘着膜PRL1と保持膜PRL2からなる保護層PRLを仮接着する。ここで、実施形態3においても実施例1と同様に、保護層PRLとしては例えば三井化学の「イクロステープ」や日東電工の「リバアルファ」といった半導体のバックグラインド時に用いられる保護フィルムを用いる。
【0101】
工程3−5(図11(e))
次に、前述する工程1−5と同様に、波長308nmのXe-Clエキシマレーザ光を第3基板SUB3の裏面側すなわち回路層が形成されない側から照射する。その結果、波長308nmの光が樹脂層PIに効率的に吸収され、第3基板SUB3/耐熱透明樹脂層PIの界面での密着性が低下して、第3基板SUB3を剥離させることができる。このときも、150mJ/cm2/パルスの照射量で50ショットの露光を与えることにより密着性が低下する。ここで、実施形態1と同様に、実施形態3においても10μmの耐熱樹脂層PI及び保護層PRLが回路層を挟むようにして形成されているので、無機材料から形成される薄膜トランジスタTFTを含む回路層を破損することなく支持基板である第3基板SUB3を剥離することができる。
【0102】
工程3−6(図11(f))
次に、前述する工程1−6と同様に、耐熱樹脂層PIの図中下面側をアッシングすることにより、当該耐熱樹脂膜PIの膜厚を形成時すなわち初めの10μmから1μmに減少させる。これによって、実施形態1と同様に、樹脂層PIの透過率すなわち液晶表示装置の輝度を向上できる。
【0103】
工程3−7(図11(g))
次に、前述する工程1−7と同様に、第3基板SUB3がついていた側すなわち樹脂層PIのアッシング側に、プラスチックフィルムからなる第1基板SUB1を透明接着材ADLにより接着する。これにより、プラスチックフィルムからなる第1基板SUB1を基板とする。
【0104】
工程3−8(図11(h))
次に、前述する工程1−8と同様に、仮接着していた保護層PRLを剥離させる。このとき、実施形態3においても保護層PRLとして前述の「イクロステープ」や「リバアルファ」を用いているので、粘着膜PRL1は加熱により容易に粘着量を低減させることができ、粘着膜PRL1と共に保持膜PRL2を剥離できる。その結果、天地が保持された形で第1基板SUB1であるプラスチックフィルムに転写された薄膜トランジスタTFTを含めた第1基板SUB1の上層に回路層が形成される第1の透明基板SUBTが完成する。
【0105】
この工程3−8の後に、周知の方法を用い形成した第2基板SUB2の上層すなわち液晶側にカラーフィルタCF、対向電極CT、及び遮光膜BMが形成される第2の透明基板SUBCFと、第1の透明基板SUBTとをシール材を用いて固着すると共に、第2の透明基板SUBCFと第1の透明基板SUBTとの間に液晶を封入することにより、液晶表示パネルが形成される。この液晶表示パネルにバックライト装置等を取り付けることにより、液晶表示装置が形成される。ただし、実施形態3の液晶表示装置はTN方式の液晶表示装置となるので、第2の透明基板SUBCFの側にもITOからなる電極である対向電極CTが形成されている。すなわち、第2の透明基板SUBCFとしては、例えば、厚さ100μmのプラスチック基板を第2基板SUB2とし、この第2基板SUB2の主面側及びその対向面側(裏面側、観察者側)に100nmのSiONのバリア膜を形成して基板材料とする。そして、この第2基板SUB2の主面側に、遮光膜(ブラックマトリクス層)BMとRGBのカラーフィルタCFと対向電極CTの層をそれぞれ形成する。このとき、第2基板SUB2の液晶面側の最上層には配向膜を備える構成としている。
【0106】
以上説明したように、実施形態3の液晶表示装置の第1の透明基板SUBTの製造方法においては、支持基板となる第3基板SUB3の上層に、実施例1に示す樹脂部材からなる剥離層として機能する樹脂層PIを形成した後に、該樹脂層PIの上層にバリア層BRFを介して回路層等を形成し、該回路層の上層に保護層PRLを仮接着させた後に、第3基板SUB3側から波長200nm以上400nmのレーザ光を照射し、上層に回路層が形成される樹脂層PI側から第3基板SUB3を剥離する。該第3基板SUB3の剥離後に、樹脂層PIを薄膜化し、該樹脂層PIに第1基板SUB1を貼り付けた後に、仮接着した保護層PRLを剥離する。該保護層PRLの剥離後に配向膜を成膜し第1の透明基板SUBTを形成し、該第1の透明基板SUBTと第2の透明基板SUBCFとの間に液晶を封入し固着することにより、液晶表示パネルを形成する。このとき、実施形態3においても樹脂膜PIとして、ガラス転移点を向上させるために架橋剤を合わせて用いることができるポリベンゾオキサゾール(PBO)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド(PI)、又はポリアミド(PA)の内の実施例1に示すポリベンゾオキサゾール(PBO)を用い、その厚さが3μm以上30μmとなるように第3基板SUB3上に形成する樹脂層PIとしているので、実施形態1の液晶表示装置の製造方法と同様の効果を得ることができる。
【0107】
〈実施形態4〉
実施形態4の画像表示装置は実施形態3の液晶表示装置と同じ構成となるが、その製造方法が異なる実施形態である。従って、実施形態4においては、図12及び図13に本発明の実施形態4の液晶表示装置の製造方法を説明するための図を示し、以下、図12及び図13に基づいて、実施形態4の液晶表示装置の製造方法を説明する。ただし、実施形態4の液晶表パネルの製造方法では、第3基板SUB3を剥離する際の支持部材として第2の透明基板SUBCFを用いる以外は、実施形態3と同様の構成となる。従って、以下の説明では、本願発明に特徴的な樹脂層PIと第2の透明基板SUBCFの形成について詳細に説明する。
【0108】
工程4−1(図12(a))
前述する工程3−1と同様に、透明なガラス基板を第3基板SUB3とする。これにより、第3基板SUB3を再生して使用することが可能となるので、デバイスである液晶表示装置の作成コストを低減することができる。このとき、実施形態1と同様に、ガラス基板の他に、石英基板、シリコン基板、及び金属基板等を第3基板SUB3とする構成であってもよい。
【0109】
まず、第3基板SUB3の主面側(図中上面)に、実施例1に示す耐熱樹脂の塗膜からなる樹脂層(耐熱樹脂層)PIを膜厚10μmで形成する。このときの硬化条件や膜厚等は、実施例1に示す条件と同じとなる。
【0110】
工程4−2(図12(b))
前述する工程3−2と同様に、樹脂層PIの上層に、バリア層BULとする厚さが100nmのSiON膜を形成する。
【0111】
工程4−3(図12(c))
前述する工程3−3と同様に、バリア層BULの上層に周知の成膜方法で、画素を構成するために必要となる薄膜トランジスタTFTや画素電極PX等の回路層を形成する。このとき、図12(c)から明らかなように、画素領域においては、バリア層BULの上層に、ゲート絶縁膜GIと、層間絶縁膜PASと、画素電極PXと、配向膜ORI1が順番に積層される。なお、この工程により、第3基板SUB3の上層に形成した樹脂層PI上に回路層が形成される。また、配向膜ORIに応じてラビング処理を行う。
【0112】
工程4−4(図12(d))
次に、例えば、厚さ100μmのプラスチック基板からなる第2基板SUB2の主面側に、周知の方法により、図示しない遮光膜(ブラックマトリクス層)BM及びRGBのカラーフィルタCFの薄膜層、対向電極CT、配向膜ORIを順番に積層して第2の透明基板SUBCFを形成する。
【0113】
次に、この第2の透明基板SUBCFの配向膜ORI2と、工程4−3で形成された回路層を有する第3基板SUB3の配向膜ORI1とが対向する向きにして、2枚の基板をシール材で固着する。このとき、第2の透明基板SUBCFと第3基板SUB3側との間に液晶を封入すると共に、この液晶層にビーズスペーサーを入れる構成としている。
【0114】
工程4−5(図12(e))
工程3−5と同様に、波長308nmのXe-Clエキシマレーザ光をガラス基板である第3基板SUB3の裏面側すなわち回路層が形成されない側から照射する。その結果、波長308nmの光が樹脂層PIに効率的に吸収され、第3基板SUB3/耐熱透明樹脂層PIの界面での密着性が低下して、第3基板SUB3を剥離させることができる。このときも、150mJ/cm2/パルスの照射量で50ショットの露光を与えることにより密着性が低下する。実施形態4においては、実施形態2と同様に、第2の透明基板SUBCFと樹脂層PIとが回路層を挟むようにして保護するので、無機材料から形成される薄膜トランジスタTFTを含む回路層を破損することなく支持基板である第3基板SUB3を剥離することができる。
【0115】
工程4−6(図12(f))
工程3−6と同様に、耐熱樹脂層PIをアッシングすることにより、当該耐熱樹脂膜PIの膜厚を初めの10μmから1μmに減少させる。これによって、実施形態1と同様に、樹脂層PIの透過率すなわち液晶表示装置の輝度を向上できる。
【0116】
工程4−7(図13(g))
工程3−7と同様に、第3基板SUB3を剥離した側である樹脂層PIの表面すなわち裏面側に、別のプラスチックフィルムからなる第1基板SUB1を透明接着材ADLにより接着する。これにより、プラスチックフィルムからなる第1基板SUB1を基板とする。
【0117】
工程4−8(図13(h))
偏光板POL1、POL2を上下に貼り付けることによって、第1の透明基板SUBTとしてプラスチックフィルムからなる第1基板SUB1を備えた液晶表示パネルが形成される。
【0118】
この後に、液晶表示パネルの裏面側に図示しないバックライト装置を配置することにより、実施形態4の液晶表示装置が形成される。
【0119】
以上説明したように、実施形態4の液晶表示装置の第1の透明基板SUBTの製造方法においては、支持基板となる第3基板SUB3の上層に、実施例1に示す樹脂部材からなる剥離層として機能する樹脂層PIを形成した後に、該樹脂層PIの上層にバリア層BRFを介して回路層や配向膜等を形成し、この後に第2の透明基板SUBCFとの間に液晶を封入し固着することにより、樹脂層PIと第2の透明基板SUBCFとにより薄膜トランジスタTFTを含む回路層を保護する。この後に、第3基板SUB3側から波長200nm以上400nmのレーザ光を照射し、樹脂層PIと第3基板SUB3との界面で当該第3基板SUB3を剥離する。該第3基板SUB3の剥離後に、樹脂層PIを薄膜化し、該樹脂層PIに第1基板SUB1を貼り付けることにより液晶表示パネルを形成するので、実施形態1の液晶表示装置の製造方法と同様の効果を得ることができる。さらには、樹脂層PIから第3基板SUB3を剥離する際に、第2の透明基板SUBCFと樹脂層PIとにより応力に伴う回路層の損傷を保護する構成としているので、実施形態2と同様に、実施形態1、3よりも液晶表示装置の製造工程数を低減できるという格別の効果を得ることができる。
【0120】
〈実施形態5〉
図14は本発明の実施形態5の画像表示装置である液晶表示装置の概略構成を説明するための薄膜トランジスタの形成領域における断面図であり、図15は本発明の実施形態5の画像表示装置である液晶表示装置の概略構成を説明するための画素の形成領域における断面図である。特に、図5は第1の透明基板側の断面図であり、実施形態5の液晶表示装置は、耐熱性を有する樹脂膜(耐熱樹脂膜)PIの構成を除く他の構成は従来と同様である。従って、以下の説明では、樹脂膜の構成について詳細に説明する。また、図14に示す断面図においては、薄膜トランジスタの上層に形成される画素電極等の構成は省略する。
【0121】
実施形態5の画像表示装置は、薄膜トランジスタの半導体層PSがポリシリコン(低温ポリシリコンや微結晶ポリシリコンを含む)で形成される液晶表示装置である。半導体層PSをポリシリコンで形成される薄膜トランジスタTFTとして適するものとして、図14から明らかなように、ポリシリコン層からなる半導体層PSの上層にゲート電極GTが形成されるトップゲート型であり、かつ半導体層PSの側面すなわちチャネル層の側面にソース領域DD及びドレイン領域SDが形成される周知の構成となっている。
【0122】
図14に示すように、実施形態5の第1の透明基板は、まず、1μmにアッシングされた耐熱樹脂層からなる樹脂層PIが形成されており、該樹脂層PIの表面に例えばシリコン窒化膜(SiN)からなるバリア層BLが形成されている。このバリア層BLは、樹脂層PI内の金属原子が半導体層PSに侵入するのを回避するために設けられている。一方、樹脂層PIの裏側(薄膜トランジスタTFTが形成される側に対応する面側)は、接着層ADLで樹脂性の基板である第1基板SUB1に接着される構成となっている。
【0123】
バリア層BLの表面すなわちバリア層BLの図中上側面には、ポリシリコンからなる半導体層PSが形成され、該半導体層PSをも被ってゲート絶縁膜GIが形成されている。ゲート絶縁膜GIの上面には半導体層PSを跨ぐようにしてゲート電極GTが形成されている。なお、半導体層PSには、ゲート電極GTの形成後にゲート電極GTをマスクとして不純物がドープされ、ドレイン領域DDおよびソース領域SDが形成されるようになっている。また、ゲート電極GTをも被ってゲート絶縁膜GI上には保護膜PASが形成され、該保護膜PAS及びゲート絶縁膜GIに形成された開口(スルーホール)を通して、ドレイン領域DDに接続されたドレイン電極DT、およびソース領域SDに接続されたソース電極STが形成され、実施形態5の薄膜トランジスタTFTが形成されている。
【0124】
また、実施形態5の液晶表示装置における画素領域の構成は、図15に示すように、実施形態3、4と同様の構成となる。すなわち、液晶層LCを介して、樹脂からなる第1基板SUB1を備える第1の透明基板SUBTと、樹脂からなる第2基板SUB2を備える第2の透明基板SUBCFとが対向配置されている。第1基板SUB1の主面側(対向面側)すなわち液晶層LCの側には、接着層ADLにより、樹脂層(耐熱樹脂層)PIが接着されている。該樹脂層PIの上層には、第1の無機膜であるバリア層BUL(IO1)、第2の無機膜であるゲート絶縁膜GI(IO2)、保護膜PAS、画素電極PX、第1の配向膜ORI1が順次積層されている。第2基板SUB2の液晶LCの側の面には、カラーフィルタCF、対向電極CT、第2配向膜ORI2が順次積層されている。対向電極CTは、たとえばITO(Indium Tin Oxide)等の透光性導電膜から構成されている。また、第1基板SUB1及び第2基板SUB2の液晶LCと反対側の面には、それぞれ第1偏光板POL1又は第2偏光板POL2が配置されている。
【0125】
また、実施形態5の液晶表示装置は、実施形態3及び実施形態4の液晶表示装置の製造方法における回路層の形成工程が異なるのみで、他の工程は同じとなる。従って、実施形態5の液晶表示装置においても、実施形態3、4の液晶表示装置と同様の効果を得ることができる。
【0126】
〈実施形態6〉
図16は本発明の実施形態6の画像表示装置である有機EL表示装置の概略構成を説明するための断面図である。ただし、本願発明は有機EL表示装置に限定されることはなく、他の自発光型画像表示装置にも適用可能である。なお、図16は前述の図10と同様に、画素領域の断面図を示す。
【0127】
図16に示すように、実施形態6の有機EL表示装置においても耐熱性の樹脂層PIを用いる構成となっており、特に、実施形態1〜5と同様に、1μm程度の樹脂層PIを使用する構成となっている。すなわち、実施形態6の有機EL表示装置では、1μmにアッシングされた耐熱樹脂層からなる樹脂層PIが形成されており、該樹脂層PIの表面に例えばシリコン窒化膜(SiN)からなるバリア層BLが形成されている。このバリア層BLは、樹脂層PI内の金属原子が半導体層PSに侵入するのを回避するために設けられている。一方、樹脂層PIの裏側(薄膜トランジスタTFTが形成される側に対応する面側)は、接着層ADLで樹脂性の基板である第1基板SUB1に接着される構成となっている。
【0128】
樹脂層PIの上層には、第1の無機膜であるバリア層BUL(IO1)、第2の無機膜であるゲート絶縁膜GI(IO2)、保護膜PAS、第1電極TM1、発光層EL、第2電極TM2、封止層ENCが順次積層されている。実施形態6の有機EL表示装置では、バリア層BULは応力調整膜として機能し、ゲート絶縁膜GIは図示しない薄膜トランジスタの形成領域においては、半導体層とゲート電極との間に形成されるゲート絶縁膜として機能する。また、発光層ELは第1電極TM1と第2電極TM2によって挟持され、第1電極TM1と第2電極TM2を通して発光層ELに流れる電流に応じた発光がなされるようになっている。ただし、実施形態6の有機EL表示装置においては、発光層ELよりも第1基板SUB1に近い側に配置される電極は、例えばITO等のような透光性導電膜で構成され、発光層ELから発生した光は、透光性導電膜で構成した第1電極TM1を通して外部に照射させるようになっている。なお、第2電極TM2も透光性導電膜で形成してもよい。
【0129】
次に、図17に本発明の実施形態6の画像表示装置である有機EL表示装置の製造方法を説明するための図を示し、以下、図17に基づいて、実施形態6の有機EL表示装置の製造方法を説明する。ただし、以下の説明では、発光層ELよりも第1基板SUB1側に形成される第1電極TM1を透光性導電膜で形成し、第1電極TM及び第1基板SUB1を通して発光層ELからの光を照射させるボトムエミッション方式について説明する。ただし、本願発明は第2電極TM2を透光性導電膜で形成し、第2電極TM2及び封止層ENCを通して発光層ELからの光を照射させるトップエミッション方式にも適用可能である。
【0130】
工程6−1(図17(a))
実施形態6においても、裏面側からのレーザ光照射を行えると共に、再生が可能であるということを考慮して、透明なガラス基板を第3基板SUB3とする。これにより、第3基板SUB3を再生して使用することが可能となるので、デバイスである有機EL表示装置の作成コストを低減することができる。ただし、後述する発光層ELの形成においては高温での蒸着を行うこととなるので、その蒸着温度に適応した材料からなる基板を適宜選択し第3基板SUB3とする。このような第3基板SUB3としては、実施形態1と同様に、ガラス基板の他に、石英基板、シリコン基板、及び金属基板等からなる基板を第3基板SUB3とする構成であってもよい。このとき、後述のように、裏面側からのレーザ光照射が行えるので、透明なガラス基板や石英基板等が望ましい。
【0131】
まず、第3基板SUB3の主面側(図中上面)に、実施例1に示す耐熱樹脂の塗膜からなる樹脂層(耐熱樹脂層)PIを膜厚10μmで形成する。このときの硬化条件や膜厚等は、適宜選択可能である。
【0132】
工程6−2(図17(b))
次に、樹脂層PIの上層にバリア層BULを形成する。このバリア層BULの形成では、例えば、ICP−CVD置を使って無機膜であるSiON膜を室温で100nm形成する。
【0133】
工程6−3(図17(c))
次に、バリア層BULの上層に周知の成膜方法で、発光層ELに供給する電流量を調整する駆動用の薄膜トランジスタ、映像信号の取り込みを制御すると共に駆動用の薄膜トランジスタの駆動を制御するスイッチ用の薄膜トランジスタ、及び配線等を形成する。次に、ITO等の透光性導電膜からなる第1電極TM1、有機薄膜からなる発光層EL、第2電極TM2、及び封止層ENCを形成する。
【0134】
すなわち、バリア層BULの上層に、ゲート線及びゲート電極と、ゲート絶縁膜GIと、半導体層と、ドレイン電極を兼ねるドレイン線及びソース電極と、層間絶縁膜PASとを順に形成することにより、スイッチよう及び駆動用の薄膜トランジスタ及び配線等を形成する。次に、駆動用の薄膜トランジスタのソース電極の上面が露出されるスルーホールを層間絶縁膜PASに形成した後に、当該層間絶縁膜PASの上層に透明電極材料からなる第1電極TM1を形成することにより、ソース電極と第1電極TM1とを電気的に接続する。次に、第1電極TM1の上層にシャドーマスクを用いて有機材料の薄膜層からなる発光層ELを形成した後に、該発光層ELの上層に金属薄膜からなる第2電極TM2を形成する。この後、基板の主面側を被うようして第2電極TM2の上層に封止層ENCを形成することにより、発光層ELを形成する有機材料への水分等の侵入を防止する。ただし、第2電極TM2の形成時においては、例えば工程6−3で形成した図示しない共通信号線の上層に形成される層間絶縁膜PASにスルーホールを形成した後に、第2電極TM2を形成することにより、共通信号線と第2電極TM2とを電気的に接続する。
【0135】
工程6−4(図17(d))
次に、工程1−4と同様に、封止層ENCの上層に粘着膜PRL1と保持膜PRL2とからなる保護層PRLを仮接着する。ここで、実施形態6においても実施例1と同様に、保護層PRLとしては例えば三井化学の「イクロステープ」や日東電工の「リバアルファ」といった半導体のバックグラインド時に用いられる保護フィルムを用いる。
【0136】
工程6−5(図17(e))
次に、工程1−5と同様に、波長308nmのXe-Clエキシマレーザ光をガラス基板である第3基板SUB3の裏面側すなわち回路層が形成されない側から照射する。このレーザ光の照射により、実施形態6の耐熱樹脂層PIにおいても波長308nmの光が効率的に吸収され、第3基板SUB3/耐熱透明樹脂層PIの界面での密着性が低下して、第3基板SUB3を剥離させることができる。このとき、実施形態6においても、実施形態1と同様に、10μmの耐熱樹脂層PI及び保護層PRLが回路層を挟むようにして形成されているので、無機材料から形成される薄膜トランジスタTFTを含む回路層を破損することなく支持基板である第3基板SUB3を剥離することができる。
【0137】
工程6−6(図17(f))
次に、耐熱樹脂層PIの図中下面側をアッシングすることにより、当該耐熱樹脂膜PIの膜厚を初めの10μmから1μmに減少させる。これによって、実施形態1と同様に、樹脂層PIの透過率すなわち画像表示装置の輝度を向上できる。
【0138】
工程6−7(図16)
まず、第3基板SUB3がついていた側に、別のプラスチックフィルムからなる第1基板SUB1を透明接着材ADLにより接着する。これにより、プラスチックフィルムからなる第1基板SUB1を基板とする。
【0139】
次に、仮接着していた保護層PRLを剥離させる。このとき、保護層PRLとして「イクロステープ」や「リバアルファ」を用いた場合には、粘着膜PRL1は加熱により容易に粘着量を低減させることができるので、粘着膜PRL1と共に保持膜PRL2を剥離ができる。その結果、天地が保持された形で第1基板SUB1であるプラスチックフィルムに転写された薄膜トランジスタTFTを含めた第1基板SUB1の上層に薄膜トランジスタ及び発光層ELからなる回路層が形成される有機EL表示装置が形成される。
【0140】
以上説明したように、実施形態6の有機EL表示装置の製造方法においても、支持基板となる第3基板SUB3の上層に、耐熱性を有すると共に可視光領域の透過率が高い実施例1に示す樹脂部材からなる剥離層として機能する樹脂層PIを形成した後に、該樹脂層PIの上層にバリア層BRFを介して回路層を形成する。次に、該回路層の上層に保護層PRLを仮接着させた後に、第3基板SUB3側から波長200nm以上400nmのレーザ光を照射し、上層に回路層が形成される樹脂層PI側から第3基板SUB3を剥離する。次に、樹脂層PIを剥離面側からアッシングすることにより、当該樹脂層PIの膜厚を形成時の10μmから1μmに薄膜化する。この薄膜化の後に、樹脂層PIのアッシング側面に透明接着剤で第1基板SUB1を接着した後に、仮接着した保護層PRLを剥離することにより、有機EL表示装置を形成する。このとき、実施形態6においても、樹脂膜PIとして、ガラス転移点を向上させるために架橋剤を合わせて用いることができるポリベンゾオキサゾール(PBO)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド(PI)、又はポリアミド(PA)の内の実施例1に示すポリベンゾオキサゾール(PBO)を用い、その厚さが3μm以上30μmとなるように第3基板SUB3上に形成する樹脂層PIとしている。その結果、その上層に回路層が形成される樹脂層PIを第3基板SUB3から剥離する際における回路層を形成する薄膜トランジスタ等の破損を防止できる。また、第3基板SUB3としてガラス基板を用い、剥離層として樹脂層PIを用いる構成としているので、従来の製造装置を用いた場合であっても容易に第3基板SUB3を再利用することが可能である。さらには、実施形態6の有機EL表示装置の製造方法では、第3基板SUB3の上層に形成した実施例1の樹脂層PIを当該第3基板SUB3から剥離した後に薄膜化し、この後に、第1基板SUB1に接着する構成としているので、耐熱性の樹脂層PIを用いた場合であっても、発光層からの光の透過性を向上させることができる。その結果、実施形態6の有機EL表示装置の輝度を向上させることができる。
【0141】
〈実施形態7〉
図18は本発明の実施形態7の液晶表示装置の概略構成を示す平面図であり、前述する実施形態1〜6の製造方法で形成された液晶表示装置である。ただし、X、YはそれぞれX軸、Y軸を示す。
【0142】
図18に示すように、液晶(図示せず)を挟持して対向配置される第1基板SUB1、第2基板SUB2を有している。第2基板SUB2は観察者側に配置されるようになっている。第1基板SUB1の背面にはバックライト(図示しない)が配置されるようになっている。第2基板SUB2は、第1基板SUB1よりも若干小さな面積となっており、第1基板SUB1の図中下側の端子部TRMを露出させるようになっている。第2基板SUB2の周辺には、第1基板SUB1と固着するシール材SLが形成され、このシール材SLは液晶を封止させる機能も有している。
【0143】
シール材SLで囲まれた領域は表示領域ARとなっている。第1基板SUB1の表示領域ARにおける液晶側の面には、図中X方向に延在しY方向に並設されるゲート線GL、および図中Y方向に延在しX方向に並設されるドレイン線DLが形成されている。隣接する一対のゲート線GLと隣接する一対のドレイン線DLとで囲まれる領域は画素の領域を構成するようになっている。これにより、表示領域ARにはマトリックス状に配置された多数の画素を有するようになる。
【0144】
各画素領域には、図中丸印Aの拡大図A’に示すように、ゲート線GLからの信号(走査信号)によってオンされる薄膜トランジスタTFTと、この薄膜トランジスタTFTを通してドレイン線DLからの信号(映像信号)が供給される画素電極PXと、この画素電極PXとの間に電界を生じさせる対向電極CTとが形成されている。この電界は第1基板SUB1の面に平行な成分を有し、液晶の分子は第1基板SUB1の面に水平な状態のままで配向状態が変化するようになっている。この種の液晶表示装置はたとえば横電界方式(IPS方式)と称される。対向電極CTはたとえばゲート線GLに平行して走行するコモン線CLを介して映像信号に対して基準となる基準信号が供給されるようになっている。なお、TN(Twisted Nematic)、VA(Vertical Alignment)等の縦電界方式と称される液晶表示装置では、前述するように対向電極CTは第2基板SUB2側に形成されている。
【0145】
ゲート線GL、ドレイン線DL、およびコモン線CLは、それぞれ図示しない引き出し線によって端子部TRMに接続され、ゲート線GLには走査信号、ドレイン線DLには映像信号、コモン線CLには基準信号が端子部TRMを介して供給されるようになっている。
【0146】
実施形態1〜5に示す製造方法では、第1基板SUB1の液晶側に形成する樹脂層として耐熱性を有する耐熱樹脂層を適用できるので、樹脂層の上層に形成される回路層を従来と同様の製造工程で形成することが可能となると共に、第1基板SUB1の液晶側に形成される樹脂層の透過率が向上できるので、液晶表示装置の輝度を向上できる。
【0147】
なお、実施形態1〜6の画像表示装置の製造方法においては、第3基板SUB3としてガラス基板を用いた場合について詳細に説明したが、例えば、石英基板を第3基板SUB3として用いた場合には、樹脂膜PIや回路層の形成温度を高くすることができる。さらには、第3基板を剥離させる際に、より波長の短いすなわちエネルギーの大きいレーザ光を使用することが可能となる。例えば、実施例1の樹脂材料からなる樹脂層PIを用いて、窒素下で、320℃60分硬化を行い、石英基板からなる第3基板SUB3に厚さ10μmの耐熱透明樹脂層樹脂層(樹脂層)PIを形成する。次に、実施形態1〜6の製造方法により、当該樹脂層PIの上層に回路層を形成する。この後の第3基板SUB3の剥離工程では、ガラスでは透過しにくい、より短波長の紫外光が透過するので、これを利用して、保護層PRLを接着した後に、波長248nmのKrFエキシマレーザ光(50mJ/cm2/パルス、1パルスは20ナノ秒)を第3基板SUB3の裏面側から照射する。このとき、実施例1の耐熱樹脂層PIは、波長248nmの光を効率的に吸収するので、石英基板/耐熱透明樹脂層の界面での密着性が低下して、5パルスつまり250mJ/cm2の照射量で基板を剥離させることが可能となる。
【0148】
以上、本発明者によってなされた発明を、前記発明の実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記発明の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0149】
PI……耐熱樹脂層(樹脂層)、ADL……接着層、SUB1……第1基板
SUB2……第2基板、SUB3……第3基板、SUBT……第1の透明基板
SUBCF……第2の透明基板、GT……ゲート電極、GI……ゲート絶縁膜
AS……半導体層(アモルファス)、CN……コンタクト層、DT……ドレイン電極
ST……ソース電極、PAS……保護膜、TFT……薄膜トランジスタ
PX……画素電極、POL1……第1偏光板、ORI……配向膜、LC……液晶
CF……カラーフィルタ、CT……対向電極、POL2……第2偏光板
PS……半導体層(ポリ)、BUL……バリア層、DD……ドレイン領域
SD……ソース領域、EL……発光層、TM1……第1電極、TM2……第2電極
ENC……封止層、GL……ゲート線、DL……ドレイン線、IN……下地膜
BM……ブラックマトリクス、OC……オーバーコート層、SH1〜5……スルーホール
CI……透明絶縁膜、PASi1、2……層間絶縁膜、PASo……層間絶縁膜
IL……絶縁膜、PRL……保護層、PRL1……粘着膜、PRL2……保持膜
SL……シール材、TRM……端子部、AR……表示領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置の製造方法に係わり、特に、樹脂材からなるフレキシブル性材料の基板を備える表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子に代表されるフラットパネルディスプレイの軽量化を図るために、従来よりも基板を薄くすることが検討されており、現在の液晶表示装置は0.5mm〜1.1mm程度の厚さのガラス基板を用いて製造されている。しかし、これよりも薄いガラス基板を用いる場合、製造工程中に割れやすい、使用時に割れやすい等の問題点がある。この解決方法の一つとして、ガラス基板の代わりにプラスチック基板を用いた液晶表示素子の開発が進められている。
【0003】
しかし、ガラス基板の耐熱性が600℃前後であるのに対して、プラスチック基板は、通常、200℃前後であり、耐熱性が低い欠点を有する。現行の薄膜トランジスタを形成する温度としては、アモルファスシリコン(a-Si)薄膜トランジスタが300℃前後であり、低温ポリシリコン(LTPS)薄膜トランジスタでは500℃前後とプラスチック基板の耐熱性をはるかに超える温度となっている。このために、1つの方法として、薄膜トランジスタの形成温度を下げる方法が検討されている。
【0004】
また、プラスチック基板はガラス基板と異なり柔らかくフレキシブルすなわち柔軟性を有するために、現行のガラス基板に対して作られた製造ラインには直接入れられないという欠点を有する。その対策としては、製造ラインをガラス基板対応の製造ラインからロールtoロール方式に変更する方法が考えられている。
一方、現行の製造ラインをそのまま使う方式として、ガラス基板に形成した薄膜トランジスタをプラスチック基板に転写する方式が検討されている。ガラス基板に形成して転写する方式としては、ガラス基板をエッチングして薄くする方式や、ガラス基板にあらかじめ剥離層を形成しておき、そこから薄膜トランジスタ形成後に剥離を行う方法がある。いずれの方式も薄膜トランジスタを形成したガラス部分を薄膜化して、それをプラスチック基板に載せかえる方式である。また、別の転写方式としては、基板上にプラスチック基板を貼り付ける等して、その上に薄膜トランジスタを形成した後、剥離する方法がある。
【0005】
本願発明に関連するフィルムの転写方式先行の技術文献として、特許文献1〜10の技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000-243943号公報
【特許文献2】特開2000-284303号公報
【特許文献3】特開2002-33464号公報
【特許文献4】特開2002-31818号公報
【特許文献5】特開2006-287068号公報
【特許文献6】特開2009-265396号公報
【特許文献7】特開2009-188317号公報
【特許文献8】特開2009-260387号公報
【特許文献9】特開2009-031405号公報
【特許文献10】特開2008-292608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ガラス基板を支持基板として当該ガラス基板上に一旦薄膜トランジスタを形成して、そのガラス基板を薄くするという方式は、現行の製造ラインの使用が可能で、プロセス温度も現行のものが使えるという利点を有する。しかしながら、支持基板であるガラス基板を薄くする工程として、ガラス基板をエッチングする場合、ガラス基板がほとんど無駄になり、結果としてコストが増加してしまうことが懸念されている。
【0008】
また、ガラス基板上にプラスチック基板を貼り付ける等して、プラスチック基板上に薄膜トランジスタを形成した後に、ガラス基板を剥離する方法では、プラスチック基板の耐熱性に問題があるために、プロセス温度を下げる必要があり、特性の優れたデバイスが出来ないということが懸念されている。
【0009】
また、ガラス基板上に剥離層を形成し、該剥離層上に薄膜トランジスタ等を形成する方法がある。このとき、光の透過性能を考慮して、剥離層をアモルファスシリコン層等の無機材料で形成する場合、真空成膜でアモルファスシリコンを形成する工程が増えてしまうと共に、支持基板として用いるガラス基板の再利用が非常に困難である。さらには、薄膜トランジスタを形成する各薄膜層も無機膜となり、その結果、有機膜に比較して脆く破損しやすい性質を有する無機膜を用いて同じ無機膜で形成される薄膜トランジスタを保護する構成となり、剥離層でガラス基板を剥離する際に、剥離層及び薄膜トランジスタが破損しやすいということが懸念されている。
【0010】
剥離層として、有機層を使う場合は、上記の脆さによる破損の問題は軽減される。しかし、材料の透明性と耐熱性がなかなか両立する有機材料がないということが知られている。具体的には、ガラス転移点Tgが250℃以上、特に300℃以上を有する有機材料であり、かつ、有機層が自立膜として所定の丈夫さ(強度)を示す厚さ10μm前後で透明に見えるものは少なく、黄色く着色しているものが多い。したがって、電子ペーパーのような全反射型の表示装置は形成できるが、透過型の液晶ディスプレイや、その有機層側に光を取り出すボトムエミッション型の有機ELディスプレイのような画像表示装置への適用は困難であった。
【0011】
本発明は、前記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、プラスチック基板に転写方式で薄膜トランジスタを備える画像表示装置を製造することが可能な技術を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、既存の製造ラインを適用させても、ガラス基板を容易に再利用することが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決すべく、支持基板の主面側に有機材料からなる樹脂層を形成する工程と、前記樹脂層の上層に半導体回路または表示回路を形成する工程と、前記樹脂膜に吸収される波長の光を前記支持基板側から照射して、前記支持基板から前記樹脂層を剥離する工程と、前記樹脂層を薄膜化又は除去する工程と、前記樹脂層の側から第1基板を貼る工程とを有する画像表示装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、プラスチック基板に転写方式で薄膜トランジスタを備える画像表示装置を製造することができる。また、既存の製造ラインを適用させても、ガラス基板を容易に再利用することができる。
【0015】
本発明のその他の効果については、明細書全体の記載から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本願発明の樹脂膜であるポリベンゾオキサゾール膜の透過スペクトルの一例を示すグラフである。
【図2】本発明の実施形態1の画像表示装置である透過型の液晶表示パネルの1サブピクセルの構成を示す平面図である。
【図3】図2に示すA−A’切断線に沿った断面構造を示す断面図である。
【図4】図2に示すB−B’切断線に沿った断面構造を示す断面図である。
【図5】本発明の実施形態1の液晶表示装置における第1の透明基板の製造方法を説明するための図である。
【図6】本願発明の樹脂膜であるポリベンゾオキサゾール膜の膜厚を1μmにした時の透過スペクトルの一例を示すグラフである。
【図7】本発明の実施形態2の液晶表示装置の製造方法を説明するための図である。
【図8】本発明の実施形態2の液晶表示装置の製造方法を説明するための図である。
【図9】本発明の実施形態3の画像表示装置である液晶表示装置における薄膜トランジスタ部及び画素部の概略構成を説明するための断面図である。
【図10】本発明の実施形態3の画像表示装置である液晶表示装置の概略構成を説明するための断面図である。
【図11】本発明の実施形態3の液晶表示装置における第1の透明基板の製造方法を説明するための図である。
【図12】本発明の実施形態4の液晶表示装置の製造方法を説明するための図である。
【図13】本発明の実施形態4の液晶表示装置の製造方法を説明するための図である。
【図14】本発明の実施形態5の画像表示装置である液晶表示装置の概略構成を説明するための薄膜トランジスタの形成領域における断面図である。
【図15】本発明の実施形態5の画像表示装置である液晶表示装置の概略構成を説明するための画素の形成領域における断面図である。
【図16】本発明の実施形態6の画像表示装置である有機EL表示装置の概略構成を説明するための断面図である。
【図17】本発明の実施形態6の画像表示装置である有機EL表示装置の製造方法を説明するための図である。
【図18】本発明の実施形態7の液晶表示装置の概略構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明は省略する。
【0018】
本発明の画像表示装置は、液晶表示装置や有機EL表示装置等の絶縁基板上に薄膜トランジスタを含む回路層が形成される構成であり、特に、絶縁基板が柔軟性を有する湾曲可能なフレキシブルな基板から構成される。従って、以下の説明では、本願発明における絶縁基板について説明する。
【0019】
例えば、液晶表示装置では、絶縁性の透明基板からなる第1基板と第2基板とが液晶層を介して対向配置される構成となっている。第1基板の主面(液晶層、対向面)側には、複数本の映像信号線(ドレイン線)と該映像信号線と交差する走査信号線(ゲート線)とが形成され、映像信号線と走査信号線とで囲まれる領域に画素領域が形成されている。各画素領域には、画素電極が形成されると共に、映像信号線から該画素電極へ印加するための階調信号を読み込み制御する薄膜トランジスタが形成されている。これら各種信号線及び薄膜トランジスタ等は回路層に形成されている。一方、第2基板の主面(液晶層、対向面)側には、R(赤)、G(緑)、B(青)のカラー表示用の画素を構成するためのカラーフィルタ、及び遮光膜(ブラックマトリクス)等が形成されている。
【0020】
また、有機EL表示装置では、絶縁性の第1基板の主面側に、複数本の映像信号線(ドレイン線)と該映像信号線と交差する走査信号線(ゲート線)とが形成され、映像信号線と走査信号線とで囲まれる領域に画素領域が形成されている。各画素の領域には、有機EL薄膜からなる発光層が形成され、該発光層へ供給する電流を制御する駆動用の薄膜トランジスタと、映像信号線から駆動用の薄膜トランジスタへ印加するための階調信号の読み込みを制御するスイッチング用の薄膜トランジスタと、該階調信号を所定フレーム期間保持するための保持容量等とが形成されている。これら各種信号線及び薄膜トランジスタ等が形成される層が回路層となる。このとき、有機EL表示装置は、発光層で生じた光を第1基板側に取り出すボトムエミッション型と、第1基板の主面側すなわち回路層側に取り出すトップエミッション型とに大別される。特に、第1基板側に光を取り出すボトムエミッション型の有機EL表示装置では、液晶表示装置と同様に、透明の絶縁基板を第1基板として用いる必要がある。また、有機EL表示装置にあっても、液晶表示装置と同様に、第1基板に対応する第2基板を用い、該第2基板にカラーフィルタ等を形成し、該カラーフィルタを介して光を取り出すトップエミッション型の構成として、色純度を向上させることも可能である。
【0021】
また、本発明の画像表示装置では、回路層の形成では、第1基板とは異なる基板であり、製造時の支持基板となる第3基板上に形成した後に、当該回路層を含む保護膜等と共に第3基板から当該回路層を剥離し、第1基板に接着剤層を介して接着する構成となっている。従って、本発明における第1基板及び第2基板は耐熱性を必要としないので、膜厚50μm以上で膜厚500μm以下程度の透明な樹脂製の基板であればよい。湾曲可能な樹脂製の基板は限定されることはなく、プラスチックやフィルムであればよく、さらには非常に薄く形成したガラス基板を用いる構成であってもよい。また、樹脂製の基板としては、波長400nm以上800nm以下の光の透過率が90%以上のものが望ましい。なお、画素表示装置において、カラーフィルタを用いると共に樹脂基板に樹脂フィルムを用いる場合には、樹脂フィルムに貼り付けた薄膜トランジスタTFTとカラーフィルタとで熱膨張係数や応力の差を生じないように、カラーフィルタに用いるフィルムは、樹脂フィルムと同じものが望ましい。この場合、樹脂フィルムとしては、カラーフィルタの形成プロセスに適応した200℃程度の耐熱性を有するものが望ましい。
【0022】
このような構成の画像表示装置は、回路層は第3基板の主面側に形成した樹脂層上に形成し、該樹脂層と共に第3基板から剥離した後に、該樹脂層を薄膜化又は除去し、接着剤層を介して第1基板に接着する構成としている。
【0023】
以下に、樹脂層を形成する場合の薄膜トランジスタを含む回路層が形成される側の基板の製造方法を説明する。前述する樹脂層を形成する際における第3基板としては、ガラス基板、石英基板、シリコン基板、及び金属基板等が挙げられる。このとき、本願発明では裏面からのレーザ光照射を行えるといった意味で、透明なガラス基板、石英基板等が望ましい。また、本願発明では、基板から最終的には樹脂層より上層を剥離する。したがって、基板は影響を受けず、基板の再生が可能であり、デバイス作成のコストの低減につながる。
【0024】
このとき本願発明の画像表示装置の形成では、このような第3基板に、まず、樹脂層を形成する。この樹脂層の形成では、前述する樹脂の溶液あるいは樹脂の前駆体の溶液をスピンコート方式やスリットコート方式で塗布して、第3基板の主面側すなわち表面上にフィルム状の薄膜層である樹脂層を形成する。通常、スピンコート方式やスリットコート方式で溶液を塗布した後に、溶媒を揮発させるためのプリベークを行う。その後に、窒素ガスのような不活性ガスの雰囲気下あるいは真空下で、250℃以上で硬化ベークを行う。空気中でのベークは、酸化による樹脂層の着色を引き起こす原因となるので、望ましくない。なお、この硬化ベークに用いる温度は、樹脂層の材料が分解しない温度であり、かつその後の薄膜トランジスタを含む半導体素子の形成プロセスの温度より高い温度が望ましい。具体的には、300℃以上500℃以下で硬化ベークをすることが望ましい。
【0025】
次に、樹脂層の上層に、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)、又は酸化アルミニウム(AlO)等の無機膜を形成することが望ましい。これらは樹脂層から不純物、例えば水、酸素等が樹脂層上に形成する薄膜トランジスタを含む半導体素子に侵入するのを防ぐバリア層としての役目をする。この無機膜の厚さとしては、10nm以上2000nm以下が望ましい。より望ましくは、50nm以上500nm以下が望ましい。また、これらの無機膜は単層ではなく、必要に応じては2層以上を重ねて用いてもよい。なお、これらを形成する方法としては、スパッタ、反応性プラズマ蒸着、CVD、及びプラズマCVDなどが挙げられる。これらの無機膜は、有機物である樹脂層上に形成することから、形成温度が低温である方が樹脂層に与えるダメージ(影響)が小さいので望ましい。具体的には、これらの無機膜は、100℃以下で形成できるものがより望ましい。
【0026】
次に、無機膜を形成した場合には当該無機膜の上層(表面)に、薄膜トランジスタを含む半導体素子を形成する。なお、無機膜を形成しない場合は、樹脂膜の上層(表面)に半導体素子を形成する。また、この半導体素子は、通常の基板である例えばガラス基板上に形成する場合と同じ構造で形成することができる。また、樹脂層の耐熱性が高いことから、300℃前後の通常プロセスを用いることができる。
【0027】
この半導体素子の形成の後に、液晶や有機ELの表示素子(表示画素)までの形成プロセスを行った後に剥離を行う。ただし、半導体素子の形成の後に、そのまま半導体素子として、剥離することも可能である。なお、半導体素子を剥離する際は、形成した半導体素子上に保護フィルム等を張り、表面を保護した上で、剥離工程を行う。この保護フィルムは、ガラス基板等の第3基板が外れることにより、形成した半導体素子が応力で破壊されることを防ぐ役割をする。保護フィルムとしては、仮接着が出来て、後で剥がせるものが望ましい。このような保護フィルムとしては、三井化学の「イクロステープ」、日東電工の「リバアルファ」、又はトーヨーアドテックの「エレグリップ」等のような半導体のバックグラインド時に用いられる保護フィルムを用いることができる。これらは保護フィルムとして接着した後、加熱により粘着性が低下したり、発泡したりして剥離する性質を有するので、必要なときに容易に剥離を行うことができる。
【0028】
保護フィルムの剥離の後、その上層に配向膜を形成し、ラビング等の周知の配向処理を行う。この配向処理の後に、樹脂基板で作成したカラーフィルタ側の基板を固着し、液晶の封入工程を行う。
【0029】
なお、本願発明の実施形態では、前述するように薄膜トランジスタを含む半導体素子の状態で剥離工程を行うこともできるが、さらに工程を進めて、液晶を封入してセル化した後や有機EL素子を形成した後に、剥離工程を行うこともできる。この液晶表示装置の場合は、第3基板上に樹脂層を形成した後に、その上層に半導体素子を形成する。このときの半導体素子も、通常の基板(例えば、ガラス基板)上に形成する場合と同じ構造で形成する。この後に、その上層に配向膜を形成し、ラビング等の周知の配向処理を行う。この配向処理の後に、樹脂基板で作成したカラーフィルタ側の基板を固着し、液晶の封入工程を行う。その後にカラーフィルタ側の基板を支持基板として、第3基板の剥離工程を行うことができる。有機EL素子の場合も、発光層及び電極並びにパッシベーション等を形成した後に剥離を行うことができる。
【0030】
本願発明における半導体素子や表示装置を形成した樹脂層を第3基板から剥離する工程は、紫外線を照射する工程を含むことが望ましい。第3基板上に形成する樹脂層によっては、機械的に剥離を行うことができる場合もあるが、当該樹脂層の上層に形成した半導体素子へのダメージを減らすために、紫外線を照射して、第3基板と樹脂層との間の結合を切り離すことが望ましい。この紫外線としては、波長200nm以上400nm以下のものが望ましい。具体的には、波長308nmのXeClエキシマレーザ光や、波長248nmのKrFエキシマレーザ光といったレーザ光、YAGレーザ(波長1064nm)の第3高調波(波長355nm)や第4高調波(波長266nm)等はその出力が高いので望ましい。また、水銀ランプ、またはキセノン水銀ランプ等の輝線である365nm、313nm、254nmの光も使うことができる。
【0031】
特に、第3基板としてガラス基板や石英基板のような透明基板を用いる場合は、これらの基板の透過率が90%以上である波長の光を、半導体素子を形成した面ではなく、透明基板の面から照射する。なお、用いる光の波長としては、より望ましくは波長200nm以上380nm以下であるものが望ましい。この範囲の波長の光は、第3基板としての石英基板やガラス基板を効率的に透過し、樹脂層では吸収が起きるようにすることができる。また、樹脂層のそのときの膜厚での透過率が10%以下となる波長の光が望ましい。さらには、透過率が5%以下である波長の光が望ましい。これらの樹脂層に用いる膜厚での透過率が5%以下の波長を有する光は、透明基板の裏面から照射したときに、透明基板と樹脂フィルム(a)の界面で吸収されて、界面での結合を切るため、剥離が起きやすくなるからである。
【0032】
本願発明では、第3基板の剥離後に樹脂層を薄膜化又は除去する。この樹脂層を薄膜化又は除去する工程は、エッチング、アッシング又は研磨等を用いることができる。薄膜化後の樹脂層は、波長400nm以上800nm以下の透過率が、90%以上になるようになることが望ましい。また、本願発明では、樹脂層を完全に除去することもできるが、素子の破損防止を兼ねて、樹脂層の膜厚を2μm以下にしてもよい。このように、樹脂層を薄膜化することにより、可視光領域の透過率が向上して、透過型の液晶表示装置やボトムエミッション型の有機EL表示装置等の表示素子に適した構成となる。さらには、樹脂層の薄膜化により、当該樹脂層が有するリタデーション(位相差)の値も小さい値にできるので、偏光板を用いるような液晶ディスプレイには好適である。
【0033】
(樹脂層の詳細)
以下、本願発明における樹脂層について説明する。本願発明の樹脂層では、画素領域においても形成される構成となるので、樹脂層は耐熱性のある透明性の高いものが望ましい。具体的には、膜厚が3μm以上30μm以下のものが望ましい。さらには、その膜厚で波長420nm以上800nm以下の可視光の透過率が50%以上であるものが望ましい。光吸収に関しては、後述する剥離に使う光を効率的に吸収するものが望ましい。したがって、剥離に使う照射光に対しては透過率が10%以下であるものが望ましい。あるいは波長200nm以上380nm以下の透過率が20%以下であるものが望ましい。
【0034】
本発明では、樹脂層の上層に薄膜トランジスタ等の半導体素子や表示素子を形成する構成となっている。特に、半導体素子、特にアモルファスシリコン薄膜トランジスタを形成するプロセス温度は、通常300℃前後であることから、本発明の樹脂層は、耐熱性が必要となる。そのために少なくとも樹脂層のガラス転移点は、250℃以上であることが望ましい。さらには、ガラス転移点が300℃以上であるものがより望ましい。高分子材料のフィルムは一般にガラス転移点を越えると、その熱膨張係数が急激に大きくなる。高分子材料の種類によっては、ガラス転移点を越えると変形が起きるものもある。したがって、半導体素子を形成するプロセスの温度がガラス転移点を超えない方が望ましい。
【0035】
なお、本発明では、樹脂層に半導体素子や表示素子を形成したのちに、それを剥離層として、剥離を行う。この剥離工程の際に、半導体素子層である薄膜トランジスタTFT層が破壊しないように樹脂層の厚さは、3μm以上30μm以下のものが望ましい。剥離時の強度の確保とあとに続く透過率の向上のために樹脂層を薄膜化又は除去する工程との関係から、厚さは5μm以上20μm以下がより望ましい。また、本願発明では、樹脂層を薄膜化又は除去する工程により、樹脂層の部分の透過率を向上することができるが、基本的には樹脂層が有する可視光の透過率が高い方が望ましい。
【0036】
以上に説明したような物性的な特徴を有すると共に、樹脂層として用いることが可能な樹脂としては、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド(PI)、又はポリアミド(PA)のいずれかであることが望ましい。これらの樹脂は、一般に耐熱性が高く、250℃以上のガラス転移点を有することが可能である。特に、ポリベンゾオキサゾール、ポリアミドイミド、ポリイミド、及びポリアミドは、耐熱性、特にガラス転移点を向上させるために架橋剤を合わせて用いることができる。架橋剤としては、以下のような構造のものを用いることができる。架橋剤の量としては、樹脂または樹脂前駆体に対して、0.1〜30wt%を用いることができる。より好ましくは、1〜10wt%である。
【化1】
【0037】
以下、樹脂層として好適な材料の具体例を示す。ポリベンゾオキサゾールとしては、具体的には、構造式(1)で表されるものが望ましい。
【化2】
【0038】
ただし、式中、X1:4価の芳香族基、Y1:2価の芳香族基あるいは脂環族基、n=5〜10000を表す。
【0039】
これらのポリベンゾオキサゾールは、対応する下記の構造式(2)で表される前駆体を加熱により脱水環化することにより得られる。
【化3】
【0040】
ただし、式中、X1:4価の芳香族基、Y1:2価の芳香族基あるいは脂環族基、n=5〜10000を表す。
【0041】
また、ポリアミドイミドとしては、具体的には、構造式(3)で表される脂環構造を含むポリアミドイミドが望ましい。
【化4】
【0042】
式中、X2:2価の脂環族基、Y2:2価の芳香族基あるいは脂環族基、n=5〜10000を表す。
【0043】
さらには、ポリアミドイミドとしては、具体的には、構造式(4)で表されるポリアミドイミドが望ましい。
【化5】
【0044】
式中、X3:2価の脂環族基、Y3:2価の芳香族基あるいは脂環族基、n=5〜10000を表す。
【0045】
また、ポリイミドとしては、具体的には、構造式(5)で表される脂環構造を含むポリイミドが望ましい。
【化6】
【0046】
ただし、式中、X4:4価の脂環族基、Y4:2価の芳香族基あるいは脂環族基、n=5〜10000を表す。
【0047】
これらのポリイミドは、前駆体であるポリアミック酸の状態で膜を形成して、加熱硬化してポリイミドとすることが望ましい。
【0048】
また、ポリアミドとしては、具体的には、構造式(6)で表される脂環構造を含むポリアミドが望ましい。
【化7】
【0049】
ただし、式中、X5:4価の脂環族基、Y5:2価の芳香族基あるいは脂環族基、n=5〜10000を表す。
【実施例1】
【0050】
実施例1の樹脂層として好適な材料の一例として、ポリベンゾオキサゾールを用いて本願発明者らが形成した樹脂層について説明する。下記の構造式(7)で示すポリベンゾオキサゾール前駆体100重量部と、構造式(8)で示す架橋剤3重量部とを、γ-ブチロラクトン(BLO)/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)=9/1に溶かした溶液を調整した。この溶液を厚さ0.6mmの石英の第3基板上にスピンコートし、120℃3分間プリベークを行って、厚さ12μmの塗布膜を得た。
【化8】
【化9】
【0051】
次に、イナートガスオーブンを用いて、窒素雰囲気下で200℃30分ベークした後、350℃1時間硬化ベークを行い、構造式(9)に示す架橋したポリベンゾオキサゾール膜を得た(ただし、架橋は図示せず)。硬化後の膜厚は10μmであり、このときの樹脂膜は黄色となった。
【化10】
【0052】
図1は前述する手順で形成された樹脂膜である架橋したポリベンゾオキサゾール膜の透過スペクトルの一例を示すグラフであり、以下、その特性について説明する。ただし、図1において、横軸は光の波長(nm)であり、縦軸は光の透過率T(%)である。また、図1は樹脂膜(硬化膜)の波長200nm〜800nmの領域の透過スペクトルを示している。
【0053】
図1から明らかなように、本願発明者らが形成した樹脂膜は丸印λ1で示す波長が400nm付近の透過率が50%程度であり、矢印λ2で示す波長500nm〜800nmの領域では、80%程度以上の透過率を示す。また、該樹脂膜の矢印λ3で示す波長350nm以下すなわち紫外線領域の透過率は0%であり、波長350nm以下の波長の光を透過しない特性を有していることが明らかである。この結果から、本願発明者らが形成した樹脂膜では、可視光領域の500nm〜800nmにおいて十分な透過率が得られるが,400nm〜500nmにおいては,透過率が低く,そのために黄色く着色していることが分かった。
【0054】
次に、本願発明者らは、前述する手順と同様の操作により、シリコン基板上に作成したポリベンゾオキサゾール膜(樹脂膜)を用いて、ESCO電子科学(株)製EMD-WA1000S/Wにより昇温脱ガス分析を行った。その結果、硬化温度である350℃までは脱ガスが見られず、耐熱性が高いことがわかった。また、この樹脂膜をシリコン基板から剥離して、ガラス転移温度Tg及び熱膨張係数CTEを測定した。ガラス転移温度Tg及び熱膨張係数CTEは、エスアイアイ・ナノテクノロジー製TMA-120型を用いて、測定温度30℃〜300℃で、昇温速度5℃/分で、10gの荷重による引張りモードで測定を行った。その結果、ガラス転移点が320℃であり、熱膨張係数が50ppm/Kであることがわかった。なお、この測定におけるガラス転移温度は熱膨張係数CTEが大きく変化する温度とし、本願発明者らは便宜的にガラス転移温度とした。
【0055】
次に、実施形態1〜5に、前述する樹脂膜を適用した画像表示装置である液晶表示装置及び有機EL表示装置の構成及び製造方法を示し、以下詳細に説明する。
【0056】
〈実施形態1〉
図2は本発明の実施形態1の画像表示装置である透過型の液晶表示パネルの1サブピクセルの構成を示す平面図である。また、図3は図2に示すA−A’切断線に沿った断面構造を示す断面図であり、図4は図2に示すB−B’切断線に沿った断面構造を示す断面図である。特に、図4は第1の透明基板SUBT側の断面構造を示す断面図であり、偏向板POL1の図示は省略している。また、図2に示すX、YはそれぞれX軸、Y軸を示す。
【0057】
以下、図2〜図4に基づいて、実施形態1の液晶表示パネルの構造について説明する。図2に示すように、実施形態1の液晶表示パネルでは、図示しない表示領域内に、Y方向に延在しX方向に並設される映像信号線(以下、ドレイン線と記す)DLと、X方向に延在しY方向に並設される走査信号線(以下、ゲート線と記す)GLが形成されている。このドレイン線DLとゲート線GLとで囲まれる矩形状の領域は画素が形成される領域を構成しており、これにより、各画素は表示領域AR内においてマトリックス状に配置される構成となる。また、画素の領域には赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のいずれかの図示しないカラーフィルタが形成される構成となっている。特に、実施形態1の液晶表示装置においては、X方向すなわちゲート線GLの延在方向に隣接配置されるRGBの各画素でカラー表示用の単位画素を形成する構成となっている。ただし、カラー表示用の単位画素の構成はこれに限定されるものではない。
【0058】
また、ゲート線GLには、画素領域側に突出する突出部によって形成されるゲート電極GTが設けられている。このゲート電極GTは、アクティブ素子である薄膜トランジスタTFTのゲート電極となるものである。このゲート電極GTの下層側には、当該ゲート電極GTと重畳するように半導体層ASが配置され、トップゲート型の薄膜トランジスタTFTを形成している。このとき、半導体層ASの一端側の上層には図示しない絶縁膜(ゲート絶縁膜及び層間絶縁膜)を介してドレイン線DLの一部が重畳される構成となっており、この重畳領域の絶縁膜に設けられたスルーホール(コンタクトホール)SH1を介してドレイン線DLと半導体層ASとが電気的に接続され、薄膜トランジスタTFTのドレイン電極を形成している。一方、ドレイン線DLの形成時に同層に形成されたソース電極STは、半導体層ASの他端側の上層にその一部が重畳される構成となっており、この重畳領域の絶縁膜に設けられたスルーホール(コンタクトホール)SH2を介してソース電極STと半導体層ASとが電気的に接続されている。さらには、ソース電極STと線状の画素電極PXとが図示しない層間絶縁膜及び容量絶縁膜に形成されたスルーホールSH3、SH4を介して電気的に接続されている。
【0059】
また、実施形態1の液晶表示パネルでは、複数の画素に跨ってX方向に延在する平面状の対向電極CTが容量絶縁膜を介して画素電極PXの下層に形成される構成となっており、特に実施形態1においては液晶表示パネルの端部において図示しない基準信号線に接続される構成となっている。これにより、画素電極PXと対向電極CTとの間には、当該電極PX、CTが形成される透明基板の面に平行な成分を有する電界を生じさせ、この電界によって液晶の分子を駆動させるIPS方式(横電界方式)の液晶表示パネルを構成している。
【0060】
このように形成される実施形態1の液晶表示パネルでは、画素の領域においては、図3に示すように、第1の透明基板(薄膜トランジスタ側基板、TFT側基板)SUBTと、第2の透明基板(カラーフィルタ側基板、CF側基板)SUBCFとが液晶層LCを介して互いに対向配置されている。このとき、実施形態1では、第1の透明基板SUBTの表面側すなわち図3中上側が観察側となっている。
【0061】
第2の透明基板SUBCFは、透明なプラスチック基板からなる第2基板SUB2を有し、その第2基板SUB2の上下の面すなわち液晶層側及び裏面側には、バリア膜BULが形成されている。第2基板SUB2の液晶層側には、当該第2基板SUB2から液晶層LCに向かって順に、バリア膜BUL、遮光膜(ブラックマトリクス)BM、カラーフィルタ層CF、オーバーコート層OC、及び配向膜ORIが形成されている。さらには、第2基板SUB2の外側すなわち観察者側には、バリア膜BULと偏光板POL2とが形成されている。
【0062】
また、第1の透明基板SUBTは、透明なプラスチック基板からなる第1基板SUB1を有し、該第1基板SUB1の液晶層側すなわち主面側には、当該第1基板SUB1から液晶層LCに向かって順に、接着層ADL、前述する樹脂層(耐熱樹脂層)PI、バリア層BUL、絶縁膜IL、層間絶縁膜PASo、対向電極として機能する透明電極CT、容量絶縁膜として機能する透明絶縁膜CI、画素電極PX、配向膜ORIが形成されている。さらには、第1基板SUB1の外側すなわち図示しないバックライト側には偏光板POL1が形成される。このとき、絶縁膜ILは、例えばSiN(窒化シリコン)とSiO2(酸化シリコン)の積層膜等からなる下地膜IN、例えばSiO2からなるゲート絶縁膜GI、SiO2やSiN等からなる層間絶縁膜PASi1、SiO2やSiN等からなる層間絶縁膜PASi2で構成される。なお、本実施形態においては、バリア層BULと下地膜INとを別々の薄膜で形成する構成としたが、1つの薄膜で兼用する構成であってもよい。
【0063】
また、薄膜トランジスタの形成領域においては、図4に示すように、第1基板SUB1の液晶層側すなわち主面側には、当該第1基板SUB1から液晶層LCに向かって、接着層ADL、樹脂層(耐熱樹脂層)PI、バリア層BUL、及び下地膜INが順に形成されている。下地層INの上面(上層)には半導体層ASが形成され、該半導体層ASの上面を含む少なくとも表示領域はゲート絶縁膜GIで被われる構成となっている。該ゲート絶縁膜GIの上面であって、半導体層ASと重畳する領域にはゲート線GLから延在するゲート電極GTが形成されており、該ゲート電極GTの上面に層間絶縁膜PASi1が形成されている。このとき、実施形態1の液晶表示パネルの端部領域にゲート電極GTと同層の共通信号線を設ける構成であってもよい。
【0064】
また、実施形態1の液晶表示装置では、第1基板のSUB1を平面的に見た時に、ゲート電極GTを挟んで対向する位置に層間絶縁膜PASi1及びゲート絶縁膜を貫通し半導体層ASに到達するスルーホールTH1、TH2がそれぞれ形成されている。このとき、スルーホールTH1はドレイン線DLの形成領域と重畳する位置に形成され、スルーホールTH2はソース電極STとなる薄膜層の形成位置と重畳する位置に形成されている。この構成により、ドレイン線DLが半導体層ASと接続されて薄膜トランジスタTFTのドレイン電極を形成すると共に、該ドレイン線DLと同層に形成されるソース電極STも半導体層ASと接続される。また、ドレイン線DL及びソース電極STの上面に層間絶縁膜PASi2が形成され、その上面に層間絶縁膜PASi2を被う層間絶縁膜PASoが形成されている。この層間絶縁膜PASoは、例えばアクリル樹脂等の有機絶縁膜からなり、薄膜トランジスタTFTの形成に伴う基板表面を平坦化する。
【0065】
この層間絶縁膜PASoの上面には、透明導電膜(例えば、ITO;Indium-Tin-OxideやZnO;酸化亜鉛等)からなる対向電極CTが形成され、その上面に該対向電極CTを被うようにして透明絶縁膜CIが形成されている。この透明絶縁膜CIの上面には透明電極材料で形成される線状の画素電極PXが形成されている。このとき、実施形態1の液晶表示パネルでは、層間絶縁膜PASi2及び層間絶縁膜PASoを貫通して、ソース電極STの表面に至るスルーホールTH3が形成されている。また、対向電極CT又は層間絶縁膜PASoの上面を被う透明絶縁膜CIはスルーホールTH3の側壁部及び底面部にも形成されており、特にスルーホールTH3の底面部では透明絶縁膜CIに当該透明絶縁膜CIを貫通しソース電極STの表面が露出されるスルーホールTH4が形成されている。ここで、画素電極PXは2つのスルーホールTH3、TH4を介してソース電極STと電気的に接続されている。このような構成とすることにより、薄膜トランジスタTFTのオンオフ動作に従って、画素電極PXへの映像信号の書き込みと階調信号の保持とがなされている。すなわち、ゲート線GLで駆動されるアクティブ素子である薄膜トランジスタTFTを介して、ドレイン線DLから画素電極PXに映像信号が書き込まれる。この映像信号の書き込みにより、各画素ではバックライト光の透過量が制御され、画像表示がなされることとなる。このとき、実施形態1の液晶表示装置では、第1基板SUB1の裏面側からのバックライト光の透過経路中に形成される樹脂層PIにおける可視光領域でのバックライト光の減衰を大幅に抑制することができるので、樹脂層PIの形成に伴う輝度低下を抑制した画像表示装置を構成できる。
【0066】
次に、図5に本発明の実施形態1の液晶表示装置における第1の透明基板の製造方法を説明するための図を示し、以下、図5に基づいて、実施形態1の液晶表示装置の製造方法を説明する。ただし、薄膜トランジスタTFT及びその上層に形成される各電極PX、CT等の構成及び形成方法は従来の形成方法と同様である。従って、以下の説明では、本願発明に特徴的な樹脂層PIについて詳細に説明する。
【0067】
工程1―1(図5(a)(b))
図5(a)に示すように、裏面からのレーザ光照射を行えると共に、再生が可能であるということを考慮して、透明なガラス基板を第3基板SUB3とする。このとき、前述するように、ガラス基板の他に、石英基板、シリコン基板、及び金属基板等からなる基板を第3基板SUB3とする構成であってもよい。このとき、後述するように、裏面からのレーザ光照射を行えるといった意味で、透明なガラス基板や石英基板等が望ましい。また、基板から最終的には樹脂層より上層を剥離するので、基板は影響を受けず、基板の再生が可能となり、デバイス作成のコストの低減につながる。
【0068】
まず、図5(b)に示すように、第3基板SUB3の主面側(図中上面)に、実施形態1に構造式(9)で示す耐熱樹脂の塗膜からなる樹脂層(耐熱樹脂層)PIを膜厚10μmで形成する。このときの硬化条件等は実施例1に示す通りである。
【0069】
工程1−2(図5(c))
次に、樹脂層PIの上層にバリア層BULを形成する。このバリア層BULの形成では、ICP−CVD置を使って、SiON膜を室温で100nm形成した。
【0070】
工程1−3(図5(d))
次に、バリア層BULの上層に周知の成膜方法で、画素を構成するために必要となる薄膜トランジスタTFTや画素電極PX等を形成する。このとき、実施形態1では、バリア層BULの上層に、まず、下地膜INを形成し、該下地層INの上層に、半導体層ASと、ゲート絶縁膜GIと、ゲート電極DTと、層間絶縁膜PASi1と、ドレイン電極DTを兼ねるドレイン線DL及びソース電極STと、層間絶縁膜PASi2と、層間絶縁膜PASoとを順に形成する。次に、層間絶縁膜PASoの上層に透明電極材料からなる平板状の対向電極CTを形成する。ここで、層間絶縁膜PASi2および層間絶縁膜PASoに、ソース電極STの上面が露出されるスルーホールSH3を形成する。この後に、透明絶縁膜CIを形成し、該透明絶縁膜CIにソース電極STの上面が露出されるスルーホールSH4を形成する。この後に、透明絶縁膜CIの上層に透明電極材料からなる線状の画素電極PXを形成と共に、スルーホールSH4を介してソース電極STと画素電極PXとを電気的に接続することにより、回路層が形成される。
【0071】
工程1−4(図5(e))
次に、第3基板SUB3に支持される回路層の上層に粘着膜PRL1と保持膜PRL2からなる保護層PRLを仮接着する。このような構成とすることにより、後の工程で、第3基板SUB3を剥離した際に、薄膜トランジスタTFTを含めた回路層部分が応力で破壊されないようにする。すなわち、実施形態1では、保護層PRLで回路層部分を支持することにより、回路層部分の破壊を防止する。ここで、保護層PRLとして、実施例1に示すように、三井化学の「イクロステープ」や日東電工の「リバアルファ」といった半導体のバックグラインド時に用いられる保護フィルムを用いる。
【0072】
工程1−5(図5(f))
次に、波長308nmのXe-Clエキシマレーザ光をガラス基板である第3基板SUB3の裏面側すなわち回路層が形成されない側から照射する。ここで、図1に示すように、耐熱樹脂層PIの透過率は波長308nmの光を効率的に吸収し、第3基板SUB3/耐熱透明樹脂層PIの界面での密着性が低下して、第3基板SUB3を剥離させることができる。このとき、150mJ/cm2/パルスの照射量で50ショットの露光を与えることにより密着性が低下した。また、10μmの耐熱樹脂層PIと保護層PRLとにより、薄膜トランジスタが形成される回路層を挟み込みように保持する構成となっているので、第3基板の剥離に際して、破損なしに薄膜トランジスタTFTを含む回路層を剥離することができる。なお、実施形態1においては、樹脂層PIとして実施例1に示す樹脂層を形成する構成としているので、波長308nmのXe-Clエキシマレーザ光を用いており、樹脂層PIをポリベンゾオキサゾール(PBO)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド(PI)、又はポリアミド(PA)の他の樹脂材料を用いて形成する場合には、樹脂材料に応じて適宜変更する。
【0073】
工程1−6(図5(g))
次に、耐熱樹脂層PIをアッシングすることにより、当該耐熱樹脂膜PIの膜厚を初めの10μmから1μmに減少させる。これによって、透過率が向上する。図6は、耐熱樹脂膜PIのみを1μmにアッシングした場合の透過率を示す図である。この図6から明らかなように、矢印λ4で示す波長400nmから800nmの透過率が90%以上となり、透明であることがわかる。また、耐熱樹脂層PIのアッシング時においても、耐熱樹脂層PIと保護層PRLとが回路層を挟むようにして形成されているので、無機材料から形成される薄膜トランジスタTFTを含む回路層を破損することなく、耐熱樹脂層PIのアッシングを行うことができる。
【0074】
工程1−7(図5(h))
次に、剥離した第3基板SUB3がついていた側すなわちアッシング後の樹脂層PIの裏面に、プラスチックフィルムからなる第1基板SUB1を透明接着材ADLにより接着する。これにより、プラスチックフィルムからなる第1基板SUB1を基板とする。
【0075】
工程1−8(図5(i))
次に、仮接着していた保護層21を剥離させる。このとき、保護層PRLとして「イクロステープ」や「リバアルファ」を用いた場合には、粘着膜PRL1は加熱により容易に粘着量(粘着力)を低減させることができるので、粘着膜PRL1と共に保持膜PRL2を容易に剥離できる。その結果、天地が保持された形で第1基板SUB1であるプラスチックフィルムに転写された薄膜トランジスタTFTを含めた第1の透明基板SUBT、すなわち第1基板SUB1の上層に回路層が形成される第1の透明基板SUBTが完成する。
【0076】
この後に、周知の方法を用い形成した第2基板SUB2の上層すなわち液晶面側にカラーフィルタCFや遮光膜BMが形成される第2の透明基板SUBCFと第1の透明基板SUBTとの間に液晶を封入すると共に、シール材を用いて第2の透明基板SUBCFと第1の透明基板SUBTとを固着することにより、液晶表示パネルが形成される。この液晶表示パネルにバックライト装置等を取り付けることにより、液晶表示装置が形成される。なお、第2の透明基板SUBCFとしては、例えば、厚さ100μmのプラスチック基板を第2基板SUB2とし、この第2基板SUB2の主面側及びその対向面側(裏面側、観察者側)に100nmのSiONのバリア膜を形成して基板材料とする。そして、この第2基板SUB2の主面側に、遮光膜(ブラックマトリクス層)BMとRGBのカラーフィルタCFの層をそれぞれ形成する。このとき、カラーフィルタ部は、オーバーコート層と配向膜を備える構成とする。
【0077】
以上説明したように、実施形態1の液晶表示装置における第1の透明基板SUBTの製造方法では、支持基板となる第3基板SUB3の上層に、耐熱性を有すると共に可視光領域の透過率が高い実施例1に示す樹脂部材からなる剥離層として機能する樹脂層PIを形成した後に、該樹脂層PIの上層にバリア層BRFを介して回路層を形成する。次に、該回路層の上層に保護層PRLを仮接着させた後に、第3基板SUB3側から波長200nm以上400nmのレーザ光を照射し、上層に回路層が形成される樹脂層PI側から第3基板SUB3を剥離する。次に、樹脂層PIを剥離面側からアッシングすることにより、当該樹脂層PIの膜厚を形成時の10μmから1μmに薄膜化する。この薄膜化の後に、樹脂層PIのアッシング側面に透明接着剤で第1基板SUB1を接着した後に、仮接着した保護層PRLを剥離する。該保護層PRLの剥離後に配向膜を成膜し第1の透明基板SUBTを形成し、該第1の透明基板SUBTと第2の透明基板SUBCFとの間に液晶を封入し固着することにより、液晶表示装置を形成する。このとき、実施形態1では樹脂膜PIとして、ガラス転移点を向上させるために架橋剤を合わせて用いることができるポリベンゾオキサゾール(PBO)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド(PI)、又はポリアミド(PA)の内の実施例1に示すポリベンゾオキサゾール(PBO)を用い、その厚さが3μm以上30μmとなるように第3基板SUB3上に形成する樹脂層PIとしている。その結果、その上層に回路層が形成される樹脂層PIを第3基板SUB3から剥離する際における回路層を形成する薄膜トランジスタ等の破損を防止できる。また、第3基板SUB3としてガラス基板を用い、剥離層として樹脂層PIを用いる構成としているので、従来の製造装置を用いた場合であっても容易に第3基板SUB3を再利用することが可能である。さらには、実施形態1の液晶表示装置の第1の透明基板の製造方法では、第3基板SUB3の上層に形成した実施例1の樹脂層PIを当該第3基板SUB3から剥離した後に薄膜化し、この後に、第1基板SUB1に接着する構成としているので、耐熱性の樹脂層PIを用いた場合であっても、バックライト光の透過性を向上させることができる。
【0078】
〈実施形態2〉
実施形態2の画像表示装置は実施形態1の液晶表示装置と同じ構成となるが、その製造方法が異なる実施形態である。従って、実施形態2においては、図7及び図8に本発明の実施形態2の液晶表示装置の製造方法を説明するための図を示し、以下、図7及び図8に基づいて、実施形態2の液晶表示装置(液晶表示パネル)の製造方法を詳細に説明する。また、実施形態2の製造方法では、第3基板SUB3を剥離する際の支持部材として第2の透明基板SUBCFを用いる以外は、実施形態1と同様の構成となる。以下の説明では、本願発明に特徴的な樹脂層PIと第2の透明基板SUBCFの形成について詳細に説明する。
【0079】
工程2−1(図7(a)(b))
前述する工程1−1と同様に、透明なガラス基板を第3基板SUB3とする。これにより、実施形態1と同様に、基板の再生が可能となり、デバイス作成コストの低減が可能となる。ここで、図7(b)に示すように、第3基板SUB3の主面側(図中上面)に、実施例1に示す耐熱樹脂の塗膜からなる樹脂層(耐熱樹脂層)PIを膜厚15μmで形成する。
【0080】
工程2−2(図7(c))
前述する工程1−2と同様に、樹脂層PIの上層にバリア層BULを形成する。このバリア層BULの形成では、ICP−CVD置を使って、SiON膜を室温で100nm形成した。
【0081】
工程2−3(図7(d))
前述する工程1−3と同様に、バリア層BULの上層に周知の成膜方法で、画素を構成するために必要となる薄膜トランジスタTFTや画素電極PX等を形成する。実施形態2においても、バリア層BULの上層に、下地層INと、半導体層ASと、ゲート絶縁膜GIと、ゲート電極DTと、層間絶縁膜PASi1と、ドレイン電極DTを兼ねるドレイン線DL及びソース電極STと、層間絶縁膜PASi2と、層間絶縁膜PASoと、対向電極CTと、層間絶縁膜PASi2と、層間絶縁膜PASoと、透明絶縁膜CIと、画素電極PXとを順に形成することにより、第3基板SUB3の上層に形成した樹脂層PI上に回路層を形成する。
【0082】
工程2−4(図7(e))
次に、回路層を形成した基板の液晶面側に周知の配向膜ORIを形成した後に、周知のラビング処理を行う。
【0083】
工程2−5(図7(f))
実施形態1と同様に、厚さ100μmのプラスチック基板からなる第2基板SUB2の主面側すなわち液晶面側とその対向面側に、100nmのSiONのバリア膜BULを形成して、それを基板とする。このバリア膜BULを形成した第2基板SUB2の主面側に、周知の方法により、遮光膜(ブラックマトリクス層)BMとRGBのカラーフィルタCFの薄膜層を形成する。さらには、その上層にオーバーコート層OCと配向膜ORIを形成することにより、第2の透明基板SUBCFを形成する。
【0084】
次に、この第2の透明基板SUBCFの配向膜ORI側と、工程2−4で形成された回路層を有する第3基板SUB3の配向膜ORI側とが対向するようにして、2枚の基板をシール材で固着する。このとき、第2の透明基板SUBCFと第3基板SUB3側との間に液晶を封入すると共に、この液晶層にビーズスペーサーを入れる構成としている。
【0085】
工程2−6(図8(g))
次に、工程1−5と同様に、波長308nmのXe-Clエキシマレーザ光をガラス基板である第3基板SUB3の裏面側すなわち回路層が形成されない側から照射する。ここで、耐熱樹脂層PIは、波長308nmの光を効率的に吸収し、第3基板SUB3/耐熱透明樹脂層PIの界面での密着性が低下して、第3基板SUB3を剥離させることができる。このとき、実施形態2の製造方法では、15μmの耐熱樹脂層PIが形成されていると共に、第2の透明基板SUBCFが固着されているので、薄膜トランジスタTFT等が形成される回路層は樹脂層PIと第2の透明基板SUBCFとで支持される構成となる。その結果、回路層に損傷を与えることなく、第3基板SUB3と樹脂層PIとの界面で当該第3基板SUB3を樹脂層PIから剥離することができる。
【0086】
工程2−7(図8(h))
次に、工程1−6と同様に、耐熱樹脂層PIをアッシングすることにより、当該耐熱樹脂膜PIの膜厚を初めの15μmから、1.4μmに減少させる。これによって、透過率を向上させる。
【0087】
工程2−8(図8(i))
次に、工程1−7と同様に、第3基板SUB3を剥離した側である樹脂層PIの表面すなわち裏面側に、別のプラスチックフィルムからなる第1基板SUB1を透明接着材ADLにより接着する。
【0088】
工程2−9(図8(j))
次に、偏光板POL1、POL2を上下に貼り付けることによって、第1の透明基板SUBTとしてプラスチックフィルムからなる第1基板SUB1を備えた液晶表示パネルが形成される。この後に、液晶表示パネルの裏面側に図示しないバックライト装置を配置することにより、液晶表示装置が形成される。
【0089】
以上説明したように、実施形態2の液晶表示装置における第1の透明基板SUBTの製造方法では、支持基板となる第3基板SUB3の上層に、実施例1に示す樹脂部材からなる剥離層として機能する樹脂層PIを形成する。この後に、該樹脂層PIの上層にバリア層BRFを介して回路層や配向膜等を形成した後に、第2の透明基板SUBCFとの間に液晶を封入し固着した後に、第3基板SUB3側から波長200nm以上400nmのレーザ光を照射し、樹脂層PIと第3基板SUB3との界面で当該第3基板SUB3を剥離する。この後に、樹脂層PIを薄膜化し、該樹脂層PIに第1基板SUB1を貼り付けることにより液晶表示パネルを形成する。このとき、実施形態2においても樹脂膜PIとして、ガラス転移点を向上させるために架橋剤を合わせて用いることができるポリベンゾオキサゾール(PBO)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド(PI)、又はポリアミド(PA)の内の実施例1に示すポリベンゾオキサゾール(PBO)を用い、その厚さが3μm以上30μmとなるように第3基板SUB3上に形成する樹脂層PIとしているので、実施形態1の液晶表示装置の製造方法と同様の効果を得ることができる。さらには、樹脂層PIから第3基板SUB3を剥離する際に、第2の透明基板SUBCFと樹脂層PIとにより応力に伴う回路層の損傷を保護する構成としているので、実施形態1よりも液晶表示装置の製造工程数を低減できるという格別の効果を得ることができる。
【0090】
〈実施形態3〉
〈全体構成〉
図9は本発明の実施形態3の画像表示装置である液晶表示装置における薄膜トランジスタ部及び画素部の概略構成を説明するための断面図であり、図10は本発明の実施形態3の画像表示装置である液晶表示装置の概略構成を説明するための断面図である。特に、図10は実施形態3の液晶表示装置の画素領域における断面図を示す。また、実施形態3の液晶表示装置は第2基板SUB2すなわち第2の透明基板SUBCFの側に対向電極が形成され、第1の透明基板SUBTと第2の透明基板SUBCFとの配置方向(縦方向)に液晶分子を駆動する電界が印加されるVA方式やTN方式と称されるいわゆる縦電界方式の液晶表示装置に本願発明を適用した場合の液晶表示装置である。ただし、実施形態3の液晶表示装置では、薄膜トランジスタ及び画素を含む回路層の構成を除く他の構成は実施形態1と同様である。従って、以下の説明では、回路層の構成について詳細に説明する。
【0091】
実施形態3の液晶表示装置においても、第1基板SUB1の上面には薄膜トランジスタTFTが形成されている。該薄膜トランジスタTFTは、マトリックス状に配置された各画素の画素列を選択するためのスイッチング素子として、あるいは、各画素の集合によって形成される表示部の周辺に形成される画素駆動用回路のスイッチング素子として形成されるようになっている。この薄膜トランジスタTFTは、パターン化された導電層、半導体層、絶縁層を所定の順序で積層させた積層体によって形成されている。
【0092】
すなわち、図9に示すように、薄膜トランジスタTFT等が形成される第1の透明基板の側は、プラスチックフィルム等の樹脂製の第1基板SUB1の上層に接着層ADLを介して樹脂層PIが固着されている。該樹脂層PIの上層にはバリア層BULが形成され、該バリア層BULの上層にゲート電極GTが形成されている。このときのゲート電極STは、例えば図示しないゲート線を兼用する構成、又は該ゲート線から延在する延在部をゲート電極GTとして用いる構成とする場合の何れであってもよい。該ゲート電極GTの上層にはゲート絶縁膜GIが形成され、該ゲート絶縁膜GIの上層に、ゲート電極GTと重畳する位置に島状の半導体層AS及び高濃度のn型不純物がドープされるコンタクト層CNが当該ゲート電極GTを跨ぐように形成されている。このとき、実施形態3では該コンタクト層CNを貫通し、半導体層ASの一部が凹状に形成される凹部が形成されており、コンタクト層CNの上層に該凹部を介して対向するようしてドレイン電極DTとソース電極STとが形成され、薄膜トランジスタTFTが形成されている。このように、実施形態3では、半導体層ASとドレイン電極DTとの界面、及び半導体層ASとソース電極STとの界面とにそれぞれコンタクト層CNを形成することにより、電気抵抗を小さくする構成としている。また、実施形態3においても、ソース電極ST及びドレイン電極DTの形成時に、図示しないドレイン線等を形成する構成となっている。そして、このように構成された薄膜トランジスタTFTは、保護膜PASによって被われる構成となっている。この保護膜PASはたとえばシリコン窒化膜あるいは樹脂等で形成されている。また、保護膜PASの上層には画素電極PXが形成されると共に、保護膜PASに形成されるスルーホールSH5を介して、ソース電極STと画素電極PXが電気的に接続されている。
【0093】
このような薄膜トランジスタTFTを備える液晶表示パネルでは、図10に示すように、液晶LCを挟持して配置される第1の透明基板(いわゆる、TFT基板)SUBTと第2の透明基板(いわゆる、フィルタ基板)SUBCFを備える構成となっている。該第1の透明基板SUBTは、プラスチックフィルム等の樹脂部材からなる第1基板SUB1を備えている。該第1基板SUBの主面側である液晶LCの側の面には、接着層ADLを介して、実施例1に示す樹脂層(耐熱樹脂層)PIが形成されている。該樹脂層PIの上層には、第1の無機膜であるバリア層BUL(IO1)、第2の無機膜であるゲート絶縁膜GI(IO2)、保護膜PAS、画素電極PX、第1の配向膜ORI1が順次積層されている。このとき、実施形態3における画素電極PXも、例えばITO(Indium Tin Oxide)等の透光性導電膜から構成されている。また、画素電極PXは後に詳述する第2基板SUB2上に形成される対向電極CTとの間に電界を生じせしめ、液晶LCの分子を挙動させるようになっている。従って、実施形態3の画素電極PXは平面状の形状となっている。また、第1の配向膜ORI1は後述の第2配向膜ORI2とともに液晶LCの分子の初期配向方向を決定するようになっている。一方、第1基板SUB1の液晶LCと反対側の面には、第1偏光板POL1が配置されている。該第1偏光板POL1は、後述の第2偏光板POL2とともに液晶LCの分子の挙動を可視化させるようになっている。
【0094】
液晶LCを介して第1の透明基板SUBTと対向配置される第2の透明基板SUBCFは、プラスチックフィルム等の樹脂部材からなる第2基板SUB2を備える構成となっている。該第2基板SUB2の液晶LCの側の面には、カラーフィルタCF、対向電極CT、第2配向膜ORI2が順次積層されている。対向電極CTは、たとえばITO(Indium Tin Oxide)等の透光性導電膜から構成されている。一方、第2基板SUB2の液晶LCと反対側の面には、第2偏光板POL2が配置されている。
【0095】
〈製造方法〉
次に、図11に本発明の実施形態3の液晶表示装置における第1の透明基板の製造方法を説明するための図を示し、以下、図11に基づいて、実施形態3の液晶表示装置であるTN方式の液晶表示装置の製造方法を説明する。ただし、実施形態3の液晶表示装置では、薄膜トランジスタTFT及びその上層に形成される画素電極PXを除く他の構成は実施形態1と同様である。従って、以下の説明では、実施形態1と構成が異なる薄膜トランジスタTFT及びその上層に形成される画素電極PXについて詳細に説明する。
【0096】
工程3―1(図11(a))
実施形態3においても、裏面からのレーザ光照射を行えると共に、再生が可能であるということを考慮して、透明なガラス基板を支持基板である第3基板SUB3とする。これにより、第3基板SUB3を再生して使用することが可能となるので、デバイスである液晶表示装置の作成コストを低減することができる。このとき、実施形態1と同様に、ガラス基板の他に、石英基板、シリコン基板、及び金属基板等を第3基板SUB3とする構成であってもよい。
【0097】
まず、第3基板SUB3の主面側(図中上面)に、実施例1に示す耐熱樹脂の塗膜からなる樹脂層(耐熱樹脂層)PIを膜厚10μmで形成する。このときの硬化条件や膜厚等は、実施例1に示す条件と同じとなる。
【0098】
工程3−2(図11(b))
次に、前述する工程1−2と同様に、樹脂層PIの上層にバリア層BULを形成する。このバリア層BULの形成では、ICP−CVD置を使って、無機膜であるSiON膜を室温で100nm形成する。
【0099】
工程3−3(図11(c))
次に、バリア層BULの上層に周知の成膜方法で、薄膜トランジスタTFTや画素電極PX等の回路層を形成する。このとき、実施形態3では、バリア層BULの上層に、ゲート電極GTと、ゲート絶縁膜GIと、半導体層ASと、コンタクト層CNと、ドレイン電極DTを兼ねるドレイン線DL及びソース電極STと、層間絶縁膜PASとを順に形成する。ここで、層間絶縁膜PASにソース電極STの上面が露出されるスルーホールSH5を形成する。次に、層間絶縁膜PASの上層に透明電極材料からなる平板状の画素電極PXを形成すると共に、スルーホールSH5を介してソース電極STと画素電極PXとを電気的に接続することにより、回路層が形成される。
【0100】
工程3−4(図11(d))
次に、前述する工程1−4と同様に、第3基板SUB3に支持される回路層の上層に粘着膜PRL1と保持膜PRL2からなる保護層PRLを仮接着する。ここで、実施形態3においても実施例1と同様に、保護層PRLとしては例えば三井化学の「イクロステープ」や日東電工の「リバアルファ」といった半導体のバックグラインド時に用いられる保護フィルムを用いる。
【0101】
工程3−5(図11(e))
次に、前述する工程1−5と同様に、波長308nmのXe-Clエキシマレーザ光を第3基板SUB3の裏面側すなわち回路層が形成されない側から照射する。その結果、波長308nmの光が樹脂層PIに効率的に吸収され、第3基板SUB3/耐熱透明樹脂層PIの界面での密着性が低下して、第3基板SUB3を剥離させることができる。このときも、150mJ/cm2/パルスの照射量で50ショットの露光を与えることにより密着性が低下する。ここで、実施形態1と同様に、実施形態3においても10μmの耐熱樹脂層PI及び保護層PRLが回路層を挟むようにして形成されているので、無機材料から形成される薄膜トランジスタTFTを含む回路層を破損することなく支持基板である第3基板SUB3を剥離することができる。
【0102】
工程3−6(図11(f))
次に、前述する工程1−6と同様に、耐熱樹脂層PIの図中下面側をアッシングすることにより、当該耐熱樹脂膜PIの膜厚を形成時すなわち初めの10μmから1μmに減少させる。これによって、実施形態1と同様に、樹脂層PIの透過率すなわち液晶表示装置の輝度を向上できる。
【0103】
工程3−7(図11(g))
次に、前述する工程1−7と同様に、第3基板SUB3がついていた側すなわち樹脂層PIのアッシング側に、プラスチックフィルムからなる第1基板SUB1を透明接着材ADLにより接着する。これにより、プラスチックフィルムからなる第1基板SUB1を基板とする。
【0104】
工程3−8(図11(h))
次に、前述する工程1−8と同様に、仮接着していた保護層PRLを剥離させる。このとき、実施形態3においても保護層PRLとして前述の「イクロステープ」や「リバアルファ」を用いているので、粘着膜PRL1は加熱により容易に粘着量を低減させることができ、粘着膜PRL1と共に保持膜PRL2を剥離できる。その結果、天地が保持された形で第1基板SUB1であるプラスチックフィルムに転写された薄膜トランジスタTFTを含めた第1基板SUB1の上層に回路層が形成される第1の透明基板SUBTが完成する。
【0105】
この工程3−8の後に、周知の方法を用い形成した第2基板SUB2の上層すなわち液晶側にカラーフィルタCF、対向電極CT、及び遮光膜BMが形成される第2の透明基板SUBCFと、第1の透明基板SUBTとをシール材を用いて固着すると共に、第2の透明基板SUBCFと第1の透明基板SUBTとの間に液晶を封入することにより、液晶表示パネルが形成される。この液晶表示パネルにバックライト装置等を取り付けることにより、液晶表示装置が形成される。ただし、実施形態3の液晶表示装置はTN方式の液晶表示装置となるので、第2の透明基板SUBCFの側にもITOからなる電極である対向電極CTが形成されている。すなわち、第2の透明基板SUBCFとしては、例えば、厚さ100μmのプラスチック基板を第2基板SUB2とし、この第2基板SUB2の主面側及びその対向面側(裏面側、観察者側)に100nmのSiONのバリア膜を形成して基板材料とする。そして、この第2基板SUB2の主面側に、遮光膜(ブラックマトリクス層)BMとRGBのカラーフィルタCFと対向電極CTの層をそれぞれ形成する。このとき、第2基板SUB2の液晶面側の最上層には配向膜を備える構成としている。
【0106】
以上説明したように、実施形態3の液晶表示装置の第1の透明基板SUBTの製造方法においては、支持基板となる第3基板SUB3の上層に、実施例1に示す樹脂部材からなる剥離層として機能する樹脂層PIを形成した後に、該樹脂層PIの上層にバリア層BRFを介して回路層等を形成し、該回路層の上層に保護層PRLを仮接着させた後に、第3基板SUB3側から波長200nm以上400nmのレーザ光を照射し、上層に回路層が形成される樹脂層PI側から第3基板SUB3を剥離する。該第3基板SUB3の剥離後に、樹脂層PIを薄膜化し、該樹脂層PIに第1基板SUB1を貼り付けた後に、仮接着した保護層PRLを剥離する。該保護層PRLの剥離後に配向膜を成膜し第1の透明基板SUBTを形成し、該第1の透明基板SUBTと第2の透明基板SUBCFとの間に液晶を封入し固着することにより、液晶表示パネルを形成する。このとき、実施形態3においても樹脂膜PIとして、ガラス転移点を向上させるために架橋剤を合わせて用いることができるポリベンゾオキサゾール(PBO)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド(PI)、又はポリアミド(PA)の内の実施例1に示すポリベンゾオキサゾール(PBO)を用い、その厚さが3μm以上30μmとなるように第3基板SUB3上に形成する樹脂層PIとしているので、実施形態1の液晶表示装置の製造方法と同様の効果を得ることができる。
【0107】
〈実施形態4〉
実施形態4の画像表示装置は実施形態3の液晶表示装置と同じ構成となるが、その製造方法が異なる実施形態である。従って、実施形態4においては、図12及び図13に本発明の実施形態4の液晶表示装置の製造方法を説明するための図を示し、以下、図12及び図13に基づいて、実施形態4の液晶表示装置の製造方法を説明する。ただし、実施形態4の液晶表パネルの製造方法では、第3基板SUB3を剥離する際の支持部材として第2の透明基板SUBCFを用いる以外は、実施形態3と同様の構成となる。従って、以下の説明では、本願発明に特徴的な樹脂層PIと第2の透明基板SUBCFの形成について詳細に説明する。
【0108】
工程4−1(図12(a))
前述する工程3−1と同様に、透明なガラス基板を第3基板SUB3とする。これにより、第3基板SUB3を再生して使用することが可能となるので、デバイスである液晶表示装置の作成コストを低減することができる。このとき、実施形態1と同様に、ガラス基板の他に、石英基板、シリコン基板、及び金属基板等を第3基板SUB3とする構成であってもよい。
【0109】
まず、第3基板SUB3の主面側(図中上面)に、実施例1に示す耐熱樹脂の塗膜からなる樹脂層(耐熱樹脂層)PIを膜厚10μmで形成する。このときの硬化条件や膜厚等は、実施例1に示す条件と同じとなる。
【0110】
工程4−2(図12(b))
前述する工程3−2と同様に、樹脂層PIの上層に、バリア層BULとする厚さが100nmのSiON膜を形成する。
【0111】
工程4−3(図12(c))
前述する工程3−3と同様に、バリア層BULの上層に周知の成膜方法で、画素を構成するために必要となる薄膜トランジスタTFTや画素電極PX等の回路層を形成する。このとき、図12(c)から明らかなように、画素領域においては、バリア層BULの上層に、ゲート絶縁膜GIと、層間絶縁膜PASと、画素電極PXと、配向膜ORI1が順番に積層される。なお、この工程により、第3基板SUB3の上層に形成した樹脂層PI上に回路層が形成される。また、配向膜ORIに応じてラビング処理を行う。
【0112】
工程4−4(図12(d))
次に、例えば、厚さ100μmのプラスチック基板からなる第2基板SUB2の主面側に、周知の方法により、図示しない遮光膜(ブラックマトリクス層)BM及びRGBのカラーフィルタCFの薄膜層、対向電極CT、配向膜ORIを順番に積層して第2の透明基板SUBCFを形成する。
【0113】
次に、この第2の透明基板SUBCFの配向膜ORI2と、工程4−3で形成された回路層を有する第3基板SUB3の配向膜ORI1とが対向する向きにして、2枚の基板をシール材で固着する。このとき、第2の透明基板SUBCFと第3基板SUB3側との間に液晶を封入すると共に、この液晶層にビーズスペーサーを入れる構成としている。
【0114】
工程4−5(図12(e))
工程3−5と同様に、波長308nmのXe-Clエキシマレーザ光をガラス基板である第3基板SUB3の裏面側すなわち回路層が形成されない側から照射する。その結果、波長308nmの光が樹脂層PIに効率的に吸収され、第3基板SUB3/耐熱透明樹脂層PIの界面での密着性が低下して、第3基板SUB3を剥離させることができる。このときも、150mJ/cm2/パルスの照射量で50ショットの露光を与えることにより密着性が低下する。実施形態4においては、実施形態2と同様に、第2の透明基板SUBCFと樹脂層PIとが回路層を挟むようにして保護するので、無機材料から形成される薄膜トランジスタTFTを含む回路層を破損することなく支持基板である第3基板SUB3を剥離することができる。
【0115】
工程4−6(図12(f))
工程3−6と同様に、耐熱樹脂層PIをアッシングすることにより、当該耐熱樹脂膜PIの膜厚を初めの10μmから1μmに減少させる。これによって、実施形態1と同様に、樹脂層PIの透過率すなわち液晶表示装置の輝度を向上できる。
【0116】
工程4−7(図13(g))
工程3−7と同様に、第3基板SUB3を剥離した側である樹脂層PIの表面すなわち裏面側に、別のプラスチックフィルムからなる第1基板SUB1を透明接着材ADLにより接着する。これにより、プラスチックフィルムからなる第1基板SUB1を基板とする。
【0117】
工程4−8(図13(h))
偏光板POL1、POL2を上下に貼り付けることによって、第1の透明基板SUBTとしてプラスチックフィルムからなる第1基板SUB1を備えた液晶表示パネルが形成される。
【0118】
この後に、液晶表示パネルの裏面側に図示しないバックライト装置を配置することにより、実施形態4の液晶表示装置が形成される。
【0119】
以上説明したように、実施形態4の液晶表示装置の第1の透明基板SUBTの製造方法においては、支持基板となる第3基板SUB3の上層に、実施例1に示す樹脂部材からなる剥離層として機能する樹脂層PIを形成した後に、該樹脂層PIの上層にバリア層BRFを介して回路層や配向膜等を形成し、この後に第2の透明基板SUBCFとの間に液晶を封入し固着することにより、樹脂層PIと第2の透明基板SUBCFとにより薄膜トランジスタTFTを含む回路層を保護する。この後に、第3基板SUB3側から波長200nm以上400nmのレーザ光を照射し、樹脂層PIと第3基板SUB3との界面で当該第3基板SUB3を剥離する。該第3基板SUB3の剥離後に、樹脂層PIを薄膜化し、該樹脂層PIに第1基板SUB1を貼り付けることにより液晶表示パネルを形成するので、実施形態1の液晶表示装置の製造方法と同様の効果を得ることができる。さらには、樹脂層PIから第3基板SUB3を剥離する際に、第2の透明基板SUBCFと樹脂層PIとにより応力に伴う回路層の損傷を保護する構成としているので、実施形態2と同様に、実施形態1、3よりも液晶表示装置の製造工程数を低減できるという格別の効果を得ることができる。
【0120】
〈実施形態5〉
図14は本発明の実施形態5の画像表示装置である液晶表示装置の概略構成を説明するための薄膜トランジスタの形成領域における断面図であり、図15は本発明の実施形態5の画像表示装置である液晶表示装置の概略構成を説明するための画素の形成領域における断面図である。特に、図5は第1の透明基板側の断面図であり、実施形態5の液晶表示装置は、耐熱性を有する樹脂膜(耐熱樹脂膜)PIの構成を除く他の構成は従来と同様である。従って、以下の説明では、樹脂膜の構成について詳細に説明する。また、図14に示す断面図においては、薄膜トランジスタの上層に形成される画素電極等の構成は省略する。
【0121】
実施形態5の画像表示装置は、薄膜トランジスタの半導体層PSがポリシリコン(低温ポリシリコンや微結晶ポリシリコンを含む)で形成される液晶表示装置である。半導体層PSをポリシリコンで形成される薄膜トランジスタTFTとして適するものとして、図14から明らかなように、ポリシリコン層からなる半導体層PSの上層にゲート電極GTが形成されるトップゲート型であり、かつ半導体層PSの側面すなわちチャネル層の側面にソース領域DD及びドレイン領域SDが形成される周知の構成となっている。
【0122】
図14に示すように、実施形態5の第1の透明基板は、まず、1μmにアッシングされた耐熱樹脂層からなる樹脂層PIが形成されており、該樹脂層PIの表面に例えばシリコン窒化膜(SiN)からなるバリア層BLが形成されている。このバリア層BLは、樹脂層PI内の金属原子が半導体層PSに侵入するのを回避するために設けられている。一方、樹脂層PIの裏側(薄膜トランジスタTFTが形成される側に対応する面側)は、接着層ADLで樹脂性の基板である第1基板SUB1に接着される構成となっている。
【0123】
バリア層BLの表面すなわちバリア層BLの図中上側面には、ポリシリコンからなる半導体層PSが形成され、該半導体層PSをも被ってゲート絶縁膜GIが形成されている。ゲート絶縁膜GIの上面には半導体層PSを跨ぐようにしてゲート電極GTが形成されている。なお、半導体層PSには、ゲート電極GTの形成後にゲート電極GTをマスクとして不純物がドープされ、ドレイン領域DDおよびソース領域SDが形成されるようになっている。また、ゲート電極GTをも被ってゲート絶縁膜GI上には保護膜PASが形成され、該保護膜PAS及びゲート絶縁膜GIに形成された開口(スルーホール)を通して、ドレイン領域DDに接続されたドレイン電極DT、およびソース領域SDに接続されたソース電極STが形成され、実施形態5の薄膜トランジスタTFTが形成されている。
【0124】
また、実施形態5の液晶表示装置における画素領域の構成は、図15に示すように、実施形態3、4と同様の構成となる。すなわち、液晶層LCを介して、樹脂からなる第1基板SUB1を備える第1の透明基板SUBTと、樹脂からなる第2基板SUB2を備える第2の透明基板SUBCFとが対向配置されている。第1基板SUB1の主面側(対向面側)すなわち液晶層LCの側には、接着層ADLにより、樹脂層(耐熱樹脂層)PIが接着されている。該樹脂層PIの上層には、第1の無機膜であるバリア層BUL(IO1)、第2の無機膜であるゲート絶縁膜GI(IO2)、保護膜PAS、画素電極PX、第1の配向膜ORI1が順次積層されている。第2基板SUB2の液晶LCの側の面には、カラーフィルタCF、対向電極CT、第2配向膜ORI2が順次積層されている。対向電極CTは、たとえばITO(Indium Tin Oxide)等の透光性導電膜から構成されている。また、第1基板SUB1及び第2基板SUB2の液晶LCと反対側の面には、それぞれ第1偏光板POL1又は第2偏光板POL2が配置されている。
【0125】
また、実施形態5の液晶表示装置は、実施形態3及び実施形態4の液晶表示装置の製造方法における回路層の形成工程が異なるのみで、他の工程は同じとなる。従って、実施形態5の液晶表示装置においても、実施形態3、4の液晶表示装置と同様の効果を得ることができる。
【0126】
〈実施形態6〉
図16は本発明の実施形態6の画像表示装置である有機EL表示装置の概略構成を説明するための断面図である。ただし、本願発明は有機EL表示装置に限定されることはなく、他の自発光型画像表示装置にも適用可能である。なお、図16は前述の図10と同様に、画素領域の断面図を示す。
【0127】
図16に示すように、実施形態6の有機EL表示装置においても耐熱性の樹脂層PIを用いる構成となっており、特に、実施形態1〜5と同様に、1μm程度の樹脂層PIを使用する構成となっている。すなわち、実施形態6の有機EL表示装置では、1μmにアッシングされた耐熱樹脂層からなる樹脂層PIが形成されており、該樹脂層PIの表面に例えばシリコン窒化膜(SiN)からなるバリア層BLが形成されている。このバリア層BLは、樹脂層PI内の金属原子が半導体層PSに侵入するのを回避するために設けられている。一方、樹脂層PIの裏側(薄膜トランジスタTFTが形成される側に対応する面側)は、接着層ADLで樹脂性の基板である第1基板SUB1に接着される構成となっている。
【0128】
樹脂層PIの上層には、第1の無機膜であるバリア層BUL(IO1)、第2の無機膜であるゲート絶縁膜GI(IO2)、保護膜PAS、第1電極TM1、発光層EL、第2電極TM2、封止層ENCが順次積層されている。実施形態6の有機EL表示装置では、バリア層BULは応力調整膜として機能し、ゲート絶縁膜GIは図示しない薄膜トランジスタの形成領域においては、半導体層とゲート電極との間に形成されるゲート絶縁膜として機能する。また、発光層ELは第1電極TM1と第2電極TM2によって挟持され、第1電極TM1と第2電極TM2を通して発光層ELに流れる電流に応じた発光がなされるようになっている。ただし、実施形態6の有機EL表示装置においては、発光層ELよりも第1基板SUB1に近い側に配置される電極は、例えばITO等のような透光性導電膜で構成され、発光層ELから発生した光は、透光性導電膜で構成した第1電極TM1を通して外部に照射させるようになっている。なお、第2電極TM2も透光性導電膜で形成してもよい。
【0129】
次に、図17に本発明の実施形態6の画像表示装置である有機EL表示装置の製造方法を説明するための図を示し、以下、図17に基づいて、実施形態6の有機EL表示装置の製造方法を説明する。ただし、以下の説明では、発光層ELよりも第1基板SUB1側に形成される第1電極TM1を透光性導電膜で形成し、第1電極TM及び第1基板SUB1を通して発光層ELからの光を照射させるボトムエミッション方式について説明する。ただし、本願発明は第2電極TM2を透光性導電膜で形成し、第2電極TM2及び封止層ENCを通して発光層ELからの光を照射させるトップエミッション方式にも適用可能である。
【0130】
工程6−1(図17(a))
実施形態6においても、裏面側からのレーザ光照射を行えると共に、再生が可能であるということを考慮して、透明なガラス基板を第3基板SUB3とする。これにより、第3基板SUB3を再生して使用することが可能となるので、デバイスである有機EL表示装置の作成コストを低減することができる。ただし、後述する発光層ELの形成においては高温での蒸着を行うこととなるので、その蒸着温度に適応した材料からなる基板を適宜選択し第3基板SUB3とする。このような第3基板SUB3としては、実施形態1と同様に、ガラス基板の他に、石英基板、シリコン基板、及び金属基板等からなる基板を第3基板SUB3とする構成であってもよい。このとき、後述のように、裏面側からのレーザ光照射が行えるので、透明なガラス基板や石英基板等が望ましい。
【0131】
まず、第3基板SUB3の主面側(図中上面)に、実施例1に示す耐熱樹脂の塗膜からなる樹脂層(耐熱樹脂層)PIを膜厚10μmで形成する。このときの硬化条件や膜厚等は、適宜選択可能である。
【0132】
工程6−2(図17(b))
次に、樹脂層PIの上層にバリア層BULを形成する。このバリア層BULの形成では、例えば、ICP−CVD置を使って無機膜であるSiON膜を室温で100nm形成する。
【0133】
工程6−3(図17(c))
次に、バリア層BULの上層に周知の成膜方法で、発光層ELに供給する電流量を調整する駆動用の薄膜トランジスタ、映像信号の取り込みを制御すると共に駆動用の薄膜トランジスタの駆動を制御するスイッチ用の薄膜トランジスタ、及び配線等を形成する。次に、ITO等の透光性導電膜からなる第1電極TM1、有機薄膜からなる発光層EL、第2電極TM2、及び封止層ENCを形成する。
【0134】
すなわち、バリア層BULの上層に、ゲート線及びゲート電極と、ゲート絶縁膜GIと、半導体層と、ドレイン電極を兼ねるドレイン線及びソース電極と、層間絶縁膜PASとを順に形成することにより、スイッチよう及び駆動用の薄膜トランジスタ及び配線等を形成する。次に、駆動用の薄膜トランジスタのソース電極の上面が露出されるスルーホールを層間絶縁膜PASに形成した後に、当該層間絶縁膜PASの上層に透明電極材料からなる第1電極TM1を形成することにより、ソース電極と第1電極TM1とを電気的に接続する。次に、第1電極TM1の上層にシャドーマスクを用いて有機材料の薄膜層からなる発光層ELを形成した後に、該発光層ELの上層に金属薄膜からなる第2電極TM2を形成する。この後、基板の主面側を被うようして第2電極TM2の上層に封止層ENCを形成することにより、発光層ELを形成する有機材料への水分等の侵入を防止する。ただし、第2電極TM2の形成時においては、例えば工程6−3で形成した図示しない共通信号線の上層に形成される層間絶縁膜PASにスルーホールを形成した後に、第2電極TM2を形成することにより、共通信号線と第2電極TM2とを電気的に接続する。
【0135】
工程6−4(図17(d))
次に、工程1−4と同様に、封止層ENCの上層に粘着膜PRL1と保持膜PRL2とからなる保護層PRLを仮接着する。ここで、実施形態6においても実施例1と同様に、保護層PRLとしては例えば三井化学の「イクロステープ」や日東電工の「リバアルファ」といった半導体のバックグラインド時に用いられる保護フィルムを用いる。
【0136】
工程6−5(図17(e))
次に、工程1−5と同様に、波長308nmのXe-Clエキシマレーザ光をガラス基板である第3基板SUB3の裏面側すなわち回路層が形成されない側から照射する。このレーザ光の照射により、実施形態6の耐熱樹脂層PIにおいても波長308nmの光が効率的に吸収され、第3基板SUB3/耐熱透明樹脂層PIの界面での密着性が低下して、第3基板SUB3を剥離させることができる。このとき、実施形態6においても、実施形態1と同様に、10μmの耐熱樹脂層PI及び保護層PRLが回路層を挟むようにして形成されているので、無機材料から形成される薄膜トランジスタTFTを含む回路層を破損することなく支持基板である第3基板SUB3を剥離することができる。
【0137】
工程6−6(図17(f))
次に、耐熱樹脂層PIの図中下面側をアッシングすることにより、当該耐熱樹脂膜PIの膜厚を初めの10μmから1μmに減少させる。これによって、実施形態1と同様に、樹脂層PIの透過率すなわち画像表示装置の輝度を向上できる。
【0138】
工程6−7(図16)
まず、第3基板SUB3がついていた側に、別のプラスチックフィルムからなる第1基板SUB1を透明接着材ADLにより接着する。これにより、プラスチックフィルムからなる第1基板SUB1を基板とする。
【0139】
次に、仮接着していた保護層PRLを剥離させる。このとき、保護層PRLとして「イクロステープ」や「リバアルファ」を用いた場合には、粘着膜PRL1は加熱により容易に粘着量を低減させることができるので、粘着膜PRL1と共に保持膜PRL2を剥離ができる。その結果、天地が保持された形で第1基板SUB1であるプラスチックフィルムに転写された薄膜トランジスタTFTを含めた第1基板SUB1の上層に薄膜トランジスタ及び発光層ELからなる回路層が形成される有機EL表示装置が形成される。
【0140】
以上説明したように、実施形態6の有機EL表示装置の製造方法においても、支持基板となる第3基板SUB3の上層に、耐熱性を有すると共に可視光領域の透過率が高い実施例1に示す樹脂部材からなる剥離層として機能する樹脂層PIを形成した後に、該樹脂層PIの上層にバリア層BRFを介して回路層を形成する。次に、該回路層の上層に保護層PRLを仮接着させた後に、第3基板SUB3側から波長200nm以上400nmのレーザ光を照射し、上層に回路層が形成される樹脂層PI側から第3基板SUB3を剥離する。次に、樹脂層PIを剥離面側からアッシングすることにより、当該樹脂層PIの膜厚を形成時の10μmから1μmに薄膜化する。この薄膜化の後に、樹脂層PIのアッシング側面に透明接着剤で第1基板SUB1を接着した後に、仮接着した保護層PRLを剥離することにより、有機EL表示装置を形成する。このとき、実施形態6においても、樹脂膜PIとして、ガラス転移点を向上させるために架橋剤を合わせて用いることができるポリベンゾオキサゾール(PBO)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド(PI)、又はポリアミド(PA)の内の実施例1に示すポリベンゾオキサゾール(PBO)を用い、その厚さが3μm以上30μmとなるように第3基板SUB3上に形成する樹脂層PIとしている。その結果、その上層に回路層が形成される樹脂層PIを第3基板SUB3から剥離する際における回路層を形成する薄膜トランジスタ等の破損を防止できる。また、第3基板SUB3としてガラス基板を用い、剥離層として樹脂層PIを用いる構成としているので、従来の製造装置を用いた場合であっても容易に第3基板SUB3を再利用することが可能である。さらには、実施形態6の有機EL表示装置の製造方法では、第3基板SUB3の上層に形成した実施例1の樹脂層PIを当該第3基板SUB3から剥離した後に薄膜化し、この後に、第1基板SUB1に接着する構成としているので、耐熱性の樹脂層PIを用いた場合であっても、発光層からの光の透過性を向上させることができる。その結果、実施形態6の有機EL表示装置の輝度を向上させることができる。
【0141】
〈実施形態7〉
図18は本発明の実施形態7の液晶表示装置の概略構成を示す平面図であり、前述する実施形態1〜6の製造方法で形成された液晶表示装置である。ただし、X、YはそれぞれX軸、Y軸を示す。
【0142】
図18に示すように、液晶(図示せず)を挟持して対向配置される第1基板SUB1、第2基板SUB2を有している。第2基板SUB2は観察者側に配置されるようになっている。第1基板SUB1の背面にはバックライト(図示しない)が配置されるようになっている。第2基板SUB2は、第1基板SUB1よりも若干小さな面積となっており、第1基板SUB1の図中下側の端子部TRMを露出させるようになっている。第2基板SUB2の周辺には、第1基板SUB1と固着するシール材SLが形成され、このシール材SLは液晶を封止させる機能も有している。
【0143】
シール材SLで囲まれた領域は表示領域ARとなっている。第1基板SUB1の表示領域ARにおける液晶側の面には、図中X方向に延在しY方向に並設されるゲート線GL、および図中Y方向に延在しX方向に並設されるドレイン線DLが形成されている。隣接する一対のゲート線GLと隣接する一対のドレイン線DLとで囲まれる領域は画素の領域を構成するようになっている。これにより、表示領域ARにはマトリックス状に配置された多数の画素を有するようになる。
【0144】
各画素領域には、図中丸印Aの拡大図A’に示すように、ゲート線GLからの信号(走査信号)によってオンされる薄膜トランジスタTFTと、この薄膜トランジスタTFTを通してドレイン線DLからの信号(映像信号)が供給される画素電極PXと、この画素電極PXとの間に電界を生じさせる対向電極CTとが形成されている。この電界は第1基板SUB1の面に平行な成分を有し、液晶の分子は第1基板SUB1の面に水平な状態のままで配向状態が変化するようになっている。この種の液晶表示装置はたとえば横電界方式(IPS方式)と称される。対向電極CTはたとえばゲート線GLに平行して走行するコモン線CLを介して映像信号に対して基準となる基準信号が供給されるようになっている。なお、TN(Twisted Nematic)、VA(Vertical Alignment)等の縦電界方式と称される液晶表示装置では、前述するように対向電極CTは第2基板SUB2側に形成されている。
【0145】
ゲート線GL、ドレイン線DL、およびコモン線CLは、それぞれ図示しない引き出し線によって端子部TRMに接続され、ゲート線GLには走査信号、ドレイン線DLには映像信号、コモン線CLには基準信号が端子部TRMを介して供給されるようになっている。
【0146】
実施形態1〜5に示す製造方法では、第1基板SUB1の液晶側に形成する樹脂層として耐熱性を有する耐熱樹脂層を適用できるので、樹脂層の上層に形成される回路層を従来と同様の製造工程で形成することが可能となると共に、第1基板SUB1の液晶側に形成される樹脂層の透過率が向上できるので、液晶表示装置の輝度を向上できる。
【0147】
なお、実施形態1〜6の画像表示装置の製造方法においては、第3基板SUB3としてガラス基板を用いた場合について詳細に説明したが、例えば、石英基板を第3基板SUB3として用いた場合には、樹脂膜PIや回路層の形成温度を高くすることができる。さらには、第3基板を剥離させる際に、より波長の短いすなわちエネルギーの大きいレーザ光を使用することが可能となる。例えば、実施例1の樹脂材料からなる樹脂層PIを用いて、窒素下で、320℃60分硬化を行い、石英基板からなる第3基板SUB3に厚さ10μmの耐熱透明樹脂層樹脂層(樹脂層)PIを形成する。次に、実施形態1〜6の製造方法により、当該樹脂層PIの上層に回路層を形成する。この後の第3基板SUB3の剥離工程では、ガラスでは透過しにくい、より短波長の紫外光が透過するので、これを利用して、保護層PRLを接着した後に、波長248nmのKrFエキシマレーザ光(50mJ/cm2/パルス、1パルスは20ナノ秒)を第3基板SUB3の裏面側から照射する。このとき、実施例1の耐熱樹脂層PIは、波長248nmの光を効率的に吸収するので、石英基板/耐熱透明樹脂層の界面での密着性が低下して、5パルスつまり250mJ/cm2の照射量で基板を剥離させることが可能となる。
【0148】
以上、本発明者によってなされた発明を、前記発明の実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記発明の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0149】
PI……耐熱樹脂層(樹脂層)、ADL……接着層、SUB1……第1基板
SUB2……第2基板、SUB3……第3基板、SUBT……第1の透明基板
SUBCF……第2の透明基板、GT……ゲート電極、GI……ゲート絶縁膜
AS……半導体層(アモルファス)、CN……コンタクト層、DT……ドレイン電極
ST……ソース電極、PAS……保護膜、TFT……薄膜トランジスタ
PX……画素電極、POL1……第1偏光板、ORI……配向膜、LC……液晶
CF……カラーフィルタ、CT……対向電極、POL2……第2偏光板
PS……半導体層(ポリ)、BUL……バリア層、DD……ドレイン領域
SD……ソース領域、EL……発光層、TM1……第1電極、TM2……第2電極
ENC……封止層、GL……ゲート線、DL……ドレイン線、IN……下地膜
BM……ブラックマトリクス、OC……オーバーコート層、SH1〜5……スルーホール
CI……透明絶縁膜、PASi1、2……層間絶縁膜、PASo……層間絶縁膜
IL……絶縁膜、PRL……保護層、PRL1……粘着膜、PRL2……保持膜
SL……シール材、TRM……端子部、AR……表示領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基板の主面側に有機材料からなる樹脂層を形成する工程と、前記樹脂層の上層に半導体回路または表示回路を形成する工程と、前記樹脂膜に吸収される波長の光を前記支持基板側から照射して、前記支持基板から前記樹脂層を剥離する工程と、前記樹脂層を薄膜化又は除去する工程と、前記樹脂層の側から第1基板を貼る工程とを有する画像表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記樹脂層のガラス転移点が250℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記樹脂層が、ポリベンゾオキサゾール、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアミドの何れかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記支持基板上に形成する前記樹脂膜の膜厚が3μm以上30μm以下であることを特徴とする請求項1乃至3の内の何れかに記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記樹脂膜に吸収される波長の光が、波長200nm以上400nmであることを特徴とする請求項1乃至4の内の何れかに記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記樹脂膜に吸収される波長の光が、XeClエキシマレーザ光であることを特徴とする請求項1乃至5の内の何れかに記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1基板は湾曲可能な透明基板からなることを特徴とする請求項1乃至6の内の何れかに記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記支持基板としてガラス基板または石英基板を用いることを特徴とする請求項1乃至7の内の何れかに記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記樹脂層を薄膜化又は除去する工程により、当該樹脂層の膜厚を2μm以下にすることを特徴とする請求項1乃至8の内の何れかに記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記半導体回路がアモルファスシリコン薄膜トランジスタであることを特徴とする請求項1乃至9の内の何れかに記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記表示回路が液晶ディスプレイであることを特徴とする請求項1乃至9の内の何れかに記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項12】
前記表示回路が有機ELディスプレイであることを特徴とする請求項1乃至9の内の何れかに記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項1】
支持基板の主面側に有機材料からなる樹脂層を形成する工程と、前記樹脂層の上層に半導体回路または表示回路を形成する工程と、前記樹脂膜に吸収される波長の光を前記支持基板側から照射して、前記支持基板から前記樹脂層を剥離する工程と、前記樹脂層を薄膜化又は除去する工程と、前記樹脂層の側から第1基板を貼る工程とを有する画像表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記樹脂層のガラス転移点が250℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記樹脂層が、ポリベンゾオキサゾール、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアミドの何れかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記支持基板上に形成する前記樹脂膜の膜厚が3μm以上30μm以下であることを特徴とする請求項1乃至3の内の何れかに記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記樹脂膜に吸収される波長の光が、波長200nm以上400nmであることを特徴とする請求項1乃至4の内の何れかに記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記樹脂膜に吸収される波長の光が、XeClエキシマレーザ光であることを特徴とする請求項1乃至5の内の何れかに記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1基板は湾曲可能な透明基板からなることを特徴とする請求項1乃至6の内の何れかに記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記支持基板としてガラス基板または石英基板を用いることを特徴とする請求項1乃至7の内の何れかに記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記樹脂層を薄膜化又は除去する工程により、当該樹脂層の膜厚を2μm以下にすることを特徴とする請求項1乃至8の内の何れかに記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記半導体回路がアモルファスシリコン薄膜トランジスタであることを特徴とする請求項1乃至9の内の何れかに記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記表示回路が液晶ディスプレイであることを特徴とする請求項1乃至9の内の何れかに記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項12】
前記表示回路が有機ELディスプレイであることを特徴とする請求項1乃至9の内の何れかに記載の画像表示装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−248072(P2011−248072A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−120824(P2010−120824)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【出願人】(506087819)パナソニック液晶ディスプレイ株式会社 (443)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【出願人】(506087819)パナソニック液晶ディスプレイ株式会社 (443)
【Fターム(参考)】
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