説明

車両用速度制御装置

【課題】目的とする車速に向けて車速を低下させる場合に、運転者にとって操作の煩わしさや操作のしにくさをより生じにくくすることを可能にする。
【解決手段】車両の運転者からの操作入力を受けてON状態に切り替わったことを示す手動スイッチ信号を出力する手動スイッチ7と、手動スイッチ信号に従って、現在の設定車速から所定の量の速度を減じた新設定車速を算出する設定車速決定部11と、一定時間をかけて現在の設定車速から新設定車速へ移行するために逐次とるべき目標速度を算出する目標速度算出部12と、目標速度と現在車速との差をもとに、目標速度を実現するために必要な減速度である要求減速度を算出する要求減速度算出部13と、を備え、逐次算出される要求減速度に従った減速度で逐次減速を行わせていくことによって新設定車速に自車速を合わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ操作によって減速を行う車両用速度制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、減速度を発生させて車両を減速させるブレーキ装置が知られている。例えば、ブレーキ装置として、ブレーキペダルの踏力に応じた減速度を発生させて車両を減速させるものが一般的であるが、近年では、これ以外にも様々なブレーキ装置が車両に用いられるようになってきている。
【0003】
例えば、特許文献1には、電気自動車におけるブレーキング時に、電動機の発電時の回転抵抗を制動力として利用する回生制動を併用するようにして、回生制動による回生ブレーキ力と機械ブレーキ装置による機械ブレーキ力とによって所要のブレーキ力が得られるようにした回生制動併用式ブレーキ装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、ブレーキペダルの踏力に応じた減速度を発生させるのみでなく、ステアリングホイールに設けられた手動ブレーキ手段(手動ブレーキスイッチ)の操作量に応じて減速度を発生させるブレーキ装置が開示されている。
【0005】
さらに、特許文献3には、スロットル開度を自動制御して自動車をセット車速で走行させるオートドライブにおいて、コースト(減速)スイッチと呼ばれる手動スイッチをオンにしている期間は、以前のセット車速とは無関係に車速を漸減させ、コーストスイッチの操作終了時には、操作終了時の車速を新たなセット車速として記憶することによって、セット車速を低下させる自動車用定速走行装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3189702号公報
【特許文献2】特開2001−80479号公報
【特許文献3】特公平3−21374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ブレーキペダルの踏力に応じた減速度を発生させて車両を減速させる一般的なブレーキ装置では、ブレーキペダルの踏力の大小によって減速度の大小を決めているので、運転者がこまめにスピードメータを見ながら踏力を調整しつつ減速を行うことになり、運転者にとって操作が煩わしい。
【0008】
例えば、高速道路本線からインターチェンジへの車線変更時に100km/hから60km/hへ減速する場合など、目的とする車速に向けて大きく車速を変化させるときには、運転者は特にこまめにスピードメータを見ながら踏力を調整しつつ減速することになるので、特に操作が煩わしくなる。
【0009】
他にも、山岳路等のヘアピンカーブにおいて20km/h等の制限速度標識があった場合など、目的とする車速に向けて大きく車速を変化させる必要があるときには、運転者はこまめにスピードメータを見ながら踏力を調整しつつ減速を行うことになり、運転者にとって特に操作が煩わしくなる。また、煩わしさを避けるために運転者がスピードメータを見ずに踏力を調整しつつ減速した場合には、減速が不足してオーバスピードでヘアピンカーブに侵入してしまい、あわててブレーキペダルを踏み増さなければならなくなることもあり、運転者にとって操作がしにくい。
【0010】
このような操作の煩わしさや操作のしにくさは、ブレーキペダルの操作がうまくできない運転初心者や高齢者にとって特に顕著な問題であり、このような操作の煩わしさや操作のしにくさが原因となって、運転初心者や高齢者が車両をうまくコントロールできず、事故に繋がってしまう可能性もある。
【0011】
また、特許文献1に開示の技術では、回生制動によって減速度を発生しているものの、ブレーキペダルの踏力に応じて減速度の大小が決まることには変わりはないので、上述したのと同様に、目的とする車速に向けて車速を低下させる場合には、運転者がこまめにスピードメータを見ながら踏力を調整しつつ減速を行う必要がある。従って、特許文献1に開示の技術でも、目的とする車速に向けて車速を低下させる場合に、運転者にとって操作の煩わしさや操作のしにくさが生じてしまうという問題点が生じる。
【0012】
さらに、特許文献2に開示の技術では、感圧式のスイッチである手動ブレーキスイッチを押す圧力に応じて減速度の大小が決まるので、ブレーキペダルの踏力に応じて減速度の大小を決めている場合と同様に、目的とする車速に向けて車速を低下させる場合には、運転者がこまめにスピードメータを見ながら手動ブレーキスイッチの押圧力を調整しつつ減速を行う必要がある。従って、特許文献2に開示の技術でも、目的とする車速に向けて車速を低下させる場合に、運転者にとって操作の煩わしさや操作のしにくさが生じてしまうという問題点が生じる。
【0013】
また、特許文献3に開示の技術では、コーストスイッチを押し続ける時間に応じて車速を漸減させるので、ブレーキペダルの踏力に応じて減速度の大小を決めている場合と同様に、目的とする車速に向けて車速を低下させる場合には、運転者がこまめにスピードメータを見ながらコーストスイッチの操作終了のタイミングを計って減速を行う必要がある。従って、特許文献3に開示の技術でも、目的とする車速に向けて車速を低下させる場合に、運転者にとって操作の煩わしさや操作のしにくさが生じてしまうという問題点が生じる。
【0014】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、目的とする車速に向けて車速を低下させる場合に、運転者にとって操作の煩わしさや操作のしにくさをより生じにくくすることを可能にする車両用速度制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1の車両用速度制御装置によれば、手動スイッチから出力される、操作入力を受けて状態が切り替わったことを示す信号に従って、現在の設定車速から所定の量の速度を減じた新設定車速が決まるので、運転者はスピードメータをこまめに見ないでも、手動スイッチの操作入力回数をもとに新設定車速を目的とする車速に合わせることが可能となる。
【0016】
また、請求項1の構成によれば、一定時間をかけて現在の設定車速から新設定車速へ移行するために逐次とるべき目標速度を算出し、この目標速度と現在車速との差をもとに、目標速度を実現するために必要な減速度である要求減速度を逐次算出して、この要求減速度に従った減速度で逐次減速を行っていくことによって新設定車速に自車速を合わせることになるので、運転者に違和感を与えずにスムーズに減速を行うことが可能となるとともに、手動スイッチの操作入力を介して目的とする車速を指定してその目的する車速に自車速を実際に合わせることができる。
【0017】
そして、手動スイッチの操作入力を介して目的とする車速を指定してその目的する車速に自車速を実際に合わせることができるので、従来までの、目的とする減速度を与える処理を繰り返すことによって目的とする車速に自車速を合わせようとする構成とは異なり、運転者はスピードメータをこまめに見ないでも、手動スイッチの操作入力回数をもとに新設定車速を決めてやりさえすれば、目的とする車速に自車速を実際に合わせることができる。よって、請求項1の構成によれば、目的とする車速に向けて車速を低下させる場合に、運転者にとって操作の煩わしさや操作のしにくさをより生じにくくすることが可能になる。
【0018】
例えば、高速道路本線からインターチェンジへの車線変更時に100km/hから60km/hへ減速する場合など、目的とする車速に向けて大きく車速を変化させるときにも、運転者がこまめにスピードメータを見ながらブレーキ装置の操作量を調整しつつ減速しなくても、目的とする車速に合わせることができるので、運転者にとって操作の煩わしさをより生じにくくすることが可能になる。
【0019】
また、例えば、山岳路等のヘアピンカーブにおいて20km/h等の制限速度標識があった場合など、目的とする車速に向けて大きく車速を変化させる必要があるときに、運転者がスピードメータを見ずに目的とする車速に合わせた場合であっても、目的とする車速に合わせることができるので、減速が不足してオーバスピードでヘアピンカーブに侵入してしまうことがなく、運転者にとって操作がし易い。
【0020】
さらに、新設定車速で定速走行制御が行われるので、目的とする車速に到達した後も、目的とする車速を維持するために、スピードメータを見ながらアクセルペダルやブレーキペダルの操作を行う必要がない。よって、この点からも、運転者にとって操作の煩わしさや操作のしにくさをより生じにくくすることが可能になる。
【0021】
また、請求項2の車両用速度制御装置によれば、手動スイッチから出力される信号の入力を所定の時間内に複数回受けた場合には、手動スイッチから出力される信号の入力を所定の時間内に単発で受けた場合に減じる速度の、信号の入力の回数倍の速度を減じることになるので、目的とする速度に速やかに到達することが可能になる。また、この場合であっても、一定時間をかけて現在の設定車速から新設定車速へ移行するために逐次とるべき目標速度を算出し、この目標速度と現在車速との差をもとに、目標速度を実現するために必要な減速度である要求減速度を算出して、この要求減速度に従った減速度で逐次減速を行っていくことによって新設定車速に自車速を合わせることになるので、目的とする速度に速やかに到達させる場合であっても、運転者に違和感を与えずにスムーズに減速を行うことが可能となる。
【0022】
また、請求項3の車両用速度制御装置によれば、新設定車速を運転者の視認可能な位置に表示するので、手動スイッチの操作によって設定した新設定車速が運転者の意図する速度に合致するか否かを確認することが可能になる。
【0023】
また、請求項4の車両用速度制御装置によれば、減速度検出手段で検出した車両の現在減速度と要求減速度算出手段によって算出された要求減速度との差をもとに路面勾配を推定することができるので、この推定した路面勾配をもとに、この路面勾配(つまり、路面の変化などの外乱)による影響を減じる補正を車両の挙動に関する装置において行ったりすることが可能になる。
【0024】
また、請求項5の車両用速度制御装置によれば、路面勾配推定手段で推定された路面勾配に応じて、現在の設定車速から新設定車速へ移行させる時間(一定時間)を設定するので、路面勾配の変化に応じて当該一定時間を設定することによって、路面勾配に応じて要求減速度を変えることが可能になる。例えば、下り勾配が続く路面であって、途中で下り勾配が急になった場合においては、それまで運転者が意図した速度で下り勾配を走行していたにも関わらず、下り勾配が急になるため速度が増加してしまい、運転者に危険を感じさせてしまう虞がある。しかしながら、請求項5の構成によれば、途中で下り勾配が急になった場合であっても、この路面勾配を推定して、下り勾配が急になる前の減速よりも強い減速を行わせることが可能になるので、下り勾配の変化によらずに、運転者に危険をより感じさせにくい速度で下り勾配を走行することが可能になる。従って、請求項5の構成によれば、より運転の快適性を実現することが可能になる。
【0025】
また、請求項6の車両用速度制御装置によれば、定速走行制御中であっても、運転者のブレーキ装置の操作による前記車両の減速の要求が強ければ、運転者のブレーキ装置の操作を優先させることが可能になる。例えば、定速走行制御中に前方へ障害物が突然出現した場合など、運転者がブレーキ装置を操作することによる急ブレーキを行う場面において、運転者の意図した減速を行うことが可能になるので、より運転の安全性および快適性を実現することが可能になる。
【0026】
また、請求項7の車両用速度制御装置によれば、運転者が手動スイッチの操作を繰り返し操作して新設定車速算出手段で算出される新設定車速が0となるような場合でも、現在車速が所定の閾値以上のときには、車両の停止動作に移行させないので、現在車速が車両を停止させるのには高すぎる場合に、急停止などの不用意な停止となってしまうことを防止できる。
【0027】
また、請求項8の車両用速度制御装置のように、記現在車速が所定の閾値未満のときには、新設定車速算出手段で算出した新設定車速が0であった場合に、車両の停止動作に移行させる態様としてもよい。
【0028】
また、請求項9の車両用速度制御装置によれば、車両の停止動作に移行させる場合に、車両の停止動作に移行させることを示す情報を運転者の視認可能な位置に表示するので、運転者の意図通りに手動スイッチの操作によって停止動作に移行したか否かを確認することが可能になる。
【0029】
また、請求項10の車両用速度制御装置によれば、車両の停車後、運転者がブレーキペダルを踏む、或いはシフトポジションを駐車位置(P)にする等の車両の停止状態を継続させるための操作を行わなかった場合でも、停車が一定期間以上継続した場合に車両の駐車制動装置を自動的に作動させて駐車に移行するので、不用意に車両が前進することを防止することが可能になる。
【0030】
また、請求項11の車両用速度制御装置によれば、電動機の発電時の回転抵抗を車両の制動力として利用する回生制動装置を備えた車両(例えば、ハイブリッド車や電気自動車等)においても、目標速度と現在車速との差をもとに算出される目標速度を実現するために必要な減速度から回生制動装置で回転抵抗を車両の制動力として利用した場合に生じる減速度を差し引いた減速度を、要求減速度として算出し、この要求減速度に従った減速度で逐次減速を行っていくことによって新設定車速に自車速を合わせることになる。従って、請求項11の構成によれば、回生制動装置を備えた車両においても、運転者に違和感を与えずにスムーズに減速を行うことが可能となる。また、目標速度と現在車速との差をもとに算出される目標速度を実現するために必要な減速度と回生制動装置で回転抵抗を車両の制動力として利用した場合に生じる減速度との調停を行って、設定車速に合わせるための要求減速度を得るので、回生制動装置側の制動力に変化があっても、常に安定した要求減速度を得ることが可能であり、運転者にとって違和感のない減速度出力を行うことが可能となる。
【0031】
また、請求項12の車両用速度制御装置によれば、ブレーキペダルの変位量が所定の基準量以上であった場合に出力される、ブレーキペダルの変位があったことを示す信号に従って、現在の設定車速から所定の量の速度を減じた新設定車速が決まるので、運転者はスピードメータをこまめに見ないでも、所定の基準量以上の変位量のブレーキペダルの踏む込み回数をもとに新設定車速を目的とする車速に合わせることが可能となる。
【0032】
そして、請求項12の構成によれば、一定時間をかけての設定現在車速からこの新設定車速へ移行するために逐次とるべき目標速度を算出し、この目標速度と現在車速との差をもとに、目標速度を実現するために必要な減速度である要求減速度を逐次算出して、この要求減速度に従った減速度で逐次減速を行っていくことによって新設定車速に自車速を合わせることになるので、請求項1の構成と同様に、目的とする車速に向けて車速を低下させる場合に運転者にとって操作の煩わしさや操作のしにくさをより生じにくくすることが可能になる。
【0033】
また、請求項13の車両用速度制御装置によれば、油圧式のブレーキ装置を有する車両において、ブレーキ油圧が所定の基準量以上であった場合に出力される、ブレーキ油圧が所定の基準量以上であったことを示す信号に従って、現在の設定車速から所定の量の速度を減じた新設定車速が決まるので、運転者はスピードメータをこまめに見ないでも、所定の基準量以上の変位量のブレーキペダルの踏む込み回数をもとに新設定車速を目的とする車速に合わせることが可能となる。
【0034】
そして、請求項13の構成によれば、一定時間をかけて現在の設定車速からこの新設定車速へ移行するために逐次とるべき目標速度を算出し、この目標速度と現在車速との差をもとに、目標速度を実現するために必要な減速度である要求減速度を逐次算出して、この要求減速度に従った減速度で逐次減速を行っていくことによって新設定車速に自車速を合わせることになるので、請求項1の構成と同様に、目的とする車速に向けて車速を低下させる場合に運転者にとって操作の煩わしさや操作のしにくさをより生じにくくすることが可能になる。
【0035】
また、請求項14の車両用速度制御装置によれば、手動スイッチから出力される、操作入力を受けて状態が切り替わったことを示す信号の入力を受けた場合に、車載ナビゲーション装置が保持している地図情報から取得した、車両の走行中の道路の制限速度の情報が示す速度を新設定車速として決定するので、運転者はスピードメータを見ないでも、手動スイッチの操作入力を行うだけで新設定車速を走行中の道路の制限速度(つまり、目的とする車速)に合わせることが可能となる。
【0036】
そして、請求項14の構成によれば、一定時間をかけて現在の設定車速からこの新設定車速へ移行するために逐次とるべき目標速度を算出し、この目標速度と現在車速との差をもとに、目標速度を実現するために必要な減速度である要求減速度を逐次算出して、この要求減速度に従った減速度で逐次減速を行っていくことによって新設定車速に自車速を合わせることになるので、請求項1の構成と同様に、目的とする車速に向けて車速を低下させる場合に運転者にとって操作の煩わしさや操作のしにくさをより生じにくくすることが可能になる。請求項14の構成によれば、例えば制限速度60km/hの郊外路から制限速度40km/hの市街地に侵入しようとするときにも、運転者が煩わしいブレーキペダル操作を行う必要がない。
【0037】
また、請求項15の車両用速度制御装置によれば、手動スイッチから出力される、操作入力を受けて状態が切り替わったことを示す信号の入力を受けた場合に、車両の走行中の道路の道路標識に示されている制限速度の情報および路面標示に示されている制限速度の情報のうちの少なくともいずれかの、画像認識によって得られた制限速度の情報が示す速度を新設定車速として決定するので、運転者はスピードメータを見ないでも、手動スイッチの操作入力を行うだけで新設定車速を走行中の道路の制限速度(つまり、目的とする車速)に合わせることが可能となる。
【0038】
そして、請求項15の構成によれば、一定時間をかけて現在の設定車速からこの新設定車速へ移行するために逐次とるべき目標速度を算出し、この目標速度と現在車速との差をもとに、目標速度を実現するために必要な減速度である要求減速度を逐次算出して、この要求減速度に従った減速度で逐次減速を行っていくことによって新設定車速に自車速を合わせることになるので、請求項1の構成と同様に、目的とする車速に向けて車速を低下させる場合に運転者にとって操作の煩わしさや操作のしにくさをより生じにくくすることが可能になる。請求項15の構成によれば、例えば制限速度60km/hの郊外路から制限速度40km/hの市街地に侵入しようとするときにも、運転者が煩わしいブレーキペダル操作を行う必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】定速走行制御装置100の概略的な構成を示すブロック図である。
【図2】(a)は手動スイッチ7の配置の一例を示す図であり、(b)は手動スイッチ7の外観形状の一例を示す斜視図である。
【図3】(a)は表示器9の配置の一例を示す図であり、(b)は表示器9での表示の一例を示す図である。
【図4】制御装置1の設定車速変更関連処理および停止判定関連処理に関わる構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【図5】手動スイッチ7のON/OFF状態と、設定車速および目標速度の時間変化と、現在の自車速の時間変化と、要求減速度の時間変化との関係の一例を示す図である。
【図6】手動スイッチ7のON/OFF状態と、設定車速および目標速度の時間変化と、現在の自車速の時間変化と、要求減速度の時間変化との関係の一例を示す図である。
【図7】路面勾配と差分ΔGxとの関係を示すグラフである。
【図8】(a)〜(c)は路面勾配と設定する移行時間T_tとの関係の一例を示すグラフである。
【図9】下り勾配における車両の走行状態の一例を示す模式図である。
【図10】現在の自車速および目標速度の時間変化と実減速度および要求減速度の時間変化との関係の一例を示す図である。
【図11】停止判定関連処理において自車両の停止動作に移行させない場合の、手動スイッチ7のON/OFF状態と、設定車速および目標速度の時間変化と、現在の自車速の時間変化と、要求減速度の時間変化との関係の一例を示す図である。
【図12】停止判定関連処理において自車両の停止動作に移行させる場合の、手動スイッチ7のON/OFF状態と、設定車速および目標速度の時間変化と、現在の自車速の時間変化と、要求減速度の時間変化との関係の一例を示す図である。
【図13】手動スイッチ7のON/OFF状態と、設定車速および目標速度の時間変化と、現在の自車速の時間変化と、ブレーキ装置6および駐車制動装置20の動作状態の時間変化との関係の一例を示す図である。
【図14】表示器9での表示の一例を示す図である。
【図15】定速走行制御装置100aの概略的な構成を示す図である。
【図16】(a)は表示器9の配置の一例を示す図であり、(b)は表示器9での表示の一例を示す図である。
【図17】定速走行制御装置100bの概略的な構成を示す図である。
【図18】ブレーキ装置6の構成の一部を模式的に示す図である。
【図19】定速走行制御装置200の概略的な構成を示す図である。
【図20】回生制動装置41による減速度と目標速度を実現するために必要な減速度との調停の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明が適用された定速走行制御装置100の概略的な構成を示すブロック図である。図1に示す定速走行制御装置100は、内燃機関を駆動力源とする車両に搭載されるものであり、車速センサ2、加速度センサ3、ブレーキ圧センサ4、スロットル駆動器5、ブレーキ装置6、手動スイッチ7、キャンセルスイッチ8、表示器9、およびこれらと接続された制御装置1を備えている。また、定速走行制御装置100は、設定車速に基づく定速走行制御を実行可能であるとともに、その実行中に、手動スイッチ7の操作で設定車速を変更できるように構成されている。なお、定速走行制御装置100を搭載している車両を以降では自車両と呼ぶ。
【0041】
制御装置1は通常のコンピュータとして構成されており、内部には周知のCPU、ROM、RAM、I/O及びこれらの構成を接続するバスライン(いずれも図示せず)が備えられている。制御装置1は、車速センサ2、加速度センサ3、ブレーキ圧センサ4、手動スイッチ7、キャンセルスイッチ8から入力された各種信号(つまり、各種情報)に基づき、任意の設定車速を維持するようにエンジン出力および自動変速装置を制御する定速走行制御に関連する処理や定速走行制御中の設定車速の変更に関連する処理(以下、設定車速変更関連処理と呼ぶ)や定速走行制御中の停止判定に関連する処理(以下、停止判定関連処理と呼ぶ)等を実行する。
【0042】
車速センサ2は、自車両の車輪の回転速度に対応した信号を検出することで自車両の速度を検出するセンサである。また、加速度センサ3は、自車両の単位時間あたりの速度の変化率である加速度や減速度を検出するセンサである。よって、車速センサ2は請求項の車速検出手段に相当し、加速度センサ3は請求項の減速度検出手段に相当する。
【0043】
ブレーキ圧センサ4は、自車両の運転者によってブレーキ装置6のブレーキペダルが踏み込まれたときに、ブレーキ装置6に発生するブレーキ油圧を検出する。ブレーキ装置6においては、このブレーキ油圧に応じた強さで、例えばブレーキシューを広げることによって制動力を発生させたりするなどして、自車両を減速させる。また、スロットル駆動器5は、制御装置1の指示に従って内燃機関の吸気管に設けられたスロットルバルブを駆動してその開度を調節する。また、ブレーキ装置6のブレーキアクチュエータ6aは、制御装置1の指示に従ってポンプモータを駆動させることにより、ブレーキ装置6におけるブレーキ油圧を任意の圧力に調整する。
【0044】
手動スイッチ7は、運転者からの操作入力を受けてON/OFF状態が切り替わるスイッチであって、ON状態に切り替わったときに、ON状態に切り替わったことを示す信号(以下、手動スイッチ信号と呼ぶ)を発生するスイッチである。なお、手動スイッチ信号は、定速走行制御を開始させたり、定速走行制御中の自車両の設定車速を変更したりするための信号となる。具体的には、自車両が定速走行制御中でないときに運転者が手動スイッチ7に操作入力を行った場合には、手動スイッチ7から入力される手動スイッチ信号を受けて制御装置1で定速走行制御が開始される。また、制御装置1で定速走行制御が開始される場合には、運転者が手動スイッチ7に操作入力を行ったとき(詳しくは、手動スイッチ7から入力される手動スイッチ信号を制御装置1で受けたとき)の自車両の速度が、定速走行の目標とすべき車速(つまり、設定車速)として決定される。
【0045】
なお、制御装置1は、定速走行制御時以外、すなわち通常走行時は、図示しないアクセルセンサによって検出されるアクセルペダルの操作量に基づいて、スロットル駆動器5への制御信号を出力する。これにより、通常は、アクセルペダルの操作に対応して、エンジン出力が調節される。しかし、定速走行制御が開始されると、制御装置1は、アクセルペダルの操作量に基づくスロットル制御を無効とする。そして、現在の自車速と設定車速との差に基づいて、スロットル駆動器5またはブレーキアクチュエータ6aへ制御信号を出力して、自車速が設定車速となるように加減速制御を行う。
【0046】
さらに、自車両が定速走行制御中であって、アクセルペダルによる加速要求がないときに運転者が手動スイッチ7に操作入力を行った場合には、手動スイッチ7から入力される手動スイッチ信号を受けて制御装置1で設定車速の変更を行う設定車速変更処理が開始される。よって、手動スイッチ7は、請求項の指示手段および手動スイッチに相当する。なお、設定車速変更処理の詳細については後述する。
【0047】
ここで、図2(a)および図2(b)を用いて、手動スイッチ7の概略についての説明を行う。図2(a)は手動スイッチ7の配置の一例を示す図であって、図2(b)は手動スイッチ7の外観形状の一例を示す斜視図である。
【0048】
図2(a)に示すように、手動スイッチ7は自車両のステアリングホイールに設けられる。また、手動スイッチ7は、自車両の運転者がステアリングホイールを握ったまま操作できるように、ステアリングホイールの握り手の近傍に配置される。なお、手動スイッチ7の配置場所は、運転者がステアリングホイール上のいわゆる10時10分の位置(自車両の直進時に運転者がステアリングホイールを両手で握った場合に通常握る位置)を握りながら親指で手動スイッチ7を操作可能な位置であることが特に好ましい。
【0049】
これによれば、運転者がステアリングホイールを握ったまま手動スイッチ7に操作入力を行うことができるので、ステアリングホイールから手を離して運転者が操作入力を行う必要がない。従って、運転中であっても、より安全に操作入力を行うことができる。
【0050】
なお、運転者が左右のどちらの一方の手のみでもステアリングホイールを握りながら手動スイッチ7を操作できるように、手動スイッチ7をステアリングホイール上の左右にそれぞれ設ける構成を図2(a)では示しているが、必ずしもこれに限らず、ステアリングホイール上の手動スイッチ7を1つだけ設ける構成としてもよい。
【0051】
また、手動スイッチ7は、スライドスイッチであって、原位置にあるときにはOFF状態、図2(b)中の「BRAKE」との表示の下部に表示されている矢印方向にスライドされたときにはON状態となる。また、手動スイッチ7は、例えばバネの弾力などを利用することによって、運転者が手動スイッチ7を操作していないときにはスライドスイッチを原位置に復帰させるものとする。これによれば、運転者が短時間のうちに連続でスライドスイッチを何回かON状態にしようとした場合に、より手早く操作を行うことが可能になる。
【0052】
なお、本実施形態では、手動スイッチ7をステアリングホイールに設ける構成を示したが、必ずしもこれに限らず、車室内の他の場所に設ける構成であってもよい。また、本実施形態では、手動スイッチ7をスライドスイッチとする構成を示したが、必ずしもこれに限らない。手動スイッチ7としては、運転者からの操作入力を受けて状態が切り替わるとともに、当該操作入力を受けて状態が切り替わったことを示す信号を出力するスイッチであればよく、例えば押しボタンスイッチであってもよいし、ジョグダイアルのような複合スイッチであってもよい。
【0053】
図1に戻って、キャンセルスイッチ8は、運転者からの操作を受けて、定速走行制御をキャンセルするためのキャンセル信号を発生するスイッチである。運転者がキャンセルスイッチ8を操作した場合には、このキャンセル信号がキャンセルスイッチ8から制御装置1に出力され、キャンセル信号を受けた制御装置1で定速走行制御のキャンセルが行われる。
【0054】
表示器9は、制御装置1で決定された設定車速を制御装置1の指示に従って表示する。ここで、図3(a)および図3(b)を用いて、表示器9の概略についての説明を行う。図3(a)は表示器9の配置の一例を示す図であって、図3(b)は表示器9での表示の一例を示す図である。表示器9は、表示される内容を運転者が容易に確認できるようにするため、図3(a)に示すように自車両のダッシュボードやメーターパネルに設けられ、図3(b)に示すように設定車速の値が表示される。
【0055】
なお、表示器9を複数設ける構成を図3(a)では示しているが、必ずしもこれに限らず、表示器9を1つだけ設ける構成としてもよい。また、本実施形態では、表示器9を自車両のダッシュボードやメーターパネルに設ける構成を示したが、必ずしもこれに限らない。表示器9としては、運転者の視認可能な位置に表示を行うことができる位置であれば車両のいずれの位置に設けられていてもよく、例えばフロントガラスに液晶表示される構成としてもよい。
【0056】
次に、図4を用いて、設定車速変更関連処理および停止判定関連処理についての説明を行う。図4は、制御装置1の設定車速変更関連処理および停止判定関連処理に関わる構成を概略的に示す機能ブロック図である。図4に示すように制御装置1は、設定車速決定部11、目標速度算出部12、要求減速度算出部13、減速制御部14、路面勾配推定部15、移行時間設定部16、および停止判定部17を備えている。
【0057】
なお、設定車速変更関連処理および停止判定関連処理は定速走行制御中の処理なので定速走行制御の開始の処理の詳細な説明は省略するが、最初に定速走行制御の開始に関連する処理について簡単に説明を行う。まず、定速走行制御が開始されていないときに手動スイッチ7から手動スイッチ信号が設定車速決定部11に入力されると、設定車速決定部11では、車速センサ2から入力される自車両の速度を示す信号をもとに、手動スイッチ信号が入力されたときの自車両の速度(つまり、その時点での現在の自車速)を設定車速として決定する(つまり、設定車速を設定する)。そして、以降は、この設定車速と現在の自車速と設定車速との差に基づいて、スロットル駆動器5またはブレーキアクチュエータ6aへ制御信号を出力し、自車両の駆動力を制御しながら自車速が設定車速を維持するように加減速制御を行って定速走行制御を継続していく。よって、制御装置1は、請求項の定速走行制御手段に相当する。
【0058】
次に、設定車速変更関連処理についての説明を行う。まず、定速走行制御中に手動スイッチ7から手動スイッチ信号が設定車速決定部11に1回入力されると、設定車速決定部11では、既に設定されている設定車速から一定量の速度を減じた速度を新たな設定車速(以下、新設定車速と呼ぶ)として算出し、この新設定車速を設定車速として決定(設定)する。よって、設定車速決定部11は請求項の新設定車速算出手段に相当する。また、定速走行制御中に手動スイッチ7から手動スイッチ信号が所定の時間内に設定車速決定部11に複数回入力されると、設定車速決定部11では、この入力回数を上述の一定量の速度に積算した量の速度を既に設定されている設定車速から減じた速度を新たな設定車速(以下、新設定車速と呼ぶ)として算出し、この新設定車速を設定車速として決定(設定)する。なお、ここで言うところの一定量の速度とは、任意に設定可能な値であって、例えば時速数km/h程度に設定する構成とすればよい。また、この一定量の速度の設定を変更する旨の操作入力を運転者等のユーザから図示しない設定入力部を介して受け付け、この一定量の速度の設定をユーザの好みに応じて変更可能とする構成としてもよい。なお、ここで言うところの所定の時間とは、任意に設定可能な時間であって、例えば数秒程度に設定する構成とすればよい。また、自車両が定速走行制御中であるときに運転者が手動スイッチ7に操作入力を行ったことによって設定車速決定部11に手動スイッチ信号が入力されたとき(つまり、手動スイッチ7に設定車速の変更を要求する操作入力が行われたとき)の自車両の速度を以下では現在車速と呼ぶこととする。さらに、以降では、手動スイッチ信号が所定の時間内に設定車速決定部11に1回しか入力されないときの手動スイッチ7への操作入力を単発入力と呼び、手動スイッチ信号が所定の時間内に設定車速決定部11に複数回入力されるときの手動スイッチ7への操作入力を連続入力と呼ぶこととする。
【0059】
目標速度算出部12は、設定車速決定部11で設定された設定車速と車速センサ2によって検出された現在車速とを用い、一定時間をかけて現在車速から新設定車速へ移行するために逐次とるべき目標速度を以下の式1から算出する。よって、目標速度算出部12は、請求項の目標速度算出手段に相当する。なお、式1において、T_tは現在車速を設定車速に移行するまでにかける時間(以下、移行時間と呼ぶ)であって、tは手動スイッチ7に設定車速の変更を要求する操作入力が行われたときからの経過時間である。また、式1において、現在車速はVo_p0、設定車速はVo_s、目標速度はVo_tと表している。なお、移行時間T_tとしては、予めデフォルトの値が設定されており、後述する移行時間設定部16の処理の結果に応じて値が変更され得るものとする。なお、デフォルトの値としては、例えば数秒程度の値を設定する構成とすればよい。また、この式1によって、経過時間tごとの目標速度Vo_tが算出される。
【0060】
【数1】

要求減速度算出部13は、目標速度算出部12で算出された目標速度と車速センサ2によって検出された現在の自車速とを用い、目標速度を実現するために必要な減速度である要求減速度を経過時間ごとに以下の式2から算出する。よって、要求減速度算出部13は請求項の要求減速度算出手段に相当する。なお、式2において、Tは、目標速度と現在の自車速との差分を要求減速度に変換するための除数であり、適宜、設定されるものである。また、式2において、目標速度はVo_t、現在の自車速はVo_p、要求減速度はGx_tと表している。
【0061】
【数2】

減速制御部14は、要求減速度算出部13で算出された要求減速度に従った減速度を生じさせる駆動を行わせる制御信号をスロットル駆動器5やブレーキアクチュエータ6aに送る。そして、この制御信号に従ってスロットル駆動器5やブレーキアクチュエータ6aが駆動することによって要求減速度算出部13で算出された要求減速度に対応するブレーキ力が発生し、このブレーキ力に応じた減速度が生じ、自車両の減速を行わせることができる。減速制御部14は、要求減速度算出部13で逐次算出される要求減速度に従った減速度で逐次減速を行わせていくことによって、新設定車速に自車速を合わせる。なお、目標速度が現在の自車速よりも高い場合には、目標速度に合わせるために、加速度を生じさせる加速制御が行われることもある。
【0062】
ここで、図5および図6を用いて、手動スイッチ7のON/OFF状態と、設定車速および目標速度の時間変化と、現在の自車速の時間変化と、要求減速度の時間変化との関係について説明を行う。図5および図6は、手動スイッチ7のON/OFF状態と、設定車速および目標速度の時間変化と、現在の自車速の時間変化と、要求減速度の時間変化との関係の一例を示す図である。
【0063】
なお、図5および図6中のAのグラフは手動スイッチ7のON/OFF状態の時間変化、Bのグラフは設定車速および目標速度の時間変化、Cのグラフは現在の自車速の時間変化、Dのグラフは要求減速度の時間変化を表している。また、Aのグラフの縦軸が手動スイッチ7のON/OFF状態を表しており、BおよびCのグラフの縦軸が速度を表しており、Dのグラフの縦軸が減速度を表している。さらに、A〜Dのグラフの横軸が時間を表している。なお、Bのグラフの太破線は設定車速、実線は目標速度を表している。また、Cのグラフの太破線は設定車速、細破線は目標速度、実線は現在の自車速を表している。
【0064】
図5に示すように、設定車速が設定されていないとき(つまり、定速走行制御が開始されてないとき)に単発入力が行われると、その時点での現在の自車速が設定車速として設定され、次に手動スイッチ7がON状態になるまではその設定車速に従った定速走行制御が続けられる。続いて、定速走行制御中に単発入力が行われると、既に設定されている設定車速から一定量の速度を減じた新設定車速が設定車速として設定されるとともに目標速度が決まる。そして、要求減速度に従った減速を逐次行っていくことによって現在の自車速を目標速度に逐次合わせながら現在車速から新設定車速に移行する。このように、要求減速度に従った減速を逐次行っていくことによって現在の自車速を目標速度に逐次合わせながら現在車速から新設定車速に移行するので、目標速度の変更時の実際の自車速の変化(つまり、Cで示す現在の自車速の変化)を図5で示すようにスムーズに行うことができる。
【0065】
さらに、定速走行制御中に連続入力が行われ、単発入力の場合よりも急な減速が必要となった場合であっても、要求減速度に従った減速を逐次行っていくことによって現在の自車速を目標速度に逐次合わせながら現在車速から新設定車速に移行するので、目標速度の変更時の実際の自車速の変化を図6で示すようにスムーズに行うことができる。
【0066】
また、設定車速決定部11は、設定車速が設定された場合に、表示器9にこの設定車速を示す表示を行わせる。よって、表示器9は、請求項の新設定車速表示手段に相当する。
【0067】
続いて、設定車速変更関連処理のうちの、推定した路面勾配に応じた移行時間T_tの設定に関連する処理についての説明を行う。路面勾配推定部15は、要求減速度算出部13で算出された要求減速度と加速度センサ3によって検出された現在の減速度(以下、実減速度と呼ぶ)とを用い、要求減速度Gx_tと実減速度Gx_pとの差分ΔGxを算出する。よって、実減速度は、請求項の現在減速度に相当する。例えば、要求減速度Gx_tから実減速度Gx_pを差し引くことによって差分ΔGxを算出する。そして、差分ΔGxをもとに路面勾配を推定する。よって、路面勾配推定部15は、請求項の路面勾配推定手段に相当する。具体的には、路面の下り勾配がきつくなるほど差分ΔGxが大きくなるという図7に示すような比例関係が成り立つので、この比例関係に基づいて差分ΔGxから路面勾配を推定する。なお、図7の図中の縦軸は路面勾配(%)を表しており、横軸は差分ΔGx(m/s)を表している。
【0068】
そして、移行時間設定部16は、路面勾配推定部15で推定された路面勾配に応じて、目標速度算出部12における移行時間T_tを設定する。よって、移行時間設定部16は、請求項の移行時間設定手段に相当する。具体的には、路面勾配がきつくなるのに応じて、移行時間T_tを短く設定する。ここで、路面勾配に応じた移行時間T_tの設定の一例について、図8(a)〜図8(c)を用いて説明を行う。
【0069】
例えば、図8(a)に示すように、路面勾配が一定の閾値(図中の例では−10%)に達するまでは路面勾配がきつくなるほど移行時間T_tをデフォルトの値(図中の例では3sec)からリニアに減少させていき、路面勾配がこの閾値を超えた後は、一定の移行時間T_t(図中の例では2sec)に固定する構成としてもよい。また、図8(b)に示すように、路面勾配が一定の閾値(図中の例では−10%)に達するまでは路面勾配が一定値以上きつくなるごと(図中の例では−1%ごと)に移行時間T_tをデフォルトの値(図中の例では3sec)から多段階(図中の例では0.1secごと)に減少させていき、路面勾配がこの閾値を超えた後は、一定の移行時間T_t(図中の例では2sec)に固定する構成としてもよい。さらに、図8(c)に示すように、路面勾配が一定の閾値(図中の例では−8%)に達するまでは移行時間T_tをデフォルトの値(図中の例では3sec)とし、路面勾配がこの閾値を超えた後は、デフォルトの値よりも短い一定の移行時間T_t(図中の例では2sec)に固定する構成としてもよい。
【0070】
ここで、図9および図10を用いて、路面勾配に応じて移行時間T_tを設定する意義についての説明を行う。図9は、下り勾配における車両の走行状態の一例を示す模式図である。なお、図9中のEは下り勾配の開始点の車両を表しており、Fは車両Eが前述した目標速度に従って減速を続けたと仮定した場合の移行時間後の到達点を表しており、Gは車両Eの実際の移行時間後の到達点を表している。また、図10は、現在の自車速および目標速度の時間変化と実減速度および要求減速度の時間変化との関係の一例を示す図である。なお、図10中のHのグラフは現在の自車速および目標速度の時間変化、Iのグラフは実減速度および要求減速度の時間変化を表している。また、Hのグラフの縦軸が速度を表しており、Iのグラフの縦軸が減速度を表している。さらに、HおよびIのグラフの横軸が時間を表している。なお、Hのグラフの実線は現在の自車速、破線は目標速度を表している。また、Iのグラフの実線は実減速度、破線は要求減速度を表している。
【0071】
下り勾配では自車両に対して加速度が生じるので、デフォルトの移行時間をもとに算出された要求減速度に従った減速では、図10に示すように意図していたよりも低い減速度しか働かない。そして、意図していたよりも低い減速度しか働かないので、図10に示すように、実際の自車速(つまり、Hで示す現在の自車速)が目標速度を大きく上回ってしまい、図9に示すように、意図していたよりも速く自車両が進んでしまって、運転者に危険を感じさせてしまう虞がある。また、例えば、下り勾配が続く路面であって、途中で下り勾配が急になった場合においては、それまで運転者が意図した速度で下り勾配を走行していたにも関わらず、下り勾配が急になるため速度が増加してしまい、運転者に危険を感じさせてしまう虞がある。
【0072】
これに対して、路面勾配に応じて移行時間T_tを設定する本実施形態の構成によれば、路面勾配推定部15で推定された路面勾配のきつさに応じて移行時間T_tを短く設定するので、下り勾配がきつくなるほど要求減速度を大きくすることが可能になる。よって、下り勾配において自車両に加速度が生じた場合であっても、要求減速度を大きくすることで加速度の影響を抑えることが可能になる。従って、例えば下り勾配の変化によらずに、運転者に危険をより感じさせにくい速度で下り勾配を走行することが可能になるなど、運転の快適性を実現しながら定速走行制御中の設定車速の変更を行うことが可能になる。
【0073】
また、ここでは、路面勾配推定部15で推定した路面勾配を、移行時間T_tを設定するのに利用する構成を示したが、必ずしもこれに限らず、この推定した路面勾配をもとに、この路面勾配(つまり、路面の変化などの外乱)による影響を減じる補正を車両の挙動に関する装置(例えばアクティブサスペンション制御に関する装置やパワーステアリング装置など)において行う構成としてもよい。
【0074】
次に、停止判定関連処理についての説明を行う。停止判定部17は、手動スイッチ7からの手動スイッチ信号をもとに設定車速決定部11で算出された新設定車速が0km/hであった場合に、車速センサ2によって検出された現在の自車速が所定の閾値以上か否かを判定する。そして、現在の自車速が所定の閾値以上であった場合には、設定車速決定部11で設定する新設定車速を0km/hから例えば20km/hに変更するなどして、自車両の停止動作に移行させないようにする。また、現在の自車速が所定の閾値未満であった場合には、設定車速決定部11で設定する新設定車速を0km/hとして前述の設定車速変更関連処理を行い、自車両の停止動作に移行させるようにする。よって、停止判定部17は、請求項の停止動作移行禁止手段および停止動作移行手段に相当する。なお、ここで言うところの所定の閾値とは、任意に設定可能な値である。また、ここで言うところの停止動作とは、例えばブレーキアクチュエータ6aのポンプモータを駆動させ続けることによってブレーキ装置6でブレーキ油圧を発生させ続け、ブレーキシューによる制動力を効かせ続けることによって自車両を停車した状態にさせることを示す。なお、停止動作は、ブレーキ装置6でブレーキ油圧を発生させ続け、ディスクパッドを車輪に固定されたディスクロータに押し付けて制動力を発生させ続けることによって自車両を停車した状態にさせる動作であってもよい。
【0075】
ここで、図11および図12を用いて、停止判定関連処理における手動スイッチ7のON/OFF状態と、設定車速および目標速度の時間変化と、現在の自車速の時間変化と、要求減速度の時間変化との関係の一例について説明を行う。図11は、停止判定関連処理において自車両の停止動作に移行させない場合の、手動スイッチ7のON/OFF状態と、設定車速および目標速度の時間変化と、現在の自車速の時間変化と、要求減速度の時間変化との関係の一例を示す図である。また、図12は、停止判定関連処理において自車両の停止動作に移行させる場合の、手動スイッチ7のON/OFF状態と、設定車速および目標速度の時間変化と、現在の自車速の時間変化と、要求減速度の時間変化との関係の一例を示す図である。なお、図5および図6と同様に、図11および図12中のAのグラフは手動スイッチ7のON/OFF状態の時間変化、Bのグラフは設定車速および目標速度の時間変化、Cのグラフは現在の自車速の時間変化、Dのグラフは要求減速度の時間変化を表している。また、図11および図12中のCのグラフ中のJで示す長破線は前述の所定の閾値を表している。さらに、図11の例では、連続入力によって、設定車速決定部11で算出される新設定車速が0km/hに達するものとする。また、図12の例では、連続入力に続く単発入力によって、設定車速決定部11で算出される新設定車速が0km/hに達するものとする。
【0076】
図11に示すように、連続入力によって、設定車速決定部11で算出される新設定車速が0km/hに達した場合であっても、連続入力の終了時点での現在の自車速が所定の閾値J以上である場合には、新設定車速として0km/hが設定されず、自車両の停止動作に移行しない。一方、図12に示すように、連続入力に続く単発入力によって、設定車速決定部11で算出される新設定車速が0km/hに達した場合であって、連続入力の終了時点での現在の自車速が所定の閾値J未満である場合には、新設定車速として0km/hが設定され、自車両の停止動作に移行する。
【0077】
さらに、停止判定部17は、設定車速決定部11で設定された新設定車速が0km/hであって、現在の自車速が所定の閾値未満であった場合には、表示器9に自車両の停止動作に移行させることを示す、例えば図14に示すような表示を行わせる。よって、表示器9は、請求項の停止表示手段にも相当する。
【0078】
以上の構成によれば、手動スイッチ7がON状態に切り替わったことを示す手動スイッチ信号に従って、現在の設定車速から所定の量の速度を減じた新設定車速が決まるので、運転者はスピードメータをこまめに見ないでも、手動スイッチ7の操作入力回数をもとに新設定車速を目的とする車速に合わせることが可能となる。
【0079】
また、以上の構成によれば、一定時間をかけて現在の設定車速から新設定車速へ移行するために逐次とるべき目標速度を算出し、この目標速度と現在車速との差をもとに、目標速度を実現するために必要な減速度である要求減速度を逐次算出して、この要求減速度に従った減速度で逐次減速を行っていくことによって新設定車速に自車速を合わせることになるので、運転者に違和感を与えずにスムーズに減速を行うことが可能となるとともに、手動スイッチ7の操作入力を介して目的とする車速を指定してその目的する車速に自車速を実際に合わせることができる。
【0080】
そして、手動スイッチ7の操作入力を介して目的とする車速を指定してその目的する車速に自車速を実際に合わせることができるので、従来までの、目的とする減速度を与える処理を繰り返すことによって目的とする車速に自車速を合わせようとする構成とは異なり、運転者はスピードメータをこまめに見ないでも、手動スイッチ7の操作入力回数をもとに新設定車速を決めてやりさえすれば、目的する車速に自車速を実際に合わせることができる。よって、以上の構成によれば、目的とする車速に向けて車速を低下させる場合に、運転者にとって操作の煩わしさや操作のしにくさをより生じにくくすることが可能になる。
【0081】
また、新設定車速で定速走行制御が行われるので、目的とする車速に到達した後も、目的とする車速を維持するために、スピードメータを見ながらアクセルペダルやブレーキペダルの操作を行う必要がない。よって、この点からも、運転者にとって操作の煩わしさや操作のしにくさをより生じにくくすることが可能になる。
【0082】
さらに、以上の構成によれば、運転者が手動スイッチ7の操作を繰り返し操作して設定車速決定部11で算出される新設定車速が0となるような場合でも、現在車速が所定の閾値以上のときには、自車両の停止動作に移行させないので、現在車速が自車両を停止させるのには高すぎる場合に、急停止などの不用意な停止となってしまうことを防止できる。
【0083】
また、定速走行制御装置100では、ブレーキ装置6のブレーキペダルの操作による自車両の減速の要求と手動スイッチ7の操作による自車両の減速の要求との両方を同時に受けている場合には、ブレーキ装置6のブレーキペダルの操作量に応じた減速度と要求減速度算出部13で算出された要求減速度とのうち、減速度の絶対値が大きい方に従って減速を行うものとする。なお、ブレーキ装置6のブレーキペダルの操作量は、ブレーキペダルの踏み込みストロークを検出するストロークセンサによって検出する構成とすればよい。
【0084】
以上の構成によれば、定速走行制御中であっても、運転者のブレーキ装置6のブレーキペダルの操作による自車両の減速の要求が強ければ、ブレーキ装置6のブレーキペダルの操作を優先させることが可能になる。例えば、定速走行制御中に前方へ障害物が突然出現した場合など、運転者がブレーキ装置6のブレーキペダルを操作することによる急ブレーキを行う場面において、運転者の意図した減速を行うことが可能になるので、より運転の安全性および快適性を実現することが可能になる。よって、定速走行制御装置100は、請求項の車両用速度制御装置に相当する。
【0085】
さらに、定速走行制御装置100では、前述の停止動作(つまり、手動スイッチ7の操作による車両の減速によっての自車両の停止動作)に移行して自車両が停車したことを制御装置1で検知したときには、停車を検知している状態が一定期間以上継続した場合に、この停止動作を解除して、駐車制動装置20を自動的に作動させて駐車に移行させる。よって、制御装置1は、請求項の停車検知手段および駐車移行手段に相当する。なお、ここで言うところの一定期間とは、自車両がそのまま駐車される可能性が高いと考えられる時間であって、任意に設定可能な時間である。また、制御装置1では、車速センサ2によって検出された現在の自車速が実質的に0km/hであったとき(例えば、車速センサ2によって検出可能な時速以下であったときなど)に自車両が停車したことを検知するものとする。なお、駐車制動装置20は、例えばシフトポジションを駐車位置(P)に移動させたり、パーキングブレーキをかけたりする装置である。
【0086】
以上の構成によれば、自車両の停車後、運転者がブレーキペダルを踏む、或いはシフトポジションを駐車位置(P)にする等の車両の停止状態を継続させるための操作を行わなかった場合でも、停車が一定期間以上継続した場合に車両の駐車制動装置20を自動的に作動させて駐車に移行するので、不用意に車両が前進することを防止することが可能になる。
【0087】
ここで、図13を用いて、手動スイッチ7のON/OFF状態と、設定車速および目標速度の時間変化と、現在の自車速の時間変化と、ブレーキ装置6および駐車制動装置20の動作状態の時間変化との関係について説明を行う。図13は、手動スイッチ7のON/OFF状態と、設定車速および目標速度の時間変化と、現在の自車速の時間変化と、ブレーキ装置6および駐車制動装置20の動作状態の時間変化との関係の一例を示す図である。
【0088】
なお、図5および図6と同様に、図13中のAのグラフは手動スイッチ7のON/OFF状態の時間変化、Bのグラフは設定車速および目標速度の時間変化、Cのグラフは現在の自車速の時間変化を表している。また、Kのグラフはブレーキ装置6および駐車制動装置20の動作状態の時間変化を表している。そして、Kのグラフの縦軸がブレーキ装置6および駐車制動装置20のそれぞれのON/OFF状態を表しており、横軸が時間を表している。なお、Kのグラフの実線はブレーキ装置6の動作状態、破線は駐車制動装置20の動作状態を表している。また、図13中では、前述の一定期間をT_sで表している。図13に示すように、前述の停止動作によって自車両が停車してから一定期間T_sに達したときに、停止動作を解除させるとともに駐車制動装置20を作動させることによって、停止動作の継続による停車よりも安全な、駐車制動装置20による駐車へと移行する。
【0089】
なお、本実施形態では、ブレーキ装置6のうちの、操作量に応じた減速度を発生させる機構として、ブレーキペダルの操作量(つまり、踏力)に応じて減速度を発生させる機構を用いる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、ブレーキ装置6のうちの、操作量に応じた減速度を発生させる機構として、手動ブレーキスイッチの操作量に応じて減速度を発生させる機構を用いる構成等としてもよい。
【0090】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、次の実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。以下では、この次の実施形態について図面を用いて説明を行う。図15は、本発明が適用された定速走行制御装置100aの概略的な構成を示す図である。なお、説明の便宜上、前述の実施形態の説明に用いた図に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。なお、定速走行制御装置100aは、車載ナビゲーション装置30から情報を取得する点を除けば定速走行制御装置100と同様の構成である。
【0091】
車載ナビゲーション装置30は、自車両に搭載されるものであって、位置検出器や地図データ入力器やディスプレイ等を備えている。位置検出器は、地磁気を検出する地磁気センサ、自車両の鉛直方向周りの角速度を検出するジャイロセンサ、自車両の移動距離を検出する距離センサ、および衛星からの電波に基づいて車両の現在位置を検出するGPSのためのGPS受信機等を有しており、これらのセンサの働きによって自車両の現在位置を検出する。
【0092】
また、地図データ入力器は、記憶媒体が装着され、その記憶媒体に格納されている位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、地図データ、および目印データを含む各種データを入力するための装置である。地図データには、道路を示すリンクデータとノードデータとが含まれる。なお、リンクとは、地図上の各道路を交差・分岐・合流する点等の複数のノードにて分割したときのノード間を結ぶものであり、各リンクを接続することにより道路が構成される。リンクデータは、リンクを特定する固有番号(リンクID)、リンクの長さを示すリンク長、リンクの始端及び終端ノード座標(緯度・経度)、道路名称、道路種別、道路幅員、車線数、右折・左折専用車線の有無とその専用車線の数、および制限速度等の各データから構成される。一方、ノードデータは、地図上の各道路が交差、合流、分岐するノード毎に固有の番号を付したノードID、ノード座標、ノード名称、ノードに接続するリンクのリンクIDが記述される接続リンクID、および交差点種類等の各データから構成される。
【0093】
また、上記記憶媒体には、各種施設の種類、名称、住所のデータなども記憶されており、それらのデータは経路探索の際の目的地設定などに用いられる。なお、上記記憶媒体としては、CD−ROMまたはDVD−ROM、メモリカード、HDD等が用いられる。
【0094】
車載ナビゲーション装置30は、位置検出器で検出した自車両の現在位置と地図データ入力器によって入力される地図データとをもとに、自車両の現在位置をディスプレイ画面のデジタル地図上に表示したり、ディスプレイ画面のデジタル地図上で目的地までの経路案内を行ったりする。また、車載ナビゲーション装置30は、地図データに含まれる制限速度の情報をもとに、自車両の走行中の道路の制限速度を検出することが可能であるものとする。なお、地図データは、請求項の地図情報に相当する。
【0095】
また、定速走行制御装置100aの制御装置1では、車載ナビゲーション装置30で自車両の走行中の道路の制限速度を検出することができた場合には、この制限速度の情報を取得するものとする。よって、制御装置1は、請求項の制限速度情報取得手段にも相当する。そして、定速走行制御装置100aの制御装置1では、手動スイッチ7から手動スイッチ信号の入力を受けた場合に、車載ナビゲーション装置30から取得した自車両の走行中の道路の制限速度の情報が示す速度を、設定車速決定部11で新設定車速として設定する。よって、設定車速決定部11は、請求項の新設定車速決定手段にも相当する。
【0096】
さらに、定速走行制御装置100aでは、表示器9は車載ナビゲーション装置30のディスプレイを利用して設定車速決定部11で設定された設定車速を表示する構成としてもよい。ここで、図16(a)および図16(b)を用いて、表示器9の概略についての説明を行う。図16(a)は表示器9の配置の一例を示す図であって、図16(b)は表示器9での表示の一例を示す図である。
【0097】
表示器9は、図16(a)に示すように自車両のメーターパネルに設けられる構成としてもよいし、ダッシュボードに設置された車載ナビゲーション装置30のディスプレイとして設けられる構成としてもよい。また、車載ナビゲーション装置30のディスプレイを表示器9として用いる場合には、図16(b)に示すように、デジタル地図上に設定車速の値を重ねて表示する構成としてもよい。
【0098】
以上の構成によれば、手動スイッチ7がON状態に切り替わったことを示す手動スイッチ信号の入力を制御装置1で受けた場合に、車載ナビゲーション装置30が保持している地図データから取得した、自車両の走行中の道路の制限速度の情報が示す速度を新設定車速として設定するので、運転者はスピードメータを見ないでも、手動スイッチ7の操作入力を行うだけで新設定車速を走行中の道路の制限速度(つまり、目的とする車速)に合わせることが可能となる。
【0099】
なお、車載ナビゲーション装置30から取得した制限速度の情報が示す速度を新設定車速として設定する構成と前述の手動スイッチ7の操作入力回数に応じて新設定車速を設定する構成とを併用してもよい。一例としては、車載ナビゲーション装置30で自車両の走行中の道路の制限速度を検出することができなかった場合に、手動スイッチ7の操作入力回数に応じて新設定車速を設定する構成としてもよい。また、車載ナビゲーション装置30から取得した制限速度の情報が示す速度を新設定車速として設定した後に、手動スイッチ7の操作入力回数に応じてさらに新たに新設定車速を設定する構成としてもよい。
【0100】
また、次の実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。以下では、この次の実施形態について図面を用いて説明を行う。図17は、本発明が適用された定速走行制御装置100bの概略的な構成を示す図である。なお、説明の便宜上、前述の実施形態の説明に用いた図に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。なお、定速走行制御装置100bは、カメラ31で撮像した画像をもとに画像認識を行う画像認識装置32から情報を取得する点を除けば定速走行制御装置100と同様の構成である。
【0101】
カメラ31は、自車両の前方および後方にそれぞれ設けられて自車両の前方および後方を撮像するカメラである。より具体的には、カメラ31は、自車両の前方に存在する道路標識や路面標示および自車両の後方に存在する路面標示を撮像する。なお、カメラ31としては、例えばCCDカメラを用いることができる。また、カメラ31は、自車両の前方および後方のうちのいずれかのみに設けられ、自車両の前方および後方のいずれかのみを撮像する構成としてもよい。よって、カメラ31は、請求項の撮像装置に相当する。
【0102】
画像認識装置32は、カメラ31で撮像された画像をもとに画像認識を行い、自車両の走行中の道路の道路標識や路面標示に示されている制限速度の情報を認識する。よって、画像認識装置32は、請求項の画像認識手段に相当する。なお、画像認識装置32で行う画像認識については、例えばテンプレートマッチングを用いる方法などの周知の方法を用いて行うものとする。
【0103】
また、定速走行制御装置100bの制御装置1では、画像認識装置32で自車両の走行中の道路の制限速度の情報を認識することができた場合には、この制限速度の情報を取得するものとする。そして、定速走行制御装置100bの制御装置1では、手動スイッチ7から手動スイッチ信号の入力を受けた場合に、画像認識装置32から取得した自車両の走行中の道路の制限速度の情報が示す速度を、設定車速決定部11で新設定車速として設定する。
【0104】
以上の構成によれば、手動スイッチ7がON状態に切り替わったことを示す手動スイッチ信号の入力を制御装置1で受けた場合に、自車両の走行中の道路の道路標識に示されている制限速度の情報および路面標示に示されている制限速度の情報のうちの少なくともいずれかの、画像認識によって得られた制限速度の情報が示す速度を新設定車速として設定するので、運転者はスピードメータを見ないでも、手動スイッチ7の操作入力を行うだけで新設定車速を走行中の道路の制限速度(つまり、目的とする車速)に合わせることが可能となる。
【0105】
なお、画像認識装置32から取得した制限速度の情報が示す速度を新設定車速として設定する構成と前述の手動スイッチ7の操作入力回数に応じて新設定車速を設定する構成とを併用してもよい。一例としては、画像認識装置32で自車両の走行中の道路の制限速度を検出することができなかった場合に、手動スイッチ7の操作入力回数に応じて新設定車速を設定する構成としてもよい。また、画像認識装置32から取得した制限速度の情報が示す速度を新設定車速として設定した後に、手動スイッチ7の操作入力回数に応じてさらに新たに新設定車速を設定する構成としてもよい。
【0106】
さらに、画像認識装置32から取得した制限速度の情報が示す速度を新設定車速として設定する構成と車載ナビゲーション装置30から取得した制限速度の情報が示す速度を新設定車速として設定する構成とを併用する構成としてもよい。一例としては、画像認識装置32と車載ナビゲーション装置30とのうちの一方で制限速度の情報が得られなかった場合に、他方で得られた制限速度の情報が示す速度を新設定車速として設定する構成としてもよい。
【0107】
なお、前述の実施形態では、手動スイッチ7がON状態に切り替わったことを示す手動スイッチ信号に応じて新設定車速を設定する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、ブレーキ装置6のブレーキペダルに対して所定量以上の踏込み操作が行われたことに応じて新設定車速を設定する構成(以下、ブレーキペダル操作による設定車速変更態様と呼ぶ)としてもよい。以下では、この構成について図18を用いて説明を行う。なお、図18は、ブレーキ装置6の構成の一部を模式的に示す図である。
【0108】
図18には、ブレーキ装置6の構成のうち、ブレーキペダル61の操作に応じてブレーキ油圧をホイールシリンダ(WC)63に伝達するまでの機構に関連する構成を示している。この機構では、ブレーキペダル61の操作が行われた場合に、この操作量に応じたブレーキ油圧がマスタシリンダ(MC)62で発生し、MC62で発生したブレーキ油圧がWC63に伝達されるようになっている。また、ブレーキ圧センサ4は、前述した通り、ブレーキペダル61の操作に応じて発生するブレーキ油圧を検出するセンサであり、変位センサ64は、ブレーキペダル61の変位量(つまり、踏み込み量)を検出するセンサである。よって、ブレーキ圧センサ4は、請求項の油圧検出手段に相当し、変位センサ64は、請求項の変位量検出手段に相当する。なお、変位センサ64としては、例えば前述したストロークセンサを用いることが可能である。
【0109】
ブレーキペダル操作による設定車速変更態様では、例えば、変位センサ64で検出したブレーキペダル61の踏み込み量を制御装置1で取得し、この踏込み量が所定の基準量以上であった場合に、ブレーキペダル61の変位があったことを示す信号を設定車速決定部11に出力し、手動スイッチ信号の入力があった場合と同様に、信号の入力回数に応じて新設定車速を設定する構成とすればよい。また、他にも、ブレーキ圧センサ4で検出したブレーキ油圧を制御装置1で取得し、このブレーキ油圧が所定の基準量以上であった場合に、ブレーキ油圧が所定の基準量以上であったことを示す信号を設定車速決定部11に出力し、手動スイッチ信号の入力があった場合と同様に、信号の入力回数に応じて新設定車速を設定する構成とすればよい。よって、制御装置1は、請求項のトリガ手段にも相当する。なお、ここで言うところの所定の基準量とは、任意に設定可能な値である。
【0110】
また、ブレーキペダル操作による設定車速変更態様では、ブレーキペダル61の踏み込み量やブレーキ油圧が所定の基準量以上でない場合には、ブレーキペダル61の踏力に応じた通常の減速が行われるものとする。
【0111】
以上の構成によれば、所定量以上の踏込み操作をブレーキペダル61に対して行った回数をもとに新設定車速を目的とする車速に合わせることが可能となるので、以上の構成によっても、目的とする車速に向けて車速を低下させる場合に、運転者にとって操作の煩わしさや操作のしにくさをより生じにくくすることが可能になる。
【0112】
さらに、前述の実施形態では、本発明が適用された定速走行制御装置が、内燃機関を駆動力源とする車両に搭載される構成を示したが、必ずしもこれに限らず、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)のように電動機(モータ)を駆動力源として用いる車両に本発明が適用された定速走行制御装置を搭載する構成としてもよい。
【0113】
また、電動機を駆動力源として用いる車両に本発明が適用された定速走行制御装置を搭載する場合には、電動機の発電時の回転抵抗を車両の制動力として利用する構成としてもよい。以下では、この実施形態について図面を用いて説明を行う。図19は、本発明が適用された定速走行制御装置200の概略的な構成を示す図である。また、図20は、回生制動装置41による減速度と目標速度を実現するために必要な減速度との調停の一例を示す模式図である。なお、説明の便宜上、前述の実施形態の説明に用いた図に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。なお、定速走行制御装置200は、電動機40の発電時の回転抵抗を車両の制動力として利用する回生制動装置41を備える点を除けば定速走行制御装置100と同様の構成である。
【0114】
電動機40は、EVやHV等の車両の駆動力源として用いられる電動機である。また、回生制動装置41は、電動機40の発電時の回転抵抗を車両の制動力として利用する装置であって、周知の回生駆動装置を用いる構成とすればよい。
【0115】
回生制動装置41による制動力を利用できる場合には、制御装置1の要求減速度算出部13において、図20に示すように、要求減速度算出部13で算出される要求減速度(つまり、目標速度を実現するために必要な減速度)から回生制動装置41による減速度を差し引くことによって、減速制御部14からブレーキ装置6に要求する必要のある減速度を得る調停を行う。そして、調停によって得られた減速度を新たな要求減速度として減速制御部14に送り、減速制御部14でこの新たな要求減速度に応じた制御信号(つまり、油圧式のブレーキ装置6への要求値)をブレーキ装置6へ送る。
【0116】
以上の構成によれば、回生制動装置41を備えたEVやHV等の車両においても、運転者に違和感を与えずにスムーズに減速を行うことが可能となる。また、目標速度と現在の自車速との差をもとに算出される目標速度を実現するために必要な減速度と回生制動装置41による減速度との調停を行って、設定車速に合わせるための要求減速度を得るので、回生制動装置41側の制動力に変化があっても、常に安定した要求減速度を得ることが可能であり、運転者にとって違和感のない減速度出力を行うことが可能となる。
【0117】
なお、ここでは、EVやHV等の車両の駆動力源として用いられる電動機を電動機40とする構成を示したが、必ずしもこれに限らず、内燃機関を駆動力源とする車両のオルタネーターを電動機40として用いる構成としてもよい。
【0118】
また、前述の実施形態では、ブレーキ装置6として油圧式のブレーキ装置を用いる構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、ブレーキ装置6として電動式のブレーキ装置を用いる構成としてもよい。また、ブレーキ装置6として電動式のブレーキ装置を用いる場合には、ブレーキペダル操作による設定車速変更態様では、変位センサ64で所定の基準量以上のブレーキペダル61の踏み込み量を検出する構成を採用すればよい。
【0119】
なお、定速走行制御装置100・100a・100bは、手動運転補助装置付車両、或いは電動3輪車や電動4輪車等に適用することが可能であり、これらの車両のブレーキ装置と併用して、設定車速を設定可能な手動スイッチ7を設ける構成としてもよい。さらに、定速走行制御装置100・100a・100bは、フォークリフト等の産業用車両にも適用可能であって、産業用車両のブレーキ装置と併用して、設定車速を設定可能な手動スイッチ7を設ける構成としてもよい。さらに、定速走行制御装置100・100a・100bは、運転教習車等の車両にも適用可能であって、運転教習車等の車両の助手席側に、ブレーキ装置と併用して、設定車速を設定可能な手動スイッチ7を設ける構成としてもよい。
【0120】
また、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0121】
1 制御装置(定速走行制御手段、停車検知手段、駐車移行手段、制限速度情報取得手段トリガ手段)、2 車速センサ(車速検出手段)、3 加速度センサ(減速度検出手段)、4 ブレーキ圧センサ(油圧検出手段)、5 スロットル駆動器、6 ブレーキ装置、6a ブレーキアクチュエータ、7 手動スイッチ(指示手段)、8 キャンセルスイッチ、9 表示器(新設定車速表示手段、停止表示手段)、11 設定車速決定部(新設定車速算出手段、新設定車速決定手段)、12 目標速度算出部(目標速度算出手段)、13 要求減速度算出部(要求減速度算出手段)、14 減速制御部、15 路面勾配推定部(路面勾配推定手段)、16 移行時間設定部(移行時間設定手段)、20 駐車制動装置、30 車載ナビゲーション装置、31 カメラ(撮像装置)、32 画像認識装置(画像認識手段)、40 電動機、41 回生制動装置、61 ブレーキペダル、62 MC、63 WC、64 変位センサ(変位量検出手段)、100・100a・100b 定速走行制御装置(車両用速度制御装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作量に応じた減速度を発生させるブレーキ装置を有する車両に搭載され、
現在の自車速である現在車速を検出する車速検出手段と、
定速走行制御の開始を指示する指示手段と、
前記指示手段によって定速走行制御の開始が指示されたときの自車速を設定車速として、自車を当該設定車速で走行させるように、前記車両の駆動力を制御する定速走行制御手段と、を備えている車両用速度制御装置であって、
前記車両の運転者からの操作入力を受けて状態が切り替わるとともに、当該操作入力を受けて状態が切り替わったことを示す信号を出力する手動スイッチと、
前記信号に従って、現在の設定車速から所定の量の速度を減じた新たな設定車速である新設定車速を算出する新設定車速算出手段と、
一定時間をかけて前記現在の設定車速から前記新設定車速へ移行するために逐次とるべき目標速度を算出する目標速度算出手段と、
前記目標速度と前記車速検出手段によって検出された現在車速との差をもとに、前記目標速度を実現するために必要な減速度である要求減速度を算出する要求減速度算出手段と、を備え、
前記要求減速度算出手段で逐次算出される要求減速度に基づいた減速度で逐次減速を行わせていくことによって前記新設定車速に自車速を合わせることを特徴とする車両用速度制御装置。
【請求項2】
前記新設定車速算出手段は、前記信号の入力を所定の時間内に単発で受けた場合には、前記現在の設定車速から一定量の速度を減じた速度を前記新設定車速として算出し、前記信号の入力を所定の時間内に複数回受けた場合には、前記信号の入力の回数を前記一定量に積算した量の速度を前記現在の設定車速から減じた速度を前記新設定車速として算出することを特徴とする請求項1に記載の車両用速度制御装置。
【請求項3】
前記新設定車速を前記運転者の視認可能な位置に表示する新設定車速表示手段をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用速度制御装置。
【請求項4】
前記車両の現在の減速度である現在減速度を検出する減速度検出手段と、
前記現在減速度と前記要求減速度算出手段によって算出された要求減速度との差をもとに路面勾配を推定する路面勾配推定手段と、をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用速度制御装置。
【請求項5】
前記路面勾配推定手段で推定された路面勾配に応じて、前記目標速度算出手段における前記一定時間を設定する移行時間設定手段をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の車両用速度制御装置。
【請求項6】
前記ブレーキ装置の操作による前記車両の減速の要求と前記手動スイッチの操作による前記車両の減速の要求との両方を同時に受けている場合には、前記ブレーキ装置の操作量に応じた減速度と前記要求減速度算出手段で算出された要求減速度とのうち、減速度の絶対値が大きい方に従って減速を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両用速度制御装置。
【請求項7】
前記現在車速が所定の閾値以上のときには、前記新設定車速算出手段で算出した新設定車速が0であった場合でも、前記車両の停止動作に移行させない停止動作移行禁止手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の車両用速度制御装置。
【請求項8】
前記現在車速が前記所定の閾値未満のときには、前記新設定車速算出手段で算出した新設定車速が0であった場合に、前記車両の停止動作に移行させる停止動作移行手段をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載の車両用速度制御装置。
【請求項9】
前記車両の停止動作に移行させる場合に、前記車両の停止動作に移行させることを示す情報を前記運転者の視認可能な位置に表示する停止表示手段をさらに備えることを特徴とする請求項8に記載の車両用速度制御装置。
【請求項10】
前記車両の停車を検知する停車検知手段と、
前記停車検知手段で前記車両の停車を検知している状態が一定期間以上継続した場合に、前記手動スイッチの操作による前記車両の減速によっての前記車両の停止動作を解除して、前記車両の駐車制動装置を自動的に作動させて駐車に移行させる駐車移行手段と、をさらに備えることを特徴とする請求項9に記載の車両用速度制御装置。
【請求項11】
前記車両は、電動機を搭載しているものであって、
前記電動機の発電時の回転抵抗を前記車両の制動力として利用する回生制動装置をさらに備え、
前記要求減速度算出手段は、前記目標速度と前記現在車速との差をもとに算出される、前記目標速度を実現するために必要な減速度から、前記回生制動装置で前記回転抵抗を前記車両の制動力として利用した場合に生じる減速度を差し引いた減速度を、前記要求減速度として算出することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に車両用速度制御装置。
【請求項12】
ブレーキペダルの踏力に応じた減速度を発生させるブレーキ装置を有する車両に搭載され、
現在の自車速である現在車速を検出する車速検出手段と、
定速走行制御の開始を指示する指示手段と、
前記指示手段によって定速走行制御の開始が指示されたときの自車速を設定車速として、自車を当該設定車速で走行させるように、前記車両の駆動力を制御する定速走行制御手段と、を備えている車両用速度制御装置であって、
前記ブレーキペダルの変位量を検出する変位量検出手段と、
前記変位量検出手段で検出した前記ブレーキペダルの変位量が所定の基準量以上であった場合に、前記ブレーキペダルの変位があったことを示す信号を出力するトリガ手段と、
前記信号に従って、現在の設定車速から所定の量の速度を減じた新たな設定車速である新設定車速を算出する新設定車速算出手段と、
一定時間をかけて前記現在の設定車速から前記新設定車速へ移行するために逐次とるべき目標速度を算出する目標速度算出手段と、
前記目標速度と前記車速検出手段によって検出された現在車速との差をもとに、前記目標速度を実現するために必要な減速度である要求減速度を算出する要求減速度算出手段と、を備え、
前記要求減速度算出手段で逐次算出される要求減速度に基づいた減速度で逐次減速を行わせていくことによって前記新設定車速に自車速を合わせることを特徴とする車両用速度制御装置。
【請求項13】
ブレーキペダルの踏力に応じた減速度を発生させる油圧式のブレーキ装置を有する車両に搭載され、
現在の自車速である現在車速を検出する車速検出手段と、
定速走行制御の開始を指示する指示手段と、
前記指示手段によって定速走行制御の開始が指示されたときの自車速を設定車速として、自車を当該設定車速で走行させるように、前記車両の駆動力を制御する定速走行制御手段と、を備えている車両用速度制御装置であって、
前記ブレーキ装置のブレーキ油圧を検出する油圧検出手段と、
前記油圧検出手段で検出したブレーキ油圧が所定の基準量以上であった場合に、ブレーキ油圧が所定の基準量以上であったことを示す信号を出力するトリガ手段と、
前記信号に従って、現在の設定車速から所定の量の速度を減じた新たな設定車速である新設定車速を算出する新設定車速算出手段と、
一定時間をかけて前記現在の設定車速から前記新設定車速へ移行するために逐次とるべき目標速度を算出する目標速度算出手段と、
前記目標速度と前記車速検出手段によって検出された現在車速との差をもとに、前記目標速度を実現するために必要な減速度である要求減速度を算出する要求減速度算出手段と、を備え、
前記要求減速度算出手段で逐次算出される要求減速度に基づいた減速度で逐次減速を行わせていくことによって前記新設定車速に自車速を合わせることを特徴とする車両用速度制御装置。
【請求項14】
操作量に応じた減速度を発生させるブレーキ装置を有する車両に搭載され、
現在の自車速である現在車速を検出する車速検出手段と、
定速走行制御の開始を指示する指示手段と、
前記指示手段によって定速走行制御の開始が指示されたときの自車速を設定車速として、自車を当該設定車速で走行させるように、前記車両の駆動力を制御する定速走行制御手段と、を備えている車両用速度制御装置であって、
前記車両に搭載される車載ナビゲーション装置が保持している地図情報から前記車両の走行中の道路の制限速度の情報を取得する制限速度情報取得手段と、
前記車両の運転者からの操作入力を受けて状態が切り替わるとともに、当該操作入力を受けて状態が切り替わったことを示す信号を出力する手動スイッチと、
前記信号の入力を受けた場合に、前記制限速度情報取得手段で取得した制限速度の情報が示す速度を新たな設定車速として決定する新設定車速決定手段と、
一定時間をかけて前記現在の設定車速から前記新設定車速へ移行するために逐次とるべき目標速度を算出する目標速度算出手段と、
前記目標速度と前記車速検出手段によって検出された現在車速との差をもとに、前記目標速度を実現するために必要な減速度である要求減速度を算出する要求減速度算出手段と、を備え、
前記要求減速度算出手段で逐次算出される要求減速度に基づいた減速度で逐次減速を行わせていくことによって前記新設定車速に自車速を合わせることを特徴とする車両用速度制御装置。
【請求項15】
操作量に応じた減速度を発生させるブレーキ装置を有する車両に搭載され、
現在の自車速である現在車速を検出する車速検出手段と、
定速走行制御の開始を指示する指示手段と、
前記指示手段によって定速走行制御の開始が指示されたときの自車速を設定車速として、自車を当該設定車速で走行させるように、前記車両の駆動力を制御する定速走行制御手段と、を備えている車両用速度制御装置であって、
前記車両の前方および後方のうちの少なくともいずれかの画像を撮像する撮像装置で撮像した画像に基づく画像認識によって、前記車両の走行中の道路の道路標識に示されている制限速度の情報および路面標示に示されている制限速度の情報のうちの少なくともいずれかの制限速度の情報を認識する画像認識手段と、
前記車両の運転者からの操作入力を受けて状態が切り替わるとともに、当該操作入力を受けて状態が切り替わったことを示す信号を出力する手動スイッチと、
前記信号の入力を受けた場合に、前記画像認識手段で認識した制限速度の情報が示す速度を新たな設定車速として決定する新設定車速決定手段と、
一定時間をかけて前記現在の設定車速から前記新設定車速へ移行するために逐次とるべき目標速度を算出する目標速度算出手段と、
前記目標速度と前記車速検出手段によって検出された現在車速との差をもとに、前記目標速度を実現するために必要な減速度である要求減速度を算出する要求減速度算出手段と、を備え、
前記要求減速度算出手段で逐次算出される要求減速度に基づいた減速度で逐次減速を行わせていくことによって前記新設定車速に自車速を合わせることを特徴とする車両用速度制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−935(P2011−935A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−144490(P2009−144490)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】