説明

フェニルピロリジンエーテル系タキキニン受容体拮抗薬

本発明は、ニューロキニン−1(NK−1)受容体拮抗薬およびタキキニン、特にサブスタンスPの阻害薬として有用なある種のフェニルピロリジンエーテル化合物に関する。本発明はさらに、それらの化合物を有効成分として含む医薬製剤、ならびに嘔吐、抑鬱および不安などのある種の障害の治療における前記化合物およびそれの製剤の使用に関するものでもある。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
サブスタンスPは、タキキニンファミリーのペプチドに属する天然ウンデカペプチドであり、タキキニンの名は、血管外平滑筋組織に対するそれの迅速な収縮作用によって付けられたものである。タキキニン類は、保存されたカルボキシル末端配列によって区別される。サブスタンスP以外に、既知の哺乳動物タキキニンには、ニューロキニンAおよびニューロキニンBなどがある。現在の命名法では、サブスタンスP、ニューロキニンAおよびニューロキニンBに対する受容体を、それぞれニューロキニン−1(NK−1)、ニューロキニン−2(NK−2)およびニューロキニン−3(NK−3)と称する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
疼痛、頭痛、特に片頭痛、アルツハイマー病、多発性硬化症、モルヒネ禁断症状軽減、心血管変化、熱傷によって生じる浮腫などの浮腫、慢性関節リウマチなどの慢性炎症疾患、喘息/気管支過反応およびアレルギー性鼻炎などの他の呼吸器疾患、潰瘍性大腸炎およびクローン病などの腸の炎症疾患、眼球外傷および眼球炎症性疾患、増殖性硝子体網膜症、過敏性腸症候群ならびに膀胱炎および膀胱利尿筋反射亢進などの膀胱機能障害におけるタキキニン受容体拮抗薬の有用性についての証拠についての総覧がある。
【0003】
さらに、タキキニン受容体拮抗薬が、不安、抑欝、気分変調性障害、慢性閉塞性気道疾患、毒ツタなどの過敏性障害、狭心症およびレイノルズ病などの血管痙攣性疾患、強皮症および好酸性肝蛭症などの線維化疾患およびコラーゲン疾患、肩手症候群などの反射性交感神経性異栄養症、アルコール中毒症などの嗜好性障害、ストレス関連の身体障害、神経障害、神経痛、全身性紅斑性狼瘡などの免疫増強または抑制に関係する障害、結膜炎や春期カタルなどの眼科疾患、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、その他湿疹様皮膚炎などの皮膚疾患において有用であることも示唆されている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、下記構造式Iの化合物またはそれの製薬上許容される塩に関する。
【0005】
【化7】

式中、R、R1a、R1b、R、Y、およびZは下記で定義の通りである。構造Iの化合物はニューロキニン−1(NK−1)受容体拮抗薬として、さらにはタキキニン、特にはサブスタンスPの阻害薬として有用である。本発明はまた、これらの新規化合物を有効成分として含む医薬製剤ならびに嘔吐、抑鬱(気分障害)および不安などのある種の障害の治療でのその新規化合物およびそれの製剤の使用に関するものでもある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は、下記構造式Iの化合物およびその化合物の製薬上許容される塩に関するものである。
【0007】
【化8】

式中、
、R1aおよびR1bは、H、F、Cl、Br、I、CH、CF、OH、OCH、NH、NHCH、SHおよびSCHからなる群から独立に選択され;
は、H、R、CORおよびSOからなる群から選択され;
Yは、結合、CHCHまたはCHであり;
Zは、CH、CHCH、CO、COCH、SOおよびSOCHからなる群から選択され;
は、H、C1−6アルキル、Rによって置換されていても良いフェニル、ベンジル、O−C1−6アルキル、O−ベンジル、N(R)−C1−6アルキル、N(R)−ベンジル、
【0008】
【化9】

からなる群から独立に選択され;
は、HまたはC1−6アルキルであり;
、R6aおよびR6bは、H、F、Cl、CF、OCH、CH、COCH、COCH、CHCONH、CONH、CONHCHおよびSOCHからなる群から独立に選択される。
【0009】
本発明の1実施形態は、下記式Iaの化合物に関するものである。
【0010】
【化10】

式中、Y、Z、R、RおよびRは本明細書で定義の通りである。
【0011】
本発明の別の実施形態では、Yは結合であり、RはHまたはFである。
【0012】
本発明の別の実施形態では、RはRであり、Rは、
【0013】
【化11】

からなる群から選択され;
およびR6aは上記で定義の通りである。
【0014】
本発明の別の実施形態では、RはCORであり;Rは、NHCH、NHCHCH、N(CH、OCH、OC(CH、CH、CHCH、CH(CH
【0015】
【化12】

からなる群から選択され、R、R6aおよびR6bは上記で定義の通りである。
【0016】
本発明のさらに別の実施形態は、下記のものからなる群から選択される化合物ならびにそれの製薬上許容される塩に関するものである。
【0017】
【化13】

およびRは下記の表から選択される。
【0018】
【表2】









【0019】
本発明の化合物は、少なくとも1個の不斉中心を有する。分子上の各種置換基の性質に応じて、さらに別の不斉中心が存在する可能性がある。不斉中心を有する化合物はエナンチオマー(光学異性体)、ジアステレオマー(立体配置異性体)またはその両方を生じ、混合物中および純粋もしくは部分精製化合物としての可能なエナンチオマーおよびジアステレオマーはいずれも、本発明の範囲に含まれるものである。本発明は、これら化合物のそのような異性体型を全て包含するものである。
【0020】
エナンチオマー的にまたはジアステレオマー的に豊富な化合物の独立の合成あるいはそれらのクロマトグラフィー分離は、本明細書に開示の方法に適切な変更を加えることで、当業界で公知の方法で行うことができる。それらの絶対立体化学は、必要に応じて、絶対配置既知の不斉中心を有する試薬で誘導体化した結晶性生成物または結晶性中間体のX線結晶解析によって決定することができる。
【0021】
所望に応じて、前記化合物のラセミ混合物を分離して、個々のエナンチオマーを単離することができる。その分離は、化合物のラセミ混合物のエナンチオマー的に純粋な化合物へのカップリングによるジアステレオマー性混合物の形成とそれに続く分別結晶もしくはクロマトグラフィーなどの標準的な方法による個々のジアステレオマーの分離のような、当業界で公知の方法によって行うことができる。そのカップリング反応は多くの場合、エナンチオマー的に純粋な酸または塩基を用いる塩の形成である。次に、ジアステレオマー性誘導体を、付加したキラル残基の開裂によって純粋なエナンチオマーに変換することができる。化合物のラセミ混合物は、当業界では公知の方法であるキラル固定相を用いるクロマトグラフィー法によって直接分離することもできる。
【0022】
あるいは、化合物のいずれかのエナンチオマーを、当業界で公知の方法により、光学的に純粋な原料または立体配置が既知の試薬を用いる立体選択的合成によって得ることができる。
【0023】
製造
本発明の式Iの化合物の製造は、順次または収束的な合成経路で行うことができる。順次で行う式Iの化合物の製造について合成方法の詳細を、下記の反応図式に示してある。得られる反応生成物の反応および精製を行う上で必要とされる技術は、当業者には公知である。精製手順には、結晶化、順相または逆相クロマトグラフィーなどがある。
【0024】
本発明の化合物の製造方法を、以下の図式および実施例に示してあり、図式において可変要素は、本明細書における一般構造式IおよびIaの相当する位置での可変要素に関して定義された通りである。
【0025】
置換3−ヒドロキシピロリジンの合成への一般的な手法を図式1に示した。t−ブトキシカルボニル(BOC)またはベンジルオキシカルボニル(CBZ)などの保護基を用いた窒素保護2,5−ジヒドロピロールIIを、当業者に公知の方法により、触媒または有機過酸の存在下に有機過酸などの各種酸化試薬によってエポキシ化して、一般構造IIIの化合物とすることができる。そのエポキシド中間体は、CuIなどの触媒の存在下または非存在下にてグリニャール、有機リチウムその他などの各種有機金属種によって開環させることができる。反応の生成物は恐らくトランスジアキシャル開環の結果であることで、得られる置換ピロリジンIVの3,4位でトランスの相対的立体化学を有するラセミ生成物が得られる。
【0026】
【化14】

【0027】
このラセミ混合物を、当業者には公知の各種方法または方法の組み合わせによって分離して、3,4−置換ピロリジンIVの単独のエナンチオマーを得ることができる(図式II)。恐らく、メソのエポキシド中間体IIIからNK−1拮抗薬用の中間体としての所望の立体化学の単独のエナンチオマーIVaまたはIVbを与えると考えられるキラル触媒系が開発されるであろう(反応式1)。同様に、スパルテインその他の添加剤などの化学量論的キラル添加剤が、中間体IVaまたはIVbのエナンチオマー的に豊富な混合物を与えることができる。あるいは、分取キラルHPLC法によって、エナンチオマーIVaおよびIVbの両方の単離を行うことができる(反応式2)。別の方法は、キラル酸を用いたエステル化を行って、例えば結晶化またはクロマトグラフィーによって分離することができる混合物またはジアステレオマーを形成することができる。それらジアステレオマーエステルの別個の加水分解によって、それぞれエナンチオマーのトランスピロリジンアルコールIVaおよびIVbが得られると考えられる。当業者に公知の別のエナンチオマー分離方法は、アルコール類の酵素的アシル化である(反応式3)。酢酸ビニルなどのアシル化前駆体とともに有機溶媒中でリパーゼ酵素でラセミ混合物IVを処理することで、一方のエナンチオマーのエナンチオマー特異的アシル化を行い、反対のエナンチオマーは未変化のままとすることができる。酢酸エステルからのアルコールの簡単なクロマトグラフィー分離および酢酸エステルの加水分解によって、それぞれエナンチオマーIVaおよびIVbを得ることができる(変換酵素加水分解は、アルコールIVの混合物の酢酸エステルへの変換と、次に例えばアルコールIVbへの酵素的加水分解を行いながら、エナンチオマーの酢酸エステルは未変化のままとすることでも応用可能である)。これらは、しかし一般構造IVのアルコールのラセミ混合物を分離してエナンチオマー的に豊富または純粋なものとすることができるわずかな方法例である。
【0028】
【化15】

【0029】
一般構造IVのピロリジンアルコールは、当業者に公知の各種方法によってエーテル中間体に変換することができる(図式III)。例えば、トリクロロアセトイミデート基(または当業者に公知の他のもの)などの脱離基Xを有する中間体IVおよびアルコール誘導体VIとトリフ酸(トリフルオロメタンスルホン酸)などの酸触媒またはHBFとの反応によって、相当するピロリジンエーテルVに変換することができる。当業者に公知の方法による窒素保護基の脱離によって、ピロリジン窒素上の誘導体化の準備が整った一般構造VIIのピロリジン中間体が得られる。
【0030】
【化16】

【0031】
同様に、アルコールIVを塩基で処理してアルコキシドを得て、次にハロゲンもしくはトリフレートなどの脱離基(LG)としてのXを有するアルキル化剤VIと反応させることで、中間体Vを得ることができる(図式IV)。図式IIIに示したような同様の脱保護によって、中間体VIIが得られる。
【0032】
【化17】

【0033】
エーテル中間体Vを製造する別の多段階法を図式Vに示した。当業者には公知の各種方法によってカルボン酸または酸塩化物VIII(X=OH、Clなど)でアルコール中間体IVをエステル化することで、エステル中間体IXを得ることができる。当業者に公知の「ジメチルチタノセン」(ペタシス(Petasis)試薬)または「テッベ(Tebbe)試薬」などの各種試薬によるそのようなエステルのオレフィン化によって、エノールエーテル中間体Xを製造することができる。あるいは、エノールエーテルXは、触媒存在下でのアルデヒド、ケトンまたは関連する中間体の縮合とそれに続く水の喪失によって、アルコール中間体IVから直接製造することができる。得られたエノールエーテルXは、金属触媒存在下での水素化、ハイドロボレーションその他の類似の水和反応または酸などの触媒存在下での水素化ケイ素その他の水素化物供与性酸を介した還元のような当業者に公知の各種方法によってエーテルVに変換することができる。このようにして、一般構造Vの中間体を、多段階手順によってエノールエーテル中間体Xから製造することができる。前述のように、エノールエーテル中間体Xの還元用のキラル試薬系の使用によって、中間体であるピロリジンエーテルVの製造におけるエナンチオまたはジアステレオ選択性を高めることができる。
【0034】
【化18】

【0035】
ピロリジン環の3,4−位でトランスの相対的立体化学を有する中間体Vは、相当する3,4−トランスピロリジン立体化学を有するアルコール中間体IVから製造することができる。3,4−位でシスの相対的ピロリジン立体化学を有する化合物は、図式VIに示した方法に従って製造することができる。適切な溶媒中でのジイソプロピルアゾジカルボキシレートなどのアゾジカルボキシレート試薬およびトリフェニルホスフィンなどのホスフィン存在下におけるラセミ形またはキラル形でのトランスアルコールIVと適切なカルボン酸VIIIとの反応によって、ピロリジン環の3−ヒドロキシル基での立体化学の反転によるエステル中間体IXへの変換が可能である。それによって、得られる中間体のシスIXの相対的立体化学がシスとなる。例えば中間体IVaなどのエナンチオマー的に純粋なアルコールからは、エナンチオマー的に純粋な3,4−シスピロリジン中間体IXaが得られる。同様に、中間体IXbの対掌体を、アルコール中間体IVbから得ることができる。図式Vに示した方法によるエノールエーテル中間体Xおよびエーテル中間体Vへの変換では、ピロリジン環の3,4−位でシスの相対的立体化学を有するアミン中間体VIIが得られる。
【0036】
【化19】

【0037】
3,4−シスまたはトランスの相対的立体化学で製造される一般構造VIIの中間体は、図式VIIに示した方法に従って、1位の窒素原子上で各種基によって誘導体化することができる。アミン誘導体は、当業者に公知の各種方法によってカルボキサミド、スルホンアミド、尿素、アミジン、グアニジン、ビニル系アミド、ビニル系ウレタンおよびビニル系尿素などの他の官能基を得るための各種反応において有用である。
【0038】
【化20】

【0039】
より具体的には、一般構造VIIの中間体を、塩基またはカップリング試薬存在下にカルボン酸または酸塩化物などの誘導体と反応させることで、構造XIで示したような構造Iのカルボキサミド誘導体を形成することができる。同様に、中間体VIIとスルホニルクロライドとの反応によって、スルホンアミド誘導体XIIを得ることができる(図式VIII)。
【0040】
【化21】

【0041】
図式IXに示したように、塩基の存在下または非存在下での反応ofアミンVIIとカルバモイルクロライドまたはイソシアネートとの反応によって、尿素誘導体XIIIが得られる。あるいは、アミン中間体VIIをホスゲンまたはCDIまたはトリホスゲンなどの等価な試薬と反応させて、中間体のカルバモイルクロライドXIVを得ることができる。これらの中間体XIVを次に、アミンと反応させて、一般構造XIIIの尿素を得ることができる。同様に、VIIとの反応用の適切なクロルギ酸エステルまたは当業者に公知の中間体XIVとの反応用のアルコールを選択することで、上記の中間体からカーバメート(ウレタン)を製造することができる(生成物は不図示)。
【0042】
【化22】

【0043】
一般構造XVのビニル系アミド誘導体は、酸触媒存在下での環状または非環状1,3−ジケトン誘導体XVI(図示の1,3−シクロペンタンジオン誘導体)との縮合とそれに続く水の喪失によって、中間体アミンVIIから製造することができる。同様に、適切な溶媒中にての塩基存在下での処理によって、中間体VIIを脱離基(X=Clなど)を有する誘導体XVIIとを縮合させることによって、誘導体XVを得ることができる。やはり、これらの例も、当業者に公知の適切な原料からの環の大きさがより小さいまたはより大きい関連する中間体XVIおよびXVIIに応用することが可能である。
【0044】
【化23】

【0045】
一般構造XVIIIのビニル系ウレタンおよびビニル系尿素誘導体は、酸触媒存在下での1,3−ケトエステルまたはケトアミド誘導体(それぞれ図示のテトロン酸またはトラミン酸誘導体XIX;Y=OまたはNR7a)との縮合とそれに続く水の喪失によって、中間体アミンVIIから製造することができる。同様に、適切な溶媒中にて塩基存在下に処理することで、脱離基(X=Clなど)を有するラクトンまたはラクタム誘導体XXとアミン中間体VIIとを縮合することによって、誘導体XVIIIを得ることができる。やはり、これらの例も、当業者に公知の適切な原料からの環の大きさがより小さいまたはより大きい類似の中間体XIXおよびXXに応用することが可能である。
【0046】
【化24】

【0047】
Pd−触媒またはCu−触媒などの金属触媒存在下もしくは非存在下であって、塩基の存在下に、アミン中間体VIIをアリールまたはヘテロアリールハライドと反応させて、本発明Iのアミン誘導体(R=アリールまたはヘテロアリール、図式XII)を得ることができる。さらに、アミン中間体VIIアルデヒドおよびケトンと縮合させて、水が失われた時点でイミンを形成することができ、それは次に、金属触媒存在下での水素化または水素化ホウ素ナトリウムなどの水素化物試薬を用いる還元で、アルキル化アミン誘導体I(R=アルキル基)を与えることができる。あるいは、N−カルボキサミド(XI)を各種条件下で還元して本発明のアルキル化アミンIとすることができる。
【0048】
【化25】

【0049】
留意すべき点として、場合により、前記反応図式の実施順序を変えて、反応を促進したり、望ましくない反応生成物を回避することが可能である。保護基を変えて、反応手順を容易にしたり、望ましくない副反応または副生成物を回避することもできる。さらに、加水分解、還元、酸化およびアルコール、カルボキサミド、カルボン酸などの他の官能基への変換のようなある種の官能基操作を中間体の置換基上で行って、上記の実施例の新たな誘導体を作ることが可能である。
【0050】
上記の溶液相試薬に代えて、当業者に公知のポリマー結合試薬を、上記図式で用いることができる。あるいは、基質をポリマーに懸垂させ(例えば、保護基に代えて)、いくつかの反応段階を行い、そしてポリマーから開裂させることで、所望の生成物を得ることができる。
【0051】
薬理活性
本発明の化合物は、タキキニン、特にサブスタンスPの活性過剰の存在を特徴とする非常に多様な臨床状態の予防および治療において有用である。例えばタキキニン、特にサブスタンスPの活性過剰は、中枢神経系の各種障害で示唆される。そのような障害には、抑鬱あるいはより詳細には、例えば単発性または再発性の主要な抑鬱障害および気分変調障害などの抑鬱障害または例えば双極性I障害、双極性II障害および循環病などの双極性I障害などの気分障害;広所恐怖症を伴うまたはそれを伴わないパニック障害、パニック障害歴のない広所恐怖症、特異的恐怖症(例:特定動物恐怖症)、社会恐怖症、強迫性障害、外傷後ストレス障害および急性ストレス障害などのストレス障害、ならびに汎発性不安障害などの不安障害;例えば分裂病様障害、分裂情動性障害、妄想障害、短期精神病障害、共有(shared)精神病障害および妄想もしくは幻覚を伴う精神病障害などの精神分裂症および他の精神病障害;アルツハイマー病、老人性痴呆、アルツハイマー型痴呆、血管性痴呆および例えばHIV疾患、頭部外傷、パーキンソン病、ハンチングトン病、ピック病、クロイツフェルト−ヤコブ病または多発的病因による他の痴呆などの、譫妄障害、痴呆障害および健忘性障害ならびに他の認識障害もしくは神経変性障害;パーキンソン病ならびに例えば神経抑制薬誘発性パーキンソニズム、神経抑制薬性悪性症候群、神経抑制薬誘発性急性失調症、神経抑制薬誘発性急性静座不能、神経抑制薬誘発性遅発性運動異常および薬剤誘発性体位性振戦のような薬剤誘発性運動障害などの他の錐体外路性運動障害;アルコール、アンフェタミン類(もしくはアンフェタミン様物質)、カフェイン、マリファナ、コカイン、幻覚剤、吸入薬およびエアロゾル推進薬、ニコチン、オピオイド、フェニルグリシジン誘導体、鎮静剤、睡眠薬、不安緩解薬の使用によって生じる物質関連の障害であって、薬物の依存および乱用、中毒、禁断症状、中毒性譫妄、禁断症状性譫妄、持続性痴呆、精神病障害、気分障害、不安障害、性的機能障害および睡眠障害などの障害;癲癇;ダウン症候群;例えば糖尿病性および化学療法誘発性神経障害のような末梢神経障害などのMSおよびALSおよび他の神経病理障害、ならびに帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛、分節性神経痛もしくは肋間神経痛ならびに他の神経痛のような脱髄性疾患;ならびに脳梗塞、クモ膜下出血または脳浮腫などの急性もしくは慢性脳血管損傷による脳血管障害などがある。
【0052】
タキキニン活性、特にサブスタンスP活性は、侵害受容および疼痛にも関与するものである。従って本発明の化合物は、疼痛が強い疾患および状態の予防または治療において有用であり、そのような疾患および状態には、急性外傷、骨関節炎、慢性関節リウマチ、筋骨格疼痛(特に外傷後のもの)、脊髄疼痛、筋筋膜疼痛症候群、頭痛、会陰切開痛および火傷などの軟組織および末梢の損傷;心臓痛、筋肉痛、眼球痛、口顔痛(例:歯痛)、腹痛、婦人科系疼痛(例:月経困難症)および陣痛などの深部痛および内臓痛;例えば神経絞扼および腕神経叢捻除、切断術、末梢神経障害、三叉神経痛性チック、非定型顔面痛、神経根損傷およびクモ膜炎などの末梢神経障害関連の疼痛のような、神経および神経根の損傷に関連する疼痛;多くの場合癌性疼痛と称される癌に関連する疼痛;脊髄または脳幹の損傷による疼痛などの中枢神経系痛;腰痛;坐骨神経痛;強直性脊椎炎、痛風;ならびに瘢痕痛などがある。
【0053】
タキキニン拮抗薬、特にサブスタンスP拮抗薬は、呼吸器系疾患、特に、慢性気道閉塞疾患、気管支肺炎、慢性気管支炎、嚢胞性繊維症および喘息、成人呼吸窮迫症候群ならびに気管支痙攣などの過剰な粘液分泌に関連する疾患;炎症性腸疾患、乾癬、線維炎、骨関節炎、慢性関節リウマチ、心因性掻痒症および日焼けなどの炎症性疾患;湿疹および鼻炎などのアレルギー;毒ツタ症などの過敏障害;結膜炎、春季結膜炎などの眼球疾患;増殖性硝子体網膜症などの細胞増殖に関連する眼球状態;接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹および他の湿疹様皮膚炎などの皮膚疾患の治療にも有用となり得る。
【0054】
タキキニン拮抗薬、特にサブスタンスP拮抗薬は、乳房腫瘍、神経節芽細胞腫および小細胞肺癌などの小細胞癌のような腫瘍の治療にも有用となり得る。
【0055】
タキキニン拮抗薬、特にサブスタンスP拮抗薬は、胃炎、胃十二指腸潰瘍、胃癌、胃リンパ腫、内臓の神経調節に関連する障害、潰瘍性大腸炎、クローン病、過敏性腸症候群ならびに急性、遅発性もしくは期待性の嘔吐(化学療法、放射線、毒物、ウィルスもしくは細菌感染、妊娠、前庭障害(例:乗物酔い、眩暈、立ち眩みおよびメニエール病)、手術、片頭痛、脳圧変動、胃食道逆流病、胃酸過多、食物もしくは飲料における耽溺、胃酸過多症、胸焼けもしくは逆流、胸焼け(例:偶発性、夜間性もしくは食事誘発の胸焼け)、ならびに消化不良によって誘発される嘔吐など)のような消化管の炎症性疾患および障害などの消化管障害の治療にも有用となり得る。
【0056】
タキキニン拮抗薬、特にサブスタンスP拮抗薬は、ストレス関連の身体障害;肩/手症候群などの反射交感神経ジストロフィー;移植組織の拒絶などの有害免疫反応および全身性紅斑性狼瘡などの免疫の促進もしくは抑制に関連する障害;サイトカイン化学療法によって生じる血漿血管外漏出、膀胱炎、膀胱利尿筋反射亢進および失禁などの膀胱機能の障害;強皮症および好酸球性肝蛭症などの線維症および膠原病;狭心症、血管性頭痛、片頭痛およびレイノルズ病などの血管拡張性疾患および血管痙攣性疾患によって生じる血流の障害;ならびに上記の状態のいずれかが原因であるかまたはそれに関連する疼痛もしくは侵害受容(特に、片頭痛における疼痛の伝播)などの他の各種状態の治療にも有用となり得る。
【0057】
本発明の化合物は、上記の状態の併発の治療、特に術後疼痛ならびに術後の吐き気および嘔吐の併発の治療にも有用である。
【0058】
本発明の化合物は、化学療法、放射線、毒物、妊娠、前庭障害、運動、手術、片頭痛および脳圧変動によって誘発される嘔吐のような急性、遅発性もしくは期待性の嘔吐などの嘔吐の治療に特に有用である。とりわけ、本発明の化合物は、癌の化学療法に通常使われるものなどの抗新生物剤(細胞毒物)誘発の嘔吐、ならびに例えばロリプラムのような他の薬物誘発の嘔吐の治療に有用である。そのような化学療法剤の例としては、エチレンイミン化合物類、硫酸アルキル類およびニトロソ尿素類、シスプラチンおよびダカルバジンのようなアルキル化作用を有する他の化合物などのアルキル化剤;葉酸、プリンもしくはピリミジン拮抗薬などの代謝拮抗剤;ビンカアルカロイドおよびポドフィロトキシン誘導体などの分裂阻害剤;ならびに細胞毒性抗生物質などがある。化学療法剤の特定の例は、例えばスチュワートの著書(D.J.Stewart, Nausea and Vomitting: Recent Research and Clinical Advances, Eds. J.Kucharczyk et al, CRC Press Inc., Boca Raton, Florida, USA(1991), pp.177-203(特にp.188))に記載されている。一般に使用される化学療法剤には、シスプラチン、ダカルバジン(DTIC)、ダクチノマイシン、メクロレタミン、ストレプトゾシン、シクロホスファミド、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、ダウノルビシン、プロカルバジン、マイトマイシン、シタラビン、エトポシド、メトトレキセート、5−フッ化ウラシル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ブレオマイシンおよびクロラムブシルなどがある(R.J.Gralla et al, Cancer Treatment Reports (1984), 68(1), pp.163-172)。
【0059】
本発明のさらに別の態様は、哺乳動物において、時間生物学的(日内周期相移動)効果を達成し、日内周期障害を軽減するための本発明の化合物の使用を含むものである。本発明はさらに、哺乳動物における光の相移動効果を遮断するための本発明の化合物の使用に関するものでもある。
【0060】
本発明はさらに、哺乳動物において、睡眠の質の向上もしくは改善ならびに睡眠障害および睡眠の乱れの予防および治療のための、本発明の化合物またはその化合物の製薬上許容される塩の使用に関するものである。特には本発明は、睡眠効率を高め、睡眠維持を増大させることで睡眠の質を向上または改善する方法を提供する。さらに本発明は、哺乳動物において睡眠障害および睡眠の乱れを予防および治療する方法であって、本発明の化合物またはそれの化合物の製薬上許容される塩を投与する段階を有する方法を提供する。本発明は、精神生理学原因から、精神障害(特に不安に関係)の結果として、薬物およびアルコールの使用および乱用(特に、禁断症状段階時)から生じ得る睡眠の開始および維持の障害(不眠症)(「DIMS」)、小児期発症DIMS、夜間ミオクローヌスおよび不穏下肢症ならびに加齢で認められるような非特異性REM障害などの睡眠障害の治療において有用である。
【0061】
本発明の特に好ましい実施形態は、処置を必要とする被験者(ヒトまたは動物)に対して本発明の化合物を投与することによる嘔吐、抑鬱(気分障害)および不安の治療である。
【0062】
さらにまたは別の態様によれば本発明は、タキキニン、特にはサブスタンスPの過剰に関連する生理的障害の治療用の医薬製造で使用される本発明の化合物を提供する。本発明はさらに、治療で使用される本発明の化合物を提供する。
【0063】
本発明はまた、タキキニン、特にはサブスタンスPの過剰に関連する生理的障害の治療または予防方法であって、タキキニンを減少させる量の本発明の化合物または本発明の化合物を含む組成物を、処置を必要とする患者に対して投与する段階を有する方法を提供する。
【0064】
本明細書で使用される場合、「治療」または「治療する」という用語は、上記の疾患状態を患っているか、それの臨床的指標を示す被験者(ヒトまたは動物)での、その状態の症状または基礎原因を軽減、緩和または排除することを目的とした本発明の化合物の投与を指す。
【0065】
「予防」または「予防する」という用語は、上記の疾患状態に対して感受性であるかその素因を有する被験者(ヒトまたは動物)での、その状態のリスクまたは発生の可能性を軽減、緩和または排除することを目的とした本発明の化合物の投与を指す。
【0066】
タキキニン拮抗作用アッセイ
本発明の化合物は、処置を必要とする哺乳動物における消化器障害、中枢神経系障害、炎症疾患、疼痛もしくは片頭痛および喘息の治療で、タキキニン類、特にサブスタンスPに対する拮抗を行う上で有用である。この活性は、以下のアッセイによって示すことができる。
【0067】
A.COSにおける受容体発現
COSで一時的にクローニングヒトニューロキニン−1受容体(NK1R)を発現するため、ヒトNK1Rに対するcDNAを、アンピシリン耐性遺伝子(BLUESCRIPTSK+からのヌクレオチド1973〜2964)をSacII部位に挿入することでpCDM8(INVITROGEN)から誘導した発現ベクターpCDM9にクローニングした。プラスミドDNA20μgの1000万個のCOS細胞へのトランスフェクションを、IBI GENEZAPPER(IBI, New Haven, CT)を用いて、260Vおよび950μFにてトランスフェクション緩衝液(135mM NaCl、1.2mM CaCl、1.2mM MgCl、2.4mM KHPO、0.6mM KHPO、10mMグルコース、10mM HEPES pH7.4)800μL中でエレクトロポレーションすることで行った。結合アッセイ前の3日間、細胞を10%ウシ胎仔血清、2mMグルタミン、100U/mLペニシリン−ストレプトマイシンおよび90%DMEM培地(GIBCO, Grand Island, NY)中、37℃で5%CO中にてインキュベートした。
【0068】
B.CHOでの安定発現
クローニングヒトNK1Rを発現する安定な細胞系を確立するため、cDNAをベクターpRcCMV(INVITROGEN)にサブクローニングした。プラスミドDNA20μgのCHO細胞へのトランスフェクションを、IBI GENEZAPPER(IBI)を用いて、300Vおよび950μFにて、0.625mg/mLニシン精子DNAを補給したトランスフェクション緩衝液800μL中でエレクトロポレーションすることで行った。トランスフェクションした細胞を、コロニーが肉眼観察されるまで、5%CO中37℃で、CHO培地[10%ウシ胎仔血清、100U/mLペニシリン−ストレプトマイシン、2mMグルタミン、1/500ヒポキサンチン−チミジン(ATCC)、90%IMDM培地(JRH BIOSCIENCES, Lenexa, KS)、0.7mg/mL G418(GIBCO))中にてインキュベートした。各コロニーを分離し、増殖させた。ヒトNK1Rの数が最も多い細胞クローンを選択して、その後の薬剤スクリーニングなどの用途に供した。
【0069】
C.COSまたはCHOを用いるアッセイプロトコール
COSまたはCHO細胞で発現されたヒトNK1Rの結合アッセイは、未標識サブスタンスPと競合する放射能標識リガンドとしての125I−サブスタンスP(125I−SP、DUPONT, Boston, MAから)またはヒトNK1Rへの結合の他のリガンドの使用に基づくものである。COSまたはCHOの単層細胞培養物を、非酵素液(SPECIALTY MEDIA, Lavallette, NJ)によって解離させ、適切な容量の結合緩衝液(50mM Tris pH7.5、5mM MnCl、150mM NaCl、0.04mg/mLバシトラシン、0.004mg/mLロイペプチン、0.2mg/mL BSA、0.01mMホスホラミドン)に再懸濁させて、細胞懸濁液200μLが特異的125I−SP結合を約10000cpm生じるようにした(細胞約5万〜20万個)。結合アッセイでは、1.5〜2.5nMの125I−SP 20μLおよび未標識のサブスタンスPまたは他の被験化合物20μLを含む管中に、細胞200μLを加えた。管を緩やかな振盪下に4℃または室温で1時間インキュベートした。結合放射能を、0.1%ポリエチレンイミンで予め濡らしたGF/Cフィルター(BRANDEL, Gaithersburg, MD)によって未結合放射能と分離した。フィルターを緩衝液(50mM Tris pH7.5、5mM MnCl、150mM NaCl)3mLで3回洗浄し、放射能をγ−カウンターによって測定した。
【0070】
NK1Rによるホスホリパーゼの活性化も、IPの分解産物であるモノリン酸イノシトールの蓄積を測定することで、ヒトNK1Rを発現するCHO細胞で測定することができる。CHO細胞を、12ウェルプレートにウェル当たり細胞25万個で接種する。CHO培地で4日間インキュベートした後、細胞に0.025μCi/mLのH−ミオイノシトールを終夜インキュベーションによって負荷する。細胞外放射能を、リン酸緩衝生理食塩水で洗浄することで除去する。被験化合物の存在下または非存在下で、LiClを最終濃度0.1mMでウェルに加え、インキュベーションを37℃で15分間続ける。サブスタンスPを最終濃度0.3nMでウェルに加えて、ヒトNK1Rを活性化する。37℃で30分間インキュベートした後、培地を除去し、0.1 HClを加える。各ウェルを4℃で超音波処理し、CHCl/メタノール(1:1)で抽出する。水相を、1mL Dowex AG1X8イオン交換カラムに負荷する。カラムを0.1Nギ酸と次に0.025Mギ酸アンモニウム−0.1Nギ酸で洗浄する。モノリン酸イノシトールを、0.2Mギ酸アンモニウム−0.1Nギ酸で溶出させ、β−カウンターによって定量する。
【0071】
特に、本発明の化合物の固有のタキキニン受容体拮抗薬活性を、このアッセイによって示すことができる。後述の実施例の化合物は、上記アッセイで0.05nMから10μMの範囲で活性を有する。本発明の化合物の活性は、レイらの報告(Lei, et al., British J. Pharmacol., 105, 261-262 (1992))に開示のアッセイによっても示すことができる。
【0072】
組成物
さらなるまたは別の態様によれば本発明は、身体におけるタキキニンまたはサブスタンスPの量を減らす必要がある被験者に対して投与することができる組成物として使用される本発明の化合物を提供する。
【0073】
本明細書で使用される「組成物」という用語は、所定の量および割合で指定の成分を含有するもの、ならびに直接もしくは間接に指定の成分を指定量で組み合わせることで得られるものを含むものである。医薬組成物に関係するその用語は、1以上の有効成分および不活性成分を含む適宜の担体を含むもの、ならびに2以上のそれら成分の組み合わせ、複合化もしくは凝集から、あるいは1以上のそれら成分の解離から、あるいは1以上のそれら成分の他の種類の反応もしくは相互作用から直接または間接に生じるものを包含するものである。医薬組成物は、有効成分を液体担体もしくは微粉砕固体担体またはそれらの両方と均一かつ十分に混和し、次に必要に応じて取得物を所望の製剤に成形することで製造される。医薬組成物では、活性な目的化合物を、疾患のプロセスまたは条件に所望の効果を及ぼす上で十分な量で含有する。従って、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物および製薬上許容される担体を混合することによって製造されるあらゆる組成物を包含する。「製薬上許容される」とは、担体、希釈剤または賦形剤が製剤中の他の成分と適合性であるべきであり、それの投与を受ける者に対して有害であってはならないことを意味する。
【0074】
経口使用向けの医薬組成物は、医薬組成物の製造に関する当業界で公知の方法に従って製造することができ、そのような組成物は、甘味剤、香味剤、着色剤および保存剤からなる群から選択される1以上の薬剤を含むことで、製薬的に見た目が良く口当たりの良い製剤を提供することができる。錠剤は、錠剤の製造に好適な無毒性の製薬上許容される賦形剤との混合で有効成分を含む。それらの賦形剤は例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、乳糖、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤;例えばコーンスターチまたはアルギン酸などの造粒剤および崩壊剤;例えばデンプン、ゼラチンもしくはアカシアなどの結合剤;ならびに例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクなどの潤滑剤であることができる。錠剤は未コーティングとすることができるか、あるいは公知の方法によってコーティングを施して、消化管での崩壊および吸収を遅延させ、それによって比較的長期間にわたって持続的作用を提供するようにすることができる。
【0075】
経口使用向けの組成物は、有効成分を例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムもしくはカオリンなどの不活性固体希釈剤と混和した硬ゼラチンカプセルとして、あるいは有効成分を、水または例えば落花生油、液体パラフィンもしくはオリーブ油などの油系媒体と混和した軟ゼラチンカプセルとして提供することもできる。
【0076】
水系懸濁液は、水系懸濁液の製造に好適な賦形剤と混和した形で活性材料を含む。そのような賦形剤には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガムおよびアカシアガムなどの懸濁剤がある。分散剤または湿展剤には、レシチンなどの天然ホスファチド、あるいは例えばポリオキシエチレンステアレートなどのアルキレンオキサイドと脂肪酸との縮合生成物、またはヘプタデカエチレンオキシセタノールなどのエチレンオキサイドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、またはポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートなどのエチレンオキサイドと脂肪酸およびヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合生成物、または例えばポリエチレンソルビタンモノオレエートなどのエチレンオキサイドと脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとの縮合生成物があり得る。水系懸濁液には、例えばp−ヒドロキシ安息香酸のエチルもしくはn−プロピルエステルなどの1以上の保存剤、1以上の着色剤、1以上の香味剤、ショ糖もしくはサッカリンなどの1以上の甘味剤を含有させることもできる。
【0077】
油系懸濁液は、例えば落花生油、オリーブ油、ゴマ油もしくはヤシ油などの植物油または液体パラフィンなどの鉱油中に有効成分を懸濁させることで製剤することができる。油系懸濁液には、蜜ロウ、硬パラフィンもしくはセチルアルコールなどの増粘剤を含有させることができる。上記のような甘味剤および香味剤を加えて、風味の良い経口製剤を得ることができる。これらの組成物は、アスコルビン酸などの酸化防止剤を加えることで防腐することができる。
【0078】
水を加えることで水系懸濁液を調製する上で好適な分散性粉体および粒剤では、有効成分を、分散剤もしくは湿展剤、懸濁剤および1以上の保存剤と混合する。好適な分散剤もしくは湿展剤および懸濁剤の例としては、前述したものがある。例えば甘味剤、香味剤および着色剤などの別の賦形剤を存在させることもできる。
【0079】
本発明の医薬組成物はまた、水中油型乳濁液の形とすることもできる。油相は、オリーブ油もしくは落花生油などの植物油または液体パラフィンなどの鉱油、あるいはそれらの混合物とすることができる。好適な乳化剤には、例えばアカシアガムおよびトラガカントガムなどの天然ガム類;例えば大豆レシチンなどの天然ホスファチド;ならびに、ソルビタンモノオレエートなどの脂肪酸とヘキシトール無水物から誘導されるエステルもしくは部分エステル、および例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートなどのエチレンオキサイドと前記部分エステルとの縮合生成物があり得る。乳濁液にはさらに、甘味剤および香味剤を含有させることもできる。
【0080】
シロップおよびエリキシル剤は、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ソルビトールまたはショ糖などの甘味剤を加えて製剤することができる。そのような製剤には、粘滑剤、保存剤、香味剤および着色剤を含有させることもできる。
【0081】
医薬組成物は、無菌注射用水系もしくは油系懸濁液の形態とすることができる。この懸濁液は、上記の好適な分散剤もしくは湿展剤および懸濁剤を用いて、公知の方法に従って製剤することができる。無菌注射製剤は、例えば1,3−ブタンジオール溶液のように、無毒性の非経口的に許容される希釈剤もしくは溶媒中の無菌注射用液剤または懸濁液とすることもできる。使用可能な許容される媒体および溶媒の中には、水、リンゲル液および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、従来から溶媒または懸濁媒体として、無菌の固定油が使用されている。それに関しては、合成モノもしくはジグリセリドなどのいかなる種類の固定油も使用可能である。さらに、オレイン酸などの脂肪酸を注射剤の調製に使用することができる。
【0082】
本発明の化合物は、薬剤の直腸投与用の坐剤の形で投与することもできる。そのような組成物は、常温では固体であるが直腸体温では液体となることで、直腸で融解して薬剤を放出する好適な無刺激性賦形剤と該薬剤とを混和することで製剤することができる。そのような材料には、カカオ脂およびポリエチレングリコール類がある。
【0083】
局所用には、本発明の化合物を含むクリーム、軟膏、ゼリー、液剤または懸濁液などを用いる(この投与法に関して、局所投与には含嗽液およびうがい剤が含まれる)。
【0084】
本発明の化合物は、経皮貼付剤によって投与することもできる。そのような貼付剤は代表的には、薬剤貯留層、裏材層、適宜の膜層および粘着層を用いた層構造物である。裏材層は最外層であり、その下の層を物理的損傷や空気から保護する。薬剤貯留層は、患者の皮膚に送達される前に活性成分および不活性成分を含む。経皮貼付剤における不活性成分は一般的には、オイル類、グリコール類またはアルコール類であり、それらは有効成分を溶解もしくは懸濁させ、貼付剤系における他の層および皮膚を通る有効成分の放出を助ける。粘着層は、所望の期間にわたって皮膚に貼付剤を固定した状態とする粘着剤を提供する。経皮貼付剤は一般に、多くの場合数日ないし数週間にわたる有効成分の長期送達のために使用される。
【0085】
本発明の化合物は、吸入によって投与することもできる。有効成分が肺に吸収される吸入装置は経口で使用することができ、有効成分が鼻道または副鼻腔に吸収されるものは経鼻的に使用することができる。吸入装置では代表的には粉剤または噴霧剤を用い、有効成分の吸入用の推進剤、ポンプその他のシステムを含むことができる。粉剤の場合、有効成分を粉砕して微粉末とし、代表的には乳糖と混合することができる。噴霧剤の場合、噴霧されるものは通常は液剤または懸濁液である。噴霧液剤は代表的には水溶性のものであるが、プロピレングリコールまたはアルコールなどの他の不活性成分を含むことができる。噴霧懸濁液は、水系溶液中に懸濁させた微粉砕固体物または好適に溶解させた非固体物を用い、それは微結晶セルロースおよびアルコールなどの他の不活性成分を含むことができる。噴霧液剤および噴霧懸濁液のいずれも、やはり塩化ベンザルコニウムまたは二酸化塩素などの保存剤を含むのが普通である。吸入物は、通常は計量用量の治療上有効量の有効成分を送達することができる専用吸入装置も含む。
【0086】
本発明の化合物を含む組成物は、単位製剤で提供することができ、製薬業界で公知のいずれかの方法によって製造することができる。「単位製剤」という用語は、全ての活性および非活性成分が好適な系で組み合わされていることで、患者または患者に薬剤を投与する者が、全用量の入った単一の容器もしくはパッケージを開けることができる単一用量を意味するものであって、2つ以上の容器またはパッケージから成分を一緒に混合する必要はない。単位製剤の代表例は、経口投与用の錠剤もしくはカプセル、注射用の単位用量バイアルまたは直腸投与用の坐剤である。単位製剤としてそのように列記したものはいかなる形でも限定的なものではなく、単に単位製剤の製薬業界での代表的な例を表すものである。
【0087】
本発明の化合物を含む組成物はキットとして提供することもでき、そのキットには、活性もしくは非活性成分、担体、希釈剤などであることができる2以上の成分が、患者または患者に薬剤を投与する者によって実際の製剤の製造の説明書が添付されている。そのようなキットには、全ての必要な材料およびそれに含まれる成分が提供することができるか、あるいはそれには患者または患者に薬剤を投与する者が独立に得なければならない材料または成分の使用または作製に関する説明書が入っていても良い。
【0088】
「製薬上許容される」とは、担体、希釈剤または賦形剤が、製剤の他の成分と適合性であって、その製剤の投与を受ける者に対して有害であってはならないことを意味する。
【0089】
化合物の「投与」またはそれを「投与する」という用語は、錠剤、カプセル、シロップ、懸濁液などの経口製剤;IV、IMまたはIPなどの注射製剤;クリーム、ゼリー、粉剤または貼付剤などの経皮製剤;口腔製剤;吸入用の粉剤、噴霧剤、懸濁液など;ならびに直腸坐剤など(これらに限定されるものではない)、治療上有用な形態および治療上有効な量で個体の身体に導入することができる形態で、処置を必要とする個体に対して本発明の化合物を提供することを意味するものと理解すべきである。
【0090】
「治療上有効量」という用語は、好適な組成および好適な製剤中における、上記疾患状態を治療または予防するだけの量の本発明の化合物を指す。
【0091】
併用
本発明の化合物は、本発明のタキキニンおよびサブスタンスP阻害薬に対して補完的な効果を有する別の物質と併用して投与することができる。
【0092】
従って、嘔吐の予防または治療において本発明の化合物は、他の抗嘔吐薬、特に、オンダンセトロン、グラニセトロン、トロピセトロン、デカドロンおよびザチセトロンのような5HT受容体拮抗薬、またはバクロフェンのようなGABA受容体作働薬と併用することができる。同様に、片頭痛の予防または治療において本発明の化合物は、エルゴタミン類または5HT作働薬のような他の抗片頭痛薬、特にスマトリプタン、ナラトリプタン、ゾルマトリプタン(zolmatriptan)またはリザトリプタンと併用することができる。
【0093】
抑鬱または不安の治療において、本発明の化合物を他の抗鬱薬または抗不安薬と併用することが可能であることは明らかであろう。好適な種類の抗鬱薬には、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、モノアミンオキシダーゼ阻害薬(MAOI)、モノアミンオキシダーゼの可逆性阻害薬(RIMA)、セロトニンおよびノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)、α−アドレナリン受容体拮抗薬および非定型抗抑鬱薬などがある。
【0094】
好適なノルエピネフリン再取り込み阻害薬には、3級アミン三環系薬および2級アミン三環系薬などがある。3級アミン三環系薬の好適な例としては、アミトリプチリン、クロミプラミン、ドキセピン、イミプラミンおよびトリミプラミン、ならびにそれらの製薬上許容される塩などがある。2級アミン三環系薬の好適な例としては、アモキサピン、デシプラミン、マプロチリン、ノルトリプチリンおよびプロトリプチリン、ならびにそれらの製薬上許容される塩などがある。好適な選択的セロトニン再取り込み阻害薬には、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチンおよびセルトラリン(sertraline)、ならびにそれらの製薬上許容される塩などがある。好適なモノアミンオキシダーゼ阻害薬には、イソカルボキサジド、フェネルジン、トラニルシプロミンおよびセレギリン(selegiline)、ならびにそれらの製薬上許容される塩などがある。好適なモノアミンオキシダーゼの可逆的阻害薬には、モクロベミドおよびそれの製薬上許容される塩などがある。本発明での使用に好適なセロトニンおよびノルアドレナリン再取り込み阻害薬には、ベンラファキシン(venlafaxine)およびそれの製薬上許容される塩などがある。
【0095】
同様に、好適な非定型抗抑鬱薬には、ブプロピオン、リチウム、ネファゾドン(nefazodone)、トラゾドンおよびビロキサジン、ならびにそれらの製薬上許容される塩などがある。好適な種類の抗不安薬には、ベンゾジアゼピン類および5−HT1A作働薬もしくは拮抗薬、特に5−HT1A部分作働薬、ならびに副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)拮抗薬などがある。好適なベンゾジアゼピン類には、アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、クロナゼパム、クロラゼペート(chlorazepate)、ジアゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、オキサゼパムおよびプラゼパム、ならびにそれらの製薬上許容される塩などがある。好適な5−HT1A受容体作働薬もしくは拮抗薬には、特には5−HT1A受容体部分作働薬であるブスピロン、フレシノキサン(flesinoxan)、ゲピロン(gepirone)およびイプサピロン(ipsapirone)、ならびにそれらの製薬上許容される塩などがある。
【0096】
肥満、神経性過食症および強迫性摂食障害などの摂食障害の治療または予防においては、本発明の化合物を他の食欲抑制剤と併用することができる。従って本発明は、摂食障害の治療もしくは予防用の医薬製造における本発明の化合物および食欲抑制剤の使用を提供する。本発明の化合物との併用に好適な食欲抑制薬には、アミノレックス、アンフェクロラール、アンフェタミン、ベンズフェタミン、クロルフェンテルミン、クロベンゾレックス(clobenzorex)、クロフォレックス(cloforex)、クロミノレックス(clominorex)、クロルテルミン(clortermine)、シクレキセドリン(cyclexedrine)、デクスフェンフルラミン(dexfenfluramine)、デキストロアンフェタミン、ジエチルプロピオン、ジフェメトキシジン、N−エチルアンフェタミン、フェンブトラゼート(fenbutrazate)、フェンフルラミン、フェニソレックス(fenisorex)、フェンプロポレックス(fenproporex)、フルドレックス(fludorex)、フルミノレックス(fluminorex)、フルフリルメチルアンフェタミン、レバムフェタミン(levamfetamine)、レボファセトペラン、マジンドール、メフェノレックス、メタンフェプラモン(metamfepramone)、メタンフェタミン、ノルシュードエフェドリン、オルリスタット、ペンタ−レックス(pentorex)、フェンジメトラジン、フェンメトラジン、フェンテルミン、フェニルプロパノールアミン、ピシロレックスおよびシブトラミン(sibutramine)、ならびにそれらの製薬上許容される塩などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0097】
肥満の治療または予防の場合、本発明の化合物は、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)と併用できることは明らかであろう。従って本発明は、肥満の治療もしくは予防のための医薬品の製造での本発明の化合物とSSRIの使用を提供するものである。本発明の化合物との併用に好適な選択的セロトニン再取り込み阻害薬には、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチンおよびセルトラリン、ならびにそれらの製薬上許容される塩などがある。
【0098】
本明細書で言う「肥満」は、哺乳動物において、身長の2乗当たりの体重(kg/m)で計算される体容量指数BMIが25.9以上であることを言う。通常体重の人の場合BMIは19.9から25.9未満である。肥満は、遺伝的もしくは環境的のいずれかの何らかの原因によって生じ得るものである。肥満の結果生じるまたは肥満の原因となると可能性のある障害の例としては、過食および神経性多食症、多嚢胞性卵巣、頭蓋咽頭腫、プラダー-ウィリ症候群、フレーリッヒ症候群、II型糖尿病、GH欠乏患者、正常異型(normalvariant)低身長、ターナー症候群ならびに代謝活性低下または総無脂肪量のパーセントとしての休止時エネルギー消耗低下を示す他の病理状態(例:急性リンパ芽球性白血病の小児)などがある。
【0099】
(肥満の)「治療」とは、哺乳動物のBMIを約25.9未満まで低下させ、その体重を6ヶ月以上維持することを指す。その治療によって好適には、哺乳動物による食物またはカロリーの摂取の低減を生じるものである。
【0100】
(肥満の)「予防」とは、肥満状態の発症の前に、投与を開始する場合に生じる肥満の予防を指す。さらに、すでに肥満の患者において投与を開始する場合、そのような投与は、例えばアテローム性動脈硬化、II型糖尿病、多嚢胞性卵巣、心血管疾患、骨関節炎、皮膚障害、高血圧、インシュリン耐性、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症および胆石症などの肥満の医学的続発症を予防または進行予防すると予想される。
【0101】
同様に、行動性痛覚過敏の治療において本発明の化合物は、ジゾシルピンのような、D−アスパラギン酸N−メチル(NMDA)の拮抗薬と併用することができる。
【0102】
下部尿管における炎症状態、特に膀胱炎の治療または予防において本発明の化合物は、ブラジキニン受容体拮抗薬のような抗炎症薬と併用することができる。
【0103】
疼痛または侵害受容または炎症疾患の治療もしくは予防の場合、本発明の化合物は、オピエート作働薬などの抗炎症薬もしくは鎮痛剤、5−リポオキシゲナーゼ阻害薬などのリポオキシゲナーゼ阻害薬、シクロオキシゲナーゼ−2阻害薬などのシクロオキシゲナーゼ阻害薬、インターロイキン−1阻害薬などのインターロイキン阻害薬、一酸化窒素阻害薬もしくは一酸化窒素合成阻害薬などのNMDA拮抗薬、非ステロイド系抗炎症剤、またはサイトカイン抑制抗炎症剤と併用可能であること、例えばロフェコキシブ、セレコキシブ、エトリコキシブ、バルデコキシブ、アセトアミノフェン、アスピリン、コデイン、フェンタニル、イブプロフェン、インドメタシン、ケトロラク(ketorolac)、モルヒネ、ナプロキセン、フェナセチン、ピロキシカム、ステロイド系鎮痛薬、スフェンタニル(sufentanyl)、スリンダク、テニダップ(tenidap)などとの併用が可能であることは明らかであろう。同様に本発明の化合物は、疼痛緩和剤;カフェイン、H−拮抗薬、シメチコン、水酸化アルミニウムもしくはマグネシウムなどの増強物質;フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、シュードエフェドリン、オキシメタゾリン、エピネフリン、ナファゾリン、キシロメタゾリン、プロピルヘキセドリンまたはレボ−デスオキシ−エフェドリンなどの鬱血除去薬;コデイン、ヒドロコドン、カラミフェン、カルベタペンタンまたはデキストラメトルファンなどの鎮咳薬;利尿剤;ならびに鎮静性または非鎮静性の抗ヒスタミン剤とともに投与することができる。
【0104】
本明細書で使用される「哺乳動物」という用語は、ヒトならびにウシ、ヒツジおよびブタなどの経済的に重要な動物、特には食肉を生産する動物、そして家畜、スポーツ動物、動物園の動物を含む。
【0105】
本明細書に記載の組み合わせを用いる場合は、本発明の化合物と他の活性薬剤のいずれも、妥当な期間内に患者に投与することは明らかであろう。それらの化合物は、同じ製薬上許容される担体に入れ、従って同時に投与することができる。それらは、同時に服用する従来の経口製剤などの別々の医薬用担体に入っていても良い。「組み合わせ」という用語は、それら化合物を別個の製剤として提供し、順次投与する場合を指すこともある。従って、1例として挙げると、一つの活性成分を錠剤として投与し、妥当な時間内に、第2の活性成分を、錠剤または急速に溶解する経口製剤などの経口製剤として投与することができる。「急速に溶解する経口製剤」とは、患者の舌の上に乗った時に、約10秒以内に溶解する経口投与製剤を意味する。
【0106】
「妥当な時間」とは、約1時間を超えない期間を意味する。すなわち、例えば最初の活性成分が錠剤として提供される場合、その1時間以内に、第2の活性成分を、同じ種類の製剤またはその薬剤を効果的に送達する別の製剤で投与しなければならない。
【0107】
用量
本発明の化合物は、至適な医薬的効力を提供する用量で、そのような処置を必要とする患者に投与することができる。いずれかの特定の用途で使用するのに必要な用量は、選択される特定の化合物または組成物、さらには投与経路、治療対象の状態の性質、患者の年齢および状態、併用薬剤または患者が従う特殊な食事、ならびに当業者には明らかな他の因子によっても、患者ごとに変動するものであることは明らかであり、適切な用量は最終的には担当医の裁量によって決まる。
【0108】
過剰のタキキニンに関連する状態の治療においては、本発明の化合物またはそれの製薬上許容される塩の好適な用量レベルは、1日約0.001〜50mg/kg、特には約0.01〜約25mg/kg、例えば1日約0.05〜約10mg/kgである。その用量範囲は通常、約0.5〜1000mg/患者/日であり、単回投与または連続投与で投与することができる。好ましくは用量範囲は、約0.5mg〜500mg/患者/日;より好ましくは約0.5mg〜200mg/患者/日;さらに好ましくは約5mg〜50mg/患者/日である。投与における本発明の化合物またはそれの製薬上許容される塩の具体的な用量には、1mg、5mg、10mg、30mg、100mgおよび500mgなどがある。
【0109】
本発明の医薬組成物は、有効成分約0.5mg〜1000mg;より好ましくは有効成分約0.5mg〜500mg;または有効成分0.5mg〜250mg;または有効成分1mg〜100mgを含む製剤で提供することができる。過剰のタキキニン類の治療または予防のための具体的な医薬組成物は、有効成分を約1mg、5mg、10mg、30mg、100mgおよび500mg含む。
【0110】
命名法および略称
本明細書に記載の化合物の命名には、いくつか許容される方法がある。
【0111】
【化26】

【0112】
例えば上記化合物は、「(3R,4S)3−ヒドロキシ−4−フェニルピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル」または「3(R)−ヒドロキシ−4(S)−フェニルピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル」のいずれかと命名することができる。
【0113】
本願を通じて、下記の略称を下記の意味で用いる。
【0114】
試薬
CBZ−Cl:クロルギ酸ベンジル
BOP:ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート
CDI:1,1′−カルボニルジイミダゾール
MCPBA:m−クロロ過安息香酸
DBU:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン
DCC:N,N′−ジシクロヘキシルカルボジイミド
DCU:N,N′−ジシクロヘキシル尿素
DEAD:ジエチルアゾジカルボキシレート
DIAD:ジイソプロピルアゾジカルボキシレート
DIBAL:水素化ジイソブチルアルミニウム
DIPEA:N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DMAP:4−ジメチルアミノピリジン
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシドまたはメチルスルホキシド
EDAC:1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩
HBF−OMe:テトラフルオロホウ酸−ジメチルエーテル錯体
HOBt:1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物
iPrNEt:N,N−ジイソプロピルエチルアミン
LAH:水素化リチウムアルミニウム
LHMDS:リチウムビス(トリメチルシリル)アミド
MCPBA:m−クロロ過安息香酸;3−クロロ過安息香酸
NaN:アジ化ナトリウム
NMM:N−メチルモルホリン
KHMDS:カリウムビス(トリメチルシリル)アミド
NaOEt:ナトリウムエトキシド
EtN:トリエチルアミン
PTSA:パラ−トルエンスルホン酸
PhP:トリフェニルホスフィン
TBAF:テトラ−n−ブチルアンモニウムフルオリド
TFA:トリフルオロ酢酸。
【0115】
溶媒
AcOH:酢酸
MeCN:アセトニトリル
AmOH:n−アミルアルコール
DMSO:ジメチルスルホキシド
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
EtO:ジエチルエーテル
EtOAc:酢酸エチル
EtOH:エタノール
MeOH:メタノール
THF:テトラヒドロフラン。
【0116】
その他
Ac:アセチル
aq.:水溶液
Am:n−アミル
Ar:アリール
BOC:tert−ブトキシカルボニル
Bn:ベンジル
Bu:ブチル
C:摂氏
CBZ:カルボベンジルオキシ(ベンジルオキシカルボニル)
calc.:計算値
cat.:触媒量の
EI−MS:電子イオン−質量スペクトル測定
Et:エチル
eq.:当量
FAB−MS:高速原子衝撃質量分析法
g:グラム
hまたはhr:時間
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
in:インチ
iPr:イソプロピル
MPLC:中圧液体クロマトグラフィー
Me:メチル
MHz:メガヘルツ
min:分
MF:分子式
NMR:核磁気共鳴
Ph:フェニル
prep.:製造または分取
Pr:プロピル
rt:室温
Rt:保持時間
TLC:薄層クロマトグラフィー
TMS:テトラメチルシラン。
【0117】
実施例
以下の実施例は、さらなる説明のみを目的として提供されるものであって、開示の発明に限定を加えるものではない。H NMRスペクトル測定はいずれも、磁場強度400または500MHzの装置で行った。
【実施例1】
【0118】
(3R,4S)−1−アセチル−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−フェニルピロリジン
段階A:(ラセミ)(3R,4S)および(3S,4R)3−ヒドロキシ−4−フェニルピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
6−オキサ−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−カルボン酸tert−ブチル7g(37.8mmol)の溶液(Okada, T.; Sato, S.; Tsuji. T.; Tsushima, T.; Nakai, H.; Yoshida, T.; Matsuura, S.; Chem. Pharm. Bull. 1993, 41 (1), p. 132-133の手順に従って製造)に、ヨウ化銅(I)0.36g(1.89mmol;0.05当量)の脱水THF(100mL)溶液を窒素雰囲気下に懸濁させた。混合物を氷/水浴で冷却した。その混合物に、1.0Mフェニルマグネシウムブロマイド/THF溶液41.6mL(41.6mmol;1.1当量)を滴下した。反応混合物を0℃で3時間攪拌してから、昇温させて室温とした。反応混合物を飽和NHCl水溶液150mLに投入し、青色溶液が得られるまで攪拌した。混合物を分液漏斗に移し、ジエチルエーテルで抽出した(150mLで2回)。合わせたエーテル抽出液を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に溶媒留去した。得られた粘稠黄色油状物を、ヘキサン/EtOAc(9/1)と次にヘキサン/EtOAc(1/1)を溶離液とするシリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。生成物分画(Rf:ヘキサン/EtOAc(1:1)で約0.5)を合わせ、減圧下に溶媒留去して、生成物を透明粘稠油状物として得た。それは放置していると固化した。より大量では、その生成物はヘキサンからの結晶化によってさらに精製できるものと考えられる。H−NMR(CDCl):δ1.45(s、9H)、3.2〜3.4(m、3H)、3.65〜3.95(m、3H)、4.37(q、1H、5Hz)、7.25(t、3H)、7.37(t、2H)ppm。
【0119】
段階B:(3R,4S)3−ヒドロキシ−4−フェニルピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルおよび(3S,4R)3−ヒドロキシ−4−フェニルピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
上記ラセミ混合物(段階A)を、ヘプタン/イソプロパノール(85/15)を溶離液とするキラセル(CHIRACEL)ODカラムを用いる分取キラルHPLCによって精製した。(3R,4S)3−ヒドロキシ−4−フェニルピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(分析HPLCキラセルOD、ヘプタン/IPA(85/15)、流量1.0mL/分、Rt6.99分)および(3S,4R)3−ヒドロキシ−4−フェニルピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(Rt7.76分)を含む分画を回収し、溶媒を減圧下に除去して生成物を油状物として得た。それは静置していると固化した。次の段階で用いる前に、化合物をベンゼンまたはトルエンと共沸させて、残留する水およびアルコールを除去した。
【0120】
段階C:2,2,2−トリクロロエタンイミド酸(1S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル
(1S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エタノール25.82g(100mmol)の脱水ジエチルエーテル(200mL)溶液を窒素雰囲気下にて、氷/水浴で冷却した。無希釈のDBU 3mL(20mmol、0.2当量)を反応フラスコに加え、混合物を0℃で10分間攪拌した。トリクロロアセトニトリル15mL(150mmol、1.5当量)を15分間かけてゆっくり滴下した。反応液を0℃で2時間攪拌したところ、その間に深黄色となった。冷却浴(<35°C)を用いて揮発分を減圧下に除去して、淡褐色流動性液体を得た。それをヘキサン/EtOAc(9/1)と次にヘキサン/EtOAc(4/1)を溶離液とする2バッチでのシリカゲルを用いるカラムクロマトグラフィー(約7.6cm×約25.4cm(3インチ×10インチ)層)によって精製した。生成物分画を合わせ、溶媒を減圧下に除去して、標題化合物を淡黄色油状物として得た。H−NMR(CDCl):δ1.74(d、3H、6.5Hz)、6.07(q、1H、6.5Hz)、7.82(s、1H)、7.86(s、2H)、8.40(brs、1H)ppm。
【0121】
段階D:(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−フェニルピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
(3R,4S)3−ヒドロキシ−4−フェニルピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(段階B)1.0g(3.8mmol)および(S)−トリクロロアセトイミデート(段階C)3g(7.6mmol、2当量)の脱水ヘプタン(40mL)および脱水塩化メチレン(10mL)溶液に窒素雰囲気下にて0℃で、HBF−ジメチルエーテル錯体0.092mL(0.8mmol、0.2当量)を滴下した。得られた反応混合物を0℃で24時間攪拌した。揮発分を減圧下に除去し、残留物を塩化メチレン10mLに溶かし、ヘキサン/EtOAc(8/2)を溶離液とするシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製して、2種類の生成物の混合物を得た。その混合物を、ヘプタン/エタノール(98/2)を溶離液とするキラルパックODカラムでの分取HPLCでさらに精製して、少量成分の異性体(ベンジル性メチル位置でエピマー)および標題化合物を得た。H−NMR(CDCl):(回転異性体):δ:1.43〜45(2d、3H、6.5Hz)、1.49〜1.52(2s、9H)、3.3−3.5(m、3H)、3.73〜3.97(m、3H)、4.53(q、1H、6.5Hz)、7.06〜7.09(m、2H)、7.20〜7.25(m、3H)、7.55(m、2H)、7.74(s、1H)、7.75(s、2H)ppm。MS:447.9(M−t−Bu)実測値。
【0122】
段階E:(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−フェニルピロリジン
段階Dの生成物315mgの脱水塩化メチレン(8mL)溶液を攪拌しながら冷却して0℃とし、それにアニソール0.5mLと次にトリフルオロ酢酸(TFA)4mLを加えた。得られた混合物を0℃で30分間、次に室温で1時間攪拌した。揮発分を減圧下に除去し、残留物を2N KOH水溶液(5mL)と塩化メチレン(5mL)との間で分配した。層を分離し、水層を塩化メチレンで抽出した(5mLで2回)。合わせた有機抽出液を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に溶媒留去して標題化合物を得た。それをそれ以上精製せずに次の段階で用いた。H−NMR(CDCl):δ1.43(d、3H、6.5Hz)、2.88(dd、1H、8、11.5Hz)、3.18(m、3H)、3.53(dd、1H、8,11.5Hz)、3.93(q、1H、4.5Hz)、4.53(q、1H、7.5Hz)、7.07(d、2H、7.5Hz)、7.15〜7.25(m、3H)、7.63(s、2H)、7.72(s、1H)ppm。MS:404.1(MH)実測値。
【0123】
段階F:(3R,4S)−1−アセチル−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−フェニルピロリジン
中間体段階E200mg(0.47mmol)の脱水塩化メチレン(3mL)溶液に0℃で、ピリジン0.097mL(1.18mmol)を加え、次に無水酢酸0.089mL(0.94mmol)を加えた。反応混合物を室温で6時間攪拌し、揮発分を減圧下に除去した。残留物を2N NaOH水溶液(5mL)と塩化メチレン(10mL)との間で分配した。層を分離し、水層を塩化メチレンで抽出した(5mL)。合わせた有機抽出液を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下に溶媒留去した。取得物を塩化メチレン/メタノール(9/1)を溶離液とする分取TLCによって精製した。取得物をヘプタン/エタノール(97/3)を溶離液とするキラルパックADカラムでの分取HPLCによってさらに精製して、少量成分の先に移動する異性体A(3R,4S)−1−アセチル−3−({(1S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−フェニルピロリジンおよび標題化合物を得た。H−NMR(CDCl)回転異性体:δ:1.45(t、3H、6.5Hz)、2.15(2s、3H)3.38〜3.63(m、3H)、3.85〜4.03(m、3H)、4.58(m、1H)、7.1(m、2H)、7.25(m、3H)、7.61(s、2H)、7.78(s、lH)ppm。MS:446(MH)実測値。
【実施例2】
【0124】
(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)−N−メチルピロリジン−1−カルボキサミド
段階A:(ラセミ)(3R,4S)および(3S,4R)3−ヒドロキシ−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
実施例1段階Aについての手順に従って、6−オキサ−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−カルボン酸tert−ブチルおよび4−フルオロフェニルマグネシウムブロマイドから標題化合物を製造した。H−NMR(CDCl):δ1.49(s、9H)、3.2〜3.4(m、3H)、3.50(m、1H)、3.7〜3.95(m、2H)、4.32(q、1H、5Hz)、7.05(t、2H)、7.23(m、2H)ppm。
【0125】
段階B:(3R,4S)3−ヒドロキシ−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルおよび(3S,4R)3−ヒドロキシ−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
段階Aの上記ラセミ混合物生成物を、ヘプタン/イソプロパノール(95/5)を溶離液とするキラセルADカラムを用いる分取キラルHPLCによって精製した。(3R,4S)3−ヒドロキシ−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(分析HPLC:ヘプタン/イソプロパノール(95/5)、流量1mL/分、UV検出220nm、(−)−CD偏向、Rt13.686分)および(3S,4R)3−ヒドロキシ−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル((+)−CD偏向、Rt16.278分)を含む分画を回収し、溶媒を減圧下に除去して、生成物を油状物として得た。それは静置していると固化した。次の段階で使用する前に、化合物をベンゼンまたはトルエンと共沸させて、残留する水およびアルコールを除去した。
【0126】
段階C:(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
実施例1段階Dについての手順に従って、(3R,4S)3−ヒドロキシ−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(段階B、Rt13.686分)および(1S)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル−2,2,2−トリクロロエタンイミドエート(実施例1段階C)から標題化合物を製造した。生成物混合物を、ヘプタン/エタノール(98/2)を溶離液とするキラルパックODカラムでの分取HPLCによってさらに精製して、相対的に速く移動する少量成分の異性体(ベンジル性メチル位でエピマー)および遅く移動する標題化合物を得た。H−NMR(CDCl):(回転異性体):δ1.43〜47(2d、3H、6.5Hz)、1.49〜1.52(2s、9H)、3.3〜3.5(m、3H)、3.75〜3.95(m、3H)、4.53(q、1H、6.5Hz)、6.95(t、2H)、7.05(m、2H)、7.53(s、2H)、7.76(s、1H)ppm。MS:466(M−t−Bu)実測値。
【0127】
段階D:(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン
実施例1段階Eについての手順に従って段階Cの中間体から標題化合物を製造し、それ以上精製せずに次の段階で用いた。H−NMR(CDOD):δ1.38(d、3H、6.5Hz)、2.74(t、1H、7.5Hz)、3.03〜3.40(m、4H)、3.92(q、1H、5.5Hz)、4.65(q、1H、6.5Hz)、6.90(t、2H)、7.08(m、2H)、7.70(s、2H)、7.74(s、1H)ppm。MS:422.2(MH)実測値。
【0128】
段階E:(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)−N−メチルピロリジン−1−カルボキサミド
段階Dの生成物25mg(0.06mmol)の脱水塩化メチレン(3mL)溶液に、ピリジン0.01mL(0.12mmol)およびメチルイソシアネート0.007mL(0.12mmol)を加えた。得られた反応混合物を室温で1時間攪拌し、揮発分を減圧下に除去した。残留物を塩化メチレン/メタノール(9/1)を溶離液とする分取TLCによって精製して、黄色ガラス状物25mgを得た。ヘプタン/エタノール(95/5)を溶離液とするキラルパックADカラムでの分取HPLCによってさらに精製を行って、少量成分の異性体Aおよび標題化合物を得た。H−NMR(CDCl)回転異性体:δ1.43(d、3H、6.5Hz)、2.86(2s、3H)、3.32〜3.5(m、3H)、3.75〜3.90(m、3H)、4.20(brs、1H)、4.53(q、1H、6.5Hz)、6.95(t、2H)、7.04(m、2H)、7.57(s、2H)、7.77(s、1H)ppm。MS:479.1(MH)実測値。
【実施例3】
【0129】
3−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]シクロペンタ−2−エン−1−オン
段階A:(3R,4S)−3−{[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]オキシ}−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
セプタム、磁気攪拌子、熱電対および窒素導入管を取り付けた250mL三頸丸底フラスコに、(3R,4S)3−ヒドロキシ−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(実施例2、段階B、Rt13.686分)5.0g(17.77mmol)および塩化メチレン100mLを加えた。得られた溶液に、トリエチルアミン5.0mL(35.54mmol)を注射器によって加えた。反応混合物を冷却して0℃とし、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイルクロライド3.80mL(19.55mmol)を、注射器によって10分間かけてゆっくり加えた。添加完了後に白色沈澱が生成し、得られた混合物を0℃で1時間攪拌し、その時点で冷却浴を外した。反応混合物をさらに2時間攪拌し、その時点でのTLC(EtOAc/ヘキサン;3:7)では原料が残っていないことが示された。反応混合物を飽和NaHCO水溶液の入った分液漏斗に投入した。層を分離し、有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、溶媒を減圧下に除去して、標題化合物を黄色油状物として得た。それをそれ以上精製せずに次の反応で用いた。H−NMR(CDCl):δ1.55(s、9H)、3.4〜4.09(brm、6H)、5.41(s、1H)、7.06(m、2H)、7.30(m、2H)、8.12(s、1H)、8.44(s、2H)ppm。
【0130】
段階B:(3R,4S)−3−({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
セプタム、磁気攪拌子、熱電対、滴下漏斗および窒素導入管を取り付けた500mL三頸丸底フラスコに、(3R,4S)−3−{[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]オキシ}−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(生成物段階A、17.77mmol)の脱水THF(115mL)溶液を入れた。溶液を氷/水浴で冷却して0℃とした。冷却した溶液に、0.5Mテッベ試薬/トルエン溶液(市販品)45mL(21.32mmol)を滴下漏斗によってゆっくり滴下した。滴下完了後、漏斗を脱水トルエン、次にTHFで洗い、得られた溶液を反応混合物に加えた。0℃で1.5時間攪拌後、追加の0.5Mテッベ試薬/トルエン溶液9.0mL(4.5mmol、0.25当量)を滴下漏斗によって滴下した。反応液をさらに15分間攪拌し、水15mLを1滴ずつ加えることで注意深く反応停止した。得られた混合物を分液漏斗に移し、エーテル/EtOAcで抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、溶媒を減圧下に除去した。残留物を最小量の塩化メチレンに溶かし、濾過し、溶媒を減圧下に除去した。得られた油状物を、EtOAc/ヘキサン勾配(5/95から10/90)を溶離液とするシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を黄色泡状物として得た。H−NMR(CDCl):δ1.54(s、9H)、3.46〜4.01(brm、6H)、4.0(d、1H)、4.61(s、1H)、4.91(d、1H)、7.08(m、2H)、7.22(m、2H)、7.83(s、1H)、8.0(s、2H)ppm。
【0131】
段階C:(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
250mLパールの圧力瓶に、(3R,4S)−3−({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(段階B)6.8g(13.09mmol)、エタノール70mLと、次に10%Pd−C1.4g(0.2重量)を入れた。反応混合物を約0.28MPa(40psi)水素下に1時間振盪した。静置後、溶液をセライトで濾過した。そのセライト層を過剰のエタノールで洗浄し、合わせた濾液の溶媒を減圧下に除去して、粗生成物6.74gを得た。それをEtOAc/トルエン(3/97)を溶離液とするシリカゲルでの注意深いクロマトグラフィーによって精製して、最初に溶出する非所望のS−メチルエピマーおよび遅れて溶出する所望の標題化合物を白色半固体として得た。H−NMR(CDCl):δ1.4〜1.54(m、12H)、3.23〜3.5(m、3H)、3.7〜4.0(brm、3H)、4.57(brs、1H)、7.09(m、2H)、7.25(m、2H)、7.59(s、2H)、7.88(s、1H)ppm。
【0132】
段階D:(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン塩酸塩
(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(段階C)1.5g(2.876mmol)のEtOAc(10mL)溶液に、飽和無水HCl/EtOAc溶液10mLを加えた。反応混合物を室温で24時間攪拌し、溶媒を減圧下に除去して黄色油状物を得た。得られた油状物をエーテル/ヘキサン(3/7)から再結晶して、標題化合物を白色固体として得た(融点=107℃)。H−NMR(CDOD):δ1.43(d、3H、6.5Hz)、3.27(t、1H、8.5Hz)、3.44(m、2H)、3.73(m、2H)、4.20(q、1H、5.5Hz)、4.78(q、1H、6.5Hz)、7.01(t、2H)、7.20(dd、2H)、7.73(s、2H)、7.82(s、1H)ppm。MS:422.1(MH)実測値。
【0133】
段階E:(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン
実施例1段階Eについての手順に従って段階Dの中間体から標題化合物を製造し、それ以上精製せずに次の段階で用いた。
【0134】
段階F:3−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]シクロペンタ−2−エン−1−オン
圧力管に、シクロペンタン−1,3−ジオン562mg(5.73mmol)と、次に(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン2.3g(5.46mmol)(段階E)のベンゼン(12.5mL)溶液を入れた。その溶液に、PTSA52mg(0.027mmol)および4Åモレキュラーシーブスビーズ(1g)を加えた。管を密閉し、3時間加熱した。管を冷却して室温とし、得られた溶液を濾過し、溶媒を減圧下に除去した。得られた明黄色油状物をEtOAc/ヘキサン(1/1)、次にEtOAc(100%)、次に塩化メチレン/メタノール(9/1)を溶離液とするシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製した。所望の生成物を含む分画(TLCによって決定)を合わせ、溶媒を減圧下に除去した。得られた黄色油状物を、ヘプタン/試薬級アルコール(87.5/12.5)を溶離液とするキラルセルODでの分取HPLCによって精製して、標題化合物を白色固体として得た。H−NMR(CDOD)回転異性体:δ1.43(d、3H、6.5Hz)、2.46(m、2H)、2.7〜2.85(m、2H)、3.40〜3.65(m、3H)、3.78〜4.20(m、3H)、4.76(5重線、1H、6.5Hz)、4.97、5.03(2s、1H)、6.98(t、2H)、7.18(brs、2H)、7.72(s、2H)、7.83(s、1H)ppm。MS:502.2(MH)実測値。
【0135】
3−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]シクロペンタ−2−エン−1−オンの結晶化を、メタノール水溶液中で行った(融点45〜46℃)。あるいは、エーテル/ヘキサン混合物中での結晶化によって、結晶固体を得た(融点44〜45℃)。
【実施例4】
【0136】
4−{[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−フェニルピロリジン−1−イル]カルボニル}−2,2−ジメチル−1,3−オキサゾリジン−3−カルボン酸tert−ブチル
段階A:4−{[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−フェニルピロリジン−1−イル]カルボニル}−2,2−ジメチル−1,3−オキサゾリジン−3−カルボン酸tert−ブチル
(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−フェニルピロリジン(実施例1段階E)38mg(0.094mmol)の塩化メチレン(7.5mL)溶液に、HOBT12.7mg(0.094mmol)、3−(tert−ブトキシカルボニル)−2,2−ジメチル−1,3−オキサゾリジン−4−カルボン酸34.7mg(0.14mmol)、トリエチルアミン0.04mL(0.28mmol)およびEDC54mg(0.28mmol)を加えた。得られた混合物を室温で16時間攪拌した。反応混合物をブライン5mLとの間で分配し、EtOAcで抽出した(5mLで3回)。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、溶媒を減圧下に除去した。黄色油状物を塩化メチレン/メタノール(95/5)を溶離液とする分取TLCによって精製して、標題化合物を得た。H−NMR(CDCl)回転異性体:δ1.4〜1.8(m、18H)、3.20〜3.70(m、2H)、3.88〜4.3(m、3H)、4.43〜4.70(m、1H)、6.97〜7.10(m、2H)、7.20〜7.35(m、3H)、7.53.7.55、7.62(3s、2H)、7.75、7.78(2s、1H)ppm。MS:631.3(MH)実測値。
【実施例5】
【0137】
2−アミノ−3−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−フェニルピロリジン−1−イル]−3−オキソプロパン−1−オール
段階A:2−アミノ−3−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−フェニルピロリジン−1−イル]−3−オキソプロパン−1−オール
4−{[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−フェニルピロリジン−1−イル]カルボニル}−2,2−ジメチル−1,3−オキサゾリジン−3−カルボン酸tert−ブチル(実施例4)48mgの塩化メチレン(3mL)溶液に、アニソール0.5mLおよびTFA 3mLを加えた。反応混合物を室温で2時間攪拌し、揮発分を減圧下に除去した。残留物を塩化メチレン(5mL)と飽和炭酸ナトリウム水溶液(5mL)との間で分配した。有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、溶媒を減圧下に除去した。残留物を、塩化メチレン/メタノール(9/1)を溶離液とする分取TLCによって精製して、標題化合物を得た。H−NMR(CDCl):δ1.43(d、3H、6.5Hz)、2.0(brs、3H)、3.30〜4.18(m、9H)、4.54(m、1H)、7.00〜7.08(m、2H)、7.22〜7.31(m、3H)、7.56(s、2H)、7.75(s、1H)ppm。MS:491.2(MH)実測値。
【実施例6】
【0138】
4−{[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−フェニルピロリジン−1−イル]カルボニル}−1,3−オキサゾリジン−2−オン
段階A:4−{[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−フェニルピロリジン−1−イル]カルボニル}−1,3−オキサゾリジン−2−オン
2−アミノ−3−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−フェニルピロリジン−1−イル]−3−オキソプロパン−1−オール(実施例5)15mg(0.03mmol)の塩化メチレン(3mL)溶液に、トリエチルアミン0.011mL(0.08mmol)を加えた。得られた混合物を冷却して0℃とし、2Mホスゲン/トルエン溶液0.015mL(0.03mmol)を注射器によって加えた。反応混合物を室温で8時間攪拌し、揮発分を減圧下に除去した。暗黄色残留物を、塩化メチレン/メタノール(95/5)を溶離液とする分取TLCによって精製して、標題化合物を得た。H−NMR(CDCl)回転異性体:δ1.43(d、3H、6.5Hz)、3.30〜4.13(m、7H)、4.40〜4.70(m、3H)、7.00〜7.10(m、2H)、7.20〜7.30(m、3H)、7.55(s、2H)、7.60(s、1H)、7.75、7.77(2s、1H)ppm。MS:517.0(MH)実測値。
【実施例7】
【0139】
3−[(3R,4R)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]シクロペンタ−2−エン−1−オン
段階A:(3R,4R)−3−{[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]オキシ}−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
フラスコに、(3S,4R)3−ヒドロキシ−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(実施例2段階B、Rt16.278分、キラセルADカラム)3.38g(12mmol)、3,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸9.31g(36.1mmol)、トリフェニルホスフィン9.45g(36.1mmol)を入れた。フラスコの排気および窒素充填を数回行った。その混合物に、脱水トルエン100mLを加えた。得られた混合物を冷却して0℃とし、DEAD5.7mL(36.1mmol)を滴下した。30分後、反応混合物を昇温させて室温とし、室温で16時間攪拌した。反応混合物を濾過し、EtOAc/ヘキサンで洗浄し、濾液の溶媒を減圧下に除去した。残留物を、ヘキサン/EtOAc勾配(5−20−30−50%EtOAc/ヘキサン)を溶離液とするシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。NMR(CDCl):δ1.54(s、9H)、3.7〜3.8(m、2H)、3.8〜4.1(m、3H)、5.67(s、1H)、7.04(t、2H、8.5Hz)、7.31(t、2H、8.5Hz)、8.0〜8.1(m、1H)、8.15〜8.30(m、1H)ppm。
【0140】
段階B:(3R,4R)−3−({1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
段階Aの生成物6.1g(11.7mmol)の脱水トルエン(110mL)溶液に窒素雰囲気下にて、調製したばかりのジメチルチタノセン7.4g(35.2mmol)を加えた。反応液を80℃で20時間加熱した。揮発分を減圧下に除去し、残留物をEtOAc/ヘキサン勾配(10−30%EtOAc/ヘキサン)を溶離液とするシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た。それを直ちに次の反応に用いた。NMR(CDCl):δ1.53(s、9H)、3.63〜4.1(m、5H)、4.8〜4.9(m、2H)、7.06〜7.13(m、2H)、7.30〜7.38(m、2H)、7.32(s、2H)、7.80(s、1H)ppm。
【0141】
段階C:(3R,4R)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
段階Bの生成物2.1g(4.05mmol)のメタノール(30mL)溶液に、Pd(OH)/炭素触媒0.7gを加えた。反応容器を排気し、水素を風船によって導入した。反応混合物を1気圧の水素下に16時間攪拌した。混合物をセライトで濾過し、メタノールで洗い、溶媒を減圧下に除去した。残留物を、ヘキサン/EtOAc(98/2次に80/20の直線勾配)を溶離液とするシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を得た(少量のS−メチルジアステレオマーを伴っている)。NMR(CDCl):δ1.40(d、3H、6.5Hz)、1.52〜1.57(m、9H)、3.28〜3.36(m、1H)、3.48〜3.54(m、5H)、3.70〜3.90(m、4H)、4.50〜4.58(m、1H)、7.00〜7.06(m、2H)、7.22〜7.30(m、4H)、7.71(s、1H)ppm。
【0142】
段階D:(3R,4R)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン塩酸塩
段階Cの生成物1.36g(2.6mmol)のEtOAc溶液に、等量のHClガスで飽和したEtOAcを加えた。反応混合物を室温で1.5時間攪拌し、揮発分を減圧下に除去した。残留物をエーテルで磨砕して、標題化合物を固体として得た。MS:422(MH)。
【0143】
段階E:(3R,4R)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン
段階Dの生成物を、振盪しながら塩化メチレンと飽和重炭酸ナトリウム水溶液との間で分配した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、溶媒を減圧下に除去して標題化合物を得た。それをそれ以上精製せずに用いた。NMR(CDCl):δ1.44(d、3H、6Hz)、3.49(dd、1H;13,3Hz)、3.54〜3.61(m、1H)、3.70〜3.81(m、3H)、4.07(t、1H、3.5Hz)、4.74(q、1H、6.5Hz)、7.05(dd、1H;5,8.5Hz)、7.34(dd、1H;5、8.5Hz)、7.44(m、1H)、7.80(s、1H)ppm。
【0144】
段階F:3−[(3R,4R)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]シクロペンタ−2−エン−1−オン
段階Eの生成物60mg(0.142mmol)の脱水トルエン(5mL)溶液に窒素雰囲気下で、シクロペンタン−1,3−ジオン21mg(0.214mmol)、次に触媒量のPTSA(約5mg)を加えた。反応混合物を16時間加熱還流した。反応混合物を冷却して室温とし、塩化メチレンで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液との間で分配した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、溶媒を減圧下に除去した。残留物を、EtOAc(3回展開)を展開液とする分取TLCによって精製して標題化合物を得た。NMR(CDOD):δ1.36〜1.41(m、3H)、2.45〜2.55(m、2H)、2.75〜2.95(m、2H)、3.45〜3.7(m、2H)、3.7〜3.8(m、2H)、3.85〜4.15(m、2H)、4.76(q、1H、6.5Hz)、5.07〜5.10(m、1H)、7.06(dd、2H;2、9Hz)、7.37(dd、1H;5.5、9Hz)、7.45(s、2H)、7.78(s、1H)ppm。MS:502(M+H)。
【実施例8】
【0145】
(5R)−3−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]−5−メチルシクロペンタ−2−エン−1−オンおよび(5S)−3−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]−5−メチルシクロペンタ−2−エン−1−オン
段階A:(5R)−3−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]−5−メチルシクロペンタ−2−エン−1−オンおよび(5S)−3−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]−5−メチルシクロペンタ−2−エン−1−オン
丸底フラスコ中、3−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]シクロペンタ−2−エン−1−オン(実施例3段階F)40mg(0.07977mmol)をテトラヒドロフランと共沸させた(2回)。フラスコを窒素雰囲気下に保存し、取得物をテトラヒドロフラン(2.5mL)に溶かし、冷却して−78℃とした。その溶液に、1.5M LDA溶液0.067mL(1.25当量、0.0997mmol)を注射器によって加えた。得られた黄色溶液を−78℃で1時間攪拌し、HMPA 0.2mLを注射器によって加えた。5分後、ヨウ化メチル0.124mL(0.199mmol)を注射器によって加えた。得られた黄色溶液を−78℃で4時間攪拌してから、水1mLを加えることで反応停止した。得られた混合物を昇温させて室温とし、2N HCl水溶液でpH<3の酸性とし、EtOAcで抽出した(5mLで3回)。合わせた有機抽出液を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、溶媒を減圧下に除去して、黄色油状物40mgを得た。得られた油状物を、塩化メチレン/メタノール(95/5)を溶離液とするシリカゲルでの分取TLCによって精製した。Rfが約0.5であるUV活性帯域を単離した。得られた黄色油状物を、ヘプタン/試薬級アルコール(93.5/6.5)を溶離液とするキラルセルADでの分取HPLCによって精製して、ジアステレオマーAおよびジアステレオマーBを得た(各メチル異性体の絶対立体化学は割り当てなかった)。異性体A、H−NMR(CDOD)回転異性体δ:1.17、1.21(2d、3H)、1.43(d、3H、6.5Hz)、2.52(m、1H)、2.83(dd、1H)、3.04(m、1H)、3.37〜4.20(m、6H)、4.73(m、1H)、4.88、4.96(2s、1H)、6.90〜7.02(m、2H)、7.12〜7.20(m、2H)、7.67(s、2H)、7.80(s、1H)ppm。異性体B、H−NMR(CDOD)回転異性体:δ1.10(2d、3H)、1.42(d、3H、6.5Hz)、2.37(t、1H)、2.51(m、1H)、3.00(m、1H)、3.36〜3.60(m、3H)、3.74〜4.20(m、3H)、4.23(q、1H、6.5Hz)、4.90、4.97(2s、1H)、6.92〜7.01(m、2H)、7.13〜7.20(m、2H)、7.65(s、1H)、7.66(s、1H)、7.81(s、1H)ppm。MS:516.2(MH)両方の化合物についての実測値。
【実施例9】
【0146】
(5R)−3−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]−5−ヒドロキシシクロペンタ−2−エン−1−オンおよび(5S)−3−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]−5−ヒドロキシシクロペンタ−2−エン−1−オン
段階A:(5R)−3−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]−5−ヒドロキシシクロペンタ−2−エン−1−オンおよび(5S)−3−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]−5−ヒドロキシシクロペンタ−2−エン−1−オン
丸底フラスコ中、3−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]シクロペンタ−2−エン−1−オン(実施例3段階F)20mg(0.0399mmol)を、窒素雰囲気下にテトラヒドロフラン(1mL)に溶かし、冷却して−78℃とした。その溶液に、注射器によって2M LDA/ヘプタン/THF溶液0.024mL(1.2当量、0.0479mmol)を加えた。得られた黄色溶液を−78℃で1時間攪拌し、MoOPH 34.7mg(0.0798mmol)のTHF(1mL)溶液を注射器によって加えた。得られた深黄色溶液を、−78℃で1時間、次に0℃から室温で10分間攪拌し、飽和NaSO水溶液を加えることで反応停止した。得られた混合物を10分間攪拌し、EtOAcで抽出した(10mLで2回)。合わせた有機抽出液を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、溶媒を減圧下に除去した。得られた油状物を、塩化メチレン/メタノール(9/1)を展開液とするシリカゲルでの分取TLCによって精製した。Rfが約0.4であるUV活性帯域を単離した。得られた黄色油状物を、ヘプタン/試薬級アルコール(77.5/22.5)を溶離液とするキラルセルODでの分取HPLCによって精製して、ジアステレオマーAおよびジアステレオマーBを得た(各ヒドロキシ異性体の絶対立体化学は割り当てていない)。異性体A、H−NMR(CDOD)回転異性体δ:1.42(d、3H、6.5Hz)、2.50(m、1H)、3.18(m、1H)、3.30〜4.30(m、6H)、4.66〜4.90(m、2H)、4.93、4.98(2s、1H)、6.90〜7.00(t、2H)、7.10〜7.20(m、2H)、7.67(s、2H)、7.80(s、1H)ppm。異性体B、H−NMR(CDOD)回転異性体δ:1.41(d、3H、6.5Hz)、2.53(t、1H)、3.13(m、1H)、3.30〜4.30(m、6H)、4.75〜4.85(m、2H)、4.90、4.97(2s、1H)、6.96(t、2H)、7.17(t、2H)、7.66(s、1H)、7.66(s、1H)、7.79(s、lH)ppm。MS:516.2(MH)両方の化合物の実測値。
【実施例10】
【0147】
3−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]−4−メチルシクロペンタ−2−エン−1−オン
段階A:3−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]−4−メチルシクロペンタ−2−エン−1−オン
丸底フラスコ中、3−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]シクロペンタ−2−エン−1−オン(実施例3、段階F)50mg(0.0997mmol)を、窒素雰囲気下にテトラヒドロフラン(5mL)に溶かし、冷却して−78℃とした。その溶液に、注射器によって、1M LiHMDS/THF溶液0.090mL(0.9当量、0.0897mmol)を加えた。得られた淡黄色溶液を、−78℃で1時間攪拌し、注射器によってヨウ化メチル0.0155mL(0.249mmol)を加えた。得られた黄色溶液を−78℃で5分間攪拌し、30分間かけて昇温させて室温とした。飽和NHCl水溶液2mLを加えることで反応停止し、5分間攪拌し、水2mLを加えた。得られた混合物をエーテルで抽出した(10mLで3回)。合わせた有機抽出液を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、溶媒を減圧下に除去して、黄色油状物を得た。得られた油状物を、塩化メチレン/メタノール(9/1)を溶離液とするシリカゲルでの分取TLCによって精製した。Rfが0.85であるUV活性帯域を単離した。得られた黄色油状物(48mg)を、ヘプタン/純粋アルコール(94/6)を溶離液とするキラルセルODでの分取HPLCによって精製して、標題化合物を立体異性体の混合物として得た。H−NMR(CDOD)回転異性体:δ1.2〜1.45(m、6H)、2.04(m、1H)、2.78(m、1H)、3.18(m、1H)、3.30〜4.35(m、6H)、4.7〜4.9(m、2H)、4.95、5.0(2d、1H)、6.95〜7.02(m、2H)、7.10〜7.22(m、2H)、7.62(s、1H)、7.80(s、1H)、7.83(s、1H)ppm。MS:516.2(MH)実測値。
【実施例11】
【0148】
(4R)−3−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]−4−ヒドロキシシクロペンタ−2−エン−1−オンおよび(4S)−3−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]−4−ヒドロキシシクロペンタ−2−エン−1−オン
段階A:(4R)−3−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]−4−ヒドロキシシクロペンタ−2−エン−1−オンおよび(4S)−3−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]−4−ヒドロキシシクロペンタ−2−エン−1−オン
丸底フラスコ中、3−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]シクロペンタ−2−エン−1−オン(実施例3段階F)250mg(0.4985mmol)を、窒素雰囲気下にてテトラヒドロフラン(5mL)に溶かし、冷却して−78℃とした。その溶液に、注射器によって1M LiHMDS/THF0.450mL(0.9当量、0.4487mmol)溶液を加えた。得られた淡黄色溶液を−78℃で1時間攪拌し、固体MoOPh433mg(0.9971mmol))を加えた。得られた黄色溶液を−78℃で5分間攪拌し、昇温させて室温とした。45分後、飽和NaSO水溶液3mLを加えることで反応停止し、5分間攪拌し、塩化メチレンで抽出した(10mLで3回)。合わせた有機抽出液を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、溶媒を減圧下に除去して黄色油状物を得た。得られた油状物を、塩化メチレン/メタノール(9/1)を溶離液とするシリカゲルでの分取TLCによって精製した。UV活性帯域を単離した。得られた黄色油状物(118mg)を、ヘプタン/純粋アルコール(87.5/12.5)を溶離液とするキラルセルODでの分取HPLCによって精製して、標題化合物の異性体Aおよび標題化合物の異性体Bを得た(4位での絶対立体化学は割り当てていない)。異性体A、H−NMR(CDOD)回転異性体δ:1.43(m、3H)、2.28(dd、1H)、2.81(m、1H)、2.95(m、2H)、3.65(m、1H)、3.83(m、1H)、4.13(m、1H)、4.45(m、1H)、4.78(m、1H)、4.98(m、2H)、6.96(d、2H、8.5Hz)、7.13(m、2H)、7.73(s、1H)、7.77(s、1H)、7.82(s、1H)ppm。異性体B、H−NMR(CDOD)回転異性体:δ1.43(m、3H)、2.28(m、1H)、2.80(m、1H)、3.20〜3.55(m、2H)、3.55〜4.23(m、3H)、4.60〜5.0(m、3H)、6.98(t、2H、8.5Hz)、7.17(m、2H)、7.65(s、1H)、7.70(s、1H)、7.81(s、1H)ppm。MS:518.2(MH)両方の化合物の実測値。
【実施例12】
【0149】
2−{2−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]−5−オキソシクロペンタ−1−エン−1−イル}アセトアミド
段階A:3−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]−2−[(ジメチルアミノ)メチル]シクロペンタ−2−エン−1−オン
圧力管中、3−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]シクロペンタ−2−エン−1−オン(実施例3段階F)50mg(0.0997mmol)、パラホルムアルデヒド10.5mg(0.3489mmol)およびジメチルアミン塩酸塩20.3mg(0.2493mmol)をエタノール(4mL)に溶かした。管を密閉し、油浴で90℃にて3時間加熱した。反応混合物を冷却して室温とし、管を開け、溶媒を減圧下に除去した。残留物を、1N NaOH水溶液5mLとEtOAc(5mLで3回)との間で分配した。合わせた有機抽出液を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、溶媒を減圧下に除去して黄色油状物を得た。得られた油状物を、塩化メチレン/メタノール(9/1)を溶離液とするシリカゲルでの分取TLCによって精製した。相対的に極性が高いUV活性帯域を単離して、標題化合物をガラス状黄色固体として得た。H−NMR(CDOD)回転異性体:δ1.44(d、3H、6.5Hz)、2.4〜2.90(m、10H)、3.4〜4.6(m、8H)、4.82(brs、1H)、6.97(t、2H、8.5Hz)、7.23(brs、2H)、7.69(s、2H)、7.80(s、1H)ppm。MS:559.1(MH)実測値。
【0150】
段階B:{2−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]−5−オキソシクロペンタ−1−エン−1−イル}−N,N,N−トリメチルメタンアミニウムヨージド
圧力管中、3−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル{オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]−2−[(ジメチルアミノ)メチル]シクロペンタ−2−エン−1−オン(段階A)22mg(0.0394mmol)およびヨウ化メチル0.025mL(0.3939mmol)を、ベンゼン(1mL)に溶かした。管を密閉し、油浴で約60℃にて2.5時間加熱した。反応混合物を冷却して室温とし、管を開け、溶媒を減圧下に除去して、標題化合物を黄色油状物として得た。それをそれ以上精製せずに次の反応で用いた。
【0151】
段階C:{2−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]−5−オキソシクロペンタ−1−エン−1−イル}アセトニトリル
{2−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]−5−オキソシクロペンタ−1−エン−1−イル}−N,N,N−トリメチルメタンアミニウムヨージド(段階B)32mg(0.0394mmol)およびシアン化ナトリウム41.7mg(0.8505mmol)の95%エタノール(5mL)溶液を6時間還流させた。反応混合物を冷却して室温とし、溶媒を減圧下に除去した。残留物を、塩化メチレン/メタノール(9/1)を展開液とするシリカゲルでの分取TLCによって精製した。UV活性帯域(Rf約0.4)を単離して、標題化合物をガラス状黄色固体として得た。H−NMR(CDOD):δ1.45(d、3H、6.5Hz)、2.43(brs、2H)、2.79(brs、2H)、3.4〜4.55(m、8H)、4.79(q、1H、6.5Hz)、6.99(t、2H、8.5Hz)、7.20(m、2H)、7.72(s、2H)、7.83(s、1H)ppm。MS:541.0(MH)実測値。
【0152】
段階D:2−{2−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]−5−オキソシクロペンタ−1−エン−1−イル}アセトアミド
{2−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]−5−オキソシクロペンタ−1−エン−l−イル}アセトニトリル(段階C)5.8mg(0.0107mmol)のDMSO(5滴)溶液に、炭酸カリウム10mg(0.072mmol)および30%過酸化水素水溶液5滴を加えた。反応混合物を室温で4時間攪拌し、揮発分を窒素ガス気流を用いて終夜除去した。残留物を、塩化メチレン/メタノール(9/1)を溶離液とするシリカゲルでの分取TLCによって精製した。UV活性帯域(Rf=約0.7)を単離して、標題化合物をガラス状透明固体として得た。H−NMR(CDOD):δ1.44(d、3H、6.5Hz)、2.43(brs、2H)、2.76(brs、2H)、3.3〜4.45(m、8H)、4.77(q、1H、6.5Hz)、6.98(t、2H、8.5Hz)、7.18(m、2H)、7.72(s、2H)、7.83(s、1H)ppm。MS:559.1(M+H)実測値。
【実施例13】
【0153】
2−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]−5−オキソシクロペンタ−1−エン−1−カルボン酸メチル
段階A:3−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]−2−ブロモシクロペンタ−2−エン−1−オン
丸底フラスコ中、3−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]シクロペンタ−2−エン−1−オン(実施例3段階F)150mg(0.299mmol)を、窒素雰囲気下にて塩化メチレン(5mL)に溶かし、冷却して0℃とした。その溶液に、臭素300mg(1.877mmol)の塩化メチレン(5mL)溶液を加えた。得られた溶液を0℃で0.25時間攪拌し、透明溶液が得られるまで飽和NaSO水溶液を加えることで反応停止した。混合物を水5mLで希釈し、塩化メチレンで抽出した(5mLで3回)。合わせた有機抽出液を無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、溶媒を減圧下に除去した。得られた油状物を塩化メチレン/メタノール(95/5)を溶離液とするシリカゲルでの分取TLCによって精製して、標題化合物および少量の相対的に極性が低い2,2−ジブロモ化合物を得た。モノブロマイド、H−NMR(CDOD):δ1.44(d、3H)、2.48(brs、2H)、2.87(m、2H)、3.43(m、1H)、3.66(m、1H)、4.0〜4.22(m、2H)、4.70〜4.83(m、2H)、6.98(t、2H)、7.18(dd、2H)、7.70(s、2H)、7.83(s、1H)ppm。MS:580.0および582(MH)実測値。ジブロマイド、H−NMR(CDOD):δ1.46(d、3H)、2.82(d、1H)、3.24(dd、1H)、3.38〜4.85(m、7H)、5.35、5.36(2s、1H)、7.00(m、2H)、7.20(m、2H)、7.67〜7.87(m、3H)ppm。MS:657.9、659.9および661.9(MH)実測値。
【0154】
段階B:2−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]−5−オキソシクロペンタ−1−エン−1−カルボン酸メチル
丸底フラスコ中、3−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]−2−ブロモシクロペンタ−2−エン−1−オン(実施例14段階A)50mg(0.0862mmol)をメタノール(10mL)に溶かした。その溶液に、トリエチルアミン0.25mLを加えた。溶液を脱気し、窒素で数回パージした。その溶液に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)Pd(0)触媒15mg(0.0129mmol)を加えた。フラスコに還流冷却管および一酸化炭素風船を取り付けた。反応混合物を脱気し、COで数回パージし、CO雰囲気下に16時間加熱還流した。反応を冷却して室温とし、揮発分を減圧下に除去した。残留物を、塩化メチレン5mLに溶かし、フィルター助剤で濾過し、溶媒を減圧下に除去して、褐色油状物を得た。得られた油状物を、塩化メチレン/メタノール(9/1)を溶離液とするシリカゲルでの分取TLCによって精製した。生成物帯域Rf約0.6を単離して、標題化合物を油状物として得た。H−NMR(CDOD):δ1.43(t、3H)、2.44(m、1H)、2.48(t、1H)、2.80(t、1H)、2.87(q、1H)、3.65〜3.90(m、3H)、3.67、3.82(2s、3H)、4.05〜4.22(m、2H)、4.72(m、1H)、6.97(t、2H)、7.17(m、2H)、7.68(s、2H)、7.80、7.81(2s、1H)ppm。MS:559.9(MH)実測値。
【実施例14】
【0155】
2−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]−N−メチル−5−オキソシクロペンタ−1−エン−1−カルボキサミド
段階A:2−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]−N−メチル−5−オキソシクロペンタ−1−エン−1−カルボキサミド
丸底フラスコ中、3−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]−2−ブロモシクロペンタ−2−エン−1−オン(実施例14段階A)85mg(0.146mmol)を、2.0Mメチルアミン/THF溶液6mLに溶かした。その溶液に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)Pd(0)触媒45mg(0.038mmol)を加えた。フラスコに還流冷却管および一酸化炭素風船を取り付けた。反応混合物を脱気し、COで数回パージし、CO雰囲気下に16時間加熱還流した。反応液を冷却して室温とし、フィルター助剤で濾過し、溶媒を減圧下に除去して褐色油状物を得た。得られた油状物を、塩化メチレン/メタノール(9/1)を溶離液とするシリカゲルでの分取TLCによって精製した。生成物帯域Rf約0.5を単離して、標題化合物を淡黄色油状物として得た。H−NMR(CDOD):δ1.43(t、3H、6.5Hz)、2.47(m、2H)、2.75〜2.90(m、5H)、3.47(m、1H)、3.75(m、1H)、3.90〜4.25(m、3H)、4.74(m、1H)、6.97(q、2H)、7.19(m、2H)、7.68(s、2H)、7.83(s、1H)ppm。MS:559.1(MH)実測値。
【0156】
上記のものと同等の手順を用いて、下記の実施例の化合物を製造した。
【0157】
【表3】























【0158】
上記のものと同等の手順を用いて、下記の実施例化合物を製造した。
【0159】
【表4】







【0160】
上記のものと同等の手順を用いて、表に示した下記の実施例化合物を、ラセミ体(混合物)で、あるいはキラルクロマトグラフィーによる分離によって単独のエナンチオマーとして製造した。
【0161】
【表5】



【0162】
以上、本発明のある特定の実施形態を参照しながら本発明について記載および説明したが、当業者であれば、本発明の精神および範囲を逸脱しない限りにおいて、手順および手法について各種の調節、変更、修正、置換、削除または追加を行うことが可能であることは明らかであろう。例えば、上記で示した本発明の化合物を用いて適応症の治療を受ける哺乳動物の応答性における変動の結果として、上記で記載の特定の用量以外の有効な用量を適用することが可能である。同様に、認められる具体的な薬理応答は、選択される特定の活性化合物または医薬担体の有無、ならびに用いられる製剤の種類および投与形態に従い、それらに応じて変動し得るものであり、結果におけるそのような予想される変動または相違は、本発明の目的および実務に従って想到されるものである。従って本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義され、そのような特許請求の範囲は妥当な限り広く解釈すべきものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式Iの化合物および該化合物の製薬上許容される塩。
【化1】

[式中、
、R1aおよびR1bは、H、F、Cl、Br、I、CH、CF、OH、OCH、NH、NHCH、SHおよびSCHからなる群から独立に選択され;
は、H、R、CORおよびSOからなる群から選択され;
Yは、結合、CHCHまたはCHであり;
Zは、CH、CHCH、CO、COCH、SOおよびSOCHからなる群から選択され;
は、H、C1−6アルキル、Rによって置換されていても良いフェニル、ベンジル、O−C1−6アルキル、O−ベンジル、N(R)−C1−6アルキル、N(R)−ベンジル、
【化2】


からなる群から独立に選択され;
は、HまたはC1−6アルキルであり;
、R6aおよびR6bは、H、F、Cl、CF、OCH、CH、COCH、COCH、CHCONH、CONH、CONHCHおよびSOCHからなる群から独立に選択される。]
【請求項2】
下記式Iaの請求項1に記載の化合物。
【化3】

[式中、Y、Z、R、RおよびRは請求項1で定義の通りである。]
【請求項3】
Yが結合である請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
がHまたはFである請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
がRである請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
が、下記のものからなる群から選択される請求項5に記載の化合物。
【化4】

[式中、RおよびR6aは請求項1で定義の通りである。]
【請求項7】
がCORである請求項4に記載の化合物。
【請求項8】
が、−NHCH、−NHCHCH、−N(CH、−OCH、−OC(CH、−CH、−CHCH、−CH(CH
【化5】

からなる群から選択され;R、R6aおよびR6bが請求項1で定義の通りである請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
下記からなる群から選択される化合物および該化合物の製薬上許容される塩。
【化6】

ここで、RおよびRは下記の表から選択される。
【表1】









【請求項10】
(3R,4S)−1−アセチル−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−フェニルピロリジン;
(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)−N−メチルピロリジン−1−カルボキサミド;
3−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]シクロペンタ−2−エン−1−オン;
4−{[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−フェニルピロリジン−1−イル]カルボニル}−2,2−ジメチル−1,3−オキサゾリジン−3−カルボン酸tert−ブチル;
2−アミノ−3−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−フェニルピロリジン−1−イル]−3−オキソプロパン−1−オール;
4−{[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−フェニルピロリジン−1−イル]カルボニル}−1,3−オキサゾリジン−2−オン;
3−[(3R,4R)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]シクロペンタ−2−エン−1−オン;
(5R)−3−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]−5−メチルシクロペンタ−2−エン−1−オン;
(5S)−3−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]−5−メチルシクロペンタ−2−エン−1−オン;
(5R)−3−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]−5−ヒドロキシシクロペンタ−2−エン−1−オン;
(5S)−3−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]−5−ヒドロキシシクロペンタ−2−エン−1−オン;
3−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]−4−メチルシクロペンタ−2−エン−1−オン;
(4R)−3−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]−4−ヒドロキシシクロペンタ−2−エン−1−オン;
2−{2−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]−5−オキソシクロペンタ−1−エン−1−イル}アセトアミド;
2−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]−5−オキソシクロペンタ−1−エン−1−カルボン酸メチル;および
2−[(3R,4S)−3−({(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}オキシ)−4−(4−フルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]−N−メチル−5−オキソシクロペンタ−1−エン−1−カルボキサミド
からなる群から選択される化合物。
【請求項11】
製薬上許容される担体および治療上有効量の請求項1に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項12】
哺乳動物における受容体部位でのサブスタンスPの効果の拮抗またはニューロキニン−1受容体の遮断方法であって、哺乳動物における受容体部位でのサブスタンスPの効果に拮抗する上で有効な量で、請求項1に記載の化合物を前記哺乳動物に投与する段階を有する方法。
【請求項13】
過剰のタキキニン類に関連する生理的障害の治療方法であって、それを必要とする患者に対して、タキキニンを減少させる量の請求項1に記載の化合物または本発明の化合物を含む組成物を投与する段階を有する方法。
【請求項14】
過剰のサブスタンスPに関連する生理的障害の治療方法であって、それを必要とする患者に対して、サブスタンスPを減少させる量の請求項1に記載の化合物または本発明の化合物を含む組成物を投与する段階を有する方法。
【請求項15】
治療を必要とする哺乳動物での抑鬱の治療方法であって、該哺乳動物に対して、治療上有効量の請求項1に記載の化合物を投与する段階を有する方法。
【請求項16】
治療を必要とする哺乳動物での不安の治療方法であって、該哺乳動物に対して、治療上有効量の請求項1に記載の化合物を投与する段階を有する方法。
【請求項17】
治療を必要とする哺乳動物での嘔吐の治療方法であって、該哺乳動物に対して、治療上有効量の請求項1に記載の化合物を投与する段階を有する方法。

【公表番号】特表2007−507504(P2007−507504A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533976(P2006−533976)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/031294
【国際公開番号】WO2005/032464
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】