説明

半導体装置、および、半導体装置の製造方法

【課題】チャネル領域に強い歪みを印加することによりデバイス特性を改善した半導体装置を提供すること。
【解決手段】半導体基板1と、半導体基板1の第1の面に形成されたゲート絶縁膜2と、ゲート絶縁膜2の上に形成されたゲート電極3と、ゲート電極3の側壁に形成されたゲート側壁絶縁膜4と、ゲート電極3の下の半導体基板1中に形成されるチャネル領域に隣接し、不純物が注入されたソース/ドレイン拡散層領域5、6と、ゲート電極3の上方を除き、ソース/ドレイン拡散層領域5、6の上に形成された応力印加膜8と、を有し、半導体基板1の第1の面におけるソース/ドレイン拡散層領域5、6が形成された領域には、凹部または凸部50、51、60、61が設けられている半導体装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、および、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の微細な電界効果型トランジスタ(FET)では、チャネル領域に歪みを加えることによりデバイス性能を向上させる、歪みチャネル技術が用いられている。
【0003】
n型FETに対してはチャネル領域にソース・ドレイン方向の一軸性引張り歪みを、p型FETに対してはソース・ドレイン方向の一軸性圧縮歪みを加えることにより、性能が向上することが従来からよく知られている。その際、印加された歪みが強い程、より高いデバイス性能が期待できる。
【0004】
ソース・ドレイン方向の一軸性歪みを導入する方法として、FET上面を覆うように応力印加膜を形成する方法が一般的に用いられており、n型、p型FETに対して、それぞれ別々の応力印加膜を導入する構造が提案されている(非特許文献1)。
【0005】
また、ソース・ドレイン領域をせり上げた構造を用いる場合に、応力印加膜によるチャネル領域の歪みを増強するため、ゲート側壁絶縁膜をエッチングして、ソース・ドレイン領域とゲート領域との間に空間を作ることにより、応力印加膜をチャネル領域に近づける構造も提案されている(特許文献1)。
【0006】
さらに、金属置換ゲートプロセスにおいて、応力膜形成後にダミーゲート電極およびゲート電極上部の応力印加膜を除去することにより、チャネルに印加される応力が増強されることも報告されている(非特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2007/077748号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】H. S. Yang et al., "Dual Stress Liner for High Performance sub-45nm Gate Length SOI CMOS Manufacturing", 2004 International Electron Devices Meeting Technical Digest, The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc., 1075-1078 (2004).
【非特許文献2】S. Yamakawa et al., "Study of Stress Effect on Replacement Gate Technology with Compressive Stress Liner and eSiGe for pFETs", Proceedings of 2008 International Conference on Simulation of Semiconductor Processes and Devices, The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc., 109-112 (2008).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の手法は下記のような問題を有している。
【0010】
従来は、応力印加膜がゲート電極上部を覆っていたため、チャネル領域に意図した歪みと逆方向の歪みが生じてしまい、チャネル領域に強い歪みを印加することが難しかった。また、応力印加膜の真性応力が大きい場合や、非特許文献2のようなゲート電極上部の応力印加膜を取り除いた構造などを用いて、応力印加膜とFET表面との界面に働く応力を増強した場合、応力印加膜がFET表面から剥がれ、チャネル領域の歪みが弱まってしまうという問題があった。
【0011】
そこで、本発明の目的は、チャネル領域に強い歪みを印加することによりデバイス特性を改善した半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、半導体基板と、前記半導体基板の第1の面に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜の上に形成されたゲート電極と、前記ゲート電極の側壁に形成されたゲート側壁絶縁膜と、前記ゲート電極の下の前記半導体基板中に形成されるチャネル領域に隣接し、不純物が注入されたソース/ドレイン拡散層領域と、前記ゲート電極の上方を除き、前記ソース/ドレイン拡散層領域の上に形成された応力印加膜と、を有し、前記半導体基板の前記第1の面における前記ソース/ドレイン拡散層領域が形成された領域には、凹部または凸部が設けられている半導体装置が提供される。
【0013】
また、本発明によれば、半導体基板の第1の面にゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜の上に位置するゲート電極と、を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜、および、前記ゲート電極を形成した領域と隣接する前記半導体基板中の領域である第1の領域の上に、前記第1の領域と接する面と反対側の面の少なくとも一部が、前記半導体基板の前記第1の面に対して略平行とならない第1の層を形成する工程と、前記第1の層に不純物を注入し、ソース/ドレイン拡散層領域を形成する工程と、前記ゲート電極の上方を除き、前記ソース/ドレイン拡散層領域の上に応力印加膜を形成する工程と、を有し、前記第1の層は、前記応力印加膜よりも、前記半導体基板との密着力が大きい材料で形成される半導体装置の製造方法が提供される。
【0014】
このような、本発明の半導体装置によれば、ソース/ドレイン拡散層領域が有する凸部または凹部により、ソース/ドレイン拡散層領域と、その上に設けられる応力印加膜と、の接触面積を大きくすることができる。このため、応力印加膜が、ソース/ドレイン拡散層領域の表面から剥がれ落ちるのを抑制することができる。
【0015】
また、本発明の半導体装置によれば、応力印加膜が収縮または膨張した際、応力印加膜は、ソース/ドレイン拡散層領域が有する凸部または凹部に引っ掛かかる。このため、直接的かつ機械的に、凸部または凹部の側面からソース/ドレイン拡散層領域に応力を加えることが可能となる。
【0016】
さらに、本発明の半導体装置は、ゲート電極の上方を、応力印加膜が覆っていない。このため、チャネル領域に意図した歪みと逆方向の歪みが生じてしまい、チャネル領域に強い歪みを印加するのが困難となるのを回避できる。
【0017】
すなわち、本発明の半導体装置によれば、半導体装置のチャネル領域に強い一軸性歪みを印加することができ、デバイス特性を向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、チャネル領域に強い歪みを印加することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1A】本発明の半導体装置の第1の実施の形態に係るFETの一例の断面図(1)である。
【図1B】本発明の半導体装置の第1の実施の形態に係るFETの一例の断面図(2)である。
【図1C】本発明の半導体装置の第1の実施の形態に係るFETの一例の断面図(3)である。
【図1D】本発明の半導体装置の第1の実施の形態に係るFETの一例の断面図(4)である。
【図2A】本発明の半導体装置の第2の実施の形態に係るFETの一例の断面図(1)である。
【図2B】本発明の半導体装置の第2の実施の形態に係るFETの一例の断面図(2)である。
【図2C】本発明の半導体装置の第2の実施の形態に係るFETの一例の断面図(3)である。
【図2D】本発明の半導体装置の第2の実施の形態に係るFETの一例の断面図(4)である。
【図2E】本発明の半導体装置の第2の実施の形態に係るFETの一例の断面図(5)である。
【図3】図2Eに示すFETにおいて、ゲート保護膜および層間絶縁膜を除いた構造の上面図である。
【図4】シミュレーションにより計算した一般的な構造での応力分布の等高線である。
【図5】シミュレーションにより計算した本発明の第2の実施の形態での応力分布の等高線である。
【図6】ソース・ドレイン方向応力σxxの深さ方向分布である。
【図7A】本発明の半導体装置の第3の実施の形態に係るFETの一例の斜視図(1)である。
【図7B】本発明の半導体装置の第3の実施の形態に係るFETの一例の斜視図(2)である。
【図7C】本発明の半導体装置の第3の実施の形態に係るFETの一例の斜視図(3)である。
【図7D】本発明の半導体装置の第3の実施の形態に係るFETの一例の斜視図(4)である。
【図7E】本発明の半導体装置の第3の実施の形態に係るFETの一例の斜視図(5)である。
【図7F】本発明の半導体装置の第3の実施の形態に係るFETの一例の斜視図(6)である。
【図7G】本発明の半導体装置の第3の実施の形態に係るFETの一例の斜視図(7)である。
【図7H】本発明の半導体装置の第3の実施の形態に係るFETの一例の斜視図(8)である。
【図7I】本発明の半導体装置の第3の実施の形態に係るFETの一例の斜視図(9)である。
【図8A】本発明の半導体装置の第4の実施の形態に係るFETの一例の斜視図(1)である。
【図8B】本発明の半導体装置の第4の実施の形態に係るFETの一例の斜視図(2)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
<第1の実施の形態>
【0021】
図1Dに本発明の第1の実施の形態の半導体装置の一例の断面図を示す。
【0022】
図に示すように、本実施の形態の半導体装置は、半導体基板1と、半導体基板1の第1の面(図中上側の面)に形成されたゲート絶縁膜2と、ゲート絶縁膜2の上に形成されたゲート電極3と、ゲート電極3の側壁に形成されたゲート側壁絶縁膜4と、ゲート電極3の下の半導体基板1中に形成されるチャネル領域に隣接し、不純物が注入されたソース/ドレイン拡散層領域5、6と、半導体基板1の第1の面(図中上側の面)における、前記ソース/ドレイン拡散層領域5、6が形成された領域に設けられる凸部50、60または凹部(図示せず)と、ゲート電極3の上方を除き、ソース/ドレイン拡散層領域5、6の上(図の場合、ソース/ドレイン拡散層領域5、6の凸部50、60の上)に形成された応力印加膜8と、を有する。さらに、ゲート電極3の上にゲート保護膜20を有してもよい。応力印加膜8は、収縮性材料または膨張性材料で構成されている。
【0023】
凸部50、60または凹部(図示せず)は、応力印加膜8と接する面の少なくとも一部が、半導体基板1の第1の面(図中上側の面)と略平行にならないように構成されてもよい。例えば、凸部50、60または凹部(図示せず)は、応力印加膜8と接する面の少なくとも一部において、半導体基板1の第1の面(図中上側の面)との角度が30度以上になるよう構成されてもよい。その他、凸部50、60または凹部(図示せず)は、応力印加膜8と接する面の少なくとも一部において、半導体基板1の第1の面(図中上側の面)との角度が略90度になるよう構成されてもよい。
【0024】
凸部50、60は、図1Dに示すように、ソース/ドレイン拡散層領域5、6が半導体基板1の第1の面(図中上側の面)から突出することで形成されてもよい。そして、凸部50、60と、ゲート側壁絶縁膜4との間には隙間(図中、略V字の隙間)が設けられ、この隙間には応力印加膜8が形成されていてもよい。この凸部50、60は、半導体基板1の第1の面(図中上側の面)からの高さが、10nm以上50nm以下程度とすることができる。上記高さはあくまで一例であり、本実施の形態の半導体装置は、これに限定されない。
【0025】
なお、本実施の形態のソース/ドレイン拡散層領域5、6の凸部または凹部は、図示する凸部50、60のほか、以下のような構成であってもよい。例えば、半導体基板1中に形成されたソース/ドレイン拡散層領域5、6が部分的に掘り下げられることで、凸部または凹部が形成されてもよい。または、半導体基板1中に形成されたソース/ドレイン拡散層領域5、6を、ゲート側壁絶縁膜4との間に隙間を設けないように半導体基板1の第1の面(図中上側の面)から突出させ、この突出させたソース/ドレイン拡散層領域5、6を部分的に掘り下げることで、凸部または凹部が形成されてもよい。後者の凸部または凹部は、以下の第2の実施の形態で説明する凸部51、61および凹部であってもよい。
【0026】
本実施の形態の半導体装置は、ソース/ドレイン拡散層領域5、6の凸部または凹部(例えば図1Dの凸部50、60)により、ソース/ドレイン拡散層領域5、6の応力印加膜8と接触する面の少なくとも一部は、半導体基板1の第1の面(図中上側の面)に対して略平行とならない。
【0027】
このような本実施の形態の半導体装置によれば、ソース/ドレイン拡散層領域5、6が有する凸部または凹部(例えば図1Dの凸部50、60)により、応力印加膜8と、ソース/ドレイン拡散層領域5、6との接触面積を大きくすることができる。このため、応力印加膜8が、ソース/ドレイン拡散層領域5、6の表面から剥がれ落ちるのを抑制することができる。
【0028】
また、本実施の形態の半導体装置によれば、応力印加膜8が収縮または膨張した際、応力印加膜8が凸部または凹部(例えば図1Dの凸部50、60)に引っ掛かかる。このため、直接的かつ機械的に、凸部または凹部(例えば図1Dの凸部50、60)の側面から、ソース/ドレイン拡散層領域5、6に応力を加えることが可能となる。
【0029】
なお、凸部または凹部(例えば図1Dの凸部50、60)の応力印加膜8と接する面の少なくとも一部は、半導体基板1の第1の面(図中上側の面)との角度が30度以上になるよう構成した場合、さらに、応力印加膜8が凸部または凹部(例えば図1Dの凸部50、60)に引っ掛かかりやすくなる。さらに、凸部(例えば図1Dの凸部50、60)の半導体基板1の第1の面(図中上側の面)からの高さが、10nm以上になるよう構成した場合、応力印加膜8が凸部または凹部(例えば図1Dの凸部50、60)に引っ掛かかりやすくなる。
【0030】
さらに、本実施の形態の半導体装置は、ゲート電極3の上方を、応力印加膜8が覆っていない。このため、チャネル領域に意図した歪みと逆方向の歪みが生じてしまい、チャネル領域に強い歪みを印加するのが困難となるのを回避できる。
【0031】
すなわち、本実施の形態の半導体装置によれば、半導体装置のチャネル領域に強い一軸性歪みを印加することができ、デバイス特性を向上させることが可能となる。
【0032】
次に、このような本実施の形態の半導体装置の製造方法について、説明する。
【0033】
本実施の形態の半導体装置の製造方法は、例えば図1Aに示すように、半導体基板1の第1の面(図中上側の面)にゲート絶縁膜2と、ゲート絶縁膜2の上に位置するゲート電極3と、を形成する工程と、例えば図1Bに示すように、ゲート絶縁膜2、および、ゲート電極3を形成した領域と隣接する半導体基板1中の領域である第1の領域(ソース/ドレイン拡散層領域5、6)の上に、第1の領域(ソース/ドレイン拡散層領域5、6)と接する面と反対側の面の少なくとも一部が、半導体基板1の第1の面(図中上側の面)に対して略平行とならない第1の層(凸部50、60)を形成する工程と、第1の層(凸部50、60)に不純物を注入し、ソース/ドレイン拡散層領域を形成する工程と、例えば図1Cに示すように、ゲート電極3の上方を除き、ソース/ドレイン拡散層領域(不純物を注入された凸部50、60)の上に応力印加膜8を形成する工程と、を有し、第1の層(凸部50、60)は、応力印加膜8よりも、半導体基板1との密着力が大きい材料で形成される。
【0034】
また、本実施の形態の半導体装置の製造方法は、半導体基板1(図1B参照)の第1の面(図中上側の面)は第1の半導体(例:Si)で形成され、第1の層(凸部50、60)を形成する工程は、CVD法により第1の半導体(例:Si)を成長させることで、第1の層(凸部50、60)を形成する工程とすることができる。
【0035】
また、本実施の形態の半導体装置の製造方法は、半導体基板1の第1の面(図中上側の面)は第1の半導体(例:Si)で形成され、第1の層(凸部50、60)を形成する工程は、フォトリソグラフィとエッチングにより図1Aの状態の第1の領域(ソース/ドレイン拡散層領域5、6となる領域:図1B参照)を選択的に掘り下げる工程と、CVD法により第1の半導体(例:Si)または第1の半導体(例:Si)と異なる半導体(例:SiGe)を成長させることで、前記掘り下げられた領域をも埋めた第1の層(凸部50、60)を形成する工程と、を有する工程とすることができる。
【0036】
また、本実施の形態の半導体装置の製造方法は、半導体基板1は、第1の半導体層と、前記第1の半導体層の表面に形成された絶縁膜層と、前記絶縁膜層の表面に形成された第2の半導体層と、を含み、前記第2の半導体層の前記絶縁層と接する面と反対側の面が、前記半導体基板の前記第1の面を構成したものとすることができる。
【0037】
以下、図1A〜1Dを用いて、本実施の形態の半導体装置の製造方法の一例について、詳細に説明する。図1A〜1Dは本実施の形態の半導体装置の構造の一例を工程順に示す断面図である。
【0038】
まず、周知の方法により図1Aのような通常のMOS型FET構造を形成する。例えば、半導体基板1としてSi基板を用い、半導体基板1の第1の面(図中上側の面)にゲート絶縁膜2を形成する。そして、ゲート絶縁膜2の上にゲート電極材料として例えばポリSiを堆積させ、フォトリソグラフィとエッチングによりゲート電極3を形成する。その後、ゲート保護膜20およびゲート側壁絶縁膜4を形成する。ゲート保護膜20およびゲート側壁絶縁膜4は、例えばCVD(化学気相成長)装置やスパッタ装置を用いて酸化Siや窒化Siなどの絶縁膜を堆積させた後、反応性イオンエッチング装置を用いてゲート側壁以外の絶縁膜を取り除くことで形成してもよい。その後、ソース領域5´およびドレイン領域6´にイオン注入を行い、エクステンション拡散層を形成する。イオン注入はn型の場合はAsやP、p型の場合はBやInを用いて、典型的には1cmあたり1×1014個程度のドーズ量で行うことができる。エクステンション拡散層が不要な場合はイオン注入を行う必要はない。
【0039】
なお、上記では、半導体基板1としてSi基板を用いているが、本実施の形態はこれに限定されず、半導体基板1としてSiGe基板やGe基板、歪みSi基板、歪みSiGe基板を用いることもできる。また、本実施の形態の半導体基板1は、第1の半導体層と、前記第1の半導体層の表面に形成された絶縁膜層と、前記絶縁膜層の表面に形成された第2の半導体層と、を含み、前記第2の半導体層の前記絶縁層と接する面と反対側の面が、前記半導体基板の前記第1の面を構成しているいわゆる、SOI(Silicon on Insulator)基板とすることもできる。
【0040】
図1Aの構造を得た後、図1Bのように、例えば図1Aに示すゲート側壁絶縁膜4を形成した時と同様の方法を用いて、ゲート側壁絶縁膜4を厚くする。その際、ゲート側壁絶縁膜4が酸化Siや窒化Siの積層構造になっても構わない。次に、ソース領域5´およびドレイン領域6´にイオン注入を行い、ソース拡散層領域5およびドレイン拡散層領域6を形成する。イオン注入はn型の場合はAsやP、p型の場合はBやInを用いて、典型的には1cmあたり1×1015個程度のドーズ量で行うことができる。
【0041】
次に、フォトレジストなどを用いてゲート側壁絶縁膜4およびゲート保護膜20をマスクした状態で、例えばCVD装置を用いて、ソース/ドレイン拡散層領域5、6の上に、凸部50、60を形成する。この凸部50、60は、ソース/ドレイン拡散層領域5、6を形成している基板または層と同じ材料を用いて形成することができる。すなわち、Si基板またはSi層にソース/ドレイン拡散層領域5、6を形成している場合、Siを用いて、凸部50、60を形成することができる。また、SiGe基板またはSiGe層にソース/ドレイン拡散層領域5、6を形成している場合、SiGeを用いて、凸部50、60を形成することができる。
【0042】
このようにして凸部50、60を形成した場合、結晶成長は同じ結晶構造を持つ領域に成長しやすいため、図1Bに示すように、ゲート側壁絶縁膜4が形成されている領域と、ソース/ドレイン拡散層領域5、6が形成されている領域と、の境目付近から、なだらかにせり上がった凸部50、60が形成される。すなわち、凸部50とゲート側壁絶縁膜4との間、および、凸部60とゲート側壁絶縁膜4との間に隙間が形成される。
【0043】
また、上記のような材料を選択して形成された凸部50、60は、その上に形成される応力印加膜8よりも、ソース/ドレイン拡散層領域5、6を形成している半導体基板1との密着力が大きくなる。
【0044】
なお、凸部50、60は、以下のような工程により形成することもできる。まず、凸部50、60を形成する前に、フォトリソグラフィとエッチングにより、図1Aの状態の半導体基板1のソース/ドレイン拡散層領域5、6となる領域(図1B参照)を選択的に掘り下げる。その後、フォトレジストを用いてゲート側壁絶縁膜4およびゲート保護膜20をマスクした状態で、例えばCVD装置を用いて、上記処理により掘り下げた領域を埋めるとともに、半導体基板1の第1の面から突出する凸部50、60を形成する。かかる場合の凸部50、60は、ソース/ドレイン拡散層領域5、6を形成する半導体基板1と同一の材料のみならず、異なる材料、すなわち格子定数の異なる材料を用いて形成することもできる。例えば、Si基板またはSi層にソース/ドレイン拡散層領域5、6を形成する場合、SiGeやSiCを用いて凸部50、60を形成してもよい。このようにして凸部50、60を形成した場合も、図1Bに示すような形状の凸部50、60が形成される。すなわち、凸部50とゲート側壁絶縁膜4との間、および、凸部60とゲート側壁絶縁膜4との間との間に隙間が形成される。また、凸部50、60と、半導体基板1との接触面積を大きくすることができるため、凸部50、60と、半導体基板1との密着力を大きくすることができ、結果、凸部50、60の材料の設計の幅を広げることが可能となる。
【0045】
なお、CVD装置による結晶成長の際に、PやBを含む気体を混合して、ソース/ドレイン拡散層領域5、6、凸部50、60に不純物を導入しても構わない。
【0046】
次に、図1Bに示す構造の凸部50、60にイオン注入を行う。イオン注入はn型の場合はAsやP、p型の場合はBやInを用いて、典型的には1cmあたり1015個程度のドーズ量で行うことができる。注入後、1000℃程度でアニールを行い、注入イオン種を活性化させる。この処理により、凸部50、60は、ソース領域およびドレイン領域の拡散層の一部となる。
【0047】
次に、図1Cに示すように、ゲート電極3の上方を除き、ソース領域およびドレイン領域の拡散層となった凸部50、60の上に、応力印加膜8を形成する。例えば、CVD装置を用いて窒化Siを成膜後、ゲート保護膜20の上の窒化SiをCMP(化学機械研磨)により取り除くことで、形成することができる。窒化Si膜は例えばSiHClとNHを用いて成膜することができるが、その際の混合比や成膜時の圧力を変えることにより、熱膨張率を制御することができる。n型FETの場合には、応力印加膜8は基板のSiよりも熱膨張率が大きく、成膜後の冷却過程で基板のSiよりも大きく収縮する物が望ましく、p型FETの場合は逆にSiよりも収縮しない物が望ましい。
【0048】
その後、応力印加膜8およびゲート保護膜20の上に、層間絶縁膜9として例えばSi酸化膜を形成し、フォトリソグラフィとエッチングにより、層間絶縁膜9および応力印加膜8を貫通する、ソース・ドレイン電極のコンタクト孔を開口する。そして、この孔に、電極材料としてAlやCuを埋め込んでソース電極10またはドレイン電極11を形成し、図1Dの構造を完成させる。
【0049】
なお、図1Dに示すような凸部50、60と異なる構成の凸部の形成方法は、従来のフォトリソグラフィとエッチングなどを用いて実現することができるので、ここでの説明は省略する。
<第2の実施の形態>
【0050】
本実施の形態は、第1の実施の形態を基本とし、凸部50、60の構成が一部異なる。以下、相違点を説明する。
【0051】
図2Eに本実施の形態の半導体装置の一例の断面図を示す。また、図3に、図2Eに示す半導体装置において、ゲート保護膜20および層間絶縁膜9を除いた構造の上面図を示す。なお、図2Eは、図3のA−A´の断面図に、ゲート保護膜20および層間絶縁膜9を加えたものである。
【0052】
図2Eに示すように、本実施の形態の半導体装置は、凸部50、60の応力印加膜8と接する面に、さらに、凸部51、61および凹部が形成されている。
【0053】
この凸部51、61または凹部の少なくとも一部は、ゲート電極3の延伸方向(図3参照)と略垂直に交わる直線である第1の直線と交わる方向に延伸してもよい。例えば、凸部51、61または凹部の少なくとも一部は、上述した第1の直線と略垂直に交わる方向に延伸してもよい。そして、凸部51、61または凹部は複数設けられ、複数の凸部51、61または凹部の少なくとも一部は、略平行に並んでもよい。
【0054】
図2E、3は、本実施の形態の一例として、凸部51、61が、ゲート電極3の延伸方向(図3参照)と略垂直に交わる直線である第1の直線と略垂直に延伸し、複数の凸部51、61または凹部が、略平行に並んでいる例を示してある。
【0055】
なお、本実施の形態の半導体装置は、第1の実施の形態で説明したとおり、半導体基板1中に形成されたソース/ドレイン拡散層領域5、6を、ゲート側壁絶縁膜4との間に隙間を設けないように半導体基板1の第1の面(図中上側の面)から突出させ、この突出させたソース/ドレイン拡散層領域5、6を部分的に掘り下げることで、凸部51、61および凹部を形成した構成とすることもできる。すなわち、図2Eの場合、凸部50、60とゲート側壁絶縁膜4との間に隙間が形成され、この隙間に応力印加膜8が形成されているが、このような隙間が形成されていなくてもよい。
【0056】
さらに、上述した凸部51、61は、格子上の溝構造や、孤立した複数の穴を持つ構造など別の構造とすることもできる。
【0057】
図2E、3に示す例のような、凸部50、60にさらに凸部51、61を設けた本実施の形態の半導体装置によれば、第1の実施の形態に比べて、応力印加膜8と、ソース/ドレイン拡散層領域5、6との接触面積をさらに大きくすることができる。このため、応力印加膜8が、ソース/ドレイン拡散層領域5、6の表面から剥がれ落ちるのをより抑制することができる。
【0058】
また、凸部51、61および凹部が、ゲート電極3の延伸方向(図3参照)と略垂直に交わる直線である第1の直線と交わる方向(垂直に交わる方向)に延伸するよう構成した場合、応力印加膜8が収縮または膨張した際、第1の実施の形態に比べて、応力印加膜8が凸部51、61または凹部に引っ掛かかりやすい。このため、直接的かつ機械的に、凸部51、61または凹部の側面から、ソース/ドレイン拡散層領域5、6に応力を加えやすくなる。
【0059】
また、延伸した凸部51、61および凹部の複数が略平行に並んでいる場合、応力印加膜8が収縮または膨張した際、凸部51および凹部に加わる応力の方向が揃いやすい。
【0060】
すなわち、本実施の形態の半導体装置によれば、半導体装置のチャネル領域に強い一軸性歪みを印加することができ、デバイス特性を向上させることが可能となる。
【0061】
さらに、本実施の形態の半導体装置は、上記効果のほか、ソース電極10およびドレイン電極11と、ソース/ドレイン拡散層領域(凸部51、61を有する凸部50、60)との接触面積を大きくすることができるので(図2E参照)、接触抵抗を低減するという副次的な効果も生じる。
【0062】
なお、本実施の形態の半導体装置は、図2E、3に示す構成とするのが望ましいが、上述の通り、これに限定されるわけではない。
【0063】
ここで、図4および図5は、それぞれ一般的な構造および本実施の形態の構造でのソース・ドレイン方向応力σxx分布の等高線をシミュレーションにより計算して示した図である。n型FETを想定し、チャネル領域に一軸性の引っ張り応力が加わるように、応力印加膜を真性応力が1.3GPaの圧縮性の窒化Si膜としてシミュレーションを行った。ゲート長は65nmである。
【0064】
図4および図5のそれぞれの分布のチャネル中央部分での深さ方向分布を示した図が図6であり、本実施の形態の構造によってソース・ドレイン方向応力σxxが増強されていることが分かる。このように、本実施の形態の構造を用いることにより、チャネル領域のσxxを増大することができるため、FETの特性を向上させることが可能となる。
【0065】
次に、このような本実施の形態の半導体装置の製造方法について、説明する。
【0066】
本実施の形態の半導体装置の製造方法は、第1の実施の形態の半導体装置の製造方法を基本とし、図2Bに示すように、ゲート絶縁膜2、および、ゲート電極3を形成した領域と隣接する半導体基板中の領域である第1の領域(ソース/ドレイン拡散層領域5、6)の上に、第1の領域(ソース/ドレイン拡散層領域5、6)と接する面と反対側の面の少なくとも一部が、半導体基板1の第1の面(図中上側の面)に対して略平行とならない第1の層を形成する工程は、第1の半導体または第1の半導体と異なる半導体を成長させた層(例:図2Aの50、60)を形成した後、フォトリソグラフィとエッチングにより、前記層(例:図2Aの50、60)に凹凸(例:図2Bの凸部51、61)を形成する工程をさらに有する。
【0067】
以下、図2A〜2Eを用いて、本実施の形態の半導体装置の製造方法の一例について、詳細に説明する。図2A〜2Eは、図1Bに示す構造以降の、本実施の形態の半導体装置の構造の一例を工程順に示す断面図である。なお、図1Bに示す構造を得るまでは、第1の実施の形態と同様にして実現することができるので、ここでの説明は省略する。
【0068】
図1Bの構造を得た後、図2Aに示すように、凸部50、60、ゲート保護膜20およびゲート側壁絶縁膜4の上にフォトレジストを塗布、露光・現像して、フォトレジスト7の所望のパターンを形成する。そして、反応性イオンエッチングにより凸部50、60をエッチング後、例えばアッシング装置を用いてフォトレジスト7を剥離することで、図2Bのような、凸部50、60の表面に所望の凸部51、61を形成した構造を得る。
【0069】
その後、図2Bの構造において、凸部51、61を有する凸部50、60に、イオン注入を行う。イオン注入はn型の場合はAsやP、p型の場合はBやInを用いて、典型的には1cmあたり1015個程度のドーズ量で行うことができる。注入後、1000℃程度でアニールを行い、注入イオン種を活性化させる。この処理により、凸部51、61を有する凸部50、60は、ソース領域およびドレイン領域の拡散層の一部となる。
【0070】
次に、図2Cに示すように、凸部51、61を有する凸部50、60の上に、応力印加膜8を形成する。応力印加膜8は典型的には窒化Siによって形成され、CVD装置を用いて成膜する。窒化Si膜は例えばSiHClとNHを用いて成膜することができるが、その際の混合比や成膜時の圧力を変えることにより、熱膨張率を制御することができる。n型FETの場合には、応力印加膜8は基板のSiよりも熱膨張率が大きく、成膜後の冷却過程で基板のSiよりも大きく収縮する物が望ましく、p型FETの場合は逆にSiよりも収縮しない物が望ましい。その後、図2Dに示すように、ゲート保護膜20の上の応力印加膜8をCMP(化学機械研磨)により取り除く。
【0071】
その後、応力印加膜8およびゲート保護膜20の上に、層間絶縁膜9として例えばSi酸化膜を形成し、フォトリソグラフィとエッチングにより、層間絶縁膜9および応力印加膜8を貫通する、ソース・ドレイン電極のコンタクト孔を開口する。そして、この孔に、電極材料としてAlやCuを埋め込んでソース電極10またはドレイン電極11を形成し、図2Eの構造を完成させる。
【0072】
なお、図2Eに示すような凸部51、61を有する凸部50、60と異なる構成の凸部の形成方法は、従来のフォトリソグラフィとエッチングなどを用いることで実現することができるので、ここでの説明は省略する。
<第3の実施の形態>
【0073】
図7Iに本実施の形態の半導体装置の一例の斜視図を示す。図7Iは、部分的に透過図としてある。また、図7Cに、図7Iに示す半導体装置を製造する途中における本実施の形態の半導体装置の一例の斜視図を示す。
【0074】
本実施の形態の半導体装置は、第2の実施の形態の半導体装置を基本とし、図7Cに示すように、半導体基板の第1の面はデバイス層101で構成された凸形状を有し、ゲート絶縁膜2は、デバイス層101で構成された凸形状の上面および側面に連続的に形成されている点で相違する。
【0075】
このような本実施の形態の半導体装置の場合、第2の実施の形態と同様に、図7Iの構造では、応力印加膜8が、凸部51、61および凹部を有する凸部50、60に引っ掛かり、直接的かつ機械的にソース・ドレイン領域の伸長領域に強い応力を加えることが可能である。この時、ソース/ドレイン拡散層領域5、6の上面だけでなく、側面にも凸部51、61および凹部が形成することができるため、第1の実施の形態および第2の実施の形態で説明した平面型FETの場合よりも、チャネル領域に強い歪みを印加することが可能となる。
【0076】
また、凸部50、60の表面にさらに凸部51、61および凹部があるため、応力印加膜8との接触面積がさらに大きくなり、応力印加膜8が剥がれるのをより抑制することができる。
【0077】
さらに、凸部50、60の表面にさらに凸部51、61および凹部があるため、ソース電極10またはドレイン電極11との接触面積が増加し、接触抵抗が低減するという副次的な効果もある。
【0078】
次に、このような本実施の形態の半導体装置の製造方法について、説明する。
【0079】
以下、図7A〜7Iを用いて、本実施の形態の半導体装置の製造方法の一例について、詳細に説明する。図7A〜7Iは本実施の形態の半導体装置の構造の一例を工程順に示す斜視図である。
【0080】
図7Aは半導体基板として用いるSOI基板である。このSOI基板は、埋め込み絶縁膜100として酸化Siを用いている。図7Aでは、埋め込み絶縁膜100上のデバイス層101としてSi層が用いられているが、Ge層やSiGe層であっても良い。また、半導体基板に埋め込み絶縁膜100は必ずしも必要ではなく単なるバルク半導体基板でもよい。更に、SiGe層上の歪みSiやSi層上の歪みSiGeをデバイス領域層として用いても良い。
【0081】
まず、図7Aの埋め込み絶縁膜100上のデバイス層101上に、フォトリソグラフィを用いて窒化Si層や酸化Si層の保護膜をパターニングし、反応性イオンエッチングを用いてデバイス層101を図7Bのように加工する。すなわち、埋め込み絶縁膜100上に、デバイス層101で構成された凸形状を形成する。加工後、使用した保護膜は除去する。保護膜が窒化Si膜の場合には燐酸を、酸化Si膜の場合には弗酸を用いて除去すれば良い。ここではダンベル型に加工しているが、単なる直方体型に加工しても良い。
【0082】
次に、ゲート絶縁膜2として、デバイス層101の上面および側面の一部を連続的に覆う酸化Si層を形成する。そして、同様にゲート電極3としてポリSi層を形成、エッチングして図7Cのような構造とする。この時点でゲート絶縁膜2をエッチングにより除去しなくても良い。
【0083】
その後、図7Dのように、ゲート絶縁膜2およびゲート電極3を覆うゲート保護膜20として酸化Si層を同様に加工する。ここでゲート保護膜20は、ゲート側壁絶縁膜を含んでいる。ゲート保護膜20は、一旦、酸化Siを表面全体に堆積させ、エッチングにより図7Dのような形状にすればよい。
【0084】
その後、ソース領域5´およびドレイン領域6´にイオン注入を行い、ソース/ドレイン拡散層領域5、6を形成する。イオン注入はn型の場合はAsやP、p型の場合はBやInを用いて、典型的には1cmあたり1015程度のドーズ量で行うことができる。
【0085】
続いて、CVD装置を用いてSi層を選択的にエピタキシャル成長させ、凸部50、60を形成して、図7Eの構造を得る。なお凸部50、60の材料は、第1の実施の形態で説明した通り、ソース/ドレイン拡散層領域5、6と同じ材料を用いることができる。また、凸部50、60を形成する前に、図7Dに示すソース領5´およびドレイン領域6´を掘り下げ、第1の実施の形態における説明と同様にして、凸部50、60を形成してもよい。この時に凸部50、60の材料は、第1の実施の形態における説明通りである。なお、凸部50、60は、ソース/ドレイン拡散層領域5、6の側面に形成しても、上面と側面の両方に形成しても良い。
【0086】
次に、凸部50、60およびゲート保護膜20の表面にフォトレジストを塗布し、露光・現像して図7Fのようにフォトレジスト7のパターンを形成する。そして、反応性イオンエッチングにより凸部50、60を部分的にエッチング後、アッシング装置を用いてフォトレジスト7を剥離して、凸部50、60の表面に凸部51、61および凹部を形成した図7Gのような構造を形成する。図7Gでは省略されているが、凸部50、60の側面部分にも凸部51、61および凹部を形成してもよい。本実施の形態では、凸部51、61および凹部がソース・ドレイン方向と垂直方向の溝構造になっているが、格子上の溝構造や、孤立した複数の穴を持つ構造など別の構造でも良い。
【0087】
その後、図7Gに示す構造の凸部50、60にイオン注入を行い、ソース/ドレイン拡散層領域の一部とする。なお、拡散層形成前に、ゲート保護膜20を形成した場合と同様の方法で、ゲート保護膜20のソース/ドレイン拡散層領域5、6側の側壁部分を厚くすれば拡散層領域を制御することができる。その際、ゲート保護膜20が酸化Siと窒化Siによる積層構造になっていても良い。イオン注入はn型の場合はAsやP、p型の場合はBやInを用いて、典型的には1cmあたり1015個程度のドーズ量で行い、注入後に1000℃程度でアニールを行って注入イオン種を活性化させる。
【0088】
次に、図7Hのように、応力印加膜8を形成する。ゲート電極上部の応力印加膜8はCMPによる平坦化を行い取り除く。応力印加膜8は典型的には窒化Siによって形成され、CVD装置を用いて成膜する。窒化Si膜は例えばSiHClとNHを用いて成膜することができるが、その際の混合比や成膜時の圧力を変えることにより、熱膨張率を制御することができる。n型FETの場合には、応力印加膜8は基板のSiよりも熱膨張率が大きく、成膜後の冷却過程で基板のSiよりも大きく収縮する物が望ましく、p型FETの場合は逆にSiよりも収縮しない物が望ましい。
【0089】
その後、応力印加膜8およびゲート保護膜20の上に、層間絶縁膜9として例えばSi酸化膜を形成し、フォトリソグラフィとエッチングにより、層間絶縁膜9および応力印加膜8を貫通する、ソース・ドレイン電極のコンタクト孔を開口する。そして、この孔に、電極材料としてAlやCuを埋め込んでソース電極10またはドレイン電極11を形成し、図7Iの構造を完成させる。
<第4の実施の形態>
【0090】
図8Bに本実施の形態の半導体装置の一例の斜視図を示す。図8Bは、部分的に透過図としてある。本実施の形態は、第3の実施の形態を基本とし、凸部50、60は、表面に凸部51、61を有さない点で異なる。
【0091】
このような本実施の形態の半導体装置の場合、第3の実施の形態と同様に、応力印加膜8が凸部50、60に引っ掛かり、直接的かつ機械的にソース・ドレイン領域の伸長領域に強い応力を加えることが可能である。また、ソース領域5およびドレイン領域6の上面だけでなく、側面にも凸部50、60を形成することができるため、第1の実施の形態および第2の実施の形態で説明した平面型FETの場合よりも、チャネル領域に強い歪みを印加することが可能となる。また、第3の実施の形態と異なり、凸部50、60の表面に凹凸構造を形成する手間が省ける。
【0092】
次に、このような本実施の形態の半導体装置の製造方法について、説明する。
【0093】
本実施の形態の半導体装置の製造方法は、第3の実施の形態の半導体装置の製造方法を基本とし、図7Eの構造を得た後の工程が異なる。
【0094】
以下、図8A、8Bを用いて、本実施の形態の半導体装置の製造方法の一例について、詳細に説明する。図8A、8Bは、図7Eに示す構造以降の、本実施の形態の半導体装置の構造の一例を工程順に示す断面図である。なお、図7Eに示す構造を得るまでは、第3の実施の形態と同様にして実現することができるので、ここでの説明は省略する。
【0095】
図7Eの構造を得た後、凸部50、60にイオン注入を行い、ソース/ドレイン拡散層領域の一部とする。その後、第3の実施形態に準じて応力印加膜8を形成し、ゲート保護膜20の上の応力印加膜8をCMPにより取り除いて図8Aの構造とする。
【0096】
続いて、応力印加膜8およびゲート保護膜20の上に、層間絶縁膜9として例えばSi酸化膜を形成し、フォトリソグラフィとエッチングにより、層間絶縁膜9および応力印加膜8を貫通する、ソース・ドレイン電極のコンタクト孔を開口する。そして、この孔に、電極材料としてAlやCuを埋め込んでソース電極10またはドレイン電極11を形成し、図8Bの構造を完成させる。
【0097】
以上、本発明を上記実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例の構成にのみ制限されるものでなく、本発明の範囲内で当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0098】
1 半導体基板
2 ゲート絶縁膜
3 ゲート電極
4 ゲート側壁絶縁膜
5´ソース領域
5 ソース拡散層領域
6´ドレイン領域
6 ドレイン拡散層領域
7 フォトレジスト
8 応力印加膜
9 層間絶縁膜
10 ソース電極
11 ドレイン電極
20 ゲート保護膜
50、51、60、61 凸部
100 埋め込み絶縁膜
101 デバイス層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板の第1の面に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜の上に形成されたゲート電極と、
前記ゲート電極の側壁に形成されたゲート側壁絶縁膜と、
前記ゲート電極の下の前記半導体基板中に形成されるチャネル領域に隣接し、不純物が注入されたソース/ドレイン拡散層領域と、
前記ゲート電極の上方を除き、前記ソース/ドレイン拡散層領域の上に形成された応力印加膜と、を有し、
前記半導体基板の前記第1の面における前記ソース/ドレイン拡散層領域が形成された領域には、凹部または凸部が設けられている半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記凸部は、前記ソース/ドレイン拡散層領域が前記半導体基板の前記第1の面から突出することで形成されている半導体装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体装置において、
前記凹部または前記凸部の少なくとも一部は、前記ゲート電極の延伸方向と略垂直に交わる直線である第1の直線と交わる方向に延伸している半導体装置。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体装置において、
前記凹部または前記凸部の少なくとも一部は、前記第1の直線と略垂直に交わる方向に延伸している半導体装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の半導体装置において、
前記凹部または前記凸部は複数設けられ、複数の前記凹部または前記凸部の少なくとも一部は、略平行に並んでいる半導体装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一に記載の半導体装置において、
前記応力印加膜は収縮性材料で構成されている半導体装置。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか一に記載の半導体装置において、
前記応力印加膜は膨張性材料で構成されている半導体装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一に記載の半導体装置において、
前記半導体基板は、第1の半導体層と、前記第1の半導体層の表面に形成された絶縁膜層と、前記絶縁膜層の表面に形成された第2の半導体層と、を含み、
前記第2の半導体層の前記絶縁膜層と接する面と反対側の面が、前記半導体基板の前記第1の面を構成している半導体装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一に記載の半導体装置において、
前記ゲート側壁絶縁膜と、前記ソース/ドレイン拡散層領域の前記凸部の間には隙間が設けられ、この隙間に前記応力印加膜が形成されている半導体装置。
【請求項10】
請求項8に記載の半導体装置において、
前記半導体基板の前記第1の面は凸形状を有し、
前記ゲート絶縁膜は、前記凸形状の上面および側面に連続的に形成される半導体装置。
【請求項11】
半導体基板の第1の面にゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜の上に位置するゲート電極と、を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜、および、前記ゲート電極を形成した領域と隣接する前記半導体基板中の領域である第1の領域の上に、前記第1の領域と接する面と反対側の面の少なくとも一部が、前記半導体基板の前記第1の面に対して略平行とならない第1の層を形成する工程と、
前記第1の層に不純物を注入し、ソース/ドレイン拡散層領域を形成する工程と、
前記ゲート電極の上方を除き、前記ソース/ドレイン拡散層領域の上に応力印加膜を形成する工程と、
を有し、
前記第1の層は、前記応力印加膜よりも、前記半導体基板との密着力が大きい材料で形成される半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の半導体装置の製造方法において、
前記半導体基板の前記第1の面は第1の半導体で形成され、
前記第1の層を形成する工程は、
CVD法により前記第1の半導体を成長させることで、前記第1の層を形成する工程である半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項11に記載の半導体装置の製造方法において、
前記半導体基板の前記第1の面は第1の半導体で形成され、
前記第1の層を形成する工程は、
フォトリソグラフィとエッチングにより前記第1の領域を選択的に掘り下げる工程と、
CVD法により前記第1の半導体または前記第1の半導体と異なる半導体を成長させることで、前記掘り下げられた領域をも埋めた前記第1の層を形成する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項12または13に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の層を形成する工程は、
前記第1の半導体または前記第1の半導体と異なる半導体を成長させた層を形成した後、フォトリソグラフィとエッチングにより、前記層に凹凸を形成する工程をさらに有する半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項11から14のいずれか一に記載の半導体装置の製造方法において、
前記半導体基板は、第1の半導体層と、前記第1の半導体層の表面に形成された絶縁膜層と、前記絶縁膜層の表面に形成された第2の半導体層と、を含み、
前記第2の半導体層の前記絶縁膜層と接する面と反対側の面が、前記半導体基板の前記第1の面を構成している半導体装置の製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図7G】
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【図7H】
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【図7I】
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【図8A】
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【図8B】
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【公開番号】特開2011−129825(P2011−129825A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−289352(P2009−289352)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】