説明

半導体装置、半導体記憶装置および半導体装置の製造方法

【課題】 ゲートからソースへの漏洩電流を伴うことなく、しきい値電圧を可変させるとともに、素子面積の増大を抑制する。
【解決手段】 半導体基板101上には絶縁層102が形成され、絶縁層102上には半導体層103が形成され、さらに、半導体層103上には絶縁層104が形成され、絶縁層104上には半導体層105が形成され、半導体層105上には、ゲート絶縁膜106を介してゲート電極107が形成され、ゲート電極107の側方には、ソース層109およびドレイン層110が形成され、ゲート電極107は、配線層を介して半導体層103に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置、半導体記憶装置および半導体装置の製造方法に関し、特に、動作時のしきい値電圧が可変なDT(Dynamic Threshold Voltage)MOS電界効果型トランジスタに適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来の半導体記憶装置において、例えば、特許文献1、2には、SRAMを構成するNチャンネル電界効果型トランジスタをDTMOS電界効果型トランジスタにて構成する方法が開示されている。このDTMOS電界効果型トランジスタを用いる方法では、チャンネル領域がゲートに接続されているため、オン時のしきい値電圧をオフ時よりも低くして低電圧動作が可能となり、動作時の消費電力を低減することができる。一方、オフ時のしきい値電圧は、通常のNチャンネル電界効果型トランジスタと同等であり、オフ時のリーク電流は通常のSRAMと同等となるため、スタンバイ時の消費電力が増大することはない。
【0003】
また、例えば、特許文献3には、SOI(Silicon On Insulator)基板上に形成されたMOSトランジスタの基板端子とドレイン端子間にゲート電極を共有する補助トランジスタを挿入することにより、ゲートおよびドレイン電位によって基板電位を制御する方法が開示されている。この補助トランジスタを挿入する方法では、補助トランジスタがオンした時に、ゲートからソースに流れる電流がなくなる一方で、ボディ電位がドレイン電位と同程度となるため、DTMOS電界効果型トランジスタの利点を享受しつつ、ゲートからソースへの漏洩電流に起因する消費電力の増大を防止することができる。
【特許文献1】特開2000−114399号公報
【特許文献2】特開2002−353340号公報
【特許文献3】特開2000−22160号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、DTMOS電界効果型トランジスタは、チャンネル領域がゲートに接続されているため、トランジスタがオンした時にゲートからソースへ漏洩電流が流れ、消費電力の増大を招くという問題があった。また、短チャンネルSOIトランジスタでは、ボディ領域が狭くなるため、ボディ部とボディ端子間の抵抗が増大し、RC時定数が大きくなることから、高速動作の妨げになるという問題があった。
【0005】
一方、ゲートからソースへの漏洩電流をなくすために、MOSトランジスタの基板端子とドレイン端子間にゲート電極を共有する補助トランジスタを挿入する方法では、SRAMなどの半導体記憶装置では、トランジスタの個数が2倍になるため、素子面積が増大するという問題があった。また、短チャンネルSOIトランジスタの高速動作の妨げになるという点に関しては、何ら解決策にならない。
【0006】
そこで、本発明の目的は、ゲートからソースへの漏洩電流を伴うことなく、しきい値電圧を可変させるとともに、素子面積の増大を抑制することが可能な半導体装置、半導体記憶装置および半導体装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様に係る半導体装置によれば、第1絶縁層上に形成された第1半導体層と、前記第1半導体層上に形成された第2絶縁層と、前記第2絶縁層上に形成された第2半導体層と、前記第2半導体層上に形成されたゲート電極と、前記第2半導体層に形成され、前記ゲート電極の側方に配置されたソース/ドレイン層と、前記ゲート電極と前記第1半導体層とを接続する配線層とを備えることを特徴とする。
【0008】
これにより、ボディ領域と絶縁された第1半導体層にゲート電極を接続することが可能となり、ゲート電極からソース層への漏洩電流をなくすことが可能となるとともに、第1半導体層と第2半導体層とを容量結合させることが可能となり、ゲート電極の電位に応じて第2半導体層の電位を変化させることができる。このため、ゲート電極がオンした時のしきい値電圧をオフ時よりも低くすることが可能となり、オン電流を増大させることを可能として高速動作させることが可能となるとともに、動作時の消費電力を低減することができる。
【0009】
また、ゲート電極がオフした時のしきい値電圧をオン時よりも高くすることが可能となり、サブスレッショルド電流を低減することができる。このため、ゲート電極がオフ時のリーク電流を減らすことが可能となり、待機時の消費電力を低減することができる。
また、本発明の一態様に係る半導体装置によれば、前記第1半導体層は、前記ゲート電極が形成されたトランジスタごとに素子分離されていることを特徴とする。
【0010】
これにより、トランジスタごとに個別にしきい値を制御することが可能となり、消費電力をより一層低減することができる。
また、本発明の一態様に係る半導体装置によれば、第1絶縁層上に形成された第1半導体層と、前記第1半導体層上に形成された第2絶縁層と、前記第2絶縁層上に形成された第2半導体層と、前記第2半導体層上に形成された第1および第2ゲート電極と、前記第2半導体層に形成され、前記第1ゲート電極の側方に配置されたP型ソース/ドレイン層と、前記第2半導体層に形成され、前記第2ゲート電極の側方に配置されたN型ソース/ドレイン層と、前記第1および第2ゲート電極と前記第1半導体層とを共通に接続する第1配線層と、前記P型ドレイン層と前記N型ドレイン層とを接続する第2配線層とを備えることを特徴とする。
【0011】
これにより、第2半導体層にインバータを形成した場合においても、ゲートからソースへの漏洩電流に起因する消費電力の増大を防止しつつ、動作時のしきい値電圧を変化させることができ、動作時の消費電力の増大を抑制しつつ、スイッチング動作の高速化を図ることができる。また、第1および第2ゲート電極と前記第1半導体層とを共通に接続することで、第1半導体層を素子分離する必要がなくなり、インバータの動作に悪影響を及ぼすことなく、素子面積を低減することができる。
【0012】
また、本発明の一態様に係る半導体装置によれば、半導体基板上に形成された絶縁層と、前記半導体基板に形成されたウェルと、前記絶縁層上に形成された半導体層と、前記半導体層上に形成されたゲート電極と、前記半導体層に形成され、前記ゲート電極の側方に配置されたソース/ドレイン層と、前記ゲート電極と前記ウェルとを接続する配線層とを備えることを特徴とする。
【0013】
これにより、ボディ領域と絶縁されたウェルにゲート電極を接続することが可能となり、ゲート電極からソース層への漏洩電流をなくすことが可能となるとともに、ウェルと半導体層とを容量結合させることが可能となり、ゲート電極の電位に応じて半導体層の電位を変化させることができる。このため、ゲートからソースへの漏洩電流に起因する消費電力の増大を防止しつつ、動作時のしきい値電圧を変化させることができ、動作時の消費電力の増大を抑制しつつ、スイッチング動作の高速化を図ることができる。
【0014】
また、本発明の一態様に係る半導体記憶装置によれば、第1CMOSインバータの入力端が第2CMOSインバータの出力端に接続され、第1CMOSインバータの出力端が第2CMOSインバータの入力端に接続されたフリップフロップ回路と、ワード線にゲートが接続され、第1ビット線にドレインが接続され、前記第1CMOSインバータの出力端のソースが接続された第1トランスファーゲートと、前記ワード線にゲートが接続され、第2ビット線にドレインが接続され、前記第2CMOSインバータの出力端のソースが接続された第2トランスファーゲートとを備え、前記第1トランスファーゲートまたは第2トランスファーゲートのいずれか少なくとも一方は、第1絶縁層上に形成された第1半導体層と、前記第1半導体層上に形成された第2絶縁層と、前記第2絶縁層上に形成された第2半導体層と、前記第2半導体層上に形成されたゲート電極と、前記第2半導体層に形成され、前記ゲート電極の側方に配置されたソース/ドレイン層と、前記ゲート電極と前記第1半導体層とを接続する配線層とを備えることを特徴とする。
【0015】
これにより、ゲート電極からソース層への漏洩電流を伴うことなく、トランスファーゲートの動作時のしきい電圧を下げることができ、信号をローとハイとの間で書き換える時に生じる電位降下を低減することができる。このため、信号のローとハイとの間の差を十分に取ることができ、半導体記憶装置を安定に高速動作させることができる。
また、本発明の一態様に係る半導体装置の製造方法によれば、第1絶縁層上に積層された第1半導体層上に第2絶縁層を介して第2半導体層を形成する工程と、前記第2半導体層および第2絶縁層をパターニングすることにより、前記第1半導体層の一部を露出させる工程と、前記第2半導体層の熱酸化を行うことにより、前記第2半導体層の表面にゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程と、前記ゲート電極の側方に配置されたソース/ドレイン層を前記第2半導体層に形成する工程と、前記ゲート電極と前記第1半導体層とを接続する配線層を形成する工程とを備えることを特徴とする。
【0016】
これにより、ボディ領域と絶縁された第1半導体層にゲート電極を接続することが可能となり、SOIトランジスタを第2半導体層に形成することを可能としつつ、SOIトランジスタの動作時のしきい値電圧を変化させることができる。このため、ゲートからソースへの漏洩電流に起因する消費電力の増大を防止しつつ、動作時のしきい値電圧を変化させることができ、動作時の消費電力の増大を抑制しつつ、スイッチング動作の高速化を図ることができる。
【0017】
また、本発明の一態様に係る半導体装置の製造方法によれば、前記第1半導体層に形成されるトランジスタごとに素子分離する素子分離絶縁膜を前記第1半導体層に形成する工程とを備えることを特徴とする。
これにより、トランジスタごとに個別にしきい値を制御することが可能となり、消費電力をより一層低減することができる。
【0018】
また、本発明の一態様に係る半導体装置の製造方法によれば、第1半導体層よりもエッチングレートが小さな第2半導体層が前記第1半導体層上に積層された積層構造を半導体基板上に複数層形成する工程と、下層の第2半導体層の表面を露出させる段差が設けられるとともに、前記第1半導体層および第2半導体層を貫通して前記半導体基板を露出させる第1溝を形成する工程と、前記半導体基板上で前記第2半導体層を支持する支持体を前記第1溝内に形成する工程と、前記第1半導体層の少なくとも一部を前記第2半導体層から露出させる第2溝を形成する工程と、前記第2溝を介して第1半導体層を選択的にエッチングすることにより、前記第1半導体層を除去する工程と、前記第2溝を介して、前記半導体基板および前記第2半導体層の熱酸化を行うことにより、前記第2半導体層の裏面側に配置された絶縁層を形成する工程と、前記第2半導体層の熱酸化を行うことにより、最上層の第2半導体層上にゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜を介して最上層の第2半導体層上にゲート電極を形成する工程と、前記ゲート電極をマスクとしてイオン注入を行うことにより、前記ゲート電極の側方に配置されたソース/ドレイン層を最上層の第2半導体層に形成する工程と、前記下層の第2半導体層と前記ゲート電極とを接続する配線層を形成する工程とを備えることを特徴とする。
【0019】
これにより、半導体層の熱酸化にてBOX層を形成することが可能となり、半導体層の結晶品質を損なうことなく、SOIトランジスタを形成することが可能となるとともに、SOIトランジスタの動作時のしきい値電圧を変化させることができる。このため、ゲートからソースへの漏洩電流に起因する消費電力の増大を防止しつつ、動作時のしきい値電圧を変化させることができ、動作時の消費電力の増大を抑制しつつ、スイッチング動作の高速化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係る半導体装置およびその製造方法について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す断面図である。
図1において、半導体基板101上には絶縁層102が形成され、絶縁層102上には半導体層103が形成されている。さらに、半導体層103上には絶縁層104が形成され、絶縁層104上には半導体層105が形成されている。ここで、絶縁層104および半導体層105は、半導体層103の一部が絶縁層104および半導体層105から露出されるようにメサ分離することができる。
【0021】
なお、半導体基板101および半導体層103、105の材質としては、例えば、Si、Ge、SiGe、SiC、SiSn、PbS、GaAs、InP、GaP、GaN、ZnSeなどを用いることができ、絶縁層102、104としては、例えば、SiO2、SiONまたはSi34などの絶縁層または埋め込み絶縁膜を用いるようにしてもよく、γ−酸化アルミニウム層(γ−Al23層)を用いるようにしてもよい。また、半導体層103、105が絶縁層102、104上にそれぞれ形成された半導体基板101としては、例えば、SOI基板を用いることができ、SOI基板としては、SIMOX(Separation by Implanted Oxgen)基板、貼り合わせ基板またはレーザアニール基板などを用いることができる。また、半導体基板101の代わりに、サファイア、ガラスまたはセラミックなどの絶縁性基板を用いるようにしてもよい。また、半導体層103、105としては、単結晶半導体の他、多結晶半導体またはアモルファス半導体を用いるようにしてもよい。また、半導体層103の代わりに、WやMoなどの高融点金属を用いるようにしてもよい。
【0022】
そして、半導体層105上には、ゲート絶縁膜106を介してゲート電極107が形成され、ゲート電極107の側壁にはサイドウォール108が形成されている。そして、ゲート電極107の一方の側には、LDD層を介してソース層109が半導体層105に形成され、ゲート電極107の他方の側には、LDD層を介してドレイン層110が半導体層105に形成されている。そして、ゲート電極107は、配線層を介して半導体層103に接続されている。
【0023】
そして、ゲート電極107がオンすると、半導体層103の電位が高くなり、半導体層103の電位が絶縁層104を介して半導体層105に伝わる。この結果、ゲート電極107がオンすると、半導体層105の電位が高くなり、Nチャンネル電界効果型トランジスタの場合、しきい値電圧が低くなる。ここで、半導体層103、105は絶縁層104を介して絶縁されているので、ゲート電極107がオンした場合においても、ゲート電極107からソース層109へ漏洩電流が流れることを防止することが可能となる。このため、ゲート電極107が半導体層103に接続されていない場合に比べて、オン電流を増大させることが可能となり、高速動作させることが可能となるとともに、ゲート電極107からソース層109への漏洩電流に起因する消費電力の増大を防止することができる。
【0024】
また、ゲート電極107がオフすると、半導体層103の電位が低くなり、半導体層103の電位が絶縁層104を介して半導体層105に伝わる。この結果、ゲート電極107がオフすると、半導体層105の電位が低くなり、Nチャンネル電界効果型トランジスタの場合、しきい値電圧が高くなる。このため、サブスレッショルド電流を低減することができ、ゲート電極107がオフ時のリーク電流を減らすことを可能として、待機時の消費電力を低減することができる。
【0025】
図2は、本発明の第2実施形態に係る半導体記憶装置の概略構成を示す回路図である。
図2において、半導体記憶装置には、Pチャンネル電界効果型トランジスタT1、T3およびNチャンネル電界効果型トランジスタT2、T4、T5、T6が設けられ、SRAMが構成されている。ここで、Pチャンネル電界効果型トランジスタT1およびNチャンネル電界効果型トランジスタT2は直列接続されるとともに、Pチャンネル電界効果型トランジスタT1およびNチャンネル電界効果型トランジスタT2のゲートは共通に接続され、CMOSインバータIV1が構成されている。また、Pチャンネル電界効果型トランジスタT3およびNチャンネル電界効果型トランジスタT4は直列接続されるとともに、Pチャンネル電界効果型トランジスタT3およびNチャンネル電界効果型トランジスタT4のゲートは共通に接続され、CMOSインバータIV2が構成されている。
【0026】
そして、CMOSインバータIV1の入力端がCMOSインバータIV2の出力端に接続されるとともに、CMOSインバータIV1の出力端がCMOSインバータIV2の入力端に接続され、フリップフロップ回路が構成されている。すなわち、Pチャンネル電界効果型トランジスタT1およびNチャンネル電界効果型トランジスタT2のゲートはPチャンネル電界効果型トランジスタT3およびNチャンネル電界効果型トランジスタT4のドレインに接続され、Pチャンネル電界効果型トランジスタT1およびNチャンネル電界効果型トランジスタT2のドレインはPチャンネル電界効果型トランジスタT3およびNチャンネル電界効果型トランジスタT4のゲートに接続されている。
【0027】
また、Nチャンネル電界効果型トランジスタT5、T6はそれぞれトランスファーゲートを構成し、Nチャンネル電界効果型トランジスタT5、T6として図1の構成を用いることができる。そして、Nチャンネル電界効果型トランジスタT5において、ゲートはワード線WLに接続され、ドレインはビット線BL1に接続され、ソースはCMOSインバータIV1の出力端に接続されている。また、Nチャンネル電界効果型トランジスタT6において、ゲートはワード線WLに接続され、ドレインはビット線BL2に接続され、ソースはCMOSインバータIV2の出力端に接続されている。
【0028】
そして、図2の半導体記憶装置に論理値“1”を書き込む場合、ビット線BL1をハイレベルにするとともに、ビット線BL2をローレベルに設定した上で、ワード線WLをハイレベルにする。すると、Nチャンネル電界効果型トランジスタT5、T6がオンし、ビット線BL1のレベルがCMOSインバータIV1の出力端およびCMOSインバータIV2の入力端に伝わるとともに、ビット線BL2のレベルがCMOSインバータIV1の入力端およびCMOSインバータIV2の出力端に伝わる。このため、CMOSインバータIV1の出力端およびCMOSインバータIV2の入力端はハイレベルになるとともに、CMOSインバータIV1の入力端およびCMOSインバータIV2の出力端はローレベルになり、CMOSインバータIV1の論理値が“1”になるとともに、CMOSインバータIV2の論理値が“0”になる。そして、CMOSインバータIV1の論理値が“1”になるとともに、CMOSインバータIV2の論理値が“0”になると、Pチャンネル電界効果型トランジスタT1およびNチャンネル電界効果型トランジスタT4がオンするとともに、Pチャンネル電界効果型トランジスタT3およびNチャンネル電界効果型トランジスタT2がオフし、CMOSインバータIV1の出力端およびCMOSインバータIV2の入力端はVDD電位に接続されるとともに、CMOSインバータIV1の入力端およびCMOSインバータIV2の出力端はVSS電位に接続される。このため、CMOSインバータIV1の論理値が“1”になるとともに、CMOSインバータIV2の論理値が“0”になると、ワード線WLをローレベルにして、CMOSインバータIV1、TV2をビット線BL1、BL2とそれぞれ遮断した場合においても、MOSインバータIV1の出力端はハイレベルに保たれるとともに、CMOSインバータIV2の出力端はローレベルに保たれ、半導体記憶装置に論理値“1”を記憶させることができる。
【0029】
また、図2の半導体記憶装置に論理値“0”を書き込む場合、ビット線BL1をローレベルにするとともに、ビット線BL2をハイレベルに設定した上で、ワード線WLをハイレベルにする。すると、Nチャンネル電界効果型トランジスタT5、T6がオンし、ビット線BL1のレベルがCMOSインバータIV1の出力端およびCMOSインバータIV2の入力端に伝わるとともに、ビット線BL2のレベルがCMOSインバータIV1の入力端およびCMOSインバータIV2の出力端に伝わる。このため、CMOSインバータIV1の出力端およびCMOSインバータIV2の入力端はローレベルになるとともに、CMOSインバータIV1の入力端およびCMOSインバータIV2の出力端はハイレベルになり、CMOSインバータIV1の論理値が“0”になるとともに、CMOSインバータIV2の論理値が“1”になる。そして、CMOSインバータIV1の論理値が“0”になるとともに、CMOSインバータIV2の論理値が“1”になると、Pチャンネル電界効果型トランジスタT1およびNチャンネル電界効果型トランジスタT4がオフするとともに、Pチャンネル電界効果型トランジスタT3およびNチャンネル電界効果型トランジスタT2がオンし、CMOSインバータIV1の出力端およびCMOSインバータIV2の入力端はVSS電位に接続されるとともに、CMOSインバータIV1の入力端およびCMOSインバータIV2の出力端はVDD電位に接続される。このため、CMOSインバータIV1の論理値が“0”になるとともに、CMOSインバータIV2の論理値が“1”になると、ワード線WLをローレベルにして、CMOSインバータIV1、TV2をビット線BL1、BL2とそれぞれ遮断した場合においても、MOSインバータIV1の出力端はローレベルに保たれるとともに、CMOSインバータIV2の出力端はハイレベルに保たれ、半導体記憶装置に論理値“0”を記憶させることができる。
【0030】
一方、図2の半導体記憶装置の読み出しを行う場合、ビット線BL1、BL2を開放した上で、ワード線WLをハイレベルにする。すると、Nチャンネル電界効果型トランジスタT5、T6がオンし、ビット線BL1のレベルがCMOSインバータIV1の出力端のレベルにほぼ等しくなるとともに、ビット線BL2のレベルがCMOSインバータIV2の出力端のレベルにほぼ等しくなり、半導体記憶装置に記憶されている論理値をビット線BL1、BL2をそれぞれ介して読み出すことができる。
【0031】
ここで、Nチャンネル電界効果型トランジスタT5、T6として図1の構成を用いることにより、ゲート電極からソース層への漏洩電流を伴うことなく、Nチャンネル電界効果型トランジスタT5、T6の動作時のしきい電圧を下げることができ、信号をローとハイとの間で書き換える時に生じる電位降下を低減することができる。このため、信号のローとハイとの間の差を十分に取ることができ、半導体記憶装置を安定に高速動作させることができる。
【0032】
図3は、本発明の第3実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す断面図である。
図3において、半導体基板201上には絶縁層202が形成され、絶縁層202上には半導体層203a、203bが形成されている。ここで、半導体層203a、203bは、素子分離膜210で素子分離されている。なお、半導体層203a、203bの素子分離方法としては、例えば、LOCOS(Local Oxdation of Silicon)法またはSTI(Shallow Trench Isolation)法などを用いることができる。さらに、半導体層203a、203b上には絶縁層204a、204bがそれぞれ形成され、絶縁層204a、204b上には半導体層205a、205bがそれぞれ形成されている。ここで、絶縁層204a、204bおよび半導体層205a、205bは、半導体層203a、203bの一部が絶縁層204a、204bおよび半導体層205a、205bからそれぞれ露出されるようにメサ分離することができる。
【0033】
そして、半導体層205a、205b上には、ゲート絶縁膜206a、206bをそれぞれ介してゲート電極207a、207bがそれぞれ形成され、ゲート電極207a、207bの側壁にはサイドウォール208a、208bがそれぞれ形成されている。そして、ゲート電極207a、207bの一方の側には、LDD層を介してソース層209a、209bが半導体層205a、205bにそれぞれ形成され、ゲート電極207a、207bの他方の側には、LDD層を介してドレイン層210a、210bが半導体層205a、205bにそれぞれ形成されている。そして、ゲート電極207a、207bは、配線層を介して半導体層203a、203bにそれぞれ接続されている。
【0034】
これにより、ボディ領域と絶縁された半導体層203a、203bにゲート電極207a、207bを接続することが可能となり、ゲート電極207a、207bからソース層209a、209bへの漏洩電流をなくすことが可能となるとともに、半導体層203a、203bと半導体層205a、205bとをそれぞれ容量結合させることが可能となり、ゲート電極207a、207bの電位に応じて半導体層205a、205bの電位をそれぞれ変化させることができる。このため、ゲート電極207a、207bがオンした時のしきい値電圧をオフ時よりも低くすることが可能となり、オン電流を増大させることを可能として高速動作させることが可能となるとともに、動作時の消費電力を低減することができる。
【0035】
また、ゲート電極207a、207bがオフした時のしきい値電圧をオン時よりも高くすることが可能となり、サブスレッショルド電流を低減することができる。このため、ゲート電極207a、207bがオフ時のリーク電流を減らすことが可能となり、待機時の消費電力を低減することができる。さらに、素子分離膜210にて半導体層203a、203bを素子分離することにより、ゲート電極207a、207bがそれぞれ設けられたトランジスタごとに個別にしきい値を制御することが可能となり、消費電力をより一層低減することができる。
【0036】
図4は、本発明の第4実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す断面図である。
図4において、半導体基板301上には絶縁層302が形成され、絶縁層302上には半導体層303が形成されている。また、半導体層303上には絶縁層304a、304bが形成され、絶縁層304a、304b上には半導体層305a、305bがそれぞれ形成されている。ここで、絶縁層304a、304bおよび半導体層305a、305bは、半導体層303の一部が絶縁層304a、304bおよび半導体層305a、305bからそれぞれ露出されるようにメサ分離することができる。
【0037】
そして、半導体層305a、305b上には、ゲート絶縁膜306a、306bをそれぞれ介してゲート電極307a、307bがそれぞれ形成され、ゲート電極307a、307bの側壁にはサイドウォール308a、308bがそれぞれ形成されている。そして、ゲート電極307aの一方の側には、LDD層を介してP型ソース層309aが半導体層305aに形成され、ゲート電極307aの他方の側には、LDD層を介してP型ドレイン層310aが半導体層305aに形成されている。また、ゲート電極307bの一方の側には、LDD層を介してN型ソース層309bが半導体層305bに形成され、ゲート電極307bの他方の側には、LDD層を介してN型ドレイン層310bが半導体層305bに形成されている。そして、ゲート電極307a、307bは、配線層を介して半導体層303に共通に接続されている。
【0038】
これにより、半導体層305a、305bにCMOSインバータを形成した場合においても、ゲート電極307a、307bからP型ソース層309aおよびN型ソース層309bへの漏洩電流に起因する消費電力の増大を防止しつつ、動作時のしきい値電圧を変化させることができ、動作時の消費電力の増大を抑制しつつ、動作の高速化を図ることができる。また、ゲート電極307a、307bと半導体層303とを共通に接続することで、半導体層303を素子分離する必要がなくなり、CMOSインバータの動作に悪影響を及ぼすことなく、素子面積を低減することができる。
【0039】
図5は、本発明の第5実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す断面図である。
図5において、半導体基板401には、ウェル402a、402bが形成されるとともに、半導体基板401上には、絶縁層404a、404bが形成されている。また、絶縁層404a、404b上には半導体層405a、405bがそれぞれ形成されている。ここで、絶縁層404a、404bおよび半導体層405a、405bは、ウェル402a、402bの一部が絶縁層404a、404bおよび半導体層405a、405bからそれぞれ露出されるようにメサ分離することができる。
【0040】
そして、半導体層405a、405b上には、ゲート絶縁膜406a、406bをそれぞれ介してゲート電極407a、407bがそれぞれ形成され、ゲート電極407a、407bの側壁にはサイドウォール408a、408bがそれぞれ形成されている。そして、ゲート電極407a、407bの一方の側には、LDD層を介してソース層409a、409bが半導体層405a、405bにそれぞれ形成され、ゲート電極407a、407bの他方の側には、LDD層を介してドレイン層410a、410bが半導体層405a、405bにそれぞれ形成されている。そして、ゲート電極407a、407bは、配線層を介してウェル402a、402bにそれぞれ接続されている。
【0041】
これにより、ボディ領域と絶縁されたウェル402a、402bにゲート電極407a、407bをそれぞれ接続することが可能となり、ゲート電極407a、407bからソース層409a、409bへの漏洩電流をなくすことが可能となるとともに、ウェル402a、402bと半導体層405a、405bとをそれぞれ容量結合させることが可能となり、ゲート電極407a、407bの電位に応じて半導体層405a、405bの電位をそれぞれ変化させることができる。このため、ゲート電極407a、407bからソース層409a、409bへの漏洩電流に起因する消費電力の増大を防止しつつ、動作時のしきい値電圧を変化させることができ、動作時の消費電力の増大を抑制しつつ、スイッチング動作の高速化を図ることができる。
【0042】
図6(a)〜図16(a)は、本発明の第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図、図6(b)〜図16(b)は、図6(a)〜図16(a)のA1−A1´〜A11−A11´線でそれぞれ切断した断面図、図6(c)〜図16(c)は、図6(a)〜図16(a)のB1−B1´〜B11−B11´線でそれぞれ切断した断面図である。
図6において、半導体基板31上には、単結晶半導体層51、33、52、35が順次積層されている。なお、単結晶半導体層51、52は、半導体基板31および単結晶半導体層33、35よりもエッチングレートが大きな材質を用いることができる。特に、半導体基板31がSiの場合、単結晶半導体層51、52としてSiGe、単結晶半導体層33、35としてSiを用いることが好ましい。これにより、単結晶半導体層51、52と単結晶半導体層33、35との間の格子整合をとることを可能としつつ、単結晶半導体層51、52と単結晶半導体層33、35との間の選択比を確保することができる。なお、As、P、Bなどの不純物を単結晶半導体層33にドーピングすることにより、単結晶半導体層33の抵抗率を下げることが好ましい。また、単結晶半導体層51、52の代わりに多結晶半導体層、アモルファス半導体層または多孔質単結晶半導体層を用いるようにしてもよい。
【0043】
そして、単結晶半導体層35の熱酸化により単結晶半導体層35の表面に犠牲酸化膜53を形成する。そして、CVDなどの方法により、犠牲酸化膜53上の全面に酸化防止膜54を形成する。なお、酸化防止膜54としては、例えば、シリコン窒化膜を用いることができる。
次に、図7に示すように、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いて、酸化防止膜54、犠牲酸化膜53、単結晶半導体層35、52、33、51をパターニングすることにより、半導体基板31を露出させる溝36を所定の方向に沿って形成する。なお、半導体基板31を露出させる場合、半導体基板31の表面でエッチングを止めるようにしてもよいし、半導体基板31をオーバーエッチングして半導体基板31に凹部を形成するようにしてもよい。また、溝36の配置位置は、単結晶半導体層33の素子分離領域の一部に対応させることができる。
【0044】
さらに、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いて、酸化防止膜54、犠牲酸化膜53、単結晶半導体層35、52をパターニングすることにより、溝36と重なるように配置された溝36よりも幅の広い溝37を形成し、単結晶半導体層33の両端部の近傍の表面を露出させる。ここで、溝37の配置位置は、半導体層35の素子分離領域に対応させることができる。
【0045】
なお、単結晶半導体層33の表面を露出させる代わりに、単結晶半導体層52の表面でエッチングを止めるようにしてもよいし、単結晶半導体層52をオーバーエッチングして単結晶半導体層52の途中までエッチングするようにしてもよい。ここで、単結晶半導体層52のエッチングを途中で止めることにより、溝36内の単結晶半導体層33の表面が露出されることを防止することができる。このため、単結晶半導体層51、52をエッチング除去する際に、溝36内の単結晶半導体層33がエッチング液またはエッチングガスに晒される時間を減らすことが可能となり、溝36内の単結晶半導体層33のオーバーエッチングを抑制することができる。
【0046】
次に、図8に示すように、単結晶半導体層33、35、51、52の側壁に成膜され、単結晶半導体層33、35を半導体基板31上で支持する支持体56を溝36、37内に形成する。なお、単結晶半導体層33、35、51、52の側壁に成膜された支持体56を形成する場合、半導体のエピタキシャル成長を用いることができる。ここで、半導体のエピタキシャル成長を用いることにより、単結晶半導体層33、35、51、52の側壁ならびに半導体基板31の表面に支持体56を選択的に形成することができる。なお、半導体基板31および単結晶半導体層33、35がSi、単結晶半導体層51、52がSiGeの場合、支持体56の材質としてSiを用いることが好ましい。
【0047】
これにより、支持体56と単結晶半導体層51、52との間の格子整合をとることを可能としつつ、支持体56と単結晶半導体層51、52との間の選択比を確保することができる。また、支持体56の材質として、Siなどの半導体を用いることにより、単結晶半導体層51、52が除去された場合においても、半導体による3次元的な立体構造を維持することが可能となる。このため、化学的耐性や機械的ストレス耐性を向上させることが可能となり、再現性の良い安定した素子分離プロセスを実現することができる。なお、支持体56の材質としては、半導体の他、シリコン酸化膜などの絶縁体を用いるようにしてもよい。
【0048】
次に、図9に示すように、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いて酸化防止膜54、犠牲酸化膜53、単結晶半導体層35、52、33、51をパターニングすることにより、半導体基板31を露出させる溝38を溝36と直交する方向に沿って形成する。なお、半導体基板31を露出させる場合、半導体基板31の表面でエッチングを止めるようにしてもよいし、半導体基板31をオーバーエッチングして半導体基板31に凹部を形成するようにしてもよい。また、溝38の配置位置は、単結晶半導体層33、35の素子分離領域に対応させることができる。
【0049】
次に、図10に示すように、溝38を介してエッチングガスまたはエッチング液を単結晶半導体層51、52に接触させることにより、単結晶半導体層51、52をエッチング除去し、半導体基板31と単結晶半導体層33との間に空洞部57aを形成するとともに、単結晶半導体層33、35間に空洞部57bを形成する。
ここで、溝36、37内に支持体56を設けることにより、単結晶半導体層51、52が除去された場合においても、単結晶半導体層33、35を半導体基板31上で支持することが可能となるとともに、溝36、37とは別に溝38を設けることにより、単結晶半導体層33、35下にそれぞれ配置された単結晶半導体層51、52にエッチングガスまたはエッチング液を接触させることが可能となる。このため、単結晶半導体層33、35の結晶品質を損なうことなく、単結晶半導体層33、35と半導体基板31との間の絶縁を図ることが可能となる。
【0050】
なお、半導体基板31、単結晶半導体層33、35および支持体56がSi、単結晶半導体層51、52がSiGeの場合、単結晶半導体層51、52のエッチング液としてフッ硝酸を用いることが好ましい。これにより、SiとSiGeの選択比として1:1000〜10000程度を得ることができ、半導体基板31、単結晶半導体層33、35および支持体56のオーバーエッチングを抑制しつつ、単結晶半導体層51、52を除去することが可能となる。
【0051】
次に、図11に示すように、半導体基板31、単結晶半導体層33、35および支持体56の熱酸化を行うことにより、半導体基板31と単結晶半導体層33との間の空洞部57aに絶縁層32を形成するとともに、単結晶半導体層33、35間の空洞部57bに絶縁層34を形成する。ここで、半導体基板31、単結晶半導体層33、35および支持体56の熱酸化にて絶縁層32、34を形成する場合、溝38内の半導体基板31および単結晶半導体層33、35が酸化され、溝38内の側壁に酸化膜39´が形成されるとともに、支持体56を酸化膜39に変化させることができる。
【0052】
これにより、エピタキシャル成長時の単結晶半導体層33、35の膜厚および単結晶半導体層33、35の熱酸化時に形成された絶縁層32、34の膜厚により、素子分離後の単結晶半導体層33、35の膜厚をそれぞれ規定することができる。このため、単結晶半導体層33、35の膜厚を精度よく制御することができ、単結晶半導体層33、35の膜厚のバラツキを低減させることを可能としつつ、単結晶半導体層33、35を薄膜化することができる。また、単結晶半導体層35上に酸化防止膜54を設けることで、単結晶半導体層35の表面が熱酸化されることを防止しつつ、単結晶半導体層35の裏面側に絶縁層34を形成することが可能となる。
【0053】
また、溝36、38の配置位置を単結晶半導体層33の素子分離領域に対応させるとともに、37、38の配置位置を単結晶半導体層35の素子分離領域に対応させることにより、単結晶半導体層33、35の横方向および縦方向の素子分離を一括して行うことが可能となるとともに、単結晶半導体層51、52を除去するための溝を素子形成領域に設ける必要がなくなる。このため、工程増を抑制しつつ、SOIトランジスタを形成することが可能となるとともに、チップサイズの増大を抑制することができ、SOIトランジスタのコストダウンを図ることが可能となる。
【0054】
なお、絶縁層32、34を形成した後、高温アニールを行うようにしてもよい。これにより、絶縁層32、34をリフローさせることが可能となり、絶縁層32、34のストレスを緩和させることが可能となるとともに、界面準位を減らすことができる。また、半導体基板31および単結晶半導体層33、35の熱酸化にて絶縁層32、34を形成する方法の他、CVDなどにより空洞部57a、57b内に絶縁物を堆積させることにより、絶縁層32、34を形成するようにしてもよい。
【0055】
次に、図12に示すように、CVDなどの方法により、酸化膜39、39´がそれぞれ形成された溝36、37および溝38内が埋め込まれるようにして、単結晶半導体層35上に絶縁層を堆積する。そして、CMP(化学的機械的研磨)などの方法を用いて絶縁層を平坦化することにより、単結晶半導体層35の表面を露出させ、埋め込み絶縁層40を溝36〜38内に形成する。なお、埋め込み絶縁層40としては、例えば、SiO2またはSi34などを用いることができる。
【0056】
次に、図13に示すように、単結晶半導体層35の熱酸化を行うことにより、単結晶半導体層35上にゲート絶縁膜41を形成する。そして、CVDなどの方法により、ゲート絶縁膜41が形成された単結晶半導体層35上に多結晶シリコン層を形成し、フォトリソグラフィー技術およびドライエッチング技術を用いて、多結晶シリコン層のパターニングを行うことにより、ゲート絶縁膜41上にゲート電極42を形成する。
【0057】
次に、図14に示すように、ゲート電極42をマスクとして、As、P、Bなどの不純物を単結晶半導体層35内にイオン注入することにより、ゲート電極42の側方に配置された高濃度不純物導入層からなるソース層43aおよびドレイン層43bを単結晶半導体層35に形成する。なお、As、P、Bなどの不純物を単結晶半導体層33内にイオン注入することにより、単結晶半導体層33の抵抗率を下げるようにしてもよい。
【0058】
次に、図15に示すように、プラズマCVDなどの方法により、層間絶縁膜44を全面に堆積する。そして、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いて層間絶縁膜44をパターニングすることにより、ソース層43aおよびドレイン層43bの表面を露出させる開口部を形成する。また、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いて層間絶縁膜44、埋め込み絶縁層40および酸化膜39をパターニングすることにより、単結晶半導体層33の表面を露出させる開口部を形成する。
【0059】
そして、CVDなどの方法により、これらの開口部内が埋め込まれるようにして、層間絶縁膜44上に導電層を堆積する。そして、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いて導電層をパターニングすることにより、ソース層43aおよびドレイン層43bとそれぞれコンタクトをとるための配線層46a、46bを層間絶縁膜44上に形成するとともに、単結晶半導体層33とコンタクトをとるための配線層45a、45bを層間絶縁膜44上に形成する。ここで、配線層45a、45b及び46a、46bは、回路により任意のパターン配線が可能である。例えば、45aと46bが接続されたパターニングを行えば、ソースとフィールドプレートを同電位にできる。
【0060】
次に、図16に示すように、プラズマCVDなどの方法により、層間絶縁膜47を全面に堆積する。そして、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いて層間絶縁膜47をパターニングすることにより、配線層45a、45bおよびゲート電極42の表面を露出させる開口部を形成する。そして、CVDなどの方法により、層間絶縁膜47に形成された開口部内が埋め込まれるようにして、層間絶縁膜47上に導電層を堆積する。そして、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いて導電層をパターニングすることにより、配線層45a、45bおよびゲート電極42を互いに接続する配線層48を層間絶縁膜47上に形成する。
【0061】
これにより、半導体基板31および単結晶半導体層33、35の熱酸化にてBOX層を形成することが可能となり、単結晶半導体層33、35の結晶品質を損なうことなく、SOIトランジスタを形成することが可能となるとともに、SOIトランジスタの動作時のしきい値電圧を変化させることができる。このため、ゲート42からソース層43aへの漏洩電流に起因する消費電力の増大を防止しつつ、動作時のしきい値電圧を変化させることができ、動作時の消費電力の増大を抑制しつつ、スイッチング動作の高速化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す断面図。
【図2】本発明の第2実施形態に係る半導体記憶装置の概略構成を示す回路図。
【図3】本発明の第3実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す断面図。
【図4】本発明の第4実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す断面図。
【図5】本発明の第5実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す断面図。
【図6】本発明の第6実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図。
【図7】本発明の第6実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図。
【図8】本発明の第6実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図。
【図9】本発明の第6実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図。
【図10】本発明の第6実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図。
【図11】本発明の第6実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図。
【図12】本発明の第6実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図。
【図13】本発明の第6実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図。
【図14】本発明の第6実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図。
【図15】本発明の第6実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図。
【図16】本発明の第6実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図。
【符号の説明】
【0063】
31、101、201、301、401 半導体基板、32、34、102、104、202、204a、204b、302、304a、304b、404a、404b 絶縁層、33、35、51、52、103、105、203a、203b、205a、205b、303、305a、305b、405a、405b 半導体層、36、37、38 溝、39 酸化膜、40 埋め込み絶縁層、41、106、206a、206b、306a、306b、406a、406b ゲート絶縁膜、42、107、207a、207b、307a、307b、407a、407b ゲート電極、43a、109、209a、209b、409a、409b ソース層、43b、110、210a、210b、310a、310b、410a、410b ドレイン層、309a P型ソース層、309b N型ソース層、310a P型ドレイン層、310b N型ドレイン層、44、47 層間絶縁膜、45a、45b、46a、46b、48 配線層、53 犠牲酸化膜、54 酸化防止膜、56 支持体、57a、57b 空洞部、108、208a、208b、308a、308b、408a、408b サイドウォール、T1、T3 Pチャンネル電界効果型トランジスタ、T2、T4、T5、T6 Nチャンネル電界効果型トランジスタ、WL ワード線、BL1、BL2 ビット線、IV1、IV2 CMOSインバータ、210 素子分離膜、402a、402b ウェル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1絶縁層上に形成された第1半導体層と、
前記第1半導体層上に形成された第2絶縁層と、
前記第2絶縁層上に形成された第2半導体層と、
前記第2半導体層上に形成されたゲート電極と、
前記第2半導体層に形成され、前記ゲート電極の側方に配置されたソース/ドレイン層と、
前記ゲート電極と前記第1半導体層とを接続する配線層とを備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1半導体層は、前記ゲート電極が形成されたトランジスタごとに素子分離されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
第1絶縁層上に形成された第1半導体層と、
前記第1半導体層上に形成された第2絶縁層と、
前記第2絶縁層上に形成された第2半導体層と、
前記第2半導体層上に形成された第1および第2ゲート電極と、
前記第2半導体層に形成され、前記第1ゲート電極の側方に配置されたP型ソース/ドレイン層と、
前記第2半導体層に形成され、前記第2ゲート電極の側方に配置されたN型ソース/ドレイン層と、
前記第1および第2ゲート電極と前記第1半導体層とを共通に接続する第1配線層と、
前記P型ドレイン層と前記N型ドレイン層とを接続する第2配線層とを備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
半導体基板上に形成された絶縁層と、
前記半導体基板に形成されたウェルと、
前記絶縁層上に形成された半導体層と、
前記半導体層上に形成されたゲート電極と、
前記半導体層に形成され、前記ゲート電極の側方に配置されたソース/ドレイン層と、
前記ゲート電極と前記ウェルとを接続する配線層とを備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
第1CMOSインバータの入力端が第2CMOSインバータの出力端に接続され、第1CMOSインバータの出力端が第2CMOSインバータの入力端に接続されたフリップフロップ回路と、
ワード線にゲートが接続され、第1ビット線にドレインが接続され、前記第1CMOSインバータの出力端のソースが接続された第1トランスファーゲートと、
前記ワード線にゲートが接続され、第2ビット線にドレインが接続され、前記第2CMOSインバータの出力端のソースが接続された第2トランスファーゲートとを備え、
前記第1トランスファーゲートまたは第2トランスファーゲートのいずれか少なくとも一方は、
第1絶縁層上に形成された第1半導体層と、
前記第1半導体層上に形成された第2絶縁層と、
前記第2絶縁層上に形成された第2半導体層と、
前記第2半導体層上に形成されたゲート電極と、
前記第2半導体層に形成され、前記ゲート電極の側方に配置されたソース/ドレイン層と、
前記ゲート電極と前記第1半導体層とを接続する配線層とを備えることを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項6】
第1絶縁層上に積層された第1半導体層上に第2絶縁層を介して第2半導体層を形成する工程と、
前記第2半導体層および第2絶縁層をパターニングすることにより、前記第1半導体層の一部を露出させる工程と、
前記第2半導体層の熱酸化を行うことにより、前記第2半導体層の表面にゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極の側方に配置されたソース/ドレイン層を前記第2半導体層に形成する工程と、
前記ゲート電極と前記第1半導体層とを接続する配線層を形成する工程とを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1半導体層に形成されるトランジスタごとに素子分離する素子分離絶縁膜を前記第1半導体層に形成する工程とを備えることを特徴とする請求項6記載の半導体装置。
【請求項8】
第1半導体層よりもエッチングレートが小さな第2半導体層が前記第1半導体層上に積層された積層構造を半導体基板上に複数層形成する工程と、
下層の第2半導体層の表面を露出させる段差が設けられるとともに、前記第1半導体層および第2半導体層を貫通して前記半導体基板を露出させる第1溝を形成する工程と、
前記半導体基板上で前記第2半導体層を支持する支持体を前記第1溝内に形成する工程と、
前記第1半導体層の少なくとも一部を前記第2半導体層から露出させる第2溝を形成する工程と、
前記第2溝を介して第1半導体層を選択的にエッチングすることにより、前記第1半導体層を除去する工程と、
前記第2溝を介して、前記半導体基板および前記第2半導体層の熱酸化を行うことにより、前記第2半導体層の裏面側に配置された絶縁層を形成する工程と、
前記第2半導体層の熱酸化を行うことにより、最上層の第2半導体層上にゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜を介して最上層の第2半導体層上にゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極をマスクとしてイオン注入を行うことにより、前記ゲート電極の側方に配置されたソース/ドレイン層を最上層の第2半導体層に形成する工程と、
前記下層の第2半導体層と前記ゲート電極とを接続する配線層を形成する工程とを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−165251(P2006−165251A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−354108(P2004−354108)
【出願日】平成16年12月7日(2004.12.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】