説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】縦型トランジスタのカットオフ時のリーク電流を低減する半導体装置及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】半導体基板と前記半導体基板の内部に形成された第1の不純物拡散領域と前記第1の不純物拡散領域の上方に形成された柱状半導体層と前記柱状半導体層の側方に形成されたゲート絶縁膜と前記ゲート絶縁膜の側方に形成されたゲート電極と前記不純物拡散領域の上方で前記ゲート電極に接して形成された絶縁体からなる層間膜と前記柱状半導体層の上方で前記ゲート電極に接して形成された絶縁体からなるスペーサと前記柱状半導体層の上方に形成された第2の不純物拡散領域とを具備し前記柱状半導体層の略中央に絶縁膜を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦型トランジスタを有する半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、縦型トランジスタ(SGT)を有する半導体装置は、特にDRAMやフラッシュメモリなどの分野での使用方法が提案されている。
【0003】
縦型トランジスタは、柱状(ピラー)の半導体層の上下端にソース/ドレイン拡散領域とソース/ドレイン電極を形成し、ピラーの中央部の側面にピラーを取り囲むようにゲート絶縁膜及びゲート電極が形成される。
【0004】
縦型トランジスタの柱状半導体層の形成方法は、エピタキシャル成長による単結晶シリコンを用いる方法もあるが、アモルファスシリコンを用いて熱を加えることによってポリシリコン化する方法もある。
【0005】
後者のアモルファスシリコンないしポリシリコンを用いる場合、柱状半導体層にグレインが形成され、しかもグレインの数や方向などは製造工程で制御することができない。グレインとは、結晶粒であり、形成される個々のグレインはそれぞれ原子配列が異なる。このグレインが多数集まったときに生成される、グレイン(結晶粒)どうしの境界(いわば隙間)には、不純物原子が溜まりやすい。このグレイン間の境界面をグレイン界面という。
【0006】
グレイン界面がソース/ドレイン間を繋ぐように形成された場合、グレイン界面を通じて電流が流れ縦型トランジスタのカットオフ時のオフ電流が大きくなる可能性が高い。
【特許文献1】特開2002−83945公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、縦型トランジスタのカットオフ時のリーク電流を低減する半導体装置及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態に係る本発明の半導体装置は、
半導体基板と、
前記半導体基板の内部に形成された第1の不純物拡散領域と、
前記第1の不純物拡散領域上に形成された柱状半導体層と、
前記柱状半導体層の側面に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜の側面に形成されたゲート電極と、
前記半導体基板上にあって前記ゲート電極の側面に形成された絶縁体からなる層間膜と、
前記柱状半導体層上に形成された第2の不純物拡散領域と
を具備し、
前記柱状半導体層の内部に絶縁膜を有することを特徴としている。
【0009】
また、一実施形態に係る本発明の半導体装置の製造方法は、
半導体基板内部に第1の不純物拡散領域を形成する工程と、
前記第1の不純物拡散領域の上にアモルファスシリコンを堆積させ、前記アモルファスシリコンの上に酸化膜を形成し、前記酸化膜の上にアモルファスシリコンを堆積させて柱状半導体層を形成する工程と、
前記柱状半導体層の表面にゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜の表面にゲート電極を形成する工程と、
前記柱状半導体層の上方に第2の不純物拡散領域を形成する工程と
を含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施形態によれば、縦型トランジスタのカットオフ時のリーク電流を低減する半導体装置及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳細に説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る縦型のn型MOSトランジスタを示した断面模式図である。図2は、図1に示した縦型のn型MOSトランジスタが水平方向に複数配置されてロジック回路を構成していることを示した断面模式図である。
【0013】
図1及び図2に示す本発明の第1の実施形態に係る縦型のn型MOSトランジスタは、半導体基板103の内部に形成された第1の不純物拡散領域107上部にチャネルとなる柱状半導体層104が形成されている。半導体基板103の内部には、第1の不純物拡散領域107が形成される。第1の不純物拡散領域107上には突起した柱状半導体層104が設けられている。この柱状半導体層104の中央部に容易にトンネル電流が流れる程度の薄い絶縁膜100が形成されている。絶縁膜100は、酸化膜であってもよいし、窒化膜であってもよい。柱状半導体層104の外周面には、ゲート絶縁膜105が形成され、この外周を取り囲むようにゲート電極106が形成されている。
【0014】
柱状半導体層104の上部にはゲート電極106との間に絶縁体からなるスペーサ108、さらにスペーサ108の間に第2の不純物拡散領域109が形成され、第2の不純物拡散領域109の上部に第2の配線層101が設けられる。なお、例えばゲート電極106の高さがゲート絶縁膜105よりも低く形成されて、第2の不純物拡散領域109とゲート電極106とが接することなく、第2の不順拡散領域109に接するように層間絶縁膜102またはゲート絶縁膜が形成されていれば、スペーサ108は無くてもよい。第2の配線層101はソース線としてもよいし、ドレイン線としてもよい。以下では、便宜上ドレイン線として説明する。他方、第1の不純物拡散領域107に接するようにコンタクト層113が形成され、コンタクト層113の上部に第1の配線層115が形成される。第1の配線層115はソース線としてもよいし、ドレイン線としてもよい。以下では、便宜上ソース線として説明する。柱状半導体層104は、ソースとドレインとの間のチャネル領域となって、3次元構造のn型MOSトランジスタが構成される。
【0015】
柱状半導体層104は、プロセスが簡易であることからアモルファスシリコンが使用されており、アモルファスシリコンは熱が加わる工程により複数の結晶粒となりポリシリコン化される。つまり、柱状半導体層104は、複数のグレイン(結晶粒)から構成されることになり、その複数のグレイン間の境界であるグレイン界面を有することになる。
【0016】
トランジスタをカットオフさせる場合、ゲート電圧の制御により、柱状半導体層104に空乏層を形成する。柱状半導体層104にグレイン界面111がソースとドレインとの間を繋ぐように形成されている場合には、グレイン界面111に不純物原子が溜まりやすく、グレイン界面111を介してリーク電流が流れ、トランジスタのカットオフ時のリーク電流が大きくなる可能性が高い。そこで、柱状半導体層104の略中央の水平方向に薄い絶縁膜100を設けて、グレイン界面111がソースとドレインとの間を繋ぐように形成されることを防ぐこととした。なお、絶縁膜100は、グレイン界面111がソースとドレイン間で連続しないように設けられるのであり、その位置は柱状半導体層104の中央部に設けるのが好ましい。しかし、必ずしも中央部でなくとも、ソース側、ドレイン側に偏って設けることも可能である。つまり、柱状半導体層104中に絶縁膜100を設けることで、グレイン界面111を分断する効果がある。
【0017】
次に、本発明の第1の実施形態に係るMOSトランジスタの製造方法を示す。図3乃至図6は、本発明の第1の実施形態に係る縦型MOSトランジスタの製造方法を示した図である。
【0018】
半導体基板103に従来の方法にてSTI素子分離領域114を形成する。その後、半導体基板103の所望の位置に、例えばAsなどのn型不純物をインプラ注入し、第1の不純物拡散領域(n型拡散領域)107を形成する。図3に示すように、半導体基板103上に縦型トランジスタの柱状半導体層104となるアモルファスシリコン(例えば75nm)を堆積させた後、アモルファスシリコン上を低温で酸化(450℃前後の低温)し絶縁膜100(約1nm以下)を形成し、その後、再度アモルファスシリコン(例えば75nm)を堆積させて縦型トランジスタの柱状半導体層104を形成する。また、上記絶縁膜100は、熱酸化の方法ではなく、堆積(デポ)させる方法により形成してもよい。また、上記絶縁膜100に代えて窒化膜でもよい。
【0019】
この絶縁膜100は、上記した柱状半導体層104に生成されるグレイン界面111がソース/ドレイン間を繋ぐように形成されることを防止し、グレイン界面111を介してリーク電流が流れることを防止する機能を果たす。その後、SiN112(例えば100nm)を堆積した後、柱状(ピラー)を形成するレジストパタン110をフォトリソグラフィ法により形成する。
【0020】
その後、レジストマスク110でSiN112をエッチングし、レジストマスク110を除去した後、SiN112をマスクにしてアモルファスシリコンをエッチングすることによりアモルファスシリコンの柱状半導体層104が形成される。その後、柱状半導体層104表面を酸化することでゲート絶縁膜105を形成し、ゲート電極106となるアモルファスシリコンを堆積させる。そして、異方性エッチングでアモルファスシリコンをエッチングすることにより図4に示すように柱状半導体層104の側壁にゲート電極を形成する。
【0021】
ゲート電極形成後、全面に層間絶縁膜102として例えばBPSG(Boro−phospho silicate glass)膜を堆積させSiN112上面で平坦化されるようにCMP(Chemical Mechanical Polishing)を行う。その後SiN112を剥離した後、SiNを堆積しRIEで異方性エッチングを行うことでスペーサ108を形成する。なお、ゲート電極の形成工程において、ゲート絶縁膜105の高さよりも低くなるようにゲート電極106を形成することによって、このスペーサ108の形成工程を省くことができる。図5は、上記工程により形成された縦型トランジスタの断面図である。
【0022】
さらにその後、図6に示すように、例えばAs不純物を含んだアモルファスシリコンを堆積し、エッチバックすることで、縦型トランジスタの柱状半導体層104上部にのみn型の第2の不純物拡散領域を形成する。第2の不純物拡散領域の上部に例えばTi/TiNなどのバリヤメタルをスパッタし、Alなどをスパッタで成膜した後、フォトリソグラフィ法とRIE法を用いて第2の配線層101を加工する。また、第1の不純物拡散領域107に接するようにコンタクト層113が形成され、コンタクト層113の上部に第1の配線層115が形成される。
【0023】
以上のような製造工程により、図1に示す本発明の第1の実施形態に係る縦型のn型MOSトランジスタは製造される。また、図2に示すように、半導体基板103に素子分離領域114を形成し、第1の不純物拡散領域の一部に接続される第1の配線層を形成することで、縦型のn型MOSトランジスタが水平方向に複数配置されたロジック回路が構成される。
【0024】
(第2の実施形態)
図7は、本発明の第2の実施形態に係る1層からなる縦型トランジスタを用いたNOR型フラッシュメモリのメモリセルを示した平面図である。図8は、図7に示したA−A’線の断面図であり、図9は、図7に示したB−B’線の断面図である。図10は、本発明の第2の実施形態に係るNOR型フラッシュメモリのメモリセルアレイの等価回路図である。
【0025】
本発明の第2の実施形態は、本発明の第1の実施形態と異なり、ゲート絶縁膜を3層のONO膜にする。すなわち、前記柱状半導体層104の側面に第1の絶縁層105aとして酸化膜(Oxide)、電荷蓄積層105bとして窒化膜(Nitride)、第2の絶縁層105cとして酸化膜(Oxide)を形成する。なお、前記電荷蓄積層105bの材質としてポリシリコンを用いて、フローティングゲート構造としてもよい。
【0026】
図8及び図9に示すように、本発明の第2の実施形態に係る1層からなる縦型トランジスタを用いたNOR型フラッシュメモリは、柱状半導体層104がチャネル領域となり、柱状半導体層104上部にn型拡散領域となるn型の第2の不純物拡散領域109が形成されてドレイン線となる第2の配線層101に接続されている。半導体基板103内部に形成されたn型の第1の不純物拡散領域107は、ソース線となる第1の配線層(図示せず)に接続される。ゲート電極106は、ワード線(図示せず)に接続される。このように、ドレイン領域とソース領域に対してゲート電極は、直交するように形成される。上記したONO膜105a〜105cの中心の電荷蓄積層105bは、絶縁膜であるが、大量のトラップが存在するため、電荷を捕獲して蓄積することができる。ONO膜は、このトラップに電荷を蓄積したり、蓄積した電荷を放電したりすることにより、不揮発性半導体記憶装置のメモリセルとして利用される。なお、本発明の第1の実施形態と同様に、柱状半導体層104の略中央の水平方向に薄い絶縁膜100を設けて、グレイン界面111がソース/ドレイン間を繋ぐように形成されることを防ぐこととしている。
【0027】
図7及び図9に示す第2の配線層101は、図10に示す等価回路ではドレイン線DL1〜DL3に対応する。図9に示す半導体基板103内部の第1の不純物拡散領域に接続されたソース線となる第1の配線層(図示せず)は、図10に示す等価回路ではソース線SL1〜SL3に対応する。図8に示すゲート電極106は、図10に示す等価回路ではWL1〜WLNに対応する。
【0028】
図10に示すようにNOR型フラッシュメモリのメモリセルアレイは、ドレイン線DL1とソース線SL1との間に複数のメモリセルMC11〜MC1Nが配列された構造となっている。ドレイン線DL1に接続されたメモリセルMC11〜MC1Nのうち、いずれかのメモリセルがソース線SL1に導通すると、ドレイン線DL1の電位はソース線と同電位になるため、論理回路ではNORとなる。
【0029】
このような構成において、NOR型フラッシュメモリのメモリセルに対する書き込み動作は、ソース線SL1〜SL3を0V、ドレイン線DL1〜DL3のうち、書き込む対象となるメモリセルが接続されたドレイン線を正の高電圧HVに設定し、ワード線WL1〜WLNのうち、書き込む対象となるメモリセルが接続されたワード線を正の高電圧HV、半導体基板を0Vに設定することにより行われる。上記設定によって、書き込み対象とされたメモリセルのドレイン拡散領域とソース拡散領域との間のチャネル領域と、とゲート電極との間にトンネル電流が流れる。トンネル効果により電子は、第1の絶縁層105aを貫通して、電荷蓄積層105bに注入される。この電子が電荷蓄積層105bに注入されることにより情報(高Vth(高閾値電圧)に設定する動作)の書き込みがなされる。
【0030】
NOR型フラッシュメモリのメモリセルに対する消去動作は、ソース線SL1〜SL3を正の高電圧HV、ドレイン線DL1〜DL3をフローティング(open)、ワード線を0Vあるいは負の高電圧MHV、半導体基板を0Vに設定することにより行われる。上記設定によって、ソース拡散領域のエッジ近傍領域におけるFN(Fowler−Nordheim tunnelling)現象によって電荷蓄積層105bから電子を引き抜くことにより、消去動作(低Vth(低閾値電圧)に設定する動作)が実行される。
【0031】
NOR型フラッシュメモリのメモリセルに対する読出し動作は、ソース線SL1〜SL3を0V、ドレイン線DL1〜DL3のうち対象となるメモリセルが接続されたドレイン線を正の低電圧HLow、ワード線WL1〜WLNのうち対象となるメモリセルが接続されたワード線を読出し電圧VR(低Vth<VR<高Vth)、半導体基板を0Vに設定することにより行われる。上記設定によって、メモリセルがオン状態になるか否かを検出して閾値電圧が高Vthであるか低Vthであるかを認識することにより読出し動作を行う。
【0032】
本発明の第2の実施形態に係る1層からなる縦型トランジスタを用いたNOR型フラッシュメモリは、前記したように、本発明の第1の実施形態と同様に、チャネル領域となる柱状半導体層104の略中央の水平方向に薄い絶縁膜100を設けて、グレイン界面111がソース/ドレイン間を繋ぐように形成されることを防ぐこととしている。これにより、制御できないオフリーク電流の増大が抑制されセンスマージンが向上するとともに、データ保持特性の劣化を抑制することができる。
【0033】
(第3の実施形態)
図11は、本発明の第3の実施形態に係る多層からなる縦型トランジスタを用いたNAND型フラッシュメモリのメモリセルを示した平面図である。図12は、図11に示したA−A’線の断面図であり、図13は、図11に示したB−B’線の断面図である。図14は、本発明の第3の実施形態に係るNAND型フラッシュメモリのメモリセルアレイの等価回路図である。
【0034】
本発明の第3の実施形態は、柱状半導体層104が縦方向に繋がるようにして縦型トランジスタが積層されている。第1の素子形成層LAY1及び第3の素子形成層LAY3のゲート絶縁膜105は、1層であり、第1の素子形成層LAY1の縦型トランジスタは、いずれもソース側のセレクトゲートトランジスタS1を構成し、第3の素子形成層LAY3の縦型トランジスタは、いずれもドレイン側のセレクトゲートトランジスタS2を構成する。
【0035】
第1の素子形成層LAY1と第3の素子形成層LAY3との間の層に形成された第2の素子形成層LAY2は、複数の層から構成される。図11及び図12に示した第2の素子形成層LAY2は、便宜上2層から構成されているが、実際には図よりも多段の層から構成される。第2の素子形成層LAY2の縦型トランジスタのゲート絶縁膜は、本発明の第2の実施形態と同様に、柱状半導体層104の側面に第1の絶縁層105aとして酸化膜(Oxide)、電荷蓄積層105bとして窒化膜(Nitride)、第2の絶縁層105cとして酸化膜(Oxide)を形成する。なお、前記電荷蓄積層105bの材質としてポリシリコンを用いて、フローティングゲート構造としてもよい。複数の層から構成される第2の素子形成層LAY2の縦型トランジスタは、メモリセルを構成する。
【0036】
図14は、本発明の第3の実施形態に係るNAND型フラッシュメモリのメモリセルアレイの等価回路図である。1つのセルアレイがm個のセルアレイブロックBLKk(k=0〜m−1)から構成される例を示した図である。一つの基板は、複数のブロックが配置されており、一つの基板に配置されるブロックの集合体を1プレーンとして扱う。各セルアレイブロックBLKkは、互いに交差する複数のワード線WL0〜WLi−1とビット線BL0〜BLj−1とを有する。各ワード線WL0〜WLi−1とビット線BL0〜BLj−1の交差部にメモリセルMC0,0〜MCi−1,j−1が配置される。
【0037】
図14に示すワード線は、図13では、水平方向のゲート電極106に接続された配線に対応する。図14に示すビット線は、図12及び図13では、垂直方向に接続された第2の配線層101、拡散領域109、柱状半導体層104、半導体基板103に接続された配線(図示せず)に対応する。このビット線に直交する図14に示すワード線は、図12及び図13では、水平方向に接続されたゲート電極106に対応する。
【0038】
図14に示す1つのブロックBLK0内の1本のビット線BL0とWL0〜WLi−1との交差部の複数個のメモリセルMC0〜MCi−1は直列接続されてセルストリングを構成する。図12及び図13においては、1本の垂直方向に接続された柱状半導体層104の側壁に形成されたONO膜105a〜105cとゲート電極106とにより、複数個のメモリセルMC0〜MCi−1が垂直方向に直列接続されてセルストリングを構成している。なお、図12及び図13は便宜上4層としてあるが、多数段の層を形成することが可能である。
【0039】
図14に示すセルストリングの一端側セルのソースと共通ソース線CELSRCの間には選択ゲートトランジスタS1が挿入され、他端側セルのドレインとビット線BLとの間には選択ゲートトランジスタS2が挿入されている。一つのセルストリングとその両端に接続された二つの選択トランジスタにより、NANDセルユニットが構成されている。図12及び図13においては、最下層LAY1に配置された縦型トランジスタが、図14に示す選択ゲートトランジスタS1に対応し、最上層LYNに配置された縦型トランジスタが、図14に示す選択ゲートトランジスタS2に対応する。
【0040】
各メモリセルMC0〜MCi―1の制御ゲートは、ワード線WL0〜WLi―1に接続され、選択ゲートトランジスタS1、S2の選択ゲートは、それぞれワード線WLと並行に配設された選択ゲート線SGS、SGDに接続されている。一本のワード線WLに沿った複数のメモリセルMCの集合がデータ読み出し及び書き込みの単位である1ページとなる。
【0041】
次に、本発明の第3の実施形態に係る縦型トランジスタを複数積層して構成するNAND型フラッシュメモリのメモリセルアレイの製造方法を図15乃至図24により示す。
【0042】
第1の素子形成層LAY1の縦型トランジスタの製造プロセスは、図15乃至図17に示した。前記本発明の第1の実施例の製造プロセスと、素子分離領域を設けていないことを除いて、他の工程は同様であって、半導体基板103上に従来の方法にて所望の位置に、例えばAsなどのn型不純物をインプラ注入し、n型の不純物拡散領域107を形成して共通プレートとなる半導体基板103を形成する。図15に示すように、半導体基板103上に縦型トランジスタの柱状半導体層104となるアモルファスシリコン(例えば750A)を堆積させた後、アモルファスシリコン上を低温で酸化(450℃前後の低温)し絶縁膜100(約1nm以下)を形成し、その後再度アモルファスシリコン(例えば75nm)を堆積させて縦型トランジスタの柱状半導体層104を形成する。絶縁膜100は、熱酸化の方法ではなく、堆積(デポ)させる方法により形成してもよい。また、上記絶縁膜100に代えて窒化膜でもよい。この絶縁膜100は、上記した柱状半導体層104にグレイン界面111がソース/ドレイン間を繋ぐように形成されることを防止し、グレイン界面111を介したリーク電流が流れることを防止する機能を果たす。その後、パッドとなるSiN112(例えば100nm)を堆積した後、柱状(ピラー)を形成するレジストパタン110をフォトリソグラフィ法により形成する。
【0043】
その後、レジストマスクでパッドSiN112をエッチングし、レジストマスクを除去した後、パッドSiN112をマスクにしてアモルファスシリコンをエッチングすることでアモルファスシリコンの柱状半導体層104が形成される。その後、柱状半導体層104表面を酸化することでゲート絶縁膜105を形成し、ゲート電極106となるアモルファスシリコンを堆積させる。そして、異方性エッチングでアモルファスシリコンをエッチングすることで図16に示すように柱状半導体層104の側壁にゲート電極を形成する。
【0044】
ゲート電極形成後、全面に層間絶縁膜102として例えばBPSG(Boro−phospho silicate glass)膜を堆積させパッドSiN112上面で平坦化されるようにCMP(Chemical Mechanical Polishing)を行う。その後パッドSiN112を剥離した後、SiNを堆積しRIEで異方性エッチングを行うことでスペーサ108を形成する。なお、ゲート電極の形成工程において、ゲート絶縁膜105の高さよりも低くなるようにゲート電極106を形成することによって、このスペーサ108の形成工程を省くことができる。このことは、以下に述べる第2の素子形成層LAY2及び第3の素子形成層LAY3の製造工程においても同じである。図17は、上記工程により形成された縦型トランジスタの断面図である。
【0045】
次に、図18に示すように第2の素子形成層LAY2の縦型トランジスタを形成する。図5に示した第1の素子形成層LAY1の縦型トランジスタの柱状半導体層104の上にアモルファスシリコンを堆積させた後、アモルファスシリコン上を低温で酸化し絶縁膜100を形成し、その後再度アモルファスシリコンを堆積させて縦型トランジスタの柱状半導体層104を形成する。この絶縁膜100は、第1の素子形成層LAY1と同様に上記した柱状半導体層104にグレイン界面111がソース/ドレイン間を繋ぐように形成されることを防止し、グレイン界面111を介したリーク電流が流れることを防止する機能を果たす。その後、SiN112を堆積した後、柱状(ピラー)を形成するレジストパタン110をフォトリソグラフィ法により形成する。
【0046】
その後、図19に示すように、レジストマスクでSiN112をエッチングし、レジストマスクを除去した後、SiN112をマスクにしてアモルファスシリコンをエッチングすることでアモルファスシリコンの柱状半導体層104が形成される。
【0047】
その後、図20に示すように、柱状半導体層104側壁を酸化して第1の絶縁層105aを形成し、電荷蓄積層105b及び第2の絶縁層105cを順次堆積させ、ゲート電極106となるアモルファスシリコンを堆積させた後、アモルファスシリコンを異方性RIEエッチングで除去することで柱状半導体層104側壁にONO膜105a〜105c、ゲート電極106を形成する。
【0048】
図21に示すように、ゲート電極形成後最下層と同様の方法で、全面に層間絶縁膜102として例えばBPSG(Boro−phospho silicate glass)膜を堆積させSiN112上面で平坦化されるようにCMP(Chemical Mechanical Polishing)を行う。その後SiN112を剥離した後、SiNを堆積しRIEで異方性エッチングを行うことでスペーサ108を形成する。
【0049】
図22に示すように上記製造工程の繰り返しにより、複数層の縦型MONOSセルの第2の素子形成層LAY2を形成する。第2の素子形成層LAY2は、少なくとも1つ以上の層から構成される。
【0050】
最後に図23及び図24に示すように、第3の素子形成層LAY3は、第1の素子形成層のソース側のセレクトゲートトランジスタと同様、柱状半導体層側壁にゲート酸化膜のみを形成し、例えばAs不純物を含んだアモルファスシリコンを堆積し、エッチバックすることで、縦型トランジスタの柱状半導体層104上部にのみn型の第2の不純物拡散領域109を形成し、活性化アニールを行う。これにより、ドレインの拡散領域が形成される。その後、例えばTi/TiNなどのバリヤメタルをスパッタし、Alなどをスパッタで成膜した後、フォトリソグラフィ法とRIE法を用いて第2の配線層101を加工する。
【0051】
上記製造工により縦型積層メモリアレイが形成されるが、途中の熱工程などでアモルファスシリコンが結晶化されポリシリコンに変化する。このときにグレインが形成される。このグレインが多数集まるとグレイン(結晶粒)どうしの境界であるグレイン界面111が生成される。しかし、各縦型トランジスタの柱状半導体層の略中央付近には極薄い絶縁膜100が形成されているためグレインがトランジスタの上下を短絡することは無く、制御できないオフリーク成分の増大を抑制することができる。
【0052】
以上、本発明の第1の実施形態乃至第3の実施形態により、本発明の半導体装置及びその製造方法について説明したが、本発明の半導体装置及びその製造方法は、上記した本発明の第1の実施形態1乃至第3の実施形態に特に限定されるものではなく、各種の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る縦型トランジスタを示した断面模式図。
【図2】図1に示した縦型トランジスタが水平方向に複数配置された断面模式図。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る半導体基板上に柱状半導体層と酸化膜とSiNとレジストパタンを形成した図。
【図4】図3に示したレジストマスクをエッチングした後に柱状半導体層の側面にゲート酸化膜とゲート電極とを形成した図。
【図5】図4に示したゲート電極を形成した後に層間絶縁膜とスペーサを形成した図。
【図6】図5に示したスペーサを形成した後に拡散領域と配線層を形成した図。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る縦型トランジスタを用いたNOR型フラッシュメモリのメモリセルを示した平面図。
【図8】図7に示したA−A’線の断面図。
【図9】図7に示したB−B’線の断面図。
【図10】本発明の第2の実施形態に係るNOR型フラッシュメモリのメモリセルアレイの等価回路図。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る縦型トランジスタを用いたNAND型フラッシュメモリのメモリセルを示した平面図。
【図12】図11に示したA−A’線の断面図
【図13】図11に示したB−B’線の断面図
【図14】本発明の第3の実施形態に係るNAND型フラッシュメモリのメモリセルアレイの等価回路図。
【図15】本発明の第3の実施形態に係る半導体基板上に柱状半導体層と酸化膜とSiNとレジストパタンを形成した図。
【図16】図15に示したレジストマスクをエッチングした後に柱状半導体層の側面にゲート酸化膜とゲート電極とを形成した図。
【図17】図16に示したゲート電極を形成した後に層間絶縁膜とスペーサを形成した図。
【図18】本発明に第3の実施形態に係る第1の素子形成層の柱状半導体層の上部に第2の素子形成層の柱状半導体層と酸化膜とSiNとレジストパタンを形成した図。
【図19】図18に示したレジストマスクをエッチングし除去した図。
【図20】図19に示した第2の素子形成層の柱状半導体層の側面にONO膜とゲート電極とを形成した図。
【図21】図20に示した第2の素子形成層のゲート電極を形成した後に層間絶縁膜とスペーサを形成した図。
【図22】図21に示した第2の素子形成層の柱状半導体層を繰る返し形成した図。
【図23】図22に示した第2の素子形成層の上に第3の素子形成層の柱状半導体層を形成した図。
【図24】図23に示した第3の素子形成層の柱状半導体層の上部に不純物拡散領域と配線層を形成した図。
【符号の説明】
【0054】
CELSRC 共通ソース線
BL、BL0〜BLj−1 ビット線
BLK0、BLK1、BLKm−1 ブロック
MC、MC0〜MCi−1 メモリセル
S1、S2 セレクトゲートトランジスタ
SGD、SGS 選択ゲート線
LAY1 第1の素子形成層
LAY2 第2の素子形成層
LAY3 第3の素子形成層
100 絶縁膜
101 第2の配線層
102 層間絶縁膜
103 半導体基板
104 柱状半導体層
105 ゲート絶縁膜
106 ゲート電極
107 第1の不純物拡散領域
108 スペーサ(SiN)
109 第2の不純物拡散領域
110 レジスト
111 グレイン界面
112 SiN(パッドSiN)
113 コンタクト層
114 素子分離領域
115 第1の配線層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板の内部に形成された第1の不純物拡散領域と、
前記第1の不純物拡散領域上に形成された柱状半導体層と、
前記柱状半導体層の側面に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜の側面に形成されたゲート電極と、
前記半導体基板上にあって前記ゲート電極の側面に形成された絶縁体からなる層間膜と、
前記柱状半導体層上に形成された第2の不純物拡散領域と
を具備し、
前記柱状半導体層の内部に絶縁膜を有する
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記柱状半導体層の内部の絶縁膜は、前記柱状半導体層内部の中央部に前記半導体基板に対して水平方向に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記柱状半導体層の側方に形成された前記ゲート絶縁膜は、第1の絶縁層と電荷蓄積層と第2の絶縁層の三層を含む積層構造であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
半導体基板と、
前記半導体基板の内部に形成された第1の不純物拡散領域と、前記第1の不純物拡散領域上に形成された第1の柱状半導体層と、記第1の柱状半導体層の側面に形成された第1のゲート絶縁膜と、前記第1のゲート絶縁膜の側面に形成された第1のゲート電極と、前記半導体基板上にあって前記第1のゲート電極の側面に形成された絶縁体からなる第1の層間膜とを具備する第1の素子形成層と、
前記第1の柱状半導体層上に形成された第2の柱状半導体層と、前記第2の柱状半導体層の側面に形成された第1の絶縁層と電荷蓄積層と第2の絶縁層の三層を含む第2のゲート絶縁膜と、前記第2のゲート絶縁膜の側面に形成された第2のゲート電極と、前記第1の層間膜上にあって前記第2のゲート電極の側面に形成された絶縁体からなる第2の層間膜とを具備する第2の素子形成層を少なくとも1つ含むメモリ部と、
前記第2の柱状半導体層上に形成された第3の柱状半導体層と、前記第3の柱状半導体層の側面に形成された第3のゲート絶縁膜と、前記第3のゲート絶縁膜の側面に形成された第3のゲート電極と、前記第2の層間膜上にあって前記第3のゲート電極の側面に形成された絶縁体からなる第3の層間膜と、前記第3の柱状半導体層上に形成された第2の不純物拡散領域と、前記第2の不純物拡散領域上に形成された第2の配線層とを具備する第3の素子形成層と
を備え、
前記第1の柱状半導体層、前記第2の柱状半導体層及び前記第3の柱状半導体層の少なくともひとつの内部に絶縁膜を有する
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
半導体基板内部に第1の不純物拡散領域を形成する工程と、
前記第1の不純物拡散領域の上にアモルファスシリコンを堆積させ、前記アモルファスシリコンの上に酸化膜を形成し、前記酸化膜の上にアモルファスシリコンを堆積させて柱状半導体層を形成する工程と、
前記柱状半導体層の表面にゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜の表面にゲート電極を形成する工程と、
前記柱状半導体層の上方に第2の不純物拡散領域を形成する工程と
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2008−53388(P2008−53388A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−227211(P2006−227211)
【出願日】平成18年8月23日(2006.8.23)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】