説明

半導体集積回路装置の製造方法

【課題】ニッケル系メタル・シリサイドとコンタクト用メタル間でのコンタクト抵抗の低抵抗化がホールの微細化に伴って、困難になるという問題がることが、本願発明者の検討により明らかとなった。
【解決手段】本願の一つの発明は、ニッケル系メタル・シリサイドによりソース・ドレイン領域等のシリサイデーションを施したMISFETを有する半導体集積回路装置の製造方法において、プリ・メタル絶縁膜に設けられたコンタクト・ホールにバリア・メタルを形成する前に、シリサイド膜の上面に対して、窒素水素間結合を有するガスを主要なガス成分の一つとして含む非プラズマ還元性気相雰囲気中で、熱処理を実行するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路装置(または半導体装置)の製造方法におけるコンタクト形成技術に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
日本特開2001−102345号公報(特許文献1)には、気相の弗化アンモニウムによりシリコン表面の自然酸化膜を除去するドライ洗浄に関して、アンモニアおよび三弗化窒素等を摂氏700度程度に加熱することによって、弗化アンモニウムを簡易に生成する技術が開示されている。
【0003】
日本特開2007−214538号公報(特許文献2)または米国特許公開2007−0161218号公報(特許文献3)には、ニッケル・シリサイド上の自然酸化膜等に起因するコンタクト抵抗低減のために、コンタクトのバリア・メタル成膜前に、NFガスとアンモニア等の水素元素を含むガスの混合ガス・プラズマ雰囲気下、摂氏100度から300度程度の加熱下で、ニッケル・シリサイド上の自然酸化膜を除去する技術が開示されている。
【0004】
国際公開第2005/098913号パンフレット(特許文献4)または米国特許公開2007−0257372号公報(特許文献5)には、ニッケル・シリサイド上の自然酸化膜等に起因するコンタクト抵抗低減のために、コンタクトのバリア・メタル成膜前に、アンモニア・ガスと弗化水素ガスの混合ガス・プラズマ雰囲気下でドライ・クリーニング処理する技術が開示されている。
【0005】
日本特開2007−281298号公報(特許文献6)または米国特許公開2007−0238321号公報(特許文献7)には、ニッケル・シリサイド形成前のドライ・クリーニング方法として、ニッケル膜を成膜前に、NFガスとアンモニア等の混合ガス中のリモート・プラズマ雰囲気下、シリコン表面の自然酸化膜を除去する技術が開示されている。
【0006】
日本特開2007−311540号公報(特許文献8)または米国特許公開2007−0269976号公報(特許文献9)には、ニッケル・シリサイド上の自然酸化膜等に起因するコンタクト抵抗低減のために、コンタクトのバリア・メタル成膜前に、NFガスとアンモニア等の水素元素を含むガスの混合ガス中のリモート・プラズマ雰囲気下で、ニッケル・シリサイド上の自然酸化膜を除去する技術が開示されている。
【0007】
日本特開2008−311457号公報(特許文献10)、米国特許公開2008−0311718号公報(特許文献11)、日本特開2008−103370号公報(特許文献12)、または米国特許公開2008−0176396号公報(特許文献13)には、ニッケル・シリサイド上の自然酸化膜等に起因するコンタクト抵抗低減のために、コンタクトのバリア・メタル成膜後に、アンモニア・ガスの混合ガス中でのプラズマ処理によって、ニッケル・シリサイド上の自然酸化膜を除去する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−102345号公報
【特許文献2】特開2007−214538号公報
【特許文献3】米国特許公開2007−0161218号公報
【特許文献4】国際公開第2005/098913号パンフレット
【特許文献5】米国特許公開2007−0257372号公報
【特許文献6】特開2007−281298号公報
【特許文献7】米国特許公開2007−0238321号公報
【特許文献8】特開2007−311540号公報
【特許文献9】米国特許公開2007−0269976号公報
【特許文献10】特開2008−311457号公報
【特許文献11】米国特許公開2008−0311718号公報
【特許文献12】特開2008−103370号公報
【特許文献13】米国特許公開2008−0176396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
半導体装置における半導体基板と配線との接続には、両者の間に形成された絶縁膜を貫通する接続孔(コンタクト・ホール)の内部に埋め込まれた導電部材、例えばタングステンまたは銅からなるプラグが用いられている。また、接続孔の底部に接する半導体基板の表面には低抵抗でかつ浅い接合の形成を可能とするシリサイド層が形成されている。なかでもニッケル・シリサイド(NiSi)層は14から20μΩ・cmの低抵抗を有し、例えば400から600℃の比較的低温によるサリサイド技術により形成することができることから、近年、微細化が要求される半導体素子へのニッケル・シリサイド層(より一般的にはニッケル系メタル・シリサイド)の採用が一般的となっている。
【0010】
ところで、接続孔の内部に埋め込まれたプラグと半導体基板の表面に形成されたニッケル・シリサイド層の間には、一般にチタン膜上に窒化チタン膜を堆積した積層構造のバリア・メタル膜が形成される。チタン膜は酸素原子を12at%まで固溶できることからニッケル・シリサイド層表面の還元材として用いられて、ニッケル・シリサイド層との接触抵抗を低減する機能を有する。また、窒化チタン膜はプラグの構成原子が拡散するのを抑制または防止する機能を有する。
【0011】
しかしながら、上記チタン膜上に窒化チタン膜を堆積した積層構造のバリア・メタル膜については、以下に説明する種々の技術的課題が存在する。
【0012】
一般に、チタン膜はTiClガスとHガスとを用いたPECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)法またはCVD法により形成され、窒化チタン膜はTiClガスとNHガスとを用いたCVD法などにより形成されるが、これらの成膜の温度は、ニッケル・シリサイド層の耐熱性を考慮して550℃以下にする必要がある。しかし、550℃以下の低温でチタン膜及び窒化チタン膜を成膜した場合、これら積層構造のバリア・メタル膜中に原料ガスである塩素が残留してバリア・メタル膜の抵抗が高くなり、その結果、プラグとニッケル・シリサイド層との間の接触抵抗が高くなるという問題がある。また、バリア・メタル膜中に残留した塩素によってチタン膜と窒化チタン膜との間で剥がれが生じる、またはバリア・メタル膜中に残留した塩素が大気中に放出されると窒化チタン膜にマイクロ・クラックが発生するなどの問題もある。
【0013】
また、接続孔の内部にプラグとなるタングステン膜を埋め込むと、バリア・メタル膜の上部を構成する窒化チタン膜上にタングステン膜が堆積されることになる。タングステン膜は、HガスによるWFガスの還元を利用してCVD法により形成されるが、WFガスに含まれるフッ素は窒化チタン膜のグレイン・バンダリを介してチタン膜まで侵入し、チタン膜のふくれや剥がれを引き起こすことがある。チタン膜とタングステン膜との間には窒化チタン膜が形成されており、その厚さを厚くすることによってフッ素の侵入を防ぐことは可能である。しかし、窒化チタン膜の厚さを厚くするとバリア・メタル膜の抵抗が増加するため、その厚さは10nm以下と薄くする必要があり、WFガスに含まれるフッ素の侵入を防ぐことは難しくなっている。
【0014】
また、ニッケル・シリサイド層の表面に自然酸化膜(シリコン酸化膜)が生成することにより、バリア・メタル膜の下部を構成するチタン膜とニッケル・シリサイド層との間が電気的に非導通となる箇所が発生することがある。この電気的に非導通となりやすい箇所は、例えば多結晶シリコン膜と、その表面に形成されたニッケル・シリサイド層とからなるゲート電極を有し、隣接して形成された第1及び第2電界効果トランジスタにおいて、第1電界効果トランジスタのゲート電極に接して形成される接続孔と、第2電界効果トランジスタのドレイン(またはソース)に接して形成される接続孔とを共有して形成されるシェアード・コンタクト(Shared Contact)において発生し易く、さらに、オーバー・エッチングにより第1電界効果トランジスタのゲート電極を構成するニッケル・シリサイド層や多結晶シリコン膜の端部が露出した場合に多発することが、本発明者によって確認されている。
【0015】
更に、このニッケル・シリサイド層上面の酸化膜は、バリア・メタル膜の下部を構成するチタン膜の成膜後に行う還元処理では、十分に除去できない場合があることが明らかとなった。
【0016】
また、接続孔の内部に埋め込まれる導電部材として銅からなるプラグを用いる場合は、まず、接続孔の内部に銅またはルテニウムからなるシード層を形成した後に、電解めっき法を用いてシード層上に銅膜を形成することにより、接続孔の内部に銅膜を埋め込んでいる。しかしながら、バリア・メタル膜の表面に汚染等があるとシード層が均一に成膜せず、このため、接続孔の内部が銅膜により完全に埋め込むことができずに、プラグの導通不良が発生することがある。
【0017】
本願発明は、これらの課題を解決するためになされたものである。
【0018】
本発明の目的は、信頼性の高い半導体集積回路装置の製造プロセスを提供することにある。
【0019】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0021】
すなわち、本願の一つの発明は、ニッケル系メタル・シリサイドによりソース・ドレイン領域等のシリサイデーションを施したMISFETを有する半導体集積回路装置の製造方法において、プリ・メタル絶縁膜に設けられたコンタクト・ホールにバリア・メタルを形成する前に、シリサイド膜の上面に対して、窒素水素間結合を有するガスを主要なガス成分の一つとして含む非プラズマ還元性気相雰囲気中で、熱処理を実行するものである。
【0022】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0023】
すなわち、ニッケル系メタル・シリサイドによりソース・ドレイン領域等のシリサイデーションを施したMISFETを有する半導体集積回路装置の製造方法において、プリ・メタル絶縁膜に設けられたコンタクト・ホールにバリア・メタルを形成する前に、シリサイド膜の上面に対して、窒素水素間結合を有するガスを主要なガス成分の一つとして含む非プラズマ還元性気相雰囲気中で、熱処理を実行することにより、シリサイド膜の上面の自然酸化膜を効率的に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施の形態によるSRAMのメモリセルを示す等価回路図である。
【図2】本発明の一実施の形態によるSRAMの製造方法を示す半導体基板の要部平面図である。
【図3】本発明の一実施の形態によるSRAMの製造方法を示す半導体基板の要部断面図である。(a)はメモリセル領域の一部(図2のA−A’線)、(b)は周辺回路領域の一部を示す。
【図4】図2、3に続く製造工程における図2と同じ箇所の要部平面図である。
【図5】図2、3に続く製造工程における図3と同じ箇所の要部断面図である。
【図6】図4、5に続く製造工程における図3と同じ箇所の要部断面図である。
【図7】図6に続く製造工程における図2と同じ箇所の要部平面図である。
【図8】図6に続く製造工程における図3と同じ箇所の要部断面図である。
【図9】図7、8に続く製造工程における図3と同じ箇所の要部断面図である。
【図10】本発明の一実施の形態による半導体集積回路装置の製造方法におけるバリア・メタル膜の成膜等に使用する統合型(マルチ・チャンバ型)成膜装置(成膜や各種の気相処理をする装置)の概略平面図である。
【図11】図10におけるバリア・メタル膜の成膜室(CVDチャンバ)の構造の概要を示す装置模式断面図である。
【図12】図9に続くSRAMの製造工程中のコンタクト・ホールの内部のバリア・メタル膜及びプラグを示す要部拡大断面図である。
【図13】図12に続くSRAMの製造工程中のコンタクト・ホールの内部の要部拡大断面図である。
【図14】図13に続く製造工程における図3と同じ箇所の要部断面図である。
【図15】図14に続く製造工程における図2と同じ箇所の要部平面図である。
【図16】図14に続く製造工程における図3と同じ箇所の要部断面図である。
【図17】図15、16に続く製造工程における図2と同じ箇所の要部平面図である。
【図18】図15、16に続く製造工程における図3と同じ箇所の要部断面図である。
【図19】本発明の一実施の形態による半導体集積回路装置の製造方法におけるコンタクト・ホール埋め込み工程の流れを示すプロセス・ブロック・フロー図である。
【図20】バリア・メタル膜の成膜周辺の各種の処理によるコンタクト部分のケルビン抵抗の分布を示すデータ・プロット図である。
【図21】バリア・メタル膜の成膜周辺の各種の処理によるコンタクト抵抗の分布を示すデータプロット図である。
【図22】ニッケル・シリサイド膜上面の自然酸化膜中におけるニッケル酸化物の存在を検証するためのXPS(X−ray Photoelectron spectroscopy)、すなわち、X線光電子分光分析による分光データ・プロット図である。
【図23】ニッケル・シリサイド膜上面の自然酸化膜中におけるシリコン酸化物の存在形態を検証するためのX線光電子分光分析による分光データ・プロット図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
〔実施の形態の概要〕
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。
【0026】
1.以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)半導体ウエハのデバイス面上にエッチ・ストップ絶縁膜を介して、プリ・メタル絶縁膜を形成する工程;
(b)前記プリ・メタル絶縁膜および前記エッチ・ストップ絶縁膜を貫通するコンタクト・ホールを開口する工程;
(c)前記コンタクト・ホールの底のニッケル系メタル・シリサイド膜の上面に対して、窒素水素間結合を有するガスを主要なガス成分の一つとして含む第1の非プラズマ還元性気相雰囲気中で、熱処理を実行する工程;
(d)前記工程(c)の後、前記プリ・メタル絶縁膜の上面および前記コンタクト・ホールの内面に、チタン系バリア・メタル膜を形成する工程;
(e)前記プリ・メタル絶縁膜の上面および前記コンタクト・ホールの前記内面の前記チタン系バリア・メタル膜上に、プラグ・メタル層を形成する工程;
(f)前記コンタクト・ホール外の前記チタン系バリア・メタル膜および前記プラグ・メタル層を除去する工程。
【0027】
2.前記1項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記窒素水素間結合を有するガスは、アンモニア・ガスである。
【0028】
3.前記1項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記窒素水素間結合を有するガスは、ヒドラジン・ガスである。
【0029】
4.前記1から3項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の非プラズマ還元性気相雰囲気は、水素ガスを主要な成分の一つとして含む。
【0030】
5.前記1から3項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の非プラズマ還元性気相雰囲気は、水素ガスを最大の成分として含む。
【0031】
6.前記1から5項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の非プラズマ還元性気相雰囲気は、不活性ガスを主要な成分の一つとして含む。
【0032】
7.前記1から5項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の非プラズマ還元性気相雰囲気は、アルゴン・ガスを主要な成分の一つとして含む。
【0033】
8.前記1から7項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の非プラズマ還元性気相雰囲気は、酸素ガス、ハロゲン・ガス、および有機ガスのいずれのガスも実質的に含まない。
【0034】
9.前記1から8項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記プラグ・メタル層は、タングステン系メタル層を主要な構成要素とする。
【0035】
10.前記1から9項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(d)は、以下の下位工程を含む:
(d1)前記工程(c)の後、前記プリ・メタル絶縁膜の上面および前記コンタクト・ホールの内面に、チタン系メタル膜を形成する工程;
(d2)前記チタン系メタル膜の上面に対して、プラズマ窒化処理を実行することにより、前記チタン系メタル膜の前記上面に窒化チタン膜を形成する工程。
【0036】
11.前記10項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(c)および前記下位工程(d1)は、第1のCVD処理チャンバ内の第1のウエハ・ステージ上で、実行される。
【0037】
12.前記10または11項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(c)および前記下位工程(d2)は、前記第1のCVD処理チャンバ内の前記第1のウエハ・ステージ上で、実行される。
【0038】
13.前記10から12項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(d)は、更に、以下の下位工程を含む:
(d3)前記下位工程(d1)の後であって前記下位工程(d2)の前に、前記チタン系メタル膜を介して、前記ニッケル系メタル・シリサイド膜の前記上面に対して、窒素水素間結合を有するガスを主要なガス成分の一つとして含む第2の非プラズマ還元性気相雰囲気中で、熱処理を実行する工程。
【0039】
14.前記13項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(c)および前記下位工程(d3)は、前記第1のCVD処理チャンバ内の前記第1のウエハ・ステージ上で、実行される。
【0040】
15.前記10から14項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(d)は、更に、以下の下位工程を含む:
(d4)前記下位工程(d1)の後であって前記下位工程(d3)の前に、前記半導体ウエハの前記デバイス面側に対して、水素ガスを主要な成分とする気相プラズマ処理を実行する工程。
【0041】
16.前記15項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(c)および前記下位工程(d4)は、前記第1のCVD処理チャンバ内の前記第1のウエハ・ステージ上で、実行される。
【0042】
17.前記1から16項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記コンタクト・ホール内に形成されるコンタクト構造は、シェアード・コンタクトである。
【0043】
18.前記10から17項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記下位工程(d1)は、プラズマCVD法により、実行される。
【0044】
19.前記10から18項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(d)は、更に、以下の下位工程を含む:
(d5)前記工程(c)の後であって前記下位工程(d1)の前に、プラズマを印加しない状態で、前記下位工程(d1)と、ほぼ同一の処理を実行する工程。
【0045】
20.前記19項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(c)および前記下位工程(d5)は、前記第1のCVD処理チャンバ内の前記第1のウエハ・ステージ上で、実行される。
【0046】
21.前記13から20項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記下位工程(d3)における前記窒素水素間結合を有するガスは、アンモニア・ガスである。
【0047】
22.前記13から20項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記下位工程(d3)における前記窒素水素間結合を有するガスは、ヒドラジン・ガスである。
【0048】
23.前記13から22項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第2の非プラズマ還元性気相雰囲気は、水素ガスを主要な成分の一つとして含む。
【0049】
24.前記13から22項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第2の非プラズマ還元性気相雰囲気は、水素ガスを最大の成分として含む。
【0050】
25.前記13から24項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第2の非プラズマ還元性気相雰囲気は、不活性ガスを主要な成分の一つとして含む。
【0051】
26.前記13から25項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第2の非プラズマ還元性気相雰囲気は、アルゴン・ガスを主要な成分の一つとして含む。
【0052】
27.前記13から26項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第2の非プラズマ還元性気相雰囲気は、酸素ガス、ハロゲン・ガス、および有機ガスのいずれのガスも実質的に含まない。
【0053】
28.前記10から27項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(d)は、更に、以下の下位工程を含む:
(d5)前記下位工程(d2)の後に、前記チタン系メタル膜および前記窒化チタン膜を介して、前記ニッケル系メタル・シリサイド膜の前記上面に対して、窒素水素間結合を有するガスを主要なガス成分の一つとして含む第3の非プラズマ還元性気相雰囲気中で、熱処理を実行する工程。
【0054】
29.前記28項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(c)および前記下位工程(d5)は、前記第1のCVD処理チャンバ内の前記第1のウエハ・ステージ上で、実行される。
【0055】
〔本願における記載形式・基本的用語・用法の説明〕
1.本願において、実施の態様の記載は、必要に応じて、便宜上複数のセクションに分けて記載する場合もあるが、特にそうでない旨明示した場合を除き、これらは相互に独立別個のものではなく、単一の例の各部分、一方が他方の一部詳細または一部または全部の変形例等である。また、原則として、同様の部分は繰り返しを省略する。また、実施の態様における各構成要素は、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、必須のものではない。
【0056】
更に、本願において、「半導体集積回路装置」というときは、主に、各種トランジスタ(能動素子)を中心に、抵抗、コンデンサ等を半導体チップ等(たとえば単結晶シリコン基板)上に集積したものをいう。ここで、各種トランジスタの代表的なものとしては、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)に代表されるMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)を例示することができる。このとき、集積回路構成の代表的なものとしては、Nチャネル型MISFETとPチャネル型MISFETを組み合わせたCMOS(Complemetary Metal Oxide Semiconductor)型集積回路に代表されるCMIS(Complemetary Metal Insulator Semiconductor)型集積回路を例示することができる。なお、便宜的にMOSFETと記載しても非酸化膜を除外するものではない。
【0057】
今日の半導体集積回路装置、すなわち、LSI(Large Scale Integration)のウエハ工程は、通常、原材料としてのシリコンウエハの搬入からプリ・メタル(Premetal)工程(M1配線層下端とゲート電極構造の間の層間絶縁膜等の形成、コンタクト・ホール形成、タングステン・プラグ、埋め込み等からなる工程)あたりまでのFEOL(Front End of Line)工程と、M1配線層形成から始まり、アルミニウム系パッド電極上のファイナル・パッシベーション膜へのパッド開口の形成あたりまで(ウエハ・レベル・パッケージ・プロセスにおいては、当該プロセスも含む)のBEOL(Back End of Line)工程に大別できる。FEOL工程の内、ゲート電極パターニング工程、コンタクト・ホール形成工程等は、特に微細な加工が要求される微細加工工程である。一方、BEOL工程においては、ビアおよびトレンチ形成工程、特に、比較的下層のローカル配線(たとえば4層程度の構成の埋め込み配線では、M1からM3あたりまで、10層程度の構成の埋め込み配線では、M1からM5あたりまでの微細埋め込み配線)等において、特に微細加工が要求される。なお、「MN(通常N=1から15程度)」で、下から第N層配線を表す。M1は第1層配線であり、M3は第3層配線である。なお、一部の製品では、M1のプリ・メタル領域の間に、「M0配線」等と呼ばれるタングステン系部材等を主要な構成要素とするサブトラクティブ配線(非ダマシン配線)をローカル配線用に挿入することがある。本願の主要な実施の形態はその例に当たる。
【0058】
2.同様に実施の態様等の記載において、材料、組成等について、「AからなるX」等といっても、特にそうでない旨明示した場合および文脈から明らかに、そうでない場合を除き、A以外の要素を主要な構成要素のひとつとするものを排除するものではない。たとえば、成分についていえば、「Aを主要な成分として含むX」等の意味である。たとえば、「シリコン部材」等といっても、純粋なシリコンに限定されるものではなく、SiGe、SiGeC合金、および、その他シリコン(歪シリコン系部材を含む)を主要な成分とする多元合金、並びにその他の添加物等を含む部材も含むものであることはいうまでもない。また、多結晶シリコン等というときも、明らかにそうでないときまたはそうでない旨明示されているときを除き、典型的なものばかりでなく、アモルファスシリコン等も含むことはいうまでもない。
【0059】
同様に、「酸化シリコン膜」、「酸化シリコン系絶縁膜」等と言っても、比較的純粋な非ドープ酸化シリコン(Undoped Silicon Dioxide)だけでなく、FSG(Fluorosilicate Glass)、TEOSベース酸化シリコン(TEOS-based silicon oxide)、SiOC(Silicon Oxicarbide)またはカーボンドープ酸化シリコン(Carbon-doped Silicon oxide)またはOSG(Organosilicate glass)、PSG(Phosphorus Silicate Glass)、BPSG(Borophosphosilicate Glass)等の熱酸化膜、CVD酸化膜、SOG(Spin ON Glass)、ナノ・クラスタリング・シリカ(Nano-Clustering Silica:NSC)等の塗布系酸化シリコン、これらと同様な部材に空孔を導入したシリカ系Low-k絶縁膜(ポーラス系絶縁膜)、およびこれらを主要な構成要素とする他のシリコン系絶縁膜との複合膜等を含むことは言うまでもない。
【0060】
また、酸化シリコン系絶縁膜と並んで、半導体分野で常用されているシリコン系絶縁膜としては、窒化シリコン系絶縁膜がある。この系統の属する材料としては、SiN,SiCN,SiNH,SiCNH等がある。ここで、「窒化シリコン」というときは、特にそうでない旨明示したときを除き、SiNおよびSiNHの両方を含む。同様に、「SiCN」というときは、特にそうでない旨明示したときを除き、SiCNおよびSiCNHの両方を含む。
【0061】
なお、SiCは、SiNと類似の性質を有するが、SiONは、むしろ、酸化シリコン系絶縁膜に分類すべき場合が多い。
【0062】
窒化シリコン膜は、SAC(Self−Aligned Contact)技術におけるエッチ・ストップ膜として、多用されるほか、SMT(Stress Memorization Technique)における応力付与膜としても使用される。
【0063】
同様に、「ニッケル・シリサイド」というときは、通常、ニッケル・モノ・シリサイドを指すが、比較的純粋なものばかりではなく、ニッケル・モノ・シリサイドを主要な構成要素とする合金、混晶等を含む。また、シリサイドは、ニッケル・シリサイドに限らず、従来から実績のあるコバルト・シリサイド、チタン・シリサイド、タングステン・シリサイド等でもよい。また、シリサイド化のための金属膜としては、Ni(ニッケル)膜以外にも、例えばNi−Pt合金膜(NiとPtの合金膜)、Ni−V合金膜(NiとVの合金膜)、Ni−Pd合金膜(NiとPdの合金膜)、Ni−Yb合金膜(NiとYbの合金膜)またはNi−Er合金膜(NiとErの合金膜)のようなニッケル合金膜などを用いることができる。なお、これらのニッケルを主要な金属元素とするシリサイドを「ニッケル系メタル・シリサイド」と総称する。
【0064】
3.同様に、図形、位置、属性等に関して、好適な例示をするが、特にそうでない旨明示した場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、厳密にそれに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0065】
4.さらに、特定の数値、数量に言及したときも、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、その特定の数値を超える数値であってもよいし、その特定の数値未満の数値でもよい。
【0066】
5.「ウエハ」というときは、通常は半導体集積回路装置(半導体装置、電子装置も同じ)をその上に形成する単結晶シリコンウエハを指すが、エピタキシャルウエハ、SOI基板、LCDガラス基板等の絶縁基板と半導体層等の複合ウエハ等も含むことは言うまでもない。
【0067】
〔実施の形態の詳細〕
実施の形態について更に詳述する。各図中において、同一または同様の部分は同一または類似の記号または参照番号で示し、説明は原則として繰り返さない。
【0068】
また、添付図面においては、却って、煩雑になる場合または空隙との区別が明確である場合には、断面であってもハッチング等を省略する場合がある。これに関連して、説明等から明らかである場合等には、平面的に閉じた孔であっても、背景の輪郭線を省略する場合がある。更に、断面でなくとも、空隙でないことを明示するために、ハッチングを付すことがある。
【0069】
なお、SAC(Self−Aligned Contact)用の窒化シリコン膜のCVD(Chemical Vapor Deposition)処理前のニッケル系メタル・シリサイド膜上面に対し、アンモニア雰囲気等の還元雰囲気中で行うプラズマ処理等の詳細については、本願発明者らによる日本特願第2007−259355号(日本出願日2007年10月3日)に詳しく記載されているので、本願では原則として、それらの部分の説明は繰り返さない。
【0070】
また、SAC用の窒化シリコン膜のCVD処理前のニッケル系メタル・シリサイド膜上面に対し、不活性ガス雰囲気中で行うノンバイアス・プラズマ処理等の詳細については、本願発明者らによる日本特願第2008−300439号(日本出願日2008年11月26日)に詳しく記載されているので、本願では原則として、それらの部分の説明は繰り返さない。
【0071】
1.本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるウエハプロセスのフロント・エンド部および対象デバイスの一例であるCMIS SRAM等の説明(主に図1から図8)
また、本実施の形態では、本発明者によってなされた発明をその背景となった利用分野であるSRAM(Static Random Access Memory)のメモリセルに適用した場合について説明する。
【0072】
図1は、本発明の実施の形態によるSRAMのメモリセルを示す等価回路図である。
【0073】
図示のように、このメモリセルMCは、一対の相補性データ線(データ線DL、データ線/(バー)DL)とワード線WLとの交差部に配置され、一対の駆動用MISFET(Dr1,Dr2)、一対の負荷用MISFET(Ld1,Ld2)及び一対の転送用MISFET(Tr1,Tr2)により構成されている。駆動用MISFET(Dr1,Dr2)及び転送用MISFET(Tr1,Tr2)はnMISFETで構成され、負荷用MISFET(Ld1,Ld2)はpMISFETで構成されている。
【0074】
メモリセルMCを構成する上記6個のMISFETのうち、駆動用MISFET(Dr1)及び負荷用MISFET(Ld1)はCMOSインバータINV1を構成し、駆動用MISFET(Dr2)及び負荷用MISFET(Ld2)はCMOSインバータINV2を構成している。これら一対のCMOSインバータINV1,INV2の相互の入出力端子(記憶ノードA,B)は交差結合され、1ビットの情報を記憶する情報蓄積部としてのフリップフロップ回路を構成している。また、このフリップフロップ回路の一方の入出力端子(記憶ノードA)は、転送用MISFET(Tr1)のソース、ドレインの一方に接続され、他方の入出力端子(記憶ノードB)は転送用MISFET(Tr2)のソース、ドレインの一方に接続されている。
【0075】
さらに、転送用MISFET(Tr1)のソース、ドレインの他方はデータ線DLに接続され、転送用MISFET(Tr2)のソース、ドレインの他方はデータ線/DLに接続されている。また、フリップフロップ回路の一端(負荷用MISFET(Ld1,Ld2)の各ソース)は電源電圧(Vcc)に接続され、他端(駆動用MISFET(Dr1,Dr2)の各ソース)は基準電圧(Vss)に接続されている。
【0076】
上記回路の動作を説明すると、一方のCMOSインバータINV1の記憶ノードAが高電位(“H”)であるときには、駆動用MISFET(Dr2)がONになるので、他方のCMOSインバータINV2の記憶ノードBが低電位(“L”)になる。従って、駆動用MISFET(Dr1)がOFFになり、記憶ノードAの高電位(“H”)が保持される。すなわち、一対のCMOSインバータINV1,INV2を交差結合させたラッチ回路によって相互の記憶ノードA,Bの状態が保持され、電源電圧が印加されている間、情報が保存される。
【0077】
転送用MISFET(Tr1,Tr2)のそれぞれのゲート電極にはワード線WLが接続され、このワード線WLによって転送用MISFET(Tr1,Tr2)の導通、非導通が制御される。すなわち、ワード線WLが高電位(“H”)であるときには、転送用MISFET(Tr1,Tr2)がONになり、フリップフロップ回路と相補性データ線(データ線DL,/DL)とが電気的に接続されるので、記憶ノードA,Bの電位状態(“H”または“L”)がデータ線DL,/DLに現れ、メモリセルMCの情報として読み出される。
【0078】
メモリセルMCに情報を書き込むには、ワード線WLを“H”電位レベル、転送用MISFET(Tr1,Tr2)をON状態にしてデータ線DL,/DLの情報を記憶ノードA,Bに伝達する。
【0079】
次に、本発明の実施の形態によるSRAMの製造方法の一例を図2から図19を用いて工程順に説明する。図2から図9はSRAMの要部平面図または要部断面図、図10はバリア・メタル等の成膜装置の概略平面図、図11は図10におけるバリア・メタル膜の成膜室(CVDチャンバ)の構造の概要を示す装置模式断面図、図12は接続孔の内部のバリア・メタル膜及びプラグを示す要部拡大断面図、図13は接続孔の内部を示す要部拡大断面図、図14から図18はSRAMの要部平面図または要部断面図、図19はバリア・メタルその他の成膜工程等(前処理、後処理、その他付随する処理を含む)のプロセス・ステップを示すプロセス・ブロック・フロー図、である。
【0080】
図2は、メモリセル約1個分の領域を示す半導体基板の要部平面図、図3(a)は、メモリセル領域の一部(図2のA−A’線)を示す半導体基板の要部断面図、図3(b)は、周辺回路領域の一部を示す半導体基板の要部断面図であり、周辺回路領域にはロジック回路を構成する低耐圧MISFETを例示する。
【0081】
まず、半導体基板1を用意する。半導体基板1は、例えば1から10Ωcm程度の比抵抗を有するp型の単結晶シリコンからなる基板1a(たとえば、300φウエハ)と、例えばエピタキシャル成長法により形成されたエピタキシャル層1bとから構成されている。なお、SOC(System On Chip)型の半導体集積回路装置では、非エピタキシャル型のp型の単結晶シリコンからなる基板1a等を用いてもよい。ウエハ径は、300φ以外に、450φ、200φその他の径でもよい。以下、主に45nmノードのプロセスに準拠して、説明する。この場合、平面形状がほぼ円形のコンタクト・ホールの径は55nm程度である。
【0082】
次に、半導体基板1の主面に素子分離2を形成する。この素子分離2は、以下のように形成する。フォトリソグラフィ法により形成されたレジストパターンをマスクにして半導体基板1をエッチングすることにより、例えば深さ0.3μm(300nm)から0.5μm(500nm)程度の素子分離溝を形成した後、半導体基板1を約1000℃の温度で熱酸化することによって、溝の内壁に、例えば厚さ0.01μm(10nm)程度の薄い酸化シリコン膜を形成する。この酸化シリコン膜は、溝の内壁に生じたドライエッチングのダメージを回復すると共に、次の工程で溝の内部に埋め込まれる絶縁膜と半導体基板1との界面に生じるストレスを緩和するために形成する。
【0083】
次に、溝の内部を含む半導体基板1の主面上にCVD法により、例えば厚さ0.45μm(450nm)から0.5μm(500nm)程度の絶縁膜を堆積し、化学的機械研磨(CMP;Chemical Mechanical Polishing)法により溝の上部の絶縁膜を研磨して、その表面を平坦化する。
【0084】
次に、半導体基板1の主面にp型不純物(例えばホウ素)またはn型不純物(例えばリン)をイオン注入した後、約1000℃の温度で熱処理することにより上記不純物を拡散させて、半導体基板1の主面にp型ウェル4及びn型ウェル5を形成する。
【0085】
図2に示すように、メモリセルMCでは、半導体基板1の主面に2つのp型ウェル4及び2つのn型ウェル5の主表面である活性領域An1,An2,Ap1,Ap2が形成され、これらの活性領域は、絶縁膜が埋め込まれた素子分離2で囲まれている。また、追って説明するように、メモリセルMCを構成する6個のMISFET(転送用MISFET(Tr1,Tr2)、駆動用MISFET(Dr1,Dr2)、負荷用MISFET(Ld1,Ld2))のうちnMISFET(転送用MISFET(Tr1)と駆動用MISFET(Dr1))は活性領域Ap1(p型ウェル4)上に形成され、nMISFET(転送用MISFET(Tr2)と駆動用MISFET(Dr2))は活性領域Ap2(p型ウェル4)上に形成される。また、pMISFET(負荷用MISFET(Ld2))は活性領域An1(n型ウェル5)上に形成され、pMISFET(負荷用MISFET(Ld1))は活性領域An2(n型ウェル5)上に形成される。
【0086】
図4は、図2、3に続く製造工程における図2と同じ箇所の要部平面図、図5(a)は、図2、3に続く製造工程における図3(a)と同じ箇所の要部断面図、図5(b)は、図2、3に続く製造工程における図3(b)と同じ箇所の要部断面図である。
【0087】
半導体基板1のメモリセル領域の主表面にnMISFET(転送用MISFET(Tr1,Tr2)、駆動用MISFET(Dr1,Dr2))及びpMISFET(負荷用MISFET(Ld1,Ld2))を形成し、半導体基板1の周辺回路領域の主表面にnMISFET(QnL)とpMISFET(QpL)とを形成する。
【0088】
まず、フッ酸系の洗浄液を用いて半導体基板1(p型ウェル4及びn型ウェル5)の表面をウェット洗浄した後、約800℃の温度で熱酸化することによりp型ウェル4及びn型ウェル5のそれぞれの表面に、例えば厚さ3nm程度の清浄なゲート絶縁膜6を形成する。なお、シリコン酸化膜系以外のゲート絶縁膜を単独で、または、シリコン酸化膜系絶縁膜と積層して使用してもよい。
【0089】
次に、ゲート絶縁膜6上にゲート電極Gを形成する。このゲート電極Gは、以下のように形成する。まず、ゲート絶縁膜6の上部に、例えば厚さ0.2μm(200nm)程度の低抵抗多結晶シリコン膜をCVD法により堆積する。続いて、フォトリソグラフィ法により形成されたレジストパターンをマスクにして多結晶シリコン膜をドライエッチングすることにより、多結晶シリコン膜からなるゲート電極Gを形成する。
【0090】
図4に示すように、メモリセルMCでは、活性領域Ap1上に転送用MISFET(Tr1)のゲート電極Gと駆動用MISFET(Dr1)のゲート電極Gとが形成され、活性領域Ap2上に転送用MISFET(Tr2)のゲート電極Gと駆動用MISFET(Dr2)のゲート電極Gとが形成される。また、活性領域An1上に負荷用MISFET(Ld2)のゲート電極Gが形成され、活性領域An2上に負荷用MISFET(Ld1)のゲート電極Gが形成される。負荷用MISFET(Ld1)のゲート電極Gと駆動用MISFET(Dr1)のゲート電極Gとは共通であり、ゲート電極Gの端部には後の工程で局所配線が接続される引き出し部GM1が備わる。また、同様に、負荷用MISFET(Ld2)のゲート電極G及び駆動用MISFET(Dr2)のゲート電極Gとは共通であり、ゲート電極Gの端部には後の工程で局所配線が接続される引き出し部GM2が備わる。上記引き出し部GM1,GM2は素子分離2上に形成される。
【0091】
次に、ゲート電極Gの両側のp型ウェル4にn型不純物(例えばリン)をイオン注入することによってn型半導体領域7を形成し、またゲート電極Gの両側のn型ウェル5にp型不純物(例えばヒ素)をイオン注入することによってp型半導体領域8を形成する。
【0092】
図6(a)は、図4,5に続く製造工程における図3(a)と同じ箇所の要部断面図、図6(b)は、図4、5に続く製造工程における図3(b)と同じ箇所の要部断面図である。
【0093】
半導体基板1の主面上にCVD法により、例えば厚さ0.01μm(10nm)程度の酸化シリコン膜9を堆積した後、例えば厚さ0.1μm(100nm)程度の窒化シリコン膜を堆積する。続いて、この窒化シリコン膜をRIE(Reactive Ion Etching)法により異方的にエッチングすることによって、ゲート電極Gの側壁にサイド・ウォール10を形成する。このエッチングにおける酸化シリコン膜に対する窒化シリコン膜のエッチング選択比は、例えば7から10程度とすることができるので、酸化シリコン膜9はサイド・ウォール10の形成時のエッチング・ストッパ(エッチング・ストップ膜)としての役割を果たす。
【0094】
次に、ゲート電極Gの両側のp型ウェル4にn型不純物(例えばリンまたはヒ素)をイオン注入することによってn型半導体領域(ソース、ドレイン)12を形成し、ゲート電極Gの両側のn型ウェル5にp型不純物(例えばホウ素)をイオン注入することによってp型半導体領域(ソース、ドレイン)13を形成する。その後、露出した酸化シリコン膜9を除去する。
【0095】
次に、サリサイド技術により半導体基板1の露出部(n型半導体領域12、p型半導体領域13)及びゲート電極Gの表面に低抵抗のニッケル・シリサイド(NiSi)層14を形成する。なお、ここではニッケル・シリサイド層14を例示したが、他のシリサイド層、例えばニッケル合金シリサイド層(すなわち、ニッケル系メタル・シリサイド層)、コバルト・シリサイド層、タングステン・シリサイド層、または白金シリサイド層等のメタル・シリサイド層を形成することもできる。ニッケル・シリサイド層14は、例えば以下に説明する方法により形成される。
【0096】
まず、半導体基板1の主面上にスパッタリング法によりニッケル膜及び窒化チタン膜を順次堆積する。ニッケル膜の厚さは、例えば0.01μm(10nm)、窒化チタン膜の厚さは、例えば0.015μm(15nm)である。窒化チタン膜はニッケル膜の酸化を防止するためにニッケル膜上に設けられ、窒化チタン膜に代えてチタン膜を用いてもよい。続いて半導体基板1にRTA(Rapid Thermal Anneal)法を用いて、例えば約410℃の温度で30秒程度の熱処理を施すことにより、ニッケル膜とゲート電極Gを構成する多結晶シリコン膜、及びニッケル膜とn型半導体領域12またはp型半導体領域13が形成された半導体基板1を構成する単結晶シリコンとを選択的に反応させてニッケル・シリサイド層14を形成する。続いて、硫酸を用いたウェット洗浄、または硫酸と過酸化水素水とを用いたウェット洗浄等により、未反応のニッケル膜及び窒化チタン膜を除去した後、半導体基板1にRTA法を用いて、例えば約590℃の温度でスパイク・アニール処置(すなわち、590℃での保持時間が実質的に0秒であるような処理)を施すことにより、ニッケル・シリサイド層14の低抵抗化を行う。
【0097】
ここまでの工程で、メモリセルMCを構成する6個のMISFET(駆動用MISFET(Dr1,Dr2)、転送用MISFET(Tr1,Tr2)及び負荷用MISFET(Ld1、Ld2))、ならびに周辺回路領域のnMISFET(QnL)及びpMISFET(QpL)が完成する。
【0098】
図7は、図6に続く製造工程における図2と同じ箇所の要部平面図、図8(a)は、図6に続く製造工程における図3(a)と同じ箇所の要部断面図、図8(b)は、図6に続く製造工程における図3(b)と同じ箇所の要部断面図である。
【0099】
次に、半導体基板1上にCVD法により、例えば厚さ0.03から0.05μm(30から50nm)程度の窒化シリコン膜15を堆積する。なお、窒化シリコン膜15は、後述するコンタクト・ホール等の形成時のエッチングストッパとしての役割を果たす。
【0100】
次に、窒化シリコン膜15上にPSG(Phosphor Silicate Glass)膜16を形成し、熱処理を行い、平坦化した後、酸化シリコン膜17を堆積する。この酸化シリコン膜17は、例えば、テトラエトキシシランを原料とし、プラズマCVD法により形成する。窒化シリコン膜15、PSG膜16及び酸化シリコン膜17は、例えばゲート電極Gと後に形成される配線との間の層間絶縁膜となる。また、CVD法により、例えば厚さ0.7から0.8μm(700から800nm)程度の酸化シリコン膜17を窒化シリコン膜15上に堆積した後、酸化シリコン膜17の表面をCMP法で研磨してその表面を平坦化してもよい。
【0101】
次に、フォトリソグラフィ法により形成したレジストパターンをマスクにして酸化シリコン膜17及びPSG膜16をドライエッチングし、続いて、窒化シリコン膜15をドライエッチングすることによって、n型半導体領域12及びp型半導体領域13上にコンタクト・ホールC1を形成し、さらに第1及び第2配線溝(共通の開口部(シェアード・コンタクト))HM1,HM2を形成する。また、転送用MISFET(Tr1,Tr2)のゲート電極Gの引き出し部上にコンタクト・ホールC1を形成する。
【0102】
2つの第1及び第2配線溝HM1,HM2のうち、一方の第1配線溝HM1は、負荷用MISFET(Ld1)のドレイン上から、CMOSインバータINV2を構成する負荷用MISFET(Ld2)と駆動用MISFET(Dr2)とに共通するゲート電極Gの引き出し部GM2上まで延びている。すなわち、第1配線溝HM1は、上記ゲート電極Gの引き出し部GM2と後に形成される局所配線とを接続するコンタクト・ホールと、負荷用MISFET(Ld1)のドレインと上記局所配線とを接続するコンタクト・ホールとを共有する1つの溝である。また、他方の第2配線溝HM2は、負荷用MISFET(Ld2)のドレイン上から、CMOSインバータINV1を構成する負荷用MISFET(Ld1)と駆動用MISFET(Dr1)とに共通するゲート電極Gの引き出し部GM1上まで延びている。すなわち、第2配線溝HM2は、上記ゲート電極Gの引き出し部GM1と後に形成される局所配線とを接続するコンタクト・ホールと、負荷用MISFET(Ld2)のドレインと上記局所配線とを接続するコンタクト・ホールとを共有する1つの溝である。
【0103】
コンタクト・ホールC1、ならびに第1及び第2配線溝HM1,HM2の形成時においては、まず、窒化シリコン膜15をエッチングストッパとして機能させて、酸化シリコン膜17及びPSG膜16をドライエッチングする。このエッチングにおける窒化シリコン膜15に対する酸化シリコン膜17またはPSG膜16のエッチング選択比は、例えば20から30程度であるので、窒化シリコン膜15は酸化シリコン膜17及びPSG膜16のエッチングストッパとしての役割を果たす。
【0104】
次に、露出した窒化シリコン膜15をドライ・エッチングする。この際、第1及び第2配線溝HM1,HM2が形成される領域のp型半導体領域13の表面に形成されたニッケル・シリサイド層14、ならびにCMOSインバータINV1を構成する負荷用MISFET(Ld1)と駆動用MISFET(Dr1)とに共通するゲート電極Gの引き出し部GM1及びCMOSインバータINV2を構成する負荷用MISFET(Ld2)と駆動用MISFET(Dr2)とに共通するゲート電極Gの引き出し部GM2の表面に形成されたニッケル・シリサイド層14を確実に露出させるために、窒化シリコン膜15はオーバー・エッチングされる。このオーバー・エッチングでは、CMOSインバータINV1を構成する負荷用MISFET(Ld1)と駆動用MISFET(Dr1)とに共通するゲート電極Gの引き出し部GM1及びCMOSインバータINV2を構成する負荷用MISFET(Ld2)と駆動用MISFET(Dr2)とに共通するゲート電極Gの引き出し部GM2の側壁に形成されたサイド・ウォール10がエッチングされて、ゲート電極Gの引き出し部GM1,GM2を構成するニッケル・シリサイド層14や多結晶シリコン膜の端部が露出することがある。その結果、ニッケル・シリサイド層14の表面に酸化膜が成長する箇所が部分的に存在する可能性がある。
【0105】
2.本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるウエハプロセスの主要部、それに使用する装置、および対象デバイスの一例であるCMIS SRAM等の説明(主に図9から図14、および図19)
このセクションでは、セクション1に続き、本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるウエハプロセスの主要部であるコンタクト・ホール埋め込み工程100(図19)およびそれに使用する成膜装置等を中心に説明する。
【0106】
図9(a)は、図7,8に続く製造工程における図3(a)と同じ箇所の要部断面図、図9(b)は、図7、8に続く製造工程における図3(b)と同じ箇所の要部断面図である。
【0107】
図9、図12、および図13に示すように、コンタクト・ホールC1、ならびに第1及び第2配線溝HM1,HM2の内部を含む酸化シリコン膜17上にCVD法によりチタン膜及び窒化チタン膜を順次形成して、この積層膜からなるバリア・メタル膜21を形成する。チタン膜は酸素原子を12at%まで固溶できることからニッケル・シリサイド層14の表面の還元材として用いられて、ニッケル・シリサイド層14との接触抵抗を低減する機能を有する。また、窒化チタン膜は後の工程でコンタクト・ホールC1、ならびに第1及び第2配線溝HM1、HM2の内部に埋め込まれる金属膜の構成原子が拡散するのを抑制または防止する機能を有する。バリア・メタル膜21の厚さは、例えば3から10nmである。なお、以下の説明においては、チタン膜及びその上に形成された窒化チタン膜をバリア・メタル膜21と言い、コンタクト・ホールC1、ならびに第1及び第2配線溝HM1,HM2の内部に埋め込まれて主導電材料となる金属膜、例えばタングステン膜または銅膜とは区別する。
【0108】
バリア・メタル膜21の成膜には、図10に示す成膜装置50が用いられる。成膜装置50は、搬送室51の周囲に開閉手段であるゲートバルブ52を介してロードロック室53及び4つのチャンバ54,55,56,57が備わったマルチチャンバタイプである。ロードロック室53の搬送室51と反対側にはウエハ搬入出室58が設けられており、ウエハ搬入出室58のロードロック室53と反対側には半導体ウエハSW(本実施の形態では、これまでに説明した図9に示す構造を有する半導体基板)を収納するフープ(Front Open Unified Pod)59、すなわち、ウエハ搬送容器を取り付けるポート60が設けられている。
【0109】
搬送室51は排気機構等により所定の真空度に保持され、その中央部には半導体ウエハSWを搬送するための多関節アーム構造の搬送用ロボット61(真空搬送ロボット)が設けられている。
【0110】
搬送室51に備わるチャンバ54はドライ・クリーニング処置用チャンバ、チャンバ55は、例えば150℃以上の高温の加熱処理を行う加熱処理用チャンバ(洗浄後熱処理チャンバ)、チャンバ56はバリア・メタル成膜用チャンバ(チタンCVDチャンバ)、チャンバ57はタングステンCVDチャンバである。なお、成膜装置50では、搬送室51に備わるチャンバを4つとしたが、これに限定されるものではなく、同じ用途のチャンバまたは他の用途のチャンバを追加することも可能である。なお、ここでは、タングステンCVDチャンバをチタン成膜装置50内に設けたが、他の装置内に設けてもよい。
【0111】
図11は成膜装置50に備わる成膜用のチャンバ56の概略断面図である。チャンバ56は、半導体ウエハSW(すなわち半導体基板1)上にバリア・メタル膜21をCVD法によって形成するために使用されるチャンバ(処理室、反応室)であり、例えば平行平板型プラズマCVD装置のチャンバである。なお、プラズマCVD装置のプラズマ励起形式は、平行平板型、すなわち、容量結合型に限らず、ICP型、電子サイクロトロン共鳴型、ヘリコン型等でもよい。また、インサイチュー(In Situ)型に限らず、リモート・プラズマ型でもよい。
【0112】
図11に示されるように、チャンバ56は、真空気密が可能な処理室であり、チャンバ56内には、互いに対向する下部電極(基板電極)66および上部電極(高周波電極)67が配置されている。下部電極66は、その上に半導体ウエハSW(すなわち半導体基板1)が配置可能に構成され、内部に図示しないヒータなどの加熱機構を内蔵している。また、上部電極67には、チャンバ56の外部に設けられた高周波電源63などにより、たとえば、450kHz程度の高周波電力または高周波電圧が供給(印加)可能に構成されている。一方、高周波電源63の他端(上部電極67に接続されていない側)、下部電極66およびチャンバ56の内壁は、接地されている。なお、高周波電力は、この例のように単周波でもよいし、複数の高周波電力を個別に制御できるものでもよい。
【0113】
また、チャンバ56は、上部電極67に設けられたガス導入口68から所望のガスが所望の流量でチャンバ56内に導入できるように構成されている。例えば、ガス導入口68は、必要となるガス(ここではTiClガス、NHガス、Hガス、NガスおよびArガス)の導入経路にマス・フロー・コントローラ(ガス流量制御装置)64を介して連結されており、それによって、所望の種類のガス(TiCl、NH、H、NおよびArから選択されたガス)が所望の流量でガス導入口68からチャンバ56内に導入できるようになっている。
【0114】
また、チャンバ56はガス排気口65を介して図示しないガス排気手段(例えば真空ポンプ)に接続され、ガス排気口65からチャンバ56内を所望の排気速度で排気することができるように構成されている。また、図示しない圧力制御部が、圧力センサなどが検出したチャンバ56内の圧力に応じて、ガス排気口65からの排気速度などを調節し、チャンバ56内を所望の圧力に維持することができるように構成されている。
【0115】
まず、1枚の半導体ウエハSWをウエハ搬入出室58内に設置された搬送用ロボット62によっていずれかのフープ59から取り出し、いずれかのロードロック室53へ搬入する。フープ59は半導体ウエハSWのバッチ搬送用の密閉収納容器であり、通常25枚、12枚、6枚等のバッチ単位で半導体ウエハSWを収納する。フープ59の容器外壁は微細な通気フィルタ部を除いて機密構造になっており、塵埃はほぼ完全に排除される。従って、クラス1000の雰囲気で搬送しても、内部はクラス1の清浄度が保てるようになっている。成膜装置50とのドッキングは、フープ59の扉をポート60に取り付けて、ウエハ搬入出室58の内部に引き込むことによって清浄さを保持した状態で行われる。続いてロードロック室53内を真空引きした後、半導体ウエハSWを搬送用ロボット61によって搬送室51へ搬入する。
【0116】
次に、搬送用ロボット61によって半導体ウエハSWを搬送室51からドライ・クリーニング処理用のチャンバ54へ真空搬送し、チャンバ54に備わるウエハ・ステージ上に載せる。チャンバ54のウエハ・ステージには静電的に半導体ウエハSWを吸着させて保持する機構が備わっており、これによって半導体ウエハSWの温度を効率的に制御できる。ドライ・クリーニング処理時には、還元ガス、例えばHFガス及びNHガスを添加したArガスをチャンバ54内へ導入し、シャワーヘッドを介して半導体ウエハSWの主面上に供給することにより、還元ガスとニッケル・シリサイド層14の表面に形成された自然酸化膜との間で起きる、例えば式(1)に示す還元反応によって自然酸化膜が除去される。ドライ・クリーニング処理時におけるプロセス条件は、例えばウエハ・ステージ温度25℃、HFガス流量80sccm、NHガス流量38sccm、Arガス流量5sccm、圧力1.3Paである。
【0117】
SiO+6HF+2NH→ (NHSiF+2HO 式(1)
この時、還元反応により生成された生成物((NHSiF)がコンタクト・ホールC1、ならびに第1及び第2配線溝HM1,HM2の内部を含む半導体ウエハSWの主面上に残留する。
【0118】
次に、搬送用ロボット61によって半導体ウエハSWをドライ・クリーニング処理用のチャンバ54から加熱処理用のチャンバ55へ搬送室51を介して真空搬送し、チャンバ55に備わるステージ上に載せる。チャンバ55のステージ上に半導体ウエハSWを載せることにより、半導体ウエハSWを所定の温度で加熱し半導体ウエハSWの主面上に残留した生成物を昇華させて除去する。半導体ウエハSWの主面上での温度は、例えば150から400℃が適切な範囲と考えられる(他の条件によってはこの範囲に限定されないことはもとよりである)。また、量産に適した範囲としては165から350℃が考えられるが、さらに180から220℃等の200℃を中心値とする範囲が最も好適と考えられる。
【0119】
その後、バリア・メタル膜21が形成されるが、ドライ・クリーニング処理の工程の後に、150から400℃の熱処理を半導体基板1に施すことによって、コンタクト・ホールC1、ならびに第1及び第2配線溝HM1,HM2の底面及び側面にドライ・クリーニング処置時に生成された生成物が除去されているので、コンタクト・ホールC1、ならびに第1及び第2配線溝HM1,HM2の底面におけるバリア・メタル膜21とニッケル・シリサイド層14との接触抵抗のばらつきを低減することができる。さらに、コンタクト・ホールC1、ならびに第1及び第2配線溝HM1,HM2の側面におけるバリア・メタル膜21の剥がれを防止することができる。但し、前述したコンタクト・ホールC1、ならびに第1及び第2配線溝HM1,HM2を形成する際のオーバー・エッチングにより、ゲート電極Gの引き出し部GM1,GM2を構成するニッケル・シリサイド層14や多結晶シリコン膜の端部が露出した箇所では、ニッケル・シリサイド層14の表面に成長した酸化膜が、上記ドライ・クリーニング処理及び上記熱処理では除去することができずに残存している。
【0120】
なお、上記ドライ・クリーニング処理では、還元ガスにHFガスとNHガスを用いたが、還元ガス等の反応ガスは上記ガスに限らず、酸化膜と比較的低温で反応して気化する反応種を生成するものであればよい。例えば還元ガスとしてNFガスとHガスを用いてもよい。
【0121】
また、上記ドライ・クリーニング処理では、還元ガス等の反応ガスをチャンバ54内へ導入して自然酸化膜を還元反応により除去したが、プラズマを用いてもよい。例えば、リモート・プラズマ発生装置において還元ガス、例えばNFガス及びNHガスを添加したArガス(プラズマ励起用のガスとしてはArガスが多用されるが、その他の希ガスまたはそれらの混合ガスでもよい)を励起させてプラズマを生成し、このプラズマをチャンバ54内へ導入して自然酸化膜を還元反応により除去することもできる。
【0122】
次に、搬送用ロボット61によって半導体ウエハSWを加熱処理用のチャンバ55からバリア・メタル成膜用のチャンバ56へ搬送室51を介して真空搬送し、チャンバ56に備わるステージ66上に載せる。通常、静電チャックにより、ステージ66上に吸着される。
【0123】
バリア・メタル膜21は、上記チャンバ56において、主に、以下に説明するPECVD法により半導体ウエハSWの主面上へ成膜される。ここでは、バリア・メタル膜21の代表的な成膜方法について説明するが、バリア・メタル膜21の成膜方法は、これらに限定されるものではなく、種々変更することは可能である。
【0124】
すなわち、本実施の形態では、チタン膜成膜後に、その上面を窒化することにより、下層のチタン膜、上層の窒化チタン膜等から構成されたバリア・メタル膜を形成する方法を示したが、たとえば、チタン膜成膜後に、更に、その上に窒化チタン膜を成膜してもよい。この窒化チタン膜成膜技術としては、たとえば反応性PVD(Physical Vapor Deposition)法やMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法等がある。
【0125】
バリア・メタル膜21の代表的な成膜方法およびその前処理(図19のコンタクト・ホール埋め込み工程100の前半)について、図19を参照しつつ、図11および図12を用いて説明する。
【0126】
まず、図19のチタン成膜前還元熱処理101を開始する。図11に示すように、ヒータにより所定の温度、例えば450℃に加熱されたステージ66上に半導体ウエハSWをそのデバイス面1dを上に向けて載置する。このステージ66は、特に断らない限り、常に所定の温度、例えば450℃に加熱されている。排気機構により、チャンバ56内を排気口65を介して所定の圧力、例えば667Paとなるよう、チャンバ内へアンモニア・ガス、Arガス及びHガスを導入する。アンモニア・ガスの流量は、例えば500sccm、Arガスの流量は、例えば800sccm、Hガスの流量は、例えば4000sccmである。熱処理時間は、たとえば、15秒程度である。好適な範囲としては、たとえば、5秒から30秒程度を例示することができる。このとき、プラズマはオフ状態である。この熱処理により、上記チャンバ54、55におけるドライ・クリーニング処理及び熱処理では除去することができずに残存した、ニッケル・シリサイド膜14の上面の酸化シリコン膜(自然酸化膜等)が効率的に除去される。なお、図19のチタン・プラズマ窒化処理106が完了するまで、ステージ温度、Hガスの流量、Arガスの流量、処理中の真空度(ガス置換中は変化することがある)等は、基本的に前記のままである。なお、ウエハ・ステージ66の設定温度の上限は、不所望なダイ・シリサイドの生成防止等の観点から、摂氏600度程度と考えられる。また、同下限は、ニッケル、チタン等の触媒作用が十分に起きる必要を考慮して、摂氏300度程度と考えられる。従って、同一ステージ上で実施する処理は効率上同一温度で実施する方が有利であることを考慮すると、好適な範囲としては、摂氏350度から550度程度の範囲を例示することができる。
【0127】
このチタン成膜前還元熱処理101の気相雰囲気(第1の非プラズマ還元性気相雰囲気)は、非プラズマ性雰囲気が好適である。なお、リモート・プラズマによる励起ガス雰囲気は非プラズマ性雰囲気ではない。非プラズマ性雰囲気とするのは、プラズマ性雰囲気では、ニッケル・シリサイド膜14に対する窒化が先行して却って電気抵抗を上昇させる恐れがあるからである。また、この還元性気相雰囲気は、窒素水素間結合(窒素と水素の間の結合)を有する還元性ガス種を主要なガス成分の一つとして含むことが好適である。具体的には、アンモニア、ヒドラジン(蒸気)等または、これらの混合ガス等を例示することができる。ただし、扱いやすい点からアンモニアが最も好適である。ここで、窒素水素間結合を有するガス種を主要なガス成分の一つとして含ませるのは、シリサイド中のニッケル等の触媒作用によって、活性水素を発生しやすくするためである。なお、還元性気相雰囲気は、通常、プラズマを立てやすくするためのアルゴンなどの不活性ガスおよび、キャリア・ガス(同時に還元ガス)等としての水素ガス(通常組成中の最大成分)等を主要な構成要素として含んである。また、還元性気相雰囲気には、窒素等の反応性の弱いその他のガスを添加してもよい。しかし、通常の条件では、反応性の強い酸素ガスやハロゲン・ガス、並びに、有機系ガス等は、添加ガスとしては好適ではない。以上のことは、後に述べる図19のチタン成膜後還元熱処理105(第2の非プラズマ還元性気相雰囲気)の気相雰囲気(非プラズマ還元性気相雰囲気)についても、そのまま当てはまる。
【0128】
熱処理が完了すると、アンモニア・ガスのみが停止され(ウエハの位置・状態・真空度・ステージ温度・その他のガス流、プラズマのオン・オフ等はチタン成膜前還元熱処理101と同じ)、処理室56内のガス置換が行われる。ガス置換が完了すると、図19の下地チタン膜形成処理102を開始する。他の条件はそのままで、チタン・ソース・ガスであるTiClガスの処理室56への供給が開始される。すなわち、TiClガスをチャンバ56内へ導入してニッケル・シリサイド層14の表面に選択的に熱反応によるチタン膜(以下、熱反応Ti膜と記す)21aを形成する。TiClガスの流量は、例えば6.7sccm、熱処理時間は、例えば30秒程度である。好適な範囲としては、たとえば5から40秒程度を例示することができる。熱反応Ti膜21aの厚さは、例えば1nm以下である。ここで、熱反応Ti膜21aはコンタクト・ホールC1の底面、ならびに第1及び第2配線溝HM1,HM2の底部に露出したニッケル・シリサイド層14の表面のみに形成され、コンタクト・ホールC1の側面、第1及び第2配線溝HM1,HM2の側壁、ならびに酸化シリコン膜17の上面には形成されない。但し、第1及び第2配線溝HM1,HM2の底面であっても、ニッケル・シリサイド層14の表面に酸化膜が存在するときは、第1及び第2配線溝HM1,HM2の底面には熱反応Ti膜21aは形成されない。
【0129】
下地チタン膜形成処理102が完了すると、そのままの状態で、図11の高周波電源63がオン状態となり、処理室56内にプラズマが生成し、図19の主チタンCVD膜形成処理103の開始となる。すなわち、高周波電力を印加してチャンバ内にプラズマを生成することにより、熱反応Ti膜21a上にチタン膜(以下、プラズマ反応Ti膜と記す)21bを形成する。TiClガスの流量は、例えば6.7sccm、高周波電力は、例えば450kHz、800W、成膜時間は、例えば25秒である。プラズマ反応Ti膜21bの厚さは、例えば3から7nmである。
【0130】
主チタンCVD膜形成処理103が完了すると、TiClガスのみの供給が止められ、そのままの状態で図19のハロゲン除去プラズマ処理104(水素プラズマ処理)の開始となる。すなわち、チャンバ56内へのTiClガスの導入のみを止めて、Hガスによるプラズマ反応Ti膜21bのプラズマ処理を行い、プラズマ反応Ti膜21bの塩素濃度を低減し、さらに第1及び第2配線溝HM1,HM2の底部のプラズマ反応Ti膜21bとニッケル・シリサイド層14との間に残存する酸化膜を還元する(第1及び第2配線溝HM1,HM2の底部に酸化膜が存在するときは、熱反応Ti膜21aは形成されない)。水素プラズマ・プラズマ処理時間は、たとえば5秒程度である。この水素プラズマ・プラズマ処理時間の好適な範囲としては、例えば5から30秒を例示することができる。
【0131】
図19の水素プラズマ処理104が完了すると、プラズマはオフ状態とされ、ガス置換が行われる。ガス置換が完了すると、アンモニア・ガスの供給が開始され(第2の非プラズマ還元性気相雰囲気)、図19のチタン成膜後還元熱処理105(第2の非プラズマ還元性気相雰囲気)が開始される。すなわち、NHガスをチャンバ内へ導入してプラズマ反応Ti膜21bの表面を熱反応により窒化し、第1及び第2配線溝HM1,HM2の底部のプラズマ反応Ti膜21bとニッケル・シリサイド層14との間に残存する酸化膜を還元する。NHガスの流量は、例えば500sccmであり、熱処理時間は、例えば10秒程度である。この熱処理時間の好適な範囲としては、5から90秒である。なお、この工程は、チタン成膜前還元熱処理101を実施する場合、必須ではないが、実施すると、コンタクト抵抗等の低減に更なる効果が期待できる。
【0132】
図19のチタン成膜後還元熱処理105が完了すると、そのままの状態で、プラズマ高周波電源63がオン状態となり、図19のチタン・プラズマ窒化処理106の開始となる。すなわち、高周波電力を印加してプラズマを生成することにより、プラズマ反応Ti膜21bの表面に化学量論的組成よりも窒素の量が僅かに多い窒化チタン膜(以下、窒素リッチTiN膜と記す)21c、例えばTi1.1膜を形成し、さらに第1及び第2配線溝HM1,HM2の底部のプラズマ反応Ti膜21bとニッケル・シリサイド層14との間に残存する酸化膜を還元する。高周波電力は、例えば450kHz,800W、窒化処理時間は、例えば25秒程度である。この窒化処理時間の好適な範囲としては、例えば10から90秒程度を例示することができる。なお、この雰囲気は、ここに上げたような水素、アルゴン(不活性ガス)、アンモニア等を主要な構成要素とする還元性プラズマ雰囲気(リモート・プラズマ雰囲気でもよい)に限らず、水素原子および窒素原子を主要な構成要素として含む還元性のガス雰囲気であればよい。しかし、プロセスの安定性等の観点から、アンモニアやヒドラジン等の窒素水素間結合を有するガス種を主要な成分として含むことが好適である。
【0133】
図19のチタン・プラズマ窒化処理106が完了すると、高周波電圧の印加が止められ、他はそのままの状態(第3の非プラズマ還元性気相雰囲気)で、図19のチタン窒化後還元熱処理107に移行する。このチタン窒化後還元熱処理時間は、たとえば、60秒程度である。好適な範囲としては、10秒から90秒程度を例示することができる。このチタン窒化後還元熱処理107の雰囲気については、前述のチタン成膜前還元熱処理101とチタン成膜後還元熱処理105とまったく同一のことが言える。なお、この工程は、チタン成膜前還元熱処理101を実施する場合、必須ではないが、実施すると、コンタクト抵抗等の低減に更なる効果が期待できる。チタン成膜後還元熱処理105の寄与と比較すると、同一時間であれば、若干、チタン成膜後還元熱処理105の方が、改善効果が大きい。ただし、チタン成膜前還元熱処理101およびチタン成膜後還元熱処理105とともに、この処理を実行すると、特にコンタクト抵抗等の低減効果が大きい。また、チタン窒化後還元熱処理107は、チタン・ナイトライド膜を通して、処理を行うため、ニッケル・シリサイド等の窒化による抵抗上昇等の不所望な副作用もないというメリットを有する。従って、比較的長時間実施することができる。
【0134】
図19のチタン窒化後還元熱処理107が完了すると、さらにNHガスのチャンバ56内への導入も止められ、チャンバ56からNHガスが排気される。アルゴンおよび水素雰囲気へのガス置換が完了すると、図19の下地タングステン膜形成109および主タングステンCVD膜形成109のため、ウエハSWは、図10に示すように、真空搬送ロボット61により、真空搬送室51を経由して、チタンCVDチャンバ56からタングステンCVDチャンバ57へ移送される。
【0135】
上記の成膜方法により、熱反応Ti膜21a/プラズマ反応Ti膜21b/窒素リッチTiN膜21cにより構成されるバリア・メタル膜21が形成される。熱反応Ti膜21aの厚さは、例えば1nm以下、プラズマ反応Ti膜21bの厚さは、例えば1から3nm、窒素リッチTiN膜21cの厚さは、例えば1から3nmである。
【0136】
熱反応Ti膜21aは、ニッケル・シリサイド層14との低い接触抵抗を得ることができる。これは、(1)ニッケル・シリサイド層14と熱反応Ti膜21aとの界面に(NiTi1−x)Siが生成される、(2)ニッケル・シリサイドが触媒となり熱分解反応によって純粋なチタンが生成されるので、プラズマ反応Ti膜21bよりも膜中に含まれる不純物濃度が少ない、(3)ドライ・クリーニング処理で残留する超微量のフッ素によって塩化チタンが還元される等が原因と考えられる。また、窒素リッチTiN膜21cは、プラグの構成原子が拡散するのを抑制または防止するバリア膜として有効である。また、図19のプラズマ処理104によりプラズマ反応Ti膜21bの塩素等の不純物濃度が低減する。また、熱反応Ti膜21a/プラズマ反応Ti膜21bを形成した後に、Hガスを用いたプラズマ処理を施し、さらに、プラズマ反応Ti膜21bの表面をNHガスを用いた熱窒化処理及びNHガスを用いたプラズマ処理を施すことにより、アンモニア分子、水素分子、または水素原子等がプラズマ反応Ti膜21bを通過して、第1及び第2配線溝HM1,HM2の底部においてプラズマ反応Ti膜21bとニッケル・シリサイド層14との間に残存する酸化膜を還元することができる。
【0137】
以上のように、塩素等の不純物濃度の低いバリア・メタル膜21を形成することができるので、ニッケル・シリサイド層14の抵抗が低減し、さらにバリア・メタル膜21の剥がれやマイクロ・クラック等を防止することができる。また、第1及び第2配線溝HM1,HM2の底部におけるプラズマ反応Ti膜21bとニッケル・シリサイド層14との間に残存する酸化膜を還元することができる。
【0138】
次に、図13に示すように、コンタクト・ホールC1、ならびに第1及び第2配線溝HM1,HM2の内部を含むバリア・メタル膜21上に金属膜、例えばタングステン膜22をCVD法により堆積する。タングステン膜22の成膜では、まず、バリア・メタル膜21上にタングステンの核膜(以下、タングステン核膜と記す)22aを形成し、その後、コンタクト・ホールC1、ならびに第1及び第2配線溝HM1,HM2の内部を埋め込むタングステン膜(以下、ブランケット・タングステン膜と記す)22bを堆積する。本実施の形態では、上記タングステン核膜22aを、例えば厚さ0.01μm(10nm)以下の多層構造とした。このタングステン核膜22aは、バリア・メタル膜21の最上層に位置する窒素リッチTiN膜21cとの密着性が良く、また、タングステン膜の成膜ガスであるWFガスに含まれるフッ素がバリア・メタル膜21へ侵入するのを抑制または防止する機能を有するので、バリア・メタル膜21のフッ素による腐食(例えばプラズマ反応Ti膜21bのふくれやはがれ等)を防ぐことができる。
【0139】
このタングステン層の成膜方法は、例えば以下のように行われる。
【0140】
まず、図19の下地タングステン膜形成109を実行する。すなわち、WFガス(たとえば50sccm程度)、SiHガス(たとえば40sccm程度)及びHガス(たとえば900sccm程度)をそれぞれ所定の流量でチャンバ57(図10)内へ導入して、バリア・メタル膜21の表面に所定の厚さのタングステン核膜22aを形成する。チャンバ57内の圧力は、例えば2667Pa、半導体ウエハの温度は、例えば390℃とする。また、この処理時間を制御することにより、所望する厚さのタングステン核膜22aが形成される。タングステン核膜22aの厚さは、例えば7nmである。この場合、処理時間は数秒程度である。WFガスとSiHガスとを同時にチャンバ内へ導入することにより、成膜と同時にフッ素を除去することができるので、フッ素の含有量の少ないタングステン核膜22aを形成することができる。
【0141】
図19の下地タングステン膜形成109が完了すると、次に、図19の主タングステンCVD膜形成109を開始する。すなわち、Hガスを所定の流量(たとえば2200sccm程度)でチャンバ57(図10)内へ導入した後、WFガスを所定の流量、例えば250sccmでチャンバ57内へ導入して、タングステン核膜22a上にH還元によるブランケット・タングステン膜22bを形成する。チャンバ57内の圧力は、例えば10666Pa、半導体ウエハの温度は400℃以下、例えば390℃とする。また、処理時間を制御することにより、所望する厚さのブランケット・タングステン膜22bが形成される。ブランケット・タングステン膜22bの厚さは、例えば0.193μm(193nm)である。この場合、成膜時間は35秒から40秒程度である。
【0142】
上記SiH還元による核付けを採用した成膜方法により、フッ素の含有量の少ないタングステン核膜22a及びブランケット・タングステン膜22bからなるタングステン膜22が形成される。ブランケット・タングステン膜22bの成膜温度は、例えば390℃であり、400℃以下の比較的低温でタングステン膜22を成膜することにより、ブランケット・タングステン膜22bの成膜時におけるWFガスに含まれるフッ素の侵入を抑制することができる。これにより、WFガスに含まれるフッ素のバリア・メタル膜21への侵入を抑制または防止することができるので、バリア・メタル膜21のフッ素による腐食を防ぐことができる。
【0143】
図14(a)は、図13に続く製造工程における図3(a)と同じ箇所の要部断面図、図14(b)は、図13に続く製造工程における図3(b)と同じ箇所の要部断面図である。
【0144】
次に、図14に示すように、酸化シリコン膜17の表面が露出するまでエッチバックもしくはCMPを施して、コンタクト・ホールC1、ならびに第1及び第2配線溝HM1,HM2の外部のチタン膜、窒化チタン膜及びタングステン膜を除去することにより、コンタクト・ホールC1の内部に、タングステン膜22を主導電材料とするプラグP1を形成し、第1及び第2配線溝HM1,HM2の内部に局所配線23a(図15参照),23bを形成する。
【0145】
一方の局所配線23aは、負荷用MISFET(Ld1)のドレイン、転送用MISFET(Tr1)のソース、及びCMOSインバータINV2を構成する負荷用MISFET(Ld2)と駆動用MISFET(Dr2)とに共通するゲート電極Gの引き出し部GM2に接続されている。また、他方の局所配線23bは、負荷用MISFET(Ld2)のドレイン、転送用MISFET(Tr2)のソース、及びCMOSインバータINV1を構成する負荷用MISFET(Ld1)と駆動用MISFET(Dr1)とに共通するゲート電極Gの引き出し部GM1に接続されている。
【0146】
前述したコンタクト・ホールC1、ならびに第1及び第2配線溝HM1,HM2の内部にプラグP1を形成する工程では、プラグP1の主導電材料をタングステン膜22とし、バリア・メタル膜21をチタン膜21a,21b上に窒化チタン膜21cを形成した積層膜としたが、これに限定されるものではなく、種々変更することは可能である。例えばバリア・メタル膜21を前述したチタン膜21a,21b上に窒化チタン膜21cを形成した積層膜とし、プラグの主導電材料を銅膜とすることもできる。この場合、まず、前述した製造方法と同様にしてバリア・メタル膜21を成膜し、その後、CVD法またはスパッタリング法によりバリア・メタル膜21上にシード層、例えば銅またはルテニウムのシード層を形成し、さらに電解めっき法を用いてシード層上に銅めっき膜を形成することによって、コンタクト・ホールC1、ならびに第1及び第2配線溝HM1,HM2の内部に銅めっき膜を埋め込む。
【0147】
バリア・メタル膜21の成膜及び上記シード層の成膜には、前述した成膜装置50を用いる。前述したように、成膜装置50の搬送室51には4つのチャンバが備わっており、プラグP1の主導電材料をタングステン膜22とする場合は、チャンバ54をドライ・クリーニング処置用チャンバ、チャンバ55を加熱処理用チャンバ、チャンバ56をバリア・メタル成膜用チャンバ、チャンバ57をタングステンCVDチャンバとして使用する。プラグP1の主導電材料を銅膜とする場合は、チャンバ54をドライ・クリーニング処理用チャンバ、チャンバ55を加熱処理用チャンバ、チャンバ56をバリア・メタル成膜用チャンバ、チャンバ57をシード層成膜用チャンバとして使用する。これにより、バリア・メタル膜21の表面が大気にさらされて汚染されることなくバリア・メタル膜21上に連続してシード層が成膜されるので、均一にシード層を形成することができる。その後、電解めっき法によりコンタクト・ホールC1、ならびに第1及び第2配線溝HM1,HM2の内部に銅膜が埋め込まれるが、均一にシード層が形成されているので、ほぼ完全に銅膜が埋め込まれて、プラグP1の良好な導通を得ることができる。
【0148】
3.本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるウエハ・プロセスのバック・エンド部および対象デバイスの一例であるCMIS SRAM等の説明(主に図15から図18)
この後、上層の配線、例えば第0、第1及び第2層配線が形成される。引き続き、これら配線の形成工程について説明する。
【0149】
図15は、図14に続く製造工程における図2と同じ箇所の要部平面図、図16(a)は、図14に続く製造工程における図3(a)と同じ箇所の要部断面図、図16(b)は、図14に続く製造工程における図3(b)と同じ箇所の要部断面図である。
【0150】
まず、局所配線23a,23b、プラグP1上にスパッタリング法により、例えば厚さ0.1μm(100nm)程度のタングステン膜を堆積する。続いて、パターニングすることによって第0層配線M0を形成する。
【0151】
次に、局所配線23a,23b、第0層配線M0及び酸化シリコン膜17上に、CVD法により酸化シリコン膜24を堆積する。続いて、第0層配線M0上の酸化シリコン膜24をエッチングにより除去することによりビア・ホールC2を形成する。
【0152】
次に、ビア・ホールC2の内部を含む酸化シリコン膜24上にバリア・メタル膜25を形成する。バリア・メタル膜25は、例えば窒化チタン膜、窒化タンタル膜、窒化タンタル膜上にタンタル膜を積み重ねた積層膜、または窒化タンタル膜上にルテニウム膜を積み重ねた積層膜である。バリア・メタル膜25を形成する前には前述したドライ・クリーニング処理が行われるが、このドライ・クリーニング処理においてもその後、前述した100から150℃の温度での加熱と150℃よりも高い温度での加熱とを半導体ウエハに対して行い、ビア・ホールC2の底面及び側壁に生成した生成物の除去を行ってもよい。これにより、バリア・メタル膜25と第0層配線M0との接触抵抗のばらつきを低減することができ、また、酸化シリコン膜24からのバリア・メタル膜25の剥がれを防止することができる。
【0153】
次に、CVD法またはスパッタリング法によりバリア・メタル膜25上に銅のシード層を形成し、さらに電解めっき法を用いてシード層上に銅めっき膜を形成する。銅めっき膜によりビア・ホールC2の内部を埋め込む。続いてビア・ホールC2以外の領域の銅めっき膜、シード層及びバリア・メタル膜25をCMP法により除去して、銅膜を主導電材料とするプラグP2を形成する。なお、図15の平面図においては、ゲート電極G及び活性領域An1等の表示を省略している。
【0154】
次に、酸化シリコン膜24及びプラグP2上に第1層配線(図15中、網掛けのハッチングで示す)M1を形成する。まず、スパッタリング法により、例えば厚さ0.01μm(10nm)程度のチタン膜及び厚さ0.05μm(50nm)程度の窒化チタン膜を順次堆積する。続いて、CVD法によりタングステン膜を堆積し、パターニングすることによって第1層配線M1を形成する。第1層配線M1のうち、プラグP1,P2を介して転送用MISFET(Tr1,Tr2)のゲート電極Gを接続する第1層配線M1はワード線WLとなる。
【0155】
図17は、図15、16に続く製造工程における図2と同じ箇所の要部平面図、図18(a)は、図15、16に続く製造工程における図3(a)と同じ箇所の要部断面図、図18(b)は、図15、16に続く製造工程における図3(b)と同じ箇所の要部断面図である。
【0156】
第1層配線M1及び酸化シリコン膜24上に酸化シリコン膜26をCVD法により堆積した後、第1層配線M1上の酸化シリコン膜26をエッチングにより除去することによりビア・ホールC3を形成する。
【0157】
次に、酸化シリコン膜26上に第2層配線(図17中、網掛けのハッチングで示す)M2を形成する。まず、スパッタリング法により、例えば厚さ0.01μm(10nm)程度のチタン膜及び厚さ0.05μm(50nm)程度の窒化チタン膜を順次堆積する。続いて、CVD法によりタングステン膜を堆積し、パターニングすることによって第2層配線M2を形成する。第2層配線M2を介して駆動用MISFET(Dr1,Dr2)のソースに基準電位Vssが供給される。また、第2層配線M2を介して負荷用MISFET(Ld1,Ld2)のソースに電源電位Vccが供給される。また、駆動用MISFET(Dr1,Dr2)の一端と接続された第2層配線M2はデ−タ線DL,/DLとなる。
【0158】
以上の工程により、図1を用いて説明したSRAMのメモリセルMC及び周辺回路が、ほぼ完成する。
【0159】
4.本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の製造方法におけるウエハプロセスの主要部に関する考察およびデータ等の説明(主に図20から図23)
このように、本実施の形態によれば、コンタクト・ホールC1、ならびに第1及び第2配線溝HM1,HM2の内部にバリア・メタル膜21を形成する前に行うドライ・クリーニング処置(図10でのチャンバ54での処理)により、コンタクト・ホールC1、ならびに第1及び第2配線溝HM1,HM2の底面及び側面に化学量論的組成から僅かにずれた生成物が残留するが、この生成物はドライ・クリーニング処理の後に行う150℃よりも高い温度の熱処理により除去されるので、コンタクト・ホールC1、ならびに第1及び第2配線溝HM1,HM2の底面におけるニッケル・シリサイド層14とバリア・メタル膜21との接触抵抗のばらつきを低減することができ、またコンタクト・ホールC1、ならびに第1及び第2配線溝HM1,HM2の側面におけるバリア・メタル膜21の剥がれを防ぐことができる。
【0160】
さらに、バリア・メタル膜21のニッケル・シリサイド層14と接する最下層に、塩素等の不純物濃度の低い熱反応Ti膜21aを形成すること、及びHガスを用いたプラズマ処理によりバリア・メタル膜21に含まれる塩素等の不純物濃度が低減できることから、ニッケル・シリサイド層14との接触抵抗が低く、はがれやマイクロ・クラック等の不良のないバリア・メタル膜21を得ることができる。また、バリア・メタル膜21のプラグと接する最上層に、窒素リッチTiN膜21cを形成することにより、プラグの構成原子が拡散するのを抑制または防止することができる。
【0161】
さらに、ニッケル・シリサイド層14の表面に酸化膜が成長し、この酸化膜が、ドライ・クリーニング処理及び熱処理(図10でのチャンバ54、55での処理)では除去することができずに残存することがある。しかし、熱反応Ti膜21a/プラズマ反応Ti膜21bを形成した後に、Hガスを用いたプラズマ処理を施し、さらに、プラズマ反応Ti膜21bの表面をNHガスを用いた熱窒化処理及びNHガスを用いたプラズマ処理を施す。このことにより、H原子がプラズマ反応Ti膜21bを通過して、第1及び第2配線溝HM1,HM2の底面におけるプラズマ反応Ti膜21bとニッケル・シリサイド層14との間に残存する酸化膜を還元することができて、プラグP1とニッケル・シリサイド層14との良好な導通を得ることができる。なお、チタン成膜前還元熱処理101(図19)を実施する場合、その後の各種の還元処理(ハロゲン除去プラズマ処理104、チタン成膜後還元熱処理105、チタン・プラズマ窒化処理106)は、ニッケル・シリサイド層14の表面(チタン成膜後についてはチタン膜中の酸化物を含む)の酸化膜を除去する目的に関しては、必須ではない。しかし、これらのポスト還元処理のいずれか一つ、または複数、あるいは全部を実施すると、コンタクト抵抗等の更なる低減に有効である。
【0162】
図21に、本発明を実施した場合(比較のための各種条件の処理を含む)のプラグとニッケル・シリサイド層との接触抵抗を示す。接触抵抗の測定には、長辺径200nm、短辺径90nmの配線溝に埋め込まれたプラグとニッケル・シリサイド層との連結個数が7200個のチェーン構造パターンを用いた。図21にプリ・ソーク(Pre−Soak)として示すように、NHガスを用いた熱処理等を施すことにより、プラグとニッケル・シリサイド層との接触抵抗は低減する。
【0163】
更に、図20に、本発明を実施した場合の4端子法を用いて測定したプラグ抵抗、すなわち、ケルビン(Kelvin)抵抗の分布を示す。ケルビン抵抗の測定には、径が80nm程度のほぼ円形のコンタクト・ホールに埋め込まれたプラグとニッケル・シリサイド層との連結個数が1個の構造パターンを用いた。なお、ケルビン抵抗は、ホール径に依存しており、径が80nm程度では、20から30オーム/コンタクト程度であるが、径が60nm程度になると、30から40オーム/コンタクト程度となる。更に、径が40nm程度になると、60から70オーム/コンタクト程度となる。
【0164】
図20および図21における各サンプル(サンプルについては、括弧で囲むことで当該処理と区別する)の処理条件を以下にまとめる。4条件とも、セクション2で説明した条件に準じて処理されている。すなわち、基本的に、図19の下地チタン膜形成102、主チタンCVD膜形成103、ハロゲン除去プラズマ処理104、チタン成膜後還元熱処理105、チタン・プラズマ窒化処理106が同一条件で処理されている。なお、チタン窒化後還元熱処理107は、されていない。ただし、「長時間ポスト・プラズマ」のみは、ポスト・プラズマ窒化処理時間(チタン・プラズマ窒化処理106)が60秒と長めになっている。チタン成膜前還元熱処理101は、「プリ・ソーク」のみに施されている。また、「ポスト・ソーク」についてのみ、ポスト・ソーク処理(チタン成膜後還元熱処理105)が施されているが、プリ・ソーク処理がないので、時間は前記実施の形態よりも長めに設定(60秒程度)されている。
【0165】
図20および図21のデータから以下のことが読み取れる。
(1)図20の「長時間ポスト・プラズマ」のデータより、長時間ポスト・プラズマ窒化処理は、ケルビン抵抗を上昇させる。界面の窒化による電気抵抗の上昇と考えられる。このことは、程度は小さいが、図21からも読み取れる。
(2)「短時間ポスト・プラズマ」のデータで、1.5σ以上で非導通となっている。これは、ニッケル。シリサイド膜の上面近傍における酸化シリコン膜の除去が十分に行われていないことを示す。
(3)従って、コンタクト部分の抵抗低減のためには、プリ・ソーク処理が最も有効であり、これに加えて、ポスト・ソーク処理およびポスト・プラズマ窒化処理が有効である。
【0166】
さらに、プラグを構成するタングステン膜22のバリア・メタル膜21と接する層に、SiH還元反応またはB還元反応により多層構造のタングステン核膜22aを形成することにより、タングステン膜22と窒素リッチTiN膜21cとの良好な密着性を得ることができる。また、タングステン核膜22aがWFガスに含まれるフッ素の侵入を抑制する機能を有すること、及びH還元によるブランケット・タングステン膜22bの形成の採用により、400℃以下の比較的低温でタングステン膜22を形成することができることから、WFガスに含まれるフッ素のバリア・メタル膜21への侵入を抑制または防止することができて、フッ素によるバリア・メタル膜21の腐食を防ぐことができる。
【0167】
さらに、コンタクト・ホールC1、ならびに第1及び第2配線溝HM1,HM2の内部に埋め込まれる導電部材として銅からなるプラグを用いる場合は、成膜装置50に、ドライ・クリーニング処置用チャンバ(チャンバ54)、加熱処理用チャンバ(チャンバ55)、バリア・メタル成膜用チャンバ(チャンバ56)及びシード層成膜用チャンバ(チャンバ57)を備えることにより、大気にさらすことなくバリア・メタル膜21上に連続してシード層を成膜することができるので、均一にシード層が形成されて、コンタクト・ホールC1、ならびに第1及び第2配線溝HM1,HM2の内部に電解めっき法によりほぼ完全に銅膜を埋め込むことが可能となり、プラグP1の良好な導通を得ることができる。
【0168】
次に、還元処理(チタン成膜前還元熱処理101(図19))によるニッケル・シリサイド膜上面等の自然酸化膜の除去メカニズムについて、考察する。図22は、ニッケル・シリサイド膜上面の自然酸化膜中におけるニッケル酸化物の存在を検証するためのXPS(X−ray Photoelectron spectroscopy)、すなわち、X線光電子分光分析による分光データ・プロット図である。一方、図23は、ニッケル・シリサイド膜上面の自然酸化膜中におけるシリコン酸化物の存在形態を検証するためのX線光電子分光分析による分光データ・プロット図である。
【0169】
まず、図22に示すように、ニッケル・シリサイド膜上面から全くニッケル酸化物に関する信号が出ていないことがわかる。従って、自然酸化膜は、シリコン酸化物であることが推測できる。更に、図23に示すように、左側の二酸化シリコンの位置に、ブロードな低いピークが現れており、通常の二酸化シリコン膜に見られるような、鋭いピークがないことがわかる。これより、自然酸化膜は、化学量論的なSiOではなく、非化学量論的な酸化シリコン膜(SiOxと書くべきもの)であることが推測される。これは、この自然酸化膜が摂氏600度以上の熱処理にさらされていないことと関係している。
【0170】
通常の非プラズマ雰囲気では、アンモニア・ガス(またはヒドラジン蒸気)に化学量論的な二酸化シリコン部材を除去する能力はないが、自然酸化膜が非化学量論的な酸化シリコン膜であれば、除去できる可能性がある。また、ニッケル・シリサイド中のニッケル、バリア・メタル中のチタン等の高融点金属の触媒作用も寄与して、更に、除去能力を上げている可能性がある。アンモニア・ガス等における窒素水素間結合は、通常の有機物(炭化水素)などの炭素水素間結合に比べて結合が弱いので、水素をリリースしやすいと考えられる。先に説明したように、アンモニア・ガス等を主要な成分として含む非プラズマ雰囲気中で、チタン膜成膜前にニッケル系メタル・シリサイド膜上面を還元熱処理すると、プラズマによるチャージ・アップ・ダメージや窒化による抵抗増大を回避しながら、有効に自然酸化膜の除去が可能となる。
【0171】
更に、チタン成膜後、チタン窒化後等にアンモニア・ガス等を主要な成分として含む非プラズマ雰囲気中で、還元熱処理を実行すると、ニッケル系メタル・シリサイド膜上面(チタン成膜前の還元処理時に残存したもの、または、その後に生成したもの)およびチタン膜中の含有酸素成分を除去して、一層安定した低抵抗のコンタクト構造を形成することができる。
【0172】
5.サマリ
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本願発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0173】
例えば、前記実施の形態では、汎用SRAMに例をとり具体的に説明したが、本願発明はそれに限定されるものではなく、埋め込み型(Embedded)SRAMや一般のSOCデバイス等にも適用できることは言うまでもない。
【0174】
また、前記実施の形態では、特にコンタクト抵抗不良が発生しやすいシェアード・コンタクト部分を中心に説明したが、本願発明はそれに限定されるものではなく、セクション4でも説明したように、微細化により、通常の平面形状がほぼ円形のコンタクト・ホールに対しても適用して効果があることは言うまでもない。
【0175】
更に、前記実施の形態では、バック・エンド・プロセスについては、銅系ダマシン・プロセスを中心に具体的に説明したが、本願発明はそれに限定されるものではなく、アルミニウム系通常多層配線(非埋め込み配線すなわちサブトラクティブ配線)プロセスを使用したものにも適用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0176】
1 半導体基板(またはウエハ)
1a 基板(またはウエハの基板部)
1b エピタキシャル層
1d 半導体基板(またはウエハ)のデバイス面
1h 半導体基板(またはウエハ)の裏面
2 素子分離
4 p型ウェル
5 n型ウェル
6 ゲート絶縁膜
7 n型半導体領域
8 p型半導体領域
9 酸化シリコン膜
10 サイド・ウォール
12 n型半導体領域
13 p型半導体領域
14 ニッケル・シリサイド層
15 窒化シリコン膜
16 PSG膜
17 酸化シリコン膜
21 バリア・メタル膜
21a チタン膜(熱反応Ti膜)
21b チタン膜(プラズマ反応Ti膜)
21c 窒化チタン膜(窒素リッチTiN膜)
22 タングステン膜(プラグ・メタル層)
22a タングステン核膜
22b ブランケット・タングステン膜
23a,23b 局所配線
24 酸化シリコン膜
25 バリア・メタル膜
26 酸化シリコン膜
50 成膜装置
51 搬送室
52 ゲートバルブ
53 ロードロック室
54 ドライ洗浄チャンバ
55 洗浄後熱処理チャンバ
56 チタンCVDチャンバ
57 タングステンCVDチャンバ
58 ウエハ搬入出室
59 フープ
60 ポート
61,62 搬送用ロボット
63 高周波電源
64 マス・フロー・コントローラ
65 ガス排気口
66 下部電極
67 上部電極
68 ガス導入口
100 コンタクト・ホール埋め込み工程
101 チタン成膜前還元熱処理
102 下地チタン膜形成
103 主チタンCVD膜形成
104 ハロゲン除去プラズマ処理
105 チタン成膜後還元熱処理
106 チタン・プラズマ窒化処理
107 チタン窒化後還元熱処理
108 下地タングステン膜形成
109 主タングステンCVD膜形成
A 記憶ノード
An1,An2,Ap1,Ap2 活性領域
B 記憶ノード
C1 コンタクト・ホール
C2,C3 ビア・ホール
DL,/DL データ線
Dr1,Dr2 駆動用MISFET
G ゲート電極
GM1,GM2 引き出し部
HM1,HM2 配線溝
INV1,INV2 CMOSインバータ
Ld1,Ld2 負荷用MISFET
M0 第0層配線
M1 第1層配線
M2 第2層配線
MC メモリセル
QnL nMISFET
QpL pMISFET
P1,P2 プラグ
SW 半導体ウエハ
Tr1,Tr2 転送用MISFET
Vcc 電源電圧
Vss 基準電圧
WL ワード線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)半導体ウエハのデバイス面上にエッチ・ストップ絶縁膜を介して、プリ・メタル絶縁膜を形成する工程;
(b)前記プリ・メタル絶縁膜および前記エッチ・ストップ絶縁膜を貫通するコンタクト・ホールを開口する工程;
(c)前記コンタクト・ホールの底のニッケル系メタル・シリサイド膜の上面に対して、窒素水素間結合を有するガスを主要なガス成分の一つとして含む第1の非プラズマ還元性気相雰囲気中で、熱処理を実行する工程;
(d)前記工程(c)の後、前記プリ・メタル絶縁膜の上面および前記コンタクト・ホールの内面に、チタン系バリア・メタル膜を形成する工程;
(e)前記プリ・メタル絶縁膜の上面および前記コンタクト・ホールの前記内面の前記チタン系バリア・メタル膜上に、プラグ・メタル層を形成する工程;
(f)前記コンタクト・ホール外の前記チタン系バリア・メタル膜および前記プラグ・メタル層を除去する工程。
【請求項2】
前記1項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記窒素水素間結合を有するガスは、アンモニア・ガスである。
【請求項3】
前記1項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記窒素水素間結合を有するガスは、ヒドラジン・ガスである。
【請求項4】
前記2項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の非プラズマ還元性気相雰囲気は、水素ガスを主要な成分の一つとして含む。
【請求項5】
前記2項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の非プラズマ還元性気相雰囲気は、水素ガスを最大の成分として含む。
【請求項6】
前記5項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の非プラズマ還元性気相雰囲気は、不活性ガスを主要な成分の一つとして含む。
【請求項7】
前記5項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の非プラズマ還元性気相雰囲気は、アルゴン・ガスを主要な成分の一つとして含む。
【請求項8】
前記7項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の非プラズマ還元性気相雰囲気は、酸素ガス、ハロゲン・ガス、および有機ガスのいずれのガスも実質的に含まない。
【請求項9】
前記2項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記プラグ・メタル層は、タングステン系メタル層を主要な構成要素とする。
【請求項10】
前記1項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(d)は、以下の下位工程を含む:
(d1)前記工程(c)の後、前記プリ・メタル絶縁膜の上面および前記コンタクト・ホールの内面に、チタン系メタル膜を形成する工程;
(d2)前記チタン系メタル膜の上面に対して、プラズマ窒化処理を実行することにより、前記チタン系メタル膜の前記上面に窒化チタン膜を形成する工程。
【請求項11】
前記10項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(c)および前記下位工程(d1)は、第1のCVD処理チャンバ内の第1のウエハ・ステージ上で、実行される。
【請求項12】
前記11項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(c)および前記下位工程(d2)は、前記第1のCVD処理チャンバ内の前記第1のウエハ・ステージ上で、実行される。
【請求項13】
前記12項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(d)は、更に、以下の下位工程を含む:
(d3)前記下位工程(d1)の後であって前記下位工程(d2)の前に、前記チタン系メタル膜を介して、前記ニッケル系メタル・シリサイド膜の前記上面に対して、窒素水素間結合を有するガスを主要なガス成分の一つとして含む第2の非プラズマ還元性気相雰囲気中で、熱処理を実行する工程。
【請求項14】
前記13項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(c)および前記下位工程(d3)は、前記第1のCVD処理チャンバ内の前記第1のウエハ・ステージ上で、実行される。
【請求項15】
前記14項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(d)は、更に、以下の下位工程を含む:
(d4)前記下位工程(d1)の後であって前記下位工程(d3)の前に、前記半導体ウエハの前記デバイス面側に対して、水素ガスを主要な成分とする気相プラズマ処理を実行する工程。
【請求項16】
前記15項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(c)および前記下位工程(d4)は、前記第1のCVD処理チャンバ内の前記第1のウエハ・ステージ上で、実行される。
【請求項17】
前記1項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記コンタクト・ホール内に形成されるコンタクト構造は、シェアード・コンタクトである。
【請求項18】
前記10項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記下位工程(d1)は、プラズマCVD法により、実行される。
【請求項19】
前記18項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(d)は、更に、以下の下位工程を含む:
(d5)前記工程(c)の後であって前記下位工程(d1)の前に、プラズマを印加しない状態で、前記下位工程(d1)と、ほぼ同一の処理を実行する工程。
【請求項20】
前記19項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(c)および前記下位工程(d5)は、前記第1のCVD処理チャンバ内の前記第1のウエハ・ステージ上で、実行される。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2010−206057(P2010−206057A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−51667(P2009−51667)
【出願日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】