説明

基板処理装置

【課題】基板の主面への処理液の飛散を抑制しつつ基板の端面を局所的に処理できる技術を提供する。
【解決手段】基板処理装置100は、硬脆性基板の一種であるガラス基板(基板90)の側端面91Sをエッチングする。基板処理装置100は、その外周面が基板90の側端面91に当接される当接面を形成するスポンジ体213(当接部材)と、スポンジ体213を回転させるスポンジ体回転駆動部240(回転駆動部)と、スポンジ体213に処理液を供給する処理液供給管251(処理液供給部)とを備える。搬送ローラー31により+y方向に搬送される基板90の側端面91Sに対して、z軸回りに回転するスポンジ体213の外周面が押し当てられることにより、基板90の側端面91Sのエッチングが行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬脆性基板の端面を処理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば液晶ディスプレイ等において利用されるガラス基板等の硬脆性基板の周端部の側面(側端面)には、カッター等で切断された場合、無数の細かなひび割れまたは亀裂(マイクロクラック)が存在することがある。このような基板を取り扱う場合、端面に形成されたマイクロクラックから、比較的大きなクラックまたはガラス片が発生するという問題があった。そこで、基板の端面をエッチング処理液にて処理することにより、マイクロクラックを減少させることが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
具体的に、特許文献1では、ガラス基板の端部を処理液中に浸すことによって、ガラス基板の側端面をエッチングする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−168262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来の端面処理の場合、基板の端部を処理液に直接浸透させるため、処理液が飛散して基板の主面に付着してしまう虞があった。例えば液晶ディスプレイの製造に使用するようなガラス基板の場合において、エッチング用の処理液が基板の主面に付着してしまうと、輝度ムラや画像の歪みなどの原因となる場合がある。そこで、基板の側端面をより局所的に処理することのできる技術が要求されていた。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、基板の主面への処理液の飛散を抑制しつつ基板の端面を局所的に処理できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、第1の態様は、硬脆性基板を処理する基板処理装置において、その外周面が基板の側端面に当接される当接面を形成する当接部材と、前記当接部材を回転させる回転駆動部と、前記当接部材に処理液を供給する処理液供給部とを備える。
【0008】
また、第2の態様は、第1の態様に係る基板処理装置において、内部に前記当接部材を収納するとともに、前記基板の側端部分が挿入されるスリットが形成されている第1収納体、をさらに備える。
【0009】
また、第3の態様は、第2の態様に係る基板処理装置において、前記第1収納体の前記スリットの開口幅を調整する開口幅調整部、をさらに備える。
【0010】
また、第4の態様は、第1から第3の態様までのいずれか1態様に係る基板処理装置において、前記第1収納体の前記スリット近傍の外部雰囲気を吸引する吸引部、をさらに備えている。
【0011】
また、第5の態様は、第4の態様に係る基板処理装置において、内部に前記第1収納体を収納するとともに、前記基板の側端部分が挿入されるスリットが形成されている第2収納体、をさらに備え、前記吸引部が、前記第2収納体の内部の雰囲気を吸引する。
【0012】
また、第6の態様は、第1から第5の態様までのいずれか1態様に係る基板処理装置において、前記当接部材に対して、前記基板を相対的に移動させる相対移動機構、をさらに備え、前記回転駆動部は、前記基板の相対移動方向と同じ順方向に前記当接面が回転するように前記当接部材を回転駆動する。
【0013】
また、第7の態様は、第6の態様に係る基板処理装置において、前記回転駆動部は、前記当接面の回転移動速度と前記基板の前記相対移動速度とが略一致するように前記当接部材を回転駆動する。
【0014】
また、第8の態様は、第1から第7の態様までのいずれか1態様に係る基板処理装置において、前記処理液の温度を調整する温度調整部、をさらに備えている。
【0015】
また、第9の態様は、第1から第8の態様までのいずれか1態様に係る基板処理装置において、前記当接部材の表面に付着した付着物を掻き取るスクレーパー、をさらに備える。
【0016】
また、第10の態様は、第1から第9の態様までのいずれか1態様に係る基板処理装置において、前記当接部材を移動させることによって、基板の側端面と当接する前記当接部材の部分の位置を変更する当接部材移動機構、をさらに備える。
【0017】
また、第11の態様は、第1から第10の態様までのいずれか1態様に係る基板処理装置において、前記基板の内側から前記基板の側端面側に向けて洗浄液を供給することによって、前記処理液が付着した基板の側端部分を洗浄する洗浄液供給部、をさらに備える。
【0018】
また、第12の態様は、第11の態様に係る基板処理装置において、前記洗浄液供給部は、前記基板の表面と裏面との双方から前記洗浄液を供給する。
【0019】
また、第13の態様は、第1から第12の態様までのいずれか1態様に係る基板処理装置において、前記基板の内側から前記基板側端面側に向けてエアを供給するエア供給部、をさらに備える。
【0020】
また、第14の態様は、第1から第13の態様までのいずれか1態様に係る基板処理装置において、基板を押圧することによって、基板を所要位置に移動させる押圧部と、前記基板が前記押圧部に押圧される方向に対して交差する方向に反った状態で前記基板を支持する基板支持部とをさらに備える。
【発明の効果】
【0021】
第1から第14の態様に係る基板処理装置によると、処理液の飛散を抑制しつつ、基板の側端面を局所的に処理することができる。また、処理液が供給される当接部材を基板の側端面に当接させることにより、基板の側端面を確実に処理することができる。
【0022】
第2の態様に係る基板処理装置によると、処理液が基板の表面に飛散することを抑制することができる。
【0023】
第3の態様に係る基板処理装置によると、基板の撓みに応じてスリットの開口の大きさを調整することができる。したがって、スリットの縁と基板との接触より基板が破損することを抑制することができる。
【0024】
第4の態様に係る基板処理装置によると、第1収納体のスリットから外部に飛散した処理液を、吸引部によって吸引することができる。したがって、処理液が基板の表面に付着することを抑制することができる。
【0025】
第5の態様に係る基板処理装置によると、第1収納体のスリットから外部に飛散した処理液を、基板表面に付着する前に吸引することができる。
【0026】
第6の態様に係る基板処理装置によると、基板を相対的に移動させながら、その側端部分を処理することができる。また、基板の相対移動方向と同じ順方向に回転駆動させることで、基板の側端部分が当接部材との過度の接触により破損することを抑制することができる。
【0027】
第7の態様に係る基板処理装置によると、基板の側端面と当接部材の当接面との間で、摩擦が生じることを抑制できる。したがって、基板の側端部分が当接部材との過度の接触により破損することを抑制することができる。
【0028】
第8の態様に係る基板処理装置によると、基板の側端面の処理に適した温度の処理液を当接部材に供給することができる。
【0029】
第9の態様に係る基板処理装置によると、不要な付着物が基板の側端面に付着することを抑制することができる。
【0030】
第10の態様に係る基板処理装置によると、当接部材が基板の側端面と接触する部分の位置を変更することができるため、当接部材の長寿命化を図ることができる。
【0031】
第11の態様に係る基板処理装置によれば、基板の内側から側端面側に向けて洗浄液を供給することができる。したがって、基板の表面に洗浄液が付着することを抑制することができる。
【0032】
第12の態様に係る基板処理装置によると、基板の両面の側端部分を洗浄することができる。
【0033】
第13の態様に係る基板処理装置によれば、基板表面の内側に液体が移動することを抑制することができる。したがって、基板の品質を向上することができる。
【0034】
第14の態様に係る基板処理装置によると、押圧方向に対して交差する方向に反った状態の基板を押圧することによって、応力が基板に吸収されることを抑制できるため、基板を確実に所要位置に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】第1実施形態に係る基板処理装置の概略上面図である。
【図2】端面処理部が備える端面処理ユニットの斜視図である。
【図3】端面処理ユニットの正面図である。
【図4】端面処理ユニットの断面図である。
【図5】第1収納体のスリットと第2収納体のスリットとを拡大して示す概略断面図である。
【図6】洗浄部の斜視図である。
【図7】+y方向から見た洗浄ユニットの側面図である。
【図8】+y方向から見た乾燥ユニットの側面図である。
【図9】アライメント部の斜視図である。
【図10】アライメント部の側面図である。
【図11】転換部の概略上面図である。
【図12】第2実施形態に係る基板処理装置の概略上面図である。
【図13】第3実施形態に係る洗浄ユニットを示す図である。
【図14】第4実施形態に係る端面処理部の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照して実施形態を詳細に説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0037】
{1. 第1実施形態}
{1.1. 基板処理装置100}
図1は、第1実施形態に係る基板処理装置100の構成を示す概略上面図である。なお、図1および以降の各図には、それらの方向関係を明確にすべく、必要に応じて適宜、Z軸方向を鉛直方向とし、xy平面を水平面とする左手系のxyz直交座標系が付されている。また、本実施形態では、端面処理部2における基板90の進行方向を+y方向、その逆方向を−y方向としている。また鉛直方向上向きを+z方向とし、その逆方向を−z方向としている。ただしこれらの方向関係は、基板処理装置100の構成の配置関係を説明するために便宜上定義されたものあり、本願発明を限定する趣旨のものではない。
【0038】
基板処理装置100は、電子精密機器や電子デバイスに適用される硬脆性基板(以下、単に基板90と称する。)の端面をエッチング処理する装置として構成されている。硬脆性基板とは、ケイ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、二酸化ケイ素、リン化ガリウム、ヒ化ガリウム、窒化ガリウム、リン化インジウム、硫化インジウム、窒化インジウム、硫化マグネシウム、リン化マグネシウム、マグネシウムセレニド、酸化亜鉛、硫化亜鉛、亜鉛セレニド、硫化カドミウム、硫化カドミウム、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、ベリリウムセレニドなどから選ばれる硬脆性材料を主原料とする板状部材で、例えば、ガラス基板、シリコン基板、化合物半導体基板、サファイヤ基板などが含まれる。以下の説明では、基板90として、略長方形に形成されたガラス基板であるものとする。
【0039】
基板処理装置100は、端面処理部2,2a、洗浄部4,4aおよびアライメント部6、転換部7および制御部8を備えている。本実施形態では、基板90の搬送方向(ここでは、+y方向)に沿って順にアライメント部6、端面処理部2、洗浄部4、転換部7、端面処理部2a、洗浄部4aが配列されている。
【0040】
端面処理部2,2aは、所要のエッチング液を基板90の端面に塗布してエッチングする装置である。例えばガラス基板をエッチングする場合、処理液としては、アンモニウムフッ酸、バッファードフッ酸、または、界面活性剤を含むフッ酸などが適用可能である。端面処理部2,2aにはそれぞれ、x軸方向に関して対向するように、一対の端面処理ユニット20,20がy軸方向に沿って平行に配置されている。端面処理部2においては、端面処理ユニット20,20により、基板90の4辺のうち対向する一対の辺901,901の側端面91Sがエッチングされる。また、端面処理部2aにおいては、基板90の他の対向する一対の辺902,902の側端面91Sがエッチングされる。エッチングにより基板90の端面においては、マイクロクラックやギザツキが減少する。
【0041】
洗浄部4,4aは、端面処理部2,2aにおいてエッチングされた基板90の端面を所要の洗浄液を使って洗浄する。洗浄液としては、例えば、純水や有機溶剤などが適用可能である。洗浄部4,4aにはそれぞれ、x軸方向に関して対向するように、一対の洗浄ユニット40,40と一対の乾燥ユニット50,50とがy軸方向に沿って平行に配置されている。洗浄部4においては、端面処理部2においてエッチングされた基板90の一対の辺901,901の側端面91Sが洗浄される。また、洗浄部4aにおいては、端面処理部2aにおいてエッチングされた基板90の他の一対の辺902,902の側端面91Sが洗浄される。これにより、基板90に残留していたエッチング液やその他のパーティクルが除去される。
【0042】
アライメント部6は、端面処理部2に導入される基板90の位置を規定の位置に移動させる装置である。アライメント部6では、基板90の搬送方向(+y方向)に直交するx軸方向に関して、基板90の位置決めが行われる。なお、アライメント部6は、省略することも可能である。また、アライメント部6を洗浄部4,4aまたは端面処理部2aの上流側(すなわち−y側)に配置して、これらの処理部に搬入する前に基板90の位置を調整するようにしてもよい。
【0043】
転換部7は、端面処理部2および洗浄部4にて端面処理された基板90を90°回転させることでその向きを転換させ、さらに基板90を+y方向に搬送して端面処理部2aに導入する。
【0044】
制御部8は、図示を省略するCPUやRAMなどの一般的なコンピューターとしての構成を備えている。制御部8のCPUがプログラムにしたがって動作することにより、基板処理装置100の各部の動作が制御される。なお、以下の説明においては、特に断らない限り、基板処理装置100の各要素の動作は制御部8によって制御されるものとする。
【0045】
次に、基板処理装置100の各部が備える要素について詳細に説明する。
【0046】
{1.2.端面処理部2}
図2は、端面処理部2が備える端面処理ユニット20の斜視図である。また図3は、端面処理ユニット20の正面図である。さらに図4は、端面処理ユニット20の断面図である。
【0047】
端面処理部2においては、基板90は搬送ローラー31(図4参照)によって+y方向に搬送されながら、対向する両側の側端面91Sが端面処理ユニット20によってエッチングされる。搬送ローラー31は、x軸方向に延在する棒状のローラー回転軸311に、所要間隔をあけて複数の略円盤状の基板支持体313が取り付けられたものである。ローラー回転軸311に接続されたローラー駆動部(図示せず。)によりローラー回転軸311がx軸回りに回転することで、基板支持体313がx軸回りに回転する。これにより、複数の基板支持体313の上面に支持された基板90が+y方向に搬送される。
【0048】
端面処理ユニット20は、基板90の進行方向(+y方向)を長手方向として延在している。端面処理ユニット20は、横断面(長手方向と直角をなす平面に沿って切った切り口)が略台形状の筐体201を有している。筐体201には、y軸方向に沿って複数のスポンジローラー210が装着されている。
【0049】
スポンジローラー210は、スポンジ体回転軸211、スポンジ体213(当接部材)、非接触式のギヤであるマグネットギヤ215を有している。スポンジ体回転軸211は、筐体201の上部を覆う天井板203に取り付けられた軸受ブッシュ207を介して該天井板203を貫通している。スポンジ体回転軸211は、軸受ブッシュ207によって、z軸回りに回転可能に安定支持される。
【0050】
スポンジ体213は、スポンジ体回転軸211の下部に取り付けられており、スポンジ体回転軸211の回転に合わせて回転する。スポンジ体213は、例えば合成樹脂などで形成されており、多孔質のため、弾力性や高い吸水性を有する部材である。スポンジ体213は、筐体201内に取り付けられた第1収納体220の内部に収納されている。第1収納体220はy軸方向に延在する略直方体状の筐体である。第1収納体220の長手方向は、筐体201の長手方向と略同一の長さとなっている。第1収納体220は、y軸方向に沿って内部空間が外部と連通するように開口するスリット221が設けられた前面板222を備えている。前面板222は、基板90に対向する側に配置されている。このスリット221を介して、基板90の側端面91Sを含む側端部分が第1収納体220の内部に挿入される。
【0051】
第1収納体220の底部を形成する底板223には、排液口224が設けられている。排液口224は、排液管225に接続されている。第1収納体220の内部には、後述するように、処理液供給管251が配置されており、スポンジ体213に対して処理液が供給される。スポンジ体213に供給された処理液は、ほとんどがスポンジ体213に吸収されるが、余剰の処理液はスポンジ体213を伝って重力により下方に落下する。この落下した処理液が、排液口224を介して外部に排出される。なお、排液口224を介して外部に排出された処理液を、フィルターなどで濾過することにより浄化して、再び処理液供給管251に戻して再利用するようにしてもよい。
【0052】
第1収納体220の内部には、スクレーパー227が固定されている。スクレーパー227は、スポンジ体213の外周面に押し当てられている。スポンジ体213の基板90に当接した部分には、基板90の欠片や基板90に付着していた塵などの異物が付着する場合がある。回転するスポンジ体213がスクレーパー227に押し当てられることによって、スポンジ体213に付着した異物がスクレーパー227によって除去される。これにより、基板90に当接するスポンジ体213の外周面を清浄に保つことができる。なお、スクレーパー227によって除去された異物はスポンジ体213またはスクレーパー227の接触部分から下方へ落下し、処理液とともに排液口224を介して外部に排出される。
【0053】
第1収納体220は、第2収納体230の内部に収納されている。第2収納体230は、y軸方向に沿って延在する略直方体形状の筺体である。第2収納体230の長手方向は、筐体201の長手方向と略同一の長さとなっている。第2収納体230は、y軸方向に沿って内部空間が外部と連通するように開口するスリット231が設けられた前面板232を備えている。前面板232は、基板90に対向する側に配置されている。図4に示したように、スリット231の高さ位置と第1収納体に形成されたスリット221の高さ位置は略一致している。このスリット231とスリット221とを介して、基板90の端部が第1収納体220の内部に挿入される。
【0054】
図4に示したように、スポンジローラー210のスポンジ体回転軸211は、軸受ブッシュ237を介することにより、第2収納体230の天井板238を貫通している。スポンジ体回転軸211は、軸受ブッシュ237により、z軸方向に関して回転可能に安定支持される。
【0055】
第2収納体230の底部を形成する底板233には、排気口234が形成されている。排気口234には、ブロワーまたはファンなどで構成される吸引部236まで延びる排気管235が接続されている。この吸引部236の吸引力により、第2収納体230の内部の雰囲気が、外部に排出される。このため、第2収納体230の内部は、外部の気圧よりも低い負圧空間230Sとなっている。したがって、第1収納体220のスリット221周辺の雰囲気、または、第2収納体230外部のスリット231近傍の雰囲気は、図4中、破線矢印で示したように、第2収納体230の内部に吸引されやすくなっている。
【0056】
吸引された雰囲気は、第2収納体230の内側空間であって第1収納体220の外側空間(例えば、前面板222と前面板232とに挟まれる空間、または、底板223と底板233とに挟まれる空間)を通過して、最終的に排気口234に吸い込まれる。このように吸引部236によって第2収納体230の内部雰囲気を排気することによって、スポンジ体213に供給された処理液がスリット231の外側に飛散することを低減できる。よって、基板90の表側または裏側の主面92S,92Sの内側に処理液が付着することを効果的に抑制できる。
【0057】
なお、本実施形態では、第2収納体230によって第1収納体220の周囲を覆うようにしている。しかしながら、この第2収納体230の代わりに、第1収納体220の外側のうちスリット221周辺部分のみを限定的に覆う囲いを形成し、吸引部236がこの囲いにより囲まれた空間内の雰囲気を吸引するようにしてもよい。
【0058】
図5は、第1収納体220のスリット221と第2収納体230のスリット231とを拡大して示す概略断面図である。第1収納体220の前面板222および第2収納体230の前面板232のうち、スリット221,231が形成された部分には、スリット221およびスリット231の開口幅を調整する開口幅調整板229,239がそれぞれ取り付けられている。開口幅調整板229,239は、y軸方向に延在する板状部材であり、それぞれリニアモーター229M,239Mの駆動によって、z軸方向に昇降移動するように構成されている。
【0059】
図5に示したように、基板90の端部は、搬送ローラー31によって搬送される際、上下に振動したり、撓んだりすることがある。この基板90の振動幅や撓み幅は、基板90の搬送速度や基板90の薄さや強度などに応じて変化する。そこで、スリット221,231の開口幅を十分に大きく設定しておくことで、基板90が搬送時にスリット221,231に衝突して破損することを抑制できる。またこのとき、スリット221,231の開口幅を開口幅調整板229,239によって適切に調整することによって、スリット221,231を介して基板90の主面92Sに処理液が飛散することを効果的に抑制できる。なお、開口幅調整板229,239は省略することもできる。
【0060】
図2〜図4に示したように、マグネットギヤ215は、スポンジ体回転軸211の途中に設けられている。マグネットギヤ215は、y軸方向に延びるスポンジ回転駆動機構240に接続されている。スポンジ回転駆動機構240は、y軸方向に延びるマグネットギヤ回転軸241を備えている。また、マグネットギヤ回転軸241には、複数のマグネットギヤ243が取り付けられている。このマグネットギヤ243の取付位置は、y軸方向に沿って配列されるスポンジローラー210のマグネットギヤ215の位置にそれぞれ対応している。また、マグネットギヤ回転軸241には、該マグネットギヤ回転軸241をy軸回りに回転駆動する駆動モーター(回転駆動部245)に接続されている。
【0061】
マグネットギヤ回転軸241が回転駆動部245により回転することにより、マグネットギヤ243もy軸回りに回転する。マグネットギヤ243とマグネットギヤ215とは、その外周面に対して斜めに着磁されている。そして、マグネットギヤ243とマグネットギヤ215とは、回転駆動部245の回転駆動力を直交する伝達軸方向に伝達するように組み合わされている。すなわち、本実施形態では、マグネットギヤ243がy軸回りに回転すると、マグネットギヤ215がz軸回りに回転する。これにより、マグネットギヤ215が取り付けられたスポンジ体回転軸211がz軸回りに回転し、これとともにスポンジ体213もz軸回りに回転することとなる。
【0062】
なお、マグネットギヤ243とマグネットギヤ215との間は、磁力を利用することにより非接触状態にて回転駆動部245の動力が伝達されるように構成されているが、これらを凹凸面が形成された歯車で構成して、回転駆動部245の動力を接触状態で伝達するようにしてもよい。
【0063】
ここで、スポンジ体213の回転方向及び回転速度について説明する。スポンジ体213の回転方向は、基板90の搬送方向(+y方向)と一致する順方向に回転する。これにより、+y方向に搬送される基板90の側端面91Sと、スポンジ体213の外周面との間で、過度の摩擦が起こりにくくなるため、基板90が破損することを抑制できる。
【0064】
また、スポンジ体213の外周面(当接面)の回転移動速度は、基板90の搬送速度と一致するように、回転駆動部245と搬送ローラー31の駆動部とが制御される。これにより、スポンジ体213と基板90の側端面91Sとの間で擦れがおきにくくなるため、基板90が破損することを効果的に抑制することができる。
【0065】
上述したように、処理液供給管251は、y軸方向に沿って筐体201の外部から第1収納体220の内部を貫通するように延びている。処理液供給管251は、第1収納体220に収納されている複数のスポンジ体213のそれぞれに対応する位置に処理液吐出口253が形成されている(図4参照)。この処理液吐出口253からスポンジ体213に処理液が一定量滴下されることにより、処理液がスポンジ体213に浸透することとなる。すなわち、処理液供給管251は、スポンジ体213に処理液を供給する処理液供給部を構成している。
【0066】
図3に示したように、処理液供給管251に供給される処理液は、処理液貯留部255に貯留されている。処理液貯留部255に貯留された処理液は、ポンプなどの送液手段を介して送液される。処理液貯留部255から送液された処理液は、ヒーターを備えた温度調整部257においてその温度が適温に調整される(例えば、摂氏40度〜50度程度)。このように処理液の温度を調整することによって、端面処理ユニット20において、側端面91Sのエッチングを高効率で行うことができる。なお、処理液貯留部255において温度調整が行われるようにしてもよいし、温度調整部257を省略することも妨げられない。
【0067】
図4に示したように、筐体201の天井板203には、スポンジ体213が基板90を押圧する位置を調整する押圧位置調整機構260が接続されている。押圧位置調整機構260は、モーター261の駆動によって天井板203をx軸方向に移動させることによって、筐体201全体を同方向に移動させる。これにより、スポンジ体回転軸211に取り付けられたスポンジ体213がx方向に移動することとなる。具体的には、押圧位置調整機構260は、例えば、基板90の側端面91Sが、スポンジ体213の外周面に対して好ましくは約0.3mm以上3mm以下、より好ましくは約1mm程度食い込むように、スポンジ体213の位置を設定する。このようにスポンジ体213の位置を調整することにより、基板90を破損させることなく、かつ、側端面91Sを局所的にエッチングすることができる。
【0068】
本実施形態では、押圧位置調整機構260は筐体201全体を移動させるように構成されているが、スポンジ体回転軸211のみを移動させるようにしてもよい。すなわち、基板90に押し当てるスポンジ体213の位置を調整できる限り、押圧位置調整機構260はどのように構成されていてもよい。また、押圧位置調整機構260によって、基板90のx軸方向の幅に合わせて、端面処理ユニット20を移動させることもできる。なお、図示を省略するが、搬送ローラー31の中央部は同じ高さを維持しつつ、外側(つまり端面処理ユニット20に近い側)の端部のみを下降できるように構成してもよい。これにより、端面処理ユニット20を基板90に接近させるときに、搬送ローラー31の端部を下降させることで端面処理ユニット20と搬送ローラー31とが干渉することを抑制できる。
【0069】
端面処理部2における基板90の側端面91Sのエッチング量は、基板90の厚み、スポンジ体213に対する基板90の食い込み量、スポンジ体213の数量、および搬送ローラー31による基板90の搬送速度により決定される。つまり、食い込み量が多いほど、または、スポンジ体213の数量が多いほど、基板90とスポンジ体213との接触時間が増大するため、エッチング量が増大する。また、搬送速度が遅くすることで、基板90とスポンジ体213との接触時間を増大させることができる。したがって、これらの条件を適宜に設定することで、端面処理部2におけるエッチングを良好に行うことができる。
【0070】
図4に示したように、筐体201の天井板203には、スポンジローラー210を上下方向(z軸方向)に昇降させる昇降機構270が設けられている。昇降機構270のモーター271が駆動されると、スポンジローラー210のスポンジ体回転軸211が上方向または下方向に移動する。これにより、スポンジ体213が上下に移動することとなる。
【0071】
スポンジ体213を常に同じ高さ位置に固定した場合、その外周面の同じ位置にて基板90の側端面91Sが当接することとなるため、スポンジ体213が激しく消耗される。これに対し、本実施形態では、昇降機構270によりスポンジ体213の高さ位置を調整することができる。このため、スポンジ体213の外周面のうち異なる位置にて基板90の側端面91Sをエッチングすることができる。よって、スポンジ体213の長寿命化を図ることができる。
【0072】
{1.3. 洗浄部}
図6は、洗浄部4の斜視図である。洗浄部4においては、図示を省略する搬送ローラーなどの搬送手段によって基板90が+y方向へ搬送される。そしてx軸方向に関して対向するように、一対の洗浄ユニット40と一対の乾燥ユニット50とが設置されている。すなわち、端面処理部2において処理された基板90の一対の辺901,901と同じ部分が、洗浄部4において洗浄されることとなる。また、基板90の搬送方向の下流側に洗浄ユニット40が配置されており、下流側(+y側)に乾燥ユニット50が配置されている。
【0073】
図7は、+y方向から見た洗浄ユニット40の側面図である。洗浄ユニット40は、純水や有機溶媒などの洗浄液を基板90の側端部分に吐出することによって、エッチングされた基板90の側端面91Sを洗浄する。洗浄ユニット40は、洗浄液吐出口411が形成されている一対の洗浄液吐出部41,41を備えている。洗浄液吐出部41は、y軸方向に延在している。
【0074】
洗浄液吐出口411は、y軸方向に延びるスリット状の孔として形成されていてもよいし、円形状などの適宜の形状の孔に形成されていてもよい。スリット状の孔として設けた場合、カーテン状に洗浄液を吐出することができる。また、洗浄液吐出部41に形成される洗浄液吐出口411の数量については、任意に設定することができる。一対の洗浄液吐出部41,41は、それぞれの洗浄液吐出口411,411が上下に対向するとともに、それらの間に基板90の側端部分を挿入するための隙間が形成されるように上下に配置されている。
【0075】
洗浄液吐出口411は、基板90の内側から側端面91S側に向かう方向に開口している。したがって、洗浄液吐出部41は、基板90の側端面91S側に向けて洗浄液を吐出する。これにより、基板90の主面92Sの内側に洗浄液が飛散することを抑制できる。洗浄ユニット40においては、例えば、基板90の側端面91Sから約5mm〜10mmまでの範囲を洗浄するように洗浄液が吐出される。ただし、洗浄液吐出口411をz軸方向に沿うように開口させて、基板90の主面92Sに対して垂直に洗浄液が吐出されるようにしてもよい。
【0076】
洗浄液吐出部41の内部には、洗浄液を貯留する洗浄液貯留部43に接続され、y軸方向に延在する洗浄液流路管413が設けられている。図示を省略するポンプなどの送液手段により、洗浄液が洗浄液貯留部43から洗浄液流路管413へ向けて送液され、さらに洗浄液流路管413を通って洗浄液吐出口411から吐出される。また、洗浄ユニット40には、洗浄液吐出部41,41に挟まれる位置にて基板90に向けて開口する排液口45が設けられている。排液口45は、図示を省略する真空ポンプなどの吸引手段に接続されている。この吸引手段により、基板90の側端面91Sに向けて吐出された洗浄液が、排液口45を介して回収される。
【0077】
また洗浄ユニット40は、昇降機構47を備えている。昇降機構47は、図示を省略するモーターを駆動することによって、洗浄ユニット40全体を上下に昇降させる。これにより、洗浄液吐出部41,41の間の隙間の高さ位置を調整することができる。したがって、洗浄ユニット40は、搬送される基板90の高さ位置に合わせて洗浄を行うことができる。なお、基板90を搬送する搬送ローラーによって、基板90の高さ位置を調整できるなどの場合には、昇降機構47を省略することも可能である。
【0078】
図8は、+y方向から見た乾燥ユニット50の側面図である。乾燥ユニット50は、清浄なエア(または窒素ガスなどの不活性ガスでもよい。)を基板90の側端部分に噴射することによって、洗浄後の基板90の側端面91Sを乾燥させる。乾燥ユニット50は、エア吐出口が形成された一対のエア吐出部51,51を備えている。エア吐出部51は、y方向に沿って延在している。エア吐出口511は、例えばy軸方向に延びるスリット状の孔として形成されていてもよいし、円形状などの適宜の形状の孔に形成されていてもよい。スリット状の孔として設けた場合、エアをカーテン状吐出することができる。また、エア吐出口511の数量については、任意に設定することができる。一対のエア吐出部51,51は、それぞれのエア吐出口511,511が上下に対向するとともに、それらの間に基板90の側端部分を挿入するための隙間が形成されるように上下に配置されている。
【0079】
エア吐出口511は、基板90の内側から側端面91S側に向かう方向に開口している。したがって、エア吐出部51は、基板90の側端面91S側に向けてエアを吐出する。これにより、基板90の主面92Sの内側にエアが吹き付けられることが抑制される。したがって、基板90の側端部分に残存していた洗浄液や塵などが、主面92Sの内側に付着することを抑制することができる。ただし、エア吐出口511を上下方向(z軸方向)に開口させて、基板90の主面92Sに対して垂直にエアが吐出されるようにしてもよい。
【0080】
エア吐出部51の内部には、エアを送るエアポンプ53に接続され、y方向に延在するエア流路管513が設けられている。エアポンプ53から送られたエアは、エア流路管513を通ってエア吐出口511から吐出される。また乾燥ユニット50には、エア吐出部51,51に挟まれる位置にて基板90側に向けて開口する排気口55が設けられている。排気口55は、図示を省略するブロワーまたはファン等を用いた吸引手段に接続されている。この吸引手段により、基板90の側端面91S側に向けて吐出されたエアが、排気口55を介して排気される。
【0081】
また乾燥ユニット50は、昇降機構57を備えている。昇降機構57は、図示を省略するモーターを駆動することによって、乾燥ユニット50全体を上下に昇降させる。これにより、エア吐出部51,51の間の隙間の高さ位置を調整することができる。したがって、洗浄ユニット40は、搬送される基板90の高さ位置に合わせて洗浄を行うことができる。なお、基板90を搬送する搬送ローラーによって、基板90の高さ位置を調整できるなどの場合には、昇降機構47を省略することも可能である。
【0082】
{1.4. アライメント部6}
図9は、アライメント部6の斜視図である。また図10は、アライメント部6の側面図である。アライメント部6は、複数の搬送ローラー61、複数の昇降ローラー63および複数の押圧機構65を備えている。図9または図10に示したように、複数の搬送ローラー61および複数の昇降ローラー63はy軸方向に関して交互に配置されている。
【0083】
搬送ローラー61は、x方向に沿って延びる回転軸611と、該回転軸611に取り付けられた略円盤状の複数の基板支持体613とを備えている。基板支持体613は、その上端面において基板90の裏面を支持する。回転軸611は、ギヤなどを介して駆動モーター(図示せず。)に接続されている。回転軸611が駆動モーターによってx軸回りに回転することにより、該回転軸611に取り付けられた複数の基板支持体613がx軸回りに回転する。
【0084】
昇降ローラー63は、x方向に沿って延びる回転軸631と、該回転軸631に取り付けられた略円盤状の複数の基板支持体633とを備えている。基板支持体633は、その上端面において基板90の裏面を支持する。回転軸631は、ギヤなどを介して駆動モーター(図示せず。)に接続されている。回転軸631が駆動モーターによりx軸回りに回転することにより、該回転軸631に取り付けられた複数の基板支持体633がx軸回りに回転する。
【0085】
また、図10に示したように、回転軸631は、昇降駆動部635に接続されている。昇降駆動部635は、回転軸631を上下に昇降させることにより、複数の基板支持体631の高さ位置を変更する。
【0086】
押圧機構65は、外周面にて基板90の側端面91Sを押圧する略円筒状の押圧部材651と、先端部に押圧部材651に取り付けられている棒状のアーム部材653と、アーム部材653の基端部に取り付けられた旋回軸655とを備えている。旋回軸655は、Z軸方向に延びており、図示を省略する駆動モーターの動力により該z軸回りに回転する。旋回軸655がz軸回りに所要角度分旋回すると、アーム部材653が水平面内を所要角度分旋回する。このアーム部材653の旋回に伴って、押圧部材651が旋回移動する。アライメント部6においては、搬送される基板90のx軸方向の両側に、押圧機構65がそれぞれ設けられている。また、本実施形態では、y軸方向に沿って複数(ここでは2つ)の押圧機構65が設けられている。
【0087】
押圧機構65は、押圧部材651によって基板90の側端面91Sを押圧することにより、基板90の位置を調整する。本実施形態では、搬送ローラー61および昇降ローラー63による基板90の搬送方向が+y方向となっている。この方向は、端面処理部2または洗浄部4における基板90の搬送方向と一致している。押圧機構65は、この+y方向に直交するx軸方向に関して基板90を移動させる。これにより、基板90のx軸方向に関する位置が、端面処理部2または洗浄部4における基板90の規定位置に配置させることができる。したがって、基板90の側端部分の位置を、端面処理ユニット20の複数のスポンジ体213の位置、または、洗浄ユニット40、乾燥ユニット50の基板を挿入する開口部40S,50Sの位置に合わせることができる。
【0088】
なお、アライメント部6において基板90の位置を調整する場合には、図10に示したように、昇降ローラー63が搬送ローラー61に対して下降することにより、基板90を湾曲させた状態で支持する。このとき、昇降ローラー63の基板支持体633が基板90から離間するまで昇降ローラー63を下降させてもよい。このように基板90が湾曲した状態で、押圧機構65が基板90を押圧することによって、基板90のx軸方向に関する位置が調整される。
【0089】
基板90が平坦な状態で押圧機構65により基板90を押圧した場合、押圧機構65の応力が基板90に吸収されることで、押圧された側端面91Sを基点として基板90の中央部付近が上側または下側に撓んでしまう虞がある。このような場合、基板90の位置調整が困難となり、また、基板90の破損などが生じる虞もある。特に基板90が大型であるほど、または薄型(例えば、厚さ0.1mm〜0.5mm、またはそれ以下。)であるほど、このような問題が起こりやすい。
【0090】
これに対して、本実施形態では、図10に示したように搬送ローラー61と昇降ローラー63の高さ位置を違えることによって、基板90を湾曲させる。これにより、押圧機構65が押圧する方向(x軸方向)に対して交差する方向(ここでは、直交するz軸方向)に基板90を部分的に反らせている。ここでは、下側凸状に湾曲するように基板90を反らせている。このような状態で基板90を押圧するため、押圧機構65の応力が基板90に吸収されることが抑制され、基板90を押圧方向に関して確実に移動させることができる。なお、昇降ローラー63を上昇させることによって、基板90上側凸状に湾曲するように反らせてもよい。
【0091】
{1.5. 転換部7}
図11は、転換部7の概略上面図である。転換部7は、基板90をz軸回りに90°旋回させる複数(ここでは5個)の旋回ローラー71と、上下に昇降可能な複数(ここでは5個)の昇降ローラー72とで構成されている。旋回ローラー71は、回転軸回りに回転する円盤状の基板支持体711を複数備えている。昇降ローラー72は、複数の略円盤状の基板支持体721が一本のx軸方向に延びる回転軸に取り付けられて構成されている。
【0092】
旋回ローラー71は、洗浄部4において洗浄処理が完了した基板90を基板支持体711の上端面で受け取り、基板支持体711を回転させることで基板90を+y方向へ所定位置まで搬送した後搬送を停止する。この状態で、複数の旋回ローラー71がxy平面内で90°旋回することにより、基板90がz軸回りに90°回転してその向きが変更される。このとき、昇降ローラー72は、旋回ローラー71よりも下側の位置に配置されているため、旋回ローラー71は昇降ローラー72に接触することなく旋回する。
【0093】
旋回ローラー71の旋回が完了すると、複数の昇降ローラー72が上方へ昇降移動する。これにより複数の旋回ローラー71の基板支持体711に支持されていた基板90が上昇する複数の昇降ローラー72の基板支持体721に受け渡される。そして昇降ローラー72は、回転軸を回転させることにより、基板90を+y方向へ搬送する。このとき、上昇した昇降ローラー72の回転軸が旋回ローラー71の回転軸や基板支持体711に干渉することがないように、基板支持体711または基板支持体721の大きさおよび配置位置が設定されている。具体的には、旋回ローラー71がz軸回りに90°旋回したときに、旋回ローラー71の隣り合う2つの基板支持体711,711の間に、各昇降ローラー72が配置されるように、基板支持体711,721の位置関係が設定される。また、昇降ローラー72の基板支持体721の径が、旋回ローラー71の基板支持体711の径よりも大きくなるように設定される。
【0094】
以上のように転換部7において90°回転した基板90は、昇降ローラー72によって+y方向に搬送され、端面処理部2aに導入される。なお、端面処理部2aにおいても、端面処理部2と同様に、y軸方向に延びる1対の端面処理ユニット20,20がx方向に関して対向するように配置されている。端面処理部2aにおいては、複数の搬送ローラー31aによって基板90が+y方向に搬送される。この+y方向に搬送される基板90の対向する一対の辺902,902の側端面91Sが、一対の端面処理ユニット20,20によりエッチングされる。
【0095】
本実施形態では、基板90の向きを90°回転させる機構として、旋回ローラー71と昇降ローラー72を例示しているが、勿論他の態様によって転換部7が実現されていてもよい。例えば搬送用のローラーではなく、ロボットアームなどで基板90を上方にすくい上げ、そして基板90を回転させて端面処理部2aに搬入するようにしてもよい。すなわち、転換部7は基板90の向きを転換できるのであればどのように構成されていてもよい。
【0096】
{1.6. 効果}
本実施形態に係る基板処理装置100によると、エッチング用の処理液が塗布された端面処理ユニット20のスポンジ体213に基板90の側端面91Sが当接されて、エッチングされる。したがって、基板90の側端面91Sを確実に処理することができる。したがって、効率的にマイクロクラックを減少または排除することができる。
【0097】
また、基板90は、第1収納体220の前面板222に形成されたスリット221を介して第1収納体220の内部に収納されたスポンジ体213に当接される。したがって、前面板222によって処理液が第1収納体220の外部に飛散することが低減される。したがって、基板90の主面92Sの内側に処理液が付着することを抑制できる。よって、基板の品質低下を抑制することができる。
【0098】
また、第1収納体220のスリット221から処理液が外部に飛散したとしても、第2収納体230に取り付けられた吸引部236の吸引力により、処理液が第2収納体230の外部に飛散することを低減することができる。したがって、基板90の主面92Sの内側に処理液が付着することを抑制できる。
【0099】
{2. 第2実施形態}
図12は、第2実施形態に係る基板処理装置100Aの概略上面図である。なお、以下の説明において、第1実施形態の場合と同様の機能を有する要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0100】
第1実施形態では、転換部7によって基板90を90°回転させることにより、端面処理部2a,および洗浄部4aにおいて基板90の一対の辺902,902の側端面91Sを処理するようにしている。これに対して、本実施形態に係る基板処理装置100Aは、転換部7の代わりに、基板90の搬送方向を+y方向から+x方向へ転換させる転換部7Aを備えている。また、端面処理部2aおよび洗浄部4aの配列方向(x軸方向)が端面処理部2および洗浄部4の配列方向(y軸方向)に対して直交している。
【0101】
端面処理部2および洗浄部4において、基板90は、+y方向に搬送されつつ、対向する一対の辺901,901の側端面91Sが処理されて、転換部7Aに搬送される。そして基板90は、転換部7Aにおいて搬送方向が+x方向に切り換えられる。このとき、基板90は回転することなくそのままの姿勢を維持して、端面処理部2aに導入される。さらに端面処理部2aおよび洗浄部4aにおいて、基板90は、+x方向に搬送されつつ、対向する一対の辺902,902の側端面91Sが処理される。
【0102】
本実施形態に係る基板処理装置100Aにおいても、第1実施形態に係る基板処理装置100と同様にして、基板90の4辺の側端面91Sを処理することができる。また、転換部7Aを利用することにより、基板処理装置の設置場所に応じて各処理部の配置を比較的自由に設計できる。
【0103】
{3. 第3実施形態}
図13は、第3実施形態に係る洗浄ユニット40Aを示す図である。洗浄ユニット40Aは、第1実施形態に係る洗浄ユニット40および乾燥ユニット50の双方の機能を合わせ持っている。より具体的には、洗浄ユニット40Aは、洗浄液吐出口411Aが形成された一対の洗浄液吐出部41A,41Aを備えている。洗浄液吐出部41Aは、洗浄液吐出部41と同様に、y軸方向に延在している。一対の洗浄液吐出部41A,41Aは、それぞれの洗浄液吐出口411A,411Aが上下に対向するとともに、それらの間に基板90の側端部分を挿入するための隙間が形成されるように上下に配置されている。
【0104】
洗浄液吐出口411Aは、y軸方向に延びる洗浄液流路管413Aに接続されている。洗浄液貯留部43から送液された洗浄液は、洗浄液流路管413Aを通って、洗浄液吐出口411Aから吐出される。
【0105】
また、洗浄液吐出部41Aは、エアを吐出するエア吐出口511Aが形成されている。エア吐出口511Aの位置は、洗浄液吐出口411Aよりも基板90に近い側に設けられている。また、エア吐出口は、基板90の側端面91S側に向けて開口している。そのため、エア吐出口511Aから吐出されたエアは、基板90の側端面91Sに向けて吐出される。これにより、洗浄液吐出口411Aから吐出された洗浄液は、基板90の側端面91S側に付勢される。このため、洗浄液が基板90の主面92Sの内側に飛散することが低減されている。
【0106】
また、洗浄ユニット40Aには、洗浄液吐出部41A,41Aに挟まれる位置において基板90に向けて開口する排液口45Aが形成されている。排液口45Aは、図示を省略するブロワーまたはファンなどを用いた吸引手段に接続されている。この吸引手段の吸引力により基板90に向けて吐出された洗浄液またはエアが、排液口45Aを介して回収される。
【0107】
このような洗浄ユニット40Aを、第1実施形態に示した洗浄ユニット40の代わりに使用した場合であっても、良好に基板90の側端面91Sを洗浄することができる。また、洗浄ユニット40Aでは、基板90の乾燥も行うことができるため、乾燥ユニット50を省略することができる。このような場合には、洗浄部4,4aの装置サイズを小型化することができる。
【0108】
{4. 第4実施形態}
第1実施形態では、基板90の四辺の側端面91Sをエッチングするため、端面処理部2,2aのそれぞれに、1対の端面処理ユニット20,20が備えられている。しかしながら、一対の端面処理ユニット20,20のみで基板90の四辺の側端面91Sをエッチングすることも可能である。
【0109】
図14は、第4実施形態に係る端面処理部の上面図である。本実施形態では、基板90が+y方向に搬送されながら、基板90の隣り合う2つの辺901,902の側端面91Sが、2つの端面処理ユニット20,20によりそれぞれエッチングされる。このとき、基板90の対角線が搬送方向(+y方向)に平行となるように、基板90が搬送される。また、端面処理ユニット20,20は、それぞれ、処理対象とする基板90の辺901または辺902に平行となるように配置される。これにより、端面処理ユニット20,20が備える複数のスポンジ体213が、基板90の側端面91Sに沿って配列されることとなる。そして、基板90の移動に応じて、端面処理ユニット20,20が相互に離間するように、x軸方向に沿って移動する。これにより、基板90の四辺のうち隣り合う2辺901,902の側端面91Sが、複数のスポンジ体213に当接されてエッチングされる。
【0110】
基板90の1つ目の辺901,902の側端面91Sのエッチングが完了すると、端面処理ユニット20,20のそれぞれは、辺901,902のそれぞれに連続する次の辺901,902の側端面91Sをエッチングする。図14では、このときの基板90の位置を二点鎖線で図示している。この状態で、端面処理ユニット20,20のそれぞれは、二点鎖線で示すように次の処理対象となる辺901または辺902と略平行となるように90°旋回する。これにより、端面処理ユニット20,20が備える複数のスポンジ体213のそれぞれが、基板90の側端面91Sの延びる方向に沿って配列されることとなる。この状態で基板90を+y方向に移動させながら、端面処理ユニット20,20を相互に接近するようにx軸方向に沿って移動させる。これにより、基板90の残りの側端面91Sが、複数のスポンジ体213に当接されてエッチングされることとなる。
【0111】
本実施形態のように端面処理を行うことにより、端面処理ユニット20の数量を抑えつつ、基板90の全周囲の側端面91Sを処理することができる。なお、詳細な説明は省略するが、洗浄ユニット40または乾燥ユニット50に関しても、本実施形態に係る端面処理ユニット20と同様に基板90の周囲にて移動させることにより、これらのユニットの数量を減らすことが可能である。
【0112】
{5. 変形例}
以上、実施形態について説明してきたが、本発明は上記のようなものに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0113】
例えば第1実施形態では、基板90を搬送ローラーで移動させながら、固定された位置にて回転する複数のスポンジ体213により基板90の側端面91Sを処理している。しかしながら、スポンジ体213を移動させることによって、基板90の側端面91Sを処理することも可能である。具体的には、基板90を固定して、その側端面91Sを回転するスポンジ体213に当接させながら、スポンジ体213を側端面91Sに沿って移動させればよい。スポンジ体213を移動させるためには、例えば、端面処理ユニット20にy軸方向またはx軸方向に移動するための移動機構を設ければよい。
【0114】
また、基板90の四辺全ての側端面91Sをエッチングしてから、これらの側端面91Sを洗浄するようにしてもよい。つまり端面処理部2,2aにより基板90の全周囲の側端面91Sをエッチングした後、洗浄部4,4aにて洗浄するように各処理部を配置するようにしてもよい。また、基板90の端面以外の面(つまり主面)も洗浄するような場合には、洗浄部4,4aを省略して、基板90全体を洗浄するようにしてもよい。
【0115】
また、上記実施形態では、基板90が略長方形状である場合について説明しているが、その他の形状(例えば、正方形状、多角形状、円形(楕円形を含む)状など)の場合にも本願発明を適用することは可能である。また、例えば、一つのローラーに巻かれたロール状のガラス基板を延ばしながら、その両端の側面部分を端面処理ユニット20,20でエッチングすることも可能である。
【0116】
さらに、上記実施形態および変形例において説明した各構成は、相互に組み合わせたり、または適宜省略したりすることができる。
【符号の説明】
【0117】
100,100A 基板処理装置
2,2a 端面処理部
20 端面処理ユニット
210 スポンジローラー
211 スポンジ体回転軸
213 スポンジ体
215 マグネットギヤ
220 第1収納体
221 スリット
222 前面板
227 スクレーパー
229,239 開口幅調整板
229M,239M リニアモーター
230 第2収納体
230S 負圧空間
231 スリット
232 前面板
234 排気口
235 排気管
236 吸引部
238 天井板
240 スポンジ回転駆動機構(回転駆動部)
241 マグネットギヤ回転軸
243 マグネットギヤ
245 回転駆動部
251 処理液供給管(処理液供給部)
253 処理液吐出口
257 温度調整部
260 押圧位置調整機構
270 昇降機構
31,31a 搬送ローラー
4,4a 洗浄部
40,40A 洗浄ユニット
41,41A 洗浄液吐出部
411,411A 洗浄液吐出口
50 乾燥ユニット
51 エア吐出部
511,511A エア吐出口
6 アライメント部
65 押圧機構
7,7A 転換部
90 基板
91S 側端面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬脆性基板を処理する基板処理装置において、
その外周面が基板の側端面に当接する当接面を形成する当接部材と、
前記当接部材を回転させる回転駆動部と、
前記当接部材に処理液を供給する処理液供給部と
を備える基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置において、
内部に前記当接部材を収納するとともに、前記基板の側端部分が挿入されるスリットが形成されている第1収納体、をさらに備える基板処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の基板処理装置において、
前記第1収納体の前記スリットの開口幅を調整する開口幅調整部、をさらに備える基板処理装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の基板処理装置において、
前記第1収納体の前記スリット近傍の外部雰囲気を吸引する吸引部、
をさらに備えている基板処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の基板処理装置において、
内部に前記第1収納体を収納するとともに、前記基板の側端部分が挿入されるスリットが形成されている第2収納体、
をさらに備え、
前記吸引部が、前記第2収納体の内部の雰囲気を吸引する基板処理装置。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の基板処理装置において、
前記当接部材に対して、前記基板を相対的に移動させる相対移動機構、
をさらに備え、
前記回転駆動部は、前記基板の相対移動方向と同じ順方向に前記当接面が回転するように前記当接部材を回転駆動する基板処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の基板処理装置において、
前記回転駆動部は、前記当接面の回転移動速度と前記基板の前記相対移動速度とが略一致するように前記当接部材を回転駆動する基板処理装置。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項に記載の基板処理装置において、
前記処理液の温度を調整する温度調整部、をさらに備えている基板処理装置。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項に記載の基板処理装置において、
前記当接部材の表面に付着した付着物を掻き取るスクレーパー、をさらに備える基板処理装置。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項に記載の基板処理装置において、
前記当接部材を移動させることによって、基板の側端面と当接する前記当接部材の部分の位置を変更する当接部材移動機構、をさらに備える基板処理装置。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項に記載の基板処理装置において、
前記基板の内側から前記基板の側端面側に向けて洗浄液を供給することによって、前記処理液が付着した基板の側端部分を洗浄する洗浄液供給部、
をさらに備える基板処理装置。
【請求項12】
請求項11に記載の基板処理装置において、
前記洗浄液供給部は、前記基板の表面と裏面との双方から前記洗浄液を供給する基板処理装置。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか1項に記載の基板処理装置において、
前記基板の内側から前記基板側端面側に向けてエアを供給するエア供給部、
をさらに備える基板処理装置。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれか1項に記載の基板処理装置において、
基板を押圧することによって、基板を所要位置に移動させる押圧部と、
前記基板が前記押圧部に押圧される方向に対して交差する方向に反った状態で前記基板を支持する基板支持部と、
をさらに備える基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−1593(P2013−1593A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133109(P2011−133109)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(504339790)株式会社FEBACS (4)
【Fターム(参考)】