発光装置の作製方法
【課題】被剥離層に損傷を与えない剥離方法を提供し、小さな面積を有する被剥離層の剥離だけでなく、大きな面積を有する被剥離層を全面に渡って歩留まりよく剥離することを可能とすることを目的する。また、様々な基材に被剥離層を貼りつけ、軽量された半導体装置およびその作製方法を提供することを課題とする。
【解決手段】基板上に金属層11を設け、さらに前記金属層11に接して酸化物層12を設け、さらに被剥離層13を形成し、前記金属層11をレーザー光で照射することで酸化を行い、金属酸化物層16を形成させれば、物理的手段で金属酸化物層12の層内または金属酸化物層16と酸化物層12との界面において、きれいに分離することができる。
【解決手段】基板上に金属層11を設け、さらに前記金属層11に接して酸化物層12を設け、さらに被剥離層13を形成し、前記金属層11をレーザー光で照射することで酸化を行い、金属酸化物層16を形成させれば、物理的手段で金属酸化物層12の層内または金属酸化物層16と酸化物層12との界面において、きれいに分離することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被剥離層の剥離方法、特に様々な素子を含む被剥離層の剥離方法に関する。加えて、本発明は、剥離した被剥離層を基材に貼りつけて転写させた半導体集積回路あるいは薄膜トランジスタ(以下、TFTという)を有する半導体装置、およびその作製方法に関する。例えば、液晶モジュールに代表される電気光学装置やELモジュールに代表される発光装置、およびその様な装置を部品として搭載した電子機器に関する。
【0002】
なお、本明細書中において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指し、電気光学装置、発光装置、半導体回路および電子機器は全て半導体装置である。
【背景技術】
【0003】
近年、ガラスあるいは石英基板などの絶縁性基板上に半導体薄膜を用いた半導体集積回路やTFT等を構成する技術が注目を集めている。TFTはICや電気光学装置のような電子デバイスに広く応用され、特に画像表示装置のスイッチング素子として開発が急がれている。
【0004】
このような画像表示装置の応用にはデジタルビデオカメラ、液晶テレビなど様々なものがあるが、特に今後は携帯電話、携帯ゲーム機、携帯テレビあるいは携帯端末等の携帯用電子機器への応用が期待されている。これら携帯用電子機器としてユーザーから求められる特性として、軽いこと、例えば落としても割れない丈夫なことなどの点が挙げられる。
【0005】
しかし、これまでの画像表示装置に使用される基板は、前述の通りガラスあるいは石英基板など無機系材料からなる基板であり、無機系材料特有の割れる、重いという欠点が存在している。この欠点を克服するためにフレキシブルなプラスチックフィルムなどに代表される可塑性を有する基材上にTFTを形成することが試みられている。
【0006】
しかし、プラスチックフィルムなどは、ガラスあるいは石英基板などと比較するとその耐熱性が低く、TFT作製時のプロセス温度に制限が生じてしまう。その結果、ガラスあるいは石英基板上に形成されるTFTと比べて良好な特性を持つTFTを、直接プラスチックフィルム上に作製することが困難であった。このため、プラスチックフィルムを用いた高性能な画像表示装置や発光装置は実現されていない。
【0007】
最近では、基板上に分離層を介して存在する被剥離層を前記基板から剥離する剥離方法が既に提案されている。例えば、特開平10−125929号公報、特開平10−125931号公報に記載された技術は、非晶質シリコン(またはポリシリコン)からなる分離層を設け、基板を通過させてレーザー光を照射して非晶質シリコンに含まれる水素を放出させることにより、空隙を生じさせて基板を分離させるというものである。加えて、特開平10−125930号公報には、この技術を用いて被剥離層(公報では被転写層と呼んでいる)をプラスチックフィルムに貼りつけて液晶表示装置を完成させるという記載もある。
【0008】
しかし、上記方法では分離層として非晶質シリコンあるいはポリシリコンを使用しているため、その膜厚および使用するレーザー光の波長によって、照射したレーザー光が分離層を透過し被剥離層に損傷を与える問題が考えられる。また上記方法では、分離層上に素子を作製した場合、素子作製プロセスにおいて高温の熱処理等を行えば、分離層に含まれる水素が拡散して低減してしまい、レーザー光を分離層に照射しても剥離が十分に行われない恐れがある。従って、分離層に含まれる水素量を維持するため、分離層形成後のプロセスが制限されてしまう問題がある。さらに、上記方法では大きな面積を有する被剥離層を剥離するのは困難である。上記公報には、被剥離層への損傷を防ぐため、遮光層または反射層を設ける記載もあるが、その場合、透過型液晶表示装置を作製することが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記問題を鑑みてなされたものであり、被剥離層に損傷を与えることなく剥離を可能にする方法を提供し、小さな面積の被剥離層だけでなく、大きな面積を有する被剥離層を全面に渡って剥離することを可能にすることを課題としている。
【0010】
また、本発明は様々な基材に被剥離層を貼り付け、軽量化された半導体装置およびその作製方法を提供することを課題とする。特にフレキシブルなフィルムにTFTを代表とする様々な素子(薄膜ダイオード、シリコンのPIN接合からなる光電変換素子やシリコン抵抗素子)を貼り付け、軽量化された半導体装置およびその作製方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、数多くの実験、検討を重ねているうちに、基板上に設けられた金属層に接して酸化物層を設け、さらに酸化物層上にTFTを代表とする様々な素子を設けたのち、前記金属層を酸化させることによって、形成された金属酸化物層内または界面(金属酸化物層と酸化物層との界面)において物理的手法、代表的には機械的な力を加えること(例えば人間の手で引き剥がすこと)で、きれいに分離し、基板上からTFTなどの素子を剥離する方法を見いだした。
【0012】
ある物質の性質(物性)はそれを構成する原子、分子の配列状態で大きく異なる。例えば結晶状態のものと非結晶状態のものとでは、光学的な特性で言えば分光特性(透過率、反射率、吸収係数等)、屈折率などが異なり、また電気的な特性で言えば電気伝導度などが異なり、さらにその他の特性で言えば、強度、硬度、密度、表面エネルギーなどが異なる。また、同じ結晶状態の中でも結晶格子の面方位(あるいは配向性)が異なれば前記各特性はそれぞれの方位によって大きく異なることが知られている。さらに、異種の結晶の集合体で形成された薄膜多結晶体ではそれらの各結晶の物性の要因の総合によって、マクロで見た物性が決まる一方、ミクロで見た物性はマクロで見た物性とは異なる。また、一つの結晶体と他の結晶体の境界部の特性もマクロで見た特性とも各結晶体との特性とも異なることが当然である。
【0013】
一例を挙げると、珪素を用いた半導体素子では、非結晶状態のものと多結晶状態のものと、さらに単結晶状態のものとではそれぞれの光学特性、電気特性等が異なることは周知のことである。
【0014】
本発明で、基板上に金属層を設け、この金属層上に酸化物層を形成し、さらに酸化物層上に様々な素子を形成終了したのちに前記金属層を酸化させた場合、金属層と酸化物層との界面で形成される金属酸化物が、ミクロで見た場合、部分的に異なった特性を持つ結晶の集合体で構成され、それら各結晶間の状態が凝集力の強い部分と弱い部分とを併せもって形成され、または結合力が強い部分と弱い部分とを併せもって形成されることが容易に予想され、物理的な力によって剥離あるいは分離が生じる場合があり得ると予想できる。
【0015】
本発明では、金属層を酸化させるまでは、金属層と酸化物層との界面は一定範囲内のエネルギー状態、言い換えれば結合状態で相互に存在しうるため、分離を行うまでの間に膜剥がれ(ピーリング)が生じること無くTFTなど素子作製工程を無事終了させることが可能である。
【0016】
本明細書で開示する剥離方法に関する発明の構成は、被剥離層を基板から剥離する方法であって、前記基板上に金属層と、該金属層に接する酸化物層と、被剥離層を形成する工程と、前記金属層を酸化させて酸化金属層を形成する工程と、前記酸化物層と前記被剥離層とに支持体を接着した後、前記支持体に接着された被剥離層を前記金属層が設けられた基板から物理的手法により前記酸化された金属酸化物層内または金属酸化物層と酸化物層との界面において剥離する工程と、を有することを特徴とする剥離方法である。
【0017】
上記構成において、前記金属層はTi、Ta、W、Mo、Cr、Nd、Fe、Ni、Co、Zr、Znから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料からなる単層、またはこれらの積層であることを特徴としている。
【0018】
また、上記構成において、前記金属層に接する酸化物層はスパッタ法により形成された酸化珪素膜であることを特徴としている。
【0019】
また、前記被剥離層は、薄膜トランジスタ、シリコンのPIN接合からなる光電変換素子、有機発光素子、液晶を有する素子、メモリー素子、薄膜ダイオード、またはシリコン抵抗素子を含むことを特徴としている。ただし、これら素子の最下層で酸化物層と接する層に、酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化珪素膜、さらにこれらの積層が含まれていても良い。
【0020】
また、上記構成において前記金属膜を酸化させる工程は、レーザー光照射、熱処理、またはレーザー光照射と熱処理との複合処理によっておこなわれることを特徴としている。また、上記構成において、前記レーザー光は、連続発振の固体レーザー、またはパルス発振の固体レーザーから発振されたレーザー光である。代表的には、前記連続発振の固体レーザー、またはパルス発振の固体レーザーとしては、YAGレーザー、YVO4レーザー、YLFレーザー、YAlO3レーザー、ガラスレーザー、ルビーレーザー、アレキサンドライドレーザー、Ti:サファイアレーザーから選ばれた一種または複数種がある。また、他の連続発振のレーザーまたはパルス発振のレーザーとしては、エキシマレーザー、Arレーザー、Krレーザーから選ばれた一種または複数種がある。
【0021】
また、前記レーザー光の照射方向は基板側から金属層に照射しても、被剥離層側から金属層に照射しても、両方から照射しても良い。
【0022】
また、前記レーザー光のビーム形状は真円状でも三角形状、四角形状、多角形状、楕円形状でも直線状でも良く、そのサイズもミクロンからミリ、メートルサイズとどのようなものでも良い(点状でも面状でも良い)。さらに、上記酸化工程において、レーザー光の照射領域は直前に照射された領域と重なり(オーバーラップという)を持っても良いし、オーバーラップしなくても良い。さらに、前記レーザー光の波長は10nm〜1mm、より好ましくは100nm〜10μmのものを用いるのが良い。
【0023】
レーザー光等の光を照射した際に生じる現象は、金属層が光のエネルギーを吸収することで発熱し、その発生した熱エネルギーが酸化物層との界面にて金属酸化物層の形成に寄与すると考えられる。従来技術で紹介した手法(例えば特開平10−125929号公報、特開平10−125930号公報、特開平10−125931号公報)では、非晶質シリコン膜である分離層上に被剥離層である素子を形成した場合、素子作製プロセスで、400℃〜600℃程度(半導体シリコン膜の結晶化、水素化に必要とされる温度)の高温処理を行えば、分離層に含まれる水素が拡散して低減してしまい、後の剥離を行おうとしてレーザー光を分離層に照射処理した場合、充分な剥離が行われない可能性がある。しかし、本発明のレーザー光照射による金属層の酸化処理を行うことで剥離可能とする手法では、それらの心配は全くないため、剥離層形成時の熱的プロセスを制限させることは無い。
【0024】
また、上記構成において、金属層は基板と金属層との間に他の層、例えば絶縁層等を設けても良いが、プロセスを簡略化するためには、基板上に接して金属層を形成することが望ましい。
【0025】
本構成において前記金属層を酸化させる工程でレーザー光などの光を用いる場合、前記被剥離層中に金属層あるいは金属パターンなど、光に対して前記金属層と同程度の吸収を示す物質が存在する場合には、前記光の照射方向を基板側からとすることにより、前記金属層は少なくとも紫外光、可視光、赤外光の波長領域の光に対して吸収は示すが透過率が低いため、前記被剥離層には直接光が照射されること無く損傷を防ぐことが可能となる。
【0026】
また、本構成での前記金属層を酸化させる工程で熱処理を用いる場合は、その熱処理方法に限定は無いが、特にRTA(ラピッド・サーマル・アニール)法を使用すれば、短時間で処理が行え、量産を考えた場合の処理枚数増加にも対応がし易くなる。
【0027】
また、前記金属層が酸化される領域は、基板側に接して金属層を形成した場合は、金属層と金属層上に形成された酸化物層との界面となるが、基板と金属層との間に何らかの層が形成されている場合には、さらに基板と、基板と金属層との間に形成された何らかの層との界面が考えられる。後者の、金属酸化物層が金属層の上下2つの界面に形成されることが予想される場合において、被剥離層を基板から剥離する際に、金属層と前記らかの層との間に形成された金属酸化物層内あるいはその界面で剥離が生じた時は、その後再度、金属層を被剥離層から剥離を行えばよい。
【0028】
本発明の他の作製方法に関する構成は、基板上に絶縁物層と、該絶縁物層に接する金属層と、該金属層に接する酸化物層と、該酸化物層の上方に半導体素子を含む被剥離層を形成する工程と、前記金属層を酸化させることにより、前記絶縁層との間、または前記酸化物層との間、または前記絶縁層との間および前記酸化物層との間の両方に金属酸化物層を形成する工程と、前記被剥離層と支持体とを接着した後、前記支持体に接着された前記被剥離層を基板から物理的手法により前記絶縁層と接した金属酸化物層内または前記絶縁層と接した前記金属酸化物層と前記絶縁層との界面、または前記絶縁層と接した前記金属酸化物層と前記金属層との界面、または前記酸化物層と接した前記金属酸化物層内、または前記酸化物層と接した前記金属酸化物層と前記酸化物層との界面、または前記酸化物層と接した前記金属酸化物層と前記金属層との界面において剥離する工程とを有することを特徴とする半導体装置の作製方法である。
【0029】
上記作製方法に関する各構成において、前記基板はガラス基板または石英基板であり、前記支持体はプラスチック基板、またはプラスチック基材であることを特徴としている。なお、本明細書中、物理的手法とは、化学的にではなく、物理的に認識される手法であり、具体的には力学の法則に還元できる過程を有する力学的手法または機械的手法を指し、何らかの力学的エネルギー(機械的エネルギー)を変化させる手法を指している。但し、上記構成において、物理的手法により被剥離層を剥離する際、支持体との結合力より、酸化物層と金属層との結合力が小さくなるようにすることが必要である。
【0030】
また、上記本発明において、基板は透光性を有することが望ましいが、透光性が無い場合でも、被剥離層側から光照射を行うことが可能であれば問題ない。また、基板側から光照射を行う場合は、前記金属層が吸収を示す領域の光を透過させる基板であればどんな基板であっても良い。
【0031】
なお、本明細書中において記述されている基材とは、被剥離層を例えば接着剤を用いて貼り付け固定され、転写されるものであり、該基材の種類は特に限定されず、プラスチック、ガラス、金属、セラミックス等、いかなる組成のものでもよい。また、本明細書中において、支持体とは、物理的手段により剥離する際に被剥離層と接着するためのものであり、特に限定されず、プラスチック、ガラス、金属、セラミックス等、いかなる組成のものでもよい。
【0032】
また、基材の形状および支持体の形状も特に限定されず、平面を有するもの、曲面を有するもの、可曲性を有するもの、フィルム状のものであってもよい。また、半導体装置の軽量化を最優先するのであれば、基材としてはフィルム状のプラスチック基板、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリイミドなどのプラスチック基板が好ましい。
【0033】
上記半導体装置の作製方法に関する上記構成において、液晶表示装置を作製する場合は、支持体を対向基板とし、シール材を接着材として用いて支持体を被剥離層に接着しても良いし、あるいは液晶素子を駆動するTFTまで作製した後、基材に転写を行い、続いて液晶素子作製工程に移っても良い。前者の場合、前記剥離層に設けられた素子は画素電極を有しており、該画素電極と、前記対向基板との間には液晶材料が充填されるようにする。
【0034】
また、上記半導体装置の作製方法に関する上記構成において、EL素子を有する発光装置に代表される発光装置を作製する場合は、支持体を封止材として用い、外部から水分や酸素といった有機化合物層の劣化を促す物質が侵入することを防ぐように発光素子を外部から完全に遮断することが好ましい。また、軽量化を最優先するのであれば、フィルム状のプラスチック基板が好ましいが、外部から水分や酸素といった有機化合物層の劣化を促す物質が侵入することを防ぐ効果は弱いため、例えば、支持体上に第1の絶縁膜と第2の絶縁膜と第3の絶縁膜とを設けて、十分に外部から水分や酸素といった有機化合物層の劣化を促す物質が侵入することを防ぐ構成とすればよい。
【0035】
また、上記半導体装置の作製方法に関する上記構成において、EL素子を有する発光装置に代表される発光装置を作製する別の場合として、発光装置を駆動するTFTまで作製した後、基材に転写を行い、続いて発光装置作製工程に移っても良い。
【0036】
また、上記半導体装置の作製方法によって得られる本発明の構成は、
絶縁表面を有する基板上の接着剤に接するように金属酸化物層を備え、該金属酸化物層の上方に素子を備えたことを特徴とする半導体装置である。
【0037】
また、上記構成において、前記素子は、薄膜トランジスタ、有機発光素子、液晶を有する素子、メモリー素子、薄膜ダイオード、シリコンのPIN接合からなる光電変換素子、またはシリコン抵抗素子であることを特徴としている。
【0038】
また、上記構成において、前記基板は、平面または曲面を有するプラスチック基板であることを特徴としている。
【0039】
また、上記構成において、前記金属酸化物層はレーザー光照射、熱処理、またはレーザー光照射と熱処理との複合処理によって形成されたものであることを特徴としている。
【0040】
なお、この金属酸化物層は、剥離工程の際に形成されたものである。
【発明の効果】
【0041】
本発明は、金属層に対してレーザー光照射、熱処理、またはレーザー光照射と熱処理との複合処理を行うことで酸化処理を行い、結果として金属酸化物層を形成し、被剥離層を物理的手段によって容易に基板から剥離することが出来るようにするもので、酸化工程においてレーザー照射する際に、半導体層に損傷を与えたくない場合には基板側から金属層にレーザー照射するため直接半導体層に損傷を与えることが無い。
【0042】
また、本発明は、小さな面積を有する被剥離層の剥離だけでなく、大きな面積を有する被剥離層を全面に渡って歩留まりよく剥離することが可能である。
【0043】
加えて、本発明は、物理的手法で容易に剥離、例えば人間の手で引き剥がすことが可能であるため、量産に適したプロセスと言える。また、量産する際に被剥離層を引き剥がすための製造装置を作製した場合、大型の製造装置も安価に作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】は、実施の形態を示す図である。
【図2】は、金属層の光学特性を示す図である。
【図3】は、アクティブマトリクス基板の作製工程を示す図である。(実施例1)
【図4】は、アクティブマトリクス基板の作製工程を示す図である。(実施例1)
【図5】は、アクティブマトリクス基板の作製工程を示す図である。(実施例1)
【図6】は、アクティブマトリクスを基板から剥離する図である。(実施例1)
【図7】は、金属層の酸化処理を行う際の光照射領域を示す図である。(実施例1)
【図8】は、液晶表示装置の断面図を示す図である。(実施例2)
【図9】は、発光装置の上面図または断面図を示す図である。(実施例3)
【図10】は、発光装置の画素部の断面構造を示す図である。(実施例4)
【図11】は、電子機器の一例を示す図である。(実施例5)
【図12】は、電子機器の一例を示す図である。(実施例5)
【発明を実施するための形態】
【0045】
(実施の形態)
本発明の実施形態について、以下に説明する。図1(A)中、10は基板、11は金属層、12は酸化物層、13は被剥離層である。
【0046】
図1(A)において、基板10は前記金属層11に吸収される波長領域の光に対して透過性を示すものであれば何でも良い。
【0047】
まず、図1(A)に示すように基板10上に金属層11を形成する。金属層11として代表的な例はW、Ti、Ta、Mo、Nd、Ni、Co、Zr、Znから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料からなる単層、またはこれらの積層を用いることが出来、その膜厚は10nm〜200nm、好ましくは50nm〜75nmとする。
【0048】
また、スパッタ法では基板を固定することがあるため、基板の周縁部付近の膜厚が不均一になりやすい。そのため、ドライエッチングによって周縁部の金属層のみを除去することが好ましいが、その際、基板もエッチングされないように、基板10と金属層11との間に酸化窒化シリコン膜からなる絶縁膜を100nm程度形成してもよい。
【0049】
次いで、金属層11上に酸化物層12を形成する。酸化物層12として、スパッタ法により、酸化シリコン、または窒化酸化シリコンを金属層と同等以上の膜厚を形成すればよい。例えば10nm〜600nm、望ましくは150〜200nm程度がよい。
【0050】
次いで、酸化物層12上に被剥離層13を形成する。この被剥離層13はTFTを代表とする様々な素子(薄膜ダイオード、シリコンのPIN接合からなる光電変換素子やシリコン抵抗素子や感圧式指紋センサなどのセンサ素子等の半導体装置)を含む層とすれば良い。
【0051】
次いで、被剥離層13を固定する支持体となる第2の基板15を第1の接着材14で貼り付ける。(図1(B))なお、第2の基板15は第1の基板10よりも剛性が高いものの方が望ましい。また、第1の接着材としては一般的な接着材、両面テープ、またはそれらの組合せを用いればよい。
【0052】
次いで、金属層11の酸化処理を行う。具体的には、レーザー光等の光の照射、あるいは熱処理、またはそれらの複合処理を行うことによって金属層11が酸化される。図1(C)では、光照射による酸化工程を示している。前記金属層11の酸化処理によって、金属酸化物層16が形成される。(図1(D))
【0053】
次いで、金属層11が設けられている基板10を物理的手段により引き剥がす。(図1(E))ここでは、被剥離層13の機械的強度が弱く、剥離時に被剥離層13が破壊されてしまう場合を仮定して示しているが、被剥離層13の機械的強度が充分に強く、剥離時に被剥離層13が破壊されない場合は、第1の接着材14と第2の基板15(支持体)は剥離時に不必要となり、省略可能である。図1(F)は被剥離層13が剥離された後の状態を示す。
【0054】
図1(G)は被剥離層13を転写するための基材である第3の基板18を第2の接着材17で貼り付けた状態を示す。第3の基板18の種類は特に限定されず、プラスチック、ガラス、金属、セラミックス等、いかなる組成のものでもよい。また、形状も特に限定されず、平面を有するもの、曲面を有するもの、可曲性を有するもの、フィルム状のものであってもよい。次いで、第1の接着材14を除去または剥離することによって第2の基板15を剥がす。(図1(H))
【0055】
次いで、EL層21を形成し、EL層21を封止材となる第4の基板19を第3の接着材20で封止する。(図1(I))なお、第3の接着材20が有機化合物層の劣化を促す物質(水分や酸素)を十分ブロッキングできる材料であれば特に第4の基板19は必要ではない。ここでは、EL素子を用いた発光装置を作製する例を示したが、EL素子に限定されず、様々な半導体装置を完成させることができる。
【0056】
液晶表示装置を作製する場合は、支持体を対向基板とし、シール材を接着材として用いて支持体を被剥離層に接着すればよい。この場合、被剥離層に設けられた素子は画素電極を有しており、該画素電極と、前記対向基板との間には液晶材料が充填されるようにする。また、液晶表示装置を作製する順序は、特に限定されず、支持体としての対向基板を貼りつけ、液晶を注入した後に基板を剥離して転写体(転写するための基材)としてのプラスチック基板を貼りつけてもよいし、画素電極を形成した後、基板を剥離し、第1の転写体としてのプラスチック基板を貼り付けた後、第2の転写体としての対向基板を貼りつけてもよい。
【0057】
また、同様に発光装置を作製する順序も特に限定されず、発光素子を形成した後、支持体としてのプラスチック基板を貼りつけ、基板を剥離し、基材としてのプラスチック基板を貼りつけてもよいし、発光素子を形成した後、基板を剥離して、第1の転写体としてのプラスチック基板を貼り付けた後、第2の転写体としてのプラスチック基板を貼りつけてもよい。
【0058】
図2に、本発明による金属層(タングステン膜50nm)および酸化物層(スパッタ法による酸化珪素膜200nm)を形成した段階での光学特性の例を示す。尚、この光学特性は、基板としてガラスを用い、このガラス基板側から入射した光の反射率、透過率を測定したものである。また、吸収率は透過率と反射率とをたしたものの1からの差としている。
【0059】
図2(B)から分かるように測定された範囲の波長領域での透過率は6%にも満たない一方、吸収は少なくとも40%程度を越えている(図2(C))。このため基板側から金属層にレーザー光を照射しても、この金属層で光エネルギーを吸収し、透過させないことから、被剥離層に損傷を与えることは無い。
【実施例1】
【0060】
本発明の実施例を図3〜図7を用いて説明する。ここでは、同一基板上に画素部と、画素部の周辺に設ける駆動回路のTFT(nチャネル型TFT及びpチャネル型TFT)を同時に作製する方法について詳細に説明する。なお、ここでは反射型の液晶表示装置を作製するためのアクティブマトリクス基板を作製する例を示すが、特に限定されず、適宜、TFTの配置や画素電極の材料を変更すれば、透過型の液晶表示装置を作製することも、有機化合物を含む発光層を有する発光装置も作製することもできることは言うまでもないことである。基板100としては、ガラス基板(AN100)を用いた。まず、基板上には、PCVD法により酸化窒化シリコン層101を100nmの膜厚で成膜した。
【0061】
次いで、スパッタ法により金属層としてタングステン層102を50nmの膜厚で成膜し、大気解放せず連続的にスパッタ法により酸化物層103aとして酸化シリコン層を200nmの膜厚で成膜した。酸化シリコン層の成膜条件は、RF方式のスパッタ装置を用い、酸化シリコンターゲット(直径30.5cm)を用い、基板を加熱するために加熱したアルゴンガスを流量30sccmとして流し、基板温度300℃、成膜圧力0.4Pa、成膜電力3kW、アルゴン流量/酸素流量=10sccm/30sccmとした。
【0062】
次いで、基板周縁部または端面のタングステン層をドライエッチングによってを除去する。
【0063】
次いでプラズマCVD法で成膜温度300℃、原料ガスSiH4、N2Oから作製される酸化窒化シリコン膜103b(組成比Si=32%、O=59%、N=7%、H=2%)を100nmの厚さに積層形成し、さらに大気解放せず連続的にプラズマCVD法で成膜温度300℃、成膜ガスSiH4で非晶質構造を有する半導体層(ここでは非晶質シリコン層)を54nmの厚さで形成した。
【0064】
次いで、重量換算で10ppmのニッケルを含む酢酸ニッケル塩溶液をスピナーで塗布する。塗布に代えてスパッタ法でニッケル元素を全面に散布する方法を用いてもよい。次いで、加熱処理を行い結晶化させて結晶構造を有する半導体膜(ここではポリシリコン層)を形成する。ここでは脱水素化のための熱処理(500℃、1時間)の後、結晶化のための熱処理(550℃、4時間)を行って結晶構造を有するシリコン膜を得る。なお、ここではシリコンの結晶化を助長する金属元素としてニッケルを用いた結晶化技術を用いたが、他の公知の結晶化技術、例えば固相成長法やレーザー結晶化法を用いてもよい。
【0065】
次いで、結晶構造を有するシリコン膜表面の酸化膜を希フッ酸等で除去した後、結晶化率を高め、結晶粒内に残される欠陥を補修するためのレーザー光(XeCl:波長308nm)の照射を大気中、または酸素雰囲気中で行う。レーザー光には波長400nm以下のエキシマレーザー光や、YAGレーザーの第2高調波、第3高調波を用いる。ここでは、繰り返し周波数10〜1000Hz程度のパルスレーザー光を用い、当該レーザー光を光学系にて100〜500mJ/cm2に集光し、90〜95%のオーバーラップ率をもって照射し、シリコン膜表面を走査させればよい。ここでは、繰り返し周波数30Hz、エネルギー密度470mJ/cm2でレーザー光の照射を大気中で行なった。なお、大気中、または酸素雰囲気中で行うため、レーザー光の照射により表面に酸化膜が形成される。なお、ここではパルスレーザーを用いた例を示したが、連続発振のレーザーを用いてもよく、非晶質半導体膜の結晶化に際し、大粒径に結晶を得るためには、連続発振が可能な固体レーザーを用い、基本波の第2高調波〜第4高調波を適用するのが好ましい。代表的には、Nd:YVO4レーザー(基本波1064nm)の第2高調波(532nm)や第3高調波(355nm)を適用すればよい。連続発振のレーザーを用いる場合には、出力10Wの連続発振のYVO4レーザから射出されたレーザー光を非線形光学素子により高調波に変換する。また、共振器の中にYVO4結晶と非線形光学素子を入れて、高調波を射出する方法もある。そして、好ましくは光学系により照射面にて矩形状または楕円形状のレーザー光に成形して、被処理体に照射する。このときのエネルギー密度は0.01〜100MW/cm2程度(好ましくは0.1〜10MW/cm2)が必要である。そして、10〜2000cm/s程度の速度でレーザー光に対して相対的に被剥離層を含む半導体膜を移動させて照射すればよい。なお、このレーザー光を照射する際は、基板側ではなく、シリコン膜面側から照射する。
【0066】
次いで、上記レーザー光の照射により形成された酸化膜に加え、オゾン水で表面を120秒処理して合計1〜5nmの酸化膜からなるバリア層を形成する。本実施例ではオゾン水を用いてバリア層を形成したが、酸素雰囲気下の紫外線の照射で結晶構造を有する半導体膜の表面を酸化する方法や酸素プラズマ処理により結晶構造を有する半導体膜の表面を酸化する方法やプラズマCVD法やスパッタ法や蒸着法などで1〜10nm程度の酸化膜を堆積してバリア層を形成してもよい。また、バリア層を形成する前にレーザー光の照射により形成された酸化膜を除去してもよい。
【0067】
次いで、バリア層上にスパッタ法にてゲッタリングサイトとなるアルゴン元素を含む非晶質シリコン膜を10nm〜400nm、ここでは膜厚100nmで成膜する。本実施例では、アルゴン元素を含む非晶質シリコン膜は、シリコンターゲットを用いてアルゴンを含む雰囲気下で形成する。プラズマCVD法を用いてアルゴン元素を含む非晶質シリコン膜を形成する場合、成膜条件は、モノシランとアルゴンの流量比(SiH4:Ar)を1:99とし、成膜圧力を6.665Pa(0.05Torr)とし、RFパワー密度を0.087W/cm2とし、成膜温度を350℃とする。その後、650℃に加熱された炉に入れて3分の熱処理を行いゲッタリングして、結晶構造を有する半導体膜中のニッケル濃度を低減する。炉に代えてランプアニール装置を用いてもよい。
【0068】
次いで、バリア層をエッチングストッパーとして、ゲッタリングサイトであるアルゴン元素を含む非晶質シリコン膜を選択的に除去した後、バリア層を希フッ酸で選択的に除去する。なお、ゲッタリングの際、ニッケルは酸素濃度の高い領域に移動しやすい傾向があるため、酸化膜からなるバリア層をゲッタリング後に除去することが望ましい。
【0069】
次いで、得られた結晶構造を有するシリコン膜(ポリシリコン膜とも呼ばれる)の表面にオゾン水で薄い酸化膜を形成した後、レジストからなるマスクを形成し、所望の形状にエッチング処理して島状に分離された半導体層を形成する。半導体層を形成した後、レジストからなるマスクを除去する。
【0070】
以上の工程で基板100上に金属層102、酸化物層103a、下地絶縁膜103bを形成し、結晶構造を有する半導体膜を得た後、所望の形状にエッチング処理して島状に分離された半導体層104〜108を形成することができる。
【0071】
次いで、フッ酸を含むエッチャントで酸化膜を除去すると同時にシリコン膜の表面を洗浄した後、ゲート絶縁膜109となる珪素を主成分とする絶縁膜を形成する。本実施例では、プラズマCVD法により115nmの厚さで酸化窒化シリコン膜(組成比Si=32%、O=59%、N=7%、H=2%)で形成する。
【0072】
次いで、図3(A)に示すように、ゲート絶縁膜109上に膜厚20〜100nmの第1の導電膜110aと、膜厚100〜400nmの第2の導電膜110bとを積層形成する。本実施例では、ゲート絶縁膜109上に膜厚50nmの窒化タンタル膜、膜厚370nmのタングステン膜を順次積層する。
【0073】
第1の導電膜及び第2の導電膜を形成する導電性材料としてはTa、W、Ti、Mo、Al、Cuから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料で形成する。また、第1の導電膜及び第2の導電膜としてリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜や、AgPdCu合金を用いてもよい。また、2層構造に限定されず、例えば、膜厚50nmのタングステン膜、膜厚500nmのアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜、膜厚30nmの窒化チタン膜を順次積層した3層構造としてもよい。また、3層構造とする場合、第1の導電膜のタングステンに代えて窒化タングステンを用いてもよいし、第2の導電膜のアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜に代えてアルミニウムとチタンの合金膜(Al−Ti)を用いてもよいし、第3の導電膜の窒化チタン膜に代えてチタン膜を用いてもよい。また、単層構造であってもよい。
【0074】
次に、図3(B)に示すように光露光工程によりレジストからなるマスク112〜117を形成し、ゲート電極及び配線を形成するための第1のエッチング処理を行う。第1のエッチング処理では第1及び第2のエッチング条件で行う。エッチングにはICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用いると良い。ICPエッチング法を用い、エッチング条件(コイル型の電極に印加される電力量、基板側の電極に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節することによって所望のテーパー形状に膜をエッチングすることができる。なお、エッチング用ガスとしては、Cl2、BCl3、SiCl4、CCl4などを代表とする塩素系ガスまたはCF4、SF6、NF3などを代表とするフッ素系ガス、またはO2を適宜用いることができる。
【0075】
本実施例では、基板側(試料ステージ)にも150WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。なお、基板側の電極面積サイズは、12.5cm×12.5cmであり、コイル型の電極面積サイズ(ここではコイルの設けられた石英円板)は、直径25cmの円板である。この第1のエッチング条件によりW膜をエッチングして第1の導電層の端部をテーパー形状とする。第1のエッチング条件でのWに対するエッチング速度は200.39nm/min、TaNに対するエッチング速度は80.32nm/minであり、TaNに対するWの選択比は約2.5である。また、この第1のエッチング条件によって、Wのテーパー角は、約26°となる。この後、レジストからなるマスク112〜117を除去せずに第2のエッチング条件に変え、エッチング用ガスにCF4とCl2とを用い、それぞれのガス流量比を30/30(sccm)とし、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成して約30秒程度のエッチングを行った。基板側(試料ステージ)にも20WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。CF4とCl2を混合した第2のエッチング条件ではW膜及びTaN膜とも同程度にエッチングされる。第2のエッチング条件でのWに対するエッチング速度は58.97nm/min、TaNに対するエッチング速度は66.43nm/minである。なお、ゲート絶縁膜上に残渣を残すことなくエッチングするためには、10〜20%程度の割合でエッチング時間を増加させると良い。
【0076】
上記第1のエッチング処理では、レジストからなるマスクの形状を適したものとすることにより、基板側に印加するバイアス電圧の効果により第1の導電層及び第2の導電層の端部がテーパー形状となる。このテーパー部の角度は15〜45°とすればよい。
【0077】
こうして、第1のエッチング処理により第1の導電層と第2の導電層から成る第1の形状の導電層119〜124(第1の導電層119a〜124aと第2の導電層119b〜124b)を形成する。ゲート絶縁膜となる絶縁膜109は、10〜20nm程度エッチングされ、第1の形状の導電層119〜124で覆われない領域が薄くなったゲート絶縁膜118となる。
【0078】
次いで、レジストからなるマスクを除去せずに第2のエッチング処理を行う。ここでは、エッチング用ガスにSF6とCl2とO2とを用い、それぞれのガス流量比を24/12/24(sccm)とし、1.3Paの圧力でコイル型の電極に700WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成してエッチングを25秒行った。基板側(試料ステージ)にも10WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。第2のエッチング処理でのWに対するエッチング速度は227.3nm/min、TaNに対するエッチング速度は32.1nm/minであり、TaNに対するWの選択比は7.1であり、絶縁膜118であるSiONに対するエッチング速度は33.7nm/minであり、SiONに対するWの選択比は6.83である。このようにエッチングガス用ガスにSF6を用いた場合、絶縁膜118との選択比が高いので膜減りを抑えることができる。本実施例では絶縁膜118において約8nmしか膜減りが起きない。
【0079】
この第2のエッチング処理によりWのテーパー角は70°となった。この第2のエッチング処理により第2の導電層126b〜131bを形成する。一方、第1の導電層は、ほとんどエッチングされず、第1の導電層126a〜131aとなる。なお、第1の導電層126a〜131aは、第1の導電層119a〜124aとほぼ同一サイズである。実際には、第1の導電層の幅は、第2のエッチング処理前に比べて約0.3μm程度、即ち線幅全体で0.6μm程度後退する場合もあるがほとんどサイズに変化がない。
【0080】
また、2層構造に代えて、膜厚50nmのタングステン膜、膜厚500nmのアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜、膜厚30nmの窒化チタン膜を順次積層した3層構造とした場合、第1のエッチング処理の第1のエッチング条件としては、BCl3とCl2とO2とを原料ガスに用い、それぞれのガス流量比を65/10/5(sccm)とし、基板側(試料ステージ)に300WのRF(13.56MHz)電力を投入し、1.2Paの圧力でコイル型の電極に450WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成して117秒のエッチングを行えばよく、第1のエッチング処理の第2のエッチング条件としては、CF4とCl2とO2とを用い、それぞれのガス流量比を25/25/10(sccm)とし、基板側(試料ステージ)にも20WのRF(13.56MHz)電力を投入し、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成して約30秒程度のエッチングを行えばよく、第2のエッチング処理としてはBCl3とCl2を用い、それぞれのガス流量比を20/60(sccm)とし、基板側(試料ステージ)には100WのRF(13.56MHz)電力を投入し、1.2Paの圧力でコイル型の電極に600WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成してエッチングを行えばよい。
【0081】
次いで、レジストからなるマスクを除去した後、第1のドーピング処理を行って図3(D)の状態を得る。ドーピング処理はイオンドープ法、もしくはイオン注入法で行えば良い。イオンドープ法の条件はドーズ量を1.5×1014atoms/cm2とし、加速電圧を60〜100kVとして行う。n型を付与する不純物元素として、典型的にはリン(P)または砒素(As)を用いる。この場合、第1の導電層及び第2の導電層126〜130がn型を付与する不純物元素に対するマスクとなり、自己整合的に第1の不純物領域132〜136が形成される。第1の不純物領域132〜136には1×1016〜1×1017/cm3の濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加する。ここでは、第1の不純物領域と同じ濃度範囲の領域をn−−領域とも呼ぶ。
【0082】
なお、本実施例ではレジストからなるマスクを除去した後、第1のドーピング処理を行ったが、レジストからなるマスクを除去せずに第1のドーピング処理を行ってもよい。
【0083】
次いで、図4(A)に示すようにレジストからなるマスク137〜139を形成し第2のドーピング処理を行う。マスク137は駆動回路のpチャネル型TFTを形成する半導体層のチャネル形成領域及びその周辺の領域を保護するマスクであり、マスク138は駆動回路のnチャネル型TFTの一つを形成する半導体層のチャネル形成領域及びその周辺の領域を保護するマスクであり、マスク139は画素部のTFTを形成する半導体層のチャネル形成領域及びその周辺の領域と保持容量となる領域とを保護するマスクである。
【0084】
第2のドーピング処理におけるイオンドープ法の条件はドーズ量を1.5×1015atoms/cm2とし、加速電圧を60〜100kVとしてリン(P)をドーピングする。ここでは、第2の導電層126b〜128bをマスクとして各半導体層に不純物領域が自己整合的に形成される。勿論、マスク137〜139で覆われた領域には添加されない。こうして、第2の不純物領域140〜142と、第3の不純物領域144が形成される。第2の不純物領域140〜142には1×1020〜1×1021/cm3の濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加されている。ここでは、第2の不純物領域と同じ濃度範囲の領域をn+領域とも呼ぶ。
【0085】
また、第3の不純物領域は第1の導電層により第2の不純物領域よりも低濃度に形成され、1×1018〜1×1019/cm3の濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加されることになる。なお、第3の不純物領域は、テーパー形状である第1の導電層の部分を通過させてドーピングを行うため、テーパ−部の端部に向かって不純物濃度が増加する濃度勾配を有している。ここでは、第3の不純物領域と同じ濃度範囲の領域をn−領域とも呼ぶ。また、マスク138、139で覆われた領域は、第2のドーピング処理で不純物元素が添加されず、第1の不純物領域146、147となる。
【0086】
次いで、レジストからなるマスク137〜139を除去した後、新たにレジストからなるマスク148〜150を形成して図4(B)に示すように第3のドーピング処理を行う。
【0087】
駆動回路において、上記第3のドーピング処理により、pチャネル型TFTを形成する半導体層および保持容量を形成する半導体層にp型の導電型を付与する不純物元素が添加された第4の不純物領域151、152及び第5の不純物領域153、154を形成する。また、第4の不純物領域151、152には1×1020〜1×1021/cm3の濃度範囲でp型を付与する不純物元素が添加されるようにする。尚、第4の不純物領域151、152には先の工程でリン(P)が添加された領域(n−−領域)であるが、p型を付与する不純物元素の濃度がその1.5〜3倍添加されていて導電型はp型となっている。ここでは、第4の不純物領域と同じ濃度範囲の領域をp+領域とも呼ぶ。
【0088】
また、第5の不純物領域153、154は第2の導電層127aのテーパー部と重なる領域に形成されるものであり、1×1018〜1×1020/cm3の濃度範囲でp型を付与する不純物元素が添加されるようにする。ここでは、第5の不純物領域と同じ濃度範囲の領域をp−領域とも呼ぶ。
【0089】
以上までの工程でそれぞれの半導体層にn型またはp型の導電型を有する不純物領域が形成される。導電層126〜129はTFTのゲート電極となる。また、導電層130は画素部において保持容量を形成する一方の電極となる。さらに、導電層131は画素部においてソース配線を形成する。
【0090】
次いで、ほぼ全面を覆う絶縁膜(図示しない)を形成する。本実施例では、プラズマCVD法により膜厚50nmの酸化シリコン膜を形成した。勿論、この絶縁膜は酸化シリコン膜に限定されるものでなく、他のシリコンを含む絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。
【0091】
次いで、それぞれの半導体層に添加された不純物元素を活性化処理する工程を行う。この活性化工程は、ランプ光源を用いたラピッド・サーマル・アニール法(RTA法)、或いはYAGレーザーまたはエキシマレーザーを裏面から照射する方法、或いは炉を用いた熱処理、或いはこれらの方法のうち、いずれかと組み合わせた方法によって行う。
【0092】
また、本実施例では、上記活性化の前に絶縁膜を形成した例を示したが、上記活性化を行った後、絶縁膜を形成する工程としてもよい。
【0093】
次いで、窒化シリコン膜からなる第1の層間絶縁膜155を形成して熱処理(300〜550℃で1〜12時間の熱処理)を行い、半導体層を水素化する工程を行う。(図4(C))この工程は第1の層間絶縁膜155に含まれる水素により半導体層のダングリングボンドを終端する工程である。酸化シリコン膜からなる絶縁膜(図示しない)の存在に関係なく半導体層を水素化することができる。ただし、本実施例では、第2の導電層としてアルミニウムを主成分とする材料を用いているので、水素化する工程において第2の導電層が耐え得る熱処理条件とすることが重要である。水素化の他の手段として、プラズマ水素化(プラズマにより励起された水素を用いる)を行っても良い。
【0094】
次いで、第1の層間絶縁膜155上に有機絶縁物材料から成る第2の層間絶縁膜156を形成する。本実施例では膜厚1.6μmのアクリル樹脂膜を形成する。次いで、ソース配線131に達するコンタクトホールと、導電層129、130に達するコンタクトホールと、各不純物領域に達するコンタクトホールを形成する。本実施例では複数のエッチング処理を順次行う。本実施例では第1の層間絶縁膜をエッチングストッパーとして第2の層間絶縁膜をエッチングした後、絶縁膜(図示しない)をエッチングストッパーとして第1の層間絶縁膜をエッチングしてから絶縁膜(図示しない)をエッチングした。
【0095】
その後、Al、Ti、Mo、Wなどを用いて配線及び画素電極を形成する。これらの電極及び画素電極の材料は、AlまたはAgを主成分とする膜、またはそれらの積層膜等の反射性の優れた材料を用いることが望ましい。こうして、ソース電極またはドレイン電極157〜162、ゲート配線164、接続配線163、画素電極165が形成される。
【0096】
以上の様にして、nチャネル型TFT201、pチャネル型TFT202、nチャネル型TFT203を有する駆動回路206と、nチャネル型TFTからなる画素TFT204、保持容量205とを有する画素部207を同一基板上に形成することができる。(図5)本明細書中ではこのような基板を便宜上アクティブマトリクス基板と呼ぶ。
【0097】
画素部207において、画素TFT204(nチャネル型TFT)にはチャネル形成領域169、ゲート電極を形成する導電層129の外側に形成される第1の不純物領域(n−−領域)147と、ソース領域またはドレイン領域として機能する第2の不純物領域(n+領域)142、171を有している。また、保持容量205の一方の電極として機能する半導体層には第4の不純物領域152、第5の不純物領域154が形成されている。保持容量205は、絶縁膜(ゲート絶縁膜と同一膜)118を誘電体として、第2の電極130と、半導体層152、154、170とで形成されている。
【0098】
また、駆動回路206において、nチャネル型TFT201(第1のnチャネル型TFT)はチャネル形成領域166、ゲート電極を形成する導電層126の一部と絶縁膜を介して重なる第3の不純物領域(n−領域)144とソース領域またはドレイン領域として機能する第2の不純物領域(n+領域)140を有している。
【0099】
また、駆動回路206において、pチャネル型TFT202にはチャネル形成領域167、ゲート電極を形成する導電層127の一部と絶縁膜を介して重なる第5不純物領域(p−領域)153とソース領域またはドレイン領域として機能する第4の不純物領域(p+領域)151を有している。
【0100】
また、駆動回路206において、nチャネル型TFT203(第2のnチャネル型TFT)にはチャネル形成領域168、ゲート電極を形成する導電層128の外側に第1の不純物領域(n−−領域)146とソース領域またはドレイン領域として機能する第2の不純物領域(n+領域)141を有している。
【0101】
これらのTFT201〜203を適宜組み合わせてシフトレジスタ回路、バッファ回路、レベルシフタ回路、ラッチ回路などを形成し、駆動回路206を形成すればよい。例えば、CMOS回路を形成する場合には、nチャネル型TFT201とpチャネル型TFT202を相補的に接続して形成すればよい。特に、駆動電圧が高いバッファ回路には、ホットキャリア効果による劣化を防ぐ目的から、nチャネル型TFT203の構造が適している。
【0102】
また、信頼性が最優先とされる回路には、GOLD構造であるnチャネル型TFT201の構造が適している。
【0103】
また、半導体膜表面の平坦化を向上させることによって信頼性を向上させることができるので、GOLD構造のTFTにおいて、ゲート電極とゲート絶縁膜を介して重なる不純物領域の面積を縮小しても十分な信頼性を得ることができる。具体的にはGOLD構造のTFTにおいてゲート電極のテーパー部となる部分サイズを小さくしても十分な信頼性を得ることができる。
【0104】
また、GOLD構造のTFTにおいてはゲート絶縁膜が薄くなると寄生容量が増加するが、ゲート電極(第1導電層)のテーパー部となる部分サイズを小さくして寄生容量を低減すれば、f特性(周波数特性)も向上してさらなる高速動作が可能となり、且つ、十分な信頼性を有するTFTとなる。
【0105】
なお、画素部207の画素TFTにおいても、第2のレーザー光の照射によりオフ電流の低減、およびバラツキの低減が実現される。
【0106】
また、本実施例では反射型の表示装置を形成するためのアクティブマトリクス基板を作製する例を示したが、画素電極を透明導電膜で形成すると、フォトマスクは1枚増えるものの、透過型の表示装置を形成することができる。
【0107】
これら表示装置を作成した後、基板側から連続光あるいはパルス状のレーザー光で金属層102を照射し、発熱させることで酸化処理を行い、金属層102と酸化物層103aとの間に金属酸化物層190が形成され(図6(A))、被剥離層が基板から剥離可能となる(図6(B))。この時照射したレーザー光はNd:YAGレーザー(基本波1064nm)を出力40Wで使用したが、波長範囲については図2に示す様にどの領域のレーザー光を使用しても構わない。また、レーザー光を照射するタイミングは、表示装置作成後に限らず被剥離層を剥離したい段階で照射すれば良い。さらに、レーザー光のビーム形状は、今回は線状の連続光を使用したが、これに限らず真円状、楕円形状、三角形状、四角形状、多角形状とどれでも良く、点状、面状どのようなものでも良い。さらに、今回はレーザー光照射によって金属層の酸化工程処理を行ったが、熱処理を用いた酸化処理でも構わない。
【0108】
また、図6(A)の状態を得た後、酸化物層103a上に設けたTFTを含む層(被剥離層)の機械的強度が十分であれば、基板100を引き剥がしてもよい。本実施例は、被剥離層の機械的強度が不十分であるので、被剥離層を固定する支持体(図示しない)を貼りつけた後、レーザー照射、剥離することが好ましい。
【0109】
光を用いた金属層の酸化処理を行う際は、図7に示す様に、基板900上の表示装置901(画素部902、ゲートドライバー部903、ソースドライバー部904、FPC端子部905を含む)を含む領域906にレーザー光を照射すればよい。
【実施例2】
【0110】
実施例1では画素電極が反射性を有する金属材料で形成された反射型の表示装置の例を示したが、本実施例では画素電極を透光性を有する導電膜で形成した透過型の表示装置の例を図8に示す。
【0111】
層間絶縁膜を形成する工程までは実施例1と同じであるので、ここでは省略する。実施例1に従って層間絶縁膜を形成した後、透光性を有する導電膜からなる画素電極601を形成する。透光性を有する導電膜としては、ITO(酸化インジウム酸化スズ合金)、酸化インジウム酸化亜鉛合金(In2O3―ZnO)、酸化亜鉛(ZnO)等を用いればよい。その後、層間絶縁膜600にコンタクトホールを形成する。次いで、画素電極と重なる接続電極602を形成する。この接続電極602は、コンタクトホールを通じてドレイン領域と接続されている。また、この接続電極と同時に他のTFTのソース電極またはドレイン電極も形成する。
【0112】
また、ここでは全ての駆動回路を基板上に形成した例を示したが、駆動回路の一部に数個のICを用いてもよい。
【0113】
以上のようにしてアクティブマトリクス基板が形成される。このアクティブマトリクス基板を用い、TFTを剥離した後、基材(プラスチック基板)を貼り合わせて液晶モジュールを作製し、バックライト606、導光板605を設け、カバー606で覆えば、図8にその断面図の一部を示したようなアクティブマトリクス型液晶表示装置が完成する。なお、カバーと液晶モジュールは接着剤や有機樹脂を用いて貼り合わせる。また、プラスチック基板と対向基板を貼り合わせる際、枠で囲んで有機樹脂を枠と基板との間に充填して接着してもよい。また、透過型であるので偏光板603は、プラスチック基板と対向基板の両方に貼り付ける。
【実施例3】
【0114】
本実施例では、プラスチック基板上に形成された有機化合物を含む発光層を有する発光素子を備えた発光装置を作製する例を図9に示す。
【0115】
なお、図9(A)は、発光装置を示す上面図、図9(B)は図9(A)をA−A’で切断した断面図である。点線で示された1101はソース信号線駆動回路、1102は画素部、1103はゲート信号線駆動回路である。また、1104は封止基板、1105はシール剤であり、第1のシール剤1105で囲まれた内側は、透明な第2のシール材1107で充填されている。
【0116】
なお、1108はソース信号線駆動回路1101及びゲート信号線駆動回路1103に入力される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリントサーキット)1109からビデオ信号やクロック信号を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基盤(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
【0117】
次に、断面構造について図9(B)を用いて説明する。基板1110上には駆動回路及び画素部が形成されているが、ここでは、駆動回路としてソース信号線駆動回路1101と画素部1102が示されている。なお、実施の形態または実施例1に説明した剥離法を用いることによって、基板1110が接着層1100で下地膜と貼り合せてある。
【0118】
なお、ソース信号線駆動回路1101はnチャネル型TFT1123とpチャネル型TFT1124とを組み合わせたCMOS回路が形成される。また、駆動回路を形成するTFTは、公知のCMOS回路、PMOS回路もしくはNMOS回路で形成しても良い。また、本実施例では、基板上に駆動回路を形成したドライバー一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、基板上ではなく外部に形成することもできる。
【0119】
また、画素部1102はスイッチング用TFT1111と、電流制御用TFT1112とそのドレインに電気的に接続された第1の電極(陽極)1113を含む複数の画素により形成される。なお、ここでは一つの画素に2つのTFTを用いた例を示したが、3つ、またはそれ以上のTFTを適宜、用いてもよい。
【0120】
ここでは第1の電極1113がTFTのドレインと直接接している構成となっているため、第1の電極1113の最下層としてシリコンからなるドレインとオーミックコンタクトのとれる材料層を用い、有機化合物を含む層と接する表面に仕事関数の大きい材料層を用いることが望ましい。例えば、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チタン膜との3層構造とすると、配線としての抵抗も低く、且つ、良好なオーミックコンタクトがとれ、且つ、陽極として機能させることができる。また、第1の電極1113は、窒化チタン膜の単層としてもよいし、2層以上の積層を用いてもよい。
【0121】
また、第1の電極(陽極)1113の両端には絶縁物(バンク、隔壁、障壁、土手などと呼ばれる)1114が形成される。絶縁物1114は有機樹脂膜もしくは珪素を含む絶縁膜で形成すれば良い。ここでは、絶縁物1114として、ポジ型の感光性アクリル樹脂膜を用いて図9に示す形状の絶縁物を形成する。
【0122】
カバレッジを良好なものとするため、絶縁物1114の上端部または下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにすることが好ましい。例えば、絶縁物1114の材料としてポジ型の感光性アクリルを用いた場合、絶縁物1114の上端部のみに曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせることが好ましい。また、絶縁物1114として、感光性の光によってエッチャントに不溶解性となるネガ型、或いは光によってエッチャントに溶解性となるポジ型のいずれも使用することができる。
【0123】
また、絶縁物1114を窒化アルミニウム膜、窒化酸化アルミニウム膜、または窒化珪素膜からなる保護膜で覆ってもよい。この保護膜はスパッタ法(DC方式やRF方式)により得られる窒化珪素または窒化酸化珪素を主成分とする絶縁膜、または炭素を主成分とする薄膜でもよい。シリコンターゲットを用い、窒素とアルゴンを含む雰囲気で形成すれば、窒化珪素膜が得られる。また、窒化シリコンターゲットを用いてもよい。また、保護膜は、リモートプラズマを用いた成膜装置を用いて形成してもよい。また、保護膜に発光を通過させるため、保護膜の膜厚は、可能な限り薄くすることが好ましい。
【0124】
また、第1の電極(陽極)1113上には、蒸着マスクを用いた蒸着法、またはインクジェット法によって有機化合物を含む層1115を選択的に形成する。さらに、有機化合物を含む層1115上には第2の電極(陰極)1116が形成される。これにより、第1の電極(陽極)1113、有機化合物を含む層1115、及び第2の電極(陰極)1116からなる発光素子1118が形成される。ここでは発光素子1118は白色発光とする例であるので着色層1131と遮光層(BM)1132からなるカラーフィルター(簡略化のため、ここではオーバーコート層は図示しない)が設けている。
【0125】
また、R、G、Bの発光が得られる有機化合物を含む層をそれぞれ選択的に形成すれば、カラーフィルターを用いなくともフルカラーの表示を得ることができる。
【0126】
また、発光素子1118を封止するために第1シール材1105、第2シール材1107により封止基板1104を貼り合わせる。なお、第1シール材1105、第2シール材1107としてはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、第1シール材1105、第2シール材1107はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。
【0127】
また、本実施例では封止基板1104を構成する材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、マイラー、ポリエステルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。また、第1シール材1105、第2シール材1107を用いて封止基板1104を接着した後、さらに側面(露呈面)を覆うように第3のシール材で封止することも可能である。
【0128】
以上のようにして発光素子を第1シール材1105、第2シール材1107に封入することにより、発光素子を外部から完全に遮断することができ、外部から水分や酸素といった有機化合物層の劣化を促す物質が侵入することを防ぐことができる。従って、信頼性の高い発光装置を得ることができる。
【0129】
また、第1の電極1113として透明導電膜を用いれば両面発光型の発光装置を作製することができる。
【0130】
また、本実施例では陽極上に有機化合物を含む層を形成し、有機化合物を含む層上に透明電極である陰極を形成するという構造(以下、上面出射構造とよぶ)とした例を示したが、陽極上に有機化合物層が形成され、有機化合物層上に陰極が形成される発光素子を有し、有機化合物層において生じた光を透明電極である陽極からTFTの方へ取り出す(以下、下面出射構造とよぶ)という構造としてもよい。
【0131】
また、本実施例は実施の形態、または実施例1と自由に組み合わせることができる。
【実施例4】
【0132】
実施例3では、プラスチック基板上に形成された有機化合物を含む発光層を有する発光素子を備えた発光装置を作製する例を示したが、本実施例では、その1つの画素の断面構造、特に発光素子およびTFTの接続、画素間に配置する隔壁の形状についてさらに細かく説明する。
【0133】
図10(A)中、40は基板、41は隔壁(土手とも呼ばれる)、42は絶縁膜、43は第1の電極(陽極)、44は有機化合物を含む層、45は第2の電極(陰極)46はTFTである。
【0134】
TFT46において、46aはチャネル形成領域、46b、46cはソース領域またはドレイン領域、46dはゲート電極、46e、46fはソース電極またはドレイン電極である。ここではトップゲート型TFTを示しているが、特に限定されず、逆スタガ型TFTであってもよいし、順スタガ型TFTであってもよい。なお、46fは第1の電極43と一部接して重なることによりTFT46とを接続する電極である。
【0135】
また、図10(A)とは一部異なる断面構造を図10(B)に示す。
【0136】
図10(B)においては、第1の電極と電極との重なり方が図10(A)の構造と異なっており、第1の電極をパターニングした後、電極を一部重なるように形成することでTFTと接続させている。
【0137】
また、図10(A)とは一部異なる断面構造を図10(C)に示す。
【0138】
図10(C)においては、層間絶縁膜がさらに1層設けられており、第1の電極がコンタクトホールを介してTFTの電極と接続されている。また、隔壁41の断面形状としては、図10(D)に示すようにテーパー形状としてもよい。フォトリソグラフィ法を用いてレジストを露光した後、非感光性の有機樹脂や無機絶縁膜をエッチングすることによって得られる。また、ポジ型の感光性有機樹脂を用いれば、図10(E)に示すような形状、上端部に曲面を有する形状とすることができる。また、ネガ型の感光性樹脂を用いれば、図10(F)に示すような形状、上端部および下端部に曲面を有する形状とすることができる。
【実施例5】
【0139】
本発明を実施して様々なモジュール(アクティブマトリクス型液晶モジュール、アクティブマトリクス型ELモジュール、アクティブマトリクス型ECモジュール)を完成させることができる。即ち、本発明を実施することによって、それらを組み込んだ全ての電子機器が完成される。
【0140】
その様な電子機器としては、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ヘッドマウントディスプレイ(ゴーグル型ディスプレイ)、カーナビゲーション、プロジェクタ、カーステレオ、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話または電子書籍等)などが挙げられる。それらの一例を図11、図12に示す。
【0141】
図11(A)はパーソナルコンピュータであり、本体2001、画像入力部2002、表示部2003、キーボード2004等を含む。図11(B)はビデオカメラであり、本体2101、表示部2102、音声入力部2103、操作スイッチ2104、バッテリー2105、受像部2106等を含む。図11(C)はモバイルコンピュータ(モービルコンピュータ)であり、本体2201、カメラ部2202、受像部2203、操作スイッチ2204、表示部2205等を含む。図11(D)はプログラムを記録した記録媒体(以下、記録媒体と呼ぶ)を用いるプレーヤーであり、本体2401、表示部2402、スピーカ部2403、記録媒体2404、操作スイッチ2405等を含む。なお、このプレーヤーは記録媒体としてDVD(Digtial Versatile Disc)、CD等を用い、音楽鑑賞や映画鑑賞やゲームやインターネットを行うことができる。図11(E)はデジタルカメラであり、本体2501、表示部2502、接眼部2503、操作スイッチ2504、受像部(図示しない)等を含む。
【0142】
図12(A)は携帯電話であり、本体2901、音声出力部2902、音声入力部2903、表示部2904、操作スイッチ2905、アンテナ2906、画像入力部(CCD、イメージセンサ等)2907等を含む。図12(B)は携帯書籍(電子書籍)であり、本体3001、表示部3002、3003、記憶媒体3004、操作スイッチ3005、アンテナ3006等を含む。図12(C)はディスプレイであり、本体3101、支持台3102、表示部3103等を含む。ちなみに図12(C)に示すディスプレイは中小型または大型のもの、例えば5〜20インチの画面サイズのものである。また、このようなサイズの表示部を形成するためには、基板の一辺が1mのものを用い、多面取りを行って量産することが好ましい。
【0143】
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器の作製方法に適用することが可能である。また、本実施例の電子機器は実施の形態、実施例1〜3のどのような組み合わせからなる構成を用いても実現することができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、被剥離層の剥離方法、特に様々な素子を含む被剥離層の剥離方法に関する。加えて、本発明は、剥離した被剥離層を基材に貼りつけて転写させた半導体集積回路あるいは薄膜トランジスタ(以下、TFTという)を有する半導体装置、およびその作製方法に関する。例えば、液晶モジュールに代表される電気光学装置やELモジュールに代表される発光装置、およびその様な装置を部品として搭載した電子機器に関する。
【0002】
なお、本明細書中において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指し、電気光学装置、発光装置、半導体回路および電子機器は全て半導体装置である。
【背景技術】
【0003】
近年、ガラスあるいは石英基板などの絶縁性基板上に半導体薄膜を用いた半導体集積回路やTFT等を構成する技術が注目を集めている。TFTはICや電気光学装置のような電子デバイスに広く応用され、特に画像表示装置のスイッチング素子として開発が急がれている。
【0004】
このような画像表示装置の応用にはデジタルビデオカメラ、液晶テレビなど様々なものがあるが、特に今後は携帯電話、携帯ゲーム機、携帯テレビあるいは携帯端末等の携帯用電子機器への応用が期待されている。これら携帯用電子機器としてユーザーから求められる特性として、軽いこと、例えば落としても割れない丈夫なことなどの点が挙げられる。
【0005】
しかし、これまでの画像表示装置に使用される基板は、前述の通りガラスあるいは石英基板など無機系材料からなる基板であり、無機系材料特有の割れる、重いという欠点が存在している。この欠点を克服するためにフレキシブルなプラスチックフィルムなどに代表される可塑性を有する基材上にTFTを形成することが試みられている。
【0006】
しかし、プラスチックフィルムなどは、ガラスあるいは石英基板などと比較するとその耐熱性が低く、TFT作製時のプロセス温度に制限が生じてしまう。その結果、ガラスあるいは石英基板上に形成されるTFTと比べて良好な特性を持つTFTを、直接プラスチックフィルム上に作製することが困難であった。このため、プラスチックフィルムを用いた高性能な画像表示装置や発光装置は実現されていない。
【0007】
最近では、基板上に分離層を介して存在する被剥離層を前記基板から剥離する剥離方法が既に提案されている。例えば、特開平10−125929号公報、特開平10−125931号公報に記載された技術は、非晶質シリコン(またはポリシリコン)からなる分離層を設け、基板を通過させてレーザー光を照射して非晶質シリコンに含まれる水素を放出させることにより、空隙を生じさせて基板を分離させるというものである。加えて、特開平10−125930号公報には、この技術を用いて被剥離層(公報では被転写層と呼んでいる)をプラスチックフィルムに貼りつけて液晶表示装置を完成させるという記載もある。
【0008】
しかし、上記方法では分離層として非晶質シリコンあるいはポリシリコンを使用しているため、その膜厚および使用するレーザー光の波長によって、照射したレーザー光が分離層を透過し被剥離層に損傷を与える問題が考えられる。また上記方法では、分離層上に素子を作製した場合、素子作製プロセスにおいて高温の熱処理等を行えば、分離層に含まれる水素が拡散して低減してしまい、レーザー光を分離層に照射しても剥離が十分に行われない恐れがある。従って、分離層に含まれる水素量を維持するため、分離層形成後のプロセスが制限されてしまう問題がある。さらに、上記方法では大きな面積を有する被剥離層を剥離するのは困難である。上記公報には、被剥離層への損傷を防ぐため、遮光層または反射層を設ける記載もあるが、その場合、透過型液晶表示装置を作製することが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記問題を鑑みてなされたものであり、被剥離層に損傷を与えることなく剥離を可能にする方法を提供し、小さな面積の被剥離層だけでなく、大きな面積を有する被剥離層を全面に渡って剥離することを可能にすることを課題としている。
【0010】
また、本発明は様々な基材に被剥離層を貼り付け、軽量化された半導体装置およびその作製方法を提供することを課題とする。特にフレキシブルなフィルムにTFTを代表とする様々な素子(薄膜ダイオード、シリコンのPIN接合からなる光電変換素子やシリコン抵抗素子)を貼り付け、軽量化された半導体装置およびその作製方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、数多くの実験、検討を重ねているうちに、基板上に設けられた金属層に接して酸化物層を設け、さらに酸化物層上にTFTを代表とする様々な素子を設けたのち、前記金属層を酸化させることによって、形成された金属酸化物層内または界面(金属酸化物層と酸化物層との界面)において物理的手法、代表的には機械的な力を加えること(例えば人間の手で引き剥がすこと)で、きれいに分離し、基板上からTFTなどの素子を剥離する方法を見いだした。
【0012】
ある物質の性質(物性)はそれを構成する原子、分子の配列状態で大きく異なる。例えば結晶状態のものと非結晶状態のものとでは、光学的な特性で言えば分光特性(透過率、反射率、吸収係数等)、屈折率などが異なり、また電気的な特性で言えば電気伝導度などが異なり、さらにその他の特性で言えば、強度、硬度、密度、表面エネルギーなどが異なる。また、同じ結晶状態の中でも結晶格子の面方位(あるいは配向性)が異なれば前記各特性はそれぞれの方位によって大きく異なることが知られている。さらに、異種の結晶の集合体で形成された薄膜多結晶体ではそれらの各結晶の物性の要因の総合によって、マクロで見た物性が決まる一方、ミクロで見た物性はマクロで見た物性とは異なる。また、一つの結晶体と他の結晶体の境界部の特性もマクロで見た特性とも各結晶体との特性とも異なることが当然である。
【0013】
一例を挙げると、珪素を用いた半導体素子では、非結晶状態のものと多結晶状態のものと、さらに単結晶状態のものとではそれぞれの光学特性、電気特性等が異なることは周知のことである。
【0014】
本発明で、基板上に金属層を設け、この金属層上に酸化物層を形成し、さらに酸化物層上に様々な素子を形成終了したのちに前記金属層を酸化させた場合、金属層と酸化物層との界面で形成される金属酸化物が、ミクロで見た場合、部分的に異なった特性を持つ結晶の集合体で構成され、それら各結晶間の状態が凝集力の強い部分と弱い部分とを併せもって形成され、または結合力が強い部分と弱い部分とを併せもって形成されることが容易に予想され、物理的な力によって剥離あるいは分離が生じる場合があり得ると予想できる。
【0015】
本発明では、金属層を酸化させるまでは、金属層と酸化物層との界面は一定範囲内のエネルギー状態、言い換えれば結合状態で相互に存在しうるため、分離を行うまでの間に膜剥がれ(ピーリング)が生じること無くTFTなど素子作製工程を無事終了させることが可能である。
【0016】
本明細書で開示する剥離方法に関する発明の構成は、被剥離層を基板から剥離する方法であって、前記基板上に金属層と、該金属層に接する酸化物層と、被剥離層を形成する工程と、前記金属層を酸化させて酸化金属層を形成する工程と、前記酸化物層と前記被剥離層とに支持体を接着した後、前記支持体に接着された被剥離層を前記金属層が設けられた基板から物理的手法により前記酸化された金属酸化物層内または金属酸化物層と酸化物層との界面において剥離する工程と、を有することを特徴とする剥離方法である。
【0017】
上記構成において、前記金属層はTi、Ta、W、Mo、Cr、Nd、Fe、Ni、Co、Zr、Znから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料からなる単層、またはこれらの積層であることを特徴としている。
【0018】
また、上記構成において、前記金属層に接する酸化物層はスパッタ法により形成された酸化珪素膜であることを特徴としている。
【0019】
また、前記被剥離層は、薄膜トランジスタ、シリコンのPIN接合からなる光電変換素子、有機発光素子、液晶を有する素子、メモリー素子、薄膜ダイオード、またはシリコン抵抗素子を含むことを特徴としている。ただし、これら素子の最下層で酸化物層と接する層に、酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化珪素膜、さらにこれらの積層が含まれていても良い。
【0020】
また、上記構成において前記金属膜を酸化させる工程は、レーザー光照射、熱処理、またはレーザー光照射と熱処理との複合処理によっておこなわれることを特徴としている。また、上記構成において、前記レーザー光は、連続発振の固体レーザー、またはパルス発振の固体レーザーから発振されたレーザー光である。代表的には、前記連続発振の固体レーザー、またはパルス発振の固体レーザーとしては、YAGレーザー、YVO4レーザー、YLFレーザー、YAlO3レーザー、ガラスレーザー、ルビーレーザー、アレキサンドライドレーザー、Ti:サファイアレーザーから選ばれた一種または複数種がある。また、他の連続発振のレーザーまたはパルス発振のレーザーとしては、エキシマレーザー、Arレーザー、Krレーザーから選ばれた一種または複数種がある。
【0021】
また、前記レーザー光の照射方向は基板側から金属層に照射しても、被剥離層側から金属層に照射しても、両方から照射しても良い。
【0022】
また、前記レーザー光のビーム形状は真円状でも三角形状、四角形状、多角形状、楕円形状でも直線状でも良く、そのサイズもミクロンからミリ、メートルサイズとどのようなものでも良い(点状でも面状でも良い)。さらに、上記酸化工程において、レーザー光の照射領域は直前に照射された領域と重なり(オーバーラップという)を持っても良いし、オーバーラップしなくても良い。さらに、前記レーザー光の波長は10nm〜1mm、より好ましくは100nm〜10μmのものを用いるのが良い。
【0023】
レーザー光等の光を照射した際に生じる現象は、金属層が光のエネルギーを吸収することで発熱し、その発生した熱エネルギーが酸化物層との界面にて金属酸化物層の形成に寄与すると考えられる。従来技術で紹介した手法(例えば特開平10−125929号公報、特開平10−125930号公報、特開平10−125931号公報)では、非晶質シリコン膜である分離層上に被剥離層である素子を形成した場合、素子作製プロセスで、400℃〜600℃程度(半導体シリコン膜の結晶化、水素化に必要とされる温度)の高温処理を行えば、分離層に含まれる水素が拡散して低減してしまい、後の剥離を行おうとしてレーザー光を分離層に照射処理した場合、充分な剥離が行われない可能性がある。しかし、本発明のレーザー光照射による金属層の酸化処理を行うことで剥離可能とする手法では、それらの心配は全くないため、剥離層形成時の熱的プロセスを制限させることは無い。
【0024】
また、上記構成において、金属層は基板と金属層との間に他の層、例えば絶縁層等を設けても良いが、プロセスを簡略化するためには、基板上に接して金属層を形成することが望ましい。
【0025】
本構成において前記金属層を酸化させる工程でレーザー光などの光を用いる場合、前記被剥離層中に金属層あるいは金属パターンなど、光に対して前記金属層と同程度の吸収を示す物質が存在する場合には、前記光の照射方向を基板側からとすることにより、前記金属層は少なくとも紫外光、可視光、赤外光の波長領域の光に対して吸収は示すが透過率が低いため、前記被剥離層には直接光が照射されること無く損傷を防ぐことが可能となる。
【0026】
また、本構成での前記金属層を酸化させる工程で熱処理を用いる場合は、その熱処理方法に限定は無いが、特にRTA(ラピッド・サーマル・アニール)法を使用すれば、短時間で処理が行え、量産を考えた場合の処理枚数増加にも対応がし易くなる。
【0027】
また、前記金属層が酸化される領域は、基板側に接して金属層を形成した場合は、金属層と金属層上に形成された酸化物層との界面となるが、基板と金属層との間に何らかの層が形成されている場合には、さらに基板と、基板と金属層との間に形成された何らかの層との界面が考えられる。後者の、金属酸化物層が金属層の上下2つの界面に形成されることが予想される場合において、被剥離層を基板から剥離する際に、金属層と前記らかの層との間に形成された金属酸化物層内あるいはその界面で剥離が生じた時は、その後再度、金属層を被剥離層から剥離を行えばよい。
【0028】
本発明の他の作製方法に関する構成は、基板上に絶縁物層と、該絶縁物層に接する金属層と、該金属層に接する酸化物層と、該酸化物層の上方に半導体素子を含む被剥離層を形成する工程と、前記金属層を酸化させることにより、前記絶縁層との間、または前記酸化物層との間、または前記絶縁層との間および前記酸化物層との間の両方に金属酸化物層を形成する工程と、前記被剥離層と支持体とを接着した後、前記支持体に接着された前記被剥離層を基板から物理的手法により前記絶縁層と接した金属酸化物層内または前記絶縁層と接した前記金属酸化物層と前記絶縁層との界面、または前記絶縁層と接した前記金属酸化物層と前記金属層との界面、または前記酸化物層と接した前記金属酸化物層内、または前記酸化物層と接した前記金属酸化物層と前記酸化物層との界面、または前記酸化物層と接した前記金属酸化物層と前記金属層との界面において剥離する工程とを有することを特徴とする半導体装置の作製方法である。
【0029】
上記作製方法に関する各構成において、前記基板はガラス基板または石英基板であり、前記支持体はプラスチック基板、またはプラスチック基材であることを特徴としている。なお、本明細書中、物理的手法とは、化学的にではなく、物理的に認識される手法であり、具体的には力学の法則に還元できる過程を有する力学的手法または機械的手法を指し、何らかの力学的エネルギー(機械的エネルギー)を変化させる手法を指している。但し、上記構成において、物理的手法により被剥離層を剥離する際、支持体との結合力より、酸化物層と金属層との結合力が小さくなるようにすることが必要である。
【0030】
また、上記本発明において、基板は透光性を有することが望ましいが、透光性が無い場合でも、被剥離層側から光照射を行うことが可能であれば問題ない。また、基板側から光照射を行う場合は、前記金属層が吸収を示す領域の光を透過させる基板であればどんな基板であっても良い。
【0031】
なお、本明細書中において記述されている基材とは、被剥離層を例えば接着剤を用いて貼り付け固定され、転写されるものであり、該基材の種類は特に限定されず、プラスチック、ガラス、金属、セラミックス等、いかなる組成のものでもよい。また、本明細書中において、支持体とは、物理的手段により剥離する際に被剥離層と接着するためのものであり、特に限定されず、プラスチック、ガラス、金属、セラミックス等、いかなる組成のものでもよい。
【0032】
また、基材の形状および支持体の形状も特に限定されず、平面を有するもの、曲面を有するもの、可曲性を有するもの、フィルム状のものであってもよい。また、半導体装置の軽量化を最優先するのであれば、基材としてはフィルム状のプラスチック基板、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリイミドなどのプラスチック基板が好ましい。
【0033】
上記半導体装置の作製方法に関する上記構成において、液晶表示装置を作製する場合は、支持体を対向基板とし、シール材を接着材として用いて支持体を被剥離層に接着しても良いし、あるいは液晶素子を駆動するTFTまで作製した後、基材に転写を行い、続いて液晶素子作製工程に移っても良い。前者の場合、前記剥離層に設けられた素子は画素電極を有しており、該画素電極と、前記対向基板との間には液晶材料が充填されるようにする。
【0034】
また、上記半導体装置の作製方法に関する上記構成において、EL素子を有する発光装置に代表される発光装置を作製する場合は、支持体を封止材として用い、外部から水分や酸素といった有機化合物層の劣化を促す物質が侵入することを防ぐように発光素子を外部から完全に遮断することが好ましい。また、軽量化を最優先するのであれば、フィルム状のプラスチック基板が好ましいが、外部から水分や酸素といった有機化合物層の劣化を促す物質が侵入することを防ぐ効果は弱いため、例えば、支持体上に第1の絶縁膜と第2の絶縁膜と第3の絶縁膜とを設けて、十分に外部から水分や酸素といった有機化合物層の劣化を促す物質が侵入することを防ぐ構成とすればよい。
【0035】
また、上記半導体装置の作製方法に関する上記構成において、EL素子を有する発光装置に代表される発光装置を作製する別の場合として、発光装置を駆動するTFTまで作製した後、基材に転写を行い、続いて発光装置作製工程に移っても良い。
【0036】
また、上記半導体装置の作製方法によって得られる本発明の構成は、
絶縁表面を有する基板上の接着剤に接するように金属酸化物層を備え、該金属酸化物層の上方に素子を備えたことを特徴とする半導体装置である。
【0037】
また、上記構成において、前記素子は、薄膜トランジスタ、有機発光素子、液晶を有する素子、メモリー素子、薄膜ダイオード、シリコンのPIN接合からなる光電変換素子、またはシリコン抵抗素子であることを特徴としている。
【0038】
また、上記構成において、前記基板は、平面または曲面を有するプラスチック基板であることを特徴としている。
【0039】
また、上記構成において、前記金属酸化物層はレーザー光照射、熱処理、またはレーザー光照射と熱処理との複合処理によって形成されたものであることを特徴としている。
【0040】
なお、この金属酸化物層は、剥離工程の際に形成されたものである。
【発明の効果】
【0041】
本発明は、金属層に対してレーザー光照射、熱処理、またはレーザー光照射と熱処理との複合処理を行うことで酸化処理を行い、結果として金属酸化物層を形成し、被剥離層を物理的手段によって容易に基板から剥離することが出来るようにするもので、酸化工程においてレーザー照射する際に、半導体層に損傷を与えたくない場合には基板側から金属層にレーザー照射するため直接半導体層に損傷を与えることが無い。
【0042】
また、本発明は、小さな面積を有する被剥離層の剥離だけでなく、大きな面積を有する被剥離層を全面に渡って歩留まりよく剥離することが可能である。
【0043】
加えて、本発明は、物理的手法で容易に剥離、例えば人間の手で引き剥がすことが可能であるため、量産に適したプロセスと言える。また、量産する際に被剥離層を引き剥がすための製造装置を作製した場合、大型の製造装置も安価に作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】は、実施の形態を示す図である。
【図2】は、金属層の光学特性を示す図である。
【図3】は、アクティブマトリクス基板の作製工程を示す図である。(実施例1)
【図4】は、アクティブマトリクス基板の作製工程を示す図である。(実施例1)
【図5】は、アクティブマトリクス基板の作製工程を示す図である。(実施例1)
【図6】は、アクティブマトリクスを基板から剥離する図である。(実施例1)
【図7】は、金属層の酸化処理を行う際の光照射領域を示す図である。(実施例1)
【図8】は、液晶表示装置の断面図を示す図である。(実施例2)
【図9】は、発光装置の上面図または断面図を示す図である。(実施例3)
【図10】は、発光装置の画素部の断面構造を示す図である。(実施例4)
【図11】は、電子機器の一例を示す図である。(実施例5)
【図12】は、電子機器の一例を示す図である。(実施例5)
【発明を実施するための形態】
【0045】
(実施の形態)
本発明の実施形態について、以下に説明する。図1(A)中、10は基板、11は金属層、12は酸化物層、13は被剥離層である。
【0046】
図1(A)において、基板10は前記金属層11に吸収される波長領域の光に対して透過性を示すものであれば何でも良い。
【0047】
まず、図1(A)に示すように基板10上に金属層11を形成する。金属層11として代表的な例はW、Ti、Ta、Mo、Nd、Ni、Co、Zr、Znから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料からなる単層、またはこれらの積層を用いることが出来、その膜厚は10nm〜200nm、好ましくは50nm〜75nmとする。
【0048】
また、スパッタ法では基板を固定することがあるため、基板の周縁部付近の膜厚が不均一になりやすい。そのため、ドライエッチングによって周縁部の金属層のみを除去することが好ましいが、その際、基板もエッチングされないように、基板10と金属層11との間に酸化窒化シリコン膜からなる絶縁膜を100nm程度形成してもよい。
【0049】
次いで、金属層11上に酸化物層12を形成する。酸化物層12として、スパッタ法により、酸化シリコン、または窒化酸化シリコンを金属層と同等以上の膜厚を形成すればよい。例えば10nm〜600nm、望ましくは150〜200nm程度がよい。
【0050】
次いで、酸化物層12上に被剥離層13を形成する。この被剥離層13はTFTを代表とする様々な素子(薄膜ダイオード、シリコンのPIN接合からなる光電変換素子やシリコン抵抗素子や感圧式指紋センサなどのセンサ素子等の半導体装置)を含む層とすれば良い。
【0051】
次いで、被剥離層13を固定する支持体となる第2の基板15を第1の接着材14で貼り付ける。(図1(B))なお、第2の基板15は第1の基板10よりも剛性が高いものの方が望ましい。また、第1の接着材としては一般的な接着材、両面テープ、またはそれらの組合せを用いればよい。
【0052】
次いで、金属層11の酸化処理を行う。具体的には、レーザー光等の光の照射、あるいは熱処理、またはそれらの複合処理を行うことによって金属層11が酸化される。図1(C)では、光照射による酸化工程を示している。前記金属層11の酸化処理によって、金属酸化物層16が形成される。(図1(D))
【0053】
次いで、金属層11が設けられている基板10を物理的手段により引き剥がす。(図1(E))ここでは、被剥離層13の機械的強度が弱く、剥離時に被剥離層13が破壊されてしまう場合を仮定して示しているが、被剥離層13の機械的強度が充分に強く、剥離時に被剥離層13が破壊されない場合は、第1の接着材14と第2の基板15(支持体)は剥離時に不必要となり、省略可能である。図1(F)は被剥離層13が剥離された後の状態を示す。
【0054】
図1(G)は被剥離層13を転写するための基材である第3の基板18を第2の接着材17で貼り付けた状態を示す。第3の基板18の種類は特に限定されず、プラスチック、ガラス、金属、セラミックス等、いかなる組成のものでもよい。また、形状も特に限定されず、平面を有するもの、曲面を有するもの、可曲性を有するもの、フィルム状のものであってもよい。次いで、第1の接着材14を除去または剥離することによって第2の基板15を剥がす。(図1(H))
【0055】
次いで、EL層21を形成し、EL層21を封止材となる第4の基板19を第3の接着材20で封止する。(図1(I))なお、第3の接着材20が有機化合物層の劣化を促す物質(水分や酸素)を十分ブロッキングできる材料であれば特に第4の基板19は必要ではない。ここでは、EL素子を用いた発光装置を作製する例を示したが、EL素子に限定されず、様々な半導体装置を完成させることができる。
【0056】
液晶表示装置を作製する場合は、支持体を対向基板とし、シール材を接着材として用いて支持体を被剥離層に接着すればよい。この場合、被剥離層に設けられた素子は画素電極を有しており、該画素電極と、前記対向基板との間には液晶材料が充填されるようにする。また、液晶表示装置を作製する順序は、特に限定されず、支持体としての対向基板を貼りつけ、液晶を注入した後に基板を剥離して転写体(転写するための基材)としてのプラスチック基板を貼りつけてもよいし、画素電極を形成した後、基板を剥離し、第1の転写体としてのプラスチック基板を貼り付けた後、第2の転写体としての対向基板を貼りつけてもよい。
【0057】
また、同様に発光装置を作製する順序も特に限定されず、発光素子を形成した後、支持体としてのプラスチック基板を貼りつけ、基板を剥離し、基材としてのプラスチック基板を貼りつけてもよいし、発光素子を形成した後、基板を剥離して、第1の転写体としてのプラスチック基板を貼り付けた後、第2の転写体としてのプラスチック基板を貼りつけてもよい。
【0058】
図2に、本発明による金属層(タングステン膜50nm)および酸化物層(スパッタ法による酸化珪素膜200nm)を形成した段階での光学特性の例を示す。尚、この光学特性は、基板としてガラスを用い、このガラス基板側から入射した光の反射率、透過率を測定したものである。また、吸収率は透過率と反射率とをたしたものの1からの差としている。
【0059】
図2(B)から分かるように測定された範囲の波長領域での透過率は6%にも満たない一方、吸収は少なくとも40%程度を越えている(図2(C))。このため基板側から金属層にレーザー光を照射しても、この金属層で光エネルギーを吸収し、透過させないことから、被剥離層に損傷を与えることは無い。
【実施例1】
【0060】
本発明の実施例を図3〜図7を用いて説明する。ここでは、同一基板上に画素部と、画素部の周辺に設ける駆動回路のTFT(nチャネル型TFT及びpチャネル型TFT)を同時に作製する方法について詳細に説明する。なお、ここでは反射型の液晶表示装置を作製するためのアクティブマトリクス基板を作製する例を示すが、特に限定されず、適宜、TFTの配置や画素電極の材料を変更すれば、透過型の液晶表示装置を作製することも、有機化合物を含む発光層を有する発光装置も作製することもできることは言うまでもないことである。基板100としては、ガラス基板(AN100)を用いた。まず、基板上には、PCVD法により酸化窒化シリコン層101を100nmの膜厚で成膜した。
【0061】
次いで、スパッタ法により金属層としてタングステン層102を50nmの膜厚で成膜し、大気解放せず連続的にスパッタ法により酸化物層103aとして酸化シリコン層を200nmの膜厚で成膜した。酸化シリコン層の成膜条件は、RF方式のスパッタ装置を用い、酸化シリコンターゲット(直径30.5cm)を用い、基板を加熱するために加熱したアルゴンガスを流量30sccmとして流し、基板温度300℃、成膜圧力0.4Pa、成膜電力3kW、アルゴン流量/酸素流量=10sccm/30sccmとした。
【0062】
次いで、基板周縁部または端面のタングステン層をドライエッチングによってを除去する。
【0063】
次いでプラズマCVD法で成膜温度300℃、原料ガスSiH4、N2Oから作製される酸化窒化シリコン膜103b(組成比Si=32%、O=59%、N=7%、H=2%)を100nmの厚さに積層形成し、さらに大気解放せず連続的にプラズマCVD法で成膜温度300℃、成膜ガスSiH4で非晶質構造を有する半導体層(ここでは非晶質シリコン層)を54nmの厚さで形成した。
【0064】
次いで、重量換算で10ppmのニッケルを含む酢酸ニッケル塩溶液をスピナーで塗布する。塗布に代えてスパッタ法でニッケル元素を全面に散布する方法を用いてもよい。次いで、加熱処理を行い結晶化させて結晶構造を有する半導体膜(ここではポリシリコン層)を形成する。ここでは脱水素化のための熱処理(500℃、1時間)の後、結晶化のための熱処理(550℃、4時間)を行って結晶構造を有するシリコン膜を得る。なお、ここではシリコンの結晶化を助長する金属元素としてニッケルを用いた結晶化技術を用いたが、他の公知の結晶化技術、例えば固相成長法やレーザー結晶化法を用いてもよい。
【0065】
次いで、結晶構造を有するシリコン膜表面の酸化膜を希フッ酸等で除去した後、結晶化率を高め、結晶粒内に残される欠陥を補修するためのレーザー光(XeCl:波長308nm)の照射を大気中、または酸素雰囲気中で行う。レーザー光には波長400nm以下のエキシマレーザー光や、YAGレーザーの第2高調波、第3高調波を用いる。ここでは、繰り返し周波数10〜1000Hz程度のパルスレーザー光を用い、当該レーザー光を光学系にて100〜500mJ/cm2に集光し、90〜95%のオーバーラップ率をもって照射し、シリコン膜表面を走査させればよい。ここでは、繰り返し周波数30Hz、エネルギー密度470mJ/cm2でレーザー光の照射を大気中で行なった。なお、大気中、または酸素雰囲気中で行うため、レーザー光の照射により表面に酸化膜が形成される。なお、ここではパルスレーザーを用いた例を示したが、連続発振のレーザーを用いてもよく、非晶質半導体膜の結晶化に際し、大粒径に結晶を得るためには、連続発振が可能な固体レーザーを用い、基本波の第2高調波〜第4高調波を適用するのが好ましい。代表的には、Nd:YVO4レーザー(基本波1064nm)の第2高調波(532nm)や第3高調波(355nm)を適用すればよい。連続発振のレーザーを用いる場合には、出力10Wの連続発振のYVO4レーザから射出されたレーザー光を非線形光学素子により高調波に変換する。また、共振器の中にYVO4結晶と非線形光学素子を入れて、高調波を射出する方法もある。そして、好ましくは光学系により照射面にて矩形状または楕円形状のレーザー光に成形して、被処理体に照射する。このときのエネルギー密度は0.01〜100MW/cm2程度(好ましくは0.1〜10MW/cm2)が必要である。そして、10〜2000cm/s程度の速度でレーザー光に対して相対的に被剥離層を含む半導体膜を移動させて照射すればよい。なお、このレーザー光を照射する際は、基板側ではなく、シリコン膜面側から照射する。
【0066】
次いで、上記レーザー光の照射により形成された酸化膜に加え、オゾン水で表面を120秒処理して合計1〜5nmの酸化膜からなるバリア層を形成する。本実施例ではオゾン水を用いてバリア層を形成したが、酸素雰囲気下の紫外線の照射で結晶構造を有する半導体膜の表面を酸化する方法や酸素プラズマ処理により結晶構造を有する半導体膜の表面を酸化する方法やプラズマCVD法やスパッタ法や蒸着法などで1〜10nm程度の酸化膜を堆積してバリア層を形成してもよい。また、バリア層を形成する前にレーザー光の照射により形成された酸化膜を除去してもよい。
【0067】
次いで、バリア層上にスパッタ法にてゲッタリングサイトとなるアルゴン元素を含む非晶質シリコン膜を10nm〜400nm、ここでは膜厚100nmで成膜する。本実施例では、アルゴン元素を含む非晶質シリコン膜は、シリコンターゲットを用いてアルゴンを含む雰囲気下で形成する。プラズマCVD法を用いてアルゴン元素を含む非晶質シリコン膜を形成する場合、成膜条件は、モノシランとアルゴンの流量比(SiH4:Ar)を1:99とし、成膜圧力を6.665Pa(0.05Torr)とし、RFパワー密度を0.087W/cm2とし、成膜温度を350℃とする。その後、650℃に加熱された炉に入れて3分の熱処理を行いゲッタリングして、結晶構造を有する半導体膜中のニッケル濃度を低減する。炉に代えてランプアニール装置を用いてもよい。
【0068】
次いで、バリア層をエッチングストッパーとして、ゲッタリングサイトであるアルゴン元素を含む非晶質シリコン膜を選択的に除去した後、バリア層を希フッ酸で選択的に除去する。なお、ゲッタリングの際、ニッケルは酸素濃度の高い領域に移動しやすい傾向があるため、酸化膜からなるバリア層をゲッタリング後に除去することが望ましい。
【0069】
次いで、得られた結晶構造を有するシリコン膜(ポリシリコン膜とも呼ばれる)の表面にオゾン水で薄い酸化膜を形成した後、レジストからなるマスクを形成し、所望の形状にエッチング処理して島状に分離された半導体層を形成する。半導体層を形成した後、レジストからなるマスクを除去する。
【0070】
以上の工程で基板100上に金属層102、酸化物層103a、下地絶縁膜103bを形成し、結晶構造を有する半導体膜を得た後、所望の形状にエッチング処理して島状に分離された半導体層104〜108を形成することができる。
【0071】
次いで、フッ酸を含むエッチャントで酸化膜を除去すると同時にシリコン膜の表面を洗浄した後、ゲート絶縁膜109となる珪素を主成分とする絶縁膜を形成する。本実施例では、プラズマCVD法により115nmの厚さで酸化窒化シリコン膜(組成比Si=32%、O=59%、N=7%、H=2%)で形成する。
【0072】
次いで、図3(A)に示すように、ゲート絶縁膜109上に膜厚20〜100nmの第1の導電膜110aと、膜厚100〜400nmの第2の導電膜110bとを積層形成する。本実施例では、ゲート絶縁膜109上に膜厚50nmの窒化タンタル膜、膜厚370nmのタングステン膜を順次積層する。
【0073】
第1の導電膜及び第2の導電膜を形成する導電性材料としてはTa、W、Ti、Mo、Al、Cuから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料で形成する。また、第1の導電膜及び第2の導電膜としてリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜や、AgPdCu合金を用いてもよい。また、2層構造に限定されず、例えば、膜厚50nmのタングステン膜、膜厚500nmのアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜、膜厚30nmの窒化チタン膜を順次積層した3層構造としてもよい。また、3層構造とする場合、第1の導電膜のタングステンに代えて窒化タングステンを用いてもよいし、第2の導電膜のアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜に代えてアルミニウムとチタンの合金膜(Al−Ti)を用いてもよいし、第3の導電膜の窒化チタン膜に代えてチタン膜を用いてもよい。また、単層構造であってもよい。
【0074】
次に、図3(B)に示すように光露光工程によりレジストからなるマスク112〜117を形成し、ゲート電極及び配線を形成するための第1のエッチング処理を行う。第1のエッチング処理では第1及び第2のエッチング条件で行う。エッチングにはICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用いると良い。ICPエッチング法を用い、エッチング条件(コイル型の電極に印加される電力量、基板側の電極に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節することによって所望のテーパー形状に膜をエッチングすることができる。なお、エッチング用ガスとしては、Cl2、BCl3、SiCl4、CCl4などを代表とする塩素系ガスまたはCF4、SF6、NF3などを代表とするフッ素系ガス、またはO2を適宜用いることができる。
【0075】
本実施例では、基板側(試料ステージ)にも150WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。なお、基板側の電極面積サイズは、12.5cm×12.5cmであり、コイル型の電極面積サイズ(ここではコイルの設けられた石英円板)は、直径25cmの円板である。この第1のエッチング条件によりW膜をエッチングして第1の導電層の端部をテーパー形状とする。第1のエッチング条件でのWに対するエッチング速度は200.39nm/min、TaNに対するエッチング速度は80.32nm/minであり、TaNに対するWの選択比は約2.5である。また、この第1のエッチング条件によって、Wのテーパー角は、約26°となる。この後、レジストからなるマスク112〜117を除去せずに第2のエッチング条件に変え、エッチング用ガスにCF4とCl2とを用い、それぞれのガス流量比を30/30(sccm)とし、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成して約30秒程度のエッチングを行った。基板側(試料ステージ)にも20WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。CF4とCl2を混合した第2のエッチング条件ではW膜及びTaN膜とも同程度にエッチングされる。第2のエッチング条件でのWに対するエッチング速度は58.97nm/min、TaNに対するエッチング速度は66.43nm/minである。なお、ゲート絶縁膜上に残渣を残すことなくエッチングするためには、10〜20%程度の割合でエッチング時間を増加させると良い。
【0076】
上記第1のエッチング処理では、レジストからなるマスクの形状を適したものとすることにより、基板側に印加するバイアス電圧の効果により第1の導電層及び第2の導電層の端部がテーパー形状となる。このテーパー部の角度は15〜45°とすればよい。
【0077】
こうして、第1のエッチング処理により第1の導電層と第2の導電層から成る第1の形状の導電層119〜124(第1の導電層119a〜124aと第2の導電層119b〜124b)を形成する。ゲート絶縁膜となる絶縁膜109は、10〜20nm程度エッチングされ、第1の形状の導電層119〜124で覆われない領域が薄くなったゲート絶縁膜118となる。
【0078】
次いで、レジストからなるマスクを除去せずに第2のエッチング処理を行う。ここでは、エッチング用ガスにSF6とCl2とO2とを用い、それぞれのガス流量比を24/12/24(sccm)とし、1.3Paの圧力でコイル型の電極に700WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成してエッチングを25秒行った。基板側(試料ステージ)にも10WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。第2のエッチング処理でのWに対するエッチング速度は227.3nm/min、TaNに対するエッチング速度は32.1nm/minであり、TaNに対するWの選択比は7.1であり、絶縁膜118であるSiONに対するエッチング速度は33.7nm/minであり、SiONに対するWの選択比は6.83である。このようにエッチングガス用ガスにSF6を用いた場合、絶縁膜118との選択比が高いので膜減りを抑えることができる。本実施例では絶縁膜118において約8nmしか膜減りが起きない。
【0079】
この第2のエッチング処理によりWのテーパー角は70°となった。この第2のエッチング処理により第2の導電層126b〜131bを形成する。一方、第1の導電層は、ほとんどエッチングされず、第1の導電層126a〜131aとなる。なお、第1の導電層126a〜131aは、第1の導電層119a〜124aとほぼ同一サイズである。実際には、第1の導電層の幅は、第2のエッチング処理前に比べて約0.3μm程度、即ち線幅全体で0.6μm程度後退する場合もあるがほとんどサイズに変化がない。
【0080】
また、2層構造に代えて、膜厚50nmのタングステン膜、膜厚500nmのアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜、膜厚30nmの窒化チタン膜を順次積層した3層構造とした場合、第1のエッチング処理の第1のエッチング条件としては、BCl3とCl2とO2とを原料ガスに用い、それぞれのガス流量比を65/10/5(sccm)とし、基板側(試料ステージ)に300WのRF(13.56MHz)電力を投入し、1.2Paの圧力でコイル型の電極に450WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成して117秒のエッチングを行えばよく、第1のエッチング処理の第2のエッチング条件としては、CF4とCl2とO2とを用い、それぞれのガス流量比を25/25/10(sccm)とし、基板側(試料ステージ)にも20WのRF(13.56MHz)電力を投入し、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成して約30秒程度のエッチングを行えばよく、第2のエッチング処理としてはBCl3とCl2を用い、それぞれのガス流量比を20/60(sccm)とし、基板側(試料ステージ)には100WのRF(13.56MHz)電力を投入し、1.2Paの圧力でコイル型の電極に600WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成してエッチングを行えばよい。
【0081】
次いで、レジストからなるマスクを除去した後、第1のドーピング処理を行って図3(D)の状態を得る。ドーピング処理はイオンドープ法、もしくはイオン注入法で行えば良い。イオンドープ法の条件はドーズ量を1.5×1014atoms/cm2とし、加速電圧を60〜100kVとして行う。n型を付与する不純物元素として、典型的にはリン(P)または砒素(As)を用いる。この場合、第1の導電層及び第2の導電層126〜130がn型を付与する不純物元素に対するマスクとなり、自己整合的に第1の不純物領域132〜136が形成される。第1の不純物領域132〜136には1×1016〜1×1017/cm3の濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加する。ここでは、第1の不純物領域と同じ濃度範囲の領域をn−−領域とも呼ぶ。
【0082】
なお、本実施例ではレジストからなるマスクを除去した後、第1のドーピング処理を行ったが、レジストからなるマスクを除去せずに第1のドーピング処理を行ってもよい。
【0083】
次いで、図4(A)に示すようにレジストからなるマスク137〜139を形成し第2のドーピング処理を行う。マスク137は駆動回路のpチャネル型TFTを形成する半導体層のチャネル形成領域及びその周辺の領域を保護するマスクであり、マスク138は駆動回路のnチャネル型TFTの一つを形成する半導体層のチャネル形成領域及びその周辺の領域を保護するマスクであり、マスク139は画素部のTFTを形成する半導体層のチャネル形成領域及びその周辺の領域と保持容量となる領域とを保護するマスクである。
【0084】
第2のドーピング処理におけるイオンドープ法の条件はドーズ量を1.5×1015atoms/cm2とし、加速電圧を60〜100kVとしてリン(P)をドーピングする。ここでは、第2の導電層126b〜128bをマスクとして各半導体層に不純物領域が自己整合的に形成される。勿論、マスク137〜139で覆われた領域には添加されない。こうして、第2の不純物領域140〜142と、第3の不純物領域144が形成される。第2の不純物領域140〜142には1×1020〜1×1021/cm3の濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加されている。ここでは、第2の不純物領域と同じ濃度範囲の領域をn+領域とも呼ぶ。
【0085】
また、第3の不純物領域は第1の導電層により第2の不純物領域よりも低濃度に形成され、1×1018〜1×1019/cm3の濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加されることになる。なお、第3の不純物領域は、テーパー形状である第1の導電層の部分を通過させてドーピングを行うため、テーパ−部の端部に向かって不純物濃度が増加する濃度勾配を有している。ここでは、第3の不純物領域と同じ濃度範囲の領域をn−領域とも呼ぶ。また、マスク138、139で覆われた領域は、第2のドーピング処理で不純物元素が添加されず、第1の不純物領域146、147となる。
【0086】
次いで、レジストからなるマスク137〜139を除去した後、新たにレジストからなるマスク148〜150を形成して図4(B)に示すように第3のドーピング処理を行う。
【0087】
駆動回路において、上記第3のドーピング処理により、pチャネル型TFTを形成する半導体層および保持容量を形成する半導体層にp型の導電型を付与する不純物元素が添加された第4の不純物領域151、152及び第5の不純物領域153、154を形成する。また、第4の不純物領域151、152には1×1020〜1×1021/cm3の濃度範囲でp型を付与する不純物元素が添加されるようにする。尚、第4の不純物領域151、152には先の工程でリン(P)が添加された領域(n−−領域)であるが、p型を付与する不純物元素の濃度がその1.5〜3倍添加されていて導電型はp型となっている。ここでは、第4の不純物領域と同じ濃度範囲の領域をp+領域とも呼ぶ。
【0088】
また、第5の不純物領域153、154は第2の導電層127aのテーパー部と重なる領域に形成されるものであり、1×1018〜1×1020/cm3の濃度範囲でp型を付与する不純物元素が添加されるようにする。ここでは、第5の不純物領域と同じ濃度範囲の領域をp−領域とも呼ぶ。
【0089】
以上までの工程でそれぞれの半導体層にn型またはp型の導電型を有する不純物領域が形成される。導電層126〜129はTFTのゲート電極となる。また、導電層130は画素部において保持容量を形成する一方の電極となる。さらに、導電層131は画素部においてソース配線を形成する。
【0090】
次いで、ほぼ全面を覆う絶縁膜(図示しない)を形成する。本実施例では、プラズマCVD法により膜厚50nmの酸化シリコン膜を形成した。勿論、この絶縁膜は酸化シリコン膜に限定されるものでなく、他のシリコンを含む絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。
【0091】
次いで、それぞれの半導体層に添加された不純物元素を活性化処理する工程を行う。この活性化工程は、ランプ光源を用いたラピッド・サーマル・アニール法(RTA法)、或いはYAGレーザーまたはエキシマレーザーを裏面から照射する方法、或いは炉を用いた熱処理、或いはこれらの方法のうち、いずれかと組み合わせた方法によって行う。
【0092】
また、本実施例では、上記活性化の前に絶縁膜を形成した例を示したが、上記活性化を行った後、絶縁膜を形成する工程としてもよい。
【0093】
次いで、窒化シリコン膜からなる第1の層間絶縁膜155を形成して熱処理(300〜550℃で1〜12時間の熱処理)を行い、半導体層を水素化する工程を行う。(図4(C))この工程は第1の層間絶縁膜155に含まれる水素により半導体層のダングリングボンドを終端する工程である。酸化シリコン膜からなる絶縁膜(図示しない)の存在に関係なく半導体層を水素化することができる。ただし、本実施例では、第2の導電層としてアルミニウムを主成分とする材料を用いているので、水素化する工程において第2の導電層が耐え得る熱処理条件とすることが重要である。水素化の他の手段として、プラズマ水素化(プラズマにより励起された水素を用いる)を行っても良い。
【0094】
次いで、第1の層間絶縁膜155上に有機絶縁物材料から成る第2の層間絶縁膜156を形成する。本実施例では膜厚1.6μmのアクリル樹脂膜を形成する。次いで、ソース配線131に達するコンタクトホールと、導電層129、130に達するコンタクトホールと、各不純物領域に達するコンタクトホールを形成する。本実施例では複数のエッチング処理を順次行う。本実施例では第1の層間絶縁膜をエッチングストッパーとして第2の層間絶縁膜をエッチングした後、絶縁膜(図示しない)をエッチングストッパーとして第1の層間絶縁膜をエッチングしてから絶縁膜(図示しない)をエッチングした。
【0095】
その後、Al、Ti、Mo、Wなどを用いて配線及び画素電極を形成する。これらの電極及び画素電極の材料は、AlまたはAgを主成分とする膜、またはそれらの積層膜等の反射性の優れた材料を用いることが望ましい。こうして、ソース電極またはドレイン電極157〜162、ゲート配線164、接続配線163、画素電極165が形成される。
【0096】
以上の様にして、nチャネル型TFT201、pチャネル型TFT202、nチャネル型TFT203を有する駆動回路206と、nチャネル型TFTからなる画素TFT204、保持容量205とを有する画素部207を同一基板上に形成することができる。(図5)本明細書中ではこのような基板を便宜上アクティブマトリクス基板と呼ぶ。
【0097】
画素部207において、画素TFT204(nチャネル型TFT)にはチャネル形成領域169、ゲート電極を形成する導電層129の外側に形成される第1の不純物領域(n−−領域)147と、ソース領域またはドレイン領域として機能する第2の不純物領域(n+領域)142、171を有している。また、保持容量205の一方の電極として機能する半導体層には第4の不純物領域152、第5の不純物領域154が形成されている。保持容量205は、絶縁膜(ゲート絶縁膜と同一膜)118を誘電体として、第2の電極130と、半導体層152、154、170とで形成されている。
【0098】
また、駆動回路206において、nチャネル型TFT201(第1のnチャネル型TFT)はチャネル形成領域166、ゲート電極を形成する導電層126の一部と絶縁膜を介して重なる第3の不純物領域(n−領域)144とソース領域またはドレイン領域として機能する第2の不純物領域(n+領域)140を有している。
【0099】
また、駆動回路206において、pチャネル型TFT202にはチャネル形成領域167、ゲート電極を形成する導電層127の一部と絶縁膜を介して重なる第5不純物領域(p−領域)153とソース領域またはドレイン領域として機能する第4の不純物領域(p+領域)151を有している。
【0100】
また、駆動回路206において、nチャネル型TFT203(第2のnチャネル型TFT)にはチャネル形成領域168、ゲート電極を形成する導電層128の外側に第1の不純物領域(n−−領域)146とソース領域またはドレイン領域として機能する第2の不純物領域(n+領域)141を有している。
【0101】
これらのTFT201〜203を適宜組み合わせてシフトレジスタ回路、バッファ回路、レベルシフタ回路、ラッチ回路などを形成し、駆動回路206を形成すればよい。例えば、CMOS回路を形成する場合には、nチャネル型TFT201とpチャネル型TFT202を相補的に接続して形成すればよい。特に、駆動電圧が高いバッファ回路には、ホットキャリア効果による劣化を防ぐ目的から、nチャネル型TFT203の構造が適している。
【0102】
また、信頼性が最優先とされる回路には、GOLD構造であるnチャネル型TFT201の構造が適している。
【0103】
また、半導体膜表面の平坦化を向上させることによって信頼性を向上させることができるので、GOLD構造のTFTにおいて、ゲート電極とゲート絶縁膜を介して重なる不純物領域の面積を縮小しても十分な信頼性を得ることができる。具体的にはGOLD構造のTFTにおいてゲート電極のテーパー部となる部分サイズを小さくしても十分な信頼性を得ることができる。
【0104】
また、GOLD構造のTFTにおいてはゲート絶縁膜が薄くなると寄生容量が増加するが、ゲート電極(第1導電層)のテーパー部となる部分サイズを小さくして寄生容量を低減すれば、f特性(周波数特性)も向上してさらなる高速動作が可能となり、且つ、十分な信頼性を有するTFTとなる。
【0105】
なお、画素部207の画素TFTにおいても、第2のレーザー光の照射によりオフ電流の低減、およびバラツキの低減が実現される。
【0106】
また、本実施例では反射型の表示装置を形成するためのアクティブマトリクス基板を作製する例を示したが、画素電極を透明導電膜で形成すると、フォトマスクは1枚増えるものの、透過型の表示装置を形成することができる。
【0107】
これら表示装置を作成した後、基板側から連続光あるいはパルス状のレーザー光で金属層102を照射し、発熱させることで酸化処理を行い、金属層102と酸化物層103aとの間に金属酸化物層190が形成され(図6(A))、被剥離層が基板から剥離可能となる(図6(B))。この時照射したレーザー光はNd:YAGレーザー(基本波1064nm)を出力40Wで使用したが、波長範囲については図2に示す様にどの領域のレーザー光を使用しても構わない。また、レーザー光を照射するタイミングは、表示装置作成後に限らず被剥離層を剥離したい段階で照射すれば良い。さらに、レーザー光のビーム形状は、今回は線状の連続光を使用したが、これに限らず真円状、楕円形状、三角形状、四角形状、多角形状とどれでも良く、点状、面状どのようなものでも良い。さらに、今回はレーザー光照射によって金属層の酸化工程処理を行ったが、熱処理を用いた酸化処理でも構わない。
【0108】
また、図6(A)の状態を得た後、酸化物層103a上に設けたTFTを含む層(被剥離層)の機械的強度が十分であれば、基板100を引き剥がしてもよい。本実施例は、被剥離層の機械的強度が不十分であるので、被剥離層を固定する支持体(図示しない)を貼りつけた後、レーザー照射、剥離することが好ましい。
【0109】
光を用いた金属層の酸化処理を行う際は、図7に示す様に、基板900上の表示装置901(画素部902、ゲートドライバー部903、ソースドライバー部904、FPC端子部905を含む)を含む領域906にレーザー光を照射すればよい。
【実施例2】
【0110】
実施例1では画素電極が反射性を有する金属材料で形成された反射型の表示装置の例を示したが、本実施例では画素電極を透光性を有する導電膜で形成した透過型の表示装置の例を図8に示す。
【0111】
層間絶縁膜を形成する工程までは実施例1と同じであるので、ここでは省略する。実施例1に従って層間絶縁膜を形成した後、透光性を有する導電膜からなる画素電極601を形成する。透光性を有する導電膜としては、ITO(酸化インジウム酸化スズ合金)、酸化インジウム酸化亜鉛合金(In2O3―ZnO)、酸化亜鉛(ZnO)等を用いればよい。その後、層間絶縁膜600にコンタクトホールを形成する。次いで、画素電極と重なる接続電極602を形成する。この接続電極602は、コンタクトホールを通じてドレイン領域と接続されている。また、この接続電極と同時に他のTFTのソース電極またはドレイン電極も形成する。
【0112】
また、ここでは全ての駆動回路を基板上に形成した例を示したが、駆動回路の一部に数個のICを用いてもよい。
【0113】
以上のようにしてアクティブマトリクス基板が形成される。このアクティブマトリクス基板を用い、TFTを剥離した後、基材(プラスチック基板)を貼り合わせて液晶モジュールを作製し、バックライト606、導光板605を設け、カバー606で覆えば、図8にその断面図の一部を示したようなアクティブマトリクス型液晶表示装置が完成する。なお、カバーと液晶モジュールは接着剤や有機樹脂を用いて貼り合わせる。また、プラスチック基板と対向基板を貼り合わせる際、枠で囲んで有機樹脂を枠と基板との間に充填して接着してもよい。また、透過型であるので偏光板603は、プラスチック基板と対向基板の両方に貼り付ける。
【実施例3】
【0114】
本実施例では、プラスチック基板上に形成された有機化合物を含む発光層を有する発光素子を備えた発光装置を作製する例を図9に示す。
【0115】
なお、図9(A)は、発光装置を示す上面図、図9(B)は図9(A)をA−A’で切断した断面図である。点線で示された1101はソース信号線駆動回路、1102は画素部、1103はゲート信号線駆動回路である。また、1104は封止基板、1105はシール剤であり、第1のシール剤1105で囲まれた内側は、透明な第2のシール材1107で充填されている。
【0116】
なお、1108はソース信号線駆動回路1101及びゲート信号線駆動回路1103に入力される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリントサーキット)1109からビデオ信号やクロック信号を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基盤(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
【0117】
次に、断面構造について図9(B)を用いて説明する。基板1110上には駆動回路及び画素部が形成されているが、ここでは、駆動回路としてソース信号線駆動回路1101と画素部1102が示されている。なお、実施の形態または実施例1に説明した剥離法を用いることによって、基板1110が接着層1100で下地膜と貼り合せてある。
【0118】
なお、ソース信号線駆動回路1101はnチャネル型TFT1123とpチャネル型TFT1124とを組み合わせたCMOS回路が形成される。また、駆動回路を形成するTFTは、公知のCMOS回路、PMOS回路もしくはNMOS回路で形成しても良い。また、本実施例では、基板上に駆動回路を形成したドライバー一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、基板上ではなく外部に形成することもできる。
【0119】
また、画素部1102はスイッチング用TFT1111と、電流制御用TFT1112とそのドレインに電気的に接続された第1の電極(陽極)1113を含む複数の画素により形成される。なお、ここでは一つの画素に2つのTFTを用いた例を示したが、3つ、またはそれ以上のTFTを適宜、用いてもよい。
【0120】
ここでは第1の電極1113がTFTのドレインと直接接している構成となっているため、第1の電極1113の最下層としてシリコンからなるドレインとオーミックコンタクトのとれる材料層を用い、有機化合物を含む層と接する表面に仕事関数の大きい材料層を用いることが望ましい。例えば、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チタン膜との3層構造とすると、配線としての抵抗も低く、且つ、良好なオーミックコンタクトがとれ、且つ、陽極として機能させることができる。また、第1の電極1113は、窒化チタン膜の単層としてもよいし、2層以上の積層を用いてもよい。
【0121】
また、第1の電極(陽極)1113の両端には絶縁物(バンク、隔壁、障壁、土手などと呼ばれる)1114が形成される。絶縁物1114は有機樹脂膜もしくは珪素を含む絶縁膜で形成すれば良い。ここでは、絶縁物1114として、ポジ型の感光性アクリル樹脂膜を用いて図9に示す形状の絶縁物を形成する。
【0122】
カバレッジを良好なものとするため、絶縁物1114の上端部または下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにすることが好ましい。例えば、絶縁物1114の材料としてポジ型の感光性アクリルを用いた場合、絶縁物1114の上端部のみに曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせることが好ましい。また、絶縁物1114として、感光性の光によってエッチャントに不溶解性となるネガ型、或いは光によってエッチャントに溶解性となるポジ型のいずれも使用することができる。
【0123】
また、絶縁物1114を窒化アルミニウム膜、窒化酸化アルミニウム膜、または窒化珪素膜からなる保護膜で覆ってもよい。この保護膜はスパッタ法(DC方式やRF方式)により得られる窒化珪素または窒化酸化珪素を主成分とする絶縁膜、または炭素を主成分とする薄膜でもよい。シリコンターゲットを用い、窒素とアルゴンを含む雰囲気で形成すれば、窒化珪素膜が得られる。また、窒化シリコンターゲットを用いてもよい。また、保護膜は、リモートプラズマを用いた成膜装置を用いて形成してもよい。また、保護膜に発光を通過させるため、保護膜の膜厚は、可能な限り薄くすることが好ましい。
【0124】
また、第1の電極(陽極)1113上には、蒸着マスクを用いた蒸着法、またはインクジェット法によって有機化合物を含む層1115を選択的に形成する。さらに、有機化合物を含む層1115上には第2の電極(陰極)1116が形成される。これにより、第1の電極(陽極)1113、有機化合物を含む層1115、及び第2の電極(陰極)1116からなる発光素子1118が形成される。ここでは発光素子1118は白色発光とする例であるので着色層1131と遮光層(BM)1132からなるカラーフィルター(簡略化のため、ここではオーバーコート層は図示しない)が設けている。
【0125】
また、R、G、Bの発光が得られる有機化合物を含む層をそれぞれ選択的に形成すれば、カラーフィルターを用いなくともフルカラーの表示を得ることができる。
【0126】
また、発光素子1118を封止するために第1シール材1105、第2シール材1107により封止基板1104を貼り合わせる。なお、第1シール材1105、第2シール材1107としてはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、第1シール材1105、第2シール材1107はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。
【0127】
また、本実施例では封止基板1104を構成する材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、マイラー、ポリエステルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。また、第1シール材1105、第2シール材1107を用いて封止基板1104を接着した後、さらに側面(露呈面)を覆うように第3のシール材で封止することも可能である。
【0128】
以上のようにして発光素子を第1シール材1105、第2シール材1107に封入することにより、発光素子を外部から完全に遮断することができ、外部から水分や酸素といった有機化合物層の劣化を促す物質が侵入することを防ぐことができる。従って、信頼性の高い発光装置を得ることができる。
【0129】
また、第1の電極1113として透明導電膜を用いれば両面発光型の発光装置を作製することができる。
【0130】
また、本実施例では陽極上に有機化合物を含む層を形成し、有機化合物を含む層上に透明電極である陰極を形成するという構造(以下、上面出射構造とよぶ)とした例を示したが、陽極上に有機化合物層が形成され、有機化合物層上に陰極が形成される発光素子を有し、有機化合物層において生じた光を透明電極である陽極からTFTの方へ取り出す(以下、下面出射構造とよぶ)という構造としてもよい。
【0131】
また、本実施例は実施の形態、または実施例1と自由に組み合わせることができる。
【実施例4】
【0132】
実施例3では、プラスチック基板上に形成された有機化合物を含む発光層を有する発光素子を備えた発光装置を作製する例を示したが、本実施例では、その1つの画素の断面構造、特に発光素子およびTFTの接続、画素間に配置する隔壁の形状についてさらに細かく説明する。
【0133】
図10(A)中、40は基板、41は隔壁(土手とも呼ばれる)、42は絶縁膜、43は第1の電極(陽極)、44は有機化合物を含む層、45は第2の電極(陰極)46はTFTである。
【0134】
TFT46において、46aはチャネル形成領域、46b、46cはソース領域またはドレイン領域、46dはゲート電極、46e、46fはソース電極またはドレイン電極である。ここではトップゲート型TFTを示しているが、特に限定されず、逆スタガ型TFTであってもよいし、順スタガ型TFTであってもよい。なお、46fは第1の電極43と一部接して重なることによりTFT46とを接続する電極である。
【0135】
また、図10(A)とは一部異なる断面構造を図10(B)に示す。
【0136】
図10(B)においては、第1の電極と電極との重なり方が図10(A)の構造と異なっており、第1の電極をパターニングした後、電極を一部重なるように形成することでTFTと接続させている。
【0137】
また、図10(A)とは一部異なる断面構造を図10(C)に示す。
【0138】
図10(C)においては、層間絶縁膜がさらに1層設けられており、第1の電極がコンタクトホールを介してTFTの電極と接続されている。また、隔壁41の断面形状としては、図10(D)に示すようにテーパー形状としてもよい。フォトリソグラフィ法を用いてレジストを露光した後、非感光性の有機樹脂や無機絶縁膜をエッチングすることによって得られる。また、ポジ型の感光性有機樹脂を用いれば、図10(E)に示すような形状、上端部に曲面を有する形状とすることができる。また、ネガ型の感光性樹脂を用いれば、図10(F)に示すような形状、上端部および下端部に曲面を有する形状とすることができる。
【実施例5】
【0139】
本発明を実施して様々なモジュール(アクティブマトリクス型液晶モジュール、アクティブマトリクス型ELモジュール、アクティブマトリクス型ECモジュール)を完成させることができる。即ち、本発明を実施することによって、それらを組み込んだ全ての電子機器が完成される。
【0140】
その様な電子機器としては、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ヘッドマウントディスプレイ(ゴーグル型ディスプレイ)、カーナビゲーション、プロジェクタ、カーステレオ、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話または電子書籍等)などが挙げられる。それらの一例を図11、図12に示す。
【0141】
図11(A)はパーソナルコンピュータであり、本体2001、画像入力部2002、表示部2003、キーボード2004等を含む。図11(B)はビデオカメラであり、本体2101、表示部2102、音声入力部2103、操作スイッチ2104、バッテリー2105、受像部2106等を含む。図11(C)はモバイルコンピュータ(モービルコンピュータ)であり、本体2201、カメラ部2202、受像部2203、操作スイッチ2204、表示部2205等を含む。図11(D)はプログラムを記録した記録媒体(以下、記録媒体と呼ぶ)を用いるプレーヤーであり、本体2401、表示部2402、スピーカ部2403、記録媒体2404、操作スイッチ2405等を含む。なお、このプレーヤーは記録媒体としてDVD(Digtial Versatile Disc)、CD等を用い、音楽鑑賞や映画鑑賞やゲームやインターネットを行うことができる。図11(E)はデジタルカメラであり、本体2501、表示部2502、接眼部2503、操作スイッチ2504、受像部(図示しない)等を含む。
【0142】
図12(A)は携帯電話であり、本体2901、音声出力部2902、音声入力部2903、表示部2904、操作スイッチ2905、アンテナ2906、画像入力部(CCD、イメージセンサ等)2907等を含む。図12(B)は携帯書籍(電子書籍)であり、本体3001、表示部3002、3003、記憶媒体3004、操作スイッチ3005、アンテナ3006等を含む。図12(C)はディスプレイであり、本体3101、支持台3102、表示部3103等を含む。ちなみに図12(C)に示すディスプレイは中小型または大型のもの、例えば5〜20インチの画面サイズのものである。また、このようなサイズの表示部を形成するためには、基板の一辺が1mのものを用い、多面取りを行って量産することが好ましい。
【0143】
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器の作製方法に適用することが可能である。また、本実施例の電子機器は実施の形態、実施例1〜3のどのような組み合わせからなる構成を用いても実現することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に金属層と、前記金属層に接する酸化物層と、を形成し、
前記金属層の一部を除去し、
前記酸化物層の上方に半導体素子を含む被剥離層を形成し、
前記金属層を酸化させることで前記酸化物層との間に金属酸化物層を形成し、
前記被剥離層と支持体とを接着した後、前記支持体に接着された前記被剥離層を前記基板から物理的手法により前記金属層と前記酸化物層の間において剥離することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項2】
基板上に金属層と、前記金属層に接する酸化物層と、を形成し、
前記金属層の一部を除去し、
前記酸化物層の上方に半導体素子を含む被剥離層を形成し、
前記金属層を酸化させることで前記酸化物層との間に金属酸化物層を形成し、
前記被剥離層と支持体とを接着した後、前記支持体に接着された前記被剥離層を前記基板から物理的手法により前記金属酸化物層内または前記金属酸化物層と前記酸化物層との界面、または前記金属酸化物層と前記金属層との界面において剥離することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項3】
基板上に絶縁物層と、前記絶縁物層に接する金属層と、を形成し、
前記金属層の一部を除去し、
前記金属層に接する酸化物層と、前記酸化物層の上方に半導体素子を含む被剥離層を形成し、
前記金属層を酸化させることにより、前記絶縁層との間に第1の金属酸化物層と、前記酸化物層との間に第2の金属酸化物層と、を少なくとも一層形成し、
前記被剥離層と支持体とを接着した後、前記支持体に接着された前記被剥離層を前記基板から物理的手法により、前記第1の金属酸化物層内、または前記第1の金属酸化物層と前記絶縁層との界面、または前記第1の金属酸化物層と前記金属層との界面、または前記第2の金属酸化物層内、または前記第2の金属酸化物層と前記酸化物層との界面、または前記第2の金属酸化物層と前記金属層との界面において剥離することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項4】
第1の基板上に金属層と、前記金属層に接する酸化物層と、を形成し、
前記金属層の一部を除去し、
前記酸化物層の上方に半導体素子を含む被剥離層を形成し、
前記金属層を酸化させることで前記酸化物層との間に金属酸化物層を形成し、
前記被剥離層と支持体とを接着した後、前記支持体に接着された前記被剥離層を前記第1の基板から物理的手法により前記金属層と前記酸化物層の間において剥離し、
前記被剥離層と第2の基板とを接着し、
前記被剥離層を前記支持体から剥離することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一において、
レーザー光照射、または熱処理によって前記金属層を酸化させることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項6】
請求項5において、
前記レーザー光は、連続発振またはパルス発振の固体レーザーから発振された光であることを特徴とする半導体装置の作製方法。
方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一において、
前記金属層はTi、Ta、W、Mo、Cr、Nd、Fe、Ni、Co、Zr、Znから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料からなる単層、またはこれらの積層であることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一において、
前記被剥離層は、薄膜トランジスタ、シリコンのPIN接合からなる光電変換素子、有機発光素子、液晶を有する素子、メモリー素子、薄膜ダイオード、またはシリコン抵抗素子を含むことを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一において、
前記酸化物層は、酸化シリコン、または窒化酸化シリコンであることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項1】
基板上に金属層と、前記金属層に接する酸化物層と、を形成し、
前記金属層の一部を除去し、
前記酸化物層の上方に半導体素子を含む被剥離層を形成し、
前記金属層を酸化させることで前記酸化物層との間に金属酸化物層を形成し、
前記被剥離層と支持体とを接着した後、前記支持体に接着された前記被剥離層を前記基板から物理的手法により前記金属層と前記酸化物層の間において剥離することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項2】
基板上に金属層と、前記金属層に接する酸化物層と、を形成し、
前記金属層の一部を除去し、
前記酸化物層の上方に半導体素子を含む被剥離層を形成し、
前記金属層を酸化させることで前記酸化物層との間に金属酸化物層を形成し、
前記被剥離層と支持体とを接着した後、前記支持体に接着された前記被剥離層を前記基板から物理的手法により前記金属酸化物層内または前記金属酸化物層と前記酸化物層との界面、または前記金属酸化物層と前記金属層との界面において剥離することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項3】
基板上に絶縁物層と、前記絶縁物層に接する金属層と、を形成し、
前記金属層の一部を除去し、
前記金属層に接する酸化物層と、前記酸化物層の上方に半導体素子を含む被剥離層を形成し、
前記金属層を酸化させることにより、前記絶縁層との間に第1の金属酸化物層と、前記酸化物層との間に第2の金属酸化物層と、を少なくとも一層形成し、
前記被剥離層と支持体とを接着した後、前記支持体に接着された前記被剥離層を前記基板から物理的手法により、前記第1の金属酸化物層内、または前記第1の金属酸化物層と前記絶縁層との界面、または前記第1の金属酸化物層と前記金属層との界面、または前記第2の金属酸化物層内、または前記第2の金属酸化物層と前記酸化物層との界面、または前記第2の金属酸化物層と前記金属層との界面において剥離することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項4】
第1の基板上に金属層と、前記金属層に接する酸化物層と、を形成し、
前記金属層の一部を除去し、
前記酸化物層の上方に半導体素子を含む被剥離層を形成し、
前記金属層を酸化させることで前記酸化物層との間に金属酸化物層を形成し、
前記被剥離層と支持体とを接着した後、前記支持体に接着された前記被剥離層を前記第1の基板から物理的手法により前記金属層と前記酸化物層の間において剥離し、
前記被剥離層と第2の基板とを接着し、
前記被剥離層を前記支持体から剥離することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一において、
レーザー光照射、または熱処理によって前記金属層を酸化させることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項6】
請求項5において、
前記レーザー光は、連続発振またはパルス発振の固体レーザーから発振された光であることを特徴とする半導体装置の作製方法。
方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一において、
前記金属層はTi、Ta、W、Mo、Cr、Nd、Fe、Ni、Co、Zr、Znから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料からなる単層、またはこれらの積層であることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一において、
前記被剥離層は、薄膜トランジスタ、シリコンのPIN接合からなる光電変換素子、有機発光素子、液晶を有する素子、メモリー素子、薄膜ダイオード、またはシリコン抵抗素子を含むことを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一において、
前記酸化物層は、酸化シリコン、または窒化酸化シリコンであることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−124590(P2011−124590A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7139(P2011−7139)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【分割の表示】特願2004−525641(P2004−525641)の分割
【原出願日】平成15年10月23日(2003.10.23)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【分割の表示】特願2004−525641(P2004−525641)の分割
【原出願日】平成15年10月23日(2003.10.23)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】
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