説明

半導体装置の作製方法

【課題】ガラス基板と単結晶半導体基板とを貼り合わせてSOI基板を作製する際の縞状の模様(むら)の発生を抑制することを目的の一とする。又は、上記むらの発生を抑えて高品位な半導体装置を提供することを目的の一とする。
【解決手段】単結晶半導体基板に加速されたイオンを照射して単結晶半導体基板に脆化領域を形成し、単結晶半導体基板に形成された絶縁層の表面の、単結晶半導体基板の周縁部に対応する領域に、凹部又は凸部を形成し、絶縁層を介して、単結晶半導体基板とベース基板とを貼り合わせ、熱処理を施すことにより、脆化領域において単結晶半導体基板を分離して、ベース基板上に単結晶半導体層を形成し、単結晶半導体層をパターニングして半導体素子を形成する際に、周縁部に対応する領域の単結晶半導体層を除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SOI(Silicon on Insulator)基板の作製方法、及び該基板を用いた半導体装置の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、バルク状のシリコンウエハに代わり、絶縁表面に薄い単結晶半導体層が存在するSOI(Silicon on Insulator)基板を用いた集積回路が研究されている。SOI基板を用いることで、トランジスタのドレインと基板により形成される寄生容量を小さくすることができるため、SOI基板は半導体集積回路の性能を向上させるものとして大いに注目されている。
【0003】
SOI基板を製造する方法の1つとして、スマートカット(登録商標)法が知られている(例えば、特許文献1参照)。スマートカット法によるSOI基板の作製方法の概要を以下に説明する。まず、シリコンウエハにイオン注入法を用いて水素イオンを注入し、表面から所定の深さに微小気泡層を形成する。次に、酸化シリコン膜を介して、水素イオンを注入したシリコンウエハを別のシリコンウエハに接合させる。その後、熱処理を行うことにより、水素イオンが注入されたシリコンウエハの一部が微小気泡層を境に薄膜状に分離し、接合させた別のシリコンウエハ上に単結晶シリコン膜が形成される。ここで、スマートカット法は水素イオン注入剥離法と呼ぶこともある。
【0004】
また、このようなスマートカット法を用いて単結晶シリコン層をガラスからなるベース基板上に形成する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。ガラス基板はシリコンウエハよりも大面積化が容易であり、且つ、安価であるため、主に、液晶表示装置等の製造の際に用いられている。ガラス基板をベース基板として用いることにより、大面積で安価なSOI基板を作製することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平05−211128号公報
【特許文献2】特開2005−252244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記スマートカット法などを用いて、ガラス基板上に単結晶シリコン層を形成した場合には、シリコン層の表面に縞状の模様(むら)が発生する。このようなむらは、後に形成される半導体素子の特性ばらつきを誘発し、半導体装置の歩留まり低下の要因となる。例えば、表示装置に用いられるパネルを作製する場合などにおいては、スイッチング素子としての半導体素子の特性ばらつきが表示品位に与える影響は極めて深刻である。
【0007】
上記問題に鑑み、本発明の一態様では、ガラス基板と単結晶半導体基板とを貼り合わせてSOI基板を作製する際の縞状の模様(むら)の発生を抑制することを目的の一とする。又は、上記むらの発生を抑えて高品位な半導体装置を提供することを目的の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様では、貼り合わせによるSOI基板の作製に際し、貼り合わせに係る表面の一部(特に周縁部)に凹部や凸部を設けておき、意図的に貼り合わせがなされない領域を形成する。また、当該領域に形成された単結晶半導体層は、後の半導体素子を形成する際に除去する。より詳細には以下の通りである。
【0009】
本発明の一は、単結晶半導体基板に加速されたイオンを照射して単結晶半導体基板に脆化領域を形成し、単結晶半導体基板に形成された絶縁層の表面の、単結晶半導体基板の周縁部に対応する領域に、凹部又は凸部を形成し、絶縁層を介して、単結晶半導体基板とベース基板とを貼り合わせ、熱処理を施すことにより、脆化領域において単結晶半導体基板を分離して、ベース基板上に単結晶半導体層を形成し、単結晶半導体層をパターニングして半導体素子を形成する際に、周縁部に対応する領域の単結晶半導体層を除去することを特徴としている。
【0010】
本発明の他の一は、単結晶半導体基板に加速されたイオンを照射して単結晶半導体基板に脆化領域を形成し、ベース基板に形成された絶縁層の表面の、単結晶半導体基板の周縁部と貼り合わせられる領域に、凹部又は凸部を形成し、絶縁層を介して単結晶半導体基板とベース基板とを貼り合わせ、熱処理を施すことにより、脆化領域において単結晶半導体基板を分離して、ベース基板上に単結晶半導体層を形成し、単結晶半導体層をパターニングして島状の半導体層を形成する際に、周縁部に対応する領域の単結晶半導体層を除去することを特徴としている。
【0011】
本発明の他の一は、単結晶半導体基板に加速されたイオンを照射して単結晶半導体基板に脆化領域を形成し、ベース基板の表面の、単結晶半導体基板の周縁部と貼り合わせられる領域に、凹部又は凸部を形成し、絶縁層を介して単結晶半導体基板とベース基板とを貼り合わせ、熱処理を施すことにより、脆化領域において単結晶半導体基板を分離して、ベース基板上に単結晶半導体層を形成し、単結晶半導体層をパターニングして島状の半導体層を形成する際に、周縁部に対応する領域の単結晶半導体層を除去することを特徴としている。
【0012】
上記において、単結晶半導体層にはレーザー光を照射して、単結晶半導体層の特性を向上させることが好ましい。また、ベース基板としては、ガラス基板を用いることができる。
【0013】
なお、本明細書において単結晶とは、ある結晶軸に注目した場合、その結晶軸の方向が試料のどの部分においても同じ方向を向いている結晶のことをいい、かつ結晶と結晶との間に結晶粒界が存在しない結晶である。なお、本明細書では、結晶欠陥やダングリグボンドを含んでいても、上記のように結晶軸の方向が揃っており、粒界が存在していない結晶であるものは単結晶とする。また、単結晶半導体層の再単結晶化とは、単結晶構造の半導体層が、その単結晶構造と異なる状態(例えば、液相状態)を経て、再び単結晶構造になることをいう。あるいは、単結晶半導体層の再単結晶化とは、単結晶半導体層を再結晶化して、単結晶半導体層を形成するということもできる。
【0014】
また、本明細書中において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指し、電気光学装置、半導体回路及び電子機器は全て半導体装置に含まれる。
【0015】
また、本明細書中において表示装置とは、発光装置や液晶表示装置を含む。発光装置は発光素子を含み、液晶表示装置は液晶素子を含む。発光素子は、電流または電圧によって輝度が制御される素子をその範疇に含んでおり、具体的には無機EL(Electro Luminescence)、有機EL等がある。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様では、貼り合わせに係る表面の一部(周縁部)に凹部や凸部を設けておき、意図的に貼り合わせが起こらない領域を形成している。これにより、熱処理に伴う基板の膨張や収縮に起因する応力の発生を緩和することができる。そして、単結晶半導体層に縞状の模様(むら)が発生することを抑制できる。
【0017】
なお、単結晶半導体層の周縁部は、単結晶半導体基板の構造に起因して、貼り合わせ強度が不足する傾向にある。このため、半導体素子を形成する際には半導体層の周縁部を除去することになるが、この際、凹部や凸部を設けた領域の半導体層も除去することができるため、上記の凹部や凸部は半導体装置に悪影響を与えることはない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】SOI基板及び半導体装置の作製方法の一例を示す断面図である。
【図2】SOI基板及び半導体装置の作製方法の一例を示す断面図である。
【図3】SOI基板及び半導体装置の作製方法の一例を示す平面図である。
【図4】SOI基板及び半導体装置の作製方法の一例を示す断面図である。
【図5】SOI基板及び半導体装置の作製方法の一例を示す断面図である。
【図6】SOI基板及び半導体装置の作製方法の一例を示す平面図である。
【図7】半導体装置(トランジスタ)の作製方法の一例を示す断面図である。
【図8】半導体装置(トランジスタ)の作製方法の一例を示す断面図である。
【図9】半導体装置(トランジスタ)の平面図及び断面図である。
【図10】半導体装置を用いた電子機器を示す図である。
【図11】半導体装置を用いた電子機器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0020】
(実施の形態1)
本実施の形態では、半導体基板(SOI基板)及びこれを用いた半導体装置の作製方法の一例に関して図面を参照して説明する。具体的には、ベース基板上に単結晶半導体層が設けられた半導体基板を作製する場合について説明する。
【0021】
まず、ベース基板100と単結晶半導体基板110とを準備する(図1(A)、図1(B)参照)。
【0022】
ベース基板100としては、絶縁体でなる基板を用いることができる。具体的には、アルミノシリケートガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスのような電子工業用に使われる各種ガラス基板、石英基板、セラミック基板、サファイア基板が挙げられる。なお、上記ガラス基板においては、一般に、ホウ酸(B)を多く含有させることでガラスの耐熱性が向上するが、ホウ酸と比較して酸化バリウム(BaO)を多く含ませることで、より実用的な耐熱ガラスが得られる。このため、BよりBaOを多く含むガラス基板を用いると良い。他にも、ベース基板100として単結晶半導体基板(例えば、単結晶シリコン基板等)を用いてもよい。本実施の形態では、ベース基板100としてガラス基板を用いる場合について説明する。ベース基板100として大面積化が可能で安価なガラス基板を用いることにより、低コスト化を図ることができる。
【0023】
上記ベース基板100に関しては、その表面をあらかじめ洗浄しておくことが好ましい。具体的には、ベース基板100に対して、塩酸過水(HPM)、硫酸過水(SPM)、アンモニア過水(APM)、希フッ酸(DHF)等を用いて超音波洗浄を行う。このような洗浄処理を行うことによって、ベース基板100表面の平坦性向上や、ベース基板100表面に残存する研磨粒子の除去などが可能である。
【0024】
単結晶半導体基板110としては、例えば、単結晶シリコン基板、単結晶ゲルマニウム基板、単結晶シリコンゲルマニウム基板など、第14族元素でなる単結晶半導体基板を用いることができる。また、ガリウムヒ素やインジウムリン等の化合物半導体基板も用いることができる。市販のシリコン基板としては、直径5インチ(125mm)、直径6インチ(150mm)、直径8インチ(200mm)、直径12インチ(300mm)、直径16インチ(400mm)サイズの円形のものが代表的である。なお、単結晶半導体基板110の形状は円形に限られず、例えば、矩形等に加工して用いることも可能である。また、単結晶半導体基板110は、CZ法やFZ(フローティングゾーン)法を用いて作製することができる。
【0025】
汚染物除去の観点からは、硫酸過水(SPM)、アンモニア過水(APM)、塩酸過水(HPM)、希フッ酸(DHF)などを用いて単結晶半導体基板110の表面を洗浄しておくことが好ましい。また、希フッ酸とオゾン水を交互に吐出して洗浄してもよい。
【0026】
次に、単結晶半導体基板110の表面から所定の深さに結晶構造が損傷された脆化領域112を形成し、その後、絶縁層114を介してベース基板100と単結晶半導体基板110とを貼り合わせる(図1(C)、図1(D)参照)。
【0027】
ここで、本実施の形態においては、絶縁層114表面の単結晶半導体基板110の周縁部に対応する領域に、凹部140(又は凸部)を形成し、意図的にベース基板100と単結晶半導体基板110とが貼り合わない部位を形成する(図1(C)参照)。これにより、貼り合わせ時の熱処理などによって発生する応力を緩和し、半導体層に縞状の模様(むら)が発生することを抑制できる。
【0028】
なお、本実施の形態においては、絶縁層114に凹部140を形成することで応力が緩和される構造を形成しているが、本発明の一態様はこれに限定して解釈されない。凹部に代えて、凸部を形成することとしても良い。凹部の作製方法としては、絶縁層114を形成した後のパターニングや、レーザー光の照射などによるマーキングなどがある。また、凸部の形成方法としては、絶縁層114を形成した後のパターニングや、適切な大きさの粒子を絶縁層114の表面に付着させる方法などがある。
【0029】
上記において、脆化領域112は、運動エネルギーを有する水素等のイオンを単結晶半導体基板110に照射することにより形成することができる。
【0030】
また、絶縁層114は、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜等の絶縁層を単層で、又は積層させて形成することができる。これらの膜は、熱酸化法、CVD法、スパッタリング法等を用いて形成することができる。
【0031】
なお、本明細書中において、酸化窒化シリコンとは、その組成において、窒素よりも酸素の含有量が多いものを示し、例えば、酸素が50原子%以上70原子%以下、窒素が0.5原子%以上15原子%以下、珪素が25原子%以上35原子%以下、水素が0.1原子%以上10原子%以下の範囲で含まれるものをいう。また、窒化酸化シリコンとは、その組成において、酸素よりも窒素の含有量が多いものを示し、例えば、酸素が5原子%以上30原子%以下、窒素が20原子%以上55原子%以下、珪素が25原子%以上35原子%以下、水素が10原子%以上30原子%以下の範囲で含まれるものをいう。但し、上記範囲は、ラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)や、水素前方散乱法(HFS:Hydrogen Forward Scattering)を用いて測定した場合のものである。また、構成元素の含有比率の合計は、100原子%を超えない。
【0032】
なお、ベース基板100と単結晶半導体基板110との貼り合わせを行う前に、貼り合わせに係る表面、すなわち本実施の形態では、単結晶半導体基板110上に形成された絶縁層114とベース基板100の表面処理を行うことが好ましい。表面処理を行うことで、絶縁層114とベース基板100との接合強度を向上させることができる。
【0033】
表面処理としては、ウェット処理、ドライ処理、またはウェット処理およびドライ処理の組み合わせが挙げられる。異なるウェット処理、または異なるドライ処理を組み合わせて行っても良い。
【0034】
ウェット処理としては、オゾン水を用いたオゾン処理(オゾン水洗浄)、メガソニック洗浄、または2流体洗浄(純水や水素添加水等の機能水を窒素等のキャリアガスとともに吹き付ける方法)などが挙げられる。ドライ処理としては、紫外線処理、オゾン処理、プラズマ処理、バイアス印加プラズマ処理、またはラジカル処理などが挙げられる。被処理体(単結晶半導体基板、単結晶半導体基板上に形成された絶縁層、支持基板または支持基板上に形成された絶縁層)に対し、上記のような表面処理を行うことで、被処理体表面の親水性および清浄性を高める効果を奏する。その結果、基板同士の接合強度を向上させることができる。
【0035】
ウェット処理は、被処理体表面に付着するマクロなゴミなどの除去に効果的である。ドライ処理は、被処理体表面に付着する有機物などミクロなゴミの除去または分解に効果的である。ここで、被処理体に対して、紫外線処理などのドライ処理を行った後、洗浄などのウェット処理を行う場合には、被処理体表面を清浄化および親水化し、さらに被処理体表面のウォーターマークの発生を抑制できるため好ましい。
【0036】
また、ドライ処理として、オゾンまたは一重項酸素などの活性状態にある酸素を用いた表面処理を行うことが好ましい。オゾンまたは一重項酸素などの活性状態にある酸素により、被処理体表面に付着する有機物を効果的に除去または分解することができる。また、オゾンまたは一重項酸素などの活性状態にある酸素に、紫外線のうち200nm未満の波長を含む光による処理を組み合わせることで、被処理体表面に付着する有機物をさらに効果的に除去することができる。以下、具体的に説明する。
【0037】
例えば、酸素を含む雰囲気下で紫外線を照射することにより、被処理体の表面処理を行う。酸素を含む雰囲気下において、紫外線のうち200nm未満の波長を含む光と200nm以上の波長を含む光を照射することにより、オゾンを生成させるとともに一重項酸素を生成させることができる。また、紫外線のうち180nm未満の波長を含む光を照射することにより、オゾンを生成させるとともに一重項酸素を生成させることもできる。
【0038】
酸素を含む雰囲気下で、200nm未満の波長を含む光および200nm以上の波長を含む光を照射することにより起きる反応例を示す。
+hν(λnm)→O(P)+O(P) ・・・ (1)
O(P)+O→O ・・・ (2)
+hν(λnm)→O(D)+O ・・・ (3)
【0039】
上記反応式(1)において、酸素(O)を含む雰囲気下で200nm未満の波長(λnm)を含む光(hν)を照射することにより基底状態の酸素原子(O(P))が生成する。次に、反応式(2)において、基底状態の酸素原子(O(P))と酸素(O)とが反応してオゾン(O)が生成する。そして、反応式(3)において、生成されたオゾン(O)を含む雰囲気下で200nm以上の波長(λnm)を含む光が照射されることにより、励起状態の一重項酸素O(D)が生成される。酸素を含む雰囲気下において、紫外線のうち200nm未満の波長を含む光を照射することによりオゾンを生成させるとともに、200nm以上の波長を含む光を照射することによりオゾンを分解して一重項酸素を生成する。上記のような表面処理は、例えば、酸素を含む雰囲気下での低圧水銀ランプの照射(λ=185nm、λ=254nm)により行うことができる。
【0040】
また、酸素を含む雰囲気下で、180nm未満の波長を含む光を照射して起きる反応例を示す。
+hν(λnm)→O(D)+O(P) ・・・ (4)
O(P)+O→O ・・・ (5)
+hν(λnm)→O(D)+O ・・・ (6)
【0041】
上記反応式(4)において、酸素(O)を含む雰囲気下で180nm未満の波長(λnm)を含む光を照射することにより、励起状態の一重項酸素O(D)と基底状態の酸素原子(O(P))が生成する。次に、反応式(5)において、基底状態の酸素原子(O(P))と酸素(O)とが反応してオゾン(O)が生成する。反応式(6)において、生成されたオゾン(O)を含む雰囲気下で180nm未満の波長(λnm)を含む光が照射されることにより、励起状態の一重項酸素と酸素が生成される。酸素を含む雰囲気下において、紫外線のうち180nm未満の波長を含む光を照射することによりオゾンを生成させるとともにオゾンまたは酸素を分解して一重項酸素を生成する。上記のような表面処理は、例えば、酸素を含む雰囲気下でのXeエキシマUVランプの照射により行うことができる。
【0042】
200nm未満の波長を含む光により被処理体表面に付着する有機物などの化学結合を切断し、オゾンまたは一重項酸素により被処理体表面に付着する有機物や化学結合を切断した有機物などを酸化分解して除去することができる。上記のような表面処理を行うことで、被処理体表面の親水性および清浄性をより高めることができ、絶縁層114とベース基板100との接合を良好に行うことができる。
【0043】
次に、熱処理を行い脆化領域112にて分離することにより、ベース基板100上に、絶縁層114を介して単結晶半導体層116を設ける(図1(E)、図1(F)参照)。
【0044】
熱処理を行うことで、脆化領域112に形成されている微小な孔には添加された元素が析出し、内部の圧力が上昇する。圧力の上昇により、脆化領域112には亀裂が生じるため、脆化領域112に沿って単結晶半導体基板110が分離する。絶縁層114はベース基板100に接合しているため、ベース基板100上には単結晶半導体基板110から分離された単結晶半導体層116が残存する。なお、凹部140(又は凸部)においては貼り合わせが行われないため、ベース基板100の凹部140に対応する領域には単結晶半導体層116は形成されない。これにより、上記熱処理によって生じる膜の応力の影響を緩和し、半導体層に縞状の模様(むら)が発生することを抑制できる。
【0045】
次に、単結晶半導体層116の表面にレーザー光132を照射することによって、表面の平坦性を向上させ、且つ欠陥を低減させた単結晶半導体層118を形成する(図2(A)、図2(B)、図3(A)参照)。なお、図2(B)は、図3(A)のA−Bにおける断面に対応している。レーザー光132の照射雰囲気に特に限定はないが、不活性雰囲気下や減圧雰囲気下で行うことにより、大気雰囲気下で行う場合より単結晶半導体層118の表面の平坦性を向上させることが出来る。
【0046】
なお、レーザー光132の照射による単結晶半導体層116の溶融は、部分溶融とすることが好ましい。完全溶融させた場合には、液相となった後の無秩序な核発生により微結晶化し、結晶性が低下するためである。一方、部分溶融では、溶融されていない固相部分に基づいて結晶成長を行わせることができるため、単結晶半導体層116を完全に溶融させる場合と比較して結晶品位を向上させることができる。また、絶縁層114からの酸素や窒素等の取り込みを抑制することができる。なお、上記において部分溶融とは、レーザー光の照射により単結晶半導体層116が溶融される深さを、絶縁層114側界面の深さより浅くする(つまり、単結晶半導体層116の厚さより浅くする)ことを言う。すなわち、単結晶半導体層116の上層は溶融して液相となるが、下層は溶融せずに固相のままである状態をいう。また、完全溶融とは、単結晶半導体層116が絶縁層114との界面まで溶融され、液体状態になることをいう。
【0047】
上記レーザー光の照射には、パルス発振レーザーを用いることが好ましい。これは、瞬間的に高エネルギーのパルスレーザー光を発振することができ、部分溶融状態を作り出すことが容易となるためである。発振周波数は、1Hz以上10MHz以下程度とすることが好ましいがこれに限定して解釈されない。上述のパルス発振レーザーとしては、Arレーザー、Krレーザー、エキシマ(ArF、KrF、XeCl)レーザー、COレーザー、YAGレーザー、YVOレーザー、YLFレーザー、YAlOレーザー、GdVOレーザー、Yレーザー、ルビーレーザー、アレキサンドライトレーザー、Ti:サファイアレーザー、銅蒸気レーザー、金蒸気レーザー等がある。なお、部分溶融させることが可能であれば、連続発振レーザーを使用しても良い。連続発振レーザーとしては、Arレーザー、Krレーザー、COレーザー、YAGレーザー、YVOレーザー、YLFレーザー、YAlOレーザー、GdVOレーザー、Yレーザー、ルビーレーザー、アレキサンドライトレーザー、Ti:サファイアレーザー、ヘリウムカドミウムレーザー等がある。
【0048】
レーザー光132の波長としては、単結晶半導体層116に吸収される波長を選択する必要がある。その波長は、レーザー光の表皮深さ(skin depth)などを考慮して決定すればよい。例えば、250nm以上700nm以下の範囲とすることができる。また、レーザー光132のエネルギー密度は、レーザー光132の波長、レーザー光の表皮深さ、単結晶半導体層116の膜厚などを考慮して決定することができる。レーザー光132のエネルギー密度は、例えば、300mJ/cm以上800mJ/cm以下の範囲とすればよい。なお、上記エネルギー密度の範囲は、パルス発振レーザーとしてXeClエキシマレーザー(波長:308nm)を用いた場合の一例である。
【0049】
レーザー光132の照射は、大気雰囲気のような酸素を含む雰囲気、または窒素雰囲気やアルゴン雰囲気のような不活性雰囲気で行うことができる。不活性雰囲気中でレーザー光132を照射するには、気密性のあるチャンバー内でレーザー光132を照射し、このチャンバー内の雰囲気を制御すればよい。チャンバーを用いない場合は、レーザー光132の被照射面に窒素ガスなどの不活性ガスを吹き付けることで、不活性雰囲気を形成することもできる。
【0050】
なお、窒素などの不活性雰囲気で行うほうが、大気雰囲気よりも単結晶半導体層118の平坦性を向上させる効果は高い。また、大気雰囲気よりも不活性雰囲気のほうがクラックやリッジの発生を抑える効果が高く、レーザー光132の使用可能なエネルギー密度の範囲が広くなる。なお、レーザー光132の照射は、減圧雰囲気で行ってもよい。減圧雰囲気でレーザー光132を照射した場合には、不活性雰囲気における照射と同等の効果を得ることができる。
【0051】
なお、本実施の形態においては、単結晶半導体層116の分離に係る熱処理の直後に、レーザー光132の照射処理を行っているが、本発明の一態様はこれに限定して解釈されない。単結晶半導体層116の分離に係る熱処理後にエッチング処理を施して、単結晶半導体層116表面の欠陥が多い領域を除去してからレーザー光132の照射処理を行っても良いし、単結晶半導体層116表面の平坦性を向上させてからレーザー光132の照射処理を行っても良い。なお、上記エッチング処理としては、ウエットエッチング又はドライエッチングのいずれを用いても良い。
【0052】
また、本実施の形態においては示していないが、上述のようにレーザー光132を照射した後には、単結晶半導体層118の膜厚を小さくする薄膜化工程を行っても良い。単結晶半導体層118の薄膜化には、ドライエッチングまたはウエットエッチングの一方、または双方を組み合わせて用いればよい。
【0053】
以上の工程により、縞状の模様(むら)が低減された良好なSOI基板を得ることができる。
【0054】
その後、単結晶半導体層118を島状の半導体層120にパターニングする際に、上記の周縁部に対応する領域(凹部140(又は凸部)が形成された領域の近傍)の単結晶半導体層118を除去する(図2(C)、図3(B)参照)。なお、図2(C)は、図3(B)のA−Bにおける断面に対応している。ここで、単結晶半導体層118の周縁部に対応する領域を除去するのは、当該領域では、貼り合わせ強度の不足により、ピーリングが発生する可能性が高まるためである。単結晶半導体基板表面の端部は、その表面研磨処理に起因して、曲率を有する表面形状(エッジロールオフと呼ぶ)を有しており、当該領域では貼り合わせ強度が不足することになるのである。
【0055】
その後、上記島状の半導体層を用いて半導体装置を作製する。具体的な半導体装置の作製方法については、後の実施の形態において詳述することとする。
【0056】
本発明の一態様では、貼り合わせによりSOI基板を作製するに際して、貼り合わせに係る表面の一部(周縁部)に凹部や凸部を設けておき、意図的に貼り合わせが起こらない領域を形成している。これにより、熱処理に伴う基板の膨張や収縮に起因する応力の発生を緩和することができるため、単結晶半導体層に縞状の模様(むら)が発生することを抑制できる。
【0057】
また、半導体素子を形成する際には、凹部や凸部を設けた領域の半導体層を除去することができるため、凹部や凸部による半導体装置への悪影響を抑制することができる。
【0058】
さらに本実施の形態で示したように、本発明の一態様では、絶縁層114表面の単結晶半導体基板110の周縁部に対応する領域に凹部140を形成し、意図的にベース基板100と単結晶半導体基板110とが貼り合わない領域を形成することで(図1(C)参照)、単結晶半導体基板110を脆化領域112にて分離する際に、分離のきっかけを与えることができる。よって、分離により形成される単結晶半導体層116の表面荒れを抑制できる。
【0059】
なお、本実施の形態では、単結晶半導体層周辺部の4カ所に凹部(又は凸部)を配置する構成を示したが(図3(A)参照)、本発明の一態様はこれに限定されない。凹部(又は凸部)の数や、配置などは適宜設定すればよい。例えば、単結晶半導体層の角に対応する領域に凹部(又は凸部)を形成することができる。また、後の半導体装置の歩留まり向上を考慮すれば、後に除去される領域に上記の凹部又は凸部を形成しておくことが極めて望ましいと言える(図3(B)参照)。
【0060】
本実施の形態で示した構成は、本明細書の他の実施の形態で示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
【0061】
(実施の形態2)
本実施の形態では、半導体基板(SOI基板)及びこれを用いた半導体装置の作製方法の別の一例に関して図面を参照して説明する。
【0062】
まず、ベース基板100を準備する(図4(A)参照)。ベース基板100の詳細に関しては、実施の形態1を参照することができるため、ここでは省略する。
【0063】
次に、ベース基板100の表面に窒素含有層102(例えば、窒化シリコン膜(SiN)や窒化酸化シリコン膜(SiN)(x>y)等の窒素を含有する絶縁膜)を形成する(図4(B)参照)。
【0064】
本実施の形態において形成される窒素含有層102は、後に単結晶半導体層を貼り合わせるための層(接合層)となる。また、窒素含有層102は、ベース基板に含まれるナトリウム(Na)等の不純物が単結晶半導体層に拡散することを防ぐためのバリア層として機能する。
【0065】
上述のように、本実施の形態においては窒素含有層102を接合層として用いるため、その表面が所定の平坦性を有するように窒素含有層102を形成することが好ましい。具体的には、表面の平均面粗さ(Ra)が0.5nm以下、自乗平均粗さ(Rms)が0.60nm以下、より好ましくは、平均面粗さが0.35nm以下、自乗平均粗さが0.45nm以下となるように窒素含有層102を形成する。膜厚は、10nm以上200nm以下、好ましくは50nm以上100nm以下の範囲とすることが好ましい。このように、表面の平坦性を高めておくことで、単結晶半導体層の接合不良を防止することができる。
【0066】
次に、単結晶半導体基板110を準備する(図4(C)参照)。なお、本実施の形態においては、上記ベース基板100に関する工程の後に、以下の単結晶半導体基板110に関する工程を行う構成を取っているが、これは説明の便宜上のものであり、本発明の一態様がこの順序に限定して解釈されるものではない。また、単結晶半導体基板110の詳細に関しては、実施の形態1を参照することができるため、ここでは省略する。
【0067】
汚染物除去の観点からは、硫酸過水(SPM)、アンモニア過水(APM)、塩酸過水(HPM)、希フッ酸(DHF)などを用いて単結晶半導体基板110の表面を洗浄しておくことが好ましい。また、希フッ酸とオゾン水を交互に吐出して洗浄してもよい。
【0068】
次に、単結晶半導体基板110の表面に酸化膜115を形成する。
【0069】
酸化膜115は、例えば、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜等を単層で、又は積層させて形成することができる。上記酸化膜115の作製方法としては、熱酸化法、CVD法、スパッタリング法などがある。また、CVD法を用いて酸化膜115を形成する場合には、テトラエトキシシラン(略称;TEOS:化学式Si(OC)等の有機シランを用いて酸化シリコン膜を形成することが、生産性の点から好ましい。
【0070】
本実施の形態では、単結晶半導体基板110に熱酸化処理を行うことにより酸化膜115(ここでは、SiO膜)を形成する。熱酸化処理は、酸化性雰囲気中にハロゲンを添加して行うことが好ましい。
【0071】
例えば、塩素(Cl)が添加された酸化性雰囲気中で単結晶半導体基板110に熱酸化処理を行うことにより、塩素酸化された酸化膜115を形成することができる。この場合、酸化膜115は、塩素原子を含有した膜となる。
【0072】
酸化膜115中に含有された塩素原子は、酸化膜115に歪みを形成する。その結果、酸化膜115の水分に対する吸収割合が向上し、水分の拡散速度が増大する。つまり、酸化膜115表面に水分が存在する場合に、当該表面に存在する水分を酸化膜115中に素早く吸収させ、拡散させることができるため、水分の存在による貼り合わせ不良を低減することができる。
【0073】
また、酸化膜115に塩素原子を含有させることによって、外因性の不純物である重金属(例えば、Fe、Cr、Ni、Mo等)を捕集して単結晶半導体基板110が汚染されることを防止できる。また、ベース基板と貼り合わせた後に、ベース基板からのNa等の不純物を固定して、単結晶半導体基板110が汚染されることを防止できる。
【0074】
なお、酸化膜115に含有させるハロゲン原子は塩素原子に限られない。酸化膜115にはフッ素原子を含有させてもよい。単結晶半導体基板110表面をフッ素酸化する方法としては、HF溶液に浸漬させた後に酸化性雰囲気中で熱酸化処理を行う方法や、NFを酸化性雰囲気に添加して熱酸化処理を行う方法などがある。
【0075】
次に、電界で加速されたイオン130を単結晶半導体基板110に照射することで、単結晶半導体基板110の所定の深さに結晶構造が損傷した脆化領域112を形成する(図4(D)参照)。脆化領域112が形成される領域の深さは、イオン130の運動エネルギー、質量と電荷、イオン130の入射角などによって調節することができる。また、脆化領域112は、イオン130の平均侵入深さとほぼ同じ深さの領域に形成される。このため、イオン130を添加する深さで、単結晶半導体基板110から分離される単結晶半導体層の厚さを調節することができる。例えば、単結晶半導体層の厚さが、10nm以上500nm以下、好ましくは50nm以上200nm以下程度となるように平均侵入深さを調節すれば良い。
【0076】
上記イオンの照射処理は、イオンドーピング装置やイオン注入装置を用いて行うことができる。イオンドーピング装置の代表例としては、プロセスガスをプラズマ励起して生成された全てのイオン種を被処理体に照射する非質量分離型の装置がある。当該装置では、プラズマ中のイオン種を質量分離しないで被処理体に照射することになる。これに対して、イオン注入装置は質量分離型の装置である。イオン注入装置では、プラズマ中のイオン種を質量分離し、ある特定の質量のイオン種を被処理体に照射する。
【0077】
本実施の形態では、イオンドーピング装置を用いて、水素を単結晶半導体基板110に添加する例について説明する。ソースガスとしては水素を含むガスを用いる。照射するイオンについては、Hの比率が高まるようにすると良い。具体的には、H、H、Hの総量に対してHの割合が50%以上(より好ましくは80%以上)となるようにする。Hの割合を高めることで、イオン照射の効率を向上させることができる。
【0078】
なお、イオンドーピング装置を用いた場合には、重金属も同時に添加されるおそれがあるが、ハロゲン原子を含有する酸化膜115を介してイオンの照射を行うことによって、上述したように、これら重金属による単結晶半導体基板110の汚染を防ぐことができる。
【0079】
次に、酸化膜115表面の単結晶半導体基板110の周縁部に対応する領域に、凹部140(又は凸部)を形成し、意図的にベース基板100と単結晶半導体基板110とが貼り合わない部位を形成する(図4(E)参照)。これにより、貼り合わせ時の熱処理などによって発生する応力を緩和し、半導体層に縞状の模様(むら)が発生することを抑制できる。
【0080】
なお、本実施の形態においては、酸化膜115に凹部140を形成することで応力が緩和される構造を形成しているが、本発明の一態様はこれに限定して解釈されない。凹部に代えて、凸部を形成することとしても良い。凹部の作製方法としては、酸化膜115を形成した後のパターニングや、レーザー光の照射などによるマーキングなどがある。また、凸部の形成方法としては、酸化膜115を形成した後のパターニングや、適切な大きさの粒子を酸化膜115の表面に付着させる方法などがある。
【0081】
また、本実施の形態においては、単結晶半導体基板110側(酸化膜115)に凹部140を形成する構成としているが、本発明の一態様はこれに限定して解釈されない。ベース基板100側(窒素含有層102)の対応する領域に凹部や凸部を形成しても良い。
【0082】
次に、ベース基板100の表面と単結晶半導体基板110の表面とを対向させ、窒素含有層102の表面と酸化膜115の表面とを接合させる(図4(F)参照)。
【0083】
ここでは、ベース基板100と単結晶半導体基板110を窒素含有層102と酸化膜115とを介して密着させた後、単結晶半導体基板110の一箇所に1N/cm以上500N/cm以下、好ましくは11N/cm以上20N/cm以下程度の圧力を加える。すると、圧力を加えた部分から窒素含有層102と酸化膜115とが接合しはじめ、自発的に接合が形成されて全面におよぶ。この接合工程には、ファンデルワールス力や水素結合が作用しており、常温で行うことができる。
【0084】
なお、ベース基板100と単結晶半導体基板110との貼り合わせを行う前に、貼り合わせに係る表面、すなわち本実施の形態では、単結晶半導体基板110上に形成された酸化膜115とベース基板100上に形成された窒素含有層102の、表面処理を行うことが好ましい。表面処理を行うことで、窒素含有層102と酸化膜115との接合強度を向上させることができる。
【0085】
表面処理としては、ウェット処理、ドライ処理、またはウェット処理およびドライ処理の組み合わせが挙げられる。異なるウェット処理、または異なるドライ処理を組み合わせて行っても良い。
【0086】
ウェット処理としては、オゾン水を用いたオゾン処理(オゾン水洗浄)、メガソニック洗浄、または2流体洗浄(純水や水素添加水等の機能水を窒素等のキャリアガスとともに吹き付ける方法)などが挙げられる。ドライ処理としては、紫外線処理、オゾン処理、プラズマ処理、バイアス印加プラズマ処理、またはラジカル処理などが挙げられる。被処理体(単結晶半導体基板、単結晶半導体基板上に形成された絶縁層、支持基板または支持基板上に形成された絶縁層)に対し、上記のような表面処理を行うことで、被処理体表面の親水性および清浄性を高める効果を奏する。その結果、基板同士の接合強度を向上させることができる。
【0087】
ウェット処理は、被処理体表面に付着するマクロなゴミなどの除去に効果的である。ドライ処理は、被処理体表面に付着する有機物などミクロなゴミの除去または分解に効果的である。ここで、被処理体に対して、紫外線処理などのドライ処理を行った後、洗浄などのウェット処理を行う場合には、被処理体表面を清浄化および親水化し、さらに被処理体表面のウォーターマークの発生を抑制できるため好ましい。
【0088】
また、ドライ処理として、オゾンまたは一重項酸素などの活性状態にある酸素を用いた表面処理を行うことが好ましい。オゾンまたは一重項酸素などの活性状態にある酸素により、被処理体表面に付着する有機物を効果的に除去または分解することができる。また、オゾンまたは一重項酸素などの活性状態にある酸素に、紫外線のうち200nm未満の波長を含む光による処理を組み合わせることで、被処理体表面に付着する有機物をさらに効果的に除去することができる。以下、具体的に説明する。
【0089】
例えば、酸素を含む雰囲気下で紫外線を照射することにより、被処理体の表面処理を行う。酸素を含む雰囲気下において、紫外線のうち200nm未満の波長を含む光と200nm以上の波長を含む光を照射することにより、オゾンを生成させるとともに一重項酸素を生成させることができる。また、紫外線のうち180nm未満の波長を含む光を照射することにより、オゾンを生成させるとともに一重項酸素を生成させることもできる。
【0090】
酸素を含む雰囲気下で、200nm未満の波長を含む光および200nm以上の波長を含む光を照射することにより起きる反応例を示す。
+hν(λnm)→O(P)+O(P) ・・・ (1)
O(P)+O→O ・・・ (2)
+hν(λnm)→O(D)+O ・・・ (3)
【0091】
上記反応式(1)において、酸素(O)を含む雰囲気下で200nm未満の波長(λnm)を含む光(hν)を照射することにより基底状態の酸素原子(O(P))が生成する。次に、反応式(2)において、基底状態の酸素原子(O(P))と酸素(O)とが反応してオゾン(O)が生成する。そして、反応式(3)において、生成されたオゾン(O)を含む雰囲気下で200nm以上の波長(λnm)を含む光が照射されることにより、励起状態の一重項酸素O(D)が生成される。酸素を含む雰囲気下において、紫外線のうち200nm未満の波長を含む光を照射することによりオゾンを生成させるとともに、200nm以上の波長を含む光を照射することによりオゾンを分解して一重項酸素を生成する。上記のような表面処理は、例えば、酸素を含む雰囲気下での低圧水銀ランプの照射(λ=185nm、λ=254nm)により行うことができる。
【0092】
また、酸素を含む雰囲気下で、180nm未満の波長を含む光を照射して起きる反応例を示す。
+hν(λnm)→O(D)+O(P) ・・・ (4)
O(P)+O→O ・・・ (5)
+hν(λnm)→O(D)+O ・・・ (6)
【0093】
上記反応式(4)において、酸素(O)を含む雰囲気下で180nm未満の波長(λnm)を含む光を照射することにより、励起状態の一重項酸素O(D)と基底状態の酸素原子(O(P))が生成する。次に、反応式(5)において、基底状態の酸素原子(O(P))と酸素(O)とが反応してオゾン(O)が生成する。反応式(6)において、生成されたオゾン(O)を含む雰囲気下で180nm未満の波長(λnm)を含む光が照射されることにより、励起状態の一重項酸素と酸素が生成される。酸素を含む雰囲気下において、紫外線のうち180nm未満の波長を含む光を照射することによりオゾンを生成させるとともにオゾンまたは酸素を分解して一重項酸素を生成する。上記のような表面処理は、例えば、酸素を含む雰囲気下でのXeエキシマUVランプの照射により行うことができる。
【0094】
200nm未満の波長を含む光により被処理体表面に付着する有機物などの化学結合を切断し、オゾンまたは一重項酸素により被処理体表面に付着する有機物や化学結合を切断した有機物などを酸化分解して除去することができる。上記のような表面処理を行うことで、被処理体表面の親水性および清浄性をより高めることができ、窒素含有層102と酸化膜115との接合を良好に行うことができる。
【0095】
また、窒素含有層102と酸化膜115とを接合させた後には、接合強度を増加させるための熱処理を行うことが好ましい。この熱処理の温度は、脆化領域112における分離が生じない温度(例えば、室温以上400℃未満)とする。また、この温度範囲で加熱しながら、窒素含有層102と酸化膜115とを接合させてもよい。上記熱処理には、拡散炉、抵抗加熱炉などの加熱炉、RTA(瞬間熱アニール、Rapid Thermal Anneal)装置、マイクロ波加熱装置などを用いることができる。
【0096】
次に、熱処理を行って単結晶半導体基板110を脆化領域112にて分離することにより、ベース基板100上に、窒素含有層102及び酸化膜115を介して単結晶半導体層116を形成する(図4(G)、図5(A)参照)。
【0097】
上記の熱処理によって、脆化領域112に形成されている微小な孔には添加された元素が析出し、内部の圧力が上昇する。圧力の上昇により、脆化領域112には亀裂が生じるため、脆化領域112に沿って単結晶半導体基板110が分離する。酸化膜115はベース基板100上の窒素含有層102に接合しているため、ベース基板100上には単結晶半導体基板110から分離された単結晶半導体層116が残存する。なお、凹部140(又は凸部)においては貼り合わせが行われないため、ベース基板100の凹部140に対応する領域には単結晶半導体層116は形成されない。これにより、上記熱処理によって生じる膜の応力の影響を緩和し、半導体層に縞状の模様(むら)が発生することを抑制できる。
【0098】
次に、単結晶半導体層116の表面にレーザー光132を照射することによって、表面の平坦性を向上させ、且つ欠陥を低減させた単結晶半導体層118を形成する(図5(B)、図5(C)、図6(A)参照)。なお、図5(C)は、図6(A)のA−Bにおける断面に対応している。レーザー光の照射雰囲気に特に限定はないが、不活性雰囲気下や減圧雰囲気下で行うことにより、大気雰囲気下で行う場合より単結晶半導体層118の表面の平坦性を向上させることが出来る。
【0099】
レーザー光の照射処理の詳細については、実施の形態1を参照することができるから、ここでは省略する。
【0100】
なお、本実施の形態においては、単結晶半導体層116の分離に係る熱処理の直後に、レーザー光132の照射処理を行っているが、本発明の一態様はこれに限定して解釈されない。単結晶半導体層116の分離に係る熱処理後にエッチング処理を施して、単結晶半導体層116表面の欠陥が多い領域を除去してからレーザー光132の照射処理を行っても良いし、単結晶半導体層116表面の平坦性を向上させてからレーザー光132の照射処理を行っても良い。なお、上記エッチング処理としては、ウエットエッチング又はドライエッチングのいずれを用いても良い。
【0101】
本実施の形態においては示していないが、上述のようにレーザー光132を照射した後には、単結晶半導体層118の膜厚を小さくする薄膜化工程を行っても良い。単結晶半導体層118の薄膜化には、ドライエッチングまたはウエットエッチングの一方、または双方を組み合わせて用いればよい。
【0102】
以上の工程により、縞状の模様(むら)が低減された良好なSOI基板を得ることができる。
【0103】
その後、単結晶半導体層118を島状の半導体層120にパターニングする際に、上記の周縁部に対応する領域(凹部140(又は凸部)が形成された領域の近傍)の単結晶半導体層118を除去する(図5(D)、図6(B)参照)。なお、図5(D)は、図6(B)のA−Bにおける断面に対応している。ここで、単結晶半導体層118の周縁部に対応する領域を除去するのは、当該領域では、貼り合わせ強度の不足により、ピーリングが発生する可能性が高まるためである。単結晶半導体基板表面の端部は、その表面研磨処理に起因して、曲率を有する表面形状(エッジロールオフと呼ぶ)を有しており、当該領域では貼り合わせ強度が不足することになるのである。
【0104】
そして、上記島状の半導体層を用いて半導体装置を作製する。具体的な半導体装置の作製方法については、後の実施の形態において詳述することとする。
【0105】
本発明の一態様では、貼り合わせによりSOI基板を作製するに際して、貼り合わせに係る表面の一部(周縁部)に凹部や凸部を設けておき、意図的に貼り合わせが起こらない領域を形成している。これにより、熱処理に伴う基板の膨張や収縮に起因する応力の発生を緩和することができるため、単結晶半導体層に縞状の模様(むら)が発生することを抑制できる。
【0106】
また、半導体素子を形成する際には、凹部や凸部を設けた領域の半導体層を除去することができるため、凹部や凸部による半導体装置への悪影響を抑制することができる。
【0107】
なお、本実施の形態では、単結晶半導体層周辺部の4カ所に凹部(又は凸部)を配置する構成を示したが(図6(A)参照)、本発明の一態様はこれに限定されない。凹部(又は凸部)の数や、配置などは適宜設定すればよい。例えば、単結晶半導体層の角に対応する領域に凹部(又は凸部)を形成することができる。また、後の半導体装置の歩留まり向上を考慮すれば、後に除去される領域に上記の凹部又は凸部を形成しておくことが極めて望ましいと言える(図6(B)参照)。
【0108】
本実施の形態で示した構成は、本明細書の他の実施の形態で示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
【0109】
(実施の形態3)
本実施の形態では、図7乃至図9を参照して、上記実施の形態における半導体装置の作製方法の詳細について説明する。ここでは、半導体装置の一例として複数のトランジスタからなる半導体装置の作製方法について説明する。なお、以下において示すトランジスタを組み合わせて用いることで、様々な半導体装置を形成することができる。
【0110】
図7(A)は、実施の形態1により作製した半導体基板の一部を示す断面図である(図2(B)等参照)。なお、本実施の形態においては、実施の形態1において作製した半導体基板を用いて半導体装置を作製する場合について説明するが、実施の形態2において作製した半導体基板を用いても良いことは言うまでもない。
【0111】
半導体層700(図2(B)における単結晶半導体層118に対応)には、TFTのしきい値電圧を制御するために、硼素、アルミニウム、ガリウムなどのp型不純物、又はリン、砒素などのn型不純物を添加しても良い。不純物を添加する領域、および添加する不純物の種類は、適宜変更することができる。例えば、nチャネル型TFTの形成領域にp型不純物を添加し、pチャネル型TFTの形成領域にn型不純物を添加する。上述の不純物を添加する際には、ドーズ量が1×1015/cm以上1×1017/cm以下程度となるように行えばよい。
【0112】
その後、半導体層700を島状に分離して、半導体膜702、及び半導体膜704を形成する(図7(B)参照)。なお、この際に、周縁部に対応する領域(凹部(又は凸部)が形成された領域の近傍)の単結晶半導体層118は除去される(図2(C)等参照)。
【0113】
次に、半導体膜702と半導体膜704を覆うように、ゲート絶縁膜706を形成する(図7(C)参照)。ここでは、プラズマCVD法を用いて、酸化シリコン膜を単層で形成することとする。その他にも、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化タンタル等を含む膜を、単層構造又は積層構造で形成することによりゲート絶縁膜706としても良い。
【0114】
プラズマCVD法以外の作製方法としては、スパッタリング法や、高密度プラズマ処理による酸化または窒化による方法が挙げられる。高密度プラズマ処理は、例えば、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、キセノンなどの希ガスと、酸素、酸化窒素、アンモニア、窒素、水素などガスの混合ガスを用いて行う。この場合、プラズマの励起をマイクロ波の導入により行うことで、低電子温度で高密度のプラズマを生成することができる。このような高密度のプラズマで生成された酸素ラジカル(OHラジカルを含む場合もある)や窒素ラジカル(NHラジカルを含む場合もある)によって、半導体膜の表面を酸化または窒化することにより、1nm以上20nm以下、望ましくは2nm以上10nm以下の絶縁膜を半導体膜に接するように形成する。
【0115】
上述した高密度プラズマ処理による半導体膜の酸化または窒化は固相反応であるため、ゲート絶縁膜706と半導体膜702及び半導体膜704との界面準位密度をきわめて低くすることができる。また、高密度プラズマ処理により半導体膜を直接酸化または窒化することで、形成される絶縁膜の厚さのばらつきを抑えることが出来る。また、半導体膜が単結晶であるため、高密度プラズマ処理を用いて半導体膜の表面を固相反応で酸化させる場合であっても、均一性が良く、界面準位密度の低いゲート絶縁膜を形成することができる。このように、高密度プラズマ処理により形成された絶縁膜をトランジスタのゲート絶縁膜の一部または全部に用いることで、特性のばらつきを抑制することができる。
【0116】
又は、半導体膜702と半導体膜704を熱酸化させることで、ゲート絶縁膜706を形成するようにしても良い。このように、熱酸化を用いる場合には、ある程度の耐熱性を有するガラス基板を用いることが必要である。
【0117】
なお、水素を含むゲート絶縁膜706を形成し、その後、350℃以上450℃以下の温度による加熱処理を行うことで、ゲート絶縁膜706中に含まれる水素を半導体膜702及び半導体膜704中に拡散させるようにしても良い。この場合、ゲート絶縁膜706として、プラズマCVD法を用いた窒化シリコン又は窒化酸化シリコンを用いることができる。なお、プロセス温度は350℃以下とすると良い。このように、半導体膜702及び半導体膜704に水素を供給することで、半導体膜702中、半導体膜704中、ゲート絶縁膜706と半導体膜702の界面、及びゲート絶縁膜706と半導体膜704の界面における欠陥を効果的に低減することができる。
【0118】
次に、ゲート絶縁膜706上に導電膜を形成した後、該導電膜を所定の形状に加工(パターニング)することで、半導体膜702の上方に電極708を、半導体膜704の上方に電極710を形成する(図7(D)参照)。導電膜の形成にはCVD法、スパッタリング法等を用いることができる。導電膜は、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)等の材料を用いて形成することができる。また、上記金属を主成分とする合金材料を用いても良いし、上記金属を含む化合物を用いても良い。または、半導体に導電性を付与する不純物元素をドーピングした多結晶シリコンなど、半導体材料を用いて形成しても良い。
【0119】
本実施の形態では電極708及び電極710を単層の導電膜で形成しているが、本発明の一態様にかかる半導体装置は該構成に限定されない。電極708及び電極710は積層された複数の導電膜で形成されていても良い。2層構造とする場合には、例えば、モリブデン膜、チタン膜、窒化チタン膜等を下層に用い、上層にはアルミニウム膜などを用いればよい。3層構造の場合には、モリブデン膜とアルミニウム膜とモリブデン膜の積層構造や、チタン膜とアルミニウム膜とチタン膜の積層構造などを採用するとよい。
【0120】
なお、電極708及び電極710を形成する際に用いるマスクは、酸化シリコンや窒化酸化シリコン等の材料を用いて形成してもよい。この場合、酸化シリコン膜や窒化酸化シリコン膜等をパターニングしてマスクを形成する工程が加わるが、レジスト材料と比較して、エッチング時におけるマスクの膜減りが少ないため、より正確な形状の電極708及び電極710を形成することができる。また、マスクを用いずに、液滴吐出法を用いて選択的に電極708及び電極710を形成しても良い。ここで、液滴吐出法とは、所定の組成物を含む液滴を吐出または噴出することで所定のパターンを形成する方法を意味し、インクジェット法などがその範疇に含まれる。
【0121】
また、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用い、エッチング条件(コイル型の電極に印加される電力量、基板側の電極に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節し、所望のテーパー形状を有するように導電膜をエッチングすることで、電極708及び電極710を形成することもできる。また、テーパー形状は、マスクの形状によって制御することもできる。なお、エッチング用ガスとしては、塩素、塩化硼素、塩化珪素、四塩化炭素などの塩素系ガス、四弗化炭素、弗化硫黄、弗化窒素などのフッ素系ガス、又は酸素などを適宜用いることができる。
【0122】
次に、電極708及び電極710をマスクとして、一導電型を付与する不純物元素を半導体膜702、半導体膜704に添加する(図8(A)参照)。本実施の形態では、半導体膜702にn型を付与する不純物元素(例えばリンまたはヒ素)を、半導体膜704にp型を付与する不純物元素(例えばボロン)を添加する。なお、n型を付与する不純物元素を半導体膜702に添加する際には、p型の不純物が添加される半導体膜704はマスク等で覆い、n型を付与する不純物元素の添加が選択的に行われるようにする。また、p型を付与する不純物元素を半導体膜704に添加する際には、n型の不純物が添加される半導体膜702はマスク等で覆い、p型を付与する不純物元素の添加が選択的に行われるようにする。又は、半導体膜702及び半導体膜704に、p型を付与する不純物元素又はn型を付与する不純物元素の一方を添加した後、一方の半導体膜のみに、より高い濃度でp型を付与する不純物元素又はn型を付与する不純物元素の他方を添加するようにしても良い。上記不純物の添加により、半導体膜702に不純物領域712、半導体膜704に不純物領域714が形成される。
【0123】
次に、電極708の側面にサイドウォール716を、電極710の側面にサイドウォール718を形成する(図8(B)参照)。サイドウォール716及びサイドウォール718は、例えば、ゲート絶縁膜706、電極708及び電極710を覆うように新たに絶縁膜を形成し、垂直方向を主体とした異方性エッチングにより、該絶縁膜を部分的にエッチングすることで形成することができる。なお、上記の異方性エッチングにより、ゲート絶縁膜706を部分的にエッチングしても良い。サイドウォール716及びサイドウォール718を形成するための絶縁膜としては、プラズマCVD法やスパッタリング法等を用いて、シリコン、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、有機材料などを含む膜を、単層構造又は積層構造で形成すれば良い。本実施の形態では、膜厚100nmの酸化シリコン膜をプラズマCVD法によって形成する。また、エッチングガスとしては、CHFとヘリウムの混合ガスを用いることができる。なお、サイドウォール716及びサイドウォール718を形成する工程は、これらに限定されるものではない。
【0124】
次に、ゲート絶縁膜706、電極708及び電極710、サイドウォール716及びサイドウォール718をマスクとして、半導体膜702、半導体膜704に一導電型を付与する不純物元素を添加する(図8(C)参照)。なお、半導体膜702、半導体膜704には、それぞれ先の工程で添加した不純物元素と同じ導電型の不純物元素をより高い濃度で添加する。ここで、n型を付与する不純物元素を半導体膜702に添加する際には、p型の不純物が添加される半導体膜704はマスク等で覆い、n型を付与する不純物元素の添加が選択的に行われるようにする。また、p型を付与する不純物元素を半導体膜704に添加する際には、n型の不純物が添加される半導体膜702はマスク等で覆い、p型を付与する不純物元素の添加が選択的に行われるようにする。
【0125】
上記不純物元素の添加により、半導体膜702に、一対の高濃度不純物領域720と、一対の低濃度不純物領域722と、チャネル形成領域724とが形成される。また、上記不純物元素の添加により、半導体膜704に、一対の高濃度不純物領域726と、一対の低濃度不純物領域728と、チャネル形成領域730とが形成される。高濃度不純物領域720、高濃度不純物領域726はソース又はドレインとして機能し、低濃度不純物領域722、低濃度不純物領域728はLDD(Lightly Doped Drain)領域として機能する。
【0126】
なお、半導体膜702上に形成されたサイドウォール716と、半導体膜704上に形成されたサイドウォール718は、キャリアが移動する方向(いわゆるチャネル長に平行な方向)の長さが同じになるように形成しても良いが、異なるように形成しても良い。pチャネル型トランジスタとなる半導体膜704上のサイドウォール718は、nチャネル型トランジスタとなる半導体膜702上のサイドウォール716よりも大きく形成すると良い。なぜならば、pチャネル型トランジスタにおいてソース及びドレインを形成するために注入されるボロンは拡散しやすく、短チャネル効果を誘起しやすいためである。pチャネル型トランジスタにおいて、サイドウォール718の長さをより大きくすることで、ソース及びドレインに高濃度のボロンを添加することが可能となり、ソース及びドレインを低抵抗化することができる。
【0127】
ソース及びドレインをさらに低抵抗化するために、半導体膜702及び半導体膜704の一部をシリサイド化したシリサイド層を形成しても良い。シリサイド化は、半導体膜に金属を接触させ、加熱処理(例えば、GRTA法、LRTA法等)により、半導体膜中の珪素と金属とを反応させて行う。シリサイド層としては、コバルトシリサイド又はニッケルシリサイドを用いれば良い。半導体膜702や半導体膜704が薄い場合には、半導体膜702、半導体膜704の底部までシリサイド反応を進めても良い。シリサイド化に用いることができる金属材料としては、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、ネオジム(Nd)、クロム(Cr)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)等が挙げられる。また、レーザー光の照射などによってもシリサイド層を形成することができる。
【0128】
上述の工程により、nチャネル型トランジスタ732及びpチャネル型トランジスタ734が形成される。なお、図8(C)に示す段階では、ソース電極又はドレイン電極として機能する導電膜は形成されていないが、これらのソース電極又はドレイン電極として機能する導電膜を含めてトランジスタと呼ぶこともある。
【0129】
次に、nチャネル型トランジスタ732、pチャネル型トランジスタ734を覆うように絶縁膜736を形成する(図8(D)参照)。絶縁膜736は必ずしも設ける必要はないが、絶縁膜736を形成することで、アルカリ金属やアルカリ土類金属などの不純物がnチャネル型トランジスタ732、pチャネル型トランジスタ734に侵入することを防止できる。具体的には、絶縁膜736を、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、酸化アルミニウムなどの材料を用いて形成するのが望ましい。本実施の形態では、膜厚600nm程度の窒化酸化シリコン膜を、絶縁膜736として用いる。この場合、上述の水素化の工程は、該窒化酸化シリコン膜形成後に行っても良い。なお、本実施の形態においては、絶縁膜736を単層構造としているが、積層構造としても良いことはいうまでもない。例えば、2層構造とする場合には、酸化窒化シリコン膜と窒化酸化シリコン膜との積層構造とすることができる。
【0130】
次に、nチャネル型トランジスタ732、pチャネル型トランジスタ734を覆うように、絶縁膜736上に絶縁膜738を形成する。絶縁膜738は、ポリイミド、アクリル、、ベンゾシクロブテン、ポリアミド、エポキシ等の、耐熱性を有する有機材料を用いて形成するとよい。また、上記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)、シロキサン系樹脂、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)、アルミナ等を用いることもできる。ここで、シロキサン系樹脂とは、シロキサン系材料を出発材料として形成されたSi−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサン系樹脂は、置換基に水素の他、フッ素、アルキル基、芳香族炭化水素から選ばれる一を有していても良い。なお、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させることで、絶縁膜738を形成しても良い。
【0131】
絶縁膜738の形成には、その材料に応じて、CVD法、スパッタ法、SOG法、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法、スクリーン印刷、オフセット印刷等)、ドクターナイフ、ロールコーター、カーテンコーター、ナイフコーター等を用いることができる。
【0132】
次に、半導体膜702と半導体膜704の一部が露出するように絶縁膜736及び絶縁膜738にコンタクトホールを形成する。そして、該コンタクトホールを介して半導体膜702に接する導電膜740及び導電膜742と、半導体膜704に接する導電膜744及び導電膜746を形成する(図9(A)参照)。導電膜740、導電膜742、導電膜744、導電膜746は、トランジスタのソース電極又はドレイン電極として機能する。なお、本実施の形態においては、コンタクトホール開口時のエッチングに用いるガスとしてCHFとHeの混合ガスを用いたが、これに限定されるものではない。
【0133】
導電膜740、導電膜742、導電膜744、導電膜746は、CVD法やスパッタリング法等により形成することができる。具体的には、導電膜740、導電膜742、導電膜744、導電膜746として、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、マンガン(Mn)、ネオジム(Nd)、炭素(C)、珪素(Si)等を用いることができる。また、上記材料を主成分とする合金を用いても良いし、上記材料を含む化合物を用いても良い。また、導電膜740、導電膜742、導電膜744、導電膜746は、単層構造としても良いし、積層構造としても良い。
【0134】
アルミニウムを主成分とする合金の例としては、アルミニウムを主成分として、ニッケルを含むものを挙げることができる。また、アルミニウムを主成分とし、ニッケルと、炭素または珪素の一方または両方を含むものを挙げることができる。アルミニウムやアルミニウムシリコン(Al−Si)は抵抗値が低く、安価であるため、導電膜740、導電膜742、導電膜744、導電膜746を形成する材料として適している。特に、アルミニウムシリコンは、パターニングの際のレジストベークによるヒロックの発生を抑制することができるため好ましい。また、珪素の代わりに、アルミニウムに0.5%程度のCuを混入させた材料を用いても良い。
【0135】
導電膜740、導電膜742、導電膜744、導電膜746を積層構造とする場合には、例えば、バリア膜とアルミニウムシリコン膜とバリア膜の積層構造、バリア膜とアルミニウムシリコン膜と窒化チタン膜とバリア膜の積層構造などを採用するとよい。なお、バリア膜とは、チタン、チタンの窒化物、モリブデンまたはモリブデンの窒化物などを用いて形成された膜である。バリア膜の間にアルミニウムシリコン膜を挟むように導電膜を形成すると、アルミニウムやアルミニウムシリコンのヒロックの発生をより一層防止することができる。また、還元性の高い元素であるチタンを用いてバリア膜を形成すると、半導体膜702と半導体膜704上に薄い酸化膜が形成されていたとしても、バリア膜に含まれるチタンが該酸化膜を還元し、導電膜740及び導電膜742と半導体膜702とのコンタクト、導電膜744及び導電膜746と半導体膜704とのコンタクトを良好なものとすることができる。また、バリア膜を複数積層するようにして用いても良い。その場合、例えば、導電膜740、導電膜742、導電膜744、導電膜746を、下層からチタン、窒化チタン、アルミニウムシリコン、チタン、窒化チタンのように、5層構造又はそれ以上の積層構造とすることもできる。
【0136】
また、導電膜740、導電膜742、導電膜744、導電膜746として、WFガスとSiHガスから化学気相成長法で形成したタングステンシリサイドを用いても良い。また、WFを水素還元して形成したタングステンを、導電膜740、導電膜742、導電膜744、導電膜746として用いても良い。
【0137】
なお、導電膜740及び導電膜742はnチャネル型トランジスタ732の高濃度不純物領域720に接続されている。導電膜744及び導電膜746はpチャネル型トランジスタ734の高濃度不純物領域726に接続されている。
【0138】
図9(B)に、図9(A)に示したnチャネル型トランジスタ732及びpチャネル型トランジスタ734の平面図を示す。ここで、図9(B)のA−Bにおける断面が図9(A)に対応している。ただし、図9(B)においては、簡単のため、導電膜740、導電膜742、導電膜744、導電膜746、絶縁膜736、絶縁膜738等を省略している。
【0139】
なお、本実施の形態においては、nチャネル型トランジスタ732とpチャネル型トランジスタ734が、それぞれゲート電極として機能する電極を1つずつ有する場合(電極708、電極710を有する場合)を例示しているが、本発明の一態様は該構成に限定されない。本発明の一態様を用いて作製されるトランジスタは、ゲート電極として機能する電極を複数有し、なおかつ該複数の電極が電気的に接続されているマルチゲート構造を有していても良い。
【0140】
本実施の形態では、単結晶半導体層を用いてトランジスタを形成している。これにより、非晶質半導体層や非単結晶半導体層などを用いる場合と比較して、トランジスタのスイッチング速度が向上する。さらに、本実施の形態では、縞状のむらがない良好な単結晶半導体層を用いているため、トランジスタ間の特性ばらつきを十分に抑制することができる。これにより、優れた特性の半導体装置を提供することができる。
【0141】
なお、本実施の形態で示した構成は、本明細書の他の実施の形態で示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
【0142】
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記の実施の形態にて作製した半導体装置、特に表示装置を用いた電子機器について、図10及び図11を参照して説明する。
【0143】
半導体装置(特に表示装置)を用いて作製される電子機器としては、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオコンポ等)、コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを備えた装置)などが挙げられる。
【0144】
図10(A)はテレビ受像器又はパーソナルコンピュータのモニタである。筺体1601、支持台1602、表示部1603、スピーカー部1604、ビデオ入力端子1605等を含む。表示部1603には、本発明の一態様にかかる半導体装置が用いられている。本発明の一態様にかかる半導体装置により、信頼性が高く高性能なテレビ受像器又はパーソナルコンピュータのモニタを提供することができる。
【0145】
図10(B)はデジタルカメラである。本体1611の正面部分には受像部1613が設けられており、本体1611の上面部分にはシャッターボタン1616が設けられている。また、本体1611の背面部分には、表示部1612、操作キー1614、及び外部接続ポート1615が設けられている。表示部1612には、本発明の一態様にかかる半導体装置が用いられている。本発明の一態様にかかる半導体装置により、信頼性が高く高性能なデジタルカメラを提供することができる。
【0146】
図10(C)はノート型パーソナルコンピュータである。本体1621には、キーボード1624、外部接続ポート1625、ポインティングデバイス1626が設けられている。また、本体1621には、表示部1623を有する筐体1622が取り付けられている。表示部1623には、本発明の一態様にかかる半導体装置が用いられている。本発明の一態様にかかる半導体装置により、信頼性が高く高性能なノート型パーソナルコンピュータを提供することができる。
【0147】
図10(D)はモバイルコンピュータであり、本体1631、表示部1632、スイッチ1633、操作キー1634、赤外線ポート1635等を含む。表示部1632にはアクティブマトリクス表示装置が設けられている。表示部1632には、本発明の一態様にかかる半導体装置が用いられている。本発明の一態様にかかる半導体装置により、信頼性が高く高性能なモバイルコンピュータを提供することができる。
【0148】
図10(E)は画像再生装置である。本体1641には、表示部1644、記録媒体読み込み部1645及び操作キー1646が設けられている。また、本体1641には、スピーカー部1647及び表示部1643それぞれを有する筐体1642が取り付けられている。表示部1643及び表示部1644それぞれには、本発明の一態様にかかる半導体装置が用いられている。本発明の一態様にかかる半導体装置により、信頼性が高く高性能な画像再生装置を提供することができる。
【0149】
図10(F)は電子書籍である。本体1651には操作キー1653が設けられている。また、本体1651には複数の表示部1652が取り付けられている。表示部1652には、本発明の一態様にかかる半導体装置が用いられている。本発明の一態様にかかる半導体装置により、信頼性が高く高性能な電子書籍を提供することができる。
【0150】
図10(G)はビデオカメラであり、本体1661には外部接続ポート1664、リモコン受信部1665、受像部1666、バッテリー1667、音声入力部1668、操作キー1669が設けられている、また、本体1661には、表示部1662を有する筐体1663が取り付けられている。表示部1662には、本発明の一態様にかかる半導体装置が用いられている。本発明の一態様にかかる半導体装置により、信頼性が高く高性能なビデオカメラを低価格で提供することができる。
【0151】
図10(H)は携帯電話であり、本体1671、筐体1672、表示部1673、音声入力部1674、音声出力部1675、操作キー1676、外部接続ポート1677、アンテナ1678等を含む。表示部1673には、本発明の一態様にかかる半導体装置が用いられている。本発明の一態様にかかる半導体装置により、信頼性が高く高性能な携帯電話を提供することができる。
【0152】
図11は、電話としての機能と、情報端末としての機能を併せ持った携帯電子機器1700の構成の一例である。ここで、図11(A)は正面図、図11(B)は背面図、図11(C)は展開図である。携帯電子機器1700は、電話と情報端末の双方の機能を備えており、音声通話以外にも様々なデータ処理が可能な、いわゆるスマートフォンと呼ばれる電子機器である。
【0153】
携帯電子機器1700は、筐体1701及び筐体1702で構成されている。筐体1701は、表示部1711、スピーカー1712、マイクロフォン1713、操作キー1714、ポインティングデバイス1715、カメラ用レンズ1716、外部接続端子1717等を備え、筐体1702は、キーボード1721、外部メモリスロット1722、カメラ用レンズ1723、ライト1724、イヤフォン端子1725等を備えている。また、アンテナは筐体1701内部に内蔵されている。上記構成に加えて、非接触ICチップ、小型記録装置等を内蔵していてもよい。
【0154】
表示部1711には、本発明の一態様にかかる半導体装置が組み込まれている。なお、表示部1711に表示される映像(及びその表示方向)は、携帯電子機器1700の使用形態に応じて様々に変化する。また、表示部1711と同一面にカメラ用レンズ1716を備えているため、映像を伴う音声通話(いわゆるテレビ電話)が可能である。なお、スピーカー1712及びマイクロフォン1713は音声通話に限らず、録音、再生等に用いることが可能である。カメラ用レンズ1723(及び、ライト1724)を用いて静止画及び動画の撮影を行う場合には、表示部1711はファインダーとして用いられることになる。操作キー1714は、電話の発信・着信、電子メール等の簡単な情報入力、画面のスクロール、カーソル移動等に用いられる。
【0155】
重なり合った筐体1701と筐体1702(図11(A))は、スライドし、図11(C)のように展開し、情報端末として使用できる。この場合には、キーボード1721、ポインティングデバイス1715を用いた円滑な操作が可能である。外部接続端子1717はACアダプタやUSBケーブル等の各種ケーブルと接続可能であり、充電やコンピュータ等とのデータ通信を可能にしている。また、外部メモリスロット1722に記録媒体を挿入し、より大容量のデータの保存及び移動に対応できる。上記機能に加えて、赤外線などの電磁波を用いた無線通信機能や、テレビ受信機能等を有していても良い。本発明の一態様にかかる半導体装置により、信頼性が高く高性能な携帯電子機器を提供することができる。
【0156】
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に用いることが可能である。なお、本実施の形態は、本明細書の他の実施の形態で示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
【符号の説明】
【0157】
100 ベース基板
102 窒素含有層
110 単結晶半導体基板
112 脆化領域
114 絶縁層
115 酸化膜
116 単結晶半導体層
118 単結晶半導体層
120 半導体層
130 イオン
132 レーザー光
140 凹部
700 半導体層
702 半導体膜
704 半導体膜
706 ゲート絶縁膜
708 電極
710 電極
712 不純物領域
714 不純物領域
716 サイドウォール
718 サイドウォール
720 高濃度不純物領域
722 低濃度不純物領域
724 チャネル形成領域
726 高濃度不純物領域
728 低濃度不純物領域
730 チャネル形成領域
732 nチャネル型トランジスタ
734 pチャネル型トランジスタ
736 絶縁膜
738 絶縁膜
740 導電膜
742 導電膜
744 導電膜
746 導電膜
1601 筺体
1602 支持台
1603 表示部
1604 スピーカー部
1605 ビデオ入力端子
1611 本体
1612 表示部
1613 受像部
1614 操作キー
1615 外部接続ポート
1616 シャッターボタン
1621 本体
1622 筐体
1623 表示部
1624 キーボード
1625 外部接続ポート
1626 ポインティングデバイス
1631 本体
1632 表示部
1633 スイッチ
1634 操作キー
1635 赤外線ポート
1641 本体
1642 筐体
1643 表示部
1644 表示部
1645 記録媒体読み込み部
1646 操作キー
1647 スピーカー部
1651 本体
1652 表示部
1653 操作キー
1661 本体
1662 表示部
1663 筐体
1664 外部接続ポート
1665 リモコン受信部
1666 受像部
1667 バッテリー
1668 音声入力部
1669 操作キー
1671 本体
1672 筐体
1673 表示部
1674 音声入力部
1675 音声出力部
1676 操作キー
1677 外部接続ポート
1678 アンテナ
1700 携帯電子機器
1701 筐体
1702 筐体
1711 表示部
1712 スピーカー
1713 マイクロフォン
1714 操作キー
1715 ポインティングデバイス
1716 カメラ用レンズ
1717 外部接続端子
1721 キーボード
1722 外部メモリスロット
1723 カメラ用レンズ
1724 ライト
1725 イヤフォン端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単結晶半導体基板に加速されたイオンを照射して該単結晶半導体基板に脆化領域を形成し、
前記単結晶半導体基板に形成された絶縁層の表面の、前記単結晶半導体基板の周縁部に対応する領域に、凹部又は凸部を形成し、
前記絶縁層を介して、前記単結晶半導体基板とベース基板とを貼り合わせ、
熱処理を施すことにより、前記脆化領域において前記単結晶半導体基板を分離して、前記ベース基板上に単結晶半導体層を形成し、
前記単結晶半導体層をパターニングして半導体素子を形成する際に、前記周縁部に対応する領域の前記単結晶半導体層を除去することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項2】
単結晶半導体基板に加速されたイオンを照射して該単結晶半導体基板に脆化領域を形成し、
ベース基板に形成された絶縁層の表面の、前記単結晶半導体基板の周縁部と貼り合わせられる領域に、凹部又は凸部を形成し、
絶縁層を介して前記単結晶半導体基板と前記ベース基板とを貼り合わせ、
熱処理を施すことにより、前記脆化領域において前記単結晶半導体基板を分離して、前記ベース基板上に単結晶半導体層を形成し、
前記単結晶半導体層をパターニングして島状の半導体層を形成する際に、前記周縁部に対応する領域の前記単結晶半導体層を除去することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項3】
単結晶半導体基板に加速されたイオンを照射して該単結晶半導体基板に脆化領域を形成し、
ベース基板の表面の、前記単結晶半導体基板の周縁部と貼り合わせられる領域に、凹部又は凸部を形成し、
絶縁層を介して前記単結晶半導体基板と前記ベース基板とを貼り合わせ、
熱処理を施すことにより、前記脆化領域において前記単結晶半導体基板を分離して、前記ベース基板上に単結晶半導体層を形成し、
前記単結晶半導体層をパターニングして島状の半導体層を形成する際に、前記周縁部に対応する領域の前記単結晶半導体層を除去することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一において、
前記単結晶半導体層にレーザー光を照射して、前記単結晶半導体層の特性を向上させることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一において、
前記ベース基板として、ガラス基板を用いることを特徴とする半導体装置の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−103513(P2010−103513A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−219856(P2009−219856)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】