説明

半導体装置の製造方法

【課題】ハーフピッチサイズが32nm以下のCMISデバイスを有する半導体装置において、nチャネル型電界効果トランジスタおよびpチャネル型電界効果トランジスタのそれぞれの閾値電圧を適切に設定することのできる技術を提供する。
【解決手段】pMIS形成領域に、主としてAlが拡散した高誘電体膜5h(例えばHfO膜)により構成されるゲート絶縁膜5ならびに下層メタルゲート電極6Dと上層メタルゲート電極6Uとの積層膜からなるメタルゲート電極6を有するpMIS100pを形成し、nMIS形成領域に、主としてLa(ランタン)が拡散した高誘電体膜5h(例えばHfO膜)により構成されるゲート絶縁膜11ならびに上層メタルゲート電極6Uからなるメタルゲート電極12を有するnMIS100nを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造技術に関し、特に、金属からなるゲート電極および高誘電体膜からなるゲート絶縁膜を有する電界効果トランジスタの製造に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば特開2007−110091号公報(特許文献1)には、第1の厚さを有する第1ゲート電極を含むPMOSトランジスタと、第1の厚さよりも薄い第2の厚さを有する第2ゲート電極を含むNMOSトランジスタとを有し、第1ゲート電極および第2ゲート電極の厚さによってPMOSトランジスタおよびNMOSトランジスタの仕事関数を設定する技術が開示されている。
【0003】
また、特開2007−243009号公報(特許文献2)には、酸化ハフニウム膜よりなるゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に形成された酸化アルミニウム膜よりなる金属酸化物膜と、金属酸化物膜上に形成された窒化タンタル膜よりなるゲート電極とを含み、金属酸化物膜はゲート電極の仕事関数値をシフトする機能を有するpチャネル型MISFETが開示されている。
【0004】
また、特開2007−19400号公報(特許文献3)には、PMOSトランジスタのゲート電極を第1金属層/多結晶シリコン層の積層構造とし、NMOSトランジスタのゲート電極を第2金属層/多結晶シリコン層の積層構造とし、第2金属層の厚さを第1金属層の厚さよりも薄く形成して、それぞれの閾値を制御する技術が開示されている。
【0005】
また、S. Kubicek et al.、International Electron Devices Meeting 2008 Technical Digest、2007年、p.49−52(非特許文献1)には、ゲート電極をTaCを主材料とするメタルにより構成し、nMOSのゲート絶縁膜にLaを含むHfを主材料とするhigh−k絶縁膜を用い、pMOSのゲート絶縁膜にAlを含むHfを主材料とするhigh−k絶縁膜を用いたCMOSデバイスが記載されている。
【0006】
また、H. Rusty Harris et al., 2007 Symposium on VLSI Technology Digest of Technical Papers、2007年、p.154−155(非特許文献2)には、NMOSのゲート絶縁膜(high−k絶縁膜)およびメタルゲート電極と、PMOSのゲート絶縁膜(high−k絶縁膜)およびメタルゲート電極とをそれぞれ異なる工程で形成し、さらにPMOSのチャネルをエピタキシャル成長法により形成したSiGeに設けたCMOSデバイスが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−110091号公報
【特許文献2】特開2007−243009号公報
【特許文献3】特開2007−19400号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】S. Kubicek et al.、International Electron Devices Meeting 2008 Technical Digest、2007年、p.49−52
【非特許文献2】H. Rusty Harris et al., 2007 Symposium on VLSI Technology Digest of Technical Papers、2007年、p.154−155
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
SoC(System on a Chip)において使用されるhp(ハーフピッチサイズ)が32nm以下のプレーナ型電界効果トランジスタでは、縮小比例法則に従って、平面寸法のみならず高さ方向の寸法も縮小する必要がある。しかしながら、ゲート絶縁膜を介してゲート電極とシリコン基板との間のリーク電流またはゲート電極とソース・ドレインとの間のリーク電流を抑制する必要があるため、ゲート絶縁膜の物理膜厚を薄くしすぎることはできない。また、多結晶シリコンからなるゲート電極を用いる場合は、典型的に観測されるゲート空乏化は酸化膜換算で0.3nm程度となるため、hp32nmのプレーナ型電界効果トランジスタで要求される等価酸化膜厚(誘電率を考慮してSiO膜と等価な電気的膜厚に換算した膜厚)が1nm程度では、ゲート空乏化の影響が相対的に大きくなり、ゲート容量の向上に限界が生じる。
【0010】
そこで、これらの問題を解決する手段として、例えばゲート絶縁膜に、一般的にHigh−k絶縁膜と呼ばれ誘電率がSiOよりも大きい絶縁材料を用い、ゲート電極に、多結晶Siに変えてメタルを用いる方法が検討されている。前者の方法により、1nmの等価酸化膜厚を確保しつつ、物理膜厚が薄くなりすぎることを防ぐことができる。また、後者の方法により、ゲート空乏化を抑制することができる。
【0011】
ところで、ゲート電極をメタルにより構成した場合、ゲート電極に用いるメタルの仕事関数が電界効果トランジスタの閾値電圧を決める大きな要因の一つとなる。使用するメタル材質の候補にはTiN、TiSiN、TaSiN、TaC、W、またはMo等の様々なメタル材質があり、それぞれのメタル材質は基本的には固有の仕事関数を有する。しかしながら、それぞれのメタル材質の仕事関数は成膜条件や成膜前後のプロセス条件にも大きく依存する(例えば前述の特許文献1参照)。言い換えれば、メタル材質の選定のみならず成膜条件や成膜前後のプロセス条件の設定は、閾値電圧を調整するための第1の手段となる。
【0012】
しかしながら、ゲート電極を同一のメタルにより構成し、そしてその膜厚を変えるだけでは、nチャネル型電界効果トランジスタの閾値電圧およびpチャネル型電界効果トランジスタの閾値電圧をバランス良く設定することが難しい。例えばLSTP(Low Standby Power)用としてnチャネル型電界効果トランジスタで+0.4V、pチャネル型電界効果トランジスタで−0.4Vの閾値電圧を得ること、LOP(Low Operation Power)用としてnチャネル型電界効果トランジスタで+0.3V、pチャネル型電界効果トランジスタで−0.3Vの閾値電圧を得ること、HP(High Performance)用としてnチャネル型電界効果トランジスタで+0.2V、pチャネル型電界効果トランジスタで−0.2Vの閾値電圧を得ることは難しい。
【0013】
そこで、近年、High−k絶縁膜の上側または下側に金属酸化物を成膜させて閾値電圧の低減を図ることが検討されている。例えばpチャネル型電界効果トランジスタにおいてHigh−k絶縁膜とメタルゲート電極との間に金属酸化物、例えばAl膜を挿入する技術が開示されている(例えば前述の特許文献2参照)。金属酸化物を挿入する技術は電界効果トランジスタの閾値電圧を調整するための第2の手段として検討されている。
【0014】
さらに、一方の電界効果トランジスタの閾値電圧の低減だけでなく、閾値電圧の低減と設定とを目的に、nチャネル型電界効果トランジスタおよびpチャネル型電界効果トランジスタのそれぞれに、材質の異なる金属酸化物を挿入する検討も行われている(例えば前述の非特許文献1、2参照)。
【0015】
ところで、High−k絶縁膜および金属酸化物を採用した場合、nチャネル型電界効果トランジスタおよびpチャネル型電界効果トランジスタを製造するプロセスにおいては、工程が複雑で加工が難しく、そして工程数が多いという問題がある。例えば先にpチャネル型電界効果トランジスタを製造する場合、High−k絶縁膜の成膜、pチャネル型電界効果トランジスタ用の金属酸化物の成膜、nチャネル型電界効果トランジスタ領域のみのpチャネル型電界効果トランジスタ用の金属酸化物の除去、nチャネル型電界効果トランジスタ用の金属酸化物の成膜、そしてpチャネル型電界効果トランジスタ領域のみのnチャネル型電界効果トランジスタ用の金属酸化物の除去という第1のプロセスフローが考えられる。しかし、この第1のプロセスフローでは、nチャネル型電界効果トランジスタ領域とpチャネル型電界効果トランジスタ領域とを分けるために、2回のリソグラフィ・エッチング工程が必要となる。hp32nm以下のプレーナ型電界効果トランジスタのように微細化が進むと、特にSRAM(Static Random Access Memory)のようなnチャネル型電界効果トランジスタのゲート電極とpチャネル型電界効果トランジスタのゲート電極とが接近して、正確な重ね合わせが必要とされる領域では、nチャネル型電界効果トランジスタおよびpチャネル型電界効果トランジスタのそれぞれのトランジスタ特性のばらつき増加が懸念される。SRAMでは、面積が小さい程、nチャネル型電界効果トランジスタおよびpチャネル型電界効果トランジスタのそれぞれのトランジスタ特性のばらつきが増加して正常なSRAM動作が妨げられるリスクが増加する。そのため、正確な重ね合わせは微細化が進むほど重要性が増す。
【0016】
そこで、例えば前述した第1のプロセスフローにおいて、nチャネル型電界効果トランジスタ用の金属酸化物を成膜した後、pチャネル型電界効果トランジスタ領域のみのnチャネル型電界効果トランジスタ用の金属酸化物の除去を行わない第2のプロセスフローが提案されている。この第2のプロセスフローを採用することにより、nチャネル型電界効果トランジスタ領域とpチャネル型電界効果トランジスタ領域とを分けるためのリソグラフィ・エッチンング工程を1回に留められて、重ね合わせの問題を低減することができる。
【0017】
また、この第2のプロセスフローを採用することにより、以下の利点を得ることができる。(1)仕事関数または移動度を考慮して、nチャネル型電界効果トランジスタのメタルゲート電極の厚さとpチャネル型電界効果トランジスタのメタルゲート電極の厚さとをそれぞれ決めることができるので、閾値電圧の最適な設定が可能となる。(2)nチャネル型電界効果トランジスタのHigh−k絶縁膜とpチャネル型電界効果トランジスタのHigh−k絶縁膜とを互いに異なる金属酸化物で構成することができるので、それぞれについて閾値電圧の低減と最適な設定とが可能となる。(3)nチャネル型電界効果トランジスタ用の金属酸化物とpチャネル型電界効果トランジスタ用の金属酸化物との作り分けを1回のリソグラフィ・エッチング工程で行うことにより重ね合わせずれが抑制できて、その結果としてトランジスタ特性のばらつきを低減することが可能となる。
【0018】
しかし、この第2のプロセスフローでは、pチャネル型電界効果トランジスタ領域において、pチャネル型電界効果トランジスタ用の金属酸化物にnチャネル型電界効果トランジスタ用の金属酸化物が接することになる。その結果、互いの効果を相殺してしまい、pチャネル型電界効果トランジスタの閾値電圧の低下の効果が小さくなることが考えられる。この問題は、pチャネル型電界効果トランジスタのHigh−k絶縁膜にはpチャネル型電界効果トランジスタ用の金属酸化物が接するように、また、nチャネル型電界効果トランジスタのHigh−k絶縁膜にはnチャネル型電界効果トランジスタ用の金属酸化物が接するようにすれば解決する。しかし、前述したように、このようにそれぞれを作り分けるためには2回のリソグラフィ・エッチング工程が必要となり、重ね合わせの問題が生じる。
【0019】
本発明の目的は、hp32nm以下のCMISデバイスを有する半導体装置において、nチャネル型電界効果トランジスタおよびpチャネル型電界効果トランジスタのそれぞれの閾値電圧を適切に設定することのできる技術を提供することにある。
【0020】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの一実施の形態を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0022】
この実施の形態は、半導体基板の第1領域にpチャネル型電界効果トランジスタを形成し、半導体基板の第2領域にnチャネル型電界効果トランジスタを形成する半導体装置の製造方法である。半導体基板の主面上に、SiOよりも誘電率の高いHfO膜、Al膜、および第1厚さを有する第1TiN膜を形成する。続いて、第2領域の第1TiN膜およびAl膜を除去した後、半導体基板の主面上にLa膜および第1厚さよりも薄い第2厚さを有する第2TiN膜を形成する。続いて、半導体基板に熱処理を施して、第1領域のHfO膜にAlを拡散させ、第2領域のHfO膜にLaを拡散させた後、半導体基板の主面上に多結晶Si膜を形成する。続いて、第1領域の多結晶Si膜、第2TiN膜、第1TiN膜、Al膜、およびAlが拡散したHfO膜からなる積層膜を加工して、pチャネル型電界効果トランジスタの多結晶Si膜、第2TiN膜、および第1TiN膜からなるゲート電極ならびにAl膜、およびAlが拡散したHfO膜からなるゲート絶縁膜を形成し、第2領域の多結晶Si膜、第2TiN膜、La膜、およびLaが拡散したHfO膜からなる積層膜を加工して、nチャネル型電界効果トランジスタの多結晶Si膜および第2TiN膜からなるゲート電極ならびにLa膜、およびLaが拡散したHfO膜からなるゲート絶縁膜を形成する。
【0023】
また、この実施の形態は、半導体基板の第1領域にpチャネル型電界効果トランジスタを形成し、半導体基板の第2領域にnチャネル型電界効果トランジスタを形成する半導体装置の製造方法である。半導体基板の主面上に、SiOよりも誘電率の高いHfO膜、Al膜、および第1厚さを有する第1TiN膜を形成する。続いて、第2領域の第1TiN膜およびAl膜を除去した後、半導体基板の主面上にLa膜および第1厚さよりも薄い第2厚さを有する第2TiN膜を形成する。続いて、La膜上に第1多結晶Si膜を形成した後、第1領域の第1TiN膜の上面が露出するまで、第1多結晶Si膜を研削する。続いて、半導体基板の主面上に第2多結晶Si膜を形成した後、半導体基板に熱処理を施して、第1領域のHfO膜にAlを拡散させ、第2領域のHfO膜にLaを拡散させる。続いて、第1領域の第2多結晶Si膜、第1TiN膜、Al膜、およびAlが拡散したHfO膜からなる積層膜を加工して、pチャネル型電界効果トランジスタの第2多結晶Si膜および第1TiN膜からなるゲート電極ならびにAl膜、およびAlが拡散したHfO膜からなるゲート絶縁膜を形成し、第2領域の第2多結晶Si膜、第1多結晶Si膜、第2TiN膜、La膜、およびLaが拡散したHfO膜からなる積層膜を加工して、nチャネル型電界効果トランジスタの第2多結晶Si膜、第1多結晶Si膜、および第2TiN膜からなるゲート電極ならびにLa膜、およびLaが拡散したHfO膜からなるゲート絶縁膜を形成する。
【発明の効果】
【0024】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの一実施の形態によって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0025】
hp32nm以下のCMISデバイスを有する半導体装置において、nチャネル型電界効果トランジスタおよびpチャネル型電界効果トランジスタのそれぞれの閾値電圧を適切に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態1によるCMISデバイスを示す要部断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1によるCMISデバイスの製造工程を示す要部断面図である。
【図3】図2に続くCMISデバイスの製造工程中の図2と同じ箇所の要部断面図である。
【図4】図3に続くCMISデバイスの製造工程中の図2と同じ箇所の要部断面図である。
【図5】図4に続くCMISデバイスの製造工程中の図2と同じ箇所の要部断面図である。
【図6】図5に続くCMISデバイスの製造工程中の図2と同じ箇所の要部断面図である。
【図7】図6に続くCMISデバイスの製造工程中の図2と同じ箇所の要部断面図である。
【図8】図7に続くCMISデバイスの製造工程中の図2と同じ箇所の要部断面図である。
【図9】図8に続くCMISデバイスの製造工程中の図2と同じ箇所の要部断面図である。
【図10】図9に続くCMISデバイスの製造工程中の図2と同じ箇所の要部断面図である。
【図11】図10に続くCMISデバイスの製造工程中の図2と同じ箇所の要部断面図である。
【図12】図11に続くCMISデバイスの製造工程中の図2と同じ箇所の要部断面図である。
【図13】図12に続くCMISデバイスの製造工程中の図2と同じ箇所の要部断面図である。
【図14】本発明の実施の形態2によるCMISデバイスを示す要部断面図である。
【図15】本発明の実施の形態2によるCMISデバイスの製造工程を示す要部断面図である。
【図16】図15に続くCMISデバイスの製造工程中の図15と同じ箇所の要部断面図である。
【図17】図16に続くCMISデバイスの製造工程中の図15と同じ箇所の要部断面図である。
【図18】図17に続くCMISデバイスの製造工程中の図15と同じ箇所の要部断面図である。
【図19】図18に続くCMISデバイスの製造工程中の図15と同じ箇所の要部断面図である。
【図20】図19に続くCMISデバイスの製造工程中の図15と同じ箇所の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下の実施の形態において、便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0028】
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0029】
また、以下の実施の形態においては、電界効果トランジスタを代表するMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)をMISと略し、pチャネル型MISFETをpMISと略し、nチャネル型MISFETをnMISと略す。また、以下の実施の形態において、ウエハと言うときは、Si(Silicon)単結晶ウエハを主とするが、それのみではなく、SOI(Silicon On Insulator)ウエハ、集積回路をその上に形成するための絶縁膜基板等を指すものとする。その形も円形またはほぼ円形のみでなく、正方形、長方形等も含むものとする。
【0030】
また、以下の実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0031】
(実施の形態1)
本実施の形態1によるCMIS(Complementary Metal Insulator Semiconductor)デバイスを図1を用いて説明する。
【0032】
半導体基板1の主面には、素子分離2が形成されている。素子分離2は、半導体基板1に形成される素子間の干渉を防止する機能を有し、例えば半導体基板1に溝を形成し、この溝に絶縁膜を埋め込むSTI(Shallow Trench Isolation)法によって形成される。この素子分離2によって分離された活性領域が、pMIS形成領域(第1領域)またはnMIS形成領域(第2領域)となっている。
【0033】
pMIS形成領域の半導体基板1の主面には半導体領域であるn型ウェル3が形成されており、nMIS形成領域の半導体基板1の主面には半導体領域であるp型ウェル4が形成されている。n型ウェル3にはP(リン)またはAs(砒素)などのn型不純物が導入されており、p型ウェル4にはB(ホウ素)などのp型不純物が導入されている。
【0034】
次に、pMIS形成領域に形成されているpMIS100pの構成について説明する。図1に示すように、pMIS形成領域の半導体基板1の主面に形成されたn型ウェル3上には、ゲート絶縁膜5が形成されている。
【0035】
このゲート絶縁膜5は主として、例えばSiO(酸化シリコン)よりも誘電率の高い高誘電体膜5hから形成されている。高誘電体膜5hとしては、例えばHfO(酸化ハフニウム)膜、HfON(ハフニウムオキシナイトライド)膜、HfSiO(ハフニウムシリケート)膜、またはHfSiON(ハフニウムシリコンオキシナイトライド)膜のようなハフニウム系絶縁膜を使用する。高誘電体膜5hの上面には金属酸化膜(第1金属酸化膜)5m1、例えばAl(酸化アルミニウム)膜が形成されており、金属酸化膜5m1に含まれる金属(第1金属)、例えばAl(アルミニウム)が高誘電体膜5hに拡散している。半導体基板1と高誘電体膜5hとの間には、酸化膜5s、例えばSiO膜が形成されている。
【0036】
ゲート絶縁膜5上には、メタルゲート電極6が形成されている。メタルゲート電極6は、第1メタルゲート電極材料からなる下層メタルゲート電極6Dと第2メタルゲート電極材料からなる上層メタルゲート電極6Uとを積層した構造を有している。下層メタルゲート電極6Dおよび上層メタルゲート電極6Uは、例えばTiN(窒化チタン)膜により構成されるが、これに限定されるものではない。例えばTaN膜、TaSiN膜、TiAlN膜、HfN膜、NiSi1−x膜、PtSi膜、NiTa1−xSi膜、NiPt1−xSi膜、HfSi膜、WSi膜、IrSi1−x膜、TaGe膜、TaCx膜、Mo膜、またはW膜のいずれかの膜により、メタルゲート電極6を構成してもよい。さらに、メタルゲート電極6上には、シリコンゲート電極7が形成されている。シリコンゲート電極7は、例えば1×1020cm−3程度の不純物が導入された多結晶Si膜(シリコンゲート電極材料)により構成される。従って、pMIS100pのゲート電極Gp1は、メタルゲート電極6とシリコンゲート電極7とを積層した構造を有している。
【0037】
ゲート電極Gp1の両側の側壁には、例えば絶縁膜よりなるサイドウォール8が形成されている。このサイドウォール8直下の半導体基板1(n型ウェル3)には、半導体領域であるp型拡張領域9が形成されており、p型拡張領域9の外側にはp型拡散領域10が形成されている。p型拡張領域9およびp型拡散領域10にはBなどのp型不純物が導入されており、p型拡散領域10にはp型拡張領域9に比べて高濃度にp型不純物が導入されている。p型拡張領域9およびp型拡散領域10によって、ExtensionまたはLDD(Lightly Doped Drain)構造を有するpMIS100pのソース・ドレイン領域SDが形成される。
【0038】
続いて、nMIS形成領域に形成されているnMIS100nの構成について説明する。図1に示すように、nMIS形成領域の半導体基板1の主面に形成されたp型ウェル4上には、ゲート絶縁膜11が形成されている。
【0039】
このゲート絶縁膜11は主として、例えばSiOよりも誘電率の高い高誘電体膜5hから形成されている。高誘電体膜5hとしては、例えばHfO膜、HfON膜、HfSiO膜、またはHfSiON膜のようなハフニウム系絶縁膜を使用する。高誘電体膜5hの上面には金属酸化膜(第2金属酸化膜)5m2、例えばLa(酸化ランタン)膜、Y(酸化イットリウム)膜、MgO(酸化マグネシウム)膜、またはSc(酸化スカンジウム)膜が形成されており、金属酸化膜5m2に含まれる金属(第2金属)、例えばLa(ランタン)、Y(イットリウム)、Mg(マグネシウム)、またはSc(スカンジウム)が高誘電体膜5hに拡散している。半導体基板1と高誘電体膜5hとの間には、酸化膜5s、例えばSiO膜が形成されている。
【0040】
ゲート絶縁膜11上には、メタルゲート電極12が形成されている。このメタルゲート電極12は、前述したpMIS100pのゲート電極Gp1の一部を構成するメタルゲート電極6の上層に位置する上層メタルゲート電極6Uと同じ電極材料(第2メタルゲート電極材料)により構成されている。さらに、メタルゲート電極12上には、シリコンゲート電極13が形成されている。このシリコンゲート電極13は、前述したpMIS100pのゲート電極Gp1の他の一部を構成するシリコンゲート電極7と同じシリコンゲート電極材料により構成されている。従って、nMIS100nのゲート電極Gn1は、メタルゲート電極12とシリコンゲート電極13とを積層した構造を有しているが、nMIS100nのゲート電極Gn1の厚さは、pMIS100pのゲート電極Gp1の厚さよりも、pMIS100pのゲート電極Gp1の一部を構成するメタルゲート電極6の下層に位置する下層メタルゲート電極6Dの厚さ分薄くなる。
【0041】
ゲート電極Gn1の両側の側壁には、例えば絶縁膜よりなるサイドウォール8が形成されている。このサイドウォール8直下の半導体基板1(p型ウェル4)には、半導体領域であるn型拡張領域14が形成されており、n型拡張領域14の外側にはn型拡散領域15が形成されている。n型拡張領域14およびn型拡散領域15にはPまたはAsなどのn型不純物が導入されており、n型拡散領域15にはn型拡張領域14に比べて高濃度にn型不純物が導入されている。n型拡張領域14およびn型拡散領域15によって、LDD構造を有するnMIS100nのソース・ドレイン領域SDが形成される。
【0042】
このように、pMIS100pのゲート絶縁膜5をAlが拡散した高誘電体膜(例えばHfO膜)5hで構成し、nMIS100nのゲート絶縁膜11をLa、Y、Mg、またはScが拡散した高誘電体膜(例えばHfO膜)5hで構成すること、ならびにpMIS100pのゲート電極Gp1の一部を構成するメタルゲート電極6の厚さ(第1厚さ)とnMIS100nのゲート電極Gn1の一部を構成するメタルゲート電極12の厚さ(第2厚さ)とを変えて(pMIS100pのゲート電極Gp1の一部を構成するメタルゲート電極6の厚さをnMIS100nのゲート電極Gn1の一部を構成するメタルゲート電極12の厚さよりも薄く形成する)、pMIS100pおよびnMIS100nのそれぞれの仕事関数を制御することによって、pMIS100pおよびnMIS100nのそれぞれの閾値電圧を適切な値に設定することができる。
【0043】
次に、本実施の形態1によるCMISデバイスの製造方法について図2〜図13を用いて工程順に説明する。図2〜図13はCMISデバイスの要部断面図である。
【0044】
まず、図2に示すように、例えば単結晶Siに、例えばBなどのp型不純物を導入した半導体基板(この段階では半導体ウエハと称する平面略円形状の半導体の薄板)1を用意する。次に、半導体基板1の主面に素子分離2を形成する。素子分離2は、例えばSiOからなり、STI(Shallow Trench Isolation)法またはLOCOS(Local Oxidization of Silicon)法などによって形成される。図2では、半導体基板1に形成された溝にSiO膜を埋め込むSTI法によって形成された素子分離2を示している。この素子分離2によって活性領域が分離され、pMIS形成領域およびnMIS形成領域が形成される。
【0045】
次に、フォトリソグラフィ法およびイオン注入法を用いて、pMIS形成領域にn型ウェル3を形成する。n型ウェル3は半導体領域であり、PまたはAsなどのn型不純物が導入されている。同様に、フォトリソグラフィ法およびイオン注入法を用いて、nMIS形成領域にp型ウェル4を形成する。p型ウェル4は半導体領域であり、Bなどのp型不純物が導入されている。
【0046】
次に、半導体基板1の主面上に、例えば熱酸化法を用いてSiO膜16を形成する。SiO膜16の厚さは、例えば1nm以下であり、代表的な厚さは、例えば約0.7nmである。続いて、SiO膜16上に、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法またはALD(Atomic Layer Deposition)法を用いて高誘電体膜、例えばHfO膜17を形成する。HfO膜17の厚さは、例えば5nm以下であり、代表的な厚さは、例えば約2.0〜2.5nmである。HfO膜17に代えて、例えばHfON膜、HfSiO膜、またはHfSiON膜などの他のハフニウム系絶縁膜を使用することもできる。
【0047】
次に、半導体基板1に対して熱処理を行う。熱処理は、例えばN雰囲気中において850℃で約5秒間実施される。この熱処理によりHfO膜17の結晶性を向上させることができる。
【0048】
次に、図3に示すように、HfO膜17上に、例えばALD法を用いてAl膜18を形成する。Al膜18の厚さは、例えば約0.5nmである。
【0049】
次に、図4に示すように、Al膜18上に、例えばスパッタリング法を用いて第1メタルゲート電極材料、例えばTiN膜19を形成する。TiN膜19の厚さは、例えば約10nmである。続いて、TiN膜19上に、例えばCVD法を用いてSiN(窒化シリコン)膜20を形成する。SiN膜20の厚さは、例えば約30nmである。
【0050】
次に、図5に示すように、フォトリソグラフィ法を用いてpMIS形成領域を覆うレジストパターン21を形成し、このレジストパターン21をマスクとして、レジストパターン21から露出しているnMIS形成領域のSiN膜20を、例えばドライエッチング法を用いて除去する。
【0051】
次に、図6に示すように、レジストパターン21を除去した後、SiN膜20から露出しているnMIS形成領域のTiN膜19を、例えばウエットエッチング法を用いて除去する。このウエットエッチング法では、例えば過酸化水素(H)を含む溶液を用いる。
【0052】
次に、図7に示すように、SiN膜20を、例えばウエットエッチング法を用いて除去する。このウエットエッチング法では、例えばフッ酸(HF)を含む溶液を用いる。
【0053】
次に、図8に示すように、露出しているnMIS形成領域のAl膜18を、例えばウエットエッチング法を用いて除去することにより、その下のHfO膜17を露出させる。ここでは、Al膜18の除去にウエットエッチング法を使用していることから、HfO膜17はエッチングによるダメージを受けにくく、格子欠陥または酸素空乏などは形成されにくい。
【0054】
次に、図9に示すように、例えばALD法を用いて、pMIS形成領域ではTiN膜19上に、nMIS形成領域ではHfO膜17上にLa膜22を形成する。La膜22の厚さは、例えば約0.1〜0.3nmである。続いて、例えばスパッタリング法を用いて、La膜22上に第2メタルゲート電極材料、例えばTiN膜23を形成する。TiN膜23の厚さは、例えば約5nmである。La膜22に代えて、Y膜、MgO膜、またはSc膜を用いることもできる。
【0055】
次に、図10に示すように、半導体基板1に対して熱処理を行う。熱処理は、例えば1000℃の温度で実施される。この熱処理によって、pMIS形成領域ではAl膜18中のAlがHfO膜17に拡散し、nMIS形成領域ではLa膜22中のLaがHfO膜17に拡散する。
【0056】
ここで、pMIS形成領域ではLa膜22がTiN膜19とTiN膜23との間に挟まれており、このLa膜22中のLaもTiN膜19およびTiN膜23へ拡散する。しかし、下側のTiN膜19へ拡散したLaのほとんどはTiN膜19に留まり、pMIS形成領域のHfO膜17にまで拡散するLaは非常に少ない。従って、pMIS形成領域において、AlのHfO膜17への拡散の効果がLaの拡散によって相殺される危険性は低い。
【0057】
また、La膜22の厚さを約0.1〜0.3nmと薄くしたことにより、熱処理によって、そのほとんどのLaおよびO(酸素)はTiN膜19またはTiN膜23に拡散して、TiN膜19とTiN膜23との界面におけるLaおよびOの濃度は低下する。従って、後の工程においてTiN膜19およびTiN膜23を加工する際に、TiN膜19とTiN膜23との界面において、LaおよびOが残存することによるエッチングの不具合(例えばエッチング速度の変化など)は生じにくい。
【0058】
エッチング加工性を向上させたい場合は、前述の図9および図10を用いて説明した工程を以下の如く変更する。すなわち、La膜22を成膜した後に熱処理を行い、続いて硝酸過水溶液または塩酸過水溶液等でpMIS形成領域のTiN膜19の上部に残っているLaを除去する。熱処理によってpMIS形成領域ではHfO膜17中にAlが拡散していること、および結晶化しているHfO膜17は硝酸過水溶液または塩酸過水溶液等による処理を行ってもほとんどエッチングされないこと、の2つの理由により硝酸過水溶液または塩酸過水溶液等による処理を行ってもpMIS形成領域のHfO膜17中にAlは存在する。その後、TiN膜23を成膜する。
【0059】
次に、図11に示すように、TiN膜23上に、例えばCVD法を用いて多結晶Si膜24を形成する。多結晶Si膜24の厚さは、例えば約50nmである。pMIS形成領域およびnMIS形成領域の多結晶Si膜24は、n型不純物またはp型不純物を導入することにより、同じ導電性を示す多結晶Siにより構成してもよいが、pMIS形成領域の多結晶Si膜24をp型の導電性を示す多結晶Siにより構成し、nMIS形成領域の多結晶Si膜24をn型の導電性を示す多結晶Siにより構成してもよい。
【0060】
次に、図12に示すように、フォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いて、pMIS形成領域にゲート絶縁膜5およびゲート電極Gp1を形成し、nMIS形成領域にゲート絶縁膜11およびゲート電極Gn1を形成する。
【0061】
pMIS形成領域に形成されたゲート絶縁膜5はSiO膜16(酸化膜5s)、Alが拡散したHfO膜17(高誘電体膜5h)、およびAl膜18(金属酸化膜5m1)により構成され、ゲート電極Gp1はメタルゲート電極6およびシリコンゲート電極7により構成されている。さらに、メタルゲート電極6はTiN膜19(下層メタルゲート電極6D)およびTiN膜23(上層メタルゲート電極6U)により構成され、シリコンゲート電極7は多結晶Si膜24により構成されている。
【0062】
nMIS形成領域に形成されたゲート絶縁膜11はSiO膜16(酸化膜5s)、Laが拡散したHfO膜17(高誘電体膜5h)、およびLa膜22(金属酸化膜5m2)により構成され、ゲート電極Gn1はメタルゲート電極12およびシリコンゲート電極13により構成されている。さらに、メタルゲート電極12はTiN膜23(上層メタルゲート電極6U)により構成され、シリコンゲート電極13は多結晶Si膜24により構成されている。
【0063】
pMIS形成領域に形成されたゲート電極Gp1の一部を構成するメタルゲート電極6はTiN膜19およびTiN膜23からなるが、nMIS形成領域に形成されたゲート電極Gn1の一部を構成するメタルゲート電極12はTiN膜23からなる。従って、pMIS形成領域に形成されたゲート電極Gp1の一部を構成するメタルゲート電極6の厚さおよびnMIS形成領域に形成されたゲート電極Gn1の一部を構成するメタルゲート電極12の厚さを、それぞれ仕事関数を考慮した最適な値に設定することができる。本実施の形態1では、pMIS形成領域に形成されたゲート電極Gp1の一部を構成するメタルゲート電極6の厚さを約15nmとし、nMIS形成領域に形成されたゲート電極Gn1の一部を構成するメタルゲート電極12の厚さを約5nmとして、互いの厚さを約10nm異なる値に設定している。
【0064】
次に、図13に示すように、フォトリソグラフィ法およびイオン注入法を用いて、pMIS形成領域にゲート電極Gp1に対して自己整合的にp型拡張領域9を形成する。p型拡張領域9は半導体領域であり、半導体基板1にBなどのp型不純物を導入することにより形成することができる。同様に、フォトリソグラフィ法およびイオン注入法を用いて、nMIS形成領域にゲート電極Gn1に対して自己整合的にn型拡張領域14を形成する。n型拡張領域14は半導体領域であり、半導体基板1にPまたはAsなどのn型不純物を導入することにより形成することができる。
【0065】
次に、半導体基板1の主面上に絶縁膜を形成した後、ドライエッチング法を用いて、この絶縁膜を異方性エッチングすることにより、pMIS形成領域のゲート電極Gp1およびnMIS形成領域のゲート電極Gn1のそれぞれの側壁にサイドウォール8を形成する。
【0066】
次に、フォトリソグラフィ法およびイオン注入法を用いて、pMIS形成領域にゲート電極Gp1およびサイドウォール8に対して自己整合的にp型拡散領域10を形成する。p型拡散領域10は半導体領域であり、半導体基板1にBなどのp型不純物を導入することにより形成することができる。同様に、フォトリソグラフィ法およびイオン注入法を用いて、nMIS形成領域にゲート電極Gn1およびサイドウォール8に対して自己整合的にn型拡散領域15を形成する。n型拡散領域15は半導体領域であり、半導体基板1にPまたはAsなどのn型不純物を導入することにより形成することができる。
【0067】
次に、半導体基板1に対して熱処理を行う。熱処理は、例えば1000℃の温度で実施される。この熱処理によって、pMIS形成領域のp型拡張領域9およびp型拡散領域10に導入されたp型不純物を活性化し、nMIS形成領域のn型拡張領域14およびn型拡散領域15に導入されたn型不純物を活性化させる。この熱処理においてもpMIS形成領域ではAl膜18中のAlがHfO膜17に拡散し、nMIS形成領域ではLa膜22中のLaがHfO膜17に拡散する。
【0068】
次に、半導体基板1の主面上に、例えばCVD法を用いて層間絶縁膜25、例えばTEOS(テトラエトキシシラン(Si(OC))膜を形成した後、この層間絶縁膜25の表面を、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)法を用いて研削することにより、その表面を平坦に加工する。続いて、フォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いて、層間絶縁膜25に接続孔26を形成する。
【0069】
次に、接続孔26の底面および内壁を含む層間絶縁膜25上に、例えばスパッタリング法を用いてTi(チタン)/TiN(窒化チタン)膜を順次堆積してTi/TiN膜を形成する。Ti/TiN膜は、例えば後の工程で接続孔26の内部に埋め込まれる材料が拡散するのを防止する、いわゆるバリア機能を有している。続いて、半導体基板1の主面上に、例えばCVD法を用いて接続孔26の内部を埋め込むようにW(タングステン)膜を形成する。続いて、W膜およびTi/TiN膜を、例えばCMP法を用いて研削することにより、接続孔26の内部にプラグ27を形成する。
【0070】
続いて、半導体基板1の主面上にTi/TiN膜、Al膜、およびTi/TiN膜を、例えばスパッタリング法を用いて順次形成する。続いて、フォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いて、これらの膜を加工して、配線28を形成する。この後、さらに上層の配線を形成するが、ここでの説明は省略する。以上の工程により、pMIS100pおよびnMIS100nからなるCMISデバイスが略完成する。
【0071】
このように、pMIS100pのゲート絶縁膜5を構成するHfO膜17に接する金属酸化物(Al膜18)とnMIS100nのゲート絶縁膜11を構成するHfO膜17に接する金属酸化物(La膜22)とを作り分ける工程において、フォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いた工程が1回であることから、フォトリソグラフィ工程における合わせずれに起因したpMIS100pまたはnMIS100nのトランジスタ特性のばらつきを低減することができる。
【0072】
このように、本実施の形態1によれば、(1)pMIS100pのゲート電極Gp1の一部を構成するメタルゲート電極6の厚さとnMIS100nのゲート電極Gn1の一部を構成するメタルゲート電極12の厚さとをそれぞれ別に決めることができるので、閾値電圧の最適な設定が可能となる。(2)pMIS100pのゲート絶縁膜5をAlが拡散した高誘電体膜5h(例えばHfO膜17)で構成し、nMIS100nのゲート絶縁膜11をLa、Y、Mg、またはScが拡散した高誘電体膜5h(例えばHfO膜17)で構成することができるので、それぞれについて閾値電圧の低減と最適な設定とが可能となる。(3)pMIS100pのゲート絶縁膜5を構成する高誘電体膜5h(例えばHfO膜17)に接する金属酸化膜5m1(例えばAl膜18)とnMIS100nのゲート絶縁膜11を構成する高誘電体膜5h(例えばHfO膜17)に接する金属酸化膜5m2(例えばLa膜22)との作り分けを1回のリソグラフィ・エッチング工程で行うことにより重ね合わせずれが抑制できて、その結果としてトランジスタ特性のばらつきを低減することが可能となる。(4)pMIS100pのゲート絶縁膜5を構成する高誘電体膜5h(例えばHfO膜17)およびnMIS100nのゲート絶縁膜11を構成する高誘電体膜5h(例えばHfO膜17)に、それぞれ適した金属酸化膜5m1、5m2のみが接するプロセスフローを提供することができる。
【0073】
(実施の形態2)
本実施の形態2によるCMISデバイスを図14を用いて説明する。前述した実施の形態1と相違する点は、pMISおよびnMISのそれぞれのゲート電極の構造である。
【0074】
すなわち、前述の実施の形態1では、pMIS100pのゲート電極Gp1の一部を構成するメタルゲート電極6を2層のメタル膜(上層メタルゲート電極6Uおよび下層メタルゲート電極6D)で構成し、nMIS100nのゲート電極Gn1の一部を構成するメタルゲート電極12を1層のメタル膜(上層メタルゲート電極6U)で構成することにより、pMIS100pのメタルゲート電極6の厚さをnMIS100nのメタルゲート電極12の厚さよりも厚く形成している。
【0075】
これに対して、本実施の形態2では、図14に示すように、pMIS200pのゲート電極Gp2の一部を構成するメタルゲート電極30を相対的に厚い1層のメタル膜で構成し、nMIS200nのゲート電極Gn2の一部を構成するメタルゲート電極31を相対的に薄い1層のメタル膜で構成することにより、pMIS200pのメタルゲート電極30の厚さをnMIS200nのメタルゲート電極31の厚さよりも厚く形成している。
【0076】
また、前述の実施の形態1では、pMIS100pのゲート電極Gp1の他の一部を構成するシリコンゲート電極7の厚さとnMIS100nのゲート電極Gn1の他の一部を構成するシリコンゲート電極13の厚さとは、同じ厚さであり、半導体基板1の主面からpMIS100pのゲート電極Gp1の上面までの高さが、半導体基板1の主面からnMIS100nのゲート電極Gn1の上面までの高さよりも高い。
【0077】
これに対して、本実施の形態2では、図14に示すように、pMIS200pのゲート電極Gp2の他の一部を構成するシリコンゲート電極32の厚さをnMIS200nのゲート電極Gn2の他の一部を構成するシリコンゲート電極33の厚さよりも薄く形成することにより、半導体基板1の主面からpMIS200pのゲート電極Gp2の上面までの高さと半導体基板1の主面からnMIS200nのゲート電極Gn2の上面までの高さとを同じにしている。
【0078】
次に、本実施の形態2によるCMISデバイスの製造方法を図15〜図20を用いて工程順に説明する。図15〜図20はCMISデバイスの要部断面図である。なお、pMIS形成領域の半導体基板1の主面上にSiO膜16、HfO膜17、Al膜18、TiN膜19、La膜22、およびTiN膜23を形成し、nMIS形成領域の半導体基板1の主面上にSiO膜16、HfO膜17、La膜22、およびTiN膜23を形成するまでの製造過程(前述した実施の形態1において図2〜図9を用いて説明した工程)は、前述した実施の形態1と同様であるため、その説明を省略する。
【0079】
前述した実施の形態1において図9を用いて説明した製造工程に続いて、図15に示すように、TiN膜23上に、例えばCVD法を用いて多結晶Si膜(第1シリコンゲート電極材料)34を形成する。多結晶Si膜34の厚さは、例えば約100nmである。
【0080】
次に、図16に示すように、pMIS形成領域のTiN膜19が露出するまで、例えばCMP法を用いて多結晶Si膜34、TiN膜23、およびLa膜22を研削する。これにより、pMIS形成領域の半導体基板1の主面上にSiO膜16、HfO膜17、Al膜18、およびTiN膜19を残し、nMIS形成領域の半導体基板1の主面上にSiO膜16、HfO膜17、La膜22、TiN膜23、および多結晶Si膜34を残す。ここで、pMIS形成領域の半導体基板1の主面からTiN膜19の上面までの高さとnMIS形成領域の半導体基板1の主面から多結晶Si膜34の上面までの高さとは同じになる。
【0081】
次に、図17に示すように、半導体基板1の主面上に、例えばCVD法を用いて多結晶Si膜(第2シリコンゲート電極材料)35を形成する。多結晶Si膜35の厚さは、例えば約50nmである。なお、pMIS形成領域の多結晶Si膜35およびnMIS形成領域の多結晶Si膜34、35は、n型不純物またはp型不純物を導入することにより、同じ導電性を示す多結晶Siにより構成してもよいが、pMIS形成領域の多結晶Si膜35をp型の導電性を示す多結晶Siにより構成し、nMIS形成領域の多結晶Si膜34、35をn型の導電性を示す多結晶Siにより構成してもよい。
【0082】
次に、半導体基板1に対して熱処理を行う。熱処理は、例えば1000℃の温度で実施される。この熱処理によって、pMIS形成領域ではAl膜18中のAlがHfO膜17に拡散し、nMIS形成領域ではLa膜22中のLaがHfO膜17に拡散する。
【0083】
ここで、前述した実施の形態1では、pMIS形成領域においてLa膜22がTiN膜19とTiN膜23との間に挟まれており、熱処理によってLa膜22中のLaがTiN膜19およびTiN膜23へ拡散する。しかし、本実施の形態2では、pMIS形成領域にLa膜22は形成されていないので、前述した実施の形態1のようなpMIS形成領域における熱処理によるLaの拡散の心配は全くない。
【0084】
なお、前述した実施の形態1では、HfO膜17へのAlまたはLaの拡散を行う熱処理は、半導体基板1の主面上(全面)にTiN膜(上側のTiN膜)23を形成した後に行ったが(前述の図10を用いて説明した工程)、本実施の形態2では、上記熱処理は、半導体基板1の主面上(全面)に多結晶Si膜(上側の多結晶Si膜)35を形成した後に行う。これは、本実施の形態2では、半導体基板1の主面上(全面)にTiN膜23を形成し、さらにその上に多結晶Si膜34を形成し(前述の図15を用いて説明した工程)、その後、pMIS形成領域のTiN膜19が露出するまで、例えばCMP法により多結晶Si膜34、TiN膜23、およびLa膜22を研削する(前述の図16を用いて説明した工程)。上記熱処理をこの研削工程よりも前に行っていると、La膜22を完全に除去することができず、一部にLa膜22が残ってしまう。一部にでもLa膜22が残ると、前述した実施の形態1において説明したLaおよびOが残存することによるエッチングの不具合(例えばエッチング速度の変化など)が生じる。そのため、La膜22を完全に除去するために、上記熱処理は、多結晶Si膜34、TiN膜23、およびLa膜22を研削する工程よりも後に行う。
【0085】
次に、図18に示すように、フォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いて、pMIS形成領域にゲート絶縁膜5およびゲート電極Gp2を形成し、nMIS形成領域にゲート絶縁膜11およびゲート電極Gn2を形成する。
【0086】
pMIS形成領域に形成されたゲート絶縁膜5はSiO膜16(酸化膜5s)、Alが拡散したHfO膜17(高誘電体膜5h)、およびAl膜18(金属酸化膜5m1)により構成され、ゲート電極Gp2はメタルゲート電極30およびシリコンゲート電極32により構成されている。さらに、メタルゲート電極30はTiN膜19により構成され、シリコンゲート電極32は多結晶Si膜35により構成されている。
【0087】
nMIS形成領域に形成されたゲート絶縁膜11はSiO膜16(酸化膜5s)、Laが拡散したHfO膜17(高誘電体膜5h)、およびLa膜22(金属酸化膜5m2)により構成され、ゲート電極Gn2はメタルゲート電極31およびシリコンゲート電極33により構成されている。さらに、メタルゲート電極31はTiN膜23により構成され、シリコンゲート電極33は多結晶Si膜34、35により構成されている。
【0088】
pMIS形成領域に形成されたゲート電極Gp2の一部を構成するメタルゲート電極30はTiN膜19により形成され、nMIS形成領域に形成されたゲート電極Gn2の一部を構成するメタルゲート電極31は、TiN膜19とは異なる工程で形成されたTiN膜23により形成される。従って、TiN膜19とTiN膜23との厚さを互いに異なる厚さに設定することができるので、pMIS形成領域に形成されたゲート電極Gp2の一部を構成するメタルゲート電極30の厚さおよびnMIS形成領域に形成されたゲート電極Gn1の一部を構成するメタルゲート電極31の厚さを、それぞれ仕事関数を考慮した最適な値に設定することができる。本実施の形態2では、pMIS形成領域に形成されたゲート電極Gp2の一部を構成するメタルゲート電極30の厚さを約15〜20nmとし、nMIS形成領域に形成されたゲート電極Gn2の一部を構成するメタルゲート電極31の厚さを約2〜5nmとして、互いの厚さを約10〜18nm異なる値に設定している。
【0089】
フォトリソグラフィ法では、pMIS形成領域では多結晶Si膜35、TiN膜19、Al膜18、HfO膜17、およびSiO膜16からなる積層膜を、nMIS形成領域では多結晶シリコン膜34、35、TiN膜23、La膜22、HfO膜17、およびSiO膜16からなる積層膜をドライエッチングによって順次加工する際のレジストパターンが形成される。このレジストパターンは、まず、半導体基板1の主面上にフォトレジスト膜を塗布し、その後、このフォトレジスト膜に対して露光および現像処理を施すことにより形成される。pMIS形成領域の上記積層膜の上面とnMIS形成領域の上記積層膜の上面とに高低差があると、焦点距離の違いによる解像不良等が生じるが、本実施の形態2では、pMIS形成領域の上記積層膜の上面とnMIS形成領域の上記積層膜の上面とに高低差はないので、解像度の良い微細なレジストパターンを形成することができる。従って、pMIS200pのゲート電極Gp2およびnMIS200nのゲート電極Gn2を再現性良く、微細に加工することができる。
【0090】
次に、図19に示すように、フォトリソグラフィ法およびイオン注入法を用いて、pMIS形成領域にゲート電極Gp2に対して自己整合的にp型拡張領域9を形成する。p型拡張領域9は半導体領域であり、半導体基板1にBなどのp型不純物を導入することにより形成することができる。同様に、フォトリソグラフィ法およびイオン注入法を用いて、nMIS形成領域にゲート電極Gn2に対して自己整合的にn型拡張領域14を形成する。n型拡張領域14は半導体領域であり、半導体基板1にPまたはAsなどのn型不純物を導入することにより形成することができる。
【0091】
次に、半導体基板1の主面上に絶縁膜を形成した後、ドライエッチング法を用いて、この絶縁膜を異方性エッチングすることにより、pMIS形成領域のゲート電極Gp2およびnMIS形成領域のゲート電極Gn2のそれぞれの側壁にサイドウォール8を形成する。
【0092】
次に、フォトリソグラフィ法およびイオン注入法を用いて、pMIS形成領域にゲート電極Gp2およびサイドウォール8に対して自己整合的にp型拡散領域10を形成する。p型拡散領域10は半導体領域であり、半導体基板1にBなどのp型不純物を導入することにより形成することができる。同様に、フォトリソグラフィ法およびイオン注入法を用いて、nMIS形成領域にゲート電極Gn2およびサイドウォール8に対して自己整合的にn型拡散領域15を形成する。n型拡散領域15は半導体領域であり、半導体基板1にPまたはAsなどのn型不純物を導入することにより形成することができる。
【0093】
次に、半導体基板1に対して熱処理を行う。熱処理は、例えば1000℃の温度で実施される。この熱処理によって、pMIS形成領域のp型拡張領域9およびp型拡散領域10に導入されたp型不純物を活性化し、nMIS形成領域のn型拡張領域14およびn型拡散領域15に導入されたn型不純物を活性化させる。この熱処理においてもpMIS形成領域ではAl膜18中のAlがHfO膜17に拡散し、nMIS形成領域ではLa膜22中のLaがHfO膜17に拡散する。
【0094】
次に、半導体基板1の主面上に、例えばCVD法を用いて層間絶縁膜25を形成した後、この層間絶縁膜25の表面を、例えばCMP法を用いて研削することにより平坦に加工する。
【0095】
次に、フォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いて、層間絶縁膜25に接続孔26を形成する。フォトリソグラフィ法では、層間絶縁膜25をドライエッチングによって加工する際のレジストパターンが形成される。前述したpMIS200pのゲート電極Gp2およびnMIS200nのゲート電極Gn2の形成と同様に、層間絶縁膜25の表面に高低差があると、焦点距離の違いによる解像不良等が生じるが、本実施の形態2では、層間絶縁膜25の表面は平坦であり高低差はないので、解像度の良い微細なレジストパターンを形成することができる。
【0096】
さらに、pMIS形成領域の半導体基板1の主面からゲート電極Gp2の上面(シリコンゲート電極32の上面)までの高さとnMIS形成領域の半導体基板1の主面からゲート電極Gn2の上面(シリコンゲート電極33の上面)までの高さとは同じであることから、pMIS200pのゲート電極Gp2上の層間絶縁膜25の厚さとnMIS200nのゲート電極Gn2上の層間絶縁膜25の厚さとが同じになる。従って、pMIS200pのゲート電極Gp2に達する接続孔26とnMIS200nのゲート電極Gn2に達する接続孔26とを同じ形状に形成することができて、pMIS形成領域およびnMIS形成領域において、微細な接続孔26を再現性良く形成することができる。
【0097】
その後は、図20に示すように、前述した実施の形態1と同様にして、プラグ27および配線28等を形成することにより、CMISデバイスが略完成する。
【0098】
このように、本実施の形態2によれば、pMIS形成領域のゲート電極Gp2の一部を構成するメタルゲート電極30は1層のTiN膜19からなり、前述した実施の形態1のように、メタルゲート電極6の間にLa膜22を挿入していたことにより懸念されるLa拡散の影響を完全に払拭することができる。従って、pMIS形成領域において、AlのHfO膜17への拡散の効果がLaの拡散によって相殺される危険性は無い。
【0099】
また、半導体基板1の主面からpMIS200pのゲート電極Gp2の上面までの高さと半導体基板1の主面からnMIS200nのゲート電極Gn2の上面までの高さが同じであることから、pMIS200pのゲート電極Gp2およびnMIS200nのゲート電極Gn2をフォトリソグラフィ法およびドライエッチング法により形成する際、フォトリソグラフィ工程では解像度の良い微細なレジストパターンを形成することができるので、再現性の良い微細なpMIS200pのゲート電極Gp2およびnMIS200nのゲート電極Gn2が形成できる。
【0100】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、半導体装置、特にhpが32nm以下の半導体装置を製造する製造業に幅広く利用することができる。
【符号の説明】
【0102】
1 半導体基板
2 素子分離
3 n型ウェル
4 p型ウェル
5 ゲート絶縁膜
5h 高誘電体膜
5m1、5m2 金属酸化膜
5s 酸化膜
6 メタルゲート電極
6D 下層メタルゲート電極
6U 上層メタルゲート電極
7 シリコンゲート電極
8 サイドウォール
9 p型拡張領域
10 p型拡散領域
11 ゲート絶縁膜
12 メタルゲート電極
13 シリコンゲート電極
14 n型拡張領域
15 n型拡散領域
16 SiO(酸化シリコン)膜
17 HfO(酸化ハフニウム)膜
18 Al(酸化アルミニウム)膜
19 TiN(窒化チタン)膜
20 SiN(窒化シリコン)膜
21 レジストパターン
22 La(酸化ランタン)膜
23 TiN(窒化チタン)膜
24 多結晶Si(シリコン)膜
25 層間絶縁膜
26 接続孔
27 プラグ
28 配線
30、31 メタルゲート電極
32、33 シリコンゲート電極
34、35 多結晶Si(シリコン)膜
100n、200n nチャネル型MISFET
100p、200p pチャネル型MISFET
Gn1、Gn2、Gp1、Gp2 ゲート電極
SD ソース・ドレイン領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の第1領域にpチャネル型電界効果トランジスタを形成し、前記半導体基板の第2領域にnチャネル型電界効果トランジスタを形成する半導体装置の製造方法であって、
(a)前記半導体基板の主面上にSiOよりも誘電率の高い高誘電体膜を形成する工程と、
(b)前記高誘電体膜上に第1金属を含む第1金属酸化膜を形成する工程と、
(c)前記第1金属酸化膜上に第1厚さを有する第1メタルゲート電極材料を形成する工程と、
(d)前記第2領域の前記第1メタルゲート電極材料および前記第1金属酸化膜を除去する工程と、
(e)前記(d)工程の後、前記半導体基板の主面上に第2金属を含む第2金属酸化膜を形成する工程と、
(f)前記第2金属酸化膜上に第2厚さを有する第2メタルゲート電極材料を形成する工程と、
(g)前記(f)工程の後、前記半導体基板に熱処理を施して、前記第1領域の前記高誘電体膜に前記第1金属を拡散させ、前記第2領域の前記高誘電体膜に前記第2金属を拡散させる工程と、
(h)前記(g)工程の後、前記半導体基板の主面上にシリコンゲート電極材料を形成する工程と、
(i)前記第1領域の前記シリコンゲート電極材料、前記第2メタルゲート電極材料、前記第1メタルゲート電極材料、前記第1金属酸化膜、および前記第1金属が拡散した前記高誘電体膜からなる積層膜を加工して、前記pチャネル型電界効果トランジスタの前記シリコンゲート電極材料、前記第2メタルゲート電極材料、および前記第1メタルゲート電極材料からなるゲート電極ならびに前記第1金属酸化膜、および前記第1金属が拡散した前記高誘電体膜からなるゲート絶縁膜を形成し、
前記第2領域の前記シリコンゲート電極材料、前記第2メタルゲート電極材料、前記第2金属酸化膜、および前記第2金属が拡散した前記高誘電体膜からなる積層膜を加工して、前記nチャネル型電界効果トランジスタの前記シリコンゲート電極材料および前記第2メタルゲート電極材料からなるゲート電極ならびに前記第2金属酸化膜、および前記第2金属が拡散した前記高誘電体膜からなるゲート絶縁膜を形成する工程と、
を含み、
前記第2メタルゲート電極材料の前記第2厚さは、前記第1メタルゲート電極材料の前記第1厚さよりも薄いことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、前記高誘電体膜は、HfO膜、HfON膜、HfSiO膜、またはHfSiOn膜であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、前記第1金属は、Alであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、前記第2金属は、La、Y、Mg、またはScであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、前記第1および第2メタルゲート電極材料は、TiN、TaN、TaSiN、TiAlN、HfN、NiSi1−x、PtSi、NiTa1−xSi、NiPt1−xSi、HfSi、WSi、IrSi1−x、TaGe、TaCx、Mo、またはWであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、前記第1および第2メタルゲート電極材料に前記第2金属が拡散していることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、前記第1金属酸化膜の厚さは、0.5nmであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、前記第2金属酸化膜の厚さは、0.1nm〜0.3nmであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、前記(a)工程の前に、
(j)前記半導体基板の主面上にSiO膜を形成する工程と、
をさらに含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、前記(d)工程は、
(d1)前記第1メタルゲート電極材料上に絶縁膜を形成する工程と、
(d2)前記第2領域の前記絶縁膜をフォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いて除去する工程と、
(d3)前記第2領域の前記第1メタルゲート電極材料をウエットエッチング法を用いて除去する工程と、
(d4)前記第1領域の前記絶縁膜をウエットエッチング法を用いて除去する工程と、
(d5)前記第2領域の前記第1金属酸化膜をウエットエッチング法を用いて除去する工程と、
をさらに含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項11】
半導体基板の第1領域にpチャネル型電界効果トランジスタを形成し、前記半導体基板の第2領域にnチャネル型電界効果トランジスタを形成する半導体装置の製造方法であって、
(a)前記半導体基板の主面上にSiOよりも誘電率の高い高誘電体膜を形成する工程と、
(b)前記高誘電体膜上に第1金属を含む第1金属酸化膜を形成する工程と、
(c)前記第1金属酸化膜上に第1厚さを有する第1メタルゲート電極材料を形成する工程と、
(d)前記第2領域の前記第1メタルゲート電極材料および前記第1金属酸化膜を除去する工程と、
(e)前記(d)工程の後、前記半導体基板の主面上に第2金属を含む第2金属酸化膜を形成する工程と、
(f)前記第2金属酸化膜上に第2厚さを有する第2メタルゲート電極材料を形成する工程と、
(g)前記第2メタルゲート電極材料上に第1シリコンゲート電極材料を形成する工程と、
(h)前記第1領域の前記第1メタルゲート電極材料の上面が露出するまで、前記第1シリコンゲート電極材料を研削する工程と、
(i)前記(h)工程の後、前記半導体基板の主面上に第2シリコンゲート電極材料を形成する工程と、
(j)前記(i)工程の後、前記半導体基板に熱処理を施して、前記第1領域の前記高誘電体膜に前記第1金属を拡散させ、前記第2領域の前記高誘電体膜に前記第2金属を拡散させる工程と、
(k)前記第1領域の前記第2シリコンゲート電極材料、前記第1メタルゲート電極材料、前記第1金属酸化膜、および前記第1金属が拡散した前記高誘電体膜からなる積層膜を加工して、前記pチャネル型電界効果トランジスタの前記第2シリコンゲート電極材料および前記第1メタルゲート電極材料からなるゲート電極、ならびに前記第1金属酸化膜および前記第1金属が拡散した前記高誘電体膜からなるゲート絶縁膜を形成し、
前記第2領域の前記第2シリコンゲート電極材料、前記第1シリコンゲート電極材料、前記第2メタルゲート電極材料、前記第2金属酸化膜、および前記第2金属が拡散した前記高誘電体膜からなる積層膜を加工して、前記nチャネル型電界効果トランジスタの前記第2シリコンゲート電極材料、前記第1シリコンゲート電極材料および前記第2メタルゲート電極材料からなるゲート電極、ならびに前記第2金属酸化膜および前記第2金属が拡散した前記高誘電体膜からなるゲート絶縁膜を形成する工程と、
を含み、
前記第2メタルゲート電極材料の前記第2厚さは、前記第1メタルゲート電極材料の前記第1厚さよりも薄いことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項11記載の半導体装置の製造方法において、前記高誘電体膜は、HfO膜、HfON膜、HfSiO膜、またはHfSiOn膜であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項11記載の半導体装置の製造方法において、前記第1金属は、Alであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項11記載の半導体装置の製造方法において、前記第2金属は、La、Y、Mg、またはScであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項11記載の半導体装置の製造方法において、前記第1および第2メタルゲート電極材料は、TiN、TaN、TaSiN、TiAlN、HfN、NiSi1−x、PtSi、NiTa1−xSi、NiPt1−xSi、HfSi、WSi、IrSi1−x、TaGe、TaCx、Mo、またはWであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項11記載の半導体装置の製造方法において、前記第1金属酸化膜の厚さは、0.5nmであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項11記載の半導体装置の製造方法において、前記第2金属酸化膜の厚さは、0.1nmから0.3nmであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項11記載の半導体装置の製造方法において、前記第1領域の前記半導体基板の主面から前記pチャネル型電界効果トランジスタのゲート電極の上面までの高さと、前記第2領域の前記半導体基板の主面から前記nチャネル型電界効果トランジスタのゲート電極の上面までの高さとが同じであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項11記載の半導体装置の製造方法において、前記(a)工程の前に、
(k)前記半導体基板の主面上にSiO膜を形成する工程と、
をさらに含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項20】
請求項11記載の半導体装置の製造方法において、前記(d)工程は、
(d1)前記第1メタルゲート電極材料上に絶縁膜を形成する工程と、
(d2)前記第2領域の前記絶縁膜をフォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いて除去する工程と、
(d3)前記第2領域の前記第1メタルゲート電極材料をウエットエッチング法を用いて除去する工程と、
(d4)前記第1領域の前記絶縁膜をウエットエッチング法を用いて除去する工程と、
(d5)前記第2領域の前記第1金属酸化膜をウエットエッチング法を用いて除去する工程と、
をさらに含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−272596(P2010−272596A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−121371(P2009−121371)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】