説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】半導体集積回路の高集積化と機能素子の高性能化とを同時に実現する。
【解決手段】実施形態に係わる半導体装置は、半導体基板1の表面領域に配置されるスイッチ素子3,4と、下面がスイッチ素子3,4に接続されるコンタクトプラグ6と、コンタクトプラグ6の上面の直上に配置される機能素子7とを備える。コンタクトプラグ6の上面の最大表面粗さは、0.2nm以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路の高集積化のため、半導体基板の上部に特定機能を有する機能素子を配置する構造が採用される。しかし、この構造を採用するとき、機能素子の下地が平坦化されていないとその機能素子の特性が劣化する問題がある。
【0003】
その一例として、磁気ランダムアクセスメモリについて説明する。
【0004】
磁気ランダムアクセスメモリは、例えば、1つのメモリセルが、半導体基板の表面領域に配置されるスイッチ素子(例えば、field effect transistor: FET)と、そのスイッチ素子の上部に配置される磁気抵抗効果素子(magnetoresistive element)とを備える(例えば、特許文献1を参照)。
【0005】
磁気抵抗効果素子は、磁化方向が可変の磁気フリー層(magnetic free layer)と、磁化方向が不変の磁気ピンド層(magnetic pinned layer)と、それらの間に配置されるトンネルバリア層とからなる積層構造を基本構造とする。
【0006】
このような磁気ランダムアクセスメモリにおいては、トンネルバリア層の厚さやそれを構成する材料の質が均一化されていることが、磁気抵抗効果素子の磁気特性を向上させるために必要不可欠である。しかし、トンネルバリア層は、極薄(10 nm以下)であるため、その下地が平坦でないと、この極薄膜の成膜状態が劣化し、トンネルバリア層の厚さやそれを構成する材料の質が均一化できず、結果として、磁気抵抗効果素子の磁気特性を向上できない。
【0007】
このような問題に対し、トンネルバリア層の下地となる強磁性層(磁気ピンド層)又は反強磁性層を研磨し、その最大表面粗さを0.5 nm以下にする技術が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
【0008】
しかし、この技術では、強磁性層又は反強磁性層の表面を直接研磨することから、研磨時の応力によって強磁性層又は反強磁性層にダメージが生じ、磁気抵抗効果素子の磁気特性が劣化する。また、強磁性層又は反強磁性層に厚さのばらつきが発生し、それが磁気抵抗効果素子の磁気特性のばらつきとなる。
【0009】
また、この技術では、磁気抵抗効果素子(磁気フリー層/トンネルバリア層/磁気ピンド層)がコンタクトプラグの直上に配置されない。なぜなら、磁気抵抗効果素子に対する書き込みを磁界により行うため、コンタクトプラグの直上に磁気抵抗効果素子を配置すると、それに磁界を与えることが困難になるためである(例えば、特許文献2の0001段落を参照)。
【0010】
従って、この技術では、メモリセルのサイズ縮小による半導体集積回路の高集積化を図ることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−149778号公報
【特許文献2】特開2003−218324号公報
【特許文献3】特開2009−43975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
実施形態は、半導体集積回路の高集積化と機能素子の高性能化とを同時に実現する技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
実施形態によれば、半導体装置は、半導体基板の表面領域に配置されるスイッチ素子と、上面及び下面を有し、前記下面が前記スイッチ素子に接続されるコンタクトプラグと、前記上面の直上に配置される機能素子とを備え、前記コンタクトプラグの上面の最大表面粗さは、0.2nm以下である。
【0014】
実施形態によれば、前記半導体装置の製造方法において、前記コンタクトプラグは、第1金属材料を形成した後にCMPにより前記第1金属材料を研磨する第1ステップにより形成する。前記CMPは、コロイダルシリカを含む酸性スラリーを用いて行う。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態の半導体装置を示す図。
【図2】実施形態の半導体装置を示す図。
【図3】第1実施例の製造方法を示す図。
【図4】第1実施例の製造方法を示す図。
【図5】第2実施例の製造方法を示す図。
【図6】第2実施例の製造方法を示す図。
【図7】第2実施例の製造方法を示す図。
【図8】第2実施例の製造方法を示す図。
【図9】第3実施例の製造方法を示す図。
【図10】第3実施例の製造方法を示す図。
【図11】第3実施例の製造方法を示す図。
【図12】効果の比較を示す図。
【図13】コロイダルシリカを示す図。
【図14】ヒュームドシリカを示す図。
【図15】研磨剤の粒径と平滑性との関係を示す図。
【図16】PH−電位図。
【図17】MRAMセルの等価回路を示す図。
【図18】磁気抵抗効果素子の種類を示す図。
【図19】MRAMセルの構造を示す図。
【図20】磁気抵抗効果素子の構造を示す図。
【図21】MRAMの詳細を示す図。
【図22】応用例としての半導体装置を示す図。
【図23】応用例としての半導体装置を示す図。
【図24】応用例としての半導体装置を示す図。
【図25】応用例としての半導体装置を示す図。
【図26】磁気抵抗効果素子の応用例を示す図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら実施形態を説明する。
【0017】
1. 基本構造
図1及び図2は、半導体装置の基本構造を示している。
【0018】
半導体基板1は、例えば、シリコン基板であり、その導電型は、P型でも、N型でもどちらでもよい。半導体基板1内には、素子分離絶縁層2として、例えば、STI(shallow trench isolation)構造の酸化シリコン層が配置される。
【0019】
半導体基板1の表面領域、具体的には、素子分離絶縁層2により取り囲まれた素子領域(アクティブエリア)内には、スイッチ素子が配置される。本例では、スイッチ素子は、FET(field effect transistor)であり、半導体基板1内の2つのソース/ドレイン拡散層3と、それらの間のチャネル領域上にゲート絶縁膜を介して配置されるゲート電極4とを有する。
【0020】
スイッチ素子は、絶縁層(例えば、酸化シリコン)5により覆われる。コンタクトホールは、絶縁層5内に設けられ、コンタクトプラグ6は、そのコンタクトホール内に配置される。コンタクトプラグ6は、例えば、W(タングステン)、Cu(銅)などの金属材料から形成される。
【0021】
コンタクトプラグ6の下面は、スイッチ素子に接続される。本例では、コンタクトプラグ6は、ソース/ドレイン拡散層3に直接接触している。但し、コンタクトプラグ6とソース/ドレイン拡散層3との間に、これらとは異なる導電層などの別の構成要素が存在していても構わない。
【0022】
コンタクトプラグ6の上面の直上には、特定機能を有する機能素子7が配置される。機能素子7は、磁気抵抗効果素子、可変抵抗素子(金属酸化物)、相変化素子、ダイオード、抵抗素子、容量素子などの特定機能を有する素子である。機能素子7は、図1に示すように、コンタクトプラグ6に直接接触していてもよいし、図2に示すように、下部電極9を介して、コンタクトプラグ6の直上に配置されていてもよい。
【0023】
そして、機能素子7の下地となるコンタクトプラグ6の上面の最大表面粗さ(roughness)は、0.2nm以下である。
また、機能素子7上には、導電線8が接続される。
【0024】
以上の基本構造により、半導体集積回路の高集積化と機能素子の高性能化とを同時に実現することができる。
【0025】
2. 製造方法
上述の基本構造を実現するための製造方法の例について説明する。
【0026】
(1) 第1実施例
図3及び図4は、第1実施例を示している。
【0027】
まず、図3に示すように、半導体基板1内に素子分離絶縁層2を形成する。素子分離絶縁層2は、例えば、CVD(chemical vapor deposition)、フォトリソグラフィ、RIE(reactive ion etching)及びCMP(chemical mechanical etching)を組み合わせることにより形成する。
【0028】
また、素子分離絶縁層2により取り囲まれた素子領域内に、スイッチ素子として、ソース/ドレイン拡散層3及びゲート電極4を有するFETを形成する。
【0029】
この後、CVDにより、スイッチ素子を覆う絶縁層(例えば、酸化シリコン)5Aを形成する。続けて、フォトリソグラフィ及びRIEにより、絶縁層5A内に、ソース/ドレイン拡散層3に達する直径約40nmのコンタクトホール31を形成する。
【0030】
そして、CVDにより、絶縁層5A上に、コンタクトホール31を満たす金属材料32を形成する。金属材料32は、1つの材料であってもよいし、複数の材料の組み合わせ(例えば、W/バリアメタルの積層)であってもよい。
【0031】
また、コロイダルシリカを含む酸性スラリーを用いたCMPにより、金属材料32を研磨し、金属材料32をコンタクトホール31内のみに残存させる。
【0032】
このCMPの条件は、例えば、以下の通りである。
【0033】
・ 1回目CMP
研磨パッド: IC1000/S400(ロームアンドハース社製)
スラリー: アルミナ(0.5wt%)+硝酸鉄(1.0wt%)
PH=1.5
・ 2回目CMP(タッチアップCMP)
研磨パッド: Politex(ロームアンドハース社製)
スラリー: コロイダルシリカ(粒径45nm、5wt%+粒径80nm、1wt%)+過硫酸アンモニウム(1.0wt%+PH調整剤)
PH=2.0
このCMPにより、図4に示すように、コンタクトホール31内に、その上面が平坦化されたコンタクトプラグ6が形成される。ところで、コンタクトプラグ6を形成するに当たっては、コンタクトプラグ6を完全にコンタクトホール31内のみに残すために、その上面を絶縁層5Aの上面よりも低くなる位置までオーバーエッチングする。
【0034】
従って、上述のCMPを終えると、コンタクトプラグ6の上面は、ディッシング状(dishing form)に溶解される。以下では、このリセス(recess)を含めたコンタクトプラグ6の上面の状態を「平坦性(flatness)」という表現で表し、このリセスを含めないコンタクトプラグ6の上面の状態を「平滑性(smoothness)」という表現で表すことにする。
【0035】
尚、平滑性は、最大表面粗さと同義とする。
【0036】
タッチアップCMP後のコンタクトプラグ6の上面の平坦性及び平滑性(最大表面粗さ)をAFM(atomic force microscope)で評価したところ、その平坦性は、20nm以下であり、その平滑性は、0.20nm以下であった。
【0037】
さらに、コンタクトプラグ6の上面の平坦性及び平滑性を向上させるために、タッチアップCMPに引き続き、ガスクラスターイオンビーム(Gas cluster ion beam)法によりコンタクトプラグ6の上面の平滑化を行ってもよい。
【0038】
ガスクラスターイオンビーム法は、CMPの課題であるスクラッチや砥粒残留などがなく、かつ、平滑化する面の異方性に優れる、という特徴を持つ。但し、この方法は、数10nm以下の段差の平滑化に有効であり、それを超える段差の平滑化には向いていない。
【0039】
そこで、上述のように、タッチアップCMP後にガスクラスターイオンビーム法による平滑化を実行するのが望ましい。
【0040】
尚、ガスクラスターイオンビーム法による平滑化を行うときは、タッチアップCMPは、コロイダルシリカを含む酸性スラリーを用いたCMPでなくてもよい。また、タッチアップCMP(2回目)を省略してもよい。
【0041】
この後、図4に示すように、コンタクトプラグ6の上面の直上に機能素子7を形成する。この機能素子7は、上述のように平坦化されたコンタクトプラグ6の上面上に形成されるため、半導体集積回路の高集積化と機能素子の高性能化とを同時に実現できる。
【0042】
最後に、機能素子7を絶縁層で覆い、かつ、機能素子7に接続される導電線を形成すれば、図1に示す基本構造が完成する。
【0043】
このように、コンタクトプラグを形成するときのCMPの条件として、粒径が小さいコロイダルシリカを含む酸性スラリーを用いることで、コンタクトプラグの上面の平坦性と平滑性とをそれぞれ十分に小さくすることができる。
【0044】
尚、コロイダルシリカとは、図13に示すように、それぞれが独立した複数のシリカ粒の集合体のことであり、各シリカ粒の粒径は、100nm以下であることが望ましい。
【0045】
また、CMP後にガスクラスターイオンビーム法による平滑化を実行すれば、コンタクトプラグの上面の平坦性と平滑性とをさらに向上させることができる。
【0046】
(2) 第2実施例
図5乃至図8は、第2実施例を示している。
【0047】
第2実施例は、第1実施例の改良プロセスである。
【0048】
コンタクトホール内に金属材料を満たすとき、コンタクトホール直上の金属材料の表面には、シーム(seam)が形成される。このシームは、CMPを行った後にも、コンタクトプラグの上面に残る。
【0049】
第2実施例は、このシームによるコンタクトプラグの上面の平坦性及び平滑性を向上させる技術に関する。
【0050】
まず、図5に示すように、半導体基板1内に素子分離絶縁層2を形成する。素子分離絶縁層2は、例えば、CVD、フォトリソグラフィ、RIE及びCMPを組み合わせることにより形成する。
【0051】
また、素子分離絶縁層2により取り囲まれた素子領域内に、スイッチ素子として、ソース/ドレイン拡散層3及びゲート電極4を有するFETを形成する。
【0052】
この後、CVDにより、スイッチ素子を覆う絶縁層(例えば、酸化シリコン)5Aを形成する。続けて、フォトリソグラフィ及びRIEにより、絶縁層5A内に、ソース/ドレイン拡散層3に達する直径約40nmのコンタクトホール31を形成する。
【0053】
そして、CVDにより、絶縁層5A上に、コンタクトホール31を満たす金属材料32を形成する。コンタクトホール31は高アスペクト比を持つため、コンタクトホール31直上の金属材料32の表面には、シームXが形成される。尚、金属材料32は、1つの材料であってもよいし、複数の材料の組み合わせ(例えば、W/バリアメタルの積層)であってもよい。
【0054】
また、コロイダルシリカを含む酸性スラリーを用いたCMPにより、金属材料32を研磨し、金属材料32をコンタクトホール31内のみに残存させる。このCMPの条件は、第1実施例と同じであるため、ここではその説明については省略する。
【0055】
このCMPにより、図6に示すように、コンタクトホール31内に、その上面が平坦化されたコンタクトプラグ6が形成される。しかし、CMPを行った後にも、コンタクトプラグの上面には、シームXが残る。
【0056】
そこで、金属材料32の形成とCMPとを2回以上繰り返す。
【0057】
本例では、この後、さらに、金属材料32の形成とCMPとを1回(合計2回)行う例について説明する。
【0058】
即ち、図7に示すように、CVDにより、絶縁層5A上及びコンタクトプラグ6上に、再び、金属材料32を形成する。ここで、コンタクトプラグ6の上面にはシームが残っているが、そのシームはコンタクトホール31に比べて十分に浅いため、金属材料32によりシームを埋めたとき、コンタクトホール31直上の金属材料32の表面に再びシームが形成されることはない。
【0059】
ここで注意する点は、最初(1回目)のステップ(金属材料32の形成とCMP)において、金属材料32が複数の材料の組み合わせ(例えば、W/バリアメタルの積層)から形成されるときであっても、それ以降(2回目以降)のステップ(金属材料32の形成とCMP)においては、金属材料32は1つの材料(例えば、最初のステップの最上層と同じ材料、Wなど)から形成されることにある。
【0060】
また、最初(1回目)のステップにおいて、金属材料32が1つの材料であるときは、それ以降(2回目以降)のステップにおいては、金属材料32は、最初のステップの金属材料32と同じ材料から形成される。
【0061】
この後、コロイダルシリカを含む酸性スラリーを用いたCMPにより、金属材料32を研磨し、金属材料32をコンタクトホール31内のみに残存させる。このCMPの条件は、第1実施例と同じであるため、ここではその説明については省略する。
【0062】
このCMPにより、図8に示すように、シームは消滅し、コンタクトホール31内に、その上面が平坦化されたコンタクトプラグ6が形成される。
【0063】
タッチアップCMP後のコンタクトプラグ6の上面の平坦性及び平滑性(最大表面粗さ)をAFMで評価したところ、その平坦性は、15nm以下であり、その平滑性は、0.15nm以下であった。
【0064】
さらに、コンタクトプラグ6の上面の平坦性及び平滑性を向上させるために、第1実施例と同様に、タッチアップCMPに引き続き、ガスクラスターイオンビーム法によりコンタクトプラグ6の上面の平滑化を行ってもよい。
【0065】
尚、ガスクラスターイオンビーム法による平滑化を行うときは、タッチアップCMPは、コロイダルシリカを含む酸性スラリーを用いたCMPでなくてもよい。また、タッチアップCMP(2回目)を省略してもよい。
【0066】
この後、図8に示すように、コンタクトプラグ6の上面の直上に機能素子7を形成する。この機能素子7は、上述のように平坦化されたコンタクトプラグ6の上面上に形成されるため、半導体集積回路の高集積化と機能素子の高性能化とを同時に実現できる。
【0067】
最後に、機能素子7を絶縁層で覆い、かつ、機能素子7に接続される導電線を形成すれば、図1に示す基本構造が完成する。
【0068】
このように、コンタクトプラグを形成するときのCMPの条件として、粒径が小さいコロイダルシリカを含む酸性スラリーを用い、かつ、金属材料の形成とCMPとを2回以上繰り返すことで、コンタクトプラグの上面の平坦性と平滑性とをそれぞれ十分に小さくすることができる。
【0069】
尚、コロイダルシリカの粒径は、第1実施例と同様に、100nm以下であることが望ましい。
【0070】
また、CMP後にガスクラスターイオンビーム法による平滑化を実行すれば、コンタクトプラグの上面の平坦性と平滑性とをさらに向上させることができる。
【0071】
(3) 第3実施例
図9乃至図11は、第3実施例を示している。
【0072】
第3実施例も、第1実施例の改良プロセスであり、シームによるコンタクトプラグの上面の平坦性及び平滑性を向上させる技術に関する。
【0073】
まず、図9に示すように、半導体基板1内に素子分離絶縁層2を形成する。素子分離絶縁層2は、例えば、CVD、フォトリソグラフィ、RIE及びCMPを組み合わせることにより形成する。
【0074】
また、素子分離絶縁層2により取り囲まれた素子領域内に、スイッチ素子として、ソース/ドレイン拡散層3及びゲート電極4を有するFETを形成する。
【0075】
この後、CVDにより、スイッチ素子を覆う絶縁層(例えば、酸化シリコン)5Aを形成する。続けて、フォトリソグラフィ及びRIEにより、絶縁層5A内に、ソース/ドレイン拡散層3に達する直径約40nmのコンタクトホール31を形成する。
【0076】
そして、CVDにより、絶縁層5A上に、コンタクトホール31を満たす金属材料32を形成する。コンタクトホール31は高アスペクト比を持つため、コンタクトホール31直上の金属材料32の表面には、シームXが形成される。尚、金属材料32は、1つの材料であってもよいし、複数の材料の組み合わせ(例えば、W/バリアメタルの積層)であってもよい。
【0077】
また、コロイダルシリカを含む酸性スラリーを用いたCMPにより、金属材料32を研磨し、金属材料32をコンタクトホール31内のみに残存させる。このCMPの条件は、第1実施例と同じであるため、ここではその説明については省略する。
【0078】
このCMPにより、図10に示すように、コンタクトホール31内に、その上面が平坦化されたコンタクトプラグ6が形成される。しかし、CMPを行った後にも、コンタクトプラグの上面には、シームXが残る。
【0079】
そこで、コンタクトプラグ6上に下部電極9を形成する。
【0080】
即ち、CVDにより、絶縁層5A上に、コンタクトプラグ6のシームXを満たす金属材料を形成する。この金属材料は、例えば、コンタクトプラグ6の材料とは異なる材料(例えば、Ta)から形成される。ここで、コンタクトプラグ6の上面にはシームXが残っているが、そのシームXはコンタクトホール31に比べて十分に浅いため、金属材料によりシームXを満たしたとき、コンタクトプラグ6直上の金属材料の表面に再びシームが形成されることはない。
【0081】
また、コロイダルシリカを含むスラリーを用いたCMPにより、金属材料を研磨する。このCMPの条件は、例えば、以下の通りである。
【0082】
研磨パッド: IC1000/S400(ロームアンドハース社製)
スラリー: コロイダルシリカ(粒径25nm、5wt%)+過酸化水素水(0.1wt%有機酸+PH調整剤)
PH=9.0
この後、図10に示すように、フォトリソグラフィ及びRIEにより、金属材料をパターニングし、コンタクトプラグ6上に下部電極9を形成する。
【0083】
下部電極9の上面の平坦性及び平滑性(最大表面粗さ)をAFMで評価したところ、その平坦性は、10nm以下であり、その平滑性は、0.10nm以下であった。
【0084】
さらに、下部電極9の上面の平坦性及び平滑性を向上させるために、コンタクトプラグ6上の金属材料のCMP後、その金属材料のパターニング前に、ガスクラスターイオンビーム法によりその金属材料の上面の平滑化を行ってもよい。
【0085】
尚、ガスクラスターイオンビーム法による平滑化を行うときは、コンタクトプラグ6上の金属材料のCMPは、コロイダルシリカを含む酸性スラリーを用いたCMPでなくてもよい。また、コンタクトプラグ6上の金属材料のCMPを省略してもよい。
【0086】
この後、図11に示すように、コンタクトプラグ6の上面の直上に、下部電極9を介して、機能素子7を形成する。この機能素子7は、上述のように平坦化されたコンタクトプラグ6の上面上(平坦化された下部電極9上)に形成されるため、半導体集積回路の高集積化と機能素子の高性能化とを同時に実現できる。
【0087】
最後に、機能素子7を絶縁層で覆い、かつ、機能素子7に接続される導電線を形成すれば、図2に示す基本構造が完成する。
【0088】
このように、コンタクトプラグを形成するときのCMPの条件として、粒径が小さいコロイダルシリカを含む酸性スラリーを用い、かつ、コンタクトプラグ上に下部電極を形成することで、機能素子の下地となる下部電極の平坦性と平滑性とをそれぞれ十分に小さくすることができる。
【0089】
尚、コロイダルシリカの粒径は、第1実施例と同様に、100nm以下であることが望ましい。
【0090】
また、コンタクトプラグ上の金属材料のCMP後、又は、そのCMPに代えて、ガスクラスターイオンビーム法による平滑化を実行すれば、下部電極の上面の平坦性と平滑性とをさらに向上させることができる。
【0091】
(4) 効果の検証
第1乃至第3実施例の効果を比較例との比較により説明する。
【0092】
・ 比較例
第1実施例のプロセスにおいて、CMPの条件を以下の通りとする。
【0093】
・ 1回目CMP
研磨パッド: IC1000/S400(ロームアンドハース社製)
スラリー: アルミナ(0.5wt%)+硝酸鉄(1.0wt%)
PH=1.5
・ 2回目CMP(タッチアップCMP)
研磨パッド: Politex(ロームアンドハース社製)
スラリー: ヒュームドシリカ(二次粒子径500nm)+過硫酸アンモニウム(1.0wt%+PH調整剤)
PH=9.0
尚、ヒュームドシリカ(fumed silica)とは、図14に示すように、複数のシリカ粒が互いに結合して煙霧状になったシリカのことである。
【0094】
比較例について、タッチアップCMP後のコンタクトプラグ6の上面の平坦性及び平滑性(最大表面粗さ)をAFMで評価したところ、その平坦性は、約50nmであり、その平滑性は、約1.2nmであった。
【0095】
ヒュームドシリカは、一次粒子が凝集し、巨大な二次粒子を形成するため、コンタクトプラグの上面の平坦性と平滑性とがそれぞれ悪化する。また、アルカリ性スラリーを用いたCMPによりコンタクトプラグを形成することで、コンタクトプラグの上面のリセスが大きくなる。
【0096】
図12は、第1乃至第3実施例と比較例との効果を示している。
【0097】
第1乃至第3実施例の共通の特徴は、第3−1ステップにおいて、コロイダルシリカを含む酸性スラリーを用いてCMPを行い、コンタクトプラグを形成する点にある。これに対し、比較例では、第3−1ステップにおいて、ヒュームドシリカを含むアルカリ性スラリーを用いてCMPを行い、コンタクトプラグを形成する。
【0098】
この相違により、コンタクトプラグの上面の平坦性及び平滑性に大きな差が生じる。
【0099】
図15は、研磨剤の粒径(Abrasive size)とコンタクトプラグの上面の平滑性Raとの関係を示している。
【0100】
各点は、第1乃至第3実施例におけるコロイダルシリカの粒径及び比較例におけるヒュームドシリカの二次粒子径での結果を表している。この結果から、研磨剤の粒径を100nm以下とすることにより、コンタクトプラグの上面の平滑性Raが0.3nm以下になることが分かる。
【0101】
特に、第1乃至第3実施例によれば、コンタクトプラグの上面の平滑性Raを0.2nm以下にすることで、機能素子の高性能化を図れることが確認された。
【0102】
このように、コンタクトプラグの上面の平滑性Raを0.2nm以下にすることにより、機能素子の下地の平坦性を良好にすることができると共に、機能素子の一部(例えば、磁気抵抗効果素子の強磁性層又は反強磁性層)を直接研磨することがないため、機能素子の特性を向上させることができる。
【0103】
また、機能素子は、コンタクトプラグの上面(Ra≦0.2nm)の直上に配置されるため、機能素子の高性能化と同時に半導体集積回路の高集積化も実現できる。
【0104】
図16は、PH−電位図(プールべ線図)を示している。
【0105】
新スラリーとは、第1乃至第3実施例においてタッチアップCMPに使用したコロイダルシリカを有する酸性スラリーのことである。新スラリーは、研磨の対象となる金属材料(例えば、W)が、安定な不動態領域に存在するため、CMP時における金属材料の溶解(リセス)を抑制することができる。
【0106】
これに対し、従来スラリーは、ヒュームドシリカを有するアルカリ性スラリーのことであり、このような金属材料の溶解を抑制することが困難である。
【0107】
ところで、CMPは、被研磨材料の平滑性に優れているが、スクラッチや砥粒残留などの課題があり、これらが平滑性を劣化させることもある。
【0108】
このため、第1乃至第3実施例で述べたように、CMPによる平滑化と組み合わせて、又は、それに代えて、ガスクラスターイオンビーム法を用いると、コンタクトプラグの上面又は下部電極の上面の平坦性及び平滑性をさらに向上させることができる。
【0109】
ガスクラスターイオンビーム法は、例えば、特許文献3に開示される。ガスクラスターイオンビーム法は、原子又は分子のクラスター(集合体)からなるイオンビームを発生させ、これを固体表面に照射する。このとき、クラスターが分解し、ラテラルスパッタリング効果により、固体表面の平滑化を行うことが可能となる。
【0110】
クラスターイオンビーム装置は、クラスターの生成部、イオン化部及び照射部から構成され、その内部は真空である。クラスターは、ノズルから放射され、イオン源によりイオン化され、クラスターイオンとなる。イオンは、電界をかけることで加速されるため、これを固体表面に照射することにより固体表面が平滑化される。イオンの加速電圧は、例えば、3keV〜60keV、イオンの面密度は、例えば、1×1014cm−2〜1×1016cm−2である。
【0111】
クラスターは、例えば、高圧ガスをノズルと呼ばれる細い管を通して真空中に噴出することで生成される。高圧ガスを真空中に噴出すると、断熱膨張により、凝縮温度以下まで冷却され、原子又は分子が互いに結合し、クラスターが形成される。
【0112】
クラスターは、例えば、イオン源の中で電子衝突法によりイオン化される。これは、高速の電子がクラスターに衝突した際にクラスターから電子が弾き飛ばされることを利用してクラスターに電荷を持たせる方法である。
【0113】
クラスターを構成する元素としては、N, O, C, Ge, B, P, Si, Ge, Ar, He, NF3などが挙げられる。高圧ガスの材料としては、N2, Ar, O2, CO2, NF3, B2H6, PH3, AsH3, SiH4, GeH4などを用いることができる。これらの高圧ガスの材料うち、CO2, NF3は、平滑化に非常に有効である。
【0114】
クラスターイオンビーム法によれば、例えば、最大表面粗さが5〜10nmの固体表面を、1nm以下、さらには、0.20nm以下の最大表面粗さに平滑化できる。
【0115】
但し、既に述べたように、クラスターイオンビーム法は、数10nm以下の段差の平滑化に有効であり、それを超える段差の平滑化には向いていない。そこで、ガスクラスターイオンビーム法は、例えば、CMPなどにより数10nm以下に平滑化された固体表面に適用するのが望ましい。
【0116】
3. 適用例
上述の基本構造は、特に、機能素子が複数の薄膜の積み重ね構造を有する半導体装置に適用するのが効果的である。なぜなら、膜の厚さが薄くなればなるほど、その膜質は、下地に影響されるからである。
【0117】
そのような半導体装置の代表例としては、磁気ランダムアクセスメモリがある。
そこで、以下では、磁気ランダムアクセスメモリの適用例を説明する。
【0118】
(1) 磁気ランダムアクセスメモリ
磁気ランダムアクセスメモリは、書き込み方式で分類すると、大きく2つに分けることができる。1つは、磁界を用いて磁気抵抗効果素子の磁化反転を行う磁界書き込み型(magnetic field writing type)であり、他の1つは、スピン偏極電子(spin polarized electrons)によるスピントルクを用いて磁気抵抗効果素子の磁化反転を行うスピン注入型(spin transfer type)である。
【0119】
上述の基本構造の特徴の一つは、機能素子がコンタクトプラグの上面の直上に配置されることにあるから、特に、スピン注入型磁気ランダムアクセスメモリに上述の基本構造を適用するのが有効である。
【0120】
図17は、磁気ランダムアクセスメモリのメモリセルの等価回路を示している。
【0121】
メモリセルは、磁気抵抗効果素子MTJとスイッチ素子(例えば、FET)Tの直列接続体を備える。直列接続体の一端(磁気抵抗効果素子MTJの一端)は、第1ビット線BL1に接続され、直列接続体の他端(スイッチ素子Tの一端)は、第2ビット線BL2に接続される。スイッチ素子Tの制御端子、例えば、FETのゲート電極は、ワード線WLに接続される。
【0122】
図18は、磁気抵抗効果素子の基本構造を示している。
【0123】
磁気抵抗効果素子は、磁化方向が不変の参照層11Aと、磁化方向が可変の記憶層11Cと、それらの間に配置されるトンネルバリア層11Bとからなる積層構造を有する。
【0124】
半導体基板上に磁気抵抗効果素子が配置されるとき、ボトム参照層型では、参照層11A上にトンネルバリア層11Bが配置され、トンネルバリア層11B上に記憶層11Cが配置される。また、トップ参照層型では、記憶層11C上にトンネルバリア層11Bが配置され、トンネルバリア層11B上に参照層11Aが配置される。
【0125】
参照層11A及び記憶層11Cの残留磁化の磁化方向は、膜面に水平な水平方向(面内磁化型:in-plane magnetization type)であってもよいし、膜面に垂直な垂直方向(垂直磁化型:perpendicular magnetization type)であってもよい。
【0126】
ここで、膜面とは、参照層11A及び記憶層11Cの上面及び下面のことであり、参照層11Aとトンネルバリア層11Bとの界面及び記憶層11Cとトンネルバリア層11Bとの界面と等価である。
【0127】
尚、磁気抵抗効果素子の構造は、これに限定されることはない。例えば、参照層11A及び記憶層11Cのそれぞれが多層構造を有していてもよいし、トンネルバリア層11Bが2つ以上存在していてもよい。
【0128】
図19は、磁気ランダムアクセスメモリのメモリセルの構造を示している。
【0129】
半導体基板1は、例えば、シリコン基板であり、その導電型は、P型でも、N型でもどちらでもよい。半導体基板1内には、素子分離絶縁層2として、例えば、STI構造の酸化シリコン層が配置される。
【0130】
半導体基板1の表面領域、具体的には、素子分離絶縁層2により取り囲まれた素子領域(アクティブエリア)内には、スイッチ素子Tが配置される。本例では、スイッチ素子Tは、FETであり、半導体基板1内の2つのソース/ドレイン拡散層3と、それらの間のチャネル領域上に配置されるゲート電極4とを有する。
【0131】
スイッチ素子Tは、絶縁層(例えば、酸化シリコン)5により覆われる。コンタクトホールは、絶縁層5内に設けられ、コンタクトプラグ6は、そのコンタクトホール内に配置される。コンタクトプラグ6は、例えば、W(タングステン)、Cu(銅)などの金属材料から形成される。
【0132】
コンタクトプラグ6の下面は、スイッチ素子に接続される。本例では、コンタクトプラグ6は、ソース/ドレイン拡散層3に直接接触している。
【0133】
コンタクトプラグ6上には、下部電極9が配置される。下部電極9は、例えば、図20に示すように、Ta(10nm)/Ru(5nm)/Ta(5nm)の積層構造から形成される。
【0134】
下部電極9上、即ち、コンタクトプラグ6の上面の直上には、磁気抵抗効果素子MTJが配置される。磁気抵抗効果素子MTJは、例えば、図20に示すように、Pt(3nm)/CoPd(2nm)/CoFeB(1nm)/MgO(1nm)/CoFeB(1nm)/CoPd(10nm)の積層構造から形成される。
【0135】
そして、第3実施例によれば、コンタクトプラグ6の上面の最大表面粗さは、0.20nm以下であり、磁気抵抗効果素子MTJの下地となる下部電極9の上面の最大表面粗さは、0.10nm以下である。
【0136】
磁気抵抗効果素子MTJのトンネルバリア層(MgO)の厚さは、極薄(1nm)であるが、その下地である下部電極9の上面が十分に平坦化されているため、トンネルバリア層の厚さやそれを構成する材料の質を均一化できる。結果として、参照層11Aと記憶層11Cとのショートが発生することはなく、磁気抵抗効果素子MTJの磁気特性を向上できる。
【0137】
また、下部電極9の上面(図20のTa(5nm)の上面)の平滑性(最大表面粗さ)は、その上の記憶層(Pt/CoPd/CoFeB)11Cにも引き継がれる。このため、強磁性層又は反強磁性層の表面を直接研磨することなく、均質なトンネルバリア層(MgO)を形成できるため、磁気抵抗効果素子MTJの磁気特性のばらつきが発生しない。
【0138】
さらに、磁気抵抗効果素子MTJは、コンタクトプラグ6の直上に配置されるため、例えば、スピン転送型書き込み方式により書き込みを行えば、メモリセルのサイズ縮小による半導体集積回路の高集積化を図ることもできる。
【0139】
磁気抵抗効果素子MTJ上には、キャップ層(例えば、Ta)21が配置される。また、キャップ層21上には、上部電極(例えば、TiN)10が配置される。
【0140】
上部電極10は、ビア(例えば、Cu)22を介して、導電線(例えば、Cu)8に接続される。導電線8は、図17の第1ビット線BL1に対応する。
【0141】
図21は、磁気ランダムアクセスメモリの詳細を示している。
【0142】
メモリセルアレイにおいて、磁気抵抗効果素子MTJは、コンタクトプラグ6と上部電極UEとの間に配置される。スイッチ素子Tは、FETである。磁気抵抗効果素子MTJは、周辺回路内に配置されない。
【0143】
本例では、メタル配線層M1〜M4は、4層であり、ビアV1〜V4により互いに接続される。BL1及びBL2は、図17のビット線BL1,BL2に相当する。
【0144】
以上、上述の基本構造が適用された磁気ランダムアクセスメモリによれば、メモリセルの縮小による半導体集積回路の高集積化と磁気抵抗効果素子の高性能化とを同時に実現することができる。
【0145】
(2) 機能素子の下地について
機能素子(例えば、磁気抵抗効果素子)の下地は、コンプレッシブ(圧縮)応力を持つ材料から構成されるのが望ましい。
【0146】
下地がテンサイル(引っ張り)応力を持つ材料から構成されていると、例えば、第1乃至第3実施例に示す方法により下地の平滑化を行ったとしても、機能素子の特性(例えば、磁気抵抗効果素子の場合は磁気特性)が劣化し易いことが判明したからである。
【0147】
このため、下地がテンサイル応力を持つ材料から構成されているときは、その上にコンプレッシブ応力を持つ材料を積み重ね、コンプレッシブ応力を持つ材料上に機能素子を形成する。
【0148】
以下、その例について説明する。
【0149】
図22及び図23の半導体装置は、コンタクトプラグ6がタングステン(W)から構成され、下部電極9がタンタル(Ta)から構成される。機能素子7は、下部電極9上に配置される。タンタルは、コンプレッシブ応力を持つ材料の一つである。図22は、コンタクトプラグ6の直上に機能素子7が配置される例で、図23は、コンタクトプラグ6の直上でない領域に機能素子7が配置される例である。
【0150】
図24及び図25の半導体装置は、コンタクトプラグ6がタングステン(W)から構成され、下部電極9A,9Bが銅(Cu)とタンタル(Ta)の積層から構成される。下部電極9A(Cu)上に下部電極9B(Ta)が形成され、機能素子7は、下部電極9B上に配置される。タンタルは、コンプレッシブ応力を持つ材料の一つである。
【0151】
機能素子7の側壁は、単層又は複数層から構成される側壁絶縁層23により覆われる。図24は、コンタクトプラグ6の直上に機能素子7が配置される例で、図25は、コンタクトプラグ6の直上でない領域に機能素子7が配置される例である。
【0152】
(3) その他
図19及び図21の磁気抵抗効果素子MTJは、膜面に対して垂直方向に磁化を有する垂直磁化膜から構成されていてもよいし、膜面に対して水平方向に磁化を有する面内磁化膜から構成されていてもよい。
【0153】
また、図26に示すように、参照層11Aは、第1及び第2の強磁性層12,13と、これらの間の非磁性層14とを備えていてもよい。この場合、第1及び第2の強磁性層12,13の磁化方向は、互いに逆向きである。第1の強磁性層12は、シフト調整層とも呼ばれ、素子加工時に問題となる参照層11Aからの漏れ磁場に起因する記憶層11Cの磁化反転特性のオフセットを調整する機能を有する。
【0154】
本例では、参照層11Aとトンネルバリア層11Bとの間に界面層15が配置され、記憶層11Cとトンネルバリア層11Bとの間に界面層16が配置される。これら界面層15,16は、省略してもよい。
【0155】
さらに、図19及び図21の磁気抵抗効果素子MTJを、可変抵抗素子(金属酸化物)、相変化素子、ダイオード、抵抗素子、容量素子などの機能素子に置き換えることも可能である。
【0156】
例えば、磁気抵抗効果素子MTJを可変抵抗素子(金属酸化物)に置き換えれば、抵抗変化メモリ(resistance change memory)となるし、磁気抵抗効果素子MTJを相変化素子に置き換えれば、相変化メモリ(phase change memory)になる。
【0157】
4. むすび
実施形態によれば、半導体集積回路の高集積化と機能素子の高性能化とを同時に実現することができる。
【0158】
本発明の例は、上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、各構成要素を変形して具体化できる。また、上述の実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を構成できる。例えば、上述の実施形態に開示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよいし、異なる実施形態の構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0159】
1: 半導体基板、 2: 素子分離絶縁層、 3: ソース/ドレイン拡散層、 4: ゲート電極、 5,5A: 絶縁層、 6: コンタクトプラグ、 7: 機能素子、 8: 導電線、 9: 下部電極、 11A: 参照層、 11B: トンネルバリア層、 11C: 記憶層、 21: キャップ層、 22: ビア、 31: コンタクトホール、 32: 金属材料。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の表面領域に配置されるスイッチ素子と、上面及び下面を有し、前記下面が前記スイッチ素子に接続されるコンタクトプラグと、前記上面の直上に配置される機能素子とを具備し、前記コンタクトプラグの上面の最大表面粗さは、0.2nm以下であることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記機能素子は、磁化方向が可変の記憶層と、磁化方向が不変の参照層と、それらの間に配置されるトンネルバリア層とを備える磁気抵抗効果素子であり、前記トンネルバリア層の下地の最大表面粗さが0.2nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記参照層は、第1及び第2強磁性層と、これらの間の非磁性層とを備え、前記第1及び第2強磁性層の磁化方向は、互いに逆向きであることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記機能素子の下地は、コンプレッシブ応力を持つ材料から構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記コンタクトプラグは、第1金属材料を形成した後にCMPにより前記第1金属材料を研磨する第1ステップにより形成し、
前記CMPは、コロイダルシリカを含む酸性スラリーを用いて行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1ステップは、2回以上繰り返されることを特徴とする請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記コンタクトプラグ上に下部電極を形成した後に、前記下部電極上に前記機能素子を形成する第2ステップを備え、
前記下部電極は、前記コンタクトプラグ上に第2金属材料を形成した後にCMPにより前記第2金属材料を研磨することにより形成される
ことを特徴とする請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記コンタクトプラグ上に下部電極を形成した後に、前記下部電極上に前記機能素子を形成する第2ステップを備え、
前記下部電極は、前記コンタクトプラグ上に第2金属材料を形成した後にガスクラスターイオンビーム法により前記第2金属材料を平滑化することにより形成される
ことを特徴とする請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記コンタクトプラグは、第1金属材料を形成した後にCMPにより前記第1金属材料を研磨する第1ステップと、前記第1ステップ後にガスクラスターイオンビーム法により前記第1金属材料を平滑化する第2ステップとにより形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記第1ステップは、2回以上繰り返されることを特徴とする請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記コンタクトプラグ上に下部電極を形成した後に、前記下部電極上に前記機能素子を 形成する第3ステップを備え、
前記下部電極は、前記コンタクトプラグ上に第2金属材料を形成した後にガスクラスターイオンビーム法により前記第2金属材料を平滑化することにより形成される
ことを特徴とする請求項9に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2012−9804(P2012−9804A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243821(P2010−243821)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】