説明

半導体装置及び半導体装置の製造方法

【課題】絶縁膜を有する窒化物半導体を低コストで製造する。
【解決手段】基板10の上方に形成された半導体層22,23,24と、前記半導体層の一部を酸化することにより形成された絶縁膜30と、前記絶縁膜上に形成された電極41と、を有し、前記絶縁膜は、酸化ガリウムを含むもの、または、酸化ガリウム及び酸化インジウムを含むものにより形成されているものであることを特徴とする半導体装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
窒化物半導体であるGaN、AlN、InNまたは、これらの混晶からなる材料等は、広いバンドギャップを有しており、高出力電子デバイスまたは短波長発光デバイス等として用いられている。このうち、高出力デバイスとしては、電界効果型トランジスタ(FET:Field effect transistor)、特に、高電子移動度トランジスタ(HEMT:High Electron Mobility Transistor)に関する技術が開発されている。このような窒化物半導体を用いたHEMTは、高出力・高効率増幅器、大電力スイッチングデバイス等に用いられる。特に、AlGaNを電子供給層、GaNを走行層に用いたHEMTでは、AlGaNとGaNとの格子定数差に起因した歪みがAlGaNに生じピエゾ分極が発生する。このように発生したピエゾ分極により、高濃度の二次元電子ガスが生じるため、高出力デバイスを得ることができる。
【0003】
ところで、このような用途に用いられるHEMTは、ノーマリーオフであること、絶縁耐圧が高いこと等が求められている。特に、ノーマリーオフは安全動作の観点から重要であることから、ノーマリーオフ化のための様々な方法が検討されている。ノーマリーオフ化の為の方法の一つとして、ゲート電極の直下の半導体層の一部を除去することによりゲートリセスを形成する方法がある。この方法により形成されるゲートリセス構造では、電極間の抵抗成分を増加させることなく、閾値電圧を正にすることが可能である等の利点を有している。また、電力用途に用いられるノーマリーオフの半導体デバイスでは、高いドレイン耐圧やゲート耐圧が求められるため、横型構造のFETやHEMTにおいては、ゲート絶縁膜となる絶縁膜を形成したMIS(Metal Insulator Semiconductor)構造が用いられている。このように、GaN系の半導体材料を用いたHEMTにおいては、ゲートリセス構造及びMIS構造を組み合わせた構造とすることにより、電力用途に適した半導体デバイスとすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−359256号公報
【特許文献2】特開2007−19309号公報
【特許文献3】特開2009−76845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ゲートリセス構造及びMIS構造を有する半導体装置は、エピタキシャル成長等により成膜した半導体層の一部をエッチング等により除去し、エッチングされた部分に絶縁膜を形成する必要がある。このため製造される半導体装置はエッチングによりダメージを受け所望の特性や歩留りが得られなくなり、また、製造工程が複雑なものとなり、製造される半導体装置のコストを上昇させていた。
【0006】
よって、ゲートリセス構造及びMIS構造を有する半導体装置を低コストで製造することのできる半導体装置の製造方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施の形態の一観点によれば、基板の上方に形成された半導体層と、前記半導体層の一部を酸化することにより形成された絶縁膜と、前記絶縁膜上に形成された電極と、を有し、前記絶縁膜は、酸化ガリウムを含むもの、または、酸化ガリウム及び酸化インジウムを含むものにより形成されているものであることを特徴とする。
【0008】
また、本実施の形態の一観点によれば、基板の上方に半導体層を形成する工程と、前記半導体層上に絶縁膜が形成される領域に開口部を有するマスクを形成する工程と、前記開口部における半導体層の一部を酸化し絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜上に電極を形成する工程と、を有し、前記半導体層は、窒化物半導体により形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
開示の半導体装置及び半導体装置の製造方法によれば、ゲートリセス構造及びMIS構造を有する半導体装置における製造工程を簡略化することができ、所望の特性の半導体装置を低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施の形態における半導体装置の構造図
【図2】第1の実施の形態における半導体装置の製造工程図(1)
【図3】第1の実施の形態における半導体装置の製造工程図(2)
【図4】第1の実施の形態における半導体装置の製造工程図(2)
【図5】超臨界水の説明図
【図6】第1の実施の形態における他の半導体装置の構造図
【図7】第2の実施の形態におけるディスクリートパッケージされた半導体デバイスの説明図
【図8】第2の実施の形態における電源装置の回路図
【図9】第2の実施の形態における高出力増幅器の構造図
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明を実施するための形態について、以下に説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0012】
〔第1の実施の形態〕
(半導体装置の構造)
図1に基づき、第1の実施の形態における半導体装置について説明する。本実施の形態における半導体装置は、HEMTと呼ばれるトランジスタであり、半導体等からなる基板10上に形成されたバッファ層20上に、電子走行層21、スペーサ層22、電子供給層23、キャップ層24からなる半導体層が形成されている。この半導体層はMOVPE(Metal-Organic Vapor Phase Epitaxy)等によるエピタキシャル成長により形成されている。また、ソース電極42及びドレイン電極43は電子供給層23と接続されて形成されており、ゲート電極41が形成される領域には、電子走行層21上にゲート絶縁膜となる絶縁膜30が形成されており、絶縁膜30上にゲート電極41が形成されている。尚、ソース電極42及びドレイン電極43は電子走行層21と接続されているものであってもよい。また、キャップ層24等を覆うように、絶縁体からなる保護膜が形成されているものであってもよい。
【0013】
基板10はSi基板、SiC基板、サファイア(Al)基板等が用いられる。本実施の形態では、基板10としてSi基板を用いているため、バッファ層20を形成しているが、他の材料からなる基板10を用いた場合には、バッファ層20を形成する必要がない場合がある。第1の半導体層となる電子走行層21はi−GaNにより形成されており、スペーサ層22はi−AlGaNにより形成されており、第2の半導体層となる電子供給層23はn−AlGaNにより形成されており、キャップ層24はn−GaNにより形成されている。これにより、電子走行層21において電子供給層23に近い側に2次元電子ガス(2DEG)21aが形成される。
【0014】
ゲート電極41、ソース電極42及びドレイン電極43は金属材料により形成されている。ゲート絶縁膜となる絶縁膜30は、スペーサ層22、電子供給層23及びキャップ層24を酸化することにより形成されている。具体的には、スペーサ層22となるi−AlGaN、電子供給層23はn−AlGaN、キャップ層24となるn−GaNを酸化することによりGa、Alが形成され、このように形成されたGa、Alより絶縁膜30が形成されている。尚、上記説明では、スペーサ層22、電子供給層23及びキャップ層24を酸化した場合について説明したが、電子供給層23及びキャップ層24を酸化したものであってもよく、また、キャップ層24を酸化したものであってもよい。
【0015】
上記においては、半導体層がGaN及びAlGaNにより形成されている半導体装置について説明したが、本実施の形態は半導体層としてInAlN、InGaAlN等の窒化物半導体を用いた半導体装置においても同様に適用することができる。この場合、ゲート絶縁膜となる絶縁膜30は、InAlN、InGaAlNを酸化することにより形成されるGa、In、Al等により形成される。
【0016】
(半導体装置の製造方法)
次に、図2から図4に基づき本実施の形態における半導体装置の製造方法について説明する。
【0017】
最初に、図2(a)に示すように、基板10上にバッファ層20を形成し、バッファ層20上に、電子走行層21、スペーサ層22、電子供給層23、キャップ層24等の半導体層をMOVPE等によりエピタキシャル成長させることにより形成する。この後、キャップ層24の上には、マスクを形成するための窒化シリコン(SiN)膜61を形成する。基板10は、Si、SiC、サファイア(Al)等からなる基板を用いることができ、基板10上には電子走行層21等をエピタキシャル成長させるためバッファ層20が形成されている。バッファ層20は、例えば、厚さ0.1μmのノンドープのi−AlNにより形成されている。また、第1の半導体層となる電子走行層21は、厚さ3μmのノンドープのi−GaNにより形成されている。スペーサ層22は、厚さ5nmのノンドープのi−AlGaNにより形成されている。第2の半導体層となる電子供給層23は、厚さ30nmのn−Al0.25Ga0.75Nにより形成されており、不純物元素としてSiが5×1018cm−3の濃度でドープされている。また、キャップ層24は、厚さ10nmのn−GaNにより形成されており、不純物元素としてSiが5×1018cm−3の濃度でドープされている。窒化シリコン(SiN)膜61は、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)によりキャップ層24上に200nmの膜厚で成膜することにより形成する。
【0018】
次に、図2(b)に示すように、窒化シリコン膜61上にレジストパターン62を形成する。具体的には、窒化シリコン膜61上にフォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行なうことによりレジストパターン62を形成する。このレジストパターン62は、後述するゲート絶縁膜となる絶縁膜が形成される領域に開口部を有するものである。
【0019】
次に、図2(c)に示すように、レジストパターン62が形成されていない領域の窒化シリコン膜61をRIE(Reactive Ion Etching)等のドライエッチングを行なうことにより除去し、更に、レジストパターン62も除去する。これにより開口部63を有する窒化シリコン膜61からなるマスク64が形成される。尚、本実施の形態では、マスク64を形成する材料に窒化シリコン膜61を用いたが、酸化されにくい材料であれば、他の材料を用いてもよい。
【0020】
次に、図3(a)に示すように、マスク64の開口部63において露出しているスペーサ層22、電子供給層23及びキャップ層24を酸化することにおりゲート絶縁膜となる絶縁膜30を形成する。この絶縁膜30は、超臨界水を用いてスペーサ層22、電子供給層23及びキャップ層24を酸化することにより形成する。具体的には、窒化シリコン膜61に開口部63が形成されているものを、純水が入れられているチャンバー内の所定の位置に設置し、チャンバー内を高温高圧状態にすることにより、チャンバー内部の純水を超臨界水にすることにより行なう。超臨界水は極めて酸化力が強く、通常高温でしか酸化しない材料であっても、低温で酸化させることができる。例えば、GaN及びAlGaN等を熱酸化により酸化しようとした場合には、通常は1000℃以上の温度が必要となり、このような高温に加熱した場合、エピタキシャル成長させた半導体層の結晶構造が崩れてしまい、所望の特性の半導体装置を得ることができない。しかしながら、超臨界水による酸化では、700℃以下の温度、例えば、約380℃の超臨界水が半導体層に接触することにより、超臨界水が接触した所定の領域の半導体層を酸化させることができる。従って、半導体層の結晶構造に乱れを生じさせることなく、窒化物半導体を酸化することができる。よって、半導体装置における特性を低下させることなく窒化物半導体からなる半導体層の一部を酸化しゲート絶縁膜となる絶縁膜30を形成することができる。
【0021】
ここで、図5に基づき超臨界水について説明する。超臨界水とは、水を374℃以上の温度で、218気圧以上の圧力の状態におけるものであり、気体と液体とが区別できなくなる状態の水である。このような状態の水、即ち、超臨界水は通常の水とは著しく異なる性質を有しており、そのような性質の一つとして化学反応が促進されることが挙げられる。本実施の形態では、超臨界水を用いることにより、通常では、極めて高い温度においてしか酸化しないGaN及びAlGaNを比較的低い温度で酸化させることができる。即ち、i−AlGaNからなるスペーサ層22、n−AlGaNからなる電子供給層23、n−GaNからなるキャップ層24を酸化することにより、Ga及びAlからなる絶縁膜30を形成することができるのである。本実施の形態では、超臨界水を用いることにより、700℃以下、更には、550℃以下の温度でスペーサ層22、電子供給層23及びキャップ層24を酸化し絶縁膜30を形成することができる。尚、本実施の形態では、超臨界水を用いて酸化する場合について説明しているが、臨界点よりも僅かに低い温度と圧力の亜臨界水も強い酸化力を有しており、亜臨界水に近い状態の水の酸化力も比較的強い。よって、100℃より高い温度(100℃を超える温度)において液体状態となっている水であれば、超臨界水と同様に低温でGaN及びAlGaNを酸化することができるものと考えられる。即ち、本実施の形態では、後述するソース電極42及びドレイン電極43をオーミックコンタクトさせるために必要な温度以下の温度においても窒化物半導体からなる半導体層を酸化させることができるのである。
【0022】
このようにスペーサ層22、電子供給層23及びキャップ層24を酸化することにより、酸化された領域では、リセスが形成されるとともに、リセス内に絶縁膜が形成される。よって、リセスを形成する工程、絶縁膜を形成する工程を一度に行なうことができ、製造工程を簡素化することができる。
【0023】
尚、上記においては、GaN及びAlGaNを酸化する場合について説明したが、窒化物半導体を有する半導体装置であれば同様に酸化膜を形成することができ、この酸化膜により絶縁膜を形成することができる。具体的には、半導体層としてInAlN、InGaAlN等の窒化物半導体を用いた半導体装置においても、超臨界水等を用いた酸化によりIn、Ga及びAlからなる絶縁膜を形成することができる。
【0024】
次に、図3(b)に示すように、窒化シリコン膜61を除去する。具体的には、熱リン酸を用いてウェットエッチングにより窒化シリコン膜61を除去する。
【0025】
次に、図3(c)に示すように、レジストパターン65を形成する。具体的には、キャップ層24の表面にフォトレジストを塗布し、露光装置による露光及び現像を行なうことによりレジストパターン65を形成する。このレジストパターン65は、ソース電極42及びドレイン電極43が形成される領域に開口部を有するものである。尚、レジストパターン65を形成する前に、不図示の素子分離領域を形成してもよい。この場合には、素子分離領域に開口部を有する不図示のレジストパターンを形成し、開口部において塩素系ガスを用いたドライエッチングまたは、イオン注入を行なうことにより素子分離領域を形成する。この後、素子分離領域を形成するために用いられた不図示のレジストパターンを除去する。
【0026】
次に、図4(a)に示すように、塩素系のガスを用いてRIE等のドライエッチングを行なうことにより、レジストパターン65の開口部におけるキャップ層24を除去する。この後、レジストパターン65も有機溶剤等により除去する。これにより、ソース電極42及びドレイン電極43が形成される領域において、キャップ層24が除去される。
【0027】
次に、図4(b)に示すように、ソース電極42及びドレイン電極43を形成する。具体的には、ソース電極42及びドレイン電極43が形成される領域に開口部を有する不図示のレジストパターンを形成する。このレジストパターンは、キャップ層24が形成されている面にフォトレジストを塗布し、露光層による露光、現像を行なうことにより形成する。この後、全面に金属膜(Ta:膜厚約20nm/Al:膜厚約200nm)を真空蒸着等により成膜した後、有機溶剤を用いてリフトオフを行なうことによりレジストパターン上に成膜された金属膜を除去する。これにより、レジストパターンが形成されていない領域における金属膜により、電子供給層23上にTa/Alからなるソース電極42及びドレイン電極43が形成される。尚、金属膜におけるTaからなる膜はキャップ層24に接して形成されており、窒素雰囲気中で400℃から700℃の温度、例えば、550℃の温度で熱処理を行なうことにより、ソース電極42及びドレイン電極43においてオーミックコンタクトが確立される。また、この熱処理を行なわなくともオーミックコンタクトが確立される場合には、熱処理は行なう必要がない。
【0028】
次に、図4(c)に示すように、ゲート電極41を形成する。具体的には、ゲート電極41が形成される領域に開口部を有する不図示のレジストパターンを形成する。このレジストパターンは、キャップ層24が形成されている面にフォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行なうことにより形成する。この後、全面に金属膜(Ni:膜厚約40nm/Au:膜厚約400nm)を真空蒸着により成膜した後、有機溶剤を用いてリフトオフを行なうことによりレジストパターン上に成膜された金属膜を除去する。これにより、レジストパターンの形成されていない領域の金属膜により絶縁膜30の上部にNi/Auからなるゲート電極41を形成することができる。尚、この後、必要に応じて熱処理等を行ってもよい。
【0029】
以上により、本実施の形態における半導体装置を作製することができる。
【0030】
また、本実施の形態における半導体装置においては、更に、図6に示すように、キャップ層24が露出している領域に保護膜50を形成したものであってもよい。具体的には、保護膜50は、絶縁体により形成されており、例えば、プラズマALD(Atomic Layer Deposition)等により酸化アルミニウム膜、窒化シリコン膜等を成膜することにより形成することができる。
【0031】
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、半導体デバイス、電源装置及び高周波増幅器である。
【0032】
本実施の形態における半導体デバイスは、第1の実施の形態における半導体装置をディスクリートパッケージしたものであり、このようにディスクリートパッケージされた半導体デバイスについて、図7に基づき説明する。尚、図7は、ディスクリートパッケージされた半導体装置の内部を模式的に示すものであり、電極の配置等については、第1の実施の形態に示されているものとは異なっている。
【0033】
最初に、第1の実施の形態において製造された半導体装置をダイシング等により切断することにより、GaN系の半導体材料のHEMTの半導体チップ410を形成する。この半導体チップ410をリードフレーム420上に、ハンダ等のダイアタッチ剤430により固定する。
【0034】
次に、ゲート電極441をゲートリード421にボンディングワイヤ431により接続し、ソース電極442をソースリード422にボンディングワイヤ432により接続し、ドレイン電極443をドレインリード423にボンディングワイヤ433により接続する。尚、ボンディングワイヤ431、432、433はAl等の金属材料により形成されている。尚、本実施の形態におけるゲート電極441はゲート電極パッドであり、第1の実施の形態におけるゲート電極41に接続されている。ソース電極442はソース電極パッドであり、第1の実施の形態におけるソース電極42に接続されている。ドレイン電極443はドレイン電極パッドであり、第1の実施の形態におけるドレイン電極43に接続されている。
【0035】
次に、トランスファーモールド法によりモールド樹脂440による樹脂封止を行なう。このようにして、GaN系の半導体材料を用いたHEMTのディスクリートパッケージされている半導体デバイスを作製することができる。
【0036】
また、本実施の形態における電源装置及び高周波増幅器は、第1の実施の形態における半導体装置を用いた電源装置及び高周波増幅器である。
【0037】
図8に基づき、本実施の形態における電源装置について説明する。本実施の形態における電源装置460は、高圧の一次側回路461、低圧の二次側回路462及び一次側回路461と二次側回路462との間に配設されるトランス463を備えている。一次側回路461は、交流電源464、いわゆるブリッジ整流回路465、複数のスイッチング素子(図8に示す例では4つ)466及び一つのスイッチング素子467等を備えている。二次側回路462は、複数のスイッチング素子(図8に示す例では3つ)468を備えている。図8に示す例では、第1の実施の形態における半導体装置を一次側回路461のスイッチング素子466及び467として用いている。尚、一次側回路461のスイッチング素子466及び467は、ノーマリーオフの半導体装置であることが好ましい。また、二次側回路462において用いられているスイッチング素子468はシリコンにより形成される通常のMISFET(metal insulator semiconductor field effect transistor)を用いている。
【0038】
また、図9に基づき、本実施の形態における高周波増幅器について説明する。本実施の形態における高周波増幅器470は、例えば、携帯電話の基地局用パワーアンプに適用してもよい。この高周波増幅器470は、ディジタル・プレディストーション回路471、ミキサー472、パワーアンプ473及び方向性結合器474を備えている。ディジタル・プレディストーション回路471は、入力信号の非線形歪みを補償する。ミキサー472は、非線形歪みが補償された入力信号と交流信号とをミキシングする。パワーアンプ473は、交流信号とミキシングされた入力信号を増幅する。図9に示す例では、パワーアンプ473は、第1の実施の形態における半導体装置を有している。方向性結合器474は、入力信号や出力信号のモニタリング等を行なう。図9に示す回路では、例えば、スイッチの切り替えにより、ミキサー472により出力信号を交流信号とミキシングしてディジタル・プレディストーション回路471に送出することが可能である。本実施の形態では、第1の実施の形態における半導体装置を用いることにより、電源装置及び増幅器を低コストで得ることができる。
【0039】
以上、実施の形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
【0040】
上記の説明に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
基板の上方に形成された半導体層と、
前記半導体層の一部を酸化することにより形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜上に形成された電極と、
を有し、
前記絶縁膜は、酸化ガリウムを含むもの、または、酸化ガリウム及び酸化インジウムを含むものにより形成されているものであることを特徴とする半導体装置。
(付記2)
前記絶縁膜は、更に、酸化アルミニウムを含むものであることを特徴とする付記1に記載の半導体装置。
(付記3)
前記半導体層は窒化物半導体により形成されているものであることを特徴とする付記1または2に記載の半導体装置。
(付記4)
前記半導体層は、Ga、Al、Inのうちから選ばれる1または2以上のものの窒化物を含むものにより形成されていることを特徴とする付記1から3のいずれかに記載の半導体装置。
(付記5)
前記絶縁膜は前記半導体層の一部を超臨界水、または、100℃より高く、700℃以下の温度の水に接触することにより酸化されたものであることを特徴とする付記1から4のいずれかに記載の半導体装置。
(付記6)
前記電極はゲート電極であって、
前記半導体層は、第1の半導体層と、前記第1の半導体層の上方に形成された第2の半導体層とを含むものであって、
前記第1の半導体層または第2の半導体層に接して形成されたソース電極及びドレイン電極を有することを特徴とする付記1から5のいずれかに記載の半導体装置。
(付記7)
前記第1の半導体層は、GaNを含むものであることを特徴とする付記6に記載の半導体装置。
(付記8)
前記第2の半導体層は、AlGaNを含むものであることを特徴とする付記6または7に記載の半導体装置。
(付記9)
前記絶縁膜は前記第1の半導体層に接していることを特徴とする付記1から8のいずれかに記載の半導体装置。
(付記10)
前記半導体層の上方には、絶縁体からなる保護膜が形成されていることを特徴とする付記1から9のいずれかに記載の半導体装置。
(付記11)
付記1から10のいずれかに記載の半導体装置を有することを特徴とする電源装置。
(付記12)
付記1から10のいずれかに記載の半導体装置を有することを特徴とする増幅器。
(付記13)
基板の上方に半導体層を形成する工程と、
前記半導体層上に絶縁膜が形成される領域に開口部を有するマスクを形成する工程と、
前記開口部における半導体層の一部を酸化し絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜上に電極を形成する工程と、
を有し、
前記半導体層は、窒化物半導体により形成されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記14)
前記半導体層は、Ga、Al、Inのうちから選ばれる1または2以上のものの窒化物を含むものにより形成されていることを特徴とする付記13に記載の半導体装置の製造方法。
(付記15)
前記絶縁膜を形成する工程は、前記マスクの開口部において露出している半導体層が、超臨界水、または、100℃より高い温度の水に接触することにより行なわれるものであることを特徴とする付記13または14に記載の半導体装置の製造方法。
(付記16)
前記絶縁膜を形成する工程は、700℃以下の温度で行なわれることを特徴とする付記13から15のいずれかに記載の導体装置の製造方法。
(付記17)
前記マスクを形成する工程は、前記半導体層上に窒化シリコン膜を形成する工程と、
前記窒化シリコン膜に開口部を形成する工程と、
を有することを特徴とする付記13から16のいずれかに記載の導体装置の製造方法。
(付記18)
前記電極はゲート電極であって、
前記半導体層を形成する工程は、第1の半導体層を形成する工程と、前記第1の半導体層の上方に第2の半導体層を形成する工程を含み、
前記半導体層を形成する工程の後に、前記第1の半導体層または前記第2の半導体層に接してソース電極及びドレイン電極を形成する工程を有することを特徴とする付記13から17のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
(付記19)
前記ソース電極及び前記ドレイン電極を形成する工程は、前記絶縁膜を形成する工程の後に行なうものであることを特徴とする付記18に記載の半導体装置の製造方法。
(付記20)
前記ソース電極及び前記ドレイン電極は、オーミックコンタクのために熱処理が行なわれるものであって、
前記絶縁膜を形成する際の温度は、前記オーミックコンタクのための熱処理の温度よりも低い温度であることを特徴とする請求項18または19に記載の半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0041】
10 基板
20 バッファ層
21 電子走行層(第1の半導体層)
21a 2DEG
22 スペーサ層
23 電子供給層(第2の半導体層)
24 キャップ層
30 絶縁膜
41 ゲート電極
42 ソース電極
43 ドレイン電極
50 保護膜
61 窒化シリコン膜
62 開口部
63 レジストパターン
64 マスク
65 レジストパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上方に形成された半導体層と、
前記半導体層の一部を酸化することにより形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜上に形成された電極と、
を有し、
前記絶縁膜は、酸化ガリウムを含むもの、または、酸化ガリウム及び酸化インジウムを含むものにより形成されているものであることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記絶縁膜は、更に、酸化アルミニウムを含むものであることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記半導体層は窒化物半導体により形成されているものであることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記絶縁膜は前記半導体層の一部を超臨界水、または、100℃より高く、700℃以下の温度の水に接触することにより酸化されたものであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記電極はゲート電極であって、
前記半導体層は、第1の半導体層と、前記第1の半導体層の上方に形成された第2の半導体層とを含むものであって、
前記第1の半導体層または第2の半導体層に接して形成されたソース電極及びドレイン電極を有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項6】
基板の上方に半導体層を形成する工程と、
前記半導体層上に絶縁膜が形成される領域に開口部を有するマスクを形成する工程と、
前記開口部における半導体層の一部を酸化し絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜上に電極を形成する工程と、
を有し、
前記半導体層は、窒化物半導体により形成されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記絶縁膜を形成する工程は、前記マスクの開口部において露出している半導体層が、超臨界水、または、100℃より高い温度の水に接触することにより行なわれるものであることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記絶縁膜を形成する工程は、700℃以下の温度で行なわれることを特徴とする請求項6または7に記載の導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記マスクを形成する工程は、前記半導体層上に窒化シリコン膜を形成する工程と、
前記窒化シリコン膜に開口部を形成する工程と、
を有することを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載の導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記電極はゲート電極であって、
前記半導体層を形成する工程は、第1の半導体層を形成する工程と、前記第1の半導体層の上方に第2の半導体層を形成する工程を含み、
前記半導体層を形成する工程の後に、前記第1の半導体層または前記第2の半導体層に接してソース電極及びドレイン電極を形成する工程を有することを特徴とする請求項6から9のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−174875(P2012−174875A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35117(P2011−35117)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】