説明

薄膜トランジスタ及びその作製方法

【課題】材料の利用効率を向上させ、かつ、作製工程を簡略化して作製可能な薄膜トランジスタ及びその作製技術を提供することを目的とする。また、薄膜トランジスタを構成する配線等のパターンを、所望の形状で制御性よく形成できる技術を提供することも目的とする。
【解決手段】薄膜トランジスタが有する配線や電極パターンは、第1の領域及び第2の領域を有する絶縁表面上に設けられた配線層と、配線層に接する電極層とを有し、前記配線層は前記第2の領域に設けられ、電極層は第1の領域に設けられ、電極層及び配線層に対するぬれ性は、前記第1の領域より前記第2の領域が高い領域に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン形成方法、薄膜トランジスタ及びそれらの作製方法、表示装置及び
それらの作製方法、それを用いたテレビジョン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
薄膜トランジスタ(以下、「TFT」という。)及びそれを用いた電子回路は、半導体
、絶縁体及び導電体などの各種薄膜を基板上に積層し、適宜フォトリソグラフィ技術によ
り所定のパターンを形成して製造されている。フォトリソグラフィ技術とは、フォトマス
クと呼ばれる透明な平板面上に光を通さない材料で形成した回路等のパターンを、光を利
用して目的とする基板上に転写する技術であり、半導体集積回路等の製造工程において広
く用いられている。
【0003】
従来のフォトリソグラフィ技術を用いた製造工程では、フォトレジストと呼ばれる感光
性の有機樹脂材料を用いて形成されるマスクパターンの取り扱いだけでも、露光、現像、
焼成、剥離といった多段階の工程が必要になる。従って、フォトリソグラフィ工程の回数
が増える程、製造コストは必然的に上がってしまうことになる。このような問題点を改善
するために、フォトリソグラフィ工程を削減してTFTを製造することが試みられている
(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
しかし、上記特許文献1に記載された技術は、TFTの製造工程で複数回行われるフォ
トリソグラフィ工程の一部を印刷法で置き替えただけのものであり、抜本的に工程数の削
減に寄与できるものではない。また、フォトリソグラフィ技術においてマスクマスクパタ
ーンを転写するために用いる露光装置は、等倍投影露光若しくは縮小投影露光により、数
ミクロンから1ミクロン以下のパターンを転写するものであり、原理的にみて、一辺が1
メートルを越えるような大面積基板を一括で露光することは技術的に困難である。
【特許文献1】特開平11−251259号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、TFT及びそれを用いる電子回路並びにTFTによって形成される表示装置
の製造工程においてフォトリソグラフィ工程の回数を削減し、製造工程を簡略化し、一辺
が1メートルを越えるような大面積の基板にも、低いコストで歩留まり良く製造すること
ができる技術を提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明は、それらの表示装置を構成する配線等のパターンを、所望の形状で制御
性よく形成できる技術を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の表示装置には、エレクトロルミネセンス(以下「EL」ともいう。)と呼ばれ
る発光を発現する有機物、若しくは有機物と無機物の混合物を含む媒体を、電極間に介在
させた発光素子とTFTとが接続された発光表示装置や、液晶材料を有する液晶素子を表
示素子として用いる液晶表示装置などがある。
【0008】
本発明のパターン形成方法は、第1の領域及び第2の領域を形成し、第2の領域から
第1の領域にわたってパターン形成材料を含む組成物を吐出し、第1の領域に吐出した組
成物の一部を、第2の領域に流動させ、組成物に対するぬれ性は、第1の領域より第2の
領域が高い。
【0009】
本発明のパターン形成方法は、被形成領域に選択的にマスクを形成し、マスクを用い
て第1の領域を形成し、マスクを除去し、第2の領域を形成し、第2の領域から第1の領
域にわたってパターン形成材料を含む組成物を吐出し、第1の領域に吐出した組成物の一
部を、第2の領域に流動させ、組成物に対するぬれ性は、第1の領域より第2の領域が高
い。
【0010】
本発明のパターン形成方法は、被形成領域に選択的に光触媒物質を形成し、被形成領
域及び光触媒物質上に第1の領域を形成し、光触媒物質に光を照射化し、第2の領域を形
成し、第2の領域から第1の領域にわたってパターン形成材料を含む組成物を吐出し、第
1の領域に吐出した組成物の一部を、第2の領域に流動させ、組成物に対するぬれ性は、
第1の領域より第2の領域が高い。
【0011】
本発明のパターン形成方法は、被形成領域に第1の領域を形成し、第1の領域に選択
的に光を照射し、第2の領域を形成し、第2の領域から第1の領域にわたってパターン形
成材料を含む組成物を吐出し、第1の領域に吐出した組成物の一部を、第2の領域に流動
させ、組成物に対するぬれ性は、第1の領域より第2の領域が高い。
【0012】
本発明の薄膜トランジスタの作製方法は、第1の領域及び第2の領域を形成し、第2
の領域から第1の領域にわたって導電性材料を含む組成物を吐出し、第1の領域に吐出し
た組成物の一部を、第2の領域に流動させ、電極層を形成し、組成物に対するぬれ性を、
第1の領域より第2の領域が高くなるように形成する。
【0013】
本発明の薄膜トランジスタの作製方法は、第1の領域及び第2の領域を形成し、第2の
領域から第一の領域にわたって導電性材料を含む組成物を吐出し、第1の領域に吐出した
組成物の一部を、第2の領域に流動させ、電極層を形成し、電極層に接して第2の領域に
導電性材料を吐出し、配線層を形成し、組成物に対するぬれ性を、第1の領域より第2の
領域が高くなるように形成する。
【0014】
本発明の薄膜トランジスタの作製方法は、被形成領域に選択的に光触媒物質を形成し
、被形成領域及び光触媒物質上に第1の領域を形成し、光触媒物質に光を照射し、第2の
領域を形成し、第2の領域から第1の領域にわたって導電性材料を含む組成物を吐出し、
第1の領域に吐出した組成物の一部を、第2の領域に流動させ、電極層を形成し、組成物
に対するぬれ性は、第1の領域より第2の領域が高い。
【0015】
本発明の薄膜トランジスタの作製方法は、第1の領域及び第2の領域を形成し、第2
の領域から第1の領域にわたってマスク形成材料を含む組成物を吐出し、第1の領域に吐
出したマスク形成材料を含む組成物の一部を、第2の領域に流動させ、マスクを形成し、
マスクを用いて第1の領域の一部を除去し、第3の領域を形成し、マスクを除去し第4の
領域を形成し、第3の領域から第4の領域をまたぐように導電性材料を含む組成物を吐出
し、第4の領域の導電性材料を含む組成物を第3の領域に流動させ、第1の電極層及び第
2の電極層を形成し、第1の領域に吐出した組成物の一部を、第2の領域に流動させ、マ
スク形成材料を含む組成物に対するぬれ性は、第1の領域より第2の領域が高く、導電性
材料を含む組成物に対するぬれ性は、第4の領域より第3の領域が高い。
【0016】
上記構成において、電極層はゲート電極層として形成し、配線層はゲート配線層として
形成し、表示装置を作製することもできる。また上記構成において、第1の電極層及び第
2の電極層はソース電極層又はドレイン電極層として形成し、表示装置を作製することも
できる。
【0017】
本発明の薄膜トランジスタは、第1の領域及び第2の領域を有する絶縁表面上に設け
られた配線層と、配線層に接する電極層とを有し、配線層は第2の領域に設けられ、電極
層は第1の領域に設けられ、電極層及び配線層に対するぬれ性は、第1の領域より第2の
領域が高い。
【0018】
本発明の薄膜トランジスタは、第1の領域及び第2の領域を有する絶縁表面上に設けら
れた配線層と、配線層に接する電極層とを有し、配線層は第2の領域に設けられ、電極層
は第1の領域に設けられ、電極層及び配線層に対するぬれ性は、第1の領域より第2の領
域が高く、電極層は、配線層より幅が細くかつ薄い。
【0019】
本発明の表示装置は、第1の領域及び第2の領域を有する絶縁表面上に設けられたゲー
ト配線層と、ゲート配線層に接するゲート電極層を含む薄膜トランジスタとを有し、ゲー
ト配線層は第2の領域に設けられ、ゲート電極層は第1の領域に設けられ、ゲート電極層
及びゲート配線層に対するぬれ性は、第1の領域より第2の領域が高い。
【0020】
本発明の表示装置は、第1の領域及び第2の領域を有する絶縁表面上に設けられたゲー
ト配線層と、ゲート配線層に接するゲート電極層を含む薄膜トランジスタとを有し、ゲー
ト配線層は第2の領域に設けられ、ゲート電極層は第1の領域に設けられ、ゲート電極層
及びゲート配線層に対するぬれ性は、第1の領域より第2の領域が高く、ゲート電極層は
、ゲート配線層より幅が細くかつ薄い。
【0021】
本発明のテレビジョン装置は、第1の領域及び第2の領域を有する絶縁表面上に設けら
れたゲート配線層と、ゲート配線層に接するゲート電極層を含む薄膜トランジスタとを有
する表示装置により表示画面を構成され、ゲート配線層は第2の領域に設けられ、ゲート
電極層は第1の領域に設けられ、ゲート電極層及びゲート配線層に対するぬれ性は、第1
の領域より第2の領域が高い。
【0022】
本発明のテレビジョン装置は、第1の領域及び第2の領域を有する絶縁表面上に設けら
れたゲート配線層と、ゲート配線層に接するゲート電極層を含む薄膜トランジスタとを有
する表示装置により表示画面を構成され、ゲート配線層は第2の領域に設けられ、ゲート
電極層は第1の領域に設けられ、ゲート電極層及びゲート配線層に対するぬれ性は、第1
の領域より第2の領域が高く、ゲート電極層は、ゲート配線層より幅が細くかつ薄い。
【0023】
上記構成において、フッ素を有する物質であるフッ素炭素鎖(フルオロカーボン鎖)を
有する物質を形成することで、第1の領域を形成することができる。また光触媒物質とし
て酸化チタンを用いることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明により、所望なパターンを制御性よく形成でき、材料のロスも少なく、コストダ
ウンも達成できる。よって高性能、高信頼性の表示装置を歩留まりよく作製することがで
きる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説
明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様
々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実
施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する本発明の
構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共
通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0026】
図29(A)は本発明に係る表示パネルの構成を示す上面図であり、絶縁表面を有する基
板2700上に画素2702をマトリクス上に配列させた画素部2701、走査線側入力
端子2703、信号線側入力端子2704が形成されている。画素数は種々の規格に従っ
て設ければ良く、XGAであれば1024×768×3(RGB)、UXGAであれば1
600×1200×3(RGB)、フルスペックハイビジョンに対応させるのであれば1
920×1080×3(RGB)とすれば良い。
【0027】
画素2702は、走査線側入力端子2703から延在する走査線と、信号線側入力端子
2704から延在する信号線とが交差することで、マトリクス状に配設される。画素27
02のそれぞれには、スイッチング素子とそれに接続する画素電極が備えられている。ス
イッチング素子の代表的な一例はTFTであり、TFTのゲート電極側が走査線と、ソー
ス若しくはドレイン側が信号線と接続されることにより、個々の画素を外部から入力する
信号によって独立して制御可能としている。
【0028】
TFTは、その主要な構成要素として、半導体層、ゲート絶縁層及びゲート電極層が挙
げられ、半導体層に形成されるソース及びドレイン領域に接続する配線層がそれに付随す
る。構造的には基板側から半導体層、ゲート絶縁層及びゲート電極層を配設したトップゲ
ート型と、基板側からゲート電極層、ゲート絶縁層及び半導体層を配設したボトムゲート
型などが代表的に知られているが、本発明においてはそれらの構造のどのようなものを用
いても良い。
【0029】
半導体層を形成する材料は、シランやゲルマンに代表される半導体材料ガスを用いて気
相成長法やスパッタリング法で作製されるアモルファス半導体(以下「AS」ともいう。
)、該非晶質半導体を光エネルギーや熱エネルギーを利用して結晶化させた多結晶半導体
、或いはセミアモルファス半導体(微結晶若しくはマイクロクリスタルとも呼ばれる。以
下「SAS」ともいう。)などを用いることができる。
【0030】
SASは、非晶質と結晶構造(単結晶、多結晶を含む)の中間的な構造を有し、自由エ
ネルギー的に安定な第3の状態を有する半導体であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有
する結晶質な領域を含んでいる。少なくとも膜中の一部の領域には、0.5〜20nmの
結晶領域を観測することが出来、珪素を主成分とする場合にはラマンスペクトルが520
cm-1よりも低波数側にシフトしている。X線回折では珪素結晶格子に由来するとされる
(111)、(220)の回折ピークが観測される。未結合手(ダングリングボンド)の
中和剤として水素またはハロゲンを少なくとも1原子%またはそれ以上含ませている。S
ASは、珪化物気体をグロー放電分解(プラズマCVD)して形成する。珪化物気体とし
ては、SiH4、その他にもSi26、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4、SiF4
などを用いることが可能である。またF2、GeF4を混合させても良い。この珪化物気体
をH2、又は、H2とHe、Ar、Kr、Neから選ばれた一種または複数種の希ガス元素
で希釈しても良い。希釈率は2〜1000倍の範囲、圧力は概略0.1Pa〜133Pa
の範囲、電源周波数は1MHz〜120MHz、好ましくは13MHz〜60MHzであ
る。基板加熱温度は300℃以下が好ましく、100〜200℃の基板加熱温度でも形成
可能である。ここで、主に成膜時に取り込まれる不純物元素として、酸素、窒素、炭素な
どの大気成分に由来する不純物は1×1020cm-3以下とすることが望ましく、特に、酸
素濃度は5×1019cm-3以下、好ましくは1×1019cm-3以下となるようにすること
が好ましい。また、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンなどの希ガス元素を含ませ
て格子歪みをさらに助長させることで安定性が増し良好なSASが得られる。また半導体
層としてフッ素系ガスより形成されるSAS層に水素系ガスより形成されるSAS層を積
層してもよい。
【0031】
図29(A)は、走査線及び信号線へ入力する信号を、外付けの駆動回路により制御す
る表示パネルの構成を示しているが、図30(A)に示すように、COG(Chip on Glass
)方式によりドライバIC2751を基板2700上に実装しても良い。また他の実装形
態として、図30(B)に示すようなTAB(Tape Automated Bond
ing)方式を用いてもよい。ドライバICは単結晶半導体基板に形成されたものでも良
いし、ガラス基板上にTFTで回路を形成したものであっても良い。図30において、ド
ライバIC2751は、FPC(Flexible printed circuit)2750と接続している。
【0032】
また、画素に設けるTFTをSASで形成する場合には、図29(B)に示すように走
査線駆動回路3702を基板3700上に形成し一体化することもできる。図29(B)
において、画素部3701は、信号線側入力端子3704と接続した図29(A)と同様
に外付けの駆動回路により制御する。画素に設けるTFTを移動度の高い、多結晶(微結
晶)半導体、単結晶半導体などで形成する場合は、図29(C)のように、画素部470
1、走査線駆動回路4702と、信号線駆動回路4704を基板4700上に一体形成す
ることもできる。
【0033】
本発明の実施の形態について、図1を用いて説明する。図1(A)〜(D)はパター
ンの上面図であり、図1の(E)〜(H)は、図1(A)〜(D)における線G-Hによ
る断面図である。図1(A)〜(H)はそれぞれ、(A)と(E)、(B)と(F)、(
C)と(G)、(D)と(H)とで対応している。
【0034】
本発明は、配線層若しくは電極を形成する導電層や、所定のパターンを形成するための
マスク層など表示パネルを作製するために必要なパターンのうち、少なくとも一つ若しく
はそれ以上を、選択的にパターンを形成可能な方法により形成して、表示装置を作製する
ことを特徴とするものである。選択的にパターンを形成可能な方法として、導電層や絶縁
層など形成し、特定の目的に調合された組成物の液滴を選択的に吐出(噴出)して所定の
パターンを形成することが可能な、液滴吐出(噴出)法(その方式によっては、インクジ
ェット法とも呼ばれる。)を用いる。また、パターンが転写、または描写できる方法、例
えば印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)なども用
いることができる。
【0035】
本実施の形態は、パターンを流動体であるパターンを含む組成物を、液滴として吐出(
噴出)し、パターンを形成する方法を用いている。パターンの被形成領域に、パターン形
成材料を含む液滴を吐出し、焼成、乾燥等を行って固定化しパターンを形成する。本発明
では、パターン形成領域に前処理を行う。
【0036】
パターンの形成に用いる液滴吐出装置の一態様を図28に示す。液滴吐出手段1403
の個々のヘッド1405、ヘッド1412は制御手段1407に接続され、それがコンピ
ュータ1410で制御することにより予めプログラミングされたパターンを描画すること
ができる。描画するタイミングは、例えば、基板1400上に形成されたマーカー141
1を基準に行えば良い。或いは、基板1400の縁を基準にして基準点を確定させても良
い。これをCCDなどの撮像手段1404で検出し、画像処理手段1409にてデジタル
信号に変換したものをコンピュータ1410で認識して制御信号を発生させて制御手段1
407に送る。勿論、基板1400上に形成されるべきパターンの情報は記憶媒体140
8に格納されたものであり、この情報を基にして制御手段1407に制御信号を送り、液
滴吐出手段1403の個々のヘッド1405、ヘッド1412を個別に制御することがで
きる。吐出する材料は、材料供給源1413、材料供給源1414より配管を通してヘッ
ド1405、ヘッド1412にそれぞれ供給される。
【0037】
ヘッド1405内部は、点線1406が示すように液状の材料を充填する空間と、吐
出口であるノズルを有する構造となっている。図示しないが、ヘッド1412もヘッド1
405と同様な内部構造を有する。ヘッド1405とヘッド1412のノズルを異なるサ
イズで設けると、異なる材料を異なる幅で同時に描画することができる。また、充填する
材料を選択することで一つのヘッドで、導電材料や有機、無機材料などをそれぞれ吐出し
、描画することができる。層間膜のような広領域に描画する場合は、スループットを向上
させるため複数のノズルより同材料を同時に吐出し、描画すればよい。大型基板を用いる
場合、ヘッド1405、ヘッド1412は基板上を、矢印の方向に自在に走査し、描画す
る領域を自由に設定することができ、同じパターンを一枚の基板に複数描画することがで
きる。
【0038】
液滴吐出法を用いる導電層などのパターン形成方法では、粒子状に加工されたパター
ン形成材料を吐出し、焼成によって融合や融着接合させ固化することでパターンを形成す
る。よって、そのパターンは、スパッタ法などで形成したパターンが、多くは柱状構造を
示すのに対し、多くの粒界を有する多結晶状態を示す。
【0039】
図1の(A)に示すように、基板50上のパターンの被形成領域を含む近傍に、前処
理として形成材料に対するぬれ性の異なる領域を形成する。このぬれ性の違いは両領域の
相対的な関係であり、被形成領域内で形成材料に対するぬれ性の程度に差を有していれば
よい。また、ぬれ性の異なる領域とは、形成材料の接触角が異なることであり、形成材料
の接触角が大きい領域はよりぬれ性が低い領域(以下、低ぬれ性領域ともいう)となり、
接触角が小さい領域はぬれ性の高い領域(以下、高ぬれ性領域ともいう)となる。接触角
が大きいと、流動性を有する液状の組成物は、領域表面上で広がらず、表面をぬらさない
が、接触角が小さいと、表面上で流動性を有する組成物は広がり、よく表面をぬらすから
である。本発明においては、このぬれ性の異なる領域の接触角の差は30度以上、好まし
くは40度以上あるとよい。本実施の形態では、マスク51を形成し、このマスク51を
用いて、基板50の他の領域にぬれ性の低い物質52を形成する(図1(A)、(E)参
照。)。その後、マスク51を除去することにより、ぬれ性の異なる領域53と領域64
とが形成される(図1(B)、(F)参照。)。本実施の形態では、ぬれ性が低い領域6
4を低ぬれ性領域64、ぬれ性が高い領域を高ぬれ性領域53とする。
【0040】
次に、パターン形成材料を含む組成物を液滴55として、高ぬれ性領域53と低ぬれ性
領域64とにまたがるように、液滴吐出法により吐出する。組成物の吐出は、高ぬれ性領
域53からでも、低ぬれ性領域64どちらの領域から始めてもよい。パターン形成材料を
含む組成物はノズル54より液滴55として吐出され、パターン56が形成される(図1
(C)、(G)参照。)。
【0041】
吐出直後、パターン56の形状をとっていた流動性を有するパターン形成材料は、その
被形成領域のぬれ性の違いにより、低ぬれ性領域64に安定せず、低ぬれ性領域64と高
ぬれ性領域53とが接する境界から、高ぬれ性領域53に一部流動する。パターン形成材
料を含む組成物に対するぬれ性が低い低ぬれ性領域64では、パターン形成材料を含む組
成物はよくぬれないため、組成物は固着しにくく、より安定性の高い高ぬれ性領域53へ
流動してしまうからである。結果、吐出直後はパターン56の形状をとっていたパターン
形成材料を含む組成物は、その流動性と被形成領域に対するぬれ性の違いにより、パター
ン57の様に形状を変え、安定する。低ぬれ性領域64上に形成されるパターン57は、
一部が高ぬれ性領域53へ流動したため、パターン56より細線化する。よって、液滴吐
出法によって、形成したパターンよりもより細線化したパターンを自由に形成することが
できる。
【0042】
また、逆の効果として、高ぬれ性領域のみに、パターン形成材料を含む組成物を吐出し
た場合、周囲を囲む低ぬれ性領域によって液滴ははじかれるため、高ぬれ性領域と低ぬれ
性領域の境界に、隔壁(土手)があるかのような機能を果たす。よって、流動性を有する
パターン形成材料を含む組成物でも高ぬれ性領域に留まるので、幅広化、厚膜化すること
ができる。
【0043】
本発明を用いると、例えば電極層など、微細なパターンを形成したい場合、液滴の吐
出口が多少大きくても、余分な液滴を隣接する高ぬれ性領域に流動させることによって、
細線化できる。高ぬれ性領域に流動し形成されたパターンは、エッチング等によって除去
してもよいし、その上より、重ねてパターン材料を吐出し描画して配線層などの幅広なパ
ターンの一部とすることができる。この場合、低ぬれ性領域に囲まれた高ぬれ性領域のみ
に液滴を吐出することによって、その配線の幅広化、厚膜化も可能になる。本発明により
、微細な配線や、電極などを制御性よく形成することができるため信頼性が向上し、かつ
材料のロスが防げ、歩留まりがよく作製できるため、コストダウンが可能になる。
【0044】
本実施の形態では、前処理としてぬれ性の低い物質を形成したが、その形成条件によ
っては膜厚が極薄であり、膜として形態を保っていなくてもよい。低ぬれ性領域(ぬれ性
が相対的に低い領域)と高ぬれ性領域(ぬれ性が相対的に高い領域)の形成方法は、本実
施の形態に限定されず、どのような方法を用いてもよい。本実施の形態では、ぬれ性の低
い物質を選択的に形成したが、逆にぬれ性を高める物質を選択的に形成しても良い。どの
ような方法を用いても、被形成領域に、ぬれ性が異なる領域が形成できればよい。
【0045】
また、被形成領域近傍にわたって物質を形成し、選択的にぬれ性を高める処理、ぬれ性
を低める処理を行ってもよい。この処理には、加熱処理や、レーザ等の光照射処理などを
用いることもできる。例えば、ぬれ性を低める物質が分解する程度の紫外線光を照射し、
処理領域のぬれ性を低める物質を分解、除去することにより、ぬれ性を低める効果を消滅
させ、高ぬれ性領域を形成する。この場合、光の波長としては、使用するぬれ性を低める
物質によって適宜選択すればよいが、300nm以下のエネルギーの高い光が好ましい。
被形成領域近傍にわたって、密着性を向上させる効果を有する物質を下地膜として形成し
てもよく、その場合、下地膜の上にぬれ性が異なる領域を形成すればよい。
【0046】
他の方法として、被形成領域近傍の、後に高ぬれ性領域を形成する領域に選択的に物
質を形成し、その上からぬれ性を低める効果のある物質を形成する。その後加熱処理や光
照射処理によって、高ぬれ性領域に形成した物質を活性化させ、ぬれ性を高め、高ぬれ性
領域を形成することもできる。この高ぬれ性領域を形成する物質として、光触媒機能を有
する物質(以下、単に光触媒物質と表記する)を用いることができる。光触媒物質上にぬ
れ性の低い物質を形成し、低ぬれ性領域とした後、光照射を行う。選択的に形成された光
触媒物質は光触媒活性を有しているので、光照射によって活性化し、ぬれ性の低い物質を
分解し除去し、その領域を高ぬれ性とすることができる。
【0047】
光触媒物質は、酸化チタン(TiOX)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、セ
レン化カドミウム(CdSe)、タンタル酸カリウム(KTaO3)、硫化カドミウム(
CdS)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ニオブ(Nb25)、酸化亜鉛(ZnO
)、酸化鉄(Fe23)、酸化タングステン(WO3)等が好ましい。これら光触媒物質
に紫外光領域の光(波長400nm以下、好ましくは380nm以下)を照射し、光触媒
活性を生じさせてもよい。
【0048】
光触媒物質は、ゾルゲル法のディップコーティング法、スピンコーティング法、液滴吐
出法、イオンプレーティング法、イオンビーム法、CVD法、スパッタリング法、RFマグ
ネトロンスパッタリング法、プラズマ溶射法、プラズマスプレー法、又は陽極酸化法によ
り形成することができる。また物質は、その形成方法により膜としての連続性を有さなく
ても良い。複数の金属を含む酸化物半導体からなる光触媒物質の場合、構成元素の塩を混
合、融解して形成することができる。ディップコーティング法、スピンコーティング法等
の塗布法により光触媒物質を形成する場合、溶媒を除去する必要があるとき、焼成、又は
乾燥を行えばよい。具体的には、所定の温度(例えば、300℃以上)で加熱すればよく
、好ましくは酸素を有する雰囲気で行う。
【0049】
この加熱処理により、光触媒物質は所定の結晶構造を有することができる。例えば、ア
ナターゼ型やルチル−アナターゼ混合型を有する。低温相ではアナターゼ型が優先的に形
成される。そのため光触媒物質が所定の結晶構造を有していない場合も加熱すればよい。
また塗布法により形成する場合、所定の膜厚を得るために複数回にわたって光触媒物質を
形成することもできる。
【0050】
マスク51は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、メラ
ミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂材料を用いる。また、ベンゾシクロブテン、パリレン、
フレア、透過性を有するポリイミドなどの有機材料、シロキサン系ポリマー等の重合によ
ってできた化合物材料、水溶性ホモポリマーと水溶性共重合体を含む組成物材料等を用い
て液滴吐出法で形成することができる。或いは、感光剤を含む市販のレジスト材料を用い
てもよく、例えば、代表的なポジ型レジストである、ノボラック樹脂と感光剤であるナフ
トキノンジアジド化合物、ネガ型レジストであるベース樹脂、ジフェニルシランジオール
及び酸発生剤などを用いてもよい。いずれの材料を用いるとしても、その表面張力と粘度
は、溶媒の濃度を調整したり、界面活性剤等を加えたりして適宜調整する。
【0051】
また、ぬれ性を高めるという処理は、その領域上に吐出される液滴を留めておく力(
密着力、固着力ともいう)を周囲の領域より高い状態にすることであり、加熱処理や光(
レーザ光など)照射などの処理により、領域を改質し、液滴との密着性を高めることとも
同意味である。また、そのぬれ性は液滴に接し、留めておく表面だけでもよく、必ずしも
膜厚方向全体にわたって同様の性質を有する必要はない。
【0052】
パターン形成後に前処理として形成したぬれ性を変化させる物質を残してもよいし、
パターンを形成後に、不必要な部分は除去してしまってもよい。除去は、パターンをマス
クとして用いることもでき、酸素等によるアッシング、エッチングなどにより除去すれば
いい。
【0053】
低ぬれ性領域を形成する溶液の組成物の一例としては、Rn−Si−X(4-n)(n=1
、2、3)の化学式で表されるシランカップリング剤を用いる。ここで、Rは、アルキル
基などの比較的不活性な基を含む物である。また、Xはハロゲン、メトキシ基、エトキシ
基又はアセトキシ基など、基質表面の水酸基あるいは吸着水との縮合により結合可能な加
水分解基からなる。
【0054】
また、シランカップリング剤の代表例として、Rにフルオロアルキル基を有するフッ素
系シランカップリング剤(フルオロアルキルシラン(以下、FASともいう))を用いる
ことにより、よりぬれ性を低めることができる。FASのRは、(CF3)(CF2x
CH2y(x:0以上10以下の整数、y:0以上4以下の整数)で表される構造を持ち
、複数個のR又はXがSiに結合している場合には、R又はXはそれぞれすべて同じでも
良いし、異なっていてもよい。代表的なFASとしては、ヘプタデフルオロテトラヒドロ
デシルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロテトラヒドロデシルトリクロロシラン、
トリデカフルオロテトラヒドロオクチルトリクロロシラン、トリフルオロプロピルトリメ
トキシシラン等のフルオロアルキルシランが挙げられる。
【0055】
低ぬれ性領域を形成する溶液の溶媒としては、nーペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプ
タン、n−オクタン、n−デカン、ジシクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、
デュレン、インデン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、スクワランなど
の炭化水素系溶媒又はテトラヒドロフランなどを用いることができる。
【0056】
また、低ぬれ性領域を形成する溶液の組成物の一例として、フッ素炭素鎖を有する物質
(フッ素系樹脂)を用いることができる。フッ素系樹脂として、ポリテトラフルオロエチ
レン(PTFE;四フッ化エチレン樹脂)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA;
四フッ化エチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂)、パーフルオロエチ
レンプロペンコーポリマー(PFEP;四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合樹
脂)、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE;四フッ化エチレン−エ
チレン共重合樹脂)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF;フッ化ビニリデン樹脂)
、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE;三フッ化塩化エチレン樹脂)、エチレ
ン−クロロトリフルオロエチレンコポリマー(ECTFE;三フッ化塩化エチレン−エチ
レン共重合樹脂)、ポリテトラフルオロエチレン−パーフルオロジオキソールコポリマー
(TFE−PDD)、ポリビニルフルオライド(PVF;フッ化ビニル樹脂)等を用いる
ことができる。
【0057】
また、低ぬれ性領域を形成しない(すなわち、高ぬれ性領域を形成する)有機材料を
用い、後にCF4プラズマ等による処理を行って、低ぬれ性領域を形成してもよい。例え
ば、ポリビニルアルコール(PVA)のような水溶性樹脂を、H2O等の溶媒に混合した
材料を用いることができる。また、PVAと他の水溶性樹脂を組み合わせて使用してもよ
い。有機材料(有機樹脂材料)(ポリイミド、アクリル)やシリコン(Si)と酸素(O
)との結合で骨格構造が構成され、置換基に少なくとも水素を含む材料、もしくは置換基
にフッ素、アルキル基、または芳香族炭化水素のうち少なくとも1種を有する材料を用い
てもよい。さらには、低ぬれ性領域を有する材料であっても、さらにプラズマ処理等を行
うことによって、ぬれ性をより低下させることができる。
【0058】
また、パターンと、被形成領域との密着性を向上させるため、下地膜を形成してもよ
い。例えば、銀を含む導電性材料を基板上に塗布し、銀配線を形成す場合、密着性を向上
させるために、導電膜として、基板上に酸化チタン膜を形成してもよい。酸化チタン膜は
、形成される銀を含む導電性材料などと密着性がよいので、信頼性が向上する。
【0059】
本発明により、所望なパターンを制御性よく形成でき、材料のロスも少なく、コストダ
ウンも達成できる。よって高性能、高信頼性の表示装置を歩留まりよく作製することがで
きる。
【0060】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態について、図2を用いて説明する。図2(A)〜(D)はパターン
の上面図であり、図2の(E)〜(H)は、図2(A)〜(D)における線I-Jによる
断面図である。図2(A)〜(H)はそれぞれ、(A)と(E)、(B)と(F)、(C
)と(G)、(D)と(H)とで対応している。
【0061】
本実施の形態は、本発明を用いてパターンを形成する他の例を説明する。実施の形態1
においては、パターンを細線化して形成する例を示したが、本実施の形態では、そのパタ
ーンを微細な間隔で制御よく形成する例を示す。
【0062】
図2(A)、(E)は、図1(D)、(H)の状態より、パターン57をマスクとして
低ぬれ性を付与する効果のある物質であるぬれ性の低い物質52を除去した状態である。
よって、図2(B)に示す様に、パターン57の下のみにぬれ性の低い物質52が残存し
、その周囲の領域は高ぬれ性領域65となっている。この高ぬれ性領域は、ぬれ性の低い
物質52を有していないのでぬれ性が高い。次に、ぬれ性の低い物質52と選択比の高い
エッチング方法によって、パターン57のみを除去する。エッチング法はドライエッチン
グ法でもウェットエッチング法でもよく、アッシング等でもよい。このとき、ぬれ性の低
い物質とパターン形成材料に対して選択比の高いエッチングガス、又はエッチャントを用
いることが好ましい。
【0063】
パターン57を除去すると、残存するぬれ性の低い物質52は、低ぬれ性領域58を形
成し基板上最上面に現れる。後に形成するパターン材料を含む組成物の接触角は高ぬれ性
領域65の方が、低ぬれ性領域58より小さい。この接触角の差は40度以上あると好ま
しい。この低ぬれ性領域58は、本発明によって細線化されたパターン57をマスクとし
て形成されたため、細線化された形状を有する(図2(B)、(F)参照。)。この低ぬ
れ性領域58を横切り、周囲の高ぬれ性領域65上にまたがるようにパターン形成材料を
含む組成物を、流動性を有する液滴61として、ノズル60より吐出し、パターン59を
形成する。本実施の形態においても、このパターン形成材料を含む組成物は、実施の形態
1と同様、低ぬれ性領域65に対して低いぬれ性を有するものであり、その接触角も大き
い。
【0064】
よって、吐出直後は、パターン59の形状をとっていた流動性を有するパターン形成材
料を含む組成物は、その被形成領域のぬれ性の違いにより、低ぬれ性領域58上に安定せ
ず、高ぬれ性領域65に接する境界から、高ぬれ性領域65に流動する。パターン形成材
料を含む組成物に対するぬれ性が低い低ぬれ性領域58では、パターン形成材料を含む組
成物はよくぬれないため、組成物は固着しにくく、より安定性の高い高ぬれ性領域65へ
流動してしまうからである。結果、吐出直後はパターン59の形状をとっていたパターン
形成材料を含む組成物は、その流動性と被形成領域に対するぬれ性の違いにより、パター
ン62、パターン63の様に形状を変え、安定する。よって、パターン62とパターン6
3の間には、細幅でありながら制御性よく間隔が形成でき、パターン62とパターン63
を電極層であった場合、ショート等の不良を防止できる。本発明により、配線等が、小型
化、薄膜化により密集、複雑に配置される設計であっても、制御性よく形成することがで
きるので、高精細で信頼性の高い表示装置を歩留まりよく作製することができる。
【0065】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態について、図38を用いて説明する。図38(A)〜(D)はパタ
ーンの上面図である。
【0066】
本実施の形態は、実施の形態1で形成した細線化したパターンをより長く形成し、長
い微細なパターンを形成する例を示す。
【0067】
基板70上に、複数のマスク71a、マスク71b、マスク71cを、間隔を設けて形
成する。その後マスク71a、マスク71b、マスク71cを用いて、ぬれ性の低い物質
72を形成する(図38(A)参照。)。その後、マスク71a、マスク71b、マスク
71cをエッチングによって除去する。基板70上には、低ぬれ性領域78と、高ぬれ性
領域73a、高ぬれ性領域73b、高ぬれ性領域73cが選択的に形成される(図38(
B)参照。)。
【0068】
その後、流動性を有するパターン形成材料を含む組成物を液滴として、高ぬれ性領域
73a、高ぬれ性領域73b、高ぬれ性領域73cを横切り、低ぬれ性領域をまたがるよ
うに、液滴吐出法により吐出する。パターン形成材料を含む組成物はノズルより液滴とし
て吐出され、パターン76が形成される(図38(C))。
【0069】
吐出直後、パターン76の形状をとっていた流動性を有するパターン形成材料は、その
被形成領域のぬれ性の違いにより、低ぬれ性領域78に安定せず、低ぬれ性領域78と高
ぬれ性領域73a、高ぬれ性領域73b、高ぬれ性領域73cとが接する境界から、それ
ぞれ隣接する高ぬれ性領域73a、高ぬれ性領域73b、高ぬれ性領域73cに一部流動
する。パターン形成材料を含む組成物に対するぬれ性が低い低ぬれ性領域78では、パタ
ーン形成材料を含む組成物はよくぬれないため、組成物は固着しにくく、より安定性の高
い高ぬれ性領域73a、高ぬれ性領域73b、高ぬれ性領域73cへ流動してしまうから
である。結果、吐出直後はパターン76の形状をとっていたパターン形成材料を含む組成
物は、その流動性と被形成領域に対するぬれ性の違いにより、パターン77の様に形状を
変え、安定する。低ぬれ性領域78上に形成されるパターン77は、一部が高ぬれ性領域
73a、高ぬれ性領域73b、高ぬれ性領域73cへ流動したため、パターン76より細
線化する。高ぬれ性領域の面積やそのぬれ性の高さ、接触角の差、また吐出するパターン
材料を有する組成物の粘度や量によって、その高ぬれ性領域に流動する量は制御すること
ができる。パターン材料として導電性材料を用いた場合、長く微細な配線を制御性よく形
成することができる。また高ぬれ性領域を幅広の配線が用いられるバスライン線の交点な
ど、非開口部に対応する領域とすることにより、画素の開口率を低下させることはなく表
示装置を作製できる。
【0070】
本発明により、パターンを微細に形成できるだけでなく、その長さも自由に形成するこ
とができ、パターン形状の設計に対する自由度が向上する。また、配線等が、小型化、薄
膜化により密集、複雑に配置される設計であっても、制御性よく形成することができるの
で、高精細で信頼性の高い表示装置を歩留まりよく作製することができる。
【0071】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態について、図3〜図18を用いて説明する。より詳しくは、本発明
を適用した表示装置の作製方法について説明する。まず、本発明を適用した、チャネルエ
ッチ型の薄膜トランジスタを有する表示装置の作製方法について説明する。図3〜図10
は表示装置画素部の上面図であり、図11〜図18の(A)は、図3〜図10における線
K-Lによる断面図、(B)は線A-Cによる断面図、(C)は線B-Dによる断面図である。
【0072】
基板100は、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス等からなるガラ
ス基板、石英基板、シリコン基板、金属基板、ステンレス基板又は本作製工程の処理温度
に耐えうる耐熱性を有するプラスチック基板を用いる。また、基板100の表面が平坦化
されるようにCMP法などによって、研磨しても良い。なお、基板100上に、絶縁層を
形成してもよい。絶縁層は、CVD法、プラズマCVD法、スパッタリング法、スピンコ
ート法等の公知の方法により、珪素を含む酸化物材料、窒化物材料を用いて、単層又は積
層して形成される。この絶縁層は、形成しなくても良いが、基板100からの汚染物質な
どを遮断する効果がある。ガラス基板よりの汚染を防ぐための下地層を形成する場合は、
その上にぬれ性が異なる複数の領域(高ぬれ性領域と低ぬれ性領域)を形成する。
【0073】
本実施の形態では、ぬれ性に差を生じさせ、高ぬれ性領域と低ぬれ性領域を形成する
ために、高ぬれ性領域をマスクで覆い、マスク外の領域をぬれ性の低い物質を形成するこ
とでぬれ性を低める。また、ぬれ性の差は、接触角によって確認することができ、接触角
の差は40度以上であることが好ましい。しかし、本発明はこれに限定されず、実施の形
態1で示したように様々な方法で形成することができる。本実施の形態では、後にゲート
配線層を形成する領域にマスク101、マスク125を形成する。
【0074】
マスク101、マスク125は、ゾルゲル法のディップコーティング法、スピンコーテ
ィング法、液滴吐出法、イオンプレーティング法、イオンビーム法、CVD法、スパッタリ
ング法、RFマグネトロンスパッタリング法、プラズマ溶射法、プラズマスプレー法、に
より形成することができる。ディップコーティング法、スピンコーティング法等の塗布法
により形成する場合、溶媒を除去する必要があるとき、焼成したり、乾燥すればよい。液
滴吐出法など直接パターンを被形成領域に形成する方法を用いると、必ずしもパターニン
グが必要でなくなるので工程が簡略化する。
【0075】
マスク101、マスク125は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ノボ
ラック樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂材料を用いる。また、ベンゾシクロブ
テン、パリレン、フレア、透過性を有するポリイミドなどの有機材料、シロキサン系ポリ
マー等の重合によってできた化合物材料、水溶性ホモポリマーと水溶性共重合体を含む組
成物材料等を用いて液滴吐出法で形成することができる。或いは、感光剤を含む市販のレ
ジスト材料を用いてもよく、例えば、代表的なポジ型レジストである、ノボラック樹脂と
感光剤であるナフトキノンジアジド化合物、ネガ型レジストであるベース樹脂、ジフェニ
ルシランジオール及び酸発生剤などを用いてもよい。いずれの材料を用いるとしても、そ
の表面張力と粘度は、溶媒の濃度を調整したり、界面活性剤等を加えたりして適宜調整す
る。
【0076】
本実施の形態では、マスク101、マスク125は、ポリイミドを用い液滴吐出法によ
って形成する。マスク101、マスク125は、マスクとしてぬれ性の低い物質の形成を
防げればよく、除去してしまうため、膜厚や形状は適宜設計すればよい。このマスク10
1、マスク125を用いて、ぬれ性の低い物質を形成し、低ぬれ性領域102a、低ぬれ
性領域102bを形成する(図3、図11参照。)。
【0077】
低ぬれ性領域を形成する溶液の組成物の一例としては、Rn−Si−X(4-n)(n=1、
2、3)の化学式で表されるシランカップリング剤を用いる。ここで、Rは、アルキル基
などの比較的不活性な基を含む物である。また、Xはハロゲン、メトキシ基、エトキシ基
又はアセトキシ基など、基質表面の水酸基あるいは吸着水との縮合により結合可能な加水
分解基からなる。
【0078】
また、シランカップリング剤の代表例として、Rにフルオロアルキル基を有するフッ素
系シランカップリング剤(フルオロアルキルシラン)を用いることにより、よりぬれ性を
低めることができる。FASのRは、(CF3)(CF2x(CH2y(x:0以上10
以下の整数、y:0以上4以下の整数)で表される構造を持ち、複数個のR又はXがSi
に結合している場合には、R又はXはそれぞれすべて同じでも良いし、異なっていてもよ
い。代表的なFASとしては、ヘプタデフルオロテトラヒドロデシルトリエトキシシラン
、ヘプタデカフルオロテトラヒドロデシルトリクロロシラン、トリデカフルオロテトラヒ
ドロオクチルトリクロロシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等のフルオロ
アルキルシランが挙げられる。
【0079】
低ぬれ性領域を形成する溶液の溶媒としては、nーペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプ
タン、n−オクタン、n−デカン、ジシクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、
デュレン、インデン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、スクワランなど
の炭化水素系溶媒又はテトラヒドロフランなどを用いることができる。
【0080】
また、低ぬれ性領域を形成する溶液の組成物の一例として、フッ素炭素(フルオロカー
ボン)鎖を有する材料(フッ素系樹脂)を用いることができる。フッ素系樹脂として、ポ
リテトラフルオロエチレン(PTFE;四フッ化エチレン樹脂)、パーフルオロアルコキ
シアルカン(PFA;四フッ化エチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂
)、パーフルオロエチレンプロペンコーポリマー(PFEP;四フッ化エチレン−六フッ
化プロピレン共重合樹脂)、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE;
四フッ化エチレン−エチレン共重合樹脂)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF;フ
ッ化ビニリデン樹脂)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE;三フッ化塩化エ
チレン樹脂)、エチレン−クロロトリフルオロエチレンコポリマー(ECTFE;三フッ
化塩化エチレン−エチレン共重合樹脂)、ポリテトラフルオロエチレン−パーフルオロジ
オキソールコポリマー(TFE−PDD)、ポリビニルフルオライド(PVF;フッ化ビ
ニル樹脂)等を用いることができる。
【0081】
また、低ぬれ性領域を示さない(すなわち、高ぬれ性領域を示す)有機材料を用い、後
にCF4プラズマ等による処理を行って、低ぬれ性領域を形成してもよい。例えば、ポリ
ビニルアルコール(PVA)のような水溶性樹脂を、H2O等の溶媒に混合した材料を用
いることができる。また、PVAと他の水溶性樹脂を組み合わせて使用してもよい。有機
材料(有機樹脂材料)(ポリイミド、アクリル)やシリコン(Si)と酸素(O)との結
合で骨格構造が構成され、置換基に少なくとも水素を含む材料、もしくは置換基にフッ素
、アルキル基、または芳香族炭化水素のうち少なくとも1種を有する材料を用いてもよい
。さらには、低ぬれ性表面を有する材料であっても、さらにプラズマ処理等を行うことに
よって、ぬれ性をより低下させることができる。
【0082】
本実施の形態では、ぬれ性の低い物質としてFASを用いる。本実施の形態では、スピ
ンコート法による全面塗布を行うが、液滴吐出法などにより選択的に形成しても良い。こ
の場合、マスク101、マスク125は必ずしも必要ない。その後マスク101、マスク
125を除去する。マスク101、マスク125の形成領域には、ぬれ性の低い物質が形
成されていないため、その周囲と比較して相対的にぬれ性が高い高ぬれ性領域130、高
ぬれ性領域126となる(図4、図12参照。)。
【0083】
低ぬれ性領域102bと高ぬれ性領域130とにまたがるように、導電性材料を含む組
成物をノズル180aより吐出しゲート電極層103を形成する。同様に低ぬれ性領域1
02bと高ぬれ性領域126とにわたってまたがるように、導電性材料を含む組成物をノ
ズル180bより吐出し、ゲート電極層127を形成する(図5、図13参照。)。吐出
直後、ゲート電極層103、ゲート電極層127の形状をとっていた流動性を有する導電
性材料を含む組成物は、その被形成領域のぬれ性の高さの違いにより、低ぬれ性領域10
2bに安定せず、低ぬれ性領域102bと高ぬれ性領域130とが接する境界、低ぬれ性
領域102bと高ぬれ性領域126とが接する境界から、それぞれ高ぬれ性領域130、
高ぬれ性領域126に一部流動する。導電性材料を含む組成物に対するぬれ性が高い低ぬ
れ性領域102bでは、導電性材料を含む組成物はよくぬれないため、組成物は固着しに
くく、より安定性の高い高ぬれ性領域130、高ぬれ性領域126へ流動してしまうから
である。結果、吐出直後はゲート電極層103、ゲート電極層127の形状をとっていた
導電性材料を含む組成物は、その流動性と被形成領域に対するぬれ性の違いにより、ゲー
ト電極層105、ゲート電極層104の様に形状を変え、安定する。低ぬれ性領域102
b上に形成されるゲート電極層105、ゲート電極層104は、一部が高ぬれ性領域13
0、高ぬれ性領域126へ流動したため、ゲート電極層103、ゲート電極層127より
細線化する。よって、液滴吐出法によって、所望の細さに細線化したゲート電極層105
、ゲート電極層104を自由に形成することができる(図6、図14参照。)。
【0084】
低ぬれ性領域より高ぬれ性領域へ流動した組成物が安定する形状は、その組成物の両
領域における接触角の差、表面張力、吐出量、粘度、溶媒の蒸発速度などによって異なり
、膜厚分布もその前述の様々な因子によって決定される。よって、本実施の形態の形状に
限定されない。また、細線化によるゲート電極層のチャネル方向の長さは、10μm以下
、好ましくは5μm以下が好ましい。
【0085】
本発明により、微細な配線や、電極などを制御性よく形成することができるため信頼性
が向上し、かつ材料のロスが防げ、歩留まりがよく作製できるため、コストダウンが可能
になる。
【0086】
また、下地前処理として液滴吐出法によるパターンに対する密着性を上げるために、接
着材として機能するような有機材料系の物質を形成してもよい。有機材料(有機樹脂材料
)(ポリイミド、アクリル)やシリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成
され、置換基に少なくとも水素を含む材料、もしくは置換基にフッ素、アルキル基、また
は芳香族炭化水素のうち少なくとも1種を有する材料を用いてもよい。
【0087】
次に、ゲート配線層106を高ぬれ性領域130に形成する(図7参照。)。このとき
先に形成されたゲート電極層105の一部と電気的に接続するように、ゲート配線層10
6を形成する。本実施の形態では、導電性を含む組成物を液滴吐出法で吐出し、ゲート配
線層106を形成する。ゲート配線層106は、ゲート電極層105に接し、高ぬれ性領
域130上に吐出されるため、周囲を囲む低ぬれ性領域が隔壁のように機能し、高ぬれ性
領域のみに制御性よく形成される。流動性を有する組成物であっても、低ぬれ性領域が組
成物をはじくからである。よって、流動性を有するパターン形成材料を含む組成物でも高
ぬれ性領域に留まるので、配線を幅広化、厚膜化と制御することもできる。
【0088】
ゲート電極層105、ゲート電極層104、ゲート配線層106の形成は、液滴吐出
手段を用いて行う。液滴吐出手段とは、組成物の吐出口を有するノズルや、1つ又は複数
のノズルを具備したヘッド等の液滴を吐出する手段を有するものの総称とする。液滴吐出
手段が具備するノズルの径は、0.02〜100μm(好適には30μm以下)に設定し
、該ノズルから吐出される組成物の吐出量は1滴あたり0.001pl〜100pl(好
適には0.1pl以上40pl以下、より好ましくは10pl以下)に設定する。吐出量
は、ノズルの径の大きさに比例して増加する。また、被処理物とノズルの吐出口との距離
は、所望の箇所に滴下するために、出来る限り近づけておくことが好ましく、好適には0
.1〜3mm(好適には1mm以下)程度に設定する。
【0089】
吐出口から吐出する組成物は、導電性材料を溶媒に溶解又は分散させたものを用いる。
導電性材料とは、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al等の金属
、Cd、Znの金属硫化物、Fe、Ti、Si、Ge、Si、Zr、Baなどの酸化物、
ハロゲン化銀の微粒子又は分散性ナノ粒子に相当する。また、透明導電膜として用いられ
るインジウム錫酸化物(ITO)、インジウム錫酸化物と酸化珪素からなるITSO、有
機インジウム、有機スズ、酸化亜鉛、窒化チタン等に相当する。但し、吐出口から吐出す
る組成物は、比抵抗値を考慮して、金、銀、銅のいずれかの材料を溶媒に溶解又は分散さ
せたものを用いることが好適であり、より好適には、低抵抗な銀、銅を用いるとよい。但
し、銀、銅を用いる場合には、不純物対策のため、合わせてバリア膜を設けるとよい。バ
リア膜としては、窒化珪素膜やニッケルボロン(NiB)を用いるとことができる。
【0090】
また、導電性材料の周りに他の導電性材料がコーティングされ、複数の層になっている
粒子でも良い。例えば、銅の周りにニッケルボロン(NiB)がコーティングされ、その
周囲に銀がコーティングされている3層構造の粒子などを用いても良い。溶媒は、酢酸ブ
チル、酢酸エチル等のエステル類、イソプロピルアルコール、エチルアルコール等のアル
コール類、メチルエチルケトン、アセトン等の有機溶剤等、または水を用いる。組成物の
粘度は20mPa・s以下が好適であり、これは、乾燥が起こることを防止したり、吐出
口から組成物を円滑に吐出できるようにしたりするためである。また、組成物の表面張力
は、40mN/m以下が好適である。但し、用いる溶媒や、用途に合わせて、組成物の粘
度等は適宜調整するとよい。一例として、ITOや、有機インジウム、有機スズを溶媒に
溶解又は分散させた組成物の粘度は5〜20mPa・s、銀を溶媒に溶解又は分散させた
組成物の粘度は5〜20mPa・s、金を溶媒に溶解又は分散させた組成物の粘度は5〜
20mPa・sに設定するとよい。
【0091】
また、導電層は、複数の導電性材料を積層しても良い。また、始めに導電性材料として
銀を用いて、液滴吐出法で導電層を形成した後、銅などでめっきを行ってもよい。めっき
は電気めっきや化学(無電界)めっき法で行えばよい。めっきは、めっきの材料を有する
溶液を満たした容器に基板表面を浸してもよいが、基板を斜め(または垂直)に立てて設
置し、めっきする材料を有する溶液を、基板表面に流すように塗布してもよい。基板を立
てて溶液を塗布するようにめっきを行うと、工程装置が小型化する利点がある。
【0092】
各ノズルの径や所望のパターン形状などに依存するが、ノズルの目詰まり防止や高精細
なパターンの作製のため、導電体の粒子の径はなるべく小さい方が好ましく、好適には粒
径0.1μm以下が好ましい。組成物は、電解法、アトマイズ法又は湿式還元法等の公知
の方法で形成されるものであり、その粒子サイズは、一般的に約0.01〜10μmであ
る。但し、ガス中蒸発法で形成すると、分散剤で保護されたナノ分子は約7nmと微細で
あり、またこのナノ粒子は、被覆剤を用いて各粒子の表面を覆うと、溶剤中に凝集がなく
、室温で安定に分散し、液体とほぼ同じ挙動を示す。従って、被覆剤を用いることが好ま
しい。
【0093】
本発明では、流動体の組成物を、その流動性を有している間に、所望のパターン形状に
加工するため、組成物は、被処理物に着弾しても流動性を有していることが必要であるが
、その流動性が失われない程度であれば、組成物を吐出する工程は、減圧下で行ってもよ
い。減圧下で行うと、導電体の表面に酸化膜などが形成されない効果がある。組成物を吐
出後、乾燥と焼成の一方又は両方の工程を行う。乾燥と焼成の工程は、両工程とも加熱処
理の工程であるが、例えば、乾燥は100度で3分間、焼成は200〜350度で15分
間〜30分間で行うもので、その目的、温度と時間が異なるものである。乾燥の工程、焼
成の工程は、常圧下又は減圧下で、レーザ光の照射や瞬間熱アニール、加熱炉などにより
行う。なお、この加熱処理を行うタイミングは特に限定されない。乾燥と焼成の工程を良
好に行うためには、基板を加熱しておいてもよく、そのときの温度は、基板等の材質に依
存するが、一般的には100〜800度(好ましくは200〜350度)とする。本工程
により、組成物中の溶媒の揮発、又は化学的に分散剤を除去するとともに、周囲の樹脂が
硬化収縮することで、ナノ粒子間を接触させ、融合と融着を加速する。よって得られる導
電層は、被覆剤としてナノ粒子を保護していた樹脂を含む場合がある。
【0094】
レーザ光の照射は、連続発振またはパルス発振の気体レーザ又は固体レーザを用いれば
良い。前者の気体レーザとしては、エキシマレーザ、YAGレーザ等が挙げられ、後者の
固体レーザとしては、Cr、Nd等がドーピングされたYAG、YVO4、GdVO4等の
結晶を使ったレーザ等が挙げられる。なお、レーザ光の吸収率の関係から、連続発振のレ
ーザを用いることが好ましい。また、パルス発振と連続発振を組み合わせた所謂ハイブリ
ッドのレーザ照射方法を用いてもよい。但し、基板100の耐熱性に依っては、レーザ光
の照射による加熱処理は、該基板100が破壊しないように、数マイクロ秒から数十秒の
間で瞬間的に行うとよい。瞬間熱アニール(RTA)は、不活性ガスの雰囲気下で、紫外
光乃至赤外光を照射する赤外ランプやハロゲンランプなどを用いて、急激に温度を上昇さ
せ、数分〜数マイクロ秒の間で瞬間的に熱を加えて行う。この処理は瞬間的に行うために
、実質的に最表面の薄膜のみを加熱することができ、下層の膜には影響を与えない。つま
り、プラスチック基板等の耐熱性が弱い基板にも影響を与えない。
【0095】
また、液滴吐出法により、ゲート電極層105、ゲート電極層104、ゲート配線層1
06を、組成物を吐出し形成した後、その平坦性を高めるために表面を圧力によってプレ
スして平坦化してもよい。プレスの方法としては、ローラー状のものを表面に走査するこ
とによって、凹凸をならすように軽減したり、平坦な板状な物で表面を垂直にプレスして
もよい。プレスする時に、加熱工程を行っても良い。また溶剤等によって表面を軟化、ま
たは融解させエアナイフで表面の凹凸部を除去しても良い。また、CMP法を用いて研磨
しても良い。この工程は、液滴吐出法によって凹凸が生じる場合に、その表面の平坦化す
る場合適用することができる。
【0096】
次に、ゲート電極層105、ゲート電極層104、ゲート配線層106の上にゲート絶
縁層116を形成する(図15参照。)。ゲート絶縁層116としては、珪素の酸化物材
料又は窒化物材料等の公知の材料で形成すればよく、積層でも単層でもよい。本実施の形
態では、窒化珪素膜、酸化珪素膜、窒化珪素膜3層の積層を用いる。またそれらや、酸化
窒化珪素膜の単層、2層からなる積層でも良い。好適には、緻密な膜質を有する窒化珪素
膜を用いるとよい。また、液滴吐出法で形成される導電層に銀や銅などを用いる場合、そ
の上にバリア膜として窒化珪素膜やNiB膜を形成すると、不純物の拡散を防ぎ、表面を
平坦化する効果がある。なお、低い成膜温度でゲートリーク電流に少ない緻密な絶縁膜を
形成するには、アルゴンなどの希ガス元素を反応ガスに含ませ、形成される絶縁膜中に混
入させると良い。
【0097】
次に半導体層を形成する。一導電性型を有する半導体層は必要に応じて形成すればよい
。本実施の形態では、半導体層107、半導体層108と一導電型を有する半導体層とし
てN型半導体層109、N型半導体層110を積層する(図8、図15参照。)。またN
型半導体層を形成することでNチャネル型TFTのNMOS構造、P型半導体層を形成す
ることでPチャネル型TFTのPMOS構造、Nチャネル型TFTとPチャネル型TFT
とのCMOS構造を作製することができる。また、導電性を付与するために、導電性を付
与する元素をドーピングによって添加し、不純物領域を半導体層に形成することで、Nチ
ャネル型TFT、Pチャネル型TFTを形成することもできる。
【0098】
半導体層は公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等)によ
り成膜すればよい。半導体層の材料に限定はないが、好ましくはシリコン又はシリコンゲ
ルマニウム(SiGe)合金などで形成すると良い。
【0099】
半導体層は、アモルファス半導体(代表的には水素化アモルファスシリコン)、結晶性
半導体(代表的にはポリシリコン)、セミアモルファス半導体を素材として用いている。
ポリシリコン(多結晶シリコン)には、800℃以上のプロセス温度を経て形成されるポ
リシリコンを主材料として用いた所謂高温ポリシリコンや、600℃以下のプロセス温度
で形成されるポリシリコンを主材料として用いた所謂低温ポリシリコン、また結晶化を促
進する元素などを添加し結晶化させたポリシリコンなどを含んでいる。
【0100】
また、他の物質として、セミアモルファス半導体又は半導体層の一部に結晶相を含む半
導体を用いることもできる。
【0101】
半導体層に、結晶性半導体層を用いる場合、その結晶性半導体層の作製方法は、公知の
方法(レーザ結晶化法、熱結晶化法、またはニッケルなどの結晶化を助長する元素を用い
た熱結晶化法等)を用いれば良い。また、微結晶半導体(SAS)をレーザ照射して結晶
化し、結晶性を高めることもできる。結晶化を助長する元素を導入しない場合は、非晶質
珪素膜にレーザ光を照射する前に、窒素雰囲気下500℃で1時間加熱することによって
非晶質珪素膜の含有水素濃度を1×1020atoms/cm3以下にまで放出させる。こ
れは水素を多く含んだ非晶質珪素膜にレーザ光を照射すると膜が破壊されてしまうからで
ある。
【0102】
非晶質半導体層への金属元素の導入の仕方としては、当該金属元素を非晶質半導体層の
表面又はその内部に存在させ得る手法であれば特に限定はなく、例えばスパッタ法、CV
D法、プラズマ処理法(プラズマCVD法も含む)、吸着法、金属塩の溶液を塗布する方
法を使用することができる。このうち溶液を用いる方法は簡便であり、金属元素の濃度調
整が容易であるという点で有用である。また、このとき非晶質半導体層の表面の濡れ性を
改善し、非晶質半導体層の表面全体に水溶液を行き渡らせるため、酸素雰囲気中でのUV
光の照射、熱酸化法、ヒドロキシラジカルを含むオゾン水又は過酸化水素による処理等に
より、酸化膜を成膜することが望ましい。
【0103】
非晶質半導体層の結晶化は、熱処理とレーザ光照射による結晶化を組み合わせてもよく
、熱処理やレーザ光照射を単独で、複数回行っても良い。
【0104】
また、結晶性半導体層を、直接基板に線状プラズマ法により形成しても良い。また、線
状プラズマ法を用いて、結晶性半導体層を選択的に基板に形成してもよい。
【0105】
半導体として、有機材料を用いる有機半導体を用いてもよい。有機半導体としては、低
分子材料、高分子材料などが用いられ、有機色素、導電性高分子材料などの材料も用いる
ことが出来る。
【0106】
本実施の形態では、半導体として、非晶質半導体を用いる。半導体層を形成し、その後
、プラズマCVD法等により一導電型を有する半導体層としてN型半導体層を形成する。
【0107】
続いて、レジストやポリイミド等の絶縁体からなるマスクを用いて、半導体層、N型半
導体層を同時にパターン加工し、半導体層107、半導体層108、N型半導体層109
、N型半導体層110を形成する(図8、図15参照。)。マスクは組成物を選択的に吐
出して形成することができる。マスクは、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂
、ノボラック樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂材料を用いる。また、ベンゾシ
クロブテン、パリレン、フレア、透過性を有するポリイミドなどの有機材料、シロキサン
系ポリマー等の重合によってできた化合物材料、水溶性ホモポリマーと水溶性共重合体を
含む組成物材料等を用いて液滴吐出法で形成する。或いは、感光剤を含む市販のレジスト
材料を用いてもよく、例えば、代表的なポジ型レジストである、ノボラック樹脂と感光剤
であるナフトキノンジアジド化合物、ネガ型レジストであるベース樹脂、ジフェニルシラ
ンジオール及び酸発生剤などを用いてもよい。いずれの材料を用いるとしても、その表面
張力と粘度は、溶媒の濃度を調整したり、界面活性剤等を加えたりして適宜調整する。
【0108】
また、本実施の形態で、ゲート電極層105、ゲート電極層104と同様に、マスクや
絶縁層を液滴吐出法によって形成する際、前処理として、被形成領域近傍をぬれ性が異な
る領域を形成する処理を行ってもよい。本発明において、液滴吐出法により液滴を吐出し
てパターンを形成する際、パターンの被形成領域に低ぬれ性領域、高ぬれ性領域を形成し
、パターンの形状を制御することができる。この処理を被形成領域に行うことによって、
被形成領域では、ぬれ性に差が生じ、ぬれ性が高い被形成領域のみ液滴が留まり、制御性
よくパターンを形成することができる。この工程は、液状材料を用いる場合、あらゆる下
地前処理として適用することができ、マスクが必ずしも必要なくなるため、工程が簡略化
する効果がある。
【0109】
再び、レジストやポリイミド等の絶縁体からなるマスクを液滴吐出法を用いて形成し、
そのマスクを用いて、エッチング加工によりゲート絶縁層116の一部に貫通孔145を
形成して、その下層側に配置されているゲート電極層104の一部を露出させる。エッチ
ング加工はプラズマエッチング(ドライエッチング)又はウエットエッチングのどちらを
採用しても良いが、大面積基板を処理するにはプラズマエッチングが適している。エッチ
ングガスとしては、CF4、NF3、Cl2、BCl3、などのフッ素系又は塩素系のガスを
用い、HeやArなどの不活性ガスを適宜加えても良い。また、大気圧放電のエッチング
加工を適用すれば、局所的な放電加工も可能であり、基板の全面にマスク層を形成する必
要はない。
【0110】
マスクを除去した後、導電性材料を含む組成物を吐出して、ソース電極層又はドレイン
電極層111、ソース電極層又はドレイン電極層112、ソース電極層又はドレイン電極
層113、ソース電極層又はドレイン電極層114を形成し、該ソース、ドレイン電極層
111、ソース電極層又はドレイン電極層112、ソース電極層又はドレイン電極層11
3、ソース電極層又はドレイン電極層114をマスクとして、半導体層107、半導体層
108及びN型半導体層109、N型半導体層110をパターン加工して、半導体層10
7、半導体層108を露出させる(図9、図16参照。)。ソース電極層又はドレイン電
極層111はソース配線層としても機能し、ソース電極層又はドレイン電極層113は電
源線としても機能する。
【0111】
ソース電極層又はドレイン電極層111、ソース電極層又はドレイン電極層112、ソ
ース電極層又はドレイン電極層113、及びソース電極層又はドレイン電極層114を形
成する工程も、前述したゲート電極層105を形成したときと同様に形成することができ
る。この場合、ソース配線層、電源線の比較的幅広な導電層を形成する領域を高ぬれ性領
域とし、その高ぬれ性領域と低ぬれ性領域にまたがるように導電性材料を含む組成物を吐
出する。低ぬれ性領域上の組成物は高ぬれ性領域へ一部流動するため、細線し微細な配線
となる。この微細な配線を画素内でソース電極又はドレイン電極として機能する導電層と
し、その後ソースは配線層、電源線を高ぬれ性領域上に形成する。
【0112】
ソース電極層又はドレイン電極層111、ソース電極層又はドレイン電極層112、ソ
ース電極層又はドレイン電極層113、ソース電極層又はドレイン電極層114を形成す
る導電性材料としては、Ag(銀)、Au(金)、Cu(銅)、W(タングステン)、A
l(アルミニウム)等の金属の粒子を主成分とした組成物を用いることができる。また、
透光性を有するインジウム錫酸化物(ITO)、インジウム錫酸化物と酸化珪素からなる
ITSO、有機インジウム、有機スズ、酸化亜鉛、窒化チタンなどを組み合わせても良い

【0113】
また、液滴吐出法を用いて形成する導電層の下地前処理として、前述した下地膜を形成
する工程を行い、かつ、この処理工程は、導電層を形成した後にも行っても良い。この工
程により、層間の密着性が向上するため、表示装置の信頼性も向上することができる。
【0114】
ゲート絶縁層116に形成した貫通孔145において、ソース電極層又はドレイン電極
層112とゲート電極層104とを電気的に接続させる。ソース電極層又はドレイン電極
層の一部は容量素子を形成する。
【0115】
ゲート絶縁層116の一部に貫通孔145を形成する工程を、ソース電極層又はドレイ
ン電極層111、ソース電極層又はドレイン電極層112、ソース電極層又はドレイン電
極層113、ソース電極層又はドレイン電極層114形成後に、ソース電極層又はドレイ
ン電極層111、ソース電極層又はドレイン電極層112、ソース電極層又はドレイン電
極層113、ソース電極層又はドレイン電極層114をマスクとして用いて行ってもよい
。そして貫通孔145に導電層を形成しソース電極層又はドレイン電極層112とゲート
電極層104を電気的に接続する。この場合、工程が簡略化する利点がある。
【0116】
続いて、ゲート絶縁層116上に選択的に、導電性材料を含む組成物を吐出して、第1
の電極層117を形成する(図10、図17参照。)。勿論この第1の電極層117を形
成する際、ゲート電極層105を形成した時と同様に、低ぬれ性領域、高ぬれ性領域を形
成する前処理を行ってもよい。高ぬれ性領域に導電性材料を含む組成物を吐出することに
よって第1の電極層117をより制御性よく、選択的に形成することもできる。第1の電
極層117は、基板100側から光を放射する場合、または透過型の表示パネルを作製す
る場合には、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(IT
SO)、酸化亜鉛(ZnO)を含むインジウム亜鉛酸化物(IZO(indium zinc oxide
))、酸化亜鉛(ZnO)、ZnOにガリウム(Ga)をドープしたもの、酸化スズ(S
nO2)などを含む組成物により所定のパターンを形成し、焼成によって形成しても良い

【0117】
また、好ましくは、スパッタリング法によりインジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素
を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、酸化亜鉛(ZnO)などで形成する。より好ま
しくは、ITOに酸化珪素が2〜10重量%含まれたターゲットを用いてスパッタリング
法で酸化珪素を含む酸化インジウムスズを用いる。この他、ZnOにガリウム(Ga)を
ドープした導電性材料、酸化珪素を含み酸化インジウムに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO
)を混合した酸化物導電性材料であるインジウム亜鉛酸化物(IZO(indium zinc oxid
e))を用いても良い。スパッタリング法で第1の電極層117を形成した後は、液滴吐
出法を用いてマスク層を形成しエッチングにより、所望のパターンに形成すれば良い。本
実施の形態では、第1の電極層117は、透光性を有する導電性材料により液滴吐出法を
用いて形成し、具体的には、インジウム錫酸化物、ITOと酸化珪素から構成されるIT
SOを用いて形成する。
【0118】
本実施の形態では、ゲート絶縁層は窒化珪素からなる窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜(酸
化珪素膜)、窒化珪素膜の3層の例を前述した。好ましい構成として、酸化珪素を含む酸
化インジウムスズで形成される第1の電極層117は、ゲート絶縁層116に含まれる窒
化珪素からなる絶縁層と密接して形成され、それにより電界発光層で発光した光が外部に
放射される割合を高めることが出来るという効果を発現させることができる。また、ゲー
ト絶縁層はゲート電極層と、第1の電極層の間に介在し、容量素子として機能することも
できる。
【0119】
第1の電極層117は、ソース電極層又はドレイン電極層114の形成前に、ゲート絶
縁層116上に選択的に形成することもできる。この場合、本実施の形態とはソース電極
層又はドレイン電極層114と、第1の電極層117の接続構造が、第1の電極層の上に
ソース電極層又はドレイン電極層114が積層する構造となる。第1の電極層117をソ
ース電極層又はドレイン電極層114より先に形成すると、平坦な形成領域に形成できる
ので、被覆性、成膜性がよく、CMPなどの研磨処理も十分に行えるので平坦性よく形成
できる。
【0120】
また、ソース電極層又はドレイン電極層114上に層間絶縁層となる絶縁層を形成し、
配線層によって、第1の電極層117と電気的に接続する構造を用いてもよい。この場合
、開口部(コンタクトホール)を絶縁層を除去して形成するのではなく、絶縁層に対して
ぬれ性の低い物質をソース電極層又はドレイン電極層114上に形成する。その後、絶縁
層を含む組成物を塗布法などで塗布すると、ぬれ性の低い物質の形成されている領域を除
いた領域に絶縁層は形成される。
【0121】
加熱、乾燥等によって絶縁層を固化して形成した後、ぬれ性の低い物質を除去し、開口
部を形成する。この開口部を埋めるように配線層を形成し、この配線層に接するように第
1の電極層117を形成する。この方法を用いると、エッチングによる開口部の形成が必
要ないので工程が簡略化する効果がある。
【0122】
また、発光した光を基板100側とは反対側に放射させる構造とする場合、すなわち上
面放射型のEL表示パネルを作製する場合には、Ag(銀)、Au(金)、Cu(銅))
、W(タングステン)、Al(アルミニウム)等の金属の粒子を主成分とした組成物を用
いることができる。他の方法としては、スパッタリング法により透明導電膜若しくは光反
射性の導電膜を形成して、液滴吐出法によりマスクパターンを形成し、エッチング加工を
組み合わせて第1の電極層117を形成しても良い。
【0123】
第1の電極層117は、その表面が平坦化されるように、CMP法、ポリビニルアルコ
ール系の多孔質体で拭浄し、研磨しても良い。またCMP法を用いた研磨後に、第1の電
極層117の表面に紫外線照射、酸素プラズマ処理などを行ってもよい。
【0124】
以上の工程により、基板100上にボトムゲート型(逆スタガ型ともいう。)のTFT
と画素電極が接続された表示パネル用のTFT基板が完成する。また本実施の形態のTF
Tはチャネルエッチ型である。
【0125】
次に、絶縁層121(隔壁、土手とも呼ばれる)を選択的に形成する。絶縁層121は
、第1の電極層117上に開口部を有するように形成する。本実施の形態では、絶縁層1
21を全面に形成し、レジスト等のマスクによって、エッチングしパターニングする。絶
縁層121を、直接選択的に形成できる液滴吐出法や印刷法などを用いて形成する場合は
、エッチングによるパターニングは必ずしも必要はない。また絶縁層121も本発明の前
処理によって、所望の形状に形成できる。
【0126】
絶縁層121は、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミ
ニウム、酸窒化アルミニウムその他の無機絶縁性材料、又はアクリル酸、メタクリル酸及
びこれらの誘導体、又はポリイミド(polyimide)、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダ
ゾール(polybenzimidazole)などの耐熱性高分子、又はシロキサン系材料を出発材料とし
て形成された珪素、酸素、水素からなる化合物のうちSi−O−Si結合を含む無機シロ
キサン、珪素上の水素がメチルやフェニルのような有機基によって置換された有機シロキ
サン系の絶縁材料で形成することができる。アクリル、ポリイミド等の感光性、非感光性
の材料を用いて形成してもよい。絶縁層121は曲率半径が連続的に変化する形状が好ま
しく、上に形成される電界発光層122、第2の電極層123の被覆性が向上する。
【0127】
また、液滴吐出法により、絶縁層121を組成物を吐出し形成した後、その平坦性を高
めるために表面を圧力によってプレスして平坦化してもよい。プレスの方法としては、ロ
ーラー状のものを表面に走査することによって、凹凸をならすように軽減したり、平坦な
板状な物で表面を垂直にプレスしてもよい。また溶剤等によって表面を軟化、または融解
させエアナイフで表面の凹凸部を除去しても良い。また、CMP法を用いて研磨しても良
い。この工程は、液滴吐出法によって凹凸が生じる場合に、その表面の平坦化する場合適
用することができる。この工程により平坦性が向上すると、表示パネルの表示ムラなどを
防止することができ、高繊細な画像を表示することができる。
【0128】
表示パネル用のTFT基板である基板100の上に、発光素子を形成する(図18参照
。)。
【0129】
電界発光層122を形成する前に、大気圧中で200℃の熱処理を行い第1の電極層1
17、絶縁層121中若しくはその表面に吸着している水分を除去する。また、減圧下で
200〜400℃、好ましくは250〜350℃に熱処理を行い、そのまま大気に晒さず
に電界発光層122を真空蒸着法や、減圧下の液滴吐出法で形成することが好ましい。
【0130】
電界発光層122として、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の発光を示す材料を、
それぞれ蒸着マスクを用いた蒸着法等によって選択的に形成する。赤色(R)、緑色(G
)、青色(B)の発光を示す材料はカラーフィルタ同様、液滴吐出法により形成すること
もでき(低分子または高分子材料など)、この場合マスクを用いずとも、RGBの塗り分
けを行うことができるため好ましい。電界発光層122上に第2の電極層123を積層形
成して、発光素子を用いた表示機能を有する表示装置が完成する。
【0131】
図示しないが、第2の電極層123を覆うようにしてパッシベーション膜を設けること
は有効である。表示装置を構成する際に設ける保護膜は、単層構造でも多層構造でもよい
。パッシベーション膜としては、窒化珪素(SiN)、酸化珪素(SiO2)、酸化窒化
珪素(SiON)、窒化酸化珪素(SiNO)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化窒化
アルミニウム(AlON)、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウム(
AlNO)または酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有
炭素膜(CNX)を含む絶縁膜からなり、該絶縁膜を単層もしくは組み合わせた積層を用
いることができる。例えば窒素含有炭素膜(CNX)、窒化珪素(SiN)のような積層
、また有機材料を用いることも出来、スチレンポリマーなど高分子の積層でもよい。また
、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成され、置換基に少なくとも水
素を含む材料、もしくは置換基にフッ素、アルキル基、または芳香族炭化水素のうち少な
くとも1種を有する材料を用いてもよい。
【0132】
この際、カバレッジの良い膜をパッシベーション膜として用いることが好ましく、炭素
膜、特にDLC膜を用いることは有効である。DLC膜は室温から100℃以下の温度範
囲で成膜可能であるため、耐熱性の低い電界発光層の上方にも容易に成膜することができ
る。DLC膜は、プラズマCVD法(代表的には、RFプラズマCVD法、マイクロ波C
VD法、電子サイクロトロン共鳴(ECR)CVD法、熱フィラメントCVD法など)、
燃焼炎法、スパッタ法、イオンビーム蒸着法、レーザ蒸着法などで形成することができる
。成膜に用いる反応ガスは、水素ガスと、炭化水素系のガス(例えばCH4、C22、C6
6など)とを用い、グロー放電によりイオン化し、負の自己バイアスがかかったカソー
ドにイオンを加速衝突させて成膜する。また、CNx膜は反応ガスとしてC24ガスとN2
ガスとを用いて形成すればよい。DLC膜は酸素に対するブロッキング効果が高く、電界
発光層の酸化を抑制することが可能である。そのため、この後に続く封止工程を行う間に
電界発光層が酸化するといった問題を防止できる。
【0133】
続いて、シール材を形成し、封止基板を用いて封止する。その後、ゲート配線層106
にフレキシブル配線基板を接続し、外部との電気的な接続をしても良い。これは、ソース
配線層でもあるソース電極層又はドレイン電極層111も同様である。
【0134】
本発明を用いて作製したEL表示パネルの完成図を図33に示す。図33(A)はEL
表示パネルの上面図であり、図33(B)は、図33(A)における線E−Fによる断面
図である。図33において、素子基板3300上に形成された画素部3301は、画素3
302、ゲート配線層3306a、ゲート配線層3306b、ソース配線層3308を有
しており、封止基板3310とシール材3303によって貼り合わされ固着されている。
本実施の形態では、FPC3350上にドライバIC3351を設置し、TAB方式で実
装している。
【0135】
図33(A)、(B)で示すとおり、表示パネル内には素子の水分による劣化を防ぐた
め、乾燥剤3305、乾燥剤3304a、乾燥剤3304bが設置されている。乾燥剤3
305は画素部周囲を取り囲むように形成され、乾燥剤3304a、乾燥剤3304bは
、ゲート配線層3306a、3306bに対応する領域に形成されている。本実施の形態
では、乾燥剤は、図33(B)に示されるように封止基板に形成された凹部に設置され、
薄型化を妨げない構成となっている。ゲート配線層に対応する領域にも乾燥剤を形成して
いるので、吸水面積を広く取ることができ、吸水効果も向上する。また、直接発光しない
ゲート配線層上に乾燥剤を形成しているので、光取り出し効率を低下させることもない。
本実施の形態では、表示パネル内に充填剤3307を充填している。この充填剤として、
乾燥剤などの吸湿性を含む物質を用いると、さらなる吸水効果が得られ、素子の劣化を防
ぐことができる。
【0136】
なお、本実施の形態では、ガラス基板で発光素子を封止した場合を示すが、封止の処理
とは、発光素子を水分から保護するための処理であり、カバー材で機械的に封入する方法
、熱硬化性樹脂又は紫外光硬化性樹脂で封入する方法、金属酸化物や窒化物等のバリア能
力が高い薄膜により封止する方法のいずれかを用いる。カバー材としては、ガラス、セラ
ミックス、プラスチックもしくは金属を用いることができるが、カバー材側に光を放射さ
せる場合は透光性でなければならない。また、カバー材と上記発光素子が形成された基板
とは熱硬化性樹脂又は紫外光硬化性樹脂等のシール材を用いて貼り合わせられ、熱処理又
は紫外光照射処理によって樹脂を硬化させて密閉空間を形成する。この密閉空間の中に酸
化バリウムに代表される吸湿材を設けることも有効である。この吸湿材は、シール材の上
に接して設けても良いし、発光素子よりの光を妨げないような、隔壁の上や周辺部に設け
ても良い。さらに、カバー材と発光素子の形成された基板との空間を熱硬化性樹脂若しく
は紫外光硬化性樹脂で充填することも可能である。この場合、熱硬化性樹脂若しくは紫外
光硬化性樹脂の中に酸化バリウムに代表される吸湿材を添加しておくことは有効である。
【0137】
本実施の形態では、スイッチングTFTはシングルゲート構造を示したが、ダブルゲー
ト構造などのマルチゲート構造でもよい。また半導体をSASや結晶性半導体を用いて作
製した場合、一導電型を付与する不純物の添加によって不純物領域を形成することもでき
る。この場合、半導体層は濃度の異なる不純物領域を有していてもよい。例えば、半導体
層のチャネル領域近傍、ゲート電極層と積層する領域は、低濃度不純物領域とし、その外
側の領域を高濃度不純物領域としてもよい。
【0138】
以上示したように、本実施の形態では、フォトマスクを利用した光露光工程を用いない
ことにより、工程を省略することができる。また、液滴吐出法を用いて基板上に直接的に
各種のパターンを形成することにより、1辺が1000mmを超える第5世代以降のガラ
ス基板を用いても、容易に表示パネルを製造することができる。
【0139】
本発明により、所望なパターンを制御性よく形成でき、材料のロスも少なく、コストダ
ウンも達成できる。よって高性能、高信頼性の表示装置を歩留まりよく作製することがで
きる。
【0140】
(実施の形態5)
本発明の実施の形態として、図36、図37を用いて説明する。本実施の形態は、薄膜
トランジスタとしてトップゲート型(順スタガ型)の薄膜トランジスタを用いて、表示装
置を作製するものである。なお表示素子として液晶材料を用いた液晶表示装置の例を示す
。よって、同一部分又は同様な機能を有する部分の繰り返しの説明は省略する。なお、図
36、図37は表示装置の断面図である。
【0141】
基板300上に、実施の形態1と同様に細線化されたパターン350を形成する。パタ
ーン350は、実施の形態1における図1(D)、(H)パターン57に対応しており、
ぬれ性の低い物質351を有する低ぬれ性領域上に形成されている。パターン350は、
ぬれ性の低い物質351を有する低ぬれ性領域と高ぬれ性領域(図示せず)にまたがり、
液滴吐出法によりパターン形成材料を含む組成物として吐出される。流動性を有する組成
物は、被形成領域のぬれ性の違いにより、低ぬれ性領域に安定せず、低ぬれ性領域と高ぬ
れ性領域とが接する境界から、高ぬれ性領域に一部流動する。パターン形成材料を含む組
成物に対するぬれ性が低い低ぬれ性領域では、パターン形成材料を含む組成物はよくぬれ
ないため、組成物は固着しにくく、より安定性の高い高ぬれ性領域へ流動してしまうから
である。結果、パターン形成材料を含む組成物は、流動性と被形成領域に対するぬれ性の
違いにより、パターン350の様に形状を変え、安定する。低ぬれ性領域上に形成される
パターン350は、一部が高ぬれ性領域へ流動したため、細線化する。
【0142】
パターン350をマスクとしてぬれ性の低い物質351を除去する。図36(B)に示
す様に、パターン350の下のみにぬれ性の低い物質351が残存し、その周囲の領域は
高ぬれ性領域360となっている。この高ぬれ性領域は、ぬれ性の低い物質を有していな
いのでぬれ性が高く、接触角も低い。次に、ぬれ性の低い物質351と選択比の高いエッ
チング方法によって、パターン350のみを除去する。エッチング法はドライエッチング
法でもウェットエッチング法でもよく、アッシング等でもよい。このとき、ぬれ性の低い
物質とパターン形成材料に対して選択比の高いエッチングガス、又はエッチャントを用い
ることが好ましい。
【0143】
パターン350を除去すると、残存するぬれ性の低い物質351は、低ぬれ性領域30
1を形成し基板上最上面に現れる。この低ぬれ性領域301は、本発明によって細線化さ
れたパターン350をマスクとして形成されたため、細線化された形状を有する。この低
ぬれ性領域301を横切り、周囲の高ぬれ性領域360上にまたがるように導電性材料を
含む組成物を、流動性を有する液滴として、ノズル380より吐出する。
【0144】
よって、吐出された流動性を有する導電性材料を含む組成物は、その被形成領域のぬれ
性の違いにより、低ぬれ性領域301上に安定せず、高ぬれ性領域360に接する境界か
ら、高ぬれ性領域360に流動する。導電性材料を含む組成物に対するぬれ性が低い低ぬ
れ性領域301では、導電性材料を含む組成物ははじかれるため、組成物は固着せず、よ
り安定性の高い高ぬれ性領域360へ流動してしまうからである。結果、導電性材料を含
む組成物は、その流動性と被形成領域に対するぬれ性の違いにより、ソース電極層又はド
レイン電極層330、ソース電極層又はドレイン電極層308の様に形状を変え、安定す
る(図36(C)参照。)。よって、ソース電極層又はドレイン電極層330、ソース電
極層又はドレイン電極層308の間には、細幅でありながら制御性よく間隔が形成でき、
ソース電極層又はドレイン電極層330、ソース電極層又はドレイン電極層308同士が
接触しない。そのため半導体のチャネル長が短いため、低抵抗化しオン電流も上がり、か
つ制御性よく形成されるためショート等の不良を防止できる。本発明により、配線等が、
小型化、薄膜化により密集、複雑に配置される設計であっても、制御性よく形成すること
ができる。
【0145】
ソース電極層又はドレイン電極層330、ソース電極層又はドレイン電極層308上に
N型半導体層形成し、レジスト等からなるマスクによってエッチングする。レジストは液
滴吐出法を用いて形成すればよい。N型半導体層上に半導体層を形成し再び、マスク等を
用いてパターニングする。よってN型半導体層307、半導体層306が形成される。
【0146】
次に、プラズマCVD法やスパッタリング法を用いて、ゲート絶縁層305を単層又は
積層構造で形成する(図36(D)参照。)。特に好ましい形態としては、窒化珪素から
なる絶縁層、酸化珪素からなる絶縁層、窒化珪素からなる絶縁層の3層の積層体がゲート
絶縁層に相当する。
【0147】
次に、ゲート絶縁層305上に、レジストなどからなるマスクを形成し、ゲート絶縁
層305をエッチングし、貫通孔345を形成する(図36(E)参照。)。本実施の形
態では、液滴吐出法により、貫通孔345を形成するためのマスクを選択的に形成する。
【0148】
ゲート絶縁層305上に液滴吐出装置のノズル381によって導電性材料を含む組成
物を吐出し、ゲート電極層303が形成される。実施の形態1のように本発明を用いて、
所望の形状にゲート電極層をさらに細線化して形成することもできる。本発明を用いると
、ゲート電極層303のチャネル方向の長さを狭くできるため、ソース電極層、ドレイン
電極層間がより低抵抗化し、オン電流が向上する。
【0149】
画素電極層311を液滴吐出法で形成する。画素電極層311とソースまたはドレイ
ン電極層308とを、先に形成した貫通孔345において電気的に接続する。画素電極層
311は、前述した第1の電極層117と同様な材料を用いることができ、透過型の液晶
表示パネルを作製する場合には、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジ
ウム錫酸化物(ITSO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)などを含む組成
物により所定のパターンを形成し、焼成によって形成しても良い。
【0150】
次に、画素電極層311を覆うように、印刷法やスピンコート法により、配向膜と呼ば
れる絶縁層312を形成する。なお、絶縁層312は、スクリーン印刷法やオフセット印
刷法を用いれば、選択的に形成することができる。その後、ラビングを行う。続いて、シ
ール材を液滴吐出法により画素を形成した周辺の領域に形成する(図示せず。)。
【0151】
その後、配向膜として機能する絶縁層321、カラーフィルタとして機能する着色層3
22、対向電極として機能する導電体層323、偏光板325が設けられた対向基板32
4とTFT基板である基板300とをスペーサを介して貼り合わせ、その空隙に液晶層3
20を設けることにより液晶表示パネルを作製することができる(図37(B)参照。)
。シール材にはフィラーが混入されていても良く、さらに対向基板324には、遮蔽膜(
ブラックマトリクス)などが形成されていても良い。なお、液晶層を形成する方法として
、ディスペンサ式(滴下式)や、対向基板324を貼り合わせてから毛細管現象を用いて
液晶を注入するディップ式(汲み上げ式)を用いることができる。
【0152】
ディスペンサ方式を採用した液晶滴下注入法を、図39を用いて説明する。図39の液
晶滴下注入法は、制御装置40、撮像手段42、ヘッド43、液晶33、マーカー35、
マーカー45は、バリア層34、シール材32、TFT基板30、対向基板20からなる
。シール材32で閉ループを形成し、その中にヘッド43より液晶33を1回若しくは複
数回滴下する。液晶材料の粘性が高い場合は、連続的に吐出され、繋がったまま被形成領
域に付着する。一方、液晶材料の粘性が低い場合には、図39のように間欠的に吐出され
液滴が滴下される。そのとき、シール材32と液晶33とが反応することを防ぐため、バ
リア層34を設ける。続いて、真空中で基板を貼り合わせ、その後紫外線硬化を行って、
液晶が充填された状態とする。
【0153】
以上の工程で形成された画素部と外部の配線基板を接続するために接続部を形成する。
大気圧又は大気圧近傍下で、酸素ガスを用いたアッシング処理により、接続部の絶縁層を
除去する。この処理は、酸素ガスと、水素、CF4、NF3、H2O、CHF3から選択され
た一つ又は複数とを用いて行う。本工程では、静電気による損傷や破壊を防止するために
、対向基板を用いて封止した後に、アッシング処理を行っているが、静電気による影響が
少ない場合には、どのタイミングで行っても構わない。
【0154】
続いて、異方性導電体層を介して、配線層が電気的に接続するように、接続用の配線基
板を設ける。配線基板は、外部からの信号や電位を伝達する役目を担う。上記工程を経て
、表示機能を有する液晶表示パネルを作製することができる。
【0155】
本実施の形態では、スイッチングTFTはシングルゲート構造を示したが、ダブルゲー
ト構造などのマルチゲート構造でもよい。また半導体をSASや結晶性半導体を用いて作
製した場合、一導電型を付与する不純物の添加によって不純物領域を形成することもでき
る。この場合、半導体層は濃度の異なる不純物領域を有していてもよい。例えば、半導体
層のチャネル領域近傍、ゲート電極層と積層する領域は、低濃度不純物領域とし、その外
側の領域を高濃度不純物領域としてもよい。
【0156】
以上示したように、本実施の形態では、フォトマスクを利用した光露光工程を用いない
ことにより、工程を省略することができる。また、液滴吐出法を用いて基板上に直接的に
各種のパターンを形成することにより、1辺が1000mmを超える第5世代以降のガラ
ス基板を用いても、容易に表示パネルを製造することができる。
【0157】
本発明により、所望なパターンを制御性よく形成でき、材料のロスも少なく、コストダ
ウンも達成できる。よって高性能、高信頼性の液晶表示装置を歩留まりよく作製すること
ができる。
【0158】
(実施の形態6)
本発明を適用して薄膜トランジスタを形成し、該薄膜トランジスタを用いて表示装置を
形成することができるが、発光素子を用いて、なおかつ、該発光素子を駆動するトランジ
スタとしてN型トランジスタを用いた場合、該発光素子から発せられる光は、下面放射、
上面放射、両面放射のいずれかを行う。ここでは、いずれの場合に応じた発光素子の積層
構造について、図19を用いて説明する。
【0159】
また、本実施の形態では、本発明を適用したチャネル保護型の薄膜トランジスタ481
を用いる。チャネル保護膜は、液滴吐出法を用いてポリイミド又はポリビニルアルコール
等を滴下してもよい。その結果、露光工程を省略することができる。チャネル保護膜とし
ては、無機材料(酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素など)、感光性また
は非感光性の有機材料(有機樹脂材料)(ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミ
ドアミド、レジスト、ベンゾシクロブテンなど)、低誘電率であるLow k材料などの
一種、もしくは複数種からなる膜、またはこれらの膜の積層などを用いることができる。
また、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成され、置換基に少なくと
も水素を含む材料、もしくは置換基にフッ素、アルキル基、または芳香族炭化水素のうち
少なくとも1種を有する材料を用いてもよい。作製法としては、プラズマCVD法や熱C
VD法などの気相成長法やスパッタリング法を用いることができる。また、液滴吐出法や
、印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)を用いるこ
ともできる。塗布法で得られるTOF膜やSOG膜なども用いることができる。
【0160】
まず、光が基板480側に放射する場合、つまり下面放射を行う場合について、図19
(A)を用いて説明する。この場合、薄膜トランジスタ481に電気的に接続するように
、ソース電極又はドレイン電極482、第1の電極484、電界発光層485、第2の電
極486が順に積層される。次に、光が基板480と反対側に放射する場合、つまり上面
放射を行う場合について、図19(B)を用いて説明する。薄膜トランジスタ481に電
気的に接続するソース電極又はドレイン電極462、第1の電極463、電界発光層46
4、第2の電極465が順に積層される。上記構成により、第1の電極463において光
が透過しても、該光はソース電極又はドレイン電極462において反射され、基板480
と反対側に放射する。なお、本構成では、第1の電極463には透光性を有する材料を用
いる必要はない。最後に、光が基板480側とその反対側の両側に放射する場合、つまり
両面放射を行う場合について、図19(C)を用いて説明する。薄膜トランジスタ481
に電気的に接続するソース電極又はドレイン電極471、第1の電極472、電界発光層
473、第2の電極474が順に積層される。このとき、第1の電極472と第2の電極
474のどちらも透光性を有する材料、又は光を透過できる厚さで形成すると、両面放射
が実現する。
【0161】
発光素子は、電界発光層を第1の電極と第2の電極で挟んだ構成になっている。第1の
電極及び第2の電極は仕事関数を考慮して材料を選択する必要があり、そして第1の電極
及び第2の電極は、画素構成によりいずれも陽極、又は陰極となりうる。本実施の形態で
は、駆動用TFTの極性がNチャネル型であるため、第1の電極を陰極、第2の電極を陽
極とすると好ましい。また駆動用TFTの極性がpチャネル型である場合、第1の電極を
陽極、第2の電極を陰極とするとよい。
【0162】
また第1の電極が陽極であった場合、電界発光層は、陽極側から、HIL(ホール注入
層)、HTL(ホール輸送層)、EML(発光層)、ETL(電子輸送層)、EIL(電
子注入層)の順に積層するのが好ましい。また、第1の電極が陰極である場合はその逆と
なり、陰極側からEIL(電子注入層)、ETL(電子輸送層)、EML(発光層)、H
TL(ホール輸送層)、HIL(ホール注入層)、第2の電極である陽極の順に積層する
のが好ましい。なお電界発光層は、積層構造以外に単層構造、又は混合構造をとることが
でる。
【0163】
また、電界発光層として、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の発光を示す材料を、
それぞれ蒸着マスクを用いた蒸着法等によって選択的に形成する。赤色(R)、緑色(G
)、青色(B)の発光を示す材料はカラーフィルタ同様、液滴吐出法により形成すること
もでき(低分子または高分子材料など)、この場合マスクを用いずとも、RGBの塗り分
けを行うことができるため好ましい。
【0164】
また上面放射型の場合で、第2の電極に透光性を有するITOやITSOを用いる場合
、ベンゾオキサゾール誘導体(BzOS)にLiを添加したBzOS−Liなどを用いる
ことができる。また例えばEMLは、R、G、Bのそれぞれの発光色に対応したドーパン
ト(Rの場合DCM等、Gの場合DMQD等)をドープしたAlq3を用いればよい。
【0165】
なお、電界発光層は上記材料に限定されない。例えば、CuPcやPEDOTの代わり
に酸化モリブデン(MoOx:x=2〜3)等の酸化物とα−NPDやルブレンを共蒸着
して形成し、ホール注入性を向上させることもできる。また電界発光層の材料は、有機材
料(低分子又は高分子を含む)、又は有機材料と無機材料の複合材料として用いることが
できる。以下発光素子を形成する材料について詳細に述べる。
【0166】
電荷注入輸送物質のうち、特に電子輸送性の高い物質としては、例えばトリス(8−キ
ノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、トリス(5−メチル−8−キノリノラト
)アルミニウム(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト
)ベリリウム(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェ
ニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベンゾキノ
リン骨格を有する金属錯体等が挙げられる。また正孔輸送性の高い物質としては、例えば
4,4'−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(略称:
α−NPD)や4,4'−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]
−ビフェニル(略称:TPD)や4,4',4''−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ
)−トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4',4''−トリス[N−(3−メ
チルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−トリフェニルアミン(略称:MTDATA)
などの芳香族アミン系(即ち、ベンゼン環−窒素の結合を有する)の化合物が挙げられる

【0167】
また、電荷注入輸送物質のうち、特に電子注入性の高い物質としては、フッ化リチウム
(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF2)等のようなアル
カリ金属又はアルカリ土類金属の化合物が挙げられる。また、この他、Alq3のような
電子輸送性の高い物質とマグネシウム(Mg)のようなアルカリ土類金属との混合物であ
ってもよい。
【0168】
電荷注入輸送物質のうち、正孔注入性の高い物質としては、例えば、モリブデン酸化物
(MoOx)やバナジウム酸化物(VOx)、ルテニウム酸化物(RuOx)、タングス
テン酸化物(WOx)、マンガン酸化物(MnOx)等の金属酸化物が挙げられる。また
、この他、フタロシアニン(略称:H2Pc)や銅フタロシアニン(CuPC)等のフタ
ロシアニン系の化合物が挙げられる。
【0169】
発光層は、発光波長帯の異なる発光層を画素毎に形成して、カラー表示を行う構成とし
ても良い。典型的には、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色に対応した発光層を形成す
る。この場合にも、画素の光放射側にその発光波長帯の光を透過するフィルター(着色層
)を設けた構成とすることで、色純度の向上や、画素部の鏡面化(映り込み)の防止を図
ることができる。フィルター(着色層)を設けることで、従来必要であるとされていた円
偏光版などを省略することが可能となり、発光層から放射される光の損失を無くすことが
できる。さらに、斜方から画素部(表示画面)を見た場合に起こる色調の変化を低減する
ことができる。
【0170】
発光材料には様々な材料がある。低分子系有機発光材料では、4−ジシアノメチレン−
2−メチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル) −4H−ピラ
ン(略称:DCJT)、4−ジシアノメチレン−2−t−ブチル−6−(1,1,7,7−テ
トラメチルジュロリジル−9-エニル) −4H−ピラン(略称:DPA)、ペリフランテ
ン、2,5−ジシアノ−1,4−ビス(10−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチルジュロ
リジル−9−エニル)ベンゼン、N,N’−ジメチルキナクリドン(略称:DMQd)、ク
マリン6、クマリン545T、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3
)、9,9’−ビアントリル、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPA)や9,
10−ビス(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)等を用いることができる。また
、この他の物質でもよい。
【0171】
一方、高分子系有機発光材料は低分子系に比べて物理的強度が高く、素子の耐久性が高
い。また塗布により成膜することが可能であるので、素子の作製が比較的容易である。高
分子系有機発光材料を用いた発光素子の構造は、低分子系有機発光材料を用いたときと基
本的には同じであり、順に陰極、電界発光層、陽極となる。しかし、高分子系有機発光材
料を用いた電界発光層を形成する際には、低分子系有機発光材料を用いたときのような積
層構造を形成させることは難しく、多くの場合2層構造となる。具体的には、順に陰極、
発光層、正孔輸送層、陽極という構造である。
【0172】
発光色は、発光層を形成する材料で決まるため、これらを選択することで所望の発光を
示す発光素子を形成することができる。発光層の形成に用いることができる高分子系の電
界発光材料は、ポリパラフェニレンビニレン系、ポリパラフェニレン系、ポリチオフェン
系、ポリフルオレン系が挙げられる。
【0173】
ポリパラフェニレンビニレン系には、ポリ(パラフェニレンビニレン) [PPV] の誘
導体、ポリ(2,5−ジアルコキシ−1,4−フェニレンビニレン) [RO−PPV]、
ポリ(2−(2'−エチル−ヘキソキシ)−5−メトキシ−1,4−フェニレンビニレン
)[MEH−PPV]、ポリ(2−(ジアルコキシフェニル)−1,4−フェニレンビニレ
ン)[ROPh−PPV]等が挙げられる。ポリパラフェニレン系には、ポリパラフェニレ
ン[PPP]の誘導体、ポリ(2,5−ジアルコキシ−1,4−フェニレン)[RO−P
PP]、ポリ(2,5−ジヘキソキシ−1,4−フェニレン)等が挙げられる。ポリチオ
フェン系には、ポリチオフェン[PT]の誘導体、ポリ(3−アルキルチオフェン)[P
AT]、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)[PHT]、ポリ(3−シクロヘキシルチオフ
ェン)[PCHT]、ポリ(3−シクロヘキシル−4−メチルチオフェン)[PCHMT
]、ポリ(3,4−ジシクロヘキシルチオフェン)[PDCHT]、ポリ[3−(4−オ
クチルフェニル)−チオフェン][POPT]、ポリ[3−(4−オクチルフェニル)−
2,2ビチオフェン][PTOPT]等が挙げられる。ポリフルオレン系には、ポリフル
オレン[PF]の誘導体、ポリ(9,9−ジアルキルフルオレン)[PDAF]、ポリ(
9,9−ジオクチルフルオレン)[PDOF]等が挙げられる。
【0174】
なお、正孔輸送性の高分子系有機発光材料を、陽極と発光性の高分子系有機発光材料の
間に挟んで形成すると、陽極からの正孔注入性を向上させることができる。一般にアクセ
プター材料と共に水に溶解させたものをスピンコート法などで塗布する。また、有機溶媒
には不溶であるため、上述した発光性の有機発光材料との積層が可能である。正孔輸送性
の高分子系有機発光材料としては、PEDOTとアクセプター材料としてのショウノウス
ルホン酸(CSA)の混合物、ポリアニリン[PANI]とアクセプター材料としてのポ
リスチレンスルホン酸[PSS]の混合物等が挙げられる。
【0175】
また、発光層は単色又は白色の発光を呈する構成とすることができる。白色発光材料を
用いる場合には、画素の光放射側に特定の波長の光を透過するフィルター(着色層)を設
けた構成としてカラー表示を可能にすることができる。
【0176】
白色に発光する発光層を形成するには、例えば、Alq3、部分的に赤色発光色素であ
るナイルレッドをドープしたAlq3、Alq3、p−EtTAZ、TPD(芳香族ジアミ
ン)を蒸着法により順次積層することで白色を得ることができる。また、スピンコートを
用いた塗布法により発光層を形成する場合には、塗布した後、真空加熱で焼成することが
好ましい。例えば、正孔注入層として作用するポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポ
リ(スチレンスルホン酸)水溶液(PEDOT/PSS)を全面に塗布、焼成し、その後
、発光層として作用する発光中心色素(1,1,4,4−テトラフェニル−1,3−ブタ
ジエン(TPB)、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノ−ス
チリル)−4H−ピラン(DCM1)、ナイルレッド、クマリン6など)ドープしたポリ
ビニルカルバゾール(PVK)溶液を全面に塗布、焼成すればよい。
【0177】
発光層は単層で形成することもでき、ホール輸送性のポリビニルカルバゾール(PVK
)に電子輸送性の1,3,4−オキサジアゾール誘導体(PBD)を分散させてもよい。
また、30wt%のPBDを電子輸送剤として分散し、4種類の色素(TPB、クマリン6
、DCM1、ナイルレッド)を適当量分散することで白色発光が得られる。ここで示した
白色発光が得られる発光素子の他にも、発光層の材料を適宜選択することによって、赤色
発光、緑色発光、または青色発光が得られる発光素子を作製することができる。
【0178】
さらに、発光層は、一重項励起発光材料の他、金属錯体などを含む三重項励起材料を用
いても良い。例えば、赤色の発光性の画素、緑色の発光性の画素及び青色の発光性の画素
のうち、輝度半減時間が比較的短い赤色の発光性の画素を三重項励起発光材料で形成し、
他を一重項励起発光材料で形成する。三重項励起発光材料は発光効率が良いので、同じ輝
度を得るのに消費電力が少なくて済むという特徴がある。すなわち、赤色画素に適用した
場合、発光素子に流す電流量が少なくて済むので、信頼性を向上させることができる。低
消費電力化として、赤色の発光性の画素と緑色の発光性の画素とを三重項励起発光材料で
形成し、青色の発光性の画素を一重項励起発光材料で形成しても良い。人間の視感度が高
い緑色の発光素子も三重項励起発光材料で形成することで、より低消費電力化を図ること
ができる。
【0179】
三重項励起発光材料の一例としては、金属錯体をドーパントとして用いたものがあり、
第三遷移系列元素である白金を中心金属とする金属錯体、イリジウムを中心金属とする金
属錯体などが知られている。三重項励起発光材料としては、これらの化合物に限られるこ
とはなく、上記構造を有し、且つ中心金属に周期表の8〜10属に属する元素を有する化
合物を用いることも可能である。
【0180】
以上に掲げる発光層を形成する物質は一例であり、正孔注入輸送層、正孔輸送層、電子
注入輸送層、電子輸送層、発光層、電子ブロック層、正孔ブロック層などの機能性の各層
を適宜積層することで発光素子を形成することができる。また、これらの各層を合わせた
混合層又は混合接合を形成しても良い。発光層の層構造は変化しうるものであり、特定の
電子注入領域や発光領域を備えていない代わりに、もっぱらこの目的用の電極を備えたり
、発光性の材料を分散させて備えたりする変形は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲におい
て許容されうるものである。
【0181】
上記のような材料で形成した発光素子は、順方向にバイアスすることで発光する。発光
素子を用いて形成する表示装置の画素は、単純マトリクス方式、若しくはアクティブマト
リクス方式で駆動することができる。いずれにしても、個々の画素は、ある特定のタイミ
ングで順方向バイアスを印加して発光させることとなるが、ある一定期間は非発光状態と
なっている。この非発光時間に逆方向のバイアスを印加することで発光素子の信頼性を向
上させることができる。発光素子では、一定駆動条件下で発光強度が低下する劣化や、画
素内で非発光領域が拡大して見かけ上輝度が低下する劣化モードがあるが、順方向及び逆
方向にバイアスを印加する交流的な駆動を行うことで、劣化の進行を遅くすることができ
、発光装置の信頼性を向上させることができる。また、デジタル駆動、アナログ駆動どち
らでも適用可能である。
【0182】
図19には図示していないが、基板480の対向基板にフィルタ(着色層)を形成して
もよい。フィルタ(着色層)は液滴吐出法によって形成することができ、その場合、前述
の下地前処理としてレーザ光照射処理などを適用することができる。本発明の下地膜によ
り、所望なパターンに密着性よくフィルタ(着色層)を形成することができる。フィルタ
(着色層)を用いると、高精細な表示を行うこともできる。フィルタ(着色層)により、
各RGBの発光スペクトルにおいてブロードなピークを鋭くなるように補正できるからで
ある。
【0183】
以上、各RGBの発光を示す材料を形成する場合を説明したが、単色の発光を示す材料
を形成し、カラーフィルタや色変換層を組み合わせることによりフルカラー表示を行うこ
とができる。フィルタ(着色層)や色変換層は、例えば第2の基板(封止基板)に形成し
、基板へ張り合わせればよい。また上述したように、単色の発光を示す材料、フィルタ(
着色層)、及び色変換層のいずれも液滴吐出法により形成することができる。
【0184】
もちろん単色発光の表示を行ってもよい。例えば、単色発光を用いてエリアカラータイ
プの表示装置を形成してもよい。エリアカラータイプは、パッシブマトリクス型の表示部
が適しており、主に文字や記号を表示することができる。
【0185】
上記構成において、陰極としては、仕事関数が小さい材料を用いることが可能で、例え
ば、Ca、Al、CaF、MgAg、AlLi等が望ましい。電界発光層は、単層型、積
層型、また層の界面がない混合型のいずれでもよい。またシングレット材料、トリプレッ
ト材料、又はそれらを組み合わせた材料や、有機化合物又は無機化合物を含む電荷注入輸
送物質及び発光材料で形成し、その分子数から低分子系有機化合物、中分子系有機化合物
(昇華性を有さず、且つ分子数が20以下、又は連鎖する分子の長さが10μm以下の有
機化合物を指していう)、高分子系有機化合物から選ばれた一種又は複数種の層を含み、
電子注入輸送性又は正孔注入輸送性の無機化合物と組み合わせても良い。第1の電極48
4、第1の電極463、第1の電極472は光を透過する透明導電膜を用いて形成し、例
えばITO、ITSOの他、酸化インジウムに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合し
た透明導電膜を用いる。なお、第1の電極484、第1の電極463、第1の電極472
形成前に、酸素雰囲気中でのプラズマ処理や真空雰囲気下での加熱処理を行うとよい。隔
壁(土手ともいう)は、珪素を含む材料、有機材料及び化合物材料を用いて形成する。ま
た、多孔質膜を用いても良い。但し、アクリル、ポリイミド等の感光性、非感光性の材料
を用いて形成すると、その側面は曲率半径が連続的に変化する形状となり、上層の薄膜が
段切れせずに形成されるため好ましい。本実施の形態は、上記の実施の形態と自由に組み
合わせることが可能である。
【0186】
(実施の形態7)
実施の形態4乃至6によって作製される表示パネルにおいて、半導体層をSASで形
成することによって、図29(B)で説明したように、走査線側の駆動回路を基板370
0上に形成することができる。
【0187】
図25は、1〜15cm2/V・secの電界効果移動度が得られるSASを使った
nチャネル型のTFTで構成する走査線側駆動回路のブロック図を示している。
【0188】
図25においてブロック500が1段分のサンプリングパルスを出力するパルス出力回
路に相当し、シフトレジスタはn個のパルス出力回路により構成される。901はバッフ
ァ回路であり、その先に画素902が接続される。
【0189】
図26は、ブロック500に相当するパルス出力回路の具体的な構成を示したものであ
り、nチャネル型のTFT601〜613で回路が構成されている。このとき、SASを
使ったnチャネル型のTFTの動作特性を考慮して、TFTのサイズを決定すれば良い。
例えば、チャネル長を8μmとすると、チャネル幅は10〜80μmの範囲で設定するこ
とができる。
【0190】
また、バッファ回路901の具体的な構成を図27に示す。バッファ回路も同様にnチ
ャネル型のTFT620〜635で構成されている。このとき、SASを使ったnチャネ
ル型のTFTの動作特性を考慮して、TFTのサイズを決定すれば良い。例えば、チャネ
ル長を10μmとすると、チャネル幅は10〜1800μmの範囲で設定することとなる
。本発明を用いると、パターンを所望の形状に制御性よく形成することができるので、こ
のようなチャネル幅を10μmとするような細い配線も断線することなく安定的に形成す
ることができる。
【0191】
このような回路を実現するには、TFT相互を配線によって接続する必要があり、その
場合における配線の構成例を図31に示す。図31では、実施の形態4と同様に、ゲート
電極層105、ゲート絶縁層116(窒化珪素からなる絶縁層、酸化珪素からなる絶縁層
、窒化珪素からなる絶縁層の3層の積層体)、SASで形成される半導体層107、ソー
ス領域及びドレイン領域を形成するN型半導体層109、ソース電極層及びドレイン電極
層111、ソース電極層及びドレイン電極層112が形成された状態を示している。この
場合、基板100上には、ゲート電極層105と同じ工程で接続配線層160、接続配線
層161、接続配線層162を形成しておく。そして、接続配線層160、接続配線層1
61、接続配線層162が露出するようにゲート絶縁層116の一部をエッチング加工し
て、ソース電極層及びドレイン電極層111、ソース電極層及びドレイン電極層112及
びそれと同じ工程で形成する接続配線層163により適宜TFTを接続することにより様
々な回路を実現することができる。
【0192】
(実施の形態8)
次に、実施の形態4乃至7によって作製される表示パネルに駆動用のドライバ回路を実
装する態様について説明する。
【0193】
まず、COG方式を採用した表示装置について、図30(A)を用いて説明する。基板
2700上には、文字や画像などの情報を表示する画素部2701が設けられる。複数の
駆動回路が設けられた基板を、矩形状に分断し、分断後の駆動回路(ドライバICとも表
記)2751は、基板2700上に実装される。図30(A)は複数のドライバIC27
51、該ドライバIC2751の先にFPC2750を実装する形態を示す。また、分割
する大きさを画素部の信号線側の辺の長さとほぼ同じにし、単数のドライバICに、該ド
ライバICの先にテープを実装してもよい。
【0194】
また、TAB方式を採用してもよく、その場合は、図30(B)で示すように複数のテ
ープを貼り付けて、該テープにドライバICを実装すればよい。COG方式の場合と同様
に、単数のテープに単数のドライバICを実装してもよく、この場合には、強度の問題か
ら、ドライバICを固定する金属片等を一緒に貼り付けるとよい。
【0195】
これらの表示パネルに実装されるドライバICは、生産性を向上させる観点から、一辺
が300mmから1000mm以上の矩形状の基板上に複数個作り込むとよい。
【0196】
つまり、基板上に駆動回路部と入出力端子を一つのユニットとする回路パターンを複数
個形成し、最後に分割して取り出せばよい。ドライバICの長辺の長さは、画素部の一辺
の長さや画素ピッチを考慮して、長辺が15〜80mm、短辺が1〜6mmの矩形状に形
成してもよいし、画素領域の一辺、又は画素部の一辺と各駆動回路の一辺とを足した長さ
に形成してもよい。
【0197】
ドライバICのICチップに対する外形寸法の優位性は長辺の長さにあり、長辺が15
〜80mmで形成されたドライバICを用いると、画素部に対応して実装するのに必要な
数がICチップを用いる場合よりも少なくて済み、製造上の歩留まりを向上させることが
できる。また、ガラス基板上にドライバICを形成すると、母体として用いる基板の形状
に限定されないので生産性を損なうことがない。これは、円形のシリコンウエハからIC
チップを取り出す場合と比較すると、大きな優位点である。
【0198】
また、図29(B)のように走査線駆動回路3702は基板上に一体形成される場合、
画素部3701の外側の領域には、信号線側の駆動回路駆動回路が形成されたドライバI
Cが実装される。これらのドライバICは、信号線側の駆動回路である。RGBフルカラ
ーに対応した画素領域を形成するためには、XGAクラスで信号線の本数が3072本必
要であり、UXGAクラスでは4800本が必要となる。このような本数で形成された信
号線は、画素部3701の端部で数ブロック毎に区分して引出線を形成し、ドライバIC
の出力端子のピッチに合わせて集められる。
【0199】
ドライバICは、基板上に形成された結晶質半導体により形成されることが好適であり
、該結晶質半導体は連続発光のレーザ光を照射することで形成されることが好適である。
従って、当該レーザ光を発生させる発振器としては、連続発光の固体レーザ又は気体レー
ザを用いる。連続発光のレーザを用いると、結晶欠陥が少なく、大粒径の多結晶半導体層
を用いて、トランジスタを作成することが可能となる。また移動度や応答速度が良好なた
めに高速駆動が可能で、従来よりも素子の動作周波数を向上させることができ、特性バラ
ツキが少ないために高い信頼性を得ることができる。なお、さらなる動作周波数の向上を
目的として、トランジスタのチャネル長方向とレーザ光の走査方向と一致させるとよい。
これは、連続発光レーザによるレーザ結晶化工程では、トランジスタのチャネル長方向と
レーザ光の基板に対する走査方向とが概ね並行(好ましくは−30°〜30°)であると
きに、最も高い移動度が得られるためである。なおチャネル長方向とは、チャネル形成領
域において、電流が流れる方向、換言すると電荷が移動する方向と一致する。このように
作製したトランジスタは、結晶粒がチャネル方向に延在する多結晶半導体層によって構成
される活性層を有し、このことは結晶粒界が概ねチャネル方向に沿って形成されているこ
とを意味する。
【0200】
レーザ結晶化を行うには、レーザ光の大幅な絞り込みを行うことが好ましく、そのビー
ムスポットの幅は、ドライバICの短辺の同じ幅の1〜3mm程度とすることがよい。ま
た、被照射体に対して、十分に且つ効率的なエネルギー密度を確保するために、レーザ光
の照射領域は、線状であることが好ましい。但し、ここでいう線状とは、厳密な意味で線
を意味しているのではなく、アスペクト比の大きい長方形もしくは長楕円形を意味する。
例えば、アスペクト比が2以上(好ましくは10〜10000)のものを指す。このよう
に、レーザ光のビームスポットの幅をドライバICの短辺と同じ長さとすることで、生産
性を向上させた表示装置の作製方法を提供することができる。
【0201】
図30(A)、(B)のように走査線駆動回路及び信号線駆動回路の両方として、ドラ
イバICを実装してもよい。その場合には、走査線側と信号線側で用いるドライバICの
仕様を異なるものにするとよい。
【0202】
画素領域は、信号線と走査線が交差してマトリクスを形成し、各交差部に対応してトラ
ンジスタが配置される。本発明は、画素領域に配置されるトランジスタとして、非晶質半
導体又はセミアモルファス半導体をチャネル部としたTFTを用いることを特徴とする。
非晶質半導体は、プラズマCVD法やスパッタリング法等の方法により形成する。セミア
モルファス半導体は、プラズマCVD法で300℃以下の温度で形成することが可能であ
り、例えば、外寸550×650mmの無アルカリガラス基板であっても、トランジスタを
形成するのに必要な膜厚を短時間で形成するという特徴を有する。このような製造技術の
特徴は、大画面の表示装置を作製する上で有効である。また、セミアモルファスTFTは
、SASでチャネル形成領域を構成することにより1〜15cm2/V・secの電界効
果移動度を得ることができる。また本発明を用いると、パターンを所望の形状に制御性よ
く形成することができるので、このようなチャネル長が短い細い配線も断線することなく
安定的に形成することができる。画素を十分機能させるのに必要な電気特性を有するTF
Tを形成できる。従って、このTFTを画素のスイッチング用素子や、走査線側の駆動回
路を構成する素子として用いることができる。従って、システムオンパネル化を実現した
表示パネルを作製することができる。
【0203】
半導体層をSASで形成したTFTを用いることにより、走査線側駆動回路も基板上に
一体形成することができ、半導体層をASで形成したTFTを用いる場合には、走査線側
駆動回路及び信号線側駆動回路の両方をドライバICを実装するとよい。
【0204】
その場合には、走査線側と信号線側で用いるドライバICの仕様を異なるものにするこ
とが好適である。例えば、走査線側のドライバICを構成するトランジスタには30V程
度の耐圧が要求されるものの、駆動周波数は100kHz以下であり、比較的高速動作は
要求されない。従って、走査線側のドライバを構成するトランジスタのチャネル長(L)
は十分大きく設定することが好適である。一方、信号線側のドライバICのトランジスタ
には、12V程度の耐圧があれば十分であるが、駆動周波数は3Vにて65MHz程度で
あり、高速動作が要求される。そのため、ドライバを構成するトランジスタのチャネル長
などはミクロンルールで設定することが好適である。
【0205】
ドライバICの実装方法は、特に限定されるものではなく、公知のCOG方法やワイヤ
ボンディング方法、或いはTAB方法を用いることができる。
【0206】
ドライバICの厚さは、対向基板と同じ厚さとすることで、表示装置全体としての薄型
化に寄与する。また、それぞれの基板を同じ材質のもので作製することにより、この表示
装置に温度変化が生じても熱応力が発生することなく、TFTで作製された回路の特性を
損なうことはない。その他にも、本実施形態で示すようにICチップよりも長尺のドライ
バICで駆動回路を実装することにより、1つの画素領域に対して、実装されるドライバ
ICの個数を減らすことができる。
【0207】
以上のようにして、発光表示パネルに駆動回路を組み入れることができる。
【0208】
(実施の形態9)
本実施の形態で示す表示パネルの画素の構成について、図32に示す等価回路図を参照
して説明する。
【0209】
図32(A)に示す画素は、列方向に信号線410及び電源線411、電源線412、
電源線413、行方向に走査線414が配置される。また、スイッチング用TFTである
TFT401、駆動用TFTであるTFT403、電流制御用TFTであるTFT404
、容量素子402及び発光素子405を有する。
【0210】
図32(C)に示す画素は、TFT403のゲート電極が、行方向に配置された電源線
415に接続される点が異なっており、それ以外は図32(A)に示す画素と同じ構成で
ある。つまり、図32(A)(C)に示す両画素は、同じ等価回路図を示す。しかしなが
ら、列方向に電源線412が配置される場合(図32(A))と、行方向に電源線415
が配置される場合(図32(C))では、各電源線は異なるレイヤーの導電体層で形成さ
れる。ここでは、駆動用TFT403のゲート電極が接続される配線に注目し、これらを
作製するレイヤーが異なることを表すために、図32(A)(C)として分けて記載する

【0211】
図32(A)(C)に示す画素の特徴として、画素内にTFT403、TFT404が
直列に接続されており、TFT403のチャネル長L3、チャネル幅W3、TFT404の
チャネル長L4、チャネル幅W4は、L3/W3:L4/W4=5〜6000:1を満たすよう
に設定される点が挙げられる。5〜6000:1を満たす場合の一例としては、L3が5
00μm、W3が3μm、L4が3μm、W4が100μmの場合がある。本発明を用いる
と、パターンを所望の形状に制御性よく形成することができるので、このようなW3を3
μmとするような細い配線も断線することなく安定的に形成することができる。よって、
図32(A)(C)のような画素を十分機能させるのに必要な電気特性を有するTFTを
形成でき、表示能力の優れた信頼性の高い表示パネルを作製することが可能となる。
【0212】
なお、TFT403は、飽和領域で動作し発光素子405に流れる電流値を制御する役
目を有し、TFT404は線形領域で動作し発光素子405に対する電流の供給を制御す
る役目を有する。両TFTは同じ導電型を有していると作製工程上好ましい。またTFT
403には、エンハンスメント型だけでなく、ディプリーション型のTFTを用いてもよ
い。上記構成を有する本発明は、TFT404が線形領域で動作するために、TFT40
4のVGSの僅かな変動は発光素子405の電流値に影響を及ぼさない。つまり、発光素子
405の電流値は、飽和領域で動作するTFT403により決定される。上記構成を有す
る本発明は、TFTの特性バラツキに起因した発光素子の輝度ムラを改善して画質を向上
させた表示装置を提供することができる。
【0213】
図32(A)〜(D)に示す画素において、TFT401は、画素に対するビデオ信号
の入力を制御するものであり、TFT401がオンして、画素内にビデオ信号が入力され
ると、容量素子402にそのビデオ信号が保持される。なお図32(A)(C)には、容
量素子402を設けた構成を示したが、本発明はこれに限定されず、ビデオ信号を保持す
る容量をゲート容量などでまかなうことが可能な場合には、明示的に容量素子402を設
けなくてもよい。
【0214】
発光素子405は、2つの電極間に電界発光層が挟まれた構造を有し、順バイアス方向
の電圧が印加されるように、画素電極と対向電極の間(陽極と陰極の間)に電位差が設け
られる。電界発光層は有機材料や無機材料等の広汎に渡る材料により構成され、この電界
発光層におけるルミネッセンスには、一重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(蛍光
)と、三重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(リン光)とが含まれる。
【0215】
図32(B)に示す画素は、TFT406と走査線416を追加している以外は、図3
2(A)に示す画素構成と同じである。同様に、図32(D)に示す画素は、TFT40
6と走査線416を追加している以外は、図32(C)に示す画素構成と同じである。
【0216】
TFT406は、新たに配置された走査線416によりオン又はオフが制御される。T
FT406がオンになると、容量素子402に保持された電荷は放電し、TFT404が
オフする。つまり、TFT406の配置により、強制的に発光素子405に電流が流れな
い状態を作ることができる。従って、図32(B)(D)の構成は、全ての画素に対する
信号の書き込みを待つことなく、書き込み期間の開始と同時又は直後に点灯期間を開始す
ることができるため、デューティ比を向上することが可能となる。
【0217】
図32(E)に示す画素は、列方向に信号線450、電源線451、電源線452、行
方向に走査線453が配置される。また、スイッチング用TFT441、駆動用TFT4
43、容量素子442及び発光素子444を有する。図32(F)に示す画素は、TFT
445と走査線454を追加している以外は、図32(E)に示す画素構成と同じである
。なお、図32(F)の構成も、TFT445の配置により、デューティ比を向上するこ
とが可能となる。
【0218】
以上のように、本発明を用いると、配線等のパターンを形成不良を生じることなく制
御性よく安定して形成することが出来るので、TFTに高い電気的特性や信頼性をも付与
することができ、使用目的に合わせて画素の表示能力を向上するための応用技術にも十分
対応できる。
【0219】
(実施の形態10)
走査線側入力端子部と信号線側入力端子部とに保護ダイオードを設けた一態様について
図24を参照して説明する。図24において画素2702にはTFT501、TFT50
2、容量素子504、発光素子503が設けられている。このTFTは実施の形態2と同
様な構成を有している。
【0220】
信号線側入力端子部には、保護ダイオード561と保護ダイオード562が設けられて
いる。この保護ダイオードは、TFT501若しくはTFT502と同様な工程で作製さ
れ、ゲートとドレイン若しくはソースの一方とを接続することによりダイオードとして動
作させている。図24で示す上面図の等価回路図を図23に示している。
【0221】
保護ダイオード561は、ゲート電極層、半導体層、配線層から成っている。保護ダイ
オード562も同様な構造である。この保護ダイオードと接続する共通電位線554、共
通電位線555はゲート電極層と同じ層で形成している。従って、配線層と電気的に接続
するには、ゲート絶縁層にコンタクトホールを形成する必要がある。
【0222】
ゲート絶縁層へのコンタクトホールは、マスク層を形成し、エッチング加工すれば良い
。この場合、大気圧放電のエッチング加工を適用すれば、局所的な放電加工も可能であり
、基板の全面にマスク層を形成する必要はない。
【0223】
信号配線層はTFT501、TFT502におけるソース配線層又はドレイン配線層5
05、ソース配線層又はドレイン配線層507と同じ層で形成され、それに接続している
信号配線層とソース又はドレイン側が接続する構造となっている。
【0224】
走査信号線側の入力端子部も同様な構成である。保護ダイオード563は、ゲート電極
層、半導体層、配線層から成っている。保護ダイオード564も同様な構造である。この
保護ダイオードと接続する共通電位線556、共通電位線557はソース配線層又はドレ
イン配線層と同じ層で形成している。入力段に設けられる保護ダイオードを同時に形成す
ることができる。なお、保護ダイオードを挿入する位置は、本実施の形態のみに限定され
ず、駆動回路と画素との間に設けることもできる。
【0225】
以上のように、本発明を用いると、配線等のパターンを形成不良を生じることなく制御
性よく安定して形成することが出来るので、保護回路を形成することで、配線等が複雑化
し、密に形成される場合であっても、ショートなどを生じることはない。また、広いマー
ジンを考慮する必要もないので、装置が小型化、薄型化しても十分に対応できる。よって
、高い電気的特性と信頼性を有する表示装置を作製することができる。
【0226】
(実施の形態11)
図22は、液滴吐出法により作製されるTFT基板2800を用いてEL表示モジュー
ルを構成する一例を示している。図22において、TFT基板2800上には、画素によ
り構成された画素部が形成されている。
【0227】
図22では、画素部の外側であって、駆動回路と画素との間に、画素に形成されたもの
と同様なTFT又はそのTFTのゲートとソース若しくはドレインの一方とを接続してダ
イオードと同様に動作させた保護回路部2801が備えられている。外部回路2809は
、単結晶半導体で形成されたドライバIC、ガラス基板上に多結晶半導体膜で形成された
スティックドライバIC、若しくはSASで形成された駆動回路などが適用されている。
【0228】
TFT基板2800は、液滴吐出法で形成されたスペーサ2806a、スペーサ280
6bを介して封止基板2820と固着されている。スペーサは、基板の厚さが薄く、また
画素部の面積が大型化した場合にも、2枚の基板の間隔を一定に保つために設けておくこ
とが好ましい。TFT2802、TFT2803とそれぞれ接続する発光素子2804、
発光素子2805上であって、TFT基板2800と封止基板2820との間にある空隙
には透光性の樹脂材料を充填して固体化しても良いし、無水化した窒素若しくは不活性気
体を充填させても良い。
【0229】
図22では発光素子2804、発光素子2805を上面放射型(トップエミッション型
)の構成とした場合を示し、図中に示す矢印の方向に光を放射する構成としている。各画
素は、画素を赤色、緑色、青色として発光色を異ならせておくことで、多色表示を行うこ
とができる。また、このとき封止基板2820側に各色に対応した着色層2807a、着
色層2807b、着色層2807cを形成しておくことで、外部に放射される発光の色純
度を高めることができる。また、画素を白色発光素子として着色層2807a、着色層2
807b、着色層2807cと組み合わせても良い。
【0230】
外部回路2809は、TFT基板2800の一端に設けられた走査線若しくは信号線接
続端子と、配線基板2810で接続される。また、TFT基板2800に接して若しくは
近接させて、ヒートパイプ2813と放熱板2812を設け、放熱効果を高める構成とし
ても良い。
【0231】
なお、図22では、トップエミッションのELモジュールとしたが、発光素子の構成や
外部回路基板の配置を変えてボトムエミッション構造としても良い。トップエミッション
型の構成の場合、隔壁となる絶縁層を着色しブラックマトリクスとして用いてもよい。こ
の隔壁は液滴吐出法により形成することができ、ポリイミドなどの樹脂材料に、顔料系の
黒色樹脂やカーボンブラック等を混合させて形成すればよく、その積層でもよい。
【0232】
また、TFT基板2800において、画素部が形成された側にシール材や接着性の樹脂
を用いて樹脂フィルムを貼り付けた封止構造としてもよい。本実施の形態では、ガラス基
板を用いるガラス封止を示したが、樹脂による樹脂封止、プラスチックによるプラスチッ
ク封止、フィルムによるフィルム封止、など様々な封止方法を用いることができる。樹脂
フィルムの表面には水蒸気の透過を防止するガスバリア膜を設けておくと良い。フィルム
封止構造とすることで、さらなる薄型化及び軽量化を図ることができる。
【0233】
(実施の形態12)
本発明によって形成される表示装置によって、テレビジョン装置を完成させることがで
きる。表示パネルには、図29(A)で示すような構成として画素部のみが形成されて走
査線側駆動回路と信号線側駆動回路とが、図30(B)のようなTAB方式により実装さ
れる場合と、図30(A)のようなCOG方式により実装される場合と、図29(B)に
示すようにSASでTFTを形成し、画素部と走査線側駆動回路を基板上に一体形成し信
号線側駆動回路を別途ドライバICとして実装する場合、また図29(C)のように画素
部と信号線側駆動回路と走査線側駆動回路を基板上に一体形成する場合などがあるが、ど
のような形態としても良い。
【0234】
その他の外部回路の構成として、映像信号の入力側では、チューナで受信した信号のう
ち、映像信号を増幅する映像信号増幅回路と、そこから出力される信号を赤、緑、青の各
色に対応した色信号に変換する映像信号処理回路と、その映像信号をドライバICの入力
仕様に変換するためのコントロール回路などからなっている。コントロール回路は、走査
線側と信号線側にそれぞれ信号が出力する。デジタル駆動する場合には、信号線側に信号
分割回路を設け、入力デジタル信号をm個に分割して供給する構成としても良い。
【0235】
チューナで受信した信号のうち、音声信号は、音声信号増幅回路に送られ、その出力は
音声信号処理回路を経てスピーカに供給される。制御回路は受信局(受信周波数)や音量
の制御情報を入力部から受け、チューナや音声信号処理回路に信号を送出する。
【0236】
図35は液晶表示モジュールの一例であり、TFT基板2600と対向基板2601が
シール材2602により固着され、その間に画素部2603と液晶層2604が設けられ
表示領域を形成している。着色層2605はカラー表示を行う場合に必要であり、RGB
方式の場合は、赤、緑、青の各色に対応した着色層が各画素に対応して設けられている。
TFT基板2600と対向基板2601の外側には偏光板2606、偏光板2607、レ
ンズフィルム2613が配設されている。光源は冷陰極管2610と反射板2611によ
り構成され、回路基板2612は、駆動回路2608とフレキシブル配線基板2609に
よりTFT基板2600と接続され、コントロール回路や電源回路などの外部回路が組み
こまれている。
【0237】
表示モジュールを、図20に示すように、筐体2001に組みこんで、テレビジョン装
置を完成させることができる。図22のようなEL表示モジュールを用いると、ELテレ
ビジョン装置に、図35のような液晶表示モジュールを用いると液晶テレビジョン装置を
完成することができる。表示モジュールにより主画面2003が形成され、その他付属設
備としてスピーカ部2009、操作スイッチなどが備えられている。このように、本発明
によりテレビジョン装置を完成させることができる。
【0238】
また、図34に示すように、位相差板や偏光板を用いて、外部から入射する光の反射光
を遮断するようにしてもよい。図34はトップエミッション型の構成であり、隔壁となる
絶縁層3605を着色しブラックマトリクスとして用いている。この隔壁は液滴吐出法に
より形成することができ、ポリイミドなどの樹脂材料に、カーボンブラック等を混合させ
てもよく、その積層でもよい。液滴吐出法によって、異なった材料を同領域に複数回吐出
し、隔壁を形成してもよい。本実施の形態では、顔料系の黒色樹脂を用いる。位相差板3
603、位相差板3604としてはλ/4板とλ/2板を用い、光を制御できるように設
計すればよい。構成としては、順にTFT基板2800、発光素子2804、封止基板(封
止材)2820、位相差板3603、位相差板3604(λ/4板、λ/2板)、偏光板
3602となり、発光素子から放射された光は、これらを通過し偏光板側より外部に放射
される。この位相差板や偏光板は光が放射される側に設置すればよく、両面放射される両
面放射型の表示装置であれば両方に設置することもできる。また、偏光板の外側に反射防
止膜3601を有していても良い。これにより、より高繊細で精密な画像を表示すること
ができる。
【0239】
図20に示すように、筐体2001に表示素子を利用した表示用パネル2002が組み
こまれ、受信機2005により一般のテレビ放送の受信をはじめ、モデム2004を介し
て有線又は無線による通信ネットワークに接続することにより一方向(送信者から受信者
)又は双方向(送信者と受信者間、又は受信者間同士)の情報通信をすることもできる。
テレビジョン装置の操作は、筐体に組みこまれたスイッチ又は別体のリモコン装置200
6により行うことが可能であり、このリモコン装置にも出力する情報を表示する表示部2
007が設けられていても良い。
【0240】
また、テレビジョン装置にも、主画面2003の他にサブ画面2008を第2の表示
用パネルで形成し、チャネルや音量などを表示する構成が付加されていても良い。この構
成において、主画面2003を視野角の優れたEL表示用パネルで形成し、サブ画面を低
消費電力で表示可能な液晶表示用パネルで形成しても良い。また、低消費電力化を優先さ
せるためには、主画面2003を液晶表示用パネルで形成し、サブ画面をEL表示用パネ
ルで形成し、サブ画面は点滅可能とする構成としても良い。本発明を用いると、このよう
な大型基板を用いて、多くのTFTや電子部品を用いても、信頼性の高い表示装置とする
ことができる。
【0241】
本発明を用いたことにより、工程が簡略化し、1辺が1000mmを超える第5世代以
降のガラス基板を用いても、容易に表示パネルを製造することができる。
【0242】
本発明により、所望なパターンを制御性よく形成でき、材料のロスも少なく、コストダ
ウンも達成できる。よって本発明を用いたテレビジョン装置では、大画面の表示部を有し
ても低いコストで形成でき、薄型で配線等が精密化しても形成不良が生じない。よって高
性能、高信頼性のテレビジョン装置を歩留まりよく作製することができる。
【0243】
勿論、本発明はテレビジョン装置に限定されず、パーソナルコンピュータのモニタをは
じめ、鉄道の駅や空港などにおける情報表示盤や、街頭における広告表示盤など大面積の
表示媒体としても様々な用途に適用することができる。
【0244】
(実施の形態13)
本発明を適用して、様々な表示装置を作製することができる。即ち、それら表示装置を
表示部に組み込んだ様々な電子機器に本発明を適用できる。
【0245】
その様な電子機器としては、ビデオカメラ、デジタルカメラ、プロジェクター、ヘッド
マウントディスプレイ(ゴーグル型ディスプレイ)、カーナビゲーション、カーステレオ
、パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電
話または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile
Disc(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを備えた装置
)などが挙げられる。それらの例を図21に示す。
【0246】
図21(A)は、ノート型パーソナルコンピュータであり、本体2101、筐体210
2、表示部2103、キーボード2104、外部接続ポート2105、ポインティングマ
ウス2106等を含む。本発明は、表示部2103の作製に適用される。本発明を用いる
と、小型化し、配線等が精密化しても、信頼性の高い高画質な画像を表示することができ
る。
【0247】
図21(B)は記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDVD再生装置)であり、
本体2201、筐体2202、表示部A2203、表示部B2204、記録媒体(DVD
等)読み込み部2205、操作キー2206、スピーカー部2207等を含む。表示部A
2203は主として画像情報を表示し、表示部B2204は主として文字情報を表示する
が、本発明は、これら表示部A2203、表示部B2204の作製に適用される。本発明
を用いると、小型化し、配線等が精密化しても、信頼性の高い高画質な画像を表示するこ
とができる。
【0248】
図21(C)は携帯電話であり、本体2301、音声出力部2302、音声入力部23
03、表示部2304、操作スイッチ2305、アンテナ2306等を含む。本発明によ
り作製される表示装置を表示部2304に適用することで、小型化し、配線等が精密化す
る携帯電話であっても、信頼性の高い高画質な画像を表示できる。
【0249】
図21(D)はビデオカメラであり、本体2401、表示部2402、筐体2403、
外部接続ポート2404、リモコン受信部2405、受像部2406、バッテリー240
7、音声入力部2408、操作キー2409、接眼部2410等を含む。本発明は、表示
部2402に適用することができる。本発明により作製される表示装置を表示部2402
に適用することで、小型化し、配線等が精密化するビデオカメラであっても、信頼性の高
い高画質な画像を表示できる。本実施の形態は、上記の実施の形態と自由に組み合わせる
ことができる。
【実施例1】
【0250】
本実施例では、本発明の効果を実験結果にもとづき説明する。
【0251】
実施の形態1で説明したように、被形成領域にマスクを形成した。マスクは、ポリイ
ミドを用い、液滴吐出法によって基板上に材料を吐出して形成した。マスクを用いて、基
板をぬれ性の低い物質を用いて低ぬれ性化した。ぬれ性の低い物質としてFASを用い、
溶媒のオクタノールで希釈して塗布した。その後先に形成したマスクを除去した。以上の
工程により、基板上に低ぬれ性領域と高ぬれ性領域とが形成され、被形成領域におけるぬ
れ性に差が生じた。
【0252】
高ぬれ性領域から、低ぬれ性領域にわたって境界をまたぐように、液滴吐出法によっ
て銀の導電性材料を含む組成物を吐出し、銀配線を形成した。描画するドットピッチは6
0μmであり、ドットピッチとは1ドットで移動する距離をあらわす。低ぬれ性領域に吐
出された銀を含む組成物は、被形成領域のぬれ性の違いにより、低ぬれ性領域に安定せず
、低ぬれ性領域と高ぬれ性領域とが接する境界から、高ぬれ性領域に一部流動した。銀の
導電性材料を含む組成物に対するぬれ性が低い低ぬれ性領域では、銀の導電性材料を含む
組成物ははじかれるため、組成物は固着せず、より安定性の高い高ぬれ性領域へ流動して
しまったからである。結果、図40で示すように、低ぬれ性領域上に形成される銀配線は
、細線化し、膜厚400nm、幅50〜55μm、長さ1mmで安定して形成された。よ
って、本発明により、細線化した配線を自由に形成することができることが確認できた。
【0253】
比較例として、本発明を用いず同様に銀配線を形成した例を示す。比較例は、被形成領
域全面を低ぬれ性化処理し、低ぬれ性領域とした。よって、被形成領域はぬれ性の均一な
領域である。そのぬれ性が均一な領域上に、同様に銀の導電性材料を含む組成物を吐出し
、銀配線を形成した。図41(A)、(B)にその結果を示す。図41(A)、(B)は
吐出量が異なっており、図41(A)がドットピッチ60μm、(B)がドットピッチ5
0μmである。
【0254】
実施例においては、安定した銀配線を形成することができたドットピッチ60μmの
銀配線は、比較例においては、図41(A)に示すように断線が生じた。吐出量が多いド
ットピッチ50μmの比較例の銀配線は、断線は生じなかったが、配線にバルジとよばれ
る液だまりによる膨らみが生じてしまった。また比較例の膜厚は、900nmであった。
このように、本発明を用いなかった比較例においては、いずれも配線に断線や液だまりに
よる形状不良が生じてしまい、安定した細い配線を形成することはできなかった。
【0255】
以上のように、本発明により、安定した細いパターンが形成することができることが
確認できた。
【実施例2】
【0256】
本実施例では、本発明を用いたパターンの例を実験結果にもとづき説明する。
【0257】
実施例1と同様に、本発明を用いてパターンを3種類形成した。図42乃至図44に
それぞれの光学顕微鏡写真(A)、図42乃至図44(A)の線O−Pにおける断面概念
図(B)、図42乃至図44(A)の各線1−1乃至1−7、2−1乃至2−4、3−1
乃至3−4における膜厚分布(C)を示す。いずれも、紙面向かって左側のパターンが幅
広に形成されている領域が、パターン形成材料を含む組成物に対してぬれ性の高い領域(
高ぬれ性領域)であり、紙面向かって右側のパターンが細線状に形成されている領域が、
当該組成物に対してぬれ性が低い領域(低ぬれ性領域)となっている。パターン形成材料
を含む組成物は、このぬれ性が異なる領域にまたがるように吐出され、そのぬれ性の違い
から生じる一部の組成物の流動工程を経て、図42乃至図44に示すパターン形状に安定
した。
【0258】
図42、図43におけるパターンは、銀を導電性材料として含む組成物を吐出し、形
成した銀配線である。ドットピッチは、60μmであり大気中で形成した。図44におけ
るパターンは、ポリビニルアルコールを含む組成物を吐出し、形成したパターンである。
ドットピッチは、70μmで、大気中で形成した。
【0259】
図42に示す銀配線は、1−1乃至1−7の領域における膜厚分布は、図42(C)
で示す測定結果である。図42(C)の横軸は測定領域であり、縦軸がパターンの膜厚と
なっている。示されている膜厚値は、各膜厚分布の最大値であるが、膜厚分布が複数の凸
部を有する形状の場合、各凸部の最大値のおよそ平均値としている。この膜厚分布からも
、1−1における高ぬれ性領域では、幅広の膜厚分布を示しており、1−2乃至1−7に
おける低ぬれ性領域では、線幅の狭い膜厚分布を示している。よって本発明を用いると、
所望の細さの細線が、断線等の不良を生じることなく信頼性高く安定して形成できること
が確認できた。
【0260】
図42の銀配線の膜厚方向の形状について考察する。図42(C)の膜厚測定より、
ほぼ銀配線の中央部である最大値を測定した結果、1−1では580nm、1−2では3
50nm、1−3では350nm、1−4では260nm、1−5では260nm、1−
6では240nm、1−7では310nmとなった。この結果より図42(A)の線O−
Pにおける断面概略図を表すと、図42(B)のようになった。
【0261】
図42(B)で示すように、線O-Pにおける断面の膜厚分布の傾向として、高ぬれ性領
域から離れるに従い、低ぬれ性領域の膜厚は厚くなる傾向がみられる。この要因としては
、高ぬれ性領域から遠ざかるに従い、パターン形成材料を含む組成物が、低ぬれ性領域へ
流動しにくくなることがあげられる。低ぬれ性領域に吐出された組成物は、ぬれ性の違い
により、高ぬれ性領域に流動するが、高ぬれ性領域までの距離が長いと、流動中に、溶媒
等の乾燥により流動性が失われ、低ぬれ性領域に組成物が留まる可能性があるからである

【0262】
また、高ぬれ性領域のパターンの方が、低ぬれ性領域のパターンより膜厚が厚く(も
しくは同程度)なる傾向がみられる。この要因としては、高ぬれ性領域に流動したパター
ン形成材料を含む組成物が、その組成物の表面張力により凝集することで高ぬれ性領域で
の膜厚が厚くなることがあげられる。
【0263】
なお、図42のように、高ぬれ性領域のパターンの方が、低ぬれ性領域のパターンよ
り膜厚が厚い場合、低ぬれ性領域に高ぬれ性領域から遠ざかるに従い膜厚が薄くなる領域
が存在する傾向がみられる。つまり、高ぬれ性領域と低ぬれ性領域の境界付近の膜厚変化
は、断続的ではなく、境界をまたいで緩やかに連続的に変化していた。この変化は、高ぬ
れ性領域に流動した組成物が、その境界付近で流動性を失い、形成したものと考えられる

【0264】
図43(C)の膜厚測定より、ほぼ銀配線の中央部である最大値を測定した結果、2
−1では270nm、2−2では260nm、2−3では380nm、2−4では400
nmとなった。この結果より図43(A)の線O−Pにおける断面概略図を表すと、図4
3(B)のようになった。図43に示す銀配線の形状は、図42で示す銀配線の形状と比
べて、高ぬれ性領域のパターンと、低ぬれ性領域のパターンの膜厚に差がなくほぼ同じで
ある。これは吐出量や各領域の面積の違いや、組成物が乾燥し、流動性を有しているのが
比較的短時間であり、十分に高ぬれ性領域に組成物が流動しなかった可能性がある。高ぬ
れ性領域から遠い低ぬれ性領域ではパターンの膜厚が厚くなっている傾向は、図42の銀
配線のパターンと同様である。
【0265】
図44に示すパターンは、ポリビニルアルコールを含む組成物からなるパターンであ
る。また、このパターンはシリコン膜上に形成した。図44(C)の膜厚測定より、ほぼ
パターンの中央部である最大値を測定した結果、3−1では900nm、3−2では45
0nm、3−3では640nm、3−4では780nmとなった。この結果より図44(
A)の線O−Pにおける断面概略図を表すと、図44(B)のようになった。このパター
ンにおいても、図42に示す銀配線と同様な傾向がみられた。しかし、このパターンにお
いては、高ぬれ性領域におけるパターンに領域3−1で示されるような凹部(くぼみ)が
形成された。また低ぬれ性領域における細線パターンにも図44(C)3−2、3−3、
3−4に示されるような凹部がみられた。
【0266】
以上のパターンの形状は、被形成領域におけるぬれ性の異なる領域の接触角の差や面積
、組成物の粘度、溶媒の揮発する速度など様々な要因によって影響を受けうる。よって、
パターンを形成する際、このような因子を適宜設計し、所望のパターンを形成すればよい
。本発明により、安定した、様々な細いパターンが形成することができることが確認でき
た。
【図面の簡単な説明】
【0267】
【図1】本発明を説明する図。
【図2】本発明を説明する図。
【図3】本発明の表示装置の作製方法を説明する図。
【図4】本発明の表示装置の作製方法を説明する図。
【図5】本発明の表示装置の作製方法を説明する図。
【図6】本発明の表示装置の作製方法を説明する図。
【図7】本発明の表示装置の作製方法を説明する図。
【図8】本発明の表示装置の作製方法を説明する図。
【図9】本発明の表示装置の作製方法を説明する図。
【図10】本発明の表示装置の作製方法を説明する図。
【図11】本発明の表示装置の作製方法を説明する図。
【図12】本発明の表示装置の作製方法を説明する図。
【図13】本発明の表示装置の作製方法を説明する図。
【図14】本発明の表示装置の作製方法を説明する図。
【図15】本発明の表示装置の作製方法を説明する図。
【図16】本発明の表示装置の作製方法を説明する図。
【図17】本発明の表示装置の作製方法を説明する図。
【図18】本発明の表示装置の作製方法を説明する図。
【図19】本発明の表示装置の断面図。
【図20】本発明が適用される電子機器を示す図。
【図21】本発明が適用される電子機器を示す図。
【図22】本発明のEL表示モジュールの構成例を説明する断面図。
【図23】図24で説明するEL表示パネルの等価回路図。
【図24】本発明のEL表示パネルを説明する上面図。
【図25】本発明のEL表示パネルにおいて走査線側駆動回路をTFTで形成する場合の回路構成を説明する図。
【図26】本発明のEL表示パネルにおいて走査線側駆動回路をTFTで形成する場合の回路構成を説明する図(シフトレジスタ回路)。
【図27】本発明のEL表示パネルにおいて走査線側駆動回路をTFTで形成する場合の回路構成を説明する図(バッファ回路)。
【図28】本発明に適用することのできる液滴吐出装置の構成を説明する図。
【図29】本発明の表示装置の上面図。
【図30】本発明の表示装置の上面図。
【図31】本発明の表示装置の作製方法を説明する図。
【図32】本発明のEL表示パネルに適用できる画素の構成を説明する回路図。
【図33】本発明の表示パネルを説明する上面図。
【図34】本発明のEL表示モジュールの構成例を説明する断面図。
【図35】本発明の液晶表示モジュールの構成例を説明する断面図。
【図36】本発明の表示装置の作製方法を説明する図。
【図37】本発明の表示装置の作製方法を説明する図。
【図38】本発明を説明する図。
【図39】本発明に適用することのできる液晶滴下注入法を説明する図。
【図40】本発明で作製した配線を示す図。
【図41】比較例で作製した配線を示す図。
【図42】本発明で作製した配線を示す図。
【図43】本発明で作製した配線を示す図。
【図44】本発明で作製したパターンを示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の領域及び第2の領域を形成し、
前記第2の領域から前記第1の領域にわたって導電性材料を含む組成物を吐出し、
前記第1の領域に吐出した前記組成物の一部を、前記第2の領域に流動させ、電極層を形成し、
前記組成物に対するぬれ性を、前記第1の領域より前記第2の領域が高くなるように形成することを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。
【請求項2】
第1の領域及び第2の領域を形成し、
前記第2の領域から前記第一の領域にわたって導電性材料を含む組成物を吐出し、
前記第1の領域に吐出した前記組成物の一部を、前記第2の領域に流動させ、電極層を形成し、
前記電極層に接して前記第2の領域に導電性材料を吐出し、配線層を形成し、
前記組成物に対するぬれ性を、前記第1の領域より前記第2の領域が高くなるように形成することを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。
【請求項3】
請求項2において、前記配線層をゲート配線層として形成することを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。
【請求項4】
被形成領域に選択的に光触媒物質を形成し、
前記被形成領域及び前記光触媒物質上に第1の領域を形成し、
前記光触媒物質に光を照射し、第2の領域を形成し、
前記第2の領域から前記第1の領域にわたって導電性材料を含む組成物を吐出し、
前記第1の領域に吐出した前記組成物の一部を、前記第2の領域に流動させ、電極層を形成し、
前記組成物に対するぬれ性は、前記第1の領域より前記第2の領域が高いことを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。
【請求項5】
請求項4において、前記光触媒物質として酸化チタンを形成することを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項において、フッ素炭素鎖を有する物質を形成することで、前記第1の領域を形成することを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、前記電極層をゲート電極層として形成することを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。
【請求項8】
第1の領域及び第2の領域を形成し、
前記第2の領域から前記第1の領域にわたってマスク形成材料を含む組成物を吐出し、
前記第1の領域に吐出した前記マスク形成材料を含む組成物の一部を、前記第2の領域に流動させ、マスクを形成し、
前記マスクを用いて前記第1の領域の一部を除去し、第3の領域を形成し、前記マスクを除去し第4の領域を形成し、
前記第3の領域から前記第4の領域をまたぐように導電性材料を含む組成物を吐出し、
前記第4の領域の前記導電性材料を含む組成物を前記第3の領域に流動させ、第1の電極層及び第2の電極層を形成し、
前記マスク形成材料を含む組成物に対するぬれ性は、前記第1の領域より前記第2の領域が高く、
前記導電性材料を含む組成物に対するぬれ性は、前記第4の領域より前記第3の領域が高いことを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。
【請求項9】
請求項8において、前記第1の電極層及び第2の電極層をソース電極層又はドレイン電極層として形成することを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。
【請求項10】
請求項8又は請求項10において、フッ素炭素鎖を有する物質を形成することで、前記第1の領域を形成することを特徴とする薄膜トランジスタの作製方法。
【請求項11】
第1の領域及び第2の領域を有する絶縁表面上に設けられた配線層と、前記配線層に接する電極層とを有し、
前記配線層は前記第2の領域に設けられ、
前記電極層は前記第1の領域に設けられ、
前記電極層及び前記配線層に対するぬれ性は、前記第1の領域より前記第2の領域が高いことを特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項12】
第1の領域及び第2の領域を有する絶縁表面上に設けられた配線層と、前記配線層に接する電極層とを有し、
前記配線層は前記第2の領域に設けられ、
前記電極層は前記第1の領域に設けられ、
前記電極層及び前記配線層に対するぬれ性は、前記第1の領域より前記第2の領域が高く、
前記電極層は、前記配線層より幅が細くかつ薄いことを特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項13】
第1の領域及び第2の領域を有する絶縁表面上に設けられたゲート配線層と、前記ゲート配線層に接するゲート電極層を含む薄膜トランジスタとを有し、
前記ゲート配線層は前記第2の領域に設けられ、
前記ゲート電極層は前記第1の領域に設けられ、
前記ゲート電極層及び前記ゲート配線層に対するぬれ性は、前記第1の領域より前記第2の領域が高いことを特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項14】
第1の領域及び第2の領域を有する絶縁表面上に設けられたゲート配線層と、前記ゲート配線層に接するゲート電極層を含む薄膜トランジスタとを有し、
前記ゲート配線層は前記第2の領域に設けられ、
前記ゲート電極層は前記第1の領域に設けられ、
前記ゲート電極層及び前記ゲート配線層に対するぬれ性は、前記第1の領域より前記第2の領域が高く、
前記ゲート電極層は、前記ゲート配線層より幅が細くかつ薄いことを特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項15】
第1の領域及び第2の領域を有する絶縁表面上に設けられたゲート配線層と、前記ゲート配線層に接するゲート電極層を含む薄膜トランジスタとを有する表示装置により表示画面を構成され、
前記ゲート配線層は前記第2の領域に設けられ、
前記ゲート電極層は前記第1の領域に設けられ、
前記ゲート電極層及び前記ゲート配線層に対するぬれ性は、前記第1の領域より前記第2の領域が高いことを特徴とするテレビジョン装置。
【請求項16】
第1の領域及び第2の領域を有する絶縁表面上に設けられたゲート配線層と、前記ゲート配線層に接するゲート電極層を含む薄膜トランジスタとを有する表示装置により表示画面を構成され、
前記ゲート配線層は前記第2の領域に設けられ、
前記ゲート電極層は前記第1の領域に設けられ、
前記ゲート電極層及び前記ゲート配線層に対するぬれ性は、前記第1の領域より前記第2の領域が高く、
前記ゲート電極層は、前記ゲート配線層より幅が細くかつ薄いことを特徴とするテレビジョン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【公開番号】特開2007−49178(P2007−49178A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−260877(P2006−260877)
【出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【分割の表示】特願2005−37192(P2005−37192)の分割
【原出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】