説明

CVD装置及び半導体装置の製造方法

【課題】ウェハー外周部から剥離した膜がカラーリングに異物として付着することを抑制できるCVD装置及び半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】高密度プラズマCVD装置は、成膜とエッチングを同時に又は繰り返して行うことで埋め込み性の高い膜をウェハー上に形成する高密度プラズマCVD装置であり、、ウェハー21が保持され、ウェハー21より径の小さい静電チャック2と、静電チャック2の側壁を囲むように設置されたカラーリング1bとを具備し、カラーリング1bは、静電チャック2の側壁に対向し且つウェハーの外周部の下方に位置する対向部40aを有し、対向部40aは静電チャックの側壁を囲むように形成されており、対向部40aにおける静電チャック2に対して外側は、前記ウェハーの外周部の最も外側の端部より内側に位置していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CVD装置及び半導体装置の製造方法に係わり、特にウェハー外周部から剥離した膜がカラーリングに異物として付着することを抑制できるCVD装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路は、微細化・高集積化が進み、パターンの微細化及び膜の薄膜化が加速されている。その為、微細パターンの段差形状部に埋め込み性の高いSiO膜を形成することが可能である高密度プラズマCVD装置(HDP.CVD装置)が用いられている。
【0003】
HDP.CVD装置は、チャンバー上部にプラズマの高周波発生源とガス導入ノズルを持つ。導入するガスにはSiH、O及びAr等を用い、これらのガスをRF(高周波)コイルを用いて低圧力条件下で誘電結合されたプラズマを発生させ、ウェハー上に供給する。ウェハーは、チャンバー下部に設置された静電チャック(ESC)に保持され、成膜時にはウェハー裏面を静電気によりチャックする。ESC表面には、Heガスの供給口が存在し、裏面にHeガスを流すことでウェハーを冷却しながらHDP膜の成膜処理を行う。
【0004】
図10(a)〜(d)は、HDP.CVD装置によるSiO膜の成膜処理を説明する為の断面図である。図10(a)に示すように、プラズマ化されたSiHとOを反応させることによって配線層30a,35,36上にSiO33を成膜する。それにより、配線層30a,35,36上にSiO膜32aを成膜している。また、図10(b)に示すように、同じくプラズマ化したAr34でSiO膜の一部32bをArエッチングする。次いで、図10(c)に示すように、SiO膜32a上に新しいSiO33を成膜することによりSiO膜32a上に新しいSiO膜32cを積層している。また、図10(d)に示すように、SiO膜の一部32dをAr34でエッチングしている。上記の成膜工程とエッチング工程を同時に又は繰り返し実施することによって高密度プラズマ酸化膜(SiO膜)を形成している。それによって、段差形状部に埋め込み性の高いSiO膜を形成することができる。
【0005】
上記については、高密度プラズマによってSiO33の堆積中にAr34によるエッチングが促進される。それにより、SiO33の堆積中のエッチングによって配線層30a,35,36の段差部に対するSiO33の堆積が遅延され、堆積された膜の間隙充填能力が増大する。
【0006】
図8(a)はHDP.CVD装置において、従来のウェハー保持部の平面図である。図8(a)に示すように、ウェハー保持部は主に静電チャック(ESC)2、静電チャックを囲むカラーリング1及びウェハーストッパー20があり、ウェハーを搬送するためのプッシャーピン3が静電チャック2に内蔵されている。ウェハーストッパ20は、ウェハー21が搬送され、静電チャック2によって固定されるまでにウェハーずれを防止する為に設けられている。また、カラーリング1はセラミックス製であり、プラズマや導入ガスから静電チャック2の側面を保護するために設置されている。
【0007】
【特許文献1】特開平10−12608号公報(段落0016〜0020)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図7、図8及び図9を用いて本発明が解決しようとする課題について説明する。
図9は、一般的なAl配線層の形成及びAl配線の埋め込み酸化膜を形成の工程を説明する為のプロセスフローであり、図7は図9に示すプロセスフローの概念図である。
【0009】
まず、配線層となるAlスパッタ膜を形成する工程において、ウェハー直径よりも小さいウェハー支持部のスパッタ装置を使用すると、図7(a)に示すように、Alスパッタ膜30がウェハー21の外周裏面にまわりこんで成膜される(S1)。
【0010】
その後、図7(b)に示すように、Alスパッタ膜30上にAl配線層を形成するためのレジストパターン31を形成する(S2)。次いで、図7(c)に示すように、レジストパターン31をマスクにしてAlスパッタ膜30をエッチングすることにより、Al配線層30aが形成される(S3)。この際に、この裏面にまわりこんだAlスパッタ膜は後工程のエッチングでも除去されず、Al膜の膜残り30bとなり、そのままHDP.CVD装置を使用する埋め込み酸化膜成膜工程まで状態を保持されてくる。
【0011】
次いで、図7(d)に示すように、レジストパターン31を剥離する(S4)。その後、図7(e)に示すように、Al配線30a上にHDP.CVD装置を使用して埋め込み酸化膜32を形成する(S5)。
【0012】
図8(b)は図8(a)に示す従来のウェハー保持部を説明するための断面図である。図8(b)に示すように、ウェハー保持部の静電チャック2は、ウェハー21の直径より小さい為、ウェハー21の端部及びその裏面が空間にはみ出た状態で成膜処理が行われる。このとき、Arエッチングの作用によって、ウェハー21の端部に存在するAl膜30bがエッチングされ、ウェハー21から剥離する。それにより、ウェハー外周部に設置される静電チャック2の保護の為のカラーリング1に付着し、異物30bとして堆積する。この異物30bは、ウェハー処理を繰り返し行うことにより、多く積層していく。
【0013】
上記のように、カラーリングに多く積層したAl付着物(異物)は、ウェハー表面での異物付着異常や、ウェハー搬送時に静電チャック上に異物が付着してしまうことで発生する搬送エラー及びウェハー処理中断といった問題を引き起こす要因となっている。それにより、安定した製品の生産ができなくなる。
【0014】
また、HDP.CVD装置使用前工程において、ウェハー外周部及びその裏面を洗浄もしくはエッチングして、Al生成物もしくはその他の付着物を洗い落とす方法がある。しかし、この方法は工程追加となり、洗浄装置の追加投資、製造コストの増加及び加工時間の増加を招くこととなる。さらに、外周部及びその裏面に付着したAl膜の異物もしくはその他の生成物をウェハー表面に影響を及ぼすことなく洗浄もしくはエッチングすることは、技術的に見ても非常に難しい問題となっている。
【0015】
本発明に係る幾つかの態様は、ウェハー外周部から剥離した膜がカラーリングに異物として付着することを抑制できるCVD装置及び半導体装置の製造方法である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するため、本発明に係る高密度プラズマCVD装置は、成膜とエッチングを同時に又は繰り返して行うことで埋め込み性の高い膜をウェハー上に形成する高密度プラズマCVD装置において、
前記ウェハーが保持され、前記ウェハーより径の小さい静電チャックと、
前記静電チャックの側壁を囲むように設置されたカラーリングと、
を具備し、
前記カラーリングは、前記静電チャックの側壁に対向し且つ前記ウェハーの外周部の下方に位置する対向部を有し、前記対向部は前記静電チャックの側壁を囲むように形成されており、
前記対向部における前記静電チャックに対して外側は、前記ウェハーの外周部の最も外側の端部より内側に位置していることを特徴とする。
【0017】
上記高密度プラズマCVD装置によれば、カラーリングの対向部を、静電チャックに保持されたウェハーの外周部の最も外側の端部より内側に位置し、前記静電チャックの側壁を囲むように形成している。それにより、前記ウェハーの外周部及びその裏面に付着した膜が、剥がれ落ちても前記カラーリングの上部に異物として付着することを抑制できる。
【0018】
また、本発明に係る固体撮像装置において、前記対向部の上端部には傾斜面が形成されていることも可能である。
【0019】
また、本発明に係る固体撮像装置において、前記対向部の上端部と前記ウェハーの裏面との間の隙間は、前記カラーリングを製造する際における寸法誤差を考慮した上で前記ウェハーと接触しない範囲で可能な限り小さくされていることも可能である。
【0020】
上記本発明に係る半導体装置の製造方法によれば、前記対向部の上端部と前記ウェハーの裏面との間の隙間を前記ウェハーと接触しない範囲で可能な限り小さくしている。それにより、ウェハー外周部及びその裏面から剥がれ落ちた異物がカラーリング上端部に付着するスペースが無くなる。その結果、パーティクル異常や搬送エラー異常が起こることなく、安定した生産を実現できる。
【0021】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、ウェハー外周部に膜が成膜された状態のウェハーを高密度プラズマCVD装置に導入し、前記高密度プラズマCVD装置によって成膜とエッチングを同時に又は繰り返して行うことで埋め込み性の高い膜を前記ウェハー上に形成する工程を有する半導体装置の製造方法において、
前記高密度プラズマCVD装置は、前記ウェハーが保持され、前記ウェハーより径の小さい静電チャックと、
前記静電チャックの側壁を囲むように設置されたカラーリングと、
を具備し、
前記カラーリングは、前記静電チャックの側壁に対向し且つ前記ウェハーの外周部の下方に位置する対向部を有し、前記対向部は前記静電チャックの側壁を囲むように形成されており、
前記対向部における前記静電チャックに対して外側は、前記ウェハーの外周部の最も外側の端部より内側に位置していることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図6は代表的なHDP.CVD装置を説明する為の模式図である。
図1(a)は図6に示すHDP.CVD装置におけるウェハー保持部の平面図であり、図1(b)は図1(a)に示すウェハー保持部においてカラーリングの構造を説明するための断面図である。
【0023】
HDP.CVD装置は図6に示すように、真空チャンバーの上部にプラズマの高周波電源(図示せず)を有しており、下部にバイアス電源(図示せず)及び静電チャック用の電源(図示せず)を有している。これらの電源はアースに設置されている。前記高周波電源によって本装置内に矢印5及び矢印7に示す方向に電流が流されており、前記バイアス電源によって本装置内に矢印10に示す方向に電流が流されている。また、HDP.CVD装置は静電チャック(ESC)2及び静電チャック2を囲むセラミックス製のカラーリング1aからなるウェハー保持部を有しており、静電チャック2に内蔵されているプッシャーピン3はウェハーの搬送を行う際に使用される。また、カラーリング1はセラミックスや石英のような絶縁体からなり、プラズマや成膜ガスから静電チャック(ESC)2の側面を保護している。また、前記バイアス電源及び前記静電チャック用の電源は一括した配線12によって静電チャック2に繋がっている。
【0024】
ウェハーは、チャンバー下部に設置された静電チャック(ESC)2に保持され、成膜時にはウェハー裏面を静電気によりチャックする。この際に、矢印11に示すように、電流を流すことによって静電気を発生させている。また、静電チャック(ESC)2表面には、Heガスの供給口が存在し、矢印8に示す経路にてウェハー裏面にHeガスを流すことでウェハーを冷却しながら成膜処理を行う。また、プラズマ発生によって真空チャンバー内及びウェハーの温度が上昇しないように、冷却剤によって装置内の温度調整を行っている。この際に、冷却剤にはエチレングレコール等を用いて、矢印4及び矢印9に示すように装置内に冷却剤を循環させている。
【0025】
成膜用の原料ガスは、制御バルブ及びマスフローコントローラー(MFC)を持つラインを介して、ガス導入ノズルより矢印6に示すように、真空チャンバー内に供給される。また、導入するガスにはSiH、O及びAr等を用い、これらのガスを高周波で誘電結合されたプラズマを発生させ、ウェハー上に供給する。
【0026】
図1(a)に示すウェハー保持部は、静電チャック(ESC)2及び静電チャック2を囲むようにセラミックス製のカラーリング1aが設置されている。成膜時に真空チャンバー内にウェハー21が搬送され、プッシャーピン3上にウェハー21を載せてウェハーの位置ずれの有無を検知しながら、静電チャック2上にウェハー21を固定する。成膜時にウェハー21が位置ずれするのを防止するため、カラーリング1a上にウェハストッパが設置されている。
【0027】
図1(b)は図1(a)に示すウェハー保持部においてカラーリングの構造を説明する為の断面図である。図1(b)に示すように、静電チャック2,2aを囲むように設置されているカラーリング1aは、従来のカラーリング(図8(b)参照)から一部を除去したものである。詳細には、カラーリング1aに組み込まれたウェハストッパ20は残し、さらに静電チャック2の側壁部に対向する部分を残し、その他の部分yを削りとっている。その為、カラーリング1aの上部でウェハー21の外周部と重なる部分は、削りとられた部分yの一部xだけ小さくなる。また、カラーリング1aの上部においては傾斜部13aが残る。
【0028】
つまり、カラーリング1aは、静電チャック2の側壁に対向し且つウェハー21の外周部の下方に位置する対向部40aを有し、この対向部40aは静電チャック2の側壁を囲むように形成されており、対向部40aにおける静電チャック2に対して外側41aは、ウェハー21の外周部の最も外側の端部より所定距離xだけ内側に位置している。
【0029】
次に、図1(a)及び(b)に示すウェハー保持部を有する図6のHDP.CVD装置を使用して、Al配線形成後に埋め込み酸化膜を形成することを説明する。ウェハー外周部及びその外周部裏面に成膜されたAl膜又はAl合金膜が残った状態のウェハーがHDP.CVD装置に入れられる。ウェハー保持部の静電チャック2は、ウェハー21の直径より小さい為、図1(b)に示すようにウェハー21の端部及びその裏面が空間にはみ出た状態で成膜処理が行われる。このとき、図10で説明したArエッチングの作用によって、ウェハー21の端部及びその裏面に存在するAl膜がエッチングされ、ウェハー21から剥離する。ウェハー21から剥離した異物はカラーリング1aに落下する。その際に、ウェハー21外周部の直下はカラーリング1aが削り取られている為、落下する間にウェハーの外側へ排気される。
【0030】
以上、本発明の第1の実施形態によれば、カラーリング1aの構造において上部に傾斜部13aを残して、削り取ることにより、ウェハー21の裏面とカラーリング1aの上部が重なる部分を極力小さくしている。その為、ウェハー21の外周部及びその裏面に付着した膜が、Arエッチングによって剥がれ落ちても、カラーリング1aの上部に異物として付着することを抑制でき、カラーリング1aに付着することなく排気することができる。それにより、異物がカラーリング上及び装置内に残留することを防止できる。その結果、パーティクル異常や搬送エラー異常が起こることなく、安定した生産を実現できる。
【0031】
次に、本発明の第2の実施形態について図2を参照しつつ説明し、第1の実施形態と異なる部分について説明する。図2はウェハー保持部においてカラーリングの構造を説明するための断面図である。
【0032】
図2に示すように、静電チャック2,2aを囲むように設置されているカラーリング1aは、従来のカラーリング(図8(b)参照)から一部を除去したものである。詳細には、カラーリング1bに組み込まれたウェハストッパ20は残し、さらに静電チャック2の側壁部に対向する部分を残し、その他の部分yを削りとっている。それにより、カラーリング1bの上部においては傾斜部が残り、第1の実施形態と同様の形状となる。さらに、傾斜部を削り進めることによって、傾斜部13bは、その傾斜面がチャンバーの外側を向き、且つ静電チャック側壁面に近い側に傾斜部の最上部が位置するような形状となる。
【0033】
カラーリング1bは、静電チャック2の側壁に対向し且つウェハー21の外周部の下方に位置する対向部40bを有し、この対向部40bは静電チャック2の側壁を囲むように形成されており、対向部40bにおける静電チャック2に対して外側41bは、ウェハー21の外周部の最も外側の端部より所定距離xだけ内側に位置している。
【0034】
図2に示すウェハー保持部を有する図6のHDP.CVD装置を使用して、Al配線形成後に埋め込み酸化膜を形成する工程の説明は、第1の実施形態と同様であるので省略する。
【0035】
以上、本発明の第2の実施形態においても第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、傾斜部13bの傾斜面を第1の実施形態と逆向きにしている。それにより、ウェハー外周部から異物が剥がれ落ちたときに、よりウェハーの外側へ排出することが可能となる。その結果、パーティクル異常や搬送エラー異常が起こることなく、安定した生産を実現できる。
【0036】
次に、本発明の第3の実施形態について図3を参照しつつ説明し、第1の実施形態と異なる部分について説明する。図3はウェハー保持部においてカラーリングの構造を説明するための断面図である。
【0037】
図3に示すように、静電チャック2,2aを囲むように設置されているカラーリング1cにおいて、既存のカラーリングを加工し直すのではなく、セラミックス製造段階で形状を変更する。カラーリング1cの上部はフラット面13cを有し、ウェハー裏面とカラーリング1cのフラット面13cとの間の隙間を極力小さくして形成している。この隙間は、カラーリングを製造する際における寸法誤差を考慮した上で前記ウェハーと接触しない範囲で可能な限り小さくする。カラーリング1cのその他の形状は、図2と同様である。
【0038】
カラーリング1cは、静電チャック2の側壁に対向し且つウェハー21の外周部の下方に位置する対向部40cを有し、この対向部40cは静電チャック2の側壁を囲むように形成されており、対向部40cにおける静電チャック2に対して外側41cは、ウェハー21の外周部の最も外側の端部より所定距離xだけ内側に位置している。
【0039】
図3に示すウェハー保持部を有する図6のHDP.CVD装置を使用して、Al配線形成後に埋め込み酸化膜を形成する工程の説明は、第1の実施形態と同様であるので省略する。
【0040】
以上、本発明の第3の実施形態においても第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、カラーリングのセラミックス製作段階において形状を変更している為、製作後に削り取る必要がない。また、カラーリング1cの上部はフラット面13cを有し、ウェハー裏面とカラーリング1cのフラット面13cとの間の隙間を極力小さくしている。それにより、ウェハー外周部の異物がカラーリング上端部に付着するスペースが無くなる。その結果、パーティクル異常や搬送エラー異常が起こることなく、安定した生産を実現できる。
【0041】
次に、本発明の第4の実施形態について図4を参照しつつ説明し、第1の実施形態と異なる部分について説明する。図4はウェハー保持部においてカラーリングの構造を説明するための断面図である。
【0042】
図4に示すように、静電チャック2,2aを囲むように設置されているカラーリング1dにおいて、既存のカラーリングを加工し直すのではなく、セラミックス製造段階で形状を変更する。カラーリング1dの上部には傾斜部13dを形成し、ウェハー裏面とカラーリング1cの上端部間にある隙間を極力小さくして形成している。さらに、カラーリング1dの上部に傾斜部13dを形成することにより、とカラーリング1dの上部に異物が付着するのをより抑制している。また、傾斜部13dの傾斜面はチャンバーの外側を向き、且つ静電チャック2の側壁面に近い側に傾斜部の最上部が位置している。カラーリング1dのその他の形状は、図3と同様である。
【0043】
カラーリング1dは、静電チャック2の側壁に対向し且つウェハー21の外周部の下方に位置する対向部40dを有し、この対向部40dは静電チャック2の側壁を囲むように形成されており、対向部40dにおける静電チャック2に対して外側41dは、ウェハー21の外周部の最も外側の端部より所定距離xだけ内側に位置している。
【0044】
以上、本発明の第4の実施形態においても第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0045】
次に、本発明の第5の実施形態について図5を参照しつつ説明し、第4の実施形態と異なる部分について説明する。図5はウェハー保持部においてカラーリングの構造を説明するための断面図である。
【0046】
図5に示すように、静電チャック2,2aを囲むように設置されているカラーリング1eは、静電チャック2と対向する部分の厚さが図4に示すカラーリング1dのそれに比べて薄く形成されている。その為、カラーリング1eの上部とウェハー21の裏面が重なる部分を図4に示すカラーリング1dのそれに比べて小さくすることができる。具体的には、図4に示すカラーリングに比べて「x−x」だけ小さくできる。
【0047】
詳細には、カラーリング1eは、静電チャック2の側壁に対向し且つウェハー21の外周部の下方に位置する対向部40eを有し、この対向部40eは静電チャック2の側壁を囲むように形成されており、対向部40eにおける静電チャック2に対して外側41eは、ウェハー21の外周部の最も外側の端部より所定距離xだけ内側に位置している。
【0048】
以上、本発明の第5の実施形態においても第4の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、静電チャック2の側壁部に対向するカラーリング1eの部分をさらに薄く形成することによって、よりウェハー21の外周部とカラーリング1eが重なる部分を小さくできる。
【0049】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】(a)は第1の実施形態に係るHDP.CVD装置におけるウェハー保持部の平面図。(b)は図1(a)に示すウェハー保持部においてカラーリングの構造を説明するための断面図。
【図2】第2の実施形態に係るウェハー保持部においてカラーリングの構造を説明するための断面図。
【図3】第3の実施形態に係るウェハー保持部においてカラーリングの構造を説明するための断面図。
【図4】第4の実施形態に係るウェハー保持部においてカラーリングの構造を説明するための断面図。
【図5】第5の実施形態に係るウェハー保持部においてカラーリングの構造を説明するための断面図。
【図6】第1の実施形態に係る代表的なHDP.CVD装置を説明する為の模式図。
【図7】従来の半導体装置の製造方法を説明する為の断面図。
【図8】(a)は従来のHDP.CVD装置におけるウェハー保持部の平面図。(b)は図8(a)に示すウェハー保持部においてカラーリングの構造を説明するための断面図。
【図9】従来の半導体装置の製造方法を説明する為のフローチャート。
【図10】従来の半導体装置の製造方法を説明する為の断面図。
【符号の説明】
【0051】
1,1a,1b,1c,1d,1e・・・カラーリング、2,2a・・・静電チャック(ESC)、3・・・プッシャーピン、4・・・冷却材(上部)、5,7・・・高周波電源(上部)、6・・・ガス導入ノズル、8・・・Heガスの供給口、9・・・冷却剤(下部)、10・・・バイアス電源、11・・・静電チャック用電源、12・・・下部電極に繋がる配線、20・・・ウェハストッパ、21・・・ウェハー、30,30a,35,36・・・配線層、30b・・・Al膜の膜残り、31・・・レジストパターン、32,32a,32b,32c,32d・・・SiO膜、33・・・SiO、34・・・Ar、13a,13b,13d,13e・・・傾斜部、13c・・・フラット面、x・・・所定距離、y・・・その他の部分、40a,40b,40c,40d,40e・・・対向部、41a,41b,41c,41d,41e・・・傾斜面の向き

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成膜とエッチングを同時に又は繰り返して行うことで埋め込み性の高い膜をウェハー上に形成する高密度プラズマCVD装置において、
前記ウェハーが保持され、前記ウェハーより径の小さい静電チャックと、
前記静電チャックの側壁を囲むように設置されたカラーリングと、
を具備し、
前記カラーリングは、前記静電チャックの側壁に対向し且つ前記ウェハーの外周部の下方に位置する対向部を有し、前記対向部は前記静電チャックの側壁を囲むように形成されており、
前記対向部における前記静電チャックに対して外側は、前記ウェハーの外周部の最も外側の端部より内側に位置していることを特徴とする高密度プラズマCVD装置。
【請求項2】
請求項1において、前記対向部の上端部には傾斜面が形成されていることを特徴とする高密度プラズマCVD装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記対向部の上端部と前記ウェハーの裏面との間の隙間は、前記カラーリングを製造する際における寸法誤差を考慮した上で前記ウェハーと接触しない範囲で可能な限り小さくされていることを特徴とする高密度プラズマCVD装置。
【請求項4】
ウェハー外周部に膜が成膜された状態のウェハーを高密度プラズマCVD装置に導入し、前記高密度プラズマCVD装置によって成膜とエッチングを同時に又は繰り返して行うことで埋め込み性の高い膜を前記ウェハー上に形成する工程を有する半導体装置の製造方法において、
前記高密度プラズマCVD装置は、前記ウェハーが保持され、前記ウェハーより径の小さい静電チャックと、
前記静電チャックの側壁を囲むように設置されたカラーリングと、
を具備し、
前記カラーリングは、前記静電チャックの側壁に対向し且つ前記ウェハーの外周部の下方に位置する対向部を有し、前記対向部は前記静電チャックの側壁を囲むように形成されており、
前記対向部における前記静電チャックに対して外側は、前記ウェハーの外周部の最も外側の端部より内側に位置していることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−1553(P2010−1553A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−163528(P2008−163528)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】