説明

ハイブリッド駆動装置の運転方法及び装置

【課題】低いエネルギー消費と特に低い排出とを可能にする自動車のハイブリッド駆動装置の運転方法及びその実施のための装置を提供する。
【解決手段】自動車のための駆動トルクを共に供給する、少なくとも一つの内燃機関(10)と少なくとも一つの電動モータ(11)を含んでいる、自動車のハイブリッド駆動装置の運転方法において、ハイブリッド駆動装置に対して少なくとも下方の出力閾値(P0)に対応する出力の要求がある場合には、内燃機関(10)が常に少なくとも近似的に全負荷で(60、61、62)運転される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のための駆動トルク或いは駆動出力を共に供給する、少なくとも一つの内燃機関と少なくとも一つの電動モータを含んでいる、自動車のハイブリッド駆動装置の運転方法、及びその方法を実施するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
DE 195 39 571 A1 から、内燃機関と電動モータが電気力学的変換器と結合されているハイブリッド駆動装置が知られている。電動モータを用いて内燃機関の回転数を引き上げ或いは引き下げることができる。これによって内燃機関を常に最大の効率を持つ回転数領域で運転することができる。
【0003】
DE 101 60 018 A1 から、一つのハイブリッド駆動装置が知られているが、この駆動装置ではハイブリッド駆動装置に対する瞬間出力要求に応じて、又ハイブリッド駆動装置の瞬間利用可能出力に応じて、内燃機関と電動モータとを協調制御することによって、瞬間要求出力を維持しながら内燃機関の最適回転数が設定される。
【0004】
DE 101 48 345 A1 から、一つのハイブリッド駆動装置が知られているが、この駆動装置では少なくとも一つの電動モータが効率的に最適な運転領域から、ハイブリッド駆動装置に対する出力要求に応じて、電動モータの迅速なトルク変更を行うことのできる運転状態へ移される。
【0005】
DE 101 60 480 A1 から、一つのハイブリッド駆動装置が知られているが、この駆動装置では、エネルギー消費、快適性、排出、及び走行挙動を最適化するために、自動車全体の機械的、電気的、及び熱的出力の影響を協調制御することが提案されている。特に個々のユニットの実際の運転状態に対応している運転特性値に基づいて、又ドライバーの意思に応じて、装備されているユニット複合体のための最適な運転状態が求められる。
【0006】
DE 102 03 064 A1 から、一つのハイブリッド駆動装置が知られているが、この駆動装置では、少なくとも一つの電動モータの運転ポイントが、自動車の前もって定められたトルク目標値と与えられた実際速度の下で、電気的エネルギー蓄積装置が関与しないままでいられるように、電動モータの機械的出力と電気的損失との和が本質的にゼロに等しくなるように選ばれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、自動車のための駆動トルクを共に供給する、少なくとも一つの内燃機関と少なくとも一つの電動モータを含んでいる、自動車のハイブリッド駆動装置の運転のための方法、及び、ハイブリッド駆動装置の低いエネルギー消費と特に低い排出とを可能にする、上記の方法の実施のための装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
自動車のハイブリッド駆動装置の運転のための本発明は、ハイブリッド駆動装置が、自動車のための駆動トルク或いは駆動出力を共に供給する、少なくとも一つの内燃機関と少なくとも一つの電動モータを含んでいることから出発している。本発明によれば、ハイブリッド駆動装置に対して少なくとも下方の出力閾値に対応する出力の要求がある場合に、内燃機関が常に少なくとも近似的に全負荷で運転されることが想定されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、一方では高い効率での内燃機関の運転を可能にするので、少ない燃料消費を達成することができる。他方では全負荷での内燃機関の運転によって、高められた排気ガス温度が生まれ、この温度が場合によっては排気ガス領域内に配置されている排気ガス浄化装置の加熱のために寄与するので、必要となる追加の加熱手段のためのエネルギーコストが小さくなるか或いは全く無くなることさえある。全負荷での内燃機関の運転の結果として生み出される、特に例えばすす粒子などの粒子の、増加した排気ガス未処理排出物がエネルギー的に効率的に除去されるので、全体としてハイブリッド駆動装置のエネルギー需要が低くなる。
【0010】
本発明の方法の実施のための装置は、この方法の実施のために作られた制御装置に係わっている。上記の制御装置では特に、ハイブリッド駆動装置に対して少なくとも下方の出力閾値に対応する出力の要求がある場合に、内燃機関が常に少なくとも近似的に全負荷で運転される。
【0011】
ハイブリッド駆動装置としては、少なくとも一つの内燃機関と少なくとも二つの電動モータを含んでおり、その際その内燃機関と二つの電動モータが無段階トランスミッションを介して互いに結合されている、出力分岐型のハイブリッド駆動装置を考えることができる。
【0012】
ハイブリッド駆動装置としては又、少なくとも一つの内燃機関と少なくとも一つの電動モータを含んでおり、無段階トランスミッションを有する並列型のハイブリッド駆動装置を考えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、内燃機関10及び電動モータ11を含む、詳しくは図示されていない自動車のハイブリッド駆動装置を示している。内燃機関10の吸気領域12には、エアセンサ13、スロットルバルブ14、及びコンプレッサ15が配置されている。
【0014】
内燃機関10の排気ガス領域20には、排気ガスタービン21、ラムダセンサ22、反応剤注入装置23、触媒24、二次エア送入装置25、並びに粒子フィルタ26が配置されている。図1に記入されている、排気ガスタービン21とコンプレッサ15との間の接続線は、それ等の二つの部分が互いに機械的に結合されていることを示している。それ等の部分は両者で一つの排気ガスターボチャージャを形成している。
【0015】
内燃機関10には、燃料計量装置30が備えられ、バッテリ31には充電状態測定装置32が備えられている。
制御装置40に対して、エアセンサ13はエア信号mlを、内燃機関10は内燃機関回転数NBkmを、ラムダセンサ22はラムダ信号lamを、電動モータ11は電動モータ回転数Nmotを、又充電状態測定装置32は充電状態信号SOCを送り込む。制御装置40には更に、トルク目標値MFaが送り込まれる。
【0016】
制御装置40は、スロットルバルブ14に対してスロットルバルブ信号drを、燃料計量装置30に対して内燃機関トルク信号MBkmを、排気ガスタービン21に対して制御信号Sを、反応剤注入装置23に対して反応剤注入信号mReaを、二次エア送入装置25に対して二次エア送入信号mSLを、並びに電動モータ11に対して電動モータトルク信号MEmotを送り込む。
【0017】
図2は、内燃機関回転数NBkmに対応した第一の出力双曲線P1を示しており、この出力双曲線P1は、上方の限界双曲線51に向けて一引き上げ量50だけ引き上げるか或いは下方の限界双曲線53に向けて一引き下げ量52だけ引き下げることができる。
【0018】
この第一の出力双曲線P1の上には第一の出力設定ポイント54が書き込まれているが、この第一の出力設定ポイント54は第二の出力設定ポイント55へ移動させることができる。
【0019】
更に、内燃機関回転数NBkmに対応した内燃機関10の全負荷領域60が書き込まれているが、この全負荷領域は、下方の全負荷限界61と上方の全負荷限界62とによって画定される。全負荷領域60は、内燃機関回転数NBkmの下方の回転数限界63の上で終わっている。
【0020】
ハッチを施されている第一の選択領域64は、上方の全負荷限界62、上方の限界双曲線51、下方の全負荷限界61、下方の限界双曲線53によって、又場合によっては下方の回転数限界63によって、画定される。
【0021】
内燃機関10の負荷状態は、少なくとも近似的に内燃機関トルクMBkmに対応しており、従ってこのトルクMBkmは、出力Pと並べて縦座標に示されている。
図3は、内燃機関トルクMBkmに対応した第二の出力双曲線P2を示している。図3で、図2に示されている部分と一致する部分にはそれぞれ同じ参照符号が付けられている。第二の出力双曲線P2の基礎となっている出力は、第一の出力双曲線P1のそれよりも小さい。出力の低下に基づいて第二の選択領域70が生成されるが、この領域70は、第一の選択領域64よりも小さくなっている。
【0022】
図4は、内燃機関トルクMBkmに対応した第三の出力双曲線の下方の出力閾値P0を示している。図4で、図2に示されている部分と一致する部分にはそれぞれ同じ参照符号が付けられている。下方の出力閾値P0の上にある第二の出力設定ポイント55は、内燃機関トルクMBkmの下方の回転数限界63で、下方の全負荷限界61と交わっている。図4には選択領域は現れていない。記入されている出力設定ポイント80は、下方の出力閾値P0の下側にある。
【0023】
本発明による機能様態は次の通りである。
図1に示されているハイブリッド駆動装置は共に、詳しくは示されていない自動車のための駆動トルク或いは駆動出力を供給する、少なくとも一つの内燃機関10と少なくとも一つの電動モータ11を含んでいる。一つの好ましい実施例では、少なくとも内燃機関10と少なくとも二つの電動モータ11とを含み、その際それ等の駆動装置が無段階トランスミッションを介して互いに結合されている出力分岐型のハイブリッド駆動装置が備えられている。そのような出力分岐型のハイブリッド駆動装置では、一つの電動モータが自動車の駆動のためのトルクを供給する一方、もう一つの電動モータがバッテリ充電のためのエネルギーを供給することができる。無段階トランスミッションによって個々の駆動装置の回転数寄与を無段階的に定めることができる。個々の駆動装置の自由選択的回転数寄与を実現するためのもう一つの手法は、冒頭で述べられた従来技術から知られているもので、それによれば、電動モータ11のローターが内燃機関10の駆動シャフトに配置されているステータと協働する。
【0024】
ハイブリッド駆動装置は、全体として、少なくとも近似的にアクセルペダル位置に対応している、自動車のドライバーによって要求されたトルク目標値MFaを供給しなければならない。定められた内燃機関回転数NBkmの下では、トルク目標値MFaは出力に対応している。それぞれ一定の出力のポイントは図2〜図3に示されている出力双曲線P1、P2或いは図4に示されている下方の出力閾値P0を生成する。
【0025】
本発明によれば、ハイブリッド駆動装置に対して、少なくとも図4に示されている下方の出力閾値P0に対応する出力の要求がある場合に、内燃機関10は常に少なくとも近似的に全負荷で運転されることが想定されている。内燃機関10の全負荷は、回転数に依存している最大トルクの特性曲線によって与えられる。最大トルクの代わりに、内燃機関10に対して送り込まれるピストンストローク当たりの最大許容燃料量或いはハイブリッド駆動装置又は内燃機関10のその他の運転特性値を考えることもできる。
【0026】
本発明に基づく手法の一つの有利な実施例では、内燃機関10の全負荷を変化させることができるということが考えられている。図2〜図4の基礎として用いられている実施例によれば、内燃機関10の全負荷は、下方と上方の全負荷限界61、62の間で変化することができるので、全負荷が全負荷領域60を画定する。
【0027】
全負荷を変化させるための、特にディーゼル機関に適している、第一の可能性は、ディーゼル機関10によって吸入されるエアの絞込みである。この絞込みは、吸気領域12内に配置され、制御装置40からスロットルバルブ信号drによって制御されるスロットル14を用いて行われる。
【0028】
全負荷60、61、62を変化させるための、同じく特にディーゼル機関に適している、追加の或いは代わりの可能性は、制御信号Sによる排気ガスタービン21の制御である。好ましくは、可変翼ジオメトリーを持つ排気ガスタービン21は、コンプレッサ15と共に可変圧縮力の排気ガスターボチャージャを形成している。
【0029】
原理的に内燃機関10の全負荷60、61、62は、追加として或いは代わりとして、変化によって燃料消費量に影響を与えることが可能である。燃料量は少なくとも近似的に、要求された内燃機関トルクMBkmに比例しているから、図1には、内燃機関トルクMBkmによる燃料計量装置30の制御が記入されている。
【0030】
一つの好ましい実施例によれば、空気量は、ラムダセンサ22によって測定される排気ガス中の空気過剰率ラムダが、少なくとも近似的に0.9から1.3までの値となるように定められる。このようにして調節される空気過剰率は、内燃機関10の燃焼室内での全負荷に類似した燃焼状態に対応している。
【0031】
ラムダ値が1.0を下回ると、排気ガス中の未燃焼燃料成分の割合の増加をもたらすが、これは様々な措置のために利用することができる。第一の措置は、排気ガス領域20内に備えられている少なくとも一つの触媒24及び/又は少なくとも一つの粒子フィルタ26の加熱である。この加熱は、燃料成分が排気ガス中に存在している残留酸素と特に触媒表面で発熱反応をするということによって実現される。そのような触媒面は、いずれにせよ触媒24の中に存在している。粒子フィルタ26は、対応する触媒面にコーティングすることができる。排気ガス領域20内における熱反応のための条件が十分である限り、未燃焼燃料成分は排気ガスの加熱に寄与し、これが間接的に触媒24及び/又は粒子フィルタ26を加熱する。
【0032】
空気過剰率ラムダを1よりも小さな値に設定するもう一つの目的は、排気ガス中の未燃焼燃料成分を、吸蔵型触媒として作られた触媒24の再生のために利用することができるという点にある。この場合、燃料成分は反応剤として働く。
【0033】
空気過剰率ラムダの設定の際には、特にディーゼル機関は大きな空気過剰率で運転されることが考慮されなければならない。空気過剰率ラムダを、少なくとも近似的に1.0に設定する際には、場合によっては粒子排出、特にすす粒子排出の著しい増加が覚悟されなければならない。それ故、空気過剰率ラムダは、1よりも大きく、例えば最大1.3までの値に設定することが得策である。
【0034】
本発明に基づく手法のとりわけ有利な一つの実施例は、空気過剰率ラムダを少なくとも近似的に0.97から1.05までの値に設定することを想定している。この比較的狭い空気過剰率ラムダの領域は、内燃機関10によって排出される未処理排出物を従来の三元触媒の中で無害の化合物に変換することを目指している。そのような三元触媒は、量産製品であり、従って比較的安価で入手することができる。0.97から1.05までの領域への空気過剰率ラムダの設定は、厳密にこの領域に限定されていると見なされるべきではない。この領域は、むしろその時々に用いられる三元触媒の変換ウィンドウに合わせて調整されるべきであり、従って場合によってはわずかに上又は下へ拡張することが必要となる。
【0035】
少なくとも近似的に0.97から1.05までへの空気過剰率ラムダの設定が、内燃機関10の排気ガス未処理排出物、特に粒子排出物に関して有効でなく、それ故より高いラムダに設定される場合でも、従来の三元触媒の助けを借りることができる。1.3という上記のラムダ値の限界値も又固定的に考えられるべきではなく、その時々の前提条件に応じて変えることができる。三元触媒の変換ウィンドウに合わせるための内燃機関の排気ガス中の空気過剰率ラムダは、エンジン内への或いは実施例に示されているエンジンの後方での反応剤の注入によって必要なレベルに合わせられなければならない。図示されている実施例では、反応剤の追加の注入のために反応剤注入装置23が備えられている。反応剤としては燃料が用いられている。注入は、制御装置40が反応剤注入信号mReaによって行われるが、その場合この注入信号が、例えば、詳しくは説明されていない注入弁の開口断面或いは注入圧を決定する。
【0036】
少なくとも近似的に全負荷60、61、62での内燃機関10の運転によって生じる、引き上げられた排気ガス温度は、粒子フィルタ26の加熱のために有利に利用される。この粒子フィルタ26は、粒子排出物の除去のために、特にディーゼル機関10の排気ガス領域20内に配置される。粒子付着段階の間は、何らの特別な措置は必要ない。粒子フィルタ26の再生は、粒子フィルタ内の温度を、例えば550℃〜650℃の値へ引き上げることによって行われる。この温度の下で発熱反応が始まり、その際に粒子が燃やされる。内燃機関10の排気ガス中の空気過剰率ラムダを、少なくとも近似的に1.0またはそれ以上の値に適切に設定することによって十分な酸素が利用できれば、反応は下方の温度限界に到達すると共に自動的にスタートする。場合によって、酸素を送り込むことが必要となる。そのために二次エア送入装置25が備えられており、この装置は、制御装置40によって二次エア送入信号mSLを用いて制御される。
【0037】
図2に示されている条件の下では、第一の出力双曲線P1の上で第一の出力設定ポイント54を、第二の出力設定ポイント55が全負荷領域60の中に来るように移動することが問題なく可能である。できれば、第二の出力設定ポイント55は少なくとも近似的に全負荷領域60の中央に置かれることが好ましい。この措置によって、内燃機関10の全負荷60、61、62は、下方の全負荷限界61からも上方の全負荷限界62からも可能最大距離によって簡単に調節することができるようになる。
【0038】
出力要求の変化は、必ずしも内燃機関10の全負荷60、61、62の新たな決定を意味しない。少なくとも一つの電動モータ11によって、第二の出力設定ポイント55を固定したまま出力の変更を行うことが可能となる。
【0039】
出力は引き上げ量50だけ引き上げることができるが、その際この最大引き上げ量50は、電動モータ11の可能最大出力に依存している。
できれば、少なくとも一つの電動モータ11は、例えばバッテリ31を充電するために、ジェネレータとして運転することができることが望ましい。電動モータ11は、この運転の間は出力を受け取るので、出力は第一の出力双曲線P1よりも引き下げ量51だけ引き下げられる。最大引き下げ量51は、電動モータ11の可能最大出力受取り量に依存している。
【0040】
第二の出力設定ポイント55を固定維持した場合には、少なくとも一つの電動モータ11の出力の変化によって、ハイブリッド駆動装置全体の作動ポイントは、第一の選択領域64の中にあり、この領域は、内燃機関10の上方の全負荷限界62、上方の限界双曲線51、内燃機関10下方の全負荷限界61、並びに下方の限界双曲線53によって画定される。追加として、内燃機関10の全負荷60、61、62の変化が許される場合には、第一の選択領域64はそれに応じて拡大或いは縮少される。
【0041】
第一の選択領域64の中では、内燃機関10と電動モータ11の出力需要全体に関して、及び/又は内燃機関10の燃料消費に関して、及び/又は内燃機関10の未処理排出物に関して、及び/又はバッテリ31の充電状態に関して、及び/又はバッテリ31の目標充放電回数或いは充放電深さに関して、最適化を行うことができる。
【0042】
バッテリ31の充電状態は、充電状態測定装置32によって常時測定され、充電状態信号SOCとして制御装置40に送られて利用される。
図3の基礎として用いられている実施例の場合には、ハイブリッド駆動装置に対する出力要求が図2の基礎となっている実施例の場合よりも小さい。それ故、第二の出力双曲線P2は、内燃機関10の選択可能な全負荷領域60から遠くに離れている。これによって、第二の選択領域70は、第一の選択領域64に対して全体として制限されている。この運転状況の下でも、ハイブリッド駆動装置全体の作動ポイントは、第二の選択領域70の中に定めることができる。できれば、内燃機関10の全負荷60、61、62は、この場合にも少なくとも近似的に下方と上方の全負荷限界61、62の間の中央に置かれることが望ましい。
【0043】
図4に示されている下方の出力閾値P0(これは第三の出力双曲線に等しい)は、下方の回転数限界63にある内燃機関10の下方の全負荷限界61と一つの交点しか持っていない。第一の出力設定ポイント54は、この運転状況の際には、第二の出力設定ポイント55に等しい交点に向かって移動して行くだけである。選択領域64、70は無い。内燃機関10の全負荷60、61、62の変化の可能性は、この運転状況の下では最早存在しない。
【0044】
図4に示されている実施例の場合には更に、下方の出力閾値P0の下側にある第三の出力設定ポイント80が書き込まれている。ハイブリッド駆動装置に対して、この第三の出力設定ポイント80の場合がそうであるように、下方の出力閾値P0の下側にある出力要求が出された場合には、内燃機関10は最早全負荷60、61、62で運転されることはできない。この状況の下では、少なくとも一つの電動モータ11の全駆動出力が準備される。本発明に基づく方法によって達成可能な、下方の全負荷限界61の下側での内燃機関10の運転による利点を諦めれば、この運転状況の下でも内燃機関10は出力に対する寄与を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に基づく方法が適用される技術内容を示す。
【図2】回転数と特性曲線との関係を示す。
【図3】回転数と特性曲線との関係を示す。
【図4】回転数と特性曲線との関係を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のための駆動トルクを共に供給する、少なくとも一つの内燃機関(10)と少なくとも一つの電動モータ(11)を含んでいる、自動車のハイブリッド駆動装置の運転方法において、
ハイブリッド駆動装置に対して少なくとも下方の出力閾値(P0)に対応する出力の要求がある場合には、内燃機関(10)が常に少なくとも近似的に全負荷で(60、61、62)運転されること、
を特徴とする自動車のハイブリッド駆動装置の運転方法。
【請求項2】
内燃機関(10)の全負荷(60、61、62)が変化されることを特徴とする請求項1に記載の運転方法。
【請求項3】
全負荷(60、61、62)が、吸気の絞込みによって決定されることを特徴とする請求項2に記載の運転方法。
【請求項4】
全負荷(60、61、62)が、排気ガスターボチャージャ(15、21)の制御によって決定されることを特徴とする請求項2に記載の運転方法。
【請求項5】
内燃機関(10)の排気ガス中の空気過剰率ラムダが、少なくとも近似的に0.9から1.3までの値に定められることを特徴とする請求項2に記載の運転方法。
【請求項6】
内燃機関(10)の排気ガス中の空気過剰率ラムダが、少なくとも近似的に0.97から1.05までの値に定められることを特徴とする請求項2に記載の運転方法。
【請求項7】
全負荷(60、61、62)が、少なくとも近似的に下方と上方の全負荷限界(61、62)の間の中央に決定されることを特徴とする請求項2に記載の運転方法。
【請求項8】
内燃機関(10)の排気ガス領域(20)に、触媒(24)及び粒子フィルタ(26)の少なくともいずれかが備えられることを特徴とする請求項1に記載の運転方法。
【請求項9】
内燃機関(10)の排気ガス中の空気過剰率ラムダが、少なくとも近似的に触媒(24)の最適変換領域に合わせて調整されていることを特徴とする請求項8に記載の運転方法。
【請求項10】
触媒(24)が吸蔵型触媒として作られていること、及び
内燃機関(10)の排気ガス中の空気過剰率ラムダが触媒(24)の再生のために必要な値に定められること、
を特徴とする請求項8に記載の運転方法。
【請求項11】
触媒(24)の手前の上流側に、反応剤或いは反応剤の出発物質、好ましくは燃料が注入されることを特徴とする請求項8に記載の運転方法。
【請求項12】
粒子フィルタ(26)の手前の上流側に、二次エアが吹き込まれることを特徴とする請求項8に記載の運転方法。
【請求項13】
下方の出力閾値(P0)の下側にある、ハイブリッド駆動装置に対する出力要求の場合に、要求された出力は、少なくとも一つの電動モータ(11)だけによって賄われることを特徴とする請求項1に記載の運転方法。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれかに記載の運転方法を実施するための少なくとも一つの制御装置(40)を備えたことを特徴とする自動車のハイブリッド駆動装置の運転装置。
【請求項15】
ハイブリッド駆動装置に対して少なくとも下方の出力閾値(P0)に対応する出力の要求がある場合に、制御装置(40)が、内燃機関(10)を常に少なくとも近似的に全負荷で(60、61、62)運転することを特徴とする請求項14に記載の運転装置。
【請求項16】
ハイブリッド駆動装置として、少なくとも一つの内燃機関(10)と少なくとも二つの電動モータ(11)を含んでおり、その内燃機関(10)と二つの電動モータ(11)が無段階トランスミッションを介して互いに結合されている、出力分岐型のハイブリッド駆動装置を備えたことを特徴とする請求項14に記載の運転装置。
【請求項17】
ハイブリッド駆動装置として、少なくとも一つの内燃機関(10)と少なくとも一つの電動モータ(11)とを含んでいる並列型のハイブリッド駆動装置が備えられ、トランスミッションとして、コンティニュアストランスミッションが備えられていることを特徴とする請求項14に記載の運転装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−507442(P2008−507442A)
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−521931(P2007−521931)
【出願日】平成17年6月14日(2005.6.14)
【国際出願番号】PCT/EP2005/052743
【国際公開番号】WO2006/010668
【国際公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(591245473)ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (591)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【Fターム(参考)】