説明

半導体装置および半導体集積回路装置

pチャネルMOSトランジスタおよびnチャネルMOSトランジスタの各々においてチャネル方向を<100>方向に設定し、STI型素子分離構造に、引っ張り応力を蓄積した第1の応力補償膜を形成し、さらにシリコン基板上に素子分離構造を覆うように引っ張り応力を蓄積した第2の応力補償膜を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は一般に半導体装置に係り、特にCMOS回路を含む超高速半導体装置に関する。
CMOS回路は高速論理回路の基本素子であり、今日では様々な超高速プロセッサに使われている。CMOS回路はp型MOSトランジスタとn型MOSトランジスタとを直列接続した構成を有しており、従ってCMOS回路の高速動作を実現するためには、p型MOSトランジスタとn型MOSトランジスタの各々が、同時に高速動作する必要がある。
【背景技術】
今日の超高速半導体装置では、微細化に伴いCMOS回路を構成するp型MOSトランジスタおよびn型MOSトランジスタのゲート長が0.1μm以下に縮小されており、ゲート長が90nmあるいは50nmのMOSトランジスタも試作がなされている。
このような超微細化トランジスタを含む半導体集積回路装置では、素子分離構造として、シリコン基板中に素子分離溝を形成し、これをシリコン酸化膜で充填する、いわゆるSTI型の素子分離構造が使われる。
図1は、STI構造を有する従来の典型的なCMOS素子10の構成を示す。
図1を参照するに、(100)面方位を有するシリコン基板11中にはSTI構造11Sにより、pチャネルMOSトランジスタの素子領域となるn型ウェル11NとnチャネルMOSトランジスタの素子領域となるp型ウェル11Pとが形成されており、前記n型ウェル11N中には、前記シリコン基板11表面にチャネル領域に対応してゲート電極13Pが、ゲート酸化膜12Pを介して、<110>方向に延在するように形成されている。また前記n型ウェル11N中には前記ゲート電極13Pの両側に、pチャネルMOSトランジスタを形成する一対のp型拡散領域11pが形成されている。
同様に前記p型ウェル11P中には、前記シリコン基板11表面にチャネル領域に対応してゲート電極13Nが、ゲート酸化膜12Nを介して<110>方向に延在するように形成されている。また前記p型ウェル11P中には前記ゲート電極13Nの両側に、nチャネルMOSトランジスタを形成する一対のn型拡散領域11nが形成されている。
図2A,2Bは(100)面方位を有するシリコン基板と、前記シリコン基板表面に形成されるゲート電極、さらにへき開面との関係を示す。このうち図2Aはオリエンテーションフラットが(110)面に設定され、ゲート電極が<110>方向に延在している場合を、図2Bはオリエンテーションフラットが(100)面に設定され、ゲート電極が<100>方向に延在している場合を示す。後で説明するが、ダイシングラインとへき開面との関係から、従来の半導体装置では、図1の構成も含めて、図2Aのゲート電極方位が一般に使われている。
このようなSTI型素子分離構造を形成する場合、素子分離溝はCVD法によりシリコン酸化膜を堆積することにより充填されるが、CVD法により形成したシリコン酸化膜は、成膜直後には欠陥や不純物を多く含んでおり、また膜密度も低いため、そのままの状態ではエッチング耐性が低く、効果的な素子分離を実現することができない。
このため、従来より、STI型素子分離構造では素子分離溝を充填するようにシリコン酸化膜を形成した後、これを約1000℃の温度で30秒間程度熱処理し、高品質なシリコン酸化膜に変換することが行われている。
ところがこのような熱処理により前記素子分離溝を充填するシリコン酸化膜11Sは矢印で示したように膨張し、その結果、隣接する素子領域、すなわちn型ウェル11Nあるいはp型ウェル11Pには圧縮応力が作用するようになる。
このような圧縮応力が生じても、従来の比較的微細化の程度が緩やかなMOSトランジスタでは、キャリアが高速で輸送されるゲート電極直下のチャネルと素子分離構造との間には充分に距離があるため、チャネル領域において作用する応力の値は比較的小さく、このため圧縮応力によるバンド構造の変化、およびこれに伴う移動度の低下など、特性の劣化は深刻な問題にはならなかった。
しかし、最近のゲート長が0.1μmあるいはそれ以下の超高速MOSトランジスタでは、高速動作を実現するために拡散領域11pあるいは11nの接合容量を低減する必要があり、またソース抵抗を低減するためにも、素子分離構造11Sとゲート電極13Pあるいは13Nとの間のソース・ドレイン幅SDを減少させる必要に迫られている。図1では前記ソース・ドレイン幅SDを、前記素子分離構造11Sの縁部と前記ゲート電極13Nの側壁絶縁膜との間の距離と規定しているが、側壁絶縁膜の膜厚はわずかなので、前記ソース・ドレイン幅SDは、前記素子分離構造11Sの縁部とこれに対応するゲート電極13Nの縁部との間の距離と考えてよい。
しかし、このようにソース・ドレイン幅SDを減少させると素子分離構造11Sがチャネル領域に接近し、チャネルに大きな圧縮応力が及ぶことになる。チャネルにこのような大きな圧縮応力が生じると、pチャネルトランジスタやnチャネルトランジスタの動作特性に様々な影響が生じる。
このような素子分離構造11Sによる圧縮応力の効果を補償するために、従来図3に示すような、応力補償膜を設けた構造を有するCMOS素子20が提案されている。ただし図2中、先に説明した部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
図3を参照するに、CMOS素子20は図1のCMOS素子10と同様な構成を有するが、前記シリコン基板11上に前記基板表面を前記ゲート電極13Pおよび13Nを含めて連続的に覆うように、典型的には熱CVD法により形成されたシリコン窒化膜よりなる、引っ張り応力を蓄積した応力補償膜14が形成されている。
図4は、このような応力補償膜14を設けた場合と設けなかった場合とでのnチャネルMOSトランジスタのオン電流とオフ電流を示す。
図4を参照するに、応力補償膜14を設けることにより、オフ電流の値が低減され、nチャネルMOSトランジスタの動作特性が向上しているのがわかる。
【特許文献1】特開昭58−162027号公報
【特許文献2】特開昭59−267022号公報
【特許文献3】米国特許第5729045号公報
【特許文献4】特開2003−273206号公報
【非特許文献1】Ito,S.,et al.,IEDM2000,Technical Digest,pp.247−pp.250
【非特許文献2】佐山他、応用物理第69巻第9号(2000),pp.1099−1102
図5は、このような応力補償膜14を設けた図3に示すCMOS回路を構成する従来のpチャネルMOSトランジスタおよびnチャネルMOSトランジスタについて求めた、ソース・ドレイン幅SDとソース・ドレイン電流Idsの関係を示す。ただし図3ではいずれのトランジスタもチャネル方向、すなわちキャリアが流れる方向が<110>方向に設定されている。このチャネル方位は、従来素子が形成されたシリコン基板をダイシングする際にダイシングラインの延在方向がへき開面の延在方向と一致しクラックが生じにくい方向として選択されている。先の図2Aを参照。図5中、横軸は単位をμmで示したソース・ドレイン幅SDを、縦軸は前記ソース・ドレイン幅SDを5μmとした場合のソース・ドレイン電流Ids0で規格化したソース・ドレイン電流Idsを示す。
図5を参照するに、前記ソース・ドレイン幅SDが5μmの場合、nチャネルMOSトランジスタとpチャネルMOSトランジスタとで前記規格化ソース・ドレイン電流Ids/Ids0に差はないが、前記ソース・ドレイン幅SDが1μm以下になるとnチャネルMOSトランジスタでは規格化ソース・ドレイン電流Ids/Ids0が減少し、逆にpチャネルMOSトランジスタでは増大するのがわかる。このようなnチャネルMOSトランジスタにおけるソース・ドレイン電流Isdの減少はチャネルにおける移動度の減少を反映しており、nチャネルMOSトランジスタの動作速度の低下、従ってCMOS回路の動作速度の低下をもたらす。
図5の関係は、pチャネルMOSトランジスタだけについて見るとソース・ドレイン幅SDが減少するにつれて規格化ソース・ドレイン電流Ids/Ids0が増大しており好ましいように見えるが、CMOS回路はpチャネルMOSトランジスタとnチャネルMOSトランジスタの双方が含まれており、nチャネルMOSトランジスタの移動度の低下により、全体的な動作特性は劣化してしまう。
また、一つの集積回路中には図5中に矢印で示したように様々なソース・ドレイン幅SD、従って様々なサイズを有するトランジスタが含まれるため、半導体集積回路を設計する際に図5のようにソース・ドレイン幅SDによりpチャネルあるいはnチャネルMOSトランジスタの動作特性が変化すると、これらの動作特性の変化は特性のばらつきとして認識されてしまい、半導体集積回路装置の設計が困難になる問題が生じる。このような問題は、図5よりわかるようにソース・ドレイン幅SDが5μm以上の従来のトランジスタを使った場合には生じなかったものである。
図6は、図3のCMOS回路20を構成するpチャネルMOSトランジスタとnチャネルMOSトランジスタでの圧縮応力と伝導度変化率との関係を示す。ただし図6では、圧縮応力はチャネルに垂直な方向、すなわちチャネル中をキャリアが流れる方向に垂直な方向に印加されている。
図6を参照するに、この場合nチャネルMOSトランジスタの伝導度は圧縮応力と共に多少減少する程度であるが、pチャネルMOSトランジスタの場合、伝導度は圧縮応力と共に大きく減少するのがわかる。この伝導度は、チャネル中におけるキャリアの移動度に対応しており、図6の関係は、pチャネルおよびnチャネルMOSトランジスタのそれぞれの動作特性が、チャネルに印加される圧縮応力により異なった変化をすることを意味している。
これに対し図7は、圧縮応力の方向がチャネル方向、すなわちチャネル中におけるキャリアが流れる方向に平行な場合の、圧縮応力と伝導度変化率との関係を示す。
図7を参照するに、圧縮応力がチャネル方向に平行な場合にもnチャネルMOSトランジスタの伝導度は圧縮応力と共に減少するが、pチャネルMOSトランジスタの伝導度は圧縮応力と共に増加する傾向に変化している。先にも述べたように、伝導度はチャネルにおけるキャリアの移動度に対応しており、図7の関係は、pチャネルおよびnチャネルMOSトランジスタのそれぞれの動作特性が、チャネルに印加される圧縮応力により異なった変化をすることを意味している。
チャネル領域に印加される圧縮応力は、先にも説明したようにソース・ドレイン幅SD、従ってトランジスタのサイズにより変化し、前記ソース・ドレイン幅SDが小さければ小さいほど、換言するとトランジスタが微細化されればされるほど、チャネル領域に印加される圧縮応力は大きくなる。また半導体集積回路中に大きさの異なる様々なトランジスタが含まれている場合、トランジスタごとに動作特性が異なり、これが半導体集積回路装置の設計の際にはトランジスタ特性のばらつきとして認識されることになる。
【発明の開示】
そこで本発明は上記の問題を解決した、新規で有用な半導体装置を提供することを概括的課題とする。
本発明のより具体的な課題は、pチャネルMOSトランジスタおよびnチャネルMOSトランジスタのいずれにおいてもチャネルに印加される応力による動作特性の変化が補償された半導体装置を提供することにある。
本発明の他の課題は、(100)面方位を有するシリコン基板と、前記シリコン基板上に形成され、第1および第2の素子領域を画成する素子分離構造と、前記シリコン基板上、前記第1の素子領域に形成されたnチャネルMOSトランジスタと、前記シリコン基板上、前記第2の素子領域に形成されたpチャネルMOSトランジスタとを含む半導体装置であって、前記nチャネルMOSトランジスタは、前記シリコン基板上、前記第1の領域中に、第1のゲート絶縁膜を隔てて前記シリコン基板の<100>方向に延在する第1のゲート電極と、前記第1の領域中、前記ゲート電極の両側に形成された一対のn型拡散領域とを含み、前記pチャネルMOSトランジスタは、前記シリコン基板上、前記第1の領域中に、第2のゲート絶縁膜を隔てて前記シリコン基板の<100>方向に延在する第2のゲート電極と、前記第2の領域中、前記ゲート電極の両側に形成された一対のp型拡散領域とを含み、前記シリコン基板上には、前記第1および第2の領域を覆うように、引っ張り応力を蓄積した第1の応力補償膜が形成されており、前記素子分離構造は、前記シリコン基板中に形成された素子分離溝と前記素子分離溝を充填する素子分離絶縁膜よりなり、前記素子分離溝の表面には、引っ張り応力を蓄積した第2の応力補償膜が、前記シリコン基板と前記素子分離絶縁膜との間に介在するように設けられている半導体装置を提供することにある。
本発明の他の課題は、(100)面方位を有するシリコン基板と、前記シリコン基板上に形成された複数の半導体素子とよりなる半導体集積回路装置であって、前記複数の半導体素子は複数のpチャネルMOSトランジスタとnチャネルMOSトランジスタとを含み、前記複数のpチャネルMOSトランジスタの各々は、前記シリコン基板中、素子分離構造により画成されたそれぞれの、面積が相互に異なる素子領域に形成されており、前記シリコン基板の<100>方向に延在するゲート電極と、前記素子領域中、前記ゲート電極の両側に形成された一対のp型拡散領域とよりなり、前記複数のnチャネルMOSトランジスタの各々は、前記シリコン基板中、前記素子分離構造により画成されたそれぞれの、面積が相互に異なる素子領域に形成されており、前記シリコン基板の<100>方向に延在するゲート電極と、前記素子領域中、前記ゲート電極の両側に形成された一対のn型拡散領域とよりなり、前記複数のpチャネルMOSトランジスタとnチャネルMOSトランジスタの各々は、引っ張り応力を蓄積した第1の応力補償膜により覆われており、
前記素子分離構造は、前記シリコン基板中に前記pチャネルMOSトランジスタの素子領域および前記nチャネルMOSトランジスタの素子領域を囲むように形成された素子分離溝と前記素子分離溝を充填する素子分離絶縁膜とよりなり、前記素子分離溝の表面には、前記素子分離絶縁膜と前記シリコン基板との間に引っ張り応力を蓄積した第2の応力補償膜が形成されている半導体集積回路装置を提供することにある。
本発明によれば、ゲート電極方位を<100>方向に設定することにより、pチャネルMOSトランジスタの動作特性の圧縮応力依存性を実質的に消去することができる。さらに本発明によれば、前記第1および第2の応力補償膜をそれぞれシリコン基板表面およびシャロートレンチ型素子分離(STI)構造の素子分離溝表面に形成することにより、n型MOSトランジスタの動作特性の圧縮応力依存性を実質的に消去することができる。
本発明によれば、素子分離構造に起因する圧縮応力が素子の動作特性に及ぼす影響をpチャネルMOSトランジスタおよびnチャネルMOSトランジスタのいずれにおいても実質的に消去することができるため、素子面積の異なる多数の半導体素子をシリコン基板上に集積化した半導体集積回路装置において、素子面積の違いにより誘起される素子特性の変化が解消され、回路シミュレータを使った集積回路装置の設計を、個々の半導体素子が微細化された場合でも有効に実行することが可能になる。
本発明のその他の課題および特徴は、以下に図面を参照しながら行う本発明の詳細な説明より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
図1は、従来の半導体装置の構成を示す図;
図2A,2Bは、シリコン基板上における結晶方位を定義する図;
図3は、従来の別の半導体装置の構成を示す図;
図4は、図1および図2の半導体装置の特性を比較する図;
図5は、<110>方向のチャネルを有する従来のnチャネルMOSトランジスタとpチャネルMOSトランジスタにおけるソース・ドレイン電流とトランジスタサイズとの関係を示す図;
図6は、従来の半導体装置における圧縮応力と伝導率との関係を示す図;
図7は、従来の半導体装置における圧縮応力と伝導率との関係を示す別の図;
図8A,8Bは、本発明の原理を説明する図;
図9は、本発明の原理を説明する別の図;
図10は、本発明の効果を示す図;
図11は、本発明の効果を、他の様々な構成と比較して示す図;
図12A〜12Kは、本発明第1実施例による半導体装置の製造工程を示す図;
図13は、本発明第2実施例による半導体集積回路装置の構成を示す図;
図14は、図13の半導体集積回路装置の一変形例を示す図である。
発明を実施するための最良の態様
[原理]
図8A,8Bは本発明の原理を示す図である。
まず図8Aを参照するに、(100)面方位を有するシリコン基板31中にはSTI構造31Sにより、pチャネルMOSトランジスタの素子領域となるn型ウェル31NとnチャネルMOSトランジスタの素子領域となるp型ウェル31Pとが形成されており、前記n型ウェル31N中には、前記シリコン基板31表面にチャネル領域に対応してゲート電極33Pが、ゲート酸化膜32Pを介して、<100>方向に延在するように形成されている。また前記n型ウェル31N中には前記ゲート電極33Pの両側に、pチャネルMOSトランジスタを形成する一対のp型拡散領域31pが形成されている。
同様に前記p型ウェル31P中には、前記シリコン基板31表面にチャネル領域に対応してゲート電極33Nが、ゲート酸化膜32Nを介して<100>方向に延在するように形成されている。また前記p型ウェル31P中には前記ゲート電極33Nの両側に、nチャネルMOSトランジスタを形成する一対のn型拡散領域31nが形成されている。
さらに図8Aの構成では前記シリコン基板31上に、前記基板表面を前記ゲート電極33Pおよび33Nを含めて連続的に覆うように、典型的には熱CVD法により形成されたシリコン窒化膜よりなる、引っ張り応力を蓄積した応力補償膜34が形成されている。
すなわち図8Aの構成は、図3の半導体装置20において、ゲート電極13P,13Nの延在方向、従ってそれぞれのチャネル中におけるキャリアの流れる方向を、前記(100)面方位を有するシリコン基板11上において、従来の<110>方向から<100>方向に変更したものになっている。
図9は、このようにゲート電極33P,33Nの延在方向を<100>方向に設定した場合について、チャネル方向に平行に作用する圧縮応力とチャネル伝導度の関係を、図3に示すような前記ゲート電極13P,13Nの延在方向を<110>方向に設定した場合と比較して示す図である。ただし図9中、□は前記ゲート電極13P,13Nの延在方向が<110>方向である場合の関係を示すのに対し、●は本発明において前記ゲート電極33P,33Nの延在方向が<100>方向である場合の関係を示す。
図9を参照するに、このようにゲート電極13P,13Nの延在方向をシリコン基板11の<100>方向に一致させることにより、pチャネルMOSトランジスタにおいては伝導度、従ってチャネルにおけるキャリア移動度の圧縮応力依存性を、実質的にゼロにすることが可能であるのがわかる。
一方nチャネルMOSトランジスタでは、伝導度の圧縮応力依存性はかえって増大し、圧縮応力と共に伝導度が減少するのがわかる。
先にも述べたように、このようなnチャネルMOSトランジスタにおける伝導度の圧縮応力依存性は、半導体集積回路装置の設計時に基板上の半導体素子特性のばらつきとして認識されてしまうため、本発明では前記図8Aの構成をさらに変形した図8Bの構成により、このようなnチャネル型MOSトランジスタの特性のばらつきを抑制している。
図8Bを参照するに、図示の半導体装置では前記素子分離構造31Sを構成する素子分離溝の表面に、典型的には減圧CVD法(LPCVD法)により形成されたシリコン窒化膜よりなる引っ張り応力を蓄積した膜35を、薄いシリコン酸化膜35aを介して形成し、この上に素子分離絶縁膜となるシリコン酸化膜を形成する。このような構成により、前記シリコン酸化膜の膨張により生じる圧縮応力が効果的に打ち消され、図9に矢印および破線で示すように伝導度の圧縮応力依存性がpチャネルMOSトランジスタの場合ほぼゼロに、またnチャネルMOSトランジスタの場合でも大幅に減少する。
図9を参照するに、例えば150MPaの圧縮応力が印加された場合、図8Bの構成により伝導度の変化率は、pチャネルMOSトランジスタの場合1%以下に、またnチャネルMOSトランジスタの場合、3%以下に減少するのがわかる。
なおこのような引っ張り応力膜35を形成しても、pチャネルMOSトランジスタの動作特性は、図9よりわかるように圧縮応力依存性を有さないため、影響を受けない。
図10は、このようにして形成された図8Bの半導体装置30においてゲート長、従って前記ソース・ドレイン幅SDを様々に変化させた場合の規格化ソース・ドレイン電流Ids/Ids0を示す。
図10を先に説明した図5と比較すると、SD幅を0.3μmまで縮小しても規格化ソース・ドレイン電流Ids/Ids0のソース・ドレイン幅SD依存性は、pチャネルMOSトランジスタのみならず、nチャネルMOSトランジスタにおいても実質的に解消していることがわかる。
図11は、図1,3および図8A,8Bの構成について、ゲート電極13P,13Nあるいは33P,33Nのチャネル方位の設定および引っ張り膜14,34,35の有無と、nチャネルMOSトランジスタのオン電流/オフ電流特性(トランジスタ特性)およびソース・ドレイン幅依存性の関係をまとめたものである。
図11を参照するに、チャネル方位、従ってゲート電極13P,13Nの延在方向が<110>方向に設定されている場合、図1のように前記応力補償膜14,15を設けない場合にはnチャネルMOSトランジスタ、pチャネルMOSトランジスタのいずにおいても満足なトランジスタ特性およびソース・ドレイン幅依存性は得られないのに対し、図3のようにゲート電極13P,13Nの延在方向を<110>方向としたまま応力補償膜14のみを設けた場合には、先に図4で説明したようにnチャネルMOSトランジスタのトランジスタ特性が向上する。しかし他の項目については向上が見られないばかりか、pチャネルMOSトランジスタの特性は悪化する。さらに前記ゲート電極13P,13Nの延在方向を<110>方向としたまま前記応力補償膜14および15を設けた場合には、前記nチャネルMOSトランジスタの特性およびソース・ドレイン幅依存性は向上するが、pチャネルMOSトランジスタの特性は悪化し、またそのソース・ドレイン幅依存性にも向上は見られない。
これに対し、前記ゲート電極33P,33Nの延在方向を<100>方向に設定した場合では、前記応力補償膜34,35を設けない場合にはpチャネルMOSトランジスタのトランジスタ特性は良好であるが、その他の項目については向上が見られない。さらに前記ゲート電極33P,33Nの延在方向を<100>方向とし、前記応力補償膜34のみを設けた場合、図9に対応してpMOSトランジスタの特性はやや良好、またそのソース・ドレイン幅依存性は良好となるが、nチャネルMOSトランジスタのソース・ドレイン幅依存性は悪化してしまう。
一方、図8Bのようにゲート電極33P,33Nの延在方向を<100>方向とし、さらに応力補償膜34および35を設けた場合には、全ての項目について、良好な結果が得られるのがわかる。
先に図9で説明したように、nチャネルMOSトランジスタの伝導度が劣化するのはそのチャネルに、チャネル中をキャリアが流れる方向、すなわちチャネル方向に平行な方向に作用する圧縮応力が作用した場合であるため、前記応力補償膜34,35は、特に前記チャネル方向に作用する引っ張り応力を形成できることが重要である。また前記シリコン基板31上に形成される応力補償膜34は、特に圧縮応力源となる素子分離構造31Sを覆うことが重要である。
[第1実施例]
図12A〜図12Kは、本発明の第1実施例によるCMOS素子の製造工程を示す。
図12Aを参照するに、(100)面方位を有するシリコン基板41上にはシリコン酸化膜41aを介して約100nmの厚さのシリコン窒化膜パターン41bが形成され、さらに前記シリコン窒化膜パターン41bをマスクに前記シリコン基板41をドライエッチングすることにより、前記シリコン基板41中に深さが約300nmで幅が100〜400nm程度の素子分離溝41A,41Bが形成される。
次に図12Bの工程において前記シリコン窒化膜パターン41bをマスクに前記シリコン基板41を熱酸化処理し、前記ドライエッチングにより前記素子分離溝41A,41Bの表面に生じた損傷を回復させる。この熱酸化処理により、前記素子分離溝41A,41Bの表面には厚さが約5nmの熱酸化膜41cが形成される。
次に図12Cの工程において図12Bの構造上に、LPCVD法(減圧CVD法)により、シリコン窒化膜41dを、約10nmの膜厚に形成する。このシリコン窒化膜41dの形成は、典型的には600℃の基板温度でSiClとNHの混合ガスを原料ガスとして供給することにより実行されるが、このような条件下で形成されたシリコン窒化膜は、図中に矢印で示したように内部に強い引っ張り応力を蓄積することが知られている。
次に図12Dの工程において図12Cの構造上に前記素子分離溝41A,41Bを充填するようにシリコン酸化膜42が熱CVD法などにより形成され、図12Dの工程において前記シリコン窒化膜パターン41bをストッパに前記シリコン酸化膜42を化学機械研磨(CMP)により研磨・除去する。これにより、前記素子分離溝41Aを充填するシリコン酸化膜42Aが形成され、また素子分離溝41Bを充填するシリコン酸化膜42Bが形成される。
図12Eの工程では、さらにこのようにして形成されたシリコン酸化膜42A,42Bを1,000℃の温度で30秒間熱処理することにより、緻密で高品質のシリコン酸化膜に変換する工程が行われる。
次に図12Fの工程において前記シリコン窒化膜パターン41bがリン酸処理により除去され、さらに図13Gの工程において前記シリコン基板41中にBを150keVの加速電圧下、3×1013cm−2のドーズ量で、マスク工程を使うことにより選択的にイオン注入し、p型ウェル41PをnチャネルMOSトランジスタの素子領域として前記シリコン基板41中に形成する。さらに、図12Gの工程においては前記シリコン基板41中にP+を300keVの加速電圧下、3×1013cm−2のドーズ量で同様なマスク工程を使うことにより選択的にイオン注入し、前記シリコン基板41中にn型ウェル41Nを、pチャネルMOSトランジスタの素子領域として形成する。
さらに図12Gの工程においては前記p型ウェル41Pの表面部分にBを10keVの加速電圧下、8×1012cm−2のドーズ量で選択的にイオン注入し、前記nチャネルMOSトランジスタのチャネルドープを行う。同様に図12Gの工程においては前記n型ウェル41Nの表面部分にAsを100keVの加速電圧下、8×1012cm−2のドーズ量で選択的にイオン注入し、前記pチャネルMOSトランジスタのチャネルドープを行う。
さらに図12Gの工程では前記シリコン基板41表面を覆う酸化膜をHF処理により除去し、新たにシリコン酸化膜あるいはシリコン窒化膜を前記素子領域41Nの表面に、前記pチャネルMOSトランジスタのゲート絶縁膜43Pとして形成する。また同時に同様なゲート絶縁膜43Nが、前記素子領域41Pの表面に、前記nチャネルMOSトランジスタのゲート絶縁膜43Nとして形成される。
図12Gの工程では、さらにこのようにしてゲート絶縁膜43P,41Nが形成されたシリコン基板41上にポリシリコン膜44を一様に堆積する。
次に図12Hの工程において前記ポリシリコン膜44がパターニングされ、前記素子領域41Nにおいて前記ゲート絶縁膜43P上にゲート電極44Pが、前記素子領域41Pにおいて前記ゲート絶縁膜43N上にゲート電極44Nが形成される。その際、本発明では、前記ゲート電極44Pおよび44Nを、前記シリコン基板41の<100>方向に延在するように形成する。
さらに図12Hの工程においては前記素子領域41N中に前記ゲート電極44PをマスクにBが0.5keVの加速電圧下、1×1015cm−2のドーズ量で選択的にイオン注入され、前記素子領域41N中、前記ゲート電極44Pの両側にp−型のLDD領域41pが形成される。また図12Hの工程においては前記素子領域41P中に前記ゲート電極44NをマスクにAsが3keVの加速電圧下、1×1015cm−2のドーズ量で選択的にイオン注入され、前記素子領域41P中、前記ゲート電極44Nの両側にn−型のLDD領域41nが形成される。前記素子領域41Nへのイオン注入の際には前記素子領域41Pはレジストパターン(図示せず)により覆われており、また前記素子領域41Pへのイオン注入の際には前記素子領域41Nはレジストパターン(図示せず)により覆われている。また前記LDD領域41pの形成の際には前記ゲート電極44Pはp−型にドープされ、前記LDD領域41nの形成の際には前記ゲート電極44Nはn−型にドープされる。
次に図12Iの工程において図12Hの構造上にシリコン酸化膜をCVD法により堆積し、これをエッチバックすることにより、前記ゲート電極44Pの側壁に側壁絶縁膜44Psが形成され、また前記ゲート電極44Nの側壁に側壁絶縁膜44Nsが形成される。
さらに図12Iの工程では前記ゲート電極44Pおよび側壁絶縁膜44PsをマスクにBを5keVの加速電圧下、2×1015cm−2のドーズ量でイオン注入し、前記pチャネルMOSトランジスタのソース・ドレイン領域となるp型の深い不純物領域41p+を前記素子領域41N中、前記側壁絶縁膜44Psの外側に形成する。また前記ゲート電極44Nおよび側壁絶縁膜44NsをマスクにPを10keVの加速電圧下、2×1015cm−2のドーズ量でイオン注入し、前記nチャネルMOSトランジスタのソース・ドレイン領域となるn型の深い不純物領域41n+を前記素子領域41P中、前記側壁絶縁膜44Nsの外側に形成する。この工程においても前記素子領域41Nへのイオン注入の際には前記素子領域41Pはレジストパターン(図示せず)により覆われており、また前記素子領域41Pへのイオン注入の際には前記素子領域41Nはレジストパターン(図示せず)により覆われている。また前記深い不純物領域41p+の形成の際には前記ゲート電極44Pはp型にドープされ、前記深い不純物領域41n+の形成の際には前記ゲート電極44Nはn型にドープされる。
さらに図12Jの工程において図12Iの構造上に、LPCVD法によりシリコン窒化膜45を、前記シリコン窒化膜45が前記素子分離構造42A,42Bの表面および側壁絶縁膜43Psを有するゲート電極44P,側壁絶縁膜43Nsを有するゲート電極44Nを連続して覆うように、30−150nm、より好ましくは50−100nmの膜厚に形成する。典型的には前記シリコン窒化膜45はSiClとNHの混合ガスを原料ガスとして使い、600℃の基板温度でLPCVD法を実行することにより形成され、強い引っ張り応力を膜内に蓄積している。
従来、シリコン基板表面にはゲート電極を覆うようにエッチングストッパ膜としてSiN膜を形成することが行われていた。この場合、一見すると図12JのSiN膜45に類似した構造が得られる。しかし、エッチングストッパ膜を形成する場合にはSiN膜の膜厚は20−30nmで充分であり、応力の増加を回避するため30nmを超える膜厚でSiN膜を形成することは通常はなされない。一方、本発明では前記SiN膜45を応力補償膜として使うため、SiN膜45の膜厚が30nm以下では所望の応力補償効果が得られず、SiN膜の膜厚を30nm以上、好ましくは50nm以上に設定する必要がある。一方、シリコン基板上にこのような非常に厚いSiN膜を形成した場合、例えばコンタクトホールを開口するような場合にエッチングが困難になるため、前記SiN膜の膜厚は150nm以下、好ましくは100nmを越えないのが望ましい。
図12Jの構成により、pチャネルMOSトランジスタおよびnチャネルMOSトランジスタのいずれについても優れた特性を有し、さらに素子サイズによる特性の変化が生じない半導体装置が得られる。このような応力補償された半導体装置を使うことにより、半導体集積回路装置を設計する際に、素子サイズによる素子特性の変化がばらつきとして認識される問題が解消され、既存の回路シミュレータを使って、様々なサイズの半導体素子を含む半導体集積回路装置を効率よく設計することが可能になる。
最後に図12Kの工程において図12Jの構造上にシリコン酸化膜などよりなる層間絶縁膜46が形成され、さらに前記層間絶縁膜中に前記深い拡散領域41p+,41n+を露出するコンタクトホール46Aが形成される。前記コンタクトホール46Aをポリシリコンあるいはタングステンなどの導体により充填することにより、半導体集積回路の一部を構成する多層配線構造(図示せず)との接続のためのコンタクトプラグ46Bが形成される。
前記コンタクトホール46Aをドライエッチングにより形成する際に、図12Kの構造ではシリコン窒化膜45が形成されているためドライエッチングは前記シリコン窒化膜45が露出した時点でいったん停止する。そこでその後に前記シリコン窒化膜45を選択的にドライエッチングすることにより、前記素子分離絶縁膜42A,42Bのエッジ部をエッチングすることなく前記拡散領域41p+あるいは41n+にコンタクトするコンタクトホールが形成され、素子分離構造42A,42Bによる素子分離効果が劣化することがない。
[第2実施例]
図13は、シリコン基板上に形成された本発明の第2実施例による半導体集積回路装置60の構成を示す。
図13を参照するに、半導体集積回路装置60はシリコン基板61上に形成された様々なサイズの半導体素子60A,60B,60Cを含んでいる。
各々の半導体素子60A〜60CはSTI構造を形成する素子分離絶縁構造61Sにより画成された素子領域60R中に形成されており、前記図17(K)に示したのと同様な構成を有する。
さらに各々の素子分離構造61Sは素子領域60Rとの境界に前記シリコン窒化膜41dに対応する引っ張り応力膜61Nを応力補償膜として形成されている。また前記半導体素子60A〜60Cの各々においてゲート電極60Gは<100>方向に延在しており、これに伴ってチャネル中においてキャリアの流れる方向も<100>方向となっている。
さらに図示は省略するが、前記シリコン基板61上には一様に前記応力補償膜45に相当するシリコン窒化膜が熱CVD法により形成されており、前記応力補償膜61Nと共に、前記シリコン酸化膜61sが素子領域中に形成する圧縮応力を補償する。
その際、先に図9で説明したように、nチャネルMOSトランジスタのチャネル領域においてキャリア移動度を劣化させるのは主としてチャネル方向、すなわちキャリアの流れる方向に平行な応力であるため、図13の構成を変形して、前記半導体素子60A〜60Cの各々において図14に示すように応力補償膜61Nが素子領域60Rのうち、チャネル方向のみに形成するようにすることも可能である。ただし図14は図13の一変形例による半導体集積回路装置70の構成を示す平面図であり、図中、先に説明した部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
以上、本発明を好ましい実施例について説明したが、本発明は上記の特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した要旨内において様々な変形・変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
本発明によれば、ゲート電極方位を<100>方向に設定することにより、pチャネルMOSトランジスタの動作特性の圧縮応力依存性を実質的に消去することができる。さらに本発明によれば、前記第1および第2の応力補償膜をそれぞれシリコン基板表面およびシャロートレンチ型素子分離(STI)構造の素子分離溝表面に形成することにより、n型MOSトランジスタの動作特性の圧縮応力依存性を実質的に消去することができる。
本発明によれば、素子分離構造に起因する圧縮応力が素子の動作特性に及ぼす影響をpチャネルMOSトランジスタおよびnチャネルMOSトランジスタのいずれにおいても実質的に消去することができるため、素子面積の異なる多数の半導体素子をシリコン基板上に集積化した半導体集積回路装置において、素子面積の違いにより誘起される素子特性の変化が解消され、回路シミュレータを使った集積回路装置の設計を、個々の半導体素子が微細化された場合でも有効に実行することが可能になる。
【図1】


【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】


【図9】

【図10】

【図11】








【図13】

【図14】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(100)面方位を有するシリコン基板と、
前記シリコン基板上に形成され、第1および第2の素子領域を画成する素子分離構造と、
前記シリコン基板上、前記第1の素子領域に形成されたnチャネルMOSトランジスタと、
前記シリコン基板上、前記第2の素子領域に形成されたpチャネルMOSトランジスタとを含む半導体装置であって、
前記nチャネルMOSトランジスタは、前記シリコン基板上、前記第1の領域中に、第1のゲート絶縁膜を隔てて前記シリコン基板の<100>方向に延在する第1のゲート電極と、前記第1の領域中、前記ゲート電極の両側に形成された一対のn型拡散領域とを含み、
前記pチャネルMOSトランジスタは、前記シリコン基板上、前記第1の領域中に、第2のゲート絶縁膜を隔てて前記シリコン基板の<100>方向に延在する第2のゲート電極と、前記第2の領域中、前記ゲート電極の両側に形成された一対のp型拡散領域とを含み、
前記シリコン基板上には、少なくとも前記素子分離構造を覆うように、引っ張り応力を蓄積した第1の応力補償膜が形成されており、
前記素子分離構造は、前記シリコン基板中に形成された素子分離溝と前記素子分離溝を充填する素子分離絶縁膜よりなり、
前記素子分離溝の表面には、引っ張り応力を蓄積した第2の応力補償膜が、前記シリコン基板と前記素子分離絶縁膜との間に介在するように設けられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記pチャネルMOSトランジスタにおいて、前記第2のゲート電極の縁部と前記第2のゲート電極縁部に対向する素子分離溝の縁部との間の距離が1μm以下であり、前記nチャネルMOSトランジスタにおいて、前記第1のゲート電極の縁部と前記第1のゲート電極縁部に対応する素子分離溝の縁部との間の距離が1μm以下であることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1および第2の応力補償膜は、シリコン窒化膜よりなることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2の応力補償膜と前記シリコン基板との間には、熱酸化膜が形成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1の応力膜は前記第1および第2の領域を連続して覆うことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1の応力膜は前記第1の領域において前記第1のゲート電極を、その側壁絶縁膜を含めて覆い、前記第2の領域において前記第2のゲート電極を、その側壁絶縁膜を含めて覆うことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1の応力補償膜は、50〜150nmの厚さを有することを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1の応力補償膜は、前記素子分離絶縁膜上において膜厚が増大することを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項9】
前記素子分離溝は、100〜400nmの幅を有することを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項10】
(100)面方位を有するシリコン基板と、
前記シリコン基板上に形成された複数の半導体素子とよりなる半導体集積回路装置であって、
前記複数の半導体素子は複数のpチャネルMOSトランジスタとnチャネルMOSトランジスタとを含み、
前記複数のpチャネルMOSトランジスタの各々は、前記シリコン基板中、素子分離構造により画成されたそれぞれの、面積が相互に異なる素子領域に形成されており、前記シリコン基板の<100>方向に延在するゲート電極と、前記素子領域中、前記ゲート電極の両側に形成された一対のp型拡散領域とよりなり、
前記複数のnチャネルMOSトランジスタの各々は、前記シリコン基板中、前記素子分離構造により画成されたそれぞれの、面積が相互に異なる素子領域に形成されており、前記シリコン基板の<100>方向に延在するゲート電極と、前記素子領域中、前記ゲート電極の両側に形成された一対のn型拡散領域とよりなり、
前記複数のpチャネルMOSトランジスタとnチャネルMOSトランジスタの各々は、引っ張り応力を蓄積した第1の応力補償膜により覆われており、
前記素子分離構造は、前記シリコン基板中に前記pチャネルMOSトランジスタの素子領域および前記nチャネルMOSトランジスタの素子領域を囲むように形成された素子分離溝と前記素子分離溝を充填する素子分離絶縁膜とよりなり、
前記素子分離溝の表面には、前記素子分離絶縁膜と前記シリコン基板との間に引っ張り応力を蓄積した第2の応力補償膜が形成されていることを特徴とする半導体集積回路装置。

【国際公開番号】WO2005/064680
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【発行日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−512797(P2005−512797)
【国際出願番号】PCT/JP2003/016782
【国際出願日】平成15年12月25日(2003.12.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】