説明

半導体装置の製造方法

【課題】ヒューズ(FUSE)を備えた半導体装置の信頼性を向上する。
【解決手段】半導体基板11の主面上に形成にされた多層配線を構成する層M1〜M6のうちの層M4に設けられた電気溶断型の救済用のヒューズ4aおよび試験用のヒューズ4bと、ヒューズ4aの近傍であって層M2および層M6に設けられた一対の導電板10aと、ヒューズ4bの近傍であって層M3および層M5に設けられた一対の導電板10bとから構成する。ヒューズ4bと導電板10bとの間が、ヒューズ4aと導電板10aとの間より近いものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造技術に関し、特に、電気溶断型によって切断可能なヒューズを備えた半導体装置に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
DRAM(Dynamic Random Access Memory)や電気的書き込みおよび消去が可能な不揮発性メモリ(EEPROM:Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等のメモリLSIは、製造工程で生じた欠陥(不良)を救済するための冗長機能を備えることによって、半導体装置の信頼性および製造歩留りの向上を図っている。これは、半導体装置内にあらかじめ欠陥救済用のメモリセル列やメモリセル行(冗長回路)を用意しておき、メモリアレイ内に欠陥メモリセル列が生じた場合には、かかる欠陥メモリセルに入るアドレス信号を、欠陥救済用のメモリセル列に入力することによって所望のメモリ動作を行わせるという欠陥救済機能である。
【0003】
例えば、欠陥メモリセルを欠陥救済用メモリセルによって置き換える場合、その欠陥メモリセルを特定するアドレス(欠陥アドレス)を記憶しておく必要がある。このような欠陥アドレスは、ヒューズ(FUSE)と呼ばれる素子によって、そのヒューズの切断/非切断に応じた情報を記憶させるのが一般的である。すなわち、欠陥メモリセルと欠陥救済用のメモリセルとの切り換えは、アドレス切り換え回路に接続されたヒューズを切断することによって行なわれる。なお、ヒューズには種々のものあるが、電流/電圧で切断可能なヒューズを電気溶断型ヒューズという。
【0004】
特開2005−39220号公報(特許文献1)および特開2005−57186号公報(特許文献2)には、半導体基板上に搭載されるヒューズをより小さい電流または電圧により切断するための技術が開示されている。特許文献1では、ヒューズを構成する導電体が複数回折り返す構造が示されている。また、特許文献2では、ヒューズを導電板によって囲む構造が示されている。これらの構造はいずれも、ヒューズに電流を流したときにヒューズに発生する熱を蓄積させることによって、ヒューズの切断を容易とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−39220号公報
【特許文献2】特開2005−57186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、半導体基板の主面上に形成された複数の配線層(多層配線)のうちのある層に配置される電気溶断型(電気切断型)のヒューズ(FUSE)について検討を行っている。この電気溶断型ヒューズは、その切断/非切断に応じて1ビットの情報を記憶し、記憶されたデータを用いてメモリセルなどの欠陥救済に用いられるものである。
【0007】
この電気溶断型ヒューズ(以下、単に「ヒューズ」という)は、ヒューズを構成する配線(ヒューズ配線)に電流を流し、配線温度を上昇させることで、その配線を切断(溶断)するものであり、このため切断の可否はヒューズ自身の抵抗に大きく影響を受ける。すなわち、製造ばらつきによって実際のヒューズ形状(最小寸法)がばらついて抵抗が増加した場合、ヒューズが所定の切断条件(電流/電圧)で切断不可能となる。したがって、ヒューズが所定の切断条件で切断しにくくなった場合や切断不可能の場合、ヒューズは欠陥救済としての役割を果たすことができない不具合が生じる。
【0008】
そこで、欠陥メモリセルの欠陥救済として設計通りのヒューズが形成されているか否かを判断するために、形成後にヒューズに電流を流して抵抗値測定などのスクリーニング試験を行っている。ここで、スクリーニング試験の対象となるヒューズ(以下、「試験用ヒューズ」という)の平面形状は、実際の欠陥救済用ヒューズ(以下、「救済用ヒューズ」という)の平面形状と異なる形状とし、試験用ヒューズが切断しないようにしている。例えば、救済用ヒューズおよび試験用ヒューズの平面形状を直線形状とした場合、その長さを同一とし、救済用ヒューズの幅を0.12μm程度、試験用ヒューズの幅を3μm程度と異なる形状としている。しかしながら、平面形状が異なるため抵抗値測定などの正確なスクリーニング試験を行うことができなかった。
【0009】
また、救済用ヒューズと試験用ヒューズの平面形状を同一にした場合、その製造ばらつきによって抵抗がばらついてしまうため、所定の切断条件で試験を行うことができず、また所定の切断条件で試験を行っても試験用ヒューズを切断してしまうことがある。
【0010】
本発明の目的は、半導体装置の信頼性を向上することのできる技術を提供することにある。
【0011】
また、本発明の他の目的は、ヒューズが、製造ばらつきの影響を受け難くすることのできる技術を提供することにある。
【0012】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0014】
本発明による半導体装置は、半導体基板の主面上に形成にされた多層配線のうちの中間層に設けられた電気溶断型の第1ヒューズおよび第2ヒューズと、前記第1ヒューズの近傍に設けられた第1導電板と、前記第2ヒューズの近傍に設けられた第2導電板とを有し、前記第2ヒューズと前記第2導電板との間が、前記第1ヒューズと前記第1導電板との間より近いものである。
【0015】
また、本発明による前記半導体装置の製造方法は、前記第2ヒューズに所定の電流/電圧を印加して前記第2ヒューズの抵抗値を測定することによって、前記第2ヒューズの抵抗値を前記第1ヒューズの抵抗値と同定するものである。
【発明の効果】
【0016】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0017】
本発明の半導体装置の製造技術によれば、ヒューズがメモリセルなどの欠陥救済としての信頼性を向上することができる技術を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態1における半導体装置の構成を示す説明図である。
【図2】図1における半導体装置の要部を示す説明図である。
【図3】図1におけるヒューズマクロの1ビット分の等価回路を示す説明図である。
【図4】図3におけるヒューズを切断するためのフロー図である。
【図5】本発明の実施の形態1におけるヒューズの平面図である。
【図6】図5におけるX−X線の断面図である。
【図7】本発明の実施の形態2におけるヒューズの平面図である。
【図8】図7におけるX−X線の断面図である。
【図9】本発明の実施の形態3におけるヒューズの平面図である。
【図10】図9におけるX−X線の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0020】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1にかかる半導体装置は、半導体基板の主面上に形成された複数の配線層(多層配線)のうちの中間層に配置される電気溶断型(電気切断型)のヒューズ(FUSE)を備えている。この電気溶断型のヒューズ(以下、単に「ヒューズ」という)は、その切断(溶断)/非切断(非溶断)に応じて1ビットの情報を記憶し、記憶されたデータを用いてメモリセルなどの欠陥救済に用いられるものである。本実施の形態1にかかる半導体装置は、複数のヒューズが集まってヒューズマクロが構成され、また、その周辺にはメモリセルが複数個集まって例えばマトリクス状に配置されたメモリアレイを含むメモリマクロが構成されているものである。
【0021】
図1は、本実施の形態1にかかる半導体装置の構成を示すものである。欠陥救済用のメモリセル列やメモリセル行(行と列のアレイ)からなる冗長回路部を構成するヒューズマクロ1は、種々のメモリマクロ2、3などにより共有されている。このため、救済のためのアドレス情報などは、ヒューズマクロ1によって、各メモリマクロ2、3などに供給されるようになっている。なお、メモリマクロ2、3はメモリアレイを含んで構成されており、例えば、メモリマクロ2はDRAM(Dynamic Random Access Memory)などから構成されており、メモリマクロ3はSRAM(Static Random Access Memory)などから構成されている。
【0022】
図2は、ヒューズマクロ1のヒューズ4の領域を示すものである。1ビットを構成するヒューズ4と、その判定回路5が複数個並んで配置されている。それらヒューズ4および判定回路5の周辺領域には、バッファー記憶回路6が配置されており、メモリマクロ2、3などとのデータ処理速度を調整するものである。このヒューズ4が、切断あるいは非切断しているかによって、1ビットの情報を記憶し、記憶されたメモリアレイのメモリセルのアドレスなどのデータを用いて欠陥メモリセルの欠陥救済を行う。
【0023】
図3は、ヒューズマクロ1の1ビット分の等価回路を示すものである。ヒューズ4を切断するための電界効果型トランジスタQのドレイン(D)側には、ヒューズ4および判定回路5が接続されている。電界効果型トランジスタQのゲート(G)側には、シフタ回路6を介してAND回路7が接続されている。このAND回路7は、切断用データ(救済データなど)、切断ビット確定用データおよび切断用信号によって論理演算し、これらすべての入力が例えば「H」であれば、電界効果型トランジスタQのゲート(G)にヒューズ4を切断するための信号を出力するものである。
【0024】
本実施の形態1では、切断用データは、フリップフロップ回路8aに格納されている切断情報であり、「H」あるいは「L」としている。また、切断ビット確定用データは、フリップフロップ回路8bに格納されている切断対象の情報であり、切断対象にのみ「H」としている。さらに、切断用信号は、すべてのヒューズ4に対して「H」としている。これによりAND回路7への入力がすべて「H」となったときに、電界効果型トランジスタQはオン状態となって、ヒューズ4に電流が流れて、ヒューズ4が切断される。なお、本実施の形態1では、ヒューズ4を切断可能な最小電流は20mA程度となるように、そのヒューズ4の形状などが調整されている。
【0025】
図4は、ヒューズ4を切断するときのフロー図を示すものである。まず、図3に示したフリップフロップ回路8aのデータの有無を確認し、あるヒューズ4(以下、「対象ヒューズ」という)に対して切断を行うか確定する。次いで、対象ヒューズが良品/欠陥品であるか否かの判定を行う。ここで、対象ヒューズが良品/欠陥品であるかは、事前に行われたスクリーニング試験の結果から把握されている。
【0026】
次いで、対象ヒューズが良品であった場合、フリップフロップ回路8bに切断情報を格納する。これにより、前述したAND回路7への入力がすべて「H」となり、電界効果型トランジスタQはオン状態となって、対象ヒューズに電流が流れて、対象ヒューズを切断する。その後、救済されたメモリセルの動作試験を行う。
【0027】
図5および図6は、それぞれ本実施の形態1におけるヒューズ4の平面形状および断面形状を示すものである。なお、図2に示したヒューズマクロ1の要部が拡大されて図5に示されている。
【0028】
図5および図6に示すように、このヒューズ4は、第1のヒューズ4aおよび第2のヒューズ4bを有しているが、共に所定の電圧によって電流が流れて切断する電気溶断型であるが、それぞれの役割は異なるものである。
【0029】
本実施の形態1に係る半導体装置は、半導体基板11と、半導体基板11の主面上に形成にされた層M1〜M6からなる多層配線と、多層配線のうちの中間層の層M4に設けられ、電気溶断型のヒューズ4aと、層M4と同層に設けられ、ヒューズ4aと同一形状の電気溶断型のヒューズ4bと、切断時にヒューズ4aが飛散するのを防止する導電板10aと、切断時にヒューズ4bが飛散するのを防止する導電板10bとを有している。このようにヒューズ4aおよびヒューズ4bの近傍には、切断したときに周辺が汚染されるのを防止するシールドとして導電板10aおよび導電板10bが設けられている。なお、図5には、層M4に設けられたヒューズ4aおよびヒューズ4bが示されているが、層M6(あるいは層M2)に設けられている導電板10aおよび層M5(あるいは層M3)に設けられている導電板10bも併せて示されている。
【0030】
ヒューズ4は、幅a、長さb、厚さcの導電体からなり、その平面形状が図5に示すように、一方向(長さbの方向)に延びた形状(直線形状)である。例えば、幅aが0.12μm程度、長さbが8〜10μm程度、厚さcが140〜180μm程度である。このヒューズ4は、一方がVDD電源側の電極9aと、他方がVSS電源側の電極9bと電気的に接続されており、電極9aと電極9bとの間の所定の電圧によってヒューズ4に電流が流れる。なお、ヒューズ4の幅aは、切断を容易にするため最小加工寸法から決定され、フューズ4の直前までは可能な限り幅広となっている。
【0031】
図6に示すように、ヒューズ4aおよびヒューズ4bは、半導体基板11の主面上に形成された例えば6層からなる多層配線の中間層である層M4に設けられている。この半導体基板11は、例えばp型の単結晶シリコン基板からなり、その主面にはヒューズ4を切断するための電界効果型トランジスタQが形成されている。この電界効果型トランジスタQは、例えばMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)であり、導電性を有する多結晶シリコンからなるゲート電極12、その両側に自己整合的に形成されたn型の半導体領域からなるソース/ドレイン13およびゲート電極12下のゲート絶縁膜14を有している。
【0032】
この電界効果型トランジスタQの上部には、例えば6つの層M1〜M6からなる多層配線が形成されており、各層を絶縁分離する層間絶縁膜に配線15a〜15fが設けられている。これら配線15a〜15fは、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)法によって形成され、銅(Cu)を主成分としてなるものである。この層M1の配線15aと電界効果型トランジスタQのソース/ドレイン13とはコンタクト16を介して電気的に接続されており、配線15a〜15fが互いにビア17a〜17eを介して電気的に接続されている。このようにヒューズ4aおよびヒューズ4bの近傍に配置されるビア17b〜17eは、ヒューズ4aおよびヒューズ4bが切断したときに周辺が汚染されるのを防止するシールドとしての役割も果たしている。
【0033】
このような電界効果型トランジスタQおよびの上部の多層配線は、周知の技術によって形成することができる。例えば、電界効果型トランジスタQを形成後、層間絶縁膜を堆積して凹凸段差を平坦化し、ソース/ドレイン13上およびゲート電極12上に接続孔を形成してから導電膜の埋込みを行い、コンタクト16を形成した後、1層目の層M1の配線15a形成のための成膜および加工を行う。次に、配線15a上に層間絶縁膜を堆積して平坦化した後、2層目の層M2の配線15bとの接続孔および配線15bの配線溝を形成して、接続孔および配線溝に導電膜の埋込みを行い、ビア17aおよび配線15bを形成する。この際、CMP法が用いられる。3層以上の層M3〜M6は、このサイクルを繰り返した後、パッシベーション膜を堆積し、外部電極が形成される。
【0034】
多層配線の層M1〜M6のうち層M4には、配線15dと共にヒューズ4aおよびヒューズ4bが設けられており、このヒューズ4aおよびヒューズ4bもCMP法を用いて配線15dと同時に形成され、銅(Cu)を主成分としてなるものである。このためヒューズ4aおよびヒューズ4bは配線(ヒューズ配線)から構成されるともいえる。電気溶断型ヒューズとして、例えばポリシリコンからなるものがある。しかしながら、ヒューズ配線の幅を狭くして切断し易くするためには、より微細化が可能な銅からなるものがより適している。
【0035】
また、層M2には、配線15bと共に導電板10aが設けられており、導電板10aもCMP法を用いて配線15bと同時に形成され、銅(Cu)を主成分としてなるものである。また、層M6には、配線15fと共に導電板10aが設けられており、導電板10aもCMP法を用いて配線15fと同時に形成され、銅(Cu)を主成分としてなるものである。このため導電板10aは配線から構成されるともいえる。この層M2および層M6の一対の導電板10aは、ヒューズ4aの近傍であって、層M4の上層である層M6および下層である層M2に設けられ、ヒューズ4aが切断したときに飛散防止としての役割をするものである。
【0036】
また、層M3には、配線15cと共に導電板10bが設けられており、導電板10bもCMP法を用いて配線15bと同時に形成され、銅(Cu)を主成分としてなるものである。また、層M5には、配線15eと共に導電板10bが設けられており、導電板10bもCMP法を用いて配線15eと同時に形成され、銅(Cu)を主成分としてなるものである。このため導電板10bは配線から構成されるともいえる。この層M3および層M5の一対の導電板10bは、ヒューズ4bの近傍であって、層M4の上層である層M5および下層である層M3に設けられ、ヒューズ4bが切断したときに飛散防止としての役割をするものである。なお、後述するが、導電板10bは、ヒューズ4bに電流が流れて発熱した場合に、その熱を放散させるための放熱板としての役割もするものである。
【0037】
ところで、電界効果型トランジスタQ、多層配線、パッシベーション膜および外部電極などが形成された後、本実施の形態1では、欠陥メモリセルの欠陥救済用として設計通りのヒューズ4aが形成されているか否かを判断するために、ヒューズ4bに電流/電圧を印加して抵抗値(配線抵抗値)測定などのスクリーニング試験を行う。なお、スクリーニング試験において、ヒューズ4aに電流/電圧は印加しない。
【0038】
中間層である層M4に設けられたヒューズ4のうちヒューズ4aは、欠陥救済用として用いるもの(救済用ヒューズ)であり、電気溶断型のヒューズである。このヒューズ4aは、例えばDRAMや電気的書き込みおよび消去が可能な不揮発性メモリなどのメモリLSIにおいて製造工程で生じた欠陥(不良)のメモリセルを救済するための冗長機能としての役割をするものである。例えば、欠陥メモリセルをスペアによって置き換える場合、その欠陥メモリセルを特定するアドレス(欠陥アドレス)を記憶しておく必要がある。このような欠陥アドレスは、ヒューズ4aによって、そのヒューズ4aの切断/非切断に応じた情報を記憶させる。すなわち、欠陥メモリセルと欠陥救済用のメモリセルとの切り換えは、アドレス切り換え回路に接続されたヒューズ4aを切断することによって行なうものである。このため切り替えをしなければならない状況の場合においては、所定の電流/電圧によってヒューズ4aが切断(溶断)されなければならず、ヒューズ4aの抵抗値が設計値通りとなるようにしなければならない。
【0039】
本実施の形態1では、スクリーニング試験でヒューズ4bの抵抗値を測定することによって、ヒューズ4bの抵抗値をヒューズ4aの抵抗値と同定する。さらに、この同定した抵抗値から、所定の電流/電圧では切断されないヒューズ4aを検出する。これによって、所定の電流/電圧をヒューズ4aに印加することなく、ヒューズ4aが欠陥救済用としての機能を有する素子か否か、すなわち良品か不良品か否かの判定を行うことができる。
【0040】
製造ばらつきによってヒューズ4aの抵抗値が増加した場合、ヒューズが所定の切断条件(電流/電圧)で切断不可能となり、このような半導体装置は正常な機能を果たすことができなくなる。しかしながら、本実施の形態1では、スクリーニング試験によって不良品のヒューズ4aを判別して除去するので、良品として判別されたヒューズ4aを有する半導体装置を形成することができる。このため、半導体装置の信頼性および製造歩留まりを向上することができる。
【0041】
一方、ヒューズ4のうちのヒューズ4bは、スクリーニング試験用として用いるもの(試験用ヒューズ)であり、ヒューズ4aと同一形状の電気溶断型のヒューズである。このヒューズ4bは、欠陥メモリセルの欠陥救済としてヒューズ4aが所定の切断条件で切断されるか否かを判断するための役割をするものである。具体的には、ヒューズ4bに対して所定の切断条件でスクリーニング試験を行い、測定したヒューズ4bの抵抗値をヒューズ4aの抵抗値と同定し、この抵抗値が所定の範囲内であれば、ヒューズ4aが所定の切断条件で切断されると判断する。
【0042】
ところで、試験用ヒューズであるヒューズ4bは、救済用ヒューズであるヒューズ4aが切断される所定の切断条件でスクリーニング試験が行われても切断されることはない。すなわち、ヒューズ4aと同一の抵抗値とされるヒューズ4bに所定の切断条件でスクリーニング試験が行われてもヒューズ4bは切断されることはない。本実施の形態1では、図6に示すように、層M4に設けられているヒューズ4bの上層の層M5、下層の層M3に一対の導電板10bを設けている。このため所定の切断条件でヒューズ4bに電流/電圧が印加されてヒューズ4bが発熱した場合であっても、導電板10bが放熱板としてヒューズ4bが発熱した熱を放散し、ヒューズ4bを切断しにくくさせているものと考えられる。言い換えると、ヒューズ4bの近傍に導電板10bを設けることによって、ヒューズ4bからの熱が蓄積されにくくなり、ヒューズ4bを切断しにくくさせているものと考えられる。したがって、導電板10bは、前述したヒューズ4bが切断したときに飛散するのを防止する役割の他に、熱を放散する役割を有している。
【0043】
一方、層M4に設けられているヒューズ4aの上層M6、下層M2に一対の導電板10aを設けている。しかしながら、導電板10aは、熱を放散することよりもヒューズ4aが切断したときの飛散防止の役割が大きいものと考えられる。
【0044】
図5および図6に示したように、導電板10aおよび導電板10bの形状は同一であるが、それらが設けられる層が異なる。すなわち、ヒューズ4bと導電板10bとの間(距離y2)が、ヒューズ4aと導電板10aとの間(距離y1)より近い。例えば、距離y1は600μm程度であり、距離y2は200μm程度である。
【0045】
この導電板10bによって、ヒューズ4bに電流/電圧を印加したときにヒューズ4bに発生する熱を蓄積させる影響は少なく、ヒューズ4bの切断が容易となるものではなく、反対に切断がされにくくなる。
【0046】
したがって、救済用ヒューズであるヒューズ4aとは同形状でありながら、切断不可能な試験用ヒューズであるヒューズ4bを配置することによって、所定の切断条件時のヒューズ4aを流れる電流を測定でき、スクリーニング試験時に判明した切断不可能な抵抗値をもつヒューズ4aを含むメモリマクロを検出することができる。また、この結果をフィードバックすることでスクリーニング試験時間を短縮することができる。
【0047】
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、多層配線のうちの中間層において、第1のヒューズ(救済用ヒューズ)と最も近傍の配線との間と、第2のヒューズ(試験用ヒューズ)と最も近傍の配線との間とが等しい場合について説明した。本実施の形態2では、第1のヒューズと最も近傍の配線との間が、第2のヒューズと最も近傍の配線との間より近い場合について説明する。なお、その他は、前記実施の形態1と同様であるので説明は省略する。
【0048】
図7および図8は、それぞれ本実施の形態2におけるヒューズ4の平面形状および断面形状を示すものである。なお、図2に示したヒューズマクロ1の要部が拡大されて図7に示されている。
【0049】
図7および図8に示すように、このヒューズ4は、第1のヒューズ4aおよび第2のヒューズ4bを有しているが、共に所定の電圧によって電流が流れて切断する電気溶断型である。
【0050】
本実施の形態2に係る半導体装置は、半導体基板11と、半導体基板11の主面上に形成にされた層M1〜M6からなる多層配線と、多層配線のうちの中間層の層M4に設けられ、電気溶断型のヒューズ4aと、層M4と同層に設けられ、ヒューズ4aと同一形状の電気溶断型のヒューズ4bと、切断時にヒューズ4aが飛散するのを防止する導電板10aと、切断時にヒューズ4bが飛散するのを防止する導電板10bとを有している。さらに、層M4に設けられ、ヒューズ4aに最も近傍の配線15eと、層M4に設けられ、ヒューズ4bに最も近傍の配線20とを有している。このようにヒューズ4aおよびヒューズ4bの近傍には、切断したときに周辺が汚染されるのを防止するシールドとして導電板10aおよび導電板10bが設けられている。なお、図7には、層M4に設けられたヒューズ4aおよびヒューズ4bが示されているが、層M6(あるいは層M2)に設けられている導電板10aおよび層M5(あるいは層M3)に設けられている導電板10bも併せて示されている。
【0051】
図8に示すように、ヒューズ4bと配線20との間(距離x2)が、ヒューズ4aと配線20との間(距離x1)より近い。例えば、距離x1は2μm程度であり、距離x2は0.4μm程度である。後述するが、ヒューズ4bの近傍に配線20を設けることによって、ヒューズ4aの製造ばらつきを防止することができる。
【0052】
ヒューズ4は、幅a、長さb、厚さcの導電体からなり、図7に示すように、その平面形状が一方向(長さbの方向)に延びた形状(直線形状)である。例えば、幅aが0.12μm程度、長さbが10μm程度、厚さcが140〜180μm程度である。このヒューズ4は、一方がVDD電源側の電極9aと、他方がVSS電源側の電極9bと電気的に接続されており、電極9aと電極9bとの間の所定の電圧によってヒューズ4に電流が流れる。なお、ヒューズ4の幅aは、切断を容易にするため最小加工寸法から決定され、ヒューズ4の直前までは可能な限り幅広となっている。
【0053】
多層配線の層M1〜M6のうち層M4には、配線15dと共に、ヒューズ4a、ヒューズ4bおよび配線20が設けられており、このヒューズ4a、ヒューズ4bおよび配線20もCMP法を用いて配線15dと同時に形成され、銅(Cu)を主成分としてなるものである。このためヒューズ4aおよびヒューズ4bは配線(ヒューズ配線)から構成されるともいえる。
【0054】
配線20は、電気的に独立したダミー配線であって、例えばヒューズ4b、配線15dなどとは電気的に接続されておらず、層M4においてヒューズ4aと配線15dとの間に配置されている。このように配線20を電気的に独立とすることによって、ヒューズ4bが試験時に切断され、飛散して配線20まで到達した場合であっても、配線20を介して短絡することを防止することができる。
【0055】
このように、救済用ヒューズであるヒューズ4aは、切断を容易にするために最小加工寸法の配線から構成される。また、ヒューズ4aの切断時に周辺汚染を防止するためヒューズ4aは、近傍の配線15dから一定の間隔を開けて配置されるため、疎の状態となっている。さらに、図2に示したように、ヒューズ列の両端側に配置されるヒューズ4aは、平坦化などの製造ばらつきの影響が懸念される。
【0056】
そこで、本実施の形態2で示したように、ヒューズ列の両端に試験用ヒューズであるヒューズ4bを配置し、そのヒューズ4bと配線15dとの間に電気的に独立した配線20を配置することによって、層M4の平坦化を図ることができる。すなわち、ヒューズ4aの形状の製造ばらつきを低減することができる。
【0057】
(実施の形態3)
前記実施の形態1では、平面形状が一方向に延びた直線形状のヒューズについて説明した。本実施の形態3では、平面形状が一方向に延びた後少なくとも1回折り返した形状のヒューズについて説明する。なお、その他は、前記実施の形態1と同様であるので説明は省略する。
【0058】
図9および図10は、それぞれ本実施の形態3におけるヒューズ4の平面形状および断面形状を示すものである。なお、図2に示したヒューズマクロ1の要部が拡大されて図9に示されている。
【0059】
図9および図10に示すように、このヒューズ4は、第1のヒューズ4aおよび第2のヒューズ4bを有しているが、共に所定の電圧によって電流が流れて切断する電気溶断型であるが、それぞれの役割は異なるものである。
【0060】
本実施の形態3に係る半導体装置は、半導体基板11と、半導体基板11の主面上に形成にされた層M1〜M6からなる多層配線と、多層配線のうちの中間層の層M4に設けられ、電気溶断型のヒューズ4aと、層M4と同層に設けられ、ヒューズ4aと同一形状の電気溶断型のヒューズ4bと、切断時にヒューズ4aが飛散するのを防止する導電板10aと、切断時にヒューズ4bが飛散するのを防止する導電板10bとを有している。このようにヒューズ4aおよびヒューズ4bの近傍には、切断したときに周辺が汚染されるのを防止するシールドとして導電板10aおよび導電板10bが設けられている。なお、図9には、層M4に設けられたヒューズ4aおよびヒューズ4bが示されているが、層M6(あるいは層M2)に設けられている導電板10aおよび層M5(あるいは層M3)に設けられている導電板10bも併せて示されている。
【0061】
ヒューズ4は、導電体からなり、図5に示すように、平面形状が一方向に延びた後少なくとも1回折り返した形状である。このヒューズ4は、一方がVDD電源側の電極9aと、他方がVSS電源側の電極9bと電気的に接続されており、電極9aと電極9bとの間の所定の電圧によってヒューズ4に電流が流れる。なお、本願において「折り返す」とは、ヒューズ4の平面形状において90度より大きく折り返す箇所(コーナー部)のことである。
【0062】
多層配線の層M1〜M6のうち層M4には、配線15dと共に、ヒューズ4aおよびヒューズ4bが設けられており、このヒューズ4aおよびヒューズ4bもCMP法を用いて配線15dと同時に形成され、銅(Cu)を主成分としてなるものである。このためヒューズ4aおよびヒューズ4bは配線(ヒューズ配線)から構成されるともいえる。
【0063】
このように本実施の形態3に係るヒューズ4は、コーナー部を有する平面形状とすることによって、直線形状のみと比較して電圧/電流印加時において比較的高い温度に保たれる。したがって、ヒューズ4aはより小さい電圧/電流によって切断することができることとなり、例えばメモリマクロを有する半導体装置の信頼性を向上することができる。
【0064】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0065】
例えば、前記実施の形態では、救済用のヒューズおよび試験用のヒューズの平面形状を一方向に延びた形状あるいは一方向に延びた後少なくとも1回折り返した形状としたが、それぞれのヒューズの形状が同一であれば良い。
【0066】
また、例えば、前記実施の形態1では、救済用のヒューズからなるヒューズ列の両端に試験用のヒューズを設けた場合について説明したが、ヒューズ列の両端に限らず、例えばヒューズ列の片側や列内にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、半導体装置を製造する製造業に幅広く利用されるものである。
【符号の説明】
【0068】
1 ヒューズマクロ
2、3 メモリマクロ
4、4a、4b ヒューズ
5 判定回路
6 シフタ回路
7 AND回路
8a、8b フリップフロップ回路
9a、9b 電極
10a、10b 導電板
11 半導体基板
12 ゲート電極
13 ソース/ドレイン
14 ゲート絶縁膜
15a、15b、15c、15d、15e、15f 配線
16 コンタクト
17 ビア
20 配線
M1、M2、M3、M4、M5、M6 層
Q 電界効果型トランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板の主面上に形成された多層配線と、
前記多層配線のうちの中間層に設けられ、電気溶断型の第1ヒューズと、
前記中間層と同層に設けられ、前記第1ヒューズと同一形状の電気溶断型の第2ヒューズと、
前記第1ヒューズの近傍であって、前記中間層の上層および下層に設けられた一対の第1導電板と、
前記第2ヒューズの近傍であって、前記中間層の上層および下層に設けられた一対の第2導電板とを有する半導体装置の製造方法であって、
前記第2ヒューズに所定の電流/電圧を印加して前記第2ヒューズの抵抗値を測定することによって、前記第2ヒューズの抵抗値を前記第1ヒューズの抵抗値と同定することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記所定の電流/電圧では切断されない前記第1ヒューズを検出することを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第2ヒューズと前記第2導電板との間の距離は、前記第1ヒューズと前記第1導電板との間の距離よりも小さいことを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記中間層に設けられ、前記第1ヒューズに最も近傍の第1配線と、
前記中間層に設けられ、前記第2ヒューズに最も近傍であって、電気的に独立した第2配線とを有し、
前記第2ヒューズと前記第2配線との間の距離は、前記第1ヒューズと前記第1配線との間の距離よりも小さいことを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1ヒューズ、前記第2ヒューズ、前記第1配線および前記第2配線は、CMP法を用いて同時に形成されていることを特徴とする請求項4記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1ヒューズ、前記第2ヒューズ、前記第1配線および前記第2配線は、銅を主成分としてなることを特徴とする請求項4記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記中間層において、
前記第1ヒューズが複数並べられて列をなしており、
前記第2ヒューズが前記列の端に配置されていることを特徴とする請求項4記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1ヒューズおよび前記第2ヒューズは、平面形状が一方向に延びた形状であることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1ヒューズおよび前記第2ヒューズは、平面形状が一方向に延びた後少なくとも1回折り返した形状であることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−147009(P2012−147009A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−72740(P2012−72740)
【出願日】平成24年3月28日(2012.3.28)
【分割の表示】特願2006−225944(P2006−225944)の分割
【原出願日】平成18年8月23日(2006.8.23)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】