説明

BiCDMOS構造及びその製造方法

【課題】DMOS電力回路、CMOSデジタル論理回路、及びコンプリメンタリバイポーラアナログ回路の全てを単一の集積化された回路チップ上に実現するBiCDMOS構造及びその製造方法を提供する。
【解決手段】基層10内に下向きに延出し、且つ基層の上に配置されたエピタキシャル層40内に上向きに延出し、かつエピタキシャル層の上側主面の下に配置された埋め込み絶縁領域21Bと、エピタキシャル層内のみに配置され、かつ埋め込み絶縁領域の上側主面から上向きに延出した埋め込みウェル領域44Bと、エピタキシャル層内に配置され、かつエピタキシャル層の上側主面からエピタキシャル層内に下向きに延出し、かつ埋め込みウェル領域の上側主面に接触する下側主面を備えたウェル領域51Bとを有し、バイポーラトランジスタがウェル領域内に形成され、MOSトランジスタがウェル領域外のエピタキシャル層の上側主面に形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単一のウエハ上に同時に形成されたコンプリメンタリバイポーラトランジスタ、CMOS(コンプリメンタリ金属酸化膜シリコン)トランジスタ、DMOS(二重拡散型金属酸化膜シリコン)電力用トランジスタ、埋め込み型ツェナーダイオード、及び関連する構造を製造する方法に関する。特に、本発明は、その方法によって製造されるトランジスタ構造及び関連する絶縁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
遠距離通信産業、自動車産業、及びコンピュータ産業を含む様々な産業では、大電力用デジタルスイッチング、アナログ増幅、及びデジタル論理回路を必要とする用途が存在する。そのような多くの用途に於て、もし充分に信頼性がありかつ十分に低コストの単一チップが生み出されれば、全ての必要な回路を単一の集積回路チップ上に配置することによって、性能が向上しかつ小型化が可能となる。
【0003】
例えば、現在のディスクドライブ産業では、ディスクドライブコントローラは、複数のチップを用いることによって実現されている。ディスクドライブコントローラの集積化された電力用トランジスタ及びデジタル論理トランジスタに関する問題は、DMOS電力用回路とCMOSデジタル論理回路が異なるチップ上に配置されることを原因とする。同様に、高品質のバイポーラアナログ増幅器と、高性能のCMOSデジタル論理及びまたはDMOS電力用トランジスタとを組み込んだ単一の回路基板を製造することが困難なために、ディスクドライブコントローラのアナログ増幅回路が第3のチップに配置されることもある。従って、DMOS電力回路、CMOSデジタル論理回路、及びコンプリメンタリバイポーラアナログ回路の全てを単一の集積化された回路チップ上に実現する製造方法が必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、DMOS電力回路、CMOSデジタル論理回路、及びコンプリメンタリバイポーラアナログ回路の全てを単一の集積化された回路チップ上に実現するBiCDMOS構造及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的は、バイポーラトランジスタとMOSトランジスタとを絶縁するための絶縁構造を用いる過程を有するBiCDMOS構造の製造方法であって、前記絶縁構造が、第1導電型の半導体材料からなる基層内に下向きに延出し、かつ前記基層の上に配置されると共に、上側主面を備えた前記第1導電型とは相異なる第2導電型の半導体材料からなるエピタキシャル層内に上向きに延出し、かつ前記エピタキシャル層の前記上側主面の下に配置された上側主面を備えた前記第2導電型の半導体材料からなる埋め込み絶縁領域と、前記エピタキシャル層内のみに配置され、かつ前記基層から分離されかつ電気的に絶縁されるべく前記埋め込み絶縁層の前記上側主面から上向きに延出する、かつ上側主面を備えた、前記第1導電型の半導体材料からなる埋め込みウェル領域と、前記エピタキシャル層内に配置され、かつ前記エピタキシャル層の前記上側主面から前記エピタキシャル層内に下向きに延出し、かつ前記基層から分離されかつ電気的に絶縁されるべく前記埋め込みウェル領域の前記上側主面に接触する下側主面を備えた、前記第1導電型の半導体材料からなるウェル領域とを有し、前記バイポーラトランジスタが、前記エピタキシャル層の前記上側主面の前記ウェル領域内に形成され、前記MOSトランジスタが、前記ウェル領域外の前記エピタキシャル層の前記上側主面に形成されることを特徴とするBiCDMOS構造の製造方法、及びトランジスタを含むBiCDMOS構造であって、第1導電型の半導体材料からなる基層と、前記基層の上に配置され、かつ上側主面を備えた、前記第1導電型とは相異なる第2導電型の半導体材料からなるエピタキシャル層と、前記基層内に下向きに延出し、かつ前記エピタキシャル層内に上向きに延出し、かつ前記エピタキシャル層の前記上側主面の下に配置された上側主面を備えた、前記第2導電型の半導体材料からなる埋め込み絶縁領域と、前記エピタキシャル層内のみに配置され、かつ前記基層から分離されかつ電気的に絶縁されるべく前記埋め込み絶縁層の前記上側主面から上向きに延出し、かつ上側主面を備えた、前記第1導電型の半導体材料からなる埋め込みウェル領域と、前記エピタキシャル層内に配置され、かつ前記エピタキシャル層の前記上側主面から前記エピタキシャル層内に下向きに延出し、かつ前記基層から分離されかつ電気的に絶縁されるべく前記埋め込みウェル領域の前記上側主面に接触する下側主面を備えた、前記第1導電型の半導体材料からなるウェル領域とを有し、前記トランジスタが前記エピタキシャル層の前記上側主面の前記ウェル領域内に形成されることを特徴とするBiCDMOS構造を提供することによって達成される。
【0006】
(作用)
バイポーラトランジスタ、比較的高電圧のCMOSトランジスタ、比較低電圧のCMOSトランジスタ、DMOSトランジスタ、ツェナーダイオード、及び薄型フィルム抵抗、またはそれらの任意の所望の組合せの全てを同一の集積回路上に同時に形成する方法(以下“BiCDMOSプロセス”と呼ぶことにする)が提供される。そのプロセスでは、少ないマスキング過程が用いられ、高性能のトランジスタ構造が形成され、かつ機能する基板の高い歩留りが達成される。絶縁構造、バイポーラトランジスタ構造、CMOSトランジスタ構造、DMOSトランジスタ構造、ツェナーダイオード構造、及び薄型フィルム抵抗構造もまた提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に基づくBiCDMOSプロセスの実施例に基づく第1段階を例示したウエハの断面図である。
【図2】本発明に基づくBiCDMOSプロセスの実施例に基づく第1段階を例示したウエハの断面図である。
【図3】本発明に基づくBiCDMOSプロセスの実施例に基づく第2段階を例示したウエハの断面図である。
【図4】本発明に基づくBiCDMOSプロセスの実施例に基づく第2段階を例示したウエハの断面図である。
【図5】本発明に基づくBiCDMOSプロセスの実施例に基づく第3段階を例示したウエハの断面図である。
【図6】本発明に基づくBiCDMOSプロセスの実施例に基づく第3段階を例示したウエハの断面図である。
【図7】本発明に基づくBiCDMOSプロセスの実施例に基づく第4段階を例示したウエハの断面図である。
【図8】本発明に基づくBiCDMOSプロセスの実施例に基づく第4段階を例示したウエハの断面図である。
【図9】本発明に基づくBiCDMOSプロセスの実施例に基づく第5段階を例示したウエハの断面図である。
【図10】本発明に基づくBiCDMOSプロセスの実施例に基づく第5段階を例示したウエハの断面図である。
【図11】本発明に基づくBiCDMOSプロセスの実施例に基づく第6段階を例示したウエハの断面図である。
【図12】本発明に基づくBiCDMOSプロセスの実施例に基づく第6段階を例示したウエハの断面図である。
【図13】本発明に基づくBiCDMOSプロセスの実施例に基づく第7段階を例示したウエハの断面図である。
【図14】本発明に基づくBiCDMOSプロセスの実施例に基づく第7段階を例示したウエハの断面図である。
【図15】本発明に基づくBiCDMOSプロセスの実施例に基づく第8段階を例示したウエハの断面図である。
【図16】本発明に基づくBiCDMOSプロセスの実施例に基づく第8段階を例示したウエハの断面図である。
【図17】本発明に基づくBiCDMOSプロセスの実施例に基づく第9段階を例示したウエハの断面図である。
【図18】本発明に基づくBiCDMOSプロセスの実施例に基づく第9段階を例示したウエハの断面図である。
【図19】本発明に基づくBiCDMOSプロセスの実施例に基づく第10段階を例示したウエハの断面図である。
【図20】本発明に基づくBiCDMOSプロセスの実施例に基づく第10段階を例示したウエハの断面図である。
【図21】本発明に基づくBiCDMOSプロセスの実施例に基づく第11段階を例示したウエハの断面図である。
【図22】本発明に基づくBiCDMOSプロセスの実施例に基づく第11段階を例示したウエハの断面図である。
【図23】本発明に基づくBiCDMOSプロセスの実施例に基づく第12段階を例示したウエハの断面図である。
【図24】本発明に基づくBiCDMOSプロセスの実施例に基づく第12段階を例示したウエハの断面図である。
【図25】本発明に基づくBiCDMOSプロセスの実施例に基づく第13段階を例示したウエハの断面図である。
【図26】本発明に基づくBiCDMOSプロセスの実施例に基づく第13段階を例示したウエハの断面図である。
【図27】本発明に基づくBiCDMOSプロセスの実施例に基づく第14段階を例示したウエハの断面図である。
【図28】本発明に基づくBiCDMOSプロセスの実施例に基づく第14段階を例示したウエハの断面図である。
【図29】本発明に基づくBiCDMOSプロセスの実施例に基づく第15段階を例示したウエハの断面図である。
【図30】本発明に基づくBiCDMOSプロセスの実施例に基づく第15段階を例示したウエハの断面図である。
【図31】本発明に基づくBiCDMOSプロセスの実施例に基づく第16段階を例示したウエハの断面図である。
【図32】本発明に基づくBiCDMOSプロセスの実施例に基づく第16段階を例示したウエハの断面図である。
【図33】本発明に基づく薄型フィルム抵抗の実施例の断面図である。
【図34】本発明に基づく絶縁構造の実施例の断面図である。
【図35】本発明の基づく第1垂直バイポーラトランジスタの実施例の断面図である。
【図36】本発明に基づく第2垂直バイポーラトランジスタ構造の実施例の断面図である。
【図37】本発明に基づく第3垂直バイポーラトランジスタ構造の実施例の断面図である。
【図38】本発明に基づく第1ラテラルDMOS構造の実施例の断面図である。
【図39】本発明に基づく第2ラテラルDMOS構造の実施例の断面図である。
【図40】本発明に基づく第3ラテラルDMOS構造の実施例の断面図である。
【図41】本発明に基づく第4ラテラルDMOS構造の実施例の断面図である。
【図42】本発明に基づく第5ラテラルDMOS構造の実施例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明について、その好適な実施例を表す添付の図面を参照して、以下により詳しく説明が行われる。しかし、本発明は異なる形式で実施されても良く、ここで説明された実施例に限定されるものではない。本明細書の開示内容は、詳細かつ完全であって、本発明の技術的視点を当業者に十分に伝えるために、好適実施例の詳細な説明がなされる。図面を明瞭にするために、各図面の種々の層の厚みは、誇張して描かれている。明細書及び図面を通して、等しい部分には、等しい符号が付されている。
【0009】
BiCDMOSプロセス
【0010】
BiCDMOSプロセスの複数のプロセス過程が表1に記載されている。
【0011】


【0012】
表1に記載された種々のプロセス過程には、便宜上番号が付されているが、ある実施例では、これらのプロセス過程の内の幾つかの過程が省略され、またある実施例では、幾つかの過程の順序が変更され、更にある実施例では、幾つかの過程が1つの過程に結合されることが理解される。従って、表1のプロセス過程の順序は、以下に例示されるBiCDMOSプロセスの実施例の理解を助けるためにのみ提供されている。表1に記載された個々のプロセス過程は、明細書中の以下の部分では括弧でくくられた過程の番号で表示されている。
【0013】
図1及び図2は、BiCDMOS構造の製造方法の第1段階を表している。基層10は上側主面11を備えている(過程1)。この基層は例えば、抵抗率1.0〜5.0Ωcmを有する裏面がコーティングされたP−にドープされた基層である。基層10は、一連の横方向に配置された領域、即ち埋め込みツェナー領域10F、DMOS領域10A、比較的高電圧のNMOS領域10E、比較的高電圧のPMOS領域10G、比較的低電圧のPMOS領域10H、比較的低電圧のNMOS領域10D、垂直PNPバイポーラ領域10B、及び垂直NPNバイポーラ領域10Cを有する。
【0014】
次に、最初の酸化段階(過程2)が実施され、基層の上側主面上に最初の酸化膜12が形成される。その最初の酸化膜は、例えば、約300Åの厚さを有するように熱成長によって形成される。
【0015】
次に、N+埋め込み層マスクがフォトレジストによって形成される(過程3)。このマスクは、最初の酸化膜を通して基層10の上側主面11に至る開口部12A、12B、及び12Cを形成するために用いられる。最初の酸化膜12は、例えば、ドライエッチングまたはウエットエッチングを用いてエッチングされる。開口部12A、12B、及び12Cが形成された後に、フォトレジストマスクが除去される。
【0016】
図3及び図4には、BiCDMOS構造の製造方法の次の段階が示されている。N+埋め込み層イオン注入段階(過程4)は、酸化膜12を注入マスクとして用いて実行され、開口部12A、12B、及び12Cに埋め込み層領域21A、21B、及び21Cを各々形成する。例えば、アンチモンイオンが、イオン加速電圧80keV、ドーズ量1×1015〜2×1015cmで基層の上側主面11に注入される。
【0017】
次に、N+埋め込み層ドライブイン拡散段階(過程5)が実施される。この拡散段階では、薄い酸化膜22Aが開口部12A内に成長し、薄い酸化膜22Bが開口部12B内に成長し、薄い酸化膜22Cが開口部12C内に成長する。これらの薄い酸化膜22A〜22Cの厚みは、例えば約4000Åである。N+埋め込み層領域21A、21B、及び21Cは例えば基層内に深さ3.5〜4.0μmまで垂直に延出する。
【0018】
図5及び図6は、BiCDMOS構造の製造方法の次の段階を表している。フォトレジスト層30が、P+埋め込み層マスク内に形成され(過程6)、基層の上側主面11に達する開口部30B及び30Dが形成される。開口部30Bは、開口部12Bよりも小型に形成され、従って開口部30Bの周辺部の境界は、開口部12Bの周辺部の境界の中に存在する。次に酸化膜のエッチングが実施され、開口部30Bによって露出された酸化膜22Bの一部が取り除かれる。この酸化膜エッチングはまた、開口部30Dによって露出された最初の酸化膜12の一部をも取り除く。開口部30B及び30D内の全ての酸化膜が取り除かれた後、フォトレジストマスク層が除去される。次に、注入酸化膜(図5及び図6には示されていない)が、例えば約1000Åの厚みで、開口部30B及び30Dに熱成長によって形成される。
【0019】
次に、P+埋め込み層イオン注入段階(過程7)が実行され、N+埋め込み層領域21Bの一部が、P+イオン注入によるP+イオンを受け取る。同様に、P+イオンが開口部30Dから基層10の上側主面11に注入される。このP+イオン注入は、例えば、ホウ素イオンをイオン加速電圧145keV、ドーズ量1×1014cmで注入して実施される。
【0020】
フォトレジストマスクが除去された後(過程8)、ドライブイン拡散段階が実施され、P+の注入されたホウ素イオンが、基層10内に垂直及び横方向にドライブインされる。このドライブイン段階は、厚さ6500Åの酸化膜が、開口部30B及び30D内に露出されたシリコン基層表面上に形成されるまで実施される。次に酸化膜除去(過程9)が実施され、酸化膜12及び開口部30Dと30Bとに形成された酸化膜を含む全ての酸化膜を基層10の上側主面11から除去する。
【0021】
図7及び図8は、BiCDMOS構造の製造方法の次の段階を表している。シリコンからなるエピタキシャル層42が、基層10の上側主面11の上に形成されている(過程10)。本発明の60V用の実施例では、このエピタキシャル層は約10.2μm±0.9μmの厚みを有し、約5×1015〜1×1016/cmの不純物濃度を有する。本発明の20V用の実施例では、このエピタキシャル層は例えば約8.0μm±0.7μmの厚みを有し、約5×1015〜2×1016/cmの不純物濃度を有する。
【0022】
次にエピタキシャル層再酸化段階(過程11)が実施され、エピタキシャル層42の上側主面41の上にエピタキシャル酸化膜40が形成される。従って、3つのN+埋め込み層領域21A、21B、及び21Cが基層内に存在することになる。これらのN+埋め込み層は、基層とエピタキシャル層との間の境界11から下向きに基層10内に延出し、かつ基層エピタキシャル層の境界11から上向きにエピタキシャル層42内に延出している。エピタキシャル層42が成長する間に、N+埋め込み層領域は上向きに拡散する。同様に、P+埋め込み層領域43Dが、この構造内に存在する。P+埋め込み層領域43Dは基層とエピタキシャル層との間の境界から下向きに基層内に延出し、かつ基層とエピタキシャル層との間の境界から上向きにエピタキシャル層内に延している。
【0023】
しかし、N+埋め込み層領域21Bの上側主面には、単一のP+イオン注入が実施され、2つのP+領域43B及び44Bが形成される。P型イオンはN型イオンよりも早く拡散するので、P+イオン注入段階のP+不純物は、埋め込み層領域21BのN+不純物よりも上向き及び下向きに早く拡散する。P+イオンが、より高濃度にドープされたN+領域21Bの境界を超えて拡散したところで、P+イオンがP+領域を形成する。P+不純物の注入を行うための開口部30Bは、N+領域21Bを形成するためにN+不純物の注入を行うための開口部12Bよりも十分に小さくかつ十分その内側に存在しているので、注入されたP+イオンは、N+領域21Bの横方向の広がりを超えて横方向に拡散することはない。しかし、これらの注入されたP+イオンは、N+領域21Bの縦方向の広がりを超えて縦方向に拡散する。こうして、N+領域21Bによって互いに隔てられたP+領域43B及び44Bが形成される。
【0024】
図9及び図10は、BiCDMOS構造の製造方法の次の段階を表している。フォトレジスト層(図示されていない)が、エピタキシャル酸化膜40の上に形成され、3個の開口部を備えたP−ウェルマスク層(図示されていない)が形成される(過程12)。これらの開口部の内の第1の開口部は、高電圧NMOS領域10Eの上に形成され、第2の開口部は、低電圧NMOS領域10Dの上に形成され、第3の開口部は、垂直PNP領域10B内のP+埋め込み層領域44Bの上に形成されている。次に酸化膜エッチングが実施され、下側のエピタキシャル酸化膜40を選択的にエッチングし、3個の開口部52E、52D、及び52Bが、エピタキシャル層42の上側主面に達するまで下向きにエピタキシャル酸化膜40内に形成される。次にフォトレジストが除去され、そして薄い注入酸化膜(図示されていない)が、露出した3個の開口部52E、52D、及び52B内に形成される。この薄い注入酸化膜は、例えば300Åの厚さを有する。
【0025】
次に、P−ウェルイオン注入段階(過程13)が、開口部52E、52D、及び52B内の薄い注入酸化膜を通して実施され、P−ウェル領域51E、51D、及び51Bを形成する。エピタキシャル酸化膜40のエッチングされていない残りの部分は、注入マスクとして働く。このイオン注入段階は、例えばホウ素イオンをイオン加速電圧100keV、ドーズ量1×1013〜2×1013で注入して実施される。
【0026】
次に、P−ウェルドライブイン拡散段階(過程14)が実施され、P−ウェル領域51Dを、エピタキシャル層の上側主面からP+埋め込み層領域43Dに接触するまで下向きに拡散させる。同様に、P−ウェル拡散段階が、P−ウェル51Bを、P+埋め込み層領域44Bの上部に接触するまで、エピタキシャル層内に下向きに拡散させる。このP−ウェルドライブイン拡散段階は、それを通してイオンが注入される開口部52E、52D、52B内に厚さ約4000Åの酸化膜が形成されるまで実施される。
【0027】
次に、P+絶縁マスク(過程15)、注入(過程16)、及びドライブイン拡散(過程17)が実施され、絶縁P+領域(図示されていない)がエピタキシャル層の選択されたトランジスタ領域を横方向に囲繞するエピタキシャル層内に下向きに形成される。図を明瞭にするために、これらの絶縁構造は、図1から図32では省略されている。
【0028】
図11及び図12は、BiCDMOS構造の製造方法の次の段階を表している。フォトレジスト層(図示されていない)がエピタキシャル酸化膜40の上に形成され、2つの開口部を有するN+シンカマスク層(図示されていない)を形成する(過程18)。これらの開口部の1つは、DMOS領域10Aの上に配置され、もう一方の開口部は垂直NPN領域10Cの上に配置されている。次に酸化物エッチングが実施され、N+シンカマスク層によって露出されたエピタキシャル酸化膜40の選択された部分が除去される。従って2個の開口部60A及び60Cがエピタキシャル酸化膜40の中に形成される。P−ウェル領域51E、51D、及び51Bを被覆するフォトレジストは除去されず、P−ウェル領域51E、51D、及び51Bを被覆する薄い酸化膜は保護されたまま残り、そしてエッチングされない。エッチング段階が終了した後、2個の開口部を有する酸化膜40を残して、フォトレジストマスクが除去される。
【0029】
次に、開口部60A及び60Cに、N+シンカ領域61A、及び61Cが各々形成される。これらのN+シンカ領域は、例えば、HFディップ(HF dip)によって、開口部60A及び60C内にPOClを再び堆積することによって形成される(過程19)。開口部60A及び60Cのエピタキシャル層の上側主面が、約2.1Ω/cmの導電率を有するまで、POClからの燐が、POCl層から下向きにエピタキシャル層の上側表面まで拡散される。
【0030】
次に、N+シンカドライブイン拡散段階(過程20)が実施され、燐不純物をエピタキシャル層の上側主面から下向きに拡散させる。N+シンカ領域61AはN+埋め込み層領域21Aの上に形成され、図11及び図12の断面図に示されているように、N+シンカ領域61Aの底部がN+埋め込み層領域21Aに接触している。同様に、N+シンカ領域61CがN+埋め込み層領域21Cの上に形成され、N+シンカ領域61Cの底部がN+埋め込み層領域21Cに接触している。このN+シンカ領域ドライブイン拡散の間、酸化膜は、開口部60A及び60Cのエピタキシャル層の露出した上側主面の上に形成される。この酸化膜は、例えば、その厚さが約5000Åに達する。
【0031】
図13及び図14は、BiCDMOS構造の製造方法の次の段階を表している。フォトレジスト層(図示されていない)がエピタキシャル酸化膜40の上に形成され、2つの開口部を有するP+埋め込みツェナーマスク層(図示されていない)を形成する(過程21)。一方の開口部は埋め込みツェナー領域10Fの上に配置され、もう一方の開口部は垂直PNP領域10Bの上に配置されている。次に酸化エッチングが実行され、P+埋め込みツェナーマスク層によって露出された酸化膜40のこれらの部分を除去する。このようにして2つの開口部70F及び70Bが酸化膜40内に形成される。シンカ領域60A、P−ウェル領域51E、P−ウェル領域51D、及びシンカ領域61Cを被覆するフォトレジストは除去されず、そのためこれらの領域を被覆する酸化膜は保護されたまま残り、そしてエッチングされない。
【0032】
エッチング段階が終了した後、フォトレジストマスクは除去される。更に、薄い注入酸化膜が、エピタキシャル層の上側主面の露出した部分に形成される必要はない。次に、P+埋め込みツェナーイオン注入段階(過程22)が実施される。例えば、この段階はイオン加速電圧80keV、ドーズ量1×1015〜3×1015cmでホウ素を注入することによって実施される。埋め込みツェナー注入段階の後に、埋め込みツェナーフォトレジストマスクが除去される。
【0033】
次に、P+埋め込みツェナードライブイン拡散段階(過程23)が実施され、P+埋め込みツェナー注入段階で注入されたP+イオンを、エピタキシャル層内に下向きに拡散し、P+埋め込みツェナーアノード領域71F及びP+コレクタ接触領域71Bを形成する。このドライブイン段階は、約500Åの酸化膜が開口部70Fの領域71Fの上及び開口部70B内の領域71Bの上に形成されるまで実施される。
【0034】
図15及び図16はBiCDMOS構造の製造方法の次の段階を表している。酸化膜40を含むエピタキシャル層の上側主面を覆う全ての酸化膜が除去される(過程24)。次にベース酸化段階(過程25)が実施され、エピタキシャル層40の上側主面の上にベース酸化膜80が形成される。ベース酸化膜80は、例えば、約500Åの厚さに達するまで、約125分間950℃で熱成長した酸化膜である。次に、シリコン窒化膜81がベース酸化膜80の上に堆積される(過程26)。このシリコン窒化膜81は、例えば約1000Åの厚さを有する。次に、低温度酸化膜(LTO)82が窒化膜81の上に堆積される(過程27)。このLTO層は例えば約1000Åの厚さを有する。
【0035】
ベース酸化膜、窒化膜、及びLTO層が形成された後に、フォトレジスト層がLTO層の上側主面の上に活性領域マスクとしてパターンを形成される(過程28)。次にLTOエッチングが実施され、LTO層の露出した部分が除去される。次に窒化膜エッチングが実施され、窒化膜の露出した部分が除去される。フォトレジストマスクが除去された後に、複数の活性エリアマスク領域83A〜83Hがベース酸化膜80の表面に露出して残される。これらの活性エリアマスク領域の各々は、窒化膜及びLTO層を有する。
【0036】
次に、Nフィールドイオン注入段階(過程29)が、活性エリアマスク領域83A〜83Hの間に配置されたベース酸化膜80のこれらの部分を通して実施される。このNフィールド注入段階は例えば、イオン加速電圧60keV、ドーズ量1.7×1012cmで燐を注入することによって実施される。
【0037】
図17及び図18には、BiCDMOS構造の製造方法の次の段階が表されている。フォトレジスト層90が、図15及び図16の構造の上側主面の上に形成され、Pフィールド注入マスク(過程30)を形成する。図17及び図18に示された構造では、このPフィールド注入マスクは3個の開口部91E、91D及び91Bを有する。
【0038】
次にPフィールドイオン注入段階(過程31)が実施される。ある実施例では、Pフィールドイオン注入段階の前に、Pフィールド酸化フォトレジスト注入マスクは除去されない。領域83E、83D、及び83Bは各々、開口部91E、91D、及び91Bを通してP型イオンを注入するための注入マスクとして働く。Pフィールド注入段階は例えば、イオン加速電圧40keV、ドーズ量8×1013cmでホウ素を注入することによって実施される。Pフィールド注入段階(過程32)が実施された後、フォトレジストが除去される。
【0039】
図19及び図20は、BiCDMOS構造の製造方法の次の段階を表している。活性エリアマスク領域83A〜83Hは各々露出しているので、活性エリアマスク領域83A〜83Hの各々のLTO層は、LTOエッチングによって除去される(過程33)。従って、活性エリアマスク領域83A〜83Hの各々は、ベース酸化膜を覆う薄い窒化膜81のみを有する。
【0040】
次にフィールド酸化段階(過程34)が実施され、窒化膜81、窒化膜81によって酸化から保護されなていエピタキシャル層のフィールド領域の上にフィールド酸化膜が形成される。フィールド酸化膜100F/A、100A/E、100E/G、100G/H、100H/D、100D/B、及び100B/Cを形成する方法は、1993年9月17日に出願されたMichael Chang、David Grasso、及びJun-Wei Chenによる代理人整理番号4463の特許出願“集積回路のフィールド酸化物領域を形成するための方法”の明細書にも開示されている。その方法によって形成されたフィールド酸化膜は、図15、図16、図17、及び図18のフィールド注入段階によって形成されたフィールド酸化膜の下に配置された自己整合フィールド注入領域を有する。領域51EのようなP−ウェル領域内では、フィールド酸化膜の下にあるフィールド注入領域は、P型シリコンからなる。N−エピタキシャル層の一部の上に配置されたフィールド酸化領域のような、N型シリコンの上に配置された他の領域内では、フィールド注入領域はN型にドープされたシリコンからなる。フィールド注入領域の上のフィールド酸化膜を成長させる段階は、フィールド酸化膜100が約8000Åの厚さになるまで実行される。
【0041】
次に薄い酸化物エッチング段階(過程35)が実施され、フィールド酸化段階の間に、窒化膜81の上側主面上に成長した酸化膜を除去する。約500ű100Åの厚さのフィールド酸化膜もまたこの段階でエッチングされる。次に後続の窒化物エッチング段階(過程35)が実施され、酸化膜を取り除くことなしに窒化膜81の全ての部分を除去する。
【0042】
次に、窒化膜が除去された後に、フォトレジスト層101が基層の上側主面上に形成され、N−ベース注入マスクが形成される(過程36)。このN−ベース注入マスクは、P−ウェル51Bの一部の上に形成された開口部102Bを有する。この開口部102Bは、薄いベース酸化膜の一部を露出させる。次に、N−ベースイオン注入段階(過程37)が、開口部102Bを通して実施され、P−ウェル51B内にベース領域103を注入する。この注入段階は例えば、イオン加速電圧100keV、ドーズ量2×1013〜3×1013cmで燐を注入することによって実施される。このN−ベース注入段階が終了した後に、フォトレジストマスクが除去される(過程38)。
【0043】
図21及び図22は、BiCDMOS構造の製造方法の次の段階を表している。次に、約4000Åの厚さを有するポリシリコン層(図示されていない)が、構造の上に形成される(過程43)。次にポリシリコン層がドープされる。ある実施例では、POClがプレデポジットされ(過程48)POClからの燐がポリシリコン内に拡散し、ポリシリコンが約10〜30Ω/cmの導電率を有する。他の実施例では、注入段階はイオン加速電圧80keV、ドーズ量5×1015cmでポリシリコン内に砒素を注入することによって実施される。
【0044】
次に、フォトレジスト層(図示されていない)がポリシリコン層の上に形成され、フォトレジストがポリシリコンマスク内に形成される(過程49)。次にポリシリコンエッチングが、ポリシリコンゲート110A、110E、110G、110H、及び110Dを形成する。ポリシリコンゲート110AはDMOSトランジスタのゲートを形成し、ポリシリコンゲート110Eは比較的高電圧のNMOSトランジスタのゲートを形成し、ポリシリコンゲート110Gは比較的高電圧のPMOSトランジスタのゲートを形成し、ポリシリコンゲート110Hは比較的低電圧のPNMOSトランジスタのゲートを形成し、ポリシリコンゲート110Dは比較的低電圧のNMOSトランジスタのゲートを形成する。ポリシリコンゲートが形成された後に、フォトレジストマスクが除去される。
【0045】
図23及び図24は、BiCDMOS構造の製造方法の次の段階を表している。次に、フォトレジスト層120がポリシリコンゲートの上に形成され、フォトレジスト層120がDMOSのP−ボディ注入マスク内に形成される(過程50)。DMOSのP−ボディ注入マスクは、DMOSトランジスタのポリシリコンゲート110Aを露出させる開口部121Aを有する。このマスクはまた、ポリシリコンゲート110Aの両側のエピタキシャル層の上側主面上の表面領域をも露出させる。このマスクはまた、埋め込みツェナーアノード領域71Fの一部を露出させる開口部121Fをも有する。
【0046】
DMOSのP−ボディイオン注入段階(過程51)が実施され、DMOSトランジスタのポリシリコンゲート110Aと自己整合するP−ボディ領域122が形成される。このボディ領域122は、ポリシリコンゲート110Aの下のエピタキシャル層のある領域を取り囲むような環状の形状を有する。他の実施例ではこの環状ボディ領域122の外側の境界は、正方形、長方形、長い帯状の形、五角形、六角形等を含む多角形のような他の形状であって良い。このDMOSのP−ボディ注入段階は例えば、イオン加速電圧60keV、ドーズ量0.5×1014〜1.5×1014cmでホウ素を注入することによって実施される。DMOSトランジスタのP−ボディ領域122が注入された後に、フォトレジスト120が除去され(過程52)、そしてDMOSのP−ボディドライブイン拡散段階(過程53)が実施され、P−ボディ領域122が、エピタキシャル層内で垂直方向及び水平方向に拡散される。
【0047】
図25及び図26は、BiCDMOS構造の製造方法の次の段階を表している。DMOSトランジスタのP−ボディ領域122が、エピタキシャル層内に拡散された後、ブランケット(blanket)N−低濃度ドープドレインイオン注入段階(過程54)が実施される。注入マスクが用いられていないので、フィールド酸化膜によって保護されていないエピタキシャル層の上側主面の全ての部分またはポリシリコンゲートには、N型の不純物を注入される。このブランケットN−低濃度ドープドレイン注入段階は例えば、イオン加速電圧120keV、ドーズ量0.5×1012〜5×1012cmで燐を注入することによって実施される。
【0048】
図27及び図28は、BiCDMOS構造の製造方法の次の段階を表している。フォトレジスト層140が図25及び図26の構造の上に配置され、次にP−ベース注入マスク内に形成される(過程55)。図27及び図28に示された実施例では、P−ベース注入マスクは2個の開口部141G及び141Cを有する。
【0049】
次にP−ベースイオン注入段階(過程56)が開口部141G及び141Cを通して実施され、高電圧DMOSトランジスタの自己整合した低濃度にドープされたドレイン領域142Gと、垂直NPNバイポーラトランジスタのP−ベース領域142Cとを形成する。ポリシリコンゲート110Gの一部及びフィールド酸化領域110G/Hの一部が開口で141Gによって露出され、低濃度にドープされたドレイン領域142Gの境界が、ポリシリコンゲート110Gの境界に自己整合し、かつ低濃度にドープされたドレイン領域142Gの他の境界がフィールド酸化領域110G/Hの境界と自己整合する。同様に、開口部141Cはフィールド酸化領域110B/Cの一部を露出し、ベース領域142Cの境界がフィールド酸化膜の境界と自己整合する。このP−ベース注入段階は例えば、イオン加速電圧100〜150keV、ドーズ量5×1012〜9×1012cmでホウ素を注入することによって実施される。他の実施例では、P−ベース注入段階より深くかつ高エネルギーの注入を実施するために、イオン加速電圧40keV、ドーズ量0.5×1014〜5×1014cmでホウ素を注入する第2の注入を含む。注入段階が終了した後、P−ベース注入フォトレジストマスクが除去される(過程57)。
【0050】
図29及び図30は、BiCDMOS構造の製造方法の次の段階を表している。フォトレジスト層150が構造の上に配置され、そしてN+ソース/ドレイン及びエミッタ注入マスク内に形成される(過程58)。図29及び図30に示されたこの実施例では、このN+ソース/ドレイン及びエミッタ注入マスクは、開口部151F、151A1、151A2、151E1、151E2、151D、151B、151C1、及び151C2を有する。開口部151Fは埋め込みツェナーダイオードのP+アノード部71Fの上に配置されているので、後続のN+不純物の注入が、上側のN+カソード領域72Fとの埋め込みダイオード接合を形成する。開口部151A1は、DMOSトランジスタが形成されているエピタキシャル層の領域Aの上に形成されている。開口部151A1はDMOSトランジスタのポリシリコンゲート110AばかりでなくDMOSトランジスタのP−ボディ領域122の一部をも露出させている。従って、後続のN+不純物の注入は、P−ボディ領域122内にN+ソース領域152を形成する。開口部151A2がN+シンカ領域61Aの上側主面の上に配置され、この領域のN型不純物濃度を増加させる。開口部151E1は、ポリシリコンゲート110Eの一部ばかりでなくエピタキシャル層の上側主面上のソース領域をも露出するので、後続のN+注入段階は、高電圧NMOSトランジスタの自己整合するソース領域153を形成する。開口部151E2は、予め低濃度にドープされたの上側主面上のドレイン接触領域を露出するので、ドレイン接触領域155は、NMOSトランジスタのチャネル領域156から横方向に分離して形成される。開口部151Eは、比較的低電圧のNMOSトランジスタが形成されているエピタキシャル層の領域Dの上に配置されている。開口部151Dは、エピタキシャル層の上側主面上のソース領域及びドレイン領域ばかりでなく、ポリシリコンゲート110Dをも露出しているので、後続のN+注入段階は、低電圧NMOSトランジスタの自己整合したソース領域157及び自己整合したドレイン領域158を形成する。開口部151Bは、垂直PNPトランジスタが形成されているエピタキシャル層の領域Bの上に配置されている。開口部151Bは予め形成されたN−ベース領域103の一部を露出させているので、後続のN+注入段階はベース接触領域159を形成する。開口部151C1は、垂直NPNトランジスタが形成されているエピタキシャル層の領域Cの上に配置されている。開口部151C1は予め形成されたP−ベース領域142Cの一部を露出しているので、後続のN+注入段階はNPNトランジスタのエミッタ領域170を形成する。
【0051】
次に、N+ソース/ドレイン及びイオン注入段階(過程59)がN+ソース/ドレイン及びエミッタマスクの開口部を通して実施される。この注入段階は例えば、イオン加速電圧60keV、ドーズ量5×1015〜8×1015cmで砒素を注入することによって実施される。N+イオンの注入が行われた後、N+ソース/ドレイン及びエミッタマスクフォトレジストが除去される(過程60)。
【0052】
図31及び図32は、BiCDMOS構造の製造方法の次の段階を表している。ポリ再酸化段階(過程61)が実施された後、フォトレジスト層160がP+ソース/ドレイン及びエミッタマスク内に配置されかつ形成される(過程62)。図31及び図32に示された実施例では、このマスクは、開口部161A1、161A2、161G1、161G2、161H、161B1、161B2、及び161Cを有する。開口部161A1及び161A2は実際には、1つの略環状型の開口部の2つの断面部分であり、DMOSトランジスタの環状型のPボディ領域122と接触するために配置された環状型のP+ボディ接触領域162を形成する。開口部161G1は、フィールド酸化領域100E/Gの一部とポリシリコンゲート110Gの一部とを露出させるので、後続のP+注入段階は、自己整合ソース領域163を形成することになる。開口部161G2はドレイン領域142Gの上側主面の領域を露出させるので、後続のP+注入段階は、ドリフト領域165によってポリシリコンゲート110Gのラテラル境界から横方向に隔てられる小さいドレイン接触領域164を形成することになる。開口部161Hは、ポリシリコンゲート110Hとフィールド酸化領域100G/H及び100H/Dとの間のエピタキシャル層の上側主面の一部ばかりでなく、シリコンゲート110Hをも露出させるので、後続のP+注入段階は、自己整合ソース領域166及びドレイン領域167を形成することになる。開口部161B1は、フィールド酸化領域100D/Bからフィールド酸化領域100Bに延在するので、後続のP+注入段階は、P+コレクタ接触領域71Bに更にP型不純物を加えることになる。開口部161Bには、ベース領域103の表面領域を露出させるので、後続のP+注入段階は、ベース領域103内に形成され、かつベース接触領域159から横方向に隔てられたエミッタ領域168を形成することになる。開口部161Cは、ベース領域142Cの小さい表面領域を露出させるので、後続のP+注入段階は、ベース領域142C内に形成され、かつエミッタ領域170から横方向に隔てられたベース接触領域169を形成することになる。
【0053】
P+ソース/ドレイン及びエミッタイオン注入段階(過程63)が、次にマスク160内のこれらの開口部を通して実施される。この注入は例えば、イオン加速電圧60keV、ドーズ量3×1015cmで、ホウ素を注入することによって実施される。この段階が実施された後、フォトレジストマスク160が除去される。
【0054】
図33は、BiCDMOSプロセスによって形成される薄型フィルムトランジスタ構造の断面図である。そのようなトランジスタ構造を形成するプロセスの実施例では、ホウ燐ケイ酸ガラス(BPSG)層170Aがエピタキシャル層40の上に堆積され(過程64)、そして温度900〜950℃でリフロー(reflow)される(過程65)。次に、シリコン−クロミウム(Si−Cr)層がBPSG層の上に堆積される(過程66)。BPSG層は例えば、約6500Åの厚さを有する。Si−Cr層は例えば、約200〜300Åの厚さを有し、かつ約2kΩ/cmの抵抗率を有する。次に、チタン−タングステン(Ti−W)層が、Si−Cr層の上にスパッタされる。このTi−W層は例えば、約1000Åの厚さを有する。次に、フォトレジスト層(図示されていない)がTi−Wの上に堆積され、フォトレジストが、形成されるべき抵抗を被覆する薄いフィルム内に形成される。次にエッチングが行われ、マスクによって保護されていないTi−Wの全ての部分を除去する。次に2度目のエッチングが行われ、フォトレジストマスクによって保護されていないSi−Crの全ての部分を除去する。その結果、抵抗性のSi−Crの下側の抵抗層領域と上側のTi−Wの導電性層とを有するサンドイッチ構造が(図示されていない)が形成される。次にフォトレジストマスクが除去される。
【0055】
次に、アルミニウムのような接続用金属層がTi−W層の上に堆積される(過程68)。この接続用金属層は例えば、1%のシリコン及び0.5%の銅をドープされた0.8μmの厚みのアルミニウム層からなる。この接続用金属を堆積する段階は、上述された段階で形成されたトランジスタ及び他の構造を接続するために基板上の他の場所に接続用金属を堆積する金属化段階と同じものである。
【0056】
次に、フォトレジスト層が接続用金属層の上に形成され、フォトレジスト層が金属マスク内に形成される(過程69)。この金属マスクは、Ti−W層の2つの保護された部分の間の保護されていないTi−W層の一部を残す。従って、後続の金属エッチング段階が実施され、金属接続ライン及びチップ上の各部分の接続が形成されたとき、金属エッチングは、Ti−W層の上のアルミニウム層の露出した部分を通過し、そして更にTi−W層の下方にまで通過する。その結果、下側の抵抗性Si−Cr層の一部は、導電性のTi−W層によって被覆されないことになる。抵抗性Si−Cr領域171のこの部分の一方の端部は、Ti−W層172Aの第1部分によって、アルミニウム接続層173Aに接続され、一方、抵抗性Si−Cr領域171の他方の端部は、Ti−W層172Bの第2部分によって第2のアルミニウム接続層173Bに接続される。
【0057】
次に絶縁酸化膜が、薄型フィルム抵抗領域内の金属接触部及び基層の他の部分の上に堆積される。この絶縁酸化膜は例えば、600Åの厚みのTEOS酸化膜を被せられた約7000Åの厚みを有する堆積されたTEOS酸化膜からなる(過程70)。マスク使用段階(過程73)が実施され、絶縁酸化膜を通して下側の構造の種々の選択された位置に達する開口部が形成された後、第2の金属接続層が絶縁酸化膜の上にスパッタされ(過程74)、金属接続の第2レベル内にマスクされそして形成される(過程75)。
【0058】
次に表面処理層が、構造の上側主面全体の上に形成される(過程76)。この表面処理層は例えば、2000ÅのドープされていないPSGと、6000Åの4%PSGとのサンドイッチ構造の8000Åの厚さのPSG層、または8000ÅのPE CVG窒化膜からなる。本発明のBiCDMOSプロセスの実施例は、パッドマスク及びエッチング段階(過程77)が表面処理層内に開口部を形成し、上側の表面処理層を通してワイヤボンディングするためのメタルボンディングパッドを露出した後に完了する。
【0059】
これまで説明されたBiCDMOSプロセスのある特徴に基づけば、CMOSトランジスタのポリシリコンゲートからの不純物がゲート酸化膜を通して下側のエピタキシャル層内に通過することなしに、DMOSトランジスタの比較的高濃度のボディ領域が、比較的高い温度でエピタキシャル層内に拡散する。図23及び図24に示すように、ポリシリコンゲート110Aは、20VのDMOSトランジスタのボディ領域122が注入されるときの注入マスクとして用いられる。DMOSトランジスタのポリシリコンゲート110Aが形成されるとき同時に形成されるポリシリコンゲート110Hもまた、図31及び図32に示すように、PMOSトランジスタのソース領域及びドレイン領域が注入されるときに、注入マスクとして5VのPMOSトランジスタの製造時に用いられる。ポリシリコンゲートは、燐(またはホウ素がゲート酸化膜を通過して拡散することを防ぎ、かつ5VのPチャネルMOSFETの閾値電圧を変化させる砒素)を高濃度にドープされているので、CMOSトランジスタのポリシリコンゲートからの不純物が上側のゲート酸化膜を通過し、機能する部分の歩留りを減少することなしに、DMOSトランジスタとCMOSトランジスタの両方が、最小のプロセス段階を用いて同時に同じウエハ上に高い信頼性を備えて形成される。
【0060】
BiCDMOSプロセスの他の特徴は、高いブレイクダウン電圧のCMOSトランジスタが、比較的低いブレイクダウン電圧のCMOSトランジスタと等しいウエハ上に形成されるときに、ブランケットイオン注入段階が、高いブレイクダウン電圧のCMOSトランジスタの低濃度にドープされたドレインをドープするために用いられることである。図25及び図26に示すように、16VのNMOSトランジスタのポリシリコンゲート110Eと、5VのPMOSトランジスタのポリシリコンゲート110Hとが、N型不純物ブランケットイオン注入段階でマスクとして用いられる。従って、高電圧NMOSトランジスタの低濃度にドープされたドレイン領域154が形成される。しかし続いて、図31及び図32に示すようなP型注入段階では、5VのPMOSトランジスタのソース領域及びドレイン領域166及び167が、P型不純物をドープされ、図25及び図26のブランケットイオン注入段階のN型不純物と、エピタキシャル層のN型不純物の不純物濃度を超過する。マスク過程を省略するために、BiCDMOSプロセスは、最初に約5×1015イオン/cmから1×1016イオン/cmのN型不純物を有する低濃度にドープされたエピタキシャル層から始まるので、後続のブランケットイオン注入段階は、高電圧NMOSトランジスタの低濃度にドープされたドレイン領域154を形成するために用いられる。その結果、図31及び図32のP型イオン注入段階が、低電圧PMOSトランジスタのソース領域及びドレイン領域166及び167の形成に不十分となる程には、N型ブランケットイオン注入段階が、低電圧PMOSトランジスタのソース領域及びドレイン領域を高濃度にドープすることはない。
【0061】
BiCDMOSプロセスの他の特徴は、バイポーラトランジスタのベース領域が、比較的高電圧のCMOSトランジスタの低濃度にドープされたドレイン領域が形成されるときに同時に形成されることである。図27及び図28に示すように、垂直NPNバイポーラトランジスタのP−ベース注入領域142Cは、比較的高いブレイクダウン電圧のPMOSトランジスタの低濃度にドープされたドレイン領域142Gが形成されるとき同時に形成される。このとき等しい注入マスクが用いられる。従って、BiCDMOSプロセスは、バイポーラトランジスタ及び比較的高電圧のCMOSトランジスタの両方を、少ないプロセス段階によって等しいウエハ上に製造することを可能にする。このように製造段階を共有することによって、後続のプロセス段階も共有することが可能となる。図31及び図32に示されたP型イオン注入段階は例えば、垂直NPNバイポーラトランジスタのベース接触領域169と、比較的高いブレイクダウン電圧のPMOSトランジスタのドレイン接触領域164の両方を形成する。
【0062】
BiCDMOSプロセスの他の特徴は、埋め込みツェナーダイオードが、比較的高いブレイクダウン電圧のCMOSトランジスタが形成されるとき同時に形成されることである。図25及び図26に示すように、ブランケットN型イオン注入段階は、16VのNMOSトランジスタの低濃度にドープされたドレイン領域154を形成するばかりでなく、ツェナーダイオードのP型アノード領域71Fの上のN型に低濃度にドープされたツェナー部分130Fをも形成する。次に、図29及び図30の後続のN型注入段階では、高濃度にドープされたN型ツェナーカソード領域72Fが、16VのNMOSトランジスタのN型ソース領域153及びN型ドレイン接続領域155が形成されるとき同時に形成される。従ってBiCDMOSプロセスは、マスク段階及びプロセス段階を更に必要とせずに、高電圧CMOSトランジスタと同じウエハ上に能率的に、1つの埋め込みツェナーダイオードを提供するか、または複数の整合した埋め込みツェナーダイオードを提供する。
【0063】
BiCDMOSプロセスの他の特徴は、埋め込みツェナーダイオードが欠陥を減少させる特別な方法によって製造されるので、複数のツェナーダイオードが互いに整合することが可能となることである。N型イオンがP+アノード領域71F内に注入された後、活性領域の他の部分の上に配置された酸化膜よりもより薄い埋め込みツェナー領域の上に配置された酸化膜と共にシリコン注入による損傷がアニールされて修復される。このツェナー領域の上の酸化膜の厚さは1000Å未満であり、例えば500Åである。更に、低濃度にドープされた領域130Fと下側のエピタキシャル層との間の境界のブレイクダウン電圧は、高くなければならず、そしてシリコン表面の影響を受けてはならない。従って、図29及び図30のN+イオン注入段階の不純物は、シリコン表面下およそ0.4〜0.5μmに注入される。P+アノード領域71Fの深さは3〜4μmであり、一方DMOSトランジスタのP−ボディ領域122の深さは約1.5μmである。従って、等しい拡散段階が各領域に所望の深さを与えるように、P+アノード領域71Fはより高濃度にドープされ、P−ボディ領域122はより低濃度にドープされている。
【0064】
補助的な構造
【0065】
図34は、絶縁構造の実施例の拡大断面図である。図32の領域B内に存在する垂直PNPバイポーラトランジスタは、図34の絶縁構造内に配置されている。従って、図34の絶縁構造を形成する方法は、図1から図32のBiCDMOSプロセスに関する説明で述べられている。
【0066】
図34の絶縁構造は、N+埋め込み層領域21B、第1P+埋め込み層領域43B、第2P+埋め込み層領域44B、及びP−ウェル領域51Bを有する。N+埋め込み層領域21Bは、基層とエピタキシャル層との境界191から下向きに基層10内に延出し、かつ上向きにエピタキシャル層40内に延出している。第1P+埋め込み層領域43Bは、N+埋め込み層領域21Bの底面から下向きに延出し、P+埋め込み層領域44Bは、N+埋め込み層領域21Bの上側面から上向きに延出しており、N+埋め込み層領域21Bは、上側の埋め込みウェル領域44Bを下側の埋め込みウェル領域43Bから分離している。P−ウェル領域51Bは、エピタキシャル層40の上側主面から下向きにエピタキシャル層40内に延出し、かつP+埋め込みウェル領域44Bに接触している。従って、P+埋め込み層領域44Bは埋め込みウェル領域と呼ばれている。
【0067】
図34で、フィールド酸化膜100D/B及び100B/Cとして表されたフィールド酸化膜は、ある実施例では、エピタキシャル層40の上側主面上に提供される。このフィールド酸化膜は、エピタキシャル層40の上側主面のP−ウェル51Bの境界に沿って配置されており、P−ウェル領域の上側主面上に活性領域180を画定する。P型フィールド注入領域181D/B及び181B/Cは、フィールド酸化膜がP−ウェル領域51Bを覆うフィールド酸化膜100D/B及び100B/Cの真下に配置されている。同様に、N型フィールド注入領域182D/B及び182B/Cは、フィールド酸化膜がP−ウェル領域の外側のN−エピタキシャル層を覆うフィールド酸化膜100D/B及び100B/Cの真下に配置されている。
【0068】
従って、P−ウェル領域44Bは、N+埋め込み層領域21B及びN−エピタキシャル層40によって下側の基層10から絶縁されている。従って、この絶縁構造は、トランジスタが位置している半導体材料が基層上の他の構造から電気的に絶縁されたときに、トランジスタ等の電気的な素子が形成される活性領域を、P−ウェル領域51Bの上に提供する。P型の領域をN型の領域に置き換え、かつN型の領域をP型に領域に置き換えることによって、N型基層上にN型ウェル領域を提供することができる。
【0069】
図35は、図1から図32の領域Bで示された第1垂直バイポーラトランジスタ構造の実施例を示す拡大断面図である。P型フィールド注入領域181D/B、181B、及び181B/Cは、フィールド酸化膜100D/B、100B、及び100B/Cの下に各々配置されており、下側のP−ウェル領域51Bは、P型の導電型を有する。N型フィールド注入領域182D/B、及び182B/Cは、フィールド酸化膜100D/B及び100B/Cの下に配置されており、下側のN−エピタキシャル層40は、N型の導電型を有する。コレクタ接触領域71Bは、エピタキシャル層の上側主面から、下向きにP−ウェル領域51B内に延出している。図35に示された実施例では、P+コレクタ接触領域71Bは、フィールド注入領域181Bよりも、P−ウェル領域51B内に深く延出している。N−ベース領域103は、エピタキシャル層の上側主面から、フィールド酸化膜100Bとフィールド酸化膜100B/Cとの間のP−ウェル51B内に下向きに延出している。N+ベース接触領域159及びエミッタ領域168は、ベース領域103内に下向きに延出しており、エミッタ領域168は、ベース接触領域159から横方向に隔てられている。図を明瞭にするために、図35の構造のエミッタ、ベース、及びコレクタ領域と接触する金属電極は、省略されている。
【0070】
図36は、第2垂直バイポーラトランジスタ構造の実施例の断面図である。図1から図32のN+埋め込み層領域21Cと等しいN+埋め込み層領域190は、基層とエピタキシャル層との境界191から上向きにエピタキシャル層40内に延出し、かつ基層10内に下向きに延出している。N+シンカ領域61Cと等しいN+シンカ領域192は、エピタキシャル層40の上側主面から下向きにエピタキシャル層40内に延出し、N+埋め込み層領域190と接触している。厚いフィールド酸化膜193及び194が、エピタキシャル層40のフィールド領域195の上に形成され、エピタキシャル層の活性領域196を囲繞している。N型フィールド注入領域197及び198が、フィールド酸化膜とN−エピタキシャル層との間のフィールド酸化膜193及び194の下に配置されている。
【0071】
P−ベース領域199が、活性領域196のエピタキシャル層40の上側主面から、エピタキシャル層40内に下向きに延出している。このP−ベース領域は、図1から図32に示された製造方法によってP−ベース領域142Cが形成されるとき同時に形成される。低濃度にドープされたN−領域198は、N+シンカ領域192とP−ベース領域199の横方向の延出部との間のエピタキシャル層40の上側主面に、任意に配置されても良い。この低濃度にドープされたN−領域198は例えば、図1から図32の製造方法のN−ブランケットイオン注入段階で形成される。
【0072】
ゲート酸化膜が、活性領域196内のエピタキシャル層40の上側主面上に配置される。このゲート酸化膜は、部分200と部分201とから構成されている。エミッタ接触開口部202がゲート酸化部分200内に形成されており、このゲート酸化膜部分200はエミッタ接触開口部202を囲繞している。ベース開口部203は、ゲート酸化膜部分200を囲繞しており、図36の断面図では、ベース開口部203は、ゲート酸化膜部分200とフィールド酸化膜部分193との間、及びゲート酸化膜部分200とゲート酸化膜部分201との間に配置されている。コレクタ接触開口部204は、ゲート酸化膜部分201とフィールド酸化膜部分194との間に形成されている。
【0073】
下側のゲート酸化膜部分200とほぼ同じ形状のポリシリコン層205が、ゲート酸化膜部分200の上に配置されており、ポリシリコン層205とゲート酸化膜部分200とによって、ほぼ垂直な側壁206と、もう一方のほぼ垂直な側壁207とが、エピタキシャル層の上側主面に向かって下向きに形成される。
【0074】
N+エミッタ領域208が、エミッタ開口部202の下のエピタキシャル層の上側主面から下向きにベース領域199内に延出している。このエミッタ領域208もまた、ゲート酸化膜部分に200の下にある距離に亘って横方向に延在している。ベース接触領域209は、ベース接触開口部203の下のエピタキシャル層の上側主面からベース領域内に下向きに延出している。このベース接触領域もまた、ゲート酸化膜部分200の下にある距離に亘って横方向に延在している。図36に示されているように、ベース領域209は横方向の平面内でエミッタ領域208を囲繞している。
【0075】
アルミニウムなどの導電性材料からなるベース電極210が、ベース接触開口部203を通してベース接触領域209と接続している。同様に、コレクタ電極211がコレクタ接触開口部204を通してN+シンカ領域192と接続している。エミッタ電極212が、ポリシリコン層205の上側主面からエピタキシャル層の上側主面のエミッタ領域208へ下向きに延出することによって、エミッタ接触開口部202を通してエミッタ領域208と接続している。絶縁層213及び214が少なくとも部分的にポリシリコン層205とベース接触電極210との間に配置され、ベース電極210をエミッタ電極212から絶縁している。
【0076】
図1から図31のプロセスに基づいて製造された図36の構造では、ポリシリコン層205は、ポリシリコンゲート110A、110E、110G、100H、及び110Dが形成されるとき同時に形成される。続いてN+不純物がベース領域199内に注入され、自己整合ベースエミッタ領域208を形成し、P+不純物がベース領域内に注入され、自己整合ベース接触領域209を形成する。ゲート酸化膜200が、エミッタ領域208の境界とベース接触領域209の境界とを画定する注入マスクのほぼ垂直な境界の一部を画定する場合と画定しない場合とがある。ゲート酸化膜200が注入マスクの一部を形成しない場合、注入マスクの境界は、パターンされたポリシリコン層205の境界のみによって形成される。図36の垂直バイポーラトランジスタの製造方法によって、ポリシリコン層205の幅を、使用されるプロセスのための最小のライン幅Wにすることが可能になる。従って、自己整合ベース接触領域209と自己整合エミッタ領域208との間の距離が最小となる。ベース接触領域及びエミッタ領域が横方向に拡散する距離を制御することによって、ベース接触領域とエミッタ領域との間の距離を、繰り返し可能にかつ制御可能に最小のライン幅Wよりも更に短くすることができる。従って、図36の構造により、ベース接触領域とエミッタ領域との間の繰り返し可能かつ調整可能な最小の距離を実現することができ、図36の構造によって、ベースエミッタ間の抵抗と、バイポーラトランジスタを原因とする静電容量とを最小にできる。こうして、高いカットオフ周波数の高周波トランジスタが実現される。
【0077】
図37は、第3の垂直バイポーラトランジスタ構造の実施例の断面図である。図34の絶縁構造と同様の絶縁構造には、P+埋め込み層領域211AをP+埋め込みウェル領域212Aから分離するN+埋め込み層領域210Aが含まれている。P−ウェル領域213Aがエピタキシャル層40の上側主面から下向きに延出し、P+埋め込みウェル領域212の上側主面と接触している。N−エピタキシャル層40のN型半導体材料がフィールド酸化膜215及び216の下に存在している、Nフィールド注入領域214A及び214Bが、フィールド酸化膜215及び216の下に存在している。P−ウェル領域213AのP型半導体材料がフィールド酸化膜215及び216の下に存在する、Pフィールド注入領域217及び218が、フィールド酸化膜215及び216の下に存在している。図37の垂直バイポーラトランジスタでは、フィールド酸化膜219及び220が、P−ウェル領域213Aの上側主面にエミッタ開口部221を形成する。N−ベース領域222が開口部221を通してP−ウェル領域213A内に形成される。次に、P+型エミッタ領域223が、同じ開口部221を通してN−ベース領域222の上側部分内に形成される。N−ベース領域222は例えば、図25及び図26に示されたN−ブランケットイオン注入段階の間に注入された注入領域である。P+エミッタ領域は例えば、図31及び図32に示されたP+イオン注入段階で形成される。
【0078】
酸化膜219及び220の下のN型注入領域224及び225は、N−ベース領域222と横方向に露出したNベース接触領域226との横方向の接触を形成する。N型注入領域224及び225は例えば、N型フィールド注入領域214A及び214Bが注入されるとき同時に注入される。N+ベース接触領域226は例えば、図29及び図30のN+イオン注入段階のフィールド酸化膜内の開口部227を通して注入される。横方向に露出したP+コレクタ接触領域228がP−ウェル領域213A内に形成され、P−ウェル領域213Aはバイポーラトランジスタのコレクタとして働き、コレクタ接触領域228は、バイポーラトランジスタのコレクタ接触領域として働く。P+コレクタ接触領域228例えば、P+エミッタ領域223が形成されるプロセス過程と等しいプロセス過程で形成される。従って、P+エミッタ領域223及びN−ベース領域222は、開口部221と自己整合し、N+ベース接触領域226は、開口部227と自己整合する。図を明瞭にするために、エミッタ電極、ベース電極、及びコレクタ電極は、図示されていない。
【0079】
図38は、ラテラルDMOSトランジスタ構造の第1実施例の断面図である。上側主面を有するN−エピタキシャル層40が、基層10の上に配置されている。P−ウェル領域230は、エピタキシャル層の上側主面からエピタキシャル層40内へ下向きに延出している。フィールド酸化膜部分231及び232、及びフィールド酸化膜部分233からなるフィールド酸化膜が、エピタキシャル層40の上側主面上に配置されている。フィールド酸化膜部分231及び233が活性領域234を画定している。フィールド酸化膜部分231及び233がウェル領域230のP−型シリコンを覆う、P型フィールド注入領域235及び236が、フィールド酸化膜部分231及び233の下に配置されている。同様に、フィールド酸化膜部分231及び233がエピタキシャル層のN−型シリコンを覆う、N型フィールド注入領域237及び238が、フィールド酸化膜部分231及び233の下に配置されている。
【0080】
ここではP−ボディ領域であるボディ領域239が、活性領域内のエピタキシャル層の上側主面から、ウェル領域230内へ下向きに延出している。ここではN型ドレイン接触領域であるドレイン接触領域240もまた、活性領域内のエピタキシャル層の上側主面から、ウェル領域230内へ下向きに延出している。ボディ領域239がウェル領域230内に配置され、ドレイン接触領域240から横方向に隔てられている。ウェル領域230のドリフト領域部分241が、ボディ領域239と低濃度にドープされたドレイン注入領域242との間に配置されている。低濃度にドープされたドレイン注入領域242が、ドリフト領域241とドレイン接触領域240との間に配置され、低濃度にドープされたドレイン注入領域242がドレイン接触領域240と接触している。ここではN型注入領域である低濃度にドープされたドレイン注入領域242が、活性領域内のフィールド酸化膜部分232の下に配置されている。
【0081】
ここではN+ソース領域であるソース領域243が、ボディ領域239の中に配置され、ソース領域243がエピタキシャル層の上側主面からボディ領域239内に延出している。ボディ領域239のチャネル部分252が、ソース領域243をドリフト領域241から分離している。ここではP+ソース接触領域であるソース接触領域244が、エピタキシャル層の上側主面からボディ領域239内に延出し、ソース接触領域244がソース領域243と接触している。
【0082】
ゲート酸化膜245が、フィールド酸化膜232が配置されていない活性領域234内のエピタキシャル層40に上側主面上に配置されている。2つの開口部246及び247がゲート酸化膜245内に形成されている。開口部246は、ソース接触領域244の少なくとも一部の上とソース領域243の少なくとも一部の上とに配置されている。開口部247は、少なくともドレイン接触領域240の一部の上に配置されている。ポリシリコンゲート層248が、ゲート酸化膜245及びフィールド酸化膜部分232の上に配置され、ソース領域243の上の一部から、ボディ領域239の上、チャネル部分252の上、ドリフト領域241の上、及びフィールド酸化膜部分232の一部の上まで延在している。ホウ燐ケイ酸ガラス(BPSG)のような絶縁材料から形成された絶縁層249が、ポリシリコンゲート層248の上に配置され、ゲート酸化膜245内の開口部246の上から、ソース領域243の上のゲート酸化膜245の上、ポリシリコンゲート層248の上、フィールド酸化膜部分232の上、及び開口部247まで延在している。アルミニウムなどの導電性材料からなるソース電極250が、開口部246を通してソース接触領域244及びソース領域243と接触している。同様の導電性材料からなるドレイン電極251は、開口部247を通してドレイン接触領域240と接触している。ゲート電極は、ポリシリコンゲート層248と接触している。図38ではこれらの電極は図を明瞭にするために省略されている。
【0083】
動作時には、ポリシリコンゲート層248に加えられた電圧が、ソース領域243とドリフト領域241との間のボディ領域239のチャネル領域252内にチャネルを形成する。従って、電流がソース電極250から、ソース領域243、チャネル領域252内のチャネル、ドリフト領域241、フィールド注入領域242、及びドレイン接触領域240を通って、ドレイン電極251へ流れる。電流はまた、ドレイン電極からソース電極へ反対方向に流れても良い。
【0084】
従って、図38の構造では、フィールド酸化膜部分232の下に配置されたフィールド注入領域242は、低濃度にドープされたドレイン領域として用いられている。低濃度にドープされたフィールド注入領域242は、N型フィールド注入領域238が形成されるときに形成される。N型フィールド注入領域は例えば、図15及び図16に示すようにN型フィールド注入領域が形成されるとき同時に形成される。ボディ領域239は例えば、図23及び図24に示すように領域122が形成されるとき同時に形成される。領域243及び240は例えば、図25と図26、及び図29と図30に示されるようにN型領域が形成されるとき同時に形成される。ソース接触領域244は例えば、図31及び図32に示されるようにP+領域が形成されるとき同時に形成される。図38の構造は、これまで説明されたBiCDMOSプロセスを用いて製造されるが、この構造を製造するために他のウエハ製造プロセスを用いることもできる。図38には、N型チャネルラテラルDMOSトランジスタが示されているが、全てのN型領域をP型領域に変え、全てのP型領域をN型領域に変えることによって、PチャネルラテラルDMOSトランジスタを実現することもできる。
【0085】
図39は、ラテラルDMOSトランジスタ構造の第2実施例の断面図である。図39の実施例では、Pウェル領域230は提供されていない。図38のP−型基層の代わりにN型基層が用いられている。図39に示すように、このN型基層は比較的低濃度にドープされたN−基板または比較的高濃度にドープされたN+プラス型基板の何れであっても良い。
【0086】
図40は、ラテラルDMOSトランジスタ構造の第3実施例の断面図である。図40の実施例は、PチャネルラテラルDMOSトランジスタである。N−型エピタキシャル層がN+型基層の上に配置されている。ソース接触領域は、N+型シリコンであり、ソース領域はP+型シリコンであり、ボディ領域はN−型シリコンであり、ドレイン領域はエピタキシャル層のN−型シリコンであり、低濃度にドープされたドレイン注入領域242はP型フィールド注入領域である。図40の実施例では、P型ドレイン接触領域240は、P型フィールド注入領域242の深さを超過するほどには下方向に延出していない。P型ドレイン接触領域240は、下側のN−型エピタキシャル層40に接触していない。P−領域238もまた、P+ドレイン接触領域240の下に配置され、低濃度にドープされたP型フィールド注入領域242の下側主面から、N−型エピタキシャル層40内へ下向きに延出している。
【0087】
P−領域238は例えば、図9及び図10に示されたPウェル領域51E、51D、及び51Bが形成されるとき同時に形成される。P型の低濃度にドープされたドレイン注入領域242は例えば、図17及び図18に示された他のP型フィールド注入段階が実施されるとき同時に形成される。N型ボディ領域239は例えば、図19及び図20に示された領域103が形成されるとき同時に形成される。N+ソース接触領域244は例えば、図29及び図30に示されたN+注入段階が実施されるとき同時に形成される。P+ソース領域243及びP+ドレイン接触領域240は例えば、図31及び図32に示されたP+注入段階が実施されるとき同時に形成される。図40には、PラテラルDMOSトランジスタが示されているが、全てのP型領域をN型領域に変え、全てのN型領域をP型領域に変えることによって、NチャネルラテラルDMOSトランジスタを実現することもできる。これまで説明された構造は、これまで説明されたBiCDMOSプロセスを用いて製造されたが、他のウエハ製造プロセスを用いてこれらの構造を製造することもできる。
【0088】
図41は、ラテラルDMOSトランジスタ構造の第4実施例の断面図である。ここではN−エピタキシャル層であるエピタキシャル層が、基層10の上に配置されている。P型埋め込み層250A及び251Aが、基層とエピタキシャル層の境界191から上向きに延出している。P型絶縁シンカ領域252A及び253が、エピタキシャル層内の上側主面から下向きに延出し、P埋め込み層250A及び251Aと接触しており、結合した絶縁シンカ−P型埋め込み層構造が、エピタキシャル層の他の部分255からエピタキシャル層の絶縁された領域254の周りに延在している。フィールド酸化膜256、257、及び258が、エピタキシャル層の上側主面の上に配置されている。図41では、フィールド酸化膜は、Pシンカ領域252Aと253の外側境界の周りに延在し、活性領域258Aと、活性領域258A内に配置された部分257とを画定する2つの部分256及び258を形成している。フィールド酸化膜部分256及び258が、エピタキシャル層のN型シリコンを覆う、N型フィールド注入領域259及び261は、フィールド酸化膜部分256及び258の下に配置されている。同様に、フィールド酸化膜部分257が、活性領域内の絶縁された領域254のN型シリコンを覆う、N型フィールド注入領域260は、フィールド酸化膜部分257の下に配置されている。
【0089】
埋め込み層領域21Cと等しいN+型埋め込み層領域262と、シンカ領域61Cと等しいN+シンカ領域263が、絶縁領域254内に配置されている。N+ドレイン接触領域264は、シンカ領域263の上の絶縁領域254の上側主面に配置され、低濃度にドープされたドレイン領域265もまた、絶縁領域254の上側主面に配置され、かつドリフト領域254Aとドレイン接触領域264との間に配置されている。P型シリコンボディ領域266は、絶縁領域254の上側主面から絶縁領域254内へ下向きに延出して、絶縁領域254内に配置されている。N+ソース領域267は、Pボディ領域266の上側主面から、Pボディ領域266内へ下向きに延出し、Pボディ領域266のチャネル領域268が、ソース領域267をドリフト領域254Aから分離している。P+ボディ接触領域269もまた、少なくともその一部がPボディ領域266内に配置されており、かつボディ領域266の上側主面からボディ領域266内へ下向きに延出すると共に、N+ソース領域267と接触している。図41に示された実施例では、P+ボディ接触領域269は、Pボディ領域266からPシンカ領域253内へ延出している。同様に、Pボディ領域266はPシンカ領域253に接触している。
【0090】
部分270、272、及び271からなる薄いゲート酸化膜が、活性領域258内のエピタキシャル層の上側主面の上に配置されている。ゲート酸化膜部分270及び272が、Pシンカ領域252及び253の上側主面上に配置されている。部分271は、N+ソース領域267の上の位置から、Pボディ領域266のチャネル領域268の上、ドリフト領域254Aの上、低濃度にドープされたドレイン領域265の上、及びドレイン接触領域264の一部の上に延在している。ポリシリコンゲート層273が、ゲート酸化膜部分271の上に配置されており、ポリシリコンゲート層273が、N+ソース領域267の位置から、チャネル領域268の上、ドリフト領域254Aの上、及び低濃度にドープされたN−型ドレイン領域265の上に延在している。BPSGのような絶縁材料の厚い絶縁層の第1部分274及び276は、フィールド酸化膜部分256及び258の上、シンカ領域252及び253の上のゲート酸化膜の上、及びフィールド酸化膜257の上に延在している。厚い絶縁層の第2部分275は、ポリシリコンゲート層273の上、及びゲート酸化膜部分271の上に延在している。その結果、P+ボディ接触領域269とN+ソース領域267との上に形成された開口部277と、N+ドレイン接触領域264の上に形成された開口部278とがゲート酸化膜及び厚い酸化膜層の中に形成される。
【0091】
アルミニウムなどの導電性材料によって形成されたソース電極279は、厚い絶縁層部分276の上に延在し、かつ開口部277を通してP+ソース接触領域269及びN+ソース領域267と接触している。同様に、絶縁材料からなるドレイン電極280は、厚い絶縁層部分274の上に延在し、開口部278を通してN+ドレイン接触領域264と接触している。ゲート電極は、ポリシリコンゲート層273と接続されるが、そのゲート電極は図41には図示されていない。
【0092】
動作中には、図41のラテラルDMOS構造は、ソース領域267とドレイン接触領域264との間の電流を制御するように動作する。ポリシリコンゲート層273に加えられた電圧が、Pボディ領域266のチャネル領域268内にチャネルを形成する。電流が、ソース電極279から、N+ソース領域267、Pボディ領域266のチャネル領域268内のチャネル、ドリフト領域254A、低濃度にドープされたドレイン領域265、N+ドレイン接触領域264を通って、ドレイン電極280へ流れる。電流はまた、ドレイン電極280からソース電極279へ逆向きに流れることも可能である。その上側主面281が、ある横方向の距離に亘って、低濃度にドープされたドレイン領域265とドレイン接触領域264との下側面282にほぼ並行に延在する、N+埋め込み層262は、トランジスタがターンオンし導通状態のとき、ドレイン抵抗を減少するように作用する。図41の構造では、P+ボディ接触領域269は、シンカ領域253及び埋め込み層領域251を通して、ソース領域267を基層10に電気的に接続する。そのため、幾つかの実施例では、ソース電極279と開口部277は提供されていない。これらの実施例では、N+ソース領域の電圧は、基層の電圧とほぼ等しく保たれる。
【0093】
図42は、ラテラルDMOSトランジスタ構造の第5実施例の断面図である。図42の構造は、図41の構造と等しいが、Pボディ接触領域269は、Pボディ領域266外に延出せず、かつシンカ領域253と接触しない。P+ボディ接触領域269は、N+ソース領域267と接触していないが、しかしP+ボディ接触領域269は、その全体がPボディ領域266内に配置されている。ある実施例では、フィールド酸化物領域300が、シンカ領域253とPボディ領域266との間の絶縁領域254の上側主面上に配置されている。N型フィールド注入領域301は、フィールド酸化物領域300の下に配置され、BPSGのような絶縁材料からなる厚い絶縁層302は、フィールド酸化物領域300の上に配置されている。従って、ソース電極277は、P+ボディ接触領域269、シンカ領域253、及びP埋め込み層251を通して、P基層10と接触することはない。従って、基層10とソース電極277とは異なった電位に保たれている。ある実施例では、電気的なアクセスがシンカ領域253に加えられる。これらの実施例では、基層電極303はBPSG層276の上に延在し、かつゲート酸化膜、及びフィールド酸化膜部分258とフィールド酸化膜部分300との間のBPSG層内の開口部304を通してシンカ領域253の上側主面に接触する。
【0094】
図41及び図42の構造は例えば、これまで説明されたBiCDMOSプロセスによって製造される。シンカ領域252及び253は例えば、図9及び図10に示されたウェル領域51Bが形成されるとき同時に形成される。P埋め込み層領域250及び251は例えば、図7及び図8に示された領域44Bが形成されるとき同時に形成される。N+埋め込み層領域262は例えば、図7及び図8に示された領域21Cが形成されるとき同時に形成される。N+領域263は例えば、図11及び図12に示された領域61Cが形成されるとき同時に形成される。フィールド酸化膜256、257、258は例えば、図19及び図20に示されたフィールド酸化膜100D/B、100B、及び100B/Cが形成されるとき同時に形成される。N型フィールド注入領域259、260、261は例えば、図15及び図16に示されたN型フィールド領域が形成されるとき同時に形成される。ポリシリコンゲート層273は例えば、図21及び図22に示されたポリシリコン層100Aが形成されるとき同時に形成される。Pボディ領域266は例えば、図23及び図24に示された領域122が形成されるとき同時に形成される。低濃度にドープされたNドレイン領域256は例えば、図25及び図26に示された領域154が形成されるとき同時に形成される。N+領域264及び267は例えば、図27及び図28に示された領域155が形成されるとき同時に形成される。P+ボディ接触領域269は例えば、図31及び図32に示された領域169が形成されるとき同時に形成される。図41にはNチャネルラテラルDMOSトランジスタ構造が示されているが、全てのP型構造をN型構造に置き換え、全てのN型構造をP型構造に置き換えることによって、PチャネルラテラルDMOSトランジスタを実現することもできる。本発明は、これまで説明されたBiCDMOSプロセスの実施例及び種々の構造に関して説明されたが、これらの説明は本発明の限定を意図するものではない。上述されたN型シリコン領域をP型シリコン領域に変え、P型シリコン領域をN型シリコン領域に変えることもできる。更に、上述されたプロセスを実施するため及び開示された構造を製造するために、特別な製造用プロセス器具を必要としない。種々のプロセス変数の範囲は単なる例示にすぎない。本発明の技術的視点を逸脱することなしに、種々のプロセス段階を省略するか、または他の半導体プロセス段階と結合することも可能である。従って、これまで説明されなかった他の実施例と、変形及び変更とが、特許請求の範囲によって規定される技術的視点内に於て、本発明の技術的視点を逸脱することなしに実施することができる。
【0095】
上述したように本発明によれば、DMOS電力回路、CMOSデジタル論理回路、及びコンプリメンタリバイポーラアナログ回路の全てを単一の集積化された回路チップ上に実現する製造方法が提供される。
【符号の説明】
【0096】
10 基層
10A DMOS領域
10B 垂直PNPバイポーラ領域
10C 垂直NPNバイポーラ領域
10D 比較的低電圧のNMOS領域
10E 比較的高電圧のNMOS領域
10F 埋め込みツェナー領域
10G 比較的高電圧のPMOS領域
10H 比較的低電圧のPMOS領域
11 基層10の上側主面
12 最初の酸化膜
12A、12B、12C 開口部
21A、21B、21C N+埋め込み層領域
22A、22B、22C 薄い酸化膜
30 フォトレジスト層
30B、30D 開口部
40 エピタキシャル酸化膜
41 エピタキシャル層42の上側主面
42 エピタキシャル層
43B、44B P+領域
43D P+埋め込み層領域
52B、52D、52E 開口部
51B、51D、51E P−ウェル領域
60A、60C 開口部
61A、61C N+シンカ領域
70B、70F 開口部
71B P+コレクタ接触領域
71F P+埋め込みツェナーアノード領域
80 ベース酸化膜
81 シリコン窒化膜
82 低温度酸化膜(LTO)
83A〜83H 活性エリアマスク領域
90 フォトレジスト層
91B、91D、91E 開口部
100B フィールド酸化領域
100F/A フィールド酸化膜
100A/E フィールド酸化膜
100E/G フィールド酸化膜
100G/H フィールド酸化膜
100H/D フィールド酸化膜
100D/B フィールド酸化膜
100B/C フィールド酸化膜
101 フォトレジスト層
102B 開口部
103 ベース領域
110A ポリシリコンゲート
110D ポリシリコンゲート
110E ポリシリコンゲート
110G ポリシリコンゲート
110H ポリシリコンゲート
120 フォトレジスト層
121A 開口部
121F 開口部
122 P−ボディ領域
130F ツェナー部分
140 フォトレジスト層
141C、141G 開口部
142C P−ベース領域
142G ドレイン領域
150 フォトレジスト層
151A1 開口部
151A2 開口部
151B 開口部
151C1 開口部
151C2 開口部
151D 開口部
151E1 開口部
151E2 開口部
151F 開口部
152 N+ソース領域
153 ソース領域
154 ドレイン領域
155 ドレイン接触領域
156 チャネル領域
157 ソース領域
158 ドレイン領域
159 ベース接触領域
160 フォトレジスト層
161A1 開口部
161A2 開口部
161B1 開口部
161B2 開口部
161C 開口部
161G1 開口部
161G2 開口部
161H 開口部
162 P+ボディ接触領域
163 ソース領域
164 ドレイン接触領域
165 ドリフト領域
166 ソース領域
167 ドレイン領域
168 エミッタ領域
169 ベース接触領域
170 エミッタ領域
170A BPSG層
171 抵抗性Si−Cr領域
172A Ti−W層
172B Ti−W層
173A アルミニウム接続層
173B アルミニウム接続層
180 活性領域
181B P型フィールド注入領域
181B/C P型フィールド注入領域
181D/B P型フィールド注入領域
182B/C N型フィールド注入領域
182D/B N型フィールド注入領域
190 N+埋め込み層領域
191 基層とエピタキシャル層との境界
192 N+シンカ領域
193、194 厚いフィールド酸化膜
195 フィールド領域
196 活性領域
197、198 N型フィールド注入領域
199 P−ベース領域
200、201 ゲート酸化膜部分
202 エミッタ接触開口部
203 ベース開口部
204 コレクタ接触開口部
205 ポリシリコン層
206、207 ほぼ垂直な側壁
208 N+エミッタ領域
209 ベース接触領域
210 ベース電極
210A N+埋め込み層領域
211 コレクタ電極
211A P+埋め込み層領域
212 エミッタ電極
212A P+埋め込みウェル領域
213 絶縁層
213A P−ウェル領域
214 絶縁層
214A、214B Nフィールド注入領域
215、216 フィールド酸化膜
217、218 Pフィールド注入領域
219、220 フィールド酸化膜
221 エミッタ開口部
222 N−ベース領域
223 P+型エミッタ領域
224、225 N型注入領域
226 Nベース接触領域
227 開口部
228 P+コレクタ接触領域
230 P−ウェル領域
231、232、233 フィールド酸化膜部分
234 活性領域
235、236 P型フィールド注入領域
237、238 N型フィールド注入領域
239 ボディ領域
240 ドレイン接触領域
241 ドリフト領域部分
242 フィ−ルド注入領域
243 ソース領域
244 ソース接触領域
245 ゲート酸化膜
246、247 開口部
248 ポリシリコンゲート層
249 絶縁層
250 ソース電極
251 ドレイン電極
252 チャネル部分
246、247 開口部
248 ポリシリコンゲート層
249 絶縁層
250 ソース電極
250A P型埋め込み層
251 ドレイン電極
251A P型埋め込み層
252 チャネル領域
252A P型絶縁シンカ領域
253 P型絶縁シンカ領域
254 エピタキシャル層の絶縁された領域
254A ドリフト領域
255 エピタキシャル層の他の部分
256、257、258 フィールド酸化膜
258A 活性領域
259、260、261 N型フィールド注入領域
262 N+型埋め込み層領域
263 N+シンカ領域
264 N+ドレイン接触領域
265 低濃度にドープされたドレイン領域
266 P型シリコンボディ領域
267 N+ソース領域
268 チャネル領域
269 P+ボディ接触領域
270、271、272 薄いゲート酸化膜部分
273 ポリシリコンゲート層
274 厚い絶縁層の第1部分
275 厚い絶縁層の第2部分
276 厚い絶縁層の第1部分
277、278 開口部
279 ソース電極
280 ドレイン電極
281 N+型埋め込み層の上側主面
282 ドレイン領域265とドレイン接触領域264の下側面
300 フィールド酸化物領域
301 N型フィールド注入領域
302 厚い絶縁層
303 基層電極
304 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランジスタを含有する絶縁ウエル構造であって、
第1導電型の半導体材料の基層10であって上側面を有する該基層と、
前記第1導電型とは相異なる第2導電型の半導体材料のエピタキシャル層40であって、或るN不純物濃度を有し、前記基層の上に配置され、上側面を有する該エピタキシャル層と、
前記基層内に下向きに延出し且つ前記エピタキシャル層内に上向きに延出する埋め込み絶縁領域21Bであって、前記エピタキシャル層の前記上側面の下に配置される上側面と前記基層の前記上側面の下に配置される下側面を有し、前記第2導電型の半導体材料よりなる該埋め込み絶縁領域21Bと、
前記エピタキシャル層の中にのみ配置された埋め込みウエル領域44Bであって、前記埋め込み絶縁領域21Bの前記上側面から上向きに延出し前記基層10から分離され且つ電気的に絶縁され、上側面を有しており、前記第1導電型の半導体材料よりなる該埋め込みウエル領域44Bと、
前記埋め込み絶縁領域21Bの前記下側面より前記基層10内に下向きに延出する前記第1導電型の半導体材料の第2埋め込みウエル領域43Bであって、前記埋め込み絶縁領域21Bによって前記埋め込みウエル領域44Bから分離され、前記第1導電型の半導体材料よりなる該第2埋め込みウエル領域43Bと、
前記エピタキシャル層内に配置されるウエル領域51Bであって、前記エピタキシャル層の前記上側面より前記エピタキシャル層40内に下向きに延出し、該ウエル領域51Bは下側面を有し、該下側面は前記埋め込みウエル領域44Bの前記上側面に接触しており、該ウエル領域51Bは前記基層10から分離され且つ電気的に絶縁され、前記第1導電型の半導体材料より成る該ウエル領域51Bとより成り、前記トランジスタが前記エピタキシャル層の前記上側面で前記ウエル領域内に形成されることを特徴とする絶縁ウエル構造。
【請求項2】
トランジスタを含有する絶縁ウエル構造であって、
第1導電型の半導体材料の基層であって上側面を有する該基層と、
前記第1導電型とは相異なる第2導電型の半導体材料のエピタキシャル層であって、前記基層の上に配置され、上側面を有する該エピタキシャル層と、
前記基層内に下向きに延出し且つ前記エピタキシャル層内に上向きに延出する埋め込み絶縁領域であって、前記エピタキシャル層の前記上側面の下に配置される上側面と前記基層の前記上側面の下に配置される下側面を有し、前記第2導電型の半導体材料よりなる該埋め込み絶縁領域と、
前記エピタキシャル層の中にのみ配置された埋め込みウエル領域であって、前記埋め込み絶縁領域の前記上側面から上向きに延出し前記基層から分離され且つ電気的に絶縁され、上側面を有しており、前記第1導電型の半導体材料よりなる該埋め込みウエル領域と、
前記埋め込み絶縁領域の前記下側面より前記基層内に下向きに延出する、前記第1導電型の半導体材料の第2埋め込みウエル領域であって、前記埋め込み絶縁領域によって前記埋め込みウエル領域から分離され、前記第1導電型の半導体材料よりなる該第2埋め込みウエル領域と、
前記エピタキシャル層内に配置されるウエル領域であって、前記エピタキシャル層の前記上側面より前記エピタキシャル層内に下向きに延出し、該ウエル領域は下側面を有し、該下側面は前記埋め込みウエル領域の前記上側面に接触しており、該ウエル領域は前記基層から分離され且つ電気的に絶縁され、前記第1導電型の半導体材料より成る該ウエル領域とより成り、前記トランジスタが前記エピタキシャル層の前記上側面で前記ウエル領域内に形成されることを特徴とする絶縁ウエル構造。
【請求項3】
前記エピタキシャル層の上側面から前記ウエル領域51B内に下向きに延出するコレクタ接触領域71Bであって、前記第1導電型の半導体材料よりなる該コレクタ接触領域と、
前記エピタキシャル層の前記上側面から前記ウエル領域内に下向きに延出するベース領域103であって、前記コレクタ接触領域からは横方向に隔てられて形成される前記第2導電型の半導体材料よりなる該ベース領域と、
少なくとも前記ベース領域内に部分的に形成されるベース接触領域159であって、前記エピタキシャル層の前記上側面から前記ベース領域内に下向きに延出し、前記第2導電型の半導体材料よりなる該ベース接触領域と、
前記ベース領域内に形成されたエミッタ領域168であって、前記ベース接触領域から横方向に隔てられて形成され、前記第1導電型の半導体材料よりなる該エミッタ領域を、さらに、有することを特徴とする請求項1又は2に記載の構造。
【請求項4】
前記エピタキシャル層が、前記第2導電型の不純物の5×1015乃至2×1016イオン/cmの範囲内の不純物濃度を有することを特徴とする請求項1に記載の構造。
【請求項5】
前記エピタキシャル層が10μmの厚さを有し、且つ前記第2導電型の不純物の5×1015乃至1×1016イオン/cmの範囲内の不純物濃度を有することを特徴とする請求項1に記載の構造。
【請求項6】
前記エピタキシャル層は8μmの厚さであり、前記トランジスタは、60ボルトまでの電圧での継続動作可能な比較的高電圧垂直バイポーラトランジスタであり、さらに、比較的低電圧の20ボルトNチャネル電界効果トランジスタを有し、前記埋め込み絶縁領域及び前記埋め込みウエル領域は前記比較的低電圧20ボルトNチャネル電界効果トランジスタから前記比較的高電圧垂直バイポーラトランジスタを分離することを特徴とする請求項1に記載の構造。
【請求項7】
前記エピタキシャル層の前記上側面の第1、第2及び第3表面領域であって、互いに横方向に隔てられた該第1、第2及び第3表面領域の間の前記ウエル領域の上に配置されたフィールド酸化膜と、
前記第1表面領域で前記エピタキシャル層の前記上側面から前記ウエル領域内に下向きに延出するコレクタ接触領域であって、前記第1導電型の半導体材料よりなる該コレクタ接触領域と、
前記第3表面領域で前記エピタキシャル層の前記上側面から前記エピタキシャル層内に下向きに延出するベース接触領域であって、前記第2導電型の半導体材料よりなる該ベース接触領域と、
前記第2導電型の半導体材料よりなる第1フィールド注入領域であって、前記第2表面領域と前記第3表面領域の間で前記フィールド酸化膜の下に配置され、前記ベース接触領域に接触する該第1フィールド注入領域と、
前記第2表面領域で前記エピタキシャル層の前記上側面から前記エピタキシャル層内に下向きに延出したエミッタ領域であって、前記第1導電型の半導体材料よりなる該エミッタ領域と、
前記エミッタ領域の下に配置され、前記第2導電型の半導体材料よりなり、前記第1フィールド注入領域に接触する薄いベース領域とをさらに有することを特徴とする請求項1又は2又は3に記載の構造。
【請求項8】
前記フィールド酸化膜の下に配置され、前記第1、第2及び第3表面領域を事実上囲繞する環状部を形成する第2フィールド注入領域をさらに有することを特徴とする請求項7に記載の構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【公開番号】特開2010−161384(P2010−161384A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−25224(P2010−25224)
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【分割の表示】特願2007−190382(P2007−190382)の分割
【原出願日】平成5年9月17日(1993.9.17)
【出願人】(591077450)シリコニックス・インコーポレイテッド (17)
【氏名又は名称原語表記】SILICONIX INCORPORATED
【Fターム(参考)】