説明

半導体装置の作製方法

【課題】信頼性が高く、ソースとドレインの間にリーク電流が生じにくく、コンタクト抵抗が小さい半導体装置を提供する。
【解決手段】酸化物半導体膜により形成されるトランジスタの電極膜上に酸化物半導体膜に接して設けられた第1の絶縁膜、及び第2の絶縁膜を積層して形成し、第2の絶縁膜上にエッチングマスクを形成し、エッチングマスクの開口部と重畳する部分の第1の絶縁膜及び第2の絶縁膜をエッチングして電極膜を露出する開口部を形成し、第1の絶縁膜及び第2の絶縁膜の開口部をアルゴンプラズマに曝し、エッチングマスクを除去し、第1の絶縁膜及び第2の絶縁膜の開口部に導電膜を形成し、第1の絶縁膜は加熱により酸素の一部が脱離する絶縁膜であり、第2の絶縁膜は第1の絶縁膜よりもエッチングされにくく、第1の絶縁膜よりもガス透過性が低い。または逆スパッタリングを行ってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の作製方法に関する。なお、半導体装置とは、半導体素子自体または半導体素子を含むものをいい、このような半導体素子として、例えばトランジスタが挙げられる。液晶表示装置などの表示装置も半導体装置に含まれる。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置は、人間の生活に欠かせないものとなっている。このような半導体装置に含まれるトランジスタは、基板上に膜を形成し、該膜をエッチングなどにより所望の形状に加工することで作製される。
【0003】
このような半導体装置の作製方法においては、例えば、第1の導電膜を形成し、該第1の導電膜を覆って絶縁膜を形成し、該絶縁膜に前記第1の導電膜と重畳する開口部を形成し、該開口部を介して前記第1の導電膜と接続する第2の導電膜を形成すればよい。このようにして、異なる導電膜により設けられた複数の配線を縦横に配して、複数の素子がマトリクス状に設けられた素子基板を作製することができる。
【0004】
このような開口部は、その断面形状のみならず開口部表面の状態なども形成時のエッチング条件に左右される。例えば、開口部にエッチング残渣が存在する場合も多い。このようなエッチング残渣が開口部に存在すると、複数の導電膜の接続を阻害することがある。このような開口部の残渣を除去することができる方法として、逆スパッタリングが挙げられる(例えば、特許文献1)。
【0005】
一方で、近年、半導体特性を示す金属酸化物(以下、酸化物半導体と呼ぶ。)が注目されている。酸化物半導体は、トランジスタに適用することができる(特許文献2及び特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−305576号公報
【特許文献2】特開2007−123861号公報
【特許文献3】特開2007−096055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
酸化物半導体膜をチャネル形成領域に用いたトランジスタは、シリコン膜をチャネル形成領域に用いた半導体装置よりも非常に高い電界効果移動度を有するなどの良好な電気的特性を有する。しかし、現在のところ、信頼性の面において課題がある。信頼性を低下させる要因の一つとして、酸化物半導体膜に含まれる水及び水素が挙げられる。従って、酸化物半導体膜における水及び水素の含有量は、極力少なくする必要がある。
【0008】
一方で、このようなトランジスタに用いられる酸化物半導体膜に酸素欠損が多いと、酸素欠損の存在する領域が低抵抗化し、ソースとドレインの間にリーク電流を生じさせる原因となる。従って、酸化物半導体膜中の酸素欠損は少ないほうがよく、酸素欠損を少なくするためには外部から十分な酸素を供給するとよい。
【0009】
酸化物半導体膜中の水及び水素の含有量を少なくし、酸素を供給する手段の一つとして、酸化物半導体膜に接して下地膜が設けられた状態で行う加熱処理が挙げられる。下地膜中の水及び水素を少なくし、酸素を多くして加熱処理すると、酸化物半導体膜への水及び水素の混入を抑制しつつ、酸化物半導体膜に酸素を供給することができる。
【0010】
下地膜中の水及び水素を少なくするためには、下地膜をCVD法またはスパッタリング法などにより形成した後酸化物半導体膜を形成する前に加熱処理を行えばよい。しかし、加熱処理を行うと、水及び水素とともに酸素も脱離してしまう。
【0011】
このような酸素の脱離を防ぐためには、加熱処理時のバリア膜として酸化アルミニウム膜が設けられているとよい。しかし、酸化アルミニウムは化学的な反応性に乏しいため、エッチングに時間がかかる。そのため、開口部が形成される絶縁膜が例えば多層膜である場合に、一部の層が酸化アルミニウムにより形成されていると、開口部の形成に時間がかかり、開口部には多くのエッチング残渣が生じることになる。このようなエッチング残渣は、開口部がコンタクトホールである場合には、コンタクト抵抗を上昇させる要因となる。
【0012】
本発明の一態様は、信頼性が高く、ソースとドレインの間にリーク電流が生じにくく、コンタクト抵抗が小さい半導体装置とその作製方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様は、チャネル形成領域が酸化物半導体膜に形成されるトランジスタを形成し、前記トランジスタの電極膜上に前記酸化物半導体膜に接して設けられた第1の絶縁膜及び第2の絶縁膜をこの順に積層して形成し、前記第2の絶縁膜上に開口部を有するエッチングマスクを形成し、前記エッチングマスクの前記開口部と重畳する部分の前記第1の絶縁膜及び前記第2の絶縁膜をエッチングして前記電極膜を露出する開口部を形成し、前記第1の絶縁膜及び前記第2の絶縁膜の前記開口部をアルゴンプラズマに曝し、前記エッチングマスクを除去し、前記第1の絶縁膜及び前記第2の絶縁膜の前記開口部に導電膜を形成し、前記第1の絶縁膜は加熱により酸素の一部が脱離する絶縁膜であり、前記第2の絶縁膜は前記第1の絶縁膜よりもエッチングされにくく、前記第1の絶縁膜よりもガスバリア性が高いことを特徴とする半導体装置の作製方法である。
【0014】
本発明の一態様は、チャネル形成領域が酸化物半導体膜に形成されるトランジスタを形成し、前記トランジスタの電極膜上に前記酸化物半導体膜に接して設けられた第1の絶縁膜及び第2の絶縁膜をこの順に積層して形成し、前記第2の絶縁膜上に開口部を有するエッチングマスクを形成し、前記エッチングマスクの前記開口部と重畳する部分の前記第1の絶縁膜及び前記第2の絶縁膜をエッチングして前記電極膜を露出する開口部を形成し、前記エッチングマスクを除去し、前記第1の絶縁膜及び前記第2の絶縁膜の前記開口部に逆スパッタリングを行い、前記第1の絶縁膜及び前記第2の絶縁膜の前記開口部に導電膜をスパッタリング法により形成し、前記第1の絶縁膜は加熱により酸素の一部が脱離する絶縁膜であり、前記第2の絶縁膜は前記第1の絶縁膜よりもエッチングされにくく、前記第1の絶縁膜よりもガスバリア性が高いことを特徴とする半導体装置の作製方法である。
【0015】
前記構成において、前記第1の絶縁膜が酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜または窒化酸化シリコン膜であり、前記第2の絶縁膜が酸化アルミニウム膜であることが好ましい。
【0016】
本発明の一態様は、チャネル形成領域が酸化物半導体膜に形成されるトランジスタを形成し、前記トランジスタの電極膜上に前記酸化物半導体膜に接して設けられた第1の絶縁膜、第2の絶縁膜及び第3の絶縁膜をこの順に積層して形成し、前記第3の絶縁膜上に開口部を有するエッチングマスクを形成し、前記エッチングマスクの前記開口部と重畳する部分の前記第1の絶縁膜、前記第2の絶縁膜及び前記第3の絶縁膜をエッチングして前記電極膜を露出する開口部を形成し、前記第1の絶縁膜、前記第2の絶縁膜及び前記第3の絶縁膜の前記開口部をアルゴンプラズマに曝し、前記エッチングマスクを除去し、前記第1の絶縁膜、前記第2の絶縁膜及び前記第3の絶縁膜の前記開口部に導電膜を形成し、前記第1の絶縁膜は加熱により酸素の一部が脱離する絶縁膜であり、前記第2の絶縁膜は前記第1の絶縁膜よりもエッチングされにくく、前記第1の絶縁膜よりもガスバリア性が高いことを特徴とする半導体装置の作製方法である。
【0017】
本発明の一態様は、チャネル形成領域が酸化物半導体膜に形成されるトランジスタを形成し、前記トランジスタの電極膜上に前記酸化物半導体膜に接して設けられた第1の絶縁膜、第2の絶縁膜及び第3の絶縁膜をこの順に積層して形成し、前記第3の絶縁膜上に開口部を有するエッチングマスクを形成し、前記エッチングマスクの前記開口部と重畳する部分の前記第1の絶縁膜、前記第2の絶縁膜及び前記第3の絶縁膜をエッチングして前記電極膜を露出する開口部を形成し、前記エッチングマスクを除去し、前記第1の絶縁膜、前記第2の絶縁膜及び前記第3の絶縁膜の前記開口部に逆スパッタリングを行い、前記第1の絶縁膜、前記第2の絶縁膜及び前記第3の絶縁膜の前記開口部に導電膜をスパッタリング法により形成し、前記第1の絶縁膜は加熱により酸素の一部が脱離する絶縁膜であり、前記第2の絶縁膜は前記第1の絶縁膜よりもエッチングされにくく、前記第1の絶縁膜よりもガスバリア性が高いことを特徴とする半導体装置の作製方法である。
【0018】
前記構成において、前記第1の絶縁膜及び前記第3の絶縁膜が、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜または窒化酸化シリコン膜であり、前記第2の絶縁膜が酸化アルミニウム膜であることが好ましい。
【0019】
前記構成において、前記第3の絶縁膜が前記第1の絶縁膜よりも厚いとよい。
【0020】
なお、本明細書中において、「電極膜」とは、ゲート電極、ソース電極またはドレイン電極のいずれかとなる導電膜を総括したものをいう。すなわち、「電極膜」と記載する場合には、ゲート電極、ソース電極またはドレイン電極のいずれかとして機能する導電膜であって、その機能は問わない。
【0021】
なお、本明細書中において、「ガスバリア性」は、少なくとも酸素ガスに対するものであり、「ガスバリア性が高い」場合には酸素ガスの透過性が低く、「ガスバリア性が低い」場合には酸素ガスの透過性が高いものとなる。
【0022】
なお、本明細書中において、「エッチングマスク」とは、該エッチングマスク下に形成された膜がエッチングされることを防止するために形成されるマスクをいう。エッチングマスクとしては、例えばレジストマスクが挙げられる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一態様によれば、信頼性が高く、ソースとドレインの間にリーク電流が生じにくく、コンタクト抵抗が小さい半導体装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一態様である半導体装置の作製方法を説明する図。
【図2】本発明の一態様である半導体装置の作製方法を説明する図。
【図3】本発明の一態様である半導体装置の作製方法を説明する図。
【図4】本発明の一態様である半導体装置の作製方法を説明する図。
【図5】本発明の一態様である半導体装置の作製方法を説明する図。
【図6】本発明の一態様に適用可能な酸化物材料の構造を説明する図。
【図7】本発明の一態様に適用可能な酸化物材料の構造を説明する図。
【図8】本発明の一態様に適用可能な酸化物材料の構造を説明する図。
【図9】本発明の一態様である半導体装置の作製方法を説明する図。
【図10】本発明の一態様である半導体装置の作製方法を説明する図。
【図11】実施例と比較例の開口部を示す断面STEM像。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0026】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である半導体装置の作製方法について説明する。本実施の形態では、開口部が形成される積層絶縁膜が2層構造である。
【0027】
まず、基板100上に下地絶縁膜102と第1の導電膜104を形成し、第1の導電膜104上に第1のエッチングマスク106を形成する(図1(A))。
【0028】
基板100は、特定のものに限定されず、半導体装置の作製工程における十分な耐熱性及び耐薬品性を有するものであればよい。基板100としては、ガラス基板、石英基板、セラミック基板またはプラスチック基板などを例示列挙することができる。プラスチック基板の材料としては、屈折率異方性の小さいプラスチック材料を用いることが好ましい。屈折率異方性の小さいプラスチック材料としては、ポリエーテルサルフォン、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリビニルフルオライド、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、またはプリプレグなどを例示列挙することができる。
【0029】
下地絶縁膜102は、酸素供給源として機能する絶縁性酸化物により形成すればよい。従って、下地絶縁膜102は、化学量論比よりも多くの酸素を含み、酸素の一部が加熱処理により脱離する絶縁性酸化物により形成すればよい。このような絶縁性酸化物として、例えば、SiOにおいてx>2である酸化シリコンが挙げられる。
【0030】
ただし、下地絶縁膜102の材料はこれに限定されず、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化ハフニウムまたは酸化イットリウムなどであってもよい。
【0031】
なお、「窒化酸化シリコン」とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いものをいい、「酸化窒化シリコン」とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多いものをいう。
【0032】
なお、下地絶縁膜102は単層構造であってもよいし、複数の層が積層された構造であってもよい。複数の層が積層された構造としては、例えば、窒化シリコン膜上に酸化シリコン膜が設けられた積層構造が挙げられる。
【0033】
下地絶縁膜102の厚さは、50nm以上、好ましくは200nm以上500nm以下とするとよい。特に、前記範囲内で厚くすると、加熱処理により酸化物半導体膜に多くの酸素を拡散させることができ、下地絶縁膜102と酸化物半導体膜の界面における欠陥(酸素欠損)を低減することができるため、好ましい。
【0034】
ところで、化学量論比よりも多くの酸素を含む絶縁性酸化物では、酸素の一部が加熱処理により脱離しやすい。酸素の一部が加熱処理により脱離しやすいときのTDS分析による酸素の脱離量(酸素原子に換算した値)は、1.0×1018atoms/cm以上、好ましくは1.0×1020atoms/cm以上、より好ましくは3.0×1020atoms/cm以上であるとよい。
【0035】
ここで、TDS分析における酸素の脱離量(酸素原子に換算した値)は、電子科学株式会社製の昇温脱離分析装置EMD−WA1000S/Wを用いて測定し、標準試料として1×1016atoms/cmの水素原子を含むシリコンウェハを用いて算出した場合の値である。
【0036】
ここで、TDS分析について説明する。TDS分析における気体の脱離量は、イオン強度の時間積分値に比例する。このため、気体の脱離量は、絶縁性酸化物におけるイオン強度の時間積分値と標準試料の基準値から計算することができる。標準試料の基準値は、ある特定の原子を含む試料(標準試料)におけるスペクトルの積分値に対する原子密度の割合である。
【0037】
例えば、絶縁性酸化物におけるイオン強度と、標準試料である所定の密度の水素を含むシリコンウェハにおけるイオン強度から、絶縁性酸化物の酸素分子(O)の脱離量(NO2)は、以下の式(1)で求めることができる。
【0038】
[数1]
O2=NH2/SH2×SO2×α (1)
【0039】
H2は、標準試料から脱離した水素分子(H)を密度に換算した値である。SH2は、標準試料の水素分子(H)のイオン強度の時間積分値である。すなわち、NH2/SH2を標準試料の基準値とする。SO2は、絶縁性酸化物の酸素分子(O)のイオン強度の時間積分値である。αは、イオン強度に影響する係数である。式(1)の詳細に関しては、特開平06−275697号公報を参照されたい。
【0040】
なお、TDS分析において、酸素の一部は酸素原子として検出される。酸素分子と酸素原子の比率は、酸素分子のイオン化率から算出することができる。なお、前記係数αは酸素分子のイオン化率を含んでいるため、酸素分子の放出量を評価することで酸素原子の放出量も算出することができる。
【0041】
なお、NO2は酸素分子(O)の脱離量であるため、酸素原子で換算した酸素の脱離量は、酸素分子(O)の脱離量の2倍である。
【0042】
下地絶縁膜102の形成は、スパッタリング法またはCVD法などにより行えばよい。CVD法を用いる場合には、下地絶縁膜102を形成した後に加熱処理により水素などを脱離させて除去するとよい。
【0043】
下地絶縁膜102を酸化シリコンによりスパッタリング法を用いて形成する場合には、ターゲットとして石英(好ましくは合成石英)ターゲット、スパッタリングガスとしてアルゴンガスを用いればよい。または、ターゲットとしてシリコンターゲット、スパッタリングガスとして酸素を含むガスを用いてもよい。なお、酸素を含むガスとしては、酸素ガスのみを用いてもよいし、アルゴンガスと酸素ガスの混合ガスを用いてもよい。
【0044】
第1の導電膜104は、導電性材料により形成すればよい。ここで、導電性材料としては、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステン、マンガン、マグネシウム、ベリリウム若しくはジルコニウムなどの金属、または前記金属の一種若しくは複数種を成分として含む合金を例示列挙することができる。なお、第1の導電膜104は、単層構造でもよいし、積層構造であってもよい。
【0045】
なお、第1の導電膜104を銅により形成すると、第1の導電膜104により形成される配線を低抵抗にすることができるため好ましい。ここで、第1の導電膜104が積層構造である場合には、少なくとも一層が銅により形成されていればよい。
【0046】
または、第1の導電膜104は、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物または酸化シリコンを添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電性材料により形成してもよい。
【0047】
または、第1の導電膜104は、前記透光性を有する導電性材料膜と前記金属膜を積層して形成してもよい。
【0048】
第1の導電膜104の厚さは、例えば100nm以上300nm以下とすればよい。
【0049】
第1の導電膜104の形成は、例えば、スパッタリング法またはCVD法などにより行えばよい。
【0050】
第1のエッチングマスク106は、レジスト材料により形成すればよい。ただし、これに限定されず、第1の導電膜104の加工時にマスクとして機能するものであればよい。
【0051】
ここで、下地絶縁膜102の形成後、第1の導電膜104の形成前に、下地絶縁膜102に含まれる水素を除去する加熱処理を行うとよい。または、第1の導電膜104の形成後、第1のエッチングマスク106の形成前に、下地絶縁膜102に含まれる水素を除去する加熱処理を行ってもよい。
【0052】
次に、第1のエッチングマスク106を用いて第1の導電膜104を加工することで第1の導電膜108を形成する(図1(B))。
【0053】
第1の導電膜104の加工は、ドライエッチングにより行えばよい。ドライエッチングに用いるエッチングガスとしては、塩素ガス、または三塩化ホウ素ガスと塩素ガスの混合ガスを例示列挙することができる。ただし、これに限定されず、ウエットエッチングを用いてもよいし、他の手段を用いてもよい。
【0054】
第1の導電膜108は、少なくともソース電極及びドレイン電極として機能する。
【0055】
次に、第1のエッチングマスク106を除去し、下地絶縁膜102と第1の導電膜108上に接して酸化物半導体膜110を形成する(図1(C))。
【0056】
ここで、第1のエッチングマスク106の除去後、酸化物半導体膜110の形成前に、下地絶縁膜102に含まれる水素を除去する加熱処理を行ってもよい。
【0057】
第1のエッチングマスク106の除去は、第1のエッチングマスク106がレジスト材料により形成されている場合には、酸素プラズマを用いたアッシングにより行えばよい。または、レジスト剥離液を用いてもよい。または、これらの双方を用いてもよい。
【0058】
酸化物半導体膜110は、少なくともインジウム(In)または亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。特にInとZnの双方を含むことが好ましい。
【0059】
また、酸化物半導体膜110を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを低減するスタビライザーとして、それらに加えてガリウム(Ga)、スズ(Sn)、ハフニウム(Hf)及びアルミニウム(Al)のいずれか一種または複数種を有することが好ましい。
【0060】
また、他のスタビライザーとして、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)のいずれか一種または複数種を有していてもよい。
【0061】
例えば、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、二元系金属の酸化物であるIn−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物、In−Ga系酸化物、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、In−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、四元系金属の酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物を用いることができる。
【0062】
なお、ここで、例えば、In−Ga−Zn系酸化物とは、In、Ga及びZnを有する酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、In、Ga及びZn以外の金属元素が含まれていてもよい。
【0063】
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1(=1/3:1/3:1/3)若しくはIn:Ga:Zn=2:2:1(=2/5:2/5:1/5)の原子比のIn−Ga−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いることができる。または、In:Sn:Zn=1:1:1(=1/3:1/3:1/3)、In:Sn:Zn=2:1:3(=1/3:1/6:1/2)若しくはIn:Sn:Zn=2:1:5(=1/4:1/8:5/8)の原子比のIn−Sn−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いるとよい。
【0064】
しかし、これに限定されず、必要とする半導体特性(移動度、しきい値、ばらつきなど)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とする半導体特性を得るために、キャリア密度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間結合距離または密度などを適切なものとすることが好ましい。
【0065】
酸化物半導体膜110は、単結晶でもよいし、非単結晶でもよい。非単結晶の場合には、アモルファスでもよいし、多結晶でもよい。または、アモルファス中に結晶性を有する部分を含む構造でもよいし、非アモルファスでもよい。
【0066】
ここで、酸化物半導体膜110の好ましい形態の一について説明する。酸化物半導体膜110の好ましい形態の一は、c軸配向し、かつab面、表面または界面の方向から見て三角形状または六角形状の原子配列を有し、c軸においては金属原子が層状または金属原子と酸素原子とが層状に配列しており、ab面においてはa軸またはb軸の向きが異なる(c軸を中心に回転した)結晶(CAAC:C Axis Aligned Crystal)を含む酸化物である。以下、このような酸化物を単にCAACと呼ぶこととする。
【0067】
CAACは、非単結晶であって、そのab面に垂直な方向から見て、三角形、六角形、正三角形または正六角形の原子配列を有し、かつc軸方向に垂直な方向から見て、金属原子が層状、または金属原子と酸素原子が層状に配列した相を含む。
【0068】
CAACは単結晶ではないが、非晶質のみから形成されているものでもない。また、CAACは結晶化した部分(結晶部分)を含むが、1つの結晶部分と他の結晶部分の境界を明確に判別できないこともある。
【0069】
CAACに酸素が含まれる場合、酸素の一部は窒素で置換されていてもよい。また、CAACを構成する個々の結晶部分のc軸は一定の方向(例えば、CAACが形成される基板面、CAACの表面などに垂直な方向)に揃っていてもよい。または、CAACを構成する個々の結晶部分のab面の法線は一定の方向(例えば、CAACが形成される基板面、CAACの表面などに垂直な方向)を向いていてもよい。
【0070】
CAACは、導体であってもよいし、半導体であってもよいし、絶縁体であってもよい。また、可視光に対して透明であってもよいし、不透明であってもよい。
【0071】
このようなCAACの例として、膜状に形成され、膜表面または形成される基板面に垂直な方向から観察すると三角形または六角形の原子配列が認められ、かつその膜断面を観察すると金属原子または金属原子と酸素原子(または窒素原子)の層状配列が認められる酸化物が挙げられる。
【0072】
CAACについて図6乃至図8を用いて説明する。なお、原則として、図6乃至図8は上方向をc軸方向とし、c軸方向と直交する面をab面とする。なお、単に上半分、下半分という場合には、ab面を境とする。また、図6において、丸で囲まれたOは4配位のOを示し、二重丸で囲まれたOは3配位のOを示す。
【0073】
図6(A)には、1個の6配位のInと、Inに近接する6個の4配位の酸素原子(4配位のO)と、を有する構造を示す。ここでは、金属原子1個に対して、近接する酸素原子のみ示した構造を小グループと呼ぶ。図6(A)の構造は、八面体構造をとるが、簡単のため平面構造で示している。なお、図6(A)の上半分及び下半分には、それぞれ3個ずつ4配位のOがある。図6(A)に示す小グループの電荷は0である。
【0074】
図6(B)には、1個の5配位のGaと、Gaに近接する3個の3配位の酸素原子(3配位のO)と、Gaに近接する2個の4配位のOと、を有する構造を示す。3配位のOは、いずれもab面に存在する。図6(B)の上半分及び下半分には、それぞれ1個ずつ4配位のOがある。また、Inも5配位をとるため、図6(B)に示す構造をとりうる。図6(B)に示す小グループの電荷は0である。
【0075】
図6(C)には、1個の4配位のZnと、Znに近接する4個の4配位のOと、を有する構造を示す。図6(C)の上半分には1個の4配位のOがあり、下半分には3個の4配位のOがある。または、図6(C)の上半分に3個の4配位のOがあり、下半分に1個の4配位のOがあってもよい。図6(C)に示す小グループの電荷は0である。
【0076】
図6(D)には、1個の6配位のSnと、Snに近接する6個の4配位のOと、を有する構造を示す。図6(D)の上半分には3個の4配位のOがあり、下半分には3個の4配位のOがある。図6(D)に示す小グループの電荷は+1である。
【0077】
図6(E)には、2個のZnを含む小グループを示す。図6(E)の上半分には1個の4配位のOがあり、下半分には1個の4配位のOがある。図6(E)に示す小グループは電荷が−1となる。
【0078】
ここでは、複数の小グループの集合体を中グループと呼び、複数の中グループの集合体を大グループ(ユニットセルともいう。)と呼ぶ。
【0079】
ここで、これらの小グループ同士が結合する規則について説明する。図6(A)に示す6配位のInの上半分の3個のOは下方向にそれぞれ3個の近接するInを有し、下半分の3個のOは上方向にそれぞれ3個の近接するInを有する。図6(B)に示す5配位のGaの上半分の1個のOは下方向に1個の近接するGaを有し、下半分の1個のOは上方向に1個の近接するGaを有する。図6(C)に示す4配位のZnの上半分の1個のOは下方向に1個の近接するZnを有し、下半分の3個のOは上方向にそれぞれ3個の近接するZnを有する。この様に、金属原子の上方向の4配位のOの数と、そのOの下方向にある近接する金属原子の数は等しく、同様に金属原子の下方向の4配位のOの数と、そのOの上方向にある近接する金属原子の数は等しい。Oは4配位なので、下方向にある近接する金属原子の数と、上方向にある近接する金属原子の数の和は4になる。従って、金属原子の上方向にある4配位のOの数と、別の金属原子の下方向にある4配位のOの数との和が4個のとき、金属原子を有する二種の小グループ同士は結合することができる。例えば、6配位の金属原子(InまたはSn)が下半分の4配位のOを介して結合する場合には、4配位のOが3個であるため、5配位の金属原子(GaまたはIn)、または4配位の金属原子(Zn)のいずれかと結合することになる。
【0080】
これらの配位数を有する金属原子は、c軸方向において、4配位のOを介して結合する。また、このほかにも、層構造の合計の電荷が0となるように複数の小グループが結合して中グループを構成する。
【0081】
図7(A)には、In−Sn−Zn系酸化物の層構造を構成する中グループのモデル図を示す。図7(B)には、3つの中グループで構成される大グループを示す。なお、図7(C)には、図7(B)の層構造をc軸方向から観察した場合の原子配列を示す。
【0082】
図7(A)においては、簡単のため、3配位のOは省略し、4配位のOは個数のみ示している。例えば、Snの上半分及び下半分にはそれぞれ3個ずつ4配位のOがあることを丸枠の3で示している。同様に、Inの上半分及び下半分にはそれぞれ1個ずつ4配位のOがあり、丸枠の1で示している。同様に、下半分に1個の4配位のOがあり、上半分に3個の4配位のOがあるZnと、上半分に1個の4配位のOがあり、下半分に3個の4配位のOがあるZnと、を示している。
【0083】
図7(A)において、In−Sn−Zn系酸化物の層構造を構成する中グループでは、上から順に4配位のOが3個ずつ上半分及び下半分にあるSnが、4配位のOが1個ずつ上半分及び下半分にあるInと結合し、そのInが、上半分に3個の4配位のOがあるZnと結合し、そのZnが、Znの下半分の1個の4配位のOを介して4配位のOが3個ずつ上半分及び下半分にあるInと結合し、そのInが、上半分に1個の4配位のOがあるZn2個からなる小グループと結合し、この小グループの下半分の1個の4配位のOを介して4配位のOが3個ずつ上半分及び下半分にあるSnと結合している。この中グループが複数結合して大グループを構成する。
【0084】
ここで、3配位のO及び4配位のOでは、結合1本当たりの電荷はそれぞれ−0.667、−0.5と考えることができる。例えば、In(6配位または5配位)、Zn(4配位)、Sn(5配位または6配位)の電荷は、それぞれ+3、+2、+4である。従って、Snを含む小グループの電荷は+1である。そのため、Snを含む層構造を形成するためには、電荷+1を打ち消す電荷−1をとる構造が必要となる。電荷−1をとる構造として、図6(E)に示すように、2個のZnを含む小グループが挙げられる。例えば、Snを含む小グループが1個に対し、2個のZnを含む小グループが1個あれば、電荷が打ち消されるため、層構造の合計の電荷を0とすることができる。
【0085】
具体的には、図7(B)に示す大グループが繰り返されることで、In−Sn−Zn系酸化物の結晶(InSnZn)を得ることができる。なお、得られるIn−Sn−Zn系酸化物の層構造は、InSnZn(ZnO)(mは0または自然数。)の組成式で表すことができる。
【0086】
また、四元系金属の酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn系酸化物、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn系酸化物(IGZOとも表記する。)、In−Al−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、二元系金属の酸化物であるIn−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物、In−Ga系酸化物、などを用いた場合も同様である。
【0087】
図8(A)には、一例として、In−Ga−Zn系酸化物の層構造を構成する中グループのモデル図を示す。
【0088】
図8(A)において、In−Ga−Zn系酸化物の層構造を構成する中グループでは、上から順に4配位のOが3個ずつ上半分及び下半分にあるInが、1個の4配位のOが上半分にあるZnと結合し、そのZnが、Znの下半分の3個の4配位のOを介して、4配位のOが1個ずつ上半分及び下半分にあるGaと結合し、そのGaが、Gaの下半分の1個の4配位のOを介して、4配位のOが3個ずつ上半分及び下半分にあるInと結合している。この中グループが複数結合して大グループを構成する。
【0089】
図8(B)には、3つの中グループで構成される大グループを示す。なお、図8(C)には、図8(B)の層構造をc軸方向から観察した場合の原子配列を示している。
【0090】
ここで、In(6配位または5配位)、Zn(4配位)、Ga(5配位)の電荷は、それぞれ+3、+2、+3であるため、In、Zn及びGaのいずれかを含む小グループは、電荷が0となる。そのため、これらの小グループの組み合わせであれば中グループの合計の電荷は常に0となる。
【0091】
また、In−Ga−Zn系酸化物の層構造を構成する中グループは、図8(A)に示した中グループに限定されない。In、Ga、Znの配列が異なる複数の中グループが組み合わせられた大グループも取りうる。
【0092】
なお、In−Sn−Zn系酸化物の作製に際しては、In:Sn:Znが原子数比で、例えば1:2:2、2:1:3、1:1:1、または20:45:35の組成比の酸化物ターゲットを用いればよい。
【0093】
なお、酸化物半導体膜110の厚さは、3nm以上50nm以下とすればよい。
【0094】
次に、酸化物半導体膜110上に第2のエッチングマスク112を形成する(図2(A))。
【0095】
ここで、下地絶縁膜102が、酸素供給源として機能する絶縁性酸化物により形成されている場合には、酸化物半導体膜110の形成後、第2のエッチングマスク112の形成前に、酸化物半導体膜110に酸素を供給する加熱処理を行ってもよい。
【0096】
第2のエッチングマスク112は、レジスト材料により形成すればよい。ただし、これに限定されず、酸化物半導体膜110の加工時にマスクとして機能するものであればよい。
【0097】
次に、第2のエッチングマスク112を用いて酸化物半導体膜110を加工して酸化物半導体膜114を形成する(図2(B))。
【0098】
酸化物半導体膜110の加工は、ドライエッチングにより行えばよい。ドライエッチングに用いるエッチングガスとしては、塩素ガス、または三塩化ホウ素ガスと塩素ガスの混合ガスを例示列挙することができる。ただし、これに限定されず、ウエットエッチングを用いてもよいし、他の手段を用いてもよい。
【0099】
次に、第2のエッチングマスク112を除去し、少なくとも酸化物半導体膜114を覆って第1の絶縁膜116を形成する(図2(C))。
【0100】
第2のエッチングマスク112の除去は、第2のエッチングマスク112がレジスト材料により形成されている場合には、酸素プラズマを用いたアッシングにより行えばよい。または、レジスト剥離液を用いてもよい。または、これらの双方を用いてもよい。
【0101】
第1の絶縁膜116は、酸素供給源として機能する絶縁性酸化物により形成され、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコンまたは窒化酸化シリコンにより形成すればよい。
【0102】
第1の絶縁膜116の厚さは、1nm以上30nm以下、好ましくは3nm以上10nm以下とすればよい。
【0103】
第1の絶縁膜116の形成は、スパッタリング法により行えばよい。
【0104】
ここで、第1の絶縁膜116は、酸素供給源として機能する絶縁性酸化物により形成されている。そのため、第1の絶縁膜116の形成後に、酸化物半導体膜114に酸素を供給する加熱処理を行うことが好ましい。酸化物半導体膜114に酸素を供給する加熱処理を行うことで、酸素欠陥の数を少なくすることができる。
【0105】
第1の絶縁膜116は、少なくともゲート絶縁膜として機能する。
【0106】
次に、第1の絶縁膜116上に第2の導電膜120を形成する(図3(A))。
【0107】
第2の導電膜120は、第1の導電膜104と同様の材料及び方法により形成すればよい。
【0108】
次に、第2の導電膜120上に第3のエッチングマスク122を形成する(図3(B))。
【0109】
第3のエッチングマスク122は、レジスト材料により形成すればよい。ただし、これに限定されず、第2の導電膜120の加工時にマスクとして機能するものであればよい。
【0110】
次に、第3のエッチングマスク122を用いて第2の導電膜120を加工して第2の導電膜124を形成する(図3(C))。
【0111】
第2の導電膜120の加工は、ドライエッチングにより行えばよい。ドライエッチングに用いるエッチングガスとしては、塩素ガス、または三塩化ホウ素ガスと塩素ガスの混合ガスを例示列挙することができる。ただし、これに限定されず、ウエットエッチングを用いてもよいし、他の手段を用いてもよい。
【0112】
第2の導電膜124は、少なくともゲート電極として機能する。
【0113】
次に、第3のエッチングマスク122を除去し、第2の導電膜124をマスクとして用いて酸化物半導体膜114にドーパントを添加し、ソース領域及びドレイン領域を有する酸化物半導体膜126を形成する(図4(A))。酸化物半導体膜126は、ソース領域及びドレイン領域の一方である領域126Aと、チャネル形成領域である領域126Bと、ソース領域及びドレイン領域の他方である領域126Cと、を有する。
【0114】
第3のエッチングマスク122の除去は、第3のエッチングマスク122がレジスト材料により形成されている場合には、酸素プラズマを用いたアッシングにより行えばよい。または、レジスト剥離液を用いてもよい。または、これらの双方を用いてもよい。
【0115】
酸化物半導体膜114へのドーパントの添加は、イオンインプランテーション法またはイオンドーピング法により行えばよい。または、ドーパントを含むガス雰囲気中でのプラズマ処理により行ってもよい。また、添加するドーパントとしては、リンまたはヒ素などを用いればよい。
【0116】
なお、ドーパントの添加は、第3のエッチングマスク122が形成された状態で行ってもよい。または、ドーパントの添加は、後述する第2の絶縁膜118を形成した後に行ってもよい。
【0117】
次に、第1の絶縁膜116及び第2の導電膜124上に第2の絶縁膜118を形成し、開口部を形成する部分以外の第2の絶縁膜118上に第4のエッチングマスク128を形成する(図4(B))。
【0118】
第2の絶縁膜118は、ガスバリア性が高く、エッチングされにくい材料により形成する。このような材料として、酸化アルミニウムが挙げられる。
【0119】
第2の絶縁膜118の厚さは、30nm以上、好ましくは50nm以上とすればよい。
【0120】
第2の絶縁膜118の形成は、CVD法またはスパッタリング法により行えばよい。
【0121】
第4のエッチングマスク128は、レジスト材料により形成すればよい。ただし、これに限定されず、第1の絶縁膜116及び第2の絶縁膜118の加工時にマスクとして機能するものであればよい。
【0122】
次に、第4のエッチングマスク128に覆われていない部分の第2の絶縁膜118及び第1の絶縁膜116を加工して開口部130を形成する(図4(C))。ここで、第2の絶縁膜118はエッチングされにくい材料により形成されているため、開口部130において第1の絶縁膜116の側面の基板面に対する傾斜角と第2の絶縁膜118の側面の基板面に対する傾斜角は、第2の絶縁膜118の側面の基板面に対する傾斜角のほうが小さい。
【0123】
第2の絶縁膜118及び第1の絶縁膜116の加工は、ドライエッチングにより行えばよい。ドライエッチングに用いるエッチングガスとしては、塩素ガス、または三塩化ホウ素ガスと塩素ガスの混合ガスを例示列挙することができる。ただし、これに限定されず、ウエットエッチングを用いてもよいし、他の手段を用いてもよい。
【0124】
アルゴンプラズマ処理を行う場合(第1の態様)には、図4(C)の状態で行えばよい。なお、アルゴンに代えてヘリウムなど他の希ガス(ヘリウム、クリプトン、キセノンなど)を用いてもよい。アルゴンプラズマ処理により開口部130の表面の凹凸が除去されて平坦性が向上する。
【0125】
次に、第4のエッチングマスク128を除去する(図5(A))。
【0126】
第4のエッチングマスク128の除去は、第4のエッチングマスク128がレジスト材料により形成されている場合には、酸素プラズマを用いたアッシングにより行えばよい。または、レジスト剥離液を用いてもよい。または、これらの双方を用いてもよい。
【0127】
次に、第2の絶縁膜118上に開口部130において第1の導電膜108と接続されるように第3の導電膜132を形成し、第3の導電膜132上に第5のエッチングマスク134を形成する(図5(B))。
【0128】
第3の導電膜132は、第1の導電膜104及び第2の導電膜120と同様の材料及び方法により形成すればよい。ただし、半導体装置が表示装置である場合には、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物または酸化シリコンを添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電性材料により形成する。
【0129】
アルゴンプラズマ処理により開口部130の表面の凹凸が除去されていると、形成不良などを生じずに第3の導電膜132を形成することができる。
【0130】
第5のエッチングマスク134は、レジスト材料により形成すればよい。ただし、これに限定されず、第3の導電膜132の加工時にマスクとして機能するものであればよい。
【0131】
なお、第3の導電膜132がスパッタリング法により形成される場合には、開口部130に逆スパッタリングを行うとよい(第2の態様)。逆スパッタリングはスパッタリング装置内で行うことが可能であるため、スループットを低下させることなく開口部130に存在するエッチング残渣などを除去することができるためである。なお、逆スパッタリングを行う場合には、図5(A)の状態で行えばよい。第4のエッチングマスク128を除去する前に逆スパッタリングを行うと、逆スパッタリングを行った後に再度スパッタリング装置内に基板100を搬入しなければならず、スループットが低下するためである。
【0132】
逆スパッタリングにより開口部130の表面の凹凸が除去されていると、形成不良などを生じることなく第3の導電膜132を形成することができる。
【0133】
次に、第5のエッチングマスク134を用いて第3の導電膜132を加工することで第3の導電膜136を形成する。その後、第5のエッチングマスク134を除去する(図5(C))。
【0134】
第3の導電膜132の加工は、ドライエッチングまたはウエットエッチングにより行えばよい。
【0135】
第5のエッチングマスク134の除去は、第5のエッチングマスク134がレジスト材料により形成されている場合には、酸素プラズマを用いたアッシングにより行えばよい。または、レジスト剥離液を用いてもよい。または、これらの双方を用いてもよい。
【0136】
以上説明したように本実施の形態の半導体装置を作製することができる。
【0137】
なお、本実施の形態の第1の絶縁膜116と第2の絶縁膜118の材料は逆でもよい。このとき、第1の絶縁膜116はエッチングされにくい材料により形成されるため、開口部130において第2の絶縁膜118の側面の基板面に対する傾斜角と第1の絶縁膜116の側面の基板面に対する傾斜角は、第2の絶縁膜118の側面の基板面に対する傾斜角のほうが大きくなる。
【0138】
(実施の形態2)
実施の形態1では開口部が2層の積層絶縁膜に形成される場合について説明したが、開口部が形成される積層絶縁膜は3層であってもよい。本実施の形態では、開口部が形成される積層絶縁膜が3層である形態について説明する。すなわち、開口部形成前にパッシベーション膜が形成され、該パッシバーション膜にも開口部が形成されてもよい。
【0139】
まず、実施の形態1と同様に、基板200上に下地絶縁膜202を形成し、下地絶縁膜202上に第1の導電膜204を形成し、第1の導電膜204に接して酸化物半導体膜206を形成し、酸化物半導体膜206を覆って第1の絶縁膜208を形成し、第1の絶縁膜208上に第2の導電膜212を形成し、第1の絶縁膜208上及び第2の導電膜212を覆って第2の絶縁膜210及び第3の絶縁膜214を形成する。そして、開口部を形成する部分以外の第3の絶縁膜214上に第1のエッチングマスク216を形成する(図9(A))。
【0140】
なお、酸化物半導体膜206は、ソース領域及びドレイン領域の一方である領域206Aと、チャネル形成領域である領域206Bと、ソース領域及びドレイン領域の他方である領域206Cと、を有する。
【0141】
基板200は、実施の形態1の基板100に相当する。
【0142】
下地絶縁膜202は、実施の形態1の下地絶縁膜102に相当する。
【0143】
第1の導電膜204は、実施の形態1の第1の導電膜108に相当する。
【0144】
酸化物半導体膜206は、実施の形態1の酸化物半導体膜126に相当する。
【0145】
第1の絶縁膜208は、実施の形態1の第1の絶縁膜116に相当する。従って、第1の絶縁膜208は、酸素供給源として機能する絶縁性酸化物(例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコンまたは窒化酸化シリコン)を用いてスパッタリング法により形成する。
【0146】
ここで、第1の絶縁膜208は、酸素供給源として機能する絶縁性酸化物により形成されている。そのため、第1の絶縁膜208の形成後に、酸化物半導体膜206に酸素を供給する加熱処理を行うことが好ましい。
【0147】
第2の絶縁膜210は、実施の形態1の第2の絶縁膜118に相当する。すなわち、ガスバリア性が高く、第1の絶縁膜208及び第3の絶縁膜214よりもエッチングされにくい材料により形成する。
【0148】
第2の導電膜212は、実施の形態1の第2の導電膜124に相当する。
【0149】
第3の絶縁膜214は、第1の絶縁膜208と同様の材料及び方法により形成する。第3の絶縁膜214は、パッシベーション膜として機能するものである。第3の絶縁膜214の厚さは特に限定されないが、100nm以上とすればよい。
【0150】
第1のエッチングマスク216は、実施の形態1の第4のエッチングマスク128に相当する。
【0151】
次に、第1のエッチングマスク216に覆われていない部分の第3の絶縁膜214、第2の絶縁膜210及び第1の絶縁膜208を加工して開口部218を形成する(図9(B))。ここで、第2の絶縁膜210はエッチングされにくい材料により形成されているため、開口部218において第1の絶縁膜208及び第3の絶縁膜214の側面の基板面に対する傾斜角と、第2の絶縁膜210の側面の基板面に対する傾斜角は、第1の絶縁膜208及び第3の絶縁膜214の側面の基板面に対する傾斜角のほうが大きい。
【0152】
開口部218の形成は、ドライエッチングにより行えばよい。ドライエッチングに用いるエッチングガスとしては、塩素ガス、または三塩化ホウ素ガスと塩素ガスの混合ガスを例示列挙することができる。ただし、これに限定されず、ウエットエッチングを用いてもよいし、他の手段を用いてもよい。
【0153】
アルゴンプラズマ処理を行う場合(第1の態様)には、図9(B)の状態で行えばよい。なお、アルゴンに代えてヘリウムなど他の希ガス(ヘリウム、クリプトン、キセノンなど)を用いてもよい。アルゴンプラズマ処理により開口部218の表面の凹凸が除去されて平坦性が向上する。
【0154】
次に、第1のエッチングマスク216を除去し、第3の絶縁膜214上に開口部218において第1の導電膜204と接続されるように第3の導電膜220を形成し、第3の導電膜220上に第2のエッチングマスク222を形成する(図9(C))。
【0155】
第3の導電膜220がスパッタリング法により形成される場合には、開口部218に逆スパッタリングを行うとよい(第2の態様)。逆スパッタリングはスパッタリング装置内で行うことが可能であるため、スループットを低下させることなく開口部218に存在するエッチング残渣などを除去することができるためである。なお、逆スパッタリングを行う場合には、第1のエッチングマスク216の除去後、第3の導電膜220の形成前に行えばよい。第1のエッチングマスク216を除去する前に逆スパッタリングを行うと、逆スパッタリングを行った後に再度スパッタリング装置内に基板200を搬入しなければならず、スループットが低下するためである。
【0156】
その後、第2のエッチングマスク222を用いて第3の導電膜220を加工し、その後、第2のエッチングマスク222を除去する(図示しない)。
【0157】
以上説明したように本実施の形態の半導体装置を作製することができる。
【0158】
なお、本実施の形態のように開口部が3層の積層絶縁膜に形成される場合には、第1乃至第3の絶縁膜の厚さによって開口部の形状が異なる。
【0159】
図10(A)には、第1の絶縁膜と第3の絶縁膜が同程度の厚さである場合の開口部の形状を示す。被形成面300上に設けられた第1の絶縁膜302、第2の絶縁膜304及び第3の絶縁膜306には開口部308が形成され、開口部308における第2の絶縁膜304の側面の被形成面300に対する傾斜角は、開口部308における第1の絶縁膜302及び第3の絶縁膜306の側面の被形成面300に対する傾斜角よりも小さい。
【0160】
図10(B)には、第1の絶縁膜が第3の絶縁膜よりも薄い場合の開口部の形状を示す。被形成面310上に設けられた第1の絶縁膜312、第2の絶縁膜314及び第3の絶縁膜316には開口部318が形成され、開口部318における第2の絶縁膜314の側面の被形成面310に対する傾斜角は、開口部318における第1の絶縁膜312及び第3の絶縁膜316の側面の被形成面310に対する傾斜角よりも小さい。
【0161】
図10(C)には、第1の絶縁膜が第3の絶縁膜よりも厚い場合の開口部の形状を示す。被形成面320上に設けられた第1の絶縁膜322、第2の絶縁膜324及び第3の絶縁膜326には開口部328が形成され、開口部328における第2の絶縁膜324の側面の被形成面320に対する傾斜角は、開口部328における第1の絶縁膜322及び第3の絶縁膜326の側面の被形成面320に対する傾斜角よりも小さい。
【0162】
図10(A)乃至(C)では、第2の絶縁膜はエッチングされにくい材料により形成されているため、第2の絶縁膜のエッチングは第1の絶縁膜及び第3の絶縁膜のエッチングよりも長時間を要する。そのため、第2の絶縁膜がエッチングされる際に開口部の露出部分が広いほど、エッチングにより生じたパーティクルなどが開口部に再付着する現象(リデポ)が顕著になる。図10(B)では、エッチングされにくい第2の絶縁膜のエッチングに際して開口部の広範囲にリデポが生じる。
【0163】
従って、図10(B)のように、アルゴンプラズマ処理または逆スパッタリングの効果は、第1の絶縁膜が第3の絶縁膜よりも薄い場合に行うと、特に顕著なものとなる。従って、本発明の半導体装置では、第1の絶縁膜が第3の絶縁膜よりも薄いことが好ましい。
【0164】
ただし、これに限定されず、図10(A)及び(C)のように第1の絶縁膜と第3の絶縁膜が同程度の厚さであってもよいし、第1の絶縁膜が第3の絶縁膜よりも厚くてもよい。
【0165】
なお、本実施の形態においては、トップゲートボトムコンタクト型のトランジスタを図示して説明しているが、本発明はこれに限定されず、トップゲートトップコンタクト型であってもよいし、ボトムゲートボトムコンタクト型であってもよいし、ボトムゲートトップコンタクト型であってもよい。
【実施例1】
【0166】
本実施例では、3層の絶縁膜を形成し、該3層の絶縁膜に開口部を形成した比較例と、該開口部が露出された状態でアルゴンプラズマに曝された本発明の一態様である実施例と、を比較して説明する。
【0167】
まず、基板200上に下地絶縁膜202を酸化窒化シリコンによりプラズマCVD法を用いて形成した。厚さは100nmとした。
【0168】
次に、下地絶縁膜202上に第1の導電膜204をタングステンによりスパッタリング法を用いて形成した。厚さは150nmとした。
【0169】
次に、第1の導電膜204上に第1の絶縁膜208を酸化窒化シリコンによりプラズマCVD法を用いて形成した。厚さは30nmとした。
【0170】
次に、第2の絶縁膜210を酸化アルミニウムによりスパッタリング法を用いて形成した。厚さは100nmとした。
【0171】
次に、第3の絶縁膜214を酸化窒化シリコンによりプラズマCVD法を用いて形成した。厚さは300nmとした。
【0172】
そして第3の絶縁膜214上に第1のエッチングマスク216を形成した。第1のエッチングマスク216が形成された状態で第3の絶縁膜214、第2の絶縁膜210及び第1の絶縁膜208にエッチングを行って開口部218を形成した。該エッチングは下記の条件で行った。
トリフルオロメタン(CHF)ガス流量=22.5sccm
ヘリウム(He)ガス流量=127.5sccm
メタン(CH)ガス流量=5sccm
反応室内圧力=5.0Pa
ICP電力=475W
上部電極と下部電極の間のバイアス電力=300W
基板の温度=70℃
【0173】
次に、実施例サンプルにのみ、開口部218が露出された状態でアルゴンプラズマ処理を行った。該プラズマ処理は下記の条件で行った。
アルゴン(Ar)ガス流量=100sccm
反応室内圧力=1.35Pa
ICP電力=500W
上部電極と下部電極の間のバイアス電力=100W
基板の温度=−10℃
【0174】
その後、第1のエッチングマスク216を除去し、開口部218に積層導電膜をスパッタリング法により形成した。該積層導電膜は、チタン層、タングステン層、アルミニウム層及びチタン層の積層構造とし、それぞれの膜の厚さは20nm、50nm、200nm、50nmとした。
【0175】
このように開口部218に積層導電膜を形成した実施例サンプルと比較例サンプルの断面STEM(scanning transmission electron microscope)像を図11に示す。図11(A)は比較例サンプルであり、図11(B)は実施例サンプルである。
【0176】
図11(A)と(B)の比較から、アルゴンプラズマ処理を行った図11(B)では、開口部218表面の凹凸が除去されており平坦性が高い。そのため、積層導電膜が高い均一性で良好に形成されている。
【0177】
また、実施例サンプルと比較例サンプルのコンタクト抵抗を測定すると、コンタクト径0.4μm及び0.5μmにおいて、比較例サンプルでは非常にばらつきが大きかったが、実施例サンプルではばらつきが小さく、且つ比較例サンプルにおける最も低い抵抗値近傍に収束する傾向が見られた。
【符号の説明】
【0178】
100 基板
102 下地絶縁膜
104 第1の導電膜
106 第1のエッチングマスク
108 第1の導電膜
110 酸化物半導体膜
112 第2のエッチングマスク
114 酸化物半導体膜
116 第1の絶縁膜
118 第2の絶縁膜
120 第2の導電膜
122 第3のエッチングマスク
124 第2の導電膜
126 酸化物半導体膜
126A 領域
126B 領域
126C 領域
128 第4のエッチングマスク
130 開口部
132 第3の導電膜
134 第5のエッチングマスク
136 第3の導電膜
200 基板
202 下地絶縁膜
204 第1の導電膜
206 酸化物半導体膜
206A 領域
206B 領域
206C 領域
208 第1の絶縁膜
210 第2の絶縁膜
212 第2の導電膜
214 第3の絶縁膜
216 第1のエッチングマスク
218 開口部
220 第3の導電膜
222 第2のエッチングマスク
300 被形成面
302 第1の絶縁膜
304 第2の絶縁膜
306 第3の絶縁膜
308 開口部
310 被形成面
312 第1の絶縁膜
314 第2の絶縁膜
316 第3の絶縁膜
318 開口部
320 被形成面
322 第1の絶縁膜
324 第2の絶縁膜
326 第3の絶縁膜
328 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャネル形成領域が酸化物半導体膜に形成されるトランジスタを形成し、
前記トランジスタの電極膜上に前記酸化物半導体膜に接して設けられた第1の絶縁膜、及び第2の絶縁膜をこの順に積層して形成し、
前記第2の絶縁膜上に開口部を有するエッチングマスクを形成し、
前記エッチングマスクの前記開口部と重畳する部分の前記第1の絶縁膜及び前記第2の絶縁膜をエッチングして前記電極膜を露出する開口部を形成し、
前記第1の絶縁膜及び前記第2の絶縁膜の前記開口部をアルゴンプラズマに曝し、
前記エッチングマスクを除去し、
前記第1の絶縁膜及び前記第2の絶縁膜の前記開口部に導電膜を形成し、
前記第1の絶縁膜は加熱により酸素の一部が脱離する絶縁膜であり、
前記第2の絶縁膜は前記第1の絶縁膜よりもエッチングされにくく、前記第1の絶縁膜よりもガスバリア性が高いことを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項2】
チャネル形成領域が酸化物半導体膜に形成されるトランジスタを形成し、
前記トランジスタの電極膜上に前記酸化物半導体膜に接して設けられた第1の絶縁膜、及び第2の絶縁膜をこの順に積層して形成し、
前記第2の絶縁膜上に開口部を有するエッチングマスクを形成し、
前記エッチングマスクの前記開口部と重畳する部分の前記第1の絶縁膜及び前記第2の絶縁膜をエッチングして前記電極膜を露出する開口部を形成し、
前記エッチングマスクを除去し、
前記第1の絶縁膜及び前記第2の絶縁膜の前記開口部に逆スパッタリングを行い、
前記第1の絶縁膜及び前記第2の絶縁膜の前記開口部に導電膜をスパッタリング法により形成し、
前記第1の絶縁膜は加熱により酸素の一部が脱離する絶縁膜であり、
前記第2の絶縁膜は前記第1の絶縁膜よりもエッチングされにくく、前記第1の絶縁膜よりもガスバリア性が高いことを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記第1の絶縁膜が酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜または窒化酸化シリコン膜であり、
前記第2の絶縁膜が酸化アルミニウム膜であることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項4】
チャネル形成領域が酸化物半導体膜に形成されるトランジスタを形成し、
前記トランジスタの電極膜上に前記酸化物半導体膜に接して設けられた第1の絶縁膜、第2の絶縁膜及び第3の絶縁膜をこの順に積層して形成し、
前記第3の絶縁膜上に開口部を有するエッチングマスクを形成し、
前記エッチングマスクの前記開口部と重畳する部分の前記第1の絶縁膜、前記第2の絶縁膜及び前記第3の絶縁膜をエッチングして前記電極膜を露出する開口部を形成し、
前記第1の絶縁膜、前記第2の絶縁膜及び前記第3の絶縁膜の前記開口部をアルゴンプラズマに曝し、
前記エッチングマスクを除去し、
前記第1の絶縁膜、前記第2の絶縁膜及び前記第3の絶縁膜の前記開口部に導電膜を形成し、
前記第1の絶縁膜は加熱により酸素の一部が脱離する絶縁膜であり、
前記第2の絶縁膜は前記第1の絶縁膜よりもエッチングされにくく、前記第1の絶縁膜よりもガスバリア性が高いことを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項5】
チャネル形成領域が酸化物半導体膜に形成されるトランジスタを形成し、
前記トランジスタの電極膜上に前記酸化物半導体膜に接して設けられた第1の絶縁膜、第2の絶縁膜及び第3の絶縁膜をこの順に積層して形成し、
前記第3の絶縁膜上に開口部を有するエッチングマスクを形成し、
前記エッチングマスクの前記開口部と重畳する部分の前記第1の絶縁膜、前記第2の絶縁膜及び前記第3の絶縁膜をエッチングして前記電極膜を露出する開口部を形成し、
前記エッチングマスクを除去し、
前記第1の絶縁膜、前記第2の絶縁膜及び前記第3の絶縁膜の前記開口部に逆スパッタリングを行い、
前記第1の絶縁膜、前記第2の絶縁膜及び前記第3の絶縁膜の前記開口部に導電膜をスパッタリング法により形成し、
前記第1の絶縁膜は加熱により酸素の一部が脱離する絶縁膜であり、
前記第2の絶縁膜は前記第1の絶縁膜よりもエッチングされにくく、前記第1の絶縁膜よりもガスバリア性が高いことを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項6】
請求項4または請求項5において、
前記第1の絶縁膜及び前記第3の絶縁膜が、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜または窒化酸化シリコン膜であり、
前記第2の絶縁膜が酸化アルミニウム膜であることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項7】
請求項4乃至請求項6のいずれか一において、
前記第3の絶縁膜が前記第1の絶縁膜よりも厚いことを特徴とする半導体装置の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【図7】
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【図8】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−21305(P2013−21305A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−125788(P2012−125788)
【出願日】平成24年6月1日(2012.6.1)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】