説明

半導体装置の駆動方法

【課題】電荷蓄積層での電子の蓄積または放出が十分でない場合に、不揮発性メモリ素子に保持された記憶状態の正誤を判定し、誤ったデータを読み出すことによる不良を低減する。
【解決手段】メモリセル領域104と、テスト領域105と、を含む半導体記憶回路103と、制御回路と、を有し、制御回路は、メモリセルへのデータの書き込み、第1の領域105Aへの第1の記憶状態の書き込み、または第2の領域105Bへの第2の記憶状態の書き込みを行うための第1の動作を行い、第1の領域及び第2の領域からの第1の記憶状態または第2の記憶状態の読み出しを行うための第2の動作を行い、メモリセルからのデータの読み出しを行うための第3の動作を行い、第2の動作において、第1の領域からの読み出しが第1の記憶状態であるか、または第2の領域からの読み出しが第2の記憶状態であるかに応じて、第3の動作の正誤を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の駆動方法に関する。書込及び消去が可能な不揮発性メモリ素子を有する半導体装置の駆動方法に関する。
【0002】
なお本細書中において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置を指すものである。
【背景技術】
【0003】
不揮発性メモリ素子は、電気的または物理的な作用を施すことにより、半永久的に保持できる半導体素子である。不揮発性メモリ素子は、電荷蓄積層での電荷の蓄積量によってしきい値電圧が異なることを利用して、複数の記憶状態の保持を可能にしている。
【0004】
不揮発性メモリ素子は、電荷蓄積層に電子が多く蓄積されている状態では、しきい値電圧がプラス側にシフトし、電荷蓄積層から電子が放出されている状態では、しきい値電圧がマイナス側にシフトする。不揮発性メモリ素子のデータは、不揮発性メモリ素子に接続された各配線に電圧を印加して当該不揮発性メモリ素子のしきい値電圧を参照することにより、書き込み、または読み出しの動作を行うこととなる。
【0005】
不揮発性メモリ素子を有する半導体装置は、しきい値電圧のシフトを参照することでデータを読み出すこととなるが、電荷蓄積層での電子の蓄積または放出が十分でないことがあり得る。電荷蓄積層での電子の蓄積または放出が十分でないと、半導体装置は不揮発性メモリ素子に保持された記憶状態を正しく読み出せないことがある(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−253079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
不揮発性メモリ素子の電荷蓄積層より電荷が抜き取られ、不揮発性メモリ素子のしきい値電圧をマイナス側にシフトする場合について説明する。この場合、各配線に供給される電位が不安定な際には、不揮発性メモリ素子の電荷蓄積層より電荷の抜き取りが不十分になり、誤ったデータを読み出すことによる不良が発生することがあり得る。ここで図6にしきい値電圧のシフトについて可視化した図を示し、不揮発性メモリ素子の電荷蓄積層より電荷の抜き取りが不十分な場合の問題点について更に詳述する。なお図6におけるグラフでは、横軸をしきい値電圧、縦軸を不揮発性メモリ素子の素子数としている。また図6におけるグラフでは、第1の記憶状態(’1’とも表記することもある)の場合、しきい値電圧のプラス側へのシフトにより、しきい値電圧の大きい側にて多くの素子数の分布となる様子を表している。また図6におけるグラフでは、第2の記憶状態(’0’とも表記することもある)の場合、しきい値電圧のマイナス側へのシフトにより、しきい値電圧の小さい側にて多くの素子数となる様子を表している。
【0008】
不揮発性メモリ素子の電荷蓄積層に電荷が蓄積されている場合、図6(A)の実線601に示すようにしきい値電圧のプラス側で多くの素子数となっている分布が、電荷蓄積層の電荷を抜き取る動作により下降し、点線602にシフトすることで正常な動作となる。一方で、電荷蓄積層の電荷を抜き取る動作にて各配線の電位が小さい場合、電荷蓄積層の電荷を抜き取る動作によりしきい値電圧の下降が十分でなく、しきい値電圧の分布がしきい値電圧が大きい側(図6(A)の一点鎖線603)にシフトする状態となることがある。ただし、図6(A)の場合には、データ’0’として読み出すことができるため読み出しエラーには至らず、正しいデータを出力することができる。
【0009】
また更に図6(A)よりも、電荷蓄積層の電荷を抜き取る動作にて各配線の電位が小さい場合には、電荷蓄積層の電荷を抜き取る動作によりしきい値電圧のマイナス側へのシフトが十分でないことがある。そのため、しきい値電圧の分布がしきい値電圧がプラス側(図6(B)の一点鎖線604)にシフトする状態となることがある。図6(B)の場合には、データ’0’としてもデータ’1’としても読み出すことが出来ず、読み出しエラーとなる。
【0010】
また更に図6(B)よりも、電荷蓄積層の電荷を抜き取る動作にて各配線の電位が小さい場合には、電荷蓄積層の電荷を抜き取る動作によりしきい値電圧のマイナス側へのシフトが十分でないことがある。そのため、しきい値電圧の分布がしきい値電圧がプラス側(図6(C)の一点鎖線605)にシフトする状態となることがある。図6(C)の場合には、データ’0’とした不揮発性メモリ素子より読み出しを行うにも関わらず、データ’1’として読み出すこととなる。この場合、誤ったデータを読み出しているにもかかわらず、読み出しエラーともならないため、特に問題となる。
【0011】
そこで、本発明の一態様は、電荷蓄積層での電子の蓄積または放出が十分でない場合に、不揮発性メモリ素子に保持された記憶状態の正誤を判定し、誤ったデータを読み出すことによる不良を低減する半導体装置の駆動方法を提供することを課題の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様は、第1の記憶状態または第2の記憶状態のデータを保持するためのメモリセルが複数配置されたメモリセル領域と、第1の記憶状態を記憶する第1の領域及び第2の記憶状態を記憶する第2の領域を有するテスト領域と、を含む半導体記憶回路と、メモリセル及びテスト領域への書き込みまたは読み出しを行うための制御回路と、を有し、制御回路は、メモリセルへのデータの書き込み、第1の領域への第1の記憶状態の書き込みまたは第2の領域への第2の記憶状態の書き込みを行うための第1の動作を行い、第1の領域及び第2の領域からの第1の記憶状態または第2の記憶状態の読み出しを行うための第2の動作を行い、メモリセルからのデータの読み出しを行うための第3の動作を行い、第2の動作において、第1の領域からの読み出しが第1の記憶状態であるか、または第2の領域からの読み出しが第2の記憶状態であるかに応じて、第3の動作の正誤を判定する半導体装置の駆動方法である。
【0013】
また本発明の一態様は、第1の記憶状態または第2の記憶状態のデータを保持するためのメモリセルが複数配置されたメモリセル領域と、第1の記憶状態を記憶する第1の領域及び第2の記憶状態を記憶する第2の領域を有するテスト領域と、を含む半導体記憶回路と、メモリセル及びテスト領域への書き込みまたは読み出しを行うための制御回路と、を有し、制御回路は、メモリセルへのデータの書き込み、第1の領域への第1の記憶状態の書き込み、及び第2の領域への第2の記憶状態の書き込みを行うための第1の動作を行い、第1の領域及び第2の領域からの第1の記憶状態または第2の記憶状態の読み出しを行うための第2の動作を行い、メモリセルからのデータの読み出しを行うための第3の動作を行い、第2の動作において、第1の領域からの読み出しが第1の記憶状態であるか、及び第2の領域からの読み出しが第2の記憶状態であるかに応じて、第3の動作の正誤を判定する半導体装置の駆動方法である。
【0014】
本発明の一態様において、制御回路は、ロウデコーダ及びカラムデコーダを有し、第1の領域または第2の領域が、カラムデコーダに接続された配線毎に選択され、第1の動作乃至第3の動作が行われる半導体装置の駆動方法でもよい。
【0015】
本発明の一態様において、制御回路は、ロウデコーダ及びカラムデコーダを有し、第1の領域及び第2の領域は、ロウデコーダに接続された配線毎に選択され、第1の動作乃至第3の動作が行われる半導体装置の駆動方法でもよい。
【0016】
本発明の一態様において、メモリセルは、スイッチングトランジスタ及び不揮発性メモリトランジスタを有し、スイッチングトランジスタ及び不揮発性メモリトランジスタを駆動するための配線には、アンテナで受信した無線信号をもとに生成される電源電圧が供給される半導体装置の駆動方法でもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様により、電荷蓄積層での電子の蓄積または放出が十分でない場合に、不揮発性メモリ素子に保持された記憶状態の正誤を判定し、誤ったデータを読み出すことなく不良を低減する半導体装置の駆動方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施の形態1について説明するブロック図。
【図2】実施の形態1について説明する回路図。
【図3】実施の形態1について説明する回路図。
【図4】実施の形態1について説明するための図。
【図5】実施の形態1について説明する回路図。
【図6】しきい値電圧のシフトについて説明する図。
【図7】実施の形態1について説明するフローチャート図。
【図8】実施の形態2について説明するブロック図。
【図9】実施の形態2について説明するブロック図。
【図10】実施の形態3について説明するブロック図。
【図11】実施の形態4について説明するブロック図。
【図12】実施の形態5について説明する断面図。
【図13】実施の形態5について説明する断面図。
【図14】実施の形態5について説明する断面図。
【図15】実施の形態6について説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態について、図面を用いて以下に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではないものとする。
【0020】
(実施の形態1)
まず半導体装置が有するメモリセル領域(メモリセルアレイともいう)及び制御回路(駆動回路ともいう)の構成例を図1に示す。図1(A)、(B)において、半導体装置100は、ロウデコーダ101、カラムデコーダ102、半導体記憶回路103を有する。半導体記憶回路103は、不揮発性メモリ素子を有するメモリセルが行列状に配置されるメモリセル領域104、テスト領域105を有する。
【0021】
テスト領域105は、第1の領域105A、第2の領域105Bを有する。なお図1(A)は、ロウデコーダ101より延在する1本のワード線及び選択線によりテスト領域105の第1の領域105A及び第2の領域105Bが制御されるよう、カラムデコーダ102に平行な方向にテスト領域105が設けられている構成について示している。すなわち、メモリセルが、カラムデコーダ102より延在するビット線及びソース線のいずれか1組を介して、第1の領域105Aまたは第2の領域105Bに接続される。
【0022】
図1(B)の構成はロウデコーダ101より延在する異なるワード線によりテスト領域105の第1の領域105A及び第2の領域105Bが制御されるよう、ロウデコーダ101に平行な方向にテスト領域105が設けられている。すなわち、メモリセルが、ロウデコーダ101より延在するワード線及び選択線のいずれか1組を介して、第1の領域105A及び第2の領域105Bに接続される。また図1(A)、(B)では図示していないが、メモリセル領域104には、第1の記憶状態及び第2の記憶状態のデータを保持するためのメモリセルが複数配置されている。
【0023】
なお本明細書にて用いる第1、第2、第3、乃至第N(Nは自然数)という用語は、構成要素の混同を避けるために付したものであり、数的に限定するものではないことを付記する。
【0024】
なお、ロウデコーダ101、カラムデコーダ102は、メモリセル領域104の不揮発性メモリ素子、テスト領域105の不揮発性メモリ素子への書き込み、または読み出しを制御するものである。そのため、ロウデコーダ101、カラムデコーダ102を併せて制御回路ということもある。ロウデコーダ101は、ワード線(WLともいう)、及び選択線(SELともいう)に接続され、ワード線及び選択線の電位を制御するための回路である。また、カラムデコーダ102は、ビット線(BLともいう)、及びソース線(SLともいう)に接続され、ビット線及びソース線の電位を制御するための回路である。
【0025】
なお、ロウデコーダ101、カラムデコーダ102、メモリセル領域104、及びテスト領域105が有するトランジスタの半導体層として、様々な種類の半導体層を用いることが出来る。例えば、非晶質シリコン、多結晶シリコン、微結晶(マイクロクリスタル、セミアモルファスとも言う)シリコンなどに代表される非単結晶半導体、または単結晶シリコン等を用いた半導体層を用いることが出来る。なお、薄膜の半導体層を用いて素子を形成する場合、単結晶シリコンの場合よりも低い温度で製造できるため、製造コストの削減、又は製造装置の大型化を図ることができる
【0026】
なお、第1の記憶状態、第2の記憶状態とは、メモリセル内の不揮発性メモリ素子の電荷蓄積層への電荷の蓄積量によって、しきい値電圧のシフトが異なることを利用した複数の記憶状態に関して呼称したものである。一例としては、電荷蓄積層に電子が多く蓄積されている状態、すなわちしきい値電圧がプラス側にシフトした記憶状態を第1の記憶状態(’1’とも表記することもある)、電荷蓄積層から電子が放出されている状態、すなわちしきい値電圧がマイナス側にシフトした記憶状態を第2の記憶状態(’0’とも表記することもある)という。なお、第1の記憶状態、第2の記憶状態に限らず、複数の記憶状態を取り得る、いわゆる多値化した不揮発性メモリ素子においても、任意の記憶状態を第1の記憶状態、第2の記憶状態と呼ぶこともある。
【0027】
なおテスト領域105とは、メモリセル領域104と同様に、行方向及び/または列方向に不揮発性メモリ素子を有するメモリセルを備えた構成であるが、メモリセル領域104とは異なり、テスト領域105における不揮発性メモリ素子には記憶する記憶状態が予め定まった第1の領域及び第2の領域を具備する点で異なっている。具体的には、第1の領域は第1の記憶状態を記憶するための領域であり、第2の領域は第2の記憶状態を記憶するための領域である。
【0028】
次に図1(A)の構成について、図2を用いて更に詳しく説明し、本実施の形態の構成について説明していく。
【0029】
図2(A)では、図1(A)のメモリセル領域、及びテスト領域におけるメモリセルについて具体的に示したものである。図2(B)では、メモリセルの具体的な回路構成について示したものであり、ここでは、スイッチングトランジスタと、不揮発性メモリ素子として不揮発性メモリトランジスタを具備する構成について示している。
【0030】
図2(A)に示す半導体装置100は、図1(A)と同様に、ロウデコーダ101、カラムデコーダ102、メモリセル領域104及びテスト領域105を含む半導体記憶回路103を有する。メモリセル領域104及びテスト領域105は、メモリセル200を行列状に有しており、図2(A)では一例としてメモリセル200を格子状に並べた構成を示している。なおテスト領域105のメモリセルは、図1(A)で説明したように、ロウデコーダ101より延在する1本のワード線によりテスト領域105の第1の領域及び第2の領域を構成するメモリセルが制御されるよう設けられている構成について示している。
【0031】
なお図2(A)では、メモリセル領域104及びテスト領域105を共に、メモリセル200を平面に格子状に配置する例について示しているが、メモリセル領域104及びテスト領域105のメモリセル200を三次元的に積層して配置する構成としてもよい。
【0032】
また図2(B)に示すメモリセル200の構成は、ワード線WL、選択線SEL、ビット線BL、及びソース線SLによって制御されるスイッチングトランジスタ201及び不揮発性メモリトランジスタ202を具備する構成について示している。
【0033】
ワード線WLは、不揮発性メモリトランジスタ202のゲートに接続され、高電源電位VDD、H信号VH、グラウンド電位(低電源電位ともいう)GNDが供給される配線である。選択線SELは、スイッチングトランジスタ201のゲートに接続され、高電源電位VDD、H信号VH、グラウンド電位(低電源電位ともいう)GNDが供給される配線である。ビット線BLは、スイッチングトランジスタ201の第1端子に接続され、高電源電位VDD、H信号VH、L信号VLが供給される配線である。ソース線SLは、不揮発性メモリトランジスタ202の第2端子に接続され、H信号VH、L信号VL、グラウンド電位(低電源電位ともいう)GNDが供給される配線である。またスイッチングトランジスタ201の第2端子と不揮発性メモリトランジスタ202の第1端子が接続されている。なお、各配線に供給される電位の大小関係は、VL<GND<VDD<VHの関係にある。
【0034】
なお本明細書において、AとBとが接続されている、とは、AとBとが直接接続されているものの他、電気的に接続されているものを含むものとする。ここで、AとBとが電気的に接続されているとは、AとBとの間に何らかの電気的作用を有する対象物が存在するとき、対象物を介してAとBとが概略同電位となる場合を表すものとする。
【0035】
なお、本明細書において、トランジスタは、ゲートと、ドレインと、ソースとを含む少なくとも三つの端子を有する素子であり、ドレイン領域とソース領域の間にチャネル領域を有しており、ドレイン領域とチャネル領域とソース領域とを介して電流を流すことができる。ここで、ソースとドレインとは、トランジスタの構造や動作条件等によって変わるため、いずれがソースまたはドレインであるかを限定することが困難な場合もある。そこで、本実施の形態においては、ソース及びドレインとして機能する領域のそれぞれを、第1端子、第2端子と表記することもある。またゲートとして機能する端子については、ゲートと表記することもある。
【0036】
なお本明細書で説明する各配線での電圧とは、グラウンド電位GNDを基準電位とした場合の、電位差に相当する。そのため、電圧のことを電位、または電位のことを電圧と呼ぶこともある。
【0037】
なおメモリセルとして図2(B)では、スイッチングトランジスタと不揮発性メモリトランジスタを具備する構成を示したが、フラッシュメモリ等の他の構成であってもよい。図3(A)に示すような所謂NOR型のメモリセルであってもよい。図3(A)に示すメモリセル300は、不揮発性メモリトランジスタ301を有し、ビット線BL、ソース線SL、及びワード線WLに各端子が接続された構成である。また図3(B)に示すようなNAND型のメモリセルであってもよい。図3(B)に示すメモリセル310は、選択線SELに制御されるスイッチングトランジスタ311A、311B、ワード線WLに制御される複数の不揮発性メモリトランジスタ312、を有し、ビット線BL及びソース線SLにスイッチングトランジスタの端子が接続された構成である。
【0038】
なおメモリセル領域104は、一例として、m×n個のメモリセルが縦m個×横n個のマトリクス状に配置されるものであればよい。そして、メモリセルの座標として(MC(1,1)〜MC(m,n))(m、nは共に自然数)と表記することもある。
【0039】
なお不揮発性メモリトランジスタは、電気的または物理的な作用を施すことにより、半永久的に保持できる素子である。不揮発性メモリトランジスタとしては、電荷蓄積層の違いによってFG(Floating−Gate)型、MONOS(Metal−Oxide−Nitride−Oxide−Silicon)型、またはMNOS(Metal−Nitride−Oxide−Silicon)型に大別されるが、いずれを用いてもよい。
【0040】
次いで、図2(A)に示す半導体装置の駆動方法について、図4(A)を用いて更に具体的に説明していく。
【0041】
まず図4(A)を用いて、半導体装置の駆動方法の概要について説明する。
【0042】
図4(A)に示すように、まずメモリセル領域へのデータの書き込みを行う。このときメモリセル領域に書き込まれるデータに応じて、各メモリセルは第1の記憶状態または第2の記憶状態を保持することとなる。次いで、テスト領域への書き込みを行う。このときテスト領域内の第1の領域には第1の記憶状態、またテスト領域内の第2の領域には第2の記憶状態を記憶するようメモリセルへの書き込みを行う。なおメモリセルへのデータの書き込み、及びテスト領域への第1の状態及び第2の状態の書き込みを第1の動作ともいう。
【0043】
次いで、図4(A)に示すように、テスト領域での第1の領域及び第2の領域のメモリセルより、第1の記憶状態または第2の記憶状態であるかの読み出しを行う。なお、テスト領域からの第1の領域及び第2の領域より、第1の記憶状態または第2の記憶状態の読み出しを第2の動作ともいう。
【0044】
次いで、図4(A)に示すように、メモリセル領域のメモリセルに保持された第1の記憶状態または第2の記憶状態かのデータの読み出しを行う。なお、メモリセル領域のメモリセルからのデータの読み出しを第3の動作ともいう。
【0045】
なおメモリセル領域への書き込みとテスト領域への書き込みとは、順序が前後してもよい。
【0046】
なお図4(B)に示すようにテスト領域105における第1の領域105A及び第2の領域105Bは、第1の記憶状態を保持するための領域と、第2の記憶状態を保持するための領域とが分かれて設けられていればよく、比率の大小は特にいずれの領域が大きい構成としてもよい。即ち図4(B)に示すように、メモリセル領域に(MC(1,1)〜MC(m,n))のメモリセルがマトリクス状に配置されている場合、一例として、第1の記憶状態を保持するための第1の領域105Aは、MC(1,n+1)からMC(j,n+1)(jは1<j<mの自然数)の領域となり、第2の記憶状態を保持するための第2の領域105Bは、MC(j+1,n+1)からMC(m,n+1)の領域となる。
【0047】
なおテスト領域105への書き込まれる信号である第1の記憶状態を第1の領域105Aに記憶する信号及び第2の記憶状態を第2の領域105Bに記憶する信号は、メモリセル領域104に書き込むデータの信号に次いで半導体装置に入力されるものであってもよいし、メモリセル領域にデータの信号が供給されるとともに、半導体装置の内部で生成される信号であってもよい。
【0048】
次に図5(A)乃至(D)にメモリセルでのデータ書き込み時、読み出し時に関して、本実施の形態で述べる半導体装置の駆動方法の概要について説明するため、各配線の電位を具体的に示す。
【0049】
まず図5(A)は、メモリセル200の不揮発性メモリトランジスタ202に電荷を蓄積させる動作、即ち、不揮発性メモリトランジスタ202を第1の記憶状態とする書き込み動作時における各配線の電位の状態について示したものである。図5(A)では、ワード線WLをH信号VHとし、選択線SELをH信号VHとし、ビット線BLをL信号VLとし、ソース線SLをL信号VLとしている。図5(A)の動作により、不揮発性メモリトランジスタ202の電荷蓄積層に電荷が蓄積され、不揮発性メモリトランジスタ202のしきい値電圧が上昇する。
【0050】
次いで図5(B)は、メモリセル200の不揮発性メモリトランジスタ202において、電荷を蓄積させた不揮発性メモリトランジスタ202より、第1の記憶状態の読み出し動作時における各配線の電位の状態について示したものである。図5(B)では、ワード線WLを高電源電位VDDとし、選択線SELを高電源電位VDDとし、ビット線BLを高電源電位VDDとし、ソース線SLをグラウンド電位GNDとしている。図5(B)の動作により、不揮発性メモリトランジスタ202の電荷蓄積層に電荷が蓄積されている場合、不揮発性メモリトランジスタ202のしきい値電圧が上昇しているため、ソース線SLとビット線とが導通せず、ビット線BLの電位は高電源電位VDDのままとなる。
【0051】
次いで図5(C)は、メモリセル200の不揮発性メモリトランジスタ202より電荷を抜き取る動作、即ち、不揮発性メモリトランジスタ202を第2の記憶状態とする書き込み動作時における各配線の電位の状態について示したものである。図5(C)では、ワード線WLをL信号VLとし、選択線SELをH信号VHとし、ビット線BLをH信号VHとし、ソース線SLをH信号VHとしている。図5(C)の動作により、不揮発性メモリトランジスタ202の電荷蓄積層より電荷が抜き取られ、不揮発性メモリトランジスタ202のしきい値電圧が下降する。
【0052】
次いで図5(D)は、メモリセル200の不揮発性メモリトランジスタ202において、電荷の蓄積のない不揮発性メモリトランジスタ202より、第2の記憶状態の読み出し動作時における各配線の電位の状態について示したものである。図5(D)では、ワード線WLを高電源電位VDDとし、選択線SELを高電源電位VDDとし、ビット線BLを高電源電位VDDとし、ソース線SLをグラウンド電位GNDとしている。図5(D)の動作により、不揮発性メモリトランジスタの電荷蓄積層に電荷が蓄積されていない場合、不揮発性メモリトランジスタのしきい値電圧が下降しているため、ソース線SLとビット線とが導通し、ビット線BLの電位は高電源電位VDDからグラウンド電位GNDに下降することとなる。
【0053】
すなわち、上記図2(B)の説明にて述べたワード線WL、選択線SEL、ビット線BL、及びソース線SLの各配線に供給される電位の大小関係については、上記図5(A)乃至(D)の動作を行うことの電位であればよい。
【0054】
図1の構成では、不揮発性メモリトランジスタ202からデータを読み出す図5(D)の場合、上述の図6(A)乃至(C)のいずれかの状態によるデータの正誤を判定するために、図7に示す駆動方法のフローチャートを経るものである。そして、電荷蓄積層での電子の蓄積または放出が十分でない場合に、不揮発性メモリ素子に保持された記憶状態の正誤を判定し、誤ったデータを読み出すことなく不良を低減する半導体装置の駆動方法を提供することができる。
【0055】
図7に示すフローチャートでは、まずメモリセル領域へのデータの書き込みを行う。このときメモリセル領域に書き込まれるデータに応じて、各メモリセルは第1の記憶状態または第2の記憶状態を保持することとなる(ステップ701)。
【0056】
次いで、テスト領域への書き込みを行う。このときテスト領域内の第1の領域には第1の記憶状態、または第2の領域には第2の記憶状態を記憶するようメモリセルへの書き込みを行う(ステップ702)。なおメモリセル領域へのデータの書き込み、及びテスト領域へのデータの書き込みは、ビット線BL毎、すなわち列毎に行われる。そのため、例えばj列目のメモリセルへのデータ(第1の記憶状態または第2の記憶状態)の書き込みを行う際に、テスト領域の第1の領域(メモリセル(j,n+1))に第1の記憶状態に関するデータを書き込むこととなる。以上、ステップ701とステップ702を併せて第1の動作ともいう。
【0057】
なお図4(B)に示すようにテスト領域105における第1の領域105A及び第2の領域105Bは、第1の記憶状態を保持するための領域と、第2の記憶状態を保持するための領域とが分かれて設けられていればよく、比率の大小は特にいずれの領域が大きい構成としてもよい。即ち図4(B)に示すように、メモリセル領域に(MC(1,1)〜MC(m,n))のメモリセルがマトリクス状に配置されている場合、一例として、第1の記憶状態(図4(B)中’0’)を保持するための第1の領域105Aは、MC(1,n+1)からMC(j,n+1)(jは1<j<mの自然数)の領域となり、第2の記憶状態(図4(B)中’1’)を保持するための第2の領域105Bは、MC(j+1,n+1)からMC(m,n+1)の領域となる。
【0058】
次いで、テスト領域での第1の領域または第2の領域のメモリセルより、第1の記憶状態または第2の記憶状態であるかの読み出しを行う(ステップ703)。以上ステップ703を第2の動作ともいう。
【0059】
次いで、メモリセル領域のメモリセルに保持された第1の記憶状態または第2の記憶状態かのデータの読み出しを行う(ステップ704)。以上ステップ704を第3の動作という。なお、メモリセルに記憶されるデータは、行毎にデータを読み出すこととなるため、例えば(n+1)行目のデータを読み出す際には、(n+1)行目に接続されたテスト領域の第1の領域に記憶されるデータを読み出した後に、メモリセル領域の1行目に接続されたメモリセルより、データの読み出しを行う構成とすればよい。
【0060】
次いで、ステップ703で行ったテスト領域からの読み出しにおいて、第1の領域から読み出されたデータが第1の記憶状態に関するデータであるか、または第2の領域から読み出されたデータが第2の記憶状態に関するデータであるかの判定を行う(ステップ705)。例えばj列目のメモリセルへのデータ(第1の記憶状態または第2の記憶状態)の読み出しを行う際に、予めテスト領域の第1の領域(メモリセル(j,n+1))に第1の記憶状態に関するデータを読み出す。そして、第1の領域から読み出されたデータが第1の記憶状態に関するデータであるか否かの判定を行うこととなる。
【0061】
ステップ705において、第1の領域から読み出されたデータが第2の記憶状態に関するデータ、または第2の領域から読み出されたデータが第1の記憶状態に関するデータの場合には、メモリセル領域に記憶されたデータがエラーのデータであると判定する(ステップ706)。すなわち、j列目のテスト領域の第1の領域(メモリセル(j,n+1))に第1の記憶状態に関するデータが、電荷蓄積層での電子の蓄積または放出が十分でないために、第2の記憶状態と判定された場合に、メモリセルへのデータがエラーのデータであると判定するものである。
【0062】
ステップ705において、第1の領域から読み出されたデータが第1の記憶状態に関するデータ、または第2の領域から読み出されたデータが第2の記憶状態に関するデータの場合には、メモリセル領域に記憶されたデータが正常に記憶されたデータであると判定する(ステップ707)。ステップ706とは逆に、j列目のテスト領域の第1の領域(メモリセル(j,n+1))に第1の記憶状態に関するデータが、電荷蓄積層での電子の蓄積または放出が十分であり、第1の記憶状態と判定された場合に、メモリセルへのデータが正常に記憶されたデータであると判定するものである。
【0063】
すなわち、メモリセル領域への書き込みと共に書き込まれたテスト領域への書き込みの正誤を参照することで、メモリセル領域でのデータの正誤を判定することができる。すなわち、最低動作電圧を向上するといった効果も奏することが出来る。
【0064】
なおテスト領域のメモリセルの数は、本実施の形態と動作を行うことができれば、これに限らないことを付記する。また本実施の形態では、テスト領域105を半導体記憶回路103の端部に設ける構成としたが、他の箇所、例えば、メモリセル領域を分断するように配置する構成としてもよい。
【0065】
なお、上記実施の形態は他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0066】
(実施の形態2)
本実施の形態においては、図1(B)の構成について、図8、図9を用いて説明していく。なお実施の形態1と重複する説明の箇所については、実施の形態1の記載を援用するものとする。
【0067】
図8では、図1(B)のメモリセル領域、及びテスト領域におけるメモリセルについて具体的に示したものである。図8に示す半導体装置100は、図1(B)と同様に、ロウデコーダ101、カラムデコーダ102、メモリセル領域104及びテスト領域105を含む半導体記憶回路103を有する。メモリセル領域104及びテスト領域105は、メモリセル200を行列状に有しており、図8では一例としてメモリセル200を格子状に並べた構成を示している。
【0068】
なおメモリセル領域104、メモリセル200の構成、及び半導体装置100の駆動方法については、実施の形態1での説明と同様である。
【0069】
なお図9に示すようにテスト領域105における第1の領域105A及び第2の領域105Bは、実施の形態1とは異なり、第1の記憶状態を保持するための第1の領域105Aと、第2の記憶状態を保持するための第2の領域105Bとが列方向に分かれて設けられている。
【0070】
第1の領域105Aと第2の領域105Bを列方向に配置することにより、一列目のメモリセルMC(1,1)からの読み出しを行うとともに、テスト領域である第1の領域のメモリセルMC(m+1,1)、第2の領域のメモリセルMC(m+2,1)の読み出しを行うことができる。データの書き込みは行毎に行われるため、第1の領域105A及び第2の領域105Bによる、メモリセル領域での書き込みがエラーであるか否かの判定をより正確に判定することが出来る。
【0071】
なお、上記実施の形態は他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0072】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体記憶装置について説明する。
【0073】
上記実施の形態で述べた半導体装置の構成例を図10に示す。
【0074】
また図10には、上記実施の形態1で説明した半導体装置のブロック図の構成に加え、入出力される各信号について示している。図10に示す半導体装置1000は、インターフェース部1001、昇圧回路1002、ロウデコーダ101、カラムデコーダ102、及び半導体記憶回路103を有する。
【0075】
なお半導体記憶回路103には、上記実施の形態と同様に、メモリセル領域及びテスト領域を具備するものである。インターフェース部1001では、半導体装置1000の外部より、半導体記憶回路103内のメモリセル領域及びテスト領域のアドレスに関するデータ(address)、書き込み制御信号(WE)、読み出し制御信号(RE)が入力される。また半導体記憶回路の外部に、半導体記憶回路103内のメモリセル領域及びテスト領域から読み出されたデータ(data)が出力される。また昇圧回路1002は、内部にチャージポンプ回路を有し、半導体記憶回路103へのデータの書き込みに要する電圧レベルを生成する。また半導体装置1000には、クロック信号(CLK)、電源電圧(VDD、VSS)が入力され、動作することとなる。
【0076】
なお、インターフェース部1001、昇圧回路1002、ロウデコーダ101、カラムデコーダ102、及び半導体記憶回路103を構成する論理回路及びスイッチング素子等については、トランジスタ、特に薄膜トランジスタ(TFT)を用いると、単結晶シリコン基板を用いて作製する場合に比べ、安価に作製することができるといった利点がある。
【0077】
なお、上記実施の形態は他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0078】
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記実施の形態で述べた半導体装置の適用例として、無線通信装置について説明する。
【0079】
本実施の形態における無線通信装置は、内部に半導体記憶回路を有し、半導体記憶回路に必要な情報を記憶し、非接触手段、例えば無線通信を用いて外部と情報のやりとりを行うものである。この特徴を利用して、無線通信装置は、物品などの個体情報を記憶させておき、その情報を読み取ることにより物品の認識をさせる個体認証システムなどの用途があり、これらの用途に用いるには、個体情報のデータを記憶して物品の識別などを行うため、より高い信頼性が要求される。
【0080】
無線通信装置の構成について図11を用いて説明する。図11は、無線通信装置の構成を示すブロック図である。
【0081】
図11に示すように無線通信装置1100は、リーダ/ライタ1101(質問器ともいう)に接続されたアンテナ1102から送信される無線信号1103を受信するアンテナ1104を有する。また無線通信装置1100は、整流回路1105、定電圧回路1106、復調回路1107、変調回路1108、論理回路1109、半導体装置1110、ROM1111により構成されている。なお半導体装置1110は、上記実施の形態と同様にメモリセル領域及びテスト領域でなる半導体記憶回路を具備する構成となる。なお、データの伝送形式は、一対のコイルを対向配置して相互誘導によって交信を行う電磁結合方式、誘導電磁界によって交信する電磁誘導方式、電波を利用して交信する電波方式の3つに大別され、本実施の形態ではいずれの方式でも適用することができる。
【0082】
次に各回路の構成について説明する。アンテナ1104は、リーダ/ライタ1101に接続されたアンテナ1102と無線信号1103の送受信を行うためのものである。また整流回路1105は、アンテナ1104で無線信号を受信することにより生成される入力交流信号を整流、例えば半波2倍圧整流し、後段に設けられた容量素子により、整流された信号を平滑化することで入力電位を生成するための回路である。
【0083】
なお整流回路1105の入力側または出力側には、リミッタ回路を設けてもよい。リミッタ回路は、入力交流信号の振幅が大きく、内部生成電圧が大きい場合、ある電力以上は後段の回路に入力しないように制御するための回路である。また定電圧回路1106は、入力電位から安定した電源電圧を生成し、各ブロックに供給するための回路である。
【0084】
また定電圧回路1106は内部に、リセット信号生成回路を有していてもよい。リセット信号生成回路は、安定した電源電圧の立ち上がりを利用して、論理回路1109のリセット信号を生成するための回路である。また復調回路1107は、入力交流信号を包絡線検出することにより復調し、復調信号を生成するための回路である。
【0085】
また論理回路1109は復調信号を解析し、処理を行うための回路である。半導体装置1110は、上記実施の形態で説明したロウデコーダ、カラムデコーダ、半導体記憶回路を有する。半導体装置1110は、電荷蓄積層での電子の蓄積または放出が十分でない場合に、不揮発性メモリ素子に保持された記憶状態の正誤を判定し、誤ったデータを読み出すことなく不良を低減することが出来る。
【0086】
またROM1111は、固有番号(ID)を格納し、処理に応じて出力を行うための回路である。なお、ROM1111は、必要に応じて設ければよい。また変調回路1108は、アンテナ1104より出力されるデータに応じて変調をおこなうための回路である。
【0087】
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した半導体装置を無線通信装置1100の半導体装置1110として搭載することができる。そのため、電荷蓄積層での電子の蓄積または放出が十分でない場合に、不揮発性メモリ素子に保持された記憶状態の正誤を判定し、誤ったデータを読み出すことなく不良を低減することができる。
【0088】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0089】
(実施の形態5)
本実施形態の半導体装置の作製方法について、図12、図13及び図14を参照して説明する。本実施の形態では、不揮発性メモリトランジスタTm及びスイッチングトランジスタTsの作製方法についての断面図を示し、説明することとする。
【0090】
なお本実施の形態では、MONOS型の不揮発性メモリトランジスタについて説明するが、FG(Floating−Gate)型であってもよい。
【0091】
まず、図12(A)に示すように、基板1201上に下地絶縁膜1202を形成する。基板1201は、ガラス基板、石英基板、セラミック基板、金属基板(例えば、ステンレス基板など)を用いることができる。下地絶縁膜1202は、CVD法やスパッタ法等を用いて、酸化シリコン、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化窒化シリコン等の絶縁材料でなる単層構造、または積層構造とすることができる。
【0092】
次に、下地絶縁膜1202上に、半導体膜1203を形成する。半導体膜1203の形成は、一例として、スパッタ法、LPCVD法、またはPECVD法等を用いて、シリコン(Si)を主成分とする非晶質半導体膜を形成し、非晶質半導体膜を結晶化させて、結晶性半導体膜を形成すればよい。また基板1201として、SOI基板を用いた場合には、SOI基板の半導体層が半導体膜1203を構成し、半導体層の下層の絶縁層が下地絶縁膜1202を構成するものとなる。
【0093】
次に、半導体膜1203を島状にエッチングして、図12(B)に示すように、半導体膜1204A,1204Bを形成する。半導体膜1204A,1204Bは、それぞれ、不揮発性メモリトランジスタTm及びスイッチングトランジスタTsの半導体領域を構成する膜である。
【0094】
次に、半導体膜1204A,1204Bを覆って、厚さ10nm〜50nmの絶縁膜を形成する。この絶縁膜は、LPCVD法、PECVD法などにより、酸化シリコン、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化窒化シリコンでなる単層膜または2層以上の多層膜で形成される。
【0095】
次に、この絶縁膜を選択的に除去し、図12(C)に示すように、半導体膜1204Aの表面を露出させ、半導体膜1204Bを覆う絶縁膜1205を形成する。絶縁膜1205の形成工程は、絶縁膜1206を形成する部分をレジストによって覆い、そのほかの部分をエッチングで除去することで行うことができる。
【0096】
次いで、図12(C)に示すように、半導体膜1204A上に絶縁膜1206をそれぞれ形成する。絶縁膜1206は不揮発性メモリトランジスタTmの第1絶縁膜を構成する。絶縁膜1206は、半導体膜1204Aへの熱処理又はプラズマ処理等によって厚さ1nm〜10nmで形成することが好ましい。
【0097】
次に、図12(D)に示すように、半導体膜1204A,1204Bを覆って、窒化シリコン膜1207を形成する。窒化シリコン膜1207は、例えば、PECVD法で、プロセスガスにNHおよびSiHの混合ガスを用いて形成することができる。
【0098】
次に、窒化処理された窒化シリコン膜1207をエッチングして、図13(A)に示すように、半導体膜1204A上に電荷蓄積層1301を形成する。
【0099】
次に、図13(B)に示すように絶縁膜1205及び窒化シリコン膜1207上に絶縁膜1302を形成する。この絶縁膜1302は、不揮発性メモリトランジスタTmの第2絶縁膜を構成する。絶縁膜1302の形成は、一例としては、絶縁膜1302を単層で設ける場合には、CVD法により酸化窒化シリコン膜を5〜50nmの厚さで形成する。
【0100】
次に、図13(C)に示すように、絶縁膜1302上に導電膜を形成し、該導電膜をエッチングして半導体膜1204Aに重なる導電膜1303A、半導体膜1204Bに重なる導電膜1303Bを形成する。導電膜1303Aは不揮発性メモリトランジスタTmのゲート電極、導電膜1303Bはスイッチングトランジスタのゲート電極、を構成する。導電膜1303A、1303Bは、単層構造または2層以上の多層構造とすることができ、一例としては、導電膜1303A、1303Bを窒化タンタル膜とタングステン膜の積層膜で形成することができる。
【0101】
次に、図13(D)に示すように、導電膜1303A、1303Bをマスクに用いて、半導体膜1204A、1204Bにn型またはp型の導電型を付与する不純物元素を添加しチャネル形成領域1305、不純物領域1304A、1304Bを形成する。n型の導電型を付与する不純物元素はPまたはAsを用いればよい。p型の導電型を付与する不純物元素はBを用いればよい。
【0102】
次に、図14に示すように、導電膜1303A、1303Bを覆う絶縁膜1401を形成する。絶縁膜1401、1302、1301、1205および1206に開口部を形成し、不純物領域1304A、1304Bの一部を露出させる。絶縁膜1401上に、半導体膜1204A、1204Bに形成された不純物領域1304A、1304Bに接続する導電膜1402A乃至1402Dを形成する。
【0103】
絶縁膜1401は単層構造または積層構造とすることができる。絶縁膜1401を構成する絶縁膜として、CVD法やスパッタ法等により、酸化シリコン、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化窒化シリコン等の無機絶縁膜、または、ポリイミド等の有機材料でなる膜を形成することができる。
【0104】
導電膜1402A乃至1402Dは単層構造または積層構造とすることができる。導電膜1402A乃至1402Dを構成する導電性材料には、CVD法やスパッタ法等により、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、マンガン(Mn)、ネオジム(Nd)から選択された単体金属元素、又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料を用いることができる。
【0105】
以上の工程により、不揮発性メモリトランジスタTm及びスイッチングトランジスタTsを同一基板1201上に集積した半導体装置を作製することができる。
【0106】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0107】
(実施の形態6)
本実施の形態では、上記実施の形態4で説明した半導体装置を具備する無線通信装置の使用形態の一例について説明する。
【0108】
図15に示すように、無線通信装置の用途は広範囲にわたるが、例えば、紙幣、硬貨、有価証券類、無記名債券類、証書類(運転免許証や住民票等、図15(A)参照)、包装用容器類(包装紙やボトル等、図15(C)参照)、記録媒体(DVDソフトやビデオテープ等、図15(B)参照)、乗り物類(自転車等、図15(D)参照)、身の回り品(鞄や眼鏡等)、食品類、植物類、動物類、人体、衣類、生活用品類、または電子機器(液晶表示装置、EL表示装置、テレビジョン装置、または携帯電話)等の物品、若しくは各物品に取り付ける荷札(図15(E)、図15(F)参照)等に設けて使用することができる。
【0109】
無線通信装置1500は、プリント基板に実装、表面に貼る、または埋め込むことにより、物品に固定される。例えば、本であれば紙に埋め込む、または有機樹脂からなるパッケージであれば当該有機樹脂に埋め込み、各物品に固定される。無線通信装置1500は、小型、薄型、軽量を実現するため、物品に固定した後もその物品自体のデザイン性を損なうことがない。また、紙幣、硬貨、有価証券類、無記名債券類、または証書類等に無線通信装置1500を設けることにより、認証機能を設けることができ、この認証機能を活用すれば、偽造を防止することができる。また、包装用容器類、記録媒体、身の回り品、食品類、衣類、生活用品類、または電子機器等に無線通信装置を取り付けることにより、検品システム等のシステムの効率化を図ることができる。また、乗り物類であっても、無線通信装置を取り付けることにより、盗難などに対するセキュリティ性を高めることができる。
【0110】
以上のように、半導体装置を備えた無線通信装置を本実施の形態に挙げた各用途に用いることにより、電荷蓄積層での電子の蓄積または放出が十分でない場合に、不揮発性メモリ素子に保持された記憶状態の正誤を判定し、誤ったデータを読み出すことなく不良を低減することができるため、物品の認証性、またはセキュリティ性の信頼性を高めることができる。
【0111】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0112】
100 半導体装置
101 ロウデコーダ
102 カラムデコーダ
103 半導体記憶回路
104 メモリセル領域
105 テスト領域
106 絶縁膜
130 導電膜
155 絶縁膜
200 メモリセル
201 スイッチングトランジスタ
202 不揮発性メモリトランジスタ
300 メモリセル
301 不揮発性メモリトランジスタ
310 メモリセル
312 不揮発性メモリトランジスタ
601 実線
602 点線
603 一点鎖線
604 一点鎖線
605 一点鎖線
701 ステップ
702 ステップ
703 ステップ
704 ステップ
705 ステップ
706 ステップ
707 ステップ
1000 半導体装置
1001 インターフェース部
1002 昇圧回路
105A 領域
105B 領域
1100 無線通信装置
1101 リーダ/ライタ
1102 アンテナ
1103 無線信号
1104 アンテナ
1105 整流回路
1106 定電圧回路
1107 復調回路
1108 変調回路
1109 論理回路
1110 半導体装置
1111 ROM
1201 基板
1202 下地絶縁膜
1203 半導体膜
1205 絶縁膜
1206 絶縁膜
1207 窒化シリコン膜
1302 絶縁膜
1305 チャネル形成領域
1401 絶縁膜
1500 無線通信装置
311A スイッチングトランジスタ
1204A 半導体膜
1204B 半導体膜
1303A 導電膜
1303B 導電膜
1304A 不純物領域
1402A 導電膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の記憶状態または第2の記憶状態のデータを保持するためのメモリセルが複数配置されたメモリセル領域と、前記第1の記憶状態を記憶する第1の領域及び前記第2の記憶状態を記憶する第2の領域を有するテスト領域と、を含む半導体記憶回路と、
前記メモリセル及び前記テスト領域への書き込みまたは読み出しを行うための制御回路と、を有し、
前記制御回路は、
前記メモリセルへの前記データの書き込み、前記第1の領域への前記第1の記憶状態の書き込みまたは前記第2の領域への前記第2の記憶状態の書き込みを行うための第1の動作を行い、
前記第1の領域及び前記第2の領域からの前記第1の記憶状態または前記第2の記憶状態の読み出しを行うための第2の動作を行い、
前記メモリセルからの前記データの読み出しを行うための第3の動作を行い、
前記第2の動作において、前記第1の領域からの読み出しが前記第1の記憶状態であるか、または前記第2の領域からの読み出しが前記第2の記憶状態であるかに応じて、前記第3の動作の正誤を判定することを特徴とする半導体装置の駆動方法。
【請求項2】
第1の記憶状態または第2の記憶状態のデータを保持するためのメモリセルが複数配置されたメモリセル領域と、前記第1の記憶状態を記憶する第1の領域及び前記第2の記憶状態を記憶する第2の領域を有するテスト領域と、を含む半導体記憶回路と、
前記メモリセル及び前記テスト領域への書き込みまたは読み出しを行うための制御回路と、を有し、
前記制御回路は、
前記メモリセルへの前記データの書き込み、前記第1の領域への前記第1の記憶状態の書き込み、及び前記第2の領域への前記第2の記憶状態の書き込みを行うための第1の動作を行い、
前記第1の領域及び前記第2の領域からの前記第1の記憶状態または前記第2の記憶状態の読み出しを行うための第2の動作を行い、
前記メモリセルからの前記データの読み出しを行うための第3の動作を行い、
前記第2の動作において、前記第1の領域からの読み出しが前記第1の記憶状態であるか、及び前記第2の領域からの読み出しが前記第2の記憶状態であるかに応じて、前記第3の動作の正誤を判定することを特徴とする半導体装置の駆動方法。
【請求項3】
請求項1において、前記制御回路は、ローデコーダ及びカラムデコーダを有し、
前記第1の領域または前記第2の領域が、前記カラムデコーダに接続された配線毎に選択され、前記第1の動作乃至前記第3の動作が行われることを特徴とする半導体装置の駆動方法。
【請求項4】
請求項2において、前記制御回路は、ローデコーダ及びカラムデコーダを有し、
前記第1の領域及び前記第2の領域は、前記ローデコーダに接続された配線毎に選択され、前記第1の動作乃至前記第3の動作が行われることを特徴とする半導体装置の駆動方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一において、前記メモリセルは、スイッチングトランジスタ及び不揮発性メモリトランジスタを有し、
前記スイッチングトランジスタ及び前記不揮発性メモリトランジスタを駆動するための配線には、アンテナで受信した無線信号をもとに生成される電源電圧が供給されることを特徴とする半導体装置の駆動方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2011−96353(P2011−96353A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212919(P2010−212919)
【出願日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】