説明

基板の処理装置、ブラシ洗浄装置

【課題】この発明は半導体ウエハの上面と下面とを同時に、しかも確実に洗浄することができる基板の処理装置を提供することにある。
【解決手段】一側面に出し入れ口2が形成された処理槽1と、この処理槽内の上記出し入れ口と対向する位置に設けられ処理槽内に搬入された半導体ウエハ10の搬入方向と交差する径方向の両端部を保持してこの半導体ウエハを回転駆動する保持駆動手段8と、保持駆動手段に保持された半導体ウエハに処理液を供給する洗浄ノズル124,125と、処理槽内の上記保持駆動手段よりも内方に設けられ先端部に上記半導体ウエハの板面を洗浄する洗浄ブラシ71,122を有するアーム63,121およびこのアームを上下方向に駆動するとともに洗浄ブラシが半導体ウエハの径方向に沿って移動するよう上記アームを揺動駆動する駆動手段を有するツールユニット61,62とを具備したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は半導体ウエハや液晶用ガラス基板などの基板を洗浄処理するのに好適する基板の処理装置及び基板を洗浄した洗浄ツールを洗浄するためのブラシ洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、半導体装置の製造工程においては、半導体ウエハを高い清浄度で洗浄することが要求される工程がある。半導体ウエハを洗浄する方式としては、洗浄液中に複数枚の半導体ウエハを一度に浸漬するデイップ方式や半導体ウエハに向けて洗浄液を噴射して一枚ずつ洗浄する枚葉方式があり、最近では高い清浄度が得られるとともに、少ロッドの場合にはコスト的に有利な枚葉方式が採用されることが多くなってきている。
【0003】
枚葉方式の1つとしてロ−ルブラシやディスクブラシなどの洗浄ツールを用いて上記半導体ウエハを洗浄する洗浄装置が知られている。その場合、上記ロ−ルブラシやディスクブラシを回転させるだけでなく、半導体ウエハも回転させることで、上記各ブラシを半導体ウエハにむらなく接触させて洗浄効果を高めるということが行われている。
【0004】
一方、半導体ウエハを洗浄する場合、回路パタ−ンが形成される上面だけでなく、下面も洗浄し、半導体ウエハを搬送するときやカセットに格納された状態などで、他の半導体ウエハにパ−ティクルなどの汚れが転移するのを防止するということが行われている。
【0005】
ロ−ルブラシを用いて半導体ウエハの上下面を同時に洗浄するということは従来から行われていた。その場合、半導体ウエハを保持機構によって回転駆動できるように保持するとともに、この保持機構に保持された半導体ウエハの上面側と下面側に、それぞれ回転駆動されるロ−ルブラシを軸線が上記半導体ウエハの板面と平行になるよう配置し、各ロ−ルブラシを上記半導体ウエハの上下両面に接触させることで洗浄するようにしている。
【0006】
しかしながら、このような洗浄方式によると、半導体ウエハの板面に対してロ−ルブラシを線接触させて洗浄することになる。そのため、ロ−ルブラシの寸法精度やロ−ルブラシと半導体ウエハの板面との平行度が高精度に設定されていないと、上記ロ−ルブラシが軸方向全長にわたって半導体ウエハの板面に均一に接触しないため、洗浄むらが生じるということがあった。
【0007】
洗浄をむらなく行えるようにするために、ロ−ルブラシに代わりディスクブラシを用い、このディスクブラシを回転駆動される半導体ウエハに接触させた状態で径方向に沿って円弧運動させて洗浄する洗浄方式が開発されている。
【0008】
半導体ウエハを洗浄処理する処理装置は、通常、クリーンルームに設置される。上記処理装置は処理槽を有し、その処理槽の内部に半導体ウエハを保持して回転駆動する機構や洗浄ツールを回転させながら半導体ウエハの径方向に沿って駆動する機構などを配置するようにしている。
【0009】
クリーンルームはその維持管理のコストが高いため、スペースの有効利用が計られる。そのため、上記処理装置はできるだけ小型化することが望まれている。処理装置を小型化するにはその内部に配置される種々の機構をできるだけ少なくするとともに、合理的に配置することが要求される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来、ディスクブラシを用いて半導体ウエハの上下両面を同時に洗浄処理できる処理装置が開発されていなかった。その1つの原因として、半導体ウエハを保持する場合、通常、この半導体ウエハの一方の面(下面)を回転テーブルによって吸着保持するということが行われている。
【0011】
その場合、半導体ウエハの上下両面を洗浄処理するためには、一方の面を処理してから半導体ウエハを反転させ、次いで他方の面を洗浄しなければならなかったので、両面を同時に洗浄処理することができないばかりか、反転機構が必要となるから、処理装置の複雑化や大型化を招くということがあった。
【0012】
この発明は、構成の複雑化や大型化を招くことなく基板の両面を同時に処理することが可能な処理装置を提供することにある。
【0013】
この発明は、基板の両面を洗浄処理した洗浄ブラシに付着した塵埃を確実に除去することができるようにしたブラシ洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1の発明は、基板を処理液によって洗浄処理する処理装置において、
一側面に上記基板を出し入れするための出し入れ口が形成された処理槽と、
この処理槽内の上記出し入れ口と対向する位置に設けられこの出し入れ口から上記処理槽内に搬入された基板の搬入方向と交差する径方向の両端部を保持してこの基板を回転駆動する保持駆動手段と、
この保持駆動手段に保持された基板の板面に向けて処理液を供給する処理液供給手段と、
上記処理槽内の上記保持駆動手段よりも内方に配置され先端部に上記基板の板面を洗浄する洗浄ツールが設けられたアームおよびこのアームを上下方向に駆動するとともに上記洗浄ツールが上記基板の径方向に沿って移動するよう上記アームを揺動駆動する駆動手段を有するツールユニットと
を具備したことを特徴とする。
【0015】
それによって、洗浄ツールを径方向の両端部が保持された基板の上下両面の径方向に沿って同時に移動させて洗浄することが可能であり、また処理槽内には出し入れ口に対向して保持駆動手段及びその内方にツールユニットを順次配置したことで、ツールユニットが基板の出し入れの邪魔になることがない。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、上記ツールユニットは、先端部に上記基板の上面を洗浄するとともに回転駆動される上部洗浄ツールが設けられた上部アームを有する上部ツールユニットと、先端部に上記基板の下面を洗浄するとともに回転駆動される下部洗浄ツールが設けられた下部アームを有する下部ツールユニットとを備えていることを特徴とする。
【0017】
それによって、上部ツールユニットと下部ツールユニットによって保持駆動手段に保持された基板の上下面を洗浄することができる。
【0018】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、上記ツールユニットは、上記駆動手段が処理槽の外底部に設けられ、この駆動手段によって駆動される上記アームは、一端が上記駆動手段に連結され中途部が分解自在に形成された筒体の他端に設けられていることを特徴とする。
【0019】
それによって、駆動手段で発生する塵埃が洗浄槽内を汚染することがなく、しかも筒体の中途部を分解してアームを取り外すことができるから、アームの保守点検を容易に行うことができる。
【0020】
請求項4の発明は、請求項1の発明において、上記保持駆動手段は、上記処理槽の出し入れ口から搬入された基板の径方向両端部を保持する保持ローラが設けられるとともにこの基板の径方向に沿って移動可能な一対の可動部材と、上記洗浄槽の外底部に設けられ上記保持ローラを回転駆動する第1の駆動手段および一対の可動部材を接離方向に駆動する第2の駆動手段とを具備したことを特徴とする。
【0021】
それによって、保持駆動手段の第1、第2の駆動手段で発生する塵埃が処理槽内を汚染するのが防止される。
【0022】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、上記可動部材には、上記保持ローラによって保持された基板の外周面に接触してその外周面を洗浄する端面洗浄ブラシが設けられていることを特徴とする。
【0023】
それによって、基板の板面と同時に、外周面を洗浄することができる。
【0024】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、上記保持駆動手段は、上記第1の駆動手段によって回転駆動される駆動軸と、この駆動軸に分解自在に連結され上記第1の駆動手段の回転を上記駆動軸を介して上記保持ローラに伝達する従動軸と、内部に上記駆動軸が挿通され上記第2の駆動手段に一端が連結された第1の筒体と、この第1の筒体に一端が分解自在に連結され他端に上記可動部材が取り付けられるとともに内部に上記従動軸が挿通された第2の筒体と
を具備したことを特徴とする。
【0025】
それによって、保持ローラが設けられた可動部材及び第2の筒体とともに分解できるから、保持駆動手段の保守点検を容易に行うことができる。
【0026】
請求項7の発明は請求項1の発明において、上記洗浄槽内には、上記出し入れ口から搬入された基板が上記保持駆動手段によって保持される前に上記基板を支持する支持手段が設けられていることを特徴とする。
【0027】
それによって、出しれ口から搬入された基板を保持駆動手段に受け渡す際に、基板は支持手段に支持された状態で保持駆動手段によって保持されるから、その受け渡しを円滑に行うことが可能となる。
【0028】
請求項8の発明は、請求項7の発明において、上記保持駆動手段は、上記支持手段に支持された基板の径方向に沿って移動可能に設けられた一対の可動部材と、一対の可動部材を接離方向に駆動する第1の駆動手段と、各可動部材の先端部に設けられ外周にV字状の保持溝が形成されているとともに第2の駆動手段によって回転駆動される保持ローラとを有し、
上記一対の可動部材を接近する方向に駆動して保持ローラの保持溝によって基板の径方向両端部を保持したときに、上記基板は保持溝の斜面によって支持手段から上昇することを特徴とする。
【0029】
それによって、支持手段に支持された基板を保持駆動手段によって保持すれば、基板を支持手段から離すことができるから、基板を保持した後に保持駆動手段を上昇させる必要がない。
【0030】
請求項9の発明は、請求項1の発明において、上部洗浄ツールと下部洗浄ツールとのどちらか一方は上記基板の板面に接触する洗浄ブラシで、他方は処理液に超音波振動を付与して噴射する超音波ノズルであって、上記洗浄ブラシと超音波ノズルとの上記基板の径方向に沿う移動はほぼ同じあるいは超音波ノズルに比べて洗浄ブラシがわずかに遅れて移動することを特徴とする。
【0031】
それによって、基板はその一方の面が洗浄ブラシで洗浄され、他方の面が超音波振動が付与された処理液で洗浄されるとともに、洗浄ブラシで洗浄される一方の面は、その一方の面を洗浄するときあるいは洗浄する前に他方の面から処理液に付与された超音波が透過して洗浄されるから、洗浄ブラシと超音波により洗浄効果を高めることができる。
【0032】
請求項10の発明は請求項2の発明において、上記基板の径方向端部から外方へ外れた位置で、上記上部アームと下部アームとの揺動の延長線上には、上面と下面とがそれぞれ凹凸面に形成され上記各アームに設けられた上部洗浄ツールが上記上面に接触し、下部洗浄ツールが上記下面に接触するとともに、上記上面と下面とに洗浄液を流出させる流路が形成されたツール洗浄部材が配置されていることを特徴とする。
【0033】
それによって、基板を洗浄し終えて汚れた上部洗浄ツールと下部洗浄ツールとをツール洗浄部材の凹凸面およびその凹凸面に流出する洗浄液によって清浄化することができる。
【0034】
請求項11の発明は、基板の一方の面と他方の面とに処理液を噴射しながら洗浄する基板の処理装置において、
上記基板の一方の面に接触してその一方の面を洗浄するブラシと、
上記基板の他方の面に超音波振動が付与された洗浄液を噴射することで他方の面を洗浄するとともにその洗浄液に付与され上記基板を透過する超音波で上記ブラシによって洗浄される他方の面の洗浄を補助する超音波ノズルと
を具備したことを特徴とする。
【0035】
それによって、基板は両面が洗浄されるとともに、一方の面は洗浄ブラシと超音波との両方によって洗浄することができる。
【0036】
請求項12の発明は、請求項11の発明において、上記洗浄ブラシと上記超音波ノズルとは上記基板の径方向に沿って駆動されるとともに、これら洗浄ブラシと上記超音波ノズルとの上記基板の径方向に沿う移動はほぼ同じあるいは超音波ノズルに比べて洗浄ブラシがわずかに遅れて移動することを特徴とする。
【0037】
それによって、基板の洗浄ブラシによって洗浄される面は、洗浄ブラシによる洗浄と同時あるいは洗浄の前に超音波によって洗浄されるから、洗浄ブラシによって洗浄される面の洗浄効果を高めることができる。
【0038】
請求項13の発明は、基板を洗浄した洗浄ブラシを洗浄するブラシ洗浄装置において、
基板を洗浄した洗浄ブラシが接触する凹凸状の一方の面と他方の面とを有するとともに、
上記一方の面と他方の面とに洗浄液を流出させる流路が形成されたツール洗浄部材からなることを特徴とする。
【0039】
それによって、基板を洗浄することで汚れた洗浄ブラシを、ツール洗浄部材の一方の面と他方の面とで清浄化することができる。
【発明の効果】
【0040】
請求項1の発明によれば、保持駆動手段によって処理槽の出し入れ口から搬入された基板の径方向両端部を保持して回転駆動するようにしたから、洗浄ツールを基板の上記保持駆動手段によって保持されていない部分から上下両面の径方向に沿って同時に移動させて洗浄することが可能であり、また処理槽内には出し入れ口に対向して保持駆動手段及びその内方にツールユニットを順次配置したことで、ツールユニットが基板を上記出し入れ口から出し入れする際に邪魔になることがない。
【0041】
請求項2の発明によれば、ツールユニットを、上部ツールユニットと下部ツールユニットから構成したから、保持駆動手段に保持された基板の上下面を確実に洗浄することができる。
【0042】
請求項3の発明によれば、ツールユニットの駆動手段を洗浄槽の底部外面側に設け、上記駆動手段と洗浄槽の内部に突出したアームとを分解できる構成とした。
【0043】
そのため、駆動手段で発生する塵埃が洗浄槽内を汚染することがなく、しかもアームを取り外せることでその保守点検を容易に行うことができる。
【0044】
請求項4の発明は、保持駆動手段を基板の径方向両端部を保持する保持ローラを有し基板の径方向に沿って移動可能な一対の可動部材および洗浄槽の外底部に設けられ上記保持ローラを回転駆動する第1の駆動手段および一対の可動部材を接離方向に駆動する第2の駆動手段とから構成した。
【0045】
それによって、保持駆動手段の第1、第2の駆動手段で発生する塵埃が処理槽内を汚染するのが防止されるばかりか、基板をその上下面が洗浄できる状態で保持して回転駆動することができる。
【0046】
請求項5の発明によれば、上記可動部材には、保持ローラによって保持された基板の外周面に接触してその外周面を洗浄する端面洗浄ブラシを設けたから、基板の上下両面とともに外周面も洗浄することができる。
【0047】
請求項6の発明によれば、上記保持駆動手段を駆動する第1、第2の駆動手段を処理槽の外底部に設けるとともに、その第1、第2の駆動手段に対し、処理槽の内部に設けられる可動部材を分解できるように構成した。
【0048】
そのため、処理槽内の基板を上記第1、第2の駆動手段で発生する塵埃で汚染することがないばかりか、上記可動部材の保守点検を容易に行うことができる。
【0049】
請求項7の発明によれば、上記洗浄槽内には、上記出し入れ口から搬入された基板が上記保持駆動手段によって保持される前に上記基板を支持する支持手段を設けた。
【0050】
それによって、出しれ口からたとえばロボットなどによって搬入された基板を保持駆動手段に直接受け渡す場合に比べ、受け渡し位置が精密に設定されるから、その受け渡しを円滑かつ確実に行うことが可能となる。
【0051】
請求項8の発明は、支持手段によって支持された基板を保持駆動手段の保持ローラによって保持すると、上記基板が支持手段から浮き上がるようにした。
【0052】
それによって、保持駆動手段が基板を保持した後で保持駆動手段を上昇させたり、支持手段を下降させるなどのことが不用になるから、構成や動作の簡略化を計ることができる。
【0053】
請求項9の発明は、上部洗浄ツールと下部洗浄ツールとのどちらか一方を洗浄ブラシとし、他方を処理液に超音波振動を付与して噴射する超音波ノズルとし、洗浄ブラシと超音波ノズルとの基板の径方向に沿う移動をほぼ同じあるいは超音波ノズルに比べて洗浄ブラシがわずかに遅れて移動するようにした。
【0054】
それによって、洗浄ブラシで洗浄される一方の面には、その一方の面を洗浄するときあるいは洗浄する前に処理液に付与された超音波が他方の面から透過するから、その他方の面は洗浄ブラシと超音波により確実に洗浄することができる。
【0055】
請求項10の発明によれば、上面と下面とが凹凸面に形成されその凹凸面に洗浄液を流出させることができるツール洗浄部材を、上部アームと下部アームとの揺動の延長線上に配置した。
【0056】
それによって、基板を洗浄し終えて汚れた上部洗浄ツールと下部洗浄ツールとをツール洗浄部材の凹凸面およびその凹凸面に流出する洗浄液によって清浄化することができるばかりか、基板の洗浄を終えた待機時に欠く洗浄ツールを洗浄することができる。
【0057】
請求項11の発明は、基板の一方の面を洗浄ブラシによって洗浄するとともに、他方の面は洗浄液に超音波を付与する超音波ノズルで洗浄するようにした。
【0058】
それによって、基板は両面が洗浄されるとともに、一方の面は洗浄ブラシと超音波との両方によって洗浄することができる。
【0059】
請求項12の発明は、基板の一方の面を洗浄ブラシで洗浄し、他方の面を超音波ノズルで洗浄する場合、洗浄ブラシと超音波ノズルとの基板の径方向に沿う移動を、ほぼ同じあるいは超音波ノズルに比べて洗浄ブラシがわずかに遅れて移動させるようにした。
【0060】
それによって、基板の洗浄ブラシによって洗浄される面は、洗浄ブラシによる洗浄と同時あるいは洗浄の前に超音波によって洗浄されるから、一方の面の洗浄効果を高めることができる。
【0061】
請求項13の発明によれば、基板を洗浄した洗浄ブラシが接触する凹凸状の一方の面と他方の面とを有するとともに、一方の面と他方の面とに洗浄液を流出させる流路を形成したツール洗浄部材によってブラシ洗浄装置を構成した。
【0062】
それによって、基板を洗浄することで汚れた洗浄ブラシを、ツール洗浄部材の一方の面と他方の面とでそれぞれ清浄化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0063】
以下、この発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0064】
図1乃至図3に示すこの発明の処理装置は処理槽1を備えている。この処理槽1の前面には出し入れ口2が開口形成されている。この出し入れ口2はシャッタ3によって開閉されるようになっている。なお、洗浄槽1の上面には通気孔4が形成され、この通気孔4にはクリーンユニット5が設けられている。したがって、処理槽1の内部には上記クリーンユニット5を介して清浄空気が導入されるようになっている。
【0065】
上記洗浄槽1内の上記出し入れ口2と対向する部位には、図1に鎖線で示すロボットのハンド6によって上記出し入れ口2から処理槽1内に搬入された基板としての半導体ウエハ10を支持する支持機構7およびこの支持機構7に支持された半導体ウエハ10を保持して回転駆動する保持駆動手段8が設けられている。
【0066】
上記保持駆動手段8は平面形状がY字状をなした中空状の一対の可動部材11を有する。この可動部材11の逆ハの字状に分岐した一対の部分の先端部の一側面及び中間部にはそれぞれ保持ローラ12が設けられている。
【0067】
各保持ローラ12は、図7に示すように外周面にV字状の保持溝13が形成されているとともに中心部には支軸14の一端部が嵌着されている。各支軸14は上記可動部材11に設けられた軸受15によって回転自在に支持されているとともに、可動部材11の内部に対応する部分には従動プーリ16が嵌着されている。
【0068】
なお、図6と図7に示すように、一方の可動部材11と他方の可動部材11とは保持ローラが設けられた一側面を上下逆方向に向けて配置されている。したがって、保持ローラ12を上側にした一方の可動部材11は、従動プーリ16が支軸14の中途部に設けられ、他方の可動部材11は従動プーリ16が支軸14の上端部に設けられている。
【0069】
上記可動部材11の基端部には筒体17の上端が連結されている。この筒体17には、上端部が軸受19によって回転自在に支持された従動軸18が挿通されている。この従動軸18の上端部は上記可動部材11の内部空間11aに突出し、その突出端部には駆動プーリ21が嵌着されている。
【0070】
上記駆動プーリ21と上記3つの従動プーリ16とにはベルト22が張設されている。可動部材11の内部には、図6に示すように、上記ベルト22に所定の張力を与えてこのベルト22を上記駆動プーリ21と上記従動プーリ16とに接触させる複数のテンションローラ23が設けられている。
【0071】
それによって、上記駆動プーリ21が回転駆動されれば、上記ベルト22を介して3つの従動プーリ16が同方向に回転する。
【0072】
図8と図9に示すように、上記筒体17の下端には円盤状部材25がその下端開口面を閉塞する状態で設けられている。この円盤状部材25には通孔26が穿設され、この通孔26には上記従動軸18の下端部が挿通され、軸受27によって回転自在に支持されている。
【0073】
上記軸受27から突出した従動軸18の下端部には係合ピン18aが径方向に貫通され、この係合ピン18aは駆動軸29の一端部に設けられた凹部29aに着脱自在に係合している。
【0074】
上記駆動軸29は、図9に示すように上端が上記円盤状部材25にねじ30によって着脱自在に連結された連結筒体31に挿通され、上端部と下端部とがそれぞれ軸受32によって回転自在に支持されている。
【0075】
上記筒体17の周壁には複数の排気孔17aが軸方向に貫通し、且つ周方向に所定間隔で穿設されている。この排気孔17aの上端は上記か同部材の内部空間11aに連通し、下端はチューブ17bを介して図示しない吸引ポンプに接続されている。したがって、上記可動部材11の内部空間11aで発生する塵埃は排気孔17a及びチューブ17bを介して排出されるから、処理槽1内に流出することがない。
【0076】
図9に示すように、上記連結筒体31は上記洗浄槽1の底板1a及びこの底板1aの下面側に設けられたベース板33とに対応して形成された第1の通孔34から外部に突出している。上記駆動軸29の上記連結筒体31から突出した下端部はカップリング35を介してモータ36の回転軸36aに連結されている。このモータ36は可動板37に取り付けられている。
【0077】
上記ベース板33の下面には取付板38が垂設され、この取付板38の板面には一対のレール39が水平かつ平行に設けられている。このレール39には上記可動板37に設けられたガイド体41がスライド自在に係合している。
【0078】
上記取付板38には駆動シリンダ42が設けられている。この駆動シリンダ42のロッド42aは上記可動板37に連結部材43を介して連結されている。上記駆動シリンダ42が作動すれば、上記可動板37が上記レール39に沿ってスライドするようになっている。
【0079】
上記保持駆動手段8の一対の可動部材11は、上記駆動シリンダ42が作動することで、処理槽1の出し入れ口3から搬入される半導体ウエハ10の搬送方向に対して交差する方向に駆動されるようになっている。つまり、一対の可動部材11は上記駆動シリンダ42によって接近する方向と離反する方向とに駆動されるようになっている。
【0080】
なお、上記洗浄槽1の底板1aの通孔34の周囲には筒状壁45が立設され、上記円盤状部材25には上記筒状壁45の上端開口を覆うスカート部材46が設けられ、これらによってラビリンス構造をなし、上記通孔34から洗浄槽1内で飛散する処理液が外部へ流出するのを防止している。
【0081】
また、保持ローラ12が設けられた側面を上側にした一方の可動部材11は、その保持ローラ12の周辺部に図7に示すようにスカート12aが形成されている。それによって、そのスカート部12aは可動部材11の内部空間11aに処理液が入り込むのを防止している。
【0082】
図1に示すように、上記支持機構7は一対の前側支持体47と、同じく一対の後側支持体48とからなる。図5に示すように、前側支持体47は一端が上記洗浄槽11の底板1aに所定の高さで取り付けられた帯状部材48aを有し、この帯状部材48aの他端上面には上端にテーパ部49aが形成された所定長さの支持軸49が立設されている。
【0083】
上記後側支持体48は、上記底板1aに立設された支柱51の上端に帯状部材52の一端が取り付けられ、この帯状部材52の他端上面には上端面にテーパ部53aが形成された短軸53が設けられている。
【0084】
上記支持軸49のテーパ部49aと短軸53のテーパ部53aとは、ほぼ同じ高さに位置しているとともに、これらのテーパ部に支持される半導体ウエハ10の高さは上記可動部材11に設けられた保持ローラ12のV字状の保持溝13の頂部よりも下側で、下側の斜面の下端から外れない範囲に位置している。
【0085】
図1に示すように、ロボットのハンド6が半導体ウエハ10を保持して洗浄槽1の出し入れ口2から内部に侵入し、支持機構7と対応する所定の位置で下降すると、図5に示すように半導体ウエハ10の周辺部の4箇所が支持軸49のテーパ部49aと短軸53のテーパ部53aとに支持された状態で受け渡される。
【0086】
その状態で、保持駆動手段8の一対の可動部材11が接近方向に駆動されると、図7に鎖線で示すように、これら可動部材11の保持ローラ12のV字状の保持溝13の下側の斜面に半導体ウエハ10の外周縁が当接する。その状態で一対の可動部材11がさらに接近方向に駆動されると、半導体ウエハ10は保持溝13の下側の斜面によって同図に実線で示すように押し上げられて支持軸49と短軸53とのテーパ部49a,53aから上昇し、保持溝13の頂部によって保持されることになる。
【0087】
半導体ウエハ10が保持ローラ12の保持溝13に保持された状態で、モータ36が作動して保持ローラ12が回転されれば、半導体ウエハ10はその回転に連動して回転駆動されることになる。
【0088】
図6と図10(a),(b)に示すように、一対の可動部材11の逆ハの字状に分岐した部分の一方の内側面(一方のみ図示)にはそれぞれブロック54が設けられ、各ブロック54にはそれぞれスポンジなどの材料によって円錐台形状に形成された端面ブラシ55が支軸56によって回転自在に設けられている。
【0089】
各端面ブラシ55は、一対の可動部材11が接近方向に駆動されて半導体ウエハ10を保持ローラ12によって保持したときに、その半導体ウエハ10の外周面に圧接するようになっている。
【0090】
したがって、半導体ウエハ10を上記保持ローラ12によって回転駆動すれば、上記半導体ウエハ10は一対の端面ブラシ55によって外周面が洗浄されるようになっている。
【0091】
なお、一方の可動部材11と他方の可動部材11とに設けられる端面ブラシ55は図10(a),(b)に示すように一対の可動部材11の保持ローラ12の方向と同様、上下方向が逆向きになっている。
【0092】
図1に示すように、上記洗浄槽1内の上記保持駆動手段8よりも内方には上部ツールユニット61と下部ツールユニット62が配設されていれる。上記上部ツールユニット61は図11乃至図13に示すように構成されている。すなわち、上部ツールユニット61は図11と図12に示すように上部アーム63を有する。この上部アーム63は中空状に形成されていて、その先端部の下面には第1の取付孔64が形成されている。この第1の取付孔64には支持部材65が設けられ、この支持部材65には回転軸66の中途部が軸受67によって回転自在に支持されている。
【0093】
上記回転軸66の上端部は上部アーム63の内部空間63aに突出し、その突出端部には従動プーリ68が嵌着されている。回転軸66の下端部には取付部70が取り付けられ、この取付部70には押えフランジ69が着脱自在に螺合されていて、この押えフランジ69によって洗浄ツールとしてのスポンジ製の上部洗浄ブラシ71が保持されている。
【0094】
上記上部アーム63の他端部の下面には第2の取付孔72が形成されている。この第2の取付孔72には従動筒体73の上端部が嵌合接続されている。この従動筒体73の下端には駆動筒体74の上端がねじ75によって分解自在に連結されている。
【0095】
上記駆動筒体74は洗浄槽1の底板1a及びベース板33部に形成された第2の通孔76から外部に突出されている。この駆動筒体74には駆動軸77が挿通され、この駆動軸77は上下端部がそれぞれ軸受78によって回転自在に支持されている。駆動軸77の上端には係合溝77aが形成され、この係合溝77aには上記従動筒体73に挿通された従動軸79の下端部に径方向に貫通して設けられた係合ピン81が着脱自在に係合している。
【0096】
上記従動軸79の上下端部は上記従動筒体73に設けられた軸受82によって回転自在に支持されている。したがって、駆動筒体74と従動筒体73とを連結したねじ75を外せば、従動筒体73、従動軸79およびアーム63を分解することができるようになっている。
【0097】
上記第2の通孔76の周辺部には環状壁83が立設され、上記従動筒体73の下端部には上記環状壁83の周囲を覆うスカート部84が設けられ、これらによってラビリンス構造をなしている。したがって、洗浄槽1内の処理液が上記第2の通孔76から外部に流出するのが防止されるようになっている。
【0098】
上記駆動筒体74の洗浄槽1の外底部に突出した中途部には従動歯車84が外嵌固定され、下端部は軸受85を介して筒状の受け体86によって回転自在に支持されている。上記受け体86は図13に示すように側面形状がL字状をなした上下可動部材87に取り付けられている。
【0099】
上記受け体86の下端には回転モータ88が設けられ、この回転軸89はカップリング91を介して上記駆動軸77の下端に連結されている。この駆動軸77に連結された上記従動軸79の上端部は上部アーム63の内部空間63a内に突出し、そこには駆動プーリ92が嵌着されている。この駆動プーリ92と上記回転軸66に設けられた従動プーリ68とにはベルト93が張設されている。
【0100】
したがって、上記回転モータ88が作動すると、その回転が駆動軸77、従動軸79及びベルト93を介して上記回転軸66に伝達されるから、この回転軸66に設けられた上部洗浄ブラシ71が回転駆動されることになる。
【0101】
図11に示すように上記上下可動部材87には、上記受け体86の側方に揺動駆動源94が設けられている。この揺動駆動源94はモータと減速機とが一体化されていて、その出力軸95には上記従動歯車84に噛合する駆動歯車96が取り付けられている。
【0102】
したがって、揺動駆動源94が作動して駆動歯車96が回転すれば、その回転が従動歯車84を介して駆動筒体74に伝達されるから、この駆動筒体74に連結された従動筒体79を介して上部アーム63が水平方向の揺動駆動されることになる。
【0103】
上記駆動歯車96には回転板97が取り付けられ、この回転板97の回転角度は図12に示すように周方向に所定間隔で配置された一対の検出器98によって検出される。したがって、上記検出器98の検出信号で、上記上部アーム63の揺動角度が制御されるようになっている。つまり、揺動角度の制御は揺動駆動源94にサーボモータを用い、そのサーボモータのパルス信号で行うようになっており、一対の検出器98はそれぞれの方向への揺動の限界角度を検出する。更に、揺動の位置は図示しないアブソリュートエンコーダにて位置決めされるようになっている。
【0104】
図12と図13に示すように、上記洗浄槽1の底部に設けられたベース板33には固定部材101が上記上下可動部材87と板面を平行に離間させて垂設されている。この固定部材101の上記上下可動部材87と対向する一方の板面には、幅方向中央部に軸線を垂直にした駆動ねじ102が上下端部を軸受103によって回転自在に支持されて設けられている。この駆動ねじ102にはナット体104が螺合されている。このナット体104は上記上下可動部材87二設けられた取付部87aに回転不能に取り付けられている。
【0105】
上記駆動ねじ102の下端部には従動プーリ105が嵌着されている。上記固定部材101の他方の板面には上下用モータ106が設けられている。この上下用モータ106の回転軸107には駆動プーリ108が嵌着されている。この駆動プーリ108と上記従動プーリ105とにはベルト109が張設されている。
【0106】
図12に示すように、上記固定部材101の上記上下可動部材87と対向する一方の板面の幅方向両端部にはレール111が上下方向に沿って設けられている。このレール111には上記上下可動部材87に設けられたガイド112がスライド自在に係合している。
【0107】
したがって、上記上下用モータ106が作動して駆動ねじ102が回転駆動されれば、この駆動ねじ102に設けられたナット体104が上下方向に移動するから、その移動に上下可動部材87を介して駆動筒体74および従動筒体73を介して上部アーム63が上下駆動されることになる。
【0108】
上記上下可動部材87の一側には検知プレート113が上下方向に沿って設けられ、上記固定部材101には上記検知プレート113を介して上記上下駆動部材87の上下方向の移動量を検出する検出器114が設けられている。それによって、上記上部アーム63の上下方向の移動量、つまり上部洗浄ブラシ71の上下方向の移動量を検出制御できるようになっている。つまり、検出器114は上限、下限、原点センサであり、上下用モータ106はサーボモータを使用し、上下方向の移動量を制御している。
【0109】
なお、上記駆動筒体74には、図11に示すように一端を従動筒体73の内部空間に連通させ、他端を外部に連通させた吸引路115が形成されている。この吸引路115の他端には管体116が接続され、この管体116は図示しない吸引ポンプに接続されている。
【0110】
したがって、上記吸引ポンプの吸引力は、上部アーム63の内部空間63aおよび上部アーム63の先端部に取り付けられた支持部材65の下端側に連通孔65aを介して作用するから、支持部材65の回転軸66を支持した部分や上部アーム63の内部空間63aで発生する塵埃が外部に流出するのが防止できるようになっている。
【0111】
一方、上記下部ツールユニット62は図14乃至図16に示すように下部アーム121を有する。この下部アーム121の一端部の上面には下部洗浄ブラシ122が設けられている。この下部洗浄ブラシ122の取付構造は上記上部洗浄ブラシ71と同様であるので、同一部分には同一記号を付して説明を省略する。
【0112】
上記下部アーム121の他端部の下面には上部アーム63と同様、第2の取付孔72が形成されていて、そこには上部アーム63の従動筒体73に比べて短尺な従動筒体73aを介して駆動筒体74がねじ75によって分解自在に連結されている。
【0113】
上記下部洗浄ブラシ122を回転駆動するための機構、及び下部アーム121を揺動駆動及び上下駆動するための機構は、上記上部アーム63の場合と同じ構成であるから、同一部分には同一記号を付して説明を省略する。
【0114】
図1乃至図3に示すように、上記保持駆動手段8の一対の可動部材11の保持ローラ12によって保持された半導体ウエハ10の上面と下面とのほぼ中央部に対向する位置には、上部洗浄ノズル124および下部洗浄ノズル125がそれぞれ配置されている。各ノズル124,125は、ロッド126の先端にこのロッド126の軸方向に対して角度調整自在に設けられている。上記ロッド126の基端部は、洗浄槽1の内底部の前端側に立設されたスタンド127に長さ調整自在かつ周方向の回転角度の調整自在に取り付けられている。
【0115】
上記上部洗浄ノズル124および下部洗浄ノズル125には純水や薬液などの処理液が供給される。したがって、保持駆動手段8に保持された半導体ウエハ10の上面と下面とにはそれぞれ処理液を供給できるようになっている。
【0116】
上記上部アーム63と下部アーム121とが揺動駆動源94によって図1に実線と鎖線とで示す範囲で揺動駆動されることで、上部洗浄ブラシ71と下部洗浄ブラシ121とは半導体ウエハ10の上面と下面とで同図に矢印で示す軌跡で移動する。各ブラシ71,121は揺動とともに上下方向にも駆動される。
【0117】
つまり、半導体ウエハ10の上面と下面とに処理液を供給しながらこれら各面から離れた状態で半導体ウエハ10の中心部に移動し、その位置で上部洗浄ブラシ71は下降し、下部洗浄ブラシ122は上昇して半導体ウエハ10の上面と下面とに接触する。その状態で半導体ウエハ10の径方向外方に沿って移動し、その周縁から外れる位置まで移動することで、上面と下面とを洗浄することになる。
【0118】
洗浄に際しての各洗浄ブラシ71,122の動きは種々設定可能で、たとえば半導体ウエハ10の上面と下面とに接触した状態でこの半導体ウエハ10の中心部と周縁部との間で径方向に沿う揺動を繰り返して行うようにしてもよい。
【0119】
上記各洗浄ブラシ71,122の揺動の延長線上で、各ツールユニット61,62よりも洗浄槽1の前後方向内方にはブラシ洗浄装置131が配設されている。このブラシ洗浄装置131はツール洗浄部材132を有する。
【0120】
上記ツール洗浄部材132は、図17に示すように上面と下面とがそれぞれ多数の凸部と凹部を有する凹凸面133に形成されていて、支持架台134によってその上下の凹凸面133に各洗浄ブラシ71,122が接触可能な高さとなるよう支持されている。各洗浄ブラシ71,122とツール洗浄部材132との高さの関係は図4に示す。
【0121】
上記ツール洗浄部材132には純水などの洗浄液が供給される流路135が形成されている。この流路135からは上記ツール洗浄部材132の上面に連通する第1の分岐路136aと、下面に連通する第2の分岐路136bとが分岐されている。それによって、ツール洗浄部材132の上面と下面とから洗浄液を流出させることができるようになっている。
【0122】
ツール洗浄部材132の上面と下面とに上部洗浄ブラシ71と下部洗浄ブラシ122とをそれぞれ接触させて回転させた状態で、その上面と下面とから洗浄液を流出させれば、上記各洗浄ブラシ71,122に付着した汚れを洗浄除去することができる。上記ツール洗浄部材132の上下面が凹凸面133に形成されていることにより、その洗浄効果を高めることができる。
【0123】
しかも、上記ツール洗浄部材132は各洗浄ブラシ71,122の揺動運動の延長線に設けられている。そのため、洗浄ブラシ71,122が半導体ウエハ10の上面と下面とを洗浄し、その半導体ウエハ10を洗浄槽1から取出して未洗浄の半導体ウエハ10に交換するときの待機時に上記各洗浄ブラシ71,122を洗浄することができる。つまり、洗浄ブラシ71,122を洗浄するために、専用の処理時間を設けなくてすむから、半導体ウエハ10の洗浄処理のタクトタイムを長くするということがない。
【0124】
つぎに、上記構成の処理装置によって半導体ウエハ10を洗浄処理する場合に付いて説明する。保持駆動手段8の一対の可動部材11を離間させた状態で、処理槽1の出し入れ口2を開放し、未処理の半導体ウエハ10が保持されたロボットのハンド6を内部に水平に侵入させる。
【0125】
上記ハンド6が所定の位置まで侵入したならば、そのハンド6を下降させることで、ハンド6に保持された半導体ウエハ10が支持機構7のそれぞれ一対の前側支持体47と後側支持体48とのテーパ部49a,53aによって支持される。その状態で一対の可動部材11を接近方向に駆動することで、各可動部材11に設けられた保持ローラ12のV字状の保持溝13によって上記半導体ウエハ10の径方向両端部が係合保持される。それと同時に半導体ウエハ10は上記保持溝13の下側の斜面によってわずかに上方へ持ち上げられるから、保持ローラ12で保持するだけで、支持機構7から浮き上がらせることができる。
【0126】
半導体ウエハ10を支持機構7に支持するようにしたことで、その高さ位置を精密に位置決めすることができる。そのため、支持機構7に支持された半導体ウエハ10を保持駆動手段8の一対の可動部材11に確実に受け渡すことができる。つまり、半導体ウエハ10の受け渡しはロボットのハンド6から保持駆動手段8の可動部材11へ直接行うこともできるが、その場合ハンド6の上下方向に位置決め精度に誤差があると、受け渡しが確実に行うことができない場合がある。
【0127】
しかしながら、上述したごとく支持機構7を介して受け渡すようにしたことで、その受け渡しを確実に行うことができる。しかも、一対の可動部材11で半導体ウエハ10を挟持することで、その半導体ウエハ10を支持機構7から浮き上がらせることができるため、半導体ウエハ10の挟持と上昇とを同時に行うことができる。
【0128】
このようにして、一対の可動部材11でウエハ10を挟持したならば、上部洗浄ノズル124と下部洗浄ノズル125とから半導体ウエハ10の上面と下面に向けて処理液を噴射する。
【0129】
それと同時に、上部ツールユニット61と下部ツールユニット62とを作動させて上部アーム63に設けられた上部洗浄ブラシ71で半導体ウエハ10の上面を洗浄し、下部アーム121に設けられた下部洗浄ブラシ122によって半導体ウエハ10の下面を洗浄する。
【0130】
つまり、各洗浄ブラシ71,122を半導体ウエハ10の上面及び下面と離反させた状態でその半導体ウエハ10の中心部まで移動させたならば、上部洗浄ブラシ71を下降させて半導体ウエハ10の上面に接触させる。同様に、下部洗浄ブラシ122を下降させて半導体ウエハ10の下面の中心部に接触させる。そして、これら洗浄ブラシ71,122を径方向中心部から外周部に向って移動させることで、半導体ウエハ10の上下面をそれぞれ洗浄する。
【0131】
各洗浄ブラシ71,122の半導体ウエハ10の径方向に沿う移動は一回でもよいが、複数回繰り返して行うようにしてもよい。
【0132】
このようにして、半導体ウエハ10の上面と下面との洗浄を終えたなら、各洗浄ブラシ71,122をこれらの揺動運動の延長線上に位置するブラシ洗浄装置131のツール洗浄部材132の上面と下面に回転させた状態で接触させるとともに、その上面と下面とから洗浄液を流出させる。それによって、半導体ウエハ10を洗浄することで汚れた各洗浄ブラシ71,122を清浄化することができる。
【0133】
各洗浄ブラシ71,122の清浄化と同時に洗浄槽1内からは洗浄された半導体ウエハ10が取出され、未洗浄の半導体ウエハ10が供給される。つまり、洗浄ブラシ71,122の清浄化は、洗浄された半導体ウエハ10を取出し、未洗浄の半導体ウエハ10を供給する作業と同時に行うことができるから、全体のタクトタイムを長くするようなことがない。
【0134】
しかも、上記ツール洗浄部材132は上下面が凹凸面133に形成され、その上下面から洗浄液を流出させることができるようにしているので、1つのツール洗浄部材132で一対の洗浄ブラシ71,122を同時に清浄化することができる。つまり、ブラシ洗浄装置131をコンパクトに構成することができる。
【0135】
上記保持駆動手段8と各ツールユニット61,62は洗浄槽1内に突出した部分を洗浄槽1の外底部に設けられた部分と分解できる構成となっている。そのため、保持駆動手段8においては可動部材11を取り外してその保守点検を容易に行うことができ、各ツールユニット61,62においては上部アーム63と下部アーム121との保守点検を容易に行うことができる。
【0136】
保持駆動手段8の保持ローラ12を回転駆動するモータ36及び可動部材11を接離方向に駆動する駆動シリンダ42を洗浄槽1の外底部に設けるようにした。モータ36や駆動シリンダ42は可動部分を有するから塵埃が発生し易いが、これらを洗浄槽1の外部に設けたことで、塵埃が発生しても、洗浄された半導体ウエハ10に付着するのを防止することができる。
【0137】
同様に、各ツールユニット61,62を駆動する回転モータ88、揺動駆動源94および上下用モータ106も洗浄槽1の外部に設けるようにしたから、これらの可動部分で発生する塵埃が洗浄された半導体ウエハ10に付着するのも防止することができる。
【0138】
図18(a),(b)はこの発明の他の実施の形態を示す。この実施の形態は、上部ツールユニット61の上部アーム63には上部洗浄ブラシ71を設け、下部ツールユニット62の下部アーム121には下部洗浄ブラシ122に代わり超音波ノズル171を設けるようにした。超音波ノズル171はその内部に供給された処理液に超音波振動を付与して噴射するもので、その超音波によって半導体ウエハ10に付着した塵埃を除去することができる。
【0139】
上記上部洗浄ブラシ71と超音波ノズル171とを半導体ウエハ10の径方向に沿って揺動させる場合、これらが半導体ウエハ10の上面と下面との径方向における同じ位置を洗浄するよう揺動角度を同じにするか、図18(b)に矢印で示すように超音波ノズル171を上部洗浄ブラシ71よりも移動方向に対してわずかに先行させて移動させる。
【0140】
さらに、超音波ノズル171から半導体ウエハ10の下面に噴射される洗浄液に付与された超音波の一部が上記半導体ウエハ10の下面から上面側へ最も透過し易いよう、上記超音波ノズル171の角度を設定する。
【0141】
そのような状態で半導体ウエハ10を洗浄すると、半導体ウエハ10の下面は超音波振動が付与された処理液によって洗浄され、上面は上部洗浄ブラシ71によって洗浄される。半導体ウエハ10の上面の上部洗浄ブラシ71による洗浄部位は、上部洗浄ブラシ71によって洗浄するときあるいは洗浄する直前に下面側から透過した超音波が作用してその部位に付着した塵埃を板面から浮遊させる。
【0142】
それによって、上部洗浄ブラシ71による半導体ウエハ10の上面の洗浄効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】この発明の一実施の形態を示す処理装置の横断面図。
【図2】同じく図1のA−A線に沿う縦断面図。
【図3】同じく図1のB−B線に沿う断面図。
【図4】同じく保持駆動手段、ツールユニット及びブラシ洗浄装置の高さ位置の関係を示す説明図。
【図5】同じく支持手段の説明図。
【図6】同じく保持駆動手段の平面図。
【図7】同じく保持駆動手段の側断面図。
【図8】同じく保持駆動手段の保持ローラに動力を伝達する部分の断面図。
【図9】同じく保持駆動手段の駆動手段の部分を示す断面図。
【図10】(a),(b)は同じく保持駆動手段の一対の可動部材に設けられる端面洗浄ブラシを示す正面図。
【図11】同じく上部ツールユニットの縦断面図。
【図12】同じく平面図。
【図13】同じく図12のC−C線に沿う断面図。
【図14】同じく下部ツールユニットの縦断面図。
【図15】同じく平面図。
【図16】同じく図15のD−D線に沿う断面図。
【図17】同じくツール洗浄部材の断面図。
【図18】この発明の他の実施の形態を示す基板の一方の面を洗浄ブラシで洗浄し他方の面を超音波ノズルで洗浄する場合の説明図。
【符号の説明】
【0144】
1…処理槽、2…出し入れ口、8…保持駆動手段、10…半導体ウエハ(基板)、61…上部ツールユニット、62…下部ツールユニット、71…上部洗浄ブラシ(洗浄ツール)、122…下部洗浄ブラシ(洗浄ツール)、124…上部洗浄ノズル(処理液供給手段)、125…下部洗浄ノズル(処理液供給手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理液によって洗浄処理する処理装置において、
一側面に上記基板を出し入れするための出し入れ口が形成された処理槽と、
この処理槽内の上記出し入れ口と対向する位置に設けられこの出し入れ口から上記処理槽内に搬入された基板の搬入方向と交差する径方向の両端部を保持してこの基板を回転駆動する保持駆動手段と、
この保持駆動手段に保持された基板の板面に向けて処理液を供給する処理液供給手段と、
上記処理槽内の上記保持駆動手段よりも内方に配置され先端部に上記基板の板面を洗浄する洗浄ツールが設けられたアームおよびこのアームを上下方向に駆動するとともに上記洗浄ツールが上記基板の径方向に沿って移動するよう上記アームを揺動駆動する駆動手段を有するツールユニットと
を具備したことを特徴とする基板の処理装置。
【請求項2】
上記ツールユニットは、先端部に上記基板の上面を洗浄するとともに回転駆動される上部洗浄ツールが設けられた上部アームを有する上部ツールユニットと、先端部に上記基板の下面を洗浄するとともに回転駆動される下部洗浄ツールが設けられた下部アームを有する下部ツールユニットとを備えていることを特徴とする請求項1記載の基板の処理装置。
【請求項3】
上記ツールユニットは、上記駆動手段が処理槽の外底部に設けられ、この駆動手段によって駆動される上記アームは、一端が上記駆動手段に連結され中途部が分解自在に形成された筒体の他端に設けられていることを特徴とする請求項1記載の基板の処理装置。
【請求項4】
上記保持駆動手段は、上記処理槽の出し入れ口から搬入された基板の径方向両端部を保持する保持ローラが設けられるとともにこの基板の径方向に沿って移動可能な一対の可動部材と、上記洗浄槽の外底部に設けられ上記保持ローラを回転駆動する第1の駆動手段および一対の可動部材を接離方向に駆動する第2の駆動手段とを具備したことを特徴とする請求項1記載の基板の処理装置。
【請求項5】
上記可動部材には、上記保持ローラによって保持された基板の外周面に接触してその外周面を洗浄する端面洗浄ブラシが設けられていることを特徴とする請求項4記載の基板の処理装置。
【請求項6】
上記保持駆動手段は、上記第1の駆動手段によって回転駆動される駆動軸と、この駆動軸に分解自在に連結され上記第1の駆動手段の回転を上記駆動軸を介して上記保持ローラに伝達する従動軸と、内部に上記駆動軸が挿通され上記第2の駆動手段に一端が連結された第1の筒体と、この第1の筒体に一端が分解自在に連結され他端に上記可動部材が取り付けられるとともに内部に上記従動軸が挿通された第2の筒体と
を具備したことを特徴とする請求項5記載の基板の処理装置。
【請求項7】
上記洗浄槽内には、上記出し入れ口から搬入された基板が上記保持駆動手段によって保持される前に上記基板を支持する支持手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載の基板の処理装置。
【請求項8】
上記保持駆動手段は、上記支持手段に支持された基板の径方向に沿って移動可能に設けられた一対の可動部材と、一対の可動部材を接離方向に駆動する第1の駆動手段と、各可動部材の先端部に設けられ外周にV字状の保持溝が形成されているとともに第2の駆動手段によって回転駆動される保持ローラとを有し、
上記一対の可動部材を接近する方向に駆動して保持ローラの保持溝によって基板の径方向両端部を保持したときに、上記基板は保持溝の斜面によって支持手段から上昇することを特徴とする請求項7記載の基板の処理装置。
【請求項9】
上部洗浄ツールと下部洗浄ツールとのどちらか一方は上記基板の板面に接触する洗浄ブラシで、他方は処理液に超音波振動を付与して噴射する超音波ノズルであって、上記洗浄ブラシと超音波ノズルとの上記基板の径方向に沿う移動はほぼ同じあるいは超音波ノズルに比べて洗浄ブラシがわずかに遅れて移動することを特徴とする請求項1記載の処理装置。
【請求項10】
上記基板の径方向端部から外方へ外れた位置で、上記上部アームと下部アームとの揺動の延長線上には、上面と下面とがそれぞれ凹凸面に形成され上記各アームに設けられた上部洗浄ツールが上記上面に接触し、下部洗浄ツールが上記下面に接触するとともに、上記上面と下面とに洗浄液を流出させる流路が形成されたツール洗浄部材が配置されていることを特徴とする請求項2記載の基板の処理装置。
【請求項11】
基板の一方の面と他方の面とに処理液を噴射しながら洗浄する基板の処理装置において、
上記基板の一方の面に接触してその一方の面を洗浄するブラシと、
上記基板の他方の面に超音波振動が付与された洗浄液を噴射することで他方の面を洗浄するとともにその洗浄液に付与され上記基板を透過する超音波で上記ブラシによって洗浄される他方の面の洗浄を補助する超音波ノズルと
を具備したことを特徴とする基板の処理装置。
【請求項12】
上記ブラシと上記超音波ノズルとは上記基板の径方向に沿って駆動されるとともに、これらブラシと上記超音波ノズルとの上記基板の径方向に沿う移動はほぼ同じあるいは超音波ノズルに比べて洗浄ブラシがわずかに遅れて移動することを特徴とする請求項11記載の基板の処理装置。
【請求項13】
基板を洗浄した洗浄ブラシを洗浄するブラシ洗浄装置において、
基板を洗浄した洗浄ブラシが接触する凹凸状の一方の面と他方の面とを有するとともに、
上記一方の面と他方の面とに洗浄液を流出させる流路が形成されたツール洗浄部材からなることを特徴とするブラシ洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−211253(P2008−211253A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−131033(P2008−131033)
【出願日】平成20年5月19日(2008.5.19)
【分割の表示】特願平10−308696の分割
【原出願日】平成10年10月29日(1998.10.29)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】