説明

配線構造と配線形成方法及び薄膜トランジスター基板とその製造方法

【課題】薄膜トランジスター基板の配線形成に関する。Alなどの抵抗の高い材料に替えてAgなどの配線抵抗の低い材料を用いる。しかし、Agは蒸着が難しく、又蒸着されても後続のパターニング工程から配線の浮き上がり、又は剥離が誘発されやすい欠点を持っている。この欠点を解決して接着力が改善された低抵抗Agの配線構造を提供する。
【解決手段】下部構造物上に形成された銀(Ag)酸化物を含む下部膜と、下部膜上に形成された銀(Ag)または銀(Ag)合金を含む銀(Ag)導電膜を含む配線構造とした。これにより配線不良による配線の信頼性の低下が防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線構造に関し、より詳細には、銀(Ag)または銀(Ag)合金を含む配線構造と配線形成方法及び薄膜トランジスター基板とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薄膜トランジスター基板は、マトリックス配列の画素を備える液晶表示装置または有機EL表示装置などの基板として使われる。
【0003】
液晶表示装置(Liquid Crystal Display)は、電極が形成されている二枚の基板とその間に挿入されている液晶層からなり、電極に電圧を印加して液晶層の液晶分子を再配列させることによって透過される光量を調節する装置であって、電極に伝達される画像信号を制御するためのスイッチング素子として薄膜トランジスターを使う。
【0004】
有機EL(organic Electro−Luminescence)表示装置は、蛍光性有機物質を電気的に励起発光させて画像を表示する表示装置であって、各々の画素に発光のための電流を供給する駆動薄膜トランジスターとスイッチング薄膜トランジスターとを備える。
【0005】
一方、液晶表示装置または有機EL表示装置などの表示面積が次第に大型化されるにつれて、前記薄膜トランジスターと連結されるゲート線及びデータ線が長くなり配線の抵抗が増加する。このような抵抗増加は、信号遅延などの問題を誘発するが、これを克服するためには、前記ゲート線及びデータ線をできるだけ低い比抵抗を有する材料で形成する必要がある。
【0006】
配線材料のうち、低い比抵抗を有する物質としては、薄膜状態の比抵抗が約2.1μΩcmである銀(Ag)が挙げられる。したがって、実際工程で銀(Ag)からなるゲート線及びデータ線を使うようになれば、アルミニウムなどの相対的に抵抗の高い物質を使った場合に比べて、信号遅延などの問題が改善されうる。
【0007】
しかし、銀(Ag)は、ガラスなどの絶縁基板または半導体層などの下部構造物に対する接着性(adhesion)がきわめて不良であって蒸着が難しく、一応蒸着されたとしても後続するパターニング工程から配線の浮き上がり(lifting)または剥離(peeling)が誘発されやすい。このことは、配線不良を誘発して配線の信頼性を低下させる。
【特許文献1】特開第2002−091338号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする技術的課題は、接着力が改善された低抵抗銀(Ag)配線構造を提供することである。
【0009】
本発明が解決しようとする他の技術的課題は、前記した構造を有する配線形成方法を提供することである。
【0010】
本発明が解決しようとするまた他の技術的課題は、前記した配線構造を含む薄膜トランジスター基板を提供することである。
【0011】
本発明が解決しようとするさらに他の技術的課題は、前記したような薄膜トランジスター基板の製造方法を提供することである。
【0012】
本発明の技術的課題は、前述した技術的課題に制限されず、言及されなかったまた他の技術的課題は、下記の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記技術的課題を達成するための本発明の一実施形態による配線構造は、下部構造物上に形成された銀(Ag)酸化物を含む下部膜及び前記下部膜上に形成された銀(Ag)または銀(Ag)合金を含む銀(Ag)導電膜を含む。
【0014】
前記他の技術的課題を達成するための本発明の一実施形態による配線形成方法は、下部構造物上に銀(Ag)酸化物を含む下部膜を形成する段階と、前記下部膜が形成されている下部構造物上に銀(Ag)または銀(Ag)合金を含む銀(Ag)導電膜を形成する段階と、前記銀(Ag)導電膜上に上部膜を形成する段階及び配線を定義するフォトレジストパターンを蝕刻マスクとして用いて前記上部膜、銀(Ag)導電膜及び下部膜をパターニングする段階とを含む。
【0015】
前記また他の技術的課題を達成するための本発明の一実施形態による薄膜トランジスター基板は、絶縁基板上に形成されて第1方向に延びたゲート線及び前記ゲート線に連結されたゲート電極を含むゲート配線と、前記絶縁基板の上に前記ゲート配線と絶縁して形成されて、前記ゲート線と交差するように第2方向に延びたデータ線、前記データ線に連結されたソース電極及び前記ソース電極と離隔して位置するドレーン電極を含むデータ配線と、前記ゲート配線と前記データ配線上に画素ごとに形成され前記ドレーン電極と連結された画素電極を含むが、前記ゲート配線及び/または前記データ配線は、下部構造物上に形成された銀(Ag)酸化物を含む下部膜及び前記下部膜上に形成された銀(Ag)または銀(Ag)合金を含む銀(Ag)導電膜を含む。
【0016】
前記さらに他の技術的課題を達成するための本発明の一実施形態による薄膜トランジスター基板の製造方法は、絶縁基板上に第1方向に延びたゲート線及び前記ゲート線に連結されたゲート電極を含むゲート配線を形成する段階と、前記絶縁基板上に前記ゲート線と交差するように2方向に延びたデータ線、前記データ線に連結されたソース電極及び前記ソース電極と離隔して位置するドレーン電極を含み、前記ゲート配線と絶縁しているデータ配線を形成する段階と、前記ゲート配線と前記データ配線上に画素ごとに前記ドレーン電極と連結された画素電極を形成する段階を含むが、前記ゲート配線及び/または前記データ配線を形成する段階は、下部構造物上に銀(Ag)酸化物を含む下部膜を形成する段階と、前記下部膜が形成されている下部構造物上に銀(Ag)または銀(Ag)合金を含む銀(Ag)導電膜を形成する段階と、前記銀(Ag)導電膜上に上部膜を形成する段階及び前記配線を定義するフォトレジストパターンを蝕刻マスクとして用いて前記上部膜、銀(Ag)導電膜及び下部膜をパターニングする段階と、を含む。
【0017】
その他の実施形態の具体的な事項は、詳細な説明及び図面に含まれている。
【発明の効果】
【0018】
本発明の実施形態による配線構造及び配線形成方法によれば、下部構造物に対して銀(Ag)導電膜の接着力が改善されて信頼性の高い低抵抗銀(Ag)配線を得られうる。また、配線形成方法が単純で工程效率が増大される。
【0019】
また、本発明の実施形態による薄膜トランジスター基板及びその製造方法によれば、前記したようにゲート配線及び/またはデータ配線の信頼性が確保されて信号特性がよくなり、画質が改善され工程效率が増大されうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の利点及び特徴、そしてそれらの達成方法は、添付図面と共に詳細に後述されている実施形態を参照すれば、明確になる。しかし、本発明は、以下で開示される実施形態に限定されず、相異なる多様な形態で具現でき、単に本実施形態は本発明の開示を完全にし、当業者に発明の範ちゅうを完全に知らせるために提供され、本発明は請求項の範ちゅうにより定義されると解すべきである。
【0021】
図面において層及び領域の大きさ及び相対的な大きさは、説明の明瞭性のために誇張して記載してある。
【0022】
素子(elements)または層が異なる素子または層の“上”にあると指称されることは、他の素子または層のすぐ上だけでなく、中間に他の層または他の素子を介在した場合を全部含む。一方、素子が“直上”と指称されることは、中間に他の素子または層を介在しないことを表す。明細書全体に亙って同一な参照符号は、同一な構成要素を示す。“及び/または”は言及されたアイテムの各々及び一つ以上のすべての組み合わせを含む。
【0023】
以下、添付された図面を参照して、本発明の一実施形態による配線構造及び配線形成方法を説明する。図1は、本発明の一実施形態による配線構造の断面図である。
【0024】
図1を参照すれば、下部構造物(lower structure)1の上に、銀(Ag)酸化物を含む下部膜2aを介在して銀(Ag)導電膜2bが形成されている。銀(Ag)導電膜2bの上部には、上部膜2cが位置する。
【0025】
下部構造物1は、配線2などが形成される面を提供し、配線などを支持する。下部構造物1は、複数の構成要素、素子、層などが組合されている複合物(complex)だけでなく、一つの構成要素、素子、層などからなる単一構造物を含む。例えば、ガラスなどからなる絶縁基板、非晶質ケイ素などからなる半導体層、絶縁膜であり、これに制限されない。
【0026】
下部構造物1上には、銀(Ag)または銀(Ag)合金を含む銀(Ag)導電膜2bが位置する。銀(Ag)は、薄膜(thin flim)状態で比抵抗が2.1μΩcmに低くて信号特性に優れた配線材料として望ましく使われうる。銀(Ag)導電膜2bの厚さは、配線パターンの安定性を考慮して500Å以上であり、低抵抗及び薄膜特性観点で5000Å以下であり得る。
【0027】
下部構造物1と銀(Ag)導電膜2bとの間には、下部膜2aが位置する。下部膜2aは、AgO Ag2Oなどの銀(Ag)酸化物を含む。下部膜2aは、下部構造物1と銀(Ag)導電膜2bの接着力を増加させる役割を果たす。前記したような銀(Ag)酸化物を含む下部膜2aが接着力を増加させる原理について説明すれば、次のようである。
【0028】
下部構造物1がガラスからなる場合、ガラスは非晶質SiOが主成分を成し、ケイ素(Si)と酸素(O)が相互結合した形態を有するようになる。この際、ガラスを構成するケイ素(Si)及び酸素(O)が、最外郭電子が全部満たされた安定した構造を有することではなく、一部最外郭電子は他の元素と結合せずにダングリングボンド(dangling bond)を形成する。このような酸素ダングリングボンド(oxygen dangling bond)が金属膜との結合に関係することと理解されている。
【0029】
すなわち、ガラスと金属物質の接着は、主にガラス上の酸素ダングリングボンドと金属物質との結合によってなされ、したがって、ガラスと金属物質の接着程度は、ガラス表面に存在する酸素ダングリングボンドと金属物質の結合力に依存する。このような酸素ダングリングボンドと金属間の結合力は、金属物質の酸化物形成自由エネルギー値に実質的に比例する。
【0030】
ここで、代表的な配線物質の自由エネルギーは、Alは−1580kJ/mol、CuOは−297kJ/molであり、AgOは−11kJ/molの値を有する。すなわち、AgOの場合には、AlやCuOに比べて形成自由エネルギーの値がずっと大きい。したがって、銀(Ag)とガラスの結合力がアルミニウムや銅とガラスの結合力に比べてずっと小さくて、接着がよくできないことが分かる。
【0031】
前記したようなガラスに対する銀(Ag)の接着力を補完するために銀(Ag)酸化物を含む下部膜2aを介在させる。ガラスと界面を形成する下部膜2aの底面には、銀(Ag)酸化物から由来する酸素ダングリングボンドが形成されて、ガラスに存在する酸素ダングリングボンドと相互結合しうる。この際、Oの形成自由エネルギーは、前記したAgOの形成自由エネルギーよりずっと小さいために相互容易く結合され、接着力が促進される。また、銀(Ag)酸化物から由来する酸素ダングリングボンドは、ガラスに存在するケイ素ダングリングボンド(silicon dangling bond)ともよく結合するので、接着力がさらに促進されうる。
【0032】
一方、銀(Ag)酸化物を含む下部膜2aには、多量の銀(Ag)が含有されているために、上部に位置する銀(Ag)導電膜2bとの接着は、同じ物質間の結合であって接着力が良好である。
【0033】
以上、下部構造物1としてガラスを例として挙げたが、非晶質ケイ素からなる半導体層の場合にも、等しく適用されうる。この場合、半導体層は下部膜2aとの界面にケイ素ダングリングボンドが存在し、このようなケイ素ダングリングボンドと銀(Ag)酸化物から由来する下部膜2aの酸素ダングリングボンドが低い形成自由エネルギーで容易く結合できて接着力が促進される。
【0034】
同様な原理で下部構造物1がSiNxなどからなる絶縁膜である場合にも、銀(Ag)酸化物を含む下部膜2aによって接着力が促進されうる。
【0035】
一方、下部膜2aは、銀(Ag)酸化物以外に他の物質をさらに含んでもよく、例えば、銀(Ag)または銀(Ag)合金を含んでも良い。この際、充分な接着力を表すように銀(Ag)酸化物の含量が調節され、これを、下部膜2aを構成する元素全体に対する酸素のアトミックパーセント(atomic percent)で表せば、5at%以上であり得る。また、充分な接着力及び電気伝導性などをすべて考慮する時、下部膜2aを構成する元素全体に対する酸素の含量は、60at%以下であり得る。酸素含量が60at%以下の場合、比抵抗が68.01μΩcm以下であって、下部構造物1が半導体層の場合にも、電気伝導度が大きい問題にならない。
【0036】
下部膜2aは、一つ以上の原子層からなり、誤差範囲を勘案する時、10Å以上であり得る。また、低抵抗観点で2000Å以下であり得る。下部膜2aに含有された銀(Ag)酸化物は、望ましくは、下部構造物1と下部膜2aの界面に位置しうる。
【0037】
一方、下部膜2aには、形成工程によって、銀(Ag)または銀(Ag)合金が含まれうるが、下部膜2aと上部の銀(Ag)導電膜2bが連続的に形成される場合には、その境界が不明なことがある。この場合、下部膜2aと銀(Ag)導電膜2bを分ける基準として銀(Ag)酸化物の含量を考慮しうる。すなわち、少量の銀(Ag)酸化物を含むとしても充分な導電性を表す範囲では、銀(Ag)導電膜2bに含ませうる。一方、同一な高さ(level)の他の区間は、銀(Ag)酸化物を多量含有しているが、特定の狭い区間で銀(Ag)酸化物がほとんど発見されないとしても、全体として下部膜2aの接着促進機能をすれば、下部膜2aに含まれることになる。すなわち、銀(Ag)酸化物の分布が必ずしも連続的である必要はない。但し、下部構造物1との界面には、多量分布されることが望ましく、連続的分布区間が多いことが良い。このような下部膜2aの厚さは、前記の事項を考慮して全体として平均的に表した厚さであり、区間によって微細に変わることを排除している。
【0038】
また、配線構造2は、蝕刻工程などで化学物質や反応性気体などのアタック(attack)から保護されるように銀(Ag)導電膜2bの上部にキャッピングレイヤ(capping layer)である上部膜2cをさらに備えることができる。上部膜2cは、工程単純化の観点から望ましくは、下部膜2aと等しく銀(Ag)酸化物を含むことができ、10ないし2000Åの厚さを有しうる。 前記化学物質や反応性気体の種類によっては、上部膜2cは、インジウムチンオキシド(Indium Tin Oxide;ITO)、非晶質ITO(amorphous ITO)、インジウムジンクオキシド(Indium Zinc Oxide;IZO)などの酸化物、またはタングステン(W)、モリブデン(Mo)、モリブデン−ニオブ合金(MoNb)、またはモリブデン−タングステン合金(MoW)などの金属からなりうることもできる。一方、後続工程の種類や化学物質などの種類によって、上部膜2cは省略されうる。また、必要によって、銀(Ag)導電膜2bと下部膜2aとの間または銀(Ag)導電膜2bと上部膜2cとの間に異なる膜をさらに介在させることができ、上部膜2aの上に異なる膜がさらに形成された多重構造であり得る。
【0039】
次いで、図1及び図2ないし図4を参照して、前記したような構造を有する配線形成方法の一実施形態について説明する。図2及び図3は、本発明の一実施形態による配線形成方法の工程段階別の断面図である。
【0040】
図2を参照すれば、先ずガラスなどの絶縁基板、半導体層、絶縁膜などの下部構造物1を準備する。引き続き、下部構造物1上に例えば、酸素を含む雰囲気下で銀(Ag)または銀(Ag)合金をターゲットにして反応性スパッタリング(reactive sputtering)を遂行する。この際、スパッタリングに利用される気体として酸素以外にもアルゴンを含みうる。非活性気体であるアルゴン気体がプラズマ状態でターゲットである銀(Ag)などに衝突すれば、銀(Ag)などは、前記ターゲットから分離してそのまま下部構造物1上に蒸着される。一方、酸素気体は、反応性を有するために、これと衝突した銀(Ag)などは酸素と反応して銀(Ag)酸化物を形成する。このような銀(Ag)酸化物が下部構造物1に蒸着されて、接着促進機能を遂行できるようになる。この際、すべてのターゲット元素が酸素気体と反応するものではなく、アルゴン気体と衝突した銀(Ag)原子、酸素気体と衝突したが反応しない銀(Ag)原子などが蒸着されて、銀(Ag)酸化物と共に下部膜2aを構成する。
【0041】
スパッタリングチャンバ内に存在するアルゴン気体と酸素気体は、95:5ないし40:60の比率を有し、望ましくは、スパッタリング初期には酸素の含量を高く維持しながら、徐々に酸素の量を減らしてアルゴン気体の供給を増加させうる。そうすれば、銀(Ag)酸化物が下部構造物1との界面近くにさらに集中的に蒸着されうる。下部膜2aの酸素の含量は、5ないし60at%の範囲を有し、下部膜2aの厚さは、例えば10ないし2000Åの範囲で調節されうる。
【0042】
引き続き、下部膜2a上に、銀(Ag)または銀(Ag)合金をスパッタリングなどで蒸着して銀(Ag)導電膜2bを形成する。本段階は、以前段階である下部膜2aの形成段階から連続してインサイチュ(in−situ)で進行されうる。すなわち、同一なチャンバ内で酸素の供給を中断して、アルゴン気体の量を増加させる方法で進行できる。また、下部膜2aと銀(Ag)導電膜2bとの境界を明確にするために酸素供給を中断した後、少しの換気タイムを置いて酸素気体を全部抜き取った後、銀(Ag)導電膜2bスパッタリング工程を進行することもできる。銀(Ag)導電膜2bの厚さは、500ないし5000Åで形成しうる。
【0043】
引き続き、また酸素を供給しながら銀(Ag)または銀(Ag)合金をターゲットにして反応性スパッタリング(reactive sputtering)を遂行する。本段階は、以前段階である銀(Ag)導電膜形成段階から連続してインサイチュで進行されうる。これによって、銀(Ag)導電膜2bの上部に銀(Ag)酸化物を含む上部膜2cが形成され、下部膜2a、銀(Ag)導電膜2b及び上部膜2cからなる三重膜2が形成される。本実施形態では、一つのチャンバで連続的に三重膜2cが形成されるために工程時間が短縮されうる。一方、三重膜2cを構成する物質として、銀(Ag)酸化物以外にITO、IZOや他の金属を使う場合には、ターゲット及び雰囲気を異にしてスパッタリングまたは反応性スパッタリングの方法で進行されうることは当業者に自明である。
【0044】
図3を参照すれば、三重膜2上部にフォトレジストを塗布して、露光及び現像して配線を定義するフォトレジストパターン3を形成する。
【0045】
引き続き、図1に示されたように、フォトレジストパターン3を蝕刻マスクにして上部膜2c、銀(Ag)導電膜2b及び下部膜2aを順次的に蝕刻する。ここでの蝕刻は、湿式蝕刻からなり、三重膜2は同じエッチング液を使って一括的に蝕刻されうる。エッチング液としては、燐酸、硝酸及び酢酸の混合液が使われうる。引き続き、フォトレジストパターン3を除去する。これによって、図1に示されたような配線2が形成される。
【0046】
このように形成された配線2の接着程度を確認するために、前記したような製造方法で形成された配線構造を微細撮影した。図4は、本発明の一実施形態による方法で形成された配線構造の平面写真である。ここで、配線構造は、銀(Ag)酸化物を含む下部膜、銀(Ag)で銀(Ag)導電膜及びIZOからなる上部膜の三重膜構造を有するようにしており、下部膜の酸素の含量は、20at%がなるようにした。また、燐酸、硝酸、酢酸を含むエッチング液で40秒間蝕刻した後、超音波を印加した状態でフォトレジスト膜を除去した。図4から相対的に明るく見える領域が配線領域を表す。
【0047】
図4に表したように、湿式蝕刻及びフォトレジスト膜の除去などのパターニング工程後にも、直線性が確保されたきれいな配線パターンが形成され、銀(Ag)導電膜を含む配線が下部構造物とよく接着していることが分かる。したがって、前記配線は、低抵抗配線としての信号特性に優れ、接着力が良くて配線信頼度が高い。
【0048】
以上説明した、本発明の一実施形態による配線構造及び配線の形成方法は、液晶表示装置、有機EL表示装置などに使われる薄膜トランジスター基板、半導体素子、半導体装置などに適用されることができ、その他にも精緻な配線パターンが要求されるどんな分野にも適用可能である。以下、薄膜トランジスター基板に適用された例を説明するが、これに制限されるものではないということは明白である。
【0049】
本明細書で使われる用語である“薄膜トランジスター基板”は、薄膜トランジスターを少なくとも一つ含む基板を言って、薄膜トランジスターと基板との間に他の構造物が介在されているか、その上に他の構造物が形成されている場合を排除しない。
【0050】
まず、図5A及び図5Bを参照して、前記したような配線構造を含む本発明の一実施形態による薄膜トランジスター基板について説明する。既に説明した本発明の一実施形態による配線構造が等しく適用される部分については、本実施形態が当業者に明確に類推または理解されうる範囲内で説明を省略するか簡略化する。図5Aは、本発明の一実施形態による薄膜トランジスター基板の配置図であり、図5Bは、図5AのB−B’線に沿って切断した断面図である。
【0051】
図5A及び図5Bに示したように、絶縁基板10上にゲート信号を伝達する複数のゲート配線が形成されている。ゲート配線22、24、26、27、28は、横方向に伸びているゲート線22、ゲート線22の端部に連結されていて外部からのゲート信号を印加されてゲート線22に伝達するゲート先端24、ゲート線22に連結されて突起形態に形成された薄膜トランジスターのゲート電極26、ゲート線22と平行に形成されている維持電極27及び維持電極線28を含む。維持電極線28は、画素領域を横切って横方向に伸びており、維持電極線28に比べて幅が広く形成されている維持電極27が連結される。維持電極27は、後述する画素電極82と連結されたドレーン電極拡張部67と重畳されて画素の電荷保存能力を向上させる維持蓄電器を成す。このような維持電極27及び維持電極線28の模様及び配置などは、多様な形態で変形されることができ、画素電極82とゲート線22の重畳で発生する維持容量が充分な場合形成されないこともある。
【0052】
図5Bに示したように、ゲート配線22、24、26、27は、銀(Ag)酸化物を含む下部膜221、241、261、271、銀(Ag)または銀(Ag)合金を含む銀(Ag)導電膜222、242、262、272及び上部膜223、243、263、273の三重膜として形成されている。また、図面に直接示さなかったが、維持電極線28も他のゲート配線22、24、26、27と同一な多重膜の構造を有する。以下で説明される多重膜構造のゲート配線には、維持電極線28も含まれ、他のゲート配線22、24、26、27の多層構造上の特徴が等しく適用される。
【0053】
このような多重膜構造のゲート配線22、24、26、27、28には、前記したような本発明の一実施形態による配線構造が適用される。ここで、下部膜221、241、261、271は、上部の銀(Ag)導電膜222、242、262、272の絶縁基板10に対する接着を促進する役割をし、上部膜223、243、263、273は、後続工程による銀(Ag)導電膜222、242、262、272の損傷を防止する役割を果たす。
【0054】
基板10、ゲート配線22、24、26、27、28の上には、窒化ケイ素(SiNx)などからなるゲート絶縁膜30が形成されている。
【0055】
ゲート電極26のゲート絶縁膜30上部には、水素化非晶質ケイ素などの半導体からなる半導体層40が島形に形成されており、半導体層40の上部には、シリサイドまたはn型不純物が高濃度でドーピングされたn+水素化非晶質ケイ素などの物質からなる抵抗性接触層55、56が各々形成されている。抵抗性接触層55、56は、その下部の半導体層40と、その上部のソース電極65及びドレーン電極66との間に存在し接触抵抗を低めてくれる。
【0056】
抵抗性接触層55、56及びゲート絶縁膜30上には、データ配線62、65、66、67、68が形成されている。データ配線62、65、66、67、68は、縦方向に形成されてゲート線22と交差して画素を定義するデータ線62、データ線62の分枝であり、抵抗性接触層55の上部まで延びているソース電極65、データ線62の一端に連結されて外部からの画像信号を印加されるデータ先端68、ソース電極65と分離していて、ゲート電極26または薄膜トランジスターのチャンネル部に対してソース電極65の反対側の抵抗性接触層56上部に形成されているドレーン電極66及びドレーン電極66から延長されて維持電極27と重畳する広い面積のドレーン電極拡張部67を含む。
【0057】
このようなデータ配線62、65、66、67、68は、ゲート配線22、24、26、27のように銀(Ag)酸化物を含む下部膜621、651、661、671、681、銀(Ag)(Cu)または銀(Ag)合金を含む銀(Ag)導電膜622、652、662、672、682及び上部膜623、653、663、673、683の三層多層膜構造を有する。このような多重膜構造のデータ配線62、65、66、67、68には、前記したような本発明の一実施形態による配線構造が適用される。ここで、下部膜621、651、661、671、681は、下部構造物、すなわち、ここでは、抵抗性接触層55、56とゲート絶縁膜30に対する銀(Ag)導電膜622、652、662、672、682の接着力を増加させる役割を果たす。
【0058】
ソース電極65は、半導体層40と少なくとも一部分が重畳されて、ドレーン電極66は、ゲート電極26を中心にソース電極65と対向し、半導体層40と少なくとも一部分が重畳される。
【0059】
ドレーン電極拡張部67は、維持電極27と重畳されるように形成され、維持電極27とゲート絶縁膜30を挟んで維持容量が形成される。維持電極27を形成しない場合、ドレーン電極拡張部27も形成しない。
【0060】
ここで、ゲート電極26、その上に形成された半導体層40、抵抗性接触層55、56及びソース電極65とドレーン電極66が薄膜トランジスターを構成し、この際、半導体層40は、薄膜トランジスターのチャンネル部を成す。本実施形態では、ゲート電極26がチャンネル部を含む半導体層40の下部に存在するいわゆる“ボトムゲート(bottom gate)”方式の薄膜トランジスターが採用されている。
【0061】
データ配線62、65、66、67、68及びこれらが覆っていない半導体層40上部には、保護膜70が形成されている。保護膜70は、例えば平坦化特性に優れ、感光性(photosensitivity)を有する有機物質、a−Si:C:O、a−Si:O:Fなどの低誘電率絶縁物質、または無機物質である窒化ケイ素(SiNx)などで形成されうる。
【0062】
保護膜70には、ドレーン電極拡張部67及びデータ先端68を各々現わすコンタクトホール77、78が形成されており、保護膜70とゲート絶縁膜30には、ゲート先端24を現わすコンタクトホール74が形成されている。保護膜70上には、コンタクトホール77を通じてドレーン電極66と電気的に連結され、画素に位置する画素電極82が形成されている。データ電圧が印加された画素電極82は、上部基板の共通電極と共に電場を生成することによって、画素電極82と共通電極との間の液晶層の液晶分子の配列を決定する。
【0063】
また、保護膜70上には、コンタクトホール74、78を通じて各々ゲート先端24及びデータ先端68と連結されている補助ゲート先端84及び補助データ先端88が形成されている。画素電極82と補助ゲート及びデータ先端86、88は、ITOまたはIZOなどの透明な導電性物質からなるか、アルミニウム(または、その合金)または銀(または、その合金)などの反射性に優れた物質で形成しうる。
【0064】
前記したような本発明の一実施形態による薄膜トランジスター基板は、液晶表示装置などに適用されうる。
【0065】
次いで、本発明の一実施形態による薄膜トランジスター基板の製造方法について、図5A及び図5Bと、図6Aないし図9Bを参照して、詳しく説明する。本発明の一実施形態による配線形成方法が等しく適用される部分については、本実施形態が当業者に明確に類推または理解されうる範囲内で説明を省略するか簡略化する。
【0066】
まず、図6A及び図6Bに示されたように、絶縁基板10上に、銀(Ag)酸化物を含む下部膜221、241、261、271、銀(Ag)または銀(Ag)合金を含む銀(Ag)導電膜222、242、262、272及び上部膜223、243、263、273を例えば、スパッタリングなどの方法で順次的に積層したゲート多重膜を形成する。 引き続き、前記ゲート多重膜の上部にゲート配線22、24、26、27、28を定義するフォトレジストパターンを形成して、これを蝕刻マスクにして上部膜223、243、263、273、銀(Ag)導電膜222、242、262、272及び下部膜221、241、261、271を順次的にまたは一括的に蝕刻する。引き続き、前記フォトレジストパターンを除去する。これによって、ゲート線22、ゲート電極26、ゲート先端24、維持電極27及び維持電極線28を含むゲート配線22、24、26、27、28が完成される。このようなゲート配線22、24、26、27、28形成方法には、本発明の一実施形態による配線形成方法が等しく適用される。したがって、銀(Ag)導電膜222、242、262、272を含む完成されたゲート配線22、24、26、27、28は、図4で説明したように湿式蝕刻及びフォトレジスト膜除去の工程後にも、下部構造物である絶縁基板10とよく接着する。
【0067】
引き続き、図7A及び図7Bに示されたように、窒化ケイ素などからなるゲート絶縁膜30、真性非晶質ケイ素及びドーピングされた非晶質ケイ素を例えば、化学気相蒸着法(Chemical Vapor Deposition; CVD)を用いて各々1,500Åないし5,000Å、500Åないし2,000Å、300Åないし600Åの厚さで連続蒸着して、写真蝕刻してゲート電極24上部のゲート絶縁膜30上に一部が島形の半導体層40とドーピングされた非晶質ケイ素層50を形成する。
【0068】
引き続き、図8A及び図8Bを参照すれば、ゲート絶縁膜30及びドーピングされた非晶質ケイ素層50上に、スパッタリングなどの方法で銀(Ag)酸化物を含む下部膜621、651、661、671、681、銀(Ag)または銀(Ag)合金を含む銀(Ag)導電膜622、652、662、672、682及び上部膜623、653、663、673、683を順次的に積層したデータ多重膜を形成する。引き続き、前記データ多重膜の上部に、データ配線62、65、66、67、68を定義するフォトレジストパターンを形成して、これを蝕刻マスクにして上部膜623、653、663、673、683、銀(Ag)導電膜622、652、662、672、682及び下部膜621、651、661、671、681を順次的または一括的に蝕刻してチャンネル部下部のドーピングされた非晶質ケイ素層50を露出する。引き続き、前記フォトレジストパターンを除去する。これによって、ゲート線22と交差するデータ線62、データ線62と連結されているゲート電極26上部まで延長されているソース電極65、データ線62の一端に連結されているデータ先端68、ソース電極65と分離していて、ゲート電極26を中心にソース電極65と向い合うドレーン電極66及びドレーン電極66から延長されて維持電極27と重畳する広い面積のドレーン電極拡張部67を含むデータ配線62、65、66、67、68が完成される。
【0069】
以上説明したデータ配線62、65、66、67、68形成方法には、本発明の一実施形による配線形成方法が等しく適用される。したがって、銀(Ag)導電膜222、242、262、272を含む完成されたデータ配線62、65、66、67、68は、図4で説明したように、湿式蝕刻及びフォトレジスト膜除去工程後にも、下部構造物であるゲート絶縁膜10及び抵抗性接触層55、56とよく接着する。
【0070】
引き続き、データ配線62、65、66、67、68で覆っていないドーピングされた非晶質ケイ素層50を乾式蝕刻して、データ配線62、65、66、67、68を、ゲート電極26を中心に両方に抵抗性接触層55、56を形成して、その間の半導体層40を露出させる。この際、ソース電極及びドレーン電極65、66を蝕刻マスクにして蝕刻することができ、前述した工程からデータ配線62、65、66、67、68を定義するフォトレジストパターンを除去せず、これをそのまま蝕刻マスクとして使ってドーピングされた半導体層40を乾式蝕刻した後、フォトレジストパターンを除去することもできる。これによって、ゲート電極26、その上に形成された半導体層40、抵抗性接触層55、56及びソース電極65とドレーン電極66で構成され、ゲート電極26が半導体層40のチャンネル部の下部に存在するボトムゲート方式の薄膜トランジスターが完成される。
【0071】
引き続き、図9A及び図9Bに示されたように平坦化特性に優れ、感光性を有する有機物質、a−Si:C:O、a−Si:O:Fなどの低誘電率絶縁物質、または無機物質である窒化ケイ素(SiNx)などを単一層または複数層に積層して保護膜(passivation layer)70を形成する。
【0072】
引き続き、写真蝕刻工程でゲート絶縁膜30と共に保護膜70をパターニングして、ゲート先端24、ドレーン電極拡張部67及びデータ先端68を現わすコンタクトホール74、77、78を形成する。この際、保護膜70として感光性を有する有機物質を使った場合には、写真工程だけでコンタクトホールを形成できるということは言うまでもない。
【0073】
引き続き、最後に図5A及び図5Bに示されたように、ITOまたはIZOなどの透明な導電性物質またはアルミニウム(または、その合金)または銀(または、その合金)などの反射性が優秀な物質を蒸着して、写真蝕刻してコンタクトホール77を通じてドレーン電極66と連結される画素電極82とコンタクトホール74、78を通じてゲート先端24及びデータ先端68と各々連結される補助ゲート先端84及び補助データ先端88を形成する。
【0074】
本実施形態では、半導体層が島形に形成されており、データ配線と相異なるパターンを有する薄膜トランジスター基板及びその製造方法について説明したが、半導体層とデータ配線が実質的に同じパターンを有する薄膜トランジスター基板及びその製造方法についても等しく適用できる。これについて、図10A及び図10Bを参照して説明する。図10Aは、本発明の一実施形態による薄膜トランジスター基板の変形例の配置図である。図10Bは、図10AのB−B’線に沿って切断した断面図である。
【0075】
図10A及び図10Bに示されたように、本変形例では半導体層42、44、48と抵抗性接触層52、55、56、58がデータ配線62、65、66、67、68とおよそ同じパターンの線形に形成されていることを除いては、図5A及び図5Bとおよそ同一な構造を有する。但し、抵抗性接触層52、55、56、58は、データ配線62、65、66、67、68と実質的に同じパターンであるが、半導体層44は、チャンネル部から分離しないで連結されている点が違う。このような薄膜トランジスター基板の製造方法は、相異なるマスクを使って半導体層とデータ配線を形成した本発明の一実施形態とは違って、スリットまたは半透過膜を含む一つのマスクを使ってデータ配線62、65、66、67、68と抵抗性接触層52、55、56、58をパターニングする。その他の工程は、本発明の一実施形態による製造方法と実質的に等しく、当業者の立場で容易く実施できるためにそれについての具体的な説明は省略する。
【0076】
次に、図11Aないし図11Cを参照して、本発明の他の実施形態による薄膜トランジスター基板について説明する。本発明の他の実施形態による薄膜トランジスター基板は、有機EL表示装置などに使われることで、本発明の一実施形態による配線構造を含む。本実施形態では、本発明の一実施形態による配線構造が等しく適用される部分については、当業者に明確に類推または理解されうる範囲内で説明を省略するか簡略化する。図11Aは、本発明の他の実施形態による薄膜トランジスター基板の配置図であり、図11B及び図11Cは、各々図11AのB−B’線及びC−C’線に沿って切断した断面図である。
【0077】
絶縁基板10上に酸化ケイ素または窒化ケイ素などからなる遮断層11が形成されており、遮断層11上に、多結晶ケイ素などからなる第1及び第2半導体層40a、40bが形成されている。第2半導体層40bには、多結晶ケイ素などからなる蓄電器用半導体層40cが連結されている。第1半導体層40aは、第1薄膜トランジスター部405a、406a、402aを含んでおり、第2半導体層40bは、第2薄膜トランジスター部405b、406b、402bを含む。第1薄膜トランジスター部405a、406a、402aのソース領域405a(以下’第1ソース領域’と称する)とドレーン領域406a(以下’第1ドレーン領域’と称する)とは、n型不純物でドーピングされていて、第2薄膜トランジスター部405a、406a、402aのソース領域405b(以下’第2ソース領域’と称する)とドレーン領域406b(以下’第2ドレーン領域’と称する)とは、p型不純物でドーピングされている。駆動条件によっては、第1ソース領域405a及びドレーン領域406aが、p型不純物でドーピングされて、第2ソース領域405b及びドレーン領域406bが、n型不純物でドーピングされうる。
【0078】
半導体層40a、40b、40c上には、酸化ケイ素または窒化ケイ素などからなるゲート絶縁膜30が形成されている。
【0079】
ゲート絶縁膜30上には、横方向に伸びているゲート線22、ゲート線22に連結されて突起形態に形成され、第1薄膜トランジスターのチャンネル部402aと重畳する第1ゲート電極26a、ゲート線22とは分離して形成され、第2薄膜トランジスターのチャンネル部402bと重畳する第2ゲート電極26b及び第2ゲート電極に連結され、下部の蓄電器用半導体層40cと重畳されている維持電極27を含むゲート配線22、26a、26b、27が形成されている。
【0080】
ゲート配線22、26a、26b、27は、銀(Ag)酸化物を含む下部膜261a、261b、271、銀(Ag)(Cu)または銀(Ag)合金を含む銀(Ag)導電膜262a、262b、272及び上部膜263a、263b、273の3層多重膜で形成されている。また、図面に直接図示されなかったが、ゲート線22も他のゲート配線26a、26b、27と同一な多重膜の構造を有する。以下で説明される多重膜構造のゲート配線には、ゲート線22も含まれ、他のゲート配線26a、26b、27の多層構造上の特徴が等しく適用される。
【0081】
このような多重膜構造のゲート配線22、26a、26b、27には、本発明の一実施形態による配線構造が適用される。ここで、下部膜261a、261b、271は、上部の銀(Ag)導電膜262a、262b、272のゲート絶縁膜30に対する接着を補助して、絶縁基板10を構成する物質と銀(Ag)導電膜262a、262b、272を構成する物質が相互拡散しないようにする。
【0082】
ゲート配線22、26a、26b、27が形成されているゲート絶縁膜30上には、第1層間絶縁膜71が形成されている。
【0083】
第1層間絶縁膜71上には、データ配線62、63、65a、65b、66a、66bが形成されている。データ配線62、63、65a、65b、66a、66bは、縦方向に形成されてゲート線22と交差して画素を定義するデータ線62、駆動電圧を供給する駆動電圧線63、データ線62の分枝としてコンタクトホール75aを通じて第1ソース領域405aと連結されている第1ソース電極65a、第1ソース電極65aと離隔して位置し、第1ドレーン領域406aに連結されている第1ドレーン電極66a、駆動電圧線63の分枝であり、コンタクトホール75bを通じて第2ソース領域406aと連結されている第2ソース電極65b、第2ソース電極65bと離隔して位置し、第2ドレーン領域406bと連結されている第2ドレーン電極66bを含む。第1ドレーン電極66aは、第1層間絶縁膜71とゲート絶縁膜30とを貫通しているコンタクトホール76a、73を通じて第1ドレーン領域406a及び第2ゲート電極26bと接触して、これらを互いに電気的に連結している。第2ドレーン電極66bは、第1層間絶縁膜71とゲート絶縁膜30とを貫通しているコンタクトホール76bを通じて第2ドレーン領域406bと連結されている。
【0084】
このようなデータ配線62、63、65a、65b、66a、66bは、ゲート配線22、26a、26b、27のように銀(Ag)酸化物を含む下部膜621、631、651a、651b、661a、661b、銀(Ag)(Cu)または銀(Ag)合金を含む銀(Ag)導電膜622、632、652a、652b、662a、662b及び上部膜623、633、653a、653b、663a、663bの3層多重膜構造を有する。
【0085】
このような多重膜構造のデータ配線62、63、65a、65b、66a、66bには、前記したような本発明の一実施形態による配線構造が適用される。ここで、下部膜621、631、651a、651b、661a、661bは下部構造物、すなわち、ここでは、半導体層405a、405b、406a、406bと第1層間絶縁膜71に対する銀(Ag)導電膜621、632、652a、652b、662a、662bの接着力を補完して、半導体層405a、405b、406a、406bと第1層間絶縁膜71とを成す物質と銀(Ag)導電膜622、632、652a、652b、662a、662bを構成する物質が相互拡散しないようにする。
【0086】
ここで、半導体層40a、40b、第1及び第2ゲート電極26a、26b、第1及び第2ソース電極65a、65b及び第1及び第2ドレーン電極66a、66bが、各々第1及び第2薄膜トランジスターを構成する。第1薄膜トランジスターは、スイッチング薄膜トランジスターであり、第2薄膜トランジスターは駆動薄膜トランジスターである。本実施形態では、ゲート電極26a、26bがチャンネル部402a、402bを含む半導体層40a、40bの上部に存在するいわゆる“トップゲート(top gate)”方式の薄膜トランジスターが採用されている。
【0087】
データ配線62、63、65a、65b、66a、66b上には、窒化ケイ素、酸化ケイ素または有機絶縁物質などからなる第2層間絶縁膜72が形成されており、第2層間絶縁膜72は、第2ドレーン電極66bを現わすコンタクトホール72bを備える。
【0088】
第2層間絶縁膜72上部には、コンタクトホール72bを通じて第2ドレーン電極66bと連結されている画素電極82が形成されている。画素電極82は、アルミニウム(または、その合金)または銀(または、その合金)などの反射性に優れた物質で形成しうる。また、必要によっては、画素電極82をITOまたはIZOなどの透明な導電性物質で形成することもできる。前記のような画素電極82を構成する物質は、表示装置が薄膜トランジスター基板の下方向に画像を表示するボトム放出(bottom emission)方式なのか、または上部方向に画像を表示するトップ放出(top emission)方式なのかによって適切に選択されうる。
【0089】
第2層間絶縁膜72上部には、有機絶縁物質からなり、有機発光セルを分離させるための隔壁91が形成されている。隔壁91は、黒色顔料を含む感光剤を露光、現像して形成することによって、遮光膜の役割を果たすようにして、同時に形成工程も単純化できる。隔壁91に取り囲まれた画素電極82上の領域には、有機発光層92が形成されている。有機発光層92は、赤色、緑色、青色のうち、何れか一つの光を出す有機物質からなり、赤色、緑色及び青色有機発光層92が順序に反復的に配置されている。
【0090】
有機発光層92と隔壁91上には、バッファ層95が形成されている。バッファ層95は、必要によって省略されることもできる。
【0091】
バッファ層95上には、共通電極100が形成されている。共通電極100は、ITOまたはIZO などの透明な導電性物質からなされている。もし、画素電極82が、ITOまたはIZOなどの透明な導電性物質からなる場合には、共通電極100は、アルミニウム(または、その合金)または銀(または、その合金)などの反射性が良い金属からなされうる。
【0092】
前記したような本発明の他の実施形態による薄膜トランジスター基板は、有機EL表示装置などに適用されうる。
【0093】
次いで、本発明の他の実施形態による薄膜トランジスター基板の製造方法について、図11Aないし図11C及び図12Aないし図17Cを参照して詳しく説明する。本実施形態で、本発明の一実施形態による配線形成方法が等しく適用される部分については明確に類推または理解されうる範囲内で説明を省略するか簡略化する。
【0094】
図12Aないし図12Cを参照すれば、基板10の上部に酸化ケイ素などを蒸着して遮断層11を形成して、遮断層11上にLPCVD(low temperature chemical vapor deposition)、PECVE(plasma enhanced chemical vapor deposition)などの方法で非晶質ケイ素を蒸着してパターニングする。引き続き、例えば、レーザーを照射するか、熱を加えて多結晶ケイ素で結晶化する。これによって、多結晶ケイ素からなる半導体層40a、40b、40cが形成される。
【0095】
図13Aないし図13Cを参照すれば、半導体層40a、40b、40cが形成された遮断層11上に窒化ケイ素などを、例えば、CVDを用いて蒸着してゲート絶縁膜30を形成する。
【0096】
引き続き、ゲート絶縁膜30上に銀(Ag)酸化物を含む下部膜261a、261b、271、銀(Ag)または銀(Ag)合金を含む銀(Ag)導電262a、262b、272及び上部膜263a、263b、273を、例えば、スパッタリングなどの方法で順次的に積層したゲート多重膜を形成する。
【0097】
引き続き、前記ゲート多重膜の上部において、前記ゲート多重膜の上部に第1ゲート電極26a及びゲート線22を定義する第1フォトレジストパターンを形成する。この際、第2薄膜トランジスターのチャンネル部402b領域を含んで第2ゲート電極26b及び維持電極27が形成される領域は、前記第1フォトレジスト膜に覆われて保護される。引き続き、前記第1フォトレジストパターンを蝕刻マスクにして上部膜263a、銀(Ag)導電膜262a及び下部膜261aを順次的にまたは一括的に蝕刻する。
【0098】
引き続き、第1薄膜トランジスター部の半導体層40aに、n型不純物イオンを注入して第1ゲート電極26a下部のチャンネル部402aを定義して、第1ソース領域405a及び第1ドレーン領域406aを形成する。引き続き、前記第1フォトレジストパターンを除去する。これによって、ゲート線22、第1ゲート電極26a及びチャンネル部402a、第1ソース領域405aと第1ドレーン領域406aとを備える半導体層40aが完成される。
【0099】
引き続き、第2ゲート電極26b及び維持電極27を定義する第2フォトレジストパターンを形成する。この際、第1薄膜トランジスターチャンネル部402a領域を含んで第1ゲート電極26a及びゲート線22領域が、前記第2フォトレジスト膜に覆われて保護される。引き続き、前記第2フォトレジストパターンを蝕刻マスクにして上部膜263b、273、銀(Ag)導電膜262b、272及び下部膜261b、271を順次的にまたは一括的に蝕刻する。
【0100】
引き続き、第2薄膜トランジスター部の半導体層40bに、p型不純物を注入して第2ゲート電極26b下部のチャンネル部402bを定義して、第2ソース領域405b及び第2ドレーン領域406bを形成する。引き続き、前記第2フォトレジストパターンを除去する。これによって、第2ゲート電極26b、維持電極27及びチャンネル部402b、第2ソース領域405bと第2ドレーン領域406bとを備える半導体層40bが完成される。
【0101】
前記したようなゲート配線22、26a、26b、27形成方法には、本発明の一実施形態による配線形成方法が等しく適用されうる。したがって、完成された銀(Ag)導電膜 262a、262b、272を含むゲート配線22、26a、26b、27は、図4で説明したように湿式蝕刻及びフォトレジスト膜除去工程後にも、下部構造物であるゲート絶縁膜30とよく接着する。
【0102】
図14Aないし図14Cを参照すれば、ゲート配線22、26a、26b、27が形成されているゲート絶縁膜30上に第1層間絶縁膜71を積層して、ゲート絶縁膜30と共に写真蝕刻して第1ソース領域405a、第1ドレーン領域406a、第2ソース領域405b及び第2ドレーン領域406bを各々露出させるコンタクトホール75a、76a、75b、76bと第2ゲート電極26bの一部を露出させるコンタクトホール73を形成する。
【0103】
図15Aないし図15Cを参照すれば、引き続き、第1層間絶縁膜71及びコンタクトホール75a、76a、75b、76bによって露出された半導体層40a、40b上にスパッタリングなどの方法で銀(Ag)酸化物を含む下部膜621、631、651a、651b、661a、661b、銀(Ag)または銀(Ag)合金を含む銀(Ag)導電膜622、632、652a、652b、662a、662b及び上部膜623、633、653a、653b、663a、663bを順次的に積層したデータ多重膜を形成する。引き続き、前記データ多重膜の上部にデータ配線62、63、65a、65b、66a、66bを定義するフォトレジストパターンを形成して、これを蝕刻マスクにして上部膜623、633、653a、653b、663a、663b、銀(Ag)導電膜621、632、652a、652b、662a、662b及び下部膜621、631、651a、651b、661a、661bを順次的にまたは一括的に蝕刻する。これによって、縦方向に形成されてゲート線22と交差して画素を定義するデータ線62、駆動電圧を供給する駆動電圧線63、データ線62の分枝としてコンタクトホール75aを通じて第1ソース領域405aと連結されている第1ソース電極65a、第1ソース電極65aと離隔して位置し、コンタクトホール76aを通じて第1ドレーン領域406aに連結されている第1ドレーン電極66a、駆動電圧線63の分枝であり、コンタクトホール75bを通じて第2ソース領域406aと連結されている第2ソース電極65b、第2ソース電極65bと離隔して位置し、コンタクトホール76bを通じて第2ドレーン領域406bと連結されている第2ドレーン電極66bを含むデータ配線62、63、65a、65b、66a、66bが完成される。以上説明されたデータ配線62、63、65a、65b、66a、66b形成方法としては、本発明の一実施形態による配線形成方法が等しく適用される。したがって、銀(Ag)導電膜621、632、652a、652b、662a、662bを含む完成されたデータ配線62、63、65a、65b、66a、66bは、図4で説明したように、湿式蝕刻及びフォトレジスト膜除去工程後にも、下部構造物である半導体層40a、40b及び第1層間絶縁膜71とよく接着する。これにとって、半導体層40a、40b、その上に形成されたゲート電極26a、26b及びソース電極65a、65bとドレーン電極66a、66bに構成され、ゲート電極26a、26bが半導体層40a、40bの上部に存在するトップゲート方式の第1及び第2薄膜トランジスターが完成される。
【0104】
引き続き、図16Aないし図16Cに示されたように、第2層間絶縁膜72を積層してパターニングして第2ドレーン電極66bを現わすコンタクトホール72bを形成する。
【0105】
引き続き、図17Aないし図17Cに示されたように、アルミニウム(または、その合金)または銀(または、その合金)のような反射性に優れた金属を積層してパターニングして画素電極82を形成する。
【0106】
引き続き、図11Aないし図11Cに示されたように、画素電極82が形成されている第2層間絶縁膜72上に黒色顔料を含む有機膜を塗布して、露光及び現像して有機発光空間を除いた領域に満たされている隔壁91を形成する。引き続き、有機発光空間には蒸着またはインクジェットプリンティングなどの方法で有機発光層92を形成する。
【0107】
引き続き、隔壁91及び有機発光層92上に伝導性有機物質を塗布してバッファ層95を形成して、バッファ層95上にITOまたはIZOを蒸着して共通電極100を形成する。ここで、画素電極82は、ITO、IZOなどの透明なまたは導電物質で形成でき、この場合、共通電極100は、アルミニウム(または、その合金)または銀(または、その合金)のような反射性に優れた金属で形成する。
【0108】
以上説明した本発明の実施形態による薄膜トランジスター基板及びその製造方法では、ゲート配線とデータ配線が銀(Ag)酸化物を含む下部膜、銀(Ag)導電膜及び上部膜の3層多重膜構造に形成された例を挙げたが、ゲート配線及びデータ配線のうち、何れか一つのみ前記3層多重膜に形成されて、残りは当業者に公知された配線構造または他の特別な配線構造に形成されることもでき、これも本発明の範囲に含まれるものである。
【0109】
また、本発明の一実施形態による薄膜トランジスター基板及びその製造方法は、ボトムゲート方式を採用して液晶表示装置に使われうる例を挙げたが、これに制限されず、有機EL発光装置にも適用されうる。この場合、ボトムゲート方式の薄膜トランジスターが画素当りスイッチ用と駆動用の2個ずつ備われうる。また、本発明の他の実施形による薄膜トランジスター基板及びその製造方法では、トップゲート方式の薄膜トランジスターを採用して、有機EL発光装置に適用された例を挙げたが、画素当り一つの薄膜トランジスターを備える液晶表示装置用の薄膜トランジスター基板にも等しく適用しうる。 このようなトップゲート方式の液晶表示装置は、望ましくは反射型液晶表示装置に使われうる。また、本発明による薄膜トランジスター基板及び製造方法は、前述した実施形態外にもカラーフィルター上に薄膜トランジスターアレーを形成するCOA(Color filter On Array)構造にも容易く適用されうる。 その他にも、多様な他の薄膜トランジスター基板に適用されることができ、これに対する具体的な説明は、本発明が曖昧に解釈されることを防止するために省略する。
【0110】
以上、添部した図面を参考にして、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、相異なる多様な形態で製造されることができ、当業者は、本発明の技術的思想や必須な特徴を変更しなくても、他の具体的な形態で実施されることを理解できるであろう。したがって、前述した実施形態はあらゆる面で例示的なものであり、限定的でないと理解しなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、低抵抗銀配線及び銀配線を含む薄膜トランジスター基板を製造するものに適用されうる。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の一実施形態による配線構造の断面図である。
【図2】本発明の一実施形態による配線形成方法の工程段階別断面図である。
【図3】本発明の一実施形態による配線形成方法の工程段階別断面図である。
【図4】本発明の一実施形態による配線構造の平面写真である。
【図5A】本発明の他の実施形態による薄膜トランジスター基板の配置図である。
【図5B】図5AのB−B’線に沿って切断した断面図である。
【図6A】本発明の一実施形態による薄膜トランジスター基板の製造方法を順次的に表した配置図ある。
【図6B】図6AのB−B’線に沿って切断した断面図である。
【図7A】本発明の一実施形態による薄膜トランジスター基板の製造方法を順次的に表した配置図ある。
【図7B】図7AのB−B’線に沿って切断した断面図である。
【図8A】本発明の一実施形態による薄膜トランジスター基板の製造方法を順次的に表した配置図ある。
【図8B】図8AのB−B’線に沿って切断した断面図である。
【図9A】本発明の一実施形態による薄膜トランジスター基板の製造方法を順次的に表した配置図ある。
【図9B】図9AのB−B’線に沿って切断した断面図である。
【図10A】本発明の一実施形態による薄膜トランジスター基板の変形例の配置図である。
【図10B】図10AのB−B’線に沿って切断した断面図である。
【図11A】本発明の他の実施形態による薄膜トランジスター基板の配置図である。
【図11B】図11AのB−B’線に沿って切断した断面図である。
【図11C】図11AのC−C’線に沿って切断した断面図である。
【図12A】本発明の他の実施形態による薄膜トランジスター基板の製造方法を順次的に表した配置図である。
【図12B】図12AのB−B’線に沿って切断した工程段階別断面図である。
【図12C】図12AのC−C’線に沿って切断した工程段階別断面図である。
【図13A】本発明の他の実施形態による薄膜トランジスター基板の製造方法を順次的に表した配置図である。
【図13B】図13AのB−B’線に沿って切断した工程段階別断面図である。
【図13C】図13AのC−C’線に沿って切断した工程段階別断面図である。
【図14A】本発明の他の実施形態による薄膜トランジスター基板の製造方法を順次的に表した配置図である。
【図14B】図14AのB−B’線に沿って切断した工程段階別断面図である。
【図14C】図14AのC−C’線に沿って切断した工程段階別断面図である。
【図15A】本発明の他の実施形態による薄膜トランジスター基板の製造方法を順次的に表した配置図である。
【図15B】図15AのB−B’線に沿って切断した工程段階別断面図である。
【図15C】図15AのC−C’線に沿って切断した工程段階別断面図である。
【図16A】本発明の他の実施形態による薄膜トランジスター基板の製造方法を順次的に表した配置図である。
【図16B】図16AのB−B’線に沿って切断した工程段階別断面図である。
【図16C】図16AのC−C’線に沿って切断した工程段階別断面図である。
【図17A】本発明の他の実施形態による薄膜トランジスター基板の製造方法を順次的に表した配置図である。
【図17B】図17AのB−B’線に沿って切断した工程段階別断面図である。
【図17C】図17AのC−C’線に沿って切断した工程段階別断面図である。
【符号の説明】
【0113】
10:絶縁基板
22:ゲート線
24:ゲート先端
26:ゲート電極
27:維持電極
28:維持電極線
30:ゲート絶縁膜
40:半導体層
55、56:抵抗性接触層
62:データ線
65:ソース電極
66:ドレーン電極
67:ドレーン電極拡張部
68:データ先端
70:保護膜
82:画素電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部構造物上に形成された銀(Ag)酸化物を含む下部膜と、
前記下部膜上に形成された銀(Ag)または銀(Ag)合金を含む銀(Ag)導電膜と、
を含むことを特徴とする配線構造。
【請求項2】
前記下部構造物及び下部膜の界面に前記銀(Ag)酸化物が連続的または非連続的に位置することを特徴とする請求項1に記載の配線構造。
【請求項3】
前記下部膜の厚さは、10ないし2000Åであることを特徴とする請求項1に記載の配線構造。
【請求項4】
前記下部膜は、5ないし60at%の酸素を含有することを特徴とする請求項1に記載の配線構造。
【請求項5】
前記銀(Ag)導電膜上に、銀(Ag)酸化物を含む上部膜をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の配線構造。
【請求項6】
前記銀(Ag)導電膜上に、ITO、非晶質ITO、IZO、W、Mo、MoNbまたはMoWを含む上部膜をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の配線構造。
【請求項7】
前記下部構造物は、絶縁基板、半導体層または絶縁膜であることを特徴とする請求項1に記載の配線構造。
【請求項8】
下部構造物上に、銀(Ag)酸化物を含む下部膜を形成する段階と、
前記下部膜が形成されている下部構造物上に、銀(Ag)または銀(Ag)合金を含む銀(Ag)導電膜を形成する段階と、
前記銀(Ag)導電膜上に、上部膜を形成する段階と、
配線を定義するフォトレジストパターンを蝕刻マスクとして用いて前記上部膜、銀(Ag)導電膜及び下部膜をパターニングする段階と、
を含むことを特徴とする配線形成方法。
【請求項9】
前記下部膜を形成する段階は、前記下部構造物と前記下部膜の界面に銀(Ag)酸化物を連続的または非連続的に位置させる段階を含むことを特徴とする請求項8に記載の配線形成方法。
【請求項10】
前記下部膜を形成する段階は、酸素を含む雰囲気下で銀(Ag)または銀(Ag)合金をターゲットにしてスパッタリングする段階であることを特徴とする請求項8に記載の配線形成方法。
【請求項11】
前記銀(Ag)導電膜を形成する段階は、前記下部膜を形成する段階に連続して酸素供給を中断し、インサイチュで進行される段階であることを特徴とする請求項10に記載の配線形成方法。
【請求項12】
前記上部膜は、銀(Ag)酸化物を含むことを特徴とする請求項8に記載の配線形成方法。
【請求項13】
前記上部膜を形成する段階は、前記銀(Ag)導電膜を形成する段階で酸素を供給しながらインサイチュで進行される段階であることを特徴とする請求項12に記載の配線形成方法。
【請求項14】
前記下部膜は、5ないし60at%の酸素を含有することを特徴とする請求項8に記載の配線形成方法。
【請求項15】
前記下部構造物は、絶縁基板、半導体層または絶縁膜であることを特徴とする請求項8に記載の配線形成方法。
【請求項16】
縁基板上に形成されて第1方向に延びたゲート線及び前記ゲート線に連結されたゲート電極を含むゲート配線と、
前記絶縁基板の上に前記ゲート配線と絶縁して形成されて、前記ゲート線と交差するように第2方向に延びたデータ線、前記データ線に連結されたソース電極及び前記ソース電極と離隔して位置するドレーン電極を含むデータ配線と、
前記ゲート配線と前記データ配線上に画素ごとに形成され、前記ドレーン電極と連結された画素電極を含むが、
前記ゲート配線及び/または前記データ配線は、下部構造物上に形成された銀(Ag)酸化物を含む下部膜と、
前記下部膜上に形成された銀(Ag)または銀(Ag)合金を含む銀(Ag)導電膜と、
を含むことを特徴とする薄膜トランジスター基板。
【請求項17】
前記下部構造物と下部膜の界面に、銀(Ag)酸化物が連続的または非連続的に位置することを特徴とする請求項16に記載の薄膜トランジスター基板。
【請求項18】
前記下部膜の厚さは、10ないし2000Åであることを特徴とする請求項16に記載の薄膜トランジスター基板。
【請求項19】
前記下部膜は、5ないし60at%の酸素を含有することを特徴とする請求項16に記載の薄膜トランジスター基板。
【請求項20】
前記銀(Ag)導電膜上に、銀(Ag)酸化物を含む上部膜をさらに含むことを特徴とする請求項16に記載の薄膜トランジスター基板。
【請求項21】
前記銀(Ag)導電膜上に、ITO、非晶質ITO、IZO、W、Mo、MoNbまたはMoWを含む上部膜をさらに含むことを特徴とする請求項16に記載の薄膜トランジスター基板。
【請求項22】
絶縁基板上に、第1方向に延びたゲート線及び前記ゲート線に連結されたゲート電極を含むゲート配線を形成する段階と、
前記絶縁基板上に、前記ゲート線と交差するように2方向に延びたデータ線、前記データ線に連結されたソース電極及び前記ソース電極と離隔して位置するドレーン電極を含み、前記ゲート配線と絶縁されているデータ配線を形成する段階と、
前記ゲート配線と前記データ配線上に、画素ごとに前記ドレーン電極と連結された画素電極を形成する段階と、を含むが、
前記ゲート配線及び/または前記データ配線を形成する段階は、
下部構造物上に銀(Ag)酸化物を含む下部膜を形成する段階と、
前記下部膜が形成されている下部構造物上に、銀(Ag)または銀(Ag)合金を含む銀(Ag)導電膜を形成する段階と、
前記銀(Ag)導電膜上に上部膜を形成する段階と、
前記配線を定義するフォトレジストパターンを蝕刻マスクとして用いて前記上部膜、銀(Ag)導電膜及び下部膜をパターニングする段階と、
を含むことを特徴とする薄膜トランジスター基板の製造方法。
【請求項23】
前記下部膜を形成する段階は、前記下部構造物と前記下部膜の界面に銀(Ag)酸化物を連続的または非連続的に位置させる段階を含むことを特徴とする請求項22に記載の薄膜トランジスター基板の製造方法。
【請求項24】
前記下部膜を形成する段階は、酸素を含む雰囲気下で銀(Ag)または銀(Ag)合金をターゲットにしてスパッタリングする段階であることを特徴とする請求項22に記載の薄膜トランジスター基板の製造方法。
【請求項25】
前記銀(Ag)導電膜を形成する段階は、前記下部膜を形成する段階に連続して酸素供給を中断し、インサイチュで進行される段階であることを特徴とする請求項24に記載の薄膜トランジスター基板の製造方法。
【請求項26】
前記上部膜は、銀(Ag)酸化物を含むことを特徴とする請求項22に記載の薄膜トランジスター基板の製造方法。
【請求項27】
前記上部膜を形成する段階は、前記銀(Ag)導電膜を形成する段階で酸素を供給しながらインサイチュで進行される段階であることを特徴とする請求項26に記載の薄膜トランジスター基板の製造方法。
【請求項28】
前記下部膜は、5ないし60at%の酸素を含有することを特徴とする請求項22に記載の薄膜トランジスター基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−53354(P2007−53354A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−199588(P2006−199588)
【出願日】平成18年7月21日(2006.7.21)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】