説明

電気推進システム

電気推進モジュールの追加物は、既存の車両に追加して車両をアップグレードすること、又は完全電気自動車又はハイブリッド自動車の新しいデザインのための構成部品として使用することができる。実施形態において、電気推進モジュールは、2つのモータコントローラ、及び電力構成部品を含み、車両のサスペンション取付け具に取り付けることができる自立型ユニットを形成する。特定の実施形態において、トルクは、電磁クラッチによってモータ間で選択的に伝達することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権主張日)
本出願は、2006年4月3日出願の米国特許仮出願番号60/788,041、及び2006年8月21日出願の米国特許仮出願番号60/823,043の優先権を主張するものであり、これらの全ての開示内容は引用により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、乗り物を駆動する電気システムに関する。本発明は、内燃機関と協調するハイブリッド推進システムとして作動する陸上車に適する特定の機能に関する。
【背景技術】
【0003】
陸上を移動する能力を高めるのに適する多様な乗り物が公知である。公知のタイプの陸上車として、例えば、自動車(例えば、乗用車、トラック、バン、雪上車、カート、及び他のタイプの乗り物)を挙げることができる。駆動システムの観点から乗り物の構造は基本的に異なる。一般に、駆動システムとしては、後輪駆動、前輪駆動、四輪駆動配置を挙げることができる。従来型のエンジンとしては、多気筒のオットーサイクルエンジン(火花点火)及びディーゼルエンジン、及び縦横に配置されたピストンなし構造(例えば、ロータリーエンジン)を挙げることができる。バッテリ電気式、ハイブリッド電気式、及び油圧式ハイブリッド構成が公知である。
【0004】
自動車の車輪の配置は一般にペアになっており、各ペアの一方は自動車の長手方向軸(自動車の直進方向に相互整列された長手方向)の両側に配置されており、自動車の前側に隣接した単一の又は複数ペアの車輪、及び自動車の後側に隣接した単一の又は複数ペアの車輪を含む。しかしながら、別の方法として、前側又は後側に単一の車輪を含むが反対側はペアの車輪を含むこともできる。変速歯車装置、差動歯車装置、トランスファーケース歯車装置、ドライブシャフト、等速継ぎ手、及び牽引力の発生をサポートする任意の他の構成部品を含むことができる動力伝達装置は、一般的に推進システムからのトルクを自動車の前輪(つまり、前輪駆動又は「FWD」)、自動車の後輪(つまり、後輪駆動又は「RWD」)、又は全ての接地全輪(つまり、全輪駆動又は「AWD」)のいずれかに伝達する。
【0005】
ハイブリッドシステムにおいて、一方の車輪セットを内燃機関で駆動すると共に他方の車輪セットをモータで駆動する、所謂、スルーロード式のパラレルハイブリッド構成が公知である。
【0006】
現在、自動車の製造業者から提供される最も一般的なアーキテクチャの1つは、内燃機関が自動車の前側に横置きされたFWDである。従来、製造業者がAWDの同様の自動車を提供しようとする場合、1)利用可能なエンジントルクの一部を自動車の後輪ペアに向け直すパワーテイクオフ装置(PTU)、2)エンジントルクの一部をPTUから後輪へ伝達するドライブシャフト、3)各後輪の間に配置した付加的な差動歯車装置、及び4)エンジントルクを付加的な差動歯車装置から後輪の各々に別々に伝達する2つの付加的なハーフシャフト、を追加することが好ましい。
【0007】
逆に、自動車の製造業者から提供される別の一般的なアーキテクチャは、内燃機関が自動車の前側に縦置きされたRWDである。従来、製造業者がAWDの類似の自動車を提供しようとする場合、公知の選択肢としては、1)利用可能なエンジントルクの一部を自動車の前輪ペアに向け直すトランスファーケース、2)エンジントルクの一部をトランスファーケースから前輪へ伝達するドライブシャフト、3)各前輪の間に配置された付加的な差動歯車装置、及び4)付加的な差動歯車装置から前輪の各々に別々に伝達する2つの付加的なハーフシャフト又は車軸組立体を含む。
【0008】
米国特許公開US20070034428「トルクトランスファーケースを備えるハイブリッド電気自動車パワートレイン」には、エンジン及び電力ソースを備えるハイブリッド自動車パワートレイン用のトルクトランスファーケースが開示されている。モータ及びバッテリから構成される電力ソースは推進力を前後の牽引輪に分配し、車軸組立体は四輪駆動及び回生ブレーキを可能にする。また、電力ソースは、エンジンのクランキング及びバッテリの充電に使用される。
【0009】
国際特許公開WO200717719「ハイブリッドトラクションシステム」には、第1及び第2の電気機械と、第1及び第2の変速装置を有する内燃機関を備えたシリーズハイブリッドトラクションシステムが開示されている。制限機構によって、機械力は、第1の変速装置及び第2の変速装置を介して内燃機関によってのみ自動車の車輪に伝達できるようになっている。
【0010】
国際特許公開WO200717043「自動車用動力伝達装置及び動力伝達装置を作動させる方法」には、シリアルハイブリッド駆動部を備えた自動車用の動力伝達装置が開示されている。内燃機関の出力軸は第1の電気機械に連結されているが、第2の電気機械は駆動輪に機械的に連結されている。第1及び第2の電気機械から電気エネルギを供給可能な電気エネルギ蓄電器は、第1及び第2の電気機械へ電気エネルギを供給する。制御ユニットは電気エネルギ蓄電器と第1の電気機械との間で電力を分配する。
【0011】
米国特許公開US20070023211「補助電気駆動組立体」には、誘導モータ、遊星減速歯車装置、及び作動装置を備えた補助電気駆動装置が開示されている。作動装置は、アクティブ型又はパッシブ型のいずれでも良い。補助駆動システムは、後輪駆動車の場合は前車軸であり、前輪駆動車の場合は後車輪である。この構成により従来の四輪駆動システムに必要であった構成部品を無くすことができる。
【0012】
欧州特許公開EP1736346「ハイブリッド自動車の駆動装置、及びハイブリッド自動車」には、出力が車輪を駆動する第1の部分と電気を起こす第2の部分とに分割されるようになったエンジンを備えるハイブリッド自動車用の装置が開示されている。エンジンの圧力低減装置は、クランキング時に発生するエンジンシリンダー内の圧縮を低減する。制御装置は、エンジン始動時に圧力低減装置を制御してエンジン始動時の圧縮を低減するようになっている。
【0013】
日本特許公開JP2006264463「ハイブリッド車両の駆動装置」には、エンジン及びモータ/ジェネレータを備えたハイブリッド駆動装置が開示されている。車両後方側の変速装置ケース及びクランク軸の後方端に連結される変速機構を備えている。モータケースは車両の前方側に配置されており、ロータはクランク軸の前方端に連結されている。この構成により、フロアトンネルによりモータ/ジェネレータの外径が制限されることなくモータ/ジェネレータを大型化することができる。駆動装置の後側形状は、既存のパワーユニットに一致させることができるので、既存の車体構造を大幅に変更することなく駆動装置を搭載することが可能となる。
【0014】
欧州特許公開EP1707428「モータ駆動システム、電気式四輪駆動自動車、及びハイブリッド自動車」には、内燃機関、DC電力を出力するジェネレータ、及びDC電力をモータ駆動用のAC電力に変換するインバータを備えた電気式四輪駆動自動車が開示されている。
【0015】
欧州特許公開EP1698506「ハイブリッド自動車に駆動ユニット」には、スタータ−ジェネレータを有する内燃機関に連結された駆動装置が開示されている。駆動ユニットは、車輪を駆動する出力軸を有している。遠心クラッチはスタータ−ジェネレータを備えた内燃機関に接続する。駆動ユニットを制御する方法が開示されている。
【0016】
カナダ特許CA2548815「変速装置を備えたハイブリッド自動車の駆動システム及び作動方法」には、ハイブリッド自動車の駆動方法、及び2つのモータを備えた内燃機関を含むシステムが開示されている。第1のモータ/ジェネレータは内燃機関の出力軸に連結され、車輪のドライブシャフトは内燃機関の出力軸に連結されている。第2のモータ/ジェネレータは、車輪を駆動するドライブシャフトに連結されている。
【0017】
日本特許公開JP2006009657「ハイブリッド駆動装置」には、変速装置の変速段階における駆動力変化を抑制することが可能な駆動装置が開示されている。駆動装置は、車輪に原動力を供給する第1の原動機及び第2の原動機を有している。制御機構は、第1及び第2の原動機のトルクを変化させること駆動力の変化を抑制する。
【0018】
米国特許公開US20050107198「ハイブリッドパワートレイン」には、変速装置を駆動するエンジンを備えたハイブリッドシステムが開示されている。歯車伝達機構は変速装置と駆動輪との間を連結する。モータ/ジェネレータを含む電力ユニットは、変速装置からの出力流れに対して並行な出力流れでもって歯車伝達機構に駆動的に連結されている。
【0019】
米国特許US5,713,427「自動車のハイブリッド駆動装置」には、内燃機関及び電気ジェネレータ/モータを含むモジュールユニットが開示されている。ジェネレータ/モータのハウジングは恒久的にエンジンハウジングに連結されており、ロータはクランク軸に対して同軸で連結されている。モジュールユニットは、クランク軸の被駆動の端部に恒久的にフランジ結合されると共にジェネレータハウジングに回転可能に恒久的に取り付けられている、弾性的に変形可能なトルク伝達プレートを有している。
【0020】
国際特許公開WO200452672「デュアルモータハイブリッド自動車のパワーシステム」にはデュアルモータ/ジェネレータ式ハイブリッド電気自動車用のパワーシステムが開示されており、該システムは、エンジン、モータ/ジェネレータ、クラッチ、変速装置、電力バッテリ、ブレーキシステム、及び全体的な自動車制御システムを含んでいる。モータ/ジェネレータは、主モータ/ジェネレータ及び副モータ/ジェネレータを含む。主モータ/ジェネレータは変速装置に連結され、副モータ/ジェネレータはエンジンに連結されている。モータ/ジェネレータは電力バッテリに接続されている。複数の作動モードには、純粋なモータ駆動モード、シリーズ駆動モード、パラレル駆動モード、及びハイブリッド駆動モード、並びにエンジンアイドル停止モード及び回生制動モードが含まれる。
【0021】
国際特許公開WO200437594「自動車のハイブリッド駆動システム」には、原動力及び発電を可能にする第1及び第2の電気機械を備えるハイブリッド駆動システムが開示されている。電気機械の一方はギヤボックスの入力側に恒久的に連結されており、接続可能なクラッチは内燃機関のドライブシャフトと各々の電気機械との間に配置されており、各電気機械は相互接続、又は電力制御手段によって電力ソースに接続可能である。2つの電気機械は同じクランクケースに配置されている。
【0022】
日本特許公開JP2004136743「ハイブリッド電気自動車のパワートレイン構造」には、車体に対する変速装置のマウント位置をそのまま保ちつつ、ハイブリッド電気自動車に変更できる動力取り出し装置を有するハイブリッド電気自動車のパワートレイン構造が開示されている。
【0023】
独国特許公開DE10246839「パラレル又はシリーズハイブリッドとして作動可能で、2つの電気機械及びダブルプレート式自動クラッチが組み込まれたハイブリッド式陸上走行車用動力伝達装置」には、パラレル又はシリーズハイブリッドとして作動可能で、2枚のプレートを有する自動クラッチが組み込まれたハイブリッド式陸上走行車が開示されている。第1のモータ/ジェネレータは内燃機関のクランク軸と同軸であり、クランク軸に連結されるロータを備えている。クラッチは遊星出力駆動ギヤシステムに接続する。第2のモータ/ジェネレータは車輪を駆動する出力軸に接続されている。
【0024】
米国特許公開US20040050599「多軸車両駆動システム」には、多軸車両で使用するためのモータを備えた駆動組立体が開示されている。一般に、自動車は第1の車軸を駆動するエンジンと、第2の車軸を駆動する電気モータを備える駆動組立体とを含む。可変周波数ジェネレータはエンジンで駆動される入力軸を有しており、モータはジェネレータからの出力を受け取るようになっている。インバータはバッテリ又は可変周波数ジェネレータ、並びにロータに電気接続される。
【0025】
米国特許US6,638,195「ハイブリッド自動車システム」には、一方の組の車輪を駆動する内燃機関と、他の車輪にアクティブクラッチシステムによりクラッチ接続されるモータとを備えるハイブリッド自動車システムが開示されている。アクティブクラッチシステムは、自動車がエンジンモードか、電気モードか、モータと内燃機関の組み合わせモードか、又は回生制動モードかに応じて選択的に係合及び離脱される。
【0026】
米国特許US5,172,784「ハイブリッド電気推進システム」には、固定ステータと、軸方向に対向すると共に一方が出力軸である2つの永久磁石型又は誘導型ロータを有するモータを備えたハイブリッド自動車が開示されている。
【0027】
米国特許公開US20030019674「ハイブリッド電気式全輪駆動システム」には、内燃機関が一方の車輪対を駆動すると共にモータが他方の車輪対を駆動して、ハイブリッド電気式全輪駆動を可能にする自動車が開示されている。一体型スタータ/オルタネータは、エンジンを始動又はアシストすると共に発電を行う。また、回生制動がもたらされる。2つのロータと単一のステータを有するダブルモータは、従来のトラクションモータ並びに車軸作動装置/トルク結合装置として機能する。
【0028】
米国特許US5,492,192「トラクション制御を備えた電気自動車」には、電気自動車のモータ及び駆動システムと、モータ及び駆動システムに機械的に連結された少なくとも1つの被駆動輪、少なくとも1つの従動輪、及び被駆動輪に接続された制御装置とを備える、自動車のトラクション制御システムが開示されている。モータ駆動ユニットは、「両輪を駆動する単一駆動モータ」として説明されているが、「駆動輪に背中合わせに連結された2つのモータ」又は各々の車輪組立体内に組み込まれた各々の2つ又はそれ以上のモータとすることもできる。
【0029】
米国特許公開US20040166980「ハイブリッド電気自動車の変速装置配置」には、ハイブリッド電気自動車の歯車式動力伝達機構が開示されており、エンジンと車両の牽引輪との間、及びモータと車両の牽引輪との間に複数の動力経路が確立されるようになっている。
【0030】
日本特許公開JP2002307956「自動車の駆動装置」には、エンジン及びモータを使用するハイブリッド自動車が開示されており、モータは、エンジンを始動するスタータ機能及び動力発生機能、並びにエンジンの駆動力をアシストするアシスト機能を有している。モータ及びエンジンは、パラレル結合され、変速装置経由で車輪に動力を伝達するようになっている。
【0031】
米国特許公開US20020173401「パワーシフト変速装置を備える自動車のハイブリッド駆動システム」には、エンジンで駆動される入力軸、駆動系に連結される出力軸、モータ、及びエンジン及びモータの一方又は両方で駆動される遊星歯車装置を有する多段変速装置が開示されている。
【0032】
米国特許公開US20020177500「ハイブリッド自動車の動力伝達装置」には、多段遊星変速機、自動変速システム、及びモータ/ジェネレータを含むハイブリッド変速装置が開示されている。モータは、作動的に制御されて変速機を駆動して電気駆動モードを達成するようになっている。
【0033】
米国特許公開US20020177504「ハイブリッド動力源を有するパワートレイン」には、ハイブリッド駆動部を有する自動車のパワートレインが開示されている。パワートレインは、牽引状態、減速、冷間始動、及び熱間始動等の運転状態に応じて異なるギヤに変速可能である。
【0034】
米国特許公開US20040251758「自動車のハイブリッド推進システム」には、主ステータに関連する主ロータ及び副ステータに関連する副ロータを備える一体型スタータ/ジェネレータが開示されている。ワンウェイクラッチは、主ロータと副ロータとの間に設けられ、両ロータが一方の回転方向には選択的にロックされ、逆方向の回転方向には独立的に回転できるようになっている。
【0035】
日本特許公開JP2001105910「自動車のハイブリッド駆動システムには、 ハイブリッド自動車ではない従来のパワートレインを用いた低コストのハイブリッドシステムが開示されている。
【0036】
種々のハイブリッド構成を開示した他の文献としては、日本特許公開JP2002370556「ハイブリッド車の駆動装置」、Lynch他の米国特許US4,165,795、Nishidaの米国特許US5,117,931、Hellingの米国特許US3,923,115、Albright,Jr.他の米国特許US4,588,040、Bates他の米国特許US5,318,142、Fjallstromの米国特許US5,120,282(2つのモータを備えたパラレルハイブリッド駆動装置を開示)、Huntの米国特許US4,405,029及び米国特許US4,470,476(パラレルハイブリッドを開示)、Kawakatsuの米国特許US4,305,254、US4,407,132、及びUS4,335,429(後者は2つのモータ/ジェネレータユニットを備えたパラレルシステムを開示)、Sheaの米国特許US4,180,138、Fields他の米国特許US4,351,405、Kenyonの米国特許US4,438,342、Krohlingの米国特許US4,593,779、及びEllersの米国特許US4,923,025、Gardnerの米国特許US5,301,764及びUS5,346,031(2輪が内燃機関で駆動されると共に2輪が電気的に駆動されて、各構成要素の間でトルクを分配する種々のクラッチを備えたものを開示)、Urbanの米国特許US5,667,029及びUS5,704,440、Furutaniの米国特許US5,495,906(内燃機関が可変速変速装置経由で第1の車輪セットを駆動し、モータ第2の車輪セットを駆動する)、及びLateurの米国特許US5,823,280を挙げることができる。
【0037】
【特許文献1】米国特許公開US20070034428公報
【特許文献2】国際特許公開WO200717719公報
【特許文献3】国際特許公開WO200717043公報
【特許文献4】米国特許公開US20070023211公報
【特許文献5】欧州特許公開EP1736346公報
【特許文献6】日本特許公開JP2006264463公報
【特許文献7】欧州特許公開EP1707428公報
【特許文献8】欧州特許公開EP1698506公報
【特許文献9】カナダ特許CA2548815公報
【特許文献10】日本特許公開JP2006009657公報
【特許文献11】米国特許公開US20050107198公報
【特許文献12】米国特許US5,713,427公報
【特許文献13】国際特許公開WO200452672公報
【特許文献14】国際特許公開WO200437594公報
【特許文献15】日本特許公開JP2004136743公報
【特許文献16】独国特許公開DE10246839公報
【特許文献17】米国特許公開US20040050599公報
【特許文献18】米国特許US6,638,195公報
【特許文献19】米国特許US5,172,784公報
【特許文献20】米国特許公開US20030019674公報
【特許文献21】米国特許US5,492,192公報
【特許文献22】米国特許公開US20040166980公報
【特許文献23】日本特許公開JP2002307956公報
【特許文献24】米国特許公開US20020173401公報
【特許文献25】米国特許公開US20020177500公報
【特許文献26】米国特許公開US20020177504公報
【特許文献27】米国特許公開US20040251758公報
【特許文献28】日本特許公開JP2001105910公報
【特許文献29】日本特許公開JP2002370556公報
【特許文献30】米国特許US4,165,795公報
【特許文献31】米国特許US5,117,931公報
【特許文献32】米国特許US3,923,115公報
【特許文献33】米国特許US4,588,040公報
【特許文献34】米国特許US5,318,142公報
【特許文献35】米国特許US5,120,282公報
【特許文献36】米国特許US4,405,029公報
【特許文献37】米国特許US4,470,476公報
【特許文献38】米国特許US4,305,254公報
【特許文献39】米国特許US4,407,132公報
【特許文献40】米国特許US4,335,429公報
【特許文献41】米国特許US4,180,138公報
【特許文献42】米国特許US4,351,405公報
【特許文献43】米国特許US4,438,342公報
【特許文献44】米国特許US4,593,779公報
【特許文献45】米国特許US4,923,025公報
【特許文献46】米国特許US5,301,764公報
【特許文献47】米国特許US5,346,031公報
【特許文献48】米国特許US5,667,029公報
【特許文献49】米国特許US5,704,440公報
【特許文献50】米国特許US5,495,906公報
【特許文献51】米国特許US5,823,280公報
【特許文献52】米国特許US6,834,567公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0038】
商用車製造業者は、既存の内燃機関自動車の設計をハイブリッド自動車の設計及び製造の出発点として利用する場合が多い。例えば、製造業者は、既存モデルのハイブリッド変形モデルを提供しようとする。または、製造業者は、ゼロからの設計よりは既存の設計に類似したハイブリッド自動車を提供しようと考える。また、商業部門及び大衆部門の研究は、購入又は提供された従来の自動車を実際に改造して(ティアーアップ(tear−up))ハイブリッド車を開発することを含んでいる。例えば、エネルギーチャレンジX(Energy Challenge X)コンテスト部門のために生徒は長期にわたってこのような改造車を作っている。このような実験車は燃費といった特定の性能基準に焦点を当てる場合が多い。このような改造は考慮すべき事項によって制限されないので、製造業者が望むような安全で快適かつ商業的に実施可能な製品の設計に帰着する。従って、このような改造は、搭載能力、室内空間、座席配置、安全性、及び性能等の低下といった自動車製造業者には耐えられない妥協を伴う場合がある。更に、このような改造の経済性は、構成部品を適合させて機械的に連結すると共に最適な制御を可能にするために、相当な再設計費用を伴う場合がある。
【0039】
従って、AWDでFWDアーキテクチャを提供する又はAWDでRWDアーキテクチャを提供する従来の方法では、製造業者は、アップグレードのための別の構成部品や、ハイブリッド機能又は全電気式動力伝達装置等の種々の動力伝達装置を収容するように、駆動系、シャーシ、及び車体構造を設計又は再設計することを望むであろう。更に、このような改造は、性能及び安全性に関連する追加の機能を約束することになる。これらの機能的特徴を既存の設計に対して最小限の影響でもって提供するニーズがある。全体的アーキテクチャ、駆動系、シャーシ、及び車体構造への影響を最小限にしながら自動車に追加できる追加の駆動装置の配置に対するニーズがあると考えられる。更に、システムが自動車の再設計又は改造を実質的に必要とするか否かに関わりなく、燃費、エミッション、性能、及び安全性をアップグレードできる新しいシステムに対するニーズが依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0040】
本発明は、車両デザインの最小限の修正でもって、種々の駆動機能を追加することによって、車両プラットホームに適合できる電気推進モジュール及び/又は関連の構成部品を提供するものである。例えば、電力モジュールの1つの実施形態を用いて、前輪駆動車は、回生制動、自動エンジン停止/始動、及び推進アシストのハイブリッド機能を備える又は備えない4輪駆動車にアップグレードできる。別の実施例において、追加機能は、前述のハイブリッド機能の何れか又は全て、及び/又はアクティブスタビリティコントロール(ASC)、アンチロックブレーキコントロール(ABS)、及びアクティブトラクションコントロール(ATC)を含むことができる。別の実施形態において、既存の車両プラットホームを修正して完全電気推進をもたらすことができる。
【0041】
電気推進モジュールの1つの実施形態は電気車軸を特徴としており、2つの車輪用の機械的駆動システムを備え、コントローラ、電源、及びエネルギ貯蔵手段を備える。特定の実施形態において、コントローラは、操舵入力及び車輪速等の情報を取得するために既存の車両のデータバスにインタフェース接続し、組み込まれた機械的駆動システムの直接的な制御によって提供されるASC、ABS、及びATC装備を強化するために電力モジュール駆動システムに接続する。
【0042】
いくつかの実施形態において、機械的に、電気推進モジュールは、好ましくは各々の車輪を駆動する2つの内蔵モータによって、2つの車輪に原動力を供給する。また、電力モジュールは、各々の車輪用のブレーキ及びサスペンション、並びに適切な変速装置及び駆動装置を、実質的に車両を修正又は「改造(tear−up)」することなくホスト車両のサスペンションハードポイントに取り付けることができるように収容することが好ましい。また、モジュールは、本来ペイロードのために使用されない空間に取り付けるようになっていることが好ましい。例えば、モジュールは、スペアタイヤの縦穴に取って代わることができ、車両はランフラットタイヤを備えることになる。
【0043】
好適な実施形態において、電気推進モジュールは、車両をアップグレードするのに使用されるが、出力は、「始動−停止システム」又は「ベルト式オルタネータ−スタータ」システムとしても知られている、所謂「マイルドハイブリッドシステム」によって、車輪セットの1つに供給される(例えば、前輪又は後輪)。このマイルドハイブリッドは、交通渋滞又は信号停止時等の、アイドル期間の出力が必要ない場合にエンジンを停止する。スタータはエンジンの始動に使用されるが、特定の形式では、エンジン始動と同時に車両を推進する。従って、マイルドハイブリッドにおいて、燃料節約のためにエンジンを始動及び停止するのに必要な制御は、既存の車両デザインが既に備えている。非駆動車輪及び関連のサスペンションに置き換えて電気推進モジュールを追加することで、マイルドハイブリッドは、記載した別の機能を追加してマイルドハイブリッドから完全ハイブリッドへとアップグレードできる。更に、マイルドハイブリッドシステムをこのように構成すると、スタータ/オルタネータは回生制動によってエネルギを発生することもできる。マイルドハイブリッドシステムは、自身のシステムのバッテリを充電するようになっているが、電気推進モジュールと相互接続して該電気推進モジュールのエネルギ貯蔵デバイスにも同様にエネルギを供給できる。
【0044】
電気推進モジュールは、マイルドハイブリッド構成は既に始動及び停止制御手段を備えているので、特にこのようなマイルドハイブリッドと相補的に組み合わせる。従って、制御手段を追加的に修正してアップグレードに対応する必要はない。電気推進モジュールの追加は、マイルドハイブリッドの性能を完全ハイブリッド自動車に高めることができ、電気モータ又は独立した車輪ハブモータ又はボディ搭載モータがもたらす出力は電源負荷及び作業負荷の観点から相当の大きさである。更に、回生制動機能、改善された加速及び他の機能を追加できる。
【0045】
好適な実施形態において、電気推進モジュールは2つのモータを使用する。これらはハブモータ又はサブフレームの中央に搭載されハーフシャフトによって2つの車輪に連結される一対のモータとすることができる。この中央搭載型モータにより、種々のモータモデルを所望の性能仕様に適合するように置き換えることができるので、電気推進モジュールの簡単な機能変更が可能になる。また、ハブモータは重くなる傾向があり、このことは、付随的にバネ上重量に対するバネ下重量の比が大きくなることに起因して性能及び乗客快適性に悪影響を及ぼす場合がある。また、スプリング付きモータのデザインは、ハブモータを使用する電気推進モジュールよりも安価である。
【0046】
前述の実施形態の変形例において、クラッチは、電気推進モジュールの2つの駆動モータの各ロータ間に設けられる。このクラッチにより、2つの駆動モータのロータは選択的に結合されるようになる。好適な実施形態において、この結合手段により各ロータ(及び、結果的に各車輪)の選択的なスリップ又はロックが可能になる。クラッチは、自動制御又は駆動制御に基づくことができ、滑りやすい運転状況下での改善された加速、改善された性能を可能にし、又は積極的な操縦又は非常時の操縦時に駆動維持又は制御回復を助ける機構をもたらす。特定の実施形態において、2つのモータ及びクラッチは共通の単一ハウジングに一体化される。
【0047】
本明細書に組み込まれて明細書の一部を構成する添付図面は、本発明の現在のところ好適な実施形態を例示するものであり、本明細書の概括的な説明及び詳細な説明と一緒になって本発明の特徴を説明するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
まず、図1を参照すると、好適な実施形態の電気推進車軸100は、それぞれの車輪(図1には図示せず)への電気推進車軸100に回転結合する第1のサイドシャフトS1と第2のサイドシャフトS2との間に配置されている。好ましくは、第1のサイドシャフトS1及び第2のサイドシャフトS2は、各々のドライブシャフト端部に自在継ぎ手又は等速継ぎ手を有する比較的短いドライブシャフトを含むことができる、所謂「ハーフシャフト」又は「サイドシャフト」を含む。実際には、自在継ぎ手又は等速継ぎ手は、電気推進車軸100又は対応する車輪に対するドライブシャフトの相対的な角度又は垂直関係に関わりなく、ドライブシャフトのトルク伝達を円滑にする。このような第1及び第2のサイドシャフトS1、S2の配置により、自動車に対して車輪を支持するサスペンションシステムの作動と、同時に電気推進車軸100からそれぞれの車輪へのトルク伝達が可能になる。
【0049】
電気推進車軸100は、それぞれの第1及び第2のサイドシャフトS1、S2によって対応する車輪に別々にトルクを与える第1及び第2のモータM1、M2を支持するハウジング(又はサブシャーシ)102を含むことができる。第1のモータM1は、ハウジング102に対して固定されるステータS1と、第1のサイドシャフトS1に回転結合するロータR1とを有している。同様に、第2のモータM2は、ハウジング102に対して固定されるステータS2と、第2のサイドシャフトS2に回転結合するロータR2とを有している。特別なモータ技術又はトポロジーを必要としない。ハウジング又はサブシャーシを説明する場合、ステータ及びロータを含む駆動装置の機能を可能にするために、オープンフレーム、板金ボックス、繊維ガラス、又は他の複合材料の構造体、又は任意の他の支持体を備えることができる。
【0050】
第1及び第2のモータM1、M2は、永久磁石、交流誘導、スイッチドリラクタンス、及び任意の他の電磁手段による力発生を含む任意の電気機械技術とすることができるが、これらに限定されるものではない。更に、モータトポロジーは、利用可能なパッケージ容量及び性能要件により、ステータ内部にロータを有すること(非反転の設計)、又はステータ外部にロータを有すること(反転の設計)ができる。更に、第1及び第2のモータM1、M2に関連するものとして、それぞれの回転位置センサP1、P2があり、これらは第1及び第2のロータR1、R2の相互に対する、又はハウジング102等の固定基準フレームに対する回転位置を示す信号を出力することができる。もちろん、回転位置センサP1、P2からの出力信号に基づく計算により、追加的に第1及び第2のロータR1、R2の速度及び加速度に関するデータを与えることができる。回転位置センサは、モータM1及びM2、又は変速装置のギヤセットG1及びG2、又は相互連結部、又はモータM1、M2の回転位置を示すのに利用できる任意の場所に組み込むことができる。
【0051】
第1のモータM1は、ギヤセットG1によって第1のサイドシャフトS1に回転結合され、第2のモータM2は、ギヤセットG2によって第2のサイドシャフトS2に回転結合される。第1及び第2のギヤセットG1、G2は、減速歯車装置又は増速歯車装置、又はモータの軸出力から第2の軸出力へギヤ中心点の位置によって決まるトルク変換を可能にする単一ギヤ比を含むこと、及び単一比、複数比、単段、多段、又は連続可変比歯車装置を含むことができる。更に、歯車構成部品の種類及び配置としては星歯車装置、並行シャフト歯車装置、ストレートカット歯車、ハイポイド歯車、及びかさ歯車を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0052】
本実施形態において、車輪への動力を異なるように又は選択的に加えることができる2つのモータが示されているが、特定の実施形態において、複数の出力をもたらす変速装置を備えた1つのモータを使用することもできる。例えば、引用によって本明細書にその全ての開示内容が組み込まれている米国特許第6,834,567号にシステムが開示されている。本システムにおいて、単一のモータはドライブシャフトを回転させ、そのトルクは複数の滑りクラッチに加えられるが、各々は選択可能な作動トルクに調整可能であり複数の出力部を駆動するようになっている。また、別の実施形態において、車内に搭載したモータの代わりに、車輪内又は車輪の近くでサスペンションの外側に設けられるハブモータを使用することも可能である。
【0053】
第1のモータM1から第1のギヤセットG1を経由した第1のサイドシャフトS1へのトルク伝達は、第2のモータM2から第2のギヤセットG2を経由した第2のサイドシャフトS2へのトルク伝達とは独立している。しかしながら、第1及び第2のモータM1、M2のトルクは、第1及び第2のモータM1、M2の間に配置された電磁クラッチEMCを介して結合することもできる。基本的に、電磁クラッチは、第1の作動状態及び第2の作動状態を含むことができる。第1の作動状態では、第1及び第2のロータR1、R2は分離しておりトルクは第1及び第2のモータM1、M2の間でトルクは分配されない。第1の作動状態では、第1及び第2のロータR1、R2は機械的に連結され同時に又は「固定されて」回転する。随意的に、電磁クラッチEMCの第3の作動状態では、第1及び第2のロータR1、R2との間でスリップ量が制限される又は相対回転が許容される、第1及び第2のロータR1、R2の不完全な結合がもたらされる。電磁作動クラッチが好ましいが、別の従来のクラッチ、例えば、機械式、油圧式、又は空圧式作動装置を備える乾式又は湿式のディスク及び圧力プレートシステムを電磁クラッチEMCに代えて組み込むこともできる。
【0054】
本明細書で説明する前述の又は他の実施形態において、クラッチEMCは、油圧流体油圧駆動式、空圧駆動式、又は他の形式のクラッチに置き換えることができる。
【0055】
再度、ハブモータは、図示のデザインとは別のものであり、開示された方法で結合することができる。この場合、モータ及びギヤセットM1、M2、G1、及びG1は、ハブモータ内に組み込むことができ、いくつかの構成部品の中でシャフトS1及びS2を無くすことができる。他の点では、このような実施形態は、前述のように中央位置に配置されたクラッチEMCと一緒に作動することができる。
【0056】
電気推進車軸100の電子制御が好ましい。回転位置センサP1、P2及び自動車のインタフェースコンピュータからの信号出力は、第1のモータM1に対応する第1のドライバD1、第2のモータM2に対応する第2のドライバD2、及び電磁クラッチEMCに対応する第3のドライバD3に供給される。第1のドライバD1は電力電子機器の第1のモジュールから第1のモータM1への電気エネルギ流れを制御し、第2のドライバD2は電力電子機器の第2のモジュールから第2のモータM2への電気エネルギ流れを制御することが好ましい。自動車のインタフェース電子機器及び/又は電力電子機器モジュールは、ハウジング102内に又はその上に取り付けること、又はハウジング102から離間して配置することができる。
【0057】
各実施形態において、モータM1、M2、ギヤセットG1、G2、サイドシャフトS1、S2、及びホイールマウント又はハブは(ここには示されていないが、例えば図13の377を参照)、サブシャーシに連結して自立ユニット(モジュール)を形成することも可能である。電力電子機器(インバータ、開閉器、変調器、及び電流を通す又は大きな熱負荷を放熱する任意の他の構成部品)は、ハードウェア(プログラム可能コントローラ、センサ、及び関連要素)を制御すること、及び、電力ソース(変換器を備えている又は備えていない、バッテリ、燃料電池、ウルトラキャパシタ、及び他の種類のエネルギ貯蔵器)は、サブシャーシとは別々にパッケージすること、又はサブシャーシと結合する選択部分を有することができる。交換サスペンションは、ホストの自動車のサスペンションと完全に置き換えるか、又はホスト自動車のサスペンションと部分的に置き換えることができる。サブシャーシモジュールの実施形態は後の図面を参照して説明する。このようなモジュールは、サスペンションのハードポイントに取り付けることができるので、既存のサスペンション構成部品に取って代わることができる。
【0058】
図2は自動車10の前輪駆動(FWD)アーキテクチャの例示的な実施例である。本実施例によれば、縦軸Lは、前端(前部)10Fと後端(後部)10Aとの間で自動車10の略中心線に沿って延びる。前端10Fに隣接した軸12は、直列4気筒内燃機関20Aからトランスアクスル22Aを経由して左前輪12L及び右前輪12Rへトルクを伝達する。内燃機関22Aは、オットー機関、ディーゼル機関、スターリング機関、ブレイトン機関、燃料電池、蒸気、又は自動車の原動力を与える他の手段とすることができ、これは4気筒以外とすること、V型、W型、水平対向型等の直列配置以外とすることもできる。
【0059】
駆動系、シャーシ、及びボディの再設計という従来の複雑性なしに、自動車10のFWDアーキテクチャを補うために、図1及び2を参照して説明する実施形態では、左後輪14L及び右後輪14Rは、後側に搭載した電気推進車軸100Aから駆動トルクを受け取ることができる。
【0060】
図3は、自動車10の後輪駆動(RWD)アーキテクチャの例示的な実施例を示す。本実施例によれば、縦軸Lは、前端(前部)10Fと後端(後部)10Aとの間で自動車10の略中心線に沿って延びる。後端10Aに隣接した軸14は、V型10気筒の内燃機関20Bからトランスアクスル22Bを経由して左後輪14L及び右後輪14Rへトルクを伝達する。同様に、内燃機関22Bは任意の適切な機関及び適切な構成とすることができる。
【0061】
全体的なアーキテクチャ、駆動系、シャーシ、及び車体構造の再設計という従来の複雑性なしに、自動車10のRWDアーキテクチャを補うために、図3を参照して説明する実施形態では、左前輪12L及び右前輪12Rは前側に搭載した電気推進車軸100Fから駆動トルクを受け取ることができる。
【0062】
図4は自動車10の電気式全輪駆動(E−AWD)アーキテクチャを示す。詳細には、左前輪12L、右前輪12R、左後輪14L、及び右後輪14Rの各々の駆動トルクの動力ソースは、各々が図1及び2を参照して説明した本実施形態に準じている、後部に搭載した電気推進車軸100A及び前部に搭載した電気推進車軸100F内の対応するモータである。モータの電力ソース(図示せず)は、自動車10に搭載した1つ又はそれ以上のバッテリ又は燃料電池であってもよく、又は従来型の内燃機関10に連結され車載発電機であってもよい。
【0063】
ここで図5Aを参照して前述の実施形態の大部分に一致する電気推進車軸100を説明する本実施形態において、提供される車軸は、本来ならFWD(前輪駆動)構成の車両用の追加の後軸である。他の箇所で検討するように、システムは、別の方法で、本来ならRWD構成の車両用の前輪に、又は本来ならバッテリ式電気自動車又はシリーズハイブリッド自動車のための前輪又は後輪に適用できる。もしくは、2本の車軸構成を用いて完全な電気式四輪駆動構成を実現することもできる。
【0064】
図5Aは、好適な実施形態の独立クラッチ及び各独立クラッチの間に配置されたクラッチの詳細を示す。詳細には、第1のトルクソース、ステータS1及びロータR1で例示する第1のモータ、第2のトルクソース、ステータS2及びロータR2で例示する第2のモータを示し、クラッチEMCで接続可能である。ステータS1、S2はそれぞれのハウジング02に対して固定されており、ロータR1、R2は、それぞれのシャフト104に回転結合している。ベアリング106はシャフト104をハウジング102に対して支持する。それぞれのトルクソースに対して別々のハウジング102が示されているが、両トルクソースに対して単一の共通ハウジングを備えることもできる。
【0065】
図5Bを参照すると、ロータ及びステータに加えて、出力歯車装置及び電磁クラッチを単一のケーシングに収容して構成部品の幅方向寸法を低減することもできる。図5Bの実施形態において、モータハウジング/フレーム202は、一対のステータ215A及び215B、一対のロータ210A及び210Bを取り囲んでおり、ロータ210A及び210Bの各々は係合構成部品205A及び205Bを構成するクラッチ205A/205Bの作動時以外は独立している。各々のロータ210A及び210Bは、それぞれのリゾルバ220A、220B、及びそれぞれのエンコーダ222A、222B、並びに出力歯車装置218A及び218Bを有することができる。最小限、ステータを備える独立ロータと共通ハウジング内のクラッチとの組み合わせにより、別々に収容されたモータ及びクラッチに比較して、組立体の最大軸寸法が低減する可能性がもたらされる。このことは、各CV継ぎ手(すなわちどのような場所でもスラックを吸収できるもの)の間のハーフシャフトの角度を低減できるので、サスペンションの大きなストロークが可能になるという大きな利点をもたらす。これに対応して、サスペンション変位に適応するために使用される任意のボールスプライン又はプランジ継ぎ手は、大きな範囲で作動する必要はなく、特定の実施形態において、シャフトが伸びる必要性を無くすことができる。本明細書で使用する場合、用語ハーフシャフトそれ自体は、特定の寸法を暗示することを意図していないことに留意されたい。
【0066】
ここで図6A及び6Bを参照すると、クラッチ250の実施形態は電磁的に作動するが、電磁アクチュエータを油圧アクチュエータ、空圧アクチュエータ、又は他の形式のアクチュエータに置き換えることができる。電磁クラッチ250は1つ又はそれ以上のステータ巻き線254及びアクティブロータ巻き線252を含み、これらは一緒になってジェネレータを形成する。1つ又はそれ以上の磁気励起コイル270は、1つ又はそれ以上の整流器262による整流(DC変換)の後にアクティブロータ巻き線252から電流を受け取る。一方のモータは、アクティブロータ280をハブ264の周りで回転させるように連結されている。他方のモータは、励起コイルに270に電流が流れると該励起コイル270に引きつけられるヘッド256を備えたパッシブロータ282に連結されている。ヘッド256及び励起コイル270のコア250は、ヘッド256がコア251に接近して接触すると完成する磁気回路を形成できる。ヘッド256は、スプリング266によって図6Aに示す位置に保持される。励起コイル270が励起されるとヘッド256は図6Bに示すようにスプリング266を圧縮して励起コイル270に接触する。結果的に、ヘッド256及び励起コイル270上の表面257のような各表面は、アクティブロータ280及びパッシブロータ282がトルクを分配するように相互に接触することができ、同じ回転速度に収束する傾向にある。歯部258及び260を設けてアクティブロータ280及びパッシブロータ282をロックして両者が同じ速度になるようにすることもできる。
【0067】
表面257はスリップが可能な摩擦接触とすることができる。もしくは、アクティブロータ280及びパッシブロータ282は両者の間に引きずり抵抗を発生する他の機構(制動)を備えることもできる。例えば、磁気制動は、スプリング266が不完全に圧縮される場合に一緒になって相互作用する、磁石及び非強磁性導体を用いてもたらすことができる。励起コイルに高電流を印加することによってスプリングが更に完全に圧縮される場合、歯部は完全に係合してアクティブロータ280及びパッシブロータ282はロック状態になる。例えば、図7A、7B、及び7Cに示すように、磁石アレイ288は、アクティブロータ280及びパッシブロータ282の表面に沿って配置されたプレート292の歯部296と交互配置される。アクティブロータ280及びパッシブロータ282が相互に近づくと、プレート292の歯部が各永久磁石294の間の隙間298に適合して、永久磁石アレイ288の磁場と漸次交互配置となって、歯部296内の渦電流誘導で発生する磁気ブレーキ効果がもたらされる。
【0068】
励起巻き線270に電流を誘発するためにステータ254が係合される。ここで更に図8を参照すると、図6A、6B(図8の754)のジェネレータ/ステータ254を励起すると電流はジェネレータ巻き線750(3本は図8に示されているが、ジェネレータ巻き線はこれより多くても少なくて良い)に誘発される。つまり、電流は、対応する整流器262(図8の752)で整流されて、磁気励起コイル270(図8の756)に供給され、これはパッシブロータ282をスプリング266の付勢力に抗して変位させて、アクティブロータ280の不完全な係合を完全な係合にする。図21Bは、異なるジェネレータ励起値、つまり曲線31に対応する200ワット及び曲線33に対応する112.5ワットにおけるクラッチ力と空隙との間の関係を示している。空隙はアクティブロータ280とパッシブロータ282の間の空隙である。
【0069】
クラッチ250は、従来の設計によるか、又は少なくともロック及び/又はスリップ機能をもつように開発された任意の適切なクラッチとすることができる。好ましくは、トルク伝達が選択可能なロックアップ式クラッチを用いる。このようなクラッチは、油圧式、電磁式、湿式、乾式とすることができる。
【0070】
作動時、電気推進モジュール100の通常動作では、モータM1が左後輪14Lに駆動トルクを供給し、モータM2が右後輪14Rに駆動トルクを供給する。モータM1、M2は独立して左右輪にそれぞれトルクを供給する。しかしながら、悪天候等の特定の運転状況において、車両が不安定な場合又は加速性能を改善するために推進アシストが望まれる場合、車両インタフェース制御装置からの信号に応答して、電気推進モジュール100の左右両側は部分的に又は完全に結合することができる。クラッチ係合コマンドは、温度(例えば、凍結状態を示す閾値以下の温度)、雨センサ(自動ワイパ作動装置はこのようなセンサを使用している)、ユーザが操作可能なコマンドスイッチ、車輪スリップ検出によるスリップ状態の検出、又は任意の他の自動又は手動コマンド入力制御により自動的に提供できる。
【0071】
例示的な機械的及び電気的なパッケージとしては、電気推進モジュール100に備えることができる以下の構成部品を含む。車輪の近くに配置される2つのモータ、例えば、2つの13kW(ピーク)モータ。もしくは、ハブモータは車輪内に設けることができ、電気推進モジュール100の非モータ構成部品で駆動される。モータ制御ソフトウェア及び駆動電子機器は、主制御機能及び最終制御機能が統合された組み込みシステムに設けることが好ましい。これはプログラム可能なコンピュータモジュール及び関連の最終コントローラ用の電力電子機器が備えることが好ましい。ハードウェア及びソフトウェアは、車両インタフェース(センサを含む)及び制御装置のソフトウェアを含むことができる。例えば、既存の車両バスに対するインタフェースにより、車輪速、操舵、制動、及びスロットル入力をコントローラ入力に利用することが可能になる。車両ヨー、加速、車速、又は所望の制御スキームを達成するのに使用できる任意の入力等を検出するための追加のセンサを設けることもできる。
【0072】
本明細書において、コントローラが応答する車輪速、操舵、スロットル入力、及び他の信号は、センサから直接的に又は間接的に取得できることを留意されたい。従って、コントローラのアルゴリズム及びハードウェアの議論はこのような入力信号を参照するが、等価信号を同様に又は代替的に使用することが意図されている。例えば、車輪速を直接的に検出する代わりに、センサは、シャフト、モータロータの速度又は角度位置、又はクロック信号等の別のデータと組み合わせて実質的に同じ情報を取得するための別のパラメータを検出するようになっていてもよい。例えば、車輪速は、スリップ状態が発生したか否かを判定するために使用できる。同じ事象はドライブシャフト速度又はモータロータ速度又は変位に対する時間の急変によって示すことができる。同様に、操舵入力は、操舵輪入力、又は操舵リンケージ等の出力エフェクタに接続されたセンサによって示すことができ等価情報を取得できる。別の実施例において、スロットル入力に等価なものは、内燃機関の吸気圧やスロットル弁の位置、スロットルペダルのエンコーダ、又は他の直接的な入力センサから取得できる。従って、本明細書で議論する場合、前述の又は他の入力は直接的に測定でき、又はその等価情報は対象のコントローラへの入力として使用できる。
【0073】
また、本実施例においては、充電可能バッテリと、充放電機能の管理、直列に接続されたセルの平衡、及び温度管理を行うバッテリ管理電子機器及びソフトウェアとを含むエネルギ貯蔵システムが設けられている。ジェネレータは、バッテリの充電及び定常状態のエネルギ流のために設けられている。ジェネレータは、モータ又はジェネレータとして作動するものであってもよいので、2つの電気モータに加えて更に追加の推進アシストを提供するように制御できる。ジェネレータ機能はモータによって提供することも可能である。また、減速歯車、モータ間のドライブシャフト(伸長可能又は固定長)、及び駆動輪等の機械的駆動用の構成部品を含む。また、車両データバス等の既存の車両データシステムとの通信を可能にするインタフェース要素を含むことが好ましい。また、各モータの出力軸を選択的に連結する連続可変式及び/又はロック式電磁クラッチを含む。各々の車輪又はホイールマウントに1つのブレーキが設けられている。
【0074】
例示的な乗用車の動力及び他の寸法範囲は以下の通りである。既存の内燃機関駆動式車両に追加される電気推進モジュールは、約40mphの車両速度までのフルスロットル時でトルクコンバータの係合時に地面に伝達できる全有効車両トルクの25%から60%の間のトルクを加えることができる。別の実施形態において、加えられる有効トルクは、路面摩擦係数0.7からその50%までの範囲の際に30mphまでで有効車両トルクの30%から50%の間である。別の実施形態又は変形例において、推進アシストは高摩擦係数の条件下で行われベース車両で例えば10秒の0−60mph加速時間が少なくとも2秒だけ改善される。
【0075】
前述の実施形態の変形例において、電気推進モジュールは、最大40mphまでで、同時に1つの車輪に対する全後輪駆動トルクの少なくとも1/2まで、及び/又はクラッチが比較的摩擦係数が高い路面を走行中の単一の後輪に完全に係合する状態であって反対側の車輪は比較的摩擦係数が低い路面を走行している場合に全後輪駆動トルクの100%までのシステムトルクを与えるようなサイズである。トルクは可変制御可能であることが好ましい。
【0076】
別の変形例において、全体システムのエネルギ貯蔵システムは、充電が必要となるまでに10回の連続した0−60mph推進に適合するような大きさである。
【0077】
更に、完成した電気推進モジュール100は、内燃機関の始動/停止システム、及び気筒数制御システム、並びに完全に別個の車軸における完全ハイブリッドパワートレイン作動システム(すなわち、ハイブリッド動力ソースとしての独立したモータ/エンジンの組み合わせ機能)に適合する適切なインタフェースを備える。本明細書で議論するように、エンジンの始動/停止を提供するインタフェースはマイルドハイブリッドベースの車両に設けることができ、車両と電気推進モジュールとの相互接続が簡素化される。
【0078】
車両と電気推進モジュールの組み合わせより少なくとも以下の3つの作動モードを提供できる。第1に、電気車軸は、内燃機関の停止指令時に内燃機関又は他のエンジン及びパワートレインからのアシストなしに主推進駆動手段として作動する。このモードにより、システムは「プラグイン」ハイブリッド機能を提供できる。第2に、電気推進モジュール100は、運転者のトルク要求に応じて相対する内燃機関−又はハイブリッド駆動軸と並行して原動力を伝達して加速推進強化又は全輪駆動機能を遂行する。第3に、電気推進モジュール100は既存のスタータ/オルタネータ又は追加的に設けられたジェネレータを備えるシリーズハイブリッドとして機能する。このジェネレータは車両のアップグレードのために組み込まれている。(この場合、変速装置はニュートラル状態のままにできるが車両は駆動される、又は変速装置が無い場合、エンジン及びジェネレータは発電のためだけに存在する。)
【0079】
図20は、本明細書で説明する多くの実施形態に共通の特徴部を示すものであり、車両608は、2つの車輪602に動力を供給する主駆動システム610と、通常、取付け部626に取り付くことになる2つの別の車輪のための取付け部(又はハードポイント)626を有している。例えば、取付け部626は、サスペンションの突出部又は車両608の車体の単純に補強された部分とすることができる。推進モジュール640は、取付け部626と適合してサブシャーシ635が取付け部626に取り付くことを可能にするように構成された取付け具630を備えるサブシャーシ635を有している。詳細には、取付け具630の間隔、寸法、数、及び位置は取付け部626に一致しているので、サブシャーシ635を取付け部のところで対象車両608に取り付けることができる。サブシャーシ635は、車輪622を駆動するための1つ又はそれ以上のモータ620を備えた自立型ユニットを形成することができる。好適な実施形態において、検討対象の車輪622は、別々のモータで独立的に、又は別々に制御可能な単一モータの各駆動出力部632によって駆動されるが、両実施形態は図面中では符号620で示されている。
【0080】
好適な実施形態において、一対の車輪602、例えば前車軸の車輪602は、マイルドハイブリッドシステム(始動/停止システム又はベルト式オルタネータ/スタータシステムと呼ぶ場合もある)によって動力が供給される。図20に示す駆動システム610がこのマイルドハイブリッド駆動である場合、通常、コントローラ604が存在して、始動駆動装置606及びエンジン(別々に図示せず)を制御してマイルドハイブリッド機能を提供するようになっている。
【0081】
マイルドハイブリッドシステムにおいて、車両が停止する場合及びスロットルから動力が要求されない場合、内燃機関等の主原動機は停止するが、スロットルから動力が要求されると始動する。マイルドハイブリッドにおける動力要求に応答して、一体型スタータ/オルタネータは即座に係合してエンジンが始動する。このプロセスにおいて、設計の特殊性に応じて、エンジンはスタータモータで始動されるが、エンジンは動力伝達装置に係合されて、エンジン及び車輪駆動システムの両方が同時に回転する。従って、エンジン停止から走行状態に至る間に起こる初期推進はスタータモータによって行われる。
【0082】
このようなシステムの大部分において、スタータ/オルタネータは従来のスタータモータよりも大型であり、一般車両の12ボルトシステムよりも高いバス電圧の下で作動し、同時に従来の12ボルトオルタネータと同様にDC−DCコンバータを介する同様の充電機能を備えることになる。また、スタータ/オルタネータは、制動時にバッテリパックに蓄えられ、その後の前述の推進モードにおいて使用されるエネルギを発生することができる。
【0083】
マイルドハイブリッドの実施形態において、サブシャーシ635はマイルドハイブリッド機能のアップグレードのために設けられ、いくつかの機能の中で特に強力な(又は完全な)ハイブリッド機能、推進アシスト機能、四輪駆動機能、及び追加的な回生制動機能を可能にする。サブシャーシ、及び、コントローラ605、バッテリ、及び電力電子機器607等の関連の構成部品は、エンジンの始動及び停止制御がマイルドハイブリッド構成には既に備わっているので、特に相補的にマイルドハイブリッドと組み合わされる。サブシャーシシステムの追加物は、マイルドハイブリッドの性能を、電気モータ又は独立した車輪ハブ内モータ又はボディ搭載モータがもたらす動力が電力負荷及び作業負荷の観点ではかなりの量である、完全ハイブリッド自動車にアップグレードできる。これは、回生制動、加速及び推進アシスト、モータ及び付属ブレーキを利用する特定の方式のアクティブスタビリティ制御、アンチロックブレーキ制御、トラクション制御、四輪駆動/全輪駆動機能である。これらの機能は、サブシャーシ635、及び、前述のモータ620(単数又は複数)、コントローラ605、バッテリ、及び電力電子機607等の関連の構成部品によってもたらされる。別の実施形態において、1つ又はそれ以上の関連の構成部品、つまり、バッテリ、電力電子機器607、及びコントローラ605は(破線引き出し線で示す)、サブシャーシ635に取り付けることができる。単一ユニットとして示されているが、バッテリ及び電力電子機器607は別々の構成部品とすることができ、各々又は両方はサブシャーシ635に固定することができる。
【0084】
従って、このように機能が高められたマイルドハイブリッドにおいて、コントローラは、駆動装置610及び始動駆動装置606を制御する、別個のコントローラ605は、ハイブリッドサブシャーシ640及び関連の構成部品の追加の機能をもたらす。別の実施形態において、コントローラ604はコントローラ607で制御されるエンドエフェクタに置き換えることができるので、コントローラ607は車輪駆動装置及び始動駆動装置610及び606の制御を引き継ぐことができる。
【0085】
別の方法として、マイルドハイブリッドコントローラは、電気のみの作動モード時に内燃機関は停止した状態で車両は電気駆動システムで推進されるようにする専用コントローラに置き換えることができる。電気のみの作動モードは、従来のやり方で又は本明細書で検討するやり方で起動できる。更に、電気のみの作動モードは、ユーザ制御により手動で、又はモータバッテリを車両の外部で充電でき、バッテリ電位が所定レベルまで低下した場合にエンジンを使用する所謂プラグインハイブリッドシステムの好ましいモードとして自動的に指示できる。
【0086】
別の実施形態において、電気推進モジュールは、電気のみの駆動装置、並びに独立モータによって何れかの車輪にエネルギを供給することを可能にする装置を用いる個別の車輪トルク管理機能、及び、指令により2つの電気機械を連結する部分又は完全「ロック」機能をもたらす。以下に全体システム、全体制御、並びに「ロック」機能を用いる方法を説明するが、ロック機能は以下の状態の1つ又はそれ以上の場合に行われる。(1)運転モード時にホイールスピンが検出される、(2)運転者の操舵入力との比較で車両ヨーがエラー限界値を超えると、差動トルク及び/又は左右の駆動装置をロックしヨーエラーを修正して、車両を安定にする、(3)オフロードモードを検出すると、自動的に又はユーザスイッチの作動によって2つの駆動輪を「ロック」して低摩擦係数(内燃機関/雪)トラクション及び/又はオフロード機能を改善する、又は、(4)高出力「推進」モードが検出されると(高レベルのアクセル要求、及び皆無かそれに近い操舵入力が検出された場合)、システムは左右のトルク発生をロックして初期トラクションを改善して最大加速度を得るようになっている。前述の状態からの逸脱を検出して(又は手動で起動して)、クラッチによる車輪トルク結合を低減又は無効にすることができる。
【0087】
1つの実施形態において、本来なら前輪駆動車(それ自体従来通りに又はハイブリッド駆動装置で駆動される)の後軸に付加される場合、電気推進車軸は、AWDシステムを備えていない既存の車両デザインに対してアドオン式AWDシステムを提供する。これは前後及び左右AWD機能、高い及び低い路面摩擦係数状態での推進アシスト、及びハイブリッド機能を含み、改善されたAWD性能と共に、AWDシステムをもたない車両に比べて同等の又はそれ以上の燃料節約を可能にする。
【0088】
更に、本明細書で説明する場合、電気車軸は、該電気車軸を既存の車軸に置き換えてアップグレードするのではなく、元の車両デザインに組み込まれるデザインにメリットがある。従って、本実施形態は車両改善タスクに限定されると理解する必要はない。
【0089】
好適な実施形態において、公知のシステムと比較すると、電気推進車軸は、ハイブリッド化及び燃料節約の利点、車両の加速性の向上、及び特定の車両に対する安全性強化としてのAWD機能を組み込む能力及び個々の車輪トルクの管理を可能にする。好適な実施形態による電気推進を含む車両アーキテクチャは、さもなければ機械的なAWDシステムに対応するように開発されていない車両に対してAWDシステムを提供する唯一の方法である。
【0090】
1つの実施形態によれば、電子的に制御される電磁クラッチを備える。励起時に2つのモータの出力をロックすること、又はそうでなければ各モータは連結されるが、1つのモータから反対側の出力ハーフシャフトへの伝達トルクを変更することができる。また、車輪モータに組み込む場合、それらの車輪のそれぞれに独立して収容される。
【0091】
1つの実施形態によれば、各々のモータは、ステータ、ロータ、及び位置センサとして提供される。
【0092】
1つの実施形態によれば、特有のモータ技術を必要としておらず、モータは、永久磁石、AC誘導、スイッチドリラクタンス、及び任意の他の電磁手段による力発生を含む、任意の電気機械技術としることができるが、これらに限定されるものではない。更に、利用可能なパッケージボリューム及び性能要件に基づくモータ技術は、ステータの内側にロータを持つもの(非反転の設計)又はステータの外側にロータをもつもの(反転の設計)とすることができる。
【0093】
1つの実施形態によれば、各々のサイドシャフトは、固定された回転部材(モータ出力)を懸架された駆動輪/タイヤに連結する、適切な等速継ぎ手及び関連の継ぎ手を備えるハーフシャフトとすることができる。実施形態において、ハーフシャフトは、ボールスプラインシャフト等の可変長シャフトとすることができる。
【0094】
1つの実施形態によれば、電気推進車軸は、個々の車輪トルク管理をもたらし、ブレーキベースのヨースタビリティーコントロールと同様に安全性を向上させる。これを実施するために、コントローラは、通常はアクティブスタビリティコントロールを引き起こす、測定ヨーレートの測定値に対する 操舵入力の閾値エラー(及び同時に予測したヨーレート)等の事象トリガーを用いてプログラムできる。しかしながら、車輪にブレーキを加えるよりはむしろ、ブレーキ効果を与えるトルク、又は車両の重心周りのモーメントを発生する前進又は後進トルク、又は強化又は増大した前進又は後進抵抗は、運転状況に応じて車輪に対して前進又は後進トルクを加えることによって、各々の制御車輪に独立的に発生させることができる。
【0095】
1つの実施形態によれば、電気推進モジュールを含むシステムは、本来ならバッテリ式電気又はシリーズハイブリッド式電気アーキテクチャである主駆動車軸を提供するように用いることができる。
【0096】
図9−17を参照すると、サブシャーシ、駆動装置、及び制御パッケージの実施形態は、通常はスペアタイヤを収容する空間に取り付けることができる。パッケージは、全ての視野に対して一定の向きを示す各々の図面に示される進行方向に対して、種々の方向から示されている。サブシャーシパッケージ300は、各々の一方が左後輪(LR)用、他方が右後輪(RR)用であり、エンコーダ、温度センサ、リゾルバ、電気断路器、及び/又は他の種類のセンサ、エンドエフェクタ、コントローラ、又はインタフェース構成部品を備えるモータ、2つのモータの駆動出力部を選択的に連結する電磁結合式クラッチ、バッテリモジュール、各モータ用の電力電子機器を含むコントローラ、バッテリ管理コントローラ、各々の車輪用のサスペンション、出力歯車装置及びハブへの駆動結合部、ハブ(一般には「ホイールマウント」)、及び駆動機構の構成部品を支持するサブシャーシと呼ばれるフレームを含む。
【0097】
制御装置及びバッテリ管理装置は、1つ又はそれ以上の別個のパッケージとして構成することもできる。サブシャーシに対して離間して、接近して、又は一体的に設けることができる。少なくとも、好ましくは、サブシャーシパッケージ300は、アイテム1(2つのモータ及び関連の構成部品)、アイテム2(カップリング)、アイテム6(サスペンション)、アイテム7(出力駆動装置)、アイテム8(ハブ)及びアイテム9(サブシャーシ)を含む。
【0098】
バッテリモジュール310は、サブシャーシパッケージ300のモータ318に電力を供給する。電力モジュール312及び314は、電力コントローラ、インバータ、スイッチ、及び任意の他の所望の高電流構成部品を含む。電力モジュール312及び314の特定の箇所は大量の放熱を行う。熱負荷に対処するためにヒートシンク340を備えることができる。好まし構成において、単数又は複数のヒートシンク340が配置され、車両の周りの空気流を上手く利用するように方向付けされている。図10に示す実施例において、ヒートシンク340のフィンは、車両の進行方向に平行になっており、車両の下面の周りを流れる空気がフィンにほぼ平行に流れるように、直接下向きに突出している。ヒートシンク340のフィンは、積載時の懸架高さ、車速、及び積載や空気流パターンに影響を与える任意の他の運転状態を含む、車両タイプを考慮した最大積載状態の下で空気流に位置合わせされることが好ましい。
【0099】
1つの実施形態によれば、ヒートシンクフィン710(又は針状突起等の他の表面拡大手段)は、図22に示すように、スキッドプレート712によって保護することができ、更に前進走行時にフィン710上に空気をかき集めて案内する、空気ダクト716から718として定義することもできる。結果的に、電子機器回路等の放熱機器705は効果的に冷却される。スキッドプレート712は、フィン開口を有し、空気を押し込んで結果的に空気の動圧を利用して空気をヒートシンク340のフィン710上に流すようになっている。また、スキッドプレート712は、他の構成部品、更にモータ704及びモジュール化した推進モジュール100の車輪702を駆動するドライブシャフト706等の駆動装置の構成部品を保護するという主たる機能を果たす。
【0100】
図9から17を参照して、別の視野をもたらす図13から16に詳細に示すように、サブシャーシパッケージ300は、特に、モータ318、各モータ318間の相互結合クラッチ(図示せず)、及びサスペンション及び動力伝達装置の構成部品を支持する、サブシャーシフレーム301を有している。例示的な実施形態において、モータ318は、横方向支持部材303によって左右側に境界付けされたサブシャーシフレーム387の箱型部307に配置される。サブシャーシフレーム301の箱型部307は、それぞれ前方支持部材321及び後方支持部材393によって前側及び後側に境界付けされている。横方向支持部303はハードポイント・マウント302を有している。後方支持部材393は、端部にハードポイント・マウント304を備える延長部305を有している。4つのハードポイント・マウント302、304は、従来のサスペンションが取り付くことになる場所である車両のそれぞれの箇所に取り付くので、サブシャーシパッケージは従来型車両の最小限の改造でもって取り付けて組み込むことができる。
【0101】
図9、15、及び16に詳細に示すように、構造部材320は、モータ318用の主たるマウントとして設けられている。構造部材320は、前側支持部材321から上側に延びている。また、構造部材320は、重さのあるモータ318と燃料タンク308との間の防壁として設けて安全性及び耐衝撃性を改善することが好ましい。モータ318の主マウントは、モータ318の前側部に連結する構造部材320上にあり、モータ318は後側部においてブラケット346によって後側支持部材393に取り付けられている。ブラケットはモータ318の追加の支持を提供して、ピーク要求時にモータが発生する大きなトルクに対処して、構造部材320に加えられるモーメントを低減することを助けるようになっており、モータ318から車両構造体へのトルク発生を解決する他の装置を用いることもできる。このような装置は、全構造体303周りのトルク荷重を分配して、トルク荷重に起因する変位を最小にするようになっていることが好ましい。ゴム絶縁体等の騒音及び振動絶縁体は、モータ318と全体構造体303との間に用いることができる。
【0102】
好適な実施形態において、右側だけが図示されているサスペンション327は、車両が前側の内燃機関でのみ駆動される元の車両デザインに使用されるのと同じものとすることができる。少なくとも、車両のハンドリングに悪影響を及ばさないように、元のサスペンションの動特性を維持することが好ましい。しかしながら、改造、改良、又は全く新しいサスペンションシステムを従来の車両サスペンションに置き換えることもできる(しかし、本実施形態と同じ機能を果たすための種々の構成部品及び全体構造を含むことになる)。サスペンション327は、構成部品の図面及び前述の特徴から容易に理解できる配置で、種々のリンク324、スプリング326、コントロールアーム342(1本のコントロールアーム342が示されているが、通常は2本の平行コントロールアームを備えるのが好ましい)を含む。
【0103】
動力伝達装置は、車両の等速(CV)継ぎ手362によってハーフシャフト360に連結されるドライブシャフト366を含む。ドライブシャフト366は、モータ出力軸(図示せず)に結合する減速歯車306の出力側で駆動される。ハーフシャフト360は、車外のCV継ぎ手364を介してハブ377に連結する。また、動力伝達装置は、モータ318及び該モータ318に相互接続するクラッチ(図示せず)を含む。モータ318及びクラッチの作動と、機械的及び電気的様態とは、図1から5を参照して前述したものと同じである。
【0104】
図23は、図1に示す車内モータの代わりにハブモータを使用した電気推進モジュールを示す。ここで、概略的なレイアウトは、モータM1、M2、歯車駆動装置G1、G2、及び位置表示器P1、P2がそれぞれのハブモータ740に組み込まれている以外は図1と同じである。ハブモータ740は、単数又は複数の車内モータと同様に電磁クラッチEMCに結合するドライブシャフト744を有することができる。この場合、ハブモータ740が使用されるが、図1の実施例と同様に、トルクは各モータ間で分配できる。詳細には説明しないが、ドライブシャフト744に連結可能なトルクの取り出し部を適切にデザインされたハブモータによって提供できる。
【0105】
前述の実施形態において、全ての動力伝達装置及びサスペンションは、単純にサブシャーシパッケージ300のモジュール化された構造体を、通常の構成ではサスペンションのみを取り付けるのに使用される箇所で取り付けることによって、既存のプラットホームに取り付けることができる。サスペンション取り付け箇所又はハードポイントの構成は、車両ごとに様々であるが、モータ及び歯車装置を含む全ての動力伝達装置及び車輪サスペンションの取り付けを可能にする自立型構造体の基本の構成部品は、多様な車両に提供できることが期待されている。特定の好適な実施形態において、モータは独立しており、左右車輪の各々を別々に駆動する。また、別の好適な実施形態において、サブシャーシパッケージは、2つの独立したモータを結合するクラッチを含む。別の好適な実施形態において、独立したロータ及びステータは、単一ケーシング及びサポート内に一緒に収容される。この実施形態において、クラッチも同様に単一のケーシング内に収容されることが好ましい。本実施形態の好適な変形例において、この一緒に収容されたモータの実施形態は、図5Bを参照して説明する少なくとも1つの追加部品をを含む。
【0106】
前述のサブシャーシパッケージ300の実施形態において、サブシャーシは、大幅な再設計を必要とすることなく、前輪駆動車の後輪部分に差し込み式(drop−in)で交換できるようなっている。好適な構成において、サブシャーシパッケージ300は、通常はスペアタイヤ及び/又は既存の機械的AWDシステム及び/又は唯一サスペンション構成部品が占有する空間に置くことができる。エネルギ貯蔵システム及び電子機器は、一般に、荷物室の下側に延び、取り外し可能なパネルにより荷物室と隔てられている縦穴部である、通常はスペアタイヤが占める空間に置くことができる。電気推進モジュール100用の部屋をもたらすボディの変形例は、荷物境界線を変更して縦穴を無くすことで提供できる。例えば、このことは、新しいボディ部をデザインすることによって、又は縦穴を切り取って隆起フロアを取り付けて車両の荷物境界部に取り付けることによって行うことができる。
【0107】
スペアタイヤの縦穴を取り除くことに関連して、スペアタイヤはランフラットタイヤを使用すれば必要なくなる。従って、実施形態において、サブシャーシは既存のハードポイントに取り付き、自立型であり、更に、本来なら、スペアタイヤに必要な空間、又は各車輪の凹部の間であるがトラック又は貨物区域の通常の保管区域の下の空間に実質的に適合する。本実施形態は、ランフラットタイヤを含むこと、又は通常は機械的AWDシステムのドライブシャフトに用意されている場所にスペアタイヤのパッケージを含むことが好ましい。
【0108】
サブシャーシが占める横方向の空間に関して、サスペンションシステムのサスペンションアームは長さの制限を受けるので、長いサスペンションストロークを取るのが難しくなる。これは、2つのモータ318及び他の動力伝達装置の部品の長さのためである。ハーフシャフト360のピボット角が広範囲にわたり長いストロークをもたらす必要がある場合、前述のように2つのモータ318及び他の動力伝達装置の部品の寸法を低減できる。また、ハブモータは図22を参照して以下に説明する。追加的に又は別の方法として、プランジ継ぎ手又はボールスプラインシャフトをハーフシャフト360として使用して、ハーフシャフト360の広範な運動に対応することができる。
【0109】
ほぼ縮尺通りの図9−17の実施形態で示すように、モータ318及び車外の歯車装置306は、車外の各CV継ぎ手364の間の距離の約60%以上を占めることはない。好適な実施形態において、歯車減速装置306をモータ318に組み込んでシステムの全幅を低減することができる。出力軸366は、車内CV継ぎ手362と車外CV継ぎ手364との間の距離が、左右の車外CV継ぎ手364の間の距離の少なくとも約20%、好ましくは25%であるようにできるだけ短く作る。
【0110】
サブシャーシパッケージ300を取り付けるためには、通常、ブレーキの油圧ラインを接続する必要があるが、ブレーキバイワイヤの実施形態において、信号は電気的に、又は無線式で、又は他の信号通信メディアによって供給できる。
【0111】
サブシャーシパッケージ300の実施形態において、構造体の支持は梁状部材によってもたらされるが、別の実施形態において、主たる支持は、取り外し可能なパネルを有する箱等の密閉された板金構造体によってもたらすことができる。この構造体は、モータ又はモータ組み合わせが、車両トランクから又は下方から外すことで取り外せるように形作ることが好ましい。
【0112】
前述のように、制御システムは、電気車輪を駆動する能力を備えることができ、サブシャーシパッケージ300を適切な制御装置と共に従来のFWD車両に組み込むことによってAWD機能性を付加するようになっている。例えば、この機能性は電子式スタビリティコントロールを含む。この場合、操舵位置エンコーダを組み込んでコントローラに接続して、ドライバの操舵動作を知らせることが好ましい。サブシャーシ制御システムは、加速度計を備えることができ、車両のヨー加速度を知らせるようになっている。この点において、車両に対してトラクションコントロール、及び検討した性能強化の特徴に加えて、強化された電子式スタビリティコントロールを付加することができる。好適な実施形態において、後輪は、検出したヨー(加速度計から)及び操舵入力に基づいて車輪トルクを変更することで車両の制御をアシストする。ヨーの変化速度が操舵入力の変化に対応しない場合、コントローラは、補正を行うためにモータ318に加えられることになる差動トルクを計算する。この種のスタビリティコントロールのこのアルゴリズムは従来のAWDでも知られている。従って、詳細な説明は行わない。好適な実施形態において、サブシャーシパッケージ300に含まれる車輪サブセットが制御される。差動トルクは、所定の車速でドライバの操舵入力に起因する計算された所望のヨーレートと車両ヨーレート測定値との間のエラーに基づいてサブシャーシパッケージの車輪に加えられ、自動的に車両の回転速度を補正するようになっている。
【0113】
図18を参照すると、意図しない加速又は車両の飛び出しを防止するために、スロットル406は、異極性の抵抗器402及び404に接触する摺動子412及び414として組み込まれた2つの可変抵抗器に接続する摺動子支持部410からの一対の異極性信号を発生するようになっている。スロットルが一方側に動くと、抵抗器402及び404の各々からの増加電圧信号及び低下電圧信号の両信号を発生する。結果的に、一方の信号又は両方の信号経路417又は419が、電圧又は接地に接続することで、又は信号経路417、419の電圧降下が変わることで損なわれる場合、他方の信号経路417、419は、故障を特定するために利用可能な矛盾電気信号を供給できる。
【0114】
信号経路417からの信号は第1のコントローラ415へ供給され、第2の信号経路419からの信号は第2のコントローラ420へ供給される。第1及び第2のコントローラは、バッテリ管理コントローラ、モータコントローラ、監視コントローラ、ユーザインタフェースコントローラ、及び/又は他のエフェクタ、センサ、コントローラ、又はトランスデューサを含む、任意のコントローラとすることができる。
【0115】
第1及び第2のコントローラ415及び420の各々は、スロットルからのそれぞれの信号に応答して、ドライバが要求する指示加速度の指示値を発生する。例えば、指示値は、信号経路417、419上の電圧を示すデジタル形式振幅指示値とすることができる。駆動コントローラ430は、第1及び第2のコントローラ415、420からの信号を受信して、所定の許容範囲にあるか否かを決定する。許容範囲内にある場合、駆動コントローラ430は、指令された加速を実行する。許容範囲にない場合、アラーム信号の発生、電気駆動システムの無力化、内燃機関の停止、ブレーキをかける、車両をニュートラル状態にする、又はこれらの任意の組み合わせ等の種々の動作を実行できる。
【0116】
駆動コントローラの監視機能は、第1のコントローラ415と第2のコントローラ420のいずれかで実行できることに留意されたい。この場合、駆動コントローラは依然として存在するが、1つの信号だけを受信する。更に、第1のコントローラは、第2のコントローラの多重バス上のデータを監視して、第2のコントローラのデータを自身の計算値と比較して指令を実行することで、入力信号に対して適切な処置を取ることができる。第3のモジュールは、第1のコントローラへのスロットル信号が第2のコントローラの情報と一致する場合、第1のコントローラからの指令を受信する、内燃機関を制御できる決定ループとすることができる。
【0117】
図19を参照すると、モータ駆動コンピュータ520は、アルゴリズムに基づく変速装置の変速時に車両が滑らかに加速するようにトルクを追加するようフィードフォワード制御スキーム又はアルゴリズムを実行する。更に、スキームは、具現化されたシステムが自動変速機の変速時にエンジン回転数が意図しない高回転になるのを確実に防止するように、トルクを低減するのに利用できる。
【0118】
アルゴリズムは、車両の形式又は固有の車両のいずれかのために提供又は校正できるルックアップテーブル(LUT)515等のデータ単位の形態で格納されることが好ましい。モータ駆動コンピュータ520は、車両に電力を供給するのに必要な波形を発生するデジタルコントローラに対応する。変速時に車両の自動変速機又は手動変速装置は車両加速度の瞬間的な変化をもたらす場合がある。種々の運転状態に関する加速度vs時間プロファイルを予め決定することで、又は変速信号を得るために車両の多重ネットワークを監視することで、モータ駆動コンピュータは出力トルクを調節して不所望の加速度成分をキャンセルすることができる。変速に起因する加速度は、単純な足し算としてモデル化でき、これをキャンセルする付加トルクは、容易に計算できると共に、スロットル位置や電子式スタビリティコントロールのアルゴリズム等の別の制御入力及び/又は方法から導かれた目下の指令トルクに加えることが可能になる。
【0119】
モータ駆動制御コンピュータ520は、バッテリ管理装置501からの入力を受信できる。アルゴリズムは、特定のバッテリ状態では付加されない追加の相殺トルクを供給できる。また、モータ駆動制御コンピュータ520は、不所望の加速が現在の速度に依存する場合があるので、速度計503からの入力を受信できる。この場合、所要の相殺加速度は、経験的に又は理論的に導き出されて、異なる推定速度又は速度範囲に対応するデータ入力と共にLUT515に提供することができる。勿論、要求値は、ルックアップテーブル515等の定数から経験に基づいた式を用いて発生させた補間法により改良することができる。
【0120】
また、モータ駆動制御コンピュータ520は、スロットル505からの信号を受信できるが、スロットル505の位置は、モータ駆動制御コンピュータ520が発生する所要の相殺加速度に影響を与える可能性がある。別の方法として又は追加的に、エンジントルク、速度vs吸気圧、又は車内の多重バスで利用できる他の指示計等のエンジン要求の指示計は、同様の情報を複合アルゴリズムに提供できる。
【0121】
ヨー加速度及び他の姿勢情報等の操舵入力507及び車両加速度509は、アルゴリズムに加えることができる。これらの入力をアルゴリズムがどのように使用するかの実施例は、運転状況が後輪スリップに対応する場合、スリップし易い状況下で激しい操舵時に、トルクの増大分を瞬間的に相殺して起こりうる制御上の問題を回避できる。変速装置ステータス511は、所要の相殺加速度はどのギヤ段に係合されているかに依存するのでアルゴリズムに伝達できる。最後に、変速コントローラ513は、変速装置の振動がこの設定に依存する場合があるので、モータ駆動制御コンピュータ520に自身のステータスを供給できる。また、アルゴリズムは、手動変速装置に適用でき、変速コントローラ513からの信号は、どのギヤ段に何時係合されたかを示す必須機能を果たすことができる。
【0122】
前述の滑らかな変速をもたらす実施形態において、制御コンピュータ520を使用できることが想定されているが、説明した機能の多くは、他の種類のデジタル式コントローラ又はアナログ式コントローラを利用して得ることができることは明らかである。
【0123】
アクティブスタビリティコントロール(電子式スタビリティコントロールと呼ぶ場合も多い)は、ドライバの操舵入力及びブレーキ入力を車の応答性と比較する。車両の応答性は、横方向加速度センサ、回転(ヨー)加速度センサ又はエンコーダ、及び個々の車輪速から測定できるが、車輪速は、例えばアンチロックブレーキシステムの既存の車輪速センサから、又は前述のように時間微分した場合にモータ速度をもたらし車輪速を示すことができるモータ位置センサ等の他のソースから取得した信号から測定できる。サブシャーシ車輪以外の車輪の車輪速は、コントローラに接続可能な車両バスから取得できる。サブシャーシのアクティブスタビリティ制御システムは、自身のブレーキをかけること、又は必要に応じて各々の車輪に負(回生)トルク信号を提供してアンダーステア(plowing)又はオーバーステア(fishtailing)の補正を助けることができる。アクティブスタビリティコントロールに加えて、加速状態での駆動輪のスリップを検出することで全速度トラクションコントロールを提供できる。スリップ車輪にブレーキをかけること、及び/又はモータ出力を低減することができる。更に、コントローラが慣性エネルギを貯蔵電気エネルギに変換して車輪をロック状態にする回生制動を実行する場合、コントローラは電気式ABS機能をもたらすことが好ましい。この状態は、例えば、車輪スリップを計算車速と比較することで、又は車輪速(又は等価車輪スピン)の変化速度で検出できる。ABS機能は、ブレーキ力をパルス制御することで及び/又はモータ駆動車輪に加わるトルクを調節することで実行できる。
【0124】
前述の実施形態はハイブリッドの利点をもたらすので、ハイブリッドに関連する多数の技術を現在の駆動システムに適用できることは容易に理解できる。ハイブリッドシステムにおいて、電気駆動装置の使用は管理システムの制御の下にある。しかしながら、このシステムは、市街地走行と高速道路走行とを区別する必要があるが、これは車両で利用できる一般的な入力に基づいて推定できる。しかしながら、スイッチによる運転者ユーザインタフェースにより、車両が完全電気モードで作動することが可能にすなる。後者は、システムが完全電気モードで作動するように指令する別の又は好ましい方法である。
【0125】
1つの実施形態において、車両の動力装置は、車両に連結するための取付け部の取付け具を備えるシャーシを有している。少なくとも1つのモータは、該モータが発生したトルクをシャーシが受け止めるようにシャーシに支持されている。シャーシはトルクを取付け部の取付け具を介して車両に伝達する。例えば、取付け部の取付け具は車両のメインシャーシ又は単一ボディ又はサスペンションマウントのハードポイントとすることができる。シャーシは、ホイールマウントをシャーシに対して移動可能に結合するサスペンション部を有する。サスペンション部は、通常は車両に関連するサスペンション部品の幾つか又は全てに置き換わり、本実施形態が既存の車両デザインの追加/置換である場合、結果的に元のサスペンションが配置された箇所の車両部分を占めるサスペンションに置き換わる。ホイールマウントは、車両の進行方向軸に対して左右面において分かれている(つまり車両の両側)。シャーシは、互いに直交する垂直面及び前後面を有し、各々は左右面に対して直交し、各々は1メートル以内である。
【0126】
別の実施形態において、前述の動力装置は、サスペンション部が1本のスプリング又はそれ以上のスプリングを含むようになている。スプリングの実施例としては、リーフスプリング、ヘリカルスプリング、スプリングのように機能する空気袋を備えたエアサスペンション、又はこれらの任意の組み合わせを挙げることができる。別の実施形態において、前述の動力装置は、自立型ユニットとして、シャーシ、少なくとも1つのモータ、サスペンション部、及びホイールマウントが取り付け及び取り外しできるようになっている。スプリングは自立型ユニットの一部として含むことができる。シャーシの車両への取付け部は、例えば4、6、又は8つの突起部によって提供でき、これは通常従来の車両サスペンションを取り付けるために使用する。この突起部は例えばヒンジ部とすることができる。
【0127】
別の実施形態において、2つのモータが使用され、各々はホイールマウントのそれぞれを駆動するように連結される。モータは、スプリング及びサスペンション部を備える又は備えない自立型ユニットに含めることができる。モータバッテリはシャーシに連結することができる。モータバッテリは、少なくとも1メガジュールの容量を有することが好ましい。単数又は複数のモータをモータバッテリに接続する少なくとも1つの導体及び少なくとも1つのスイッチを備えることができる。別の実施形態において、バッテリ及び関連の構成部品は、自立型ユニットの一部として設けることができる。
【0128】
シャーシは、単数又は複数のモータへのアクセスを可能にするアクセス開口を備えることが好ましい。1つの実施形態において、シャーシは、単数又は複数のモータを目視又は取り外すのに十分な大きさのアクセス開口を備える側面を有している。シャーシは、溶接された板金ボックス、トラスフレーム、又はこれらの組み合わせとすることができる。別の方法として、例えば、ガラス繊維、カーボン繊維、又は任意の構造体を含む複合構造体とすることができる。アクセス開口は、シャーシを車両に取り付けた状態でアクセスできるように配置されている。
【0129】
単数又は複数のモータは各ホイールマウントの間の中心にあることが好ましい。2つのモータを備える実施形態において、各々のモータは、原動力をそれぞれのホイールマウントに付与する可変長シャフトを介してそれぞれのホイールマウントに連結されている。例えば、可変長シャフトはボールスプラインシャフトとすることができる。このシャフトは、口語的にはハーフシャフトと呼ばれているものであり寸法で特徴付けされる。このことは、関連の構成部品を備える大型のシャーシ寸法に適応するように行うことができる。シャフト及びホイールマウントは自立型シャーシに含めることができる。
【0130】
インバータ及びモータバッテリはヒートシンクを備えることができる。これらはシャーシに取り付けることができ、別々に搭載される。また、バッテリ容量は少なくとも1メガジュールであり、少なくとも1つの導体及び少なくとも1つのスイッチは、単数又は複数のモータをモータバッテリに接続する。インバータの容量は、少なくとも1キロワットである。バッテリ、インバータ、少なくとも1つの導体、スイッチ、少なくとも1つのモータ、サスペンション部、及びホイールマウントは、シャーシと結合して自立型ユニットを形成することができる。
【0131】
モータコントローラを備えることができる。モータコントローラは、車輪速又は等価のものを示す信号を受信するようになった入力部を有する。モータコントローラはシャーシ上で他の構成部品と結合して自立型ユニットを形成すること、又は車両に別々に組み込むことができる。単数又は複数のモータは出力伝達装置を有し、ホイールマウントを駆動するようになっている。単数又は複数のモータは、各々のホイールマウントに対するそれぞれの原動力出力を有し、コントローラは、車輪速入力に応答して各々のホイールマウントへの出力を制御するようになっている。2つのモータを使用するが、各々の出力が2つのモータのそれぞれの出力であることが好ましい。
【0132】
ヒートシンクを含む実施形態は、フィン、針状突起、又は他の表面拡大部等の熱交換機能部を更に含むことができる。表面拡大部の上を流れる空気流は、ヒートシンクを、車両の下部を流れる空気が熱交換器上を急速に移動するよう案内するといった方法で配置することで強化できる。このことは、例えば、表面拡大部を車両の前進移動で空気が押し込まれる通路に突出させることで行うことができる。もしくは、表面拡大部は、車両走行時に空気が自然に高速移動する車両の下側の領域に突出させることができる。特定の実施形態において、ダクトは、部分的に、車両の進行方向に向かう1つ又はそれ以上の開口を備えたダクトを形成するスキッドプレートで形作ることができる。
【0133】
別の実施形態において、車両の動力モジュールは、取付け部の取付け具を備え、少なくとも1つのモータを支持する自立型サブシャーシを含む。この支持は、少なくとも1つのモータが発生するトルクに起因するモーメントをサブシャーシが受け止めて取付け部の取付け具へ伝達するようになっている。2つのホイールマウントは少なくとも1つのモータで駆動されるように連結されている。取付け部の取付け具は、通常、2つの置き換え車輪(supplanted wheels)のサスペンション要素を車両フレームに取り付けるのに使用されるハードポイントに取り付け可能になっている。コントローラは、少なくとも1つのモータを制御して、少なくとも1つの好ましくはそれ以上の実行可能な機能をもたらすようになっている。少なくとも1つの機能としては、少なくとも1つのモータ以外のエンジンを備える車両の推進アシストを挙げることができる。このエンジンは、車両の2つの置き換え車輪以外の車輪に動力を供給できる。
【0134】
コントローラは、少なくとも1つのモータを制御して更にアクティブスタビリティコントロールを提供することが好ましい。少なくとも1つのモータは、2つの別個のモータを含み、各々は2つのホイールマウントのそれぞれに連結される。この場合、好ましい構成において、コントローラは、両方のモータを制御してアクティブスタビリティコントロールを提供するようになっている。アクティブスタビリティコントロールは、追加的に又は別の方法として、システムに統合されたブレーキ手段による制動でもって制御される。
【0135】
コントローラは、車輪速入力部を有し、少なくとも1つのモータを制御して車輪速入力部に印加された信号に応答するアクティブトラクションコントロールを提供するようになっていてもよい。速度入力部は車両のデータバスに接続して、動力モジュールのホイールマウントに取り付いた車輪以外の車輪の速度を示す信号を受信することができる。
【0136】
コントローラは、車輪速入力部を有し、少なくとも1つのモータを制御して車輪速入力部に印加された信号に応答するアンチロックブレーキコントロール提供するようになっていてもよい。速度入力部は車両のデータバスに接続して、動力モジュールのホイールマウントに取り付いた車輪以外の車輪の速度を示す信号を受信することができる。
【0137】
前述の実施形態はモータバッテリを含むことができ、少なくとも1つのモータは選択的にバッテリを充電するジェネレータとして機能する。モジュールはインバータを含み、両者はシャーシに取り付いている。モータバッテリは、少なくとも1メガジュールの容量を有し、少なくとも1つの導体及び少なくとも1つのスイッチは、少なくとも1つのモータをモータバッテリに接続するようになっている。インバータは少なくとも1キロワットの容量を有することが好ましい。モジュールの重さは100キログラム未満であることが好ましい。
【0138】
開示された実施形態の変形例において、サブシャーシは、該サブシャーシのバッテリの再充電の外部の有効な手段を得るために、マイルドハイブリッドシステムの元の車両デザインの一部であるレガシージェネレータに接続することができる。別の変形例において、レガシージェネレータは、電気推進モジュールの大容量バッテリを充電するために、追加の発電容量を与えるようにアップグレードできる。
【0139】
別の実施形態にいて、車両の動力装置は2つのモータを有し、2つのモータを車両の中央付近に支持するようになった支持部を有している。ホイールマウント及び2つのモータの各々のドライブシャフトは、モータからの動力をそれぞれの車輪に与える。クラッチはつのモータ間を結合して2つのモータ間にトルクを分配する。支持部はモータを支持するが、各モータの軸が車両の左右面において一致するようになっている。クラッチは連続スリップを維持できる。また、追加の実施形態において、クラッチは選択的に係合可能である。
【0140】
コントローラは、アクセルからのアクセル信号を受信して、アクセル信号に応答して2つのモータの原動出力及びクラッチを制御できる。コントローラは、少なくとも1つのアクセル信号に関してクラッチが係合されるように構成できる。コントローラは、更に又は別の方法で、アクセルからのアクセル信号を受信して、アクセル信号に応答して2つのモータの原動出力を制御できる。加速度計の出力はコントローラへ入力され、コントローラは、加速度信号に応答して2つのモータの原動出力を制御して、アクティブスタビリティコントロールを提供するようになっている。2つのモータ及びクラッチは一緒に収容でき、ステータ及びロータは共通ハウジングでつながり、各ロータを相互接続するクラッチを備えている。
【0141】
コントローラは、車輪速信号(又は等価信号)を受信して、車輪速信号に応答して2つのモータの原動出力を制御するようになっている。コントローラは、車輪速(又は等価)信号に応答して、特に、トラクションコントロール又はアンチロックブレーキコントロールを提供できる、
【0142】
別の実施形態において、車両は、少なくとも4つの車輪のそれぞれのサスペンションを取り付けるための少なくとも4セットのハードポイントをもつフレームを有する。サブシャーシは、ハードポイントセットの2つに結合する取付け部の取付け具を有し、少なくとも4つの車輪のそれぞれのうちの2つに置き換わる。ハードポイントセットの2つは、車両の前進/後進方向の軸と直交する方向に分かれている。少なくとも1つのモータはサブシャーシで支持されており、モータが発生するトルクをシャーシで受け止めて、このトルクをハードポイントセットの2つに伝達するようになっている。サスペンション部は、ホイールマウントをサブシャーシへ移動可能に連結する。サブシャーシ、少なくとも1つのモータ、ホイールマウント、及びサスペンション部は、自立型ユニットとして取り付け及び取り外し可能である。
【0143】
サスペンション部は少なくとも1つのスプリングを含むことができる。少なくとも1つのモータは少なくとも2つのモータを含み、各々はそれぞれのホイールマウントを駆動するように連結されている。モータバッテリはサブシャーシに連結することができる。モータバッテリは、少なくとも1メガジュールの容量を有し、少なくとも1つの導体及び少なくとも1つのスイッチは、少なくとも1つのモータをモータバッテリに接続するようになっている。
【0144】
また、サブシャーシは、サブシャーシに対して取り付け及び取り外し可能な自立型ユニットの一部としてモータバッテリを含むことができる。サブシャーシは、サブシャーシを車両に取り付けた状態でモータを取り外すことができる寸法とされた、側面開口部を有することができる。
【0145】
シャーシの車両への取付け部は、例えば4、6、又は8つの突起部によって提供でき、これは通常従来の車両サスペンションを取り付けるために使用する。この突起部は例えばヒンジ部とすることができる。
【0146】
別の実施形態において、2つのモータが使用され、各々はそれぞれのホイールマウントに連結されて駆動するようになっている。モータは、スプリング及びサスペンション部を備える又は備えない自立型ユニットに含めることができる。モータバッテリはシャーシに連結することができる。モータバッテリは少なくとも1メガジュールの容量を有することが好ましい。単数又は複数のモータをモータバッテリへ接続する、少なくとも1つの導体及び少なくとも1つのスイッチを備えることができる。別の実施形態において、バッテリ及び関連の構成部品を自立型ユニットの一部として備えることができる。
【0147】
シャーシは、単数又は複数のモータへのアクセスを可能にするアクセス開口を備えることが好ましい。1つの実施形態において、シャーシは、単数又は複数のモータを目視又は取り外すのに十分な大きさのアクセス開口を備える側面を有している。シャーシは、溶接された板金ボックス、トラスフレーム、又はこれらの組み合わせとすることができる。別の方法として、例えば、ガラス繊維、カーボン繊維、又は任意の構造体を含む複合構造体とすることができる。アクセス開口は、シャーシを車両に取り付けた状態でアクセスできるように配置されている。
【0148】
単数又は複数のモータは各ホイールマウントの間の中心にあることが好ましい。2つのモータを備える実施形態において、各々のモータは、原動力をそれぞれのホイールマウントに付与する可変長シャフトを介してそれぞれのホイールマウントに連結されている。例えば、可変長シャフトはボールスプラインシャフトとすることができる。このシャフトは、口語的にはハーフシャフトと呼ばれているものであり寸法で特徴付けされる。このことは、関連の構成部品を備える大型のシャーシ寸法に適応するように行うことができる。シャフト及びホイールマウントは自立型シャーシに含めることができる。
【0149】
インバータ及びモータバッテリはヒートシンクを備えることができる。これらはシャーシに取り付けることができ、別々に搭載される。また、バッテリ容量は少なくとも1メガジュールであり、少なくとも1つの導体及び少なくとも1つのスイッチは、単数又は複数のモータをモータバッテリに接続する。インバータの容量は、少なくとも1キロワットである。バッテリ、インバータ、少なくとも1つの導体、スイッチ、少なくとも1つのモータ、サスペンション部、及びホイールマウントは、シャーシと結合して自立型ユニットを形成することができる。
【0150】
モータコントローラを備えることができる。モータコントローラは、車輪速又は等価のものを示す信号を受信するようになった入力部を有する。モータコントローラはシャーシ上で他の構成部品と結合して自立型ユニットを形成すること、又は車両に別々に組み込むことができる。単数又は複数のモータは出力伝達装置を有し、ホイールマウントを駆動するようになっている。単数又は複数のモータは、各々のホイールマウントに対するそれぞれの原動力出力を有し、コントローラは、車輪速入力に応答して各々のホイールマウントへの出力を制御するようになっている。2つのモータを使用するが、各々の出力が2つのモータのそれぞれの出力であることが好ましい。
【0151】
ヒートシンクを含む実施形態は、フィン、針状突起、又は他の表面拡大部等の熱交換機能部を更に含むことができる。表面拡大部の上を流れる空気流は、ヒートシンクを、車両の下部を流れる空気が熱交換器上を急速に移動するよう案内するといった方法で配置することで強化できる。このことは、例えば、表面拡大部を車両の前進移動で空気が押し込まれる通路に突出させることで行うことができる。もしくは、表面拡大部は、車両走行時に空気が自然に高速移動する車両の下側の領域に突出させることができる。特定の実施形態において、ダクトは、部分的に、車両の進行方向に向かう1つ又はそれ以上の開口を備えたダクトを形成するスキッドプレートで形作ることができる。
【0152】
別の実施形態において、車両は、第1の2つの車輪を駆動するマイルドハイブリッドエンジンを有する。マイルドハイブリッドエンジンは、マイルドハイブリッドエンジンの最低又はゼロ運転要求の期間中に燃料が消費されないように、自動的に停止及び始動するようになっている。フレーム及びサブシャーシはフレームに取り付けられる。少なくとも1つのモータは、サブシャーシで支持され、モータが発生したトルクはシャーシで受け止められ、フレームにトルクを伝達するようになっている。再充電可能なバッテリは少なくとも1つのモータに接続され、電力を供給するようになっている。サブシャーシの動力伝達装置により、少なくとも1つのモータはサブシャーシに支持される第2の2つの車輪を駆動できる。コントローラは、少なくとも1つのモータを制御することで推進アシストを実行でき、車両の運転時、並びに回生制動及びバッテリの再充電時に、イルドハイブリッドエンジンの最大全出力の少なくとも15%を供給するようになっている。少なくとも1つのモータは2つのモータであり、各々は、第2の2つの車輪のそれぞれに連結して駆動する。バッテリは、少なくとも1メガジュールの容量を有することが好ましい。サブシャーシは、サブシャーシを車両に取り付けた状態で、少なくとも1つのモータを取り外すことができる寸法をもつ側面開口部を有することが好ましい。サブシャーシは自立型ユニットを形成することができ、車両のハードポイントに取り付けること、又はそこから取り外すことができ、大幅な「改造」を行うことなく、既存の車両デザインを変更することが可能になる。また、サブシャーシは、第2の2つの車輪を支持するサスペンションを含むことができる。第2の2つの車輪の各々のブレーキはコントローラで制御でき、操舵入力及び車両ヨー検出に応答してブレーキを制御することでアクティブスタビリティコントロールを提供できる。
【0153】
開示された実施形態は、荒れ模様の天気の間、車両が不安定であることが検出された場合の安定性向上の間、加速性能を改善する推進アシストの間、特定の運転サイクルにおける燃料節約の改善の間、及び実施形態の開示内容で明らかになる他の特性の間に路上のAWD機能を提供する、電気式後輪出力をもたらす。
【0154】
以下の用途は車両の後側に付加されたシステムを備えるFWDアーキテクチャを想定しているが、当業者であれば、本明細書で定義するシステムは、本来ならRWD構成の車両の前側に付加できること、又は本来ならバッテリ式電気車両又はシリーズハイブリッド車両の前側又は後側に付加できることが容易に分かるはずである。
【0155】
1つの実施例として、バッテリ電力貯蔵容量及び他のパラメータは、前輪が低摩擦係数路面(0.3又はそれ以下)にある状態で、回生制動以外の外部ソースからの発電なしにフルブレーキングから0mphに続いて、過熱又は構成部品の損傷を生じることなく、少なくとも15回の連続フルスロットル推進アシストを行うのに十分なものである。
【0156】
別の例示的な実施形態において、システム構成部品は、EPAシティーサイクル(City Cycle)(図21A参照)で運転中に、5回の連続サイクルに関して、回生制動以外の外部ソースからの発電なしに、過熱又は構成部品の損傷を生じることなく、全ての加速及び回生制動に関して最大電力を供給するように選択されている。図21Aにおいて、上側の曲線27は加速度を示し、下側の曲線29は、停止及び発進の都市型運転シナリオでの速度を示す。本実施形態の変形例において、全ての加速及び回生制動に関する最大電力は、外部ソース(内燃機関の軸等の推進モジュール以外のソース)からの最大5kWの発電を伴う無制限のサイクル数のEPAシティーサイクル(図21A参照)での運転中にもたらされる。
【0157】
別の変形例において、実施形態は、全ての利用可能な全システムトルクの少なくとも75%のレベルの、及び例えば60mphから0mphへの制動時に利用可能な運動エネルギの少なくとも30%を回収して貯蔵できるレベルの回生制動をもたらす。別の変形例において、実施形態は、連続95mphの無負荷最高速度をもたらすことができる。
【0158】
推進モジュールは、最小限の車両の修正及び改造でもって利用可能な車両に適合するような寸法であることが好ましい。スペアタイヤの縦穴空間が好ましい場所である。他の可能性は、図23を参照して以下に説明するよう、随意的にドライブシャフトと一緒にハブモータを用いることである。例示的な実施形態において、構成部品は、既存の車両(エネルギ貯蔵部を含まない)への追加重量が100kgを超えないように選択する。追加の構成部品はボンネット又はトランクを開けない限り車両の外側からは可視できず、8インチの地上クリアランスが確保されている。
【0159】
電気推進モジュールを使用する方法は、以下の段階の幾つかの段階又は以下の段階よりも多い段階をのを含む(順番は無関係)。(1)電気推進モジュールを追加して修正するために対象車両を選択する段階。(2)取付け具を備えるサブシャーシを選択又は設計する段階。取付け具は、対象車両のサスペンションハードポイント又は取付け部の取付け具の、取付け具又は部品に取り付くことができる。サブシャーシ又は対象車両の取付け具は、1つ又はそれ以上のボルト、突起部、フック、フック、パッド(溶接又は接着取付け部に関して)、補強フレーム部材、又は任意の適切な取付け具又は部品等の、任意の適切な形式を含むことができる。(3)取り付け時に電気推進モジュールへ適合するように対象車両を機械的に修正する段階。修正する段階は、取り外す段階、置換する段階、及び/又は板金構造体、スペアタイヤ縦穴等の部品を変更する段階を含む。もしくは、車両の部品は、修正が必要ないように、電気推進モジュールに適合するように設計することもできる。(4)推進モジュールコントローラを対象車両のデータバスへ接続する等によって、推進モジュールコントローラを対象車両のセンサ及び/又はコントローラへのインタフェースへ接続する段階。この取付けにより、推進モジュールコントローラは、車輪速、エンジン状態等の対象車両の状態を示す信号、操舵、スロットル、変速装置、及び他の走行を制御可能な入力、及び推進モジュールが本明細書で説明する機能を果たすために必要な任意の他の情報を受信する。
【0160】
1つの実施形態において、ユーザコントロールを備え、推進アシストのレベルを選択できるようになっている。ユーザコントロールは、推進モジュールの最大出力の上限を定めるのに使用できる記憶値を与える。別の方法として又は追加的に、コントロールを備えてユーザが推進モジュールの出力を割り引く比例定数を選択できるようにすることができる。
【0161】
1つの実施形態において、動力伝達装置及びサスペンション全体は、サブシャーシパッケージのモジュール化構造体を、標準構成においてサスペンションのみを取り付けるのに使用するボディ部又はシャーシ部へ単純に取り付けることによって、既存のプラットホームに取り付ける。サスペンション取り付け部又はハードポイントの構成は車両毎に様々であるが、モータ及び歯車装置を含む動力伝達装置及び車輪サスペンション全体のための取り付けをもたらす構造体の構成部品は、多種多様な車両に適用できることが要求される。特定の好適な実施形態において、各モータは独立しており、左右車輪の各々を独立に駆動する。別の好適な実施形態において、サブシャーシパッケージは、同様に2つの独立モータを結合するクラッチを含んでいる。別の好適な実施形態において、独立したロータ及びステータは1つのケーシング又はサポートに一緒に収容されている。本実施形態において、クラッチは、同様に1つのケーシングに一緒に収容されることが好ましい。本実施形態の好適な変形例において、この一緒に収容されたモータの実施形態は、エンコーダ及びリゾルバ等の位置センサの追加要素を含む。
【0162】
別の実施形態において、車両の動力装置は、進行方向をもち、車両に連結可能であり駆動構成部品として機能する。動力装置は2つのモータを有し、2つのモータを支持する支持部を備え、各々のモータはそれぞれのホイールマウントを駆動するようになっている。ホイールマウントは、動力装置を取り付けた状態で車両の反対側にあるように分離されている。クラッチは2つのモータ間に結合して両者間にトルクを伝達する。本実施形態の変形例において、クラッチは連続スリップを維持するようになっている。更に、クラッチは、連続スリップを維持すると共に係合できることが好ましい。
【0163】
別の実施形態において、加速指令に対応する信号を受信するコントローラを備える。コントローラは、この信号に応答して2つのモータの原動出力及びクラッチを制御する。コントローラは、信号の少なくとも1つの状態に関してクラッチを係合するようになっていることが好ましい。特定の実施形態において、コントローラは、信号が閾値レベルよりも大きな加速であることを示す場合にクラッチを係合するようになっている。別の方法として又は追加的に、別の実施形態において、コントローラは、アクセルからのアクセル信号を受信して、アクセル信号に対応して2つのモータの原動出力を制御するようになっている。前述の実施形態の特徴によれば、加速度計はコントローラに加速度信号出力を印加する。コントローラは、2つのモータの原動出力を制御して、加速度信号に応答するアクティブスタビリティコントロールを提供する。コントローラは、車輪速に対応する信号を受信して、この信号に応答してクラッチを制御するようになっていることがが好ましい。また、コントローラは、車輪速に対応する信号を受信して、この信号に応答してクラッチ及びモータを制御するようになっていることがが好ましい。
【0164】
前述の変形例である特定の実施形態において、2つのモータ及びクラッチはステータ及びロータと一緒に収容されており、ステータ及びロータは共通ハウジングで一体になっており、クラッチは各ロータを相互接続している。
【0165】
1つの実施形態において、電磁クラッチは、第1及び第2のロータを有し、両者は付勢部材によって近づく方向又は離れる方向に駆動される。第1及び第2のロータは、軸方向の距離の変化に従って両者間のトルク結合量を変える相互作用要素を有する。ステータは一次巻き線を有し、第1のロータは、一次巻き線が発生する磁界に磁気結合する二次巻き線を有する。磁気回路の第1の部分を備える電磁石は、第1のロータに取り付けられている。磁気回路の第2の部分は第2のロータに取り付けられ、及び電磁石が電流で励起されると、第1及び第2のロータが付勢部材に抗し近づく方向又は離れる方向に移動するように配置されている。電磁石は二次巻き線に接続して、二次巻き線からの電流で励起されることになる。
【0166】
クラッチの機能に関して、第1及び第2のロータは、両者の軸方向距離が変化すると両者間のトルク結合量が変わるように、共同で磁気渦電流ブレーキを形成する。第1及び第2のロータは、第1及び第2のロータの間の距離が所定の距離に達する場合に相互にロックする相互係合部材を有することが好ましい。
【0167】
クラッチの別の実施形態において、電磁クラッチは、第1及び第2のトルク結合要素を有し、クラッチ作動巻き線に電流を発生させることで、トルク結合は電磁的に起こる。この実施形態において、トルク結合要素の一方は二次巻き線をもち、該二次巻き線は前記一次巻き線に磁気結合した一次巻き線で励起される。二次巻き線は、一次巻き線が励起されるとクラッチが作動して結果的にトルク結合は起こるように、クラッチ作動巻き線に電流を供給する。
【0168】
別の実施形態において、加速コントローラは、第1及び第2のプログレッシブ信号をそれぞれ発生する第1及び第2のプログレッシブ入力装置に接続されたユーザ作動入力部材を有し、第1及び第2の信号は異極性である。加速指令発生器は、第1及び第2の信号に応答して、第1及び第2の信号が所定の関係を有する各信号レベルになった場合のみ、加速指令信号を発生するようになっている。入力部材は、車両のアクセルコントロールを含むことが好ましい。入力装置は、例えば可変抵抗器を含み、この場合、可変抵抗器は電気的に異極性の抵抗と、該抵抗に接触する摺動子を有することができる。アラーム信号発生器を加速コントローラに設けることができる。アラーム信号発生器を備えるアラーム装置は、第1及び第2の信号に応答して、信号が所定の関係に範囲外になった場合にアラームを発生することが好ましい。全ての実施形態において、加速指令プログレッシブ信号であることが好ましい。
【0169】
開示された実施形態は、公知の車両アーキテクチャの欠点に対する解決策を提供できる。しかしながら、当業者であれば、これらの及び他の詳細、機能、及び利点は、前記の説明、添付の図面を参照すればより明らかになることを容易に理解できるはずである。
【0170】
本発明は、特定の実施形態、複数の変形例、及び変更例を参照して説明されているが、本発明の範囲及び範疇を逸脱することなく、特許請求の範囲に定義したように、説明された実施形態を変更することも可能である。従って、本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求項に記載の文言及びその均等物の全ての範囲にあるものである。
【図面の簡単な説明】
【0171】
【図1】好適な実施形態による電気推進車軸の概略図である。
【図2】横置き直列4気筒内燃機関を有する前輪駆動(FWD)車両の基本アーキテクチャに追加される電気推進車軸の概略図である。
【図3】縦置きV型10気筒内燃機関を有する後輪駆動(RWD)車両の基本アーキテクチャに追加される電気推進車軸の概略図である。
【図4】電気式全輪駆動(AWD)車両の電気推進車軸の概略図である。
【図5A】図3の実施形態に適合する電気推進車軸の断面図であり、別々に収容されたモータを備えている。
【図5B】図3の実施形態に適合する電気推進車軸の断面図であり、単一のハウジング内に2つのモータを備えている。
【図6A】非係合又は不完全係合状態の電磁クラッチユニットの断面図である。
【図6B】完全係合状態の電磁クラッチユニットの断面図である。
【図7A】電磁クラッチの実施形態に基づくアクティブ及びパッシブロータの正面図である。
【図7B】電磁クラッチの実施形態に基づくアクティブ及びパッシブロータの正面図である。
【図7C】電磁クラッチの実施形態に基づくアクティブ及びパッシブロータの側面図である。
【図8】好適な実施形態による電磁クラッチ用のドライバを示す回路図である。
【図9】動力伝達装置構成部品、及び関連の電力電気ハードウェア及び制御ハードウェアを備えるサブシャーシの上側面図である。
【図10】動力伝達装置構成部品、及び関連の電力電気ハードウェア及び制御ハードウェアを備えるサブシャーシの下側面図である。
【図11】動力伝達装置の構成部品及び関連のパワーエレクトロニクス及びコントロールハードウェアを有するサブシャーシの上後面図であり、特定のサスペンション及び車輪構成部品も示されている。
【図12】図11の特定の部材の拡大図である。
【図13】動力伝達装置の構成部品及び関連のパワーエレクトロニクス及びコントロールハードウェアを有するサブシャーシの上面図である。
【図14】動力伝達装置の構成部品及び関連のパワーエレクトロニクス及びコントロールハードウェアを有するサブシャーシの下面図である。
【図15】モータ、クラッチ、及びエレクトロニクス及びコントロール構成部品を取り外した状態のサブシャーシの上面図である。
【図16】動力伝達装置の構成部品及び関連のパワーエレクトロニクス及びコントロールハードウェアを有するサブシャーシの前側面図である。
【図17】動力伝達装置の構成部品を有するが関連のパワーエレクトロニクス及びコントロールハードウェアが無いサブシャーシの側面図である。
【図18】不意の加速を防止する装置を示す。
【図19】センサを備えた制御システムを示す。
【図20】マイルドハイブリッドパワー構成の特徴部を含む、サブシャーシ組立体が取り付けられた車両を示す。
【図21A】市街地走行時に測定した加速及び速度カーブを示す。
【図21B】ジェネレータ励起の2つの異なる値に関する、クラッチ力と空隙との間の関連を示すが、空隙はジェネレータロータとクラッチの歯プレートとの間の空隙である。
【図22】パワーエレクトロニクス構成部品のヒートシンクと共に空気ダクトの一部を形成するスキッドプレートを示す。
【図23】ハブモータを用いた電気推進モジュールを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の動力装置であって、
第2の取付け部の取付け具に連結する第1の取付け部の取付け具を備え、サスペンションを対象車両に取り付けるために使用されるシャーシと、
前記シャーシによって支持され、該シャーシがモータの発生トルクを受け止めて前記取付け具を介して車両にトルクを伝達するようになっている、少なくとも1つのモータと、
左右面で隔てられている2つのホイールマウントを前記シャーシに移動可能に連結するサスペンション部と、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記サスペンション部が、少なくとも1つのスプリングを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1及び第2の取付け部の取付け具を取り付け及び取り外しすることによって、前記シャーシ、少なくとも1つのモータ、サスペンション部、少なくとも1つのスプリング、及びホイールマウントが、自立型ユニットとして取り付け及び取り外しできることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1及び第2の取付け部の取付け具を取り付け及び取り外しすることによって、前記シャーシ、少なくとも1つのモータ、サスペンション部、及びホイールマウントが、自立型ユニットとして取り付け及び取り外しできることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つのモータが、少なくとも2つのモータを含み、各々は連結してそれぞれのホイールマウントを駆動するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第1及び第2の取付け部の取付け具を取り付け及び取り外しすることによって、前記シャーシ、モータ、サスペンション部、及びホイールマウントが、自立型ユニットとして取り付け及び取り外しできることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記シャーシに連結され、少なくとも1メガジュールの容量をもつモータバッテリと、前記少なくとも1つのモータを前記モータバッテリに接続する少なくとも1つの導体及び少なくとも1つのスイッチとを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記第1及び第2の取付け部の取付け具を取り付け及び取り外しすることによって、前記シャーシ、前記モータバッテリ、サスペンション部、及びホイールマウントが、自立型ユニットとして取り付け及び取り外しできることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記シャーシが、該シャーシが車両に取り付いた状態で前記モータを取り外すことができる寸法のオープンサイドを有していることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記第1及び第2の取付け部の取付け具を取り付け及び取り外しすることによって、前記シャーシ、少なくとも1つのモータ、サスペンション部、及びホイールマウントが、自立型ユニットとして取り付け及び取り外しできることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記シャーシ及び前記取付け部の取付け具は、突出部への取付け部として構成され、その数は4つ又はそれ以下であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記第1及び第2の取付け部の取付け具を取り付け及び取り外しすることによって、前記シャーシ、少なくとも1つのモータ、サスペンション部、及びホイールマウントが、自立型ユニットとして取り付け及び取り外しできることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記シャーシが、トラスを形成する部分を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つのモータが少なくとも2つのモータを含み、各々は連結してそれぞれのホイールマウントを駆動するようになっており、前記モータが前記ホイールマウントの間の中央に配置され、各々は可変長シャフトによってそれぞれのホイールマウントの一方に連結され、これによって原動力がそれぞれのホイールマウントの一方に加えられることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記第1及び第2の取付け部の取付け具を取り付け及び取り外しすることによって、前記シャーシ、モータ、サスペンション部、可変長シャフト、及びホイールマウントが、自立型ユニットとして取り付け及び取り外しできることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
インバータ及びモータバッテリを更に備え、両者は前記シャーシに連結され、前記バッテリは少なくとも1メガジュールの容量をもち、前記少なくとも1つのモータを前記モータバッテリに接続する少なくとも1つの導体及び少なくとも1つのスイッチを更に備え、前記インバータは少なくとも1キロワットの容量をもつことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記第1及び第2の取付け部の取付け具を取り付け及び取り外しすることによって、前記シャーシ、バッテリ、インバータ、少なくとも1つのモータ、サスペンション部、及びホイールマウントが、自立型ユニットとして取り付け及び取り外しできることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
ヒートシンク、インバータ、及びモータバッテリを更に備え、各々は前記シャーシに連結され、前記バッテリは少なくとも1メガジュールの容量をもち、前記少なくとも1つのモータを前記モータバッテリに接続する少なくとも1つの導体及び少なくとも1つのスイッチを更に備え、前記インバータは少なくとも1キロワットの容量をもつことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記第1及び第2の取付け部の取付け具を取り付け及び取り外しすることによって、前記シャーシ、バッテリ、インバータ、少なくとも1つの導体、スイッチ、少なくとも1つのモータ、サスペンション部、及びホイールマウントが、自立型ユニットとして取り付け及び取り外しできることを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項20】
車輪速を示す信号を受信するようになっているモータコントローラ及び入力部と、ホイールマウントを駆動する出力伝達装置とを更に備え、前記少なくとも1つのモータは、各々のホイールマウントに対するそれぞれの原動力出力部を有し、前記コントローラは、車輪速入力に応答して、各々のホイールマウントに対する出力を制御するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項21】
各々のホイールマウントのブレーキと、車両ヨー及び操舵入力信号を示す信号を受信するための入力部を有するコントローラとを備え、前記コントローラは、アクティブスタビリティコントロールを行うために前記車両ヨー信号及び操舵入力信号に応答して前記ブレーキを制御するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記少なくとも1つのモータは2つのモータであり、それぞれの原動力出力の各々は、2つのモータのそれぞれの出力であることを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項23】
前記第1及び第2の取付け部の取付け具を取り付け及び取り外しすることによって、前記シャーシ、モータコントローラ、バッテリ、インバータ、少なくとも1つの導体、スイッチ、モータ、サスペンション部、及びホイールマウントが、自立型ユニットとして取り付け及び取り外しできることを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項24】
熱交換機能をもつヒートシンク、及び前後方向に開口し空気通路を定めてダクトを形成するスキッドプレートを更に備え、熱交換面が前記空気通路に突出することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項25】
車両の動力モジュールであって、
取付け部の取付け具を備え、少なくとも1つのモータが発生するトルクに起因するモーメントを受け止めて前記取付け部の取付け具に伝達するように、少なくとも1つのモータを支持する自立型サブシャーシと、
少なくとも1つのモータに連結されて駆動される2つのホイールマウントと、
前記少なくとも1つのモータを制御して内燃機関を含む車両駆動装置の少なくとも推進アシストをもたらすようになっているコントローラと、
を備え、前記取付け部の取付け具が、車両のサスペンション支持部に取り付け可能になっていることを特徴とするモジュール。
【請求項26】
前記コントローラが、少なくとも1つのモータを制御してアクティブスタビリティコントロールをもたらすようになっていることを特徴とする請求項25に記載のモジュール。
【請求項27】
前記少なくとも1つのモータが2つのモータを含み、各々が前記2つのホイールマウントのそれぞれに連結されていることを特徴とする請求項25に記載のモジュール。
【請求項28】
前記コントローラが、前記モータを制御してアクティブスタビリティコントロールをもたらすようになっていることを特徴とする請求項27に記載のモジュール。
【請求項29】
前記コントローラが車輪速入力部を有し、少なくとも1つのモータを制御して車輪速入力部に印加される信号に応答するアクティブトラクションコントロールをもたらすことを特徴とする請求項25に記載のモジュール。
【請求項30】
バッテリを更に備え、前記少なくとも1つのモータが選択的に前記バッテリを充電するジェネレータとして機能することを特徴とする請求項25に記載のモジュール。
【請求項31】
前記シャーシに連結されたインバータ及びモータバッテリと、前記少なくとも1つのモータを前記モータバッテリに接続する少なくとも1つの導体及び少なくとも1つのスイッチとを更に備え、前記モータバッテリが少なくとも1メガジュール容量をもち、前記インバータが少なくとも1キロワットの容量をもつことを特徴とする請求項25に記載のモジュール。
【請求項32】
前記モジュールの重量が100キログラム以下であることを特徴とする請求項31に記載のモジュール。
【請求項33】
車両の動力装置であって、
車両内に支持するための支持部を備える2つのモータと、
前記2つのモータの各々に設けられるホイールマウント及びドライブシャフトと、
前記2つのモータに連結され両者の間でトルクを伝達するクラッチと、
を備え、前記ドライブシャフトの各々が、前記2つのモータのそれぞれ1つと前記2つのホイールマウントのそれぞれ1つとの間に連結されて前記ホイールマウントを回転させることを特徴とする装置。
【請求項34】
前記支持部が、モータ軸が車両の左右面で一致するように前記モータを支持するようになっていることを特徴とする請求項31に記載の装置。
【請求項35】
前記クラッチが連続スリップを維持できることを特徴とする請求項33に記載の装置。
【請求項36】
前記クラッチが連続スリップを維持できると共にロック可能であることを特徴とする請求項33に記載の装置。
【請求項37】
コントローラを更に備え、前記コントローラが、アクセルからのアクセル信号を受信して、前記アクセル信号に応答して前記2つのモータの原動出力及び前記クラッチを制御するようになっていることを特徴とする請求項33に記載の装置。
【請求項38】
前記コントローラが、少なくとも1つのアクセル信号に関して前記クラッチを係合するようになっていることを特徴とする請求項37に記載の装置。
【請求項39】
コントローラを更に備え、前記コントローラがアクセルからのアクセル信号を受信して、前記アクセル信号に応答して前記2つのモータの原動出力を制御するようになっていることを特徴とする請求項33に記載の装置。
【請求項40】
前記コントローラに印加される加速度信号を出力する加速度計を更に備え、前記コントローラは、前記2つのモータ原動出力を制御して、前記加速度信号に応答するアクティブスタビリティコントロールをもたらすことを特徴とする請求項33に記載の装置。
【請求項41】
前記コントローラが、車輪速信号を受信して、前記車輪速信号に応答して前記2つのモータの原動出力を制御することを特徴とする請求項33に記載の装置。
【請求項42】
前記コントローラが、車輪速信号を受信して、前記車輪速信号に応答して前記2つのモータの原動出力を制御してトラクションコントロールをもたらすことを特徴とする請求項33に記載の装置。
【請求項43】
前記2つのモータ及びクラッチが、ステータ及びロータと一緒に収容されており、前記クラッチが各ロータを相互に連結することを特徴とする請求項33に記載の装置。
【請求項44】
少なくとも4つのそれぞれの車輪のサスペンションを取り付けるために少なくとも4セットのハードポイントを有するフレームと、
車両の進行方向の前後方向軸に直交する方向に分割されたハードポイントセットの2つに連結する取付け部の取付け具を備えるサブシャーシと、
前記サブシャーシによって支持され、該シャーシがモータの発生トルクを受け止めて前記取付け具を介して前記ハードポイントセットの2つにトルクを伝達するようになっている、少なくとも1つのモータと、
ホイールマウントを前記サブシャーシに移動可能に連結するサスペンション部と、
を備え、前記サブシャーシ、少なくとも1つのモータ、ホイールマウント、及びサスペンション部が、自立型ユニットとして取り付け及び取り外し可能になっていることを特徴とする車両。
【請求項45】
前記サスペンション部が少なくとも1つのスプリングを含むことを特徴とする請求項44に記載の車両。
【請求項46】
前記少なくとも1つのモータが少なくとも2つのモータを含み、前記モータの各々が前記ホイールマウントのそれぞれに連結して駆動することを特徴とする請求項44に記載の車両。
【請求項47】
前記サブシャーシに連結し、少なくとも1メガジュールの容量を有するモータバッテリと、前記少なくとも1つのモータを前記モータバッテリに接続する少なくとも1つの導体及び少なくとも1つのスイッチとを更に備え、前記サブシャーシが、取り付け及び取り外し可能な自立型ユニットの一部として前記モータバッテリも含むことを特徴とする請求項44に記載の車両。
【請求項48】
前記サブシャーシが、該サブシャーシが車両に取り付いた状態で前記モータを取り外すことができる寸法のオープンサイドを有していることを特徴とする請求項44に記載の車両。
【請求項49】
前記サブシャーシ及び前記取付け部の取付け具は、突出部への取付け部として構成され、その数は4つ又はそれ以下であることを特徴とする請求項44に記載の車両。
【請求項50】
前記サブシャーシがトラスを形成する部分を有することを特徴とする請求項44に記載の車両。
【請求項51】
前記少なくとも1つのモータが少なくとも2つのモータを含み、各々は連結してそれぞれのホイールマウントを駆動するようになっており、前記モータが前記ホイールマウントの間の中央に配置され、各々は可変長シャフトによってそれぞれのホイールマウントの一方に連結され、これによって原動力がそれぞれのホイールマウントの一方に加えられ、更に、前記サブシャーシが取り付け及び取り外し可能な自立型ユニットの一部として前記可変長シャフトを含むことを特徴とする請求項44に記載の車両。
【請求項52】
インバータ及びモータバッテリを更に備え、両者は前記シャーシに連結され、前記バッテリは少なくとも1メガジュールの容量を有し、前記少なくとも1つのモータを前記モータバッテリに接続する少なくとも1つの導体及び少なくとも1つのスイッチを更に備え、前記インバータは少なくとも1キロワットの容量を有し、更に、前記サブシャーシが取り付け及び取り外し可能な自立型ユニットの一部として前記モータバッテリ及びインバータを含むことを特徴とする請求項44に記載の車両。
【請求項53】
ヒートシンク、インバータ、及びモータバッテリを更に備え、両者は前記シャーシに連結され、前記バッテリは少なくとも1メガジュールの容量を有し、前記少なくとも1つのモータを前記モータバッテリに接続する少なくとも1つの導体及び少なくとも1つのスイッチを更に備え、前記インバータは少なくとも1キロワットの容量を有し、更に、前記サブシャーシが取り付け及び取り外し可能な自立型ユニットの一部として前記モータバッテリ、ヒートシンク、及びインバータを含むことを特徴とする請求項44に記載の車両。
【請求項54】
車輪速を示す信号を受信するようになっているモータコントローラ及び入力部と、ホイールマウントを駆動する出力伝達装置とを更に備え、前記少なくとも1つのモータは、各々のホイールマウントに対するそれぞれの原動力出力部を有し、前記コントローラは、車輪速入力に応答して、各々のホイールマウントに対する出力を制御するようになっており、更に、前記サブシャーシが取り付け及び取り外し可能な自立型ユニットの一部として前記コントローラを含むことを特徴とする請求項44に記載の車両。
【請求項55】
車輪速を示す信号を受信するようになっているモータコントローラ及び入力部と、ホイールマウントを駆動する出力伝達装置とを更に備え、前記少なくとも1つのモータは、各々のホイールマウントに対するそれぞれの原動力出力部を有し、前記コントローラは、車輪速入力に応答して、各々のホイールマウントに対する出力を制御するようになっていることを特徴とする請求項44に記載の車両。
【請求項56】
前記少なくとも1つのモータは2つのモータであり、それぞれの原動力出力の各々は、2つのモータのそれぞれの出力であることを特徴とする請求項55に記載の車両。
【請求項57】
熱交換機能をもつヒートシンク、及び前後方向に開口し空気通路を定めてダクトを形成するスキッドプレートを更に備え、熱交換面が前記空気通路に突出することを特徴とする請求項44に記載の車両。
【請求項58】
燃料エンジンを備え、第1の2つの車輪を駆動するエンジン駆動装置であって、マイルドハイブリッドエンジンの最低又はゼロ運転要求の期間中に燃料が消費されないように自動的に燃料エンジンを停止及び始動するようになったエンジン駆動装置と、
フレームと、前記フレームに取り付けられたサブシャーシと、
前記サブシャーシによって支持され、該シャーシがモータの発生トルクを受け止めて前記フレームにトルクを伝達するようになっている、少なくとも1つのモータと、
前記少なくとも1つのモータに電力を供給するように接続された充電可能なバッテリと、
少なくとも1つのモータが前記サブシャーシによって支持された第2の2つの車輪を駆動できるようになっている、サブシャーシの動力伝達装置と、
前記少なくとも1つのモータを制御して、車両運転時並びに回生制動及びバッテリの充電時に、前記エンジン駆動装置の全最大出力の少なくとも15%を提供するように、推進アシストを実行するようになっているコントローラと、
を備えることを特徴とする車両。
【請求項59】
前記少なくとも1つのモータが少なくとも2つのモータを含み、各々は連結して前記第2の2つの車輪のそれぞれを駆動することを特徴とする請求項58に記載の車両。
【請求項60】
前記バッテリが少なくとも1メガジュールの容量を有することを特徴とする請求項58に記載の車両。
【請求項61】
前記サブシャーシが、該サブシャーシが車両に取り付いた状態で前記モータを取り外すことができる寸法のオープンサイドを有していることを特徴とする請求項58に記載の車両。
【請求項62】
前記サブシャーシが自立型ユニットであることを特徴とする請求項58に記載の車両。
【請求項63】
前記サブシャーシが、前記第2の2つの車輪を支持するサスペンションを含む自立型ユニットであることを特徴とする請求項58に記載の車両。
【請求項64】
前記第2の2つの車輪の各々のためのブレーキを更に備え、前記コントローラが、操舵入力及び車両ヨー検出に応答して、前記ブレーキを制御することによってアクティブスタビリティコントロールを更にもたらすようになっていることを特徴とする請求項58に記載の車両。
【請求項65】
自動車の製造方法であって、
2つの車輪を駆動する内燃機関式動力伝達装置を含むと共に通常サスペンション取付け機能部に適合する2つの非駆動輪を有する、既存の車両デザインのサスペンション取付け機能部に取り付けることになる、電気駆動装置の構成部品を有するサブシャーシを作る段階と、
完成車両を作るために前記サブシャーシを前記サスペンション取付け機能部に取り付ける段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項66】
前記取り付ける段階が、前記サブシャーシに適合するように前記車両を構成する段階を含むことを特徴とする請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記電気駆動装置の構成部品がモータを含むことを特徴とする請求項65に記載の方法。
【請求項68】
前記電気駆動装置の構成部品が2つのモータを含み、各々が車輪に連結して駆動することを特徴とする請求項65に記載の方法。
【請求項69】
前記サブシャーシに適合するように前記車両を改造する段階を更に含むことを特徴とする請求項65に記載の方法。
【請求項70】
進行方向を有し、駆動装置の構成部品として機能するように車両に結合可能な車両の動力装置であって、
それぞれのホイールマウントを駆動するようになっている2つのモータであって、該2つのモータを支持するようになっている支持部を有する2つのモータと、
前記動力装置が前記車両に搭載されると、前記車両の反対側になるように分かれる各ホイールマウントと、
前記2つのモータの間に連結して両者の間にトルクを伝達するクラッチと、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項71】
前記クラッチが連続スリップを維持するようになっていることを特徴とする請求項70に記載の装置。
【請求項72】
前記クラッチが連続スリップを維持すると共に係合可能になっていることを特徴とする請求項70に記載の装置。
【請求項73】
コントローラを更に備え、前記コントローラが、加速指令に応答する信号を受信して、前記信号に応答して前記2つのモータの原動出力及びクラッチを制御するようになっていることを特徴とする請求項70に記載の装置。
【請求項74】
前記コントローラが、前記信号の少なくとも1つの状態に関して前記クラッチを係合するようになっていることを特徴とする請求項73に記載の装置。
【請求項75】
前記コントローラが、前記信号が閾値レベルよりも高い加速度を示す場合に、該コントローラによってクラッチを係合するようになっていることを特徴とする請求項73に記載の装置。
【請求項76】
コントローラを更に備え、該コントローラが、アクセルからのアクセル信号を受信して、前記アクセル信号に応答して前記2つのモータの原動出力を制御するようになっていることを特徴とする請求項70に記載の装置。
【請求項77】
コントローラと、該コントローラに加速度信号を与える加速度計とを更に備え、前記コントローラが、前記加速度信号に応答して前記2つのモータの原動出力を制御してアクティブスタビリティコントロールをもたらすようになっていることを特徴とする請求項70に記載の装置。
【請求項78】
コントローラを更に備え、前記コントローラが、車輪速に対応する信号を受信して、前記信号に応答して前記クラッチを制御するようになっていることを特徴とする請求項70に記載の装置。
【請求項79】
コントローラを更に備え、前記コントローラが、車輪速に対応する信号を受信して、前記信号に応答して前記クラッチ及びモータを制御するようになっていることを特徴とする請求項70に記載の装置。
【請求項80】
前記2つのモータ及びクラッチが、ステータ及びロータと一緒に収容されており、前記クラッチが各ロータを相互に連結することを特徴とする請求項70に記載の装置。
【請求項81】
両者の間の軸距離が変動すると両者を結合するトルク総量を変化させる相互作用部材を有し、付勢部材によって相互に近づく方向に又は離れる方向に駆動される第1及び第2のロータと、
一次巻き線を有するステータ、及び一次巻き線が発生する磁界により磁気的に結合される二次巻き線を有する第1のロータと、
前記第1のロータに取り付けられた磁気回路の第1の部分と、前記第2のロータに取り付けられた磁気回路の第2の部分とを有し、電流が励起されると、前記第1及び第2のロータに前記付勢部材に抗する力を加えて、前記第1及び第2のロータを近づく方向に又は離れる方向に駆動するように配置された電磁石と、
を備える電磁クラッチであって、前記電磁石が、前記二次巻き線に結合されて、前記二次巻き線からの電流によって励起されることになることを特徴とするクラッチ。
【請求項82】
前記第1及び第2のロータは集合的に磁気渦電流ブレーキを形成し、両者の軸距離が変わると両者の間のトルク結合量が変化することを特徴とする請求項81に記載のクラッチ。
【請求項83】
前記第1及び第2のロータは、前記第1及び第2のロータの間の軸距離が所定に距離に達すると両者を係合する相互係合部材を有することを特徴とする請求項81に記載のクラッチ。
【請求項84】
両者の間のトルク結合がクラッチ作動巻き線に電流を発生することによって電磁的に作動される第1及び第2の回転部材を備える、電磁的に作動するクラッチ機構と、
一次巻き線を備えるステータ部材と、
を備えるクラッチであって、
前記第1の回転部材は、前記一次巻き線に磁気的に結合する二次巻き線を備え、前記一次巻き線内に励起電流が発生すると前記二次巻き線が励起されるようになっており、
前記二次巻き線は、前記クラッチ作動巻き線に電流が発生するように結合されており、前記一次巻き線が励起されると、前記クラッチ機構が作動して第1及び第2の回転部材の間のトルク結合がもたらされることを特徴とするクラッチ。
【請求項85】
それぞれが異極性をもつ第1及び第2のプログレッシブ信号を発生する、第1及び第2のプログレッシブ入力装置に連結され、ユーザが作動させる入力部材と、
前記第1及び第2の信号に応答して、前記第1及び第2の信号が所定の関係の信号レベルを有する場合のみ、加速指令信号を発生するようになっている、加速指令発生器と、
を備えることを特徴とする加速コントローラ。
【請求項86】
前記入力部材が、車両のアクセル操作手段を含むことを特徴とする請求項85に記載のコントローラ。
【請求項87】
前記入力装置が可変抵抗器を含むことを特徴とする請求項85に記載のコントローラ。
【請求項88】
前記入力装置が、電気的に異極性の抵抗器及び前記抵抗器に接触する摺動子をもつ可変抵抗器を含むことを特徴とする請求項85に記載のコントローラ。
【請求項89】
前記第1及び第2の信号に応答して、前記信号が所定の関係から外れるとアラームを発生するアラーム信号発生器を更に備えることを特徴とする請求項85に記載のコントローラ。
【請求項90】
前記加速指令がプログレッシブ信号であることを特徴とする請求項85に記載のコントローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21A】
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【図21B】
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【図22】
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【図23】
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【公表番号】特表2009−532277(P2009−532277A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504418(P2009−504418)
【出願日】平成19年4月3日(2007.4.3)
【国際出願番号】PCT/US2007/065865
【国際公開番号】WO2007/118082
【国際公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(508296484)ブルーウェイヴ システムズ エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】