説明

MOSトランジスタおよびその製造方法

【課題】ドレイン端側においてゲート絶縁膜の膜厚を増大させる構成のMOSトランジスタにおいて、オン抵抗を低減し、耐圧を向上させる。
【解決手段】高電圧トランジスタ10のゲート電極構造をチャネル領域CHを第1の膜厚で覆う第1のゲート絶縁膜12G1と、第1の膜厚よりも大きい第2の膜厚で覆う第2のゲート絶縁膜12G2とし、第1のゲート絶縁膜12G1上の第1のゲート電極13G1と、第2のゲート絶縁膜12G2上の第2のゲート電極13G2の構成とする。更に、第1のゲート電極13G1と前記第2のゲート電極13G2とは、前記第1のゲート絶縁膜12G1から延在する絶縁膜12HKで隔てられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下に説明する実施形態はMOSトランジスタおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる高電圧MOSトランジスタでは、特にチャネル領域のドレイン端近傍において大きな電界集中が発生しやすいため、ゲート絶縁膜のドレイン端における耐圧が重要である。このような高電圧MOSトランジスタは、例えば車載用途や電力用途などで使われることがある。
【0003】
高電圧MOSトランジスタは、集積回路中に論理回路などとともに集積化されるのが好ましいが、このような高電圧MOSトランジスタでは、ゲート絶縁膜を、論理回路で使われるトランジスタと同様に薄く形成し、一方、ドレイン端近傍における耐圧を向上させるために、ドレイン領域をゲート電極から大きく離間させ、その間にドリフト領域を形成する構成が使われている。このような構成の一例としてLDMOS(Laterally Diffused MOS)構造が挙げられる。例えば特許文献1あるいは2、さらに非特許文献1を参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6468870号
【特許文献2】特開2006−156990号公報
【特許文献3】特開2004−207517号公報
【特許文献4】特開2005−228906号公報
【特許文献5】特開2006−86272号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Contiero, C., etal., Proc. 2004 International Symposium on Power Semiconductor Devices &ICs, Kitakyushu
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、このようなLDMOS構造の高電圧MOSトランジスタでは、同時にオン抵抗の低減が望まれており、またさらに高電圧で動作できるように耐圧のさらなる向上が望まれている。
【0007】
例えば特許文献1に記載の構成や特許文献2に記載の構成では、トランジスタの耐圧を向上させるため、ゲート電極のドレイン端においてゲート絶縁膜の膜厚を増大させているが、ソース領域からドレイン領域へと流れるキャリアが、前記ゲート絶縁膜の下の別の絶縁膜の下を迂回して流れる必要があり、このためオン抵抗が増大すると同時に、キャリア経路が絶縁膜下で屈曲するため電界集中が発生しやすく、耐圧が低下しやすい問題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一の側面によればMOSトランジスタは、平坦な主面を有し、第1導電型の第1のウェルが形成された半導体基板と、前記第1のウェル中に、前記平坦な主面において前記第1のウェルに隣接して形成され、前記第1のウェルに隣接して第2導電型のチャネル領域を含む第2のウェルと、前記第2のウェル中、前記チャネル領域の第1の側に、前記チャネル領域に接して形成された第1導電型のソースエクステンション領域と、前記第1のウェル中、前記チャネル領域の前記第1の側とは反対の第2の側に、前記チャネル領域から離間して形成された第1導電型のドレインエクステンション領域と、前記半導体基板の前記平坦な主面上に、前記チャネル領域と、前記チャネル領域の前記第2の側において前記第1のウェルを覆って形成されたゲート電極構造と、を備え、前記ゲート電極構造は少なくとも、前記半導体基板の前記平坦な主面上を前記チャネル領域の第1の側から第2の側にまで延在し前記チャネル領域を第1の膜厚で覆う第1のゲート絶縁膜と、前記第1のゲート絶縁膜に前記チャネル領域の第2の側で隣接し、前記第1のウェルを前記第1の膜厚よりも大きい第2の膜厚で覆う第2のゲート絶縁膜と、を含み、さらに前記ゲート電極構造は少なくとも、前記第1のゲート絶縁膜上の第1のゲート電極と、前記第2のゲート絶縁膜上の第2のゲート電極と、を含み、前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極とは、前記第1のゲート絶縁膜から延在する絶縁膜で隔てられている。
【0009】
二の側面によればMOSトランジスタの製造方法は、平坦な主面を有する半導体基板中に第1導電型の第1のウェルと第2導電型の第2のウェルとを、前記第2のウェルが前記第1のウェルに含まれるように、また前記第2のウェルが前記主面において、前記第1のウェルに隣接するように形成する工程と、前記主面上に前記第2のウェルから第1のウェルまで、第1の膜厚の第1の絶縁膜を介してポリシリコンパタ―ンを形成する工程と、前記半導体基板中、前記ポリシリコンパタ―ンのうち、前記第2のウェルが形成されている第1の側に、前記第2のウェルに含まれるように、かつ前記ポリシリコンパタ―ンの前記第1の側の端部に隣接して、第1の導電型のソースエクステンション領域を、また前記ポリシリコンパタ―ンのうち、前記第1の側とは反対の第2の側に、前記第1のウェルに含まれるように、また前記ポリシリコンパタ―ンの前記第2の側の端部からは離間して、第1導電型のドレインエクステンション領域を、前記第1導電型の不純物元素のイオン注入により形成する工程と、前記ポリシリコンパタ―ンの前記第1の側の端部に第1の側壁絶縁膜を、前記第2の側の端部に第2の側壁絶縁膜を形成し、さらに前記シリコン基板の前記主面のうち、前記ポリシリコンパタ―ンの前記第2の側と前記ドレイン領域との間の部分を絶縁膜パタ―ンで覆う工程と、前記半導体基板中に前記ポリシリコンパタ―ン、前記第1および第2の側壁絶縁膜、および前記絶縁膜パタ―ンをマスクに第1の導電型の不純物元素をイオン注入し、前記半導体基板中、前記第1の側壁絶縁膜の前記第1の側の領域に、前記第2のウェルに含まれるように第1導電型のソース領域を、また前記第2の側壁絶縁膜の前記第2の側の領域に、前記第1のウェルに含まれるように第1導電型のドレイン領域を形成する工程と、前記半導体基板上に前記ポリシリコンパタ―ンを覆って層間絶縁膜を形成し、さらに前記層間絶縁膜を平坦化して前記ポリシリコンパタ―ンの上面を露出する工程と、前記ポリシリコンパタ―ンおよび前記第1の絶縁膜を、前記第1の側の端部を含む第1の部分において除去し、前記ポリシリコンパタ―ンの前記第1の側に前記半導体基板の主面を底面において露出するボイドを形成し、また前記ポリシリコンパタ―ンおよび前記第1の絶縁膜を、前記第2の側の端部を含む第2の部分において、前記第2のゲート電極および第2のゲート絶縁膜として残す工程と、前記ボイドの底面および側壁面を、第2の絶縁膜により覆う工程と、前記ボイドを、前記第2の絶縁膜を介して、導電性窒化膜あるいは高融点金属膜、またはポリシリコン膜により充填し、第1のゲート電極を、また前記第1のゲート電極の下の前記第2の絶縁膜により、前記第1のゲート電極の直下に第1のゲート絶縁膜を形成する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0010】
第1の側面によれば、ゲート絶縁膜を第1のゲート絶縁膜と、より厚い第2のゲート絶縁膜とより構成することにより、オン電流を増加させることができ、かつ半導体装置の耐圧を増大させることができる。またその際、第1のゲート電極と第2のゲート電極とを絶縁膜で隔てることにより、前記第2のゲート絶縁膜の実効的膜厚をさらに増大させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1A】第1の実施形態による高電圧MOSトランジスタを示す平面図である。
【図1B】図1A中、線A−A’に沿った断面図である。
【図2】図1Aおよび図1Bの高電圧MOSトランジスタのゲート絶縁膜の等価回路図である。
【図3A】第1の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その1)である。
【図3B】第1の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その2)である。
【図3C】第1の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その3)である。
【図3D】第1の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その4)である。
【図3E】第1の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その5)である。
【図3F】第1の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その6)である。
【図3G】第1の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その7)である。
【図3H】第1の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その8)である。
【図3I】第1の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その9)である。
【図3J】第1の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その10)である。
【図3K】第1の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その11)である。
【図4A】第2の実施形態による高電圧MOSトランジスタを示す平面図である。
【図4B】図4A中、線B−B’に沿った断面図である。
【図5】図4Aおよび図4Bの高電圧MOSトランジスタのゲート絶縁膜の等価回路図である。
【図6】第3の実施形態による高電圧MOSトランジスタを示す断面図である。
【図7A】第3の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その1)である。
【図7B】第3の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その2)である。
【図7C】第3の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その3)である。
【図7D】第3の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その4)である。
【図7E】第3の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その5)である。
【図7F】第3の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その6)である。
【図7G】第3の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その7)である。
【図7H】第3の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その8)である。
【図7I】第3の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その9)である。
【図7J】第3の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その10)である。
【図7K】第3の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その11)である。
【図8A】第4の実施形態による高電圧MOSトランジスタを示す平面図である。
【図8B】図8A中、線C−C’に沿った断面図である。
【図9A】第4の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その1)である。
【図9B】第4の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その2)である。
【図9C】第4の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その3)である。
【図9D】第4の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その4)である。
【図9E】第4の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その5)である。
【図9F】第4の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その6)である。
【図9G】第4の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その7)である。
【図9H】第4の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その8)である。
【図9I】第4の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その9)である。
【図9J】第4の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その10)である。
【図9K】第4の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その11)である。
【図9L】第4の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その12)である。
【図10】第5の実施形態による高電圧MOSトランジスタを示す断面図である。
【図11A】第5の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その1)である。
【図11B】第5の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その2)である。
【図11C】第5の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その3)である。
【図11D】第5の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その4)である。
【図11E】第5の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その5)である。
【図11F】第5の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その6)である。
【図11G】第5の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その7)である。
【図11H】第5の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その8)である。
【図12】第6の実施形態による高電圧MOSトランジスタを示す断面図である。
【図13A】第6の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その1)である。
【図13B】第6の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その2)である。
【図13C】第6の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その3)である。
【図13D】第6の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その4)である。
【図13E】第6の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その5)である。
【図13F】第6の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その6)である。
【図13G】第6の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その7)である。
【図13H】第6の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その8)である。
【図13I】第6の実施形態の高電圧MOSトランジスタの製造工程を示す図(その9)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施形態]
図1Aは、第1の実施形態による高電圧MOSトランジスタ10の構成を示す平面図であり、図1Bは前記図1A中、線A−A’に沿った断面図である。
【0013】
図1Aおよび図1Bを参照するに、前記高電圧MOSトランジスタ10は素子分離領域11Iにより素子領域11Aを画成され典型的には(100)面よりなる平坦な主面を有するp型のシリコン基板11上に構成されており、前記シリコン基板11中にはn型ウェル11NWが、前記素子領域11Aを含んで形成されている。
【0014】
また前記シリコン基板11中には前記素子領域11Aにおいて、前記n型ウェル11NWの一部にp型ウェル11PWが形成されている。
【0015】
前記シリコン基板11上には、前記p型ウェル11PW上に、TiやTiNなどの金属、あるいは導電性窒化膜よりなり、いわゆる「メタルゲート」を構成する第1のゲート電極13Gが、HfOやZrO膜などの絶縁性金属酸化膜、あるいはHfSiOやZrSiOなどの金属窒化膜など、シリコン酸化膜よりも比誘電率の高いいわゆるhigh-K誘電体膜12Hkよりなる第1のゲート絶縁膜12Gを介して形成されている。
【0016】
また前記n型ウェル11NW上には前記第1のゲート電極13Gに隣接して、n+型にドープされたポリシリコンよりなる第2のゲート電極13Gが、典型的には熱酸化膜よりなる第2のゲート絶縁膜12Gを介して形成されている。
【0017】
前記第1のゲート絶縁膜12Gを構成するhigh-K誘電体膜12Hkは、対応する前記第1のゲート電極13Gの底面のみならず両側壁面をも覆っており、その結果、前記第1のゲート電極13Gと第2のゲート電極13Gとは、前記ゲート絶縁膜12Gから延在するhigh-K誘電体膜12Hkを介して隣接し、ゲート電極構造13Gを構成する。
【0018】
さらに前記シリコン基板11中には、前記素子領域11Aの一端に、前記p型ウェル11PWに含まれるようにn型のソースエクステンション領域11aが、前記第1のゲート電極13Gに隣接して形成されており、また前記素子領域11Aの、前記一端に対向する他端には、前記第2のゲート電極13Gの前記n型ウェル11NWに含まれるように、n型のドレインエクステンション領域11bが、前記ゲート電極13Gから離間して形成されている。
【0019】
さらに前記ゲート電極構造13Gは、前記ソースエクステンション領域11aが形成されている側の側壁面に側壁絶縁膜13SWを、また前記側壁絶縁膜13SWに対向する側の側壁面に側壁絶縁膜13SWを有しており、前記p型ウェル11PW中には前記ゲート電極構造13Gから見て前記側壁絶縁膜13SWの外側に、n+型のソース領域11cが、前記ソースエクステンション領域11aに部分的に重畳して、より深く形成されている。
【0020】
さらに前記素子領域11A中にはn+型のドレイン領域11dが、前記ドレインエクステンション領域11bに部分的に重畳して、より深く形成されている。
【0021】
前記ゲート構造13Gは前記シリコン基板11上に形成されたシリコン酸化膜などの層間絶縁膜14により覆われているが、前記層間絶縁膜14は前記ゲート電極構造13Gの高さと同じ厚さを有しており、このため前記第1のゲート電極13Gおよび第2のゲート電極13Gの上面は、前記層間絶縁膜14の上面において露出されている。また前記だ2のゲート電極13Gの上面にはシリサイド層13Gsが形成されており、同様なシリサイド層11Ssおよび11Dsが、前記ソース領域11cの上面および前記ドレイン領域11dの上面にそれぞれ例えば20nmの厚さに形成されている。
【0022】
前記第1のゲート電極13Gおよび第2のゲート電極13Gの露出上面は、前記層間絶縁膜14上に形成された層間絶縁膜15により覆われており、前記層間絶縁膜15中には、その下の層間絶縁膜14を貫通してソース領域11cのシリサイド層11Ssにコンタクトするビアプラグ15Aが、またドレイン領域11dのシリサイド層11Dsにコンタクトするビアプラグ15Bが形成されている。
【0023】
前記ビアプラグ15A,15Bは、前記層間絶縁膜15上に形成された層間絶縁膜16中に埋設された配線パタ―ン16Aおよび16Bにそれぞれコンタクトし、電源電圧Vssが前記配線パタ―ン16Aから前記ビアプラグ15Aおよびシリサイド層11Ssを介して前記ソース領域11cに供給され、また電源電圧Vddが前記配線パタ―ン16Bから前記ビアプラグ15Nおよびシリサイド層11Dsを介して前記ドレイン領域11dに供給される。
【0024】
さらに図1Aの平面図に示すように、前記層間絶縁膜15中には前記第1のゲート電極13Gにコンタクトするビアプラグ15Gが形成されており、前記ビアプラグ15Gは前記層間絶縁膜16中に埋設された配線パタ―ン16Gにコンタクトし、ゲート電圧Vgが前記配線パタ―ン16Gから前記第1のゲート電極13Gに供給される。
【0025】
図2は前記図1A,図1Bの高電圧MOSトランジスタ10のゲート電極構造13Gにおける前記第1および第2のゲート絶縁膜12Gおよび12Gの等価回路図を示す。
【0026】
図2を参照するに、前記第1のゲート電極13Gとシリコン基板11との間には、前記ゲート電極13G直下の第1のゲート絶縁膜12GによるキャパシタCが形成されているが、さらに前記ゲート電極13Gと前記シリコン基板11との間には、前記ゲート電極13Gと第2のゲート電極13Gの間に介在するhigh-K誘電体膜によるキャパシタC3と、前記第2のゲート絶縁膜12GによるキャパシタC2とが直列に接続されている。これは、本実施形態の高電圧MOSトランジスタ10では、前記第2のゲート電極13G直下において、前記第2のゲート絶縁膜12Gの実効的な膜厚が、その物理的な膜厚よりも増大していることを意味する。
【0027】
かかる構成の高電圧MOSトランジスタ10では動作時に、前記p型ウェル11PW中、前記第1のゲート電極13Gの直下にチャネル領域CHが形成され、前記第1のゲート電極13Gは、ゲート電圧を印加されることにより、通常のMOSトランジスタと同様に前記チャネル領域CHにおける反転層の形成が制御されるが、前記第2のゲート電極13Gの直下には、前記チャネル領域CHからドレインエクステンション領域11bに至る長いドリフト領域DRが形成されており、前記チャネル領域CHを通過したキャリア、すなわち電子は、前記ドレイン領域11dに前記ソース領域11cよりも高い正電圧が印加されている場合、前記ドリフト領域DRを前記ドレイン領域11dに向かってドリフトにより移動する。
【0028】
その際、前記ドレイン領域11dは前記ゲート電極構造13G、特に前記第1のゲート電極13Gから遠く、例えば1μmもの距離離れて形成されているため、高い電源電圧での動作においても、前記ドリフト領域DRにおける電界強度の過大な増大は回避される。
【0029】
また前記図1Aおよび図1Bの高電圧MOSトランジスタ10でも、20V〜50V、あるいはそれを超えるような電源電圧での動作時には、前記チャネル領域CHのドレイン側端部に大きな電界が発生するおそれがあるが、本実施形態では、前記ゲート電極13Gのドレイン側に厚い第2のゲート絶縁膜12Gを有する第2のゲート電極13Gが形成されており、このため、かかるゲート絶縁膜12Gにおける電界の集中が効果的に軽減される。
【0030】
さらに本実施形態では、先に図2で説明したように前記第2のゲート電極13Gが第1のゲート電極13Gに、前記high-K誘電体膜12Hkを介して容量結合しているため、前記ゲート電極13Gのドレイン端における実効的なゲート絶縁膜の膜厚が、前記ゲート絶縁膜12Gの物理的な膜厚を超えて増加し、その結果、かかるゲート絶縁膜13Gにおける電界の集中、およびこれに伴うゲート絶縁膜13Gの降伏が、さらに効果的に抑制される。
【0031】
このため本実施形態による高電圧MOSトランジスタ10は、高い耐圧を有し、例えば20V〜50V、あるいはそれを超える高い電源電圧においても正常に動作することができる。
【0032】
また本実施形態では前記第1のゲート電極13Gのみならず第2のゲート電極13Gも、シリコン基板11の平坦面上に形成されているため、電子は前記シリコン基板11の平坦な表面に沿ってソース領域11cからドレイン領域11dへと、屈曲経路をとることなく移動し、かつ、前記第1のゲート電極13G直下のゲート絶縁膜12Gが、物理的膜厚は大きくても酸化膜換算膜厚が小さいhigh-K誘電体膜より構成されているため、オン抵抗を効果的に低減することが可能で、大きな出力電流を取り出すことが可能である。
【0033】
また本実施形態では、上記の通り、電子が前記シリコン基板11の平坦な表面に沿ってソース領域11cからドレイン領域11dへと、屈曲経路をとることなく移動するため、かかる屈曲部における電界の集中が生じることがない。
【0034】
以下、本実施形態の高電圧MOSトランジスタ10の製造方法を、図3A〜図3Kの工程図を参照しながら説明する。
【0035】
図3Aを参照するに、まず前記シリコン基板11中に、最初はボロン(B)を400keVの加速電圧下、1×1013cm-2のドーズ量で、次いで同じくボロンを150keVの加速電圧下、5×1012cm-2のドーズ量で、さらにボロンを15keVの加速電圧下、1×1013cm-2のドーズ量で、イオン注入マスクを使いながらイオン注入することにより、前記p型シリコン基板11中に前記素子領域11Aに含まれるように、前記p型ウェル11PWを形成する。
【0036】
次いで前記シリコン基板11中にリン(P)を、最初は500keVの加速電圧下、2×1012cm-2のドーズ量で、前記素子領域11Aを含む範囲でイオン注入し、続いてリンを15keVの加速電圧下、1×1012cm-2のドーズ量で、前記素子領域11Aに含まれるように、前記ボロンのイオン注入の際に使われたイオン注入マスクの反転マスクを使いながらイオン注入し、前記n型ウェル11NWを形成する。
【0037】
さらに図3Aの工程では、前記シリコン基板11上に、熱酸化処理により、前記第2のゲート絶縁膜12Gとなるシリコン酸化膜12を、所望の耐圧が確保できるような厚さ、例えば30nmの膜厚tで形成し、さらにその上に前記第2のゲート電極13Gとなるポリシリコン膜を、例えば100nmの厚さHで形成する。
【0038】
このようにして形成されたポリシリコン膜は、次いで前記p型ウェル11PWを所望のゲート長に対応した、例えば0.6μmの距離LAにわたり覆うように、また前記n型ウェル11NWを、電界の緩和に必要な例えば0.4μmの距離LBにわたり覆うように、例えば1μmの幅Lでパターニングされ、前記シリコン基板11上にポリシリコンパタ―ン13が、前記p型ウェル11PWおよびn型ウェル11NWを連続して覆って形成される。
【0039】
なお図3Aの工程において、前記p型ウェル11PWの形成前にn型ウェル11NWを形成することも可能である。
【0040】
次に図3Bの工程において前記シリコン基板11のうち、前記ポリシリコンパタ―ン13よりもドレイン側の領域を、例えば1μmの距離Lcにわたり覆うようにレジストパターンRが形成され、前記レジストパターンRをマスクにリンのイオン注入を、例えば5keVの加速電圧下、1×1014cm-2のドーズ量で行うことにより、前記ポリシリコンパタ―ン13のソース領域側に前記ソースエクステンション領域11aが、また前記ポリシリコンパタ―ン13のドレイン領域側に、前記ポリシリコンパタ―ン13から距離Lcだけ離間して、ドレインエクステンション領域11bが形成される。また図3Bの工程においては前記ポリシリコンパタ―ン13にもリンのイオン注入がなされ、n+型のイオン注入領域13nが形成される。図3Bの例では、前記ソースエクステンション領域11aは、リンイオンの拡散の結果、前記ポリシリコンパタ―ン13直下の領域に多少侵入しており、またドレインエクステンション領域11bも前記レジストパターンR1直下の領域に多少侵入している。
【0041】
なお図3Bの例では、レジストパターンRの位置ずれを考慮して、前記レジストパターンRをポリシリコンパタ―ン13上に、前記ポリシリコンパタ―ン13のドレイン側端において、例えば0.1μmの距離αだけ重複するように形成し、前記ポリシリコンパタ―ン13のドレイン領域側にリンの注入が生じるのを確実に回避している。
【0042】
次に図3Cの工程において、前記ポリシリコンパタ―ン13のソース側およびドレイン側の側壁面に先に図1Bで説明した側壁絶縁膜13SWおよび13SWをそれぞれ形成し、さらに得られた構造を厚さが例えば100nmのCVD酸化膜で覆った後、これを前記レジストパターンRの形成で使われたのと同じ露光マスクを使ってパターニングすることで、前記レジストパターンRに対応してシリコン酸化膜よりなるシリサイドブロックパタ―ン13SBを、前記ポリシリコンパタ―ン13のドレイン側端部から距離Lにわたり形成する。
【0043】
次に図3Dの工程において、前記シリコン基板11中に前記ポリシリコンパタ―ン13,前記側壁絶縁膜13SWおよびシリサイドブロックパタ―ン13SBをマスクにリンのイオン注入を、例えば15keVの加速電圧下、2×1015cm-2のドーズ量で行い、前記側壁絶縁膜13SWのソース側にn+型のソース領域11cを、また前記シリサイドブロックパタ―ン13SBのドレイン側にn+型のドレイン領域11dを、それぞれ形成する。また図3Dのイオン注入工程の結果、前記ポリシリコンパタ―ン13中には前記イオン注入領域13nよりも深いn+型のイオン注入領域13nが形成される。ここで前記ドレイン領域11dは、前記ポリシリコンパタ―ン13のドレイン側端から前記距離Lcだけ離間して形成されることに注意すべきである。
【0044】
さらに図3Eの工程において前記図13Dの構造を1000℃の温度で10秒間熱処理し、前記ポリシリコンパタ―ン13中に導入されたリンを活性化させる。その際、前記ポリシリコンパタ―ン13中においてリン原子は均一に拡散し、前記ポリシリコンパタ―ン13は一様に、n+型にドープされる。
【0045】
次に図3Fの工程において、前記シリサイドブロックパタ―ン13SBを残したまま、前記シリコン基板11の露出部および前記ポリシリコンパタ―ン13の露出部にシリサイド層をサリサイド法により形成し、これにより、前記ソース領域11c上にシリサイド層11Ssが、前記ドレイン領域11d上のシリサイド層11Dsが、また前記ポリシリコンパタ―ン13上にシリサイド層13Gsが、それぞれ形成される。
【0046】
次に図3Gの工程において前記図13Fの構造を、シリコン酸化膜よりなり厚さが例えば150nmの層間絶縁膜14により覆い、さらに前記層間絶縁膜14を化学機械研磨(CMP)することにより平坦化し、前記ポリシリコンパタ―ン13上のシリサイド層13Gsを前記層間絶縁膜14の表面に露出させる。
【0047】
次に図3Hの工程において前記層間絶縁膜14上に、前記露出されたシリサイド層13Gsを覆うように、シリコン酸化膜よりなるハードマスク層14HMをCVD法により、例えば20nmの厚さに形成する。さらに前記ハードマスク層14HMを、レジストパターンRをマスクにパターニングすることにより、前記ポリシリコンパタ―ン13のうちのドレイン側の領域LDを、例えば0.2μmの範囲で覆ったまま、前記シリサイド層13Gsの一部を露出する。ここで前記領域LDは、前記ゲート絶縁膜12Gのうち、前記高耐圧トランジスタ10の動作時に高電界が発生する部分に対応する。
【0048】
さらに図3Iの工程において前記ハードマスク層14HMをマスクに、前記シリサイド層13Gsの露出部、およびその下のポリシリコンパタ―ン13を、前記シリコン基板11の表面に略垂直方向に作用する異方性ドライエッチングにより前記熱酸化膜12が露出するまで除去し、前記ポリシリコンパタ―ン13中にボイド14Vを形成する。前記異方性ドライエッチングの結果、前記ポリシリコンパタ―ン13はパターニングされて先に図2Aおよび図2Bで説明した第2のゲート電極13Gを形成する。
【0049】
また前記図3Iの工程ではさらに前記露出された熱酸化膜12を、例えばHFを使ったウェットエッチングなどの等方性エッチングにより除去し、前記ボイドの底部に前記シリコン基板11を露出させる。この図3Iの等方性エッチングの結果、前記熱酸化膜12はパターニングされて、先に図1Bで説明した第2のゲート絶縁膜12Gが形成される。
【0050】
次に図3Jの工程において前記図3Iのボイド14Vの表面にHfO膜などのいわゆるhigh-K誘電体膜を例えばCVD法やALD法により堆積し、前記シリコン基板11の露出表面および前記ボイド14Vの内面を厚さが例えば5nmのhigh-K誘電体膜12Hkで覆う。その際、前記high-K誘電体膜12Hkのうち、前記シリコン基板11の露出表面を覆う部分が図1Bで説明した前記第1のゲート絶縁膜12Gとなる。
【0051】
さらにこのように底面および側壁面を前記high-K誘電体膜12Hkで覆われた状態のボイド14Vを、スパッタ法などによりTiN膜やTi膜など、金属あるいは金属の導電性窒化膜により充填し、さらに前記層間絶縁膜14上に堆積した余剰のTiN膜を化学機械研磨により除去することにより、前記第1のゲート絶縁膜12G上に第1のゲート電極13Gが、前記第2のゲート電極13Gから前記high-K誘電体膜12Hkで隔てられた状態で形成される。
【0052】
さらに図3Kの工程において前記層間絶縁膜14上に層間絶縁膜15が形成され、前記層間絶縁膜15中にその下の層間絶縁膜14を貫通して、前記ソースシリサイド層11Ssおよびドレインシリサイド層11Dsにそれぞれコンタクトするビアプラグ15Aおよび15Bが、形成される。
【0053】
さらに図3Kの構造上に層間絶縁膜16および配線パタ―ン16A,16B,16Gを形成することにより、先に図1Aおよび図1Bで説明した高電圧MOSトランジスタ10が得られる。
【0054】
本実施形態では、前記第1および第2のゲート電極13G,13Gを第1および第2のゲート絶縁膜12G,12G上に形成する際に、シリサイド層11Ss,11Ds,13Gsの形成を、ソース領域11cおよびドレイン領域11dのイオン注入の際に使われるのと同じ絶縁膜パタ―ン13SBをマスクに使って実行されるため、MOSトランジスタの製造工程が簡素化される。
【0055】
また本実施形態では、導電性金属窒化膜や金属膜よりなるゲート電極13G1が、ソース領域11cあるいはドレイン領域11dの形成後に、またシリサイド層11Ss、11Ds,13Gsの形成後に形成されるため、ゲート電極13G1に熱処理が加えられることがなく、ゲート電極13G1とhigh-K誘電体膜12G1よりなるゲート絶縁膜12G1との反応が抑制され、例えばフェルミレベルピニングなどによる高電圧MOSトランジスタ10の動作特性の設計値からのずれを抑制することが可能である。
【0056】
[第2の実施形態]
図4Aは第2の実施形態による高電圧MOSトランジスタ20の構成を示す平面図を、また図4Bは、前記図4A中、線B−B’に沿った断面図を示す。図中、先に説明した部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0057】
図4Aおよび図4Bを参照するに、前記高電圧MOSトランジスタ20は先の実施形態による高電圧MOSトランジスタ10と同様な構造を有しているが、前記第2のゲート電極13Gが前記ゲート配線パタ―ン16Gにビアプラグ15Gにより接続されている。
【0058】
図5は前記図4A,図4Bの高電圧MOSトランジスタ20のゲート電極構造13Gにおける前記第1および第2のゲート絶縁膜12Gおよび12Gの等価回路図を示す。
【0059】
図5を参照するに、前記第1のゲート電極13Gとシリコン基板11との間には、前記ゲート電極13G直下の第1のゲート絶縁膜12GによるキャパシタCが形成されているが、本実施形態では前記ゲート電極13Gと第2のゲート電極13Gとが共にゲート配線パタ―ン16Gに接続されているため、前記第2のゲート絶縁膜12GによるキャパシタCが前記キャパシタCに並列に接続されることになる。
【0060】
かかる構成の高電圧MOSトランジスタ20でも動作時に、前記p型ウェル11PW中、前記第1のゲート電極13Gの直下にチャネル領域CHが形成され、前記第1のゲート電極13Gは、ゲート電圧を印加されることにより、通常のMOSトランジスタと同様に前記チャネル領域CHにおける反転層の形成が制御されるが、前記第2のゲート電極12Gの直下には、前記チャネル領域CHからドレイン領域11dに至る長いドリフト領域DRが形成されており、前記チャネル領域CHを通過したキャリア、すなわち電子は、前記ドレイン領域11dに前記ソース領域11cよりも高い正電圧が印加されている場合、前記ドリフト領域DRを前記ドレイン領域11dに向かってドリフトにより移動する。
【0061】
その際、前記ドレイン領域11dは前記ゲート電極構造13G、特に前記第1のゲート電極13Gから遠く、例えば1μmもの距離離れて形成されているため、高い電源電圧での動作においても、前記ドリフト領域DRにおける電界強度の過大な増大は回避される。
【0062】
また前記図1Aおよび図1Bの高電圧MOSトランジスタ10でも、20V〜50V、あるいはそれを超えるような電源電圧での動作時には、前記チャネル領域CHのドレイン側端部に大きな電界が発生するおそれがあるが、本実施形態では、前記ゲート電極13Gのドレイン側に厚い第2のゲート絶縁膜12Gを有する第2のゲート電極13Gが形成されており、このため、かかるゲート絶縁膜12Gにおける電界の集中が効果的に軽減される。
【0063】
先の実施形態による高電圧MOSトランジスタ10では、前記第2のゲート電極13Gが浮遊状態となっており、このため、前記第2のゲート絶縁膜12Gの膜厚が十分でない場合、前記チャネル領域CHを通過して加速された電子が、前記第2のゲート絶縁膜12Gをトンネルして第2のゲート電極13Gに到達し、蓄積される場合がありうる。このような場合には、前記高電圧MOSトランジスタ10の動作特性が変化してしまう可能性があった。
【0064】
これに対し、本実施形態の高電圧MOSトランジスタ20では、前記第2のゲート電極13Gが配線パタ―ン16Gに接続されるため、このような電子の蓄積は発生しない。
【0065】
すなわち本実施形態による高電圧MOSトランジスタ20は、前記第2のゲート絶縁膜12Gの膜厚を十分に増大させることができないような場合に有効である。
【0066】
本実施形態においても、前記第1のゲート電極13Gおよび第2のゲート電極13Gが、シリコン基板11の平坦面上に形成されているため、電子は前記シリコン基板11の平坦な表面に沿ってソース領域11cからドレイン領域11dへと、屈曲経路をとることなく移動し、かつ、前記第1のゲート電極13G直下のゲート絶縁膜12Gが、物理的膜厚は大きくても酸化膜換算膜厚が小さいhigh-K誘電体膜より構成されているため、オン抵抗を効果的に低減することが可能で、大きな出力電流を取り出すことが可能である。
【0067】
また本実施形態においても、上記の通り、電子が前記シリコン基板11の平坦な表面に沿ってソース領域11cからドレイン領域11dへと、屈曲経路をとることなく移動するため、電子流路の屈曲部において電界の集中が生じることがない。
【0068】
[第3の実施形態]
図6は、第3の実施形態による高電圧MOSトランジスタ30の構成を示す断面図である。本実施形態による高電圧MOSトランジスタ30は、先の実施形態による高電圧MOSトランジスタ10あるいは20の変形例になっており、平面図は省略する。また図中、先に説明した部分には対応する参照符号を付し、説明を省略する。
【0069】
図6を参照するに、本実施形態では前記第1のゲート電極13Gをn+型にドープされ上面にシリサイド層13Gsを形成された厚さが100nmのポリシリコンパタ―ンにより、また前記第2のゲート電極13Gを厚さが100nmのTiN膜などのメタルゲートにより構成しており、これに対応して前記第1のゲート絶縁膜12Gが、厚さが例えば3nmの熱酸化膜より構成されており、前記第2のゲート絶縁膜12Gが、十分な耐圧が確保されるように、例えば膜厚が30nmのHfO膜などのhigh-K誘電体膜により構成されている。
【0070】
かかる構成によれば、前記第1のゲート絶縁膜12Gが、一般的な論理素子のゲート絶縁膜と同様にして形成できるため、前記高電圧MOSトランジスタ30を高速論理素子など、他のトランジスタと同時に、同一のシリコン基板上に、例えば集積回路の形で形成することが可能である。またこのため、トランジスタ30のオン抵抗も低減することができる。
【0071】
図7A〜図7Kは、本実施形態の高電圧MOSトランジスタ30の製造工程を示す工程図である。
【0072】
図7A〜図7Kを参照するに、図7A〜図7Gまでの工程は、前記熱酸化膜12の膜厚tを同じシリコン基板11上に形成される論理素子のゲート絶縁膜を構成する熱酸化膜と同じの3nmとする以外は同一であり、説明を省略する。前記熱酸化膜12をこのように3nm、あるいはそれ以下の膜厚に形成することにより、完成した高電圧MOSトランジスタ30のオン抵抗を低減することが可能である。
【0073】
本実施形態では、図7Hの工程において前記層間絶縁膜14上にシリコン酸化膜などのハードマスク層14HMを形成した後、前記ハードマスク層14HMのうち、前記第1のゲート電極13Gに対応する部分をレジストパターンRにより覆い、前記レジストパターンRをマスクに、前記ハードマスク層14HMをドライエッチングにより除去する。
【0074】
次に図7Iの工程において前記シリサイド層13Gsおよびその下のポリシリコンパタ―ン13を、前記ハードマスク層14HMをマスクに、前記シリコン基板11の表面に略垂直方向に作用する異方性ドライエッチングにより前記熱酸化膜12が露出するまで除去し、さらに露出したシリコン酸化膜12を、HFなどを使ったウェットエッチングにより除去することで、前記ポリシリコンパタ―ン13により、前記ソース領域11cの側にポリシリコンにより、前記第1のゲート電極13Gを、またその下に前記熱酸化膜12により、第1のゲート絶縁膜12Gを形成する。
【0075】
さらに図7Jの工程において、前記図7Iの工程で前記第1のゲート電極13Gのドレイン側に形成されたボイド14Vの底面および側壁面に、CVD法あるいはALD法により、厚いhigh-K誘電体膜12Hkを、十分な耐圧が得られるように例えば30nmの膜厚に形成する。前記high-K誘電体膜12Hkのうち、前記ボイド14Vの底面を覆う部分は第2のゲート絶縁膜12Gとなる。
【0076】
さらにこのように底面および側壁面を前記high-K誘電体膜12Hkで覆われた状態のボイド14Vを、スパッタ法などによりTiN膜やTi膜など、金属あるいは金属の導電性窒化膜により充填し、さらに前記層間絶縁膜14上に堆積した余剰のTiN膜あるいはTi膜を化学機械研磨により除去することにより、前記第2のゲート絶縁膜12G上に第2のゲート電極13Gが、前記第1のゲート電極13Gから前記high-K誘電体膜12Hkで隔てられた状態で形成される。
【0077】
本実施形態においては、前記図7Aにおける熱酸化膜12およびポリシリコンパタ―ン13の形成工程を、同じシリコン基板11上に形成される他のトランジスタ、例えば論理トランジスタのゲート絶縁膜およびポリシリコンゲート電極の形成工程と同時に実行することが可能であり、前記高電圧MOSトランジスタを同じシリコン基板11上に、他のトランジスタと同時に形成する際に有利である。
【0078】
本実施形態において、前記第2のゲート電極13Gは、前記高電圧MOSトランジスタ10と同様に浮遊状態としてもよく、また前記高電圧MOSトランジスタ20と同様にゲート配線16Gに接続してもよい。
【0079】
[第4の実施形態]
図8Aは、第1の実施形態による高電圧MOSトランジスタ40の構成を示す平面図であり、図8Bは前記図8A中、線C−C’に沿った断面図である。ただし図中、先に説明した部分に対応する部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0080】
図8Aおよび図8Bを参照するに、本実施形態の高電圧MOSトランジスタ40は先の高電圧MOSトランジスタ20と同様な構成を有しているが、第2のゲート電極13Gがn+型のポリシリコンの代わりにp−型のポリシリコンより構成されている点で異なっている。
【0081】
かかる構成の高電圧MOSトランジスタ40では、オフ状態であって前記ドレイン領域11dに高い正電圧Vddが、前記ソース領域11cに接地電圧Vssが、また前記第1および第2のゲート電極13Gおよび13Gに0Vのゲート電圧Vgが供給されている場合、前記ゲート電極12G直下のシリコン基板11に生じている正電圧のため、前記ゲート電極13Gではp−型のポリシリコン中の正孔が、前記ゲート絶縁膜12Gとポリシリコンとの界面近傍の領域から排除され、その結果、前記ポリシリコンゲート電極13Gとゲート絶縁膜12Gの界面近傍に空乏層13Dpが発達する。
【0082】
このような空乏層13Dpは前記ゲート絶縁膜12Gの実効的な膜厚を増加させるように作用し、その結果、前記ゲート絶縁膜12Gに大きな電界が印加され特に降伏が発生しやすいオフ状態において、かかる降伏の発生を抑制し、前記高電圧MOSトランジスタ40の安定な動作を実現することが可能となる。
【0083】
以下、図8Aおよび図8Bの高電圧MOSトランジスタ40の製造工程を、図9A〜図9Lを参照しながら説明する。ただし図9A〜図9L中、先に説明した部分に対応する部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0084】
図9Aを参照するに、前記シリコン基板11上には熱酸化膜12を介してポリシリコンパタ―ン13が、前記シリコン基板11中のp型ウェル11PWからn型ウェル11NWにかけて、先の図3Aと同様にして形成される。
【0085】
次に図9Bの工程において、前記図3Bの工程と同様に、前記シリコン基板11中にPをイオン注入して前記ポリシリコンパタ―ン13に隣接してソースエクステンション領域11aを、また前記ポリシリコンパタ―ン13から離間してドレインエクステンション領域11bを形成するが、本実施形態ではその際、前記図3BのレジストパターンRの代わりに、前記ポリシリコンパタ―ン13の大部分を覆うレジストパターンRをマスクにして前記イオン注入を行う。
【0086】
図示の例では前記レジストパターンRはポリシリコンパタ―ン13のうち、ソース側の限られた部分βを露出していて、前記ポリシリコンパタ―ン13中には前記露出部分βに対応してn型領域13nが形成されているが、これは前記ソースエクステンション領域11aが前記ポリシリコンパタ―ン13に確実に隣接して形成されるようにレジストパターンRの位置ずれを考慮した結果であり、前記ポリシリコンパタ―ン13の幅Lが1μmの場合、前記部分βの幅は0.1μm程度に過ぎない。
【0087】
次に図9Cの工程において、前記レジストパターンRは除去され、前記シリコン基板11上に別のレジストパターンRが、前記ポリシリコンパタ―ン13を覆って形成される。さらに前記レジストパターンRには、前記ポリシリコンパタ―ン13の大部分を露出するレジスト開口部RAが形成され、前記図9Cの工程ではさらに前記シリコン基板11中に前記レジストパターンRをマスクにボロンイオンが3keVの加速電圧下、5×1013cm-2のドーズ量でイオン注入され、前記ポリシリコンパタ―ン13の上部の領域13pに、前記レジスト開口部RAに対応して、ボロンが導入される。なお図9Cの工程においても、前記レジスト開口部RAにおいて前記レジスト開口部RAは位置ずれを考慮して前記レジストパターン13よりもやや小さく形成されており、その結果、前記レジストパターンRは前記ポリシリコンパタ―ン13を部分γおよびδにおいて、約0.1μmの幅で覆っている。
【0088】
さらに図9Dの工程において前記ポリシリコンパタ―ン13のソース側側壁面およびドレイン側側壁面にそれぞれ側壁絶縁膜13SWおよび13SWが形成され、さらに図9Eの工程において前記シリコン基板11上にシリコン酸化膜よりなるシリサイドブロックパタ―ン13SBを前記図3Cの工程と同様に、前記ポリシリコンパタ―ン13のゲート側側壁面から例えば1μmの距離Lを覆うように形成する。
【0089】
さらに図9Fの工程において前記ポリシリコンパタ―ン13をレジストパターンRで覆い、前記レジストパターン13およびシリサイドブロック13SBをマスクにリンを前記シリコン基板11中に、例えば15keVの加速電圧下、2×1015cm-2のドーズ量でイオン注入し、前記ソース領域11cおよびドレイン領域11dを、先の図3Dの工程と同様に形成する。
【0090】
本実施形態ではさらに図9Gの工程において前記図9Fの工程で得られた構造に対し、前記レジストパターンR5を除去した後、熱処理を例えば1000℃で10秒間行い、先にイオン注入がなされた領域において、それぞれのドーパントイオンを活性化する。
【0091】
かかる活性化の結果、前記ポリシリコンパタ―ン13pにおいては先に導入されているリンおよびボロンが拡散し、前記p+型領域13pがポリシリコンパタ―ン13のうち少なくともドレイン寄りの部分に拡がってp−型領域を形成し、また前記n+型領域13nがソース寄りの部分に拡がってn−型領域を形成する。ただし前記n−型領域13nは、図9Bの説明でもわかる通り、レジストパタ―ンR3の位置ずれを見越して形成されているものであり、高精度のレジストパターニングが可能な場合には形成されないこともある。
【0092】
次に図9Hの工程において、前記図9Gの構造上にサリサイド法により、前記ポリシリコンパタ―ン13上にゲートシリサイド層13Gsが、前記ソース領域11c上にソースシリサイド領域11Ssが、また前記ドレイン領域11d上にドレインシリサイド領域11Dsが、それぞれ形成される。本実施形態においても、前記シリサイドブロックパタ―ン13SBを形成しているため、前記ドレインシリサイド領域11Dsは前記ポリシリコンパタ―ン13のドレイン側端から距離L離れて形成されていることに注意すべきである。
【0093】
次に図9Iの工程において前記図9Hの構造上にシリコン酸化膜などにより層間絶縁膜14が前記図3Gの工程と同様に形成され、化学機械研磨により平坦化を行うことにより、前記ポリシリコンパタ―ン13のシリサイド層13Gsが露出される。図9Iの工程では、前記層間絶縁膜14上にハードマスク層14HMを、前記図3Hの工程と同様に形成し、さらにレジストパターンR6をマスクに、前記ハードマスク層14HMを、前記ポリシリコンパタ―ン13のうち、ドレイン寄りの距離Lの部分を除き、露出するようにパターニングし、さらにこのようにしてパターニングされたハードマスク層14HMをマスクに、前記シリサイド層13Gs,ポリシリコンパタ―ン13Gおよび熱酸化膜12をドライエッチングおよびウェットエッチングにより、前記図3Iの工程と同様にして除去し、前記ポリシリコンパタ―ン13中にボイド14Vを形成する。これにより、前記ポリシリコンパタ―ン13のうち、p−型の部分13pにより、第2のゲート電極13Gが、その下の第2のゲート絶縁膜12G共々、形成される。
【0094】
さらに図9Kの工程において前記図3Jの工程と同様に、前記ボイド14Vに、側壁面および底面を連続して覆ってHfOやHfSiOなどのhigh-K誘電体膜13HKが、CVD法あるいはALD法により、例えば2.5nmの膜厚に形成され、さらにかかるhigh-K誘電体膜13HKを介して前記ボイド14Vを、TiNなどの導電性窒化物膜あるいはTiなどの金属膜を例えば100nmの膜厚に堆積することで充填する。さらに前記層間絶縁膜14上の余剰の導電性窒化物膜あるいは金属膜を、前記シリサイド層13Gsが露出するまで化学機械研磨により除去することにより、前記第1のゲート電極13Gが形成される。
【0095】
さらに図9Lの工程において、前記図3Kの工程と同様に前記層間絶縁膜14上に次の層間絶縁膜15を形成し、前記層間絶縁膜15中に、前記ソース領域11cにおいてシリサイド層11Ssにコンタクトするビアプラグ15Aと、前記ドレイン領域11dにおいてシリサイド層11Dsにコンタクトするビアプラグ15Bと、図9Lの断面図には図示されないが、前記第1のゲート電極13Gおよび第2のゲート電極13Gにそれぞれコンタクトするビアプラグ15Gおよび15Gを形成することにより、本実施形態の高電圧MOSトランジスタ40が得られる。
【0096】
なお本実施形態において、図9Cのポリシリコンパタ―ン13へのボロンのイオン注入工程は、図9Dあるいは図9Eの工程において行うことも可能である。
【0097】
[第5の実施形態]
図10は、第5の実施形態による高電圧MOSトランジスタ50の構成を示す断面図である。ただし図10中、先に説明した部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0098】
図10を参照するに、本実施形態の高電圧MOSトランジスタ50は先の実施形態による高電圧MOSトランジスタ10あるいは高電圧MOSトランジスタ20と同様な構成を有しているが、前記第1のゲート電極13Gとして、TiNなどの導電性金属窒化物あるいはTiなどの高融点金属の代わりにn+型にドープされたポリシリコンが使われており、これに伴って前記第1のゲート絶縁膜12Gも、前記第2のゲート絶縁膜12Gと同様な、ただし膜厚が例えば3nmと、前記ゲート絶縁膜12Gよりもはるかに薄い熱酸化膜より構成されている。
【0099】
また前記図10の構成では、前記シリサイド層13Gsが前記第2のゲート電極13Gのみならず、前記第1のゲート電極13G上にも形成されている。
【0100】
本実施形態によれば高電圧MOSトランジスタ50を、ゲート電極に導電性金属窒化膜や金属膜などを使わずとも、またゲート絶縁膜にhigh-K誘電体膜を使わずとも製造することができ、高電圧MOSトランジスタを、確立されたポリシリコンと熱酸化プロセスにより、同じシリコン基板上に形成される他のMOSトランジスタと同時に効率よく製造することが可能となる。
【0101】
以下、図10の高電圧MOSトランジスタの製造工程を、図11A〜図11Hを参照しながら説明する。
【0102】
図11Aは、先の図3Dに対応する工程であり、シリコン基板11中に、前記シリサイドブロックパタ―ン13SB,ポリシリコンパタ―ン13および側壁絶縁膜13SWをマスクにリンをイオン注入し、ソース領域11cおよびドレイン領域11dを先の図3Dと同様に形成する。
【0103】
次に図11B上に前記側壁絶縁膜13SW,13SWに対してエッチング選択性を有する例えばSiNなどの絶縁膜24をCVD法により、前記ポリシリコンパタ―ン13が覆われるように例えば150nmの膜厚に仮の層間絶縁膜として形成し、さらに前記仮の層間絶縁絶縁膜24を化学機械研磨により平坦化する。
【0104】
さらに図11Cの工程において、前記仮の層間絶縁膜24上にシリコン酸化膜よりなるハードマスク層14HMをCVD法により例えば20nmの膜厚に形成し、これを、レジストパターンR2をマスクに、前記ポリシリコンパタ―ン13のうち、前記領域Lを除く部分が露出されるようにパターニングする。先にも説明したように前記領域Lは、高電界トランジスタ50の動作時においてシリコン基板11中に高電界が発生する領域に対応している。
【0105】
次に図3Iの工程と同様にして前記ポリシリコンパタ―ン13およびその下の熱酸化膜12を、前記ハードマスク層14をマスクにパターニングし、前記シリコン基板11の表面が露出されるようにボイド14Vを形成する。
【0106】
本実施形態では、次に図11Eの工程において、前記ハードマスク層14を除去した後熱酸化処理を行い、前記ボイド14Vの側壁面および底面に連続して熱酸化膜13TOXを、例えば3nmなど、オン抵抗が減少するような厚さに形成する。
【0107】
さらに図11Eの工程では、前記ボイド14Vを、このようにして形成された熱酸化膜13TOXを介してポリシリコン膜で充填し、さらに前記ポリシリコン膜13を前記絶縁膜24が露出するまで化学機械研磨により除去する。その結果、前記ボイド14Vがポリシリコンよりなる第1のゲート電極13Gにより充填された構造が得られる。
【0108】
なお図11Eの工程において前記第1のゲート電極13Gと側壁絶縁膜13SWとの間に形成されている熱酸化膜13TOXは、熱酸化処理により前記側壁絶縁膜13SWを構成するCVD絶縁膜が改質されて形成された酸化膜であるが、改質の結果、熱酸化膜と同様に優れたリーク電流特性を有している。
【0109】
次に図11Fの工程において図11Eの構造に対しリンを例えば15kevの加速電圧下、2×1015cm-2のドーズ量でイオン注入し、前記第1および第2のポリシリコンゲート電極13G,13Gをいずれもn+型にドープする。
【0110】
さらに図11Gの工程において、前記仮の層間絶縁膜24を前記シリコン基板11の表面から、前記側壁絶縁膜13SW,13SW、ポリシリコンゲート電極13G,13G、および熱酸化膜13TOXを残してウェットエッチングにより選択的に除去し、さらに露出されたシリコン基板11上に、前記ソース領域11dと前記第2のゲート電極13Gの間を覆って、前記シリサイドブロックパターニング13SBと同様なシリサイドブロックパターン23SBを形成する。
【0111】
さらに前記シリサイドブロックパタ―ン23SBをマスクに前記第1および第2のゲート電極13G,13Gの上面、前記ソース領域11c、および前記ドレイン領域11dの上面に、サリサイド法によりシリサイド層13g,11Ss,11Dsを、それぞれ形成する。
【0112】
さらに図11Hの工程において前記シリコン基板11上に、前記第1および第2のゲート電極13G,13Gを前記シリサイドブロックパタ―ン23SBを含めて覆うように層間絶縁膜25を形成し、これを化学機械研磨により平坦化した後、前記ソース領域11cにおけるシリサイド層11Ss,ドレイン領域11dにおけるシリサイド層11Ds、および図11Hの断面図には示されないが、前記第1および第2のゲート電極13G,13Gにコンタクトして図8Aの平面図と同様なビアコンタクト15G,15Gを形成することにより、先の高電圧MOSトランジスタ50が得られる。
【0113】
[第6の実施形態]
以上の各実施形態では、ゲート電極構造が絶縁膜で隔てられた二つのゲート電極よりなる例を説明したが、さらにゲート電極構造を3つ以上のゲート電極より構成することも可能である。
【0114】
図12は、かかるゲート電極構造を3つのゲート電極より構成した第6の実施形態による高電圧MOSトランジスタ60の構成を示す断面図である。ただし図中、先に説明した部分に対応する部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0115】
図12を参照するに、高電圧MOSトランジスタ60は、第1のゲート電極13Gおよび第2のゲート電極13Gが、それぞれ第1のゲート絶縁膜12Gおよび第2のゲート絶縁膜12G上に形成されている点で前記高圧MOSトランジスタ10と類似した構成を有するが、前記第2のゲート電極13Gのドレイン側に、前記第2のゲート絶縁膜12Gと同じ、厚さが30nmの熱酸化膜で隔てられて、n+型のポリシリコンよりなる第3のゲート電極13Gが、厚さが60nmの熱酸化膜よりなる第3のゲート絶縁膜12G上に形成されている点で異なっている。
【0116】
かかる構成の高電圧トランジスタでは、ゲート電極構造13Gのドレイン端における耐圧が大きく向上し、高い電源電圧でも正常な動作が保証される。
【0117】
以下、図12の高電圧MOSトランジスタ60の製造方法について、図13A〜図13Hを参照しながら説明する。
【0118】
図13Aを参照するに、前記シリコン基板11上には図1の幅Lよりも広い、例えば1.2μmの幅Lと100nmの高さHでポリシリコンパタ―ン13が、前記p型ウェル11PWからn型ウェル11NWまで連続して形成されており、前記ポリシリコンパタ―ン13は前記p型ウェル11PWを、図1の実施形態の場合と同じく、例えば0.6μmの距離LAだけ覆っているのに対し、前記n型ウェル11NWを、前記図1の距離LBよりも長い、例えば0.6μmの距離LBで覆っている。
【0119】
次に図13Bの工程において、前記シリコン基板11中にリンなどの不純物元素を先の図1Bの工程と同様にしてイオン注入により導入し、前記シリコン基板11中、前記ポリシリコンパタ―ン13のソース側にn+型のソースエクステンション領域11aを、またドレイン側に前記ポリシリコンパタ―ン13から離間してn+型のドレインエクステンション領域11bを形成する。
【0120】
さらに図13Bの工程では前記図13Aのポリシリコンパタ―ン13のソース側およびドレイン側の側壁面に、シリコン酸化膜よりなる側壁絶縁膜13SW,13SWをそれぞれ形成し、さらに前記シリコン基板11中に、前記ポリシリコンパタ―ン13および側壁絶縁膜13SW,13SWおよびシリサイドブロックパタ―ン13SBをマスクに、リンを前記図3Dで説明したようにイオン注入することにより、n+型ソース領域11cおよびn+型ドレイン領域11dを同様に形成する。
【0121】
さらに図13Bの工程では、前記シリコン基板11上にSiNなどの側壁絶縁膜13SW,13SWに対してエッチング選択性を示す仮の層間絶縁膜24を、前記ポリシリコンパタ―ン13が覆われるように、例えば150nmの膜厚に形成する。
【0122】
さらに前記図13Bの工程では、このようにして形成した仮の層間絶縁膜24を化学機械研磨して前記ポリシリコンパタ―ン13の上面を露出させ、露出したポリシリコンパタ―ン13を、ドレイン側においてシリコン基板11中で特に高電界が発生する領域に対応する部分Lを残してドライエッチングにより除去し、さらに露出した熱酸化膜12をウェットエッチングすることにより、ボイド14Vを形成する。前記ボイド14Vの形成の結果、前記ポリシリコンパタ―ン13はパターニングされてn+型の第3のゲート電極13Gを形成し、また前記熱酸化膜12は第3のゲート絶縁膜12Gを形成する。
【0123】
次に図13Cの工程において、図13Bの構造に対して熱酸化処理を行い、前記ボイドの底の露出したシリコン基板21の表面および前記側壁絶縁膜13SWの内壁面、さらに前記第3のゲート電極13Gを構成するポリシリコンパタ―ンの側壁面を覆って、熱酸化膜12TOXを、先の図11Eの工程と同様に、ただし例えば3nmの膜厚に形成し、さらに前記ボイド14Vをポリシリコン膜(図示せず)により充填する。
【0124】
さらに前記ポリシリコン膜のうち、前記仮の層間絶縁膜24上に堆積した部分を化学機械研磨により除去することにより、図13Cに示すように前記ボイド14Vを、熱酸化膜12TOXを介してポリシリコンパタ―ン13により充填した構造が得られる。
【0125】
さらに図13Dの工程において前記ポリシリコンパタ―ン13および第3のゲート電極13Gにリンをイオン注入により導入し、これをn+型にドープし、図13Eの工程において、前記仮の絶縁膜24上に前記ポリシリコンパタ―ン13および第3のゲート電極13Gを覆うようにハードマスク層14HMを形成する。
【0126】
さらに図13Eの工程では前記ハードマスク層14HMを、図3HのレジストパターンRに対応するレジストパターンRをマスクにパターニングし、前記領域Lを含む、前記シリコン基板11中において高電界が発生する領域Lに対応して、前記ハードマスク層14HMを残す。
【0127】
さらに図13Fの工程において前記ハードマスクパターン14HMをマスクに前記ポリシリコンパタ―ン13をドライエッチングにより除去し、さらに露出した熱酸化膜12TOXをウェットエッチングにより除去することにより、底部において前記シリコン基板11の表面を露出するボイド24Vを形成する。これにより、前記ポリシリコンパタ―ン13はパターニングされて第2のn+型ゲート電極13Gを形成し、前記熱酸化膜12TOXは第2のゲート電極12Gを形成する。また前記熱酸化膜12TOXは、前記ゲート電極12Gと12Gの間に、両者を隔てて介在する。
【0128】
さらに図13Gの工程において、前記ボイド24Vの底面および側壁面を覆ってHfOやHfSiOなどのいわゆるhigh-K誘電体膜12HkをCVD法あるいはALD法により、先の図3Jの工程と同様にして形成し、さらに前記ボイド24Vを前記high-K誘電体膜12Hkを介して、TiNなどの導電性窒化膜あるいはTiなどの耐熱金属よりなる導電膜(図示せず)により充填し、さらにこれを前記仮の層間絶縁膜24の上面が露出するまで化学機械研磨により除去することにより、前記ボイド24Vを前記high-K誘電体膜12Hkを介して充填する第1のゲート電極13Gが形成される。また前記high-K誘電体膜12Hkにより、前記第1のゲート電極13Gの直下には第1のゲート絶縁膜12Gが形成される。
【0129】
さらに本実施形態では図13Hの工程において前記仮の層間絶縁膜24を除去し、前記シリコン基板11のうち、前記第3のゲート電極13Gとドレイン領域13dの間の部分を、前記シリサイドブロックパタ―ン13SBと同様なシリサイドブロックパタ―ン23SBにより覆い、前記シリサイドブロックパタ―ン23SBをマスクにシリサイド形成を行うことにより、ポリシリコンよりなる前記第2および第3のゲート電極13G,13G上にゲートシリサイド層13Gsを、またソース領域11c上にソースシリサイド層11Ssを、ドレイン領域11d上にドレインシリサイド層11Dsを、それぞれ形成する。
【0130】
なお本実施形態は図1の第1の実施形態をベースに説明したが、他の実施形態においても同様に第3のゲート電極13Gおよび第3のゲート絶縁膜12Gを形成することが可能である。
【0131】
以上の各実施形態では、nチャネル高電圧MOSトランジスタを例に説明を行ったが、p型とn型を入れ替えることによりpチャネル高電圧MOSトランジスタを製造することができることは明らかである。
【0132】
以上、本発明を好ましい実施形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した要旨内において様々な変形・変更が可能である。
(付記1)
第1導電型の第1のウェルが形成された半導体基板と、
前記第1のウェル中に、前記第1のウェルに隣接して形成され、前記第1のウェルに隣接して第2導電型のチャネル領域を含む第2のウェルと、
前記第2のウェル中、前記チャネル領域の第1の側に、前記チャネル領域に接して形成された第1導電型のソースエクステンション領域と、
前記第1のウェル中、前記チャネル領域の前記第1の側とは反対の第2の側に、前記チャネル領域から離間して形成された第1導電型のドレインエクステンション領域と、
前記半導体基板上に、前記チャネル領域と、前記チャネル領域の前記第2の側において前記第1のウェルとを覆って形成されたゲート電極構造と、
を備え、
前記ゲート電極構造は少なくとも、前記半導体基板上を前記チャネル領域の第1の側から第2の側まで延在し前記チャネル領域を第1の膜厚で覆う第1のゲート絶縁膜と、前記第1のゲート絶縁膜に前記チャネル領域の第2の側で隣接し、前記第1のウェルを前記第1の膜厚よりも大きい第2の膜厚で覆う第2のゲート絶縁膜と、を含み、
さらに前記ゲート電極構造は少なくとも、前記第1のゲート絶縁膜上の第1のゲート電極と、前記第2のゲート絶縁膜上の第2のゲート電極と、を含み、
前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極とは、前記第1のゲート絶縁膜から延在する絶縁膜で隔てられていることを特徴とするMOSトランジスタ。
(付記2)
前記ソースエクステンション領域および前記ドレインエクステンション領域は、それぞれ第1導電型のソース領域およびドレイン領域を含み、前記ソース領域およびドレイン領域は、それぞれのシリサイド層を担持していることを特徴とする付記1記載のMOSトランジスタ。
(付記3)
前記第1のゲート電極は導電性金属窒化物あるいは高融点金属よりなり、前記第1のゲート絶縁膜は絶縁性金属酸化物膜よりなり、
前記第2のゲート電極は第1導電型のポリシリコンより形成され、前記第2のゲート絶縁膜はシリコン酸化膜よりなることを特徴とする付記1または2記載のMOSトランジスタ。
(付記4)
前記第1のゲート電極は導電性金属窒化物あるいは高融点金属よりなり、前記第1のゲート絶縁膜は絶縁性金属酸化膜あるいは金属シリケート膜よりなり、
前記第2のゲート電極は第2導電型のポリシリコンよりなり、前記第2のゲート絶縁膜はシリコン酸化膜よりなり、前記第2のゲート電極中には前記第2のゲート絶縁膜部分との界面に沿って、空乏層が生じていることを特徴とする付記1または2記載のMOSトランジスタ。
(付記5)
前記第1および第2のゲート電極はいずれも第1導電型のポリシリコンよりなり、前記第1および第2のゲート絶縁膜はいずれもシリコン酸化膜よりなることを特徴とする付記1または2記載のMOSトランジスタ。
(付記6)
前記第1のゲート電極は第1導電型のポリシリコンよりなり、前記第2のゲート電極は導電性金属窒化物あるいは高融点金属よりなり、前記第1のゲート絶縁膜はシリコン酸化膜よりなり、前記第2のゲート電極は絶縁性金属酸化膜あるいは金属シリケート膜よりなることを特徴とする付記1記載のMOSトランジスタ。
(付記7)
さらに前記半導体基板上に前記ゲート電極構造を覆って形成された層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜上に形成されたゲート配線パタ―ンと、を有し、前記第1のゲート電極のみが前記ゲート配線パタ―ンに、前記層間絶縁膜中のビアコンタクトを介して電気的に接続されることを特徴とする付記3記載のMOSトランジスタ。
(付記8)
さらに前記半導体基板上に前記ゲート電極構造を覆って形成された層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜上に形成されたゲート配線パタ―ンと、を有し、前記第1のゲート電極および第2のゲート電極が前記ゲート配線パタ―ンに、前記層間絶縁膜中の第1および第2のビアコンタクトを介してそれぞれ電気的に接続されることを特徴とする付記3〜6のうち、いずれか一項記載のMOSトランジスタ。
(付記9)
さらに前記シリコン基板上、前記第2のゲート絶縁膜部分のさらに前記ドレインエクステンション領域の側に、前記第2の厚さよりも厚い第3の膜厚で第3のゲート電極部分を有し、前記第3のゲート電極部分上には第3のゲート電極が、前記第2のゲート電極に対し、前記第2の絶縁膜部分から延在する別の絶縁膜により隔てられて形成されていることを特徴とする付記1〜9のうち、いずれか一項記載のMOSトランジスタ。
(付記10)
半導体基板中に第1導電型の第1のウェルと第2導電型の第2のウェルとを、前記第2のウェルが前記第1のウェルに含まれるように、また前記第2のウェルが、前記第1のウェルに隣接するように形成する工程と、
前記半導体基板上に前記第2のウェルから第1のウェルまで、第1の膜厚の第1の絶縁膜を介してポリシリコンパタ―ンを形成する工程と、
前記半導体基板中、前記ポリシリコンパタ―ンのうち、前記第2のウェルが形成されている第1の側に、前記第2のウェルに含まれるように、かつ前記ポリシリコンパタ―ンの前記第1の側の端部に隣接して、第1の導電型のソースエクステンション領域を、また前記ポリシリコンパタ―ンのうち、前記第1の側とは反対の第2の側に、前記第1のウェルに含まれるように、また前記ポリシリコンパタ―ンの前記第2の側の端部からは離間して、第1導電型のドレインエクステンション領域を、前記第1導電型の不純物元素のイオン注入により形成する工程と、
前記ポリシリコンパタ―ンの前記第1の側の端部に第1の側壁絶縁膜を、前記第2の側の端部に第2の側壁絶縁膜を形成し、さらに前記シリコン基板の、前記ポリシリコンパタ―ンの前記第2の側と前記ドレイン領域との間の部分を絶縁膜パタ―ンで覆う工程と、
前記半導体基板中に前記ポリシリコンパタ―ン、前記第1および第2の側壁絶縁膜、および前記絶縁膜パタ―ンをマスクに第1の導電型の不純物元素をイオン注入し、前記半導体基板中、前記第1の側壁絶縁膜の前記第1の側の領域に、前記第2のウェルに含まれるように第1導電型のソース領域を、また前記第2の側壁絶縁膜の前記第2の側の領域に、前記第1のウェルに含まれるように第1導電型のドレイン領域を形成する工程と、
前記半導体基板上に前記ポリシリコンパタ―ンを覆って層間絶縁膜を形成し、さらに前記層間絶縁膜を研磨して前記ポリシリコンパタ―ンの上面を露出する工程と、
前記ポリシリコンパタ―ンおよび前記第1の絶縁膜を、前記第1の側の端部を含む第1の部分において除去し、前記ポリシリコンパタ―ンの前記第1の側に前記半導体基板の主面を底面において露出するボイドを形成し、また前記ポリシリコンパタ―ンおよび前記第1の絶縁膜を、前記第2の側の端部を含む第2の部分において、前記第2のゲート電極および第2のゲート絶縁膜として残す工程と、
前記ボイドの底面および側壁面を、第2の絶縁膜により覆う工程と、
前記ボイドを、前記第2の絶縁膜を介して、導電性窒化膜あるいは高融点金属膜、またはポリシリコン膜により充填し、第1のゲート電極を、また前記第1のゲート電極の下の前記第2の絶縁膜により、前記第1のゲート電極の直下に第1のゲート絶縁膜を形成する工程と、を含むことを特徴とする、MOSトランジスタの製造方法。
(付記11)
前記ソース領域およびドレイン領域を形成する工程では、前記第1導電型の不純物元素のイオン注入の際、さらに前記ポリシリコンパタ―ンに前記第1導電型の不純物元素が導入されることを特徴とする付記10記載のMOSトランジスタの製造方法。
(付記12)
前記ソースエクステンション領域およびドレインエクステンション領域を形成する工程の後、かつ前記ソース領域およびドレイン領域を形成する工程の前に、前記ポリシリコンパタ―ンに前記第2導電型の不純物元素をイオン注入により導入する工程を含み、
前記ソース領域およびドレイン領域を形成する工程は、前記ポリシリコンパタ―ンをマスクパターンで覆って実行されることを特徴とする付記10記載のMOSトランジスタの製造方法。
(付記13)
前記ポリシリコンパタ―ンに前記第2導電型の不純物元素をイオン注入により導入する工程は、前記ソースエクステンション領域およびドレインエクステンション領域を別のマスクパターンで覆って実行されることを特徴とする付記12記載のMOSトランジスタの製造方法。
(付記14)
前記ソース領域およびドレイン領域を形成する工程の後、前記層間絶縁膜を形成する工程の前に、前記ポリシリコンパタ―ンの露出面、前記ソース領域の露出面、および前記ドレイン領域の露出面にシリサイド層を、前記絶縁膜パターンをマスクに使いながら形成する工程を含むことを特徴とする付記10〜13のうち、いずれか一項記載のMOSトランジスタの製造方法。
(付記15)
前記第2の絶縁膜は、シリコン酸化膜よりも比誘電率の高い絶縁性金属酸化膜あるいは金属シリケート膜よりなり、前記第1のゲート電極は導電性窒化膜あるいは高融点金属膜よりなることを特徴とする付記10〜14のうち、いずれか一項記載のMOSトランジスタの製造方法。
(付記16)
前記第1のゲート電極および第1のゲート絶縁膜を形成する工程において前記第1の絶縁膜はシリコン酸化膜であり、前記第1のゲート電極はポリシリコン膜であり、
前記第1のゲート電極および第1のゲート絶縁膜を形成する工程の後、さらに前記第1および第2のゲート電極を第1導電型にドープする工程と、
前記層間絶縁膜を、前記第1のゲート電極および前記第2のゲート電極を残し、選択的に除去する工程と、
前記シリコン基板上であって、前記第2のゲート電極と前記ドレイン領域との間の部分を、第2の絶縁膜パタ―ンで覆う工程と、
前記第2の絶縁膜パターンをマスクとして、前記第1および第2のゲート電極の露出面、前記ソース領域の露出面、および前記ドレイン領域の露出面にシリサイド層を形成する工程を含むことを特徴とする付記10記載のMOSトランジスタの製造方法。
【符号の説明】
【0133】
10 高電圧MOSトランジスタ
11 シリコン基板
11A 素子領域
11I 素子分離領域
11NW n型ウェル
11PW p型ウェル
11Ss ソースシリサイド層
11Ds ドレインシリサイド層
12G1 第1のゲート絶縁膜
12G2 第2のゲート絶縁膜
12Hk 高誘電体膜
13G1 第1のゲート電極
13G2 第2のゲート電極
13SB シリサイドブロックパタ―ン
13SW1 第1の側壁絶縁膜
13SW2 第2の側壁絶縁膜
13n n型注入領域
13p p型注入領域
14,15,16,25 層間絶縁膜
14HM ハードマスクパタ―ン
15A,15B,15G ビアコンタクト
16A,16B,16G 配線パタ―ン
11a ソースエクステンション領域
11b ドレインエクステンション領域
11c ソース領域
11d ドレイン領域
24 仮の層間絶縁膜
CH チャネル領域
DR ドリフト領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の第1のウェルが形成された半導体基板と、
前記第1のウェル中に、前記第1のウェルに隣接して形成され、前記第1のウェルに隣接して第2導電型のチャネル領域を含む第2のウェルと、
前記第2のウェル中、前記チャネル領域の第1の側に、前記チャネル領域に接して形成された第1導電型のソースエクステンション領域と、
前記第1のウェル中、前記チャネル領域の前記第1の側とは反対の第2の側に、前記チャネル領域から離間して形成された第1導電型のドレインエクステンション領域と、
前記半導体基板上に、前記チャネル領域と、前記チャネル領域の前記第2の側において前記第1のウェルを覆って形成されたゲート電極構造と、
を備え、
前記ゲート電極構造は少なくとも、前記半導体基板上を前記チャネル領域の第1の側から第2の側まで延在し前記チャネル領域を第1の膜厚で覆う第1のゲート絶縁膜と、前記第1のゲート絶縁膜に前記チャネル領域の第2の側で隣接し、前記第1のウェルを前記第1の膜厚よりも大きい第2の膜厚で覆う第2のゲート絶縁膜と、を含み、
さらに前記ゲート電極構造は少なくとも、前記第1のゲート絶縁膜上の第1のゲート電極と、前記第2のゲート絶縁膜上の第2のゲート電極と、を含み、
前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極とは、前記第1のゲート絶縁膜から延在する絶縁膜で隔てられていることを特徴とするMOSトランジスタ。
【請求項2】
前記第1のゲート電極は導電性金属窒化物あるいは高融点金属よりなり、前記第1のゲート絶縁膜は絶縁性金属酸化物膜よりなり、
前記第2のゲート電極は第1導電型のポリシリコンより形成され、前記第2のゲート絶縁膜はシリコン酸化膜よりなることを特徴とする請求項1記載のMOSトランジスタ。
【請求項3】
前記第1のゲート電極は導電性金属窒化物あるいは高融点金属よりなり、前記第1のゲート絶縁膜は絶縁性金属酸化膜あるいは金属シリケート膜よりなり、
前記第2のゲート電極は第2導電型のポリシリコンよりなり、前記第2のゲート絶縁膜はシリコン酸化膜よりなり、前記第2のゲート電極中には前記第2のゲート絶縁膜部分との界面に沿って、空乏層が生じていることを特徴とする請求項1記載のMOSトランジスタ。
【請求項4】
前記第1および第2のゲート電極はいずれも第1導電型のポリシリコンよりなり、前記第1および第2のゲート絶縁膜はいずれもシリコン酸化膜よりなることを特徴とする請求項1記載のMOSトランジスタ。
【請求項5】
さらに前記半導体基板上に前記ゲート電極構造を覆って形成された層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜上に形成されたゲート配線パタ―ンと、を有し、前記第1のゲート電極のみが前記ゲート配線パタ―ンに、前記層間絶縁膜中のビアコンタクトを介して電気的に接続されることを特徴とする請求項2記載のMOSトランジスタ。
【請求項6】
半導体基板中に第1導電型の第1のウェルと第2導電型の第2のウェルとを、前記第2のウェルが前記第1のウェルに含まれるように、また前記第2のウェルが、前記第1のウェルに隣接するように形成する工程と、
前記半導体基板上に前記第2のウェルから第1のウェルまで、第1の膜厚の第1の絶縁膜を介してポリシリコンパタ―ンを形成する工程と、
前記半導体基板中、前記ポリシリコンパタ―ンのうち、前記第2のウェルが形成されている第1の側に、前記第2のウェルに含まれるように、かつ前記ポリシリコンパタ―ンの前記第1の側の端部に隣接して、第1の導電型のソースエクステンション領域を、また前記ポリシリコンパタ―ンのうち、前記第1の側とは反対の第2の側に、前記第1のウェルに含まれるように、また前記ポリシリコンパタ―ンの前記第2の側の端部からは離間して、第1導電型のドレインエクステンション領域を、前記第1導電型の不純物元素のイオン注入により形成する工程と、
前記ポリシリコンパタ―ンの前記第1の側の端部に第1の側壁絶縁膜を、前記第2の側の端部に第2の側壁絶縁膜を形成し、さらに前記シリコン基板の、前記ポリシリコンパタ―ンの前記第2の側と前記ドレイン領域との間の部分を絶縁膜パタ―ンで覆う工程と、
前記半導体基板中に前記ポリシリコンパタ―ン、前記第1および第2の側壁絶縁膜、および前記絶縁膜パタ―ンをマスクに第1の導電型の不純物元素をイオン注入し、前記半導体基板中、前記第1の側壁絶縁膜の前記第1の側の領域に、前記第2のウェルに含まれるように第1導電型のソース領域を、また前記第2の側壁絶縁膜の前記第2の側の領域に、前記第1のウェルに含まれるように第1導電型のドレイン領域を形成する工程と、
前記半導体基板上に前記ポリシリコンパタ―ンを覆って層間絶縁膜を形成し、さらに前記層間絶縁膜を研磨して前記ポリシリコンパタ―ンの上面を露出する工程と、
前記ポリシリコンパタ―ンおよび前記第1の絶縁膜を、前記第1の側の端部を含む第1の部分において除去し、前記ポリシリコンパタ―ンの前記第1の側に前記半導体基板の主面を底面において露出するボイドを形成し、また前記ポリシリコンパタ―ンおよび前記第1の絶縁膜を、前記第2の側の端部を含む第2の部分において、前記第2のゲート電極および第2のゲート絶縁膜として残す工程と、
前記ボイドの底面および側壁面を、第2の絶縁膜により覆う工程と、
前記ボイドを、前記第2の絶縁膜を介して、導電性窒化膜あるいは高融点金属膜、またはポリシリコン膜により充填し、第1のゲート電極を、また前記第1のゲート電極の下の前記第2の絶縁膜により、前記第1のゲート電極の直下に第1のゲート絶縁膜を形成する工程と、を含むことを特徴とする、MOSトランジスタの製造方法。
【請求項7】
前記ソース領域およびドレイン領域を形成する工程では、前記第1導電型の不純物元素のイオン注入の際、さらに前記ポリシリコンパタ―ンに前記第1導電型の不純物元素が導入されることを特徴とする請求項6記載のMOSトランジスタの製造方法。
【請求項8】
前記ソースエクステンション領域およびドレインエクステンション領域を形成する工程の後、かつ前記ソース領域およびドレイン領域を形成する工程の前に、前記ポリシリコンパタ―ンに前記第2導電型の不純物元素をイオン注入により導入する工程を含み、
前記ソース領域およびドレイン領域を形成する工程は、前記ポリシリコンパタ―ンをマスクパターンで覆って実行されることを特徴とする請求項6記載のMOSトランジスタの製造方法。
【請求項9】
前記ソース領域およびドレイン領域を形成する工程の後、前記層間絶縁膜を形成する工程の前に、前記ポリシリコンパタ―ンの露出面、前記ソース領域の露出面、および前記ドレイン領域の露出面にシリサイド層を、前記絶縁膜パターンをマスクに使いながら形成する工程を含むことを特徴とする請求項6〜8のうち、いずれか一項記載のMOSトランジスタの製造方法。
【請求項10】
前記第1のゲート電極および第1のゲート絶縁膜を形成する工程において前記第1の絶縁膜はシリコン酸化膜であり、前記第1のゲート電極はポリシリコン膜であり、
前記第1のゲート電極および第1のゲート絶縁膜を形成する工程の後、さらに前記第1および第2のゲート電極を第1導電型にドープする工程と、
前記層間絶縁膜を、前記第1のゲート電極および前記第2のゲート電極を残し、選択的に除去する工程と、
前記シリコン基板上であって、前記第2のゲート電極と前記ドレイン領域との間の部分を、第2の絶縁膜パタ―ンで覆う工程と、
第2の絶縁膜パターンをマスクとして前記第1および第2のゲート電極の露出面、前記ソース領域の露出面、および前記ドレイン領域の露出面にシリサイド層を形成する工程を含むことを特徴とする請求項6記載のMOSトランジスタの製造方法。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図3D】
image rotate

【図3E】
image rotate

【図3F】
image rotate

【図3G】
image rotate

【図3H】
image rotate

【図3I】
image rotate

【図3J】
image rotate

【図3K】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図7C】
image rotate

【図7D】
image rotate

【図7E】
image rotate

【図7F】
image rotate

【図7G】
image rotate

【図7H】
image rotate

【図7I】
image rotate

【図7J】
image rotate

【図7K】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図9C】
image rotate

【図9D】
image rotate

【図9E】
image rotate

【図9F】
image rotate

【図9G】
image rotate

【図9H】
image rotate

【図9I】
image rotate

【図9J】
image rotate

【図9K】
image rotate

【図9L】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11A】
image rotate

【図11B】
image rotate

【図11C】
image rotate

【図11D】
image rotate

【図11E】
image rotate

【図11F】
image rotate

【図11G】
image rotate

【図11H】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13A】
image rotate

【図13B】
image rotate

【図13C】
image rotate

【図13D】
image rotate

【図13E】
image rotate

【図13F】
image rotate

【図13G】
image rotate

【図13H】
image rotate

【図13I】
image rotate


【公開番号】特開2012−142441(P2012−142441A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−294230(P2010−294230)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】