説明

半導体装置およびその製造方法

【目的】ジャンクションブロックを不要とし、またワイヤーハーネスの占有スペースを縮小化し、過電流となった主電流を確実に遮断できて、電気経路を確実に開放できるヒューズ素子を半導体基板内に形成した半導体装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】p半導体基板1に形成したトレンチ18の内壁にシリコン酸化膜21を介してヒューズ素子22を形成し、トレンチ18の開口部を塞ぐようにポリイミド膜23を被覆することで、溶断したヒューズ素子22が再度固化したときに、固化したヒューズ材で第1表面端子aと第2表面端子bの間を短絡しないようにする。半導体装置内にヒューズ素子22を有することで、ジャンクションブロックを不要とし、またワイヤーハーネスの占有スペースを縮小化できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体基板内に過電流で溶断するヒューズ素子を形成した半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車において、エンジンやトランスミッションおよび各種計測表示用途等を構成する部品として半導体装置が多く使用されている。この半導体装置は、CPU(Central Processing Unit)やインターフェイス素子などの制御用集積回路(制御回路)と、ランプ、コイルおよびモーターなどを駆動するためのスイッチング用パワー半導体素子で構成される。このスイッチング用パワー半導体素子は、例えば、横型MOSFETや縦型MOSFETなどであり、負荷に近い場所、たとえばエンジンルーム内などに設置されるため、使用環境が厳しく、過電圧、過電流および振動等により素子が破壊して回路が短絡故障を起こすことがある。
【0003】
スイッチング用パワー半導体素子が短絡故障を起こすと、過電流が流れて回路や配線に部分加熱を引き起こし、系統全体が重故障に陥いる。また、最悪の場合には発火事故につながる。これを防止するため、過電流を遮断するリレーやヒューズをスイッチング用パワー半導体素子の近傍に設けるのが一般的である。例えば、ヒューズについては、ヒューズを多数収納したジャンクションブロックと呼ばれるヒューズ交換用接続箱を自動車内に設置し、ワイヤーハーネスを用いて電源であるバッテリーや制御回路およびスイッチング用パワー半導体素子への配線を行っている。
【0004】
スイッチング用パワー半導体素子が破壊して短絡故障を起こした場合には、ヒューズを溶断して、系全体に影響が及ぶのを防止する。また、破壊した素子と溶断したヒューズを交換して故障前の状態に復帰させる。
特許文献1、2には、半導体基板上の絶縁層に穴を設け、その穴にヒューズを形成することが記載されている。
【0005】
また、特許文献3には、半導体基板上に段差の凹部を形成し、その段差上にヒューズを形成することが記載されている。
また、特許文献4には、パワーMOSFETを出力段とするパワーICにおいて、基板上にヒューズを有することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−69607号公報
【特許文献2】特開2005−109116号公報
【特許文献3】特開2005−32870号公報
【特許文献4】特許第3226074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図35は、従来のスイッチング用パワー半導体素子、バッテリー、制御回路、ジャンクションブロックおよびワイヤーハーネスの配置図の一例である。
ジャンクションブロック71に収納されている図示しないヒューズはワイヤーハーネス76を経由して、それぞれのスイッチング用パワー半導体素子72に接続し、スイッチング用パワー半導体素子72はワイヤーハーネス77を経由してそれぞれライト、コイルおよびモーターなどの負荷73に接続する。また、ジャンクションブロック71はワイヤーハーネス78を経由してバッテリー74や制御回路75に接続する。
【0008】
ジャンクションブロック71の数は車種によって異なり、高級車では数個以上になり、その占有スペースが大きくなる。また、ジャンクションブロック71がワイヤーハーネス76、78を経由して電源であるバッテリー74や制御回路75およびスイッチング用パワー半導体素子72に配線されるため、ワイヤーハーネス76、78についても長い張り回しが必要である。つまり、従来の構成では、ジャンクションブロック71の占有スペースとジャンクションブロック71と接続するワイヤーハーネス76、78の占有スペースが大きくなる。
【0009】
また、特許文献1〜3では、いずれも半導体素子のスクリーニングやメモリにおける冗長置換による欠陥救済にヒューズを利用しており、負荷に接続する半導体装置の半導体基板にトレンチや貫通孔を形成してその中にヒューズ素子を形成し、このヒューズ素子を主電流の遮断に利用することは記載されていない。
また、特許文献1〜3で開示されている構造では、過電流でヒューズ素子が溶融し固化したときに固化したヒューズ材料で電流経路を短絡することが想定される。
【0010】
また、特許文献4では、パワーMOSのゲート・ソース間の電気的特性で不良をウェハ段階で検出するためにヒューズを設けており、やはり主電流の遮断にヒューズを利用することは記載されていない。
この発明の目的は、前記の課題を解決して、ジャンクションブロックを不要とし、またワイヤーハーネスの占有スペースを縮小化し、過電流となった主電流を確実に遮断できて、電気経路を確実に開放できるヒューズ素子を半導体基板内に形成した半導体装置およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の目的を達成するために、特許請求の範囲の請求項1記載の発明によれば、半導体基板の表面から内部に向かって配置されるトレンチと、該トレンチの内壁に配置される第1絶縁膜と、該第1絶縁膜上に選択的に配置されるヒューズ素子と、該ヒューズ素子の一端が接続するスイッチング素子の主電極と、前記半導体基板の表面に前記トレンチの開口部を塞ぐように配置される第2絶縁膜と、を具備する構成とする。
【0012】
また、特許請求の範囲の請求項2記載の発明によれば、半導体基板を貫通する貫通孔と、該貫通孔の側壁に配置される第1絶縁膜と、該第1絶縁膜上に選択的に配置されるヒューズ素子と、前記半導体基板の裏面に配置されるスイッチング素子の主電極と、前記半導体基板の裏面側の前記貫通孔の開口部を塞ぎ前記主電極と接続し前記ヒューズ素子の一端と接続する電極板と、を具備する構成とする。
【0013】
また、特許請求の範囲の請求項3記載の発明によれば、半導体基板が高不純物濃度の第1半導体層と該第1半導体層上に該第1半導体層より低不純物濃度の第2半導体層とが積層体からなり、前記第1半導体層を貫通し第2半導体層に達して配置されるトレンチと、該トレンチの側壁に配置される第1絶縁膜と、該第1絶縁膜上に選択的に配置され前記トレンチの底部の前記第1半導体層と一端が接続するヒューズ素子と、前記第1半導体層を一構成層とし前記半導体基板に配置される縦型スイッチング素子と、を具備する構成とする。
【0014】
また、特許請求の範囲の請求項4の発明によれば、請求項2または3記載の発明において、前記半導体基板の表面に前記貫通孔の開口部を塞ぐように配置される第2絶縁膜を有するとよい。
また、特許請求の範囲の請求項5記載の発明によれば、半導体基板の表面から内部に向かって配置されるトレンチと、該トレンチの内壁に配置される第1絶縁膜と、該第1絶縁膜上に選択的に配置されるヒューズ素子と、該ヒューズ素子の一端が接続するスイッチング素子の主電極と、前記半導体基板の表面に配置され前記トレンチを充填する第2絶縁膜と、前記トレンチ内の前記第2絶縁膜に前記ヒューズ素子に達する用に配置される貫通孔と、該貫通孔に配置されるヒューズ吸収体と、を具備する構成とする。
【0015】
また、特許請求の範囲の請求項6記載の発明によれば、請求項1〜5記載の発明にいて、前記第1絶縁膜がシリコン酸化膜であるとよい。
また、特許請求の範囲の請求項7記載の発明によれば、請求項1〜5記載の発明にいて、前記第2絶縁膜がポリイミド膜であるとよい。
また、特許請求の範囲の請求項8記載の発明によれば、請求項2記載の発明にいて、前記電極板が、溶融した前記ヒューズ素子に対して濡れ性の良好な金属板であるとよい。
【0016】
また、特許請求の範囲の請求項9記載の発明によれば、請求項5記載の発明にいて、前記ヒューズ吸収体が、溶融したヒューズ素子を毛細管現象で吸い取るとよい。
また、特許請求の範囲の請求項10記載の発明によれば、請求項5または9記載の発明にいて、前記ヒューズ吸収体が、多数の金メッキした微小な銅ボールの集合体もしくは微細な銅線を束ねた集合体であるとよい。
【0017】
また、特許請求の範囲の請求項11記載の発明によれば、半導体基板にトレンチを形成する工程と、前記トレンチ内壁にシリコン酸化膜を形成する工程と、前記シリコン酸化膜上にヒューズ素子を選択的に形成する工程と、前記トレンチの開口部を塞ぐようにポリイミド膜を形成する工程と、を含む半導体装置の製造方法とする。
また、特許請求の範囲の請求項12記載の発明によれば、前記半導体基板に該基板を貫通する貫通孔を形成する工程と、前記貫通孔の側壁にシリコン酸化膜を形成する工程と、
前記半導体基板の裏面の貫通孔の開口部を塞ぐように電極板を形成する工程と、前記シリコン酸化膜上に前記電極板と接続するようにヒューズ素子を選択的に形成する工程と、を含む半導体装置の製造方法とする。
【0018】
また、特許請求の範囲の請求項13記載の発明によれば、高不純物濃度の第1半導体層と該第1半導体層上に該第1半導体層より低不純物濃度の第2半導体層とが積層体からなる半導体基板の前記第1半導体層を貫通し第2半導体層に達するトレンチを形成する工程と、該トレンチの側壁に第1絶縁膜を形成する工程と、該第1絶縁膜上に選択的に配置され前記トレンチの底部の前記第1半導体層と一端が接続するヒューズ素子を形成する工程と、を含む半導体装置の製造方法とする。
【0019】
また、特許請求の範囲の請求項8記載の発明によれば、請求項12または13記載の発明にいて、前記半導体基板の表側の前記貫通孔もしくは前記トレンチの開口部を塞ぐようにポリイミド膜を形成するとよい。
また、特許請求の範囲の請求項15記載の発明によれば、半導体基板にトレンチを形成する工程と、前記トレンチ内壁にシリコン酸化膜を形成する工程と、前記シリコン酸化膜上にヒューズ素子を選択的に形成する工程と、前記トレンチを埋め込むようにポリイミド膜を形成する工程と、
前記トレンチに埋め込まれたポリイミド膜に前記ヒューズ素子に達する貫通孔を形成する工程と、前記貫通孔に前記ヒューズ素子と接してヒューズ吸収体を充填する工程と、
を含む半導体装置の製造方法とする。
【0020】
また、特許請求の範囲の請求項16記載の発明によれば、半導体基板の表面から内部に向かって配置される複数のトレンチと、該トレンチのそれぞれの内壁に配置される第1絶縁膜と、該第1絶縁膜上に選択的に配置されるヒューズ素子と、該ヒューズ素子の一端が接続するスイッチング素子の主電極と、前記半導体基板の表面に前記トレンチの開口部を塞ぐように配置される第2絶縁膜と、を具備する構成とする。
【0021】
また、特許請求の範囲の請求項17記載の発明によれば、請求項16記載の発明にいて、前記ヒューズ素子直下の半導体基板を除去するとよい。
また、特許請求の範囲の請求項18記載の発明によれば、半導体基板に複数のトレンチを形成する工程と、それぞれの前記トレンチ内壁にシリコン酸化膜を形成する工程と、前記シリコン酸化膜上にヒューズ素子を選択的に形成する工程と、前記トレンチの開口部を塞ぐようにポリイミド膜を形成する工程と、を含む半導体装置の製造方法とする。
【0022】
また、特許請求の範囲の請求項8記載の発明によれば、請求項18記載の発明にいて、
前記ポリイミド膜を形成する工程の後に、前記ヒューズ素子直下の半導体基板を除去する工程を追加するとよい。
また、特許請求の範囲の請求項20記載の発明によれば、ヒューズ素子とスイッチング素子を有する半導体装置において、半導体基板の開口部に形成され空中薄膜構造で凹凸に折れ曲がった第1絶縁膜と、該第1絶縁膜上に形成されるヒューズ素子と、該ヒューズ素子の一端が接続するスイッチング素子の主電極と、前記ヒューズ素子の凸部に接して前記半導体基板の開口部を塞ぐ第2絶縁膜と、を具備する構成とする。
【0023】
また、特許請求の範囲の請求項21記載の発明によれば、ヒューズ素子とスイッチング素子を有する半導体装置において、半導体基板の開口部に形成され空中薄膜構造で凹凸に折れ曲がった第1絶縁膜と、該第1絶縁膜の凸部上に形成される第3絶縁膜と、該第3絶縁膜上と前記第1絶縁膜上に形成される前記ヒューズ素子と該第1絶縁膜上に形成されるヒューズ素子と、該ヒューズ素子の一端が接続するスイッチング素子の主電極と、前記ヒューズ素子の凸部に接して前記半導体基板の開口部を塞ぐ第2絶縁膜と、を具備する構成とする。
【0024】
また、特許請求の範囲の請求項22記載の発明によれば、請求項20または21記載の発明にいて、前記第2絶縁膜がポリイミド膜であるとよい。
また、特許請求の範囲の請求項23記載の発明によれば、半導体基板に複数のトレンチを形成する工程と、前記トレンチ内壁と該トレンチに挟まれたシリコン柱上にシリコン酸化膜を形成する工程と、前記シリコン酸化膜上に凹凸に折れ曲がったヒューズ素子となる金属層を選択的に形成する工程と、前記トレンチの開口部を塞ぎ前記金属層の凸部に接するようにポリイミド膜を形成する工程と、前記トレンチが形成された箇所の半導体基板と前記シリコン柱を除去して、凹凸に折れ曲がった中空薄膜構造のヒューズ素子を形成する工程と、を含む半導体装置の製造方法とする。
【0025】
また、特許請求の範囲の請求項24記載の発明によれば、請求項23記載の発明にいて、前記金属層が、Cu膜とSn膜の積層膜であるとよい。
また、特許請求の範囲の請求項25記載の発明によれば、請求項23記載の発明にいて、前記金属層の材料が、少なくとも、Au−Zn系材料、Pb−Sn系材料およびIn系材料のいずれかであるとよい。
【0026】
また、特許請求の範囲の請求項26記載の発明によれば、半導体基板に複数のトレンチを形成する工程と、前記トレンチに挟まれたシリコン柱の頂点に酸化膜を形成する工程と、前記トレンチ内壁と該トレンチに挟まれた前記シリコン柱上にシリコン酸化膜を形成する工程と、前記シリコン酸化膜上と前記酸化膜上に凹凸に折れ曲がったヒューズ素子となるポリシリコンを選択的に形成する工程と、
前記トレンチの開口部を塞ぎ前記ポリシリコンの凸部に接するようにポリイミド膜を形成する工程と、前記トレンチが形成された箇所下の半導体基板と前記シリコン柱を除去して、凹凸に折れ曲がった中空薄膜構造のヒューズ素子を形成する工程と、を含む半導体装置の製造方法とする。
【発明の効果】
【0027】
この発明によれば、半導体基板に形成したトレンチや貫通孔にヒューズ素子を形成することで、半導体素子が短絡破壊しても、半導体基板内に形成したヒューズ素子が確実に電流経路を遮断できて、素子破壊による系統全体への波及を防止できる。
また、ヒューズ素子を蛇腹形状(凹凸に折れ曲がった形状)とすることで、占有面積を縮小化することができて、チップサイズの小型化による低コスト化を図ることができる。
【0028】
また、ヒューズ素子を中空薄膜構造とすることで、ヒューズ素子の熱容量を小さくできて、遮断特性を向上させることができる。
また、半導体装置内にヒューズ素子を形成することで、ジャンクションブロックを不要にできて、ワイヤーハーネスの占有面積を小さくできる。従って、自動車などの構成部品の低コスト化と小面積化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
この発明は、同一の半導体基板内にスイッチング素子と導電層からなるヒューズ素子とを集積したものに関する。
実施の形態を以下の実施例で図面を示しながら説明する。以下の実施例において、ヒューズ素子を構成する導電層として金属層または不純物を導入したポリシリコン層を用いることができる。金属層としては、例えば、Au−Zn系、Pb−Sn系、In系材料を用いることができる。また、以下の説明でスイッチング用パワー半導体素子としてMOSFETを例として挙げたが、IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)などであっても構わない。以下の図の説明で不純物の導電型であるp型、n型を逆にしても構わない。
【実施例1】
【0030】
図1は、この発明の第1実施例の半導体装置の要部断面図である。この実施例は、ヒューズ素子22の一端と接続する一方の表面端子aとヒューズ素子22の他端と接続する他方の表面端子bの間に、溶融したヒューズ素子22に対して濡れ性の悪い材料(例えば、ポリイミド膜23)を配置することで、ヒューズ素子22が溶融し固化した時に両表面端子a、bが固化物(ここでは、固化したヒューズ材料のことをいう)で短絡するのを防止するものである。
【0031】
この半導体装置は、p半導体基板1(n半導体基板であっても構わない)の表面層に形成されるpウェル領域3と、このpウェル領域3の表面層に形成されるnソース領域4およびnドレイン領域5と、nソース領域4とnドレイン領域5に挟まれたpウェル領域3上にゲート絶縁膜6を介して形成されるゲート電極7と、ゲート電極7上を被覆する層間絶縁膜8とを備えている。nソース領域4とnドレイン領域5の配置が逆の場合もある。
【0032】
また、nソース領域4と接続して形成されるソース電極9と、これに接続し初期酸化膜2(例えば、LOCOS酸化膜)上に形成される金属配線10と、nドレイン領域5と接続して形成されるドレイン電極11と、これに接続し初期酸化膜2上に形成される金属配線12と、金属配線10の露出部分19である第1表面端子aと、トレンチ18で分断された金属配線10の他方側の露出部分20である第2表面端子bと、pウェル領域3と離して形成される制御回路14(例えば、CMOS回路などで構成される集積回路など)と、これらを被覆する酸化膜16を備えている。ここで形成される半導体素子は横型MOSFET13および制御回路14(集積回路)である。
【0033】
また、初期酸化膜2、金属配線10および酸化膜16を貫通しp半導体基板1に達して形成されるトレンチ18と、トレンチ18内壁に形成されるシリコン酸化膜21と、このシリコン酸化膜21上に形成され第1表面端子aと第2表面端子bに両端が接続するヒューズ素子22と、トレンチ18の開口部も含め表面を被覆するポリイミド膜23とを備えている。
【0034】
このポリイミド膜23はヒューズ素子22の溶融塊との濡れ性が悪いので、ポリイミド膜23に付着した溶融塊は固化して玉状となり、玉状の固化物は繋がることはない。また溶融塊は固化してトレンチ18底部で玉状になり、トレンチ18側壁のシリコン酸化膜22上に固化物が繋がって残留することがない。そのため、ヒューズ素子22の溶断により確実に電流経路は開放状態になり、第1表面端子aと第2表面端子bの間が再度短絡することはない。。
【0035】
この実施例では、p半導体基板1内にトレンチ18を形成し、その表面に絶縁性薄膜であるシリコン酸化膜21と、ヒューズ素子22を形成することで、p半導体基板1に形成された横型MOSFET13が短絡破壊した場合でも半導体装置としてはオープン故障モードとすることができる。
また、ヒューズ素子22が半導体装置内に形成されるため、前記したジャンクションブロックは不要となり、半導体装置とジャンクションブロックを接続するワイヤハーネスも不要となる。
【0036】
また、ヒューズ素子22が過電流により溶断して電流経路を遮断(開放)するため、半導体装置と負荷を接続するワイヤーハーネスの焼損を防止することができる。
また、半導体装置は高い信頼性を有するため、素子破壊に至る確率は極めて低いが、万一の故障に備える保護として、半導体装置自体にヒューズ素子22を設ける他に、半導体装置が短絡故障モードとなった場合でも系全体にその影響が及ばないように、これらの半導体装置を一括化しブロック化した回路毎に図示しない個別のヒューズをさらに設けて保護を行うことで信頼性を一層向上させることができる。
【0037】
尚、図中の符号24はポリイミド膜23に形成した開口部、25はその開口部24に配置し金属配線10と接続する接続端子である。この接続端子25は図示しない回路などと接続する。
図2〜図8は、図1の半導体装置の製造方法であり、工程順に示した要部製造工程断面図である。半導体装置を構成する半導体素子は横型MOSFETと制御回路である。
【0038】
図2において、p半導体基板1(シリコン基板)上に初期酸化膜2を形成し、続けて、一般的な半導体集積回路の形成手法を用いて、p半導体基板1の表面層にpウェル領域3を形成し、pウェル領域3の表面層にnソース領域4とnドレイン領域5を形成する。nソース領域4とnドレイン領域5に挟まれたpウェル領域3上にゲート絶縁膜6を介してゲート電極7を形成しその上に層間絶縁膜8を形成する。nソース領域4と接してソース電極9を形成し、それと接続しする金属配線10を初期酸化膜2上に形成し、nドレイン領域5と接してドレイン電極11を形成し、それと接続する金属配線12を初期酸化膜2上に形成する。このようにして出力段としての横型MOSFET13が形成される。
【0039】
また、p半導体基板1の表面層に横型MOSFET13と離して制御回路14を形成する。制御回路14と横型MOSFET13は金属配線12で接続し、また図示しない他の素子もしくは回路と金属配線15で接続する。尚、ソース電極9、ドレイン電極11および金属配線10、12、15は厚さ1μmの金属薄膜で同時に形成される。
その後、HTO(High Temperature Oxide),TEOS(Tetraethoxysilane),BPSG(Bolo−phospho Silicate Glass)を逐次堆積し合計厚さ2μmの酸化膜16を形成する。
【0040】
つぎに、図3において、レジスト17をマスクとして酸化膜16、金属配線10および初期酸化膜2をエッチングで除去し、p半導体基板1の表面を露出する。
つぎに、図4において、レジスト17を除去した後、形状制御性に優れた臭素系のドライエッチング法を用いて幅2μm深さ4μmのトレンチ18をp半導体基板1内に形成する。
【0041】
つぎに、図5において、ウェットエッチング法を用いて酸化膜16を2μm横方向にエッチング除去して金属配線10の露出部分19、20を形成する。
つぎに、図6において、ドライ酸化法を用いて厚さ50nmのシリコン酸化膜21を成長させる。この工程で露出部分19、20に形成された図示しない酸化膜を除去する。
つぎに、図7において、CVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて、シート抵抗率10Ω/□となるように不純物濃度を調整したポリシリコンを厚さ30nm堆積し、図示しないマスクを用いてトレンチ18以外のポリシリコンとトレンチ18内の奥行き方向以外のポリシリコンを除去し、トレンチ18の奥行き方向の内壁(紙面に対して垂直方向の側壁と底部のこと)にヒューズ素子22を形成する。
【0042】
つぎに、図8において、粘度が数10ポアズ程度の感光性ポリイミド樹脂を10μmの厚さで塗布し、図示しないマスクを用いてパターン化し、300℃で10時間キュアし、ポリイミド膜23を形成する。このポリイミド膜23に開口部24を形成し酸化膜16を除去し、金属配線10と接続する接続端子25を形成する。接続端子25は図示しない回路などと接続する。
【0043】
トレンチ18の奥行き方向の寸法を50μmとした時に、金属配線10の露出部分19、20間(第1表面端子aと第2表面端子bの間)のヒューズ素子22の抵抗値は10オームとなる。電流値0.5Aで30秒以内に溶断するヒューズ素子22が得られた。本実施例では、溶融したヒューズ素子22に対して濡れ性の悪いポリイミド膜23がトレンチ10の上部の開口部を覆っているため、溶融したヒューズ素子22が第1、第2表面端子a、b近傍で固化して繋がるのを防止する。そのため、表面端子aと表面端子bの間の電流経路を確実に遮断(開放)することができる。
【0044】
ヒューズ素子22として、CVD法を用いて形成したポリシリコンを本実施例では用いたが、これは他の薄膜形成手段、たとえば、蒸着法やメッキ法を用いて形成しても良い。ヒューズ素子22の材料は、ポリシリコンの他に、例えば、Au−Zn系、Pb−Sn系、In系材料を用いてもよい。本実施例では、ヒューズ素子22をスイッチング用パワー半導体素子である横型MOSFET13に接続した例を示したが、スイッチング用パワー半導体素子と接続すると同時に、制御回路など他の集積回路とも接続する場合がある。
【0045】
本発明によれば、トレンチ18の開口幅は2μm程度であるので、素子面積の増加は半導体チップの面積に比べれば微小である。
図9は、ヒューズ素子が溶断した状態を示す図である。第1、第2表面端子a,bを電気的に接続するヒューズ素子22が溶断してトレンチ18底部で固化する。側壁のシリコン酸化膜21にヒューズ素子22の固化物26が繋がって付着せず、殆どの固化物26はトレンチ18の底部に集まる。そのため第1表面端子aと第2表面端子bの間の電流経路は遮断(開放)される。ヒューズ素子22が溶断するときに、トレンチ18上部がポリイミド膜23で塞がれ、ヒューズ素子22がポリイミド膜23で被覆されているので第1表面端子aと第2表面端子bの間に固化物26が繋がることはない。そのため、第1表面端子aと第2表面端子bの間での短絡は確実に防止される。
【0046】
図10は、ポリイミド膜が下方に位置した場合のヒューズ素子が溶断した状態を示す図である。これは半導体装置の取り付けで上下が逆になった場合を想定している。
ポリイミド膜23は濡れ性が悪いので、溶断したヒューズ素子22の固化物26はポリイミド膜23に玉状になって付着し各玉状の固化物26が離れているので、第1表面端子aと第2表面端子bの間を短絡することはない
図11は、ポリイミド膜で塞がれていない場合のヒューズ素子が溶断した状態を示す図である。これはポリイミド膜23でトレンチ18の開口部を塞がない場合の実験例である。トレンチ18上部にポリイミド膜23が無いために、固化物26がトレンチ18上部を塞ぎ第1表面端子aと第2表面端子bを電気的に短絡する場合が生じる。この実験から分かるように、トレンチ18の開口部をポリイミド膜23などの濡れ性の悪い材料で塞ぐことが重要である。
【実施例2】
【0047】
図12は、この発明の第2実施例の半導体装置の要部断面図である。この実施例は、溶融時のヒューズ素子52と濡れ性の良い電極板50を貫通孔45の底部に配置し、この電極板50とヒューズ素子52の一端と接続し、ヒューズ素子52の他端で露出部分である表面端子54との間に過電流が流れてヒューズ素子52が溶融し固化した時に、表面端子54と電極板50の間が固化物で短絡するのを防止するものである。
【0048】
この半導体装置は、高濃度のn半導体層である第1半導体層1の上に低濃度のn半導体層である第2半導体層32を配置したDW(Diffused Wafer)基板30の第2半導体層32の表面層に形成されるpウェル領域34と、このpウェル領域32の表面層に形成されるnソース領域35と、nソース領域35と第2半導体層32に挟まれたpウェル領域34上にゲート絶縁膜36を介して形成されるゲート電極37を備えている。
【0049】
また、ゲート電極37上に形成される層間絶縁膜38と、この層間絶縁膜38上に形成されるソース電極と、第1半導体層(nドレイン領域となる)の裏面48に形成されるドレイン電極49を備えている。これらの構成により縦型MOSFET41が形成され、この縦型MOSFET41と離して制御回路42(集積回路)を備えている。
また、酸化膜43、金属配線40(図示しない)、初期酸化膜33およびDW基板30を貫通して形成された貫通孔45と、DW基板30の貫通孔45の側壁に形成されるシリコン酸化膜46と、このシリコン酸化膜46上と初期酸化膜33の側壁および酸化膜43の側面に形成されるHTO47である酸化物薄膜と、縦型MOSFET41が形成されない側の貫通孔45内の側壁上のHTO47表面と酸化膜43表面に形成されるヒューズ素子52とを備えている。
【0050】
また、ヒューズ素子52の一方の端部と接続しドレイン電極49と接続して形成される電極板50(第1端子)と、貫通孔45の開口部の上部も含め表面を被覆するポリイミド膜53と、ポリイミド膜53を開口しヒューズ素子52の露出部分である表面端子54(第2端子)とを備えている。
図13〜図22は、図12の半導体装置の製造方法であり、工程順に示した要部製造工程断面図である。
【0051】
図13において、高濃度のn型半導体層である第1半導体層31上に第1半導体層31より低濃度のn型半導体層である第2半導体層32を積層した厚さ625μmのDW基板30の第2半導体層32に初期酸化膜33を形成し、一般的な半導体集積回路の形成手法を用いて、出力段となる縦型MOSFET41と制御回路42を形成した後,HTO,TEOS,BPSGの酸化物薄膜を逐次堆積し合計厚さ2μmの酸化膜43を形成する。
【0052】
つぎに、縦型MOSFET41の形成方法を説明する。低濃度のn型半導体層である第2半導体層32の表面層にpウェル領域34を形成し、pウェル領域34の表面層にnソース領域35を形成する。nソース領域35と第2半導体層32に挟まれたpウェル領域34上にゲート絶縁膜36を介してゲート電極37を形成する。ゲート電極37上に層間絶縁膜38を形成しその上にnソース領域35とpウェル領域34に接するソース電極39を形成する。第2半導体層31はnドレイン層となり裏面に後述するドレイン電極49を形成して縦型MOSFET41が製作される。
【0053】
つぎに、図14において、レジスト44をマスクとして酸化膜43および初期酸化膜33をエッチング除去して第2半導体層32表面を露出させる。
つぎに、図15において、レジスト43を除去した後、マスクとなる酸化膜43および初期酸化膜33とのエッチング選択比に優れた塩素系のドライエッチング法を用いて幅100μmで深さ625μmの貫通孔45をDW基板30に形成する。
【0054】
つぎに、図16において、ドライ酸化法を用いて貫通孔45の側壁にシリコン酸化膜46を50nmの厚さで成長させる。
つぎに、図17において、酸化物薄膜であるHTO47を100nmの厚さで形成する。
つぎに、図18において、DW基板30を裏側から研磨して、研磨後の表面から裏面48までの厚さを500μmまで薄くする。
【0055】
つぎに、図19において、蒸着法を用いてnドレイン領域となる第1半導体層31の裏面48にタングステンを50nmの厚さ、ニッケルを100nmの厚さ、金を100nmの厚さで積層してドレイン電極49を形成する。
つぎに、図20において、印刷法を用いて、金粒子を含有する電極板50を5μmの厚さで形成する。
【0056】
つぎに、図21において、トレンチ45の開口部を部分的に塞ぐメタルマスク51を用いて、スパッター法を用いてメッキの核となる白金を2nmの厚さで形成し、続けて無電界メッキ法を用いて、Cu薄膜を20μmの厚さ、Sn薄膜を15μmの厚さで形成し、ヒューズ素子52を形成する。
つぎに、図22において、粘度が数10ポアズ程度の感光性ポリイミド樹脂を10μmの厚さで塗布し、図示しないマスクを用いてパターン化し、300℃で10時間キュアし、ポリイミド膜53を形成する。
【0057】
貫通孔45の奥行き方向の寸法を100μmとした時に、表面端子54と電極板50間のヒューズ素子52の抵抗値は0.004オームであり、電流10A、遅延時間0.1秒で溶断するヒューズ素子52が得られた。
また、本実施例では、溶融したヒューズ素子52に対して濡れ性の良い電極板50を表面電極54から離れた貫通孔45の底部に設けているため、溶融したヒューズ素子52は、濡れ性のよい底部の電極板50で固化するため、確実に電流経路を遮断できる。
【0058】
また、ヒューズ素子52は貫通孔45の一方の側壁に形成され、他方の側壁にはヒューズ素子52は形成されておらずHTO47が露出しているため、貫通孔45の上部を固化物で塞いだとしても短絡することはない。そのため、ポリイミド膜53は必ずしも必要ではない。
また、ヒューズ素子52の下地のHTO47は濡れ性が悪いため、溶融したヒューズ素子52がHTO47上で繋がって固化することがないので、電流通路は確実に遮断される。
【0059】
また、貫通孔45の形成方法としては、例えば、陽極酸化法を用いて微細酸化柱を形成したのち、酸化層のみをエッチング除去すればよい。
また、ヒューズ素子52として無電解メッキ法で形成したCu薄膜とSn薄膜の2層膜を本実施例では用いたが、他の薄膜形成手段、たとえば、蒸着法やスパッタ法を用いて形成しても良い。ヒューズ素子52の材料は、たとえば、Au−Zn系、Pb−Sn系、In系材料を用いてもよい。本発明によれば、約100μm幅の貫通孔45を追加するだけなので、素子面積の増加は微小である。
【0060】
前記の実施例では縦型MOSFET41の場合を例として挙げたが、横型MOSFETの場合も適用できる。また、制御回路42などの半導体集積回路と本発明のヒューズ素子52を組み合わせる場合もある。
図23は、図12の貫通孔に換えDW基板のn+層である第1半導体層31に達するトレンチ55を形成した場合の要部断面図である。この場合は第1半導体層31の不純物濃度を、例えば1020cm-3以上と高くして、電極板50およびドレイン電極49の働きをさせることで、電極板50およびドレイン電極49を不要にすることができる。
【0061】
図24は、図12の縦型MOSFET41を横型MOSFET13に代えた場合の要部断面図である。図12との違いは、DW基板30を貫通するコンタクトホール57を形成し、そのコンタクトホール57を絶縁膜59を介して導電体58で充填し、表面側の金属配線10と裏面側の裏面電極56を電気的に接続し、裏面電極56と電極板50を接続した点である。この場合は裏面にはドレイン電極の代わりに裏面電極56が形成されている。
【0062】
また、図24に示す貫通孔45を図23に示すようなトレンチ55に代えて、図23で示すように、このトレンチ55にヒューズ素子52を形成し、第1半導体層31の不純物濃度を例えば1020cm-3以上と高くし、図24で示すコンタクトホール57をこの第1半導体層31内に留まるようにして、その中を導電体で充填した構成としてもよい。
尚、半導体基板としてDW基板30に限るものではない。しかし、FZ(Floating Zone)基板を用いた場合には基板の裏面側にnドレイン領域を形成する必要がある。
【実施例3】
【0063】
図25は、この発明の第3実施例の半導体装置の要部断面図である。この実施例は、毛細管現象を利用して溶融したヒューズ素子65をヒューズ吸収体67に集めて固化するものである。
この半導体装置は、半導体基板61上の酸化膜62(ボックス層)の上に半導体層63を形成したSOI(Silicon On Insulator)基板60を用いて、この半導体層63の表面層に形成されるpウェル領域3と、このpウェル領域3の表面層に形成されるnソース領域4およびnドレイン領域5と、nソース領域4とnドレイン領域5に挟まれたpウェル領域3上にゲート絶縁膜6を介して形成されるゲート電極7と、ゲート電極7上を被覆する層間絶縁膜8とを備えている。nソース領域4とnドレイン領域5の配置が逆の場合もある。
【0064】
また、初期酸化膜2上にnソース領域4と接続して形成されるソース電極9とこれに接続する金属配線10と、初期酸化膜2上にnドレイン領域5と接続して形成されるドレイン電極11とこれに接続する金蔵配線12と、金属配線10の露出部分19である第1表面端子aと、トレンチ18で分断された金属配線10の他方側の露出部分20である第2表面端子bと、pウェル領域3と離して形成される制御回路14と、これらを被覆する酸化膜16を備えている。ここで形成される半導体素子は横型MOSFET13および制御回路14である。また、ここでは制御回路14は第2半導体層2の表面層に形成されているが、酸化膜62に底部が接するように形成する場合もある。
【0065】
また、酸化膜16、金属配線10、初期酸化膜2および第2半導体層63を貫通し酸化膜62に達して形成されたトレンチ64と、トレンチ64内壁に形成されたシリコン酸化膜21と、このシリコン酸化膜21上に形成され第1表面端子aと第2表面端子bに両端が接続するヒューズ素子65と、トレンチ64を充填し表面を被覆するポリイミド膜23とを備えている。
【0066】
また、トレンチ64を充填したポリイミド膜23にヒューズ素子65に達して形成される開口部66と、この開口部66にトレンチ64底部のヒューズ素子65と接して形成されるヒューズ吸収体67を備えている。
図26〜図33は、図25の半導体装置の製造方法であり、工程順に示した要部製造工程断面図である。
【0067】
SOI基板60は半導体基板61上に形成された酸化膜62(ボックス層)上に厚さ10μmの半導体層63を有し、トレンチ64の深さが10μmである点を除いて、図26〜図30までの工程は、図2〜図6の工程と同じである。
図31において、マスク68を配置した後、スパッターを用いて、Sn−Ag系材料からなるヒューズ素子65を形成する。勿論、ヒューズ素子65はポリシリコンであっても構わない。
【0068】
つぎに、図32において、感光性ポリイミド樹脂を5μmで表面に塗布し、この感光性ポリイミド樹脂でトレンチ64内を充填し、図示しないマスクを用いてパターニング・キュアして、トレンチ64内に開口幅が約5μmの開口部66を有するポリイミド膜23を形成する。
つぎに、図33において、開口部66内に金メッキを施した直径1μmの銅ボールを含む樹脂液を塗布/硬化させヒューズ吸収体67を形成する。硬化させるとき樹脂液は蒸発して金メッキ銅ボール同士が樹脂を介して固着する。
【0069】
溶融したヒューズ素子65は、この固着した銅ボールの隙間を伝わって毛細管現象でヒューズ吸収体67に吸い上げられて固化する。
したがって、溶融したヒューズ素子65の飛散が防止され、溶融したヒューズ素子65をこのヒューズ吸収体67で吸収し固化させるので、確実に電流経路を遮断(開放)できる。尚、ヒューズ吸収体67は100nmΦ程度の銅の細線(例えば、カーボンナノチューブに銅コートしたなものなど)を束ねたもので構成しても構わない。
【0070】
図34は、SOI基板の酸化膜を貫通して酸化膜下の半導体基板に達するトレンチを形成した場合の要部断面図である。このようにトレンチ64を深く形成することで、ヒューズ素子65が溶断した後固化した時に、固化物で第1表面端子aと第2表面端子bが短絡をするのを一層確実に防止できる。尚、半導体基板としてはSOI基板60に限るものではなく、FZ基板などであっても構わない。
【実施例4】
【0071】
図36は、この発明の第4実施例の半導体装置の要部断面図である。実施例1との違いは、複数のトレンチ108を形成して、そのトレンチ108上にシリコン酸化膜110を介してヒューズ素子117(薄膜ヒューズ素子)を形成した点である。
複数のトレンチ108を形成することで、ヒューズ素子117の占有面積を実施例1より低減することができる。ヒューズ素子117の占有面積を低減することで、チップの小型化と低コスト化を図ることができる。尚、実施例4では、半導体素子との組み合わせを示したが、これは半導体集積回路でもよい。
【0072】
図37〜図43は、図36の半導体装置の製造方法であり、工程順に示した要部製造工程断面図である。但し、図が(a)と(b)で示されている場合は(a)は製造工程断面図であり、(b)は製造工程平面図である。
図37に示すように、p型のシリコン基板101上に初期酸化膜102を形成し、一般的な半導体集積回路の形成手法を用いて、出力段としての横型MOSFET103と制御回路104を作製し、これらの素子間を接続する厚さ1μmのパターニングされた金属薄膜105を形成する。続いて、HTO(High Temperature Oxide)膜、TEOS(Tetra Ethyloltho Silicate)膜、BPSG(Boron Phosphosilicate Glass)膜を逐次堆積し合計厚さ2μmの酸化膜106を形成する。
【0073】
つぎに、図38に示すように、レジストマスク107を用いて酸化膜106をエッチング除去しをシリコン基板101の表面を露出させる。
つぎに、図39に示すように、レジストマスク107を除去し、酸化膜106とのエッチング選択比に優れ、エッチングスピードが速い塩素系のドライエッチング法を用いて、幅310μm、奥行き100μmの領域に幅100μm深さ80μmのトレンチ108を3本シリコン基板101内に形成した。トレンチ108間のシリコン柱116(トレンチで挟まれた箇所のシリコン壁のこと)の幅は5μmとした。奥行き方向の長さは100μmとする。
【0074】
つぎに、図40に示すように、ウェットエッチング法を用いてシリコン柱116上の酸化膜106をエッチング除去し、このとき両端にあるトレンチ108の側壁と接する金属薄膜105の端部を露出させて露出部分109を形成する。
つぎに、図41に示すように、ドライ酸化法を用いて厚さ50nmのシリコン酸化膜110を成長させる。
【0075】
つぎに、図42に示すように、トレンチ108形成箇所に部分的に開口を有するメタルマスク111を形成しシリコン基板101の垂直面に対して±30度の角度でメッキの核となる白金を2nm蒸着法を用いて形成した。この蒸着法ではメッキ核となる白金材料の奥行き方向の側壁への付着を防止することができる。続けて無電界メッキ法を用いて、20μm厚さのCu薄膜を白金膜上に形成し、その上に15μm厚さのSn薄膜を形成しパターニングしてヒューズ素子117を製作する。このヒューズ素子117の両端は、ヒューズ素子117の端子114と横型MOSFET103の電極115の露出部分109でそれぞれ接続する。
【0076】
つぎに、図43に示すように、メタルマスク111を除去し、端子114上の酸化膜106も除去し、粘度が数10ポアズ程度の感光性ポリイミド樹脂を厚さ10μm塗布し、図示しないマスクを用いてパターン化し、300℃で10時間キュアし、トレンチ108の開口部を塞ぐようにポリイミド膜113を形成する。このポリイミド膜113は凹凸に曲がったヒューズ素子117の凸部の頂点と接する。また、このポリイミド膜113はヒューズ素子117の材料とは濡れ性が悪いため、溶融したヒューズ素子117を形成するCuSn合金膜が固化したときに繋がることがない。また、このポリイミド膜113に開口部を形成し端子114上に図示しない回路と接続する端子配線118を形成する。
【0077】
金属薄膜105である端子114の露出部分109と電極115の露出部分109間に形成されるヒューズ素子117の抵抗値は0.004オームであった。また、電流10A、遅延時間0.1秒で溶断するヒューズ素子117が得られる。
ポリイミド膜113で表面を覆っているため、ヒューズ素子117を形成するCuSn合金膜の固化時に端子114および電極115近傍で凝集するのを防止できるため、確実に遮断動作が可能である。
【0078】
ヒューズ素子117として、メッキ法を用いて形成したCuとSnの複合メタルヒューズを本実施例では用いたが、これは他の薄膜形成手段、たとえば、蒸着法やCVD(Chemical Vapor Deposition) 法を用いて形成しても良い。ヒューズ素子117となる金属材料としては、例えば、Au−Zn系材料、Pb−Sn系材料、In系材料を用いることもできる。
【0079】
本実施例では、ヒューズ素子の両端の接続は、シリコン基板101上に酸化膜102を介して形成される端子114と半導体素子である横型MOSFET103の電極115への接続例を示したが、この電極115への接続は、電極115と接続する横型MOSFET103の図示しない端子であっても良い。本発明によれば、トレンチ108を複数にすることでヒューズ素子117の占有面積を縮小化できる。
【0080】
また、表面にポリイミド膜113を形成することで、ヒューズ素子117が溶融し固化するときに再短絡するのを防止できる。
【実施例5】
【0081】
図44は、この発明の第5実施例の半導体装置の要部断面図である。実施例4との違いは、ヒューズ素子を形成した後、裏面から支持基板(シリコン基板101)のシリコンをシリコン柱116の底部の位置までエッチングで除去した点である。ヒューズ素子117下のシリコン基板101が除去されているため、熱容量が小さくなりヒューズ素子117の遮断特性が向上する。これにより、図36の半導体装置より、高速溶断が可能になる。
【0082】
端子114と電極115間に形成されるヒューズ素子117の抵抗値は実施例4と同様に10オームである。熱容量が小さくなったために、実施例4より早く溶断するヒューズ素子117が得られた。
また、ポリイミド膜113で表面を覆っているため、ヒューズ素子117を形成するCuSn合金膜の固化時に端子114および電極115近傍で凝集するのを防止できるため、確実な動作が可能である。尚、実施例5では、半導体素子との組み合わせを示したが、これは半導体集積回路でもよい。
【実施例6】
【0083】
図45は、この発明の第6実施例の半導体装置の構成図であり、同図(a)は要部断面図、同図(b)はヒューズ素子部の要部斜視図である。実施例5との違いは、ヒューズ素子117を形成した後、裏面から支持基板のシリコン基板101とシリコン柱116をエッチングで除去し、ヒューズ素子117をシリコン柱116がない凹凸に折れ曲がった中空薄膜構造とした点である。ヒューズ素子117を支えてる熱容量の大きなシリコン基板101とシリコン柱116が無いため、熱容量がさらに小さくなりヒューズ素子117の遮断特性がさらに向上する。
【0084】
端子114と電極115間に形成されるヒューズ素子117の抵抗値は実施例5と同様に10オームである。熱容量が小さくなったために、実施例5より早く溶断するヒューズ素子117が得られる。これにより、図44の半導体装置より、高速溶断が可能になる。本ケースでは、ポリイミ膜113で表面を覆っているため、ヒューズ素子117を形成するポリシリコンの固化時に端子114および電極115近傍で凝集するのを防止できるため、確実な動作が可能である。
【0085】
図45(b)に示すように、中空薄膜構造で凹凸に折れ曲がったヒューズ素子117は、シリコン酸化膜102上に形成され、端子114と電極115とA部で固定され、その他の箇所は中空に浮いた状態となっている。ヒューズ素子117下以外の箇所のシリコン酸化膜106は図45(b)では存在している状態を示したが、除去されて無い場合もある。
【0086】
尚、実施例6では、半導体素子との組み合わせを示したが、これは半導体集積回路でもよい。
実施例6の場合はシリコン柱116の高さが高いためにエッチングで除去しきれない場合も出てくる。それをトレンチ108の深さを浅くし、シリコン柱116の幅を広げて解決したのが実施例7である。
【実施例7】
【0087】
図46は、この発明の第7実施例の半導体装置の要部断面図である。実施例6との違いは、トレンチ108を浅くし、トレンチ108の上に酸化膜106を形成し、シリコン酸化膜110上と酸化膜106上にヒューズ素子117aを形成した点である。このヒューズ素子117aは凹凸に折れ曲がった中空薄膜構造をしている。この場合もヒューズ素子117aの熱容量が小さくなり遮断特性が大幅に向上する。尚、実施例7では、半導体素子との組み合わせを示したが、これは半導体集積回路でもよい。
【0088】
図47〜図53は、図46の半導体装置の製造方法であり、工程順に示した製造工程断面図である。但し、図が(a)と(b)で示されている場合は(a)は製造工程断面図であり、(b)は製造工程平面図である。図49の前工程は実施例4と同じであり、ここでは、実施例4の図38の工程に続く工程を説明する。
図47に示すように、形状制御性に優れた臭素系のドライエッチング法を用いて幅30μm、奥行き30μmの領域に幅6μm深さ5μmのトレンチ108を3本シリコン基板101内に形成する。トレンチ108間のシリコン柱116の幅は6μmとする。奥行き方向の長さは30μmである。臭素系のドライエッチング法はエッチングスピードが塩素系のドライエッチング法より遅いので深いトレンチ108の形成には適さない。
【0089】
つぎに、図48に示すように、ウェットエッチング法を用いて2μm厚の酸化膜106を2μmエッチング除去して金属薄膜105の露出部分109を形成すると共に、トレンチ内のシリコン柱116上の酸化膜106を幅狭に形成する。
つぎに、図49に示すように、ドライ酸化法を用いて厚さ50nmのシリコン酸化膜110を成長させる。
【0090】
つぎに、図50に示すように、CVD法を用いて、シート抵抗率5Ω/□となるように不純物濃度を調整したポリシリコンを厚さ30nm堆積し、図示しないマスクを用いてトレンチ108以外のポリシリコンを除去し、酸化膜106上とシリコン酸化膜110上にヒューズ素子117aを形成する。
つぎに、図51に示すように、粘度が数10ポアズ程度の感光性ポリイミド樹脂を厚さ10μm塗布し、図示しないマスクを用いてパターン化し、300℃で10時間キュアし、トレンチ108の開口部を塞ぐようにポリイミド膜113を形成する。このポリイミド膜113は凹凸に曲がったヒューズ素子117aの凸部の頂点と接する。
【0091】
つぎに、図52に示すように、シリコン基板101を裏面から研磨して厚さ100μmまで薄膜化する。これはヒューズ素子117aで発生した熱を効率よく放熱する効果がある。
つぎに、図53に示すように、シリコン基板101の裏面より、トレンチ108箇所をエッチングして支持基板であるシリコン基板101とシリコン柱116を除去して空中薄膜構造のヒューズ素子117aとする。
【0092】
端子114と電極115間に形成されるヒューズ素子117の抵抗値は10オームとなる。電流値0.5Aで15秒以内に溶断するヒューズ素子117が得られる。
図36の半導体装置より、約2倍の高速溶断が可能になる。本実施例では、ポリイミド膜113で表面を覆っているため、ヒューズ素子117aを形成するポリシリコンの固化時に端子114および電極115近傍で凝集するのを防止できるため、確実な動作が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】この発明の第1実施例の半導体装置の要部断面図
【図2】図1の半導体装置の要部製造工程断面図
【図3】図2に続く、図1の半導体装置の要部製造工程断面図
【図4】図3に続く、図1の半導体装置の要部製造工程断面図
【図5】図4に続く、図1の半導体装置の要部製造工程断面図
【図6】図5に続く、図1の半導体装置の要部製造工程断面図
【図7】図6に続く、図1の半導体装置の要部製造工程断面図
【図8】図7に続く、図1の半導体装置の要部製造工程断面図
【図9】ヒューズ素子が溶断した状態を示す図
【図10】ポリイミド膜が下方に位置した場合のヒューズ素子が溶断した状態を示す図
【図11】ポリイミド膜で塞がれていない場合のヒューズ素子が溶断した状態を示す図
【図12】この発明の第2実施例の半導体装置の要部断面図
【図13】図12の半導体装置の要部製造工程断面図
【図14】図13に続く、図12の半導体装置の要部製造工程断面図
【図15】図14に続く、図12の半導体装置の要部製造工程断面図
【図16】図15に続く、図12の半導体装置の要部製造工程断面図
【図17】図16に続く、図12の半導体装置の要部製造工程断面図
【図18】図17に続く、図12の半導体装置の要部製造工程断面図
【図19】図18に続く、図12の半導体装置の要部製造工程断面図
【図20】図19に続く、図12の半導体装置の要部製造工程断面図
【図21】図20に続く、図12の半導体装置の要部製造工程断面図
【図22】図22に続く、図12の半導体装置の要部製造工程断面図
【図23】図12の貫通孔をDW基板のn+層である第1半導体層31に達するトレンチ55を形成した場合の要部断面図
【図24】図12の縦型MOSFETを横型MOSFETに代えた場合の要部断面図
【図25】この発明の第3実施例の半導体装置の要部断面図
【図26】図25の半導体装置の要部製造工程断面図
【図27】図26に続く、図25の半導体装置の要部製造工程断面図
【図28】図27に続く、図25の半導体装置の要部製造工程断面図
【図29】図28に続く、図25の半導体装置の要部製造工程断面図
【図30】図29に続く、図25の半導体装置の要部製造工程断面図
【図31】図30に続く、図25の半導体装置の要部製造工程断面図
【図32】図31に続く、図25の半導体装置の要部製造工程断面図
【図33】図32に続く、図25の半導体装置の要部製造工程断面図
【図34】SOI基板の酸化膜を貫通して酸化膜下の半導体基板に達するトレンチを形成した場合の要部断面図
【図35】従来のスイッチング用パワー半導体素子、バッテリー、制御回路、ジャンクションブロックおよびワイヤーハーネスの配置図
【図36】この発明の第4実施例の半導体装置の要部断面図
【図37】図36に続く、図36の半導体装置の製造工程図
【図38】図37に続く、図36の半導体装置の製造工程図
【図39】図38に続く、図36の半導体装置の製造工程図
【図40】図39に続く、図36の半導体装置の製造工程図
【図41】図40に続く、図36の半導体装置の製造工程図
【図42】図41に続く、図36の半導体装置の製造工程図
【図43】図42に続く、図36の半導体装置の製造工程図
【図44】この発明の第5実施例の半導体装置の要部断面図
【図45】この発明の第6実施例の半導体装置の構成図であり、(a)は要部断面図、(b)はヒューズ素子部の要部斜視図
【図46】この発明の第7実施例の半導体装置の要部断面図
【図47】図46の半導体装置の製造工程図
【図48】図47に続く、図46の半導体装置の製造工程図
【図49】図48に続く、図46の半導体装置の製造工程図
【図50】図49に続く、図46の半導体装置の製造工程図
【図51】図50に続く、図46の半導体装置の製造工程図
【図52】図51に続く、図46の半導体装置の製造工程図
【図53】図52に続く、図46の半導体装置の製造工程図
【符号の説明】
【0094】
1 p半導体基板
2、33 初期酸化膜
3、34 pウェル領域
4、35 nソース領域
5 nドレイン領域
6、36 ゲート絶縁膜
7、37 ゲート電極
8、38 層間絶縁膜
9、39 ソース電極
10、12 金属配線
11、49 ドレイン電極
13 横型MOSFET
14、 42 制御回路
15 金属配線
16、43 酸化膜
17、44 レジスト
18、55、64 トレンチ
19、20 露出部分
21、46 シリコン酸化膜
22、52、65 ヒューズ素子
23、53 ポリイミド膜
24、66 開口部
25 接続端子
26 固化物
30 DW基板
31 第1半導体層
32 第半導体層
41 縦型MOSFET
45 貫通孔
47 HTO
48 裏面
50 電極板
51 メタルマスク
54 表面端子
56 裏面電極
57 コンタクトホール
58 導電体
59 絶縁膜
60 SOI基板
61 半導体基板
62 酸化膜(ボックス層)
63 半導体層
67 ヒューズ吸収体
101 シリコン基板
102、106、110 酸化膜
103 出力段制御素子
104 制御回路
105 金属薄膜
107 レジストマスク
108 トレンチ
109 露出部分
110 シリコン酸化膜
111 メタルマスク
113 ポリイミド樹脂
114 端子
115 電極
116 シリコン柱
117、117a ヒューズ素子
118 接続端子
a 第1表面端子
b 第2表面端子


【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の表面から内部に向かって配置されるトレンチと、該トレンチの内壁に配置される第1絶縁膜と、該第1絶縁膜上に選択的に配置される導電層からなるヒューズ素子と、該ヒューズ素子の一端と電気的に接続するスイッチング素子の主電極と、前記半導体基板の表面に前記トレンチの開口部を塞ぐように配置される第2絶縁膜と、を具備することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
半導体基板を貫通する貫通孔と、該貫通孔の側壁に配置される第1絶縁膜と、該第1絶縁膜上に選択的に配置される導電層からなるヒューズ素子と、前記半導体基板の裏面に配置されるスイッチング素子の主電極と、前記半導体基板の裏面側の前記貫通孔の開口部を塞ぎ前記主電極と接続し前記ヒューズ素子の一端と電気的に接続する電極板と、を具備することを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
半導体基板が高不純物濃度の第1半導体層と該第1半導体層上に該第1半導体層より低不純物濃度の第2半導体層とが積層体からなり、前記第1半導体層を貫通し第2半導体層に達して配置されるトレンチと、該トレンチの側壁に配置される第1絶縁膜と、該第1絶縁膜上に選択的に配置され前記トレンチの底部の前記第1半導体層と一端が電気的に接続する導電層からなるヒューズ素子と、前記第1半導体層を一構成層とし前記半導体基板に配置される縦型スイッチング素子と、を具備することを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
前記半導体基板の表面に前記貫通孔の開口部を塞ぐように配置される第2絶縁膜を有することを特徴とする請求項2または3に記載の半導体装置。
【請求項5】
半導体基板の表面から内部に向かって配置されるトレンチと、該トレンチの内壁に配置される第1絶縁膜と、該第1絶縁膜上に選択的に配置される導電層からなるヒューズ素子と、該ヒューズ素子の一端が接続するスイッチング素子の主電極と、前記半導体基板の表面に配置され前記トレンチを充填する第2絶縁膜と、前記トレンチ内の前記第2絶縁膜に前記ヒューズ素子に達する用に配置される貫通孔と、該貫通孔に配置されるヒューズ吸収体と、を具備することを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
前記第1絶縁膜がシリコン酸化膜であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2絶縁膜がポリイミド膜であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記電極板が、溶融した前記ヒューズ素子に対して濡れ性の良好な金属板であることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記ヒューズ吸収体が、溶融したヒューズ素子を毛細管現象で吸い取ることを特徴とした請求項5に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記ヒューズ吸収体が、多数の金メッキした微小な銅ボールの集合体もしくは微細な銅線を束ねた集合体であることを特徴とする請求項5または9に記載の半導体装置。
【請求項11】
半導体基板にトレンチを形成する工程と、
前記トレンチ内壁にシリコン酸化膜を形成する工程と、
前記シリコン酸化膜上にヒューズ素子となる導電層を選択的に形成する工程と、
前記トレンチの開口部を塞ぐようにポリイミド膜を形成する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記半導体基板に該基板を貫通する貫通孔を形成する工程と、
前記貫通孔の側壁にシリコン酸化膜を形成する工程と、
前記半導体基板の裏面の貫通孔の開口部を塞ぐように電極板を形成する工程と
前記シリコン酸化膜上に前記電極板と接続するようにヒューズ素子となる導電層を選択的に形成する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項13】
高不純物濃度の第1半導体層と該第1半導体層上に該第1半導体層より低不純物濃度の第2半導体層とが積層体からなる半導体基板の前記第1半導体層を貫通し第2半導体層に達するトレンチを形成する工程と、
該トレンチの側壁に第1絶縁膜を形成する工程と、
該第1絶縁膜上に選択的にヒューズ素子となる導電層を形成する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記半導体基板の表側の前記貫通孔もしくは前記トレンチの開口部を塞ぐようにポリイミド膜を形成することを特徴とする請求項12または13に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
半導体基板にトレンチを形成する工程と、
前記トレンチ内壁にシリコン酸化膜を形成する工程と、
前記シリコン酸化膜上にヒューズ素子となる導電層を選択的に形成する工程と、
前記トレンチを埋め込むようにポリイミド膜を形成する工程と、
前記トレンチに埋め込まれたポリイミド膜に前記ヒューズ素子に達する貫通孔を形成する工程と、
前記貫通孔に前記ヒューズ素子と接してヒューズ吸収体を充填する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項16】
半導体基板の表面から内部に向かって配置される複数のトレンチと、該トレンチのそれぞれの内壁および該トレンチに挟まれたシリコン柱上に配置される第1絶縁膜と、該第1絶縁膜上に選択的に前記複数のトレンチに渡って凹凸に折れ曲がって配置される導電層からなるヒューズ素子と、該ヒューズ素子の一端と電気的に接続されるスイッチング素子の主電極と、前記半導体基板の表面に前記複数のトレンチの開口部を塞ぐように配置される第2絶縁膜と、を具備することを特徴とする半導体装置。
【請求項17】
前記ヒューズ素子直下の半導体基板に該半導体基板の裏面から形成されたトレンチを有することを特徴とする請求項16に記載の半導体装置。
【請求項18】
半導体基板に複数のトレンチを形成する工程と、
それぞれの前記トレンチ内壁および該トレンチに挟まれたシリコン柱上にシリコン酸化膜を形成する工程と、
前記シリコン酸化膜上に選択的に前記複数のトレンチに渡って凹凸に折れ曲がってヒューズ素子となる導電層を選択的に形成する工程と、
前記複数のトレンチの開口部を塞ぐようにポリイミド膜を形成する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記ポリイミド膜を形成する工程の後に、前記ヒューズ素子直下の前記半導体基板裏面から前記ヒューズ素子に対応する箇所にトレンチを形成する工程を追加することを特徴とする請求項18に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項20】
ヒューズ素子とスイッチング素子を有する半導体装置において、半導体基板の開口部に形成され空中薄膜構造で凹凸に折れ曲がった第1絶縁膜と、該第1絶縁膜上に凹凸に折れ曲がって形成される導電層からなるヒューズ素子と、該ヒューズ素子の一端と電気的に接続するスイッチング素子の主電極と、前記ヒューズ素子の凸部に接して該ヒューズ素子を覆うように前記第1絶縁膜の凹部を塞ぐ第2絶縁膜と、を具備することを特徴とする半導体装置。
【請求項21】
ヒューズ素子とスイッチング素子を有する半導体装置において、半導体基板の開口部に形成され空中薄膜構造で凹凸に折れ曲がった第1絶縁膜と、該第1絶縁膜の凸部上に形成される第3絶縁膜と、該第3絶縁膜上と前記第1絶縁膜上に凹凸に折れ曲がって形成される導電層からなる前記ヒューズ素子と、該ヒューズ素子の一端と電気的に接続するスイッチング素子の主電極と、前記ヒューズ素子の凸部に接して前記ヒューズ素子を覆うように前記第1絶縁膜の凹部を塞ぐ第2絶縁膜と、を具備することを特徴とする半導体装置。
【請求項22】
前記第2絶縁膜がポリイミド膜であることを特徴とする請求項20または21に記載の半導体装置。
【請求項23】
半導体基板に複数のトレンチを形成する工程と、
前記トレンチ内壁と該トレンチに挟まれたシリコン柱上にシリコン酸化膜を形成する工程と、
前記シリコン酸化膜上に凹凸に折れ曲がったヒューズ素子となる金属層を選択的に形成する工程と、
前記トレンチの開口部を塞ぎ前記金属層の凸部に接するようにポリイミド膜を形成する工程と、
前記トレンチが形成された箇所の半導体基板と前記シリコン柱を除去して、凹凸に折れ曲がった中空薄膜構造のヒューズ素子を形成する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項24】
前記金属層が、Cu膜とSn膜の積層膜であることを特徴とする請求項23に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項25】
前記金属層の材料が、少なくとも、Au−Zn系材料、Pb−Sn系材料およびIn系材料のいずれかであるあることを特徴とする請求項23に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項26】
半導体基板に複数のトレンチを形成する工程と、
前記トレンチに挟まれたシリコン柱の頂点に酸化膜を形成する工程と、
前記トレンチ内壁と該トレンチに挟まれた前記シリコン柱上にシリコン酸化膜を形成する工程と、
前記シリコン酸化膜上と前記酸化膜上に凹凸に折れ曲がったヒューズ素子となるポリシリコンを選択的に形成する工程と、
前記トレンチの開口部を塞ぎ前記ポリシリコンの凸部に接するようにポリイミド膜を形成する工程と、
前記トレンチが形成された箇所下の半導体基板と前記シリコン柱を除去して、凹凸に折れ曲がった中空薄膜構造のヒューズ素子を形成する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【公開番号】特開2009−267371(P2009−267371A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−55215(P2009−55215)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(503361248)富士電機デバイステクノロジー株式会社 (1,023)
【Fターム(参考)】