説明

うつ病の治療のための新規なピペリジン誘導体

以下の式:
【化1】


(式中、Ar1は明細書中に定義されるとおりである)
の化合物およびその塩、エナンチオマーならびに上記化合物を含有する医薬組成物を製造する。それらは治療、特にうつ病の治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヒスタミン受容体リガンドに関する。より具体的には、本発明は、ヒスタミンH3受容体リガンド、その製法およびその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒスタミンH3受容体は、新規医薬の開発にとって目下の関心事である。この受容体は中枢および末梢神経系の両方に、皮膚に、および器官、例えば肺、腸、おそらく脾臓および消化管に所在するシナプス前自己受容体(presynaptic autoreceptor)である。最近の証拠は、H3受容体がインビトロならびにインビボにおいて、内在性の、構造的活性を示す(すなわち、アゴニストの不存在下で活性である)ことを示唆する。インバースアゴニストとして作用する化合物はこの活性を阻害することができる。ヒスタミンH3受容体が、ヒスタミンおよびまた他の神経伝達物質、例えばセロトニンおよびアセチルコリンの放出を調節することが証明されている。いくつかのヒスタミンH3リガンド、例えばヒスタミンH3受容体アンタゴニストまたはインバースアゴニストは、脳におけるこれらの神経伝達物質の放出を増大し得るが、他のヒスタミンH3リガンド、例えばヒスタミンH3受容体アゴニストはヒスタミンの生合成阻害ならびにヒスタミンおよびまた他の神経伝達物質の放出阻害をもたらし得る。このことは、ヒスタミンH3受容体アゴニスト、インバースアゴニストおよびアンタゴニストがニューロン活性のメディエイターであることを示唆する。したがって、ヒスタミンH3受容体は新規な治療法の標的であり得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
イミダゾール誘導体ヒスタミンH3リガンドの製造および使用を開示する刊行物が存在する。しかし、さらなるヒスタミンH3リガンドの必要性が存在する。
【0004】
本明細書の中で特に明記しない限り、本明細書において使用される命名法は、一般にNomenclature of Organic Chemistry, Sections A, B, C, D, E, FおよびH, Pergamon Press, Oxford, 1979に記載された例および規則に従い、これは、化学構造の命名に関するその典型的な化学構造の名称および規則について本明細書に参照により組み込まれる。
【0005】
単独でまたは接頭辞として使用される用語「Cm-n」または「Cm-n基」は、m〜n個の炭素原子を有するいずれかの基のことである。
【0006】
単独でまたは接尾辞もしくは接頭辞として使用される用語「炭化水素」は、炭素原子が14個までの炭素および水素原子のみを含むいずれかの構造のことである。
【0007】
単独でまたは接尾辞もしくは接頭辞として使用される用語「炭化水素基」または「ヒドロカルビル」は、炭化水素から1つまたはそれ以上の水素を除去して得られるいずれかの構造のことである。
【0008】
単独でまたは接尾辞もしくは接頭辞として使用される用語「アルキル」は、1〜約12個の炭素原子を含む、一価の直鎖または分枝鎖炭化水素基のことである。
【0009】
単独でまたは接尾辞もしくは接頭辞として使用される用語「アルキレン」は、1〜約12個の炭素原子を含む、二価の直鎖または分枝鎖炭化水素基のことであり、これは2つの構造を一緒に結合するのに働く。
【0010】
単独でまたは接尾辞もしくは接頭辞として使用される用語「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有し、そして少なくとも2個から約12個までの炭素原子を含む、一価の直鎖または分枝鎖炭化水素基のことである。
【0011】
単独でまたは接尾辞もしくは接頭辞として使用される用語「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有し、そして少なくとも2個から約12個までの炭素原子を含む、一価の直鎖または分枝鎖炭化水素基のことである。
【0012】
単独でまたは接尾辞もしくは接頭辞として使用される用語「シクロアルキル」は、少なくとも3個から約12個までの炭素原子を含む、一価の環含有炭化水素基のことである。
【0013】
単独でまたは接尾辞もしくは接頭辞として使用される用語「シクロアルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有し、そして少なくとも3個から約12個までの炭素原子を含む、一価の環含有炭化水素基のことである。
【0014】
単独でまたは接尾辞もしくは接頭辞として使用される用語「シクロアルキニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有し、そして約7個から約12個までの炭素原子を含む、一価の環含有炭化水素基のことである。
【0015】
単独でまたは接尾辞もしくは接頭辞として使用される用語「アリール」は、芳香族の特性(例えば、4n+2個の非局在化電子)を有する1つまたはそれ以上の多不飽和の炭素環を有し、そして5個から約14までの炭素原子を含む一価の炭化水素基のことである。
【0016】
単独でまたは接尾辞もしくは接頭辞として使用される用語「アリーレン」は、芳香族の特性(例えば、4n+2個の非局在化電子)を有する1つまたはそれ以上の多不飽和炭素環を有し、そして5個から約14個までの炭素原子を含む二価の炭化水素基のことであり、これは2つの構造を一緒に連結するのに役立つ。
【0017】
単独でまたは接尾辞もしくは接頭辞として使用される用語「複素環」は、環構造の一部として、N、O、PおよびSから独立して選ばれる1つまたはそれ以上の多価ヘテロ原子を有し、そして環中に少なくとも3個から約20個までの原子を含む、環を含有する構造または分子のことである。複素環は、飽和していてもよいし、または1つまたはそれ以上の二重結合を含む不飽和であってもよく、そして複素環は複数の環を含んでいてもよい。複素環が複数の環を含む場合、環は縮合していてもよいし、または縮合してなくてもよい。縮合環は、一般に少なくとも2つの環がその間で2個の原子を共有する環のことである。複素環は芳香族の特性を有してもよいし、または芳香族の特性を有してなくてもよい。
【0018】
単独でまたは接尾辞もしくは接頭辞として使用される用語「複素芳香族」は、環構造の部分としてN、O、PおよびSから独立して選ばれる1つまたはそれ以上の多価ヘテロ原子を有し、そして環中に少なくとも3個から約20個までの原子を含む、環を含有する構造または分子のことであり、環を含有する構造または分子は、芳香族の特性(例えば、4n+2個の非局在化電子)を有する。
【0019】
単独でまたは接尾辞もしくは接頭辞として使用される用語「複素環式基」、「複素環式部分」、「複素環式」または「ヘテロシクロ」は、そこから1つまたはそれ以上の水素を除去することによって複素環から誘導された基のことである。
【0020】
単独でまたは接尾辞もしくは接頭辞として使用される用語「ヘテロシクリル」は、そこから1つの水素を除去することによって複素環から誘導された一価の基のことである。
【0021】
単独でまたは接尾辞もしくは接頭辞として使用される用語「ヘテロシクリレン」は、複素環から2個の水素を除去することによって複素環から誘導された二価の基のことであり、これは2つの構造を一緒に連結するのに働く。
【0022】
単独でまたは接尾辞もしくは接頭辞として使用される用語「ヘテロアリール」は、芳香族の特性を有するヘテロシクリルのことである。
【0023】
単独でまたは接尾辞もしくは接頭辞として使用される用語「ヘテロシクロアルキル」は、芳香族の特性を有しないヘテロシクリルのことである。
【0024】
単独でまたは接尾辞もしくは接頭辞として使用される用語「ヘテロアリーレン」は、芳香族の特性を有するヘテロシクリレンのことである。
【0025】
単独でまたは接尾辞もしくは接頭辞として使用される用語「ヘテロシクロアルキレン」は、芳香族の特性を有しないヘテロシクリレンのことである。
【0026】
接頭辞として使用される用語「6員」は、6個の環原子を含む環を有する基のことである。
【0027】
接頭辞として使用される用語「5員」は、5個の環原子を含む環を有する基のことである。
【0028】
5員環ヘテロアリールは、1、2または3個の環原子がN、OおよびSから独立して選ばれる、5個の環原子を有する環のヘテロアリールである。
【0029】
典型的な5員環ヘテロアリールは、チエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、1,2,3−トリアゾリル、テトラゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、1,3,4−チアジアゾリルおよび1,3,4−オキサジアゾリルである。
【0030】
6員環ヘテロアリールは、1、2または3個の環原子がN、OおよびSから独立して選ばれる、6個の環原子を有する環のヘテロアリールである。
【0031】
典型的な6員環ヘテロアリールは、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、トリアジニルおよびピリダジニルである。
【0032】
接頭辞として使用される用語「置換された」は、1つまたはそれ以上の水素が、1つまたはそれ以上のC1-6炭化水素基、またはN、O、S、F、Cl、Br、IおよびPから選ばれる1つまたはそれ以上のヘテロ原子を含む1つまたはそれ以上の化学基で置き換えられた構造、分子または基のことである。1つまたはそれ以上のヘテロ原子を含む典型的な化学基としては、−NO2、−OR、−Cl、−Br、−I、−F、−CF3、−C(=O)R、−C(=O)OH、−NH2、−SH、−NHR、−NR2、−SR、−SO3H、−SO2R、−S(=O)R、−CN、−OH、−C(=O)OR、−C(=O)NR2、−NRC(=O)R、オキソ(=O)、イミノ(=NR)、チオ(=S)およびオキシイミノ(=N−OR)が含まれ、ここにおいて、各「R」は、C1-6ヒドロカルビルである。例えば、置換されたフェニルは、ニトロフェニル、メトキシフェニル、クロロフェニル、アミノフェニル等のことであってよく、ここで、フェニル環上のいずれかの適切な水素は、ニトロ、メトキシ、クロロおよびアミノ基で置き換えられていてもよい。
【0033】
1つまたはそれ以上の化学基の名称が後に続く第1の構造、分子または基の接尾辞として使用される用語「置換された」は、第1の構造、分子または基の1つまたはそれ以上の水素が1つまたはそれ以上の命名された化学基で置き換えられて得られた第2の構造、分子または基のことである。例えば、「ニトロによって置換されたフェニル(“phenyl substituted by nitro”)」は、ニトロフェニルのことである。
【0034】
複素環には、例えば単環式複素環、例えば:アジリジン、オキシラン、チイラン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、ピロリジン、ピロリン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ピラゾリン、ジオキソラン、スルホラン 2,3−ジヒドロフラン、2,5−ジヒドロフラン テトラヒドロフラン、チオファン、ピペリジン、1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、ピラン、チオピラン、2,3−ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジヒドロピリジン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、ジオキサン、ホモピペリジン、2,3,4,7−テトラヒドロ−1H−アゼピン ホモピペラジン、1,3−ジオキセパン、4,7−ジヒドロ−1,3−ジオキセピンおよびヘキサメチレンオキシドが含まれる。
【0035】
さらに、複素環には、芳香族複素環、例えば、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、チオフェン、フラン、フラザン、ピロール、イミダゾール、チアゾール、オキサゾール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、1,2,3−トリアゾール、テトラゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−トリアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,3,4−トリアゾール、1,3,4−チアジアゾールおよび1,3,4−オキサジアゾールが含まれる。
【0036】
さらに、複素環には、多環式複素環、例えばインドール、インドリン、イソインドリン、キノリン、テトラヒドロキノリン、イソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、1,4−ベンゾジオキサン、クマリン、ジヒドロクマリン、ベンゾフラン、2,3−ジヒドロベンゾフラン、イソベンゾフラン、クロメン、クロマン、イソクロマン、キサンテン、フェノキサチイン、チアントレン、インドリジン、イソインドール、インダゾール、プリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、フェナントリジン、ペリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、1,2−ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチオフェン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾ−ル、チオキサンチン、カルバゾール、カルボリン、アクリジン、ピロリジジンおよびキノリジジンが包含される。
【0037】
上記の多環式複素環に加えて、複素環には、2つまたはそれ以上の環の間の環縮合に、両方の環に共通の複数の結合および両方の環に共通の2個を超える原子が含まれる多環式複素環が含まれる。このような架橋された複素環の例としては、キヌクリジン、ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタンおよび7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタンが含まれる。
【0038】
ヘテロシクリルには、例えば単環式ヘテロシクリル、例えば:アジリジニル、オキシラニル、チイラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ピロリジニル、ピロリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ジオキソラニル、スルホラニル、2,3−ジヒドロフラニル、2,5−ジヒドロフラニル、テトラヒドロフラニル、チオファニル、ピペリジニル、1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピラニル、チオピラニル、2,3−ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、1,4−ジヒドロピリジニル、1,4−ジオキサニル、1,3−ジオキサニル、ジオキサニル、ホモピペリジニル、2,3,4,7−テトラヒドロ−1H−アゼピニル、ホモピペラジニル、1,3−ジオキセパニル、4,7−ジヒドロ−1,3−ジオキセピニルおよびヘキサメチレンオキシジルが含まれる。
【0039】
さらに、ヘテロシクリルには芳香族ヘテロシクリルまたはヘテロアリール、例えばピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、チエニル、フリル、フラザニル、ピロリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、1,2,3−トリアゾリル、テトラゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、1,3,4−チアジアゾリルおよび1,3,4−オキサジアゾリルが含まれる。
【0040】
さらに、ヘテロシクリルには、多環式ヘテロシクリル(芳香族または非芳香族の両方を含む)、例えばインドリル、インドリニル、イソインドリニル、キノリニル、テトラヒドロキノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、1,4−ベンゾジオキサニル、クマリニル、ジヒドロクマリニル、ベンゾフラニル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、クロマニル、イソクロマニル、キサンテニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、インドリジニル、イソインドリル、インダゾリル、プリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、フェナントリジニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、1,2−ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、チオキサンチニル、カルバゾリル、カルボリニル、アクリジニル、ピロリジジニルおよびキノリジジニルが包含される。
【0041】
上記の多環式ヘテロシクリルに加えて、ヘテロシクリルには、2つまたはそれ以上の環の間の環縮合に、両方の環に共通の複数の結合および両方の環に共通の2個を超える原子が含まれる多環式ヘテロシクリルが含まれる。このような架橋された複素環の例には、キヌクリジニル、ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプチル;および7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプチルが含まれる。
【0042】
単独でまたは接尾辞もしくは接頭辞として使用される用語「アルコキシ」は、一般式−O−Rの基のことであり、ここにおいて、−Rは炭化水素基から選ばれる。典型的なアルコキシには、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t−ブトキシ、イソブトキシ、シクロプロピルメトキシ、アリルオキシおよびプロパルギルオキシが含まれる。
【0043】
単独でまたは接尾辞もしくは接頭辞として使用される用語「アミン」または「アミノ」は、一般式−NRR'の基のことであり、ここにおいてRおよびR’は水素または炭化水素基から独立して選ばれる。
【0044】
ハロゲンには、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が含まれる。
【0045】
基の接頭辞として使用される「ハロゲン化された」は、基の1つまたはそれ以上の水素が1つまたはそれ以上のハロゲンで置き換えられたことを意味する。
【0046】
「RT」または「rt」は室温を意味する。
【課題を解決するための手段】
【0047】
一形態において、本発明は、式Iの化合物、その医薬上許容しうる塩、そのジアステレオマー、そのエナンチオマー、およびその混合物:
【化1】

[式中
Ar1はC6-10アリールおよびC2-9ヘテロアリールから選択され、ここで上記C6-10アリールおよびC2-9ヘテロアリールは−R、−NO2、−OR、−Cl、−Br、−I、−F、−CF3、−OCF3、−C(=O)R、−C(=O)OH、−NH2、−SH、−NHR、−NR2、−SR、−SO3H、−SO2R、−SO2NR、−S(=O)R、−CN、−OH、−C(=O)OR、−C(=O)NR2、−NRC(=O)R、および−NRC(=O)−ORから選択される1またはそれ以上の基で場合により置換され、ここでRは独立して、水素、C3-6シクロアルキル、C3-6ヘテロシクリル、フェニル、ベンジル、C1-6アルキルまたはC2-6アルケニルであり、そしてここで上記Rはさらにメチル、ヒドロキシおよびハロゲンから選択される1またはそれ以上の基で場合により置換される]
を提供する。
【0048】
一実施形態において、本発明の化合物はAr1
【化2】

により表される式Iの化合物であってよく、
ここでArはフェニル、ピリジル、ナフチル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、キノリル、インドリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイミダゾリル、2,3−ジヒドロ−ベンゾフラニル、ベンゾ[1,2,3]チアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、および4H−ベンゾ[1,4]オキサジン−3−オン−イルから選択され;
R1、R2およびR3は独立して−R、−NO2、−OR、−Cl、−Br、−I、−F、−CF3、−C(=O)R、−C(=O)OH、−NH2、−SH、−NHR、−NR2、−SR、−SO3H、−SO2R、−SO2NR、−S(=O)R、−CN、−OH、−C(=O)OR、−C(=O)NR2、−NRC(=O)R、および−NRC(=O)−ORから選択され、ここでRは独立して、水素、C5-6シクロアルキル、C3-5ヘテロシクリル、フェニル、ベンジル、C1-4アルキルまたはC2-4アルケニルであり、そしてここで上記Rはさらにメチル、ヒドロキシおよびハロゲンから選択される1またはそれ以上の基で場合により置換される。
【0049】
別の実施形態において、本発明の化合物は式Iにより表され、式中、Ar1はフェニル、2−ピリジル、2−ナフチル、ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル、キノール−2−イル、1H−インドール−4−イル、1H−インドール−7−イル、1H−ベンゾトリアゾール−5−イル、1H−ベンゾイミダゾール−5−イル、2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−5−イル、ベンゾ[1,2,3]チアジアゾール−5−イル、ベンゾ[1,2,3]チアジアゾール−6−イル、ベンゾチアゾール−6−イル、および4H−ベンゾ[1,4]オキサジン−3−オン−7−イルから選択され、ここでAr1はさらにC1-4アルキル、C2-4アルケニル、C1-4アルコキシ、C1-4アルケニルオキシ、フェノキシ、ベンジル、アセトアミノ、メチルスルホニル、メトキシカルボニル、ニトロ、クロロ、フルオロ、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、メチルチオ(methythio)、シアノ、ジメチルアミノ、ヒドロキシ、メチルアミノスルホニル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、フェニル、フェノキシ、ベンジル、4−ヒドロキシル−フェニル、ジエチルアミノ、メチルスルホニル、アミノスルホニル、シクロへキシル、1−ピロリル、1H−ピラゾール−3−イル、5−テトラゾリル、1−ピペリジニル、1−ピラゾリル、メチルスルホニルメチル、3,5−ジメチル−ピラゾリル、ピロリジン−2−オン−1−イルから選択される1またはそれ以上の基で場合により置換される。
【0050】
さらに別の実施形態において、本発明の化合物は以下から選択される:
【化3】

【0051】
【化4】

【0052】
【化5】

およびその医薬上許容しうる塩。
【0053】
本発明の化合物が1つまたはそれ以上のキラル中心を含む場合、本発明の化合物が、エナンチオマーまたはジアステレオマーの形態でまたはラセミ混合物として存在し、そしてそれらとして単離することができることは当然であろう。本発明は、式Iの化合物の、任意の可能なエナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体またはそれらの混合物を含む。本発明の化合物の光学活性な形態は、例えばラセミ体のキラルクロマトグラフ分離によって、光学活性な出発物質からの合成によって、または後に記載する手順に基づく不斉合成によって製造することができる。
【0054】
また、本発明の特定の化合物が、幾何異性体、例えばアルケンのEおよびZ異性体として存在し得ることはよく理解されるであろう。本発明は、式Iの化合物の任意の幾何異性体を含む。さらに、本発明が、式Iの化合物の互変異性体を包含することは当然であろう。
【0055】
また、本発明の特定の化合物が、非溶媒和形態と同様に溶媒和形態、例えば水和形態で存在し得ることは当然であろう。さらに、本発明が、式Iの化合物の全てのこのような溶媒和形態を包含することも当然であろう。
【0056】
また、式Iの化合物の塩は、本発明の範囲内である。一般に、本発明の化合物の医薬上許容しうる塩は、当技術分野でよく知られた標準的な方法を用いて、例えば十分に塩基性の化合物、例えばアルキルアミンを、生理学上許容しうるアニオンを提供するための適切な酸、例えばHClまたは酢酸と反応させることによって得ることができる。また、対応するアルカリ金属(例えばナトリウム、カリウムまたはリチウム)またはアルカリ土類金属(例えばカルシウム)の塩は、水性媒体中で適切な酸性プロトンを有する本発明の化合物、例えばカルボン酸またはフェノールを1当量のアルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物またはアルコキシド(例えばエトキシドまたはメトキシド)、または適切に塩基性の有機アミン(例えばコリンまたはメグルミン)で処理し、その後従来の精製技術で処理することによって製造可能でありうる。
【0057】
一実施形態において、上記の式Iの化合物は、その医薬上許容しうる塩または溶媒和物、特に酸付加塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩またはp−トルエンスルホン酸塩に変換することができる。
【0058】
本発明の化合物は、ヒスタミンH3受容体との相互作用が有益である広範な状態および障害の治療に有用である。したがって、この化合物は、例えば中枢神経系、末梢神経系、心血管系、肺系、胃腸系および内分泌系の疾患の治療における使用を見出し得る。
【0059】
本発明の化合物は、治療において、特に種々のうつ状態の治療において有用である。
【0060】
本発明の化合物は、特に、自己免疫疾患、例えば関節炎のための、皮膚移植、臓器移植および同様の外科的な必要性のための、膠原病、種々のアレルギーのための免疫調節剤として有用であり、抗腫瘍剤および抗ウイルス剤として使用するために有用である。
【0061】
本発明の化合物は肥満、癲癇、アルツハイマー病、痴呆、統合失調症、認識欠損(cognitive defect)、鼻炎、認識障害(cognition disorders)、中枢神経系疾患、神経障害、癲癇、注意欠陥多動障害、摂食障害、アレルギー性鼻炎、アレルギー、炎症、片頭痛、睡眠障害、ナルコレプシー、不安障害、精神医学的状態、うつ病、多発性硬化症、不安、双極性障害、発作、睡眠障害、精神障害、認知障害(cognitive disorder)およびインスリン非依存性糖尿病の治療に有用である。
【0062】
本発明の化合物は抗うつ剤として有用である。異なる特性を有する薬剤の組合せが、うつ病を治療するために必要とされる効果のバランスを得るために使用できる。
【0063】
また、上記議論された状態のいずれかを治療する医薬を製造するための上記式Iの化合物のいずれかの使用は、本発明の範囲内にある。
【0064】
本発明のさらなる形態は、上記議論した状態のいずれかを患う対象の治療方法であって、それによって、上記式Iの化合物の有効量がこのような治療を必要とする患者に投与される。
【0065】
従って、本発明は、治療に使用するための上記定義された式Iの化合物またはその医薬上許容しうる塩または溶媒和物を提供する。
【0066】
さらなる形態において、本発明は、治療に使用するための医薬の製造における上記定義された式Iの化合物またはその医薬上許容しうる塩または溶媒和物の使用を提供する。
【0067】
本明細書の文脈において、反対の特定の指示がない限り、用語「治療」にはまた「予防」が含まれる。用語「治療の」および「治療上の」は、それに応じて解釈されるべきである。本発明の文脈における用語「治療」は、さらに、本発明の化合物の有効量を投与して既存の疾患状態、急性もしくは慢性、または再発状態のいずれかを緩和することを包含する。また、この定義には、再発状態を予防するための予防治療および慢性障害の継続治療が包含される。
【0068】
温血動物、例えばヒトの治療の使用において、本発明の化合物は、従来の医薬組成物の形態で、経口、筋肉内、皮下、局所的、鼻腔内、腹腔内、胸腔内(intrathoracially)、静脈内、硬膜外、クモ膜下腔内、脳室内を含む任意の経路によっておよび関節への注射によって投与することができる。
【0069】
本発明の一実施形態において、投与経路は、経口、静脈内または筋肉内であることができる。
【0070】
用量は、投与経路、疾患の重症度、患者の年齢および体重、ならびに特定の患者に最も適切な個別の用法および用量レベルを決定する場合に主治医によって通常考慮される他の因子に左右される。
【0071】
本発明の化合物から医薬組成物を製造する際、不活性で医薬上許容しうる担体は、固体および液体のいずれであってもよい。固体形態の製剤には、散剤、錠剤、分散性顆粒剤、カプセル剤、カシェ剤および坐剤が含まれる。
【0072】
固形担体は、希釈剤、矯味矯臭剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁化剤、結合剤または錠剤崩壊剤として作用することもできる1つまたはそれ以上の物質であってもよく;また、カプセル化材料であってもよい。
【0073】
散剤では、担体は、微粉化された固体であり、それは微粉化された本発明の化合物、または活性成分との混合物中にある。錠剤では、活性成分を、必要な結合性を有する担体と共に適切な比率で混合し、所望の形状およびサイズに成形する。
【0074】
坐剤組成物を製造するには、低融点のロウ、例えば脂肪酸グリセリドとカカオ脂の混合物を最初に溶融し、活性成分を、例えば撹拌によってその中に分散させる。次いで溶融した均一な混合物を都合のよい大きさの型中へ注ぎ、そして冷却して凝固させる。
【0075】
適切な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ラクトース、糖、ペクチン、デキストリン、デンプン、トラガント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点のロウ、カカオ脂、等である。
【0076】
また、組成物なる用語は、カプセルを提供する担体としてのカプセル化材料を用いた活性成分の製剤をも含むものとし、活性成分(他の担体と共に、またはなしで)が担体によってそのカプセル中に包まれ、その結果担体が活性成分と一体となっている。同様に、カシェ剤が含まれる。
【0077】
錠剤、散剤、カシェ剤およびカプセル剤は、経口投与に適した固体剤形として使用することができる。
【0078】
液体形態の組成物には、液剤、懸濁剤および乳剤が含まれる。例えば、活性化合物の滅菌水溶液または滅菌水プロピレングリコール溶液は、非経口投与に適した液体製剤であることができる。また、液体組成物は、ポリエチレングリコール水溶液の液剤に製剤化することができる。
【0079】
経口投与のための水性液剤は、活性成分を水に溶解し、所望により、適切な着色剤、矯味矯臭剤、安定剤および濃稠化剤を加えることによって製造することができる。経口使用のための水性懸濁剤は、微粉化された活性成分を粘稠物質、例えば天然 合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび医薬製剤の技術分野で知られている他の懸濁化剤と共に水に分散させることによって製造することができる。
【0080】
投与方式に応じて、医薬組成物は、本発明の化合物0.05%〜99%w(質量パーセント)、より好ましくは0.10〜50%wを含むことが好ましく、全ての質量パーセントは、全組成物に基づく。
【0081】
本発明を実施するための治療上有効量は、個々の患者の年齢、体重および反応を含む、公知の診断基準を用いて決定することができ、当業者によって治療されているかまたは予防されている疾患の範囲内で判断される。
【0082】
医薬を製造するための上記定義されたいずれかの式Iの化合物の使用は、本発明の範囲内にある。
【0083】
また、うつ病を治療する医薬を製造するための式Iのいずれかの化合物の使用は、本発明の範囲内にある。
【0084】
さらに、種々のうつ状態を治療する医薬を製造するための式Iのいずれかの化合物の使用が提供される。
【0085】
本発明のさらなる形態は、上記で議論された状態のいずれかを患う対象の治療方法であり、それによって上記式Iの化合物の有効量が、このような治療を必要とする患者に投与される。
【0086】
さらに、医薬上許容しうる担体と組合わせて式Iの化合物またはその医薬上許容しうる塩を含む医薬組成物が提供される。
【0087】
特に、治療のため、より詳しくはうつ病の治療のため、医薬上許容しうる担体と組合わせて式Iの化合物またはその医薬上許容しうる塩を含む医薬組成物が提供される。
【0088】
さらに、上記議論された状態のいずれかに使用するための、医薬上許容しうる担体と組合わせて式Iの化合物またはその医薬上許容しうる塩を含む医薬組成物が提供される。
【0089】
さらに別の形態において、本発明は式Iの化合物の製造方法を提供する。
【0090】
さらに別の形態において、本発明は、
Ar1−COXまたは(Ar1−CO)2Oを3−(1−ピペリジノ)プロピルアミンと反応させることを含む、式I
【化6】

[式中、Ar1はC6-10アリールおよびC2-9ヘテロアリールから選択され、ここで上記C6-10アリールおよびC2-9ヘテロアリールは−R、−NO2、−OR、−Cl、−Br、−I、−F、−CF3、−OCF3、−C(=O)R、−C(=O)OH、−NH2、−SH、−NHR、−NR2、−SR、−SO3H、−SO2R、−SO2NR、−S(=O)R、−CN、−OH、−C(=O)OR、−C(=O)NR2、−NRC(=O)R、および−NRC(=O)−ORから選択される1またはそれ以上の基で場合により置換され、ここでRは独立して、水素、C3-6シクロアルキル、C3-6ヘテロシクリル、フェニル、ベンジル、C1-6アルキルまたはC2-6アルケニルであり、そしてここで上記Rはさらにメチル、ヒドロキシおよびハロゲンから選択される1またはそれ以上の基で場合により置換され、そして
Xは−OHおよびハロゲンから選択される]
の化合物を製造する方法を提供する。
【0091】
一実施形態において、式I
【化7】

[式中、Ar1
【化8】

により表され、
ここでArはフェニル、ピリジル、ナフチル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、キノリル、インドリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイミダゾリル、2,3−ジヒドロ−ベンゾフラニル、ベンゾ[1,2,3]チアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、および4H−ベンゾ[1,4]オキサジン−3−オン−イルから選択され;
R1、R2およびR3は独立して−R、−NO2、−OR、−Cl、−Br、−I、−F、−CF3、−C(=O)R、−C(=O)OH、−NH2、−SH、−NHR、−NR2、−SR、−SO3H、−SO2R、−SO2NR、−S(=O)R、−CN、−OH、−C(=O)OR、−C(=O)NR2、−NRC(=O)R、および−NRC(=O)−ORから選択され、ここでRは独立して、水素、C5-6シクロアルキル、C3-5ヘテロシクリル、フェニル、ベンジル、C1-4アルキルまたはC2-4アルケニルであり、そしてここで上記Rはさらにメチル、ヒドロキシおよびハロゲンから選択される1またはそれ以上の基で場合により置換され;そして
Xは−OHおよびハロゲンから選択される]
の化合物を製造する方法は、
Ar1−COXまたは(Ar1−CO)2Oを3−(1−ピペリジノ)プロピルアミンと結合させることを含む。
【0092】
特定の実施形態において、Ar1−COXまたは(Ar1−CO)2Oを3−(1−ピペリジノ)プロピルアミンと結合させる工程は、塩基およびアミドカップリング試薬から選択される1またはそれ以上の試薬の存在下、周囲温度で実施することができる。塩基はトリエチルアミンであり得る。アミドカップリング試薬はEDC・HClであり得る。この結合させる工程はHOBTの存在下でも実施できる。
【0093】
生物学的評価
本発明の化合物が、温血動物、例えばヒトにおけるH3受容体に対して活性であることが見出された。特に、本発明の化合物が有効なH3受容体リガンドであることが見出された。以下のインビトロアッセイにおいて、これらの驚くべき活性が明らかにされる。これらの活性はインビボ活性に関連する可能性があり、そして結合親和性とは直線的には相関しない可能性がある。これらのインビトロアッセイにおいて、化合物はH3受容体に対するそれらの活性について試験され、そしてpIC50を得て、H3受容体に対する特定の化合物の活性を決定する。
【0094】
ヒトH3受容体細胞培養のアンタゴニストのFLIPRアッセイ同定:
ヒスタミンに応答するH3受容体の活性は、ヒトH3受容体でトランスフェクトされたCHO−K1細胞における細胞内Ca2+動員を仲介する。Ca2+におけるこの増加は、Fluo−3AMを取り込ませたH3受容体トランスフェクト細胞を使用する蛍光イメージングプレートリーダー(FLIPR)を使用して測定できる。CHO−H3−Gα16トランスフェクト細胞をT225cm2組織培養フラスコで、単層として、10% (v/v)加熱不活化したウシ胎仔血清を補充したNUT Hams (1% (v/v) グルタミンを含む)において培養し、1mg/ml Geneticin抗生物質選択および1mg/ml Zeocin選択下で増殖させた。培養物を5% CO2の加湿雰囲気下、37℃で維持し、そして3日ごとに継代した。
【0095】
アッセイバッファ:
ハンクス平衡塩類溶液1000mLに、HEPES(4.8g)およびプロベネシド0.714g(これを1M NaOH(5mL)中に溶解し、そして溶液に添加した)を添加した。このバッファーのpHをNaOHで7.4に調整した。10% DMSO (v/v)を含むアッセイバッファを、化合物調製プレート用に製造した。通常、200ml(20mlのニートなDMSOを含む)が12×384プレートには十分であろう。
【0096】
ローディングバッファ:
アッセイバッファ(120mL)に、100mg BSAおよびMDC FLIPR Calciumアッセイ試薬(アッセイバッファ中に溶解)1バイアルを、細胞をロードする直前に添加した:
【0097】
化合物ビヒクルコントロールバッファ:
DMSO(400μL)をアッセイバッファ20mLに添加し、2% (v/v)溶液(0.4% (v/v)ファイナル)を製造した。
【0098】
FLIPRアッセイ
ヒスタミンEC50測定: 細胞を1×解離溶液を使用して回収し、そしてポリ−D−リシンコートされたFLIPRプレートに、1.0×104細胞/ウェルで、実験の18−24時間前に播種した。培地をティッピングにより細胞から除去し、そしてプレートを組織にそっとブロットし、いくらかの過剰な培地を除去した。ローディングバッファ30μLを全てのウェルに、90分間、37℃で添加した。
【0099】
96ウェルヒスタミンEC50プレートを作製し、次いで40μLで384ウェルプレート中の4つの4分区画にインデックスを付けた。96ウェル化合物ビヒクルプレートを作製し、そして384ウェルプレートの4分区画にインデックスを付けた。プレートをFLIPRに移し、そして標準プロトコルを使用して実行した。結果をヒスタミンのEC50を計測するために用いた。
【0100】
化合物試験: 細胞を1×解離溶液を使用して回収し、そしてポリ−D−リシンコートされたFLIPRプレートに、1.0×104細胞/ウェルで、実験の18−24時間前に播種した。培地をティッピングにより細胞から除去し、そしてプレートを組織にそっとブロットし、いくらかの過剰な培地を除去した。ローディングバッファ30μLを全てのウェルに、90分間、37℃で添加した。96ウェルヒスタミンプレート(×10 EC50)を作製し、次いで60μLで384ウェルプレート中の4つの4分区画にインデックスを付けた。各96ウェル化合物プレートを作製し、そして384ウェルプレートの4分区画にインデックスを付けた。ATPプレートを96ウェルプレートにおいて作製し、次いで60μLで384ウェルプレート中の4つの4分区画にインデックスを付けた。プレートをFLIPRに移し、そして標準プロトコルを使用して実行した。ローディングバッファ中の細胞30μLをFLIPR 384プレートのウェルに置き、化合物溶液10μLを添加し、化合物の効果を測定するために値を5分間読み、アゴニスト溶液10μLを添加し、アゴニスト応答を測定するために値を読み、10μL ATPを添加し、そしてATP応答を測定するために値を5分間読んだ。
【0101】
ファイナルアッセイ濃度: 化合物濃度範囲= 10μM〜0.1μM;ビヒクル 0.4% DMSO; ヒスタミン= 2×計測されたEC50; ATP = 11μM
【0102】
ヒト組み換えH4受容体に結合する[3H]−ヒスタミンの阻害剤に関するアッセイ
ヒト組み換えH4受容体を過剰発現するCHO細胞由来の膜への結合による[3H]−ヒスタミンの阻害剤の同定を可能にする結合アッセイを用いて本発明の化合物のpIC50値を測定した。このアッセイを実施するのに最適な細胞が、例えばEuroscreenからカタログ番号1220として市販されている; このアッセイを実施するのに適当な[3H]−ヒスタミンが、例えばAmershamからカタログ番号TRK 631として市販されている。
【0103】
化合物をDMSO (500μl)中に溶解し、そしてDMSOに希釈し、化合物の式量に基づく1mMストックを製造した。ストック溶液をDMSOで、ハーフログステップで連続希釈し、化合物濃度1000、300、100、30および10μMを得た。典型的には、5ポイント・デュプリケート曲線(5 point duplicate curve)を決定した。10ポイント曲線について、単一濃度は典型的には1000、300、100、30、10、3、1、0.3、0.1および0.03μMであった。アッセイバッファを上記濃度の各々に添加し、10%(v/v) DMSO (1:10希釈)を得た。各希釈された化合物溶液5μlを、1% (v/v) DMSO中の最終化合物濃度範囲10、3、1、0.3および0.1μMで、2連でアッセイした。より活性な化合物をより低い濃度でアッセイした。アッセイを、200μlの最終体積において、0.1−10μM化合物または20μM ヒスタミン; 0.015mgタンパク質/ウェルH4メンブレンおよび3.9nMの[3H]−ヒスタミンを含む96ディープウェルプレートにおいて実施した。プレートを室温で1.5時間インキュベートした。ウェルの内容物をフィルター上に回収し、Tris/EDTA洗浄バッファ2×1mLで洗浄した。このフィルターを約2時間、60℃で乾燥させ、そして[3H]をシンチレーションカウンティングにより測定した。
【0104】
データを、阻害曲線を構築するために分析し、そしてpIC50を、4パラメーターロジスティックモデルを使用して非線形回帰により推定した。このIC50はプレートコントロールに対して、50%阻害を与える化合物の濃度である。チオペラミドをこのアッセイにおいて標準化合物として使用した。
%阻害 = 100−((サンプルリーディング−NSB リーディング)/(コントロールリーディング−NSB リーディング)×100)
pIC50 = −log(IC50)
【0105】
〔実施例〕
さらに、以下の実施例によって、本発明をより詳細に説明し、これにより本発明の化合物を、製造し、精製し、分析しおよび生物学的に試験することができる方法を説明するが、これは本発明を制限するものとして解釈されるべきではない。
【0106】
以下の実施例および一般的方法条件に使用される略語:
aq.: 水性;
atm: 大気圧;
BOC: 1,1−ジメチルエトキシカルボニル;
ACN: アセトニトリル;
DCM: ジクロロメタン;
DMR: N,N−ジメチルホルムアミド;
DMSO: ジメチルスルホキシド;
EtOH: エタノール;
Et2O: ジエチルエーテル;
EtOAc: 酢酸エチル;
h: 時間;
HPLC: 高速液体クロマトグラフィー;
EDC・HCl: 1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩;
HOBT: 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール;
MeOH: メタノール;
min: 分;
MS: 質量スペクトル;
NMR: 核磁気共鳴;
psi: ポンド毎平方インチ;
RT: 室温;
sat.: 飽和;
TEA: トリエチルアミン;
TFA: トリフルオロ酢酸;
THF: テトラヒドロフラン。
【0107】
温度は摂氏温度(℃)で表わされる。特に明記しない限り、操作を室温または周囲温度(18−25℃)で実施した。
【0108】
特に明記しない限り、クロマトグラフィーはシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィーを意味する。溶媒混合物組成は体積パーセントまたは体積比として与えられる。
【0109】
最終化合物をクエン酸塩に変換することを指摘したところでは、遊離塩基をMeOH、DCM、またはACNに溶解し、MeOH中のクエン酸(1.0当量)と混合し、減圧下で濃縮し、そして真空乾燥させた(25−60℃)。塩がEt2Oからの濾過により単離されることを示した場合、化合物のクエン酸塩をEt2O中で4−18時間撹拌し、濾過により回収し、Et2Oで洗浄し、そして真空乾燥させた(25−60℃)。
【0110】
実施例1: 4−フェノキシ−N−(3−ピペリジン−1−イル)プロピル)ベンズアミド
DCM (50mL)中の4−フェノキシ安息香酸(214.3mg, 1mmol)および3−(1−ピペリジノ)プロピルアミン (142.0mg, 1mmol)の溶液に、トリエチルアミン (0.56mL, 4mmol)、EDC・HCl (383.6mg, 2mmol)、およびHOBT (135.3mg, 1mmol)を添加した。反応混合物を一晩、RTで撹拌した。反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液で希釈し、そして有機相を飽和重炭酸ナトリウム(2×50mL)およびブライン(50mL)で洗浄した。溶媒を真空で除去し、そして残留物をSiO2 (10−100% EtOAc/ヘキサン)のカラムに通して溶出し、白色固体として表題化合物を得た(162.2mg, 47.9%)。クエン酸塩を、表題化合物のメタノール溶液へのクエン酸(92.1mg, 0.479mmol)の添加により形成した。MS m/z 339.3 (M+H)+; 1H NMR (300.1 MHz, DMSO−d6) δ 1.34−1.39(m, 2H), 1.44−1.52(m, 4H), 1.60−1.72(m, 2H), 2.25−2.34(m, 6H), 3.21−3.30(m, 2H), 6.99−7.12(m, 4H), 7.16−7.24(m, 1H), 7.40−7.46(m, 2H), 7.86(d, J=8.6Hz, 2H), 8.42(m, 1H)。
【0111】
上記手順を以下の化合物を合成するために使用した:
【表1】

【0112】
【表2】

【0113】
【表3】

【0114】
【表4】

【0115】
【表5】

【0116】
【表6】

【0117】
【表7】

【0118】
【表8】

【0119】
【表9】

【0120】
【表10】

【0121】
【表11】

【0122】
【表12】

【0123】
【表13】

【0124】
【表14】

【0125】
【表15】

【0126】
【表16】

【0127】
【表17】

【0128】
* 高分解能分析MS法: データを、約6500の分解能で、エレクトロスプレー直交式飛行時間型質量分析計の陽イオンエレクトロスプレーモードにおいて得た。測定を、モディファイアとして0.1%儀酸を含む線形CAN/水勾配を使用した逆相HPLCサンプル導入により行った。実験を、ロックマス化合物としてレセルピンを用いたロックスプレーアクセサリを使用して実施した。
【0129】
さらに、実施例1の手順を使用して、本明細書の前記の全ての化合物を製造することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

の化合物、その医薬上許容しうる塩、そのジアステレオマー、エナンチオマー、または混合物。
式中、
Ar1はC6-10アリールおよびC2-9ヘテロアリールから選択され、ここで該C6-10アリールおよびC2-9ヘテロアリールは−R、−NO2、−OR、−Cl、−Br、−I、−F、−CF3、−OCF3、−C(=O)R、−C(=O)OH、−NH2、−SH、−NHR、−NR2、−SR、−SO3H、−SO2R、−SO2NR、−S(=O)R、−CN、−OH、−C(=O)OR、−C(=O)NR2、−NRC(=O)R、および−NRC(=O)−ORから選択される1またはそれ以上の基で場合により置換され、ここでRは独立して、水素、C3-6シクロアルキル、C3-6ヘテロシクリル、フェニル、ベンジル、C1-6アルキルまたはC2-6アルケニルであり、そしてここで該Rはさらにメチル、ヒドロキシおよびハロゲンから選択される1またはそれ以上の基で場合により置換されるか、またはAr1
【化2】

により表され、
ここでArはフェニル、ピリジル、ナフチル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、キノリル、インドリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイミダゾリル、2,3−ジヒドロ−ベンゾフラニル、ベンゾ[1,2,3]チアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、および4H−ベンゾ[1,4]オキサジン−3−オン−イルから選択され;
R1、R2およびR3は独立して−R、−NO2、−OR、−Cl、−Br、−I、−F、−CF3、−C(=O)R、−C(=O)OH、−NH2、−SH、−NHR、−NR2、−SR、−SO3H、−SO2R、−SO2NR、−S(=O)R、−CN、−OH、−C(=O)OR、−C(=O)NR2、−NRC(=O)R、および−NRC(=O)−ORから選択され、ここでRは独立して、水素、C5-6シクロアルキル、C3-5ヘテロシクリル、フェニル、ベンジル、C1-4アルキルまたはC2-4アルケニルであり、そしてここで該Rはさらにメチル、ヒドロキシおよびハロゲンから選択される1またはそれ以上の基で場合により置換される。
【請求項2】
Ar1
【化3】

により表され、
ここでArはフェニル、ピリジル、ナフチル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、キノリル、インドリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイミダゾリル、2,3−ジヒドロ−ベンゾフラニル、ベンゾ[1,2,3]チアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、および4H−ベンゾ[1,4]オキサジン−3−オン−イルから選択され;
R1、R2およびR3が独立して−R、−NO2、−OR、−Cl、−Br、−I、−F、−CF3、−C(=O)R、−C(=O)OH、−NH2、−SH、−NHR、−NR2、−SR、−SO3H、−SO2R、−SO2NR、−S(=O)R、−CN、−OH、−C(=O)OR、−C(=O)NR2、−NRC(=O)R、および−NRC(=O)−ORから選択され、ここでRは独立して、水素、C5-6シクロアルキル、C3-5ヘテロシクリル、フェニル、ベンジル、C1-4アルキルまたはC2-4アルケニルであり、そしてここで該Rはさらにメチル、ヒドロキシおよびハロゲンから選択される1またはそれ以上の基で場合により置換される、
請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Ar1がフェニル、2−ピリジル、2−ナフチル、ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル、キノール−2−イル、1H−インドール−4−イル、1H−インドール−7−イル、1H−ベンゾトリアゾール−5−イル、1H−ベンゾイミダゾール−5−イル、2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−5−イル、ベンゾ[1,2,3]チアジアゾール−5−イル、ベンゾ[1,2,3]チアジアゾール−6−イル、ベンゾチアゾール−6−イル、および4H−ベンゾ[1,4]オキサジン−3−オン−7−イルから選択され、ここでAr1はさらにC1-4アルキル、C2-4アルケニル、C1-4アルコキシ、C1-4アルケニルオキシ、フェノキシ、ベンジル、アセトアミノ、メチルスルホニル、メトキシカルボニル、ニトロ、クロロ、フルオロ、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、メチルチオ、シアノ、ジメチルアミノ、ヒドロキシ、メチルアミノスルホニル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、フェニル、フェノキシ、ベンジル、4−ヒドロキシル−フェニル、ジエチルアミノ、メチルスルホニル、アミノスルホニル、シクロへキシル、1−ピロリル、1H−ピラゾール−3−イル、5−テトラゾリル、1−ピペリジニル、1−ピラゾリル、メチルスルホニルメチル、3,5−ジメチル−ピラゾリル、ピロリジン−2−オン−1−イルから選択される1またはそれ以上の基で場合により置換される、
請求項1記載の化合物。
【請求項4】
以下:
【化4】

【化5】

【化6】

から選択される化合物およびその医薬上許容しうる塩。
【請求項5】
医薬としての使用のための請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
うつ病の治療のための医薬の製造における、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物および医薬上許容しうる担体を含有する医薬組成物。
【請求項8】
治療的有効量の請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物をうつ病の治療を必要とする温血動物に投与する処置を含む、温血動物におけるうつ病の治療方法。
【請求項9】
Ar1−COXまたは(Ar1−CO)2Oを3−(1−ピペリジノ)プロピルアミンと反応させることを含む、式I:
【化7】

[式中、Ar1はC6-10アリールおよびC2-9ヘテロアリールから選択され、ここで該C6-10アリールおよびC2-9ヘテロアリールは−R、−NO2、−OR、−Cl、−Br、−I、−F、−CF3、−OCF3、−C(=O)R、−C(=O)OH、−NH2、−SH、−NHR、−NR2、−SR、−SO3H、−SO2R、−SO2NR、−S(=O)R、−CN、−OH、−C(=O)OR、−C(=O)NR2、−NRC(=O)R、および−NRC(=O)−ORから選択される1またはそれ以上の基で場合により置換され、ここでRは独立して、水素、C3-6シクロアルキル、C3-6ヘテロシクリル、フェニル、ベンジル、C1-6アルキルまたはC2-6アルケニルであり、そしてここで該Rはさらにメチル、ヒドロキシおよびハロゲンから選択される1またはそれ以上の基で場合により置換され、そして
Xは−OHおよびハロゲンから選択される]
の化合物を製造する方法。
【請求項10】
Ar1−COXまたは(Ar1−CO)2Oを3−(1−ピペリジノ)プロピルアミンと結合させることを含む、式I:
【化8】

[式中、Ar1
【化9】

により表され、
ここでArはフェニル、ピリジル、ナフチル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、キノリル、インドリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイミダゾリル、2,3−ジヒドロ−ベンゾフラニル、ベンゾ[1,2,3]チアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、および4H−ベンゾ[1,4]オキサジン−3−オン−イルから選択され;
R1、R2およびR3は独立して−R、−NO2、−OR、−Cl、−Br、−I、−F、−CF3、−C(=O)R、−C(=O)OH、−NH2、−SH、−NHR、−NR2、−SR、−SO3H、−SO2R、−SO2NR、−S(=O)R、−CN、−OH、−C(=O)OR、−C(=O)NR2、−NRC(=O)R、および−NRC(=O)−ORから選択され、ここでRは独立して、水素、C5-6シクロアルキル、C3-5ヘテロシクリル、フェニル、ベンジル、C1-4アルキルまたはC2-4アルケニルであり、そしてここで該Rはさらにメチル、ヒドロキシおよびハロゲンから選択される1またはそれ以上の基で場合により置換され;そして
Xは−OHおよびハロゲンから選択される]
の化合物を製造する方法。

【公表番号】特表2008−508351(P2008−508351A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−524766(P2007−524766)
【出願日】平成17年7月27日(2005.7.27)
【国際出願番号】PCT/SE2005/001187
【国際公開番号】WO2006/014134
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(391008951)アストラゼネカ・アクチエボラーグ (625)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
【Fターム(参考)】