説明

半導体集積回路

【課題】記憶装置の消費電力を低減すること、記憶装置の面積を低減すること、記憶装置を構成するトランジスタの数を低減する。
【解決手段】第1の出力信号及び第2の出力信号の電位を比較する比較器と、第1の酸化物半導体トランジスタ及び第1のシリコントランジスタを有する第1のメモリ部と、第2の酸化物半導体トランジスタ及び第2のシリコントランジスタを有する第2のメモリ部と、当該第1の出力信号及び当該第2の出力信号の電位を確定する出力電位確定器とを有し、当該第1の酸化物半導体トランジスタのソース又はドレインの一方は、当該第1のシリコントランジスタのゲートに電気的に接続されており、当該第2の酸化物半導体トランジスタのソース又はドレインの一方は、当該第2のシリコントランジスタのゲートに電気的に接続されている記憶装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示される発明の一態様は、酸化物半導体層を有する半導体集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
中央演算処理装置(CPU:Central Processing Unit)などの信号処理装置は、その用途によって多種多様な構成を有している。信号処理装置は、一般的に、データやプログラムを記憶するためのメインメモリの他に、レジスタ、キャッシュメモリなど、各種の記憶回路が設けられている。レジスタは、演算処理やプログラムの実行状態の保持などのために一時的にデータ信号を保持する役割を担っている。また、キャッシュメモリは、演算装置とメインメモリの間に介在し、低速なメインメモリへのアクセスを減らして演算処理を高速化させることを目的として設けられている。
【0003】
当該レジスタを構成する回路として、ラッチ回路が挙げられる(特許文献1参照)。ラッチ回路の具体的な回路構成としては、例えば、2つのクロックドインバータ及び1つのインバータを有するラッチ回路が挙げられる。
【0004】
ラッチ回路として、例えば強誘電体キャパシタを用いたラッチ回路が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−236355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ラッチ回路では、高電位基準電位である電源電位Vxから低電位基準電位(例えば接地電位GND)との間にリーク電流のパスが複数存在する。そのため、ラッチ回路が待機状態の場合では、消費電力が大きい。
【0007】
以上を鑑みて、開示される発明の一様態において、記憶装置の消費電力を低減することを課題の一とする。
【0008】
開示される発明の一様態において、記憶装置の面積を低減することを課題の一とする。
【0009】
開示される発明の一様態において、記憶装置を構成するトランジスタの数を低減することを課題の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
開示される発明の一様態の記憶装置は、第1のトランジスタ、第2のトランジスタ、第3のトランジスタ、第4のトランジスタ、第5のトランジスタ、第6のトランジスタ、第7のトランジスタ、第8のトランジスタ、及び第9のトランジスタを有している。
【0011】
第1のトランジスタ及び第2のトランジスタの2つのトランジスタとして、例えば酸化物半導体層にチャネルが形成されるトランジスタ(酸化物半導体トランジスタ)を用いる。当該酸化物半導体トランジスタはリーク電流(オフ電流ともいう)が極小という利点を有する。なお当該酸化物半導体トランジスタは、nチャネル型トランジスタである。
【0012】
第3のトランジスタ、第4のトランジスタ、第5のトランジスタ、第6のトランジスタ、第7のトランジスタ、第8のトランジスタ、及び第9のトランジスタの7つのトランジスタとして、例えばシリコン(珪素)層にチャネルが形成されるトランジスタ(シリコントランジスタ)を用いる。また第3のトランジスタ、第4のトランジスタ、第5のトランジスタ、及び第6のトランジスタの4つのトランジスタとして、pチャネル型トランジスタを用いる。第7のトランジスタ、第8のトランジスタ、及び第9のトランジスタの3つのトランジスタとして、nチャネル型トランジスタを用いる。
【0013】
第1のトランジスタのゲートには、クロック信号CLKと位相が反転した信号CLKBが入力され、第2のトランジスタのゲートと電気的に接続されている。第1のトランジスタのソース又はドレインの一方には、入力信号Aが入力される。第1のトランジスタのソース又はドレインの他方は、第7のトランジスタのゲートと電気的に接続されている。なお第1のトランジスタのソース又はドレインの他方と第7のトランジスタのゲートとの接続部分をノードM1とする。
【0014】
第2のトランジスタのゲートには、クロック信号CLKと位相が反転した信号CLKBが入力され、第1のトランジスタのゲートと電気的に接続されている。第2のトランジスタのソース又はドレインの一方には、入力信号Aと位相が反転した信号ABが入力される。第2のトランジスタのソース又はドレインの他方は、第8のトランジスタのゲートと電気的に接続されている。なお第2のトランジスタのソース又はドレインの他方と第8のトランジスタのゲートとの接続部分をノードM2とする。
【0015】
第3のトランジスタのゲートには、クロック信号CLKが入力される。第3のトランジスタのソース又はドレインの一方は、電源電位が入力され、第4のトランジスタのソース又はドレインの一方、第5のトランジスタのソース又はドレインの一方、第6のトランジスタのソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。第3のトランジスタのソース又はドレインの他方から、出力信号OUT2が出力される。第3のトランジスタのソース又はドレインの他方は、第4のトランジスタのソース又はドレインの他方、第5のトランジスタのゲート、第7のトランジスタのソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。
【0016】
第4のトランジスタのゲートから出力信号OUT1が出力される。第4のトランジスタのゲートは、第5のトランジスタのソース又はドレインの他方、第6のトランジスタのソース又はドレインの他方、第8のトランジスタのソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。第4のトランジスタのソース又はドレインの一方は、電源電位が入力され、第3のトランジスタのソース又はドレインの一方、第5のトランジスタのソース又はドレインの一方、第6のトランジスタのソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。第4のトランジスタのソース又はドレインの他方から出力信号OUT2が出力される。第4のトランジスタのソース又はドレインの他方は、第3のトランジスタのソース又はドレインの他方、第5のトランジスタのゲート、第7のトランジスタのソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。
【0017】
第5のトランジスタのゲートから、出力信号OUT2が出力される。第5のトランジスタのゲートは、第3のトランジスタのソース又はドレインの他方、第4のトランジスタのソース又はドレインの他方、第7のトランジスタのソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。第5のトランジスタのソース又はドレインの一方は、電源電位が入力され、第3のトランジスタのソース又はドレインの一方、第4のトランジスタのソース又はドレインの一方、第6のトランジスタのソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。第5のトランジスタのソース又はドレインの他方から、出力信号OUT1が出力される。第5のトランジスタのソース又はドレインの他方は、第4のトランジスタのゲート、第6のトランジスタのソース又はドレインの他方、第8のトランジスタのソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。
【0018】
第6のトランジスタのゲートには、クロック信号CLKが入力される。第6のトランジスタのソース又はドレインの一方は、電源電位が入力され、第3のトランジスタのソース又はドレインの一方、第4のトランジスタのソース又はドレインの一方、第5のトランジスタのソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。第6のトランジスタのソース又はドレインの他方から、出力信号OUT1が出力される。第6のトランジスタのソース又はドレインの他方は、第4のトランジスタのゲート、第5のトランジスタのソース又はドレインの他方、第8のトランジスタのソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。
【0019】
第7のトランジスタのゲートは、第1のトランジスタのソース又はドレインの他方と電気的に接続されている。第7のトランジスタのソース又はドレインの一方から、出力信号OUT2が出力される。第7のトランジスタのソース又はドレインの一方は、第3のトランジスタのソース又はドレインの他方、第4のトランジスタのソース又はドレインの他方、第5のトランジスタのゲートと電気的に接続されている。第7のトランジスタのソース又はドレインの他方は、第8のトランジスタのソース又はドレインの他方、第9のトランジスタのソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。
【0020】
第8のトランジスタのゲートは、第2のトランジスタのソース又はドレインの他方と電気的に接続されている。第8のトランジスタのソース又はドレインの一方から、出力信号OUT1が出力される。第8のトランジスタのソース又はドレインの一方は、第4のトランジスタのゲート、第5のトランジスタのソース又はドレインの他方、第6のトランジスタのソース又はドレインの他方と電気的に接続されている。第8のトランジスタのソース又はドレインの他方は、第7のトランジスタのソース又はドレインの他方、第9のトランジスタのソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。
【0021】
第9のトランジスタのゲートには、クロック信号CLKが入力される。第9のトランジスタのソース又はドレインの一方は、第7のトランジスタのソース又はドレインの他方、第8のトランジスタのソース又はドレインの他方と電気的に接続されている。第9のトランジスタのソース又はドレインの他方は、低電位基準電位、例えば接地電位GNDが印加される。
【0022】
当該記憶装置では、高電位基準電位である電源電位から低電位基準電位までにリーク電流のパスが1つしか存在しない。リーク電流のパスが1つしか存在しないため、待機状態の記憶装置の消費電力を低減することができる。
【0023】
開示される発明の一様態の別の記憶装置は、第1のトランジスタ、第2のトランジスタ、第3のトランジスタ、第4のトランジスタ、第5のトランジスタ、第6のトランジスタ、第7のトランジスタ、第8のトランジスタ、及び第9のトランジスタを有している。
【0024】
第1のトランジスタ及び第2のトランジスタの2つのトランジスタとして、例えば酸化物半導体トランジスタを用いる。
【0025】
第3のトランジスタ、第4のトランジスタ、第5のトランジスタ、第6のトランジスタ、第7のトランジスタ、第8のトランジスタ、及び第9のトランジスタの7つのトランジスタとして、例えばシリコントランジスタを用いる。また第3のトランジスタ、第4のトランジスタ、第5のトランジスタ、及び第6のトランジスタの4つのトランジスタとして、nチャネル型トランジスタを用いる。第7のトランジスタ、第8のトランジスタ、及び第9のトランジスタの3つのトランジスタとして、pチャネル型トランジスタを用いる。
【0026】
第1のトランジスタのゲートには、クロック信号CLKが入力され、第2のトランジスタのゲートと電気的に接続されている。第1のトランジスタのソース又はドレインの一方には、入力信号Aが入力される。第1のトランジスタのソース又はドレインの他方は、第7のトランジスタのゲートと電気的に接続されている。なお第1のトランジスタのソース又はドレインの他方と第7のトランジスタのゲートとの接続部分をノードM3とする。
【0027】
第2のトランジスタのゲートには、クロック信号CLKが入力され、第1のトランジスタのゲートと電気的に接続されている。第2のトランジスタのソース又はドレインの一方には、入力信号Aと位相が反転した信号ABが入力される。第2のトランジスタのソース又はドレインの他方は、第8のトランジスタのゲートと電気的に接続されている。なお第2のトランジスタのソース又はドレインの他方と第8のトランジスタのゲートとの接続部分をノードM4とする。
【0028】
第3のトランジスタのゲートには、クロック信号CLKが入力される。第3のトランジスタのソース又はドレインの一方は、低電位基準電位、例えば接地電位GNDが入力され、第4のトランジスタのソース又はドレインの一方、第5のトランジスタのソース又はドレインの一方、第6のトランジスタのソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。第3のトランジスタのソース又はドレインの他方から、出力信号OUT2が出力される。第3のトランジスタのソース又はドレインの他方は、第4のトランジスタのソース又はドレインの他方、第5のトランジスタのゲート、第7のトランジスタのソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。
【0029】
第4のトランジスタのゲートから出力信号OUT1が出力される。第4のトランジスタのゲートは、第5のトランジスタのソース又はドレインの他方、第6のトランジスタのソース又はドレインの他方、第8のトランジスタのソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。第4のトランジスタのソース又はドレインの一方は、低電位基準電位、例えば接地電位GNDが入力され、第3のトランジスタのソース又はドレインの一方、第5のトランジスタのソース又はドレインの一方、第6のトランジスタのソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。第4のトランジスタのソース又はドレインの他方から出力信号OUT2が出力される。第4のトランジスタのソース又はドレインの他方は、第3のトランジスタのソース又はドレインの他方、第5のトランジスタのゲート、第7のトランジスタのソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。
【0030】
第5のトランジスタのゲートから、出力信号OUT2が出力される。第5のトランジスタのゲートは、第3のトランジスタのソース又はドレインの他方、第4のトランジスタのソース又はドレインの他方、第7のトランジスタのソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。第5のトランジスタのソース又はドレインの一方は、低電位基準電位、例えば接地電位GNDが入力され、第3のトランジスタのソース又はドレインの一方、第4のトランジスタのソース又はドレインの一方、第6のトランジスタのソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。第5のトランジスタのソース又はドレインの他方から、出力信号OUT1が出力される。第5のトランジスタのソース又はドレインの他方は、第4のトランジスタのゲート、第6のトランジスタのソース又はドレインの他方、第8のトランジスタのソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。
【0031】
第6のトランジスタのゲートには、クロック信号CLKが入力される。第6のトランジスタのソース又はドレインの一方は低電位基準電位、例えば接地電位GNDが入力され、第3のトランジスタのソース又はドレインの一方、第4のトランジスタのソース又はドレインの一方、第5のトランジスタのソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。第6のトランジスタのソース又はドレインの他方から、出力信号OUT1が出力される。第6のトランジスタのソース又はドレインの他方は、第4のトランジスタのゲート、第5のトランジスタのソース又はドレインの他方、第8のトランジスタのソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。
【0032】
第7のトランジスタのゲートは、第1のトランジスタのソース又はドレインの他方と電気的に接続されている。第7のトランジスタのソース又はドレインの一方から、出力信号OUT2が出力される。第7のトランジスタのソース又はドレインの一方は、第3のトランジスタのソース又はドレインの他方、第4のトランジスタのソース又はドレインの他方、第5のトランジスタのゲートと電気的に接続されている。第7のトランジスタのソース又はドレインの他方は、第8のトランジスタのソース又はドレインの他方、第9のトランジスタのソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。
【0033】
第8のトランジスタのゲートは、第2のトランジスタのソース又はドレインの他方と電気的に接続されている。第8のトランジスタのソース又はドレインの一方から、出力信号OUT1が出力される。第8のトランジスタのソース又はドレインの一方は、第4のトランジスタのゲート、第5のトランジスタのソース又はドレインの他方、第6のトランジスタのソース又はドレインの他方と電気的に接続されている。第8のトランジスタのソース又はドレインの他方は、第7のトランジスタのソース又はドレインの他方、第9のトランジスタのソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。
【0034】
第9のトランジスタのゲートには、クロック信号CLKが入力される。第9のトランジスタのソース又はドレインの一方は、第7のトランジスタのソース又はドレインの他方、第8のトランジスタのソース又はドレインの他方と電気的に接続されている。第9のトランジスタのソース又はドレインの他方は、電源電位が印加される。
【0035】
上記記憶装置では、高電位基準電位である電源電位から低電位基準電位までにリーク電流のパスが1つしか存在しない。リーク電流のパスが1つしか存在しないため、待機状態の記憶装置の消費電力を低減ことができる。
【0036】
また上記酸化物半導体トランジスタ及びシリコントランジスタを重畳して形成することで、記憶装置の面積を低減することができる。
【0037】
また上記記憶装置は、9つのトランジスタによって構成される。これは従来の記憶装置が有するトランジスタの数より少ない。よって開示される発明により、記憶装置を構成するトランジスタの数を低減することができる。
【0038】
なお、開示される発明の一様態の記憶装置は、酸化物半導体又はシリコン(珪素)を用いた半導体装置であると言える。
【0039】
開示される発明の一様態は、第1の出力信号及び第2の出力信号の電位を比較する比較器と、酸化物半導体層にチャネル形成領域が形成される第1の酸化物半導体トランジスタ及びシリコン層にチャネル形成領域が形成される第1のシリコントランジスタを有する第1のメモリ部と、第2の酸化物半導体トランジスタ及び第2のシリコントランジスタを有する第2のメモリ部と、当該第1の出力信号及び当該第2の出力信号の電位を確定する出力電位確定器とを有し、当該第1の酸化物半導体トランジスタのソース又はドレインの一方は、当該第1のシリコントランジスタのゲートに電気的に接続されており、当該第2の酸化物半導体トランジスタのソース又はドレインの一方は、当該第2のシリコントランジスタのゲートに電気的に接続されており、当該第1の出力信号は当該比較器及び当該第1のメモリ部から出力され、当該第2の出力信号は当該比較器及び当該第2のメモリ部から出力されることを特徴とする半導体集積回路に関する。
【0040】
開示される発明の一様態において、当該比較器は、高電位基準電位と接続され、当該出力電位確定器は、低電位基準電位と接続されていることを特徴とする。
【0041】
開示される発明の一様態において、当該第1のシリコントランジスタ及び当該第2のシリコントランジスタは、nチャネル型トランジスタであることを特徴とする。
【0042】
開示される発明の一様態において、当該比較器は、低電位基準電位と接続され、当該出力電位確定器は、高電位基準電位と接続されていることを特徴とする。
【0043】
開示される発明の一様態において、当該第1のシリコントランジスタ及び当該第2のシリコントランジスタは、pチャネル型トランジスタであることを特徴とする。
【0044】
開示される発明の一様態において、当該第1の酸化物半導体トランジスタのソース又はドレインの一方及び当該第1のシリコントランジスタのゲートと接続する第1の保持容量、及び、当該第2の酸化物半導体トランジスタのソース又はドレインの一方及び当該第2のシリコントランジスタのゲートと接続する第2の保持容量が設けられていることを特徴とする。
【0045】
開示される発明の一様態において、当該第1の酸化物半導体トランジスタ及び当該第2の酸化物半導体トランジスタは、当該第1のシリコントランジスタ及び当該第2のシリコントランジスタに重畳して形成されることを特徴とする。
【0046】
開示される発明の一様態は、高電位基準電位と接続され、第1の出力信号及び第2の出力信号の電位を比較する比較器と、酸化物半導体層にチャネル形成領域が形成される第1の酸化物半導体トランジスタ及び第2の酸化物半導体トランジスタを有する第1のメモリ部と、第3の酸化物半導体トランジスタ及び第4の酸化物半導体トランジスタを有する第2のメモリ部と、低電位基準電位と接続され、当該第1の出力信号及び当該第2の出力信号の電位を確定する出力電位確定器とを有し、当該第1の酸化物半導体トランジスタのソース又はドレインの一方は、当該第2の酸化物半導体トランジスタのゲートに電気的に接続されており、当該第3の酸化物半導体トランジスタのソース又はドレインの一方は、当該第4の酸化物半導体トランジスタのゲートに電気的に接続されており、当該第1の出力信号は当該比較器及び当該第1のメモリ部から出力され、当該第2の出力信号は当該比較器及び当該第2のメモリ部から出力されることを特徴とする半導体集積回路に関する。
【0047】
開示される発明の一様態において、当該第1の酸化物半導体トランジスタのソース又はドレインの一方及び当該第2の酸化物半導体トランジスタのゲートと接続する第1の保持容量、及び、当該第3の酸化物半導体トランジスタのソース又はドレインの一方及び当該第4の酸化物半導体トランジスタのゲートと接続する第2の保持容量が設けられていることを特徴とする。
【0048】
開示される発明の一様態において、当該比較器は、4つのトランジスタを有することを特徴とする。
【0049】
開示される発明の一様態において、当該比較器のトランジスタのそれぞれは、pチャネル型シリコントランジスタであることを特徴とする。
【0050】
開示される発明の一様態において、当該比較器のトランジスタのそれぞれは、nチャネル型シリコントランジスタであることを特徴とする。
【0051】
開示される発明の一様態において、当該比較器のトランジスタのそれぞれは、酸化物半導体トランジスタであることを特徴とする。
【0052】
開示される発明の一様態において、当該出力電位確定器は、1つのトランジスタを有することを特徴とする。
【0053】
開示される発明の一様態において、当該出力電位確定器のトランジスタは、nチャネル型シリコントランジスタであることを特徴とする。
【0054】
開示される発明の一様態において、当該出力電位確定器のトランジスタは、酸化物半導体トランジスタであることを特徴とする。
【0055】
開示される発明の一様態において、当該出力電位確定器のトランジスタは、pチャネル型シリコントランジスタであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0056】
開示される発明の一様態により、記憶装置の消費電力を低減することができる。
【0057】
開示される発明の一様態により、記憶装置の面積を低減することができる。
【0058】
開示される発明の一様態により、記憶装置を構成するトランジスタの数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】記憶装置のブロック図。
【図2】記憶装置の回路図。
【図3】ラッチ回路、インバータ、クロックドインバータの回路図。
【図4】ラッチ回路の回路図。
【図5】記憶装置の回路図。
【図6】記憶装置の動作を示すタイミングチャート。
【図7】記憶装置の動作を示す図。
【図8】記憶装置の動作を示す図。
【図9】記憶装置の動作を示す図。
【図10】記憶装置の動作を示す図。
【図11】記憶装置のブロック図。
【図12】記憶装置の回路図。
【図13】記憶装置の回路図。
【図14】記憶装置の動作を示すタイミングチャート。
【図15】記憶装置の動作を示す図。
【図16】記憶装置の動作を示す図。
【図17】記憶装置の動作を示す図。
【図18】記憶装置の動作を示す図。
【図19】酸化物半導体トランジスタの断面図。
【図20】記憶装置の構成を示す断面図。
【図21】記憶装置を用いたCPUのブロック図。
【図22】酸化物材料の構造を説明する図。
【図23】酸化物材料の構造を説明する図。
【図24】酸化物材料の構造を説明する図。
【図25】計算によって得られた移動度のゲート電圧依存性を説明する図。
【図26】計算によって得られたドレイン電流と移動度のゲート電圧依存性を説明する図。
【図27】計算によって得られたドレイン電流と移動度のゲート電圧依存性を説明する図。
【図28】計算によって得られたドレイン電流と移動度のゲート電圧依存性を説明する図。
【図29】計算に用いたトランジスタの断面構造を説明する図。
【図30】酸化物半導体膜を用いたトランジスタ特性のグラフ。
【図31】試料1のトランジスタのBT試験後のVg−Id特性を示す図。
【図32】試料2であるトランジスタのBT試験後のVg−Id特性を示す図。
【図33】Idおよび電界効果移動度のVg依存性を示す図。
【図34】基板温度としきい値電圧の関係および基板温度と電界効果移動度の関係を示す図。
【図35】試料Aおよび試料BのXRDスペクトルを示す図。
【図36】トランジスタのオフ電流と測定時基板温度との関係を示す図。
【図37】トランジスタの構造を示す図。
【図38】トランジスタの構造を示す図。
【図39】酸化物材料の構造を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0060】
以下、本明細書に開示された発明の実施の態様について、図面を参照して説明する。但し、本明細書に開示された発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本明細書に開示された発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に示す図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0061】
なお本明細書に開示された発明において、半導体装置とは、半導体を利用することで機能する素子及び装置全般を指し、電子回路、表示装置、発光装置等を含む電気装置およびその電気装置を搭載した電子機器をその範疇とする。
【0062】
なお、図面等において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、説明を分かりやすくするために、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
【0063】
なお、本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」などの序数は、構成要素の混同を避けるために付すものであり、数的に限定するものではないことを付記する。
【0064】
[実施の形態1]
<記憶装置の構成>
図1に本実施の形態の記憶装置のブロック図を示す。図1に示す記憶装置100は、比較器201、メモリ部202、メモリ部203、出力電位確定器204を有している。
【0065】
比較器201は、出力信号OUT1及び出力信号OUT2の電位の比較を行う機能を有する。比較器201は、高電位基準電位である電源電位Vx及びクロック信号CLKが入力される。また比較器201は、メモリ部202と電気的に接続され、出力信号OUT2を出力する。また比較器201は、メモリ部203と電気的に接続され、出力信号OUT1を出力する。
【0066】
具体的な動作は後述するが、出力信号OUT1又は出力信号OUT2のいずれか一方がローレベル電位(VSS)となったとき、比較器201により、出力信号OUT1又は出力信号OUT2の他方にハイレベル電位(VDD)が供給される。
【0067】
メモリ部202は、データ信号を記憶する機能を有する。メモリ部202は、クロック信号CLKと位相が反転した信号CLKB、及び入力信号Aが入力される。またメモリ部202は、比較器201に電気的に接続され、出力信号OUT2を出力する。またメモリ部202は、メモリ部203及び出力電位確定器204と電気的に接続されている。
【0068】
メモリ部203は、データ信号を記憶する機能を有する。メモリ部203は、クロック信号CLKと位相が反転した信号CLKB、及び入力信号Aと位相が反転した信号ABが入力される。またメモリ部203は、比較器201に電気的に接続され、出力信号OUT1を出力する。またメモリ部203は、メモリ部202及び出力電位確定器204と電気的に接続されている。
【0069】
出力電位確定器204は、出力信号OUT1及び出力信号OUT2の電位を確定する機能を有する。出力電位確定器204は、クロック信号CLKが入力される。また出力電位確定器204は、メモリ部202及びメモリ部203と電気的に接続されている。また出力電位確定器204は、低電位基準電位、例えば接地電位GNDが入力される。
【0070】
なお本実施の形態の記憶装置100では、高電位基準電位である電源電位Vxは常にハイレベル電位(VDD)であり、低電位基準電位は、ローレベル電位(VSS)、例えば接地電位GNDである。
【0071】
比較器201は、出力信号OUT1及び出力信号OUT2の電位を比較する。クロック信号CLKがハイレベル電位(VDD)の時、出力信号OUT1又は出力信号OUT2のいずれか一方がローレベル電位(VSS)となると、比較器201を介して、出力信号OUT1又は出力信号OUT2のいずれか他方に、電源電位Vxからハイレベル電位(VDD)が供給される(後述の期間T2及び期間T4参照)。
【0072】
メモリ部202及びメモリ部203はそれぞれ、クロック信号CLKがローレベル電位(VSS)の時に、入力信号A及び信号ABが入力される。またメモリ部202及びメモリ部203はそれぞれ、入力された入力信号A及び信号ABを保持する(プリチャージ)(後述の期間T1及び期間T3参照)。
【0073】
またクロック信号CLKがハイレベル電位(VDD)の時に、メモリ部202及びメモリ部203は、それぞれ入力された入力信号A及び信号ABを出力する(後述の期間T2及び期間T4参照)。
【0074】
出力電位確定器204は、クロック信号CLKがハイレベル電位(VDD)の時に導通状態となり、記憶装置100に低電位基準電位、例えば接地電位GNDを供給する。
【0075】
図2に本実施の形態の記憶装置100の詳細な回路図を示す。
【0076】
図2に示す記憶装置100は、第1のトランジスタ101、第2のトランジスタ102、第3のトランジスタ111、第4のトランジスタ112、第5のトランジスタ113、第6のトランジスタ114、第7のトランジスタ115、第8のトランジスタ116、及び第9のトランジスタ117を有している。
【0077】
比較器201は、第3のトランジスタ111、第4のトランジスタ112、第5のトランジスタ113、第6のトランジスタ114によって形成されている。メモリ部202は、第1のトランジスタ101及び第7のトランジスタ115によって形成されている。メモリ部203は、第2のトランジスタ102及び第8のトランジスタ116によって形成されている。出力電位確定器204は、第9のトランジスタ117によって形成されている。
【0078】
第1のトランジスタ101及び第2のトランジスタ102の2つのトランジスタとして、例えば酸化物半導体層にチャネルが形成されるトランジスタ(酸化物半導体トランジスタ)を用いる。当該酸化物半導体トランジスタはリーク電流(オフ電流ともいう)が極めて小さいという利点を有する。なお当該酸化物半導体トランジスタは、nチャネル型トランジスタである。
【0079】
第3のトランジスタ111、第4のトランジスタ112、第5のトランジスタ113、第6のトランジスタ114、第7のトランジスタ115、第8のトランジスタ116、及び第9のトランジスタ117の7つのトランジスタとして、例えばシリコン(珪素)層にチャネルが形成されるトランジスタ(シリコントランジスタ)を用いる。当該シリコン(珪素)層は、単結晶珪素層、微結晶珪素層、非晶質珪素層であってもよい。また第3のトランジスタ111、第4のトランジスタ112、第5のトランジスタ113、及び第6のトランジスタ114の4つのトランジスタとして、pチャネル型トランジスタを用いる。第7のトランジスタ115、第8のトランジスタ116、及び第9のトランジスタ117の3つのトランジスタとして、nチャネル型トランジスタを用いる。
【0080】
なおnチャネル型トランジスタである第7のトランジスタ115、第8のトランジスタ116、及び第9のトランジスタ117の3つのトランジスタは、シリコントランジスタでなくてもよく、第1のトランジスタ101及び第2のトランジスタ102と同様に、酸化物半導体トランジスタであってもよい。
【0081】
第1のトランジスタ101のゲートには、クロック信号CLKと位相が反転した信号CLKBが入力され、第2のトランジスタ102のゲートと電気的に接続されている。第1のトランジスタ101のソース又はドレインの一方には、入力信号Aが入力される。第1のトランジスタ101のソース又はドレインの他方は、第7のトランジスタ115のゲートと電気的に接続されている。なお第1のトランジスタ101のソース又はドレインの他方と第7のトランジスタ115のゲートとの接続部分をノードM1とする。
【0082】
第2のトランジスタ102のゲートには、クロック信号CLKと位相が反転した信号CLKBが入力され、第1のトランジスタ101のゲートと電気的に接続されている。第2のトランジスタ102のソース又はドレインの一方には、入力信号Aと位相が反転した信号ABが入力される。第2のトランジスタ102のソース又はドレインの他方は、第8のトランジスタ116のゲートと電気的に接続されている。なお第2のトランジスタ102のソース又はドレインの他方と第8のトランジスタ116のゲートとの接続部分をノードM2とする。
【0083】
第3のトランジスタ111のゲートには、クロック信号CLKが入力される。第3のトランジスタ111のソース又はドレインの一方は、電源電位Vxが入力され、第4のトランジスタ112のソース又はドレインの一方、第5のトランジスタ113のソース又はドレインの一方、第6のトランジスタ114のソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。第3のトランジスタ111のソース又はドレインの他方から、出力信号OUT2が出力される。第3のトランジスタ111のソース又はドレインの他方は、第4のトランジスタ111のソース又はドレインの他方、第5のトランジスタ113のゲート、第7のトランジスタ115のソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。
【0084】
第4のトランジスタ112のゲートから出力信号OUT1が出力される。第4のトランジスタ112のゲートは、第5のトランジスタ113のソース又はドレインの他方、第6のトランジスタ114のソース又はドレインの他方、第8のトランジスタ116のソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。第4のトランジスタ112のソース又はドレインの一方は、電源電位Vxが入力され、第3のトランジスタ111のソース又はドレインの一方、第5のトランジスタ113のソース又はドレインの一方、第6のトランジスタ114のソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。第4のトランジスタ112のソース又はドレインの他方から出力信号OUT2が出力される。第4のトランジスタ112のソース又はドレインの他方は、第3のトランジスタ111のソース又はドレインの他方、第5のトランジスタ113のゲート、第7のトランジスタ115のソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。
【0085】
第5のトランジスタ113のゲートから、出力信号OUT2が出力される。第5のトランジスタ113のゲートは、第3のトランジスタ111のソース又はドレインの他方、第4のトランジスタ112のソース又はドレインの他方、第7のトランジスタ115のソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。第5のトランジスタ113のソース又はドレインの一方は、電源電位Vxが入力され、第3のトランジスタ111のソース又はドレインの一方、第4のトランジスタ112のソース又はドレインの一方、第6のトランジスタ114のソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。第5のトランジスタ113のソース又はドレインの他方から、出力信号OUT1が出力される。第5のトランジスタ113のソース又はドレインの他方は、第4のトランジスタ112のゲート、第6のトランジスタ114のソース又はドレインの他方、第8のトランジスタ116のソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。
【0086】
第6のトランジスタ114のゲートには、クロック信号CLKが入力される。第6のトランジスタ114のソース又はドレインの一方は、電源電位Vxが入力され、第3のトランジスタ111のソース又はドレインの一方、第4のトランジスタ112のソース又はドレインの一方、第5のトランジスタ113のソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。第6のトランジスタ114のソース又はドレインの他方から、出力信号OUT1が出力される。第6のトランジスタ114のソース又はドレインの他方は、第4のトランジスタ112のゲート、第5のトランジスタ113のソース又はドレインの他方、第8のトランジスタ116のソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。
【0087】
第7のトランジスタ115のゲートは、第1のトランジスタ101のソース又はドレインの他方と電気的に接続されている。第7のトランジスタ115のソース又はドレインの一方から、出力信号OUT2が出力される。第7のトランジスタ115のソース又はドレインの一方は、第3のトランジスタ111のソース又はドレインの他方、第4のトランジスタ112のソース又はドレインの他方、第5のトランジスタ113のゲートと電気的に接続されている。第7のトランジスタ115のソース又はドレインの他方は、第8のトランジスタ116のソース又はドレインの他方、第9のトランジスタ117のソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。
【0088】
第8のトランジスタ116のゲートは、第2のトランジスタ102のソース又はドレインの他方と電気的に接続されている。第8のトランジスタ116のソース又はドレインの一方から、出力信号OUT1が出力される。第8のトランジスタ116のソース又はドレインの一方は、第4のトランジスタ112のゲート、第5のトランジスタ113のソース又はドレインの他方、第6のトランジスタ114のソース又はドレインの他方と電気的に接続されている。第8のトランジスタ116のソース又はドレインの他方は、第7のトランジスタ115のソース又はドレインの他方、第9のトランジスタ117のソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。
【0089】
第9のトランジスタ117のゲートには、クロック信号CLKが入力される。第9のトランジスタ117のソース又はドレインの一方は、第7のトランジスタ115のソース又はドレインの他方、第8のトランジスタ116のソース又はドレインの他方と電気的に接続されている。第9のトランジスタ117のソース又はドレインの他方は、低電位基準電位、例えば接地電位GNDが印加される。
【0090】
本実施の形態の記憶装置100が待機状態の場合、リーク電流のパスは、高電位基準電位である電源電位Vxから低電位基準電位である接地電位GNDまで1つしか存在しない。リーク電流のパスが1つしか存在しないため、待機状態の記憶装置100の消費電力を抑えることができる。
【0091】
比較として従来のラッチ回路を図3に示す。図3(A)に示すラッチ回路120は、クロックドインバータ121、インバータ122、クロックドインバータ123を有している。
【0092】
クロックドインバータ121の入力端子は、ラッチ回路120の入力端子INとして機能する。クロックドインバータ121の出力端子は、インバータ122の入力端子及びクロックドインバータ123の出力端子と電気的に接続されている。
【0093】
インバータ122の入力端子は、クロックドインバータ121の出力端子及びクロックドインバータ123の出力端子と電気的に接続されている。インバータ122の出力端子は、クロックドインバータ123の入力端子に電気的に接続されており、ラッチ回路120の出力端子OUTとして機能する。
【0094】
クロックドインバータ123の入力端子は、インバータ122の出力端子に電気的に接続されており、ラッチ回路120の出力端子OUTとして機能する。クロックドインバータ121の出力端子は、インバータ122の入力端子及びクロックドインバータ123の出力端子と電気的に接続されている。
【0095】
インバータ122として用いることが可能な回路構成の例を図3(B)に示す。
【0096】
図3(B)に示されるインバータ130は、pチャネル型トランジスタであるトランジスタ131及びnチャネル型トランジスタであるトランジスタ132を有している。
【0097】
インバータ130のトランジスタ131のゲートは、トランジスタ132のゲートと電気的に接続されており、インバータ130の入力端子INとして機能する。トランジスタ131のソース又はドレインの一方は、電源電位Vxが印加される。トランジスタ131のソース又はドレインの他方は、トランジスタ132のソース又はドレインの一方と電気的に接続されており、インバータ130の出力端子OUTとして機能する。
【0098】
インバータ130のトランジスタ132のゲートは、トランジスタ131のゲートと電気的に接続されており、インバータ130の入力端子INとして機能する。トランジスタ132のソース又はドレインの一方は、トランジスタ131のソース又はドレインの他方と電気的に接続されており、インバータ130の出力端子OUTとして機能する。トランジスタ132のソース又はドレインの他方は、低電位基準電位、例えば接地電位GNDが印加される。
【0099】
クロックドインバータ121及びクロックドインバータ123のそれぞれとして用いることが可能な回路構成の例を図3(C)に示す。
【0100】
図3(C)に示すクロックドインバータ140は、pチャネル型トランジスタであるトランジスタ141、pチャネル型トランジスタであるトランジスタ142、nチャネル型トランジスタであるトランジスタ143、nチャネル型トランジスタであるトランジスタ144を有している。
【0101】
トランジスタ141のゲートは、トランジスタ144のゲートと電気的に接続されており、クロックドインバータ140の入力端子INとして機能する。トランジスタ141のソース又はドレインの一方は、電源電位Vxが印加される。トランジスタ141のソース又はドレインの他方は、トランジスタ142のソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。
【0102】
トランジスタ142のゲートには、クロック信号CLKが入力される。トランジスタ142のソース又はドレインの一方は、トランジスタ141のソース又はドレインの他方と電気的に接続されている。トランジスタ142のソース又はドレインの他方は、トランジスタ143のソース又はドレインの一方と電気的に接続され、クロックドインバータ140の出力端子OUTとして機能する。
【0103】
トランジスタ143のゲートには、クロック信号CLKと位相が反転した信号CLKBが入力される。トランジスタ143のソース又はドレインの一方は、トランジスタ142のソース又はドレインの他方と電気的に接続され、クロックドインバータ140の出力端子OUTとして機能する。トランジスタ143のソース又はドレインの他方は、トランジスタ144のソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。
【0104】
トランジスタ144のゲートは、トランジスタ141のゲートと電気的に接続されており、クロックドインバータ140の入力端子INとして機能する。トランジスタ144のソース又はドレインの一方は、トランジスタ143のソース又はドレインの他方と電気的に接続されている。トランジスタ144のソース又はドレインの他方は、低電位基準電位、例えば接地電位GNDが印加される。
【0105】
インバータ122としてインバータ130、クロックドインバータ121及びクロックドインバータ123のそれぞれとしてクロックドインバータ140(クロックドインバータ140A及びクロックドインバータ140B)を用いた場合のラッチ回路120の具体的な回路構成を図4に示す。なお図4において、クロックドインバータ140A及びクロックドインバータ140B、並びにそれぞれに含まれるトランジスタは、クロックドインバータ140と同様であり、それぞれ「A」及び「B」を追加して表記している。
【0106】
図4に示されるように、ラッチ回路120において、高電位基準電位である電源電位Vxから低電位基準電位(接地電位GND)へのリーク電流のパスは3つ存在する(パスI〜パスI)。よってラッチ回路120の待機状態における消費電力は増大する恐れがある。
【0107】
一方、上述のように、本実施の形態の記憶装置100は、高電位基準電位である電源電位Vxから低電位基準電位(接地電位GND)へのリーク電流のパスは1つである。そのため、本実施の形態の記憶装置100の待機状態での消費電力が低減できる。
【0108】
また本実施の形態の記憶装置100では、2つの酸化物半導体トランジスタ及び7つのシリコントランジスタの合計9つのトランジスタが形成されている。一方、図4に示すラッチ回路120では、10個のトランジスタが形成されている。このように、本実施の形態により、記憶装置を構成するトランジスタの数を低減することができる。
【0109】
酸化物半導体トランジスタは、上述のようにリーク電流が極めて小さい。そのため、記憶装置100への電源電位の供給を停止しても、例えば酸化物半導体トランジスタである第1のトランジスタ101のソース又はドレインの他方及び第7のトランジスタ115のゲートとの間に蓄えられている電荷は保持される。よって、電源電位の供給を再開した場合、記憶装置100への電源電位の供給を停止する前の状態から動作を開始することができる。
【0110】
本実施の形態の記憶装置100における酸化物半導体トランジスタの特性は、リーク電流が極めて小さい。具体的には、本実施の形態の記憶装置100における該酸化物半導体トランジスタとして、リーク電流が1×10−15A以下、好ましくは、1×10−19A以下のトランジスタを用いる。リーク電流が上述の値より大きいと、記憶装置100の不揮発性が失われ、データに変動が起こり、記憶装置100が正しく動作しない恐れがある。
【0111】
このように、記憶装置100は電源電位の供給を停止してもデータが消失しない。すなわち、本実施の形態の記憶装置100は、不揮発性の記憶回路である。電源電電位の供給を停止してもデータが消失しないので、記憶装置100が待機状態の時は、電源電位の供給を停止することが可能である。このように、不揮発性の記憶装置100では待機状態で電源電位の供給を停止した場合、記憶装置100の消費電力をさらに低減することができる。
【0112】
また本実施の形態の記憶装置100において、酸化物半導体トランジスタとシリコントランジスタは上下に重畳して形成することが可能である(後述)。そのため、記憶装置100の占有面積を小さくすることができる。
【0113】
<記憶装置の駆動方法>
図6に、本実施の形態の記憶装置100を駆動するためのタイミングチャートを示す。
【0114】
<期間T1(図7)>
まず図6の期間T1では、クロック信号CLKがローレベル電位(VSS)、信号CLKBがハイレベル電位(VDD)、入力信号Aがハイレベル電位(VDD)、入力信号Aと位相が反転した信号ABはローレベル電位(VSS)である。なお本実施の形態の記憶装置100では、電源電位Vxは常にハイレベル電位(VDD)であり、低電位基準電位はローレベル電位(VSS)、例えば接地電位GNDである。
【0115】
クロック信号CLKがローレベル電位(VSS)であるので、pチャネル型トランジスタであるトランジスタ111及びトランジスタ114は、それぞれゲートにローレベル電位(VSS)が入力される。これにより、トランジスタ111及びトランジスタ114は導通状態(オン状態ともいう)となる。これにより、出力信号OUT1及び出力信号OUT2は、それぞれハイレベル電位(VDD)となる。
【0116】
出力信号OUT1及び出力信号OUT2がそれぞれハイレベル電位(VDD)であるので、pチャネル型トランジスタであるトランジスタ112及びトランジスタ113は、それぞれゲートにハイレベル電位(VDD)が入力される。そのため、pチャネル型トランジスタであるトランジスタ112及びトランジスタ113は非導通状態(オフ状態ともいう)となる。
【0117】
信号CLKBがハイレベル電位(VDD)であるので、酸化物半導体トランジスタ(nチャネル型トランジスタ)であるトランジスタ101及びトランジスタ102は、導通状態となる。このため、入力信号A(期間T1においてはハイレベル電位(VDD))がトランジスタ101を介して、ノードM1及びトランジスタ115のゲートに入力される。同様に、信号AB(期間T1においてはローレベル電位(VSS))がトランジスタ102を介して、ノードM2及びトランジスタ116のゲートに入力される。
【0118】
本実施の形態では、ノードM1及びノードM2にそれぞれ入力信号A及び信号ABが入力されることを、プリチャージと呼ぶ。期間T1において、ノードM1及びノードM2には、それぞれハイレベル電位(VDD)及びローレベル電位(VSS)が入力される。
【0119】
またnチャネル型トランジスタであるトランジスタ115は、ゲートにハイレベル電位(VDD)である入力信号Aが入力されるので、導通状態となる。nチャネル型トランジスタであるトランジスタ116は、ゲートにローレベル電位(VSS)である信号ABが入力されるので、非導通状態となる。nチャネル型トランジスタであるトランジスタ117は、ゲートにローレベル電位(VSS)のクロック信号CLKが入力されるので、非導通状態となる。
【0120】
以上期間T1では、出力信号OUT1及び出力信号OUT2は、どちらもハイレベル電位(VDD)である。また期間T1において、入力信号A及び信号ABが、それぞれノードM1及びノードM2に書き込まれる。
【0121】
<期間T2(図8)>
期間T2では、クロック信号CLKがハイレベル電位(VDD)、信号CLKBがローレベル電位(VSS)となる。
【0122】
クロック信号CLKがハイレベル電位(VDD)であるので、pチャネル型トランジスタであるトランジスタ111及びトランジスタ114は、非導通状態となる。これにより、出力信号OUT1及び出力信号OUT2に電源電位Vxの供給がなくなる。
【0123】
また信号CLKBがローレベル電位(VSS)であるので、酸化物半導体トランジスタ(nチャネル型トランジスタ)であるトランジスタ101及びトランジスタ102は非導通状態となる。酸化物半導体トランジスタは上述のようにリーク電流が極小のため、ノードM1及びノードM2の電荷は保持される。期間T1において、ノードM1はハイレベル電位(VDD)及びノードM2はローレベル電位(VSS)であったため、ハイレベル電位(VDD)がゲートに入力されるトランジスタ115は導通状態のままであり、ローレベル電位(VSS)がゲートに入力されるトランジスタ116は非導通状態のままである。
【0124】
またnチャネル型トランジスタであるトランジスタ117は、ゲートにハイレベル電位(VDD)であるクロック信号CLKが入力されるため、導通状態となる。
【0125】
トランジスタ117が導通状態であるので、トランジスタ117のソース及びドレインの電位は、低電位基準電位(例えば接地電位GND)である。本実施の形態では、上述のように、低電位基準電位は、ローレベル電位(VSS)、例えば接地電位GNDである。そのため、トランジスタ117のソース及びドレインの電位は、ローレベル電位(VSS)である。
【0126】
トランジスタ117のソース又はドレインの一方の電位がローレベル電位(VSS)であるため、トランジスタ115のソース又はドレインの他方もローレベル電位(VSS)である。上述のように、トランジスタ115は導通状態であるので、トランジスタ115のソース又はドレインの一方もローレベル電位(VSS)である。
【0127】
トランジスタ115のソース又はドレインの一方がローレベル電位(VSS)であるため、出力信号OUT2もローレベル電位(VSS)となる。
【0128】
またトランジスタ115のソース又はドレインの一方がローレベル電位(VSS)であるため、pチャネル型トランジスタであるトランジスタ113のゲートには、ローレベル電位(VSS)が入力される。そのため、トランジスタ113は導通状態となる。
【0129】
トランジスタ113が導通状態であるので、ハイレベル電位(VDD)である電源電位Vxは、トランジスタ113を介して、ハイレベル電位(VDD)の出力信号OUT1として出力される。
【0130】
出力信号OUT1がハイレベル電位(VDD)であるので、トランジスタ112のゲートの電位もハイレベル電位(VDD)となる。そのため、トランジスタ112は非導通状態である。
【0131】
また期間T2の途中で、入力信号Aはハイレベル電位(VDD)からローレベル電位(VSS)に変化する。しかしトランジスタ101が非導通状態であるので、出力信号OUT1及び出力信号OUT2には影響しない。また、入力信号Aに応じて信号ABはローレベル電位(VSS)からハイレベル電位(VDD)に変化する。しかし上述と同様に、トランジスタ102が非導通状態であるので、出力信号OUT1及び出力信号OUT2には影響しない。
【0132】
以上期間T2では、期間T1にてノードM1及びノードM2にそれぞれ書き込まれた入力信号A及び信号ABに基づいて、記憶装置100が動作する。期間T2において、出力信号OUT1及び出力信号OUT2は、それぞれハイレベル電位(VDD)及びローレベル電位(VSS)である。
【0133】
なお期間T2では、酸化物半導体トランジスタであるトランジスタ101及びトランジスタ102は非導通状態となる。しかし出力信号OUT1及び出力信号OUT2は一定の電位で出力される。本明細書では、このように酸化物半導体トランジスタが非導通状態でも、記憶装置100が一定の電位を有する出力信号を出力し続ける状態を、記憶装置100が待機状態であると呼ぶ。本実施の形態において、期間T2では記憶装置100は待機状態である。
【0134】
<期間T3(図9)>
期間T3では、クロック信号CLK及び信号CLKBは、それぞれローレベル電位(VSS)及びハイレベル電位(VDD)であり、期間T1と同様である。ただし期間T3では、入力信号A及び信号ABがローレベル電位(VSS)及びハイレベル電位(VDD)であり、入力信号A及び信号ABは期間T1とは逆の位相となっている。
【0135】
期間T3において、トランジスタ101、トランジスタ102、トランジスタ111、トランジスタ112、トランジスタ113、トランジスタ114、トランジスタ117の動作については、期間T1と同様である。
【0136】
トランジスタ115のゲート及びノードM1には、導通状態のトランジスタ101を介して、ローレベル電位(VSS)である入力信号Aが入力される。またトランジスタ116のゲート及びノードM2には、導通状態のトランジスタ102を介して、ハイレベル電位(VDD)である信号ABが入力される。
【0137】
すなわち、期間T3では、期間T1と逆の位相の電位がノードM1及びノードM2に入力(プリチャージ)される。
【0138】
<期間T4(図10)>
期間T4では、クロック信号CLKがハイレベル電位(VDD)、信号CLKBがローレベル電位(VSS)となり、期間T2と同様である。ただし期間T3の終わりにおいて、ノードM1及びノードM2は、それぞれローレベル電位(VSS)及びハイレベル電位(VDD)となっている。
【0139】
期間T4において、トランジスタ101、トランジスタ102、トランジスタ111、トランジスタ114、トランジスタ117の動作については、期間T2と同様である。
【0140】
期間T4において、酸化物半導体トランジスタ(nチャネル型トランジスタ)であるトランジスタ101及びトランジスタ102は非導通状態となる。酸化物半導体トランジスタは上述のようにリーク電流が極小のため、ノードM1及びノードM2の電荷は保持されている。
【0141】
期間T3において、ノードM1はローレベル電位(VSS)及びノードM2はハイレベル電位(VDD)であったため、ローレベル電位(VSS)がゲートに入力されるトランジスタ115は非導通状態となり、ハイレベル電位(VDD)がゲートに入力されるトランジスタ116は導通状態となる。
【0142】
期間T2と同様に、トランジスタ117は導通状態である。またトランジスタ117のソース又はドレインの一方の電位がローレベル電位(VSS)であるため、トランジスタ117のソース又はドレインの他方もローレベル電位(VSS)である。上述のように、トランジスタ116は導通状態であるので、トランジスタ116のソース又はドレインの一方もローレベル電位(VSS)である。
【0143】
トランジスタ116のソース又はドレインの一方がローレベル電位(VSS)であるため、出力信号OUT1もローレベル電位(VSS)となる。
【0144】
またトランジスタ116のソース又はドレインの一方がローレベル電位(VSS)であるため、pチャネル型トランジスタであるトランジスタ112のゲートには、ローレベル電位(VSS)が入力される。そのため、トランジスタ112は導通状態となる。
【0145】
トランジスタ112が導通状態であるので、ハイレベル電位(VDD)である電源電位Vxは、トランジスタ112を介して、ハイレベル電位(VDD)の出力信号OUT2として出力される。
【0146】
出力信号OUT2がハイレベル電位(VDD)であるので、トランジスタ113のゲートの電位もハイレベル電位(VDD)となる。そのため、トランジスタ113は非導通状態である。
【0147】
以上期間T4では、期間T3にてノードM1及びノードM2にそれぞれ書き込まれた入力信号A及び信号ABに基づいて、記憶装置100が動作する。期間T4において、出力信号OUT1及び出力信号OUT2は、それぞれローレベル電位(VSS)及びハイレベル電位(VDD)である。
【0148】
なお期間T4でも、酸化物半導体トランジスタであるトランジスタ101及びトランジスタ102は非導通状態となる。しかし出力信号OUT1及び出力信号OUT2は一定の電位で出力される。よって、期間T4でも記憶装置100は待機状態であると言える。
【0149】
なお図5に示すように、第1のトランジスタ101のソース又はドレインの他方と第7のトランジスタ115のゲートとの接続部分(ノードM1)、並びに、第2のトランジスタ102のソース又はドレインの他方と第8のトランジスタ116のゲートとの接続部分(ノードM2)に、それぞれ保持容量(保持容量161及び保持容量162)を設けてもよい。
【0150】
図5に示すように保持容量161及び保持容量162を設けた場合、クロック信号CLKがローレベル電位(VSS)の時に、ノードM1及びノードM2に入力信号A及び信号ABが入力されるのと同時に、保持容量161及び保持容量162にもそれぞれ入力信号A及び信号ABが入力される。保持容量161及び保持容量162に入力された入力信号A及び信号ABは、保持容量161及び保持容量162に保持される。
【0151】
またノードM1及びノードM2と同様に、保持容量161及び保持容量162に保持された入力信号A及び信号ABは、クロック信号CLKがハイレベル電位(VDD)の時に、それぞれトランジスタ115のゲート及びトランジスタ116のゲートに出力される。
【0152】
本実施の形態の記憶装置100は、保持容量161及び保持容量162が設けられなくても動作する。しかし、保持容量161及び保持容量162が設けられた記憶装置100は、保持容量161及び保持容量162が設けられない場合よりも安定に動作する。
【0153】
以上本実施の形態により、記憶装置のリーク電流のパスを低減することができる。
【0154】
また本実施の形態により、記憶装置の消費電力を低減することができる。
【0155】
また本実施の形態により、記憶装置の面積を低減することができる。
【0156】
また本実施の形態により、記憶装置を構成するトランジスタの数を低減することができる。
【0157】
[実施の形態2]
<記憶装置の構成>
本実施の形態では、実施の形態1とは異なる構成の記憶装置について説明する。
【0158】
図11に本実施の形態の記憶装置のブロック図を示す。図11に示す記憶装置250は、比較器251、メモリ部252、メモリ部253、出力電位確定器254を有している。
【0159】
比較器251は、低電位基準電位、例えば接地電位GND及びクロック信号CLKが入力される。また比較器251は、メモリ部252と電気的に接続され、出力信号OUT2を出力する。また比較器251は、メモリ部253と電気的に接続され、出力信号OUT1を出力する。
【0160】
メモリ部252は、クロック信号CLK及び入力信号Aが入力される。またメモリ部252は、比較器251に電気的に接続され、出力信号OUT2を出力する。またメモリ部252は、メモリ部253及び出力電位確定器254と電気的に接続されている。
【0161】
メモリ部253は、クロック信号CLK及び入力信号Aと位相が反転した信号ABが入力される。またメモリ部253は、比較器251に電気的に接続され、出力信号OUT1を出力する。またメモリ部253は、メモリ部252及び出力電位確定器254と電気的に接続されている。
【0162】
出力電位確定器254は、クロック信号CLKが入力される。また出力電位確定器254は、メモリ部252及びメモリ部253と電気的に接続されている。また出力電位確定器254は、電源電位Vxが入力される。
【0163】
なお本実施の形態の記憶装置250では、高電位基準電位である電源電位Vxは常にハイレベル電位(VDD)であり、低電位基準電位は、ローレベル電位(VSS)、例えば接地電位GNDである。
【0164】
図12に本実施の形態の記憶装置250の詳細な回路図を示す。
【0165】
図12に示す記憶装置250は、第1のトランジスタ221、第2のトランジスタ222、第3のトランジスタ211、第4のトランジスタ212、第5のトランジスタ213、第6のトランジスタ214、第7のトランジスタ215、第8のトランジスタ216、及び第9のトランジスタ217を有している。
【0166】
比較器251は、第3のトランジスタ211、第4のトランジスタ212、第5のトランジスタ213、第6のトランジスタ214によって形成されている。メモリ部252は、第1のトランジスタ221及び第7のトランジスタ215によって形成されている。メモリ部253は、第2のトランジスタ222及び第8のトランジスタ216によって形成されている。出力電位確定器254は、第9のトランジスタ217によって形成されている。
【0167】
第1のトランジスタ221及び第2のトランジスタ222の2つのトランジスタとして、例えば酸化物半導体トランジスタを用いる。当該酸化物半導体トランジスタはリーク電流(オフ電流ともいう)が極小という利点を有する。なお当該酸化物半導体トランジスタは、nチャネル型トランジスタである。
【0168】
第3のトランジスタ211、第4のトランジスタ212、第5のトランジスタ213、第6のトランジスタ214、第7のトランジスタ215、第8のトランジスタ216、及び第9のトランジスタ217の7つのトランジスタとして、例えばシリコントランジスタを用いる。また第3のトランジスタ211、第4のトランジスタ212、第5のトランジスタ213、及び第6のトランジスタ214の4つのトランジスタとして、nチャネル型トランジスタを用いる。第7のトランジスタ215、第8のトランジスタ216、及び第9のトランジスタ217の3つのトランジスタとして、pチャネル型トランジスタを用いる。
【0169】
なおnチャネル型トランジスタである第3のトランジスタ211、第4のトランジスタ212、第5のトランジスタ213、及び第6のトランジスタ214の3つのトランジスタは、シリコントランジスタでなくてもよく、第1のトランジスタ221及び第2のトランジスタ222と同様に、酸化物半導体トランジスタであってもよい。
【0170】
第1のトランジスタ221のゲートには、クロック信号CLKが入力され、第2のトランジスタ222のゲートと電気的に接続されている。第1のトランジスタ221のソース又はドレインの一方には、入力信号Aが入力される。第1のトランジスタ221のソース又はドレインの他方は、第7のトランジスタ215のゲートと電気的に接続されている。なお第1のトランジスタ221のソース又はドレインの他方と第7のトランジスタ215のゲートとの接続部分をノードM3とする。
【0171】
第2のトランジスタ222のゲートには、クロック信号CLKが入力され、第1のトランジスタ221のゲートと電気的に接続されている。第2のトランジスタ222のソース又はドレインの一方には、入力信号Aと位相が反転した信号ABが入力される。第2のトランジスタ222のソース又はドレインの他方は、第8のトランジスタ216のゲートと電気的に接続されている。なお第2のトランジスタ222のソース又はドレインの他方と第8のトランジスタ216のゲートとの接続部分をノードM4とする。
【0172】
第3のトランジスタ211のゲートには、クロック信号CLKが入力される。第3のトランジスタ211のソース又はドレインの一方は、低電位基準電位、例えば接地電位GNDが入力され、第4のトランジスタ212のソース又はドレインの一方、第5のトランジスタ213のソース又はドレインの一方、第6のトランジスタ214のソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。第3のトランジスタ211のソース又はドレインの他方から、出力信号OUT2が出力される。第3のトランジスタ211のソース又はドレインの他方は、第4のトランジスタ212のソース又はドレインの他方、第5のトランジスタ213のゲート、第7のトランジスタ215のソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。
【0173】
第4のトランジスタ212のゲートから出力信号OUT1が出力される。第4のトランジスタ212のゲートは、第5のトランジスタ213のソース又はドレインの他方、第6のトランジスタ214のソース又はドレインの他方、第8のトランジスタ216のソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。第4のトランジスタ212のソース又はドレインの一方は、低電位基準電位、例えば接地電位GNDが入力され、第3のトランジスタ211のソース又はドレインの一方、第5のトランジスタ213のソース又はドレインの一方、第6のトランジスタ214のソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。第4のトランジスタ212のソース又はドレインの他方から出力信号OUT2が出力される。第4のトランジスタ212のソース又はドレインの他方は、第3のトランジスタ211のソース又はドレインの他方、第5のトランジスタ213のゲート、第7のトランジスタ215のソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。
【0174】
第5のトランジスタ213のゲートから、出力信号OUT2が出力される。第5のトランジスタ213のゲートは、第3のトランジスタ211のソース又はドレインの他方、第4のトランジスタ212のソース又はドレインの他方、第7のトランジスタ215のソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。第5のトランジスタ213のソース又はドレインの一方は、低電位基準電位、例えば接地電位GNDが入力され、第3のトランジスタ211のソース又はドレインの一方、第4のトランジスタ212のソース又はドレインの一方、第6のトランジスタ214のソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。第5のトランジスタ213のソース又はドレインの他方から、出力信号OUT1が出力される。第5のトランジスタ213のソース又はドレインの他方は、第4のトランジスタ212のゲート、第6のトランジスタ214のソース又はドレインの他方、第8のトランジスタ216のソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。
【0175】
第6のトランジスタ214のゲートには、クロック信号CLKが入力される。第6のトランジスタ214のソース又はドレインの一方は低電位基準電位、例えば接地電位GNDが入力され、第3のトランジスタ211のソース又はドレインの一方、第4のトランジスタ212のソース又はドレインの一方、第5のトランジスタ213のソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。第6のトランジスタ214のソース又はドレインの他方から、出力信号OUT1が出力される。第6のトランジスタ214のソース又はドレインの他方は、第4のトランジスタ212のゲート、第5のトランジスタ213のソース又はドレインの他方、第8のトランジスタ216のソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。
【0176】
第7のトランジスタ215のゲートは、第1のトランジスタ221のソース又はドレインの他方と電気的に接続されている。第7のトランジスタ215のソース又はドレインの一方から、出力信号OUT2が出力される。第7のトランジスタ215のソース又はドレインの一方は、第3のトランジスタ211のソース又はドレインの他方、第4のトランジスタ212のソース又はドレインの他方、第5のトランジスタ213のゲートと電気的に接続されている。第7のトランジスタ215のソース又はドレインの他方は、第8のトランジスタ216のソース又はドレインの他方、第9のトランジスタ217のソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。
【0177】
第8のトランジスタ216のゲートは、第2のトランジスタ222のソース又はドレインの他方と電気的に接続されている。第8のトランジスタ216のソース又はドレインの一方から、出力信号OUT1が出力される。第8のトランジスタ216のソース又はドレインの一方は、第4のトランジスタ212のゲート、第5のトランジスタ213のソース又はドレインの他方、第6のトランジスタ214のソース又はドレインの他方と電気的に接続されている。第8のトランジスタ216のソース又はドレインの他方は、第7のトランジスタ215のソース又はドレインの他方、第9のトランジスタ217のソース又はドレインの一方と電気的に接続されている。
【0178】
第9のトランジスタ217のゲートには、クロック信号CLKが入力される。第9のトランジスタ217のソース又はドレインの一方は、第7のトランジスタ215のソース又はドレインの他方、第8のトランジスタ216のソース又はドレインの他方と電気的に接続されている。第9のトランジスタ217のソース又はドレインの他方は、電源電位Vxが印加される。
【0179】
本実施の形態の記憶装置250が待機状態の場合、リーク電流のパスは、高電位基準電位である電源電位Vxから低電位基準電位である接地電位GNDまで1つしか存在しない。リーク電流のパスが1つしか存在しないため、待機状態の記憶装置250の消費電力を抑えることができる。
【0180】
また実施の形態1と同様に、本実施の形態の記憶装置250では、2つの酸化物半導体トランジスタ及び7つのシリコントランジスタの合計9つのトランジスタが形成されている。このように、本実施の形態により、記憶装置を構成するトランジスタの数を低減することができる。
【0181】
また図13に示すように、第1のトランジスタ221のソース又はドレインの他方と第7のトランジスタ215のゲートとの接続部分(ノードM3)、並びに、第2のトランジスタ222のソース又はドレインの他方と第8のトランジスタ216のゲートとの接続部分(ノードM4)に、それぞれ保持容量(保持容量261及び保持容量262)を設けてもよい。保持容量261及び保持容量262を設けた記憶装置250の動作については後述する。
【0182】
<記憶装置の駆動方法>
図14に、本実施の形態の記憶装置250を駆動するためのタイミングチャートを示す。
【0183】
<期間T1(図15)>
まず図14の期間T1では、クロック信号CLKがハイレベル電位(VDD)、入力信号Aがハイレベル電位(VDD)、入力信号Aと位相が反転した信号ABはローレベル電位(VSS)である。なお本実施の形態の記憶装置250では、高電位基準電位である電源電位Vxは常にハイレベル電位(VDD)であり、低電位基準電位は、ローレベル電位(VSS)、例えば接地電位GNDである。
【0184】
クロック信号CLKがハイレベル電位(VDD)であるので、nチャネル型トランジスタであるトランジスタ211及びトランジスタ214は、それぞれゲートにハイレベル電位(VDD)が入力される。これにより、トランジスタ211及びトランジスタ214は導通状態となる。これにより、出力信号OUT1及び出力信号OUT2は、それぞれ低電位基準電位、例えば接地電位GNDと同電位(ローレベル電位(VSS))となる。
【0185】
出力信号OUT1及び出力信号OUT2がそれぞれローレベル電位(VSS)であるので、nチャネル型トランジスタであるトランジスタ212及びトランジスタ213は、それぞれゲートにローレベル電位(VSS)が入力される。そのため、nチャネル型トランジスタであるトランジスタ212及びトランジスタ213は非導通状態となる。
【0186】
クロック信号CLKがハイレベル電位(VDD)であるので、酸化物半導体トランジスタ(nチャネル型トランジスタ)であるトランジスタ221及びトランジスタ222は、導通状態となる。このため、入力信号A(期間T1においてはハイレベル電位(VDD))がトランジスタ221を介して、ノードM3及びトランジスタ215のゲートに入力される。
【0187】
なお図13に示すように保持容量261及び保持容量262を設けた場合、ノードM3に入力信号Aが入力されるのと同時に、保持容量261に入力信号Aが入力される。入力された入力信号Aは、ノードM3及び保持容量261に保持される。
【0188】
同様に、信号AB(期間T1においてはローレベル電位(VSS))がトランジスタ222を介して、ノードM4及びトランジスタ216のゲートに入力される。
【0189】
なお図13に示すように保持容量261及び保持容量262を設けた場合、ノードM4に信号ABが入力されるのと同時に、保持容量262に信号ABが入力される。入力された信号ABは、ノードM4及び保持容量262に保持される。
【0190】
本実施の形態では、保持容量261及び保持容量262が設けられる場合は、ノードM3及びノードM4に加えて当該保持容量261及び保持容量262に、それぞれ入力信号A及び信号ABが入力されることを、プリチャージと呼ぶ。期間T1において、ノードM3及びノードM4には、それぞれハイレベル電位(VDD)及びローレベル電位(VSS)が入力される。
【0191】
またpチャネル型トランジスタであるトランジスタ215は、ゲートにハイレベル電位(VDD)である入力信号Aが入力されるので、非導通状態となる。pチャネル型トランジスタであるトランジスタ216は、ゲートにローレベル電位(VSS)である信号ABが入力されるので、導通状態となる。pチャネル型トランジスタであるトランジスタ217は、ゲートにハイレベル電位(VDD)のクロック信号CLKが入力されるので、導通状態となる。
【0192】
以上期間T1では、出力信号OUT1及び出力信号OUT2は、どちらもローレベル電位(VSS)である。また期間T1において、入力信号A及び信号ABが、それぞれノードM3及びノードM4に書き込まれる。
【0193】
<期間T2(図16)>
期間T2では、クロック信号CLKがローレベル電位(VSS)となる。
【0194】
クロック信号CLKがローレベル電位(VSS)であるので、nチャネル型トランジスタであるトランジスタ211及びトランジスタ214は、非導通状態となる。これにより、出力信号OUT1及び出力信号OUT2に低電位基準電位、例えば接地電位GNDの供給がなくなる。
【0195】
またクロック信号CLKがローレベル電位(VSS)であるので、酸化物半導体トランジスタ(nチャネル型トランジスタ)であるトランジスタ221及びトランジスタ222は非導通状態となる。酸化物半導体トランジスタは上述のようにリーク電流が極小のため、ノードM3及びノードM4の電荷は保持される。期間T1において、ノードM3はハイレベル電位(VDD)及びノードM4はローレベル電位(VSS)であったため、ハイレベル電位(VDD)がゲートに入力されるトランジスタ215は非導通状態となり、ローレベル電位(VSS)がゲートに入力されるトランジスタ216は導通状態となる。
【0196】
また保持容量261及び保持容量262が設けられている場合は、ノードM3及びノードM4と同様に、保持容量261及び保持容量262に保持された入力信号A及び信号ABは、それぞれトランジスタ215のゲート及びトランジスタ216のゲートに出力される。
【0197】
またpチャネル型トランジスタであるトランジスタ217は、ゲートにローレベル電位(VSS)であるクロック信号CLKが入力されるため、導通状態となる。
【0198】
トランジスタ217が導通状態であるので、トランジスタ217のソース及びドレインの電位は、電源電位Vxである。本実施の形態では、上述のように、電源電位Vxは、ハイレベル電位(VDD)である。そのため、トランジスタ217のソース及びドレインの電位は、ハイレベル電位(VDD)である。
【0199】
トランジスタ217のソース又はドレインの一方の電位が、ハイレベル電位(VDD)であるため、トランジスタ216のソース又はドレインの他方もハイレベル電位(VDD)である。上述のように、トランジスタ216は導通状態であるので、トランジスタ216のソース又はドレインの一方もハイレベル電位(VDD)である。
【0200】
トランジスタ216のソース又はドレインの一方がハイレベル電位(VDD)であるため、出力信号OUT1もハイレベル電位(VDD)となる。
【0201】
またトランジスタ216のソース又はドレインの一方がハイレベル電位(VDD)であるため、nチャネル型トランジスタであるトランジスタ212のゲートには、ハイレベル電位(VDD)が入力される。そのため、トランジスタ212は導通状態となる。
【0202】
トランジスタ212が導通状態であるので、ローレベル電位(VSS)である低電位基準電位、例えば接地電位GNDは、トランジスタ212を介して、ローレベル電位(VSS)の出力信号OUT2として出力される。
【0203】
出力信号OUT2がローレベル電位(VSS)であるので、トランジスタ213のゲートの電位もローレベル電位(VSS)となる。そのため、トランジスタ213は非導通状態である。
【0204】
また期間T2の途中で、入力信号Aはハイレベル電位(VDD)からローレベル電位(VSS)に変化する。しかしトランジスタ221が非導通状態であるので、出力信号OUT1及び出力信号OUT2には影響しない。また、入力信号Aに応じて信号ABはローレベル電位(VSS)からハイレベル電位(VDD)に変化する。しかし上述と同様に、トランジスタ222が非導通状態であるので、出力信号OUT1及び出力信号OUT2には影響しない。
【0205】
以上期間T2では、期間T1にてノードM3及びノードM4にそれぞれ書き込まれた入力信号A及び信号ABに基づいて、記憶装置250が動作する。期間T2において、出力信号OUT1及び出力信号OUT2は、それぞれハイレベル電位(VDD)及びローレベル電位(VSS)である。
【0206】
なお期間T2では、酸化物半導体トランジスタであるトランジスタ221及びトランジスタ222は非導通状態となる。しかし出力信号OUT1及び出力信号OUT2は一定の電位で出力される。よって、期間T2では記憶装置250は待機状態であると言える。
【0207】
<期間T3(図17)>
期間T3では、クロック信号CLKハイレベル電位(VDD)であり、期間T1と同様である。ただし期間T3では、入力信号A及び信号ABがローレベル電位(VSS)及びハイレベル電位(VDD)であり、入力信号A及び信号ABは期間T1とは逆の位相となっている。
【0208】
期間T3において、トランジスタ221、トランジスタ222、トランジスタ211、トランジスタ212、トランジスタ213、トランジスタ214、トランジスタ217の動作については、期間T1と同様である。
【0209】
トランジスタ215のゲート及びノードM3には、導通状態のトランジスタ221を介して、ローレベル電位(VSS)である入力信号Aが入力される。またトランジスタ216のゲート及びノードM4には、導通状態のトランジスタ222を介して、ハイレベル電位(VDD)である信号ABが入力される。
【0210】
すなわち、期間T3では、期間T1と逆の位相の電位がノードM3及びノードM4に入力(プリチャージ)される。
【0211】
なお図13に示すように、保持容量261及び保持容量262が設けられた場合には、それぞれノードM3及びノードM4と同様の信号が入力される。入力された信号は、保持容量261及び保持容量262それぞれにおいて保持される。
【0212】
<期間T4(図18)>
期間T4では、クロック信号CLKがローレベル電位(VSS)となり、期間T2と同様である。ただし期間T3の終わりにおいて、ノードM3及びノードM4は、それぞれローレベル電位(VSS)及びハイレベル電位(VDD)となっている。
【0213】
期間T4において、トランジスタ221、トランジスタ222、トランジスタ211、トランジスタ214、トランジスタ217の動作については、期間T2と同様である。
【0214】
期間T4において、酸化物半導体トランジスタ(nチャネル型トランジスタ)であるトランジスタ221及びトランジスタ222は非導通状態となる。酸化物半導体トランジスタは上述のようにリーク電流が極小のため、ノードM3及びノードM4の電荷は保持されている。
【0215】
期間T3において、ノードM3はローレベル電位(VSS)及びノードM4はハイレベル電位(VDD)であったため、ローレベル電位(VSS)がゲートに入力されるトランジスタ215は導通状態となり、ハイレベル電位(VDD)がゲートに入力されるトランジスタ216は非導通状態となる。
【0216】
また保持容量261及び保持容量262が設けられている場合は、ノードM3及びノードM4と同様に、保持容量261及び保持容量262に保持された入力信号A及び信号ABは、それぞれトランジスタ215のゲート及びトランジスタ216のゲートに出力される。
【0217】
期間T2と同様に、トランジスタ217は導通状態である。またトランジスタ217のソース又はドレインの一方の電位がハイレベル電位(VDD)であるため、トランジスタ215のソース又はドレインの他方もハイレベル電位(VDD)である。上述のように、トランジスタ215は導通状態であるので、トランジスタ215のソース又はドレインの一方もハイレベル電位(VDD)である。
【0218】
トランジスタ215のソース又はドレインの一方がハイレベル電位(VDD)であるため、出力信号OUT2もハイレベル電位(VDD)となる。
【0219】
またトランジスタ215のソース又はドレインの一方がハイレベル電位(VDD)であるため、nチャネル型トランジスタであるトランジスタ213のゲートには、ハイレベル電位(VDD)が入力される。そのため、トランジスタ213は導通状態となる。
【0220】
トランジスタ213が導通状態であるので、ローレベル電位(VSS)である低電位基準電位(接地電位GND)は、トランジスタ213を介して、ローレベル電位(VSS)の出力信号OUT1として出力される。
【0221】
出力信号OUT1がローレベル電位(VSS)であるので、トランジスタ212のゲートの電位もローレベル電位(VSS)となる。そのため、トランジスタ212は非導通状態である。
【0222】
以上期間T4では、期間T3にてノードM3及びノードM4にそれぞれ書き込まれた入力信号A及び信号ABに基づいて、記憶装置250が動作する。期間T4において、出力信号OUT1及び出力信号OUT2は、それぞれローレベル電位(VSS)及びハイレベル電位(VDD)である。
【0223】
なお期間T4でも、酸化物半導体トランジスタであるトランジスタ221及びトランジスタ222は非導通状態となる。しかし出力信号OUT1及び出力信号OUT2は一定の電位で出力される。よって、期間T4でも記憶装置250は待機状態であると言える。
【0224】
また、本実施の形態の記憶装置250は、保持容量261及び保持容量262が設けられなくても動作する。しかし、保持容量261及び保持容量262が設けられた記憶装置250は、保持容量261及び保持容量262が設けられない場合よりも安定に動作する。
【0225】
以上本実施の形態により、記憶装置のリーク電流のパスを低減することができる。
【0226】
また本実施の形態により、記憶装置の消費電力を低減することができる。
【0227】
また本実施の形態により、記憶装置の面積を低減することができる。
【0228】
また本実施の形態により、記憶装置を構成するトランジスタの数を低減することができる。
【0229】
[実施の形態3]
本実施の形態では、酸化物半導体トランジスタについて説明する。
【0230】
図19(A)に示す酸化物半導体トランジスタ901は、絶縁膜902上に形成された、活性層として機能する酸化物半導体層903と、酸化物半導体層903上に形成されたソース電極904及びドレイン電極905と、酸化物半導体層903、ソース電極904及びドレイン電極905上のゲート絶縁膜906と、ゲート絶縁膜906上において酸化物半導体層903と重なる位置に設けられたゲート電極907とを有する。
【0231】
図19(A)に示す酸化物半導体トランジスタ901は、ゲート電極907が酸化物半導体層903の上に形成されているトップゲート型であり、なおかつ、ソース電極904及びドレイン電極905が酸化物半導体層903の上に形成されているトップコンタクト型である。そして、酸化物半導体トランジスタ901は、ソース電極904及びドレイン電極905と、ゲート電極907とが重なっていない。すなわち、ソース電極904及びドレイン電極905とゲート電極907との間には、ゲート絶縁膜906の膜厚よりも大きい間隔が設けられている。よって、酸化物半導体トランジスタ901は、ソース電極904及びドレイン電極905とゲート電極907との間に形成される寄生容量を小さく抑えることができるので、高速動作を実現することができる。
【0232】
また、酸化物半導体層903は、ゲート電極907が形成された後に酸化物半導体層903にn型の導電性を付与するドーパントを添加することで得られる、一対の高濃度領域908を有する。また、酸化物半導体層903のうち、ゲート絶縁膜906を間に挟んでゲート電極907と重なる領域がチャネル形成領域909である。酸化物半導体層903では、一対の高濃度領域908の間にチャネル形成領域909が設けられている。高濃度領域908を形成するためのドーパントの添加は、イオン注入法を用いることができる。ドーパントは、例えばヘリウム、アルゴン、キセノンなどの希ガスや、窒素、リン、ヒ素、アンチモンなどの15族原子などを用いることができる。
【0233】
例えば、窒素をドーパントとして用いた場合、高濃度領域908中の窒素原子の濃度は、5×1019/cm以上1×1022/cm以下であることが望ましい。
【0234】
n型の導電性を付与するドーパントが添加されている高濃度領域908は、酸化物半導体層903中の他の領域に比べて導電性が高くなる。よって、高濃度領域908を酸化物半導体層903に設けることで、ソース電極904とドレイン電極905の間の抵抗を下げることができる。
【0235】
また、In−Ga−Zn系酸化物半導体を酸化物半導体層903に用いた場合、窒素を添加した後、300℃以上600℃以下で1時間程度加熱処理を施すことにより、高濃度領域908中の酸化物半導体はウルツ鉱型の結晶構造を有するようになる。高濃度領域908中の酸化物半導体がウルツ鉱型の結晶構造を有することで、さらに高濃度領域908の導電性を高め、ソース電極904とドレイン電極905の間の抵抗を下げることができる。なお、ウルツ鉱型の結晶構造を有する酸化物半導体を形成して、ソース電極904とドレイン電極905の間の抵抗を効果的に下げるためには、窒素をドーパントとして用いた場合、高濃度領域908中の窒素原子の濃度を、1×1020/cm以上7atoms%以下とすることが望ましい。しかし、窒素原子が上記範囲よりも低い濃度であっても、ウルツ鉱型の結晶構造を有する酸化物半導体が得られる場合もある。
【0236】
また、酸化物半導体層903は、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)で構成されていても良い。酸化物半導体層903がCAAC−OSで構成されている場合、非晶質の場合に比べて酸化物半導体層903の導電率を高めることができるので、ソース電極904とドレイン電極905の間の抵抗を下げることができる。なおCAAC−OSについては後述する。
【0237】
そして、ソース電極904とドレイン電極905の間の抵抗を下げることで、酸化物半導体トランジスタ901の微細化を進めても、高いオン電流と、高速動作を確保することができる。また、酸化物半導体トランジスタ901の微細化により、当該トランジスタを用いた記憶素子の占める面積を縮小化し、単位面積あたりの記憶容量を高めることができる。
【0238】
なお図19(A)に示される酸化物半導体トランジスタ901は、ゲート電極907の側部に、絶縁膜で形成されたサイドウォールを有していてもよい。当該サイドウォールを用いて、チャネル形成領域909及び高濃度領域908との間に、低濃度領域を形成してもよい。当該低濃度領域を設けることで、短チャネル効果による閾値電圧のマイナスシフトを軽減することができる。
【0239】
図19(B)に示す酸化物半導体トランジスタ911は、絶縁膜912上に形成されたソース電極914及びドレイン電極915と、ソース電極914及びドレイン電極915上に形成された活性層として機能する酸化物半導体層913と、酸化物半導体層913、ソース電極914及びドレイン電極915上のゲート絶縁膜916と、ゲート絶縁膜916上において酸化物半導体層913と重なる位置に設けられたゲート電極917とを有する。
【0240】
図19(B)に示す酸化物半導体トランジスタ911は、ゲート電極917が酸化物半導体層913の上に形成されているトップゲート型であり、なおかつ、ソース電極914及びドレイン電極915が酸化物半導体層913の下に形成されているボトムコンタクト型である。そして、酸化物半導体トランジスタ911は、酸化物半導体トランジスタ901と同様に、ソース電極914及びドレイン電極915と、ゲート電極917とが重なっていないので、ソース電極914及びドレイン電極915とゲート電極917との間に形成される寄生容量を小さく抑えることができ、高速動作を実現することができる。
【0241】
また、酸化物半導体層913は、ゲート電極917が形成された後に酸化物半導体層913にn型の導電性を付与するドーパントを添加することで得られる、一対の高濃度領域918を有する。また、酸化物半導体層913のうち、ゲート絶縁膜916を間に挟んでゲート電極917と重なる領域がチャネル形成領域919である。酸化物半導体層913では、一対の高濃度領域918の間にチャネル形成領域919が設けられている。
【0242】
高濃度領域918は、上述した、酸化物半導体トランジスタ901が有する高濃度領域908の場合と同様に、イオン注入法を用いて形成することができる。そして、高濃度領域918を形成するためのドーパントの種類については、高濃度領域908の場合を参照することができる。
【0243】
例えば、窒素をドーパントとして用いた場合、高濃度領域918中の窒素原子の濃度は、5×1019/cm以上1×1022/cm以下であることが望ましい。
【0244】
n型の導電性を付与するドーパントが添加されている高濃度領域918は、酸化物半導体層913中の他の領域に比べて導電性が高くなる。よって、高濃度領域918を酸化物半導体層913に設けることで、ソース電極914とドレイン電極915の間の抵抗を下げることができる。
【0245】
また、In−Ga−Zn系酸化物半導体を酸化物半導体層913に用いた場合、窒素を添加した後、300℃以上600℃以下程度で加熱処理を施すことにより、高濃度領域918中の酸化物半導体はウルツ鉱型の結晶構造を有するようになる。高濃度領域918中の酸化物半導体がウルツ鉱型の結晶構造を有することで、さらに高濃度領域918の導電性を高め、ソース電極914とドレイン電極915の間の抵抗を下げることができる。なお、ウルツ鉱型の結晶構造を有する酸化物半導体を形成して、ソース電極914とドレイン電極915の間の抵抗を効果的に下げるためには、窒素をドーパントとして用いた場合、高濃度領域918中の窒素原子の濃度を、1×1020/cm以上7atoms%以下とすることが望ましい。しかし、窒素原子が上記範囲よりも低い濃度であっても、ウルツ鉱型の結晶構造を有する酸化物半導体が得られる場合もある。
【0246】
また、酸化物半導体層913は、CAAC−OSで構成されていても良い。酸化物半導体層913がCAAC−OSで構成されている場合、非晶質の場合に比べて酸化物半導体層913の導電率を高めることができるので、ソース電極914とドレイン電極915の間の抵抗を下げることができる。
【0247】
そして、ソース電極914とドレイン電極915の間の抵抗を下げることで、酸化物半導体トランジスタ911の微細化を進めても、高いオン電流と、高速動作を確保することができる。また、酸化物半導体トランジスタ911の微細化により、当該トランジスタを用いた記憶素子の占める面積を縮小化し、単位面積あたりの記憶容量を高めることができる。
【0248】
なお図19(B)に示される酸化物半導体トランジスタ911は、ゲート電極917の側部に、絶縁膜で形成されたサイドウォールを有していてもよい。当該サイドウォールを用いて、チャネル形成領域919及び高濃度領域918との間に、低濃度領域を形成してもよい。当該低濃度領域を設けることで、短チャネル効果による閾値電圧のマイナスシフトを軽減することができる。
【0249】
以上説明した酸化物半導体トランジスタ901又は酸化物半導体トランジスタ911を、実施の形態1で述べたトランジスタ101及びトランジスタ102のいずれか一方あるいは両方、並びに、実施の形態2で述べたトランジスタ221及びトランジスタ222のいずれか一方あるいは両方として用いることができる。
【0250】
また、実施の形態1で述べたトランジスタ101及びトランジスタ102のいずれか一方あるいは両方、並びに、実施の形態2で述べたトランジスタ221及びトランジスタ222のいずれか一方あるいは両方は、本実施の形態で説明した酸化物半導体トランジスタに限定されず、例えば溝(トレンチともいう)を用いて形成した酸化物半導体トランジスタを用いてもよい。
【0251】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0252】
[実施の形態4]
本実施の形態では、記憶装置の構造の一形態について説明する。
【0253】
図20は、記憶装置の断面図である。図20に示す記憶装置は上部に、多層に形成された複数の記憶素子を有し、下部に論理回路3004を有する。複数の記憶素子のうち、記憶素子3170aと、記憶素子3170bを代表で示す。記憶素子3170a及び記憶素子3170bとしては、例えば、上述した実施の形態において説明した記憶装置100又は記憶装置250と同様の構成とすることもできる。
【0254】
なお、記憶素子3170aに含まれるトランジスタ3171aを代表で示す。記憶素子3170bに含まれるトランジスタ3171bを代表で示す。トランジスタ3171a及びトランジスタ3171bは、酸化物半導体層にチャネル形成領域を有する。トランジスタ3171a又はトランジスタ3171bを、実施の形態1で述べた酸化物半導体トランジスタであるトランジスタ101及びトランジスタ102のいずれか一方あるいは両方、又は、実施の形態2で述べた酸化物半導体トランジスタであるトランジスタ221及びトランジスタ222のいずれか一方あるいは両方として形成することができる。
【0255】
なお図20に示すトランジスタ3171a及びトランジスタ3171bは、図19(A)に示す酸化物半導体トランジスタ901と同様の構造であるが、これに限定されない。図20に示すトランジスタ3171a及びトランジスタ3171bの構造として、図19(B)に示す酸化物半導体トランジスタ911と同様にしてもよい。酸化物半導体層にチャネル形成領域が形成されるトランジスタの構成については、上述の実施の形態において説明した構成と同様であるため、説明は省略する。
【0256】
トランジスタ3171aのソース電極及びドレイン電極と同じ層に形成された電極3501aは、電極3502aによって、電極3003aと電気的に接続されている。トランジスタ3171bのソース電極及びドレイン電極と同じ層に形成された電極3501cは、電極3502cによって、電極3003cと電気的に接続されている。
【0257】
また、論理回路3004は、酸化物半導体以外の半導体材料をチャネル形成領域として用いたトランジスタ3001を有する。トランジスタ3001は、半導体材料(例えば、シリコンなど)を含む基板3000に素子分離絶縁膜3106を設け、素子分離絶縁膜3106に囲まれた領域にチャネル形成領域となる領域を形成することによって得られるトランジスタとすることができる。なお、トランジスタ3001は、絶縁表面上に形成されたシリコン膜等の半導体膜や、SOI基板のシリコン膜にチャネル形成領域が形成されるトランジスタであってもよい。トランジスタ3001の構成については、公知の構成を用いることが可能であるため、説明は省略する。
【0258】
トランジスタ3171aが形成された層と、トランジスタ3001が形成された層との間には、配線3100a及び配線3100bが形成されている。配線3100aとトランジスタ3001が形成された層との間には、絶縁膜3140aが設けられ、配線3100aと配線3100bとの間には、絶縁膜3141aが設けられ、配線3100bとトランジスタ3171aが形成された層との間には、絶縁膜3142aが設けられている。
【0259】
同様に、トランジスタ3171bが形成された層と、トランジスタ3171aが形成された層との間には、配線3100c及び配線3100dが形成されている。配線3100cとトランジスタ3171aが形成された層との間には、絶縁膜3140bが設けられ、配線3100cと配線3100dとの間には、絶縁膜3141bが設けられ、配線3100dとトランジスタ3171bが形成された層との間には、絶縁膜3142bが設けられている。
【0260】
絶縁膜3140a、絶縁膜3141a、絶縁膜3142a、絶縁膜3140b、絶縁膜3141b、絶縁膜3142bは、層間絶縁膜として機能し、その表面は平坦化された構成とすることができる。
【0261】
配線3100a、配線3100b、配線3100c、配線3100dによって、記憶素子間の電気的接続や、論理回路3004と記憶素子との電気的接続等を行うことができる。
【0262】
論理回路3004に含まれる電極3303は、上部に設けられた回路と電気的に接続することができる。
【0263】
例えば、図20に示すように、電極3505によって電極3303は配線3100aと電気的に接続することができる。配線3100aは、電極3503aによって電極3501bと電気的に接続することができる。こうして、配線3100a及び電極3303を、トランジスタ3171aのソースまたはドレインと電気的に接続することができる。また、電極3501bは、電極3502bによって、電極3003bと電気的に接続することができる。電極3003bは、電極3503bによって配線3100cと電気的に接続することができる。
【0264】
図20では、電極3303とトランジスタ3171aとの電気的接続は、配線3100aを介して行われる例を示したがこれに限定されない。電極3303とトランジスタ3171aとの電気的接続は、配線3100bを介して行われてもよいし、配線3100aと配線3100bの両方を介して行われてもよい。
【0265】
なお、図20では、2つの記憶素子(記憶素子3170aと、記憶素子3170b)が上下に重畳した構成を例として示したが、重畳する記憶素子の数はこれに限定されない。
【0266】
また、図20では、トランジスタ3171aが形成された層と、トランジスタ3001が形成された層との間には、配線3100aが形成された配線層と、配線3100bが形成された配線層との、2つの配線層が設けられた構成を示したがこれに限定されない。トランジスタ3171aが形成された層と、トランジスタ3001が形成された層との間に、1つの配線層が設けられていてもよいし、3つ以上の配線層が設けられていてもよい。
【0267】
また、図20では、トランジスタ3171bが形成された層と、トランジスタ3171aが形成された層との間には、配線3100cが形成された配線層と、配線3100dが形成された配線層との、2つの配線層が設けられた構成を示したがこれに限定されない。トランジスタ3171bが形成された層と、トランジスタ3171aが形成された層との間に、1つの配線層が設けられていてもよいし、3つ以上の配線層が設けられていてもよい。
【0268】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0269】
[実施の形態5]
本実施の形態では、開示される発明の一態様に係る信号処理回路の一つである、CPU(Central Processing Unit(中央処理装置、又は中央演算処理装置))の構成について説明する。
【0270】
図21に、本実施の形態のCPUの構成を示す。図21に示すCPUは、基板9900上に、ALU9901、ALU・Controller9902、Instruction・Decoder9903、Interrupt・Controller9904、Timing・Controller9905、Register9906、Register・Controller9907、Bus・I/F9908、書き換え可能なROM9909、ROM・I/F9920と、を主に有している。なお、ALUはArithmetic logic unitであり、Bus・I/Fはバスインターフェースであり、ROM・I/FはROMインターフェースである。ROM9909及びROM・I/F9920は、別チップに設けても良い。勿論、図21に示すCPUは、その構成を簡略化して示した一例にすぎず、実際のCPUはその用途によって多種多様な構成を有している。
【0271】
Bus・I/F9908を介してCPUに入力された命令は、Instruction・Decoder9903に入力され、デコードされた後、ALU・Controller9902、Interrupt・Controller9904、Register・Controller9907、Timing・Controller9905に入力される。
【0272】
ALU・Controller9902、Interrupt・Controller9904、Register・Controller9907、Timing・Controller9905は、デコードされた命令に基づき、各種制御を行なう。具体的にALU・Controller9902は、ALU9901の動作を制御するための信号を生成する。また、Interrupt・Controller9904は、CPUのプログラム実行中に、外部の入出力装置や、周辺回路からの割り込み要求を、その優先度やマスク状態から判断し、処理する。Register・Controller9907は、Register9906のアドレスを生成し、CPUの状態に応じてRegister9906の読み出しや書き込みを行なう。
【0273】
またTiming・Controller9905は、ALU9901、ALU・Controller9902、Instruction・Decoder9903、Interrupt・Controller9904、Register・Controller9907の動作のタイミングを制御する信号を生成する。例えばTiming・Controller9905は、基準クロック信号CLK1を元に、内部クロック信号CLK2を生成する内部クロック生成部を備えており、クロック信号CLK2を上記各種回路に供給する。
【0274】
本実施の形態のCPUでは、Register9906に、上記実施の形態で示した構成を有する記憶装置100又は記憶装置250が設けられている。上述のように、消費電力が低減され、面積が低減され、構成するトランジスタの数が低減された記憶装置を用いることにより、本実施の形態のCPUにおいて、消費電力を低減すること、面積を低減すること、構成するトランジスタの数を低減することができる。
【0275】
本実施の形態では、CPUを例に挙げて説明したが、開示される発明の一様態の信号処理回路はCPUに限定されず、マイクロプロセッサ、画像処理回路、DSP、FPGA等のLSIにも応用可能である。
【0276】
本実施の形態は、上記実施の形態と組み合わせて実施することが可能である。
【0277】
[実施の形態6]
本実施の形態では、開示される発明の一様態で用いられる酸化物半導体トランジスタについて詳細に説明する。なお本実施の形態の酸化物半導体トランジスタは、実施の形態3で説明した酸化物半導体トランジスタに援用可能である。
【0278】
本実施の形態の酸化物半導体トランジスタに用いる酸化物半導体としては、少なくともインジウム(In)あるいは亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。特にInとZnを含むことが好ましい。また、該酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすためのスタビライザーとして、それらに加えてガリウム(Ga)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてスズ(Sn)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてハフニウム(Hf)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてアルミニウム(Al)を有することが好ましい。
【0279】
また、他のスタビライザーとして、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)のいずれか一種あるいは複数種を有してもよい。
【0280】
例えば、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、二元系金属の酸化物であるIn−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物、In−Ga系酸化物、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、In−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、四元系金属の酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物を用いることができる。
【0281】
なお、ここで、例えば、In−Ga−Zn系酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有する酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn以外の金属元素が入っていてもよい。
【0282】
また、酸化物半導体として、InMO(ZnO)(m>0、且つ、mは整数でない)で表記される材料を用いてもよい。なお、Mは、Ga、Fe、Mn及びCoから選ばれた一の金属元素または複数の金属元素を示す。また、酸化物半導体として、InSnO(ZnO)(n>0、且つ、nは整数)で表記される材料を用いてもよい。
【0283】
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1(=1/3:1/3:1/3)あるいはIn:Ga:Zn=2:2:1(=2/5:2/5:1/5)の原子数比のIn−Ga−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いることができる。あるいは、In:Sn:Zn=1:1:1(=1/3:1/3:1/3)、In:Sn:Zn=2:1:3(=1/3:1/6:1/2)あるいはIn:Sn:Zn=2:1:5(=1/4:1/8:5/8)の原子数比のIn−Sn−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いるとよい。
【0284】
しかし、これらに限られず、必要とする半導体特性(移動度、しきい値、ばらつき等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とする半導体特性を得るために、キャリア濃度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間結合距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
【0285】
例えば、In−Sn−Zn系酸化物では比較的容易に高い移動度が得られる。しかしながら、In−Ga−Zn系酸化物でも、バルク内欠陥密度を低減することにより移動度を上げることができる。
【0286】
なお、例えば、In、Ga、Znの原子数比がIn:Ga:Zn=a:b:c(a+b+c=1)である酸化物の組成が、原子数比がIn:Ga:Zn=A:B:C(A+B+C=1)の酸化物の組成の近傍であるとは、a、b、cが、(a―A)+(b―B)+(c―C)≦rを満たすことを言う。rとしては、例えば、0.05とすればよい。他の酸化物でも同様である。
【0287】
酸化物半導体は単結晶でも、非単結晶でもよい。後者の場合、アモルファスでも、多結晶でもよい。また、アモルファス中に結晶性を有する部分を含む構造でも、非アモルファスでもよい。
【0288】
アモルファス状態の酸化物半導体は、比較的容易に平坦な表面を得ることができるため、これを用いてトランジスタを作製した際の界面散乱を低減でき、比較的容易に、比較的高い移動度を得ることができる。
【0289】
また、結晶性を有する酸化物半導体では、よりバルク内欠陥を低減することができ、表面の平坦性を高めればアモルファス状態の酸化物半導体以上の移動度を得ることができる。表面の平坦性を高めるためには、平坦な表面上に酸化物半導体を形成することが好ましく、具体的には、平均面粗さ(Ra)が1nm以下、好ましくは0.3nm以下、より好ましくは0.1nm以下の表面上に形成するとよい。
【0290】
なお、Raは、JIS B0601で定義されている中心線平均粗さを面に対して適用できるよう三次元に拡張したものであり、「基準面から指定面までの偏差の絶対値を平均した値」と表現でき、以下の式にて定義される。
【0291】
【数1】

【0292】
なお、上記において、Sは、測定面(座標(x,y)(x,y)(x,y)(x,y)で表される4点によって囲まれる長方形の領域)の面積を指し、Zは測定面の平均高さを指す。Raは原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)にて評価可能である。
【0293】
開示される発明の一様態の酸化物半導体膜が結晶性を有する場合には、上記CAAC−OSを用いてもよい。CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)について以下に説明する。
【0294】
本実施の形態では、CAAC(C Axis Aligned Crystalともいう。)を含む酸化物について説明する。CAACを含む酸化物は、c軸配向し、かつab面、表面または界面の方向から見て三角形状または六角形状の原子配列を有し、c軸においては金属原子が層状または金属原子と酸素原子とが層状に配列しており、ab面においてはa軸またはb軸の向きが異なる(c軸を中心に回転した)結晶を含む酸化物である。
【0295】
CAACを含む酸化物とは、広義に、非単結晶であって、そのab面に垂直な方向から見て、三角形、六角形、正三角形または正六角形の原子配列を有し、かつc軸方向に垂直な方向から見て、金属原子が層状、または金属原子と酸素原子が層状に配列した相を含む酸化物をいう。
【0296】
CAACは単結晶ではないが、非晶質のみから形成されているものでもない。また、CAACは結晶化した部分(結晶部分)を含むが、1つの結晶部分と他の結晶部分の境界を明確に判別できないこともある。
【0297】
CAACに酸素が含まれる場合、酸素の一部は窒素で置換されてもよい。また、CAACを構成する個々の結晶部分のc軸は一定の方向(例えば、CAACが形成される基板面、CAACの表面などに垂直な方向)に揃っていてもよい。または、CAACを構成する個々の結晶部分のab面の法線は一定の方向(例えば、CAACが形成される基板面、CAACの表面などに垂直な方向)を向いていてもよい。
【0298】
CAACは、その組成などに応じて、導体であったり、半導体であったり、絶縁体であったりする。また、その組成などに応じて、可視光に対して透明であったり不透明であったりする。
【0299】
このようなCAACの例として、膜状に形成され、膜表面またはCAACが形成される基板面に垂直な方向から観察すると三角形または六角形の原子配列が認められ、かつその膜断面を観察すると金属原子または金属原子および酸素原子(または窒素原子)の層状配列が認められる結晶を挙げることもできる。
【0300】
CAACに含まれる結晶構造の一例について図22乃至図24を用いて詳細に説明する。なお、特に断りがない限り、図22乃至図24は上方向をc軸方向とし、c軸方向と直交する面をab面とする。なお、単に上半分、下半分という場合、ab面を境にした場合の上半分、下半分をいう。また、図22において、丸で囲まれたOは4配位のOを示し、二重丸で囲まれたOは3配位のOを示す。
【0301】
図22(A)に、1個の6配位のInと、Inに近接の6個の4配位の酸素原子(以下4配位のO)と、を有する構造を示す。ここでは、金属原子が1個に対して、近接の酸素原子のみ示した構造を小グループと呼ぶ。図22(A)の構造は、八面体構造をとるが、簡単のため平面構造で示している。なお、図22(A)の上半分および下半分にはそれぞれ3個ずつ4配位のOがある。図22(A)に示す小グループは電荷が0である。
【0302】
図22(B)に、1個の5配位のGaと、Gaに近接の3個の3配位の酸素原子(以下3配位のO)と、近接の2個の4配位のOと、を有する構造を示す。3配位のOは、いずれもab面に存在する。図22(B)の上半分および下半分にはそれぞれ1個ずつ4配位のOがある。また、Inも5配位をとるため、図22(B)に示す構造をとりうる。図22(B)に示す小グループは電荷が0である。
【0303】
図22(C)に、1個の4配位のZnと、Znに近接の4個の4配位のOと、を有する構造を示す。図22(C)の上半分には1個の4配位のOがあり、下半分には3個の4配位のOがある。または、図22(C)の上半分に3個の4配位のOがあり、下半分に1個の4配位のOがあってもよい。図22(C)に示す小グループは電荷が0である。
【0304】
図22(D)に、1個の6配位のSnと、Snに近接の6個の4配位のOと、を有する構造を示す。図22(D)の上半分には3個の4配位のOがあり、下半分には3個の4配位のOがある。図22(D)に示す小グループは電荷が+1となる。
【0305】
図22(E)に、2個のZnを含む小グループを示す。図22(E)の上半分には1個の4配位のOがあり、下半分には1個の4配位のOがある。図22(E)に示す小グループは電荷が−1となる。
【0306】
ここでは、複数の小グループの集合体を中グループと呼び、複数の中グループの集合体を大グループ(ユニットセルともいう。)と呼ぶ。
【0307】
ここで、これらの小グループ同士が結合する規則について説明する。6配位のInの上半分の3個のOは下方向にそれぞれ3個の近接Inを有し、下半分の3個のOは上方向に3個の近接Inを有する。6配位のGaの上半分の1個のOは下方向に1個の近接Gaを有し、下半分の1個のOは上方向に1個の近接Gaを有する。6配位のZnの上半分の1個のOは、下方向に1個の近接Znを有し、下半分の3個のOは、上方向にそれぞれ3個の近接Znを有する。この様に、金属原子の上方向の4配位のOの数と、そのOの下方向にある近接金属原子の数は等しく、同様に金属原子の下方向の4配位のOの数と、そのOの上方向にある近接金属原子の数は等しい。Oは4配位なので、下方向にある近接金属原子の数と、上方向にある近接金属原子の数の和は4になる。従って、金属原子の上方向にある4配位のOの数と、別の金属原子の下方向にある4配位のOの数との和が4個のとき、金属原子を有する二種の小グループ同士は結合することができる。例えば、6配位の金属原子(InまたはSn)が下半分の4配位のOを介して結合する場合、4配位のOが3個であるため、5配位の金属原子(GaまたはIn)または4配位の金属原子(Zn)のいずれかと結合することになる。
【0308】
これらの配位数を有する金属原子は、c軸方向において、4配位のOを介して結合する。また、このほかにも、層構造の合計の電荷が0となるように複数の小グループが結合して中グループを構成する。
【0309】
図23(A)に、In−Sn−Zn−O系の層構造を構成する中グループのモデル図を示す。図23(B)に、3つの中グループで構成される大グループを示す。なお、図23(C)は、図23(B)の層構造をc軸方向から観察した場合の原子配列を示す。
【0310】
図23(A)においては、簡単のため、3配位のOは省略し、4配位のOは個数のみ示し、例えば、Snの上半分および下半分にはそれぞれ3個ずつ4配位のOがあることを丸枠の3として示している。同様に、図23(A)において、Inの上半分および下半分にはそれぞれ1個ずつ4配位のOがあり、丸枠の1として示している。また、同様に、図23(A)において、下半分には1個の4配位のOがあり、上半分には3個の4配位のOがあるZnと、上半分には1個の4配位のOがあり、下半分には3個の4配位のOがあるZnとを示している。
【0311】
図23(A)において、In−Sn−Zn−O系の層構造を構成する中グループは、上から順に4配位のOが3個ずつ上半分および下半分にあるSnが、4配位のOが1個ずつ上半分および下半分にあるInと結合し、そのInが、上半分に3個の4配位のOがあるZnと結合し、そのZnの下半分の1個の4配位のOを介して4配位のOが3個ずつ上半分および下半分にあるInと結合し、そのInが、上半分に1個の4配位のOがあるZn2個からなる小グループと結合し、この小グループの下半分の1個の4配位のOを介して4配位のOが3個ずつ上半分および下半分にあるSnと結合している構成である。この中グループが複数結合して大グループを構成する。
【0312】
ここで、3配位のOおよび4配位のOの場合、結合1本当たりの電荷はそれぞれ−0.667、−0.5と考えることができる。例えば、In(6配位または5配位)、Zn(4配位)、Sn(5配位または6配位)の電荷は、それぞれ+3、+2、+4である。従って、Snを含む小グループは電荷が+1となる。そのため、Snを含む層構造を形成するためには、電荷+1を打ち消す電荷−1が必要となる。電荷−1をとる構造として、図22(E)に示すように、2個のZnを含む小グループが挙げられる。例えば、Snを含む小グループが1個に対し、2個のZnを含む小グループが1個あれば、電荷が打ち消されるため、層構造の合計の電荷を0とすることができる。
【0313】
具体的には、図23(B)に示した大グループが繰り返されることで、In−Sn−Zn−O系の結晶(InSnZn)を得ることができる。なお、得られるIn−Sn−Zn−O系の層構造は、InSnZn(ZnO)(mは0または自然数。)とする組成式で表すことができる。
【0314】
また、このほかにも、四元系金属の酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn系酸化物や、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn系酸化物(IGZOとも表記する。)、In−Al−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物や、In−Hf−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物や、二元系金属の酸化物であるIn−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物や、In−Ga系酸化物、一元系金属の酸化物であるIn系酸化物、Sn系酸化物、Zn系酸化物などを用いた場合も同様である。
【0315】
例えば、図24(A)に、In−Ga−Zn−O系の層構造を構成する中グループのモデル図を示す。
【0316】
図24(A)において、In−Ga−Zn−O系の層構造を構成する中グループは、上から順に4配位のOが3個ずつ上半分および下半分にあるInが、4配位のOが1個上半分にあるZnと結合し、そのZnの下半分の3個の4配位のOを介して、4配位のOが1個ずつ上半分および下半分にあるGaと結合し、そのGaの下半分の1個の4配位のOを介して、4配位のOが3個ずつ上半分および下半分にあるInと結合している構成である。この中グループが複数結合して大グループを構成する。
【0317】
図24(B)に3つの中グループで構成される大グループを示す。なお、図24(C)は、図24(B)の層構造をc軸方向から観察した場合の原子配列を示している。
【0318】
ここで、In(6配位または5配位)、Zn(4配位)、Ga(5配位)の電荷は、それぞれ+3、+2、+3であるため、In、ZnおよびGaのいずれかを含む小グループは、電荷が0となる。そのため、これらの小グループの組み合わせであれば中グループの合計の電荷は常に0となる。
【0319】
また、In−Ga−Zn−O系の層構造を構成する中グループは、図24(A)に示した中グループに限定されず、In、Ga、Znの配列が異なる中グループを組み合わせた大グループも取りうる。
【0320】
具体的には、図24(B)に示した大グループが繰り返されることで、In−Ga−Zn−O系の結晶を得ることができる。なお、得られるIn−Ga−Zn−O系の層構造は、InGaO(ZnO)(nは自然数。)とする組成式で表すことができる。
【0321】
n=1(InGaZnO)の場合は、例えば、図39(A)に示す結晶構造を取りうる。なお、図39(A)に示す結晶構造において、図22(B)で説明したように、Ga及びInは5配位をとるため、GaがInに置き換わった構造も取りうる。
【0322】
また、n=2(InGaZn)の場合は、例えば、図39(B)に示す結晶構造を取りうる。なお、図39(B)に示す結晶構造において、図22(B)で説明したように、Ga及びInは5配位をとるため、GaがInに置き換わった構造も取りうる。
【0323】
なお上述の酸化物半導体膜としてIn−Ga−Zn−O系材料をスパッタリング法で成膜する場合、好ましくは、原子数比がIn:Ga:Zn=1:1:1、4:2:3、3:1:2、1:1:2、2:1:3、または3:1:4で示されるIn−Ga−Zn−Oターゲットを用いる。前述の原子数比を有するIn−Ga−Zn−Oターゲットを用いて酸化物半導体膜を成膜することで、多結晶またはCAACが形成されやすくなる。
【0324】
また、酸化物半導体膜としてIn−Sn−Zn−O系材料をスパッタリング法で成膜する場合、好ましくは、原子数比がIn:Sn:Zn=1:1:1、2:1:3、1:2:2、または20:45:35で示されるIn−Sn−Zn−Oターゲットを用いる。前述の原子数比を有するIn−Sn−Zn−Oターゲットを用いて酸化物半導体膜を成膜することで、多結晶またはCAACが形成されやすくなる。
【0325】
酸化物半導体に限らず、実際に測定される絶縁ゲート型トランジスタの電界効果移動度は、さまざまな理由によって本来の移動度よりも低くなる。移動度を低下させる要因としては半導体内部の欠陥や半導体と絶縁膜との界面の欠陥があるが、Levinsonモデルを用いると、半導体内部に欠陥がないと仮定した場合の電界効果移動度を理論的に導き出せる。
【0326】
半導体本来の移動度をμ、測定される電界効果移動度をμとし、半導体中に何らかのポテンシャル障壁(粒界等)が存在すると仮定すると、電界効果移動度をμは以下の式で表現できる。
【0327】
【数2】

【0328】
ここで、Eはポテンシャル障壁の高さであり、kがボルツマン定数、Tは絶対温度である。また、ポテンシャル障壁が欠陥に由来すると仮定すると、Levinsonモデルでは、以下の式で表現できる。
【0329】
【数3】

【0330】
ここで、eは電気素量、Nはチャネル内の単位面積当たりの平均欠陥密度、εは半導体の誘電率、nは単位面積当たりのチャネルに含まれるキャリア数、Coxは単位面積当たりの容量、Vgはゲート電圧、tはチャネルの厚さである。なお、厚さ30nm以下の半導体層であれば、チャネルの厚さは半導体層の厚さと同一として差し支えない。
線形領域におけるドレイン電流Idは、以下の式で表現できる。
【0331】
【数4】

【0332】
ここで、Lはチャネル長、Wはチャネル幅であり、ここでは、L=W=10μmである。また、Vはドレイン電圧(ソースとドレイン間の電圧)である。
【0333】
上式の両辺をVgで割り、更に両辺の対数を取ると、以下の式で表現できる。
【0334】
【数5】

【0335】
数5の右辺はVgの関数である。この式からわかるように、縦軸をln(Id/Vg)、横軸を1/Vgとして実測値をプロットして得られるグラフの直線の傾きから欠陥密度Nが求められる。すなわち、トランジスタのId―Vg特性から、欠陥密度を評価できる。酸化物半導体としては、インジウム(In)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)の比率が、In:Sn:Zn=1:1:1のものでは欠陥密度Nは1×1012/cm程度である。
【0336】
このようにして求めた欠陥密度等をもとに数2および数3よりμ=120cm/Vsが導出される。欠陥のあるIn−Sn−Zn酸化物で測定される移動度は35cm/Vs程度である。しかし、半導体内部および半導体と絶縁膜との界面の欠陥が無い酸化物半導体の移動度μは120cm/Vsとなると予想できる。
【0337】
ただし、半導体内部に欠陥がなくても、チャネルとゲート絶縁膜との界面での散乱によってトランジスタの輸送特性は影響を受ける。すなわち、ゲート絶縁膜界面からxだけ離れた場所における移動度μは、以下の式で表現できる。
【0338】
【数6】

【0339】
ここで、Dはゲート方向の電界、B、Gは定数である。BおよびGは、実際の測定結果より求めることができ、上記の測定結果からは、B=4.75×10cm/s、G=10nm(界面散乱が及ぶ深さ)である。Dが増加する(すなわち、ゲート電圧が高くなる)と数6の第2項が増加するため、移動度μは低下することがわかる。
【0340】
半導体内部の欠陥が無い理想的な酸化物半導体をチャネルに用いたトランジスタの移動度μを計算した結果を図25に示す。なお、計算にはシノプシス社製ソフト、Sentaurus Deviceを使用し、酸化物半導体のバンドギャップ、電子親和力、比誘電率、厚さをそれぞれ、2.8電子ボルト、4.7電子ボルト、15、15nmとした。これらの値は、スパッタリング法により形成された薄膜を測定して得られたものである。
【0341】
さらに、ゲート、ソース、ドレインの仕事関数をそれぞれ、5.5電子ボルト、4.6電子ボルト、4.6電子ボルトとした。また、ゲート絶縁膜の厚さは100nm、比誘電率は4.1とした。チャネル長およびチャネル幅はともに10μm、ドレイン電圧Vは0.1Vである。
【0342】
図25で示されるように、ゲート電圧1V強で移動度100cm/Vs以上のピークをつけるが、ゲート電圧がさらに高くなると、界面散乱が大きくなり、移動度が低下する。なお、界面散乱を低減するためには、半導体層表面を原子レベルで平坦にすること(Atomic Layer Flatness)が望ましい。
【0343】
このような移動度を有する酸化物半導体を用いて微細なトランジスタを作製した場合の特性を計算した結果を図26乃至図28に示す。なお、計算に用いたトランジスタの断面構造を図29に示す。図29に示すトランジスタは酸化物半導体層にnの導電型を呈する半導体領域503aおよび半導体領域503cを有する。半導体領域503aおよび半導体領域503cの抵抗率は2×10−3Ωcmとする。
【0344】
図29(A)に示すトランジスタは、下地絶縁膜501と、下地絶縁膜501に埋め込まれるように形成された酸化アルミニウムよりなる埋め込み絶縁物502の上に形成される。トランジスタは半導体領域503a、半導体領域503cと、それらに挟まれ、チャネル形成領域となる真性の半導体領域503bと、ゲート電極505を有する。ゲート電極505の幅を33nmとする。
【0345】
ゲート電極505と半導体領域503bの間には、ゲート絶縁膜504を有し、また、ゲート電極505の両側面には側壁絶縁膜506aおよび側壁絶縁膜506b、ゲート電極505の上部には、ゲート電極505と他の配線との短絡を防止するための絶縁膜507を有する。側壁絶縁膜の幅は5nmとする。また、半導体領域503aおよび半導体領域503cに接して、ソース領域508aおよびドレイン領域508bを有する。なお、このトランジスタにおけるチャネル幅を40nmとする。
【0346】
図29(B)に示すトランジスタは、下地絶縁膜501と、酸化アルミニウムよりなる埋め込み絶縁物502の上に形成され、半導体領域503a、半導体領域503cと、それらに挟まれた真性の半導体領域503bと、幅33nmのゲート電極505とゲート絶縁膜504と側壁絶縁膜506aおよび側壁絶縁膜506bと絶縁膜507とソース領域508aおよびドレイン領域508bを有する点で図29(A)に示すトランジスタと同じである。
【0347】
図29(A)に示すトランジスタと図29(B)に示すトランジスタの相違点は、側壁絶縁膜506aおよび側壁絶縁膜506bの下の半導体領域の導電型である。図29(A)に示すトランジスタでは、側壁絶縁膜506aおよび側壁絶縁膜506bの下の半導体領域はnの導電型を呈する半導体領域503aおよび半導体領域503cであるが、図29(B)に示すトランジスタでは、真性の半導体領域503bである。すなわち、図29(A)に示す半導体層において、半導体領域503a(半導体領域503c)とゲート電極505がLoffだけ重ならない領域ができている。この領域をオフセット領域といい、その幅Loffをオフセット長という。図29(A)及び図29(B)から明らかなように、オフセット長は、側壁絶縁膜506a(側壁絶縁膜506b)の幅と同じである。
【0348】
その他の計算に使用するパラメータは上述の通りである。計算にはシノプシス社製デバイス計算ソフト、Sentaurus Deviceを使用した。図26は、図29(A)に示される構造のトランジスタのドレイン電流(Id、実線)および移動度(μ、点線)のゲート電圧(Vg、ゲート電極とソース領域の電位差)依存性を示す。ドレイン電流Idは、ドレイン電圧(ドレイン領域とソース領域の電位差)を+1Vとし、移動度μはドレイン電圧を+0.1Vとして計算したものである。
【0349】
図26(A)はゲート絶縁膜の厚さを15nmとしたものであり、図26(B)は10nmとしたものであり、図26(C)は5nmとしたものである。ゲート絶縁膜が薄くなるほど、特にオフ状態でのドレイン電流Id(オフ電流)が顕著に低下する。一方、移動度μのピーク値やオン状態でのドレイン電流Id(オン電流)には目立った変化が無い。ゲート電圧1V前後で、ドレイン電流はメモリ素子等で必要とされる10μAを超えることが示された。
【0350】
図27は、図29(B)に示される構造のトランジスタで、オフセット長Loffを5nmとしたもののドレイン電流Id(実線)および移動度μ(点線)のゲート電圧Vg依存性を示す。ドレイン電流Idは、ドレイン電圧を+1Vとし、移動度μはドレイン電圧を+0.1Vとして計算したものである。図27(A)はゲート絶縁膜の厚さを15nmとしたものであり、図27(B)は10nmとしたものであり、図27(C)は5nmとしたものである。
【0351】
また、図28は、図29(B)に示される構造のトランジスタで、オフセット長Loffを15nmとしたもののドレイン電流Id(実線)および移動度μ(点線)のゲート電圧依存性を示す。ドレイン電流Idは、ドレイン電圧を+1Vとし、移動度μはドレイン電圧を+0.1Vとして計算したものである。図28(A)はゲート絶縁膜の厚さを15nmとしたものであり、図28(B)は10nmとしたものであり、図28(C)は5nmとしたものである。
【0352】
いずれもゲート絶縁膜が薄くなるほど、オフ電流が顕著に低下する一方、移動度μのピーク値やオン電流には目立った変化が無い。
【0353】
なお、移動度μのピークは、図26では80cm/Vs程度であるが、図27では60cm/Vs程度、図28では40cm/Vsと、オフセット長Loffが増加するほど低下する。また、オフ電流も同様な傾向がある。一方、オン電流にはオフセット長Loffの増加にともなって減少するが、オフ電流の低下に比べるとはるかに緩やかである。また、いずれもゲート電圧1V前後で、ドレイン電流は10μAを超えることが示された。
【0354】
In、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体をチャネル形成領域とするトランジスタは、該酸化物半導体を形成する際に基板を加熱して成膜すること、或いは酸化物半導体膜を形成した後に熱処理を行うことで良好な特性を得ることができる。なお、主成分とは組成比で5atomic%以上含まれる元素をいう。
【0355】
In、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体膜の成膜後に基板を意図的に加熱することで、トランジスタの電界効果移動度を向上させることが可能となる。また、トランジスタのしきい値電圧をプラスシフトさせ、ノーマリ・オフ化させることが可能となる。
【0356】
より具体的には、図30(A)乃至図30(C)は、当該トランジスタのドレイン電流Id(実線)及び移動度μ(点線)のゲート電圧Vg依存性を示している。
【0357】
例えば、図30(A)乃至図30(C)は、In、Sn、Znを主成分とし、チャネル長Lが3μm、チャネル幅Wが10μmである酸化物半導体膜と、厚さ100nmのゲート絶縁膜を用いたトランジスタの電気特性を示す図である。なお、Vdは10Vとした。
【0358】
例えば、図30(A)は基板を意図的に加熱せずにスパッタリング法でIn、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体膜を形成したときのトランジスタ特性である。このとき電界効果移動度は18.8cm/Vsecが得られている。一方、基板を意図的に加熱してIn、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体膜を形成すると電界効果移動度を向上させることが可能となる。図30(B)は基板を200℃に加熱してIn、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体膜を形成したときのトランジスタ特性を示すが、電界効果移動度は32.2cm/Vsecが得られている。
【0359】
電界効果移動度は、In、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体膜を形成した後に熱処理をすることによって、さらに高めることができる。図30(C)は、In、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体膜を200℃でスパッタリング成膜した後、650℃で熱処理をしたときのトランジスタ電気特性を示す。このとき電界効果移動度は34.5cm/Vsecが得られている。
【0360】
基板を意図的に加熱することでスパッタリング成膜中の水分が酸化物半導体膜中に取り込まれるのを低減する効果が実現できる。また、成膜後に熱処理をすることによっても、酸化物半導体膜から水素や水酸基若しくは水分を放出させ除去することができ、上記のように電界効果移動度を向上させることができる。このような電界効果移動度の向上は、脱水化・脱水素化による不純物の除去のみならず、高密度化により原子間距離が短くなるためとも推定される。また、酸化物半導体から不純物を除去して高純度化することで結晶化を図ることができる。このように高純度化された非単結晶酸化物半導体は、理想的には100cm/Vsecを超える電界効果移動度を実現することも可能になると推定される。
【0361】
In、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体に酸素イオンを注入し、熱処理により該酸化物半導体に含まれる水素や水酸基若しくは水分を放出させ、その熱処理と同時に又はその後の熱処理により酸化物半導体を結晶化させても良い。このような結晶化若しくは再結晶化の処理により結晶性の良い非単結晶酸化物半導体を得ることができる。
【0362】
基板を意図的に加熱して成膜すること及び/又は成膜後に熱処理することの効果は、電界効果移動度の向上のみならず、トランジスタのノーマリ・オフ化を図ることにも寄与している。基板を意図的に加熱しないで形成されたIn、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体膜をチャネル形成領域としたトランジスタは、しきい値電圧がマイナスシフトしてしまう傾向がある。しかし、基板を意図的に加熱して形成された酸化物半導体膜を用いた場合、このしきい値電圧のマイナスシフト化は解消される。つまり、しきい値電圧はトランジスタがノーマリ・オフとなる方向に動き、このような傾向は図30(A)と図30(B)の対比からも確認することができる。
【0363】
なお、しきい値電圧はIn、Sn及びZnの比率を変えることによっても制御することが可能であり、組成比としてIn:Sn:Zn=2:1:3とすることでトランジスタのノーマリ・オフ化を期待することができる。また、ターゲットの組成比をIn:Sn:Zn=2:1:3とすることで結晶性の高い酸化物半導体膜を得ることができる。
【0364】
意図的な基板加熱温度若しくは熱処理温度は、150℃以上、好ましくは200℃以上、より好ましくは400℃以上であり、より高温で成膜する、或いは熱処理することでトランジスタのノーマリ・オフ化を図ることが可能となる。
【0365】
また、意図的に基板を加熱した成膜及び/又は成膜後に熱処理をすることで、ゲートバイアス・ストレスに対する安定性を高めることができる。例えば、2MV/cm、150℃、1時間印加の条件において、ドリフトがそれぞれ±1.5V未満、好ましくは1.0V未満を得ることができる。
【0366】
実際に、酸化物半導体膜成膜後に加熱処理を行っていない試料1と、650℃の加熱処理を行った試料2のトランジスタに対してBT試験を行った。
【0367】
まず基板温度を25℃とし、Vdを10Vとし、トランジスタのVg−Id特性の測定を行った。次に、基板温度を150℃とし、Vdを0.1Vとした。次に、ゲート絶縁膜608に印加される電界強度が2MV/cmとなるようにVgに20Vを印加し、そのまま1時間保持した。次に、Vgを0Vとした。次に、基板温度25℃とし、Vdを10Vとし、トランジスタのVg−Id測定を行った。これをプラスBT試験と呼ぶ。
【0368】
同様に、まず基板温度を25℃とし、Vdを10Vとし、トランジスタのVg−Id特性の測定を行った。次に、基板温度を150℃とし、Vdを0.1Vとした。次に、ゲート絶縁膜608に印加される電界強度が−2MV/cmとなるようにVgに−20Vを印加し、そのまま1時間保持した。次に、Vgを0Vとした。次に、基板温度25℃とし、Vdを10Vとし、トランジスタのVg−Id測定を行った。これをマイナスBT試験と呼ぶ。
【0369】
試料1のプラスBT試験の結果を図31(A)に、マイナスBT試験の結果を図31(B)に示す。また、試料2のプラスBT試験の結果を図32(A)に、マイナスBT試験の結果を図32(B)に示す。
【0370】
試料1のプラスBT試験およびマイナスBT試験によるしきい値電圧の変動は、それぞれ1.80Vおよび−0.42Vであった。また、試料2のプラスBT試験およびマイナスBT試験によるしきい値電圧の変動は、それぞれ0.79Vおよび0.76Vであった。
【0371】
試料1および試料2のいずれも、BT試験前後におけるしきい値電圧の変動が小さく、信頼性が高いことがわかる。
【0372】
熱処理は酸素雰囲気中で行うことができるが、まず窒素若しくは不活性ガス、または減圧下で熱処理を行ってから酸素を含む雰囲気中で熱処理を行っても良い。最初に脱水化・脱水素化を行ってから酸素を酸化物半導体に加えることで、熱処理の効果をより高めることができる。また、後から酸素を加えるには、酸素イオンを電界で加速して酸化物半導体膜に注入する方法を適用しても良い。
【0373】
酸化物半導体中及び該酸化物半導体と接する膜との界面には、酸素欠損による欠陥が生成されやすいが、かかる熱処理により酸化物半導体中に酸素を過剰に含ませることにより、定常的に生成される酸素欠損を過剰な酸素によって補償することが可能となる。過剰酸素は主に格子間に存在する酸素であり、その酸素濃度は1×1016/cm以上2×1020/cm以下とすれば、結晶に歪み等を与えることなく酸化物半導体中に含ませることができる。
【0374】
また、熱処理によって酸化物半導体に結晶が少なくとも一部に含まれるようにすることで、より安定な酸化物半導体膜を得ることができる。例えば、組成比In:Sn:Zn=1:1:1のターゲットを用いて、基板を意図的に加熱せずにスパッタリング成膜した酸化物半導体膜は、X線回折(XRD:X−Ray Diffraction)でハローパタンが観測される。この成膜された酸化物半導体膜を熱処理することによって結晶化させることができる。熱処理温度は任意であるが、例えば650℃の熱処理を行うことで、X線回折により明確な回折ピークを観測することができる。
【0375】
実際に、In−Sn−Zn−O系酸化膜のXRD分析を行った。XRD分析には、Bruker AXS社製X線回折装置D8 ADVANCEを用い、Out−of−Plane法で測定した。
【0376】
XRD分析を行った試料として、試料Aおよび試料Bを用意した。以下に試料Aおよび試料Bの作製方法を説明する。
【0377】
脱水素化処理済みの石英基板上にIn−Sn−Zn−O系酸化膜を100nmの厚さで成膜した。
【0378】
In−Sn−Zn−O系酸化膜は、スパッタリング装置を用い、酸素雰囲気で電力を100W(DC)として成膜した。ターゲットは、In:Sn:Zn=1:1:1[原子数比]のIn−Sn−Zn−Oターゲットを用いた。なお、成膜時の基板加熱温度は200℃とした。このようにして作製した試料を試料Aとした。
【0379】
次に、試料Aと同様の方法で作製した試料に対し加熱処理を650℃の温度で行った。加熱処理は、はじめに窒素雰囲気で1時間の加熱処理を行い、温度を下げずに酸素雰囲気でさらに1時間の加熱処理を行っている。このようにして作製した試料を試料Bとした。
【0380】
図35に試料Aおよび試料BのXRDスペクトルを示す。試料Aでは、結晶由来のピークが観測されなかったが、試料Bでは、2θが35deg近傍および37deg乃至38degに結晶由来のピークが観測された。
【0381】
このように、In、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体は成膜時に意図的に加熱すること及び/又は成膜後に熱処理することによりトランジスタの特性を向上させることができる。
【0382】
この基板加熱や熱処理は、酸化物半導体にとって悪性の不純物である水素や水酸基を膜中に含ませないようにすること、或いは膜中から除去する作用がある。すなわち、酸化物半導体中でドナー不純物となる水素を除去することで高純度化を図ることができ、それによってトランジスタのノーマリ・オフ化を図ることができ、酸化物半導体が高純度化されることによりオフ電流を1aA/μm以下にすることができる。ここで、上記オフ電流値の単位は、チャネル幅1μmあたりの電流値を示す。
【0383】
図36に、トランジスタのオフ電流と、オフ電流測定時の基板温度(絶対温度)の逆数との関係を示す。ここでは、簡単のため測定時の基板温度の逆数に1000を掛けた数値(1000/T)を横軸としている。
【0384】
図36に示すように、基板温度が125℃の場合には0.1aA/μm(1×10−19A/μm)以下、85℃の場合には10zA/μm(1×10−20A/μm)以下であった。電流値の対数が温度の逆数に比例することから、室温(27℃)の場合には0.1zA/μm(1×10−22A/μm)以下であると予想される。従って、オフ電流を125℃において1aA/μm(1×10−18A/μm)以下に、85℃において100zA/μm(1×10−19A/μm)以下に、室温において1zA/μm(1×10−21A/μm)以下にすることができる。
【0385】
もっとも、酸化物半導体膜の成膜時に水素や水分が膜中に混入しないように、成膜室外部からのリークや成膜室内の内壁からの脱ガスを十分抑え、スパッタガスの高純度化を図ることが好ましい。例えば、スパッタガスは水分が膜中に含まれないように露点−70℃以下であるガスを用いることが好ましい。また、ターゲットそのものに水素や水分などの不純物が含まれていていないように、高純度化されたターゲットを用いることが好ましい。In、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体は熱処理によって膜中の水分を除去することができるが、In、Ga、Znを主成分とする酸化物半導体と比べて水分の放出温度が高いため、好ましくは最初から水分の含まれない膜を形成しておくことが好ましい。
【0386】
また、酸化物半導体膜成膜後に650℃の加熱処理を行った試料Bを用いたトランジスタにおいて、基板温度と電気的特性の関係について評価した。
【0387】
測定に用いたトランジスタは、チャネル長Lが3μm、チャネル幅Wが10μm、Lovが片側0μm、dWが0μmである。なお、Vdは10Vとした。なお、基板温度は−40℃、−25℃、25℃、75℃、125℃および150℃で行った。ここで、トランジスタにおいて、ゲート電極と一対の電極との重畳する幅をLovと呼び、酸化物半導体膜に対する一対の電極のはみ出しをdWと呼ぶ。
【0388】
図33に、Id(実線)および電界効果移動度(点線)のVg依存性を示す。また、図34(A)に基板温度としきい値電圧の関係を、図34(B)に基板温度と電界効果移動度の関係を示す。
【0389】
図34(A)より、基板温度が高いほどしきい値電圧は低くなることがわかる。なお、その範囲は−40℃〜150℃で1.09.V〜−0.23Vであった。
【0390】
また、図34(B)より、基板温度が高いほど電界効果移動度が低くなることがわかる。なお、その範囲は−40℃〜150℃で36cm/Vs〜32cm/Vsであった。従って、上述の温度範囲において電気的特性の変動が小さいことがわかる。
【0391】
上記のようなIn、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体をチャネル形成領域とするトランジスタによれば、オフ電流を1aA/μm以下に保ちつつ、電界効果移動度を30cm/Vsec以上、好ましくは40cm/Vsec以上、より好ましくは60cm/Vsec以上とし、LSIで要求されるオン電流の値を満たすことができる。例えば、L/W=33nm/40nmのFETで、ゲート電圧2.7V、ドレイン電圧1.0Vのとき12μA以上のオン電流を流すことができる。またトランジスタの動作に求められる温度範囲においても、十分な電気的特性を確保することができる。このような特性であれば、Si半導体で作られる集積回路の中に酸化物半導体で形成されるトランジスタを混載しても、動作速度を犠牲にすることなく新たな機能を有する集積回路を実現することができる。
【0392】
本実施の形態は、上記実施の形態と組み合わせて実施することが可能である。
【実施例1】
【0393】
本実施例では、In−Sn−Zn−O膜を酸化物半導体膜に用いたトランジスタの一例について、図37などを用いて説明する。
【0394】
図37は、コプラナー型であるトップゲート・トップコンタクト構造のトランジスタの上面図および断面図である。図37(A)にトランジスタの上面図を示す。また、図37(B)に図37(A)の一点鎖線A1−A2に対応する断面A1−A2を示す。
【0395】
図37(B)に示すトランジスタは、基板550と、基板550上に設けられた下地絶縁膜552と、下地絶縁膜552の周辺に設けられた保護絶縁膜554と、下地絶縁膜552および保護絶縁膜554上に設けられた高抵抗領域556aおよび低抵抗領域556bを有する酸化物半導体膜556と、酸化物半導体膜556上に設けられたゲート絶縁膜558と、ゲート絶縁膜558を介して酸化物半導体膜556と重畳して設けられたゲート電極560と、ゲート電極560の側面と接して設けられた側壁絶縁膜562と、少なくとも低抵抗領域556bと接して設けられた一対の電極564と、少なくとも酸化物半導体膜556、ゲート電極560および一対の電極564を覆って設けられた層間絶縁膜566と、層間絶縁膜566に設けられた開口部を介して少なくとも一対の電極564の一方と接続して設けられた配線568と、を有する。
【0396】
なお、図示しないが、層間絶縁膜566および配線568を覆って設けられた保護膜を有していても構わない。該保護膜を設けることで、層間絶縁膜566の表面伝導に起因して生じる微小リーク電流を低減することができ、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
【実施例2】
【0397】
本実施例では、上記とは異なるIn−Sn−Zn−O膜を酸化物半導体膜に用いたトランジスタの他の一例について示す。
【0398】
図38は、本実施例で作製したトランジスタの構造を示す上面図および断面図である。図38(A)はトランジスタの上面図である。また、図38(B)は図38(A)の一点鎖線B1−B2に対応する断面図である。
【0399】
図38(B)に示すトランジスタは、基板600と、基板600上に設けられた下地絶縁膜602と、下地絶縁膜602上に設けられた酸化物半導体膜606と、酸化物半導体膜606と接する一対の電極614と、酸化物半導体膜606および一対の電極614上に設けられたゲート絶縁膜608と、ゲート絶縁膜608を介して酸化物半導体膜606と重畳して設けられたゲート電極610と、ゲート絶縁膜608およびゲート電極610を覆って設けられた層間絶縁膜616と、層間絶縁膜616に設けられた開口部を介して一対の電極614と接続する配線618と、層間絶縁膜616および配線618を覆って設けられた保護膜620と、を有する。
【0400】
基板600としてはガラス基板を、下地絶縁膜602としては酸化シリコン膜を、酸化物半導体膜606としてはIn−Sn−Zn−O膜を、一対の電極614としてはタングステン膜を、ゲート絶縁膜608としては酸化シリコン膜を、ゲート電極610としては窒化タンタル膜とタングステン膜との積層構造を、層間絶縁膜616としては酸化窒化シリコン膜とポリイミド膜との積層構造を、配線618としてはチタン膜、アルミニウム膜、チタン膜がこの順で形成された積層構造を、保護膜620としてはポリイミド膜を、それぞれ用いた。
【0401】
なお、図38(A)に示す構造のトランジスタにおいて、ゲート電極610と一対の電極614との重畳する幅をLovと呼ぶ。同様に、酸化物半導体膜606に対する一対の電極614のはみ出しをdWと呼ぶ。
【符号の説明】
【0402】
100 記憶装置
101 トランジスタ
102 トランジスタ
111 トランジスタ
112 トランジスタ
113 トランジスタ
114 トランジスタ
115 トランジスタ
116 トランジスタ
117 トランジスタ
120 ラッチ回路
121 クロックドインバータ
122 インバータ
123 クロックドインバータ
130 インバータ
131 トランジスタ
132 トランジスタ
140 クロックドインバータ
140A クロックドインバータ
140B クロックドインバータ
141 トランジスタ
142 トランジスタ
143 トランジスタ
144 トランジスタ
161 保持容量
162 保持容量
201 比較器
202 メモリ部
203 メモリ部
204 出力電位確定器
211 トランジスタ
212 トランジスタ
213 トランジスタ
214 トランジスタ
215 トランジスタ
216 トランジスタ
217 トランジスタ
221 トランジスタ
222 トランジスタ
250 記憶装置
251 比較器
252 メモリ部
253 メモリ部
254 出力電位確定器
261 保持容量
262 保持容量
501 下地絶縁膜
502 埋め込み絶縁物
503a 半導体領域
503b 半導体領域
503c 半導体領域
504 ゲート絶縁膜
505 ゲート電極
506a 側壁絶縁膜
506b 側壁絶縁膜
507 絶縁膜
508a ソース領域
508b ドレイン領域
550 基板
552 下地絶縁膜
554 保護絶縁膜
556 酸化物半導体膜
556a 高抵抗領域
556b 低抵抗領域
558 ゲート絶縁膜
560 ゲート電極
562 側壁絶縁膜
564 電極
566 層間絶縁膜
568 配線
600 基板
602 下地絶縁膜
606 酸化物半導体膜
608 ゲート絶縁膜
610 ゲート電極
614 電極
616 層間絶縁膜
618 配線
620 保護膜
901 酸化物半導体トランジスタ
902 絶縁膜
903 酸化物半導体層
904 ソース電極
905 ドレイン電極
906 ゲート絶縁膜
907 ゲート電極
908 高濃度領域
909 チャネル形成領域
911 酸化物半導体トランジスタ
912 絶縁膜
913 酸化物半導体層
914 ソース電極
915 ドレイン電極
916 ゲート絶縁膜
917 ゲート電極
918 高濃度領域
919 チャネル形成領域
3000 基板
3001 トランジスタ
3003a 電極
3003b 電極
3003c 電極
3004 論理回路
3100a 配線
3100b 配線
3100c 配線
3100d 配線
3106 素子分離絶縁膜
3140a 絶縁膜
3140b 絶縁膜
3141a 絶縁膜
3141b 絶縁膜
3142a 絶縁膜
3142b 絶縁膜
3170a 記憶素子
3170b 記憶素子
3171a トランジスタ
3171b トランジスタ
3303 電極
3501a 電極
3501b 電極
3501c 電極
3502a 電極
3502b 電極
3502c 電極
3503a 電極
3503b 電極
3505 電極
9900 基板
9901 ALU
9902 ALU・Controller
9903 Instruction・Decoder
9904 Interrupt・Controller
9905 Timing・Controller
9906 Register
9907 Register・Controller
9908 Bus・I/F
9909 ROM
9920 ROM・I/F

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の出力信号及び第2の出力信号の電位を比較する比較器と、
酸化物半導体層にチャネル形成領域が形成される第1の酸化物半導体トランジスタ及びシリコン層にチャネル形成領域が形成される第1のシリコントランジスタを有する第1のメモリ部と、
第2の酸化物半導体トランジスタ及び第2のシリコントランジスタを有する第2のメモリ部と、
前記第1の出力信号及び前記第2の出力信号の電位を確定する出力電位確定器と、
を有し、
前記第1の酸化物半導体トランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第1のシリコントランジスタのゲートに電気的に接続されており、
前記第2の酸化物半導体トランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第2のシリコントランジスタのゲートに電気的に接続されており、
前記第1の出力信号は前記比較器及び前記第1のメモリ部から出力され、前記第2の出力信号は前記比較器及び前記第2のメモリ部から出力されることを特徴とする半導体集積回路。
【請求項2】
請求項1において、
前記比較器は、高電位基準電位と接続され、
前記出力電位確定器は、低電位基準電位と接続されていることを特徴とする半導体集積回路。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、
前記第1のシリコントランジスタ及び前記第2のシリコントランジスタは、nチャネル型トランジスタであることを特徴とする半導体集積回路。
【請求項4】
請求項1において、
前記比較器は、低電位基準電位と接続され、
前記出力電位確定器は、高電位基準電位と接続されていることを特徴とする半導体集積回路。
【請求項5】
請求項1又は請求項4において、
前記第1のシリコントランジスタ及び前記第2のシリコントランジスタは、pチャネル型トランジスタであることを特徴とする半導体集積回路。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項において、
前記第1の酸化物半導体トランジスタのソース又はドレインの一方及び前記第1のシリコントランジスタのゲートと接続する第1の保持容量、及び、前記第2の酸化物半導体トランジスタのソース又はドレインの一方及び前記第2のシリコントランジスタのゲートと接続する第2の保持容量が設けられていることを特徴とする半導体集積回路。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、
前記第1の酸化物半導体トランジスタ及び前記第2の酸化物半導体トランジスタは、前記第1のシリコントランジスタ及び前記第2のシリコントランジスタに重畳して形成されることを特徴とする半導体集積回路。
【請求項8】
高電位基準電位と接続され、第1の出力信号及び第2の出力信号の電位を比較する比較器と、
酸化物半導体層にチャネル形成領域が形成される第1の酸化物半導体トランジスタ及び第2の酸化物半導体トランジスタを有する第1のメモリ部と、
第3の酸化物半導体トランジスタ及び第4の酸化物半導体トランジスタを有する第2のメモリ部と、
低電位基準電位と接続され、前記第1の出力信号及び前記第2の出力信号の電位を確定する出力電位確定器と、
を有し、
前記第1の酸化物半導体トランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第2の酸化物半導体トランジスタのゲートに電気的に接続されており、
前記第3の酸化物半導体トランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第4の酸化物半導体トランジスタのゲートに電気的に接続されており、
前記第1の出力信号は前記比較器及び前記第1のメモリ部から出力され、前記第2の出力信号は前記比較器及び前記第2のメモリ部から出力されることを特徴とする半導体集積回路。
【請求項9】
請求項8において、
前記第1の酸化物半導体トランジスタのソース又はドレインの一方及び前記第2の酸化物半導体トランジスタのゲートと接続する第1の保持容量、及び、前記第3の酸化物半導体トランジスタのソース又はドレインの一方及び前記第4の酸化物半導体トランジスタのゲートと接続する第2の保持容量が設けられていることを特徴とする半導体集積回路。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか一項において、
前記比較器は、4つのトランジスタを有することを特徴とする半導体集積回路。
【請求項11】
請求項10において、
前記比較器のトランジスタのそれぞれは、pチャネル型シリコントランジスタであることを特徴とする半導体集積回路。
【請求項12】
請求項10において、
前記比較器のトランジスタのそれぞれは、nチャネル型シリコントランジスタであることを特徴とする半導体集積回路。
【請求項13】
請求項10において、
前記比較器のトランジスタのそれぞれは、酸化物半導体トランジスタであることを特徴とする半導体集積回路。
【請求項14】
請求項1乃至請求項13のいずれか一項において、
前記出力電位確定器は、1つのトランジスタを有することを特徴とする半導体集積回路。
【請求項15】
請求項14において、
前記出力電位確定器のトランジスタは、nチャネル型シリコントランジスタであることを特徴とする半導体集積回路。
【請求項16】
請求項14において、
前記出力電位確定器のトランジスタは、酸化物半導体トランジスタであることを特徴とする半導体集積回路。
【請求項17】
請求項14において、
前記出力電位確定器のトランジスタは、pチャネル型シリコントランジスタであることを特徴とする半導体集積回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図23】
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【図24】
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【図39】
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【公開番号】特開2013−9325(P2013−9325A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−113557(P2012−113557)
【出願日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】