説明

半導体装置の製造方法

【課題】加工膜と非加工膜をRIE法で選択的に加工するときに、非加工膜の加工量を低減させる半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置の製造方法は、下地層1,7,8の上に非加工膜14を形成する工程と、非加工膜14および下地層1,7,8に溝4を形成する工程と、溝内を埋め込むように加工膜5を形成する工程と、非加工膜14を露出させるように加工膜5を平坦化する工程とを備える。更に、加工膜5および非加工膜14の上に保護膜16を形成する工程と、RIE法を用いて、保護膜16をエッチングすると共に、加工膜5を選択的にエッチングして溝内の加工膜5を落とし込む工程とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
異なる種類の絶縁膜例えばシリコン酸化膜とシリコン窒化膜で形成されているパターンに対して、シリコン酸化膜をエッチングする加工膜とし、シリコン窒化膜をエッチングしない非加工膜としてRIE(Reactive Ion Etching)で選択的にエッチングするプロセスが実行されている。
【0003】
上記RIEでエッチングする場合、選択的なエッチング条件であっても、非加工膜はわずかにエッチングされる。このため、非加工膜を保護膜として用いている場合、加工膜の設定量の加工が終了したときに、非加工膜が消滅していることがあった。非加工膜が消滅すると、その保護対象の膜がエッチングされてしまうという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−170781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、加工膜と非加工膜をRIE法で選択的に加工するときに、非加工膜の加工量を低減することができる半導体装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態の半導体装置の製造方法は、下地層の上に非加工膜を形成する工程と、前記非加工膜および前記下地層に溝を形成する工程と、前記溝内を埋め込むように加工膜を形成する工程と、前記非加工膜を露出させるように前記加工膜を平坦化する工程とを備える更に、前記加工膜および前記非加工膜の上に保護膜を形成する工程と、RIE法を用いて、前記保護膜をエッチングすると共に、前記加工膜を選択的にエッチングして前記溝内の前記加工膜を落とし込む工程とを備える。
【0007】
他の実施形態の半導体装置の製造方法は、下地層の上に非加工膜を形成する工程と、前記非加工膜および前記下地層に溝を形成する工程と、前記溝内を埋め込むように加工膜を形成する工程とを備える。更に、前記非加工膜の上面の上に加工膜が設定膜厚残るように前記加工膜を平坦化する工程と、RIE法を用いて、前記加工膜を選択的にエッチングして前記溝内の前記加工膜を落とし込む工程とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1実施形態のNAND型フラッシュメモリ装置のメモリセルアレイの一部を示す等価回路図
【図2】メモリセル領域の一部のレイアウトパターンを示す模式的な平面図
【図3】(a)は図2中の3A−3A線に沿って示す模式的な断面図、(b)は図2中の3B−3B線に沿って示す模式的な断面図
【図4】製造途中における図2中の3B−3B線に沿って示す断面図(その1)
【図5】製造途中における図2中の3B−3B線に沿って示す断面図(その2)
【図6】製造途中における図2中の3B−3B線に沿って示す断面図(その3)
【図7】製造途中における図2中の3B−3B線に沿って示す断面図(その4)
【図8】製造途中における図2中の3B−3B線に沿って示す断面図(その5)
【図9】製造途中における図2中の3B−3B線に沿って示す断面図(その6)
【図10】製造途中における図2中の3B−3B線に沿って示す断面図(その7)
【図11】製造途中における図2中の3B−3B線に沿って示す断面図(その8)
【図12】製造途中における図2中の3B−3B線に沿って示す断面図(その9)
【図13】製造途中における図2中の3B−3B線に沿って示す断面図(その10)
【図14】第2実施形態を示すもので、製造途中における図2中の3B−3B線に沿って示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、複数の実施形態について、図面を参照して説明する。尚、各実施形態において、実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。
【0010】
(第1実施形態)
まず、図1は、第1実施形態のNAND型のフラッシュメモリ装置のメモリセル領域に形成されるメモリセルアレイの一部を示す等価回路図である。この図1に示すように、NAND型フラッシュメモリ装置のメモリセルアレイは、2個の選択ゲートトランジスタTrs1、Trs2と、当該選択ゲートトランジスタTrs1、Trs2間に対して直列接続された複数個(例えば32個)のメモリセルトランジスタTrmとからなるNANDセルユニットSUが行列状に形成されることにより構成されている。NANDセルユニットSU内において、複数個のメモリセルトランジスタTrmは隣接するもの同士でソース/ドレイン領域を共用して形成されている。
【0011】
図1中X方向(ワード線方向、ゲート幅方向に相当)に配列されたメモリセルトランジスタTrmは、ワード線WLにより共通接続されている。また、図1中X方向に配列された選択ゲートトランジスタTrs1は選択ゲート線SGL1で共通接続され、選択ゲートトランジスタTrs2は選択ゲート線SGL2で共通接続されている。選択ゲートトランジスタTrs1のドレイン領域にはビット線コンタクトCBが接続されている。このビット線コンタクトCBは、図1中X方向に直交するY方向(ゲート長方向、ビット線方向に相当)に延びるビット線BLに接続されている。また、選択ゲートトランジスタTrs2はソース領域を介して図1中X方向に延びるソース線SLに接続されている。
【0012】
図2はメモリセル領域の一部のレイアウトパターンを示す平面図である。半導体基板としてのシリコン基板1に、図2中Y方向に沿って延びる素子分離領域としてのSTI(shallow trench isolation)2が図2中X方向に所定間隔で複数本形成されている。これによって、図2中Y方向に沿って延びる活性領域3が図2中X方向に分離形成されている。メモリセルトランジスタのワード線WLは、活性領域3と直交する方向(図2中X方向)に沿って延びるように形成されると共に、図2中Y方向に所定間隔で複数本形成されている。
【0013】
また、一対の選択ゲートトランジスタの選択ゲート線SGL1が図2中X方向に沿って延びるように形成されている。一対の選択ゲート線SGL1間の活性領域3にはビット線コンタクトCBがそれぞれ形成されている。ワード線WLと交差する活性領域3上にはメモリセルトランジスタのゲート電極MGが、選択ゲート線SGL1と交差する活性領域3上には選択ゲートトランジスタのゲート電極SGが形成されている。
【0014】
次に、本実施形態のメモリセル領域におけるゲート電極構造について、図3を参照しながら説明する。図3(a)は、図2の3A−3A線(ビット線方向、Y方向)に沿う断面を模式的に示す図であり、図3(b)は、図2の3B−3B線(ワード線方向、X方向)に沿う断面を模式的に示す図である。
【0015】
図3(a)、(b)に示すように、p型のシリコン基板1の上部には、素子分離溝4がX方向に離間して複数形成されている。これら素子分離溝4は、活性領域3を図2中のX方向に分離している。素子分離溝4内には、素子分離絶縁膜5が形成されており、素子分離領域(STI)2を構成している。
【0016】
メモリセルトランジスタは、シリコン基板1に形成されたn型の拡散層6と、シリコン基板1上に形成されたゲート絶縁膜7と、ゲート絶縁膜7上に設けられたゲート電極MGとを含んで構成される。ゲート電極MGは、電荷蓄積層となる浮遊ゲート電極FGと、浮遊ゲート電極FG上に形成された電極間絶縁膜9と、電極間絶縁膜9上に形成された制御ゲート電極CGとを有する。拡散層6は、シリコン基板1の表層におけるメモリセルトランジスタのゲート電極MGの両脇に位置して形成されており、メモリセルトランジスタのソース/ドレイン領域を構成している。
【0017】
ゲート絶縁膜7は、シリコン基板1(活性領域3)上に形成されている。ゲート絶縁膜7としては、例えばシリコン酸窒化膜を用いている。浮遊ゲート電極FGとしては、例えばリン等の不純物がドープされた多結晶シリコン層(導電層)8を用いている。電極間絶縁膜9は、素子分離絶縁膜5の上面、浮遊ゲート電極FGの上部側面、および、浮遊ゲート電極FGの上面に沿って形成されており、インターポリ絶縁膜、導電層間絶縁膜、電極間の絶縁膜として機能する。電極間絶縁膜9としては、例えばシリコン酸化膜/シリコン窒化膜/シリコン酸化膜の積層構造(それぞれの膜厚が、例えばいずれも3nmから10nmである)の膜、即ち、いわゆるONO膜を用いている。
【0018】
制御ゲート電極CGは、メモリセルトランジスタのワード線WLとして機能する導電層10で構成される。導電層10は、例えばリン等の不純物がドープされた多結晶シリコン層10aと、この多結晶シリコン層10aの直上に形成されたタングステン(W)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)などの何れかの金属によってシリサイド化されたシリサイド層10bとの積層構造を有する。シリサイド層10bは、本実施形態の場合、例えばニッケルシリサイド(NiSi)で構成される。尚、導電層10をすべてシリサイド層10b(即ち、シリサイド層単体)で構成しても良い。
【0019】
また、図3(a)に示すように、メモリセルトランジスタのゲート電極MGは、Y方向に並設されており、各ゲート電極MGは電極分離用の溝17によって互いに電気的に分離されている。この溝17内にはメモリセル間絶縁膜11が形成されている。このメモリセル間絶縁膜11としては、例えばTEOS(tetraethyl orthosilicate)を用いたシリコン酸化膜または低誘電率絶縁膜を用いている。
【0020】
メモリセル間絶縁膜11の上面、制御ゲート電極CGの側面および上面上には、例えばシリコン窒化膜からなるライナー絶縁膜12が形成されている。このライナー絶縁膜12上には、例えばシリコン酸化膜からなる層間絶縁膜13が形成されている。ライナー絶縁膜12は、シリコン酸化膜からなる層間絶縁膜13の形成時に酸化剤が制御ゲート電極CGへ到達することを防ぎ、特にシリサイド層10bの酸化によるワード線WLの高抵抗化を防ぐ機能を有する。また、制御ゲート電極CG間はライナー絶縁膜12を完全に埋め込む構造となっていないことから、寄生容量の増大による配線遅延の影響を低減することが可能である。
【0021】
次に、本実施形態によるNAND型フラッシュメモリ装置の製造方法の一例を、図4〜図13に示す工程断面図を参照して説明する。尚、図4〜図13は、図3(b)に対応する断面構造の製造段階を模式的に示す。
【0022】
まず、図4に示すように、p型のシリコン基板1(または表層にp型ウエルを形成したシリコン基板)の表面に、ゲート絶縁膜7として例えばシリコン酸窒化膜を周知の熱酸化法と熱窒化法を組み合わせて形成する。この後、浮遊ゲート電極FGとなる例えばドープト多結晶シリコン層8を減圧化学気相成長法により成膜する。ドープト多結晶シリコン層8の不純物としては、例えばリン(P)を用いる。
【0023】
次に、図5に示すように、ドープト多結晶シリコン層8上に化学気相成長法によってシリコン窒化膜14を形成し、続いて、シリコン窒化膜14上に化学気相成長法を用いてシリコン酸化膜15を形成する。この後、シリコン酸化膜15上にフォトレジスト(図示せず)を塗布し、露光現像によりレジストをパターニングし、当該レジストをマスクとしてシリコン酸化膜15をRIE法によりエッチング処理する。エッチング後に、フォトレジストを除去し、シリコン酸化膜15をマスクにしてシリコン窒化膜14をエッチングし、次いで、ドープト多結晶シリコン層8(浮遊ゲート電極FG)、ゲート絶縁膜7およびシリコン基板1をエッチングすることにより、素子分離のための溝4を形成する(図6参照)。
【0024】
次に、図7に示すように、CVD法あるいは塗布技術を用いて例えばシリコン酸化膜5を加工後の溝4に埋め込む。尚、図7においては、溝4の形成時にマスクとして用いたシリコン酸化膜15をここで形成したシリコン酸化膜5と一体化して示している。この後、図8に示すように、CMP(chemical mechanical polishing)を用いてシリコン窒化膜14が露出するまで平坦化を行うことにより、素子分離絶縁膜5を形成する。この構成の場合、素子分離絶縁膜(シリコン酸化膜)5が加工する膜(加工膜)に対応し、シリコン窒化膜14が加工しない膜(非加工膜)に対応する。尚、シリコン窒化膜14は、多結晶シリコン層8が加工されないように保護する保護膜である。
【0025】
次いで、RIE法を用いて素子分離絶縁膜5を選択的にエッチングすることにより、浮遊ゲート電極FG(多結晶シリコン層8)間の素子分離絶縁膜5を落とし込むのであるが、このRIE法を実行する前に次の処理を実行する。即ち、図9に示すように、シリコン酸化膜(素子分離絶縁膜)5およびシリコン窒化膜14上に、保護膜として例えばシリコン酸化膜16を例えばCVD法により形成する。
【0026】
この後、RIE法を用いて、シリコン酸化膜5とシリコン窒化膜14をそれらのエッチングレートの差によりシリコン酸化膜5を選択的にエッチングする。この場合、RIEにおいては、CF系のガスからなるプラズマを生成しており、その導入ガスの条件(プラズマ生成条件)は、例えば次の通りである。
46を10sccm、Arを600sccm、O2を10sccm
【0027】
上記導入ガスの条件でRIEを行う場合、導入ガスの解離が十分に進行した状態では、シリコン酸化膜5とシリコン窒化膜14のエッチングレートの比は、ほぼ6:1程度となる。ただし、プラズマ生成のために電力を供給開始(放電開始)した時点からある程度の時間(例えば5秒程度の時間)の間は、反応チャンバ内に導入した導入ガスが十分に解離していないため、選択的なエッチングを実行することができず、シリコン酸化膜5とシリコン窒化膜14のエッチングレートの比がほぼ1:1でエッチングされてしまう。
【0028】
図10は、プラズマ生成のために電力を供給開始した時点から例えば5秒程度の時間が経過した時点の加工状態を示しており、シリコン酸化膜16がエッチングされてほぼ消失している。この状態で、上記した条件(即ち、導入ガスが十分に解離し、シリコン酸化膜5とシリコン窒化膜14のエッチングレートの比がほぼ6:1となった条件)でRIEを続ける。これにより、シリコン酸化膜5を所望の位置(図11に示す位置)までエッチング(エッチバック)する。このとき、シリコン窒化膜14も僅かにエッチングが進行するが、シリコン窒化膜14は消失せずに残るため、多結晶シリコン層8を保護することができる(図11参照)。
【0029】
この後、多結晶シリコン層8上に残っているシリコン窒化膜14を例えばウエットエッチングで選択的にエッチングして除去し、図12に示すような構成を得る。
次いで、図13に示すように、露出した多結晶シリコン層8および素子分離絶縁膜5の表面に、電極間絶縁膜9を形成する。この電極間絶縁膜9としては、単体の高誘電率絶縁膜を、または、シリコン酸化膜/高誘電率絶縁膜/シリコン酸化膜の積層構造の膜、または、シリコン酸化膜/シリコン窒化膜/シリコン酸化膜の積層構造の膜、または、シリコン窒化膜/シリコン酸化膜/シリコン窒化膜/シリコン酸化膜/シリコン窒化膜の積層構造の膜を周知のプロセスにより形成する。この後、電極間絶縁膜9上にCVD法を用いて導電層10(制御ゲート電極CG)となるドープト多結晶シリコン層を形成し、図13に示すような構成を得る。尚、ドープト多結晶シリコン層10の不純物としては、例えばリン(P)を用いる。
【0030】
この後は、周知のプロセスにより、電極分離用の溝17(図3(a)参照)を形成し、複数のゲート構造を得る。次いで、溝17の内底部のシリコン基板1の表面に、イオン注入法を用いて不純物をドーピングし、拡散層6を形成する。次に、溝17内に、セルゲート間絶縁膜としてメモリセル間絶縁膜11を形成した後、平坦化し、落とし込む。更に、多結晶シリコン層(導電層)10の上部にニッケルシリサイド(NiSi)層10bを形成した後、図3(a)に示すように、ライナー絶縁膜12と層間絶縁膜13を形成する。
【0031】
上記した構成の本実施形態においては、RIE法を用いて素子分離絶縁膜5を選択的にエッチングすることにより、浮遊ゲート電極FG(多結晶シリコン層8)間の素子分離絶縁膜5を落とし込む工程を実行する前に、図9に示すように、シリコン酸化膜(素子分離絶縁膜)5およびシリコン窒化膜14上に、シリコン酸化膜16をCVD法により形成した。この構成によれば、プラズマ生成のために電力を供給開始(放電開始)した時点からある程度の時間(例えば5秒程度の時間)の間は、反応チャンバ内に導入した導入ガスが十分に解離していないため、選択的なエッチングを実行することができず、シリコン酸化膜5とシリコン窒化膜14のエッチングレートの比がほぼ1:1でエッチングされてしまうときに、シリコン窒化膜14を保護することができる。この結果、RIE法を用いて、シリコン酸化膜5とシリコン窒化膜14をそれらのエッチングレートの差によりシリコン酸化膜5を選択的にエッチングする場合におけるシリコン窒化膜14の加工量を低減することができる。従って、RIE時にシリコン窒化膜14が消滅することを防止できる。
【0032】
(第2実施形態)
図14は、第2実施形態を示すものである。尚、第1実施形態と同一構成には、同一符号を付している。第1実施形態では、図7に示すように、シリコン酸化膜5を溝4に埋め込んだ後、図8に示すように、シリコン窒化膜14の上面が露出するまでシリコン酸化膜5をCMPを用いて平坦化した。これに代えて、第2実施形態では、図7に示すように、シリコン酸化膜5を溝4に埋め込んだ後、図14に示すように、CMPを用いて平坦化を行うときに、膜厚モニタにより、シリコン窒化膜14の上面の上に残っているシリコン酸化膜5の膜厚をモニタすることによって、シリコン窒化膜14の上面の上に所定膜厚(第1実施形態のシリコン酸化膜16の膜厚と同程度の膜厚)のシリコン酸化膜5が残るように平坦化した。この後は、第1実施形態と同様にしてRIE法を用いたエッチングを実行する。
【0033】
上述した以外の第2実施形態の構成は、第1実施形態の構成と同じ構成となっている。従って、第2実施形態においても、第1実施形態とほぼ同じ作用効果を得ることができる。特に、第2実施形態によれば、溝4に埋め込んだシリコン酸化膜5をCMPを用いて平坦化するときに、シリコン窒化膜14の上面の上に所定膜厚のシリコン酸化膜5を残すように構成したので、第1実施形態のシリコン酸化膜16を形成する工程を不要にすることができ、工程数を削減することができる。
【0034】
(その他の実施形態)
以上説明した複数の実施形態に加えて以下のような構成を採用しても良い。
上記した各実施形態においては、加工膜のシリコン酸化膜5、保護膜のシリコン酸化膜16としては、TEOS、PSZ(polysilizane)、BPSG(boron phosphor silicate glass)、PSG(phosphor silicate glass)、シラン酸化膜を用いても良い。また、非加工膜としてシリコン窒化膜14を用いたが、シリコン炭化膜(SiC)をシリコン窒化膜14に代えて、またはシリコン窒化膜14と組み合わせて用いても良い。
【0035】
上記した各実施形態では、加工膜としてシリコン酸化膜5を用いると共に、非加工膜としてシリコン窒化膜14を用いたが、これに代えて、加工膜としてシリコン窒化膜を用いると共に、非加工膜としてシリコン酸化膜(TEOS、PSZ、BPSG、PSG、シラン酸化膜)を用いても良い。尚、保護膜としてはシリコン窒化膜を用いる。このように構成した場合、RIEの導入ガスの条件は、例えば次の通りに設定する。
CH3Fを50sccm、Arを100sccm、O2を50sccm
【0036】
また、上記第1実施形態では、保護膜としてシリコン酸化膜16(TEOS、PSZ、BPSG、PSG、シラン酸化膜)を用いたが、これに限られるものではなく、シリコン窒化膜を用いても良い。更に、保護膜として単層のシリコン酸化膜16を用いたが、これに限られるものではなく、上記した膜を適宜組み合わせた複数層の膜を用いても良い。
【0037】
更に、上記した各実施形態では、素子分離溝4内に埋め込まれた素子分離絶縁膜(シリコン酸化膜)5をエッチバックする工程に適用したが、これに限られるものではなく、例えばDRAMのストレージノード電極とセルトランジスタ拡散層とを電気的に接続する埋め込みストラップを形成するプロセスにおいて、半導体基板のトレンチに埋め込まれたレジストやシリコンをエッチバックする工程に適用しても良い。この場合、レジストやシリコンが加工膜となり、半導体基板を保護するシリコン窒化膜が非加工膜となる。また、ダマシン配線を形成するプロセスにおいて、シリコン酸化膜の配線溝に埋め込まれた金属層をエッチバックする工程に適用しても良い。この場合、金属層が加工膜となり、シリコン酸化膜が非加工膜となる。
【0038】
以上のように、本実施形態の半導体装置の製造方法によると、加工膜と非加工膜をRIEで選択的に加工するときに、非加工膜の加工量を低減することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0039】
図面中、1はシリコン基板、2は素子分離領域、3は活性領域、4は素子分離溝、5は素子分離絶縁膜、14はシリコン窒化膜、16はシリコン酸化膜である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地層の上に非加工膜を形成する工程と、
前記非加工膜および前記下地層に溝を形成する工程と、
前記溝内を埋め込むように加工膜を形成する工程と、
前記非加工膜を露出させるように前記加工膜を平坦化する工程と、
前記加工膜および前記非加工膜の上に保護膜を形成する工程と、
RIE法を用いて、前記保護膜をエッチングすると共に、前記加工膜を選択的にエッチングして前記溝内の前記加工膜を落とし込む工程とを備えてなる半導体装置の製造方法。
【請求項2】
下地層の上に非加工膜を形成する工程と、
前記非加工膜および前記下地層に溝を形成する工程と、
前記溝内を埋め込むように加工膜を形成する工程と、
前記非加工膜の上面の上に加工膜が設定膜厚残るように前記加工膜を平坦化する工程と、
RIE法を用いて、前記加工膜を選択的にエッチングして前記溝内の前記加工膜を落とし込む工程とを備えてなる半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記加工膜としてシリコン酸化膜、
前記非加工膜としてシリコン窒化膜およびシリコン炭化膜の少なくとも一方を用いることを特徴とする請求項1または請求項2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記加工膜としてシリコン窒化膜、
前記非加工膜としてシリコン酸化膜を用いることを特徴とする請求項1または請求項2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記加工膜としてシリコン酸化膜、
前記非加工膜としてシリコン窒化膜およびシリコン炭化膜の少なくとも一方、
前記保護膜としてシリコン酸化膜およびシリコン炭化膜の少なくとも一方を用いることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−49365(P2012−49365A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190763(P2010−190763)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】