説明

半導体装置及びその作製方法

【課題】酸化物半導体を用いるトランジスタにおいて、電気的特性の良好なトランジスタ及びその作製方法を提供することを課題の一とする。
【解決手段】基板上に酸化物半導体膜及び絶縁膜を有し、酸化物半導体膜の端部は絶縁膜と接しており、酸化物半導体膜は、チャネル形成領域と、チャネル形成領域を挟んで形成されたドーパントを含む領域とを含み、酸化物半導体膜上に接して形成されたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に形成され、サイドウォール絶縁膜を有するゲート電極と、サイドウォール絶縁膜、酸化物半導体膜、および絶縁膜に接して形成されたソース電極およびドレイン電極とを有する半導体装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
トランジスタなどの半導体素子を含む回路を有する半導体装置及びその作製方法に関する。例えば、電源回路に搭載されるパワーデバイス、メモリ、サイリスタ、コンバータ、イメージセンサなどを含む半導体集積回路、液晶表示パネルに代表される電気光学装置、発光素子を有する発光表示装置等を部品として搭載した電子機器に関する。
【0002】
なお、本明細書中において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指し、電気光学装置、発光表示装置、半導体回路及び電子機器は全て半導体装置である。
【背景技術】
【0003】
液晶表示装置に代表されるように、ガラス基板等に形成されるトランジスタはアモルファスシリコン、多結晶シリコンなどによって構成されている。アモルファスシリコンを用いたトランジスタは、電界効果移動度が低いもののガラス基板の大面積化に対応することができる。また、多結晶シリコンを用いたトランジスタは、電界効果移動度は高いが、ガラス基板の大面積化には適していないという欠点を有している。
【0004】
シリコンを用いたトランジスタに対して、酸化物半導体を用いてトランジスタを作製し、電子デバイスや光デバイスに応用する技術が注目されている。例えば、酸化物半導体として、酸化亜鉛、In−Ga−Zn−O系酸化物を用いてトランジスタを作製し、表示装置の画素のスイッチング素子などに用いる技術が特許文献1及び特許文献2で開示されている。
【0005】
ところで、特に酸化物半導体においては、水素がキャリアの供給源となることが指摘されている。そのため、酸化物半導体の形成時に水素が混入しないような措置を講じることが求められる。また、酸化物半導体のみならず、酸化物半導体に接するゲート絶縁膜の水素を低減することで、酸化物半導体を用いたトランジスタのしきい値電圧の変動を低減している(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−123861号公報
【特許文献2】特開2007−96055号公報
【特許文献3】特開2009−224479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
さらに、酸化物半導体において、キャリアの供給源として、酸化物半導体に含まれる水素のほかに酸化物半導体中の酸素欠損(又は、酸素欠陥ともいう)が挙げられる。酸素欠損の一部はドナーとなり、酸化物半導体中にキャリアである電子を生成する。トランジスタのチャネル形成領域に酸素欠損が存在すると、チャネル形成領域中に電子を生じさせるため、トランジスタのしきい値電圧をマイナス方向に変動させる要因となる。
【0008】
また、酸化物半導体膜を用いた半導体装置を作製するに際し、酸化物半導体膜の側面を所望の形状に加工すると、酸化物半導体膜の側面が活性な状態で反応室内の減圧雰囲気または還元性雰囲気に曝される。そのため、酸化物半導体膜の側面から反応室へと酸素が引き抜かれ、酸素欠損を生じることになる。酸素欠損の一部はドナーとなり、キャリアである電子を生成するため、酸化物半導体膜の側面はn型化する。トランジスタのソース電極およびドレイン電極が、n型化した酸化物半導体膜の側面と接することにより、酸化物半導体膜の側面を介して、ソース電極およびドレイン電極間にリーク電流が発生してしまう。該リーク電流は、トランジスタのオフ電流の上昇の原因となる。また、酸化物半導体膜の側面を介して流れる電流は、場合によって、酸化物半導体膜の側面をチャネル形成領域とするトランジスタを形成する可能性がある。
【0009】
そこで、本発明の一態様は、上述した課題の少なくとも一を解決することを目的とする。つまり、電気的特性の変動が生じにくく、電気的特性の良好な半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、酸化物半導体膜を有する半導体装置の作製工程において、酸化物半導体膜から酸素が脱離することを防止するために、酸化物半導体膜に接するように、酸素を含む絶縁膜を設ける。以下、具体的な態様について説明する。
【0011】
本発明の一態様は、基板上に、第1の絶縁膜、酸化物半導体膜、第2の絶縁膜の順に形成し、第2の絶縁膜、酸化物半導体膜、及び第1の絶縁膜の素子分離領域をエッチングすることにより、第1の絶縁膜に素子分離溝を形成し、第2の絶縁膜及び素子分離溝上に、第3の絶縁膜を形成し、第3の絶縁膜に平坦化処理を行うことにより、第2の絶縁膜を露出させるとともに、素子分離溝に第3の絶縁膜を埋め込み、第2の絶縁膜をエッチングすることにより、酸化物半導体膜を露出させ、第3の絶縁膜及び露出した酸化物半導体膜上にゲート絶縁膜を形成し、ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成し、ゲート電極をマスクとして、酸化物半導体膜に第1の濃度となるようにドーパントを添加することで、酸化物半導体膜に第1のドーパントを含む領域を形成し、ゲート電極の側面にサイドウォール絶縁膜を形成し、ゲート電極及びサイドウォール絶縁膜をマスクとして、第2の濃度となるようにドーパントを添加することにより、酸化物半導体膜に第2のドーパントを含む領域を形成し、第3の絶縁膜及び第2のドーパントを含む領域と接するように、ソース電極及びドレイン電極を形成する、半導体装置の作製方法である。
【0012】
上記構成において、第1のドーパントを含む領域のドーパントの濃度は、第2のドーパントを含む領域のドーパントの濃度よりも低いことが好ましい。
【0013】
上記各構成において、ソース電極又はドレイン電極は、第1の導電膜及び第2の導電膜を有し、第1の導電膜は、サイドウォール絶縁膜に接することが好ましい。また、第1の導電膜の膜厚は、第2の導電膜の膜厚よりも薄いことが好ましい。
【0014】
また、上記各構成において、絶縁膜として、熱が与えられることにより酸素が脱離する絶縁材料を用いることが好ましい。熱が与えられることにより酸素が脱離する絶縁膜として、化学量論比を満たす酸素よりも多くの酸素を含むことが好ましい。酸化物半導体膜と、該絶縁膜とが接して設けられる、又は酸化物半導体膜の近傍に該絶縁膜が設けられることにより、加熱処理の際に、絶縁膜から酸素が脱離し、酸化物半導体膜に拡散(又は供給)させることができる。これにより、酸化物半導体膜の酸素欠損を低減することができる。
【0015】
熱が与えられることにより酸素が脱離する絶縁膜として、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化イットリウム等が挙げられる。
【0016】
また、上記構成において、第3の絶縁膜として、酸化アルミニウム膜を用いることが好ましい。酸化物半導体膜の側面に接する第3の絶縁膜として酸化アルミニウム膜を用いることにより、酸化物半導体膜の側面から酸素が脱離することを防止することができる。これにより、酸化物半導体膜の側面に酸素欠損が生じることを防止することができる。
【0017】
また、上記各構成において、酸化物半導体膜として、In、Ga、Sn、及びZnから選ばれた一種以上の元素を含む金属酸化物を用いることが好ましい。
【0018】
酸化物半導体膜は、単結晶、多結晶(ポリクリスタルともいう。)または非晶質などの状態をとる。
【0019】
好ましくは、酸化物半導体膜は、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)膜とする。
【0020】
CAAC−OS膜は、完全な単結晶ではなく、完全な非晶質でもない。CAAC−OS膜は、非晶質相に結晶部を有する結晶−非晶質混相構造の酸化物半導体膜である。なお、当該結晶部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大きさであることが多い。また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)による観察像では、CAAC−OS膜に含まれる非晶質部と結晶部との境界は明確ではない。また、TEMによってCAAC−OS膜には粒界(グレインバウンダリーともいう。)は確認できない。そのため、CAAC−OS膜は、粒界に起因する電子移動度の低下が抑制される。
【0021】
CAAC−OS膜に含まれる結晶部は、c軸がCAAC−OS膜の被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃い、かつab面に垂直な方向から見て三角形状または六角形状の原子配列を有し、c軸に垂直な方向から見て金属原子が層状または金属原子と酸素原子とが層状に配列している。なお、異なる結晶部間で、それぞれa軸およびb軸の向きが異なっていてもよい。本明細書において、単に垂直と記載する場合、85°以上95°以下の範囲も含まれることとする。また、単に平行と記載する場合、−5°以上5°以下の範囲も含まれることとする。
【0022】
なお、CAAC−OS膜において、結晶部の分布が一様でなくてもよい。例えば、CAAC−OS膜の形成過程において、酸化物半導体膜の表面側から結晶成長させる場合、被形成面の近傍に対し表面の近傍では結晶部の占める割合が高くなることがある。また、CAAC−OS膜へ不純物を添加することにより、当該不純物添加領域において結晶部が非晶質化することもある。
【0023】
CAAC−OS膜に含まれる結晶部のc軸は、CAAC−OS膜の被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃うため、CAAC−OS膜の形状(被形成面の断面形状または表面の断面形状)によっては互いに異なる方向を向くことがある。なお、結晶部のc軸の方向は、CAAC−OS膜が形成されたときの被形成面の法線方向または表面の法線方向に平行な方向となる。結晶部は、成膜することにより、または成膜後に加熱処理などの結晶化処理を行うことにより形成される。
【0024】
CAAC−OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動を低減することが可能である。よって、当該トランジスタは、信頼性が高い。
【0025】
なお、酸化物半導体膜を構成する酸素の一部は窒素で置換されてもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一態様に示す構成によって、電気的特性の変動が生じにくく、電気的特性の良好な酸化物半導体を用いた半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する上面図及び断面図である。
【図2】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を説明する断面図である。
【図3】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を説明する断面図である。
【図4】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を説明する断面図である。
【図5】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を説明する断面図である。
【図6】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する断面図である。
【図7】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を説明する断面図である。
【図8】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を説明する断面図である。
【図9】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する断面図及び回路図である。
【図10】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する回路図である。
【図11】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する断面図及び回路図である。
【図12】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する回路図である。
【図13】本発明の一態様に係る電子機器のブロック図である。
【図14】本発明の一態様に係る電子機器のブロック図である。
【図15】本発明の一態様に係る電子機器のブロック図である。
【図16】本発明の一態様に係る電子機器である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する本発明の構成において、同一部分または同様な機能を有する部分には、同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0029】
なお、本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、膜の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
【0030】
また、本明細書にて用いる第1、第2、第3などの用語は、構成要素の混同を避けるために付したものであり、数的に限定するものではない。そのため、例えば、「第1の」を、「第2の」または「第3の」などと適宜置き換えて説明することができる。
【0031】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る半導体装置の構造及び作製方法について、図1乃至図5を用いて説明する。
【0032】
〈半導体装置の構成〉
図1は、トランジスタ200の上面図及び断面図である。図1(A)は、トランジスタ200の上面図であり、図1(B)は、図1(A)の破線A1−A2に対応する断面図であり、図1(C)は、図1(A)の破線B1−B2に対応する断面図である。なお、図1(A)では、煩雑になることを避けるため、トランジスタ200の構成要素の一部(例えば、ゲート絶縁膜114a、絶縁膜120a、サイドウォール絶縁膜124a、124b、絶縁膜134、絶縁膜136など)を省略している。
【0033】
図1に示すトランジスタ200は、基板100上に設けられた絶縁膜102aと、絶縁膜102a上に設けられた酸化物半導体膜108aと、酸化物半導体膜108aと接するゲート絶縁膜114aと、ゲート絶縁膜114a上に設けられたゲート電極と、ゲート電極の側面に設けられたサイドウォール絶縁膜124a、124bと、サイドウォール絶縁膜124a、124b及び酸化物半導体膜108aと接して形成されたソース電極及びドレイン電極と、を有する。また、トランジスタ200を覆うように絶縁膜134及び絶縁膜136が設けられている。
【0034】
ゲート電極は、導電膜116a、導電膜118aの二層構造で形成されている。また、ソース電極は、導電膜130a及び導電膜132aの二層構造、ドレイン電極は、導電膜130b及び導電膜132bの二層構造で形成されている。また、導電膜130a、130bは、導電膜132a、132bの膜厚よりも薄いことが好ましい。なお、導電膜130a、130bを、ソース電極及びドレイン電極として機能させて、導電膜132a、132bを引き回し配線として機能させてもよい。
【0035】
また、トランジスタ200において、ゲート電極上には絶縁膜120aが設けられている。ゲート電極上に絶縁膜120aが設けられていることにより、ゲート電極と、ソース電極及びドレイン電極とがショートすることを防止することができる。
【0036】
また、図1に示すトランジスタ200には、酸化物半導体膜108aに接する絶縁膜として、絶縁膜102a、絶縁膜112a、112b、及びゲート絶縁膜114aが形成されている。ここで、酸化物半導体膜108aに接する絶縁膜は、熱が与えられることにより酸素が脱離する絶縁膜であることが好ましい。
【0037】
ここで、「熱が与えられることにより酸素が脱離する」とは、TDS(Thermal Desorption Spectroscopy:昇温脱離ガス分光法)分析にて、酸素原子に換算した酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm以上、好ましくは3.0×1020atoms/cm以上であることをいう。
【0038】
ここで、TDS分析にて、酸素原子に換算した酸素の脱離量の測定方法について、以下に説明する。
【0039】
TDS分析したときの気体の脱離量は、イオン強度の積分値に比例する。このため、測定したイオン強度の積分値と、標準試料の基準値との比により、気体の脱離量を計算することができる。標準試料の基準値とは、所定の密度の原子を含む試料において、当該原子に相当するイオン強度の積分値に対する原子の密度の割合である。
【0040】
例えば、標準試料である所定の密度の水素を含むシリコンウェハのTDS分析結果、及び絶縁膜のTDS分析結果から、絶縁膜の酸素分子の脱離量(NO2)は、下記の数式1で求めることができる。ここで、TDS分析で得られる質量数32で検出されるガスの全てが酸素分子由来と仮定する。質量数32のものとしてCHOHがあるが、存在する可能性が低いものとしてここでは考慮しない。また、酸素原子の同位体である質量数17の酸素原子及び質量数18の酸素原子を含む酸素分子についても、自然界における存在比率が極微量であるため考慮しない。
【0041】
O2=NH2/SH2×SO2×α (数式1)
【0042】
H2は、標準試料から脱離した水素分子を密度で換算した値である。SH2は、標準試料をTDS分析したときのイオン強度の積分値である。ここで、標準試料の基準値を、NH2/SH2とする。SO2は、絶縁膜をTDS分析したときのイオン強度の積分値である。αは、TDS分析におけるイオン強度に影響する係数である。数式1の詳細に関しては、特開平6−275697公報を参照する。なお、上記絶縁膜の酸素の脱離量は、電子科学株式会社製の昇温脱離分析装置EMD−WA1000S/Wを用い、標準試料として1×1016atoms/cmの水素原子を含むシリコンウェハを用いて測定した。
【0043】
また、TDS分析において、酸素の一部は酸素原子として検出される。酸素分子と酸素原子の比率は、酸素分子のイオン化率から算出することができる。なお、上述のαは酸素分子のイオン化率を含むため、酸素分子の脱離量を評価することで、酸素原子の脱離量についても見積もることができる。
【0044】
なお、NO2は酸素分子の脱離量である。絶縁膜においては、酸素原子に換算したときの酸素の脱離量は、酸素分子の脱離量の2倍となる。
【0045】
上記において、熱が与えられることにより酸素が脱離する絶縁膜は、酸素が過剰な酸化シリコン(SiO(x>2))であってもよい。酸素が過剰な酸化シリコン(SiO(x>2))とは、シリコン原子数の2倍より多い酸素原子を単位体積当たりに含むものである。単位体積当たりのシリコン原子数及び酸素原子数は、ラザフォード後方散乱法により測定した値である。
【0046】
酸化物半導体膜108aと、熱が与えられることにより酸素が脱離する絶縁膜とが接して設けられる、又は酸化物半導体膜108aの近傍に、熱が与えられることにより酸素が脱離する絶縁膜が設けられることにより、加熱処理の際に、絶縁膜から酸素が脱離し、酸化物半導体膜108aに拡散(又は供給)させることができる。これにより、酸化物半導体膜108aの酸素欠損を低減することができる。
【0047】
熱が与えられることにより酸素が脱離する絶縁膜として、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化イットリウム等のいずれか一又は複数を用いることができる。
【0048】
ここで、酸化物半導体膜108aの側面に接する絶縁膜112a、112bとして、酸化物半導体膜108aの側面から酸素が脱離することを防止することができる絶縁膜を設けてもよい。酸化物半導体膜108aの側面から酸素が脱離することを防止することができる絶縁膜として、例えば、酸化アルミニウム膜を用いることができる。酸化物半導体膜108aの側面に酸化アルミニウム膜を接して設けることにより、酸化物半導体膜108aの側面から酸素が脱離することを防止することができる。また、酸化アルミニウム膜は、ドライエッチングに対する耐性が高いため、酸化物半導体膜108aの側面に接して設けることにより、トランジスタ作製工程中に酸化物半導体膜108aの側面が露出することを防止することができる。絶縁膜112a、112bとして酸化アルミニウムを設けることにより、酸化物半導体膜108aの側面から酸素が脱離することを防止しつつ、酸化物半導体膜108aの側面が露出することを防止することができるため、酸化物半導体膜108aの側面に酸素欠損が生じることを防止することができる。
【0049】
酸化物半導体膜108aとして、少なくとも、In、Ga、Sn及びZnから選ばれた一種以上の元素を含む金属酸化物を用いる。代表的には、四元系金属酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn−O系金属酸化物や、三元系金属酸化物であるIn−Ga−Zn−O系金属酸化物、In−Sn−Zn−O系金属酸化物、In−Al−Zn−O系金属酸化物、Sn−Ga−Zn−O系金属酸化物、Al−Ga−Zn−O系金属酸化物、Sn−Al−Zn−O系金属酸化物や、二元系金属酸化物であるIn−Zn−O系金属酸化物、Sn−Zn−O系金属酸化物や、一元系金属酸化物であるZnO、SnO、InOなどを用いることができる。また、上記金属酸化物に酸化シリコンが含まれていてもよい。
【0050】
ここで、例えば、In−Ga−Zn−O系材料とは、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)を有する酸化物、という意味であり、その組成比は特に問わない。また、インジウムとガリウムと亜鉛以外の元素を含んでいてもよい。このとき、上記酸化物半導体膜においては、化学量論比に対し、酸素を過剰にすることが好ましい。酸素を過剰にすることにより、酸化物半導体膜の酸素欠損に起因するキャリアの生成を抑制することができる。
【0051】
なお、酸化物半導体膜108aとして用いる金属酸化物は、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上、より好ましくは3eV以上である。このように、エネルギーギャップの広い金属酸化物を、酸化物半導体膜108aとして用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
【0052】
酸化物半導体膜108aは、非単結晶であって、そのab面に垂直な方向から見て、三角形、六角形、正三角形、又は正六角形の原子配列を有し、且つ、c軸に垂直な方向から見て、金属原子が層状又は金属原子と酸素原子が層状に配列した相を含む材料、即ちc軸配向結晶材料を用いて形成することが好ましい。または、酸化物半導体膜108aは、非晶質構造であってもよい。
【0053】
また、酸化物半導体膜108aには、5×1018atoms/cm以下の窒素が含まれてもよい。
【0054】
ここで、酸化物半導体膜108aにおいて、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度は、1×1018atoms/cm以下、好ましくは2×1016atoms/cm以下であることが望ましい。アルカリ金属及びアルカリ土類金属は、酸化物半導体と結合するとキャリアが生成されることがあり、トランジスタのオフ電流の上昇の原因となるためである。
【0055】
また、酸化物半導体膜108aは、チャネル形成領域126、チャネル形成領域126を挟んで形成されたドーパントを含む領域122a、122b、及びドーパントを含む領域122a、122bを挟んで設けられたドーパントを含む領域128a、128bを含む。
【0056】
酸化物半導体膜108aのチャネル形成領域126において、水素濃度を5×1018atoms/cm未満、好ましくは1×1018atoms/cm以下、より好ましくは5×1017atoms/cm以下、更に好ましくは1×1016atoms/cm以下とすることが好ましい。水素濃度が高いと、酸化物半導体に含まれる元素と水素との結合により、水素の一部がドナーとなり、キャリアである電子が生じてしまうためである。
【0057】
酸化物半導体膜108aのチャネル形成領域126における水素濃度を低減することで、i型(真性)又はi型に限りなく近い半導体とすることができる。これにより、トランジスタのオフ電流を極めて小さくすることができる。例えば、室温(25℃)でのオフ電流を10zA(1zA(ゼプトアンペア)は1×10−21A)以下とすることができる。
【0058】
酸化物半導体膜108aにおいてドーパントを含む領域122a、122b、及びドーパントを含む領域128a、128bには、水素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンの少なくともいずれか一以上のドーパントが含まれている。
【0059】
また、酸化物半導体膜108aにおいて、ドーパントを含む領域122a、122b、及びドーパントを含む領域128a、128bは、ドーパントによりキャリア密度または欠陥が増加する。このため、ドーパントを含む領域122a、122b、及びドーパントを含む領域128a、128bは、ドーパントを含まない酸化物半導体領域(チャネル形成領域126)と比較して導電性を高めることができる。
【0060】
本実施の形態では、酸化物半導体膜108aにおいてドーパントを含む領域122a、122bは、チャネル形成領域126よりも低抵抗であるLDD(Lightly Doped Drain)領域として機能する。また、ドーパントを含む領域128a、128bは、LDD領域よりも低抵抗であるソース領域及びドレイン領域として機能する。LDD領域として機能するドーパントを含む領域122a、122bを設けることにより、チャネル形成領域126の端部に加わる電界を緩和させることができる。このため、トランジスタの短チャネル効果を抑制することができる。なお、本発明の一態様はこれに限定されず、LDD領域を設けなくてもよい。
【0061】
酸化物半導体膜108aにおいてドーパントを含む領域122a、122b、128a、128bに含まれるドーパントの濃度は、5×1018atoms/cm以上1×1022atoms/cm以下、好ましくは5×1018atoms/cm以上5×1020atoms/cm未満とする。なお、ドーパント濃度を増加させすぎると、ドーパントがキャリアの移動を阻害することになり、ドーパントを含む領域122a、122b、及びドーパントを含む領域128a、128bの導電性を低下させることになる。
【0062】
LDD領域としてドーパントを含む領域122a、122bと、ソース領域及びドレイン領域としてドーパントを含む領域128a、128bとを設ける場合には、ドーパントを含む領域128a、128bに含まれるドーパントの濃度を、ドーパントを含む領域122a、122bよりも高濃度とすることが好ましい。
【0063】
ドーパントを含む領域122a、122bは、導電率が1×10Ω/sq.以上1×10Ω/sq.以下とすることが好ましい。
【0064】
本実施の形態では、トランジスタ200の酸化物半導体膜108aのチャネル形成領域126の酸素欠損は低減されている。これにより、酸素欠損に起因するキャリアの生成を抑制することができるため、トランジスタ200のしきい値電圧の変動を抑制することができる。酸化物半導体膜108aの側面が絶縁膜112a、112bと接していることにより、酸化物半導体膜108aの側面はソース電極及びドレイン電極と接しないため、酸化物半導体膜108aの側面において電流が流れにくくすることができる。これにより、トランジスタ200のオフ電流を低減することができる。
【0065】
以上により、電気的特性の変動が生じにくく、電気的特性の良好なトランジスタ200とすることができる。
【0066】
なお、本実施の形態においては、ソース電極及びドレイン電極の対向領域が矩形状のトランジスタを用いて説明したが、ソース電極及びドレイン電極の対向領域を適宜、U字状、C字状等としてもよい。このような構造のトランジスタは、チャネル幅を大きくすることが可能であり、オン電流を高くすることができる。
【0067】
〈半導体装置の作製方法〉
次に、図1に示すトランジスタの作製方法について、図2乃至図5を用いて説明する。
【0068】
まず、基板100上に、絶縁膜102、酸化物半導体膜104、絶縁膜106を順に形成する(図2(A)参照)。
【0069】
基板100の材質などに大きな制限はないが、少なくとも、後の熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有している必要がある。例えば、ガラス基板、セラミック基板、石英基板、サファイア基板などを、基板100として用いてもよい。また、シリコンや炭化シリコンなどの単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウムなどの化合物半導体基板、SOI基板などを適用することも可能であり、これらの基板上に半導体素子が設けられたものを、基板100として用いてもよい。本実施の形態では、基板100としてガラス基板を用いる場合について説明する。
【0070】
また、基板100として、可撓性基板を用いることもできる。例えば、基板100とは異なる基板と絶縁膜102の間に剥離層を設け、剥離層上に半導体装置を一部あるいは全部完成させた後、半導体装置の上面に基板100を貼り合わせ、剥離層において基板から分離する。これにより、可撓性を有する基板100上に半導体装置を設けることができる。
【0071】
絶縁膜102は、スパッタリング法、CVD法等により形成する。絶縁膜102は、熱が与えられることにより酸素が脱離する絶縁膜であることが好ましい。熱が与えられることにより酸素が脱離する絶縁膜としては、化学量論比を満たす酸素よりも多くの酸素を含む絶縁膜を用いることが好ましい。熱が与えられることにより酸素が脱離する絶縁膜は、加熱処理の際に、酸素が脱離することにより、後に形成される酸化物半導体膜に酸素を拡散(又は供給)させることができる。
【0072】
絶縁膜102として、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化イットリウム等を用いることができる。スパッタリング法を用いて絶縁膜102を形成することにより、熱が与えられることにより酸素が脱離しやすい絶縁膜とすることができるため、好ましい。
【0073】
また、絶縁膜102の膜厚は、50nm以上800nm以下、好ましくは200nm以上500nm以下とする。絶縁膜102を厚く形成することで、絶縁膜102から放出される酸素の量を増加させることができると共に、絶縁膜102及び後に形成される酸化物半導体膜との界面に発生する欠陥の準位の数を低減することが可能である。
【0074】
絶縁膜102は、単層構造でも積層構造でもよい。例えば、酸化シリコン膜を単層で設けてもよいし、酸化アルミニウム膜、窒化酸化シリコン膜上に酸化シリコン膜を積層してもよい。酸化アルミニウム膜及び窒化酸化シリコン膜は、ブロッキング膜として機能させることができる。これにより、基板100に含まれる不純物を酸化アルミニウム膜及び窒化酸化シリコン膜にてブロッキングすることができるため、後に形成される酸化物半導体膜に不純物が混入することを防止することができる。本実施の形態では、絶縁膜102として、スパッタリング法により、膜厚300nmで、酸化シリコン膜を形成する場合について説明する。
【0075】
絶縁膜102をスパッタリング法により形成する場合は、成膜ガスとして、酸素ガス、又は酸素及び希ガスの混合ガス等を用いることができる。また、成膜ガス中の酸素量を多くすることにより、絶縁膜102に含まれる酸素の量を増加させることができるため、好ましい。例えば、成膜ガス中の酸素濃度を6%以上100%以下にするとよい。
【0076】
絶縁膜102として、酸化シリコン膜を形成する場合、石英(好ましくは合成石英)をターゲットに用い、基板温度30℃以上450℃以下(好ましくは70℃以上200℃以下)、基板とターゲットの間の距離(T−S間距離)を20mm以上400mm以下(好ましくは40mm以上200mm以下)、圧力を0.1Pa以上4Pa以下(好ましくは0.2Pa以上1.2Pa以下)、高周波電源を0.5kW以上12kW以下(好ましくは1kW以上5kW以下)、成膜ガス中のO/(O+Ar)割合を1%以上100%以下(好ましくは6%以上100%以下)として、RFスパッタリング法を用いることが好ましい。なお、石英(好ましくは合成石英)ターゲットに代えてシリコンターゲットを用いることもできる。なお、成膜ガスとしては、酸素のみを用いてもよい。
【0077】
酸化物半導体膜104は、スパッタリング法、塗布法、印刷法、パルスレーザー蒸着法等により成膜することができる。また、酸化物半導体膜104の膜厚は、1nm以上50nm以下、好ましくは3nm以上30nm以下とする。
【0078】
酸化物半導体膜104として、少なくともIn、Ga、Sn及びZnから選ばれた一種以上の元素を含有する。このような酸化物半導体膜は、例えば、四元系金属酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn−O系金属酸化物や、三元系金属酸化物であるIn−Ga−Zn−O系金属酸化物、In−Sn−Zn−O系金属酸化物、In−Al−Zn−O系金属酸化物、Sn−Ga−Zn−O系金属酸化物、Al−Ga−Zn−O系金属酸化物、Sn−Al−Zn−O系金属酸化物や、二元系金属酸化物であるIn−Zn−O系金属酸化物、Sn−Zn−O系金属酸化物や、一元系金属酸化物であるZn−O系金属酸化物、Sn−O系金属酸化物などのターゲットを用いて成膜することができる。また、上記酸化物半導体膜104に、InとGaとSnとZn以外の元素、例えばSiOを含ませてもよい。
【0079】
例えば、In−Ga−Zn−O系酸化物半導体とは、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)を有する酸化物半導体、という意味であり、その組成比は問わない。
【0080】
また、酸化物半導体膜104は、化学式InMO(ZnO)(m>0)で表記される薄膜を用いることができる。ここで、Mは、Zn、Ga、Al、Mn及びCoから選ばれた一または複数の金属元素を示す。例えばMとして、Ga、Ga及びAl、Ga及びMn、またはGa及びCoなどがある。
【0081】
酸化物半導体膜104としてIn−Ga−Zn−O系の材料を用いる場合、ターゲットの一例として、In、Ga、及びZnを含む金属酸化物ターゲットを、In:Ga:ZnO=1:1:1[mol数比]の組成比とする。また、In:Ga:ZnO=1:1:2[mol数比]の組成比を有するターゲット、またはIn:Ga:ZnO=1:1:4[mol数比]の組成比を有するターゲット、In:Ga:ZnO=2:1:8[mol数比]の組成比を有するターゲットを用いることもできる。
【0082】
また、酸化物半導体膜104としてIn−Zn−O系の材料を用いる場合、用いるターゲットの組成比は、原子数比で、In:Zn=50:1〜1:2(モル数比に換算するとIn:ZnO=25:1〜1:4)、好ましくはIn:Zn=20:1〜1:1(モル数比に換算するとIn:ZnO=10:1〜1:2)、更に好ましくはIn:Zn=15:1〜1.5:1(モル数比に換算するとIn:ZnO=15:2〜3:4)とする。例えば、In−Zn−O系酸化物半導体の形成に用いるターゲットは、原子数比がIn:Zn:O=X:Y:Zのとき、Z>1.5X+Yとする。
【0083】
次に、酸化物半導体膜104を成膜するスパッタリング装置について、詳細に説明する。
【0084】
酸化物半導体膜104を成膜する処理室は、リークレートを1×10−10Pa・m/秒以下とすることが好ましい。これにより、スパッタリング法により成膜する際、膜中へ水素を含む不純物の混入を低減することができる。
【0085】
リークレートを低減するためには、外部リークのみならず内部リークを低減する必要がある。外部リークは、微小な穴やシール不良などによって真空系の外から気体が流入することに起因する。また、内部リークは、真空系内のバルブなどの仕切りからの漏れや内部の部材からの放出ガスに起因する。リークレートを1×10−10Pa・m/秒以下とするためには、外部リーク及び内部リークの両面から対策をとる必要がある。
【0086】
外部リークを低減するためには、処理室の開閉部分はメタルガスケットでシールするとよい。メタルガスケットは、フッ化鉄、酸化アルミニウム、又は酸化クロムによって被覆された金属材料を用いることが好ましい。メタルガスケットはOリングと比べ密着性が高く、外部リークを低減できる。また、フッ化鉄、酸化アルミニウム、酸化クロムなどの不動態によって被覆された金属材料を用いることで、メタルガスケットから生じる水素を含む放出ガスが抑制され、内部リークも低減することができる。
【0087】
処理室の内壁を構成する部材として、水素を含む放出ガスの少ないアルミニウム、クロム、チタン、ジルコニウム、ニッケル、またはバナジウムを用いることができる。また、前述の材料を鉄、クロム、及びニッケルなどを含む合金材料に被覆して用いてもよい。鉄、クロム、及びニッケルなどを含む合金材料は、剛性があり、熱に強く、また加工に適している。ここで、表面積を小さくするために部材の表面凹凸を研磨などによって低減しておくと、放出ガスを低減できる。あるいは、前述のスパッタリング装置の部材をフッ化鉄、酸化アルミニウム、酸化クロムなどの不動態で被覆してもよい。
【0088】
さらに、スパッタガスを処理室に導入する直前に、スパッタガスの精製機を設けることが好ましい。このとき、精製機から処理室までの配管の長さを5m以下、好ましくは1m以下とする。配管の長さを5m以下または1m以下とすることで、配管からの放出ガスの影響を長さに応じて低減できる。
【0089】
処理室の排気は、ドライポンプなどの粗引きポンプと、スパッタイオンポンプ、ターボ分子ポンプ及びクライオポンプなどの高真空ポンプとを適宜組み合わせて行うとよい。ターボ分子ポンプは大きいサイズの分子の排気が優れる一方、水素や水の排気能力が低い。そこで、水の排気能力の高いクライオポンプ及び水素の排気能力の高いスパッタイオンポンプを組み合わせることが有効となる。
【0090】
処理室の内側に存在する吸着物は、内壁に吸着しているために処理室の圧力に影響しないが、処理室を排気した際のガス放出の原因となる。そのため、リークレートと排気速度に相関はないが、排気能力の高いポンプを用いて、処理室に存在する吸着物をできる限り脱離し、予め排気しておくことが重要である。なお、吸着物の脱離を促すために、処理室をベーキングしてもよい。ベーキングすることで吸着物の脱離速度を10倍程度大きくすることができる。ベーキングは100℃以上450℃以下で行えばよい。このとき、不活性ガスを導入しながら吸着物の除去を行うと、排気するだけでは脱離しにくい水などの脱離速度を更に大きくすることができる。
【0091】
このように、酸化物半導体膜104の成膜工程において、好ましくは絶縁膜102の成膜工程において、処理室の圧力、処理室のリークレートなどを制御することにより、水素を含む不純物の混入を極力抑えることによって、酸化物半導体膜104への、水素を含む不純物の混入を低減することができる。また、絶縁膜102から酸化物半導体膜104への水素を含む不純物の拡散を低減することができる。
【0092】
酸化物半導体膜に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水となると共に、酸素が脱離した格子(あるいは酸素が脱離した部分)には欠陥が形成されてしまう。これを防止するために、酸化物半導体膜の成膜工程において、水素を含む不純物を極めて減らすことにより、酸化物半導体膜の欠陥を低減することが重要である。
【0093】
スパッタリング法において、プラズマを発生させるための電源装置は、RF電源装置、AC電源装置、DC電源装置等を適宜用いることができる。
【0094】
なお、スパッタリングガスは、希ガス(代表的にはアルゴン)雰囲気、酸素雰囲気、又は希ガス及び酸素の混合ガスを適宜用いる。また、スパッタリングガスには、水素を含む不純物が除去された高純度ガスを用いることが好ましい。
【0095】
本実施の形態では、酸化物半導体膜104として、スパッタリング法により、膜厚20nmで、In−Ga−Zn−O系金属酸化物膜を形成する場合について説明する。
【0096】
まず、減圧状態に保持された処理室内に基板を保持し、処理室内の残留水分を除去しつつ、水素などの不純物が除去されたスパッタガスを導入し、In−Ga−Zn−O系金属酸化物をターゲットとして絶縁膜102上に膜厚20nmで酸化物半導体膜104を成膜する。成膜時に、基板温度を100℃以上600℃以下、好ましくは200℃以上400℃以下としてもよい。基板を加熱しながら成膜することにより、成膜した酸化物半導体膜104に含まれる水素などの不純物濃度を低減することができる。また、スパッタリングによる損傷が軽減される。
【0097】
成膜条件の一例としては、基板とターゲットとの間の距離を100mm、基板温度300℃、圧力0.4Pa、直流(DC)電源0.5kW、酸素(酸素流量比率100%)雰囲気下の条件が適用される。この成膜条件を適用することにより、酸化物半導体膜104は、c軸配向結晶とすることができる。なお、パルス直流(DC)電源を用いると、成膜時に発生するパーティクルと呼ばれる塵埃が軽減でき、膜厚分布も均一となるため好ましい。
【0098】
絶縁膜106は、絶縁膜102と同様の方法及び材料を用いて形成することができる。本実施の形態では、絶縁膜106として、スパッタリング法により、膜厚30nmで酸化シリコン膜を形成する。
【0099】
なお、絶縁膜102、酸化物半導体膜104、絶縁膜106は連続的に形成することが好ましい。絶縁膜102を形成した後、大気に曝さず酸化物半導体膜104及び絶縁膜106を形成することで、絶縁膜102と酸化物半導体膜104との界面、及び酸化物半導体膜104と絶縁膜106との界面における水素の付着を低減することができる。または、加熱装置を有するマルチチャンバーのスパッタリング装置において、絶縁膜102を形成し、加熱装置で絶縁膜102を加熱して水素を脱離させた後、絶縁膜102上に酸化物半導体膜104を形成してもよい。
【0100】
絶縁膜102、酸化物半導体膜104、及び絶縁膜106の成膜工程において、処理室の圧力、処理室のリークレートなどを制御することにより、水素を含む不純物の混入を極力抑えることによって、絶縁膜102、酸化物半導体膜104、及び絶縁膜106への、水素を含む不純物の混入を低減することができる。また、絶縁膜102から酸化物半導体膜104へ、及び絶縁膜106から酸化物半導体膜104へ水素を含む不純物の拡散を低減することができる。
【0101】
次に、基板100に加熱処理を施して、酸化物半導体膜104より水素を放出させると共に、絶縁膜102及び絶縁膜106に含まれる酸素を、酸化物半導体膜104と、絶縁膜102と酸化物半導体膜104との界面近傍、及び酸化物半導体膜104と絶縁膜106との界面近傍に拡散させる。この結果、図2(B)に示すように、水素濃度及び酸素欠損が低減された酸化物半導体膜108を形成することができる。また、絶縁膜102と酸化物半導体膜108との界面における界面準位を低減することができる。
【0102】
加熱処理の温度は、酸化物半導体膜104から水素を放出させると共に、絶縁膜102及び絶縁膜106に含まれる酸素を脱離させ、更には酸化物半導体膜104に拡散させる温度が好ましく、例えば、150℃以上基板歪み点未満、好ましくは250℃以上450℃以下、更に好ましくは300℃以上450℃以下とする。
【0103】
また、加熱処理は、RTA(Rapid Thermal Anneal)装置を用いることができる。RTA装置を用いることで、短時間に限り、基板100の歪み点以上の温度で熱処理を行うことができる。そのため、酸化物半導体膜104からの水素の放出、及び絶縁膜102及び絶縁膜106から酸化物半導体膜104への酸素拡散の時間を短縮することができる。
【0104】
加熱処理は、不活性ガス雰囲気で行うことができ、例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン、クリプトン等の希ガス、または窒素雰囲気で行うことが好ましい。また、酸素雰囲気及び減圧雰囲気で行ってもよい。処理時間は3分〜24時間とする。
【0105】
本実施の形態に示すように、絶縁膜102及び絶縁膜106により酸化物半導体膜104を挟む状態で加熱処理を行うことで、絶縁膜102及び絶縁膜106に含まれる酸素が酸化物半導体膜104に拡散するため、酸化物半導体膜108に含まれる酸素欠損を低減することができる。また、絶縁膜102が酸化物半導体膜104に覆われており、絶縁膜102の表面が露出していないため、絶縁膜102から脱離した酸素を効率良く酸化物半導体膜104に拡散させることができる。これにより、酸化物半導体膜108の酸素欠損、及び絶縁膜102及び酸化物半導体膜108の界面の界面準位を低減することができる。また、加熱処理を行うことにより、酸化物半導体膜108に含まれる水素濃度を低減することができる。これにより、酸化物半導体膜108を、i型(真性)又はi型に限りなく近い半導体とすることができる。
【0106】
次に、絶縁膜106上にマスク110を形成した後、当該マスク110を用いて、絶縁膜106、酸化物半導体膜108、及び絶縁膜102を選択的にエッチングして、島状の絶縁膜106a、酸化物半導体膜108a、及び絶縁膜102aを形成する(図2(C)参照)。これにより、絶縁膜106、酸化物半導体膜108、及び絶縁膜102の素子分離領域はエッチングされ、絶縁膜106、酸化物半導体膜108、及び絶縁膜102には素子分離溝が形成される。
【0107】
絶縁膜106、酸化物半導体膜108、及び絶縁膜102をエッチングするためのマスク110は、フォトリソグラフィ工程、インクジェット法、印刷法等を適宜用いることができる。
【0108】
また、酸化物半導体膜108のエッチングはウエットエッチングまたはドライエッチングを用いることができ、ウエットエッチングとドライエッチングを組み合わせて用いてもよい。また、酸化物半導体膜108aの端部がテーパ形状となるようにエッチングすることが好ましい。フォトリソグラフィ工程を用いる場合は、レジストマスクを後退させつつエッチングすることでテーパ形状とすることができる。なお、エッチングの際に、水素を含む不純物が含まれないように行うことが望ましい。
【0109】
ウエットエッチングに用いるエッチング液としては、例えば、燐酸と酢酸と硝酸を混ぜた溶液、アンモニア過水(31重量%過酸化水素水:28重量%アンモニア水:水=5:2:2(体積比))などを用いることができる。また、ITO07N(関東化学社製)を用いてもよい。
【0110】
ドライエッチングに用いるエッチングガスとしては、例えば、塩素を含むガス(塩素系ガス、例えば塩素(Cl)、3塩化硼素(BCl)、4塩化珪素(SiCl)、4塩化炭素(CCl)など)が好ましい。また、フッ素を含むガス(フッ素系ガス、例えば4弗化炭素(CF)、6弗化硫黄(SF)、3弗化窒素(NF)、トリフルオロメタン(CHF)など)、臭化水素(HBr)、メタン(CH)、酸素(O)、これらのガスにヘリウム(He)やアルゴン(Ar)などの希ガスを添加したガス、などを用いることができる。
【0111】
ドライエッチングとしては、平行平板型RIE(Reactive Ion Etching)法や、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用いることができる。所望の形状に加工できるように、エッチング条件(コイル型の電極に印加される電力量、基板側の電極に印加される電力量、基板側の電極温度など)を適宜調節する。
【0112】
ドライエッチングの条件として、例えば、ICP/Bias=450/100W、圧力1.9Pa、エッチングガスは、BCl及びClの混合ガスとし、流量は、BCl/Cl=60/20sccmとする。このような条件を採用することにより、絶縁膜106及び酸化物半導体膜108を島状に形成した後、絶縁膜102を選択的に除去して、絶縁膜106a、酸化物半導体膜108a、及び絶縁膜102aを形成することができる。
【0113】
なお、絶縁膜102を除去する深さは、絶縁膜102の膜厚にもよるが、例えば、絶縁膜102の膜厚が300nmの場合、100nm除去することが好ましい。また、除去された絶縁膜102aの側壁は、基板100に対して垂直であっても良いし、傾斜を有していてもよい。
【0114】
この後、マスク110を除去する。なお、マスク110を除去するために、剥離液を用いると、酸化物半導体膜108aの側面から酸素が脱離する場合があるため、マスク110の除去方法としてアッシングを用いてもよい。
【0115】
酸化物半導体膜108を選択的にエッチングする際、例えば、ドライエッチングにおいて酸化物半導体膜の側面が塩素ラジカル、フッ素ラジカル等を含むプラズマに曝されると、酸化物半導体膜の側面に露出する金属原子と、塩素ラジカル、フッ素ラジカル等とが結合する。このとき、金属原子と塩素原子、フッ素原子が結合して脱離するため、酸化物半導体膜中に当該金属原子と結合していた酸素原子が活性となる。活性となった酸素原子は容易に反応し、脱離しやすい。そのため、酸化物半導体膜の側面には酸素欠損が生じやすい。
【0116】
エッチング工程により露出された酸化物半導体膜の側面が活性であると、減圧雰囲気または還元雰囲気、更には減圧雰囲気での加熱処理において、酸素が引き抜かれ、該酸化物半導体膜の側面で酸素欠損を生じる。当該酸素欠損の一部はドナーとなり、キャリアである電子を生成するため、該酸化物半導体膜の側面はn型化する。トランジスタのソース電極およびドレイン電極が、n型化した酸化物半導体膜の側面と接することにより、酸化物半導体膜の側面を介して、ソース電極およびドレイン電極間にリーク電流が発生してしまう。該リーク電流は、トランジスタのオフ電流の上昇の原因となる。また、酸化物半導体膜の側面を介して流れる電流は、場合によって、酸化物半導体膜の側面をチャネル形成領域とするトランジスタを形成する可能性がある。
【0117】
つまり、エッチング工程により露出された酸化物半導体膜108aの側面は活性であり、酸素欠損が生じているといえる。
【0118】
次に、絶縁膜102a及び酸化物半導体膜108a上に絶縁膜112を形成する(図2(D)参照)。絶縁膜112は、絶縁膜102及び絶縁膜106と同様に、熱が与えられることにより酸素が脱離する絶縁膜を用いて形成してもよい。また、絶縁膜112として、酸化物半導体膜108aの側面から酸素が脱離することを防止することができる絶縁膜を用いることが好ましい。この場合は、絶縁膜112として、酸化アルミニウム膜を用いることができる。また、絶縁膜112の成膜方法は、絶縁膜102と同様の成膜方法及び材料を適宜選択することができる。なお、絶縁膜112を成膜する際に、酸化物半導体膜108aの側面から酸素の脱離量を低減するため、絶縁膜112の成膜温度は、可能な限り低い温度、好ましくは室温で成膜することが望ましい。また、絶縁膜112として、スパッタリング法により形成した窒化シリコン膜、又は窒化アルミニウム膜なども用いることができる。
【0119】
本実施の形態では、絶縁膜112として、酸化アルミニウム膜の単層構造を用いる場合について説明する。なお、本発明の一態様はこれに限定されず、二層以上の積層構造を用いてもよい。
【0120】
次に、絶縁膜112に平坦化処理を行うことにより、絶縁膜112a、112bを形成する(図3(A)参照)。これにより、絶縁膜102aに形成された素子分離溝に絶縁膜112a、112bを埋め込むことができる。なお、素子分離溝に埋め込まれた絶縁膜112a、112bを素子分離絶縁膜とも記す。
【0121】
平坦化処理は、化学的機械研磨法(Chemical Mechanical Polishing:CMP法)等の研磨処理、ドライエッチング又はウエットエッチング等のエッチング処理、または研磨処理とエッチング処理を組み合わせて行うことができる。ここでは、CMP処理を用いて、絶縁膜112に平坦化処理を行う場合について説明する。絶縁膜112の平坦化処理は、絶縁膜106aが露出、又は絶縁膜106aの表面と同じ高さになるまで行う。なお、酸化物半導体膜108aの膜厚が数nm〜数十nmと薄いため、酸化物半導体膜108aが、平坦化処理によって除去されないようにすることが望ましい。
【0122】
絶縁膜112にCMP処理を行う条件は、例えば、ポリウレタン地の研磨布、シリカ系スラリー(粒径60nm)を用い、スラリー流量100ml/min以上500ml/min以下、研磨圧0.005MPa以上0.08MPa以下、スピンドル回転数20rpm以上50rpm以下、テーブル回転数20rpm以上50rpm以下、処理時間0.2minとすることができる。
【0123】
酸化物半導体膜108aの側面に、絶縁膜112a、112bを接して設けることにより、酸化物半導体膜108aの側面から酸素が脱離することを防止することができる。また、酸化アルミニウム膜はドライエッチングに対して耐性が高いため、酸化物半導体膜108aの側面に接して設けることにより、トランジスタ作製工程中に酸化物半導体膜108aの側面が露出してしまうことを防止することができる。これにより、酸化物半導体膜108aの側面に酸素欠損が生じることを防止することができる。
【0124】
次に、絶縁膜106aの露出した箇所を除去して、酸化物半導体膜108aの表面を露出させる(図3(B)参照)。絶縁膜106aの除去は、エッチング処理を用いて行う。但し、酸化物半導体膜108aの膜厚が数nm〜数十nmと薄いため、酸化物半導体膜108aに対して選択比が高いエッチング条件を採用することが必要である。また、絶縁膜106aの露出した箇所を除去した後、酸化物半導体膜108aの表面を平坦にしておくことで、トランジスタの電気的特性を向上させることができる。
【0125】
ドライエッチングの条件として、例えば、ICP/Bias=500/50W、圧力1.5Pa、エッチングガスは、CF及びOの混合ガスとし、流量比は、CF/O=70/30sccmとする。このような条件を採用することにより、絶縁膜106aを選択的に除去することができる。また、酸化物半導体膜108aが除去されてしまうことを抑制することができる。エッチングの際に、水素を含む不純物が含まれないように行うことが望ましい。
【0126】
ここで、加熱処理を行ってもよい。加熱処理を行うことで、酸化物半導体膜108a中の水素を含む不純物を除去することができる。また、絶縁膜102aの酸素が脱離することにより、酸化物半導体膜108aと、絶縁膜102aとが接している面から酸素を供給することができるため、酸化物半導体膜108a中に含まれる酸素欠損を低減することができる。
【0127】
次に、酸化物半導体膜108a、絶縁膜112a、112b上に絶縁膜114を成膜する(図3(C)参照)。絶縁膜114は、後にゲート絶縁膜となる。絶縁膜114は、絶縁膜102と同様に、熱が与えられることにより酸素が脱離する絶縁膜を用いて形成することが好ましい。また、絶縁膜114として、ハフニウムシリケート(HfSiO)、窒素が添加されたハフニウムシリケート(HfSi)、窒素が添加されたハフニウムアルミネート(HfAl)、酸化ハフニウム、酸化イットリウムなどのhigh−k材料を用いることにより、ゲートリークを低減することができる。なお、絶縁膜114として、high−k材料を用いて形成する場合には、スパッタリング法により形成する。
【0128】
絶縁膜114の成膜方法は、絶縁膜102と同様の成膜方法を適宜選択することができる。また、絶縁膜114の膜厚は、1nm以上300nm以下、より好ましくは5nm以上50nm以下とするとよい。なお、絶縁膜114を形成する際、酸化物半導体膜108aの表面から脱離する酸素の量を低減するため、絶縁膜114の成膜温度は、可能な限り低い温度、好ましくは室温で成膜することが望ましい。本実施の形態では、絶縁膜114として、CVD法により、膜厚15nmで酸化窒化シリコン膜を形成する。
【0129】
次に、導電膜116、導電膜118、及び絶縁膜120を形成する(図3(D)参照)。導電膜116及び導電膜118は、後にゲート電極となる。導電膜116及び導電膜118は、スパッタリング法、CVD法、蒸着法等を用いて形成する。また、導電膜116及び導電膜118は、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンから選ばれた金属元素、上述した金属元素を成分とする合金、又は上述した金属元素を組み合わせた合金などを用いて形成することができる。また、マンガン、ジルコニウムのいずれか一または複数から選択された金属元素を用いてもよい。また、アルミニウムに、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた元素の膜、または複数組み合わせた合金膜、もしくは窒化膜を用いてもよい。
【0130】
導電膜116と導電膜118との組み合わせとして、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にタングステン膜を積層する二層構造などが挙げられる。なお、本実施の形態では、ゲート電極を、導電膜116及び導電膜118の二層構造で形成する場合について説明するが、本発明の一態様はこれに限定されない。ゲート電極は、単層構造で形成してもよいし、3層以上の積層構造で形成してもよい。ゲート電極を単層構造とする場合には、シリコンを含むアルミニウム膜を用いることもできる。また、ゲート電極を三層構造とする場合には、チタン膜、該チタン膜上にアルミニウム膜を積層し、更にその上にチタン膜を積層すればよい。
【0131】
また、導電膜116及び導電膜118として用いることができる材料として、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電性材料を適用することもできる。また、上記透光性を有する導電性材料と、上記金属元素の積層構造とすることもできる。
【0132】
また、導電膜116として、窒素を含むIn−Ga−Zn−O膜や、窒素を含むIn−Sn−O膜や、窒素を含むIn−Ga−O膜や、窒素を含むIn−Zn−O膜や、窒素を含むSn−O膜や、窒素を含むIn−O膜や、金属窒化膜(InN、ZnNなど)を設けてもよい。これらの膜は、5eV、好ましくは5.5eV以上の仕事関数を有し、トランジスタの電気特性のしきい値電圧をプラスにすることができ、所謂ノーマリーオフのスイッチング素子を実現できる。例えば、窒素を含むIn−Ga−Zn−O膜を用いる場合、少なくとも酸化物半導体膜108aより高い窒素濃度、具体的には7原子%以上の窒素を含むIn−Ga−Zn−O膜を用いることができる。
【0133】
絶縁膜120は、絶縁膜102と同様の材料及び成膜方法を用いて形成することができる。また、絶縁膜120の膜厚は、10nm以上150nm以下とする。
【0134】
本実施の形態では、導電膜116として、スパッタリング法により、膜厚300nmで、窒化タンタル膜を形成し、導電膜118として、スパッタリング法により、膜厚135nmで、タングステン膜を形成し、絶縁膜120として、PCVD法により、膜厚200nmで酸化窒化シリコン膜を形成する。導電膜116、導電膜118、絶縁膜120は、連続成膜することが好ましい。
【0135】
次に、絶縁膜120上にマスクを形成して、導電膜116、導電膜118、及び絶縁膜120をエッチングして、導電膜116a、導電膜118a、及び絶縁膜120aを形成する(図4(A)参照)。導電膜116a及び導電膜118aは、ゲート電極として機能する。また、絶縁膜120aを形成することにより、後に形成されるソース電極及びドレイン電極と、ゲート電極とがショートすることを防止することができる。絶縁膜120上に形成するマスクとして、無機材料からなるマスク(所謂ハードマスク)を用いる。マスクとして、例えば、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコンなどを用いることができる。なお、絶縁膜120上に形成するマスクの形成には、印刷法、インクジェット法、フォトリソグラフィ法を適宜用いてもよい。なお、導電膜116a、導電膜118a、及び絶縁膜120aを形成した後、マスクを除去する。
【0136】
導電膜116、導電膜118、及び絶縁膜120のエッチングには、ウエットエッチングまたはドライエッチングを用いることができ、ウエットエッチングとドライエッチングを組み合わせて用いてもよい。導電膜116、導電膜118、及び絶縁膜120を所望の形状にエッチングできるよう、材料に合わせてエッチング条件(エッチングガスやエッチング液、エッチング時間、温度等)を適宜設定する。ただし、トランジスタのチャネル長(L)を微細に加工するためには、ドライエッチングを用いることが好ましい。
【0137】
絶縁膜120のドライエッチングの条件として、ICP/Bias=475/300W、圧力3.5Pa、基板温度70℃、エッチングガスは、CHF、He、及びCHの混合ガスとし、流量比は、CHF/He/CH=22.5/127.5/5sccmとする。また、導電膜118のドライエッチングの条件として、ICP/Bias=3000/110W、圧力0.67Pa、基板温度40℃、エッチングガスは、Cl、CF、及びOの混合ガスとし、流量比は、Cl/CF、/O=45/55/55sccmとする。また、導電膜116のドライエッチングの条件として、ICP/Bias=1000/25W、圧力2.0Pa、基板温度−10℃、エッチングガスは、Clガスとし、流量比は、Cl=100sccmとする。このような条件を採用することにより、導電膜116、導電膜118、及び絶縁膜120を選択的に除去することができる。また、絶縁膜114が除去されてしまうことを抑制することができる。エッチングの際に、水素を含む不純物が含まれないように行うことが望ましい。
【0138】
次に、酸化物半導体膜108aにドーパントを添加する処理を行って、ドーパントを含む領域122a、122bを形成する(図4(B)参照)。導電膜116a、導電膜118a、及び絶縁膜120aをマスクとしてドーパントを添加することにより、セルフアラインでドーパントが添加されたドーパントを含む領域122a、122b、及びドーパントが添加されない酸化物半導体領域(チャネル形成領域126)を形成することができる。
【0139】
酸化物半導体膜108aにドーパントを添加する方法として、イオンドーピング法またはイオンインプランテーション法を用いることができる。また、添加するドーパントとしては、窒素、リン、若しくは砒素などの15族元素、水素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、またはキセノンから少なくとも一つを選択する。ここでは、導電膜116a、導電膜118a、及び絶縁膜120aがマスクとなるため、ドーパントが添加される領域であるドーパントを含む領域122a、122bと、チャネル形成領域126をセルフアラインで形成することができる。
【0140】
さらに、上記ドーパントの添加はイオンドーピング法またはイオンインプランテーション法などにより注入する以外の方法でも行うことができる。例えば、添加する元素を含むガス雰囲気にてプラズマを発生させて、被添加物に対してプラズマ処理を行うことによって、ドーパントを添加することができる。上記プラズマを発生させる装置としては、ドライエッチング装置やプラズマCVD装置、高密度プラズマCVD装置などを用いることができる。
【0141】
ドーピングの条件として、例えば、ドーパントが窒素の場合、加速電圧を20kVとして行う。また、ドーパントがリンの場合、加速電圧を40kVとして行う。窒素又はリンのドーズ量が1×1014/cm以下の場合は、450℃未満で熱処理を行うことが好ましい。これにより、ドーパントを含む領域122a、122bにおいてシート抵抗を1×10Ω/sq.以下とすることができる。また、ドーズ量が5×1014/cm以上5×1015/cm未満の場合は、450℃以上600℃以下で熱処理を行うことが好ましい。
【0142】
これにより、ドーパントを含む領域122a、122bにおいてシート抵抗を1×10Ω/sq.以下とすることができる。さらに、ドーズ量が5×1015/cm以上の場合は、600℃以上で熱処理を行うことがこのましい。これにより、ドーパントを含む領域122a、122bにおいてシート抵抗を1×10Ω/sq.以下とすることができる。
【0143】
ドーパントを含む領域122a、122bにおいて、シート抵抗を低減することにより、ドーパントを含む領域と導電膜130aの間、及びドーパントを含む領域と導電膜130bの間に形成される抵抗成分を低減することができるため、トランジスタのオン電流及び移動度を向上させることができる。
【0144】
次に、導電膜116a及び導電膜118aの側面にサイドウォール絶縁膜124a、124bを形成する(図4(C)参照)。まず、絶縁膜112a、112b、酸化物半導体膜108a、及び絶縁膜120a等を覆うように、絶縁膜を形成する。該絶縁膜は、絶縁膜102と同様の材料及び成膜方法を用いて形成することができる。また、窒化シリコン膜上に酸化シリコン膜が成膜された積層構造を採用することもできる。本実施の形態では、サイドウォール絶縁膜124a、124bを形成するための絶縁膜として、スパッタリング法により、酸化窒化シリコン膜を形成する。
【0145】
次に、加熱処理を行ってもよい。当該加熱処理の温度は、代表的には、150℃以上450℃以下、好ましくは250℃以上325℃以下とする。または、150℃から450℃まで、又は250℃から325℃まで徐々に温度上昇させながら加熱してもよい。
【0146】
加熱処理を行うことにより、酸化物半導体膜108aに接している絶縁膜114から酸化物半導体膜108aに酸素が拡散し、絶縁膜114と接する酸化物半導体膜108aの面とその近傍の酸素欠損を低減することができる。また、ドーパントを含む領域122a、122bの抵抗を低減することができる。なお、加熱処理を行うことによって、ドーパントを含む領域122a、122bは、結晶状態となっても非晶質状態となってもよい。
【0147】
その後、絶縁膜に異方性の高いエッチングを行うことにより、サイドウォール絶縁膜124a、124bを形成する。このとき、絶縁膜114も選択的に除去され、ゲート絶縁膜114aとなる。
【0148】
次に、酸化物半導体膜108aにドーパントを添加する処理を行って、ドーパントを含む領域128a、128bを形成する(図4(D)参照)。導電膜116a、導電膜118a、絶縁膜120a、サイドウォール絶縁膜124a、124bをマスクとしてドーパントを添加することにより、セルフアラインでドーパントを含む領域128a、128bを形成することができる。
【0149】
酸化物半導体膜108aにドーパントを添加する方法は、ドーパントを含む領域122a、122bを形成する際に説明した方法を適用すればよい。
【0150】
なお、ドーパントを含む領域128a、128bのドーパント濃度は、ドーパントを含む領域122a、122bのドーパント濃度よりも高くなるように、ドーパントを添加することが好ましい。
【0151】
次に、絶縁膜112a、112b、酸化物半導体膜108a、絶縁膜120a等を覆うように、導電膜130を形成し、該導電膜130上に導電膜132を形成する(図5(A)参照)。導電膜130及び導電膜132は、後にソース電極及びドレイン電極となる。導電膜130及び導電膜132として、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、またはタングステンからなる単体金属、またはこれを主成分とする合金を用いることができる。また、導電膜116及び導電膜118と同様に、酸化インジウム、酸化錫または酸化亜鉛を含む透明導電材料を用いてもよい。
【0152】
ソース電極及びドレイン電極として機能する導電膜130と導電膜132との組み合わせとして、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する二層構造、タングステン膜上にチタン膜を積層する二層構造、銅−マグネシウム−アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構造などが挙げられる。なお、本実施の形態では、ソース電極及びドレイン電極を、導電膜130及び導電膜132の二層構造で形成する場合について説明するが、本発明の一態様はこれに限定されない。ソース電極及びドレイン電極は、単層構造で形成してもよいし、三層以上の積層構造で形成してもよい。ソース電極及びドレイン電極を単層構造とする場合には、タングステン膜を用いることができる。また、ソース電極及びドレイン電極を三層構造とする場合には、チタン膜、該チタン膜上にアルミニウム膜を積層し、更にその上にチタン膜を積層すればよい。
【0153】
また、本実施の形態において、導電膜130の膜厚は、導電膜132の膜厚よりも薄いことが好ましい。例えば、導電膜130の膜厚は、10nm以上50nm以下とし、導電膜132の膜厚は、50nm以上500nm以下とする。
【0154】
本実施の形態では、導電膜130として、スパッタリング法により、膜厚30nmでタングステン膜を形成し、導電膜132として、スパッタリング法により、膜厚100nmでチタン膜を形成する場合について説明する。
【0155】
次に、導電膜132上にマスクを形成し、導電膜132をエッチングすることにより、導電膜132a、132bを形成する(図5(B)参照)。導電膜132のエッチングには、ウエットエッチングまたはドライエッチングを用いることができ、ウエットエッチングとドライエッチングを組み合わせて用いてもよい。導電膜132を所望の形状にエッチングできるよう、材料に合わせてエッチング条件(エッチングガスやエッチング液、エッチング時間、温度等)を適宜設定する。ただし、トランジスタを微細に加工するためには、ドライエッチングを用いるのが好ましい。ドライエッチングに用いるエッチングガスとしては、例えば、六フッ化硫黄(SF)、三フッ化窒素(NF)、トリフルオロメタン(CHF)などのフッ素を含むガス、又は、四フッ化炭素(CF)と水素の混合ガス等を用いることができ、希ガス(ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、キセノン(Xe))、一酸化炭素、又は二酸化炭素等を添加しても良い。
【0156】
導電膜130としてタングステンを用い、導電膜132としてチタンを用いた場合のエッチング条件として、例えば、ICP/Bias=450/100W、圧力1.9Pa、エッチングガスは、BCl及びClの混合ガスとし、流量比は、BCl/Cl=60/20sccmとする。このような条件を採用することにより、導電膜132は除去され、導電膜130が除去されないようにすることが可能である。また、導電膜132が除去されることによって、導電膜132a、132bを形成することができる。
【0157】
次に、導電膜132a、132b、及び導電膜130上にマスクを形成し、導電膜130をエッチングすることにより、導電膜130a、130bを形成する(図5(C)参照)。これにより、ソース電極及びドレイン電極を形成することができる。導電膜130a、130bを、サイドウォール絶縁膜124a、124bに接して設けることにより、マスクずれが生じたとしても確実に酸化物半導体膜108aの表面を導電膜で覆うことができる。また、マスクずれに伴うトランジスタの電気的特性のバラツキを抑制することができる。さらに、ソース電極及びドレイン電極を形成する際に、酸化物半導体膜108aがエッチングガスに曝されないため、好ましい。
【0158】
エッチング条件として、例えば、ICP/Bias=500/10W、圧力1.5Pa、エッチングガスは、CF、Cl及びOの混合ガスとし、流量比は、CF/Cl/O=25/25/10sccmとする。このような条件を採用することにより、導電膜130は除去され、絶縁膜120a、サイドウォール絶縁膜124a、124bが除去されないようにすることが可能である。また、導電膜130が除去されることによって、導電膜130a、130bを形成することができる。また、導電膜130a、130bは、それぞれサイドウォール絶縁膜124a、124bに接する構造となる。また、絶縁膜120aが導電膜118a上に設けられていることにより、導電膜130a、130bが、導電膜118aと接することを防止することができる。これにより、ゲート電極と、ソース電極及びドレイン電極とがショートすることを防止することができる。
【0159】
次に、導電膜130a、130b、導電膜132a、132b、及び絶縁膜120a上に絶縁膜134を形成し、絶縁膜134上に絶縁膜136を形成する(図5(D)参照)。絶縁膜134及び絶縁膜136は、酸化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化タンタル等の無機絶縁材料を含む材料を用いて形成することができる。また、ポリイミド、アクリル等の有機絶縁材料を用いて形成することも可能である。ここでは、絶縁膜134及び絶縁膜136の二層構造としているが、トランジスタを覆う絶縁膜の構成はこれに限定されない。絶縁膜136の形成後には、その表面を、CMPやエッチング処理などによって平坦化してもよい。
【0160】
以上の工程により、本発明の一態様に係るトランジスタ200を作製することができる(図5(D)参照)。
【0161】
なお、本実施の形態では、トランジスタ200において、ソース電極及びドレイン電極を、導電膜130aと導電膜132aとの積層、及び導電膜130bと導電膜132bとの積層で構成する場合について示したが、本発明の一態様はこれに限定されない。図6に示すトランジスタ210のように、ソース電極及びドレイン電極を、導電膜132a、132bの単層で構成してもよい。
【0162】
本発明の一態様に係る作製方法によれば、酸化物半導体膜に含まれる水素を含む不純物を低減することができる。したがって、該酸化物半導体膜のチャネル形成領域を、i型(真性)又はi型に限りなく近い半導体とすることができる。これにより、トランジスタのオフ電流を極めて小さくすることができる。
【0163】
また、本発明の一態様に係るトランジスタにおいて、酸化物半導体膜のチャネル形成領域の酸素欠損は低減されている。これにより、酸素欠損に起因するキャリアの生成を抑制することができるため、トランジスタのしきい値電圧の変動を抑制することができる。また、酸化物半導体膜の側面に熱が与えられることにより酸素が脱離する絶縁膜と接していることにより、酸化物半導体膜の側面はソース電極及びドレイン電極と接しないため、酸化物半導体膜の側面において電流を流れにくくすることができる。これにより、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
【0164】
また、本発明の一態様に係るトランジスタでは、熱が与えられることにより酸素が脱離する絶縁膜上に酸化物半導体膜を形成した後、加熱処理を行うことにより、絶縁膜から酸化物半導体膜に酸素を拡散させるとともに、絶縁膜及び酸化物半導体膜の界面における界面準位を低減することができる。また、酸化物半導体膜を選択的にエッチングした後、エッチングされた酸化物半導体膜の側面と接するように、熱が与えられることにより酸素が脱離する絶縁膜を形成する。これにより、エッチングされた酸化物半導体膜の側面が減圧雰囲気及びエッチャントに曝されないため、酸化物半導体膜の側面における酸素欠損の生成を低減することができる。さらに、ゲート絶縁膜を形成した後の加熱工程により、熱が与えられることにより酸素が脱離する絶縁膜から酸化物半導体膜に酸素が拡散するため、酸化物半導体膜の側面に酸素欠損が生じたとしても、拡散した酸素によって酸素欠損を低減することができる。この結果、トランジスタのしきい値電圧のマイナスシフトを低減すると共に、トランジスタのソース電極及びドレイン電極間にリーク電流が発生することを抑制することが可能である。
【0165】
本発明の一態様に示す構成によって、酸化物半導体を用いた半導体装置において、電気的特性の変動が生じにくく、電気的特性の良好な半導体装置を提供することができる。
【0166】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1とは一部異なるトランジスタの作製方法について、図7及び図8を参照して説明する。なお、実施の形態1に示すトランジスタ200の作製方法と異なる点は、ソース電極及びドレイン電極の形成方法である。従って、実施の形態1と同様の工程の詳細な説明は省略する。
【0167】
ゲート電極、及びサイドウォール絶縁膜124a、124bをマスクとして酸化物半導体膜108aにドーパントを添加し、ドーパントを含む領域128a、128bを形成した後、導電膜130と導電膜132とを順に積層する(図7(A)参照)。図7に示す作製工程おいて、導電膜130としてスパッタリング法により、膜厚30nmでタングステン膜を形成し、導電膜132としてスパッタリング法により、膜厚100nmで、銅膜を形成する場合について説明する。
【0168】
その後、フォトリソグラフィ工程により導電膜132上にマスク140a、140bを形成し、マスク140a、140bを用いて導電膜132にエッチングを行うことにより、導電膜132c、132dを形成する(図7(B)参照)。本実施の形態では、エッチングは、ウエットエッチングを用いて行う。
【0169】
次に、マスク140a、140bを用いて導電膜130にエッチングを行うことにより、導電膜130c、130dを形成する(図7(C)参照)。本実施の形態では、エッチングは、ドライエッチングを用いて行う。ドライエッチングは、実施の形態1で説明した条件を採用すればよい。なお、導電膜130c、130dを形成した後、マスク140a、140bは除去する。
【0170】
ここで、導電膜130c、130dを介して、酸化物半導体膜108aにドーパントを更に添加してもよい。
【0171】
次に、導電膜130c、130d、導電膜132c、132d、及び絶縁膜120a上に絶縁膜134を形成し、絶縁膜134上に絶縁膜136を形成する(図7(D)参照)。
【0172】
以上の工程により、本発明の一態様に係るトランジスタ220を形成することができる。
【0173】
次に、トランジスタ220の作製方法とは一部が異なるトランジスタ230の作製方法について、図8を参照して説明する。
【0174】
まず、図7(A)と同様に、ゲート電極、及びサイドウォール絶縁膜124a、124bをマスクとして酸化物半導体膜108aにドーパントを添加し、ドーパントを含む領域128a、128bを形成した後、導電膜130及び導電膜132を順に積層する。図8に示す作製工程においては、導電膜130としてスパッタリング法により、膜厚30nmで、タングステン膜を形成し、導電膜132としてスパッタリング法により、膜厚100nmで、チタン膜を形成する場合について説明する。
【0175】
その後、フォトリソグラフィ工程により導電膜132上にマスク142a、142bを形成し、マスク142a、142bを用いて導電膜132及び導電膜130にエッチングを行うことにより、導電膜132e、132f、導電膜130e、130fを形成する(図8(A)参照)。本実施の形態では、エッチングは、ドライエッチングを用いて行う。
【0176】
次に、マスク142a、142bにスリミング処理を行うことにより、マスク142a、142bを縮小し、マスク142c、142dを形成する。これにより、導電膜132e、132fの一部が露出する。マスク142c、142dを用いて、露出した導電膜132e、132fにエッチングを行うことにより、導電膜132g、132hを形成する(図8(B)参照)。導電膜132g、132hを形成した後、マスク142c、142dは除去する。
【0177】
ここで、導電膜132g、132hを介して酸化物半導体膜108aにドーパントを更に添加してもよい。
【0178】
次に、導電膜130e、130f、導電膜132g、132h、及び絶縁膜120a上に絶縁膜134を形成し、絶縁膜134上に絶縁膜136を形成する(図8(C)参照)。
【0179】
以上の工程により、本発明の一態様に係るトランジスタ230を形成することができる。
【0180】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1及び2に示すトランジスタを用いた半導体装置の回路構成および動作の例について、図9乃至図12を参照して説明する。なお、回路図においては、酸化物半導体を用いたトランジスタであることを示すために、OSの符号を併せて付す場合がある。
【0181】
〈半導体装置の断面構成〉
はじめに、半導体装置の断面構成の一例について、図9(A)を参照して説明する。図9(A)に示す半導体装置は、下部に第1の半導体材料を用いたトランジスタ320を有し、上部に容量素子252と、第2の半導体材料を用いたトランジスタ250を有する。また、図9に示す半導体装置は、メモリセルとして機能する。
【0182】
ここで、トランジスタ320に用いられる第1の半導体材料と、トランジスタ250に用いられる第2の半導体材料とは、異なる半導体材料とすることが好ましい。例えば、第1の半導体材料として、酸化物半導体以外の半導体材料(例えば、シリコンなど)を用いることが好ましい。また、第2の半導体材料として、酸化物半導体材料を用いることが好ましい。酸化物半導体以外の半導体材料が用いられたトランジスタ320は、高速動作が容易となり、酸化物半導体が用いられたトランジスタ250は、オフ電流を極めて小さくできるため長時間の電荷の保持が可能となる。
【0183】
図9(A)におけるトランジスタ320は、基板300上に、下地として機能する絶縁膜301を介して、半導体材料(例えば、シリコンなど)を含むチャネル形成領域312と、チャネル形成領域312を挟むように設けられた不純物領域310aおよび不純物領域310bと、チャネル形成領域312上に設けられたゲート絶縁膜304と、ゲート絶縁膜304上に設けられたゲート電極308aと、を有する。
【0184】
なお、図9(A)において、ソース電極やドレイン電極を図示しない場合について示すが、便宜上、このような状態を含めてトランジスタと呼ぶ。また、この場合、トランジスタの接続関係を説明するために、ソース領域やドレイン領域を含めてソース電極やドレイン電極と表現することがある。つまり、本明細書等において、ソース電極との記載には、ソース領域が含まれうる。不純物領域310aは、トランジスタ320のソース電極及びドレイン電極の一方として機能する。不純物領域310bは、トランジスタ320のソース電極及びドレイン電極の他方として機能する。
【0185】
また、トランジスタ320及び、電極308bと接するように、絶縁膜314が設けられている。また、絶縁膜314は、トランジスタ320のゲート電極308a及び電極308bの上面が露出するように設けられている。
【0186】
なお、高集積化を実現するためには、図9(A)に示すようにトランジスタ320がサイドウォール絶縁膜を有しない構成とすることが望ましい。一方で、トランジスタ320の特性を重視する場合には、ゲート電極308aの側面にサイドウォール絶縁膜を設け、そのサイドウォール絶縁膜と重畳する領域に形成された不純物濃度が異なる領域を含めて不純物領域310a、不純物領域310bを設けても良い。
【0187】
図9(A)におけるトランジスタ250は、絶縁膜314、ゲート電極308a、電極308b上に設けられている。絶縁膜314は、熱が与えられることにより酸素が脱離する絶縁膜であることが好ましい。
【0188】
図9(A)におけるトランジスタ250には、本発明の一態様に係るトランジスタが適用される。トランジスタ250は、チャネル形成領域126aと、ゲート絶縁膜114aと、導電膜116a及び導電膜118aで形成されるゲート電極と、絶縁膜120aと、サイドウォール絶縁膜124a、124bと、ドーパントを含む領域122a、122b、128a、128bと、導電膜130a、130bと、導電膜132bと、を有する。
【0189】
図9(A)における容量素子252は、ゲート電極308a、酸化物半導体膜においてドーパントが添加されていない領域126bと、絶縁膜114bと、導電膜116b及び導電膜118bで形成される電極と、で構成される。すなわち、電極は、容量素子252の一方の電極として機能し、ゲート電極308aは、容量素子252の他方の電極として機能することになる。
【0190】
図9(A)に示すトランジスタ250のゲート電極と、容量素子の電極とは、同一工程で形成されるため、容量素子252の電極についてもサイドウォール絶縁膜124c、124d、及び絶縁膜120bが形成される。また、ドーパントを含む領域122c、122dについては、ドーパントを含む領域122a、122bと同一工程で形成され、ドーパントを含む領域128cについても、ドーパントを含む領域128a、128bと同一工程で形成される。
【0191】
図9(A)に示す半導体装置において、酸化物半導体膜の側面には、酸化物半導体膜108aの側面から酸素が脱離することを防止することができる絶縁膜112a、112bが設けられている。
【0192】
また、トランジスタ250および容量素子252を覆うように絶縁膜134が設けられており、絶縁膜134の上には絶縁膜136が設けられている。そして、導電膜132bは、絶縁膜134および絶縁膜136に形成された開口を介して、配線138と接続されている。
【0193】
また、図9(A)において、不純物領域310bは、不純物領域306、ゲート絶縁膜304に形成された開口、電極308b、及び酸化物半導体膜のドーパントを含む領域128bを介して導電膜130bに接続されている。すなわち、トランジスタ320のソース電極またはドレイン電極の他方と、トランジスタ250のソース電極またはドレイン電極の一方は電気的に接続されている。
【0194】
ただし、本発明の一態様はこれに限られるものではない。メモリセル、トランジスタおよび容量素子の電気的接続は適宜変更することができる。例えば、不純物領域310bは、不純物領域306および不純物領域310cを介して、他のメモリセルの不純物領域310aと電気的に接続していてもよい。その場合、ゲート絶縁膜304には開口が形成されなくてもよい。また電極308bが形成されなくてもよい。すなわち、トランジスタ320のソース電極またはドレイン電極の他方と他のメモリセルのトランジスタ320のソース電極またはドレイン電極の一方とが電気的に接続される場合は、トランジスタ320のソース電極またはドレイン電極の他方とトランジスタ250のソース電極またはドレイン電極の一方は、電気的に接続されていなくてもよい。
【0195】
また、電極308bを設けることにより、絶縁膜314をCMP処理する際に生じるディッシングを防ぐことができ、絶縁膜314、ゲート電極308a、及び電極308bの上面をより平坦化することができる。これにより、酸化物半導体膜の被形成面を平坦とすることができるため好ましい。
【0196】
なお、上記トランジスタは、いずれもnチャネル型トランジスタであるものとして説明するが、pチャネル型トランジスタを用いることができるのはいうまでもない。また、開示する発明の技術的な本質は、情報を保持するために酸化物半導体のようなオフ電流を十分に低減することが可能な半導体材料をトランジスタ250に用いる点にあるから、半導体装置に用いられる材料や半導体装置の構造など、半導体装置の具体的な構成をここで示すものに限定する必要はない。
【0197】
〈基本回路〉
次に、図9(A)で示した半導体装置の基本的な回路構成およびその動作について、図9(B)を参照して説明する。図9(B)に示す半導体装置において、第1の配線(1st Line)とトランジスタ320のソース電極またはドレイン電極とは、電気的に接続され、第2の配線(2nd Line)とトランジスタ320のドレイン電極またはソース電極とは、電気的に接続されている。また、第3の配線(3rd Line)とトランジスタ250のソース電極またはドレイン電極とは、電気的に接続され、第4の配線(4th Line)と、トランジスタ250のゲート電極とは、電気的に接続されている。そして、トランジスタ320のゲート電極と、トランジスタ250のドレイン電極またはソース電極とは、容量素子252の電極の一方と電気的に接続され、第5の配線(5th Line)と、容量素子252の電極の他方とは電気的に接続されている。なお、第1の配線(1st Line)と第3の配線(3rd Line)は電気的に接続されていてもよい。なお、トランジスタ320のゲート電極と、トランジスタ250のソース電極またはドレイン電極と、容量素子252の電極の一方とが接続された箇所を、ノードFGと記す。
【0198】
ここで、トランジスタ250には、本発明の一態様に係るトランジスタが適用される。本発明の一態様に係るトランジスタは、オフ電流が極めて小さいという特徴を有している。このため、トランジスタ250をオフ状態とすることで、トランジスタ320のゲート電極の電位を極めて長時間にわたって保持することが可能である。そして、容量素子252を有することにより、トランジスタ320のゲート電極に与えられた電荷の保持が容易になり、また、保持された情報の読み出しが容易になる。
【0199】
なお、トランジスタ320に用いられる第1の半導体材料については特に限定されない。情報の読み出し速度を向上させるという観点からは、例えば、単結晶シリコンを用いたトランジスタなど、スイッチング速度の高いトランジスタを適用するのが好適である。
【0200】
図9(B)に示す半導体装置では、トランジスタ320のゲート電極の電位が保持可能という特徴を生かすことで、次のように、情報の書き込み、保持、読み出しが可能である。
【0201】
はじめに、情報の書き込みおよび保持について説明する。まず、第4の配線の電位を、トランジスタ250がオン状態となる電位にして、トランジスタ250をオン状態とする。これにより、第3の配線の電位が、トランジスタ320のゲート電極、および容量素子252に与えられる。すなわち、トランジスタ320のゲート電極には、所定の電荷が与えられる(書き込み)。ここでは、異なる二つの電位を与える電荷(以下、低電位Vによって与えられる電荷を電荷Q、高電位Vによって与えられる電荷を電荷Qという)のいずれかが与えられるものとする。なお、異なる三つまたはそれ以上の電位を与える電荷を適用して、記憶容量を向上させても良い。その後、第4の配線の電位を、トランジスタ250がオフ状態となる電位にして、トランジスタ250をオフ状態とすることにより、トランジスタ320のゲート電極に与えられた電荷が保持される(保持)。
【0202】
トランジスタ250のオフ電流は極めて小さいから、トランジスタ320のゲート電極の電荷は長時間にわたって保持される。
【0203】
次に、情報の読み出しについて説明する。第1の配線に所定の電位(定電位)を与えた状態で、第5の配線に適切な電位(読み出し電位)を与えると、トランジスタ320のゲート電極に保持された電荷量に応じて、第2の配線は異なる電位をとる。一般に、トランジスタ320をnチャネル型とすると、トランジスタ320のゲート電極にQが与えられている場合の見かけのしきい値Vth_Hは、トランジスタ320のゲート電極にQが与えられている場合の見かけのしきい値Vth_Lより低くなるためである。ここで、見かけのしきい値とは、トランジスタ320を「オン状態」とするために必要な第5の配線の電位をいうものとする。したがって、第5の配線の電位をVth_HとVth_Lの中間の電位V(たとえばV=接地電位GND)とすることにより、トランジスタ320のゲート電極に与えられた電荷の有無を判別できる。例えば、書き込みにおいてQが与えられた場合には、第5の配線の電位がV(>Vth_H)となれば、トランジスタ320は「オン状態」となる。Qが与えられた場合には、第5の配線の電位がV(<Vth_L)となっても、トランジスタ320は「オフ状態」のままである。このため、第2の配線の電位を見ることで、保持されている情報を読み出すことができる。
【0204】
なお、メモリセルをアレイ状に配置して用いる場合には、所望のメモリセルの情報のみを読み出せることが必要になる。このように、所定のメモリセルの情報を読み出し、それ以外のメモリセルの情報を読み出さない場合には、読み出しの対象ではないメモリセルの第5の配線に対して、ゲート電極の状態にかかわらずトランジスタ320が「オフ状態」となるような電位、つまり、Vth_Hより低い電位(たとえばV)を与えればよい。
【0205】
次に、情報の書き換えについて説明する。情報の書き換えは、上記情報の書き込みおよび保持と同様に行われる。つまり、第4の配線の電位を、トランジスタ250がオン状態となる電位にして、トランジスタ250をオン状態とする。これにより、第3の配線の電位(新たな情報に係る電位)が、トランジスタ320のゲート電極および容量素子252に与えられる。その後、第4の配線の電位を、トランジスタ250がオフ状態となる電位にして、トランジスタ250をオフ状態とすることにより、トランジスタ320のゲート電極は、新たな情報に係る電荷が与えられた状態となる。
【0206】
このように、本実施の形態に係る半導体装置は、再度の情報の書き込みによって直接的に情報を書き換えることが可能である。このためフラッシュメモリなどにおいて必要とされる高電圧を用いてのフローティングゲートからの電荷の引き抜きが不要であり、消去動作に起因する動作速度の低下を抑制することができる。つまり、半導体装置の高速動作が実現される。
【0207】
なお、トランジスタ250のドレイン電極(またはソース電極)は、トランジスタ320のゲート電極と電気的に接続されることにより、不揮発性メモリ素子として用いられるフローティングゲート型トランジスタのフローティングゲートと同等の作用を奏する。したがって、トランジスタ250がオフの場合、ノードFGは絶縁体中に埋設されたと見ることができ、ノードFGには電荷が保持される。酸化物半導体を用いたトランジスタ250のオフ電流は、シリコンなどで形成されるトランジスタの10万分の1以下であるため、トランジスタ250のリークによる、ノードFGに蓄積された電荷の消失を無視することが可能である。つまり、酸化物半導体を用いたトランジスタ250により、電力の供給が無くても情報の保持が可能な不揮発性の記憶装置を実現することが可能である。
【0208】
例えば、トランジスタ250は、室温(25℃)でのオフ電流が10zA(1zA(ゼプトアンペア)は1×10−21A)以下であり、容量素子252の容量値が10fF程度である場合には、少なくとも10秒以上のデータ保持が可能である。なお、当該保持時間が、トランジスタ特性や容量値によって変動することはいうまでもない。
【0209】
また、本実施の形態に係る半導体装置においては、従来のフローティングゲート型トランジスタにおいて指摘されているゲート絶縁膜(トンネル絶縁膜)の劣化という問題が存在しない。つまり、従来問題とされていた、電子をフローティングゲートに注入する際のゲート絶縁膜の劣化という問題を解消することができる。これは、原理的な書き込み回数の制限が存在しないことを意味するものである。また、従来のフローティングゲート型トランジスタにおいて書き込みや消去の際に必要であった高電圧も不要である。
【0210】
本実施の形態に係る半導体装置においては、ノードFGが、フラッシュメモリ等のフローティングゲート型トランジスタのフローティングゲートと同等の作用をするが、本実施の形態のノードFGは、フラッシュメモリ等のフローティングゲートと本質的に異なる特徴を有している。
【0211】
フラッシュメモリでは、コントロールゲートに印加される電位が高いため、その電位が、隣接するセルのフローティングゲートに影響を与えないように、セルとセルとの間隔をある程度保つ必要が生じる。このことは、半導体装置の高集積化を阻害する要因の一つである。そして、当該要因は、高電界をかけてトンネル電流を発生させるというフラッシュメモリの基本的な動作原理に起因するものである。
【0212】
一方、本実施の形態に係る半導体装置は、酸化物半導体を用いたトランジスタのスイッチングによって動作し、上述のようなトンネル電流による電荷注入の原理を用いない。すなわち、フラッシュメモリのような、電荷を注入するための高電界が不要である。これにより、隣接セルに対する、コントロールゲートによる高電界の影響を考慮する必要がないため、高集積化が容易になる。
【0213】
また、高電界が不要であり、大型の周辺回路(昇圧回路など)が不要である点も、フラッシュメモリに対するアドバンテージである。例えば、本実施の形態に係るメモリセルに印加される電圧(メモリセルの各端子に同時に印加される電位の最大のものと最小のものの差)の最大値は、2段階(1ビット)の情報を書き込む場合、一つのメモリセルにおいて、5V以下、好ましくは3V以下とすることができる。
【0214】
なお、半導体装置の記憶容量を大きくするためには、高集積化以外に、多値化の手法を採ることもできる。例えば、メモリセルの一に3段階以上の情報を書き込む構成とすることで、2段階(1ビット)の情報を書き込む場合と比較して記憶容量を増大させることができる。例えば、上述のような、低電位を与える電荷Q、高電位を与える電荷Qに加え、他の電位を与える電荷Qをトランジスタ320のゲート電極に与えることで、多値化を実現することができる。この場合、比較的規模の大きい回路構成(例えば、15F〜50Fなど:Fは最小加工寸法)を採用しても十分な記憶容量を確保することができる。
【0215】
次に、図9に示すメモリセルを、メモリセルアレイに適用した場合について、図10を参照して説明する。
【0216】
図10(A)及び図10(B)は、(m×n)個のメモリセル450を有する半導体装置の回路図の一例である。図10(A)及び図10(B)中のメモリセル450の構成は、図9と同様である。
【0217】
図10(A)において、ソース線SLは、図9(B)における第1の配線に相当し、ビット線BLは、図9(B)における第2の配線に相当し、信号線Sは、図9(B)における第3の配線に相当し、書き込みワード線WWLは、図9(B)における第4の配線に相当し、読み出しワード線RWLは、図9(B)における第5の配線に相当する。
【0218】
図10(A)に示す半導体装置は、m本(mは2以上の整数)の書き込みワード線WWLと、m本の読み出しワード線RWLと、n本(nは2以上の整数)のビット線BLと、n本のソース線SLと、n本の信号線Sと、メモリセル450が縦m個(行)×横n個(列)のマトリクス状に配置されたメモリセルアレイと、n本のビット線BL及びn本の信号線Sに接続する第1の駆動回路491と、m本の書き込みワード線WWLおよびm本の読み出しワード線RWLに接続する第2の駆動回路492と、を有する。なお、図10(A)に示すメモリセルアレイは、メモリセル450が直列に接続されたNAND型のメモリセルアレイである。
【0219】
図10(A)に示す半導体装置では、行ごとの書き込み動作および読み出し動作を行う。書き込み動作は次のように行われる。書き込みを行う行の書き込みワード線WWLにトランジスタ250がオン状態となる電位を与え、書き込みを行う行のトランジスタ250をオン状態にする。これにより、指定した行のトランジスタ320のゲート電極に信号線Sの電位が与えられ、該ゲート電極に所定の電荷が与えられる。このようにして、指定した行のメモリセルにデータを書き込むことができる。
【0220】
また、読み出し動作は次のように行われる。まず、読み出しを行う行以外の読み出しワード線RWLに、トランジスタ320のゲート電極に与えられた電荷によらず、トランジスタ320がオン状態となるような電位を与え、読み出しを行う行以外のトランジスタ320をオン状態とする。それから、読み出しを行う行の読み出しワード線RWLに、トランジスタ320のゲート電極が有する電荷によって、トランジスタ320のオン状態またはオフ状態が選択されるような電位(読み出し電位)を与える。そして、ソース線SLに定電位を与え、ビット線BLに接続されている読み出し回路(図示しない)を動作状態とする。ここで、ソース線SL−ビット線BL間の複数のトランジスタ320は、読み出しを行う行を除いてオン状態となっているため、ソース線SL−ビット線BL間のコンダクタンスは、読み出しを行う行のトランジスタ320の状態(オン状態またはオフ状態)によって決定される。読み出しを行う行のトランジスタ320のゲート電極が有する電荷によって、トランジスタのコンダクタンスは異なるから、それに応じて、ビット線BLの電位は異なる値をとることになる。ビット線の電位を読み出し回路によって読み出すことで、指定した行のメモリセルから情報を読み出すことができる。
【0221】
図10(B)において、ソース線SLは、図9(B)における第1の配線に相当し、ビット線BLは、図9(B)における第2の配線及び第3の配線に相当し、書き込みワード線WWLは、図9(B)における第4の配線に相当し、読み出しワード線RWLは、図9(B)における第5の配線に相当する。
【0222】
また、図10(B)に示す半導体装置は、m本(mは2以上の整数)の書き込みワード線WWLと、m本の読み出しワード線RWLと、n本(nは2以上の整数)のビット線BLと、n本のソース線SLと、メモリセル450が縦m個(行)×横n個(列)のマトリクス状に配置されたメモリセルアレイと、n本のビット線BLに接続する第1の駆動回路491と、m本の書き込みワード線WWLおよびm本の読み出しワード線RWLに接続する第2の駆動回路492と、を有する。なお、図10(B)に示すメモリセルアレイは、メモリセル450が並列に接続されたNOR型のメモリセルアレイである。
【0223】
その他、図10(A)及び図10(B)において、第2の駆動回路492には、アドレス選択信号線Aが接続されている。アドレス選択信号線Aは、メモリセルの行方向のアドレスを選択する信号を伝達する配線である。
【0224】
図10(B)に示す半導体装置では、行ごとの書き込み動作および読み出し動作を行う。書き込み動作は、上述の図10(A)に示す半導体装置と同様の方法で行われる。
【0225】
また、読み出し動作は次のように行われる。まず、読み出しを行う行以外の読み出しワード線RWLに、トランジスタ320のゲート電極に与えられた電荷によらず、トランジスタ320がオフ状態となるような電位を与え、読み出しを行う行以外のトランジスタ320をオフ状態とする。それから、読み出しを行う行の読み出しワード線RWLに、トランジスタ320のゲート電極が有する電荷によって、トランジスタ320のオン状態またはオフ状態が選択されるような電位(読み出し電位)を与える。そして、ソース線SLに定電位を与え、ビット線BLに接続されている読み出し回路(図示しない)を動作状態とする。ここで、ソース線SL−ビット線BL間のコンダクタンスは、読み出しを行う行のトランジスタ320の状態(オン状態またはオフ状態)によって決定される。つまり、読み出しを行う行のトランジスタ320のゲート電極が有する電荷によって、ビット線BLの電位は異なる値をとることになる。ビット線の電位を読み出し回路によって読み出すことで、指定した行のメモリセルから情報を読み出すことができる。
【0226】
本発明の一態様である半導体装置において、チャネル形成領域に酸化物半導体を用いたトランジスタのソース電極またはドレイン電極と、チャネル形成領域に単結晶シリコンを用いたトランジスタのゲート電極が接続されている。チャネル形成領域に酸化物半導体を用いたトランジスタのオフ電流は、チャネル形成領域に単結晶シリコンを用いたトランジスタのオフ電流の10万分の1以下である。これにより、ノードFGに蓄積された電荷の消失を極めて小さくすることができる。したがって、図10(A)及び図10(B)に示す半導体装置は、電力の供給がない場合であっても長期にわたって記憶内容を保持することが可能となり、かつ書き換え可能回数に制限のない記憶装置を得ることが可能である。
【0227】
〈半導体装置の断面構成〉
次に、いわゆるDRAM(Dynamic Random Access Memory)に相当する構成の半導体装置の一例について、図11(A)を参照して説明する。図11(A)に示す半導体装置は、トランジスタ260と、容量素子262を有するものである。
【0228】
図11(A)におけるトランジスタ260は、本発明の一態様であるトランジスタが適用される。トランジスタ260は、基板100上に、絶縁膜102aを介して設けられた酸化物半導体膜におけるチャネル形成領域126と、導電膜116aと導電膜118aとで形成されるゲート電極と、ドーパントを含む領域122a、122b、ドーパントを含む領域128a、128bと、導電膜130a、130bと、サイドウォール絶縁膜124a、124bと、ゲート絶縁膜114aと、絶縁膜120aと、を有する。
【0229】
また、図11(A)に示す半導体装置において、酸化物半導体膜の側面には、酸化物半導体膜108aの側面から酸素が脱離することを防止することができる絶縁膜112a、112bが設けられている。本実施の形態では、酸化アルミニウム膜が用いられている。
【0230】
図11(A)における容量素子262は、導電膜130a、絶縁膜135、及び導電膜132a、で構成される。すなわち、導電膜130aは、容量素子262の一方の電極として機能し、導電膜132aは、容量素子262の他方の電極として機能することになる。
【0231】
トランジスタ260および容量素子262を覆うように絶縁膜136が設けられている。そして、ドーパントを含む領域128bは、導電膜130bと、絶縁膜135に形成された開口と、導電膜132bと、を介して配線138と接続されている。なお、図11(A)では導電膜132bを用いて導電膜130bと配線138とを接続しているが、開示する発明はこれに限定されない。例えば、配線138を直接、導電膜130bに接触させてもよい。
【0232】
〈基本回路〉
次に、図11(A)で示した半導体装置の基本的な回路構成およびその動作について、図11(B)を参照して説明する。図11(B)に示す半導体装置において、第1の配線(1st Line)とトランジスタ260のソース電極またはドレイン電極とは、電気的に接続され、第2の配線(2nd Line)とトランジスタ260のゲート電極とは、電気的に接続され、容量素子262の電極の一方とトランジスタ260のドレイン電極またはソース電極とは、電気的に接続されている。また、第3の配線(3rd Line)と容量素子262の電極の他方とは、電気的に接続されている。
【0233】
ここで、トランジスタ260には、例えば、酸化物半導体を用いたトランジスタが適用される。酸化物半導体を用いたトランジスタは、オフ電流が極めて小さいという特徴を有している。このため、トランジスタ260をオフ状態とすることで、容量素子262に与えられた電位を、極めて長時間にわたって保持することが可能である。
【0234】
図11(B)に示す半導体装置では、容量素子262に与えられた電位が保持可能という特徴を生かすことで、次のように、情報の書き込み、保持、読み出しが可能である。
【0235】
はじめに、情報の書き込みおよび保持について説明する。ここでは簡単のため、第3の配線の電位は固定されているものとする。まず、第2の配線の電位を、トランジスタ260がオン状態となる電位にして、トランジスタ260をオン状態とする。これにより、第1の配線の電位が、容量素子262の電極の一方に与えられる。すなわち、容量素子262には、所定の電荷が与えられる(書き込み)。その後、第2の配線の電位を、トランジスタ260がオフ状態となる電位にして、トランジスタ260をオフ状態とすることにより、容量素子262に与えられた電荷が保持される(保持)。トランジスタ260は上述のとおり、極めてオフ電流が小さいので、長時間にわたって電荷を保持できる。
【0236】
次に、情報の読み出しについて説明する。第1の配線に所定の電位(定電位)を与えた状態で、第2の配線の電位を、トランジスタ260がオン状態となる電位にすると、容量素子262に保持されている電荷量に応じて、第1の配線は異なる電位をとる。このため、第1の配線の電位を見ることで、保持されている情報を読み出すことができる。
【0237】
次に、情報の書き換えについて説明する。情報の書き換えは、上記情報の書き込みおよび保持と同様に行われる。つまり、第2の配線の電位を、トランジスタ260がオン状態となる電位にして、トランジスタ260をオン状態とする。これにより、第1の配線の電位(新たな情報に係る電位)が、容量素子262の電極の一方に与えられる。その後、第2の配線の電位を、トランジスタ260がオフ状態となる電位にして、トランジスタ260をオフ状態とすることにより、容量素子262は、新たな情報に係る電荷が与えられた状態となる。
【0238】
このように、本発明の一態様に係る半導体装置は、再度の情報の書き込みによって直接的に情報を書き換えることが可能である。このため、半導体装置の高速動作が実現される。
【0239】
なお、上記説明は、電子を多数キャリアとするn型トランジスタ(nチャネル型トランジスタ)を用いる場合についてのものであるが、n型トランジスタに代えて、正孔を多数キャリアとするp型トランジスタを用いることができるのはいうまでもない。
【0240】
図12に、(m×n)個のメモリセル460を有する半導体装置の回路図の一例を示す。図12中のメモリセル460の構成は、図11に示すメモリセルと同様である。すなわち、図11における第1の配線が図12におけるビット線BLに相当し、図11における第2の配線が図12におけるワード線WLに相当し、図11における第3の配線が図12におけるソース線SLに相当する(図12参照)。
【0241】
図12に示す半導体装置は、n本のビット線BLと、m本のワード線WLと、メモリセル460が縦m個(行)×横n個(列)のマトリクス状に配置されたメモリセルアレイと、n本のビット線BLに接続する第1の駆動回路496と、m本のワード線WLに接続する第2の駆動回路497と、を有する。
【0242】
メモリセル460は、トランジスタ260と、容量素子262と、から構成されている。トランジスタ260のゲート電極は、ワード線WLと接続されている。また、トランジスタ260のソース電極またはドレイン電極の一方は、ビット線BLと接続されており、トランジスタ260のソース電極またはドレイン電極の他方は、容量素子262の電極の一方と接続されている。また、容量素子262の電極の他方はソース線SLと接続され、一定の電位が与えられている。トランジスタ260には、先の実施の形態に示すトランジスタが適用される。
【0243】
本発明の一態様である半導体装置は、酸化物半導体をチャネル形成領域に用いるトランジスタであるため、単結晶シリコンをチャネル形成領域に用いたトランジスタに比べてオフ電流が小さいという特徴を有する。このため、いわゆるDRAMとして認識されている図12に示す半導体装置に当該トランジスタを適用する場合、リフレッシュ期間の間隔がきわめて長いメモリを得ることが可能である。
【0244】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0245】
(実施の形態4)
本実施の形態では、先の実施の形態で説明した半導体装置を電子機器に適用する場合について、図13乃至図15を参照して説明する。
【0246】
図13は携帯機器のブロック図である。図13に示す携帯機器はRF回路501、アナログベースバンド回路502、デジタルベースバンド回路503、バッテリー504、電源回路505、アプリケーションプロセッサ506、フラッシュメモリ510、ディスプレイコントローラ511、メモリ回路512、ディスプレイ513、タッチセンサ519、音声回路517、キーボード518などより構成されている。ディスプレイ513は表示部514、ソースドライバ515、ゲートドライバ516によって構成されている。アプリケーションプロセッサ506はCPU507、DSP508、インターフェイス509(IFはインターフェイスの略)を有している。一般にメモリ回路512はSRAMまたはDRAMで構成されるが、この部分に先の実施の形態で説明した半導体装置を採用することによって、情報の書き込みおよび読み出しが高速で、長期間の記憶保持が可能で、且つ消費電力を十分に低減することができる。
【0247】
次に、図14はディスプレイのメモリ回路400に先の実施の形態で説明した半導体装置を使用した例である。図14に示すメモリ回路400は、メモリ402、メモリ403、スイッチ404、スイッチ405およびメモリコントローラ401により構成されている。メモリ402、メモリ403には、先の実施の形態で説明した半導体装置が適用される。
【0248】
まず、ある画像データがアプリケーションプロセッサ(図示しない)によって、形成される。この形成された画像データ(入力画像データ1)は、スイッチ404を介してメモリ402に記憶される。そしてメモリ402に記憶された画像データ(記憶画像データ1)は、スイッチ405、及びディスプレイコントローラ406を介してディスプレイ407に送られ、表示される。
【0249】
入力画像データに変更が無い場合、記憶画像データ1は、通常30〜60Hz程度の周期でメモリ402からスイッチ405を介して、ディスプレイコントローラ406から読み出される。
【0250】
次に、例えばユーザーが画面を書き換える操作をしたとき(すなわち、入力画像データに変更が有る場合)、アプリケーションプロセッサは新たな画像データ(入力画像データ2)を形成する。入力画像データ2はスイッチ404を介してメモリ403に記憶される。この間も定期的にメモリ402からスイッチ405を介して記憶画像データ1は読み出されている。メモリ403に新たな画像データ(記憶画像データ2)が記憶し終わると、ディスプレイ407の次のフレームより、記憶画像データ2は読み出され、スイッチ405、及びディスプレイコントローラ406を介して、ディスプレイ407に記憶画像データ2が送られ、表示がおこなわれる。この読み出しは更に次に新たな画像データがメモリ402に記憶されるまで継続される。
【0251】
このようにメモリ402、及びメモリ403は交互にデータの書き込みと、データの読み出しを行うことによって、ディスプレイ407の表示をおこなう。なお、メモリ402、及びメモリ403はそれぞれ別のメモリには限定されず、1つのメモリを分割して使用してもよい。先の実施の形態で説明した半導体装置をメモリ402、及びメモリ403に採用することによって、情報の書き込みおよび読み出しが高速で、長期間の記憶保持が可能で、且つ消費電力を十分に低減することができる。
【0252】
次に、図15は電子書籍のブロック図である。図15はバッテリー701、電源回路702、マイクロプロセッサ703、フラッシュメモリ704、音声回路705、キーボード706、メモリ回路707、タッチパネル708、ディスプレイ709、ディスプレイコントローラ710によって構成される。本発明はメモリ回路707に使用することができる。メモリ回路707の役割は書籍の内容を一時的に保持する機能を持つ。機能の例としては、ユーザーがハイライト機能を使用する場合などがある。ユーザーが電子書籍を読んでいるときに、特定の箇所にマーキングをしたい場合がある。このマーキング機能をハイライト機能と言い、表示の色を変える、アンダーラインを引く、文字を太くする、文字の書体を変えるなどによって、周囲との違いを示すことである。ユーザーが指定した箇所の情報を記憶し、保持する機能である。この情報を長期に保存する場合にはフラッシュメモリ704にコピーしても良い。このような場合においても、先の実施の形態で説明した半導体装置を採用することによって、情報の書き込みおよび読み出しが高速で、長期間の記憶保持が可能で、且つ消費電力が十分に低減することができる。
【0253】
(実施の形態5)
本実施の形態では、上述の実施の形態で説明した半導体装置を電子機器に適用する場合について、図16を用いて説明する。本実施の形態では、コンピュータ、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯情報端末(携帯型ゲーム機、音響再生装置なども含む)、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、電子ペーパー、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン受信機ともいう)などの電子機器に、上述の半導体装置を適用する場合について説明する。
【0254】
図16(A)は、ノート型のパーソナルコンピュータであり、筐体801、筐体802、表示部803、キーボード804などによって構成されている。筐体801と筐体802の少なくとも一の内部には、実施の形態4に示すメモリ回路が設けられている。また、メモリ回路には、実施の形態3に示す半導体装置が設けられている。そのため、情報の書き込みおよび読み出しが高速で、長期間の記憶保持が可能で、且つ消費電力が十分に低減されたノート型のパーソナルコンピュータが実現される。
【0255】
図16(B)は、携帯情報端末(PDA)であり、本体811には、表示部813と、外部インターフェイス815と、操作ボタン814等が設けられている。また、携帯情報端末を操作するスタイラス812などを備えている。本体811内の内部には、実施の形態4に示すメモリ回路が設けられている。また、メモリ回路には、実施の形態3に示す半導体装置が設けられている。そのため、情報の書き込みおよび読み出しが高速で、長期間の記憶保持が可能で、且つ消費電力が十分に低減された携帯情報端末が実現される。
【0256】
図16(C)は、電子ペーパーを実装した電子書籍であり、筐体821と筐体823の2つの筐体で構成されている。筐体821および筐体823には、それぞれ表示部825および表示部827が設けられている。筐体821と筐体823は、軸部837により接続されており、該軸部837を軸として開閉動作を行うことができる。また、筐体821は、電源831、操作キー833、スピーカー835などを備えている。筐体821、筐体823の少なくとも一の内部には、実施の形態4に示すメモリ回路が設けられている。また、メモリ回路には、実施の形態3に示す半導体装置が設けられている。そのため、情報の書き込みおよび読み出しが高速で、長期間の記憶保持が可能で、且つ消費電力が十分に低減された電子書籍が実現される。
【0257】
図16(D)は、携帯電話機であり、筐体840と筐体841の2つの筐体で構成されている。さらに、筐体840と筐体841は、スライドし、図16(D)のように展開している状態から重なり合った状態とすることができ、携帯に適した小型化が可能である。また、筐体841は、表示パネル842、スピーカー843、マイクロフォン844、操作キー845、ポインティングデバイス846、カメラ用レンズ847、外部接続端子848などを備えている。また、筐体840は、携帯電話機の充電を行う太陽電池セル849、外部メモリスロット850などを備えている。また、アンテナは、筐体841に内蔵されている。筐体840と筐体841の少なくともの内部には、実施の形態4に示すメモリ回路が設けられている。また、メモリ回路には、実施の形態3に示す半導体装置が設けられている。そのため、情報の書き込みおよび読み出しが高速で、長期間の記憶保持が可能で、且つ消費電力が十分に低減された携帯電話機が実現される。
【0258】
図16(E)は、デジタルカメラであり、本体861、表示部867、接眼部863、操作スイッチ864、表示部865、バッテリー866などによって構成されている。本体861の内部には、実施の形態4に示すメモリ回路が設けられている。また、メモリ回路には、実施の形態3に示す半導体装置が設けられている。そのため、情報の書き込みおよび読み出しが高速で、長期間の記憶保持が可能で、且つ消費電力が十分に低減されたデジタルカメラが実現される。
【0259】
図16(F)は、テレビジョン装置870であり、筐体871、表示部873、スタンド875などで構成されている。テレビジョン装置870の操作は、筐体871が備えるスイッチや、リモコン操作機880により行うことができる。筐体871およびリモコン操作機880の内部には、実施の形態4に示すメモリ回路が設けられている。また、メモリ回路には、実施の形態3に示す半導体装置が設けられている。そのため、情報の書き込みおよび読み出しが高速で、長期間の記憶保持が可能で、且つ消費電力が十分に低減されたテレビジョン装置が実現される。
【0260】
以上のように、本実施の形態に示す電子機器には、先の実施の形態に係る半導体装置が搭載されている。このため、消費電力を低減した電子機器が実現される。
【符号の説明】
【0261】
100 基板
102 絶縁膜
102a 絶縁膜
104 酸化物半導体膜
106 絶縁膜
106a 絶縁膜
108 酸化物半導体膜
108a 酸化物半導体膜
110 マスク
112 絶縁膜
112a 絶縁膜
112b 絶縁膜
114 絶縁膜
114a ゲート絶縁膜
114b 絶縁膜
116 導電膜
116a 導電膜
116b 導電膜
118 導電膜
118a 導電膜
118b 導電膜
120 絶縁膜
120a 絶縁膜
120b 絶縁膜
122a ドーパントを含む領域
122b ドーパントを含む領域
122c ドーパントを含む領域
122d ドーパントを含む領域
124a サイドウォール絶縁膜
124b サイドウォール絶縁膜
124c サイドウォール絶縁膜
124d サイドウォール絶縁膜
126 チャネル形成領域
126a チャネル形成領域
126b ドーパントが添加されていない領域
128a ドーパントを含む領域
128b ドーパントを含む領域
128c ドーパントを含む領域
130 導電膜
130a 導電膜
130b 導電膜
130c 導電膜
130d 導電膜
130e 導電膜
130f 導電膜
132 導電膜
132a 導電膜
132b 導電膜
132c 導電膜
132d 導電膜
132e 導電膜
132f 導電膜
132g 導電膜
132h 導電膜
134 絶縁膜
135 絶縁膜
136 絶縁膜
138 配線
140a マスク
140b マスク
142a マスク
142b マスク
142c マスク
142d マスク
200 トランジスタ
210 トランジスタ
220 トランジスタ
230 トランジスタ
250 トランジスタ
252 容量素子
260 トランジスタ
262 容量素子
300 基板
301 絶縁膜
304 ゲート絶縁膜
306 不純物領域
308a ゲート電極
308b 電極
310a 不純物領域
310b 不純物領域
310c 不純物領域
312 チャネル形成領域
314 絶縁膜
320 トランジスタ
400 メモリ回路
401 メモリコントローラ
402 メモリ
403 メモリ
404 スイッチ
405 スイッチ
406 ディスプレイコントローラ
407 ディスプレイ
450 メモリセル
460 メモリセル
491 駆動回路
492 駆動回路
496 駆動回路
497 駆動回路
501 RF回路
502 アナログベースバンド回路
503 デジタルベースバンド回路
504 バッテリー
505 電源回路
506 アプリケーションプロセッサ
507 CPU
508 DSP
509 インターフェイス
510 フラッシュメモリ
511 ディスプレイコントローラ
512 メモリ回路
513 ディスプレイ
514 表示部
515 ソースドライバ
516 ゲートドライバ
517 音声回路
518 キーボード
519 タッチセンサ
701 バッテリー
702 電源回路
703 マイクロプロセッサ
704 フラッシュメモリ
705 音声回路
706 キーボード
707 メモリ回路
708 タッチパネル
709 ディスプレイ
710 ディスプレイコントローラ
801 筐体
802 筐体
803 表示部
804 キーボード
811 本体
812 スタイラス
813 表示部
814 操作ボタン
815 外部インターフェイス
821 筐体
823 筐体
825 表示部
827 表示部
831 電源
833 操作キー
835 スピーカー
837 軸部
840 筐体
841 筐体
842 表示パネル
843 スピーカー
844 マイクロフォン
845 操作キー
846 ポインティングデバイス
847 カメラ用レンズ
848 外部接続端子
849 太陽電池セル
850 外部メモリスロット
861 本体
863 接眼部
864 操作スイッチ
865 表示部
866 バッテリー
867 表示部
870 テレビジョン装置
871 筐体
873 表示部
875 スタンド
880 リモコン操作機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、第1の絶縁膜、酸化物半導体膜、第2の絶縁膜の順に形成し、
前記第2の絶縁膜、前記酸化物半導体膜、及び前記第1の絶縁膜の素子分離領域をエッチングすることにより、前記第1の絶縁膜に素子分離溝を形成し、
前記第2の絶縁膜及び前記素子分離溝上に、第3の絶縁膜を形成し、
前記第3の絶縁膜に平坦化処理を行うことにより、前記第2の絶縁膜を露出させるとともに、前記素子分離溝に前記第3の絶縁膜を埋め込み、
前記第2の絶縁膜をエッチングすることにより、前記酸化物半導体膜を露出させ、
前記第3の絶縁膜及び露出した前記酸化物半導体膜上にゲート絶縁膜を形成し、
前記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成し、
前記ゲート電極をマスクとして、前記酸化物半導体膜に第1の濃度となるようにドーパントを添加することで、前記酸化物半導体膜に第1のドーパントを含む領域を形成し、
前記ゲート電極の側面にサイドウォール絶縁膜を形成し、
前記ゲート電極及び前記サイドウォール絶縁膜をマスクとして、第2の濃度となるように前記ドーパントを添加することにより、前記酸化物半導体膜に第2のドーパントを含む領域を形成し、
前記第3の絶縁膜及び前記第2のドーパントを含む領域と接するように、ソース電極及びドレイン電極を形成する、半導体装置の作製方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1のドーパントを含む領域のドーパントの濃度は、前記第2のドーパントを含む領域のドーパントの濃度よりも低い、半導体装置の作製方法。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記ソース電極又はドレイン電極は、第1の導電膜及び第2の導電膜を有し、
前記第1の導電膜は、前記サイドウォール絶縁膜に接する半導体装置の作製方法。
【請求項4】
請求項3において、
前記第1の導電膜の膜厚は、前記第2の導電膜の膜厚よりも薄い半導体装置の作製方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一において、
前記第1の絶縁膜として、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化イットリウムのいずれか一又は複数を用いる、半導体装置の作製方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一において、
前記第3の絶縁膜として、酸化アルミニウムを用いる、半導体装置の作製方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一において、
前記酸化物半導体膜として、In、Ga、Sn、及びZnから選ばれた一種以上の元素を含む金属酸化物を用いる、半導体装置の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−199527(P2012−199527A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−42719(P2012−42719)
【出願日】平成24年2月29日(2012.2.29)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】