基板処理装置および基板処理方法
本発明は、少なくとも1つの基板を担持した少なくとも1つの基板キャリアを中に導入することができる少なくとも1つの排気可能なプロセス・チャンバと、プラズマ発生モジュールと、少なくとも1つのガス供給部と、少なくとも1つのガス排出部とを備える基板処理装置に関する。さらに、本発明は、少なくとも1つの基板を担持した少なくとも1つの基板キャリアが少なくとも1つの排気可能なプロセス・チャンバに導入され、プロセス・チャンバ内で、プラズマ・プロセスにおいてプラズマ発生モジュールによってガスまたはガス混合物中でプラズマが発生され、基板のコーティング、エッチング、表面改質、および/または洗浄が行われる基板処理方法に関する。本発明の目的は、十分に表面テクスチャ加工された基板でさえ高いスループットおよび高品質で等方性エッチングすることができる、上記の一般的なタイプの基板処理装置および基板処理方法を提供することである。この目的は、まず、上記の一般的なタイプの基板処理装置であって、気相エッチング・モジュールがプロセス・チャンバ内に組み込まれた基板処理装置によって実現される。さらに、この目的は、上記の一般的なタイプの基板処理方法であって、プロセス・チャンバ内で、少なくとも1つの基板の気相エッチングが、プラズマ・プロセスの前に、および/またはプラズマ・プロセスの後に、および/またはプラズマ・プロセスと交互に行われる基板処理方法によって実現される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの基板を担持した少なくとも1つの基板キャリアを中に導入することができる少なくとも1つの排気可能なプロセス・チャンバと、プラズマ発生モジュールと、少なくとも1つのガス供給部と、少なくとも1つのガス排出部とを備える基板処理装置に関する。さらに、本発明は、少なくとも1つの基板を担持した少なくとも1つの基板キャリアが少なくとも1つの排気可能なプロセス・チャンバに導入され、プロセス・チャンバ内で、プラズマ・プロセスにおいてプラズマ発生モジュールによってガスまたはガス混合物中でプラズマが発生され、基板のコーティング、エッチング、表面改質、および/または洗浄が行われる基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上記の一般的なタイプの装置および方法は、マイクロエレクトロニクスおよびマイクロメカニクス分野で、様々な用途のためのプラズマ・コーティング、プラズマ・エッチング、プラズマ酸化、表面親水化および疎水化、およびプラズマ洗浄プロセスを行うために知られている。とりわけ、そのような装置および方法は、太陽電池の製造にも使用される。
【0003】
太陽電池産業は、現在、急速に発展している。2000年には早くも、最高記録として24.7%の効率をもつシリコンベースの太陽電池を製造することができた。その一方で、大量生産でのシリコン太陽電池は、単結晶太陽電池に関しては16%〜18%の効率、多結晶電池では14%〜16%の効率が実現されている。
【0004】
現在、標準的な太陽電池技術は、200μm〜400μmの厚さを有するシリコン・ウェハに基づいている。ウェハが製造された後、表面からソーイング損傷を除去する必要があり、これは、厚さ約5μmのシリコン層の除去に相当する。さらに、現代の太陽電池には、しばしばソーイング損傷によって予め決定される構造に基づいた、表面テクスチャが設けられている。このテクスチャは、特に光が斜めに入射した場合に光の閉じ込め(coupling−in)を高めるように意図されている。それにより、反射が約35%から約10%に低減される。
【0005】
ソーイング損傷の除去およびテクスチャ生成は、エッチングによって行われる。ここで、一般的な方法は、バッチ法または連続(インライン)法での湿式化学プロセスに基づく。主に単結晶基板材料に関して従来慣用のKOHを用いたアルカリ性エッチング浴は、結晶方向に依存して作用し、したがって、多結晶ウェハ上では平坦なテクスチャしか生成されない。十分なテクスチャ効果を実現するために、近年、例えば主にHF(フッ化水素酸)およびHNO3を含み、場合によってはさらにCH3COOHも含む酸性エッチング浴も使用されている。それにより、多結晶ウェハ上で、十分にテクスチャ加工された表面が得られる。
【0006】
太陽電池の製造中、ウェハ材料は、例えばp型伝導性になるように予めドープされている。pn接合を形成するためには、n型ドーピングを加えなければならない。これは、リン拡散によって行われ、その際、リンは、約0.5μmの深さまでウェハ材料中に拡散する。
【0007】
リン拡散のために、例えば、p型伝導性ウェハ上に堆積された厚さ約60nm〜100nmのPSG(リン珪酸ガラス(SiO2)1−x(P2O5)y)層などの酸化物層が使用される。特定のプロセス温度で、リンがPSG層からウェハ材料内に拡散する。その後、PSG層は、例えばSi3N4などの反射防止層がウェハに塗布される前に再び除去される。
【0008】
通常、PSG層の除去は、湿式化学HF(フッ化水素酸)エッチングによって行われる。湿式エッチングは、エッチング選択性が非常に高いという利点を有する等方性エッチング法である。典型的には、湿式エッチング中にウェハの両面が処理される。テクスチャ加工されていない太陽電池ウェハに関しては、強度2%のHFを用いた処理が通例である。
【0009】
テクスチャ加工された上面を有する新規の太陽電池の概念は、多くの場合、それぞれ上面の処理のみを必要とし、したがって、湿式化学技術で片面エッチングを可能にするような複雑な再調節が湿式化学エッチングに求められる。さらに、湿式化学法は、比較的大量のエッチング溶液を消費し、エッチング中、プロセス化学の絶え間ない変化およびエッチング浴内での反応生成物および汚染物質の増加により、プロセスを安定に保つことが比較的難しい。さらに、消費されたエッチング溶液が、廃棄処理の問題をもたらす。
【0010】
したがって、現時点では、湿式化学法の代わりにプラズマベースの乾式法を用いることができるように開発が進められている。この場合、CF3+などの反応性イオンや、反応性ラジカルF*、O*、またはCF3*など、表面上で化学エッチング効果を示す反応性粒子を生成するために、プラズマが使用される。マイクロエレクトロニクス分野からは、主に反応性イオン・エッチング(RIE)が知られており、これは、プラズマ重合によるエッチングガスからのポリマー生成によって、優れた選択性を有し、高い異方性を有し、基板表面に平行に延在していない側壁の同時パッシベーションを行う。
【0011】
プラズマによる酸化物エッチングは、主に、例えば以下の反応でフッ素によって行われる。
SiO2+CF4→SiF4+CO2
【0012】
また、NH3およびNF3ガスのマイクロ波プラズマ支援反応を行って、シリコンに対して選択的にSiO2をエッチングするNH4+を生成することも知られている。
【0013】
シリコン上での酸化物のプラズマ化学エッチングは、湿式化学エッチングと同様に十分に選択性をもつ。しかし、多結晶ウェハの場合、新規の太陽電池の概念で採用される酸性テクスチャ加工された表面には、この方法の異方性が好ましくない。衝突する反応性粒子に垂直に位置された酸化物付着位置しか良好にエッチングされない。酸性テクスチャ中に既に存在する垂直な領域および空洞は、高い異方性により、全てが十分にはエッチング除去されない。
【0014】
特に、P含有物質を添加するインライン方法の場合には、拡散プロセス後、およびウェハ表面でのPSG層の除去後に、過度に高いリン濃度が残る。厚さ約20nm〜約50nmのこの層、いわゆる「不感層」は、電荷キャリアが過飽和状態になっており、したがって十分には電気的に活性化することができない。好ましくは、「不感層」も除去すべきである。国際公開第2008/943827号パンフレットは、窒化珪素を堆積する前に「不感層」を除去するために、エッチングガスとしてC2F6−O2混合物を用いた乾式プラズマ・プロセスを提案している。この場合も、プラズマ・エッチング方法の高い異方性により、酸性テクスチャ加工された表面の場合には問題が生じ、「不感層」が一様には除去されないか、または過度に高いリン濃度を有する領域を除去するのに必要な量以上にかなり多くの材料がエッチングされる。
【0015】
さらに、マイクロエレクトロニクス分野から、シリコン・ウェハのエッチングに関して、SiO2をエッチングするための蒸気フッ化水素酸/水混合物を用いたデバイスおよび方法が知られている。すなわち、例えば独国実用新案第29915696U1号明細書が、SiO2犠牲層を備える微細構造化されたシリコン・ウェハがHF蒸気によってエッチングされる、HF気相エッチング用のエッチング装置を記載している。この既知の装置は、HF気相エッチングのために個別の気相エッチング・モジュールを有し、それらのモジュールがグリッパ・ステーション上に集合体として配置され、各モジュールにおいてウェハをエッチングすることができる。HFエッチングの前にウェハ表面から有機材料または汚染物質を除去するために、独国実用新案第29915696U1号明細書に記載されている方法の場合には、ウェハが酸素プラズマ・ストリッパ内で予め洗浄される。
【0016】
多数のプラズマ・チャンバと、HF気相エッチングの前に必要とされるプラズマ洗浄とにより、独国実用新案第29915696U1号明細書に記載されている方法は、比較的扱いにくく、しかもそれほど生産性が高くない。したがって、この周知のHF気相エッチング装置は、エッチングされるウェハのスループットが低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
したがって、本発明の目的は、十分に表面テクスチャ加工された基板でさえ高いスループットおよび高品質で等方性エッチングすることができる、上記の一般的なタイプの基板処理装置および基板処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この目的は、第一に、少なくとも1つの基板を担持した少なくとも1つの基板キャリアを中に導入することができる少なくとも1つの排気可能なプロセス・チャンバと、プラズマ発生モジュールと、少なくとも1つのガス供給部と、少なくとも1つのガス排出部とを備える基板処理装置であって、気相エッチング・モジュールがプロセス・チャンバ内に組み込まれることを特徴とする基板処理装置によって実現される。
【0019】
本発明による基板処理装置は、1つのプロセス・チャンバ内部で少なくとも1つの基板に対してプラズマ・プロセスと気相エッチングとの両方を行うことができるようにする。この場合、様々なプラズマ処理ステップおよび気相エッチング・ステップが考慮され、それらのステップをプロセス・チャンバ内で様々なシーケンスで行うことができる。したがって、本発明による基板処理装置は、様々な用途に使用することができ、プラズマ・ステップと気相エッチング・ステップの併合型プロセス・シーケンスにより、プラズマ・ステップと気相エッチング・ステップの間での時間のかかる基板取扱いステップがここでは必要ないので、効率の良い基板処理装置が得られる。
【0020】
本発明による基板処理装置によって、最適な基板処理に適するようにプラズマ・ステップの利点を気相エッチング・ステップの利点と組み合わせることができる。意外にも、本発明によれば、プラズマ・プロセスと気相エッチング・プロセスからの全く異なる要件にもかかわらずこれが可能である。
【0021】
本発明の1つの有利な実施形態では、気相エッチング・モジュールは、HF気相エッチング・モジュールである。HF気相エッチングは、例えば、シリコンに対して高いエッチング選択性を有する二酸化珪素の等方性エッチングを可能にする。したがって、本発明に従って提供されるHF気相エッチング・モジュールは、特に、シリコン太陽電池ウェハの十分にテクスチャ加工された表面上で酸化物またはPSGをエッチングするのに適しており、HFを用いた化学気相エッチングの選択性は、湿式化学HFエッチング・プロセスに匹敵する。湿式エッチング・プロセスと対照的に、本発明に従って提供されるHF気相エッチング・モジュールは、大幅に簡素化された基板の片面エッチングを確立する。エッチング・プロセスのために新規の未使用のエッチング化学物質が常に供給されるので、時間が経ってもエッチング化学物質の変化がなく、また反応生成物および汚染物質の増加もない。この点で、湿式化学プロセスの場合には、エッチング浴の再調節または完全な一新が必要となる。さらに、気相エッチング・ステップでは、湿式エッチング・ステップよりも消費されるエッチング溶液がかなり少なく、その結果、本発明による基板処理装置を用いて、より費用対効果が高く、より環境に優しいエッチング・プロセスを利用可能にすることができる。正確に言うと、現在引き続き増加している太陽電池ウェハ生産数に関して、それにより太陽電池製造業者側でのHFの必要性を全体として減らすことができるので、これは特に重要であり、その結果、化学物質製造業者から太陽電池製造業者にHFを輸送する必要も減らすことができ、したがって輸送経路を軽減することができるからである。
【0022】
基板処理装置が、エッチングガス耐性内側ライニングおよびエッチングガス耐性基板キャリアを有すると特に好適である。これらの構造的な特徴により、特に長寿命の装置を利用可能にすることができ、プラズマ・ステップと気相エッチング・ステップの両方で様々なエッチングガスを採用することができる。
【0023】
本発明の1つの好ましい変形形態によれば、気相エッチング・モジュールは、プロセス・チャンバの領域にわたって分布された複数のガス出口を有するガス・スプレーを有する。これにより、プロセス・チャンバの領域にわたって分布された複数の基板を気相エッチングすることができる可能性が得られる。
【0024】
気相エッチング・モジュールがエッチング蒸気供給ユニットに結合されることが好ましい。エッチング蒸気供給ユニットによって、それぞれのプロセス・ステップに依存して、所要の組成物のエッチング蒸気を、継続的におよび/または一時的に計量して、気相エッチング・モジュールで利用可能にすることができる。
【0025】
エッチング蒸気供給ユニットが、ガス計量システム、および/または温度調整空間を有するエッチング蒸気発生システムを有すると特に有利であることが判明している。この空間に液体エッチング物質が入っており、この空間を通して少なくとも1種のキャリアガスの流れが通される。ガス計量システムによって、それぞれのエッチング蒸気と、さらなるエッチング蒸気および/または1種または複数種のキャリアガスとを計量して混合し、エッチング蒸気供給ユニットによってプロセス・チャンバに供給することができる。さらに、温度調整空間内の液体エッチング物質を加熱してエッチング蒸気を発生させることができ、このエッチング蒸気を、キャリアガス流に同伴させ、エッチング蒸気供給ユニットを通してプロセス・チャンバ内に送ることができる。
【0026】
本発明の1つの特に好適な例示的実施形態では、プラズマ発生モジュールが、プロセス・チャンバ内で平面状に具現化された少なくとも1つの電力供給可能な電極を有する。この場合、複数の個別の電極または電気的に相互接続された電極を提供することもできる。提供される少なくとも1つの電極の平面状の具現化により、プロセス・チャンバ内で複数の基板を同時に処理することができる。この場合、基板の上面および/または裏面処理のために、基板の上および/または下に少なくとも1つの電極を提供することができる。少なくとも1つの電極は、同様に電力供給可能な対向電極を有することができる。しかし、プロセス・チャンバのハウジングが対向電極としての働きを兼ねることもでき、このとき、前記ハウジングは、典型的には接地接続部を有する。
【0027】
本発明の1つの適切な変形実施形態によれば、基板キャリアは、少なくとも1つの基板の周縁領域のための平面状の支持領域を有する少なくとも1つの基板支持体を有する。平面状の支持領域により、基板上面のプラズマ処理中にプラズマが基板裏面を腐食しないか、または無視できるほどわずかしか腐食しないように基板を基板支持体に載せることができる。さらに、平面状の支持領域は、基板とのコンタクトを形成できるようにし、それにより、例えばプラズマ処理中に基板を接地させることができる。
【0028】
本発明の1つの特定の構成では、基板支持体は、支持領域に開口を有する。これにより、さらにプロセス・チャンバ内でプラズマおよび/またはエッチング蒸気が開口を通って基板裏面に達することができ、上面処理に加えて基板の裏面も処理できるようになる。
【0029】
本発明の1つの好適な発展形態によれば、少なくとも1つの内部容積減少構成要素がプロセス・チャンバ内に提供される。それにより、プロセス・チャンバ内で行われるプロセス・ステップでプロセス・ガスおよび/またはエッチング蒸気があまり必要でなくなるようにプロセス・チャンバの内部容積を減少させることができ、したがって、特に高い費用対効果で処置を行うことができるようになる。
【0030】
さらに、基板処理装置が連続装置であると特に有利であることが判明している。その結果、基板処理装置内で、複数のプロセス・チャンバを互いに結合させることができ、それらを通して基板が連続的に進むことができる。それにより、基板処理装置内で複数のプロセス・ステップまたは技術プロセス・シーケンス全体を連続的に処理できるようにすることが可能である。
【0031】
好ましくは、基板処理装置が太陽電池を製造するための装置であり、十分にテクスチャ加工された太陽電池ウェハでさえ効果的にエッチングできるようにすることが可能である。
【0032】
本発明の1つの適切な発展形態では、プロセス・チャンバは、加熱および/または冷却デバイスを有するか、または加熱および/または冷却デバイスに結合される。加熱および/または冷却デバイスによりプロセス・チャンバ内部を加熱および/または冷却することによって、かつそれによる・チャンバ内のエッチング蒸気の温度によって、特にプロセス・チャンバ内で行われる気相エッチング・プロセスを特に良好に制御することができる。
【0033】
さらに、本発明の目的は、少なくとも1つの基板を担持した少なくとも1つの基板キャリアが少なくとも1つの排気可能なプロセス・チャンバに導入され、プロセス・チャンバ内で、プラズマ・プロセスにおいてプラズマ発生モジュールによってガスまたはガス混合物中でプラズマが発生され、基板のコーティング、エッチング、表面改質、および/または洗浄がこのように行われる基板処理方法であって、少なくとも1つの基板の気相エッチングが、プラズマ・チャンバ内で、プラズマ・プロセスの前に、および/またはプラズマ・プロセスの後に、および/またはプラズマ・プロセスと交互に行われる基板処理方法によって実現される。
【0034】
本発明による基板処理方法は、単一のプロセス・チャンバ内で少なくとも1つの基板のプラズマ処理と気相エッチングの両方を行うことができるようにする。その結果、基板をプロセス・チャンバから出す必要なく、プラズマ処理ステップを気相エッチング・ステップの直前に行うことができ、また、それらのステップの順序を逆にすることもできる。これは、プロセス・チャンバ内で先行のプロセス・ステップによって設定された基板特性が、その後の基板に対するプロセス・チャンバ内でのプロセス・ステップのための基礎として変わらないままであるという利点を有し、その結果、プロセス・ステップの質および効果、したがってまた本発明による方法によって製造される基板の品質を大幅に改善することができる。そのために必要とされる複雑な中間的な取扱いステップおよび装置部品を省くことができる。その結果、基板通過時間がより短くなり、基板スループットがより高くなり、空間要件がより小さくなり、装置技術に関するコストがより低くなる。
【0035】
本発明の1つの好ましい実施形態によれば、気相エッチングは、HF含有蒸気を用いて行われる。HFエッチング蒸気により、特に、二酸化珪素、およびリン珪酸ガラスなどのSiO2含有材料を、湿式エッチング法に匹敵するレベルで、シリコンに対する高い選択性で等方性エッチングすることができる。さらに、HF気相エッチング法は、特に基板の片面エッチングに適している。これは、酸性テクスチャ加工された太陽電池ウェハの二酸化珪素またはPSGエッチングに特に好適であり、より深い領域および/または空洞などによって届きにくくなっている領域でさえ、HF気相エッチング・ステップで確実にエッチングすることができる。さらに、提案される本発明による方法の実施形態は、HF気相エッチング・ステップで、消費されるHFが湿式化学法よりもかなり少ないという利点を提供する。さらに、最適なエッチング結果を実現するために、HF蒸気中のHF濃度を、HF含有蒸気の単純な供給および排出によって簡単に制御することができる。
【0036】
本発明による基板処理方法は、太陽電池を製造するために基板を処理するために使用される場合、特に好適である。特に太陽電池ウェハにおいて、まさに新規の技術において、十分にテクスチャ加工された表面上にでも二酸化珪素およびPSGを確実にエッチングすることができるようにする片面技術を求める要求が絶えず高まっているのは明らかである。さらに、太陽電池製造では、使用される基板がますます薄くなっており、そのため湿式エッチングがより一層難しくなっている。これは、薄い基板がエッチング浴内で浮動し、したがって確実にエッチングすることができないからである。本発明による方法により、そのような基板を容易に片面から等方性エッチングすることができる。さらに、本発明による処置は、高い基板スループットを保証し、その結果、装置費用を抑えて、短いプロセス時間で多数の太陽電池ウェハを製造することができる。
【0037】
本発明による方法の一例では、少なくとも1つのプロセス・チャンバ内で、HF気相エッチング・ステップにおいて基板の上面からPSGがエッチングされ、そのプロセス・チャンバ内で、後続のプロセス・ステップにおいてその基板の1つまたは複数の表面層のプラズマ酸化が行われる。その結果、片面での等方性および選択性エッチングを可能にするHF気相エッチング・ステップにおいて、基板の上面からPSGを確実に除去することができ、後続のプロセス・ステップにおいて、エッチングされた基板表面をプラズマ酸化によって酸化物で即時に被覆することができる。このようにして、規定の洗浄された基板表面を提供することができる。さらに、プラズマ酸化ステップで生成される酸化物によって、基板表面での汚染および/または構造的欠陥を埋めることができる。
【0038】
本発明のさらなる適切な方法変形形態では、そのプロセス・チャンバまたはさらなるプロセス・チャンバ内で、HF気相エッチング・ステップにおいて基板の裏面からPSGがエッチングされ、そのプロセス・チャンバ内で、後続のプロセス・ステップにおいて、プラズマ・エッチング・ステップで基板のエミッタ裏面エッチングが行われる。このプロセス実装によって、同じチャンバ内で、太陽電池ウェハの裏面からまずPSGを、次いで寄生エミッタ領域を除去することができる。
【0039】
本発明による基板処理方法の任意選択の一変形形態では、基板から金属イオンをエッチングするためのKOHおよびHClを含有する蒸気混合物を用いた気相エッチング・ステップが、プロセス・チャンバ内でPSGをエッチングするためのHF気相エッチング・ステップの後に行われる。このようにすると、基板上面のプラズマ酸化の前、および/または基板のエミッタ裏面エッチングのためのプラズマ・エッチング・ステップの前に、表面上の金属残留物の除去を行うことができる。
【0040】
本発明による基板処理方法のさらなる任意選択の一変形形態では、プロセス・チャンバ内またはさらなるプロセス・チャンバ内で、HF気相エッチング・ステップの前および/または基板のエミッタ裏面エッチングの後に、O2プラズマ洗浄が行われる。HF気相エッチング・ステップの前のO2プラズマ洗浄は、有機汚染物質を除去することを可能にし、それにより、後続のHF気相エッチングをより簡単に行うことができる。フッ素含有ガスを用いたプラズマ・エッチング・ステップでは、基板のエミッタ裏面エッチング中に有機ポリマーが生じるので、基板のエミッタ裏面エッチングの後にO2プラズマ洗浄によって残留物のない表面を提供することができ、前記表面は、例えば太陽電池ウェハの製造の際に反射防止層でコーティングするために、特に良好に準備される。
【0041】
本発明による基板処理方法のさらなる好ましい一実施形態によれば、プロセス・チャンバまたはさらなるプロセス・チャンバ内で、基板の1つまたは複数の表面層のプラズマ酸化が行われ、そのプロセス・チャンバ内で、後続のプロセス・ステップにおいて、酸化された表面層のHF気相エッチングが行われる。プラズマ酸化および後続のHF気相エッチングにより、基板の表面層を除去することができ、それにより基板を洗浄することができる。このようにして、例えば、シリコン基板の表面をa−Si PECVD層の堆積のために準備することができる。
【0042】
プラズマ酸化とHF気相エッチングが交互に複数回行われる場合、洗浄効果をさらに改善することができる。さらに、先行のプロセス・ステップにおいてPSGによってリンでドープされ、かつPSGをエッチングされたシリコン基板から、この交互プロセスによって「不感層」を効果的に除去することができる。
【0043】
交互プロセス・シーケンスの最終ステップがプラズマ酸化である場合、基板は、後続の窒化珪素堆積に特に良好に準備される。これは、窒化物が酸化物によく付着するからである。窒化珪素層は、例えば太陽電池ウェハ上の反射防止層として使用することができる。
【0044】
本発明による基板処理方法の同様に適切な一例では、プロセス・チャンバまたはさらなるプロセス・チャンバ内でO2プラズマ洗浄が行われ、その後、そのプロセス・チャンバ内で、HF含有蒸気または反応性酸素を用いた気相エッチング・ステップで基板の表面層がエッチングされる。O2プラズマ洗浄によって、基板の表面は、まず有機汚染物質を除去され、それにより特に、プロセス・チャンバ内でのその後の気相エッチング・ステップのために特に良好に準備される。HF含有蒸気と、例えばオゾンなどの反応性酸素とを含有する混合物が、気相エッチング・ステップで使用される。基板表面が反応性酸素によって酸化され、ほぼ同時に、酸化された層がHF含有蒸気によってシリコン基板から再びエッチングされる。HFおよび反応性酸素の濃度の適切な設定によって、プロセス・チャンバ内でのプロセスを制御することができ、それにより、例えば、PSGによってリンでドープされたシリコン基板から「不感層」を適切に除去することができる。HF蒸気の使用により、この場合、十分にテクスチャ加工されたシリコン基板からでさえ「不感層」を確実に除去することができる。さらに、このプロセス変形形態は、基板の場合には、洗浄のため、および上面層と裏面層の除去のために使用することができる。
【0045】
HF含有蒸気および反応性酸素を用いた気相エッチング・ステップにおいて、気相エッチング・ステップの最後に反応性酸素が増強されてプロセス・チャンバに供給される場合、そのようにして処理された基板は、プロセスの最後に表面に酸化物層を有する。これは、特に、例えば太陽電池ウェハ上に反射防止層を製造するための後続の窒化珪素堆積に適している。
【0046】
さらなる任意選択の一変形形態では、HF含有蒸気および反応性酸素を用いた気相エッチング・ステップの後、そのプロセス・チャンバ内でプラズマ酸化を行うこともでき、これは、基板表面上に酸化物層をもたらす。この酸化物層は、例えば太陽電池ウェハ用の反射防止層を製造するための後続の窒化珪素堆積のための適切なベースとなる。
【0047】
本発明による基板処理方法のさらなるオプションによれば、プロセス・チャンバまたはさらなるプロセス・チャンバ内で、HF気相エッチング・ステップにおいてシリコン基板の上面および/または裏面から空気酸化物が除去され、このプロセス・チャンバ内で、HF気相エッチング・ステップの前および/または後に、シリコン基板のO2プラズマ洗浄が行われる。このプロセスは、例えば太陽電池ウェハ用のpn接合を製造するためにa−Si PECVD層を堆積する前の、質の高い空気酸化物除去に特に適している。
【0048】
本発明の好ましい実施形態、ならびにその構成、機能、および利点を、図面の各図を参照して以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】概略図に基づいて、プロセス・チャンバを有する本発明による基板処理装置の可能な基本構成を模式的に示す図である。
【図2】本発明による基板処理装置内で使用することができ、基板の上面および/または裏面処理に適した基板支持体を模式的に示す図である。
【図3】本発明による基板処理装置内での基板の上面処理のための基板支持体のさらなる可能な一変形実施形態を模式的に示す図である。
【図4】フック支持体の形態での、本発明による基板処理装置内で使用することができる基板支持体のさらに別の変形形態を模式的に示す図である。
【図5】本発明による基板処理装置内で使用することができるガス計量システムの模式概略図である。
【図6】本発明による基板処理装置内で使用することができるエッチング蒸気発生システムの模式概略図である。
【図7】上流のガス計量システムおよび下流の排気ガス除去システムを有する本発明による基板処理装置の模式概略図である。
【図8】複数のプロセス・チャンバを有する本発明による基板処理装置の一実施形態を模式的に示す図である。
【図9】太陽電池基板の裏面処理用の連続装置の形態での、本発明による基板処理装置の一実施形態を模式的に示す図である。
【図10】太陽電池基板の上面処理用の連続装置の形態での、本発明による基板処理装置のさらなる実施形態を模式的に示す図である。
【図11】基板上面でのPSGエッチングのための本発明による基板処理方法の一変形実施形態を模式的に示す図である。
【図12】基板のPSGおよびエミッタ裏面エッチングのための本発明による基板処理方法の一実施形態を模式的に示す図である。
【図13】太陽電池ウェハを製造するために「不感層」を除去するための本発明による基板処理方法の一実施形態を模式的に示す図である。
【図14】太陽電池を製造するために窒化珪素を堆積する前に「不感層」を除去するための本発明による基板処理方法の一実施形態を模式的に示す図である。
【図15】太陽電池ウェハを製造するために「不感層」を除去するための本発明による基板処理方法のさらなる実施形態を模式的に示す図である。
【図16】太陽電池を製造するために窒化珪素を堆積する前に「不感層」を除去するための本発明による基板処理方法のさらなる実施形態を模式的に示す図である。
【図17】太陽電池製造中にa−Si PECVD堆積ステップの前に空気酸化物を除去するための本発明による基板処理方法の一実施形態を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1は、排気可能なプロセス・チャンバ20を備える基板処理装置10の概略図を模式的に示す。図1に例示されるプロセス・チャンバ20の個々の要素は、それらの機能的な原理を示しているにすぎず、したがって正確な尺度では図示されておらず、また、プロセス・チャンバ20内またはプロセス・チャンバ20上の他の位置に位置させることもできる。
【0051】
プロセス・チャンバ20は、実質的に高級鋼または構造鋼から形成され、エッチングガス耐性材料から構成された内側ライニング80を有する。図1に示される例示的実施形態では、内側ライニング80は、HFに対して不活性であり、例えばグラファイト、純粋なAl2O3、またはテフロンのようなポリマーから形成される。内側ライニング80は、エッチングガス耐性チャンバ・コーティングによって、あるいはチャンバの内壁に取り付けられたプレートによって形成することができる。
【0052】
プロセス・チャンバ20は、その入口と出口のどちらにもそれぞれ、バルブフラップ23を有するゲート27を有し、このゲート27は開閉することができ、ゲート27を介して外部からプロセス・チャンバ20の内部29にアクセス可能であり、さらにゲート27を介してプロセス・チャンバ20を基板処理装置10の他のプロセス・チャンバに接続することができる。さらに、プロセス・チャンバ20は、少なくとも1つのガス供給部61と、真空ポンプ24を有する少なくとも1つのガス排出部62と、加熱および/または冷却デバイス26とを有する。
【0053】
図1に示される例示的実施形態では、平面状に具現化された1つまたは複数の電極52を有するプラズマ発生モジュール50が上側領域に設けられる。各電極52との電気コンタクトが形成され、電極52にはそれぞれ個別に電位を供給することができ、あるいは電極52を相互接続することができる。
【0054】
本発明の他の変形実施形態(図示せず)では、プラズマ発生モジュール50はまた、例えばマイクロ波バーなど1つまたは複数の他のプラズマ発生要素を有することもできる。また、別の方法として、プラズマ発生モジュール50がICP(誘導結合プラズマ)モジュールを有することも想定することができ、その場合、実際のプラズマ源をプロセス・チャンバ20の外部に位置させることもできる。
【0055】
さらに、プロセス・チャンバ20内に気相エッチング・モジュール70が組み込まれ、図示される例示的実施形態では、気相エッチング・モジュール70はHF気相エッチング・モジュールであり、このモジュールは、プロセス・チャンバ20の上側領域に、プロセス・チャンバ20の領域にわたって分布された複数のガス出口72を有するガス・スプレー71を有する。気相エッチング・モジュール70は、少なくとも1つのガス供給部61を介してエッチング蒸気供給ユニット90に結合される。エッチング蒸気供給ユニット90については、図5〜7における例に基づいてより詳細に説明する。
【0056】
少なくとも1つの基板40を有する少なくとも1つの基板キャリア30を、ゲート27を通してプロセス・チャンバ20に導入することができる。基板キャリア30は、プロセス・チャンバ20の終端で、再びゲート27を通してプロセス・チャンバ20から排出させることができる。
【0057】
基板キャリア30は、エッチングガス耐性材料、好ましくはHF耐性材料からなる。図示される例示的実施形態では、基板キャリア30は、例えばAl2O3から形成される。
【0058】
図示される例示的実施形態では、基板キャリア30は、基板40用の複数の基板支持体を有する。可能な基板支持体31、34、38の例が図2〜4に図示され、以下により詳細に説明する。
【0059】
基板キャリア30は、搬送ローラ25上を案内され、搬送ローラ25は、好ましくは同様にエッチングガス耐性材料からなるか、またはそのような材料でコーティングされる。
【0060】
さらに、プロセス・チャンバ20内には、内部容積減少構成要素81が、この例では基板キャリア30の下に提供され、図示される例示的実施形態では、この構成要素は、例えばAl2O3から形成され、プロセス・チャンバ20の内部29の内部容積を減少し、それにより、内部29を充填するには、それに対応して少量の(特に基板40の上に位置されたプロセス・チャンバ内部29の部分を充填するのに十分な)プロセス・ガスまたはエッチング蒸気をプロセス・チャンバ20に導入すればよい。
【0061】
図2は、本発明による基板処理装置10の一実施形態で使用することができる基板支持体31の一例を模式的に示す。基板支持体31は、基板40の周縁領域43のための平面状の支持領域32を有する。その結果、基板40を、その周縁で、平面状の支持領域32の上に配置することができる。平面状の支持体は、プラズマが基板上面41の処理中に基板裏面42にも達するのをほぼ妨げることができる。さらに、平面状の支持領域32は、基板40とのコンタクトを形成できるようにし、それにより、例えばプラズマ・プロセス中に基板40を接地させることができる。基板支持体31は、支持領域32に開口33を有する。それにより、基板裏面42の処理も可能になる。
【0062】
図3は、同様に本発明による基板処理装置10の一実施形態で使用することができる基板支持体34のさらなる一変形実施形態を模式的に示す。基板支持体34は、その上面に切欠領域35を有し、切欠領域35内に基板40を挿入することができる。この場合、基板40は、基板40が基板支持体34上でその据付位置から滑ることがないように、切欠領域35の側壁37によって側方で境界を画された、閉じられた面36上に平面的に位置する。
【0063】
図4は、本発明による基板処理装置の一実施形態で使用することができる基板支持体38のさらなる可能な一実施形態を模式的に示す。基板支持体38は、フック要素39を有し、フック要素39の上に基板40を配置することができる。基板支持体38は、例えば両面プロセスに使用することができる。
【0064】
図5は、本発明による基板処理装置用のエッチング蒸気供給ユニット90の概略図を模式的に示す。示される例では、エッチング蒸気供給ユニット90は、質量流量制御装置を備えるガス計量システム91を有し、図示されるガス計量システム91は、例えば窒素などキャリアガス用の供給ライン96と、例えばHF含有蒸気などエッチング蒸気用の少なくとも1つの供給ライン97とを有する。ガス計量システム91内でキャリアガス/エッチング蒸気混合物が生じ、この混合物をライン98を通してプロセス・チャンバ20に供給することができる。
【0065】
図6は、エッチング蒸気供給ユニット90’のさらなる概略図を模式的に示す。エッチング蒸気供給ユニット90’は、温度調整空間94を有するエッチング蒸気発生システムを有し、その空間94内に、例えばHFなど液体エッチング物質93が溜められている。空間94は供給ライン96’を有し、供給ライン96’を通して、例えば窒素などのキャリアガスをエッチング物質93中に送ることができる。キャリアガスは、温度調整された液体エッチング物質93を通って流れ、その結果、キャリアガス/エッチング蒸気混合物が、空間94内でエッチング物質93の上に生じ、その混合物を空間94からライン98’を通してプロセス・チャンバ20に流すことができる。
【0066】
図7は、図5によるエッチング蒸気供給ユニット90をプロセス・チャンバ20に結合させることができる一法を模式的に示す。キャリアガス/エッチング蒸気混合物すなわちプロセス・ガスは、ライン98を通してプロセス・チャンバ20に供給される。図示される例では、プロセス・チャンバ20内で、プロセス圧力p≦patmまたは真空が設定される。それに対応して、プロセス・チャンバ20内に位置される基板40は、ライン98を通して供給されるプロセス・ガスによって、プロセス圧力で、または真空中で気相エッチングされる。本発明の他の変形実施形態(図示せず)では、プロセス・チャンバ20内でプロセス圧力p≧patmを設定することもでき、それにより、プロセス・チャンバ20内での気相エッチング法を雰囲気圧力または超過圧力で行うことができる。
【0067】
図7の例示的実施形態では、圧力低下は、プロセス・チャンバ20のガス排出部62に提供される真空ポンプ24によって行われる。気相エッチング・プロセスが行われた後、消費されたプロセス・ガスを、ガス排出部62を介して排気ガス除去システム63に通し、それにより生態学的に適切に再処理することができる。ガス排出部64を通って排気ガス除去システム63から出る流出空気は、雰囲気圧力patmである。
【0068】
図8は、本発明に従って提供される少なくとも2つのプロセス・チャンバ20、21を有する連続またはインライン装置の形態での、本発明による基板処理装置11の一実施形態を模式的に示す。第1のプロセス・チャンバ20のゲート27の上流で、図1に示されるような基板キャリアが、ローラ25上でキャリア搬送平面49内でプロセス・チャンバ20に導入される。プロセス・チャンバ20は、プラズマ発生モジュール50と気相エッチング・モジュール70の両方を有し、それらのモジュールによって、1つの同じプロセス・チャンバ20内で、そのプロセス・チャンバ20に導入される1つまたは複数の基板に対してプラズマ処理も気相エッチング・プロセスも行うことができる。
【0069】
プロセス・チャンバ20にはさらなるゲート27が続き、プロセス・チャンバ20内で処理された基板は、基板キャリア上で、このゲート27を通してさらなるプロセス・チャンバ21内に移動される。先と同様に、プロセス・チャンバ21内にも、プラズマ発生モジュール50と気相エッチング・モジュール70が組み込まれている。その結果、プロセス・チャンバ20、21内のどちらでも、プラズマ・プロセスと気相エッチング・プロセスの両方を行うことができる。これにより、この手段によって、基板処理装置11を通る基板のスループットをより高くすることが可能であり、プロセスの多様性を高めることができるという利点が得られる。
【0070】
プロセス・チャンバ21にはさらなるゲート27が続き、このゲート27を通して、プロセス・チャンバ21内で処理された基板を、さらなるプロセス・チャンバ28に導入することができる。さらなるプロセス・チャンバ28は、プロセス・チャンバ20、21と同一または同様に具現化することができるが、完全に異なる構成にすることもできる。例えば、プロセス・チャンバ28は、窒化珪素堆積用の堆積チャンバであってよい。
【0071】
プロセス・チャンバ28の終端にゲート27が再び設けられ、プロセス・チャンバ28内で処理された基板40を、このゲート27を通して、基板処理基板11のさらなるプロセス・チャンバ(ここには図示せず)に導入するか、または、このゲート27を通して、処理された基板40を基板処理装置11から取り出すことができる。
【0072】
図9は、太陽電池を製造するための連続またはインライン装置の形態での本発明による基板処理装置12のさらなる可能な一変形実施形態を模式的に示す。例示される基板処理装置12は、特に、太陽電池基板の裏面42の処理に適している。基板処理装置12の場合、まず、処理対象の基板40が、ゲート27を通ってロック導入チャンバ2内に進む。このロック導入チャンバ2は、ロック導入チャンバ2を排気するための真空ポンプ24に結合されている。ロック導入チャンバ2内では、後続の処理で要求されるプロセス温度Tpxが設定される。処理対象の基板40は、さらなるゲート27を通ってプロセス・チャンバ20内に進む。このプロセス・チャンバ20は、図1によるプロセス・チャンバ20と同一または同様に具現化され、特に、プラズマ発生モジュール50および気相エッチング・モジュール70を有する。プロセス・チャンバ20内で、HF気相エッチング・ステップが行われ、PSG層が基板裏面42からエッチングされる。その後、基板裏面42から寄生エミッタを除去するために、そのプロセス・チャンバ20内で、CF4およびO2を用いたRIEプラズマ・エッチング・ステップでエミッタ裏面エッチングが行われる。プロセス中、プロセス・チャンバ20の内部は真空ポンプ24によって排気され、後続の処理に要求されるプロセス温度Tpyが設定される。
【0073】
基板キャリア30上の基板40は、プロセス・チャンバ20の後に続くさらなるゲート27を通ってさらなるプロセス・チャンバ21内に進む。プロセス・チャンバ21は、図1によるプロセス・チャンバ20と同一または同様に具現化され、特に、プラズマ発生モジュール50および気相エッチング・モジュール70を有する。同様に真空ポンプ24によって排気することができるプロセス・チャンバ21内で、O2プラズマ洗浄が行われ、それにより、エミッタ裏面エッチング中に生じることがあるポリマー残留物が基板裏面42から除去される。さらにその後、そのプロセス・チャンバ21内でHF気相エッチングが行われる。
【0074】
その後、基板40は、さらなるゲート27を通ってロック3内に進む。ロック3は、真空ポンプ24によって排気することができ、ロック3内で基板40の温度を約400℃に設定することができる。
【0075】
基板40は、さらなるゲート27を通してさらなるプロセス・チャンバ4内に搬送され、プロセス・チャンバ4内で、基板裏面42にSi3N4 PECVD堆積が行われる。Si3N4 PECVD堆積中、プロセス・チャンバ4は、真空ポンプ24によって排気され、約400℃に温度調整される。その後、さらなる下流のプロセス・チャンバ5、6内で基板40をさらに処理することができる。
【0076】
図10は、太陽電池を製造するための連続またはインライン装置の形態での本発明による基板処理装置13のさらなる可能な一変形実施形態を模式的に示す。図示される基板処理装置13は、特に、太陽電池基板の基板上面41の処理に適している。
【0077】
基板処理装置13では、処理対象の基板40が、基板キャリア30によってロック導入チャンバ2内に進む。このロック導入チャンバ2は、原理的には、図9によるロック導入チャンバ2と同様に具現化される。基板40は、さらなるゲート27を通してプロセス・チャンバ20内に搬送される。このプロセス・チャンバ20は、図1によるプロセス・チャンバ20と同一または同様に具現化される。プロセス・チャンバ20内で、基板上面41からPSG層をエッチングするHF気相エッチング・ステップが行われる。エッチングされた基板の上面41は、後続のプラズマ・ステップで酸化される。プロセス・チャンバ20の後には、ゲート27を介してロック3が続き、ロック3は、図9によるロック3と同一または同様に具現化され、ロック3内で基板40が約400℃に加熱される。その後、基板40は、ゲート27を通してさらなるプロセス・チャンバ4内に進み、プロセス・チャンバ4内で、基板上面41にSi3N4 PECVD堆積が行われる。その後、さらなるプロセス・チャンバ5、6内で基板40をさらに処理し、最終的に基板処理装置13から取り出すことができる。
【0078】
図11は、本発明による基板処理方法の一実施形態を模式的に示す。この方法は、例えば、図1によるプロセス・チャンバ20内で行うことができる。図11による方法例は、太陽電池を製造するための基板40の基板上面41でのPSGエッチングに用いられる。
【0079】
まず、任意選択で、ステップ111で、基板上面41のO2プラズマ洗浄が行われる。さらなるステップ112で、HF含有蒸気を用いた気相エッチングが行われて、基板上面41からPSG層がエッチングされる。任意選択で、後続のステップ113で、同じプロセス・チャンバ20内で、例えばHFおよびO3を用いて基板上面41の気相エッチングを行って、基板上面41から金属イオンを除去することができる。
【0080】
ステップ112の直後またはステップ113の後、ステップ114で基板上面41のプラズマ酸化が行われ、その際、薄膜酸化層が前記基板上面に塗布され、その酸化物層の上には、例えば、後で塗布される窒化珪素層が特に良好に付着する。
【0081】
図12は、本発明による基板処理方法のさらなる可能な一変形実施形態を模式的に示す。図12による方法例は、例えば、太陽電池基板のPSGおよびエミッタ裏面エッチングに用いられる。
【0082】
任意選択で、図12による方法の第1の方法ステップ121で、基板40の基板裏面42のO2プラズマ洗浄が行われる。後続のステップ122で、基板裏面42からのPSG層のHF気相エッチングが行われる。任意選択で、後続のステップ123で、例えば基板裏面42での金属イオンのHFおよびO3気相エッチングを行うことができる。
【0083】
ステップ122の直後または123の後、方法ステップ124で、プロセス・チャンバ20内で、プラズマ・エッチング・ステップにおいてF含有エッチングガスまたはCl含有エッチングガスおよびO2を用いたエミッタ裏面エッチングが行われる。その後、任意選択で、ステップ125で、基板裏面42のO2プラズマ洗浄を再び行うことができる。
【0084】
図13は、本発明による基板処理方法のさらなる一変形実施形態を模式的に示し、この方法は、洗浄法としても、太陽電池基板上の「不感層」を除去するためにも使用することができる。第1の方法ステップ131で、基板上面41および/または基板裏面42のプラズマ酸化が行われる。プラズマ酸化ステップ131では、基板上面41および/または基板裏面42の1つまたは複数の表面層が酸化され、これらの表面層が、後で方法ステップ132でHF含有蒸気によってエッチングされる。ステップ131とステップ132は、交互に複数回行うことができる。
【0085】
図14は、本発明による基板処理方法のさらなる一変形実施形態を模式的に示し、この方法は、特に、太陽電池の製造で使用することができる。図14に示される方法のための出発基板はシリコン基板であり、このシリコン基板は、ステップ141で、後続のリン拡散142のためにPSG層を堆積され、その場合、PSG層は、後でステップ143で除去される。
【0086】
プロセス・チャンバ20内で行われる第1の方法ステップ144では、プラズマ酸化が行われ、プラズマ酸化中、基板上面41および/または基板裏面42の1つまたは複数の表面層が酸化される。その後、方法ステップ145で、HF含有蒸気を用いた気相エッチングが行われて、酸化された表面層を除去する。続いて、プラズマ酸化ステップ144とHF気相エッチング・ステップ145が、交互に複数回行われる。その結果、リン拡散によりシリコン基板の表面上に既に存在しているいわゆる「不感層」が少しずつ除去される。
【0087】
その後、図14による方法ステップ146でプラズマ酸化が行われ、その結果、酸化物層が基板40の表面上に生じ、その酸化物層の上には、その後、ステップ147で堆積される窒化珪素層が特に良好に付着する。
【0088】
図15は、本発明による基板処理方法のさらなる一変形実施形態を模式的に示し、これは、例えば、太陽電池基板の表面洗浄のために使用することができる。この目的で、第1の方法ステップ151で、基板40がO2プラズマ洗浄を施され、その後、気相エッチング・ステップ152で、例えばHFや、オゾンなどの反応性酸素を含有する蒸気混合物を用いてエッチングされる。好ましくは、蒸気混合物中の反応性酸素の濃度の適切な設定によって酸化、またはHF蒸気によって基板表面での酸化物層のエッチングを行うことができる。したがって、例えば、図15に示される方法により、太陽電池基板から「不感層」を除去することができ、または基板の表面を単に洗浄することができ、その後、プロセス・ステップ153でa−Si PECVD層を堆積することができる。
【0089】
図16は、本発明による基板処理方法のさらなる一変形実施形態を模式的に示し、これは、図15による方法の方法ステップに基づく。この場合、任意選択で、第1の方法ステップ161で、O2プラズマ洗浄が行われる。さらなる方法ステップ162で、HFおよび反応性酸素を含有する蒸気混合物を用いた気相エッチング・ステップが行われる。例えば、この方法ステップで「不感層」を除去することができる。その後、方法ステップ163でプラズマ酸化が行われ、その結果、例えば、太陽電池製造用の基板が、ステップ164での後続の窒化珪素堆積のために良好に準備される。
【0090】
図17は、例えばa−Si PECVD堆積ステップの前の、空気酸化物を除去するための本発明による基板処理方法のさらなる一変形実施形態を模式的に示す。
【0091】
まず、任意選択の方法ステップ171で、O2プラズマ洗浄が行われる。後続のステップ172で、HF含有蒸気を用いた気相エッチング・ステップで、基板40から空気酸化物がエッチングされる。ステップ172での空気酸化物エッチングは、基板上面41および/または基板裏面42から行うことができる。
【0092】
任意選択で、後続のプラズマ・ステップ173で、O2プラズマ洗浄を再び行うことができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの基板を担持した少なくとも1つの基板キャリアを中に導入することができる少なくとも1つの排気可能なプロセス・チャンバと、プラズマ発生モジュールと、少なくとも1つのガス供給部と、少なくとも1つのガス排出部とを備える基板処理装置に関する。さらに、本発明は、少なくとも1つの基板を担持した少なくとも1つの基板キャリアが少なくとも1つの排気可能なプロセス・チャンバに導入され、プロセス・チャンバ内で、プラズマ・プロセスにおいてプラズマ発生モジュールによってガスまたはガス混合物中でプラズマが発生され、基板のコーティング、エッチング、表面改質、および/または洗浄が行われる基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上記の一般的なタイプの装置および方法は、マイクロエレクトロニクスおよびマイクロメカニクス分野で、様々な用途のためのプラズマ・コーティング、プラズマ・エッチング、プラズマ酸化、表面親水化および疎水化、およびプラズマ洗浄プロセスを行うために知られている。とりわけ、そのような装置および方法は、太陽電池の製造にも使用される。
【0003】
太陽電池産業は、現在、急速に発展している。2000年には早くも、最高記録として24.7%の効率をもつシリコンベースの太陽電池を製造することができた。その一方で、大量生産でのシリコン太陽電池は、単結晶太陽電池に関しては16%〜18%の効率、多結晶電池では14%〜16%の効率が実現されている。
【0004】
現在、標準的な太陽電池技術は、200μm〜400μmの厚さを有するシリコン・ウェハに基づいている。ウェハが製造された後、表面からソーイング損傷を除去する必要があり、これは、厚さ約5μmのシリコン層の除去に相当する。さらに、現代の太陽電池には、しばしばソーイング損傷によって予め決定される構造に基づいた、表面テクスチャが設けられている。このテクスチャは、特に光が斜めに入射した場合に光の閉じ込め(coupling−in)を高めるように意図されている。それにより、反射が約35%から約10%に低減される。
【0005】
ソーイング損傷の除去およびテクスチャ生成は、エッチングによって行われる。ここで、一般的な方法は、バッチ法または連続(インライン)法での湿式化学プロセスに基づく。主に単結晶基板材料に関して従来慣用のKOHを用いたアルカリ性エッチング浴は、結晶方向に依存して作用し、したがって、多結晶ウェハ上では平坦なテクスチャしか生成されない。十分なテクスチャ効果を実現するために、近年、例えば主にHF(フッ化水素酸)およびHNO3を含み、場合によってはさらにCH3COOHも含む酸性エッチング浴も使用されている。それにより、多結晶ウェハ上で、十分にテクスチャ加工された表面が得られる。
【0006】
太陽電池の製造中、ウェハ材料は、例えばp型伝導性になるように予めドープされている。pn接合を形成するためには、n型ドーピングを加えなければならない。これは、リン拡散によって行われ、その際、リンは、約0.5μmの深さまでウェハ材料中に拡散する。
【0007】
リン拡散のために、例えば、p型伝導性ウェハ上に堆積された厚さ約60nm〜100nmのPSG(リン珪酸ガラス(SiO2)1−x(P2O5)y)層などの酸化物層が使用される。特定のプロセス温度で、リンがPSG層からウェハ材料内に拡散する。その後、PSG層は、例えばSi3N4などの反射防止層がウェハに塗布される前に再び除去される。
【0008】
通常、PSG層の除去は、湿式化学HF(フッ化水素酸)エッチングによって行われる。湿式エッチングは、エッチング選択性が非常に高いという利点を有する等方性エッチング法である。典型的には、湿式エッチング中にウェハの両面が処理される。テクスチャ加工されていない太陽電池ウェハに関しては、強度2%のHFを用いた処理が通例である。
【0009】
テクスチャ加工された上面を有する新規の太陽電池の概念は、多くの場合、それぞれ上面の処理のみを必要とし、したがって、湿式化学技術で片面エッチングを可能にするような複雑な再調節が湿式化学エッチングに求められる。さらに、湿式化学法は、比較的大量のエッチング溶液を消費し、エッチング中、プロセス化学の絶え間ない変化およびエッチング浴内での反応生成物および汚染物質の増加により、プロセスを安定に保つことが比較的難しい。さらに、消費されたエッチング溶液が、廃棄処理の問題をもたらす。
【0010】
したがって、現時点では、湿式化学法の代わりにプラズマベースの乾式法を用いることができるように開発が進められている。この場合、CF3+などの反応性イオンや、反応性ラジカルF*、O*、またはCF3*など、表面上で化学エッチング効果を示す反応性粒子を生成するために、プラズマが使用される。マイクロエレクトロニクス分野からは、主に反応性イオン・エッチング(RIE)が知られており、これは、プラズマ重合によるエッチングガスからのポリマー生成によって、優れた選択性を有し、高い異方性を有し、基板表面に平行に延在していない側壁の同時パッシベーションを行う。
【0011】
プラズマによる酸化物エッチングは、主に、例えば以下の反応でフッ素によって行われる。
SiO2+CF4→SiF4+CO2
【0012】
また、NH3およびNF3ガスのマイクロ波プラズマ支援反応を行って、シリコンに対して選択的にSiO2をエッチングするNH4+を生成することも知られている。
【0013】
シリコン上での酸化物のプラズマ化学エッチングは、湿式化学エッチングと同様に十分に選択性をもつ。しかし、多結晶ウェハの場合、新規の太陽電池の概念で採用される酸性テクスチャ加工された表面には、この方法の異方性が好ましくない。衝突する反応性粒子に垂直に位置された酸化物付着位置しか良好にエッチングされない。酸性テクスチャ中に既に存在する垂直な領域および空洞は、高い異方性により、全てが十分にはエッチング除去されない。
【0014】
特に、P含有物質を添加するインライン方法の場合には、拡散プロセス後、およびウェハ表面でのPSG層の除去後に、過度に高いリン濃度が残る。厚さ約20nm〜約50nmのこの層、いわゆる「不感層」は、電荷キャリアが過飽和状態になっており、したがって十分には電気的に活性化することができない。好ましくは、「不感層」も除去すべきである。国際公開第2008/943827号パンフレットは、窒化珪素を堆積する前に「不感層」を除去するために、エッチングガスとしてC2F6−O2混合物を用いた乾式プラズマ・プロセスを提案している。この場合も、プラズマ・エッチング方法の高い異方性により、酸性テクスチャ加工された表面の場合には問題が生じ、「不感層」が一様には除去されないか、または過度に高いリン濃度を有する領域を除去するのに必要な量以上にかなり多くの材料がエッチングされる。
【0015】
さらに、マイクロエレクトロニクス分野から、シリコン・ウェハのエッチングに関して、SiO2をエッチングするための蒸気フッ化水素酸/水混合物を用いたデバイスおよび方法が知られている。すなわち、例えば独国実用新案第29915696U1号明細書が、SiO2犠牲層を備える微細構造化されたシリコン・ウェハがHF蒸気によってエッチングされる、HF気相エッチング用のエッチング装置を記載している。この既知の装置は、HF気相エッチングのために個別の気相エッチング・モジュールを有し、それらのモジュールがグリッパ・ステーション上に集合体として配置され、各モジュールにおいてウェハをエッチングすることができる。HFエッチングの前にウェハ表面から有機材料または汚染物質を除去するために、独国実用新案第29915696U1号明細書に記載されている方法の場合には、ウェハが酸素プラズマ・ストリッパ内で予め洗浄される。
【0016】
多数のプラズマ・チャンバと、HF気相エッチングの前に必要とされるプラズマ洗浄とにより、独国実用新案第29915696U1号明細書に記載されている方法は、比較的扱いにくく、しかもそれほど生産性が高くない。したがって、この周知のHF気相エッチング装置は、エッチングされるウェハのスループットが低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
したがって、本発明の目的は、十分に表面テクスチャ加工された基板でさえ高いスループットおよび高品質で等方性エッチングすることができる、上記の一般的なタイプの基板処理装置および基板処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この目的は、第一に、少なくとも1つの基板を担持した少なくとも1つの基板キャリアを中に導入することができる少なくとも1つの排気可能なプロセス・チャンバと、プラズマ発生モジュールと、少なくとも1つのガス供給部と、少なくとも1つのガス排出部とを備える基板処理装置であって、気相エッチング・モジュールがプロセス・チャンバ内に組み込まれることを特徴とする基板処理装置によって実現される。
【0019】
本発明による基板処理装置は、1つのプロセス・チャンバ内部で少なくとも1つの基板に対してプラズマ・プロセスと気相エッチングとの両方を行うことができるようにする。この場合、様々なプラズマ処理ステップおよび気相エッチング・ステップが考慮され、それらのステップをプロセス・チャンバ内で様々なシーケンスで行うことができる。したがって、本発明による基板処理装置は、様々な用途に使用することができ、プラズマ・ステップと気相エッチング・ステップの併合型プロセス・シーケンスにより、プラズマ・ステップと気相エッチング・ステップの間での時間のかかる基板取扱いステップがここでは必要ないので、効率の良い基板処理装置が得られる。
【0020】
本発明による基板処理装置によって、最適な基板処理に適するようにプラズマ・ステップの利点を気相エッチング・ステップの利点と組み合わせることができる。意外にも、本発明によれば、プラズマ・プロセスと気相エッチング・プロセスからの全く異なる要件にもかかわらずこれが可能である。
【0021】
本発明の1つの有利な実施形態では、気相エッチング・モジュールは、HF気相エッチング・モジュールである。HF気相エッチングは、例えば、シリコンに対して高いエッチング選択性を有する二酸化珪素の等方性エッチングを可能にする。したがって、本発明に従って提供されるHF気相エッチング・モジュールは、特に、シリコン太陽電池ウェハの十分にテクスチャ加工された表面上で酸化物またはPSGをエッチングするのに適しており、HFを用いた化学気相エッチングの選択性は、湿式化学HFエッチング・プロセスに匹敵する。湿式エッチング・プロセスと対照的に、本発明に従って提供されるHF気相エッチング・モジュールは、大幅に簡素化された基板の片面エッチングを確立する。エッチング・プロセスのために新規の未使用のエッチング化学物質が常に供給されるので、時間が経ってもエッチング化学物質の変化がなく、また反応生成物および汚染物質の増加もない。この点で、湿式化学プロセスの場合には、エッチング浴の再調節または完全な一新が必要となる。さらに、気相エッチング・ステップでは、湿式エッチング・ステップよりも消費されるエッチング溶液がかなり少なく、その結果、本発明による基板処理装置を用いて、より費用対効果が高く、より環境に優しいエッチング・プロセスを利用可能にすることができる。正確に言うと、現在引き続き増加している太陽電池ウェハ生産数に関して、それにより太陽電池製造業者側でのHFの必要性を全体として減らすことができるので、これは特に重要であり、その結果、化学物質製造業者から太陽電池製造業者にHFを輸送する必要も減らすことができ、したがって輸送経路を軽減することができるからである。
【0022】
基板処理装置が、エッチングガス耐性内側ライニングおよびエッチングガス耐性基板キャリアを有すると特に好適である。これらの構造的な特徴により、特に長寿命の装置を利用可能にすることができ、プラズマ・ステップと気相エッチング・ステップの両方で様々なエッチングガスを採用することができる。
【0023】
本発明の1つの好ましい変形形態によれば、気相エッチング・モジュールは、プロセス・チャンバの領域にわたって分布された複数のガス出口を有するガス・スプレーを有する。これにより、プロセス・チャンバの領域にわたって分布された複数の基板を気相エッチングすることができる可能性が得られる。
【0024】
気相エッチング・モジュールがエッチング蒸気供給ユニットに結合されることが好ましい。エッチング蒸気供給ユニットによって、それぞれのプロセス・ステップに依存して、所要の組成物のエッチング蒸気を、継続的におよび/または一時的に計量して、気相エッチング・モジュールで利用可能にすることができる。
【0025】
エッチング蒸気供給ユニットが、ガス計量システム、および/または温度調整空間を有するエッチング蒸気発生システムを有すると特に有利であることが判明している。この空間に液体エッチング物質が入っており、この空間を通して少なくとも1種のキャリアガスの流れが通される。ガス計量システムによって、それぞれのエッチング蒸気と、さらなるエッチング蒸気および/または1種または複数種のキャリアガスとを計量して混合し、エッチング蒸気供給ユニットによってプロセス・チャンバに供給することができる。さらに、温度調整空間内の液体エッチング物質を加熱してエッチング蒸気を発生させることができ、このエッチング蒸気を、キャリアガス流に同伴させ、エッチング蒸気供給ユニットを通してプロセス・チャンバ内に送ることができる。
【0026】
本発明の1つの特に好適な例示的実施形態では、プラズマ発生モジュールが、プロセス・チャンバ内で平面状に具現化された少なくとも1つの電力供給可能な電極を有する。この場合、複数の個別の電極または電気的に相互接続された電極を提供することもできる。提供される少なくとも1つの電極の平面状の具現化により、プロセス・チャンバ内で複数の基板を同時に処理することができる。この場合、基板の上面および/または裏面処理のために、基板の上および/または下に少なくとも1つの電極を提供することができる。少なくとも1つの電極は、同様に電力供給可能な対向電極を有することができる。しかし、プロセス・チャンバのハウジングが対向電極としての働きを兼ねることもでき、このとき、前記ハウジングは、典型的には接地接続部を有する。
【0027】
本発明の1つの適切な変形実施形態によれば、基板キャリアは、少なくとも1つの基板の周縁領域のための平面状の支持領域を有する少なくとも1つの基板支持体を有する。平面状の支持領域により、基板上面のプラズマ処理中にプラズマが基板裏面を腐食しないか、または無視できるほどわずかしか腐食しないように基板を基板支持体に載せることができる。さらに、平面状の支持領域は、基板とのコンタクトを形成できるようにし、それにより、例えばプラズマ処理中に基板を接地させることができる。
【0028】
本発明の1つの特定の構成では、基板支持体は、支持領域に開口を有する。これにより、さらにプロセス・チャンバ内でプラズマおよび/またはエッチング蒸気が開口を通って基板裏面に達することができ、上面処理に加えて基板の裏面も処理できるようになる。
【0029】
本発明の1つの好適な発展形態によれば、少なくとも1つの内部容積減少構成要素がプロセス・チャンバ内に提供される。それにより、プロセス・チャンバ内で行われるプロセス・ステップでプロセス・ガスおよび/またはエッチング蒸気があまり必要でなくなるようにプロセス・チャンバの内部容積を減少させることができ、したがって、特に高い費用対効果で処置を行うことができるようになる。
【0030】
さらに、基板処理装置が連続装置であると特に有利であることが判明している。その結果、基板処理装置内で、複数のプロセス・チャンバを互いに結合させることができ、それらを通して基板が連続的に進むことができる。それにより、基板処理装置内で複数のプロセス・ステップまたは技術プロセス・シーケンス全体を連続的に処理できるようにすることが可能である。
【0031】
好ましくは、基板処理装置が太陽電池を製造するための装置であり、十分にテクスチャ加工された太陽電池ウェハでさえ効果的にエッチングできるようにすることが可能である。
【0032】
本発明の1つの適切な発展形態では、プロセス・チャンバは、加熱および/または冷却デバイスを有するか、または加熱および/または冷却デバイスに結合される。加熱および/または冷却デバイスによりプロセス・チャンバ内部を加熱および/または冷却することによって、かつそれによる・チャンバ内のエッチング蒸気の温度によって、特にプロセス・チャンバ内で行われる気相エッチング・プロセスを特に良好に制御することができる。
【0033】
さらに、本発明の目的は、少なくとも1つの基板を担持した少なくとも1つの基板キャリアが少なくとも1つの排気可能なプロセス・チャンバに導入され、プロセス・チャンバ内で、プラズマ・プロセスにおいてプラズマ発生モジュールによってガスまたはガス混合物中でプラズマが発生され、基板のコーティング、エッチング、表面改質、および/または洗浄がこのように行われる基板処理方法であって、少なくとも1つの基板の気相エッチングが、プラズマ・チャンバ内で、プラズマ・プロセスの前に、および/またはプラズマ・プロセスの後に、および/またはプラズマ・プロセスと交互に行われる基板処理方法によって実現される。
【0034】
本発明による基板処理方法は、単一のプロセス・チャンバ内で少なくとも1つの基板のプラズマ処理と気相エッチングの両方を行うことができるようにする。その結果、基板をプロセス・チャンバから出す必要なく、プラズマ処理ステップを気相エッチング・ステップの直前に行うことができ、また、それらのステップの順序を逆にすることもできる。これは、プロセス・チャンバ内で先行のプロセス・ステップによって設定された基板特性が、その後の基板に対するプロセス・チャンバ内でのプロセス・ステップのための基礎として変わらないままであるという利点を有し、その結果、プロセス・ステップの質および効果、したがってまた本発明による方法によって製造される基板の品質を大幅に改善することができる。そのために必要とされる複雑な中間的な取扱いステップおよび装置部品を省くことができる。その結果、基板通過時間がより短くなり、基板スループットがより高くなり、空間要件がより小さくなり、装置技術に関するコストがより低くなる。
【0035】
本発明の1つの好ましい実施形態によれば、気相エッチングは、HF含有蒸気を用いて行われる。HFエッチング蒸気により、特に、二酸化珪素、およびリン珪酸ガラスなどのSiO2含有材料を、湿式エッチング法に匹敵するレベルで、シリコンに対する高い選択性で等方性エッチングすることができる。さらに、HF気相エッチング法は、特に基板の片面エッチングに適している。これは、酸性テクスチャ加工された太陽電池ウェハの二酸化珪素またはPSGエッチングに特に好適であり、より深い領域および/または空洞などによって届きにくくなっている領域でさえ、HF気相エッチング・ステップで確実にエッチングすることができる。さらに、提案される本発明による方法の実施形態は、HF気相エッチング・ステップで、消費されるHFが湿式化学法よりもかなり少ないという利点を提供する。さらに、最適なエッチング結果を実現するために、HF蒸気中のHF濃度を、HF含有蒸気の単純な供給および排出によって簡単に制御することができる。
【0036】
本発明による基板処理方法は、太陽電池を製造するために基板を処理するために使用される場合、特に好適である。特に太陽電池ウェハにおいて、まさに新規の技術において、十分にテクスチャ加工された表面上にでも二酸化珪素およびPSGを確実にエッチングすることができるようにする片面技術を求める要求が絶えず高まっているのは明らかである。さらに、太陽電池製造では、使用される基板がますます薄くなっており、そのため湿式エッチングがより一層難しくなっている。これは、薄い基板がエッチング浴内で浮動し、したがって確実にエッチングすることができないからである。本発明による方法により、そのような基板を容易に片面から等方性エッチングすることができる。さらに、本発明による処置は、高い基板スループットを保証し、その結果、装置費用を抑えて、短いプロセス時間で多数の太陽電池ウェハを製造することができる。
【0037】
本発明による方法の一例では、少なくとも1つのプロセス・チャンバ内で、HF気相エッチング・ステップにおいて基板の上面からPSGがエッチングされ、そのプロセス・チャンバ内で、後続のプロセス・ステップにおいてその基板の1つまたは複数の表面層のプラズマ酸化が行われる。その結果、片面での等方性および選択性エッチングを可能にするHF気相エッチング・ステップにおいて、基板の上面からPSGを確実に除去することができ、後続のプロセス・ステップにおいて、エッチングされた基板表面をプラズマ酸化によって酸化物で即時に被覆することができる。このようにして、規定の洗浄された基板表面を提供することができる。さらに、プラズマ酸化ステップで生成される酸化物によって、基板表面での汚染および/または構造的欠陥を埋めることができる。
【0038】
本発明のさらなる適切な方法変形形態では、そのプロセス・チャンバまたはさらなるプロセス・チャンバ内で、HF気相エッチング・ステップにおいて基板の裏面からPSGがエッチングされ、そのプロセス・チャンバ内で、後続のプロセス・ステップにおいて、プラズマ・エッチング・ステップで基板のエミッタ裏面エッチングが行われる。このプロセス実装によって、同じチャンバ内で、太陽電池ウェハの裏面からまずPSGを、次いで寄生エミッタ領域を除去することができる。
【0039】
本発明による基板処理方法の任意選択の一変形形態では、基板から金属イオンをエッチングするためのKOHおよびHClを含有する蒸気混合物を用いた気相エッチング・ステップが、プロセス・チャンバ内でPSGをエッチングするためのHF気相エッチング・ステップの後に行われる。このようにすると、基板上面のプラズマ酸化の前、および/または基板のエミッタ裏面エッチングのためのプラズマ・エッチング・ステップの前に、表面上の金属残留物の除去を行うことができる。
【0040】
本発明による基板処理方法のさらなる任意選択の一変形形態では、プロセス・チャンバ内またはさらなるプロセス・チャンバ内で、HF気相エッチング・ステップの前および/または基板のエミッタ裏面エッチングの後に、O2プラズマ洗浄が行われる。HF気相エッチング・ステップの前のO2プラズマ洗浄は、有機汚染物質を除去することを可能にし、それにより、後続のHF気相エッチングをより簡単に行うことができる。フッ素含有ガスを用いたプラズマ・エッチング・ステップでは、基板のエミッタ裏面エッチング中に有機ポリマーが生じるので、基板のエミッタ裏面エッチングの後にO2プラズマ洗浄によって残留物のない表面を提供することができ、前記表面は、例えば太陽電池ウェハの製造の際に反射防止層でコーティングするために、特に良好に準備される。
【0041】
本発明による基板処理方法のさらなる好ましい一実施形態によれば、プロセス・チャンバまたはさらなるプロセス・チャンバ内で、基板の1つまたは複数の表面層のプラズマ酸化が行われ、そのプロセス・チャンバ内で、後続のプロセス・ステップにおいて、酸化された表面層のHF気相エッチングが行われる。プラズマ酸化および後続のHF気相エッチングにより、基板の表面層を除去することができ、それにより基板を洗浄することができる。このようにして、例えば、シリコン基板の表面をa−Si PECVD層の堆積のために準備することができる。
【0042】
プラズマ酸化とHF気相エッチングが交互に複数回行われる場合、洗浄効果をさらに改善することができる。さらに、先行のプロセス・ステップにおいてPSGによってリンでドープされ、かつPSGをエッチングされたシリコン基板から、この交互プロセスによって「不感層」を効果的に除去することができる。
【0043】
交互プロセス・シーケンスの最終ステップがプラズマ酸化である場合、基板は、後続の窒化珪素堆積に特に良好に準備される。これは、窒化物が酸化物によく付着するからである。窒化珪素層は、例えば太陽電池ウェハ上の反射防止層として使用することができる。
【0044】
本発明による基板処理方法の同様に適切な一例では、プロセス・チャンバまたはさらなるプロセス・チャンバ内でO2プラズマ洗浄が行われ、その後、そのプロセス・チャンバ内で、HF含有蒸気または反応性酸素を用いた気相エッチング・ステップで基板の表面層がエッチングされる。O2プラズマ洗浄によって、基板の表面は、まず有機汚染物質を除去され、それにより特に、プロセス・チャンバ内でのその後の気相エッチング・ステップのために特に良好に準備される。HF含有蒸気と、例えばオゾンなどの反応性酸素とを含有する混合物が、気相エッチング・ステップで使用される。基板表面が反応性酸素によって酸化され、ほぼ同時に、酸化された層がHF含有蒸気によってシリコン基板から再びエッチングされる。HFおよび反応性酸素の濃度の適切な設定によって、プロセス・チャンバ内でのプロセスを制御することができ、それにより、例えば、PSGによってリンでドープされたシリコン基板から「不感層」を適切に除去することができる。HF蒸気の使用により、この場合、十分にテクスチャ加工されたシリコン基板からでさえ「不感層」を確実に除去することができる。さらに、このプロセス変形形態は、基板の場合には、洗浄のため、および上面層と裏面層の除去のために使用することができる。
【0045】
HF含有蒸気および反応性酸素を用いた気相エッチング・ステップにおいて、気相エッチング・ステップの最後に反応性酸素が増強されてプロセス・チャンバに供給される場合、そのようにして処理された基板は、プロセスの最後に表面に酸化物層を有する。これは、特に、例えば太陽電池ウェハ上に反射防止層を製造するための後続の窒化珪素堆積に適している。
【0046】
さらなる任意選択の一変形形態では、HF含有蒸気および反応性酸素を用いた気相エッチング・ステップの後、そのプロセス・チャンバ内でプラズマ酸化を行うこともでき、これは、基板表面上に酸化物層をもたらす。この酸化物層は、例えば太陽電池ウェハ用の反射防止層を製造するための後続の窒化珪素堆積のための適切なベースとなる。
【0047】
本発明による基板処理方法のさらなるオプションによれば、プロセス・チャンバまたはさらなるプロセス・チャンバ内で、HF気相エッチング・ステップにおいてシリコン基板の上面および/または裏面から空気酸化物が除去され、このプロセス・チャンバ内で、HF気相エッチング・ステップの前および/または後に、シリコン基板のO2プラズマ洗浄が行われる。このプロセスは、例えば太陽電池ウェハ用のpn接合を製造するためにa−Si PECVD層を堆積する前の、質の高い空気酸化物除去に特に適している。
【0048】
本発明の好ましい実施形態、ならびにその構成、機能、および利点を、図面の各図を参照して以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】概略図に基づいて、プロセス・チャンバを有する本発明による基板処理装置の可能な基本構成を模式的に示す図である。
【図2】本発明による基板処理装置内で使用することができ、基板の上面および/または裏面処理に適した基板支持体を模式的に示す図である。
【図3】本発明による基板処理装置内での基板の上面処理のための基板支持体のさらなる可能な一変形実施形態を模式的に示す図である。
【図4】フック支持体の形態での、本発明による基板処理装置内で使用することができる基板支持体のさらに別の変形形態を模式的に示す図である。
【図5】本発明による基板処理装置内で使用することができるガス計量システムの模式概略図である。
【図6】本発明による基板処理装置内で使用することができるエッチング蒸気発生システムの模式概略図である。
【図7】上流のガス計量システムおよび下流の排気ガス除去システムを有する本発明による基板処理装置の模式概略図である。
【図8】複数のプロセス・チャンバを有する本発明による基板処理装置の一実施形態を模式的に示す図である。
【図9】太陽電池基板の裏面処理用の連続装置の形態での、本発明による基板処理装置の一実施形態を模式的に示す図である。
【図10】太陽電池基板の上面処理用の連続装置の形態での、本発明による基板処理装置のさらなる実施形態を模式的に示す図である。
【図11】基板上面でのPSGエッチングのための本発明による基板処理方法の一変形実施形態を模式的に示す図である。
【図12】基板のPSGおよびエミッタ裏面エッチングのための本発明による基板処理方法の一実施形態を模式的に示す図である。
【図13】太陽電池ウェハを製造するために「不感層」を除去するための本発明による基板処理方法の一実施形態を模式的に示す図である。
【図14】太陽電池を製造するために窒化珪素を堆積する前に「不感層」を除去するための本発明による基板処理方法の一実施形態を模式的に示す図である。
【図15】太陽電池ウェハを製造するために「不感層」を除去するための本発明による基板処理方法のさらなる実施形態を模式的に示す図である。
【図16】太陽電池を製造するために窒化珪素を堆積する前に「不感層」を除去するための本発明による基板処理方法のさらなる実施形態を模式的に示す図である。
【図17】太陽電池製造中にa−Si PECVD堆積ステップの前に空気酸化物を除去するための本発明による基板処理方法の一実施形態を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1は、排気可能なプロセス・チャンバ20を備える基板処理装置10の概略図を模式的に示す。図1に例示されるプロセス・チャンバ20の個々の要素は、それらの機能的な原理を示しているにすぎず、したがって正確な尺度では図示されておらず、また、プロセス・チャンバ20内またはプロセス・チャンバ20上の他の位置に位置させることもできる。
【0051】
プロセス・チャンバ20は、実質的に高級鋼または構造鋼から形成され、エッチングガス耐性材料から構成された内側ライニング80を有する。図1に示される例示的実施形態では、内側ライニング80は、HFに対して不活性であり、例えばグラファイト、純粋なAl2O3、またはテフロンのようなポリマーから形成される。内側ライニング80は、エッチングガス耐性チャンバ・コーティングによって、あるいはチャンバの内壁に取り付けられたプレートによって形成することができる。
【0052】
プロセス・チャンバ20は、その入口と出口のどちらにもそれぞれ、バルブフラップ23を有するゲート27を有し、このゲート27は開閉することができ、ゲート27を介して外部からプロセス・チャンバ20の内部29にアクセス可能であり、さらにゲート27を介してプロセス・チャンバ20を基板処理装置10の他のプロセス・チャンバに接続することができる。さらに、プロセス・チャンバ20は、少なくとも1つのガス供給部61と、真空ポンプ24を有する少なくとも1つのガス排出部62と、加熱および/または冷却デバイス26とを有する。
【0053】
図1に示される例示的実施形態では、平面状に具現化された1つまたは複数の電極52を有するプラズマ発生モジュール50が上側領域に設けられる。各電極52との電気コンタクトが形成され、電極52にはそれぞれ個別に電位を供給することができ、あるいは電極52を相互接続することができる。
【0054】
本発明の他の変形実施形態(図示せず)では、プラズマ発生モジュール50はまた、例えばマイクロ波バーなど1つまたは複数の他のプラズマ発生要素を有することもできる。また、別の方法として、プラズマ発生モジュール50がICP(誘導結合プラズマ)モジュールを有することも想定することができ、その場合、実際のプラズマ源をプロセス・チャンバ20の外部に位置させることもできる。
【0055】
さらに、プロセス・チャンバ20内に気相エッチング・モジュール70が組み込まれ、図示される例示的実施形態では、気相エッチング・モジュール70はHF気相エッチング・モジュールであり、このモジュールは、プロセス・チャンバ20の上側領域に、プロセス・チャンバ20の領域にわたって分布された複数のガス出口72を有するガス・スプレー71を有する。気相エッチング・モジュール70は、少なくとも1つのガス供給部61を介してエッチング蒸気供給ユニット90に結合される。エッチング蒸気供給ユニット90については、図5〜7における例に基づいてより詳細に説明する。
【0056】
少なくとも1つの基板40を有する少なくとも1つの基板キャリア30を、ゲート27を通してプロセス・チャンバ20に導入することができる。基板キャリア30は、プロセス・チャンバ20の終端で、再びゲート27を通してプロセス・チャンバ20から排出させることができる。
【0057】
基板キャリア30は、エッチングガス耐性材料、好ましくはHF耐性材料からなる。図示される例示的実施形態では、基板キャリア30は、例えばAl2O3から形成される。
【0058】
図示される例示的実施形態では、基板キャリア30は、基板40用の複数の基板支持体を有する。可能な基板支持体31、34、38の例が図2〜4に図示され、以下により詳細に説明する。
【0059】
基板キャリア30は、搬送ローラ25上を案内され、搬送ローラ25は、好ましくは同様にエッチングガス耐性材料からなるか、またはそのような材料でコーティングされる。
【0060】
さらに、プロセス・チャンバ20内には、内部容積減少構成要素81が、この例では基板キャリア30の下に提供され、図示される例示的実施形態では、この構成要素は、例えばAl2O3から形成され、プロセス・チャンバ20の内部29の内部容積を減少し、それにより、内部29を充填するには、それに対応して少量の(特に基板40の上に位置されたプロセス・チャンバ内部29の部分を充填するのに十分な)プロセス・ガスまたはエッチング蒸気をプロセス・チャンバ20に導入すればよい。
【0061】
図2は、本発明による基板処理装置10の一実施形態で使用することができる基板支持体31の一例を模式的に示す。基板支持体31は、基板40の周縁領域43のための平面状の支持領域32を有する。その結果、基板40を、その周縁で、平面状の支持領域32の上に配置することができる。平面状の支持体は、プラズマが基板上面41の処理中に基板裏面42にも達するのをほぼ妨げることができる。さらに、平面状の支持領域32は、基板40とのコンタクトを形成できるようにし、それにより、例えばプラズマ・プロセス中に基板40を接地させることができる。基板支持体31は、支持領域32に開口33を有する。それにより、基板裏面42の処理も可能になる。
【0062】
図3は、同様に本発明による基板処理装置10の一実施形態で使用することができる基板支持体34のさらなる一変形実施形態を模式的に示す。基板支持体34は、その上面に切欠領域35を有し、切欠領域35内に基板40を挿入することができる。この場合、基板40は、基板40が基板支持体34上でその据付位置から滑ることがないように、切欠領域35の側壁37によって側方で境界を画された、閉じられた面36上に平面的に位置する。
【0063】
図4は、本発明による基板処理装置の一実施形態で使用することができる基板支持体38のさらなる可能な一実施形態を模式的に示す。基板支持体38は、フック要素39を有し、フック要素39の上に基板40を配置することができる。基板支持体38は、例えば両面プロセスに使用することができる。
【0064】
図5は、本発明による基板処理装置用のエッチング蒸気供給ユニット90の概略図を模式的に示す。示される例では、エッチング蒸気供給ユニット90は、質量流量制御装置を備えるガス計量システム91を有し、図示されるガス計量システム91は、例えば窒素などキャリアガス用の供給ライン96と、例えばHF含有蒸気などエッチング蒸気用の少なくとも1つの供給ライン97とを有する。ガス計量システム91内でキャリアガス/エッチング蒸気混合物が生じ、この混合物をライン98を通してプロセス・チャンバ20に供給することができる。
【0065】
図6は、エッチング蒸気供給ユニット90’のさらなる概略図を模式的に示す。エッチング蒸気供給ユニット90’は、温度調整空間94を有するエッチング蒸気発生システムを有し、その空間94内に、例えばHFなど液体エッチング物質93が溜められている。空間94は供給ライン96’を有し、供給ライン96’を通して、例えば窒素などのキャリアガスをエッチング物質93中に送ることができる。キャリアガスは、温度調整された液体エッチング物質93を通って流れ、その結果、キャリアガス/エッチング蒸気混合物が、空間94内でエッチング物質93の上に生じ、その混合物を空間94からライン98’を通してプロセス・チャンバ20に流すことができる。
【0066】
図7は、図5によるエッチング蒸気供給ユニット90をプロセス・チャンバ20に結合させることができる一法を模式的に示す。キャリアガス/エッチング蒸気混合物すなわちプロセス・ガスは、ライン98を通してプロセス・チャンバ20に供給される。図示される例では、プロセス・チャンバ20内で、プロセス圧力p≦patmまたは真空が設定される。それに対応して、プロセス・チャンバ20内に位置される基板40は、ライン98を通して供給されるプロセス・ガスによって、プロセス圧力で、または真空中で気相エッチングされる。本発明の他の変形実施形態(図示せず)では、プロセス・チャンバ20内でプロセス圧力p≧patmを設定することもでき、それにより、プロセス・チャンバ20内での気相エッチング法を雰囲気圧力または超過圧力で行うことができる。
【0067】
図7の例示的実施形態では、圧力低下は、プロセス・チャンバ20のガス排出部62に提供される真空ポンプ24によって行われる。気相エッチング・プロセスが行われた後、消費されたプロセス・ガスを、ガス排出部62を介して排気ガス除去システム63に通し、それにより生態学的に適切に再処理することができる。ガス排出部64を通って排気ガス除去システム63から出る流出空気は、雰囲気圧力patmである。
【0068】
図8は、本発明に従って提供される少なくとも2つのプロセス・チャンバ20、21を有する連続またはインライン装置の形態での、本発明による基板処理装置11の一実施形態を模式的に示す。第1のプロセス・チャンバ20のゲート27の上流で、図1に示されるような基板キャリアが、ローラ25上でキャリア搬送平面49内でプロセス・チャンバ20に導入される。プロセス・チャンバ20は、プラズマ発生モジュール50と気相エッチング・モジュール70の両方を有し、それらのモジュールによって、1つの同じプロセス・チャンバ20内で、そのプロセス・チャンバ20に導入される1つまたは複数の基板に対してプラズマ処理も気相エッチング・プロセスも行うことができる。
【0069】
プロセス・チャンバ20にはさらなるゲート27が続き、プロセス・チャンバ20内で処理された基板は、基板キャリア上で、このゲート27を通してさらなるプロセス・チャンバ21内に移動される。先と同様に、プロセス・チャンバ21内にも、プラズマ発生モジュール50と気相エッチング・モジュール70が組み込まれている。その結果、プロセス・チャンバ20、21内のどちらでも、プラズマ・プロセスと気相エッチング・プロセスの両方を行うことができる。これにより、この手段によって、基板処理装置11を通る基板のスループットをより高くすることが可能であり、プロセスの多様性を高めることができるという利点が得られる。
【0070】
プロセス・チャンバ21にはさらなるゲート27が続き、このゲート27を通して、プロセス・チャンバ21内で処理された基板を、さらなるプロセス・チャンバ28に導入することができる。さらなるプロセス・チャンバ28は、プロセス・チャンバ20、21と同一または同様に具現化することができるが、完全に異なる構成にすることもできる。例えば、プロセス・チャンバ28は、窒化珪素堆積用の堆積チャンバであってよい。
【0071】
プロセス・チャンバ28の終端にゲート27が再び設けられ、プロセス・チャンバ28内で処理された基板40を、このゲート27を通して、基板処理基板11のさらなるプロセス・チャンバ(ここには図示せず)に導入するか、または、このゲート27を通して、処理された基板40を基板処理装置11から取り出すことができる。
【0072】
図9は、太陽電池を製造するための連続またはインライン装置の形態での本発明による基板処理装置12のさらなる可能な一変形実施形態を模式的に示す。例示される基板処理装置12は、特に、太陽電池基板の裏面42の処理に適している。基板処理装置12の場合、まず、処理対象の基板40が、ゲート27を通ってロック導入チャンバ2内に進む。このロック導入チャンバ2は、ロック導入チャンバ2を排気するための真空ポンプ24に結合されている。ロック導入チャンバ2内では、後続の処理で要求されるプロセス温度Tpxが設定される。処理対象の基板40は、さらなるゲート27を通ってプロセス・チャンバ20内に進む。このプロセス・チャンバ20は、図1によるプロセス・チャンバ20と同一または同様に具現化され、特に、プラズマ発生モジュール50および気相エッチング・モジュール70を有する。プロセス・チャンバ20内で、HF気相エッチング・ステップが行われ、PSG層が基板裏面42からエッチングされる。その後、基板裏面42から寄生エミッタを除去するために、そのプロセス・チャンバ20内で、CF4およびO2を用いたRIEプラズマ・エッチング・ステップでエミッタ裏面エッチングが行われる。プロセス中、プロセス・チャンバ20の内部は真空ポンプ24によって排気され、後続の処理に要求されるプロセス温度Tpyが設定される。
【0073】
基板キャリア30上の基板40は、プロセス・チャンバ20の後に続くさらなるゲート27を通ってさらなるプロセス・チャンバ21内に進む。プロセス・チャンバ21は、図1によるプロセス・チャンバ20と同一または同様に具現化され、特に、プラズマ発生モジュール50および気相エッチング・モジュール70を有する。同様に真空ポンプ24によって排気することができるプロセス・チャンバ21内で、O2プラズマ洗浄が行われ、それにより、エミッタ裏面エッチング中に生じることがあるポリマー残留物が基板裏面42から除去される。さらにその後、そのプロセス・チャンバ21内でHF気相エッチングが行われる。
【0074】
その後、基板40は、さらなるゲート27を通ってロック3内に進む。ロック3は、真空ポンプ24によって排気することができ、ロック3内で基板40の温度を約400℃に設定することができる。
【0075】
基板40は、さらなるゲート27を通してさらなるプロセス・チャンバ4内に搬送され、プロセス・チャンバ4内で、基板裏面42にSi3N4 PECVD堆積が行われる。Si3N4 PECVD堆積中、プロセス・チャンバ4は、真空ポンプ24によって排気され、約400℃に温度調整される。その後、さらなる下流のプロセス・チャンバ5、6内で基板40をさらに処理することができる。
【0076】
図10は、太陽電池を製造するための連続またはインライン装置の形態での本発明による基板処理装置13のさらなる可能な一変形実施形態を模式的に示す。図示される基板処理装置13は、特に、太陽電池基板の基板上面41の処理に適している。
【0077】
基板処理装置13では、処理対象の基板40が、基板キャリア30によってロック導入チャンバ2内に進む。このロック導入チャンバ2は、原理的には、図9によるロック導入チャンバ2と同様に具現化される。基板40は、さらなるゲート27を通してプロセス・チャンバ20内に搬送される。このプロセス・チャンバ20は、図1によるプロセス・チャンバ20と同一または同様に具現化される。プロセス・チャンバ20内で、基板上面41からPSG層をエッチングするHF気相エッチング・ステップが行われる。エッチングされた基板の上面41は、後続のプラズマ・ステップで酸化される。プロセス・チャンバ20の後には、ゲート27を介してロック3が続き、ロック3は、図9によるロック3と同一または同様に具現化され、ロック3内で基板40が約400℃に加熱される。その後、基板40は、ゲート27を通してさらなるプロセス・チャンバ4内に進み、プロセス・チャンバ4内で、基板上面41にSi3N4 PECVD堆積が行われる。その後、さらなるプロセス・チャンバ5、6内で基板40をさらに処理し、最終的に基板処理装置13から取り出すことができる。
【0078】
図11は、本発明による基板処理方法の一実施形態を模式的に示す。この方法は、例えば、図1によるプロセス・チャンバ20内で行うことができる。図11による方法例は、太陽電池を製造するための基板40の基板上面41でのPSGエッチングに用いられる。
【0079】
まず、任意選択で、ステップ111で、基板上面41のO2プラズマ洗浄が行われる。さらなるステップ112で、HF含有蒸気を用いた気相エッチングが行われて、基板上面41からPSG層がエッチングされる。任意選択で、後続のステップ113で、同じプロセス・チャンバ20内で、例えばHFおよびO3を用いて基板上面41の気相エッチングを行って、基板上面41から金属イオンを除去することができる。
【0080】
ステップ112の直後またはステップ113の後、ステップ114で基板上面41のプラズマ酸化が行われ、その際、薄膜酸化層が前記基板上面に塗布され、その酸化物層の上には、例えば、後で塗布される窒化珪素層が特に良好に付着する。
【0081】
図12は、本発明による基板処理方法のさらなる可能な一変形実施形態を模式的に示す。図12による方法例は、例えば、太陽電池基板のPSGおよびエミッタ裏面エッチングに用いられる。
【0082】
任意選択で、図12による方法の第1の方法ステップ121で、基板40の基板裏面42のO2プラズマ洗浄が行われる。後続のステップ122で、基板裏面42からのPSG層のHF気相エッチングが行われる。任意選択で、後続のステップ123で、例えば基板裏面42での金属イオンのHFおよびO3気相エッチングを行うことができる。
【0083】
ステップ122の直後または123の後、方法ステップ124で、プロセス・チャンバ20内で、プラズマ・エッチング・ステップにおいてF含有エッチングガスまたはCl含有エッチングガスおよびO2を用いたエミッタ裏面エッチングが行われる。その後、任意選択で、ステップ125で、基板裏面42のO2プラズマ洗浄を再び行うことができる。
【0084】
図13は、本発明による基板処理方法のさらなる一変形実施形態を模式的に示し、この方法は、洗浄法としても、太陽電池基板上の「不感層」を除去するためにも使用することができる。第1の方法ステップ131で、基板上面41および/または基板裏面42のプラズマ酸化が行われる。プラズマ酸化ステップ131では、基板上面41および/または基板裏面42の1つまたは複数の表面層が酸化され、これらの表面層が、後で方法ステップ132でHF含有蒸気によってエッチングされる。ステップ131とステップ132は、交互に複数回行うことができる。
【0085】
図14は、本発明による基板処理方法のさらなる一変形実施形態を模式的に示し、この方法は、特に、太陽電池の製造で使用することができる。図14に示される方法のための出発基板はシリコン基板であり、このシリコン基板は、ステップ141で、後続のリン拡散142のためにPSG層を堆積され、その場合、PSG層は、後でステップ143で除去される。
【0086】
プロセス・チャンバ20内で行われる第1の方法ステップ144では、プラズマ酸化が行われ、プラズマ酸化中、基板上面41および/または基板裏面42の1つまたは複数の表面層が酸化される。その後、方法ステップ145で、HF含有蒸気を用いた気相エッチングが行われて、酸化された表面層を除去する。続いて、プラズマ酸化ステップ144とHF気相エッチング・ステップ145が、交互に複数回行われる。その結果、リン拡散によりシリコン基板の表面上に既に存在しているいわゆる「不感層」が少しずつ除去される。
【0087】
その後、図14による方法ステップ146でプラズマ酸化が行われ、その結果、酸化物層が基板40の表面上に生じ、その酸化物層の上には、その後、ステップ147で堆積される窒化珪素層が特に良好に付着する。
【0088】
図15は、本発明による基板処理方法のさらなる一変形実施形態を模式的に示し、これは、例えば、太陽電池基板の表面洗浄のために使用することができる。この目的で、第1の方法ステップ151で、基板40がO2プラズマ洗浄を施され、その後、気相エッチング・ステップ152で、例えばHFや、オゾンなどの反応性酸素を含有する蒸気混合物を用いてエッチングされる。好ましくは、蒸気混合物中の反応性酸素の濃度の適切な設定によって酸化、またはHF蒸気によって基板表面での酸化物層のエッチングを行うことができる。したがって、例えば、図15に示される方法により、太陽電池基板から「不感層」を除去することができ、または基板の表面を単に洗浄することができ、その後、プロセス・ステップ153でa−Si PECVD層を堆積することができる。
【0089】
図16は、本発明による基板処理方法のさらなる一変形実施形態を模式的に示し、これは、図15による方法の方法ステップに基づく。この場合、任意選択で、第1の方法ステップ161で、O2プラズマ洗浄が行われる。さらなる方法ステップ162で、HFおよび反応性酸素を含有する蒸気混合物を用いた気相エッチング・ステップが行われる。例えば、この方法ステップで「不感層」を除去することができる。その後、方法ステップ163でプラズマ酸化が行われ、その結果、例えば、太陽電池製造用の基板が、ステップ164での後続の窒化珪素堆積のために良好に準備される。
【0090】
図17は、例えばa−Si PECVD堆積ステップの前の、空気酸化物を除去するための本発明による基板処理方法のさらなる一変形実施形態を模式的に示す。
【0091】
まず、任意選択の方法ステップ171で、O2プラズマ洗浄が行われる。後続のステップ172で、HF含有蒸気を用いた気相エッチング・ステップで、基板40から空気酸化物がエッチングされる。ステップ172での空気酸化物エッチングは、基板上面41および/または基板裏面42から行うことができる。
【0092】
任意選択で、後続のプラズマ・ステップ173で、O2プラズマ洗浄を再び行うことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの基板(40)を担持した少なくとも1つの基板キャリア(30)を中に導入することができる少なくとも1つの排気可能なプロセス・チャンバ(20、21)と、プラズマ発生モジュール(50)と、少なくとも1つのガス供給部(61)と、少なくとも1つのガス排出部(62)とを備える基板処理装置(10、11、12、13)であって、
気相エッチング・モジュール(70)が前記プロセス・チャンバ(20、21)内に組み込まれることを特徴とする基板処理装置(10、11、12、13)。
【請求項2】
前記気相エッチング・モジュール(70)がHF気相エッチング・モジュールであることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記基板処理装置(10)が、エッチングガス耐性内側ライニング(80)と、エッチングガス耐性基板キャリア(30)とを有することを特徴とする請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記気相エッチング・モジュール(70)が、前記プロセス・チャンバ(20、21)の領域にわたって分布された複数のガス出口(72)を有するガス・スプレー(71)を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記気相エッチング・モジュール(70)が、エッチング蒸気供給ユニット(90、90’)に結合されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記エッチング蒸気供給ユニット(90、90’)が、ガス計量システム(91)、および/または温度調整空間(94)を有するエッチング蒸気発生システムを有し、前記空間(94)に液体エッチング物質(93)が溜められており、前記空間(94)を通して少なくとも1種のキャリアガスの流れが通されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記プラズマ発生モジュール(50)が、前記プロセス・チャンバ(20、21)内で平面状に具現化された少なくとも1つの電力供給可能な電極(52)を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記基板キャリア(30)が、前記少なくとも1つの基板(40)の周縁領域(43)のための平面状の支持領域(32)を有する少なくとも1つの基板支持体(31)を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記基板支持体(31)が、前記支持領域(32)に開口(33)を有することを特徴とする請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
少なくとも1つの内部容積減少構成要素(81)が、前記プロセス・チャンバ(20、21)内に提供されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記基板処理装置(10)が連続装置であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記基板処理装置(10)が、太陽電池を製造するための装置であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記プロセス・チャンバ(20、21)が、加熱および/または冷却デバイス(26)を有するか、または加熱および/または冷却デバイス(26)に結合されることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項14】
少なくとも1つの基板(40)を担持した少なくとも1つの基板キャリア(30)が少なくとも1つの排気可能なプロセス・チャンバ(20、21)に導入され、前記プロセス・チャンバ(20、21)内でプラズマ・プロセスにおいてプラズマ発生モジュール(50)によってガスまたはガス混合物中でプラズマが発生され、基板(40)のコーティング、エッチング、表面改質、および/または洗浄が行われる基板処理方法であって、
前記少なくとも1つの基板(40)の気相エッチングが、前記プロセス・チャンバ(20、21)内で、前記プラズマ・プロセスの前に、および/またはプラズマ・プロセスの後に、および/またはプラズマ・プロセスと交互に行われることを特徴とする基板処理方法。
【請求項15】
前記気相エッチングがHF含有蒸気を用いて行われることを特徴とする請求項14に記載の基板処理方法。
【請求項16】
太陽電池を製造するために基板(40)を処理するために使用されることを特徴とする請求項14または15に記載の基板処理方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つのプロセス・チャンバ(20、21)内で、HF気相エッチング・ステップにおいて前記基板(40)の上面(41)からPSGがエッチングされ、前記プロセス・チャンバ(20、21)内で、後続のプロセス・ステップにおいて前記基板(40)の1つまたは複数の表面層のプラズマ酸化が行われることを特徴とする請求項14〜16のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項18】
前記プロセス・チャンバ(20)またはさらなるプロセス・チャンバ(21)内で、HF気相エッチング・ステップにおいて前記基板(40)の裏面(42)からPSGがエッチングされ、前記プロセス・チャンバ(20、21)内で、後続のプロセス・ステップにおいて、プラズマ・エッチング・ステップで前記基板(40)のエミッタ裏面エッチングが行われることを特徴とする請求項14〜17のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項19】
前記基板(40)から金属イオンをエッチングするためのHFおよびO3を含有する蒸気混合物を用いた気相エッチング・ステップが、前記プロセス・チャンバ(20、21)内で前記PSGをエッチングするための前記HF気相エッチング・ステップの後に行われることを特徴とする請求項17または18に記載の基板処理方法。
【請求項20】
前記プロセス・チャンバ(20)またはさらなるプロセス・チャンバ(21)内で、前記基板(40)の前記HF気相エッチング・ステップの前および/または前記エミッタ裏面エッチングの後に、O2プラズマ洗浄が行われることを特徴とする請求項17〜19のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項21】
前記プロセス・チャンバ(20)またはさらなるプロセス・チャンバ(21)内で、前記基板(40)の1つまたは複数の表面層のプラズマ酸化が行われ、前記プロセス・チャンバ(20、21)内で、後続のプロセス・ステップにおいて、前記酸化された表面層のHF気相エッチングが行われることを特徴とする請求項14〜20のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項22】
前記プラズマ酸化と前記HF気相エッチングが交互に複数回行われることを特徴とする請求項21に記載の基板処理方法。
【請求項23】
前記プロセス・チャンバ(20)またはさらなるプロセス・チャンバ(21)内で、O2プラズマ洗浄が行われ、前記プロセス・チャンバ(20、21)内で、後続のプロセス・ステップにおいて、HF含有蒸気および反応性酸素を用いた気相エッチング・ステップで前記基板(40)の表面層がエッチングされることを特徴とする請求項14〜20のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項24】
前記プロセス・チャンバ(20)またはさらなるプロセス・チャンバ(21)内で、HF気相エッチング・ステップにおいて、前記基板(40)の上面(41)および/または裏面(42)から空気酸化物が除去され、前記プロセス・チャンバ(20、21)内で、前記HF気相エッチング・ステップの前および/または後に、前記基板(40)のO2プラズマ洗浄が行われることを特徴とする請求項14〜16のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項1】
少なくとも1つの基板(40)を担持した少なくとも1つの基板キャリア(30)を中に導入することができる少なくとも1つの排気可能なプロセス・チャンバ(20、21)と、プラズマ発生モジュール(50)と、少なくとも1つのガス供給部(61)と、少なくとも1つのガス排出部(62)とを備える基板処理装置(10、11、12、13)であって、
気相エッチング・モジュール(70)が前記プロセス・チャンバ(20、21)内に組み込まれることを特徴とする基板処理装置(10、11、12、13)。
【請求項2】
前記気相エッチング・モジュール(70)がHF気相エッチング・モジュールであることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記基板処理装置(10)が、エッチングガス耐性内側ライニング(80)と、エッチングガス耐性基板キャリア(30)とを有することを特徴とする請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記気相エッチング・モジュール(70)が、前記プロセス・チャンバ(20、21)の領域にわたって分布された複数のガス出口(72)を有するガス・スプレー(71)を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記気相エッチング・モジュール(70)が、エッチング蒸気供給ユニット(90、90’)に結合されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記エッチング蒸気供給ユニット(90、90’)が、ガス計量システム(91)、および/または温度調整空間(94)を有するエッチング蒸気発生システムを有し、前記空間(94)に液体エッチング物質(93)が溜められており、前記空間(94)を通して少なくとも1種のキャリアガスの流れが通されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記プラズマ発生モジュール(50)が、前記プロセス・チャンバ(20、21)内で平面状に具現化された少なくとも1つの電力供給可能な電極(52)を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記基板キャリア(30)が、前記少なくとも1つの基板(40)の周縁領域(43)のための平面状の支持領域(32)を有する少なくとも1つの基板支持体(31)を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記基板支持体(31)が、前記支持領域(32)に開口(33)を有することを特徴とする請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
少なくとも1つの内部容積減少構成要素(81)が、前記プロセス・チャンバ(20、21)内に提供されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記基板処理装置(10)が連続装置であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記基板処理装置(10)が、太陽電池を製造するための装置であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記プロセス・チャンバ(20、21)が、加熱および/または冷却デバイス(26)を有するか、または加熱および/または冷却デバイス(26)に結合されることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項14】
少なくとも1つの基板(40)を担持した少なくとも1つの基板キャリア(30)が少なくとも1つの排気可能なプロセス・チャンバ(20、21)に導入され、前記プロセス・チャンバ(20、21)内でプラズマ・プロセスにおいてプラズマ発生モジュール(50)によってガスまたはガス混合物中でプラズマが発生され、基板(40)のコーティング、エッチング、表面改質、および/または洗浄が行われる基板処理方法であって、
前記少なくとも1つの基板(40)の気相エッチングが、前記プロセス・チャンバ(20、21)内で、前記プラズマ・プロセスの前に、および/またはプラズマ・プロセスの後に、および/またはプラズマ・プロセスと交互に行われることを特徴とする基板処理方法。
【請求項15】
前記気相エッチングがHF含有蒸気を用いて行われることを特徴とする請求項14に記載の基板処理方法。
【請求項16】
太陽電池を製造するために基板(40)を処理するために使用されることを特徴とする請求項14または15に記載の基板処理方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つのプロセス・チャンバ(20、21)内で、HF気相エッチング・ステップにおいて前記基板(40)の上面(41)からPSGがエッチングされ、前記プロセス・チャンバ(20、21)内で、後続のプロセス・ステップにおいて前記基板(40)の1つまたは複数の表面層のプラズマ酸化が行われることを特徴とする請求項14〜16のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項18】
前記プロセス・チャンバ(20)またはさらなるプロセス・チャンバ(21)内で、HF気相エッチング・ステップにおいて前記基板(40)の裏面(42)からPSGがエッチングされ、前記プロセス・チャンバ(20、21)内で、後続のプロセス・ステップにおいて、プラズマ・エッチング・ステップで前記基板(40)のエミッタ裏面エッチングが行われることを特徴とする請求項14〜17のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項19】
前記基板(40)から金属イオンをエッチングするためのHFおよびO3を含有する蒸気混合物を用いた気相エッチング・ステップが、前記プロセス・チャンバ(20、21)内で前記PSGをエッチングするための前記HF気相エッチング・ステップの後に行われることを特徴とする請求項17または18に記載の基板処理方法。
【請求項20】
前記プロセス・チャンバ(20)またはさらなるプロセス・チャンバ(21)内で、前記基板(40)の前記HF気相エッチング・ステップの前および/または前記エミッタ裏面エッチングの後に、O2プラズマ洗浄が行われることを特徴とする請求項17〜19のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項21】
前記プロセス・チャンバ(20)またはさらなるプロセス・チャンバ(21)内で、前記基板(40)の1つまたは複数の表面層のプラズマ酸化が行われ、前記プロセス・チャンバ(20、21)内で、後続のプロセス・ステップにおいて、前記酸化された表面層のHF気相エッチングが行われることを特徴とする請求項14〜20のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項22】
前記プラズマ酸化と前記HF気相エッチングが交互に複数回行われることを特徴とする請求項21に記載の基板処理方法。
【請求項23】
前記プロセス・チャンバ(20)またはさらなるプロセス・チャンバ(21)内で、O2プラズマ洗浄が行われ、前記プロセス・チャンバ(20、21)内で、後続のプロセス・ステップにおいて、HF含有蒸気および反応性酸素を用いた気相エッチング・ステップで前記基板(40)の表面層がエッチングされることを特徴とする請求項14〜20のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項24】
前記プロセス・チャンバ(20)またはさらなるプロセス・チャンバ(21)内で、HF気相エッチング・ステップにおいて、前記基板(40)の上面(41)および/または裏面(42)から空気酸化物が除去され、前記プロセス・チャンバ(20、21)内で、前記HF気相エッチング・ステップの前および/または後に、前記基板(40)のO2プラズマ洗浄が行われることを特徴とする請求項14〜16のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2012−521075(P2012−521075A)
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500061(P2012−500061)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【国際出願番号】PCT/DE2009/000383
【国際公開番号】WO2010/105585
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(510256551)ロート ウント ラウ アーゲー (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【国際出願番号】PCT/DE2009/000383
【国際公開番号】WO2010/105585
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(510256551)ロート ウント ラウ アーゲー (2)
【Fターム(参考)】
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