説明

演算処理ユニットの異常監視装置

【課題】演算処理ユニットの特定の演算部をピンポイント的に、しかも外部に回路を追加することなく確実に異常判定し得るようにした異常監視装置を提案する。
【解決手段】コントローラ38内の特定演算部38aは、目標クラッチ容量tTc2を実現するソレノイド駆動デューティーDc2を演算により求め、これを、クラッチ圧制御ユニット39内のソレノイドに向かわせてクラッチの締結容量制御を行う。演算部38aの異常監視用にコントローラ38内に設定した演算部38bは、tTc2を実現するソレノイド駆動デューティーDc2'をマップ検索する。コントローラ38内の演算結果比較部38cは、偏差ΔDc2=|Dc2−Dc2'|が微少設定値未満であるとき、Dc2がDc2'に一致して正常であるとする演算結果一致信号Eをコントローラ11へ出力し、それ以外では、Dc2がDc2'と異なって異常であるから信号Eをコントローラ11に出力しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンおよびモータ/ジェネレータからの動力により走行可能なハイブリッド車両などの制御システム内における演算処理ユニットの異常を監視するための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
制御システムは、演算処理ユニットで求めた制御信号により、対応する制御対象を制御するが、このとき演算処理ユニットの異常を監視して伝達したり、適切な異常対策処理を行う必要がある。
【0003】
そのための演算処理ユニットの異常監視装置としては従来、例えば特許文献1に記載のごとく、異常を監視すべき演算処理ユニットの外部に別途、異常監視用の回路を付加して設け、異常監視対象たる演算処理ユニットをこの回路により監視することにより、当該演算処理ユニットの異常を早期に検知して、この異常を伝達したり、異常対策を行うようにしたものが一般的である。
【特許文献1】特開2003−150408号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、かように演算処理ユニットの外部に別に異常監視回路を付加するのでは先ず、コスト高になるという問題を生ずる。
【0005】
なお、演算処理ユニットの外部に異常監視回路を付加することなく当該演算ユニットの異常を監視するためには、複数の演算処理ユニットを有する制御システムを前提とし、
異常を監視すべき演算処理ユニットとは異なる別の演算処理ユニット内に、異常を監視すべき演算処理ユニットの異常を監視する機能を持たせることが考えられる。
【0006】
当該別の演算処理ユニット内に設定した異常監視機能部は、異常監視対象の演算処理ユニットに異常判定用のデータを送信し、これに対し異常監視対象の演算処理ユニットが如何なる回答を出したかに応じて当該演算処理ユニットが異常であるか否かを判定することが考えられる。
【0007】
しかし、異常監視対象の演算処理ユニットとは別の演算処理ユニット内に設定した異常監視機能部により上記のごとく、異常監視対象の演算処理ユニットが異常であるか否かを判定するのでは、
異常監視対象の演算処理ユニットが全体として正常に作動しているか否かを監視するにすぎず、異常監視対象の演算処理ユニットが全体として正常に作動していても、該演算処理ユニット内の特定演算部に異常が発生している場合、当該特定演算部の異常を認識できない場合がある。
【0008】
従って、異常監視対象の演算処理ユニット内の特定演算部が、特に重要な制御箇所の制御量を演算していることから、当該重要演算部の異常を特に念入りに監視する必要があっても、当該重要演算部の異常を重点的に監視することができない。
このため、異常監視対象の演算処理ユニットが全体として正常に作動していても、該演算処理ユニット内の重要演算部に異常が発生している場合に、当該重要演算部の異常を認識し得ず、かかる異常を見逃して所定の対処が遅れたことにより耐久性が損なわれたりする問題を生ずる。
【0009】
本発明は、上述の実情に鑑み、異常監視対象である演算処理ユニットの外部に別に異常監視回路を付加するのではなく、従ってこれによるコスト高を招くことなく、しかし、当該演算処理ユニット内における特定演算部の異常を確実に検出し得るようにして、重要演算部の異常検出遅れや異常検出不能に伴う前記の問題を解消可能にした演算処理ユニットの異常監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のため、本発明による演算処理ユニットの異常監視装置は、請求項1に記載したごとく、
複数の演算処理ユニットを具え、一の演算処理ユニット内における特定演算部で求めた制御信号により、対応する一の制御対象を制御し、他の演算処理ユニットで求めた制御信号により、対応する他の制御対象を制御するようにした制御システムを前提とし、
前記一の演算処理ユニット内に、
該一の演算処理ユニット内における前記特定演算部とは演算処理プロセスが異なるものの、演算結果がほぼ同じになる監視用演算部を設定すると共に、これら両演算部の演算結果間における偏差が設定値未満であるとき演算結果一致信号を出力する演算結果比較部を設定し、
該演算結果比較部から演算結果一致信号が出力されないとき、前記他の演算処理ユニットが、前記特定演算部の異常を認定するよう構成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
上記した本発明による演算処理ユニットの異常監視装置において、
異常監視対象である上記一の演算処理ユニット内に設定した上記監視用演算部は、該一の演算処理ユニット内における上記特定演算部とは演算処理プロセスが異なるものの、ほぼ同じ演算結果を出力し、
同じく上記一の演算処理ユニット内に設定した演算結果比較部は、上記監視用演算部および特定演算部の演算結果間における偏差が設定値未満であるとき演算結果一致信号を出力する。
【0012】
異常監視対象でない上記他の演算処理ユニットは、上記演算結果比較部からの演算結果一致信号の有無に応じ、演算結果一致信号が出力されないとき、つまり監視用演算部および特定演算部の演算結果が大きく乖離しているとき、上記特定演算部の異常を認定する。
【0013】
よって、異常監視対象である上記一の演算処理ユニット内に監視用演算部および演算結果比較部を設定し、これら監視用演算部および演算結果比較部と、制御システム内に既存の上記他の演算処理ユニットとにより、上記一の演算処理ユニットを異常監視することができ、
既存する演算処理ユニットの外部に別の異常監視回路を何ら付加することなく、従ってコスト高を招くことなく、上記一の演算処理ユニットの異常監視を行うことができる。
【0014】
しかも、上記一の演算処理ユニット内における特定演算部の演算結果と、当該一の演算処理ユニット内に設定した上記監視用演算部の演算結果との対比により、両者間における偏差の大きさから上記特定演算部の異常を認定するため、
異常監視対象である上記一の演算処理ユニットを全体的に監視するのではなく、当該演算処理ユニット内における特定演算部の異常を確実に監視し得ることとなり、
この特定演算部として重要演算部を選択することで重要演算部の異常を確実に監視することができ、重要演算部の異常検出遅れや異常検出不能によって異常対策が遅れることにより、制御対象の耐久性が損なわれたりする問題を解消することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例になる異常監視装置を内蔵するハイブリッド駆動装置を具えたフロントエンジン・リヤホイールドライブ式ハイブリッド車両のパワートレーンを、その制御系とともに示し、
1はエンジン、2FL,2FRはそれぞれ左右前輪、3RL,3RRはそれぞれ左右後輪(左右駆動輪)である。
【0016】
図1に示すハイブリッド車両のパワートレーンにおいては、通常の後輪駆動車と同様、エンジン1の車両前後方向後方に自動変速機4をタンデムに配置し、エンジン1(詳しくはクランクシャフト1a)からの回転を自動変速機4の入力軸4aへ伝達する軸5に結合してモータ/ジェネレータ6を設ける。
【0017】
モータ/ジェネレータ6は、ハウジング内に固設した環状のステータ6aと、このステータ6a内に所定のエアギャップを持たせて同心に配置したロータ6bとよりなり、運転状態の要求に応じ、モータ(電動機)として作用したり、ジェネレータ(発電機)として作用するもので、エンジン1および自動変速機4間に配置する。
モータ/ジェネレータ6は、ロータ6bの中心に上記の軸5を貫通して結着し、この軸5をモータ/ジェネレータ軸として利用する。
【0018】
かかるモータ/ジェネレータ6およびエンジン1間、詳しくは、モータ/ジェネレータ軸5とエンジンクランクシャフト1aとの間に第1クラッチ7を介挿し、この第1クラッチ7によりエンジン1およびモータ/ジェネレータ6間を切り離し可能に結合する。
ここで第1クラッチ7は、伝達トルク(クラッチ締結)容量を連続的に変更可能なものとし、例えば、比例ソレノイドでクラッチ作動油流量およびクラッチ作動油圧を連続的に制御して伝達トルク(クラッチ締結)容量を変更可能な湿式多板クラッチで構成する。
【0019】
モータ/ジェネレータ6および自動変速機4間は、モータ/ジェネレータ軸5と変速機入力軸4aとの直接結合により相互に直結させる。
自動変速機4は、その歯車変速機構が周知の遊星歯車式自動変速機内における変速歯車機構と同様なものであるが、周知の遊星歯車式自動変速機からトルクコンバータを排除して、その代わりにモータ/ジェネレータ6を変速機入力軸4aに直接結合したものとし、
複数の変速摩擦要素(クラッチやブレーキ等)を選択的に締結させたり解放することで、これら変速摩擦要素の締結・解放の組み合わせにより伝動系路(変速段)を決定するものとする。
【0020】
従って自動変速機4は、入力軸4aからの回転を選択変速段に応じたギヤ比で変速して出力軸4bに出力する。
この出力回転は、ディファレンシャルギヤ装置8により左右後輪3RL,3RRへ分配して伝達され、車両の走行に供される。
但し自動変速機4は、上記したような有段式のものに限られず、無段変速機であってもよいのは言うまでもない。
【0021】
なお上記のハイブリッド車両にあっては、モータ/ジェネレータ6および駆動輪3RL,3RR を切り離し可能に結合する第2クラッチ9が必要であるが、
本実施例においてはこの第2クラッチ9を自動変速機4の前、若しくは、後に追加して新設する構成を採用せず、
この代わりに第2クラッチ9として、自動変速機4内に既存する前記した変速摩擦要素のうち、前進変速段選択用の変速摩擦要素(発進用摩擦要素)または後退変速段選択用の変速摩擦要素(発進用摩擦要素)を流用する。
【0022】
ちなみに、第2クラッチ9として用いる自動変速機4内に既存の前進変速段選択用の変速摩擦要素(発進用摩擦要素)または後退変速段選択用の変速摩擦要素(発進用摩擦要素)はもともと、前記した第1クラッチ7と同様、伝達トルク容量(クラッチ締結容量)を連続的に変更可能なもので、
例えば、比例ソレノイドでクラッチ作動油流量およびクラッチ作動油圧を連続的に制御して伝達トルク(クラッチ締結)容量を変更可能である。
【0023】
かように、第2クラッチ9として自動変速機4内に既存の前進変速段選択用の変速摩擦要素(発進用摩擦要素)または後退変速段選択用の変速摩擦要素(発進用摩擦要素)を流用する場合、第2クラッチ9が以下に説明するモード選択機能を果たすのに加えて、この機能を果たすよう締結される時に自動変速機を対応変速段への変速により動力伝達状態にすることとなり、専用の第2クラッチが不要でコスト上大いに有利である。
【0024】
以下、図1につき上述したパワートレーンのモード選択機能を説明する。
図1に示したパワートレーンにおいては、停車状態からの発進時などを含む低負荷・低車速時に用いられる電気走行(EV走行)モードが要求される場合、第1クラッチ7を解放し、自動変速機4を第2クラッチ9の締結により動力伝達可能状態にする。
【0025】
この状態でモータ/ジェネレータ6を駆動すると、当該モータ/ジェネレータ6からの出力回転のみが変速機入力軸4aに達することとなり、自動変速機4が当該入力軸4aへの回転を、選択中の変速段に応じ変速して変速機出力軸4bより出力する。
変速機出力軸4bからの回転はその後、ディファレンシャルギヤ装置8を経て後輪3RL,3RRに至り、車両をモータ/ジェネレータ6のみによって電気走行(EV走行)させることができる。
【0026】
高速走行時や大負荷走行時などで用いられるハイブリッド走行(HEV走行)モードが要求される場合、第1クラッチ7を締結させると共に、自動変速機4を第2クラッチ9の締結により動力伝達可能状態にする。
この状態では、エンジン1からの出力回転、または、エンジン1からの出力回転およびモータ/ジェネレータ6からの出力回転の双方が変速機入力軸4aに達することとなり、自動変速機4が当該入力軸4aへの回転を、選択中の変速段に応じ変速して、変速機出力軸4bより出力する。
変速機出力軸4bからの回転はその後、ディファレンシャルギヤ装置8を経て後輪3RL,3RRに至り、車両をエンジン1およびモータ/ジェネレータ6の双方によってハイブリッド走行(HEV走行)させることができる。
【0027】
かかるHEV走行中において、エンジン1を最適燃費で運転させるとエネルギーが余剰となる場合、この余剰エネルギーによりモータ/ジェネレータ6を発電機として作動させることで余剰エネルギーを電力に変換し、この発電電力をモータ/ジェネレータ6のモータ駆動に用いるよう蓄電しておくことでエンジン1の燃費を向上させることができる。
【0028】
以下、上記したハイブリッド車両のパワートレーンを成すエンジン1、モータ/ジェネレータ6、第1クラッチ7、および第2クラッチ9の制御システムを、図1に基づき概略説明する。
この制御システムは、パワートレーンの動作点を統合制御する統合コントローラ11を具え、該パワートレーンの動作点を、目標エンジントルクtTeと、目標モータ/ジェネレータトルクtTmと、第1クラッチ7の目標締結容量tTc1と、第2クラッチ9の目標締結容量tTc2とで規定する。
【0029】
統合コントローラ11には、上記パワートレーンの動作点を決定するために、
エンジン回転数Neを検出するエンジン回転センサ12からの信号と、
モータ/ジェネレータ回転数Nmを検出するモータ/ジェネレータ回転センサ13からの信号と、
変速機入力回転数Niを検出する入力回転センサ14からの信号と、
変速機出力回転数Noを検出する出力回転センサ15からの信号と、
アクセルペダル踏み込み量(アクセル開度APO)を検出するアクセル開度センサ16からの信号と、
モータ/ジェネレータ6用の電力を蓄電しておくバッテリ31の蓄電状態SOC(持ち出し可能電力)を検出する蓄電状態センサ17からの信号とを入力する。
【0030】
統合コントローラ11は、上記入力情報のうちアクセル開度APO、バッテリ蓄電状態SOC、および変速機出力回転数No(車速VSP)から、運転者が希望している車両の駆動力を実現可能な運転モード(EVモード、HEVモード)を選択すると共に、目標エンジントルクtTe、目標モータ/ジェネレータトルクtTm、第1クラッチ目標締結容量tTc1、および第2クラッチ目標締結容量tTc2をそれぞれ演算する。
【0031】
目標エンジントルクtTeはエンジンコントローラ32に供給され、このエンジンコントローラ32は、センサ12で検出したエンジン回転数Neと目標エンジントルクtTeとから、エンジン回転数Neのもとで目標エンジントルクtTeを実現するためのスロットル開度制御や燃料噴射量制御などにより、エンジントルクが目標エンジントルクtTeとなるようエンジン1を制御する。
【0032】
目標モータ/ジェネレータトルクtTmはモータ/ジェネレータコントローラ33に供給され、このモータ/ジェネレータコントローラ33は、バッテリ31の電力をインバータ34により直流−交流変換して、またインバータ34による制御下でモータ/ジェネレータ6のステータ6aに供給し、モータ/ジェネレータトルクが目標モータ/ジェネレータトルクtTmに一致するようモータ/ジェネレータを制御する。
なお目標モータ/ジェネレータトルクtTmが、モータ/ジェネレータ6に回生ブレーキ作用を要求するようなものである場合、モータ/ジェネレータコントローラ33はインバータ34を介し、センサ17で検出したバッテリ蓄電状態SOC(持ち出し可能電力)との関連においてバッテリ31が過充電とならないような発電負荷をモータ/ジェネレータ6に与え、
モータ/ジェネレータ6が回生ブレーキ作用により発電した電力を交流−直流変換してバッテリ31に充電する。
【0033】
かかるモータ/ジェネレータ6の回生ブレーキのみでは制動力が不足する場合、統合コントローラ11は、不足分の制動力を液圧ブレーキシステムで補うべく回生協調ブレーキ制御指令をブレーキコントローラ35に供給する。
ブレーキコントローラ35は、回生協調ブレーキ制御指令がない場合、ブレーキペダル踏力に応じたマスターシリンダ液圧Pmを検出するマスターシリンダ液圧センサ18からの信号をもとに、各輪ブレーキユニットのブレーキ液圧をマスターシリンダ液圧Pmに応じた液圧に制御するが、
統合コントローラ11から回生協調ブレーキ制御指令を受けるときブレーキコントローラ35は、上記不足分の制動力を液圧ブレーキシステムで補うべく各輪ブレーキユニットのブレーキ液圧を制御する。
【0034】
第1クラッチ目標締結容量tTc1は第1クラッチコントローラ36に供給され、この第1クラッチコントローラ36は、第1クラッチ目標締結容量tTc1を実現するための第1クラッチ締結圧制御用ソレノイド駆動デューティーDc1を求め、これに応動する第1クラッチ締結圧制御ユニット37により第1クラッチ7の締結圧を、第1クラッチ目標締結容量tTc1に対応したものとなるよう制御して、第1クラッチ7の締結容量制御を行う。
【0035】
第2クラッチ目標締結容量tTc2は変速機コントローラ38に供給され、この変速機コントローラ38は、第2クラッチ目標締結容量tTc2を実現するための第2クラッチ締結圧制御用ソレノイド駆動デューティーDc2を求め、これに応動する第2クラッチ締結圧制御ユニット39により第2クラッチ9の締結圧を、第2クラッチ目標締結容量tTc2に対応したものとなるよう制御して、第2クラッチ9の締結容量制御を行う。
【0036】
ここで変速機コントローラ38は、第2クラッチ締結圧制御用ソレノイド駆動デューティーDc2を以下のようにして求める。
つまり図2に示すごとく、変速機コントローラ38内に、第2クラッチ目標締結容量tTc2からこれを実現するための第2クラッチ締結圧制御用ソレノイド駆動デューティーDc2を求めるための特定演算部38aを設定する。
【0037】
この特定演算部38aは、統合コントローラ11からの第2クラッチ目標締結容量tTc2を入力され、
先ずこの第2クラッチ目標締結容量tTc2を実現するのに必要な第2クラッチ9の必要圧tPc2を演算により求め、
次にこの第2クラッチ必要圧tPc2を発生させるのに必要な第2クラッチ締結圧制御用ソレノイド圧を演算し、
その後このソレノイド圧を得るための第2クラッチ締結圧制御用ソレノイドのソレノイド駆動デューティーDc2(ソレノイド駆動電流)を演算する。
【0038】
かようにして特定演算部38aで求めたソレノイド駆動デューティーDc2(ソレノイド駆動電流)を、第2クラッチ締結圧制御ユニット39内における第2クラッチ締結圧制御用ソレノイドに向かわせ、これにより第2クラッチ9の締結圧を、第2クラッチ目標締結容量tTc2に対応した第2クラッチ必要圧tPc2となるよう制御して、第2クラッチ9の締結容量制御を行う。
【0039】
なお変速機コントローラ38は、図1におけるセンサ15で検出した変速機出力回転数No(車速VSP)およびセンサ16で検出したアクセル開度APOから予定の変速マップをもとに、現在の運転状態に好適な変速段を求め、自動変速機4をこの好適変速段へ自動変速させることを主たる任務としてこれを遂行し、この変速制御と併せて上記第2クラッチ9の締結容量制御を行うものである。
【0040】
以上は、図1の制御システムが実行する通常制御の概要であるが、本実施例においては図1の制御システムにおける一の演算処理ユニットである変速機コントローラ38が、図2に示した特定演算部38aに異常を生じて第2クラッチ9を正常に締結容量制御し得なくなったのを、以下のようにして監視するものとする。
【0041】
この監視を行うため、図2に示すごとく変速機コントローラ38内に、特定演算部38aの上記した演算処理プロセスと演算要領を異にするものの、特定演算部38aが正常であれば演算結果がほぼ同じになる監視用演算部38bを設定する。
この監視用演算部38bは、図3に例示するような第2クラッチ目標締結容量tTc2と、これを実現する第2クラッチ締結圧制御用ソレノイド駆動デューティーDc2'(ソレノイド駆動電流)との関係を予め実験などにより求めておき、これに対応するデータをマップとして内蔵する。
【0042】
監視用演算部38bは、統合コントローラ11からの第2クラッチ目標締結容量tTc2を入力され、これと、図3に対応するマップデータとから、
この第2クラッチ目標締結容量tTc2を実現するのに必要な第2クラッチ締結圧制御用ソレノイドのソレノイド駆動デューティーDc2'(ソレノイド駆動電流)を直接マップ検索により求める。
【0043】
変速機コントローラ38内には更に、図2に示すごとく演算結果比較部38cを設定し、この演算結果比較部38cは、
特定演算部38aで演算した第2クラッチ締結圧制御用ソレノイド駆動デューティーDc2と、
監視用演算部38bでマップ検索により求めた第2クラッチ締結圧制御用ソレノイド駆動デューティーDc2'とを、以下のようにして対比するものとする。
【0044】
すなわち演算結果比較部38cは、両演算部38a,38bの演算結果間における偏差ΔDc2=|Dc2−Dc2'|が異常判定用の微少設定値未満であるとき、両演算部38a,38bの演算結果Dc2,Dc2'がほぼ一致しているとして演算結果一致信号Eを、他の演算処理ユニットである統合コントローラ11に向けて出力し(図1も併せて参照)、
偏差ΔDc2が設定値以上であるとき、両演算部38a,38bの演算結果Dc2,Dc2'が不一致であるとして演算結果一致信号Eを出力しないものとする。
【0045】
統合コントローラ11は、演算結果比較部38cからの演算結果一致信号Eがあるとき、両演算部38a,38bの演算結果Dc2,Dc2'がほぼ一致していて、特定演算部38aが正常に第2クラッチ締結圧制御用ソレノイド駆動デューティーDc2を演算しており、第2クラッチ9の締結容量制御が正常に行われているとの判定により、モータ/ジェネレータコントローラ33への目標モータ/ジェネレータトルクtTmを補正しない。
【0046】
しかし、演算結果比較部38cからの演算結果一致信号Eがないとき統合コントローラ11は、両演算部38a,38bの演算結果Dc2,Dc2'が不一致であり、特定演算部38aが第2クラッチ締結圧制御用ソレノイド駆動デューティーDc2を正常に演算し得ない異常状態であって、第2クラッチ9の締結容量制御が正常に行われていないとの判定により、モータ/ジェネレータコントローラ33への目標モータ/ジェネレータトルクtTmを低下補正(tTm=0を含む)する。
【0047】
ここで、特定演算部38aが第2クラッチ締結圧制御用ソレノイド駆動デューティーDc2を正常に求め得ない(第2クラッチ9の締結容量制御を正常に行い得ない)異常時に、目標モータ/ジェネレータトルクtTmを低下補正(tTm=0を含む)する理由を以下に説明する。
【0048】
図1に示すようなハイブリッド車両においては、停車中もモータ/ジェネレータ6により自動変速機4のオイルポンプ(図示せず)を駆動させておき、該オイルポンプからの吐出油を媒体とした自動変速機4の制御が停車中も可能となるようにしておく必要がある。
この間、モータ/ジェネレータ6の駆動によっても停車状態を維持できるよう第2クラッチ9を解放させておき、またモータ/ジェネレータ6はその回転数が、自動変速機4の上記制御を可能にする必要最小限のオイルポンプ吐出量となす一定回転数(アイドル回転数程度)に保たれるよう回転数フィードバック制御する。
【0049】
しかし、上記のごとく解放すべき第2クラッチ9が上記特定演算部38aの異常で誤締結されると、これにより負荷の増大により回転数を低下されるモータ/ジェネレータ6は、その回転数が上記一定回転数(アイドル回転数程度)に保たれるよう行われる回転数フィードバック制御によりモータトルクを増大されることになる。
かように、解放すべき第2クラッチ9が特定演算部38aの異常で誤締結される時もモータ/ジェネレータ6が上記の回転数フィードバック制御を継続されると、モータ/ジェネレータ6がモータトルクの継続的な増大により異常に発熱して耐久性を著しく低下される虞がある。
【0050】
しかし本実施例においては上記のごとく、特定演算部38aが第2クラッチ締結圧制御用ソレノイド駆動デューティーDc2を正常に求め得ず、第2クラッチ9の締結容量制御を正常に行い得ない異常判定時に、目標モータ/ジェネレータトルクtTmを低下補正(tTm=0を含む)するため、
停車時に解放すべき第2クラッチ9が特定演算部38aの異常で誤締結されることがあっても、モータ/ジェネレータ6が前記の回転数フィードバック制御(モータトルクの増大)を継続されることがなくなり、これによるモータ/ジェネレータ6の異常発熱や、耐久性の低下に関する問題を解消することができる。
【0051】
ところで上記の異常監視に際し、異常監視対象である一の演算処理ユニット(変速機コントローラ)38内に監視用演算部38bおよび演算結果比較部38cを設定し、これら監視用演算部38bおよび演算結果比較部38cと、制御システム内に既存の他の演算処理ユニット(統合コントローラ)11とにより、上記一の演算処理ユニット(変速機コントローラ)38を異常監視するため、
既存する演算処理ユニット38,11の外部に別の異常監視回路を何ら付加することなく、従ってコスト高を招くことなく、上記一の演算処理ユニット(変速機コントローラ)38の異常監視を行うことができる。
【0052】
しかも、上記一の演算処理ユニット(変速機コントローラ)38内における特定演算部38aの演算結果Dc2と、当該一の演算処理ユニット(変速機コントローラ)38内に設定した上記監視用演算部38bの演算結果Dc2'との対比により、両者間における偏差ΔDc2=|Dc2−Dc2'|の大きさから特定演算部38aの異常を認定するため、
異常監視対象である上記一の演算処理ユニット(変速機コントローラ)38を全体的に監視するのではなく、当該演算処理ユニット(変速機コントローラ)38内における特定演算部38aの異常を確実に監視し得ることとなり、
この特定演算部として、図示例のように重要演算部(第2クラッチ締結圧制御用ソレノイド駆動デューティー演算部38a)を選択することで、当該重要演算部(第2クラッチ締結圧制御用ソレノイド駆動デューティー演算部38a)の異常を確実に監視することができ、重要演算部(第2クラッチ締結圧制御用ソレノイド駆動デューティー演算部38a)の異常検出遅れや異常検出不能によって異常対策が遅れることにより、制御対象の耐久性が損なわれたりする問題を解消することができる。
【0053】
図4,5はそれぞれ、統合コントローラ11および変速機コントローラ38をマイクロコンピュータで構成する場合において、これらコントローラ11,38が前記した特定演算部(第2クラッチ締結圧制御用ソレノイド駆動デューティー演算部)38aの異常監視および異常判定・対策処理を行うときの制御プログラムを示す。
【0054】
図4は、変速機コントローラ38が特定演算部(第2クラッチ締結圧制御用ソレノイド駆動デューティー演算部)38aの異常監視用に実行する制御プログラムで、
先ずステップS11において、通常の演算により、第2クラッチ締結圧制御ユニット39内における第2クラッチ締結圧制御用ソレノイドの駆動デューティーDc2(ソレノイド駆動電流)を演算する。
【0055】
この演算に当たっては、図2に示す特定演算部38aにつき前述したと同様、統合コントローラ11からの第2クラッチ目標締結容量tTc2を実現するのに必要な第2クラッチ9の必要圧tPc2を演算し、
次にこの第2クラッチ必要圧tPc2を発生させるのに必要な第2クラッチ締結圧制御用ソレノイド圧を演算し、
その後このソレノイド圧を得るための第2クラッチ締結圧制御用ソレノイドのソレノイド駆動デューティーDc2(ソレノイド駆動電流)を演算し、
これを、第2クラッチ締結圧制御ユニット39内における第2クラッチ締結圧制御用ソレノイドに向け出力して、第2クラッチ9の前記した締結容量制御を行う。
【0056】
ステップS12においては、図2に示す監視用演算部38bにつき前述したと同様、図3に例示するような第2クラッチ目標締結容量tTc2と、これを実現する第2クラッチ締結圧制御用ソレノイド駆動デューティーDc2'(ソレノイド駆動電流)との関係をもとに、第2クラッチ目標締結容量tTc2から、
第2クラッチ目標締結容量tTc2を実現するのに必要な第2クラッチ締結圧制御用ソレノイドのソレノイド駆動デューティーDc2'(ソレノイド駆動電流)を直接マップ検索する。
【0057】
ステップS13においては、図2に示す演算結果比較部38cにつき前述したと同様、ステップS11で通常演算により求めた第2クラッチ締結圧制御用ソレノイド駆動デューティーDc2と、ステップS12でマップ検索により求めた第2クラッチ締結圧制御用ソレノイド駆動デューティーDc2'との偏差ΔDc2=|Dc2−Dc2'|を求め、この偏差ΔDc2が異常判定用の微少設定値未満であるか否かを判定する。
【0058】
ステップS13で上記の偏差ΔDc2が異常判定用の微少設定値未満であると判定するとき、ステップS11およびステップS12での演算結果Dc2,Dc2'がほぼ一致していて、ステップS11での第2クラッチ締結圧制御用ソレノイド駆動デューティーDc2の演算が正常に行われており、第2クラッチ9の締結容量制御が正常であるとの判定により、制御をステップS14に進めて演算結果一致信号Eを統合コントローラ11へ出力する。
【0059】
ステップS13で上記の偏差ΔDc2が異常判定用の微少設定値以上であると判定するとき、ステップS11およびステップS12での演算結果Dc2,Dc2'が一致しておらず、ステップS11での第2クラッチ締結圧制御用ソレノイド駆動デューティーDc2の演算が異常であり、第2クラッチ9の締結容量制御が異常であるとの判定により、制御をステップS15に進めて演算結果一致信号Eを統合コントローラ11へ出力しない。
【0060】
図5は、統合コントローラ11が上記演算結果一致信号Eの有無に応じて行う異常判定および対策処理を示し、そのため先ずステップS21において、演算結果一致信号Eの有無を判定する。
【0061】
ステップS21で演算結果一致信号Eが有ると判定するときは、ステップS11での第2クラッチ締結圧制御用ソレノイド駆動デューティーDc2の演算が正常に行われており、第2クラッチ9の締結容量制御が正常であることから、
ステップS22において正常判定を行うと共に、次のステップS23において目標モータ/ジェネレータトルクtTmの補正を行わないこととする。
【0062】
ステップS21で演算結果一致信号Eが無いと判定するときは、ステップS11での第2クラッチ締結圧制御用ソレノイド駆動デューティーDc2の演算が正常に行われておらず、第2クラッチ9の締結容量制御が異常であることから、ステップS24において異常判定を行うと共に、次のステップS25において目標モータ/ジェネレータトルクtTmを低下補正する。
【0063】
本実施例のように、統合コントローラ11および変速機コントローラ38をマイクロコンピュータで構成し、これらがそれぞれ、図4,5に示す制御プログラムを実行するように構成する場合も、図1〜3につき前述したと同様に機能し、前記したと同様な作用効果を達成することができる。
【0064】
なお何れの実施例においても、演算結果一致信号Eが途切れると直ちに異常判定およびモータ/ジェネレータトルク低下補正が行われることとなり、遅滞なくフェールセーフ対策を実行し得て安全上益するところが大きい。
また統合コントローラ11は、変速機コントローラ38からの演算結果一致信号Eの有無に応じ異常判定およびフェールセーフ対策を行うだけであるため、統合コントローラ11の演算負荷が大きくなることもない。
【0065】
更に、変速機コントローラ38からの演算結果一致信号Eの有無に応じ統合コントローラ11が異常判定およびフェールセーフ対策の双方を行うため、異常判定結果と、フェールセーフ対策とを、信号の途絶えなく確実にリンクさせることができ、
第2クラッチ締結容量制御が誤作動(解放すべきなのに誤締結)するとき、モータ/ジェネレータトルクが前記の回転数フィードバック制御により継続的に増大するような異常動作を行う制御システムにおいて、確実にモータ/ジェネレータトルクを低下補正するフェールセーフ対策により、当該モータ/ジェネレータの異常動作を確実に防止することができる。
【0066】
なお上記した各実施例においては、異常監視すべき一の演算処理ユニットが変速機コントローラ38であり、
重点的に異常監視すべき特定演算部が、この変速機コントローラ38内における第2クラッチ締結圧制御用ソレノイド駆動デューティー演算部38aであり、
この特定演算部38aを異常判定および異常対策する演算処理ユニットが統合コントローラ11である場合について本発明の説明を展開したが、
本発明は、これらに限定されるものではないし、また制御システムも、図示のようなハイブリッド車両の制御システムに限られず、あらゆる制御系に用いて同様な作用効果を奏し得ることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の一実施例になる異常監視装置を内蔵するハイブリッド駆動装置を具えたフロントエンジン・リヤホイールドライブ式ハイブリッド車両のパワートレーンを、その制御システムとともに示す線図的平面図である。
【図2】図1に示すパワートレーンの制御システムにおける異常監視部の機能別ブロック線図である。
【図3】図1に示すパワートレーンにおける第2クラッチの目標締結容量と、クラッチ締結圧制御用ソレノイド駆動デューティーとの関係を例示する特性線図である。
【図4】図1に示すパワートレーンの制御システムをマイクロコンピュータで構成した場合における異常監視プログラムを示すフローチャートである。
【図5】図1に示すパワートレーンの制御システムをマイクロコンピュータで構成した場合における異常判定および異常対策処理プログラムを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0068】
1 エンジン(原動機)
2FL,2FR 左右前輪
3RL,3RR 左右後輪(左右駆動輪)
4 自動変速機
6 モータ/ジェネレータ(原動機)
7 第1クラッチ(締結容量可変クラッチ)
9 第2クラッチ(締結容量可変クラッチ)
11 統合コントローラ(他の演算処理ユニット)
12 エンジン回転センサ
13 モータ/ジェネレータ回転センサ
14 変速機入力回転センサ
15 変速機出力回転センサ
16 アクセル開度センサ
17 蓄電状態センサ
18 マスターシリンダ液圧センサ
31 バッテリ
32 エンジンコントローラ
33 モータ/ジェネレータコントローラ
34 インバータ
35 ブレーキコントローラ
36 第1クラッチコントローラ
37 第1クラッチ締結圧制御ユニット
38 変速機コントローラ(一の演算処理ユニット)
38a 特定演算部
38b 監視用演算部
38c 演算結果比較部
39 第2クラッチ締結圧制御ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の演算処理ユニットを具え、一の演算処理ユニット内における特定演算部で求めた制御信号により、対応する一の制御対象を制御し、他の演算処理ユニットで求めた制御信号により、対応する他の制御対象を制御するようにした制御システムにおいて、
前記一の演算処理ユニット内に、
該一の演算処理ユニット内における前記特定演算部とは演算処理プロセスが異なるものの、演算結果がほぼ同じになる監視用演算部を設定すると共に、これら両演算部の演算結果間における偏差が設定値未満であるとき演算結果一致信号を出力する演算結果比較部を設定し、
該演算結果比較部から演算結果一致信号が出力されないとき、前記他の演算処理ユニットが、前記特定演算部の異常を認定するよう構成したことを特徴とする演算処理ユニットの異常監視装置。
【請求項2】
前記一の制御対象が誤作動するとき、前記他の制御対象が異常動作を行うような制御システムに用いる、請求項1に記載の演算処理ユニットの異常監視装置において、
前記演算結果比較部から演算結果一致信号が出力されないとき、前記他の演算処理ユニットが、前記特定演算部の異常を認定すると共に前記他の制御対象を作動停止させるよう構成したことを特徴とする演算処理ユニットの異常監視装置。
【請求項3】
原動機からの動力を、締結容量可変クラッチによる制御下で車輪へ駆動力として伝達する車両であって、
前記一の制御対象が前記締結容量可変クラッチの締結容量であり、前記他の制御対象が前記原動機の出力である制御システムに用いる、請求項1または2に記載の演算処理ユニットの異常監視装置において、
前記演算結果比較部から演算結果一致信号が出力されないとき、前記他の演算処理ユニットが、前記特定演算部の異常を認定すると共に前記原動機の出力を低下させるか、若しくは零にするよう構成したことを特徴とする演算処理ユニットの異常監視装置。
【請求項4】
原動機としてエンジンおよびモータ/ジェネレータをタンデムに搭載し、これらエンジンおよびモータ/ジェネレータ間を第1の締結容量可変クラッチにより結合可能とし、モータ/ジェネレータおよび駆動車輪間を第2の締結容量可変クラッチにより結合可能とし、前記第1クラッチを解放すると共に前記第2クラッチを締結することでモータ/ジェネレータのみでの電気走行が可能で、前記第1クラッチおよび第2クラッチを共に締結することでエンジンおよびモータ/ジェネレータの双方を用いたハイブリッド走行が可能なハイブリッド車両であって、
前記一の演算処理ユニット内における前記特定演算部が、前記第2クラッチの目標締結容量を決定して第2クラッチの対応する締結容量制御信号を求め、前記他の演算処理ユニットが、前記モータ/ジェネレータの目標出力を決定してモータ/ジェネレータの対応するモータ出力制御信号を求めるようにした制御システムに用いる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の演算処理ユニットの異常監視装置において、
前記演算結果比較部から演算結果一致信号が出力されないとき、前記他の演算処理ユニットが、前記特定演算部の異常を認定すると共に前記モータ/ジェネレータの出力を低下させるか、若しくは零にするよう構成したことを特徴とする演算処理ユニットの異常監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−223730(P2009−223730A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−68879(P2008−68879)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【出願人】(000231350)ジヤトコ株式会社 (899)
【Fターム(参考)】