説明

発光装置の作製方法

【課題】被剥離層に損傷を与えない剥離方法を提供し、小さな面積を有する被剥離層の剥離だけでなく、大きな面積を有する被剥離層を全面に渡って剥離することを可能とする。
【解決手段】基板上に金属層を形成する工程と、前記金属層上に酸化物層を形成する工程と、前記酸化物層上に絶縁層を形成する工程と、前記絶縁層上に薄膜トランジスタを形成する工程と、前記薄膜トランジスタ上に発光素子を形成する工程と、人間の手又は前記薄膜トランジスタを引き剥がす装置を用いることにより、前記酸化物層の層内または界面において前記基板から前記薄膜トランジスタを剥離する工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被剥離層の剥離方法、特に様々な素子を含む被剥離層の剥離方法に関する。
加えて、本発明は、剥離した被剥離層を基材に貼りつけて転写させた薄膜トランジスタ(
以下、TFTという)で構成された回路を有する半導体装置およびその作製方法に関する
。例えば、液晶モジュールに代表される電気光学装置やELモジュールに代表される発光
装置、およびその様な装置を部品として搭載した電子機器に関する。
【0002】
なお、本明細書中において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装
置全般を指し、電気光学装置、発光装置、半導体回路および電子機器は全て半導体装置で
ある。
【背景技術】
【0003】
近年、絶縁表面を有する基板上に形成された半導体薄膜(厚さ数〜数百nm程度)を用
いて薄膜トランジスタ(TFT)を構成する技術が注目されている。薄膜トランジスタは
ICや電気光学装置のような電子デバイスに広く応用され、特に画像表示装置のスイッチ
ング素子として開発が急がれている。
【0004】
このような画像表示装置を利用したアプリケーションは様々なものが期待されているが
、特に携帯機器への利用が注目されている。現在、ガラス基板や石英基板が多く使用され
ているが、割れやすく、重いという欠点がある。また、大量生産を行う上で、ガラス基板
や石英基板は大型化が困難であり、不向きである。そのため、可撓性を有する基板、代表
的にはフレキシブルなプラスチックフィルムの上にTFT素子を形成することが試みられ
ている。
【0005】
しかしながら、プラスチックフィルムの耐熱性が低いためプロセスの最高温度を低くせ
ざるを得ず、結果的にガラス基板上に形成する時ほど良好な電気特性のTFTを形成でき
ないのが現状である。そのため、プラスチックフィルムを用いた高性能な液晶表示装置や
発光素子は実現されていない。
【0006】
また、基板上に分離層を介して存在する被剥離層を前記基板から剥離する剥離方法が既
に提案されている。例えば、特開平10−125929号公報、特開平10−12593
1号公報に記載された技術は、非晶質シリコン(またはポリシリコン)からなる分離層を
設け、基板を通過させてレーザー光を照射して非晶質シリコンに含まれる水素を放出させ
ることにより、空隙を生じさせて基板を分離させるというものである。加えて、この技術
を用いて特開平10−125930号公報には被剥離層(公報では被転写層と呼んでいる
)をプラスチックフィルムに貼りつけて液晶表示装置を完成させるという記載もある。
【0007】
しかしながら、上記方法では、透光性の高い基板を使用することが必須であり、基板を
通過させ、さらに非晶質シリコンに含まれる水素を放出させるに十分なエネルギーを与え
るため、比較的大きなレーザー光の照射が必要とされ、被剥離層に損傷を与えてしまうと
いう問題がある。また、上記方法では、分離層上に素子を作製した場合、素子作製プロセ
スで高温の熱処理等を行えば、分離層に含まれる水素が拡散して低減してしまい、レーザ
ー光を分離層に照射しても剥離が十分に行われない恐れがある。従って、分離層に含まれ
る水素量を維持するため、分離層形成後のプロセスが制限されてしまう問題がある。また
、上記公報には、被剥離層への損傷を防ぐため、遮光層または反射層を設ける記載もある
が、その場合、透過型液晶表示装置を作製することが困難である。加えて、上記方法では
、大きな面積を有する被剥離層を剥離するのは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、本発明は、被剥離層に損傷を与え
ない剥離方法を提供し、小さな面積を有する被剥離層の剥離だけでなく、大きな面積を有
する被剥離層を全面に渡って剥離することを可能とすることを課題としている。
【0009】
また、本発明は、被剥離層の形成において、熱処理温度、基板の種類等の限定を受けな
い剥離方法を提供することを課題としている。
【0010】
また、本発明は、様々な基材に被剥離層を貼りつけ、軽量された半導体装置およびその
作製方法を提供することを課題とする。特に、フレキシブルなフィルムにTFTを代表と
する様々な素子(薄膜ダイオード、シリコンのPIN接合からなる光電変換素子やシリコ
ン抵抗素子)を貼りつけ、軽量化された半導体装置およびその作製方法を提供することを
課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、数多くの実験、検討を重ねているうちに、基板上に設けた窒化物層、好
ましくは窒化金属層を設け、前記窒化金属層に接して酸化層を設け、さらに酸化層上に成
膜または500℃以上の熱処理を行ったところ、膜剥がれ(ピーリング)などのプロセス
上の異常は生じない一方、物理的手段、代表的には機械的な力を加えること(例えば人間
の手で引き剥がすこと)で容易に酸化層の層内または界面において、きれいに分離できる
剥離方法を見出した。
【0012】
即ち、窒化物層と酸化物層との結合力は、熱エネルギーには耐え得る強さを有している
一方、窒化物層と酸化物層で互いの膜応力は異なり、窒化物層と酸化物層との間には応力
歪みを有しているため、力学的エネルギーに弱く、剥離するには最適である。本発明者ら
は、このように膜応力を利用して剥離を行う剥離工程をストレスピールオフプロセスと呼
ぶ。
【0013】
なお、本明細書中において、膜の内部応力(膜応力と呼ぶ)とは、基板上に形成された
膜の内部に任意の断面を考えたとき、断面の一方の側が他方の側に及ぼしている単位断面
積当りの力のことである。内部応力は、真空蒸着やスパッタリングや気相成長などで成膜
された薄膜には多かれ少なかれ必ず存在するといってよい。その値は最大で109N/m2
に達する。薄膜の材料、基板の物質、薄膜の形成条件などによって内部応力値は変化する
。また、熱処理を施すことによっても内部応力値は変化する。
【0014】
また、基板面に垂直な単位断面積を通して相手に及ぼす力が引っ張る方向である状態を
引っ張り状態といい、そのときの内部応力を引張応力、押す方向である状態を圧縮状態と
いい、そのときの内部応力を圧縮応力と呼ぶ。なお、本明細書では、グラフや表に示すと
き引張応力を正(+)、圧縮応力を負(−)にとる。
【0015】
本明細書で開示する剥離方法に関する発明の構成1は、被剥離層を基板から剥離する剥離
方法であって、前記基板上に窒化物層が設けられており、前記窒化物層が設けられた基板
上に少なくとも前記窒化物層と接する酸化物層を含む積層からなる被剥離層を形成した後
、該被剥離層を前記窒化物層が設けられた基板から物理的手段により前記酸化物層の層内
または界面において剥離することを特徴とする剥離方法である。
【0016】
また、支持体を接着剤で接着した後に剥離してもよく、本明細書で開示する剥離方法に
関する発明の構成2は、 被剥離層を基板から剥離する剥離方法であって、前記基板上に
窒化物層が設けられており、前記窒化物層が設けられた基板上に少なくとも前記窒化物層
と接する酸化物層を含む積層からなる被剥離層を形成し、該被剥離層に支持体を接着した
後、前記支持体に接着された被剥離層を前記窒化物層が設けられた基板から物理的手段に
より前記酸化物層の層内または界面において剥離することを特徴とする剥離方法である。
【0017】
また、上記構成2において、さらに剥離を助長させるため、前記支持体を接着する前に
、加熱処理またはレーザー光を照射してもよい。この場合、窒化物層にはレーザー光を吸
収する材料を選択し、窒化物層と酸化物層の界面を加熱させることによって、剥がれやす
くしてもよい。ただし、レーザー光を用いる場合は、基板として透光性のものを用いる。
【0018】
また、上記各構成において、窒化物層は、基板と窒化物層の間に他の層、例えば絶縁層
や金属層等を設けてもよいが、プロセスを簡略化するためには、基板上に接して窒化物層
を形成することが好ましい。
【0019】
また、窒化物層に代えて、金属層、好ましくは窒化金属層でもよく、基板上に設けた金
属層、好ましくは窒化金属層を設け、さらに前記窒化金属層に接して酸化層を設け、さら
に成膜処理または500℃以上の熱処理を行っても、膜剥がれ(ピーリング)が生じずに
、物理的手段で容易に酸化層の層内または界面において、きれいに分離できる。
【0020】
本明細書で開示する剥離方法に関する発明の構成3は、被剥離層を基板から剥離する剥離
方法であって、前記基板上に金属層が設けられており、前記金属層が設けられた基板上に
少なくとも前記金属層と接する酸化物層を含む積層からなる被剥離層を形成した後、該被
剥離層を前記金属層が設けられた基板から物理的手段により前記酸化物層の層内または界
面において剥離することを特徴とする剥離方法である。
【0021】
また、支持体を接着剤で接着した後に剥離してもよく、本明細書で開示する剥離方法に
関する発明の構成4は、被剥離層を基板から剥離する剥離方法であって、前記基板上に金
属層が設けられており、前記金属層が設けられた基板上に少なくとも前記金属層と接する
酸化物層を含む積層からなる被剥離層を形成し、該被剥離層に支持体を接着した後、前記
支持体に接着された被剥離層を前記金属層が設けられた基板から物理的手段により前記酸
化物層の層内または界面において剥離することを特徴とする剥離方法である。
【0022】
また、上記構成4においても、さらに剥離を助長させるため、前記支持体を接着する前
に、加熱処理またはレーザー光を照射してもよい。この場合、金属層にはレーザー光を吸
収する材料を選択し、金属層と酸化物層の界面を加熱させることによって、剥がれやすく
してもよい。ただし、レーザー光を用いる場合は、基板として透光性のものを用いる。
【0023】
なお、本明細書中、物理的手段とは、化学ではなく、物理学により認識される手段であり
、具体的には、力学の法則に還元できる過程を有する力学的手段または機械的手段を指し
、何らかの力学的エネルギー(機械的エネルギー)を変化させる手段を指している。
【0024】
ただし、上記構成2及び上記構成4のいずれにおいても、物理的手段により剥離する際、
支持体との結合力より、酸化物層と金属層との結合力が小さくなるようにすることが必要
である。
【0025】
また、上記構成3または上記構成4において、前記金属層は、Ti、Al、Ta、W、
Mo、Cu、Cr、Nd、Fe、Ni、Co、Zr、Zn、Ru、Rh、Pd、Os、I
r、Ptから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料
からなる単層、またはこれらの金属または混合物の積層であることを特徴としている。
【0026】
また、上記構成3または上記構成4において、金属層は、基板と金属層の間に他の層、
例えば絶縁層等を設けてもよいが、プロセスを簡略化するためには、基板上に接して金属
層を形成することが好ましい。
【0027】
また、上記本発明において、透光性を有する基板に限らず、あらゆる基板、例えば、ガ
ラス基板、石英基板、半導体基板、セラミックス基板、金属基板を用いることができ、基
板上に設けた被剥離層を剥離することができる。
【0028】
また、上記各構成において、前記酸化物層は、酸化シリコン材料または酸化金属材料か
らなる単層、またはこれらの積層であることを特徴としている。
【0029】
また、上記各構成において、さらに剥離を助長させるため、前記物理的手段により剥離
する前に、加熱処理またはレーザー光の照射を行う処理を行ってもよい。
【0030】
また、上記本発明の剥離方法を用いて、基板上に設けた被剥離層を転写体に貼りつけて
(転写して)半導体装置を作製することも可能であり、半導体装置の作製方法に関する発
明の構成は、基板上に窒化物層を形成する工程と、前記窒化物層上に酸化物層を形成する
工程と、前記酸化物層上に絶縁層を形成する工程と、前記絶縁層上に素子を形成する工程
と、前記素子に支持体を接着した後、該支持体を基板から物理的手段により前記酸化物層
の層内または界面において剥離する工程と、前記絶縁層または前記酸化物層に転写体を接
着し、前記支持体と前記転写体との間に前記素子を挟む工程とを有することを特徴とする
半導体装置の作製方法である。
【0031】
また、上記構成において、さらに剥離を助長させるため、前記支持体を接着する前に、
加熱処理またはレーザー光を照射してもよい。この場合、窒化物層にはレーザー光を吸収
する材料を選択し、窒化物と酸化物層の界面を加熱させることによって、剥がれやすくし
てもよい。ただし、レーザー光を用いる場合は、基板として透光性のものを用いる。
【0032】
また、剥離を助長させるため、窒化物層上に粒状の酸化物を設け、該粒状の酸化物を覆
う酸化層を設けることによって、剥がれやすくしてもよく、半導体装置の作製方法に関す
る発明の構成は、基板上に窒化物層を形成する工程と、前記窒化物層上に粒状の酸化物を
形成する工程と、前記酸化物を覆う酸化物層を形成する工程と、前記酸化物層上に絶縁層
を形成する工程と、前記絶縁層上に素子を形成する工程と、前記素子に支持体を接着した
後、該支持体を基板から物理的手段により前記酸化物層の層内または界面において剥離す
る工程と、前記絶縁層または前記酸化物層に転写体を接着し、前記支持体と前記転写体と
の間に前記素子を挟む工程とを有することを特徴とする半導体装置の作製方法である。
【0033】
また、他の半導体装置の作製方法に関する発明の構成は、基板上に金属材料を含有する
層を形成する工程と、前記金属材料を含有する層上に酸化物層を形成する工程と、前記酸
化物層上に絶縁層を形成する工程と、前記絶縁層上に素子を形成する工程と、前記素子に
支持体を接着した後、該支持体を基板から物理的手段により前記酸化物層の層内または界
面において剥離する工程と、前記絶縁層または前記酸化物層に転写体を接着し、前記支持
体と前記転写体との間に前記素子を挟む工程とを有することを特徴とする半導体装置の作
製方法である。
【0034】
また、上記構成において、さらに剥離を助長させるため、前記支持体を接着する前に、
加熱処理またはレーザー光を照射してもよい。この場合、金属層にはレーザー光を吸収す
る材料を選択し、金属層と酸化物層の界面を加熱させることによって、剥がれやすくして
もよい。ただし、レーザー光を用いる場合は、基板として透光性のものを用いる。
【0035】
また、剥離を助長させるため、金属材料を含有する層上に粒状の酸化物を設け、該粒状
の酸化物を覆う酸化層を設けることによって、剥がれやすくしてもよく、半導体装置の作
製方法に関する発明の構成は、基板上に金属材料を含有する層を形成する工程と、前記金
属材料を含有する層上に粒状の酸化物を形成する工程と、前記酸化物を覆う酸化物層を形
成する工程と、前記酸化物層上に絶縁層を形成する工程と、前記絶縁層上に素子を形成す
る工程と、前記素子に支持体を接着した後、該支持体を基板から物理的手段により前記酸
化物層の層内または界面において剥離する工程と、前記絶縁層または前記酸化物層に転写
体を接着し、前記支持体と前記転写体との間に前記素子を挟む工程とを有することを特徴
とする半導体装置の作製方法である。
【0036】
上記構成において、前記金属材料を含有する層は、窒化物であることが好ましく、前記
金属材料は、Ti、Al、Ta、W、Mo、Cu、Cr、Nd、Fe、Ni、Co、Zr
、Zn、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Ptから選ばれた元素、または前記元素を主成
分とする合金材料若しくは化合物材料からなる単層、またはこれらの金属または混合物の
積層であることを特徴としている。
【0037】
また、上記本発明の剥離方法を用いて、基板上に設けた被剥離層を剥離した後、第1の
転写体や第2の転写体に貼りつけて半導体装置を作製することも可能であり、半導体装置
の作製方法に関する発明の構成は、基板上に金属材料を含有する層を形成する工程と、前
記金属材料を含有する層上に酸化物層を形成する工程と、前記酸化物層上に絶縁層を形成
する工程と、前記絶縁層上に素子を形成する工程と、基板から物理的手段により前記酸化
物層の層内または界面において剥離する工程と、前記絶縁層または酸化物層に第1の転写
体を接着する工程と、前記素子に第2の転写体を接着し、前記第1の転写体と前記第2の
転写体の間に前記素子を挟む工程とを有することを特徴とする半導体装置の作製方法であ
る。
【0038】
上記構成において、前記金属材料を含有する層は、窒化物であることが好ましく、前記
金属材料は、Ti、Al、Ta、W、Mo、Cu、Cr、Nd、Fe、Ni、Co、Zr
、Zn、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Ptから選ばれた元素、または前記元素を主成
分とする合金材料若しくは化合物材料からなる単層、またはこれらの金属または混合物の
積層であることを特徴としている。
【0039】
また、他の半導体装置の作製方法に関する発明の構成は、基板上に窒化物層を形成する
工程と、前記窒化物層上に酸化物層を形成する工程と、前記酸化物層上に絶縁層を形成す
る工程と、前記絶縁層上に素子を形成する工程と、基板から物理的手段により前記酸化物
層の層内または界面において剥離する工程と、前記絶縁層または酸化物層に第1の転写体
を接着する工程と、前記素子に第2の転写体を接着し、前記第1の転写体と前記第2の転
写体の間に前記素子を挟む工程とを有することを特徴とする半導体装置の作製方法である

【0040】
また、上記半導体装置の作製方法に関する上記各構成において、前記酸化物層は、酸化
シリコン材料または酸化金属材料からなる単層、またはこれらの積層であることを特徴と
している。
【0041】
また、上記半導体装置の作製方法に関する上記各構成において、さらに剥離を助長させ
るため、前記物理的手段により剥離する前に、加熱処理またはレーザー光の照射を行う処
理を行ってもよい。
【0042】
また、上記半導体装置の作製方法に関する上記各構成において、前記素子は、半導体層
を活性層とする薄膜トランジスタであり、前記半導体層を形成する工程は、非晶質構造を
有する半導体層を加熱処理またはレーザー光の照射を行う処理によって結晶化させ、結晶
構造を有する半導体層とすることを特徴としている。
【0043】
なお、本明細書中において、転写体とは、剥離された後、被剥離層と接着させるもので
あり、特に限定されず、プラスチック、ガラス、金属、セラミックス等、いかなる組成の
基材でもよい。また、本明細書中において、支持体とは、物理的手段により剥離する際に
被剥離層と接着するためのものであり、特に限定されず、プラスチック、ガラス、金属、
セラミックス等、いかなる組成の基材でもよい。また、転写体の形状および支持体の形状
も特に限定されず、平面を有するもの、曲面を有するもの、可曲性を有するもの、フィル
ム状のものであってもよい。また、軽量化を最優先するのであれば、フィルム状のプラス
チック基板、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルホン(
PES)
、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ナイロン、ポリエ
ーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルイミド(P
EI)、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリイミ
ドなどのプラスチック基板が好ましい。
【0044】
上記半導体装置の作製方法に関する上記各構成において、液晶表示装置を作製する場合
は、支持体を対向基板とし、シール材を接着材として用いて支持体を被剥離層に接着すれ
ばよい。この場合、前記剥離層に設けられた素子は画素電極を有しており、該画素電極と
、前記対向基板との間には液晶材料が充填されるようにする。
【0045】
また、上記半導体装置の作製方法に関する上記各構成において、EL素子を有する発光
装置として代表される発光装置を作製する場合は、支持体を封止材として、外部から水分
や酸素といった有機化合物層の劣化を促す物質が侵入することを防ぐように発光素子を外
部から完全に遮断することが好ましい。また、軽量化を最優先するのであれば、フィルム
状のプラスチック基板が好ましいが、外部から水分や酸素といった有機化合物層の劣化を
促す物質が侵入することを防ぐ効果は弱いため、例えば、支持体上に第1の絶縁膜と第2
の絶縁膜と第3の絶縁膜とを設けて、十分に外部から水分や酸素といった有機化合物層の
劣化を促す物質が侵入することを防ぐ構成とすればよい。ただし、前記第1の絶縁膜(バ
リア膜)
と前記第3の絶縁膜(バリア膜)との間に挟まれる前記第2の絶縁膜(応力緩和膜)は、
前記第1の絶縁膜および前記第3の絶縁膜より膜応力が小さくなるようにする。
【0046】
また、EL素子を有する発光装置として代表される発光装置を作製する場合は、支持体だ
けでなく、転写体も同様に第1の絶縁膜と第2の絶縁膜と第3の絶縁膜とを設け、十分に
外部から水分や酸素といった有機化合物層の劣化を促す物質が侵入することを防ぐことが
好ましい。
【0047】
(実験1)
ここで、窒化物層または金属層に接して酸化物層を設け、該酸化層上に設けた被剥離層
を基板から剥離できるかどうかを確認するため、以下の実験を行った。
【0048】
まず、基板上に図3(A)示すような積層を形成する。
【0049】
基板30としては、ガラス基板(#1737)を用いた。また、基板30上には、スパ
ッタ法によりアルミニウム−シリコン合金層31を300nmの膜厚で成膜した。次いで
、アルミニウム−シリコン合金層31上にスパッタ法により窒化チタン層32を100n
mの膜厚で成膜した。
【0050】
次いで、スパッタ法により酸化シリコン層33を200nmの膜厚で成膜した。酸化シ
リコン層33の成膜条件は、RF方式のスパッタ装置を用い、酸化シリコンターゲット(
直径30.5cm)を用い、基板温度150℃、成膜圧力0.4Pa、成膜電力3kW、
アルゴン流量/酸素流量=35sccm/15sccmとした。
【0051】
次いで、酸化シリコン層33上にプラズマCVD法により下地絶縁層を形成する。下地
絶縁層としては、プラズマCVD法で成膜温度300℃、原料ガスSiH4、NH3、N2
Oから作製される酸化窒化シリコン膜34a(組成比Si=32%、O=27%、N=2
4%、H=17%)を50nm形成した。次いで、表面をオゾン水で洗浄した後、表面の酸
化膜を希フッ酸(1/100希釈)で除去する。次いでプラズマCVD法で成膜温度30
0℃、原料ガスSiH4、N2Oから作製される酸化窒化シリコン膜34b(組成比Si=
32%、O=59%、N=7%、H=2%)を100nmの厚さに積層形成し、さらに大
気解放せずにプラズマCVD法で成膜温度300℃、成膜ガスSiH4で非晶質構造を有
する半導体層(ここでは非晶質シリコン層35)を54nmの厚さで形成した。(図3(
A)
【0052】
次いで、重量換算で10ppmのニッケルを含む酢酸ニッケル塩溶液をスピナーで塗布す
る。塗布に代えてスパッタ法でニッケル元素を全面に散布する方法を用いてもよい。次い
で、加熱処理を行い結晶化させて結晶構造を有する半導体膜(ここではポリシリコン層3
6)を形成する。(図3(B))ここでは脱水素化のための熱処理(500℃、1時間)
の後、結晶化のための熱処理(550℃、4時間)を行って結晶構造を有するシリコン膜
を得る。なお、ここではシリコンの結晶化を助長する金属元素としてニッケルを用いた結
晶化技術を用いたが、他の公知の結晶化技術、例えば固相成長法やレーザー結晶化法を用
いてもよい。
【0053】
次いで、接着層37としてエポキシ樹脂を用い、フィルム基板38(ここではポリエチ
レンテレフタレート(PET))をポリシリコン層36に貼り付けた。
(図3(C))
【0054】
図3(C)の状態を得た後、人間の手によってフィルム基板38と基板30とが分離す
るように引っ張った。引き剥がした基板30には、少なくとも窒化チタン及びアルミニウ
ム−シリコン合金層が残っていることが確認できた。この実験により、酸化シリコン33
の層内または界面において剥離していると予想される。
【0055】
このように、窒化物層または金属層に接して酸化物層を設け、該酸化層上に設けた被剥離
層を引き剥がすことで、基板30から被剥離層を全面に渡って剥離することができる。
【0056】
(実験2)
剥離がどこで行われているかを特定するため、部分的に本発明の剥離方法により剥離し
、その境界付近の断面を調べる実験を行った。
【0057】
基板としては、ガラス基板(#1737)を用いた。また、基板上にスパッタ法により
窒化チタン層を100nmの膜厚で成膜した。
【0058】
次いで、スパッタ法により酸化シリコン層を200nmの膜厚で成膜した。酸化シリコ
ン層の成膜条件は、RF方式のスパッタ装置を用い、酸化シリコンターゲット(直径30
.5cm)を用い、基板温度150℃、成膜圧力0.4Pa、成膜電力3kW、アルゴン
流量/酸素流量=35sccm/15sccmとした。
【0059】
次いで、酸化シリコン層上にプラズマCVD法により下地絶縁層を形成する。
下地絶縁層としては、プラズマCVD法で成膜温度300℃、原料ガスSiH4、NH3
2Oから作製される酸化窒化シリコン膜(組成比Si=32%、O=27%、N=24
%、H=17%)を50nm形成した。次いで、表面をオゾン水で洗浄した後、表面の酸化
膜を希フッ酸(1/100希釈)で除去する。次いでプラズマCVD法で成膜温度300
℃、原料ガスSiH4、N2Oから作製される酸化窒化シリコン膜(組成比Si=32%、
O=59%、N=7%、H=2%)
を100nmの厚さに積層形成し、さらに大気解放せずにプラズマCVD法で成膜温度3
00℃、成膜ガスSiH4で非晶質構造を有する半導体層(ここでは非晶質シリコン層)
を54nmの厚さで形成した。
【0060】
次いで、重量換算で10ppmのニッケルを含む酢酸ニッケル塩溶液をスピナーで塗布す
る。塗布に代えてスパッタ法でニッケル元素を全面に散布する方法を用いてもよい。次い
で、加熱処理を行い結晶化させて結晶構造を有する半導体膜(ここではポリシリコン層)
を形成する。ここでは脱水素化のための熱処理(500℃、1時間)の後、結晶化のため
の熱処理(550℃、4時間)を行って結晶構造を有するシリコン膜を得た。
【0061】
次いで、粘着テープをポリシリコン層の一部に貼り付け、人間の手によって粘着テープ
と基板とが分離するように引っ張った。すると、粘着テープを貼った所のみが剥離し、テ
ープに転写された。基板側の剥離境界におけるTEM写真を図20(A)に示し、その摸
式図を図20(B)に示した。
【0062】
図20に示したように、窒化チタン層は、ガラス基板上に全面残っており、テープを貼
って転写された部分はきれいに転写され、積層(スハ゜ッタ法によるSiO2膜、PCVD法
による絶縁膜(1)及び(2)、ホ゜リシリコン膜)がなくなっている。これらのことか
ら、窒化チタン層とスハ゜ッタ法によるSiO2膜との界面で剥離が生じていることがわ
かる。
【0063】
(実験3)
ここで、窒化物層または金属層の材料をTiN、W、WNとした場合、窒化物層または金
属層に接して酸化物層(酸化シリコン:膜厚200nm)を設け、酸化物層上に設けた被
剥離層を基板から剥離できるかどうかを確認するため、以下の実験を行った。
【0064】
サンプル1として、ガラス基板上にスパッタ法を用い、100nmの膜厚でTiNを形
成した後、スパッタ法を用い、200nmの膜厚の酸化シリコン膜を形成した。酸化シリ
コン膜の形成以降は、実験1と同様に積層および結晶化を行った。
【0065】
サンプル2として、ガラス基板上にスパッタ法を用い、50nmの膜厚でWを形成した
後、スパッタ法を用い、200nmの膜厚の酸化シリコン膜を形成した。酸化シリコン膜
の形成以降は、実験1と同様に積層および結晶化を行った。
【0066】
サンプル3として、ガラス基板上にスパッタ法を用い、50nmの膜厚でWNを形成し
た後、スパッタ法を用い、200nmの膜厚の酸化シリコン膜を形成した。酸化シリコン
膜の形成以降は、実験1と同様に積層および結晶化を行った。
【0067】
このようにサンプル1〜3を形成し、被剥離層に粘着テープを接着して剥離するかどう
か実験した。その結果を表1に示す。
【0068】
【表1】

【0069】
また、酸化シリコン膜、TiN膜、W膜のそれぞれについて、熱処理(550℃、4時
間)前後での内部応力を測定した。その結果を表2に示す。
【0070】
【表2】

【0071】
なお、酸化シリコン膜は、シリコン基板上にスパッタ法で400nmの膜厚で成膜した
ものを測定しており、TiN膜、W膜においては、ガラス基板上にスパッタ法で400n
mの膜厚で成膜した後、内部応力を測定し、その後、キャップ膜として酸化シリコン膜を
積層し、熱処理を行った後でキャップ膜をエッチングで除去して再度、内部応力を測定し
た。また、それぞれサンプルは2つ作製し、測定を行った。
【0072】
W膜においては、成膜直後では圧縮応力(約−7×109(Dyne/cm2))を有しているが
、熱処理によって引張応力(約8×109〜9×109(Dyne/cm2))を有する膜になって
おり、剥離状態は良好であった。TiN膜に関しては熱処理前後で応力はほとんど変わら
ず、引張応力(約3.9×109〜4.5×109(Dyne/cm2))を有したままであった。
また、酸化シリコン膜に関しては熱処理前後で応力はほとんど変わらず、圧縮応力(約−
9.4×108〜−1.3×109(Dyne/cm2))を有したままであった。
【0073】
これらの結果から、剥離現象は、様々な要因による密着性と関係するが、特に内部応力
と深い関係があり、窒化物層または金属層の上に酸化物層を形成した場合、窒化物層また
は金属層と酸化物層との界面から被剥離層を全面に渡って剥離することができることが読
み取れる。
【0074】
(実験4)
加熱温度の依存性を調べるため、以下の実験を行った。
【0075】
サンプルとして、ガラス基板上にスパッタ法を用い、50nmの膜厚でW膜(タングス
テン膜)を形成した後、スパッタ法(シリコンターゲットを用い、アルゴンガス流量10
sccm、酸素カ゛ス流量30sccm、成膜圧力0.4Pa、スパッタ電力3kW、基
板温度300℃)を用い、200nmの膜厚の酸化シリコン膜を形成した。次いで、実験
1と同様にプラズマCVD法により下地絶縁層(酸化窒化シリコン膜50nmと酸化窒化
シリコン膜100nm)、非晶質シリコン膜を54nmの厚さで形成する。
【0076】
次いで、加熱温度の条件を振って熱処理を行った後、接着剤を用いて石英基板を非晶質
シリコン膜(或いはポリシリコン膜)表面に貼り付け、人間の手によって石英基板とガラ
ス基板とが分離するように引っ張り、剥離可能かどうかを調べた。加熱温度の条件1とし
て、500℃、1時間、条件2として450℃、1時間、条件3として425℃、1時間
、条件4として410℃、1時間、条件5として400℃、1時間、条件6として350
℃、1時間とした。
【0077】
実験の結果、条件1〜4のサンフ゜ルでは剥離することができたが、条件5、条件6の
サンプルでは剥離ができなかった。従って、本発明の剥離方法においては、少なくとも4
10℃以上の熱処理を行うことが好ましい。この410℃以上の温度とは水素が膜中から
放出または膜中に拡散する温度である。
【0078】
また、剥離させた際、W膜は、ガラス基板上に全面残っており、石英基板上に、積層(
スハ゜ッタ法によるSiO2膜、PCVD法による絶縁膜(1)及び(2)、非晶質シリコン
膜)が転写される。転写されたSiO2膜表面をTXRFで測定した結果が図21であり
、またAFMで測定すると表面粗さRz(30ポイント)は5.44nmであった。また
、リファレンスとして石英基板上に形成した50nmのW膜表面をTXRFで測定した結
果が図22であり、AFMで測定すると表面粗さRz(30ポイント)は22.8nmで
あった。また、石英基板のみをTXRFで測定した結果が図23である。図21と図22
とを比較すると同様のW(タングステン)のピークを有していることから、転写されたS
iO2膜表面には微小の金属材料(ここではW)が付着していることがわかる。
【0079】
本明細書で開示する本発明の構成は、支持体に接着材で接着された被剥離層は、酸化シリ
コン膜を有し、酸化シリコン膜と接着材との間には微量の金属材料を有する半導体装置で
ある。
【0080】
上記構成において、前記金属材料は、W、Ti、Al、Ta、Mo、Cu、Cr、Nd、
Fe、Ni、Co、Zr、Zn、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Ptから選ばれた元素
、または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料であることを特徴としてい
る。
【発明の効果】
【0081】
本発明は、物理的手段によって基板から剥離するため、半導体層への損傷なく、素子の
信頼性を向上できる。
【0082】
また、本発明は、小さな面積を有する被剥離層の剥離だけでなく、大きな面積を有する
被剥離層を全面に渡って歩留まりよく剥離することが可能である。
【0083】
加えて、本発明は、物理的手段で容易に剥離、例えば人間の手で引き剥がすことが可能
であるため、量産に適したプロセスと言える。また、量産する際に被剥離層を引き剥がす
ための製造装置を作製した場合、大型の製造装置も安価に作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】実施の形態1を説明する図である。
【図2】実施の形態2を説明する図である。
【図3】実験を説明する図である。
【図4】実施の形態3を説明する図である。
【図5】実施の形態4を説明する図である。
【図6】アクティブマトリクス基板の作製工程を示す図。
【図7】アクティブマトリクス基板の作製工程を示す図。
【図8】アクティブマトリクス基板を示す図。
【図9】実施例2を説明する図である。
【図10】実施例3を説明する図である。
【図11】実施例4を説明する図である。
【図12】実施例5を説明する図である。
【図13】実施例6を説明する図である。
【図14】実施例7を説明する図である。
【図15】実施例8を説明する図である。
【図16】実施例9を説明する図である。
【図17】実施例9を説明する図である。
【図18】電子機器の一例を示す図。
【図19】電子機器の一例を示す図。
【図20】部分的に剥離させた境界の断面TEM写真図及び模式図。
【図21】剥離した酸化シリコン膜表面のTXRF測定結果を示すグラフ。
【図22】石英基板上に成膜されたW膜表面のTXRF測定結果を示すグラフ。(リファレンス)
【図23】石英基板表面のTXRF測定結果を示すグラフ。(リファレンス)
【発明を実施するための形態】
【0085】
本発明の実施形態について、以下に説明する。
【0086】
(実施の形態1)
以下に本発明を用いた代表的な剥離手順を簡略に図1を用いて示す。
【0087】
図1(A)中、10は基板、11は窒化物層または金属層、12は酸化物層、13は被
剥離層である。
【0088】
図1(A)において、基板10はガラス基板、石英基板、セラミック基板などを用いる
ことができる。また、シリコン基板、金属基板またはステンレス基板を用いても良い。
【0089】
まず、図1(A)に示すように基板10上に窒化物層または金属層11を形成する。窒
化物層または金属層11として、代表的な一例はTi、Al、Ta、W、Mo、Cu、C
r、Nd、Fe、Ni、Co、Zr、Zn、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Ptから選
ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料からなる単層、
またはこれらの積層、或いは、これらの窒化物、例えば、窒化チタン、窒化タングステン
、窒化タンタル、窒化モリブデンからなる単層、またはこれらの積層を用いればよい。
【0090】
次いで、窒化物層または金属層11上に酸化物層12を形成する。酸化物層12として
、代表的な一例は酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化金属材料を用いればよい。なお
、酸化物層12は、スパッタ法、プラズマCVD法、塗布法などのいずれの成膜方法を用
いてもよい。
【0091】
本発明においては、この酸化物層12の膜応力と、窒化物層または金属層11の膜応力
とを異ならせることが重要である。各々の膜厚は、1nm〜1000nmの範囲で適宜設
定し、各々の膜応力を調節すればよい。また、図1では、プロセスの簡略化を図るため、
基板10に接して窒化物層または金属層11を形成した例を示したが、基板10と窒化物
層または金属層11との間に絶縁層や金属層を設け、基板10との密着性を向上させても
よい。
【0092】
次いで、酸化物層12上に被剥離層13を形成する。(図1(A))被剥離層13は、
TFTを代表とする様々な素子(薄膜ダイオード、シリコンのPIN接合からなる光電変
換素子やシリコン抵抗素子)を含む層とすればよい。また、基板10の耐え得る範囲の熱
処理を行うことができる。なお、本発明において、酸化物層12の膜応力と、窒化物層ま
たは金属層11の膜応力が異なっていても、被剥離層13の作製工程における熱処理によ
って膜剥がれなどが生じない。
【0093】
次いで、窒化物層または金属層11が設けられている基板10を物理的手段により引き
剥がす。(図1(B))酸化物層12の膜応力と、窒化物層または金属層11の膜応力が
異なっているため、比較的小さな力で引き剥がすことができる。また、ここでは、被剥離
層13の機械的強度が十分であると仮定した例を示しているが、被剥離層13の機械的強
度が不十分である場合には、被剥離層13を固定する支持体(図示しない)を貼りつけた
後、剥離することが好ましい。
【0094】
こうして、酸化物層12上に形成された被剥離層13を基板10から分離することがで
きる。剥離後の状態を図1(C)に示す。
【0095】
実験では、金属層11としてタングステン膜10nm、酸化物層12としてスハ゜ッタ
法による酸化シリコン膜200nmであっても本発明の剥離法により剥離が確認でき、金
属層11としてタングステン膜50nmと酸化物層12としてスハ゜ッタ法による酸化シ
リコン膜100nmであっても本発明の剥離法により剥離が確認できている。また、金属
層11としてタングステン膜50nmと酸化物層12としてスハ゜ッタ法による酸化シリ
コン膜400nmであっても本発明の剥離法により剥離が確認できている。
【0096】
また、剥離した後、引き剥がした被剥離層13を転写体(図示しない)に貼り付けても
よい。
【0097】
また、本発明は様々な半導体装置の作製方法に用いることができる。特に、転写体や支
持体をプラスチック基板とすることで、軽量化が図れる。
【0098】
液晶表示装置を作製する場合は、支持体を対向基板とし、シール材を接着材として用い
て支持体を被剥離層に接着すればよい。この場合、被剥離層に設けられた素子は画素電極
を有しており、該画素電極と、前記対向基板との間には液晶材料が充填されるようにする
。また、液晶表示装置を作製する順序は、特に限定されず、支持体としての対向基板を貼
りつけ、液晶を注入した後に基板を剥離して転写体としてのプラスチック基板を貼りつけ
てもよいし、画素電極を形成した後、基板を剥離し、第1の転写体としてのプラスチック
基板を貼り付けた後、第2の転写体としての対向基板を貼りつけてもよい。
【0099】
また、EL素子を有する発光装置として代表される発光装置を作製する場合は、支持体
を封止材として、外部から水分や酸素といった有機化合物層の劣化を促す物質が侵入する
ことを防ぐように発光素子を外部から完全に遮断することが好ましい。また、EL素子を
有する発光装置として代表される発光装置を作製する場合は、支持体だけでなく、転写体
も同様、十分に外部から水分や酸素といった有機化合物層の劣化を促す物質が侵入するこ
とを防ぐことが好ましい。また、発光装置を作製する順序は、特に限定されず、発光素子
を形成した後、支持体としてのプラスチック基板を貼りつけ、基板を剥離し、転写体とし
てのプラスチック基板を貼りつけてもよいし、発光素子を形成した後、基板を剥離して、
第1の転写体としてのプラスチック基板を貼り付けた後、第2の転写体としてのプラスチ
ック基板を貼りつけてもよい。
【0100】
(実施の形態2)
本実施の形態は、被剥離層に接する下地絶縁層を設けて、窒化物層または金属層や基板か
らの不純物の拡散を防ぎつつ、基板を剥離する剥離手順を簡略に図2を用いて示す。
【0101】
図2(A)中、20は基板、21は窒化物層または金属層、22は酸化物層、23a、
23bは下地絶縁層、24は被剥離層である。
【0102】
図2(A)において、基板20はガラス基板、石英基板、セラミック基板などを用いる
ことができる。また、シリコン基板、金属基板またはステンレス基板を用いても良い。
【0103】
まず、図2(A)に示すように基板20上に窒化物層または金属層21を形成する。窒
化物層または金属層21として、代表的な一例はTi、Al、Ta、W、Mo、Cu、C
r、Nd、Fe、Ni、Co、Zr、Zn、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Ptから選
ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料からなる単層、
またはこれらの積層、或いは、これらの窒化物、例えば、窒化チタン、窒化タングステン
、窒化タンタル、窒化モリブデンからなる単層、またはこれらの積層を用いればよい。
【0104】
次いで、窒化物層または金属層21上に酸化物層22を形成する。酸化物層22として
、代表的な一例は酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化金属材料を用いればよい。なお
、酸化物層22は、スパッタ法、プラズマCVD法、塗布法などのいずれの成膜方法を用
いてもよい。
【0105】
本発明においては、この酸化物層22の膜応力と、窒化物層または金属層21の膜応力
とを異ならせることが重要である。各々の膜厚は、1nm〜1000nmの範囲で適宜設
定し、各々の膜応力を調節すればよい。また、図2では、プロセスの簡略化を図るため、
基板20に接して窒化物層または金属層21を形成した例を示したが、基板20と窒化物
層または金属層21との間に絶縁層や金属層を設け、基板20との密着性を向上させても
よい。
【0106】
次いで、酸化物層22上に下地絶縁層23a、23bを形成する。ここでは、プラズマ
CVD法で成膜温度400℃、原料ガスSiH4、NH3、N2Oから作製される酸化窒化
シリコン膜23a(組成比Si=32%、O=27%、N=24%、H=17%)を50
nm(好ましくは10〜200nm)形成し、さらにプラズマCVD法で成膜温度400℃、
原料ガスSiH4、N2Oから作製される酸化窒化シリコン膜23b(組成比Si=32%
、O=59%、N=7%、H=2%)を100nm(好ましくは50〜200nm)の厚さ
に積層したが、特に限定されず、単層もしくは3層以上の積層であってもよい。
【0107】
次いで、下地絶縁層23b上に被剥離層24を形成する。(図2(A))
【0108】
このような2層の下地絶縁層23a、23bとした場合、被剥離層24を形成するプロ
セスにおいて、窒化物層または金属層21や基板20からの不純物の拡散を防ぐことがで
きる。また、下地絶縁層23a、23bにより酸化物層22と被剥離層24との密着性を
向上させることもできる。
【0109】
また、窒化物層または金属層21や酸化物層22によって表面に凹凸が形成された場合
、下地絶縁層を形成する前後に表面を平坦化してもよい。平坦化を行った方が、被剥離層
24においてカバレッジが良好となり、素子を含む被剥離層24を形成する場合、素子特
性が安定しやすいため好ましい。なお、この平坦化処理として、塗布膜(レジスト膜等)
を形成した後エッチングなどを行って平坦化するエッチバック法や機械的化学的研磨法(
CMP法)等を用いればよい。
【0110】
次いで、窒化物層または金属層21が設けられている基板20を物理的手段により引き
剥がす。(図2(B))酸化物層22の膜応力と、窒化物層または金属層21の膜応力が
異なっているため、比較的小さな力で引き剥がすことができる。また、ここでは、被剥離
層24の機械的強度が十分であると仮定した例を示しているが、被剥離層24の機械的強
度が不十分である場合には、被剥離層24を固定する支持体(図示しない)を貼りつけた
後、剥離することが好ましい。
【0111】
こうして、下地絶縁層22上に形成された被剥離層24を基板20から分離することが
できる。剥離後の状態を図2(C)に示す。
【0112】
また、剥離した後、引き剥がした被剥離層24を転写体(図示しない)に貼り付けても
よい。
【0113】
また、本発明は様々な半導体装置の作製方法に用いることができる。特に、転写体や支
持体をプラスチック基板とすることで、軽量化が図れる。
【0114】
液晶表示装置を作製する場合は、支持体を対向基板とし、シール材を接着材として用い
て支持体を被剥離層に接着すればよい。この場合、被剥離層に設けられた素子は画素電極
を有しており、該画素電極と、前記対向基板との間には液晶材料が充填されるようにする
。また、液晶表示装置を作製する順序は、特に限定されず、支持体としての対向基板を貼
りつけ、液晶を注入した後に基板を剥離して転写体としてのプラスチック基板を貼りつけ
てもよいし、画素電極を形成した後、基板を剥離し、第1の転写体としてのプラスチック
基板を貼り付けた後、第2の転写体としての対向基板を貼りつけてもよい。
【0115】
また、EL素子を有する発光装置として代表される発光装置を作製する場合は、支持体
を封止材として、外部から水分や酸素といった有機化合物層の劣化を促す物質が侵入する
ことを防ぐように発光素子を外部から完全に遮断することが好ましい。また、EL素子を
有する発光装置として代表される発光装置を作製する場合は、支持体だけでなく、転写体
も同様、十分に外部から水分や酸素といった有機化合物層の劣化を促す物質が侵入するこ
とを防ぐことが好ましい。また、発光装置を作製する順序は、特に限定されず、発光素子
を形成した後、支持体としてのプラスチック基板を貼りつけ、基板を剥離し、転写体とし
てのプラスチック基板を貼りつけてもよいし、発光素子を形成した後、基板を剥離して、
第1の転写体としてのプラスチック基板を貼り付けた後、第2の転写体としてのプラスチ
ック基板を貼りつけてもよい。
【0116】
(実施の形態3)
本実施の形態においては、実施の形態1に加えて、さらに剥離を助長させるため、レー
ザー光の照射または加熱処理を行う例を図4に示す。
【0117】
図4(A)中、40は基板、41は窒化物層または金属層、42は酸化物層、43は被
剥離層である。
【0118】
被剥離層43まで形成する工程は、実施の形態1と同一であるので省略する。
【0119】
被剥離層43を形成した後、レーザー光の照射を行う。(図3(A))レーザー光とし
ては、エキシマレーザー等の気体レーザーや、YVO4レーザーやYAGレーザーなどの
固体レーザーや、半導体レーザーを用いればよい。また、レーザー発振の形態は、連続発
振、パルス発振のいずれでもよく、レーザービームの形状も線状、矩形状、円状、楕円状
のいずれでもよい。また、使用する波長は、基本波、第2高調波、第3高調波のいずれで
もよい。
【0120】
また、窒化物層または金属層41として用いる材料は、レーザー光を吸収しやすい材料
を用いることが望ましく、窒化チタンが好ましい。なお、レーザー光を通過させるため、
基板40は透光性を有している基板を用いる。
【0121】
次いで、窒化物層または金属層41が設けられている基板40を物理的手段により引き
剥がす。(図4(B))酸化物層42の膜応力と、窒化物層または金属層41の膜応力が
異なっているため、比較的小さな力で引き剥がすことができる。
【0122】
レーザー光を照射することによって、窒化物層または金属層41と酸化物層42との界
面を加熱することにより、互いの膜応力を変化させて、剥離を助長することができ、さら
に小さな力で剥離させることができる。また、ここでは、被剥離層43の機械的強度が十
分であると仮定した例を示しているが、被剥離層43の機械的強度が不十分である場合に
は、被剥離層43を固定する支持体(図示しない)を貼りつけた後、剥離することが好ま
しい。
【0123】
こうして、酸化物層42上に形成された被剥離層43を基板40から分離することがで
きる。剥離後の状態を図4(C)に示す。
【0124】
また、レーザー光に限定されず、ハロゲンランプ等の光源からの可視光、赤外線、紫外線
、マイクロ波などを用いてもよい。
【0125】
また、レーザー光に代えて電気炉での加熱処理でもよい。
【0126】
また、支持体を接着する前、或いは、前記物理的手段により剥離する前に、加熱処理ま
たはレーザー光の照射を行う処理を行ってもよい。
【0127】
また、本実施の形態は、実施の形態2と組み合わせることができる。
【0128】
(実施の形態4)
本実施の形態においては、実施の形態1に加えて、さらに剥離を助長させるため、粒状
の酸化物を窒化物層または金属層と酸化物層との界面に設ける例を図5に示す。
【0129】
図5(A)中、50は基板、51は窒化物層または金属層、52aは粒状の酸化物、5
2bは酸化物層、53は被剥離層である。
【0130】
窒化物層または金属層51まで形成する工程は、実施の形態1と同一であるので省略す
る。
【0131】
窒化物層または金属層51を形成した後、粒状の酸化物52aを形成する。粒状の酸化
物52aとしては酸化金属材料、例えば、ITO(酸化インジウム酸化スズ合金)、酸化
インジウム酸化亜鉛合金(In23―ZnO)、酸化亜鉛(ZnO)等を用いればよい。
【0132】
次いで、粒状の酸化物52aを覆って酸化物層52bを形成する。酸化物層52bとし
て、代表的な一例は酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化金属材料を用いればよい。な
お、酸化物層23bは、スパッタ法、プラズマCVD法、塗布法などのいずれの成膜方法
を用いてもよい。
【0133】
次いで、酸化物層52b上に被剥離層53を形成する。(図5(A))
【0134】
次いで、窒化物層または金属層51が設けられている基板50を物理的手段により引き
剥がす。(図5(B))酸化物層52の膜応力と、窒化物層または金属層51の膜応力が
異なっているため、比較的小さな力で引き剥がすことができる。
【0135】
粒状の酸化物52bを設けることによって、窒化物層または金属層51と酸化物層52
との結合力を弱め、互いの密着性を変化させて、剥離を助長することができ、さらに小さ
な力で剥離させることができる。また、ここでは、被剥離層53の機械的強度が十分であ
ると仮定した例を示しているが、被剥離層53の機械的強度が不十分である場合には、被
剥離層53を固定する支持体(図示しない)
を貼りつけた後、剥離することが好ましい。
【0136】
こうして、酸化物層52b上に形成された被剥離層53を基板50から分離することが
できる。剥離後の状態を図5(C)に示す。
【0137】
また、本実施の形態は、実施の形態2、または実施の形態3と組み合わせることができ
る。
【0138】
以上の構成でなる本発明について、以下に示す実施例でもってさらに詳細な説明を行う
こととする。
【実施例1】
【0139】
本発明の実施例を図6〜図8を用いて説明する。ここでは、同一基板上に画素部と、画
素部の周辺に設ける駆動回路のTFT(nチャネル型TFT及びpチャネル型TFT)を
同時に作製する方法について詳細に説明する。
【0140】
まず、基板100上に窒化物層または金属層101、酸化物層102、下地絶縁膜103
を形成し、結晶構造を有する半導体膜を得た後、所望の形状にエッチング処理して島状に
分離された半導体層104〜108を形成する。
【0141】
基板100としては、ガラス基板(#1737)を用いる。
【0142】
また、金属層101としては、Ti、Al、Ta、W、Mo、Cu、Cr、Nd、Fe
、Ni、Co、Zr、Zn、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Ptから選ばれた元素、ま
たは前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料からなる単層、またはこれらの
積層を用いればよい。さらに好ましくは、これらの窒化物、例えば、窒化チタン、窒化タ
ングステン、窒化タンタル、窒化モリブデンからなる単層、またはこれらの積層を用いれ
ばよい。ここではスパッタ法で膜厚100nmの窒化チタン膜を用いる。
【0143】
また、酸化物層102としては、酸化シリコン材料または酸化金属材料からなる単層、
またはこれらの積層を用いればよい。ここではスパッタ法で膜厚200nmの酸化シリコ
ン膜を用いる。この金属層101と酸化物層102の結合力は熱処理には強く、膜剥がれ
(ピーリングとも呼ばれる)などが生じないが、物理的手段で簡単に酸化物層の層内、あ
るいは界面において剥離することができる。
【0144】
また、下地絶縁膜103としては、プラズマCVD法で成膜温度400℃、原料ガスS
iH4、NH3、N2Oから作製される酸化窒化シリコン膜103a(組成比Si=32%
、O=27%、N=24%、H=17%)を50nm(好ましくは10〜200nm)形成す
る。次いで、表面をオゾン水で洗浄した後、表面の酸化膜を希フッ酸(1/100希釈)
で除去する。次いでプラズマCVD法で成膜温度400℃、原料ガスSiH4、N2Oから
作製される酸化窒化シリコン膜103b(組成比Si=32%、O=59%、N=7%、
H=2%)を100nm(好ましくは50〜200nm)の厚さに積層形成し、さらに大気
解放せずにプラズマCVD法で成膜温度300℃、成膜ガスSiH4で非晶質構造を有す
る半導体膜(ここではアモルファスシリコン膜)を54nmの厚さ(好ましくは25〜8
0nm)で形成する。
【0145】
本実施例では下地膜103を2層構造として示したが、前記絶縁膜の単層膜または2層以
上積層させた構造として形成しても良い。また、半導体膜の材料に限定はないが、好まし
くはシリコンまたはシリコンゲルマニウム(SiXGe1-X(X=0.0001〜0.02
))合金などを用い、公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法
等)により形成すればよい。また、プラズマCVD装置は、枚葉式の装置でもよいし、バ
ッチ式の装置でもよい。また、同一の成膜室で大気に触れることなく下地絶縁膜と半導体
膜とを連続成膜してもよい。
【0146】
次いで、非晶質構造を有する半導体膜の表面を洗浄した後、オゾン水で表面に約2nm
の極薄い酸化膜を形成する。次いで、TFTのしきい値を制御するために微量な不純物元
素(ボロンまたはリン)のドーピングを行う。ここでは、ジボラン(B26)を質量分離
しないでプラズマ励起したイオンドープ法を用い、ドーピング条件を加速電圧15kV、
ジボランを水素で1%に希釈したガス流量30sccm、ドーズ量2×1012/cm2
非晶質シリコン膜にボロンを添加した。
【0147】
次いで、重量換算で10ppmのニッケルを含む酢酸ニッケル塩溶液をスピナーで塗布す
る。塗布に代えてスパッタ法でニッケル元素を全面に散布する方法を用いてもよい。
【0148】
次いで、加熱処理を行い結晶化させて結晶構造を有する半導体膜を形成する。
この加熱処理は、電気炉の熱処理または強光の照射を用いればよい。電気炉の熱処理で行
う場合は、500℃〜650℃で4〜24時間で行えばよい。ここでは脱水素化のための
熱処理(500℃、1時間)の後、結晶化のための熱処理(550℃、4時間)を行って
結晶構造を有するシリコン膜を得る。なお、ここでは炉を用いた熱処理を用いて結晶化を
行ったが、ランプアニール装置で結晶化を行ってもよい。なお、ここではシリコンの結晶
化を助長する金属元素としてニッケルを用いた結晶化技術を用いたが、他の公知の結晶化
技術、例えば固相成長法やレーザー結晶化法を用いてもよい。
【0149】
次いで、結晶構造を有するシリコン膜表面の酸化膜を希フッ酸等で除去した後、結晶化
率を高め、結晶粒内に残される欠陥を補修するための第1のレーザー光(XeCl:波長
308nm)の照射を大気中、または酸素雰囲気中で行う。レーザー光には波長400nm
以下のエキシマレーザ光や、YAGレーザの第2高調波、第3高調波を用いる。いずれに
しても、繰り返し周波数10〜1000Hz程度のパルスレーザー光を用い、当該レーザー
光を光学系にて100〜500mJ/cm2に集光し、90〜95%のオーバーラップ率をもっ
て照射し、シリコン膜表面を走査させればよい。ここでは、繰り返し周波数30Hz、エ
ネルギー密度393mJ/cm2で第1のレーザー光の照射を大気中で行なう。なお、大気中、
または酸素雰囲気中で行うため、第1のレーザー光の照射により表面に酸化膜が形成され
る。
【0150】
次いで、第1のレーザー光の照射により形成された酸化膜を希フッ酸で除去した後、第
2のレーザー光の照射を窒素雰囲気、或いは真空中で行い、半導体膜表面を平坦化する。
このレーザー光(第2のレーザー光)には波長400nm以下のエキシマレーザー光や、Y
AGレーザーの第2高調波、第3高調波を用いる。第2のレーザー光のエネルギー密度は
、第1のレーザー光のエネルギー密度より大きくし、好ましくは30〜60mJ/cm2
大きくする。ここでは、繰り返し周波数30Hz、エネルギー密度453mJ/cm2で第2の
レーザー光の照射を行ない、半導体膜表面における凹凸のP―V値(Peak to Valley、高
さの最大値と最小値の差分)が50nm以下となる。このP−V値は、AFM(原子間力
顕微鏡)
により得られる。
【0151】
また、本実施例では第2のレーザー光の照射を全面に行ったが、オフ電流の低減は、画
素部のTFTに特に効果があるため、少なくとも画素部のみに選択的に照射する工程とし
てもよい。
【0152】
次いで、オゾン水で表面を120秒処理して合計1〜5nmの酸化膜からなるバリア層
を形成する。
【0153】
次いで、バリア層上にスパッタ法にてゲッタリングサイトとなるアルゴン元素を含む非
晶質シリコン膜を膜厚150nmで形成する。本実施例のスパッタ法による成膜条件は、
成膜圧力を0.3Paとし、ガス(Ar)流量を50(sccm)
とし、成膜パワーを3kWとし、基板温度を150℃とする。なお、上記条件での非晶質
シリコン膜に含まれるアルゴン元素の原子濃度は、3×1020/cm3〜6×1020/c
3、酸素の原子濃度は1×1019/cm3〜3×1019/cm3である。その後、ランプ
アニール装置を用いて650℃、3分の熱処理を行いゲッタリングする。
【0154】
次いで、バリア層をエッチングストッパーとして、ゲッタリングサイトであるアルゴン
元素を含む非晶質シリコン膜を選択的に除去した後、バリア層を希フッ酸で選択的に除去
する。なお、ゲッタリングの際、ニッケルは酸素濃度の高い領域に移動しやすい傾向があ
るため、酸化膜からなるバリア層をゲッタリング後に除去することが望ましい。
【0155】
次いで、得られた結晶構造を有するシリコン膜(ポリシリコン膜とも呼ばれる)の表面
にオゾン水で薄い酸化膜を形成した後、レジストからなるマスクを形成し、所望の形状に
エッチング処理して島状に分離された半導体層104〜108を形成する。半導体層を形
成した後、レジストからなるマスクを除去する。
【0156】
次いで、フッ酸を含むエッチャントで酸化膜を除去すると同時にシリコン膜の表面を洗
浄した後、ゲート絶縁膜109となる珪素を主成分とする絶縁膜を形成する。本実施例で
は、プラズマCVD法により115nmの厚さで酸化窒化シリコン膜(組成比Si=32
%、O=59%、N=7%、H=2%)で形成する。
【0157】
次いで、図6(A)に示すように、ゲート絶縁膜109上に膜厚20〜100nmの第
1の導電膜110aと、膜厚100〜400nmの第2の導電膜110bとを積層形成す
る。本実施例では、ゲート絶縁膜109上に膜厚50nmの窒化タンタル膜、膜厚370
nmのタングステン膜を順次積層する。
【0158】
第1の導電膜及び第2の導電膜を形成する導電性材料としてはTa、W、Ti、Mo、
Al、Cuから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材
料で形成する。また、第1の導電膜及び第2の導電膜としてリン等の不純物元素をドーピ
ングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜や、、AgPdCu合金を用いてもよい
。また、2層構造に限定されず、例えば、膜厚50nmのタングステン膜、膜厚500n
mのアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜、膜厚30nmの窒化チタン膜を順
次積層した3層構造としてもよい。また、3層構造とする場合、第1の導電膜のタングス
テンに代えて窒化タングステンを用いてもよいし、第2の導電膜のアルミニウムとシリコ
ンの合金(Al−Si)膜に代えてアルミニウムとチタンの合金膜(Al−Ti)を用い
てもよいし、第3の導電膜の窒化チタン膜に代えてチタン膜を用いてもよい。また、単層
構造であってもよい。
【0159】
次に、図6(B)に示すように光露光工程によりレジストからなるマスク112〜117
を形成し、ゲート電極及び配線を形成するための第1のエッチング処理を行う。第1のエ
ッチング処理では第1及び第2のエッチング条件で行う。エッチングにはICP(Induct
ively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用いると良い。ICPエッ
チング法を用い、エッチング条件(コイル型の電極に印加される電力量、基板側の電極に
印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節することによって所望のテーパー形
状に膜をエッチングすることができる。なお、エッチング用ガスとしては、Cl2、BC
3、SiCl4、CCl4などを代表とする塩素系ガスまたはCF4、SF6、NF3などを
代表とするフッ素系ガス、またはO2を適宜用いることができる。
【0160】
本実施例では、基板側(試料ステージ)にも150WのRF(13.56MHz)電力を投入し
、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。なお、基板側の電極面積サイズは、12.
5cm×12.5cmであり、コイル型の電極面積サイズ(ここではコイルの設けられた
石英円板)は、直径25cmの円板である。この第1のエッチング条件によりW膜をエッ
チングして第1の導電層の端部をテーパー形状とする。第1のエッチング条件でのWに対
するエッチング速度は200.39nm/min、TaNに対するエッチング速度は80
.32nm/minであり、TaNに対するWの選択比は約2.5である。また、この第
1のエッチング条件によって、Wのテーパー角は、約26°となる。この後、レジストか
らなるマスク112〜117を除去せずに第2のエッチング条件に変え、エッチング用ガ
スにCF4とCl2とを用い、それぞれのガス流量比を30/30(sccm)とし、1Pa
の圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成し
て約30秒程度のエッチングを行った。基板側(試料ステージ)にも20WのRF(13.56
MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。CF4とCl2を混合し
た第2のエッチング条件ではW膜及びTaN膜とも同程度にエッチングされる。第2のエ
ッチング条件でのWに対するエッチング速度は58.97nm/min、TaNに対する
エッチング速度は66.43nm/minである。なお、ゲート絶縁膜上に残渣を残すこ
となくエッチングするためには、10〜20%程度の割合でエッチング時間を増加させる
と良い。
【0161】
上記第1のエッチング処理では、レジストからなるマスクの形状を適したものとするこ
とにより、基板側に印加するバイアス電圧の効果により第1の導電層及び第2の導電層の
端部がテーパー形状となる。このテーパー部の角度は15〜45°とすればよい。
【0162】
こうして、第1のエッチング処理により第1の導電層と第2の導電層から成る第1の形
状の導電層119〜123(第1の導電層119a〜123aと第2の導電層119b〜
123b)を形成する。ゲート絶縁膜となる絶縁膜109は、10〜20nm程度エッチン
グされ、第1の形状の導電層119〜123で覆われない領域が薄くなったゲート絶縁膜
118となる。
【0163】
次いで、レジストからなるマスクを除去せずに第2のエッチング処理を行う。
ここでは、エッチング用ガスにSF6とCl2とO2とを用い、それぞれのガス流量比を2
4/12/24(sccm)とし、1.3Paの圧力でコイル型の電極に700WのRF(1
3.56MHz)電力を投入してプラズマを生成してエッチングを25秒行った。基板側(試料
ステージ)にも10WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧
を印加する。第2のエッチング処理でのWに対するエッチング速度は227.3nm/m
in、TaNに対するエッチング速度は32.1nm/minであり、TaNに対するW
の選択比は7.1であり、絶縁膜118であるSiONに対するエッチング速度は33.
7nm/minであり、SiONに対するWの選択比は6.83である。このようにエッ
チングガス用ガスにSF6を用いた場合、絶縁膜118との選択比が高いので膜減りを抑
えることができる。本実施例では絶縁膜118において約8nmしか膜減りが起きない。
【0164】
この第2のエッチング処理によりWのテーパー角は70°となった。この第2のエッチ
ング処理により第2の導電層126b〜131bを形成する。一方、第1の導電層は、ほ
とんどエッチングされず、第1の導電層126a〜131aとなる。なお、第1の導電層
126a〜131aは、第1の導電層119a〜124aとほぼ同一サイズである。実際
には、第1の導電層の幅は、第2のエッチング処理前に比べて約0.3μm程度、即ち線
幅全体で0.6μm程度後退する場合もあるがほとんどサイズに変化がない。
【0165】
また、2層構造に代えて、膜厚50nmのタングステン膜、膜厚500nmのアルミニ
ウムとシリコンの合金(Al−Si)膜、膜厚30nmの窒化チタン膜を順次積層した3
層構造とした場合、第1のエッチング処理の第1のエッチング条件としては、BCl3
Cl2とO2とを原料ガスに用い、それぞれのガス流量比を65/10/5(sccm)と
し、基板側(試料ステージ)に300WのRF(13.56MHz)電力を投入し、1.
2Paの圧力でコイル型の電極に450WのRF(13.56MHz)電力を投入してプ
ラズマを生成して117秒のエッチングを行えばよく、第1のエッチング処理の第2のエ
ッチング条件としては、CF4とCl2とO2とを用い、それぞれのガス流量比を25/2
5/10(sccm)とし、基板側(試料ステージ)にも20WのRF(13.56MH
z)電力を投入し、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz
)電力を投入してプラズマを生成して約30秒程度のエッチングを行えばよく、第2のエ
ッチング処理としてはBCl3とCl2を用い、それぞれのガス流量比を20/60(sccm
)とし、基板側(試料ステージ)には100WのRF(13.56MHz)電力を投入し
、1.2Paの圧力でコイル型の電極に600WのRF(13.56MHz)電力を投入
してプラズマを生成してエッチングを行えばよい。
【0166】
次いで、レジストからなるマスクを除去した後、第1のドーピング処理を行って図6(
D)の状態を得る。ドーピング処理はイオンドープ法、もしくはイオン注入法で行えば良
い。イオンドープ法の条件はドーズ量を1.5×1014atoms/cm2とし、加速電圧を60
〜100keVとして行う。n型を付与する不純物元素として、典型的にはリン(P)ま
たは砒素(As)を用いる。この場合、第1の導電層及び第2の導電層126〜130が
n型を付与する不純物元素に対するマスクとなり、自己整合的に第1の不純物領域132
〜136が形成される。第1の不純物領域132〜136には1×1016〜1×1017/c
m3の濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加する。ここでは、第1の不純物領域と同
じ濃度範囲の領域をn--領域とも呼ぶ。
【0167】
なお、本実施例ではレジストからなるマスクを除去した後、第1のドーピング処理を行
ったが、レジストからなるマスクを除去せずに第1のドーピング処理を行ってもよい。
【0168】
次いで、図7(A)に示すようにレジストからなるマスク137〜139を形成し第2
のドーピング処理を行う。マスク137は駆動回路のpチャネル型TFTを形成する半導
体層のチャネル形成領域及びその周辺の領域を保護するマスクであり、マスク138は駆
動回路のnチャネル型TFTの一つを形成する半導体層のチャネル形成領域及びその周辺
の領域を保護するマスクであり、マスク139は画素部のTFTを形成する半導体層のチ
ャネル形成領域及びその周辺の領域と保持容量となる領域とを保護するマスクである。
【0169】
第2のドーピング処理におけるイオンドープ法の条件はドーズ量を1.5×1015atom
s/cm2とし、加速電圧を60〜100keVとしてリン(P)をドーピングする。ここで
は、第2の導電層126b〜128bをマスクとして各半導体層に不純物領域が自己整合
的に形成される。勿論、マスク137〜139で覆われた領域には添加されない。こうし
て、第2の不純物領域140〜142と、第3の不純物領域144が形成される。第2の
不純物領域140〜142には1×1020〜1×1021/cm3の濃度範囲でn型を付与する
不純物元素を添加されている。ここでは、第2の不純物領域と同じ濃度範囲の領域をn+
領域とも呼ぶ。
【0170】
また、第3の不純物領域は第1の導電層により第2の不純物領域よりも低濃度に形成さ
れ、1×1018〜1×1019/cm3の濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加されるこ
とになる。なお、第3の不純物領域は、テーパー形状である第1の導電層の部分を通過さ
せてドーピングを行うため、テーパ−部の端部に向かって不純物濃度が増加する濃度勾配
を有している。ここでは、第3の不純物領域と同じ濃度範囲の領域をn-領域とも呼ぶ。
また、マスク138、139で覆われた領域は、第2のドーピング処理で不純物元素が添
加されず、第1の不純物領域146、147となる。
【0171】
次いで、レジストからなるマスク137〜139を除去した後、新たにレジストからな
るマスク148〜150を形成して図7(B)に示すように第3のドーピング処理を行う

【0172】
駆動回路において、上記第3のドーピング処理により、pチャネル型TFTを形成する半
導体層および保持容量を形成する半導体層にp型の導電型を付与する不純物元素が添加さ
れた第4の不純物領域151、152及び第5の不純物領域153、154を形成する。
【0173】
また、第4の不純物領域151、152には1×1020〜1×1021/cm3の濃度範囲でp
型を付与する不純物元素が添加されるようにする。尚、第4の不純物領域151、152
には先の工程でリン(P)が添加された領域(n--領域)であるが、p型を付与する不純
物元素の濃度がその1.5〜3倍添加されていて導電型はp型となっている。ここでは、
第4の不純物領域と同じ濃度範囲の領域をp+領域とも呼ぶ。
【0174】
また、第5の不純物領域153、154は第2の導電層127aのテーパー部と重なる
領域に形成されるものであり、1×1018〜1×1020/cm3の濃度範囲でp型を付与する
不純物元素が添加されるようにする。ここでは、第5の不純物領域と同じ濃度範囲の領域
をp-領域とも呼ぶ。
【0175】
以上までの工程でそれぞれの半導体層にn型またはp型の導電型を有する不純物領域が
形成される。導電層126〜129はTFTのゲート電極となる。また、導電層130は
画素部において保持容量を形成する一方の電極となる。さらに、導電層131は画素部に
おいてソース配線を形成する。
【0176】
次いで、ほぼ全面を覆う絶縁膜(図示しない)を形成する。本実施例では、プラズマC
VD法により膜厚50nmの酸化シリコン膜を形成した。勿論、この絶縁膜は酸化シリコ
ン膜に限定されるものでなく、他のシリコンを含む絶縁膜を単層または積層構造として用
いても良い。
【0177】
次いで、それぞれの半導体層に添加された不純物元素を活性化処理する工程を行う。こ
の活性化工程は、ランプ光源を用いたラピッドサーマルアニール法(RTA法)、或いは
YAGレーザーまたはエキシマレーザーを裏面から照射する方法、或いは炉を用いた熱処
理、或いはこれらの方法のうち、いずれかと組み合わせた方法によって行う。
【0178】
また、本実施例では、上記活性化の前に絶縁膜を形成した例を示したが、上記活性化を
行った後、絶縁膜を形成する工程としてもよい。
【0179】
次いで、窒化シリコン膜からなる第1の層間絶縁膜155を形成して熱処理(300〜
550℃で1〜12時間の熱処理)を行い、半導体層を水素化する工程を行う。(図7(
C))この工程は第1の層間絶縁膜155に含まれる水素により半導体層のダングリング
ボンドを終端する工程である。酸化シリコン膜からなる絶縁膜(図示しない)の存在に関
係なく半導体層を水素化することができる。
ただし、本実施例では、第2の導電層としてアルミニウムを主成分とする材料を用いてい
るので、水素化する工程において第2の導電層が耐え得る熱処理条件とすることが重要で
ある。水素化の他の手段として、プラズマ水素化(プラズマにより励起された水素を用い
る)を行っても良い。
【0180】
次いで、第1の層間絶縁膜155上に有機絶縁物材料から成る第2の層間絶縁膜156
を形成する。本実施例では膜厚1.6μmのアクリル樹脂膜を形成する。次いで、ソース
配線131に達するコンタクトホールと、導電層129、130に達するコンタクトホー
ルと、各不純物領域に達するコンタクトホールを形成する。本実施例では複数のエッチン
グ処理を順次行う。本実施例では第1の層間絶縁膜をエッチングストッパーとして第2の
層間絶縁膜をエッチングした後、絶縁膜(図示しない)をエッチングストッパーとして第
1の層間絶縁膜をエッチングしてから絶縁膜(図示しない)をエッチングした。
【0181】
その後、Al、Ti、Mo、Wなどを用いて配線及び画素電極を形成する。これらの電極
及び画素電極の材料は、AlまたはAgを主成分とする膜、またはそれらの積層膜等の反
射性の優れた材料を用いることが望ましい。こうして、ソース電極またはドレイン電極1
57〜162、ゲート配線164、接続配線163、画素電極165が形成される。
【0182】
以上の様にして、nチャネル型TFT201、pチャネル型TFT202、nチャネル
型TFT203を有する駆動回路206と、nチャネル型TFTからなる画素TFT20
4、保持容量205とを有する画素部207を同一基板上に形成することができる。(図
8)本明細書中ではこのような基板を便宜上アクティブマトリクス基板と呼ぶ。
【0183】
画素部207において、画素TFT204(nチャネル型TFT)にはチャネル形成領
域169、ゲート電極を形成する導電層129の外側に形成される第1の不純物領域(n
--領域)147と、ソース領域またはドレイン領域として機能する第2の不純物領域(n
+領域)142、171を有している。また、保持容量205の一方の電極として機能す
る半導体層には第4の不純物領域152、第5の不純物領域154が形成されている。保
持容量205は、絶縁膜(ゲート絶縁膜と同一膜)118を誘電体として、第2の電極1
30と、半導体層152、154、170とで形成されている。
【0184】
また、駆動回路206において、nチャネル型TFT201(第1のnチャネル型TF
T)はチャネル形成領域166、ゲート電極を形成する導電層126の一部と絶縁膜を介
して重なる第3の不純物領域(n-領域)144とソース領域またはドレイン領域として
機能する第2の不純物領域(n+領域)140を有している。
【0185】
また、駆動回路206において、pチャネル型TFT202にはチャネル形成領域16
7、ゲート電極を形成する導電層127の一部と絶縁膜を介して重なる第5不純物領域(
-領域)153とソース領域またはドレイン領域として機能する第4の不純物領域(p+
領域)151を有している。
【0186】
また、駆動回路206において、nチャネル型TFT203(第2のnチャネル型TF
T)にはチャネル形成領域168、ゲート電極を形成する導電層128の外側に第1の不
純物領域(n--領域)146とソース領域またはドレイン領域として機能する第2の不純
物領域(n+領域)141を有している。
【0187】
これらのTFT201〜203を適宜組み合わせてシフトレジスタ回路、バッファ回路
、レベルシフタ回路、ラッチ回路などを形成し、駆動回路206を形成すればよい。例え
ば、CMOS回路を形成する場合には、nチャネル型TFT201とpチャネル型TFT
202を相補的に接続して形成すればよい。
【0188】
特に、駆動電圧が高いバッファ回路には、ホットキャリア効果による劣化を防ぐ目的から
、nチャネル型TFT203の構造が適している。
【0189】
また、信頼性が最優先とされる回路には、GOLD構造であるnチャネル型TFT20
1の構造が適している。
【0190】
また、半導体膜表面の平坦化を向上させることによって信頼性を向上させることができ
るので、GOLD構造のTFTにおいて、ゲート電極とゲート絶縁膜を介して重なる不純
物領域の面積を縮小しても十分な信頼性を得ることができる。
具体的にはGOLD構造のTFTにおいてゲート電極のテーパー部となる部分サイズを小
さくしても十分な信頼性を得ることができる。
【0191】
また、GOLD構造のTFTにおいてはゲート絶縁膜が薄くなると寄生容量が増加する
が、ゲート電極(第1導電層)のテーパー部となる部分サイズを小さくして寄生容量を低
減すれば、f特性(周波数特性)も向上してさらなる高速動作が可能となり、且つ、十分
な信頼性を有するTFTとなる。
【0192】
なお、画素部207の画素TFTにおいても、第2のレーザー光の照射によりオフ電流
の低減、およびバラツキの低減が実現される。
【0193】
また、本実施例では反射型の表示装置を形成するためのアクティブマトリクス基板を作製
する例を示したが、画素電極を透明導電膜で形成すると、フォトマスクは1枚増えるもの
の、透過型の表示装置を形成することができる。
【0194】
また、本実施例ではガラス基板を用いたが、特に限定されず、石英基板、半導体基板、
セラミックス基板、金属基板を用いることができる。
【0195】
また、図8の状態を得た後、酸化物層102上に設けたTFTを含む層(被剥離層)の
機械的強度が十分であれば、基板100を引き剥がしてもよい。本実施例は、被剥離層の
機械的強度が不十分であるので、被剥離層を固定する支持体(図示しない)を貼りつけた
後、剥離することが好ましい。
【実施例2】
【0196】
本実施例では、実施例1で作製したアクティブマトリクス基板から、基板100を剥離
してプラスチック基板を貼り合わせてアクティブマトリクス型液晶表示装置を作製する工
程を以下に説明する。説明には図9を用いる。
【0197】
図9(A)において、400は基板、401は窒化物層または金属層、402は酸化物
層、403は下地絶縁層、404aは駆動回路413の素子、404bは画素部414の
素子404b、405は画素電極である。ここで素子とは、アクティブマトリクス型の液
晶表示装置において、画素のスイッチング素子として用いる半導体素子(典型的にはTF
T)もしくはMIM素子等を指す。図9(A)に示したアクティブマトリクス基板は図8
に示したアクティブマトリクス基板を簡略化して示したものであり、図8中の基板100
は図9(A)中の基板400に対応している。同様に図9(A)中の401は、図8中の
101に、図9(A)中の402は、図8中の102に、図9(A)中の403は、図8
中の103に、図9(A)中の404aは、図8中の201及び202に、図9(A)中
の404bは、図8中の204に、図9(A)中の405は、図8中の165にそれぞれ
対応している。
【0198】
まず、実施例1に従い、図8の状態のアクティブマトリクス基板を得た後、図8のアク
ティブマトリクス基板上に配向膜406aを形成しラビング処理を行う。なお、本実施例
では配向膜を形成する前に、アクリル樹脂膜等の有機樹脂膜をパターニングすることによ
って基板間隔を保持するための柱状のスペーサ(図示しない)を所望の位置に形成した。
また、柱状のスペーサに代えて、球状のスペーサを基板全面に散布してもよい。
【0199】
次いで、支持体407となる対向基板を用意する。この対向基板には、着色層、遮光層
が各画素に対応して配置されたカラーフィルタ(図示しない)が設けられている。また、
駆動回路の部分にも遮光層を設けた。このカラーフィルタと遮光層とを覆う平坦化膜(図
示しない)を設けた。次いで、平坦化膜上に透明導電膜からなる対向電極408を画素部
に形成し、対向基板の全面に配向膜406bを形成し、ラビング処理を施した。
【0200】
そして、画素部と駆動回路が形成されたアクティブマトリクス基板400と支持体40
7とを接着層409となるシール材で貼り合わせる。シール材にはフィラーが混入されて
いて、このフィラーと柱状スペーサによって均一な間隔を持って2枚の基板が貼り合わせ
られる。その後、両基板の間に液晶材料410を注入し、封止剤(図示せず)によって完
全に封止する。(図9(B))液晶材料410には公知の液晶材料を用いれば良い。
【0201】
次いで、窒化物層または金属層401が設けられている基板400を物理的手段により
引き剥がす。(図9(C))酸化物層402の膜応力と、窒化物層または金属層401の
膜応力が異なっているため、比較的小さな力で引き剥がすことができる。
【0202】
次いで、エポキシ樹脂などの接着層411により転写体412に貼り付ける。
本実施例では、転写体412をプラスチックフィルム基板とすることで、軽量化を図る。
【0203】
このようにしてフレキシブルなアクティブマトリクス型液晶表示装置が完成する。そし
て、必要があれば、フレキシブルな基板412または対向基板を所望の形状に分断する。
さらに、公知の技術を用いて偏光板(図示しない)等を適宜設けた。そして、公知の技術
を用いてFPC(図示しない)を貼りつけた。
【実施例3】
【0204】
実施例2では、支持体としての対向基板を貼りつけ、液晶を注入した後に基板を剥離し
て転写体としてのプラスチック基板を貼りつけた例を示したが、本実施例では、図8に示
したアクティブマトリクス基板を形成した後、基板を剥離し、第1の転写体としてのプラ
スチック基板と、第2の転写体としてのプラスチック基板を貼りつけた例である。説明に
は図10を用いる。
【0205】
図10(A)において、500は基板、501は窒化物層または金属層、502は酸化
物層、503は下地絶縁層、504aは駆動回路514の素子、504bは画素部515
の素子504b、505は画素電極である。図10(A)に示したアクティブマトリクス
基板は図8に示したアクティブマトリクス基板を簡略化して示したものであり、図8中の
基板100は図10(A)中の基板500に対応している。同様に図10(A)中の50
1は、図8中の101に、図10(A)中の502は、図8中の102に、図10(A)
中の503は、図8中の103に、図10(A)中の504aは、図8中の201及び2
02に、図10(A)中の504bは、図8中の204に、図10(A)中の505は、
図8中の165にそれぞれ対応している。
【0206】
まず、実施例1に従い、図8の状態のアクティブマトリクス基板を得た後、窒化物層ま
たは金属層501が設けられている基板500を物理的手段により引き剥がす。(図10
(B))酸化物層502の膜応力と、窒化物層または金属層501の膜応力が異なってい
るため、比較的小さな力で引き剥がすことができる。
【0207】
次いで、エポキシ樹脂などの接着層506により転写体507(第1の転写体)に貼り
付ける。本実施例では、転写体507をプラスチックフィルム基板とすることで、軽量化
を図る。(図10(C))
【0208】
次いで、配向膜508aを形成しラビング処理を行う。なお、本実施例では配向膜を形
成する前に、アクリル樹脂膜等の有機樹脂膜をパターニングすることによって基板間隔を
保持するための柱状のスペーサ(図示しない)を所望の位置に形成した。また、柱状のス
ペーサに代えて、球状のスペーサを基板全面に散布してもよい。
【0209】
次いで、支持体510(第2の転写体)となる対向基板を用意する。この対向基板には
、着色層、遮光層が各画素に対応して配置されたカラーフィルタ(図示しない)が設けら
れている。また、駆動回路の部分にも遮光層を設けた。このカラーフィルタと遮光層とを
覆う平坦化膜(図示しない)を設けた。次いで、平坦化膜上に透明導電膜からなる対向電
極509を画素部に形成し、対向基板の全面に配向膜508bを形成し、ラビング処理を
施した。
【0210】
そして、画素部と駆動回路が接着されたプラスチックフィルム基板507と支持体51
0とを接着層512となるシール材で貼り合わせる。(図10(D))
シール材にはフィラーが混入されていて、このフィラーと柱状スペーサによって均一な間
隔を持って2枚の基板が貼り合わせられる。その後、両基板の間に液晶材料513を注入
し、封止剤(図示せず)によって完全に封止する。(図10(D))液晶材料513には
公知の液晶材料を用いれば良い。
【0211】
このようにしてフレキシブルなアクティブマトリクス型液晶表示装置が完成する。そし
て、必要があれば、フレキシブルな基板507または対向基板を所望の形状に分断する。
さらに、公知の技術を用いて偏光板(図示しない)等を適宜設けた。そして、公知の技術
を用いてFPC(図示しない)を貼りつけた。
【実施例4】
【0212】
実施例2または実施例3により得られた液晶モジュールの構成を図11の上面図を用い
て説明する。実施例2における基板412、または実施例3における基板507が基板3
01に対応する。
【0213】
基板301の中央には、画素部304が配置されている。画素部304の上側には、ソ
ース信号線を駆動するためのソース信号線駆動回路302が配置されている。画素部30
4の左右には、ゲート信号線を駆動するためのゲート信号線駆動回路303が配置されて
いる。本実施例に示した例では、ゲート信号線駆動回路303は画素部に対して左右対称
配置としているが、これは片側のみの配置でも良く、液晶モジュールの基板サイズ等を考
慮して、設計者が適宜選択すれば良い。ただし、回路の動作信頼性や駆動効率等を考える
と、図11に示した左右対称配置が望ましい。
【0214】
各駆動回路への信号の入力は、フレキシブルプリント基板(Flexible Print Circuit:
FPC)305から行われる。FPC305は、基板301の所定の場所まで配置された
配線に達するように、層間絶縁膜および樹脂膜にコンタクトホールを開口し、接続電極3
09を形成した後、異方性導電膜等を介して圧着される。本実施例においては、接続電極
はITOを用いて形成した。
【0215】
駆動回路、画素部の周辺には、基板外周に沿ってシール剤307が塗布され、あらかじ
めフィルム基板上に形成されたスペーサ310によって一定のギャップ(基板301と対
向基板306との間隔)を保った状態で、対向基板306が貼り付けられる。その後、シ
ール剤307が塗布されていない部分より液晶材料が注入され、封止剤308によって密
閉される。以上の工程により、液晶モジュールが完成する。
【0216】
また、ここでは全ての駆動回路をフィルム基板上に形成した例を示したが、駆動回路の
一部に数個のICを用いてもよい。
【0217】
また、本実施例は、実施例1と自由に組みあわせることが可能である。
【実施例5】
【0218】
実施例1では画素電極が反射性を有する金属材料で形成された反射型の表示装置の例を示
したが、本実施例では画素電極を透光性を有する導電膜で形成した透過型の表示装置の例
を示す。
【0219】
層間絶縁膜を形成する工程までは実施例1と同じであるので、ここでは省略する。実施
例1に従ってTFTおよび層間絶縁膜を形成した後、透光性を有する導電膜からなる画素
電極601を形成する。透光性を有する導電膜としては、ITO(酸化インジウム酸化ス
ズ合金)、酸化インジウム酸化亜鉛合金(In23―ZnO)、酸化亜鉛(ZnO)等を
用いればよい。
【0220】
その後、層間絶縁膜600にコンタクトホールを形成する。次いで、画素電極と重なる接
続電極602を形成する。この接続電極602は、コンタクトホールを通じてドレイン領
域と接続されている。また、この接続電極と同時に他のTFTのソース電極またはドレイ
ン電極も形成する。
【0221】
また、ここでは全ての駆動回路を基板上に形成した例を示したが、駆動回路の一部に数
個のICを用いてもよい。
【0222】
以上のようにしてアクティブマトリクス基板が形成される。このアクティブマトリクス
基板を用い、基板を剥離した後、プラスチック基板を貼り合わせ、実施例2〜4に従って
液晶モジュールを作製し、バックライト604、導光板605を設け、カバー606で覆
えば、図12にその断面図の一部を示したようなアクティブマトリクス型液晶表示装置が
完成する。なお、カバーと液晶モジュールは接着剤や有機樹脂を用いて貼り合わせる。ま
た、プラスチック基板と対向基板を貼り合わせる際、枠で囲んで有機樹脂を枠と基板との
間に充填して接着してもよい。また、透過型であるので偏光板603は、プラスチック基
板と対向基板の両方に貼り付ける。
【0223】
また、本実施例は、実施例1乃至4と自由に組みあわせることが可能である。
【実施例6】
【0224】
本実施例では、プラスチック基板上に形成された有機発光素子を備えた発光装置を作製す
る例を図13に示す。
【0225】
図13(A)において、600は基板、601は窒化物層または金属層、602は酸化
物層、603は下地絶縁層、604aは駆動回路611の素子、604b、604cは画
素部612の素子、605はEL素子(Organic Light Emitting Device)である。ここ
で素子とは、アクティブマトリクス型の発光装置ならば画素のスイッチング素子として用
いる半導体素子(典型的にはTFT)もしくはMIM素子並びにEL素子等を指す。そし
て、これらの素子を覆って、層間絶縁膜606を形成する。層間絶縁膜606は、成膜後
の表面がより平坦であることが好ましい。なお、層間絶縁膜606は必ずしも設ける必要
はない。
【0226】
なお、基板600上に設ける601〜603は実施の形態2乃至4のいずれか一に従っ
て形成すればよい。
【0227】
これらの素子(604a、604b、604cを含む)は、上記実施例1のnチャネル
型TFT201、上記実施例1のpチャネル型TFT202に従って作製すればよい。な
お、ここでは一つの画素に2つのTFTを用いた例を示したが、3つ、またはそれ以上の
TFTを用いてもよい。
【0228】
EL素子605は、電場を加えることで発生するルミネッセンス(Electroluminescence
)が得られる有機化合物(有機発光材料)を含む層(以下、有機発光層と記す)と、陽極
層と、陰極層とを有している。有機化合物におけるルミネッセンスには、一重項励起状態
から基底状態に戻る際の発光(蛍光)と三重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(リ
ン光)とがあるが、本発明の発光装置は、上述した発光のうちの、いずれか一方の発光を
用いていても良いし、または両方の発光を用いていても良い。なお、本明細書では、EL
素子の陽極と陰極の間に形成された全ての層を有機発光層と定義する。有機発光層には具
体的に、発光層、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層、電子輸送層等が含まれる。基本
的にEL素子は、陽極/発光層/陰極が順に積層された構造を有しており、この構造に加
えて、陽極/正孔注入層/発光層/陰極や、陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/陰
極等の順に積層した構造を有していることもある。
【0229】
上記方法により、図13(A)の状態を得たら、接着層607により支持体608を貼
り合わせる。(図13(B))本実施例では支持体608としてプラスチック基板を用い
る。具体的には、支持体として、厚さ10μm以上の樹脂基板、例えばPES(ポリエチ
レンサルファイル)、PC(ポリカーボネート)、PET(ポリエチレンテレフタレート
)もしくはPEN(ポリエチレンナフタレート)を用いることができる。なお、EL素子
から見て観測者側(発光装置の使用者側)に位置する場合、支持体608および接着層6
07は、光を透過する材料であることが必要である。
【0230】
次いで、窒化物層または金属層601が設けられている基板600を物理的手段により引
き剥がす。(図13(C))酸化物層602の膜応力と、窒化物層または金属層601の
膜応力が異なっているため、比較的小さな力で引き剥がすことができる。
【0231】
次いで、エポキシ樹脂などの接着層609により転写体610に貼り付ける。
(図13(D))本実施例では、転写体610をプラスチックフィルム基板とすることで
、軽量化を図る。
【0232】
こうして、可撓性を有する支持体608、可撓性を有する転写体610によって挟まれた
フレキシブルな発光装置を得ることができる。なお、支持体608と転写体610とを同
一材料にすると、熱膨張係数が等しくなるので、温度変化による応力歪みの影響を受けに
くくすることができる。
【0233】
そして、必要があれば、可撓性を有する支持体608、可撓性を有する転写体610を
所望の形状に分断する。そして、公知の技術を用いてFPC(図示しない)を貼りつけた

【実施例7】
【0234】
実施例6では、支持体を貼りつけた後、基板を剥離して転写体としてのプラスチック基
板を貼りつけた例を示したが、本実施例では、基板を剥離した後、第1の転写体としての
プラスチック基板と、第2の転写体としてのプラスチック基板を貼りつけてEL素子を備
えた発光装置を作製する例である。説明には図14を用いる。
【0235】
図14(A)において、700は基板、701は窒化物層または金属層、702は酸化物
層、703は下地絶縁層、704aは駆動回路711の素子、704b、704cは画素
部712の素子、705はEL素子(Organic Light Emitting Device)である。ここで
素子とは、アクティブマトリクス型の発光装置ならば画素のスイッチング素子として用い
る半導体素子(典型的にはTFT)もしくはMIM素子並びにEL素子等を指す。そして
、これらの素子を覆って、層間絶縁膜706を形成する。層間絶縁膜706は、成膜後の
表面がより平坦であることが好ましい。なお、層間絶縁膜706は必ずしも設ける必要は
ない。
【0236】
なお、基板700上に設ける701〜703は実施の形態2乃至4のいずれか一に従っ
て形成すればよい。
【0237】
これらの素子(704a、704b、704cを含む)は、上記実施例1のnチャネル
型TFT201、上記実施例1のpチャネル型TFT202に従って作製すればよい。
【0238】
上記方法により、図14(A)の状態を得たら、窒化物層または金属層701が設けら
れている基板700を物理的手段により引き剥がす。(図14(B))
酸化物層702の膜応力と、窒化物層または金属層701の膜応力が異なっているため、
比較的小さな力で引き剥がすことができる。
【0239】
次いで、エポキシ樹脂などの接着層709により転写体(第1の転写体)710に貼り
付ける。本実施例では、転写体710をプラスチックフィルム基板とすることで、軽量化
を図る。
【0240】
次いで、接着層707により基材(第2の転写体)708を貼り合わせる。(図14(
C))本実施例では基材708としてプラスチック基板を用いる。具体的には、転写体7
10及び基材708として、厚さ10μm以上の樹脂基板、例えばPES(ポリエチレン
サルファイル)、PC(ポリカーボネート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)も
しくはPEN(ポリエチレンナフタレート)
を用いることができる。なお、EL素子から見て観測者側(発光装置の使用者側)に位置
する場合、基材708および接着層707は、光を透過する材料であることが必要である

【0241】
こうして、可撓性を有する基材708、可撓性を有する転写体710によって挟まれたフ
レキシブルな発光装置を得ることができる。なお、基材708と転写体710とを同一材
料にすると、熱膨張係数が等しくなるので、温度変化による応力歪みの影響を受けにくく
することができる。
【0242】
そして、必要があれば、可撓性を有する基材708、可撓性を有する転写体710を所
望の形状に分断する。そして、公知の技術を用いてFPC(図示しない)を貼りつけた。
【実施例8】
【0243】
実施例6または実施例7では、可撓性を有する基板によって挟まれたフレキシブルな発
光装置を得る例を示したが、プラスチックからなる基板は、一般的に水分や酸素を透過し
やすく、有機発光層はこれらのものによって劣化が促進されるので、発光装置の寿命が短
くなりやすい。
【0244】
そこで本実施例では、プラスチック基板上に、酸素や水分がEL素子の有機発光層に入
り込むのを防ぐ複数の膜(以下、バリア膜)と、前記バリア膜どうしの間に前記バリア膜
よりも応力の小さい層(応力緩和膜)を設ける。本明細書では、バリア膜と応力緩和膜を
積層した膜を封止膜と呼ぶ。
【0245】
具体的には、無機物からなるバリア膜(以下、バリア膜と呼ぶ)を2層以上設けて、さ
らに該2層のバリア膜の間に樹脂を有する応力緩和膜(以下、応力緩和膜と呼ぶ)を設け
る。そして、該3層以上の絶縁膜上にEL素子を形成して密封することにより、発光装置
を形成する。なお、実施例6または実施例7とは基板以外の構成は同一であるのでここで
は省略する。
【0246】
図15に示すように、フィルム基板810上にバリア膜を2層以上設けて、さらに該2
層のバリア膜の間に応力緩和膜を設ける。その結果、フィルム基板810と第2接着層8
09の間に、該バリア膜と応力緩和膜を積層した封止膜が形成される。
【0247】
ここでは、フィルム基板810上にバリア膜811aとして、窒化珪素からなる膜をス
パッタを用いて成膜し、バリア膜811a上にポリイミドを有する応力緩和膜811bを
成膜し、応力緩和膜811b上にバリア膜811cとして、窒化珪素からなる膜をスパッ
タを用いて成膜する。バリア膜811a、応力緩和膜811b、バリア膜811cを積層
した膜を封止膜811と総称する。そして、該封止膜811が形成されたフィルム基板8
10を、第2接着層809を用いて、素子を含む被剥離層に貼り合わせればよい。
【0248】
同様に、フィルム基板812上にバリア膜814aとして、窒化珪素からなる膜をスパッ
タを用いて成膜し、バリア膜814a上にポリイミドを有する応力緩和膜814bを成膜
し、応力緩和膜814b上にバリア膜814cとして、窒化珪素からなる膜をスパッタを
用いて成膜する。バリア膜814a、応力緩和膜814b、バリア膜814cを積層した
膜を封止膜814と総称する。そして、該封止膜814が形成されたフィルム基板812
を、第2接着層809を用いて、素子を含む被剥離層に貼り合わせればよい。
【0249】
なお、バリア膜は2層以上設けていれば良い。そしてバリア膜は、窒化珪素、窒化酸化
珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウムまたは窒化酸化珪化
アルミニウム(AlSiON)を用いることができる。
【0250】
窒化酸化珪化アルミニウムは熱伝導度が比較的高いので、バリア膜に用いることで、素
子で発生した熱を効率良く放熱することができる。
【0251】
また、応力緩和膜には、透光性を有する樹脂を用いることができる。代表的には、ポリ
イミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、ベンゾシクロブテンもしくはエポキ
シ樹脂等を用いることが可能である。なお、上述した以外の樹脂を用いることもできる。
ここでは、熱重合するタイプのポリイミドを塗布後、焼成して形成する。
【0252】
窒化珪素は、アルゴンを導入し、基板温度を150℃に保ち、スパッタ圧力0.4Pa程
度で成膜を行う。そしてターゲットとして珪素を用い、アルゴンの他に窒素及び水素を導
入して成膜を行った。窒化酸化珪素の場合、アルゴンを導入し、基板温度を150℃に保
ち、スパッタ圧力0.4Pa程度で成膜を行う。そしてターゲットとして珪素を用い、アル
ゴンの他に窒素、ニ酸化窒素及び水素を導入して成膜を行った。なおターゲットとして酸
化珪素を用いても良い。
【0253】
バリア膜の膜厚は50nm〜3μmの範囲であることが望ましい。ここでは、窒化珪素
を1μmの膜厚で成膜した。
【0254】
なお、バリア膜の成膜方法はスパッタのみに限定されず、実施者が適宜設定することが
できる。例えば、LPCVD法、プラズマCVD法等を用いて成膜しても良い。
【0255】
また、応力緩和膜の膜厚は、200nm〜2μmの範囲であることが望ましい。ここで
は、ポリイミドを1μmの膜厚で成膜した。
【0256】
実施例6における支持体608または転写体610、或いは実施例7における基材70
8または転写体710として、本実施例の封止膜が設けられたプラスチック基板を適用す
ることによりEL素子を完全に大気から遮断することができる。これにより酸化による有
機発光材料の劣化をほぼ完全に抑制することができ、EL素子の信頼性を大幅に向上させ
ることができる。
【実施例9】
【0257】
実施例6または実施例7により得られたEL素子を有するモジュール、いわゆるELモジ
ュールの構成を図16の上面図を用いて説明する。実施例7における転写体610、また
は実施例8における転写体710がフィルム基板900に対応する。
【0258】
図16(A)は、EL素子を有するモジュール、いわゆるELモジュールを示す上面図
、図16(B)は図16(A)をA−A’で切断した断面図である。可撓性を有するフィ
ルム基板900(例えば、プラスチック基板等)に、画素部902、ソース側駆動回路9
01、及びゲート側駆動回路903を形成する。これらの画素部や駆動回路は、上記実施
例に従えば得ることができる。また、918はシール材、919はDLC膜であり、画素
部および駆動回路部はシール材918で覆われ、そのシール材は保護膜919で覆われて
いる。さらに、接着材を用いてカバー材920で封止されている。カバー材920の形状
および支持体の形状も特に限定されず、平面を有するもの、曲面を有するもの、可曲性を
有するもの、フィルム状のものであってもよい。熱や外力などによる変形に耐えるためカ
バー材920はフィルム基板900と同じ材質のもの、例えばプラスチック基板を用いる
ことが望ましく、図16に示す凹部形状(深さ3〜10μm)に加工されたものを用いる
。さらに加工して乾燥剤921が設置できる凹部(深さ50〜200μm)を形成するこ
とが望ましい。また、多面取りでELモジュールを製造する場合、基板とカバー材とを貼
り合わせた後、CO2レーザー等を用いて端面が一致するように分断してもよい。
【0259】
また、ここでは図示しないが、用いる金属層(ここでは陰極など)の反射により背景が
映り込むことを防ぐために、位相差板(λ/4板)や偏光板からなる円偏光板と呼ばれる
円偏光手段を基板900上に設けてもよい。
【0260】
なお、908はソース側駆動回路901及びゲート側駆動回路903に入力される信号
を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリントサーキ
ット)909からビデオ信号やクロック信号を受け取る。また、本実施例の発光装置は、
デジタル駆動であってもよく、アナログ駆動であってもよく、ビデオ信号はデジタル信号
であってもよいし、アナログ信号であってもよい。なお、ここではFPCしか図示されて
いないが、このFPCにはプリント配線基盤(PWB)が取り付けられていても良い。本
明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが
取り付けられた状態をも含むものとする。また、これらの画素部や駆動回路と同一基板上
に複雑な集積回路(メモリ、CPU、コントローラ、D/Aコンバータ等)を形成するこ
とも可能であるが、少ないマスク数での作製は困難である。従って、メモリ、CPU、コ
ントローラ、D/Aコンバータ等を備えたICチップを、COG(chip on glass)方式
やTAB(tape automated bonding)方式やワイヤボンディング方法で実装することが好
ましい。
【0261】
次に、断面構造について図16(B)を用いて説明する。フィルム基板900上に接着
層を介して絶縁膜910が設けられ、絶縁膜910の上方には画素部902、ゲート側駆
動回路903が形成されており、画素部902は電流制御用TFT911とそのドレイン
に電気的に接続された画素電極912を含む複数の画素により形成される。なお、実施の
形態1乃至4のいずれか一に従って、基板上に形成した被剥離層を剥離した後、フィルム
基板900が接着層で貼りつけられる。また、ゲート側駆動回路903はnチャネル型T
FT913とpチャネル型TFT914とを組み合わせたCMOS回路を用いて形成され
る。
【0262】
これらのTFT(911、913、914を含む)は、上記実施例1のnチャネル型T
FT201、上記実施例1のpチャネル型TFT202に従って作製すればよい。
【0263】
なお、TFTとEL素子の間に設ける絶縁膜としては、アルカリ金属イオンやアルカリ土
金属イオン等の不純物イオンの拡散をブロックするだけでなく、積極的にアルカリ金属イ
オンやアルカリ土金属イオン等の不純物イオンを吸着する材料が好ましく、更には後のプ
ロセス温度に耐えうる材料が適している。これらの条件に合う材料は、一例としてフッ素
を多く含んだ窒化シリコン膜が挙げられる。
窒化シリコン膜の膜中に含まれるフッ素濃度は、1×1019/cm3以上、好ましくは窒
化シリコン膜中でのフッ素の組成比を1〜5%とすればよい。窒化シリコン膜中のフッ素
がアルカリ金属イオンやアルカリ土金属イオン等と結合し、膜中に吸着される。また、他
の例としてアルカリ金属イオンやアルカリ土金属イオン等を吸着するアンチモン(Sb)
化合物、スズ(Sn)化合物、またはインジウム(In)化合物からなる微粒子を含む有
機樹脂膜、例えば、五酸化アンチモン微粒子(Sb25・nH2O)を含む有機樹脂膜も
挙げられる。なお、この有機樹脂膜は、平均粒径10〜20nmの微粒子が含まれており
、光透過性も非常に高い。この五酸化アンチモン微粒子で代表されるアンチモン化合物は
、アルカリ金属イオン等の不純物イオンやアルカリ土金属イオンを吸着しやすい。
【0264】
また、TFTの活性層とEL素子との間に設ける絶縁膜の他の材料としては、AlNX
Yで示される層を用いてもよい。スパッタ法を用い、例えば、窒化アルミニウム(Al
N)ターゲットを用い、アルゴンガスと窒素ガスと酸素ガスを混合した雰囲気下にて成膜
して得られるアルミニウムを含む窒化酸化物層(AlNXYで示される層)は、窒素を2
.5atm%〜47.5atm%含む膜であり、水分や酸素をブロッキングすることができる効
果に加え、熱伝導性が高く放熱効果を有し、さらには透光性が非常に高いという特徴を有
している。加えて、アルカリ金属やアルカリ土類金属などの不純物がTFTの活性層に入
り込むのを防ぐことができる。
【0265】
特にRFスパッタ装置を用い、シリコンターゲットを用いて形成される窒化シリコン膜
は、有機樹脂膜からなる層間絶縁膜のパッシベーション膜として適している。窒化シリコ
ン膜は、有機樹脂膜の脱ガスを抑えることができ、さらに水分や酸素のブロッキングもで
きるため、有機化合物層のシュリンクとよばれる不良発生を抑えることができる。
【0266】
画素電極912はEL素子の陽極として機能する。また、画素電極912の両端にはバ
ンク915が形成され、画素電極912上にはEL層916および発光素子の陰極917
が形成される。バンク915としては無機絶縁膜または有機絶縁膜をパターニングするこ
とによって得ることができ、カバレッジを良好なものとするため、バンク915の上端部
または下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにすることが好ましい。例えば、バン
ク915の材料としてポジ型の感光性アクリルを用いた場合、バンク915の上端部のみ
に曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせることが好ましい。また、バン
ク915として、感光性の光によってエッチャントに不溶解性となるネガ型、或いは光に
よってエッチャントに溶解性となるポジ型のいずれも使用することができる。
【0267】
EL層916としては、発光層、電荷輸送層または電荷注入層を自由に組み合わせてE
L層(発光及びそのためのキャリアの移動を行わせるための層)を形成すれば良い。例え
ば、低分子系有機EL材料や高分子系有機EL材料を用いればよい。また、EL層として
一重項励起により発光(蛍光)する発光材料(シングレット化合物)からなる薄膜、また
は三重項励起により発光(リン光)する発光材料(トリプレット化合物)からなる薄膜を
用いることができる。また、電荷輸送層や電荷注入層として炭化珪素等の無機材料を用い
ることも可能である。これらの有機EL材料や無機材料は公知の材料を用いることができ
る。
【0268】
陰極917は全画素に共通の配線としても機能し、接続配線908を経由してFPC9
09に電気的に接続されている。さらに、画素部902及びゲート側駆動回路903に含
まれる素子は全て陰極917、シール材918、及び保護膜919で覆われている。
【0269】
なお、シール材918としては、できるだけ可視光に対して透明もしくは半透明な材料を
用いるのが好ましい。また、シール材918はできるだけ水分や酸素を透過しない材料で
あることが望ましい。
【0270】
また、シール材918を用いて発光素子を完全に覆った後、すくなくとも図16に示す
ようにDLC膜等からなる保護膜919をシール材918の表面(露呈面)に設けること
が好ましい。また、基板の裏面を含む全面に保護膜を設けてもよい。ここで、外部入力端
子(FPC)が設けられる部分に保護膜が成膜されないように注意することが必要である
。マスクを用いて保護膜が成膜されないようにしてもよいし、CVD装置で用いるマスキ
ングテープ等のテープで外部入力端子部分を覆うことで保護膜が成膜されないようにして
もよい。
【0271】
以上のような構造で発光素子をシール材918及び保護膜で封入することにより、発光
素子を外部から完全に遮断することができ、外部から水分や酸素等のEL層の酸化による
劣化を促す物質が侵入することを防ぐことができる。加えて、保護膜として熱伝導性を有
する膜(AlON膜、AlN膜など)を用いれば駆動させたときに生じる発熱を発散する
ことができる。従って、信頼性の高い発光装置を得ることができる。
【0272】
また、画素電極を陰極とし、EL層と陽極を積層して図16とは逆方向に発光する構成
としてもよい。図17にその一例を示す。なお、上面図は同一であるので省略する。
【0273】
図17に示した断面構造について以下に説明する。フィルム基板1000としては、プ
ラスチック基板を用いる。なお、実施の形態1乃至4のいずれか一に従って、基板上に形
成した被剥離層を剥離した後、フィルム基板1000が接着層で貼りつけられる。フィル
ム基板1000上に絶縁膜1010が設けられ、絶縁膜1010の上方には画素部100
2、ゲート側駆動回路1003が形成されており、画素部1002は電流制御用TFT1
011とそのドレインに電気的に接続された画素電極1012を含む複数の画素により形
成される。また、ゲート側駆動回路1003はnチャネル型TFT1013とpチャネル
型TFT1014とを組み合わせたCMOS回路を用いて形成される。
【0274】
画素電極1012は発光素子の陰極として機能する。また、画素電極1012の両端に
はバンク1015が形成され、画素電極1012上にはEL層1016および発光素子の
陽極1017が形成される。
【0275】
陽極1017は全画素に共通の配線としても機能し、接続配線1008を経由してFP
C1009に電気的に接続されている。さらに、画素部1002及びゲート側駆動回路1
003に含まれる素子は全て陽極1017、シール材1018、及びDLC等からなる保
護膜1019で覆われている。また、カバー材1021と基板1000とを接着剤で貼り
合わせた。また、カバー材には凹部を設け、乾燥剤1021を設置する。
【0276】
なお、シール材1018としては、できるだけ可視光に対して透明もしくは半透明な材料
を用いるのが好ましい。また、シール材1018はできるだけ水分や酸素を透過しない材
料であることが望ましい。
【0277】
また、図17では、画素電極を陰極とし、EL層と陽極を積層したため、発光方向は図
17に示す矢印の方向となっている。
【0278】
また、ここでは図示しないが、用いる金属層(ここでは陰極となる画素電極など)の反
射により背景が映り込むことを防ぐために、位相差板(λ/4板)や偏光板からなる円偏
光板と呼ばれる円偏光手段をカバー材1020上に設けてもよい。
【0279】
本実施例では、実施例1で得られる電気特性、信頼性ともに高いTFTを用いるため、
従来の素子に比べて信頼性の高い発光素子を形成することができる。また、そのような発
光素子を有する発光装置を表示部として用いることにより高性能な電気器具を得ることが
できる。
【0280】
なお、本実施例は実施例1、実施例7、実施例8、または実施例9と自由に組み合わせる
ことが可能である。
【実施例10】
【0281】
本発明を実施して様々なモジュール(アクティブマトリクス型液晶モジュール、パッシブ
型液晶モジュール、アクティブマトリクス型ELモジュール、パッシブ型ELモジュール
、アクティブマトリクス型ECモジュール)を完成させることができる。即ち、本発明を
実施することによって、それらを組み込んだ全ての電子機器が完成される。
【0282】
その様な電子機器としては、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ヘッドマウントディスプ
レイ(ゴーグル型ディスプレイ)、カーナビゲーション、プロジェクタ、カーステレオ、
パーソナルコンピュータ、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話または電子書
籍等)などが挙げられる。それらの一例を図18、図19に示す。
【0283】
図18(A)はパーソナルコンピュータであり、本体2001、画像入力部2002、表
示部2003、キーボード2004等を含む。
【0284】
図18(B)はビデオカメラであり、本体2101、表示部2102、音声入力部210
3、操作スイッチ2104、バッテリー2105、受像部2106等を含む。
【0285】
図18(C)はモバイルコンピュータ(モービルコンピュータ)であり、本体2201、
カメラ部2202、受像部2203、操作スイッチ2204、表示部2205等を含む。
【0286】
図18(D)はプログラムを記録した記録媒体(以下、記録媒体と呼ぶ)を用いるプレー
ヤーであり、本体2401、表示部2402、スピーカ部2403、記録媒体2404、
操作スイッチ2405等を含む。なお、このプレーヤーは記録媒体としてDVD(Dig
tial Versatile Disc)、CD等を用い、音楽鑑賞や映画鑑賞やゲー
ムやインターネットを行うことができる。
【0287】
図18(E)はデジタルカメラであり、本体2501、表示部2502、接眼部250
3、操作スイッチ2504、受像部(図示しない)等を含む。
【0288】
図19(A)は携帯電話であり、本体2901、音声出力部2902、音声入力部29
03、表示部2904、操作スイッチ2905、アンテナ2906、画像入力部(CCD
、イメージセンサ等)2907等を含む。
【0289】
図19(B)は携帯書籍(電子書籍)であり、本体3001、表示部3002、300
3、記憶媒体3004、操作スイッチ3005、アンテナ3006等を含む。
【0290】
図19(C)はディスプレイであり、本体3101、支持台3102、表示部3103
等を含む。
【0291】
ちなみに図19(C)に示すディスプレイは中小型または大型のもの、例えば5〜20
インチの画面サイズのものである。また、このようなサイズの表示部を形成するためには
、基板の一辺が1mのものを用い、多面取りを行って量産することが好ましい。
【0292】
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器の作製方法に適
用することが可能である。また、本実施例の電子機器は実施例1〜9のどのような組み合
わせからなる構成を用いても実現することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被剥離層を基板から剥離する剥離方法であって、
前記基板上に窒化物層が設けられており、前記窒化物層が設けられた基板上に少なくとも前記窒化物層と接する酸化物層を含む積層からなる被剥離層を形成した後、該被剥離層を前記窒化物層が設けられた基板から物理的手段により前記酸化物層の層内または界面において剥離することを特徴とする剥離方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−119703(P2012−119703A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−5866(P2012−5866)
【出願日】平成24年1月16日(2012.1.16)
【分割の表示】特願2009−281615(P2009−281615)の分割
【原出願日】平成14年7月16日(2002.7.16)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】