説明

半導体装置の製造方法

【課題】金属ゲート電極/高誘電体ゲート絶縁膜構造のMISトランジスタを有する半導体装置を高性能化する。
【解決手段】シリコン基板1上に、順に、ハフニウムおよび酸素を主体とする高誘電体膜hk1と、第1金属および酸素を主体とし、化学量論的組成よりも多くの第1金属を含むpMIS用キャップ膜Cp1を形成する。その後、シリコン基板1に、第1熱処理と第2熱処理とを順に施す。続いて、pMIS用キャップ膜Cp1上にゲート電極用金属膜EM1を形成し、これらを加工することでpMIS用金属ゲート電極pG1とpMIS用高誘電率ゲート絶縁膜pI1とを形成する。特に、第1熱処理では高誘電体膜hk1中の余剰酸素を除去し、第2熱処理では高誘電体膜hk1中にpMIS用キャップ膜Cp1中の第1金属を拡散させる。第1熱処理は、第2熱処理よりも低い温度で施す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造技術に関し、特に、金属膜からなるゲート電極および高誘電体膜からなるゲート絶縁膜によって構成される電界効果トランジスタを有する半導体装置に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置は、CMIS(Complementary Metal Insulator Semiconductor)回路構成を基本構造とする集積回路を搭載している。このCMIS回路を構成するpチャネル型のMIS型電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor:FETとも言う)(以下、単にp型MISトランジスタ)およびnチャネル型のMIS型電界効果トランジスタ(以下、単にn型MISトランジスタ)は、ゲート絶縁膜材料として酸化シリコン膜を用い、ゲート電極材料として多結晶シリコン膜を用いている。
【0003】
近年半導体装置を構成するMISトランジスタの微細化に伴って、酸化シリコン膜から構成されるゲート絶縁膜の薄膜化が急速に進んでいる。一方、ゲート絶縁膜の薄膜化が進むにつれて、ゲート電圧によりゲート絶縁膜界面近傍のゲート電極内が空乏化し、ゲート絶縁膜が見かけ上厚くなる現象が顕著になってきた。その結果、オン電流の確保が難しくなり、MISトランジスタの動作速度の低下が顕著になってきた。
【0004】
また、ゲート絶縁膜厚が薄くなると、ダイレクトトンネリングによりキャリアがゲート絶縁膜を通り抜けられるようになり、リーク電流が増大してしまう。更に、p型MISトランジスタでは、ゲート電極中の不純物ホウ素がゲート絶縁膜を通じて基板に拡散し、チャネル領域の不純物濃度を変動させ、閾値電圧を変動させてしまう。
【0005】
そこで、ゲート絶縁膜材料として酸化シリコンよりも比誘電率の高い絶縁材料(高誘電体材料またはhigh−k材料とも言う)に置き換えると共に、ゲート電極材料を多結晶シリコンから金属材料に置き換える技術がある。
【0006】
例えば、特開2006−24894号公報(特許文献1)には、MOSトランジスタを形成する工程において、PMOS領域およびNMOS領域に、それぞれ異なる高誘電率物質からなるゲート絶縁膜と金属酸化物を積層した後に、2度の熱処理を施す技術が開示されている。
【0007】
また、例えば、特開2003−188375号公報(特許文献2)には、MOSトランジスタを形成する工程において、ゲート絶縁膜、金属薄膜、多結晶シリコンを順に堆積した後、2度の熱処理を施す技術が開示されている。
【0008】
また、例えば、特開2008−288226号公報(特許文献3)には、酸化シリコンより比誘電率の高い酸化物として、ハフニウム(Hf)系酸化物を用い、MOSトランジスタのゲート絶縁膜に適用する技術が開示されている。
【0009】
また、例えば、2005年、シンポジウム・オン・VLSI・テクノロジー、232頁(Symposium on VLSI Technology, p.232, 2005)(非特許文献1)には、pチャネル型MISFETの閾値電圧を制御するために、AlO膜をHfSiO膜上に形成することで、AlO膜の膜厚の増加と共に閾値電圧を低下し得る技術が開示されている。
【0010】
また、例えば、2006年、シンポジウム・オン・VLSI・テクノロジー、224頁(Symposium on VLSI Technology, p.224, 2006)(非特許文献2)には、HfO膜上へ1〜20Å膜厚のランタン(La)およびマグネシウム(Mg)を含むキャップ層を形成することで、nチャネル型MOSFETの閾値電圧を負方向へシフトさせる技術が開示されている。
【0011】
また、例えば、2007年、シンポジウム・オン・VLSI・テクノロジー、68頁(Symposium on VLSI Technology, p.68, 2007)(非特許文献3)には、HfSiON膜上に、Laまたはストロンチウム(Sr)を含むキャップ層や、スカンジウム(Sc)、エルビウム(Er)またはそれらの合金を含む金属キャップ層を形成することで、nチャネ型MOSFETの閾値電圧を負方向へシフトさせる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2006−24894号公報
【特許文献2】特開2003−188375号公報
【特許文献3】特開2008−288226号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】「シンポジウム・オン・VLSI・テクノロジー(Symposium on VLSI Technology)」2005年、232頁
【非特許文献2】「シンポジウム・オン・VLSI・テクノロジー(Symposium on VLSI Technology)」2006年、224頁
【非特許文献3】「シンポジウム・オン・VLSI・テクノロジー(Symposium on VLSI Technology)」2007年、68頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
酸化シリコン膜よりも比誘電率の高い高誘電体膜は、酸化シリコン膜と同じ厚さであっても、酸化シリコンの比誘電率に対する高誘電体膜の比誘電率の比の分だけ大きな静電容量を有する。従って、ゲート絶縁膜を高誘電体膜で形成すれば、実際の物理膜厚が酸化シリコン膜と同じであっても、より大きな電流駆動能力を有するMISトランジスタを形成できる。このとき、物理膜厚が酸化シリコン膜と同じであるから、リーク電流は増加しない。これは、言い換えれば、ゲート絶縁膜として高誘電体膜を用いることで、物理膜厚を変えないことでリーク電流を抑えつつ、特性の点では、あたかも酸化シリコンゲート絶縁膜を薄くしたかのように扱うことができることを意味する。ここで、高誘電体ゲート絶縁膜の膜厚を、その静電容量特性が等価となるような酸化シリコンゲート絶縁膜の膜厚として換算した値を、等価換算酸化膜厚(Equivalent Oxide Thickness:EOT)と言うことがある。ゲート絶縁膜を薄膜化することでMISトランジスタを高性能化する技術動向にあって、上記のように、高誘電体膜を用いることでEOTを低減させる技術がある。このような高誘電体膜としては、酸化ハフニウムや酸化ジルコニウムといった種々の金属酸化物が検討されている。
【0015】
また、ゲート電極を多結晶シリコンによらない金属材料で構成した場合、上述の空乏化の影響によるON電流の低減や、ゲート電極から基板へのホウ素漏れといった問題も回避することができる。
【0016】
ところで、CMIS回路は低消費電力設計が重要であり、そのためには、nチャネル型とpチャネル型の両極性のMISトランジスタにおいて、それぞれの閾値電圧を低減する必要がある。従って、上述のような金属ゲート電極/高誘電体ゲート絶縁膜からなるMIS構造において、n型、p型、それぞれに適した仕事関数を有するゲート電極材料を選択する必要がある。
【0017】
この観点から、本発明者は、以下で説明するようなキャップ絶縁膜構造のゲート絶縁膜を有するMISトランジスタを検討した。例えば、ハフニウムを含む高誘電率ゲート絶縁膜を用いた場合、その上層にアルミニウムの酸化膜を配置することで、p型MISトランジスタの閾値電圧を低減できることが分かっている。また、同じくハフニウムを含む高誘電率ゲート絶縁膜を用いた場合、その上層にマグネシウムの酸化膜を配置することで、n型MISトランジスタの閾値電圧を低減できることが分かっている。このような閾値電圧の変動を目的としてゲート絶縁膜の上に配置する膜を、以下キャップ膜と記す。
【0018】
このようなキャップ膜を配置した高誘電率ゲート絶縁膜を適用したMISトランジスタにおいて、本発明者の更なる検討により、以下のような課題が見出された。
【0019】
本発明者が高誘電率ゲート絶縁膜として適用を検討した酸化ハフニウム(HfO)は、化学量論的組成よりも多くの酸素を含んでいることが分かった。以後このような酸素を余剰酸素と記す。ところで、本発明者が検討した技術では、キャップ膜形成後に熱処理を施すことでキャップ膜中の金属原子を高誘電率ゲート絶縁膜中に拡散させることで、より効果的に閾値電圧を低減させる。そして、本発明者の更なる検討によれば、この熱処理の際に、酸化ハフニウム膜中に含まれる余剰酸素がシリコン基板との界面で反応して酸化シリコン膜を形成することが分かった。このように、高誘電率ゲート絶縁膜下に意図しない酸化シリコン膜が形成されることで、ゲート絶縁膜が厚くなってしまう。これは、高誘電体ゲート絶縁膜を適用することによるMISトランジスタの高性能化の効果を低減させることを意味する。なぜなら、高誘電体膜をゲート絶縁膜に適用する技術では、EOTを低減させることでMISトランジスタを高性能化する効果をもたらすのに対し、上記のような意図しない酸化シリコン膜の形成はEOTを増加させるからである。
【0020】
以上のように、本発明者が検討した技術では、MISトランジスタの更なる高性能化が困難となることが分かった。
【0021】
そこで、本発明の目的は、金属ゲート電極/高誘電体ゲート絶縁膜構造のMISトランジスタを有する半導体装置を高性能化する技術を提供することにある。
【0022】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本願においては、複数の発明が開示されるが、そのうちの一実施例の概要を簡単に説明すれば以下の通りである。
【0024】
半導体基板上に電界効果トランジスタを形成する工程を有する半導体装置の製造方法であって、電界効果トランジスタを形成する工程は、(a)半導体基板上に、ハフニウムおよび酸素を主体とする絶縁膜からなる高誘電体膜を形成する工程と、(b)高誘電体膜上に、第1金属および酸素を主体とする膜からなるキャップ膜を形成する工程と、(c)半導体基板に第1熱処理を施す工程と、(d)半導体基板に第2熱処理を施す工程と、(e)キャップ膜上に、ゲート電極用金属膜を形成する工程と、(f)ゲート電極用金属膜、キャップ膜および高誘電体膜を加工することで、ゲート電極用金属膜を有する金属ゲート電極と、キャップ膜および高誘電体膜を有する高誘電率ゲート絶縁膜とを形成する工程とを有し、(b)工程では、第1金属を化学量論的組成よりも多く含むようなキャップ膜を形成し、(c)工程では、第1熱処理によって、高誘電体膜中の余剰酸素をキャップ膜中の第1金属に捕獲させることで、高誘電体膜中から余剰酸素を除去し、(d)工程では、第2熱処理によって、キャップ膜中の第1金属を高誘電体膜中に拡散させ、(c)工程および(d)工程において、第1熱処理は、第2熱処理よりも低い温度で施す。
【発明の効果】
【0025】
本願において開示される複数の発明のうち、上記一実施例により得られる効果を代表して簡単に説明すれば以下の通りである。
【0026】
即ち、金属ゲート電極/高誘電体ゲート絶縁膜構造のMISトランジスタを有する半導体装置を高性能化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態1である半導体装置の製造工程を示すフロー図である。
【図2】本発明の実施の形態1である半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図3】図2に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図4】図3に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図5】図4に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図6】図5に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図7】図6に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図8】図7に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図9】図8に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図10】図9に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図11】図10に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図12】図11に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図13】図12に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図14】図13に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図15】図14に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図16】図15に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図17】図16に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図18】図17に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図19】図18に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図20】図19に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図21】本発明の実施の形態1である半導体装置の製造工程の特性を示すグラフ図である。
【図22】本発明の実施の形態2である半導体装置の製造工程を示すフロー図である。
【図23】本発明の実施の形態2である半導体装置の製造工程中であって、図3に続く製造工程中における要部断面図である。
【図24】図23に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図25】図24に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図26】図25に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図27】図26に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図28】図27に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図29】図28に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図30】本発明の実施の形態2である半導体装置の製造工程の特性を示すグラフ図である。
【図31】本発明の実施の形態3である半導体装置の製造工程中であって、図4に続く製造工程中における要部断面図である。
【図32】図31に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図33】図32に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図34】図33に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図35】図34に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図36】図35に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【図37】図36に続く半導体装置の製造工程中における要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。また、本実施の形態を説明するための全図において同一機能を有するものは同一の符号を付すようにし、その繰り返しの説明は可能な限り省略するようにしている。以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0029】
(実施の形態1)
本実施の形態1の半導体装置の製造方法について、図1〜図21を用いて説明する。本実施の形態1の半導体装置の製造方法は、シリコン基板(半導体基板)1上にMISトランジスタ(電界効果トランジスタ)Qp,Qnを形成する工程と、それらを結線して回路を構成するための多層配線を形成する工程とを有する。そのうち、図1には、MISトランジスタQn,Qpを形成する工程のフロー図を示している。また、図2〜図20には、製造工程中におけるシリコン基板1の要部断面図を示している。ここでは、特に、p型MISトランジスタ(pチャネル型の電界効果トランジスタ)Qpを形成するpMIS領域Rp、および、n型MISトランジスタ(nチャネル型の電界効果トランジスタ)Qnを形成するnMIS領域Rnにおけるシリコン基板1の要部断面図を示している。また、図21には、本実施の形態1の半導体装置の製造方法における一工程の特性を表すグラフ図を示している。以下では、図1に示す工程を参照しながら、図2以降を用いて、本実施の形態1の半導体装置の製造方法について詳しく説明する。
【0030】
まず、図2に示すように、単結晶のシリコンからなるシリコン基板1を準備する。シリコン基板1は、例えば、ホウ素(B)などのp型不純物を含んでいる。なお、シリコン基板1は、以下で説明する工程中、半導体ウェハと称される平面略円形状の薄板として扱う。
【0031】
その後、シリコン基板1の表面に分離部2、および、各ウェルnw1,pw1を形成する(図1の工程s01)。分離部2は、例えば以下のようにして形成する。まず、フォトリソグラフィ法およびドライエッチング法などによって浅い溝を形成する。続いて、その溝を埋め込むようにして酸化シリコン膜を形成する。その後、エッチング法や化学的機械的研磨(Chemical and Mechanical Polishing:CMP)法などによって、溝部以外の酸化シリコン膜を除去することで分離部2を形成する。この分離部2によって活性領域が分離され、pMIS領域RpとnMIS領域Rnとが規定される。続いて、フォトリソグラフィ法およびイオン注入法を用いて、pMIS領域Rpにnウェルnw1を形成し、nMIS領域Rnにpウェルpw1を形成する。nウェルnw1としてはリン(P)またはヒ素(As)などのn型不純物を注入し、pウェルpw1としては、ホウ素などのp型不純物を注入する。
【0032】
次に、図3に示すように、シリコン基板1上に界面酸化膜(界面絶縁膜)z1を形成する(図1の工程s03)。ここでは、例えば、pMIS領域RpおよびnMIS領域Rnの基板面を露出させた状態でシリコン基板1を酸化することで、酸化シリコンを主体とする絶縁膜を形成し、これを界面酸化膜z1とする。また、界面酸化膜z1としては、酸窒化シリコンを主体とする絶縁膜を形成しても良い。この場合、例えば、NOとOおよびHを用いた高温短時間酸化法により、酸窒化シリコン膜を形成する。
【0033】
続いて、シリコン基板1上のうちの界面酸化膜z1上に、高誘電体膜hk1を形成する(図1の工程s05)。ここでは、例えばALD(Atomic Layer Deposition)法などによって、ハフニウムおよび酸素を主体とする絶縁膜からなる高誘電体膜hk1を形成する。このような高誘電体膜hk1としては、例えば酸化ハフニウム(HfO)やハフニウムシリケート(HfSi)などがある。ここでは、酸化ハフニウムを主体とする絶縁膜からなる高誘電体膜hk1を形成する。その後、650℃以上の温度で熱処理を施すことで緻密化処理を行う(図1の工程s07)。
【0034】
次に、図4に示すように、pMIS領域Rpの高誘電体膜hk1上に、アルミニウム(第1金属)を主体とする第1金属膜E1を形成する(図1の工程s09)。ここでは、まず、シリコン基板1上にフォトレジスト膜3を形成し、フォトリソグラフィ法によって、pMIS領域Rpを開口し、かつ、nMIS領域Rnの高誘電体膜hk1を覆うようにパターニングする。その後、スパッタリング法などによってアルミニウムを主体とする第1金属からなる第1金属膜E1を0.7nm以上、2nm以下の膜厚で形成する。ここでは、1nmの膜厚となるように第1金属膜E1を形成する。なお、アルミニウムの他に、タンタルまたはチタンを主体とする第1金属からなる第1金属膜E1を形成しても良い。以下、本実施の形態1の製造方法では、第1金属膜E1はアルミニウムを主体とする第1金属からなるとして説明するが、これは、タンタルまたはチタンを主体とする第1金属からなるとして置き換えても同様であるとする。
【0035】
次に、図5に示すように、第1金属膜E1を酸化する(図1の工程s11)ことで、第1金属酸化膜EZ1に覆われた第1金属膜E1からなるpMIS用キャップ膜(キャップ膜)Cp1を形成する。本工程では、0℃以上、200℃以下の温度でアルミニウムを主体とする第1金属膜E1の表面を酸化する。ここでは、室温(加熱を施さない状態)で第1金属膜E1の表面を酸化することで、酸化アルミニウムを主体とする第1金属酸化膜EZ1を形成する。本実施の形態1の半導体装置の製造方法において、このようにして第1金属膜E1の表面を酸化することの効果は、後に詳しく説明する。
【0036】
ここまでの工程によって、pMIS領域Rpの高誘電体膜hk1を覆うようにして、アルミニウムを主体とする第1金属膜E1、および、その表面に形成した酸化アルミニウムを主体とする第1金属酸化膜EZ1からなるpMIS用キャップ膜Cp1を形成したことになる。言い換えれば、アルミニウムからなる第1金属および酸素を主体とするpMIS用キャップ膜Cp1を形成したことになる。これは、pMIS用キャップ膜Cp1全体におけるアルミニウムおよび酸素の含有量を考えた場合、アルミニウム元素を化学量論的組成(ストイキオメトリ)よりも多く含むような組成(アルミニウムリッチ(Al−rich)な組成とも言う)となっている。なぜなら、pMIS用キャップ膜Cp1は、酸化アルミニウムを主体とする第1金属酸化膜EZ1の他に、アルミニウムを主体とする第1金属膜E1を有しているからである。このように、本実施の形態1の半導体装置の製造方法において、pMIS領域Rpの高誘電体膜hk1上に、アルミニウムリッチな組成のpMIS用キャップ膜Cp1を形成することの効果は、後に詳しく説明する。
【0037】
続いて、pMIS用キャップ膜Cp1に覆われたままの状態でフォトレジスト膜3を除去する、所謂リフトオフ法により、nMIS領域RnのpMIS用キャップ膜Cp1を除去する。
【0038】
次に、図6に示すように、シリコン基板1上にフォトレジスト膜4を形成し、フォトリソグラフィ法によって、nMIS領域Rnを開口し、かつ、pMIS領域Rpの高誘電体膜hk1を覆うようにパターニングする。その後、例えば、酸化マグネシウムを主体とする絶縁膜からなるnMIS用キャップ絶縁膜cn1を形成する。ここでは、酸化マグネシウムの他に、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、または、希土類酸化物を主体とする絶縁膜からなるnMIS用キャップ絶縁膜cn1を形成しても良い。以下では、本工程で酸化マグネシウムからなるnMIS用キャップ絶縁膜cn1を形成したものとして説明する。
【0039】
次に、nMIS用キャップ絶縁膜cn1に覆われたままの状態でフォトレジスト膜4を除去することで、リフトオフ法によりpMIS領域RpのnMIS用キャップ絶縁膜cn1を除去する。これにより、図7に示すように、高誘電体膜hk1において、pMIS領域Rpでは、表面に第1金属酸化膜EZ1を備えた第1金属膜E1からなるpMIS用キャップ膜Cp1に覆われ、nMIS領域RnではnMIS用キャップ絶縁膜cn1に覆われた構造を形成できる。
【0040】
続く工程では、シリコン基板1に第1熱処理を施す(図1の工程s13)。本実施の形態1の半導体装置の製造方法では、第1熱処理として、窒素雰囲気中において200℃以上、600℃以下の温度で、シリコン基板1を加熱する。このような第1熱処理によって、pMIS領域Rpにおいて、酸化ハフニウム膜からなる高誘電体膜hk1中の余剰酸素を除去することができる。より詳しくは、以下の通りである。
【0041】
上記の方法で形成した酸化ハフニウム膜からなる高誘電体膜hk1には、化学量論的組成よりも多い酸素成分(余剰酸素)が含まれる。ここで、上述の第1熱処理によって、高誘電体膜hk1中の余剰酸素を、アルミニウムリッチなpMIS用キャップ膜Cp1中のアルミニウムに捕獲させることができる。従って、高誘電体膜hk1を覆うようにしてpMIS用キャップ膜Cp1を形成しているpMIS領域Rpでは、第1熱処理によって高誘電体膜hk1中の余剰酸素を除去できる。このとき、図8に示すように、pMIS用キャップ膜Cp1を構成する第1金属膜E1では、アルミニウムが余剰酸素によって酸化され、第1金属酸化膜EZ1と同様になる。図8では、余剰酸素によって酸化された第1金属膜E1と第1金属酸化膜EZ1とを区別していない。即ち、本工程を経て、pMIS領域Rpの高誘電体膜hk1を覆うpMIS用キャップ膜Cp1は、余剰酸素によって酸化された第1金属膜E1と第1金属酸化膜EZ1とによって構成された膜になる。
【0042】
続く工程では、シリコン基板1に第2熱処理を施す(図1の工程s15)。本実施の形態1の半導体装置の製造方法では、第2熱処理として、窒素雰囲気中において900℃以上、1050℃以下の温度で、シリコン基板1を加熱する。このような第2熱処理によって、各キャップ膜Cp1,cn1中の金属元素を高誘電体膜hk1中に拡散させる。より詳しくは、以下の通りである。即ち、pMIS領域Rpにおいては、第2熱処理によって、pMIS用キャップ膜Cp1中のアルミニウムを高誘電体膜hk1中に拡散させる。また、nMIS領域Rnにおいては、第2熱処理によって、nMIS用キャップ絶縁膜cn1中のマグネシウムを高誘電体膜hk1中に拡散させる。このようにして、図9に示すように、pMIS領域Rpにはアルミニウムを含む高誘電体膜hk1を形成し、nMIS領域Rnにはマグネシウムを含む高誘電体膜hk1を形成できる。
【0043】
ここで、本実施の形態1の半導体装置の製造方法においては、第1熱処理の温度と第2熱処理の温度を比較した場合、余剰酸素を捕獲することを目的とした第1熱処理の温度は、金属元素の拡散を目的とした第2熱処理の温度よりも低い温度であることが条件となる。この温度条件に関しては、後に詳しく説明する。
【0044】
以下では、図1の工程s17について詳しく説明する。
【0045】
続く工程として、図10に示すように、pMIS領域RpのpMIS用キャップ膜Cp1上およびnMIS領域RnのnMIS用キャップ絶縁膜cn1上に、ゲート電極用金属膜EM1を形成する。ここでは、ゲート電極用金属膜EM1として、窒化チタン膜tn1および多結晶シリコン膜ps1を順に形成する。窒化チタン膜tn1は例えばスパッタリング法によって形成し、多結晶シリコン膜ps1は例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって形成する。続いて、窒化シリコンからなる保護絶縁膜5を形成する。ここで、多結晶シリコン膜ps1には、pMIS領域RpとnMIS領域Rnとで、異なる導電型もしくは異なる抵抗率となるように、異なる不純物種および異なる不純物濃度の不純物イオンを注入しても良い。
【0046】
次に、図11に示すように、上記までの工程でシリコン基板1上に形成した積層膜をフォトリソグラフィ法およびエッチング法によって加工することで、各金属ゲート電極pG1,nG1、および、各高誘電率ゲート絶縁膜pI1,nI1を形成する。より具体的には、以下の通りである。
【0047】
pMIS領域Rpにおいて、ゲート電極用金属膜EM1を加工することで、ゲート電極用金属膜EM1からなるpMIS用金属ゲート電極(金属ゲート電極)pG1を形成する。また、同じくpMIS領域Rpにおいて、pMIS用キャップ膜Cp1、高誘電体膜hk1および界面酸化膜z1を加工することで、pMIS用キャップ膜Cp1、高誘電体膜hk1および界面酸化膜z1からなるpMIS用高誘電率ゲート絶縁膜(高誘電率ゲート絶縁膜)pI1を形成する。
【0048】
また、nMIS領域Rnにおいて、ゲート電極用金属膜EM1を加工することで、ゲート電極用金属膜EM1からなるnMIS用金属ゲート電極nG1を形成する。また、同じくnMIS領域Rnにおいて、nMIS用キャップ絶縁膜cn1、高誘電体膜hk1および界面酸化膜z1を加工することで、nMIS用キャップ絶縁膜cn1、高誘電体膜hk1および界面酸化膜z1からなるnMIS用高誘電率ゲート絶縁膜nI1を形成する。
【0049】
なお、上記工程では、pMIS領域Rpにおけるゲート電極用金属膜EM1、pMIS用キャップ膜Cp1、高誘電体膜hk1および界面酸化膜z1と、nMIS領域Rnにおけるゲート電極用金属膜EM1、nMIS用キャップ絶縁膜cn1、高誘電体膜hk1および界面酸化膜z1とは、それぞれ一括して加工する。
【0050】
上記の説明では、各領域Rp,Rnにおいて界面酸化膜z1をも一括して加工して、各高誘電率ゲート絶縁膜pI1,nI1を形成するように記したが、この工程では界面酸化膜z1は加工せずに残しても良い。これにより、本工程で加工する積層膜の最下層である界面酸化膜z1をエッチングストッパとして用いることができ、シリコン基板1の表面にダメージを与え難い工程とすることができる。この場合、後の工程でサイドウォールスペーサを形成する際に、界面酸化膜z1にも加工を施す。
【0051】
続く工程では、シリコン基板1の表面のうち、pMIS領域RpのpMIS用金属ゲート電極pG1の側方下部におけるnウェルnw1内に、p型エクステンション領域6pを形成する。これには、例えばnMIS領域Rnをフォトレジスト膜などで覆い(図示しない)、pMIS領域Rpにp型不純物をイオン注入する。このとき、pMIS用高誘電率ゲート絶縁膜pI1、pMIS用金属ゲート電極pG1および保護絶縁膜5などの積層膜と分離部2とがイオン注入マスクとなり、所望の領域にp型エクステンション領域6pを形成できる。ここでは、界面酸化膜z1を透過するようなエネルギー条件で、イオン注入を施す。また、シリコン基板1の表面のうち、nMIS領域RnのnMIS用金属ゲート電極nG1の側方下部におけるpウェルpw1内に、n型エクステンション領域6nを形成する。これには、例えばpMIS領域Rpをフォトレジスト膜などで覆い(図示しない)、nMIS領域Rnにn型不純物をイオン注入する。このとき、nMIS用高誘電率ゲート絶縁膜nI1、nMIS用金属ゲート電極nG1および保護絶縁膜5などの積層膜と分離部2とがイオン注入マスクとなり、所望の領域にn型エクステンション領域6nを形成できる。ここでは、界面酸化膜z1を透過するようなエネルギー条件で、イオン注入を施す。
【0052】
次に、図12に示すように、各金属ゲート電極pG1,nG1の側壁を覆うようにして、サイドウォールスペーサ7を形成する。これには、CVD法などによってシリコン基板1上に酸化シリコン膜を堆積し、これをエッチバックすることで、各金属ゲート電極pG1,nG1の側壁を覆うようなサイドウォールスペーサ7を形成することができる。
【0053】
その後、シリコン基板1の表面のうち、pMIS領域Rpのサイドウォールスペーサ7の側方下部におけるnウェルnw1内に、p型高濃度拡散層8pを形成する。これは、上述のp型エクステンション領域6pを形成する工程と同様にして形成する。ただし、p型高濃度拡散層8pは、p型エクステンション領域6pと比較して、不純物濃度が高く、かつ、深さが深くなるように形成する。また、シリコン基板1の表面のうち、nMIS領域Rnのサイドウォールスペーサ7の側方下部におけるpウェルpw1内に、n型高濃度拡散層8nを形成する。これは、上述のn型エクステンション領域6nを形成する工程と同様にして形成する。ただし、n型高濃度拡散層8nは、n型エクステンション領域6nと比較して、不純物濃度が高く、かつ、深さが深くなるように形成する。本工程で形成した各高濃度拡散層8p,8nは、ソース・ドレイン領域として機能する。本工程の後、以上の工程でシリコン基板1に注入した不純物を活性化するための熱処理として、例えば1000℃程度でスパイク熱処理を施す。
【0054】
以上の工程のようにして、pMIS領域Rpにはp型MISトランジスタQpが形成され、nMIS領域Rnにはn型MISトランジスタQnが形成される。
【0055】
次に、図13に示すように、各高濃度拡散層8p,8nの表面に金属シリサイド層9を形成する。これには、例えばシリコン基板1上にスパッタリング法などによりニッケルを堆積し、熱処理を施す。このとき、シリコンとニッケルとが接触している箇所でシリサイド化反応が起こり、ニッケルシリサイドが形成される。本工程では、シリコンとニッケルとが接触する場所は、各高濃度拡散層8p,8nの表面部分である。その後、未反応のニッケルを除去することで、ニッケルシリサイドからなる金属シリサイド層9が形成される。
【0056】
続いて、各トランジスタQp,Qnを埋め込むようにして、シリコン基板1上に酸化シリコン膜10を形成する。この酸化シリコン膜10は、金属配線下層絶縁(Pre-Metal Dielectric:PMD)膜とも言う。なお、SAC(Self Align Contact)プロセス用として、酸化シリコン膜10の下に、薄い窒化シリコン膜を形成しても良い(図示しない)。
【0057】
次に、図14に示すように、酸化シリコン膜10に対してCMP法による表面研磨を施すことで、各金属ゲート電極pG1,nG1上の保護絶縁膜5を露出させる。ここでは、上述のように保護絶縁膜5として窒化シリコン膜を形成しているから、それとは材料の異なる酸化シリコン膜10の表面研磨に対して、保護絶縁膜5をCMPストッパとして適用できる。
【0058】
次に、酸化シリコン膜10から露出した保護絶縁膜5をエッチングにより除去することで、図15に示すような構造を形成する。ここでは、保護絶縁膜5に対して、例えば反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching:RIE)法などによってエッチングを施すことで、各金属ゲート電極pG1,nG1上の保護絶縁膜5を除去する。これにより、pMIS用金属ゲート電極pG1およびnMIS用金属ゲート電極nG1が有する多結晶シリコン膜ps1が露出する。
【0059】
次に、図16に示すように、シリコン基板1上の全面に金属膜11を形成する。金属膜11は、例えばスパッタリング法などによって、ニッケルを主体とする膜を形成する。この工程では、特に、各金属ゲート電極pG1,nG1の上面において、多結晶シリコン膜ps1と金属膜11とが接触する。
【0060】
次に、図17に示すように、多結晶シリコン膜ps1と金属膜11とが接触した箇所に、金属シリサイド層12を形成する。ここでは、例えば、シリコン基板1を450℃程度で加熱することで、多結晶シリコン膜ps1の一部が金属膜11と固相反応(シリサイド化)することで、ニッケルシリサイドからなる金属シリサイド層12を形成する。その後、硫酸と過酸化水素水の混合液などによって、未反応の金属膜を除去する。
【0061】
次に、図18に示すように、酸化シリコン膜10の上面に更に他の酸化シリコン膜13を形成する。その後、フォトリソグラフィ法およびエッチング法などにより、酸化シリコン膜10,13の上面から、金属シリサイド層9,12に達するようなコンタクトホール14を形成する。
【0062】
次に、図19に示すように、コンタクトホール14の側壁および底面を覆うようなバリア導体膜15を形成し、続いて、コンタクトホール14を埋め込むようなコンタクトプラグ16を形成する。これには、まず、例えばスパッタリング法やCVD法などによって、チタン膜、窒化チタン膜、タンタル膜、窒化タンタル膜またはそれらの積層膜からなる導体膜を形成する。その後、例えばCVD法などによって、タングステンからなる導体膜を形成する。続いて、例えばCMP法により表面を平坦化することで、コンタクトホール14の中に上記の導体膜を埋め込むことで、チタン膜、窒化チタン膜、タンタル膜、窒化タンタル膜またはそれらの積層膜からなるバリア導体膜15と、タングステンからなるコンタクトプラグ16とを形成する。以上のようにして、酸化シリコン膜10,13、バリア導体膜15、および、コンタクトプラグ16からなるコンタクト層CLを形成する。
【0063】
次に、図20に示すように、一般的なダマシン法またはデュアルダマシン法などによって、第1配線層M1、第1ビア層V1、および、第2配線層M2を形成する。
【0064】
まず、コンタクト層CLの上に、順にバリア絶縁膜17および酸化シリコン膜18からなる配線層用絶縁膜を形成し、その中に配線用導体膜19を形成する。配線用導体膜19と配線層用絶縁膜との間には、バリア導体膜20を形成しても良い。また、配線用導体膜19を電気めっき法によって形成する場合には、バリア導体膜20を覆うようにしてシード層を形成しても良い(図示しない)。バリア絶縁膜17としては窒化シリコン膜を形成し、配線用導体膜19としては銅を形成し、バリア導体膜20としてはチタン、窒化チタン、タンタル、窒化タンタルまたはそれらの積層膜を形成する。このようにして、バリア絶縁膜17、酸化シリコン膜18、配線用導体膜19およびバリア導体膜20からなる第1配線層M1を形成する。形成方法は、一般的なダマシン法によって形成する。
【0065】
続いて、第1配線層M1の上に、順にバリア絶縁膜21および酸化シリコン膜22からなるビア層用絶縁膜と、バリア絶縁膜23および酸化シリコン膜24からなる配線層用絶縁膜とを形成し、それらの中にビア・配線用導体膜25を形成する。ビア・配線用導体膜25とビア層用絶縁膜およびバリア配線層用絶縁膜との間には、バリア導体膜26を形成しても良い。また、ビア・配線用導体膜25を電気めっき法によって形成する場合には、バリア導体膜26を覆うようにしてシード層を形成しても良い(図示しない)。バリア絶縁膜21,23としては窒化シリコン膜を形成し、ビア・配線用導体膜25としては銅を形成し、バリア導体膜26としてはチタン、窒化チタン、タンタル、窒化タンタルまたはそれらの積層膜を形成する。このようにして、バリア絶縁膜21,23、酸化シリコン膜22,24、ビア・配線用導体膜25およびバリア導体膜26からなる第1ビア層V1および第2配線層M2を形成する。形成方法は、一般的なデュアルダマシン法によって形成する。
【0066】
続く工程では、同様の配線形成工程によって、所望の多層配線を形成する。
【0067】
以上が、本実施の形態1の半導体装置の製造方法である。以下では、本実施の形態1の半導体装置の製造方法として、特に、上記図1〜上記図12で説明した、p型MISトランジスタQpを形成する工程が有する効果について、詳しく説明する。
【0068】
本実施の形態1の半導体装置の製造方法では、シリコン基板1上にp型MISトランジスタQpを形成する際に、上述のように、高誘電体膜hk1上にアルミニウムからなる第1金属膜E1を形成し、温度帯の異なる2度の熱処理(第1熱処理および第2熱処理)を施している。ここでは、高誘電体膜hk1中の余剰酸素を除去するために第1熱処理を施し、その後の第2熱処理によって、第1金属(上記の例ではアルミニウム)を高誘電体膜hk1中に拡散させている。これにより、第2熱処理の際に、高誘電体膜hk1中の余剰酸素がシリコン基板1の界面を酸化するのを、pMIS領域Rpにおいて防ぐことができる。従って、意図しないゲート酸化膜の形成を防ぎ、EOTの増加を防ぐことができる。結果として、金属ゲート電極/高誘電体ゲート絶縁膜構造のMISトランジスタを有する半導体装置を高性能化することができる。
【0069】
ここでは、pMIS領域Rpの高誘電体膜hk1の上に金属リッチ(アルミニウムリッチ)な膜(上記の例ではpMIS用キャップ膜Cp1)を形成しておき、第1金属を拡散させるための第2熱処理を施す前に、それよりも低い温度で第1熱処理を施すことが効果的である。なぜなら、例えば、第2熱処理と同じかそれよりも高い温度で第1熱処理を施した場合、高誘電体膜hk1中の余剰酸素を第1金属に捕獲させる効果よりも、余剰酸素がシリコン基板1を酸化する効果の方が顕著になってしまうからである。従って、本実施の形態1の半導体装置の製造方法では、pMIS領域Rpにおいて第1金属を高誘電体膜hk1に拡散させるための第2熱処理の前に、かつ、当該第2熱処理よりも低い温度で第1熱処理を施すことが必要となる。
【0070】
また、上記では、pMIS領域Rpにおける高誘電体膜hk1中の余剰酸素を除去するための第1熱処理を200℃以上、600℃以下の温度で施す工程を説明した。しかしながら、ここでは、上述のように、第1熱処理の温度は第2熱処理の温度よりも低い温度であれば良く、上記のような温度帯に限定されるものではない。ただし、本実施の形態1の半導体装置の製造方法において、本発明者が効果の検証を行ったところ、第1熱処理の温度を200℃以上、600℃以下とする方が、より効果的であった。
【0071】
また、上記では、pMIS領域Rpの高誘電体膜hk1上にアルミニウムを主体とする第1金属膜E1を堆積し、この表面を酸化させて第1金属酸化膜EZ1を形成することで、pMIS用キャップ膜Cp1を形成する工程を説明した。しかしながら、ここでは、上述のように、高誘電体膜hk1中の余剰酸素を捕獲するためのpMIS用キャップ膜Cp1として、化学量論的組成よりも多くの第1金属を含んだ金属リッチ(アルミニウムリッチ)膜を形成すれば良く、表面を酸化させた第1金属膜E1に限定されるものではない。ただし、本実施の形態1の半導体装置の製造方法においては、pMIS用キャップ膜Cp1としては、第1金属膜E1を形成し、その表面を酸化させるようにして形成し、全体として金属リッチなpMIS用キャップ膜Cp1とする工程を適用する方が、より好ましい。なぜなら、既に金属リッチな状態となっているpMIS用キャップ膜Cp1を高誘電体膜hk1上に堆積するよりも、第1金属膜E1を堆積した後に表面のみを酸化する方が、プロセス適応性が高く、生産性を向上できるからである。
【0072】
また、上記では、pMIS領域Rpに堆積する第1金属膜E1としてのアルミニウムの表面に、第1金属酸化膜EZ1を形成するために、室温(加熱を施さない状態)で第1金属膜E1の表面を酸化する工程を説明した。しかしながら、ここでは、上述のように、第1金属膜E1の表面のみに第1金属酸化膜EZ1が形成させるような温度で酸化を施せば良く、上記のような温度に限定されるものではない。ただし、本実施の形態1の半導体装置の製造方法においては、第1金属膜E1の表面を酸化する温度は0℃以上、200℃以下である方が、より好ましい。なぜなら、0℃より低い温度では第1金属膜E1の表面が酸化され難く、また、200℃より高い温度では第1金属酸化膜EZ1の膜厚が厚くなり、第1熱処理による余剰酸素除去の効果が不十分となるからである。従って、本実施の形態1の半導体装置の製造方法では、0℃以上、200℃以下の温度で第1金属膜E1の表面を酸化することで、結果として、金属ゲート電極/高誘電体ゲート絶縁膜構造のMISトランジスタを有する半導体装置を、より高性能化することができる。
【0073】
また、上記では、アルミニウムを主体とする第1金属膜E1を、pMIS領域Rpの高誘電体膜hk1上に1nmの膜厚となるように形成するとして説明した。しかしながら、ここでは、第1金属膜E1の表面を酸化した際に、第1金属膜E1の全てが酸化されず、pMIS用キャップ膜Cp1全体として金属リッチな状態を維持できるような第1金属膜E1の膜厚であれば良く、上記の膜厚に限定されるものではない。ただし、本実施の形態1の半導体装置の製造方法においては、高誘電体膜hk1上に形成する第1金属膜E1の膜厚は、0.7nm以上、2nm以下である方が、より好ましい。その理由を以下で詳しく説明する。
【0074】
図21は、高誘電体膜hk1上に第1金属膜E1としてアルミニウム膜を堆積し、その表面を室温で酸化して形成したpMIS用キャップ膜Cp1を、X線光電子分光(X-ray Photoelectron spectroscopy:XPS)法で測定したスペクトルを示すグラフ図である。特に、堆積した第1金属膜E1の膜厚を0.2nmから11nmの間で変化させて測定している。グラフの横軸には結合エネルギー(Binding energy)を取り、特に、アルミニウムの2p軌道付近の結合エネルギーを示している。グラフの縦軸にはスペクトルの強度(Intensity)を示している。
【0075】
本図21から分かるように、アルミニウムを主体とする第1金属膜E1の膜厚が0.5nmまではAl−Al結合エネルギーに相当するスペクトルが得られておらず、第1金属膜E1は、そのほとんどが酸化されてしまうことが分かる。一方、第1金属膜E1の膜厚を0.7nm以上にすると、Al−Al結合エネルギーに相当するスペクトルが得られ、アルミニウム同士の金属結合が残存していることが分かる。即ち、膜厚が0.7nm以上であれば、第1金属膜E1は、第1熱処理によってその全てが酸化されるのではなく、表面に第1金属酸化膜EZ1が形成された構造となることが分かる。言い換えれば、第1金属膜E1の厚さが0.7nm以上であれば、第1熱処理によって、第1金属膜E1と第1金属酸化膜EZ1との積層構造を形成することができる。これは、pMIS用キャップ膜Cp1が、全体として、上述のような効果を有するアルミニウムリッチな状態になっていることを意味する。従って、本実施の形態1の半導体装置の製造方法では、第1金属膜E1を0.7nm以上堆積する方が、より好ましい。
【0076】
また、上述のように、第1金属膜E1は、高誘電体膜hk1の余剰酸素を捕獲し、酸化され、最終的にp型MISトランジスタQpのpMIS用高誘電率ゲート絶縁膜pI1の構成要素となる。従って、高誘電体膜hk1の余剰酸素を捕獲する過程で、pMIS用キャップ膜Cp1における第1金属膜E1の部分は全て酸化される方が、より好ましい。この観点から本発明者が検証したところ、第1金属膜E1の膜厚が2nm以下のとき、後の第1熱処理による余剰酸素の捕獲工程において、第1金属膜E1の金属膜部分を残すことなく酸化し易いことが分かった。以上をまとめて、本実施の形態1の半導体装置の製造方法において、第1金属膜E1は、膜厚が0.7nm以上、2nm以下となるように形成する方が、より好ましい。
【0077】
また、上記では、第2熱処理を900℃以上、1050℃以下の温度帯で施すとして説明した。しかしながら、第2熱処理の温度は、pMIS領域Rpの高誘電体膜hk1中にpMIS用キャップ膜Cp1中の第1金属(アルミニウム)を拡散させられる温度であれば良く、上記のような温度帯に限定されるものではない。ただし、本実施の形態1の半導体装置の製造方法において、本発明者が効果の検証を行ったところ、高誘電体膜hk1中の第1金属の濃度分布を均一にするためには、第2熱処理の温度を900℃以上、1050℃以下とする方が、より効果的であった。このような温度帯で第2熱処理を施すことで、結果として、金属ゲート電極/高誘電体ゲート絶縁膜構造のMISトランジスタを有する半導体装置を、より高性能化することができる。
【0078】
以上のように、本実施の形態1では、pチャネル型のMISトランジスタを高性能化する技術に関して詳しく説明した。
【0079】
(実施の形態2)
本実施の形態2の半導体装置の製造方法について、図22〜図30を用いて説明する。本実施の形態2の半導体装置の製造方法は、下記で説明する点のほかに、上記実施の形態1と同様の構成要素を有するものは、同様の特徴および同様の効果を有するとし、ここでの重複した説明は省略する。本実施の形態2の半導体装置の製造方法は、シリコン基板1上にMISトランジスタQp,Qnを形成する工程と、それらを結線して回路を構成するための多層配線を形成する工程とを有する。そのうち、図22には、MISトランジスタQn,Qpを形成する工程のフロー図を示している。また、図23〜図29には、製造工程中におけるシリコン基板1の要部断面図を示している。ここでは、特に、p型MISトランジスタQpを形成するpMIS領域Rp、および、n型MISトランジスタQnを形成するnMIS領域Rnにおけるシリコン基板1の要部断面図を示している。また、図30には、本実施の形態2の半導体装置の製造方法における一工程の特性を表すグラフ図を示している。以下では、図22に示す工程を参照しながら、本実施の形態2の半導体装置の製造方法について詳しく説明する。
【0080】
まず、上記実施の形態1の上記図2を用いて説明した工程と同様にして、シリコン基板1上に分離部2、nウェルnw1およびpウェルpw1を形成する(図22の工程s02)。その後、上記図3を用いて説明した工程と同様にして、シリコン基板1上に界面酸化膜z1および高誘電体膜hk1を形成する(図22の工程s04、工程s06および工程s08)。
【0081】
次に、図23に示すように、シリコン基板1上にフォトレジスト膜27を形成し、フォトリソグラフィ法によって、pMIS領域Rpを開口し、かつ、nMIS領域Rnの高誘電体膜hk1を覆うようにパターニングする。その後、例えば、酸化アルミニウムを主体とする絶縁膜からなるpMIS用キャップ絶縁膜cp2を形成する。ここでは、酸化アルミニウムの他に、酸化タンタルまたは酸化チタンからなるpMIS用キャップ絶縁膜cp2を形成しても良い。以下では、本工程で酸化アルミニウムからなるpMIS用キャップ絶縁膜cp2を形成したものとして説明する。その後、pMIS用キャップ絶縁膜cp2に覆われたままの状態でフォトレジスト膜27を除去することで、リフトオフ法によりnMIS領域RnのpMIS用キャップ絶縁膜cp2を除去する。
【0082】
次に、図24に示すように、nMIS領域Rnの高誘電体膜hk1上に、マグネシウム(第1金属)を主体とする第1金属膜E2を形成する(図22の工程s10)。ここでは、まず、シリコン基板1上にフォトレジスト膜28を形成し、フォトリソグラフィ法によって、nMIS領域Rnを開口し、かつ、pMIS領域Rpの高誘電体膜hk1を覆うようにパターニングする。その後、スパッタリング法などによってマグネシウムを主体とする第1金属からなる第1金属膜E2を2nm以上、3nm以下の膜厚で形成する。ここでは、2.5nmの膜厚となるように第1金属膜E2を形成する。なお、マグネシウムの他に、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、または、希土類元素を主体とする第1金属からなる第1金属膜E2を形成しても良い。以下、本実施の形態2の製造方法では、第1金属膜E2はマグネシウムを主体とする第1金属からなるとして説明するが、これは、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、または、希土類元素を主体とする第1金属からなるとして置き換えても同様であるとする。
【0083】
次に、図25に示すように、第1金属膜E2を酸化する(図22の工程s12)ことで、第1金属酸化膜EZ2に覆われた第1金属膜E2からなるnMIS用キャップ膜(キャップ膜)Cn2を形成する。本工程では、0℃以上、200℃以下の温度でマグネシウムを主体とする第1金属膜E2の表面を酸化する。ここでは、室温(加熱を施さない状態)で第1金属膜E2の表面を酸化することで、酸化マグネシウムを主体とする第1金属酸化膜EZ2を形成する。本実施の形態2の半導体装置の製造方法において、このようにして第1金属膜E2の表面を酸化することの効果は、後に詳しく説明する。
【0084】
ここまでの工程によって、nMIS領域Rnの高誘電体膜hk1を覆うようにして、マグネシウムを主体とする第1金属膜E2、および、その表面に形成した酸化マグネシウムを主体とする第1金属酸化膜EZ2からなるnMIS用キャップ膜Cn2を形成したことになる。言い換えれば、マグネシウムからなる第1金属および酸素を主体とするnMIS用キャップ膜Cn2を形成したことになる。これは、nMIS用キャップ膜Cn2全体におけるマグネシウムおよび酸素の含有量を考えた場合、マグネシウム元素を化学量論的組成よりも多く含むような組成(マグネシウムリッチ(Mg−rich)な組成とも言う)となっている。なぜなら、nMIS用キャップ膜Cn2は、酸化マグネシウムを主体とする第1金属酸化膜EZ2の他に、マグネシウムを主体とする第1金属膜E2を有しているからである。このように、本実施の形態2の半導体装置の製造方法において、nMIS領域Rnの高誘電体膜hk1上に、マグネシウムリッチな組成のnMIS用キャップ膜Cn2を形成することの効果は、後に詳しく説明する。
【0085】
次に、nMIS用キャップ膜Cn2に覆われたままの状態でフォトレジスト膜28を除去することで、リフトオフ法によりpMIS領域RpのnMIS用キャップ膜Cn2を除去する。これにより、図26に示すように、高誘電体膜hk1において、pMIS領域RpではpMIS用キャップ絶縁膜cp2に覆われ、nMIS領域Rnでは、表面に第1金属酸化膜EZ2を備えた第1金属膜E2からなるnMIS用キャップ膜Cn2に覆われた構造を形成できる。
【0086】
続く工程では、シリコン基板1に第1熱処理を施す(図22の工程s14)。本実施の形態2の半導体装置の製造方法では、第1熱処理として、窒素雰囲気中において200℃以上、600℃以下の温度で、シリコン基板1を加熱する。このような第1熱処理によって、nMIS領域Rnにおいて、酸化ハフニウム膜からなる高誘電体膜hk1中の余剰酸素を除去することができる。より詳しくは、以下の通りである。
【0087】
上記の方法で形成した酸化ハフニウム膜からなる高誘電体膜hk1には、化学量論的組成よりも多い酸素成分(余剰酸素)が含まれる。ここで、上述の第1熱処理によって、高誘電体膜hk1中の余剰酸素を、マグネシウムリッチなnMIS用キャップ膜Cn2中のマグネシウムに捕獲させることができる。従って、高誘電体膜hk1を覆うようにしてnMIS用キャップ膜Cn2を形成しているnMIS領域Rnでは、第1熱処理によって高誘電体膜hk1中の余剰酸素を除去できる。このとき、図27に示すように、nMIS用キャップ膜Cn2を構成する第1金属膜E2では、マグネシウムが余剰酸素によって酸化され、第1金属酸化膜EZ2と同様になる。図27では、余剰酸素によって酸化された第1金属膜E2と第1金属酸化膜EZ2とを区別していない。即ち、本工程を経て、nMIS領域Rnの高誘電体膜hk1を覆うnMIS用キャップ膜Cn2は、余剰酸素によって酸化された第1金属膜E2と第1金属酸化膜EZ2とによって構成された膜になる。
【0088】
続く工程では、シリコン基板1に第2熱処理を施す(図22の工程s16)。本実施の形態2の半導体装置の製造方法では、第2熱処理として、窒素雰囲気中において900℃以上、1050℃以下の温度で、シリコン基板1を加熱する。このような第2熱処理によって、pMIS用キャップ絶縁膜cp2およびnMIS用キャップ膜Cn2の中の金属元素を高誘電体膜hk1中に拡散させる。より詳しくは、以下の通りである。即ち、pMIS領域Rpにおいては、第2熱処理によって、pMIS用キャップ絶縁膜cp2中のアルミニウムを高誘電体膜hk1中に拡散させる。また、nMIS領域Rnにおいては、第2熱処理によって、nMIS用キャップ膜Cn2中のマグネシウムを高誘電体膜hk1中に拡散させる。このようにして、図28に示すように、pMIS領域Rpにはアルミニウムを含む高誘電体膜hk1を形成し、nMIS領域Rnにはマグネシウムを含む高誘電体膜hk1を形成できる。
【0089】
ここで、本実施の形態2の半導体装置の製造方法においては、第1熱処理の温度と第2熱処理の温度を比較した場合、余剰酸素を捕獲することを目的とした第1熱処理の温度は、金属元素の拡散を目的とした第2熱処理の温度よりも低い温度であることが条件となる。この温度条件に関しては、後に詳しく説明する。
【0090】
続く工程では、上記実施の形態1の上記図10〜上記図13を用いて説明した工程と同様の工程を施す。これにより、図29に示すように、シリコン基板1上のpMIS領域Rpにp型MISトランジスタQp、nMIS領域Rnにn型MISトランジスタQnを形成する。続いて、上記実施の形態1の上記図13〜上記図20を用いて説明した工程と同様の工程を施すことで、コンタクト層CL、第1配線層M1、第1ビア層V1、および、第2配線層M2を形成する。その後も同様の工程によって、所望の多層配線を形成する。
【0091】
以上が、本実施の形態2の半導体装置の製造方法である。以下では、本実施の形態2の半導体装置の製造方法として、特に、n型MISトランジスタQnを形成する工程が有する効果について、詳しく説明する。
【0092】
本実施の形態2の半導体装置の製造方法では、シリコン基板1上にn型MISトランジスタQnを形成する際に、上述のように、高誘電体膜hk1上にマグネシウムからなる第1金属膜E2を形成し、温度帯の異なる2度の熱処理(第1熱処理および第2熱処理)を施している。ここでは、高誘電体膜hk1中の余剰酸素を除去するために第1熱処理を施し、その後の第2熱処理によって、第1金属(上記の例ではマグネシウム)を高誘電体膜hk1中に拡散させている。これにより、第2熱処理の際に、高誘電体膜hk1中の余剰酸素がシリコン基板1の界面を酸化するのを、nMIS領域Rnにおいて防ぐことができる。従って、意図しないゲート酸化膜の形成を防ぎ、EOTの増加を防ぐことができる。結果として、金属ゲート電極/高誘電体ゲート絶縁膜構造のMISトランジスタを有する半導体装置を高性能化することができる。
【0093】
ここでは、nMIS領域Rnの高誘電体膜hk1の上に金属リッチ(マグネシウムリッチ)な膜(上記の例ではnMIS用キャップ膜Cn2)を形成しておき、第1金属を拡散させるための第2熱処理を施す前に、それよりも低い温度で第1熱処理を施すことが効果的である。なぜなら、例えば、第2熱処理と同じかそれよりも高い温度で第1熱処理を施した場合、高誘電体膜hk1中の余剰酸素を第1金属に捕獲させる効果よりも、余剰酸素がシリコン基板1を酸化する効果の方が顕著になってしまうからである。従って、本実施の形態2の半導体装置の製造方法では、nMIS領域Rnにおいて第1金属を高誘電体膜hk1に拡散させるための第2熱処理の前に、かつ、当該第2熱処理よりも低い温度で第1熱処理を施すことが必要となる。
【0094】
また、上記では、nMIS領域Rnにおける高誘電体膜hk1中の余剰酸素を除去するための第1熱処理を200℃以上、600℃以下の温度で施す工程を説明した。しかしながら、ここでは、上述のように、第1熱処理の温度は第2熱処理の温度よりも低い温度であれば良く、上記のような温度帯に限定されるものではない。ただし、本実施の形態2の半導体装置の製造方法において、本発明者が効果の検証を行ったところ、第1熱処理の温度を200℃以上、600℃以下とする方が、より効果的であった。
【0095】
また、上記では、nMIS領域Rnの高誘電体膜hk1上にマグネシウムを主体とする第1金属膜E2を堆積し、この表面を酸化させて第1金属酸化膜EZ2を形成することで、nMIS用キャップ膜Cn2を形成する工程を説明した。しかしながら、ここでは、上述のように、高誘電体膜hk1中の余剰酸素を捕獲するためのnMIS用キャップ膜Cn2として、化学量論的組成よりも多くの第1金属を含んだ金属リッチ(マグネシウムリッチ)膜を形成すれば良く、表面を酸化させた第1金属膜E2に限定されるものではない。ただし、本実施の形態2の半導体装置の製造方法においては、nMIS用キャップ膜Cn2としては、第1金属膜E2を形成し、その表面を酸化させるようにして形成し、全体として金属リッチなnMIS用キャップ膜Cn2とする工程を適用した方が、より好ましい。なぜなら、既に金属リッチな状態となっているnMIS用キャップ膜Cn2を高誘電体膜hk1上に堆積するよりも、第1金属膜E2を堆積した後に表面のみを酸化する方が、プロセス適応性が高く、生産性を向上できるからである。
【0096】
また、上記では、nMIS領域Rnに堆積する第1金属膜E2としてのマグネシウムの表面に、第1金属酸化膜EZ2を形成するために、室温(加熱を施さない状態)で第1金属膜E2の表面を酸化する工程を説明した。しかしながら、ここでは、上述のように、第1金属膜E2の表面のみに第1金属酸化膜EZ2が形成されるような温度で酸化を施せば良く、上記のような温度に限定されるものではない。ただし、本実施の形態2の半導体装置の製造方法においては、第1金属膜E2の表面を酸化する温度は0℃以上、200℃以下である方が、より好ましい。なぜなら、0℃より低い温度では第1金属膜E2の表面が酸化され難く、また、200℃より高い温度では第1金属酸化膜EZ2の膜厚が厚くなり、第1熱処理による余剰酸素除去の効果が不十分となるからである。従って、本実施の形態2の半導体装置の製造方法では、0℃以上、200℃以下の温度で第1金属膜E2の表面を酸化することで、結果として、金属ゲート電極/高誘電体ゲート絶縁膜構造のMISトランジスタを有する半導体装置を、より高性能化することができる。
【0097】
また、上記では、マグネシウムを主体とする第1金属膜E2を、nMIS領域Rnの高誘電体膜hk1上に2.5nmの膜厚となるように形成するとして説明した。しかしながら、ここでは、第1金属膜E2の表面を酸化した際に、第1金属膜E2の全てが酸化されず、nMIS用キャップ膜Cn2全体として金属リッチな状態を維持できるような第1金属膜E2の膜厚であれば良く、上記の膜厚に限定されるものではない。ただし、本実施の形態2の半導体装置の製造方法においては、高誘電体膜hk1上に形成する第1金属膜E2の膜厚は、2nm以上、3nm以下である方が、より好ましい。その理由を以下で詳しく説明する。
【0098】
図30は、高誘電体膜hk1上に第1金属膜E2としてマグネシウム膜を堆積し、その表面を室温で酸化して形成したnMIS用キャップ膜Cn2を、X線光電子分光法で測定したスペクトルを示すグラフ図である。特に、堆積した第1金属膜E2の膜厚を0.2nmから5nmの間で変化させて測定している。グラフの横軸には結合エネルギー(Binding energy)を取り、特に、マグネシウムの2p軌道付近の結合エネルギーを示している。グラフの縦軸にはスペクトルの強度(Intensity)を示している。
【0099】
本図30から分かるように、マグネシウムを主体とする第1金属膜E2の膜厚が1nmまでは、その膜厚の増加とともに、Mg(マグネシウム)−O(酸素)結合エネルギーに相当するスペクトルが増えている。これに対し、第1金属膜E2の膜厚が1nmから2nmになる際には、Mg−O結合エネルギーに相当するスペクトル強度の増加の程度は低下し、代わりにMg−Mg結合エネルギーに相当するスペクトル強度が増加している。これは、マグネシウム同士の金属結合が残存していることを意味する。即ち、膜厚が2nm以上であれば、第1金属膜E2は、第1熱処理によってその全てが酸化されるのではなく、表面に第1金属酸化膜EZ2が形成された構造となることが分かる。言い換えれば、第1金属膜E2の厚さが2nm以上であれば、第1熱処理によって、第1金属膜E2と第1金属酸化膜EZ2との積層構造を形成することができる。これは、nMIS用キャップ膜Cn2が、全体として、上述のような効果を有するマグネシウムリッチな状態になっていることを意味する。従って、本実施の形態2の半導体装置の製造方法では、第1金属膜E2を2nm以上堆積する方が、より好ましい。
【0100】
また、上述のように、第1金属膜E2は、高誘電体膜hk1の余剰酸素を捕獲し、酸化され、最終的にn型MISトランジスタQnのnMIS用高誘電率ゲート絶縁膜nI1の構成要素となる。従って、高誘電体膜hk1の余剰酸素を捕獲する過程で、nMIS用キャップ膜Cn2における第1金属膜E2の部分は全て酸化される方が、より好ましい。この観点から本発明者が検証したところ、第1金属膜E2の膜厚が3nm以下のとき、後の第1熱処理による余剰酸素の捕獲工程において、第1金属膜E2の金属膜部分を残すことなく酸化し易いことが分かった。以上をまとめて、本実施の形態2の半導体装置の製造方法において、第1金属膜E2は、膜厚が2nm以上、3nm以下となるように形成する方が、より好ましい。
【0101】
また、上記では、第2熱処理を900℃以上、1050℃以下の温度帯で施すとして説明した。しかしながら、第2熱処理の温度は、nMIS領域Rnの高誘電体膜hk1中にnMIS用キャップ膜Cn2中の第1金属(マグネシウム)を拡散させられる温度であれば良く、上記のような温度帯に限定されるものではない。ただし、本実施の形態2の半導体装置の製造方法において、本発明者が効果の検証を行ったところ、高誘電体膜hk1中の第1金属の濃度分布を均一にするためには、第2熱処理の温度を900℃以上、1050℃以下とする方が、より効果的であった。このような温度帯で第2熱処理を施すことで、結果として、金属ゲート電極/高誘電体ゲート絶縁膜構造のMISトランジスタを有する半導体装置を、より高性能化することができる。
【0102】
以上のように、本実施の形態2では、nチャネル型のMISトランジスタを高性能化する技術に関して詳しく説明した。
【0103】
(実施の形態3)
本実施の形態3の半導体装置の製造方法について、図31〜図37を用いて説明する。本実施の形態3の半導体装置の製造方法は、下記で説明する点のほかに、上記実施の形態1および上記実施の形態2と同様の構成要素を有するものは、同様の特徴および同様の効果を有するとし、ここでの重複した説明は省略する。本実施の形態3の半導体装置の製造方法は、シリコン基板1上にMISトランジスタQp,Qnを形成する工程と、それらを結線して回路を構成するための多層配線を形成する工程とを有する。図31〜図37には、製造工程中におけるシリコン基板1の要部断面図を示している。ここでは、特に、p型MISトランジスタ(第1電界効果トランジスタ)Qpを形成するpMIS領域(第1領域)Rp、および、n型MISトランジスタ(第2電界効果トランジスタ)Qnを形成するnMIS領域(第2領域)Rnにおけるシリコン基板1の要部断面図を示している。
【0104】
まず、上記実施の形態1の上記図2を用いて説明した工程と同様にして、シリコン基板1上に分離部2、nウェルnw1およびpウェルpw1を形成する。その後、上記図3を用いて説明した工程と同様にして、シリコン基板1上に界面酸化膜z1および高誘電体膜hk1を形成する。
【0105】
次に、図31に示すように、pMIS領域Rpの高誘電体膜hk1上に、アルミニウム(第1金属)を主体とする第1金属膜E3を形成する。この第1金属膜E3は、上記実施の形態1の上記図4を用いて説明した第1金属膜E1を形成する工程と同様にして形成する。即ち、nMIS領域Rnの高誘電体膜hk1を覆うようにパターニングしたフォトレジスト膜29を形成し、その上に第1金属膜E3を0.7nm以上、2nm以下の膜厚となるように形成する。その後、フォトレジスト膜29を除去することで、リフトオフ法により、nMIS領域Rnの第1金属膜E3を除去する。本実施の形態3における第1金属膜E3の形成工程における他の特徴も、上記図4の工程と同様である。
【0106】
次に、図32に示すように、nMIS領域Rnの高誘電体膜hk1上に、マグネシウム(第2金属)を主体とする第2金属膜E4を形成する。この第2金属膜E4は、上記実施の形態2の上記図24を用いて説明した第1金属膜E2を形成する工程と同様にして形成する。即ち、pMIS領域Rpの高誘電体膜hk1を覆うようにパターニングしたフォトレジスト膜30を形成し、その上に第2金属膜E4を2nm以上、3nm以下の膜厚となるように形成する。その後、フォトレジスト膜30を除去することで、リフトオフ法により、pMIS領域Rpの第2金属膜E4を除去する。本実施の形態3における第2金属膜E4の形成工程における他の特徴も、上記図24の工程と同様である。
【0107】
以上の工程によって、図33に示すように、pMIS領域Rpでは、高誘電体膜hk1上にアルミニウムを主体とする第1金属膜E3が形成され、nMIS領域Rnでは、高誘電体膜hk1上にマグネシウムを主体とする第2金属膜E4が形成された構造が得られる。
【0108】
次に、図34に示すように、第1金属膜E3を酸化することで、第1金属酸化膜EZ3に覆われた第1金属膜E3からなるpMIS用キャップ膜(第1キャップ膜)Cp3を形成する。ここでは、上記実施の形態1の上記図5を用いて説明した第1金属膜E1の酸化方法およびpMIS用キャップ膜Cp1の形成方法と同様にして、第1金属膜E3を酸化し、pMIS用キャップ膜Cp3を形成する。また、第2金属膜E4を酸化することで、第2金属酸化膜EZ4に覆われた第2金属膜E4からなるnMIS用キャップ膜(第2キャップ膜)Cn3を形成する。ここでは、上記実施の形態2の上記図25を用いて説明した第1金属膜E2の酸化方法およびnMIS用キャップ膜Cn2の形成方法と同様にして、第2金属膜E4を酸化し、nMIS用キャップ膜Cn3を形成する。本実施の形態3における上記の酸化工程における他の特徴も、上記図5および上記図25の工程と同様である。
【0109】
これら第1金属膜E3および第2金属膜E4の酸化方法は、同一の工程として行っても良い。即ち、上記図33のように、pMIS領域Rpに第1金属膜E3、nMIS領域Rnに第2金属膜E4を形成した後、上述の酸化を施すことで、第1金属膜E3および第2金属膜E4の表面を同時に酸化させることができ、図34を用いて説明した構造を形成できる。
【0110】
ここまでの工程によって、pMIS領域Rpの高誘電体膜hk1を覆うようにして、アルミニウムを主体とする第1金属膜E3、および、その表面に形成した酸化アルミニウムを主体とする第1金属酸化膜EZ3からなるpMIS用キャップ膜Cp3を形成したことになる。言い換えれば、アルミニウムからなる第1金属および酸素を主体とするpMIS用キャップ膜Cp3を形成したことになる。これは、pMIS用キャップ膜Cp3全体におけるアルミニウムおよび酸素の含有量を考えた場合、アルミニウム元素を化学量論的組成よりも多く含むような組成(アルミニウムリッチな組成)となっている。本実施の形態3の半導体装置の製造方法において、pMIS領域Rpの高誘電体膜hk1上に、アルミニウムリッチな組成のpMIS用キャップ膜Cp3を形成することの効果は、上記実施の形態1において同pMIS用キャップ膜Cp1を形成したことの効果と同様である。
【0111】
また、ここまでの工程によって、nMIS領域Rnの高誘電体膜hk1を覆うようにして、マグネシウムを主体とする第2金属膜E4および、その表面に形成した酸化マグネシウムを主体とする第2金属酸化膜EZ4からなるnMIS用キャップ膜Cn3を形成したことになる。言い換えれば、マグネシウムからなる第2金属および酸素を主体とするnMIS用キャップ膜Cn3を形成したことになる。これは、nMIS用キャップ膜Cn3全体におけるマグネシウムおよび酸素の含有量を考えた場合、マグネシウム元素を化学量論的組成よりも多く含むような組成(マグネシウムリッチな組成)となっている。本実施の形態3の半導体装置の製造方法において、nMIS領域Rnの高誘電体膜hk1上に、マグネシウムリッチな組成のnMIS用キャップ膜Cn3を形成することの効果は、上記実施の形態2において同nMIS用キャップ膜Cn2を形成したことの効果と同様である。
【0112】
以上のようにして、高誘電体膜hk1上において、pMIS領域RpではpMIS用キャップ膜Cp3に覆われ、nMIS領域RnではnMIS用キャップ膜Cn3に覆われた構造を形成できる。
【0113】
続く工程では、シリコン基板1に第1熱処理を施す。本実施の形態3の半導体装置の製造方法では、上記図1の工程s13および上記図22の工程s14を用いて説明した工程と同様にして、第1熱処理を施す。この第1熱処理により、pMIS領域Rpにおいては、高誘電体膜hk1中の余剰酸素をpMIS用キャップ膜Cp3中の第1金属(アルミニウム)に捕獲させることで、高誘電体膜hk1中の余剰酸素を除去できる。また、この第1熱処理により、nMIS領域Rnにおいては、高誘電体膜hk1中の余剰酸素をnMIS用キャップ膜Cn3中の第2金属(マグネシウム)に捕獲させることで、高誘電体膜hk1中の余剰酸素を除去できる。これらは、上記実施の形態1においてpMIS用キャップ膜Cp1を配置したことによる作用、および、上記実施の形態2においてnMIS用キャップ膜Cn2を配置したことによる作用と同様である。
【0114】
ここで、本工程では、第1金属膜E3および第2金属膜E4が高誘電体膜hk1中の余剰酸素によって酸化されて、それぞれ、第1金属酸化膜EZ3および第2金属酸化膜EZ4と一体的な構造の絶縁膜として、pMIS用キャップ膜Cp3およびnMIS用キャップ膜Cn3を形成するようになる。この構造を図35に示している。この効果に関しても、上記実施の形態1および上記実施の形態2において、上記図8および上記図27を用いて説明した効果と同様である。
【0115】
また、本実施の形態3の半導体装置の製造方法における上記の第1熱処理は、pMIS用キャップ膜Cp3とnMIS用キャップ膜Cn3とに対して、同時に施すことができる。これによって、各領域Rp,Rnにおける高誘電体膜hk1中の余剰酸素を、同時に除去することができる。結果として、半導体装置の製造工程数を削減できる。
【0116】
続く工程では、シリコン基板1に第2熱処理を施す。本実施の形態3の半導体装置の製造方法では、上記図1の工程s15および上記図22の工程s16を用いて説明した工程と同様にして、第2熱処理を施す。この第2熱処理により、pMIS領域Rpにおいては、pMIS用キャップ膜Cp3を構成する第1金属(アルミニウム)を高誘電体膜hk1中に拡散させることができる。また、この第2熱処理により、nMIS領域Rnにおいては、nMIS用キャップ膜Cn3を構成する第2金属(マグネシウム)を高誘電体膜hk1中に拡散させることができる。これらは、上記実施の形態1においてpMIS用キャップ膜Cp1を配置したことによる作用、および、上記実施の形態2においてnMIS用キャップ膜Cn2を配置したことによる作用と同様である。
【0117】
ここで、本工程では、pMIS領域Rpでは、第1金属が拡散された高誘電体膜hk1が形成され、nMIS領域Rnでは、第2金属が拡散された高誘電体膜hk1が形成されたことになる。この構造を図36に示している。この効果に関しても、上記実施の形態1および上記実施の形態2において、上記図9および上記図28を用いて説明した効果と同様である。
【0118】
また、本実施の形態3の半導体装置の製造方法における上記の第2熱処理は、pMIS用キャップ膜Cp3とnMIS用キャップ膜Cn3とに対して、同時に施すことができる。これによって、各領域Rp,Rnにおける高誘電体膜hk1中に、同時に第1金属または第2金属を拡散させることができる。結果として、半導体装置の製造工程数を削減できる。
【0119】
続く工程では、上記実施の形態1の上記図10〜上記図13を用いて説明した工程と同様の工程を施す。これにより、図37に示すように、シリコン基板1上のpMIS領域Rpにp型MISトランジスタQp、nMIS領域Rnにn型MISトランジスタQnを形成する。続いて、上記実施の形態1の上記図13〜上記図20を用いて説明した工程と同様の工程を施すことで、コンタクト層CL、第1配線層M1、第1ビア層V1、および、第2配線層M2を形成する。その後も同様の工程によって、所望の多層配線を形成する。
【0120】
以上が、本実施の形態3の半導体装置の製造方法である。上述のように、本実施の形態3の半導体装置の製造方法では、p型MISトランジスタQpを形成する過程で、pMIS領域Rpに第1金属リッチなpMIS用キャップ膜Cp3を形成し、温度の異なる2度の熱処理を施した。このような工程を適用することで、上記実施の形態1の製造方法において、第1金属リッチなpMIS用キャップ膜Cp1を形成し、温度の異なる2度の熱処理を施す工程を適用したことの効果と同様の効果を発現し得る。また、上述のように、本実施の形態3の半導体装置の製造方法では、n型MISトランジスタQnを形成する過程で、nMIS領域Rnに第2金属リッチなnMIS用キャップ膜Cn3を形成し、温度の異なる2度の熱処理を施した。このような工程を適用することで、上記実施の形態2の製造方法において、第1金属リッチなnMIS用キャップ膜Cn2を形成し、温度の異なる2度の熱処理を施す工程を適用したことの効果と同様の効果を発現し得る。
【0121】
更に、本実施の形態3の半導体装置の製造方法では、高誘電体膜hk1中の余剰酸素を除去するための第1熱処理を、pMIS領域RpおよびnMIS領域Rnに対して一括して施すことができる。また、更に、本実施の形態3の半導体装置の製造方法では、高誘電体膜hk1中に第1金属または第2金属を拡散させるための第2熱処理を、pMIS領域RpおよびnMIS領域Rnに対して一括して施すことができる。これにより、本実施の形態3の半導体装置の製造方法において、製造工程数を削減できる。
【0122】
また、上記では、pMIS領域Rpの第1金属膜E3とnMIS領域Rnの第2金属膜E4とに対して、同一の工程で酸化処理を施すことで、第1金属酸化膜EZ3と第2金属酸化膜EZ4とを同時に形成する工程を説明した。しかしながら、ここでは、上述のように、pMIS領域Rpの高誘電体膜hk1上に第1金属リッチなpMIS用キャップ膜Cp3を形成し、nMIS領域Rnの高誘電体膜hk1上に第2金属リッチなnMIS用キャップ膜Cn3を形成すればよく、当該酸化工程は各領域の金属膜E3,E4に対して別々に施しても良い。ただし、本実施の形態3の半導体装置の製造方法においては、第1金属膜E3と第2金属膜E4とを同時に酸化する方が、より好ましい。なぜなら、これらの酸化工程を一度の工程で施すことで、本実施の形態3の半導体装置の製造方法において、製造工程数を削減できるからである。
【0123】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明は、金属膜からなるゲート電極および高誘電体膜からなるゲート絶縁膜によって構成される電界効果トランジスタを有する半導体装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0125】
1 シリコン基板(半導体基板)
2 分離部
3,4,27〜30 フォトレジスト膜
5 保護絶縁膜
6n n型エクステンション領域
6p p型エクステンション領域
7 サイドウォールスペーサ
8n n型高濃度拡散層
8p p型高濃度拡散層
9,12 金属シリサイド層
10,13,18,22,24 酸化シリコン膜
11 金属膜
14 コンタクトホール
15,20,26 バリア導体膜
16 コンタクトプラグ
17,21,23 バリア絶縁膜
19 配線用導体膜
25 ビア・配線用導体膜
CL コンタクト層
cn1 nMIS用キャップ絶縁膜
Cn2 nMIS用キャップ膜(キャップ膜)
Cn3 nMIS用キャップ膜(第2キャップ膜)
Cp1 pMIS用キャップ膜(キャップ膜)
cp2 pMIS用キャップ絶縁膜
Cp3 pMIS用キャップ膜(第1キャップ膜)
E1,E2,E3 第1金属膜
E4 第2金属膜
EM1 ゲート電極用金属膜
EZ1,EZ2,EZ3 第1金属酸化膜
EZ4 第2金属酸化膜
hk1 高誘電体膜
M1 第1配線層
M2 第2配線層
nG1 nMIS用金属ゲート電極(金属ゲート電極)
nI1 nMIS用高誘電率ゲート絶縁膜(高誘電率ゲート絶縁膜)
nw1 nウェル
pG1 pMIS用金属ゲート電極(金属ゲート電極)
pI1 pMIS用高誘電率ゲート絶縁膜(高誘電率ゲート絶縁膜)
ps1 多結晶シリコン膜
pw1 pウェル
Qn n型MISトランジスタ(nチャネル型の電界効果トランジスタ)
Qp p型MISトランジスタ(pチャネル型の電界効果トランジスタ)
Rn nMIS領域(第2領域)
Rp pMIS領域(第1領域)
tn1 窒化チタン膜
V1 第1ビア層
z1 界面酸化膜(界面絶縁膜)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に電界効果トランジスタを形成する工程を有する半導体装置の製造方法であって、
前記電界効果トランジスタを形成する工程は、
(a)前記半導体基板上に、ハフニウムおよび酸素を主体とする絶縁膜からなる高誘電体膜を形成する工程と、
(b)前記高誘電体膜上に、第1金属および酸素を主体とする膜からなるキャップ膜を形成する工程と、
(c)前記半導体基板に第1熱処理を施す工程と、
(d)前記半導体基板に第2熱処理を施す工程と、
(e)前記キャップ膜上に、ゲート電極用金属膜を形成する工程と、
(f)前記ゲート電極用金属膜、前記キャップ膜および前記高誘電体膜を加工することで、前記ゲート電極用金属膜を有する金属ゲート電極と、前記キャップ膜および前記高誘電体膜を有する高誘電率ゲート絶縁膜とを形成する工程とを有し、
前記(b)工程では、前記第1金属を化学量論的組成よりも多く含むような前記キャップ膜を形成し、
前記(c)工程では、前記第1熱処理によって、前記高誘電体膜中の余剰酸素を前記キャップ膜中の前記第1金属に捕獲させることで、前記高誘電体膜中から前記余剰酸素を除去し、
前記(d)工程では、前記第2熱処理によって、前記キャップ膜中の前記第1金属を前記高誘電体膜中に拡散させ、
前記(c)工程および前記(d)工程において、前記第1熱処理は、前記第2熱処理よりも低い温度で施すことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記(b)工程は、
(b1)前記高誘電体膜上に、前記第1金属を主体とする第1金属膜を形成する工程と、
(b2)前記第1金属膜を酸化することで、前記キャップ膜を形成する工程とを有し、
前記(b)工程では、前記(b2)工程において、前記第1金属膜の表面を酸化することで、前記キャップ膜全体として、前記第1金属を化学量論的組成よりも多く含むような前記キャップ膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項2記載の半導体装置の製造方法において、
前記(b)工程では、前記(b2)工程において、0℃以上、200℃以下の温度で前記第1金属膜の表面を酸化することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項3記載の半導体装置の製造方法において、
前記(c)工程では、前記第1熱処理を、200℃以上、600℃以下の温度で施すことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項4記載の半導体装置の製造方法において、
前記(d)工程では、前記第2熱処理を、900℃以上、1050℃以下の温度で施すことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項5記載の半導体装置の製造方法において、
前記電界効果トランジスタを形成する工程は、前記(a)工程前に、更に、
(g)前記半導体基板を酸化することにより、前記半導体基板上に界面絶縁膜を形成する工程を有し、
前記(a)工程では、前記半導体基板上のうち前記界面絶縁膜上に、前記高誘電体膜を形成し、
前記(f)工程では、前記界面絶縁膜も加工することで、前記キャップ膜および前記高誘電体膜に加え、前記界面絶縁膜を有する前記高誘電率ゲート絶縁膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項6記載の半導体装置の製造方法において、
前記(e)工程では、前記ゲート電極用金属膜として、窒化チタンを含む導体膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項7記載の半導体装置の製造方法において、
前記電界効果トランジスタはpチャネル型であり、
前記(b)工程では、前記キャップ膜として、アルミニウム、タンタルまたはチタンのいずれかからなる前記第1金属および前記酸素を主体とする膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項8記載の半導体装置の製造方法において、
前記(b)工程では、前記(b1)工程において、前記第1金属膜を0.7nm以上、2nm以下の膜厚で形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項7記載の半導体装置の製造方法において、
前記電界効果トランジスタはnチャネル型であり、
前記(b)工程では、前記キャップ膜として、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、または、希土類元素のいずれかからなる前記第1金属および前記酸素を主体とする膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項10記載の半導体装置の製造方法において、
前記(b)工程では、前記(b1)工程において、前記第1金属膜を2nm以上、3nm以下の膜厚で形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項12】
半導体基板上の第1領域に第1電界効果トランジスタを形成し、第2領域に第2電界効果トランジスタを形成する工程を有する半導体装置の製造方法であって、
前記第1電界効果トランジスタおよび前記第2電界効果トランジスタを形成する工程は、
(a)前記半導体基板上に、ハフニウムおよび酸素を主体とする絶縁膜からなる高誘電体膜を形成する工程と、
(b)前記第1領域において、前記高誘電体膜上に、第1金属および酸素を主体とする膜からなる第1キャップ膜を形成する工程と、
(c)前記第2領域において、前記高誘電体膜上に、第2金属および酸素を主体とする膜からなる第2キャップ膜を形成する工程と、
(d)前記半導体基板に第1熱処理を施す工程と、
(e)前記半導体基板に第2熱処理を施す工程と、
(f)前記第1キャップ膜および前記第2キャップ膜上に、ゲート電極用金属膜を形成する工程と、
(g)前記第1領域において、前記ゲート電極用金属膜、前記第1キャップ膜および前記高誘電体膜を加工することで、前記ゲート電極用金属膜を有する第1金属ゲート電極と、前記第1キャップ膜および前記高誘電体膜を有する第1高誘電率ゲート絶縁膜とを形成する工程と、
(h)前記第2領域において、前記ゲート電極用金属膜、前記第2キャップ膜および前記高誘電体膜を加工することで、前記ゲート電極用金属膜を有する第2金属ゲート電極と、前記第2キャップ膜および前記高誘電体膜を有する第2高誘電率ゲート絶縁膜とを形成する工程とを有し、
前記(b)工程では、前記第1金属を化学量論的組成よりも多く含むような前記第1キャップ膜を形成し、
前記(c)工程では、前記第2金属を化学量論的組成よりも多く含むような前記第2キャップ膜を形成し、
前記(d)工程では、前記第1熱処理によって、
前記第1領域では、前記高誘電体膜中の余剰酸素を前記第1キャップ膜中の前記第1金属に捕獲させることで、前記高誘電体膜中から前記余剰酸素を除去し、
前記第2領域では、前記高誘電体膜中の前記余剰酸素を前記第2キャップ膜中の前記第2金属に捕獲させることで、前記高誘電体膜中から前記余剰酸素を除去し、
前記(e)工程では、前記第2熱処理によって、前記第1領域では、前記第1キャップ膜中の前記第1金属を前記高誘電体膜中に拡散させ、前記第2領域では、前記第2キャップ膜中の前記第2金属を前記高誘電体膜中に拡散させ、
前記(d)工程および前記(e)工程において、前記第1熱処理は、前記第2熱処理よりも低い温度で施し、
前記(d)工程および前記(e)工程において、前記第1熱処理と前記第2熱処理とは、それぞれ、前記第1領域および前記第2領域に対して一括して施すことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項12記載の半導体装置の製造方法において、
前記(b)工程は、前記第1領域において、
(b1)前記高誘電体膜上に、前記第1金属を主体とする第1金属膜を形成する工程と、
(b2)前記第1金属膜を酸化することで、前記第1キャップ膜を形成する工程とを有し、
前記(b)工程では、前記(b2)工程において、前記第1金属膜の表面を酸化することで、前記第1キャップ膜全体として、前記第1金属を化学量論的組成よりも多く含むような前記第1キャップ膜を形成し、
前記(c)工程は、前記第2領域において、
(c1)前記高誘電体膜上に、前記第2金属を主体とする第2金属膜を形成する工程と、
(c2)前記第2金属膜を酸化することで、前記第2キャップ膜を形成する工程とを有し、
前記(c)工程では、前記(c2)工程において、前記第2金属膜の表面を酸化することで、前記第2キャップ膜全体として、前記第2金属を化学量論的組成よりも多く含むような前記第2キャップ膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項13記載の半導体装置の製造方法において、
前記(b2)工程における前記第1金属膜の酸化と、前記(c2)工程における前記第2金属膜の酸化とを、同一の酸化工程によって施すことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項14記載の半導体装置の製造方法において、
前記(b2)工程および前記(c2)工程において、0℃以上、200℃以下の温度で、前記第1金属膜および前記第2金属膜の表面を酸化することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項15記載の半導体装置の製造方法において、
前記(d)工程では、前記第1熱処理を、200℃以上、600℃以下の温度で施すことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項16記載の半導体装置の製造方法において、
前記(e)工程では、前記第2熱処理を、900℃以上、1050℃以下の温度で施すことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項17記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1電界効果トランジスタおよび前記第2電界効果トランジスタを形成する工程は、前記(a)工程前に、更に、
(i)前記半導体基板を酸化することにより、前記半導体基板上に界面絶縁膜を形成する工程を有し、
前記(a)工程では、前記半導体基板上のうち前記界面絶縁膜上に、前記高誘電体膜を形成し、
前記(g)工程および前記(h)工程では、前記界面絶縁膜も加工することで、
前記第1領域では、前記第1キャップ膜および前記高誘電体膜に加え、前記界面絶縁膜を有する前記第1高誘電率ゲート絶縁膜を形成し、
前記第2領域では、前記第2キャップ膜および前記高誘電体膜に加え、前記界面絶縁膜を有する前記第2高誘電率ゲート絶縁膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項18記載の半導体装置の製造方法において、
前記(f)工程では、前記ゲート電極用金属膜として、窒化チタンを含む導体膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項20】
請求項19記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1電界効果トランジスタはpチャネル型、前記第2電界効果トランジスタはnチャネル型であり、
前記(b)工程では、前記第1キャップ膜として、アルミニウム、タンタルまたはチタンのいずれかからなる前記第1金属および前記酸素を主体とする膜を形成し、
前記(c)工程では、前記第2キャップ膜として、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、または、希土類元素のいずれかからなる前記第2金属および前記酸素を主体とする膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項21】
請求項20記載の半導体装置の製造方法において、
前記(b)工程では、前記(b1)工程において、前記第1金属膜を0.7nm以上、2nm以下の膜厚で形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項22】
請求項20記載の半導体装置の製造方法において、
前記(c)工程では、前記(c1)工程において、前記第2金属膜を2nm以上、3nm以下の膜厚で形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【公開番号】特開2011−35158(P2011−35158A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−179756(P2009−179756)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】