説明

車両の制御装置

【課題】 追随制御による走行中にエンジンブレーキが作用しない或いは低減するような変速状態に切り換えられた場合でも乗員に対して違和感を生じさせることなく円滑に走行し得る車両の制御装置を提供する。
【解決手段】 変速状態をエンジンブレーキが作用する変速状態で保持する変速規制モードに設定可能な変速制御手段と、先行車両との車間距離を測定する先行車両検出手段と、車間距離を予め設定された目標距離になるように走行装置を制御する車間制御手段とを備える。ACC制御中であって、変速規制モードではエンジンブレーキが作用してこの変速規制モードが解除されるとエンジンブレーキの作用が低減し或いは無くなるような走行状態での走行中に、変速規制モードの解除操作があった場合に、変速制御手段におけるモード解除の実行を入力操作から所定時間遅延させるとともに、この遅延期間中に車間距離を増大させる補正手段が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定範囲内に自車両に先行する先行車両がある場合に、この先行車両と自車両との車間距離を予め設定された目標車間距離となるように自車両の走行装置を制御する車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車速に応じて変速段を自動的に変更するいわゆるオートマチック車には、乗員の運転操作に伴う負担を軽減する観点から、乗員が設定した設定車速で定速走行するようにアクセルを制御するとともに、先行車両が存在する場合には当該先行車両との車間距離を予め設定した目標距離になるようにアクセルやブレーキを制御するACC(Adaptive Cruise Control)システムが採用されるようになっている。
【0003】
具体的には、ACCシステムは、例えば、特許文献1に記載されているように、レーダー波を自車両の前方に発信し、自車両の前方を走行する先行車両を検出するように構成され、先行車両がない場合には予め乗員によって設定された車速を維持するようにアクセルを制御するとともに、先行車両からの反射波に基づいて先行車両を検出した場合には、この反射波に基づいて、自車両と先行車両との車間距離を演算し、この車間距離を予め設定した目標距離に自動的に維持するように、アクセルやブレーキを制御するように構成されている。
【特許文献1】特開2003−200751号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、通常、オートマチック車には、トルクコンバータとトランスミッション部とからなる自動変速機構を制御するミッションコントローラが設けられている。このミッションコントローラは、シフトレバー等の入力手段からの入力に基づき、車速に応じて変速段およびロックアップクラッチを含めた変速状態を自動的に変更する完全自動変速モードと、適正な走行が可能な範囲で操縦者によって選択された変速状態に保持する変速規制モードとを切換可能に構成されている。ミッションコントローラにおいて変速規制モードが選択されると、例えばエンジン回転数がこのエンジンのクランク軸に連結される出力軸の回転数よりも低い場合に駆動輪からエンジンに対して逆駆動力が働いて減速する、いわゆるエンジンブレーキが作用する。
【0005】
ここで、例えば、この変速規制モードが選択されることによりエンジンブレーキが車両に作用しているような走行状態にあって、ACCシステムにより先行車両との車間距離を一定に保つように制御されている最中に、シフトレバーが操作されて、ミッションコントローラが変速規制モードから完全自動変速モードに切り換えられると、変速段が車速に応じて自動的にシフトアップして、或いはエンジンブレーキが意図的に作用しないように構成された変速段に切り換えられるなどして車速が増速され、車間距離が一時的に詰まるようなことがある。このようにACCシステム作動中に操縦者による操作に基づいて先行車両との車間距離が詰まると、操縦者に不安感などの違和感を生じさせるという問題があった。
【0006】
特に、ACCシステムによってスロットルが全閉状態にあるような場合には、先行車両との車間距離を長くしようと制御している場合が多く、このような場合に車間距離が詰まると乗員に与える影響が顕著に表れることになる。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、先行車両との車間距離が所定の目標距離に保たれているような走行中に、ミッションコントローラなどの変速制御手段がエンジンブレーキが作用しない或いは低減するような変速状態に切り換えられた場合でも乗員に対して違和感を生じさせることなく円滑に走行し得る車両の制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る車両の制御装置は、変速状態をエンジンブレーキが作用する変速状態で保持する変速規制モードに、所定の入力手段による入力操作に応じて設定可能な変速制御手段と、自車両の前方に存在する先行車両を検出してこの先行車両との車間距離を測定する先行車両検出手段と、この測定された車間距離を予め設定された目標距離になるように走行装置を制御する車間制御手段とを備え、この車間制御手段による制御中であって、上記変速規制モードではエンジンブレーキが作用してこの変速規制モードが解除されるとエンジンブレーキの作用が低減し或いは無くなるような走行状態での走行中に、上記入力手段によってこの変速規制モードの解除操作があった場合に、変速制御手段におけるこのモード解除の実行を上記入力手段による入力から所定時間遅延させるとともに、この遅延期間中に車間距離を増大させる補正手段が設けられていることを特徴とするものである。なお、上記「変速状態」の保持には、例えばトランスミッション部の段位を含めた変速段の保持だけをいうではなく、トルクコンバータのロックアップクラッチの断続保持等も含まれる。
【0009】
この場合、上記補正手段によって先行車両との車間距離を増大させる具体的手法は特に限定されるものではない。例えば、上記補正手段は、上記遅延期間中の車間制御手段の目標距離を増大補正することにより、先行車両との車間距離を増大させるように構成され(請求項2)、或いは上記遅延期間中の車間制御手段による制御を中断して走行装置の一つである車両制動装置を作動させることにより、先行車両との車間距離を増大させるように構成されるものなどが考えられる(請求項3)。
【0010】
この発明によれば、自車両に先行する先行車両が存在する場合に、先行車両検出手段からの信号を受けて車間制御手段がスロットル弁機構などの走行装置を制御し、この先行車両との車間距離を予め設定された目標距離となるように車両を走行させる。ここで、この車間制御手段による制御中であって、上記変速規制モードではエンジンブレーキが作用してこの変速規制モードが解除されるとエンジンブレーキの作用が低減し或いは無くなるような走行状態での走行中に、上記入力手段によって変速制御手段の変速規制モードが解除されると、エンジンブレーキの効果が低減等して、一時的に増速され、先行車両との車間距離が詰まることになる。
【0011】
そこで、本発明では、入力手段からの入力に基づいてこのような変速制御手段の変速規制モード解除の指示操作があった場合に、変速制御手段におけるこのモード解除の実行を上記入力手段による入力から所定時間遅延させるとともに、この遅延期間中に車間距離を増大させる補正手段が設けられているので、上記のようなモード切換操作がある場合には、補正手段によって先行車両との車間距離が予め設定された目標車間距離よりも広くとられてから変速制御手段のモード解除が行われることになり、車間距離が広くとられる分、車速が一時的に増大しても車間距離が目標車間距離に対して必要以上に詰まることを防止することができる。したがって、この変速制御手段のモード解除に伴って乗員に対して不安感などの違和感を生じさせることもなく、先行車両との車間距離を調整して円滑な走行を実現させることができる。
【0012】
この補正手段による制御が実行される走行状態は上記構成以外に特に限定されるものではないが、例えばスロットル開度を閉じた状態で走行している場合には、車間制御手段によって先行車両との車間距離を広くとろうとしていることが多く、このような場合に先行車両との車間距離が詰まると乗員の不安も一層強く感じることから、このような車間制御手段によってスロットル開度を閉じた状態で走行している最中に、上記変速規制モードの解除があった場合に、補正手段による制御が実行されるように構成されるのが好ましい。中でも、補正手段は、自車両が走行する走行路の勾配を検出する勾配検出手段からの入力を受けて当該勾配が所定角度以上の下り勾配である場合に上記制御を実行するように構成されているのが好ましい(請求項4)。
【0013】
このように構成すれば、先行車両との車間距離が過度に詰まりやすい走行状態において上記補正手段による制御を実行させることができ、補正手段による補正を行う機会を可及的に抑制して、変速規制モードの解除実行の遅れに伴う違和感の発生とのバランスをとりつつ、上記課題を解決することができる。
【0014】
また、上記補正手段は、変速制御手段において変速規制モードが解除されると、車速が増速されるような状態にある場合に上記制御を実行するように構成され、具体的には、上記補正手段は、変速制御手段の変速規制モードが解除された場合に変速段がシフトアップされるか否かを判定し、シフトアップされる場合に上記制御を実行するように構成したり(請求項5)、変速制御手段の変速規制モードが解除された場合にロックアップクラッチが解放されるか否かを判定し、解放される場合に上記制御を実行するように構成したりするのが好ましい(請求項6)。
【0015】
すなわち、変速段がシフトアップされたり、ロックアップが解除されたりすると、エンジンブレーキの作用が低減し或いは無くなり、車速が増速されることになり、このような場合に補正手段の制御を実行させると、効果的に乗員の違和感を解消することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の車両の制御装置によれば、入力手段によって変速規制モードの解除操作がされた場合に、補正手段によって先行車両との車間距離がいったん広くとられてから変速制御手段の変速規制モードを解除することができ、車間距離が広くとられる分、車速が一時的に増大しても車間距離が目標車間距離に対して必要以上に詰まることを防止することができ、これによりこの変速制御手段の変速規制モード解除に伴って乗員に対して不安感などの違和感を生じさせることもなく、先行車両との車間距離を調整して円滑な走行を実現させることができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態について説明する。図1は本発明の一実施形態に係る車両の制御装置の構成を示すブロック図である。
【0018】
同図を参照して、本実施形態に係る車両の制御装置を採用した車両は、エンジン制御ユニット10と、ブレーキ制御ユニット20と、変速制御ユニット30と、これら各制御ユニット10,20,30に対して目標トルク等を設定可能な運転制御ユニット40とを有している。
【0019】
エンジン制御ユニット10は、自動車に搭載されたエンジンの運転制御を行うためのものであり、スロットル開度調整手段、燃料噴射制御手段、点火制御手段等を機能的に備えている。このエンジン制御ユニット10には、エンジンの回転速度を検出するエンジン速度センサ11と、スロットル開度を検出するスロットル開度センサ12とが入力要素として接続されているとともに、燃料噴射弁14と、スロットル開度調整アクチュエータ16とが制御要素として接続されている。
【0020】
ブレーキ制御ユニット20には、ブレーキセンサ21が入力要素として接続されているとともに、ブレーキアクチュエータ22が制御要素として接続されている。
【0021】
変速制御ユニット30は、トランスミッション部とトルクコンバータを主要構成とする自動変速機構において車両の走行に適した変速状態を判断し自動変速機構、すなわちトランスミッション部における変速段やロックアップクラッチ等を制御するものである。この変速制御ユニット30には、複数の制御モードが設定されている。この制御モードには、車速に応じて自動的にトランスミッション部の変速段を変更するとともにロックアップクラッチを自動的に断続する完全自動変速モードと、車両の適正な走行が可能な範囲で操縦者が選択した変速状態(変速段の変更・保持、ロックアップクラッチの断続)で保持する変速規制モードとが含まれている。この変速規制モードは当実施形態ではレンジ位置に応じて複数設けられている。なお、当明細書において「変速状態」とは、トランスミッション部の変速段およびトルクコンバータのロックアップクラッチの断続状態を言うものとする。
【0022】
この変速制御ユニット30は、エンジン速度センサ11と、スロットル開度センサ12と、操縦者によって操作されるシフトレバー33の位置を検出するレンジ位置センサ31とが入力要素として接続され、一方、自動変速機構の摩擦要素等を断続させる油圧制御機構32が制御要素として接続されている。
【0023】
具体的には、変速制御ユニット30は、不揮発性メモリ等の記憶部に記憶されているシフトパターン(変速線図およびロックアップ線図)に基づき、スロットル開度センサ12の出力信号に基づくスロットル開度と、車速とから適正な変速段を判断するとともにロックアップクラッチの締結の要否を判断して、油圧制御機構32を制御するものである。すなわち、変速制御ユニット30は、必要に応じて、油圧制御機構32に組み込まれるソレノイドに対して通電状態を制御してトランスミッション部をシフトパターンに基づいて決定された変速段に変更し、或いはトルクコンバータのロックアップクラッチを断続する。なお、車速は、エンジン速度センサ11の出力信号に基づくエンジン回転速度および現在選択されている変速段から演算される。
【0024】
シフトパターンは、複数種類設けられており、原則として、図2に示すように、操縦者によって操作されるシフトレバー33のレンジ位置に応じて一のパターンが決定される。シフトレバー33は、直線状のシフトゲート34に沿って移動可能に構成されるとともに、当実施形態では、前進レンジ位置としてD,D4,D3,S,Lの5つのレンジ位置R1〜R5を選択可能に構成されている。すなわち、これらのシフトレバー33と、5つの前進レンジ位置を有するシフトゲート34と、レンジ位置センサ31とが当実施形態のシフト操作部の主要構成をなしている。このシフトレバー33のレンジ位置は、シフトゲート34に沿って配設されたレンジ位置センサ31によって検出され、変速制御ユニット30に入力される。なお、レンジ位置には、前進レンジ位置の他、エンジンと駆動輪との駆動力伝達経路を切り離すNレンジ位置R6、後退速レンジ位置としてのRレンジ位置R7、駐車時に駆動輪をロックするPレンジ位置R8がある。このシフトレバー33のレンジ位置R1〜R8は、車室のインストゥルメントパネルに設けられた図略の表示部に表示されるようになっている。
【0025】
Dレンジ位置R1が選択された場合のシフトパターンは、図3に示すように、車速とスロットル開度とに基づいてトランスミッション部の変速段が第1速段から第5速段まで自動的に切り換えられるように構成されるとともに、ロックアップクラッチが自動的に断続されるように構成されている。したがって、変速制御ユニット30は、操縦者がシフトレバー33を操作してDレンジ位置R1にあわせた場合に、車速に応じて自動的に変速段を変更するとともにロックアップクラッチを自動的に断続する完全自動変速モードに設定されることになる。なお、このDレンジ位置R1の第1速段および第2速段では、トランスミッション部のコーストクラッチが切り離されてエンジンブレーキが意図的に作用しないようになっている。
【0026】
一方、D4,D3,S,Lレンジ位置R2〜R5が選択された場合のシフトパターンは、図4のレンジ位置と変速段との関係図に示されるように、選択されたレンジ位置に対応する変速段(例えばD3レンジ位置R3では第3速段)よりも上位の変速段(上記例では第4速段、第5速段)への変更が規制されるように構成されている。また、これらのシフトパターンにおいて、レンジ位置に対応する変速段の車速方向(シフトパターンの横軸方向)の保持幅(上記例では第3速段に保持される車速幅)が、完全自動変速モードの際の各変速段の車速方向の保持幅に比べて大きく設定されることにより、極力シフトレバー33によって選択されたレンジ位置R2〜R5に対応する変速段に保持されるように構成されている。したがって、変速制御ユニット30は、操縦者がシフトレバー33を操作してD4〜Lレンジ位置R2〜R5にあわせた場合に、車両の適正な走行が可能な範囲で操縦者が選択した変速状態(変速段の変更・保持、ロックアップクラッチの断続)で保持する変速規制モード(さらに具体的には第4速規制モード〜第1速規制モード)に設定されることになる。なお、D4,D3レンジ位置R2,R3の第1速段および第2速段、並びにSレンジ位置R4の第1速段では、トランスミッション部のコーストクラッチが切り離されてエンジンブレーキが意図的に作用しないようになっている。一方、Sレンジ位置R4の第2速段およびLレンジ位置R5の第1速段では、トランスミッション部のコーストクラッチが締結されてエンジンブレーキが作用するようになっている。
【0027】
つまり、変速制御ユニット30は、操縦者によるシフトレバー33の操作に基づいて、完全自動変速モードと変速規制モードとを切換可能に構成されている。なお、D4レンジ位置R2が選択された場合には、第4速段に対応する全領域あるいは略全領域でロックアップクラッチが締結されるようにシフトパターンが構成されている。
【0028】
ここで、自動変速機構は、公知の自動変速機構であるので、ここでは簡単に説明する。この自動変速機構は、エンジンのクランク軸に連結されたトルクコンバータと、このトルクコンバータの出力軸であるタービンシャフトに連結されたトランスミッション部とを主要構成要素としており、変速制御ユニット30が油圧制御機構32を制御することによりこれらに含まれる複数の摩擦要素を断続させて多段(当実施形態では5段)変速可能に構成されている。また、トルクコンバータにはポンプカバーを介してクランク軸とタービンとを直結するロックアップクラッチが設けられており、このロックアップクラッチは変速制御ユニット30からの信号に応じて油圧制御機構32の所定のソレノイドバルブがオン・オフ制御されることにより断続される。
【0029】
トランスミッション部は、複数の遊星ギヤや締結要素(クラッチ、ブレーキ等の摩擦要素、ワンウェイクラッチなど)を備え、変速制御ユニット30からの信号に応じて油圧制御機構32の所定のソレノイドバルブがオン・オフ制御されることにより摩擦要素が断続され、これにより前進速の変速段を自動的に切り換えるようになっている。
【0030】
運転制御ユニット40は、当実施形態において、ACC(Adaptive Cruise Control)システムとして、先行車両が存在する場合には当該先行車両との車間距離を目標距離で一定に保つようにこの目標距離と実車間距離との偏差に基づき加減速度を制御し、先行車両が存在しない場合には予め設定された設定車速と自車両の実車速との偏差に基づき加減速度を制御する、いわゆるACC制御するものである。運転制御ユニット40は、メインスイッチ41によってON/OFF動作される図略のCPU、不揮発性メモリ等を備えており、これらが先行車両との車間距離等を調整する走行制御手段50と、変速制御ユニット30による所定のモード切換時に走行制御手段50による所定の制御値を変更補正する補正手段60とを機能的に構成している。
【0031】
この運転制御ユニット40には、セット/コーストスイッチ42と、キャンセルスイッチ43と、リジューム/アクセルスイッチ44と、目標車間距離設定スイッチ45がスイッチ要素として接続されている。これら、スイッチ42〜45は、メインスイッチ41とともに、車室のインストゥルメントパネルやステアリングに設けられた制御パネルの上に実装されており、操縦者が運転時に操作できるようになっている。
【0032】
セット/コーストスイッチ42は、走行制御手段50に含まれる不揮発性メモリに、ACC制御による定速走行をさせる場合の目標速度を記憶させるためのものである。すなわち、目標速度が未設定の状態で走行中に、運転者によってこのセット/コーストスイッチ42が操作されると、走行制御手段50は、この操作時点の車速を目標速度として当該不揮発性メモリの記憶領域に記憶するように構成されている。一方、目標速度が既に設定されている状態で走行中に、このセット/コーストスイッチ42が操作されると、走行制御手段50は、既設定の目標速度を所定値(例えば1km/h)ずつ減速するように構成されている。このようなセット/コーストスイッチ42の操作は、上記制御パネルに設けられた液晶表示パネル1によって確認しながら行うことができるようになっている。
【0033】
キャンセルスイッチ43は、運転制御ユニット40によるACC制御をキャンセルするためのものである。走行制御手段50は、操縦者によってこのキャンセルスイッチ43が操作されることにより、ACCを中断させるように構成されている。
【0034】
リジューム/アクセルスイッチ44は、キャンセルされた走行制御手段50によるACC制御を復帰させるためのスイッチであるだけでなく、走行制御手段50に記憶されている設定速度を増速させるためのスイッチでもある。したがって、走行制御手段50は、上記キャンセルスイッチ43のスイッチ操作により、或いはブレーキアクチュエータ22の操作等により、ACC制御がキャンセルされた後に、このリジューム/アクセルスイッチ44が操作されると、そのACC制御を復帰させるように構成されている。また、走行制御手段50は、そのACC制御中に、このリジューム/アクセルスイッチ44が操作されると、既設定の設定速度を所定値(例えば1Km/h)ずつ増速されるように構成されている。
【0035】
目標車間距離設定スイッチ45は、走行制御手段50に対して目標車間距離を設定するためのものである。当実施形態では、この目標車間距離設定スイッチ45は、目標車間距離を長中短の3段階で切換可能に構成されている。また、各段階毎に長短2つの目標車間距離が設定されており、走行制御手段50に設定される目標車間距離が車速に応じても切り換わるようになっている。したがって、走行制御手段50に設定される目標車間距離は、この目標車間距離設定スイッチ45の位置および車速によって定まることになる。なお、車速に応じて切り換えられる目標車間距離は、車速が速い場合が遅い場合に比べて長めに設定されている。
【0036】
また、この運転制御ユニット40には、エンジン制御ユニット10と、ブレーキ制御ユニット20と、変速制御ユニット30と、前方情報検出手段としてのレーダー46と、ステアリングの操舵量を検出する操舵角センサ47と、ヨーイング発生時の車両に作用する力を検出するヨーレートセンサ48と、自車両の走行路面の勾配を検出する走行路面勾配センサ49とが検出要素として接続されている。
【0037】
エンジン制御ユニット10からは、当該エンジンに接続されているエンジン速度センサ11、スロットル開度センサ12の検出値が入力されるように構成されている。
【0038】
ブレーキ制御ユニット20からは、当該ブレーキに接続されているブレーキアクチュエータ22の操作信号が入力されるように構成されている。走行制御手段50は、このブレーキ制御ユニット20からの操作信号があった場合にACC制御をキャンセルするように構成されている。
【0039】
変速制御ユニット30からは、現在の変速状態と、シフトレバー33のレンジ位置とが検出値として入力されるとともに、変速規制モードから完全自動変速モードへの切換を指示するシフトレバー33の操作があった場合にこの特定のシフトレバー33の操作を含む操作信号が入力されるように構成されている。
【0040】
レーダー46は、例えばレーダー波やレーザーレーダー波、或いはミリ波レーダー、或いは超音波を先行車両に対して発信し、その反射波を受信することにより、先行車両の存在を検出するとともに車両との相対速度や車間距離を演算するユニットである。レーダー46は、図5に示すように、扇形状の検知範囲Sを有し、所定の前方位置で幅方向に車幅よりも広い範囲で先行車両を含む障害物を検知可能に構成されている。
【0041】
操舵角センサ47は、ステアリングシャフトの基端部に取り付けられ、操縦者によるステアリングシャフトの回転操作角を検出するものであり、後述するヨーレートセンサ48とともに自車両の進行路を予測するために利用される。
【0042】
ヨーレートセンサ48は、例えばレートジャイロ等によって構成され、ヨーイング発生時の車両に作用する力に基づくヨー角速度を検出するためのセンサであり、操舵角センサ47とともに自車両の進行路を予測するために利用される。すなわち、走行制御手段50は、車速と操舵角センサ47から自車両の進行路を予測するとともに、ヨーレートセンサ48からの入力に応じて適宜進行路を補正して可及的に正確な自車両の進行路を予測可能に構成されている。
【0043】
走行路面勾配センサ49は、例えば走行制御手段50に対して検出信号を送信するジャイロスコープ等により構成され、車両の走行路が下り、上り、いずれの勾配を有するかを検出するとともに、走行路の傾斜角度を検出するように構成されている。なお、ジャイロスコープに替えて、ナビゲーション装置によって検出された車両の走行位置と、記憶手段に記憶された勾配情報が含まれた地図情報等とに基づいて走行路の勾配を検出する検出手段や、或いはトルク検出手段によって検出される駆動輪への付与トルクと、加速度検出手段によって検出される駆動輪への付与トルクと、加速度検出手段によって検出される車両の加速度とに基づいて走行路の勾配を算出する算出手段によって走行路面勾配センサを構成するようにしてもよい。
【0044】
走行制御手段50は、運転制御ユニット40の主要部をなし、上記各スイッチやセンサからの入力を受けてエンジン制御ユニット10,ブレーキ制御ユニット20および変速制御ユニット30を制御することにより自車両の走行状態を制御するように構成されている。
【0045】
具体的には、走行制御手段50は、図6に示すように、レーダー46の検出信号に基づいて検出された障害物Bが自車両Aと同一ないしは略同一方向に走行しているか否かを判別するとともに、同一方向に走行していると判別した場合に、図5および図6に示すように、操舵角センサ47およびヨーレートセンサ48により予測される進行路T上に上記走行中の障害物Bが存在する場合に、当該障害物を先行車両Bとして判別する。また、予測進行路T外であっても当該予測進行路Tに向かって移動していることをレーダー46によって検知できたときには、当該障害物Cも先行車両とみなし(準先行車両と判別し)、先行車両と判別した場合と同様の制御が実行される。
【0046】
そして、走行制御手段50は、先行車両が存在すると判別した場合には、エンジン制御ユニット10、ブレーキ制御ユニット20および変速制御ユニット30を制御することにより、この先行車両に対して目標車間距離を保ちながら追従する追従制御を実行するように構成されている。一方、先行車両がないと判別した場合には、エンジン制御ユニット10、変速制御ユニット30とを制御することにより、自車両を定速で走行させる定速制御を実行するように構成されている。
【0047】
ここで、運転制御ユニット40に含まれる補正手段60は、スロットル開度が全閉状態で走行している最中であって、運転制御ユニット40による追従制御中に、シフトレバー33の操作に基づき変速制御ユニット30におけるモードが変速規制モードから完全自動変速モードに切り換えられる場合に、このモードの切換に伴う制御値を補正するものである。
【0048】
具体的には、補正手段60は、スロットル開度センサ12、走行制御手段50、走行路面勾配センサ49、および変速制御ユニット30からの入力信号を受けて、(1)スロットル開度が全閉状態であり、(2)追従制御を実行している最中で、(3)かつ自車両が下り勾配を走行しており、(4)変速制御ユニット30におけるモードの切換に伴ってエンジンブレーキの作用が低減し、或いはその作用が無くなると判定した場合には、変速制御ユニット30におけるモードの切換をシフトレバー33の操作時点から所定時間遅延させるとともに、この遅延期間中に車間距離を目標車間距離よりも増大させる補正を実行するように構成されている。すなわち、補正手段60は、上記(1)〜(4)の条件を全て満たしている場合に、変速制御ユニット30に対して切換遅延指示信号を出力するとともに、走行制御手段50に対して、補正前の目標車間距離(基準目標車間距離と称する)よりも大きい値に設定された補正後の目標車間距離(補正目標車間距離と称する)を出力するように構成される。
【0049】
エンジンブレーキの作用が低減し或いは無くなるか否かの予測は、シフトパターンに基づいて行われる。例えば、補正手段60は、Dレンジ位置(完全自動変速モードにおけるレンジ位置)に対応するシフトパターンを変速制御ユニット30から読み出して、現在の車速およびスロットル開度(当実施形態では全閉状態)から完全自動変速モードにおける変速段を予測し、この変速段がシフトレバー33の操作時点の変速段からシフトアップされる場合に、エンジンブレーキの作用が低減し或いは無くなると予測する。或いは、モード切換に伴ってシフトアップされない場合でも、モードの切換に伴って、意図的にエンジンブレーキが作用しないように構成されている変速段、例えばDレンジ位置R1の第2速段に切り換えられるような場合でも、エンジンブレーキの作用が低減し、或いは無くなると予測する。
【0050】
また、上記切換に伴う遅延期間は、予め設定された数値が用いられており、運転制御ユニット40の不揮発性メモリの記憶領域に記憶されている。補正目標車間距離には、シフトレバー33の操作時点の基準目標車間距離に、予め設定されている増大係数K0(K0>1)を乗じた数値が用いられている。このように、操作時点の基準目標車間距離に増大係数K0を乗じて補正目標車間距離が設定されるので、目標車間距離設定スイッチ45に基づく操縦者の意向や車速が補正目標車間距離に反映されるようになっている。
【0051】
なお、遅延時間について、走行路面勾配センサ49からの入力信号に基づく勾配の程度によって、遅延時間を変更するものであってもよい。また、車間距離について、目標車間距離設定スイッチ45に基づく操縦者の意向や車速にかかわらず、予め定められた補正後目標車間距離を用いるものであってもよいし、走行路面勾配センサ49からの入力信号に基づく勾配の程度によって係数K0を変更するようにしてもよい。
【0052】
さらに、補正手段60は、上記遅延時間の経過後(遅延期間終了後)に、目標車間距離を、補正目標車間距離から基準目標車間距離(操作時点の目標車間距離)に戻すように構成されている。したがって、遅延時間の経過後は元の基準目標車間距離、すなわち目標車間距離設定スイッチ45の位置と車速とを基準にして選択される目標車間距離に戻されることになる。
【0053】
以上の説明からも明らかなように、運転制御ユニット40には、エンジン制御ユニット10、ブレーキ制御ユニット20、および変速制御ユニット30が制御要素として接続されている。具体的には、エンジン制御ユニット10およびブレーキ制御ユニット20に対して走行制御手段50によって演算された目標トルクを出力するとともに、補正手段60の判定結果に基づいてモード切換遅延指示信号を出力する。
【0054】
次に、図7〜図11を参照しながら、本発明による車両制御装置に基づくACC制御について説明する。
【0055】
図7および図8は当実施形態のACC作動中のメインフローを示すフローチャートであり、図9および図10は図7のサブルーチンを示すフローチャートである。図11は変速制御ユニットにおけるフローを示すフローチャートである。
【0056】
まず、図7および図8を参照して、自動車が走行中にメインスイッチ41がON操作されるとACC制御が開始される。ACC制御が開始されると、運転制御ユニット40には、各種センサ、スイッチからの信号が入力されて、ACC制御に必要な全ての情報が読み込まれる(ステップS1)。これらの情報は、各種センサ、スイッチからの信号に基づいて随時書き換えられる。これらの情報とは別に、ACC制御中の目標車間距離を設定するための制御も実行される(ステップS3)。
【0057】
この目標車間距離は図9および図10に示すフローチャートにしたがって設定される。すなわち、メインスイッチ41が操作されることにより、運転制御ユニット40において目標車間距離設定の制御が開始されると、まず目標車間距離設定スイッチ45の位置が検出されるとともに、このスイッチ位置に対応して予め記憶されている長短2種類の目標車間距離(LT(LONG),LT(SHORT))が運転制御ユニット40の不揮発性メモリの記憶領域から読み出される(ステップS51)。
【0058】
次に、エンジン速度センサ11および変速制御ユニット30からの信号に基づいて車速が検出され(ステップS53)、この検出された車速が予め設定されている基準車速V0(例えばV0=60km/h)以上であるか否かが判定される(ステップS55)。基準車速V0以上である場合には(ステップS55でYES)、ステップS51で読み出された長短2種類の目標車間距離のうち、長い方の目標車間距離LT(LONG)が走行制御手段50によるACC制御の際の基準目標車間距離LTとして設定され(ステップS57)、一方、基準車速V0未満である場合には(ステップS55でNO)、短い方の目標車間距離LT(SHORT)が、走行制御手段50によるACC制御の際の基準目標車間距離LTとして設定される(ステップS59)。
【0059】
そして、変速制御ユニット30においてモードが変速規制モードから完全自動変速モードに切り換えられることを示すシフトレバー33の操作信号を受信したか否かが確認され(ステップS61)、受信していない場合(ステップS61でNO)にはそのままリターンされる。一方、受信した場合には(ステップS61でYES)、次のステップS63からステップS65で補正手段60によって制御値を補正する必要があるかが確認される。
【0060】
すなわち、ステップS63では、スロットル開度センサ12の検出値に基づき、スロットル弁が全閉状態にあるか否かが判定される。ステップS64では、走行路面勾配センサ49に基づき、自車両の走行路面が予め設定されている所定の下り勾配にあるか否かが判定される。ステップS65では、変速制御ユニット30が変速規制モードから完全自動変速モードに変更されることにより変速段がシフトアップされるか否か、或いはモードの切換に伴ってエンジンブレーキが意図的に作用しない変速段に切り換えられるか否かが判定される。
【0061】
このステップS63ないしステップS65において、全ての条件を満たす場合、すなわちYESと判定される場合に、補正前の目標車間距離に乗じられる係数Kに予め設定されている増大係数K0(K0>1)が設定されて(ステップS67)、変速制御ユニット30に対して切換遅延指示信号が送信される(ステップS69)。なお、この増大係数K0の値は、1よりも大きければ特に限定されるものではないが、シミュレーションを重ねた結果、1.1〜1.4の範囲で適宜設定するのが好ましい。
【0062】
一方、ステップS63ないしステップS65において、いずれかの条件を満たさない場合には、上記係数Kとして1が設定される(ステップS68)。つまり、目標車間距離を増大させずに、目標車間距離設定スイッチ45の位置および車速に応じて定められた目標車間距離と同一の値とし、補正手段60による補正制御が回避されるようになっている。
【0063】
続いて、走行制御手段50において、目標車間距離として基準目標車間距離に係数Kを乗じた補正目標車間距離が設定され(ステップS71)、係数Kが1でない場合には(ステップS73でNO)、所定遅延時間TK待機してから(ステップS75)、目標車間距離LTを目標車間距離設定スイッチ45の位置と車速から選択される基準目標車間距離に戻されて(ステップS77)リターンされる。
【0064】
一方、ステップS73において係数Kが1と判定した場合には、ステップS73,ステップS75をスキップしてリターンされる。
【0065】
なお、この図9のステップS63〜ステップS65については、変速規制モードから完全自動変速モードへのモード切換に伴って補正手段60による補正が必要な条件によって適宜変更、省略、追加される。
【0066】
図7に戻って、各センサおよびスイッチ等からの信号によって各種情報を読み出すとともに目標車間距離が設定された後、エンジン速度センサ11、変速制御ユニット30の出力信号に基づき車速が演算されるとともに、この車速と操舵角センサ47およびヨーレートセンサ48の出力信号とに応じて自車両の進行路を予測する制御が実行される(ステップS5)。また、前方情報検出手段としてのレーダー46の出力信号に応じて前方に位置する先行車両を検出するとともに、この先行車両と自車両との車間距離、相対速度および相対方向の演算が行われる(ステップS7)。具体的には、レーダー46によって検知された障害物のうち相対速度が自車両の車速よりも小さいものを先行車両として認識し、この先行車両との車間距離、相対速度および相対方向が演算される。
【0067】
次いで、上記ステップS5で予測された自車両の進行路と、ステップS7で演算された車間距離、相対速度および相対方向とに基づき、自車両の進行路内に先行車両が存在するか否かまたは自車両の進行路に向かう先行車両(準先行車両)が存在するか否かを判定し(ステップS9)、NOと判定された場合には、セット/コーストスイッチ42の操作があったか否かを判定する(ステップS11)。このステップS11でYESと判定されてセット/コーストスイッチ42が操作されたことが確認された場合には、その時点における自車両の走行速度(現車速)を目標車速VTとして設定した後(ステップS13)、下記ステップS15に移行する。
【0068】
上記ステップS11でNOと判定された場合には、ステップS13等において設定された目標車速VTと、エンジン速度センサ11等により検出された実車速Vとの偏差(VT−V)が、予め設定された加速用基準値αよりも大きいか否かを判定し(ステップS15)、YESと判定されて実車速Vが目標車速VTよりも、ある程度低い状態にあることが確認された場合には、上記偏差(VT−V)に対応した加速度目標値を設定する(ステップS17)。
【0069】
上記ステップS15でNOと判定されて目標車速VTに比べて実車速Vがそれ程低い状態にないことが確認された場合には、実車速Vと目標車速VTとの偏差(V−VT)が予め設定された減速用基準値βよりも大きいか否かを判定し(ステップS19)、YESと判定されて実車速Vが目標車速VTよりも、ある程度高い状態にあることが確認された場合には、上記偏差(V−VT)に対応した減速度目標値を設定する(ステップS21)。
【0070】
なお、加速用基準値αおよび減速用基準値βの値は適宜設定することができ、各基準値α,βを同一の値にしてもよいが、各基準値α,βを車速に応じて適宜変更するようにしてもよい。
【0071】
次いで、上記ステップS17またはステップS21で設定された加速度目標値もしくは減速度目標値に応じて自車両の走行速度を上昇させ、あるいは低下させるための制御信号をエンジン制御ユニット10に出力することにより、このユニット10がスロットル開度調整アクチュエータ16を調整して自車両の走行速度(実車速V)を目標車速Vに一致させる速度制御を実行する(ステップS23)。なお、上記ステップS19でNOと判定されて実車速Vと目標車速VTとが略等しいことが確認された場合には、上記速度制御を実行することなくリターンすることにより現在の走行速度を維持する。
【0072】
一方、ステップS9でYESと判定されて自車両の進行路内に先行車両等が存在していることが確認された場合には、レーダー46により検出された先行車両等と自車両との車間距離Lが、予め設定された所定の自動制動用閾値L1よりも小さいか否かを判定し(ステップS25)、YESと判定された場合に、つまり先行車両等と自車両とがかなり接近した状態にあると判定された場合には、エンジン制御ユニット10を通じてスロットル開度調整アクチュエータ16を作動させてスロットル弁を全閉状態とするとともに、上記接近状態が確認された時点でブレーキ制御ユニット20を通じてブレーキアクチュエータ22を作動させて予め0.4G程度の減速度に対応した値に設定された制動力を自動的に付与し(ステップS27)、かつ警報装置2を作動させて自動制動状態にあることを報知する制御を実行する(ステップS29)。
【0073】
上記ステップS25でNOと判定された場合には、レーダー46により検出された先行車両等と自車両との車間距離が、上記自動制動用閾値L1以上である状態において、この自動制動用閾値L1よりも大きい値に予め設定された警報用閾値L2よりも小さいか否かを判定し(ステップS31)、YESと判定されて先行車両と自車両とがやや接近した状態にあることが確認された場合には、警報装置2を作動させて車間距離が小さいことを報知する制御を実行する(ステップS29)。
【0074】
上記ステップS31でNOと判定されて先行車両と自車両との車間距離が上記警報用閾値L2以下であることが確認された場合には、上記ステップS3の目標車間距離設定制御で設定された目標車間距離LTと、上記レーダー46により検出された実車間距離Lとの偏差(LT−L)が予め設定された加速用基準値γよりも大きいか否かを判定し(ステップS33)、YESと判定されて実車間距離Lが目標車間距離LTよりも、ある程度小さい状態にあることが確認された場合には、上記偏差(LT−L)に対応した加速度目標値を設定する(ステップS35)。
【0075】
上記ステップS33でNOと判定されて目標車間距離LTに比べて実車間距離Lが、それ程小さい状態にないことが確認された場合には、上記実車間距離Lと目標車間距離LTとの偏差(L−LT)が予め設定された減速用基準値δよりも大きいか否かを判定し(ステップS37)、YESと判定されて実車間距離Lが目標車間距離LTよりも、ある程度大きい状態にあることが確認された場合には、上記偏差(L−LT)に対応した減速度目標値を設定する(ステップS39)。
【0076】
次いで、上記ステップS35またはステップS39で設定された加速度目標値もしくは減速度目標値に応じて自車両の走行速度を上昇させ、あるいは低下させるための制御信号をエンジン制御ユニット10またはブレーキ制御ユニット20に出力することにより、各ユニット10,20がスロットル開度調整アクチュエータ16またはブレーキアクチュエータ22を調整して、先行車両と自車両との車間距離を目標車間距離に一致させるための速度制御を実行する(ステップS23)。このとき、ブレーキアクチュエータ22が自動的に操作されることにより付与される制動力は通常時の制動力よりも小さい値(例えば0.1G程度)に設定される。
【0077】
なお、上記ステップS37でNOと判定されて先行車両と自車両との車間距離が目標車間距離に略等しいことが確認された場合には、上記速度制御を実行することなくリターンすることにより現在の車間距離を維持する。
【0078】
ここで、補正手段60から切換遅延指示信号が送信される変速制御ユニット30における制御動作を図11に基づいて説明する。
【0079】
この制御動作は、イグニッションキーがON操作されることにより開始される。この制御動作が開始されると、各センサおよびスイッチ等からの信号が入力された後(ステップS101)、レンジ位置センサ31の出力信号に応じて変速規制モードから完全自動変速モードへ切り換えるためのシフトレバー33の操作があったか否かを判定する(ステップS103)。具体的には、例えば、シフトレバー33をD4レンジ位置R2からDレンジ位置R1に移動操作した場合には、レンジ位置センサ31によってこの移動操作が検出され、この移動操作が変速規制モードから完全自動変速モードへの切換操作であることからYESと判定される。
【0080】
上記ステップS105でYESと判定されて所定のシフトレバー33の操作が確認された場合には、補正手段60に対して所定の切換操作があったことを示す操作切換信号を送信して(ステップS105)、所定時間の経過を待って(ステップS107)、補正手段60から切換遅延指示信号を受信したか否かを判定する(ステップS109)。なお、ステップS107における所定時間は、後述するステップS111の遅延時間TKよりも十分に小さい値が設定されている。
【0081】
このステップS109でYESと判定されて補正手段60による補正が必要であると認められたときには、予め設定された遅延時間TKが経過するまで変速制御ユニット30におけるモードの切換を待機して(ステップS111)、その後、モードを変速規制モードから完全自動変速モードに切り換えて(ステップS113)、油圧制御機構32を制御することにより完全自動変速モードに応じた変速段の変速、ロックアップクラッチの断続等が実行される。
【0082】
一方、上記ステップS103およびステップS109でそれぞれNOと判定された場合、つまり所定のシフトレバー33の操作が無かった場合、或いは所定時間内に切換遅延指示信号を受信しなかった場合には、遅延時間TKの経過を待たずにシフトレバー33の操作によって選択されたモードに応じた制御が実行される(ステップS115)。
【0083】
以上に説明したように、エンジン制御ユニット10,ブレーキ制御ユニット20,変速制御ユニット30および運転制御ユニット40等から構成される車両の制御装置によれば、各種センサやユニットからの入力を受けた走行制御手段50によって、エンジン制御ユニット10およびブレーキ制御ユニット20を通じてスロットル開度調整アクチュエータ16やブレーキアクチュエータ22等を制御し、自車両に先行する先行車両がない場合には、自車両を定速で走行させることができるとともに、自車両に先行する先行車両が存在する場合には、この先行車両との車間距離を予め設定された目標車間距離となるように自車両を走行させることができる。
【0084】
ここで、当実施形態の変速制御ユニット30は、走行制御手段50によるACC制御中においても、変速規制モードを選択し得るように構成されている。この変速制御ユニット30において、変速規制モードが選択されるとともにスロットル開度を全閉にした状態で走行している場合には、駆動輪からエンジンに対して逆駆動力が伝達されることにより制動効果を得るエンジンブレーキが作用していることが多い。
【0085】
このようにエンジンブレーキが作用し、ACC制御による先行車両の追随制御中に、変速制御ユニット30のモードがシフトレバー33の操作に基づいて完全自動変速モードにダイレクトに切り換えられると、例えばシフトアップすることによりエンジンブレーキによる作用が低減して一時的に増速し、先行車両との車間距離が詰まることになり、操縦者を含む乗員に対して不安感などの違和感を与えることがある。したがって、当実施形態では、上記のようなモード切換がある場合には、遅延期間中に、補正手段60によって先行車両との車間距離が予め設定された基準目標車間距離よりも広い補正目標車車間距離に設定され、車間距離を広くとる制御を実行した後、変速制御ユニット30のモードの切換が実行されるので、車間距離が広くとられる分、車速が一時的に増大しても、目標車間距離設定スイッチ45の位置と車速に応じて選択される基準目標車間距離に対して車間距離が必要以上に詰まることを防止することができる。したがって、この変速制御ユニット30のモード切換に伴って乗員に対して不安感などの違和感を生じさせることもなく、先行車両との車間距離を調整して円滑な走行を実現させることができる。
【0086】
なお、以上に説明した車両の制御装置は、本発明に係る装置の一実施形態であって、装置の具体的構成等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であり、変形例を以下に説明する。
【0087】
(1)上記実施形態では、補正手段60が、変速制御ユニット30のモード切換を所定時間遅延させるとともに、この遅延期間中の走行制御手段50による目標車間距離を増大補正することにより遅延期間中に先行車両との車間距離を増大させるように構成されているが、補正手段60によって先行車両との車間距離を増大させるための具体的手法は特に限定されるものではない。例えば、補正手段は、遅延期間中の走行制御手段50による目標車間距離を増大補正することに換えて、遅延期間中の走行制御手段50による追従制御を一時中断させるとともにこの遅延期間中にブレーキ制御ユニット20による制動制御を実行させることにより、先行車両との車間距離を増大させるように構成されるものであってもよい。
【0088】
この場合には、図9および図10のフローチャートにおいて、ステップS61〜ステップS77が省略されてステップS57およびステップS59の後、そのままリターンされるとともに、図7および図8のメインフローチャートにおいて、ステップS31とステップS33との間に図12に示すフローチャートが挿入されることになる。
【0089】
すなわち、図12において、ステップS31からステップS321に移行して、変速制御ユニット30から操縦者による特定の操作、すなわち変速規制モードから完全自動変速モードへの切換操作があったことを示す操作信号を受信したか否かを判定し、操作信号を受信してシフトレバー33が変速規制モードに対応するレンジ位置から完全自動変速モードに対応するレンジ位置へ操作されたことを確認した場合に(ステップS321でYES)、図9のステップS63〜ステップS65と同様に、所定の条件を満たすか否かによって補正手段60によって制御値を補正する必要があるかが確認される(ステップS332〜ステップS334)。
【0090】
全ての条件を満たすことが確認された場合に、変速制御ユニット30に対して切換遅延指示信号が送信されるとともに(ステップS335)、ブレーキ制御ユニット20に対して制動制御信号が送信され(ステップS336)、所定の遅延時間TKが経過するまで走行制御手段50によるACC制御を中断する中断制御が実行される(ステップS337)。
【0091】
一方、ブレーキ制御ユニット20においては、フローチャートを省略するが、補正手段60から出力された制動制御信号を受信した場合に、所定の遅延時間TKが経過するまで予め設定された制動力(例えば0.1G)を発揮するようにブレーキアクチュエータ22を作動させる。
【0092】
そして、所定の遅延時間TKが経過すると、変速制御ユニット30においてモードの切換が実行されるとともに、ブレーキ制御ユニット20による制動制御が終了し、かつ、走行制御手段50によるACC制御が再開されて、ステップS33に移行することになる。
【0093】
このように構成しても、走行制御手段50によるACC制御が中断されるとともに、ブレーキ制御ユニットによる制動制御が実行されて、モード切換の遅延期間中に先行車両との車間距離を増大させることができる。
【0094】
(2)上記実施形態では、シフトレバー33を、前進レンジ位置についてD,D4,D3,S,Lの5つのレンジ位置間を切り換えることにより、完全自動変速モードと変速規制モードとを切り換え、この変速規制モードから完全自動変速モードへの切換の際に補正手段60による補正を実行させるように構成されているが、所定の変速段に保持する変速規制モードからこの変速段よりも上位の変速段に保持する変速規制モードに切り換えられる際にも、補正手段60による補正を実行させるように構成してもよい。
【0095】
例えば、シフトレバー33をD3レンジ位置R3からD4レンジ位置R2に切り換える場合であっても、変速制御ユニット30において第3速段に保持される変速規制モードが解除されて第4速段に保持される変速規制モードに切り換えられ、この3速規制モードが解除される際にも車速が増速されることがある。したがって、このような場合にも補正手段60による補正を実行させることにより、3速規制モードの解除に伴って先行車両との車間距離が過度に詰まることを有効に防止することができる。
【0096】
(3)また、上記実施形態では、変速制御ユニットにおけるモードとして、完全自動変速モードと変速規制モードとが設定されたユニットについて説明しているが、この変速規制モードの中にホールドモードが含まれるような装置であってもよい。
【0097】
すなわち、シフトレバーを含むシフト操作部にホールドスイッチが設けられ、このホールドスイッチをON操作することによりトランスミッション部の変速段を所定の変速段に保持するホールドモードに設定されるものであってもよい。
【0098】
具体的には、シフト操作部は、前進レンジ位置についてD,S,Lレンジ位置が設けられたシフトゲートと、このゲートに沿って移動可能なシフトレバーと、このシフトレバーの側部に設けられたホールドスイッチとを備え、D,S,Lの各レンジ位置にシフトレバーが移動されることにより変速制御ユニットによってトランスミッション部が第1速段からそれぞれ第4,3,2速段まで自動的に変更されるように構成されている。この実施形態では、変速制御ユニットは、シフトレバーがDレンジ位置に移動されることにより完全自動変速モードに設定されるとともに、シフトレバーがS,Lレンジ位置に移動されることにより変速規制モードに設定される。
【0099】
また、この実施形態では、このシフト操作部のホールドスイッチをON操作されることにより、各レンジ位置に対応して変速可能な変速段のうち上位から2番目の変速段にトランスミッション部を固定するように構成されている。そして、このホールドスイッチがOFF操作される際にも上記補正手段による補正を実行するように構成してもよい。
【0100】
この場合のブロック図は、図1を参照して変速制御ユニット30にホールドスイッチがその出力信号が入力されるように接続される。このホールドスイッチのOFF操作の際の補正手段による制御動作は上記実施形態と同様であるので、ここではその説明を省略する。このように構成すれば、ホールドスイッチのOFF操作によるホールド変速規制モードの解除の際にも先行車両との車間距離が過度に詰まることを有効に防止することができ、これにより一層円滑に車両を走行させることができる。
【0101】
(4)さらに、変速制御ユニットにおけるモードとして、変速規制モードとしてのマニュアルモードが設定されているものであってもよい。このマニュアルモードは、操縦者のシフトレバー操作によって変速段を任意に変速できる変速モードであり、通常シフトレバーをMレンジ位置に移動させることにより設定されるように構成されている。
【0102】
例えば、図13に示すように、シフト操作部は、前進レンジ位置について、D,Mレンジ位置が設けられたシフトゲート534と、このゲートに沿って移動可能なシフトレバー533と、Dレンジ位置を含めた複数のレンジ位置に沿って設けられシフトレバー533の位置を検出するレンジ位置センサ531と、Mレンジ位置にあるシフトレバー533を検出するマニュアル変速レンジスイッチ536と、シフトレバー533がMレンジ位置に位置することによって変速制御モードがマニュアルモードにあるときにシフトアップ、シフトダウンを検出するシフトアップスイッチ537およびシフトダウンスイッチ538とを備える。
【0103】
そして、変速制御ユニット30は、走行制御手段50による制御中であって、シフトレバー533をMレンジ位置からDレンジ位置に移動させることによりマニュアルモードが解除されたときに車速が増速されて車間距離が詰まるか否かを判定し、所定の条件に基づいて車間距離が詰まると判定した場合に、補正手段60による補正制御が実行されるように構成されている。
【0104】
この実施形態におけるブロック図は、図1を参照して、上記マニュアル変速レンジスイッチ536と、シフトアップスイッチ537と、シフトダウンスイッチ538とがさらに設けられ、これらの各スイッチ536〜538の出力信号が変速制御ユニット30に入力されるように構成される。その他の構成は上記実施形態と同様である。また、制御動作についても、上記実施形態と同様であり、ここではその説明を省略する。
【0105】
このように構成すれば、マニュアルモードを有効に活用しつつ、このマニュアルモードが解除される際に生じる不都合、すなわち車間距離が過度に詰まるという不都合を是正することができ、より円滑に車両を走行させることができる。
【0106】
(5)上記実施形態では、補正手段60による補正が必要と考えられる条件として4つの条件、すなわち、(1)スロットル開度が全閉状態であり、(2)追従制御を実行している最中で、(3)かつ自車両が下り勾配を走行しており、(4)変速制御ユニット30におけるモードの切換に伴ってエンジンブレーキの作用が低減し、或いはその作用が無くなる場合の4つの条件が設定されているが、この条件を適宜変更、追加、削除してもよく、例えば(3)の条件を削除するものであってもよい。例えば、(4)の条件について、ロックアップクラッチが解放されるか否かを判定し、このロックアップクラッチが解放される場合にエンジンブレーキの作用が低減すると判定するように構成してもよい。
【0107】
(6)上記実施形態のレンジ位置センサ31は、上記構成に限定されるものではない。例えば、シフトレバー33の基端部にATセレクトケーブルが接続され、レンジ位置センサがこのATケーブルのストローク量を検出するセンサとして構成されるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両の制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】同装置のシフトレバー、レンジ位置等のシフト操作部を示す平面図である。
【図3】変速制御ユニットにおける完全自動変速モードのシフトパターンを示す説明図である。
【図4】レンジ位置とこのレンジ位置に対応して変速可能な変速段を示す説明図である。
【図5】レーダーの検知範囲を示す説明図である。
【図6】先行車両の検出方法を示す説明図である。
【図7】当実施形態の制御装置のメインフローの前半部を示すフローチャートである。
【図8】当実施形態の制御装置のメインフローの後半部を示すフローチャートである。
【図9】図7のサブルーチンの前半部を示すフローチャートである。
【図10】図7のサブルーチンの後半部を示すフローチャートである。
【図11】変速制御ユニットの制御動作を示すフローチャートである。
【図12】他の実施形態に係る制御装置のメインフローを部分的に示すフローチャートである。
【図13】さらに他の実施形態におけるシフト操作部を示す平面図である。
【符号の説明】
【0109】
10 エンジン制御ユニット
11 エンジン速度センサ
12 スロットル開度センサ
16 スロットル開度調整アクチュエータ
20 ブレーキ制御ユニット(車両制動装置の一例)
30 変速制御ユニット(変速制御手段の一例)
33 シフトレバー(入力手段の一例)
34 シフトゲート
40 運転制御ユニット
41 メインスイッチ
42 コーストスイッチ
43 キャンセルスイッチ
44 アクセルスイッチ
45 目標車間距離設定スイッチ
46 レーダー(先行車両検出手段の一例)
47 操舵角センサ
48 ヨーレートセンサ
49 走行路面勾配センサ(勾配検出手段の一例)
50 走行制御手段(車間制御手段の一例)
60 補正手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変速状態をエンジンブレーキが作用する変速状態で保持する変速規制モードに、所定の入力手段による入力操作に応じて設定可能な変速制御手段と、自車両の前方に存在する先行車両を検出してこの先行車両との車間距離を測定する先行車両検出手段と、この測定された車間距離を予め設定された目標距離になるように走行装置を制御する車間制御手段とを備え、
この車間制御手段による制御中であって、上記変速規制モードではエンジンブレーキが作用してこの変速規制モードが解除されるとエンジンブレーキの作用が低減し或いは無くなるような走行状態での走行中に、上記入力手段によってこの変速規制モードの解除操作があった場合に、変速制御手段におけるこのモード解除の実行を上記入力手段による入力から所定時間遅延させるとともに、この遅延期間中に車間距離を増大させる補正手段が設けられていることを特徴とする車両の制御装置。
【請求項2】
上記補正手段は、上記遅延期間中の車間制御手段の目標距離を増大補正することにより、先行車両との車間距離を増大させるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の車両の制御装置。
【請求項3】
上記補正手段は、上記遅延期間中の車間制御手段による制御を中断して車両制動装置を作動させることにより、先行車両との車間距離を増大させるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の車両の制御装置。
【請求項4】
上記補正手段は、自車両が走行する走行路の勾配を検出する勾配検出手段からの入力を受けて当該勾配が所定角度以上の下り勾配である場合に上記制御を実行するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車両の制御装置。
【請求項5】
上記補正手段は、変速制御手段の変速規制モードが解除された場合に変速段がシフトアップされるか否かを判定し、シフトアップされる場合に上記制御を実行するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車両の制御装置。
【請求項6】
上記補正手段は、変速制御手段の変速規制モードが解除された場合にロックアップクラッチが解放されるか否かを判定し、解放される場合に上記制御を実行するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の車両の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−347507(P2006−347507A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−179747(P2005−179747)
【出願日】平成17年6月20日(2005.6.20)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】