半導体装置の製造方法、及び半導体装置
【課題】ソース及びドレイン領域の幅を確保しつつ、フィンチャネルの幅のみを狭く形成できる半導体装置の製造方法及び半導体装置を提供する。
【解決手段】Fin型トランジスタの製造方法であって、シリコン基板1上に形成されたマスク層8をマスクとして、STI領域2を形成する工程と、マスク層8をウエットエッチングで縮退させて縮退マスク層8aを形成する工程と、縮退マスク層8aの表面にストッパ酸化膜16を形成し、全面にポリシリコン17を堆積した後、反射防止膜18、フォトレジスト19を形成する工程と、ワード線部分のフォトレジスト19を開口し、当該部分の反射防止膜18とポリシリコン17とを除去して、縮退マスク層8aを露出させた後に、フォトレジスト19を除去する工程と、縮退マスク層8aをマスクとして、縮退マスク層8aの下部両側のシリコン基板1をエッチングして、フィンチャネル30を形成する工程と、を備える。
【解決手段】Fin型トランジスタの製造方法であって、シリコン基板1上に形成されたマスク層8をマスクとして、STI領域2を形成する工程と、マスク層8をウエットエッチングで縮退させて縮退マスク層8aを形成する工程と、縮退マスク層8aの表面にストッパ酸化膜16を形成し、全面にポリシリコン17を堆積した後、反射防止膜18、フォトレジスト19を形成する工程と、ワード線部分のフォトレジスト19を開口し、当該部分の反射防止膜18とポリシリコン17とを除去して、縮退マスク層8aを露出させた後に、フォトレジスト19を除去する工程と、縮退マスク層8aをマスクとして、縮退マスク層8aの下部両側のシリコン基板1をエッチングして、フィンチャネル30を形成する工程と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法及び半導体装置に関し、更に詳しくは、素子分離(STI,Shallow Trench Isolation)領域で囲まれた活性領域に、Fin型トランジスタを製造するための半導体装置の製造方法及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体装置では、高集積化、高速化の要求に応えるために、トランジスタ等の半導体素子の微細化が進められている。従来のプレーナ構造を有するトランジスタでは、最小加工寸法で形成されるトランジスタのゲート長が90nm以下となると、短チャネル効果の抑制が困難となってきた。これを克服するために、半導体基板を島状に加工して表面を突き出させて立体化し、突き出た島の側面をチャネルとして用いるFin状部(フィンチャネルともいう)を備えたFin型トランジスタの採用が検討されている。
【0003】
特許文献1〜4には、Fin型トランジスタが記載されている。特に、特許文献1〜3では、例えばマスクとRIE(Reactive ion etching)との組み合わせでフィンチャネルを予め形成しており、その両側をSTI領域又は空気絶縁とし、その後の工程で、フィンチャネルを露出させるプロセスが記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−279010号公報
【特許文献2】特開2006−310458号公報
【特許文献3】特開2007−42790号公報
【特許文献4】特開2006−5344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のFin型トランジスタには、以下に述べるような問題があった。図27は、DRAMのメモリセルアレイの平面レイアウトの一例を示している。DRAMのメモリセルアレイ100Aは、STI領域102と、STI領域102で囲まれた活性領域103とを備えている。1つの活性領域103には、2つのゲート電極104が配置される。なお、ゲート電極104は、図中、斜線で示されワード線を兼ねている。また、対となる2つのゲート電極104の両外側にはソース領域105が配置され、その内側には共通のドレイン領域106が配置される。
【0006】
ここで、STI領域102及び活性領域103は、リソグラフィの解像限界で決まる最小加工寸法を基に形成されているので、平面上の加工の余裕がない。そのため、活性領域103に、ゲート電極104の幅(即ち、チャネル領域の幅)Lgが狭いフィンチャネルを形成する場合には、チャネル領域に隣接するソース領域105の幅Ls及びドレイン領域106の幅Ldも必然的に狭くなってしまう。その結果、ソース領域105及びドレイン領域106の上面の面積が小さくなり、その上面に形成されるコンタクトプラグとのコンタクト抵抗が増大し、回路動作が遅延するという問題があった。
【0007】
また、上記特許文献1〜3に記載した技術では、例えばSTI領域を形成した際に用いたマスク(膜パターン)の形状が、その後のプロセスで損なわれるので、設計通りのフィンチャネルを形成することが困難であるという問題があった。
【0008】
本発明は、フィンチャネルを設計通りに形成できる半導体装置の製造方法及び半導体装置を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、チャネル領域に隣接するソース及びドレイン領域の幅を確保しつつ、フィンチャネルの幅のみを狭く形成できる半導体装置の製造方法及び半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、膜パターンをエッチングマスクとして半導体基板の表面を選択的にエッチングして活性領域及び素子分離領域を形成する工程と、
前記膜パターンの幅を縮退させる工程と、
ゲート電極パターンの反転パターンと前記縮退した膜パターンとをエッチングマスクとして、前記活性領域の表面を更にエッチングし、フィンチャネル及びゲートトレンチを形成する工程と、
前記フィンチャネルの表面及びゲートトレンチの底部にゲート酸化膜を形成する工程と、
前記ゲート酸化膜を覆い且つ前記ゲートトレンチを埋め込むゲート電極を形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法を提供する。
【0011】
また、本発明は、フィンチャネルを有するMISFETを備える半導体装置であって、
ソース及びドレイン領域の幅が活性領域の幅と同じであり、前記フィンチャネルの幅が前記活性領域の幅よりも小さいことを特徴とする半導体装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の半導体装置の製造方法によると、活性領域及び素子分離領域の形成に用いた膜パターンを、活性領域の内側に縮退させるので、この膜パターンを損なうことなく、フィンチャネル及びゲートトレンチ形成用のエッチングマスクとして使用することができる。その結果、設計通りのフィンチャネル形成が可能となり、例えば、ソース及びドレイン領域の幅に比べて、フィンチャネルの幅のみを狭くできる。
【0013】
また、本発明の半導体装置によると、ソース及びドレイン領域の幅は元の活性領域の幅を維持しているので、ソース及びドレイン領域の上面の面積を確保することができ、コンタクト抵抗の増大を防止できる。さらに、フィンチャネルの幅が元の活性領域の幅より狭くなり、微細なフィンチャネルを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1〜9を参照し、本発明の実施形態の製造方法を説明する。この方法では、ソース及びドレイン領域となる活性領域の幅と、ゲート電極下でチャネル領域となる活性領域の幅とを作り分けながら、Fin型トランジスタを形成するものである。図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法が適用されるメモリセルアレイの平面レイアウトの一例を示している。メモリセルアレイ100は、例えば、半導体基板(以下、シリコン基板という、図2参照)1上に形成されたSTI領域2と、STI領域2で囲まれた複数の活性領域3とを含む。複数の活性領域3は、規則的に配置されている。1つの活性領域3には、ワード線を兼ねる2つのゲート電極4が活性領域3を横切るように配設される。対となる2つのゲート電極4の外側に位置する活性領域3の部分にはソース領域5が設けられている。また、2つのゲート電極4の内側であって、活性領域3の略中央に位置する部分にはドレイン領域6が設けられている。ドレイン領域6上には、ここでは図示しないコンタクトプラグを介してビット配線がワード線と直交するように配置される。また、ソース領域5上には容量素子が設けられる。なお、以下では、典型的な例として、活性領域3の短辺の幅(以下、単に幅という)を100nmとし、隣接する活性領域3間のSTI領域2の幅を80nmとしている。
【0015】
以下、各製造工程の説明では、図1に示すA−A’断面、B−B’断面、C−C’断面、及び周辺回路部に形成されるトランジスタの断面をそれぞれ示す、図中(a)〜(c),(d)を参照する。ここで、図中(d)に周辺回路部の断面を示す理由は、本実施形態に係る製造方法により、特定の領域、即ちメモリセルアレイ100のみにフィンチャネルを形成できることを示すためである。つまり、周辺回路部には様々な特性の絶縁ゲート電界効果トランジスタ(MISFET;metal insulator semiconductor field effect transistor)が含まれるので、全てをFin型トランジスタにすると却って不都合となる可能性を考慮している。なお、周辺回路部の断面は、ゲート電極4に直交する方向に沿った断面としている。
【0016】
図2は、STI絶縁膜を埋め込んだ状態の各部の断面を示している。まず、P型シリコン単結晶からなるシリコン基板1を熱酸化し、その表面にパッド酸化膜7を10nm程度形成する。次に、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により窒化シリコン膜を100nm〜150nm程度堆積する。次に、フォトリソグラフィ、及び、フロロカーボン系のガスを用いたドライエッチングにより活性領域3上に窒化シリコン膜からなるマスク層8を残し、STI領域2となる部分の窒化シリコン膜、及び、パッド酸化膜を除去する。さらに、フォトレジストを酸等で剥離した後にSTI領域2となるシリコン基板1を塩素系のガスを用いてドライエッチングして、STIトレンチ9を形成する。なお、STIトレンチ9の深さは、200nm程度となる。
【0017】
次に、STIトレンチ9の内面に厚さ10nm程度の熱酸化膜を形成した後に、CVD法により酸化シリコン膜からなるSTI絶縁膜10を、マスク層8の開口を含むSTIトレンチ9が十分に埋まる程度に堆積する。ここで、STIトレンチ9に堆積したSTI絶縁膜10には、メモリセルアレイ100と周辺回路部等とのパターンの違いにより段差が生じている。そのため、この段差をCMP(Chemical Mechanical Polishing)プロセスにより平坦化する。CMPプロセスでは、窒化シリコン膜からなるマスク層8の膜厚が70nmとなるようにする。この段階で、A−A’断面、B−B’断面及び周辺回路断面は、図示のように、活性領域3のシリコン基板1上にパッド酸化膜7を介してマスク層8が形成され、その周囲をSTI絶縁膜10が囲んでいる。また、C−C’断面は、シリコン基板1上にパッド酸化膜7を介してマスク層8が形成されている。
【0018】
次に、図3に示すように、フッ酸溶液等を用いた時間指定のウエットエッチングにより酸化シリコン膜からなるSTI絶縁膜10を、マスク層8とパッド酸化膜7との境界付近の位置までエッチバックする。
【0019】
以降の各工程では、ゲート電極4を堆積するまでの間に酸化シリコンのウエットエッチングが数回行われる。このため、STI領域2が活性領域3よりも凹む場合がある。その場合には、特に、周辺回路部の活性領域の肩部が露出し、制御困難なサブチャネルが形成され、トランジスタのサブスレッショールド特性にハンプが生じることがある。これを回避するために、周辺回路部をフォトレジストで覆い、メモリセルアレイ100のみを一度ウエットエッチングし、上記フォトレジストを剥離した後にメモリセルアレイ100と周辺回路部とをウエットエッチングすることにより、それらのSTI分離領域の高さを作り分けることが望ましい。
【0020】
図3の段階で、A−A’断面、B−B’断面は、パッド酸化膜7の表面位置までSTI絶縁膜10がエッチバックされた状態となっている。また、周辺回路断面は、パッド酸化膜7の表面より上方の位置までエッチバックされた状態となっている。なお、C−C’断面は、変化していない。
【0021】
次に、図4に示すように、リン酸(H3PO4)を用いた時間指定のウエットエッチングにより、マスク層8の幅を縮退させ、縮退マスク層8aを形成する。典型的な縮退マスク層8aの幅は、50nmとする。縮退マスク層8aの幅が50nmとなるのは、活性領域3の幅が100nmであり、リン酸ウエットエッチングで両側から25nmずつ削れたためである。また、縮退マスク層8aの膜厚は、45nmとなる。これは、CMPプロセスでマスク層8の膜厚70nmから、リン酸ウエットエッチで25nm削れたためである。ここで、窒化シリコン膜からなるマスク層8を縮退させるためのウエットエッチングは、150℃の熱リン酸に3分浸漬することで行った。但し、このウエットエッチングは、上記条件に限定されず、温度に応じて一義的に決定されるエッチング速度に基づいてエッチング時間を決定できる。なお、温度が高すぎるとエッチング速度が速過ぎて制御が困難となり、一方、温度が低過ぎるとエッチングされなくなることから、例えば、145〜165℃の範囲で温度を設定することが望ましい。
【0022】
図4の段階で、A−A’断面、B−B’断面は、図示のように、マスク層8が活性領域3の内側に縮退し、縮退マスク層8aを形成している。また、周辺回路断面は、STI絶縁膜10の表面より上に位置するマスク層8の部分が縮退している。なお、C−C’断面は、変化していない。
【0023】
次に、図5に示すように、有機ポリマーからなる反射防止膜11を回転塗布法等により形成する。反射防止膜11は、リソグラフィで用いる照射光が、凹凸を有するシリコン基板1の表面で反射し、表面に形成されているフォトレジストに到達するのを防止する。ここでは、反射防止膜11の厚さが、STI絶縁膜10の表面から90nmとなるようにしたが、これには限定されず、リソグラフィ条件に関連して厚さは適宜変更可能である。
【0024】
続いて、反射防止膜11上にフォトレジスト12を回転塗布し、ゲート電極4(ワード線)の反転パターンを有するフォトマスクを用いて露光・現像する。図6は、図5に示す段階での平面図である。ゲート電極4の反転パターンを用いて露光・現像するので、ゲート電極4が形成されない領域がフォトレジスト12で覆われている。
【0025】
この段階で、A−A’断面は、図5に示すように、表面が反射防止膜11で覆われた状態となる。また、B−B’断面及び周辺回路断面は、反射防止膜11及びフォトレジスト12で覆われた状態となる。さらに、C−C’断面は、ゲート電極4に対応するパターンがフォトレジスト12に形成された状態となる。ここで、ゲート電極4の反転パターンを用いることにより、後の工程で、ソース領域5及びドレイン領域6の活性領域3の幅Ls,Ldと、ゲート電極4下のチャネル領域となる活性領域3の幅Lgとを作り分けることができる(図9参照)。
【0026】
次に、図7に示すように、フォトレジスト12をマスクとして、ゲート電極4を形成する領域に表面が露出している反射防止膜11をフロロカーボン系のガスを用いてドライエッチングする。このドライエッチングでは、反射防止膜11と共に、窒化シリコン膜からなる縮退マスク層8aもエッチングされる。その結果、A−A’断面での縮退マスク層8aは、20nm程度の膜厚で一部残存させることができる。なお、この際、縮退マスク層8aの幅は、50nmで変化していない。さらに、C−C’断面のマスク層8も一部エッチングされた状態となる。
【0027】
次に、図8に示すように、さらにフロロカーボン系のガスを用いたドライエッチングにより、パッド酸化膜7の膜厚分の酸化膜をエッチングする。これにより、A−A’断面では、後にゲートトレンチ(図9参照)が形成される領域のシリコン基板1の表面を露出させる。この際、縮退マスク層8aは、10nmの膜厚であり、幅は50nmで変化していない。
【0028】
次に、図9に示すように、縮退マスク層8a、パッド酸化膜7及びSTI絶縁膜10をマスクとして、塩素系ガスを用いたドライエッチングにより、活性領域3内で表面が露出しているシリコン基板1をエッチングする。その結果、ゲートトレンチ13が形成される。続いて、フォトレジスト12及び反射防止膜11を酸素アッシングにより除去する。
【0029】
アッシング工程では、縮退マスク層8a、パッド酸化膜7の合計膜厚が薄いので、ゲートトレンチ13の形成中に縮退マスク層8a、パッド酸化膜7が消滅する。その結果、A−A’断面に示すように、フィンチャネル(Fin状部)15の上面14がSTI絶縁膜10の表面よりも落ち込んだFin形状が得られる。
【0030】
この際、例えばシリコンと窒化シリコン(及び酸化シリコン)との選択比が3.5程度と仮定すると、パッド酸化膜7及び縮退マスク層8aが消滅した段階で、STI絶縁膜10は20nm下がる。そのとき、ゲートトレンチ13は、シリコン基板1表面から70nm程度削れた状態となる。さらにその状態から、ゲートトレンチ13をシリコン基板1表面から150nmの深さまでエッチングすると、STI絶縁膜10は、シリコン基板1表面から55nm程度下がる。その結果、Fin状部15の高さは、80nmとなる。また、C−C’断面には、図示のように、Fin状部の上面14を底面とするトレンチが形成される。
【0031】
上記各工程以降は、図示していないが、表面に残存している縮退マスク層8a及びパッド酸化膜7を除去し、露出したシリコン基板1表面にゲート絶縁膜を形成し、さらにゲートトレンチ13を埋め込むようにゲート電極4を形成する。続いて、ゲート電極4をマスクとしてシリコン基板1に不純物をイオン注入することにより、ソース領域5及びドレイン領域6を形成する。その後、全面に層間絶縁膜を形成し、ソース領域5及びドレイン領域6にコンタクトホールを形成する。さらに、コンタクトホールを多結晶シリコン等の導体で充填し、コンタクトプラグを形成し、さらに上層のビット配線や容量素子との接続を行う。
【0032】
本実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、STI領域2の形成に用いたマスク層8を縮退させて縮退マスク8aを形成し、更に、ゲート電極4の反転マスクを用いることにより、活性領域3内のゲート電極4の下にゲートトレンチ13を形成してFin状部15を形成できる。従って、Fin状部15の幅Lgが元の活性領域3の幅より狭い、リソグラフィの解像限界以下の微細なフィンチャネルを有するトランジスタを形成できる。また、ソース領域5の幅Ls及びドレイン領域6の幅Ldは、元の活性領域3の幅を維持しているので、ソース領域5及びドレイン領域6の上面の面積が縮小することを回避する。これにより、コンタクト抵抗が増大することを防止できる。
【0033】
(第2の実施形態)
次に、図10〜図26を参照して、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する。本実施形態の製造方法は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法で示した図4までの各工程と同じ工程を経た後に、図10以降の各工程に進む。まず、図4までの各工程により、活性領域3を囲むSTI絶縁膜10を形成し、活性領域3上にはパッド酸化膜7を介して窒化シリコン膜からなる縮退マスク層8aが形成される。なお、膜厚等の条件は第1の実施形態と同様とする。
【0034】
次に、図10に示すように、CVD法によりストッパとなる酸化シリコン膜からなるストッパ酸化膜16を形成する。ストッパ酸化膜16は、後述する工程でストッパ酸化膜16上にポリシリコン17を堆積し(図11参照)、リソグラフィ及びドライエッチングにより、パターンを形成する際のストッパとして機能する。また、ポリシリコンと酸化膜とでは、ドライエッチングによる選択性を十分に保つことができるので、ストッパ酸化膜16の膜厚は数nm程度(ここでは、5nmとした)で十分である。なお、ストッパ酸化膜16は、熱酸化法で形成することもできる。
【0035】
次に、図11に示すように、CVD法によりポリシリコン17を全面に堆積する。この工程では、図12に示す平面図のように、ポリシリコン17がSTI領域2を埋め込んで全面が略平坦になる程度の膜厚とし、且つ、後の工程でのゲートトレンチ形成用のドライエッチングで除去できる膜厚とする。即ち、ポリシリコン17を堆積する前のSTI絶縁膜10上面からポリシリコン17を堆積した後の表面までの高さがゲートトレンチ(図18参照)の深さよりも薄くなる膜厚とする。典型的な膜厚は、100nmとする。
【0036】
ここで、ポリシリコン17を堆積して全面を略平坦にするのは、平坦にしなければ、縮退マスク層8aが削れてしまい、所望の高さのFin状部を形成することが困難となるためである。つまり、ポリシリコン17は、反射防止膜(図13参照)をエッチングする際に、ストッパ酸化膜16や縮退マスク層8aを保護する機能を有する。
【0037】
次に、図13に示すように、反射防止膜18、及びフォトレジスト19を塗布し、ゲート電極4(ワード線)の反転パターンを有するレチクル(マスクともいう)を用いて露光・現像する。また、図14は、この段階での平面図である。この反転パターンを有するマスクを用いて露光・現像を行うことで、ソース領域5及びドレイン領域6と、ゲート電極4下の領域とで仕上がりの活性領域3の幅を作り分けることができる。このようにすれば、作り分けない場合に比べると、ソース領域5及びドレイン領域6のコンタクト抵抗の低減が可能となる。
【0038】
次に、図15に示すように、フォトレジスト19をマスクとして反射防止膜18をフロロカーボン系のガスを用いて異方性ドライエッチングする。この工程では、第1の実施形態の図7に示す状態と比べると、ポリシリコン17が窒化シリコン膜からなる縮退マスク層8aを覆っているので、反射防止膜18のエッチング時にゲートトレンチ加工のマスクとなるべき上記縮退マスク層8aをエッチングせずに残存させることができる。
【0039】
次に、図16に示すように、上記フォトレジスト19をマスクとして、ポリシリコン17を塩素系のガスを用いてドライエッチングして、A−A’断面及びC−C’断面でのストッパ酸化膜16を露出させる。さらに、反射防止膜18及びフォトレジスト19を、有機酸等を用いて剥離する。
【0040】
次に、図17に示すように、ストッパ酸化膜16をフロロカーボン系のガスを用いた時間指定のドライエッチングにより、10nm程度エッチングする。このエッチングにより、A−A’断面では、STI絶縁膜10、及び、パッド酸化膜7を介して縮退マスク層8aに接するシリコン基板1の上面の一部が露出する。
【0041】
次に、図18に示すように、塩素系のガスを用いた時間指定の異方性ドライエッチングにより、シリコン基板1をエッチングして、A−A’断面にゲートトレンチ20を形成する。なお、C−C’断面に示した点線は、断面の裏側に位置するゲートトレンチ20を透かして見た状態を意図している。これ以降の各工程でのC−C’断面に記載された点線も同様である。このエッチングによりA−A’断面では、トランジスタのチャネル領域となるシリコン基板1のFin状部30が形成される。また、その他の断面では、上記ポリシリコン17がエッチング除去される。典型的なゲートトレンチ20の深さ、即ちFin状部30の高さは、150nmとする。
【0042】
次に、図19に示すように、フッ酸等を用いた時間指定のウエットエッチングを行い、図18でのB−B’断面に示される上記縮退マスク層8a上のストッパ酸化膜16を除去する。
【0043】
次に、図20に示すように、熱酸化法を用いて、ドライエッチングにより露出したシリコン表面を酸化シリコン膜21で覆う。これは、後の工程でのリン酸による窒化シリコン膜(縮退マスク層8a)の除去の際に(図21参照)、シリコン表面を保護するためである。ここで、リン酸によるウエットエッチングでは、窒化シリコンと酸化シリコンとの選択比が十分に大きいので、熱酸化により形成する酸化シリコン膜21の膜厚は5nm程度で十分である。また、このプロセスで、Fin状部30の幅を調整することが可能となる。
【0044】
次に、図21に示すように、160℃のリン酸を用いて時間指定のウエットエッチングを行い、上記窒化シリコン膜からなる縮退マスク層8aを除去する。この後、ウエル拡散層形成用の不純物、及びトランジスタの閾値電圧調整用のチャネル不純物等をイオン注入法により、シリコン基板1内に導入する。
【0045】
次に、図22に示すように、フッ酸等を用いた時間指定のウエットエッチングにより、シリコン基板1表面のパッド酸化膜7及び酸化シリコン膜21を除去する。その後に改めて、熱酸化法等を用いてゲート絶縁膜22を形成する。また、図23は、この段階での平面図であって、ゲートトレンチ20に対応する部分を黒く示している。
【0046】
次に、図24に示すように、ゲート電極4(ワード線)を形成する。まず、ゲートトレンチ20を埋め込むようにポリシリコン膜23を全面に堆積する。続いて、窒化タングステン膜24、タングステン膜25、窒化シリコン膜26をこの順に積層して堆積する。その後、フォトリソグラフィとドライエッチングによりパターニングして、ゲート電極4(ワード線)を形成する。なお、ゲート電極4を加工する途中段階では、C−C’断面及び周辺回路断面に示されているように、窒化タングステン膜24、タングステン膜25からタングステンが飛散しないように、側壁窒化シリコン膜27が形成される。
【0047】
図25は、図24に示す段階での略平面図である。上記各工程による製造方法によれば、図示のように、チャネル領域となるゲート電極4下の活性領域3の幅を狭くしながら、コンタクトが形成されるソース領域5及びドレイン領域6の活性領域3の幅を確保できる。その結果、コンタクト抵抗の増大を抑制できる。
【0048】
図26は、図25の平面図に示したD−D’線に沿った断面を示している。ここで、図24の工程の後に、ゲート電極4をマスクとしてシリコン基板1内にイオン注入を行い、熱処理により、ソース領域5及びドレイン領域6を形成する。続いて、ゲート電極4の側壁にサイドウォール28を形成し、さらに、層間絶縁膜を形成してフォトリソグラフィとドライエッチングによりコンタクトホールを形成する。コンタクトホールを導体で埋め込み、コンタクトプラグ29を形成する。なお、このトランジスタ構造をDRAMのメモリセルアレイ100に適用する場合には、ソース領域5上のコンタクトプラグ29には容量素子が接続され、ドレイン領域6上のコンタクトプラグ29にはビット配線が接続される。
【0049】
本実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、ゲートトレンチ20を形成するマスクとして用いる縮退マスク層8aを一旦ポリシリコンで被覆した後、反射防止膜18を除去しているので、縮退マスク層8aがエッチングされることを回避できる。したがって、縮退マスク層8aは、十分なマスク能力を有しており、深いゲートトレンチ20を形成して、高いFin状部30を有するチャネル領域を形成できる。その結果、チャネルの断面積が増大して、短チャネル効果を抑制でき、オン、オフ特性に優れ、より大きな電流供給が可能なトランジスタを製造できる。
【0050】
上記各実施形態では、Fin状部15,30を形成するプロセスをメモリデバイスに適用する場合について詳述したが、これに限定されず、ロジックデバイスにも同様に適用してもよい。
【0051】
本発明の半導体装置の製造方法及び半導体装置では、以下の態様の採用が可能である。縮退させる工程とフィンチャネル及びゲートトレンチを形成する工程との間に、縮退した膜パターンを含む基板表面を覆う反射防止膜を形成する工程と、反転パターンをエッチングマスクとして、反射防止膜をエッチングする工程とをこの順に有する。この場合、縮退した膜パターンの膜厚が小さくなるものの、縮退した膜パターンをマスクとして、フィンチャネルを形成することができる。
【0052】
縮退させる工程とフィンチャネル及びゲートトレンチを形成する工程との間に、縮退した膜パターンをストッパ膜で保護する工程と、ストッパ膜を含む全面にポリシリコン膜を堆積する工程と、反転パターンをエッチングマスクとして、ポリシリコン膜をエッチングする工程と、ストッパ膜を除去する工程とをこの順に有する。これにより、加工用ハードマスクが、ポリシリコン/ストッパ膜(酸化膜)/膜パターン(窒化膜)の積層構造を有し、ポリシリコンが膜パターンを保護することになる。その結果、膜パターンの形状が損なわれず、フィンチャネルを精度よく形成できる。
【0053】
ゲート電極をマスクとして、不純物をイオン注入してソース及びドレイン領域を形成する工程を更に有する。このようにして、ソース及びドレイン領域と、ゲート領域とで活性領域の幅が作り分けられることになる。
【0054】
フィンチャネルの幅が、ゲート長よりも短い。これにより、短チャネル効果を抑制できる。
【0055】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明の半導体装置の製造方法及び半導体装置は、上記実施形態の構成にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法が適用されるメモリセルアレイの平面レイアウトの一例を示す図。
【図2】STI絶縁膜を埋め込んだ状態を示す断面図。
【図3】STI絶縁膜をエッチバックした状態を示す断面図。
【図4】マスク層の幅を縮退させ、縮退マスク層を形成した状態を示す断面図。
【図5】反射防止膜を回転塗布法により形成した状態を示す断面図。
【図6】図5に示す状態の平面図。
【図7】ゲート電極を形成する領域に表面が露出している反射防止膜をドライエッチングした状態を示す断面図。
【図8】パッド酸化膜の膜厚分の酸化膜をエッチングし、シリコン基板の表面を露出させた状態を示す断面図。
【図9】縮退マスク層、パッド酸化膜及びSTI絶縁膜をマスクとして、ゲートトレンチを形成した状態を示す断面図。
【図10】図4に示す状態からCVD法によりストッパ酸化膜を形成した状態を示す断面図。
【図11】CVD法によりポリシリコンを全面に堆積した状態を示す断面図。
【図12】図11に示す状態の平面図。
【図13】ゲート電極の反転パターンを有するレチクルを用いて露光・現像した状態を示す断面図。
【図14】図13に示す状態の平面図。
【図15】フォトレジストをマスクとして反射防止膜を異方性ドライエッチングした状態を示す断面図。
【図16】フォトレジストをマスクとしてポリシリコンをドライエッチングした状態を示す断面図。
【図17】ストッパ酸化膜をドライエッチングした状態を示す断面図。
【図18】縮退マスク層、ストッパ酸化膜及びポリシリコンをマスクとして、ゲートトレンチを形成した状態を示す断面図。
【図19】縮退マスク層上のストッパ酸化膜を除去した状態を示す断面図。
【図20】シリコン表面を酸化シリコン膜で覆った状態を示す断面図。
【図21】縮退マスク層を除去した状態を示す断面図。
【図22】パッド酸化膜及び酸化シリコン膜を除去し、ゲート絶縁膜を形成した状態を示す断面図。
【図23】図22に示す状態の平面図。
【図24】ゲート電極を形成した状態を示す断面図。
【図25】図24に示す状態の平面図。
【図26】図25の平面図に示したD−D’線に沿った断面図。
【図27】従来のメモリセルアレイの平面レイアウトの一例を示す図。
【符号の説明】
【0057】
1:半導体基板(シリコン基板)
2,102:STI領域
3,103:活性領域
4,104:ゲート電極(ワード線)
5,105:ソース領域
6,106:ドレイン領域
7:パッド酸化膜
8:マスク層
8a:縮退マスク層
9:STIトレンチ
10:STI絶縁膜
11,18:反射防止膜
12,19:フォトレジスト
13,20:ゲートトレンチ
14:上面
15,30:フィンチャネル(Fin状部)
16:ストッパ酸化膜
17:ポリシリコン
21:酸化シリコン膜
22:ゲート絶縁膜
23:ポリシリコン膜
24:窒化タングステン膜
25:タングステン膜
26:窒化シリコン膜
27:側壁窒化シリコン膜
28:サイドウォール
29:コンタクトプラグ
100:メモリセルアレイ
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法及び半導体装置に関し、更に詳しくは、素子分離(STI,Shallow Trench Isolation)領域で囲まれた活性領域に、Fin型トランジスタを製造するための半導体装置の製造方法及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体装置では、高集積化、高速化の要求に応えるために、トランジスタ等の半導体素子の微細化が進められている。従来のプレーナ構造を有するトランジスタでは、最小加工寸法で形成されるトランジスタのゲート長が90nm以下となると、短チャネル効果の抑制が困難となってきた。これを克服するために、半導体基板を島状に加工して表面を突き出させて立体化し、突き出た島の側面をチャネルとして用いるFin状部(フィンチャネルともいう)を備えたFin型トランジスタの採用が検討されている。
【0003】
特許文献1〜4には、Fin型トランジスタが記載されている。特に、特許文献1〜3では、例えばマスクとRIE(Reactive ion etching)との組み合わせでフィンチャネルを予め形成しており、その両側をSTI領域又は空気絶縁とし、その後の工程で、フィンチャネルを露出させるプロセスが記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−279010号公報
【特許文献2】特開2006−310458号公報
【特許文献3】特開2007−42790号公報
【特許文献4】特開2006−5344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のFin型トランジスタには、以下に述べるような問題があった。図27は、DRAMのメモリセルアレイの平面レイアウトの一例を示している。DRAMのメモリセルアレイ100Aは、STI領域102と、STI領域102で囲まれた活性領域103とを備えている。1つの活性領域103には、2つのゲート電極104が配置される。なお、ゲート電極104は、図中、斜線で示されワード線を兼ねている。また、対となる2つのゲート電極104の両外側にはソース領域105が配置され、その内側には共通のドレイン領域106が配置される。
【0006】
ここで、STI領域102及び活性領域103は、リソグラフィの解像限界で決まる最小加工寸法を基に形成されているので、平面上の加工の余裕がない。そのため、活性領域103に、ゲート電極104の幅(即ち、チャネル領域の幅)Lgが狭いフィンチャネルを形成する場合には、チャネル領域に隣接するソース領域105の幅Ls及びドレイン領域106の幅Ldも必然的に狭くなってしまう。その結果、ソース領域105及びドレイン領域106の上面の面積が小さくなり、その上面に形成されるコンタクトプラグとのコンタクト抵抗が増大し、回路動作が遅延するという問題があった。
【0007】
また、上記特許文献1〜3に記載した技術では、例えばSTI領域を形成した際に用いたマスク(膜パターン)の形状が、その後のプロセスで損なわれるので、設計通りのフィンチャネルを形成することが困難であるという問題があった。
【0008】
本発明は、フィンチャネルを設計通りに形成できる半導体装置の製造方法及び半導体装置を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、チャネル領域に隣接するソース及びドレイン領域の幅を確保しつつ、フィンチャネルの幅のみを狭く形成できる半導体装置の製造方法及び半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、膜パターンをエッチングマスクとして半導体基板の表面を選択的にエッチングして活性領域及び素子分離領域を形成する工程と、
前記膜パターンの幅を縮退させる工程と、
ゲート電極パターンの反転パターンと前記縮退した膜パターンとをエッチングマスクとして、前記活性領域の表面を更にエッチングし、フィンチャネル及びゲートトレンチを形成する工程と、
前記フィンチャネルの表面及びゲートトレンチの底部にゲート酸化膜を形成する工程と、
前記ゲート酸化膜を覆い且つ前記ゲートトレンチを埋め込むゲート電極を形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法を提供する。
【0011】
また、本発明は、フィンチャネルを有するMISFETを備える半導体装置であって、
ソース及びドレイン領域の幅が活性領域の幅と同じであり、前記フィンチャネルの幅が前記活性領域の幅よりも小さいことを特徴とする半導体装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の半導体装置の製造方法によると、活性領域及び素子分離領域の形成に用いた膜パターンを、活性領域の内側に縮退させるので、この膜パターンを損なうことなく、フィンチャネル及びゲートトレンチ形成用のエッチングマスクとして使用することができる。その結果、設計通りのフィンチャネル形成が可能となり、例えば、ソース及びドレイン領域の幅に比べて、フィンチャネルの幅のみを狭くできる。
【0013】
また、本発明の半導体装置によると、ソース及びドレイン領域の幅は元の活性領域の幅を維持しているので、ソース及びドレイン領域の上面の面積を確保することができ、コンタクト抵抗の増大を防止できる。さらに、フィンチャネルの幅が元の活性領域の幅より狭くなり、微細なフィンチャネルを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1〜9を参照し、本発明の実施形態の製造方法を説明する。この方法では、ソース及びドレイン領域となる活性領域の幅と、ゲート電極下でチャネル領域となる活性領域の幅とを作り分けながら、Fin型トランジスタを形成するものである。図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法が適用されるメモリセルアレイの平面レイアウトの一例を示している。メモリセルアレイ100は、例えば、半導体基板(以下、シリコン基板という、図2参照)1上に形成されたSTI領域2と、STI領域2で囲まれた複数の活性領域3とを含む。複数の活性領域3は、規則的に配置されている。1つの活性領域3には、ワード線を兼ねる2つのゲート電極4が活性領域3を横切るように配設される。対となる2つのゲート電極4の外側に位置する活性領域3の部分にはソース領域5が設けられている。また、2つのゲート電極4の内側であって、活性領域3の略中央に位置する部分にはドレイン領域6が設けられている。ドレイン領域6上には、ここでは図示しないコンタクトプラグを介してビット配線がワード線と直交するように配置される。また、ソース領域5上には容量素子が設けられる。なお、以下では、典型的な例として、活性領域3の短辺の幅(以下、単に幅という)を100nmとし、隣接する活性領域3間のSTI領域2の幅を80nmとしている。
【0015】
以下、各製造工程の説明では、図1に示すA−A’断面、B−B’断面、C−C’断面、及び周辺回路部に形成されるトランジスタの断面をそれぞれ示す、図中(a)〜(c),(d)を参照する。ここで、図中(d)に周辺回路部の断面を示す理由は、本実施形態に係る製造方法により、特定の領域、即ちメモリセルアレイ100のみにフィンチャネルを形成できることを示すためである。つまり、周辺回路部には様々な特性の絶縁ゲート電界効果トランジスタ(MISFET;metal insulator semiconductor field effect transistor)が含まれるので、全てをFin型トランジスタにすると却って不都合となる可能性を考慮している。なお、周辺回路部の断面は、ゲート電極4に直交する方向に沿った断面としている。
【0016】
図2は、STI絶縁膜を埋め込んだ状態の各部の断面を示している。まず、P型シリコン単結晶からなるシリコン基板1を熱酸化し、その表面にパッド酸化膜7を10nm程度形成する。次に、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により窒化シリコン膜を100nm〜150nm程度堆積する。次に、フォトリソグラフィ、及び、フロロカーボン系のガスを用いたドライエッチングにより活性領域3上に窒化シリコン膜からなるマスク層8を残し、STI領域2となる部分の窒化シリコン膜、及び、パッド酸化膜を除去する。さらに、フォトレジストを酸等で剥離した後にSTI領域2となるシリコン基板1を塩素系のガスを用いてドライエッチングして、STIトレンチ9を形成する。なお、STIトレンチ9の深さは、200nm程度となる。
【0017】
次に、STIトレンチ9の内面に厚さ10nm程度の熱酸化膜を形成した後に、CVD法により酸化シリコン膜からなるSTI絶縁膜10を、マスク層8の開口を含むSTIトレンチ9が十分に埋まる程度に堆積する。ここで、STIトレンチ9に堆積したSTI絶縁膜10には、メモリセルアレイ100と周辺回路部等とのパターンの違いにより段差が生じている。そのため、この段差をCMP(Chemical Mechanical Polishing)プロセスにより平坦化する。CMPプロセスでは、窒化シリコン膜からなるマスク層8の膜厚が70nmとなるようにする。この段階で、A−A’断面、B−B’断面及び周辺回路断面は、図示のように、活性領域3のシリコン基板1上にパッド酸化膜7を介してマスク層8が形成され、その周囲をSTI絶縁膜10が囲んでいる。また、C−C’断面は、シリコン基板1上にパッド酸化膜7を介してマスク層8が形成されている。
【0018】
次に、図3に示すように、フッ酸溶液等を用いた時間指定のウエットエッチングにより酸化シリコン膜からなるSTI絶縁膜10を、マスク層8とパッド酸化膜7との境界付近の位置までエッチバックする。
【0019】
以降の各工程では、ゲート電極4を堆積するまでの間に酸化シリコンのウエットエッチングが数回行われる。このため、STI領域2が活性領域3よりも凹む場合がある。その場合には、特に、周辺回路部の活性領域の肩部が露出し、制御困難なサブチャネルが形成され、トランジスタのサブスレッショールド特性にハンプが生じることがある。これを回避するために、周辺回路部をフォトレジストで覆い、メモリセルアレイ100のみを一度ウエットエッチングし、上記フォトレジストを剥離した後にメモリセルアレイ100と周辺回路部とをウエットエッチングすることにより、それらのSTI分離領域の高さを作り分けることが望ましい。
【0020】
図3の段階で、A−A’断面、B−B’断面は、パッド酸化膜7の表面位置までSTI絶縁膜10がエッチバックされた状態となっている。また、周辺回路断面は、パッド酸化膜7の表面より上方の位置までエッチバックされた状態となっている。なお、C−C’断面は、変化していない。
【0021】
次に、図4に示すように、リン酸(H3PO4)を用いた時間指定のウエットエッチングにより、マスク層8の幅を縮退させ、縮退マスク層8aを形成する。典型的な縮退マスク層8aの幅は、50nmとする。縮退マスク層8aの幅が50nmとなるのは、活性領域3の幅が100nmであり、リン酸ウエットエッチングで両側から25nmずつ削れたためである。また、縮退マスク層8aの膜厚は、45nmとなる。これは、CMPプロセスでマスク層8の膜厚70nmから、リン酸ウエットエッチで25nm削れたためである。ここで、窒化シリコン膜からなるマスク層8を縮退させるためのウエットエッチングは、150℃の熱リン酸に3分浸漬することで行った。但し、このウエットエッチングは、上記条件に限定されず、温度に応じて一義的に決定されるエッチング速度に基づいてエッチング時間を決定できる。なお、温度が高すぎるとエッチング速度が速過ぎて制御が困難となり、一方、温度が低過ぎるとエッチングされなくなることから、例えば、145〜165℃の範囲で温度を設定することが望ましい。
【0022】
図4の段階で、A−A’断面、B−B’断面は、図示のように、マスク層8が活性領域3の内側に縮退し、縮退マスク層8aを形成している。また、周辺回路断面は、STI絶縁膜10の表面より上に位置するマスク層8の部分が縮退している。なお、C−C’断面は、変化していない。
【0023】
次に、図5に示すように、有機ポリマーからなる反射防止膜11を回転塗布法等により形成する。反射防止膜11は、リソグラフィで用いる照射光が、凹凸を有するシリコン基板1の表面で反射し、表面に形成されているフォトレジストに到達するのを防止する。ここでは、反射防止膜11の厚さが、STI絶縁膜10の表面から90nmとなるようにしたが、これには限定されず、リソグラフィ条件に関連して厚さは適宜変更可能である。
【0024】
続いて、反射防止膜11上にフォトレジスト12を回転塗布し、ゲート電極4(ワード線)の反転パターンを有するフォトマスクを用いて露光・現像する。図6は、図5に示す段階での平面図である。ゲート電極4の反転パターンを用いて露光・現像するので、ゲート電極4が形成されない領域がフォトレジスト12で覆われている。
【0025】
この段階で、A−A’断面は、図5に示すように、表面が反射防止膜11で覆われた状態となる。また、B−B’断面及び周辺回路断面は、反射防止膜11及びフォトレジスト12で覆われた状態となる。さらに、C−C’断面は、ゲート電極4に対応するパターンがフォトレジスト12に形成された状態となる。ここで、ゲート電極4の反転パターンを用いることにより、後の工程で、ソース領域5及びドレイン領域6の活性領域3の幅Ls,Ldと、ゲート電極4下のチャネル領域となる活性領域3の幅Lgとを作り分けることができる(図9参照)。
【0026】
次に、図7に示すように、フォトレジスト12をマスクとして、ゲート電極4を形成する領域に表面が露出している反射防止膜11をフロロカーボン系のガスを用いてドライエッチングする。このドライエッチングでは、反射防止膜11と共に、窒化シリコン膜からなる縮退マスク層8aもエッチングされる。その結果、A−A’断面での縮退マスク層8aは、20nm程度の膜厚で一部残存させることができる。なお、この際、縮退マスク層8aの幅は、50nmで変化していない。さらに、C−C’断面のマスク層8も一部エッチングされた状態となる。
【0027】
次に、図8に示すように、さらにフロロカーボン系のガスを用いたドライエッチングにより、パッド酸化膜7の膜厚分の酸化膜をエッチングする。これにより、A−A’断面では、後にゲートトレンチ(図9参照)が形成される領域のシリコン基板1の表面を露出させる。この際、縮退マスク層8aは、10nmの膜厚であり、幅は50nmで変化していない。
【0028】
次に、図9に示すように、縮退マスク層8a、パッド酸化膜7及びSTI絶縁膜10をマスクとして、塩素系ガスを用いたドライエッチングにより、活性領域3内で表面が露出しているシリコン基板1をエッチングする。その結果、ゲートトレンチ13が形成される。続いて、フォトレジスト12及び反射防止膜11を酸素アッシングにより除去する。
【0029】
アッシング工程では、縮退マスク層8a、パッド酸化膜7の合計膜厚が薄いので、ゲートトレンチ13の形成中に縮退マスク層8a、パッド酸化膜7が消滅する。その結果、A−A’断面に示すように、フィンチャネル(Fin状部)15の上面14がSTI絶縁膜10の表面よりも落ち込んだFin形状が得られる。
【0030】
この際、例えばシリコンと窒化シリコン(及び酸化シリコン)との選択比が3.5程度と仮定すると、パッド酸化膜7及び縮退マスク層8aが消滅した段階で、STI絶縁膜10は20nm下がる。そのとき、ゲートトレンチ13は、シリコン基板1表面から70nm程度削れた状態となる。さらにその状態から、ゲートトレンチ13をシリコン基板1表面から150nmの深さまでエッチングすると、STI絶縁膜10は、シリコン基板1表面から55nm程度下がる。その結果、Fin状部15の高さは、80nmとなる。また、C−C’断面には、図示のように、Fin状部の上面14を底面とするトレンチが形成される。
【0031】
上記各工程以降は、図示していないが、表面に残存している縮退マスク層8a及びパッド酸化膜7を除去し、露出したシリコン基板1表面にゲート絶縁膜を形成し、さらにゲートトレンチ13を埋め込むようにゲート電極4を形成する。続いて、ゲート電極4をマスクとしてシリコン基板1に不純物をイオン注入することにより、ソース領域5及びドレイン領域6を形成する。その後、全面に層間絶縁膜を形成し、ソース領域5及びドレイン領域6にコンタクトホールを形成する。さらに、コンタクトホールを多結晶シリコン等の導体で充填し、コンタクトプラグを形成し、さらに上層のビット配線や容量素子との接続を行う。
【0032】
本実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、STI領域2の形成に用いたマスク層8を縮退させて縮退マスク8aを形成し、更に、ゲート電極4の反転マスクを用いることにより、活性領域3内のゲート電極4の下にゲートトレンチ13を形成してFin状部15を形成できる。従って、Fin状部15の幅Lgが元の活性領域3の幅より狭い、リソグラフィの解像限界以下の微細なフィンチャネルを有するトランジスタを形成できる。また、ソース領域5の幅Ls及びドレイン領域6の幅Ldは、元の活性領域3の幅を維持しているので、ソース領域5及びドレイン領域6の上面の面積が縮小することを回避する。これにより、コンタクト抵抗が増大することを防止できる。
【0033】
(第2の実施形態)
次に、図10〜図26を参照して、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する。本実施形態の製造方法は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法で示した図4までの各工程と同じ工程を経た後に、図10以降の各工程に進む。まず、図4までの各工程により、活性領域3を囲むSTI絶縁膜10を形成し、活性領域3上にはパッド酸化膜7を介して窒化シリコン膜からなる縮退マスク層8aが形成される。なお、膜厚等の条件は第1の実施形態と同様とする。
【0034】
次に、図10に示すように、CVD法によりストッパとなる酸化シリコン膜からなるストッパ酸化膜16を形成する。ストッパ酸化膜16は、後述する工程でストッパ酸化膜16上にポリシリコン17を堆積し(図11参照)、リソグラフィ及びドライエッチングにより、パターンを形成する際のストッパとして機能する。また、ポリシリコンと酸化膜とでは、ドライエッチングによる選択性を十分に保つことができるので、ストッパ酸化膜16の膜厚は数nm程度(ここでは、5nmとした)で十分である。なお、ストッパ酸化膜16は、熱酸化法で形成することもできる。
【0035】
次に、図11に示すように、CVD法によりポリシリコン17を全面に堆積する。この工程では、図12に示す平面図のように、ポリシリコン17がSTI領域2を埋め込んで全面が略平坦になる程度の膜厚とし、且つ、後の工程でのゲートトレンチ形成用のドライエッチングで除去できる膜厚とする。即ち、ポリシリコン17を堆積する前のSTI絶縁膜10上面からポリシリコン17を堆積した後の表面までの高さがゲートトレンチ(図18参照)の深さよりも薄くなる膜厚とする。典型的な膜厚は、100nmとする。
【0036】
ここで、ポリシリコン17を堆積して全面を略平坦にするのは、平坦にしなければ、縮退マスク層8aが削れてしまい、所望の高さのFin状部を形成することが困難となるためである。つまり、ポリシリコン17は、反射防止膜(図13参照)をエッチングする際に、ストッパ酸化膜16や縮退マスク層8aを保護する機能を有する。
【0037】
次に、図13に示すように、反射防止膜18、及びフォトレジスト19を塗布し、ゲート電極4(ワード線)の反転パターンを有するレチクル(マスクともいう)を用いて露光・現像する。また、図14は、この段階での平面図である。この反転パターンを有するマスクを用いて露光・現像を行うことで、ソース領域5及びドレイン領域6と、ゲート電極4下の領域とで仕上がりの活性領域3の幅を作り分けることができる。このようにすれば、作り分けない場合に比べると、ソース領域5及びドレイン領域6のコンタクト抵抗の低減が可能となる。
【0038】
次に、図15に示すように、フォトレジスト19をマスクとして反射防止膜18をフロロカーボン系のガスを用いて異方性ドライエッチングする。この工程では、第1の実施形態の図7に示す状態と比べると、ポリシリコン17が窒化シリコン膜からなる縮退マスク層8aを覆っているので、反射防止膜18のエッチング時にゲートトレンチ加工のマスクとなるべき上記縮退マスク層8aをエッチングせずに残存させることができる。
【0039】
次に、図16に示すように、上記フォトレジスト19をマスクとして、ポリシリコン17を塩素系のガスを用いてドライエッチングして、A−A’断面及びC−C’断面でのストッパ酸化膜16を露出させる。さらに、反射防止膜18及びフォトレジスト19を、有機酸等を用いて剥離する。
【0040】
次に、図17に示すように、ストッパ酸化膜16をフロロカーボン系のガスを用いた時間指定のドライエッチングにより、10nm程度エッチングする。このエッチングにより、A−A’断面では、STI絶縁膜10、及び、パッド酸化膜7を介して縮退マスク層8aに接するシリコン基板1の上面の一部が露出する。
【0041】
次に、図18に示すように、塩素系のガスを用いた時間指定の異方性ドライエッチングにより、シリコン基板1をエッチングして、A−A’断面にゲートトレンチ20を形成する。なお、C−C’断面に示した点線は、断面の裏側に位置するゲートトレンチ20を透かして見た状態を意図している。これ以降の各工程でのC−C’断面に記載された点線も同様である。このエッチングによりA−A’断面では、トランジスタのチャネル領域となるシリコン基板1のFin状部30が形成される。また、その他の断面では、上記ポリシリコン17がエッチング除去される。典型的なゲートトレンチ20の深さ、即ちFin状部30の高さは、150nmとする。
【0042】
次に、図19に示すように、フッ酸等を用いた時間指定のウエットエッチングを行い、図18でのB−B’断面に示される上記縮退マスク層8a上のストッパ酸化膜16を除去する。
【0043】
次に、図20に示すように、熱酸化法を用いて、ドライエッチングにより露出したシリコン表面を酸化シリコン膜21で覆う。これは、後の工程でのリン酸による窒化シリコン膜(縮退マスク層8a)の除去の際に(図21参照)、シリコン表面を保護するためである。ここで、リン酸によるウエットエッチングでは、窒化シリコンと酸化シリコンとの選択比が十分に大きいので、熱酸化により形成する酸化シリコン膜21の膜厚は5nm程度で十分である。また、このプロセスで、Fin状部30の幅を調整することが可能となる。
【0044】
次に、図21に示すように、160℃のリン酸を用いて時間指定のウエットエッチングを行い、上記窒化シリコン膜からなる縮退マスク層8aを除去する。この後、ウエル拡散層形成用の不純物、及びトランジスタの閾値電圧調整用のチャネル不純物等をイオン注入法により、シリコン基板1内に導入する。
【0045】
次に、図22に示すように、フッ酸等を用いた時間指定のウエットエッチングにより、シリコン基板1表面のパッド酸化膜7及び酸化シリコン膜21を除去する。その後に改めて、熱酸化法等を用いてゲート絶縁膜22を形成する。また、図23は、この段階での平面図であって、ゲートトレンチ20に対応する部分を黒く示している。
【0046】
次に、図24に示すように、ゲート電極4(ワード線)を形成する。まず、ゲートトレンチ20を埋め込むようにポリシリコン膜23を全面に堆積する。続いて、窒化タングステン膜24、タングステン膜25、窒化シリコン膜26をこの順に積層して堆積する。その後、フォトリソグラフィとドライエッチングによりパターニングして、ゲート電極4(ワード線)を形成する。なお、ゲート電極4を加工する途中段階では、C−C’断面及び周辺回路断面に示されているように、窒化タングステン膜24、タングステン膜25からタングステンが飛散しないように、側壁窒化シリコン膜27が形成される。
【0047】
図25は、図24に示す段階での略平面図である。上記各工程による製造方法によれば、図示のように、チャネル領域となるゲート電極4下の活性領域3の幅を狭くしながら、コンタクトが形成されるソース領域5及びドレイン領域6の活性領域3の幅を確保できる。その結果、コンタクト抵抗の増大を抑制できる。
【0048】
図26は、図25の平面図に示したD−D’線に沿った断面を示している。ここで、図24の工程の後に、ゲート電極4をマスクとしてシリコン基板1内にイオン注入を行い、熱処理により、ソース領域5及びドレイン領域6を形成する。続いて、ゲート電極4の側壁にサイドウォール28を形成し、さらに、層間絶縁膜を形成してフォトリソグラフィとドライエッチングによりコンタクトホールを形成する。コンタクトホールを導体で埋め込み、コンタクトプラグ29を形成する。なお、このトランジスタ構造をDRAMのメモリセルアレイ100に適用する場合には、ソース領域5上のコンタクトプラグ29には容量素子が接続され、ドレイン領域6上のコンタクトプラグ29にはビット配線が接続される。
【0049】
本実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、ゲートトレンチ20を形成するマスクとして用いる縮退マスク層8aを一旦ポリシリコンで被覆した後、反射防止膜18を除去しているので、縮退マスク層8aがエッチングされることを回避できる。したがって、縮退マスク層8aは、十分なマスク能力を有しており、深いゲートトレンチ20を形成して、高いFin状部30を有するチャネル領域を形成できる。その結果、チャネルの断面積が増大して、短チャネル効果を抑制でき、オン、オフ特性に優れ、より大きな電流供給が可能なトランジスタを製造できる。
【0050】
上記各実施形態では、Fin状部15,30を形成するプロセスをメモリデバイスに適用する場合について詳述したが、これに限定されず、ロジックデバイスにも同様に適用してもよい。
【0051】
本発明の半導体装置の製造方法及び半導体装置では、以下の態様の採用が可能である。縮退させる工程とフィンチャネル及びゲートトレンチを形成する工程との間に、縮退した膜パターンを含む基板表面を覆う反射防止膜を形成する工程と、反転パターンをエッチングマスクとして、反射防止膜をエッチングする工程とをこの順に有する。この場合、縮退した膜パターンの膜厚が小さくなるものの、縮退した膜パターンをマスクとして、フィンチャネルを形成することができる。
【0052】
縮退させる工程とフィンチャネル及びゲートトレンチを形成する工程との間に、縮退した膜パターンをストッパ膜で保護する工程と、ストッパ膜を含む全面にポリシリコン膜を堆積する工程と、反転パターンをエッチングマスクとして、ポリシリコン膜をエッチングする工程と、ストッパ膜を除去する工程とをこの順に有する。これにより、加工用ハードマスクが、ポリシリコン/ストッパ膜(酸化膜)/膜パターン(窒化膜)の積層構造を有し、ポリシリコンが膜パターンを保護することになる。その結果、膜パターンの形状が損なわれず、フィンチャネルを精度よく形成できる。
【0053】
ゲート電極をマスクとして、不純物をイオン注入してソース及びドレイン領域を形成する工程を更に有する。このようにして、ソース及びドレイン領域と、ゲート領域とで活性領域の幅が作り分けられることになる。
【0054】
フィンチャネルの幅が、ゲート長よりも短い。これにより、短チャネル効果を抑制できる。
【0055】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明の半導体装置の製造方法及び半導体装置は、上記実施形態の構成にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法が適用されるメモリセルアレイの平面レイアウトの一例を示す図。
【図2】STI絶縁膜を埋め込んだ状態を示す断面図。
【図3】STI絶縁膜をエッチバックした状態を示す断面図。
【図4】マスク層の幅を縮退させ、縮退マスク層を形成した状態を示す断面図。
【図5】反射防止膜を回転塗布法により形成した状態を示す断面図。
【図6】図5に示す状態の平面図。
【図7】ゲート電極を形成する領域に表面が露出している反射防止膜をドライエッチングした状態を示す断面図。
【図8】パッド酸化膜の膜厚分の酸化膜をエッチングし、シリコン基板の表面を露出させた状態を示す断面図。
【図9】縮退マスク層、パッド酸化膜及びSTI絶縁膜をマスクとして、ゲートトレンチを形成した状態を示す断面図。
【図10】図4に示す状態からCVD法によりストッパ酸化膜を形成した状態を示す断面図。
【図11】CVD法によりポリシリコンを全面に堆積した状態を示す断面図。
【図12】図11に示す状態の平面図。
【図13】ゲート電極の反転パターンを有するレチクルを用いて露光・現像した状態を示す断面図。
【図14】図13に示す状態の平面図。
【図15】フォトレジストをマスクとして反射防止膜を異方性ドライエッチングした状態を示す断面図。
【図16】フォトレジストをマスクとしてポリシリコンをドライエッチングした状態を示す断面図。
【図17】ストッパ酸化膜をドライエッチングした状態を示す断面図。
【図18】縮退マスク層、ストッパ酸化膜及びポリシリコンをマスクとして、ゲートトレンチを形成した状態を示す断面図。
【図19】縮退マスク層上のストッパ酸化膜を除去した状態を示す断面図。
【図20】シリコン表面を酸化シリコン膜で覆った状態を示す断面図。
【図21】縮退マスク層を除去した状態を示す断面図。
【図22】パッド酸化膜及び酸化シリコン膜を除去し、ゲート絶縁膜を形成した状態を示す断面図。
【図23】図22に示す状態の平面図。
【図24】ゲート電極を形成した状態を示す断面図。
【図25】図24に示す状態の平面図。
【図26】図25の平面図に示したD−D’線に沿った断面図。
【図27】従来のメモリセルアレイの平面レイアウトの一例を示す図。
【符号の説明】
【0057】
1:半導体基板(シリコン基板)
2,102:STI領域
3,103:活性領域
4,104:ゲート電極(ワード線)
5,105:ソース領域
6,106:ドレイン領域
7:パッド酸化膜
8:マスク層
8a:縮退マスク層
9:STIトレンチ
10:STI絶縁膜
11,18:反射防止膜
12,19:フォトレジスト
13,20:ゲートトレンチ
14:上面
15,30:フィンチャネル(Fin状部)
16:ストッパ酸化膜
17:ポリシリコン
21:酸化シリコン膜
22:ゲート絶縁膜
23:ポリシリコン膜
24:窒化タングステン膜
25:タングステン膜
26:窒化シリコン膜
27:側壁窒化シリコン膜
28:サイドウォール
29:コンタクトプラグ
100:メモリセルアレイ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜パターンをエッチングマスクとして半導体基板の表面を選択的にエッチングして活性領域及び素子分離領域を形成する工程と、
前記膜パターンの幅を縮退させる工程と、
ゲート電極パターンの反転パターンと前記縮退した膜パターンとをエッチングマスクとして、前記活性領域の表面を更にエッチングし、フィンチャネル及びゲートトレンチを形成する工程と、
前記フィンチャネルの表面及びゲートトレンチの底部にゲート酸化膜を形成する工程と、
前記ゲート酸化膜を覆い且つ前記ゲートトレンチを埋め込むゲート電極を形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記縮退させる工程と前記フィンチャネル及びゲートトレンチを形成する工程との間に、
前記縮退した膜パターンを含む基板表面を覆う反射防止膜を形成する工程と、
前記反転パターンをエッチングマスクとして、前記反射防止膜をエッチングする工程とをこの順に有する、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記縮退させる工程と前記フィンチャネル及びゲートトレンチを形成する工程との間に、
前記縮退した膜パターンをストッパ膜で保護する工程と、
前記ストッパ膜を含む全面にポリシリコン膜を堆積する工程と、
前記反転パターンをエッチングマスクとして、前記ポリシリコン膜をエッチングする工程と、
前記ストッパ膜を除去する工程とをこの順に有する、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記ゲート電極をマスクとして、不純物をイオン注入してソース及びドレイン領域を形成する工程を更に有する、請求項1〜3の何れか一に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
フィンチャネルを有するMISFETを備える半導体装置であって、
ソース及びドレイン領域の幅が活性領域の幅と同じであり、前記フィンチャネルの幅が前記活性領域の幅よりも小さいことを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
前記フィンチャネルの幅が、ゲート長よりも短い、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項1】
膜パターンをエッチングマスクとして半導体基板の表面を選択的にエッチングして活性領域及び素子分離領域を形成する工程と、
前記膜パターンの幅を縮退させる工程と、
ゲート電極パターンの反転パターンと前記縮退した膜パターンとをエッチングマスクとして、前記活性領域の表面を更にエッチングし、フィンチャネル及びゲートトレンチを形成する工程と、
前記フィンチャネルの表面及びゲートトレンチの底部にゲート酸化膜を形成する工程と、
前記ゲート酸化膜を覆い且つ前記ゲートトレンチを埋め込むゲート電極を形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記縮退させる工程と前記フィンチャネル及びゲートトレンチを形成する工程との間に、
前記縮退した膜パターンを含む基板表面を覆う反射防止膜を形成する工程と、
前記反転パターンをエッチングマスクとして、前記反射防止膜をエッチングする工程とをこの順に有する、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記縮退させる工程と前記フィンチャネル及びゲートトレンチを形成する工程との間に、
前記縮退した膜パターンをストッパ膜で保護する工程と、
前記ストッパ膜を含む全面にポリシリコン膜を堆積する工程と、
前記反転パターンをエッチングマスクとして、前記ポリシリコン膜をエッチングする工程と、
前記ストッパ膜を除去する工程とをこの順に有する、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記ゲート電極をマスクとして、不純物をイオン注入してソース及びドレイン領域を形成する工程を更に有する、請求項1〜3の何れか一に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
フィンチャネルを有するMISFETを備える半導体装置であって、
ソース及びドレイン領域の幅が活性領域の幅と同じであり、前記フィンチャネルの幅が前記活性領域の幅よりも小さいことを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
前記フィンチャネルの幅が、ゲート長よりも短い、請求項5に記載の半導体装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2009−158813(P2009−158813A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−337378(P2007−337378)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]