説明

半導体装置、その半導体装置の製造方法及びパワーモジュール

【課題】絶縁層を厚くして電極間の寄生容量を低く抑えることができ、かつ、当該絶縁層に精度良く開口部を形成して作製される小型の半導体装置、その半導体装置の製造方法、及びその半導体装置を含むパワーモジュールを提供する。
【解決手段】セル160は、基板104と、基板104上に形成されるドレイン電極180、ソース電極182、及びゲート電極184と、基板104及び各電極上に形成され、ドレイン電極180の表面を露出する開口部220が形成された絶縁層142とを含む。開口部220は、ドレイン電極180の表面から絶縁層142の表面に向かってその径を広げながら所定高さまで立上がる壁面222と、基板104の表面から当該所定高さで基板104の表面に平行となった踊り場状の平坦面224と、平坦面224から絶縁層142の表面に向かってその径を広げながら立ち上がる壁面226とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、その半導体装置の製造方法、及びその半導体装置を含むパワーモジュールに関し、電極層の上に複数の絶縁層を形成することで、電極間の寄生容量を抑えることができ、かつ、精度良く絶縁層のパターニングが行なえる半導体装置、その半導体装置の製造方法、及びその半導体装置を含むパワーモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、パワー半導体素子として、シリコン等の半導体材料が多く用いられている。しかし、一方で、絶縁破壊電界が大きく、また、耐熱性に優れていることから、窒化ガリウム、シリコンカーバイド(SiC)、及びダイヤモンド等の窒化物系化合物半導体材料が注目されている。そこで、そのような窒化物系化合物半導体材料の横型電界効果型トランジスタ(以下、横型FETと呼ぶ。)の開発が数多く行なわれている。
【0003】
横型FETは、一般的に、半導体基板と、その半導体基板の表面に形成された、ソース電極、ゲート電極、及びドレイン電極とで構成される。それらの電極は、それぞれ金属配線によって、横型FETから離れた位置に形成された、互いに異なるボンディングパッドに接続されており、それらのボンディングパッドは、配線基板へと接続され回路が形成される。
【0004】
そのようなボンディングパッドは、一般的に、半導体基板の表面上において、半導体素子として動作しない部分に形成される。近年、半導体素子の微細化により、半導体チップの中で半導体素子として動作する部分は非常に縮小されており、半導体チップにおけるボンディングパッドが占める部分の割合は相対的に大きくなっている。これは、半導体チップの小型化の弊害となっている。
【0005】
そこで、特許文献1では、半導体チップの全体のサイズを縮小するための半導体素子を開示している。特許文献1では、以下に述べる方法により、半導体素子を作製する。
【0006】
半導体基板の表面上に、互いに一定距離を隔ててドレイン電極、ソース電極、及びゲート電極を形成する。半導体基板の表面全体に絶縁膜を形成する。絶縁膜のうち、ドレイン電極、ソース電極、及びゲート電極のうちのある電極の表面に臨む領域をエッチング処理によって除去することで、その電極の表面に位置合わせされた開口部を形成する。半導体基板の表面上にAl等の金属を推積させ金属膜を形成する。最後に、半導体基板の表面の全面にボンディングパッドを形成する。
【0007】
上記のように半導体素子を製造することにより、半導体チップにおける半導体素子のサイズに合わせて、そのある電極のためのボンディングパッドが占める部分のサイズも縮小化できる。
【特許文献1】特開2006‐270112
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
パワー半導体素子として使われているシリコンの半導体素子は、ほとんど縦型構造であり、高電圧をかけたとしても、その電圧は半導体基板にかけられていた。したがって、半導体基板の表面に形成された電極に高電圧をかけることがなかったため、半導体表面での寄生容量の発生は、これまであまり問題視されなかった。
【0009】
しかし、横型FETのパワー半導体素子では、ソース電極、ゲート電極、及びドレイン電極の間には、数百ボルトの電圧がかけられる。そのような大きな電圧をかけた場合、電極間には大きな寄生容量が発生する。特許文献1に記載の半導体素子では、各電極に数百ボルトの電圧をかけた場合、電極間に大きな寄生容量が発生する。
【0010】
寄生容量を小さくするためには、電極間に形成された絶縁層を厚くすれば良い。しかし、絶縁層を厚くすると、寄生容量は抑えられる一方で、絶縁層に開口部を形成する位置を調整するための精度が悪くなってしまうという問題がある。なぜなら、絶縁層が厚くなることにより、開口部を形成するためのアライメントのマークが見えにくくなるからである。そのため、電極間の絶縁性が低下し、歩留まりが悪くなるという問題がある。
【0011】
位置を調整するための精度が悪くなる分だけ、電極のサイズを大きくすれば良いと考えられるが、それでは、半導体素子の全体のサイズが大きくなってしまうという問題点がある。
【0012】
したがって、本発明は、電極間の寄生容量を低く抑えることができ、かつ、大型化を避けることができる半導体装置、その半導体装置の製造方法、及びその半導体装置を含むパワーモジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の局面に係る半導体装置は、主表面を有する半導体基板と、主表面の上に形成された電極と、主表面及び電極の上に形成され、電極の上部を露出するように形成された開口部を有する絶縁層と、絶縁層と、電極の、開口部によって露出された部分との上に形成された導電体層とを含む半導体装置である。開口部は、電極に接する位置から主表面と交差する方向に所定の高さまで延びる第1の壁面と、第1の壁面の上端から開口部の外側に向かって、主表面と略平行に延びる第2の壁面と、第2の壁面の外縁から絶縁層の表面に向かって延びる第3の壁面とを有する。
【0014】
このような半導体装置では、電極の直上に形成される開口部の第1の壁面の高さは、絶縁層の高さより小さくて済む。そのため、この開口部を形成する際の位置合わせは正確に行える。一方で、絶縁層の高さはさらに高くなっているため、上記したような寄生容量の問題は緩和される。その結果、電極間の寄生容量を低く抑えることができ、かつ、大型化を避けることができる半導体装置を提供できる。
【0015】
好ましくは、絶縁層は、主表面及び電極上に形成され、電極の上部を露出するように形成された開口部を有する第1の絶縁膜と、第1の絶縁膜上に形成され、第1の絶縁膜の表面の、開口部が形成された領域を含む領域を露出するように形成された開口部を有する第2の絶縁膜とを含み、第1の絶縁膜の開口部の内壁が第1の壁面を構成し、第1の絶縁膜の、第2の絶縁膜の開口部によって露出された上面が第2の壁面を構成し、第2の絶縁膜の開口部の内壁が第3の壁面を構成する。
【0016】
より好ましくは、第1の絶縁膜の厚さは0.5μm以上であり、かつ、第2の絶縁膜の厚さは3以上、20μm以下である。
【0017】
さらに好ましくは、第1の絶縁膜及び第2の絶縁膜はいずれも、ポリイミドにより形成されている。
【0018】
第1の絶縁膜は酸化膜により形成されていてもよい。
【0019】
好ましくは、第2の絶縁膜はポリイミドにより形成されていてもよい。
【0020】
より好ましくは、半導体基板は、ワイドバンドギャップ半導体からなる。
【0021】
本発明の第2の局面に係るパワーモジュールは、上記したいずれかの半導体装置を含む。
【0022】
本発明の第3の局面に係る半導体装置の製造方法は、主表面を有する半導体基板の主表面上に電極を形成するステップと、主表面及び電極の上に、電極の上部を露出する開口部が形成された絶縁層を形成するステップと、絶縁層と、電極の、開口部によって露出された部分との上に、導電体層を形成するステップとを含み、開口部は、電極に接する位置から主表面と交差する方向に所定の高さまで延びる第1の壁面と、第1の壁面の上端から開口部の外側に向かって、主表面と略平行に延びる第2の壁面と、第2の壁面の外縁から絶縁層の表面に向かって延びる第3の壁面とを有する。
【0023】
このような半導体製造方法によれば、電極の直上に形成される開口部の第1の壁面の高さは、絶縁層の高さより小さくて済む。そのため、この開口部を形成する際の位置合わせは正確に行える。一方で、絶縁層の高さはさらに高くなっているため、上記したような寄生容量の問題は緩和される。その結果、電極間の寄生容量を低く抑えることができ、かつ、大型化を避けることができる半導体装置に製造方法を提供できる。
【0024】
好ましくは、絶縁層を形成するステップは、主表面及び電極上に、電極の上部を露出するように形成された開口部を有する第1の絶縁膜を形成するステップと、第1の絶縁膜の上に、第1の絶縁膜の表面の、開口部が形成された領域を含む領域を露出するように形成された開口部を有する第2の絶縁膜を形成するステップとを含み、第1の絶縁膜の開口部の内壁が第1の壁面を構成し、第1の絶縁膜の、第2の絶縁膜の開口部によって露出された上面が第2の壁面を構成し、第2の絶縁膜の開口部の内壁が第3の壁面を構成する。
【0025】
より好ましくは、第1の絶縁膜を形成するステップは、主表面及び電極上に、第1のポリイミド層を形成するステップと、第1のポリイミド層の電極上に、電極の上部を露出する開口部を形成するステップと、第1のポリイミド層を硬化するステップとを含む。
【0026】
さらに好ましくは、第2の絶縁膜を形成するステップは、第1のポリイミド層及び開口部を介して露出された電極上に、第2のポリイミド層を形成するステップと、第2のポリイミド層の、第1のポリイミド層の開口部が形成された領域を含む領域からポリイミドを除去することにより、第2のポリイミド層の開口部を形成するステップとを含む。
【0027】
第1の絶縁膜を形成するステップは、主表面及び電極上に、酸化膜を形成するステップと、酸化膜の、電極上の部分を除去することにより酸化膜に、電極の上面を露出させる開口部を形成するステップとを含んでもよい。
【0028】
好ましくは、第2の絶縁膜を形成するステップは、酸化膜及び開口部を介して露出された電極上に、ポリイミド層を形成するステップと、ポリイミド層の、酸化膜の開口部が形成された領域を含む領域からポリイミドを除去することにより、ポリイミド層の開口部を形成するステップとを含む。
【発明の効果】
【0029】
以上のように本発明によれば、電極の直上に形成される開口部の第1の壁面の高さは、絶縁層の高さより小さくて済む。そのため、この開口部を形成する際の位置合わせは正確に行なえる。一方で、絶縁層の高さはさらに高くなっているため、上記したような寄生容量の問題は緩和される。その結果、電極間の寄生容量を低く抑えることができ、かつ、大型化を避けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下の実施の形態の説明では、同一の部品には同一の参照番号を付してある。それらの機能及び名称も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0031】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置100の平面図である。図2は、半導体装置100の上面に形成されているドレイン電極及び絶縁層(これらについては後述する。)を取去ったときの半導体装置100の平面図である。図3は、半導体装置100の、図1の一点鎖線3‐3における断面図である。
【0032】
図1及び図3を参照して、本実施の形態に係る半導体装置100は、表面及び裏面を有する、扁平な厚さ約100μmの略直方体形状の半導体基板である基板104と、基板104の表面の一部の領域110を除くほぼ全面に形成され、後述するスーパーセルを構成する電極群が形成されたスーパーセル電極層140と、スーパーセル電極層140の上に感光性のポリイミドにより形成された絶縁層142と、絶縁層142の上にTi、Wにより形成された金属膜146とを含む。領域110は、基板104の表面の長方形の互いに対向する2組の2辺のうち、短い方の2辺の内の一方の辺108の中央に設けられている。この部分にはスーパーセル電極層140は形成されていない。
【0033】
半導体装置100はさらに、基板104の裏面に形成されたソースボンディングパッド144と、金属膜146の表面にAlにより形成されたドレインボンディングパッド102とを含む。
【0034】
金属膜146は、絶縁層142に形成された開口部を介して各スーパーセル群の各スーパーセルのドレイン電極と接続されている。ソースボンディングパッド144は、基板104に形成されたソースバイアホール150によって各スーパーセルのソース電極と接続されている。電極層の外周部は各スーパーセルのゲート電極と接続されたゲート電極層となっている。長方形領域110上には、このゲート電極層と接続されたゲート電極が形成されており、その上にはゲートボンディングパッド106が形成されている。
【0035】
図2を参照して、基板104の表面に形成されたスーパーセル電極層140は、以下に述べるように複数個のスーパーセル120A,120B,120C,…を形成している。図2に示す例では、スーパーセル120A,120B,120C,…の各々は基板104の表面積を6×13=78分割したのとほぼ同じ面積を有する。この実施の形態では、これらスーパーセル120A,120B,120C,…は全部で74個あり、基板104の表面の長方形領域110を除く領域に規則正しく配置されている。
【0036】
スーパーセル120A,120B,120C,…はいずれも同じ構造を有する。以下の説明では、スーパーセル120A,120B,120C,…を包括的にスーパーセル120と呼ぶ。
【0037】
図4は、スーパーセル120の電極配置を示す平面図である。図5は、スーパーセル120の、図4の一点鎖線5‐5における断面図である。
【0038】
図4及び図5を参照して、スーパーセル120は、互いに隙間なく、蜂の巣状になるように、規則正しく3列に配列された、各々が同形の六角形の複数個のセル160A,160B,…を含む。ただし、これら3列のうち、中央の列の中央部分にはセルは配置されていない。
【0039】
図6は、セル160の平面図である。図7、図8(A)及び図8(B)は、それぞれ図6のX‐X線、Y‐Y線、及びZ‐Z線における断面図である。
【0040】
図8(A)及び(B)を参照して、基板104は、表面及び裏面を有する、SiからなるSi基板232と、Si基板232の表面上でGaNをエピタキシャル成長させることによって形成されたGaN層234と、GaN層234上にAlGaNをエピタキシャル成長させることによって形成されたAlGaN層236とを含む。
【0041】
Si基板232の裏面には、ソースボンディングパッド144が形成される。
【0042】
図6を参照して、各セル160は、正六角形のうち対向する一対の辺をその長さ方向に引き伸ばした外形を有する。セル160は、その外周部に沿って外形が六角形となるように一定の幅で帯状に形成された、Hf、Al、及びAuの合金からなるソース電極182と、ソース電極182の内部の基板表面に、ソース電極182と一定距離を隔てて所定の幅で帯状に形成された、Hf、Al、及びAuの合金からなるゲート電極184と、ゲート電極184の内部の基板表面に、ゲート電極184と間隔を隔てた島となるように形成された、WN及びAuの合金からなるドレイン電極180とを含む。ゲート電極184の外周及びドレイン電極180の外周はいずれもセル160の外周と似た六角形状となっている。ソース電極182は、基板表面を、ドレイン電極180及びゲート電極184が形成された素子形成領域とそれ以外の領域とに区分するように形成されている。
【0043】
図6ではセル160が孤立して示されているが、実際には図4に示すようにセル160同士は互いに隣接して配置されている。したがって、セル160のソース電極182は隣接するセルのソース電極182と連続している。その結果、ソース電極182はスーパーセル120の表面に網の目のように形成されており、素子形成領域が互いに離隔して複数個形成されている。また、図4に示す中央列の中央部分には、セルに代えてソース電極部152が形成されており、全てのセルのソース電極182はこのソース電極部152に接続されている。また、スーパーセル120の表面の内、セル160が形成されている領域の外側には、セル160を囲むようにしてゲート電極層154が形成されており、ゲート電極層154は隣接するスーパーセルのゲート電極層154に接続されている。こうして、全てのスーパーセル120のゲート電極層154は、図1に示す領域110に形成されたゲート電極層に接続されている。なお、このソース電極部152の下部の基板には、基板裏面のソースボンディングパッド144とソース電極部152とを接続するためのソースバイアホール150が形成されている。
【0044】
再び図6を参照して、セル160においては、上記したようにドレイン電極180、ゲート電極184及びソース電極182が同心に形成されている。一方、ドレイン電極180及びゲート電極184を、それぞれ図3に示す金属膜146及びゲートボンディングパッド106に接続する必要がある。本実施の形態では、以下のようにしてこの接続を行なっている。
【0045】
まず、ゲート電極184の接続について図6及び図7を参照して説明する。本実施の形態では、各セル160の外周部のソース電極182について、その六角形の各辺の中央部分に図7に示すように不連続部分を形成している。その不連続部分に、セル内のゲート電極184からのゲート引出電極186を形成し、隣接するセルのゲート電極184同士をこのゲート引出電極186で接続する。ソース電極182の最も外側に配置されたセル160の、ソース電極182の外側境界に面した辺では、そのセルのゲート電極184はゲート引出電極186によってスーパーセル120の外側領域に形成されたゲート電極層154に接続される。
【0046】
一方、セル160内のソース電極182は以下のようにして互いに接続される。すなわち、図7に示されるように、ゲート引出電極186上に絶縁膜188を形成し、この絶縁膜上に、ソース電極182同士を接続するための金属層190を形成する。セル160内の六角形の各辺の中央部においてこのような構造を形成することで、セル160内のゲート電極184が隣接するセル内のゲート電極と接続され、かつ、セル160内の全てのソース電極182が互いに接続されて、リング状のソース電極が形成される。
【0047】
図8(A)を参照して、セル160のドレイン電極180は、前述したとおり絶縁層142に形成された開口部によって金属膜146と接続される。本実施の形態のようなパワートランジスタでは、ドレイン−ソース間にかなり高い電圧がかかる。したがって、短絡を防ぐために図3に示す絶縁層142の厚さをかなり大きくしなければならない。絶縁層142の厚さが大きくなると、特にセル160を構成する各電極のサイズが小さい場合には、開口部を形成する際の位置決めを正確に行なうことが難しくなる。開口部形成のエッチング形成時の誤差も入れるとさらにこの開口部を形成する作業が困難になり、半導体装置の作製に支障を来たす。そこで、本実施の形態では、所定の作製方法でこの開口部を形成することにより、位置合わせの精度を高めるようにする。ただしその方法については後述することにし、ここでは、電極層上に形成される絶縁層と、その絶縁層を形成した結果として得られる開口部形状について説明する。
【0048】
図8(B)を参照して、図6のZ‐Z線における断面図は、図8(A)とほぼ同様であるが、ゲート電極184がゲート引出電極186により引き出されている点、及びゲート引出し電極186の上部に絶縁膜188及び金属層190がこの順で形成されている点が異なる。
【0049】
本実施の形態に係るセル160では、開口部220は、絶縁層142の表面で広く、ドレイン電極180付近で狭くなっているが、底部ではその径は約3μmである。さらにこの開口部220は、ドレイン電極180の部分から絶縁層142の表面に向かってその径を広げながら0.6μm程度の高さまで立上がる壁面222と、基板104の表面から0.6μmの高さで基板104の表面に平行となった踊り場状の平坦面224と、この平坦面224から絶縁層142の表面に向かってその径を広げながら立ち上がる壁面226とを有する。すなわち開口部220は2段の階段状の壁面を有する。このような形状となっているのは、開口部220の形成方法に関連がある。形成については後述する。
【0050】
再び図6を参照して、本実施の形態では、各セル160の長手方向に沿って互いに最も離れている頂点同士の距離Lは100μmである。この距離Lをセル160の長さと呼ぶ。セル160の、短手方向の距離Wは30μmである。この距離Wをセル160の幅と呼ぶ。セル160において、Y‐Y線上でのドレイン電極180の幅、ソース電極182の幅、ゲート電極184の幅、及びゲート電極184の外周からソース電極182の内周までの距離は、それぞれ5μm、3μm、2μm、及び6μmである。図6のY‐Y線上においてドレイン電極180の外周上の点から、ゲート電極184の内周までの距離は5μmである。
【0051】
(製造方法)
以下、セル160の製造方法について述べる。半導体装置100を構成するセル160は全て同時に作製される。
【0052】
先ず、Si基板232の上に、GaNをエピタキシャル成長させることによりGaN層234を形成する。GaN層234の上に、AlGaNをエピタキシャル成長させることによりAlGaN層236を形成する。
【0053】
基板104の表面に、フォトレジストが塗布される。その後、フォトマスクを用いた露光法、干渉露光法、又は電子ビーム露光法等によりドレイン電極180、ソース電極182、及びゲート電極184の平面パターンにしたがってフォトレジストの露光が行なわれる。適切な現像液を用いてフォトレジストを現像し、フォトレジストの不要部分を除去する。この結果、ドレイン電極180、ソース電極182、及びゲート電極184を形成するためのパターンが基板104の表面上に形成される。
【0054】
図9(A)は、基板104の表面のセル160が形成される部分の平面図であり、図9(B)及び図9(C)はそれぞれ、図9(A)の一点鎖線Y‐Y及びZ‐Zにおける断面図である。以後の図10〜図12についても同様である。
【0055】
図9(A)〜(C)を参照して、基板104の表面に形成されたフォトレジストパターンをマスクとするスパッタ法を用いて、ドレイン電極180及びソース電極182の部分にHf、Al、Hf、及びAuの順に金属をそれぞれ10nm、100nm、35nm、及び240nmの厚さになる様に堆積させた後、リフトオフ法によりフォトレジストを除去し、窒素雰囲気中にて、800℃で1分間の熱処理を行なう。これにより、金属同士を合金化して、ドレイン電極180及びソース電極182が形成される。
【0056】
図10(A)〜(C)を参照して、スパッタ法を用いて、スパッタ法により、WN及びAuの順に金属を、それぞれ50nm 、240nmの厚さになる様に堆積させ、リフトオフ法によりゲート電極184及びゲート引出電極186を形成する。
【0057】
図11(A)〜(C)を参照して、ゲート引出電極186の各々の近傍において、ゲート引出電極186及びその両側のソース電極182の端部を覆うように絶縁膜188を形成する。
【0058】
図12(A)〜(C)を参照して、ゲート引出電極186の各々の近傍において、絶縁膜188上に、ゲート引出電極186の両側のソース電極182の端部を接続するように金属層190を形成する。
【0059】
以上でセル160のドレイン電極180、ソース電極182、ゲート電極184及びゲート引出電極186が完成する。
【0060】
図13(A)及び(B)は、図12の後のセル160の製造工程を示す図である。図13(A)は図9の一点鎖線X‐Xに相当する位置での断面図であり、図13(B)は図10の、一点鎖線Y‐Yに相当する位置での断面図である。図14〜図17についても同様である。
【0061】
図13(A)及び(B)を参照して、図12までの工程で作製された各セルの電極上を含む基板104の表面全体に、基板104の表面からの高さが均等に0.6μmになるように、感光性のポリイミドからなる第1の絶縁膜238を形成する。第1の絶縁膜238の表面のうち、ドレイン電極180の表面に臨む領域に、所定のパターンにしたがって紫外線を露光する。
【0062】
図14(A)及び(B)を参照して、適切な現像液を用いて第1の絶縁膜238を現像することにより、第1の絶縁膜238の表面のうち、紫外線が露光された部分に開口部230が形成される。図14(A)及び(B)に示される開口部230は連続したものである。第1の絶縁膜238にベークを施すことにより、第1の絶縁膜238を硬化させる。
【0063】
図15(A)及び(B)を参照して、さらに、基板104の表面上の全領域に、基板104の表面からの高さが均等に10μmになるように、感光性のポリイミドからなる第2の絶縁膜240が形成される。この場合に利用されるポリイミドには、第1の絶縁膜238を形成したときのポリイミドの粘度よりも高い粘度を持つものが使用される。逆に言えば第1の絶縁膜238を形成するときのポリイミドの粘度を低くすることで、第1の絶縁膜238の表面を平坦に、かつ厚さを小さくすることができる。第1の絶縁膜238の厚さが小さいため、開口部230を精度よくドレイン電極180の上部に形成することができる。
【0064】
第2の絶縁膜240の表面のうち、第1の絶縁膜238に形成された開口部230に臨む領域に、所定のパターンにしたがって紫外線を露光する。
【0065】
図16(A)及び(B)を参照して、適切な現像液を用いて第2の絶縁膜240を現像することにより、第2の絶縁膜240の表面のうち、紫外線が露光された部分に開口部220が形成される。絶縁層142に平坦面224が形成されるのは、上のような製造工程を経て形成されるためである。第2の絶縁膜240にベークを施すことにより、第2の絶縁膜240を硬化させる。
【0066】
図17(A)及び(B)を参照して、さらに、スパッタ法を用いて基板104の表面上に、開口部220及び開口部230の内部を含む全領域においてTi及びWの順に金属を堆積させ、金属膜146を形成する。金属膜146は開口部230の底部においてドレイン電極180と接触して形成される。その結果、各セルのドレイン電極180が金属膜146と接続される。
【0067】
図示しないが、最後に基板104の表面の全面にドレインボンディングパッド102をスパッタ法により形成する。
【0068】
(本実施の形態の効果)
この様に、本実施の形態に係る半導体装置100の製造工程において、第1の絶縁膜238の上に、第2の絶縁膜240を形成することにより、従来と比較して、各電極の上に形成される絶縁層を厚くすることができ、基板104の表面と、金属膜146との間の距離を大きくすることができる。したがって、各電極に数百ボルトの大きな電圧をかけたとしても、ゲート電極184及びソース電極182と、金属膜146との間に生じる寄生容量を小さくすることができる。
【0069】
また、半導体装置100の製造工程において、基板104及び各電極の上に第1の絶縁膜238が形成され、第1の絶縁膜は、エッチング除去される。その工程によって、第1の絶縁膜238は、ドレイン電極180の表面を露出するように、精度良くエッチング除去することができ、基板104上のドレイン電極180が占める面積を小さくすることができる。ドレイン電極180の面積を小さくすることにより、基板104の表面のサイズも小さくすることができ、半導体装置100のサイズも小さくすることができる。
【0070】
第1の絶縁膜238及び第2の絶縁膜240は、共にポリイミドなので、上記したような比較的厚い絶縁層の形成を容易に行なうことができる。
【0071】
ポリイミドの比誘電率はおよそ3であり、比誘電率の値が小さいことから、寄生容量を小さくするのに効果がある。
【0072】
また、ポリイミドは、絶縁破壊電界が大きく、電極間に高い電圧をかけたとしても、各電極間の絶縁性に優れている。
【0073】
さらに、ポリイミドは、基板104上に形成される場合、その表面を基板104の表面と略平行にして形成するのが容易であるという性質がある。したがって、金属膜146の上にドレインボンディングパッド102を形成した場合、そのボンディングパッドとボンディングワイヤとの密着性が良くなり、ボンディングを行ないやすくなる。
【0074】
(本実施の形態の変形例)
上記した実施の形態では、基板104の表面から第1の絶縁膜238の表面まで高さは、均等に0.6μmとなるように、第1の絶縁膜238は形成されていた。また、基板104の表面からの第2の絶縁膜240の高さは、均等に10μmとなるように、第2の絶縁膜240は形成されていた。しかし、本発明はそのような実施の形態には限定されず、用途に応じてこれらの高さを変化させてもよいことはいうまでもない。
【0075】
例えば、基板104の表面からの第1の絶縁膜238の高さは0.5μm以上であり、かつ、基板104の表面からの第2の絶縁膜240の高さは、3〜20μm程度であれば良い。
【0076】
第1の絶縁膜238の高さを0.5μm以上にすることによって、第2の絶縁膜240に開口部を形成する位置が大きくずれたとしても、以下に説明するように安定した半導体装置を製造することができるからである。すなわち、第2の絶縁膜240に開口部を形成する位置が大きくずれてしまった場合、金属膜146がドレイン電極180の表面の外側にはみ出してしまい、そのはみ出した部分で絶縁破壊が起こることが考えられる。しかし、第1の絶縁膜238の高さを0.5μm以上とすることで、金属膜146がドレイン電極180の表面からはみ出したとしても、そのはみ出た部分と基板104の表面との間に存在する第1の絶縁膜238によって、十分な絶縁性を保つことができる。
【0077】
また、基板104の表面からの第2の絶縁膜240の高さを3〜20μmにすることによって、各電極間の寄生容量を小さくすることができる。また、ボンディングパッドへの衝撃による、半導体素子として動作する部分へのダメージを小さくすることができる。
【0078】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態に係る半導体装置は、第1の実施の形態に係る半導体装置100とほぼ同様の構成であるが、第1の実施の形態での絶縁層142に代えて、シリコン酸化膜及び感光性のポリイミドからなる絶縁層302を含む点で、第1の実施の形態に係るセル160と異なるセル300を含む点において異なる。
【0079】
図18は、第2の実施の形態に係る半導体装置のスーパーセルを構成するセル300の平面図である。図19(A)及び(B)はそれぞれ、図18のX‐X線、及びY‐Y線に沿う断面図である。この実施の形態においても、セル300の各電極は第1の実施の形態と同様、基板104の表面上に形成されている。半導体装置100を構成するスーパーセルの配置、及びスーパーセルを構成するセル300の配置も第1の実施の形態の場合と同様である。
【0080】
図18、並びに図19(A)及び(B)を参照して、基板104の表面に形成されているドレイン電極180、ゲート電極184、ソース電極182、絶縁膜188、及び金属層190の配置は、第1の実施の形態の場合と同様である。図19(A)及び図19(B)を参照して、セル300はさらに、絶縁層142、金属膜146、及びドレインボンディングパッド102とそれぞれ同様の形状に形成された絶縁膜302、金属膜308、及びドレインボンディングパッド(図示せず)とを含む。
【0081】
本実施の形態では、絶縁層302に、第1の実施の形態で述べた開口部220と同様の形状の開口部310が形成される。
【0082】
(製造工程)
以下、図20〜図23を参照して、セル300の製造方法について述べる。
【0083】
基板104、ドレイン電極180、ゲート電極184、ソース電極182、絶縁膜188、及び金属層190の形成方法は、第1の実施の形態において、図9〜12を用いて述べた方法と同様である。
【0084】
図20(A)及び(B)は、セル300の製造方法を工程順に示す図であり、それぞれ図18に示す一点鎖線Y‐Y及びZ‐Zに相当する位置での断面図である。図21〜23についても同様である。
【0085】
図20(A)及び(B)を参照して、各セルの電極上を含む基板104の表面全体に、基板104の表面からの高さが均等に0.6μmになるように、シリコン酸化膜からなる第1の絶縁膜322を積層し、第1の絶縁膜322の上にレジスト膜320を塗布する。レジスト膜320の表面のうち、ドレイン電極180の表面に臨む領域に、所定のパターンにしたがって紫外線を露光する。
【0086】
図21(A)及び(B)を参照して、適切な現像液を用いてレジスト膜320を現像し、レジスト膜320の不要部分を除去する。レジスト膜320の表面のうち紫外線が露光された部分に開口部330が形成される。
【0087】
図22(A)及び(B)を参照して、第1の絶縁膜322の表面のうち、ドレイン電極180の表面に臨む領域から、ドレイン電極180の上面に位置合わせされた開口部332を、バッファードフッ酸でウェットエッチングすることにより除去する。
【0088】
図23(A)及び(B)を参照して、レジスト膜320を除去する。
【0089】
その後、本実施の形態に係る第2の絶縁膜、開口部310、及び金属膜308、及び本実施の形態に係るドレインボンディングパッドが、第1の実施の形態における第2の絶縁膜240、開口部220、金属膜146、及びドレインボンディングパッド102と同様にして形成される。
【0090】
(本実施の形態の効果)
本実施の形態に係るセル300は、第1の実施の形態に係るセル160とは、基板104及び各電極の上にポリイミドを形成するか、又はシリコン酸化膜を形成するかという点でのみ異なっており、その他の点では同一である。したがって、第1の実施の形態に係る半導体装置100と同様、本実施の形態に係る半導体装置も、従来と比較して、各電極の上に形成される絶縁層を厚くすることができる。その結果、各電極に数百ボルトの大きな電圧をかけたとしても、ゲート電極184及びソース電極182と、金属膜308との間に生じる寄生容量を小さくすることができる。
【0091】
また、本実施の形態に係る半導体装置の製造工程において、第1の絶縁膜322は、ドレイン電極180の表面を露出するように精度良くエッチング除去される。したがって、基板104上のドレイン電極180が占める面積を小さくすることができる。ドレイン電極180の面積を小さくすることにより、基板104の表面のサイズも小さくすることができ、本実施の形態に係る半導体装置のサイズも小さくすることができる。
【0092】
(本実施の形態の変形例)
上記した実施の形態では、基板104の表面から第1の絶縁膜322の表面までの高さは、均等に0.6μmとなるように、第1の絶縁膜322は形成されていた。しかし、本発明はそのような実施の形態には限定されず、用途に応じてこの高さを変化させてもよいことはいうまでもない。
【0093】
例えば、基板104の表面からの第1の絶縁膜322の高さは0.5μm以上であり、かつ、基板104の表面からの、本実施の形態に係る第2の絶縁膜の高さは、3〜20μm程度であっても良い。
【0094】
上記した本実施の形態では、基板104並びに、ドレイン電極180、ゲート電極184、及びソース電極182の上には、シリコン酸化膜からなる第1の絶縁膜238が形成されていた。しかし、本発明はそのような実施の形態には限定されず、基板104及び各電極の上に形成される第1の絶縁膜238は、シリコン酸化膜の他に、シリコン窒化膜であっても良い。
【0095】
[第1及び第2の実施の形態の変形例]
上記した第1及び第2の実施の形態では、セル160及びセル300の平面形状は六角形状である。しかし、本発明はそのような実施の形態には限定されず、各セルの平面形状はどのようなものであってもよい。ただし、基板表面を効率的に使用するためには、セル間に使用されない領域が生じないほうがよい。したがって、効率の点からいうとセルを多角形状にすることが望ましい。その場合でも、例えばセルを三角形とすると、角部分に電界集中が生じ、デバイスが故障するおそれがある。電界集中を避けるためには、セル形状をなるべく円に近いものとすることがよく、その点では三角形より正方形が好ましく、正方形よりも六角形の方が好ましい。
【0096】
ただし、効率だけを考えずに電界集中を避けることを重視するのであれば、セル形状を略円形又は略楕円形としてもよい。こうした場合にドレイン引出線をどのような位置に設ければよいかは当業者には明らかであろう。
【0097】
図6及び図18を参照して、上記した第1及び第2の実施の形態では、各セルの長さLは100μm、である。この距離Lをセルの長さと呼ぶ。セルの、幅Wは30μm、ドレイン電極180の幅は5μm、ソース電極182の幅は3μm、ゲート電極184の幅は2μm、及びゲート電極184の外周からソース電極182の内周までの距離は6μm、ドレイン電極180の外周から、ゲート電極184の内周までの距離は5μmであった。しかし、本発明はそのような実施の形態には限定されず、用途に応じてこれらの長さを変化させてもよいことはいうまでもない。
【0098】
上記した実施の形態では、ドレイン電極180、ソース電極182、及びゲート電極184は、AlGaN層236の上に形成されていた。しかし、本発明はそのような実施の形態には限定されず、そのバンドギャップが1.1eVより大きい半導体であれば、どのような半導体の上に各電極が形成されていても良い。
【0099】
以後、バンドギャップが1.1eVより大きい半導体を、「ワイドバンドギャップ半導体」と呼ぶ。
【0100】
ワイドバンドギャップ半導体として、AlGaNの他に、GaN、シリコンカーバイド、ダイアモンド、及びAlN等がある。GaN、シリコンカーバイド、ダイアモンド、及びAlNのバンドギャップは、それぞれ3.4eV、3.3eV、5.5eV、及び6.2eVである。
【0101】
各電極を形成するための基板をワイドバンドギャップ半導体とすることで、半導体素子のサイズを小さくできる。なぜなら、ワイドバンドギャップ半導体は絶縁破壊電界が大きく、シリコン基板と比較すると、ソース電極とドレイン電極との間の距離及びゲート電極とドレイン電極との間の距離を小さくすることが可能であるからである。このことから、ドレイン電極180の上に形成される金属膜146の大きさは、各電極間の距離と比較すると相対的に大きくなる。したがって、半導体素子の全体のサイズの低減に大きな効果が得られる。
【0102】
さらに、各電極を形成するための基板の表面のうちゲート電極184とドレイン電極180との間に誘電膜を形成してもよい。そうすることによって、さらに半導体素子を小型化できる。
【0103】
上記した実施の形態では、基板104の表面の中央から外周にかけて順番に、ドレイン電極、ゲート電極及びソース電極が形成されていた。しかし、本発明はそのような実施の形態には限定されず、各電極をこれとは反対の順番で形成しても良い。その場合には、ソース電極は基板表面の絶縁体に形成された開口部を介してボンディングパッドに接続され、ドレイン電極は基板に形成されたバイアホールを介して基板裏面に形成されたドレインボンディングパッドに接続されることになる。
【0104】
[半導体装置を用いたパワーモジュール]
図24(A)は、第1の実施の形態に係る半導体装置100を用いたパワーモジュール350の断面構造を示す図である。図24(A)を参照して、パワーモジュール350は、その表面に形成された凹部366を有する樹脂ケース352と、樹脂ケース352の表面並びに凹部366の側面及び底面に沿って、互いに離隔して形成された、金属配線354、362、360、358、及び356とを含む。
【0105】
金属配線354及び356は、樹脂ケース352の表面のうち、それぞれ一方の端部及び他方の端部から、凹部366の側面に沿って底面にまで形成されている。金属配線362、364、及び358は、金属配線354のうち凹部366の底面に形成された箇所の近傍から、金属配線356のうち凹部366の底面に形成された箇所の近傍まで、凹部366の底面に沿って、この順番で形成されている。
【0106】
パワーモジュール350はさらに、金属配線358の上に設置された、第1の実施の形態に係る半導体装置100と、金属配線360の上に設置された、制御用IC(Integrated Circuit)364とを含む。
【0107】
半導体装置100は、金属配線358の表面が、半導体装置100のソースボンディングパッド144に面するように、金属配線358に設置されている。
【0108】
パワーモジュール350はさらに、半導体装置100のドレインボンディングパッド102と、金属配線354のうち凹部に形成された箇所とを接続するためのワイヤ368、金属配線358と、金属配線356のうち凹部366の底面に形成された箇所とを接続するためのワイヤ376、半導体装置100のゲートボンディングパッド106と、制御用IC364の第1の端子とを接続するためのワイヤ378、金属配線362と制御用ICの第2の端子とを接続するためのワイヤ380、及び金属配線362に接続され、ケース352の表面まで引出されるように形成された金属配線370を含む。
【0109】
パワーモジュール350はさらに、凹部366を充填する封止用樹脂372と、封止用樹脂372が外部に露出しないように、封止用樹脂372を覆うように形成された蓋374とを含む。
【0110】
第1の実施の形態に係る半導体装置100は、従来と比較して、そのサイズを小さくすることができることは、既に述べたとおりである。上記したように、パワーモジュール350に半導体装置100を備えることにより、パワーモジュール350のサイズも小さくすることができる。
【0111】
上記した例では、各ワイヤは図24(A)に示すように配線されていた。しかし、本発明はそのような実施の形態には限定されず、各ワイヤの配線構造を以下に述べるようにしてもよい。
【0112】
図24(B)は、パワーモジュール350のワイヤの配線構造を変化させた場合でのパワーモジュール390を示す図である。図24(B)を参照して、パワーモジュール390は、上記したパワーモジュール350とほぼ同様であるが、ワイヤ376に代えて、半導体装置100のドレインボンディングパッド102と、金属配線356のうち凹部366の底面に形成された箇所とを接続するためのワイヤ396を含む点と、ワイヤ368に代えて、金属配線358と、金属配線354のうち凹部366の底面に形成された箇所とを接続するためのワイヤ400を含む点とにおいて、第3の実施の形態に係るパワーモジュール350と異なる。
【0113】
上記した実施の形態では、パワーモジュール350は、第1の実施の形態に係る半導体装置100を含んでいた。しかし、本発明はそのような実施の形態に限定されず、パワーモジュール350は、半導体装置100の代わりに、第2の実施の形態に係る半導体装置を含んでも良い。
【0114】
今回開示された実施の形態は単に例示であって、本発明が上記した実施の形態のみに制限されるわけではない。本発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含む。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】第1の実施の形態に係る半導体装置100の平面図である。
【図2】第1の実施の形態に係る半導体装置100の、スーパーセル120の電極構造を示す平面図である。
【図3】第1の実施の形態に係る半導体装置100の断面図である。
【図4】図1に示すスーパーセル120の平面図である。
【図5】図4に示すスーパーセル120の断面図である。
【図6】図4に示すセル160の平面図である。
【図7】図6のセル160のX‐X線に沿う断面図である。
【図8】図6のセル160のY‐Y線及びZ‐Z線に沿う断面図である。
【図9】セル160の製造工程を示す平面図及び断面図である。
【図10】セル160の製造工程を示す平面図及び断面図である。
【図11】セル160の製造工程を示す平面図及び断面図である。
【図12】セル160の製造工程を示す平面図及び断面図である。
【図13】セル160の製造工程を示す断面図である。
【図14】セル160の製造工程を示す断面図である。
【図15】セル160の製造工程を示す断面図である。
【図16】セル160の製造工程を示す断面図である。
【図17】セル160の製造工程を示す断面図である。
【図18】第2の実施の形態に係るセル300の電極構造の断面図である。
【図19】図18のセル300のY‐Y線及びZ‐Z線に沿う断面図である。
【図20】セル300の製造工程を示す断面図である。
【図21】セル300の製造工程を示す断面図である。
【図22】セル300の製造工程を示す断面図である。
【図23】セル300の製造工程を示す断面図である。
【図24】第3の実施の形態に係るパワーモジュール350の断面図である。
【符号の説明】
【0116】
100 半導体装置
102,308 ドレインボンディングパッド
104 基板
106 ゲートボンディングパッド
120(120A,120B,120C,120D) スーパーセル
140 スーパーセル電極層
142,302 絶縁層
144 ソースボンディングパッド
146,308 金属膜
150 ソースバイアホール
152 ソース電極部
154,184 ゲート電極
160(160A,160B,160C,160D),300 セル
180 ドレイン電極
182 ソース電極
186 ゲート引出電極
188 絶縁膜
190 金属層
232 Si基板
234 GaN層
236 AlGaN層
238,322 第1の絶縁膜
240 第2の絶縁膜
350 パワーモジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主表面を有する半導体基板と、
前記主表面の上に形成された電極と、
前記主表面及び前記電極の上に形成され、前記電極の上部を露出するように形成された開口部を有する絶縁層と、
前記絶縁層と、前記電極の、前記開口部によって露出された部分との上に形成された導電体層とを含む半導体装置であって、
前記開口部は、
前記電極に接する位置から前記主表面と交差する方向に所定の高さまで延びる第1の壁面と、
前記第1の壁面の上端から前記開口部の外側に向かって、前記主表面と略平行に延びる第2の壁面と、
前記第2の壁面の外縁から前記絶縁層の表面に向かって延びる第3の壁面とを有する、半導体装置。
【請求項2】
前記絶縁層は、
前記主表面及び前記電極上に形成され、前記電極の上部を露出するように形成された開口部を有する第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜上に形成され、前記第1の絶縁膜の表面の、前記開口部が形成された領域を含む領域を露出するように形成された開口部を有する第2の絶縁膜とを含み、
前記第1の絶縁膜の前記開口部の内壁が前記第1の壁面を構成し、
前記第1の絶縁膜の、前記第2の絶縁膜の前記開口部によって露出された上面が前記第2の壁面を構成し、
前記第2の絶縁膜の前記開口部の内壁が前記第3の壁面を構成する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1の絶縁膜の厚さは0.5μm以上であり、かつ、前記第2の絶縁膜の厚さは3以上、20μm以下である、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1の絶縁膜及び前記第2の絶縁膜はいずれも、ポリイミドにより形成されている、請求項2又は請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1の絶縁膜は酸化膜により形成されている、請求項2又は請求項3に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2の絶縁膜はポリイミドにより形成されている、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記半導体基板は、ワイドバンドギャップ半導体からなる、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれかに記載の半導体装置を含む、パワーモジュール。
【請求項9】
主表面を有する半導体基板の前記主表面上に電極を形成するステップと、
前記主表面及び前記電極の上に、前記電極の上部を露出する開口部が形成された絶縁層を形成するステップと、
前記絶縁層と、前記電極の、前記開口部によって露出された部分との上に、導電体層を形成するステップとを含み、
前記開口部は、
前記電極に接する位置から前記主表面と交差する方向に所定の高さまで延びる第1の壁面と、
前記第1の壁面の上端から前記開口部の外側に向かって、前記主表面と略平行に延びる第2の壁面と、
前記第2の壁面の外縁から前記絶縁層の表面に向かって延びる第3の壁面とを有する、半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記絶縁層を形成するステップは、
前記主表面及び前記電極上に、前記電極の上部を露出するように形成された開口部を有する第1の絶縁膜を形成するステップと、
前記第1の絶縁膜の上に、前記第1の絶縁膜の表面の、前記開口部が形成された領域を含む領域を露出するように形成された開口部を有する第2の絶縁膜を形成するステップとを含み、
前記第1の絶縁膜の前記開口部の内壁が前記第1の壁面を構成し、
前記第1の絶縁膜の、前記第2の絶縁膜の前記開口部によって露出された上面が前記第2の壁面を構成し、
前記第2の絶縁膜の前記開口部の内壁が前記第3の壁面を構成する、請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記第1の絶縁膜を形成するステップは、
前記主表面及び前記電極上に、第1のポリイミド層を形成するステップと、
前記第1のポリイミド層の前記電極上に、前記電極の上部を露出する前記開口部を形成するステップと、
前記第1のポリイミド層を硬化するステップとを含む、請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記第2の絶縁膜を形成するステップは、
前記第1のポリイミド層及び前記開口部を介して露出された前記電極上に、第2のポリイミド層を形成するステップと、
前記第2のポリイミド層の、前記第1のポリイミド層の前記開口部が形成された領域を含む領域からポリイミドを除去することにより、前記第2のポリイミド層の前記開口部を形成するステップとを含む、請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記第1の絶縁膜を形成するステップは、
前記主表面及び前記電極上に、酸化膜を形成するステップと、
前記酸化膜の、前記電極上の部分を除去することにより前記酸化膜に、前記電極の上面を露出させる開口部を形成するステップとを含む、請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記第2の絶縁膜を形成するステップは、
前記酸化膜及び前記開口部を介して露出された前記電極上に、ポリイミド層を形成するステップと、
前記ポリイミド層の、前記酸化膜の前記開口部が形成された領域を含む領域からポリイミドを除去することにより、前記ポリイミド層の前記開口部を形成するステップとを含む、請求項13に記載の半導体装置の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2010−67650(P2010−67650A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−230422(P2008−230422)
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】