説明

半導体装置、及びその作製方法

【課題】半導体基板(SOI基板)の大面積化を課題とする。また、効率のよい半導体基板の作製方法を提案することを課題とする。また、上記の半導体基板の特性を向上することを課題とする。また、上記の半導体基板を用いた半導体装置及び電子機器を提供することを課題とする。
【解決手段】半導体基板(SOI基板)の大面積化及び作製効率の向上を図るために、複数の単結晶半導体基板を同時に処理して、半導体基板を作製する。具体的には、複数の単結晶半導体基板の処理を同時に可能とするトレイを用いて、一連の工程を行う。また、ベース基板に形成した単結晶半導体層に対してエッチング処理又はエッチバック処理を施すことにより、単結晶半導体層に存在する損傷領域を除去すると共に、隣接する単結晶半導体層の間隙におけるベース基板の表面の一部を除去して、ベース基板に凹部を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SOI(Silicon on Insulator)構造の半導体装置、及びその作製方法に関する。なお、本明細書中において半導体装置とは半導体特性を利用することで機能しうる装置全般をいうものとする。
【背景技術】
【0002】
近年、LSI技術が飛躍的な進歩を遂げる中で、高速化、低消費電力化を実現できるSOI構造が注目されている。この技術は、従来、バルク単結晶シリコンで形成されていた電界効果トランジスタ(FET;Field Effect Transistor)の活性領域(チャネル形成領域)を、単結晶シリコン薄膜とする技術である。SOI構造を用いてMOS型電界効果トランジスタを作製すると、従来のバルク単結晶シリコン基板を用いる場合よりも寄生容量を小さくでき、高速化に有利になることが知られている。
【0003】
SOI構造を有する基板(以下、SOI基板ともいう)としては、SIMOX基板、貼り合わせ基板等が挙げられる。例えばSIMOX基板は、単結晶シリコン基板に酸素イオンを注入し、1300℃以上で熱処理して埋め込み酸化膜(BOX;Buried Oxide)層を形成することにより、表面に単結晶シリコン薄膜を形成してSOI構造を得ている。SIMOX基板では、酸素イオン注入の精密な制御により単結晶シリコン薄膜を均一な膜厚で制御性良く形成できるが、酸素イオンの注入に長時間を要するため時間及びコストに問題がある。また、酸素イオン注入の際に単結晶シリコン薄膜にダメージが入りやすいという問題もある。
【0004】
貼り合わせ基板は、酸化膜を介して2枚の単結晶シリコン基板(ベース基板及びボンド基板)を貼り合わせ、一方の単結晶シリコン基板(ボンド基板)を裏面(貼り合わせた面ではない面)から研削・研磨し、薄膜化することにより、単結晶シリコン薄膜を形成してSOI構造を得ている。研削・研磨では均一で薄い単結晶シリコン薄膜を形成することが難しいため、スマートカット(登録商標)と呼ばれる水素イオン注入を利用する薄膜化技術も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−211128号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のSOI基板ではベース基板として単結晶シリコンウエハを用いており、大面積化を図ることは難しかった。当該問題点に鑑み、本発明は、半導体基板(SOI基板)の大面積化を課題とする。また、効率のよい半導体基板の作製方法を提案することを課題とする。また、上記の半導体基板の特性を向上することを課題とする。また、上記の半導体基板を用いた半導体装置及び電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、半導体基板(SOI基板)の大面積化及び作製効率の向上を図るために、複数の単結晶半導体基板を同時に処理して、半導体基板を作製する。具体的には、複数の単結晶半導体基板の処理を同時に可能とするトレイを用いて、一連の工程を行う。ここで、トレイには単結晶半導体基板を保持するための凹部が設けられている。また、ベース基板に形成した単結晶半導体層に対してエッチング処理又はエッチバック処理を施すことにより、単結晶半導体層に存在する損傷領域を除去すると共に、隣接する単結晶半導体層の間隙におけるベース基板の表面の一部を除去して、ベース基板に凹部を形成する。
【0007】
本発明の半導体基板の一は、絶縁表面を有する基板(ベース基板)と、絶縁表面を有する基板上の接合層と、接合層上の絶縁層と、絶縁層上の単結晶半導体層と、を有し、接合層、絶縁層及び、単結晶半導体層を含む積層体は、絶縁表面を有する基板上に複数設けられており、複数の単結晶半導体層の一と、隣接する他の一との間隙において、絶縁表面を有する基板は凹部を有することを特徴としている。
【0008】
上記において、接合層は、プラズマ励起CVD法により形成した酸化珪素膜であることが好ましい。また、絶縁層は、酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜のいずれかを有する多層構造の絶縁層とすることができる。また、絶縁層を、窒化珪素膜又は窒化酸化珪素膜と、酸化窒化珪素膜の二層構造とし、酸化窒化珪素膜が、単結晶半導体層に接して設けられている構成としても良い。
【0009】
また、上記において、複数の単結晶半導体層の一と、隣接する他の一との間隔を、0.5mm以下とすることにより、連続な(継ぎ目がない)単結晶半導体層とみなすことができる。
【0010】
上記の半導体基板を用いることにより、様々な半導体装置及び電子機器を提供することができる。
【0011】
本発明の半導体基板の作製方法の一は、複数の単結晶半導体基板を第1のトレイに配置し、複数の単結晶半導体基板の一表面上に絶縁層を形成し、複数の単結晶半導体基板の一表面側からイオンを照射して、複数の単結晶半導体基板中に損傷領域を形成し、絶縁層上に接合層を形成し、第2のトレイに配置された複数の単結晶半導体基板の接合層と、絶縁表面を有する基板とを接触させることにより、単結晶半導体基板と絶縁表面を有する基板を貼り合わせ、加熱処理を施すことにより、損傷領域において複数の単結晶半導体基板を分離させて、絶縁表面を有する基板上に複数の単結晶半導体層を形成し、複数の単結晶半導体層に対して、エッチング処理又はエッチバック処理を施すことにより、複数の単結晶半導体層の表面に存在する損傷領域を除去すると共に、複数の単結晶半導体層の一と、隣接する他の一との間隙における絶縁表面を有する基板の表面の一部を除去して、絶縁表面を有する基板に凹部を形成することを特徴としている。
【0012】
上記において、プラズマ励起CVD法を用いて形成した酸化珪素膜を接合層として用いるとよい。また、絶縁層として、酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜のいずれかを有する多層構造の絶縁層を形成することができる。また、絶縁層を、窒化珪素膜又は窒化酸化珪素膜と、酸化窒化珪素膜の二層構造とし、酸化窒化珪素膜を、単結晶半導体層に接するように形成することができる。
【0013】
また、上記において、複数の単結晶半導体層の一と、隣接する他の一との間隔を、0.5mm以下とすることもできる。
【0014】
また、上記において、第1のトレイ及び第2のトレイとして、石英ガラス又はステンレスを用いて形成されたものを用いることができる。また、第1のトレイと第2のトレイは、同一のトレイであっても良いし、異なるトレイであっても良い。ここで、トレイを洗浄する工程を有する場合には、洗浄工程を経る前のトレイと、洗浄工程を経た後のトレイとは、異なるトレイとみなすことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、半導体基板(SOI基板)の大面積化を図ることができる。すなわち、半導体装置の大面積化が可能となる。また、半導体基板の生産性が向上する。すなわち、半導体装置の生産性も向上することになる。さらに、ベース基板に凹部を設けることにより、ベース基板の表面付近に存在する不純物元素を除去することができる。つまり、半導体基板の特性を向上することができる。また、ベース基板に凹部を設けることにより、接合が形成される領域に掛かる曲げ応力を緩和し、単結晶半導体層がベース基板から剥離することを防止できる。すなわち、半導体装置の信頼性を向上することができる。なお、前述の凹部の形成は、単結晶半導体層の損傷領域を除去するためのエッチング処理、又はエッチバック処理により同時に行うことができるため、コストの増加を抑制することができるという利点も有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明を説明する。本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなく、その形態および詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は実施の形態や実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、異なる図面間で同じ符号が付されている要素は同じ要素を表しており、材料、形状、作製方法などについて繰り返しになる説明は省略している。
【0017】
(実施の形態1)
本実施の形態では、複数の単結晶半導体層を基板上に有する半導体基板およびその作製方法について説明する。
【0018】
図1に、半導体基板100の模式図を示す。半導体基板100は、1枚のベース基板101に複数の単結晶半導体層116が貼り付けられた構成を有している。各単結晶半導体層116は絶縁層102を介してベース基板101に設けられており、半導体基板100は、いわゆるSOI基板と呼ばれるものである(ただし、単結晶半導体層116はシリコンに限定されない)。なお、本発明の半導体基板100の特徴は、ベース基板101の単結晶半導体層116が設けられていない領域に、凹部118(溝部と呼んでもよい)が形成されている点である。
【0019】
なお、図1では、本発明の特徴である凹部118の存在を分かりやすく示すために、断面図と斜視図を組み合わせて模式的に示している。したがって、実際の半導体基板100とは多少様子が異なる部分が存在している。例えば、図1においては単結晶半導体層116を横方向に一列分のみ示しているが、実際の半導体基板100においては、奥行き方向にも単結晶半導体層116が存在している。また、ベース基板101が単結晶半導体層116の縁(手前側の縁)に沿って切り取られたような形状となっているが、実際には、ベース基板101は切り取られている必要はない。
【0020】
ベース基板101と単結晶半導体層116との間に形成される絶縁層102は、単層構造でも積層構造でもよい。本実施の形態では絶縁層102は3層構造であり、ベース基板101側から、接合層104、絶縁膜112b(窒化酸化シリコン層)、絶縁膜112a(酸化窒化シリコン層)が積層されている。
【0021】
単結晶半導体層116は、単結晶半導体基板を薄膜化することで形成される層である。該単結晶半導体基板としては、市販の半導体基板を用いることができ、例えば、単結晶シリコン基板、単結晶ゲルマニウム基板、単結晶シリコンゲルマニウム基板など、第4族元素(14族元素)でなる単結晶半導体基板を用いることができる。また、ガリウムヒ素やインジウムリン等の化合物半導体基板を用いることもできる。このように、半導体基板100における単結晶半導体層116の材料はシリコンに限定されない。この意味において、半導体基板100は、一般的なSOI基板とは異なっているといえる。
【0022】
ベース基板101としては、絶縁表面を有する基板を用いると良い。絶縁表面を有する基板としては、電子工業用に使われる各種ガラス基板、石英基板、セラミック基板、サファイア基板等が挙げられる。コストの点からは、ベース基板101としてガラス基板を用いるのがよい。ガラス基板は、熱膨張係数が25×10−7/℃以上50×10−7/℃以下(好ましくは、30×10−7/℃以上40×10−7/℃以下)であり、歪み点が580℃以上750℃以下(好ましくは、600℃以上)である基板を用いる。また、半導体装置の汚染を低減するため、ガラス基板は無アルカリガラス基板とすることが好ましい。無アルカリガラス基板は、例えば、アルミノシリケートガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスなどのガラス材料により形成されている。また、ベース基板101には、絶縁表面を有する基板の他、金属やステンレスなどの導電体でなる導電性基板、シリコンやガリウムヒ素など半導体でなる半導体基板などを用いることもできる。
【0023】
ガラス基板としては、液晶パネルの製造用に開発されたマザーガラスを用いることが好ましい。マザーガラスとしては、例えば、第3世代(550mm×650mm)、第3.5世代(600mm×720mm)、第4世代(680mm×880mm または、730mm×920mm)、第5世代(1100mm×1300mm)第6世代(1500mm×1850mm)、第7世代(1870mm×2200mm)、第8世代(2200mm×2400mm)などのサイズの基板が知られている。マザーガラスのような大面積基板をベース基板101として用いることで、SOI基板の大面積化が実現できる。SOI基板の大面積化が実現すれば、大型の半導体装置を提供することができる。また、一度に多数の集積回路(IC、LSIなどともいう)を製造することができ、1枚の基板からの取り数が増加するため、生産性を飛躍的に向上させることができる。
【0024】
なお、上でも述べたように、本発明の半導体基板100には、ベース基板101表面の一部が除去された構造の凹部118が形成されている。凹部118を形成することにより、ベース基板表面に存在する不純物元素を除去することができるため、半導体層の汚染を防止することができる。また、凹部118を有することにより、曲げ応力の影響による半導体層の剥離を防止することができる。なお、凹部118は半導体層の損傷領域の除去や平坦性の向上のために行うエッチング処理、エッチバック処理等により形成することができる。つまり、工程を増加させることなく(コストの増加を伴わずに)、顕著な効果を得ることができる。詳細については、半導体基板100の作製工程の説明の際に述べる。
【0025】
以下、図2乃至図10を参照して、図1に示す半導体基板100の作製方法を説明する。
【0026】
はじめに、単結晶半導体基板110を準備する。単結晶半導体基板110は、所望の大きさ、形状に加工されている。図2は、単結晶半導体基板110の構成の一例を示す外観図である。矩形のベース基板101に貼り合わせること、および縮小投影型露光装置などの露光装置の露光領域が矩形であること等を考慮すると、図2に示すように単結晶半導体基板110の形状は矩形であることが好ましい。例えば、矩形の単結晶半導体基板110の長辺が、縮小投影型露光装置の1ショットの露光領域の一辺のn倍(nは自然数)の長さとなるように加工すると、生産性の面から好ましいといえる。いうまでもないが、矩形には正方形が含まれている。
【0027】
矩形の単結晶半導体基板110は、市販の円形のバルク単結晶半導体基板を切断することで形成することができる。基板の切断には、ダイサーやワイヤソー等による切断、レーザー切断、プラズマ切断、電子ビーム切断、その他任意の切断手段を用いることができる。また、基板として薄片化する前の半導体基板製造用のインゴットを、その断面が矩形になるように直方体状に加工し、この直方体状のインゴットを薄片化することでも、矩形の単結晶半導体基板110を製造することができる。
【0028】
単結晶半導体基板110を洗浄した後、トレイ10に複数の単結晶半導体基板110を配置する。図3は、トレイ10の構成の一例を示す外観図である。トレイ10は、板状の部材であり、単結晶半導体基板110を保持するための複数の凹部11が形成されている。図3に示すトレイ10には、3行3列に凹部11が形成されている。もちろん、本発明は該構成に限定して解釈されるものではなく、行数及び列数を適宜変更することができる。該トレイ10を用いて、図4に示すように、トレイ10の凹部11に単結晶半導体基板110を配置する。
【0029】
トレイ10は、半導体基板100の作製工程における熱処理によって、変形・変質しない材料で形成される。特に、熱膨張が少ない材料を選択することが好ましい。例えば、石英ガラスやステンレスなどの材料を用いてトレイ10を作製することができる。
【0030】
トレイ10の厚さは、例えば、1.1mm以上2mm以下とすることができる。もちろん、一定の強度が確保できる厚さであればこれに限られない。凹部11の深さは、例えば、0.2mm以上0.6mm以下とすることができ、0.3mm以上0.5mm以下とすることが好ましい。なお、凹部11の深さについては、単結晶半導体基板110を保持できる深さであればよく、前述の深さに限られるものではない。トレイ10のサイズは、ベース基板101と同程度のサイズとすることが好ましい。トレイ10とベース基板とのサイズを同程度とすることにより、貼り合わせの際の位置合わせが容易になるためである。凹部11のサイズは、単結晶半導体基板110が収まるサイズとする。好ましくは、凹部11のサイズと単結晶半導体基板110のサイズとを同程度とする。例えば、凹部11の一辺と、対応する単結晶半導体基板110の一辺との長さの差が0.5mm以下とするとよい。このように、凹部11のサイズと単結晶半導体基板110のサイズとを同程度とすることにより、貼り合わせの際の位置精度を大きく向上することができる。なお、本実施の形態の作製方法では、凹部11のサイズおよび配列によって、半導体基板100における単結晶半導体層116のサイズ、配列が決定する。
【0031】
図5、図6は、トレイ10の構成例を示す上面図である。図5は、ベース基板101として、サイズが600mm×720mmであるマザーガラスを用いる場合のトレイ10の平面図であり、トレイ10のサイズは、マザーガラスと同じ600mm×720mmである。図6は、ベース基板101として、サイズが730mm×920mmである第4世代のマザーガラスを用いる場合のトレイ10の平面図であり、トレイ10のサイズは、マザーガラスと同じ730mm×920mmである。
【0032】
図5(A)は、露光領域のサイズが4インチ角の縮小投影型露光装置に対応するように、凹部11のサイズおよび配置を考慮したトレイ10の平面図である。トレイ10は4つのブロックに区分されており、各ブロックには3行3列に配置された9つの凹部11が形成されている。各凹部11のサイズは、1ショットの露光領域に収まる102mm×82mmである。一つのブロックにおいて、凹部11の間隔は、縦、横共に11mmであり、トレイ10の縁から凹部11までの距離は、縦、横共に16mmである。
【0033】
図5(B)は、露光領域のサイズが5インチ角の縮小投影型露光装置に対応するように、凹部11のサイズおよび配置を考慮したトレイ10の平面図である。トレイ10は4つのブロックに区分されており、各ブロックには3行2列に配置された6つの凹部11が形成されている。各凹部11のサイズは、1ショットの露光領域に収まる102mm×130mmである。一つのブロックにおいて、凹部11の間隔は、縦が11mm、横が10mmであり、トレイ10の縁から凹部11までの距離は、縦、横共に16mmである。
【0034】
図6(A)は、露光領域のサイズが4インチ角の縮小投影型露光装置に対応するように、凹部11のサイズおよび配置を考慮したトレイ10の平面図である。トレイ10は6つのブロックに区分されており、各ブロックには3行3列に配置された9つの凹部11が形成されている。各凹部11のサイズは、1ショットの露光領域に収まる105mm×84mmである。一つのブロックにおいて、凹部11の間隔は、縦が11mm、横が10mmであり、トレイ10の縁から凹部11までの距離は、縦が16mm、横が15mmである。
【0035】
図6(B)は、露光領域のサイズが5インチ角の縮小投影型露光装置に対応するように、凹部11のサイズおよび配置を考慮したトレイ10の平面図である。トレイ10は6つのブロックに区分されており、各ブロックには2行3列に配置された6つの凹部11が形成されている。各凹部11のサイズは1ショットの露光領域に収まる132mm×105mmである。一つのブロックにおいて、凹部11の間隔は、縦が13mm、横が10mmであり、トレイ10の縁から凹部11までの距離は、縦、横共に15mmである。
【0036】
なお、上述のトレイ10の構成はあくまで一例であり、本発明が該構成に限定して解釈されるものではない。例えば、一つのブロックにおける凹部11の間隔を狭めて、連続的に単結晶半導体基板110を配列させる構成としても良い。この場合には、形成される単結晶半導体層同士の間隔が0.5mm以下、好ましくは0.3mm以下となるように単結晶半導体基板を配列することにより、実用上、連続とみなせる(継ぎ目がないとみなせる)単結晶半導体層を形成することができる。また、より大きいトレイを用いて、より大きいマザーガラスに対応させることもできる。もちろん、露光装置の投影能力によって、凹部11のサイズや用いる単結晶半導体基板110のサイズを適宜変更しても良い。
【0037】
図4に示すように、トレイ10に単結晶半導体基板110を配置した後、図7(A)に示すように、単結晶半導体基板110上に絶縁層112を形成する。絶縁層112は単層構造、又は、2層以上の多層構造とすることができる。また、その厚さは5nm以上400nm以下とすることができる。作製方法としては、CVD法や、スパッタ法、単結晶半導体基板110の表面を酸化又は窒化する方法などが挙げられる。絶縁層112を構成する膜としては、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、酸化ゲルマニウム膜、窒化ゲルマニウム膜、酸化窒化ゲルマニウム膜、窒化酸化ゲルマニウム膜などのシリコンまたはゲルマニウムを組成に含む絶縁膜を用いることができる。また、酸化アルミニウム膜、酸化タンタル膜、酸化ハフニウム膜などの金属の酸化物でなる絶縁膜、窒化アルミニウム膜などの金属の窒化物でなる絶縁膜、酸化窒化アルミニウム膜などの金属の酸化窒化物でなる絶縁膜、窒化酸化アルミニウム膜などの金属の窒化酸化物でなる絶縁膜などを用いることもできる。
【0038】
なお、本明細書において、酸化窒化物とは、その組成において、窒素よりも酸素の含有量が多いものを示し、例えば、酸化窒化シリコンとは、酸素が50原子%以上70原子%以下、窒素が0.5原子%以上15原子%以下、珪素が25原子%以上35原子%以下、水素が0.1原子%以上10原子%以下の範囲で含まれるものをいう。また、窒化酸化物とは、その組成において、酸素よりも窒素の含有量が多いものを示し、例えば、窒化酸化シリコンとは、酸素が5原子%以上30原子%以下、窒素が20原子%以上55原子%以下、珪素が25原子%以上35原子%以下、水素が10原子%以上30原子%以下の範囲で含まれるものをいう。但し、上記範囲は、ラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)や、水素前方散乱法(HFS:Hydrogen Forward Scattering)を用いて測定した場合のものである。また、構成元素の含有比率の合計は、100原子%を超えない。
【0039】
ベース基板101として、アルカリ金属やアルカリ土類金属などの半導体装置の信頼性を低下させる不純物を含むような基板を用いる場合には、該不純物がベース基板101からSOI基板の半導体層に拡散することを防止できるような膜を、少なくとも1層以上、絶縁層112に設けることが好ましい。このような膜には、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、窒化アルミニウム膜、または窒化酸化アルミニウム膜などがある。このような膜を含ませることで、絶縁層112をバリア層として機能させることができる。
【0040】
例えば、絶縁層112を単層構造のバリア層とする場合には、厚さ5nm以上200nm以下の窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、窒化アルミニウム膜、または窒化酸化アルミニウム膜を用いて絶縁層112を形成すればよい。
【0041】
絶縁層112を、2層構造のバリア層とする場合には、上層は、バリア機能の高い絶縁膜で構成する。例えば、厚さ5nm以上200nm以下程度の窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、窒化アルミニウム膜、または窒化酸化アルミニウム膜を用いることができる。なお、これらの膜は、不純物の拡散を防止するブロッキング効果が高いが、内部応力も高い。そのため、単結晶半導体基板110と接する下層の絶縁膜としては、上層の絶縁膜の応力を緩和する効果のある膜を選択することが好ましい。このような絶縁膜には、酸化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜、単結晶半導体基板110を熱酸化して形成した熱酸化膜などがある。下層の絶縁膜の厚さは、例えば、5nm以上300nm以下とすることができる。
【0042】
本実施の形態では、絶縁層112を絶縁膜112aと絶縁膜112bでなる2層構造とする。絶縁層112をバリア層として機能させる場合の絶縁膜112aと絶縁膜112bの組み合わせとしては、例えば、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜と窒化シリコン膜、酸化シリコン膜と窒化酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜と窒化酸化シリコン膜などがある。
【0043】
例えば、下層の絶縁膜112aとしては、プロセスガスにSiH及びNOを用いて、プラズマ励起CVD法(以下、PECVD法ともいう)で形成した酸化窒化シリコン膜を用いることができる。また、プロセスガスに有機シランガスと酸素を用いて、PECVD法で形成した酸化シリコン膜を用いてもよい。また、単結晶半導体基板110を酸化することにより形成した酸化膜を絶縁膜112aとすることもできる。
【0044】
なお、有機シランとは、珪酸エチル(TEOS:化学式Si(OC)、テトラメチルシラン(TMS:化学式Si(CH)、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、トリエトキシシラン(SiH(OC)、トリスジメチルアミノシラン(SiH(N(CH)などの珪素原子を含有する有機化合物をいう。
【0045】
上層の絶縁膜112bとしては、プロセスガスにSiH、NO、NH及びHを用いてPECVD法で形成した窒化酸化シリコン膜を用いることができる。プロセスガスにSiH、N、NH及びHを用いてPECVD法で形成した窒化シリコン膜を用いてもよい。
【0046】
PECVD法で、酸化窒化シリコンでなる絶縁膜112a、窒化酸化シリコンでなる絶縁膜112bを形成する場合には、例えば、トレイ10に配置された複数の単結晶半導体基板110をPECVD装置の処理室に搬入し、SiH及びNOの混合ガスのプラズマを生成し、酸化窒化シリコン膜を単結晶半導体基板110上に形成した後、処理室に導入するガスをSiH、NO、NH及びHに変更し、これらの混合ガスのプラズマを生成して、酸化窒化シリコン膜上に窒化酸化シリコン膜を連続して形成することができる。また、複数の処理室を有するPECVD装置を用いる場合には、酸化窒化シリコン膜と窒化酸化シリコン膜を異なる処理室で形成することもできる。もちろん、処理室に導入するガスを変更することで、下層に酸化シリコン膜を形成することもできるし、上層に窒化シリコン膜を形成することもできる。
【0047】
上記のように絶縁膜112aおよび絶縁膜112bを形成することで、スループット良く、複数の単結晶半導体基板110に絶縁層112を形成することができる。また、大気に触れさせることなく絶縁膜112a、絶縁膜112bを形成できるので、絶縁膜112aと絶縁膜112bの界面が大気によって汚染されることを防止できる。
【0048】
また、絶縁膜112aとして、単結晶半導体基板110を酸化処理して形成した酸化膜を用いることができる。該酸化膜を形成するための熱酸化処理は、ドライ酸化でも良いが、酸化雰囲気中にハロゲンを含むガスを添加することが好ましい。ハロゲンを含むガスとしては、HCl、HF、NF、HBr、Cl、ClF、BCl、F、Brなどから選ばれた一種又は複数種のガスを用いることができる。
【0049】
例えば、酸素に対してHClを0.5体積%以上10体積%以下(好ましくは3体積%程度)の割合で含む雰囲気中で、700℃以上の温度で熱処理を行う。一例としては、950℃以上1100℃以下の加熱温度で熱酸化を行うとよい。処理時間は0.1時間以上6時間以下、好ましくは0.5時間以上1時間以下とすることができる。形成される酸化膜の膜厚は、10nm以上1000nm以下(好ましくは50nm以上200nm以下)、例えば100nmの厚さとすることができる。
【0050】
このような温度範囲で酸化処理を行うことで、ハロゲン元素によるゲッタリング効果(金属不純物を除去する効果)を得ることができる。すなわち、塩素の作用により、金属などの不純物が揮発性の塩化物となって気相中へ離脱して、単結晶半導体基板110から除去される。また、酸化雰囲気に含まれるハロゲン元素により、単結晶半導体基板110の表面の欠陥が終端されるため、酸化膜と単結晶半導体基板110との界面の局在準位密度を低減できる。
【0051】
このハロゲンを含む雰囲気での熱酸化処理により、酸化膜にハロゲンを含ませることができる。ハロゲン元素を1×1017atoms/cm〜5×1020atoms/cmの濃度で含ませることにより、半導体基板100において、金属などの不純物を捕獲して単結晶半導体層116の汚染を防止する保護膜としての機能を発現させることができる。
【0052】
熱酸化処理で下層の絶縁膜112aを形成し、PECVD法などの気相法で上層の絶縁膜112bを形成する場合は、単結晶半導体基板110をトレイ10に配置する前に、熱酸化処理で絶縁膜112aを形成し、絶縁膜112aが形成された単結晶半導体基板110をトレイ10に並べ、しかる後に、絶縁膜112bを形成することもできる。
【0053】
次に、図7(B)に示すように、絶縁層112を介して、電界で加速されたイオンでなるイオンビーム121を単結晶半導体基板110に照射して、単結晶半導体基板110の表面から所定の深さの領域に、損傷領域113を形成する。損傷領域113が形成される領域の深さは、イオンの平均侵入深さとほぼ同じ深さであり、イオンビーム121の加速エネルギーとイオンビーム121の入射角によって調節することができる。加速エネルギーは加速電圧、ドーズ量などにより調節できる。なお、イオンが侵入する深さによって、単結晶半導体基板110から分離される半導体層の厚さが決定されることになる。損傷領域113が形成される深さは50nm以上500nm以下とすればよく、好ましくは50nm以上200nm以下である。
【0054】
イオンを単結晶半導体基板110に照射する方法としては、質量分離を伴うイオン注入法よりも、質量分離を伴わないイオンドーピング法を用いることが好ましい。これにより、トレイ10に配置された複数の単結晶半導体基板110に損傷領域113を形成するための時間を短縮できるからである。
【0055】
イオンドーピング法を用いる場合には、トレイ10に収められた単結晶半導体基板110を、イオンドーピング装置の処理室に搬入する。プロセスガスを励起してプラズマを生成し、そのプラズマから所望のイオンを引き出し加速し、イオンビーム121を生成する。該イオンビーム121を、複数の単結晶半導体基板110に照射することで、所定の深さにイオンが高濃度に導入され、損傷領域113が形成される。
【0056】
ソースガスに水素(H)を用いる場合、水素ガスを励起してH、H、Hを生成することができる。ソースガスから生成されるイオン種の割合は、プラズマの励起方法、プラズマを発生させる雰囲気の圧力、ソースガスの供給量などを調節することで、変化させることができる。イオンドーピング法を用いてイオンを照射する場合、イオンビーム121中のイオンの総量に対してHが少なくとも50%以上含まれるようにする。Hが70%以上含まれるようにすることが好ましく、80%以上とするとより好ましい。Hの割合を50%以上とすることで、イオンビーム121に含まれるH、Hの割合が相対的に小さくなるため、イオンビーム121に含まれる水素イオンの平均侵入深さのばらつきを小さくすることができる。これにより、イオンの照射効率が向上し、イオンの照射に要する時間を短縮することができる。また、HはHやHと比較して質量が大きいため、イオンの持つエネルギーが同じ場合であれば、浅く侵入させることができる。すなわち、半導体層を薄膜化することができる。なお、Hの単結晶半導体基板におけるプロファイルは、HやHと比較して急峻である。つまり、イオンの総量が少ない場合であっても、良好に分離を行うことができる。
【0057】
ソースガスとして水素ガスを用いたイオンドーピング法によりイオン照射を行う場合、加速電圧を10kV以上200kV以下、ドーズ量を1×1016ions/cm以上6×1016ions/cm以下とするとよい。この条件で水素イオンを照射することにより、イオンビーム121に含まれるイオン種及びその割合にも依存するが、損傷領域113を単結晶半導体基板110の深さ50nm以上500nm以下の領域に形成することができる。
【0058】
例えば、単結晶半導体基板110が単結晶シリコン基板であり、絶縁膜112aが厚さ50nmの酸化窒化シリコン膜であり、絶縁膜112bが厚さ50nmの窒化酸化シリコン膜である場合、ソースガスとして水素を用い、加速電圧が40kV、ドーズ量が2.2×1016ions/cmの条件下では、単結晶半導体基板110から厚さ120nm程度の単結晶半導体層を分離することができる。また、絶縁膜112aを厚さ100nmの酸化窒化シリコン膜とし、他は同じ条件とした場合には、単結晶半導体基板110から厚さ70nm程度の半導体層を分離することができる。
【0059】
イオンビーム121のソースガスとしては、ヘリウム(He)を用いることもできる。ヘリウムを励起して生成されるイオン種はHeが殆どであるため、質量分離を伴わないイオンドーピング法でも、Heを主なイオンとして単結晶半導体基板110に照射することができる。よって、イオンドーピング法で、効率良く損傷領域113を形成することができる。ヘリウムを用いたイオンドーピング法でイオン照射を行う場合には、加速電圧を10kV以上200kV以下、ドーズ量を1×1016ions/cm以上6×1016ions/cm以下とすればよい。なお、その他に、ソースガスとして、塩素ガス(Clガス)やフッ素ガス(Fガス)などのハロゲンガスを用いることができる。
【0060】
損傷領域113を形成した後、図7(C)に示すように、絶縁層112の上面に接合層114を形成する。接合層114を形成する工程では、単結晶半導体基板110の加熱温度は損傷領域113に存在する元素または分子が析出しない温度とし、その加熱温度は400℃以下、より好ましくは350℃以下である。言い換えると、この加熱温度は損傷領域113からガスが抜けない温度である。なお、接合層114は、イオン照射工程を行う前に形成することもできる。この場合には、接合層114を形成する際のプロセス温度は、350℃以上とすることができる。
【0061】
接合層114は、親水性表面を有する平滑な層である。接合層114表面の算術平均粗さRaは0.7nm以下、より好ましくは、0.4nm以下である。また、接合層114の厚さは5nm以上500nm以下とすることができ、より好ましくは10nm以上200nm以下である。
【0062】
接合層114としては、化学的気相反応により形成される絶縁膜を用いることが好ましく、中でも酸化シリコン膜を用いることが好ましい。接合層114として、プラズマ励起CVD法で酸化シリコン膜を形成する場合には、ソースガスとして有機シランガス及び酸素(O)ガスを用いることが好ましい。ソースガスとして有機シランを用いることにより、プロセス温度が400℃以下で、平滑な表面を有する酸化シリコン膜を形成することができる。
【0063】
例えば、ソースガスにTEOSとOを用いて、酸化シリコン膜でなる接合層114を形成するためには、TEOSの流量が15sccm、Oの流量が750sccm、成膜圧力は100Pa、成膜温度は300℃、電源周波数は13.56MHz、RF出力は300Wとすればよい。
【0064】
プラズマ励起CVD法以外にも、熱CVD法を用いることで接合層114として機能する酸化シリコン膜を形成することができる。この場合、シリコンのソースガスとしてはモノシラン(SiH)やジシラン(Si)などを、酸素のソースガスとしては酸素(O)ガスや一酸化二窒素(NO)ガスなどを用いることができる。加熱温度は200℃以上500℃以下とすることが好ましい。なお、接合層114は絶縁性材料を用いて形成されることが多く、接合層114は広く絶縁層に含まれている。なお、上述のような方法により形成された接合層114は低温での接合に有利であると考えられる。これは、上述の接合層114では、その表面にOH基が存在しているためである。接合に係るメカニズムが完全に解明されているわけではないが、Si−OHとSi−OHとが反応することによりSi−O−Siが形成されているか、又は、Si−HとSi−OHとが反応することによりSi−O−Siが形成されているものと考えられる。
【0065】
次に、絶縁層112および接合層114が形成された単結晶半導体基板110をトレイ10からはずし、複数の単結晶半導体基板110を洗浄する。この洗浄工程は、純水による超音波洗浄で行うことができる。超音波洗浄はメガヘルツ超音波洗浄(メガソニック洗浄)が好ましい。超音波洗浄の後、単結晶半導体基板110をオゾン水で洗浄してもよい。オゾン水で洗浄することで、有機物の除去と、接合層114表面の親水性を向上させる表面活性化処理を行うことができる。洗浄処理、および表面活性化処理の終了後、図7(D)に示すように単結晶半導体基板110をトレイ10の凹部11に配置する。なお、本実施の形態においては、単結晶半導体基板110をトレイ10からはずして洗浄処理や活性化処理を施す場合について説明したが、本発明はこれに限定して解釈されない。単結晶半導体基板110の汚染等が問題とならない場合には、単結晶半導体基板110の洗浄を行う必要はない。また、洗浄処理や表面活性化処理を行う場合であっても、単結晶半導体基板110をトレイ10からはずさずに処理することができる。
【0066】
接合層114の表面の活性化処理としては、オゾン水による洗浄の他、原子ビームやイオンビームの照射処理、プラズマ処理、ラジカル処理等を挙げることができる。原子ビーム若しくはイオンビームを利用する場合には、アルゴン等の不活性ガス中性原子ビームや不活性ガスイオンビームを用いることができる。
【0067】
次に、トレイ10に配置された単結晶半導体基板110とベース基板101を貼り合わせる。貼り合わせる前に、ベース基板101の洗浄をしておくことが好ましい。ベース基板101の洗浄としては、塩酸と過酸化水素水を用いた洗浄や、メガヘルツ超音波洗浄などが挙げられる。また、ベース基板101の接合面となる表面に対して、接合層114と同様に表面活性化処理を行うことが好ましい。
【0068】
図8(A)は接合工程を説明する断面図である。複数の単結晶半導体基板110が配置されたトレイ10に対してベース基板101を配置する。そして、ベース基板101の所定の部分(例えば、端部など)に300N/cm以上15000N/cm以下程度の圧力を加える。この圧力は、1000N/cm以上5000N/cm以下程度とすることが好ましい。圧力を加えることにより、圧力を加えた部分から、接合層114とベース基板101とが密着し始める。やがて、1枚のベース基板101に対して、トレイ10上の全ての単結晶半導体基板110が密着することになる。該接合工程は、加熱処理を伴わず、常温で行うことができるため、ベース基板101としてガラス基板などの耐熱性の低い基板を用いることが可能である。
【0069】
なお、本発明においては、複数の単結晶半導体基板110をトレイ10に並べているため、単結晶半導体基板110の厚さの違いにより、ベース基板101と接触しない単結晶半導体基板110が生じる場合がある。このため、圧力をかける場所は一箇所ではなく、複数箇所とすることが好ましい。より好ましくは、各単結晶半導体基板110に圧力をかけるようにする。なお、単結晶半導体基板110がトレイ10に配置された状態において、接合層114表面の高さが多少違っていたとしても、ベース基板101のたわみにより接合層114の一部分がベース基板101と接触すれば、接合層114の表面全体に接合を形成することが可能である。
【0070】
また、図8(A)のようにベース基板101をトレイ10に載せた後、図9のようにベース基板101を下側とすることで、単結晶半導体基板110の自重によりベース基板101と単結晶半導体基板110を接触させることができる。これにより、単結晶半導体基板110の厚さの違いに関わらず、容易に接合を形成することができる。
【0071】
ベース基板101に単結晶半導体基板110を貼り合わせた後には、ベース基板101と接合層114との界面における結合力を増加させるために、加熱処理を施すことが好ましい。この処理温度は、損傷領域113に亀裂を発生させない温度とし、例えば、200℃以上450℃以下の温度範囲とすることができる。また、この温度範囲で加熱しながら、ベース基板101に単結晶半導体基板110を貼り合わせることで、ベース基板101と接合層114との接合界面での結合力を強固なものとすることができる。
【0072】
単結晶半導体基板110上にベース基板101を配置する際に接合面がゴミなどにより汚染されてしまうと、該汚染された部分は接合されなくなる。このような接合面の汚染を防ぐため、ベース基板101の単結晶半導体基板110上への配置は、気密構造の処理室(気密室)内において行うことが好ましい。また、該処理室内を5.0×10−3Pa程度の減圧状態とし、接合処理が行われる雰囲気を清浄にしておくことが好ましい。
【0073】
次いで、加熱処理を行い、損傷領域113で単結晶半導体基板110を分離させる。図8(B)は、単結晶半導体基板110から半導体層115を分離する工程を説明する図である。なお、ここでは、半導体層115が分離された後の単結晶半導体基板を単結晶半導体基板117としている。
【0074】
加熱処理により、損傷領域113に存在する元素が析出し、損傷領域113の微小な空洞内の圧力が上昇する。この圧力の上昇により、損傷領域113の微小な空洞の体積変化が生じ、損傷領域113に亀裂が生じる。これにより、損傷領域113沿って単結晶半導体基板110が分離される。接合層114はベース基板101と接合しているので、ベース基板101上には単結晶半導体基板110から分離された半導体層115が固定される。半導体層115を単結晶半導体基板110から分離するための加熱処理の温度は、ベース基板101の歪み点を越えない温度とする。
【0075】
この加熱処理には、RTA(Rapid Thermal Anneal)装置、抵抗加熱炉、マイクロ波加熱装置などを用いることができる。RTA装置としては、GRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)装置や、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)装置が挙げられる。
【0076】
GRTA装置を用いる場合には、加熱温度550℃以上650℃以下、処理時間0.5分以上60分以内の加熱処理を適用することができる。抵抗加熱装置を用いる場合には、加熱温度200℃以上650℃以下、処理時間2時間以上4時間以内の加熱処理を適用することができる。マイクロ波処理装置を用いる場合には、マイクロ波周波数を2.45GHzとし、処理時間が10分以上20分以内の加熱処理を適用することができる。
【0077】
抵抗加熱装置を有する縦型炉を用いた加熱処理の具体的な処理方法を説明する。はじめに、図8(A)の、トレイ10に配置された単結晶半導体基板110が貼り付けられたベース基板101を、縦型炉のボートに配置する。そして該ボートを縦型炉のチャンバーに搬入する。チャンバー内は、単結晶半導体基板110の酸化を抑制するために真空状態とする。真空度は、5×10−3Pa程度とすればよい。真空状態にした後、窒素をチャンバー内に供給して、チャンバー内を大気圧の窒素雰囲気にする。この間に、温度を200℃に上昇させる。
【0078】
温度200℃で2時間加熱した後、1時間かけて400℃に上昇させる。温度400℃の状態が安定したら、さらに1時間かけて600℃に上昇させる。温度600℃の状態が安定したら、600℃で2時間加熱処理する。その後、1時間かけて、温度400℃まで下げ、その10分乃至30分後に、チャンバー内からボートを搬出する。そして、大気雰囲気下で、ボート上のトレイ10に並べられた単結晶半導体基板117、および半導体層115が貼り付けられたベース基板101を冷却する。
【0079】
上記の抵抗加熱炉を用いた加熱処理では、接合層114とベース基板101との結合力を強化するための加熱処理と、損傷領域113における分離を生じさせる加熱処理が連続して行われる。この2つの加熱処理を異なる装置で行う場合には、例えば、次のような工程を用いることができる。まず、抵抗加熱炉を用いて、200℃、2時間の加熱処理を行う。そして、貼り合わされたベース基板101と単結晶半導体基板110を炉から搬出し、その後、RTA装置で、600℃以上700℃以下、1分以上30分以下の加熱処理を行う。該工程により、単結晶半導体基板110を損傷領域113で分離させることができる。
【0080】
なお、図8(B)に示すように、単結晶半導体基板110の周辺部がベース基板101に接合しない場合が多くある。これは、単結晶半導体基板110の周辺部が面取りされており曲率を有しているためベース基板101と接合層104が密着しないとか、単結晶半導体基板110の周辺部では損傷領域113が分離しにくい、周辺部の平坦性が不足している、周辺部に傷や汚れがある、といった理由によるものと考えられる。このため、ベース基板101には、単結晶半導体基板110よりもサイズが小さい半導体層115が貼り付けられ、また、単結晶半導体基板117の周囲には凸部が形成され、その凸部上に、ベース基板101に貼り付けられなかった、絶縁膜112a、絶縁膜112b、及び接合層114が残存している。
【0081】
次に、図10(A)に示すように、半導体層115にエッチング処理又はエッチバック処理を施して、半導体層115の表面に存在する損傷領域を除去すると共に、半導体層115の表面を平坦化する。本実施の形態では、例えば反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)法、ICP(Inductively Coupled Plasma)エッチング法、ECR(Electron Cyclotron Resonance)エッチング法、平行平板型(容量結合型)エッチング法、マグネトロンプラズマエッチング法、2周波プラズマエッチング法またはヘリコン波プラズマエッチング法等のドライエッチング法を用いると良い。
【0082】
ICPエッチング法を用いる場合には、例えば、エッチングガスである塩素の流量を40sccm以上100sccm以下、コイル型の電極に投入する電力を100W以上200W以下、下部電極(バイアス側)に投入する電力を40W以上100W以下、反応圧力を0.5Pa以上1.0Pa以下とすれば良い。本実施の形態では、エッチングガスである塩素の流量を100sccm、反応圧力を1.0Pa、下部電極の温度を70℃、コイル型の電極に投入するRF(13.56MHz)電力を150W、下部電極(バイアス側)に投入する電力を40Wとし、半導体層115を10nm乃至50nm程度エッチングする。薄膜化を同時に行う場合には、半導体層115の膜厚が100nm以下、好ましくは30nm乃至80nmとなるようにエッチング処理を行えばよい。エッチングガスとしては、塩素、塩化水素、塩化硼素、塩化珪素または四塩化炭素などの塩素系ガス、四弗化炭素、弗化硫黄または弗化窒素などのフッ素系ガス、酸素などを適宜用いることができる。
【0083】
上記のエッチング処理により、半導体層115の表面に存在する損傷領域を除去すると共に、半導体層115の表面を平坦化することができる。さらに、半導体層115が存在しない領域においては、ベース基板101がエッチングされることにより、凹部118が形成される。凹部118の深さは用いるエッチングガスによっても異なるが、概ね2nm以上20nm以下である。もちろん、半導体層115と比較してベース基板101がエッチングされやすいエッチングガスを用いた場合にはこの限りではない。
【0084】
このように、ベース基板101の表面にエッチング処理を施し、凹部118を設けることにより、接合が形成される領域に掛かる曲げ応力を緩和し、半導体層115がベース基板101から剥離することを防止できる。つまり、ベース基板を搬送する際の外力によるストレスや、半導体基板の作製工程における加熱処理、半導体装置の作製段階における加熱処理等により、ベース基板に曲げ応力が生じる場合であっても、単結晶半導体層がベース基板から剥離してしまうことを防止できる。接合領域における曲げ応力が緩和されるのは、曲げ応力が凹部118に集中しやすくなるためである。なお、凹部の形状としては、丸みを帯びた形状(すなわち、曲率を有する形状、角がない形状)とすることが好ましい。角部が存在する場合には、角部への応力の集中により、ベース基板101が破損してしまうおそれがあるためである。
【0085】
また、ベース基板101の表面に不純物が存在する場合であっても、これらが半導体層115に侵入して半導体装置の特性を悪化させることを防止することができる。ベース基板101の表面に存在する不純物としては、ベース基板101の表面を研磨する際に用いる酸化セリウム、酸化鉄、酸化ジルコニウム等の研磨剤や、ベース基板を構成するアルカリ金属やアルカリ土類金属等の金属元素が挙げられる。なお、ベース基板101と半導体層115の貼り合わせを良好に行うためには、表面の平坦性が極めて重要になるから、ベース基板101の表面を研磨しておくことは好ましいことである。
【0086】
また、ベース基板101が凹部118を有することにより、半導体装置を分断する場合には良好に分断を行えるというメリットもある。
【0087】
なお、上記においては、ドライエッチング法を用いる場合について説明したが、ウエットエッチング法を用いてもよい。この場合には、エッチングの異方性が弱まる(等方的なエッチングとなる)ことに留意が必要である。求める凹部118の形状等に合わせたエッチング処理を施すことが重要といえる。
【0088】
上記のエッチング処理又はエッチバック処理を施した半導体層115には、損傷領域113の形成の際のイオンの照射や、損傷領域113における分離によって、結晶欠陥が存在している。また、上記のエッチング処理又はエッチバック処理のみでは、半導体層115の表面の平坦性を十分に確保できるとは言い難い。結晶欠陥を低減し、平坦性をさらに向上するために、本実施の形態においては図10(B)に示すように、半導体層115にレーザービーム122を照射する。
【0089】
レーザービーム122を半導体層115の上面側から照射することで、半導体層115を上面から溶融させる。溶融させた後、半導体層115が冷却、固化することにより、図10(C)に示すような、上面の平坦性が向上された単結晶半導体層116が形成される。なお、図10(C)は図1に対応している。
【0090】
本実施の形態においては、平坦性を向上するためにレーザービーム122の照射を行っている。このため、加熱処理による平坦化の場合と比較してベース基板101の温度上昇を抑えることができる。つまり、ガラス基板のような耐熱性の低い基板をベース基板101として用いることが可能になる。なお、レーザービーム122の照射による半導体層115の溶融は、部分溶融であることが好ましい。完全溶融させた場合には、液相となった半導体層115における無秩序な核発生により半導体層115が再結晶化することとなり、半導体層115の結晶性が低下するためである。部分溶融させることにより、溶融されていない固相部分から結晶成長が進行する。これにより、半導体層115の欠陥が減少し、結晶性が回復する。なお、完全溶融とは、半導体層115が接合層114との界面まで溶融され、液体状態になることをいう。他方、部分溶融とは、上層は溶融して液相となるが、下層は溶融せずに固相のままであることをいう。
【0091】
レーザービーム122を発振するレーザー発振器としては、その発振波長が、紫外光域から可視光域にあるものが選択される。レーザービーム122の波長は、半導体層115に吸収される波長とする必要がある。その波長は、レーザービームの表皮深さ(skin depth)などを考慮して決定すればよい。例えば、250nm以上700nm以下の範囲とすることができる。
【0092】
上述のレーザー発振器としては、連続発振レーザー、疑似連続発振レーザー及びパルス発振レーザーを用いることができる。部分溶融させるためには、パルス発振レーザーを用いることが好ましい。例えば、パルス発振レーザーの場合は、繰り返し周波数1MHz以下、パルス幅10ns以上500ns以下である。例えば、繰り返し周波数が10Hz乃至300Hz、パルス幅が25ns、波長が308nmのXeClエキシマレーザーを用いることができる。
【0093】
また、レーザービーム122のエネルギーは、レーザービーム122の波長、表皮深さ、半導体層115の膜厚などを考慮して決定することができる。レーザービーム122の照射エネルギー密度は、300mJ/cm以上800mJ/cm以下の範囲とすることができる。例えば、半導体層115の厚さが120nm程度であり、レーザー発振器にパルス発振レーザーを用い、レーザービーム122の波長が308nmの場合には、レーザービーム122の照射エネルギー密度は600mJ/cm〜700mJ/cmとすることができる。
【0094】
レーザービーム122を照射する際の雰囲気は、希ガス雰囲気や窒素雰囲気のような不活性雰囲気、又は、真空状態で行うことが好ましい。不活性雰囲気中でレーザービーム122を照射するには、気密構造のチャンバー内の雰囲気を制御し、該チャンバー内においてレーザービーム122を照射すればよい。チャンバーを用いない場合には、例えば、レーザービーム122の被照射面に窒素ガスなどの不活性ガスを吹き付けることにより、不活性雰囲気でのレーザービーム122の照射を実現できる。不活性雰囲気や真空状態のほうが、大気雰囲気よりも平坦性を向上させる効果が高い。また、これらの雰囲気のほうが大気雰囲気よりもクラックやリッジの発生を抑制できるため好ましい。
【0095】
レーザービーム122としては、光学系を用いてエネルギー分布を均一にし、かつ断面の形状を線状にしたものを用いることが好ましい。これにより、スループット良くレーザービーム122を照射することができ、また、レーザービーム122の照射を均一に行うことができる。レーザービーム122のビーム長をベース基板101の一辺より長くすることにより、一回の走査で、ベース基板101に貼り付けられた全ての半導体層115にレーザービーム122を照射することができる。レーザービーム122のビーム長がベース基板101の一辺より短い場合には、複数回の走査で、ベース基板101に貼り付けられた全ての半導体層115にレーザービーム122を照射することができるビーム長を選択すればよい。
【0096】
なお、レーザービーム122を半導体層115に照射する前に、半導体層115の表面に形成されている自然酸化膜などの酸化膜を除去する処理を行うと良い。酸化膜を除去するのは、半導体層115表面に酸化膜が残存した状態でレーザービーム122を照射しても、平坦化の効果を十分に得ることができないためである。酸化膜の除去処理は、フッ酸を用いて行うことができる。フッ酸による処理は、半導体層115の表面が撥水性を示すまで行うことが望ましい。撥水性を示す状態とすることで、半導体層115から酸化膜が除去されたことが確認できるためである。
【0097】
図10(B)のレーザービーム122の照射工程は、例えば、次のようにして行うことができる。まず、半導体層115を1/100に希釈されたフッ酸で110秒間処理して、表面の酸化膜を除去する。レーザービーム122の発振器としては、XeClエキシマレーザー(波長:308nm、パルス幅:25ns、繰り返し周波数60Hz)を用いる。光学系により、レーザービーム122の断面を300mm×0.34mmの線状に整形する。レーザービーム122の走査速度は2.0mm/秒とし、スキャンピッチを33μm、ビームショット数を約10ショットとして、レーザービーム122を半導体層115に照射する。照射面には窒素ガスを吹き付けながら、レーザービーム122を走査する。ベース基板101が730mm×920mmの場合には、レーザービーム122を3回走査することで、ベース基板101に貼り付けられた全ての半導体層115にレーザービーム122を照射することができる。
【0098】
レーザービーム122を照射した後は、単結晶半導体層116に対してエッチング処理、又はエッチバック処理を施す。該エッチング処理(又はエッチバック処理)は、半導体装置の作製において膜厚を最適化するための処理である。もちろん、レーザー光の照射前におけるエッチング処理(又はエッチバック処理)やレーザー光の照射処理において所望の膜厚(例えば、30nm乃至80nm)が得られている場合には本処理を省略しても良い。また、半導体基板の状態での搬送を伴う場合(市場に流通させる場合など)において、半導体層表面の汚染が問題となるような場合には、本処理を省略して半導体層の膜厚に余裕を持たせておき、半導体装置を作製する段階で再度表面を処理する構成としても良い。
【0099】
上記のエッチング処理、又はエッチバック処理の条件は、レーザー光の照射前におけるエッチング処理、又はエッチバック処理と概ね同様であるため、ここでは詳細については省略する。
【0100】
その後、単結晶半導体層116に対して500℃以上650℃以下の加熱処理を行うことが好ましい。この加熱処理によって、レーザービーム122の照射で回復されなかった単結晶半導体層116の欠陥を消滅させ、また、単結晶半導体層116の歪みを緩和することができる。この加熱処理には、RTA(Rapid Thermal Anneal)装置、抵抗加熱炉、マイクロ波加熱装置などを用いることができる。例えば、抵抗加熱炉を用いた場合には、500℃の温度で1時間加熱した後、550℃で4時間加熱するとよい。
【0101】
以上の工程により、図1及び図10(C)に示す半導体基板100を作製することができる。本実施の形態により、トレイ10に配置された複数の単結晶半導体基板110に対して、絶縁層112の形成、損傷領域113の形成及び接合層114の形成を、一括して行うことができる。これにより、スループットよく半導体基板100を形成することができる。また、トレイ10に単結晶半導体基板110を配置した状態で、ベース基板101と貼り合わせているため、複数の単結晶半導体基板110をスループット良く、かつ容易にベース基板101に貼り合わせることができる。
【0102】
また、ベース基板101の表面にエッチング処理を施し、凹部118を設けることにより、接合が形成される領域に掛かる曲げ応力を緩和し、単結晶半導体層116がベース基板101から剥離することを防止できる。つまり、半導体基板100の信頼性を大きく向上することができる。また、ベース基板101の表面に、ベース基板101の組成に起因する不純物や、ベース基板101表面の研磨に用いた研磨剤が存在する場合であっても、これらが単結晶半導体層116に侵入して半導体装置の特性を悪化させることを防止することができる。さらに、ベース基板101が凹部118を有することにより、半導体装置を分断する場合には良好に分断を行えるというメリットがある。
【0103】
なお、図7(A)から図7(C)までの工程では、単結晶半導体基板110を別のトレイ10に移し替えることはしなかったが、工程毎に、その工程で使用する装置専用のトレイ10に単結晶半導体基板110を移しかえてもよい。例えば、図7(A)の絶縁層112の形成工程では、PECVD装置専用のトレイ10を使用し、図7(C)の工程ではドーピング装置専用のトレイ10を使用する、といったこともできる。
【0104】
また、図7(A)の絶縁層112の形成工程の後、絶縁層112が形成された単結晶半導体基板110をトレイ10から取り出し、該単結晶半導体基板110に対して超音波洗浄などの洗浄処理を行い、清浄な別のトレイ10に単結晶半導体基板110を配置する、といったこともできる。
【0105】
また、図7(B)の損傷領域113の形成工程の後、損傷領域113が形成された単結晶半導体基板110をトレイ10から取り出し、該単結晶半導体基板110に対して超音波洗浄などの洗浄処理を行い、清浄な別のトレイ10に単結晶半導体基板110を配置する、といったこともできる。
【0106】
なお、本実施の形態においては、レーザー光の照射前後においてエッチング処理又はエッチバック処理を施す構成について説明しているが、本発明がこれに限定して解釈されるものではない。レーザー光の照射前のみ、又はレーザー光の照射後のみにおいてエッチング処理、又はエッチバック処理を施す構成とすることもできる。また、レーザー光の照射に代えて、加熱処理を施す構成を採用しても良い。この場合には、加熱処理の前、又は加熱処理の後の少なくとも一方において、エッチング処理、又はエッチバック処理を施せばよい。もちろん、加熱処理とレーザー光の照射処理を同時に行う構成としても良い。加熱処理とレーザー光の照射処理を同時に行うことにより、いずれか一方のみを用いる場合と比較して、低温又は低ショット数で同様の効果を得ることができる。なお、加熱温度についてはベース基板の耐熱温度以下とする点に留意が必要である。
【0107】
(実施の形態2)
本実施の形態では、単結晶半導体基板の再生処理について説明する。具体的には、図11を用いて、図8(B)に示す単結晶半導体基板117を再生処理する場合について説明する。
【0108】
図8(B)の工程の後には、図11に示すように、単結晶半導体基板117の周囲に凸部117aが形成され、その凸部117a上に、絶縁膜112a、絶縁膜112b及び接合層114が残存している。
【0109】
まず、絶縁膜112b、絶縁膜112aおよび接合層114を除去するエッチング処理を行う。これらの膜が、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコンで形成されている場合には、例えば、フッ酸を用いたウエットエッチング処理を行えばよい。該エッチング処理により、図11(B)に示すような単結晶半導体基板117が得られる。図11(C)は、図11(B)の一点鎖線XYにおける断面図である。
【0110】
次に、図11(B)及び図11(C)に示す単結晶半導体基板117をエッチング処理して、凸部117a及び分離面117bを除去する。図11(C)の破線で囲った部分は、このエッチング処理によって、除去すべき部分である。このエッチングにより、単結晶半導体基板117に残存する損傷領域113を除去する。単結晶半導体基板117のエッチング処理はウエットエッチング処理が好ましく、エッチング液としては、水酸化テトラメチルアンモニウム(tetramethylammonium hydroxide、略称;TMAH)溶液を用いることができる。
【0111】
単結晶半導体基板117をエッチング処理して、凸部117a、分離面117b、及び損傷領域113を除去した後、その表面を機械的に研磨し、図11(D)に示すような平滑な表面を有する単結晶半導体基板119を形成する。この単結晶半導体基板119は、図2に示す単結晶半導体基板110として再利用することができる。
【0112】
研磨処理としては、化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing、略称:CMP)を用いることができる。単結晶半導体基板119の表面を平滑にするため、1μm以上10μm以下程度研磨することが望ましい。研磨後は、単結晶半導体基板119表面に研磨粒子などが残るため、フッ酸洗浄やRCA洗浄を行う。
【0113】
本実施の形態に示したように単結晶半導体基板を再利用することで、半導体基板100の材料コストを削減することができる。
【0114】
本実施の形態は実施の形態1と組み合わせて用いることができる。
【0115】
(実施の形態3)
本実施の形態では、半導体基板100を用いた半導体装置の作製方法の一例として、薄膜トランジスタを作製する方法を説明する。複数の薄膜トランジスタを組み合わせることで、各種の半導体装置が形成される。本実施の形態では、実施の形態1の作製方法で作製した半導体基板100を用いることにする。
【0116】
まず、図12(A)に示すように、ベース基板101上の単結晶半導体層116をエッチングにより所望の形状に加工(パターニング)することで、半導体膜603と半導体膜604とを形成する。なお、ベース基板101は凹部118を有している。
【0117】
半導体膜603と半導体膜604には、閾値電圧を制御するために、ホウ素、アルミニウム、ガリウムなどのp型不純物や、リン、ヒ素などのn型不純物が添加されていても良い。例えば、p型を付与する不純物としてホウ素を添加する場合、5×1016cm−3以上1×1017cm−3以下の濃度で添加すれば良い。閾値電圧を制御するための不純物の添加は、単結晶半導体層116に対して行っても良いし、半導体膜603と半導体膜604に対して行っても良い。また、閾値電圧を制御するための不純物の添加を、単結晶半導体基板110に対して行っても良い。若しくは、不純物の添加を、閾値電圧を大まかに調整するために単結晶半導体基板110に対して行った上で、閾値電圧を微調整するために、単結晶半導体層116に対して、または半導体膜603及び半導体膜604に対して行うようにしても良い。
【0118】
また半導体膜603と半導体膜604を形成した後、ゲート絶縁膜606を形成する前に水素化処理を行っても良い。水素化処理は、例えば、水素雰囲気中において350℃、2時間程度行う。
【0119】
次に、図12(B)に示すように、半導体膜603と半導体膜604を覆うように、ゲート絶縁膜606を形成する。ゲート絶縁膜606は、高密度プラズマ処理を行うことにより半導体膜603と半導体膜604の表面を酸化または窒化することで形成することができる。高密度プラズマ処理は、例えば、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、キセノンなどの希ガスと、酸素、酸化窒素、アンモニア、窒素、水素などガスの混合ガスを用いて行う。この場合、プラズマの励起をマイクロ波の導入により行うことで、低電子温度で高密度のプラズマを生成することができる。このような高密度のプラズマで生成された酸素ラジカル(OHラジカルを含む場合もある)や窒素ラジカル(NHラジカルを含む場合もある)によって、半導体膜の表面を酸化または窒化することにより、1nm以上20nm以下、望ましくは2nm以上10nm以下の絶縁膜を半導体膜に接するように形成する。
【0120】
上述した高密度プラズマ処理による半導体膜の酸化または窒化は固相反応で進むため、ゲート絶縁膜606と半導体膜603及び半導体膜604との界面準位密度をきわめて低くすることができる。また、高密度プラズマ処理により半導体膜を直接酸化または窒化することで、形成される絶縁膜の厚さのばらつきを抑えることが出来る。また、半導体膜が結晶性を有するため、高密度プラズマ処理を用いて半導体膜の表面を固相反応で酸化させる場合であっても、結晶粒界における不均一な酸化を抑え、均一性が良く、界面準位密度の低いゲート絶縁膜を形成することができる。このように、高密度プラズマ処理により形成された絶縁膜をトランジスタのゲート絶縁膜の一部または全部に用いることで、特性のばらつきを抑制することができる。
【0121】
より具体的な一例としては、亜酸化窒素(NO)を、アルゴン(Ar)を用いて1倍以上3倍以下(流量比)に希釈し、10Pa以上30Pa以下の圧力下で3kW以上5kW以下のマイクロ波(2.45GHz)電力を印加して、半導体膜603と半導体膜604の表面を酸化または窒化させる。この処理により1nm以上10nm以下(好ましくは2nm以上6nm以下)のゲート絶縁膜606の下層を形成する。さらに、亜酸化窒素(NO)とシラン(SiH)を導入し、10Pa以上30Pa以下の圧力下で3kW以上5kW以下のマイクロ波(2.45GHz)電力を印加して気相成長法により酸化窒化シリコン膜を形成し、ゲート絶縁膜606の上層とする。このように、固相反応と気相成長法による反応を組み合わせてゲート絶縁膜606を形成することにより界面準位密度が低く絶縁耐圧の優れたゲート絶縁膜606を形成することができる。なお、図12(B)においては、ゲート絶縁膜606を固相成長による単層構造とした場合を示しているが、上記具体例のように固相反応と気相成長法を組み合わせてゲート絶縁膜606を形成する場合には2層構造となる。
【0122】
或いは、半導体膜603と半導体膜604を熱酸化させることで、ゲート絶縁膜606を形成するようにしても良い。このような熱酸化を用いる場合には、耐熱性の比較的高いベース基板を用いることが好ましい。
【0123】
また、プラズマCVD法又はスパッタリング法などを用い、酸化珪素、窒化酸化珪素、窒化珪素、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化タンタル等を含む膜を、単層構造又は積層構造で形成することにより、ゲート絶縁膜606を形成しても良い。
【0124】
なお、水素を含むゲート絶縁膜606を形成した後、350℃以上450℃以下の温度による加熱処理を行うことで、ゲート絶縁膜606中に含まれる水素を半導体膜603及び半導体膜604中に拡散させるようにしても良い。この場合、ゲート絶縁膜606は、プラズマCVD法を用いて窒化シリコン又は窒化酸化シリコンを堆積することで形成すれば良い。この場合において、プロセス温度は350℃以下とする。このように、半導体膜603及び半導体膜604に水素を供給することで、半導体膜603中、半導体膜604中、ゲート絶縁膜606と半導体膜603の界面、及びゲート絶縁膜606と半導体膜604の界面における欠陥を効果的に低減することができる。
【0125】
次に、図12(C)に示すように、ゲート絶縁膜606上に導電膜を形成した後、該導電膜を所定の形状に加工(パターニング)することで、半導体膜603と半導体膜604の上方に電極607を形成する。導電膜の形成にはCVD法、スパッタリング法等を用いることができる。導電膜は、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)等の材料を用いて形成することができる。また、上記金属を主成分とする合金材料を用いても良いし、上記金属を含む化合物を用いても良い。または、半導体膜に導電性を付与する不純物元素をドーピングした多結晶珪素など、半導体材料を用いて形成しても良い。
【0126】
本実施の形態では電極607を単層の導電膜で形成しているが、本発明の半導体装置は該構成に限定されない。電極607は積層された複数の導電膜で形成されていても良い。2層構造とする場合には、例えば、モリブデン膜、チタン膜、窒化チタン膜等を下層に用い、上層にはアルミニウム膜などを用いればよい。3層構造の場合には、モリブデン膜とアルミニウム膜とモリブデン膜の積層構造や、チタン膜とアルミニウム膜とチタン膜の積層構造などを採用するとよい。
【0127】
なお、電極607を形成する際に用いるマスクは、レジスト材料の代わりに酸化珪素、窒化酸化珪素等を用いて形成してもよい。この場合、酸化珪素膜や窒化酸化珪素膜等をパターニングしてマスクを形成する工程が加わるが、エッチング時におけるマスクの膜減りがレジスト材料と比較して少ないため、より正確な形状の電極607を形成することができる。また、マスクを用いずに、液滴吐出法を用いて選択的に電極607を形成しても良い。ここで、液滴吐出法とは、所定の組成物を含む液滴を吐出または噴出することで所定のパターンを形成する方法を意味し、インクジェット法などがその範疇に含まれる。
【0128】
また、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用い、エッチング条件(コイル型の電極層に印加される電力量、基板側の電極層に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節し、所望のテーパー形状を有するように導電膜をエッチングすることで、電極607を形成することもできる。また、テーパー形状は、マスクの形状によって制御することもできる。なお、エッチング用ガスとしては、塩素、塩化硼素、塩化珪素もしくは四塩化炭素などの塩素系ガス、四弗化炭素、弗化硫黄もしくは弗化窒素などのフッ素系ガス又は酸素などを適宜用いることができる。
【0129】
次に、図12(D)に示すように、電極607をマスクとして、一導電型を付与する不純物元素を半導体膜603、半導体膜604に添加する。本実施の形態では、半導体膜603にn型を付与する不純物元素(例えばリンまたはヒ素)を、半導体膜604にp型を付与する不純物元素(例えばボロン)を添加する。なお、n型を付与する不純物元素を半導体膜603に添加する際には、p型の不純物が添加される半導体膜604はマスク等で覆い、n型を付与する不純物元素の添加が選択的に行われるようにする。また、p型を付与する不純物元素を半導体膜604に添加する際には、n型の不純物が添加される半導体膜603はマスク等で覆い、p型を付与する不純物元素の添加が選択的に行われるようにする。又は、半導体膜603及び半導体膜604に、p型を付与する不純物元素又はn型を付与する不純物元素の一方を添加した後、一方の半導体膜のみに、より高い濃度でp型を付与する不純物元素又はn型を付与する不純物元素の他方を添加するようにしても良い。上記不純物の添加により、半導体膜603に不純物領域608、半導体膜604に不純物領域609が形成される。
【0130】
次に、図13(A)に示すように、電極607の側面にサイドウォール610を形成する。サイドウォール610は、例えば、ゲート絶縁膜606及び電極607を覆うように新たに絶縁膜を形成し、垂直方向を主体とした異方性エッチングにより、該絶縁膜を部分的にエッチングすることで形成することができる。なお、上記の異方性エッチングにより、ゲート絶縁膜606を部分的にエッチングしても良い。サイドウォール610を形成するための絶縁膜としては、プラズマCVD法やスパッタリング法等により、珪素、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素、有機材料などを含む膜を、単層構造又は積層構造で形成すれば良い。本実施の形態では、膜厚100nmの酸化珪素膜をプラズマCVD法によって形成する。また、エッチングガスとしては、CHFとヘリウムの混合ガスを用いることができる。なお、サイドウォール610を形成する工程は、これらに限定されるものではない。
【0131】
次に、図13(B)に示すように、電極607及びサイドウォール610をマスクとして、半導体膜603、半導体膜604に一導電型を付与する不純物元素を添加する。なお、半導体膜603、半導体膜604には、それぞれ先の工程で添加した不純物元素と同じ導電型の不純物元素をより高い濃度で添加する。なお、n型を付与する不純物元素を半導体膜603に添加する際には、p型の不純物が添加される半導体膜604はマスク等で覆い、n型を付与する不純物元素の添加が選択的に行われるようにする。また、p型を付与する不純物元素を半導体膜604に添加する際には、n型の不純物が添加される半導体膜603はマスク等で覆い、p型を付与する不純物元素の添加が選択的に行われるようにする。
【0132】
上記不純物元素の添加により、半導体膜603に、一対の高濃度不純物領域611と、一対の低濃度不純物領域612と、チャネル形成領域613とが形成される。また、上記不純物元素の添加により、半導体膜604に、一対の高濃度不純物領域614と、一対の低濃度不純物領域615と、チャネル形成領域616とが形成される。高濃度不純物領域611、614はソース又はドレインとして機能し、低濃度不純物領域612、615はLDD(Lightly Doped Drain)領域として機能する。
【0133】
なお、半導体膜604上に形成されたサイドウォール610と、半導体膜603上に形成されたサイドウォール610は、キャリアが移動する方向(いわゆるチャネル長に平行な方向)における幅が同じになるように形成しても良いが、該幅が異なるように形成しても良い。pチャネル型トランジスタとなる半導体膜604上のサイドウォール610の幅は、nチャネル型トランジスタとなる半導体膜603上のサイドウォール610の幅よりも長くすると良い。なぜならば、p型トランジスタにおいてソース及びドレインを形成するために注入されるボロンは拡散しやすく、短チャネル効果を誘起しやすいためである。p型トランジスタにおいて、サイドウォール610の幅をより長くすることで、ソース及びドレインに高濃度のボロンを添加することが可能となり、ソース及びドレインを低抵抗化することができる。
【0134】
ソース及びドレインをさらに低抵抗化するために、半導体膜603及び半導体膜604の一部をシリサイド化したシリサイド層を形成しても良い。シリサイド化は、半導体膜に金属を接触させ、加熱処理(例えば、GRTA法、LRTA法等)により、半導体膜中の珪素と金属とを反応させて行う。シリサイド層としては、コバルトシリサイド又はニッケルシリサイドを用いれば良い。半導体膜603や半導体膜604が薄い場合には、半導体膜603、半導体膜604の底部までシリサイド反応を進めても良い。シリサイド化に用いることができる金属材料としては、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、ネオジム(Nb)、クロム(Cr)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)等が挙げられる。また、レーザービームの照射などによってもシリサイド層を形成することができる。
【0135】
上述の工程により、nチャネル型トランジスタ617及びpチャネル型トランジスタ618が形成される。なお、図13(B)に示す段階では、ソース電極又はドレイン電極として機能する導電膜は形成されていないが、これらの導電膜を含めてトランジスタと呼ぶこともある。
【0136】
次に、図13(C)に示すように、nチャネル型トランジスタ617、pチャネル型トランジスタ618を覆うように絶縁膜619を形成する。絶縁膜619は必ずしも設ける必要はないが、絶縁膜619を形成することで、アルカリ金属やアルカリ土類金属などの不純物がnチャネル型トランジスタ617、pチャネル型トランジスタ618に侵入することを防止できる。具体的には、絶縁膜619を、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウムなどの材料を用いて形成するのが望ましい。本実施の形態では、膜厚600nm程度の窒化酸化珪素膜を、絶縁膜619として用いる。この場合、上述の水素化の工程は、該窒化酸化珪素膜形成後に行っても良い。なお、本実施の形態においては、絶縁膜619を単層構造としているが、積層構造としても良いことはいうまでもない。例えば、2層構造とする場合には、酸化窒化珪素膜と窒化酸化珪素膜との積層構造とすることができる。
【0137】
絶縁膜619により、凹部118上にバリア層として機能する絶縁層が設けられることになるため、ベース基板101が剥き出しとなるような領域を排除することができる。これにより、ベース基板101からの不純物元素が、半導体層などに拡散することを防止できる。つまり、半導体装置の劣化を低減し、信頼性の高い半導体装置を提供することができることになる。
【0138】
次に、nチャネル型トランジスタ617、pチャネル型トランジスタ618を覆うように、絶縁膜619上に絶縁膜620を形成する。絶縁膜620は、ポリイミド、アクリル、ベンゾシクロブテン、ポリアミド、エポキシ等の、耐熱性を有する有機材料を用いて形成するとよい。また、上記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)、シロキサン系樹脂、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)、アルミナ等を用いることもできる。ここで、シロキサン系樹脂とは、シロキサン系材料を出発材料として形成されたSi−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサン系樹脂は、置換基に水素の他、フッ素、アルキル基、又は芳香族炭化水素のうち少なくとも1種を有していても良い。なお、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させることで、絶縁膜620を形成しても良い。また、絶縁膜620は、その表面をCMP法などにより平坦化させても良い。
【0139】
絶縁膜620の形成には、その材料に応じて、CVD法、スパッタ法、SOG法、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法、スクリーン印刷、オフセット印刷等)、ドクターナイフ、ロールコーター、カーテンコーター、ナイフコーター等を用いることができる。
【0140】
次に、半導体膜603と半導体膜604がそれぞれ一部露出するように絶縁膜619及び絶縁膜620にコンタクトホールを形成する。そして、図14(A)に示すように、該コンタクトホールを介して半導体膜603と半導体膜604に接する導電膜621、導電膜622を形成する。導電膜621及び導電膜622は、トランジスタのソース電極又はドレイン電極として機能する。なお、本実施の形態においては、コンタクトホール開口時のエッチングに用いるガスとしてCHFとHeの混合ガスを用いたが、これに限定されるものではない。
【0141】
導電膜621、導電膜622は、CVD法やスパッタリング法等により形成することができる。具体的には、導電膜621、導電膜622として、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、マンガン(Mn)、ネオジム(Nd)、炭素(C)、珪素(Si)等を用いることができる。また、上記材料を主成分とする合金を用いても良いし、上記材料を含む化合物を用いても良い。また、導電膜621、導電膜622は、単層構造としても良いし、積層構造としても良い。
【0142】
アルミニウムを主成分とする合金の例として、アルミニウムを主成分とし、ニッケルを含むものが挙げられる。また、アルミニウムを主成分とし、ニッケルと、炭素または珪素の一方または両方を含むものを挙げることができる。アルミニウムやアルミニウムシリコン(Al−Si)は抵抗値が低く、安価であるため、導電膜621、導電膜622を形成する材料として適している。特に、アルミニウムシリコンは、パターニングの際のレジストベークによるヒロックの発生を抑制することができるため好ましい。また、珪素の代わりに、アルミニウムに0.5%程度のCuを混入させた材料を用いても良い。
【0143】
導電膜621、導電膜622を積層構造とする場合には、例えば、バリア膜とアルミニウムシリコン膜とバリア膜の積層構造、バリア膜とアルミニウムシリコン膜と窒化チタン膜とバリア膜の積層構造などを採用するとよい。なお、バリア膜とは、チタン、チタンの窒化物、モリブデンまたはモリブデンの窒化物などを用いて形成された膜である。バリア膜の間にアルミニウムシリコン膜を挟むように導電膜を形成すると、アルミニウムやアルミニウムシリコンのヒロックの発生をより一層防止することができる。また、還元性の高い元素であるチタンを用いてバリア膜を形成すると、半導体膜603と半導体膜604上に薄い酸化膜が形成されていたとしても、バリア膜に含まれるチタンが該酸化膜を還元し、導電膜621と半導体膜603、及び導電膜622と半導体膜604のコンタクトを良好なものとすることができる。また、バリア膜を複数積層するようにして用いても良い。その場合、例えば、導電膜621、導電膜622を、下層からチタン、窒化チタン、アルミニウムシリコン、チタン、窒化チタンのように、5層構造又はそれ以上の積層構造とすることもできる。
【0144】
また、導電膜621、導電膜622として、WFガスとSiHガスから化学気相成長法で形成したタングステンシリサイドを用いても良い。また、WFを水素還元して形成したタングステンを、導電膜621、622として用いても良い。
【0145】
なお、導電膜621はnチャネル型トランジスタ617の高濃度不純物領域611に接続されている。導電膜622はpチャネル型トランジスタ618の高濃度不純物領域614に接続されている。
【0146】
図14(B)に、図14(A)に示したnチャネル型トランジスタ617及びpチャネル型トランジスタ618の平面図を示す。ただし、図14(B)においては、簡単のため、導電膜621、導電膜622、絶縁膜619、絶縁膜620を省略している。
【0147】
なお、本実施の形態では、nチャネル型トランジスタ617とpチャネル型トランジスタ618が、それぞれゲート電極として機能する電極607を1つずつ有する場合を例示しているが、本発明は該構成に限定されない。本発明で作製されるトランジスタは、ゲート電極として機能する電極を複数有し、なおかつ該複数の電極が電気的に接続されているマルチゲート構造を有していても良い。
【0148】
なお、本発明によるSOI基板が有する半導体膜は、単結晶に非常に近いものである。このため、多結晶の半導体膜を用いる場合と比較して、配向のばらつきが小さく、トランジスタの閾値電圧のばらつきを小さくすることができる。また、多結晶の半導体膜とは異なり結晶粒界が殆ど見られないので、結晶粒界に起因するリーク電流を抑え、半導体装置の省電力化を実現することができる。また、結晶粒の大きさがばらつくことに起因するトランジスタのばらつきを抑制することができる。
【0149】
なお、レーザー結晶化により得られる多結晶の半導体膜では、ビームスポット内のエネルギー密度の分布に起因して、半導体膜の表面に突起(リッジ)が現れやすい。一方、SOI基板が有する半導体膜に対しては、貼り合わせにより生じた半導体膜中の欠陥を修復できる程度に、低いエネルギー密度でレーザー光を照射すれば良い。このため、SOI基板が有する半導体膜の表面の平坦性は非常に高く、該半導体膜上に形成されるゲート絶縁膜を5nm乃至50nm程度まで薄くすることができる。これにより、ゲート電圧を低く抑えつつも高いオン電流を得ることができる。
【0150】
本実施の形態は実施の形態1又は2と適宜組み合わせて用いることができる。
【0151】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の半導体装置の製造方法の一例について、図15乃至18を参照して説明する。なお、本実施の形態においては、半導体装置の一例として液晶表示装置を挙げて説明するが、本発明の半導体装置は液晶表示装置に限られるものではない。
【0152】
はじめに、実施の形態1に示した方法等を用いて、絶縁表面を有する基板上に単結晶半導体層を形成する(図15(A)参照)。ここでは、絶縁表面を有する基板1500の上に接合層を含む絶縁層1504、単結晶半導体層1506を順に設けた構成を用いて説明するが、本発明はこれに限られるものではない。
【0153】
次に、単結晶半導体層1506及び絶縁層1504を所望の形状にパターニングして、島状の単結晶半導体層を形成する。なお、パターニングの際のエッチング加工としては、ドライエッチング(プラズマエッチング等)、ウエットエッチングのどちらを採用しても良いが、大面積基板を処理するにはプラズマエッチングが適している。エッチングガスとしては、CF、NF、Cl、BCl、などのフッ素系又は塩素系のガスを用い、HeやArなどの不活性ガスを適宜加えても良い。また、大気圧放電のエッチング加工を適用すれば、局所的な放電加工も可能であり、基板の全面にマスク層を形成することなくエッチングを行うことができる。
【0154】
単結晶半導体層1506及び絶縁層1504をパターニングした後には、しきい値電圧を制御するために、硼素、アルミニウム、ガリウムなどのp型不純物を添加すると良い。例えば、p型不純物として、硼素を5×1016cm−3以上1×1018cm−3以下の濃度で添加することができる。
【0155】
絶縁層1504は、接合層に加えて、不純物元素に対するバリア層を有していることが好ましい。上記のバリア層は、例えば、窒化シリコンや窒化酸化シリコン等材料を用いて形成することができる。バリア層を設ける場合には、例えば、絶縁表面を有する基板に接する側から接合層、窒化酸化シリコン、酸化窒化シリコンの積層構造とすることができる。窒化酸化シリコンに代えて窒化シリコンを用いても良い。また、酸化窒化シリコンに代えて酸化シリコンを用いても良い。
【0156】
次に、島状の単結晶半導体層を覆うゲート絶縁層1508を形成する(図15(B)参照)。なお、ここでは便宜上、パターニングによって形成された島状の単結晶半導体層をそれぞれ単結晶半導体層1510、単結晶半導体層1512、単結晶半導体層1514と呼ぶことにする。ゲート絶縁層1508はプラズマCVD法またはスパッタ法などを用い、厚さを10nm以上150nm以下として珪素を含む絶縁膜で形成する。具体的には、窒化シリコン、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコンに代表される珪素の酸化物材料又は窒化物材料等の材料で形成すればよい。なお、ゲート絶縁層1508は単層構造であっても良いし、積層構造としても良い。さらに、単結晶半導体層とゲート絶縁層との間に、膜厚1nm以上100nm以下、好ましくは1nm以上10nm以下、より好ましくは2nm以上5nm以下の薄い酸化シリコン膜を形成してもよい。なお、低い温度でリーク電流の少ないゲート絶縁膜を形成するために、アルゴンなどの希ガス元素を反応ガスに含ませても良い。
【0157】
次に、ゲート絶縁層1508上にゲート電極層として用いる第1の導電膜と第2の導電膜とを積層して形成する。第1の導電膜の膜厚は20nm以上100nm以下程度、第2の導電膜の膜厚は100nm以上400nm以下程度とすれば良い。また、第1の導電膜と第2の導電膜は、スパッタリング法、蒸着法、CVD法等の手法により形成することができる。第1の導電膜と第2の導電膜は、タンタル、タングステン、チタン、モリブデン、アルミニウム、銅、クロム、ネオジム等から選ばれた元素、又は前記の元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料等を用いて形成すればよい。また、第1の導電膜や第2の導電膜としてリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜や、AgPdCu合金などを用いてもよい。なお、本実施の形態においては2層構造の導電層を用いて説明しているが、本発明はこれに限定されない。3層以上の積層構造としても良いし、単層構造であっても良い。
【0158】
次に、フォトリソグラフィ法を用いてレジスト材料からなるマスク1516a、マスク1516b、マスク1516c、マスク1516d、及びマスク1516eを形成する。そして、前記のマスクを用いて第1の導電膜と第2の導電膜を所望の形状に加工し、第1のゲート電極層1518a、第1のゲート電極層1518b、第1のゲート電極層1518c、第1のゲート電極層1518d、第1の導電層1518e、導電層1520a、導電層1520b、導電層1520c、導電層1520d、及び導電層1520eを形成する(図15(C)参照)。
【0159】
ここで、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用い、エッチング条件(コイル型の電極層に印加される電力量、基板側の電極層に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節することにより、所望のテーパー形状となるようにエッチングを行うことができる。また、マスクの形状によって、テーパーの角度等を制御することもできる。なお、エッチング用ガスとしては、Cl、BCl、SiClもしくはCClなどを代表とする塩素系ガス、CF、SFもしくはNFなどを代表とするフッ素系ガス、又はOを適宜用いることができる。本実施の形態では、CF、Cl、Oからなるエッチング用ガスを用いて第2の導電膜のエッチングを行い、連続してCF、Clからなるエッチング用ガスを用いて第1の導電膜をエッチングする。
【0160】
次に、マスク1516a、マスク1516b、マスク1516c、マスク1516d、及びマスク1516eを用いて、導電層1520a、導電層1520b、導電層1520c、導電層1520d、及び導電層1520eを所望の形状に加工する。このとき、導電層を形成する第2の導電膜と、第1のゲート電極層及び第1の導電層を形成する第1の導電膜との選択比が高いエッチング条件でエッチングする。このエッチングによって、第2のゲート電極層1522a、第2のゲート電極層1522b、第2のゲート電極層1522c、第2のゲート電極層1522d、及び第2の導電層1522eを形成する。本実施の形態では、第2のゲート電極層及び第2の導電層もテーパー形状を有しているが、そのテーパー角は、第1のゲート電極層及び第1の導電層の有するテーパー角より大きい。なお、テーパー角とは対象物の底面と側面とが作る角度を言うものとする。よって、テーパー角が90度の場合、導電層は底面に対して垂直な側面を有することになる。テーパー角を90度未満とすることにより、積層される膜の被覆性が向上するため、欠陥を低減することが可能となる。なお、本実施の形態では、第2のゲート電極層及び第2の導電層を形成するためのエッチング用ガスとしてCl、SF、Oを用いる。
【0161】
以上の工程によって、周辺駆動回路領域1580に、ゲート電極層1524a、ゲート電極層1524b、画素領域1582に、ゲート電極層1524c、ゲート電極層1524d、及び導電層1524eを形成することができる(図15(D)参照)。なお、マスク1516a、マスク1516b、マスク1516c、マスク1516d、及びマスク1516eは、上記工程の後に除去する。
【0162】
次に、ゲート電極層1524a、ゲート電極層1524b、ゲート電極層1524c、ゲート電極層1524dをマスクとして、n型を付与する不純物元素を添加し、第1のn型不純物領域1526a、第1のn型不純物領域1526b、第1のn型不純物領域1528a、第1のn型不純物領域1528b、第1のn型不純物領域1530a、第1のn型不純物領域1530b、第1のn型不純物領域1530cを形成する(図16(A)参照)。本実施の形態では、不純物元素を含むドーピングガスとしてホスフィン(PH)を用いてドーピングを行う。ここでは、第1のn型不純物領域に、n型を付与する不純物元素であるリン(P)が1×1016/cm以上5×1019/cm以下程度の濃度で含まれるようにする。
【0163】
次に、単結晶半導体層1510、単結晶半導体層1514の一部を覆うマスク1532a、マスク1532b、マスク1532cを形成する。そして、マスク1532a、マスク1532b、マスク1532c、及び第2のゲート電極層1522bをマスクとしてn型を付与する不純物元素を添加する。これにより、第2のn型不純物領域1534a、第2のn型不純物領域1534b、第3のn型不純物領域1536a、第3のn型不純物領域1536b、第2のn型不純物領域1540a、第2のn型不純物領域1540b、第2のn型不純物領域1540c、第3のn型不純物領域1542a、第3のn型不純物領域1542b、第3のn型不純物領域1542c、第3のn型不純物領域1542dが形成される。本実施の形態では、不純物元素を含むドーピングガスとしてホスフィン(PH)を用いてドーピングを行う。ここでは、第2のn型不純物領域にn型を付与する不純物元素であるリン(P)が1×1017/cm以上1×1021/cm以下程度の濃度で含まれるようにする。第3のn型不純物領域1536a、第3のn型不純物領域1536bには、第3のn型不純物領域1542a、第3のn型不純物領域1542b、第3のn型不純物領域1542c、第3のn型不純物領域1542dと同程度、もしくは少し高めの濃度でn型を付与する不純物元素が添加される。また、チャネル形成領域1538、チャネル形成領域1544a及びチャネル形成領域1544bが形成される(図16(B)参照)。
【0164】
第2のn型不純物領域は高濃度不純物領域であり、ソース又はドレインとして機能する。一方、第3のn型不純物領域は低濃度不純物領域であり、いわゆるLDD(Lightly Doped Drain)領域となる。第3のn型不純物領域1536a、第3のn型不純物領域1536bは、第1のゲート電極層1518bと重なる領域に形成されている。これにより、ソース又はドレイン近傍の電界を緩和して、ホットキャリアによるオン電流の劣化を防止することができる。一方、第3のn型不純物領域1542a、第3のn型不純物領域1542b、第3のn型不純物領域1542c、第3のn型不純物領域1542dはゲート電極層1524c、ゲート電極層1524dと重なっておらず、オフ電流を低減する効果がある。
【0165】
次に、マスク1532a、マスク1532b、マスク1532cを除去し、単結晶半導体層1512、単結晶半導体層1514を覆うマスク1546a、マスク1546bを形成する。そして、マスク1546a、マスク1546b、ゲート電極層1524aをマスクとしてp型を付与する不純物元素を添加する。これにより、第1のp型不純物領域1548a、第1のp型不純物領域1548b、第2のp型不純物領域1550a、第2のp型不純物領域1550bが形成される。本実施の形態では、不純物元素を含むドーピングガスとしてジボラン(B)を用いてドーピングを行う。ここでは、第1のp型不純物領域、及び第2のp型不純物領域にp型を付与する不純物元素である硼素(B)が1×1018/cm以上5×1021/cm以下程度の濃度で含まれるようにする。また、チャネル形成領域1552が形成される(図16(C)参照)。
【0166】
第1のp型不純物領域は高濃度不純物領域であり、ソース又はドレインとして機能する。一方、第2のp型不純物領域は低濃度不純物領域であり、いわゆるLDD(LightlyDoped Drain)領域となる。
【0167】
その後、マスク1546a、マスク1546bを除去する。マスクを除去した後に、ゲート電極層の側面を覆うように絶縁膜を形成してもよい。該絶縁膜は、プラズマCVD法や減圧CVD(LPCVD)法を用いて形成することができる。また、不純物元素を活性化するために、加熱処理、強光の照射、レーザー光の照射等を行ってもよい。
【0168】
次いで、ゲート電極層、及びゲート絶縁層を覆う層間絶縁層を形成する。本実施の形態では、絶縁膜1554と絶縁膜1556の積層構造とする(図17(A)参照)。絶縁膜1554として窒化酸化シリコン膜を膜厚100nmにて形成し、絶縁膜1556として酸化窒化シリコン膜を膜厚900nmにて形成する。本実施の形態においては、2層の積層構造としたが、単層構造でも良く、3層以上の積層構造としても良い。本実施の形態では、絶縁膜1554及び絶縁膜1556を、プラズマCVD法を用いて、大気に晒さずに連続的に形成する。なお、絶縁膜1554及び絶縁膜1556は上記材料に限定されるものではない。
【0169】
絶縁膜1554、絶縁膜1556は、他に、酸化シリコンや窒化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウムまたは酸化アルミニウム、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素膜その他の無機絶縁性材料を含む物質から選ばれた材料を用いて形成することができる。また、シロキサン樹脂を用いてもよい。なお、シロキサン樹脂とは、Si−O−Si結合を含む樹脂をいう。シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、アリール基)が用いられる。有機基はフルオロ基を含んでも良い。また、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、ベンゾシクロブテン、ポリシラザン等の有機絶縁性材料を用いることもできる。
【0170】
次いで、レジスト材料からなるマスクを用いて絶縁膜1554、絶縁膜1556、ゲート絶縁層1508に単結晶半導体層及びゲート電極層に達するコンタクトホール(開口部)を形成する。エッチングは、用いる材料の選択比によって、一回で行っても複数回行っても良い。本実施の形態では、酸化窒化シリコン膜である絶縁膜1556と、窒化酸化シリコン膜である絶縁膜1554及びゲート絶縁層1508と選択比が取れる条件で、第1のエッチングを行い、絶縁膜1556を除去する。次に、第2のエッチングによって、絶縁膜1554及びゲート絶縁層1508を除去し、ソース又はドレインに達する開口部を形成する。
【0171】
その後、開口部を覆うように導電膜を形成し、該導電膜をエッチングする。これにより、各ソース領域又はドレイン領域の一部とそれぞれ電気的に接続するソース電極層又はドレイン電極層1558a、ソース電極層又はドレイン電極層1558b、ソース電極層又はドレイン電極層1560a、ソース電極層又はドレイン電極層1560b、ソース電極層又はドレイン電極層1562a、ソース電極層又はドレイン電極層1562bを形成する。ソース電極層又はドレイン電極層には、アルミニウム、タンタル、チタン、モリブデン、タングステン、ネオジム、クロム、ニッケル、白金、金、銀、銅、マグネシウム、スカンジウム、コバルト、ニッケル、亜鉛、ニオブ、シリコン、リン、硼素、ヒ素、ガリウム、インジウム、錫などから選択された一つ又は複数の元素、または、前記元素を成分として含有する化合物や合金材料(例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化シリコンを添加したインジウム錫酸化物(ITSO)、酸化亜鉛、アルミネオジム(Al−Nd)、マグネシウム銀(Mg−Ag)など)、もしくは、これらの化合物を組み合わせた物質等が用いられる。その他にも、シリサイド(例えば、アルミシリコン、モリブデンシリコン、ニッケルシリサイド)や、窒素を含有する化合物(例えば、窒化チタン、窒化タンタル、窒化モリブデン)、リン(P)等の不純物元素をドーピングしたシリコン(Si)等を用いることもできる。
【0172】
以上の工程で周辺駆動回路領域1580にpチャネル型薄膜トランジスタ1564、及びnチャネル型薄膜トランジスタ1566を、画素領域1582にnチャネル型薄膜トランジスタ1568、容量配線1570が形成される(図17(B)参照)。
【0173】
次に第2の層間絶縁層として絶縁膜1572を形成する。絶縁膜1572としては酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウムまたは酸化アルミニウム、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素膜、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)、アルミナ膜、ポリシラザン、その他の無機絶縁性材料を含む物質から選ばれた材料で形成することができる。また、シロキサン樹脂を用いてもよい。ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、ベンゾシクロブテン等の有機絶縁性材料を用いることもできる。
【0174】
次に、画素領域1582の絶縁膜1572にコンタクトホールを形成し、画素電極層1574を形成する(図17(C)参照)。画素電極層1574は、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化インジウムに酸化亜鉛を混合したIZO(indium zinc oxide)、酸化インジウムに酸化シリコンを混合した導電性材料、有機インジウム、有機スズ、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、又はタングステン、モリブデン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、コバルト、ニッケル、チタン、白金、アルミニウム、銅、銀等の金属又はその合金、若しくはその金属窒化物を用いて形成することができる。
【0175】
また、画素電極層1574としては導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を含む導電性組成物を用いることもできる。導電性組成物は、薄膜におけるシート抵抗が10000Ω/sq.以下であることが好ましい。また、光透過性を有する画素電極層として薄膜を形成する場合には、波長550nmにおける透光率が70%以上であることが好ましい。また、含まれる導電性高分子の抵抗率が0.1Ω・cm以下であることが好ましい。
【0176】
上記の導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子を用いることができる。例えば、ポリアニリン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、又は、これらの共重合体等が挙げられる。
【0177】
共役系導電性高分子の具体例としては、ポリピロール、ポリ(3−メチルピロール)、ポリ(3−ブチルピロール)、ポリ(3−オクチルピロール)、ポリ(3−デシルピロール)、ポリ(3,4−ジメチルピロール)、ポリ(3,4−ジブチルピロール)、ポリ(3−ヒドロキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−ヒドロキシピロール)、ポリ(3−メトキシピロール)、ポリ(3−エトキシピロール)、ポリ(3−オクトキシピロール)、ポリ(3−カルボキシルピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシルピロール)、ポリN−メチルピロール、ポリチオフェン、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−オクトキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシルチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(2−オクチルアニリン)、ポリ(2−イソブチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)等が挙げられる。
【0178】
上記の導電性高分子を、単独で用いても良いし、膜の特性を調整するために有機樹脂を添加して使用しても良い。
【0179】
さらに、導電性組成物にアクセプタ性のドーパントやドナー性のドーパントをドーピングすることで、共役導電性高分子の共役電子の酸化還元電位を変化させ、電気伝導度を調節してもよい。
【0180】
上述の如き導電性組成物を水または有機溶剤(アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、炭化水素系溶剤、芳香族系溶剤など)に溶解させて、塗布法、コーティング法、液滴吐出法(インクジェット法ともいう)、印刷法等により画素電極層1574となる薄膜を形成することができる。
【0181】
次に、画素電極層1574及び絶縁膜1572を覆うように、配向膜と呼ばれる絶縁層1802を形成する(図18(B)参照)。絶縁層1802は、スクリーン印刷法やオフセット印刷法を用いて形成することができる。なお、図18は、半導体装置の平面図及び断面図を示しており、図18(A)は半導体装置の平面図、図18(B)は図18(A)のC−Dにおける断面図である。半導体装置には、外部端子接続領域1576、封止領域1578、周辺駆動回路領域1580、画素領域1582が設けられる。
【0182】
絶縁層1802を形成した後、ラビング処理を行う。配向膜として機能する絶縁層1806についても、絶縁層1802と同様にして形成することができる。
【0183】
その後、対向基板1800と、絶縁性表面を有する基板1500とを、シール材1814及びスペーサ1816を介して貼り合わせ、その空隙に液晶層1804を設ける。なお、対向基板1800には、配向膜として機能する絶縁層1806、対向電極として機能する導電層1808、カラーフィルターとして機能する着色層1810、偏光子1812(偏光板ともいう)等が設けられている。なお、絶縁性表面を有する基板1500にも偏光子1818(偏光板)を設けるが、本発明はこれに限られない。例えば、反射型の液晶表示装置においては、偏光子は、一方に設ければ良い。
【0184】
続いて、画素領域と電気的に接続されている端子電極層1820に、異方性導電体層1822を介して、FPC1824を接続する。FPC1824は、外部からの信号を伝達する役目を担う。上記の工程により、液晶表示装置を作製することができる。
【0185】
本実施の形態においては、実施の形態1において作製した大型の半導体基板を用いて液晶表示装置を作製している。このため、液晶表示装置の生産性が向上する。さらに、半導体基板中のベース基板に凹部を設けることにより、ベース基板の表面付近に存在する不純物元素を除去し、液晶表示装置の特性の劣化を低減することができる。また、ベース基板に凹部を設けることにより、単結晶半導体層がベース基板から剥離することを防止できる。すなわち、液晶表示装置の信頼性を向上することができる。
【0186】
以上のように、本発明を用いることにより、半導体装置の生産性と信頼性を共に向上することができる。
【0187】
なお、本実施の形態においては液晶表示装置を作製する方法について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。本実施の形態は、実施の形態1乃至3と適宜組み合わせて用いることができる。
【0188】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明に係る発光素子を有する半導体装置(エレクトロルミネッセンス表示装置)について説明する。なお、周辺回路領域や画素領域等に用いられるトランジスタの作製方法は、実施の形態4を参照することができるため、詳細については省略する。
【0189】
なお、発光素子を有する半導体装置には、下面放射、上面放射、両面放射のいずれかの方式が用いられる。本実施の形態では、下面放射方式を用いた半導体装置について、図19を用いて説明するが、本発明はこれに限られるものではない。
【0190】
図19の半導体装置は、下方(図中の矢印の方向)に光を放射する。ここで、図19(A)は半導体装置の平面図であり、図19(B)は、図19(A)のE−Fにおける断面図である。図19において半導体装置は、外部端子接続領域1930、封止領域1932、駆動回路領域1934、画素領域1936を有している。
【0191】
図19に示す半導体装置は、素子基板1900、薄膜トランジスタ1950、薄膜トランジスタ1952、薄膜トランジスタ1954、薄膜トランジスタ1956、発光素子1960、絶縁層1968、充填材1970、シール材1972、配線層1974、端子電極層1976、異方性導電層1978、FPC1980、封止基板1990によって構成されている。なお、発光素子1960は、第1の電極層1962と発光層1964と第2の電極層1966とを含む。
【0192】
第1の電極層1962としては、発光層1964より放射する光を透過できるように、光透過性を有する導電性材料を用いる。一方、第2の電極層1966としては、発光層1964より放射する光を反射することができる導電性材料を用いる。
【0193】
第1の電極層1962としては、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物等を用いることができる。勿論、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物(ITSO)等を用いても良い。
【0194】
また、第1の電極層1962としては、導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を含む導電性組成物を用いることもできる。なお、詳細については実施の形態4を参照することができるため、ここでは省略する。
【0195】
第2の電極層1966としては、チタン、タングステン、ニッケル、金、白金、銀、銅、タンタル、モリブデン、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、リチウム、およびそれらの合金からなる導電膜などを用いることができる。可視光の領域で反射性が高い物質を用いることがよく、本実施の形態では、アルミニウム膜を用いることとする。
【0196】
なお、上面放射、両面放射の各方式を用いる場合には、適宜電極層の設計を変更してやれば良い。具体的には、上面放射の場合には、反射性を有する材料を用いて第1の電極層1962を形成し、光透過性を有する材料を用いて第2の電極層1966を形成する。両面放射の場合には、光透過性を有する材料を用いて第1の電極層1962及び第2の電極層1966を形成すれば良い。なお、下面放射、上面放射においては、光透過性を有する材料を用いて一方の電極層を形成し、光透過性を有する材料と光反射性を有する材料の積層構造により、他方の電極層を形成する構成としても良い。電極層に用いることができる材料は下面放射の場合と同様であるため、ここでは省略する。
【0197】
なお、一般に、光透過性を有さないと考えられる金属のような材料であっても、膜厚を小さく(5nm以上30nm以下程度)することにより、光を透過させることができる。これにより、上述の光反射性材料を用いて、光を透過する電極層を作製することも可能である。
【0198】
また、封止基板1990にカラーフィルター(着色層)を形成する構成としてもよい。カラーフィルター(着色層)は、蒸着法や液滴吐出法によって形成することができる。また、色変換層を用いる構成であっても良い。
【0199】
本実施の形態においては、実施の形態1において作製した大型の半導体基板を用いてエレクトロルミネッセンス表示装置を作製している。このため、エレクトロルミネッセンス表示装置の生産性が向上する。さらに、半導体基板中のベース基板に凹部を設けることにより、ベース基板の表面付近に存在する不純物元素を除去し、エレクトロルミネッセンス表示装置の特性の劣化を低減することができる。また、ベース基板に凹部を設けることにより、単結晶半導体層がベース基板から剥離することを防止できる。すなわち、エレクトロルミネッセンス表示装置の信頼性を向上することができる。
【0200】
以上のように、本発明を用いることにより、半導体装置の生産性と信頼性を共に向上することができる。
【0201】
なお、本実施の形態ではエレクトロルミネッセンス表示装置を用いて説明したが、本発明はこれに限られるものではない。本実施の形態は、実施の形態1乃至4と適宜組み合わせて用いることができる。
【0202】
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明に係る半導体装置の別の例について、図20及び21を参照して説明する。なお、本実施の形態においては、マイクロプロセッサ及び電子タグ(無線タグとも呼ぶ)を例に挙げて説明するが、本発明の半導体装置はこれらに限られるものではない。
【0203】
図20に、本発明のマイクロプロセッサの構成の一例を示す。図20のマイクロプロセッサ2000は、本発明の半導体基板を用いて製造されるものである。該マイクロプロセッサ2000は、演算回路2001(Arithmetic logic unit(ALU))、演算回路制御部2002(ALU Controller)、命令解析部2003(Instruction Decoder)、割り込み制御部2004(Interrupt Controller)、タイミング制御部2005(Timing Controller)、レジスタ2006(Register)、レジスタ制御部2007(Register Controller)、バスインターフェース2008(Bus I/F)、ROM2009(Read Only Memory、読み出し専用メモリ)、及びROMインターフェース2010(ROM I/F)を有している。
【0204】
バスインターフェース2008を介してマイクロプロセッサ2000に入力された命令は、命令解析部2003に入力され、デコードされた後、演算回路制御部2002、割り込み制御部2004、レジスタ制御部2007、タイミング制御部2005に入力される。演算回路制御部2002、割り込み制御部2004、レジスタ制御部2007、タイミング制御部2005は、デコードされた命令に基づき各種制御を行う。具体的には、演算回路制御部2002は、演算回路2001の動作を制御するための信号を生成する。また、割り込み制御部2004は、マイクロプロセッサ2000のプログラム実行中に、外部の入出力装置や周辺回路からの割り込み要求を、その優先度等から判断して処理する。レジスタ制御部2007は、レジスタ2006のアドレスを生成し、マイクロプロセッサ2000の状態に応じてレジスタ2006の読み出しや書き込みを行う。タイミング制御部2005は、演算回路2001、演算回路制御部2002、命令解析部2003、割り込み制御部2004、レジスタ制御部2007の動作のタイミングを制御する信号を生成する。例えばタイミング制御部2005は、基準クロック信号CLK1を元に、内部クロック信号CLK2を生成する内部クロック生成部を備えており、クロック信号CLK2を上記各種回路に供給する。なお、図20に示すマイクロプロセッサ2000の構成は、あくまで一例であり、その用途によって適宜構成を変更することができる。
【0205】
本実施の形態におけるマイクロプロセッサは、実施の形態1において作製した大型の半導体基板を用いている。このため、マイクロプロセッサの生産性が向上する。さらに、半導体基板中のベース基板に凹部を設けることにより、ベース基板の表面付近に存在する不純物元素を除去し、マイクロプロセッサの特性の劣化を低減することができる。また、ベース基板に凹部を設けることにより、単結晶半導体層がベース基板から剥離することを防止できる。すなわち、マイクロプロセッサの信頼性を向上することができる。
【0206】
以上のように、本発明を用いることにより、マイクロプロセッサの生産性と信頼性を共に向上することができる。
【0207】
次に、非接触でデータの送受信を行うことのできる演算機能を備えた半導体装置の一例について図21を参照して説明する。図21は無線通信により外部装置と信号の送受信を行って動作する無線タグの一例である。なお、本発明の無線タグは内部に中央処理装置(CPU)を有しており、いわば小型のコンピュータである。無線タグ2100は、アナログ回路部2101とデジタル回路部2102を有している。アナログ回路部2101として、共振容量を有する共振回路2103、整流回路2104、定電圧回路2105、リセット回路2106、発振回路2107、復調回路2108、変調回路2109、電源管理回路2119を有している。デジタル回路部2102は、RFインターフェース2110、制御レジスタ2111、クロックコントローラ2112、CPUインターフェース2113、CPU2114、RAM2115、ROM2116を有している。
【0208】
このような構成の無線タグ2100の動作は以下の通りである。アンテナ2117が外部から信号を受けると、共振回路2103は該信号を元に誘導起電力を発生する。整流回路2104を経た誘導起電力により、容量部2118が充電される。この容量部2118はセラミックコンデンサーや電気二重層コンデンサーなどのキャパシタで形成されていることが好ましい。容量部2118は無線タグ2100と一体にて形成されていても良いし、別の部品として無線タグ2100を構成する絶縁表面を有する基板に取り付けられていても良い。
【0209】
リセット回路2106は、デジタル回路部2102をリセットし初期化する信号を生成する。例えば、電源電圧の上昇のタイミングから遅れて立ち上がる信号をリセット信号として生成する。発振回路2107は、定電圧回路2105により生成される制御信号に応じて、クロック信号の周波数とデューティー比を変更する。ローパスフィルタで形成される復調回路2108は、例えば振幅変調(ASK)方式の受信信号の振幅の変動を二値化する。変調回路2109は、振幅変調(ASK)方式の送信信号の振幅を変動させて送信する。変調回路2109は、共振回路2103の共振点を変化させることにより通信信号の振幅を変化させている。クロックコントローラ2112は、電源電圧又はCPU2114における消費電流に応じてクロック信号の周波数とデューティー比を変更するための制御信号を生成している。電源電圧の監視は電源管理回路2119が行っている。
【0210】
アンテナ2117から無線タグ2100に入力された信号は復調回路2108で復調された後、RFインターフェース2110で制御コマンドやデータなどに分けられる。制御コマンドは制御レジスタ2111に格納される。制御コマンドには、ROM2116に記憶されているデータの読み出し命令、RAM2115へのデータの書き込み命令、CPU2114への演算命令などが含まれている。CPU2114は、CPUインターフェース2113を介してROM2116、RAM2115、制御レジスタ2111にアクセスする。CPUインターフェース2113は、CPU2114が要求するアドレスより、ROM2116、RAM2115、制御レジスタ2111のいずれかに対するアクセス信号を生成する機能を有している。
【0211】
CPU2114の演算方式は、ROM2116にOS(オペレーティングシステム)を記憶させておき、起動とともにプログラムを読み出し実行する方式を採用することができる。また、演算回路を構成して、演算処理をハードウェア的に処理する方式を採用することもできる。ハードウェアとソフトウェアを併用する方式では、専用の演算回路で一部の処理を行い、残りの演算を、プログラムを用いてCPU2114が実行する方式を適用することができる。
【0212】
本実施の形態における無線タグは、実施の形態1において作製した大型の半導体基板を用いている。このため、無線タグの生産性が向上する。さらに、半導体基板中のベース基板に凹部を設けることにより、ベース基板の表面付近に存在する不純物元素を除去し、無線タグの特性の劣化を低減することができる。また、ベース基板に凹部を設けることにより、単結晶半導体層がベース基板から剥離することを防止できる。すなわち、無線タグの信頼性を向上することができる。
【0213】
以上のように、本発明を用いることにより、無線タグの生産性と信頼性を共に向上することができる。
【0214】
なお、本実施の形態は、実施の形態1乃至5と適宜組み合わせて用いることができる。
【0215】
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の半導体装置、特に表示装置を用いた電子機器について、図22を参照して説明する。
【0216】
本発明の半導体装置を用いて作製される電子機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオコンポ等)、コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを備えた装置)などが挙げられる。
【0217】
図22(A)はテレビ受像器又はパーソナルコンピュータのモニタである。筺体2201、支持台2202、表示部2203、スピーカー部2204、ビデオ入力端子2205等を含む。表示部2203には、本発明の半導体装置が用いられている。本発明により、信頼性が高いテレビ受像器又はパーソナルコンピュータのモニタを生産性良く(すなわち、安価に)提供することができる。
【0218】
図22(B)はデジタルカメラである。本体2211の正面部分には受像部2213が設けられており、本体2211の上面部分にはシャッターボタン2216が設けられている。また、本体2211の背面部分には、表示部2212、操作キー2214、及び外部接続ポート2215が設けられている。表示部2212には、本発明の半導体装置が用いられている。本発明により、信頼性が高いデジタルカメラを生産性良く(すなわち、安価に)提供することができる。
【0219】
図22(C)はノート型パーソナルコンピュータである。本体2221には、キーボード2224、外部接続ポート2225、ポインティングデバイス2226が設けられている。また、本体2221には、表示部2223を有する筐体2222が取り付けられている。表示部2223には、本発明の半導体装置が用いられている。本発明により、信頼性が高いノート型パーソナルコンピュータを生産性良く(すなわち、安価に)提供することができる。
【0220】
図22(D)はモバイルコンピュータであり、本体2231、表示部2232、スイッチ2233、操作キー2234、赤外線ポート2235等を含む。表示部2232にはアクティブマトリクス表示装置が設けられている。表示部2232には、本発明の半導体装置が用いられている。本発明により、信頼性が高いモバイルコンピュータを生産性良く(すなわち、安価に)提供することができる。
【0221】
図22(E)は画像再生装置である。本体2241には、表示部2244、記録媒体読み込み部2245及び操作キー2246が設けられている。また、本体2241には、スピーカー部2247及び表示部2243それぞれを有する筐体2242が取り付けられている。表示部2243及び表示部2244それぞれには、本発明の半導体装置が用いられている。本発明により、信頼性が高い画像再生装置を生産性良く(すなわち、安価に)提供することができる。
【0222】
図22(F)は電子書籍である。本体2251には操作キー2253が設けられている。また、本体2251には複数の表示部2252が取り付けられている。表示部2252には、本発明の半導体装置が用いられている。本発明により、信頼性が高い電子書籍を生産性良く(すなわち、安価に)提供することができる。
【0223】
図22(G)はビデオカメラであり、本体2261には外部接続ポート2264、リモコン受信部2265、受像部2266、バッテリー2267、音声入力部2268、操作キー2269が設けられている、また、本体2261には、表示部2262を有する筐体2263が取り付けられている。表示部2262には、本発明の半導体装置が用いられている。本発明により、信頼性が高いビデオカメラを生産性良く(すなわち、安価に)提供することができる。
【0224】
図22(H)は携帯電話であり、本体2271、筐体2272、表示部2273、音声入力部2274、音声出力部2275、操作キー2276、外部接続ポート2277、アンテナ2278等を含む。表示部2273には、本発明の半導体装置が用いられている。本発明により、信頼性が高い携帯電話を生産性良く(すなわち、安価に)提供することができる。
【0225】
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に用いることが可能である。なお、本実施の形態は、実施の形態1乃至6と適宜組み合わせて用いることができる。
【0226】
(実施の形態8)
本実施の形態では、本発明の半導体装置、特に無線タグの用途について、図23を参照して説明する。
【0227】
本発明により無線タグとして機能する半導体装置を形成することができる。無線タグの用途は多岐にわたるが、例えば、紙幣、硬貨、有価証券類、無記名債券類、証書類(運転免許証や住民票等、図23(A)参照)、包装用容器類(包装紙やボトル等、図23(C)参照)、記録媒体(DVDソフトやビデオテープ等、図23(B)参照)、乗物類(自転車等、図23(D)参照)、身の回り品(鞄や眼鏡等)、食品類、植物類、衣類、生活用品類、電子機器等の商品や荷物の荷札(図23(E)、(F)参照)等の物品に設けて使用することができる。なお、図23において、無線タグは2300で示すものである。
【0228】
なお、電子機器とは、例えば、液晶表示装置、EL表示装置、テレビジョン装置(単にテレビ、テレビ受像機、テレビジョン受像機とも呼ぶ)、携帯電話の他、実施の形態5にて示した物品等を指す。また、上記半導体装置を、動物類、人体等に用いることができる。
【0229】
無線タグは、物品の表面に貼ったり、物品に埋め込んだりして、物品に固定される。例えば、本であれば紙に埋め込み、有機樹脂からなる包装用容器等であれば当該有機樹脂に埋め込むとよい。紙幣、硬貨、有価証券類、無記名債券類、証書類等に無線タグを設けることにより、偽造を防止することができる。また、包装用容器類、記録媒体、身の回り品、食品類、衣類、生活用品類、電子機器等に無線タグを設けることにより、検品システムやレンタル店のシステムなどの効率化を図ることができる。本発明により作製することが可能な無線タグは、安価ながらも高い信頼性を有しており、さまざまな物品に対して適用することができる。
【0230】
本発明により形成することが可能な無線タグを、物の管理や流通のシステムに応用することで、システムの高機能化を図ることができる。例えば、荷札に設けられる無線タグに記録された情報を、ベルトコンベアの脇に設けられたリーダライタで読み取ることで、流通過程及び配達先等の情報が読み出され、商品の検品や荷物の分配を容易に行うことができる。
【0231】
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる物品に対して用いることが可能である。なお、本実施の形態は、実施の形態1乃至7と適宜組み合わせて用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0232】
【図1】本発明の半導体基板を模式的に示す図である。
【図2】単結晶半導体基板の一例を示す図である。
【図3】トレイの一例を示す図である。
【図4】トレイに単結晶半導体基板を配置した状態を示す図である。
【図5】トレイの一例を示す図である。
【図6】トレイの一例を示す図である。
【図7】半導体基板の作製方法を示す断面図である。
【図8】半導体基板の作製方法を示す断面図である。
【図9】半導体基板の作製方法を示す断面図である。
【図10】半導体基板の作製方法を示す断面図である。
【図11】単結晶半導体基板の再生処理について示す図である。
【図12】半導体装置の作製方法を示す断面図である。
【図13】半導体装置の作製方法を示す断面図である。
【図14】半導体装置の一例を示す断面図である。
【図15】本発明の半導体装置の作製工程を示す図である。
【図16】本発明の半導体装置の作製工程を示す図である。
【図17】本発明の半導体装置の作製工程を示す図である。
【図18】本発明の半導体装置の平面図及び断面図である。
【図19】本発明の半導体装置の平面図及び断面図である。
【図20】本発明の半導体装置の構成を示す図である。
【図21】本発明の半導体装置の構成を示す図である。
【図22】本発明の半導体装置を用いた電子機器を示す図である。
【図23】本発明の半導体装置の用途を示す図である。
【符号の説明】
【0233】
10 トレイ
11 凹部
100 半導体基板
101 ベース基板
102 絶縁層
104 接合層
110 単結晶半導体基板
112 絶縁層
113 損傷領域
114 接合層
115 半導体層
116 単結晶半導体層
117 単結晶半導体基板
118 凹部
119 単結晶半導体基板
121 イオンビーム
122 レーザービーム
603 半導体膜
604 半導体膜
606 ゲート絶縁膜
607 電極
608 不純物領域
609 不純物領域
610 サイドウォール
611 高濃度不純物領域
612 低濃度不純物領域
613 チャネル形成領域
614 高濃度不純物領域
615 低濃度不純物領域
616 チャネル形成領域
617 nチャネル型トランジスタ
618 pチャネル型トランジスタ
619 絶縁膜
620 絶縁膜
621 導電膜
622 導電膜
112a 絶縁膜
112b 絶縁膜
117a 凸部
117b 分離面
1500 基板
1504 絶縁層
1506 単結晶半導体層
1508 ゲート絶縁層
1510 単結晶半導体層
1512 単結晶半導体層
1514 単結晶半導体層
1538 チャネル形成領域
1552 チャネル形成領域
1554 絶縁膜
1556 絶縁膜
1564 pチャネル型薄膜トランジスタ
1566 nチャネル型薄膜トランジスタ
1568 nチャネル型薄膜トランジスタ
1570 容量配線
1572 絶縁膜
1574 画素電極層
1576 外部端子接続領域
1578 封止領域
1580 周辺駆動回路領域
1582 画素領域
1800 対向基板
1802 絶縁層
1804 液晶層
1806 絶縁層
1808 導電層
1810 着色層
1812 偏光子
1814 シール材
1816 スペーサ
1818 偏光子
1820 端子電極層
1822 異方性導電体層
1824 FPC
1900 素子基板
1930 外部端子接続領域
1932 封止領域
1934 駆動回路領域
1936 画素領域
1950 薄膜トランジスタ
1952 薄膜トランジスタ
1954 薄膜トランジスタ
1956 薄膜トランジスタ
1960 発光素子
1962 電極層
1964 発光層
1966 電極層
1968 絶縁層
1970 充填材
1972 シール材
1974 配線層
1976 端子電極層
1978 異方性導電層
1980 FPC
1990 封止基板
2000 マイクロプロセッサ
2001 演算回路
2002 演算回路制御部
2003 命令解析部
2004 制御部
2005 タイミング制御部
2006 レジスタ
2007 レジスタ制御部
2008 バスインターフェース
2009 ROM
2010 ROMインターフェース
2100 無線タグ
2101 アナログ回路部
2102 デジタル回路部
2103 共振回路
2104 整流回路
2105 定電圧回路
2106 リセット回路
2107 発振回路
2108 復調回路
2109 変調回路
2110 RFインターフェース
2111 制御レジスタ
2112 クロックコントローラ
2113 CPUインターフェース
2114 CPU
2115 RAM
2116 ROM
2117 アンテナ
2118 容量部
2119 電源管理回路
2201 筺体
2202 支持台
2203 表示部
2204 スピーカー部
2205 ビデオ入力端子
2211 本体
2212 表示部
2213 受像部
2214 操作キー
2215 外部接続ポート
2216 シャッターボタン
2221 本体
2222 筐体
2223 表示部
2224 キーボード
2225 外部接続ポート
2226 ポインティングデバイス
2231 本体
2232 表示部
2233 スイッチ
2234 操作キー
2235 赤外線ポート
2241 本体
2242 筐体
2243 表示部
2244 表示部
2245 記録媒体読み込み部
2246 操作キー
2247 スピーカー部
2251 本体
2252 表示部
2253 操作キー
2261 本体
2262 表示部
2263 筐体
2264 外部接続ポート
2265 リモコン受信部
2266 受像部
2267 バッテリー
2268 音声入力部
2269 操作キー
2271 本体
2272 筐体
2273 表示部
2274 音声入力部
2275 音声出力部
2276 操作キー
2277 外部接続ポート
2278 アンテナ
1516a マスク
1516b マスク
1516c マスク
1516d マスク
1516e マスク
1518a ゲート電極層
1518b ゲート電極層
1518c ゲート電極層
1518d ゲート電極層
1518e 導電層
1520a 導電層
1520b 導電層
1520c 導電層
1520d 導電層
1520e 導電層
1522a ゲート電極層
1522b ゲート電極層
1522c ゲート電極層
1522d ゲート電極層
1522e 導電層
1524a ゲート電極層
1524b ゲート電極層
1524c ゲート電極層
1524d ゲート電極層
1524e 導電層
1526a n型不純物領域
1526b n型不純物領域
1528a n型不純物領域
1528b n型不純物領域
1530a n型不純物領域
1530b n型不純物領域
1530c n型不純物領域
1532a マスク
1532b マスク
1532c マスク
1534a n型不純物領域
1534b n型不純物領域
1536a n型不純物領域
1536b n型不純物領域
1540a n型不純物領域
1540b n型不純物領域
1540c n型不純物領域
1542a n型不純物領域
1542b n型不純物領域
1542c n型不純物領域
1542d n型不純物領域
1544a チャネル形成領域
1544b チャネル形成領域
1546a マスク
1546b マスク
1548a p型不純物領域
1548b p型不純物領域
1550a p型不純物領域
1550b p型不純物領域
1558a ドレイン電極層
1558b ドレイン電極層
1560a ドレイン電極層
1560b ドレイン電極層
1562a ドレイン電極層
1562b ドレイン電極層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁表面を有する基板と、
前記絶縁表面を有する基板上の接合層と、
前記接合層上の絶縁層と、
前記絶縁層上の単結晶半導体層と、を有し、
前記接合層、前記絶縁層及び、前記単結晶半導体層は、前記絶縁表面を有する基板上に複数設けられており、
前記複数の単結晶半導体層の一と、隣接する他の一との間隙において、前記絶縁表面を有する基板は凹部を有することを特徴とする半導体基板。
【請求項2】
請求項1において、
前記接合層は、プラズマ励起CVD法により形成した酸化珪素膜であることを特徴とする半導体基板。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記絶縁層は、酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜のいずれかを有する多層構造の絶縁層であることを特徴とする半導体基板。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一において、
前記絶縁層は、窒化珪素膜又は窒化酸化珪素膜と、酸化窒化珪素膜の二層構造であり、前記酸化窒化珪素膜は、前記単結晶半導体層に接して設けられていることを特徴とする半導体基板。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一において、
前記複数の単結晶半導体層の一と、隣接する他の一との間隔が、0.5mm以下であることを特徴とする半導体基板。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一に記載の半導体基板を用いた半導体装置。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体装置を用いた電子機器。
【請求項8】
複数の単結晶半導体基板を第1のトレイに配置し、
前記複数の単結晶半導体基板の一表面上に絶縁層を形成し、
前記複数の単結晶半導体基板の前記一表面側からイオンを照射して、前記複数の単結晶半導体基板中に損傷領域を形成し、
前記絶縁層上に接合層を形成し、
第2のトレイに配置された前記複数の単結晶半導体基板の接合層と、絶縁表面を有する基板とを接触させることにより、前記単結晶半導体基板と前記絶縁表面を有する基板を貼り合わせ、
加熱処理を施すことにより、前記損傷領域において前記複数の単結晶半導体基板を分離させて、前記絶縁表面を有する基板上に複数の単結晶半導体層を形成し、
前記複数の単結晶半導体層に対して、エッチング処理又はエッチバック処理を施すことにより、前記複数の単結晶半導体層の表面に存在する前記損傷領域を除去すると共に、前記複数の単結晶半導体層の一と、隣接する他の一との間隙における前記絶縁表面を有する基板の表面の一部を除去して、前記絶縁表面を有する基板に凹部を形成することを特徴とする半導体基板の作製方法。
【請求項9】
請求項8において、
前記接合層として、プラズマ励起CVD法を用いて酸化珪素膜を形成することを特徴とする半導体基板の作製方法。
【請求項10】
請求項8又は9において、
前記絶縁層として、酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜のいずれかを有する多層構造の絶縁層を形成することを特徴とする半導体基板の作製方法。
【請求項11】
請求項8乃至10のいずれか一において、
前記絶縁層は、窒化珪素膜又は窒化酸化珪素膜と、酸化窒化珪素膜の二層構造であり、前記酸化窒化珪素膜を、前記単結晶半導体層に接するように形成することを特徴とする半導体基板の作製方法。
【請求項12】
請求項8乃至11のいずれか一において、
前記複数の単結晶半導体層の一と、隣接する他の一との間隔を、0.5mm以下とすることを特徴とする半導体基板の作製方法。
【請求項13】
請求項8乃至12のいずれか一において、
前記第1のトレイ及び前記第2のトレイは、石英ガラス又はステンレスを用いて形成されたものであることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項14】
請求項8乃至13のいずれか一において、
前記第1のトレイと前記第2のトレイは、同一のトレイであることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項15】
請求項8乃至13のいずれか一において、
前記第1のトレイと前記第2のトレイは、異なるトレイであることを特徴とする半導体装置の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2009−111354(P2009−111354A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−237942(P2008−237942)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】