説明

半導体装置の製造方法

【課題】DRAM素子のような半導体装置において、半導体基板の溝部におけるゲート電極の埋設状態が良好となり、配線抵抗が低減され、素子特性に優れた半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】シリコン基板1の表面にゲート電極溝13を形成する工程と、ゲート電極溝13の内面に第1のバリア膜16aを形成する工程と、第1のバリア膜16aをエッチバックして、ゲート電極溝13の底面に第1のバリア膜16aの一部を残存させながら除去する工程と、ゲート電極溝13の内面と残存した第1のバリア膜16aの表面に第2のバリア膜16bを形成する工程と、第2のバリア膜16aの表面にタングステン膜を形成する工程と、このタングステン膜及び第2のバリア膜16bをエッチバックしてゲート電極溝13内にそれぞれ一部を残存させながら各膜を一括除去する工程と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、DRAM(Dynamic Random Access Memory)素子等の半導体装置の分野においては、半導体装置が使用される機器の高機能化等により、さらなる高集積化が進められている。また、半導体装置の高集積化に対応する微細化の進展に伴い、配線抵抗の低減等が求められるようになっている。
【0003】
一般に、半導体装置を製造する際は、半導体基板の表面にトレンチ加工を施すことによって溝部を形成した後、この溝部内に、金属膜からなり、セルトランジスタを構成するとともにゲート電極を含むワード線を形成する方法が採用されている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1には、半導体基板に形成された溝部の内部に、ゲート電極材料が形成された技術が開示されている。しかしながら、特許文献1に記載のような、従来の方法を用いて半導体基板に溝部を形成し、この溝部内にゲート電極を形成した場合、以下に説明するような問題がある。
【0004】
従来、半導体基板に埋め込みゲート電極を形成する際は、まず、図33(a)に示すように、半導体基板100の表面に、ドライエッチング法等によるトレンチ加工で溝部101を形成し、次いで、図33(b)に示すように、溝部101の内部表層のセルゲート酸化処理を行う。次いで、図33(c)に示すように、溝部101の内部に窒化チタン(TiN)等からなるバリアメタル102を成膜し、さらに、バリアメタル102上にタングステン(W)の金属膜103aを形成する。この際、半導体基板に形成される電極部(配線)の埋設状態は、半導体基板100のトレンチ加工形状に依存する。このため、半導体基板の溝部のトレンチ形状が適正で無い場合、図33(c)中に示すように、成長させた金属膜103a内部にボイド(巣)104が発生する。そして、図33(d)に示すように、バリア膜102及び金属膜103aをエッチバックしてゲート電極103Aを含むワード線103を形成した際にも、ボイド104が残留してしまうことから、配線の形状等の埋設状態が良好とならず、ワード線全体の抵抗が増大し、素子特性が低下するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−300843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のような、従来の製造方法を用いて半導体基板100の溝部101内にゲート電極を形成した場合に生じるボイド104は、以下に説明するようなメカニズムによって発生する。
図34中に例示するように、例えば、半導体基板100に深さ約200nmの溝部101を形成すると、半導体基板100の表面から深さ80〜120nm付近において、溝部101の内部空間の膨らみからなるボーイング101Aが生じる。上述のような寸法形状の溝部101の場合、ボーイング101Aの径は概ね50nm程度となる。次いで、半導体基板100の表面及び溝部101の内部にバリアメタル102及び金属膜103aを形成すると、溝部101が金属膜103aによって完全に充填される前に、溝部101の入り口101aが金属膜103aによって塞がる。このため、金属膜101aで埋められた溝部101内に巣状のボイド104が発生する。
【0007】
そして、従来の方法では、金属膜103a及びバリアメタル102を、例えば、図34中に示す二点鎖線の位置(符号Tを参照)までエッチバックすることで、溝部101の内部に120nmの高さで金属膜103aを残存させ、ゲート電極103Aを形成する。しかしながら、金属膜103aの内部にはボイド104が存在するので、エッチバック後のゲート電極103Aの形状は、図33(d)に示すような、上部表面においてボイド104が溝状となって残存し、欠陥が存在する状態となる。そして、このような欠陥、即ちボイド104のサイズに比例して、ゲート電極103A、ひいては、ワード線103全体の抵抗値が増大してしまうという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の半導体装置の製造方法は、半導体基板の表面に溝部を形成する工程と、前記溝部の内面に第1のバリア膜を形成する工程と、前記第1のバリア膜をエッチバックすることにより、前記溝部の底面に前記第1のバリア膜の一部を残存させながら、該第1のバリア膜の少なくとも一部を除去する工程と、前記溝部の内面と、前記溝部の底面に残存した前記第1のバリア膜の表面に、第2のバリア膜を形成する工程と、前記第2のバリア膜の表面に金属膜を形成する工程と、前記金属膜及び前記第2のバリア膜をエッチバックすることにより、前記溝部内に、前記金属膜及び前記第2のバリア膜のそれぞれ一部を残存させながら、該金属膜及び第2のバリア膜の少なくとも一部を一括除去する工程と、を具備してなることを特徴とする。
【0009】
係る構成の半導体装置の製造方法によれば、半導体基板の溝部内に金属膜を形成する際、溝部内に残存する第1のバリア膜が底上げ機能を果たすことにより、溝部内において、ボイドの位置が溝部上側、即ち入口側に寄った状態となる。これにより、金属膜及び第2のバリア膜をエッチバックした際、エッチバック後の金属膜の形状は、上部表面に溝が存在しないか、あるいは、溝の大きさが小さい状態となる。従って、ゲート電極の埋設状態が良好となり、配線抵抗が増大するのが抑制される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の半導体装置の製造方法によれば、ゲート電極の埋設状態が良好となり、配線抵抗が増大するのが抑制されるので、素子特性に優れた半導体装置を製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を適用して得られる半導体装置を示す模式平面図である。
【図2】本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を適用して得られる半導体装置のメモリセル領域を示す模式図であり、(a)は図1中に示すA−A’線に沿った断面図、(b)は図1中に示すB−B’線に沿った断面図である。
【図3】本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、(a)は図1中に示すA−A’線に沿った断面図、(b)は図1中に示すB−B’線に沿った断面図である。
【図4】本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、(a)は図1中に示すA−A’線に沿った断面図、(b)は図1中に示すB−B’線に沿った断面図である。
【図5】本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、(a)は図1中に示すA−A’線に沿った断面図、(b)は図1中に示すB−B’線に沿った断面図である。
【図6】本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、(a)は図1中に示すA−A’線に沿った断面図、(b)は図1中に示すB−B’線に沿った断面図である。
【図7】本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、(a)は図1中に示すA−A’線に沿った断面図、(b)は図1中に示すB−B’線に沿った断面図である。
【図8】本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、(a)は図1中に示すA−A’線に沿った断面図、(b)は図1中に示すB−B’線に沿った断面図である。
【図9】本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、(a)は図1中に示すA−A’線に沿った断面図、(b)は図1中に示すB−B’線に沿った断面図である。
【図10】本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、(a)は図1中に示すA−A’線に沿った断面図、(b)は図1中に示すB−B’線に沿った断面図である。
【図11】本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、(a)は図1中に示すA−A’線に沿った断面図、(b)は図1中に示すB−B’線に沿った断面図である。
【図12】本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、(a)は図1中に示すA−A’線に沿った断面図、(b)は図1中に示すB−B’線に沿った断面図である。
【図13】本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、(a)は図1中に示すA−A’線に沿った断面図、(b)は図1中に示すB−B’線に沿った断面図である。
【図14】本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、(a)は図1中に示すA−A’線に沿った断面図、(b)は図1中に示すB−B’線に沿った断面図である。
【図15】本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、(a)は図1中に示すA−A’線に沿った断面図、(b)は図1中に示すB−B’線に沿った断面図である。
【図16】本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、(a)は図1中に示すA−A’線に沿った断面図、(b)は図1中に示すB−B’線に沿った断面図である。
【図17】本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、(a)は図1中に示すA−A’線に沿った断面図、(b)は図1中に示すB−B’線に沿った断面図である。
【図18】本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、(a)は図1中に示すA−A’線に沿った断面図、(b)は図1中に示すB−B’線に沿った断面図である。
【図19】本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、(a)は図1中に示すA−A’線に沿った断面図、(b)は図1中に示すB−B’線に沿った断面図である。
【図20】本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、(a)は図1中に示すA−A’線に沿った断面図、(b)は図1中に示すB−B’線に沿った断面図である。
【図21】本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、(a)は図1中に示すA−A’線に沿った断面図、(b)は図1中に示すB−B’線に沿った断面図である。
【図22】本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、(a)は図1中に示すA−A’線に沿った断面図、(b)は図1中に示すB−B’線に沿った断面図である。
【図23】本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、(a)は図1中に示すA−A’線に沿った断面図、(b)は図1中に示すB−B’線に沿った断面図である。
【図24】本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、(a)は図1中に示すA−A’線に沿った断面図、(b)は図1中に示すB−B’線に沿った断面図である。
【図25】本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、(a)は図1中に示すA−A’線に沿った断面図、(b)は図1中に示すB−B’線に沿った断面図である。
【図26】本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、(a)は図1中に示すA−A’線に沿った断面図、(b)は図1中に示すB−B’線に沿った断面図である。
【図27】本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、(a)は図1中に示すA−A’線に沿った断面図、(b)は図1中に示すB−B’線に沿った断面図である。
【図28】本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式平面図である。
【図29】本発明を適用した他の例である半導体装置の製造方法を適用して得られる半導体装置のメモリセル領域を示す模式図であり、(a)は図1中に示すA−A’線に沿った断面図、(b)は図1中に示すB−B’線に沿った断面図である。
【図30】本発明を適用した他の例である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、(a)は図1中に示すA−A’線に沿った断面図、(b)は図1中に示すB−B’線に沿った断面図である。
【図31】本発明を適用した他の例である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、(a)は図1中に示すA−A’線に沿った断面図、(b)は図1中に示すB−B’線に沿った断面図である。
【図32】本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式断面図である。
【図33】従来の半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図である。
【図34】従来の半導体装置の製造方法を説明するための模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法について、図面を適宜参照しながら説明する。本実施形態においては、半導体装置として、DRAM(Dynamic Random Access Memory)に本発明を適用した場合を例に挙げて説明する。なお、以下の説明において参照する図面は、本実施形態の半導体装置の製造方法を説明する図面であって、図示される各部の大きさや厚さや寸法等は、実際の半導体装置等の寸法関係とは異なっていることがある。また、以下の説明において例示する材料や寸法等は一例であり、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0013】
[半導体装置の構成]
まず、本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を適用して得られるDRAM(半導体装置)の構成について説明する。本実施形態の製造方法によって得られる半導体装置の一例であるDRAM60は、図1に示すように、メモリセル領域と、図示略の周辺回路領域とから構成されている。
【0014】
図1に示すように、DRAM(半導体装置)60のメモリセル領域には、素子分離膜8からなる素子分離領域に囲まれて区画された活性領域1aが、所定方向に所定間隔で複数形成されている。また、活性領域1aを縦断するように、ワード線となる埋め込みゲート電極23A及び素子分離用の埋め込み配線23Bが、所定方向(図1中に示すY方向)に所定の間隔で埋め込み形成されている。さらに、埋め込みゲート電極23A及び埋め込み配線23Bと直交する方向(図1中に示すX方向)に、複数のビット線30が所定の間隔で配置されている。そして、埋め込みゲート電極23Aと活性領域1aとが交差する領域にそれぞれメモリセルが形成されている。
【0015】
埋め込みゲート電極(ワード線)23A及び埋め込み配線23Bは、同一の構造を有しているが、機能が異なっている。ここで、埋め込みゲート電極23Aがメモリセルのゲート電極として用いられるのに対して、素子分離用の埋め込み配線23Bは、所定の電位をかけて隣接するトランジスタ間を分離するために設けられている。すなわち、同一の活性領域1a上で隣接するトランジスタ間は、素子分離用の埋め込み配線23Bを所定の電位に維持することで、寄生トランジスタをオフ状態として分離する。
【0016】
また、メモリセル領域全体には、複数のメモリセルが形成されており、個々のメモリセルには、それぞれキャパシタ素子(図示略)が設けられている。また、それらキャパシタが接続される容量コンタクトパッド42は、図1に示すように、それぞれが重ならないように、メモリセル領域内に所定の間隔で配置されている。
なお、本実施形態で説明するDRAM60は、図1に示すように、6Fセル配置(Fは最小加工寸法)とされている。
【0017】
次に、DRAM60を構成するメモリセルについて説明する。
図2(a)、(b)に示すように、DRAM60を構成するメモリセルは、ワード線が半導体基板内に完全に埋め込まれた埋め込みゲート型トランジスタ、キャパシタ、配線層が形成された積層構造体である。
【0018】
埋め込みゲート型トランジスタは、図2(a)、(b)に示すように、表層がシリコンからなる半導体基板1と、半導体基板1に形成された埋め込み絶縁膜からなる素子分離膜8と、素子分離膜8によって区画形成された活性領域1aと、ゲート電極溝(溝部)13の内部にゲート絶縁膜15を介して埋め込み形成され、窒化チタン膜16(16a、16b)及びタングステン膜(金属膜)17からなる埋め込みゲート電極(ゲート電極)23Aと、ゲート電極溝13の内部で埋め込みゲート電極23Aの上面を保護するキャップ絶縁膜22と、半導体基板1の表面を覆う第1層間絶縁膜(層間絶縁膜)24を介して上方に形成されるビット線30と、から概略構成されている。
また、埋め込みゲート型トランジスタは、埋め込みゲート電極23Aの幅方向両側の活性領域1aにイオンを注入することによって形成された拡散領域25、37を備えており、上記拡散領域25と上記ビット線30とが接続されている。
【0019】
また、図2(b)に示すように、埋め込みゲート電極23Aを構成する窒化チタン膜16は、ゲート電極溝13の底面の一部に形成された第1のバリア膜16aと、該第1のバリア膜16aの表面とゲート電極溝13の内面を覆って形成された第2のバリア膜16bとから構成されている。また、第1のバリア膜16aは、ゲート電極溝13の底面の周縁部に残存し、図示例においては、壁面にかかるように残存しており、この上に第2のバリア膜16bが形成され、窒化チタン膜16とされている。
【0020】
また、本実施形態の埋め込みゲート型トランジスタは、図2(a)に示すように、埋め込み配線23Bの底面の一部が、当該埋め込み配線23Bの長手方向に配置された隣接する素子分離膜8の間に埋め込む構成となっている。これにより、素子分離膜8と、埋め込み配線23Bの埋め込まれた底面の一部の側面部分との間には、薄膜状のシリコン部14がサイドウォール形状に設けられている。
【0021】
ここで、埋め込みゲート電極23Aと埋め込み配線23Bとは同じ構造を有していることから、埋め込みゲート電極23Aの底面の一部においても同様の薄膜状のシリコン部14が設けられている。この薄膜状のシリコン部14は、ソース領域とドレイン領域との電位差が閾値を超えたとき、チャネルとして機能させることができる。このように、本実施形態の埋め込みゲート型トランジスタは、薄膜状のシリコン部14のようなチャネル領域を有するリセスチャネル型トランジスタを構成する。
【0022】
埋め込みゲート型トランジスタの上方には、絶縁膜33等を介してキャパシタが設けられている。具体的には、絶縁膜33上には、埋め込みゲート型トランジスタの拡散領域37と容量コンタクトプラグ41を介して接続される容量コンタクトパッド42が設けられている。そして、この容量コンタクトパッド42上に、ストッパー膜43及び第3層間絶縁膜44を貫通するように設けられた下部電極46、容量絶縁膜47及び上部電極48から構成されるキャパシタが形成されている。
【0023】
なお、本実施形態のキャパシタ素子は、下部電極46の内壁のみを電極として利用するシリンダー型を一例として記載しているが、これに限定されるものではない。例えば、下部電極の内壁及び外壁を電極として利用するクラウン型キャパシタに変更することも可能である。
【0024】
配線層は、上記キャパシタ上に第4層間絶縁膜49を介して設けられており、上部金属配線50及び保護膜51から構成されている。本実施形態では、配線層が1層配線構造の場合を一例として記載しているが、これに限定されるものではない。例えば、複数の配線層及び層間絶縁膜から構成される多層配線構造に変更することも可能である。
【0025】
[半導体装置の製造方法]
続いて、上記構成を有するDRAM(半導体装置)60の製造方法について、図3〜図28を参照しながら説明する。ここで、図3〜図28は、本実施形態のDRAMの製造方法を説明するための図であり、各図における(a)は図1(a)に示すA−A’線に沿った断面を、(b)は図1(a)に示すB−B’線に沿った断面をそれぞれ示している。
【0026】
本実施形態のDRAM(半導体装置)60の製造方法は、シリコン基板(半導体基板)1の表面にゲート電極溝(溝部)13を形成する工程と、ゲート電極溝13の内面に第1のバリア膜16aを形成する工程と、第1のバリア膜16aをエッチバックすることにより、ゲート電極溝13の底面に第1のバリア膜16aの一部を残存させながら、この第1のバリア膜16aの少なくとも一部を除去する工程と、ゲート電極溝13の内面と、ゲート電極溝13の底面に残存した第1のバリア膜16aの表面に、第2のバリア膜16bを形成する工程と、第2のバリア膜16aの表面にタングステン膜(金属膜)17を形成する工程と、タングステン膜17及び第2のバリア膜16bをエッチバックすることにより、ゲート電極溝13内に、タングステン膜17及び第2のバリア膜16bのそれぞれ一部を残存させながら、これらタングステン膜17及び第2のバリア膜16bの少なくとも一部を一括除去する工程と、を具備して概略構成されている。
以下に、各工程について、詳細に説明する。
【0027】
先ず、シリコン基板(半導体基板)1の表面に、活性領域1aを分離するための素子分離領域を形成する。素子分離領域の形成は、先ず、図3(a)及び図3(b)に示すように、例えばP型のシリコン基板(半導体基板)1上に、シリコン酸化膜(SiO)2とマスク用のシリコン窒化膜(Si)3とを順次堆積する。次に、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いて、シリコン窒化膜3、シリコン窒化膜2、およびシリコン基板1のパターニングを順次行ない、シリコン基板1に活性領域1aを区画するための素子分離溝(トレンチ)4を形成する。また、シリコン基板1の活性領域1aとなるシリコン表面は、マスク用のシリコン窒化膜3で覆われている。
【0028】
次に、図4(a)及び図4(b)に示すように、素子分離溝4内に露出するシリコン基板1の表面にシリコン酸化膜5を形成する。具体的には、素子分離溝4内のシリコン基板1の表面とともにシリコン基板1の活性領域1aを被覆するシリコン窒化膜2及びシリコン窒化膜3の表面に、熱酸化によってシリコン酸化膜5を形成する。次に、窒化シリコンを素子分離溝4の内部を充填するように堆積した後、エッチバックを行なって、素子分離溝4の内部の底面にシリコン窒化膜6を残存させる。
【0029】
次に、図5(a)及び図5(b)に示すように、例えばCVD法によって、酸化シリコンを素子分離溝4の内部を充填するように堆積した後、マスク用のシリコン窒化膜3が露出するまでCMPを行なって基板の表面を平坦化し、シリコン酸化膜7を形成する。このように、素子分離溝4の内部を下層のシリコン窒化膜6と上層のシリコン酸化膜7との2層構造で埋め込むことにより、上記素子分離溝4の幅が非常に狭い場合であっても当該素子分離溝4内に絶縁膜を確実に充填することができる。
【0030】
次に、図6(a)及び図6(b)に示すように、例えばウェットエッチングによって、マスク用のシリコン窒化膜3およびシリコン酸化膜2を除去する。これにより、素子分離溝4の表面(すなわち、シリコン酸化膜7の表面)とシリコン基板1の表面とを概略同等の高さとなる。このようにして、素子分離領域を構成するSTI(Shallow Trench Isolation)素子分離膜8を形成する。また、この素子分離領域により、シリコン基板1に活性領域1aが区画形成される。
【0031】
次に、シリコン基板1の表面に不純物拡散層を形成する。不純物拡散層の形成は、先ず、図6(a)及び図6(b)に示すように、露出したシリコン基板1の表面に、熱酸化によってシリコン酸化膜9を形成する。次に、このシリコン酸化膜9をマスクとしてシリコン基板1の活性領域1aに低濃度のN型不純物(リン等)をイオン注入する。このようにして、シリコン基板1の表面近傍にN型不純物拡散層10を形成する。このN型不純物拡散層10は、トランジスタのソース・ドレイン領域の一部として機能する。
【0032】
次に、埋め込みゲート電極(ワード線)23Aを形成する。埋め込みゲート電極23Aの形成にあたっては、まず、図7(a)及び図7(b)に示すように、シリコン酸化膜9上にマスク用のシリコン窒化膜11及びカーボン膜(アモルファス・カーボン膜)12を順次堆積した後、カーボン膜12、シリコン窒化膜11及びシリコン酸化膜9を順次パターニングしてゲート電極溝(トレンチ)13を形成するためのハードマスクを形成する。
【0033】
次に、図8(a)及び図8(b)に示すように、ドライエッチング法によって上記ハードマスクから露出するシリコン基板1をエッチングすることにより、ゲート電極溝(溝部:トレンチ)13を形成する。このゲート電極溝13は、活性領域1aと交差する所定の方向(例えば、図1中のY方向)に延在するライン状のパターンとして形成される。また、図8(a)に示すように、ゲート電極溝13を形成する際に、素子分離膜8の表面の高さが、シリコン基板1の表面の高さよりも高くなるように、素子分離膜8の部分よりもシリコン層の部分を深くエッチングする。これにより、素子分離膜8と接するゲート電極溝13の側面部分には、サイドウォール状に薄膜状のシリコン部14が残存する。この薄膜状のシリコン部14がトランジスタのチャネル領域として機能する。
また、図32に示す例のように、トレンチ加工によってシリコン基板1に形成されるゲート電極溝13は、通常、基板表面からの深さが一定以上となる位置において、溝内部空間の膨らみからなるボーイングが生じる。
【0034】
次に、図9(a)及び図9(b)に示すように、ゲート電極溝13の内面及び基板の表面を覆うようにゲート絶縁膜15を形成する。この際、ゲート絶縁膜15としては、例えば、ゲート電極溝13の内面表層、及び、シリコン基板1の表面を熱酸化することによって形成することができる。
【0035】
次いで、ゲート絶縁膜15上にゲート電極材料を順次堆積することにより、これらの材料をゲート電極溝13内に埋め込み、埋め込みゲート電極23Aを形成する。
具体的には、図9(a)及び図9(b)(図32も参照)に示すように、まず、ゲート電極溝13の内面に、例えば、窒化チタン(TiN)等の窒化膜を成長させることにより、第1のバリア膜16aを形成する。次いで、第1のバリア膜16aの一部を、ドライエッチング等の方法でエッチバックして除去するとともに、ゲート電極溝13の底面に第1のバリア膜16aの一部を残存させることにより、バリア膜16aを、図示例のようなゲート電極溝13の底面と側面との境界近傍に残存した状態に形成する。より具体的には、第1のバリア膜16aの一部を、ゲート電極溝13の底面の周縁部に残存させ、さらに、ゲート電極溝13の壁面にかかるように残存した状態とする。
【0036】
次いで、図10(a)及び図10(b)に示すように、ゲート電極溝13の内面と、ゲート電極溝13の底面に残存した第1のバリア膜16aの表面に、第1のバリア膜16aと同じ材料からなる窒化膜を成膜することで、第2のバリア膜16bを形成し、これら各バリア膜からなる窒化チタン膜16を形成する。この際、第2のバリア膜16bは、第1のバリア膜16aによって、ゲート電極溝13の底面の周縁部に対応する位置が底上げされた状態となる。
【0037】
次いで、図11(a)及び図11(b)に示すように、窒化チタン膜16の上、即ち、第2のバリア膜16bの表面に、金属材料、例えばタングステン(W)材料を積層することにより、ゲート電極溝13を埋め込むように、タングステン膜(金属膜)17を形成する。この際、タングステン膜17は、図32に示すように、第1のバリア膜16a及び第2のバリア膜16bにより、ゲート電極溝13の底面の周縁部に対応する位置が底上げされた状態となる。
また、埋め込みゲート電極の埋設状態は半導体基板のトレンチ加工形状に依存することから、半導体基板1に図示例のようなボーイングが生じている場合には、タングステン膜17の内部にボイドVが発生することがある。
【0038】
そして、図12(a)及び図12(b)に示すように、タングステン膜17及び窒化チタン膜16(第2のバリア膜16b)の一部を、上記同様のドライエッチング等を用いてエッチバックして一括除去するとともに、これらタングステン膜17及び第2のバリア膜16bのそれぞれ一部を、ゲート電極溝13の底面にのみ残存させる。これにより、ゲート電極溝13内に、窒化チタン膜16及びタングステン膜17からなる埋め込みゲート電極(ワード線)23A並びに埋め込み配線23Bが形成される。
なお、上記工程におけるエッチバック量としては、ゲート電極を埋め込み形成するために、ゲート電極溝13内の埋め込みゲート電極23Aを構成するタングステン膜17の上面がシリコン基板1のシリコン層よりも低い(深い)位置となるように調整する。
【0039】
本発明においては、上記方法によって埋め込みゲート電極23Aを形成することにより、電極内部に欠陥が生じるのを抑制することが可能となる。図32の模式図に示すように、本発明の製造方法で形成した埋め込みゲート電極23Aは、図34に示すような従来の方法で形成したものに比べ、タングステン膜17内部にボイドVが発生した場合でも、第1のバリア膜16aによる底上げ作用により、その発生場所はゲート電極溝13の入口に近い位置となり、且つ、小さなものとなる。このため、図32中に示す二点差線(符号Sを参照)の位置までタングステン膜17をエッチバックした場合には、エッチバック後の埋め込みゲート電極23Aの形状は、上部表面において、ボイドに由来する欠陥が存在しないか、あるいは、欠陥が存在してもその大きさは非常に小さく、埋設状態に優れたものとなる。これにより、埋め込みゲート電極23Aに欠陥が生じるのが抑制され、埋め込みゲート電極23A(ワード線)の抵抗値が増大するのを防止することが可能となる。
【0040】
上述のような、タングステン膜17の内部に生じるボイドVの位置が底上げされるとともに、サイズが小さくなる作用が得られるメカニズムについて、以下に詳述する。
図32に示すように、ゲート電極溝13の底部の周縁部に残留させた第1のバリア膜16aにより、この位置に対応するタングステン膜17は、底上げされた状態で形成される。この際、従来の方法で形成した場合と同様、ゲート電極溝13がタングステン膜17によって完全に充填される前に、ゲート電極溝13の入り口がタングステン材料で塞がれるため、タングステン膜17内に巣状のボイドVが生じることがある。しかしながら、本発明においては、上述のような底上げ作用により、ゲート電極溝13(タングステン膜17)の内部におけるボイドVの位置が、従来よりも上側、即ちゲート電極溝13の入口側に寄った状態となる。これにより、エッチバック後の埋め込みゲート電極23Aには、ボイドVに由来する欠陥が残存せず、形状等の埋設状態に優れたものとなる。
【0041】
次に、本実施形態の製造方法においては、図13(a)及び図13(b)に示すように、残存するタングステン膜17上及びゲート電極溝13の内壁を覆うように、例えば、シリコン窒化膜等でライナー膜18を形成する。次に、上記ライナー膜18上に、埋め込み絶縁膜19を形成する。ここで、埋め込み絶縁膜19としては、例えば、CVD法で形成したシリコン酸化膜、塗布膜であるSOD(Spin On Dielectric)膜や、それらの積層膜を使用することができる。また、埋め込み絶縁膜19としてSOD膜を用いた場合には、ライナー膜18上にSOD膜を塗布した後に高温の水蒸気(HO)雰囲気中でアニール処理を行うことにより、固体の膜に改質する。
【0042】
次に、図14(a)及び図14(b)に示すように、CMP処理を行って、マスク用のシリコン窒化膜11上に形成されたライナー膜18が露出するまで基板の表面を平坦化した後に、シリコン基板1のシリコン表面が露出するように、マスク用のシリコン窒化膜11と、埋め込み絶縁膜19及びライナー膜18の一部とをエッチングによって除去する(エッチバック)。このようにして、埋め込みゲート電極(ワード線)23A及び埋め込み配線23Bの上部に、ライナー膜18及び埋め込み絶縁膜19からなるキャップ絶縁膜22を形成する。ここで、シリコン窒化膜11と、埋め込み絶縁膜19及びライナー膜18の一部とをエッチバックしてキャップ絶縁膜22を形成する際には、埋め込み絶縁膜19の表面の高さ(図14(a)参照)と、シリコン基板1のシリコン表面の高さ(図14(b)参照)とが概略同じ高さとなるようにエッチングを行なうことが好ましい。
【0043】
次に、ビット線30を形成する。ビット線30の形成は、先ず、図15(a)及び図15(b)に示すように、シリコン基板1の表面及びキャップ絶縁膜22の表面を覆うように第1層間絶縁膜24を形成する。この際、第1層間絶縁膜24の材料としては、例えば、従来公知のLP−TEOS等のCVD酸化膜を用いることができる。
【0044】
次に、図16(a)及び図16(b)に示すように、フォトリソグラフィ技術及びドライエッチング技術を用いて第1層間絶縁膜24の一部を除去し、ビットコンタクト開口部24aを形成する。
ここで、ビットコンタクト開口部24aは、例えば図1に示すように、ワード線23Aと同一の方向(図1中に示すY方向)に延在するライン状の開口パターン24bとして形成する。また、ビットコンタクトの開口パターン24bと活性領域1aとが交差する部分では、図16(b)に示すように、ビットコンタクト開口部24aからシリコン基板1のシリコン表面が露出する。
【0045】
次に、図16(a)及び図16(b)に示すように、第1層間絶縁膜24をマスクとし、ビットコンタクト開口部24aから露出するシリコン基板1の表面に例えばヒ素等のN型の不純物をイオン注入する。これにより、シリコン基板1の表面近傍にN型の不純物拡散層を形成する。このN型の不純物拡散層は、トランジスタのソース・ドレイン領域の一方(本実施形態ではドレイン領域)として機能する拡散領域25となる。また、本実施形態の拡散領域25では、上述したN型の不純物拡散層10を形成する際のイオン注入量(N)よりも、イオン注入量(N)を若干多くして濃度勾配を設け、LDD構造(Lightly Doped Drain)とすることが好ましい。
【0046】
次に、図17(a)及び図17(b)に示すように、リン等のN型の不純物を含有するポリシリコンを第1層間絶縁膜24の上に堆積させ、ポリシリコン膜26を形成する。この際、ビットコンタクト開口部24a内に、ポリシリコンを確実に埋め込むように形成する。次に、このポリシリコン膜26の上に、タングステンシリサイド(WSi)、タングステン及びシリコン窒化膜を順次堆積して、タングステンシリサイド膜27、タングステン膜28及びシリコン窒化膜29をそれぞれ形成する。
【0047】
次に、図18(a)及び図18(b)に示すように、ポリシリコン膜26、タングステンシリサイド膜27、タングステン膜28、シリコン窒化膜29からなる積層膜をライン形状にパターニングして、ビット線30を形成する(図1も参照)。
【0048】
このビット線30は、ビットコンタクト開口部24a内において、ソース・ドレイン領域の一方となる拡散領域25と接続される。すなわち、ビット線30を構成するポリシリコン膜26と、ビットコンタクト開口部24aから露出しているシリコン基板1の表面部分に形成された拡散領域25とが接続される。このように、本実施形態のビット線30は、ソース・ドレイン領域の一方となる拡散領域25と接続するコンタクトプラグの機能を兼ねるものである。本実施形態の製造方法では、このようにコンタクトプラグの機能を兼ねるビット線30を、上記工程により、一回のリソグラフィー工程で形成(一括形成)することが可能である。
【0049】
また、ビット線30は、ワード線23A及び埋め込み配線23Bと交差する方向(図1中に示すX方向)に延在するパターンとして形成される。なお、図1に示すようにビット線30は、ワード線23Aと直交する直線形状の例を示しているが、これに限定されるものではない。例えば、ビット線30は、一部を湾曲させた形状として配置してもよい。
【0050】
次に、図19(a)及び図19(b)に示すように、第1層間絶縁膜24上に、ビット線30の表面を覆うようにシリコン窒化膜31を形成した後、このシリコン窒化膜31の表面を覆うようにライナー膜32を積層して形成する。ライナー膜32としては、例えばシリコン窒化膜(Si)やシリコン酸窒化膜(SiON)等を用いることができる。
【0051】
本実施形態のDRAM60は、上述したように、図1に示すメモリセル領域の周辺領域に図示略の周辺回路部を備えている。この周辺回路部において、例えばプレーナ型MOSトランジスタが形成されている場合には、上記積層膜からなるビット線30を形成する際に、上記プレーナ型MOSトランジスタのゲート電極を同時に形成することができる。また、ビット線30の側面を覆うシリコン窒化膜31及びライナー膜32からなる積層膜は、周辺回路部に形成される上記プレーナ型MOSトランジスタにおいてゲート電極のサイドウォールの一部として用いることができる。
【0052】
次に、容量コンタクトプラグ41を形成する。容量コンタクトプラグ41の形成は、先ず、図20(a)及び図20(b)に示すように、ライナー膜32の上にSODを塗布してビット線30間の空間を充填した後、蒸気(HO)雰囲気中でアニール処理を行なって固体の膜に改質することにより、SOD膜(絶縁膜)33を形成する。次に、ライナー膜32の上面が露出するまでCMPを行って基板の表面を平坦化した後に、SOD膜33及びライナー膜32の上面を覆うように第2層間絶縁膜34を形成する。第2層間絶縁膜34としては、例えば、CVD法で形成したシリコン酸化膜を用いることができる。
【0053】
次に、図21(a)及び図21(b)に示すように、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いて、容量コンタクト開口部35を形成する。この容量コンタクト開口部35は、ビット線30の側面に形成されたシリコン窒化膜31及びライナー膜32をサイドウォールとして用いたSAC(Self Alignment Contact)法によって形成する。
【0054】
具体的には、まず、第2層間絶縁膜34に、例えばワード線23Aと同一の方向(図28中に示すY方向)に延在するライン状の開口パターン34aを形成する。この開口パターン34aの形成する際に、第2層間絶縁膜34と同時にSOD膜33をドライエッチングすると、SOD膜33にはビット線30の側面に形成されたシリコン窒化膜31及びライナー膜32に幅方向が規制された開口が自己整合的に形成される。次に、この開口から露出するライナー膜32、シリコン窒化膜31及び第1層間絶縁膜24を順次エッチングによって除去することにより、容量コンタクト開口部35を形成する。
【0055】
また、図28に示すように、容量コンタクト開口部35と活性領域1aとが重なる部分では、図21(b)に示すように、容量コンタクト開口部35からシリコン基板1のシリコン表面が露出する。
【0056】
次に、図21(a)及び図21(b)に示すように、容量コンタクト開口部35の内壁部に、例えば、シリコン窒化膜からなるサイドウォール(SW)36を形成する。次に、第2層間絶縁膜34をマスクとして、容量コンタクト開口部35から露出するシリコン基板1の表面に、例えばリン等のN型の不純物をイオン注入する。これにより、シリコン基板1のシリコン表面近傍にN型の不純物拡散層を形成する。このN型の不純物拡散層は、トランジスタのソース・ドレイン領域の他方(本実施形態ではソース領域)として機能する拡散領域37となる。
【0057】
次に、図22(a)及び図22(b)に示すように、第2層間絶縁膜34上に、容量コンタクト開口部35内を埋め込むようにしてリンを含有したポリシリコンを堆積した後にエッチバックを行ない、容量コンタクト開口部35の底面にポリシリコン層38を形成する。次に、ポリシリコン層38の表面にコバルトシリサイド(CoSi)層39を形成した後、容量コンタクト開口部35の内部を充填するようにタングステンを堆積してタングステン膜を成膜する。次に、CMPによってSOD膜33の表面が露出するまで表面の平坦化を行ない、容量コンタクト開口部35の内部にタングステンを残存させて、タングステン層40を形成する。このようにして、ポリシリコン層38、コバルトシリサイド層39及びタングステン層40からなる容量コンタクトプラグ41を形成する。
【0058】
次に、キャパシタを形成する。キャパシタの形成にあたっては、まず、容量コンタクトプラグ41を形成した後の基板の表面に、窒化タングステン(WN)及びタングステン(W)を順次堆積して積層膜を形成する。次に、この積層膜をパターニングして、図23(a)及び図23(b)に示すような容量コンタクトパッド42を形成する。ここで、図1に示すように、メモリセル領域において、容量コンタクトパッド42を均等な間隔で形成する必要がある。このため、図23(b)に示すように、容量コンタクトパッド42は、容量コンタクトプラグ41の直上からずらした位置に形成されるが、容量コンタクトパッド42の底面と容量コンタクトプラグ41の上面とが重なる部分で容量コンタクトパッド42が接続される。
【0059】
次に、図24(a)及び図24(b)に示すように、基板上に、容量コンタクトパッド42を覆うように、例えば、シリコン窒化膜等を用いてストッパー膜43を形成する。次に、このストッパー膜43の上に、例えばシリコン酸化膜等を用いて第3層間絶縁膜44を形成する。
【0060】
次に、図25(a)及び図25(b)に示すように、第3層間絶縁膜44と容量コンタクトパッド42上のストッパー膜43とを貫通するコンタクトホール45を形成して、容量コンタクトパッド42の上面の一部を露出させる。次に、コンタクトホール45の内壁面と、露出する容量コンタクトパッド42の上面とを覆うようにして、例えば、窒化チタン等を用いてキャパシタ素子の下部電極46を形成する。これにより、下部電極46の底面は、容量コンタクトパッド42の上面と接続される。
【0061】
次に、図26(a)及び図26(b)に示すように、第3層間絶縁膜44の上に、下部電極46の表面を覆うようにして容量絶縁膜47を形成する。容量絶縁膜47としては、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ハフニウム(HfO)及びこれらの積層膜を用いることができる。次に、容量絶縁膜47の表面を覆うように、例えば、窒化チタン等を用いてキャパシタ素子の上部電極48を形成する。このようにして、キャパシタを形成する。
【0062】
次に、キャパシタ素子を介してシリコン基板1の上に配線層を形成する。配線層の形成にあたっては、まず、図27(a)及び図27(b)に示すように、上部電極48の上に、この上部電極48を覆うようにして、例えば、シリコン酸化膜等からなる第4層間絶縁膜49を形成する。次に、第4層間絶縁膜49の上に、例えばアルミニウム(Al)や銅(Cu)等で上部金属配線50を形成する。その後、上部金属配線50を覆うように保護膜51を形成することにより、DRAMのメモリセルが完成する。
上記各工程により、本実施形態のDRAM60を製造することができる。
【0063】
以上説明したように、本実施形態のDRAM(半導体装置)60の製造方法によれば、シリコン基板1に形成されたゲート電極溝13内に埋め込みゲート電極(ワード線)23Aを形成する際、ゲート電極溝13の内面に第1のバリア膜16aを形成した後、この第1のバリア膜16aをエッチバックして、第1のバリア膜16aの一部をゲート電極溝13の底面に残存させながら除去し、ゲート電極溝13の内面と、ゲート電極溝13の底面に残存した第1のバリア膜16aの表面に第2のバリア膜16bを形成した後、第2のバリア膜16bの表面にタングステン膜17を形成し、次いで、タングステン膜17及び第2のバリア膜16b(窒化チタン膜16)をエッチバックし、ゲート電極溝13内に、タングステン膜17及び窒化チタン膜16のそれぞれ一部を残存させながら一括除去する方法を採用している。このような方法によって埋め込みゲート電極23Aを形成することにより、ゲート電極溝13内に残存する第1のバリア膜16aが底上げ機能を果たすことで、ゲート電極溝13内において、ボイドの位置が入口側に寄った状態となる。これにより、エッチバック後の埋め込みゲート電極23Aの形状は、上部表面において、ボイドに由来する欠陥が存在しないか、あるいは、欠陥が存在してもその大きさは非常に小さな状態となり、埋め込みゲート電極23Aの埋設状態が良好となる。従って、配線抵抗が増大するのが抑制され、素子特性に優れたDRAM60を製造することが可能となる。
【0064】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、上述した実施形態のDRAMでは、メモリセルの構成に、ワード線が半導体基板内に完全に埋め込まれた埋め込み型トランジスタとしてリセスチャネル型トランジスタを用いる例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の埋め込み型トランジスタを適用することができる。
【0065】
具体的には、図29(a)及び図29(b)に示すようなメモリセルの構成を例示することができる。この例のメモリセルは、上記実施形態と同様に、ワード線が半導体基板内に完全に埋め込まれた埋め込みゲート型トランジスタ、キャパシタ、配線層が形成された積層構造体であり、埋め込みゲート型トランジスタの構成以外については上記実施形態と同一である。従って、以下の説明においては、上記実施形態の半導体装置と同一の構成部分については同じ符号を付するとともに、その詳細な説明を省略する。
【0066】
図29(a)及び図29(b)に示すように、本例の埋め込みゲート型トランジスタは、埋め込み配線223Bの底面の一部が、当該埋め込み配線223Bの長手方向に配置された各素子分離膜208の上面に埋め込まれた構成となっている。すなわち、素子分離膜208の上面の高さが、隣接する当該素子分離膜208間の、シリコン基板1の表面の高さよりも低くなるように構成されている。これにより、シリコン基板1の上面には、埋め込み配線223Bの底面の、素子分離膜208への埋め込み部分とゲート絶縁膜15を介して隣接するサドル形状のシリコン部214が設けられる。
【0067】
ここで、埋め込みゲート電極223Aと埋め込み配線223Bとは同じ構造を有していることから、埋め込みゲート電極223Aにおいても同様のサドル形状のシリコン部214が設けられている。このサドル形状のシリコン部214は、ソース領域とドレイン領域との電位差が閾値を超えたとき、チャネルとして機能させることができる。このように、本例の埋め込みゲート型トランジスタは、サドル形状のシリコン部214のようなチャネル領域を有するサドルフィン型トランジスタを構成する。
【0068】
続いて、上記構成を有するサドルフィン型トランジスタの製造方法について説明する。
素子分離領域の形成工程(図3〜図6を参照)及び埋め込みゲート電極の形成工程におけるハードマスクの形成(図7を参照)は、上記実施形態と同一である。
【0069】
次に、図30(a)及び図30(b)に示すように、ドライエッチングによって上記ハードマスクから露出するシリコン基板1をエッチングすることにより、ゲート電極溝(トレンチ)213を形成する。また、図30(a)に示すように、ゲート電極溝213を形成する際に、シリコン基板1のシリコン層の部分よりも素子分離膜208の部分を深くエッチングする。これにより、素子分離膜208の上面よりも高いシリコン層の部分であってゲート電極溝213と接する部分には、サドル状のシリコン部214が残存する。このサドル状のシリコン部214がトランジスタのチャネル領域として機能する。
【0070】
次に、図9(a)及び図9(b)に示す例のように、ゲート電極溝213の内壁面及び基板の表面全体にゲート絶縁膜15を形成した後、このゲート絶縁膜15上にゲート電極材料を順次堆積して、ゲート電極溝213内に埋め込み形成する。
【0071】
次に、図31(a)及び図31(b)に示すように、ゲート電極溝213内に埋め込み形成した窒化チタン膜16及びタングステン膜17をエッチバックして、ゲート電極溝213の底面にのみ窒化チタン膜16及びタングステン膜17を残存させる。このようにして、シリコン基板1に設けられたゲート電極溝213内に埋め込まれる埋め込みゲート電極(ワード線)223A及び埋め込み配線223Bを形成する。
なお、以降の工程については、上記実施形態と同様である。
【0072】
本例で説明したように、埋め込みゲート型トランジスタとしてサドルフィン型トランジスタを適用することにより、オン電流が大きくなるという利点がある。
【符号の説明】
【0073】
1…シリコン基板(半導体基板)、
1a…活性領域、
2、5、7、9…シリコン酸化膜、
3、6、11、29、31…シリコン窒化膜、
4…素子分離溝、
8…素子分離膜、
10…N型不純物拡散層、
12…カーボン膜、
13、213…ゲート電極溝(溝部)、
14…シリコン部、
15…ゲート絶縁膜、
16…窒化チタン膜、
16a…第1のバリア膜、
16b…第2のバリア膜、
17…タングステン膜(金属膜)、
18…ライナー膜(キャップ絶縁膜)、
19…埋め込み絶縁膜(キャップ絶縁膜)、
22…キャップ絶縁膜、
23A、223A…埋め込みゲート電極(ゲート電極:ワード線)、
23B、223B…埋め込み配線、
24…第1層間絶縁膜(層間絶縁膜)
24a…ビットコンタクト開口部
24b…開口パターン
25、37…拡散領域、
26…ポリシリコン膜、
27…タングステンシリサイド膜、
28…タングステン膜(ビット線)、
30…ビット線、
33…絶縁膜、
34…第2層間絶縁膜、
34a…開口パターン、
35…容量コンタクト開口部、
36…サイドウォール(SW)、
38…ポリシリコン層、
39…コバルトシリサイド層(容量コンタクトプラグ)、
40…タングステン層(容量コンタクトプラグ)、
41…容量コンタクトプラグ、
42…容量コンタクトパッド、
43…ストッパー膜、
44…第3層間絶縁膜、
45…コンタクトホール、
46…下部電極、
47…容量絶縁膜、
48…上部電極、
49…第4層間絶縁膜、
50…上部金属配線、
51…保護膜、
60…DRAM(半導体装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の表面に溝部を形成する工程と、
前記溝部の内面に第1のバリア膜を形成する工程と、
前記第1のバリア膜をエッチバックすることにより、前記溝部の底面に前記第1のバリア膜の一部を残存させながら、該第1のバリア膜の少なくとも一部を除去する工程と、
前記溝部の内面と、前記溝部の底面に残存した前記第1のバリア膜の表面に、第2のバリア膜を形成する工程と、
前記第2のバリア膜の表面に金属膜を形成する工程と、
前記金属膜及び前記第2のバリア膜をエッチバックすることにより、前記溝部内に、前記金属膜及び前記第2のバリア膜のそれぞれ一部を残存させながら、該金属膜及び第2のバリア膜の少なくとも一部を一括除去する工程と、
を具備することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1のバリア膜の少なくとも一部を除去する工程は、前記第1のバリア膜を、前記溝部の底面の周縁部に残存させることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記半導体基板の表面に溝部を形成する工程と、前記溝部の内面に第1のバリア膜を形成する工程との間に、さらに、前記溝部の内面表層を酸化することによってゲート絶縁膜を形成する工程を備え、前記第1のバリア膜を形成する工程は、前記ゲート絶縁膜上に前記第1のバリア膜を形成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1のバリア膜、及び、前記第2のバリア膜の材料として窒化チタン(TiN)を用いることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記金属膜の材料としてタングステン(W)を用いることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記半導体基板の表面に溝部を形成する工程において、ドライエッチング法を用いることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1のバリア膜の少なくとも一部を除去する工程、及び/又は、前記第2のバリア膜及び前記金属膜の少なくとも一部を一括除去する工程において、ドライエッチング法を用いることを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2011−171507(P2011−171507A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33781(P2010−33781)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】