説明

基板処理装置

【課題】真空処理室に設けられる基板載置台の表面部の状態の確認や当該表面部の交換を行うことによる真空処理の停止時間を短くすると共に、前記表面部の状態を精度高く管理すること。
【解決手段】基板が搬送される常圧雰囲気の常圧搬送室と、常圧搬送室とロードロック室を介して接続される真空処理室と、前記真空処理室に設けられ、本体部と、当該本体部に対して着脱自在な表面部とを有する基板載置台と、前記ロードロック室または常圧搬送室に設けられ、前記表面部を収納するための保管部と、常圧搬送室からロードロック室を介して真空処理室へ基板を搬送し、また前記保管部と前記真空処理室の本体部との間で前記表面部を搬送するための搬送機構と、を備えるように基板処理装置を構成する。これによって真空処理室の大気開放を防ぐと共に表面部の状態の確認が容易になるので当該表面部を精度高く管理することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空処理室と常圧雰囲気の基板搬送室とロードロック室とを備えた基板処理装置に関する。
【0002】
配線構造を形成する工程において、例えば半導体ウエハ(以下「ウエハ」という)上に形成された各種の膜に、溝やビアホールからなるダマシン構造の凹部を形成するプラズマエッチング処理を行う場合がある。
【0003】
この処理を行うプラズマエッチング装置は、例えば真空雰囲気にされた処理容器内に上部電極と、下部電極をなす載置台とを配置して構成されており、前記載置台にはウエハを載置した状態で、上部電極及び載置台に整合器を介して所定周波数の高周波を印加し、プラズマを発生させると共に載置台側にイオンを引き込んでエッチング処理が行われる。前記載置台には、ウエハがその表面に載置される静電チャックと、静電チャックに載置されたウエハの外周を囲うフォーカスリングとが設けられる。前記静電チャックは、ウエハを吸着すると共にウエハに伝熱してウエハの温度を調節する役割を有する。フォーカスリングは、ウエハ表面上でプラズマを均一性高く分布させるために設けられ、前記イオンによりウエハと共にエッチングされる。
【0004】
ところで静電チャックとウエハとはその熱膨張係数が異なり、静電チャック上にウエハが置かれたときにはこの熱膨張係数の違いにより互いに擦れる。そのため、ウエハの処理が繰り返し続けられると静電チャックの表面が次第に平滑化して載置台とウエハとの接触面積が大きくなり、ウエハへの熱の伝達率が変化する結果、ウエハのエッチング特性が変化する。また、ウエハのエッチングが繰り返し行われると、フォーカスリングもエッチングされるため次第に当該フォーカスリングの形状が変化する。この形状の変化によってイオンが引き込まれる方向や電界の形成具合が変化し、ウエハのエッチング特性が変化する。
【0005】
さらに、エッチング処理後に処理容器内の壁面や載置台に付着した付着物を除去するために、処理容器内に供給したガスをプラズマ化して、その付着物を除去するクリーニングを行う場合がある。このクリーニング時には静電チャック上にダミーウエハを置き、静電チャックを保護することが考えられるが、ダミーウエハを処理容器内に搬送する時間を省いたりコストを削減する目的から、このダミーウエハを用いずに前記クリーニングを行うことが検討されている。しかし、そのようにダミーウエハを置かない場合は、このクリーニングによって静電チャック表面が削れるため、ウエハへの熱の伝達率が変化し、ウエハのエッチング特性が変化してしまう。
【0006】
このように静電チャックの表面状態及びフォーカスリングの形状は、エッチング処理に伴う消耗によって変化を生じ、それによってエッチング特性に変化を与えてしまうので、精度良い状態管理が必要である。そして、形状が許容範囲外となった場合には、即時交換などの対応が必要となる。
【0007】
ところで、静電チャック及びフォーカスリングは既述のように真空雰囲気に設けられている。この真空雰囲気中で静電チャック及びフォーカスリングの状態を確認するために、処理容器内にセンサを設けることが考えられるが、このセンサを設置することによってプラズマに偏りを生じる懸念がある。そこで、従来の静電チャックの表面状態とフォーカスリングの形状の変化の傾向に基づいて、これら静電チャック及びフォーカスリングが使用可能な時間(寿命)を設定し、プラズマエッチング処理を行う時間がこの設定時間を越えたときに、処理容器を大気開放してこれら静電チャック及びフォーカスリングの交換を行っていた。また、ウエハにエッチング特性の変化が確認されたときに処理容器を開放し、静電チャック及びフォーカスリングの状態を確認して、形状が許容範囲外になっていたらこれら静電チャック及びフォーカスリングの交換を行う場合もあった。
【0008】
しかし、エッチングの処理条件の違いにより静電チャック及びフォーカスリングの形状が変化する程度は異なるため、上記のように使用可能な時間を設定する手法は、精度高く静電チャック及びフォーカスリングの状態を管理することが難しい。また、ウエハのエッチング特性の変化を確認してから静電チャック及びフォーカスリングの交換を行う手法は、ウエハを無駄にしてしまう。このようなことから、長期にわたり安定したエッチング特性を得ることが難しかった。さらに、これらの手法では、静電チャック及びフォーカスリングの交換時に処理容器を大気開放するため、大気解放後は処理容器を真空引きして、所望の真空度を得るまでエッチング処理を行えない。従って、プラズマエッチング装置の生産性が低下してしまう懸念があった。特許文献1には、このようなプラズマエッチング装置を備えた基板処理装置について記載されているが、上記の問題を解決する手法については記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−16447
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述の事情に基づいてなされたものであり、その目的は、真空処理室に設けられる基板載置台の表面部の状態の確認や当該表面部の交換を行うことによる真空処理の停止時間を短くすると共に、前記表面部の状態を精度高く管理することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の基板処理装置は、基板が搬送される常圧雰囲気の常圧搬送室と、
この常圧搬送室とロードロック室を介して接続され、基板に対して真空処理を行う真空処理室と、
前記真空処理室に設けられ、本体部と、当該本体部に対して着脱自在な表面部とを有する基板載置台と、
前記ロードロック室または常圧搬送室に設けられ、前記表面部を収納するための保管部と、
常圧搬送室からロードロック室を介して真空処理室へ基板を搬送し、また前記保管部と前記真空処理室の本体部との間で前記表面部を搬送するための搬送機構と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明の具体的な態様としては下記の通りである。
(1)前記ロードロック室と前記真空処理室との間に介在する真空雰囲気の真空搬送室が設けられる。
(2)前記保管部は、前記ロードロック室または常圧搬送室に設けられる代わりに前記ロードロック室及び真空処理室と区画されて前記真空搬送室に接続され、
前記真空搬送室が真空雰囲気である状態のまま前記保管部の内部を真空雰囲気から常圧雰囲気にできるように、当該保管部の真空搬送室に対する開放及び遮断を切り替える仕切り弁と、
を備える。
(3)前記表面部は基板を載置する載置面を備え、
前記保管部は、前記表面部を保持するための保持部を備え、
前記搬送機構は、基板を前記表面部に載置された状態で保管部から真空処理室に搬送することを特徴とする。
(4)前記載置面の予め設定された位置に基板を載置するために、表面部及び基板を前記保持部に搬送する前に当該保持部に対する位置合わせを行う位置合わせ機構が設けられる。
(5)前記真空処理室は、基板にプラズマ処理を行うためのものである。
(6)前記表面部は、基板を吸着するための静電チャック及び基板の外周を囲み、プラズマの状態を制御するためのフォーカスリングの少なくともいずれか一方からなる。
(7)前記保管部は、互いに区画された第1の保管部と、第2の保管部とからなり、
前記仕切り弁は第1の保管部、第2の保管部に各々設けられ、互いに独立して開閉できるように構成されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、真空処理室に設けられる基板載置台の表面部を本体部から着脱自在に構成し、ロードロック室または大気搬送室に設けられるか、あるいは真空搬送室に接続される保管部との間で搬送する。これによって真空処理室を大気開放しなくても前記表面部の交換を行うことができるので、当該真空処理室における真空処理の停止時間を抑えることができる。また、前記表面部の状態を目視で確認したり、保管部に各種のセンサを設けて表面部の状態の確認を行うことができる。従って、表面部の状態を精度高く管理することができ、ひいては基板のエッチング特性の劣化を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る基板処理装置の縦断側面図である。
【図2】前記基板処理装置に設けられるストッカの縦断側面図である。
【図3】前記ストッカの上部の縦断正面図である。
【図4】前記ストッカの横断平面図である。
【図5】前記ストッカに設けられる載置台の斜視図である。
【図6】前記基板処理装置に設けられるアライメントモジュールの縦断側面図である。
【図7】前記基板処理装置に設けられるアライメントモジュールの縦断側面図である。
【図8】前記基板処理装置に設けられるプラズマエッチングモジュールの縦断側面図である。
【図9】前記プラズマエッチングモジュールに設けられる載置台の斜視図である。
【図10】前記基板処理装置で処理が行われる様子を示した工程図である。
【図11】前記基板処理装置で処理が行われる様子を示した工程図である。
【図12】前記基板処理装置で処理が行われる様子を示した工程図である。
【図13】前記基板処理装置で処理が行われる様子を示した工程図である。
【図14】前記基板処理装置で処理が行われる様子を示した工程図である。
【図15】前記基板処理装置で処理が行われる様子を示した工程図である。
【図16】前記基板処理装置で処理が行われる様子を示した工程図である。
【図17】前記基板処理装置で処理が行われる様子を示した工程図である。
【図18】前記基板処理装置で処理が行われる様子を示した工程図である。
【図19】前記基板処理装置で処理が行われる様子を示した工程図である。
【図20】基板処理装置での他の処理の例を示す工程図である。
【図21】基板処理装置での他の処理の例を示す工程図である。
【図22】基板処理装置での他の処理の例を示す工程図である。
【図23】他の基板処理装置の構成を示す平面図である。
【図24】基板処理装置の他の搬送機構の例を示す平面図である。
【図25】前記搬送機構に対応する載置台を示す斜視図である。
【図26】前記搬送機構における搬送例を示す工程図である。
【図27】前記プラズマエッチングモジュールに設けられる他の載置台の縦断側面図である。
【図28】前記載置台の平面図である。
【図29】前記載置台の縦断側面図である。
【図30】前記載置台の平面図である。
【図31】さらに他の載置台の縦断側面図である。
【図32】前記載置台の縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
本発明の実施の形態に係る基板処理装置1の構成について図1の平面図を参照しながら説明する。基板処理装置1は、半導体装置製造用の基板であるウエハWを当該基板処理装置1に搬入するための大気搬送室11と、ロードロック室12、12と、真空搬送室13と、例えば4つのプラズマエッチングモジュール4を備えている。大気搬送室11は、ロードロック室12、12を介して真空搬送室13に接続されている。真空搬送室13には、ロードロック室12、12から区画されるようにプラズマエッチングモジュール4が接続されている。
【0016】
大気搬送室11は大気雰囲気に構成され、その正面には例えば25枚のウエハWを収納するキャリアCが載置されるキャリア載置台14が設けられている。大気搬送室11の正面壁には、前記キャリアCが接続されてキャリアCの蓋と一緒に開閉されるゲートドアGTが設けられている。大気搬送室11の一方の側面には保管部であるストッカ2が設けられ、他方の側面には位置合わせ機構をなすアライメント室3が設けられている。これらストッカ2及びアライメント室3については後述する。
【0017】
また、大気搬送室11には第1の搬送機構15が設けられており、キャリアC、ロードロック室12、アライメント室3及びストッカ2の間でウエハWと後述の静電チャック51とフォーカスリング52とを受け渡す。第1の搬送機構15は、基部15aと、多関節のアーム15bと、支持部15cとを備えている。アーム15bの基端側は基部15aに接続され、アーム15bの先端側は支持部15cに接続されている。基部15aは横方向に移動自在且つ昇降自在に構成される。支持部15cは平面視U字型に形成され、ウエハW、静電チャック51及びフォーカスリング52を支持する。
【0018】
ロードロック室12には、ウエハWが載置されるステージと、昇降自在な支持ピンとが設けられ、前記支持ピンにより前記第1の搬送機構15と、後述の第2の搬送機構16との間でウエハWを受け渡すことができる。また、ロードロック室12には、図示しない真空ポンプとリーク弁とが設けられており、大気雰囲気と真空雰囲気とを切り替えられる。つまり、大気搬送室11の雰囲気が大気雰囲気に、真空搬送室13の雰囲気が真空雰囲気に夫々保たれているため、ロードロック室12、12は、これらの搬送室間において、ウエハWを搬送するために雰囲気が切り替えられることになる。
【0019】
真空搬送室13は既述のように真空雰囲気に保たれ、第2の搬送機構16を備えている。第2の搬送機構16は、第1の搬送機構15と略同様に構成されているが、1つの基部に対して各2つのアーム及び支持部が設けられている。第2の搬送機構16の基部、アーム、支持部は夫々16a、16b、16cとして図示している。
【0020】
図中Gは、各室間及びプラズマエッチングモジュール4と真空搬送室との間を仕切る開閉自在なゲートバルブ(仕切り弁)である。通常、ゲートバルブGは閉じられており、各室間及び各モジュールと真空搬送室13との間でウエハWを搬送するときに開かれる。
【0021】
続いて、ストッカ2について、図2の縦断側面図及び図3の横断平面図を参照しながら説明する。ストッカ2は筐体21を備え、筐体21には第1の搬送機構15が進入するための開口部22と、当該開口部22を開閉するシャッタ23が設けられている。当該筐体21内にはプラズマエッチングモジュール4においてウエハWの載置台43を構成する静電チャック51と、フォーカスリング52とが夫々複数収納されている。また、筐体21を構成し、大気搬送室11と反対側に設けられた側壁21aは例えばユーザが静電チャック51及びフォーカスリング52の状態を目視で確認できるように透明に構成されている。また、側壁21aは取り外し自在に構成され、筐体21内の静電チャック51及びフォーカスリング52の交換を行うことができるようになっている。
【0022】
ここで、図4の斜視図も参照しながら静電チャック51及びフォーカスリング52の構成について説明する。静電チャック51は、プラズマエッチングモジュール4における処理時にウエハWを載置して吸着保持すると共にウエハWに伝熱する役割を有し、円板状に形成されている。そして、その表面には段差が形成され、中央部511は周縁部512よりも高く形成されている。中央部511には、後述する支持ピン27が貫通する孔513と、ウエハWの処理時にウエハWの裏面にガスを流通させるための孔514とが、静電チャック51の厚さ方向に穿設されている。周縁部512には後述する支持ピン28が貫通する孔515が、前記厚さ方向に設けられている。これら各孔513、515は3つずつ静電チャック51の周方向に配列されている。また、前記孔514は多数設けられている。図中516は、静電チャック51の外周部から内側に向けて形成された切り欠きである。
【0023】
フォーカスリング52は例えばウエハWと同じくシリコンにより構成され、プラズマエッチングモジュール4における処理時にウエハWの周縁部と中央部とでプラズマの状態が偏ることを防ぐ役割を有し、リング状に形成されている。フォーカスリング52の表面には段差が形成され、内周部521よりも外周部522が高く形成されている。なお、フォーカスリング52の材質としては、シリコンに限られず、例えば二酸化シリコン(SiO2)や炭化シリコン(SiC)により構成してもよい。フォーカスリング52は、前記静電チャック51の周縁部512に載置できるように構成される。また、フォーカスリング52の外周部522はウエハWの外周を囲むことができる大きさに構成されている。
【0024】
ストッカ2の説明に戻って、筐体21の上部側には、複数の各静電チャック51及びフォーカスリング52を積層して支持するための棚24が設けられている。図5は、筐体21の上部側を当該筐体21の開口部22側から見た縦断面を示している。この図5に示すように棚24は開口部22から見て左右に設けられ、静電チャック51及びフォーカスリング52の縁部を支持する。開口部22から進入した第1の搬送機構15は、これら静電チャック51及びフォーカスリング52の裏面を支持して、当該棚24からこれら静電チャック51及びフォーカスリング52を受け取ることができる。
【0025】
棚24の下方には、図2〜図4に示すように円形の保持部25が設けられている。前記静電チャック51及びフォーカスリング52とキャリアCから搬送されたウエハWとは、この保持部25に搬送されて一体にされる。そして、そのように一体にされた状態で上記の第1の搬送機構15及び第2の搬送機構16により、プラズマエッチングモジュール4に搬送される。保持部25には当該保持部25の厚さ方向に穿設された3つの孔26a(図2では便宜上2つのみ示している)が、当該保持部25の周方向に配設されている。各孔26aには静電チャック51の裏面を支持する支持ピン26が設けられ、各支持ピン26は図2に示す駆動機構26bにより昇降自在に構成されている。
【0026】
孔26aよりも保持部25の中心側よりに、3つの孔27aが孔26aと同様に配設されている。各孔27aには支持ピン27が設けられ、各支持ピン27は駆動機構27bにより昇降自在に構成されている。図4に示すようにこの支持ピン26は、静電チャック51の孔513を介してウエハWの裏面を支持する。また、孔26aよりも保持部25の外側よりには、3つの孔28aが孔26aと同様に配設されている。各孔28aには支持ピン28が設けられ、各支持ピン28は駆動機構28bにより昇降自在に構成されている。図4に示すようにこの支持ピン28は、静電チャック51の孔515を介してフォーカスリング52の裏面を支持する。
【0027】
続いて図6、図7を参照しながらアライメント室3の構成について説明する。アライメント室3にはウエハW、静電チャック51及びフォーカスリング52が夫々載置される水平な回転ステージ31が設けられている。この回転ステージ31はこれらウエハW、静電チャック51及びフォーカスリング52を真空吸着し、水平に支持する。図6は回転ステージ31に静電チャック51を載置した状態を、図7は回転ステージ31にフォーカスリング52を載置した状態を夫々示している。
【0028】
回転ステージ31は駆動機構32により、水平を保ったまま鉛直軸周りに回転する。回転ステージ31の下方には当該回転ステージ31の周方向に例えば3本(図中では便宜上2本のみ図示)支持ピン33が設けられている。支持ピン33は昇降機構34により昇降し、回転ステージ31の厚さ方向に設けられた孔35を介して当該回転ステージ31上に突出する。この支持ピン33により回転ステージ31と第1の搬送機構15との間で、ウエハW、静電チャック51及びフォーカスリング52の受け渡しが行われる。
【0029】
回転ステージ31の外側上部には投光部36が設けられ、その下方には受光部37が設けられている。図6に示すように静電チャック51を載置した回転ステージ31が回転しながら、投光部36から受光部37への投光が行われる。そして、静電チャック51の周縁部に遮られずに受光部37に射しこまれた光量の変化に基づいて、後述の制御部100は、回転ステージ31上における静電チャック51の中心位置と切り欠き516の向きとを検出し、回転ステージ31を回転させて切り欠き516を所定の向きにする。ウエハWについても同様の処理を行うことで制御部100は、ウエハWの中心位置を検出することができる。フォーカスリング52についても同様の処理が行われ、制御部100は当該フォーカスリング52の中心位置を検出する。
【0030】
上記のように中心位置の検出及び向きの調整が行われた各部材を、第1の搬送機構15は、検出された中心位置が当該第1の搬送機構15の支持部15cに対して所定の位置に位置するように受け取る。静電チャック51についてはこのように受け渡しが行われることで、保持部25に載置されたときに既述の各孔の位置と前記保持部25の各支持ピンの位置とが揃う。さらに、プラズマエッチングモジュール4に搬送されたときに、静電チャック51における孔513の位置、後述の静電チャック51の下面の電極518の位置、ガスが流通するための孔514の位置を後述の本体部44の支持ピン46の位置、表面電極531の位置、ガス吐出口48の位置に夫々揃えることができる。つまり、この支持部15cに対して位置合わせすることが、保持部25及びプラズマエッチングモジュール4に対しても位置合わせしていることになる。フォーカスリング52及びウエハWについても上記のように中心位置に基づいて受け渡しが行われることで、静電チャック51に正確に載置することができる。
【0031】
続いて、プラズマエッチングモジュール4について図8の縦断側面図を参照しながら説明する。プラズマエッチングモジュール4は、マグネトロン方式の反応性イオンエッチング装置である。プラズマエッチングモジュール4は、気密な処理容器41を備えている。当該処理容器41には、エッチングを行うための処理ガスを導入するガスシャワーヘッドを兼ねた上部電極42と下部電極を兼ねた載置台43とが互いに対向して設けられている。
【0032】
載置台43は例えば円形に形成された本体部44と、既述の静電チャック51及びフォーカスリング52とにより構成されており、静電チャック51及びフォーカスリング52は本体部44の表面に設けられる。本体部44には3つの孔45aが当該本体部44の厚さ方向に穿設されており(便宜上図8では2つのみ図示している)、各孔45aは本体部44の周方向に配列されている。各孔45aには支持ピン45が設けられ、処理容器41の下方に設けられる昇降機構45bにより昇降自在に構成されている。それによって、図9に示すように第2の搬送機構16と本体部44との間で、上記のストッカ2の保持部25で一体にされたウエハW、静電チャック51及びフォーカスリング52の受け渡しが行われる。以降、この一体にされたウエハW、静電チャック51及びフォーカスリング52を被搬送体50と記載する。
【0033】
また、本体部44にはその厚さ方向に3つの孔46aが穿設されており、この孔46aは孔45aよりも本体部44の内側よりに、当該本体部44の周方向に配設されている。各孔46aには支持ピン46が設けられ、処理容器41の下方に設けられる昇降機構46bにより昇降自在に構成されている。この支持ピン46により、静電チャック51及びフォーカスリング52が本体部44に載置されたまま、ウエハWを突き上げて、第2の搬送機構16と載置台43との間で当該ウエハWを受け渡すことができる。図8中47は処理容器41内の気密性を保つためのベローズである。
【0034】
本体部44には図示していないがヒータが設けられており、静電チャック51を介してウエハWが当該ヒータの熱により温調される。また、本体部44には伝熱用ガス供給部48aに接続されたガス吐出口48が設けられている。このガス吐出口48から吐出される例えばヘリウムガスからなる伝熱用ガスは、静電チャック51の孔514を介して当該静電チャック51とウエハWとの僅かな隙間に供給されてウエハWへの伝熱を行う。また、本体部44には整合器49aを介してバイアス用の電力を印加する高周波電源部49bが接続されている。
【0035】
ここで、前記静電チャック51の構成について補足しながら、さらに本体部44の構成について説明する。静電チャック51の表面は例えばセラミックスにより構成され、その内部には平板状の主電極517が設けられている。この主電極517から、下方に向かうように引き出し電極518が設けられている。この引き出し電極518は静電チャック51の下面に露出している。本体部44の表面には、この引き出し電極518に対応する位置に表面電極531が設けられ、表面電極531は直流電源532に接続されている。静電チャック51が本体部44に載置されるときには、引き出し電極518と表面電極531とが重なり合い、直流電源532から主電極517に直流電圧が印加され、静電力によりウエハWが静電チャック51の表面に静電吸着される。
【0036】
また本体部44の側方には互いに対となる押さえ部材534、534が、当該本体部44を挟むように設けられている。この押さえ部材534は、静電チャック51を挟み込んで、既述の伝熱用ガスの圧力による浮き上がりを防ぐ。押さえ部材534は、本体部44の側周に沿って設けられた起立板の上部側が本体部44側へ90°屈曲するように形成される。前記上部側は押圧部535として示している。本体部44の側周には、当該本体部44の径方向に伸び出して押さえ部材534を支持する支持部材536が設けられている。本体部44に設けられた不図示の駆動機構により、この支持部材536を介して前記押圧部535は本体部44の径方向に移動し、静電チャック51を左右から押圧して固定する。
【0037】
続いて、処理容器41について説明する。処理容器41の底部には排気管53が接続され、真空ポンプ54により処理容器41内が真空引きされる。更に処理容器41の側壁には、被搬送体50を搬送する搬送口が設けられ、既述のゲートバルブGにより開閉される。更に処理容器2の外周側には、処理雰囲気に所定の磁場を形成するために例えば多数の永久磁石をリング状に配列してなるからなる磁石部55、55が上下に設けられている。
【0038】
前記上部電極42の下面側には多数のガス吐出口56が穿設され、上部電極42内のバッファ室56aに連通している。ガス供給部57からバッファ室56aに供給された各種のガスは、ガス吐出口56からウエハWに向けて吐出される。また、上部電極42には、整合器58aを介して高周波電力を供給するための高周波電源部58が接続されている。なお、図中41bは絶縁部材41bであり、上部電極42と処理容器41の側壁部分とを絶縁する。
【0039】
この基板処理装置1は、各部の動作を制御する制御部100を備えている。制御部100は例えば図示しないCPUとプログラムとを備えたコンピュータからなる。前記プログラムには第1の搬送機構15、第2の搬送機構16によるウエハW、静電チャック51及びフォーカスリング52の搬送及びアライメント室3におけるこれらの各部材の位置合わせ、各モジュールでのウエハWのエッチング処理など、後述の基板処理装置1の動作を行うために基板処理装置1の各部に制御信号を送信するようにステップ(命令)群が組まれている。このプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスク、メモリーカード等の記憶媒体に格納され、そこからコンピュータにインストールされる。
【0040】
上述の基板処理装置1の作用について説明する。先ず、真空搬送室13内及び各プラズマエッチングモジュール4の処理容器41内が真空引きされ、真空雰囲気に保たれる。第1の搬送機構15がストッカ2の棚24から静電チャック51を受け取り、アライメント室3の回転ステージ31に搬送する。そして、既述のように静電チャック51の中心と、切り欠き516の向きとが検出され、切り欠き516が所定の向きに向けられ、検出された中心が所定の位置に位置するように第1の搬送機構15の支持部15cに静電チャック51が受け渡される。
【0041】
第1の搬送機構15がストッカ2の保持部25上に静電チャック51を搬送すると、図10に示すように支持ピン26が上昇し、静電チャック51の裏面を支持する。前記支持部15cが保持部25上から退避すると、支持ピン26が下降し、保持部25の表面に静電チャック51が載置される。続いて、第1の搬送機構15がストッカ2の棚24からフォーカスリング52を受け取り、アライメント室3の回転ステージ31に搬送する。既述のようにフォーカスリング52の中心が検出され、当該中心が第1の搬送機構15の支持部15cに対して所定の位置に位置するように、当該支持部15cに受け渡される。
【0042】
続いて、第1の搬送機構15がストッカ2の保持部25上へフォーカスリング52を搬送し、図11に示すように静電チャック51の孔515を介して支持ピン28が静電チャック51上に突出し、フォーカスリング52の裏面を支持する。前記支持部15cが保持部25上から退避すると、支持ピン28が下降して静電チャック51の周縁部512の表面にフォーカスリング52が載置される。
【0043】
続いて、キャリアCがキャリア載置台14に載置され、大気搬送室11に接続される。次いでゲートドアGT及びキャリアCの蓋が開かれて、キャリアC内のウエハWは第1の搬送機構15によって大気搬送室11を介してアライメント室3に搬入される。そして、既述のようにウエハWの中心位置が検出される。そして、ウエハWは検出された中心が第1の搬送機構15の支持部15cに対して所定の位置に位置するよう受け渡される。
【0044】
そして、第1の搬送機構15の支持部15cがストッカ2の保持部25上にウエハWを搬送すると、図12に示すように静電チャック51の支持ピン27が上昇してウエハWの裏面を支持する。前記支持部15cが保持部25上から退避すると支持ピン27が下降して、静電チャック51の中央部511上にウエハWが載置され、被搬送体50が形成される。
【0045】
続いて、図14に示すように支持ピン26が被搬送体50の裏面を突き上げ、被搬送体50が第1の搬送機構15に受け渡される。第1の搬送機構15は大気雰囲気に保たれたロードロック室12に被搬送体50を搬送する。そして、このロードロック室12の圧力が調整されて室内が真空雰囲気になると、第2の搬送機構16の支持部16cが被搬送体50を受け取り、真空搬送室13を介してプラズマエッチングモジュール4の本体部44上に搬送する。図15に示すように支持ピン45が上昇し、被搬送体50の裏面を支持した後、第2の搬送機構16がプラズマエッチングモジュール4内から退避する。支持ピン45が下降して本体部44上に被搬送体50が載置されて載置台43が形成される。押さえ部材534が被搬送体50の静電チャック51を挟み込み、その押圧力により当該静電チャック51が本体部44に固定されると共に、静電チャック51に電圧が印加されてウエハWが静電チャック51に吸着されて固定される。
【0046】
処理容器41内が所定の真空度に保たれると共に上部電極42から処理ガス例えばC8ガス、COガス、Oガス及びArガスからなる混合ガスを供給する。そして、上部電極42及び載置台43に各々高周波が印加され、供給された処理ガスがプラズマ化すると共に図16に矢印で示すようにウエハWに引き込まれ、ウエハW表面の被エッチング膜、例えば二酸化シリコン(SiO2)膜がエッチングされる。
【0047】
所定の時間エッチングが行われると、高周波の印加及び処理ガスの供給が停止し、静電チャック51の孔513を介して突出した支持ピン47によりウエハWの裏面が突き上げられ、第2の搬送機構16の支持部16cに受け渡される(図17)。ウエハWは、真空雰囲気に保たれたロードロック室12に搬入され、ロードロック室12の圧力が上昇し、大気雰囲気になる。そして、前記ウエハWは第1の搬送機構15に受け渡され、キャリアCに戻される。
【0048】
キャリアCからは後続のウエハWが払い出され、後続のウエハWは被搬送体50として搬送された既述のウエハWと同様にアライメント室3に搬送され、その中心の位置が調整されて第1の搬送機構15に受け渡される。そして、ストッカ2を介さずにロードロック室12及び真空搬送室13を介してプラズマエッチングモジュール4に搬送されて、既述のようにエッチング処理される。処理後は先発のウエハWと同様にキャリアCに戻される。
【0049】
例えばプラズマエッチングモジュール4で所定の枚数ウエハWが処理され、ウエハWが搬出されると、上部電極42から例えばクリーニング用ガスとしてOガスが供給される。そして、上部電極42及び載置台43に各々高周波が印加され、供給されたクリーニング用ガスがプラズマ化されて載置台43に引き込まれる(図18)。このプラズマにより載置台43や処理容器41の内壁に堆積した堆積物が除去され、所定の時間プラズマの生成が行われると、高周波の印加及びクリーニング用ガスの供給が停止する。このクリーニング処理は、例えば所定のロットの処理後、次のロットを処理する前に行われる。
【0050】
そして、例えば予め設定した枚数のウエハWが処理されると、図19に示すように押さえ部材534による静電チャック51の本体部44への固定が解除され、支持ピン45が被搬送体50を突き上げる。被搬送体50は真空搬送室13及びロードロック室12を介して大気搬送室12に受け渡され、ストッカ2の保持部25に載置された後、組立て時とは逆の動作でウエハW、静電チャック51及びフォーカスリング52に分解される。そして、ウエハWはキャリアCに戻され、静電チャック51及びフォーカスリング52は棚24に戻される。
【0051】
その後は、ストッカ2に保持されていた新しい静電チャック51とフォーカスリング52とが保持部25に搬送されて、新たに装置内に搬入されたウエハWと一体にされて被搬送体50を構成し、プラズマエッチングモジュール4に搬送されて、プラズマエッチングモジュール4による処理が再開される。このプラズマエッチングモジュール4における静電チャック51及びフォーカスリング52の交換は、例えば前記クリーニング処理と同様に所定のロットの処理後、次のロットを処理する前に行われる。このように新しい静電チャック51及びフォーカスリング52により処理が行われている間に、ユーザはプラズマエッチングモジュール4からストッカ2に戻された静電チャック51及びフォーカスリング52の形状を確認し、必要があれば交換を行う。
【0052】
この基板処理装置1によれば、静電チャック51及びフォーカスリング52がプラズマエッチングモジュール4の載置台43に対して着脱自在に構成され、使用されないときには大気雰囲気のストッカ2に搬送される。従ってこれら、静電チャック51及びフォーカスリング52の表面状態を確認するためにプラズマエッチングモジュール4の処理容器41内を大気開放する必要が無いため、装置1の生産性の低下を防ぐことができる。また、静電チャック51及びフォーカスリング52が処理容器41の外部へ搬出されるため、前記表面状態を容易に確認することができる。結果として、精度高い形状の管理を行い、交換時期を精度高く把握することができるため、これらの形状が許容レベルを超えた状態で使用されることを防ぎ、その結果としてウエハWのエッチング特性の劣化を防ぐことができる。
【0053】
上記の例では、ウエハW、静電チャック51、フォーカスリング52を夫々個別にプラズマエッチングモジュール4に搬送してエッチング処理が行えるようにしてもよい。ただし、上記のようにこれらを被搬送体50として一括で搬送する方が、第1の搬送機構15及び第2の搬送機構16の動作工程が少なくなるし、ロードロック室12の雰囲気の入れ替え回数も少なくなるので、スループットを向上させることができる。
【0054】
上記の例において、静電チャック51とフォーカスリング52の搬送頻度を互いに異なるようにすることもできる。例えばプラズマエッチングモジュール4の載置台43に、ストッカ2の支持ピン28に相当するフォーカスリング52を静電チャック51と独立して突き上げる支持ピンを設ける。そして、所定の枚数のウエハWを処理した後、前記支持ピンにより静電チャック51を本体部44に固定したままフォーカスリング52だけを突き上げて、第2の搬送機構16に受け渡し、フォーカスリング52はストッカ2に戻される。そして、ストッカ2からは新しいフォーカスリング52が、プラズマエッチングモジュール4に搬送され、前記支持ピンに受け渡される。そして、さらに所定の枚数ウエハWを処理した後は、上記のように被搬送体50をプラズマエッチングモジュール4から搬出する。このように静電チャック51とフォーカスリング52について搬送頻度を個別に設定することで、アライメント室3におけるアライメントの回数や第1の搬送機構15における被搬送体50を分解するための動作工程を抑えることができるので、スループットの向上を図ることができる。
【0055】
上記の例において、ストッカ2の内部を目視可能に構成する代わりに、ストッカ2に静電チャック51及びフォーカスリング52の形状を検出するためのセンサを設けてもよい。このようなセンサは、プラズマエッチングモジュール4の処理容器41の外部に設けられるので、当該処理容器41内でのプラズマエッチング処理を妨げることが無いことから、その設置が容易である。このセンサとしては光干渉、原子間力、電子線、X線または電磁力などを利用したセンサを設けることができる。また、ストッカ2の筐体21内にカメラを設けて、撮像された画像が制御部100を構成する表示部に表示されるように構成し、その画像に基づいて例えばユーザが交換時期を判定するようにしてもよい。センサと同様にこのカメラも処理容器41の外部に設けられるので、その設置が容易である。
【0056】
また、静電チャック51及びフォーカスリング52などの部品には処理条件毎に適切な形状や状態があるが、各処理に特化した形状、状態の静電チャック51及びフォーカスリング52をストッカ2に収納しておき、処理容器41に供給するガスや処理容器内の圧力などの処理条件を変えるごとに、その処理条件に応じた静電チャック51及びフォーカスリング52を選択し、プラズマエッチングモジュール4に搬送してもよい。これによって、従来よりも良いエッチング特性を得ることができる。具体的には、例えばフォーカスリング52の外周部522の高さや径の大きさ、材質が夫々異なるものをストッカに格納しておく。制御部100を構成するメモリには、各フォーカスリング52が置かれた棚24の位置と、処理条件とが対応付けられて記憶されている。そして、ユーザがウエハのロットについて処理条件を指定すると第1の搬送機構15が、その処理条件に対応する棚24のフォーカスリング52を受け取り、既述のように被搬送体50が形成されて、プラズマエッチングモジュール4にて処理が行われる。
【0057】
(第1の実施形態の変形例)
上記の実施形態では、静電チャック51及びフォーカスリング52がストッカ2の収納時に分離されているが、予めこれらを接合して一体にした表面部61として構成し、この表面部61をストッカ2の棚24に格納しておいてもよい。この場合も表面部61は、保持部25上にて同様にウエハWと一体にされる。また、表面部61の外周には、例えば第1の実施形態で静電チャック51の切り欠き516に相当する図示しない切り欠きが設けられている。この切り欠きにより、アライメント室3で第1の搬送機構15に表面部61が受け渡されるときに、当該表面部61の向きが調整される。
【0058】
アライメント室3にて、第1の搬送機構15の支持部15cに対して位置合わせされた表面部61は(図20)、支持ピン26を介してストッカ2の保持部25に受け渡された後、第1の実施形態と同様にウエハWがストッカ2に搬送されて(図21)、被搬送体50が形成される。被搬送体50は、第1の実施形態と同様に支持部15cに受け渡されて(図22)、プラズマエッチングモジュール4に搬送される。プラズマエッチングモジュール4での処理後は、第1の実施形態と同様に被搬送体50は、前記保持部25に戻される。そして、ウエハWが表面部61から分離されてキャリアCに戻され、表面部61はストッカ2の棚24に戻される。この変形例では、第1の実施形態よりも被搬送体50を形成するために行う第1の搬送機構15の動作及びアライメント室3のアライメントの回数を少なくできるため、より高いスループットを得ることができる。
【0059】
(第2の実施形態)
第2の実施形態として、図23にストッカ2を真空搬送室13に接続した例を示す。図23の基板処理装置6においては、ストッカ2は2つ設けられている。各ストッカ2は、第1の実施形態と同様に構成されているが、シャッタ23に代わりプラズマエッチングモジュール4と同様のゲートバルブ(仕切り弁)Gを備えている。また、筐体21内には当該筐体21内を真空引きして真空雰囲気に保つ排気口と、筐体21内を真空雰囲気から大気雰囲気に戻すためにエアを供給するエア供給口とが設けられている。
【0060】
この第2の実施形態では、アライメント室3が真空搬送室13に接続されて設けられている。アライメント室3は、第1の実施形態と略同様に構成されているがその内部は真空雰囲気に保たれている。また、真空雰囲気中で静電チャック51やフォーカスリング52を吸着できるように、回転ステージ31はこれらを真空吸着する代わりに静電吸着するように構成されている。ただし、このように静電吸着を行う代わりに、回転ステージ31の表面全体あるいは表面の一部を、例えばゴムなどのフォーカスリング52、静電チャック51及びウエハWの各部材に対する摩擦係数が高い材質で被覆し、回転ステージ31の回転時の遠心力による位置ずれを防いでもよい。また、これらの位置ずれを防ぐための機構や部材を設ける代わりに、回転ステージ31の回転を前記遠心力による位置ずれが起きないような低い速度で行ってもよい。
【0061】
この第2の実施形態における処理は、静電チャック51及びフォーカスリング52の搬送経路がストッカ2→アライメント室3→ストッカ2となること、キャリアCから搬送されたウエハWが、ロードロック室12→真空搬送室13→アライメント室3→ストッカ2となること、ストッカ2で形成された被搬送体50の搬送経路が真空搬送室13→プラズマエッチングモジュール4となることを除いて第1の実施形態と同様である。
【0062】
この第2の実施形態の基板処理装置6では、2つ設けられたストッカ2のうちの片方ずつ、内部の静電チャック51及びフォーカスリング52の形状の確認やこれらの交換が行われる。一方のストッカ2のゲートバルブGが閉じられ、他の各室の真空度に与える影響が抑えられた状態で、当該一方のストッカ2の筐体21内の真空引きを停止すると共に筐体21内に大気を供給して、筐体21内を大気雰囲気に戻す。そして、筐体21の側壁21aを取り外し、前記形状の確認や交換を行う。その後、再び筐体21内を真空引きして真空雰囲気に戻す。このように一方のストッカ2における静電チャック51及びフォーカスリング52の確認及び交換を行う間、他方のストッカ2の静電チャック51及びフォーカスリング52を用いて処理が行われる。
【0063】
この第2の実施形態においては静電チャック51及びフォーカスリング52をプラズマエッチングモジュール4内から搬出して、これらの形状の確認を行うことができるので、第1の実施形態と同様にプラズマエッチングモジュール4の処理容器41内を大気開放する必要が無い。従って、装置の生産効率の低下を抑えることができる。また、ストッカ2を2基設けて、一方のストッカ2を大気開放する間に他方のストッカ2では被搬送体50の形成と搬送を続けることで、より確実に装置の生産効率の低下を抑えることができる。ただし、ストッカ2を1つだけ真空搬送室13に接続する場合も、プラズマエッチングモジュール4で処理が行われる間に、ストッカ2内を大気開放して前記形状の確認や交換ができるため、有効である。
【0064】
ところで、各実施形態で示した構成は互いに組み合わせて用いることができる。例えば、第2の実施形態においても、ストッカ2には各種のセンサやカメラを設けることができるし、静電チャック51及びフォーカスリング52を一体にしてストッカ2に格納しておいてもよい。また、大気搬送室11に一のストッカ2を設け、且つ真空搬送室13に接続されるように他のストッカ2を設けてもよい。
【0065】
ところで、第1の搬送機構15、第2の搬送機構16は、特許請求の範囲でいう搬送機構に相当する。このように搬送機構は各室内に分割されて設けられて各部材を搬送してもよいし、各室間を移動して各部材を搬送してもよい。また、各実施形態の搬送機構の支持部について、被搬送体50を搬送する支持部と、静電チャック51、フォーカスリング52、ウエハWを搬送する支持部とが互いに異なるように構成してもよい。図24は、第1の実施形態における第1の搬送機構15の他の構成例を示したものであり、この例では基部15aに多関節のアーム15bが2基設けられている。一方のアーム15bの先端には既述の支持部15cが設けられ、他方のアーム15bの先端側は支持部15dが設けられている。支持部15dは、矩形板状に形成されている。支持部15cは、第1の実施形態と同様に静電チャック51、フォーカスリング52、ウエハWを搬送する。支持部15dは被搬送体50を搬送する。
【0066】
また、ストッカ2の保持部25にもこの支持部15dに対応した受け渡し機構を設けることができる。図25は、そのような保持部25を示しており、この保持部25の表面には互いに並行に形成された2つのスリット71が設けられている。そして、このスリット71に沿って形成された直線部材72、72が昇降自在に設けられ、保持部25の表面にて突没する。既述のように保持部25で被搬送体50が形成された後、図26に示すようにブロック72が上昇して被搬送体50を押し上げ、前記支持部15dに受け渡す。プラズマエッチングモジュール4から戻された被搬送体50を保持部25に受け渡す際にも、このように支持部15d及び直線部材72が用いられる。
【0067】
このように被搬送体50と、ウエハW、静電チャック51及びフォーカスリング52とを互いに異なった形状の支持部15c、15dで夫々搬送するのは、被搬送物の形状や重さに応じて適切な形状の支持部を用いることで、これらの被搬送物の支持部からの落下を防ぐためである。また、第2の搬送機構16においても2つ設けられる支持部16cのうちの一方を支持部15dと同様の形状に構成し、被搬送体50を搬送するための専用の支持部として構成してもよい。
【0068】
第1の実施形態において、真空搬送室13が設けられず、ロードロック室12にプラズマエッチングモジュール4が直接接続されていてもよい。その場合、例えばロードロック室12に第1の搬送機構15と同様の搬送機構を設け、大気搬送室11とプラズマエッチングモジュール4との間でウエハWを受け渡す。また、ストッカ2に収納される部材は、静電チャック51及びフォーカスリング52に限られることはない。図示は省略しているが、載置台43には、その外周部がエッチングされることを防ぐために保護する部品が設けられる。例えば当該部品を載置台43から着脱自在に構成し、ストッカ2に収納できるようにしてもよい。また、ストッカ2はロードロック室12に設けることもできる。また、真空搬送室13に接続されるモジュールはプラズマエッチングモジュールに限られず、例えば処理ガスをプラズマ化してウエハWに成膜を行う成膜モジュールであっても良い。
【0069】
続いて、プラズマエッチングモジュール4において静電チャック51を固定する他の方法について説明する。図27、図28に示す例ではプラズマエッチングモジュール4の本体部44の支持部材536に垂直板541が設けられ、この垂直板541の上部には水平な差し込み板542が、本体部44側へ向かって伸びるように設けられている。そして、静電チャック51の側周には、この差し込み板542に対応した溝部543が設けられている。本体部44に被搬送体50が載置されると、図29、図30に示すように差し込み板542の端部が溝部543に差し込まれて、本体部44に静電チャック51が固定される。
【0070】
また、図31にはその表面に凹部540が設けられた本体部44について示している。静電チャック51の下面には下方へと伸びる棒544が設けられ、本体部44に被搬送体50が載置されるときに、この棒544が凹部540に進入するように構成されている。各凹部540には棒544を挟んで対向する押さえ部材545が設けられており、この押さえ部材545が棒544の中心方向に向かって移動し、棒544を押圧して本体部44に静電チャック51が固定される。
【符号の説明】
【0071】
C キャリア
W ウエハ
1 基板処理装置
11 大気搬送室
12 ロードロック室
13 真空搬送室
2 ストッカ
21 筐体
24 棚
25 保持部
3 アライメント室
4 プラズマエッチングモジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板が搬送される常圧雰囲気の常圧搬送室と、
この常圧搬送室とロードロック室を介して接続され、基板に対して真空処理を行う真空処理室と、
前記真空処理室に設けられ、本体部と、当該本体部に対して着脱自在な表面部とを有する基板載置台と、
前記ロードロック室または常圧搬送室に設けられ、前記表面部を収納するための保管部と、
常圧搬送室からロードロック室を介して真空処理室へ基板を搬送し、また前記保管部と前記真空処理室の本体部との間で前記表面部を搬送するための搬送機構と、
を備えたことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記ロードロック室と前記真空処理室との間に介在する真空雰囲気の真空搬送室が設けられることを特徴とする請求項1の基板処理装置。
【請求項3】
前記保管部は、前記ロードロック室または常圧搬送室に設けられる代わりに前記ロードロック室及び真空処理室と区画されて前記真空搬送室に接続され、
前記真空搬送室が真空雰囲気である状態のまま前記保管部の内部を真空雰囲気から常圧雰囲気にできるように、当該保管部の真空搬送室に対する開放及び遮断を切り替える仕切り弁と、
を備えたことを特徴とする請求項2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記保管部は、互いに区画された第1の保管部と、第2の保管部とからなり、
前記仕切り弁は第1の保管部、第2の保管部に各々設けられ、互いに独立して開閉できるように構成されていることを特徴とする請求項3記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記表面部は基板を載置する載置面を備え、
前記保管部は、前記表面部を保持するための保持部を備え、
前記搬送機構は、基板を前記表面部に載置された状態で保管部から真空処理室に搬送することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記載置面の予め設定された位置に基板を載置するために、表面部及び基板を前記保持部に搬送する前に当該保持部に対する位置合わせを行う位置合わせ機構が設けられることを特徴とする請求項5記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記真空処理室は、基板にプラズマ処理を行うためのものであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記表面部は、基板を吸着するための静電チャック及び基板の外周を囲み、プラズマの状態を制御するためのフォーカスリングの少なくともいずれか一方からなる請求項7記載の基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2012−216614(P2012−216614A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79859(P2011−79859)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】