説明

液滴吐出装置、パターンの形成方法、および半導体装置の製造方法

本発明では液滴吐出装置から吐出された液滴が基板に着弾した後の位置制御を改善することが可能なパターンの作製方法を提供する。また着弾後の液滴位置精度を改善することが可能な液滴吐出装置を提供する。更には、本発明の液滴吐出装置を用いた半導体装置の製造方法を提供する。
本発明は、吐出部から吐出された液滴、又は液滴を着弾する基板にレーザ光を照射して、液滴の着弾位置を制御することを特徴とする。本発明によりフォトリソグラフィー工程を用いることなくパターンを形成することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、半導体装置のパターン形成に用いられる液滴吐出装置に関する。また本発明による液滴吐出装置を用いて作製されるパターンの形成方法及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
ピエゾ方式やサーマルジェット方式に代表されるドロップオンデマンド式の液滴吐出技術、あるいは連続式の液滴吐出技術が注目を集めている。この液滴吐出技術は活字、画像の描画に使われてきたが、近年微細パターン形成などの半導体分野、DNAチップ作製などのバイオ、医療分野、マイクロ化学チップ作製などの化学、医療分野へ、この液滴吐出技術を応用する試みが始まっている。
半導体分野への液滴吐出技術利用の利点として、大面積パターニングや高精細パターニングが容易、半導体作製工程の簡略化が可能、材料の有効利用が可能、などが挙げられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
上記液滴吐出法を半導体分野のパターン形成に応用する際、活字や画像の描画に必要とされる以上の、液滴着弾精度が要求される。特に非晶質半導体膜で形成されるTFT(アモルファスシリコンTFT)や結晶性半導体膜で形成されるTFT(ポリシリコンTFT)から構成される画像表示デバイスにおいて、パターンの大きさのばらつきやパターンの位置精度は画像表示特性に大きく影響し、表示ムラや表示不良の原因となる。
上記問題に対して、近年、液滴吐出装置自体の性能は大きく向上している。すなわち、フォトリソグラフィー工程や集束イオンビームを用いた半導体微細加工によって、高精度な液滴吐出装置が作製され、装置に起因した吐出液滴のサイズばらつきや吐出角度のばらつきは小さくなっている。
一方、液滴吐出装置から吐出された液滴が被処理基板上に着弾した後の位置制御に関しては十分な対策が見いだされていない。着弾した液滴が被処理基板表面に対して撥液性である場合、液滴と基板の接触角が大きく、液滴は基板上を転がりやすい。逆に着弾した液滴が被処理基板表面に対して親液性で、液滴と基板の接触角が小さいときには、着弾後の液滴は基板上で広がりやすく、着弾後の液滴径を制御することが難しく、固化後の液滴径のばらつきも大きい。
本発明では液滴吐出装置から吐出された液滴が基板に着弾した後の位置制御を改善することが可能なパターンの作製方法を提供する。また着弾後の液滴位置精度を改善することが可能な液滴吐出装置を提供する。更には、本発明の液滴吐出装置を用いた半導体装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決する為、本発明ではレーザー光を用いて、液滴吐出装置から被処理基板表面に吐出された液滴の着弾精度を向上させる以下の手段を講じる。
第1の手段として、液滴が被処理基板上に着弾した瞬間に液滴にレーザー光を照射し、短時間で液滴中の溶媒成分を蒸発させ、液滴組成物(溶質)の固化を促進させる。着弾した液滴が転がったり、濡れ広がる前に固化を終了させることにより、着弾位置精度を向上させることが可能である。一連の液滴吐出処理は10−2Pa〜10Pa程度の減圧下で行うことにより、固化を早め、且つ溶媒成分を効果的に排気することが望ましい。
第2の手段として、被処理基板表面にレーザー光を照射することによって、照射部にレーザーアブレーション加工を施し、被処理基板上に溝を形成し、この溝に液滴を吐出させる。溝の幅を、飛翔中の液滴径、及び被処理基板に着弾した後の液滴の広がり径よりも大きくすることによって、飛翔角度、液滴吐出装置のノズルの形状のばらつきに起因する吐出位置のばらつきの影響を受け難く、着弾後の液滴を溝の内側に収めることが可能である。すなわち、液滴が基板上で溝の外側に広がることを防止しながらパターンを形成することが可能である。
第3の手段として、被処理基板表面にレーザー光を照射することによって、照射部に化学変化若しくは熱的変化を生じせしめ、凹凸を形成し、液滴との密着性を高める表面改質を行う。この際、被処理基板は吐出される液滴に対して撥液性であることが望ましく、レーザー光を照射した領域以外にはみ出そうとする液滴を弾くことが可能であって、液滴が基板上で広がることを防止しながらパターンを形成することが可能である。
第4の手段として、被処理基板表面に液滴吐出装置によって液滴の吐出を行い、液滴中の溶媒成分が蒸発し、固化した後にレーザー光の照射を行う。溶質成分はレーザー照射によって溶融状態となったのち、再び固化、若しくは再結晶化してパターンを形成する。複数回の液滴吐出によって形成されたドット状のパターンの接触界面が、レーザー照射によって液化することにより、ドット状のパターンがつながり、連続したパターンを形成することができる。
ここでパターンとはゲート配線、ソース配線、TFTと画素電極を接続する配線、ゲート電極、半導体材料を主成分とする活性層、有機発光層、レジストマスク、絶縁層などを含む。
またレーザー光は、必ずしもレーザー発振器によって生成されるコヒーレントな光のみに特化されるものではなく、UVランプやハロゲンランプ、フラッシュランプなどから発せられる光によっても、レーザー光を照射するのと同様の方法によって液滴の着弾精度を向上させることが可能である。
第1の手段に限らず、処理雰囲気を10−2Pa〜10Pa程度の減圧下におくことによって、固化を早め、且つ溶媒成分を効果的に除去できる。また第1〜第3の手段と第4の手段を併用してパターンの形成を行うことも可能である。更に液滴吐出手段を用いて形成した液滴の組成物(溶質)のパターンを、ローラーを使って平坦化することによって、被処理物と液滴組成物の密着性を高めることができる。
また、本発明は、以下の構成を包含する。
本発明は、液滴を吐出する手段と、液滴を吐出する手段から吐出された液滴を改質する手段とを有することを特徴とする液滴吐出装置である。前記液滴を改質する手段とは、前記液滴の溶媒を蒸発させる手段、又は液滴の溶質を再結晶化させる手段である。
また、本発明は、液滴を吐出する手段と、前記液滴を滴下する被処理物の表面を改質する手段とを有することを特徴とする液滴吐出装置である。前記被処理物の表面を改質する手段とは、前記被処理物に溝を形成する手段、又は前記基板に凸凹した領域を形成する手段である。
前記液滴を吐出する手段としては、代表的には圧電素子又は発熱体を用いて液滴を吐出するものであり、吐出口(ノズル、ヘッド)から液滴を吐出する。また、液滴を改質する手段及び前記液滴を滴下する基板の表面を改質する手段は、レーザー光を照射するレーザー発振器、強光を発するUVランプやハロゲンランプ、フラッシュランプなどが挙げられる。
前記レーザ発振器は、気体レーザ発振器、固体レーザ発振器、金属レーザ発振器、又は半導体レーザ発振器を用いることができる。また、前記レーザ発振器と前記被処理物との間に、前記レーザ発振器から射出されるレーザ光のビーム形状又はビーム進路を調整する手段を用いることができる。なお、前記レーザ発振器から射出されるレーザ光のビーム形状又はビーム進路を調整する手段の代表例としては、マイクロレンズアレイがある。
また、液滴を吐出する手段と被処理物の相対位置を変化させる移動装置を有してもよい。さらに、前記液滴の着弾位置と前記レーザ発振器から射出されるレーザ光の照射位置とを制御する制御装置を有してもよい。
また、本発明は、吐出手段から液滴を吐出し、前記液滴が被処理面に着弾するときに前記液滴にレーザ光を照射し、前記液滴の溶媒を蒸発させてパターンを形成することを特徴とするパターンの形成方法である。
また、本発明は、被処理面にレーザ光を照射して、前記被処理面に溝を形成した後、吐出手段から液滴を吐出し、前記溝に液滴を着弾してパターンを形成することを特徴とするパターンの形成方法である。
また、本発明は、被処理面にレーザ光を照射して、前記被処理面に凸凹領域を形成した後、吐出手段から液滴を吐出し、前記凸凹領域に液滴を着弾してパターンを形成することを特徴とするパターンの形成方法である。
また、本発明は、吐出手段から液滴を吐出して前記液滴を被処理面に着弾し、前記液滴の溶媒を蒸発させた後、レーザ光を照射して前記液滴の溶質を再結晶化させてパターンを形成することを特徴とするパターンの形成方法である。
前記液滴は減圧雰囲気、又は大気圧雰囲気で吐出することができる。また、前記パターンを形成した後、前記パターンを平坦化してもよい。さらに、前記液滴を着弾する時間と、前記レーザ光を被処理面に照射する時間とを同期させることにより、パターンの位置精度を更に高めることができる。
また、本発明は、上記のパターン形成方法を用いて半導体装置を製造する半導体装置の製造方法である。なお、この場合、液滴としては、導電性材料、レジスト材料、発光材料、又は半導体ナノ粒子を有する液体、エッチング溶液等を用いる。
本発明は上述の液滴吐出装置を用いて作製される半導体装置、及びその製造方法を含む。また半導体分野以外への応用、すなわちバイオ、科学、医療分野へも好適に利用できる。
【発明の効果】
レーザー光を用いた液滴吐出法によってパターン精度を飛躍的に向上させることが可能となり、その結果フォトリソグラフィー工程を用いることなく、設計データを直接描画できるようになる。フォトマスクの設計および製造が不要となり、また製造工程が簡略化し、生産コストが低減、また製品の歩留まりが向上する。
また、材料の利用効率が大幅に向上し、廃液処理量が減少し、環境にやさしいプロセスが実現する。
さらに、スクリーン印刷と比較しても大型基板への展開が容易で、製品単価を下げることが可能であり、高精細なパターン形成が維持でき、かつ材料の利用効率高くパターンを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の着弾精度を向上させた液滴吐出方法を模式的に示す図である。
図2は、本発明の着弾精度を向上させた液滴吐出方法を模式的に示す図である。
図3は、本発明の着弾精度を向上させた液滴吐出方法を模式的に示す図である。
図4は、本発明の着弾精度を向上させた液滴吐出方法を模式的に示す図である。
図5は、本発明を実施する上で使用する液滴吐出装置の一例を示す図である。
図6は、本発明を実施する上で使用する液滴吐出装置の一例を示す図である。
図7(A)〜図7(B)は、本発明を実施する上で使用する液滴吐出装置の一例を示す図である。
図8(A)〜図8(D)は、本発明の半導体装置の作製方法の一例を示す図である。
図9(A)〜図9(H)は、本発明を用いた電子機器の一例を示す図である。
図10(A)〜図10(C)は、コンタクト孔に液滴を充填する方法の一例を示す図である。
図11(A)〜図11(C)は、コンタクト孔に液滴を充填する方法の一例を示す図である。
図12(A)〜図12(C)は、コンタクト孔に液滴を充填する方法の一例を示す図である。
図13は、液滴吐出装置制御手段の構成の一例を示す図である。
図14(A)〜図14(C)は、本発明の半導体装置の作製方法の一例を示す図である。
図15(A)〜図15(C)は、本発明の半導体装置の作製方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記述内容に限定して解釈されるものではない。
(実施の形態1)
図1〜4を用いて、レーザー光の照射を行うことによって、パターン精度を高めた液滴吐出装置を用いて半導体装置を製造する方法を説明する。図1は被処理基板101と液滴吐出部の先端102と液滴103を真横から見た場合の位置関係を模式的に示している。液滴吐出部は圧電素子(ピエゾ素子)、液滴室、吐出口(ノズル、ヘッド)などから構成されており、ピエゾ素子に所定のパルス電圧を印加することによって、ピエゾ素子を変形させ、液滴室に圧力を加え、液滴を吐出口から吐出させる。
吐出させる液滴は、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)から選択された元素、または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料、AgPdCu合金などから適宜選択された導電性の材料を、溶媒に溶解又は分散させたものを用いる。溶媒には、酢酸ブチル、酢酸エチル等のエステル類、イソプロピルアルコール、エチルアルコール等のアルコール類、メチルエチルケトン、アセトン等の有機溶剤などを用いる。溶媒の濃度は、導電性材料の種類などで適宜決定するとよい。またレジスト材料、発光材料なども使用できる。
液滴吐出部のノズル径は数μm〜数十μmであり、液滴の粘度、表面張力、吐出速度などに依存するが、吐出する液滴の径もほぼ同程度となる。1回に吐出する組成物の量は1〜100pl、粘度は100cp以下、液滴を構成する粒子の径は0.1μm以下が好ましい。これは、乾燥が起こることを防ぐためであり、また粘度が高すぎると、吐出口から組成物を円滑に吐出できなくなるためである。用いる溶媒や、用途に合わせて組成物の粘度、表面張力、乾燥速度などは適宜調節する。ただし配線等の微細パターンを形成する場合には、フェムトリットルオーダー若しくは、サブフェムトリットルの液滴が必要となり、対応した液滴吐出装置を用いる必要がある。
また図示していないが、液滴の温度制御は重要であり、ヒーターを内蔵することによって液滴吐出装置や基板温度の制御を行う。液滴吐出装置から吐出される組成物は、基板上で連続して滴下して線状又はストライプ状に形成することが好ましい。しかし、例えば1ドット毎などの所定の箇所毎に滴下してもよい。
液滴吐出部から押し出された液滴104は液滴吐出部の先端102と被処理基板101との間の空間を飛翔したのち、被処理基板101に着弾し、液滴105となる。液滴の着弾と同時に、液滴105にレーザー光107を照射し、液滴の組成物(溶質)の固化を行い、固化されたパターン106が形成される。液滴の組成物は着弾時に固化されるため、被処理基板上を移動したり、広がったりすることがない。
次に被処理基板にレーザー光を照射してから、液滴吐出を行う方法を図2、図3を用いて説明する。まず被処理基板201、301にレーザー光207、307を照射し、被処理基板の表面処理を行う。図2の被処理基板206ではレーザーアブレーションによって、被処理基板201の表面に溝208が形成される。図3の被処理基板306ではレーザー照射によって被処理基板306に微細な凸凹308が形成される。次に液滴吐出部先端202、302から液滴203、303を吐出し、処理基板上の溝208や凸凹308に着弾させる。液滴吐出部から押し出された液滴204、304の直径は溝208や凸凹領域308の幅以下とすることによって、液滴はレーザー照射した領域に精度よく着弾し、液滴の組成物(溶質)が固化し、パターン205、305が形成される。
次に被処理基板に液滴吐出装置を用いて液滴を吐出しパターンを形成した後、パターンにレーザー光を照射する方法に関して、図4を用いて説明を行う。被処理基板401上に位置する液滴吐出部先端402から液滴403を吐出し、押し出された液滴404を被処理基板401に着弾させ、パターン405が形成される。パターン405の形成には図1〜図3に説明した手段を用いてもよい。さらに、パターン405にレーザー光407を照射することによって、溶融させ、再固化させたパターン406を得ることができる。本発明の液滴吐出装置によって複数回の液滴吐出を行い、着弾した液滴の組成物(溶質)を重ねることによって、線状パターンや大面積のパターンを形成できるが、このレーザー照射処理によって、各パターン(液滴の組成物)の界面物性の連続性を向上させることができる。
図1〜4において、レーザー光107、207、307、407はシリンドリカルレンズやマイクロレンズアレイを用いて、線状、もしくは点状などの所定のビーム形状とし、着弾した液滴全体が照射される大きさとする。またポリゴンミラーやガルバノミラーなどによる機械走査方式によって、レーザー光の照射位置を制御し、照射タイミングを液滴吐出と同期させることもできる。照射位置は被処理基板を動かすことによって、制御を行っても良い。被処理基板と液滴吐出部先端の狭い領域にレーザー光を通すため、レーザー光は被処理基板上方から、基板面から低角度で斜めから入射させる。被処理基板がガラス等のレーザー光を透過する材料からなる場合には、被処理基板裏面から入射させることもできる。
レーザー光107、207、307、407はArレーザー、Krレーザー、エキシマレーザー、COレーザー、YAGレーザー、Yレーザー、YVOレーザー、YLEレーザー、YalOレーザー、ガラスレーザー、ルビーレーザー、サフィイヤレーザーや半導体レーザーなどが利用できる。液滴の組成物(溶質)、溶媒の種類に合わせて最適なものを選ぶことができる。
本発明実施の形態における処理基板のサイズは、600mm×720mm、680mm×880mm、1000mm×1200mm、1100mm×1250mm、1150mm×1300mm、1500mm×1800mm、1800mm×2000mm、2000mm×2100mm、2200mm×2600mm、または2600mm×3100mmのような大面積基板を用いることもできる。
このような大型基板を用いることにより、製造コストを削減することができる。用いることのできる基板として、コーニング社の#7059ガラスや#1737ガラスなどに代表されるバリウムホウケイ酸ガラスやアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板がある。更に他の基板として、石英、半導体、プラスチック、プラスチックフィルム、金属、ガラスエポキシ樹脂、セラミックなどの各種の透光性基板を用いることもできる。また、プラスチック基板に代表される樹脂基板、さらには、N型またはP型の単結晶シリコン基板、GaAs基板、InP基板、GaN基板、又はZnSe基板等の半導体ウエハ、SOI(Silicon On Insulator)基板等、金属板等の導電性基板を用いることもできる。
(実施の形態2)
上記実施の形態を実施するために用いる液滴吐出装置の一例について図5乃至図7を用いて説明する。
図5、図6に示す液滴吐出装置は、装置内に液滴吐出手段501、601を有し、これにより溶液を吐出することで、基板502、602に所望のパターンを形成するものである。図示していないが、液滴吐出装置には液滴吐出を行う為のノズル駆動電源とノズルヒータが内蔵され、また液滴吐出手段を移動させる為の移動手段を備えている。本液滴吐出装置においては、基板502、602として、実施の形態1に表記した基板を適用することができる。
図5、図6において、基板502、602は搬入口503、603から筐体504、604内部へ搬入される。基板502、602は移動手段を備えた搬送台に設置され、X−Y平面内の任意の箇所に移動させることができる。液滴吐出処理は、搬送台の移動により基板502、602が、液滴吐出手段501、601の待つ所定の位置に到達すると開始される。液滴吐出処理は、液滴吐出手段501、601と基板502、602の相対的な移動と、液滴吐出の所定のタイミングによって達成され、各々の移動速度と、液滴吐出手段501、601から液滴を吐出する周期を調節することで、基板502、602上に所望のパターンを描画することができる。特に、液滴吐出処理は高度な精度が要求されるため、液滴吐出時は搬送台の移動を停止させ、制御性の高い液滴吐出手段501、601のみを走査させることが望ましい。
上記筐体504、604には石英窓506、606が設けられ、筐体外部に設置されたレーザー発振器507、607から発振するレーザー光を石英窓506、606から入射させる。ただし筐体や石英窓は必ずしも必要なものではない。レーザー光の光路にはシャッター508、608、反射ミラー509、609、シリンドリカルレンズなどによって構成される光学系510、610が設置される。図5ではレーザー光は基板502の斜め上方から入射させる。液滴吐出手段501の液滴吐出部先端と基板502の間隔は数ミリ程度であることから、入射させるレーザー光は基板502の法線方向に対して45°以上とするのが好ましい。図6ではレーザー光を基板602の下面から照射させる場合を模式的に表し、他の構成は図5と同じである。この構成は、基板602がレーザー光を透過する材質の場合に適用することができる。
更に着弾した液滴の乾燥を早め、また液滴の溶媒成分を除去するために筐体504、604の排気口505、605に減圧装置511、611を設けて真空排気しておくことが望ましいが、大気圧下で行うことも可能である。また図示していないが、基板上のパターンへの位置合わせのためのセンサや、基板を加熱する手段、加えて温度、圧力等、種々の物性値を測定する手段を、必要に応じて設置しても良い。またこれらの手段も、筐体504、604の外部に設置した制御手段によって一括制御することが可能である。さらに制御手段をLANケーブル、無線LAN、光ファイバ等で生産管理システム等に接続すれば、工程を外部から一律管理することが可能となり、生産性を向上させることに繋がる。
図7(A)では半導体レーザー発振器707を用いた液滴吐出装置の説明を行う。筐体704、搬入口703、排気口705、減圧装置711、液滴吐出手段701を備え、半導体レーザー発振器707を用いることを特徴とする。半導体レーザー発振器は複数の半導体レーザーアレイから構成され、液滴吐出手段701の各ノズルに対応していることが望ましく、また半導体レーザー発振器707と液滴吐出手段701の液滴吐出部は一体形成されていてもよい。また図示していないが、半導体レーザー発振器707と基板702の間にマイクロレンズアレイなどの光学系を設置し、ビーム形状および、ビーム進路を調整することができる。以上の構成によって半導体レーザービームを所定のタイミングで液滴吐出手段701から吐出された液滴に照射する。
次に図7(B)を用いて、半導体レーザー発振器と液滴吐出装置の一例を示す。レーザー発振器として面発光半導体レーザー発振器715を設置する。面発光レーザーは半導体基板に垂直な方向へ光を取り出すことができ、半導体レーザー素子を集積化することが可能である。図中ではただ1つの面発光半導体レーザー素子を模式的に記載したが、この半導体レーザー素子を紙面奥方向に連ねて配置させて、半導体レーザーアレイを形成する。他方、液滴吐出部701は溶液室716、溶液供給口717、ピエゾ素子718、振動板719、ノズル720からなり、ピエゾ素子に所定のパルス電圧を加えることによって、溶液をノズル720から吐出させることができる。またピエゾ素子に加える電圧はサテライトを発生させない最適な波形を選ぶ必要がある。
半導体レーザー素子及び液滴吐出部のいずれも、半導体微細加工を利用して形成することが可能であり、微細な間隔で多数の半導体レーザー素子および液滴吐出部を集積することができ、また1つの半導体レーザー素子と1つのノズルを対応させることが可能である。発振器の設置角度を調整するか、ミラーによってビーム方向を変え、基板702表面に着弾した液滴に半導体レーザー光を照射する。マイクロレンズアレイを設置することによって、ビーム調整を行ってもよい。また、半導体レーザー素子を冷却する手段を設けてもよい。
本発明では液滴吐出を、圧電素子を用いたいわゆるピエゾ方式で行うが、溶液の材料によっては、発熱体を発熱させ気泡を生じさせ溶液を押し出す、いわゆるサーマルインクジェット方式を用いても良い。この場合、圧電素子を発熱体に置き換える構造となる。また液滴吐出のためには、溶液と、液室流路、予備液室、流体抵抗部、加圧室、溶液吐出口(ノズル、ヘッド)との濡れ性が重要となる。そのため材質との濡れ性を調整するための炭素膜、樹脂膜等をそれぞれの流路に形成する。
上記の装置構成によって、液滴を吐出する手段を用いて被処理基板上に精度よくパターン形成を行うことができる。液滴吐出方式には、溶液を連続して吐出させ連続した線状のパターンを形成するいわゆるシーケンシャル方式と、溶液をドット状に吐出するいわゆるオンデマンド方式がある。本発明における装置構成では、オンデマンド方式を示したが、シーケンシャル方式(図示せず)による溶液吐出手段を用いることも可能である。
【実施例】
【実施例1】
実施例1について、図8(A)〜(D)を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。ここでは、本発明を用いて、駆動用TFTとスイッチ用TFT及び容量を同一基板上に形成する作製工程について説明する。
基板800には、実施の形態1で表記した基板を用いることができる。本実施例では、ガラス基板(コーニング社製、#7059)を用いる。続いて基板800上に、絶縁膜から成る下地膜801を形成する。下地膜801は単層又は積層構造のいずれでもよく、本実施例では、2層構造として、スパッタリング法を用い、1層目として窒化酸化珪素膜を50nm、2層目として酸化窒化珪素膜を50nmの厚さに形成し、その後CMP法などの方法により表面を平坦化する。
次いで、下地膜801上に半導体層を形成する。半導体層は、まず公知の方法(スパッタリング法、LPCVD法、プラズマCVD法等)により25〜80nmの厚さで非晶質珪素膜を成膜し、次いで前記半導体膜を公知の結晶化法(レーザー結晶化法、RTA又はファーネスアニール炉を用いる熱結晶化法)を用いて結晶化させる。
また非晶質珪素膜は、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法を用いて結晶化することも可能である。Niを含む溶液を非晶質珪素膜上に保持させ、この非晶質珪素膜に脱水素化(500℃、1時間)を行った後、熱結晶化(550℃、4時間)を行って結晶質珪素膜を形成する。なお、レーザー結晶化法で結晶質半導体膜を作製する場合のレーザーは、連続発振またはパルス発振の気体レーザー又は固体レーザーを用いれば良い。前者の気体レーザーとしては、エキシマレーザー、YAGレーザー等が挙げられ、後者の固体レーザーとしては、Cr、Nd等がドーピングされたYAG、YVO等の結晶を使ったレーザー等が挙げられる。なお非晶質珪素膜の結晶化に際し、大粒径に結晶を得るためには、連続発振が可能な固体レーザーを用い、基本波の第2〜第4高調波を適用するのが好ましい。上記レーザーを用いる場合には、レーザー発振器から放射されたレーザービームを光学系で線状に集光して、半導体膜に照射すると良い。
結晶化を助長する金属元素を用いて非晶質珪素膜の結晶化を行った場合、前記金属元素が結晶質珪素膜中に残留している。そのため、前記結晶質珪素膜上に50〜100nmの非晶質珪素膜を形成し、加熱処理(RTA法、ファーネスアニール炉を用いた熱アニール等)を行って、該非晶質珪素膜中に前記金属元素を拡散させ、前記非晶質珪素膜は加熱処理後にエッチングを行って除去する。その結果、前記結晶質珪素膜中の金属元素の含有量を低減または除去することができる。
TFTのしきい値を制御するために微量な不純物元素(ボロン)のドーピング(チャネルドーピング)を行う。
次に、得られた結晶質珪素膜を所望の形状にパターニングして島状の半導体層802〜804を形成する。半導体層802〜804は本発明による液滴吐出方法によって形成することが可能である。すなわち溶液として、レジストを使用し、レーザー光を照射することによって着弾レジストの固化を行いながら、レジストパターンの形成を行う。続いて該レジストパターンをマスクとしてドライエッチング法によって半導体層802〜804を形成する。なお前記半導体層を形成する半導体膜としては、非晶質半導体膜、微結晶半導体膜、結晶質半導体膜又は非晶質珪素ゲルマニウムなどの非晶質構造を有する化合物半導体膜などを用いても良い。
次いで、半導体層802〜804を覆うゲート絶縁膜805を形成する。ゲート絶縁膜805はプラズマCVD法やスパッタ法を用いて、膜厚を40〜150nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。本実施例では、ゲート絶縁膜805としてプラズマCVD法により厚さ115nmの酸化窒化珪素膜を形成する。
次に、レーザー光照射と液滴吐出方法により、減圧又は真空中で第1の導電層(ゲート配線、ゲート電極、キャパシタ電極)806〜809を形成する。本実施例では、Alのナノ微粒子を界面活性剤を用いて有機溶媒中に分散させた液を吐出して、ゲートパターンを形成する。特に、ゲート電極のパターン精度は、トランジスタ特性を大きく左右するため、レーザー光照射を併用することは、アクティブマトリクス型のディスプレイの性能を向上する上で有効である。レーザー光照射はパターンすべてに用いず、例えば特に重要なSiパターン上のゲート電極部分のみに用いることも有効である。
また、ノズルから吐出する組成物として、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)を粒径10nm以下で分散させた超微粒子(ナノメタル粒子)を用いてもよい。このように、粒径の微細な粒子を溶媒に分散又は溶解した組成物を用いると、ノズルの目詰まりという問題を解決することができる。なお、液滴吐出方式を用いる本発明では、組成物の構成材料の粒径は、ノズルの粒径よりも小さいことが必要となる。また、ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDT/PSS)水溶液などの導電性ポリマー(導電性高分子)を用いてもよい。
また、銀または銅といった低抵抗金属を配線材料として用いると、配線抵抗の低抵抗化を図ることができるため、大型の基板を用いる場合に好ましい。しかも、これらの金属材料は通常のドライエッチング法によって加工することが難しいため、液滴吐出方法で直接パターニングを行うことは、極めて効果的である。但し、例えば銅などの場合には、トランジスタの電気的特性に悪影響を及ぼさないようにするために、拡散を防ぐバリア性の導電膜を設けることが好ましい。バリア性の導電膜により、トランジスタが有する半導体に銅が拡散することなく、配線を形成することができる。このバリア性の導電膜としては、窒化タンタル(TaN)、窒化チタン(TiN)又は窒化タングステン(WN)から選ばれた一種又は複数種の積層膜を用いることができる。また密度が大きく非常に緻密な窒化珪素膜を用いることが非常に有効である。また、銅は酸化しやすいため、酸化防止剤などを併用することが好ましい。
その後、第1の導電層が形成された基板に常圧または減圧、あるいは真空中で、150〜300℃の範囲で加熱処理を施すことで、その溶媒を揮発させて、その組成物密度を向上させて、抵抗値が低くなるようにする。但し、液滴吐出手段から吐出する組成物の溶媒は、基板滴下後に揮発するものが適している。本実施例の様に真空下で吐出が行われている場合は、通常の大気圧下の場合に比べて、蒸発速度が早いのが特徴であるが、特にトルエンなどの揮発性の高い溶媒を用いると、組成物を基板に滴下後、瞬時に揮発する。そのような場合には、加熱処理の工程は削除しても構わない。しかし、組成物の溶媒は特に限定されず、滴下後に揮発する溶媒を用いた場合であっても、加熱処理を施すことで、その組成物密度を向上させて、所望の抵抗値になるようにしてもよい。またこの加熱処理は、液滴吐出方法によりパターンを形成した毎に行ってもよいし、任意の工程毎に行ってもよいし、全ての工程が終了した後に一括して行ってもよい。
加熱処理は、加熱源にハロゲンなどのランプを用いて、直接基板を高速加熱するランプアニール装置や、レーザー光を照射するレーザー照射装置を用いる。両者とも加熱源を走査することで、所望の箇所のみに加熱処理を施すことができる。その他の方法として、所定の温度に設定されたファーネスアニールを用いてもよい。但し、ランプを用いる場合には、加熱処理を行う薄膜の組成を破壊せず、加熱のみを可能とする波長の光であり、例えば、400nmよりも波長の長い光、即ち赤外光以上の波長の光が好ましい。取り扱いの面からは、遠赤外線(代表的な波長は4〜25μm)を用いることが好ましい。またレーザー光を用いる場合、基板におけるビームスポットの形状は、着弾する液滴の並びに合わせて列又は行の長さと同じ長さになるように線状に成形することが好ましい。そうすると、一度の走査でレーザー照射を終了させることができる。(図8(A))
次に、図8(B)に示すように、ゲート電極807〜809をマスクとして、半導体層802〜804に、N型又はP型を付与する不純物元素を添加するドーピング処理を行う。本実施例では、半導体層802及び804にN型を付与する不純物元素を添加し、半導体層803にP型を付与する不純物元素を添加して、不純物領域を形成する。
この後、一旦全面を覆う第1の層間絶縁膜815を形成する。該第1の層間絶縁膜815はプラズマCVD法やスパッタ法を用いて、膜厚を40〜150nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。さらに、同様にして全面を覆う第2の層間絶縁膜816を形成する。第2の層間絶縁膜816としては、CVD法によって形成された酸化珪素膜、SOG(Spin On Glass)法によって塗布された酸化珪素膜、アクリル等の有機絶縁膜又は非感光性の有機絶縁膜を0.7〜5μmの厚さで形成する。なお第2の層間絶縁膜816は、基板800上に形成されたTFTによる凹凸を緩和し、平坦化する意味合いが強いので、平坦性に優れた膜が好ましい。さらに、第3の層間絶縁膜817となる窒化珪素膜を0.1μmの厚さで形成する。
しかる後に、コンタクト孔818〜824を形成するためのレジストパターンを、上述の場合と同様にレーザー照射と液滴吐出との併用によって形成する。ついで、該レジストパターンをマスクとして異方性ドライエッチング法によってコンタクト孔818〜824を形成する。このコンタクト孔818〜824は本発明のレーザー照射によって形成することも可能である。この場合、レジストマスクを一切必要としない。また吐出させる溶液として、HF系などの酸系液滴を使用すれば、液滴の吐出手段を用いたコンタクト孔の形成も可能である。
次に、図8(C)に示すように、レーザー光照射と液滴吐出との併用により、第2の導電層(ソース配線、ドレイン配線)825〜830を前記コンタクト孔818〜824の底部まで延在するように形成する。本実施例において、吐出する組成物としては、銀のナノ微粒子を、界面活性剤を用いて有機溶媒中に分散させた溶液を用いる。
次に、図8(D)に示すように、加熱処理を行う。ここまでの工程により、絶縁表面を有する基板800上にトランジスタを形成することができる。
続いて、全面に第2の導電層825と電気的に接続されるように、透明導電体からなる画素電極を形成する(図示しない)。画素電極には、一例として、酸化インジウムと酸化スズの化合物(ITO)、酸化インジウムと酸化亜鉛の化合物、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム、窒化チタンなどが挙げられる。
以上、ソース配線(図示しない)と、画素部のスイッチングTFT1006及び容量素子1009で形成される画素部と、駆動用TFT1007、1008で形成される駆動用回路と、端子部(図示しない)で構成されるアクティブマトリクス基板を作製することができる。そして、必要があれば、アクティブマトリクス基板または対向基板を所望の形状に分断する。この後、共通電極、カラーフィルタ、ブラックマトリックスなどが形成された対向基板と貼り合わせる。そして所定の方法で液晶を注入し、液晶表示装置を完成させる。以上の工程によって得られた液晶モジュールに、バックライト、導光板を設け、カバーで覆えば、アクティブマトリクス型液晶表示装置(透過型)が完成する。なお、カバーと液晶モジュールは接着剤や有機樹脂を用いて固定する。また、透過型であるので偏光板は、アクティブマトリクス基板と対向基板の両方に貼り付ける。
また、本実施例は透過型の例を示したが、特に限定されず、反射型や半透過型の液晶表示装置も作製することができる。反射型の液晶表示装置を得る場合は、画素電極として光反射率の高い金属膜、代表的にはアルミニウムまたは銀を主成分とする材料膜、またはそれらの積層膜等を用いればよい。
以上、アクティブマトリックス型の液晶表示装置について説明したが、アクティブマトリックス型EL(Electro Luminescence)表示装置の場合についても同様に適用することが可能である。また、本発明例で取り上げた材料、形成方法に関しても、本発明の趣旨に則り適宜選択して用いることが可能である。
【実施例2】
次に、本発明を用いた電子機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、ノート型パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを備えた装置)などが挙げられる。それらの電子機器の具体例を図9に示す。
図9(A)は表示装置であり、筐体9001、支持台9002、表示部9003、スピーカー部9004、ビデオ入力端子9005等を含む。本発明は表示部9003を構成する電気回路に用いることができる。また本発明により、図9(A)に示す表示装置が完成される。なお、表示装置は、パソコン用、20〜80インチのテレビ放送受信用、広告表示用などの全ての情報表示用表示装置が含まれる。
図9(B)はデジタルスチルカメラであり、本体9101、表示部9102、受像部9103、操作キー9104、外部接続ポート9105、シャッター9106等を含む。本発明は、表示部9102を構成する電気回路に用いることができる。また本発明により、図9(B)に示すデジタルスチルカメラが完成される。
図9(C)はノート型パーソナルコンピュータであり、本体9201、筐体9202、表示部9203、キーボード9204、外部接続ポート9205、ポインティングマウス9206等を含む。本発明は、表示部9203を構成する電気回路に用いることができる。また本発明により、図9(C)に示すノート型パーソナルコンピュータが完成される。
図9(D)はモバイルコンピュータであり、本体9301、表示部9302、スイッチ9303、操作キー9304、赤外線ポート9305等を含む。本発明は、表示部9302を構成する電気回路に用いることができる。また本発明により、図9(D)に示すモバイルコンピュータが完成される。
図9(E)は記録媒体を備えた携帯型の画像再生装置(具体的にはDVD再生装置)であり、本体9401、筐体9402、表示部A9403、表示部B9404、記録媒体(DVD等)読み込み部9405、操作キー9406、スピーカー部9407等を含む。表示部A9403は主として画像情報を表示し、表示部B9404は主として文字情報を表示するが、本発明は、表示部A9403、表示部B9404を構成する電気回路に用いることができる。なお、記録媒体を備えた画像再生装置には家庭用ゲーム機器なども含まれる。また本発明により、図9(E)に示すDVD再生装置が完成される。
図9(F)はゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)であり、本体9501、表示部9502、アーム部9503を含む。本発明は、表示部9502を構成する電気回路に用いることができる。また本発明により、図9(F)に示すゴーグル型ディスプレイが完成される。
図9(G)はビデオカメラであり、本体9601、表示部9602、筐体9603、外部接続ポート9604、リモコン受信部9605、受像部9606、バッテリー9607、音声入力部9608、操作キー9609、接眼部9610等を含む。本発明は、表示部9602を構成する電気回路に用いることができる。また本発明により、図9(G)に示すビデオカメラが完成される。
図9(H)は携帯電話であり、本体9701、筐体9702、表示部9703、音声入力部9704、音声出力部9705、操作キー9706、外部接続ポート9707、アンテナ9708等を含む。本発明は、表示部9703を構成する電気回路に用いることができる。なお、表示部9703は黒色の背景に白色の文字を表示することで携帯電話の消費電流を抑えることができる。また本発明により、図9(H)に示す携帯電話が完成される。
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に用いることが可能である。またここで示した電子機器は、本発明において示したいずれの構成の半導体装置を用いても良い。
【実施例3】
本実施例は、液滴吐出法を用いて、コンタクト孔(開孔部)に液滴組成物を充填させる方法について、図10を用いて説明する。
図10(A)において、基板3000上に半導体3001、該半導体3001上に絶縁体3002を形成した後、絶縁体3002にコンタクト孔3003を形成する。ここでは、コンタクト孔の形成方法として、液滴吐出法を用いる。すなわち、ノズルからウエットエッチング溶液を吐出することで、任意の領域の絶縁膜をエッチングし、コンタクト孔3003を形成する。
次に図10(B)に示すように、コンタクト孔3003の上方にノズル3004を移動させ、該コンタクト孔3003に液滴を連続的に吐出して、該コンタクト孔3003を液滴で充填する。
次に、図10(C)に示すように、ノズル3004の位置をリセットした後、ノズルを位置A、位置B、位置Cの順に移動して、選択的に液滴を吐出することで、コンタクト孔3003に液滴を充填させることができる。本実施例に、実施の形態1に示されるようなレーザー光の照射工程、及び実施の形態2に示されるような液滴吐出装置を適応することによって、コンタクト孔内に液滴の組成物を充填した導電体3005を形成することができる。この方法では、ノズル3004は同じ箇所を複数回走査する。以上の工程により、液滴吐出法を用いて、コンタクト孔の形成と配線の形成とを連続的に行うことができる。
なお、本実施例は、実施例1及び実施例2に適応することができる。
【実施例4】
本実施例では、上記とは異なる走査方法でコンタクト孔(開孔部)に液滴組成物を充填させる方法について、図11(A)〜(C)を用いて説明する。
実施例3と同様に、図11(A)のようなコンタクト孔を形成する。なお、図11(A)は、図10(A)に相当する。
次に、図11(B)に示すように、ノズル3004を位置A、位置B、位置Cに順に移動させて、配線を形成する領域にのみに選択的に液滴を吐出して、導電体3006を形成する。
次に、図11(C)に示すように、コンタクト孔3003の上方にノズル3004を移動し、該コンタクト孔3003に連続的に液滴を吐出する。
その結果、コンタクト孔3003に液滴を充填させることができる。本実施例に、実施の形態1に示されるようなレーザー光の照射工程、及び実施の形態2に示されるような液滴吐出装置を適応することによって、コンタクト孔内に液滴の組成物を充填した導電体3007を形成することができる。この方法では、ノズル3004は同じ箇所を複数回走査する。以上の工程により、液滴吐出法を用いて、コンタクト孔の形成と配線の形成とを連続的に行うことができる。
なお、本実施例は、実施例1及び実施例2に適応することができる。
【実施例5】
次に、上記とは異なる走査方法でコンタクト孔(開孔部)に液滴組成物を充填させる方法について、図12(A)〜(C)を用いて説明する。
実施例3と同様に、図12(A)のようなコンタクト孔を形成する。なお、図12(A)の基板、絶縁膜、及びコンタクト孔は、図10(A)に相当する。
本実施例では、ノズル3004を矢印方向に移動して、選択的に液滴を吐出する。
次に、図12(B)に示すように、ノズル3004がコンタクト孔3003の上方に到達したら、液滴を連続的に吐出し、該コンタクト孔を液滴組成物で充填する。
その結果、図12(C)に示すように、コンタクト孔3003に液滴組成物を充填させることができる。本実施例に、実施の形態1に示されるようなレーザー光の照射工程、及び実施の形態2に示されるような液滴吐出装置を適応することによって、コンタクト孔内に液滴の組成物を充填した導電体3008を形成することができる。この方法では、ノズル3004は同じ箇所を複数回走査することはせず、一方向に走査すれば良い。以上の工程により、液滴吐出法を用いて、コンタクト孔の形成と配線の形成とを連続的に行うことができる。
なお、本実施例は、実施例1及び実施例2に適応することができる。
【実施例6】
パソコンなどに入力された回路配線を液滴吐出法を用いて作製するシステムについて、図13を用いて簡単に説明する。
基幹となる構成要素としては、CPU3100、揮発性メモリ3101、不揮発性メモリ3102及びキーボードや操作ボタンなどの入力手段3103、液滴吐出手段3104を有する液滴吐出装置が挙げられる。その動作について簡単に説明すると、入力手段3103により、回路配線のデータが入力されたら、このデータはCPU3100を介して揮発性メモリ3101又は不揮発性メモリ3102に記憶される。そして、このデータを基に、液滴吐出手段3104が選択的に液滴を吐出することで、配線を形成することができる。
なお、本実施例を実施例1〜実施例5に適応することができる。
上記構成により、露光を目的としたマスクが不要となり、露光、現像などの工程を大幅に削減することができる。その結果、スループットが高くなり、大幅に生産性を向上させることができる。また本構成は、配線の断線箇所や、配線と電極間の電気的接続の不良箇所などをリペアする目的で使用してもよい。この場合、例えばパソコンなどにリペア箇所を入力し、該箇所にノズルから液滴を吐出させることが好適である。また、少なくとも一辺が1mを超える大きさの大型基板に対しても簡単に配線を形成することができ、さらに所望の箇所に必要な量の材料のみを塗布すればよいため、無駄な材料が僅かとなることから材料の利用効率の向上、作製費用の削減を実現する。
【実施例7】
本実施例では、実施例1に示した順スタガ型のTFTではなく、逆スタガ型のTFTおよびそれを用いたアクティブマトリクス型EL表示装置の製造方法について説明する。
基板2000には、実施の形態1で表記した基板を用いることができる。本実施例では、ガラス基板(コーニング社製、#7059)を用いる。
続いて、基板2000上に、レーザー光照射と液滴吐出方法により、減圧又は真空中で第1の導電層(ゲート配線、ゲート電極、キャパシタ電極)2001、2002を形成する(図14(A))。本実施例では、Alのナノ微粒子を界面活性剤を用いて有機溶媒中に分散させた液を吐出して、ゲートパターンを形成する。特に、ゲート電極のパターン精度は、トランジスタ特性を大きく左右するため、レーザー光照射を併用することは、アクティブマトリクス型のディスプレイの性能を向上する上で有効である。レーザー光照射はパターンすべてに用いず、例えば特に重要なゲート電極部分のみに用いることも有効である。
また、ノズルから吐出する組成物として、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)を粒径10nm以下で分散させた超微粒子(ナノメタル粒子)を用いてもよい。このように、粒径の微細な粒子を溶媒に分散又は溶解した組成物を用いると、ノズルの目詰まりという問題を解決することができる。なお、液滴吐出方式を用いる本発明では、組成物の構成材料の粒径は、ノズルの粒径よりも小さいことが必要となる。また、ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDT/PSS)水溶液などの導電性ポリマー(導電性高分子)を用いてもよい。
また、銀または銅といった低抵抗金属を配線材料として用いると、配線抵抗の低抵抗化を図ることができるため、大型の基板を用いる場合に好ましい。しかも、これらの金属材料は通常のドライエッチング法によって加工することが難しいため、液滴吐出方法で直接パターニングを行うことは、極めて効果的である。但し、例えば銅などの場合には、トランジスタの電気的特性に悪影響を及ぼさないようにするために、拡散を防ぐバリア性の導電膜を設けることが好ましい。バリア性の導電膜により、トランジスタが有する半導体に銅が拡散することなく、配線を形成することができる。このバリア性の導電膜としては、窒化タンタル(TaN)、窒化チタン(TiN)又は窒化タングステン(WN)から選ばれた一種又は複数種の積層膜を用いることができる。また密度が大きく非常に緻密な窒化珪素膜を用いることが非常に有効である。また、銅は酸化しやすいため、酸化防止剤などを併用することが好ましい。
その後、第1の導電層が形成された基板に常圧または減圧、あるいは真空中で、150〜300℃の範囲で加熱処理を施すことで、溶媒を揮発させて、その組成物密度を向上させて、抵抗値が低くなるようにする。但し、液滴吐出手段から吐出する組成物の溶媒は、基板滴下後に揮発するものが適している。本実施例の様に真空下で吐出が行われている場合は、通常の大気圧下の場合に比べて、蒸発速度が早いのが特徴であるが、特にトルエンなどの揮発性の高い溶媒を用いると、組成物を基板に滴下後、瞬時に揮発する。そのような場合には、加熱処理の工程は削除しても構わない。しかし、組成物の溶媒は特に限定されず、滴下後に揮発する溶媒を用いた場合であっても、加熱処理を施すことで、その組成物密度を向上させて、所望の抵抗値になるようにしてもよい。またこの加熱処理は、液滴吐出方法によりパターンを形成した毎に行ってもよいし、任意の工程毎に行ってもよいし、全ての工程が終了した後に一括して行ってもよい。
加熱処理は、加熱源にハロゲンなどのランプを用いて、直接基板を高速加熱するランプアニール装置や、レーザー光を照射するレーザー照射装置を用いる。両者とも加熱源を走査することで、所望の箇所のみに加熱処理を施すことができる。その他の方法として、所定の温度に設定されたファーネスアニールを用いてもよい。但し、ランプを用いる場合には、加熱処理を行う薄膜の組成を破壊せず、加熱のみを可能とする波長の光であり、例えば、400nmよりも波長の長い光、即ち赤外光以上の波長の光が好ましい。取り扱いの面からは、遠赤外線(代表的な波長は4〜25μm)を用いることが好ましい。またレーザー光を用いる場合、基板におけるビームスポットの形状は、列又は行の長さと同じ長さになるように線状に成形することが好ましい。そうすると、一度の走査でレーザー照射を終了させることができる。
次に、図14(B)に示すように、第1の導電層2001、2002を覆うようにゲート絶縁膜2003を形成する。ゲート絶縁膜2003は、例えば酸化珪素、窒化珪素または窒化酸化珪素等の絶縁膜を用いることができる。ゲート絶縁膜2003は、単層の絶縁膜を用いても良いし、複数の絶縁膜を積層していても良い。本実施例では、窒化珪素、酸化珪素、窒化珪素が順に積層された絶縁膜を、ゲート絶縁膜2003として用いる。また成膜方法は、プラズマCVD法、スパッタリング法などを用いることができる。低い成膜温度でゲートリーク電流を抑えることができる緻密な絶縁膜を形成するには、アルゴンなどの希ガス元素を反応ガスに含ませ、形成される絶縁膜中に混入させると良い。また窒化アルミニウムをゲート絶縁膜2003として用いることができる。窒化アルミニウムは熱伝導率が比較的高く、TFTで発生した熱を効率的に発散させることができる。
次に、第1の半導体膜2004を形成する。第1の半導体膜2004は非晶質(アモルファス)半導体またはセミアモルファス半導体(SAS)で形成することができる。また多結晶半導体膜を用いていても良い。本実施の形態では、第1の半導体膜2004としてセミアモルファス半導体を用いる。セミアモルファス半導体は、非晶質半導体よりも結晶性が高く高い移動度が得られ、また多結晶半導体と異なり結晶化させるための工程を増やさずとも形成することができる。
非晶質半導体は、珪化物気体をグロー放電分解することにより得ることができる。代表的な珪化物気体としては、SiH、Siが挙げられる。この珪化物気体を、水素、水素とヘリウムで希釈して用いても良い。
またSASも珪化物気体をグロー放電分解することにより得ることができる。代表的な珪化物気体としては、SiHであり、その他にもSi、SiHCl、SiHCl、SiCl、SiFなどを用いることができる。また水素や、水素にヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンから選ばれた一種または複数種の希ガス元素を加えたガスで、この珪化物気体を希釈して用いることで、SASの形成を容易なものとすることができる。希釈率は2倍〜1000倍の範囲で珪化物気体を希釈することが好ましい。またさらに、珪化物気体中に、CH、Cなどの炭化物気体、GeH、GeFなどのゲルマニウム化気体、Fなどを混入させて、エネルギーバンド幅を1.5〜2.4eV、若しくは0.9〜1.1eVに調節しても良い。SASを第1の半導体膜として用いたTFTは、1〜10cm/Vsecや、それ以上の移動度を得ることができる。
また異なるガスで形成されたSASを複数積層することで、第1の半導体膜を形成しても良い。例えば、上述した各種ガスのうち、弗素原子を含むガスを用いて形成されたSASと、水素原子を含むガスを用いて形成されたSASとを積層して、第1の半導体膜を形成することができる。
グロー放電分解による被膜の反応生成は減圧下または大気圧下で行なうことができる。減圧下で行なう場合、圧力は概略0.1Pa〜133Paの範囲で行なえば良い。グロー放電を形成するための電力は1MHz〜120MHz、好ましくは13MHz〜60MHzの高周波電力を供給すれば良い。圧力は概略0.1Pa〜133Paの範囲、電源周波数は1MHz〜120MHz、好ましくは13MHz〜60MHzとする。基板加熱温度は300℃以下でよく、好ましくは100〜250℃とする。膜中の不純物元素として、酸素、窒素、炭素などの大気成分の不純物は1×1020atoms/cm以下とすることが望ましく、特に、酸素濃度は5×1019atoms/cm以下、好ましくは1×1019atoms/cm以下とする。
なお、Siと、GeFまたはFとを用いて半導体膜を形成する場合、半導体膜のより基板に近い側から結晶が成長するので、基板に近い側ほど半導体膜の結晶性が高い。よって、ゲート電極が第1の半導体膜よりも基板により近いボトムゲート型のTFTの場合、第1の半導体膜のうち基板に近い側の結晶性が高い領域をチャネル形成領域として用いることができるので、移動度をより高めることができ、適している。
また、SiHと、Hとを用いて半導体膜を形成する場合、半導体膜の表面により近い側ほど大きい結晶粒が得られる。よって、第1の半導体膜がゲート電極よりも基板により近いトップゲート型のTFTの場合、第1の半導体膜のうち基板から遠い側の結晶性が高い領域をチャネル形成領域として用いることができるので、移動度をより高めることができ、適している。
また、SASは、価電子制御を目的とした不純物を意図的に添加しないときに弱いn型の導電型を示す。これは、アモルファス半導体を成膜するときよりも高い電力のグロー放電を行なうため酸素が半導体膜中に混入しやすいためである。そこで、TFTのチャネル形成領域を設ける第1の半導体膜に対しては、p型を付与する不純物を、この成膜と同時に、或いは成膜後に添加することで、しきい値制御をすることが可能となる。p型を付与する不純物としては、代表的にはボロンであり、B、BFなどの不純物気体を1ppm〜1000ppmの割合で珪化物気体に混入させると良い。例えば、p型を付与する不純物としてボロンを用いる場合、該ボロンの濃度を1×1014〜6×1016atoms/cmとすると良い。
次に、第1の半導体膜2004のうち、チャネル形成領域となる部分と重なるように、第1の半導体膜2004上に保護膜2005、2006を形成する。保護膜2005、2006は液滴吐出法または印刷法を用いて形成しても良いし、CVD法、スパッタリング法などを用いて形成しても良い。保護膜2005、2006として、酸化珪素、窒化珪素、窒化酸化珪素などの無機絶縁膜、シロキサン系絶縁膜などを用いることができる。またこれらの膜を積層し、保護膜2005、2006として用いても良い。本実施の形態では、プラズマCVD法で形成された窒化珪素、液滴吐出法で形成されたシロキサン系絶縁膜を積層して、保護膜2005、2006として用いる。この場合、窒化珪素のパターニングは、液滴吐出法で形成されたシロキサン系絶縁膜をマスクとして用いて行なうことができる。
第1の半導体膜2004のパターニングを行なう。第1の半導体膜2004のパターニングは、リソグラフィ法を用いても良いし、液滴吐出法で形成されたレジストをマスクとして用いても良い。後者の場合、露光用のマスクを別途用意しておく必要がなくなり、よってコストの削減に繋がる。本実施の形態では、液滴吐出法で形成されたレジスト2007、2008を用い、パターニングする例を示す。なおレジスト2007、2008は、ポリイミド、アクリルなどの有機樹脂を用いることができる。そして、レジスト2007、2008を用いたドライエッチングにより、パターニングされた第1の半導体膜2009、2010が形成される図14(C)。
次に、パターニング後の第1の半導体膜2009、2010を覆うように、第2の半導体膜を形成する。第2の半導体膜には、一導電型を付与する不純物を添加しておく。nチャネル型のTFTを形成する場合には、第2の半導体膜に、n型を付与する不純物、例えばリンを添加すれば良い。具体的には、珪化物気体にPHなどの不純物気体を加え、第2の半導体膜を形成すれば良い。一導電型を有する第2の半導体膜は、第1の半導体膜2009、2010と同様にセミアモルファス半導体、非晶質半導体で形成することができる。
なお本実施例では、第2の半導体膜を第1の半導体膜2009、2010と接するように形成しているが、本発明はこの構成に限定されない。第1の半導体膜と第2の半導体膜の間に、LDD領域として機能する第3の半導体膜を形成しておいても良い。この場合、第3の半導体膜は、セミアモルファス半導体または非晶質半導体で形成する。そして、第3の半導体膜は、導電型を付与するための不純物を意図的に添加しなくとも、もともと弱いn型の導電型を示す。よって第3の半導体膜には、導電型を付与するための不純物を添加してもしなくても、LDD領域として用いることができる。
次に、配線2015〜2018を液滴吐出法を用いて形成し、該配線2015〜2018をマスクとして用いて、第2の半導体膜をエッチングする。第2の半導体膜のエッチングは、真空雰囲気下もしくは大気圧雰囲気下におけるドライエッチングで行なうことができる。上記エッチングにより、第2の半導体膜からソース領域またはドレイン領域として機能する、第2の半導体2011〜2014が形成される。第2の半導体膜をエッチングする際、保護膜2005、2006によって、第1の半導体膜2009、2010がオーバーエッチングされるのを防ぐことができる。
配線2015〜2018は、ゲート電極2001、2002と同様に形成することができる。具体的には、Ag、Au、Cu、Pdなどの金属又は金属化合物を1つまたは複数有する導電材料を用いる。液滴吐出法を用いる場合、有機系または無機系の溶媒に該導電材料を分散させたものを、ノズルから滴下した後、室温において乾燥または焼成することで、形成することができる。分散剤により凝集を抑え、溶液に分散させることができるならば、Cr、Mo、Ti、Ta、W、Alなどの金属又は金属化合物を1つまたは複数有する導電材料を用いることも可能である。焼成は酸素雰囲気下で行ない、配線2015〜2018の抵抗を下げるようにしても良い。また液滴吐出法による導電材料の成膜を複数回行なうことで、複数の導電膜が積層された配線2015〜2018を形成することも可能である。
上記工程によって、スイッチ用TFT2019、駆動用TFT2020が形成される(図15(A))。
次に、図15(B)に示すように、層間絶縁膜を形成する前に、コンタクトホールを形成する領域に撥液性を有する有機材料2021を液滴吐出法または印刷法などを用いて塗布する。この場合、層間絶縁膜を形成した後、撥液性を有する有機材料2021を除去することで、エッチングを行なわずともコンタクトホールを形成することができる。本実施例では液滴吐出法により、撥液性を有する有機材料2021を塗布する。撥液性を有する有機材料としては、R−Si−X(4−n)(n=1、2、3)の化学式で表されるシランカップリング剤を用いる。Rは、アルキル基などの比較的不活性な基、またはビニル基、アミノ基あるいはエポキシ基などの反応性基を含む物である。また、Xはハロゲン、メトキシ基、エトキシ基またはアセトキシ基など基質表面の水酸基あるいは吸着水との縮合により結合可能な加水分解基からなる。本実施の形態では、フルオロ基を有するフルオロアルキルシラン(FAS)、代表的にはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を、n−オクタノールに溶解した溶液を用いる。また撥液性を有する有機材料の除去は、水による洗浄、CF、Oなどを用いたドライエッチングで行なうことができる。
次に、図15(C)に示すように、層間絶縁膜2022を形成する、層間絶縁膜2022は、有機樹脂膜、無機絶縁膜またはシロキサン系絶縁膜を用いて形成することができる。層間絶縁膜2022に、低誘電率材料(low−k材料)と呼ばれる材料を用いていても良い。
次に電界発光層2024を形成する前に、層間絶縁膜2022に吸着した水分や酸素等を除去するために、大気雰囲気下で加熱処理または真空雰囲気下で加熱処理(真空ベーク)を行なっても良い。具体的には、基板の温度を200℃〜450℃、好ましくは250〜300℃で、0.5〜20時間程度、真空雰囲気下で加熱処理を行なう。望ましくは3×10−7Torr以下とし、可能であるならば3×10−8Torr以下とするのが最も望ましい。そして、真空雰囲気下で加熱処理を行なった後に電界発光層を成膜する場合、電界発光層を成膜する直前まで当該基板を真空雰囲気下に置いておくことで、信頼性をより高めることができる。
そして、層間絶縁膜2022のコンタクトホール内において、駆動用TFT2020の電極2018に接するように第1の電極2023を形成する。なお本実施例では、第1の電極2023が陰極、後に形成される第2の電極2025が陽極に相当するが、本発明はこの構成に限定されない。第1の電極2023が陽極、第2の電極2025が陰極に相当していても良い。
陰極は、仕事関数の小さい金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。具体的には、LiやCs等のアルカリ金属、およびMg、Ca、Sr等のアルカリ土類金属、これらを含む合金(Mg:Ag、Al:Li、Mg:Inなど)、およびこれらの化合物(CaF、CaN)の他、YbやEr等の希土類金属を用いることができる。また電子注入層を設ける場合、Alなどの他の導電層を用いることも可能である。また陰極側から光を取り出す場合は、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、ガリウムを添加した酸化亜鉛(GZO)などその他の透光性酸化物導電材料を用いることが可能である。ITO及び酸化珪素を含む酸化インジウムスズ(以下、ITSOとする)や、酸化珪素を含んだ酸化インジウムに、さらに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したものを用いても良い。透光性酸化物導電材料を用いる場合、後に形成される電界発光層2024に電子注入層を設けるのが望ましい。また透光性酸化物導電材料を用いずとも、陰極を光が透過する程度の膜厚(好ましくは、5nm〜30nm程度)で形成することで、陰極側から光を取り出すことができる。この場合、該陰極の上または下に接するように透光性酸化物導電材料を用いて透光性を有する導電層を形成し、陰極のシート抵抗を抑えるようにしても良い。
本実施の形態では、陽極に相当する第1の電極2023として、Mg:Agを用いる。なお第1の電極2023は、スパッタリング法、液滴吐出法または印刷法を用いて形成することが可能である。液滴吐出法または印刷法を用いる場合、マスクを用いなくても第1の電極2023を形成することが可能である。またスパッタリング法を用いる場合でも、リソグラフィ法において用いるレジストを、液滴吐出法または印刷法で形成することで、露光用のマスクを別途用意しておく必要がなくなり、よってコストの削減に繋がる。
なお第1の電極2023は、その表面が平坦化されるように、CMP法、ポリビニルアルコール系の多孔質体で拭浄し、研磨しても良い。またCMP法を用いた研磨後に、陰極の表面に紫外線照射、酸素プラズマ処理などを行ってもよい。
次に、第1の電極2023と接するように、電界発光層2024を形成する。電界発光層2024は、単数の層で構成されていても、複数の層が積層されるように構成されていてもどちらでも良い。複数の層で構成されている場合、陰極に相当する第1の電極2023上に、電子注入層、電子輸送層、発光層、ホール輸送層、ホール注入層の順に積層する。なお第1の電極2023が陽極に相当する場合は、電界発光層2024を、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層の順に積層して形成する。
なお、電界発光層2024は、高分子系有機化合物、中分子系有機化合物、低分子系有機化合物、無機化合物のいずれを用いていても、液滴吐出法で形成することが可能である。また中分子系有機化合物、低分子系有機化合物、無機化合物は蒸着法で形成しても良い。
そして電界発光層2024を覆うように、第2の電極2025を形成する。本実施例では、第2の電極2025は陽極に相当する。第2の電極2025の作製方法は、蒸着法、スパッタリング法、液滴吐出法などを材料に合わせて使い分けることが好ましい。
陽極には、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、ガリウムを添加した酸化亜鉛(GZO)などその他の透光性酸化物導電材料を用いることが可能である。ITO及び酸化珪素を含む酸化インジウムスズ(以下、ITSOとする)や、酸化珪素を含んだ酸化インジウムに、さらに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したものを用いても良い。また陽極として上記透光性酸化物導電材料の他に、例えばTiN、ZrN、Ti、W、Ni、Pt、Cr、Ag、Al等の1つまたは複数からなる単層膜の他、窒化チタンとアルミニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チタン膜との三層構造等を用いることができる。ただし透光性酸化物導電材料以外の材料で陽極側から光を取り出す場合、光が透過する程度の膜厚(好ましくは、5nm〜30nm程度)で形成する。
第1の電極2023と電界発光層2024と第2の電極2025が重なり合うことで、発光素子が形成されている。
なお、発光素子からの光の取り出しは、第1の電極2023側からであっても良いし、第2の電極2025側からであっても良いし、その両方からであっても良い。上記3つの構成にうち、目的とする構成に合わせて、陽極、陰極それぞれの材料及び膜厚を選択するようにする。本実施の形態のように第2の電極2025側から光を取り出す場合、第1の電極2023側から光の取り出す場合に比べて、より低い消費電力でより高い輝度を得ることができる。
図14(A)〜(C)及び図15(A)〜(C)では、第1の半導体膜と第2の半導体膜を別々の工程でパターニングしているが、本発明の半導体装置はこの作製方法に限定されない。
また、第1の半導体膜と第2の半導体膜の間に保護膜を形成しているが、本発明はこの構成に限定されず、保護膜は必ずしも形成しなくて良い。
なお、本実施例は、他の実施例に記載した構成と組み合わせて実施することが可能である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出する手段と、前記液滴を吐出する手段から吐出された液滴を改質する手段とを有することを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
液滴を吐出する手段と、前記液滴を吐出する手段から吐出された液滴の溶媒を蒸発させる手段とを有することを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項3】
液滴を吐出する手段と、前記液滴を吐出する手段から吐出された液滴の溶媒が蒸発した前記液滴の溶質を再結晶化させる手段とを有することを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項4】
液滴を吐出する手段と、前記液滴を滴下する被処理物の表面を改質する手段とを有することを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項5】
液滴を吐出する手段と、前記液滴を滴下する被処理物の表面に溝を形成する手段とを有することを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項6】
液滴を吐出する手段と、前記液滴を滴下する被処理物の表面に凸凹した領域を形成する手段とを有することを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項7】
液滴を吐出する手段と、レーザ発振器と、前記液滴を吐出する手段及び被処理物の相対位置を変化させる手段とを有し、前記レーザ発振器から発振されたレーザ光により、前記液滴を吐出する手段から吐出された液滴を改質することを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項8】
液滴を吐出する手段と、レーザ発振器と、前記液滴を吐出する手段及び被処理物の相対位置を変化させる手段とを有し、前記レーザ発振器から発振されたレーザ光により、前記被処理物の表面を改質することを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項9】
請求項7又は請求項8において、前記レーザ発振器は、気体レーザ発振器、固体レーザ発振器、金属レーザ発振器、又は半導体レーザ発振器であることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項10】
請求項7又は請求項8において、前記レーザ発振器と前記被処理物との間に、前記レーザ発振器から射出されるレーザ光のビーム形状又はビーム進路を調整する手段を有することを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項11】
請求項7又は請求項8において、前記レーザ発振器と前記被照射物との間に、マイクロレンズアレイを有することを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項12】
請求項7又は請求項8において、前記液滴の着弾位置と前記レーザ発振器から射出されるレーザ光の照射位置とを制御する手段を有することを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項13】
吐出手段から液滴を吐出し、前記液滴が被処理面に着弾するときに前記液滴にレーザ光を照射し、前記液滴の溶媒を蒸発させてパターンを形成することを特徴とするパターンの形成方法。
【請求項14】
被処理面にレーザ光を照射して、前記被処理面に溝を形成した後、吐出手段から液滴を吐出し、前記溝に液滴を着弾することを特徴とするパターンの形成方法。
【請求項15】
被処理面にレーザ光を照射して、前記被処理面に凸凹領域を形成した後、吐出手段から液滴を吐出し、前記凸凹領域に液滴を着弾することを特徴とするパターンの形成方法。
【請求項16】
吐出手段から液滴を吐出して前記液滴を被処理面に着弾し、前記液滴の溶媒を蒸発させた後、レーザ光を照射して前記液滴の溶質を再結晶化させてパターンを形成することを特徴とするパターンの形成方法。
【請求項17】
請求項13乃至請求項16のいずれか一項において、前記レーザ光は、気体レーザ発振器、固体レーザ発振器、金属レーザ発振器、又は半導体レーザ発振器から射出されることを特徴とするパターンの形成方法。
【請求項18】
請求項13乃至請求項16のいずれか一項において、前記液滴は減圧雰囲気で吐出することを特徴とするパターンの形成方法。
【請求項19】
請求項13乃至請求項16のいずれか一項において、前記液滴は大気圧雰囲気で吐出することを特徴とするパターンの形成方法。
【請求項20】
請求項13乃至請求項16のいずれか一項において、前記パターンを形成した後、前記パターンを平坦化することを特徴とするパターンの形成方法。
【請求項21】
請求項13乃至請求項16のいずれか一項において、前記液滴を着弾する時間と、前記レーザ光を被処理面に照射する時間とを同期させることを特徴とするパターンの形成方法。
【請求項22】
吐出手段から液滴を吐出する工程と、前記吐出手段から吐出された液滴が被処理面に着弾するときに前記液滴にレーザ光を照射し、前記液滴の溶媒を蒸発させてパターンを形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項23】
被処理面にレーザ光を照射して、前記被処理面に溝を形成する工程と、吐出手段から液滴を吐出し、前記溝に液滴を着弾する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項24】
被処理面にレーザ光を照射して、前記被処理面に凸凹領域を形成する工程と、吐出手段から液滴を吐出し、前記凸凹領域に液滴を着弾する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項25】
吐出手段から液滴を吐出して前記液滴を被処理面に着弾する工程と、前記液滴の溶媒を蒸発させた後、レーザ光を照射して前記液滴の溶質を再結晶化させてパターンを形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項26】
請求項22乃至請求項25のいずれか一項において、前記レーザ光は、気体レーザ発振器、固体レーザ発振器、金属レーザ発振器、又は半導体レーザ発振器から射出されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項27】
請求項22乃至請求項25のいずれか一項において、前記液滴は減圧雰囲気で吐出することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項28】
請求項22乃至請求項25のいずれか一項において、前記液滴は大気圧雰囲気で吐出することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項29】
請求項22乃至請求項25のいずれか一項において、前記パターンを形成した後、前記パターンを平坦化することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項30】
請求項22乃至請求項25のいずれか一項において、前記液滴の溶質は、導電性材料、レジスト材料、発光材料、又は半導体ナノ粒子であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項31】
請求項22乃至請求項25のいずれか一項において、前記液滴を着弾する時間と、前記レーザ光を被処理面に照射する時間とを同期させることを特徴とする特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項32】
前記半導体装置は、表示装置、デジタルスチムカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、モバイルコンピュータ、記録媒体を備えた携帯型の画像再生装置、ゴーグル型ディスプレイ、ビデオカメラ、携帯電話から選ばれた電子機器であることを特徴とする請求項22乃至請求項25のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。

【国際公開番号】WO2004/097915
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【発行日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−569238(P2004−569238)
【国際出願番号】PCT/JP2004/005393
【国際出願日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】