説明

過給機付エンジンのEGR制御装置

【課題】吸気通路に配設された機器をEGRガスから保護すると共に、EGRガスを含んだ吸気の過給によってノッキングを回避しつつより高出力を図ることができる過給機付エンジンのEGR制御装置を提供する。
【解決手段】吸気通路4に設けられ、運転条件に応じて駆動される過給機(スーパーチャージャー21)と、過給機(スーパーチャージャー21)の駆動により、排気通路27から過給機(スーパーチャージャー21)より上流側の吸気通路4へ排気の一部を還流するEGR通路(第1EGR通路31,第2EGR通路33)と、EGR通路(第2EGR通路33)に介装され、運転条件に応じて還流する排気量を制御するEGR制御弁(過給用EGR制御バルブ37)と、吸気通路4におけるEGR通路(第2EGR通路33)との合流位置より上流側に設けられ、前記環流された排気が吸気通路4の上流側へ逆流するのを防止する逆流防止弁49と、を含んで構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸気通路に過給機を備えると共に、排気の一部を吸気通路へ還流させること(以下、EGRとする)が可能な過給機付エンジンのEGR制御装置に関し、特に、吸気通路に配設された機器をEGRガスから保護する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のエンジンは、過給機と、該過給機をバイパスする吸気バイパス通路と、該吸気バイパス通路に介設されたバイパスバルブとを備え、排気を過給機上流側の吸気通路へ供給するEGR通路を備えている。
【0003】
そして、エンジン運転状態が過給運転領域でかつEGR領域にあってEGR通路からの排気の供給が行われている状態から、エンジン運転状態が非過給運転領域側に移行したときに、バイパスバルブの開放(過給停止)に先立ってEGR通路からの排気の供給を停止(EGRコントロールバルブを閉鎖)させ、吸気通路におけるEGRガスを掃気して、吸気系にEGRガスが残存することを回避している。
【特許文献1】特開平5−256213号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のものでは、吸気通路内から掃気される前のEGRガスが、吸気通路におけるEGR通路との合流位置より上流側に設けられた機器(例えば、エアフローメータのデバイスやエアクリーナのフィルタなど)の性能を低下させてしまう懸念がある。
【0005】
本発明は、以上のような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、吸気通路に配設された機器をEGRガスから保護すると共に、EGRガスを含んだ吸気の過給によってノッキングを回避しつつ、より高出力を図ることができる過給機付エンジンのEGR制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため本発明は、吸気通路に設けられ、運転条件に応じて駆動される過給機と、前記過給機の駆動により、排気通路から前記過給機より上流側の吸気通路へ排気の一部を還流するEGR通路と、該EGR通路に介装され、運転条件に応じて還流する排気量を制御するEGR制御弁と、前記吸気通路における前記EGR通路との合流位置より上流側に設けられ、前記環流された排気が吸気通路の上流側へ逆流するのを防止する逆流防止弁と、を含んで構成した。
【発明の効果】
【0007】
以上の構成によって、吸気通路に設けられた過給機と、EGR制御弁を介装したEGR通路と、を備えた構成において、逆流防止弁が、環流された排気が吸気通路の上流側へ逆流するのを防止する。
【0008】
これにより、逆流防止弁より上流側の吸気通路に設けられた機器を、排気から保護することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態におけるエンジンのシステム構成を示す図である。図1において、エンジン1の各シリンダ3内には、吸気通路4のエアクリーナ5で浄化されエアフローメータ7で計量された空気が、吸気流量を調節するスロットル弁9,吸気弁11を介して吸引される。スロットル弁9は、例えば電子制御によって開閉駆動される。
【0010】
エンジン1の各シリンダ3には、燃焼室3a内に直接燃料(ガソリン)を噴射する電磁式の燃料噴射弁13がそれぞれに設けられ、燃料噴射弁13から噴射された燃料によってシリンダ3内に混合気が形成される。
【0011】
シリンダ3内の混合気は、点火栓15による火花点火によって着火燃焼し、燃焼排気は、排気弁17を介して排出され、触媒19で浄化されて大気中に放出される。
また、エアフローメータ7下流側かつスロットル弁9上流側の吸気通路4には、吸気を圧縮して供給する過給機として、スーパーチャージャー21が介装されている。スーパーチャージャー21は、クランクシャフト(図示せず)によって駆動される機械式の過給機である。
【0012】
尚、アイドル等においてスーパーチャージャー21の機械駆動を停止させたり、スーパーチャージャー21の機械駆動をその要求後迅速に開始させたりするべく、スーパーチャージャー21と前記クランクシャフトとの間の駆動力の伝達経路に、図示しないクラッチ(例えば電磁クラッチ)を介装してある。このクラッチにより、前記クランクシャフトからスーパーチャージャー21への駆動力の伝達及び遮断を切り換え可能となっている。
【0013】
また、吸気通路4には、スーパーチャージャー21をパイパスするパイパス通路23が設けられ、このパイパス通路23には、バイパスバルブ25が介装されている。そして、バイパスバルブ25の開度によりパイパスの流量を調整することで、過給圧を調整できるようになっている。
【0014】
さらに、パイパス通路23の下流側端部とスロットル弁9との間の吸気通路4には、スーパーチャージャー21で圧縮されて温度上昇した空気を冷却して吸気の充填効率を確保するためのインタークーラ26が設けられている。
【0015】
尚、吸気弁11又は排気弁17の少なくとも一方の開閉タイミング及び/又はリフト量を可変とする可変動弁機構を備えて、スーパーチャージャー21の過給による耐ノック性の低下を前記可変動弁機構により抑制する構成としてもよい。
【0016】
触媒19下流側の排気通路27には、第1EGR通路31の一端が連通し、第1EGR通路31の他端(吸気側端部)は、第2EGR通路33の一端及び第3EGR通路35の一端に連通している。
【0017】
第2EGR通路33の他端(吸気側端部)は、エアフローメータ7より下流側かつパイパス通路23の上流側端部より上流側の吸気通路4に連通している。
第3EGR通路35の他端(吸気側端部)は、スロットル弁9下流側の吸気通路4(吸気ポート)に連通している。
【0018】
第2EGR通路33には、過給用EGR制御バルブ37が介装され、第3EGR通路35には、パーシャル用EGR制御バルブ39が介装されている。
なお、過給用EGR制御バルブ37より排気側の第2EGR通路33には、EGRガスを冷却するためのEGRクーラ40が配設されている。
【0019】
過給用EGR制御バルブ37が開かれると、第2EGR通路33は第1EGR通路31へ連通し、パーシャル用EGR制御バルブ39が開かれると、第3EGR通路35は第1EGR通路31へ連通するように夫々構成されている。
【0020】
ここで、スーパーチャージャー21を駆動させない部分負荷運転時等にEGRを行うときは、過給用EGR制御バルブ37を閉じかつパーシャル用EGR制御バルブ39を開けた状態とし、第1EGR通路31と第3EGR通路35とを連通させ、スロットル弁9の開度減少によって負圧とされたスロットル弁9下流側の吸気通路4へEGRガスを供給するようになっている。
【0021】
一方、スーパーチャージャー21を駆動させながらの運転時等にEGRを行うときは、スロットル弁9の開度増加によって前記負圧の効果が弱まるため、過給用EGR制御バルブ37を開けかつパーシャル用EGR制御バルブ39を閉じた状態とし、第1EGR通路31と第2EGR通路33とを連通させ、スーパーチャージャー21上流側の吸気通路4へEGRガスを供給するようになっている。
【0022】
なお、第2EGR通路33の吸気側端部をスーパーチャージャー21の上流側の吸気通路4へ連通させているため、第2EGR通路33の吸気側出口端が吸気通路4における過給圧が加わらない部分になるので、過給圧によりEGR供給が妨げられることなく排気が還流され、十分な排気環流率を確保することが可能となっている。
【0023】
また、第1EGR通路31の排気側端部を触媒19の下流側の排気通路27へ連通させ、触媒19を通過した後の排気を還流させる構成としているので、排気中の煤等が触媒19に吸着されるため、還流された排気を新気と共に過給することになるスーパーチャージャー21に排気中の煤等が付着するのを防止することができ、スーパーチャージャー21保護を図れる。またエンジン1(シリンダ3)の直下流の排気温度に比べて触媒19を通過した後は、排気温度を低下することができるため、還流された排気を新気と共に過給することになるスーパーチャージャー21の保護を図れるという効果もある。
【0024】
マイクロコンピュータを内蔵したコントロールユニット(ECU)41は、各種センサからの検出信号に基づく演算処理によって、燃料噴射弁13による燃料噴射及び点火栓15による点火(図示しない点火コイルへの通電)を制御すると共に、スロットル弁9の開度を制御する。
【0025】
また、ECU41は、各種センサからの検出信号に基づく演算処理によって、スーパーチャージャー21の駆動と、前記クラッチの接続又は遮断と、を制御し、さらに、スーパーチャージャー21の駆動時にはバイパスバルブ25の開度を制御して過給圧を制御する。
【0026】
さらに、ECU41は、過給用EGR制御バルブ37及びパーシャル用EGR制御バルブ39の開度制御も行う。
前記各種センサとしては、吸入空気量を検出する上述のエアフローメータ7のほか、インタークーラ26下流側かつスロットル弁9上流側の吸気通路4の圧力を検出する圧力センサ43、スロットル弁9下流側かつ第3EGR通路35吸気側端部の上流側の吸気通路4(吸気ポート)の圧力を検出する圧力センサ45、触媒19下流側かつ第1EGR通路31の排気側端部の上流側の排気中の酸素濃度に基づいて空燃比を検出する空燃比センサ47等が設けられている。
【0027】
その他の前記各種センサとして、図示しないアクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセル開度センサ、車速VSPを検出する車速センサ、クランク角を検出するクランク角センサ、冷却水温度Twを検出する水温センサ等も設けられている。
【0028】
尚、前記クランク角センサから前記クランクシャフトの回転に同期して出力される検出信号に基づき、ECU41がエンジン回転速度を演算する構成となっている。
ところで、第1EGR通路31及び第2EGR通路33を介してEGRを行っているときにアクセルペダルの踏み込みを解除する(アクセルペダルを離す)などした場合、スロットル弁9が閉じ、スロットル弁9上流側にEGRガスが残りやすくなる。そして、このEGRガスが、吸気通路4のエアフローメータ7やエアクリーナ5の位置まで逆流すれば、温度の高いガスに曝されたり、EGRガスの煤等が付着したりすることでエアフローメータ7のデバイスやエアクリーナ5のフィルタ等の性能を低下させる懸念がある。
【0029】
そこで、本実施形態では、エアフローメータ7より下流側かつ第2EGR通路33の吸気側端部より上流側に、ECU41によって開度を制御される逆流防止弁49を設け、EGRガスが逆流する条件で、逆流防止弁49の開度を減少させることで、エアフローメータ7のデバイスやエアクリーナ5のフィルタ等をEGRガスから保護する。
【0030】
ここで、図2のフローチャートに基づいてECU41による制御を説明する。
ステップS1では、EGR領域での運転中であるか判定する。
ステップS1でEGR領域での運転中でないと判定したときはリターンとなり、EGR領域での運転中であると判定したときはステップS2へ進む。
【0031】
ステップS2では、過給用EGR制御バルブ37が開かれた状態でスーパーチャージャー21の駆動により過給が行われているか、即ち、過給を行いながら第2EGR通路33を介してEGRが行われているか判定する(このようなEGRを、以下、過給EGRとする)。
【0032】
ステップS2で過給EGRが行われていないと判定したときはリターンとなり、過給EGRが行われていると判定したときはステップS3へ進む。
ステップS3では、過給EGRを停止する要求があるか判定する。
【0033】
ステップS3で過給EGRを停止する要求がないと判定したときはリターンとなり、過給EGRを停止する要求があると判定したときはステップS4へ進む。
ステップS4では、過給用EGR制御バルブ37を閉じ、ステップS5へ進む。
【0034】
ステップS5では、燃料噴射弁13の燃料噴射停止による燃料カットが、過給用EGR制御バルブ37を閉じてから所定時間内に行われたか判定する。
なお、燃料カットは、例えば、下り坂での減速時など、前記アクセルペダルの踏み込みがなくかつエンジン回転速度が所定値(アイドル回転速度よりも高い値)以上である状態のときに行われるようになっている。
【0035】
前記所定時間は、例えば、過給用EGR制御バルブ37を閉じてからスロットル弁9下流側へのEGRガスの掃気を完了させるのに必要な最低限の時間として設定するのがよい。
【0036】
即ち、前記所定時間を適切に設定することで、燃料カットが、EGRガスの掃気を完了させるのに必要な時間の経過前に行われたか否かを判定する。
そのため、前記所定時間を掃気完了に必要な時間よりも過度に長くしてしまうと、掃気完了の時間を越えてのタイミングでの燃料カットか否かを確実に検知できるが、スロットル弁9下流側へのEGRガスの掃気完了後(スロットル弁9上流側にEGRガスが残る懸念がなくなった後)、しばらく経った後の時間までに行われた燃料カットをも検知することになってしまう。
【0037】
逆に、前記所定時間が短すぎると、スロットル弁9下流側へのEGRガスの掃気が完了していない状態での燃料カットを正確に検知できなくなってしまう場合がある。
ステップS5で燃料カットが過給用EGR制御バルブ37を閉じてから前記所定時間内に行われなかったと判定したときは、スロットル弁9上流側にEGRガスが残る懸念がないと判断してリターンとなる。
【0038】
一方、ステップS5で燃料カットが過給用EGR制御バルブ37を閉じてから前記所定時間内に行われたと判定したときは、スロットル弁9上流側にEGRガスが残りやすい状態であると判断し、ステップS6へ進む。
【0039】
ステップS6では、逆流防止弁49を閉じ、その後、スロットル弁9の開度を所定開度以上(例えば全開)とする。該所定開度は、例えば、逆流防止弁49とスロットル弁9との間に残されたEGRガスを、スロットル弁9の下流側へと支障なく掃気できる最低限の開度として設定するのがよい。
【0040】
これにより、逆流防止弁49とスロットル弁9との間に残されたEGRガスは、スロットル弁9の下流側へと掃気され、各シリンダ3を介して排気通路27へと排出されるため、エアフローメータ7やエアクリーナ5の位置への逆流が防止される。
【0041】
ここにおいて、ステップS5で前記所定時間が経過する前に燃料カットが検知されたときは、該所定時間が経過するのを待たずに、即座にステップS6へ進むようにするとよい。これにより、燃料カットの検知後、迅速に逆流防止弁49を閉じ、EGRガスがエアフローメータ7やエアクリーナ5の位置へ逆流するのを確実に防止することができる。
【0042】
なお、スロットル弁9の上流側と下流側との圧力差が大きい状態でスロットル弁9の開度を急に増加させてしまうと、トルクショックが大きくなって運転性が低下してしまうため、圧力センサ43,45によって検出される該圧力差が大きいときほど、スロットル弁9の開度増加速度を低下させるように制御するとよい。
【0043】
ステップS6の処理後は、ステップS7へ進む。
ステップS7では、要求されるエンジンブレーキの大きさに応じて、前記クランクシャフトに連結されたスーパーチャージャー21を駆動してエンジンブレーキを発生させ、バイパスバルブ25の開度制御を行ってエンジンブレーキの大きさを調整する。
【0044】
ここにおいて、スロットル弁9が前記ステップS6で開度を前記所定開度以上とするように制御されてエンジンブレーキを十分に発生できなくなっているが、スーパーチャージャー21を駆動することで、スロットル弁9によるエンジンブレーキ分を補償することができる。
【0045】
また、このとき、スーパーチャージャー21の駆動によって、逆流防止弁49とスロットル弁9との間に残されたEGRガスが、スロットル弁9の下流側へと効率よく掃気される。
【0046】
ここで、スーパーチャージャー21と前記クランクシャフトとの間の駆動力の伝達経路に前記クラッチが介装されているため、スーパーチャージャー21の駆動をその要求後迅速に開始し、EGRガスの掃気を迅速に行うことができる。
【0047】
ステップS7の処理後は、ステップS8へ進む。
ステップS8では、さらにエンジンブレーキを調整する要求があるか判定する。
ステップS8でエンジンブレーキを調整する要求があると判定したときはステップS9へ進む。
【0048】
ステップS9では、逆流防止弁49の開度調整、即ち、逆流防止弁49での吸気抵抗の調整を行って、エンジンブレーキを調整し、ステップS10へ進む。
一方、ステップS8でエンジンブレーキを調整する要求がないと判定したときは、ステップS9を経ずにステップS10へ進む。
【0049】
ステップS10では、アクセルペダルの踏み込み量等に基づいて、再加速の要求があるか判定する。
ステップS10で再加速の要求がないと判定したときはリターンとなり、再加速の要求があると判定したときはステップS11へ進む。
【0050】
ステップS11では、スーパーチャージャー21を駆動する要求があるか判定する。
ステップS11でスーパーチャージャー21を駆動する要求があると判定したときは、急加速が要求されていると判断し、ステップS12へ進む。
【0051】
ステップS12では、逆流防止弁49を開けると共に、スロットル弁9を全開とし、加速要求に応じてバイパスバルブ25の開度を制御する。
該ステップS12にかかる逆流防止弁49,スロットル弁9及びバイパスバルブ25の各制御については、開始する順序を設定してもよく、同時に開始してもよい。
【0052】
例えば、該ステップS12において、スロットル弁9及びバイパスバルブ25の開度制御を開始する前に逆流防止弁49を開けたとしても、スーパーチャージャー21の駆動によってEGRガスの掃気が促進されているため、エアフローメータ7やエアクリーナ5の位置へEGRガスが逆流することを確実に防止することができる。
【0053】
なお、上述のようにスーパーチャージャー21と前記クランクシャフトとの間の駆動力の伝達経路に前記クラッチが介装されているため、スーパーチャージャー21の駆動をその要求後迅速に開始し、新気の吸入をその要求に応じて応答性良く行うことができる。
【0054】
一方、ステップS11でスーパーチャージャー21を駆動する要求がないと判定したときは、前記急加速よりも弱い緩加速が要求されていると判断し、ステップS13へ進む。
ステップS13では、スーパーチャージャー21の駆動を停止し、ステップS14へ進む。
【0055】
ステップS14では、加速要求に応じてスロットル弁9の開度を制御し、ステップS15へ進む。
ステップS15では、バイパスバルブ25及び逆流防止弁49を開ける。
【0056】
なお、前記ステップS13,S14においてスーパーチャージャー21の駆動停止及びスロットル弁9の開度制御を行っている間に、逆流防止弁49とスロットル弁9との間のEGRガスを掃気するのに十分な時間を稼ぐことができる。したがって、その後ステップS15で逆流防止弁49を開けた際、エアフローメータ7やエアクリーナ5の位置へEGRガスが逆流することを確実に防止することができる。
【0057】
また、前記ステップS4では、スーパーチャージャー21は、駆動を継続しても停止してもよい。
前記ステップS4でスーパーチャージャー21を駆動停止する場合は、該停止時期とは無関係に、過給用EGR制御バルブ37を閉じる時期(開けている時期の終期)を設定することができる。
【0058】
これにより、過給停止に先立ちEGRを停止する従来の構成(例えば特許文献1に記載のもの)と比べて、過給用EGR制御バルブ37を閉じる時期(開けている時期の終期)を長く引き延ばすこともでき、EGRを長く継続して燃費をより向上させることができる。
【0059】
なお、過給用EGR制御バルブ37を閉じる時期(開けている時期の終期)が引き延ばされることで、逆流防止弁49とスロットル弁9との間にEGRガスが残りやすくなるが、本実施形態では、逆流防止弁49の開度を減少させることで、EGRガスがエアフローメータ7やエアクリーナ5の位置へ逆流することを防止できる。
【0060】
以上のように、本実施形態によれば、過給EGRを停止して燃料カットを行っているとき、逆流防止弁49を閉じると共にスロットル弁9の開度を前記所定開度以上とすることで、逆流防止弁49とスロットル弁9との間に残されたEGRガスは、スロットル弁9の下流側へと掃気される。
【0061】
これにより、エアフローメータ7やエアクリーナ5の位置への逆流が防止されるため、エアフローメータ7のデバイスやエアクリーナ5のフィルタ等をEGRガスから確実に保護することができる。
【0062】
また、過給EGRを停止して燃料カットを行った後の再加速時にスーパーチャージャー21を駆動する場合は、EGRガスの掃気が促進されるため、エアフローメータ7やエアクリーナ5の位置へEGRガスが逆流することをより確実に防止することができる。
【0063】
さらに、過給EGRを停止して燃料カットを行った後の再加速時にスーパーチャージャー21を駆動停止する場合も、スーパーチャージャー21の駆動停止及びスロットル弁9の開度制御を行っている間に、逆流防止弁49とスロットル弁9との間のEGRガスを掃気するのに十分な時間を稼ぐことができる。したがって、その後逆流防止弁49を開けた際、エアフローメータ7やエアクリーナ5の位置へEGRガスが逆流することを確実に防止することができる。
【0064】
また、本実施形態では、過給EGRの停止要求があったとき、スーパーチャージャー21を駆動停止する時期とは無関係に、過給用EGR制御バルブ37を閉じる時期(タイミング)を設定することができる。
【0065】
これにより、過給停止に先立ちEGRを停止する従来の構成(例えば特許文献1に記載のもの)と比べて、過給用EGR制御バルブ37を閉じる時期(開けている時期の終期)を長く引き延ばすこともでき、EGRを長く継続して燃費をより向上させることができる。
【0066】
本発明は上記説明に限られず、以下のような構成としてもよい。
まず、スーパーチャージャー21に代えて、ターボチャージャーを設けて過給を行うこともできる。
【0067】
また、本発明の特に簡易な実施形態として、逆流防止弁49をECU41による開閉制御が不要な逆止弁で構成し、吸気通路4内における下流側から上流側へのEGRガスの逆流を防止することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施形態におけるエンジンのシステム構成を示す図
【図2】本発明の実施形態におけるECUによる制御を示すフローチャート
【符号の説明】
【0069】
1 エンジン
4 吸気通路
5 エアクリーナ
7 エアフローメータ
9 スロットル弁
21 スーパーチャージャー
23 パイパス通路
25 バイパスバルブ
27 排気通路
31 第1EGR通路
33 第2EGR通路
37 過給用EGR制御バルブ
41 ECU
43 圧力センサ
45 圧力センサ
49 逆流防止弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気通路に設けられ、運転条件に応じて駆動される過給機と、
前記過給機の駆動により、排気通路から前記過給機より上流側の吸気通路へ排気の一部を還流するEGR通路と、
該EGR通路に介装され、運転条件に応じて還流する排気量を制御するEGR制御弁と、
前記吸気通路における前記EGR通路との合流位置より上流側に設けられ、前記環流された排気が吸気通路の上流側へ逆流するのを防止する逆流防止弁と、
を含んで構成したことを特徴とする過給機付エンジンのEGR制御装置。
【請求項2】
前記環流された排気が逆流する条件で、前記逆流防止弁を閉じる逆流防止弁制御手段を含んで構成したことを特徴とする請求項1に記載の過給機付エンジンのEGR制御装置。
【請求項3】
燃料カットの条件が成立したとき、エンジンへの燃料供給を停止する燃料供給停止手段を含んで構成し、
前記逆流防止弁制御手段は、前記EGR制御弁が前記EGR通路の排気の環流を停止した後所定時間内に燃料供給停止手段がエンジンへの燃料供給を停止したときに、前記逆流防止弁を閉じることを特徴とする請求項2に記載の過給機付エンジンのEGR制御装置。
【請求項4】
前記過給機より下流側の吸気通路に設けられたスロットル弁と、
前記逆流防止弁制御手段が逆流防止弁を閉じた後、前記スロットル弁の開度を所定開度以上とするスロットル弁開放手段と、
を含んで構成したことを特徴とする請求項3に記載の過給機付エンジンのEGR制御装置。
【請求項5】
前記スロットル弁の上流側及び下流側の吸気通路における吸気の圧力を検出する圧力検出手段と、
前記各圧力検出手段の検出値に基づいて前記スロットル弁の上流側と下流側との吸気圧力差を算出する圧力差算出手段と、
を含んで構成し、
前記スロットル弁開放手段は、前記圧力差算出手段の算出値に応じて、前記スロットル弁の開度増加の速度を変更することを特徴とする請求項4に記載の過給機付エンジンのEGR制御装置。
【請求項6】
前記スロットル弁開放手段がスロットル弁の開度を前記所定開度以上とした状態で、前記過給機を駆動する過給機駆動手段を含んで構成したことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の過給機付エンジンのEGR制御装置。
【請求項7】
前記吸気通路に前記過給機をバイパスして設けられたバイパス通路と、
該バイパス通路に介装されたバイパスバルブと、
前記過給機駆動手段が過給機を駆動しているとき、要求されるエンジンブレーキの大きさに応じて、前記バイパスバルブの開度を制御するバイパス開度制御手段と、
を含んで構成したことを特徴とする請求項6に記載の過給機付エンジンのEGR制御装置。
【請求項8】
前記逆流防止弁制御手段は、前記スロットル弁開放手段がスロットル弁の開度を前記所定開度以上とした状態で、要求されるエンジンブレーキの大きさに応じて、前記逆流防止弁の開度を制御することを特徴とする請求項4〜請求項7のいずれか1つに記載の過給機付エンジンのEGR制御装置。
【請求項9】
前記吸気通路に前記過給機をバイパスして設けられたバイパス通路と、
該バイパス通路に介装されたバイパスバルブと、
を含んで構成し、
前記スロットル弁開放手段がスロットル弁の開度を前記所定開度以上とした状態で、前記過給機の駆動を伴う加速が要求されたときは、
前記過給機を駆動した状態で、前記逆流防止弁を開けると共に、前記スロットル弁を全開とし、前記要求された加速の状態に応じて前記バイパスバルブの開度を制御することを特徴とする請求項4〜請求項8のいずれか1つに記載の過給機付エンジンのEGR制御装置。
【請求項10】
前記吸気通路に前記過給機をバイパスして設けられたバイパス通路と、
該バイパス通路に介装されたバイパスバルブと、
を含んで構成し、
前記スロットル弁開放手段がスロットル弁の開度を前記所定開度以上とした状態で、前記過給機の駆動を伴わない加速が要求されたときは、
前記過給機を駆動停止した状態で、前記要求された加速の状態に応じて前記スロットル弁の開度を制御した後に前記逆流防止弁及びバイパスバルブを開けることを特徴とする請求項4〜請求項9のいずれか1つに記載の過給機付エンジンのEGR制御装置。
【請求項11】
前記過給機は、エンジンのクランクシャフトによって駆動されるスーパーチャージャーであることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか1つに記載の過給機付エンジンのEGR制御装置。
【請求項12】
前記クランクシャフトとスーパーチャージャーとの間にクラッチを介装し、
該クラッチを接続又は遮断して、スーパーチャージャーの駆動又は停止を切り換える構成としたことを特徴とする請求項11に記載の過給機付エンジンのEGR制御装置。
【請求項13】
前記逆流防止弁は、エアクリーナ又はエアフローメータの少なくとも一方より下流側の吸気通路に設けられたことを特徴とする請求項1〜請求項12のいずれか1つに記載の過給機付エンジンのEGR制御装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−209784(P2009−209784A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−53857(P2008−53857)
【出願日】平成20年3月4日(2008.3.4)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】