説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】電気的にフローティングした配線に蓄積する電荷を、半導体基板に逃がすこと。
【解決手段】第1主面12aを備えた半導体基板12と、第1主面側に設けられたMOSFET14と、MOSFETのゲート電極26およびゲート電極に電気的に接続された配線を含む第1配線構造体36と、第1主面および第1主面に電気的に接続された配線を含む第2配線構造体38と、第1および第2構造体のどちらとも接触し、かつ、第1および第2配線構造体間を接続している、酸化イットリウムからなる非導電性膜16とを備える

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MOSFETまたはキャパシタを備えた半導体装置、および、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
MOSFETのゲート酸化膜や、キャパシタのキャパシタ絶縁膜は、製造の過程で行われるプラズマプロセス(ドライエッチング、プラズマスパッタリング、プラズマCVD、高密度プラズマCVD(HDP−CVD)等)により、膜質劣化を生じる場合があることが知られている。
【0003】
詳細には、上述のプラズマプロセスを実施すると、ゲート電極やキャパシタ電極に接続されている電気的にフローティングした配線に電荷が蓄積する。配線に蓄積した電荷量が許容量を超えると、ゲート酸化膜やキャパシタ絶縁膜を介して大電流が流れ、これらの膜を破壊してしまう。また、破壊に至らないまでも、特性を劣化させてしまう(たとえば、非特許文献1参照)。特に、この問題は、素子の微細化、ゲート電極の薄膜化に伴い、顕著となっている。
【非特許文献1】中村 守孝他,「半導体プロセスにおけるチャージング・ダメージ」,リアライズ社,1996年,p.306−313
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、この問題の解決のために種々の方策が講じられてきた。たとえば、ゲート面積に対する、配線の側面の面積の比率であるアンテナ比が、所定値を超えないように素子を設計することが行われている。また、上述のフローティングした配線に基板表面と電気的に接続する保護ダイオードを挿入することが行われている。
【0005】
しかしながら、これら従来の方法は、素子をレイアウトする上で、設計自由度を著しく低下させ、その結果、素子の微細化が妨げてられていた。
【0006】
この発明は、このような問題点に鑑みなされたものである。したがって、この発明の目的は、素子の設計自由度を低下させることなく、電気的にフローティングした配線に蓄積する電荷を、半導体基板に逃がすことができる半導体装置およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、この発明の半導体装置の第1の製造方法は、半導体基板の第1主面側にMOSFETを備えた半導体装置を製造するにあたり、以下の工程を実施する。
【0008】
(第1工程)ゲート電極が第1主面の上側に形成されたMOSFETと、MOSFETの領域外でMOSFETとは電気的に分離され、かつ、第1主面側に露出面を有する導電性領域とを含む半導体基板を用意する。
【0009】
(第2工程)露出面およびゲート電極間を電気的に結合する導電性膜を含む電荷除去構造体を形成する。
【0010】
(第3工程)第2工程後に行われ、ゲート電極に蓄積する電荷の発生原因となる諸処理工程の終了後に、導電性膜を非導電性膜に変質させるための熱処理を行う。
【0011】
この発明の半導体装置の第1の製造方法によれば、第2工程において、露出面およびゲート電極間を電気的に結合する導電性膜を含む電荷除去構造体を形成する。これにより、ゲート電極と露出面との間の電気的接続が保たれる。
【0012】
よって、第2工程の後に、この電荷除去構造体および電荷除去構造体に電気的に接続された構造体の少なくとも一方にプラズマが照射されたとしても、プラズマ照射に由来する電荷は、ゲート電極に蓄積することなく、電荷除去構造体を通じて、露出面から半導体基板へと逃がされる。つまり、プラズマ照射を行ってもゲート電極へ電荷が蓄積することがなく、その結果、ゲート酸化膜の膜質劣化が防止される。
【0013】
さらに、ゲート電極に蓄積する電荷の発生原因となる諸処理工程(プラズマ処理)が終了した後に、熱処理により、電荷除去配線を構成する導電性膜を選択的に非導電性膜に変質させる。ところで、導電性膜の存在により、ゲート電極と露出面との間の電気的接続が確保されていたので、この導電性膜を、非導電性膜に変質させることにより、ゲート電極と露出面との間が電気的に絶縁される。よって、半導体装置完成後に、この非導電性膜が素子特性に悪影響を及ぼすことがない。
【0014】
この発明の半導体装置の第2の製造方法は、一対のキャパシタ電極と、一対のキャパシタ電極の間に設けられたキャパシタ絶縁膜とを有するキャパシタを、半導体基板の第1主面側に備えた半導体装置を製造するにあたり、以下の工程を実施する。
【0015】
(第1工程)第1主面の上側に、一対のキャパシタ電極を露出させるとともに、キャパシタ絶縁膜の一部分を露出させて形成されたキャパシタと、キャパシタと電気的に分離され、かつ、第1主面側に露出面を有する導電性領域とを含む、半導体基板を用意する。
【0016】
(第2工程)露出面と一方のキャパシタ電極および露出面と他方のキャパシタ電極を電気的に結合する導電性膜を含む電荷除去構造体を形成する。
【0017】
(第3工程)第2工程後に行われ、キャパシタ電極に蓄積する電荷の発生原因となる諸処理工程の終了後に、導電性膜を非導電性膜に変質させるための熱処理を行う。
【0018】
この発明の半導体装置の第2の製造方法によれば、第2工程において、露出面と一方のキャパシタ電極および露出面と他方のキャパシタ電極を電気的に結合する導電性膜を含む電荷除去構造体を形成する。これにより、キャパシタ電極の双方と露出面との間の電気的接続が保たれる。
【0019】
よって、第2工程の後に、この電荷除去構造体および電荷除去構造体に電気的に接続された構造体の少なくとも一方にプラズマが照射されたとしても、プラズマ照射に由来する電荷は、キャパシタ電極に蓄積することなく、電荷除去構造体を通じて、露出面から半導体基板へと逃がされる。つまり、プラズマ照射を行ってもキャパシタ電極の少なくとも一方へ電荷が蓄積することがなく、その結果、キャパシタ絶縁膜の膜質劣化が防止される。
【0020】
さらに、キャパシタ電極に蓄積する電荷の発生原因となる諸処理工程(プラズマ処理)が終了した後に、熱処理により、電荷除去配線を構成する導電性膜を選択的に非導電性膜に変質させる。ところで、導電性膜の存在により、キャパシタ電極と露出面との間の電気的接続が確保されていたので、この導電性膜を、非導電性膜に変質させることにより、キャパシタ電極と露出面との間が電気的に絶縁される。よって、半導体装置完成後に、この非導電性膜が素子特性に悪影響を及ぼすことがない。
【0021】
この発明の第1の半導体装置は、半導体基板と、MOSFETと、第1配線構造体と、第2配線構造体と、非導電性膜とを備えている。ここで、半導体基板は第1主面側に導電性領域を含む露出面を備えている。また、MOSFETは、半導体基板の第1主面側に設けられている。また、第1配線構造体は、MOSFETのゲート電極およびゲート電極に電気的に接続された配線を含む。また、第2配線構造体は、露出面および露出面に電気的に接続された配線を含む。そして、非導電性膜は、第1および第2構造体のどちらとも接触し、かつ、第1および第2配線構造体間を接続しており、熱処理を受けることにより良導体から絶縁体へと変質されている。
【0022】
この発明の第1の半導体装置によれば、熱処理前においては、第1および第2配線構造体は、良導体としての導電性膜により電気的に接続されている。よって、ゲート電極を含む第1配線構造体に加えられた電荷は、第2配線構造体を介して露出面から半導体基板へと逃がされる。よって、第1配線構造体に電荷が蓄積することがない。ここで、導電性膜とは、良導体であり、熱処理を受けることにより絶縁体としての非導電性膜に変質される膜のことを示す。
【0023】
また、熱処理後においては、導電性膜が、絶縁体としての非導電性膜に変質することにより、第1および第2配線構造体の間は、電気的に絶縁された状態となる。よって、非導電性膜が半導体装置の特性等に影響を与えることがない。
【0024】
この発明の第2の半導体装置は、半導体基板と、キャパシタと、第1配線構造体と、第2配線構造体と、非導電性膜とを備えている。ここで、半導体基板は第1主面側に導電性領域を含む露出面を備えている。また、キャパシタは、半導体基板の第1主面側に設けられており、一対のキャパシタ電極と、一対のキャパシタ電極の間に設けられたキャパシタ絶縁膜とを有している。また、第1配線構造体は、キャパシタ電極の双方、および、キャパシタ電極の双方にそれぞれ電気的に接続された配線を含む。また、第2配線構造体は、露出面および露出面に電気的に接続された配線を含む。そして、非導電性膜は、第1および第2構造体のどちらとも接触し、かつ、第1および第2配線構造体間を接続しており、熱処理を受けることにより良導体から絶縁体へと変質されている。
【0025】
この発明の第2の半導体装置によれば、熱処理前においては、第1および第2配線構造体は、良導体としての導電性膜により電気的に接続されている。よって、キャパシタ電極の双方を含む第1配線構造体に加えられた電荷は、第2配線構造体を介して露出面から半導体基板へと逃がされる。よって、第1配線構造体に電荷が蓄積することがない。ここで、導電性膜とは、良導体であり、熱処理を受けることにより絶縁体としての非導電性膜に変質される膜のことを示す。
【0026】
また、熱処理後においては、導電性膜が、絶縁体としての非導電性膜に変質することにより、第1および第2配線構造体の間は、電気的に絶縁された状態となる。よって、非導電性膜が半導体装置の特性等に影響を与えることがない。
【0027】
この発明の第3の半導体装置は、半導体基板と、MOSFETと、第1配線構造体と、第2配線構造体と、非導電性膜とを備えている。ここで、半導体基板は、第1主面側に導電性領域を含む露出面を備えている。また、MOSFETは、半導体基板の第1主面側に設けられている。また、第1配線構造体は、MOSFETのゲート電極およびゲート電極に電気的に接続された配線を含む。また、第2配線構造体は、露出面および露出面に電気的に接続された配線を含む。そして、酸化イットリウムからなる非導電性膜は、第1および第2配線構造体のどちらとも接触し、かつ、第1および第2配線構造体間を接続している。
【0028】
この発明の第3の半導体装置によれば、酸化イットリウムからなる非導電性膜は、第1および第2配線構造体のどちらとも接触し、かつ、第1および第2配線構造体間を接続している。ところで、酸化イットリウムは、良導体である金属イットリウムを380〜550℃の温度で加熱することで得られる。よって、加熱前においては、第1および第2配線構造体間は、金属イットリウムにより接続されている。よって、ゲート電極を含む第1配線構造体に加えられた電荷は、第2配線構造体を介して露出面から半導体基板へと逃がされる。よって、第1配線構造体に電荷が蓄積することがない。
【0029】
この発明の第4の半導体装置は、半導体基板と、キャパシタと、第1配線構造体と、第2配線構造体と、非導電性膜とを備えている。ここで、半導体基板は第1主面側に導電性領域を含む露出面を備えている。また、キャパシタは、半導体基板の第1主面側に設けられており、一対のキャパシタ電極と、一対のキャパシタ電極の間に設けられたキャパシタ絶縁膜とを有している。また、第1配線構造体は、キャパシタ電極の双方、および、キャパシタ電極の双方にそれぞれ電気的に接続された配線を含む。また、第2配線構造体は、露出面および露出面に電気的に接続された配線を含む。そして、酸化イットリウムからなる非導電性膜は、第1および第2構造体のどちらとも接触し、かつ、第1および第2配線構造体間を接続している。
【0030】
この発明の第4の半導体装置によれば、酸化イットリウムからなる非導電性膜は、第1および第2配線構造体のどちらとも接触し、かつ、第1および第2配線構造体間を接続している。ところで、酸化イットリウムは、良導体である金属イットリウムを380〜550℃の温度で加熱することで得られる。よって、加熱前においては、第1および第2配線構造体間は、金属イットリウムにより接続されている。よって、ゲート電極を含む第1配線構造体に加えられた電荷は、第2配線構造体を介して露出面から半導体基板へと逃がされる。よって、第1配線構造体に電荷が蓄積することがない。
【発明の効果】
【0031】
この発明は、上述したような構成を有している。したがって、この発明の半導体装置および半導体装置の製造方法によれば、素子の設計自由度を低下させることなく、電気的にフローティングした配線に蓄積する電荷を、半導体基板に逃がすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について説明する。なお、各図は、各構成要素の形状、大きさ及び配置関係に関して、この発明が理解できる程度に概略的に示したものに過ぎない。また、以下、この発明の好適な構成例について説明するが、各構成要素の材質及び数値的条件などは、単なる好適例に過ぎない。したがって、この発明は、以下の実施の形態に何ら限定されない。なお、図1〜図12において、主要な構成要素を除いて、断面を示すハッチングを省略している。
【0033】
(実施の形態1)
図1〜図3を参照して、実施の形態1の半導体装置の製造方法、および半導体装置につき説明する。図1は、半導体装置の説明に供する断面切り口を示す図である。図2(A)および(B)ならびに図3は、半導体装置の製造方法の説明に供する、断面切り口を示す工程図である。
【0034】
図1を参照して、半導体装置10の構造につき説明する。
【0035】
半導体基板12の第1主面12a側には、MOSFET14等の素子が形成されている。そして、これらの素子を覆って、たとえば、厚みが約50nmの酸化イットリウムからなる非導電性膜16が形成されている。
【0036】
この非導電性膜16上には、たとえば、厚みが約1μmのSiOからなる第1層間絶縁膜18が形成されている。この第1層間絶縁膜18上には、たとえば、厚みが約800nmのSiOからなる第2層間絶縁膜20が形成されている。そして、第2層間絶縁膜20上には、たとえば、厚みが約800nmのSiからなるパッシベーション膜22が形成されている。
【0037】
上述した積層構造を有する半導体装置10は、半導体基板12と、MOSFET14と、第1配線構造体36と、第2配線構造体38と、非導電性膜16とを備える。
【0038】
半導体基板12は、導電型が、たとえば、p型とされたSi基板とする。
【0039】
MOSFET14は、フィールド酸化膜15により隣接する他の素子と電気的に分離された能動素子であり、半導体基板12の第1主面12a側に形成されている。MOSFET14は、第1主面12a上に形成されたゲート酸化膜24と、ゲート酸化膜24上に形成されたゲート電極26と、ソースおよびドレイン(どちらも不図示)とを備えている。
【0040】
導電性領域40は、半導体基板12の第1主面12aが露出した領域であり、MOSFET14の領域外に設けられ、MOSFET14と電気的に分離している。適当な不純物が導入されることで、この導電性領域40の導電型は、n型とされている。導電性領域40の表面を露出面40aと称する。
【0041】
第1配線構造体36は、ゲート電極26と電気的に接続されており、第1埋込コンタクト配線28a、第1配線30a、第3埋込コンタクト配線32aおよび第3配線34aを備える。
【0042】
第1埋込コンタクト配線28aは、第1層間絶縁膜18および非導電性膜16を貫通するビアコンタクトであり、ゲート電極26と電気的に接続している。第1配線30aは、第1層間絶縁膜18の上面18aに、所定の平面形状にパターニングされて形成されており、第1埋込コンタクト配線28aと電気的に接続している。第3埋込コンタクト配線32aは、第2層間絶縁膜20を貫通するビアコンタクトであり、第1配線30aと電気的に接続している。第3配線34aは、第2層間絶縁膜20の上面20aに、所定の平面形状にパターニングされており、第3埋込コンタクト配線32aと電気的に接続している。そして、パッシベーション膜22には、第3配線34aに至るパッド開口42aが設けられている。
【0043】
第2配線構造体38は、導電性領域40の露出面40aと電気的に接続されており、第2埋込コンタクト配線28b、第2配線30b、第4埋込コンタクト配線32bおよび第4配線34bを備える。
【0044】
第2埋込コンタクト配線28bは、第1層間絶縁膜18および非導電性膜16を貫通するビアコンタクトであり、導電性領域40と電気的に接続している。第2配線30bは、第1層間絶縁膜18の上面18aに、所定の平面形状にパターニングされて形成されており、第2埋込コンタクト配線28bと電気的に接続している。第4埋込コンタクト配線32bは、第2層間絶縁膜20を貫通するビアコンタクトであり、第2配線30bと電気的に接続している。第4配線34bは、第2層間絶縁膜20の上面20aに、所定の平面形状にパターニングされており、第4埋込コンタクト配線32bと電気的に接続している。そして、パッシベーション膜22には、第4配線34bに至るパッド開口42bが設けられている。
【0045】
非導電性膜16は、第1および第2配線構造体36および38の両者に接触し、かつ、第1および第2配線構造体36および38の間を接続している。
【0046】
より詳細には、非導電性膜16の側面16aは、ゲート電極26側の第1埋込コンタクト配線28aの側面28aと密着し、かつ、非導電性膜16の側面16bは、導電性領域40側の第2埋込コンタクト配線28bの側面28bと密着している。
【0047】
また、非導電性膜16は、両側面16aと16bの間で空間的に連続した膜として形成されている。つまり、非導電性膜16は、第1埋込コンタクト配線28aの側面28aと、第2埋込コンタクト配線28bの側面28bとの間を連結する一体の膜として構成されている。
【0048】
完成された半導体装置10においては、非導電性膜16は、電気的な絶縁体である酸化イットリウムからなる。しかし、半導体装置10の製造途上においては、非導電性膜16は、非導電性膜16の前駆体としての導電性膜17として存在している。導電性膜17は、電気的な良導体である金属イットリウムからなる。
【0049】
つまり、非導電性膜16は、前駆体としての導電性膜17を良導体から絶縁体へと変質させることで形成される。
【0050】
より具体的には、ゲート電極26に蓄積する電荷の発生原因となる諸処理工程、すなわち第1配線構造体36に対する全てのプラズマ照射工程が終了した後に、導電性膜17を、380℃〜550℃の温度で熱処理する。この結果、金属イットリウム(導電性膜17)が酸化されて、酸化イットリウムからなる非導電性膜16に変質する。なお、導電性膜17および非導電性膜16については後述する。
【0051】
つぎに、図2および図3を参照して、半導体装置10の製造方法につき説明する。なお、以下の説明では、半導体装置10の製造工程を、大まかに(A)〜(D)に区分しているが、これらの区分は説明の便宜のためであり、実際の製造工程は、これらの区分になんら限定されない。
【0052】
(A)図2(A)に示す構造体の製造
(A−1)
まず、導電型がp型であるSi基板12を準備し、Si基板の第1主面12aの素子形成予定領域44以外の領域を、LOCOS(local oxidation of silicon)法により酸化して、膜厚が約400nmのフィールド酸化膜15を形成する。
【0053】
より詳細には、SiO膜とSi膜とをこの順序で積層した保護膜(図示せず。)で、素子形成予定領域44を被覆した上で、約1000℃の温度で、水蒸気酸化を行うことで、フィールド酸化膜15を形成する。
【0054】
(A−2)
つぎに、上述の保護膜を除去した後に、約850℃の温度で熱酸化を行うことで、素子形成予定領域44上に、ゲート酸化膜24となるSiO膜を形成する。
【0055】
(A−3)
つぎに、SiHとPHとを所望の比率で混合した原料ガスを用い、圧力が約0.1Torr、および温度が約600℃の条件で、減圧CVD(chemical vapor deposition)法により、膜厚が約200nmのPがドープされたポリシリコン膜を、第1主面12a側の全面に堆積する(図示せず)。
【0056】
(A−4)
つぎに、W−Si合金ターゲットを用いたスパッタ法により、膜厚が約100nmのタングステンシリサイド膜を、上述のポリシリコン膜上に堆積する(図示せず)。
【0057】
(A−5)
つぎに、公知のフォトリソグラフィー工程およびエッチング工程を行うことにより、不要な、タングステンシリサイド膜およびポリシリコン膜を除去することにより、ゲート電極26を形成する。
【0058】
(B)図2(B)に示す構造体の製造
(B−1)
まず、ゲート電極26をマスクとして、Pのイオン注入を行い、ソースおよびドレイン形成予定領域(いずれも不図示)にLDD(lightly doped drain)構造(図示せず)を形成する。このときのイオン注入条件は、注入エネルギー:約50keV、および、注入量:約5×1013cm−2である。
【0059】
(B−2)
つぎに、プラズマCVD法により、第1主面12a側の全面に厚み約200nmのSiO膜を堆積する。その後、反応性スパッタ法(以下、RIE法とも称する。)により、このSiO膜を除去することにより、ゲート電極26の側面にサイドウォール50を残留形成する。
【0060】
(B−3)
つぎに、ゲート電極26およびサイドウォール50をマスクとして、第1主面12aの露出領域に、Asのイオン注入を行う。このときのイオン注入条件は、注入エネルギー:約100keV、および、注入量:約5×1015cm−2である。
【0061】
(B−4)
つぎに、RTA(rapid thermal annealing)法により、約900℃の温度で、約30秒間熱処理を行う。これにより、第1主面12aの露出領域に、導電型がn型である導電性領域40を形成する。また、これにより、ソースおよびドレイン形成予定領域においても不純物が活性化され、ソースおよびドレインが形成される(いずれも不図示)。ソースおよびドレインが完成することにより、半導体基板12の第1主面12a側に、MOSFET14が形成される。
【0062】
ここで、MOSFET14は、半導体基板12の主面12a上に形成されたゲート酸化膜24と、ゲート酸化膜24上に形成されたゲート電極26と、ソースおよびドレインとを備えた能動素子である。
【0063】
(B−5)
そして、金属イットリウムターゲットを用いたスパッタ法により、工程(B−4)で得られた構造体の第1主面12a側の全面に、導電性膜17として金属イットリウムを、厚み約50nmにわたり堆積する。
【0064】
このようにして堆積された導電性膜17としての金属イットリウム膜は、露出面40aとゲート電極26の両者に接触しており、露出面40aおよびゲート電極26との間の電気的接続を確保する電荷除去配線52として機能する。
【0065】
また、この工程により、露出面40a、ゲート電極26、および電荷除去配線52(導電性膜17)を備えた電荷除去構造体54が形成される。
【0066】
よって、工程(B−5)より後の工程において、電荷除去構造体54および電荷除去構造体54に電気的に接続された第1および第2配線構造体36,38(図1)に照射されるプラズマに由来する電荷は、ゲート電極26に蓄積することなく、電荷除去構造体54および露出面40aを介して半導体基板12へと逃がされる。
【0067】
(C)図3に示す構造体の製造
(C−1)
まず、導電性膜17上の全面に、約350℃の温度においてHDP−CVD法により、第1層間絶縁膜18となるSiO膜を、厚み約1.5μmにわたって堆積する。
【0068】
なお、HDP−CVD法によるSiO膜の成膜初期段階においては、導電性膜17が露出した状態であるので、電荷除去配線52(導電性膜17)に対してプラズマが照射される。しかし、電荷除去配線52は、導電性領域40と電気的に接続されているので、プラズマ由来の電荷は、電荷除去構造体54および露出面40aを介して半導体基板12へと逃がされる。結果として、ゲート電極26にプラズマ由来の電荷が蓄積することがない。
【0069】
(C−2)
つぎに、このSiO膜を、CMP(chemical mechanical polishing)法により、平坦化して、厚みが約1μmの第1層間絶縁膜18を形成する。
【0070】
(C−3)
つぎに、この第1層間絶縁膜18に、ゲート電極26および露出面40aに至るコンタクトホール58a,58bを形成する。すなわち、フォトリソグラフィー技術を用いて、コンタクトホール形成予定領域以外をフォトレジスト等のエッチング保護膜で被覆する。その上で、RIE法により異方性エッチングを行う。これにより、第1層間絶縁膜18および導電性膜17を貫通してゲート電極26および露出面40aに至るコンタクトホール58a,58bを形成する。
【0071】
なお、RIE法によるエッチングの末期段階では、露出したゲート電極26に対して、直接、プラズマが照射される。しかし、上述のように、ゲート電極26と導電性領域40とは、電荷除去配線52を介して電気的に接続されている。よって、プラズマ由来の電荷は、電荷除去構造体54および露出面40aを介して半導体基板12へと逃がされる。結果として、ゲート電極26にプラズマ由来の電荷が蓄積することがない。
【0072】
(C−4)
つぎに、上述のエッチング保護膜を公知の方法で除去した後、スパッタ法により厚み約50nmのPt膜、および、反応性スパッタ法により厚み約50nmのTiN膜を、コンタクトホール58a,58b中に堆積することで、露出面40aに白金シリサイドを形成する。
【0073】
(C−5)
つぎに、原料ガスとしてWFを用いたプラズマCVD法により、温度約300℃において、上述の工程で得られた構造体の全面に、厚み約1μmのW膜を堆積する。そして、このW膜を、CMP法により第1層間絶縁膜18の上面までエッチバックすることで、コンタクトホール58a,58b中に、Wからなる第1および第2埋込コンタクト配線28a,28bを充填形成する。
【0074】
これにより、第1および第2埋込コンタクト配線28a,28bの側面28a,28bと、導電性膜17の側面17a,17bとがそれぞれ密着し、電気的に接続される。
【0075】
なお、この工程において、プラズマCVDの初期段階では、露出したゲート電極26に対してプラズマが照射される。しかし上述と同様にして、プラズマ由来の電荷は、電荷除去構造体54および露出面40aを介して半導体基板12へと逃がされる。結果として、ゲート電極26にプラズマ由来の電荷が蓄積することがない。
【0076】
(C−6)
つぎに、上述の工程で得られた構造体の全面に、スパッタ法により、厚み約50nmのTi膜および厚み約500nmのSiとCuとを含有したAl膜をこの順序で堆積する。そして、フォトリソグラフィー技術を用いて、このAl/Ti積層膜上に、フォトレジスト等からなるエッチング保護膜を、所望の平面形状にパターニングして堆積する。そして、RIE法により、エッチング保護膜で被覆されていない領域のAl/Ti積層膜を除去することにより、第1および第2配線30a,30bを形成する。
【0077】
なお、RIE法によるエッチングでは、電荷除去構造体54に電気的に接続された構造体であるAl/Ti積層膜に対してプラズマが照射される。しかし上述と同様にして、プラズマ由来の電荷は、電荷除去構造体54および露出面40aを介して半導体基板12へと逃がされる。結果として、ゲート電極26にプラズマ由来の電荷が蓄積することがない。
【0078】
(D)図1に示す半導体装置10を完成する
(D−1)
すなわち、まず、図3に示した構造体の全面に、約350℃の温度においてHDP−CVD法により、第2層間絶縁膜20となるSiO膜を、厚み約1.5μmにわたって堆積する。
【0079】
なお、この工程の初期段階においても、電荷除去構造体54に電気的に接続された構造体である第1および第2配線30a,30bに対してプラズマが照射される。しかし上述と同様にして、プラズマ由来の電荷は、電荷除去構造体54および露出面40aを介して半導体基板12へと逃がされる。結果として、ゲート電極26にプラズマ由来の電荷が蓄積することがない。
【0080】
(D−2)
つぎに、このSiO膜を、CMP法により、平坦化して、厚み約800nmの第2層間絶縁膜20を形成する。
【0081】
(D−3)
つぎに、第2層間絶縁膜20に、第1および第2配線30a,30bに至るビアホール60a,60bを形成する。すなわち、フォトリソグラフィー技術を用いて、ビアホール形成予定領域以外をフォトレジスト等のエッチング保護膜で被覆する。その上で、RIE法により異方性エッチングを行うことにより第2層間絶縁膜20にビアホール60a,60bを形成する。
【0082】
なお、この工程の末期段階においても、電荷除去構造体54に電気的に接続された構造体である第1および第2配線30a,30bに対してプラズマが照射される。しかし上述と同様にして、プラズマ由来の電荷は、電荷除去構造体54および露出面40aを介して半導体基板12へと逃がされる。結果として、ゲート電極26にプラズマ由来の電荷が蓄積することがない。
【0083】
(D−4)
つぎに、反応性スパッタ法により、ビアホール60a,60b中に、厚み約50nmのTiN膜を堆積する。
【0084】
(D−5)
つぎに、工程(D−4)で得られた構造体の全面に、原料ガスとしてWFを用いたプラズマCVD法により、温度約300℃において、厚み約1μmのW膜を堆積する。そして、このW膜を、CMP法により第2層間絶縁膜20の上面20aまでエッチバックすることで、ビアホール60a,60b中に、Wからなる第3および第4埋込コンタクト配線32a,32bを充填形成する。
【0085】
なお、この工程の初期段階においても、電荷除去構造体54に電気的に接続された構造体である第1および第2配線30a,30bに対してプラズマが照射される。しかし上述と同様にして、プラズマ由来の電荷は、電荷除去構造体54および露出面40aを介して半導体基板12へと逃がされる。結果として、ゲート電極26にプラズマ由来の電荷が蓄積することがない。
【0086】
(D−6)
つぎに、工程(D−5)で得られた構造体の全面に、スパッタ法により、厚み約50nmのTi膜および厚み約500nmのSiとCuとを含有したAl膜をこの順序で堆積する。そして、フォトリソグラフィー技術を用いて、このAl/Ti積層膜上に、フォトレジスト等からなるエッチン保護膜を、所望の平面形状にパターニングして堆積する。そして、RIE法により、エッチング保護膜で被覆されていない領域のAl/Ti積層膜を除去することにより、第3および第4配線34a,34bを形成する。
【0087】
なお、この工程においても、電荷除去構造体54に電気的に接続された構造体であるAl/Ti積層膜に対してプラズマが照射される。しかし上述と同様にして、プラズマ由来の電荷は、電荷除去構造体54および露出面40aを介して半導体基板12へと逃がされる。結果として、ゲート電極26にプラズマ由来の電荷が蓄積することがない。
【0088】
(D−7)
つぎに、工程(D−6)で得られた構造体の全面に、プラズマCVD法により、温度約300℃において、パッシベーション膜22としてのSi膜を、約800nmの厚みで堆積する。
【0089】
なお、この工程においても、電荷除去構造体54に電気的に接続された構造体である第3および第4配線34a,34bに対してプラズマが照射される。しかし上述と同様にして、プラズマ由来の電荷は、電荷除去構造体54および露出面40aを介して半導体基板12へと逃がされる。結果として、ゲート電極26にプラズマ由来の電荷が蓄積することがない。
【0090】
(D−8)
つぎに、フォトリソグラフィー技術を用いて、このパッシベーション膜22上に、フォトレジスト等からなるエッチン保護膜を、所望の平面形状にパターニングして堆積する。そして、RIE法により、エッチング保護膜で被覆されていない領域のパッシベーション膜22を除去することにより、パッド開口42a,42bを形成する。
【0091】
なお、この工程においても、電荷除去構造体54に電気的に接続された構造体である第3および第4配線34a,34bに対してプラズマが照射される。しかし上述と同様にして、プラズマ由来の電荷は、電荷除去構造体54および露出面40aを介して半導体基板12へと逃がされる。結果として、ゲート電極26にプラズマ由来の電荷が蓄積することがない。
【0092】
(D−9)
最後に、工程(D−8)で得られた構造体に温度450℃で約60分の熱処理を行う。これにより導電性膜17としての金属イットリウム膜が酸化されて、非導電性膜16としての酸化イットリウム(Y)膜に変質する。
【0093】
これらの工程を経ることにより、半導体装置10が完成する。
【0094】
つぎに、導電性膜17として用いる金属イットリウムの性質につき説明する。
【0095】
金属イットリウムは、電気的な良導体であることが知られている。そして、380℃以上、特に400℃以上の温度においては、真空度が1×10−5Torr以下の雰囲気においても、雰囲気中に存在する微量の酸素により酸化され、電気的な絶縁体である酸化イットリウムとなることが知られている。
【0096】
以上の知見は、(藤川 久喜 外2名,「はんだ接合用Au/Fe/Y積層オーミック電極」,豊田中央研究所R&Dレビュー,1996年3月,Vol.31,No.1,p.33−41)に詳述されている。
【0097】
つまり、380℃以上の温度で熱処理を行えば、良導体としての金属イットリウムを絶縁体としての酸化イットリウムへと選択的に変質させることができる。
【0098】
実施の形態1は、金属イットリウムのこのような性質を半導体装置10の製造に応用したものである。
【0099】
すなわち、工程(B−5)において、金属イットリウムからなる導電性膜17を第1主面12a側の全面に堆積する。これにより、ゲート電極26と露出面40aとを電気的に接続する電荷除去配線52が形成される。
【0100】
その後の工程(B−6)〜(D−8)では、プロセス処理温度を350℃以下とすることで、金属イットリウム(導電性膜17)の酸化を抑制しながら処理を進める。
【0101】
ところで、工程(B−6)〜(D−8)で行われる諸処理(成膜およびエッチング)においては、電荷除去構造体54や、第1配線構造体36へと不可避的にプラズマが照射される。したがって、電荷除去構造体54や、第1配線構造体36にプラズマ由来の電荷が導入される。
【0102】
しかし、導電性膜17が良導体の状態に保たれているので、電荷除去構造体54および第1配線構造体36に導入された電荷は、導電性膜17、より詳細には電荷除去構造体54および露出面40aを介して半導体基板12へと逃がされる。この結果、ゲート電極26にプラズマ由来の電荷が蓄積することがない。
【0103】
ゲート電極26に蓄積する電荷の発生原因となる諸処理工程、すなわち、プラズマが照射される全ての工程が終了した後に、工程(D−9)において、450℃の温度で60分間熱処理を行う。この温度の熱処理において、半導体装置10の構成要素のうち、導電性膜17のみが影響を受ける。具体的には、導電性膜17(金属イットリウム)は、雰囲気の微量な酸素により選択的に酸化され、非導電性膜16(酸化イットリウム)となる。
【0104】
よって、完成した半導体装置10では、導電性を有する導電性膜17は絶縁性である非導電性膜16へと完全に変質する。よって、導電性膜17を介した素子間リーク等により、半導体装置10の電気的特性が悪影響を受ける懸念を完全に払拭できる。
【0105】
このように、この実施の形態の半導体装置10の製造方法によれば、金属イットリウムからなる導電性膜17を、半導体基板12の第1主面12a側の全面に堆積することにより、ゲート電極26、露出面40aおよび導電性膜17からなる電荷除去構造体54を形成した。また、導電性膜17堆積後の処理温度を350℃以下とした。
【0106】
この結果、電荷除去構造体54および第1配線構造体36に対して照射されるプラズマに由来する電荷は、この導電性膜17を介して半導体基板12へと逃がされるので、ゲート電極26への電荷の蓄積を防止できる。これにより、ゲート酸化膜24の膜質劣化を防止できる。
【0107】
さらに、この導電性膜17は、半導体装置10を製造の最終工程における450℃の熱処理により、非導電性膜16へと変質するので、導電性膜17が、完成した半導体装置10に悪影響を及ぼすことがない。
【0108】
また、この実施の形態の半導体装置10の製造方法によれば、導電性膜17を第1主面12a側の全面に堆積し、最終工程において380℃以上の温度で熱処理を行うことで、導電性膜17を非導電性膜16へと変質させるという単純な構成により、ゲート電極26への電荷の蓄積を防止している。したがって、アンテナ比を制限したり、保護ダイオードを挿入したりするという従来技術に比べて、素子の設計自由度を大きくすることができる。この結果、一層微細な素子を製造することができる。
【0109】
また、この実施の形態の半導体装置10によれば、工程(D−9)より前の工程では、第1および第2配線構造体36,38は、良導体としての導電性膜17により電気的に接続されている。よって、ゲート電極26を含む第1配線構造体36に、プラズマ処理により導入された電荷は、導電性膜17および第2配線構造体38を介して半導体基板12の導電性領域40へと逃がされる。よって、第1配線構造体36に電荷が蓄積することがない。この結果、膜質劣化のないゲート酸化膜24が得られる。
【0110】
また、工程(D−9)の後においては、導電性膜17が、絶縁体としての非導電性膜16に変質することにより、第1および第2配線構造体36,38の間は、電気的に絶縁された状態となる。よって、非導電性膜16が半導体装置10の特性等に影響を与えることがない。
【0111】
なお、この実施の形態においては、導電性膜17の材質として金属イットリウムを採用した。しかし、導電性膜17は、所定の温度未満で良導体であり、所定の温度以上で絶縁体となるような材料であれば、金属イットリウムに限定されない。
【0112】
また、この実施の形態においては、工程(B−5)で、導電性膜17を第1主面12a側の全面に堆積していた。しかし、導電性膜17は、少なくとも、ゲート電極26と露出面40aとを電気的に接続するような平面形状であれば、第1主面12a側の全面に堆積する必要はない。たとえば、導電性膜17を、ゲート電極26と露出面40aとを接続するような平面形状にパターニングして配置してもよい。
【0113】
このようにすることにより、導電性膜17としての金属イットリウムと半導体基板12とが直接接触する面積を減少させることができ、金属イットリウムの半導体基板12への拡散を抑えることができる。
【0114】
また、工程(D−9)の熱処理は、温度が380℃〜550℃の範囲で行うことが好ましい。熱処理の下限温度が380℃以上であれば、金属イットリウム(導電性膜17)を、半導体装置10の電気的特性に悪影響を及ぼさない程度に、酸化イットリウム(非導電性膜16)へと変質させることができる。より好適には、熱処理の下限温度は、400℃以上である。熱処理の下限温度を400℃以上とすることにより、金属イットリウム(導電性膜17)を、ほぼ完全に、酸化イットリウム(非導電性膜16)へと変質させることができる。
【0115】
また、熱処理の上限温度(550℃)は、主に、配線(第1および第2配線30a,30bならびに第3および第4配線34a,34b)として用いられるAl(融点:約660℃)に対する熱ダメージを考慮して決定されたものである。つまり、熱処理を550℃以下で行えば、Al配線に熱ダメージを与えることがない。したがって、配線として、Al以外の材料を用いる場合には、その材料の融点に合わせて、熱処理の上限温度を変更してもよい。
【0116】
また、この実施の形態においては、導電性膜17である金属イットリウムの厚みを50nmとした。しかし、導電性膜17の厚みに特に制限はなく、ゲート電極26と導電性領域40との間の導電性を勘案して任意好適な値を選択できる。
【0117】
また、導電性膜17を形成する工程(B−5)は、ゲート電極26を形成する工程(A−5)に連続して行われる必要はなく、他の工程が介在していてもよい。
【0118】
また、この実施の形態においては、3層構造の半導体装置10を例示した。しかし、半導体装置の積層構造は、2層以下でもよいし、4層以上でもよい。
【0119】
(実施の形態2)
図4および図5を参照して実施の形態2の半導体装置の製造方法、および半導体装置につき説明する。図4は、実施の形態2の半導体装置の説明に供する断面切り口を示す図である。図5(A)および(B)は、半導体装置の製造方法の説明に供する、断面切り口を示す工程図である。
【0120】
図4において、半導体装置70は、非導電性膜16の配置位置が、第1層間絶縁膜18中に変更された以外は、半導体装置10と同様の構造である。したがって、図4において、図1と同様の構成要素には同符号を付し、その詳細な説明を適宜省略する。
【0121】
半導体装置70は、第1層間絶縁膜18が、下層絶縁膜18bと上層絶縁膜18cとの2層からなる。そして、下層絶縁膜18bと上層絶縁膜18cとの間に非導電性膜16が介在されている。
【0122】
ここで、下層絶縁膜18bは、厚みが約500nmのHDP−CVD法により堆積されたSiO膜からなり、MOSFET14、露出面40aおよびその他の素子と直接接触して、半導体基板12の第1主面12a側の全面を被覆して設けられている。また、上層絶縁膜18cは、厚みが約500nmのHDP−CVD法により堆積されたSiO膜からなる。下層絶縁膜18bと上層絶縁膜18cとの間には、厚みが約50nmの酸化イットリウムからなる非導電性膜16が設けられている。
【0123】
第1埋込コンタクト配線28aは、上層絶縁膜18c、非導電性膜16および下層絶縁膜18bからなる積層体を貫通して、ゲート電極26と第1配線30aとを電気的に接続している。
【0124】
同様に、第2埋込コンタクト配線28bは、上層絶縁膜18c、非導電性膜16および下層絶縁膜18bからなる積層体を貫通して、露出面40aと第2配線30bとを電気的に接続している。
【0125】
したがって、非導電性膜16は、第1および第2配線構造体36および38の両者に接触し、かつ、第1および第2配線構造体36および38の間を接続している。
【0126】
より詳細には、非導電性膜16の側面16aは、ゲート電極26側の第1埋込コンタクト配線28aの側面28aと密着し、かつ、非導電性膜16の側面16bは、導電性領域40側の第2埋込コンタクト配線28bの側面28bと密着している。
【0127】
また、非導電性膜16は、両側面16aと16bの間で空間的に連続した膜として形成されている。つまり、非導電性膜16は、第1埋込コンタクト配線28aの側面28aと、第2埋込コンタクト配線28bの側面28bとの間を連結する一体の膜として構成されている。
【0128】
実施の形態1の場合と同様に、完成された半導体装置70においては、非導電性膜16は、電気的な絶縁体である酸化イットリウムからなる。しかし、半導体装置70の製造途上においては、非導電性膜16は、非導電性膜16の前駆体としての導電性膜17として存在している。導電性膜17は、電気的な良導体である金属イットリウムからなる。
【0129】
つぎに、主に図5を参照して、半導体装置70の製造方法につき説明する。
【0130】
ところで、半導体装置70は、工程(B−5)〜(C−5)以外は、半導体装置10と同様にして製造される。したがって、以下の記述では、適宜、半導体装置10の製造工程を援用しながら、主に、半導体装置10と異なる工程を説明する。
【0131】
(E−1)
上述の工程(A−1)〜(B−4)を経た構造体の第1主面12a側の全面に、約350℃の温度においてHDP−CVD法により、下層絶縁膜18bとなるSiO膜を、厚み約1μmにわたって堆積する。そして、このSiO膜を、CMP法により、平坦化して、厚みが約500nmの下層絶縁膜18bを形成する。
【0132】
(E−2)
つぎに、図5(A)に示す構造体を製造する。すなわち、下層絶縁膜18bの全面に、上述の工程(B−5)と同様にして、導電性膜17として金属イットリウムを、厚み約50nmにわたり堆積する。
【0133】
(E−3)
つぎに、図5(B)に示す構造体を製造する。すなわち、導電性膜17上に、約350℃の温度においてHDP−CVD法により、上層絶縁膜18cとなるSiO膜を、厚み約1μmにわたって堆積する。そして、このSiO膜を、CMP法により、平坦化して、厚みが約500nmの上層絶縁膜18cを形成する。
【0134】
(E−4)
つぎに、上述の工程(C−3)と同様にして、下層絶縁膜18b、導電性膜17および上層絶縁膜18cがこの順序で主面12a側に堆積された積層構造を貫通して、ゲート電極26および露出面40aに至るコンタクトホール58a,58bを形成する。
【0135】
(E−5)
つぎに、上述の工程(C−4)と同様にして、露出面40aの表面に白金シリサイドを形成する。
【0136】
(E−6)
上述の工程(C−5)と同様にして、コンタクトホール58a,58bをWで埋め込み、第1および第2埋込コンタクト配線28a,28bを形成する。
【0137】
これにより、ゲート電極26と導電性領域40との間の電気的導通を確保する電荷除去配線55が形成される。電荷除去配線55は、第1および第2埋込コンタクト配線28a,28bと導電性膜17とからなる。ここで、導電性膜17の側面17aは、第1埋込コンタクト配線28aの側面28aと電気的に接続し、および、導電性膜17の側面17bは、第2埋込コンタクト配線28bの側面28bと電気的に接続している。
【0138】
また、同様に、電荷除去配線55、ゲート電極26および露出面40aからなる電荷除去構造体57が形成される。
【0139】
この結果、この工程より後の工程で電荷除去構造体57および電荷除去構造体57に電気的に接続された第1配線構造体36(図4)に照射されるプラズマに由来する電荷は、ゲート電極26に蓄積することなく、電荷除去構造体57および露出面40aを介して半導体基板12へと逃がされる。
【0140】
(E−7)
つぎに、上述の工程(C−6)〜(D−8)を実施する。
【0141】
(E−8)
最後に、上述の工程(D−9)と同様にして、熱処理を行うことにより、導電性膜17としての金属イットリウム膜を酸化して、非導電性膜16としての酸化イットリウム膜に変質させる。
【0142】
これらの工程を経ることにより、半導体装置70が完成する。
【0143】
このように、この実施の形態の半導体装置70の製造方法によれば、工程(E−6)よりも後の工程において、電荷除去構造体57および第1配線構造体36に対して照射されるプラズマに由来する電荷は、電荷除去構造体57を介して半導体基板12へと逃がされるので、ゲート電極26への電荷の蓄積を防止できる。これにより、ゲート酸化膜24の膜質劣化を防止できる。
【0144】
さらに、導電性膜17は、半導体装置70を製造する最終工程における450℃の熱処理により、非導電性膜16へと変質するので、導電性膜17が、完成した半導体装置70に悪影響を及ぼすことがない。
【0145】
また、この実施の形態においては、導電性膜17が、下層絶縁膜18b上に形成されており、MOSFET14や露出面40aと直接接触することがないので、導電性膜17を構成する金属イットリウムの半導体基板12への拡散を抑制することができる。
【0146】
なお、導電性膜17の材料、導電性膜17の平面形状、熱処理温度、導電性膜17の膜厚、および、半導体装置70の多層構造の層数に関しては、実施の形態1と同様の変形が可能である。
【0147】
(実施の形態3)
図6および図7を参照して実施の形態3の半導体装置の製造方法、および半導体装置につき説明する。図6は、実施の形態3の半導体装置の説明に供する断面切り口を示す図である。図7(A)および(B)は、半導体装置の製造方法の説明に供する、断面切り口を示す工程図である。
【0148】
図6において、半導体装置80は、非導電性膜16の配置位置が、第1層間絶縁膜18の上面18aに変更された以外は、半導体装置10と同様の構造である。したがって、図6において、図1と同様の構成要素には同符号を付し、その詳細な説明を適宜省略する。
【0149】
半導体装置80は、非導電性膜16が、第1層間絶縁膜18の上面18aに設けられている。
【0150】
そして、第1および第2埋込コンタクト配線28a,28bが、非導電性膜16および第1層間絶縁膜18を貫通して設けられている。第1および第2埋込コンタクト配線28a,28bは、それぞれ、ゲート電極26および露出面40aと電気的に接続している。
【0151】
この非導電性膜16上には、第1および第2埋込コンタクト配線28a,28bとそれぞれ電気的に接続する、所定の平面形状にパターニングされた第1および第2配線30a,30bが設けられている。
【0152】
したがって、非導電性膜16は、第1および第2配線構造体36および38の両者に接触し、かつ、第1および第2配線構造体36および38の間を接続している。
【0153】
より詳細には、非導電性膜16の上面16cは、第1および第2配線30a,30bの下面30a,30bと密着している。また、非導電性膜16の側面16aは、ゲート電極26側の第1埋込コンタクト配線28aの側面28aと密着し、かつ、非導電性膜16の側面16bは、導電性領域40側の第2埋込コンタクト配線28bの側面28bと密着している。
【0154】
つまり、非導電性膜16は、第1および第2配線構造体36および38の間で空間的に連続した一体の膜として形成されている。
【0155】
実施の形態1の場合と同様に、完成された半導体装置80においては、非導電性膜16は、電気的な絶縁体である酸化イットリウムからなる。しかし、半導体装置80の製造途上においては、非導電性膜16は、非導電性膜16の前駆体としての導電性膜17として存在している。導電性膜17は、電気的な良導体である金属イットリウムからなる。
【0156】
つぎに、主に図7を参照して、半導体装置80の製造方法につき説明する。
【0157】
ところで、半導体装置80は、工程(B−5)が、工程(C−2)の後に行われる以外は、半導体装置10と同様にして製造される。したがって、以下の記述では、適宜、半導体装置10の製造工程を援用しながら、主に、半導体装置10と異なる工程を説明する。
【0158】
(F−1)
工程(B−5)を行わない以外は、工程(A−1)〜(C−2)と同様の工程を実施し、第1層間絶縁膜18を形成する。すなわち、工程(C−1)において、工程(B−4)で得られた構造体の第1主面12a側の全面に、第1層間絶縁膜18となるSiO膜を堆積する。
【0159】
(F−2)
つぎに、図7(A)に示す構造体を製造する。すなわち、上述の工程(B−5)と同様にして、第1層間絶縁膜18の上面18aの全面に金属イットリウムからなる導電性膜17を、厚み約50nmにわたって堆積する。
【0160】
(F−3)
つぎに、図7(B)に示す構造体を製造する。すなわち、上述の工程(C−3)と同様にして、導電性膜17と第1層間絶縁膜18とがこの順序で主面12a側に堆積された積層構造を貫通して、ゲート電極26および導電性領域40に至るコンタクトホール58a,58bを形成する。
【0161】
(F−4)
つぎに、上述の工程(C−4)と同様にして、露出面40aに白金シリサイドを形成する。
【0162】
(F−5)
つぎに、上述の工程(C−5)と同様にして、コンタクトホール58a,58bをWで埋め込み、第1および第2埋込コンタクト配線28a,28bを形成する。
【0163】
これにより、ゲート電極26と露出面40aとの間の電気的導通を確保する電荷除去配線59が形成される。電荷除去配線59は、第1および第2埋込コンタクト配線28a,28bと導電性膜17とからなる。ここで、導電性膜17は、第1埋込コンタクト配線28aの側面28aと、第2埋込コンタクト配線28bの側面28bとを電気的に接続している。
【0164】
また、同様に、電荷除去配線59、ゲート電極26および導電性領域40からなる電荷除去構造体61が形成される。
【0165】
この結果、この工程より後の工程で電荷除去構造体61および電荷除去構造体61に電気的に接続された第1配線構造体36(図6)に照射されるプラズマに由来する電荷は、ゲート電極26に蓄積することなく、電荷除去構造体61および露出面40aを介して半導体基板12へと逃がされる。
【0166】
(F−6)
つぎに、工程(C−6)と同様にして、導電性膜17上に、第1および第2配線30a,30bを形成する。
【0167】
これにより、導電性膜17の上面と、第1および第2配線30a,30bの下面30a,30bとは互いに密着し、電気的に接続される。
【0168】
第1および第2配線30a,30bと導電性膜17との接触部(下面30a,30b)は、第1および第2埋込コンタクト配線28a,28bと導電性膜17との接触部(側面17a,17b)よりも大面積である。つまり、第1配線構造体36に導入されるプラズマ由来の電荷のほとんどは、接触面積の大きな、第1配線30a→導電性膜17という経路を流れる。このように、第1および第2配線30a,30bは、電荷除去構造体61の必須な構成要素ではないが、電荷除去構造体61と協働して、プラズマ由来の電荷を半導体基板12に逃がす際に大きな役割を果たしている。
【0169】
(F−7)
つぎに、上述の工程(D−1)〜(D−8)を実施する。
【0170】
(F−8)
最後に、上述の工程(D−9)と同様にして、熱処理を行うことにより、導電性膜17としての金属イットリウム膜を酸化して、非導電性膜16としての酸化イットリウム膜に変質させる。
【0171】
これらの工程を経ることにより、半導体装置80が完成する。
【0172】
このように、この実施の形態の半導体装置80の製造方法によれば、工程(F−5)よりも後の工程において、電荷除去構造体61および第1配線構造体36に対して照射されるプラズマに由来する電荷は、電荷除去構造体61を介して半導体基板12へと逃がされるので、ゲート電極26への電荷の蓄積を防止できる。これにより、ゲート酸化膜24の膜質劣化を防止できる。
【0173】
さらに、導電性膜17は、半導体装置80を製造する最終工程における450℃の熱処理により、非導電性膜16へと変質するので、導電性膜17が、完成した半導体装置80に悪影響を及ぼすことがない。
【0174】
また、この実施の形態においては、導電性膜17が、第1層間絶縁膜18上に形成されており、MOSFET14や露出面40aと直接接触することがないので、導電性膜17を構成する金属イットリウムの半導体基板12への拡散を抑制することができる。
【0175】
また、実施の形態1および2では、導電性膜17の側面17a,17bのみが、第1および第2埋込コンタクト配線28a,28bと電気的に接続されていた。しかし、この実施の形態では、これに加えて導電性膜17の上面が第1および第2配線30a,30bと電気的に接続している。このように、この実施の形態においては、導電性膜17と第1配線構造体36との接触面積が、実施の形態1および2よりも大きい。この結果、導電性膜17と第1および第2配線構造体36,38との間の電気抵抗が減少し、実施の形態1および2よりも、プラズマ由来の電荷を、よりスムーズに半導体基板12へと逃がすことができる。
【0176】
なお、導電性膜17の材料、導電性膜17の平面形状、熱処理温度、導電性膜17の膜厚、および、半導体装置80の多層構造の層数に関しては、実施の形態1と同様の変形が可能である。
【0177】
(実施の形態4)
図8および図9を参照して実施の形態4の半導体装置の製造方法、および半導体装置につき説明する。図8は、実施の形態4の半導体装置の説明に供する断面切り口を示す図である。図9は、半導体装置の製造方法の説明に供する、断面切り口を示す工程図である。
【0178】
図8において、半導体装置90は、非導電性膜16の配置位置が、第1および第2配線30a,30bの上面を被覆するように変更された以外は、半導体装置10と同様の構造である。したがって、図8において、図1と同様の構成要素には同符号を付し、その詳細な説明を適宜省略する。
【0179】
半導体装置90は、非導電性膜16を有している。この非導電性膜16は、第1および第2配線30a,30bの上面、側面、ならびに、第1および第2配線30a,30b間の第1層間絶縁膜18上を、連続して被覆する一体の膜として設けられている。
【0180】
そして、第3および第4埋込コンタクト配線32a,32bが、第2層間絶縁膜20および非導電性膜16を貫通して設けられている。
【0181】
実施の形態1の場合と同様に、完成された半導体装置90においては、非導電性膜16は、電気的な絶縁体である酸化イットリウムからなる。しかし、半導体装置90の製造途上においては、非導電性膜16は、非導電性膜16の前駆体としての導電性膜17として存在している。導電性膜17は、電気的な良導体である金属イットリウムからなる。
【0182】
つぎに、主に図9を参照して、半導体装置90の製造方法につき説明する。
【0183】
ところで、半導体装置90は、工程(B−5)が、工程(C−6)の後に行われる以外は、半導体装置10と同様にして製造される。したがって、以下の記述では、適宜、半導体装置10の製造工程を援用しながら、主に、半導体装置10と異なる工程を説明する。
【0184】
(G−1)
工程(B−5)を行わない以外は、(A−1)〜(C−6)と同様の工程を実施し、層間絶縁膜18上に、第1および第2配線30a,30bを形成する。
【0185】
(G−2)
つぎに、図9に示す構造体を製造する。すなわち、上述の工程(B−5)と同様にして、第1および第2配線30a,30bの上面、側面、ならびに、第1および第2配線30a,30b間の第1層間絶縁膜18上に、連続した一体の膜としての導電性膜17を堆積する。
【0186】
これにより、ゲート電極26と露出面40aとの間の電気的導通を確保する電荷除去配線63が形成される。電荷除去配線63は、第1および第2配線30a,30bと、第1および第2埋込コンタクト配線28a,28bと、導電性膜17とからなる。ここで、導電性膜17は、第1配線30aと、第2配線30bとを電気的に接続している。
【0187】
また、同様に、電荷除去配線63、ゲート電極26および露出面40aからなる電荷除去構造体65が形成される。
【0188】
この結果、この工程より後の工程で電荷除去構造体65および電荷除去構造体65に電気的に接続された第1配線構造体36に照射されるプラズマに由来する電荷は、ゲート電極26に蓄積することなく、電荷除去構造体65および露出面40aを介して半導体基板12へと逃がされる。
【0189】
(G−3)
つぎに、上述の工程(D−1)および(D−2)と同様にして、導電性膜17上に、第2層間絶縁膜20を形成する。
【0190】
(G−4)
つぎに、上述の工程(D−3)〜(D−5)と同様にして、第2層間絶縁膜20および導電性膜17を貫通して、第1および第2配線30a,30bに接触する第3および第4埋込コンタクト配線32a,32bを形成する。
【0191】
(G−5)
つぎに、上述の工程(D−6)〜(D−8)を実施する。
【0192】
(G−6)
最後に、上述の工程(D−9)と同様にして、熱処理を行うことにより、導電性膜17としての金属イットリウム膜を酸化して、非導電性膜16としての酸化イットリウム膜に変質させる。
【0193】
これらの工程を経ることにより、半導体装置90が完成する。
【0194】
このように、この実施の形態の半導体装置90の製造方法によれば、工程(G−2)よりも後の工程において、電荷除去構造体65および第1配線構造体36に対して照射されるプラズマに由来する電荷は、電荷除去構造体65を介して半導体基板12へと逃がされるので、ゲート電極26への電荷の蓄積を防止できる。これにより、ゲート酸化膜24の膜質劣化を防止できる。
【0195】
さらに、導電性膜17は、半導体装置90を製造する最終工程における450℃の熱処理により、非導電性膜16へと変質するので、導電性膜17が、完成した半導体装置90に悪影響を及ぼすことがない。
【0196】
また、この実施の形態においては、導電性膜17が、第1および第2配線30a,30b上に形成されており、MOSFET14や導電性領域40と直接接触することがないので、導電性膜17を構成する金属イットリウムの半導体基板12への拡散を抑制することができる。
【0197】
また、この実施の形態では、実施の形態3と同様に、導電性膜17と第1および第2配線30a,30bとの接触面積が、実施の形態1および2よりも大きい。この結果、実施の形態1および2よりも、プラズマ由来の電荷を、よりスムーズに半導体基板12へと逃がすことができる。
【0198】
また、この実施の形態では、第1および第2配線30a,30b上に導電性膜17を堆積している。一方、実施の形態3は、導電性膜17上に第1および第2配線30a,30b形成している。よって、実施の形態3においては、工程(F−6)のRIE法によるエッチングで、導電性膜17をオーバーエッチしてしまい、電荷除去構造体61の導電性を損ねてしまう虞があった。
【0199】
しかし、この実施の形態においては、工程(G−1)のRIE法によるエッチング終了後に、導電性膜17を堆積するので、導電性膜17をオーバーエッチする懸念を完全に払拭できる。
【0200】
なお、導電性膜17の材料、導電性膜17の平面形状、熱処理温度、導電性膜17の膜厚、および、半導体装置90の多層構造の層数に関しては、実施の形態1と同様の変形が可能である。
【0201】
(実施の形態5)
図10〜図12を参照して、実施の形態5の半導体装置の製造方法、および半導体装置につき説明する。図10は、実施の形態5の半導体装置の説明に供する断面切り口を示す図である。図11および図12は、半導体装置の製造方法の説明に供する、断面切り口を示す工程図である。
【0202】
図10において、半導体装置100は、MOSFET14の代わりにキャパシタ71が形成されている以外は、半導体装置10とほぼ同様の構造である。しがたって、図10において、図1と同様の構成要素には同符号を付し、その詳細な説明を適宜省略する。
【0203】
半導体装置100は、半導体基板12と、キャパシタ71と、第1配線構造体73と、第2配線構造体38と、非導電性膜16とを備える。
【0204】
キャパシタ71は、フィールド酸化膜15上に形成されている。キャパシタ71は、下部電極71a、キャパシタ絶縁膜71b、および上部電極71cを備える。
【0205】
ここで、下部電極71aは、多結晶シリコンからなり、たとえば、厚み約200nmとする。また、キャパシタ絶縁膜71bは、SiOからなり、たとえば、厚み約20nmとする。また、上部電極71cは、多結晶シリコンからなり、たとえば、厚み約200nmとする。
【0206】
第1配線構造体73は、第1副構造体75と第2副構造体77とを備える。
【0207】
第1副構造体75は、下部電極71aと電気的に接続されており、第1埋込コンタクト配線28a、第1配線30a、第3埋込コンタクト配線32aおよび第3配線34aを備える。
【0208】
第1埋込コンタクト配線28aは、第1層間絶縁膜18および非導電性膜16を貫通するビアコンタクトであり、下部電極71aと電気的に接続している。第1配線30aは、第1層間絶縁膜18の上面18aに、所定の平面形状にパターニングされて形成されており、第1埋込コンタクト配線28aと電気的に接続している。第3埋込コンタクト配線32aは、第2層間絶縁膜20を貫通するビアコンタクトであり、第1配線30aと電気的に接続している。第3配線34aは、第2層間絶縁膜20の上面20aに、所定の平面形状にパターニングされており、第3埋込コンタクト配線32aと電気的に接続している。そして、パッシベーション膜22には、第3配線34aに至るパッド開口42aが設けられている。
【0209】
第2副構造体77は、上部電極71cと電気的に接続されており、第1埋込コンタクト配線28a、第1配線30a、第3埋込コンタクト配線32aおよび第3配線34aを備える。
【0210】
第1埋込コンタクト配線28aは、第1層間絶縁膜18および非導電性膜16を貫通するビアコンタクトであり、上部電極71cと電気的に接続している。第1配線30aは、第1層間絶縁膜18の上面18aに、所定の平面形状にパターニングされて形成されており、第1埋込コンタクト配線28aと電気的に接続している。第3埋込コンタクト配線32aは、第2層間絶縁膜20を貫通するビアコンタクトであり、第1配線30aと電気的に接続している。第3配線34aは、第2層間絶縁膜20の上面20aに、所定の平面形状にパターニングされており、第3埋込コンタクト配線32aと電気的に接続している。そして、パッシベーション膜22には、第3配線34aに至るパッド開口42aが設けられている。
【0211】
非導電性膜16は、第1および第2配線構造体73および38の両者に接触し、かつ、第1および第2配線構造体73および38の間を接続している。
【0212】
より詳細には、下部電極71aと接続された第1副構造体75の第1埋込コンタクト配線28aは、非導電性膜16を貫通することで、非導電性膜16の側面と密着している。また、上部電極71cと接続された第2副構造体77の第1埋込コンタクト配線28aは、非導電性膜16を貫通することで、非導電性膜16の側面と密着している。
【0213】
また、露出面40aに接続された第2埋込コンタクト配線28bは、非導電性膜16を貫通することで、非導電性膜16の側面と密着している。
【0214】
これにより、非導電性膜16は、第1および第2配線構造体73および38のどちらとも接触し、かつ、両者73および38の間を接続している。
【0215】
実施の形態1の場合と同様に、完成された半導体装置100においては、非導電性膜16は、電気的な絶縁体である酸化イットリウムからなる。しかし、半導体装置100の製造途上においては、非導電性膜16は、非導電性膜16の前駆体としての導電性膜17として存在している。導電性膜17は、電気的な良導体である金属イットリウムからなる。
【0216】
つぎに、図11および図12を参照して、半導体装置100の製造方法につき説明する。
【0217】
ところで、半導体装置100は、実施の形態1の半導体装置10と類似した工程を経て製造される。したがって、以下の記述では、適宜、半導体装置10の製造工程を援用しながら、主に、半導体装置10と異なる工程を説明する。
【0218】
(H)図11(A)に示す構造体の製造
(H−1)
(A−1)とほぼ同様の手順により、所望の平面形状にパターニングされたフィールド酸化膜15を形成する。
【0219】
(H−2)
つぎに、(A−3)とほぼ同様の手順により、下部電極71aとなる、膜厚が約200nmのPドープポリシリコン膜を、第1主面12a側の全面に堆積する。続いて、このポリシリコン膜の表面を約900℃の温度で熱酸化することにより、キャパシタ絶縁膜71bとなる、膜厚が約20nmのSiO膜を形成する。
【0220】
(H−3)
つぎに、公知のフォトリソグラフィー工程およびエッチング工程を行うことにより、不要なSiO膜およびポリシリコン膜を除去することにより、キャパシタ71の下部電極71aおよびキャパシタ絶縁膜71bを形成する。
【0221】
(I)図11(B)に示す構造体の製造
(I−1)
つぎに、膜厚が約200nmのPがドープされたポリシリコン膜を、第1主面12a側の全面に堆積し、続いて、このポリシリコン膜の不要部分を(H−3)とほぼ同様の手順により除去して、キャパシタ71の上部電極71cを形成する。
【0222】
(I−2)
つぎに、(B−3)および(B−4)とほぼ同様の手順により、フィールド酸化膜15をマスクとしてAsのイオン注入(注入エネルギー:約100keV、および、注入量:約5×1015cm−2)を行い、その後、900℃、30秒間のRTAにより不純物を活性化して、導電性領域40を形成する。
【0223】
(I−3)
つぎに、(B−5)とほぼ同様の手順により、工程(I−2)で得られた構造体の第1主面12a側の全面に、導電性膜17として金属イットリウムを、厚み約50nmにわたり堆積する。
【0224】
このようにして堆積された導電性膜17としての金属イットリウム膜は、第1主面12a(導電性領域40)と、下部および上部電極71a,71cと接触しており、第1主面12a(導電性領域40)と下部および上部電極71a,71cとの間の電気的接続を確保する電荷除去配線52として機能する。
【0225】
また、この工程により、第1主面12a(導電性領域40)と、下部および上部電極71a,71cと、電荷除去配線52(導電性膜17)とを備えた電荷除去構造体54が形成される。
【0226】
よって、工程(I−3)より後の工程において、電荷除去構造体54および電荷除去構造体54に電気的に接続された第1および第2配線構造体73,38(図10)に照射されるプラズマに由来する電荷は、キャパシタ絶縁膜71bに蓄積することなく、電荷除去構造体54および露出面40aを介して半導体基板12へと逃がされる。
【0227】
(J)図12に示す構造体の製造
(J−1)
つぎに、(C−1)〜(C−6)とほぼ同様の手順により、第1層間絶縁膜18、第1および第2埋込コンタクト配線28a,28a,28b、ならびに、第1および第2配線30a,30a,30bを形成する。
【0228】
(K)図10に示す半導体装置100を完成する。
【0229】
(K−1)
つぎに、(D−1)〜(D−8)とほぼ同様の手順により、第2層間絶縁膜20、第3および第4埋込コンタクト配線32a,32a,32b、第3および第4配線34a,34a,34b、パッシベーション膜22、ならびに、パッド開口42a,42a,42bを形成する。
【0230】
(K−2)
最後に、工程(K−1)で得られた構造体に温度450℃で約60分の熱処理を行う。これにより導電性膜17としての金属イットリウム膜が酸化されて、非導電性膜16としての酸化イットリウム(Y)膜に変質する。
【0231】
これらの工程を経ることにより、半導体装置100が完成する。
【0232】
このように、この実施の形態の半導体装置100の製造方法によれば、金属イットリウムからなる導電性膜17を、半導体基板12の第1主面12a側の全面に堆積することにより、下部および上部電極71a,71cと、第1主面12a(導電性領域40)と、導電性膜17とからなる電荷除去構造体54を形成した。また、導電性膜17堆積後の処理温度を350℃未満とした。
【0233】
この結果、電荷除去構造体54および第1配線構造体73に対して照射されるプラズマに由来する電荷は、この導電性膜17を介して半導体基板12へと逃がされるので、キャパシタ絶縁膜71bへの電荷の蓄積を防止できる。これにより、キャパシタ絶縁膜71bの膜質劣化を防止できる。
【0234】
さらに、この導電性膜17は、半導体装置100を製造する最終工程における450℃の熱処理により、非導電性膜16へと変質するので、導電性膜17が、完成した半導体装置100に悪影響を及ぼすことがない。
【0235】
なお、導電性膜17の材料、導電性膜17の平面形状、熱処理温度、導電性膜17の膜厚、および、半導体装置100の多層構造の層数に関しては、実施の形態1と同様の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0236】
【図1】実施の形態1の半導体装置の説明に供する断面切り口を示す図である。
【図2】(A)および(B)は、実施の形態1の半導体装置の製造方法の説明に供する、断面切り口を示す工程図である。
【図3】実施の形態1の半導体装置の製造方法の説明に供する、断面切り口を示す工程図である。
【図4】実施の形態2の半導体装置の説明に供する断面切り口を示す図である。
【図5】(A)および(B)は、実施の形態2の半導体装置の製造方法の説明に供する、断面切り口を示す工程図である。
【図6】実施の形態3の半導体装置の説明に供する断面切り口を示す図である。
【図7】(A)および(B)は、実施の形態3の半導体装置の製造方法の説明に供する、断面切り口を示す工程図である。
【図8】実施の形態4の半導体装置の説明に供する断面切り口を示す図である。
【図9】実施の形態4の半導体装置の製造方法の説明に供する、断面切り口を示す工程図である。
【図10】実施の形態5の半導体装置の説明に供する断面切り口を示す図である。
【図11】(A)および(B)は、実施の形態5の半導体装置の製造方法の説明に供する、断面切り口を示す工程図である。
【図12】実施の形態5の半導体装置の製造方法の説明に供する、断面切り口を示す工程図である。
【符号の説明】
【0237】
10,70,80,90,100 半導体装置
12 半導体基板
12a 第1主面
14 MOSFET
16 非導電性膜
17 導電性膜
16a,16b,17a,17b,28a,28b 側面
18 第1層間絶縁膜
16c,18a,20a 上面
18b 下層絶縁膜
18c 上層絶縁膜
20 第2層間絶縁膜
22 パッシベーション膜
24 ゲート酸化膜
26 ゲート電極
28a,28a,28a 第1埋込コンタクト配線
28b 第2埋込コンタクト配線
30a,30a,30a 第1配線
30b 第2配線
32a,32a,32a 第3埋込コンタクト配線
32b 第4埋込コンタクト配線
34a,34a,34a 第3配線
34b 第4配線
36,73 第1配線構造体
38 第2配線構造体
40 導電性領域
42a,42b,42a,42a パッド開口
44 素子形成予定領域
50 サイドウォール
52,55,59,63 電化除去配線
54,57,61,65 電化除去構造体
58a,58b コンタクトホール
60a,60b ビアホール
71 キャパシタ
71a 下部電極
71b キャパシタ絶縁膜
71c 上部電極
75 第1副構造体
77 第2副構造体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の第1主面側にMOSFETを備える半導体装置を製造するにあたり、
ゲート電極が前記第1主面の上側に形成されたMOSFETと、該MOSFETの領域外で該MOSFETとは電気的に分離され、かつ、第1主面側に露出面を有する導電性領域とを含む半導体基板を用意する第1工程と、
前記露出面および前記ゲート電極間を電気的に結合する導電性膜を含む電荷除去構造体を形成する第2工程と、
該第2工程後に行われ、前記ゲート電極に蓄積する電荷の発生原因となる諸処理工程の終了後に、前記導電性膜を非導電性膜に変質させるための熱処理を行う第3工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第2工程が、
前記導電性膜を前記電荷除去構造体として、前記ゲート電極を含む前記第1主面の上側の全面に、前記ゲート電極および前記露出面に接触させて形成する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第2工程が、
前記ゲート電極を含む前記第1主面の上側の全面に下層絶縁膜を形成する工程と、
該下層絶縁膜上の全面に前記導電性膜を形成する工程と、
該導電性膜上の全面に上層絶縁膜を形成する工程と、
該上層絶縁膜、前記導電性膜、および前記下層絶縁膜をそれぞれ貫通し、前記ゲート電極および前記導電性膜を電気的に接続する第1埋込コンタクト配線と、該上層絶縁膜、前記導電性膜、および前記下層絶縁膜をそれぞれ貫通し、前記露出面および前記導電性膜を電気的に接続する第2埋込コンタクト配線とを形成することによって、
前記電荷除去構造体を前記第1埋込コンタクト配線、前記導電性膜および前記第2埋込コンタクト配線の直列接続構造体として形成する工程と
を含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第2工程が、
前記ゲート電極を含む前記第1主面の上側の全面に層間絶縁膜を形成する工程と、
該層間絶縁膜上の全面に前記導電性膜を形成する工程と、
該導電性膜および前記層間絶縁膜をそれぞれ貫通し、前記ゲート電極および前記導電性膜を電気的に接続する第1埋込コンタクト配線と、前記露出面および前記導電性膜を電気的に接続する第2埋込コンタクト配線とを形成することによって、
前記電荷除去構造体を前記第1埋込コンタクト配線、前記導電性膜および前記第2埋込コンタクト配線の直列接続構造体として形成する工程と
を含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第2工程が、
前記ゲート電極を含む前記第1主面の上側の全面に層間絶縁膜を形成する工程と、
該層間絶縁膜をそれぞれ貫通し、前記ゲート電極と電気的に接続された第1埋込コンタクト配線と、前記露出面と電気的に接続された第2埋込コンタクト配線とを形成する工程と、
前記層間絶縁膜上に、前記第1埋込コンタクト配線と電気的に接続された第1配線層と、該第1配線層とは電気的に分離されていて、前記第2埋込コンタクト配線と電気的に接続された第2配線層とを、それぞれ配線層パターンとして形成する工程と、
前記第1および第2配線層を含む、前記層間絶縁膜の上側全面を被覆して、前記導電性膜を形成することによって、
前記電荷除去構造体を前記第1埋込コンタクト配線、前記第1配線層、前記導電性膜、前記第2配線層および前記第2埋込コンタクト配線の直列接続構造体として形成する工程と
を含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
一対のキャパシタ電極と、該一対のキャパシタ電極の間に設けられたキャパシタ絶縁膜とを有するキャパシタを、半導体基板の第1主面側に備えた半導体装置を製造するにあたり、
前記第1主面の上側に、一対の前記キャパシタ電極を露出させるとともに、前記キャパシタ絶縁膜の一部分を露出させて形成されたキャパシタと、該キャパシタと電気的に分離され、かつ、前記第1主面側に露出面を有する導電性領域とを含む、半導体基板を用意する第1工程と、
前記露出面と一方の前記キャパシタ電極および前記露出面と他方の前記キャパシタ電極を電気的に結合する導電性膜を含む電荷除去構造体を形成する第2工程と、
第2工程後に行われ、前記キャパシタ電極に蓄積する電荷の発生原因となる諸処理工程の終了後に、前記導電性膜を非導電性膜に変質させるための熱処理を行う第3工程とを有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記導電性膜として、金属イットリウムを用い、前記熱処理により、前記金属イットリウムを、前記非導電性膜としての酸化イットリウムに変質させることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記熱処理を、380℃〜550℃の温度で行うことを特徴とする請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
第1主面側に導電性領域を含む露出面を備えた半導体基板と、
前記第1主面側に設けられたMOSFETと、
該MOSFETのゲート電極および該ゲート電極に電気的に接続された配線を含む第1配線構造体と、
前記露出面および該露出面に電気的に接続された配線を含む第2配線構造体と、
前記第1および第2配線構造体のどちらとも接触し、かつ、前記第1および第2配線構造体間を接続している、熱処理を受けることにより良導体から絶縁体へと変質された非導電性膜と
を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
第1主面側に導電性領域を含む露出面を備えた半導体基板と、
前記第1主面側に設けられた、一対のキャパシタ電極と、該一対のキャパシタ電極の間に設けられたキャパシタ絶縁膜とを有するキャパシタと、
前記キャパシタ電極の双方、および、該キャパシタ電極の双方にそれぞれ電気的に接続された配線を含む第1配線構造体と、
前記露出面および該露出面に電気的に接続された配線を含む第2配線構造体と、
前記第1および第2配線構造体のどちらとも接触し、かつ、前記第1および第2配線構造体間を接続している、熱処理を受けることにより良導体から絶縁体へと変質された非導電性膜と
を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
前記非導電性膜が、前記良導体としての金属イットリウムを380℃〜550℃の前記熱処理の温度で酸化することで得られる、前記絶縁体としての酸化イットリウムからなることを特徴とする請求項9または10に記載の半導体装置。
【請求項12】
第1主面側に導電性領域を含む露出面を備えた半導体基板と、
前記第1主面側に設けられたMOSFETと、
該MOSFETのゲート電極および該ゲート電極に電気的に接続された配線を含む第1配線構造体と、
前記露出面および該露出面に電気的に接続された配線を含む第2配線構造体と、
前記第1および第2構造体のどちらとも接触し、かつ、前記第1および第2配線構造体間を接続している、酸化イットリウムからなる非導電性膜と
を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
第1主面側に導電性領域を含む露出面を備えた半導体基板と、
前記第1主面側に設けられた、一対のキャパシタ電極と、該一対のキャパシタ電極の間に設けられたキャパシタ絶縁膜とを有するキャパシタと、
前記キャパシタ電極の双方、および、該キャパシタ電極の双方にそれぞれ電気的に接続された配線を含む第1配線構造体と、
前記露出面および該露出面に電気的に接続された配線を含む第2配線構造体と、
前記第1および第2配線構造体のどちらとも接触し、かつ、前記第1および第2配線構造体間を接続している、酸化イットリウムからなる非導電性膜と
を備えることを特徴とする半導体装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2007−73749(P2007−73749A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−259411(P2005−259411)
【出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】