説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】簡易な手順で、高誘電率ゲート絶縁膜とメタルゲート電極とのゲートスタック構造を有する相補型トランジスタの閾値を調整する。
【解決手段】相補型トランジスタの第1導電型のトランジスタ(162)の閾値電圧を変化させる第1の調整用金属を第1導電型のトランジスタ(162)および第2導電型のトランジスタ(160)に同時に添加し、第2導電型のトランジスタ(160)のメタルゲート電極(110a)上から第1の調整用金属の拡散を抑制する拡散抑制元素を添加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、高誘電率ゲート絶縁膜とメタルゲート電極とのゲートスタック構造を有する相補型トランジスタを含む半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トランジスタの微細化が進む相補型MOS(CMOS)デバイスの開発では、ポリシリコン(poly−Si)電極の空乏化による駆動電流の劣化が問題となっている。そこで、メタルゲート電極を適用して電極の空乏化を回避し、駆動電流の劣化を防ぐ技術が検討されている。メタルゲート電極に用いる材料として、純金属や金属窒化物、またはシリサイド材料等が検討されているが、いずれの場合においても、N型MOSFET、P型MOSFETの閾値電圧(Vth)を適切な値に設定可能とする必要がある。
【0003】
たとえば、高性能CMOSトランジスタでは、Vthを±0.1V程度とする必要がある。そのため、N型MOSFETでは実効的な仕事関数(EWF)がN型ポリシリコンの仕事関数(4.0eV)程度の材料を、P型MOSFETではN型ポリシリコンの仕事関数(5.2eV)程度の材料をゲート電極に用いる必要がある。
【0004】
現在、メタルゲート電極の候補材料として、熱的安定性やゲート加工容易性の観点から、窒化チタン(TiN)が広く検討されている。しかし、TiNは、高誘電率(High-k)ゲート絶縁膜上でSiバンドギャップのミッドギャップ付近のEWFを持つことが知られており、この技術だけでは、たとえばN型MOSFETで必要とされる低Vthを実現することはできない。
【0005】
非特許文献1には、基板上に、SiO膜、高誘電率ゲート絶縁膜、TiN電極がこの順で形成されたN型MOSFETにおいて、高誘電率ゲート絶縁膜とTiN電極との間にキャップ膜としてランタン酸化膜を選択的に導入することにより、フラットバンド電圧(VFB)を負バイアス側にシフトさせて、EWFを低減させ、Vthを低減できることが記載されている(非特許文献1)。また、ランタン酸化膜の膜厚の増加に伴い、VFBの負バイアス側へのシフト量が増加して、EWFをSi伝導帯端近傍付近まで低減させ、所望のVthを得ることができることが記載されている。つまり、ランタンは、N型MOSFETの閾値電圧を変化させる調整用金属として機能する。
【0006】
また、特許文献1(特開2006−108602号公報)には、シリコン基板の表面部にpウェル層およびnウェル層が形成され、素子分離領域により区画されたnチャネルMISFETには、窒素添加のないnチャネル界面層、窒素添加のないnチャネル高誘電体ゲート絶縁膜およびnチャネルゲート電極が形成されている。そして、n型ソース・ドレイン拡散層が設けられている。これに対して、pチャネルMISFETでは、窒素添加のpチャネル界面層、窒素添加のpチャネル高誘電体ゲート絶縁膜およびpチャネルゲート電極が形成されている。そして、p型ソース・ドレイン拡散層が設けられている。このような構成により、High−k膜を用いて形成したゲート絶縁膜中あるいはメタルゲート電極中に窒素原子を含有させると、nチャネルMISFETの電子移動度が低下せず、pチャネルMISFETの正孔移動度が向上するため、高性能の相補型MISFETを形成できる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−108602号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】V. Narayanan et al, “Band-Edge High-Performance High-k/Metal Gate n-MOSFETs using Cap Layers Containing Group IIA and IIIB Elements with Gate-First Processing for 45 nm and Beyond”, 2006 Symposium on VLSI Technology Digest of Technical Papers, pp.224-225
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、非特許文献1に記載された技術では、CMOSにおいて、N型MOSFETのVthを低減させるために、ランタン等の調整用金属をN型MOSFETにのみ選択的に形成しようとすると、以下のような問題がある。N型MOSFETとP型MOSFETとにおいて、高誘電率ゲート絶縁膜上にランタン酸化膜を形成した後、N型MOSFET形成領域のみを覆うレジストを形成して、P型MOSFETにおけるランタン酸化膜を選択的に除去することでランタン等の調整用金属をN型MOSFETにのみ選択的に形成することができる。しかし、ランタン酸化膜は、たとえばウェットエッチングで除去することができるが、ランタン酸化膜を除去する際に、高誘電率ゲート絶縁膜もエッチング液の影響を受け、膜厚が変化するおそれがある。また、P型MOSFETにおいて、ランタン酸化膜が部分的に残留するおそれもある。このようなことが起こると、ゲート絶縁膜の膜厚が変化してしまうため、トランジスタのVthやTinvが変動し、所望の性能が達成できなかったり、性能ばらつきが生じてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、
基板と、
前記基板上に形成されたシリコン酸化膜またはシリコン酸窒化膜からなる界面層と、前記界面層上に形成され、Hfを含む高誘電率ゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたメタルゲート電極と、を有する第1導電型のトランジスタと、
前記基板上に形成されたシリコン酸化膜またはシリコン酸窒化膜からなる界面層と、前記界面層上に形成され、Hfを含む高誘電率ゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたメタルゲート電極と、を有する第2導電型のトランジスタと、
を含み、
少なくとも前記第1導電型のトランジスタにおいて、前記界面層と前記高誘電率ゲート絶縁膜との界面に、当該第1導電型のトランジスタの閾値電圧を変化させる第1の調整用金属が存在しており、
少なくとも前記第2導電型のトランジスタにおいて、前記高誘電率ゲート絶縁膜中に前記第1の調整用金属の拡散を抑制する拡散抑制元素が存在しており、当該第2導電型のトランジスタの前記高誘電率ゲート絶縁膜中の前記拡散抑制元素の濃度が前記第1導電型のトランジスタの前記高誘電率ゲート絶縁膜中の前記拡散抑制元素の濃度より高い半導体装置が提供される。
【0011】
本発明によれば、
第1導電型のトランジスタと第2導電型のトランジスタとを含む半導体装置の製造方法において、
前記第1導電型のトランジスタを形成する第1チャネル領域と前記第2導電型のトランジスタを形成する第2チャネル領域とが形成された基板の全面に、シリコン酸化膜またはシリコン酸窒化膜からなる界面層と、Hfを含む高誘電率ゲート絶縁膜とをこの順で形成する工程と、
前記高誘電率ゲート絶縁膜上の全面に、前記第1導電型のトランジスタの閾値電圧を変化させる第1の調整用金属を堆積する工程と、
前記第1の調整用金属上の全面にメタルゲート電極を形成する工程と、
前記第1チャネル領域を保護膜で覆う工程と、
前記保護膜をマスクとして、前記第2チャネル領域において前記メタルゲート電極を介して前記高誘電率ゲート絶縁膜中に、前記第1の調整用金属の拡散を抑制する拡散抑制元素を添加する工程と、
熱処理により、前記第1チャネル領域において、前記第1の調整用金属を前記高誘電率ゲート絶縁膜中に拡散させて、前記高誘電率ゲート絶縁膜と前記界面層との界面に到達させる工程と、
を含む半導体装置の製造方法が提供される。
【0012】
この構成によれば、第1のトランジスタにおいて、高誘電率ゲート絶縁膜と界面層との界面に第1の調整用金属を拡散させて第1の調整用金属によりトランジスタの閾値電圧を変化させるとができる。一方、第2のトランジスタにおいては、第1の調整用金属が高誘電率ゲート絶縁膜と界面層との界面に拡散するのを防ぎ、第1の調整用金属によるVth変調効果を抑制することができる。したがって、本発明によれば、第1の調整用金属の選択形成を行うことなく、簡易な方法で、N型とP型とでVthの作りわけを行うことができ、工程の簡略化が実現できる。また、この構成によれば、高誘電率ゲート絶縁膜に影響を与えずにN型とP型との作りわけを実現できるため、ゲート絶縁膜の変化によりVthやTinvが変動するといった問題を回避できる。
【0013】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、簡易な手順で、高誘電率ゲート絶縁膜とメタルゲート電極とのゲートスタック構造を有する相補型トランジスタの閾値を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態における半導体装置の構成を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図3】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図4】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図5】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図6】本発明の実施の形態における半導体装置の構成を示す断面図である。
【図7】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図8】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図9】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図10】N型トランジスタの高誘電率ゲート絶縁膜中の窒素濃度と、T63との関係を示す図である。
【図11】N型トランジスタの高誘電率ゲート絶縁膜と界面層との界面にLaが存在しない場合の、N型トランジスタの高誘電率ゲート絶縁膜中の窒素濃度と、キャリア(電子)移動度との関係を示す図である。
【図12】N型トランジスタの高誘電率ゲート絶縁膜と界面層との界面にLaが存在する場合の、N型トランジスタの高誘電率ゲート絶縁膜中の窒素濃度と、キャリア(電子)移動度との関係を示す図である。
【図13】N型トランジスタの高誘電率ゲート絶縁膜と界面層との界面にLaが存在する場合と存在しない場合の、N型トランジスタの高誘電率ゲート絶縁膜中の窒素濃度と、界面準位密度との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様の構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0017】
本実施の形態において、半導体装置は、基板と、基板上に形成されたシリコン酸化膜またはシリコン酸窒化膜からなる界面層と、界面層上に形成され、Hfを含む高誘電率ゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に形成されたメタルゲート電極と、を有する第1導電型のトランジスタと、基板上に形成されたシリコン酸化膜またはシリコン酸窒化膜からなる界面層と、界面層上に形成され、Hfを含む高誘電率ゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に形成されたメタルゲート電極と、を有する第2導電型のトランジスタと、を含む。ここで、少なくとも第1導電型のトランジスタにおいて、界面層と高誘電率ゲート絶縁膜との界面に、当該第1導電型のトランジスタの閾値電圧を変化させる第1の調整用金属が存在しており、少なくとも第2導電型のトランジスタにおいて、高誘電率ゲート絶縁膜中に第1の調整用金属の拡散を抑制する拡散抑制元素が存在しており、当該第2導電型のトランジスタの高誘電率ゲート絶縁膜中の拡散抑制元素の濃度が第1導電型のトランジスタの高誘電率ゲート絶縁膜中の拡散抑制元素の濃度より高い。ここで、第1の調整用金属は、第1導電型のトランジスタの仕事関数を低減させることができ、第1導電型のトランジスタの閾値電圧を低減することができる。第1導電型のトランジスタおよび第2導電型のトランジスタは、MISFETやMOSFETである。本実施の形態において、濃度は、原子濃度とすることができる。
【0018】
(第1の実施の形態)
本実施の形態においては、第1導電型はN型、第2導電型はP型とすることができる。
図1は、本実施の形態における半導体装置の構成を示す断面図である。ここでは、トランジスタのチャネル長方向の断面図を示す。
半導体装置100は、基板101と、基板101表面に形成された素子分離領域102と、素子分離領域102により分離されたP型チャネル領域104(図中P channelと示す。)およびN型チャネル領域105(図中N channelと示す。)と、基板101のP型チャネル領域104上およびN型チャネル領域105上にそれぞれ形成されたP型トランジスタ160(MISFET)およびN型トランジスタ162(MISFET)とを含む。基板101は、たとえばシリコン基板、シリコン基板表面にSiGe層等の半導体層が形成された半導体基板とすることができる。本実施の形態において、P型チャネル領域104では、基板101表面にはチャネルSiGe層106が形成されている。
【0019】
P型トランジスタ160は、基板101上に形成された界面層107と、界面層107上に形成され、Hfを含む高誘電率ゲート絶縁膜108aと、高誘電率ゲート絶縁膜108a上に形成されたメタルゲート電極であるTiN膜110aと、を有する。P型トランジスタ160は、さらに、TiN膜110a上に形成されたSi膜111と、Si膜111上に形成されたシリサイド層120と、ゲート電極の側方に形成されたサイドウォールスペーサ117と、基板101表面に形成されたP型ソース/ドレイン拡散層113、P型エクステンション拡散層115、およびP型ソース/ドレイン拡散層113表面に形成されたシリサイド層120とを含む。サイドウォールスペーサ117は、シリコン酸化膜118およびシリコン窒化膜119により構成される。
【0020】
N型トランジスタ162は、基板101上に形成された界面層107と、界面層107上に形成され、Hfを含む高誘電率ゲート絶縁膜108と、高誘電率ゲート絶縁膜108上に形成されたメタルゲート電極であるTiN膜110と、を有する。N型トランジスタ162は、さらに、TiN膜110上に形成されたSi膜111と、Si膜111上に形成されたシリサイド層120と、ゲート電極の側方に形成されたサイドウォールスペーサ117と、基板101表面に形成されたN型ソース/ドレイン拡散層114、N型エクステンション拡散層116、およびN型ソース/ドレイン拡散層114表面に形成されたシリサイド層120とを含む。
【0021】
本実施の形態において、界面層107は、シリコン酸化膜またはシリコン酸窒化膜により構成することができる。高誘電率ゲート絶縁膜108および高誘電率ゲート絶縁膜108aは、HfSiOまたはHfSiONにより構成することができる。
【0022】
ここで、N型トランジスタ162において、界面層107と高誘電率ゲート絶縁膜108との界面に、N型のトランジスタの閾値電圧を変化させる第1の調整用金属が存在している。本実施の形態において、第1の調整用金属は、N型のトランジスタの仕事関数を低減させ、閾値電圧を低減できる元素とすることができる。本実施の形態において、第1の調整用金属は、La、Y、およびMgのいずれかとすることができる。また、第1の調整用金属は後述する拡散抑制元素である窒素の界面層107への拡散を抑制する元素とすることができる。このような観点からは、本実施の形態において、第1の調整用金属は、Laとすることができる。
【0023】
本実施の形態において、N型トランジスタ162において、界面層107と高誘電率ゲート絶縁膜108との界面に、ランタン酸化膜109aが形成されている。このような構成とすることにより、N型トランジスタ162の仕事関数を低減させ、閾値電圧を低減することができる。また、本実施の形態において、N型トランジスタ162において、高誘電率ゲート絶縁膜108とTiN膜110との間にも、ランタン酸化膜109b(第1の調整用金属)が存在した構成とすることができる。
【0024】
また、本実施の形態において、P型トランジスタ160において、高誘電率ゲート絶縁膜108aとTiN膜110aとの間に、ランタン酸化膜109(第1の調整用金属)が存在した構成とすることができる。
【0025】
本実施の形態において、P型トランジスタ160の高誘電率ゲート絶縁膜108a中には、第1の調整用金属の拡散を抑制する拡散抑制元素が存在している。拡散抑制元素は、窒素とすることができる。また、本実施の形態において、N型トランジスタ162の高誘電率ゲート絶縁膜108にも窒素が存在した構成とすることができる。本実施の形態において、P型トランジスタ160の高誘電率ゲート絶縁膜108a中の拡散抑制元素の濃度が、N型トランジスタ162の高誘電率ゲート絶縁膜108中の拡散抑制元素の濃度より高い。つまり、本実施の形態において、高誘電率ゲート絶縁膜108aは、高誘電率ゲート絶縁膜108よりも高い濃度の窒素を含む。本実施の形態において、P型トランジスタ160の高誘電率ゲート絶縁膜108a中の拡散抑制元素の濃度とN型トランジスタ162の高誘電率ゲート絶縁膜108中の拡散抑制元素の濃度との差は、たとえば15%程度とすることができる。
【0026】
本実施の形態においては、メタルゲート電極の材料としてTiN膜を用いており、また高誘電率ゲート絶縁膜108をHfSiONで構成した場合、N型トランジスタ162においても、これらの膜由来の窒素が存在する。しかし、他の例において、メタルゲート電極や高誘電率ゲート絶縁膜108の材料が窒素を含まない構成の場合、N型トランジスタ162の高誘電率ゲート絶縁膜108には、窒素が存在しない構成とすることもできる。
【0027】
本実施の形態において、TiN膜110aおよびTiN膜110中にも第1の調整用金属の拡散を抑制する拡散抑制元素である窒素が存在している。また、P型トランジスタ160のTiN膜110a中の拡散抑制元素の濃度が、N型トランジスタ162のTiN膜110中の拡散抑制元素の濃度より高い。つまり、本実施の形態において、TiN膜110aは、TiN膜110よりも高い濃度の窒素を含む。
【0028】
また、本実施の形態において、N型トランジスタ162において、界面層107中の拡散抑制元素の濃度は、高誘電率ゲート絶縁膜108中の拡散抑制元素の濃度の濃度よりも低い構成とすることができる。N型トランジスタ162の界面特性を良好に保つためには、界面層107中の窒素の濃度を、10%以下程度とすることが好ましい。P型トランジスタ160においても、同様に、界面層107中の拡散抑制元素の濃度が、高誘電率ゲート絶縁膜108a中の拡散抑制元素の濃度の濃度よりも低い構成とすることができる。
【0029】
次に、本実施の形態における半導体装置100の製造手順を説明する。図2から図5は、本実施の形態における半導体装置100の製造手順を示す工程断面図である。
まず、周知の方法により、基板101に、STI(Sha11ow Trench Isolation)構造の素子分離領域102、犠牲酸化膜103、pチャネル領域104およびnチャネル領域105を形成する(図2(a))。
【0030】
つづいて、nチャネル領域105を覆うレジスト(不図示)をマスクとして、NHF水溶液または希フッ酸を用いて、pチャネル領域104上の犠牲酸化膜103を除去する。次いで、pチャネル領域104上にSiGeを選択的にエピタキシャル成長させ、チャネルSiGe層106を形成する。その後、チャネルSiGe層106上にさらにSi膜(不図示)を形成する。つづいて、レジスト(不図示)を剥離する。次いで、nチャネル領域105上の犠牲酸化膜をNHF水溶液または希フッ酸を用いて剥離する。
【0031】
その後、pチャネル領域104およびnチャネル領域105上に、界面層107を形成する(図2(b))。ここで、界面層107は、シリコン酸化膜(ケミカルSiO膜)またはシリコン酸窒化膜(SiON膜)とすることができる。シリコン酸化膜は、熱酸化により形成することができる。また、シリコン酸窒化膜は、たとえば、ケミカルSiO膜を形成する工程と、当該ケミカルSiO膜を窒化(たとえばプラズマ窒化)する工程と、窒化したケミカルSiO膜を酸化(たとえば酸素アニール酸化)する工程と、により形成することができる。
【0032】
つづいて、界面層107上の全面に、Hfを含む高誘電率ゲート絶縁膜108を形成する。ここで、高誘電率ゲート絶縁膜108は、たとえばHfSiON膜(ハフニウム珪酸窒化膜)により構成することができる。HfSiON膜は、たとえば以下の手順で形成することができる。まず、たとえば有機金属気相成長(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法を用いて、HfSiO膜(ハフニウム珪酸化膜、不図示)を全面に形成する。次いで、HfSiO膜を窒素プラズマ雰囲気中で処理した後に熟処理を行い、HfSiON膜に改質する。N型トランジスタ162において、高誘電率ゲート絶縁膜108が窒素を含む構成とすることにより、後述するように、N型トランジスタ162の高信頼性を保つことができる。このような観点からは、N型トランジスタ162の高誘電率ゲート絶縁膜108中の窒素の濃度は、たとえば20%以上とすることができる。また、高誘電率ゲート絶縁膜108が窒素を含む構成とすることにより、トランジスタ形成中の熱処理によって高誘電率ゲート絶縁膜が結晶化するのを防ぐことができ、信頼性(絶縁特性)を向上することができる。
【0033】
その後、高誘電率ゲート絶縁膜108上の全面に、ランタン酸化膜109(たとえば膜厚1nm以下)を形成する(図3(a))。ランタン酸化膜109は、たとえば物理気相成長(PVD:Physical Vapor Deposition)法で形成することができる。
【0034】
つづいて、ランタン酸化膜109上の全面に、TiN膜110を形成する(図3(b))。TiN膜110は、たとえばTiNターゲットを用いた反応性スパッタ法、Tiターゲットを用いたスパッタリング時に窒素を導入してTiNを形成する反応性スパッタ法、CVD法または原子層堆積(ALD:Atomic layer deposition)法で形成することができる。
【0035】
次いで、nチャネル領域105を覆うレジスト130をマスクとして、窒素プラズマ照射、または窒素イオン注入等によって、pチャネル領域104のTiN膜110に窒素140を添加する(図4(a))これにより、pチャネル領域104においては、TiN膜110は、nチャネル領域105に形成されたTiN膜110よりも窒素濃度が高いTiN膜110aとなる(図4(b))。この後、レジスト130を剥離する。
【0036】
つづいて、TiN膜110およびTiN膜110a上の全面にSi膜111を形成する(図5(a))。Si膜111は、ポリシリコンにより構成することができる。このとき、Si膜111形成時の熱処理により、TiN膜110およびTiN膜110a中の窒素が高誘電率ゲート絶縁膜108中へ拡散する。TiN膜110aでは、TiN膜110よりも窒素濃度が高いので、P型チャネル領域104においては、高誘電率ゲート絶縁膜108は、N型チャネル領域105の高誘電率ゲート絶縁膜108よりも窒素濃度が高くなる。ここで、区別するために、P型チャネル領域104の高誘電率ゲート絶縁膜108を高誘電率ゲート絶縁膜108aと示す。
【0037】
次いで、ハードマスク(不図示)を用いて、Si膜111、TiN膜110およびTiN膜110aをゲート形状に反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)加工する。さらに、その下層のランタン酸化膜109、高誘電率ゲート絶縁膜108、高誘電率ゲート絶縁膜108aおよび界面層107をゲート形状にエッチングする(図5(b))。
【0038】
次いで、基板101上の全面にたとえばCVD法で絶縁膜を堆積し、当該絶縁膜をRIE法を用いてエッチングすることにより、オフセットスペーサ(不図示)を形成する。オフセットスペーサは、たとえばシリコン酸化膜またはシリコン窒化膜により構成することができる。さらに、基板101上の全面にたとえばCVD法で絶縁膜を堆積し、当該絶縁膜をRIE法を用いてエッチングすることにより、サイドウォールスペーサを形成する、サイドウォールスペーサは、シリコン窒化膜またはシリコン酸化膜により構成することができる。
【0039】
つづいて、nチャネル領域105を覆うレジスト(不図示)をマスクとして、pチャネル領域104にBをイオン注入してP型ソース/ドレイン拡散層113を形成し、レジストを除去する。同様に、pチャネル領域104を覆うレジスト(不図示)をマスクとして、nチャネル領域105にPまたはAsをイオン注入してN型ソース/ドレイン拡散層114を形成し、レジストを除去する。その後、熱処理を行う。
【0040】
次いで、図示しないサイドウォールスペーサを除去し、その後、レジスト(不図示)をマスクに用いてBをpチャネル領域104にイオン注入し、P型エクステンション拡散層115を形成し、レジストを除去する。同様に、レジスト(不図示)をマスクに用いてPまたはAsをnチャネル領域105にイオン注入し、N型エクステンション拡散層116を形成する。この後、熱処理を行う。
【0041】
このとき、P型ソース/ドレイン拡散層113およびN型ソース/ドレイン拡散層114、P型エクステンション拡散層115およびN型エクステンション拡散層116を形成する際の熱処理によっても、TiN膜110およびTiN膜110a中の窒素が高誘電率ゲート絶縁膜108中へ拡散する。また、この熱処理により、ランタン酸化膜109を構成するランタン酸化物も拡散する。ここで、熱処理工程では、窒素およびランタン酸化物が拡散するが、窒素原子はランタン原子に比べて小さく、また軽いため、拡散速度は窒素原子の方が速い。そのため、ランタン酸化物が移動する前に高誘電率ゲート絶縁膜108中に窒素が導入される。これにより、TiN膜110aの窒素濃度が高いP型トランジスタ160では、高誘電率ゲート絶縁膜108a中の窒素濃度も高くなり、ランタン酸化物の拡散が抑制される。そのため、ランタン酸化膜109は、ほとんど高誘電率ゲート絶縁膜108中に拡散せず、高誘電率ゲート絶縁膜108上に残る。
【0042】
一方、nチャネル領域105においては、ランタン酸化膜109を構成するランタン酸化物は、高誘電率ゲート絶縁膜108中を拡散して界面層107と高誘電率ゲート絶縁膜108との間に拡散する。これにより、nチャネル領域105において、界面層107と高誘電率ゲート絶縁膜108との間に一定値以下の膜厚を有するランタン酸化膜109aが形成される。また、ランタン酸化膜109の一部(ランタン酸化膜109b)は、高誘電率ゲート絶縁膜108の上に残る。そのため、ランタン酸化膜109aの膜厚はランタン酸化膜109の膜厚以下となる。ただし、P型トランジスタ160においても、ランタン酸化膜109が高誘電率ゲート絶縁膜108中に拡散し、界面層107との界面に存在する場合があるが、その量は、N型トランジスタ162のランタン酸化膜109aの量に比べて非常に微量とすることができる。
【0043】
なお、ランタン酸化膜109aを形成するための熱処理は、ランタン酸化膜109の形成後で窒素の導入後に行われる熱処理であれば、とくに限定されるものではない。また、ランタン酸化膜109aを形成することを目的とする最適化された熱処理を別途付加することもできる。
【0044】
次いで、CVD法およびRIE法を用いて、シリコン酸化膜118とシリコン窒化膜119とからなる2層のサイドウォールスペーサ117を形成する。その後、既知のサリサイドプロセスにより、P型ソース/ドレイン拡散層113、N型ソース/ドレイン拡散層114、およびSi膜111の表面にシリサイド層120を自己整合的に形成する。その結果、P型トランジスタ160およびN型トランジスタ162において、シリサイド/Si/メタルゲート/の積層構造を有するゲート電極が形成される。
【0045】
この後は、従来のトランジスタで用いられているように、層間絶縁膜の形成、コンタクトホールの開口および埋め込み、配線形成等を行うことによって、相補的トランジスタを含む半導体集積回路を形成することができる。
【0046】
次に、本実施の形態における半導体装置100の効果を説明する。
N型トランジスタ162において、高誘電率ゲート絶縁膜108と界面層107との界面にLaが拡散すると、Laはダイポール(La界面ダイポール)を形成する。これにより、フラットバンド電圧(VFB)を負バイアス側にシフトさせて、EWFを低減させ、Vthを低減させることができる。一方、N型トランジスタ162の界面層107中に窒素が存在すると、ダイポールのVth低減効果が抑制される。本実施の形態において、N型トランジスタ162のTiN膜110中の窒素濃度は低いので、N型トランジスタ162の高誘電率ゲート絶縁膜108および界面層107中の窒素濃度も低くすることができ、ダイポールのVth低減効果の抑制を防ぐこともできる。また、本実施の形態において、界面層107と高誘電率ゲート絶縁膜108との界面にLaが拡散するので、界面層107への窒素の移動も抑制することができる。そのため、N型トランジスタ162の高誘電率ゲート絶縁膜108も窒素を含む構成とすることができる。これにより、トランジスタ形成中の熱処理によって高誘電率ゲート絶縁膜が結晶化するのを防ぐことができ、信頼性(絶縁特性)を向上することができる。
【0047】
さらに、本実施の形態において、P型トランジスタ160の高誘電率ゲート絶縁膜108aの窒素濃度がN型トランジスタ162の高誘電率ゲート絶縁膜108よりも高い構成となっている。窒素は、Laの拡散を抑制するため、窒素濃度の高いP型トランジスタ160において、Laの高誘電率ゲート絶縁膜108a中の拡散が阻害される。そのため、P型トランジスタ160においては、高誘電率ゲート絶縁膜108aと界面層107との界面におけるLaの量を非常に少なくすることができる。
【0048】
また、本実施の形態において、P型トランジスタ160の高誘電率ゲート絶縁膜108a中の窒素濃度は、N型トランジスタ162の高誘電率ゲート絶縁膜108の窒素濃度よりも高い構成となっている。窒素は負の固定電荷として働くため、P型トランジスタ160の高誘電率ゲート絶縁膜108a中の窒素濃度が高いと、P型トランジスタ160のVthを低減することができる。
【0049】
また、以上で説明したように、P型チャネル領域104への選択的な窒素の添加は、レジストをマスクとして行う。この場合、窒素を添加した後にレジストを除去するが、レジストを除去する際に、下層の膜が影響を受けて微小ながら膜減りが生じることがある。ゲート絶縁膜の膜厚が変化すると、トランジスタのVthやTinvが変動するといった問題が生じる。本実施の形態において、図4(a)に示すように、N型チャネル領域105のTiN膜110上に選択的にレジスト130を形成して、窒素添加を行っている。そのため、高誘電率ゲート絶縁膜108への直接の影響を与えることなく、P型チャネル領域104にのみ選択的に窒素を注入して窒素濃度の高いTiN膜110aを得ることができる。TiN膜110中の窒素は、その下層の高誘電率ゲート絶縁膜108に拡散され、濃度の高い高誘電率ゲート絶縁膜108aを得ることができる。
【0050】
以上のように、本実施の形態において、TiN膜110a/TiN膜110、高誘電率ゲート絶縁膜108a/高誘電率ゲート絶縁膜108、および界面層107中の窒素の含有量をN型とP型とで異なるように制御することにより、界面層107と高誘電率ゲート絶縁膜108a/高誘電率ゲート絶縁膜108との界面に拡散するLaの量をN型とP型とで異なるようにすることができる。これにより、界面ダイポールの効果を制御することにより、N型とP型とでVthの作りわけを行うことができる。したがって、本発明によれば、閾値電圧を変化させる第1の調整用金属をN型とP型とで選択形成することなく、N型とP型とでVthの作りわけを行うことができ、工程の簡略化が実現できる。
【0051】
(第2の実施形態)
本実施の形態においては、第1導電型はP型、第2導電型はN型とすることができる。
図6は、本実施の形態における半導体装置の構成を示す断面図である。ここでは、トランジスタのチャネル長方向の断面図を示す。
半導体装置100は、基板101と、基板101表面に形成された素子分離領域102と、素子分離領域102により分離されたP型チャネル領域104(図中N channelと示す。)およびN型チャネル領域105(図中N channelと示す。)と、基板101のP型チャネル領域104上およびN型チャネル領域105上にそれぞれ形成されたP型トランジスタ160およびN型トランジスタ162とを含む。本実施の形態において、P型チャネル領域104では、基板101表面にはチャネルSiGe層106が形成されている。
【0052】
ここでは、第1の実施の形態において、図1を参照して説明した半導体装置100と異なる点のみ説明する。
P型トランジスタ160は、基板101上に形成された界面層107と、界面層107上に形成され、Hfを含む高誘電率ゲート絶縁膜108と、高誘電率ゲート絶縁膜108上に形成されたメタルゲート電極であるTiN膜110と、を有する。
【0053】
N型トランジスタ162は、基板101上に形成された界面層107と、界面層107上に形成され、Hfを含む高誘電率ゲート絶縁膜108aと、高誘電率ゲート絶縁膜108a上に形成されたメタルゲート電極であるTiN膜110aと、を有する。
【0054】
本実施の形態においては、P型トランジスタ160において、界面層107と高誘電率ゲート絶縁膜108との界面に、P型のトランジスタの閾値電圧を変化させる第1の調整用金属が存在している。本実施の形態において、第1の調整用金属は、P型のトランジスタの仕事関数を低減させ、閾値電圧を低減できる元素とすることができる。本実施の形態において、第1の調整用金属は、Alとすることができる。
【0055】
本実施の形態において、P型トランジスタ160において、界面層107と高誘電率ゲート絶縁膜108との界面に、アルミ酸化膜150aが形成されている。このような構成とすることにより、P型トランジスタ160の仕事関数を低減させ、閾値電圧を低減することができる。また、本実施の形態において、P型トランジスタ160において、高誘電率ゲート絶縁膜108とTiN膜110との間にも、アルミ酸化膜150b(第1の調整用金属)が存在した構成とすることができる。
【0056】
また、本実施の形態において、N型トランジスタ162において、高誘電率ゲート絶縁膜108aとTiN膜110aとの間に、アルミ酸化膜150(第1の調整用金属)が存在した構成とすることができる。
【0057】
本実施の形態において、N型トランジスタ162の高誘電率ゲート絶縁膜108a中には、第1の調整用金属の拡散を抑制する拡散抑制元素が存在している。拡散抑制元素は、窒素とすることができる。また、本実施の形態において、P型トランジスタ160の高誘電率ゲート絶縁膜108にも窒素が存在した構成とすることができる。本実施の形態において、N型トランジスタ162の高誘電率ゲート絶縁膜108a中の拡散抑制元素の濃度が、P型トランジスタ160の高誘電率ゲート絶縁膜108中の拡散抑制元素の濃度より高い。つまり、本実施の形態において、高誘電率ゲート絶縁膜108aは、高誘電率ゲート絶縁膜108よりも高い濃度の窒素を含む。本実施の形態において、P型トランジスタ160の高誘電率ゲート絶縁膜108中の拡散抑制元素の濃度とN型トランジスタ162の高誘電率ゲート絶縁膜108a中の拡散抑制元素の濃度との差は、たとえば15%程度とすることができる。また、N型トランジスタ162の高誘電率ゲート絶縁膜108a中の拡散抑制元素である窒素の濃度は、たとえば20%以上とすることができる。
【0058】
本実施の形態においては、メタルゲート電極の材料としてTiN膜を用いており、また高誘電率ゲート絶縁膜108をHfSiONで構成した場合、N型トランジスタ162においても、これらの膜由来の窒素が存在する。しかし、他の例において、メタルゲート電極や高誘電率ゲート絶縁膜108の材料が窒素を含まない構成の場合、P型トランジスタ160の高誘電率ゲート絶縁膜108には、窒素が存在しない構成とすることもできる。
【0059】
本実施の形態において、TiN膜110およびTiN膜110a中にも第1の調整用金属の拡散を抑制する拡散抑制元素が存在している。また、N型トランジスタ162のTiN膜110a中の拡散抑制元素の濃度が、P型トランジスタ160のTiN膜110中の拡散抑制元素の濃度より高い。つまり、本実施の形態において、TiN膜110aは、TiN膜110よりも高い濃度の窒素を含む。
【0060】
さらに、本実施の形態において、N型トランジスタ162において、界面層107と高誘電率ゲート絶縁膜108aとの界面に、N型のトランジスタの閾値電圧を変化させる第2の調整用金属が存在する構成とすることができる。第2の調整用金属は、N型のトランジスタの仕事関数を低減させ、閾値電圧を低減できる元素とすることができる。また、第2の調整用金属は、拡散抑制元素である窒素の界面層107への拡散を抑制する元素とすることができる。第2の調整用金属は、たとえばLaとすることができる。ここでは、N型トランジスタ162において、界面層107と高誘電率ゲート絶縁膜108aとの界面に、ランタン酸化膜109aが形成されている。
【0061】
また、N型トランジスタ162において、界面層107中の拡散抑制元素の濃度は、高誘電率ゲート絶縁膜108a中の拡散抑制元素の濃度の濃度よりも低い構成とすることができる。本実施の形態において、N型トランジスタ162の高誘電率ゲート絶縁膜108aと界面層107との間にランタン酸化膜109aが形成されているので、ランタン酸化膜109aにより窒素の拡散が抑制され、界面層107中に窒素が導入されるのを防ぐことができる。また、P型トランジスタ160においても、同様に、界面層107中の拡散抑制元素の濃度が、高誘電率ゲート絶縁膜108中の拡散抑制元素の濃度の濃度よりも低い構成とすることができる。
【0062】
次に、本実施の形態における半導体装置100の製造手順を説明する。図7から図9は、本実施の形態における半導体装置100の製造手順を示す工程断面図である。
本実施の形態においても、第1の実施の形態において図1(a)および図1(b)を参照して説明した手順と同様に、基板101上の全面に界面層107を形成する。この後、界面層107上の全面にたとえばPVD法によりランタン酸化膜109a(たとえば膜厚0.3nm程度)を形成し、図示しないレジストをマスクとしてpチャネル領域104のランタン酸化膜109aをエッチングにより除去する。この後、レジストを剥離する。これにより、nチャネル領域105において、界面層107上にランタン酸化膜109aが選択的に形成される(図7(a))。
【0063】
つづいて、基板101上の全面に、Hfを含む高誘電率ゲート絶縁膜108を形成する。次いで、高誘電率ゲート絶縁膜108上の全面に、たとえばPVD法により、アルミ酸化膜150(たとえば膜厚1nm以下)を形成する(図7(b))。
【0064】
その後、アルミ酸化膜150上の全面に、TiN膜110を形成する。つづいて、pチャネル領域104を覆うレジスト131をマスクとして、窒素プラズマ照射、または窒素イオン注入等によって、nチャネル領域105のTiN膜110に窒素140を添加する(図8(a))これにより、nチャネル領域105においては、TiN膜110は、pチャネル領域104に形成されたTiN膜110よりも窒素濃度が高いTiN膜110aとなる(図8(b))。この後、レジスト131を剥離する。
【0065】
つづいて、TiN膜110およびTiN膜110a上の全面にSi膜111を形成する(図9(a))。このとき、Si膜111形成時の熱処理により、TiN膜110およびTiN膜110a中の窒素が高誘電率ゲート絶縁膜108中へ拡散する。TiN膜110aでは、TiN膜110よりも窒素濃度が高いので、N型チャネル領域105においては、高誘電率ゲート絶縁膜108は、P型チャネル領域104の高誘電率ゲート絶縁膜108よりも窒素濃度が高くなる。ここで、区別するために、N型チャネル領域105の高誘電率ゲート絶縁膜108を高誘電率ゲート絶縁膜108aと示す。
【0066】
次いで、第1の実施の形態で説明したのと同様に、Si膜111、TiN膜110またはTiN膜110a、アルミ酸化膜150、高誘電率ゲート絶縁膜108または高誘電率ゲート絶縁膜108a、ランタン酸化膜109a、および界面層107をゲート形状にする(図9(b))。その後、第1の実施の形態で説明したのと同様の手順で、P型ソース/ドレイン拡散層113およびN型ソース/ドレイン拡散層114、P型エクステンション拡散層115およびN型エクステンション拡散層116、サイドウォールスペーサ117、ならびにシリサイド層120を形成する(図6)。
【0067】
本実施の形態においても、P型ソース/ドレイン拡散層113およびN型ソース/ドレイン拡散層114、ならびにP型エクステンション拡散層115およびN型エクステンション拡散層116を形成する際等の熱処理により、TiN膜110およびTiN膜110a中の窒素が高誘電率ゲート絶縁膜108中へ拡散する。また、この熱処理により、アルミ酸化膜150を構成するアルミ酸化物も拡散する。ここで、熱処理工程では、窒素およびアルミ酸化物が拡散するが、窒素原子はアルミニウム原子に比べて小さく、また軽いため、拡散速度は窒素原子の方が速い。そのため、アルミ酸化物が移動する前に高誘電率ゲート絶縁膜108中に窒素が導入される。
【0068】
ここで、TiN膜110aの窒素濃度が高いN型トランジスタ162では、高誘電率ゲート絶縁膜108a中の窒素濃度も高くなり、アルミ酸化物の拡散が抑制される。これにより、アルミ酸化膜150は、ほとんど高誘電率ゲート絶縁膜108a中に拡散ぜず、高誘電率ゲート絶縁膜108a上に残る。そのため、N型トランジスタ162において、高誘電率ゲート絶縁膜108aと界面層107との間におけるアルミニウムの量を減少することができる。
【0069】
一方、P型チャネル領域104においては、アルミ酸化膜150を構成するアルミ酸化物は、高誘電率ゲート絶縁膜108中を拡散して界面層107と高誘電率ゲート絶縁膜108との間に拡散する。これにより、P型チャネル領域104において、界面層107と高誘電率ゲート絶縁膜108との間に一定値以下の膜厚を有するアルミ酸化膜150aが形成される。また、アルミ酸化膜150の一部(アルミ酸化膜150b)は、高誘電率ゲート絶縁膜108の上に残る。そのため、アルミ酸化膜150aの膜厚はアルミ酸化膜150の膜厚以下となる。ただし、N型トランジスタ162においても、アルミ酸化膜150が高誘電率ゲート絶縁膜108a中に拡散し、界面層107との界面に存在する場合があるが、その量は、P型トランジスタ160のアルミ酸化膜150aの量に比べて非常に微量とすることができる。
【0070】
なお、アルミ酸化膜150aを形成するための熱処理は、アルミ酸化膜150の形成後で窒素の導入後に行われる熱処理であれば、とくに限定されるものではない。また、アルミ酸化膜150aを形成することを目的とする最適化された熱処理を別途付加することもできる。この後、第1の実施の形態で説明したのと同様の手順により、相補的トランジスタを含む半導体集積回路を形成することができる。
【0071】
次に、本実施の形態における半導体装置100の効果を説明する。
P型トランジスタ160において、高誘電率ゲート絶縁膜108と界面層107との界面にアルミニウムが拡散すると、アルミニウムはダイポール(Al界面ダイポール)を形成する。これにより、フラットバンド電圧(VFB)を負バイアス側にシフトさせて、EWFを低減させ、Vthを低減させることができる。
【0072】
一方、N型トランジスタ162において、高誘電率ゲート絶縁膜108aと界面層107との間にアルミニウムが存在すると、ダイポール(Al界面ダイポール)が形成され、VFBの正シフト量が増大してしまう。本実施の形態において、N型トランジスタ162では、高誘電率ゲート絶縁膜108aと界面層107との間にアルミニウムが存在しないので、VFBの正シフト量の増大を防ぐことができる。
【0073】
また、N型トランジスタ162の界面層107中に窒素が存在すると、ダイポールのVth低減効果が抑制される。本実施の形態において、N型トランジスタ162の界面層107と高誘電率ゲート絶縁膜108aとの間には、ランタン酸化膜109aが設けられている。これにより、高誘電率ゲート絶縁膜108a中の窒素が界面層107に拡散するのを防ぐことができる。そのため、N型トランジスタ162の界面層107中の窒素濃度を低くすることができ、界面層107中に窒素が拡散することによるVthシフト抑制によるN型トランジスタ162のVth上昇や界面特性劣化を抑えることができる。
【0074】
また、本実施の形態において、P型トランジスタ160の高誘電率ゲート絶縁膜108中の窒素濃度は、N型トランジスタ162の高誘電率ゲート絶縁膜108a中の窒素濃度よりも低い。P型トランジスタ160の高誘電率ゲート絶縁膜108中の窒素濃度を低くすることにより、その下の界面層107中の窒素濃度も低くすることができる。これにより、P型トランジスタのNBTI特性を向上することができる。
【0075】
また、第1の実施の形態で説明したのと同様、本実施の形態においても、高誘電率ゲート絶縁膜108への直接の影響を与えることなく、N型チャネル領域105にのみ選択的に窒素を注入して窒素濃度の高いTiN膜110aを得ることができる。TiN膜110a中の窒素は、その下層の高誘電率ゲート絶縁膜108に拡散され、濃度の高い高誘電率ゲート絶縁膜108aを得ることができる。
【0076】
以上のように、TiN膜110a/TiN膜110、高誘電率ゲート絶縁膜108a/高誘電率ゲート絶縁膜108、および界面層107中の窒素の含有量をN型とP型とで異なるように制御することにより、界面層107と高誘電率ゲート絶縁膜108a/高誘電率ゲート絶縁膜108との界面に拡散するアルミニウムの量をN型とP型とで異なるようにすることができる。これにより、界面ダイポールの効果を制御することにより、N型とP型とでVthの作りわけを行うことができる。したがって、本発明によれば、閾値電圧を変化させる第1の調整用金属をN型とP型とで選択形成することなく、N型とP型とでVthの作りわけを行うことができ、工程の簡略化が実現できる。
【0077】
次に、N型トランジスタ162の高誘電率ゲート絶縁膜および界面層における好ましい窒素濃度について説明する。ここでは、高誘電率ゲート絶縁膜としてHfSiON膜を用いている。
図10は、N型トランジスタ162の高誘電率ゲート絶縁膜108(108a)中の窒素濃度(atomic%)と、Time Dependent Dielectric Breakdown(TDDB)特性の一種の指標であるT63(累積故障率が63%の破壊寿命)との関係を示す図である。ここで、測定条件は基板温度125℃、酸化膜にかかるシリコン酸化膜換算電界を15MV/cmに設定した。
【0078】
図10に示した結果から、T63は、HfSiON膜中の窒素濃度に伴い増加し、窒素濃度が20%以上で飽和することが分かる。従って、高信頼性を保つために、高誘電率ゲート絶縁膜であるHfSiONゲート絶縁膜中の窒素濃度を20%以上とすることができる。
【0079】
図11は、N型トランジスタ162の高誘電率ゲート絶縁膜108(108a)と界面層107との界面にLaが存在しない場合の、N型トランジスタ162の高誘電率ゲート絶縁膜108(108a)中の窒素濃度(atomic%)と、キャリア(電子)移動度との関係を示す図である。図11に示した結果から、キャリア(電子)移動度は、高誘電率ゲート絶縁膜108(108a)中の窒素濃度の増加に伴い減少している。
【0080】
一方、図12は、N型トランジスタ162の高誘電率ゲート絶縁膜108(108a)と界面層107との界面にLaが存在する場合の、N型トランジスタ162の高誘電率ゲート絶縁膜108(108a)中の窒素濃度(atomic%)と、キャリア(電子)移動度との関係を示す図である。図12に示した結果から、キャリア(電子)移動度は、高誘電率ゲート絶縁膜108(108a)中の窒素濃度が増加してもほぼ一定にとどまる。これは、以下の理由によると考えられる。
【0081】
図13は、N型トランジスタ162の高誘電率ゲート絶縁膜108(108a)と界面層107との界面にLaが存在する場合としない場合の、N型トランジスタ162の高誘電率ゲート絶縁膜108(108a)中の窒素濃度(atomic%)と、界面準位密度との関係を示す図である。
図13に示した結果から、高誘電率ゲート絶縁膜108(108a)と界面層107との界面にLaが存在しない場合には、高誘電率ゲート絶縁膜108(108a)中の窒素濃度の増加に伴い界面準位密度が増大している。一方、界面にLaが存在する場合には、界面準位密度の増大が微増に抑制されている。すなわち、高誘電率ゲート絶縁膜108(108a)と界面層107との界面にLaが存在しない場合には、高誘電率ゲート絶縁膜108(108a)から界面層107に窒素が供給され、界面準位密度が増大する。一方、高誘電率ゲート絶縁膜108(108a)と界面層107との界面にLaが存在する場合には、上述のダイポールの起源となっている高誘電率ゲート絶縁膜108(108a)と界面層107との界面のLaが高誘電率ゲート絶縁膜108(108a)から界面層107へ窒素が拡散するのを抑制するため、界面準位密度の増大が抑制されている。
【0082】
以上の結果から、N型トランジスタ162の高誘電率ゲート絶縁膜108(108a)中の窒素濃度は、たとえば20%以上とすることができる。これにより、N型トランジスタ162の高信頼性を保つことができる。一方、良好な界面特性のため界面層107中の窒素濃度は、たとえば10%以下と低くすることがこのましい。界面にLaが存在する場合、上述したように、高誘電率ゲート絶縁膜108(108a)から界面層107への窒素の拡散を防ぐことができる。そのため、高誘電率ゲート絶縁膜108(108a)の窒素の濃度をある程度高くしても、良好な界面特性を維持することができる。しかし、図13に示したように、界面にLaが存在する場合でも、高誘電率ゲート絶縁膜108(108a)中の窒素濃度の増加に伴い、界面準位密度が微増する。そのため、N型トランジスタ162の高誘電率ゲート絶縁膜108(108a)中の窒素濃度は、界面準位密度を5x1011cm−2i以下にできる、たとえば28%以下とすることができる。
【0083】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0084】
以上の実施の形態においては、ソース/ドレイン拡散層を形成した後に、サイドウォールスペーサを除去してエクステンション拡散層を形成する例を示したが、オフセットスペーサの形成直後にエクステンション拡散層を形成し、その後、サイドウォールスペーサを形成してからソース/ドレイン拡散層を形成する構成とすることができる。
【符号の説明】
【0085】
100 半導体装置
101 基板
102 素子分離領域
103 犠牲酸化膜
104 P型チャネル領域
105 N型チャネル領域
106 チャネルSiGe層
107 界面層
108 高誘電率ゲート絶縁膜
108a 高誘電率ゲート絶縁膜
109 ランタン酸化膜
109a ランタン酸化膜
109b ランタン酸化膜
110 TiN膜
110a TiN膜
111 Si膜
113 P型ソース/ドレイン拡散層
114 N型ソース/ドレイン拡散層
115 P型エクステンション拡散層
116 N型エクステンション拡散層
117 サイドウォールスペーサ
118 シリコン酸化膜
119 シリコン窒化膜
120 シリサイド層
130 レジスト
131 レジスト
140 窒素
150 アルミ酸化膜
150a アルミ酸化膜
150b アルミ酸化膜
160 P型トランジスタ
162 N型トランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成されたシリコン酸化膜またはシリコン酸窒化膜からなる界面層と、前記界面層上に形成され、Hfを含む高誘電率ゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたメタルゲート電極と、を有する第1導電型のトランジスタと、
前記基板上に形成されたシリコン酸化膜またはシリコン酸窒化膜からなる界面層と、前記界面層上に形成され、Hfを含む高誘電率ゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたメタルゲート電極と、を有する第2導電型のトランジスタと、
を含み、
少なくとも前記第1導電型のトランジスタにおいて、前記界面層と前記高誘電率ゲート絶縁膜との界面に、当該第1導電型のトランジスタの閾値電圧を変化させる第1の調整用金属が存在しており、
少なくとも前記第2導電型のトランジスタにおいて、前記高誘電率ゲート絶縁膜中に前記第1の調整用金属の拡散を抑制する拡散抑制元素が存在しており、当該第2導電型のトランジスタの前記高誘電率ゲート絶縁膜中の前記拡散抑制元素の濃度が前記第1導電型のトランジスタの前記高誘電率ゲート絶縁膜中の前記拡散抑制元素の濃度より高い半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第2導電型のトランジスタにおいて、前記高誘電率ゲート絶縁膜と前記メタルゲート電極との間に、前記第1の調整用金属が存在している半導体装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体装置において、
前記第1導電型のトランジスタにおいて、前記高誘電率ゲート絶縁膜と前記メタルゲート電極との間にも、前記第1の調整用金属が存在している半導体装置。
【請求項4】
請求項1から3いずれかに記載の半導体装置において、
前記メタルゲート電極は、TiNである半導体装置。
【請求項5】
請求項1から4いずれかに記載の半導体装置において、
前記拡散抑制元素は、窒素である半導体装置。
【請求項6】
請求項1から5いずれかに記載の半導体装置において、
前記高誘電率ゲート絶縁膜は、HfSiOまたはHfSiONである半導体装置。
【請求項7】
請求項1から6いずれかに記載の半導体装置において、
前記第1導電型は、N型であって、
前記第1の調整用金属は、La、Y、およびMgのいずれかである半導体装置。
【請求項8】
請求項1から7いずれかに記載の半導体装置において、
前記第1導電型は、N型であって、
前記第1の調整用金属は窒素の前記界面層への拡散を抑制する元素である半導体装置。
【請求項9】
請求項7または8に記載の半導体装置において、
前記第1の調整用金属は、Laである半導体装置。
【請求項10】
請求項1から6いずれかに記載の半導体装置において、
前記第1導電型は、P型であって、
前記第1の調整用金属は、Alである半導体装置。
【請求項11】
請求項10に記載の半導体装置において、
前記第2導電型は、N型であって、
前記第2導電型のトランジスタにおいて、前記界面層と前記高誘電率ゲート絶縁膜との界面に、当該第2導電型のトランジスタの閾値電圧を変化させる第2の調整用金属が存在している半導体装置。
【請求項12】
請求項11に記載の半導体装置において、
前記第2の調整用金属は窒素の前記界面層への拡散を抑制する元素である半導体装置。
【請求項13】
請求項11または12に記載の半導体装置において、
前記第2の調整用金属は、Laである半導体装置。
【請求項14】
請求項1から13いずれかに記載の半導体装置において、
前記第1導電型のトランジスタおよび前記第2導電型のトランジスタのうちN型のトランジスタにおいて、前記高誘電率ゲート絶縁膜が前記拡散抑制元素を含み、前記高誘電率ゲート絶縁膜中の前記拡散抑制元素濃度に比べて前記界面層中の前記拡散抑制元素濃度が低い半導体装置。
【請求項15】
請求項1から14いずれかに記載の半導体装置において、
前記第1導電型のトランジスタおよび前記第2導電型のトランジスタのうちN型のトランジスタにおいて、前記高誘電率ゲート絶縁膜が前記拡散抑制元素を含み、当該拡散抑制元素の濃度が20%以上である半導体装置。
【請求項16】
請求項1から15いずれかに記載の半導体装置において、
前記第1導電型のトランジスタにおいても、前記高誘電率ゲート絶縁膜中に前記拡散抑制元素が存在している半導体装置。
【請求項17】
第1導電型のトランジスタと第2導電型のトランジスタとを含む半導体装置の製造方法において、
前記第1導電型のトランジスタを形成する第1チャネル領域と前記第2導電型のトランジスタを形成する第2チャネル領域とが形成された基板の全面に、シリコン酸化膜またはシリコン酸窒化膜からなる界面層と、Hfを含む高誘電率ゲート絶縁膜とをこの順で形成する工程と、
前記高誘電率ゲート絶縁膜上の全面に、前記第1導電型のトランジスタの閾値電圧を変化させる第1の調整用金属を堆積する工程と、
前記第1の調整用金属上の全面にメタルゲート電極を形成する工程と、
前記第1チャネル領域を保護膜で覆う工程と、
前記保護膜をマスクとして、前記第2チャネル領域において前記メタルゲート電極を介して前記高誘電率ゲート絶縁膜中に、前記第1の調整用金属の拡散を抑制する拡散抑制元素を添加する工程と、
熱処理により、前記第1チャネル領域において、前記第1の調整用金属を前記高誘電率ゲート絶縁膜中に拡散させて、前記高誘電率ゲート絶縁膜と前記界面層との界面に到達させる工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項17に記載の半導体装置の製造方法において、
前記メタルゲート電極は、TiNである半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項17または18に記載の半導体装置の製造方法において、
前記拡散抑制元素は、窒素である半導体装置の製造方法。
【請求項20】
請求項17から19いずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記高誘電率ゲート絶縁膜は、HfSiOまたはHfSiONである半導体装置の製造方法。
【請求項21】
請求項17から20いずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1導電型は、N型であって、
前記第1の調整用金属は、La、Y、およびMgのいずれかである半導体装置の製造方法。
【請求項22】
請求項17から20いずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1導電型は、P型であって、
前記第1の調整用金属は、Alである半導体装置の製造方法。
【請求項23】
請求項22に記載の半導体装置の製造方法において、
前記界面層と、前記高誘電率ゲート絶縁膜とをこの順で形成する工程は、
前記第2チャネル領域において、前記界面層の上に前記第2導電型のトランジスタの閾値電圧を変化させる第2の調整用金属を選択的に形成する工程を含み、当該工程の後に、前記第2の調整用金属の上に、前記高誘電率ゲート絶縁膜を形成する半導体装置の製造方法。
【請求項24】
請求項23に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2の調整用金属は、Laである半導体装置の製造方法。
【請求項25】
請求項17から24いずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記拡散抑制元素を選択的に添加する工程において、プラズマ照射により前記拡散抑制元素を添加する半導体装置の製造方法。
【請求項26】
請求項17から24いずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記拡散抑制元素を選択的に添加する工程において、イオン注入により前記拡散抑制元素を添加する半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−9541(P2011−9541A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−152510(P2009−152510)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】